1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年九月十二日(木曜日)
午後二時七分開議
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議事日程 第四十三號
昭和二十一年九月十二日
午後一時開議
第一 商工協同組合法案(政府提出) 第一讀會
第二 電氣事業法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付) 第一讀會の續(委員長報告)
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〔朗讀を省略した報告〕
一、去十日貴族院に於て本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院からの通牒を受領した
恩給法の一部を改正する法律案
帝國議會各議院の議長、副議長及び議員の手當に關する法律案
一、議員から提出された議案は次の通りである
北海道帝國大學に法文兩學部設置に關する建議案
提出者
小川原政信君 地崎宇三郎君
苫米地英俊君 椎熊三郎君
永井勝次郎君 有馬英二君
蠶絲業の協同組合化に關する建議案
提出者 布利秋君
(以上九月十日提出)
宮崎縣に土木部設置に關する建議案
提出者
伊東岩男君 川野芳滿君
大橋喜美君 鹿島透君
森由已雄君 川越博君
省營トラツク擴張反對に關する建議案
提出者
森崎了三君 香川兼吉君
堀川恭平君 木下榮君
八坂善一郎君 村上勇君
松浦薫君 河原田巖君
早稻田柳右エ門君 本名武君
(以上九月十一日提出)
一、議員の異動
群馬縣選出議員須永好君は昨十一日死去された
一、去十日議長に於て次の委員を選定した
自作農創設特別措置法案(政府提出)外一件委員
磯崎貞序君 小川原政信君
上林山榮吉君 木島義夫君
北れい吉君 古賀太郎君
田邊讓君 中野武雄君
葉梨新五郎君 森幸太郎君
森田豊壽君 八重樫利康君
藥師神岩太郎君 山口好一君
青木清左ヱ門君 飯島祐之君
江川爲信君 小笹耕作君
太田秋之助君 白木一平君
寺島隆太郎君 保利茂君
山口光一郎君 吉澤仁太郎君
井伊誠一君 大澤喜代一君
須永好君 棚橋小虎君
玉井潤次君 堂森芳夫君
冨吉榮二君 中原健次君
平野市太郎君 松澤一君
麻生正藏君 橋本二郎君
藤本虎喜君 松本六太郎君
井出一太郎君 鈴木憲一君
豊澤豊雄君 増井慶太郎君
北政清君 布利秋君
山木武夫君
一、去十日次の通り特別委員の異動があつた
林業會法案(政府提出)委員
辭任 町田三郎君 補關 玉井潤次君
臨時物資需給調整法案(政府提出)委員
辭任 池上隆祐君 補關 小坂善太郎君
辭任 河野金昇君 補關 稻田健治君
一、昨十一日第五部選出建議委員須永好君は死去された
一、去十一日委員長理事互選の結果次の通り當選した
自作農創設特別措置法案(政府提出)外一件委員
委員長 葉梨新五郎君
理事
小川原政信君 上林山榮吉君
森幸太郎君 飯島祐之君
山口光一郎君 細野三千雄君
冨吉榮二君 藤本虎喜君
井出一太郎君 布利秋君
一、昨十一日次の通り特別委員の異動があつた
食糧緊急措置令(承諾を求める件)委員
(死去) 須永好君 補關 佐竹晴記君
臨時物資需給調整法案(政府提出)委員
辭任 米山久君 補關 加藤勘十君
自作農創設特別措置法案(政府提出)外一件委員
(死去) 須永好君 補關 細野三千雄君
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) 是より會議を開きます
御報告致すことがあります、議員須永好君は昨十一日逝去せられました、洵に痛惜哀悼の至りに堪ヘませぬ、此の際弔意を表する爲め發言を求められて居ります、之を許します──大野伴睦君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔大野伴睦君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=2
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003・大野伴睦
○大野伴睦君 只今議長より御報告に相成りました故衆議院議員須永好君に對し、院議を以て弔詞を贈呈し、其の弔詞は之を議長に一任するの動議を提出致します
此の際僣越ながら、諸君の御同意を得まして、議員一同を代表し、謹んで哀悼の意を表したいと存じます
此の度突然の訃報に接し、此の議場から尊敬すべき僚友を失ふことに相成りました、洵に民主議會の爲め痛恨の情禁ずる能はざる次第であります(拍手)御承知の如く君は群馬縣下、新田郡の御出身であります、君の限りなき愛着を持つ所の土と、土に生きる人々の爲に、夙に農民運動の先驅者として挺身すること二十有餘年、以て今日に至つたのであります、日本農民組合の爲には忘るべからざる功勞者であります(拍手)郷黨に於ける君の信望は殊に厚く、既に昭和十二年選ばれて本院の議席を占め、農民陣營に萬丈の氣を吐いたのであります、君が再び此の民主議會に臨んで、其の抱負を實現せらるるものと、更に大いなる期待を以て迎へたのでありまして、日夜健鬪されて居られた際、今日圖らずも君と永遠に訣別するの巳むなきに至りましたことは、洵に遺憾極まりなき次第であります(拍手)君は多年の宿望たる民主日本の建設に一身を挺して顧みず、病後未だ囘復十分ならざるに拘らず、一昨日、而も此の壇上に約一時間に垂んとする最後の熱辯を揮つて、それが終るや、微恙の徴候を帶びて歸宅されたのでありますが、翌朝急逝されたとのことであります、君の崇高なる最期こそは、此の歴史的議會に相應しき嚴肅なる事實として、永遠に我々の胸に銘記されるでありませう(拍手)議會の使命は愈愈重きを加へるの秋、我々一同一段の精進を誓つて、職に斃れられた君が在天の靈に應へんとするものであります(拍手)茲に謹んで哀悼の誠を披瀝致す次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=3
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004・山崎猛
○議長(山崎猛君) 只今大野君より提出せられました動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=4
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005・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て動議は可決せられました、茲に議長の手許に於て起草を致しましたる文案を朗讀致します
衆議院は議員勳四等須永好君の長逝を哀悼し、恭々しく弔詞を呈す
此の弔詞の贈呈方は議長に於て取計らひます
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=5
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006・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 議事日程變更の緊急動議を提出致します、即ち此の際三木武夫君提出、國鐵ゼネストに關する緊急質問を許可せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=6
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007・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=7
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008・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、政府は此の議事日程變更に同意せられました、仍て日程は變更せられました、國鐵ゼネストに關する緊急質問を許可致します──提出者三木武夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=8
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009・会議録情報3
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國鐵ゼネストに關する緊急質問
(三木武夫君提出)
〔三木武夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=9
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010・三木武夫
○三木武夫君 私は協同民主黨と新政會を代表して、國鐵ゼネストに關する緊急質問を行ひ、政府の所信を伺ひたいと存じます
來る十五日の午前零時を期して行はれると豫告される國鐵「ゼネスト」に對しては、國民は其の結果の波及すべき重大なる意義に想到して、其の經過を嚴重に見守つて居る状態であります、現在の日本は敗戰に依り聯合軍の管理下にあつて、國民の行動は常に占領目的の線に沿はなければならないと云ふ嚴肅なる事實は、寸時と雖も之を忘れてはならないのであります(拍手)果して國鐵の「ゼネスト」が東部と西部とに分れて其の意見を異にし、進駐軍の輸送に對しては萬全を期すると云ふことでありますけれども、我々は果して其の間遺憾なきやと云ふことに對しては非常な憂慮を持つものであります(拍手)今日國民は聯合軍の好意ある處置も加はりまして、漸くにして日本産業の最低生産と國民の最低の生活を維持して居ると云ふ現状であります、其の動脈をなすものは實に國鐵なのである、此の國鐵の線に國民の最低生活は連なつて居るのであります(拍手)今若し國鐵が豫定通りに「ゼネスト」を敢行される場合には、日本の重要物資の輸送は一體どうなるのであるか、國民の最低生活の維持の線はどうなるのであるか、而も二十四時間であるに致しましても、一旦「ゼネスト」を敢行したならば、恐らく國鐵が通常の「ダイヤ」に囘復をすることは數週間の期間を要すると専門家は言つて居るのであります、其の間最も痛烈なる被害を受けるものは日本の産業であり、國民大衆それ自身なのであります(拍手)國鐵「ゼネスト」を繞る國民の監視と批判は、政府に對しては固よりのこと、國鐵勞働組合に對しても決して甘いものではないと云ふことを當事者は深く銘記すべきであります(拍手)
今日敗戰に因る日本の生産力の崩壞は、産業の規模を縮小し、之に對應する縮小された勞務の再配置を必要とすることは論を俟ちませぬ、けれども今日の日本の失業問題が、通常の景氣循環論から來たのではなくして、全面的敗戰が原因をなして居ると云ふ所に、日本の失業問題の一層の深刻さがあるのであります、戰爭に勝つた歐米諸國に於ても、今日最大の政治的課題は「フル・エンプロイメント」である、如何にして國民を就業せしめるかと云ふことが、世界最大の政治の課題である、日本に於ても政府は必死になつて眞劍に此の「フル・エンプロイメント」の問言に取組まなければならぬのであります、其の爲には一日も早く日本再建の産業の計畫を立て、其の計畫に伴うた適正なる勞務再配置計畫を立てて、勤勞大衆に對して、政府の失業對策に對する信頼を取戻さなければならぬのであります(拍手)然るに政府の執つて居られまする失業對策と云ふものに、國民大衆が少からず不安な氣持を持つて居ることは事實である(拍手)歐米に於ても「フル・エンプロイメント」が最大の課題である、生産も崩壞した、此の日本に於て各企業が單に企業採算と云ふことを中心にして──勿論經營の合理化と云ふことは必要でありますけれども、企業採算と云ふことのみを中心として勤勞者の大量整理をすると云ふことは愼しまなければならない(拍手)又國鐵の如きものは、利潤追求の資本主義の形態でなくして、國營事業でありますから、無論整理すべきものは整理をせなければならぬが、此の「フル・エンプロイメント」と云ふ、日本全體の課題に對する協力を、國鐵が惜しんではならぬと私は思ふのであります(拍手)併しながら恐らく巳むを得ざる整理は認めざるを得ない今日、此の整理に付ては、日本が現在置かれて居る困難な、而も冷嚴な、客觀的な情勢と云ふものを頭に置いて、政府と當事者が胸襟を開いて日本再建の爲の協議を續けたならば、此の問題は解決しないものであるとは思はれない(拍手)寧ろ私は此の國鐵を繞る問題に對して、政府の眞劍な努力が足りないのではないかと云ふことを言ひたいのであります(「ひやひや」拍手)國民は今日日本の勞働組合が健全に發達すると云ふことに對しては、非常に同情的な見方を致して居ります、一日も早く日本の勞働組合が成長して、日本再建の根底となる公正なる勞働の秩序を日本に確立することを期待致して居る、又一面勞働組合の運營と云ふものが、最も民主的な形態に依つて運營されなければならぬと云ふことに對する國民の監視も怠つて居るものではないのであります(拍手)隨て日本の客觀的事態を無視して、自己中心的な、一方的な要求は、勞働組合としても嚴に愼しまなければならぬのであつて、國民は無制限に勞働組合を支持するものではないのであります(「ひやひや」拍手)茲に我々は、現在に於ても勞働組合の代表者と運輸省の首腦部との間に協議が續けられて居ると云ふ新聞の報道でありますから、國鐵「ゼネスト」の如き日本を混亂の最中に陷れるやうな事態の起らざるやうに、此の問題が一日も速かに解決せられんことを、政府竝に勞働組合に對して、強く國民の名に於て要望せざるを得ないものであります(拍手)現在海に於ては海員の「ストライキ」あり、陸に於ても國鐵の「ゼネスト」が豫告されて居る、國家の大動脈とも言ふべき海陸の此の輸送網が斷たれやうとする事態に對しては、政府も深く責任を感じなければならぬと思ふ(拍手)一體今日までどう云ふ努力をして居るのか、どう云ふ經過を辿つて居るのか、其の眞相を國民の前に明かにされると共に、今後此の國鐵「ゼネスト」竝に海上に於ける海員の「ストライキ」等の問題を繞つて、政府は何等かの確信を持つて居るのか、國民の最低生活と國家の基本物資の輸送に對して、萬遺憾なからしめる責任を國民に對して負ふことが出來るのか、是等に對する今日までの經過と、政府の決意を明快に承る必要を感じて、緊急質問を致した所以であります(拍手)
〔國務大臣平塚常次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=10
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011・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 御答へを致します、國有鐵道の經營が民主的でないと云ふことが一般輿論であり、議會に於ても屡屡叫ばれたのであります、私はどうしても國有鐵道は戰前の状態に一日も早く復歸しなければならぬと云ふ決心を以ちまして、第一番に手を染めましたのは非常に大きな赤字が出て居つたのであります、是は色々な原因がありまして、どうしても一般會計に依つて賄ふことの出來ない位な大きな損失が計上されて居りました爲に、甚だ好ましからざることでありましたけれども、運賃の値上に依つて先づ此の赤字の補填を考へ、先般鐵道會議に於て、私の諮問に對して大幅の値上を決定されたのであります、更に第二の問題と致しましては、經營の合理化に手を染めなければならぬ、經營の合理化と申しましても、先づ今日國有鐵道の國民に對して最も評判の惡い「サービス」の改善をしなければならぬ、それから現在從業員が五十五萬人ございます、其の内容を見ますと、一方に於ては非常に人が餘つて居ります、又職に依りましては缺乏して居る所もある、斯う云ふものを整理しなければならぬのであります、配置轉換をやらなければならぬと考へたのであります、配置の轉換を強力に行ひますと、整理が必要になつて來るのであります、そこで私共が考へて居るだけでは實行が出來ないので、組合の幹部に諮りまして、數囘協議に入つたのであります、最後に八月二十五日に從業員組合の代表者十名、鐵道の方から十名出しまして、小委員會を設けて色々協議を重ねたのであります、其の結果と致しまして、斯う云ふ協定が生れたのであります、第一に配置轉換を組合と協力して行ふこと、第二に退職希望者、能率の著しく上らない者、勤勞意欲の足らない者、其の他惡質の者は整理する、整理に付ては組合の意向を參酌する、第三に組合側の意向を容れて、四十八萬人の外に二萬人の増員を認める、第四に整理人員に付ては七萬五千人に必ずしも拘泥しない、斯う云ふ覺書を交換したのであります、然るに之を鬪爭委員會に掛けました結果、外部の刺戟を受けたやうにも思はれます、其の結果之を否認して參つたのであります、さうして去る五、六日宇治山田に於て大會が開かれて、此の「ゼネスト」を斷行しようと云ふ方針で進んだのであります、然るに西の組合は「ゼネスト」に反對して、遂に此の組合が分裂したのであります、之に付きましては既に新聞紙上で報道された通りであるのであります、併しながら我我としては此の儘で置く譯にも行かぬのであります、どうしても十五日に「ゼネスト」に入ると云ふことを聲明して居りまするので、西の方の組合に對しては──成べく總聯合一本で交渉に入りたいと思つて居るのでありまするけれども、西の方の組合は西の組合として協議致したい、又東の方も本日から協議に入つて居ります、入つて居りまするが、明日の正午まで此の協議が纒まらなければ、「ゼネスト」をすると云ふことを一方的に宣言して居るのでありますが、私はどうしても是は今明日の中に解決しなければならぬと思ひまして、今日は徹夜しても此の問題を解決しようと考へて居るのであります(拍手)先般交渉したことが否認されましたので、それではどうしても當事者間に幾ら話をしても、是は妥結をしないぢやないか、此の際お互ひに第三者を介在して、此の問題を公平に處斷して貰つたらどうかと云ふことを提議致しましたが、不幸にして此の案が用ひられないのであります、現在「ゼネスト」に入る其の向ふの要求と致しましては、整理を止めろと云ふ要求であるのであります、整理をしなければ國有鐵道の合理的經營はあり得ないのであります(拍手)勿論「ゼネスト」に入りますると、國民に非常な迷惑が掛るのであります
一體整理をしなければならぬと云ふ點は何處にあるか、之を少しく遡つて申述べて見たいと思ひます、戰爭が始まつた昭和十二年度に於て、國有鐵道の從業員と云ふものは二十四萬人であつたのであります、然るに今日五十五萬居る、其の五十五萬の中には、終戰後今日まで十三萬人歸還者を收容して居る、更に是から今年一杯に約六萬人の從業員が歸つて參ります、是等の人は本當に鐵道で大切な方々であるのでありまするから、是は絶對に收容しなければならぬ、結局本年の年末になりますると、六十一萬人になる、過去に於て二十四萬人で今日以上の輸送力が行はれ、又國民に對する「サービス」も非常に良かつたのでありまするが、六十一萬人の人間を──國有鐵道は國家の機關であるから、要らなくても何十萬の人を置くと云ふことは、どの角度から見ても非常に無理だと私は思ふのであります(拍手)勿論整理に當りましては、出來るだけ失業者を出さないやうに、例へば此の五十五萬人の中には、現在十六歳未滿の男と女が七萬五千人居ります、是等の人でも一家を支へて居る者は失業させない、先づ家庭に歸つても失業者にならないやうな者を整理する、更に能率の惡い人や、怠けて居る者や、年の行つた者、さう云ふやうな者はどうしても此の際整理しなければならぬ(拍手)又大部分の人は、成るべく國有鐵道に關係のある外部機關に出來るだけ斡旋をして、出來るだけ少數の失業者に止めたいと云ふことで、可なり長い間私は努力して、當局を激勵して今日に至つたのであります、若し之を從業員の要求に應じて引込めると云ふことになりますると、鐵道の經營の合理化と云ふものはあり得ないのであります、國民の期待を裏切るものであります(拍手)私は非常に大きな責任を感じて居りますけれども、此の儘で行くべきものではないと思ふのであります(拍手)一體代表者の人が組合で選ばれて、さうして話したことが何度でも崩れると云ふことは、今日の民主政治に於て、私はこんなことは民主主義ではないと思ふのであります、甚だ遺憾でありまするが、併し何とかして今明日中に、「ゼネスト」に入らぬやうに最善の努力を盡して見たいと思ふのであります(拍手)
何と申しましても、今日「ゼネスト」に入りますると、一日やつたからと云つて濟まぬのであります、どうしてもそれを復活する爲には十日乃至二週間を要するのであります、さうして石炭の輸送が一日でも停頓したならば、瓦斯も止ると云ふことになり、又國民生活に大切な食糧の輸送が一日停頓すると云ふことは、是は相當大きな故障を國民に與へるのでありまして、絶對に「ゼネスト」をさすべきものではないのであります、又國有鐵道の從業員と云ふものは、全部「ゼネスト」に入ると云ふことを言うて居らぬのであります、半分は「ゼネスト」はいかぬと云ふ反對があります、又現在やらうと云ふ中にも、相當に反對意見を持つて居るのでありまするから、全體の數から見ますると、過半數でないと云ふことは明らかであるのであります、でありまするから、是は少數の者だけで勝手にやると云ふことは、どうしても排撃しなければならぬと思ふのであります、以上經過の概要を申上げた次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=11
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012・三木武夫
○三木武夫君 只今御答辯を承つたのでありますが、内容的には色々申したいこともありまするが、唯、申された今晩徹夜してでも此の問題を解決して國民に迷惑を掛けないと云ふ運輸大臣の言葉に信頼し、又責任を持たれることを望んで、私の質問を終ります
