1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年八月二十一日(水曜日)午前十時十七分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 平野増吉君 理事 氏原一郎君
稻田直道君 小柳富太郎君
小笹耕作君 太田秋之助君
仲川房次郎君 本名武君
武藤常介君 町田三郎君
永井勝次郎君 林虎雄君
松澤一君 坪井龜藏君
仲子隆君 圖司安正君
八月二十一日委員中島茂喜君辭任に付其の補闕として圖司安正君を議長に於て選定した
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 是より會議を開きます、質問を繼續致します——平野増吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=1
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002・平野増吉
○平野(増)委員 それでは、農林大臣と經濟安定本部長官との御出席の上で、私の最も重要なる質問は其の時にさせて戴くことに致しまして、先づ政府委員に御尋ね致しますが、第一條の「林産物とは、木材その他森林から産出する物で主務大臣の指定するものをいふ」木材其の他森林より産出する物でと云ふことは、何を指して居られるのであるか、具體的に承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=2
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003・平川守
○平川政府委員 木材は森林から産出する物の例を擧げた譯でありまして、其の他に例へば薪炭であるとか、或は差當り指定する考へはありませぬですけれども、竹材であるとか、或は其の他の森林産物と云ふやうなものまでも含む意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=3
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004・平野増吉
○平野(増)委員 さうすると木材と薪炭は、此の際此の林業會法案の所謂指定すると云ふ中へ見て宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=4
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005・平川守
○平川政府委員 差當り指定する方針と致しましては、木材だけを指定する考へでありまするが、薪炭等に付きましては、尚ほ色々各方面の意向を聽取致しまして、必要と認めれば指定致す積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=5
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006・平野増吉
○平野(増)委員 差當り木材だけを指定すると仰しやるが、木材は指定しなくても、此處に書いてあるのであるから、若し木材を指定するかしないか分らぬと云ふのならば、殆ど林業會法案の目的を失ふ、木材は此處に書いてあるから指定する必要はない、して見ると、其の他森林から産出する物を言ふと、斯う書いてあるからには、何か指定すると云ふ物が決まつて居なければならぬと思ひますが、其の指定される物は何であるかと云ふことをもう一度承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=6
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007・平川守
○平川政府委員 此の法律は、將來薪炭其の他を指定する場合を豫想致して居りまするけれども、差當り直ちに之を指定する意思は、薪炭に付ては持つて居らぬ、隨て此の主務大臣の指定するものと云ふのは差當りはない譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=7
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008・平野増吉
○平野(増)委員 それでは凡そ何時頃の時期に指定されるとか、どう云ふ場合とかと云ふことの御意嚮を承はりたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=8
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009・平川守
○平川政府委員 時期に付ては明確なことは申し上げ兼ねるのであります、各方面の意嚮を十分聽取致し、檢討致しました上で指定をすると云ふ意味に御諒解願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=9
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010・平野増吉
○平野(増)委員 各方面と云ふと、どう云ふことを意味するのですか、私の意見を少し述べて御尋ね致しまするが、どうせ森林から産出する物を主務大臣が指定すると云ふことに御方針が決つて居るものならば、自分の考へとしては、此の際それをはつきり御決めになつた方が宜いのではないか、薪炭などはどうせ指定する方針だと云ふことがはつきりして居るならば、此處で薪炭を決められてはどうですか、それなら其のやうに、此の法案を審議する上に付て委員としては考へやうがあると思ふ、若しそれが何時指定するか分らぬと云ふやうなものなら、此の法律案を御提案になつた農林大臣の御説明の趣旨、竝に豫算總會で私が主管大臣に質問を致した時の御答辯の趣旨とはそぐはぬものがあると思ひます、其の意味は、此の法律案は暫定的なものであると云ふことを言つて居られます、隨て次の通常議會までには、もう少し完備した林業團體法を提出する意思ありと云ふことをはつきり確かめてある、して見ると、僅かな期間であるなら斯う云ふ曖昧なことを書かないで、木材なら木材だけと云ふことをはつきり書けば文句はない、役所の都合で何時でも主務大臣が炭や薪を指定すると云ふことになると、中途で林業會其の他林産組合などの組織に非常な亂混と混雜を來す憂ひは十分ある、だから初めから指定するなら指定するやうに、此處で指定などと云ふことを言はないで、木材、薪炭其の他と云ふ風に決められた方が宜いのではないか、斯う云ふ點に付て私の意見を述べて、御當局の意嚮を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=10
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011・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 仰しやる通り薪炭等は眞先に指定すべきものだと思ひます、唯薪炭の現在の取扱が、政府の特別會計で全部一齊買上、賣渡しになって居ります關係で、木材とは集荷、配給統制が全然違つて居るものですから、業界の意見を十分に聽きたい、それにもう少し經てば薪炭關係業者及び關係團體業者から意見も聽取出來ると思ひますから、其の上で御説のやうに指定出來るのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=11
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012・平野増吉
○平野(増)委員 私の考へ方から申しますと、政府當局は業界即ち薪炭方面の業界の意嚮を聽くとか、色々各方面の意嚮を聽いて、適當なる時にさう云ふことを指定したい、斯う云ふ御答辯でありまするが、今議會が開かれて議員に向つて此の法律案を出して審議を求められる場合には、我々議員と云ふものは薪炭者、或は森林業者、木材業者等、各方面の國民の意嚮を代表して出て居る、故に其の議員に向つて協議をせられることが私は一番正しい常道だと考へて居る、故に此い機會にさう云ふ點に付ては、他日此の法律案が通過した後に於て、業者の意嚮とか、各方面の意嚮とか云ふ曖昧なことでなしに、國民を代表して居る議員に十分に相談になつて、斯う云ふ點に付てもう少し考へを進められてはどうかと思ふ、實は我我は色々な方面からの要望を承つて居るのであります、其の意味は、森林組合に於て是非薪炭を扱ふやうにしたい、さうして林業法の案中に、木材其の他森林から産出する物と云ふことをはつきり決めて欲しい、其の意嚮は尤もだと思ふ、それで指定するとなら此の際さう云ふ風に方針を決めて適當な審議を進められることが宜いのではないかと思ふ、此の點に付て、政府委員から我々の納得の行くやうに御説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=12
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013・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 原案と致しましては先程申上げた通りであります、勿論法案を審議すべき議會の總意に依つてどうともなり得るのでありまして、其の點に付きましては委員各位の御意見を徴したいと思ひます、尚ほ森林組合其の他から、之に付て扱ひたいと云ふ御希望があれば、勿論指定された曉に於ては扱ひ得る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=13
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014・平野増吉
○平野(増)委員 それでは斯う云ふ風に承知して宜しいですか、薪炭の如きは誰が見ても森林から産出する物と云ふ上に於て重要なものであります、でありますから、木材と薪炭は此の林業會の方で扱ふべきものだと云ふことに決するものだと思ふが、薪炭だけは直ぐにはやりにくい關係があるからして、森林組合などの方面からさう云ふ希望を申出れば、直ちにさう云ふ風に指定して早く扱はせる方針だ、斯う云ふ風に承知して宜しいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=14
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015・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 森林組合の意向と申しませうか、生産者の意向、集荷機關の意向、又配給業者の意向、竝に之を監督する官廳の意向が纒まつて、林業會に入れた方が「スムース」に行くとなれば入れなければならぬ、又議會の意見でさうと決まれば勿論入れたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=15
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016・平野増吉
