1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年十月四日(金曜日)
午後二時十四分開議
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議事日程 第五十號
昭和二十一年十月四日
午後一時開議
第一 (改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
第二 (改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
第三 (改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
第四 (改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
第五 豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
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〔朗讀を省略した報告〕
一、昨三日貴族院に於て本院から送付の次の政府提出案を可決した旨、同院から通牒を受領した
林業會法案
商工協同組合法案
一、議員から提出した質問主意書は次の通りである
地方選擧に關する質問主意書
提出者
岩本信行君 細田忠治郎君
一、昨三日議長に於て次の通り常任委員辭任の許可があつた
第七部選出豫算委員 喜多楢治郎君
一、昨三日特別委員理事補闕選擧の結果次の通り當選した
戰時補償特別措置法案(政府提出)外五件委員
理事 稻村順三君(上田清次郎君昨三日理事辭任に付其の補闕)
理事 西村榮一君(奧村又十郎君昨三日理事辭任に付其の補闕)
一、昨三日次の通り特別委員の異動があつた
戰時補償特別措置法案(政府提出)外五件委員
辭任 鈴木茂三郎君 補闕 稻村順三君
辭任 前田榮之助君 補闕 西村榮一君
辭任 伊東岩男君 補闕 大橋喜美君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) 是より會議を開きます、日程第一乃至第五は豫算案でありますから、一括議題となすに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=1
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002・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、日程第一、(改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、日程第二、(改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、日程第三、(改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、日程第四、(改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、日程第五、豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件、右五案を一括して議題と致します、豫算委員長の報告を求めます──矢野庄太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=2
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003・会議録情報2
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第一 (改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
第二 (改特一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
第三 (改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
第四 (改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
第五 豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
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報告書
一 (改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月三日
豫算委員長 矢野庄太郎
衆議院議長 山崎猛殿
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報告書
一 (改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月三日
豫算委員長 矢野庄太郎
衆議院議長 山崎猛殿
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報告書
一 (改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月三日
豫算委員長 矢野庄太郎
衆議院議長 山崎猛殿
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報告書
一 (改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月三日
豫算委員長 矢野庄太郎
衆議院議長 山崎猛殿
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報告書
一 豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月三日
豫算委員長 矢野庄太郎
衆議院議長 山崎猛殿
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〔矢野庄太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=3
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004・矢野庄太郎
○矢野庄太郎君 只今議題に供されました(改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、(改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、豫算外國庫の負擔となるべき契約を爲すを要する件、右五案に付きまして、豫算委員會の經過竝に結果を御報告致したいと存じます
豫算の内容に付きましては、議事録に掲載せられて居りまする政府の説明、及び皆さんの御手許に配布せられてありまする豫算書に總て之を讓りたいと存じます、唯去る八月二十日と記憶致しまするが、當議場に於て豫算の純粹の合計、所謂純計を御報告致しましたので、それに連れまして、此處に提案されて居ります、豫算案に付ても、其の純計を明かにして、日本財政の全貌を明確にして置く必要があると信じまするので、暫くの間無味乾燥なる數字を羅列することの御許しを願ひたいと存じます
