1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
林業會法案(政府提出)
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昭和二十一年九月十一日(水曜日)午前十時十七分開議
出席委員
委員長 森幸太郎君
理事 綿貫佐民君 理事 平野増吉君
理事 氏原一郎君
稻田直道君 小笹耕作君
太田秋之助君 仲川房次郎君
本名武君 武藤常介君
玉井潤次君 松澤一君
坪井龜藏君 井出一太郎君
磯田正則君 佐藤實雄君
圖司安正君
九月十日委員町田三郎君辭任に付其の補闕として玉井潤次君を議長に於て選定した
出席政府委員
農林參與官 鈴木強平君
農林技官 中尾勇君
農林事務官 平川守君
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本日の會議に付した議案
林業會法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=0
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001・森幸太郎
○森委員長 引續いて會議を開きます――仲川房次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=1
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002・仲川房次郎
○仲川委員 本案、即ち林業會法を審議するに當りまして、私は深く思ひを致しますことは、今日までの木材統制法、之に依つて生れた所の日本木材株式會社、地方木材株式會社、此の所謂運用、是が社會の各方面との關係はどうであるか、茲に重きを置いて研究すべきだと思ふのであります、御承知の通り、木統法は實に天下の惡法とされて怨嗟の的となつて居ります、殊に日木、地木の運用に於きましては、言語に盡せぬ所の獨善專横の限りを盡して居る、彼等の運用に當つては國家なく、社會公共の利益を無視し、殊に是が爲に蒙つた所の需要者及び消費者の塗炭の苦しみを思ふに當りまして、實に涙ぐましい實情があるのであります、今度生れます所謂林業會法案は、是等の凡ゆる缺陷を排除反省して、再び斯樣な失敗をなからしむる林業會法でなければならぬと深く私は痛感をするものであります、申上げるまでもございませぬが、我が國は戰爭に負けました、それを喫した今日の再建途上に於て、色々と國家の運命を左右する所の重大問題が山積して居ります、而も此の狹い領土の六割以上の面積を占むる、此の所謂山林行政を運用する所の法案は、洵に重大な法案でありまして、是が運營如何は、我が國再建の運命を支配する鍵であると云ふやうな感じを深く致したのであります、茲に於て私は、政府が此の林業會法案を提案なさるに當つて、過去の失敗を能く翫味し、再び斯かる失敗のなきやう、戰爭中濫伐に次ぐに濫伐、之を一日も早く治水、灌漑工事と造林育成、更に又林産物をして國家社會の爲に役立てるやう、木材の目的を達成するやうな合理的生産の方面に、深き留意の下に此の法案を提案されたかどうか、又今後も左樣な目的を以て此の林業法案の運營に當られるか、先づ此の問題に付て、當局の所見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=2
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003・平川守
○平川政府委員 本案の制定に當りまして、御趣旨の如く、從來の地木、日木の所謂官僚的と申しますか、統制の弊を認めまして、之を全く自主的な統制に練り替へようと云ふ點に一つの狙ひがあることは、御説明の通りでありまして、今後の運用に當りましても、御説の通りに運用されるものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=3
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004・仲川房次郎
○仲川委員 今御當局の識意ある答辯を拜聽致しまして安心致しました、それで、此の林業會法案の内容に付て、逐次御伺ひして行きたいと思ひます、此の林業會法案の性格に付てでありますが、從來の地木、日木の如く、製材業から伐採、所謂素材、送出、配給、總て事業的に之を行はうと云ふ所に重點を置いて居るか、或は又指導機關として、一般の業者をして其の特徴を生かし、之を國家目的の爲に指導することに主眼を置いて居るか、要するに事業的機關であるか、指導的機關であるか、此の點を先づ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=4
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005・平川守
○平川政府委員 林業會法は主として指導の目的にあると思ひます、此の指導の必要から致しまして、若干の經濟行爲を致す場合も考へられない譯ではありませぬが、出資を致すことも認めては居りますが、原則としては指導を目的として居ると云ふ風に御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=5
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006・仲川房次郎
○仲川委員 指導機關と見ておいでになると云ふことを承りました、それでは此の機構をどうして作るか、色々承つて居りますけれども、例へば森林組合、或は林産組合とは如何なるものを指して言ふのか、其の機構の内容に付てはつきりして戴きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=6
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007・平川守
○平川政府委員 森林組合と林産組合とを以て林業會を構成するのでありまして、森林組合に付きましては、勿論森林法の規定する從來の森林組合であります、林産組合の方は一般林産物の指定に依つて範圍が變つて參ります、木材に付て申しますれば、木材業、製材業、或は特殊の木材、例へば坑木、「パルプ」材でありますとか、合板と云ふやうな特殊なものもある譯であります、それ等の業種別に林産組合を作る場合にありましては、其の中の、例へば木材業と製材業と一緒にして一つの林産組合を作ると云ふことも差支へないのであります、是等が林産組合を形成するのでありまして、此の林産組合と森林組合とが中心となつて、縣の林業會を作ると云ふのでありますが、唯其の外に林業に密接な關係を有するものと云ふので、木材の需要者若くは需要者の團體、例へば土建或は木工と云ふやうな業種のものは、之に密接な關係あるものと致しまして、やはり林業會の會員になる、唯此の場合には一般の木材業と稍稍異りまして、例へば議員を選出致します場合に於ても、密接な關係あるものは特別議員を出すと云ふやうな組織になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=7
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008・仲川房次郎
○仲川委員 其の問題は後廻しに致しまして、次に御伺ひ致したいのは、都道府縣に林業委員會を御置きになると云ふことを此の前に此の委員室で承りましたが、其の通りに承知して差支へないか、委員會を置くとすれば、此の林業會法の何れに其の根據を置いて居るか承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=8
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009・平川守
○平川政府委員 都道府縣の林業會に付きましては、日本林業會に於けるが如く此の法文の明記がございませぬので、林業委員會を置くかどうかと云ふことは自由であります、併しながら置くと致しますれば、置くことは少しも差支へないのでありまして、例へば定款等を以て、都道府縣林業會が委員會を置くことも一向差支へないのであります、併しながら、此の點に付きまして法律の明文が欲しいと云ふ御希望もございますので、此の林業會法案第百二條の根據に基きまして、勅令を以て規定することに致したら如何かと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=9
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010・仲川房次郎
○仲川委員 それでは百二條の條文に依つて、當局は勅令を以て法文化すると云ふやうに承つて宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=10
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011・平川守
○平川政府委員 それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=11
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012・仲川房次郎
○仲川委員 それでは林業會は主として指導的機關である、斯樣に承りますと、此の林業會の經理はどう云ふ方法を以て運用して居るか、承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=12
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013・平川守
○平川政府委員 要するに林業會の經費は、毎年事業計畫を定めますと同時に、其の賦課徴收方法を定めるのでありまして、總會の決議に依りまして毎年會員に對して經費を賦課する、指導の爲に必要な經費の豫算が成立致しますから、其の豫算に基いて各會に對する經費の賦課報告をしなければならぬと云ふやうな、原則的な經費の賦課方法であります、此の指導理念に伴ひまして、例へば若干の必要な資材を配給するとか云ふやうな關係上、出資林業會と云ふものを認めて居ります、さう云ふ場合には會に對して一定の出資をして貰ふと云ふ方法もある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=13
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014・仲川房次郎
○仲川委員 私の伺はんとする所は、所謂林業會員個人々々に、其の人の業績、擔税能力に依つて徴收をするのか、それとも森林組合と云ふものを一本に立てて徴收し、一方は品種別の林産組合、さう云ふ組合を單位として徴収して行くのか、之を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=14
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015・平川守
○平川政府委員 林業會の構成員は、府縣を地區とする森林組合聯合會及び府縣を地區とする林産組合と云ふものが原則的な構成分子であります、此の團體に對して林業會としては經費を課けて、其の團體がそれぞれの會員から徴收すると云ふ形になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=15
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016・仲川房次郎
○仲川委員 それでは次に御伺ひ致したいことは、臨時物資需給調整法案と、此の産業團體の關係であります、臨時物資需給調整法案の第二條に規定される所の産業團體とは、本案に關係する限りどの團體を主とするのであるか、之を一つ承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=16
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017・平川守
○平川政府委員 是は指定に依りまして、本案の林業會を指定することも出來ますし、或は林産組合を指定することも出來ます、森林組合を指定することも場合に依つては出來ます、森林組合が一定の木材生産業を營んで居ります場合は、其の限りに於て指定することも出來るのであります、詰りどの團體も此の指定の對象にはなり得ると云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=17
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018・仲川房次郎
○仲川委員 其の點は受けた團體が物資の割當とか配給と云ふことをして居るのでありますか、それはどう云ふやうな制度に依つてやつて行くか、例へば森林組合なら森林組合として、それに統轄して割當するのか、或は林産組合なら林産組合として割當をして行くのか、さうして其の内容が組合にしてやるのか、それとも個々の個人にして行くのか、之を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=18
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019・平川守
