1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
臨時物資需給調整法案(政府提出)
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昭和二十一年九月九日(月曜日)午前十時三十三分開議
出席委員
委員長 竹田儀一君
理事 加藤一雄君 理事 小島徹三君
理事 塚田十一郎君 理事 原健三郎君
理事 宮前進君 理事 西村榮一君
理事 前田榮之助君 理事 石原登君
理事 疋田敏男君 理事 福田繁芳君
安部俊吾君 井田友平君
飯國壯三郎君 西村久之君
厚東常吉君 田中源三郎君
田中實司君 瀧澤脩作君
磯崎貞序君 馬越晃君
金光義邦君 九鬼紋十郎君
鈴木周次郎君 坪川信三君
田村定一君 竹谷源太郎君
中崎敏君 山口靜江君
米山久君 大宮伍三郎君
三木武夫君 赤澤正道君
伊藤恭一君 池上隆祐君
戸叶里子君 布利秋君
九月九日委員小野眞次君山本正一君及び加藤勘十君辭任に付其の補闕として厚東常吉君、磯崎貞序君及び田村定一君を議長に於て選定した
出席國務大臣
商工大臣 星島二郎君
大藏大臣 石橋湛山君
國務大臣 膳桂之助君
出席政府委員
商工政務次官 小林かなえ君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 玉置敬三君
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本日の會議に付した議案
臨時物資需給調整法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=0
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001・竹田儀一
○竹田委員長 是より會議を開きます、引續き質疑を繼續致します──西村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=1
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002・西村榮一
○西村(榮)委員 どちらが御急ぎですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=2
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003・竹田儀一
○竹田委員長 大藏大臣に對する質問を先に御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=3
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004・西村榮一
○西村(榮)委員 それでは大藏大臣に對する質問を先に致します、先づ第一に本案に關聯致して居ります事項に付て、新しい整理された會社の健全なる育成方法でありますが、それの基本になるものは、先般軍需補償を打切られまして金融措置をなさつたのであります、其の時に大藏大臣は本會議に於ける説明の中で、整理會社の評價は時價で行ふと聲明されたのでありますが、私は此の時價と云ふものに對する解釋を承りたいと思ふのであります、と申しますことは現在の時價でありますならば、是は「インフレーション」に依る所の現在の時價の評價と云ふものは病的現象を來して居ります、隨て斯樣な時期に時價で評價して、新しい會社が其の高い評價で背負ひ込むやうなことになりましたならば、將來其の整理された會社は健全なる發達を來さない、隨て、質問の要點を集約して申しますならば、私は時價と云ふことよりも、寧ろ昭和二十年度の上半期の決算の時の、各會社の評價の適否を能く調査されて、それでやるか、乃至は昨年末のあれか、或は終戰當時の其の會社の其の月の決算評價に於てなされる方が適當ではないかと思ふのでありますが、大藏大臣は之に對してどう云ふ御考へを持つて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=4
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005・石橋湛山
○石橋國務大臣 時價と云ふものをどう云ふ方法で見出すかと云ふことは、技術的に中々面倒な問題であります、隨て整理會社を整理する場合に、其の資産を如何なる方法で評價するかと云ふことは、目下技術的に色々檢討されて居るのであります、其の細かい點はまだ御答へする時期になつて居らないのであります、併し假に現在の時價と云ふもので評價しましても、それは必ずしも不健全とは言へないのでありまして、詰り今後の物價をどう云ふ風に見るかと云ふことであります、非常に低く見れば成程殘つた會社の經營は、あとそれだけ樂です、併し同時に其の爲に整理の場合に、外部の債權者と云ふやうな者は寧ろ不當な損害を受けると云ふことにもなります、それから餘り高く時價と云ふものを見れば、御話のやうに整理會社があとで物價でも下りました場合に、高い評價の資産を持つて居りますから經營が困難になる、斯う云ふ矛盾がある譯であります、其の矛盾をどう云ふ風にして解決するかと云ふことが、目下檢討されて居る所謂資産評價の問題であります、それは先刻申しましたやうに、細かい點は未だ決定して居りませぬので、今私から御答へすることは出來ませぬが、少くとも御話のやうな心配、詰り整理する時に評價が餘り高過ぎた爲に、後で會社の經營に非常な困難を來すと云ふことは事實に於て起らない積りです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=5
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006・西村榮一
○西村(榮)委員 只今の石橋さんの御説には私は承服し兼ねる點があります、併し是れ以上は意見に亙りますから、質問は申上げませぬ
そこで、然らば今御述べになつた將來の物價が高くなるか安くなるかと云ふことの問題です、新しき日本の政治として一應物價の基準と云ふものを決めなければ、將來の産業政策と云ふものはやつて行けないのではないか、石橋さんに言はせると、物價は生きものであつて、高くなるか安くなるか分らぬと云ふのでありまするが、近代國家に於ける政治の職能は左樣な無定見であつてはならないのであつて、少くとも一つの産業を育成し指導して行くには、物價をどの程度にするかと云ふことは、今日の國際水準と日本の國力とに睨み合せて、大體見透しが付くのであります、そこで本案の審議をなす上に於て重要な問題は、物價の基準安定と通貨の問題であります、私はそれに入るに先立ちまして、事務的な點で、一、二御質問申上げて置きたいと思ひますのは、本年度の豫算に於て、石炭補給金として二十二億圓の豫算が兩院を通過して居ります、是は先般も「マッカーサー」司令部から對日理事會に對して、石炭の國有の問題に付て審議されるやう提案せられて居ります、其の際對日理事會が國有是なりと決定せられた場合に於ては、此の補給金の問題は一體どうなるのですか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=6
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007・石橋湛山
○石橋國務大臣 此の間の石炭國有問題と云ふのはどう云ふ意味ですか、我我には未だはつきり其の意味が分らないのですが、御質問のやうに假定して、若し國有國營になるとすれば、無論補給金と云ふ形ではなくなります、ですから國家の負擔に於てどれ程「コスト」が掛るか知れないが、石炭を掘ると云ふことになりますから、補給金問題は無論解消する譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=7
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008・西村榮一
○西村(榮)委員 もう一點御尋ね致します、日本政府は石炭業者に對して補給金を支出すると云ふ前提の下に、何等か金融的措置を既に講ぜられてしまつたことがあつたかどうか、聞く所に依りますと、三億七千萬圓と云ふものを、既に銀行に命じて補給されたか、或は其の約束の下に銀行が融通したか、兎に角支出されて居ると云ふのでありますが、然る際に於て此の負擔の責任の歸屬は業者にあるのか、政府にあるのか、同時に又此の二十二億の石炭の補給金の豫算が、衆議院を通過したのは十日以前であり、貴族院を通過したのは兩三日前であります、然るにそれから旬日を出でずして、對日理事會に於て重大なる問題が審議されて居るのでありますが、日本政府は豫算を編成される時に於て、斯う云ふことの見透しが付かなかつたかどうか、少くとも是は政治的な識見の問題ですが、單に對日理事會で國有が決定されたから、二十二億の補給金はもう消されるものだと云ふだけでは、政府の言明を信頼して豫算を審議した帝國議會に對する政治的責任を政府はどうなさるか、私は政府は其の政治的責任を負はなければならぬと思ふが、此の點を御伺ひしたい
次に從來の政府もさうですが、現在の政府も何か産業振興策と云へば、殆ど補給金政策に依られるのでありますが、今日の國家の財政の見地から見て、或は又補給金政策と云ふものの本質から見て、補給金で産業を育成して行かうと云ふのは、極めて幼稚な産業政策でありまして、是は賢明な政治家のなすべきことではありませぬ、而も今日國家は非常な財政の窮乏に陷つて居る、今日の「インフレーション」の根本原因は、石橋藏相自らが指摘せられたやうに、財政の面から來ると云ふことを考へて、我々は現實に於ても此の補給金の制度を繼續して行くことは、而も新しき日本の産業を再建して行かうと云ふ上に於て、此の補給金と云ふ幼稚な、拙劣なる産業政策は、茲に再檢討をしなければならぬと思ふが大藏大臣の御見解はどうですか、此の三點を御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=8
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009・石橋湛山
○石橋國務大臣 三點と云ふのは實ははつきりしなかつたのですが、第一に最後の補給金のことから申上げますと補給金政策は我々現在の政府も決して繼續するなんと云ふことは言つて居らないのです、私は或る機會にさう云ふことを何處かで申上げたこともあつたかと思ひますが、御承知のやうに、今日の補給金制度は、石炭に致しましても、或は米などに致しましても、戰時中からの引續きで、詰り今日まだ補給金があるのは過渡的に已むを得ずやつて居る譯で、此の制度を何時までも續けると云ふ考へは現在の政府は持つて居りませぬ、併しながら石炭の補給金を本年度の改定豫算に組入れましたのは、今申上げます通り、石炭の根本政策が決まるまでの過渡的處置として一應之を計上しました、と云ふのは補給金をいきなり打切つて、他の政策がなければ、直だに生産に支障を來すのでありますから、何時かも申上げたやうに、兎に角本年の初めの我々の考へは、十月までの一應の處置として補給金を繼續する、其の後は更に根本對策を決める、斯う云ふことにしてある譯です
そこで最初に御話の金融問題は、是は石炭を生産するのに實際石炭業者が金融に非常に詰つて居るので、金融界──日本銀行が中心になつて、話會の上で金融措置が執られたものと思ひます、但し其の場合に、無論前からの引續きで、政府は或る程度の補給金を出すと云ふ約束をして居りますから、其の範圍内に於て、業者が政府から補給金を貰へると云ふことを豫想して居ることは事實であると思ひますが、現段階に於ては、豫算が通過するまでは政府としては此の支出は出來ない譯であります、但し暫定豫算で以て既に支出の出來る部分もありますが、併し改定豫算二十一億圓の中の或る部分は、未だ支出して居らないのであります
それから對日理事會に炭礦の國有問題が議に上つたと云ふことは事實でありますが、併し對日理事會で炭礦國有を決した譯でもなく、又之を會議して居る譯でもありませぬ、政府としては前から申上げましたやうな一應補給金制度を執つて置いて、更に石炭の増産に對する措置を講ずると云ふ方針で來て居るのでありまして、國有と云ふことは政府としては全く今までも考へて居りませぬし、今も考へて居りませぬ、又對日理事會がどんな決議をするかしないかと云ふことは我々の豫測する限りでない、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=9
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010・西村榮一
○西村(榮)委員 簡單ですから坐つた儘で伺ひます、對日理事會が若しも國有を決定した時に、二十二億の補給金を兩院に提出して、それを審議して──其のことは此の短時日の間に、見透しの問題ですが、政府の原案を信頼して承認した兩院に對して、根本的に異にする新しい石炭政策を執らざるを得ない、其の時にどう云ふ風な政治的責任を議會に御執りになるか、萬一對日理事會が石炭國有を決定した場合は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=10
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011・石橋湛山
○石橋國務大臣 御尋ねの意味が分らないのですが、それは對日理事會は對日理事會ですから、對日理事會が如何なる決議をして來るかと云ふことは、我々には責任は負へないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=11
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012・西村榮一
○西村(榮)委員 是は政治家の良心の問題だと思ひます、對日理事會がどう云ふ風な決定をして來るか分らぬと云ふことはそれは理窟であります、是が豫算を衆議院に提出されて、もう半年も一年も經つて居るのなら兎も角、豫算を編成する時に、聯合國に向つて其の豫算を能く諒解折衝を求められて居る筈である、其の間の御折衝の過程に於て、「アメリカ」が日本の産業政策に對して如何なる方針を持つて居られるかと云ふことは、大體政治的な眼光を持つて居られるならば酌取れる筈である、其の方針に從つて日本の産業政策と云ふものは持つて行くべきだと私は思ふ、然るに茲にそれを其の儘やつて、そしてそれが根本的に反する方針を、新しい同じ内閣が執らざるを得ないと云ふ立場に出て來た時に、私はもつと結論を言ひまするならば、從來の吉田内閣の性格と云ふものは、凡ゆる産業の民有民營の立場を執つて來られた、是は善いか惡いか知らないが、一つの政治的「イデオロギー」ですから、私はそれに對する又別な觀點から理解するのでありますが、併しそれとは根本的に相反する政策を執らざるを得ない客觀的な情勢が生れて來た時に、其の政治的責任はどう執るか、私は是は膳さんに昨日も申上げて置いたのですが、其の場合に現内閣が從來と別な觀點に、別な意味に於ける「イデオロギー」の下に於て、新しい産業政策を執つて行かなければならぬ、斯う云ふ場合には從來の良心ある、責任を理解する政府は、必ず内閣を辭めて居るか、乃至は議會を解散して其の是非の結論を國民に求めて居るのですが、私は茲にさう云ふ時になつたならば、政治的責任をどう執られるかと云ふことです、それから一箇月を出でずして此の豫算を提案され、それが根本的に引繰り返される事態が此處に發生した、其の見透しが利かなかつたと云ふ、其の責任を議會に對してどう執られるかと云ふ此の二點です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=12
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013・石橋湛山
○石橋國務大臣 稍稍御質問の趣意が分りました、是は豫算に出して居る石炭の補給金の問題は、無論G・H・Qと十分打合せの上で出したのでありまして、G・H・Qの政策と何等齟齬して居りませぬ、それでありますから第一の御答へになつたらうと思ひますが、あなたの仰しやるのは、詰り向ふの意圖を日本の政府が酌取り得ずして、そして日本の政府が勝手に補給金を出したのぢやないかと云ふ風な御疑ひから出て居るやうに思ひますが、さうぢやありませぬ、是は十分打合せの上で豫算を出してあります、即ち補給金を出して、石炭を少くとも過渡的措置に依つて増産すると云ふことは、日本政府の政策であると同時に、又聯合軍司令部の政策であると云ふことは斷言して差支へありませぬ、國有問題は先刻も申しましたやうに、どう云ふ意味であるかは別問題としまして、兎に角對日理事會にあのやうな問題が一應議に上つたと云ふだけのことでありまして、未だ聯合國が必ず日本の炭礦を國有國營にすると云ふことを決めた譯でも何でもありませぬ、前途は分らないのであります、是は恐らく聯合國にも能く分らないだらうと思ひます、日本政府としては屡次申して居るやうに、今までの政策は石炭増産に付ては根本的な對策を講ずる、是は聯合國側とも常に緊密な連絡を執つて協議をして居つた、其の根本對策なるものに付ても協議を進めて居る譯であります、ですから其の結論が如何なるものになるかと云ふことは今此處で申上げることは出來ませぬが、假に其の結論が國有國營が宜いと云ふことになりました所が、それは研究の結果でさうなる譯でありまして、別段今我々が此の政府の方針と變つたとか何とか云ふ譯ではないのであります、併し是はどうなるかと云ふことは今申上げられませぬ、唯あなたが炭礦國有に若しなつたらどうするかと仰しやるから、假定の上でなつた所が斯うであらうと斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=13
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014・西村榮一
○西村(榮)委員 さうすると對日理事會で國有の問題を決定しても、其の政策を執行して行かれると云ふ譯ですが、それは執行して行かざるを得ないのであります、吉田内閣が今まで言はれて居つた總ての企業の民有民營とは、根本的に相反する結果がそこに生じて來る、あなた方は今まで政治的良心の立場に於て民有民營が是なりとして、今まで議會に答辯され、政治方針を執つて居られた問題を、對日理事會が石炭國有の問題を決定されるならば、あなた方の考へとは根本的に變つて來ることになります、其の際もやはり同じだと言はれるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=14
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015・石橋湛山
○石橋國務大臣 それは我々の考へと根本的に違ふか違はぬかは、別段此處で申上げる必要はないが、第一決まらないことですから、どうなるか分らないことですから、豫測して其の場合の政府の態度を此處で申上げる譯には行きませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=15
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016・西村榮一
○西村(榮)委員 占領軍最高司令官たる「マッカーサー」元帥が、對日理事會に對して其の重要なる提案をなされたに對して、あなたはそれは架空なる提案だと言はれるのですか、分らぬと言はれるのですか、政治的見透しの問題ぢやないか、日本政府の良心の問題である、而して現實の問題は其の決定に絶對的に服從しなければならぬ義務がある、併しそれがあなた方の從來の産業政策と根本的に違ふ、其の場合にどう責任を執られるかと云ふのです、良心を以て答へなさい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=16
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017・星島二郎