先づ一般會計から御報告致します、一般會計の追加第一號、第二號の合計は──只今申上げました議題では改第一號、改第二號に當ります、其の合計は歳入歳出共に九十七億二千四百餘萬圓と相成るのであります、御承知の通り一般會計は、歳入歳出共に同額でなければならぬのでございます、之を、先般此處で御報告致しました改定總豫算の五百六十億八千八百餘萬圓に合計致しますると、一般會計の歳入歳出は共に六百五十八億一千三百餘萬圓、凡そ六百六十億圓と相成るのでございます、此の六百六十億圓が如何なる意義を持つかと云ふことは、種々の觀點から之を考察することが出來まするけれども、先づ差當つて一番簡明な方法と私が思ひますことは、二十年度の豫算に比較することであると思ひます、二十年度の豫算は、先般此處で御報告申上ぐる際に、一般會計二百九十二億圓、臨時軍事費八百五十億圓と申上げましたが、其の合計は一千百四十二億圓に相成るのでございますが、此の間には重複勘定がありますので、其の重複勘定の約百億圓を差引きますと、昨年度の行政費及び軍事費の合計は、一千四十二億圓と相成るのでございます、併しながら是は占領地に於て歳出をし、占領地に於て歳入を致して居ります、其の占領地に於ける歳入歳出を切落しますと、此の一千四十二億圓は、凡そ七百億圓臺に落ちるだらうと云ふ、或る方面に於ける調査がございます、若し七百億圓に落ちると假定致しますならば、今年度の六百六十億圓は重大なる意義があると信ずるのでございます
次に特別會計に付て御報告致します、特別會計は、歳入と歳出とは必ずしも一致致して居りませぬ、何故に一致しないかと申しますと、例へば厚生年金保險の如きは、歳出は少いが、歳入として保險料がどんどん入つて來る、其の保險料は積立てる、預金部で預金をすると云ふ關係になつて居ります等の爲に、歳入と歳出とは必ずしも同一ではないのでございます、隨ひまして特別會計の方は、歳入と歳出とを別々にして御報告致します
先づ歳入を申上げますが、歳入の追加案、此處で改特第一號、改特第二號と言ふものでありますが、其の合計は八百三十八億六千九百餘萬圓と相成ります、其の八百三十八億餘萬圓、之を一般會計の追加の歳入──只今申しましたやうに一般會計は歳入歳出同額でありますが、其の歳入の九十七億餘萬圓に合計致しますと、其の追加歳入額は、即ち一般會計と特別會計と合計して、九百三十五億九千四百餘萬圓と相成るのであります、所が之には非常な大きな重複勘定がございます、先づ二口に分けて申します、と申しましても一口、一筆と云ふ譯ではございませぬが、同じ性質を持つて居るものを一口とし、他の異なる性質を持つて居るものを他の一口として二口と申して居ります、一口は四百二十二億五千四百餘萬圓と云ふ重複勘定を持つて居るのでございます、此のことだけでも、如何に日本の財政が複雜なものであるかと云ふことは御分りになると存じます、他の一口は、財産税收入の、例の二百五十五億八千七百餘萬圓でございます、此の大きな重複勘定を差引致しますと、此處に出て居ります豫算の、一般、特別兩會計の歳入の純計は、二百五十七億五千二百餘萬圓と相成るのでございます、所が先般改定總豫算及び特別會計改定豫算の際に御報告申上げました通り、あの時の歳入の純計は、九百六十七億四千三百餘萬圓でございます、でありますので、此の二百五十七億餘萬圓、今日のそれと先般の九百六十七億餘萬圓とを合計致しますと、歳入の純計は、一千二百二十四億九千六百餘萬圓、約一千二百二十五億圓と相成るのでございます、是が、此の九十議會に於て此處で審議せられました政府の歳入の純計であるのであります
次に特別會計の歳出を御報告申上げます、特別會計の追加の歳出の合計は、八百三十九億六千二百餘萬圓となつて居ります、歳出は八百三十八億六千九百餘萬圓でございますから、約一億圓の相違がございます、それで之を、只今申しました一般會計の此の追加豫算の歳出の九十七億餘萬圓に合計致しますと、只今議して居ります特別會計の追加案の歳出の八百三十九億餘萬圓を合したものは、即ち九百三十六億八千七百餘萬圓と相成るのでございます、所が之にも、歳入と同じやうに非常に大きな重複勘定がございます、其の重複勘定は六百七十七億七千五百餘萬圓と云ふのであります、斯樣な重複勘定を差引きますと、只今申しました九百三十六億餘萬圓は、僅かに二百五十九億一千百餘萬圓となるのでございます、是が只今申上げて居ります追加豫算歳出の純計でございます、一般と特別との兩會計の、之を先般此處で御報告致しました改定豫算の歳出純計の九百四十億五千五百餘萬圓に合計致しますと、其の歳出の純計は、一千百九十九億六千六百餘萬圓となるのであります、是が九十議會に於て今日まで審議した所の、政府豫算の歳出の純計であるのであります、斯樣に見て參りますと、先づ歳入に於て、本年は今日の所一千二百二十五億圓、歳出は一千二百億圓、二十五億圓の歳入超過になつて居るのでありますけれども、是は歳入に於て、後に申します通りに公債を發行し、借入金をなして居る結果であります、それで二十五億圓も餘るのならば、公債を發行したり、借入金をするのを減したらどうかと云ふ疑ひが起るのでありますが、是は冒頭に申上げましたやうに、積立金をせなければならぬ關係等がありまして、此の二十五億圓と云ふものが歳入超過になつて居るのであります、先づ大體毎月此の豫算に依つて國庫に出入する金は、平均約百億圓と云ふ勘定になるのでありますが、國庫は御承知の通り、政府の財政の外に、此の歳計以外の出入の金がございます、其の最も大きなものは、郵便貯金であるのでございます、左樣な次第でありますので、千二百億或は千二百二十五億と云ふのもが國庫に出入するのでなくして、國庫に出入する金は、是よりも非常に大きな金になるのであります、非常に、とは少しく形容が過ぎましたが、是よりは相當に大きな數字になるのでございます
次に此の豫算を實行するに當つて、幾許の公債を發行するかと云ふことを申述べます、此の各豫算書を見ますると、公債は一文も發行しないのだらうと思つて居りました所、案外澤山の公債を發行して居ります、先づ一般會計に於て四十二億圓、鐵道會計に於て約三十億圓、通信會計に於て約十一億圓、財産税等收入金特別會計、今度新らしく出來ました特別會計に於て百八十七億圓の公債を發行致して居るのであります、是は物納で入ります所の財産を見合ひにして、公債を發行するのでありますからして、何れ短期のものであつて、其の財産が賣却出來たならば、此の公債も償還さるるものと思ひまするので、此の點に於て稍稍安心して宜いかとも考へまするが、兎に角も合計に於て二百六十九億九千餘萬圓と云ふ厖大なる公債を發行しなければならぬことに相成つて居ります、此の外に地主から買取る所の土地代金として、農地證券を本年度に於て三十二億餘萬圓發行することになつて居ります、之を合せますと、公債發行額は三百億圓以上に相成ります、此の三百億圓以上の公債、假に百八十七億餘萬圓の公債を除きましても、公債發行額は、農地證券額を合せると百十五億圓になります、此の厖大なる公債を何に比較するかと申しますと、私は先づ支那事變中に幾許の公債を發行したかと云ふことを見たいと思ひます、支那事變中の公債發行額は、大體五十億圓程度でございました、大東亞戰爭開始の十六年には、百二十七億圓の公債を發行致して居るに過ぎませぬ、隨ひまして本年度に於ける公債發行額は、私は厖大であると言ふのでございます、それから借入金は幾らかと申しますと、借入金は、通信會計に於て四億四千萬圓、鐵道會計に於て五千七百餘萬圓、爲替交易調整特別會計に於て二千九百餘萬圓、是は先般大藏大臣が四億二千九百餘萬圓と報告して、後に訂正せられました、貿易資金百餘萬圓、此の借入金の合計が五億二千八百餘萬圓と相成るのであります、何れも長期借入金でございます
以上豫算案に關して、純計其の他之に關聯する數字を申上げましたが、此處の議題では、豫算外契約の案件が出て居ります、豫算外契約の案件を見ますると、鹽の増産奬勵金を、五箇年度内に於て十四億餘萬圓、鐵道用品勘定に於て、五箇年度内に五億圓の國庫負擔となる契約をなすと云ふことに相成つて居ります、他の豫算外契約の案件は、大した金額ではございませぬ
以上議案に付て大體説明を致しましたが、委員會は會期切迫の折柄、成べく短期間に於て之を終了致したいと存じまして、斯樣に理事諸君の御諒解を得て取計らつたのでございます、其の短期間に於て、委員諸君は、或は新圓封鎖の問題、或は新圓吸收の問題、或は政府職員給與改善の問題、又米價は幾許にするか、水産物の統制は撤廢したら宜いではないか、又憲法實施に付て其の普及の必要があるではないか、其の方法をどうするか、或は豫算の編成を今少しく簡明化したらどうか、又或は宗教問題、或は教育の問題に付て、熱心なる質疑がなされまして、政府の答辯を得たのでありますが、總て是は速記録に讓りたいと存じます
