1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年八月三十一日(土曜日)午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 平野増吉君 理事 氏原一郎君
大井直之助君 太田秋之助君
本名武君 武藤常介君
町田三郎君 永井勝次郎君
林田哲雄君 的場金右衞門君
飯田義茂君 井出一太郎君
磯田正則君 圖司安正君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 是より開會致します——井出君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=1
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002・井出一太郎
○井出委員 昨日に引續きまして若干の補足的な質問を致したいと存じます、林業會法第一條、是も屡屡問題になつた所でございますが、林業とは何ぞや、或は林産物とは何ぞや、此の範疇がはつきり致しませぬと、本法に依る所の林業政策自體の基礎がぐらつく、斯う云ふ風な意味に於てもう一遍此の定義と申しませうか、之をはつきりと當局から承つて置きたいと思ふのでございますが「木材その他森林から産出する物」斯う云ふ風に規定してございますが、先般來屡屡薪炭が林産物の中へ入らないのかと云ふ質問が委員から出て居ります、是は常識から考へまするならば、當然薪炭は林産物である、農業會が之を取扱ふからと云つて、是が農産物であると云ふのはどうも「ロヂック」が合はない、斯樣に思ふのでありまして、現在の機構として農業會と云ふものが非常に厖大なる勢力を持つて居ると云ふ風なことからして、此の既存の權利に對する侵害と云ふ風な意味から遠慮があるのではないか、本來ならば當然木炭、薪木と云ふものは林業會が扱つて然るべき筈でございます、此の點に付きまして、さう遠くない將來に、或は此の林業會法が軈て修正をされると云ふ時期があるやうに伺ひ及んで居ります、さう云つた際には此の薪炭と云ふものを、林業會が一元的に取扱ふと云ふ風な方向に向つて是正する御考へを、御持合せになつて居られるかどうか、之を一點伺ひたいのでございます、それから林産物と云ふ場合に竹材はどうなるか、或は杉、檜の皮と云ふ風なものも相當な分量に上ると思ひますが、是も林産物の範疇に入るかどうか、それから木材と申しましても、其の中例へば單板、合板、「フローリング」、仕組板、和樽材、こんなものがございますが、斯う云ふ物も一應此の中で規定する林産物と云ふ物の内容をなすものであるか、それとも寧ろ加工の面である、或は消費乃至需要と云ふ風な部面に入るものである、斯う云ふやうな御見解を持たれるか、其の邊の所を最初に伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=2
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003・中尾勇
○中尾政府委員 御答へ致します、薪炭は當然林産物でありまして、唯差當り木材だけに付て考へて居りますのは、先般來色々御説明致した通りでありまして、薪炭に付きましても先般御答へ致しましたやうに、只今關係方面と折衝も致して居りますので、大體折衝を遂げまして、共の内指定することに相成ると存じます、尚ほ竹材も勿論是は林産物であります、又杉皮の如きもやはり特殊林産物として取扱ふことに相成るのであります、又單板、合板と申しますのも、やはり林産物として取扱ふ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=3
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004・井出一太郎
○井出委員 本法の規定の如く、主務大臣が指定すると云ふ風な行き方はどうも民主的でない、斯う考へるのでありまして、本法で國に於て其の内容を判然せしむると云ふことは必要なことでありまするが、只今の局長の御意見で、大體私の考へて居るやうなものは、林産物と云ふ範疇に屬すると云ふ風に了承を致しました、之に關聯致しましてもう一つ伺ひたいことは、木材の需要者と云ふ風なものの團體を、此の林業會の會員として包含すると云ふ風なことに相成りまするならば、本法第一條の目的の中に、單なる生産の確保及び配給の適正と云ふことばかりでなしに、林産物の使用又は消費と云ふ風な文句が入つて來る必要がありはせぬか、斯樣に考へまするが、此の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=4
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005・平川守
○平川政府委員 林業會の目的と致しましては、林産物の生産配給の適正と云ふ所にあるのでありまして、唯之に關聯を致しまして需要者の團體と云ふものも、非常に密接な關係を持つて居りまする關係上、會員には入れ得る、併し會員になりましても、本來の森林組合、或は林産組合とは多少其の性質を異にする會員でありまして、森林組合及び林産組合は、是が加入を致しませぬければ、林業會を成立し得ないことになりまするが、需要者團體は稍稍是とは異なる意味に於て參加を認める、是は林産物の生産及び配給と密接なる關係を持つて居るからと、斯う云ふ風に御考へを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=5
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006・井出一太郎
○井出委員 只今の御答辯でさう云つた團體は第二義的なものである、斯樣に私も承知致すことに致します、次に第三十條でございますが、林業委員會と云ふ規定がございます、是は此の條文だけを見ますると日本林業會に對しての林業委員會を置く、斯う云ふ風に解釋されますが、別に配付を戴きました林業會の定款雛形を見ますと、やはり都道府懸林業會に於ても、是が存置を許されると云ふことになるやうに考へて居ります、と致しまするならば、是は寧ろ都道府縣の林業會の林業委員會と云ふものも、本法へ成文として入込むことの方が望ましいと思ひまするが、如何でございませうか、さうして若しさう云ふことであるならば此の法文の中へ日本又は都道府縣林業會と云ふ風に入れさへすれば、都道府縣にも林業會委員は置けると云ふことになりますが、此の修正點に對する御見解を伺ひたいのでございます、それから尚ほ併せまして此の林業委員會の構成「メンバー」が、凡そ何人位のものであるか、其の構想がおありでありましたならば、是も併せ伺ひたいのであります、それからもう一つ、一九四六年六月二十六日附のG・H・Qの指令にございます、確かに其の一の(ロ)と云ふ點に記してございますが、諮問機關と云ふ言葉が出て參ります、此の林業委員會は此のG・H・Qの指令に基く諮問機關に相當するものであるか、斯樣に考へて宜しいかどうか、以上を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=6
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007・平川守
○平川政府委員 林業委員會に付きましては先般も御答へ致したのでありますが、此の第三十條と第三十一條と云ふものが、密接な關係がある譯でありまして、此の林業委員會を置きます目的は、日本林業會が政府に對しまして、林産物の生産配給等に關して意見を述べる權能を持つて居ると云ふ、三十一條の規定と關係を持つて居る譯でありまして、日本林業會が政府に意見を述べるに際しましては、此の林業委員會に諮問を致しまして、其の上で政府に意見を述べると云ふことになつて居る譯であります、政府に林産物の生産配給等に關して意見を述べる機關と致しましては、是は日本林業會が適切なのでありまして、都道府縣林業會が、直接に政府に對して意見を述べると云ふことは妥當ではない、さう云ふ意味に於きまして、日本林業會に林業委員會を置くと云ふことを茲に書いたのでありますが、併し都道府縣林業會に於きましても、色々生産配給等に關しまして關係各方面の意見を聽くと云ふ機構を持つと云ふことは、是は適切であらうと思ふのであります、さう云ふ意味に於きまして、政府に意見を述べると云ふ機關でありませぬから本法には載せませぬけれども、定款等に於きまして、林業委員會を設けると云ふことは適當であらう、斯う云ふ風に考へまして定款の中に入れた譯であります、それから委員會の構成の員數等に付きましては、是は日本林業會の自主的に御決めになることでありまして、政府と致しましては別に之に對して特別に、何人位が宜からうと云ふことを指示致すのではございませぬのであります、凡そ三十人なり其の邊の數になるのではなからうかと云ふ風に考へますけれども、之に付きましては林業會の自由に決める所であります
それからG・H・Qの指令の中にある諮問機關と云ふのが、此の林業委員會に當るかと云ふことでありますが、あの諮問機關と云ふ言葉は、「アドヴァイズリーボディー」と云ふやうな言葉になつて居るのでありまして、是は日本林業會其のものが其の機關であると云ふ風に考へて居る譯であります、隨ひまして此の三十一條に日本林業會が政府に對して意見を述べる、此の日本林業會と云ふものが、民主的に地方の各團體から盛上つて參ります機構でありますから、さう云ふ機構をして政府に意見を述べしむるやうにと云ふやうな指令の趣旨なんであります、唯其の場合に、日本林業會の政府に對する意見具申の際の參考意見として、各方面の意見を廣く採り入れると云ふ機會を與へる爲に、林業委員會と云ふものを作ると云ふことに致したのであります、林業委員會其のものは所謂諮問機關ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=7