○星島國務大臣 石炭の問題は商工省の主管でありますから、此の問題が誤解を招いてはいけませぬから一應私よりも御答へさして戴きますが、只今西村君の御尋ねは、私も先般九月二日か三日でありましたか、新聞に大袈裟に石炭國有の提案が對日理事會に附されると云ふことが出ましたので、大分各方面に色々な波紋を描いたやうでありますから、此の機會に於て明瞭に致したいと思ひます、石炭國有問題は本會議に於きましても、社會黨の水谷君から政府に國有の意思ありやと云ふ御話が出ました、其の際に私は増産第一主義で行かなければならぬ、若し國有にして直ちに非常な増産をすると云ふ證明が付くならば、或は國有にして構はぬ、何も「イデオロギー」に囚はれる必要はない、自分は今日の場合増産第一主義で行く爲に、國有にすることは却つて増産を阻碍するものである、なぜならば非常に其の間に不安を起しまして、一箇月の間、二箇月の間でさへも不安を招くから、左樣なことは考へて居りませぬ、斯樣な御答辯を致したのでありますが、先般の九月四日の對日理事會の樣子を聞きますと、國有の問題は出て居りませぬ、日本の政府は日本の石炭に對しての政策は助成金で總ては賄つて居るが、是は此の儘やつてどうだらうか、日本政府自らも是等は不自然であるから、將來に於て之を改正したい、斯樣な考へで以て進んで居るらしいが、或は之に對する根本的な考へ方を變へなければならぬ、斯樣な話が出たやうであります、G・H・Qと我々との間は、石炭の問題に付ては實に熱心な指導を得、或はこちらからも相談に行きます、或は自由、進歩竝に社會黨の參加を得まして、九月四日でありましたか、石炭増産に關する色色な審議を致しました時も、國有問題には全然觸れて居られませぬ、斯樣な關係でありますから、若し茲で國有にせよと云ふ指令が來ますれば、今日本は占領治下でありますから、或はそれに從つて行かなくてはならぬかも知れませぬが、さう云ふ假定は別問題と致しまして、我々今日まで補給金の問題と云ひ、石炭の増産問題と云ひ、政府と致しては非常に緊密なる連絡を致して居りまする際に、一言としてG・H・Qから國有に對する話は出ませぬから、國有になると云ふことを今から豫想して政策を考へる必要はないと思ひます、若しさう云ふことがあれば、それは其の時のことであります、我々は今日の石炭對策と致しましては、殆ど國有に近い國家管理をやつて居ります、だから此の管理方法に於てもつと徹底しなければならぬ點も多々ある譯でありまして、委員會を設けまして御諮問したいと考へて居る譯でありますから、願くば左樣な氣持で一つ之に對して戴きたい、今漸く石炭が上廻つて居る場合、又しても國有などのことで業界に不安を釀してはいけませぬから、其の點十分誤解のないやうに御諒解を得たいと思つて居ります、又報道もさう云ふ意味に於きまして誤解のない報道を願ひたいと思ひます、丁度私の所管であります故に、直接の御質問はなかつたけれども、此の機會に私より御答辯を申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=17
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018・西村榮一
○西村(榮)委員 政治的な責任の問題に對する答辯は、私は前の土曜日に膳國務大臣竝に竹田委員長を通じて總理大臣の答辯を求めたのですが、至急其の答辯を總理大臣から求めたいと思ひます、是れ以上は時間が掛りますから打切りませう、唯大藏大臣が先程言はれた中に、補給金制度を成べく早く打切りたいと仰しやつた、私は國家財政の見地と、新しい産業の合理化の爲に其のことは極めて必要だと思ふ、隨て補給金制度に依つて、從來まで多少推進して來たものならば、それに代るべき技術或は經理の面に對する何等かの代案を至急示されて、此の補給金を至急打切り、之を打切つても尚且つ石炭増産が如何なる方法に於てでも出來ると云ふ對策を講ぜられんことを希望して置きます
次に此の臨時物資調整法に依る廣汎な權限を政府は要求せられて居るのでありますが、之を實施なさる前に問題となるのは、物價の安定と其の根柢をなすものは通貨の安定ではないか、大藏大臣は直きに居なくなられるさうですから、私は主として大藏大臣に先に質問致します、通貨の安定策をどう云ふ風にして大藏大臣は計畫して居られるのか、私は石橋さん程現在の「インフレーション」は樂觀して居りませぬ、極めて率直に言へば悲觀論者です、通貨は既に空廻りの段階に入つて居ると私は見て居ります、通貨が空廻りの段階に入つて、尚且つ通貨の數量的な操作で、通貨問題が解決出來るかどうかと云ふことになりまするならば、私は結論から申しますと、通貨は數量的に解決出來ないと考へる、なぜ通貨が空廻りの段階に入つて居るかと申しますことは、既に夥しい通貨退藏の現象で、是は何人も認める所である、此の通貨の量的な退藏の原因と云ふものは、政府に對する一つの不信用、將來の日本の經濟に對する不安、同時にそれは根本的には生産の減退でありますが、同時に又其の通貨が特殊の方面に吸收されつつあると云ふ此の政治的な現象であります、例へて言ひますならば、斯う云ふ點はないのでありませうか、今日本の公債は非常に暴落して居る、併し一面に於て極く一方の人々が、非常に多くの新圓の通貨を持つて居る、其の通貨を以て非常に安い公債を買ふ場合に於ては──それが萬一第三國人でありますならば、日本はそれを辨償しなければならぬ所の責任を持つて來るのであります、今日通貨は農漁村に於て相當退藏されて居ると言はれて居るのでありますが、此の農漁村竝に第三國人の持つて居る退藏が、政府の不信用と、前途の不安と、財政に對する不安感から來るものであると致しますならば、是は止めやうがない、私は通貨は空廻りの段階に入つて居ると考へる、空廻りの段階に入ると、それは通貨の數量で解決することが出來ないで、通貨の質で解決をしなければならぬのぢやないかと私は思ふのでありますが、之に對して大藏大臣は何か對案を御持ちになりますか、御所見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=18
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019・石橋湛山
○石橋國務大臣 通貨の空廻りと云ふ御言葉はどう云ふ意味か、退藏の意味のやうにも解釋されるのでありますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=19
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020・西村榮一
○西村(榮)委員 通貨の空廻りと云ふことは、通貨が生産を引つ張り廻して居ない、空廻つて居ると云ふことです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=20
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021・石橋湛山
○石橋國務大臣 屡屡申上げるやうに通貨は成程相當出て居りますが、其の少からざる部分が退藏されて居つて──退藏されて居ると云ふことは通貨に對して兎に角信用がある、但し此の通貨を金融機關に預ける場合には、今までの經過から却てそれが危險であると云ふやうな不安がある爲に金融機關に入つて來ない、或は又金融機關に入れるのが面倒だと云ふやうな點もありませうが、兎に角金融機關に入つて來ない、斯う云ふことであります、是は結局あなたの御話の中にも出て居るやうに、金融機關其のものに對する信用、言ひ換へれば今まで前内閣以來政府も色々のことをやつて來ましたが、此の通貨に對して色々の「ドラスチック」な處置を執ることが、是で終りだと云ふことがはつきりしなければ、此の現在の状況は直りませぬ、ですから此の間に色々やり方もありませうが、小細工をやつて見た所が致し方がない、さうではなく早く整理すべきものは整理して、金融機關も確實になる、預金をしても宜しい、斯う云ふ感じが總ての國民に明かになつて來るやうに、早くさう云ふ状態を作り出すことを我々は努力して居る、是れ以外に處置もなし、又處置をしてはいけないと大體に於て私は考へて居る、此の間其のことは本會議の場合にも一寸申上げたのでありますが、私は寧ろ今日通貨が發行されて、其の少からざる部分が退藏されて居ると云ふことは、今日の場合としては最も宜い現象とは言ひませぬけれども、比較的健全な現象であつて、是が本當の意味で空廻りをして、持つた通貨を直ぐ何か物に換へたいと云ふやうな、詰り囘轉速度が非常に早くなりますと、甚だ危險なのであります、其の現象は幸ひにして今起つて居りませぬ、それを色々のことを言ひまして、いや今後は「インフレ」が非常にひどくなると云ふやうなことを頻りに言ひ立てますことが、却て通貨不安を激しくすると云ふ風に私は感じます、現在物價の状況其の他から見まして、思ひの外通貨價値が安定して居ると云ふことを認識して、正しい意見を世間に知らせる必要があると斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=21
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022・西村榮一
○西村(榮)委員 何か世間が「インフレーション」を故らに言ひ觸らして居るやうに言はれるのでありますが、世間の在野の經濟學者も或は國民も、石橋さんのやうな欺瞞に近い言辭を以て「インフレーション」を隱蔽しようとは致さないのであります、今日の起り來る「インフレーション」に對しては眞劍に是と取組んで、國家再建の爲に之を克服しようと云ふ氣魄を持つて居ると思はれます、而して其の實體を能く握らう、掲つてそれを克服しようと云ふ國家的な誠意を以て此の問題を重視して居る、而して今の國民全體が通貨に發する不安を持つて居ると云ふことは、本年度の豫算に於ても明かであります、本年度の全部の豫算の中で、生産的に支出されて居るものは僅かに二七%弱であり、後の七三%内外と云ふものは、極めて非生産的な方面に之を支出されて居るのであります、而も今日の國家の現状と、將來の産業の状態から言つて、是が改善されると云ふ見透しを持たない所に多くの不安があるのであります、能く言ふやうに現在六百億の通貨が出て居ります、民間の預金を凍結したが、政府自ら此の凍結を解除しなければならぬ程の今日豫算を編成されて居る時に、何人があなたのやうに手放しに、今日の「インフレーション」の問題を安心して然り、而もそれを聲を大きくすると云ふことは、恰も國家に對する不忠實なりと云ふやうな言ひ廻しをすると云ふことは私は不謹愼だと思ふ、此の問題を率直に、朝野の政客が相協力して解決する所に、日本の危機の克服があると私は思ふ、此の意味に於て日本の將來に於ける著増して行く通貨の發行量と、物價と生産との比重と云ふものを見ますと、茲に何等かの對策を講じなければならないと私は思う、本年度の暮には凡そ一千億の通貨が──是は日銀それ自體が認めて居る、一千億の通貨が發行されると致しますならば、それが今度は雪達磨のやうになつて、一定の段階から駈足に通貨が膨脹して行きます場合に於て、どうして生産界の安定と國民生活の安定を期し得られるか、私は茲に最早通貨の數量的な操作では、解決の出來ない段階が來るのではないかと云ふことを憂ふるのであります、そこで通貨を數量で解決しようとするには、日本に於て偉大なる生産力が勃興して來るか、或は多量な金貨若しくは金に代るべきものが、何處からか降つて來なければ是は解決出來ない、そこで私はさう云ふ風な通貨の數量で解決すると云ふ財政政策、金融政策は茲に一應再檢討される段階にあると云ふことを申上げたい、私はあなたに對する質問に餘り時間を取ると他の方に御迷惑であるから、結論だけ申しますと、其の對案として御參考までに申上げるのは、日本の通貨を今度は質に變へたらどうか、即ち生産通貨と生活通貨の二つに分ける、今日の目茶苦茶になつて居る産業から、之を新しい日本の國力に合ふだけの生産力の囘復するまで、此の動搖混亂期を一應非常通貨を斷行する──通貨の二本建と云ふものは是は宜い通貨政策ではありませぬ、併し現在より宜いとするならば通貨を生産通貨と生活通貨の二本建にする、さうして一定の一九三〇年から三五年の我が國の通貨の發行量に、現在の生産物資の指數を加へました額を最高發行額として、其の限度に於て生産通貨と云ふものを發行して行く、其の裏付は日本の産業の復興でありますからして、何とかして聯合軍に懇請して建設資材其の他に於て或る程度裏付して貰ふ、そしてそれを日本の生産だけに使ふ、同時に今度は國民生活を支へるものは生活通貨を發行致しまして、其の生活通貨、昭和二十一年度の國民所得を睨み合せて見て最高發行高を決める、其の生産通貨を生活通貨に轉化する方法は、知識、筋肉勤勞者以外、或は國家が勞働能力なき者として補助する方々の其の政策的な「ルート」を通る以外には、生産通貨から生活通貨に轉化しない、而も知識、筋肉の勤勞者に對して膳さんが一昨日盛んに攻撃されたが、私共の主張する所は知識、筋肉の勤勞階級に對して無制限的な、其の人の勞力に對しては無制限的な報酬を與へる、一月一千圓の收入者もあれば一萬圓の收入者もある、其の人の努力と能力に於て無制限的な報酬を與へますが、其の生産通貨から生活通貨に轉化する過程は、生産を通じなければならぬと云ふ建前に致しますならば、私は無用な購買力と云ふものは起きない、同時に是は別な觀點から見ますならば、我々は健全なる財政政策と云ふ立場から考へて見ますならば一應指導國家の援助を受けて我が國の生産は復興して行きまするけれども、將來の占領費竝に産業復興の再生産費用と云ふものは、知識筋肉の勤勞階級の汗と膏の努力の結晶に於て占領費も賄ひ、再生産費も賄つて參ると云ふ建前を、財政と國民經濟の面に於て執る爲にも必要であるし、同時に現在の通貨が第三國に逃げて、其の通貨が再び我が國の企業の根柢を掌握すると云ふやうな、日本産業の將來に立つて居る危險を防止する意味に於ても、私は茲に通貨の質的な轉換と云ふものが必要ではないかと斯う思ふ、然らば從來の新圓はどうか、新圓は既に六百億發行されて居りまするが、是は全部私は國家が背負ひ込めば宜い、そして直ちに一萬圓或は五千圓以下は生活通貨と交換する、後は五箇年間の年期を切つて信託預金なら信託預金にして、國家の生産力が囘復するまで預けて置く、其の代り利息を拂ふと云ふことにするならば、今持つて居る新圓所有者に迷惑も掛けないので、私はそこから初めて講買力として、國家の此の産業政策の根柢を脅威することにもならずに、新しき體制がそこに整ふのではないか、斯う云ふやうな點を考へて見まならば、私は通貨を從來の惰性に依る所の數量で解決せずして、茲に質的な轉化を行はなければならない情勢と云ふものが生れて來る、石橋さんが何ぼ新圓の平價切下を行ひませぬと斷言し、或は新しき金融措置はやりませぬと斷言致しましても、千の石炭の問題にせよ、其の他の問題にせよ、客觀的な情勢の變化は、石橋氏自身の、金融資本に奉仕しようとする其の忠實な意圖を無視して、新しき情勢が生れて來ることを認識しなければならないのであります、之を考へて見ますならば、今から手を打つべし、私は斯く考へるのでありまして、石橋さんの通貨政策に對し、或は財政政策に對し根本的な反省を、日本社會黨の名に於て要請せざるを得ないのであります、それに對する御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=22
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023・石橋湛山
○石橋國務大臣 御意見は承つて置きますが、第一次世界戰後には左樣な二種通貨を出す色々な案がありました、併しさう云ふものは大體何處か運轉不能のものであります、尚ほ今承つただけでは是は私には納得が出來ないのでありまして、本當にさう云ふ通貨を出して、どう云ふ風に運轉し、どう云ふ風になるかと云ふことを、若し日本社會黨として具體的に政策を御立てになるならば、それは其の際に是非一つ細かく承りたいと思ひます、左樣な名案があれば無論結構でありますが、併し私の今考へる所では、何を致しましても、結局日本の生産が「コース」に乘つて、さうして漸次通貨安定を根本的にすると云ふことの見極めが付かなければ、是は如何なる策を執りましても結局無效だと思ふ、幸ひに食物の方面のことは、豐作其の他に依つて稍稍明朗化して來ました、其の御蔭で以て或る種の物價は今多少下りつつある傾向があります、更に石炭の増産其の他が緒に就けば、私は今日の政府のやり方に依つて通貨の安定は必ず之を期し得る、斯う考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=23
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024・西村榮一
○西村(榮)委員 具體策を申上げて宜ければ言ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=24
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025・竹田儀一
○竹田委員長 御諮り致しますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=25
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026・西村榮一
○西村(榮)委員 私はそれまでは政治家としての技術屋の立場だと思ふ、併し私の申上げるのは、既に通貨の數量的段階は來て居る、だから之に對する何等かの考慮をなすつたらどうかと云ふので、名案があれば聽きたいと云ふことなら是から言ひますが、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=26
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027・竹田儀一
○竹田委員長 西村君に御諮り致しますが、あなたは三十分位と云ふ御意向でもありましたし…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=27
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028・西村榮一
○西村(榮)委員 それでは石橋さんに對する質問は追ての機會に致しませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=28
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029・竹田儀一
○竹田委員長 どうぞさうして下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=29
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030・西村榮一
○西村(榮)委員 通貨の問題に付ては何れ追ての機會に致しますが、私は石橋さんの財政政策或は金融政策と云ふものは、半歳を出でずして被綻を來す、それは斷言して憚らない、其のことの、一番の被害者は國民であると云ふことを考へて見ますならば、私は今から石橋さんが其の點を能く御考へを願つて、通貨政策、財政政策の再檢討を願ひたいと希望して置きます、時間もないしするから、私は膳さんに一つ御尋ね致しますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=30
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031・竹田儀一
○竹田委員長 西村さん、膳さんに對する御質問は大分長うございますか、若し長ければ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=31
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032・西村榮一
○西村(榮)委員 別に私の具體的な説明を求められなければ短い、石橋さんのやうに私の具體的説明を求められれば長いのです、どつちでも宜いのです、私は感情に囚はれたり何かする譯ではない、今日非常に重要な問題だからです、先日來の石橋さんの豫算委員會、本會議に於ける答辯は實に議會を食つて居る、專門家から見て是は一つ面皮を引剥がさなければならぬと思つて、材料は澤山整へて來て居るから、其の意味に於てだつたら、外の同僚諸君が迷惑さへしなければ、幾らでも際限なくやるのだが、膳さんの方で私に説明を求められないで、私の質問に答辯下さるなら簡單です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=32
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033・竹田儀一
○竹田委員長 諸君に御諮り致します、大藏大臣は貴族院の豫算分科會で御要求が出て居るのであります、就きまして大分お忙しいやうでありますから、塚田君、三木君の順位にはなつて居りますけれども、疋田君が大藏大臣を御要求になつて居りますから、疋田君の大藏大臣に關する限りの質問を此の場合許したいと思ひます、宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=33