唯此の席上に於て、二つの事項だけを稍稍詳しく御報告致したいと存じます、それは實は理事會を開いて、一時間餘に亙つて各派の理事の諸君で議を練りまして、さうして質問をすると云ふことに相成つた事項でございます、其の事項を今讀上げます、無論私が質問を致したのでございますけれども、是は各派の理事の一致した意見であつて、即ち豫算委員會の總員の意思であつて、決して私の發意ではございませぬ、其の第一問は、「政府は明二十二年度に於ける財政計畫を有する否や、二十一年度に於ては、今日の所既に八十三億圓の公債發行を豫定せらる」、八十三億圓と申しましたのは、先刻公債の所で申しましたやうに、百八十七億圓の、財産税等收入金特別會計に於て發行する公債の金額を除いたのであります、「其の上四百三十五億圓の財産税收入も、既に三百十億圓を使用することと相成り居り、殘餘は僅かに百二十五億圓に過ぎず、今後の追加を考ふる時は、恐らく二十一年度中に全財産税收入を食潰しても、尚ほ未だ多額の不足を告ぐるものと思はる、政府は本年七月藏相の財政演説中に於て、本年度限りの經費として二百九十七億圓に上る多額の費目を計上せるが、其の主張の如く果して減額し得る自信を有するや、政府は屡屡赤字は恐れず、唯恐るる所は生産増強成るや否やにありと主張せるが、就ては明年度は赤字財政を以て其の支出を乘切らんとするや、右に對する政府の所見如何」と云ふのでございます、それに對して石橋大藏大臣から答辯を得て居ります、今過ちを避ける爲に、此處に速記録を持參致して居りますので、此の速記録に依つて御報告を致します、「明年の財政計畫は、御承知のやうに今度の議會が遲れ、改定豫算の提出等が遲れました關係で、目下其の豫算の編成に著手し始めましたけれども、非常に遲れて居りますので、今日まだ確たることを申上げ兼ねる次第であります」、財政計畫に付ては斯樣な答辯であります、「それから二十一年度の今後の見透しでありますが、米の價格の補給金に付きましては、目下米の價格其のものが近く決定される筈でありますが、未だ決定されて居りませぬので數字ははつきり致しませぬけれども、出來るだけ是は壓縮致したい、委員長の御話のやうに六十億圓を起ゆると云ふが如きことはない積りであります」、私は質問の時には六十億圓とは申しませぬが、私の計算では六十二億圓要ると思つて居りますので、豫め大藏大臣に其のことを傳へて置いたのであります、「それから石炭の補給金の問題は、取敢ず十月までの補給金を計上したことは先般申上げた通り、十一月以後の問題は、目下石炭を如何に處理するかと云ふことを檢討中でありますので、確定を致して居りませぬ、併し大體の方針と致しましては、補助金制度は廢めると云ふ方法に持つて行きたいと考へて處理を致して居ります、斯樣な譯で昭和二十一年度の豫算には、米及び其の他を加へますと、尚ほ何れ追加豫算で御審議を願はなければないらない金額もありますが、此の財源に付きましては、財産税をも使用する必要が生ずるであらう、是は御言葉の通りであります、併し尚ほ其の上に多額の不足を生ずると云ふが如きことはない積りで居ります」、此の點は理事諸君で作りました案とは違つて、大藏大臣は多額の不足を生ずることはないと言つて居ります、「それから終戰處理費等の本年度限りの經費として擧げましたことは、其の當時も御説明申上げましたやうに、本年度豫算の中から、性質上本年度限りの數字を擧げますと、約三百億圓になる譯で」、私は二百九十七億圓と只今申しました、「約三百億圓になる譯であります、其のものは本年度限りであります、明年度に於ては、其の當時やはり申上げましたやうに、又明年度として必要な經費は生ずるでありませう」、是は大分演説が違ふやうに思ふのですが、まあさうであつたかも知れませぬ、「併しながら財政全般のことを考へますと、唯漫然と赤字に依つて之を年々支辨して行くと云ふことの出來ないことは言ふまでもありませぬ」、私は是は洵に同感に思ひます、「隨て明年度の豫算に付きましては、屡屡申上げましたやうに、極力歳出を減少し」、是も至極同感であります、「又同時に歳入に付きましては租税制度其の他の改革を行ふと同時に、歳入の増加を圖ります、赤字に付きましては、是は生産と見合せまして、生産増強に寄與する所の赤字でありますならば、斯樣に人が遊び、或は設備も或る意味では遊んで居る時代に於きましては、之を動かし得る目途がありますれば、赤字公債を發行することも必ずしも不健全ではない、斯樣な考へを持つて居りますが、無論是は生産と睨み合せての問題であります、左樣に御諒承を願ひたいのであります」、斯樣な答辯でございました
それから第二問と致しまして、是は農林大臣に對する質問でございましたが、「本豫算委員會は、全國民の要望に基き、豫算委員全體の總意として、去る八月三日委員長より政府に對し、食糧危機突破に關する重大質問を行ひまして、國民の食糧不安の一掃に努めたのでございます、幸ひにして聯合國の厚意と、生産農民の協力と、關係官民の努力に依つて漸く危機を突破することが出來ましたが、新米穀年度の新米の價格と需給計畫が今日に至るも發表されない爲に、國民は未曾有の豐作を眼前に見ながら、食糧の不安を解消することが出來ない状態にあります、今や國民は「インフレ」に依る經濟的混亂と道義の頽廢を防止して、勤勞意欲を昂め、生産力を増強して日本の再建を圖る前提條件は、主食三合配給を實施するより外に途なしとする聲は、全國的に昂まつて居ります、政府は此の國民的輿論に即應して、主食増配を屡屡言明されて居りまするが、其の時期は何時か、又増量の内容を此の際明確に發表されたいと云ふことでございます」、斯樣な質問でございました、之に對して農林大臣は、是も速記録を持つて參つて居りまするので其の儘御報告致します、「御答へ致します、増配に付きましては來る十一月旬々から實施致したいと考へて居ります、増配の量に付きましては、是は明確に只今御答へ致す自由を持ちませぬが、出來るだけ多くのものを増配出來まするやうに、我々と致しましては目下努力を致して居る次第でありますので、左樣御諒承を御願ひ致します」、斯樣な農林大臣の答辯に對しまして、理事會の申合せに依りまして、社會黨井上良次君及び自由黨田中源三郎君から關聯質問を致されました、社會黨井上良次君は、働く人々に是非増配をせよと強く迫りました、それに對して農林大臣は、三倍の増配をすると答辯せられたのであります、又田中源三郎君は、瀬戸内海の魚は一匹と雖も正當なる「ルート」には上つて居らない、是は田中君の言葉でありますが、私達は屡屡農林大臣に對して生産配給の綜合對策を樹立する爲に、審議會を作れと迫つて居る、而して去る八月の分科會に於ては、至急に審議會を作ると言ひながら、二箇月の今日に至るも何等處置しないのは不都合ではないかと言つて、強く迫りましたのに對して、農林大臣は、今までのことは御詫びする、早速審議會を作つて、民間の智慧を拜借したいと云ふ答辯でございました
是で質問を打切りまして、討論に入つたのでございます、討論に入りまして、日本自由黨小峯柳多君、日本進歩黨日比野民平君、日本社會黨米窪滿亮君、協同民主黨竹山祐太郎君、國民黨大津桂一君、此の五君から、或は意見を陳述し、或は警告を發せられましたが、結局政府原案に贊成であると云ふことでありました、斯くて採決に入りまして、可決の意見を有する者は起立を願ひたいと言つて起立に問ひました所が、總起立の裡に、以上五案とも政府原案の通り可決確定致しました、私の報告は之を以て終ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=4
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005・山崎猛
○議長(山崎猛君) 採決致します、五案の委員長報告は何れも可決であります、五案を一括して委員長報告の通り決するに贊成の諸君の起立を求めます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=5
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006・山崎猛
