1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)(第二一號)
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昭和二十一年八月二十七日(火曜日)午前十時十五分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 平野増吉君 理事 氏原一郎君
大井直之助君 小柳冨太郎君
小笹耕作君 太田秋之助君
本名武君 武藤常介君
永井勝次郎君 林田哲雄君
松澤一君 的場金右衞門君
飯田義茂君 仲子隆君
伊藤實雄君 圖司安正君
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 では前會に引續いて會議を開きます——平野君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=1
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002・平野増吉
○平野(増)委員 日本、地木の買入れ致しました山林の立木並に工場を、今回兩會社の解散を致しますに付て、元の賣主に還元すべきであると考へて居ります、之に對して政府はどう云ふ風に御考へになつて居るか御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=2
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003・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、日本社、地木社で買受けて居ります立木、丸太の處置方法でありますが、丸太に付きましては、交流計畫に從ひまして、日木、地木が保有して居りますものに付きましては、日木、地木が解散致しますまでの間は、政府の配給割當に依りまして逐次供出せしめる方針で只今進んで居るのであります、立木に付きましては、地木社の立木は昨年十一月のあの非常措置に依りまして、大體山持の方に還つて居ります、只今の立木の手持は新しく出來ます所の組合の方に讓渡して行くものもありませうし、又中には供出致しました森林所有者が特に布望致す場合には森林所有者の方に還るものもあるかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=3
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004・平野増吉
○平野(増)委員 私の御尋ねしたのは、立木と製材工場とを御尋ね致したのであります、工場の方に付ては御答辯がなかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=4
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005・中尾勇
○中尾政府委員 生産設備に對しましては司令部の指令にもありまするし、其の工場の元の所有者が布望致す場合は、其の所有者に還すやうに指導を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=5
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006・平野増吉
○平野(増)委員 工場の關係に於きましては、只今政府委員の御答辯通り確と左樣に相違ございますぬですが、實は私の聞込んで居る所に依りますと、全國一體にさう云ふことにはなつて居りませぬが、或る部分の地方に於ては、元の工場を取られた者と地木社の解散をなすべき當局との間に色々な衝突を惹き起して、既に山林局長に陳情などに來て居る向きもあるやうに聞込んで居ります、又我々の方にもさう云ふ點に付て色々なことを盡力して貰ひたいと云ふやうなことを申込んで居る者もあるのであります、其の事情を聞きますと、さう云ふことを陳情して居る人達の言ふことが極めて正しい、殊に或る縣の如きは、縣林務課長が工場を或る方向に無理な處分をして置いて、さうして其の處分された方へ近く林務課長を辭めて專務理事か何かで入つて、自分が經營に當らうと云ふやうな野心を以てやつて居るかの如き陳情もあるのであります、斯う云ふことも山林局長の御耳に入つて居ると信じて居りますが、解散の場合に於てはさう云つたことに類するやうな甚だ良からざることがあり得るのであります、斯う云ふ點に付ては山林當局と致されましては、十分に眼を皿のやうにして各縣の地木の解散振りを御注意願つて苟くも唯の一箇所なりとも不公正のないやうに、又非難のないやうに十分御注意下さることが必要だと信じます、殊に元の工場を取られた者の立場になつて見ますると、自分が個人の營業を取上げられ、工場は接收せられ、さうして長い間非常な苦境に沈んで來た者が、今個人に營業が認められて浮かび上ると云ふ時代に、唯一の自分の頼りとして居つた工場を還元して貰ひたいと言つて頼んでも、それは相成らぬと言つて、或る野心家の手に來て妙な價格でそれが處分されて行くと斯う云ふやうなことが行はれるとするならば、是は政治的に非常に大きな問題だと思ふのであります、私の縣の岐阜縣の如きは、昨年の十二月の中に其の工場の接收をして元の所有者に直ちに還元して貰つた、さうして立木の如きは地木が僅かなものを持つて居りましたが、さう云ふものを非常措置として、無理に山主が嫌がるのを買上げたと云ふものは山主に又戻してやる、さうして又さう云ふ希望のない所は其の地方に出來ました組合に地木で不當な價格でなく相當の價格で引繼ぐ、さうして僅かな期間で處分を付けた、恐らく岐阜縣の地木の解散振と云ふものは、模範となる解散が出來たと思ふ、解散決議を致しまして、三十日以内に殆ど處分が出來た、斯う云ふやうな風に聞いて居るのであります、なぜそんなに巧く行つたかと言ふと無理が一つもない、正當な道を正しく歩んだ、斯う云ふ譯でありますから、隱かに行くのであります、どうぞ斯う云ふ點に付ては特に過ちのないやうに十分御注意を願ひたい、同時に私共議員と致しましては、斯う云ふ點に付て政府の御指導宜しきを得るか得ないか、甚だ是は厭な言ひ方かも知れませぬが、我々には十分監督をするだけの責任もあり、又斯う云ふことをなすべき義務も負はされて居ると信じて居りますから、若し變な聞込みをした場合には、我々からも又申上げるやうなことがあると思ひます、どうぞ十分の御注意を願つて、「マッカーサー」司令部の解散命令のあつた解散會社の財産の處分に付ては、命令の趣旨に違反するやうなことのないやうに、十分の御注意を願ひたいと云ふことを申上げて置きます
次に御尋ね致したいことは、林業會が出來ました此の後に於ての私の心配する所は、森林組合側と林産組合側との打合と云ふものが非常に面倒なことになりはしないか、是は各縣の事情に依つてそれぞれ事情が違ひますから、或は旨く行く所もございませうが、非常に面倒になる所も多いぢやないかと思ふ、何故かと申しますと、森林組合側と林業組合側とは、似て非なる根本の性質を持つて居る、同じ林業の關係と一口に言へば林業の關係ではありまするが、一方は材木屋の集まりであるし、一方は山林所有者の集まりである、而して是が全くの山林の山持の集まりであつて、山持の人の氣持が完全に森林組合に反映するならば、是は非常に面倒にはならぬと思ひます、それで巧く行く所がありますれば、それは森林組合と云ふものが山持の氣持を極めて能く支配者に反映して居る、斯う云ふ所である、所が私の縣などの例を申しますと、山林所有者と云ふものと森林組合の指導に當り經營に當つて居る人との間に非常に意思が疎隔をして居る、そして寧ろどうかと云ふと、山持は森林組合を解散して貰ひたい、洵に山持は迷惑をして居るのだ、斯う云ふ氣分が非常に濃厚なのであります、さう云ふやうな所では、必ず森林組合聯合會と云ふものと、林産組合聯合會と云ふものとが一つに纒まつて縣の林業會を組織して行く場合に、先づ其の役員の選擧から、指導の方針から、總てに付て決して巧く行かない、今現に木材組合の聯合會と云ふものが出來、それから森林組合の聯合會と云ふものがありまして、全然是は二本建で行つて居るから感情の行違ひや色々のことがありましても、全然別の容れ物に居る、だから是がどうにか斯うにか行けますけれども、之を一つの縣の林業會と云ふものの中へ入れてしまへば、必ずそこで面倒なことが起る、第一入れる時に既に面倒なことが起る爲に折角林業會法と云ふ法律が出來まして、之に依つて各縣の縣林業會を作ると云ふ場合に、森林組合聯合會は出來て居り、林産組合聯合會も出來て來まして、之を纒めて日本林業會を作ると云ふには、案外相當の日數を要するのではないか、そして或る縣は出來たが或る縣は容易に出來ない、斯う云ふものになりはしないか、此の點に付て政府の所信を一つ承りたい、斯う云ふ法律案を御作りになつて御出しになつた以上は、其の邊に付ては相當の御研究も出來て居ることと思ふ、私共と所見をどう云ふ風に同じくするか、或は同じくしないか、どんな御考へを持つて居られるか、それを一つ承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=6
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007・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御心配御尤もと存ずる次第であります、政府と致しましても只今まで圓滑に行かなかつた性格の違つた兩團體を旨く結合させますことは相當色々と問題もあり、困難なことかとも存じますが、兎に角現在我が林業會に課せられました緊急問題と申しますのは、御承知の通り森林の資源の造成を圖り、森林資源の保續を圖る、更に又林産物の需給の適正を圖る、詰り生産の確保、配給の適正を圖る、斯う云ふ風に林業々界に要請せられました問題は極めて重大でありまして、是等の重大問題を解決致します爲には、どうしても森林所有者と木材關係業者が提携協力致しまして一體となつて努力しなければ、到底此の目的は完遂出來ないと信じて居るのであります、さう云ふ關係にあります爲に相當困難性はありますが、此の際森林所有者の方及び森林組合の方竝に木材業關係者の方々が、從來の經緯を抛つて一體となつてやつて行く必要がありまするので、各關係の人々或は組合員の人々に呼掛けまして、大量的に團結を圖つて戴くやうに指導を致して行きたい、其の爲には常設の指導機關と致しまして、林業會と云ふやうなものを都道府縣に設けまして、自主的に其の林業會に依つて指導して戴くと同時に、政府に於きましても、此の點に付きましては特に力を入れまして指導を致して行きたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=7
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008・平野増吉