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008・井出一太郎
○井出委員 其の次に林業會の役員の問題でございますが、是は日本經濟民主化の要請に基いて本法が出來たものであると致しまするならば、此の役員の選任はやはり最も民主的に行はなければならぬと思ふのであります、其の爲には下から積上つて行くと云ふ風な方式に依つて、謂はば都道府縣の林業會の役員は、それを構成する單位組合の中から之を求める、又日本林業會はやはり同樣に其の構成「メムバー」の中から選ばれると云ふ風な仕組が、最も望ましいと思ふのであります、所が此の程來平野議員でございましたかの御發言中に、やはり何か話題の人があると云ふ風なことにも伺つて居りますし、又一面斯う云つた機關が農林官僚の姥捨山と云ふ風な形に於て、例へば藷類の統制會社が非難されて居りますやうに、或は日本肥料統制會社がさうであると同じやうに、此の日本林業會も亦左樣な天降り人事に依るものではないかと云ふ疑を持たれて居るやうにも聞及びます、殊に第十四條でございますか、特別の事情あるときは役員は前項に該當しない者の中から云々と云ふやうな別個の規定がありまして、どうも何か是が臭いと云ふやうな感じを懷かせるのであります、どうか當局としては此の際最も民主的に此の人事を行ふのだと云ふ言明を戴きたい、斯樣に思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=8
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009・平川守
○平川政府委員 是は申上げるまでもなく民主的に、會員たる法人の業務を執行する役員又は會員の中から選ぶのでありまして、之に對しまして官廳の方で指圖をすると云ふやうなことは致さない積りであります、唯此の十四條の末項にありますのは、會の役員の中には、例へば事務を擔當して居りました者の中から選ばなければならぬ、事務の運行上、さう云ふものの中から役員の一部を選ばなければならないと云ふやうな場合もあらうかと思ふのであります、さう云ふ意味に於て、會員たるもの以外からも選び得る、其の事務員の中から理事者の一名なり、二名なりを出すことも出來る、斯う云ふ意味に於て、是は大體團體法にありまする所を踏襲致したのであります、決して是はさう云ふ天降り式のことをやらうと云ふ意味ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=9
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010・井出一太郎
○井出委員 了承致しました、其の次に地木、日木の清算に當りまして、現在の考課状が參考書類として配付戴いて拜見致しました、此の中で問題になりますのは、立木、素材或は製材、斯う云ふ風な勘定が相當問題であらうと思ひます、此の評價は可なりの含みがあるものだらうと私は推定を致します、此の中立木は元の持主に返されると云ふやうな御方針のやうに聞及びましたので、是は宜いと致しましても、手持素材或は商品としての製材と云ふものは、其の後公定價格の變更などもございまして、莫大な生産評價益と云ふやうなものが出る筈だらうと思ふのであります、斯樣なものは統制會社でありまする關係上、或は政府の特別な歳入として徴收をすると云ふのも一つの方法でありませう、もつと願はしいことは、斯う云つたものが山林資源の培養と云ふ意味に於て、元の山へ何とか還元する方圖がありはしないか、此の點政府の御見解を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=10
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011・平川守
○平川政府委員 地木の所有する素材に付きましては、價格の引上と云ふのは昨年の十一月にやりました、其の際には御承知の如く地木の手持材を、住宅營團及び日木に前の公定價格で引渡さしめたのであります、隨ひまして地木は其の爲に價格の値上りに依る利益と云ふものは得て居らない譯であります、現在持つて居りますものは、それ以後の伐採に係るものでありまして、隨ひまして、御話の如き評價益と申しますか、價格値上りに依る利益と云ふものはないものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=11
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012・井出一太郎
○井出委員 それでは次の問題と致しまして、第四條の第一項の三號でございますが、林産物の檢査を今後は林業會が主として擔當致す、斯樣なことに相成りますると、從來府縣の林務課と云ふやうなものが、所謂官の立場に於て行つて居りました檢査は、一應林業會の民主的な檢査に移行する、斯樣に考へて宜しいでありませうか、さうして又其の場合に、所謂官吏の身分でありまする所の林業檢査員と云ふものは一體どうなるのか、是が林業會へ民間人として引繼がれることになるのか、或は行政整理と云ふやうな形にでもなるものであらうか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=12
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013・平川守
○平川政府委員 此の檢査に付きましては、現在の縣營の檢査を直ちにこちらに移すと云ふことは、實際問題として困難であらう、自治團體でありますから、將來實力が充實を致しますれば、之をして行はしめることが出來まするやうに法文の上には書いて居るのであります、現在直ちに懸營の檢査を全部そちらに振向けると云ふことは、一寸困難だらうと思ひます、漸次林業會の實力が付いて參りますれば、そちらの方に檢査を行はせて宜いと思つて居ります、差當り御話の如く直ちに行政整理をやつて、檢査員の身分をそちらに移すと云ふことまでは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=13
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014・井出一太郎
○井出委員 それから普通議員と特別議員との間には、資格權限と云ふやうなもの、乃至は表決權と云ふものに差異があるものでありますかどうか、それから役員たり得る權能なども如何でありませうか、此の點伺ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=14
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015・平川守
○平川政府委員 議員と特別議員の間に於きましては、決權の差異はございませぬ、唯其の選任の方法が稍稍違ふのでありまして、特別議員は議員の集まつた總會で選任をさせることになるので、一般の議員は各各其の參加團體に於て選出をして參ると云ふ、選任の方法が違ふ譯であります、一且選任されました以上は、議決權は全く同樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=15
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016・井出一太郎
○井出委員 大體以上を以て質問を打切りたいと思ひます、最後に是非強調を致して置きたいことは、昨日も此の問題に付ては觸れたのでありますが、本法を見ますと、森林組合に對する措置が少しく片手落ちである、是は私の感じばかりでなく、多くの委員諸君からさう云ふ風な指摘があつたのでございます、森林組合が現在力がまだ充實して居らぬと云ふ風な政府の御見解もありますが、是は今後とも十分に指導育成を致しまして、森林組合と云ふものの實力を付けると云ふ風な方向へ推進せしめられたい、さうして森林組合が森林法と云ふ別個の法規に規定されて、林業團體法である所の林業會の中へ入つて來ないと云ふのは、どうも不自然であると思ふのであります、斯樣な點を成べく急速に統一綜合されるやうに、切に希望致しまして私の質問を打切ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=16
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017・森幸太郎
○森委員長 圖司君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=17
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018・圖司安正
○圖司委員 私は林業會法の各條に從ひまして少しく御質問致したいと思ひます、先づ此の法律の第一條に謳つてあります「林業會は、會員が協同して」とございますが、此の法律を通觀して參りますと、一體此の法律と云ふものを制定致しました御當局の思想的基盤が何處にあるか、即ち資本主義的な考へ方に據つて居るものか、或は又協同組合主義的な考へ方に據るか、それとも社會主義的な考へ方をも採用されたかどうか、其の點御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=18
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019・平川守
