1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
—————————————————————
昭和二十一年九月五日(木曜日)午前十時十四分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 水口周平君 理事 綿貫佐民君
理事 平野増吉君
木島義夫君 小柳冨太郎君
武田信之助君 小笹耕作君
太田秋之助君 本名武君
町田三郎君 永井勝次郎君
林田哲雄君 松澤一君
坪井龜藏君 的場金右衞門君
井出一太郎君 磯田正則君
圖司安正君
出席國務大臣
農林大臣 和田博雄君
運輸大臣 平塚常次郎君
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
運輸事務官 滿尾君亮君
━━━━━━━━━━━━━
本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=0
-
001・森幸太郎
○森委員長 是より昨日に引續き會議を開きます——本名武君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=1
-
002・本名武
○本名委員 私の御伺ひしたいことは林政の基本的な問題に付て一つと、それから林業の緊急對策に付て、更に又本法案の一般的運營事項と條文に付て御尋ねしたいと思ひますが、大臣が御見えにならないので、順序を變へて法文の一般的な運營に付て、數點御伺ひしたいと存じます、先づ第一に、第一條の林業の規定に付ては、今まで各委員からそれぞれの質問があり、又政府から詳しく御答辯があつたので、此の點は深く觸れないことに致しますが、唯先般の當局の御説明では、薪炭が林業の中に含まれて居らないが、可及的速かに包含せしめると云ふことをはつきり申されたので、私は非常に敬意を表するものであります、唯茲で問題となりますのは、現在の機構に於きまする薪炭の生産竝に配給の状況は、申上げるまでもなく洵に不合理、而も消費者を沒却した其の行程を經て、或は價格の面に、配給手續の面に、色々缺陷が多いのであります、殊に生産の面に於きまして、此の林業に最も深い關係を持つ薪炭が、農業會に依つて握られて居ると云ふことは、林業行政の上で、或は又運營の上で、全く不合理であると存じます、さうして又此の法案と睨み合せまして、先般の政府の御答辯である所の、薪炭を林業に含めた場合に、農業會を林業團體の中に包含せしめねばならないと云ふ矛盾が起きて參るのであります、勿論定款に依つて農業會を含めないと云ふ規定を設ければ別でありますが、薪炭其のものが林業會法に依つて扱はれるに拘らず、農業會をそれに包含せしめないと云ふことは甚だ矛盾であります、それよりも寧ろ生産の實態は農業會から完全に切離しまして、獨立せる單一の林産組合に依つて薪炭を生産し、森林組合指導の下に此の林業會を運營して行くことが、理想であらうと思ひます、此の點に付きまして當局の御意見を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=2
-
003・平川守
○平川政府委員 薪炭の指定に付きましては、先般鈴木政府委員から御答へ申上げました通りであります、之を指定致します場合に、農業會が若し加入を致さうと云ふことになりますれば、林業會法の第九條第三號の方で、加入をすると云ふことになると思ひます、併し此の農業會が入ることがまづいから、農業會を排除して單一の林産組合で入ると云ふ御話でございますが、現實問題として、農家が副業として製炭を致して居ります分に付きましては、農業會の實際の力を無視することも困難ではなからうかと存ずるのであります、併しながら此の點に付きましては、農業會の全體の問題にも關聯を致しますので、尚ほそちらの方の研究にも俟たなければならぬかと思ひます、假に農業會の方が、此の薪炭問題は單一に離すと云ふ風な決定になりますれば、單一の林産組合と云ふことにならうかと思ひますが、現状に於きまして、今直ちに薪炭を農業會の手から離してしまふと云ふことは、少し行過ぎになりはしないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=3
-
004・本名武
○本名委員 大體御意圖は分りましたが、農業會の力に依存しなければならないと云ふことと、現状に於て農業會から手を切ることが困難であると云ふことだけは一應分ります、併し其の理由をもう一歩深く追究して見ますなれば、先程も申しましたやうに、薪炭に關する限りは、幾多の弊害を伴つて居ることを忘れてはならないと思ひます、此處で一々其の弊害を取上げるまでもありませぬが、要するに林産業其のものが過去に於て、今日まで如何に政治力が缺如し、迫力がなかつたかと云ふことを、今日只今の御言葉に依つて私は肯かれるのであります、此の程度にして、どうぞ薪炭の生産に關しましては、政府はもう一歩突込んで、實情をはつきり把握されまして、明朗な林産經營をさせて載くやうに御指導あらんことを御願ひ致します、先般の他の委員の御質問にもありましたが、都道府縣林業委員會を設置することは、他の條文に依つて之を明示すると云ふ意見がありました、深くは申上げませぬが、凡ゆる點からして、是非本法に此の都道府縣の林業委員會の設置に關する條文を挿入して戴きたいと思ひます、是は形の上から申しますと、中央に於ける委員會に依つて、一切の政策竝に運營が適正に行はれる機構になり得るのでありますが、所謂地方に於ける總意と云ふものが、此の儘では往往にして缺如される形になると同時に、本條に條文が挿入なき場合には、色々な客觀的な力に依りまして、其の地方の委員會が非常に弱體化する虞があるのであります、此の點から致しまして、是非此の條文を本法の中に挿入されることを冀ふのでありますが、もう一度御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=4
-
005・平川守
○平川政府委員 此の問題に付きましては、先般も御答へを致しましたやうに、此の林業委員會の規定を本案の第三十條に明記致しましたのは、第三十一條と關聯を持つて居るのでありまして、政府に對して日本林業會が意見を述べる、政府に對して意見を述べます機關は日本林業會に限られて居るのでありまして、地方林業會の方は、政府に意見を具申すると云ふ權能を此の法律に依つて與へられて居ないのであります、日本林業會に限りまして其の權能を與へられて居ります爲に、其の權能を行使する際に於きましては、本來の意思決定の外に、意思決定をする際に、豫め日本林業委員會が意見を聽く、斯う云ふことを本法の中に明記する必要があつた譯であります、地方林業會に於きまして、其の林業會の運營上林業委員會を置くことが宜しいと云ふことは能く分りますが、さう云ふ意味に於きましては、必ずしも此の法案に明記する必要がありませぬので、定款或は場合に依りましては、勅令等を以て規定を致して十分ではなからうか、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=5
-
006・本名武
○本名委員 次は第十四條の役員に付てでありますが、本法案の提案理由として、或は又其の後の委員會に於ける御答辯の中に、本法案は最も民主化された方面に向つて立案されたと云ふことは、重ね重ね大臣初め各政府委員から御説明がありましたが、先づ民主化の根本問題の一つである所の役員は、今後の林業會乃至は林業組合の運營に、最も大事な指導性と、運營の上の大きな役割を持つものであらうと存じます、殊に戰時中の凡ゆる強制的な、全體主義的な團體であつた林業關係の團體の役員が、本法案に依り新しく設立される、民主化されんとする林業會に殘ることは、洵に明朗を缺き、且つ民主化の徹底にも支障を來すやうな、結果になりはしないかと思ひます、此の點に付きまして、私は須らく過去に於ける林業團體の指導者、乃至は幹部、役員は、新しく生れる林業會に其の席を設けないと云ふ規定が一つ必要であらうと思ひます、既に先般上程されました自動車交通事業法案に於きましては、附則に於て其のことを謳ひ、更に勅令を以て、具體的に役員の任命に對する事項を明かに致して居ります、此の林業會の設立に當りましても、そこまで政府がはつきりした指導をなさることが、最も民主化への明朗な出發を致させる所以であらうと思ひます、此の點に付て御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=6