○平野(増)委員 只今政府委員の御答へは机の上に於ける一つの希望を述べられたのでありまして、實情には一つも即して居らぬ、只今仰しやつたやうなお座なりのことで是が巧く行く位ならば、私共決して心配して御尋ねはしない、先づ心して考へて見れば直ぐ分ることでありますが、林産組合の材木屋側の集りと、それから森林組合として從來出來て居る所の縣の聯合會があつて、先づ林業會を作る時には必ず林業會長と云ふものを森林組合側の人にするか、それから林産組合側から出すかと云ふことで是は中々圓滑に行かない、どちらが勢力が強いか、斯う云ふ點に於て決する、所が林産組合側の非常に勢力の強い所は、是は問題なくさうなつて來ます、けれども森林組合側の強い所は森林組合側の方へ持つて來る、斯う云ふことが出來まして、さうしてどちら側からか出なければならぬ、中立と云ふものがない、さうすると是は必ず利害が相反する、希望としては利害が反しないやうに、大乘的見地に立つて此の際國家の要請に應じて行くと云ふことは言へますけれども、さう云ふ所謂徳義とか道徳とか云ふ方面から行きましても、それは唯戰爭中にやはり國家の要請とか或は戰爭に勝つ爲めとか、さう云ふ要求に依つて皆表面はそれに服從した形でありましたが、肚の中では服從しないから結果は巧く行かなかつた、是からは戰爭の爲めとか、勝つ爲にとか、強いことは言へない、更に民主的とか自主的とか或は自由經濟とか自由思想とか、色々な説が行はれ、一方には社會主義的な議論が起つて來る、斯う云ふ思想の複雜な時代に當つて是は中々巧く行かない、結局は利害が相反する所に必ず衝突が起る、ですから是は見やうに依つては、理想的としては二つのものを一つに纒めると云ふことが理想であつたに違ひないが、やはり二本建で行つた方が巧く行くのぢやないかと云ふ説も相當民間側に強いのであります、それで農林當局が御考へになつた此の案其のものに依つて、此の法律の實行が果して理想通りに巧く行くかどうかと云ふことを非常に私は疑ふ、さうして又心配するものであります、でありますから此の點に付てどう云ふ方法でどう云ふ風にやつたら是が巧く調節して行けるかと云ふことに付て、思ひをそこに致さなければ、唯法律を作つて、それをぐつと押付けただけでは是が失敗に終るやうなことが出來る、木材統制法で失敗したと失敗の形は違ふが、今度もやはり同じく政府としては失敗だ、斯う云ふことになつてはいけない、我々も議員として之を審議致します上には、氣の付いたことは十分に此處で話合つて、さうして最善を盡して、どうしたら宜いかと云ふことを考へて置くことが、私共の責任だと思ふ、でありますから此の點に付ては私の意見だけを申して置きます、外の委員の方も森林組合の方に相當御關係のある方もあり、木材に御關係の方もあり、色々な御研究も出來て居ると思ひますから、此の點に付ては私は意地の惡いことを言ふのではありませぬが此の法案の成立した後に於て實施に當りまして、案外早く事が行かないで、さうして何時まで經つても全國容易に林業會が出來上らないでごてごてするやうな結果になるのではないか、さうなれば色々な弊害が其處に現はれて來る、斯う云ふやうなことを心配致します、ですから十分此の點は研究を要すると思ひます
そこで私共の縣の現在の實情を御參考に申上げて置きます、山林のある各村々に單位森林組合が出來て、之に縣の聯合會が出來て居る、而して一箇年の岐阜縣に於ける森林組合の木材の生産高が、農林省の御調に依ると、約く五十萬石位年々あると云ふことになつて居りますが、實際に森林組合が生産した數量は一萬五千石か二萬石であります、一割にも當つて居らない、それがなぜ五十萬石も森林組合が生産したと云ふことになつて居るかと云ふと、是は丁度是までに帝室林野局などが木炭を生産せられるに付て、やはりさう云ふ實例が澤山ある、私共の知つて居る或る村などは、御料林で一年に十萬俵の木炭を燒いて居る、それが帝室林野局の生産として表面に現はれて居るが、其の實帝室林野局は一俵も燒きはせぬ、其の村の製炭業者が燒いたものを、帝室林野局が燒いたと云ふ風にしないと、役人の立場がないと云ふので、手數料を出して林野局の名前にして扱つて居る、それが爲に林野局としては豫算にさう云ふ御禮をする費用がないものだから、實に惡いことであるが、立木を或る程度拂下をする、それも實際は二千石の木を拂下げたのを千石拂下げたことにして、さうして木炭業者の損害を埋合はせたり、色々な御禮をしたりして居る、斯う云ふ弊害があるのであります、是は事實なのです、それと同じやうに森林組合でも、森林組合が生産したと云ふことにしないと困ると云ふことで、材木屋を頼んで、そして材木屋が森林組合の名に依つて生産をして居る、是は法律的に言へば、代行を命じて居るのだから一向差支へないのだと云ふ議論もあります、成程それは代行と云ふ方法もありますけれども、事實は材木屋が山主から山を買つて、さうして自己の利害關係でやつて居る、森林組合は少しも利害關係を持たない、唯「マージン」を取つて居る、名前を貸して手數料を取つて居るだけです、斯う云ふことなのです、それを材木屋の方で直接に山主から立木を買受けて自分がやらうとすると、森林組合長の政治的に強い力を持つて居る所に行くと、山を買はせない、又山主の組合員をして山を材木屋に賣らせない、森木組合の事業ならやらせる、斯う云ふので仕方がないから、森林組合の名で事實は材木屋でやつて居る、森林組合は表面はやつて居るやうだが、實際に於ては何にもやつて居らない、さうして坐つて居つて疊の上で手數料を取つてうまくやつて居る、隨てそれに對する米とか色々な生産資材の配給は縣から貰つて、頗るうまいことをやつて居ると云ふ事實が到る處にある、それで山主は非常に不愉快に感じて、どうか森林組合のああ云ふ生産は止めて貰ひたいと云ふ要求が非常に強いのです、山主の立場になつて見ると實に氣の毒なのです、森林組合が實際に材木屋との間に直接賣買をさせて居る所は宜いのですが、賣買をさせない所がある、森林組合の名に依つて山を取上げて、さうして仕事をして、それから總ての費用を差引いて、逆算で以て、結局是だけ山の代金が殘つたと云うて充がひ扶持をやる、斯う云ふやうなことをする所もある、ですから山持の利益の爲に作つた森林組合が、結局指導者宜しきを得ぬ爲に、森林所有者を苦しめて居る、斯う云ふ例は全國到る處私は少しとは思はない、さう云ふ從來宜しからざる所の經營振をやつて來て居る森林組合聯合會と云ふものは全國には相當あるのであります、悉くさうであるとは言ひませぬ、立派に理想的に行はれて居る所もある、さう云ふ所は私は結構だと思ふが、さう云ふやうな縣の森林組合聯合會と、今度材木屋が集まつて出來る所の林産組合との間を巧く調節して林業會が出來て、其の林業會を中央の林業會が指導奬勵をして行く、こんなやうな簡單なことを御考へになそて居ると、中々巧くは行かない、でありますから之を調節することに付ては、政府に於ては此の法律案が通つた曉に於て、餘程の御考慮を煩はして、御破究にならなければならないと云ふことを、私は申上げて置きたいと思ふのであります
それから次の問題に付て一つ御尋ね致します、私共は「ベニヤ」の企業と云ふものは、生産者の部類に屬するものと考へて居りました、所が近頃「ベニヤ」企業をやつて居る所の團體の方面の人が、自分等は需要者の側だ、消費者の側に立つべきものであつて、生産者ではない、斯う云ふやうなことを言うて、一つの需要者の組合を作つて、或る運動を起して居ると云ふ事實があるのでありますが、政府は此の「ベニヤ」企業者は生産者、即ち製材業者などと同じやうに、我々と同じ見解を御持ちになるのか、或は消費者側の立場のものと解釋しておいでになるか、此の點を御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=8
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009・中尾勇
○中尾政府委員 合板の企業者は製材業者と同樣、生産者と解釋を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=9
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010・平野増吉
○平野(増)委員 生産、配給、消費、此の關係でありますが、生産と配給と消費者との關係は、生産者から配給竝に消費者と、各個人で直結で以て行くと云ふことは差支へない、さうしなけれべいけないと考へて居りますが、之を一々組合が悉く扱ふのだ、斯う云ふ若し解釋であるとするならば、非常に旨く行かない、大體斯樣に考へて居りますが、此の點に付て政府の御見解を承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=10
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011・中尾勇
○中尾政府委員 木材の需給方式に付きまして、概要を御説明致したいと思ひます、木材の生産、配給、消費に對する割當は、是は經濟安定本部に於きまして日本林業會に諮問を致しまして、木材の包括的需給計畫を經濟安定本部の方で立てて、それを農林省に指示することに相成るのであります、農林省は經濟安定本部の策定に掛ります所の需給計畫に基きまして、御料林、國有林に對しましては、官行所伐或は立木處分に關しまして指示を致しますと共に、民有林の伐採割當及び木材の生産割當、或は配給割當を日本林業會をして計畫せしめまして、さうして其の計畫が出來ましたら農林省の承認を得て、都道府縣の林業會に指示することに相成るのであります、都道府縣の林業會に於きましては、日本林業會から指示に依りました木材の需給計畫を更に細分致しまして、生産、配給、消費等に付きまして、其の傘下の團體及び組合員に對しまして、民有林の立木の供出割當或は木材の生産配給割當を致しまして、都道府縣の承認を得て、更に其の傘下の組合竝に組合員に割當を致すのであります、割當の方法は大體概要を申しますと、只今申上げましたやうな方法で割當致すのであります、其の現物の取引の方法でありますが、是は第一に交流材、都道府縣間に於きます移出入材の取引に付きましては、其の割當を受けました組合員が、其の所屬團體の發行致します移出入、所謂交流材の移出入の決定割當票を貰ひまして、其の割當票に相手方の都道府縣縣林業會の認證を受けます、相手方の申しますと、詰り生産縣の都道府縣の林業會の認證を受けまして、さうして其の傘下の供出割當を受けました個人と契約をして取引を行ふ、さふ云ふ風に指導をして行きたいと考へて居ります、又都道府縣の林業會は木材の配給割當の範圍内で、需要者に對しまして消費割當票を交付することになりますが、其の消費割當票を貰ひました需要者は、其の消費割當票を持つて配給者の所へ行つて、其の割當票を呈示して契約をして、取引をすると云ふ風に相成るのであります、結局原則と致しましては、個人取引をなすことに相成るのでありますが、其の場合に所屬團體の認證を必ず得る、又一方それを履行しました後では、報告の義務もあるのでありますが、兎に角個人間で取引をするやうに指導をして行きたい、勿論此の場合に於きまして組合で契約を便宜とするやうな場合は、其の組合取引をなし得ることは言ふまでもないことであります