○平野(増)委員 稍稍御答辯の趣旨がはつきりし掛けたが不十分であります、それでもう一度重ねて御伺ひ致しますが、私共が承知して居る所から見ると、薪炭の如きは現在區々な仕事をやつて居り、殊に薪に於きましては、現在の供出方法及び統制方法に付て、全國的に非常な非難があるのであつて、本會議に於ても亦さう云ふ議論が相當出て居ります、又委員會に於ても、豫算總會に於ても、我我はさう云ふ説を耳にして居りますから、既に議員の間に於て相當非難があるのであります、此の聲に對して農林當局は相當考へられて、さうして此の林業會案の審議の機會に當つて、方針をはつきり決められたらどうか、即ち現在の炭や薪をやらして居る今のやり方に對して非常に非難がある、さうして又消費者と生産者との中間の搾取が非常に多い、薪の如きは非常に馬鹿々々しいことをやつて居る、之に對して各森林組合から我我に對する陳情を聽くと、若し森林組合に任されなく中間搾取はなくなる、さうして非常に安く消費者に供給し得る、又それが合理的であると云ふので、盛んに其の要求が起つて居ります、私共は其の方が宜いと思ひます、それで政府に於ても、從來やらして來た因縁や情實を斷然此の際切捨てて、さうして此の改革の際に、新しい方向に之を改善される、斯う云ふことに此の際はつきり方針を決めて、さうして其の御聲明を願ひたいと思ふのであります、共の點をもう一度明確に御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=16
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017・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 非常に參考になる意見を聽きましたのでございますが、御存じの如く、米麥に次ぐ民生安定の必需品と致しまして、政府は特別會計で之を買上げ、賣渡して居るのであります、是等の配給機構に付きまして、森林業者がやれば旨く出來るとの御話も、一應生産者の生産意欲を昂掲する意味に於て、洵に御尤もなる御意見と思ひます、併しながら生産者は生産者の性格に於て、中小商工業者は中小商工業者の性格に於て、自ら分野を守つてやることが、現在に於きまする日本の敗戰の經濟を建直すに付きまして最も必要かと存じます、此の點に付きましては政府も同じ方針を執つて居られるのであります、尚ほ之に付きまして配給費が高いとか、輸送費が高いとか云ふことでありますか、御存じの如く、關係方面の事情に依りまして、一應助成政策を米麥或は石炭以外は取外したのでございまして、特別會計に於きましては一般に助成が出來なくなつて、昭和十五年以來相當の赤字を生んで居るものを、二十一年度内に取上げなければならぬ、斯う云ふ關係で、實際掛つた輸送費等以外は、今までの赤字を補填して居るので、恰も遞信省、鐵道省と同じ立場であると云ふことを御諒承額ひます、尚ほ配給に於きましても、薪に於て一束六十錢であつて、生活必需品或は食糧品を買ひましても、六十錢、七十錢と云ふ値段は決して高いものではないと考へます、左樣に考へまして、出來得るならば生産者は生産者の性格に於て、さうして配給業者は配給業者の性格に於きまして、斯う云ふやうな仕事をやつて行きたい、勿論監督官廳に於きましても、其の間に不當なる利得のあるものに對しては、是正をしなければならぬと思ひます、尚ほ個々の問題に付きまして色々御示しがございますれば、其のやうに善處致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=17
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018・平野増吉
○平野(増)委員 私が此の問題をしつこく承る趣旨は何處にあるかと申しますると、二つの點に於て私は確かめたいと思つて居るからであります、一つは只今まで申上げたやうに、政府は實際に薪炭と云ふものを此の林業會の方に持つて來る積りであるのか、ないのか、其の點が非常に曖昧であるから承りたいと云ふことと、それから持つて來られないと云ふのならば、斯う云ふ風に曖昧なことを書かぬが宜しい、又持つて來ると云ふことならばそれは何時になるか、今承つて見ると、それは容易にやれないやうに考へられる、して見ると、長い期間に於てやらう、斯う云ふならば、此の林業會法案と云ふものは、やはり永久的に、相當長い間此の法律は是で行かう、斯う云ふ考へ方を抱いて居られる、所謂暫定的の法案ではない、臨時のものではないのだ、次の議會までに本當のものを作つて、更に審議を求めようと云ふ意思はないのである、斯うなる、何處がどうなのか、我々は掴まへ所がない、斯うふ云ことは議員として非常に迷惑な話である、でありまするから、どうぞ、宜い加減に茶化して、其の場を通れば宜いと云ふやうな不誠意な御考へであるとは思ひませぬが、少くとも議員にさう云ふ疑ひを懷かせるやうな、氣分的な斯う云ふ曖昧なものを作らないで、斯う云ふ點ははつきりして戴きたい、其の意味に於て、森林から産出する物と言へば、薪炭は當然誰が見ても入つて居るものだ、斯う云ふ風に考へます、それから尚ほ其の他に森林から産出する物と言へば澤山にある、さう云ふものは將來其の企業の處置に依る、斯う云ふことを言はれるのは尤もでありますけれども、木材と薪炭と云ふものは取敢ずやるべきものであると云ふ風に考へる、それが承つて見ると、何だか非常に曖昧になつて居る、寧ろはつきりと、木材だけならば木材と云ふ風にして置かれたならば、今後逐次此の法律案を審議する上に於て考へ方がはつきりして來る、若し薪炭が入るものとするならば、此の考へ方に尠からざる違ひが起つて來ると私は思ふ、後に私は、森林組合と林産組合との關係に付て、相當此の問題は重要な點をなして來ると思ひます、之をはつきりと確かめて置きたいと云ふのはそこにある、ですから、しつこいことを申すやうであるが、非常に曖昧なものである、政府の御考へ方も實際に決まつては居らない、極めて曖昧に出來て居るのだと云ふ風に私共が之を考へて宜しいかどうか、もう一度政府委員の御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=18
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019・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説の通り、成べく早く之を指定致したいと存じて居ります、既に需要期も近付くのでありますから、成べく早くしたいと考へて、各方面に折衝中でございます、御期待に副ひ得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=19
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020・平野増吉
○平野(増)委員 今の御答辯に對して、もう一つ具體的に確めて置きたいのでありますが、斯う云ふ風におやりになりますかどうでありますか、各縣毎に話が纒まる、さう云ふ風に森林組合も希望し、地方もさう云ふ風に行く方が宜い、地方長官なども左樣に考へて居るならば、さう云ふ縣から順次纒めて、さう云ふ風に移行して行く、斯う云ふ風におやりになるのかどうか、それから全國一時に纒めなければやれないと云ふ御考へであるか、又總て今までの關係を打切つて、さうして森林組合に移行する、或は林業會の中に持つて行くと云ふ風に、全國一時にやらうと云ふことになれば、恐らく私は事實上數年の歳月を要するやうな結果になるのではないかと思ふ、でありますから、出來る縣からさう云ふ風にやつて行くかどうか、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=20
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021・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 勿論戰後の經濟再建の迅速を要します關係から、各方面に相當今折衝して居りますので、さう時日を經ないで、少くも秋頃までには何とかなり得ると存じます、隨て全國一齊に出來得ると存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=21
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022・平野増吉
○平野(増)委員 全國一齊に此の秋までに出來ると云ふ御見込ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=22
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023・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=23
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024・平野増吉
○平野(増)委員 一時逃れぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=24
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025・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 政府委員も責任を持つて御答へして居るので、決して詭辯の一時逃れを言つて居るのではありませぬから、左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=25
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026・平野増吉
○平野(増)委員 茲に至つては、政府委員の仰しやることを一應信用するの外はありませぬが、其の代りはつきり責任を持つて戴きます
それでは其の次の第九條の三號に「前二號に掲げる者を除く外林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの」是が都道府縣林業會の會員たる資格を有する者の中にあるのであります、此の第一號と第二號ははつきり致して居ります、即ち「都道府縣の區域を地區とする森林組合聯合會」「都道府縣の區域を地區とする林産組合」是ははつきり致して居りますが、此の「前二號に掲げる者を除く外林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者又はこれらの者の團體で定款で定めるもの」此の點に付て疑問が起るのでありまして、此の二つの森林組合と林産組合を除く以外のもので、「林業を營む者若しくは林業に密接な關係を有する事業を營む者」何處まで是は考へて宜しいのか、斯う云ふ文章は極めて曖昧であつて、我々何回讀んで見ても、自分等の判斷でははつきりしないのであります、之を一つ明確にして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=26