○議長(山崎猛君) 起立多數、仍て五案とも委員長報告の通り可決確定致しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=6
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007・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際政府提出、帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案、復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案及び自作農創設特別措置特別會計法案の三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=7
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008・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ふ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=8
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009・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました、帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案、復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案、自作農創設特別措置特別會計法案、右三案を一括して第一讀會の續を開きます、委員長の報告を求めます──理事菊池長右エ門君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=9
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010・会議録情報3
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帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
自作農創設特別措置特別會計法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月四日
委員長 本多市郎
衆議院議長 山崎猛殿
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報告書
一 復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月四日
委員長 本多市郎
衆議院議長 山崎猛殿
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報告書
一 自作農創設特別措置特別會計法案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月四日
委員長 本多市郎
衆議院議長 山崎猛殿
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〔菊池長右エ門君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=10
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011・菊池長右ェ門
○菊池長右ェ門君 只今議題と相成りました帝國特別會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案、復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案、自作農創設特別措置特別會計法案に付て、委員會の經過竝に結果に付て委員長に代つて御報告申上げます
本各案の内容に付きましては、此の際省略させて戴きまして、質疑の要點に付て簡單に御紹介申上げます、鐵道運賃の値上に關する時期の見透し如何との質問に對し、政府當局より、關係方面と折衝の終り次第出來るだけ早く實施したい旨の答辯がありました、又、十月十日よりの値上が延び延びになつて、いつ決まるやも知れない、それに依つて生ずる赤字を理由に馘首等のことをせないやうにと云ふ質問に對して、政府より、それの理由に依つて馘首はせないと云ふ答辯がありました、次に、地主の土地不當買上に關する問題が頻發して居るが、之に對する適切な處置を要望したのに對し、政府側より、農地委員會に於て適當處置する旨の答辯がありました、又、地主が不當な價格を以て土地を小作人に轉賣する場合に於て、其の損失は小作人が負擔すべきものであるか、地主が負擔すべきものであるかと云ふ質問に對して、農地委員會に於て決定した價格を以て小作人に賣却するものであつて、假に其の損失が生じた場合は、地主が負擔すべきものであると云ふ答辯がありました
それに依つて質問を打切り、引續き討論に入りまして、社會黨の稻村君より、復興金融金庫及び産業復興營團の如き特別法人の運營は、動もすれば官僚的になる虞があるから、其の運營を民主的に十分留意せられたいと云ふ意見の開陳がありました、次いで採決の結果、各案とも全會一致を以て可決すべきものと議決致しました、以上簡單でありますが、御報告申上げます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=11
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012・山崎猛
○議長(山崎猛君) 三案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=12
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013・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て三案の第二讀會を開くに決しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=13
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014・椎熊三郎
○椎熊三郎君 直ちに三案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して、委員長報告の通り可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=14
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015・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=15
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016・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに三案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=16
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017・会議録情報4
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帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律案 第二讀會(確定議)
復興金融金庫及び産業復興營團出資拂込金支辨のための公債發行に關する法律案 第二讀會(確定議)