今までのは一般用材に付て申上げたのでありますが、更に特殊用途材、是は電柱とか、枕木とか、「パルプ」とか、坑木とかの特殊用途材で、自治的に集荷配給をさせる方が、適當と認めるやうな場合に於きましては、日本林業會は此の特殊用途材の需要者團體に對しまして、直接都道府縣別に集荷割當を致しまして、其の割當を受けました需要者團體は、組合の會員に對しまして消費割當票を交付致しまして、交付を受けました所の需要者は、指定せられました府縣の系統團體の認證を得まして、直接生産者から契約して取引をすとる云ふ風に指導致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=11
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012・平野増吉
○平野(増)委員 大體の方向は分りましたが、組合として直接契約して取引しても宜しいし、個人が其の順序を經て來たものに對して取引しても宜しい、斯う云ふやうに承知して宜しいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=12
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013・中尾勇
○中尾政府委員 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=13
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014・平野増吉
○平野(増)委員 そこで一つ御尋ねして置きたいのは、今後御料林と云ふものに付ての關係は一大變化が來るでありませうが、大體國有林の木材はどう云ふ處分方法を御執りになるのでありますか、詰り之を具體的に申せば、現在やつて居ります行きかたについては、細かく此の點に付て御話をすれば非常に長くなりますから、私は唯大體の方向だけ承つて置きますが、國有林の産物處分は縣の林産組合を對象として御處分になるのか、各下部組織の組合を對象として御處分になるのか、或は從來の縁故關係の個人を對象とせられるのか、其の邊を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=14
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015・中尾勇
○中尾政府委員 國有林材の處分に付きましては、立木に付きましては、設備もあり、信用も確實な、實際實行力があつて、差當り緊急復舊用材を供出するやうな實際の實力のある方に處分を致して行きたいと存じまして、其の方針で進んで居ります、丸太の處分でありますが、是は製品の生産される場所或は數量に依つて、此の處分の方法も違つて來ると思ひますが、相當固まつて居ります場合は、日本林業會の方とも能く相談して決めるのでありますが、縣單位の林産組合に一括指示致して、林産組合の方で、之を民主的自治的に工場に分配するやうな方法を執りたいと考へて居ります、尚ほ數量の少い場合に於きましては、其の地區の林産組合にやる場合もありませうし、或は又場合に依りましては、個人との取引をする場合もあるかと存じて居ります、それは其の時々或は場所々々の實情に依つて處理して行きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=15
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016・平野増吉
○平野(増)委員 大體の方向は分りましたが、斯う云ふ問題は、處分のことに付ては、實際問題として今御考へのやうな風に行くことも或は宜しいが、大體斯う云ふ組合が出來て、さうして組合で纒めて下部のものを指導して行くと云ふやうな場合には、私は此の丸太の素材の處分も地元を各區域の下部組織の林産組合より下の個人と云ふものを場合に依つては對象とすると云ふことはやらない方が宜い、さうでないと、現在岐阜縣などでやつて居ります事例から見ましても、さう云ふ風にしますと、組合と云ふものが非常に弱くなつてしまふ、組合の團結と云ふものは壞れてしまひます、それで兎も角實際に於ては組合が拂下の對象となつて、組合會議を開いて、さうして組合會議の意向に依つて此の人が其のものを組合から引受けてやることが最も適當だ、斯う云ふことに依つて民主的に處分して行く、斯う云ふことにならないと、役所の考へに依つて有力な個人の工場に或る部分は直接やつても宜いのだ、斯う云ふことが行はれると、非常に弊害が起ります、其の弊害を一々申上げれば限りのない程弊害がある、殊に現在に於ては驚くべき弊害が各地に助長されて居ります、其の弊害の一例を申しますと、是は驚かれるやうなことがあるのです、現在貯木場に何千石と云ふ丸太が存在して居る筈であるのに、行つて見ると半年も前に一本も丸太がなくてなつて居つた、さうして役所の帳簿には某貯木場に何千石の丸太があることになつて居ります、所が現在品物はない、どうなつて居るか、契約もなければ何もない中になくなつてしまつて居る、斯う云ふやうな例があるのです、さう云ふことは國有林よりも御料林の方に多い、帝室林野局の方面に於てはさう云ふ例が頻々としてあります、是は一口に申せば、どうせ帝室林野局はなくなる、御料林は國有林に還元されてしまふ、隨て御料林の役人は長い壽命ではない、丁度終戰當時のやうに、行掛けの駄賃で好い加減なことをやつてしまへと云ふことが到る處行はれて居るのではないかと思ふ程、左樣に亂暴極まる素材の處分が行はれて居るのであります、洵に私は遺憾に思ひます、斯う云ふやうな實例は何から起つたかと云ふと、やはり一つの組合で對象とせずに、縁故に依つて個人の或る業者に數千名の丸太を賣拂ふと云ふやうなことが行はれて居る爲に、其の或る個人と出張所間に何が取引が行はれてさう云ふやうなことが行はれた、一文の代金を拂はずに物を持つて行つてしまふ、其の物が相當大きな金額に上る、是は事實である、現實にある事實である、近き將來にさう云ふことに付て私は何處からか問題が起つて來るのぢやないかと云ふことを心配して居る、私の縣にさう云ふ例が方々にある、ですから、私は縣の聯合會長として警告を發して、今業者の人達に相當に注意を出して居ります、寧ろ業者よりも役人の方に非常に腐敗堕落して居る傾向がある、斯う云ふやうな矢先でありますから、農林當局と致されましては、餘程注意をせられて、各營林局管内の營林署長などにも、相當な注意の目を以て、今後、立木竝に素材の處分などに付ては御注意にならなければいかぬと思ひます、殊に官行事業を今年は昨年の倍額おやりになると云ふ御計畫になつて居ります、之に付ては相當議論もありますが、是は他の方から御話もありませうから、私は申しませぬ、大體私の考へ方から申せば、官行事業などは今御止めになつたら宜いと思ひます、官行事業を本年から倍額に増加せられると云ふことは、全く山林局の大なる「ミス」だ、やり損ひだと思つて居ります、其の結果は必ず惡い結果を生ずると思ひます
委員長からの御希望もありますから、私の質問は此の邊の程度で一應今日は打切ります、それで委員長に御願ひして置きますが、膳國務大臣がおいでになりました時に、此の林業會法を通じて一番重要と私の考へる價格政策の問題に付て、經濟安定本部の御考へを聽いて、私の意見を述べて置きたいと思ひます、是だけ保留して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=16
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017・森幸太郎
○森委員長 承知致しました——永井勝次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=17
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018・永井勝次郎
○永井委員 私は農林大臣、内務大臣、運輸大臣の出席を求めてあり、質問の順序としまして、本法案の基本的問題から御聽きをしたいと考へて居つたのでありますが、御出席がありませぬので、大臣への質問を後廻しにしまして、局長に二、三の御尋ねを致したいと存ずるのであります
第一に御尋ね致したいことは、此の法案が通りますと、日木は整理に入る譯でありますが、日木が手持して居る材と云ふものは少くも八、九百萬石はあるのではないかと思はれるのであります、さうして此の日木の手持材は、日木が農林當局に値上の交渉をして居つて、大體値上の見透しがはつきり付いた時に、地方の地木に對して拔打的に、此の値上りを隱しながら、ずぼつと買取つたと云ふ實情にあるのでありまして、北海道の如き最も其の被害を受けて居る譯であります、さう云ふやうな關係で、之を買取つて、さうして其の後二回の値上りがして居り、更に此の材を進駐軍向けに向けると云ふことになりますと、一般市價よりも八割以上の高價に之を振向けることが出來るのでありますから、日木の手持材に於ける利益差と云ふものは少くも八、九千萬圓の多額に達するのではないかと思はれるのであります、所が農林當局では、日木手持材を大體八百萬石と押へて、其の内五百萬石は住宅營團に引渡す、三百萬石は日木の手に於て之を處理する、さうして其の處理は地木が之を代行するのであつて、運賃、事務費其の他の値上りに依つて是等に相當の費用が掛る、農林當局の計算では、日木の利益を大體七千三百萬圓と押へて、さうして其の後に於ける財界の色々な變動に依る事務處理費、運賃諸掛りの値上りに依つて生ずる費用を差引いて純益と云ふものを一千萬圓より見て居ないと云ふ現状であります、斯くの如きは、どうせ最後なんだから色々な費用に相當之を稼がせようと云ふ親心であるかも知れないのでありますが、少くも計算の上に於て七千三百萬圓と云ふ利益を計算して置き、其の純益を一千萬圓より見ないと云ふ根據は一體何處に置いて居るのか、之を明確にして戴きたいと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=18