-
007・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 新に出來ます林業會、或は林産組合の役員を、新なる見地から、從前の戰爭中の指導者でない者にはつきりと明示しては如何、御尤もの意見であると存じます、併しながら出來まする林業會法は、自主的に業者が協力一致してやるのでありまして、戰爭中のやうな獨占的な事業の經營の爲に、時の官廳其の他が命令して役員を作るのでなくして、今度は集る全部の組合員又は會員の總意に依つて役員が生れるのであつて、是等の生るべき役員は、必ずや御期待に副ふ役員が生れ出ると思ふのであります、大きな意味に於きまして、全日本の經濟を脊負ふ意味に於きましても、是等關係の會員或は組合員から、最も重要な、さうして聰明な方々が、會員の總意に依つて、或は組合員の總意に依つて生れることを期待致しまして、是等に付きましては、あまり立入らなくとも御説の通りになり得るではないかと思ふのであります、と申しますのは、此の林業會法も組合或は林業會が間違つた方向に、所謂公益性を紊すやうな方向に進むやうな時に於ては、政府は監督上之に必要なる命令或は處分をすることになりますが、それ以外に於きましては、組合の健全なる自主的なる發達を御願ひ致したい、斯樣に考へて居りますので、是等の點に付きましては、御説の通り、巧く新たなる組合或は林業會で選任せられることと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=7
-
008・本名武
○本名委員 只今の御意見は至極當然であつて、我々も之を望んで居るのであります、併しながら先程申上げましたやうに、林業關係者は、申上げて甚だ失禮でありますが、從來に於ては非常に政治性に貧困であります、其の結果として、非民主的なものが出來上ることを惧れた爲に御伺ひしたのであります、只今の御説の通り實現致しますやう、一層の御指導を、御願ひ申上げまして、次に運輸大臣が御忙しい所をおいで下さつたので、關係のことを二、三御伺ひ致したいと存じます
林業の當面の緊急の對策と致しまして、色々重要問題が横はつて居るのであります、此の點に付きましては、色色各委員から既に質問もありましたが、其の中でも最も林業に密接不可分の關係のある運輸の對策に付て、二、三御伺ひ致したいと存じます
先づ林業の中の木材、薪炭の生産業は、昔から能く言はれて居りますが、山を買ふより出しを買へと云ふことを言はれて居ります、出しと云ふことは即ち輸送であります、搬出であります、斯くも深い林業に關係のある輸送が、戰時中竝に終戰後一年有餘を過ぎた今日、何等明朗化された方途が實現されて居ないことを、非常に遺憾に思ふのであります、是とても敗戰後に於ける客觀的な情勢、或は國内に於ける事情から、洵に已むを得ないものがありますが、又一面當局の御指導、或は御理解の不足の點もありはしないかと云ふことを、心私かに感ずるものであります、今更運輸大臣に伐出し事業の内容に付て、詳しく説明するまでもございませぬが、奴何に致しましても生産事業に、其の經費の點から、勞力の點から、時間の點から、大半を背負ふ輸送業者に對しては、絶對の御理解と御支援を戴きたいと考へるのであります、先づ今日まで指摘されました中に聽洩らしたのでありますが、小運搬組合の問題が一つ殘つて居ると思ひます、是は戰時中に於きまして、凡ゆる統制機關と同樣に、此の小運搬組合が強制的に、強權的に結成せられまして、斯業の改良發達の爲には洵に結構ではありましたが、時經るに從ひまして、此の小運搬組合が色々な形に於て獨善化され、或は官僚化されまして、眞の生産業者と小運搬業者との協調と、而も過去に於ける麗はしき勞資の美風が一擲されまして、幾多の生産上の支障を來したことも、是れ戰時中の最も忌はしき統制の結果であらうと存じます、是に於きまして政府は、此の小運搬業者、小運搬組合に對する指導を、今後も此の形態に於て持續されるかどうかと云ふことを、一っ御尋ね致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=8
-
009・平塚常次郎
○平塚國務大臣 木材の搬出に小運送が非常な役割を致して居ることは御説の通りでありまして、本來業者が、所謂自家用自動車を以て運搬することが一番能率的であるのであります、然るに戰時中此の小運送の「トラック」業者を統制致しまして以來、動ともすると獨占事業の弊害が現はれて居ることは事實であります、併しながら之を直ちに解いて元の状態に復すと云ふことは、色々な困難が伴つて居るやうでありますけれども、是は出來るだけ早い機會にあの統制を解いて、さうして地方地方に分散することが望ましいことであると私は考へて居るのであります、唯此の合同しました會社が、良い車を軍に取られてしまつた、或は借金を持つて居るとか、現在横暴だと言うて居りましても、あれが唯一の機關になつて居るのでありまするから、自發的に解けるものは解いて行つた方が宜いのでありまして、役所と致しましても、成るべく解くことに今後指導して行きたいと思つて思ります、解けない事情のある團體に對しては、出來るだけ新しい車を配給されて、助成して行きたい、斯う云ふ考へを現在持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=9
-
010・本名武
○本名委員 私の御伺ひ致します言葉が足らなかつた爲に、大臣の御答辯戴きましたことは、私はもう少し先に行つてから伺ひたいことの御答辯であります、併し何れも關聯がありますので、一括して此の問題を改めて御伺ひ致したいと思ひます、私の先程御伺ひ致しましたのは、所謂牛馬に依る所の小運搬の問題を御尋ね致したのであります、更に只今御答辯の中に、「トラック」の問題に付て御答へを戴いたのでありますが、實は只今の御答辯は、能く私の身に沁みて諒解致すものであります、唯茲で問題は、「トラック」の統制會社の成立ち、即ち是も戰時中に於ける強制的な、業者の抑壓と統合に依つて結成された非民主的な會社であります、是が事業組合に依つて運營されるのでありますが、果して此の非民主的な要素を持つ會社が、今後民主的に運營して行けるかどうかと云ふことは、只今の御答辯、一日も早く解體するものは解體すると云ふ言葉に依つて肯かれるのでありますが、唯茲で問題は、統合會社も色々營利其の他の經營の面から新車のみを追求致して、其の内實に於きましては、一寸の手入で間に合ふ車が放置され、或は廢車同然に扱はれて居るのであります、是等の活用に付て一歩進んで御檢討を願ふと同時に、先般も武藤委員其の他から御質疑がありましたが、特に林産業に對する自家用車の認可を促進して戴きたいと云ふことでありますが、此の點に付きましては、大臣の御答辯に依りますれば、生産が伴はない爲に、遺憾ながら其の實を擧げることが出來ないと云ふ一點に止まつて居つたやうであります、運輸御當局は固より、商工省も、自動車の生産に付ては極力御努力戴いて居ることは能く分つて居りますが、併しながら一方に於て約一萬臺の輸入車輛を申請中であると云ふことも伺ひました、此の一萬臺の車輛が、一體幾ら我々の望む自家用車に轉化されるかと云ふことは、當分詳しく話が出來ないと云ふことでしたが、私は少くとも、此の林業の生産最盛期に向つて居る今日、輸送上最も關係のある「トラック」車輛の配車計畫が、政府に於て未だに具體化されて居ないと云ふことを非常に殘念に思ふのであります、勿論一萬臺の車輛が確實に入る、入らぬは別と致しましても、少くとも入つた場合には是れ是れの方向に配車するのだ、配給するのだと云ふ、大體の目安は御聞かせ願ひたいと思ひます、と同時に生産が伴はないと申されますが、私は此の一萬臺の車輛こそは生産の最も大きなものになるであらうと思ひます、國内生産のみに頼らず、輸入即ち生産と見て、重點的な考慮を持たれまして、其の配車の内容を努めて明かにされたいと願ふのでありますが、此の點もう一度御伺ひしたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=10