○平川政府委員 林業會に大きな割當が行くことと思ひますが、林業會から更に森林組合及び林産組合に對してそれぞれ割當をする、森林組合が更に單位組合、又更に個人の業者に割當をする、森林組合の方は、林産物の生産加工と云ふやうな事業を行つて居ります限りに於きまして、其の部分に付て割當を致すと云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=19
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020・仲川房次郎
○仲川委員 それでは次に立木に付て御尋ね致しますが、最近戰爭中森林が非常に強制伐採をされました、其の後の森林家は所謂非常な森林愛と申しますか、或は家の寶と申しますか、最近は山を賣りませぬ、そこで今後立木の確保に付て、製材を營む者、或は其の他素材を營む者、或は林業會の者の生産擴充の面に於て、立木の確保はどうするか、どうしてもいけなければ、今度の臨時物資調整法案を發動してやるかと云ふことが一つ、それから其の次に、製品の價格に對しては今日公定價格もありますが、立木の價格に對しては、どう云ふ方法に依つて生産費を出す積りであるか、又其の代金の支拂方法、是は今日山材に對して約二割の保障をして居ります、併し木炭とか或は薪とか云ふ方面の山林の賣買には全部自由支拂をして居る、同じ立木を買上げるのに其のやうになつて居りますが、今後立木の必要なる時に、此の支拂方法、價格をどう云ふ風にして決めて行くか、それから其の次に御伺ひしたいのは、今度の財産税に依つて立木が財産税に該當するとなると、是はどうしても納税出來ない時には、相當私は物納になると思ふ、此の物納の出た時に、政府は如何なる方法に依つて之を處分して行くか、此の三つを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=20
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021・平川守
○平川政府委員 立木の供出の困難のことは御承知の通りでありまして、今囘の林業會法案に於きましても、自治的な統制に依りまして、森林組合をして立木供出に出來るだけ協力せしめたいと云ふ考へが含まれて居る譯であります、併し萬一、どうしても所要量を充たし得ない場合にはどうするかと云ふ御話でありますが、其の場合に於きましては需給調整法の發動を見る場合もあるだらうと考へて居ります、それから價格の問題に付きましては、現在は木材に對する公定價格からの逆算價格と云ふことに相成つて居るのであります、此の木材の價格を決定するに當りまして、立木の價格と云ふものも其の構成因子の中に考慮致しまして、立木が相當の價格に買ひ得るやうな價格を木材に付て決定を致しまして、それからの逆算で實際賣買されると云ふことになつて居ります、立木に付きまして、直接に公定價格を設定すると云ふことは非常に困難でありますから、さう云ふ形に相成つて居るのであります
それから代金の支拂方法に付きましては、御説の點洵に御尤もと存ずるのでありますが、今日の、「インフレ」防止の關係から致しまして、立木に對する新圓の支拂を非常に多くすると云ふことは非常に支障がありますので、再造林費等を考慮致しまして、現在は二割程度と云ふことに相成つて居るのであります、之に付きましては、御説の點洵に御尤もでありますので、大藏當局とも色々交渉致しまして、是が引上を折衝中であります
それから財産税として、物納が行はれた場合にどうするかと云ふ御話でありますが、物納になりますれば政府の立木と致しまして、只今實行致して居りますやうな、民有林の官行斫伐のやうな形を執る場合もありませうし、又立木の儘で他に處分する場合もあらうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=21
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022・仲川房次郎
○仲川委員 どうしても立木の確保が巧く行かない時には、臨時物資調整法を考慮してやると云ふことでありますが、元來元の地木或は日木と云ふものは獨占事業であつたと云ふので、是から民意を尊重して、無暗に自己に與へられた所の特權の如く、總ての運用をなして行くと云ふことは、抑抑囂々たる非難の的であります、今度出來る民主的林業會法案が運用されて行くと云ふことになると、此の臨時物資需給調整法の活用は、其の運用宜しきを得なければならぬと私は思ふのであります、森林家は何十年間掛つて之を作上げて居る、我が子のやうに愛して居る、それが戰時中無暗に伐採されてしまつたので、戰後に於ては是非共祖先の礎かれた基礎を守つて、そして森林愛に燃えてやらうとして居る、是が又此の臨時物資調整法に依つてやられると云ふことになりますことは、森林業者を氣持に於て、私は洵に思ひ半ばに過ぎるものがあると思ふのであります、故に私は此の林業會法の活用に對して、民主的運營方法と矛盾しない方法で、無缺なる指導をやつて戴きたいと云ふことを深く痛感するのであります
それから立木價格でありますが、此の價格に付ては、逆算をなさると云ふことでありますが、今日の伐採運搬と云ふものは決して常道ではない、左樣なことから考へまして、是が逆算致しましたならば、山奥の出材に骨折つても、山奥の木材は無價値になる、何十年、何百年森林愛に依つて辛酸を嘗めつつ、汗を流して作つた所の山は無價値になる、斯樣な制度では將來の日本の森林生産は駄目になる、そこで之に對しては、今日まで盡した努力に報ひ、經濟方面の保障の方法が出來ないかと云ふことを深く考へるのであります
更に又代金の支拂に於きましても、木炭は現金である、それから立木に對しては二割で、只今交渉中であると云ふことを伺ひましたが、此の點に向つては木炭と同じやうなことになるやう、一段の御配慮を願つて置きたいと思ふのであります
それから山の財産税が物納になつた場合どうするかと云ふ問題でありますが、是は現今御料林とか或は國有林の斫伐を御やりになり、それに依つてやり、又販賣するかも知れないと言つて居りますが、現今やつて居ります官有林の斫伐問題は、非常に矛盾も甚だしいと云ふことを痛感致します、と云ふのは、私の縣にもさうした斫伐組合はありますが、さう云ふ組合の幹部は、前に營林署に御勤めになつて、現在勤めて居る營林署の方の先輩である、さう云ふ人が其處に住まつて居つて、色色相談の結果獨占的に伐採する、又伐採賃も、地方の民間の伐採賃より遙かに高いものを拂つて居る、それから運搬費に對しても高いものを拂つて居る、其の結果民營の事業家が非常な迷惑をして居りまして、斯樣な斫伐組合は、少くとも今日の民主化の國を擧げての與論に反するものであると思ふ、又斯樣なことが今日の「インフレ」を煽つて居る、と云ふのは自分の山でない、政府の山である、其の結果現在私の縣などに於ても非常な弊害を來して居る、此の間私は營林署長に會つて、斯う云ふことは即時止めるやうにと申しましたら、簡單に參らないと言つて居られたが、是は實に非難囂々たるものがあるのであります、それはどう云ふことかと云ふと、結局山の値が一般の民有林より安い、だから少し位餘計伐採賃をはずんでやれ、又運搬賃も餘計出してやれ、山の代金に少し位食ひ込んでも何等損がないと云ふので、勞賃の吊上げをして居る、斯う云ふことは先に於ても宜くない問題を惹起すると考へますから、此の斫伐組合は、今日の日本に於ては即時止めさせなければならぬと考へますが、此の點御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=22
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023・中尾勇
○中尾政府委員 斫伐組合に付きましては、色々議論もあるやうでありますので、只今それに付きまして調査を致して居りますから、其の結果に依りまして善處したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=23
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024・仲川房次郎
○仲川委員 政府が熱心に調査をされて居ると云ふことでありますから、此の問題は是で打切ります
次に御伺ひしたいのは木材の價格であります、是は公定價格になさるのか、それとも協定價格になさるのか、私の之に付て是非とも御願ひしたいのは、日本は御承知のやうに、領土が戰前から見て約半分近くに減りましたが、森林は其の六割以上を占めて居るのであります、此の猫額大の土地から、成たけ質の良い、價値のある材を作らなければならぬ、さうして出來ました良質の材は、而も其の價格が低廉でなければならぬ、是からの文化日本の建設には、先ず住む家を造つて行くことが必要で、左樣な方面に付て指導助長することが必要だと思ひます、それで是非とも此の價格に付ては、思切つた方法を一つ考へて貰ひたい、それから今度運輸省が運賃の値上をしました、其の結果として、當然木材を運搬する小運送の賃金が多く掛かるのであります、所が更にそれに伴ふて山の人夫賃と云ふものも高くなる、さうなると山の價格は益益上つて來るのみならず、是が支障致しまして山の買入に一大困難を來すと思ひますので、斯樣な點に付て如何樣に御考へになつて居るか、承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=24
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025・中尾勇
○中尾政府委員 木材の價格を公定價格にするか、協定價格にするかと云ふ點に付きましては、只今までも御答辯致した點であります、是は物價廳の方で決定さるべきものでありますけれども、決定される際は十分に林業會内に出來ます日本林業會の意嚮も參酌して決定されることと思ひます、又當局と致しましても、木材の特異性に鑑みまして、皆さんの御意思を十分傳へるやうに協力したいと思ひます
尚ほ規格の點でありますが、此の規格の點に付きましても、只今は非常に簡單になつて居るのでありますが、御説のやうな點を取入れるかどうかに付ては、只今研究を致して居ります
それからもう一つ、鐵道運賃の値上のあつたやうな場合、運賃は價格形成上重大なるものでありまして、是が變更になりました場合には、當然價格の變更を致さなければなりませぬので、さう云ふ場合は、出來るだけ早く價格の方も變更して行きたい考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=25
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026・仲川房次郎
○仲川委員 木材の規格に付ては色々考へて居ると云ふことでありますが、文化日本建設の爲め無地、上小節、長物等、良品にして價値あるものを造ることに、是非とも御考慮を煩はしたいと思ひます、それから鐵道運賃の値上に付ては、單に汽車や電車だけでなく、其の先の小運搬に付ても篤と御考慮を願ひたいと思ひます
其の次に、今日戰災を受けました日本と致しましては、一日も早く之を再建しなければならぬ、さう云ふやうなことを考へますと、どうしても木材の増産の必要に迫られて居るのでありますが、此の増産には是非とも資材關係が必要であります、即ち造材の隘路となつて居る勞務者の加配米、地下足袋、又運搬に對する「ガソリン」、殊に最近製材業者として困つて居るのは帶鋸の不足であります、又釘、針金、「ロープ」、更に困つて居るのは小運搬用の飼料、之に對して政府は御用意があるかどうか、伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=26
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027・中尾勇
○中尾政府委員 生産資材の獲得、又配給に付きましては、政府と致しましては出來るだけの努力を致して居るのでありまして、常に關係各省と交渉を續けまして、出來るだけ潤澤に配給するやうな方法を執つて居るのであります、只今御尋ねになりました鋸類の如きは、丸鋸の方は只今の現状では稍稍窮屈でありますけれども、先行きは増加の見込であります、帶鋸の方も亦同樣にあるのであります、又地下足袋の方は、是は護謨等の資材の關係もありまして段々窮屈になつて居りますが、是も出來るだけ多く配給致したいと思つて努力致して居ります、食糧の點も只今まで何囘も答辯致した次第でありますが、食糧管理局の方と十分連絡を取りまして、出來るだけ現在の加配は續けて行きたいと考へて居ります、尚ほ釘や針金、「ロープ」、是等の點は最近に於きましては割合に入手が楽になつて參つて居りますので、是は大體今後は相當量配給出來るのではないかと云ふ風に考へて居ります、又馬糧の點に付きましては、是は小運搬上どうしても必要なもので、出來るだけ多く配給致したいと存じまして、只今畜産局方面と連絡を致して居ります、是も段々と良くなつて來るのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=27
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028・仲川房次郎
○仲川委員 色々承りましたが、今日の状態では山に參りまして伐倒する者、それから運搬する所の運搬夫等には聊か特配があるのであります、所が肝腎のそれを持つて來て製材を致します所の製材の腹押、或は向取、それから之を運搬する運材夫には、特配が七月一日からないのであります、其の爲に非常に困つて居る、御承知の通り腹押と云ふのは、例へば五十尺の尺角でも、之を一人して一分一厘違はぬやうに、技術的に、又力的に非常な努力を以て挽かなければならない、洵に技術と云ひ、其の勞力と云ひ重勞働であります、斯樣な者に特配がないのは矛盾して居る、如何に山から持つて來てもそれを製材して初めて用途になるのであります、此の點に付て特別の御考慮を御願ひしたいのであります、之に付て御考慮を煩はすと共に、御意見を拜聽したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=28