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019・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御質問の點は、昨年の十一月非常措置に依りまして地木社の手持材を日木と住宅營團の方に手渡しました所の問題のことだと存じますが、あの當時地木社から買取りました數量はやはり八百萬石、其の内御覽の通り日木社が取扱ひましたものが三百萬石、住宅營團に渡しましたものが五百萬石あつたのであります、此の場合に於きまして、地木社から日木社が買取りましたものは、是は早急の場合でありましたので、地方長官の裁量に依りまして、之を地方長官の見込で、山木場にありますものも、或は運搬途中にありますものも、兎に角丸太は殆ど全部日本に手渡したことに相成つて居るのであります、大體貯木場、或は搬出の便利の宜い所にありましたものは、原則として住宅營團にやる、やうな關係にありました爲に、日本社が取扱ひましたものは、其の後山土場、或は中間土場から最終土場まで運搬しなければならぬと云ふやうな關係にあるものが大多數でありました、十一月以降の食糧不足に伴つて人夫賃等も昂騰の結果、小運送賃等が非常に増嵩致しました爲に、運搬費に相當の經費を要して居るのであります、只今御質問になりました七千數百萬圓と云ふのは、是は最終土場まで出ました場合の價格であると豫想致しますが、最終土場まで出しますのに、只今申しましたやうな小運送賃其の他の人夫賃の騰貴の爲に多額の經費を要することに相成つたのでありまして、是もまだ決定致した譯ではありませぬが、結局清算致しますと一千萬圓近くの純益ではないかと想像するのであります、勿論此の件に付きましては、日木社に於きましても特別に別途の會計でやつて居りますし、此の點に關しましては政府としても監督もして居るのでありまして、そこに御心配のやうな不純のことは全然ないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=19
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020・永井勝次郎
○永井委員 中間土場なり山土場なりにある價格は價格として査定されて居るのでありまして、最終土場までの運賃諸掛りと云ふものは、やはり公定價格に計算されて居るのでありまして、其の値上りを假に倍に見ましても七千數百萬圓の利益が算盤上出るものが、純益一千萬圓より見込めないと云ふ、さう云ふ値上りとか諸掛りの非常に掛ると云ふやうなことは、是は常識上判斷し得ないのであります、事實、北海道の地木にある材が一番日木に買上げられて居るのでありますが、其の關係から申しますと、北海道の地木は、日木のやり方は不埒で、是は日木の赤字補填の爲に斯う云ふやり方をやつたので、不埒であるから、幾ら日木が何と言つたつて是は引渡さぬ、斯う地元の地木は頑張つて居たのでありますが、其の後、利益を若干還元するからさう言はないで一つやつて呉れと云ふやうな話合で、此の問題が解決したやうに聞いて居るのでありますから、日木社の清算として特設された特別會計に於て處理する、是の特別會計に引繼ぐものを一千萬圓と見て、其の他の差額は日木、地木の間で、事務費、それから運賃諸掛りに經費が掛つたと稱して利益の分配が行はれて居るのではないかと云ふ疑を私は非常に持つのであります、事實北海道の場合に於てさう云ふ話合を我々は耳にして居るのでありまして、斯う云ふことが全國的に行はれて居るのではないかと云ふ危險を感ずるのでありますが、さう云ふ關係に付て、細かく算盤を入れて、七千數百萬圓の利益はあるのだが純益は一千萬圓より見込めないと云ふ其の根據に付て的確な御自信がおありになるかどうか、重ねてお伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=20
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021・中尾勇
○中尾政府委員 此の問題に關しましては、特別に委員會も設けまして、此の利益金の處分は日木社單獨では出來ないことに相成つて居るのであります、又數量に付きましても、先刻申上げましたやうに、急場の際のことでありましたので、地方長官の裁量に依りまして机上で組立てた數量でありましたので、數量にも相當異動が來て居るのではないかと云ふ風に想像も致して居りますし、詳細私自身檢討致した譯でありませぬが、御心配のやうな點は全然ないことと私は信じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=21
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022・永井勝次郎
○永井委員 此の問題に關しましては此の程度に止めて置きますが、是は現實に算盤に當り、其の處理の方法、其の處理の經過等に付て檢討すれば分ることでありまして、尚ほ我々に於ても此の問題を不問に付する譯にはいかぬと考へて居るのでありますが、當局に於きましても十分に是等の事柄に付て内容を檢討し、唯單に、利益金の處分は特別會計でやるのであるが、利益金が一千萬圓より殘らないと云ふ其の事業の遂行の過程に於ける色々なやり繰と云ふものに付て、怪しい點があると云ふ考へを自分は持つて居るのでありますから、之に付て今後に於ても十分の監督を進められんことを希望するのであります
次は木材需給の調整の問題に付てでありますが、是は御承知のやうに、木材は原始的な一つの流れ作業であります、生産から消費までずつと生産されたものが、消費地まで適時に適正に輸送され、利用されて初めて生産の目的が達するのでありまして、其の中間に何處か瘤が出て、そこで停滯することがありましたならば、此の木材生産の目的は十分に達することが出來ない、でありますから生産は生産、配給は配給、消費は消費と云ふだけの面に付て之を見るのでなくして、之を綜合した一貫した一つの流れ作業として全體を見て、現在日本の木材生産と云ふものの事業が圓滑に運んで居るかどうか、合理的な經營の基礎の上に立つて居るかどうかと云ふことを十分に檢討する必要があらうと思ふのであります、第一に生産の面に付てでありますが、何と申しましても戰時中は、林力増強よりは戰力増強であると云ふ立場から、過伐、濫伐を致して居り、其の過伐、濫伐は輸送至便な地域から之をやつて居るのでありますから、地域的には非常に一層の過伐濫伐になつて居るのであります、森林の蓄積を食込んだものは六、七億は食込んで居るのでありまして、我が國の現在の蓄積は六十億石内外よりないと推定されて居る、其の二十億石からは封鎖されて居る所の資源であつて、需要可能な蓄積と云ふものは僅かに四十億石よりない、さうして一年の成長率を最大限四%と見れば、一億六千石内外より成長しないにも拘らず、需要の面は依然として三億も四億も需要が茲に厖大に起つて居る、斯う云ふ實情であります、先般農林大臣の答辯にもありましたが、需給調整を圖つてさうして重點的に之を配給するのだ、斯う云ふことでありましたが、唯單にそれだけのことでありましたならば、需要を繰延べするだけでありまして、少い生産を以て厖大な需要に應へる所の根本的な解決の策にはなつて居ないのであります、でありますから私は此の機會に於て資源が是だけよりないのでありますから、此の少い資源を以て戰災復興から製紙、其の他外地の地域を失つた狹い地域に於ける厖大な需要と云ふものに應へて行く時には、劃期的な一つの森林政策と云ふものが、木材政策と云ふものが茲に確立して、さうして少い生産で厖大な需要に應へ得る所の科學的な處理の方針と云ふものを確立して行かなければならないのではないか、斯う考へるのであります、生産の面に於きましては、蓄積を増大する爲に、急速に林地の緑化を圖ることは勿論でありますが、尚ほ眠つて居る、封鎖されて居る二十億石の資源の開發と云ふことは、差當つての急務であると存ずるのでありますが、此の封鎖資源の開發に付て、具體的にどう云ふ考へを持つて居られるか、承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=22
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023・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、御尤もの御意見でありまして、此の點に付きましては政府と致しましても非常に憂慮し、又愼重に對策を講じて居る次第であります、御説の通り現在の我が國の蓄積は、正確とは申上げられませぬが、兎に角利用出來るものは四十億萬石、利用出來ないものは二十億萬石と云ふ只今の御話でありましたが、大體私等もさう云ふ風に推定致して居ります
〔委員長退席、平野委員長代理著席〕
そこで其の四十億萬石を開發致しますにも、此の四十億萬石の大部分がやはり里山でなく、奧地の森林であります爲に、此の四十億萬石を開發致しますにも相當に林道の開發を要する次第でありますし、更に又只今の御話の二十億萬石の最奧地の林分を開發致しますのにも、より以上の奧地林道の開設を要するやうな實情に相成つて居るのであります、之に對しまして政府と致しましては奧地林道の開設ばかりでなく、今申上げました大部分が奧地と申しましたが、四十億萬石の蓄積の開發にも資する爲に、全面的に林道網の計畫を致しまして、只今實行致して居る次第であります、特に其の中の奧地林道に對しましては、國有林道に於きまして八箇年計畫、又民有林林道に於きまして十箇年計畫を立てまして、本年度から實行することに致して居るのであります、大體林道の事業のことに付て御説明致しますと、本年度の事業分量は、國有林林道を本年度の事業分量は、車道——是は一部軌道も含みますが、車道で千八百七十一「キロ」其の他歩道が六百十「キロ」尚ほ貯木場と致しまして四十四「ヘクタール」を計畫致して居るのであります、此の中國有林の奧地林道と致しましては、今申上げました車道の千八百七十一「キロ」の中、五百五十九「キロメートル」を奧地林道として計畫を致して居ります、又歩道と致しまして奧地に計畫致して居りますのは、二百七十九「キロメートル」の計畫を致して居ります、以上は國有林林道でありましたが、尚ほ民有林林道に付きましても、本年度車道を六千八十四「キロ」開設を豫定致して居ります、此の中、奧地林道が千七百二十四「キロ」に相成つて居るのであります、以上のやうな計畫を以ちまして、此の林道網の開設には特段の努力を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=23
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024・永井勝次郎
○永井委員 地積が非常に狹くなつて、事業を集約的にやらなければならないのでありますから、もつともつと車道、林道、さう云ふものを縱横に付けまして、木の一つ一つに木の戸籍を作つて、一目瞭然に分ると云ふ程度にまで、此の事業の集約化を圖つて行かなければならないと思ふので、一段の努力を願ひたいと考へるのであります
そこで封鎖資源を開發すると云ふことになりますと、輸送の面から申しましても、森林鐵道なり或は林間歩道なり、さう云ふものをずつと伸ばさなければなりませぬし、杣なり籔出しなり、さう云ふ仕事に於きましても相當熟練を要する、更に或る場所に於ては人力だけではいけないのでありまして、作業の内容を相當機械化して行かなければならぬことになつて參るだらうと思ふのであります、さう云ふ風になつて參りますと、從來の造材事業の如く、今年はあつちの澤で仕事をやつたが、來年は違つた方の澤でと云ふやうに、轉々として作業場を變へてやるやうな民間の特賣制度に依つて遂行すると云ふことは、是は困難になる、どうしても國營的な性格に於て、どつしりした一つの施設を以て、作業を機械化して、集約的に仕事をやつて行く、斯う云ふやうながつちりした態勢で之に臨まなければならないのではないかと思ふのでありまして、此の點に對しましては此の道の先輩であられる平野委員とも少しく所見を異にするのでありますが、民業よりも國營的な性格に方向を持つて行かなければならないのではないか、斯う考へるのであります、此の奧地封鎖資源開發に於ける企業の形態と申しますか、さう云ふ方向をどう云ふ風に執つて行く考へであるか、之を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=24