-
011・平塚常次郎
○平塚國務大臣 輸入車に對しましては、色々輸入の條件もありまするし、隨て受入態勢もまだ決定して居りませぬので、是が輸入が許された場合のことは、具體的に申上げることが出來ない關係がありますから、御諒承願ひたいと思ひます、國内の生産に付きましては、大體一箇年に一萬二千臺位出來るのでありまするが、月に分割しますると一千臺であつて、之を全國の業者に割當てるのでありますから、中々十分なことが出來ぬのであります、隨て自家用車として直ちに木材の爲に澤山のものを振向けると云ふことも、實際は困難だらうと思ふのであります、唯木材は食糧、石炭に次ぐ重要物資でありまするので、此の輸入車が確定致しますると、さう云ふ重要物資の運送に役立つと云ふことが此の輸入の條件の一つになつて居りますから、殊に北海道のやうな大量に木材の出る方面にも私は相當分量——どう云ふ形で其の事が運用されるかは今日未定でありまするけれども、役立つやうになると云ふことは明かなことであると思ひます、唯今日の場合はつきり御答へが出來ないことを遺憾と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=11
-
012・本名武
○本名委員 只今の御意見了承致します
次に是れ亦生産から需要への徑路と致しまして、最も不可分の關係にあります所の小運送業法と日本通運株式會社法に付て二、三承りたいと存じます、木材の生産が戰時中以來非常に逼迫致しまして、特に戰後の復興に凡ゆる角度からの要求があるにも拘らず、復興が其の實を擧げ得ない一つの原因として、所謂驛積木材の輸送の不圓滑が擧げられるのであります、色々な鐵道輸送上の事情に依りまして、多々其の原因は論ぜられるのでありますが、是で我々として最も見逃し得ないことは、小運送業法の運用が誤つて居るのではないかと云ふことであります、即ち小運送業法に依る所の所謂小運送業者が、是れ亦戰時中に凡ゆる法令と強壓を以て強制的に統合せしめられ、而も日本通運株式會社法に依ります所の日通の運營が、それを全面的に全物資を通じて把握したと云ふ所に一つの隘路があるのでありまして、此の問題を解決せぬ限りは、今後に於ても此の木材の鐵道輸送には幾多の支障を生ずることと私は深く考へるのであります、即ち小運送業法の健全なる發達は、小運送業者の企業の意欲と創意を完全に活かすことが必要であります、徒らに官僚化された、或は事務化された通運の業務のみに依つては、到底出來得ないと云ふことは火を睹るよりも明かであらうと存じます、是に於きまして、私は簡單に結論的に申しますと、日本通運株式會社法にあります其の目的である所謂法文の第一條第一號、第二號、第三號、即ち貨物引換證の整理、或は小運送業者間の賃借の決濟、それ等の通運本然の業務のみを日通が扱ひまして、現業的な業務一切は小運送業法を完全に活用致しまして、地方の業者に任せることが最も適切であると思ふのであります、一例を申上げますならば、日通が勞務の調整に於て大きな失敗を見ましたことは、徒らに官僚化された勞務管理が、山と積まれた木材を思ふやうに動かせなかつたことも、其の一つの原因であります、更に又事務的煩鎖は遂に彼等をして離反せしめるやうな方向を辿つて行つたのであります、此のやうな見地から致しましても、日通のあの大きな而も官僚化された制度は、特に木材の如き特殊物資の取扱には不適當であると、私は斷言出來ると思ふのであります、此の點を申上げますれば、或は又一面から木材業者の發驛土場に於ける不整理、或は著驛に於ける荷物の引取の不圓滑と云ふやうなことも、一つの問題として御考へになるかも知れませぬが、是等は何れも過去に於ける戰時中の木材統制法、惡法の運用の缺如がそこに現はれたのでありまして、今後に於ては自主的な林産組合の運營は、決して左樣な迷惑を當局に、或は運送業者に掛けるやうなことはないと存じます、此の意味に於きまして、一日も早く小運送業法の民主化の實現を期せられんことを希望すると同時に、大臣の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=12
-
013・平塚常次郎
○平塚國務大臣 通運が全國的に一元統制を行つた結果として、國民からの非難が非常に多いことは、私も能く承知して居ります、隨ひまして運輸省と致しましては、通運を是れ以上強化することは考へて居りませぬ、又新しい自動車も殆ど少量より配給もして居りませぬ、又假に輸入が許されたと致しましても、通運には是は渡さない方針で居ります、隨て小運送と云ふものは、どうしても在來の所謂統制された所の、現在ある業者の團體に依つて輸送を強化しなければならぬ、此の團體に對しては出來るだけ車を多く配給して行くと云ふ考へでありますから、今日以上の通運が獨占的に仕事をするやうなことは、再び起きないだらうと思つて居ります、又通運に對しましては、別の考へから、部分的に組織を變へるやうな必要が起きるのぢやないかと思つて居りますが、是は目下研究中であります、十分調査した上に、國民の非難にならないやうにして行かなければならぬと云ふことを、現在考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=13
-
014・本名武
○本名委員 只今の御答辯は主として自動車の關係のやうでありましたが、私の御伺ひして居た根本は、一口に申上げますと、過去に於ける一驛一店の弊害を除去する爲に、日通以外に運送業を許可しないかと云ふことであります、此の點に付てもう一度大臣の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=14
-
015・平塚常次郎
○平塚國務大臣 通運に對しましては、是れ以上やらせぬと云ふことを申上げたので、許可しないと云ふ點ははつきり分りませぬが、もう一度言つて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=15
-
016・本名武
○本名委員 局長もお見えになりましたので、それではもう一度御伺ひを致します、小運送業法に依る所の日本通運株式會社以外に、各驛に民間の運送業者を許可しないかどうかと云ふ御意見を承りたいと思ひます、其の理由は前に述べましたので、此處で省略さして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=16
-
017・滿尾君亮
○滿尾政府委員 現在小運送業法に依りまする業者は、全國で日本通運の他にまだ増加七百五十名位居ると思ひます、其の中で一般の取扱を致します業者が約三百名位あります、其の他は詰り特定の貨物のみを指定して居ります所謂限度免許と申しますものが、約四百五十ばかり居ることになります、それで只今までの所、我が國の小運送業の安定を期します爲に、新規免許は行政方針として致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=17
-
018・本名武
○本名委員 許可を致さぬと云ふ御方針のやうでありますが、之に付ては非常に私共は意見を異にするのであります、時を經るに從つて、恐らくは新規に許可をしなければならぬことになるのではないかと思ふ、而も其の情勢が目前に迫つて居ることを此處で申上げまして、次に移りたいと存じます
許可をされないならば、小運送業の施行規則の第一條にあります所の、自家用運送を全面的に各鐵道管理部關係、全國的に之を容認して戴きたいと思ひます、荷主が直接自分の生産した物を、貨車の託送、請求から荷役一切をやる作業手續を認めて戴きたいと云ふことであります、此の點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=18
-
019・滿尾君亮