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029・中尾勇
○中尾政府委員 製材夫の食糧の加配に付きましては、實は最初の交渉の際は大體諒解を得て居つたのでありますが、其の後食糧事情の窮迫の度がひどくなるに從ひまして、一時保留の形になつて居りましたけれども、是は交渉致しまして大體話が付きましたから、加配が出來ることに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=29
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030・仲川房次郎
○仲川委員 次に御伺ひ致したいのは、今後の此の企業許可の問題であります、やはり木材の生産業者は總て企業許可をやつて行くのか、自由に其の方々の天性を發揮して生産さして行くと云ふ、民主的な指導が私は宜いと思ひますが、政府は今後も斯うした許可制度でやつて行くか、或は速かに之を撤廢する意思があるかどうかと云ふことを、御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=30
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031・平川守
○平川政府委員 企業許可に付きましては、可及的速かに之を撤廢致したいと考へて居ります、唯現在の段階に於きまして、自主的統制をやつて行かなければならぬと云ふ現状の下に於きましては、已むを得ず或る程度を企業許可制度を存置しなければならぬと云ふので、此の經過規定の方で其の趣旨を書いたのであります、少くとも經濟安定本部の存續する期間以後に於きましては、必ず之を撤廢する積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=31
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032・仲川房次郎
○仲川委員 次に御伺ひ致したいのは、先程も申しましたが、戰爭中好むと好まざるとに拘らず、伐採に次ぐ伐採でありまして、非常に濫伐を致して居ります、承ると、政府は今後二百七十二萬町歩の植林、本年度四十七萬町歩を増植して行かうと云ふ考へのやうでありますが、私は是は治水、旱害或は洪水の對策上、一日も等閑に付すべきものでない、斯樣に考えます、今までとは違ひまして、非常に總てが暴騰致して居ります此の暴騰して居ります所の經費を山林家に多く持たすとするならば、是はどうしても不可能に終ると思ひます、そこで私の御尋ねしたい問題は、戰爭中に強制伐採を受けた山林家が、之を直ちに植えんと致しました時に、地方の事情にも依りませうが、私の地方では、後に軍用材が必要であるから、其の人夫を使はずに、詰り植ゑることを止めろと云ふので、此の結果植ゑることを勞務の需給調整上やらなかつた、其の結果今日非常な暴騰になりまして、其の行爲は國家の目的の爲に追隨して放つて置いたと云ふことになるのであります、斯樣なことから、どうしても造林を國を擧げて實現したいと思ふ、之に政府は責任を持つて、大幅の所謂助成の經費を出さなければならぬと思ひますが、之に對して用意があるかどうかと云ふことを、承つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=32
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033・中尾勇
○中尾政府委員 造林助成の點に付きましては、今の勞務賃金其の他を考慮致しまして、現在の豫算で實行出來ませぬ場合は、相當値上することに考へて居りまして、準備を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=33
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034・仲川房次郎
○仲川委員 物價の暴騰を考慮して居るが、今の豫算で出來なければ更に考慮すると云ふことでありますけれども、今日の森林資源の造成は實に等閑に付すべきではない、急を要する、一日遲れるだけそれだけ國家の資源を失ふ結果になると云ふ觀點からして、本年度はどの位の豫算を以てやられるのか、又將來此の二百七十二萬町歩の造林に對して、國は如何なる豫算を以て進めるものであるかと云ふことを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=34
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035・中尾勇
○中尾政府委員 本年度の造林に關します豫算は、先般も一寸申上げたのでありますが、總體で八千七百萬圓になつて居ります、併し是は經費と致しましては、相當足らないのではないかと云ふ御疑念もあることと思ふのでありますが、此の造林の内譯を申上げますと大體御諒解行くことと思ひます、本年度の四十七萬町歩の中三萬四千八百町歩と云ふのは、是は國有林の造林でありまして、之に四千二百萬圓位と云ふものを豫定して居ります、尚ほ官行造林で六千五百町歩、是で約千五百萬圓を豫定して居ります、それから民有林の方の造林は、造林證券に依る分が二十七萬九千町歩、是が造林證券の補助の分であります、之に要します本年度の助成金は、是は來年度の經費で支拂ふことになるのであります、此の分で本年度の豫算に計上されて居りますのは千三百萬圓程度あるのでありますが、是は二十年度の證券に依る造林を致しました分の助成に相當する金額であるのであります、大體此の證券に依る造林二十七萬九千町歩を本年度造林致しますと、只今の證券のあの單價で行きまして、大體二億圓位になるのであります、半分の助成でありますので、來年度は一億圓位の助成になるのであります、それから一般助成の分でありますが、是が十四萬六千町歩、其の中人工植栽に依る分は五萬六千町歩と云ふことになつて居ります、此の方の經費が、只今の豫算と致しましては千六百萬圓を計上致して居りますが、是は到底此の經費で賄つて行けないことは、當局と致しましても認めて居りまするので、之に對しましては只今増額の手配を致して居ります、以上のやうな關係であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=35
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036・仲川房次郎
○仲川委員 今數量を承りましたが、概して考へましても、四十七萬町歩は今日の時勢から考へて非常に少きに失するやうな気が致します、けれども私は今日の植林は、どうしても一町歩で、地割をして、苗木を買うて植ゑて、それから其の後五箇年の間手入をすると云ふことに致しますると、先づ杉、檜では三千二百二十七圓と云ふ數字を出して居ります、詳しいことを申して居ると時間を取りますが、地割はそれでは少いと云ふことを考へて居ります、さうすると三千二百二十七圓と云ふことを考へますと、今仰しやる數字では、迚も迚も一割にも充たないと云ふことを想ひ到るのであります、更に私が思ひます問題は、今後どうしても此の二百七十二萬町歩の造林をなさらうと致しますならば、是が苗木、手入、其の他と合せまして、約六十億圓程掛る、是は大體私の考へでは、植林と天然更新を平均して一町歩二千五百圓、斯樣に假定して居るのであります、左樣な今日の實状に即する所の金が要ると云ふことを考へまして、政府の御考へになつて居るやうなことでは、到底是は唯畫に描いた所の計畫に終りはしないか、是が唯終つても構はぬと云ふことではなくて、今日ではどうしても治水、灌漑、保持と云ふことを考へて國民の安泰を期する、又國家百年の大計を樹つる上に、一日も等閑に付することなしに、必ず實行を致さなければならぬ、斯樣なことを考へますと、實際に合ふ所の補助、實際に合ふ所の證券を發行することが必要でありますので、此の點深甚なる考慮と、是の實行が實際に即するやうな御考へを願つて置きたいと思ふのであります
それから私の申上げる問題は、元の木材統制法の缺陷、それから日木、地木が專横横暴を盡した、公益を毒した、此の怨嗟の焦點は何處にあつたかと云ふことを考へますと、色々問題はありますけれども、要は獨占をさせたと云ふことが其の重大な原因であつたことは當然でありますけれども、一般の需要者、消費著が一番苦杯を嘗めさせられたのは、結局其の統制目的、生産目的が、最後の需要省或は消費者に向かざる所のものを拵へる、例へば家を建築する、此の爲に消費者、需要者がそれを求めて居るにも拘らず、三寸角が欲しいと云ふに拘らず四寸角を渡す、或は「パルプ」が欲しいのに八寸角を渡す、所が當時製材業と云ふものは、御承知の通り林材會社がそれをやつて居つた、製材なき需要者に斯かるものを渡して、それを貰つた消費者は非常に困つて、凡ゆる方法を講じて、凡ゆる不合理の下に之を頼んで製材して貰ふ、所が其の價格は、製材した價格の方がうんと手間を掛けて安くなつて、さうして元の原木の方が高いと云ふやうな矛盾があつたのであります、そこで私は今度は、先程局長から、民主化して斯樣な缺陷を補ふと云ふ御説明がありましたが、此の林業會法の第一條に「林業會は、會員が協同して、自主的に林業の改良發達竝びに、林産物の生産の確保及び配給」そこに持つて來て「及び使用又は消費の適正を圖る」として戴きたい、木材の生産育成と云ふものは、最後には其の使用の使命を果す爲にある、不合理な、需給の理論に合はないものを造ると云ふやうなことは、國家的意義から考へて決してあつてはならないと思ふ、我々が汽車に乘るにしろ、電車に乘るにしろ、目的を以て行動するのである、林業會の生産も、自ら此の最後の目的に向つて進むべきものであると云ふことから考へまして、ここに私は「使用又は消費」と云ふことを御入れになつた、之に向つて所謂「シムボル」を御作りになることが必要ではないか、之を御伺ひして見たいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=36
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037・平川守
○平川政府委員 木材其の他林産物の最後の使用又は消費と云ふことが、非常に大事な問題であると云ふことは御説の通りであります、林業會と致しましては、先づ森林の育成及び林産物の生産、更にそれから進んで配給と云ふ所までを主として擔當を致す團體であります、併しながら御説の如く、使用消費を適正ならしむることも重要でありまするから、其の見地からして、需要者の團體と云ふやうなものも之に參加せしめると云ふことは、此の法案の中にも規定を致したのであります、併しながら、林業會本來の目的と致しましては、生産育成と云ふ所にあると考へるのでありまして、此の第一條に「使用又は消費」の所まで、林業の改良發達と相竝べて標示することは如何かと存ずるのであります、先づ本法案の如く、需要者團體をも林業會に參加せしめ、其の意向を之に反映せしめると云ふ程度で宜しくはないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=37
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038・仲川房次郎
○仲川委員 今御答辯を得ましたが、森林組合と云ふのであれば、寧ろ原木であり加工致して居りませぬから、生産配給で宜しいが、之を製材し、用途に向つて加工する所の林産組合と云ふことを加味する以上は、どうしても國家目的、其の木材の最後の目的に副ふやうな、製品にすることが國家の爲め社會の爲に忠實なことである、それをやらなければ元の日木、地木の如く、やはり彼等は唯値打のあるもの、得なものを造つて、最後の需要の目的に反するものを造つても恬として恥じない所の、前の日木、地木と同じやうなことをするのではないかと云ふことを、非常に憂へるのであります、此の資材の少い日本で、無駄なことをしないで、林産組合が本當に社會に役立ち得るものを造つて行かうと云ふことを深く考へる、新日本建設に於ける林業會の目的はそこにあると云ふことを、私は深く思料するものであります、同時に第九條の第一項第二號と第三號との間に「都道府縣の區域を地區とする業務上林産物を使用又は消費する者の團體」と云ふことも、はつきり林業會の範圍として正式に謳ふべきである、それは必要があつて山で木を伐ることも要するに結構であるが、又林産組合として製造することも、消費がやつて初めて意味があるので、ここに組合員としてはつきり謳うたらどうかと云ふことを考へるのでありますが、此の點に付て重ねて御意見を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=38
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039・平川守