自作農創設特別措置特別會計法案 第二讀會(確定議)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=17
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018・山崎猛
○議長(山崎猛君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して、三案とも委員長報告通り可決確定致しました(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=18
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019・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際政府提出、貿易資金特別會計法案、産業復興營團法案及び恩給法臨時特例案の三案を一括議題となし、委員長の報告を求め、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=19
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020・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=20
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021・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました──貿易資金特別會計法案、産業復興營團法案、恩給法臨時特例案、右三案を一括して第一讀會の續を開きます、委員長の報告を求めます──委員長白井秀吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=21
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022・会議録情報5
――――◇―――――
貿易資金特別會計法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
産業復興營團法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
恩給法臨時特例案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
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報告書
一 貿易資金特別會計法案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月四日
委員長 白井秀吉
衆議院議長 山崎猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 産業復興營團法案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月四日
委員長 白井秀吉
衆議院議長 山崎猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 恩給法臨時特例案(政府提出)
右は本院に於て可決すべきものと議決した因つてここに報告する
昭和二十一年十月四日
委員長 白井秀吉
衆議院議長 山崎猛殿
━━━━━━━━━━━━━
〔白井秀吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=22
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023・白井秀吉
○白井秀吉君 私共委員に御付託になりました只今上程の議案、即ち貿易資金特別會計法案、産業復興營團法案、恩給法臨時特例案、此の三案の委員會の經過の概要竝に結果に付て御報告申上げます
委員會は、延長に延長を重ねましたる本期議會の會期が將に盡きんとする此の切迫致しましたる時期に於きまして、斯くの如き論點の多い重要なる法案を急遽提出致しまして審議を急がれることに付きましては、委員間に於きましても多くの不滿があつたやうでありまするけれども、諸般の情勢已むを得ざる事情あること等に深き考慮を拂ひまして、本案が委員會に付託せられましたる翌日、即ち十月一日より本日に至るまで連日委員會を開催致しまして、極めて短期間ではありまするけれども、終始熱心に質疑應答を行はれ、所謂愼重審議を遂げたのであります、是等法案の内容に付きましては、本會議席上、政府當局より詳細に御説明があつたのでありまするから、之を省略致します、尚ほ質疑應答の内容に付きましては、洵に細部に亙りましたる廣汎なものでありまするから、是は委細速記録に依つて御承知を願ふことに致したいと存ずるのであります
而して質問を去る三日を以て終了致しまして、本日討論採決に入るの運びに至つたのでありまするが、今朝會議を開きまする前に、委員全員の懇談會を開催致しまして、極めて圓滿なる雰圍氣の裡にお互ひの意見を交換致し、希望意見等を持寄りまして、茲に各派共同提案の希望條件を附すると云ふことに意見が一致致したのであります、其の希望條項を先づ朗讀致します
貿易資金特別會計法案に對する希望條項
政府は速に貿易計畫を樹立し以て國民經濟の確立を圖るべし
次に産業復興營團法案に對する希望條項
一、政府は第一條の目的達成の爲め、中央及び地方を通じて、貴衆兩院議員、中小商工業者竝に勤勞者の代表を含む學識經驗者を以て組織する産業復興委員會(假稱)を設置すべし
二、政府は本法施行に當りては復興金融金庫と有機的連繋を保ち、其の圓滑なる運營を期すべし
恩給法臨時特例案に對する希望條項
政府は現下の社會事情及び國家財政の現状に鑑み、速かに恩給法に根本的の考慮を拂はれ渡し
以上であります、斯くして今朝會議を開きまして、直ちに討論に入りました、各黨よりそれぞれ代表的意見を開陳致されまして、只今朗讀致しましたる希望條件を附すことに依つて、贊成者の意見を御發表になりました、而して直ちに採決に入りまして、滿場一致を以て原案の通り此の三案を決定致したのであります、續いて只今朗讀致しました希望條件の採決に入りました、是れ亦滿場一致を以て可決致したのであります、斯くして本委員會は極めて圓滿の裡に此の重要法案を議了することが出來ましたので、洵に欣快と存ずる次第でございます、以上を以て、洵に簡單ではありますけれども、御報告を終ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=23
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024・山崎猛
○議長(山崎猛君) 三案の第二讀會を開くに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=24
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025・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て三案の第二讀會を開くに決しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=25
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026・椎熊三郎
○椎熊三郎君 直ちに三案の第二讀會を開き、第三讀會を省略して委員長報告の通り可決せられんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=26
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027・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=27