○滿尾政府委員 小運送事業の新規免許をやりませぬのは、從來數次の統合を行ひまして、大體業態を大きな規模に持つて參つた、片方で統合を行ひながら、新規免計を致しますことは、明かに矛盾でありますから、是は致しませぬでした、併しながら業界の實情を見まする時に、取扱上の問題に於きまして、所謂獨占の弊害と云ふやうなことも相當に考へられますので、是等の面に對する考慮は適當にして行きたいと思ひます、併しながら前の歐洲戰爭の後に見ましたやうな、小運送業者の非常に規模の小さい、資力、信用の薄弱なるものの濫立状態になりまして、不當競爭を致しますことは、却て國民一般の利益を侵害する結果となると考へて居ります、隨て免許の問題よりも、寧ろ業界の取扱等に於きまして、國民に納得の行くやうな、滿足の行くやうな體制を整へることが急務である、其の爲には強ち免許だけの問題ではないと考へて居りまするが、目下其の點に付きまして色々苦慮して考へて居ります、尚ほ驛の直扱の問題でありますが、是は鐵道が社會の公器であります以上、必ずしも運送店の手を通らなければ、荷物の取扱を致さないと云ふことはないのであります、是は鐵道事業法なり、又運輸規定の精神に照しましても、所謂門戸開放を致しまして、公平の原則に則つて、鐵道の作業と云ふものに致すことになつて居りますので、其の精神は十分尊重して參りたいと考へて居りまするが、實際問題と致しますと、時々御不滿を買ふやうな事態が起つたのは、驛の構内の作業が非常に複雜になる、構内が非常に狹隘であると云ふやうなことで、構内の作業能率等の關係から、係員等に於きまして、日本通運なら日本通運の手を經て持つて來て呉れと云ふやうな注文を出すやうなことが、間々ないでもなかつたかと考へられるのであります、此の構内の問題に付きましては、實は鐵道の施設と云ふものが、先のことを見透して十分裕りを持つて出來て居ない爲に、實際に構内の取廻はしの能率の問題が絡みまして、時々さう云ふ問題が起るのでありまするが、主戰上、觀念上に於きましては、直扱と云ふものは、今日以後、將來に於きましても炳として存在して行くべきものだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=19
-
020・本名武
○本名委員 小運送業の新規免許のことに付ては、十分に了解致します、唯自家用運送は一應事情に依つては、積極的に容認されると云ふ風に、承知致して宜しいかどうかと云ふことと、今御話のありました、大口荷主以外の關係にある、或は大口荷主も含む所の直扱の問題ですが、只今の御話に依りますと、作業の複雜と構内の狹隘の爲に、日通を經由してやると云ふ御言葉でしたが、荷主或は荷物の量と日通とが、如何にもそこに調和されるやうな風に私には聽けるのでありますが、日通が扱はうが直扱にしようが、發せられる荷物には變りはないと思ふのであります、そこで作業の複雜と云ふことを申されましたが、鐵道に於ては十三萬人の從業員を馘にすると云ふことで、只今未だ解決されずに騷いで居るやうでありますが、是等の人間を馘にするどころか、寧ろ狹隘な構内を、複雜な手續を、是等の人々の創意と働きに依つて解決して、一刻も早く、而も一箇の荷物と雖も荷主に迷惑を掛けない、荷主大衆に利便を與へると云ふことこそが、今日の復興に、其の他色々な民生の上に必要なことではないかと思ひます、此の點に付て、如何にも御意向の程は分りますが、どうも我々の口で謂ふ所の官僚的な御考があるやうであります、隨て大きな特殊な木材の如きに至つては、まだまだ御當局には御理解の戴けない點が澤山あるやうに存じます、此の點に付て、恐れ入りますがもう一度御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=20
-
021・滿尾君亮
○滿尾政府委員 直扱を積極的に奬勵すると云ふことに付きましては、左樣な方針は一寸執りにくいと思ひます、是は只今運送取扱業と云ふ專門の業務が介在するだけ、お互ひの便宜もありませぬし、其の存在の理由がありますので、それを無視して直扱を積極的に奬勵することは困難であります、併しながら自分の所に運搬力もあれば、餘剩の勞力もあると云ふので、どうしてもそれ等を活用したいと云ふので、直扱に致したいと云ふ御希望がある荷物に對して、それを抑制すると云ふことも是れ亦間違ひでありまするから、さう云ふ事情であれば御取扱を致して一向差支ない、斯樣に考へて居ります、それから又構内の小口扱の方は、實は日通に全部を取扱を請負はして居るのであります、貸切は別として、小口のものに付ては日通に取扱を請負はして居りますので、そこで鐵道の係員は、其の取扱の一線から一應引下つて居る譯であります、そこで取扱上の細かいもの等に付きましては、色々混雜等も生じますので、兎角さう云ふことを申上げる者が稀にないでもないと云ふやうな實情だとも思ひます、併しながらそれをしも、どうしても自分は直扱で取扱つて貰ひたいと云ふ御意向に對しましては、勿論粗相のないやうに取扱ふやうに日通をしてなさしめる、鐵道の代理者として業務を代行するものとして、日通に於て日通の係員が公正に御取扱ひすべきものだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=21
-
022・本名武
○本名委員 御意圖の程は能く分りますが、此處で御伺ひすることと、現地の事情とは往々にして其の動きを異にすることを非常に遺憾に思ふのであります、今後一層御理解を戴きまして、御善處あらんことを希望致しまして、運輸に關することは此の程度にして次に移りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=22
-
023・森幸太郎
○森委員長 磯田君、關聯質問がありますれば、此の機會になさつて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=23
-
024・磯田正則
○磯田委員 丁度運輸大臣が御見えになりましたので、此の機會に二、三御伺ひして置きたいと思ひます、木材の生産、搬出、殊に輸送の面に於きまする重要性に付きましては、只今同僚委員も申された通りでありまして、洵に大きな問題だと思ひます、そこで現在折角生産された木材、或は薪炭が山元で腐つて居ると云ふやうなことを、少しも早く解決を付けるには、どうしても輸送の面に於きまする施策が徹底しなければ、到底是はやつて行けないと思ひます、そこで現地に於きまする手つ取り早い方法として、現地に成べく多く此の際自動車を廻して貰ふことが必要となります、色々の面に於きまする要求に、一々應ずると云ふことは當局としても中々容易でないこととは思ひますが、幸ひに聞く所に依りますと、先般進駐軍から一萬臺の「ジープ」の拂下げがあると云ふことを聞いたのでありますが、是は早速さうした方面に廻して載くことが出來るかどうか、又最初此の車に付ては、運輸當局に於て各關係方面に割當を決定したやうに聞いて居りますが、それがどんな風に割當をされたものであるか、又一面聞く所に依りますと、此の自動車を省營自動車として、どんどん地方に出して仕事をやつて行くのだと云ふやうなことも聞いて居りますが、それが事實であるかどうか、此の點に付きまして御伺ひを致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=24
-
025・平塚常次郎
○平塚國務大臣 自動車の運營に付きましては、省營は萬已むを得ざるもののみを省營でやるのでありまして、後は擧げて民間業者にやらせると云ふことが大體の方針であります、輸入の自動車に付きましては目下交渉中でありまして、而も是が非常に暇が掛つて居ります、それには色々の輸入の條件も決らず、我々としては其の受入れ態勢も隨てまだ出來て居らぬのでありまして、輸入に對しては運輸省直接でないのであります、是は商工省の方で輸入をする、其の時に輸入の條件が付いて居る、其の上で初めて運輸省が之を受取るのであります、日本側と致しましては、輸入が完了しませぬ限りは、其の内容に觸れることが非常に面倒である、先般私が大體臆測で、多分斯うなるだらうと云ふことを申上げたことが、既に聯合軍の方に分つて、まだ決まつてないぢやないかと非常な御叱りを受けた、全く其の通りなのでありまして、是れ以上此の内容を此處で申上げることは出來ない情勢にありますから、左樣御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=25