○平川政府委員 只今申しました如く、此の團體の目的が餘りにも廣汎になりますると、却て團體の活動の目標を瞹昧ならしめると云ふやうな危險もありますので、林業會と致しましては、やはり森林の育成竝に林産物の生産と云ふ所に重點に置きます、併しながら御話の如く、消費、需要の面も適正ならしめることが重要でありますので此の消費者の立場を考へない生産或は配給と云ふものが行はれては相成りませぬから、其の意味に於きまして第九條第一項第三號に、「林業に密接な關係を有する事業を營む者」とあります、只今御指摘の需要者の團體と云ふものは之に當嵌る譯でありますから、第三號と致しましては、稍稍森林組合、林産組合とは立場を若干異に致しますけれども、併し齊しく林業會に入つて、色々に意見を述べる機會を之に與へますことが適切ではないかと云ふ風に考へたのでありまして、茲に森林組合聯合會を林産組合と全く同等に竝べて、需要者團體を入れると云ふことは、却て林業會の目的なり性格なりを、餘りに漠然とし過ぎやしないかと云ふ風に考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=39
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040・仲川房次郎
○仲川委員 御意見を拜聽しましたが、そこが意見の違ふ所であります、私は請負業が本業でありますが、請負をする時に一番必要なことは、其の仕事を受取つた時に、此の仕事にはどう云ふ物が要るかと云ふことが先で、仕事をするのは後であります、其の仕事をするのに適當な物があるかないか、或は思ふやうな物が出來るか出來ぬかを考へることが、請負師は一番必要であります、此の林業會も最後の使命は、どう云ふことをすると云ふのが目的であつて、其の爲には製材も三寸なら三寸、二寸なら二寸、或は板は一尺幅のものが要るとか、事業に必要なものを生産し、それに必要な林業の育成を考へて行くことが日本林業の根本である、私は少くとも此の林業會の中心となるものは、消費に矛盾した生産は決してあり得ない、國家的に考へ、社會公共の爲に先を考へるのが當然だと思ひます、人間は凡夫である、前の指導者が作つた法を運用するのにも、それを其の儘運用せずに、生産配給には獨自の立場があるので、各各の需要者の立場を考へてやる必要がある、さうして木材を長い太い儘で出せば高く賣れると云ふので、三寸なら三寸に切つて使ふものを、何十倍と云ふ勞力を掛け、運賃も高いものを出して、大きなものを最後の消費地まで持つて行つて、そこで短く切ると云ふやうな手數を掛けて居る、斯う云ふことを長い間繰返して居る、斯う云ふことを反省して、林業會が眞に國家の爲に、消費者の立場を考へて生産すると云ふやうに、合理的な運用がなされなければならない、此の點は是非御考慮願ひたいと云ふことを重ねて申上げて置きます
次に今度生れる林業會は、眞に此の民主國家を建設する爲めの理想的な組合を作りたい、是は政府も念願されて居ると思ひますが、左樣な點から考へて、此の第九十四條の商工組合法に依つて設立された林産組合は、三分の二の贊成さへあれば今度の林業會となることが出來ると云ふことでありますが、地方木材業者は凡ゆる專横、矛盾撞著の結果、世間の怨嗟を受けたので、只今は彼等は第二の會社を作つて居る、それが今度はすつと此の林業會に入る、更にもう一つの問題は、第九十一條に依つて社團法人日本林業會の權利義務は、此の法の示す所に依つて日本林業會に承繼ぐと云ふことを考へると、元の官僚横暴の獨善主義の統制法の殻が拔けない、私はそれを遺憾に思ふ、斯樣な問題は少くとも今度法として發布する以上は、新しく作り改めて、民主的にさせることが必要であります、九十四條の如く、戰爭中に前の方々が作つたやうなものを活かすことは、絶對必要ないと考へます、此の點に付て御意見を拜聽したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=40
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041・平川守
○平川政府委員 現在商工組合法に依りまして各地に設立せられて居ります林産業者の團體と云ふものは、地木社の實際の活動が消滅致しましたのに應じて、縣下に於ける木材の統制事業を縣から命ぜられまして、擔當して居るやうなものが多いのであります、是は大體に於て縣下に於ける林産業者と云ふものを總て包容して居ると考へられますので、之が一遍解散致しまして、新たに林産組合を設立すると云ふ手數なことを致しますよりも、今囘の林産組合も、現在の商工組合法に依る業者の組合も、何れも縣下に於ける業者を包容して居る團體であると致しますならば、特に解散或は清算と云ふやうな厄介な、且つ損害の多い手續を取りますよりは、總會の決議を以て簡易に身代りを得る方が、其の團體の爲にも有利ではなからうかと云ふ風に考へたに過ぎないのであります、若し是が甚だ非民主的であると云ふので、新たに業者の方々が集つて林産組合を作らうとされるならば、それは一向差支へない譯であります、而も此の林産組合に轉換を致しました場合に於きましては、總て此の林業會法に依りまして民主的に役員の選任其の他の運用が行はれる譯であります、隨て此の規則の爲に、非常に非民主的なものが其の儘殘ると云ふ虞はないのではなからうかと考へるのであります、日本林業會に付きましても屡屡御答へ申上げましたやうに、特に非常に深い意味がある譯でもありませぬが、唯似たやうな目的を一部持つて居る團體でありますから、之を解散、清算すると云ふやうな損害の多いことをやりませぬで、簡易に其の權利義務を引繼ぐと云ふことが出來れば、其の方が業界の爲には便利ではなからうかと云ふことを考へたに過ぎないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=41
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042・仲川房次郎
○仲川委員 監督官廳の方々は机上の論を以て總てのことを御決めになる結果、色々弊害を生じたと私は信ずるのであります、統制會社が非常に社會の非難の的となり、其の結果官僚が寄つてもう一つの變つた會社を作り、同じ人がやつて居る、今度の林産組合に是が入ることになると、政治は御承知のやうに、お互ひが斯うして議論して贊否を決しますけれども、さうした人が斯う云ふ事業の特權を握る以上、どうしてもさう云ふやうに指導して行くことになると考へられます、我が國の戰後に於ける所の森林の方は――元の議員、要するに翼贊會から推薦せられた方々は、善惡に拘らず追放されて居る、茲に初めて改められる、でありますが、天下の惡法たる木統法を運用して、さうして非難囂々たる者が形を變へて殘つて居る、それで宜いぢやないかと云ふことでは私は到底今度の此の林業法案も民主的に、さうして社會が之を信用し、立派な成果を擧げることは困難であることを痛感するのであります、此の點に付きまして特に私は再考を促したいと思ふのであります、それから日木は解散しなくても宜いぢやないかと云ふことでありますが、今度の日本木材統制會社は大體指導機關であつて――日木の決算書を見ると、中々大した金の未拂があり、又貸金もあり、非常な事業をやつて居る、斯うしたものを今度新しく生れる所の指導機關である日本林業會が繼承して、所謂其の性格と業績とを引繼いでやつて行くと云ふ上に於ては、相當に其處に齟齬が生ずると思ひますので、先づ以て安全の方法は、今度出來た林業會は其の林業會のものとして運營する、現在の儘林業會を進めて行かれるならば、如何に斡旋なさつても、人的機構の上に於て斯うするのだ、ああするのだと言はれることは、最も民主的でないと考へるのであります、此の點に付ても再考を願つて置きたい、それから最後に御伺ひ致したい問題は、私は東京に參りまして、五月頃から參つて居りますが、未だ曾て炭の配給を受けて居りませぬ、勿論私は常住しては居りませぬが、私の居ります家でも配給を受けて居りませぬ、暑い今日は不自由ながら越せますが、是から寒空に向ふのでありますから、今後の木炭の生産方面、配給方面に付て、確たる御確信があるかと云ふことを御伺ひしたいことと、今度の林業會、之になぜ薪炭を入れなかつたか、入れるべきぢやないかと私は思ふのであります、今日の生産から考へましても、非常に重要性があると云ふことを考へまして、是非とも今度の林業會に之を入れて、さうして立派に一貫した林業會の運用を圖ることが當然であると、斯樣に考へるのであります、更に私の申上げる問題は、承ります所に依ると、大體森林組合が此の原木の九割を持つて居ると云ふことを申して居ります、隨ひまして原木を持つ所の森林組合に之を生産せしめる、之を買上げさせる、さうして是が配給をすると云ふやうな一貫的の運用を致しますことが、所謂生産を絶對確保せしむる上に於て、又配給を圓滑ならしむる上に於て、必要なる要素であると私は考へるのであります、此の點に付きまして、幸ひ鈴木さんおいででありますから、鈴木さんに御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=42
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043・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 木炭の東京都内に於ける事情は極めて良くないと云ふ御話であります、御説の通りでありまして、甚だ殘念に思ふのであります、戦後まだ家庭燃料の需給が巧く行つて居ないのは甚だ殘念であります、併しながら木炭、薪に於きましても、先年よりは僅かでありますが、四%乃至六%の計劃を殖やしまして、増産計畫を立ててやつて居るのであります、特に木炭の家庭燃料は、全生産額二百三十二萬「トン」に對して百二萬「トン」と云ふように、四割五分餘のものを家庭燃料に廻して居ります、薪に於きましては、七千五百萬石の中で五千二百萬石を廻すと云ふやうに、家庭用に重點を置いて居るのであります、木炭に直しますならば、家庭用が合計二億萬餘になると云ふやうになつて居るのでありまして、現在出ました數量は、東京都内に於きましては、四月から五月末日までに一俵出す豫定が半俵になつて居ります、五人家族で八月までに一俵出すのが半俵出て居ります、併し是は十二月までには必ず取返されると思ふのでありまして、現在半俵となつて居りますが、全國的に言ふならば、千五百萬家族に對して七分六厘の配給率になつて居る、一俵出せないのは殘念ですけれども、六大都市は交通關係からやはり幾らか少くなつて居りますが、是は夏山増産其の他で、最近非常に薪炭増産に對しましては、色々の意味に於きまして國民の總意が向いて居りますので、本年に於きまする生産増強は少くとも八割に行くのではないか、七割は既に豫想されて居りますが、計畫の八割には行くと思ひますので、何とかなると思ひます、且つ又東京都内に於きます皆樣の御不自由に付きましては、東京都の燃料關係官と話合の上で、來るべき冬には或る程度の特配も考慮出來るのではないかと考へ、十分係官と相談の上で善處致したいと思ひます
それから御話の薪炭を同時に指定せよとのことでありますが、之に付きましては、平野議員から數囘に亙りまして御質問ございまして、現在は木材に重點を置いて居りますが、既に寒さも迫つて居りますし、本冬に於きます薪炭の造成は、食糧以上に窮屈ぢやないか、非常に危險となされて居りますので、一日も早く指定致しまして、業者の盛上る力に依つて生産増強を期したいと思ひます
それから森林業者が薪炭の原木を持つて居るから、之に全般的に生産を任せよとの御話でありますが、森林業者が喜び勇んで薪を作り、木炭を作るならば、是は益益宜いと思ひますが、唯森林業者は森林の造成に、或は災害防止、治水などにも相當の力を用ひなければならないと思ひますので、所謂戰後の經營は、仕事をするものがそれに關係したことをやつて行く、而も炭を燒くものと森林業者とは違ふ場合もあるかと思ひますが、森林業者が炭を燒き、薪を作つたりする場合に於きましては、是等の方々がそれ等の關係のことをやることも結構だと思ひます、要するに、戰後の經營に於きまして、實力のある、それ等の用意のあるものに御任せすることが一番安全ではないかと存じて居ります、左樣御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=43
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044・仲川房次郎
○仲川委員 木炭、薪の問題は、曾て新聞にも、非常に今年の冬は危機であると云ふことも報道されまして、それから市民は非常に案じて居りますが、幸ひに鈴木さんには熱心な、自信のある御答辯を戴きまして、了とするものであります、寒空に向ひますので、是が實行、生産、配給に對して、是非共御配慮を願ひたいと思ふのであります
それから薪炭を林業會に入れると云ふことに付いて色々お説を伺ひましたが、私は此の林業會の中に木炭を入れることが一番合理的であると思ふ、林業會の健全な發達をさせると云ふことが必要だと思ひますので、此の事も最大の考慮を願ひたいと云ふことを御願ひすると同時に、更に今後の木炭の生産配給と云ふことに付ては、是非共原木を持つ森林組合にさすと云ふことが合理的であると思ひますので、是も重ねて御考慮願つて置きたいと思ひます、色々と御願ひを致しましたが、私の要點は從來の惡法木統法の失敗をもつと反省して、再び此の失敗をなからしめる爲に、是非共民主的に、而も合理的に、そして山を造るのも製材するのも、要は消費の爲にするのである、詰り、需要者の希望に副ふやうに生産して、そして國家意識の昂揚を圖らなければならぬと云ふことが、此の會の使命であると思ひますので、是非共此の木材業の保護、振興、それから需給消費と云ふ方面の適正を期すると云ふことの御考へを、一日も早く合理的に極力進められんことを御願ひ致しまして、私の質問を打切ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=44
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045・森幸太郎
○森委員長 伊藤實雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=45