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027・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 「前二號に掲げる者を除く外林業を營む者」、「林業を營む者」とは御承知の通り森林法に指定せられまする五十町歩以上の森林所有者は森林組合に加入しなくても宜いと云ふやうな規定があります、それから昭和十四年に五千八百の森林組合を作れば全部加入出來る、當時五千四百五十四、所謂三百の森林組合が出來なかつた、現在でも出來ないものもありますが、是等のまだ加入しない林業者もありますので、是等を指して言ふのであります
次に「密接な關係を有する事業」と云ふのは、林業から出る産物を主として居るもの、或は土建とか木工のやうな事業者を指して居るのであります、其の「團體」と云ふのは是等のものを指して言ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=27
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028・平野増吉
○平野(増)委員 第一條に「林業とは、森林の維持造成の事業及び林産物の生産又は販賣の事業をいひ、」と斯うありますから、此の點から見まして「林業を營む者」と云ひますと非常に範圍の廣いものになります、殊に先程の問題にありました薪炭の如きは、當然常識から考へて「林業に密接な關係を有する」位ではない、林業と云ふものに重大な關係を持つて居る、密接な關係を有する事業を營む者」と云ふことになりますと、何處までも範圍が擴大されて行たので、府縣などに於てそれぞれの扱ひ方が區々になつて行きはしないか、斯う云ふ點に付て、もう少し誰が見ても餘りに面倒なことの起らないやうに、はつきりとした字句に變へて、明確にして置いたらどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=28
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029・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説の通り林業の産物は非常に澤山ございます關係から、一應重點的に仕事をして行かうと云ふので茲に「大臣の指定するもの」と云ふことに依つて扱つて行くことになつて居ります、御説の通り竹材、椎茸、杉皮、或は松脂、其の他澤山の産物がございますが、併しながら當節としては先づ木材を指定致して、木材に全力を注いで行かう、さうして森林の維持育成に力を注いで行かう、又薪炭を成べく早急に指定してやつて行く、其の中に各竹材、椎茸、其の他業者間の盛上がる力に依つて、自主的にやつて行かうと云ふものは全部入れて宜いと思ひますが、只今の所では、唯組合に入れるやうに致しましても、昨日も御質問がございましたが、人が組合を作らぬ場合に、強制して作らせることも出來ませぬから、先づ出來るものからと云ふやうに重點を置いてやつて居ります、其の點御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=29
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030・平野増吉
○平野(増)委員 只今の御答辯から伺ひますと、私の心配することが益益深くなる譯であります、取敢ず木材に重點を置いて、木材の爲に先づ運營を始めよう、それから農林大臣が漸次薪炭とか其の他の林産物を指定すると、漸次是が擴大して行くと云ふやうな御趣旨ならば、今各地に林業組合を作り、林業會を結成致す場合に當つては、此の法律の何處かに附則でも一箇條設けて、農林大臣がさう云ふ風に指定した場合に、さう云ふ風に此の第三號を活かして行つて宜しい、さうでなければ、斯う云ふ曖昧なことは一應預けて置いたら宜い、若しさうでないとすると、木材だけの都合でやるならば、林産組合とか林業會とかに入る所の關係者、即ち會員は、各種の關係の者が皆此の法律に依つて、俺が資格があるのだ、俺は會員になれるのだと要求して來て大變面倒なことになる、殊に五十町歩以上の山林を所有する者は皆會員になれる、此の點は此の趣旨に非常に背反はしないと思ひますけれども、「林業に密接な關係を有する事業を營む者」と云ふことになると、何處までも範圍が擴大される、でありますから、此の第三號だけは、此の儘ではいけないから適當な修正をすることに御同意をなされますか、御同意をなさらぬと云ふことであれば、我々の方では之を削除した方が宜い、尤も全然削除すると又困ると云ふ場合があります、でありますから最も適當なる方法に協議をして、第三號は修正をするか、然らざれば附則に暫く之を御預けをすると云ふやうな方法を講ずるか、何か考へなくちやいかぬ、是は虚心坦懷に政府の方でも御考へにならなければ、運營をする各府縣、及び林會を今後作るものが困ると云ふことを御考へにならなければいかぬが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=30
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031・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 本案を作成するに當りましても、林業會法は百二條になつて居りますが、所謂民主的の法案を作りたいと云ふので、百二條では多過ぎるのではないかと思ひましたけれども、一應是れだけに減らした譯なのであります、隨て第九條の三號に言つて居ることも、新たに森林業者、又森林組合は、政府は編成しない市町村に向ひましては、近く至急に關係官廳の方から指導致しまして、森林組合を作らせる意向でございますから、十分入れると思ひます、其の外の土木、木工と申しましても、皆それぞれの組合を持つて居りますし、さうして今度は主だつたものだけを、所謂自由の立場で大臣が指定して行くと云ふことになりますれば、其のやうな大きな御心配がなしに出來ると思ひます、併しながら大きな見地から、林業に關するものは將來どしどし入れて、共に切磋琢磨して良品を生産する、將來生産増強を期したい考へて居りますので、御説に從ふやうなことに進んで行くことと思ひますから、御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=31
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032・平野増吉
○平野(増)委員 「林業に密接な關係を有する者」と云ふことは、椎を作る者茸でも、或は竹細工をする者でも、其の他木左の細工をする者でも、或は木彫りをする者でも、悉く林業に密接な關係を有する、中には極端なことを言ふ者がある、風呂屋でも林業に密接な關係を持つて居る、薪を盛んに焚くからだ、斯う云ふやうな話も出て居ります、そこまで行くべきでないことは常識上分りますけれども、兎も角林業會を作る時に、此の箇條がある爲に何處まで會員を擴げて宜いのか、何處までの人が會員の資格であるとか、それからどうであるかと云ふことが非常に暖昧であり、隨て會員の今の土建とか、何とか御説明がありましたが、さう云ふことは私共結構だと思ひますが、「密接な關係」と云ふことは非常に曖昧なことなのであります、でありますから、もう少し適當な言葉に修正をすると云ふことが宜いのではないか、適當なことがどう考へてもないと云ふのならば、又其の時の相談でありすが、先づ此の點に付て政府は修正に應ずると云ふことを一應諒解して宜しいかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=32
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033・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 勿論土建或は木工と言つたのは、木材を指定致しますれば、それに關聯する事業が指定されることになつて、ここに上つて來る譯であります、それからさうした細かいことは定款に輩せて居ることと存じますから、此の點を修正しない方が却て林業の發達上便利だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=33
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034・平野増吉
○平野(増)委員 さう云ふ猿智慧を出されるやうな答辯をされると、私は甚だ不愉快なのだ、法律に斯う決まつて居るのに、定款で以て法律の範圍を束縛する、そんな馬鹿々々しいことは出來ない、定款で以て決めればちやんと出來るではないかと云ふやうな、さう云ふ詭辯は私は承服出來ない、法律に斯う書いてあるのに、定款で以て決める、定款で以て其の法律に與へられた權利を束縛する、そんなことが出來ますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=34
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035・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 先程申上げました通り、本法律案は百二條でありまして、そこまで詳しく出來ないことを規定に依つて盛上げるどの法律案にもさうした施行令、或は施行細則、施行規定、定款、之に依つて分るやうに致しますことは、通例でございますので、決して詭辯ではございませぬから、其の點御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=35
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036・平野増吉
○平野(増)委員 今又定款ではなしに、施行令とか勅令とか云ふことを仰しやつたが、先程は定款と云ふことを仰しやつたから私は申上げた、勅令とか施行令とか云ふものならばそれは無論出來ませう、さう云ふもので明かにすると云ふ考へだ、斯う仰しやるならそれで宜しい、それららばどうか其の施行令とか勅令とか云ふものは、どう云ふものを出して之を明かにするのかと云ふ範圍を、只今此處でなくても宜しいが、一つ此の委員會の審議中に、政府は委員にそれをはつきり示して欲しい、之を御約束して或きたい、斯樣に私が申す意味は、斯う云ふ點から私は申上げる、戰時中に木材統制法が出來ました、當時私は議員でなかつたが、院外に居りまして相當此の問題に付て熱心に研究し、それから注意をして居つたものでありまするが、其の當時の議會に於ける委員會に於て約束せられたことと竝に速記録に明記されて居ることと違つたことが行はれて居る、さうして法律には立派なことが書いてあるが、施行令とか勅令と云ふものは、まるで變つたものが出來てしまつた、それは戰時中のことであるから已むを得ぬ、斯う言はれるならばそれだけのことでありますが、由來農林省はさう云つた點に於て甚だ國民の信用を失つて居る、でありますから、此の林業會法が議會に於て審議された時には、斯く斯くの考へで政府は斯うだと答辯した、速記録に明記してある、であるから大丈夫だと思つて居ると勅令や施行令で全く好きなやうに變へられてしまふ、斯う云ふことがないとへ言へない、今後は左樣なことはなさるまいけれども、さう云ふことで從來の議員が煮湯を呑まされた經驗があるから、我々が再びさう云ふことに相成つては、洵に議員として遺憾であります、でありますから、此の點を一つしつかり確かめる爲に、勅令や命令で定めると云ふことが所々に書いてありまするが、是は原則として此の審議中に、さう云ふ點は總てどう云ふ勅令を出す、どう云ふ命令を出す積りだと云ふことを、はつきりして安心を與へて戴くと云ふことを御約束願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=36