-
026・磯田正則
○磯田委員 さうしますと、現在まだ受入れ方針も決まつてないし、尚ほ隨て割當てと云ふやうなことに付ては決まつて居ないと云ふことに解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=26
-
027・平塚常次郎
○平塚國務大臣 左樣でございます、まだ本當に何も決まつて居らぬのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=27
-
028・磯田正則
○磯田委員 もう一つ御伺ひ致したいのですが、賠償工場の撤收、機械の梱包材料の生産、梱包、搬出さうした仕事を一切日通にやらせると云ふやうなことを聞いて居ります、是は其の主管が何處でありますか、此の問題に付ての運輸省に關する限りの御知らせを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=28
-
029・平塚常次郎
○平塚國務大臣 是は賠償と云ふものは、いつ何處からどう云ふ形で持つて行くかと云ふことは、まだ内閣としても話が出來て居らぬのです、唯向ふから是れ是れの設備を賠償に取ると云ふ通告を受けただけで、此の後賠償になる物を、工場から向ふが持つて行くのか、或は日本で荷造りするのか、向ふで勝手に運んで行くのかと云ふことは、是からの交渉に俟たなければならぬのであります、而もそれは餘程先のことだと思はれるのであります、隨て今日運輸省として、通運にそれをやらせるとか云ふやうなことは、てんで話も何もないのであります、又通運がさう云ふことをやると云ふことも考へられないことであります、現在何もないと云ふことに御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=29
-
030・磯田正則
○磯田委員 さうしますと、是も現在政府としての方針は、全然決まつてないと云ふ風に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=30
-
031・平塚常次郎
○平塚國務大臣 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=31
-
032・磯田正則
○磯田委員 之に付て何か具體的なことを扱つて居ると云ふ所もない譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=32
-
033・平塚常次郎
○平塚國務大臣 何もありませぬ、通告を受けただけで、内閣では色々相談をして居りますが、まだ交渉には移つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=33
-
034・磯田正則
○磯田委員 私の關聯の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=34
-
035・森幸太郎
○森委員長 本名君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=35
-
036・本名武
○本名委員 次は後に戻りまして、法案の第三十一條の林業委員會の問題であります、大體林業委員會の性格に於きましては、今まで縷縷御説明があつたやうであります、唯物足りないことは、諮問と云ふことが如何にも弱々しい、從來の我々の觀念的に考へます諮問になりがちであると云ふことで、此の條文だけでは強く言ひ現はされて居ないことを遺憾に思ふのでありますが、解釋の上に於て、我々は何處までも強力な諮問機關であると云ふことを念頭に置きたいと思ひます、就きましては、此の性格よりして發する所の構成の上に於て、當局はどのやうに御考へになつて居るか、此の構成に依つて、委員會の運營に於て、諮問されたことが如何に強く反映し、如何に重大な役割を持つかと云ふことが左右されると思ひます、之に付ての御考へを伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=36
-
037・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御答へ致します、第三十一條の林業委員會は單に諮問機關であると云ふ點から、意見の取上げのない場合を憂慮して居られるやうでありますが、構成と致しましての、第三十條に構成の内容が載つて居りまして、斯樣な組織で構成することになります、又民主的な組合、或は林業委員會でやるのでありますから、獨善的な指導者が其の位地に居るならば、話を聽き置くと云ふことで濟む譯でございますが、今後の日本の行き方に於きましては、凡ゆる意見を取上げることは勿論でありまして、特に斯うして林業會法にはつきりと林業委員會が規定されて居るのでございますから、是等の意見は十分に尊重せられることと存じます、萬一尊重せられない場合に於きましては、是等林業會に於きましても、五分の一以上の議員を以て何時も役員の改選——所謂組合、或は林業會を運用する理事長、會長の改選もなし得る規定になつて居りますから、是等は諮問機關と申しましても、戰爭中の諮問と云ふ字句の解釋、運營と、戰後に於ける經濟界とに於きましては、非常な差異があることは自他共に諒承出來ることと思ひます、斯樣に考へまして、御説の點は、或は御氣に召さないのではないかと存じますが、尚ほ一層是等が單なる諮問機關に終らぬやうに、政府に於きましても委員會の運營に付きましては、萬全の策を構じたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=37
-
038・本名武
○本名委員 人的な構成に付ては三十條にはつきり謳つてありますが、機構の上に付てはまだまだ是の御意見が明かにされて居らないのであります、是は政府にそれ程の御意圖があるならば、須く此の委員會こそは、林業會に關する總てを掌握し得る中樞機關でなければならない、隨て此の委員會を強力にする爲には、最も林業に大切なる仕事である需給の調整に對する特別委員を設ける、更に之を運營する上に必要な價格、規格に關することを取扱ふ委員を設け、更に是等林業會竝に生産者の經營に關する指導、或は連絡、それ等を行ふ所の委員、更に需給調整、或は價格を取扱ふことになれば、監査の制度も必要になつて來ると思ひます、是等の委員制を設けまして、實質的に此の委員會を強化する必要があると思ひますが、是等は各委員會の構成を自由に任せて置くか、或はそこまで強力に政府は指導される御意思があるかどうかを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=38
-
039・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 御答へ致します、委員會を非常に強力にせよ、御尤もでございまして、今度は委員會の運營に付きましては、勿論今度出來ます日本林業會の業務の執行をすべき役員に於て、或は總會に於て、色々と御協議の上決定されることと存じます、又生れました委員會に於きましても、委員會の責務を果す上に於て各委員は色々の觀點から委員會を御作りになることと存じます、今度出來ます林業會法は飽くまでも自主的に、會員の創意と工夫に依つて行きたい、政府に於きましても行過ぎのあつた場合は、是等に對して一應の注意なり處分なり、或は命令をなす、斯樣に考へまして、監督の責任は執るが、出來るなら組合が全部的にやつて戴きたい、斯樣に考へて居ります、併しながら委員會は飽くまでも委員會でありまして、業務の執行は日本林業會の役員がなすべきことであることは、恐らく今度出來ます委員會に於ても御異存はないと存じます、尚ほ委員會の色々の規定に付きましては、或る程度定款などに規定致しまして、運用致すことが結構かと存じます、斯樣に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=39
-
040・本名武