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025・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御意見御尤もと存じますが、差當り奧地林分の開發に付きましては、國の方で施行をすると云ふことは考へて居ないのであります、併し仰しやる通り、やはり收買致しました奧地の大林分の開發に付て、相當機械化も必要でありませうし、又大規模な林道其の他も必要でありまするので、民間の事業とするよりも或は國營の方が適する箇所もあるかも知れないと存じます、さう云ふ民有林に對する國の斫伐、現在でも民有林の斫伐事業は實行を致して居るのでありますが、之を奧地林分の全部に對しまして實行すると云ふ計畫は、只今の所はまだ持合せて居りませぬ、此の點は十分研究致しまして善處致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=25
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026・永井勝次郎
○永井委員 次は國有林の特賣制度でありますが、此の林業會法に依りますと、企業は許可制度となつて居るのであります、殊に立木拂下に付ては、從來からきちつと決まつて居るやうなものであつて、此の人間には大體是だけの實績を拂下げると云ふやうなことでやつて居るのでありますが、今後に於きましても、さう云ふやうな特賣制度を尚ほ繼續し、此の立木拂下に付てもつと民主化した、もつと合理化した一つの轉換をするやうな御考へがないかどうか、從來の通りやつて行く御考へかどうか、之を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=26
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027・中尾勇
○中尾政府委員 此の特賣の問題に付きましては、從來例へば「パルプ」工場を造つて「パルプ」材が必要だと云ふ、やうなものに對しまして、年期特賣と云ふやうなものを實施した例もあるのでありまするが、其の他の特賣は必ずしも其の相手方は特定致して居りませぬで、其の都度、先刻も申上げましたやうに設備もあり、力もあり、實際に熱意を以て仕事をすると云ふ人に對しまして特賣をやつて居るのであります、差當り公定價格制が實施されて居ります間は此の特賣制は續くものと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=27
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028・永井勝次郎
○永井委員 生産の面に於て我々の立場として見逃すことの出來ませぬことは、是は農林大臣の出席の場合に述べたいと考へたのでありますが、尚ほ山林局長として、當局の所見を伺つて置きたいのでありますが、御承知のやうに木材の生産に於ける原價計算に於ても明かであるやうに、其の價格形成の大部分と云ふものは勞務賃金であります、でありますから林業會法の第一條の目的を達成する爲には、木材の生産を確保すると云ふ爲には、物の面、資本の面、斯う云ふ面を考へることも勿論必要でありまするけれども、是等の生産の主要な部分を成して居る所の勞務の問題を閑却しては、林業會法は魂の入つて居ない法案であると我々は斷定せざるを得ないのであります、從來の立法と云ふものは物を中心とした立法である、今後に於ける立法は是等の業界に働く所の勞働者の勞務の問題を主要な部分として取入れた所の立法に變つて來なければならないと我々は考へて居るのでありますが、斯う云ふ點に付ては全然觸れないで立法されたと云ふことはどう云ふ根據に依るのか、又さう云ふ勞務と云ふものをどう云ふ風な取扱に於て其の技術向上なり、生産の向上なりを圖つて行く御考へを持つて居られるのであるか、山林當局としての御考へを承つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=28
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029・平川守
○平川政府委員 私から御答へを致します、今回の林業會法に於きましては、從來林業或は林産業の經營を致して居ります人達の間に自主的な團體を作りまして、之に依つて森林資源の造成及び林産物の増産竝に適正配給と云ふことを期する方針でありまして、今回の林業會法に於きましては、勞務者の問題は御話の通り大きな部分を占めて居らぬのであります、併しながら此の林業會の中に特別議員と云ふ制度がございますので、此の特別議員として勞働方面の專門家を參加せしめる、それに依つて勞務者側の意向を反映せしむると云ふやうなことは、此の林業會法に於きましても考へて居るのでありますが、併しながら御話の如く、此の林業會法案の中に大きな部分としては取上げて居らぬのであります、此の問題は非常に重要な問題と考へるのでありますが、差當り此の林業會法の中に組入れるべく未だ研究が十分行屆いて居りませぬ、之に付きましては十分今後研究を致しまして、何等かの形に於て勞働能率の向上と云ふことを考へて行かなければなるまいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=29
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030・永井勝次郎
○永井委員 勞働の問題に付きましては、本法案の基本的な性格を規定する問題としまして重要な問題でありますので、後程大臣が出席の場合に尚ほ此の問題を明確に致して參りたいと考へて居るのであります、唯法案の隅つこの方に附たりのやうにして、斯う云ふ取上げ方をして居るぞと云ふだけの申譯的なことをして居るのでは、我々は斷じて承知することは出來ないのであります、此の問題は此の程度にして置きまして、尚ほ生産の面に於きまして、從來とても我が國では木材の自給自足は出來なかつたのでありまして、年間二、三千萬石は輸入して居たやうでありますが、今後國籍的な經濟關係が回復して行くに從ひまして、國内に起つて居る厖大な需要に應へます爲には、どうしても若干の輸入材に俟たなければならないと考へて居る譯でありますが、此の木材の輸入に付て當局はどう云ふ風に考へて居るか、さうして大體どの位の量を目途として居るか、さうして輸入すべき樹種はどう云ふものを考へて居るか、是等に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=30
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031・中尾勇
○中尾政府委員 御説の通り只今國内に於きます生産量と需要量との均衡は、極めて不均衡になつて居るのでありますが、特に戰災地の復興用材其の他民生安定上必要な緊急用材と云ふやうな重要な用途があります爲に、どうしても此の需給の均衡を取ります爲には、或る程度の輸入をしなければ、其の需給の「バランス」が取れないやうに考へますので、當局と致しましては此の輸入に付きましても、既に計畫も致して居るのでありますが、是は見返り物資の關係、或は輸送の關係でまだ實現するに至つて居らないのであります、大體數量と致しましては、建築用材と致しまして是は米材或は「カナダ」材でありますが、大體年々一千萬石近くの輸入をして參りますと、相當内地材の生産の方の緩和が出來、又内地の森林の一部休養も出來ることかと考へて居るのであります、尚ほ其の外に闊葉樹材と致しまして是は大體合板資材竝に家具用材でありますが、南方方面の闊葉樹を大體五、六十萬石程度輸入をするやうに計畫もし、是は大體まだ正式の認可は得ませぬが、交渉は進めて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=31
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032・永井勝次郎
○永井委員 次に配給の圓滑化に付てでありますが、日木地木の統制に入りましてから、配給が極めて不圓滑になりましたことは御承知の通りであります、さう云ふやうな關係で輸送が非常に窮屈になつたと云ふことも、一つの原因であり、勞務が足りないと云ふやうなことも色々な原因にはなつて居るのでありますが、兎に角ここ數年間と云ふものは山土場、中間土場或は驛土場と云ふ所に一年乃至數年間積んだ儘に放任されて居ると云ふ材積が少くないと存ずるのであります、北海道の實情から推算致しまして盲算用で、一年なり數年經過して消費の面に廻つて行く材が少くも年間一千萬石はあるのではないかと思ふのであります、假に一千萬石あると致しますならば、其の積み重ねて置く間に腐蝕して行く所の腐蝕率は非常な大きなものであり、殊に山毛欅材の如きは一年で駄目になつてしまふのでありまして、北海道の如き合板材として生産した山毛欅材が山土場で腐つてしまつて放棄したものが十數萬石に及ぶだらうと思ふのであります、此のやうな状態で折角なけなしの資材を伐り出しても、配給の不圓滑の爲に中間で腐らして駄目にしてしまふ所の數量が數十萬石、或は百萬石近い所の量に上つて居ると云ふ事實から考へまして、配給を圓滑にし輸送を圓滑にしまするならば、是だけのものは消費の面に増配することが出來るのである、是は相當大きな問題として考へて行かなければならないのでありまして、當局は是等の問題をどう云ふ風に考へて居て、さうして輸送計畫とどう云ふ風に「マツチ」させて、山土場なり土場に積んで居る所のものをすらすらと配給の面に廻して行く御考へであるか、之を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=32
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033・中尾勇