○平川政府委員 何れの主義かと云ふことを、はつきりと申上げることは困難でありますが、基盤は現在の資本主義の基盤を一應肯定致します、併し會員が自治的に、協同的に、林業に關する各種の仕事を發展せしめると云ふ意味に於て、協同の力と云ふものを助長して參りたい、斯う云ふ考へを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=19
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020・圖司安正
○圖司委員 次には「自主的に林業の改良發達」云々と云ふことがあります、其の自主的と云ふ意味でありますけれども、勿論是には政治的な活動と經濟的な活動とを意味するものと思ひますが、經濟的な活動の面に付きましては、相當に此の法文に規定がありますけれども、政治的な活動、詰り公定價格の決定に參與するとか、或は規格をどうするとか、或は税の問題をどうするとか、其の他色々な所謂政治的な活動も、林業會としては必要な事項であらうと思はれます、成程公定價格の面に於きましては、林業委員會に於て諮問を受ければ、之に答申することが出來ると云ふ規定がございまするけれども、それ以外には林業會として自主的な活動と云ふ點に於ての規定は見受けられませぬが、其の點は如何なものでございませうか、即ち林業會の政治的な活動と云ふことは、此の法文内に於てなすことを許す、斯う云ふ御趣旨でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=20
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021・平川守
○平川政府委員 政治的な活動と云ふことに適切に當嵌るかどうか分りませぬが、此の林産物の生産なり或は價格なりの問題に付きまして、林業會は積極的に政府に對して意見を述べ得るのでありまして、それが第三十一條の第一項に明記してある譯でありまするから、此の條文に依りまして林業の改良發達上必要であると云ふ風に考へますることは、積極的に政府に申述べることが出來る、唯其の場合に於て林業委員會の意見を諮問致しまして、其の上で林業會が意見を述べると云ふのでありますから、日本林業會は、此の條文に依つて是がはつきりと出来るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=21
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022・圖司安正
○圖司委員 第一條には自主的に林業の改良發達、林産物の生産確保、配給の適正化と云ふやうなことを謳つて居りながら、第四條の第二項を見ますると云ふと、極めて重要な施策と云ふものが、即ち林業會の根本とでも言ふべき是等の生産及び配給に關する割當であるとか、或は價格統制に關する政府の施策に對する協力であるとか、或は又必要な物資の割當と云ふやうなものが、殆ど政府の手に依つて握られて居ると云ふことは、是は一體どう云ふ趣旨なのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=22
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023・平川守
○平川政府委員 「自主的に」とありまするけれども、併し此の價格なり、或は生産配給の問題は國全體の經濟に關係のある問題でありまするから、是はどうしても政府が全體を見た見地に於て大きな方針は決めなければならぬ、併し其の大きな方針の下に於て、具體的に林業の改良發達、或は林産物の生産配給の適正を圖ると云ふ具體的の仕事は、自治的に林業會をして出來るだけ行はして行かう、而も中央政府の方の政府の決定に付ても、出來る限り林業會の意向を採り入れよう、斯う云ふ考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=23
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024・圖司安正
○圖司委員 さうしますると、主導權は飽くまでも政府が握つて居られまして、些末的なことだけを林業會に任せると云ふ趣旨なのではございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=24
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025・平川守
○平川政府委員 些末的なことと云ふ譯ではありませぬが、國の大きな方針と云ふものは、是は政府がどうしても決めなければならぬことである、唯政府が決めるに際しまして、林業會の意向と云ふものは十分に聽き、其の上で又之を實行するに際しましては、林業會の自治的な活動に依つて實行して行かう、出來るだけ自治的な活動に依つて行かうと云ふのでありまするから、些末的なことと根本的なことと云ふのではなくして、大きな政策を決めますことは政府がどうしてもやるが、併し其の政策を實行することは林業會が自治的にやって行く、斯う云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=25
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026・圖司安正
○圖司委員 さうしますると、政策の決定竝に指導監督と云ふやうな行政面は、政府が飽くまでも握つて居られ、實際に於て此の林業會の目的を果さんが爲の色々な事業と云ふものは、民間をしてやらせることを本體とすると云ふ御趣旨でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=26
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027・平川守
○平川政府委員 其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=27
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028・圖司安正
○圖司委員 森林法の第六十二條を見ますると、森林生産の保續を圖ると云ふことを大きく謳つて居るやうでございまするが、林業の改良發達と云ふ所謂本法の目的とする事項が、此の森林組合をして是と併行的にやらすことに依つて、或は森林組合の活動に依つて、十分達成し得ると云ふやうなことではございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=28
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029・平川守
○平川政府委員 森林組合の目的とする所と、林業會の目的とする所とは固より重複を致す譯であります、森林組合は森林生産の保續を圖ることを主目的と致しまして、それに必要な事業をやって參る譯であります、林業會としては固より森林生産の保續を圖ることは、林業の改良發達と云ふ中に入る譯であります、唯此の目的を達しまする爲には、森林組合だけでは必ずしも萬全でない、同時に所謂林産業者等の協力も得なければ此の目的は達成しない、そこで此の兩者の協同を圖ります爲に、兩者を合せて林業會と云ふものを構成しよう、斯う云ふ考へ方であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=29
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030・圖司安正
○圖司委員 さうしますると、森林法の七十條でございまするが、出資をした森林組合は「森林産物の運搬、加工、保管及販賣に關する施設を爲すことを得」と、共の第二項の第一號に謳つて居りまするけれども、此の第二項第一號の所謂森林組合の事業目的とする所とが、殆ど重複して居るやうに見受けられるのでございますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=30
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031・平川守
○平川政府委員 森林組合の本來の目的と致しましては、森林生産の保續を圖ると云ふ所にあるのでありまするが、併し其の保續を圖る爲には、同時に出資を致して、斯樣な組合員の生産物の共同加工販賣と云ふ所まで行ふことが適切であると云ふやうな場合も、相當あらうかと思ふのでありまして、さう云ふ場合に備へまする爲に、第七十條の方で斯う云ふことも森林組合はやらうと思へば出来る、斯う云ふ風に規定致したのであります、併しながら現在の實情に於きまして、總ての森林組合が此の仕事を完全に隈なく行つて居るかと云ふと、さう云ふ實情でありませぬ、隨ひまして此の林産物の加工販賣と云ふことを專業と致して居りまする業者と云ふものが、多數存在して居る譯であります、是は同じことを兩方がやることになりますが、併し現實問題として、兩方に之を認めて行かなければならぬと云ふ實情にあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=31
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032・圖司安正
○圖司委員 第七十條に依る事業を營んで居る組合と、それから斯うした事業を營まない組合との比率はどの位でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=32