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=12
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013・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 議事日程變更の緊急動議を提出致します、即ち此の際日程第二を繰上げ上程し、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=13
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014・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=14
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015・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て日程の順序は變更せられました──日程第二、電氣事業法の一部を改正する法律案の第一讀會の續を開きます、委員長の報告を求めます──委員長長尾達生君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=15
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016・会議録情報4
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第二 電氣事業法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 電氣事業法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年九月十一日
委員長 長尾達生
衆議院議長 山崎猛殿
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〔長尾達生君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=16
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017・長尾達生
○長尾達生君 只今上程されました電氣事業法の一部を改正する法律案の特別委員會に於きまする審議の經過竝に結果を御報告申上げます、國民生活の必需品であり、又各種産業の基盤でありまする電氣は、戰後我が國に殘された重要資源として益益其の緊要性が認められるに至つたのであります、電氣事業運營の如何は、産業の復興、民生の福利に影響する所甚大であります、本委員會は九月七日以來終始熱心に質疑竝に討論を致したのでありますが、其の詳細に付きましては之を議事録に讓ることと致しまして、問題となりました主要なる諸點を御報告申上げたいと思ひます
電氣事業の一般問題と致しまして、第一に論議の焦點となりましたことは、電氣事業の企業形態の問題であります、此の問題に付きましては現行發送電及び配電會社に依りまする形態の可否、國營論、公共團體に依る分割經營論等、各種の角度から質疑竝に意見の開陳がありましたが、之に對する政府の見解と致しましては、一應現行制度を是とするが、本法律に依つて新たに設けられまする電氣委員會に諮り、愼重決定したいとの答辯がありました、第二の問題となりました點は、電力の需給に關する問題であります、電力の需給は戰後一旦極度に減退致しましたが、家庭用電熱器等の普及に依りまして急激に増大したことと、火力發電所の賠償等に關聯致しまして需給逼迫が豫想される所でありまして、此の點政府の豫想も極めて悲觀的でありましたが、水力電源の擴充、聯合軍總司令部に對する賠償設備の除外懇請等、政府の萬全の施策を要望致して置きました、第三點は電氣事業の「サービス」の問題であります、停電、事故續出、或は又從業員の態度等、最近に於ける「サービス」の低下に付きまして委員から痛烈な追究があつたのに對しまして、政府も其の實情を認めまして、將來に於ては其の從業員に對しても、代表的の公共事業從事者としての襟度を以て「サービス」向上に努力せしむる旨の答辯を得ましたのであります、次は電力開發計畫に關する點であります、我が國の電氣事業は石炭資源の涸渇、賠償火力發電設備の撤去から、必然的に水力設備に依存しなければならないのであります、此の點から本問題に付ても各種の意見、質疑が開陳せられたのでありますが、特に産業再建の基盤として國家百年の大計に邁進すべきこと、竝に失業救濟對策をも兼ねて「ダム」建設工事の推進等強力に要望致しましたのに對し、政府も極力是が實現を約したのであります、更に一般問題と致しましては、以上の外周波數統一問題、電氣料金問題、電氣事業會社の經營竝に配當の見透し、之に依る出資者たる公共團體の財政に及ぼす影響等に付て質疑が行はれましたが、法案の内容の問題と致しましては、政府も特に今囘の改正の眼目と致して居りまする中央竝に地方電氣委員會の問題に論議が集中されたのであります、此の活發なる質疑に對しまして、政府も本案の電氣委員會は從來の各種委員會の如く單なる諮問機關ではなく、權威ある議決機關と致しまして、其の運營を通じて電氣事業の民主化の徹底を期すべき旨を言明致したのであります
以上要するに本案は、政府の提案説明にありました如く、先般廢止せられました國家總動員法に基く配電統制令及び電力調整令の失效に對處し、併せて新構想に依る電氣委員會の設置に依り、電氣事業運營の民主化を意圖するものでありまして、自由黨代表の綿貫佐民君、進歩黨代表の天野久君、社會黨代表の山崎常吉君、協同民主黨代表の飯田義茂君、新政會代表の秋田大助君、無所屬倶樂部代表の福田繁芳君から、次の事項を政府に要望致しまして贊成をする旨の意見が述べられたのであります、即ち、中央竝に地方電氣委員會は單なる諮問機關に終ることなく、權威ある決議機關として、其の構成運營に付ては徹底的に民主化を期すること、又賠償火力發電所の撤去に付ては、其の影響の甚大なるに鑑み、聯合國側に對して極力撤去設備からの除外、撤去の延期を懇請すると共に、殘存設備の利用強化、水力設備、殊に「ダム」建設を強力に推進すること、配電事業の公營問題に付て急速に研究措置すること、日本發送電及び配電會社の配當減少等に依る地方自治體の收入減の對策を講ずること、電氣事業企業形態を再檢討して、之を速かに確立し、事業者の向ふべき途を明かにせしむべきこと、農村、鐵道、家庭其の他の電化政策を強力に推進すること、電氣料金の適正化を速かに實現すること、電氣委員會の活用に依り事業監督の官僚統制の弊を避け、民主化實現を期すること、「サービス」改善に努力し公益事業として本來の使命達成に資すること、周波數統一實施に依る收益の大なるに鑑み、眼前の困難に迷はされることなく、國家百年の大計確立の爲め萬難を排して速かに之を實現すること等を要望して、討論を終つたのであります、最後に採決の結果全員一致原案通り可決致しました、簡單でありますが、以上を以ちまして委員長の報告と致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=17
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018・山崎猛
○議長(山崎猛君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=18
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019・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て本案の第二讀會を開くに決しました
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020・山口喜久一郎
○山口喜久一郎君 直ちに本案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して委員長報告通り可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=20
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021・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山口君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=21
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022・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=22
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023・会議録情報5
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電氣事業法の一部を改正する法律案 第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=23
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024・山崎猛
○議長(山崎猛君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して委員長報告通り可決確定致しました(拍手)
日程第一、商工協同組合法案の第一讀會を開きます──星島商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=24
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025・会議録情報6
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第一 商工協同組合法案(政府提出) 第一讀會
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商工協同組合法案
商工協同組合法
第一章 總則
第一條 商工協同組合は、商業、工業又は鑛業を行ふ者の緊密な結合により、商業、工業又は鑛業の改良發達に資するため組合員の事業の經營の合理化を圖るに必要な共同施設をなすことを目的とする。
第二條 商工協同組合は、これを法人とする。
第三條 商工協同組合は、その名稱の中に組合の事業に應じて商、工若しくは鑛又はこれらの二以上を冠する業協同組合といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合でないものは、その名稱の中に、前項に掲げる文字を用ひてはならない。
第四條 商工協同組合は、勅令の定めるところにより、登記をしなければならない。
前項の規定により、登記しなければならない事項は、その登記の後でなければ、これを以て第三者に對抗することができない。
第五條 商工協同組合には、營業税を課さない。
第六條 商工協同組合の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
第二章 設立
第七條 商工協同組合の組合員たる資格を有する者は、定款でこれを定める。但し、左の各號の一に該當する者でなければならない。
一 一定地區内において商業、工業又は鉱業を行ふ者
二 前號の者で組織する團體
三 第一號の者及び前號の團體で組織する團體又は前號の團體で組織する團體
第八條 商工協同組合を設立しようとするときには、組合員にならうとする者が發起人になり、他に組合員にならうと申し出た者があるときには、その同意を得て、創立總會を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
創立總會における議決は、組合員にならうとする者の三分のニ以上の同意を必要とする。
組合員にならうとする者は、創立總會において代理人により議決權を行ふことができる。
前項の代理人は、組合員にならうとする者でなければならない。
第九條 商工協同組合の定款は、組合が組合員の自由な意思に基き民主的に組織され且つ運營されるやうにこれを作り、左の事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名稱
三 地區
四 事務所の所在地
五 組合員たる資格に關する規定
六 組合員の加入及び脱退に關する規定
七 出資一口の金額及びその拂込の方法
八 剩餘金の處分及び損失の填補に關する規定
九 準備金の額及びその積立の方法
十 組合員の權利義務に關する規定
十一 事業及びその執行に關する規定
十二 役員に關する規定
十三 會議に關する規定
十四 會計に關する規定
十五 存立の時期又は解散の事由を定めたときには、その時期又は事由
第十條 第八條第一項の規定による設立の認可があつたときには、發起人は、遲滯なく組合員にならうとする者に、第一囘の拂込をさせなければならない。
第十一條 商工協同組合は、勅令の定めるところにより、設立の登記をすることにより成立する。
第三章 事業
第十二條 商工協同組合は、左の事業を行ふことができる。
一 組合員の取扱品の仕入、保管、運搬、加工、販賣その他組合員の事業に關する共同施設
二 組合員の取扱品又はその生産若しくは加工の設備に對する檢査
三 組合員の事業に關する指導、研究、調査その他組合の目的を達するために必要な事業
商工協同組合は、前項の事業の外、組合員に對する事業資金の貸付、組合員のためにするその事業上の債務の保證又は組合員の貯金の受入を併せて行ふことができる。
第一項第一號及び第二號に掲げる組合の施設は、組合員の利用に差支がない場合に限り、組合員でない者にも、これを利用させることができる。
第十三條 商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の取扱商品について商品券を發行することができる。
第十四條 商工協同組合が商品券を發行したときには、組合員は、これに對してその取扱商品の引換の義務を負ふ。
第十五條 商工協同組合が商品券を發行した場合に、組合員が商品券の引換をすることができないとき又はその引換を停止したときには、その組合は、商品券の所有者に對して、券面に表示した金額を限度として、辨濟の責を負ふ。
第十六條 商品券を發行した商工協同組合が、みづから商品を販賣する場合には、前三條中組合員とあるのは、組合を含むものとする。
第十七條 保管事業を行ふ商工協同組合は、行政官廳の許可を受けて、組合員の寄託物について倉荷證券を發行することができる。
前項の許可を受けた商工協同組合は、組合員たる寄託者の請求により、寄託物の倉荷證券を交付しなければならない。
商法第六百二十七條第二項及び第六百二十八條の規定は、第一項の倉荷證券に、これを準用する。
倉庫業法第四條及び第八條乃至第十條の規定は、第一項の場合に、これを準用する。
第十八條 前條第一項の許可を受けた商工協同組合の作成する倉荷證券には、第三條第一項の規定による商工協同組合の名稱を冠する倉庫證券といふ文字を記載しなければならない。
商工協同組合でない者の作成する預證券及び質入證券又は倉荷證券には、前項に掲げる文字を記載してはならない。
第十九條 商工協同組合により倉荷證券の發行された寄託物の保管期間は、寄託の日から六箇月以内とする。
前項の寄託物の保管期間は、六箇月を限度として、これを更新することができる。但し、更新の際の證券の所持人が組合員でないときには、組合員の利用に差支がない場合に限る。
第二十條 商法第六百十六條乃至第六百十九條及び第六百二十四條乃至第六百二十六條の規定は、商工協同組合が倉荷證券を發行した場合に、これを準用する。
第四章 組合員の權利義務
第二十一條 組合員は、出資一口以上を持たなければならない。
出資一口の金額は、均一でなければならない。
第二十二條 組合員は、商工協同組合に拂ひ込まなければならない出資金額について、相殺を以て組合に對抗することができない。
第二十三條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、組合員が持分を讓渡しようとするときには、組合の承認を受けなければならないものとすることができる。
組合員でない者が、持分を讓り受けようとするときには、加入の例によらなければならない。
持分の讓渡人は、その持分について、讓渡人の權利義務を承繼する。
第二十四條 組合員は、總會において各各一個の議決權を有する。
第二十五條 組合員は、總組合員の五分の一以上の同意を得て、總會の目的及びその招集の理由を記載した書面を理事に提出して、總會の招集を請求することができる。
第二十六條 組合員は、總會の招集手續又はその決議の方法が、法令又は定款に反すると認めるときには、決議の日から三十日以内に、その決議の取消を行政官廳に請求することができる。
第二十七條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、その經費を組合員に賦課することができる。
第二十八條 商工協同組合は、定款の定めるところにより、使用料及び手數料を徴收することができる。
第二十九條 商工協同組合の組合員の責任は、第二十七條の規定による經費の負擔の外、その出資金額を限度とする。
第三十條 組合員は、左の事由により脱退する。
一 組合員たる資格の喪失
二 死亡又は解散
三 破産
四 禁治産
五 除名
組合員は、前項の規定にかかはらず、事業年度の終に、商工協同組合を脱退することができる。但し、この場合には三箇月以前にその豫告をしなければならない。
第五章 管理
第三十一條 商工協同組合には、理事及び監事を置かなければならない。
理事及び監事は、總會において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員の中から、これを選任する。但し、組合設立當時の理事及び監事は、創立總會において、組合員にならうとする者又は組合員にならうとする法人の業務を執行する役員の中から、これを選任する。
第四十一條第二項の規定は、前項本文の場合に、これを準用する。
第三十二條 理事又は監事は、任期中であつても、總會において、これを解任することができる。
第四十一條第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第三十三條 商工協同組合が理事と契約をする場合には、監事が組合を代表する。組合と理事との間の訴訟の場合についても同樣である。
第三十四條 監事は、理事又は組合の使用人と相互に兼ねることができない。
第三十五條 理事は、定款及び總會の決議録を各事務所に、組合員名簿を主たる事務所に、備へて置かなければならない。
組合員名簿には、左の事項を記載しなければならない。
一 各組合員の氏名又は名稱及び住所
二 各組合員の出資口數、拂込金額及び拂込年月日
組合員及び組合の債權者は、何時でも組合の帳簿書類の閲覽を求めることができる。
第三十六條 民法第四十四條第一項、第五十二條第二項、第五十三條乃至第五十五條及び第五十九條の規定は、商工協同組合の理事及び監事に、これを準用する。
第三十七條 理事は、定款の定めるところにより、少くとも毎年一囘通常總會を開かなければならない。
理事は、必要があると認めるときには、定款の定めるところにより、何時でも臨時總會を召集することができる。
第三十八條 理事が缺けたときには、總會の召集は、監事が、これを行ふ。
理事が、第二十五條の規定による請求のあつた日から二週間以内に、正當の事由がないのに總會の召集の手續をしないときには、監事は、その總會を召集しなければならない。
第三十九條 總會の決議は、この法律又は定款に特別の規定がある場合の外、出席した組合員の議決權の過半數で、これをしなければならない。
第四十條 組合員は、代理人により議決權を行ふことができる。この場合には、これを出席とみなす。
前項の代理人は、組合員でなければならない。
第四十一條 この法律で別に定めた場合の外、左の事項は、總會の議決を經なければならない。
一 定款の變更
二 組合の解散及び合併
三 毎年度の事業計畫
四 收支豫算及び經費の賦課徴收方法
五 借入金額の最高限度
六 組合員の除名
七 その他定款で定める事項
前項第一號、第二號及び第六號の事項の議決は、總組合員の半數以上が出席して、その議決權の四分の三以上で、これをしなければならない。但し、定款に特別の規定がある場合には、この限りではない。
定款の變更は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第四十二條 理事は、通常總會の會日より二週間前に、財産目録、貸借對照表、事業報告書及び剩餘金處分案を監事に提出し、且つこれを主たる事務所に備へなければならない。
理事は、前項の書類及び監事の意見書を通常總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第四十三條 民法第六十二條、第六十四條及び第六十六條の規定は、商工協同組合の總會に、これを準用する。
第四十四條 商工協同組合が出資一口の金額の減少を決議したときには、その決議の日から二週間以内に財産目録及び貸借對照表を作らなければならない。
組合は、前項の期間内にその債權者に對して異議があれば一定の期間内にこれを述べるやう定款の定めるところにより公告し、且つ判明してゐる債權者に對しては、各別にこれを催告しなければならない。但し、その期間は三十日より短くてはならない。
第四十五條 債權者が、前條第二項の期間内に出資一口の金額の減少に對して異議を述べなかつたときには、これを承認したものとみなす。