○中尾政府委員 輸送の不圓滑、特に小運送の逼迫の爲に山元の滯貨が非常に澤山ありますことは、洵に遺憾に存ずる次第でありまして、此の問題に付きましては政府と致しましても極力打開を圖るやうな方策を執つて居るのでありますが、中々此の小運送逼迫の打開に付きましては「トラック」の増車、或は「ガソリン」の増配、それから又荷馬車運材に致しましても馬糧の増配のやうに非常に困難なものばかりでありまするので、非常に政府と致しましても只今苦慮致して居る次第であります、併し是等に付きましても絶えず關係方面と交渉努力致しまして、打開を講じて居る次第であります、又貨車輸送の方に於きましては最近の貨車輸送は相當成績が上つて參つて居ります、此の方面に付きましても關係方面と十分連絡を取りまして、出來るだけ増送を圖るやうに努力を致して居るのであります、特に只今貨車輸送の方面に於きましては、秋田方面からは二、三箇月以前から一日一回木材だけ四十二車の木材列車を運轉して貰ひまして、毎日東京へ持つて來ると云ふやうなこともやつて居りますし、更に此の木材列車の増發に付て只今交渉も致して居ります、さう云ふ事情にありまして、兎に角輸送方面の打開に付きましては絶えず努力を致して居ります、御諒承を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=33
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034・永井勝次郎
○永井委員 二十一年度の木材の生産から推算して、鐵道輸送に俟つべきもの一千五百萬「トン」と農林省では計算して、此の貨車を要求したに對して、運輸省は千百七十七萬二千九百「トン」より配車能力がない、斯う答辯して來て居るやうであります、既に必要量に對して是だけの貨車の配車能力よりないとしますならば、此の差額は當然又二十一年度の計畫として驛土場なり山土場なりに堆積されると云ふことになるのでありまして、もう既に計畫に於て是だけの差額が明確でありますから、之を生産の面に於て是だけを縮減するか、或は貨車輸送でなく、他の輸送方法に依つて、之を緩和して必要量だけ輸送するか、何れかの方法でなく、まあ仕方がないのだと漫然と兎に角伐るだけ伐つてしまへ、運べるだけ運んでしまへ、餘つたものは土場に積んで置くのだと云ふやうな行當りばつたりの計畫であつては、計畫生産とは言へないのでありまして、さう云ふ關係を一體何處の面でどう云ふ風に之を「バランス」を取つて行く考へであるのか、さう云ふ計畫がおありになるのであるかどうか、之を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=34
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035・中尾勇
○中尾政府委員 只今の御尋ねの年間の貨車輸送の豫定でありますが、是は最初當局から要望致しましたのは千五百萬「トン」でありましたのに對しまして、鐵道省の方の割當は千三百萬「トン」であつたのでありますが、其の後此の四月になりましてから、相當貨車に餘裕も出來ましたし、配車實績も非常に良くなりまして、只今の所千五百萬「トン」の輸送は確實に出來る見込であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=35
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036・永井勝次郎
○永井委員 配給を圓滑にして居るもう一つの方法は、此の貨車の積込と、それから貨車の規格と木材の規格との不一致であります、貨車の積載量の三分の二、或は三分の一位を積んでどんどん走つて居る、でありますから是は持に今後ずつと永久に續くのでありますから、運輸當局に對して、木材の規格に合致するやうな貨車の製作を要求するか、或は木材の方の規格に於て或る程度現有の貨車の規格に合せるやうな方針にするか、何れか此の貨車の輸送をもつと合理化する方法を考へて行かなければならないのが一つと、それから土場に於ける積込でありまして、あれだけの重量のものを人手だけでやつて居るのでありまして、其の爲に驛に於ける所の貨車の停滯と云ふものが、是が非常に輸送を遲らせて居るのでありまして、是は「クレーン」に依るか、或は「モーター」と「ワイヤー」を以てすれば、それ等の機械力を用ひれば、非常に能率化することが出來るのでありまして、是は農林當局から運輸當局に對して當然是等の恒久的な施設を要求する必要がありと思ひますが、之に對してはどう云ふ御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=36
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037・中尾勇
○中尾政府委員 貨車に適するやうな規格と云ふやうな御話もありましたが、此の點に付きましては、やはり貨車の大きさと木材の今の規格の關係で、相當空席を生じて居るやうな場面も、私も見て居るのでありますが、此の點に付きましては、今後更に研究を致して見たいと思ひます、尚又此の積込の機械化、或は能率増進策と云ふやうなことに付きましては、御説の通りでありまして、私も此の積込に對しまして、從來の手組ではどうしても能率が上りませぬ、是は出來るだけ機械化を圖らなければならないと考へまして、只今其の機械化に付きまして關係方面と十分連絡を致しまして努力を致して居ります、是はどんどん實現されつつありまするので御諒承を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=37
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038・永井勝次郎
○永井委員 もう一つ、配給を遲滯して居るのは檢査の規格の問題であると思ふのでありますが、從來の改正前の規格に依りますと、實に四十萬種あつた、改正せられて其の半分になつても、尚ほまだ現在二十萬の規格があるのでありまして、是等の取引の爲に、是等の規格が複雜であります爲に、一々此の計算上、或は取引上に於ける事務的な停滯と云ふものが非常に大きいのであります、地木、日木の配給が非常に不評判になつたのも、斯う云ふ規格の事務的の處理に於て非常に人手を要したのと、此の面に於て事務の停滯したのと、斯う云ふことが一つの原因になつて居ると思ひますが、もう少し檢査規格を單純化して、取引を圓滑にするやうな方法がないものであらうか、此の規格に付て當局はどう考へて居るのでありますか、承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=38
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039・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、規格の點は二十數萬種と云ふ御話でありましたが、公定價格が最初設定されました當時は、それ位のものがあつたのでありますが、其の後簡易化致しまして、七八年の改訂の際は相當減つて居ります、減つては居りますが、更に此の規格の點は研究する必要があると私も考へまして、只今色々と規格簡易化に對しては研究をして居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=39
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040・永井勝次郎
○永井委員 次は製材及び製品の合理化の問題でありますが、第一に工場を木材生産の立地諸條件に照して適正に配置換へをする所の計畫がないかどうか、之を承りたいと思ふのであります、例へて申しますれば、北海道の如きは大きな木材の生産地でありますが、北海道に於ける木材の製材工場は四百十七であつて、其の馬力數が二萬四千いくらよりない、東京や大阪、愛知、新潟、是は消費縣でありますが、是等の所には木材の生産がないにも拘らず、大きな工場が非常に澤山ある、でありますから、素材を此の消費地に運んで來て、此處で六五%内外の歩留りよりない、三五%位は輸送が無駄になつて居る、斯う云ふやうな實情でありますが、之を輸送が非常に不圓滑なのでありますから、木材の生産現地に製材工場を配置して、此處で出來るだけ無駄なものを省いて輸送を合理化することが考へられなければならないと思ひますが、工場の配置轉換に付て御考へがありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=40
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041・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、只今の御意見は御尤ものことと存じます、私も現地に於て出來るだけ製材をして、消費地に送るやうにする、斯うなりますと、御説の通りやはり輸送力を節減することが出來ますし、非常に結構なことと存じます、此の點に付ては出來るだけ生産地の方の製材力を増して行きいとは考へて居りますが、只今此の配置轉換に付ての具體的な計畫はまだ致して居りませぬ、併し色々此の點は考究すべき點だと存じますので、將來研究を續けて行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=41
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042・永井勝次郎
○永井委員 先程來甲上げました通りに、何と申しましても、我が國の森林資源は非常に少くて、需要が非常に厖大でありますから、配給の面に於ても途中で之を腐らして消耗することがないやうに、生産の量は直ちに消費の量に直結するやうにしなければなりませぬし、製材加工の面に於ても之を非常に科學的に處理して、少ない量を大きな需要に之を殖やして消費の面に廻して行くと云ふ措置が講じられなければならないと考へます、さう云ふ點から考へて、製材工場の如きも、鋸の幅をもつと狹いものにするとか、或は丸鋸で製材するのを禁止するとか、さう云ふことに依つて、製材工程に於て製材を集約化することに依つて、是から産み出す所の節約材と云ふものは數百萬石に達するのであらうと、私は概算されるのであります、戰爭前でありましたか、北海道から素材を名古屋に送つて、名古屋の製材工場が非常に進歩した——技術が進んで居つて機械施設も進んで居つたから、此處で製材して又北海道に之を逆送する、之を逆送して來ても北海道で不備な製材工場で製材したものに對抗して十分名古屋の往復を見ても北海道材が之に對抗し得ないだけの歩留りを以て、逆送してどんどん壓迫して來たと云ふ程で、此歩留りと云ふことは機械器具の改善及び技術の向上に依つて産み出される所の量と云ふものは、是は決して閑却出來ないものであると考へるのであります、斯う云ふやうな點にも當局は本當に頭を向けて行か使ければなりませぬし、又木材も生の儘で之を使用すると云ふことは、今後は考ふべきではないか、是は單板なり、合板なり或は硬化木なり、軟木なり、之は物理的に、化學的に處理して、さうして一つの木をうんと利用度の高いものにして、さうして此の消費の面に之を廻して行くと云ふやうなことが、特に今後に於ては考へられなければならないと思ふのであります、所が斯う云ふ面に於ける所の研究と云ふものが非常に遲れて居る、戰爭中の木製航空機と云ふことが喧しく言はれまして、さうして木材を航空機に向けたのでありますが、斯う云ふことをやつて見ることに依つても、もう日