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033・平川守
○平川政府委員 現在一寸はつきりした數字は覺えて居りませぬから、後程調べまして御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=33
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034・圖司安正
○圖司委員 森林法の第七十條に依りますると、「森林産物」と云ふ字句を用ひて居られますが、此の第一條には明かに「林産物」とございます、其の差異は何處にあるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=34
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035・平川守
○平川政府委員 是は別に差異はございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=35
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036・圖司安正
○圖司委員 それでは同一に解して差支へないですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=36
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037・平川守
○平川政府委員 差支へございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=37
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038・圖司安正
○圖司委員 さう致しますと森林法第五章の規定をずつと讀んで見ますと、此の規定は戰時中の規定でありますが故に、強制的な色彩が非常に濃厚なのであります、所で林業會法は民主的な法律の建前を主として居られるやうでございますが、此の強制的な所謂官治政策とでも言ひませうか、さう云ふ色彩の濃厚な森林法の第五章の規定を、御訂正になる御意思はないものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=38
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039・平川守
○平川政府委員 森林組合の方は施業の協同と云ふやうなことを、どうしてもやらなければならぬのでありますので、差當り此の第五章を修正する意思は持つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=39
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040・圖司安正
○圖司委員 差當りは難かしいかも知れませぬけれども、先般來同僚諸君に依つて其の法案と云ふものが極めて片手落である、少くとも森林組合に關する限りは、此の法條の中に規定を缺いて居る、是が此の法の缺陥であると云ふやうなことを御指摘に相成つて居りますけれども、さう致しますと、何れ本法が改正になります其の際に、此の森林法の第五章の規定を修正致しまして、此の中に織込まれる御意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=40
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041・平川守
○平川政府委員 差當りは修正致す考へは持つて居りませぬが、將來尚ほ研究致しまして必要があれば修正致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=41
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042・圖司安正
○圖司委員 若しさう云ふ時が參るものと致しまして、此の森林法の七十條と、それから本法の六十六條以下の林産組合に關する規定、之を纒めまして、寧ろ其の際には森林組合をして林産組合に行はしめんとするやうな事業まで、所謂林材一貫作業の建前の上に、御修正に相成る御意思はございませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=42
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043・平川守
○平川政府委員 先程も申しましたやうに、現實問題と致しまして森林組合が全部是等の仕事をやり得れば、是も一つ考へ方かと思ひますが、併し實際問題としてそれは當分望めないことではないか、森林組合の發達に付ては我我も努力致しますけれども、併し實際問題として林産物が圓滑に生産され、圓滑に配給されると云ふ結果にならなければならないのであります、恐らくは當分の間は、兩建で行くと云ふことにならざるを得ないではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=43
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044・圖司安正
○圖司委員 所で此の森林組合と林産組合と云ふものとは、本質的に利害相反するではないかと思はれるのであります、此の利害相反する所の二つの組合を林業會が擁して、之を圓滑に運營致して、生産竝に配給の面に於ても、互ひに摩擦のないやうに事業運營をやつて行くと云ふことは、實に困難なことではないかと思はれるのであります、寧ろ一歩を進めまして、森林組合に原始生産から加工生産まで、林材一貫作業をやらしめた方が、寧ろ今後の森林行政の上に望ましいことではあるまいかと思はれるのでありますが、此の點如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=44
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045・平川守
○平川政府委員 其の困難なることは我々も全く御同感でありまして、是は容易なことではないと思ひます、思ひますけれども、さればと言つて一方の現實の問題として、林産物の生産配給に相當の實力を持つてやつて居る者を無視致すことは出来ないだらうと思ひます、隨ひまして森林組合が一貫的に林産物の生産から配給までやると云ふことも結構でありますけれども、併しそれは其の實力が具はつた時にやるべきことであつて、現在の建前としては飽くまでも現實に立脚致しまして、兩建で行く、隨て此の兩者の間の調整と云ふことは非常に難かしいことではあるけれども、之に努力を致すと云ふ以外には適切な方法がない、詰り非常に困難ではあるけれども、斯う云ふ制度が現在の問題としては最善ではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=45
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046・圖司安正
○圖司委員 成程さう云ふ考へ方もあられると思ひますけれども、製材業者或は木材業者の擔當致して居りまする其の部門——森林組合の中に製材部門或は木材部門と云ふものを置きまして、さうして其の部門を其の道の堪能者に擔當せしめると云ふやうな考へ方もあると思はれるのでありますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=46
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047・平川守
○平川政府委員 さう云ふ考へ方もあり得るかも知れませぬが、併し森林組合はやはり森林所有者が中心になつて、造林其の他林産物の資源の保續と云ふ大きな役目を一方に持つて居る譯であります、餘りに目的が多岐に亙りますことは、却つて團體としての力を弱めることになりはしないかと思ひます、森林所有者は所有者としての、他の者の持たない一つの大きな目的を持つて居るのでありますから、是は一つ是だけの單位で纒める、併し同時に林産物の生産なり加工なりと云ふ面にも關聯を持ちまするから、さう云ふ意味に於て是等を專業として居りまする人人を、何等かの形に於てもう一度繋がると云ふやうな、現在の本案の如き二團體の結成と云ふことは適切ではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=47
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048・圖司安正
○圖司委員 森林所有者と云ふものは、所謂一番原始的な役割を果して居る譯であります、謂はば下積になつて居る譯であります、森林組合に對して森林所有者は賦金も納めなければならぬ、更に又林産組合に對して、公定價格の開きもありませうし、或は賦金とか、手數料とか云ふ形に於ての經費の負擔をしなければならぬと云ふことになりますと、森林所有者が製材業者、或は木材業者の手を放して、其の林木が市場の價格を持つまでには、一體どの位其の間の開きを當局は見て居られるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=48
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049・平川守