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034・竹田儀一
○竹田委員長 それでは大藏大臣に關する限りの質問を許します──疋田敏男君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=34
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035・疋田敏男
○疋田委員 大藏大臣に前に本會議に於きましても御尋ね致しましたが、御囘答を戴いて居りませぬので、此の機會に重ねて御伺ひ致します、只今の社會黨の西村さんと大藏大臣の御話を聽いて見ても、非常に重大に思はれますのは損失の補償問題でありまして、社會黨内閣が出來ても、損失補償問題はやはり重大なやうに思ひますので、特に私の此の間の質問を繰返して御尋ね致します、損失を補償致します場合に於て、委員會が出來て、委員會で査定をせられますことと存じますが、其の場合に於て新圓で御拂ひになるのか、封鎖で御拂ひになるのか、是は封鎖で載いた場合と、新圓で戴いた場合とでは、價値の上に大きな開きがあるのでございまして、御承知でございませうが、今日では封鎖を現金に替へます場合には、中央、地方を通じて先づ三割の手數料を取られると云ふのが相場であります、さうすると、必ず政府は封鎖で御拂ひになる、是は私が自分の郷里で縣の仕事をして居りますが、私は現金を拂つても、縣からは封鎖しか戴けませぬので、事實上に於て仕事を貰つて損をして居ります、此の場合に於ても當然封鎖で御拂ひになるのでせうが、さうすると貰つた方で現金が欲しいと云ふ場合には三割損をしなければならぬ、そこでさう云ふことを見越して損失の補償をして戴く場合には、委員會なら委員會で査定された額が妥當であると見ても、三割位の掛値を言つて、高い値で補償して戴かなければならぬと云ふやうな問題が起つて、委員會の査定と常に茲に食違ひを生ずると云ふやうなことが間間起るのでありますが、此の場合に於て大藏大臣に於かれては、此の補償を新圓で御拂ひになる親心がおありになるのか、やはり從來のやうな封鎖で御拂ひになるか、而も此の法案は凡そ一年間位と云ふやうな御話もあつたやうでありますが、此の一年間位が最も窮屈な時代でありますので、此の點は非常に重大な問題だと思ひますから、特に御尋ねして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=35
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036・石橋湛山
○石橋國務大臣 此の法案に依り損失を支拂ふと云ふことは、此の法案の施行の上に於ては寧ろ稀なことであらうと考へて居ります、併しながら假に稀でありましても、御尋ねのやうな事實は起るのでありますが、現在の状況では遺憾ながらやはり封鎖で拂ふと云ふことを建前にせざるを得ないと思ひます、但し是は屡屡申上げます通り、此の現在の通貨制度と云ふものは非常に不自然で、實際御話のやうな弊害も生じて居ることを耳に致して居る次第でありますから、出來るだけ早く整理すべきものは整理して、斯樣な不自然な状態は解きたい、斯う云ふ考へであります、唯差詰めはどうも封鎖で拂ふと云ふことを建前にせざるを得ないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=36
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037・疋田敏男
○疋田委員 封鎖で御拂ひになる建前であると云ふ御話でありますが、出來るならば是は一つ親心を以て、一分は封鎖、半分は新圓と云ふやうな所を御研究を願ふことを希望して置きます
それから今一つ御尋ね致したいことは、第四條にありまする十萬圓以下の罰金と云ふ問題であります、最高十萬圓罰金を取られる場合に於て──斯う云ふことがあつてはなりませぬが、併しながら斯う云ふ時勢には、罰金を拂つてもと云ふことで色々惡いことをすることがどうも定例のやうな傾向がありますので、十萬圓の罰金を取られます場合に是も第一封鎖で御取りになるのか、第二封鎖で御取りになるのか、第二封鎖でも宜しいと云ふことになりまするのと、第一封鎖でも宜いと云ふことになりますのと、犯罪心理が非常に變つて來るのであります、第二で取られるのならば、多少惡いことをやつても宜いではないか、どうせ使はれない金の中から罰金を出すんだからと云ふやうなことで、惡いことをやる方が、至極大きな氣持でやれる、併しながら第一で取られると云ふことになると、一萬五千圓の枠の中でありまするし、假に其の後事業をやつて金が色々廻つて來るにしても、洵に貴重な第一封鎖でありますので、是は成べく法に背かぬやうにしなければならないと云ふやうな犯罪心理が起つて參ります、是は微妙な問題でありますが、此の點はどう云ふ風に御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=37
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038・石橋湛山
○石橋國務大臣 是は申すまでもなく第一封鎖で取ります、第二封鎖では支拂を許しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=38
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039・疋田敏男
○疋田委員 以上で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=39
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040・西村榮一
○西村(榮)委員 膳國務大臣に經濟安定本部の問題に付て御聽きしたいと思ひます、私は經濟安定本部の構想の規約の背後に隱れて居る思想的な問題を心に入れて、是が帝國議會との間に於て、新しき憲法との間に於て、どう云ふやうな關聯性を持つかと云ふことを考へて見まするならば、是は膳さんに率直に申上げますが、私は經濟安定本部竝に經濟安定會議なるものが、今後半年出でない中に揉み潰されるのぢやないかと思ふ、所謂是は有名無實になるのであつて、其の揉み潰すものは帝國議會ではなくして日本政府の各省であります、私は各省の經濟安定本部に對しての「サボタージュ」竝に白眼視、是が安定本部の機能を喪出せしめて、膳桂之助如何に孤軍奮鬪するとも、それが報いられずして討死しなければならない状態に達するのではないかと云ふことを惧れるのであります、是は膳さん、私は理窟ではないのです、多年の日本の習慣から來てするのであつて、然る場合に於ては之を若しも他の方面で立案されたと致しますならば、其の立案者の意圖に反して其の人自身の善意なる氣持も報いられなければ、日本もそれに對する經濟の安定策と云ふものが、私は半年なり、一年なり遲れる、此の二つを惧れるの餘り質問致すのでありまするが、是は「アメリカ」で戰時中に於て戰時計畫經濟局と云ふものが成功致しましたには、あの國特有の高い政治的訓練と、公僕精神と申しまするか、産業は能率と奉仕なりと云ふ觀點に徹底した、此の産業「イデオロギー」が「アメリカ」の戰時經濟に協力致しましたが故に、「アメリカ」に於ては成功致しました、併し日本の戰時に於ける企畫院其の他の之に類似の官廳が、悉く龍頭蛇尾に終つたと云ふことは、昨日も申上げたのですが、そこには「アジア」的政治性格と、所謂商業資本的な利潤追求一點張の産業性格と云ふものが、近代産業性格に切替へられて居ない、同じ資本主義でも前期に於ける商業資本的な性格と云ふ此の二つが、日本に於ける産業企畫廳を總てが滅茶苦茶にしてしまふ、率直に申しますならば、「アジア」的性格と日本の産業性格と云ふものが、此の戰時に於ける産業企畫廳に對して、是は總てがそれを龍頭蛇尾に終らしめたのであります、私は再び茲に同じものを持つて來ても、是は其の目的が生きないぢやないか、此の事を考へますと、是は能く其の立案した方面の方々にも、「アジア」的な政治的性格竝に日本の現在の産業性格と云ふもの──是は私は惡い意味で言ふんぢやありませぬ、私は此の産業性格は必ず改まつて、新しき日本建設の爲に宜き産業性格と云ふものが生れて來ると思ふのですが、現實はさうなんです、之を能く理解して貰つて、此の經濟安定本部の構想と云ふものを少しお變へになつたならばどうか、即ち之を置くなら置いても宜しいから、之を置いた以上は置くだけの價値があり、此の目的が達成せられるやうに置いてはどうか、そこで私は之に對する代案として、經濟安定本部なるものは、帝國議會の下に、最高國民經濟會議と云ふものを置いて、其の國民最高經濟會議が産業に對する、日本再建の産業に對する企畫立案をして、それを帝國議會の承認を得て各省に指令をすると云ふことになりますならば、我々の理解しなかつた議會と安定本部の關係、安定本部と各省との關係と云ふものが茲に割り切れて、各省とも帝國議會の命令には服するのでありますから、茲に私は渾然たる一體の有機的な活動體、經濟活動體が政府の中に出來るぢやないか、それは一例ですが、外に案があれば私は承りたいのですが、斯う云ふやうなことで構想し直さなければ、半年後には膳さん氣の毒ながら討死しなければならないのぢやないかと惧れるのであります、是は日本の産業再建の爲に惧れる餘り心配して御聽きするのですが、膳さん之に對してどう云ふ風な確信があるのでありますかと云ふことを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=40
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041・膳桂之助
○膳國務大臣 只今は西村委員の多年の政治上の御練達な御見透しから、安定本部は各省の間に揉み苦茶になつて、半年經たずに野垂れ死をするぢやないかと云ふやうな意味の御尋ねでございました、何時も申上げます通り、安定本部の構想は從前にも或は企畫院でありますとか、色々の類似のものはございましたけれども、それとは違ふことは一昨日も御問ひに對して申上げたことで御諒承下されるのだらうと思ひますが、成程多年の我が國の内閣制度の運營の樣子から見、又我が日本の政治に多分に「アジア」的性格があるやうな點から見ますと、今の御心配のやうな點も御感じになられること洵に自然と存ぜられるのでありますが、今までも繰返し申上げますやうに、安定本部の今度の構想は、實は現在の憲法よりも新しい憲法の下に於て一層有效的に發揮せられるのではあるまいか、と申しますのは、現在の憲法に於きましては、もう皆さんの方が私よりもずつと御專門でいらつしやるから、釋迦に説法でありますが、國務大臣は各各の所管の事項に付きまして單獨に輔弼の責に任じまするけれども、通常の内閣の官制から申しますると、總理大臣と雖も閣僚を指揮する權限がないのだと私は承知して居るのであります、唯現在に於きましては特別の官制がありまして、經濟安定根本策に付ては總理大臣が各省大臣を、必要に於て指揮命令することが出來ると云ふ官制に依りまして動くのでありますが、是が新しい憲法になりますると、憲法の新草案六十八條に依りますると内閣總理大臣は行政各部を指揮監督すると云ふ、現在の憲法にない一つの本當に強力なる總理大臣の權限が茲に規定せられますると、總理大臣の直下に安定本部が總理大臣を總裁として戴く現在の制度を其の儘に移しましても、新憲法の下に於ては非常な強力な機能を發揮し得るであらうと思ふのであります、實は從前企畫廳とか色々の計畫はありまするが、是は一概にさう批評も致し兼ねるのでありますが、どうも何と申しまするか、或る戰爭目的と云ふやうな、一つの定まつた方に導かうとする目的から、所謂準戰時體制とか戰時體制とか云ひまして、國民を率いて行かうとする目的から、嘘僞と申してはいけませぬけれども、或る希望的の數字、希望的の計畫に無理に持つて行かうと云ふ點に、此の計畫性の無理さがあつたのであります、是から經濟安定本部の行きます途は、實は閣内にありましても所謂政策、政略と云ふやうな研究に一歩超越致しまして、さう云ふ一つの政治情勢を見ると云ふよりも、本當の經濟の實體を研究致しまして、そこに科學的基礎のある一つの計畫立案を致します、是が日本の經濟に必要なる所以が分りますれば、安定本部を通じ、又安定本部會議以外に於きましても、各省の間に隔意ない相互研究を致しまして、而も尚ほ正しき理由ありと思ひました所に、各省の諒解のない場合には、是は安定本部總裁でありまする首相の裁斷を得る譯でありますが、左樣な點で從前とは違ふ運營が出來るのではないか、若し是が今の御心配下さるやうな風になりますれば、甚だ國家の爲に憂ふべきことと思ふのでありますが、私は從前と違ふ運營が出來る、殊に憲法が新しく出來ますれば、此の新憲法の下に一層有效に働き得るのではないかと、斯う考へるのであります、尚ほ今の御説の、帝國議會の下に安定本部を直屬して、是が内閣を指揮したらどうかと云ふ御構想、是は初めて承りまする御考へでありまして、一つの御考へとして是からの日本の政治形體を研究する上の一つの御考へかと存じまするが、本日茲に私がそれに付てどう考へて居るかと云ふことに付ては、まだ研究も何も今伺つたばかりで、是が果して内閣制度と議會との新憲法の下に於ける一つの運用として、さう云ふことが出來るのか出來ぬのか、私も憲法學者でもございませぬ、能く是は研究すべき問題ではありませうけれども、此の際私からは何とも御答へ申上げ兼ねる點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=41
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042・西村榮一
○西村(榮)委員 大體膳さんの御説明は諒解出來ました、尚ほ最後に御答辯になりました其の問題は一つ能く考慮して戴きたい、帝國議會の下に國民最高會議を置き、其の事務機關として經濟安定本部を置くと云ふことの方が、命令系統がすつきりするのではないか、聯合軍の意思が國民の意思に反映する、國民の意思が各省に反映すると云ふ建前を採る方が宜いのではないか、併し膳さんが仰しやつたやうに、憲法或は色々の政治機構との關係もありませうから、能く一つ研究をして戴きたい、斯う思ひます一昨日以來色々承りましたが、政府の産業政策と我が黨の産業政策とは、根本的に異にすると云ふことを、二日の私の質疑で發見したのであります、我が黨は、新しき産業政策は、科學と賃銀と利潤の調和の上に新しい産業計畫を確立して、右手には科學技術の振興を持ち、左手には聯合國の指導と援助を受けて、之を知識筋肉の勤勞階級が、額に汗して推進して行く、其の推進の過程に從つて占領費も支拂ひ、或は辨償の支辨もなし、或は國家の生産の再生産の源泉も其處に求めようとするのが、日本社會黨の産業政策の性格であります、隨て本臨時物資調整法案を審議するに致しましても、私共は其の觀點から之を見たい、私の爲に多くの時間を御割き下さつた同僚の寛容に對して感謝致しまして、尚ほ後に我が黨の同僚議員に依つて逐條的に御質問申上げますが、要するに、本案審議の重點を日本社會黨は其處に置いて居るのであります、隨て本案を後世の名に恥ぢずして、此の平和産業建設の獨裁法とも謂ふべきものを、此の法案に依つて政府が獲得されんとするならば、私は私の方からも之に對する多くの修正案──或は否決するなら否決、修正するなら修正と云ふ提議は出しますが、政府自身に於かれましても、本委員會の終了までに、もう一遍再檢討して戴くことが出來れば大變結構だと思ひます
我が黨の産業政策の性格は以上の三點でありまして、科學技術の振興、是は輕視してはならない、科學と賃銀と利潤の調和を失してはならない、同時に聯合國の指導國家が、我が國の産業再建の爲に援助してやれるやうな態勢を、日本政府は執る必要がありはしないか、此の三つに重點を置いて、本案を日本社會黨は審議して行きたいと思ひますから、政府に於ても其の點考慮して、やり直すならやり直すと、寧ろ考慮を煩はしたい、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=42
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043・竹田儀一
○竹田委員長 塚田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=43
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044・塚田十一郎
○塚田委員 最初に御尋ね致したい事柄は、政府は今度御提出になつて居る臨時物資需給調整法と云ふものを、目的よりも餘りに大きなものを議會に對して審議を御要求になつて居るのではないか、斯う云ふ風に考へられるのであります、詰り鷄を割くに牛力を用ひると云ふやうな行き方が、此の法案にありはしないか、さう云ふ觀點から、私は寧ろ此の法案は政府に於てもう一度考へ直して、之を引込めて戴く工夫がありはしないかと云ふことを御伺ひしたい、勿論今日のやうな時勢でありますから、何等かの形で統制を繼續して行かんならぬと云ふことは申すまでもないことでありますし、それに對して毛頭異議がある譯ではないのでありますが、併し此の法案がなくとも、現在既に必要な物に付ては必要な統制が尚ほ行はれて居る、さうして政府の意圖も、それ以上に此の法案に依つてまだ何かを加へようと云ふ御考へではない、現在あるものに寧ろ法的な基礎を與へると云ふことであり、更にそれ以外には、或は突發的に關係方面其の他から何か要求があつた時に、其の基礎法規を求めようと云ふことに、本法案の提出の御趣意があるやうに承知して居るのであります、それだけの事柄に依つて此の法案を御提出になるのであるとすれば、私は必ずしも斯う云ふやうな總括的に──此の法律が假に法律になつた場合に、どんなことが勅令其の他實際の命令として出て來るか分らぬと云ふやうな懸念を國民に與へてまで、斯う云ふ法律を御出しになると云ふことは、目的とせられて居る所以上に出て居るからして、其の具體的なやり方に付ては、實は自分にも考へはありますが、別途に、詰り今までの最小限度の統制を、どう云ふ方法で繼續して行くかと云ふことは別に考へると致しまして、此の法案は、是は一度取下げて戴くことが出來ないかと云ふことに付て政府の御見解を伺ひたい、若し取下げることが出來ないとすれば、議會も、どうしても此の法案を、政府の説明に依つて通過させなければならないと云ふことの納得が出來、又國民も納得が出來るやうに、明瞭に其の理由、根據を御説明願ひたい、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=44
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045・膳桂之助
○膳國務大臣 本法案の提出の理由、又斯くの如き形を採らなければならなくなつた事情等に付きましては、商工大臣から本會議に於きましても、此の委員會に於きましても、又委員會の御質問に對しましても、縷縷答辯申上げた所があると思ひますので、重ねて繰返す必要も蛇足の感もあるのでございますが、兎に角戰時中の統制の枠を外して、遽かに自由奔放の物資需給の大勢に任せると云ふことの出來ないことは、是は能く事情も──今の御質問の中にも其の點に付ては十分の御諒解が戴けまする譯で、唯問題は斯くの如き法案の形を採ると云ふことが、實質以上に無用の國民の不安を招くのではないか、もう少し賢明の方法はないだらうかと云ふことの御趣旨のやうに存ぜられます、實は政府に於きましても、色々の形に於て考へたのでありまするが、窮極内外の情景に鑑みまして、所謂臨時的に經濟安定の根本の方針、又斯う云ふ補償打切りでありますとか、賠償の設備の撤廢でありますとか、非常な經濟界の動搖、又戰時の生産から平和時への生産の切替り、色々の時に、物資の需給の見透しが付きますまでと申しますか、詰りそれが安定本部の存續期間の間でありまするが、其の間は從前のやうな、多少包括的と申しますか、色々の事情の起きて參ります時にも、それに應じ得ますやうな形に於て、物資の統制の出來ます途だけを講じて置きたい、然らば何か經過的の規則法律で、從前の統制に關する諸法令の期間の延長でもして置けば、何か別に以前よりも新しいものが附加へられるのだと云ふやうな不安がなくて宜いのではないか、洵に御尤ではございまするが、是も亦實際上にも、又思想上にも、却て反對の結果が出來るのではないかとも存ぜられます、と申しますのは、兎に角從來の統制はやはり一つの目的の爲に強ひて持つて行かうとします故に、そこに何と言ひますか、統帥者原理と云ふか、一つの全體主義的な、それに官僚統制式なものが加はりまして、そこに一つの惡い印象を與へて居る譯でもありますし、やはり新しい民主的な形態に於て統制を運用すると云ふことが、却て宜いのではあるまいか、實質に於ては從來よりも強いことをやる譯ではありませぬけれども、やはり統制の性格が變り、又從來の統制法令の延長を以てしては却ていけないので、やはり經濟安定本部の存續します間の臨時的の法制として、斯くの如き形態で御協贊を仰ぐと云ふことが一番宜いのではないかと云ふやうな結論に到達しまして、御協贊を仰ぎました次第であります、どうぞ御諒承を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=45