本の木材工業と云ふものが、木材に對する科學的な水準と云ふものが如何に貧弱であつたかと云ふことが暴露したのであつて、膠着劑一つ、接着劑一つの問題にしても、もう一年生から、幼稚園から出發しなければ問題は解決しない、「ソ」聯なんかでは粗雜な面に於て接着劑でぴたつとくつついて離れないやうになつて居るのに、日本ではもう非常な何「ミリ」と云ふやうな面の凸凹まで喧しく言つて、さうして之を粘り着けても中々粘らない、其の爲に航空機に使ふ所の木材と云ふものは十何「パーセント」より留らないと云ふやうな、さう云ふ無茶な木材消費をやつて來て居たのであります、でありますから如何に此の面に於ける所の日本の科學的な水準と云ふものが低いかと云ふことが分るのでありまして林業試驗場なり或はさう云ふ試驗場の試驗と云ふものが、單に「フラスコ」なり、試驗管の中に於ける試驗でなくて、直ちに是が企業の面に直結して、さうして企業の上に是が活かされると云ふやうな形に於ける木材化學の研究と云ふものがもつと進まなければいかぬ、又然り物理的、化學的な處理の方法に於きましても、航空機に於きましては木製航空機を作るのであるが、木材を取扱ふ所の技術者と云ふものが殆ど金屬飛行機の技術者が之に携はつて居る、さうして木材の性質と云ふやうなものを全然無視して、金屬的な考へ方に立つて之を取扱ふと云ふやうなことで、無茶苦茶なことをやつて居たのであります、斯う云ふ物理化學的な處理をすることに付きましては、森林關係の技術者がもう少し研究の視野を廣めて、分野を廣めて、此の面に進出して、さうして木材を少い生産で厖大な需要に應へると云ふやうな根本的な態勢と云ふものを此の場合に確立する必要があるのではないか斯う思ふのであります斯う云ふやうな態勢が非常に閑却されて居るのでありますが、の所是等に對する當局見を承りたい
尚ほ木材の乾燥場が殆ど日本にないのでありまして、生木で天然乾燥で之を使ふと云ふやうな状態でありますから「スチーム」を通すやうな部屋に於ける所の家具調度と云ふものは、殆ど日本のものでは間に合はぬと云ふやうな状態にありまして、組合に於ける所共同施設として、或は國營として、斯う云ふやうな乾燥場等の増設も必要であらうと思ふのであります、是等の事柄に對して一括御答辯を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=42
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043・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、製材の集約化、歩留りの向上の點に付きましては、全く同感でありまして、此の點に付きましては從來とも——戰爭中は一寸停止を致した状態にあつたのでありますが、從來とも十分留意を致して居つた點でもありまするし、今後は木材資源の不足の際でもありますから、斯う云ふ集約化を圖りまして、資源の節約を圖ることは御説の通りでありまするので、政府と致しましても此の點に付ては今後十分指導を致して行きたいと考へて居ります
又次の木材利用の高度化に對する試驗の問題でありますが、此の試驗施設の擴充強化に付きましては、當局と致しましても相當考慮を致して居りまして、今年度は約四百萬圓程度の經費を以ちまして、此の増強を圖る考へで居るのであります、尚ほ乾燥場の増設の點でありますが、此の點は乾燥場不足の爲に今の合板竝に床板等の生産が思ふ通り出來ないと云ふ點もありまするし、更に又家具用材の資材として乾燥場不足の爲に十分供給が出來ないと云ふやうな點もありまするので、此の増設に付きましては十分考慮を致して居るのでありまするが、何と申しましても、鐵管其の他の資材の關係で思ふ通り行つて居りませぬが、今後此の増設に付きましては尚ほ一層努力致す積りであります、どうぞ御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=43
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044・永井勝次郎
○永井委員 次は消費の面に於ける合理化でありますが、消費の面に於て我が國で一番考へなければならないのは燃料政策であると思ふのであります、是程貧窮して居る木材資源に於て木炭をどんどん燒く、さうして其の木炭で、家庭燃料にするばかりでなくて、自動車其の他の輸送の面に之を「ガソリン」代用としてどんどん焚いて居る、此のやうなことで、此の燃料政策を今日の儘でやつて行きますならば、此の狹い林野に於て是だけの需要に應へて行くと云ふことはどうしても出來なからうと思ふ、斯う云ふ面に於て之を切捨てて、油に之を轉換するとか、或は家庭燃料を出來るだけ電化して、木炭の消費を節約するとか、斯う云ふ點をもつと綜合的に根本的に政策を確立して、是等の消費の節減を圖ると云ふ風な方面に進まなければならぬと思ふ、唯口の上で研究するとか何とか言つたつて、具體的に一歩も前進して居ないのでは、此の解決の途にはならないのである、又此の木材の加工の面に於きましても、例へば玩具のやうな小さな材料で宜いものは色々な經營を多角的に致しますると、さう云ふものは工事の過程に於て屑が澤山出來て來る、其の屑を集約化して行けば、玩具の如きは幾らでも出來る、それに現在では玩具には玩具としてやはり立派な材を流してある、桶には桶にちやんと流して居る、家具調度には家具調度の統制組合に立派な材を流して行く、さうして此のそれぞれの統制の面に於ては、玩具を作る者は玩具より考へない、農機具を作る者は農機具より考へない、さうして無駄になつたものはどんどん燃料に落して行つたり無駄にしてしまつて居る、斯う云ふやうなことを放任して、底拔けにやつて置いて、生産をどんなに考へたつて、是は出來るものではない、斯う云ふやうな面に本當に本腰を据えて、地味な仕事ではあるけれども、具體的に斯う云ふ面から盛り立てて行かなければ、綜合した木材需給の調整にはならぬと考へるのであります、是等に對する御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=44
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045・中尾勇
○中尾政府委員 只今の消費節約に付ての御意見御尤もと存じます、又此の燃料政策に付きましても、御説の通りの時節が早く到來することを望んで居るのでありまするが、只今の情勢から見ますると、ここ當分は今の家庭燃料——輸送用の燃料の方は幾分緩和出來るかと思ひますが、家庭燃料の方は當分の間はまあ致し方ないかと存じます、併し御説の通りに油とか或は家庭燃料も、是は電化すると云ふやうな時期の早く來ることを現在の我が國の蓄積の關係から見ましても、私も希望を致して居る次第であります、尚ほ加工方面の資材の消費の節約の點、是も御尤もと思ひますし、此の方面に向ひまして、政府と致しましても十分指導努力致して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=45
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046・永井勝次郎
○永井委員 次は此の木材生産に於ける金融の問題でありますが、御承知の通りに林業に於ては多額な資金を必要とし、之を長期に亙つて寢せねばならないと云ふやうなことで、仕事の方面に於きましては非常に此の金融に業者は困窮致して居るのであります、さう云ふやうな所から致しまして、戰時中に於きましては、三井であるとか、三菱であるとか、王子であるとか、或は炭礦汽船であるとか、斯う云ふやうな大きな資本が傘下の弱小企業家に金を貸しまして、さうして之を金融的に操作し、それ等の事業全體を搾取の對象としてやつて來た、斯う云ふ實情であつたのでありますが、是が地木が取つて代つて、さうして從來林業界に於ける所の大きな資本との腐れ縁を絶ち切つたのでありますが、今後又日木、地木がなくなつて、金融の面を考慮することなく放任して置きましたならば、再び斯う云ふ形が出て來る、又日木は解散するのでありますが、農林當局の積極的な指導に依つて商事會社として是が殘つて行く、さうして此の地方業者に於ける所の金融の面もちやんと日木は心得て居るのでありますが、之を生産の面に於て金融的に支配する手を伸ばして來るのではないかと云ふ懸念がある、又現在地方に於きましても地方の資本家が弱小業者に金を貸して、さうして此の頭を刎ねて居る、斯う云ふ實情が既に澤山出て來て居る、此のやうに致して行きますならば、林業界の民主化と云ふことは、金融の面から考へただけでも、是は到底出來ないことであり、搾取の事實と云ふものが一層強化されて行く態勢に進んで行くと私は考へるのであります、でありますから今日に於て金融の問題を積極的に解決する途を考へて行かなければならぬ、農林中央金庫其の他に於ける所の融資其の他に付て當局はどう云ふ風に之を考へて居られるか、金融政策に對する全貌を明確にして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=46
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047・平川守
○平川政府委員 御説の通り此の林業或は林産業に關しまする必要な資金と云ふものは非常に大きな金額に上りますので、御話の如き弊害を防ぎまする意味に於きまして、今回の林産組合なり或は林業會なりと云ふものを中央金庫に參加せしめまして、中林金庫と致しましても、積極的に是等の事業資金に對しまする融通を圖る、斯う云ふことに諒解を央て居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=47
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048・永井勝次郎
○永井委員 又生産を確保する爲には資金と竝んで資材の點が重要になる譯でありますが、昨年の實績を見ましても、資材の割當は或る程度の量を取つて居るのでありますが、それがどう實行されたかと云ふことは、實績を見ると殆ど「ゼロ」のものもあり、又何十分の一と云ふやうなものもある、何と云つてもああ云ふ原始的な生産技術の現在の状態でありますので、鋸なら鋸、鉞なら鉞、斧なら斧と云ふものがなかつたならば、手では伐れないのでありますから、是は生産が出來ない、履物にしてもさうであります、さう云ふ點で業者の連中は非常に困つて居る譯でありまして、是は要するに資材とか資金とか、斯う云ふ點に於きましても、是が重要産業の一つになつて居ない爲に第二次、第三次的の取扱になつて居り、十分な仕事の能率を上げることが出來ないと云ふ現状に置かれて居るのであります、そこで、資材、資金、食糧其の他も加はつて來るのでありますが、是を第一種業種に指定する御考へがあるかどうか伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=48