○平川政府委員 具體的の數字を只今申上げることは困難でありまするが、併し此の團體の經費と云ふものは極めて微細なものでありまして、勿論立木の價格と製材になつた場合の價格とは、それは大變な開きになるのは當然なことであります、所謂途中に團體が存在する爲に開きが生ずると云ふものは、是は所謂經費として賦課せられる程度のものでありまして、事務費等に充てる程度のものであります、此の二つの團體が存在する爲に、森林所有者の負擔が非常に多くなると云ふことはないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=49
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050・圖司安正
○圖司委員 實際に於きましては、其の間公定價格の面、或は又當局の御考へになつて居りまするやうな事情だつたならば、それ程負擔はないかも知れませぬけれども、實際我々が見聞致して居りまする市場の價格に於ては、其の間相當の開きが認められるのであります、實例は幾らもあるのでございますけれども、さうした實例は斯う云ふ機會に述べることは果してどうかと思ひますから遠慮致しますけれども、森林に對して少くとも三十年乃至五十年と云ふものを汗水流して維持育成し、それを主要な財産と致して居りまする森林所有者として、それが森林組合の正常「ルート」の經費だつたならばそれ程問題はないでありませうけれども、決してさう云ふ「ルート」のものばかりではないのでありまして、其の間どこの組合を見ましても、森林所有者から森林組合に對する非難は相當に聞かれるのであります、尚ほ其の上に林産組合と云ふものを作りました場合に於ての、森林所有者の怨嗟に近いまでの聲と云ふものは、相當高くなるのぢやないかと思はれる、さう云ふ御考慮をなさつた場合に於て、果して森林組合の外に林産組合を作る必要がありや否や、此の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=50
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051・平川守
○平川政府委員 少し御質問を誤解して居つたかと思ふのでありますが、森林所有者が森林組合も加入して居ります其の森林組合に於て、加工なり販賣なりをやつて居ると云ふやうな場合に於きましては、此の森林所有者が重ねて林産組合に加入する必要は必ずしもないのであります、其の場合には森林組合が其の加工なり販賣なりを致しますから、其の場合には兩方に重ねて同じ森林所有者が入ると云ふ必要はないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=51
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052・圖司安正
○圖司委員 さうしますと第六十六條に規定して居りまする此の林産組合と云ふものの中には、森林法七十條に依りまして所謂製材業、木材業を營んで居りまする森林組合は、加入する資格がないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=52
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053・平川守
○平川政府委員 資格がない譯ではありませぬので、加入しても差支へありませぬけれども、加入しなくとも差支へない、加入しないからと云つて、それに對してそれでは林産物の加工なり或は販賣なりを行はせないかと云ふと、さう云ふことはない、でありますから加入する資格はありますけれども、しなくとも差支へない、斯う云ふ結論になる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=53
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054・圖司安正
○圖司委員 さう致しますと第六十七條の第二項でございますが、林産組合に對する所謂臨時的な政府の事業、斯う云ふやうなことが行はれない、詰り森林法七十條に依つて設立されて居る森林組合は、斯うしたことの適用外にある、斯う云ふ關係上に立つと思ふのでありますが、其の點如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=54
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055・平川守
○平川政府委員 其の點は實は昨日大分問題になつたのでありますが、確かに法文の形式上、森林組合の方には、此の六十七條の第二項にありまするやうな法文がございませぬ、併しながら此の第二項の方の事業と云ふのは臨時的な事業であり、又此の第一項の方の事業を行ふに伴ひまして出て來る事業であります、隨て此の規定がないから此の事業は行へないかと云ふと、さう云ふことはないのであります、でありますから例へば森林組合が定款に於て、自先逹の組合に關する限りに於て、此の第二項に掲げてあるやうな事業を行はうと云ふことを定めて、總會で決議を致しますれば行くことが出來る譯であります、此の第二項の方は注意的に書いてある譯であります、併しながら其の明文がない爲に之が出來ないと云ふやうな解釋を取られる虞があるでありませう、故に明文に書いたら宜からうと云ふことが、昨日の御意見であつたのであります、若し其の必要ありとすれば、勅令等を以てすると云ふ御答へを致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=55
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056・圖司安正
○圖司委員 次に第三條でありますが、「林業會は、法人とする。」とありますが、是は非營利法人の意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=56
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057・平川守
○平川政府委員 森林法にありまする「營利を目的とせさる社團法人とす」と云ふ書き方は踏襲致しませぬでしたけれども、是はもう法文の最近の形でありまして、營利を目的とせざる社團法人であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=57
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058・圖司安正
○圖司委員 さうしますと、法第四十四條乃至第四十七條には剩餘金に關する規定がありますけれども、此の剩餘金を生じて會員に對して配當も出來る——私共も商工省と交渉があるのでありますが、商工省の見解では苟くも剩餘金を生じて之を配當するやうな組合は、營利を目的とせざる法人ではない、詰り營利法人です、斯う云ふやうな見解を取つて居られるやうでありますが、是と矛盾しないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=58
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059・平川守
○平川政府委員 商工省がさう云ふ解釋をして居ることは存じませぬが、併し是は營利を目的とせざる法人であると云ふことは、營業税等を課けて居らぬことを見ましても明かであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=59
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060・圖司安正
○圖司委員 商工省所管の幾多の統制組合がございますが、其の統制組合が今囘の緊急措置の例外を求めて、八月十一日の封鎖以前でございますが、大藏省に封鎖預金の解除を申請することが出來る、營利法人でない營利を目的とせぬ法人は、封鎖預金の解除を申請することが出來ると云ふので、私の與かつて居ります統制組合は、營業税も免除されて居るので、之を持つて行きました所が、商工省では、成程法文の上では營利を目的とせざるやうになつて居るけれども、明かに實態が、實際に於て剩餘金が生じ、之を組合員に對して配當して居る以上は、營利法人と看做す、斯う云ふやうな解釋を下されて居るやうでありますが、此の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=60
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061・平川守
○平川政府委員 是は營利を目的として居ると云ふ解釋と申しますよりは、あの封鎖の關係に於きましては、教育とか慈善とか云ふやうな、非常に狭い範圍の公益團體の封鎖預金に付ては、特別の扱ひをすると云ふ考へなのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=61
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062・圖司安正
○圖司委員 それは現在のことで、私の言ふのは其の前のことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=62
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063・平川守
○平川政府委員 さう云ふ風に私共は聞いて居るのでありまして、營利を目的とするものであるからと云ふことではないのではないかと私は思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=63