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046・塚田十一郎
○塚田委員 法案をどうしても出さなければならないと云ふ趣旨は、今國務大臣から御説明もあり、又前に商工大臣からも屡屡伺つて居るのであります、併しそれではどうしても──他の委員はどう云ふ工合に御考へになるか知りませぬが、自分としては之を通すことに付て、國民が納得して呉れるだけの理由とは考へられないのです、それで今申上げたやうな意見を出して御伺ひして見たのでありますが、此の點に付て、恐らく是れ以上細かく御尋ねしても同じやうな答辯しか得られないであらうと考へます、又他の委員の御考へも必ずしも自分と同じでないかも知れませぬから、それは自ら他の委員の方々と今後の協議に依つて決めることでありますから、一應是から先の議論は、此の法案を通すと致しまして、其の場合に於ける質疑の點を此の法案に付て伺つて見たいと考へて居ります、隨て今後御伺ひ致します事柄が法案に付てであるからと云つて、必ずしも此の法案を自分が通すことに了解して居ると云ふ意味でないことを、豫め御斷り申上げて置きたいと思ひます
そこで第一に御伺ひ致したいのは、第一條の第一項に「主務大臣は、産業の囘復及び振興に關し」と法案の目的を大きく一つ書いて居るのであります「産業の囘復及び振興に關し」と云ふことと、其の後に來ます第一號に「經濟安定本部總裁が定める方策に基く物資の割當又は配給」とあります、此の物資、其の字の意味の範圍に付て多少の疑問があるのです、即ち第一號に基く物資と云ふものは、産業の囘復及び振興に關するものだけを政府が御考へになつて居るのかどうか、もつと具體的に申しますならば、民生の安定に關してのもの、例へば衣料の統制と云ふやうなものは、此の法案に基いてなされる御考へであるのかどうか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=46
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047・膳桂之助
○膳國務大臣 第一條の統制すべき物資の範圍に付ての御尋ねでありまするが、是は今御尋ねのありました通り、目的は産業の囘復及び振興と云ふことでありまするけれども、其の産業の囘復及び振興の根本の目的は、無論民生の安定と云ふことにあるのでありまして、隨て此の物資の範圍は、單純に工業等の諸原料、材料等でありませぬので、食糧、衣料等に對しまする民生の安定の問題に付きましても、此の中に入つて居る積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=47
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048・塚田十一郎
○塚田委員 さう云ふことになりますと、此の「産業の囘復及び振興に關し」と云ふ用語が、必ずしも自分には適當でないやうに思はれますからして、此の點一つ御研究を御願ひ致したいと存じます
それから順序を取違へたのでありますが、此の法案を通すと致しましても、是だけの法案が、實は委員會で審議致しますのに、此の法案は九月一ぱいに法律にならないと、色々な從來活きて居ります統制法規の壽命の關係上困ると云ふやうな意向も伺つて居るのでありますが、どうして今まで斯う云ふ重大な法案が議會に提出されずに居つたのかと云ふことに付て、御説明を御伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=48
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049・星島二郎
○星島國務大臣 實は今囘の議會に臨みまして、議會始まる勿々此の法案は出したいと思つて用意して居りましたけれども、色々な關係方面との相談等がありまして、中々そこに至らなかつた、率直に申しますと、もう少し詳しい、あなた方の御滿足の行くやうな、或る程度詳細な條文を含めたものも用意したこともあつたのでありますが、相談が纒まりませぬで、斯う云ふ簡單なものになつた、簡單なものになつただけにそれは安定本部會議が出來たものでありますから、安定本部と云ふものを抑へにして、さうして法文を簡單にして行くと云ふことになりましたので、此の提案が比較的遲れたのであります、併し議會に提案致しましたのは彼此れ一箇月前でありますが、當局の色々な都合がありまして今日までに遲れたやうな次第であります、實際から言ひますと此の九月一ぱいで法律がなくなる、既に七月十五日で輸入輸出等のものはなくなつて居りますので、非常に心が焦つて居る譯でありますから、何とか皆樣の御審議を得て、御協贊を仰ぎたいと思つて居る譯であります、どうせ一年の期間を置いての法律でありますから、一年後には再び是は何とかしなければならぬ、さうして此の法律のある間に只今御指摘の衣料は衣料、其の他の物はどんどん省令なり其の他で決めて行きますから、それを又議會等の機會に十分御審査を願つて、將來此の法律の適用は極めて少い數の物にしたい、今囘石炭と電氣は具體的の法律が出ましたが、次々と纖維、鐵鋼と出して行つて、斯う云ふ茫漠たるものは成べく數を少くしたいやうな方針で居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=49
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050・竹田儀一
○竹田委員長 是から休憩に入りまして午後一時に正確に始めたいと思ひます、休憩致します
午後零時五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=50
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051・会議録情報2
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午後一時十七分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=51
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052・竹田儀一
○竹田委員長 開會致します──塚田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=52
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053・塚田十一郎
○塚田委員 質問の順序が大分前後になりましたが、政府は此の本法案に付て殊更に臨時物資需要給調整法と云ふ名前を付けて居るが、其の本質はどうも臨時のものでありさうにも思へないし、又必ずしも需給調整だけをやるとは考へられず、相當統制をやる意向を持つて居られるやうに思はれるのであります、之に殊更に臨時物資需給調整法と云ふ名を付けられて、本法案を輕く見せられやうと云ふ考があるやうに思はれる、併し是は或は自分の邪推であるかも知れませぬ、そこで今までの質問でも斷片的に御考へを戴いた點もあるのでありますが、特に臨時と言はれた趣旨が何處にあるか、もつと具體的に申しますならば、本來出來るならば自由にして置きたいのであるが、現在の經濟状況の下では已むを得ないからして臨時に斯う云ふ統制を行ふのである、さう云ふ御趣旨であるかどうか、又時期の點として、臨時々々と言はれるが、どの位の期間に統制されるのか、若し本來的の臨時であると云ふことであれば、自由になる時期の見透しはどれ位であるか、此の點に付て御尋ね致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=53
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054・星島二郎
○星島國務大臣 臨時と云ふ意味は、本法案にもありますやうに、先づ一箇年、安定本部は一箇年の任期であります、併し正直に申せば安定本部は一箇年で濟まぬことだらうとは思ひます、少し延びるかも知れませぬが、兎に角何れにしても臨時なのでして、さうして又臨時であることを期待し、望んで居るのです、若し物資が非常に豐富であるならば、こんな窮屈なことをしないでも宜い譯でありますから、永久ではない、此の臨時だと云ふ意味は、法文から見ても先づ一箇年、併し是は形式論で、極めて短い期間、非常に需給の不調和な間のみ之をやりたい、若し又日本の國情からして相當程度長期間計畫的な需給を要すると云ふ場合には、それぞれ獨立したる法律の御協贊を求めてやりたい、斯樣に考へて居るのであります、それで取敢ず形式論から云へば臨時は二年、さうして、之を輕く見せようと云ふのではなく、氣持から云へば、斯う云ふ法律は臨時的なものであると云ふ希望を意味して居る點もある譯であります、左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=54
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055・塚田十一郎
○塚田委員 そこで御尋ね致したいことは、先程西村委員からも社會黨の立場から本質的な問題に付て相當突込んだ御質問があり、私も多分に同感の點があるのでありますが、併し物資を社會主義的な計畫經濟の基礎に立つて統制すると云ふことであれば、是は又自ら別箇に考へられるのでありますけれども、少くとも今日のやうな資本主義を基礎に置いた行き方でやる場合に於て、私は統制と云ふものは相當面倒なものであり、又やつても中々實效が擧げられないと云ふことを、戰時中の色色な實例に徴して考へて居るのであります、殊に我が國に於ては一層其の統制が困難な状態にあるのではないかと云ふことの私見を持つて居るのであります、それは第一に、過去に於て特にさうでありましたが、生産及び消費の面に於て、どちらにも完全な統計が日本にはないのではないか、それから統制を受ける國民の側にも、又統制を實施される官僚の側に於ても──今度は多少民主的な統制になりますが、さう云ふ實施をする民主團體の側に於ても、統制と云ふものの扱ひに本質的と云ふか、又は本質的でなくても經驗がない爲に、非常に拙い點が多分に日本にはあるやうに思はれるのであります、さう云ふ實際の状況を基礎に置いて考へる場合に、果して斯樣な統制が旨く行く見透しが、政府に於ておありになるかどうか、さう云ふ點に付て商工大臣の御考へを承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=55
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056・星島二郎
○星島國務大臣 戰時中實は型は戰時型でありましたけれども、大分訓練をしたやうでありますから、之を平和型に直し、民主型に直せば、私は或る程度まで行けるであらうと思ふのであります、殊に極めて少い物資に付きましては、今日御配りした表を御覽下されば分りますが、需要に對して二割、三割しかないやうなものもあります、殊に新聞紙のやうなものを割當てることは至難中の至難事でありまして、斯う云ふものを旨く割當てて行くには、本當に民主的な型を執つて行かなければならぬ、そこで是は皆が相當自覺して行かなければ困難だと思ひますけれども、是は初めて始めるのではなく、戰時中の惡い型さへ洗つてしまへば、或る程度までは行けるのではないか、所が實は餘りにも訓練して、政府の方で民主的にやらうと思つて、却て一般の人がやはり日本に官尊民卑の風が殘つて居ると云ふやうなことで、動もすれば其の儘になると云ふことも起る點があるのでありますが、追々斯う云ふものが民主的な意味で行くことを望んで居る譯であります、それで私は此の法律が初め出ます時にも、「コントロール」と云ふことを譯した意味で統制と云ふ方が本當かも知れませぬが、併し統制と云へば、上から臨む案はどうも戰時型の氣持が殘る、そこで特に意を用ひて統制と云ふ名は避けようではないか、其の邊の味ひのある所も御酌み取を願ひたい、斯樣に思ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=56
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057・塚田十一郎
○塚田委員 只今の商工大臣の御答辯を得まして、一應は了承致すのでありますが、併し今までの屡屡の御答辯に依つても分りますやうに、本法案に依つて政府が實效を期し得ると御考へになつて居る唯一つの──と言つては少し言ひ過ぎかも知れませぬが、大きな狙ひは、是が民主的に行はれると云ふ點にあるやうに思はれる、それは非常に結構なのでありますけれども、どうも先程私が申上げましたやうな氣持から云ひますと、私は却て民主的に行はれるからして、此の統制に基いて行はれる色々な割當、配給と云ふものが、一層旨く行かないのではないかと云ふ懸念を持つて居る、詰り統制をするのならば勿論民主的にやらなければならぬのだが、民主的と云ふことは大枠だけを政府が決めて、あとは勝手に産業團體のやり方に任してしまふと云ふやうな行き方では、どうも旨く行かないのではないか、勿論それに依つて一應割當は行はれるでありませう、配給も行はれるでありませう、けれども其の結果は、本法案が目的として居る所の産業の囘復及び振興と云ふ、重大な目的が達せられないやうな割當、配給と云ふやうなものになつてしまひはしないか、勿論其の場合にも、政府は割當を變更さす命令を下すと云ふ手段を用意されては居りませうけれども、斯う云ふものも實際にやつて見ると、恐らくもう一且割當てて配給をしてしまつた後で、幾ら割當の變更を命じて見ても、時既に遲しと云ふやうなことになつてしまふ嫌ひが多分にある、殊に此の法律が極めて短期間であると云ふことになる、ごたごたして居る内に法律の壽命が來てしまふと云ふやうなことも考へられる、そこで是は特に御答辯を必要としませぬが、私の希望としましては、民主的にやるのだ、産業團體にやらせるのだ、隨て責任は我々は負はないのだと云ふ、投やりと云ひますか、さう云ふ責任を餘り執らない氣持になられてしまふと云ふことは、非常に困ると考へて居るのであります、此の點に付て本法案が實施される場合に、十分の御留意を御願ひしたいと考へます
それから續きまして、第一條の細かい問題に付て若干の御質問を致したいと思ひます、先程物資と云ふのはどう云ふものを言ふのかと云ふことに付て、大體の御説明を戴きました、又本日我々は此處に表を戴いたのでありますが、大體政府が現在統制を御考へになつて居る品目は是だけであると、一應了解して宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=57
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058・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 本日御配りしました資料の中の品目は、大體只今商工省の關係と致しまして考へて居る品物でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=58
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059・塚田十一郎
○塚田委員 さうしますと、商工省としては大體是だけであると云ふやうに御考へになつて居る譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=59
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060・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 大體さう云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=60
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061・塚田十一郎
○塚田委員 さうしますとここで私が御尋ね致したいのは、實は國家總動員法に於きましても同法の第二條であつたかに、一應此の法律に依つて統制する物資を勿論相當抽象的なものではありますけれども、列擧してあつたと思ひます、そこで本法案に於ても、寧ろさう云ふものを一應、少くとも國家總動員法が規定して居つた程度に於て列擧される方が宜いのではないかと考へますが、其の點に付ての御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=61
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062・星島二郎
○星島國務大臣 さう云ふことも一應考へたのでありますけれども、實は今貿易關係が自由でないのでありまして、見返り等の關係もありましたり、殊に輸入を申請するに付ては、或る好い條件で急に或る物が輸入を受けられるやうな事態が發生した場合──是は豫想する物件は極めて少いのでありますけれども、さう云ふことも考へられますので、大體は斯うやつて御示ししまして、法文の上には表はさないと云ふ風に考へて左樣に致したのであります、尚ほ先程御尋ねの中に統計の點の御非難がありました、洵に其の通りでありまして、日本人は元來統計に餘り熱心でなかつた、同時に戰時中は總ての數字が祕密になつて居りまして、其の祕密の範圍に於て色々な計畫經濟をやつて居つたのでありますから、色々の食違ひもあつたのであります、今囘進駐軍に教へて貰ふ所が多いのでありますが、特に統計の精密化に付きましては非常に教へられる所があります、そこで今度は秘密がありませぬし、總ての數字を明々白々に硝子張の中でやるのでありまして、民主化になると不公正では承知しませぬから、割合に面白く行くのではないか、斯樣な期待を持つて居る譯であります、今後は精密の統計に付ては、政府は金を使ひ、人を使つて本當のものを得たい、さうしないと國土計畫も安定本部の仕事も出來ない譯でありますから、さう云ふ點に付ては精々御意見のやうな調子で進んで行きたいと思ひます、尚ほ今日配付しました物資計畫の中の、第三表の物資別の表を御覽を願ひますと、需給の「アンバランス」が分るのでありまして、是等に依りまして少くとも基本物資は、どうしても相當強い意味の需給調整の法律を要すると云ふことが、御理解願へると思ふのであります、特に第三表を御覽を願ひたい、斯樣に思ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=62
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063・塚田十一郎
○塚田委員 次に物資の割當若しくは配給をされます場合の一番の根本の大枠は、今までの御答辯に依りまして大體經濟安定本部がされる、それをされる場合に經濟安定會議に諮問されると云ふやうに承知したのでありますけれども、經濟安定本部の中に設けられます經濟安定會議と云ふものは、經濟安定本部が行ひます總ての仕事に付て、それを基準にして人間を集めると云ふことに勿論なるのであらうと思ふ、隨てさう云ふ目的で集めた安定會議に、特に物資のどう云ふものを、どう云ふ方面に割當てると云ふやうな特殊の問題を圖ると致しますと、必ずしも安定會議を構成する人が、さう云ふ目的に適當であると云ふことは言へないと云ふ場合が起きるのぢやないか、斯う云ふ工合に考へるのであります、それで寧ろ本法實施の爲の特殊の目的の爲に、政府は何等か別な物資需給調整の爲の委員會と云ふやうなものを作ると云ふ御考へがないかどうか御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=63
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064・星島二郎