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049・中尾勇
○中尾政府委員 資材の方の前年度の實績が非常に不良でありましたことは遺憾でありますが、是は戰爭後全面的に資材が不足であつた爲に、此の林業用の資材も入手が困難であつたのであります、唯本年度は只今の所綿製品は極度に逼迫致して居り、又鐵線、針金、「ワイヤー」と云ふやうなものは、幾分入手難のものはありますが、其の他のものは大體潤澤になりつつありますので、本年度は大體供給も出來るかと考へて居ります、唯只今の第一種業種に指定の御話でありますが、其の點はまだ考へて居りませぬので、尚ほ研究致しまして善處致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=49
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050・永井勝次郎
○永井委員 當局が如何に資材を十分に配給したい、金融を付けたいと申しましても、第一種業種の指定がなければ是は第二次的に取扱はれるのでありまして、十分に其の考へを徹底することが出來なからうと存ずるのであります、此の點に付ては第一種業種の指定と云ふことに特段の御努力が必要であると思ひます
次は價格の問題でありますが、是は經濟安定本部の所管でございませうし、平野委員は膳國務大臣の出席を待つて是等の問題に付て追究せられることでありませうが、私は其の前提としての役割と云ふ程度に於て、此の價格の問題を少し御尋ねしたいと思ふのであります、やはり價格は從來は全國一本で「プール」計算で行きましたが、今度も其のやうに全國一本の考へで行くのか、勿論今度は公定價格でなく、協定價格でありますが、協定價格にしても全國一本の協定で行く考へであるか、或は全國を九つとか十とかの「ブロック」別、經濟地域別に之を分けて、其の「ブロック」別で一つの協定價格を指導して行く御考へであるのでありますか、伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=50
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051・中尾勇
○中尾政府委員 價格の點に付きましては經濟安定本部の方で決定されるものではありますが、只今の御質問に對しまして當局と致しまして考へて居りますのは、全國一本に只今の所は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=51
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052・永井勝次郎
○永井委員 勿論價格の統制は經濟安定本部の所管でありませうが、併し木材に關する主管省としての農林省の是等に對する資料なり、價格形成に於ける役割と云ふものは、其の七、八割までは農林省の所管に基く所でありませうから、其の考へ方を確立して置かなければならぬと思ふのであります、當局は是等の價格を形成する所の主要な因子としてどう云ふものを考へて居るか、之を御尋ね致したい、どう云ふ條件が木材の價格を決定する條件であると考へて居るか、例へば立木の價格をどうするか、勞働賃金の問題をどうするか、或は生産業者の生産「コスト」をどう云ふ風に考へて居るか、需要者の消費能力と云ふものをどの限度に考へてして行くのか、さう云ふものを綜合した上に立つての——それから經濟安定本部の諸物價との綜合的な睨み合せと云ふやうなこともありませうし、さう云ふものを綜合して木材の價格と云ふものが自ら決まつて來るのぢやないか、さう云ふ價格を決定する基礎條件としてどう云ふ事柄を當局は考へて居るか、それを承りたい、漫然と斯う云ふ價格だと云ふ籔から棒の價格と云ふものは生れて來ないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=52
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053・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、御説の通り此の價格の決定は安定本部でやりまするが、其の現局と致しましては、此の價格の決定に對する色々な因子其の他の參考意見は、十分現局と致して申達しなければならないと考へて居ります、尚ほ價格決定の因子と云ふやうな御話で御趣旨ははつきり致しませぬが、兎に角價格を決定致しますには、他の重要物資の價格との關係其の他を睨み合せまして、適當なる所の木材の生産「コスト」も十分之に參酌も致しますし、更に又其の當時に於きまする生産「コスト」に關係致しますものでありまするが、勞務者の賃金の關係であるとか、或は搬出の林道の關係であるとか、色々此の「コスト」を決めます上に於きまして、考へなければならない因子があるのであります、それ等の點を綜合的に考慮致しまして適切な價格を決めなければならないと思ふのであります、尚ほ立木の價格に付きましても、今の逆算方式だけでなく、更に再造林の方面からも檢討致しまして、適當な立木の價格を決めまして、公定價格の因子にすべきだと考へて居るのであります、御質問に對してしつくりした御答辯でないかも知れませぬが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=53
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054・永井勝次郎
○永井委員 政府委員は適當な價格、適當な價格と仰しやるのでありますが、其の適當なる價格が何であるかと云ふことを明確にしなければ、さう云ふ抽象論でははつきりしないのであります、例へば立木の原價計算を、之を森林の再生産としての價格——し得る價格と云ふやうな言葉を御用ひになつたのでありますが、其のやうな森林を再生産する爲に可能な價格を決める爲には、一體植栽と言ひましても色々な條件がありませうし、それを全國を一本のもので取るのか、地域的に取るのか、或は場所的に考へて行くのか、色々なことが適正な價格と云ふものを決定する場合の因子になつて來る譯でありまして、立木の價格を從來の如く逆算式に依らないで、原價計算的に行くのだと斯うするならば、其の原價計算の内容と云ふものは、どう云ふ條件を考へて是が適當だと考へるのかそれから現在の木材價格を決定する所の因子を二、三擧げられたのでありますが、それだけで適正な木材の價格と云ふものは生れて來つこはないのでありますが、色々な價格を決定すべき基礎となる因子としてどう云ふものを現在考へて居られるのか、そこを具體的に示して戴きたい、どう云ふ諸條件を考へて價格を決定して行くのであるか、更に此の際御伺ひしたいのは、價格を決定するには機關と手續はどう云ふ風にして行くのか、例へば經濟安定本部に此の木材價格の決定委員と云ふか、さう云ふやうな委員會と云ふやうなものを設けられるとしますならば、其の委員會の委員の選任其の他はどう云ふ風にしてやられるのか、其の委員の構成はどうなるのかと云ふこと、價格を形成する委員、或は之を決定する機關、手續、方法、一切の事柄に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=54
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055・中尾勇
○中尾政府委員 今の價格決定の因子でありますが、先刻の御質問を一寸履違へた點もありますので改めて申上げます、木材價格決定の因子と致しましては、第一に今の事業費の方の伐木、造材、或は又集材、又此の價格の大部分を占めます所の運材、それ等に分類致しまして、さうしてそれ等に要する大體の石當りの單價を算出して計算するのであります、其の他只今申上げましたものに包含して居りませぬ所の色々の雜費も要りますし、或は金利と云ふやうなものも要りますし、さう云ふ風なものまで全部計上して此の價格の決定を致すのであります、尚ほ又先刻立木の價格も參考の爲に再造林費から計算して見ると申上げましたが、是も御承知の通り國内の森林は御承知の通り地形は非常に複雜でありますし、又林力、林相と云ふものも非常に違つて居りまして、それぞれ別々に計算することは非常に面倒でありますので、大體標準になるやうな、例へば杉で申しますと杉の五十年生で、此の立木の度合が普通密の所で地位が下の所の林分を選びまして、其の林分に於ふる材積を計算し、それから再造林費を計算して、大體の立木の石當りの單價を算出するのであります、それからもう一つ今の經濟安定本部の機關のことでありますが、それもまだ十分承知致して居りませぬので御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=55
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056・永井勝次郎
○永井委員 例へばここ等も常識で考へても經濟安定本部が一方的に、官僚的に價格と云ふものは斯うだと決めると云ふことはあり得ないと思ふのであります、勿論業者も、之を消費する者も、或は之を生産する森林組合關係の者も、色々な關係の人達が集まつて、さうして政府の希望する一つの價格水準と「マッチ」させて是は査定されるものであらうと考へるのでありますが、其のやうな場合何も考へて居ないと云つても、それは問題は全然經濟安定本部に任せ切りで俺等の方は知らぬと、斯う云つて居られるのですか、少くとも木材の價格を決めるには、是だけの機關は必要である、是だけの手續は履まなければならぬと云ふ農林省としての御考へがあるべき筈であると、斯う思ふのでありますが、それは全然考へて居ないと云ふことはどう云ふ譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=56
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057・中尾勇
○中尾政府委員 只今申上げましたのは、考へて居ないのでなく、今の厚生省の方でどう云ふ機構になつて居るかまだ私が知らないと云ふことを申上げたのでありまして、原局となしましては勿論此の價格に對しましては十分の念査を致しまして、之を安定本部の物價廳に出しましてからも、此の點に付きまして十分論明もし、又努力も致す積り居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=57
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058・平野増吉
○平野委員長代理 本日は此の程度で、次會は明二十八日午前十時から開會致したいと思ひます、是にて散會致します
午後零時二十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X00619460827&spkNum=58
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