○本名委員 林業會に對する民主的な、動向を啓發なされやうとされます御意圖は能く分りますが、願くは其の御意圖が完全に實現されるやうに望むのであります、私の懸念致します所は逆でありまして、寧ろ監督が行過ぎて強制になるやうな面が起やしないかと云ふことを心配致します、併し其の御意圖を我々は多いとして、是は此の程度に致しまして、次に第三十二條の林産物の檢査のことに付て伺ひたいと思ひます
大體此の檢査員の林業會に於て運營する時期は、林業會設立と同時であるかどうかと云ふことと、此の條文で見ますると、任免權は依然として行政官廳が握つて居るやうな形であります、本法案が民主化された法案であると云ひ、或は業者の民主的なる活動に俟つ爲の法案であると云ひながら、最も生産の上に支障を來し、需給調整の上に癌となつた林産物の檢査が、依然として本條に於てはつきりと、官營統制と何等變らない字句を以て謳つてあることは、非常に不可解とする所であります、隨て我々は此の點は決して自主的な條文ではないと考へると同時に、官廳は林産檢査に對しては指導監督をする程度に致しまして、此の條文は相當の修正が必要であらうと思ひます、御意見を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=40
-
041・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 第三十二條の檢査をする時期はいつ頃であるか、此の檢査は非常な公益的性格を持つのでありまして、隨て檢査の時期は林業會が相當なる時期に達しまして、十分なる行動が出來ると云ふ時期に檢査を執行すべきだと存ずるのであります、又愈愈任すならば、直ちに檢査をやつて、各林業會に任せて、さうして政府は之に監督しなくも宜いではないかと云ふ御話でございますが、檢査に對する觀念に付きましては、色々考へ方があると存じます、大きな眼で言ひますならば、寧ろ檢査の如きは國營を以てやるべきである、大きな公益性を持たしめ社會性を高める上に於きましては、寧ろ國なり社會がそれに「タッチ」することが重要であると存じます、勿論品物が澤山出來まして、業者がどうしてもやらなくてはならぬ、自ら自分の品物に付て規制して行くと云ふやうな自主的な觀念の愈愈出來て參つた時に於きましては、左樣なことも言へると思ひますが、一面に於きまして、消費者側が全般的に絶體的に信頼すると云ふ點に於きましては、やはり或る程度の社會性、國家性を持たせることが宜しいのではないかと存じます、併しながら組合自體の健全で發達を望む上に於きまして、林業會に檢査をやつて戴きたい、隨て檢査の過程に於きましては、是等の檢査員に付きましては、國に於ても一應眼を通さして戴く、斯樣に考へたいのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=41
-
042・本名武
○本名委員 木材の檢査と申しますよりも、規格品等に付ては、是は論議の非常に多い所であります、隨て自主的な、良心的な檢査を否定するか、或は是等の困難性のある木材を、國營に依つて完全な檢査が出來るかどうかと云ふ所に私は非常に疑問を持ちます、隨て是は何處までも、折角發足する、育て上げる組合をして、業界をして自主的に、良心的に檢査を行はしめることこそが、單り木材林産物のみならず、將來の凡ゆる産業面に於ける民主化の前提であらうと考へます、此の點に付ては篤と御一考を煩はしたいと思ひます
次に先般も永井委員からも御話がありましたが、第六十七條の第一項第三號に「組合員の林産業に必要な物資の供給又は資金の貸付」と云ふことがありますが、此の物資の供給に付て、永井委員の第一種業種に指定することは出來ないかと云ふ御質問に對して、是から研究をすると云ふ御答辯でありましたが、恐らく林産物の生産に、物資の裏付なくしては到底其の生産の確保は期せられないことは當然であります、今日の凡ゆる物資の生産状況から申しまして、獨り林業會のみがそれを裕福に得ると云ふことは申されませぬが、少くとも林業の重要性を再認識されまして、一刻も早く此の一種業種に指定をすべく努力されることが、主務官廳農林省としての大きな仕事の一つであると思ひます、此の點に付てはつきりした御意見をも一度伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=42
-
043・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 洵に御説御尤もでありますので、左樣になりますやうに努力致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=43
-
044・本名武
○本名委員 本法案に依りますと、林業會は第四條に於きまして、林産物の生産及び配給に關する割當、林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力、政府の指示に基く林業に必要な物資の割當と云ふやうな、重要なことを扱ふことになつて居ります、更に又前項の二號に於ては、共同施設をなすことになつて居ります、是等に付て考へを一歩突込んで見ますと、我々は最も忌むべき不結果に終つた日木社を彷彿させるのであります、林業會が此の形を此の儘で行くなれば、多分に買取販賣を致し、曾ての日本の場合を二度繰返しますことを非常に心配致すのでありますが、此の點に對して、政府は何處まで林業會の共同施設竝に木材の配給其の他に關しても、突込んで仕事をさせる御計畫かを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=44
-
045・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 林産組合と林業會は、御説の通り所謂戰後の計畫經濟をやる爲に、三つの此處に示された仕事を協力してやらなくちやならぬ、是等は當然のことかと存ずるのであります、併しながら過去に於きまする統制團體の獨善的な行過ぎから、事業の一手買取の結果、色々の弊害の出て居ることは御説の通りでありまして、此の爲に新たに林業會法が生れるのでございますから、是等の點に付きましては勿論會員、組合員自身の協力に依りまして、其の御心配のやうなことは出來得ないと存じます、特に林業會に付きましては成べく經理團體と致す、事業團体でなく、經理團体として一同を指導して行きたいと考へて居ります、それで又林産組合に於きましては、一手買取の出來ることも、所謂同じ立場の業者が集まりまして、共同的な施設なり、共同的なものの設備が出來ることは、業界の發達上望ましいことかと存じまして、全組合員の施設團体に於きましては、或は一手買取、或は一手販賣も出來ることも、業者の意向に依つては宜しいのではないか、此の點に於きましては窮屈な法令でなく、何れにせよ組合員が健全なる發達をする上に於きましては、一手買取しても宜いのぢやないか、しなくも宜いのぢやないかと云ふやうな觀點で、林産組合に於ては指導して居りますが、林業會に於きましては、成るべく經理團體として、指導機關としてやつて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=45
-
046・本名武
○本名委員 大臣が御見えになりましたので、大臣に御伺ひしたいことを進めたいと思ひます、先づ最初に林業の政策に付て二、三御尋ねを致したいと思ひます、此の問題に付ては既に他の委員から色々な御意見がありました、又政府の意圖されることも大體に於て見透しが付いたのでありますが、私は今までの御説明の中に不徹底の點もあり、又別な觀點からも二、三御尋ね致して見たいと思ひます