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046・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 私は本案が上程になりました所以に付て篤と御尋ね致したいのでありまするが、本會議竝に引續く委員會に於きまして、本案は木材の生産の増強を主と致しまして、只今執つて居りまする所の森林組合のみで以ては、到底現下の木材需給の完璧を期せられない、就中地方に依つては、森林組合が左樣にまで發展致して居らない、斯樣な政府の御所信でありまするが、私熟熟案じまするに、只今各地方とも殆ど縣森聯が中心となりまして、各單位森林組合で木材需給の完璧を期しつつある、此の森林組合が、而も森林所有者の保護團體でありまする所の組合が發展途上にありまする時に於て、わざわざ何故に林産組合なるものを作つて、二本建にして林産物の生産を致さうとするのであるか、此の點に付て政府の所信を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=46
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047・平川守
○平川政府委員 木材の生産に付きましては、現在と雖も森林組合が扱つて居りますばかりでなく、寧ろ相當に木材業者、或は從來に於きましては地木社と云ふやうなものが之に當つて居つたのであります、今囘の林業會法は、森林組合が木材の生産或は加工等に從事致して居りますものを壓迫すると云ふやうな意圖は毛頭ないのでありまして、唯從來の森林組合と、又從來の業者を以て構成を致します所の林産組合とを協調せしめたい、其の爲に業者の一體となりました林業會と云ふものを構成致したいと云ふに過ぎないのであります、從來の森林組合が、林産物の生産等に付きまして逐次發展しつつあります途を、此の際新たに林産組合を作つて壓迫せしめると云ふやうな意圖は毛頭ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=47
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048・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 只今御答辯に依りますると、縣森聯を中心として森林組合も相當やつて居るのだが、生産の増強を圖る爲である、而も林産組合の協力の下にやると抑しやるのでありまするが、私の考へとしましては、森林組合としましてはそれぞれ施業案を持つて居りまして、而も森林組合員である者は原木の所有者である、林産組合員は一つの商売人である、斯う云ふことになると、森林組合員の所有になる而も過去何十年我が子の加く愛撫致した所の此の原木を、高が知れた所のあの林産組合の方に御自由にさせる、左樣なことで以て森林所有者が、果して將來植林或は造林に對して本當に心魂を籠めて働くであらうかどうか、斯樣なことに付ても疑ひを容れますることが第一點でありますると同時に、此の國土保安上なくてならぬ所の植林、造林に付ては、果して此の林産組合なるものが如何樣なる所の努力をするのであるか、之を熟熟考へますると、植林、造林と云ふが如き原木を造ることは、是は森林組合が骨を折れ、さうして植林が成つて原木が出來たものは、林業會と云ふ胡麻化し的な團體を作つて、或る業者に利益を得させんとするのであるか、斯樣に私は考へるのでありますが、一體此の施業等に付きましては如何樣なる林産組合側の協力があるか、斯樣なことに付て、政府の御所信を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=48
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049・平川守
○平川政府委員 森林組合と林産組合との職分の大體の仕分から考へますと、森林組合は造林、植林、育成と云ふことに重點があらうかと思ひます、併しながら同時に森林所有者が林産物の生産にまで進出すると云ふことは固より差支へないのでありまして、之に付ては助長も致して參りたいと思ふのであります、一面林産業者の方は木材の生産等に專心掛る譯であります、國家と致しまして、一面に於て森林の造成と云ふことを非常に重視致しますと共に、一面に於て木材等の緊急需要と云ふものも相當にある譯であります、隨ひまして森林所有者と致しましては、假に木材は此の程度しか本年は伐りたくないと云ふ場合もあらうかと思ふのでありますけれども、一面國家の需要から致しますれば、此の程度までは伐らなければならぬと云ふ場合にあらうかと思ふのであります、さう云ふ場合に於て林産組合、所謂林産業者側の方が、從來は地木社と云ふやうな形に於て、場合に依りましては政府の強制力までも用ひまして、無理に伐らせたと云ふやうなものが從來のやり方でありましたが、此の生産を致しまする數量等に付きましても、或は伐採を致す場所等に付ても、林産業者だけに、權限を與へることでなくして、森林組合側と十分相談の上でそれを決定して參ると云ふことが、消極ではありまするけれども、森林の育成と云ふ立場にある森林組合の仕事を援けることになるのであります、さう云ふ意味に於きまして、林産組合側が木材の生産等に從事する、其の邊に對する國家の需要も非常に強い、併しながら同時に森林組合側の育成と云ふことも非常に重要である、其の兩者の調整を圖らなければ、林産業者側が非常に横暴を働くと致しますれば、森林所有者側は非常な迷惑を蒙る譯であります、さう云ふ意味に於て兩者の調整を圖ると云ふことが、森林の維持、造成と云ふことにも非常に役に立つ、斯樣に考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=49
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050・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 御答辯に依りますと、森林組合側の主とする所は造成であり、林産組合側は主として生産に當ると云ふやうな風に聽える譯でありますが、それを穿つて考へますと、森林組合側は徹底的に農家を主として居り、林産組合側は商人を主として居ると云ふやうな所から考へて、農家と云ふものは商人の餌食になる、農家は一生懸命育成して、さうして商賣人が是が生産に當ると云ふことになると、農家と致しましては國庫から僅かの補助を貰つて、之を莫大なる所の金と、尚ほ多年に亙る所の勞苦を費して折角育てたものを、左樣な商人の手に依つて自由になされるのではないか、斯樣に考へらるるのでありますが、私の考へ方が違ひませうか、此の邊のことを一つ御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=50
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051・平川守
○平川政府委員 森林所有者を業者の餌食にすると云ふやうなことは毛頭考へて居りませぬ、やはり木材等の生産に付ての國家的要請と云ふことを考へますると、現在に於ける實力をやはり考へなければいかぬと思ふのであります、或は理想と致しましては、森林所有者が總て林産物の生産を致し、又加工までも致す、場合に依つては販賣までも致すと云ふやうな形が取れまするならば、是は理想の形かも知れないと思ふのであります、併し現在の段階に於きまして、國家が毎年何千萬石と云ふ木材を需要すると云ふ場合に於て、其の實力を有せざる森林組合に對して一手に之を任せると云ふことは出來ないのではないか、そこで森林組合側に對しましても、實力のある者に對しては決して之を拒むものではないのであります、實力を持つて生産をし、加工をすると云う者に對しては、是が出來ると云ふことははつきりと森林法にも謳つてある譯であります、實力を以てどしどしおやりになれば宜しいのであります、唯其の場合に、現在の段階に於て之を統制的と申しますか、一元的に森林組合だけに任せると云ふことは難かしい、そこで現實の姿を重視致しまして、現在實力を持つて生産に從事して居る林産業者に對しては、其の働きも認めます、さうしてさう云ふ場合に於ては、此の兩者が離れ離れになつて居りましては何れかが横暴を働く、或は結局に於て木材の生産も上らないと云ふ結果になる虞がありまするから、兩者の協調を圖つて行かうと云ふ考へであります、決して森林所有者を壓迫するとか、餌食にするとかと云ふやうなことでは毛頭ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=51
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052・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 私としましては、左樣な考へを持つことが當然森林組合側としてはあるのでありまするが故に、何が故に茲に新たに林産組合と云ふ風なものを作つて、さうして二本をちよろまかしたやうな森業會を作るのか、それよりか現在ありまする所の、一貫作業を致して居る所の森林組合を、新たに林産組合を作ると仰しやる其の政府の意氣を以て之を強力に指導致しまして、森林組合其のものが完全に左樣な一貫作業をして居らない所に對しては、政府が積極的に之を指導致しまして、一貫したる、而も所有者竝に所有者を保護する所の森林組合と云ふ組合があるのでありまするから、之を指導致して、一本で以て木材の需給の完璧を期したい、さうして業者が可愛いと仰しやるならば、業者は此の森林組合の要員に入つたら宜い、決して日本の林産と云ふものはあの林産組合員の獨占事業ではありませぬ、そこで若し政府に於て森林業者が可愛い、或は失業になると仰しやるならば、森林組合に之を使ひまして、森林組合の方に事務員として働いて、十分なる所の力の發揮が出來るのである、何が故に新たに林産組合と云ふものを作つて、さうして又將來非常な軋轢の生ずるが如き、二本建のやうなものを建てられるのであるか、就中左樣な林産組合員の商人に對しては、政府は非常の努力をされて居られるが、農家を主體とした所の森林組合に對しては、何が故に今少しく積極的に之を指導して、是が一貫作業が出來るやうな指導をなさらぬのか、此の點政府の御所信を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=52
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053・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 洵に御説は御尤もであると存ずるのです、併しながら森林業者は悠久五十年、百年の事業を營んで居るのでありまして、林産業者は其の日の木材を伐り、其の月の計畫をし、長くも一年の木材を伐ると云ふやうなことをやつて居るのでありまして、全然性格は變つて居ると云ふやうな意味から、森林業者は、事業の經營に對しましては生産も、販賣も、加工も出來るが、寧ろ大きな事業として悠久なる事業をやる信念は、やはり製材業者などは違ふ所があると云ふやうな點から、一面に於きましては、森林業者の爲に國庫は非常な負擔をしても森林の維持造成もして居るし、一面に於きましては中小工業者の立場から、事業の立場、加工業者の立場から見て、各各個性を活かす所に日本の戰後の經濟の建て方があらうかと思ふのであります、隨ひまして森林業者に付ては、國家は維持育成に付てどのやうにも力を致すだらうと思ひます、是は長い事業でありまして、御説のやうに利益の少い事業であります、本當に國家的觀念の事業でありますから、それは申すまでもないのであります、併し一面に變つた性格を持つ中小工業と云ふものも、やはり其の性格に於て育成することが、綜合的な經濟の確立にならうかと存ずるのであります、左樣御諒承願つて、さうして特に今度出來まする林業會は、其の意味に於きまして、大きな長い生命を持つ森林業者と、其の加工販賣をする業者とを、仲好く自主的に出來る意味に於きましては、一緒になつたが宜いのではないかと云ふ觀點から目論んだのでございまして、どうか其のやうな特徴を活かし得るやうな方向に進んだならば、經濟の發達があるかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=53
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054・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 此の問題に付きましては、幾ら話しましても私は合點が行きませぬ、一體只今ありまする所の森林組合を徹底的に、積極的に之を指導致しまする所に於て、初めて森林所有者も安心を致して原木を賣る、洵に森林所有者としても喜んで原木の賣買を致すと同時に、將來の植林、造林に力を入れるのではないか、斯樣に考へるのでありますが、どうも政府の只今の趣旨に依つては、絶對に左樣であると合點が行き兼ねるのでありますが、本問題に付きましては是れ以上御尋ね申上げませぬ
續いてお尋ね致しまするが、若し林業會と云ふものが成り立ちました時に、假に縣林業會に對して百萬石の木材の割當をした、さう云ふ場合には、縣「ブロック」の今の縣森聯と、縣の林産組合に對しての生産割當は、如何樣に數量の割當をなさるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=54
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055・平川守