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037・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 從來も法律案から來る色々の關係のものが、それで無視したものがあつた、特に農林省に多かつたと云ふ御話でありまするが、恐らくそれも何かの誤解ではないかと思ひます、勅令の規定或は定款例などは、御參考までに近く御手許に差上げたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=37
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038・平野増吉
○平野(増)委員 鈴木政府委員は、只今言葉がはつきり聽き取れなかつたが、從來さう云ふやうなことは農林省にはなかつたやうな意味のことを述べられたやうに思ひますが、若し左樣であるならば斷じて承知し得ないのです、さう云ふことは、あなたの方でさう強ひて爭はないでも宜いことを爭はれるならば、こちらも爭はなければならぬ、なぜならば、それを肯定せられればそれで治まることです、議論ぢやない、是は事實を申上げるのだから、事實の前に議論は止めた方が宜い、でありますから、農林省として從來惡かつたことは惡かつた、今のあなた方がおやりになつたことではない、前の人達がやつたことである、此處に御出席になつて居る方で之に對して責任のある方もあります、名前を指して失禮だが、森事務官の如き、是は立派な責任者である、さう云ふ方がおいでになるから私は強く申上げるのであるが、實際馬鹿馬鹿しいことであつた、議員が熱心に議場で以て審議をし、政府と約束をし、さうして速記録に明記させた其のことが、今度愈愈法律が施行されることになりますと、勅令とか施行令とか云ふものでまるきり改變されて居る、私共はそれが爲に山林局に參りまして、山林局長とも隨分談判した、終ひには山林局長は何と言ひ出したかと云ふと、俺の方は法律の明文通りにやりたいのだが、軍で承知しないのだ、そんな法律は片付けて置いて、新しいものを作つてやれと言ふのだから、何とも仕方がありませぬ、戰爭中だから已むを得ぬのだ、斯う云ふことで抑へ付けられた、それが爲に私は喧嘩別れをして、山林局へ丁度六箇月足踏みをしなかつた、其の結果私は遂に牢へ入れられてしまつた、斯う云ふことであるのでありますが、さう云ふことは非常に宜くないことである、さう云ふことになるならば、議會と云ふものはまるで無視されて居る、でありますから、今後の議會は左樣に政府の官僚に無視されるやうなことがあつてはならない、それでは議員の職務は盡されらい、斯樣に我々は信ずるものでありますから、之を諄く申上げる、どうかさう云ふことには氣分好く、一つお互ひに話し合つて、さうして協力して、良い法律を作り上げようではないかと云ふ氣持で、審議を進めるやうに御願ひ致したい、此の點は私は決して無理なことを言ふのではない、どうか其の御積りで御願ひ致したい、之に御答辯を煩はすと云ふのはをかしいが、御異議はないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=38
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039・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 お互ひに立派な戰後の日本の經濟を畫すのでありまして、今後に於きましては左樣なことは絶對にないと存じます、又あれば何人も許し得ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=39
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040・平野増吉
○平野(増)委員 それでは此の問題は是で打切りまして、次の問題に移ります、三十一條の「日本林業會は、林産物の生産、配給、消費及び價格に關する施策に關し、政府にその意見を述べることができる。
日本林業會は、前項の規定により意見を述べるには、豫め林業委員會に諮問しなければならない。」此の「豫め林業委員會に諮問しなければならない。」と云ふことに付て、政府の所信を質したいのでありますが、此の林業委員會に必ず諮問をしなければ、日本林業會は政府に意見を述べることは出來ない、斯うなつて居りますから、日本林業會の當局は自分勝手にはやれないのだ、必ず委員會の意向を聽かなければならぬ、斯う云ふことになつて居ります、併しながら由來日本の國の今までの官廳などの慣例を見ますると、諮問と云ふことを非常に輕く考へて居る、唯聽き置くと云ふ風に扱つて居る例が非常に多いのである、政府の都合の好い答申をした場合は用ひるが、氣に入らぬ場合には少しもそれは用ひないと云ふやうな例、所謂諮問するのだ、唯聽くのだ、斯う云ふ風に輕く考へて居るのが是までの例であることは間違ひないのであります、そこで林業會亦さう云ふ扱ひ方をするならば、林業委員會と云ふものは非常に詰らない機關になつてしまふ、此の法案を通じて見ますると、林業委員會の機能と云ふものは非常に大切なものになつて居る、是が此の林業會の運營を實際に旨く持つて行くか否かと云ふことの分れ目だ、故に林業委員會と云ふものの委員の選任も大切であるが、委員會の權能と云ふものが非常に大切だ、其の場合に於て、諮問と云ふことに付ては是は非常に遺憾である、最初農林省に於ては、原案では林業委員會の議決と云ふことになつて居つたやうに私は存じて居ります、所が後から見ると是が諮問と云ふことに變つて居る、是は議決と云ふ方が、日本人の感じから言ふと非常に有效であるやうに考へられる、是が諮問と變つたのは、何か林業委員會の權能が非常に弱つたやうに感じられる、此の點に付てどう御考へであるか、やはり最初に御作りになつた議決と云ふ方が宜いのではないか、之に付て御意見を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=40
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041・平川守
○平川政府委員 政府に對しまして、日本林業會が意見を具申すると云ふ權限を持つて居る譯であります、それに付きましては、林業關係各方面の代表を集めました林業會が、林業會の意見として政府に意見を具申する、其の意見は結局林業に關係する者の意見として政府に傳はる譯でありますが、其の際に林業委員會と云ふものに諮問をすると云ふことに致しましたのは、林業委員會の方は林業の「プロパー」、詰り森林所有者でありますとか、林産業者と云ふやうな林業の本體をなしまする者以外に、需要者の團體でありますとかの意向を十分に參酌を致しまして、さうして政府に供給側、需要側全體の纒つた意向を反映させる機會を與へる意味で、此の林業委員會と云ふものを設け、之に具申させることに致した譯であります、併しながら林業會が政府に對して意見を具申するのでありまして、需要者の團體等の意向と云ふものは、又別途の方法に於て政府に反映する機會がありますので、林業に直接の關係を有する者の意向と云ふものが、初めから需要者團體等の集つた渾然たる意見として、政府に傳はると云ふことよりは、林業會の意體と云ふものを、詰り林業關係者の直接の意向を強く反映させる機會が必要であらう、但し其の場合に於て森林所有者、或は林産業者と云ふ者が、餘り自分達だけの意見を出すよりは、更に廣い需要者の團體等の意向も入れたものとして政府に傳へた方が宜しいだらうと云ふので、斯う云ふ林業委員會を作つたのであつて、飽くまでも、政府に對して意見を述べますのは林業會それ自身である譯であります、それで林業委員會の方は諮問機關と云ふ程度に致した譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=41
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042・平野増吉
○平野(増)委員 只今の政府委員の御答辯は、私の聽いて居ることが半分程答辯され、半分程拔けて居る、林業委員會と云ふものの性質は私分つて居ります、此の諮問と云ふことでは弱いではないか、なぜ林業委員會が決議をして、其の意向を政府に反映させるやうにすることにしたらどうか、さうでないと、林業會の會長が非常に横暴な人であり、又林業會を支配して居る當局の人が、自分の意圖と反した意見を委員會が述べた時に、それを取次がないで、聽き置くんだと云ふやうな扱ひをする虞はないか、であるからして、此の委員會に對して諮問機關だと云ふことでは弱いのではないか、折角の委員會を作るならば——作るならばではありませぬ是非必要な機關であつか、是あつて初めて民主的のものになる、だから民主的の意向を反映する方法としては、私の聽く所を申しますと、「アメリカ」などの習慣では、諮問と云ふことは日本に於ける議決と云ふ程強い意味を持つて居る譯です、ですから諮問と云ふことは、決して日本で從來考へて居るやうに、唯聞き置くとか、聞いて見るとか、諮問機關だと云ふやうな輕い意味ではない、苟くも諮問したならば、其の事柄に對して委員會の決めた意見は、絶對に尊重することが習慣だと云ふことを聞いて居ります、所が遺憾ながら日本では、是まで一般にはさう云ふ風には思はれて居ない、であるからして、日本の林業會と云ふものがさう云ふ風にことを輕く扱つた時には、折角の民意が政府に取次がれない、斯う云ふ虞があるのでありますから、最初政府で起案せられた當時には、諮問と云ふ言葉ではなかつたと云ふことを聞いて居る、私が一番最初に山林局から貰ひました案には議決と云ふ言葉を使つて居つた、それが後から諮問に代つた、諮問と議決とは大變意味が違ふので、其の點に付てどうして御變へになつたのか、又議決ではいけない、諮問と云ふことの方が宜いのだと云ふことを、どうして御考へになつたか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=42
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043・平川守