先づ第一に林政の機構に付てであります、林政の機構に付ては先づ林業行政主管廳を統一すると云ふことであります、是は前囘も各委員會から御話がありましたが、私は此のことは木材、薪炭等の需給調整は、全國を一元的に統制機構の下に置いて、其の需給の理想を完全に實現せしめなければならないと思ひます、次には、國有林の一元的な經營は、殊に新憲法實施の曉に於ては、御料林の百三十一萬石の中約百萬石、更に從來の國有林六百七十萬石を合せまして、約八百萬石からのものが國有林として一手に歸屬するのでありますが、是等は國庫財政上から見ましても重要なるは勿論、全國の木材需給調整の上に重大なる役割を有することは申上げるまでもないと存じます、次には、森林の國土保安上の凡ゆる機構の動きは、何としても全國を一元とした、而も緩急輕重宜しきを得まして、國家百年の大計を慮つて立案運營せられます所の、森林の施業案の確立を俟つて、初めて希望を持ち、永遠の計畫が實現せられるのであらうと考へます、次に第四點と致しまして、日本の經濟を再建します上に、又戰後の經營の根幹をなしますものは、何と言つても計畫經濟の樹立でなければならないと信ずるのであります、林業再建も此の線に沿つて行くのは當然のことであらうと存じます、其の計畫の實施と其の施策の根本的資料の蒐集が統一せられて居なければ、此の計畫經濟の實現には色々な支障を來すのではなからうかと思ひます、其の點に於て、一元的機構の下に是等を行ひまして、初めて林政の完璧が期せられると思ふのであります、我が國が結果に於て今日までの林政政策を或は誤り、木材の需給に於ける、色々な不都合を生ぜしめ、更に戰後一箇年餘に垂んとする今日、未だに全國林政に見るべき對策の著手もなければ、勿論實現もなきやうな状態は、洵に遺憾とする所でありまして、各林野の經營竝に生産の不振は、其の主管廳の分立と一貫性の缺如より來る所が大いにあらうと存じます、此の國家的な不統一は、延いては國土保安への恐怖をさへ感ずるのであります、甚しい一例を申上げますならば、北海道の森林行政こそは、我が國の經濟の面にも、亦戰後復興の面にも大きな役割を果すにも拘らず、閣内に於ける經濟閣僚懇談會に、内務大臣が其の發言を有しないことは洵に不可解なことであります、其の他事情を述べれば幾多質問はあると思ひますが、茲に於て先づ國有林、即ち農林省、内務省、文部省、運輸省、終戰後に於ける大藏省所管の林野を一元的に取扱ふこと、次に御料林の經營も受託する、第三は公私有林の主管廳も之に含めて統一する、此の三點を一應林業行政の主管廳たる所の農林省に、其の主管を統一せしめることが最も必要であることは、既に屡屡述べられた所でありますが、山林局が此のやうな大主管廳としての役割を果し得るかどうかと云ふことであります、今日までも其の行政力に於て、迫力に於て甚だ不振の状態にあり、殊に國家存續、興亡の基盤たる森林行政に幾多遺憾の點を印したことに鑑みましても、或は今後の大機構を完成する點からも、此の農林省の一部局たる山林局を獨立廳として完全に獨立させ、以て森林行政の強力なる施策を實現することが大切であらうと思ひます、又此の場合地方廳に於きましても、同時に從來の凡ゆる分立的な機構を改廢致しまして之を一元化し、中央に於ては林政の一貫せる大方針を樹立すると同時に、實行に對する企畫と指導とを地方に與へ、地方森林廳に於きましても、從來の林政の下級官廳を統合致しまして、中央の企畫と措導監督の下に統一された地方廳は、之を經營實行の上に強力に働き掛けることが必要であらうと存じます、更に又公私有林に對しましても、地方廳は中央廳よりの企畫、指導に基いて、監督指導其の他の施策に萬全を期することが、何よりも大切であらうと思ふのであります、此の點に於きまして、一日も早く此の林政の機構の統一を實現されることが、我が國の再建上最も喫緊事の一つであらうと深く信じまして、大臣の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=46
-
047・和田博雄
○和田國務大臣 林政の統一に付きましては、委員會に於きましても屡屡私御答へ致した譯であります、御話のやうに、從來は色々な歴史はあつた譯でありまするが、林政の上から言ひまして不滿足な點が多々あつたと思ひます、そこで斯う云ふ色々な制度が變革して來て居る時期でありますので、我我と致しましても、其の點に付きましては今後は十分に努力致したいと思ひます、唯此の山林關係を一つの官廳にすると云ふことでありますが、此の點に付ては色々の議論があるのでありまして、私共は其の點に付ては一概に贊成し兼ねます、それは前々からも申上げましたやうに、實は山林と言ひながら、山林は同時に、それを裏返せば、地元の農業なんでありますので、其の點でやはり是は統一的な官廳に於てやつて行くと云ふことが宜いだらうと思ふのであります、勿論農林省の現在の山林局なら山林局が色々な點に付きまして、例へば足らない點があると云ふ點は、十分批判されるべき所は私共謙虚に批判を聽きまして、其の充實に付きましては今後も十分考へて行きたいと思ふのであります、戰爭中色々の行政が戰爭を遂行致します爲に、我々のやうに戰爭をやらない時期に行政をやつて來ました者、それからさう云ふ經驗を多分に持つて居ります者から考へますならば、實際行政面に於ての幾多の改良すべき點があるのでありまして、一言にして言へば、戰爭中の行政と云ふものは、どうしても生産と云ふ基本を忘れてしまふのであります、兎に角所謂物動で物を動かす面だけが強調されがちになつて來るのであります、統制と云ふものが一定の計畫に從つて、本當に下から巧くやられますならば、さう云ふ弊害はないのでありますが、兎角さう云ふ風になりがちでありまして、是はやはり日本の官僚行政が受けた一つの惡い影響だと私は思つて居ります、それ等の點に付きましては、是は今後日本が非常に變つて來る時期でありますので、役所の組織としても、やはりさう云ふ根本の點から、行政が圓滑に行くやうに努力致して行く譯であります、今後と雖も御意見に副ふやうにやつて行きたい、斯う考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=47
-
048・本名武
○本名委員 大臣の御意向を承りまして滿足致しますが、唯大臣は、色々御抱負と御徑綸を持つて、今後此の問題を解決致されると云ふ御決意の程は窺はれるのでありますが、我々の願ひます所は、更に之を具體化する爲に、一歩進みまして林政の統一に關する調査委員會であるとか、或は又それ等の準備委員會と云ふやうなものを設けまして、積極的に我々の意向を反映せしめる手段を御執り願へるかどうかと云ふことを、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=48
-
049・和田博雄
○和田國務大臣 是は本會議に於きましても、又豫算總會に於きましても、本委員會に於きましても御答へ致しましたのでありますが、林政の點に付きましては、是は何等かの委員會を設けまして、さうして唯林政の機構の統一と云ふことだけではなくして、林政一般色々な施策の點に付きましても、卓見のある方々の御意見を伺ひまして、一歩進めて行きたいと斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=49
-
050・本名武
○本名委員 次は國土計畫と林野の特別會計の設定に付て大臣の御意見を承りたいと思ひます、綜合國土計畫の必要性竝に其の實現に對する諸種の計畫は、それそれの委員からも述べられ、又既に政府に於ても著々進められて居るやうでありますが、治山治水の施策を完遂すると共に、基本的な植伐計畫を實施することが肝要なことは申すまでもありませぬが、何と言つても植伐の均衡を圖ることが最も重要であらうと思ひます、併し今日の如き領土を失ひ、狹められた國土に於きましては、根本から林野の再編成替をしなければならないと思ひます、即ち農業、畜産或は林業の立地的な分野をはつきりと確定する爲に、色々な方法で切替を行ふ必要があらうと思ひます、官有或は民有、其の他相互間に於て此の林野、農地其の他に交換又は買上、分割等の施策をなすことが、國土計畫上最も必要であることは申上げるまでもないのでありますが、同時に是は又林業の基本的な國策の上に於ても、林業の面からのみ見ましても、斷然政府が自らの手に依つて之をなすべきであらうと思はれます、治山治水は植伐の基本計畫の實施と、林野の再編成の大事業を完遂する爲に、政府の事業豫算を特別會計制度の下に包含せしめまして、林野經營の事業を長年、長期に亙つて完遂することが必要であらうと考へられます、即ち此の實行に當つては、簡單に申上げますれば、幾多の國有林事業の收入を以て賄ふを原則と致して之を運營し、豫算を計上する上に當つて、一般會計の融通性をも認めることに致しまして、少くとも林業收入に依つて森林の再生産を行ふ爲に、豫算の面に於て、其の資金の面に於て、凡ゆる關聯ある方策の上に於て、獨自の手段と方法を以て當らなければ、容易に此の森林更生の事業はなし得ないと考へるのであります、此の點に付て大臣の御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=50