債權者が意義を述べたときには、商工協同組合は、これを辨濟し又は相當の擔保を提供しなければ、出資一口の金額を減少することができない。
第四十六條 商工協同組合は、定款で定める準備金の額に達するまで、毎事業年度の剩餘金の十分の一以上を積み立てなければならない。
前項の準備金の額は、出資總額の二分の一より少くてはならない。
第一項の準備金は、損失の填補に充てる場合の外、これを使用することができない。
第四十七條 商工協同組合は、損失を填補し、前條の準備金を控除した後は、勅令の定めるところにより、剩餘金を處分することができる。
第四十八條 商工協同組合は、組合員の脱退の場合の外、持分の拂戻をすることができない。脱退した組合員は、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の拂戻を請求することができる。
脱退した組合員の組合に對する權利義務について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第四十九條 商工協同組合は、組合員の持分を取得し、又は質權の目的としてこれを受けることができない。
第五十條 商工協同組合がその組合員に對して行ふ通知又は催告は、組合員名簿に記載した組合員の住所又はその者が組合に通知した住所に宛てればたりる。
前項の通知又は催告は、通常到達すべき時に、到達したものとみなす。
第六章 監督及び違法處分に對する救濟
第五十一條 商工協同組合の行爲が法令、法令に基いてなす處分又は定款に違反したときには、行政官廳は、總會の決議を取り消し、役員若しくは清算人を解任し、組合の事業の停止又は組合の解散を命ずることができる。
第五十二條 この法律に基く許可又は認可の申請があつたときには、行政官廳は、法令に違反し又は公益を害すると認める場合の外、その許可又は認可を拒むことができない。 第五十三條 この法律又はこの法律による命令に基く行政官廳の處分に不服のある者は、行政官廳に訴願し、又は行政裁判所に出訴することができる。
第七章 解散
第五十四條 商工協同組合は、左の事由により解散する。
一 定款で定める時期の到來又は事由の發生
二 總會の決議
三 組合の合併
四 組合の破産
五 第五十一條の規定による解散の命令
總會の決議による解散は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第五十五條 商工協同組合の合併は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。
第四十四條及び第四十五條の規定は、商工協同組合の合併の場合に、これを準用する。
第五十六條 商工協同組合の合併は、合併後存續する組合又は合併により設立した組合が勅令の定めるところにより登記をすることにより、その效力を生ずる。
第五十七條 合併後存續する商工協同組合又は合併により設立した商工協同組合は、合併により消滅した組合の權利義務を承繼する。
第五十八條 商工協同組合が解散したときには、合併及び破産の場合の外、理事がその清算人になる。
前項の規定により清算人になる者がないとき又は清算人が缺けたときには、裁判所は、利害關係人の申請により、又は職權を以て、清算人を選任することができる。
裁判所は、必要があると認めるときには、職權を以て清算人を解任することができる。
第五十九條 清算人は、就職後遲帶なく組合財産の現況を調査し、財産目録及び貸借對照表を作り、これを總會に提出して、その承認を求めなければならない。
第六十條 清算人は、清算及び財産處分の方法について、裁判所の認可を受けなければならない。
裁判所は、必要があると認めるときには、清算人に對し、清算及び財産處分の方法について監督上必要な事項を命ずることができる。
第六十一條 清算人は、商工協同組合の債務を辨濟した後でなければ、組合財産を處分することができない。
第六十二條 清算事務が終つたときには、清算人は、遲滯なく決算報告書を作り、これを總會に提出してその承認を求めなければならない。
第六十三條 民法第七十三條、第七十八條乃至第八十一條及び第八十二條第二項竝びに非訟事件手續法第三十五條第二項、第三十六條、第三十七條の二、第百三十五條の二十五第二項第三項、第百三十六條第一項、第百三十七條及び第百三十八條の規定は、商工協同組合の清算にこれを準用する。
第八章 商工協同組合中央會
第六十四條 商工協同組合中央會は、商工協同組合の指導及び連絡を圖る目的を以て、これを設立することができる。
商工協同組合中央會は、これを法人とする。
第六十五條 商工協同組合中央會は、その名稱の中に商工協同組合中央會といふ文字を用ひなければならない。
商工協同組合中央會でないものは、その名稱の中に、商工協同組合中央會といふ文字を用ひてはならない。
第六十六條 商工協同組合中央會を設立しようとするときには、會員にならうとする者が發起人になり、會員たる資格を有する者の同意を得て、創立總會を開き、定款その他必要な事項を定め、行政官廳の認可を受けなければならない。
前項の同意は、設立發起當時の商工協同組合の過半數の同意を以てたりる。
商工協同組合中央會は、全國を通じて一個とする。
第六十七條 商工協同組合は、商工協同組合中央會の會員になることができる。
前項以外の者も、商工協同組合中央會の定款の定めるところにより、その會員になることができる。
第六十八條 商工協同組合中央會には、左の役員を置かなければならない。
會長 一人
理事 若干人
監事 若干人
第六十九條 商工協同組合中央會は、勅令の定めるところにより、その所屬の商工協同組合の業務又は財産の状況について監査の事業を行ふことができる。
第七十條 第四條、第六條、第十一條、第二十四條乃至第二十七條、第三十一條第二項第三項、第三十二條乃至第三十四條、第三十六條乃至第四十三條、第五十條、第五十一條、第五十四條及び第五十八條乃至第六十三條の規定は、商工協同組合中央會に、これを準用する。
第九章 罰則
第七十一條 商工協同組合又は商工協同組合中央會が、この法律若しくはこの法律に基く命分又はこれらに基いて行ふ處分に違反したときには、會長、理事、監事又は清算人は、これを五千圓以下の過料に處する。
第七十二條 第三條第二項、第十八條第二項又は第六十五條第二項の規定に違反した者は、これを千圓以下の過料に處する。
附 則
第七十三條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第七十四條 商工協同法(以下舊法といふ。)は、これを廢止する。但し、舊法は、他の法令により準用される範圍内においては、なほその效力を有する。
第七十五條 舊法により設立され、この法律施行の際現に存する統制組合及び商工組合中央會は、前條の規定にかかはらず、この法律施行後も、三箇月間を限つてなほ存續するものとする。
前項に掲げる組合及び中央會については、舊法は、前條の規定にかかはらず、なほその效力を有する。
この法律施行前になした行爲又は第一項の規定により同項に掲げる組合又は中央會が存續する期間中になした行爲に關する罰則の適用については、この法律施行後又は前項の規定により效力を有する舊法が、その效力を失つた後も、なほ從前の例による。
第一項に掲げる組合又は中央會で同項の期間滿了の際現に存するものは、その期間滿了の時に解散するものとする。
前項に掲げる組合又は中央會の解散及び清算竝びに第一項の期間滿了の際現に清算中の組合又は中央會の清算については、舊法は、その清算の結了まで、なほその效力を有する。
第七十六條 舊法により設立され、この法律施行の際現に存する施設組合は、これをこの法律により設立され商工協同組合とみなす。
前項の商工協同組合が、この法律施行前に發行した倉荷證券については、當分の間第十八條の規定は、これを適用しない。
第一項の商工協同組合は、必要な定款の變更をしてこの法律施行の日から三箇月以内に、行政官廳に認可の申請をしなければならない。
前項の期間内に同項の認可の申請をしない商工協同組合は、その期間滿了の際解散するものとする。
第一項の商工協同組合の登記について必要な事項は、勅令でこれを定める。
第七十七條 この法律施行の際現に第三條第一項又は第六十五條第一項の名稱をその名稱の中に用ひるものは、この法律施行後三箇月以内に、その名稱を變更しなければならない。
第七十二條の規定は、前項の期間中は、同項に掲げるものには、これを適用しない。
第七十八條 商工組合中央金庫法の一部を、次のやうに改正する。
第一條第一項中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第三條第一項、第三項及び第四項中「統制組合を組合員とする統制組合、商業組合聯合會、工業組合聯合會」を「商工協同組合を組合員とする商工協同組合」に改める。
第七條第一項中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十七條第一項但書中「商工組合、商業組合、工業組合」を「商工協同組合」に改める。
第二十八條第一項第六號及び第二十九條第一項第三號中「商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第七十九條 登録税法の一部を、次のやうに改正する。
第十九條第七號中「商工組合、商工組合中央會、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合、工業組合中央會、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、商業組合中央會」を「商工協同組合、商工協同組合中央會」に、「商工組合法、工業組合法、商業組合法」を「商工協同組合法」に改める。
第八十條 前二條の規定にかかはらず、この法律施行の際商工組合中央金庫に關係のある商工組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會及び工業小組合につき竝びにこの法律施行の際現に存する商工組合、商工組合中央會、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合、工業組合、工業組合聯合會及び工業小組合の登録税については、なほ從前の例による。
第八十一條 印紙税法の一部を、次のやうに改正する。
第四條第一項第十二號中「商工組合、工業組合、工業組合聯合會、工業小組合、商業組合、商業組合聯合會、商業小組合」を「商工協同組合」に改める。
第八十二條 食糧管理法の一部を、次のやうに改正する。
第二十一條第二項中「商工組合法第五十五條第二項第三項及第五十六條乃至第五十八條」を「商工協同組合法第十七條第二項第三項及第十八條乃至第二十條」に、同條同項但書中「同法第五十六條、第五十七條第一項及第五十八條中施設組合倉庫證券」を「同法第十八條第一項中第三條第一項の規定による商工協同組合の名稱を冠する倉庫證券」に改める。
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〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=25
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026・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 商工協同組合法案提出の理由を御説明致します
我が國が今囘の戰爭に依つて蒙りました痛手を速かに囘復致しまして、文化國家の再建を行ひ、世界の進運に寄與致します爲には、何よりも先づ國民生活の安定を確保致さねばなりませぬ、是が爲には産業の急速なる振興を圖りますことが緊要でありますことは申上げるまでもありませぬ、然るに我が國産業の現状及び將來を考へますのに、巨大資本に依る重工業を中心と致して居りました從前とは異なり、中小企業の比重が非常に大きくなつて來て居るのでありまして、今後中小企業の活躍に期待する所が甚だ大きいのでありまするが、中小企業は、其の規模、形態其の他性質上之を放任致して置きましたのでは、其の健全なる發達を見ますことが困難な事情にあるのであります
中小企業の振興方策と致しましては色々な方法が考へられるのでありますが、先づ第一に之を組織化致しまして、企業家の自主的團結の力に依りまして其の弱點を補ひ、協同一致して是が合理化、能率化を圖るやうな機構を作ることが肝要であらうと存ずるのであります、現在中小企業を組織化する機構の主要なるものと致しましては、商工組合法に依る統制組合及び施設組合があるのでありますが、商工組合法は戰時立法の一つでありまして、殊に統制組合は政府の戰時經濟統制機構の一環としての役割を擔ひ、理事長の指導者原理を中心として強權的に運營するやうに出來て居りまして、戰後經濟民主化の趣旨に反する點が多く、組合關係者の間に於きましても、是が改正の要望は非常に強いのであります
政府と致しましては此の際商工組合法、隨て之に基く統制組合及び施設組合の制度を廢止致しまして、之に代つて新たに關係商工業者の相互扶助の精神に基く自主的協同の組織たる商工協同組合制度を設け、此の新しい組合制度の民主的な運營に依りまして、今後の新經濟情勢に對處致したいと存じまして、今囘本法案を提出致した次第であります、尚ほ詳細は委員會等で申上げることに致したいと存じますが、何卒御審議の上速かに御協贊を與へられんことを望みます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=26
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027・山崎猛
○議長(山崎猛君) 質疑の通告があります、順次之を許します──加藤一雄君
〔加藤一雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=27
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028・加藤一雄
○加藤一雄君 私は只今上程に相成りました商工協同組合法案に付きまして質問致します、御承知の通り從來我が國に於きまする商工業は、濫立を致しまして、其の間常に無謀なる競爭が行はれました、往々にして共倒れの傾向を馴致致しまして、其の發達を阻碍致しましたことは屡屡であります
〔議長退席、副議長著席〕
今囘政府は、世界第二次戰爭後に於きまする世界經濟の動向の特色の一つであります協同的に生活水準の維持向上を圖らんとする思想のあることを攝取せられまして、其の協同的精神に基きまして商業及び工業の合理化を圖り、以て戰後我が經濟の再建に資せんとせられました努力に對しましては、滿腔の敬意と贊意を表するに吝ではございませぬ、併しながら如何に法案の精神が立派でございましても、之を運用するに當りまして、其の方法を誤るに於きましては、一片の反古になることも過去の經驗に徴しまして明かであります、此の意味に於きまして、私は以下數點に付きまして政府の所信を伺つて置きたいのであります
先づ第一に御伺ひ致したい點は、昨年九月二十四日附、日本國政府に對し聯合軍最高司令部が發しました指令は、我が經濟再編成に關する根本方針であつたと私は確信致して居ります、然るに本指令受領後將に一箇年に垂んとする今日、政府は之に對する成案はおろか、腹案も持つて居ないと云ふことが、先般商工經濟會法を廢止する法律案を審議するに當りまして明かに相成りました、又膳國務大臣は本議場に於きまして、經濟安定本部は新たに設置せられた機關であるから只今計畫立案中であるとの答辯を致されて居ります、思はざるも甚だしい、我が國の官廳組織は、太政官布告以來、時に起伏興廢はありましたが、連綿として今日まで續いて居ることは諸君の御承知の通りであります、新たに設立せられたるが故に現在計畫も何も持たぬと云ふことは言語道斷、國政は寸時も忽せにすべきものではございませぬ、國民たる者は唖然と致して居る次第であります、御承知の通り我が國の國土は今日非常に狹小に相成りました、人口は非常に過剩であります、若し之を此の儘に放任致して置きますならば、假令外來の政治力、經濟力の壓迫がなくとも、我が民族は自然力の淘汰に依りまして、ここ百年を出でずして、今日北海道に住まつて居る「アイヌ」人になつてしまふことは必然であります、斯く警鐘を亂打致しまする私の言を、政府は馬耳東風視せられるかどうか、政府國民とも、今日一大猛省を致すべき重大時期であると私は考へます、此の點に對しまして敢て幣原國務大臣の御答辯を戴きたいのであります
第二點は、私は過去二十七年間中國問題を研究致して居りますが、此の研究を中心に致しまして、將來東亞各地に於きまする工業化と日本經濟の將來に關しまして御伺ひを致します、從來我が國は東亞に於きまして、各地から工業原料を輸入致しまして、是等地域に工業製品を輸出致しました所謂工業先進國の特質を持つて居ります、然る所歐米に對しましては、生絲、茶、其の他農産物を輸出致しまして、機械類、化學製品等を輸入する所謂工業後進國の性格を有して居つたのでありまするが、今囘の大東亞戰爭の結果、東亞に於きまする我が國の地位は全く逆轉を致しました、其の上に我が國の今日の東亞に於きまする地位は、英米資本主義と「ソ」聯共産主義との接觸する地帶に位して居りまする關係上、今日經濟再建、政治再建、文化再建等各般に亙りまして幾多の重要な問題を釀し、又釀さんとしつつある傾向が見えるのであります、之を只今經濟問題に付て考へて見まするならば、所謂中國、「インド」等に於きましては急速なる工業化と云ふものが豫想せられて居ります、是が若し我が國の將來の工業に、又は經濟に、どれだけの影響があるかと云ふことを算へて見ますれば、凡そ次のやうな點があります
第一は、商工大臣は能く御聽取り戴きたいのでありますが、若し是等地域の工業化が纖維工業等に向けられるに於きましては、我が國の從來の輸出の大宗であります綿絲布其の他に付きましても、相當の打撃を受けることは申すまでもございませぬ、第二點は、是等地域の工業化が急速に進展すると云ふことになりますれば、從來得て居りました工業原料は非常に入手が困難になる、而も今日我が國は外地の喪失、勢力範圍の喪失に依りまして、工業原料の入手が非常に窮屈になつて居ることは、商工大臣も特に御勘考のことと私は考へて居ります、第三番目は、將來日本の工業の輸出力と云ふものが、從來ありましたやうな低い廉い勞働力に依つてのみ立つものと考へて行きましたならば、東亞各地に於きましてはもつと日本よりより安い工業勞働力がうじやうじやして居る結果は、日本の輸出力に於きましても非常な打撃を蒙むることに相成ります、第四番目は、戰災に因りまして國土及び各種施設は荒廢に歸して居ります上に、機械工業、化學工業と云ふものが賠償の對象になつた關係上、是等の製品は非常に減少致しました、東亞各地に對します輸出力と云ふものは減退をした、中國の工業化が急速に伸展致すことになりますれば、必然的に歐米に對しまして資本或は機械技術等を求めることになることは今日の東亞の状況に於きましては必然と私は考へます、左樣になりますれば、結果と致しまして我が生絲、茶等の輸出貿易は、其の面に於ても非常に削減を來す結果に相成ると云ふ確信を私は持つて居ります、次に商工大臣に──、運輸大臣はおいでになりませぬが、特に御勘考戴きたい點は、造船業は今日非常に制限を受けて居ります、又商船隊は壞滅を致しました、隨ひまして自國船舶に依ります所の輸送の利益と云ふものは喪失致した、加之東亞に於きましては經濟の基盤と致しまして農業を主體に致して居ります、而も此の農業は封建的であると云ふこと、零細農法であると云ふこと、水田農法であると云ふこと、其の他各方面に於きまして我が國の農業に類似する點が多うございます、此の點は將來東亞に於きまして分業を設定する上に於きまして、極めて困難なる問題を惹起すると私は思つて居ります、只今拾ひ上げて參りました諸問題を解決するが爲には、何と申しましても中國と緊密に連繋を致しまして、是と友好善隣の關係を締結するより外に途はないと、私は是れ亦確信を致します、我が國は政府も國民も共に過去に於きまする對華政策の失敗に鑑みまして、凡ゆる角度より中國を正當に研究理解することの緊要なることを痛感致します、敢て商工大臣に御尋ね致して置きます
第三點は中小工業に對する問題であります、中小工業を以て敗戰後の經濟再建に資せんとする所の政府の御答辯は、臨時物資需給調整法の委員會に於きましても、膳國務大臣、商工大臣共に御明言になつて居りますから、諄々しく是には言及を致しませぬが、此の中小工業の再建の方途に關しまして政府に警告を發して置きます、それは外でもございませぬ、中小工業は過去に於きまして國民生活物資、貿易物資を生産致して居りました關係上、是が今日都市に集中致して居りまして、非常に損害率が多うございます關係もありまして、今日及び將來に對する民生安定、貿易振興上極めて重大なる問題が茲に投げ掛けられて居る、此の問題であります、左樣に考へて參ります時に、中小工業再建の方途は、單に中小工業それ自體の問題として考ふべき問題ではないと私は思ひます、世界經濟は勿論、日本經濟全體としての一環、此の一環性の下に適當に解決せらるべき問題であると私は考へます、換言致しますならば、世界經濟の動向から考へまして、我が國の貿易が將來どの程度まで許されるかと云ふこと、是が決定致しまする時に、日本經濟の構造がはつきり致します、日本經濟の構造は將來農業と工業の組合せがどう云ふやうになるかと云ふことであります、斯樣に各種の事實を勘案致しまして、そこで初めて中小工業の再建の方途と性格とがはつきり致すと私は確信を致します、商工大臣の御答辯を求めて置きます