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028・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て直ちに三案の第二讀會を開き、議案全部を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=28
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029・会議録情報6
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貿易資金特別會計法案 第二讀會(確定議)
産業復興營團法案 第二讀會(確定議)
恩給法臨時特例案 第二讀會(確定議)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=29
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030・山崎猛
○議長(山崎猛君) 別に御發議もありませぬ、第三讀會を省略して三案とも委員長報告通り可決確定致しました(拍手)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=30
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031・椎熊三郎
○椎熊三郎君 議事日程追加の緊急動議を提出致します、即ち此の際苫米地義三君外二名提出、肥料の増産配給に關する決議案を議題となし、其の審議を進められんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=31
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032・山崎猛
○議長(山崎猛君) 椎熊君の動議に御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=32
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033・山崎猛
○(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て日程は追加せられました、肥料の増産配給に關する決議案を議題と致します、提出者の趣旨辯明を許します──提出者苫米地義三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=33
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034・会議録情報7
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肥料の増産配給に關する決議案
(苫米地義三君外二名提出)
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肥料の増産配給に關する決議案
肥料の増産配給に關する決議
食糧問題の根本的解決は懸つて肥料の増産配給に在り、依つて政府は速かに左の措置を講ずべし
一、政府は速かに肥料行政を一元化し、肥料の増産配給に對して適切なる施策を強行し、以て食糧の増産を圖るべし
二、政府は化學肥料工業の復興を促進し、必要なる資材、機器及び資金の供給を圓滑ならしめ、企業の合理的整備を行ひ、速かに生産増強の實を擧ぐべし
三、政府は食糧増産上絶對的要素たる燐酸肥料、加里肥料の國内自給不可能なる現状に鑑み、原料たる燐礦石年額八十萬瓲及び加里鹽年額十萬瓲以上の輸入を聯合國側に懇請し、速かに之が實現を期すべし
右決議す
━━━━━━━━━━━━━
〔苫米地義三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=34
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035・苫米地義三
○苫米地義三君 私は只今議題になりました肥料の増産配給に關する議決案に對しまして、其の提案の趣旨を辯明致したいと存じます、先づ決議案を朗讀致します
決議文
食糧問題の根本的解決は懸つて肥料の増産配給に在り、依つて政府は速かに左の措置を講ずべし
一、政府は速かに肥料行政を一元化し、肥料の増産配給に對して適切なる施策を強行し、以て食糧の増産を圖るべし
二、政府は化學肥料工業の復興を促進し、必要なる資材、機器及び資金の供給を圓滑ならしめ、企業の合理的整備を行ひ、速かに生産増強の實を擧ぐべし
三、政府は食糧増産上絶對的要素たる燐酸肥料、加里肥料の國内自給不可能なる現状に鑑み、原料たる燐礦石年額八千萬瓲及び加里鹽年額十萬瓲以上の輸入を聯合國側に懇請し、速かに之が實現を期すべし
我が國本年度の食糧問題は、聯合軍最高司令部の格段なる御援助に依りまして、今春來辛うじて其の危機を突破して參つたのでありますが、幸ひにも本年は稀なる豐作に惠まれまして、前途に光明を認めながら、今其の端境期を乘越えつつあるのであります、併しながら國民は日々當面する所の食生活に對しましては、今尚ほ不安と焦燥の念に驅られながら、現に耐乏生活を續けて居ると云ふ状態であります、由來土地狹小、人口稠密なる我が國にありましては、食糧問題の危惧は、常に我我の家庭を脅かし、生活に不斷の脅威を與へつつあるのでありまするが、斯かる國家の窮境は、如何にして之を打開すべきでありませうか、要は農業の振興發展に依りまして、食糧の豐富なる増産を圖るにあるは勿論であり、是が實現策に付きましても、多々あるのでありますけれども、而も其の中心をなす所の最も重要なる緊急對策は、實に肥料の増産供給にあると思ふのであります
古來肥料なければ農業なしと云ふ諺があるのでありますが、我が國の農業は、全く其の通りでありまして、總ての農産物は、實に肥料の變形だと申しても敢て過言ではないのであります、然るに從來肥料の國内自給は極めて貧弱でありまして、明治以來、窒素肥料は主として滿洲より多量の大豆粕を輸入し、又硫安、加里肥料は、遠く歐米より輸入致して居つたことは、諸君御承知の通りであります、獨り過燐酸肥料だけは、硫黄資源に恵まれまして、其の生産工業は比較的早く發達し、國内の需要を滿して、尚ほ東亞の各地及び濠洲、米國にまでも輸出するの能力を具へたのでありまするが、是とて其の原料たる燐礦石は、米國、「アフリカ」、太洋諸島から輸入を仰いで居つたのであります、第一次世界大戰當時、「ドイツ」に於て發明されました所の空中窒素固定工業は、爾來歐米各國に於て急速に發達し、我が國に於きましても、昭和の初め頃より各種の製造特許を輸入致しまして、企業の勃興を見たのでありますが、是等企業が未だ完成せざるに先だち、硫安の極端なる國際的「ダンピング」に遭遇致しまして、遺憾ながら十分なる發達を遂ぐることは出來なかつたのであります、併しながらそれでも昭和十二、三年頃までには、朝鮮の大規模な工場の完成と相俟つて、我が國の窒素肥料工業は漸く國内自給を滿し得る程度に達したのであります、けれども此の硫安工業が更に躍進して、化學工業たる本質を發揮する段階に達するの暇なく、支那事變以來の統制政策に拘束されまして、其の進歩發達は停止せざるを得なかつたのであります、のみならず戰時中は補修資材等の不足に依りまして、機械の修理更新は阻まれ、其の生産能力は急速に減退し、加ふるに原料、材料の品質低下と、「アンモニア」の一部は戰爭用に轉用されましたので、肥料の生産高は逐次減少し、遂に農家への供給は、戰前に比較致しまして實に七割以上の減少となつたのであります、それ故に政府が如何に机上の食料増産計畫を立てましても、又農家が如何に懸命な熱意と努力とを傾注致しましても、斯かる肥料の供給量を以てしましては、到底食糧の生産確保は出來得なかつたと云ふことは洵に當然の結果であります(拍手)若しも肥料が滿足にありましたならば、昨年の如き天候不良の作柄に於きましても、米麥に於て二割乃至三割藷類に於て四割以上の増收を擧げ得ましたことは、農事試驗場の實驗に依つても明白であります