○星島國務大臣 御疑問は御尤もでありまして、實は若し安定本部と云ふものが本當に書いてある文字通りにやらうと思へば、此の間も話したのでありますが、少くも丸「ビル」位の建物に一杯の人が要るだらう、大藏省と主計局もそこへ行く、凡ゆるものはそこに行つてしまふと云ふことになつて、各省は現場になつてしまふと云ふやうなことに考へられる、今政府としてはそこまでやり得ないのです、そこで今の御尋ねのやうな調子で、商工省なら商工省の方で現場に於て相當の立案を致しまして、さうして凡そ原案らしいものを作りまして、之を安定會議に持つて行つて、安定本部で審議をして貰ふと云ふやうな所で實施をして貰ふより外にないだらう、無論安定會議には各部々々があり、各部にはそれぞれ各省の「エキスパート」が入つて居ります、又民間からも入つて居ります、そこで再審議をするやうな形で、それが安定本部會議に正式に諮問されて最後の決定を得る、斯樣な譯でありますから、而も假に商工省で纖維なら纖維、鐵鋼なら鐵鋼の案を作る場合に、勿論現在ある民間の團體、纖維なら纖維統制會、鐵鋼なら鐵鋼統制會あたりに諮問をして、案は出來ると思ひますが、事實上あなたの仰しやる委員會は、現實に既にありまするし、又さう云ふ手續を執つて萬全を期したい、斯樣に思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=64
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065・疋田敏男
○疋田委員 次に第二號及び第三號であるが、第一號は一應うんとない物を澤山の人に分けるのでありますから、統制が必要だと云ふことは納得が出來るのであります、併し二號及び三號になりますと物資需給の調整と云ふやうな建前から言つて一寸出て來ない號だと思ふ、是が若し此の文字に表現されてあります通りに、假に實施されると云ふことになりますと、戰時中に澤山の事業が整理されてなくなつてしまつた、漸く戰爭が濟んで是から何か仕事に早く就かねばならぬと云ふことで、元やつて居つた仕事、又新しい仕事を始めて段々と事業が起り掛けて來て居る所へ、又此の法律で以てあの事業は工事をやつてはいかぬ、斯う云ふ物資は生産してはいかぬ、又やり掛けた仕事の工事の施行の制限もされる、禁止もされると、産業の囘復及び振興どころぢやない、却てそれを抑へるやうな結果にならぬとも限らぬ、又産業に依つて物資又は設備の讓渡をしろ、引渡をしろ、又ああせよとか斯うせよとか云ふことが、命令で出て來ると云ふことになると、隱退藏物資の摘發が、今後法律に依つて一般的な基礎を以て行はれると云ふ懸念も持つやうになると思ふ、そこで此の二號及び三號に付て、政府はどの範圍のことを頭に描いて斯う云ふ項目を置かれたのか、具體的な範圍などに付て伺ふことが出來たら承知致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=65
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066・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 第二號の生産の命令及び生産の制限に付ての一、二の例を申上げますと、例へば只今の鐵鋼の需要から申しますと、建築其の他の爲に非常に薄板の需要が多いのであります、是の生産がどうも足らぬのであります、鐵鋼業者の方に一應は薄板を是だけ作れと云ふ依頼を致しますけれども、どうもさう云ふ風に出來ぬ時には、此の規定を發動する場合があるかも知れませぬ、要するに薄板と云ふものの需給が非常に「アンバランス」の場合、生産工程から云ふと厚板の方が作り易いから、薄板のやうな手數の掛るものを作らぬ、そこで薄板を作らせる爲にと云ふことを考へて居る、又銅と云つた貴重な物資、足らぬものでございますが、之を玩具に使ふと云ふやうなことは勿體ないことでございますので、玩具には一つ銅を使はないで貰ひたいと云ふことを、第二號の方でやるやうなことも考へられる、又第三號の物資又は設備の讓渡の問題でございますが、是は今囘御承知のやうに企業の整備がございます、或は賠償に依つて設備が撤去される、殘つた設備がちぐはぐのものが出來ます場合に、或は肥料工場に若干のものを足せば非常に能率が上ると云ふ場合に、遊休の設備なり、凸凹になつた設備を讓渡する、是は當然業者の間に勸告するのでございますが、話が旨く行かぬ場合は、規定に依つて生産能率を上げる爲の讓渡をする、斯う云ふやうなことを豫想して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=66
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067・塚田十一郎
○塚田委員 さうしますと、二號及び三號に於て、政府が意圖されて居る所は、勿論産業の囘復及び振興と云ふ前提に基いてでありますが、さう廣範圍なものでないと云ふことを了解して置いて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=67
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068・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 左樣でございます、緊急已むを得ないものに對して、經濟安定本部總裁が決める方策に合致するやうな範圍に於てやると云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=68
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069・塚田十一郎
○塚田委員 次に第一條に基いて色々な命令が出る譯なのでありますが、其の命令が此處では左に掲げる事項に關してと言つて、其の事項として一、二、三號とある、所が此の一、二、三號の目的を達する爲に、まだ色々な命令を出さなければ、其の實效が得られないのぢやないかと云ふやうな場合も考へられるのであります、例へば物資の割當配給を巧くやられる爲には、移動の制限も場合に依つては或る品物に付てやる、又必要な消費の制限も或る場合にはしなければならないと云ふやうな場合も起きるのぢやないか、さう云ふやうな事柄を茲に列記されないで、此の效果が十分に擧げられるか、此の點を御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=69
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070・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 御話のやうに消費の制限なり、或は移動の制限なりを致しませぬと、完璧な調整が出來ぬと云ふことは考へられるのでありますが、大體は物の割當を致しましたり、配給に付て統制を致しますることに依つて、或は又第三號の移動必要があれば讓渡を強制致しますること等に依りまして、大體の目的は達し得る、要するに強制力を用ひまする範圍を成べく限定致します意味で、一號二號三號の事項に限つて居るのでございます、大體それに依つて目的を達成し得ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=70
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071・塚田十一郎
○塚田委員 次に第二條でありますが、第二條に於きましては割當の實施に付て民主的な産業團體に任せると云ふことがあるのであります、そこで第一條の一號では「物資の割當又は配給」と云ふものを竝べて書いて居るのでありますが、そこでここの「割當又は配給」と云ふ文字がどう云ふことを意味して居るかと云ふことと、併せて産業團體には、割當だけはやらして配給をやらせないと云ふ御考へであるかどうか、さう云ふことに付て御意見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=71
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072・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 割當申しますのは、文字通りに、或る企業に對しまして全部の企業の中何「パーセント」の資材を割當てるかと云ふことでございます、所謂割當の指令をするのでございます、配給と申しますのは、具體的に物の流れます系統を申して居る譯でありまして、鐵鋼でありますれば、鐵鋼の共販會社と云ふものが物を持つて居りまして、其處を通じて物が流れて行く系統のことを申して居る譯であります、例へば或る機械の「メーカー」が鐵鋼の割當を受けます、其の割當は所謂其の「メーカー」の産業團體で指令を受けて割當を致す譯でございますが、現實に物の配給を受けまするには、其の割當の切符を持つて參りまして鐵鋼販から物を買ふ、要するに鐵は鐵鋼販を通じて流れて行くと云ふ只今の配給機構が出來て居りますので、其の鐵鋼販に割當切符を提示致しまして割當を貰ふ、斯う云ふことになるのでございます、配給の實施──物の流れると云ふことを申して居る譯でございます、隨ひまして第二條の統制團體と申しますのは、産業團體が其の傘下の同業者、或は之に加入して居りませぬけれども、同業者で割當の請求なさる方に對しまして割當の比率を上げる、斯う云ふことを御任せして居る譯でございまして、配給の問題は別に配給のルートで、政府として組織を考究することになつて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=72
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073・塚田十一郎
○塚田委員 そこで次に「民主的に組織された産業團體に、その構成員の議決に基いて、」割當をさせると云ふことになる譯でありますけれども、併し此の色々な物資が割當の時期を異にして出て來る、さうして又産業團體の構成員が非常に多いと云ふやうなことは、恐らく實際問題として出て來るのでありますが、さう云ふ場合一つ一つの物資に付て、其の都度「構成員の議決に基いて」割當の方法を決定して居ると云ふことは、是は恐らく實際問題としては私は出來ないだらうと考へるのであります、さう云ふ場合それに代る方法として、例へば「構成員の議決に基いて」割當の基準だけは決めて置くが、併し後は其の基準に基いてやるのは、其の産業團體の理事者に任せると云ふやうな方法も、まあ一應は考へられるのでございます、さう云ふ點に付て政府の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=73
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074・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通り非常に澤山の人に、其の都度議決に依つて割當の比率を決めて參ると云ふことは、實施上不可能であります、仰せの通りやはり割當の基準と云ふものを作ります、例へば設備の能力に依りまするとか、或は場合に依れば工場の實績に依りますとか云ふ基準が出來まして、其の基準を一應議決をして置いて戴きまして、此の實行に付ては理事者に任せますとか、特に割當の委員會と云つたやうなものを、其の統制の團體の中に設けまして、其の少數の方に實行を御任せする、斯う云ふ形になるものと豫想致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=74
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075・塚田十一郎
○塚田委員 次に御伺ひ致したいのは、割當を致します場合に、民主的な割當と云ふことでありますが、公正な割當と云ふことは必ずしも私は總花式に割當になるものぢやないかと云ふことを、此の間政府委員からも大臣からも御答辯があつたので、其の通りだと思つて居るのであります、隨て割當を致します場合には例へば能率の高い工場、或は生産原價の低い工場、さう云ふやうなものには自ら餘計な割當が行つて然るべきだと思ふ、そこで割當は民主的に組織された産業團體に許すか、さう云ふ認定を何處でするかと云ふこと、詰り例へば甲と云ふ會社に、餘計に一つ生産計畫を持たせると云ふやうな、其の生産計畫の認定なども何處でするかと云ふことが、此の割當を決定する大きな基準になると考へるのであります、此の民主的な産業團體にさう云ふことまでも許される御考へであるかどうか、勿論割當を許されると云ふ以上は、當然さう云ふものを民主的な産業團體に行はせられる意向のやうに考へられるのでありますが、一應念の爲に政府の御意見を伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=75
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076・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通り從來の統制に於きましては、實績主義と云ふことが行はれまして、伸びて行く産業に對する統制の形としては面白くなかつたのでございます、從來の統制は寧ろ生産は縮小して行くやうな場合でございましたから、是も已むを得なかつたのでありますが、今後は──只今はどん底の状況でございます、是から伸びる統制でございますから、伸びる場合には伸びられるやうな形の統制を執つて行くことが必要でございます、其の爲には只今仰せの通り非常に能率の良い工場に割當を殖やして行きますとか、或は生産費の非常に安い工場に對しましては割當を増加すると云つたやうなことを、當然考慮すべきものと考へて居りまして、先程申しました基準の中にも、出來ればさう云うことを決めて置いて戴きたいと思ふのであります、無論是は産業團體内部に於て、何時でもさう云ふことを御考へ願ふことでございますが、更に大きい國の見地から、此の産業が非常に能率が良くて、それを伸ばすことが宜しいと云ふことが明かでございまする場合には、之を安定本部等に於ても、其の産業を選定する場合もございませう、又主務大臣がさう云ふ或る標準を示しまして、産業團體の割當の際に御考慮を願ふと云ふこともあらうと思ひます、一應は産業團體に御任せ致しまして、大體の方針を安定本部なり、主務大臣が決めると云ふやうな形で參りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=76
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077・塚田十一郎
○塚田委員 次に民主的に組織された産業團體と云ふものに付て、それがどう云ふものかと云ふことは前に答辯を戴いたのでありますが、尚ほ補足的に御説明を願ひたい節が若干あります、それは此の民主的に組織された産業團體に付ては、全然法的な根據を持たなくても差支へないものかどうか、詰り勝手に集まつて作つた團體でも、それが正當なものであると認められれば、斯う云ふ配給の割當を行はせるやうな團體として認定されるのかどうかと云ふ點であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=77
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078・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 割當の仕事には特別の法人格を必要としない仕事でございますので、所謂産業團體と致しましては、所謂人格なき社團協定と云つたやうなものに對しましても、之を産業團體として認めて行く方針であります、唯其の内容が所謂民主的に出來て行くと云ふことが要點でございます、細かい組織法に關する規定は此の需給調整法には掲げてありませぬので、是は專ら組織する方の御意思に任して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=78
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079・塚田十一郎
○塚田委員 尚ほ序でに御伺ひ致したいのは、隨て今後斯う云ふものに付て法的の基礎を與へると云ふ御考へは政府にはないのでありますか、其の點に付て…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=79
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080・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今の所法的の根據を與へる豫定を致して居りませぬ、當分任意的に組織願ふと云ふことで進んで貰ひたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=80
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081・塚田十一郎
○塚田委員 今度の此の法案が割當を致しまする場合に、團體の構成員以外の者には、特に割當を認めると云ふことになつて居るのであります、けれども、どう云ふ趣旨に基いてさう云ふことになつたのか、寧ろさうでなしに、全部産業團體に入ると云ふことを前提にして、割當を受ける者は全部其の團體に入つて居ると云ふことにされたら宜いのではないか、若し又團體の構成員以外に割當をすると云ふ場合になると、さう云ふ事務の爲に必要とする經費の割當負擔を、さう云ふ割當を受ける者はどうするかと云ふことも問題になると思ふのであります、其の點政府の御考へは如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=81
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082・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 御質問の通りに、成べくならば此の統制團體の中に、總ての業者に御入りを願ひたいと思ふのでありますけれども、何分にも任意的に組織致しまする場合には、意見を異にする同業者の方々もあらうかと考へられますので、員外に立たれる方もあらうと豫想されるのであります、隨ひましてさう云ふ方に割當をしないと云ふことに參りませぬので、員外であつても同業者の方に、其の産業團體から割當をすると云ふ建前を取つて居るのでございます、勿論其の場合には産業團體に入つて居られる方も相當の經費を負擔して居りますので、員外の方も之に準じて經費の割當を受けられる場合に負擔願ふと云ふことに考へて居ります、尚ほ此の規定に依りまするに、員外の方が何人何處に居られるかと云ふことが分りませぬ場合がございますので、員外の方に割當てまする場合には、豫め割當の請求をして戴くと云ふことに致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=82
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083・塚田十一郎
○塚田委員 次に産業團體の割當に對しまして不服である場合には、其の旨を主務大臣に申出ることが出來ることになつて居るのであります、所が實際問題として斯う云ふことが一々主務大臣まで行くと云ふことになつたら、主務大臣は大變な御面倒になるのではないかと云ふことを考へられます、恐らく實際に割當をやつて見ると、あつちからもこつちからも不服が出て、申出がなかつたとか云ふことで、あとでぐずぐず言つて來ることもございませうけれども、さう云ふ場合には其の不服を、最終的に主務大臣まで持つて行くと云ふことは結構でありますけれども、其の前に割當の許されて居る産業團體に不服を申出る、さうしてもう一度審査決定をやり直して、尚ほ不服の場合には主務大臣まで持つて行くと云ふ方が、實際問題として宜いのではないかと考へられますが、其の點に付ての御意見は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=83
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084・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 此の法文の上では主務大臣の權限のみ書いてございますが、只今仰せのやうな場合には勿論其の統制團體が任意の意見を出して戴きまして──どう云ふ間違ひの爲に數字の誤りが起らぬとも限りませぬし、色々な條件がございますので、一應産業團體の意見に任せたいと考へて居ります、併しながらそれは法文の表には出しませぬで、運用でさう云ふやうに致したいと考へて居ります、勿論最後に主務大臣に申出を願ひまして、統制團體のやりました措置と、不服の申出をされます方との間の状況を能く調査致しまして、主務大臣が公正に措置すると云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=84