○平川政府委員 林業會が政府に意見を具申致します場合に、林業會自身の意思決定に依つて政府に意見を具申すると云ふことで宜いのではないかと思ひます、林業委員會と云ふのは、詰り「プロパー」の業林所有者であるとか、或は林産業者であるとか云ふものの團體である林業會に對しまして、其の以外の需要者團體の代表者であると云ふやうな色彩を可なり強く持つた委員會を茲に附設して居る譯であります、假に之を林業委員會の議決に依ると云ふことに致しますれば、森林所有者或は林産業者の意向以上に、需要者團體の意向に依つて林業會の意見が左右される、斯う云ふ結果になる虞があるのであります、林業會自身の意思決定と云ふものは林産業者、森林所有者の民主的な意向に依つて表はされる譯でありまして、其の以外の需要者團體等の色彩の濃厚な林業委員會の意見は、參考意見として十分參酌は致しますが、其の需要者團體等の意向がなければ、一切林業會が政府に意見を具申出來ないと云ふことでありましては、却てそこに林業會の意向の傳はる「チャンス」を失はせることになりはしないかと云ふことで、斯う云ふ風にしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=43
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044・平野増吉
○平野(増)委員 是は大いに議論の分れる所でありまして、林業會が民主的な働きをする、民主的に反映させる必要があると云ふことを前提とするならば、委員會の權能をそんな諮問機關ではいけない、例へば國民の意思を反映させる爲に民主的の議會を作ると云ふならば、
〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
政府の考へ方と違つた多數の議員を持つて居る場合に、政府が議會に諮問する揚合、お前達はどう考へても、政府は斯う考へて居るのだ、斯う言ふのならば議會政治は成立たない、それと同じことである、元來林業會法案を御作りになる趣旨、又此の全篇を貫く所の精神は、民主的でなければならぬ、其の意味に於て一番大切な日本林業會、即ち日本の林業の中心機關である、民意を反映する所の中心機關である、若し一朝林業會の會長なり當局が、詰らない人が其の局に當つた時にどう云ふ結果になりませうか、諮問をして唯聽き置くだけだ、俺は俺の考へでやるのだ、斯う云ふことになつたならば、それは民主的でない、非常に非民主的になりますから、それを是正する爲に林業委員會があつて、絶えず重要なことを諮問する、其の諮問をせられたことは、林業委員會に於て適當な方法で研究して、意見を纒めて此處で決める、決めたことを林業會で取扱ふ、斯う云ふのでなければ、是は民主的なものにならぬと思ふ、だから是は最初政府が御考へになつた如くやはり議決と云ふことに修正して欲しい、諮問と云ふことではいけないと思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=44
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045・平川守
○平川政府委員 只今御話の林業會の理事者が専横を行ふと云ふやうな點に付きましては、林業會の構成と致しまして會長、副會長と云ふやうなものは、詰り理事は總會に於て選任される譯でありまして、理事が假に非常に専横なことをやつたならば、總會に於て解任することも出來る譯であります、隨て林業會の意思と云ふものは、各地方の森林所有者及び林産業者の民主的な意向と云ふものが、必ず理事者の行動には常に反映する、詰り只今例に御擧げになりました政府の機構に付て申しますれば、此の議會に當るものが總會とある譯であります、理事者は國務大臣なり何なりの役目にある譯であります、林業委員會の方は其の林業會の本來の意思決定の機關ではありませぬで、林業會が政府に對して林産物の生産、配給、消費等に付て意見を具申致します場合に於ては、此の林業會の意見の中に、林産業者或は森林所有者と云ふやうな生産者側の立場だけでなしに、需要者の團體等の意見も十分反映せしめようと云ふ意味に於きまして、林業會の總會等の構成とは違つた構成を持つた林業委員會と云ふものを設置致しまして、其の意向を參酌して政府に具申をすると云ふ考へ方である譯であります、さう云ふ風に御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=45
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046・平野増吉
○平野(増)委員 實は此の諮問と云ふことに付て、私は今まで相當に研究を致しました、其の研究の結果、實は「マツカーサー」司令部の林業に關係のある人達の意見も參考に聽きました、所で「アメリカ」側の人は諮問と云ふことの方が宜いと云ふ主張をして居りました、其の意味は先程申した通り、「アメリカ」の方の習慣と云ふのは斯う云ふ習慣だ、であるからして、それが一番穩當なので正しい、所が日本の習慣は斯う云ふ譯だと話をしたらば、それは怪しからぬ、さう云ふやうに行くべきでないと云ふことでありました、私は日本には日本の習慣と云ふものがあるからと云ふことを相當話して見ましたが、そこで今政府委員の自然に述べる御答辯の言葉の中に唯參考として聽くだけだと云ふやうな氣分が現はれて居る、あなたが林業會の會長でないから、別に心配はないと言へばそれだけのことだけれども、やはりさう云ふ氣分で扱はれるのでは、折角日本の林業會の一番大切な民主的機關である林業委員會と云ふものが、極めて權威のない、唯參考に聽くだけだと云ふやうな權能しかない組織では洵に無意味だ、もう少し之を強いものにすると云ふことが、私は此の林業會を運營する上に付ての魂であると思ふ、でありまするから、此の點は何としてももう少し強い力を持たすやうに改正して欲しい、斯う云ふ意見を持つて居るものであります、之に先程も申した如く、本當に一つ話合つて、成程それが宜いと云ふ風に御賛成を願ひたいと思ひます、私はもう一遍言ひますが、假に林業委員會で議決をして政府の方へ進言しても、政府の方なり經濟安定本部の方で、それを用ひるか用ひないかは政府の考へにある、でありまするから、それが最後の決定ではない、少くとも林業委員會と云ふものは林業會の意向を反映するのであると云ふことでなければならぬ、林業委員會は林業會の意向の反映でなく、唯會長の諮問機關だと云ふならば、それは非常に意味をなさない、さうして民主的でないと云ふことを私は斷言する、此の點に付て政府はもう少し有效な、力のある、安心の出來る、即ち民主的に之を直すと云ふことに同意して戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=46
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047・平川守
○平川政府委員 少しく意見が違ふのでありますが、林業會の意見と云ふものを政府に反映することが目的なのであります、詰り森林所有者及び林産業者の、林業に直接の關係を持つて居ります物の生産、配給等に關する意見と云ふものを政府に具申する機會と云ふものが此の以外にないのであります、其の他の林業委員會に於きましては、木材等を需要致します者の側の代表と云ふものを可なり濃厚に入れて行きたい、斯う考へて居る譯であります、其の意向と云ふものは別の方法に於て政府に反映する機會がある譯であります、假に議決を經なければならぬと云ふやうなことになりました場合に於きましては、森林所有者及び林産業者の意向と云ふものが、此の委員會に於て否決をせられました場合に於ては、詰り反對を受けました場合に於ては、森林所有者及び林産業者の意向と云ふものを政府に反映する機會が全然失はれる譯であります、そこで之を議決と云ふことに致しませぬで、大體の場合に於ては、實際問題として此の林業委員合の意向を十分參酌を致し、又お互ひに能く話合ひまして、實際問題としては、大部分の場合に於て意向が一致して政府に出て參ると思ひますけれども、併し假に非常に法律的に考へました場合に、林産物需要者側の意向が強くして、委員會に於て林業會の意向が否決せられると云ふやうなことを想定致しますと、森林所有者及び林業者の考へて居ります意向と云ふものを政府に傳達する機會がない、斯う云ふことになりますので、さう云ふ最惡の場合に於ては、是は敢て林業會の意見と云ふものを出す、併し十分に林業委員會の意向と云ふものを聽取をし、之を採入れると云ふことは實際問題としては勿論であります、又其の際に於ける林業委員會の意見をも參考に付けて政府に出すことになると思ひますけれども、意向として日本林業會が政府に意見を出すに付ては、林業會の意見決定に依つてやると云ふことになると考へて居ります、どうも其處の點は少し意見が違つて居るかと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=47
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048・平野増吉
○平野(増)委員 それでは斯う云ふ點は御異存はないですか、諮問してさうして其の議決はいかぬが、斯く諮問した結果、それ等の意向を政府に取次いで反映せしむると云ふことに付ては御異存はないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=48
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049・平川守
○平川政府委員 それは異存はありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=49
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050・平野増吉
○平野(増)委員 さうすれば豫め林業委員會に諮問し、其の諮問の結果を政府に具申するものとすと云ふやうな意味に之を修正したら如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=50
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051・平川守
○平川政府委員 是は實際の運用が當然さうなると考へて居るのであります、只今即座にさう云ふ風に修正致すと云ふことには御賛成申上げる譯に參りませぬが、實際の運用はさう云ふ風にすると云ふことで御諒承を願へますれば幸ひだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=51
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052・平野増吉
○平野(増)委員 あなたが林業會長ならば、あなたと約束すればそれで宜しいが、さうではないのであります、又あなたが茲に政府の意思を代表して居られると見て宜しいのでありますけれども、そんなことは實際當にならない、でありますから、御異存のないものであるならば、又さう云ふ風にしよう、斯う云ふ御意向ならば、私の申上げるやうに修正に應ぜられたら宜いではないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=52