、和田農相は先般本會議に於きまして、昨年度の米作は二割七分の減收であつたと言はれましたが、若し此の試驗の如く肥料が十分に供給出來たとしたならば、食糧の急迫は今年の如き悲慘なる状態に陷らなかつたと思ふのであります(拍手)即ち我が國の緊迫せる食糧問題を解決する途は、どうしても化學肥料の増産を一日も早く實現する外はないと思ふのでありまして、是は全國農民の痛切なる叫びであるばかりでなく、實に七千餘萬の同胞齊しく熱望して已まざる所であります(拍手)然るに政府の之に對する施策は頗る微温的でありまして、迅速なる實行性を缺き、其の聲徒らに高くして、其の實之に伴はず、洵に隔靴掻痒の感なきを得ないのであります、即ち窒素肥料工業にありましては、復興遲滯の原因と致しまして、資材不足の問題があります、けれども若し政府が其の所管内にある軍需關係工場、又は産業設備營團の所管工場、若しくは民間遊休工場に休眠しつつある機器、資材等を動員轉用するならば、資材難の隘路を打開することは決して困難ではないと思ふのであります、又資金に付きましても、物價の異常なる騰貴に依りまして、新たなる所要資金は相當巨額を必要と致しますので、普通の銀行取引に依つては融通困難の實情でありますから、政府は之に對する特別な便宜と措置とを講じ、急速に各生産工場の復興増産を促進すべきであると存じます、然るに是等に對する緊急措置に付きましても、遺憾ながら緩慢不徹底たる謗りを免れないのであります、又燐酸肥料は所謂實肥と稱しまして、米麥穀類の増産には絶對的要素であり、是なくては、窒素肥料が幸ひに増産されたとしましても、食糧の増産は期待出來ないのでありますが、殘念なことには、其の原料たる燐礦石は我が國内に産出致しませぬので、どうしても之を聯合國側から供給を仰がなければならぬ實情であります、隨て今後肥料問題の重要なる課題の一つは、實に此の獨立性なき燐擴石の輸入確保にあると思はれるのであります、仍て政府は此の實情に即し、少くとも戰前内地に需要されました數量、即ち年額約八十萬「トン」の輸入を全農民、否全國民に代つて聯合國に懇請し、適期に是が輸入の實現さるるやう善處されんことを希望して已まぬ次第であります
尚ほ藷類、果樹類、纖維作物等に特に必要なる加里肥料に付きましても、國内生産は極めて僅少であり、草木灰、海草灰等の利用に依りまして、僅かに補足致して居りますけれども、從來二十萬「トン」乃至二十五萬「トン」を米、佛、獨諸國から輸入致して居りましたので、是れ亦燐礦石同樣、最小限度年額十萬「トン」以上を輸入するやう努力されたいのであります、但し我が國内には加里成分を含有する鑛物が各地に存在致して居りまして、其の量も相當多量に見込まれるのでありますから、是が開發利用に付ては、政府は適當の方法を講じまして、將來加里肥料の國内自給を圖るべきだと思ふのであります
更に又窒素工業の重要資材である「アスベスト」、無煙炭の如き國内自給の途なきものの輸入、及び肥料原料たる燐礦石の國内増産確保の如きは、何れも竝行的に其の施策を講じ、努力を傾注しなければ、所期の目的を達し得ないことは勿論であります、是等緊急問題の措置に付きましては、政府當局に於てそれぞれ最善を盡して居ると言はれませうけれども、現在の生産状況は、硫安、石灰窒素に於て未だ戰前の半ばに達せず、燐礦石の輸入の如きも、一月以來九月まで僅かに七萬八千「トン」に過ぎませぬので、農民の希求する所には、其の距離遙かに遠いのであります、又本年は幸ひにも稀なる好順の氣候に惠まれまして、肥料不足にも拘らず、一般農作物の豐穰を見るに至りましたことは、國家の爲め洵に幸慶に堪へざる所であります、併しながら其の反面には、土壤中の肥料分が愈愈缺乏を來したと云ふことになりますので、明年度に於ける肥料増産問題は、更に一層其の重要性を加ふるに至つたのであります、加之肥料の増産と云ふことは、單なる數量的要求に止まりませぬ、其の生産費を低下して肥料價格の引下げを行ひ、延いては米、麥、食糧の價格を低廉ならしめ、以て國民生活の安定と、經濟復興の一大誘因をなすものであります
斯くの如く肥料の増産は、刻下の最大急務なりと絶叫されて居るに拘らず、其の生産復興は現實に於て停滯遲延を見つつあるのでありまするが、其の重大なる原因には實に肥料の生産行政が商工、農林兩省に跨つて居ると云ふ點を指摘せざるを得ないのであります(拍手)其の弊害の具體的實例は多々あるのでありますけれども、一々茲に之を指摘することは差控へますが、政府は須く此の點に付て十分なる檢討を加へ、此の際速かに肥料行政を一元化し、強力に其の施策を敢行すべきだと存ずるのであります(「ヒヤヒヤ」拍手)啻に肥料行政のみならず、我が國の産業行政は、農工業を一貫して密接不離の施策を實行すべき要あるに拘らず、所謂官廳割據主義の弊に墮して、動もすれば行政の圓滑なる運營を妨げ、産業の堅實なる發展を阻碍するが如き憾みあるは、何人も之を認むる所であります(「ヒヤヒヤ」拍手)今や新日本再建の關頭に立つて、政府は宜しく舊來の行政機構に根本的檢討を加へ、産業行政は之を打つて一丸とし、産業省の如き機構に統合すべきではないかと思ふのであります
以上説明致しました如く、緊迫せる食糧問題を根本的に解決し、民生の安定と産業の振興とを圖ります爲に、茲に肥料増産配給對策に關し、本案を提起する次第であります、政府は速かに本案の趣旨に鑑みまして、適切なる措置を講ぜられんことを強く要望する次第であります、何卒御贊成あらんことを希望致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=35
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036・山崎猛
○議長(山崎猛君) 是より討論に入ります、順次發言を許します──田中健吉君
〔田中健吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=36
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037・田中健吉
○田中健吉君 私は日本社會黨を代表致しまして、只今上程されました肥料の増産配給に關する決議案に對し、簡單に贊成の趣旨を述べたいと思ひます
我が日本社會黨は去る九月二十八日、二十九日、三十日の三日間に亙りまして開かれました黨の大會に於て、重要化學肥料國營案を發表致したのであります、我が黨に依る肥料の生産配給方式、即ち肥料國營に依つてこそ、本決議案の趣旨が完全に生かされるものであると信ずるのであります、然らば我々の考へて居る國營化の方式如何と申しますれば、第一に肥料國營化の對象となるものは、硫安竝に石灰窒素を生産する全事業工場、竝に其の附屬施設を轉換實施又は計畫中の工場を含み、之を國有國營とすることであります、硫安竝に石灰窒素生産に伴ふ半製品、副製品、生産事業竝に其の生産に必要な一切の機器施設も亦之を國有國營とするのであります、尤も當該工場の事情に依つては、之を分離して一部を私營に任せることもあるのであります、以上に對する補償問題でありまするが、勿論國家は民主的な補償機關を設けて補償する必要があるのであります
第二に肥料行政運營の方式でありますが、我が黨は國に單一の肥料廳を設置せんとするものであります、商工、農林兩省より、肥料關係及び關聯化學工業關係の權限、竝に日本肥料株式會社に依る配給關係の權限を之に移し、生産及び配給の一元的運營の行政機構を確立せんとするものであります、肥料廳長官には、國務大臣を之に充てんとするものであります、從來の官僚的機構を根本的に改め、民主的機構に依つて人事を更新し、民間の有識經驗者を用ひるのであります
次に肥料廳の所管する生産配給品目でありまするが、其の品目は、硫安、石灰窒素、過燐酸石灰、加里、硝酸、「アンモニア」、「カーバイト」、「メタノール」、酸素副製品、有機合成品、主要有機質肥料等であります、次に肥料行政運營の爲に、内閣に肥料審議會を設置せんとするものであります、肥料審議會には、勞働組合、農民組合、技術者、輸送機關、議會の代表者及び學識經驗者を加へて構成するのであります