○平川政府委員 縣の林業會に於きまして、森林組合側、林産組合側が集まつた上で相談を致しまして、さうして現實に森林組合の行ひ得る生産の量、又林産組合側の行ひ得る生産の量と云ふやうなものを睨み合せまして、實情に即するやうに兩者に振分を致す譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=55
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056・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さう致しますると、其の場合には一體實績と云ふことに依るのでありまするか、森林組合側は原木を幾ら持つて居る、林産組合の見透しは斯うである、所謂原木蒐集の見透しに依つて割當の數量を決定なさるのでありますか、ここら邊りを御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=56
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057・平川守
○平川政府委員 其の邊を自主的に決定を致します爲に林業會と云ふ構成を作つて居るのでありまして、之に對しまして、原木を持つて居る森林組合側に對して、原木の量に應じて割當をすると云ふことになりますれば、林産組合側には殆ど割當が行かぬと云ふことにもならうかと思ひます、又實績に依つてやると云ふことになれば、森林組合は一歩も發達が出來ぬと云ふことにならうかと思ふのでありますが、其の邊は兩者が能く話合を致しまして、實績と云ふものも一つの重要なる決定要素であらうと思ひます、それに對して森林組合側としては、本年は此の位餘計やりたいと云ふことであれば、其の意見を宜いとして、又相手方も之を理解し得るのではなからうか、其の間に於て若干の議論はあるかも知れませぬけれども、話合の上で必ず決定を見ることが出來るだらう、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=57
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058・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 そこで問題が起きる譯であります、此の割當問題に付て、先づ第一番に森林組合と、林産組合と意見が調はないと云ふ風なことを見透しまして、どうせ此の林産組合と森林組合は猫と犬で合はないと云ふことで以て、將來紛爭をするよりか、最初から作らない方が宜いと云ふことになりまして、林業會と云ふものを作らないと云ふ場合に於ては、一體政府はどう云ふ風な處置をなさるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=58
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059・平川守
○平川政府委員 林業會が出來ませぬければ已むを得ませぬので、統制が行はれて居ります限りは、官の方から直接に割當を致すと云ふことにならうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=59
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060・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 官が直接に割當をとると云ひますと、森林組合になさるのであるか、或は一々個人業者になさるのであるか、官がやるやると言ひましても、下の何處らに一つおやりになるのか、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=60
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061・平川守
○平川政府委員 例へば縣廳から森林組合聯合會に對して幾ら幾ら、林産組合に對して幾ら幾ら、更に森林組合及び林産組合から、それぞれ系統の下部機構を通じまして個人まで割當が行く、斯う云ふ徑路になるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=61
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062・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さう致しますと、林業會のある場合には林業會が色々な費用を使つて居る、之に對しては相當なる費用が要りませうが、ない場合には縣の方より直接に縣森聯竝に縣の林産組合に行くと云ふことになると、尚更林業會は要らぬのぢやないか、大體縣廳に林務課と云ふものがあるから――其處で色々な統制會社に付て言ふのですが、食糧に付ては藷類統制會社を置いて居る、是は除けると言はれましたが、色々な統制會を考へるに、一體縣廳は狡い、食糧に對しては食糧課があるぢやないか、山林に對しては林務課があるぢやないか、左樣な仕事は一體林務課がすれば宜いぢやないか、斯樣に考へるのでありますが、今御説明を聽くと、尚更林業會と云ふものは要らない、縣廳の山林課或は林務課、斯う云ふものがあるのだから、是がやつたら宜いぢやないかと云ふことになるのですが、政府としては、出來ない場合にはさうすると仰しやるが、作らずに縣廳の仕事としてやつたらどう云ふ風な惡結果を來すのでありますか、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=62
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063・平川守
○平川政府委員 從來所謂官治統制と云ふものが色々非難を受けましたことから考へて見ましても、さう云ふ自治的な團體を作つて、業者或は森林所有者等が民間自體に於て割當等を致したい、斯う云ふことが一般の民意ではなからうかと私共は考へて居る譯であります、それを縣の林務課が、頭ごなしに割當をすると云ふことが官僚獨善でいけないのだ、斯う云ふことが現在の一般の世論であらうと考へまして、斯う云ふ自治的な機關を作るのが宜からうと考へて居る譯であります、併し民間の方に於て、やはり官治統制が宜しい、民間では話が纒まらぬから役人にやつて貰ひたい、斯う云ふことであれば、私共はさう云ふことも差支へないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=63
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064・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 官治統制と云ふ意味ではないのですが、然らば縣林業會に對する所の命令は一體何處から來るか、是は日本林業會から來るのか、一體日本林業會に誰が命令するのか、我我國民が命令したものではない、政府からの命令だ、人民から命令したのではない、根を質せば官治ではないか、然るに從らに答辯に於て委員會を胡麻化さんが爲に、縣がやつたら官治統制だ、國がやつたら官治統制でないと云ふ意味は何處にあるか、ここらあたりの説明を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=64
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065・平川守
○平川政府委員 其の點は確かに官の方から大きな枠で決まる譯であります、併しながら例へば本年度全體で以て七千萬石生産をするとか云ふやうな、大きな枠は政府の方で決めるのでありますけれども、それを決めるに付きましても、民間の意向を十分參酌して決めると云ふ意味に於て、日本林業會の意見を徴す、又日本林業會は林業委員會の意見を徴すと云ふことになつて居るのでありますが、更に此の大きな枠の範圍内に於て、具體的に各縣の何處の組合、或は誰々がどれだけのものを生産するかと云ふやうなことは、其の枠内に於て林業會自身が相談の上で決め得ると云ふやうな組織になつて居るのであります、之を假に林業會と云ふ團體をなくしますれば、直接に官の方から單位組合、或は聯合會等に問うて行かねばならぬと云ふことになる譯であります、併しそれにしても、成べくそれは現在の森林組合なり、林産組合を使つて行くと云ふことには運用されると思ひますけれども、併し其の森林組合なり双方の間に於ても、其の間の割當に付きましても、出來ることならば、お互ひの間の話合で自治的にやられる方が民間の御希望でもあるぢやないか、斯樣に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=65
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066・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 私の考へ樣としましては、中央に於きます所の、詳細のことに付て分らない日本林業會ですか、それと政府が話合になるよりも、縣へ下つて、縣内の事情の能く分つた縣森聯、或は林産組合、縣當局――林産會がないと云ふことになると、縣當局がお世話なさると仰しやる、さうして縣森聯と縣林産組合との意向を聽いてと云ふことですが、縣内のことは能く事情を知つて居る人がある、さう云ふ方と、今の業者關係の林産組合と、所有者關係の森林組合、縣森聯と縣林産組合との協議に依つて、實情を知つた者同士がやつた方が宜いのぢやないか、要らざる所の統制組合に似たやうな、誰やらぢやないが、「アルコール」飮んで死んだげなが又飮んで死ぬと云ふやうな、所謂木材統制會社で失敗して、又同じやうな、自主的々々々と仰しやるのは政府の口癖で仰しやるのですが、如何樣に自主的と仰しやつても、農家位實は社會的に弱い者はありませぬ、表決權がどちらも五である以上は、どうしたつて商工關係の方が勝つに決まつて居る、農家と云ふものは非常に政治力が弱い、社會的に力がありませぬから、商工關係の方が牛耳つて行くことは當り前であります、隨て森林組合側が林産組合側に壓迫されることは當然である、自主的と云ふのは洵に宜い言葉でありますが、之を實現された曉には、必ず現在の地木、日木と毛頭變らないものが生れて來ると私は思ふ、斯樣なことも考へまして、如何樣に聽きましても林業會の設立をしなくてはならぬ、林業會法を提案しなくてはならぬと云ふ此の根本理念に付て、私はどうしても承服することは出來ないのであります
尚ほ續いて、承服することが出來ないと言ひましても、政府が提案し、本會竝に委員會に於て色々御説明になりまして、只今審議中なので撤囘も出來ない譯でありませうから、假に是が出來るものとして一つ質問致したいのであります、其の第一番は、第一條中に「林産物とは、木材その他森林から産出する物で主務大臣の指定するものをいふ。」斯う云ふ風に畫いてありますが、主務大臣が指定するものの中には一體如何なるものがあるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=66
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067・平川守
○平川政府委員 之に付きましては、差當りは特別のものを考へて居りませぬが、唯薪炭に付きましては、若干の問題がございますので、出來る限り速かに指定を致したい、其の外の林産物に付きましては、現在まだ具體的に指定を致す考へを持つて居りませぬが、逐次必要に應じまして指定をすると云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=67
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068・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 薪炭を指定する、斯樣に仰しやつて居りますことは、大體此の林業會を御作りになる上から當然であらう、斯樣に考へて居りますが、薪炭を只今主務大臣の指定するものの中に入れたい、斯樣に仰しやるので薪炭問題に付て御尋ね致したいのであります、本會議の時にも、私燃料配給統制會社に付て、詳細なる内容を打明けまして質問致したのでありますから、重ねて此處に申すまでもないと思ひまするが、何と云つても燃料配給統制會社の手數料と云ふものは、洵に驚く程の手數料であります、廣島縣の例を取ると、生産者一圓三十錢の薪が、消費者に渡ります時には二圓七十五錢、一圓四十五錢は一體何に取られるかと云へば、燃料配給統制會社が七十五錢取る、其の中僅か五錢六厘を單位森林組合に渡す、政府の木炭事務所が七十錢取る、斯樣なことで薪の生産が出來る譯はありませぬ、燃料配給統制組合のことでありますが、將來――將來ではありませぬ、私としては直ちに之を廢止して貰ひたいのでありますが、政府は燃料配給統制會社に付ては如何樣なる御意見を持つて居られまするか、又政府木炭事務所は一體何をして、どう云ふ風なことをして居るのか、何の役に立つのか、七十錢も手數料を取つて何をして居るか、此の詳細なる御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=68
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069・中尾勇