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085・塚田十一郎
○塚田委員 次に本條の第四項に於きまして、割當の變更命令を出すと云ふことになつて居るのでありますが、是も最初に一寸申上げたやうに、實際に審議されて變更命令が出るやうな場合、時間的にも相當經過をしてしまふことは當然あり得ることであります、即ち新しく變更した命令が出た場合に、過去に割當したことに依つて、既に配給などが實施されてしまふことも多々あらうと思ふのでありますが、さう云ふ場合にそれを新しき變更に從つて、例へば配給したものを取戻すと云ふことまで考へて居られるのかどうか、詰り割當決定の變更命令が、どう云ふ形で出るかと云ふことに付て御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=85
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086・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せのやうに此の審議等に相當の時間を要しました爲に、割當期間を經過してしまふ、隨て其の後變更を命令致しました場合には、割當に依つて取得されました物資を、消費してしまつて居ると云ふ場合も起らざるを得ませぬ、隨ひまして此の變更命令は勿論割當の數字を變更致しますが、實際に於きましては爾後に於ける割當から差引すると云ふことで、現物を取返すことは實際上不可能でございませうし、又やらぬ積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=86
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087・塚田十一郎
○塚田委員 次に第三條でありますが、斯う云ふ形の規定は、實は過去の斯う云ふ種類の法規には大抵載つて居つたのであります、所が私も長年實業會社に勤めて居つて能く經驗があるのでありますけれども、斯う云ふ規定に基いた檢査は、殆ど行はれたことがないやうに記憶して居るのであります、過去にさう云ふことをされて、不幸にして斯う云ふ檢査が效を奏したと云ふやうな實例が、果して商工當局の御擔當の事柄に付てあつたかどうかを承知致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=87
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088・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通り三條の規定に依る檢査をしたと云ふ例は非常に少からうと思ひます、但し色々の數字の報告は時々御願ひ致して居ります、問題が起りました場合に、生産の數字が誤つて居らなかつたかどうかと云ふやうな調査を御願ひして、御報告を願つたことがございます、唯特殊な例と致しまして、先般御調査を願ひましたのでありますが、隱匿物資の數量に付て、現場に於て嚴重に檢査を致したことがあります、是は最近の事例であります、通常の法制の上に於ては、此の檢査の非常な稀な例と存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=88
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089・塚田十一郎
○塚田委員 所が此の第三條の規定が實際に行はれないと云ふことになれば、是は益益報告などの完全なものが出て來ない、隨てさう云ふものを基礎にした統計が不十分になることは、御承知願はんければならぬのであります、又自分が長年實業界に居りまして、書いた報告統計などを考へましても、恐らくそこまで申したのではなんでありますが──
〔委員長退席、西村(榮)委員長代理著席〕
ですからして、若し徹底的に正しい報告を御取りになると云ふことであるならば、場合に應じてはやはりやるだけの覺悟を持つて居られないと、旨くないのぢやないかと考へるのであります、併し是は御答辯を必要と致しませぬ、唯さう云ふ實業界の實情であると云ふことを、御承知置き願へば結構であると思ひます
一番最後に此の法案の效力を失ひます時期を、實は經濟安定本部廢止の時と書いてあるのであります、過去に斯う云ふやうな存續期限の規定を持つた法律と云ふものは、餘り類を見ないやうに記憶致して居るのであります、殊に經濟安定本部の存續期間と云ふものは、勅令を以て決まるやうに考へて居るのでありますが、さう云ふやうなものに附隨して、此の法律の存續期間を決めると云ふのは適當ではないのではないか、もつとはつきり申上げるならば、此の法律が效力を持たなければならない期間と、經濟安定本部が存續する期間と云ふものは、必ずしも同じくはないのではないかと云ふやうに考へるのであります、寧ろもつとはつきりと一年とか二年とか、又次の通常議會までとか、さう云ふやうな表現をされたらどうかと考へるのであります、其の點に付て當局の御意向を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=89
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090・星島二郎
○星島國務大臣 最初に申上げたやうに、あなたのやうな考へ方はあつたかと思ふのでありますが、此の法律がなくなつた時は、其の事前にどうしても必要なものに付きましては獨立した法律に致したい、斯樣に思ふ譯でございますから、それは御意見と致しまして承つて置きますけれども、安定本部の生命が、先づ一年と云ふことで始めた譯ですが、是も決してさう長くはないと思ひます、けれども私は成るべく他の獨立した各物資々々のものを作るのが本筋だと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=90
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091・塚田十一郎
○塚田委員 最後に法案と離れまして、實は先般商工省の第二、四半期分として、本年の七月から九月迄の物資配當計畫と云ふものを御發表になつて居るのでありまして、此の中に進駐軍設營用と云ふものが、各品種に亙つて澤山あるのであります、斯う云ふものは今後の配當計畫に、相當長期間出て來る見透しであるかどうか、其の邊に付て御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=91
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092・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 今日御配り致しました資料の中にも、七月──九月の物資需給計畫、それは商工省で策定したものもございますが、其の中に進駐軍の設營用の資材のことが書いてあるのであります、進駐軍が我が國に參りましてから、設營の爲に色々な資材を要求されて居ります、隨ひまして當分の間此の資材と云ふものは、優先的に物資需給計畫の中に入つて來ると思ひます、併しながらさう長い間是が要るものとは豫想して居りませぬ、恐らくは今年度中位に於て、大部分のものの御希望は充たされまして、相當減つて來るのではないかと豫想致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=92
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093・塚田十一郎
○塚田委員 次に此の配當計畫の中に、一番最後に地方保留と中央保留と云ふものがあるのであります、是は色々事情があつて、政府が斯う云ふ具合にして居られると思ふのでありますけれども、過去の實例に於きまして、中央保留、地方保留と云ふものが豫算に於ける豫備金と同じやうな性質のもので、是が多分に官吏などの色々な間違ひを起す原因になつて居ると云ふやうに承知して居るのであります、斯う云ふものを置かれて居る趣旨、それから斯う云ふものは私としてはもつと最小限度にしたいと云ふ氣持を持つて居るのでありますが、其の邊に付て政府の御意向を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=93
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094・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 物資の需給計畫を作ります場合に於きましては、成るべく保留と云ふものをないやうに致すのが當然であります、唯御手許の表にもありますやうに、此の需給の「バランス」と云ふものが非常に不均衡でございます、例へば鋼材等に付きましては、大體需要の二二%位しか配當を致して居りませぬ、此の需要と申しますものも、關係の各省、或は商工省各局等に於て、非常に重要な事業に付ての需要を取りまして、之を査定致しましたものが、鋼材で申しますと五十四萬「トン」と云ふやうに出て居りますが、それに對しまして供給量は僅か十二萬一千「トン」、二二%位の僅かなものでございます、其の他の資材も大體二二%か精々三、四〇%に止まつて居るのでございます、即ち需給が非常に逼迫して居るのであります、斯う云ふ場合にはどの事業に付きましても、其の數量では直ぐ破綻をする状況でございます、又一面先程の御尋ねもありましたやうに、進駐軍の需要が非常に多いのであります、一應此處に計上はして居りますけれども、又新しい需要が出て來るかも知れませぬ、さう云ふ場合に臨時應急に應ずる爲には、それぞれの部門が餘裕がない際でございますから、どうしても一箇所に保留が要ると云ふことに相成りまして、中央地方に若干保留を持つて居る次第でございます、將來物資が潤澤になりますれば、勢ひ是は解消すべきものと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=94
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095・塚田十一郎
○塚田委員 私の質問は之を以て終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=95
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096・西村榮一
○西村(榮)委員長代理 三木武夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=96
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097・三木武夫
○三木(武)委員 膳國務大臣に對する質問が大部分でございますが、商工大臣に簡單に伺ひます、本法の第一條第一號、第二號、第三號に依つて、物資の割當、生産の制限若しくは禁止、或は設備の讓渡と云ふやうなことが、主務大臣の命令に依つて出來ることになつて居つて、相當廣汎な生産統制の權限を委任することになるのでありますが、一體政府は之を主として生産統制の面に付て、どう云ふ意圖でどの程度の生産統制を具體的に考へて居るのか、其の點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=97
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098・星島二郎
○星島國務大臣 今石炭と、それから電氣は獨立法を設けまして協贊を仰ぎつつあるのであります、本當を言ひますと今少し準備致しまして、肥料の如きも一つの獨立法を御協贊を願つて進みたいと思つたのでございますが、其の準備が整ひませぬでした、是は九月一ぱいまでには間に合ひませぬ、尤も此の法律を直ぐにも運用したいと思ひますのは、先づ第一は肥料であります、肥料の面に於きましては相當程度の或は讓渡、或は制限、或は禁止等の此處に該當するものが必要かと思ひますので、即ち國家管理とも申すべき程度のものを、獨立法に依らずして行はうと思ひますれば、先づ此の法律に依る外ないのであります、其の外鐵に關しましても若干必要であらうと思ひます、それで追々中小工業の方面に付きましても、今後賠償物資の決定、それから企業の再建に付きまして隨時必要と認めました時には、それで以て行きたいと思ひますが、取敢ず當面考へて居るものは先づ肥料であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=98
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099・三木武夫
○三木(武)委員 肥料の點を先づ御考へになつて居ると云ふことでありますが、是は大體其の生産統制の性格は、一つの物資、資材等の重點的割當を通じて行はんとするのか、或は又場合に依れば第三號の如きは經營と資本との分離も可能であるし、生産統制には何でも出來ると云ふ一つの權限を持つて居るのですが、其の重點的な産業に對して、どう云ふ方法で一つの生産統制を行はうとするのか、其の性格を一つ御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=99
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100・星島二郎
○星島國務大臣 此の法文にも見える通りに、先づ割當を中心に生産統制をやらなければならぬ、さうして其の割當が完全に行はれる爲に、隨時それに關聯して他の發動がある譯です、中心は割當主義であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=100
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101・三木武夫
○三木(武)委員 物資の割當に付きましては、民主的に組織された産業團體の議決に基いてやると云ふことでありますが、其の民主的に組織されたと云ふのは──政府が御考へになる民主的と云ふのは、從來の統制法規を外して、之を商法に依る株式會社にすると斯う云ふことですか、單に民主的に組織された産業團體の議決に依つて割當てると云ふのは…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=101
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102・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 此の民主的に組織された産業團體と申しますのは、從來の統制は御承知のやうに統制會なり統制組合等、總て指導者の原理に依つて出來て居りました團體であつたのでありますが、今度の需給調整法に於きましては、さう云ふものを採らないと云ふことを茲に明言した積りでございます、統制會社とか株式會社とか云つたやうなものではなくて、今後の統制に付ては加入團體は自由であるし、又組合員、會員の公正なる議決に依つて統制をやつて行く、又其の團體の理事とか指導者は總會の決議に依つて選出され、運營も公正に行はれる、斯う云ふことを内容にした團體、斯う云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=102
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103・三木武夫
○三木(武)委員 此の團體と、近く上程になる協同組合法案との關係はどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=103
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104・星島二郎
○星島國務大臣 先程の答辯の中にもありました如く、單に株式會社と云ふことも豫想致しませぬで、只今政府委員から御答辯申した通りでありまして、詰り從來の戰時型統制から逆なものを考へて居るやうな譯でございます、隨て今囘出來まする協同組合の如きも、其の中の全部と云ふ譯にも行きませぬが、其の中で状態に依つては指定する民主的團體と認められて入るものもありませうし、入らぬのもあらうかと思ひます、今度出來ます協同組合のやり方は、極めて民主的な形に於て構成されることを目途として居りますから、其の中の大部分は之に該當して行くものだらう、斯樣に考へる譯でございます、尚ほ現在ありまする色々な統制團體は、最近改組されまして民主的になつたのがあります、實際には逐次それが本當の民主的になつて行くものと考へます、それ等のものが慨ね入る對象になつて行くものであらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=104
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105・三木武夫
○三木(武)委員 配給統制の點に付ては、資料を配給統制機關と配給指示機關と云ふ、二つに分けて之を提出されたのでありますが、大體配給統制を考へて居られる範圍と云ふのは、どう云ふ範圍を御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=105
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106・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 此の資料に付て若干御説明を申上げますと、配給統制を考へて居ります物資で商工省所管のものは、御手許へ差上げました資料に書いてある物資でございます、配給を統制致します場合には、先程申しましたやうに、配給は物の流れの統制でございますので、物が流れて參りますのに、二色の形を取つて居るのであります、一つは一手買取、一手販賣の形であります、從來の統制會社と云つたものは其の形でございます、併しながら業者が割合少くて、引取る人も消費する人も割合少ないと云ふやうな物資に於きましては、さう云ふ生産業者或は配給業者、場合に依れば需要者等も含めまして、配給協議會と云ふものを作らせまして、そこで物を流して行く、販賣はそれぞれの製造業者から問屋、消費者、さう云ふものに流れて參るのでございますが、其の割當に付てはさう云ふ方々の代表者を以て組織する配給協議會と云ふものが、配給を指示して行くと形を取ることに致しましたが、併しそこに非常に數の多い生産者、消費者を持つ場合には、さう云ふことでは仕事が混がらがつて捗りませぬので、一手買取、一手販賣と云ふやうな配給機構を取つて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=106
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107・三木武夫
○三木(武)委員 配給指示機關と申しますか、配給を指示すはものは配給協議會を作つて、其の議決に依つてやられると云ふが、大體其の配給協議會と云ふものはどう云ふ性格のものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=107
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108・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 配給協議會の内容は、先程も一寸申上げましたが、生産業者及び消費者、及び配給の業者と云ふ方々を以て組織致します團體でございまして、需要を査定致しまして、供給に應じて物の販賣を指示して行くと云ふ團體でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=108
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109・三木武夫