第三は生産の方式でありまするが、農民組合、農業會、其の他農民の民主的組織に依る肥料委員會に依りまして、重要化學肥料の需要を測定致しまして、部落、町村毎に申告させまして、正式の「ルート」を通じて、國家肥料廳の手を通じ、需要數量を集計し、肥料廳にては、食糧其の他農産物増産計畫に應じて重要化學肥料二箇年計畫を作り、年次別生産計畫に依る生産計畫を定めて、二箇年後には農村に肥料を完全に供給するやうにしなければならぬと思ふのであります、さうして農村より集まつて來た是等の需要量は、必ず工場に割當て、生産責任を負はせるやうにしなければならぬと考へるのであります
第四は經營の方式でありまするが、各肥料工場には必ず經營委員會を作らなければなりませぬ、經營責任者、技術者、勞働組合代表者に依り經營委員會を組織し、其の肥料工場の經營全般の問題に付て審議決定することが必要であります、さうして製造品目の違つた各工場毎に工場連絡協議會を設置し、常に各工場毎に連絡致しまして、資材、技術、其の他百般の連絡を圖りまして、從來の如き資本主義的、商業主義的な經營方式を執つてはならないと考へるのであります
第五に工場復舊竝に原料資材の對策でありますが、緊急二箇年肥料増産計畫に照應致しまして、工場の復舊、補修、補強、轉換計畫を速かに實施し、其の完遂を的確に實現しなければならぬと考へるのであります、其の爲に政府は必要なる原材料及び生産機器を優先的に確保し、他の關聯産業部門の業務協力體制を立てなければならないと考へるのであります、即ち熟練勞働者、技術者、原料、容器、設備などの未稼働工場よりの稼動工場への吸收及び再配置を行ひ、無煙炭等、其の他重要主原料の急速なる輸入を行はなければならぬと考へる次第であります(拍手)、原料資材の中、特に硫酸の需給竝に生産の綜合計畫を立てなければならぬことは勿論であります
第六に配給機構及び價格の決定の方式でありますが、既に述べました生産責任數量を基準とする配給計畫を實施すると云ふのが、我が日本社會黨の案でありますが、先づ從來の如くではなく、配給各段階に於ける割當數量及び出荷數量を必ず公表すると云ふことであります、從來の日本肥料株式會社に依る配給機關は、是は速かに解消しなければならないと考へます(拍手)肥料廳に依り、直接に民主的に改革せられた地方肥料委員會及び部落肥料委員會の「ルート」を通じ、農業生産の實體に即應致しまして、重點的且つ公平に肥料を配給するのであります、價格の問題に付ては、我が黨は次の如く考へるのであります、肥料廳が取扱ふ配給價格は、米價を基礎と致しまして、各種の肥料種目の生産費を參酌致しまして、肥料審議會の議決を經て、肥料廳が之を決定するのであります、尚ほ肥料と現今の米價の問題に付てでありますが、現在の肥料の價格は、米價に比して著しく高いのであります、政府は米價に對し今尚ほ明確なる態度を表明して居らないのでありますが、其の爲に農村に於て米の供出の隘路となつて居るのであります、一石千二百圓と云ふのは農業會の要求ではありますが、我々は色々な事情より致しまして、米價の値上が不可能の場合、政府として執るべき方策と致しまして、肥料、農機具、農家日用必需品の價格が、政府が現在買上げようと致して居ります所の米價と均衡を取るやうに致して貰ひたい、即ち現在の政府の考へて居る所の米價と比較致しまして、現在の肥料、農機具、農家必需品の値段を値下げされることを望むものであります(拍手)和田農林大臣が國民大衆に對しまして如何に主食の増配を約束致しましても、それは供出が促進しない限りは、増配は頓挫するであらうことは想像するまでもないことであります、供出しようと思つても、引合はない所の米價であつたり、肥料や農器具や日用品が箆棒に高い場合は、供出は容易に促進されないだらうと思ふのであります
以上は我が日本社會黨の本決議案に對する贊成の態度であります、要するに本決議案の趣旨たる肥料の増産配給は、我が黨の主張する肥料の國有國營、社會化に依つてこそ、其の實現性が強く堅く約束せられるのであります、之を以ちまして私の贊成演説を終ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=37
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038・山崎猛
○議長(山崎猛君) 東隆君
〔東隆君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=38
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039・東隆
○東隆君 食糧の増産は懸つて肥料の増産にあることは論を俟ちませぬ、本案が決議されることに依つて、政府竝に關係方面を鞭撻されることは、今議會が當然何等かの形で肥料問題を取上げ解決すべき使命を有しながら荏苒今日に至つた責を塞ぐことが出來ます、此の意味からも、協同民主黨は、本決議案が上程されたことに贊意を表するものであります、此の機會に私は、我が黨の立場から、本決議案に關聯して所見の二、三を述べ、各位の御留意を煩はさんとするものであります
終戰後の化學肥料生産上に於ける隘路である工場の復舊、資材の調達、原料の輸入或は金融等は、正に急速に打開しなければならぬものであります、是等の面に、幸ひ戰時中に甚だしい戰禍を蒙らず、相當額の預貯金を有して居ります農業關係の資金を利用することは、私は機宜を得たるものであると思ふのであります、即ち中央農林金庫及び地方の農業會が保有して居りまする資金を、工場の運營に對して融資する、在來の株式會社に依る所の經營に對して、農業關係の資金を流入することに依つて、協同經營の形を進めることは、最も良い方法ではないかと存ずるのであります、又地帶別には農業關係の資金を以て、或は農業經營團體が直營を以て肥料工場を經營する、斯う云ふやうなことも、是は當然執つて宜い方法ではないかと思ふのであります、社會黨の各位は、肥料の國營に付て考へられて居りますが、我黨と致しましては、電力でありますとか、運輸通信、炭礦等のやうな基本的な産業に對しましては、國營でやる、斯う云ふことに積極的な態度を執ることが出來ますが、肥料のやうに、農業者のみが之を消費して、廣義農業の立場から申しますと、當然自己生産をすべきものは、我黨の主張する協同主義に依る經營を適當と認めますので、敢て茲に是だけのことを述べて置く次第であります
次に肥料の配給に付ては、日本肥料株式會社がありますが、是は戰時中の統制會社であります、今日は當然解體すべきものであります、茲には解體すべき理由を申述べませぬが、速かに日肥の解體を農業團體竝に全農業者に代つて強く主張するものであります(拍手)肥料は目下、御承知のやうに生産は商工省、配給は農林省となつて居りますが、強力に肥料行政の一元化を策する爲には、私は農林省の外廳として肥料廳を創設し、一貫せる肥料行政を願ふものであります、以上簡單でありますが、我が黨の立場から述べまして、本決議案に贊意を表する次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=39
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040・山崎猛
○議長(山崎猛君) 是にて討論は終局致しました、是より採決を致します、本決議案は之を可決するに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=40
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041・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます、仍て本決議案は可決せられました(拍手)是にて議事日程は議了致しました、次會の議事日程は公報を以て通知致します、本日は是にて散會致します
午後三時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013242X05119461004&spkNum=41
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