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064・圖司安正
○圖司委員 將來さうした大藏省關係だとか、或は商工省關係と云ふやうなことと、色々交渉が出て參らないとも限らないと思ひますので、此の點は一つ營利を目的としない法人であると云ふことを、はつきりして戴いた方が宜しいと思ひますので、一寸念を押したまでであります
次に第四條でございますが、申すまでもなく森林生産の要素は、「コスト」と資本と勞働力、此の三者に變りはないと思ふのであります、然るに本法案は、昨日も問題になつたのでありますが、一番重要な勞働力に關しまして何等の規定がないと云ふことは、本法の缺陷であると思ひます、さうした肝腎の勞働力と云ふやうな面に關しまして、將來御改正になる御意思があるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=64
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065・平川守
○平川政府委員 是は非常も難かしい問題でありますので、能く研究致しまして、それが適切であると云ふ結論に逹しますれば、何等かの形で之に加へると云ふことを研究して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=65
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066・圖司安正
○圖司委員 森林法の施行規則の第五十九條に依りますと、政府は森林組合の組合員となる義務がない、斯う云ふ規定がありますが、山林局では官行事業を行つて居ることは申すまでもないことで、さうした山林局の所謂現場の事業と云ふものは、一體此の林業會の外に立つものでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=66
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067・平川守
○平川政府委員 政府の關係は別途になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=67
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068・圖司安正
○圖司委員 さう致しますと、官行事業に依つて製造された品物は、どう云ふやうな「ルート」で市場に販賣されるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=68
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069・中尾勇
○中尾政委員 官行斫伐に依りまして生産されましたものは是は其の場所或は數量に依つて、處分先は違つて來ることと思ふのでありますが、相當數量纒まつたものに付きましては、日本林業會竝に都道府縣林業會と能く相談致しまして、其の縣の林業組合に一括拂下をすることになると思ひます、尚又特殊の用材に付きましては、林産組合でなく、特定の個人に拂下げることもあると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=69
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070・圖司安正
○圖司委員 營林局或は營林署方面では、能く縁故拂下と云ふやうなことをおやりになつて居るやうでありますけれども、其の縁故者と云ふものに對する明確な範圍と云ふものは決まつて居られるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=70
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071・中尾勇
○中尾政府委員 只今縁故特賣をやつて居りますものは、用材ではありませぬ、薪炭材の特賣は縁故に依つて拂下げて居るのがあるのであります、是は從來から國林有の保護等に付きまして相當功績のあつた部落等に對して、特賣を致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=71
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072・圖司安正
○圖司委員 茲で少し國有林の關係を御伺ひ致したいと思ふのでありますが、國有林の統計は戴きましたが、各營林局別に、一體其の收入支出、或は純益の關係はどんな風になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=72
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073・中尾勇
○中尾政府委員 營林局別の今の收支の關係は、後で取調べまして御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=73
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074・圖司安正
○圖司委員 此の統計を拜見致しますと、東北地方は非常に國有林が多く、壓倒的と云ふても宜い程國有林の面積が多いのでありますが、是はどう云ふやうな理由があるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=74
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075・平川守
○平川政府委員 是は昔藩が廢止になりまして、國有林に編入になりました際に東北の方に斯う云ふものが多かつたのではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=75
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076・圖司安正
○圖司委員 我々東北に居る者としては、東北が明治維新の際には賊軍で、其の懲罰的な意味に於て國有林にされたと云ふことも聞いて居るのであります、或は東北の人間と云ふものは、聊か時勢を見ることに對して愚鈍であつて、山林と云ふものは逃げて行かないのだ、金に換へると直ぐに飛んで行つてしまふけれども、山林ならば決して地元から離れない、地元から離れないとするならば、之を個人の所有にするよりも、國有にして置いた方が宜いと云ふことに依りまして國有林が東北に多くなつた、言葉を換へて言ひますれば、元々が個人の所有にすべきものであるけれども、官有にしてしまつたのだ、其の間別に法理的根據がないと云ふことを言つて居ります、それは今の御答辯で當らずとも遠からずと了解して宜いのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=76
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077・平川守
○平川政府委員 さう云ふ話を我々も耳にしたことがございますが、併しはつきりした證據もありませぬので、能く分りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=77
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078・圖司安正
○圖司委員 東北地方の資源と云ふものは極めて貧弱であります、多いものと云へば森林資源などは其の一つに算へられるのでありますけれども、其の森林資源が所謂官有林になつて居ると云ふことは、東北民の經濟に對して大きな影響を持つて居る、斯う云ふ事實は過去に於て政府の方では御認めになつて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=78
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079・平川守
○平川政府委員 東北地方の國有林の面積が大きいと云ふことは、東北に取りまして相當大きな影響があるだらうと云ふことは考へて居ります、併しながら國有林の當局と致しましては、東北の資源を奪ひ取つて全國に均霑すると云ふことの弊害のありませぬやうに、色々な手段を以て東北の地元に對する施設を講じて居る譯であります、例へば地方税に當るべきもの——假に民有であれば、地方税として徴收せられるであらう程度のものは、是は金額は僅かでありますけれども、約百萬圓ばかりの金を、東北地方其の他國有林の地元町村に對して交付をすると云ふやうなことをやります、或は國有林の中の可なり大きな面積を、地元に對して委託林として開放する、或は部分林を設定すると云ふやうな色々な方法に依りまして、國有林であるが爲に、地元が不當に損害を受けると云ふことのないやうに、努力を致して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=79
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080・圖司安正