-
051・和田博雄
○和田國務大臣 國有林の整備經營に付ての特別會計制度は、是は私も必要だと思ひます、是等の點に付ては十分我々と致しましても必要性を認めて居りまするので、今後とも此の點に付て實現を期したいと思つて居ります、其の他の點に付ては、是は尚ほ相當研究を要することだと實は思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=51
-
052・本名武
○本名委員 相當研究を要する問題であらうとは思ひますが、是非とも將來に於て之を實現することを心から念ずるものであります
次は林政の特異性から考へまして、是非とも林政を擔當する方々の簡拔登用を御願ひ致したいと存じます、官吏の任用令を此の際大改正を行ひまして、民間の有爲なる經驗者を登用し、同時に所謂獨墺諸國の模倣たる、今日では全くの惡制度と化しました古い高等文官試驗制度を改廢致しまして、優秀な技術者を積極的に簡拔することが、林政の發達の上に最も必要なことであらうと思ひます、或は此の點は主管が違ふかも知れませぬが、大臣に御伺ひ致して御意見を承りたいと思ひます、而して斯くすることこそが、民主化を口にし、國民に呼び掛けつつある行政府は固より、政治の無血革命の上に大きな成果を擧げ得る基ともなり得やうと考へるのであります、大臣の御意見を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=52
-
053・和田博雄
○和田國務大臣 御趣旨は私も非常に同感であります、唯現在の官吏の制度で、それがやり得る限度と云ふものがある譯でありますから、思ふやうなことは出來ないかも知れませぬが、御趣旨の點に付ては我々としてもちつとも異存はございませぬ、結局は人の問題になるのでありまして、農林省としましては、是は事務と云ひ、技術と云ひ、實際上は相表裏して居るものでございますので、技術官の登用の點に付きましては、我々は從來と雖も是は促進を致して來て居るのでありまして、現に山林局長は技術官がなられて居るやうな譯なのであります、結局人の問題なのでありまして、唯技術官と云ふだけではいけないのであつて、優秀な技術を持ち、同時に人の長たる才能を持つと云ふことが必要だと思ふのであります、御趣旨の點は十分我々としても同感であり、又出來るだけ實行をして行くと云ふ考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=53
-
054・本名武
○本名委員 大臣の御意圖のあることを伺ひまして、非常に心強く存じます、今後他の方面とも始終連絡を致しまして、此の實現を期されたいと思ひます、唯大臣は、民間から登用することを是非含めて御考へ置き願ひたいと思ひます
次に林業の緊急の對策に付て二、三點御伺ひ致したいと存じます、先づ第一に、森林資源の培養に付て御尋ね致したいのであります、是はもう既に各委員から豐冨なる識見と、御經驗を基とした建設的な質問がありましたので、私は成べく重複しない範圍に於て二、三點伺ひたいと思ひます、第二に造林の計畫に付きまして、政府は積極的に之を助成をし、或は獎勵もすると云ふ御意圖の程は分つたのでありますが、此の實行に當り、更に又此の計畫を完遂しつつあるものに對して、政府の保護策が如何なる状態になつて居るかと云ふことを御伺ひ致したいと思ひます、第三に森林の所有者に對する租税の問題であります、租税の徴收方法が現在どのやうな方針であり、現況であるかと云ふことと、地方の町村、特に貧弱町村に許されたことであらうと思ふのでありますが、伐採税或は移出税と稱しまして、林産物の伐採、積出に對して町村税を課して居る所があるのであります、是等のことは、國民としての當然の義務は果すべきではありますが、動もすると此の扱の不公平、不平等から起きる所の生産への阻碍、或は森林培養への根本的な弊害となつて、其の育成植栽に支障を來す面もなきにしもあらずであります、此の點に付て御伺ひすることと、次に森林資源造成法に付きましては、今日まで色々意のある所を伺ひましたが、一刻も速かに改正することが、此の森林計畫、造林計畫に對する大きものであらうと存じます、次に造林に對しまする勞力に對して、如何樣な保護を政府は御執りになるか、勞働保險法であるとか、或は其の他の共濟施設に對しましても、積極的に政府は之に對して助成をすべきであらうと考へます、特に公共事業費の如きも、別な面から是等の保護に流用されることが必要であらうと思ひます、更に又一般的であるとは言へ、此の造林に從事する所の勞務者に對する食糧、其の他衣料を初め、生活作業必需品の配給に對しては、餘りにも今日まで閑却されては居なかつたか、是等のことが是正されなければ、折角の造林植栽計畫も、意の如く進まない原因を釀し出すことにならうと思ひます、尚ほ今後は恐らくはなからうと思ひますが、假に強制造林をさせられた場合に、政府と致しましては、之に對する造林者の損失に對してどのやうな補填をするか、以上の五點に付て御意見を承ると同時に、是等のことが明朗化されければ、造林事業に幾多の支障を來すことにならうと存じますので、詳しい御説明を御願ひ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=54
-
055・平川守
○平川政府委員 稍稍具體的な細かい問題でありますから、私から御答へ申上げます、森林所有者に對する租税に關しましては、現在の地租は御承知の如く極めて低率なのであります、さう大きな負擔ではなからうかと存じます、又地方税としても、伐出税其の他を課けて居る所があると云ふことでありますが、之に關しましては、御話の如く色々な造林上、或は森林資源の保續上に惡影響もあらうかと存じます、内務省とも連絡を致しまして、出來得る限り是は止めさせるやうに致したいと思ひます、其の他造林者の保護と致しまして各種の助成を致して居ることは、先般來屡屡申上げた通りであります、それから勞務者の保護等に關しましては、勞働條件、勞務者の災害扶助法と云ふやうなものの適用を、森林勞働者にも致すやうに致しまして、本年から之に對する加入を指導致して居るやうな状況であります、それから勞務者に對する食糧に關しましては、斫伐等に對しましては食糧の加配も考慮致して居るのであります、造林の方に對しましては、未だそれだけのことを致して居りませぬ、將來尚ほ考慮したいと思つて居ります、衣料其の他に關しましても一定の、出來得る限り優先的の順位を以ちまして、森林勞務者に對しましても相當の加配を致すと云ふことに致して居ります、尚ほ強制造林と云ふことが將來行はれますか、目下の所はつきりと考へて居る譯でもございませぬが、造林に關しましては、從來とも寧ろ相當の助成を致しまして實施して居る位でございますので、損失等が假にあると云ふやうなことがありますれば、當然是は相當の補償をすることにならうかと思ひます、造林に關しましては一貫を致しまして、相當手厚い保護を致して居ると申上げて差支へないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=55
-
056・森幸太郎
○森委員長 本日は此の程度に致しまして、次會は明六日午前十時より開きたいと存じます、本日は是にて散會致します
午前十一時五十九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01319460905&spkNum=56
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。