次に、左樣に許されましたる中小工業の再建と育成對策に付きまして、商工大臣に御伺ひ致します、其の第一は技術的に見、或は經濟的に見まして、中小工業の今後育成に適する業種が相當今日殘つて居ります、其の業種に付きましては、大企業の獨占を禁止する措置が十分に執られることが肝要と考へます、次に大東亞戰爭の終戰時にありました大企業と下請工場の關係でありますが、あのやうな體たらくは、斷じて新日本の經濟再建は私は罷りならぬと考へます、故に中小工業の大企業に對する下請關係を再檢討せられまして、中小工業に合理的なる性格を附與せられ、大企業が技術的にも經營的にも常に中小工業を指導育成するの組織を確立せられんことを望んで巳みませぬ、第三番目は非常に低い技術水準を向上致しまして、勞働力の維持改善を圖ると云ふことであります、終戰の結果不要となりましたる技術者、熟練勞働者、機械は相當市場にございます、之を今日中小工業に割愛を致しまして、是が技術向上を圖ると云ふことも目下の急務と考へまするが、政府の御所見はどうか、第四番目は、中小工業の從來の地方的の指導機關は工業試驗所であつたと私は考へます、工業試驗所が大東亞戰爭中は勿論、それ以前に於きましても我が國中小工業の技術經營に關しまして偉大なる力を及ぼしたと云ふことは、私は見逃す譯には參りませぬが、考へて見まするに、中小工業は其の基礎に於きましても非常に貧弱でありますし、資本の力に於きましても非常に薄弱であります、自分の獨力を以ちまして自分に必要なる技術經營に關する一大研究機關を設置すると云ふことは望み薄であります、されば今日政府は中小工業の技術經營に關しまして推進をする爲に、差當り現在ございまする工業試驗所の組織を擴充強化して、之に優秀な技術者の配屬を斷行して戴きませうし、地方の技術者の不完全なる者の再教育も御願ひ致しまして、中小工業の技術經營が格段の進歩を遂げるやうに御配慮を願ひたい、又常に研究の目標を國土、資源の徹底的開發利用、低劣なる技術水準の向上に依りまして、貿易を維持發展せしめること、低廉なる勞働力、低い生活水準を解消すること、消費生活を合理化、改善を致しまして、國民生活の内容を豐かにするやうに、政府は特段の御留意が此の點にも願ひたいのであります、取分け從來日本の缺點と見做されて居りました技術の發達に關しまして、洵に困つた現象であります中間試驗の組織であります、實用化、試驗研究の組織、之を政府は如何に莫大なる費用が掛りませうとも、今日戰爭を放棄した日本でありますから、軍備に充當致して居りました費用を此の方へ割かれて、中間工業試驗組織の確立を一日も早く現内閣の力を以て御宣明が願ひたい、之を特に御願ひを申上げて置きます
次に育成に關しまして申上げたい點は、今日「クレヂット」を設定すると云ふことは、國際關係から眺めまして洵に困難なる問題でございます、而も惡性「インフレ」は駸々として進行致します、惡性「インフレ」を「ストップ」せしめんが爲には、生産を極力再開する必要がございます、而も原料がない、そこで政府は今日聯合軍司令部に對しまして、原材料の貸與、又は再輸出商品の爲に用ひる原材料として輸入方の懇請を願ひまして、一日も早く此の方面の生産が再開出來るやうに御高配になる御意思があるかどうか、此の點も伺つて置きたいのであります
次に「フォード」の經營方法を採擇致しまして、中小工業の育成指導に當る意思ありや否やと云ふことであります、「フォード」の經營方法は、第一は事業の成功は一に手腕と功績とに依つて要員を起用するにあること、第二は良品の薄利多賣は利益であると云ふこと、第三番目は迅速なる生産は資本を要すること少きこと、第四番目は時間及び勞力の節約、設備の發達するに從ひまして、勞働者一人當りの生産は無制限であると云ふこと、第五番目は出來高拂と致しまして賃金に制限を附せざる方が宜しいと云ふこと、第六は競爭業者間の意見の交換を促進すると云ふこと、第七番は無駄を省くこと、第八番は勞働者の福祉を増進すること、第九番目は調査研究は進歩の母であると云ふこと、此の「フォード」の經營方法を移して以て日本中小工業の育成指導に當られることが、私は目下の急務と考へるが、政府の御方針は如何でありますか、商工大臣の御所見を承つて置きます(「長過ぎるぞ」と呼ぶ者あり)
第四點は中小商業の問題に付てであります、昭和五年十月一日現在、日本に於きまする商業從事者の數は四百四十六萬人、昭和十九年度に於きまする其の數は二百二十二萬人であります、是は軍需工業に轉身して行つた者が相當ございますが故に、此の減少を見たのでございますが、終戰後の今日はどうでありませうか、資本を餘り要しない露店商業へ多くの人間が趨りつつございます、而も軍需工業の解體に伴ひまして不要となりました人間が、多數中小商業の方面に趨る傾向が今日見受けられます、昭和五年頃の中小商業の氾濫期を又今日再現するの盛況であります、私は此の中小商業の發生の原因は、中小工業と同樣なる經濟的基盤から發生するものと考へますが故に、單に中小商業の解決の方策は、中小商業それ自體の問題として御考へになつては大間違ひが起る、經濟全體の問題として御考へ願ひたい、それが爲には中小商業に組合組織を結成せしめること、左樣に致しまして大企業が持つて居ります合理性に漸次近接せしめること、是が今日中小商業を救ふ最大の課題と私は考へて居ります、政府の所見を承つて置きます
又農林大臣は要求致して居りましたが、おいでがございませぬから、商工大臣と農林大臣に御尋ね致して置きますが、戰時中に出來ました食糧營團は、將來消費組合的組織に移行するものと私は豫言致して置きますが、御所見はどうか、併せて承つて置きます
次に大藏大臣に御伺ひ致します、我が國が將來世界經濟に復歸することは必然と考へます、其の時には金爲替本位制を採擇すると云ふことは、「ブレトン・ウッヅ」協定に照して明かであります、今日政府は是が爲に採金業に對し如何なる政策を執つて居られるか、日本銀行の倉庫の中に幾何の金塊が保存せられてあるか、はつきり承つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=28
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029・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 申合せの時間が過ぎて居ります、御注意致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=29
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030・加藤一雄
○加藤一雄君(續) あと石油の問題、生産金融の問題、それから公定價格、闇行爲の問題、統計資料の問題、其の他ございますが、詳細は全部委員會に讓ることに致しまして、私の質問は之を以て終了致します(拍手)
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=30
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031・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 加藤君の御意見を加へられつつ御質問になりました點は、概ね私も同感でありまして、簡單に御返事しますれば、あなたの仰しやる通りにしたい、斯うでも申上げたい位に思ひます(拍手)殊に全體の農業と工業との旨い振合を付けて、日本が中小工業で生きて行く以外には生きる途がない、それを主體として工業立國と云ふやうな形を取つて行くことを本體にして、どうせ是で賠償物資が決定致しましたり、財界が整理が付いてしまひますれば、度々此の議場でも出ました如く、重工業等は數を減しまして、殆ど中小工業が主體になる譯でありますから、之にはもう政府ばかりでなく、全力を注いで總ての國民がそこに自覺を持つて行く以外には生きて行く途はない、斯樣に思ふ譯であります、それでありますから、それを助成する爲に凡ゆる手段を講じたい、それに付ては只今加藤君仰せの通り凡ゆる手段を講じて行きたい、斯樣に申上げたいと思ふ譯であります、殊に加藤君は商工行政には多年研究をされ、造詣が深いのでありまして、敬意を表するものでありますが、概ね金融部面に付きましても、其の他の面に付きましても、殊に技術の高度化と云ふことは、從來日本が粗製濫造に慣れて居つて、非常に信用を失して居つた時代があるのでありますが、今後は此の終戰後、中小工業の振興に對しましては特に其の點に意を用ひ、只今仰せの工業試驗所の如きは、是は軍隊がなくなつたのでありますから、豫算面から言ひましても相當増額致しまして、今囘は殊に出費が多いから要求致しませぬけれども、今後斯う云ふ方面には、皆樣の應援を得まして相當増額して之を立派にしたい、それでもまだ足らぬければ、工業學校を動員して、さうして共々に手を取つて行きたいと云ふやうなことなんかも考へられまするし、又獨占は許されませず、從來のやうな搾取的な下請機關も改めて、此の協同組合を最も宜く利用して行きますれば、相當補ふ途はあらうかと思ひます、其の他色々御意見の中に、殊に商業部面も從來の行き方では駄目だ、共食ひのやうな事變の前に還つたのでは何も意味をなしませぬので、是は適當に配列しましたる、最も合理的なる商業の運營に還らしめたい、それには此のやうな組合の運用が最も適當かと考へられます、其の他諸種の點がありましたが、私は只今申した如く殆ど同感でありまして、何れ委員會に於きまして十分承つた上で參考に資したいと思ひます(拍手)
〔國務大臣男爵幣原喜重郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=31
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032・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郎君) 只今加藤君より私を名指して御質疑になりました一點がありまするので、一寸其の點を御答へ申上げます、政府は終戰後經濟的復興を圖らんが爲に日夜苦心を致して居るのであります、是が爲には種々の方面より見まして、必要なる對策を講じて居る積りであります、之に關する種々の法案が議會に提出されまして、皆樣の御研究を煩はして居ることもあることは御承知の通りであります、隨ひまして加藤君が申されました通り、私は此の經濟物價の問題を、何だか馬耳東風の態度を以て、日を曠しくして居ると云ふやうなことは絶對にありませぬ、此の點はどうか御安心を願ひます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=32
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033・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 加藤君、此の程度で宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=33
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034・加藤一雄
○加藤一雄君 大藏大臣の御答辯を……
〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=34
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035・上塚司
○政府委員(上塚司君) 加藤君の御尋ねの金本位復歸の問題に付きましては、我が國の經濟状態が一時も速かに復興振起致しまして、仰せの如く一時も早く「ブレトン・ウッヅ」協約に參加の出來るやうになりまして、軈て金本位に復歸の時期の至らんことを期待し、且つ努力致して居る次第であります(拍手)尚ほ御尋ねの日本銀行に於ける金塊の高に付きましては、關係筋の達しの趣旨もございますので、此處で公表致すことの出來ないのを甚だ遺憾と致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=35
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036・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 加藤君、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=36
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037・加藤一雄
○加藤一雄君 宜しうございます、詳細は委員會に讓ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=37
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038・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 九鬼紋十郎君
〔九鬼紋十郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=38
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039・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 本日上程せられましたる所の商工協同組合法案に付て若干の質疑をなし、政府の明確なる御答辯を御願ひしたいと存じます
抑抑本案提出の理由に依りますると、「我が國産業の急速な再建を圖るため、中小企業を組織化し、その自主的協同に依り企業の合理化を行ひ、以て産業の振興を促進しなければならない緊急の必要がある。」と云ふのでありまするが、全案を通觀する時、其の狙ひとする所、又は其の法案の背景となる所の經濟思想に付て、はつきりしない點が多々あると考へるのであります、本案を一口に申しましたならば、戰時中に於ける所の商工組合法中より其の統制的規則を排除し、施設組合の分を殘したに過ぎない感を受けるのでありまして、隨て從來の商業組合法、工業組合法と類似のものとなつて居るのでありまして、其の點甚だ速成の物足りない立法たる謗りを免れないと考へるのであります、抑抑我が國の商業組合、工業組合の發達を見まする時、資本主義經濟の發達に伴つて、大資本大企業の壓迫甚だしく、中小商工業者は其の自衞上互ひに組合を結成して、其の地位の安定と育成を圖つて參つたのであります、然るに滿洲事變以後、打續く戰爭の擴大に依りまして、中小商工業者は非常な苦難に曝され、又犧牲を強要せられるの巳むなき状態に立至つたのであります、終戰後一年、今や平和日本建設の爲には經濟の民主化が必須の要請となり、殊に大産業大企業は戰爭中に於きまして徹底的爆撃に因つて甚大なる損害を被り、又戰後に於きましては賠償問題或は國際關係等に依りまして、非常な制限を受けることになつて參つたのであつて、隨て我が國の産業の中樞は此の中小商工業者竝に勤勞者の雙肩に懸つて居ると言つても、何人も疑ふ餘地のない事實であります、唯今日注意しなければならないことは、準戰時時代又は戰時時代に於きまして高まつて參つた所の机上「プラン」に依る官僚統制を排除し、飽くまで經濟民主化の中に占める所の中小商工業者の地位と役割を明かにし、彼等をして自發的活動をなさしめて、其の生産意欲を彌が上にも高からしめることでなければならないと考へるのであります、それは即ち曾ての放漫なる自由主義經濟に還ることでもなければ、又戰爭中に於ける所の誤つた統制經濟を繼續して行くことでは更にないのでありまして、今後我々國民は戰時中の如き此の統制地獄の中に呻吟することは絶對に反對しなければならないと考へるのであります(拍手)而して經濟人竝に産業人をして、其の自己の責任の上に立つて、自由に創意を發揮せしめ、而もそれが公共の利益に合致する性格のものでなければならないと考へるのであります、之に付きましては政府は出來るだけの援助を圖らなければならないのであつて、行政的に於ても或は立法上に於ても、彼等の活動の妨げとなる機構或は組織を排除し、或は改革し、立法上に於きましても彼等の目的を達成する爲に十分なる援助をしなければならないと考へるのであります、例へば物品税の廢止、或は度量衡の統一、規格の改正、最も重要なる問題は物價の改正でありまして、此の物價は今囘物價廳に於て調査決定せらるることになつて居るのでありまするが、此の物價廳が眞に眞價を發揮するに至りますには、凡ゆる統計調査を蒐集し、又之に加ふるに熟達したる所の人的組織を完成するにあらざれば、我我は之を期待することは出來ないと思ふのであります、而も此の物價の問題は焦眉の急を要し、生産の増強も亦是なくしては行はれないのでありまして、假に誤つた所の物價を制定して業者に之を強要し、而も刑罰を以て之を取締らんとするが如きは矛盾も甚だしいのであつて、是こそ民主主義政治に反したる所の、「テロ」政治の再現であると言つても私は過言でないと考へるのであります、尚ほ誤つたる物價が眞面目なる業者を萎縮せしめ、惡質業者をして益益跋扈せしむる結果に陷ることは周知の事實でありまして、此の點を政府は十分に認識し、迅速にして而も實情に適したる所の、適當なる物價に改正せられんことを要望するのであります、斯くして宜しく經濟計畫全體の枠を定め、其の中に占める中小商工業者の地位と役割を明かにして、以て日本經濟再建の礎を築かれんことを切望致します、政府は抑抑本法案提出に當つて、中小商工業者の地位と役割に付て十分なる知識と理念の御用意があつたかどうか、此の點を御伺ひ致したいと思ひます
次に總則第一條の概念規定が甚だ消極的な感じを受けるのでありますが、重要なる商工業法案としてはもつと積極的に、冒頭第一條に於て其の趣旨を明かにする必要があると考へるのであります、例へば商業、工業又は鑛業を營むものの緊密なる結合に依り、其の自主的、民主的發達を促し、組合員相互の向上發展を圖り、進んで國民經濟の興隆に寄與することを目的とす、と云ふやうに修正することが一層適切なりと考へるのでありますが、此の點に付て政府の御所見を承りたいのであります
第三に協同組合の名稱であります、協同組合なるものは、經濟史上より見ますに、消費者又は小經營者が商業資本の壓迫から解放されんとして組織したのが其の發端であります、隨て此の中には多分に非營利的觀念が含まれて居るのであつて、消費組合、購買組合も一種の協同組合であります、又從來の工業組合の中には、統制を主としたる「カルテル」もあれば、共同施設を主としたる協同組合も併存して居るのでありまして、此の商工業組合の歴史、内容は相當複雜であると言はなければなりませぬ、政府は抑抑今後に於ける我が國商工經濟をして、組合國家主義的理念の下に之を運營せしめようとして居られるのであるか、若し然らずとすれば、協同組合なる名稱は、商工業を營むものの組合名稱としては誤解混同を招き、又範圍が限定される嫌ひがあると言はなければなりませぬ、政府は此の際之を明かにして置かれる必要があると思ひます、此の點に付て御伺ひ致したいのであります
次に本案提出の理由に依りますと、明かに中小商工業者を其の對象として居るのでありますが、法案の條文中には、特に中小企業或は中小商工業なる言葉を發見し得ないのであります、抑抑中小商工業なる言葉は甚だ常識的であると考へるのでありますが、政府が考へて居られる中小商工業は、具體的に如何なる内容、範圍を持つて居るのであるか、明かにせられたい、例へば紡績の如き事業、或は貿易の如き特殊なるものも、本案に於ける組合中に取扱はれるかどうかと云つた點であります
次に第五には我が國の産業再建の爲の綜合的なる經濟産業計畫如何でありますが、此の問題は度々皆さんの質問でも觸れて居られる所であります、やはり中小商工業經濟に對しましても綜合的な計畫を必要とするのでありまして、軍需補償打切り或は賠償問題等に依つて、今後我が國の商工業は相當大幅の修正をされることと存じます、尚ほ我が國は從來自給自足經濟を營むことが出來ないのでありまして、幾多の重要なる原料は之を海外の輸入に俟つて居るのでありますが、此の重要なる原料の輸入を仰がなければ、我が國産業の再建は又覺束ないと考へるのであります、我が國産業の再建は、此の重要物資の輸入計畫が其の支柱になつて居ると考へるのでありまして、最も重要なるものは此の輸入計畫であると考へるのでありますが、之に付ての見透しは出來て居るかどうか、又續いて我が國の原料或は生産設備、勞務關係等に依りまして、其の綜合的なる計畫を立てなければ、此の商工業問題は單獨に切離して考へることは甚だ無理であり、又冒險であると考へるのであります、又特に今囘失業問題の一環としまして、中小商工業計畫を立てることが必要であると私は考へるのでありますが、是等の點に付きまして政府は其の見透しが出來て居るかどうかを承りたいのであります
次に行政面に付きまして經濟安定本部の問題であります、今囘經濟安定本部が出來まして、其處に於て今後の經濟計畫の立案がせられることになつて居るのでありますが、唯一點伺ひたいことは、此の經濟安定本部と經濟安定會議との關係に付てであります、即ち經濟安定會議の性格でありますが、私見に依りますれば、此の經濟安定會議に經濟計畫決定の最終最高の權限を與へ、寧ろ此の經濟安定本部をして諮問機關たらしむる必要があると考へるのであります、而も此の經濟安定會議には民間各層から多數の知識經驗者を採用する必要があるのであります、此の點を明かにしなければ、折角民間人を網羅しても、それは無意味なものと化してしまふのであります、此の點に付きまして政府の明かなる答辯を伺ひたいと思ひます
尚ほ此の經濟安定本部は其の存續期間が一年になつて居るのでありますが、今後の國家經濟に於ては、綜合的な計畫本部が必要であると思ふのであります、隨て此の際其の見解を改めまして、寧ろ之を半永久的な大規模なる機構とし、此處に於て凡ゆる調査統計を蒐集し、而も其の構成人員に付きましては、各官廳より派遣せられた官僚でなくして、全く純粹な獨立したる計畫作成の専門家を選拔養成する必要があると考へるのであります、斯くしなければ、折角の此の機構も其の成果を期待することが出來ないのでありまして、寧ろ一年限りの「バラック」的機構であるならば、之を閣僚懇談會或は閣議に讓つた方が賢明であると考へるのであります、此の點に付きまして政府の御所見を承りたいと思ひます