○中尾政府委員 燃料統制組合を即刻廢止したらと云ふ御意見でありますが燃料配給の經路等に付ては、只今色々考究はして居りますが、兎に角薪炭を政府で買上げまして配給を致して居ります以上は、此の配給方面の機關はどうしても必要でありますので、唯其の「マージン」其の他のことに付きましては、御話の通り色々の點もあるのでありますが、此の點は更に研究致しまして善處致したいと思つて居ります、此の機構のことに付きましては、當分統制をやつて行く上に於て必要だと存じて居ります
尚ほ此の統制組合の「マージン」が非常に多いと云ふ御話でありますが、只今の小運送の賃金の暴騰關係等から考へまして、實際に組合で手數料として取立てて居るものは、大部分は輸送費の方に取られて居るやうな關係でありまして、組合の手數料と致しましては、只今の所さう多くはないぢやないかと云ふ風に考へて居ります、更に此の點は研究を進めて居ります、尚ほ木炭事務所のことでありますが、木炭事務所の方の仕事は、先刻申上げましたやうに、政府で薪炭は自家用を除きまして全部を買上げて、輸送、配給まで致して居るのであります、是等の事務を執つて居りますのが木炭事務所の仕事であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=69
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070・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 只今の御答辯に依りますと、燃料配給統制會社は配給するのだ、而も小運送の關係が云々と、洵に運賃が澤山要ると云ふやうな話であります、是は又一理窟なので、相當要りませうが、縣に依りますれば大體隣村へ配給すると云ふ位なことが普通なので、左樣な運賃が要らうとも思ひませぬ、思ひませぬが是も理由は立つ、理由立つとしましても、燃料配給統制會社が小運送賃が要る、只今政府木炭事務所もどうやら配給のことをやつて居るのだと言はれる、一體左樣に二重に運賃が要るのか、斯う云ふやうに考へるのであります、詳細に御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=70
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071・中尾勇
○中尾政府委員 木炭事務所では買入、輸送、配給の事務を致して居りまして、實際輸送と買入と配給の方は代行を致させて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=71
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072・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さうすると廣島縣で申すと廣島市が消費地であるが、隣りの郡から入れて來ると云ふ場合に、運賃は一體何處が出して居るのか、燃料配給統制會社で出すのか、政府木炭事務所で出すのか、例へば此の町に對して此處から持つて行くと云ふ場合には、誰がどれだけ金を拂つて、誰がどれだけ儲けるのか、之をはつきり御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=72
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073・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 木炭の事務所のやつて居りますことは、恐らく廣島縣なら百何箇處或は二百何箇處の薪の集荷所があることと存じます、所謂政府の指定する薪の集荷所、其處かを縣内に持つて行く、「トラック」で積むもの、或は汽車で積むもの、之を「プール」しまして、約七十錢位掛かるものを政府は負擔してやつて居ります、其の外に政府は、廣島縣が若し生産縣であれば、他縣へ出す費用も其の中に包含して居ります、全國的に「プール」をやつて居ります、それから燃料組合の取りますものは、縣内に於きます政府の木炭事務所が、指定の賣渡場所と云ふのがございまして、例へば廣島市に對しては何處の配給所に持つて行くとか、或は廣島縣の何々郡の何々村まで政府が持つて行く、其の先の配給費に縣内の「プール」の計算をして配給費を取つて居ると云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=73
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074・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さうすると縣内に於ける所の運賃は燃料配給統制會社で支拂ふ、縣外輸送のみ政府の木炭事務所でやると云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=74
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075・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 縣内に於きましても、政府の木炭事務所が概ねやるのでございます、それは燃料組合の受渡場所まで政府が持つて參ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=75
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076・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さう致しますと燃料配給統制組合と云ふものの手數料は洵に莫大だと思ひます、例へば、縣内にも數箇處政府の木炭事務所が卸す指定所があると思ひます、一體全國を通じて、大きい縣は別としまして、普通の縣は何「キロ」四方と申しますか、平方と申しますか、或は郡と申しますか、郡を單位に置いてやるのか、何箇町村位を單位に置いてやるのか、此の邊りを聽きませぬと、一體燃料統制組合と云ふものはどれだけ儲けを、どれだけ暴利を貪つて居るかと云ふことがはつきり分らないと思ひます、郡を單位に政府の木炭事務所は今の荷場を設けるのか、此の邊りを詳細に御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=76
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077・鈴木強平
○鈴木(強)政府委員 大體政府で渡しますのは、驛のある所は著驛で、「ホーム」で渡して居ります、さうして七十錢の配給費は高いと云ふ話でございますが、それから先引取賃、それを倉庫に入れて倉庫から出す、薪なら何束、木炭なら何俵と云ふことを計畫的に出す、或る場合に於ては一束づつ運ばなくちやならぬ、さうして一度に五束運ばせるものが、少くなれば一束でも運ばなくちやならぬ、現在の色々の物價の昂騰から言つて、六十錢、七十錢と云ふものはさう高いものではないと云ふことは、常識的に考へられると思ひますが、又さうした統制機關なるものは不當の利益を取つて不當に分配するものがあれば、監督官廳が十分取締つて、ないやうにして居ります、又今度の統制組合なる團體は株の配當にも制限がしてあります、さうして又其處に居る現業員或は配給の統制組合員兩者が立つて居りますので、常に十分なる監督をして居ります、且又縣に於きましても、其の町に何箇所の配給所があり、何名の現業員が居るかと云ふ調査をして居りますので、現在ではそれ等に携つて居る人々の生活は、他の業務の人より極めて低い位置にあると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=77
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078・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 やたらに運賃々々と仰しやいますが、此の際政府御當局に希望申上げますことは、運賃のことが特に政府委員各位は眼に見えるらしいが、飜つて生産者のことを考へますに、あの松や杉の木を、澤山の闇値を拂つて鋸の目立をして切り、之を割り、束にする、此の長い間の生産者の勞力、而も指定の箇所まで持つて行かなければならない、廣島縣の例を諒々申上げるやうですが、生産者に對しては一圓三十錢拂ひ、それが輸送だ、運賃だと云つて、驚くなかれ二圓七十錢に賣られて居る、然らば生産者は一體どうするか、鋸の目立てに闇値まで拂つて、山に行つて切つて、自宅まで背負つて歸る、此の運賃をどうするか、自宅まで持つて歸つて薪を作つたのみでは濟まない、之を束にして縛つて、やれ何尺何ぼと云ふ規格に篏めて、指定の場所まで持つて行く運賃は誰が拂ふ、ここ等邊りを十二分に賢明なる御判斷を願ひまして、將來は徒らに製品に付て運賃とか何とか云ふよりは、實際に生産者の身になつて貰はなければならぬ、而して又薪等を專門にして居られる方は、農家として保有米が今までは相當窮屈なので、どうしてもお上の仰しやるやうな保有米では足らないのであるから、横流しを買つたりする、山に行く者は腹が非常に空くもので、三合、五合の米を以て薪が出來るのではありませぬ、山に行けば日に一升は食はなければ仕事は出來ぬ、さう云ふ勞働者のこと、或は其の運搬賃のことは御考へにならず、出來ました製品に付て、所謂商品として商人の手に渡つて、初めて運賃とか何とか考へる、農林省は農民の味方であると、三千萬農民は農林省一人を頼りにして居る、其の農林省が生産者のことは何も考へず、商品になつた物、或は商賣人に對して運賃を考へる御同情ある考へは遺憾千萬である、どうぞ將來は農民の味方になつて、農林御當局に於ては、常に農家の味方として、農家の爲に政治をやつて貰はなければならぬ、商賣人の爲に世話を燒かれぬでも外に幾らでもいらつしやる、ここ等あたりから日本の食糧危機を來たしたのである、食糧増産を言つて居るが、本當に農民を愛する心持がないから斯う云ふ結果になつたのである、私が斯うして森林組合の爲にやらなくてはならぬと云ふことも、森林組合が全く常に業者に壓迫されて居る、殊に林業會が出來て又再び壓迫されねばならないか、斯う云ふ悲慘な所謂勞働者階級である所の、原木を伐り、薪を作る、斯樣な農家を主體と致した勞働者の爲に、私は特に農林御當局の眞劍なる御考慮が煩したいと思ふのであります
尚ほ續いて第四條第二項に「林業會は、前項の事業の外、左の事業を行ふことができる。一 政府の指示に基く林産物の生産及び配給に關する割當二 林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力 三 政府の指示に基く林業に必要な物資の割當」斯う云ふことを特に林業會の仕事の二項として書いて置いて、さうして第六十七條の第二項に、故らに今申しました二項と同じことを書いてある、林産組合は政府の指示に基く林産物の生産云々、尚ほ林産組合は林産物の價格統制に關する政府の施策に對する協力と、第三番目には林産組合は政府の指示に基く林産業に必要な物資の割當云々と、斯樣なことが故らに謳つてあるにも拘らず、森林組合には何が故に斯樣な事業の出來ることが法律で明記致してないのか、此の點政府の御所信を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=78
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079・平川守
○平川政府委員 林業會は此の會員に對しまして、只今の四條第二項のやうな政府の施策に對する協力を行ふ譯でありますが、其の割當等を受けました林産組合は、亦其の組合員に對しまして同樣の割當、或は施策に對する協力等を行ふ譯であります、森林組合に付きまして此の一項二項を明記致しませぬでしたことは、形の上から或は不均合かとも存ずるのでありますが、併し此の第二項の事業は、本來必ずしも茲に明記を致しませぬでも、第一項の方の事業目的から致しまして當然出來ることであります、又第二項の方は、此の自治統制の行はれる間の臨時的な基定である譯で、統制が行はれない場合に於きましては此の問題の方は要らない譯であります、森林組合の方に於きましては、本來の目的として森林の造成、育成に主眼を置きまして、唯出資森林組合に於きましては、組合員の生産物に付きまして共同加工等の事業を行ひ得ることになつて居る譯でありますが、森林組合に付きましては、是等の事業は稍稍例外的であると云ふことか致しまして、特に之を謳はなかつたのでありますけれども、併し其の爲に森林組合が此の事業を行ひ得ないと云ふのではないのであります、出資林産組合に於て、組合員の生産物に付きまして加工販賣等を致します場合に於きましては、固より此の割當等も林業會から受ける譯であります、其の場合に於きましては此の第二項の事業等も當然行ひ得る譯であります、例へば定款等を以て規定を致しさへすれば宜しいのであります、又特に左樣な規定を致しませぬでも、行ひ得ないことはない譯であります、但し此の點に付きましては法文に明記がありませぬ爲に、或は地方に於て誤解を起しはしないかと云ふ御意見が此の委員會に於きましてもございました、必要がありますならば、勅令等に於て規定を致しても宜しいと云ふ御答辯を致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=79
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080・森幸太郎
○森委員長 暫時休憩致します、午後一時半から再開致します