○三木(武)委員 本法に依れば、特にさう云ふ配給指示機關、若しくは一手買取の方法に依つて直接生産から配給の面に流すのでありますが、大體本法は商業の機能と云ふものに對して、どう云ふ風に御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=109
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110・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 商業と申しましても、主として卸賣業と申しますか、問屋業のことに付て申上げますが、先程も物資の需給計畫の方で御説明申上げましたやうに、今日の物資の需給は非常に逼迫して居ります、需要に對して非常に少い供給力しかないのであります、隨て之を從來の、物が潤澤にありました時代のやうな問屋、商業者と云ふものを、認め得る餘地は非常に少いのであります、隨てさう云ふ逼迫した物資を配給する爲には、どうしても一箇所で配給の權限を握りまして、其の指圖に依り、或は其の取扱ひに依りまして、物を流して行く必要があるのでございます、其の目的の爲に或は從來の配給統制會社、今後は株式會社に改組せられるのでございますが、株式會社或は配給協議會を通じまして物を流して行く、所謂商業者──斯う云ふ統制をされますやうな需給の逼迫して居ります物資に付きましては、商業者と云ふものは、配給統制の機構の中に入りまして活動して參る、併しながら物が潤澤になりますれば、又潤澤になつて居るものに付ては、商業者は自由な商業活動をなし得る、斯う云ふことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=110
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111・三木武夫
○三木(武)委員 本法に依つて中小企業の方面に、果して資材が圓滑に廻り得るかどうかと云ふことは、非常な疑問を持つのでありますが、商工大臣は前に中小企業の問題に付て、或は金融資材の點から、問屋と中小企業を結付ける一つの案を御立てになつて居る嫌ひがあります、大企業は本法に依つて割當が遺憾なき場合もありませうが、果して中小企業の末端に、資材の割當等が遺憾ないかどうかと云ふことに付ては非常に疑問があつて、共同組合の如きも非常に利用されなければならぬと思ひますが、中小企業の將來の維持育成と本法との關係を、商工大臣はどう云ふ風に御考へになつて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=111
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112・星島二郎
○星島國務大臣 仰せのやうに、基礎産業は、例を言へば鐵道や肥料はどうも已むを得ませぬ、大企業のみになるかも知れませぬが、大企業と言ひましても纖維になりますと、第一段階の絲の如きは、紡績工業の如く大企業でありますが、それ以外の織物から縫製に至るまでの部局は寧ろ中小以下のもので、小の方に屬するものが相當多數にある譯でありまして、是は多く輸入を仰いだ原料、どうせ日本にないのでありますから、中小企業の面に於ては、主として私は輸入を非常に懇請して、見返り物資等を盛んにして行くと云ふ點に伸びて行かなければならぬと思ふのであります、さうすると一定の輸入──輸入でなくても内地にある原料を使ひますものに付ても、中小方面に共同組合等を利用しまして、圓滿に、公平なる資材を流して行つて、それぞれの仕事に安んじられると云ふ方面に持つて行かなければならぬ、斯樣に思ふ譯でありまして、此の法律の目的とする所も、決して大企業のみを目安としないで、さう云ふ面にも伸びて行きたい、御參考に仕事の種類から言ひましても、先ぞ第一位が紡績工業でありますが、其の次には自轉車、鑄物、時計、さう云ふ方面の仕事は中小で行けると思ひます、「ゴム」の如き輸入がありますれば、「ゴム」を自轉車工業の方に分けて行く、第一段の「ゴム」輪の製造は、相當大きい工場になつて居りますが、それ以下は今非常に分れてやつて居りますから、それに對しても相當やつて行けるやうに、さうして全體として大きな工業として行けるやうに旨く按配しなければならぬ、だから此の法律は其の方面にも相當運用し得るものと思ひます、陶器にしても皆小さな工場であります、同じ土を混ぜる者は協同組合で混ぜる、さうして皆に分けると云ふやうに致して行く爲にも、色々なことが考へられると思ひます、御指定の中小企業にも十分此の法律を運用して行く、殊に今囘出來ます協同組合の中で、指定される自治的團體としてのものと最も能く組合せて、運營宜しきを得たいと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=112
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113・三木武夫
○三木(武)委員 後は膳國務大臣に對する質問でありますから、是で質問を保留致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=113
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114・西村榮一
○西村(榮)委員長代理 疋田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=114
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115・疋田敏男
○疋田委員 先づ第一條の第一項、第二項、第三項の命令を、各府縣に運用する場合の具體的な方法を御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=115
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116・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 各府縣知事は、此の命令を只今の所する意思がありませぬ、主務大臣直接やる豫定でありますから、府縣知事が自らやると云ふことは只今の所豫定致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=116
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117・疋田敏男
○疋田委員 其の場合に、假りに中央に團體がない場合は、非常に敏捷を缺くやうな嫌ひがあると思ひますが、斯う云ふ點はどう云ふやうに補ひを付けられますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=117
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118・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 今後需給調整法を適用致しまして、調整をやつて行かうと云ふ品物は、概ね全國的な團體のあるものであります、隨つて地方的にのみ存すると云ふ業者に對しては、原則として此の法令を適用しないで行けるのではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=118
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119・疋田敏男
○疋田委員 第二項の勅令の内容として豫定する事項はどう云ふものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=119
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120・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 第一條第二項の損失補償の勅令に付ては、是は御手許に一昨日案を御配り致したのでありますが、簡單に内容を申上げますと、主務大臣が第一項第二號及び第三號の命令を致したことに依りまして、其の物を持つて居つた方、或は生産に從事された方が、損失を求めると云ふ場合の補償の内容でありますが、原則的には此の勅令案にもあるやうに、通常生ずるであらうと云ふ損失を補償することに致して居ります、尚ほ其の基準は主務大臣、大藏大臣が協議した上で、補償委員會と云つた委員會に諮問して決定する、斯う云ふことに致して居ります、尚ほ細かい點を申しますと、餘り長い期間不安定な状況に置くことは如何かと考へますので、命令の事項が終つた後、六箇月以内に請求して參りたいと云ふやうなことを書いてあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=120
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121・疋田敏男
○疋田委員 政府側の參考書類にもありまして、委員會に依つて補償の程度を決めるやうになつて居ると思ひますが、此の委員會を此の法文の中にはつきり明文化して戴くと云ふことに御願ひすることは出來ないものであるかどうか、尚ほ又此の損失補償の委員會の構成に付ても、政府は茲に明文化される御意思があれば伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=121
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122・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 斯う云ふ種類の損失補償委員會に付きまして、普通此の法律の中には規定がないのが普通であります、あつた例もあるかと思ひますが、多くは法律の中に書かれずに、別の官制を以て委員會を作ると云ふことになつて居るやうでございます、實は其の慣例に依りました譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=122
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123・疋田敏男
○疋田委員 それでは次に移りまして、第一條の第三項の命令の内容として豫定して居られます所の事項は、どう云ふものになつて居るのでありますか、御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=123
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124・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今具體的にどれをと云ふ豫定は致して居りませぬ、先程も一寸例として御説明申上げましたのは、例へば賠償に依つて説明の大部分を取られまして殘つた物、それが偶偶肥料工場等の増設に役に立つと云つたやうな場合に、さう云ふものを命令に依つて引渡しを、或は讓渡を命ずると云ふことを豫定して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=124
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125・疋田敏男
○疋田委員 それでは次に第二條に移りまして、民主的に組織せられた産業團體、此の産業團體の中に土木建築關係の團體が入りますかどうか、又入ると致しまするならば、土木建築の團體は特殊なものでありまするから、工事の割當を其の中に含めると云ふことが必要なやうにも考へられるのでありまするが、此の點に付て何か御考へがございますかどうか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=125
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126・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 此の法律は專ら物資の需給調整のみを目的と致して居りまするので、只今のやうな土木建築用の資材と云つたやうなものに付きましては、資材の割當は致しまするけれども、工事自體の割當と云ふことは、此の法律の目的として居る所ではございませぬ、尚ほ團體と致しましては土木建築組合と云ふものも、産業團體と致しまして指定する豫定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=126
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127・疋田敏男
○疋田委員 それでは次に移りまして、統制會或は統制組合等は當然解散されることになつて居ります、併しながら本法の關係から申しまするならば、統制會或は統制組合等は解散致しましても、當然之に代るべき何等かの團體が必要であると云ふことは、勿論明かでありまするが、此の種の團體に付て政府は新しい何か法令を御出しになると云ふやうなことの御考へがございますかどうか、之を一寸伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=127
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128・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 統制を致しますにはどうしても民間の團體が必要でございます、戰時中は統制會、統制組合、或は統制株式會社と云つたやうなものが、法の統制の仕事に當つて居つたのでございますが、是は先程申上げましたやうに、やはり新しい時代には民主的に組織されましたものに代える必要がございますので、全部此のやうなものを今月限り消滅させる譯でございます、併しながら勿論新しい統制をやりますに付きましては、當然民間團體が必要でございます、併しながら只今の所、此の民間の團體を如何なる形にするかと云ふことは、是は民間の任意に御任せ致したい豫定でございます、業界に依り色々の組織が考へられます、政府としては徒らに之を今日干渉する意思はございませぬ、唯其の内客が本當に民主的に運營されると云ふことがはつきり致して居りますれば、そして又それが適當且つ必要と思はれまするならば、之を統制團體と致しまして指定する、斯う云ふやうに致す豫定でございます
〔西村(榮)委員長代理退席委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=128
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129・疋田敏男
○疋田委員 それでは次に移りますが、或る種の統制會、或は組合の組織の中にありますやうな代表者が、地方團體に直結して居る、或は中小業者は中央團體の傘下に所屬團體として構成されて居ると云ふ形のものも、今後は起り得ると考へまするが、斯う云ふ場合に於ける業界の分裂と利害對立、是が調整と統一に關して政府は何か具體的な御考へ、或は御指導をせられると云ふやうなことでもございますかどうか、御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=129
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130・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せのやうに業界には非常に大きな方も、今後も尚ほ殘られることでございまするし、中小の方も非常に多くなる譯でございまして、斯う云ふ方々の統制團體と云ふものが、どう云ふ風に構成されて行くかと云ふことは、今後重要な問題であると考へて居ります、併しながら是は具體的の例に依りまして色々違ふ場合も起つて參ると思ひますけれども、原則的に申しますならば、小さい方は別に御審議を願ひまする協同組合法に依りまして組織化して行くことを希望致して居ります、此の協同組合に組織された方々と大きい方々と一緒になりまして、第二條の所謂統制團體として生産統制團體の組織せられることを希望致します、さうして一つの枠の中に於て双方協調して統制をやつて行く、斯う云ふ形を理想的な形として考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=130
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131・疋田敏男
○疋田委員 それでは只今の御話に關聯しますが、中央團體と地方團體とある場合に、非常に困つて居る實例は、例へば現在土建關係の團體で申しますならば、戰時中に全國を單位とした團體、或は地域を單位とした團體、府縣を單位とした團體がございましたが、終戰と同時に一部分是等が改組されて、三本建が二本建になつた、併しながら商工省に於かれては、二本建になつたが、前の戰爭中に作られた團體は廢止をされて居らない、其の儘に存續された儘にして開店休業にして、新しい團體を御作りになつて居りました、今度又此の法案が出ると、又斯う云ふやうな事實が起つて來るのではないかと云ふやうな懸念もあるのでありまして、特に私が土建業界を取上げたことは、只今物資の配給の面の御話がございましたが、今日一番日本で大きな問題は戰災復興であります、然るに斯う云ふやうな複雜した組織の儘に置かれて居りまする土建業界は、戰災復興と云ふ重要な任務を持つて居りまするが、何等之に十分貢獻することの出來ないやうな形になつて居ります、先般本會議に於て戰災復興促進の決議も行はれると云ふやうな實情であり、或は又海外の引揚者が家がないからと云ふので、色々學校を占領すると云ふやうな問題も起つて居ります、先般も海外引揚者を御慰問申しました際も、何が一番必要であるかと言へば、住宅であると言つて居られますが、斯う云ふやうな新しい法が出ました場合に於て、例へば土建業界一つを捉へて見ても、さう云ふやうな複雜な状況に置かれて居りますので、十分に此の法の適用を受けると云ふことが難かしいのではないか、所謂法の上では大變に良く出來て居りますが、末端に於ては完全に此の法の適用が行はれないのではあるまいかと云ふやうな懸念も起るのでございますが、此の點に付て御考へを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=131
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132・星島二郎
○星島國務大臣 只今の御尋ねは御尤もな點がありますが、唯是は實は厚生省或は戰災復興院の方の管轄になつて居るのであります、併し大體に於て「セメント」の配給等の問題は、それぞれ民主的な業態に應じたものが出來られると思ひますけれども、凡その目安としては、各地方團體が出來て、其の地方團體から又聯合體の中央機關が生れるだらう、恐らく大體の常識から考へましてもさうなることと思ひますが、今の戰時建設團と云ふのは、此の月一ぱいで總動員法と共に廢止される譯でありまして、それはなくなつて形を沒する譯でありますから、自然中央機關としては聯合體のやうなものが出來られて、さうして戰災復興院なり或は厚生省あたりと連絡が出來る、筋道はやはり斯う云ふ調子で行くだらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=132
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133・疋田敏男
○疋田委員 それでは次に移りますが、本會議でも一應御尋ね致しまして、其の際に膳長官から御話を承つたのでありますが、それは政府が本法の運營に付ては安定會議に依つて行ふから、本法に對しては特別の審議會は置かないと云ふ御話でございましたが、先般安定會議の模樣を詳細に伺ひました所に依りますと、實業家、學者或は貴衆兩院議員を以て、六十名の多數の人員で會議を開くと云ふ御話でございました、此の六十名の多數の構成で以てやります場合は、從來の例から行けば私は決して迅速に行かないと云ふことを痛感し、懸念するのであります、隨てどうしても此の場合に於て政府は本案を通過さして、さうして之に依つて物資の需給調整をやると云ふやうな御考へであるならば、本法の爲めのみの審議會を私は必要とすると考へるのであります、而も其の陣容は勿論貴衆兩議員、實業家、學者等に依つて人員の數も極く少く、二、三十人程度に依つて能率の上がるやうな審議會を設立すると云ふことでなくては、決して私は本法の運用が圓滑には進まないと考へて居ります、膳長官が何と仰せられても、是だけは本法に對する絶對の要件として作つて貰はなければならないと云ふ考へ方を致して居りまするが、之に對しまして當局の御考へをもう一度伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=133