次に臨時物資需給調整法案と本案との關係でありますが、此の臨時物資需給調整法案に於きまして、折角本案で民主的、自主的統制を狙ひとした所のものが破壞される憂ひがあると考へるのであります、隨て此の兩案との間の統一連絡を圖り、而も本案に於て自主的に決定する法規を設けまして、其の弊害を除かなければならぬと考へるのであります、例へば物資の割當或は配給等に於きましては、本案で制定する所の商工協同組合中央會に於て之を自主的に決定すると云ふ法規を設けてはどうかと考へるのであります、此の點に付きまして政府の御意見を承りたいと思ひます
次に組合の業務分野をはつきりしなければならぬと考へるのであります、それは即ち消費組合、又今後設立される農業協同組合との關係でありまして、それ等の組合に於て取扱はれる所の物資の購買、販賣等と、商工協同組合の扱ふそれとの間に競合を生ずる虞があると思ふのであります、將來農村の工業化が叫ばれる曉に於きまして、此の問題は一層重大となると考へるのでありまして、此の際之に付きまして特別の對策を講じて居られるかどうか、御伺ひしたいと思ひます
次に本組合が全國に強化擴大した時には、其の獨占的傾向から、大企業、大資本と同樣なる弊害を生ずる虞があると考へるのでありますが、之に對して政府は何か特別なる用意をして居られるかどうか、伺ひたいのであります
次に我が國の商工業者は、都市居住者が極めて多く、隨て今次の戰爭に於きましては甚大なる損害を被つたのでありまして、自力更生は殆ど不可能の状態になつて居るのであります、販賣せんとする商品もなければ、店舖もない、又新しく工場を建設し、機械を設備しようとしても其の力なく、假に多少資金に餘裕あるものも、其の使途に付て非常な制限を受け、又今囘の軍需補償の打功りに依りまして一層窮迫を加へ、前途復興の望みも斷たれて居るものが多數あるのであります、折角本法案が作られましても、之を利用する術なく、殆ど放心状態になつて居ると言つても過言でないと考へるのであります、而も政府は今年の經濟復興費中、商工業振興費は僅かに三百三十萬圓の程度に過ぎないのであつて、全豫算に就て之を見るに、九牛の一毛と言つても差支へないのであります、政府は抑抑如何なる考へで以て斯かる僅少なる豫算を提出せられたのでありませうか、又大藏大臣は過般の施政演説に於きまして、我が國の經濟民主化の成就した曉に於きましては、農村に於ける自作農、都市に於ける中小商工業者竝に勤勞者が其の中樞を占めるであらうと云つた所の演説をして居られるのでありまするが、大藏大臣は此の中小商工業者の將來に付て如何なる見解を持つて居られるのでありませうか、今日程實に中小商工業者に對して十分な援助を與へ、又金融的便宜を與へなければならない時はないのでありまして、今囘復興金融金庫が設立されるのでありまするが、是のみを以て十分なりと考へて居られるのでありませうか、而も此の復興金融金庫は最初四十億圓の資本を以て出發されるのでありまするが、併しながら是だけでは十分であると云ふことは出來ないのであつて、假に肥料工業の復興を其の例に取つて見ましても、實に二十數億圓を要すると云ふことを聞いて居るのでありますが、此の資金では忽ち其の不足を來すのであつて、此の際思ひ切つて之を數百億圓にする意思ありや否やを伺ひたいのであります、尚ほ中小商工業者の金融として如何程のものを政府は之に割當てようとして居られるのでありませうか、尚ほ此の金融的援助のみならず、補助金も之に與へる必要があると考へるのでありまして、今日の如き高物價時代に於きましては、新しく工場を建設し、設備をしようとしましたならば、非常に高いものに付くのでありまして、斯う云つた高い固定資産は將來に惡影響を永く殘すこととなるのであります、此の點に付きましても特に補助金の規定を設けられたいと私は考へるのであります、是等の點に付きまして商工、大藏兩大臣の誠意ある御答辯を伺ひたいのであります
最後に今囘の組合に付てでありまするが、今後の我が國の商工經濟は之を自主的統制經濟へと導くのが最も妥當であると私は考へるのであります、尤も我々は自由を欲求して自由主義經濟を其の理想とするのでありまするが、それは中々困難なことであり、殊に今日の如き領土、人口及び物資に非常な激變を來して居る時には、到底望み得られないのであります、隨て自主的統制經濟へと導くのが最も肝要であると考へるのでありまするが、之に付きましては、此の組合の規定の中に組合員の加入脱退の自由を認める件、尚ほ一定地區の一定業種に付て組合の多數設立の申請があつた時には、其の濫立を防ぐことが甚だ疑はしい點、又或る地方或は或る業種に付きまして組合の成立のない時に、之に對して強制設立の規定がない點、此の點に付きましては、其の狙ひとする所を破壞する虞があると思ふのでありますが、之に付きまして何か用意をして居られるかどうか、之を承りたい、尚ほ今囘の此の組合は地域的組合になつて居りまするが、業種に依りましては、地域的制限を受けることは甚だ不適當である、例へば鑛業の如きは各所に散在して居る關係上、此の地域的制限を削除した方が便利であると考へまするが、之に付ても御意見を承りたいと思ひます、尚ほ從來の組合は縱の連絡は出來るが、横の連絡は不十分なる點が非常に缺點でありまするが、今囘之に付きまして政府は特別の考慮を拂つて居られるのでありませうか、以上を以ちまして私の質問を終ることと致しまするが、是等の點に付きまして政府の明快なる御答辯を御願ひしたいと存じます(拍手)
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=39
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040・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 九鬼君の御尋ねに付きましては、相當數多かつたのでありまして、どうも明快な御答辯が出來ないのですが、是は必ず速記録を讀みまして委員會で御答辯致したいと思ひます、唯其の要點、今私が特に氣の付きました點だけを此處で御答辯させて戴くことの御許しを得たいと思ひます
第一條の如き、積極的でないと云ふ御意見がありましたが、今囘のは全く自主的な組合員の相互の協同事業、協同の施設、詰り相互の組合員の向上を目的と致して居るのでありまするから、前の統制組合とか色々な關係と違ひまして、全然指導者原理を取外す所に妙味がある譯でありますから、一寸積極的でないやうに見えますけれども、其の點は私は是で結構だ、斯樣に思ふ譯であります、又商工業殆ど全部に亙るものを對象と致して居るのでありますけれども、今日貿易組合法とか、市街地信用組合法とか、特殊な獨立法があるものは其の方で參りますけれども、對象は之を全部包含するものと、斯樣に考へて居る譯であります、兎も角も戰時型を一切改めて、全部之を廢止して、全然自主的に、民主的に、實は今の現状から言へば行き過ぎる程に、民主的に是が組立てられて居る譯でありますから、一、二多少戰時型に慣れた人達に付きましては物足らぬ感じがするかも知れませぬけれども、是は一つ此の調子でやつて行きたい、斯樣に思つて居ります、又只今御説の、今度の中小商工業振興を對象として此の法案を出したのでありますが、それ等に付きましては、物價の問題は最も大きな問題でありまして、是は物價廳も今度新しく機構を變へて出來ます譯で、是が安定本部と最も密接なる連絡を保つて行く譯でありますから、是等に最も妥當な方策を講じたいと思ひます、又原料の輸入等に付きましては仰せの通りでありまして、如何に組合法が立派に出來ましても、原料がなくては仕事が出來ない譯でありまするから、商工省と致しましては、此の經濟界の變動時期にさへも特に原料の輸入を懇請して居りまするし、又普段お互ひが見返り物資を十分是で造りまして、さうして早く自由貿易に復歸すべく用意をして之に備へたい、斯樣な考へで、此の協同組合がともすれば貧弱なる個々の力を旨く合せて協力して是等に備へたい、斯樣な譯であります、でありまするから、只今御意見が出ました失業對策等に付きましても、昭和二十五年に八千萬になると云ふ此の人口を何とかして一つ働かせて行きたい、それには御話のやうに各都會地は殆ど壞れてしまつたのでありまするから、農村に工業を加へて、而も家庭工業も出來て、それに一脈の連絡を保つて仕事が出來るやうに、今囘時計の如き從來日本人には慣れて居る仕事でありまするが、それがともすれば賠償物資にも入りさうなんです、斯う云ふものに對しましては、極力今後の中小工業の日本の姿を説明して、さうして懇請を致しまして、此の時計工業の如きが家庭で出來て、而も一定の規格を備へて行けるやうに、此の協同組合法を旨く運用して行きたい、斯樣な考へであります、又失業を統計的に竝べて見ますれば相當出るだらうと思ひます、殊に今度の賠償施設の撤去に付きましても相當出ると思ひますが、之を中小工業に依つて旨く一つ救うて行きたい、此の面に付ても萬遺憾なきを期して行きたいと思ひます、臨時物資需給調整法と是との連絡は直接にはありませぬが、此の協同組合法に依りまして出來ました團體が極めて民主的なる團體で、さうして指定を受けるやうになりますれば、隨て調整法との間に一貫した連絡が出來るやうになるだらうと思ひます、經濟安定本部と經濟會議のことは、膳國務大臣が居られませぬが、是は經濟安定會議に依りまして決定したものを、安定本部總裁たる總理大臣が之を決定されることと思ふのでありまするが、それ等に對しましては何れ他の機會に於きまして十分御説明を致したいと思ひます(拍手)
〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=40
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041・上塚司
○政府委員(上塚司君) 九鬼君の御質問に對しまして總括して御答へを申します、戰後に於ける我が國經濟の再建は、財閥、大企業等解體の後を受けまして、堅實優秀なる中小工業の奮鬪努力に俟たねばならぬことは申すまでもない所であります、而して是が育成助長に付きましては、資材、勞務、資金等の各般に亙りまして遺憾なきを期して居りまするが、就中大藏省としては金融の方面に於て出來るだけの援助を致したいと考へて居る次第であります、即ち是等中小工業に對しまする金融に付ては、從來之に當つて居りまする所の金融機關を促進致す所存でありますが、萬一是等の金融機關に於て通常の方法を以て融資を困難と致すものに付ては、今囘新たに設けられました所の復興金融金庫に於て圓滑迅速なる融資の方途を講ずる考へであります、即ち復興金融金庫内に、中小商工業に對する金融又は相談に應ずる爲に、中小商工業融資事務を負擔しまする所の部課を設けるか、又は常設の相談部の如きものを設けまして指導致しまする外、全國に亙つて復興金融取扱機關として、興業銀行本支店の外に、代理店として勸業銀行本支店約八十、北海道拓殖銀行支店七行、商工中央金庫本支所、出張所合せまして十四等を代理店又は取扱店と認めまして、全國の主なる都市には必ず金庫の店舖を置くやうに致すことになつて居ります、是等の店舖は一件五十萬圓までは其の店舖限りで融通し得る權限を有して居ります、其の目標とする所は勿論中小商工業にある次第であります、特に商工中央金庫を代理店に加へますことは、商工組合に對しまする所の金融の重要性を認めて居るからであります、以上の方法を以ちまして、大藏省と致しての商工業に對する援助の方法と致す考へであります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=41
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042・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 膳國務大臣は貴族院に於て只今答辯中であります、仍て橋井政府委員が代つて答辯を致される筈であります──橋井政府委員
〔政府委員橋井眞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=42
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043・橋井眞
○政府委員(橋井眞君) 經濟安定本部に對しまする二點の御質問に付きまして御答申上げます、經濟安定會議を重視し、今後の經濟安定施策の最高の權威あるものたらしむべきであると云ふ御趣旨に付きましては、全く同じ意見でございます、隨ひまして本會議の構成竝に其の實際上の運營に付きましては、此の趣旨に則つて行く方針でございまして、建前上經濟安定會議は諮問機關と云ふことに相成つて居りますが、其の決定致しました事項は十分に之を尊重致しまして、今後經濟安定施策を立て、之を運營致して行く場合に尊重して行くと云ふ方針でございます
次に經濟安定本部の期限の問題でございますが、是は一應は一年の期限を以て存續すべきであると云ふ期限附の許可が最高司令部から下つて居ります、併し今後の我が國經濟の種々の事情に應じまして、必要がございます場合には、御質問の御趣旨の方向に依りまして、所要の措置、手續を執つて行くべきものであると考へて居ります、又安定本部の組織の充實に付きましての御意見も御尤もの次第でございまして、折角安定本部の内容を充實致し、活發な實績を擧げることに努めんと致すものでございます、以上代つて御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=43
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044・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 九鬼君、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=44
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045・九鬼紋十郎
○九鬼紋十郎君 其の他の詳細に付きましては委員會に於て質問致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=45
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046・木村小左衞門
○副議長(木村小左衞門君) 細田綱吉君
〔細田綱吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=46
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047・細田綱吉
○細田綱吉君 先程上程されました商工協同組合法案に付きまして、社會黨の立場から質問致します
敗戰後の日本の經濟の再建は、誰が考へましても我が國の目下の至上命令であります、廢墟の中から、蓄積資本が殆ど零にも等しい、而も一國の經濟が多額の公債に依つて賄はれて居る日本の經濟の再建こそは、日本の國民に取つて一大課題であると共に、又一大試煉であります、「ポツダム」宣言の忠實に履行されまする所、財閥は完全に解體されなくてはなりませぬ、隨て日本の企業は、將來好むと好まざるとに拘らず、大財閥の自由な投費に依る生産再開は既に其の機能を失つて居ります、今後の日本の生産こそ中小企業に依る所頗る大なのであります、併しながら高度の資本主義大企業生産に比して、中小企業が遜色のない生産を發揮する爲には、是等の企業の再編成が合理的になされてこそ、初めて大企業生産に比する生産を維持することが出來るのであります、是こそ我が國目下の急務であります、然るに我が國從來の政策はどうであつたかと申しますると、大企業に重點を置いて來たことも亦間違ひのない事實であります、隨て是等の指導機關を見ましても、戰前に於ける商工會議所、戰爭中に於ける商工經濟會或は商工組合等は、何れも大企業家若しくは大會社の代表者が其の指導的地位を占めまして、中小商工業を號令して來たことも事實であります、併しそれにも拘らず、長い間我が國の中小商工業者が我が國産業界に於て重要な役割を果して來たことは、各年次の生産指數を見て、更に之を大工場生産と中小工場生産とに分析して見ますならば一目瞭然であります、輸出の面に於きましても、「メリヤス」雜貨類が、農民の生産する生絲と共に其の王座を占めて參りましたことを見まするならば、今後の日本經濟の再建に是等中小商工業者の果す役割は、正に決定的であると申さなくてはなりませぬ、隨て戰後經濟の再建は、中小企業を根幹として日本の經濟を編成しなくてはならないことも亦論を俟たない所であると存ずるのであります、併しながら大企業に比しまして、生産能力が動もすると低い中小企業が、「インフレーション」の壓迫より、或は資材の入手難、或は勞賃の昂騰、或は資金の融通難等の惡條件に抗しまして、果して將來の日本の生産を是等中小商業者が背負つて立ち得るでありませうか、そこには一方に於て重要産業の國營が考へられると共に、中小商工業の協同組合化を必然ならしめるのであります、我が黨が既に重要産業の國營を立黨以來の政策として居るのも、即ち日本の經濟の再建が是なくしては不可能なるが故であり、中小商工業の協同組合化を叫ぶのも、統一のない中小商工業に統一性を與へて、綜合的な機能と全體的な調整の上に、更に高度な生産性を基礎付けんとするものに外ならないのであります(拍手)斯かる觀點に立ちまして、左記數點に付て政府の御所見を伺ひたいのであります
先づ第一に商工協同組合の理念及び今後の進むべき指導精神に付て御伺ひしたいのであります、協同組合は其の歴史的な過程を見るまでもなく、明かに其の本質に於て利潤を否定して居ります、然るに現在の中小商工業者は利潤を否定しては成立ちませぬ、のみならず業者は長い間對立競爭の裡に成長して來たので、極めて協同の意識にも乏しく、又協同の行爲と協同の計算にも全く未經驗であります、隨て眞に協同組合の發達を冀ふならば、個々の利潤を抛棄して、全體の中に自己の利益を生かす協同の精神を涵養しなければならないことも申上げるまでもありませぬ、隨て協同組合は社會主義的な指導と經營とに基かなければならないものであつて、資本主義的な營利追求の經營では、到底協同組合精神に基く組合の發達はあり得ないのであります(拍手)政府が若し資本主義制度の維持に汲々として、自由放任の中に中小商工業者を置いたならば、中小企業の生産能率は大企業生産に比することが出來ないのみならず、財閥企業解體の後を承けて、日本經濟は綜合的な機能と社會的な均衡を失しまして、遂に成立たなくなる虞があるのであります、政府は協同體組織の上に立つ協同組合の本法案の提出に當り、現在の協同觀念の稀薄な、さうして利潤追求の上に發達して來ました業者を如何に指導し、以て此の矛盾を解決するかに付て御伺ひしたいのであります
第二に中小商工業の再編成に當つては、適正な業種別の分布と人員の配分とを必要とするのでありますが、政府は如何にして是等の中小商工業に經濟的な秩序と自主的な指導力を與へ、以て從來の如き業界の混亂状態を避けるのか、之を御伺ひしたいのであります、從來中小商工業の組織には何等の企畫性もなく、又統一したる指導力もなく、濫立状態と言ふよりも、寧ろ共食ひ状態に置かれて居たのであります、斯くの如き無秩序な中小商工業は、隨て恐慌時代には失業者や過剩農民の救はれ難い「プール」になつて居たことは、我々今尚ほ記憶に新たなる所であります、時の政府が失業救濟や窮乏農村救濟の對策を著しく怠けて來たのも、失業者や過剩農民の斯うした「プール」に中小商工業者がされて來たと云ふ其の點に依存して居つたことも、蔽ふべからざる事實であります、曾て東京市役所の統計を見ますると、市民十六世帶に一軒の割合で履物商がありました、十二世帶に一軒の割合で荒物商がありました、平均して見ますると、二十八世帶に一軒の割合で同一商品を扱ふ商店が櫛比して、隨て是が競爭して成立つ筈がない、何れも「ダンピング」の形に於て其の生活を營んで來たことも僅か十年前の事實であります、敗戰後の經濟界は、厚生大臣の言はれまする如く、數百萬の失業者を巷に送り出して參ります、今にして中小商工業に、社會的に調整された秩序と、自主的な統制力のある組織を以て臨むにあらずんば、徒らに過去の愚を繰返し、日本の經濟を混亂せしむるのみであると考へます、然るに飜つて本法案を見まするならば、組合に對して任意加入も出來ますし、又任意脱退も出來る、又同一地區に於て數箇の組合も出來ます、隨て斯くの如き間隙に乘じまして、大資本の中小商工業に對する分割支配こそは、洵に好都合な條件下にあります、又地域的に商工協同組合が組織されると共に、業種別にも其の組織が考へられなくてはなりませぬ、又組合加入及び事業の運營に付て、大資本と中小資本との間の調整も考へられて居ませぬので、團體加入の無制限なる自由のある所に、大資本の獨裁が十分に豫想致されます、此の儘では中小商工業は從來の如き濫立の裡に大資本に奉仕して、商工協同組合は單なる睦會に終るであらうと考へられまするが、政府は如何にして社會的に調整された經濟秩序の上に中小商工業を編成されんとするのか、此の點を御伺ひしたいのであります
第三に、後進資本主義國家としての我が國産業の一特色でありまする家庭的な手工業を更に近代化して、是が生産力を高めると共に、現在尚ほ廣く行はれて居りまする封建的な徒弟制度を如何に改善されるかに付て御伺ひしたいのであります、我が國の産業が、一部には極めて高度な近代工業として發達して居りますると同時に、尚且つ全國到る處に封建的な徒弟制度を擁した手工業が存在して居ります、特に戰前の日本經濟の主要部分を占めて居りました纖維工業、或は雜貨工業等の所謂輕工業、及び全國の商店の多くは此の制度の上に立つて居るのであります、斯くの如き封建的な生産樣式を以てしては、到底將來近代工業に拮抗し得ないことも亦論を俟たない所であります、又是等手工業の下に、苛酷なる勞働條件に泣く三百萬の徒弟及び小店員を解放することこそが、經濟民主化の第一歩でなければならぬと考へます、政府は近代的な協同組合制度に依る綜合力に依り、是等手工業の近代工業化を如何なる方法に依つて圖られるか、封建的な制度の下に泣く徒弟及び小店員を如何なる方法に依つて救はれるか、勞働基準法が布かれましても、一人或は二人或は五人と云ふやうな極めて分散した是等の徒弟制度は、單なる一法律の實行に依つては救はれ難いのであります、此の點に付て政府の御所見を商工及び厚生大臣より御伺ひしたいのであります