○圖司委員 東北地方では、多年東北地方の凡ゆる森林より生ずる純益と云ふものを、地方に還元して、地方發展の爲に之を使つて貰ひたい、斯う云ふやうな要望を致して參つて居ることを私は聞いて居るのであります、又昭和五、六年頃までの統計しか私は知りませぬけれども、最近の統計を探して見ましたが、分りませぬので、先程御伺ひ致したのでありますが、全國の營林局の山林收入と云ふものに總計致しますと、純益で慥か六七千萬圓、多い年は八九千萬圓に上つて居るやうにも記憶致して居ります、其の大半が東北地方に、詰り青森、秋田營林局管内であつたと思はれるのでありますが、さうした東北地方の山林より生ずる収入、それに支出致しましたる政府の經費と云ふやうなものを、はつきりと御調べになつたことが當局ではございましたでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=80
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081・平川守
○平川政府委員 それははっきり數字が分ります、後程申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=81
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082・圖司安正
○圖司委員 次は東北地方で、詰り是は民有林の所有者でありますが、多年に亙つて山林當局、或は税務當局に對しまして、色々と陳情を致して居るのであります、其の中でも所得税に關する必要經費の控除、其の中の控除の率でございますが、皆伐に對しては三割乃至四割、間伐に對しては五割以上、之を必要經費として控除して貰ひたいと云ふやうなことが、東北の森林組合聯合會一致の決議として陳情致して參つたのであります、其の跡始末はどう云ふ風になりましたでせうか、當局に御分りになつて居らないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=82
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083・平川守
○平川政府委員 只今御話の陳情を具體的に私は存じて居りませぬですが、山林所得に對しましては、特に輕減した低率の所得税を課して居ることは、從來からの通りであります、尚ほ戰時中に臨時措置と致しまして、過伐に陷つたやうなものに對しましては、之に對して一定の減免をする制度がありましたことも御承知の通りであります、今後もあの制度は存續することに致しまして、一定の割當數量の六割以上を生産しました分に對しましては、半分を減免する、斯う云つたやうな制度がございます、其の他所得税に付きましては、特別の措置を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=83
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084・圖司安正
○圖司委員 東北地方は何分にも十一月の初め頃から四月半ば頃までは、雪の中に埋まつて居りますし、其の間に於ける寒冷であるとか、降雪であるとか、或は雪崩、さう云ふ雪害に依りまして非常な損害を蒙るのです、慥か農林省の雪害調査表の、山形縣の新庄にありまする積雪地方農村經濟調査所の調査した所に依りますと、昭和十四年の初冬から昭和十五年の早春に至るまでの間に於て、六百二十五萬百三十六圓と云ふやうな損害額が現はれて居りまするけれども、是は唯單に所謂可算的な損害でありまして、不可算的な損害は極めて多いものだらうと思ふのであります、さう云ふ點に於きましても、只今申上げました所謂山林の所得に對しての税の輕減と云ふことに對して、相當の御考慮を拂はれるやう、山林當局から特に大藏省當局に對して御折衝願ひたいと思ひます、尚又此處に御願致しますことは、造林費或は育成保護費とか、或は林道修理費とか、其の他色々な所要經費と云ふものが、東北地方は他の地方よりも多額を要すると云ふ點なのでありますが、さうした點に付て政府として青森營林局なり、或は秋田營林局なりに付て御調べになつたものがありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=84
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085・平川守
○平川政府委員 只今の御尋ねの點ははつきりした記憶はありませぬが、調査したものは多分ないのぢやないかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=85
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086・圖司安正
○圖司委員 國有林面積の極めて厖大なる東北地方に於きまして、民間に於ける調査は中々容易ならざるものであり、且又今日まで民間で調査したものは、餘り信憑力を持たぬやうに取扱はれて參つたのでありますが、さう云ふ點から致しまして國有林野のさうした調査は大きな基準になるものであると思ひますので、是非青森營林局及び秋田營林局に於ては、今後さう云ふ御調査を御願ひしたいと云ふことが一つと、さう云ふ問題に關して特に林業會として、詰り地方的の事情の違つた面に於ての色々な調査研究を行ひ其の結果をして政府の施策に反映させる、斯う云ふやうなことに對する何か御指導とでも云ひますか、さう云ふ御方針がおありでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=86
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087・平川守
○平川政府委員 さう云ふ調査に付きましては、政府に於ても直接に致すやうに致したいと思ひますし、又林業會等に對しましても補足的に、又或は立場が違ひまするので、色々なさう云ふ資料を以て政府の施策に反映せしめると云ふことも適切かと思ひます、之に對しましても助成金等のことも考へて參りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=87
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088・圖司安正
○圖司委員 元に戻りまして、第六十七條でありますが、林産組合にも統制規定と云ふものが制定せられることになると思ふのでございます、此の林産組合で制定致します所の統制規定と、林業會が判定致しまする統制規定との間に、どう云ふやうな差異が認められますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=88
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089・平川守
○平川政府委員 是は林業會の自治統制は、會員たる森林組合及び林産組合に對して統制を致す譯でありますが、林産組合が個々の業者に對して行ふ統制と云ふものは、多少内容が異つて居ります、さう云ふ程度の違ひでありまして、あとは特別の違ひはありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=89
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090・圖司安正
○圖司委員 此の六十六條の林産組合と云ふものは、政府で豫想して居られまする所では、町村まで豫想して居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=90
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091・平川守
○平川政府委員 林産組合の方は、木材に關しまする限りは、恐らくは或る地區單位ではなからうかと云ふ風に考へて居ります、併し是は地方の實情に依りまして、別に政府の方と致しまして、どう斯う云ふ指圖を致す積りはありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=91
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092・圖司安正
○圖司委員 さう致しますると、此の六十七條の統制規定と云ふものは、例へば縣の林産組合であつたならば、縣として統制規定も作らなければならぬし、地區の林産組合であつたならば、又地區としての統制規定も作らなければいかぬ、更に其の株があるならば、其の株に付ても統制規定を作らなければいかぬと云ふやうな工合で、統制が非常に煩瑣になつて、受ける面からすれば、二重にも、三重にもなるぢやないか、斯う云ふやうな杞憂が持たれるのでありますけれども、此の點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=92
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093・平川守
○平川政府委員 御話の通り數段階を經まする場合には、稍稍煩瑣ではありまするけれども、併し團體の機構が段階的になつて居りまする以上はやはり已むを得ない、是は現在まで戰時中のなんでありますけれども、各種の商工組合等の統制も、斯う云ふ風な調子でやつて居りますので、運用は出來るだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=93
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094・圖司安正