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053・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 平川政府委員から、第三十一條に付きましては詳しく説明がございまして、諮問はある方が宜いではないか、而も第三十條に委員になる資格も載つて居りますが、此の委員になる資格は、同じ者が特別委員になつて居り、又此の中から理事、監事が選ばれて居るのでありまして、皆内輪の話であります、此の法律案は政府がやるのではないのであつて、自主的に業會がやり、業會自ら運營する、そこに根本のことが含まれて居りますから、是等の字句のことに付きましては御心配はない、平野議員の御希望のやうになり得ることと存じまして、何等杞憂ないものと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=53
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054・平野増吉
○平野(増)委員 私は杞憂でない、眞かに眞憂です、本當に心配する、政府委員が、何ぼ運營を旨くやれば宜いぢやないかと言はれても、運營を旨くやれば宜いと云ふ言葉で盡きるならば何でも議論はないけれども、諮問したことを政府に反映せしめることに付て異存はないと言はれるならば、さう云ふ風にして置けば宜いぢやないかと云ふことに付て、さうしなくても是でさう云ふ風になれば宜いぢやないかと云ふやうな、さう云ふことは、政府當局は餘りに偏狹です、何と言つてもそれは同意出來ない、斯う云ふことであるならば、是は議會の委員の御方が皆私の言ふやうな考へ方であればさうなる、少數であれば何ぼ私が宜いと思つても仕方がない、それは已むを得ませぬが、私は何處まででも是は議決と云ふことの方が宜いと信じますが、結局政府の方で御話のやうな意味も諒解して、茲に諮問した結果、其の諮問に對して各種の方面から色々な意見が出る、其の意見のありの儘を政府に林業會は具申する、斯う云ふ意味に之を反映せしめる、唯參考に諮問委員會を開くと云ふやうな、さう云ふ委員會と云ふものが非常に弱いものでは、民主的でないと云ふことを私は何處までも主張します、此の點に付て政府が何ぼ何と言はれても、私の考へは變らない、やはり民主的に此の委員會と云ふものを持つて行きたいと云ふ考へ方である、是れ以上は議論をしても仕方がありませぬが、如何にも政府當局は因業に自分等の作つたものを固執する人だ、洵に惡い癖のあるものだと云ふことを、自分は痛感するものであります
それから三十一條に付て、もう一つ私は意見を述べたいのは、中央の日本林業會に委員會を設けることはありまするが、地方府縣の林業會には委員會がない、是は地方は地方でやはり委員會を作るやうにして欲しい、私は是非入れて欲しい、之に付て御異存はないかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=54
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055・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説の通り、各都道府縣にも此のやうな委員會制度を設置したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=55
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056・平野増吉
○平野(増)委員 初めて此の點に付て心持良い政府の御同意を得て、時時氣持良くなりました、願はくは今後斯う云ふ風にあつさりと、一つ宜いことを御賛成を願ひたい、三十三條に「林業會が第四條第二項の事業を行ふときは、統制規程を定めなければならない。」と云ふ條件がありまするが、此の統制規程とは如何なるものを指して言ふのか、其の内容を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=56
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057・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 其の前に尚ほ一應御答へして置きますが、第三十一條の日本林業會には林業委員會を作る、隨て都道府縣にも委員會を作りたいが、是は本法文に入れないで、勅令で出したいと存じます、左樣御諒承願ひます、勅令の文案に付きましては、後程御手許に定款などと一緒に差上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=57
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058・平川守
○平川政府委員 統制規程に付きましては、統制規程の例のやうなものを作つて居りまするので、御手許に差上げたいと思ひます、會として統制を行ひますに付ての細目を規定致します譯であります、どう云ふ品物を統制するとか、どう云ふ風に統制すると云ふやうなことを書く譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=58
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059・平野増吉
○平野(増)委員 それだけの御話しでははつきりしないのですが、第四條の第二項と云ふと、「會員の林業の改良發達を圖るため必要な共同施設」此の事業を林業會が行ふ場合に統制規程を定めなければならぬ、其の統制規程の設定、變更竝に廢止は總會の議決に依らなければならないと云ふことでありますから、是は民主的に其の林業會の總會で決めれば宜いのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=59
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060・平川守
○平川政府委員 第四條第二項と申しますのは、「林業會は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。」と云ふことの規定でありまして、其處に三號ございますが、其の生産及び配給に關する割當であるとか、或は價格統制に關する政府の施策に對する協力、此の三號の事業を行ひます際に、豫め統制規程を林業會が決めまして、どう云ふ品物に付てどう云ふ生産の割當をするとか、配給の割當をするとか云ふことを決める譯であります、此の統制規程は極めて重要な規定になりますので、總會の議決を經ますることは勿論、特に第二十八條の第一項に於きまして、第三號、「統制規程の設定、變更及び廢止」に付きましては、特別に出席者の過半數、總會組織者の半數が出席して、議決權の三分の二で議決すると云ふ特別決議の事項に特に充てて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=60
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061・平野増吉
○平野(増)委員 二十八條の第三號に「統制規程の設定、變更及び廢止」とある、是ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=61
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062・平川守
○平川政府委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=62
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063・平野増吉
○平野(増)委員 さうすると總會は組織する者の半數以上が出席し、出席者の三分の二以上の議決を經なければならぬ、斯う云ふ譯ですね、そこで是は官廳の認可は要らないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=63
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064・平川守
○平川政府委員 要りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=64
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065・平野増吉
○平野(増)委員 二十八條に「前項第一號の事項の決議は、行政官廳の認可を受けなければ、その效力を生じない。」斯うありますが、第二號、第三號に付ては其の規程はないのです、總會の今の三分の二以上の議決を經ればそれで宜しい、斯う云ふ譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=65
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066・平川守
○平川政府委員 それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=66
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067・平野増吉
○平野(増)委員 是は大變に民主的で結構です、初めてあなた方の御作りになつたものに心から賛意を表します
それから三十四條の「林業會は、定款の定めるところにより、その會員に對して經費を賦課することができる。」是は當然であります、そこで「林業會は、特に必要があるときは、定款の定めるところにより、その會員の全部又は一部に對して、前項の規定による賦課金の外、特別の賦課金を課することができる。」と云ふ此の特別な賦課金と云ふのは、どう云ふ場合を意味するのであるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=67
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068・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 特別賦課金と申しますのは、例へて見ますならば、一つは、林産組合に於きまして一部分の人が特定な恩典を受ける、或は其の爲に自分の持つて居る森林事業場に林道が特別に出來上るとか、或は其の他の貯藏所の設備が出來たと云ふ場合に、全部に課けないで、一部の者に課けられる、斯樣な點を指して云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=68
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069・平野増吉