第三に中小商工業の金融對策に付て御伺ひ致します、中小商工業を眞に振興しようとしまするならば、先づ金融に付て特別な措置が講ぜられなくてはなりませぬ、財産も信用も、大資本、大企業より見劣りする中小企業家に對し、銀行にのみ依存せしめて國家が手を拔くならば、當然銀行は財産と信用のある大資本家、大企業家に偏重するのは、銀行が國營でない限りは當然の勢ひであります、殊に資金の封鎖、貸付の制限下に於て此の感を深くするのであります、若し之を放任するならば、或は又命令一本で銀行や商工中央金庫に託することに依つて足れりとするならば、必ず中小商工業者は金融資本より締出しを食つて、たぎるやうな創意も工夫を施すに術なく、大資本家の壓迫下に、貴重なる體驗と良心とを殺して之に迎合せざるを得ないことは、火を睹るよりも明かであります、中小商工業者に對する銀行或は商工中央金庫、其の他の融資機關が、其の資金を究極に於て囘收するものである限り、貸出當局は囘收の安易を圖る爲め、財産と信用に基礎を置いて貸出することになるのは當然である、隨て貸出の方法を、例へて申しまするならば大中小の各企業に分けて、それぞれの條件と、それぞれの金額、或は又責任者とを分つのでなければ、必らず自ら貸出は大企業偏重となることは先程申上げた通りであります、政府は財法と信用に乏しい中小企業家が起ち上る爲の貸出に付て、特別な措置を御考へになつて居られるか、此の點を大藏大臣と商工大臣から御伺ひしたいのであります
〔副議長退席、議長著席〕
第四に中小企業に對する生産資材の確保に付て御伺ひ致します、私が申上げるまでもなく、生産の復興は資金と資材の解決がない限り一歩も前進致しませぬ、特に從來資材は大企業家に對して配給されて居りました、又大企業家に對して多くの資材が流れ込んで居つたのであります、隨て中小企業は大企業家よりの資材配分を受けて、僅かに其の經營を持續し得たので、手持資材等に付ては現在殆ど皆無の状態であります、終戰後特に其のどさくさに紛れまして、物資の偏在は益益顯著となり、持てる企業家は生産を「サボタージュ」して、資材の値上りを待つて、徒らに不當の利益を貪つて居ります、此の儘で行きまするならば、中小企業は物資の入手に困難を來して、立往生の外はありませぬ、中小企業に生産の復興をなさしめんとするならば、正當なる價格と正當なる「ルート」に依つて得らるる資材の確保が、先で圖られなくてはなりませぬ(拍手)政府は從來資材に付て全國的な報告を徴しましたけれども、戰爭中各所に分散致しました資材は、資本家の申出を俟つのみでは十分なる集計は不可能であります、政府は須く全國一齊に物資の實態調査を敢行して、是等資材の配分に付ては、中小商工業者を統制會社或は問屋より解放して、商工協同組合自體をして、組合員に對する資材配給の機關たらしむべきではないでありませうか、ともあれ此の儘では中小企業家は忽ち資材入手難の爲に立直りは困難でありまするが、中小企業家に對する資材確保の對策に付て、商工大臣或は經濟安定本部長官の御意見を御伺ひしたいのであります
第五に生活協同組合に關して政府の御所見を御伺ひ致します、「インフレーション」の激化と、食糧其の他日常品の殆ど一切が何れも不足して、國民生活、特に勞働者や勤勞市民の生活を極度に逼迫せしめて、文字通り飢餓線上に追込んで居ります、勿論之に對しましては國家の根本的施策を必要とすることは申上げるまでもありませぬ、是等勤勞大衆の生活を護る有力な一方法として、自治的な生活協同體の組織、即ち生活協同組合を地域的にも、又職域的にも組織させることが、勤勞大衆の生活擁護の爲の執るべき一方法であり、隨て極めて奬勵さるべき問題であると考へます、然るに政府の之に對する態度は極めて消極的であるのみならず、時には否定的ですらあると見られるのであります、今全國的に數多くの消費組合其の他の生活協同組合の設立を見て居るのでありまするが、之に對して政府は何等新たなる準據法も、又便宜も與へて居りませぬ、隨て野菜、生鮮魚介類其の他食料品の自由販賣の再禁止又は資金の封鎖に依つて、協同組合は組合員の切なる希望を裏切つて、施す術を失つて立往生をして居る有樣であります、斯くの如き生活協同組合の否定的態度は、徒らに商業者を護るに急にして、消費者の利益を無視した態度であると考へるのであります(拍手)政府は新たに生活協同組合法を制定し、之に生活物資の荷受と配給の機能を持たせる御意思がないか、又既に設けられて居りまする消費組合其の他の生活協同組合に對して、經濟安定會議に諮つて、食料品其の他生活物資の荷受及び配給機能を與ふる御考へがないか、所管大臣より御伺ひしたいのであります
第六に海外引揚者又は復員者の中小商工業への復歸に關して御伺ひを致します、十分な經驗と知識と、さうしてたぎるやうな熱意とを以て、中小商工業に復歸せんとする外地よりの歸還者又は復員者に對して、政府は如何なる温かい手を差伸べて居るでありませうか、最近の實情は、歸還者に對して是等業界への復歸どころか、庶民金庫より三千圓の融資すらが殆ど不可能であると云ふことは紛れもなき事實であります(拍手)政府に熱心さが足りないのか、或は庶民金庫が惡いのか、兎に角歸還者に對する救濟と融資の掛聲は、正に是等歸還者に對しては羊頭を掲げた狗肉であります、歸還者に配給さるべき物資も極めて遲々として、且つ不公平を極めて居りまするが、地方官廳に對して特に督勵するは勿論、庶民金庫の貸出條件に對しては更に檢討を加ふる必要極めて緊切なるものがあります、此の儘にして置きますならば、歸還者の中小商工業への復歸はおろか、今日の生活は全く不可能に陷りつつあります、政府は此の實情を何と見て居られるか、是が對策に付て、又庶民金庫の機構と貸出條件に付て更に檢討を加へる御用意があるかどうか、復員廳の長官及び大藏大臣より御所見を御伺ひしたいのであります
第七に御伺ひしたいのは、最近經濟團體聯合會が設立されました、財界の大どころが集りまして、百十七の經濟團體と、千二百の銀行會社を其の傘下に收めたのみでなく、來春までには五千の會員を糾合すると言はれて居りまして、正に天下の一偉觀であると申上げても敢て過言ではないのであります、世間では之を評して、大資本家の下に中小商工業者を網羅して、資本攻勢の陣營既に成れりと言つて居ります、恐らく商工協同組合に再組織されるであらう既設商工組合の參加を、經濟團體聯合會は熱心に慫慂して居るのみでなく、或る組合に對しては、會費なんかは御心配なく、納入しなくても結構だとまで言つて、其の加入を勸誘して居ります、政府には、前の全國産業團體聯合會の理事長が經濟安定本部の長官としての椅子を占めて居る、民間には之に呼應して、大資本家指導の下に斯くの如き經濟團體聯合會を組織して立つならば、明日の日本經濟界は、資本制覇の下に中小商工業者は全く締付けられると言つても敢て過言でないのであります(拍手)世評の一部には、經濟團體聯合會は、全産業聯の生れ代つた組織として、經濟安定本部の私的諮問機關であり、代行機關であると言はれて居りまするが、政府は經濟團體聯合會の性格をどう見て居られるか、又商工組合とは如何なる關係に置かんとして居るのか、經濟安定本部長官の御意見を伺ひたいのであります、以上の七點に付て私の所見を述べまして政府の御意見を伺ひたいのであります(拍手)
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=47
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048・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 協同組合法と云ふものは、特殊な「イデオロギー」に依らずして、唯中小工業者が、自分の仕事の、所謂共存共榮の觀念から、共同施設其の他共同の事業を營みまして、自分の福利を圖る譯でありまするから、利潤を否定しないのです、生活協同體の如く中間搾取を避けて行く分と違ひまして、是は利潤を目的とすることは差支へないのでありまするから、其の點は細田君御指摘の所謂生活協同組合の如き協同組合とは、若干性質を異にして居ることと思ひます、併しながら今日は、所謂社會性を離れて利潤追求のみを以てやることは許されぬことでありますから、此の共同施設に對しましては、政府と致しまして出來るだけの監督はして行きますけれども、元來此の組合の目的とする所は全然自主的な點でありまして、ともすれば從來の統制型、戰時型、指導者原理型が殘るのであります、之を一掃する爲に、暫く全然自主的な所に任せたい、そこで御話の中にもありましたやうに、自然或る場所に一つで宜いものが二つも出來るやうなことがあります、それは認可等に於きまして多少「アヂャスト」して行く積りでありますけれども、是も出來るならば其の業者が自ら目覺めて、要らぬ競爭を避けると云ふことも成べく自主的にやらして行きたい、斯樣に考へて居る譯であります、又御話の中小工業を盛んに致しまする關係上、小さくは家庭工業に少し毛の生えたやうな仕事が澤山出來る譯で、ともすれば封建的な所謂勞働搾取が起り得ると思ひますから、是等は何れ勞働基準法、其の他少年保護法等色々な社會立法を盛んに致しまして、是等を是正致さなければならぬことと存ずる次第であります
金融部面に付きましては何れ大藏省の方より御説明があると思ひますが、殊に中小企業に對しましては非常に其の邊が心配なものでありますから、今囘の復興金融金庫其の他の機關を總動員致しまして、是非とも其の方の途を十分潤澤に致したい、又原料の入手に致しましても、特に是は協同組合を利用致しまして、是こそ小さな人達が目覺めて、さうして個々の小さな仕事を全體と致しまして、共同購入或は共同販賣、色々なことがやはり共同施設として出來る譯でありますから、是等の點に付きましては、特に日本の將來の中小工業の爲に力を致したい、斯樣に考へます
生活協同組合は必ずしも政府は否定的態度ではありませぬ、今後色々研究致しまして、殊に消費組合の如きは、現在の中小工業者、殊に中小商工業者の經驗を活かして行つて、さうして徒らなる昔の共食ひ生活にならないやうに、先程御質問にもありましたやうに、食糧營團さへも、又末端の隣組或は町會等は、此の生活協同組合、消費組合に直してこそ然るべきだ、斯樣に私は考へて居る次第であります、其の他の點に付きましては、他の方より御答へ致します(拍手)
〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=48
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049・上塚司
○政府委員(上塚司君) 中小商工業者に對しまする大藏省の金融方策に付きましては、先程九鬼君のご質問に對して御答へを致した通りでございます、即ち既設の金融機關を出來得るだけ活用致しますると共に、若し萬一是等の既設機關を以てしましては困難な場合は、復興金融金庫本支店及び興業銀行、勸業銀行竝に北海道拓殖銀行等の本支店、全國に亙りまして約百數十の店舖を通じまして、迅速活發なる融通を致す考へであります、又將來更に中小工業に對して金融の利便を圖る必要が生じましたならば、庶民金庫を代理店として加へまするとか、或は又他の金融機關を代理店とするとか致しまして、積極的に適當に考慮する考へであります、尚ほ融資は原則と致しまして擔保を徴收する習慣となつて居りまするけれども、場合に依りましては無擔保にて融通する方法も考慮致したいと考へて居ります、之を要しまするに、中小商工業に對する金融の面より致しまする所の保持育成に對しましては、凡ゆる努力を惜しまない覺悟でございます(拍手)
〔國務大臣男爵幣原喜重郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=49
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050・幣原喜重郎
○國務大臣(男爵幣原喜重郎君) 只今の細田君の御質疑中、外地よりの引揚者の保護に關する問題だけに付きまして私から御答へ申上げます、復員者其の他外地よりの引揚者が、本邦歸著後再び起ち上つて經濟活動に從事せんとするに當りましては、生産資金の援助を要するものの多いことは能く察せられるのであります、其のお氣の毒な境遇は洵に同情に堪へませぬ、是が爲め庶民金庫より生産資金の貸出の便宜を開きますことは、洵に望ましいことでありますが、實際に於きまして私の知つて居る範圍内に於きましては、是等の引揚者は一般に信用程度が高くないので、之に對する資金の貸出には多少の危險を豫想せられるのでありますから、信用を基礎とする金融機關の立場の上からして、貸出を澁る事情があつたことのやうに聞いて居ります、併し政府は何とかして貸出を圓滑ならしめんが爲に、過般同胞援護會等の協力を得まして、其の保護の下に相當の貸出の便宜を圖ることに相成つたのであります、其の詳しい點は何れご要求がありますれば、財政當局よりご説明申上げることと存じます(拍手)
〔政府委員服部岩吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=50
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051・服部岩吉
○政府委員(服部岩吉君) 細田君の御質問に御答へ致します、先刻商工大臣より徒弟の問題に付て大體答辯されましたが、厚生省と致しましては、徒弟の制度は封建的な制度でありまして、何れかと言へば、長い間親方の下に働いて、さうして其の間に親方に相當の利益を搾取されると云ふやうな點は今後改めなければならぬので、此の點は今後は大體廢止させる方針を立てて居ります、さうして更に斯う云ふ制度を一掃すると同時に、曩に新聞にも發表致しましたやうに、勞働基準法の中にも其の點を含めて居るやうな次第でありまして、大體厚生省としての行き方は御諒解下さることと思ふのであります、尚ほ併しながら非常に學校教育や或は其の他の教育では至難な、所謂手先の細かい、而も相當の年數を要するやうな面のものに付きましては、さう云ふ點を活かすことが、我が國の一つの家庭工業なり、或は精密なものの行き方としては適當ではないかと考へて居る次第であります
引揚者に對しまする所の御質問に對しましては、只今幣原國務大臣より御答辯がありましたやうでございますが、唯引揚者に對します所の當面の所謂生業資金の問題でありますが、是は大體厚生省の責任に於きまして三億、それから庶民金庫が七億、大體十億の資金を以ちまして、一人當り三千圓程度の生業資金を貸付けることに致しまして、現在各府縣の内務部長會議を招集致しまして、さうして至急に之を貸付けるやうに致して居ります、既にそれぞれ各道府縣に於きましては、之を最も速かに貸付けるやうに特に督勵を致して居ります(「ちつとも貸してないぞ」「默つて聽け」と呼ぶ者あり)それ以外の引揚者の生活困窮者に對しましては、曩に御審議御決定を願ひました所の生活保護法に依る所の保護を加へ、更に又別途に四百圓程度の所謂資金を貸與へると云ふことになつて居ります、尤も此の十億圓に對しまする所の貸出に付きましては、相當危險の伴ふことは當然覺悟致して居ります、此の危險を顧みずして、最も迅速果敢に貸付けるやうに、内務部長會議を開きまして特に申付けてありますから、是は地方で必ずもう貸付けて居ることと承知致して居ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=51
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052・山崎猛
○議長(山崎猛君) 細田君、宜しいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=52
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053・細田綱吉
○細田綱吉君 自席から發言の御許しを願ひます、經濟安定本部長官の御答辯がまだありませぬので……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=53
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054・山崎猛
○議長(山崎猛君) 膳國務大臣は此の席に居りませぬから、次の機會に答辯せられるやうに取計らひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=54
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055・細田綱吉
○細田綱吉君 政府の御答辯は極めて抽象的でありまして、私の質問の核心に觸れてないと考へますが、何れ委員會に讓りたいと考へます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=55
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056・山崎猛
○議長(山崎猛君) 川野芳滿君
〔川野芳滿君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=56
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057・川野芳滿
○川野芳滿君 只今上程に相成つて居ります商工協同組合法案は、其の構想に於て、將又立法技術に於て、驚くべき進歩的な點もございまして、私は本案の立案者に對し深く敬意を表しますと共に、本案を繞つて大きな新しい二つの事實を發見致しました、其の一つは、日本に於ける政治思想の面に協同民主主義が太く浮び上つたと云ふことである(拍手)もう一つの點は、日本に於ける産業經濟の形態の上に、協同組合主義が初めて政府の政策として採り上げられたと云うことである、此の新鮮味豐かな政治が、將來我が國の生産、配給、消費の各部面を通じ、民主協同の理念を本とし、革命的な新經濟組織體の結集を切望致しまするが故に、私は本案竝に本案に關聯する諸問題に付き、協同民主黨の立場より、商工大臣、大藏大臣、厚生大臣、農林大臣に對し若干の質疑を試みんとするものであります
先づ其の一點は、改めて指摘するまでもなく、協同組合の中、生活協同組合の如き消費部面に、協同組合は長足の進歩發達を遂げて居る現状であるに對し、生産部面、企業部面の協同組合は、必ずしも同樣の發達を遂げて居ないと云ふのが現下の實情でございます、是は種々原因がありまするが、主なる原因は協同組合の特徴其のものの中に求めなければなりませぬ、即ち協同組合にありましては、一口の出資者も數千口の出資者も共に一票の表決件を有するのでありまして、是が協同組合の本來の特徴をなし、協同組合の精神が最も純眞な意味に於ける民主主義に合致すると云ふことは、敢て私が茲に指摘するまでもございませぬが、併し此の爲に多額の出資をなす者を見出し得ず、爲に多額の資金を集中して企業をなすには、必ずしも協同組合は適當ならずとする憂ひもあるのでありまするが、本法案は斯かる點に對しましても注意を怠らず、即ち出資口數の最高限を規定することなく、且又團體の組合加入を認める等、其の資金の集中を容易ならしめて居るのでありまして、洵に一歩進んだる法案であると考へまするが、併し斯かる規定を設くることのみを以て、私が只今申しましたやうな協同組合の缺陷が除去されるかどうかと云ふことは非常に私は疑問に思ふのであります、今日大財閥、大資本の解體後に於ける所の我が國の産業の壞滅を來さしめずして、新たなる立場から之を再建し發達せしめる爲には、資本と勞働、資本家と勞働者とが從來の如く本質的に相對立すると云ふ觀點を捨てまして、企業に對しましては勞働者も資本的に之を參加せしむるの途を開くことに依つて、資本の社會化を實現すると共に、假令如何に少額の資本と雖も之に一票の表決權を與へて經營に參加せしむると云ふ協同組合の組織を生産部面に擴充してこそ、我が國の産業の復興發達は期し得べきものであると私は信ずるものであります(拍手)又斯くしてこそ、從來我が國の少數資本家、財閥に依つて獨占支配された所の此の經濟機構の惡弊も除去され得るものと私は信ずるのであります、併しながら協同組合は、昔の如き古い産業組合的の包容力の狹いものであつてはなりませぬ、今日我々は、我が國の經濟組織、金融機構が資本主義の下に相當發達致して居る現下の實情に顧みまして、如何にして出來るだけ少い摩擦の下に之を協同組合の原理に依る組織に變へて行くかと云ふことを考へて行かねばならないと思ふのであります、其の爲には協同組合の本質的特徴を堅持することは固よりでありますが、其の範圍内に於きまして協同組合の組織を一層融通性のある、即ち内外資本の吸收に便宜な、企業經營に適當な形體の方向の協同組合を考へまして、之に向つて法の規定を設くる必要があると私は考へるのであります、之に對しまして商工大臣は如何なる御考へを持つて居られますか、御伺ひ致したいのであります