○圖司委員 我々も實際に統制組合を扱つて居りまして、統制規定で運營致したことがあるのでございますが、自主的になりますると、此の統制と云ふものが、どうも理事者の思ふやうには行かぬ、隨て惡いことをするものは何時までも惡いことをして、正直者は馬鹿を見る、斯う云ふやうな運營に流れ易いばかりでなく、業界の統制と云ふものに對して、動もすると官吏の方では協力を致さない、作る時だけは作りますけれども、あとの運營が行政官廳の協力なしにはやり得ないと云ふ面があるにも拘らず、中々協力をしないと云ふやうな實情がまま見受けられたのでありますが、有名無實に終らせることなく、しつかりおやりになる御考へだらうと思ふのです、さうした林業會が此の統制規定に對する實際の運營をなさんとする場合に、政府では積極的に之に對して御協力なさると云ふやうな意圖は、はつきりして居られると思ふのですが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=94
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095・平川守
○平川政府委員 飽くまでも自主的な統制と云ふものを尊重致しますけれども、假に組合の方から協力を求められると云ふやうな場合に於きましては、是は出来るだけの協力を致さなければならぬと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=95
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096・圖司安正
○圖司委員 林業會が自主的に事業を運營する場合に於きまして、動もすれば行政官廳が率直に之を見ないで、裏から見られる嫌ひが多分にある、或は勢力爭ひであるとか、あの派のものが業界を牛耳つて居るから、あの理事の言ふことはまともに受けられぬと云ふやうなことを、往々にして行政官廳の方々が言はれる場合が多いのでありまして、それが正しかるべき自主的な統制が行はれ得ないと云ふ結果に相成らぬとも限りませぬので、さう云ふ點は呉々も下級官廳に對しまして、御通達あらんことを望んで置きたいと思ふのであります
それから御伺ひ致したいことは、第七十一條であります、林産組合の組合員は、設立當時に於て組合員たる資格を有するものに限つて居るのか、或は又第十三條の準用がありますから、將來組合員たる資格を有するに至つたものも、其の組合員たる資格を有する時に於て加入が出來る、斯う云ふやうに解釋して宜しうございますか、其の點御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=96
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097・平川守
○平川政府委員 資格が生じました時には、當然加入し得る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=97
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098・圖司安正
○圖司委員 第八十九條に依りますと、木統法の規定の一部の效力が未だ存續致して、それを認めて居られるやうでありますが、さうなりますると、今後製材業或は木材業を營まんとする者は、やはり當局の認可を必要とすると云ふことになると思ふのでありますが、縣に依りましては容易に其の認可を與へないものがあるのであります、終戰後所謂企業整備に依つて一旦企業を廢止致したものが、再び他に用もないと云ふやうな關係から、製材業或は木材業の認可を當局に申請致しましても、中々當局では言を左右にして認可を與へないとか、或は所要の設備を持つて居りまする森林組合が、やはり認可を申請しても之に對して認可しない、成程色々の事情もありませう、當局として見れば、請般の事情を勘案して認可を與へなければならぬと云ふことは分りますけれども、併し企業整備の際の謂はば時局の犧牲になつたものは、戰爭中に於て非常に國家に對する無理なやり方を強ひられ、それに貢獻して來たものが、再び從前の業に還らうと思ひましても、其の途を固く閉して居ると云ふことは、果してどう云ふものでありませうか、其の點山林局から何か御通牒が各縣廳に出て居ると云ふ話も聞いて居るのでありますけれども、其の間の事情を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=98
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099・平川守
○平川政府委員 此の點に付きましては昨年の終りであつたと思ひますが、各地方に通牒を致しまして、企業許可に付ては堅實なるものである限りは、積極的に許可をするやうにと云ふやうな通牒を致して居るのでありまして、御話の如き縣がありと致しますれば、是は指導を致しまして、左樣なことのないやうに致したいと思ひます、此のの企業許可を殘して置きまする意味は、自治統制と云ふものを尚ほ存續する必要のある限りは餘りに不信用なものでも何でも濫立をすると云ふことであつては、自治統制も困難になりますから、さう云ふ意味に於て制約を致した譯であります、御話の如き從來から之をやつて居つた經驗もあり、又信用もあると云ふやうなものを許可しない、或は森林組合が相當の力を持つて居るのにやらさない、さう云ふことはこちらとしては決してさう云ふ趣旨でありませぬ、さう云ふことのないやうに指導致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=99
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100・圖司安正
○圖司委員 それは山形縣のことを御調べ願へばはつきり分るのでありますが、終戰後殆ど企業許可と云ふものを與へて居らぬ、山林局から通牒が参つて居ると云ふことは、所謂業を廢めた連中も知つて居るやうでありますけれども、縣の林務課は頬被りして何等さう云ふことを知らさぬ、認可を申請した場合に於ては、色々な口實を設けて不認可主義を執つて居ると云ふやうな事實があるのでありまして、それで敢て申上げた譯でありますが、其の點能く御調査の上で、只今の局長さんのやうな御趣旨でございましたならば、縣に對して強力に御指導を願ひたいと思ふのであります、さうした既存の業者が新たに企業權を獲得致しまして、林産組合に加入を求めた場合に於て、やはり林業組合の如くに之を拒否すると云ふことは、林産組合として出來ない譯だと思ふのでありますが、其の點如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=100
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101・平川守
○平川政府委員 御話の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=101
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102・圖司安正
○圖司委員 最後に御伺ひ致して置きたいのであります、地方に居りますと營林署のやり方と縣廳の林務課のやり方との間には、色々と指導の面、監督の面に於きまして、差異が認められる場合もあります、さうしたことに依つて森林の所有者、或は木工業者と云ふやうなものが、非常な迷惑を蒙つて居る、極端に云へば營林署と縣廳の林務課との方針と云ふものが食違つて居つて、それに對して色々な非難や攻撃を加へて居る者があると云ふやうな實情にあるのでありますが、當局と致しましては將來森林行政と云ふものを、一元化する意味に於かれまして、營林署と縣廳と云ふものを御統合になる御意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=102
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103・平川守
○平川政府委員 昨日も御答へをしたのでありますけれども、此の兩者の施策を二分せしめないやうに連絡協調を十分に圖ると云ふことに付ては、從來から色々努力を致して居りますけれども、之を機構的に一本にすると云ふことに付きましては、尚ほ地方行政との關係もありますので、今直ちにさうは申上げ兼ねます、併し何等かの形で兩者の連絡を圖り得るやうな方向に向つて、更に努力を致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=103
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104・圖司安正
○圖司委員 最後に、東北地方の森林所有者を保護する意味に於かれまして、政府に於て特に今後新たに公定價格を設定せられるやうな場合、或は又政府から補助金とか、助成金とか云ふものを御出しになるやうな場合、或は先程申上げました公租公課の問題、さうしたことに對して、實情に即した施策を講ぜられんことを特に要望致しまして、私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=104
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105・森幸太郎
○森委員長 本日は此の程度に致しまして、次囘は九月三日火曜日午前十時より開會致したいと存じます、それでは是にて散會致します
午前十一時五十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01019460831&spkNum=105
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