午後零時十九分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=80
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081・会議録情報2
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午後一時四十四分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=81
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082・森幸太郎
○森委員長 休憩前に引續き會議を開きます――伊藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=82
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083・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 先刻に引續いて御尋ねを申上げますが、第四條第二項の規定は、第一項の規定があれば無くとも森林組合は出來る、斯う云ふ風な御答辯でありましたが、一項があれば二項がなくても出來ると仰しやるならば、何が故に林産組合に限つて斯樣な規定を御擧げになつたのであるか、尚ほ必要あらば森林組合には勅令で以て左樣なことを設定する、斯う云ふ風に仰しやつたのでありますが、勿論森林組合が木材の需給を代行する時に於きましては、尚ほ林産行政から申しまして、森林組合も必要であると思ひますが、必要ならば勅令で以て決める、又一方さつきの御答辯では、林業會には此の第一項があれば第二項はなくても出來るのだ、出來るものを何が故に、殊更に林産組合には第二項として斯樣な三箇條を御擧げになつたか、置くならば兩方置かなくてはならない、一項があれば二項は出來るとなれば雙方とも之を置く必要はないのではないか、斯う云ふ風に私は思ふのでありますが、之に付て政府の御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=83
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084・平川守
○平川政府委員 此の第二項の事業は、自治統制を行ひまする機關の臨時的の事業と致しまして、稍稍特殊の形を持つた事業でありますので、特に必ずしも明記しなくても出來るのでありますけれども、目新しい事業でありまする爲に、注意的に此處に記載したに過ぎないのであります、尚ほ勅令等を以て規定すると云ふことを申しましたのは、さう云ふ趣旨でありますけれども、實際問題として、地方に於て是が森林組合には出來ないのだと云ふやうな誤解を生ずる虞があると云ふ御議論が大分ございましたので、さう云ふことであれば、勅令に明記すると云ふことなら、それが出來ると云ふことが能く分るのではないかと云ふ風に考へた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=84
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085・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 それでは次の問題でありますが、植林、造林に付きましては、本年度からは事業見積りを千四百四十圓として七百二十圓の補助と相成つて居るのでありますが、此のことに付きましては先達て御質問があつたと思ひますが、現在の植林費用は大體二千圓なければならぬ、それでは七百二十圓貰つたのでは茲に千三百圓程度の不足を來す、然るに現在新圓の状態から見て、山林所有者は植林に付て一町歩當り千三百圓の新圓を出す、そして少くとも二十五年しなくては收入の見透しが付かないと云ふ風な長期の事業でありまするが、此の資金に付ては、農林中央金庫より長期低利の貸付方法を考へる云々と云ふ御答辯があつたやうに、私聞いて居るのでありますが、はつきりした所の當局の御意見を承はらないのでありますが、一體植林、造林に對しまする所の、所謂所有者負擔の金額に付ては、將來果して政府は長期低利の貸付金融のことに付て、十二分に御考慮になつて居るか、此の點確乎たる御答辯を御願ひ申上げたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=85
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086・平川守
○平川政府委員 政府の方で算定をして居ります單價が、實際の費用と或る程度隔つて居ると云ふことの爲に、御指摘のやうな不都合があるかと思ひます、氏の單價の問題に付きましては、尚ほ經濟界一般の實情に即應致しまして、變更する必要があるものは變更致したいと思ひます、それから造林に付きましての金融に付きましては、中央金庫の方で十分に面倒を見て貰らうと云ふことに諒解を進めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=86
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087・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 次に先刻同僚より、財産税課税の物納の場合に、山林の納付と云ふことがありましたが、此の物納の場合に政府は土地と一緒でも物納として御徴りになるのでありますか、或は立木のみ課税としての御受納がある譯でありますか、此の點を御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=87
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088・平川守
○平川政府委員 土地を御括めになりましても差支へありませぬ、立木だけでも差支へありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=88
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089・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 さう致しますと、立木のみの課税としての受納の場合と、土地を括めての受納の場合の管理等に付ての、政府の方針は如何やうでありますか、此の二方面に付て御答辯を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=89
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090・平川守
○平川政府委員 實際問題と致しまして、其の土地の状況等に依りまして色色違ふかと思ひますが、立木のみの場合でありますれば、それが伐期にありますれば、官行で立木の形に於て之を取拂ふと云ふことになるのであります、それから伐期が來て居りませぬやうなものでありますれば、暫くの間國が國有林として管理をする、地上權設定に依りまして、國有林として管理することにならうかと思ひます、土地が附いて居ります場合には、固より國有林として管理すると云ふことになる譯であります、唯此の土地の状況に依りまして、餘りに零細なものでありますれば、之に付きましては別途又存廢の整備を致さなければならぬかと存じますが、差當りは國の力で其の儘管理して行きたいと云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=90
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091・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 其の場合に土地と立木と共に課税をすることに一部相成つた時に、轉々として國有林が出來ると云ふやうなことになりますれば、此の管理等に付ては、單位森林組合或は縣森聯に管理方を代行致さすやうな、政府の御意向があるでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=91
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092・平川守
○平川政府委員 森林組合に管理を委託すると云ふことも、一つの手段として考へられると思ひまいす、現在の所はまださう云ふ方法を具體的に考へて居らなかつたのでありますが、存廢の區別に依つて、場合に依りましては、之を拂下げると云ふやうなこともあらうかと思ひます、一時管理の方法として御話の如き森林組合に、餘りに零細なものに付ては委託すると云ふやうなこともあらうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=92
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093・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 續いて最後に御尋ね致したいことは、農地調整法に依つて自作農が積極的に創設になりますことは、洵に結構だと思ひますが、現在の肥料不足な折柄、尚ほ將來とも肥料は潤澤であるとは、我々豫想致さぬのでありますが、此の時に自給肥料の奬勵と云ふことは、勿論農林省當局は懸命に御叫びになつて居りますが、自給肥料に最も肝要でありますものは山の芝草であります、今囘の農地調整法の提案と同時に、尚ほ是は法律として出ました曉きに於て、今申上げました自給肥料の増産奬勵の意味から言ひまして、所謂原野に等しい所の山林或は原野、斯ふ云ふものを農家に、自給肥料の増産の意味から申しまして、農地調整法の如く、かつきりとは行かぬと思ひますが、全力を擧げて原野を自作農者に分讓致さしめる、斯樣な御方針がありませうか、政府の御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=93
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094・平川守
○平川政府委員 左樣な場合に付きましては、從來から農家に、村或は部落をして利用せしむると云ふ手段を講じて居ります、却て分讓致しますよりは、其の方が長く地元の農村を益すると云ふことがあるやうに考へて居ります、此の利用と云ふ面は益益強化して參りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=94
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095・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 其の利用と云ふことに付きましては、どの部門を通して左樣な斡旋或は奬勵をなさる御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=95
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096・平川守
○平川政府委員 國有林に付きましては營林局の方で之を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=96
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097・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 私は只今國有林のみのことに付て御尋ね致したのでありませぬ、一般私有林に付ても、農地調整法に依つて自作農創設に相成つたと同じやうな考へ方に依つて、私有林をも將來は自給肥料の増産上左樣なことが必要である、斯樣に私は思ふのでありますが、之に付きまして政府御當局には、將來の御計畫があるのでありませうか、ないのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=97
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098・平川守
○平川政府委員 此の問題に付きましては、農地調整法の方の專門の委員の方から御答へ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=98
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099・伊藤實雄
○伊藤(實)委員 それでは以上を以て私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=99
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100・森幸太郎
○森委員長 大體質問は終了致した譯でありますが、尚ほ特に大臣を指定されて保留されてある分がありますが、それは明日それぞれ大臣の出席を得て質疑をして戴きたいと思ひます、明日は午前十時から開會致したいと思ひます、本日は是にて散會致します
午後二時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013719X01719460911&spkNum=100
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