○平野(増)委員 もう一度此の點に付て御尋ね致しますが、只今の御説明の範圍と承知して結構だと思ひますが、世間では斯う云ふことを誤り傳へて居る人があることを耳にして居るのであります、此の特別賦課金と云ふものは、今後林業會下部に於て扱ふ所の木材に對して、一石何圓とか、或は何十圓とかの特別賦課金を設けて、さうして相當の金を集めて、それを以て造林資源の培養の財源を作る、斯う云ふことが出來るんだ、さう云ふことをやればやれる、斯う云ふやうな説を耳に致したのであります、私はそれは出來ないんだ、私自身の考へは特別賦課金と云ふのはさう云ふことを意味したのではない、又さう云ふやうなことは是は別の法律で——木材の頭にさう云ふ税金のやうなものを課けて、さうして森林培養財源の金を作ると云ふやうなことは、是は丁度木材の消費税のやうなものになるのだから、少くとも別の税法のやうなものが出來て、さうして國民一般から木材に對して消費税のやうなものを課することにならなければ取れないのだ、唯此の箇條を以て、特別賦課金だと稱して、消費者に、土建に木材を渡す場合に、それだけのものをどんどん取るのだと云ふやうなことは、全然出來ぬことだ、斯樣に考へて居るのでありますが、私の考へが間違つて居ないかどうか、確かめて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=69
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070・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御説の通りであります、公定價格制が實施されて居りまするから、隨て御説の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=70
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071・平野増吉
○平野(増)委員 其の次には、六十五條と云ふものが實はさつぱり分らないのであります、是はどう云ふやうなことを規定されたのか承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=71
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072・平川守
○平川政府委員 是は民法の法人に關する規定が大部分であります、詰り招集上の手續で、例へば招集をする場合には會議の内容を書いて通知しなければならない、或は何日前に招集の手紙を出さなければならぬと云ふやうな招集の手續であります、其の他法人の理事者の代理權と云ふやうなことであります、さう云ふ法人に關する一般的な規定で、其の儘此の林業會に適用して差支へないと云ふ條文を挿入致したのであります、それから非訟事件手續法の方は登記に關する規定であります、大體さう云ふやうな極めて一般的なものを規定して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=72
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073・平野増吉
○平野(増)委員 六十七條の「林産組合は、その目的を達するために、左の事業を行ふことができる。一林産業の指導獎勵に關する施設」。是は勿論問題はないのですが第二號にありまする「組合員の生産し、又は販賣する林産物の加工、運搬、保管又は販賣」と云ふ意味を明確に一つ御説明願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=73
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074・平川守
○平川政府委員 林産組合は、組合員自身の活動を指導しますと共に、場合に依りまして協同で加工をする、或は運搬をする、或は保管、共同販賣をすると云ふやうな場合も認めました譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=74
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075・平野増吉
○平野(増)委員 そこで私は此の林産組合の組織と云ふ問題に付て遡つて御尋ねを致したいのですが、此の林業會法案に規定されて居る所に依りますと、林産組合と云ふものは都道府縣に一本の林産組合を業種別で作ると云ふことが大體原則のやうになつて居ると考へて居ります、二種以上のものを纒めても勿論必要に依つては差支へないが、大體府縣一本と云ふことになつて居る、さう致しますると、現在私共の考へて居る考へ方とは非常な違ひ方なんです、一つの縣に一本の木材生産の林産組合が出來る、又製材の林産組合が出來まして、其の組合が買取、販賣が出來る、又製材工場もやれる、加工も出來る、運搬も保管もやれる、斯う云ふことになると、其の林産組合の組合首腦者が非常に事林好きであつた場合には、ぐんぐん仕事を擴大して、組合の力と資本の力で仕事をして行くと云ふことになると、丁度元の地木のやうに是が發展して行きはしないかと云ふ危險がある、併し今岐阜縣で私がやつて居りますやうに、縣下全體を二十數箇所に分けて、さうして其の地域毎に組合を作つて、其の組合が纒まつて縣の聯合會を作つて居ります、そこで縣の聯合會と云ふものは一切事業をやらない、唯指導獎勵竝に金融の斡旋、或は販賣の斡旋と云ふやうなことは希望に依つてやつて居ります、其の他政府からの供出の要求に對しての取次をし、それの割當をする、或は資材の配給の割當をすると云ふやうな仕事はやつて居りますけれども、生産、販賣、加工、運搬、保管等、此處に書いてあるやうなものは下部組織でやらして居ります、丁度岐阜縣には三十組合ございますが、其の三十組合の下部組織の組合員の意向に依つて部分的に仕事をして居ります、此の仕事を組合がやるが宜いか、是は組合でやらないで個々にやるのが宜いかと云ふやうに、組合員が民主的に相談してやつて居ります、それは結構だと思ひますが、一縣下一本の組合でさう云ふことを許すと、私は必ず何時の間にか一つの弊害が起つて來ると思ふ、即ち林産組合と云ふものが大き過ぎる、であるから根本的に、私は林産組合の組織と云ふものは、やはり各縣に於て地域的に組合を作つて、さうして林産組合の聯合會を作つて、それが森林組合聯合會と共に兩立して、そこに縣の林業會を作る、斯う云ふ風にして行くと一番運營上宜しい、さうして本當の民主的な、生産を増強すべきものが出來上ると思ふが、今の此の法律案の組織では、是は實際にそぐはないものが出來る、此の點に付て私は根本的に御相談を進めて見たいと思ふ、此の點に對する政府の御意向はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=75
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076・平川守
○平川政府委員 此の林産組合の條項の表現が非常に包括的になつて居りますので、只今のやうな御疑問を生ずるかと思ひますが、林産組合の地區は、是は必ずしも府縣だけに限りませぬので、此の七十二條に林産組合の設立に際しまして、豫め地區を定めと云ふことに致して居るのでありまして、御話の通りの地域別等の林産組合を私共も考へて居る譯であります、此の加工、運搬、保管等の共同事業と云ふものは、御話の通り地區單位の林産組合等に於て多く行はれるものであらうと云ふ風に考へて居るのであります、又林産組合聯合會と云ふ御話がございましたが、此の法律に於きましては林産組合と云ふ名前で、地區單位の林産組合も縣單位の林産組合も包括して居ります、何々縣林産組合、或は何々郡林産組合と云ふ工合に、名前を付けて戴ければ宜しい譯でありまは、又何々縣林産組合聯合會と云ふ名前で御作りになつても差支へないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=76
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077・平野増吉
○平野(増)委員 さうすれば其の地方々々の事情で、縣一本で作つても宜しいし、地方別に作つても宜しいし、又それが集まつて聯合會を作つても宜しい、極めて任意にやつて行く、斯う云ふのですか、さう云ふ風に出來て居ますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=77
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078・平川守
○平川政府委員 さう云ふ風に此の法律は出來て居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=78
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079・平野増吉
○平野(増)委員 何處に其の聯合會を作つて宜しいと云ふことが出て居ますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=79
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080・平川守
○平川政府委員 聯合會と云ふ名前は茲には謳つて居りませぬけれども、六十九條に、林産組合と云ふ名稱を使はなければならぬと云ふことが書いてありますが、林産組合と云ふ名前が入つて居れば宜しい譯でありまして、林産組合聯合會と云ふ名前でも差支へない譯であります、それから第七十一條に「林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。」と云ふので、「林産業を營む者又はその團體」となつて居ります、地區別の林産組合と云ふものがありますれば、是が其の團體と云ふので構成員の單位になりまして、さうして縣の林産組合を作ると云ふことになる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=80
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081・平野増吉
○平野(増)委員 どうもをかしいのですが、第七十一條に「林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。一林産業を營む者。又はその團體」其の團體と云ふのは林産組合——組合と云ふ意味ぢやないでせう、林産組合の組合員たる者だから、何か他の團體で、さうして林産業に密接なる關係を有する事業を營む者、是はさつき問題になりましたが、さう云ふ者が寄つて林産組合を作ることが出來る、其の林産組合聯合會を作つて宜しいと云ふ字句は何處にもないが、作つても宜いと云ふ解釋はどうして成立ちますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=81
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082・平川守