第二點は、本法案が實施されますると、商工組合法は廢止と相成ります、隨ひまして現在の統制組合は當然解散と相成るのでありますが、現在の統制組合は、戰時中國の命令に依つて企業整備を斷行致しまして、而して企業整備に多額の資金を出資させられたのであります、國が戰時中行ひました所の惡政は數々ありますが、私は此の企業整備を以て其の惡性の尤たるものであると考へるのであります、如何となれば、總て政治と云ふものは之を斷行致しますると片方のものは喜ぶのでありますが、併し此の企業整備に限つては、廢めた者も、殘つた者も共に泣きの涙でありまして、現在政府を怨んで居ると云ふのが現下の實情であるのであります、即ち政府が企業整備に當つて出した所の企業整備要綱の一、二を拾つて見ますると、即ち人的資源醵出の爲に、出來るだけ老人、虚弱者、婦女子、出征軍人遺家族の方々を殘せと云ふ指令でございました、又廢める方に渡す所の暖簾代、或は涙金の如きは、三箇年以上十箇年以下の利益金をやれと云ふ指令でありました、隨ひまして現在殘つて居る所の統制組合の大部分は、只今申しましたやうな整備要綱に依つて整理されましたる故に、老人、婦女子、虚弱者、出征遺家族が大多數であります、而して是等の方々が出した所の暖簾代、其の他の額は莫大な額でございまして、企業整備の對象であつた更生金庫から其の數字を拾つて見ましても、三十數億と云ふ莫大な金額に上るのであります、此の莫大なる金額を、只今申しましたやうな憐れな方々に拂へと申しても、其の支拂能力のないと云ふことは、茲に私が申上げるまでもないことであるのであります、殊に闇商人と第三國人の挾撃を喰つて居る現在の中小商工業者に支拂能力のないと云ふことは、是は當然であるのであります、故に宜しく政府は、企業整備の對象であつた所の厚生金庫に對する各統制組合の借金だけでも棒引すべきものであると、斯く私は考へるのであります(拍手)又棒引せざれば組合の再出發と云ふことは殆ど不可能であると云ふことを、私は茲に斷言申上げて置きます(拍手)又企業整備に依つて廢めた方のことに付て一言申上げて見たい、斯かる方々は、永年繼續致しました自分の營業、或は企業を振捨てまして、國の命令の儘に、或は炭坑に參りまして、地下數千尺の坑の中で國家の爲に石炭増産に勵しんだのであります、或は又軍需工場に參りまして、機械に取付きまして、汗と脂で國家の爲に努めた方であります、斯かる方々が企業整備に依つて貰つた所の暖簾代、或は涙金は、一千圓を殘して全部特殊領金として領けさせられたのであります、其の特殊領金が今は封鎖の網に掛つて、企業再開をやらうと考へましても資金のないと云ふのが、即ち企業整備に依つて廢めた方の現在の立場であります、故に此の特殊預金に對しては、少くとも政府は特別な取扱をやつて然るべきであると斯く私は考へるものでありまするが、之に對する大藏大臣竝に商工大臣の明確なる御答辯が願ひたいのであります(拍手)
第三點は中小工業及び家庭工業の問題でありまするが、之に付ては先程も同僚の方より申述べましたので省略致します、併し是と一聯の關係ある新商工會議所のあり方であります、從來の如く資本的な、保守獨善の勢力の倶樂部であつては私はならないと思ふのであります、即ち眞に民主的な横の連絡機關であり、眞の指導機關であらねばならないと私は考へるのでありますが、之に對する構想がございましたならば、商工大臣の構想を承りたい、且又貿易再開と云ふ問題は洵に重大な問題でありますと共に、十分の準備が必要であると私は考へるのでありまするが、此の問題は貿易協同組合に依るのか、或は又資本家經營に依るのか、或は本件の如きは洵に重要な問題でございますので、新たな構想の下に法案を御出しになる考へであるのか、此の點も此の際商工大臣に伺つて置きたいと思ふのであります
第四點は、承る所に依りますと、農林省は農業協同組合及び漁業協同組合の二つの法案、厚生省に於きましては生活協同組合法案を立案中と云ふことであります、各種の協同組合法案が各省の思ひ思ひの儘に立案をされ、各省が思ひの儘に之を監督管掌致すと云ふことに相成りますれば、同じ精神を以て貫くべきところに此の協同組合が、ばらばらの發展をなす、隨いまして正常の發達を阻碍致すと私は考へるのでありまするが故に、本法案より商工の二字を除きまして、單に協同組合法案と致しまして、さうして本法案の適用に依つて各種の法案を作るやうに、即ち協同組合法案の憲法の如きものと致しまして、應用自在の權威あらしめるものとしたら如何かと考へるのでありまするが、之に對する商工大臣の御考へを承りたいのであります
次は農林大臣及び商工大臣に對して御尋ね申上げたい、昨年終戰後、政府は突如として生鮮食料品の統制の枠を外しました、所が食料品の價格は鰻登りに上つたのであります、之に驚いた政府は、再び再統制を行ひまして、天下の物嗤ひの種を播いたことは、茲に私が申上げるまでもないことであります、更に八月一日を期して闇商人の肅正を斷行致しましたら、又々生鮮食料品の入荷はぴつたりと止まりました、之に驚いた政府は凡ゆる手を打つたが、生鮮食料品の入荷は更にない、已むなく農業會等に泣き付いて、農業會の直賣所等を設けて表面を糊塗して居るのが現下の實情であります、又新聞の傳ふる所に依りますると、農家の供出完遂後の餘剩米を繞り、又生鮮食料品の統制の撤廢問題を繞つて、内閣不統一を暴露して居る、大藏大臣及び農林大臣は、内閣不統一にあらずと辯明はされて居りまするが、辯明されればされる程、國民の疑惑と云ふものは深まつて行く、一體是は何が故であるか、政府に一定の計畫がないからである、無定見であるからだと私は申上げたい、企業許可令も將に消滅せんとする今日でありまするが故に、政府は今後如何なるものを統制するのであるか、如何なるものに統制の枠を外すのであるか、此の際はつきりと御言明が願ひたいと思ふのであります、又商工協同組合に直接關係のある所の水産物、青果物の末端配給の問題である、是は直賣主義に依るのか、或は市場主義に依るのか、或は商業協同組合を通ずるのか、或は生活協同組合と直結するのを可とするのか、此の際明言致して貰ひたいと思ふのであります、更に農業用品の一元的配給の問題であります、此の點に關しましては、既に農林省に於ては之を決定發表致して居るに拘りませず、今日までまだ實行を見ない、是は一體如何なる理由でありまするか、昔の反産思想の影響であるか、或は又各省の縄張り爭ひの副産物であるか、此の際商工大臣、農林大臣の明確なる御答辯が願ひたいと思ふのであります(拍手)
最後に厚生大臣竝に商工大臣に御尋ね申上げたい、生活協同組合は配給業の一翼である、又商工協同組合の組合員の一人でありまするが、近時勞働組合が長足の發展を致して居ると云ふことは洵に喜ばしい次第でありまするが、其の裏付けと致しまして、生活協同組合は又勞働組合の生活安定の最良の手段であると思ふのであります、又都市生活の健全なる發達を來す爲にも、生活協同組合の法制化を必要とするのではないかと私は考へるのでありまするが、之に對する御所見を承りたい、尚ほ生活協同組合は、農業、漁業其の他の團體と直結せざれば效果は薄いのございまするが、併し直結致しますると、配給商人の犧牲者と云ふものが相當出るかと考へます、而して企業許可令の撤廢せられんとする今日、此の儘自由競爭の形態に放任致しまして、過剩商店を其の儘協同組合化しても、結果に於て中小業者の行詰りと云ふものは必然的であると私は思ふのでありまするが故に、此の際思ひ切つたる計畫を立てまして、商業者の整理を行ふ、即ち幾何の中小商業者が必要であるかと云ふ計畫を立てまして、さうして其の整理を斷行する必要があるのではないかと私は考へるのでありまするが、商工大臣に於かれては、如何程の商業者が必要であるか、如何程の商業者を整理するのか若し整理するとするならば、其の轉業對策を如何にするか、此の問題は天下の中小商業者が最も聽かんとする問題であります故に、商工大臣の明確なる御答辯が願ひたいと思ふのであります
以上私の質問は終りましたが、我が黨と致しましては、商工協同組合のみならず全産業を通じて協同民主主義を理念とする政策の實現こそ、日本再建の掟であると考へますが故に、政府に於かれましても猛省あらんことを切望致す次第でございます(拍手)
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=57
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058・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 協同組合は必ずしも資本主義を否定するものではないと思ふのでありまして、今囘の此の協同組合法の精神から言ひましても、只今仰せのやうに協同精神は何處までも尊重してやりますけれども、之に對して勞務者をどのやうに加へて行くか、或は技術者をどのやうに加へて行くかと云ふやうなことに付きましては、經營協議會の運用を致しまして、會社等が是等の參加を求めると同じ按配に於てやることが當然だと、斯樣に考へて居る次第であります、又御尋ねの企業整備のことに付きましては、是は洵に御同情致しますが、相濟まぬと云ふやうな氣持であります、併し今囘の整理に付きましては已むを得ない方針と決定致したのでありますが、段々數字を調べて見ますと、殆ど九〇%近い人達は救はれさうでありますから、思つた程でもなささうであります、併しながら抑抑初めが、今御説の通りに無理な點が隨分あつて、企業整備を斷行したのでありますから、せめて更生金庫にある債務に付きましては、何れ審査會を設けまして十分救はれるやうにやつて行きたい、斯樣に思ふ次第であります
從來の貿易組合の方も是と同じやうにやるべきでないかと云ふ仰せと承りましたが、現在の所では貿易は一種の國家管理でありまして、どうにも仕樣がないのでありますから、何れ自由貿易の時代が來ました時には、此の法律に準據して協同組合を作らせたい、今の所では、貿易組合の中の戰時型の統制の所謂指導者原理、之を取除いて現在の組合法でやつて行きたい、斯樣に考へて居る次第であります
商工協同組合の商工の二字を取つて、寧ろ農林其の他全般を協同組合の基本法で出してはどうか、是は私は一つの御説だと思ひますが、基本法が出來ても、結局は業種別の運用になるのでありまして、商工協同組合法を商工省が一番先に出したのでありますから、大體之を「サンプル」として、之に調子を合せて行つたらどうか、斯樣に思ふのであります、昨年八月二十二、三日頃に出しました農林、商工次官の通牒と云ふものから、又九月になつて農林、内務、商工三次官の通牒でやりました農村部面に配給致しまする特殊の物件に付きましては、一定の方針を決めまして、農業會を通してやる、其の他はそれぞれの便宜なものに選擇をさせまして、圓滿に配給をすると云ふことになつたのでありますが、是等に付きましては、何れ今後とも十分留意致しまして、圓滿なる配給を致したい、斯樣に考へる次第であります、國土計畫其の他色々御意見が出ましたが、何れ委員會に於きまして十分御説を承つて御答辯を致したいと思ひます(拍手)
〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=58
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059・上塚司
○政府委員(上塚司君) 企業の整備に當りまして、轉廢業者に對しまして、實績補償共助金を交付する爲め、殘存の業者の團體が國民更生金庫から借入れましたものに關しましては、終戰後の情勢に鑑みまして、過般企業整備共助資金整理委員會と云ふものを設けまして、是が整理に當らしめることと致しまして、終戰後統制の廢止、企業許可制の撤廢等に依りまして、借入人が之を負擔することが困難となつたものに付きましては、右委員會に於きまして之を減免する等の特別の措置を講じ得るやうに致したのであります
又第二の御質問の、企業整備に依つて廢めた人の貰ひました暖簾代及び涙金等は、一千圓を除きまして總て特殊預金となり、今囘又第二封鎖預金に組入れたのでありますが、是等の封鎖預金は近く議會に提案せられまする軍需補償特別課税法に依りまして課税の對象となりまするが、右課税の決定と共に、税金を差引きました殘りの金は總て第一封鎖預金として認める豫定であります、其の他幾多の大藏關係の御質問があつたやうでありまするが、それは委員會に於て御答へを致すことと致します(拍手)
〔政府委員大石倫治君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=59
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060・大石倫治
○政府委員(大石倫治君) 只今川野君の御質問中の生鮮食料品其の他の配給の關係でございますが、是は商工大臣よりも御説明のありました通り、やはり自由販賣等には參りませず、統制の方針に依つて參つて居るのであります、尚ほ現在に於きましては小賣統制組合を主としてやつて居りますが、是等のものも、此の度の協同組合法の施行に當りましては相當移つて行くことではなからうかと存じます、併し消費部面と生産部面との關係に於きましては、相互摩擦のないやうな方法を執つて參りたいと思うて居ります
又農機具の一元配給の點でありますが、是れ亦商工大臣より御説明を申上げましたやうな次第でありまして、實質上に於きましては一元配給の形を執つて居る次第でございます(拍手)
〔政府委員服部岩吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=60
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061・服部岩吉
○政府委員(服部岩吉君) 御答へ致します、私の方に御尋ねになりました點は、生活協同組合も拵へる意思がないかと云ふやうに承はつたのであります、御承知のやうに生活協同組合は即ち消費組合だと私は思ひます、今日非常に物資が缺乏し、生産が減退致して參ります爲に、各各其の消費組合を結成致しまして、さうして互ひの生活の安定を期しつつありましたことが、非常に發展して參つたのであります、隨て只今の所に於きましては、厚生省と致しましては、生活協同組合法を設けると云ふことは考へて居りませぬが、併しながら或は商工協同組合が出來、或は農業協同組合と云ふものが出來ますと、其の間に一聯の脈絡を持つ必要も生じて來ると私は考へます、隨て其の場合に於きましては、此の生活協同組合と云ふものが考へさせられますので、十分に研究を致して置きたいと考へて居ります
尚ほ消費組合と生産者との直結の問題でありますが、是は御承知のやうに現在の農業會に於きましても、色々野菜なり或は主食と云ふものが統制されて居ります、又其の他燃料に致しましても總てが殆ど統制されて居りますので、生産者と直ちに直結すると云ふことは、消費組合としては望む所でありまするけれども、直ちにそれが實現出來ない情勢にあるので、甚だ遺憾として居る次第であります、以上簡單でありますが御答へ致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=61
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062・川野芳滿
○川野芳滿君 まだ不滿の點がありますが、あとは委員會に於て御質問致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=62
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063・山崎猛
○議長(山崎猛君) 豊澤豊雄君
〔豊澤豊雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=63
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064・豊澤豊雄
○豊澤豊雄君 私は新政會を代表致しまして、澤山問はうと思つて居つたのでありますが、もう成べく簡單にやれと言ひますので、一切の重複を避け、唯一つ私が大事であると思つて居る所に付て質問し、大臣の方も成るべく少く、商工大臣だけの御答辯を願ひたいと思ひます(拍手)
申上げるまでもなく本案提出の理由は、我が國産業の急速な再建の爲に中小企業家が協同して、さうして商工業の改良發達を圖ると云ふことは、本案提出を理由にも書いてありますし、總則の第一條にも書いてあります、所が私が考へますに、是等産業再建の根柢は優良製品の能率的な生産を措いて他にないと思ふのであります、平たい言葉で申しますと、良い品を安く澤山作ると云ふのでなかつたならば、商工業の問題は解決しないと思ひます(拍手)所が此の三條件の比較と云ふものは──安い、良い、澤山と云ふ其の比較は、今までは動もすると國内的な比較であつたのでございますが、日本のやうに國内資源で國民を養ふことが出來ないと云ふやうな國では、其の製品の比較はどうしても外國としなくてはならないと思ふのでございます、所が此の條件を滿足せしめるのには、次に申述べる四つの條件の中の一つは、どうしても最低なければならぬと思ひます、第一番は國内に資源が澤山あつて、それを基盤とした産業であるか、或は第二番目は大資本に依る所の多量生産であるか、第三は今までの日本がやつて居たやうな低賃金に依る所の勤勞大衆の犧牲に依る生産をするか、第四、科學技術を振興させて、工程の科學化或は技術化を行つて、又それに伴ふ所の企業の専門家を圖るか、此の四つの途しかないと思ふのでございます、所が日本産業の現在及び將來に付て一體どの條件が滿足されるかと申しますと、それは申すまでもなく第一の資本の問題に付ては、三歳の子供も知つて居るやうな現状である、言換へると、今までの日本の中小工業でもさうでありますが、外國のものを買入れて、それに加工して賣出す、言換へますと賃稼ぎ工業であつたと言つても過言でないのであります、だから原料に依る産業再建は迚も望めない、但し將來に於て空氣であるとか、海水であるとか、水力であるとか「バクテリア」等を使ふ所の工業は發達するかも知れませぬけれども、是は特殊の技術と工夫を必要とするのであります、第二番目の大資本の多量生産、是も我々は望むべくもなく、又欲するものでもありませぬ、では我々は再び其の低賃金に依る商工業をやらねばならぬか、少い資材、多い人手、それは又しても低賃金の方向に強力に誘ひ込むに違ひないのであります、此の道は日本が運命付けられた恐ろしい淵でございます、斷じて落ち込んではならないと思ひます、此の低賃金こそ日本科學技術の發展を毒し、今次戰爭を卷き起し、敗戰に導いた一つの大きな原因であるからでございます、即ち勞働者が安い賃金で頭を下げて働くから、資本家は外國から古手の機械を買つて來て、それで能率の惡い、而も品の惡い物を生産しても生産が合つたのです、だから新技術に對する所の研究費を惜んで居つたと云ふことは、是は世界に比を見ない程でございます、だから日本の科學技術が進まなかつたので、其の内外國から良い品が來る、之と競爭が出來ない、さうすると又賃金を下げる、そこで日本の勞働者達は低賃金の爲に文化の惠みを受けず、娯樂も味はず、奴隸的に唯食はんが爲に働くと云ふやうな状態であつたのでございます、そこでそれが更に諸外國に出稼ぎに行く、さうすると外國の勞働者達は比較的文化も高く總ての點に恵まれて居つた、そこへさう云ふやうな者がやつて來て自分の生活權が脅されてきたので、日本人が排斥せられる一つの大きな原因になつたのです、そこで已むを得ず弱き所に侵略をやらうと云ふやうなことから、今次戰爭が卷き起つたと云ふやうに解釋しても宜いと思ひます、科學が進まず、戰爭目的が惡かつたならば、當然勝てる筈がなく、今日の慘状に至つたやうな譯であります、此のやうに考へた時に、あとに殘された問題は、結局日本中小工業の進まねばならぬ道は、唯科學技術の興隆に依つて惠まれない三條件を補ふ外に方法がないのでございます、例へば日本電球の商工業が發達して居ると言ふが、それも最初の程は「アメリカ」「ドイツ」なんかの産業に壓迫されて、一箇の電球を造るのに六割の税金を諸外國に拂はねばならぬと云ふ状態であつたのでございますが、それを板倉氏一派の技術陣が、「タングステン」電球に工夫を加へることに依つて、初めて日本の電球が頭を持ち上げた、更に「ガス」入電球を研究することに依つて外國と方を竝べ、「ガス」入電球は光度が非常に強いので艶消にしなければならない、表面の艶消をした所が埃が付いて一割以上の光度の損である、それでは内面艶消をやらねばならぬ、是が世界に競つた技術でありますが、それを不破氏一派の技術家が解決した、仍て日本の電球は世界の檜舞臺に出ることが出來たのでございます、或は生絲、絹織物が優秀であると云ふ其の蔭にも、非常な科學技術が殘されて居る、例へば良い絲を澤山出す強い蠶を作る爲に、一代雜種を作らなければならない、或は其の爲に外山博士一派の研究、或は其の爲に雌雄鑑別法を作つた石渡博士、斯う云ふやうに數へて行けば際限のない所の研究があつたので、初めて日本の生絲、絹織物が「フランス」の業者に勝つたのであります、或は世界の六割を占めると云ふ時計「ガラス」の小西氏の研究、或は眞珠の御木本氏、或は罐詰の宮崎氏、蓄電池の島津氏、日本漆器の河野氏と云ふやうに、數へ上げれば際限がないのであります、凡そ日本の中小商工業で見るべきものと思はれる總ての物の蔭には、必ず優秀なる技術が隱されて居り、其の技術を中心として經營の合理化が行はれ、經營の改善が行はれ、是が更に新技術を生むと云ふやうに組織されて居つたのであります、勿論是は法案や役人の刺戟に依つたものもあるかも知れませぬが、多くは特殊の人の特殊の努力に依つたものであります