○平川政府委員 是は少し包括的に書きました爲に、表面上曖昧なやうでありますけれども、「林産組合の組合員たる資格を有する者は、左に掲げる者とする。」と云ふので、林産業を營む者が組合員になつて居るのは、假に地區別の林産組合と致しますれば、其の林産業者が集まつた林産組合を單位と致しまして、又縣單位の組合を作ると云ふことも此の文面で可能な譯であります、是は又「テクニック」の問題になりますが、例へば現在の商工組合法等に於きましても、斯う云ふ風な書き振りを致して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=82
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083・平野増吉
○平野(増)委員 私共が考へて居る考へ方、即ち運營の最も適當な方法を考へて居る、其の方法が宜しいと云ふことに御同意ならば、曖昧な斯う云ふ分りにくいものを、もつと分り易く、系統立つて之を書直したらどうですか、さうしないと、此の儘で之を府縣へ持つて歸ると、府縣で以て、それぞれ縣の當局や、それから關係者が非常に區々な解釋をして、是で見ると聯合會と云ふものはないから、聯合會は違法なのだ、斯う云ふ議論が必ず起つて來る、是はどう致しましても、府縣の各區域に地區を定めて、さうして林産組合を適當の地區に作つて、それが幾つか出來たものが纒まつて縣の聯合會を作つて、さうして森林組合の聯合會と一緒になつて林業會を作る、斯う云ふ組織なら是は巧く行きますが、さうでなしに、今のやうな行き方で行くと、縣で一本で出來る所もあれば、或は區々に出來る所もある、つれから森林組合の聯合會と云ふものは林業會の會員だ、林産組合も會員だ、其の場合に森林業者と云ふものと木材業者とが對立意識を持つた時に、林産組合が數が多いのだ、こつちの方は聯合會だけでいけないのだと云ふことになりますと、單位森林組合も組合員になつて入つて來なければならぬと云ふことになつて來る、私は縣の林業會を作つた時に、林業會の議決の表決權に付ての爭ひが起る、でありますから、さう云ふ點を考慮する上からも、實際どう考へても此の點をはつきりして置かなければならぬ、ですから此の今の原案を受入れた場合には、各縣で實際始末に困るものが出來る、是は何と言はれても、私共に一言評せしめれば、是は各縣の斯う云ふ組織をやつたことがない人が机の上で作られたものであつて、商工組合法とか色々なものを見て御作りになつたのであらうが、木材の各縣に於ける組織、斯う云ふ所の自治的組織を作るには、斯う云ふやり方ではいけない、私は岐阜縣で今やつて居りまする行き方が理想的だと思ひます、なぜかと云ふと、本當の體驗から來た組織です、だから岐阜縣は二十八の木材、製材、木工などの業者の組合が出來まして、縣下一本で出來て居るのは、枕木、電柱などと云ふものが一本で出來て居る、木材の生産の方は二十八組合出來て居る、それで三十の組合を纒めて縣の聯合會の方にやる、聯合會の方は進駐軍の用材でも、政府の供出材でも、何でも命令を受ければ三十の組合員を集めて自主的に相談をして、其の割當を決定してどんどん供出する、斯う云ふ風に出來て居ります、極めて理想的に旨く行つて居りますが、縣下一本でやつて宜いのだ、或は地區別に作つても宜いのだと云ふやうな不統一なものであれば、或る方面では製材の方だけは縣下一本でやらう、木材生産の方は地區別でやらうと云ふやうな區々なことになつてはいかぬ、ですから此の組織は、どうしても地方の實情に副ふやうに改正して貰はなければならぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=83
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084・平川守
○平川政府委員 是は斯う云ふ書き方の例がりますので、それに據つた譯であります、尚ほ御話の實情に付きましては、全く御同感でありまして、さう云ふやうな組織が一番宜からうと思つて居ります、此の第九條を御覽になりましても、都道府縣の林業會に於きましては、「都道府縣の區域を地區とする林産組合」と謳つてあります、此の意味は、第一號の方の森林組合聯合會、是は都道府縣の區域を地區とする森林組合聯合會、それと相對しまして、都道府縣の區域を地域とする林業組合、斯う書いたのであります、林産組合其のものの法文には、只今擧げました七十一條で、個人が組合員になるものもあるし、又團體が組合員になるものもある、其の團體に付きましては、縣に依つては二十或は三十團體のものもあらうと思ひますが、其の中で府縣を區域とする林産組合が林業會の「メンバー」になる譯でありまし、尚ほ是等の運用に付きましては、此の設立の認可を致しまする際に、御話のやうな組織を指導して參りたい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=84
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085・平野増吉
○平野(増)委員 法律に曖昧のことを書いて置いて、さうして農林省當局が指導で宜しきを得る積りだと云ふやうな説明は納得出來ませぬ、指導は決して惡いとは申しませぬ、監督をなさることも宜しい、宜しいですが、法律の明文と云ふものは、誰が讀んでも疑問のないやうに、出來得る限り分り宜く、そして爭ひのないやうにして置くことが立法の技術だと私は思ひます、其の點に於て、我々は立法技術はあなた方程うまくないかも知れませぬが、併しながら分り宜い點に付ては、あなた方よりも分り宜いものを作る、だから必ずしもあなた方が御作りになつたものが良いとは言へない、でありまするから本委員會に於て審議をするのであります、先刻も鈴木參與官に御話申したが、平たく言へば、議會の言ふことに賛成だと云ふのなら、一つさう云ふ風に直さうぢやないか、分り宜くしようぢやないか、斯う云ふ風に出て欲しいのです、さうして戴けば、委員の方々とあなた方と相談して、良い適當な方に直せば宜い、惡い所は誰が見ても惡い、分り宜いものは誰が見ても分り宜い、此の林業會法案は、全體を通じまして一般にどう云ふ批評を持つて居るかと云ふと、非常に譯の分らぬものだ、實に分りにくいものだ、讀めば讀む程分りにくいものだと云ふのが、林業會社法案に對する一つの定評なのであります、是は一回より二回、二回より三回と、私は何回讀んだか分らぬ、そして終ひには分らなくなつてしまつた、頭が惡いのかと思つて頭を水で冷して讀んでも尚ほ分らぬ、それ程分らぬものを作るとは——私は作つた人の名前は知つて居りますが申しませぬ、兎に角斯う云ふ風に分りにくいものを書くとは實に偉いものだと思ふ、併し分り宜くして欲しい、府縣と云ふものはどうしても其の地方々々の風俗習慣及び商賣に、皆それぞれの習慣があります、大きな府縣になりますと、それを一本に纒めようと云つても中々出來ませぬ、ですから其の地區々々の組合を作つて、其の組合が出來れば、其の聯合會もなければ纒りが付かぬ、森林組合が、各村々に適する單位組合から縣の聯合會を作つて居ると同じやうに、やはり縣の聯合會として必要なら森林組合聯合會、林産組合會が一緒になつて、そこに府縣林業會を作る、斯う云ふやうにして行けば宜しいので、さうでなしに、府縣區々な聯合會を作つて宜いのだと云ふ曖昧なことで、何處の聯合會を認めると云ふやうにはつきりして居ない、特に今の政府委員の御説明は、第九條の「都道府縣の區域を地區とする森林組合聯合會」「都道府縣の區域を地區とする林産組合」此の地區は都道府縣が一つの地區と見える、さうでないと言はれればさうでないのかなと云ふやうにも見える、讀んで見ると段々分らなくなる、斯う云ふ點ははつきりして、誰が讀んでも疑ひのないやうに直して欲しい、惡い所を良くすると云ふ原則に御同意出來るかどうかを、一つ御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=85
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086・平川守
○平川政府委員 惡い所を良くすることに付きましては、一向反對はありませぬけれども、唯此の場合の問題に付きましては、是で極めて明確に出て居る積りなのであります、其の點御意見が一寸違ふ譯でありますが、「都道府縣の區域を地區とする林産組合」と申しますれば、跨る地區は都道府縣である、其の林産組合の構成分子としての團體、即ち地區別林の産組合を作つても差支ない、斯う云ふ書き方の例は幾らもある譯なのであります、聯合會の組織に致しますと、却て或る意味に於て非常な拘束を受けまして、地方の實情に依り、殊に林産物の如きは、必ずしも郡單位にする譯にも行きませぬ、色々地區はあらうと思ひます、それが聯合會の組織にしますと、兎に角行政區劃別に下から盛上つて參りまして、市町村を集めたものを郡の聯合會とする、郡單位を集めたものを府縣聯合會とすると云ふやうに、或る意味に於て却て拘束された機構になり易い、それよりは區域を自治的に、其の地方々々の實情に應じて、其の地區別の組合にしても、其の區域の範圍は組合員が自由に決め得ることにして置いた方が、却て實情に即するのではないか、都道府縣を區域とする林産組合に於きましては、大體に於て、實際問題として恐らく御話の通りの地區を區域とする林産組合が單位にならうと思ひます、其の點は非常に曖昧であると仰せられるのでありますけれども、從來の立法の例から見ましても、是で一切明瞭に分る譯であります、尚ほ其のやうに指導致さうと思ひますから、左樣御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=86
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087・森幸太郎
○森委員長 平野君に申上げます、御要求の農林大臣、膳國務大臣も御見えになつて居りませぬ、此の兩大臣に對する質問もあらうし、爾餘の質問もあらうと思ひますが、是は擧げて次會に讓つて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=87
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088・平野増吉
○平野(増)委員 それでは最後に私の希望を述べて置きます、只今質問をして居ります問題は、此の法案を通じての組織に對する一番重要な點でありますから、是は尚ほ質問を徹底させて戴きたい、委員長に於かれても其の御含みを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=88
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089・森幸太郎
○森委員長 了承致しました、本日は此の程度にし、明後二十三日午前十時より開會致したいと思ひます——是にて散會致します
正午散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00419460821&spkNum=89
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