斯く考へて見ますと、中小商工業の發展を望む凡ゆるものの根柢には、燃ゆる熱意を以て科學技術の振興を考へねばならぬと思ひます、然るに日本産業の急速な再建を願ふ本協同組合法案の中には、其の根本問題に對する熱意が少しもないことは實に殘念でございます、例へば總則の第一條に商工業の改良發達を圖るとある、成程民主的であるかも知れませぬけれども、此の改良發達などと云ふ言葉の何と陳腐なことか、明治時代から使ひ古された、そこにはもう黴も生えるやうな言葉で、果して此の中小工業を背負つて立つ法案と言へるか、恰も今までの政治家が、科學や技術は政治圈外の現象であるかの如く感ぜられるやうな態度であつたのと、餘り變らないやうに思ふのでございます(拍手)斯くの如き考へで果して産業再建が出來るかと疑ふのであります、世界に目を向けて見ると、「ソ」連では、「スターリン」を初め多くの閣僚が、ここ數年にして科學技術を世界最高の水準に上げて、さうしてそれに依つて産業の再建を圖らねばならぬと言つて居りまして、既に各家庭とか工業者に對してまで新しい研究をすることをし易からしめ、若しそれをしたならば一躍其の俸給を二十倍に上げて、老社長よりも優遇すると云ふやうな制度を執り、更にそれから五年も經つて新しい研究が出來なかつたら、又元の所に返すと云ふやうなことが言はれて居ります、英國に於てもさうです、「フランス」に於てもさうです、だから是からの中小商工業は、今までの商工業のやうに市場に直結したものではなくして、研究所に直結した所の、或は工夫技術に直結したものでなかつたらいけないと思とひます、所が研究費や生産費に押されて、資材も費用も慘めな状態にある商工業は絶對に發達しない、此の間私は理研に行つたのですが、其の良い手本が彼處にあつたやうに思はれます、勿論財閥としての解體はせられたとしても、産業の開發の爲に研究は大いにやれと言はれて居る、あの理研の有樣を一度商工大臣に見て戴きたいと思ひます、そこで私は斯う云ふやうな状態でありますから、日本全國に千なんぼの研究所がありますが、是は實際どうなつて居るかと云ふことを思ひやられるのです
そこで私は此の協同組合法案に依つて、是から家庭工業であるとか、其の他の方面に活を入れて貰ひたいと思ひます、即ち此の組合の理事や幹事や會員に、科學技術が重要であると云ふことに付て深い關心を持たせると同時に、企業場で働く技術者が研究し易いやうな法案の具體的なものを此の中に入れて貰ひたいのであります、元々外國のやうな科學尊重の國でも、協同組合法案と云つたものでやるならば、科學技術を採入れる時期が個人經營よりもずつと遲れると云ふのが定石のやうになつて居る譯であります、若し日本で此の商工協同組合法案を其の儘に使用するとしたならば、凡ゆる條件に惠まれざる所の日本の中小工業は、外國製品に押されてじり貧的に崩壞の途を辿るのではないかと思ひます、それに反して、若し此の法案の中に科學技術面を強く出させ、是から出來るであらう所の澤山の商工協同組合に於て、其の技術面を強調するならば、そこから澤山の科學技術面が現はれて、さうして世界産業の花形になり得るものが多數出て來ることを私は信じて疑はないのでございます(拍手)私は此の點に付て商工大臣がどんな御意見を持つて居るかと云ふことを質問して壇を降ります
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=64
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065・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 豊澤君の御意見は洵に御尤もな御意見として拜聽致します、法文の中に科學尊重の文字を入れることも私は一面から言へば惡くないと思ひます、けれども第一條の中の經營の合理化と云ふことを噛みしめて解剖して行けば、結局其の邊も入つて居る譯でありまして、成べく法文を簡單にする關係上、さう致したやうな譯であります、併し只今此處で御述べになつた御意見は全部贊成であります、殊に私は科學の振興と云ふ以外に、ともすればお互ひ中小工業者が粗製濫造に陷る弊がありますので、之に對しましては特に審査を嚴重にするとか、或は色々な方面の指導機關を助成致しまして、此の缺を補ひたい、其の他に付きましては全部贊成でございます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=65
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066・山崎猛
○議長(山崎猛君) 福田繁芳君
〔福田繁芳君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=66
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067・福田繁芳
○福田繁芳君 私は無所屬倶樂部の同僚になり代りまして、先程來より質疑應答中の本案に對しまして、聊か關係大臣に御質問致したい、斯樣に存じて居つたのでありますが、本案に對しましては、先程から各政黨の同僚諸君から詳細なる御質問があり、之に對して政府各大臣──商工大臣は比較的眞面目に熱意を以て御答辯下さいましたが、他の大臣諸公は本案に對して非常に不眞面目である、此の點を遺憾に思うて居つたのであります、けれども各政府委員から各各御答辯がありまして、本會議に於ける所の本案に對する質疑應答は最早既に盡きたかの感がするのでございます(拍手)左樣でございまするから、私は重複することは一切此の際省略致しまして、全然立場を異にして本案を眺め、さうして由つて生ずる所の二、三の質疑の點を關係大臣に伺ひたい、斯樣に存ずるのでございます
先ず第一番に商工大臣に尋ねたいのは、政府は本法案を提案する理由と致しまして、我が國産業の急速な再建を圖りたい、仍て本案を提出した、斯う云ふ詳しい提案理由を申されましたが、私は此の理由は大いに諒とするのであります、併しながら終戰滿一箇年を經過致しました今日、漸く日本の國の産業を再建しなければいかぬ、中小商工業を興隆させなければいかぬ、斯樣なことを考へて御提案なさつた所の時期が、如何にも遲れたことを殘念に存ずるのでございます、昨年八月十五日「ポツダム」宣言を受諾致しましたる時に、當時私は産業人の一人でありましたが、「ポツダム」宣言を受諾した途端に私達産業人の念頭に閃いたことは、上御一人の御身の上、或は又窮迫せる所の食糧問題の解決方法、或は海外同胞の身の上、斯う云ふことは申すに及ばない問題でありますが、それと共に頭に閃いたのは、一般無數の中小工業者の身の上でございます、皆樣も御承知の通りに、我が國の中小商工業と云ふのは特異の存在でありまして、今まで我が國産業興隆の爲に甚大なる功勞があつたのでございます、然るに此の無數の中小商工業者が、戰時中に於て御承知の通りに時の軍閥と時の官僚、是等の者共の犧牲となりまして、一片の徴用令書の下に、長年孜々として働いて來ましたる所の職場を失はされた、ひどいのになりますると、徴用令書の爲に、職場を取られてから軍需産業に放り込まれた、或は失業群の中に放り込まれた、斯う云ふことになつたのが當時の中小商工業者でございます、辛うじて其の職場を死守してから、所謂當時の銃後の國民として産業に御奉公して居りましたものが、皆さん御承知の通りに度重なる空襲に依りまして職場は燒かれ、のみならず住宅まで燒かれ、さうした結果、御承知のやうに地方に落延びたのでございます、私達其の途端に考へましたのに──「ポツダム」宣言を受諾した途端に考へましたのに、何とかして此の日本の國を再建しようと思へば、どうしても産業の再建より外に手がない、産業の再建を圖らうと思へば、御承知のやうに大資本家は解體され、大企業は接收を受けるのでありまするから、中小商工業に託するより途がないのであります、左樣でございまするから、何とかして適切なる處置を一刻も速かに講じて、さうして中小商工業者多數の者共をして正規な職場に就かしめ、以て日本の國の所謂産業囘復を圖りたいと云ふことを考へて居つたのでございます、私共産業人が考へる如くに、時の内閣諸大臣も御考へになつて居られたならば、所謂「ポツダム」宣言受諾直後、終戰直後、此の時に中小商工業者に對して適切なる處置を講じて居りましたならば、恐らく過般來問題になりました所の大資本家の生産「サボ」、或は又勞働爭議、或は連合國に對する所の見返り物資の増産、斯う云ふことも相當成績を收めることが出來たと私は考へます、殊に過般本會議で問題になりました所の、彼の第三國人に依りまして日本の國の經濟機構を攪亂されると云つたやうな質問も、恐らくなくて濟んだのではないかと私は考へます(拍手)此の點に對して商工大臣──大藏大臣は居りませぬから、次官からでも結構でございますが、私の今申上げたことに對して率直な御考へを承りたい、私は本日時間も過ぎ去つた後に斯樣なことを申上げたくないのでありますけれども、我が國の中小商工業者無數のものは何とかしてここで再起、奮起致したい、商工大臣、大藏大臣を唯一の綱と頼つて、何とか奮起致したいと云ふ所の現在の状態であります、左樣でございますから、私の質問に對する大藏大臣なり商工大臣の答辯が、將に再起せんとする所の中小商工業者に對して一服の清涼劑ともなり、活力素ともなると云ふならば、私は非常に結構と存ずるのでございます(拍手)左樣な點から見まして、どうぞ大乘的立場を以て、本當に中小商工業を慈しまんと致しまするならば、成程是は手遲れであつた、併し今からでも適切なる總ての處置を斯樣斯樣に講ずるから、遲くないのだから、是非とも中小商工業者の總蹶起を願ひたいと云ふやうな意味合の御言葉が、商工大臣の答辯の中にありますれば、望外の幸甚とするのでございます(拍手)
次に伺ひたいのは、先程丁度社會黨の細田君から資材確保對策に對しましての質問がありましたが、如何致しましたことか、關係大臣の答辯が漏れて居りましたので、私茲に附言致しまして御伺ひ致したいと考へます、過日來復興金融金庫法案なり、臨時物資需給調整法案の委員會に參りました時に、大藏大臣、商工大臣、殊に膳國務大臣は、口を揃へて我が國今後の産業建設の爲の資材と云ふものは──資材に限らず全般に對して、聯合國には餘り御無理申上げなくても、出來ることならば自力を以て再建致したい、斯う云ふことを私は屡屡伺つたのであります、併しながら一般産業を振興致さうと思ひます時に、金融金庫法案に依つて資金の面倒を見るのも宜い、或は協同組合法案で企業の合理化を圖ることも宜い、併し肝心要の材料を何とされるか、恐らく臨時物資需給調整法案を以て國内物資を適當に調理されると云ふことを言はれると私は思ひまするけれども、假に此の法案が通過致した所で、日本國内にありまする所の資材を以て、此の敗戰國家たる日本の現在の状態の産業を囘復するだけの材料があると思つて居られるかどうか、之を私は先づ大臣に伺ひたい、どう致しましても、少くとも諸外國から相當な資材を仰がなければならないのでございます、丁度先程不圖私の眼に止まつたのでございますが、渉外局の發表として、第八軍軍政部經濟局の三十一日の發表でございます、「アメリカ」に於ては、「サンマテオ」號と云ふ船を以ちまして、神戸、横濱兩港から生「ゴム」二千六百「トン」、鉛四千二百「トン」、錫板千「トン」、是だけの物資を日本に持つて來られたのではないのであります、あちらの方へ、日本にありましたのを御持歸りなさつたのであります、御持歸りなさることを私は兎や角申上げるのではないのでございますが、今後の日本の平和産業を興隆復活させようと思ひますれば、どう致しましても此の中の生「ゴム」の如きは、皆樣絶對的に必要物資であります、過日の復興金融金庫委員會に於ても、商工大臣は、今度の金庫が一般事業に貸付する所の事業別として、「ゴム」工業と云ふのは第五番目のA「クラス」に入つて居る、併しながら日本の國の現在では、生「ゴム」と云ふのは御承知の通り極く僅かしか手持がない筈でございます、二千六百「トン」御持歸りになりますれば、餘す所恐らく私は四千「トン」位しかないと思ひます、之に對して商工大臣は如何なる御考へを持つて居られるか、今斯樣に御持歸りになられたのでありまするけれども、近い内に斯樣斯樣で材料が入つて來るのだ、或は斯う云ふやうに貰へるのだと云ふ所の目安がありますれば、斯う云ふ資材問題も餘り私が取越苦勞する必要はありませぬ、併しながら僅かしかない所を持つて歸られてしまつた場合には、非常に困る譯でございます、膳國務大臣の郷里である山梨縣、商工大臣の郷里である岡山縣でも、米の出來る木はありますけれども、「ゴム」の木はない筈でございます、斯樣な状態でございますから、「ゴム」の如きは、目下殘置してあるものを御持歸りになることは宜しうございますけれども、何とかして聯合國から相當戴かないことには、金融金庫から金を貸しても産業の囘復は致しませぬ、左樣でございますから、其の點はどうぞ一つ輸入に對する所の見透しを私は承りたい
それと序に一寸一言申上げたいのは、元來聯合國に對する輸入とか一般の交渉と云ふものは、どのお役所でどう云つたお方がなさつて居られるかと云ふことを私は承りたいのであります、巷間聞く所に依りますれば、渉外局に對する折衝は、我が政府としては、一國を代表するなり一省を代表する所の個人が當らなくて、各省々々から適當なる然るべき範圍の方が當つて居られるが爲に、聯合國に對して非常に不統一極まる状態を演じて、聯合國より期待に副へないと云ふ所の謗りあるかの如くに承つて居ります、左樣でございますから、どうぞ此の機會に、殊に日本産業の再建を圖る所の重大な要素である資材の如きは、商工省の誰某が御扱ひなさつて居る、或は又經濟安定本部の方で御扱ひなさつて居る、斯樣な譯だから決して不統一でない、必ず此の産業建設に役立つだけのことは出來得ると云ふ所の御所見を伺ふことが出來ますれば、是れ亦今後の經濟再建の爲に非常に結構と存ずるのであります
大體以上の程度を申上げまして、あとは先程各位から申されましたる漏れて居る點を箇條的に申上げまするから、之を御答辯願ひたい、私で最後でございますから、あと五分間御辛抱願ひたいと存じます
先程是も御話がありましたが、厚生省では、生活協同組合でございますか、それを追て出す積りで研究して居ると云ふ、左樣な生活協同組合を何も出さなくても、最早消費組合が非常に發達して居る、同時に又農林省に於ては農林省所管の産業組合が非常に發達して居る、斯う云ふことを聞きましたが、私考へますのに、各部門に斯樣な組合が發達致しました場合に、果して此の提案の理由書にある所の産業の再建と云ふことに、各部門の各組合が摩擦なくして圓滑に助成、發達出來るかと云ふことを一つ伺ひたいと思ふのであります、同時に又各部門に組合が出來まする結果、所謂集團經濟競爭が激烈になり、同時に又集團的個人主義が激烈になる、之に對して商工大臣は如何なる對策を持つて居られるか、其の次は、從來の商工組合との關係をどうされるかと云ふことを一言伺ひ致したい、御承知の戰爭中に於て、我が國の經濟界の發展過程を時の歐米各國が見まして、日本の國の獨占的「カルテル」化の要素であると數へられて來たのであります、然るに終戰後新しく日本を建直さんとする今日、斯樣に各部門に斯う云ふ組合が出來て、一層獨占的「カルテル」化の要素が殖える傾向になるのでありまするが、新しく國際經濟に參加せんとする所の日本政府として、諸外國に對して之に對する如何なる方針と對策を持つて居るか、私は此の點に於て是非とも幣原さんに伺ひたかつたのでありますが、最早御歸りなさつて、居りませず、又膳國務大臣に伺ひたいのでありまするが、何處でどう云ふ委員會があるのか知りませぬが、まだ出て居りませず、甚だ殘念でありまする、何も彼も商工大臣一人に持つて行くやうでありまするが、附加へてどうぞ御答辯を願ひたいと思ひます、それと本案に依る所の組合の所謂協同主義精神と云ふものと、組合員たる所の中小商工業者の個別性との間に生ずる矛盾を如何に御調和なされるかと云ふことも附加へて御伺ひ致したい
最後に、本法案なり、金融金庫法なり、臨時物資需給調整法にも盛んに中小商工業と云ふことが謳つてございまするが、日本の國の今日は、皆樣御承知の通りに戰爭に負けて大資本家は解消され、大企業は倒壞され、接收された今日、果して中小商工業の中と云ふのはどの範圍を指されるものであるか(拍手)同時に又本法案を以て日本の國の經濟の安定を圖ると言はれて居りまするが、此の商工協同組合法案を通過させて、どれだけ日本の國の今日の經濟の安定を圖ることが出來るか、以上の點をどうぞ一般中小商工企業者の爲に宜しく御答辯を願へれば非常に好都合と存じます(拍手)
〔國務大臣星島二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=67
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068・星島二郎
○國務大臣(星島二郎君) 福田君より時期を失したとの御叱りがありましたが、是は日本の産業の復興を熱望されるの餘りにですから、幾らでも私は叱られて宜しいと思ふ、斯う云ふ言葉が出る度にやはり振興を思ふのでありますから、敢て辯解を致しますれば、私は本當の賠償の撤去の線が引かれ、今囘の財界の整理、それから金融の非常措置、斯う云ふやうなものが全部濟んだ所で本當の計畫は出來ると思ふのです、併しそれは理窟であります、私は兎に角凡ゆる努力をして居るのにも拘らず、此の一年經つてまだこんなことかと云ふ御叱りの御言葉が多い程、産業復興の熱意があることと考へまして、御叱りは甘んじて受ける譯であります(拍手)殊に又輸入のことに付きましては、是は日本には原料が少いのでありますから、原料がなくては仕事が出來ませぬ、率直に聯合國に對しまして原料を輸入して欲しい、斯う言ふことが必要である、從來のやうな自給自足主義で行く、是は軍國主義であります、率直に日本には足らないから、是は入れて呉れと云ふ所に日本は到底輸入しなければ食つて行かれないと云ふ所に、寧ろ萬國的所謂平和主義がある譯でありますから、遠慮なく是は懇請致す積りであります、現に御指摘の「ゴム」は、本當は相當數量ありましたけれども、流石に進駐軍の方に於きましても要ると見え多くの物は占領軍に依つて占領されて勝手に持つて行かれても宜い物を、此の日本の現状に同情せられて、大部分の物は其の儘置いて貰つたのでありますけれども、生「ゴム」は流石に要ると見えまして、持つて行かれたのであります、是は一萬「トン」の要求がありましたのを、やつと求めまして七千「トン」の生「ゴム」を完全に送り屆けまして、其の最後の船にも先程御指摘の二千何百「トン」と云ふものがあつたものと見えまするが、併し是では到底仕事が出來ませぬのて、昨今人造「ゴム」或は屑「ゴム」でも宜しい、少くとも日本の從來の仕事の上から行きますれば、月當三千「トン」程の生「ゴム」を是非輸入して欲しいと云ふことを懇請中であります、是は一つの「ゴム」の例でありまするが、棉に致しましても、其の他のものに致しましても、日本が平和的に伸びて行く爲には、斯くの如き原料だけは出して貰へば、必ずそれに對する代償としての見返り物資は造つて之を差出す積りであります
中小企業の振興は、正に御指摘の原料の輸入より始まることと思ふのです、何處までも熱心に努める積りであります、それ等のことを扱ひますのは、今日の場合は貿易は自由でない、軈ては個々の自由貿易は許されることとは思ひますけれども、現在の立場はさうでありませぬので、目下商工省の外廳と致しまして貿易廳と云ふものがあります、是が民間から長官を拔擢致しまして、官僚の商賣にならぬやうに、出來るだけ民間の有識者を多く入れまして、貿易廳を形成致してやつて居る譯でございます
協同組合が是から各所にそれぞれ出來て、其の間に集團的な、又昔の反産運動のやうなことが起りはせぬかと云ふ御心配は御尤もと思ひます、是は成べく今後業態々々に依つて此の法案を組んで行きますので、之を出しました時にも、農林省内にも此の法案を作る一つの業態がそれぞれ生れて來る譯でありますが、今後十分それ等の點は注意致しますが、或る良い意味の競爭は私は却て刺戟して宜いのだと思ひます、けれどもくだらない從來の所謂競爭は、避けるやうに致さなければならぬ、斯樣に思ふ次第であります
尚ほ中小の工業はどの方面を基準とするかと云ふ御尋ねがありました、是は大でないのが中小であらうと斯樣に答辯さして戴けば宜いのでありますが(笑聲、拍手)併し大體五十名以上二百名以下位な勞務者を養つて居る程度を狙つて居る譯であります、是は少しはつきり致しませぬが、日本は大部分が中小であらうと思召しを願ひたいと思ひます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=68
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069・福田繁芳
○福田繁芳君 私の質問と答辯が一寸異なつて居りますが、もう時間がありませぬので、あとは委員會に於て詳細に伺ふことに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=69
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070・山崎猛
○議長(山崎猛君) 質疑は是にて終了致しました、本案の審査を付託すべき委員の選擧に付て御諮り致します
―――――――――――――――――――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=70
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071・葉梨新五郎
○葉梨新五郎君 本案は政府提出臨時物資需給調整法案委員に併せ付託せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=71
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072・山崎猛
○議長(山崎猛君) 葉梨君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=72
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073・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て動議の如く決しました、是にて議事日程は議了致しました、次會の議事日程は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します
午後五時五十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X04419460912&spkNum=73
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