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134・星島二郎
○星島國務大臣 御意見は私も一應御尤ものやうに思ひますが、唯安定會議と云ふものは、獨裁的な指導者原理でやれないと云ふ安全辨に是が置かれて居る譯でありますから、本當の意味で各界の專門家が集まつて、さうして一一に付て議會のやうにやると云ふ譯に行かぬだらうと思ひます、そこで先程の答辯の中にありました如く、纖維なら纖維、鐵なら鐵、肥料なら肥料、それぞれ各省、殊に商工省を對象として考へましても、其の原局でそれぞれ其の案を作ります、其の案を作る場合には必ず纖維なら纖維協會、鐵なら鐵鋼統制會に色々相談致しまして原案を作つて、さうしてそれを今度安定本部へ原案として持つて行つて、さうしてそれは無論安定本部でも、それぞれの「エキスパート」が居るから、修正するなり色々やられるでありませうけれども、大體さう云ふ風にしてやれば是だけの特別な委員會でも、あなたの仰しやるやうに、品目が澤山あるから相當大きな仕事になるだらうと思ひます、そこで專門々々の物資別にそれぞれ民間團體が出來て居るから、それに豫め諮問を致しまして、さうして最後案を作つて、殆ど一字一句も修正して貰はないでも宜いやうな、信念を持つたものを安定會議に持出し、之を大きな眼から見て認定を受ければ、實行力を持つことになるが、それは行過ぎだと云ふことになれば修正を受ける譯でありますから、其の邊で行けばあなたの言はれるやうな御心配はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=134
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135・疋田敏男
○疋田委員 先般新聞に依りますと、商工省の七月中の主要物資の生産實績を報じてございますが、是は六月分に比して増加したものが四十七、減少したものが四十、保合が十五、主なる増加の顯著なものは綿絲の三倍、絹織物の二倍、自轉車の二倍、過燐酸石灰の五割、時計の四割、減産顯著のものが、地下足袋の六割三分、自轉車「タイヤ」の五割、人絹織物の四割八分、尚ほ主要な物資の状況が、石炭が計畫の九%の増加、普通鋼材が六八%の減少、農機具が九・一%の増加、汎用電動機が二八・七%の減少、苛性曹達が一五%の減少、硫安が九・四%の減少と云ふやうな數字が示してございますが、之に依つて私考へますのに、此の中で減少したものは、主として裏面では丸公で政府の希望する通りに出すよりも、闇値で新圓を稼いだ方が宜いだらう、斯う云ふ意味に於て闇に流されたものではあるまいかと云ふやうな懸念のある商品が、減少の過程を辿つて居ります、特に「ゴム」の如きは最も其の重大なものであります、或は中では材料の儘闇で流した方が大變に新圓稼ぎに割が良い、斯う云ふことも考へられたのではあるまいかと思ふやうな杞憂のある數字が出て居りますから、是等に對しまして政府の實情に對する具體的な説明を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=135
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136・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通り七月の生産状況は増加したもの、減少したものがございますが、豫定より減少致したものの原因は、色々な原因があると思ひます、私共は主たる原因は、やはり石炭の供給であつたかと思ひます、石炭を重點的に肥料其の他に配給致しました爲に、之を原材料に使ひます所の化學工業に於ては、其の影響を受けまして相當に減つたものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=136
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137・疋田敏男
○疋田委員 そこで私はもう一つ伺ひたいことは、只今の御答辯では結局滿足致しませぬ、事實を知つて居りますが故に申すのでありまして、現に自轉車の如きは業者の方が闇で流さなければやれないのだ、而も當局に闇の話をすると、無理もないと云ふやうな話もあつたと云ふことを、自轉車の組合あたりで公然と話されて居る所を見ますと、只今の答辯だけで滿足出來ないのでありまして、所謂私が懸念を致しますことは、本法を適用致します場合に於ても、今の數字から考へて闇で流れる部分が澤山ある、それはどう云ふ方面かと云へば、政府の配給「ルート」でなくて、所謂闇で材料、原料を買入れ、さうして闇で之を流せば、全然本法案の適用を受ける必要がないことになるのであります、是は實情として大變多いのでありまして、斯う云ふ場合に於ては非常に利口な人は新圓を稼げると同時に、萬一之を發見された場合でも、本法では罰する規則がないのであります、全然此の中には闇で買つたものを製造して闇で流したからと云つて罰せられるやうに之には現はれて居らないのでありますが、斯う云ふ場合にはどう云ふ風な方法を御執りになる譯でありますか、之を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=137
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138・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 通常の場合は、配給統制を致して居りまする物資は、御手許に差上げてありますやうな配給統制機關に物資を集めてございます、其の配給統制機關から物を流して行くことになつて居ります、唯偶偶所謂隱匿物資等がございまして、それが民間の何處かに穩れて居ると云ふ場合には、さう云ふ現象が起るかと思ひます、隱匿物資等に付きましては、是は別の法令に依つて、御承知のやうな餘剩のものに付きましては之を總て配給統制機關に集めるやうに、政府が買上の組織を持つて居る譯でございます、尚ほそれを免れまして、闇をやらうと云ふことが分りますれば、之を至急隱匿物資等臨時措置令に依りまして、統制團體に讓渡を命じまして、正式の「ルート」に入れると云ふ以外には方法はないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=138
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139・疋田敏男
○疋田委員 それでは次に移ります、是は石炭問題でありまするが、私は國營を敢て論ずるのではありませぬ、是は既に二日に亙つて大變に大議論がありましたので、私はさう云ふ問題は省略致します、石炭の不足して居る主なる原因は色々ありますが、先づ第一には商工大臣の御話になつた食糧の問題、其の次は坑内に入る要員の不足、其の次は「スコップ」、「シヤベル」の不足、其の次は電動機の修理部分品の不足、其の次には機械類、運搬設備の改修の不十分、それから坑木の不足、木材、釘、硝子、疊等の不足等に依つて、礦員の住宅の不足の爲に、礦員の生活の安定しないこと、其の次は炭坑用の物資の輸送が順調に行はれない爲に、炭坑の復興が困難であること、炭礦の金融が圓滑に行かない爲に炭坑用の物資の購入が思ふやうに行かないこと、此の面では如何に物資の割當がございましても、新圓が入りませぬと物資の購入が旨く行かないのでありまして、是は炭礦ではありませぬが、私自身でやつて居る事業でも、縣廳から木材の割當の切符を戴いて居りますから、其の切符を木材會社に持つて行く、さうすると木材會社では、縣の切符だから我々は封鎖小切手で戴けるもと持つて行きますが、現金を呉れ、斯う云ふことを申すのであります、隨て私などは戰災住宅を最初から缺損と云ふことを承知で實はやつて居りますが、さう云ふ面に於て木材が手に入らないのであります、縣からは切符は戴くが、木材會社は新圓を持つて來いと云ふ、斯う云ふ面に於て非常に困つて居りますが、炭礦の場合に於ても同樣のことがあると存ぜられるのでありまして、是も大いに石炭の不足の原因の中に入るやうに思つて居ります、斯う云ふ色々な面から考へまして斯う云ふやうな弊害、只今列擧致しましたやうなことを防止する方法を講じませねば、如何に國營をやらうとも、或は民營であらうとも、石炭の増産と云ふことは不可能であります、勿論石炭の面に付きましては、先程から本法でなくて別途に法案が立てられるやうに伺つて居りまするけれども、併しながら御話が出て居りますので、若し出來ますなら、此の面に付て政府に御對策があれば御説明戴ければ仕合せであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=139
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140・星島二郎
○星島國務大臣 全く御説の通りで、今御列擧のやうなものを解決すれば、私は石炭はもう少し増して來るだらうと思ひます、それ等に對しまして政府は極力其の隘路を打開せんと努めて居りますが、尚ほ今仰せの中の新圓の如きも、非常に都合付けまして一「トン」に付て八十圓位の新圓を今渡して居る譯であります、併し或る坑内の如きは出炭切符と云ふので、紙幣以外の切符を勞働者に出して居るやうな所もあるのでありまして、斯う云ふことは宜く是正して行きたいと思つて居ります、尚ほ今御指摘以外に最も大きな問題は、今度九州が十萬「トン」も目標以上に出たと云ひます根本を探つて見ますと結局勞務者が直に自覺して、石炭を出さうと云ふ氣になつたことであります、是は勞資の間に眞の調和が出來まして、資本家もそれから勞務者も一體となつて、日本の産業を興隆するには石炭からだと云ふことの信念を持つて、さうして妙な空氣に驅られないで掘つてやらうぢやないかと云ふ氣持が出て來たことが、今囘増した最大の原因らしいのであります、さう云ふ氣持になつて來れば、我々が食糧を送る、さうすると食糧に對して感謝の決議をすると云ふやうなことになつて來る所へ増産がやれる所を見ますと、今御指摘のやうな凡ゆる隘路以上に、其の精神運動と云ひますか、さう云ふものが私は非常な力になることを考へますので、其の方面にも今後皆樣の御協力を得て、一層に宜くやりたいと思ひまするし、尚ほ只今御指摘のことに對しましては、凡ゆる部面に對して全部贊成でありますから、それ等に對しまして出來るだけのことを致したい、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=140
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141・疋田敏男
○疋田委員 是は膳國務大臣に御伺ひするのが至當かも知れませぬが、商工大臣で十分に滿足が出來ると思ひますので御尋ねします、先般膳國務大臣は、本法の適用は重工業に重點主義的に行ふ、斯う云ふやうな御話があつたやうに私は記憶して居りますが、さう云ふことになりますと自然中小工業の自然陶汰と云ふことが、本法の適用に依つて行はれるのではないかと云ふ懸念が起るのであります、併しながら政府が只今用意しておいでになります、商工協同組合法と照し合せて考へますならば、寧ろ政府は此の際は本法の適用に依つて、所謂重工業を重點主義的に取扱ふことに依つて荒療治をして、さうして中小工業業者の自然に陶汰されるものは陶汰する、さうして殘つた所の、所謂強力なる中小業者を以て、商工協同組合法に依る組合にしよう、斯う云ふ二段の御計畫があるのではないかと思はれる節が多々あるのであります、本法を讀んで見ますと、必然的に商工協同組合法と一脈の關聯を持つて居るのでありまして、若し商工協同組合法が本會議に上程されて居りまするならば、其の席上に於て同時に併せて御質問を致したい程の、色々な關聯點を發見するのであります、之に付きましての御當局の御考へを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=141
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142・星島二郎
○星島國務大臣 全く御指摘の通りでありまして、膳國務大臣の御答辯は、察するに先づ手始めに重工業から、斯う云ふ意味で答辯されたものと思ひます、若し言葉の文が違つて居りますれば──さう云ふ意味だらうと思ひます、さうして續いてそれは中小工業に延びて行く譯であります、現に今日御配りしました中に、纖維の如きは是は輕工業でありますし、殊に大部分は末端ではあるが、中小以下の工業でありますから、御指摘のやうにそれ等の割當等に付きましては、當然今囘御協贊を願ふべき協同組合等を對象と致しまして、産業立國の民主團體として、能く聯鎖を保つて行きたいと思つて居りますから、膳さんの御答辯は私も聽きませぬでありましたけれども、御指摘のやうな御氣持であるならば、正にあなたの仰しやつた通りと斯樣に考へる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=142
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143・疋田敏男
○疋田委員 そこで私が非常に心配致しますのは、只今申上げたやうな状態に於きましては、當然それに關聯して中小工業者の失業者と云ふものが澤山に出來上る譯であります、是は或は厚生省の管轄になるかも知れませぬが、失業者を製造すると云ふ意味に於て商工省に責任がある譯であります、さう云ふ場合を豫想せられて、勿論之に對する對策を御考へになつて居られることと思ひますが、此の點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=143
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144・星島二郎
○星島國務大臣 此の法律の實施からは直接には失業者はさう出來ないので、例へば賠償等に於きまして取られる面から見ますれば、十數萬の失業者は出ると思ひます、それと關聯して其の中の賠償に遭つた殘りのもので、肥料工場にあるものがあれば、此の法律を適用して持つて行くと云ふことは考へられますけれども、それに關聯して若干の失業者が出ると言へば言はれるかも知れませぬ、併し、此の法律の目途としては寧ろ之を按配致しまして、さうして仕事を旨く流して行くやうに致しますれば、其の邊に於て失業對策が立ち得る、詰り無計畫なものでなくして、終戰後に於きましては一切の數字が赤裸々になつて來ましたし、祕密の數字もなくなりましたから、十分計畫性を持つた仕事が出來ますから、最初から失業對策も立てて、此の仕事には何人の勞働者を迎へ得ると云ふやうなことも計算されます、さう云ふ面から見ますれば十分御趣旨に副ふやうにやつて行ける、斯樣に思ふ譯でありますが、直接には之に依つて失業者は出ることはありませぬ、是は重工業ばかりに向ける法律であつて、後は放つて置くんだと云ふやうなことではありませぬから、其の邊は御諒解を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=144
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145・疋田敏男
○疋田委員 商工大臣に對する質問は大體是で終了致しました、後は膳國務大臣と農林大臣でありますから後日に讓ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=145
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146・竹田儀一
○竹田委員長 承知しました──布君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=146
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147・布利秋
○布委員 私が質問を發します前に、先づ自分の立場を申上げますと、委員の中には業者も居りますし、色々利害相反する建前を持つて居る人もないとは言へませぬが、私は紙と云ふものには極めて密著して居る、それ以外に於ては何等の利害關係を持たざる委員であると云ふことを聲明して質問したいと思ひます、役所の味方もしませぬ、又産業團體の味方もしませぬ、私は逆に七頁に理由と云ふのが書いてあります、「終戰後における産業の囘復及び振興を圖るために、物資需給の調整」云々とあります、是等は總て此の敗戰の國をして復興せしめようとする希望から出たものと考へます、唯茲に御伺ひしたいことは、急速に復興させる御積りであるか、悠々とやらうと云ふのか、どちらであるかを先づ御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=147
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148・星島二郎
○星島國務大臣 紙だけに限つてなら何ですが…肥料に取つてなら急速にやりたいけれども、或る部面はさう急速でなくても、健全なる發達振興を望むと、斯う御答辯した方が一番正しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=148
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149・布利秋
○布委員 色々質疑もありましたが、主として物の面に移つて居る、物を産むこと、流すこと、さうして消費者に入る所の其の建前は極めて冷淡なやうに受ける、我々消費者としましては之を消化して行かねばならぬ、物を消化する方の立場のことは餘り御考へにならぬで、喉まで來る所の流れ、生産からそこへ來る順序が、此の機構に依つて兎に角總括されて居るやうに思ふ、それで物と云ふ問題は大體解決付きましたでせう、委員會も作り何も作り、民主的にやると仰しやるのであるから…だが今日までの物の行詰りが物だけであつたらうか、人間と云ふものは之に關係がなかつたのであるかと云ふことを一つ御尋ねしたい、物を人間が行詰らせたのではないかと云ふ疑ひが起きますから、其の點を一つ御尋ねして、物だけを解決すべきものであるか、人の解決は要らないのかと云ふことを一つ御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=149
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150・星島二郎
○星島國務大臣 前の總ての計畫は消費者本位に立つべきだ、又さう云ふことに致して居る關係であります、後の御話の物と人との關係でありますが、是はどちらに偏してもいけませぬ、一寸禪問答式になりますけれども、十分の按配を持たせまして、物は人からも考へられますし、其の人は又物からも考へて行く點が多からうと思ひます、其の點は能く調整して行くべきだ、絶對に物だけを對象としては困りますから、そこで消費者本位と云ふことは即ち人本位、斯樣な考へでも宜い譯でありますが、此の需給調整の根本は、やはり消費者本位、言葉を換へれば人本位、斯樣なことも申し得ると思はれます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=150
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151・布利秋
○布委員 説明が一寸足らなかつたので十分な御答へを得ることが出來ませぬでしたけれども、私は物の統制と云ふことに付て、其の統制は人がやつて居る筈だから、其の指導者と云ふものに付て聽きたかつたのですが、是はあと第三條に出て來ますから…第三條から數行に亙りますものは、信賞必罰と云ふものでせうが、信賞でなくて必罰の方に傾いて居る、罰すれば宜しいと云ふやうな傾きが此の條文で見受けられる、だから括りさへすれば宜い、括つたら必ず物は出ると云ふことになるのですが、私共は括つたら物は動かぬと云ふ心理學を持つて居る、其の點が違ひます、物を括らなければ自由に動く、自由に動くからふしだらになると云ふことで、官僚の諸君の間には之を絶えず括つて之を矯め直さうとされる「イデオロギー」が、過去から現在まで流れて居ると私は見て居る、そこで斯う云ふ第三條とか其の他の條で之を括り付ける、是も過去の手として當然あるべきものでせう、だが十年以下の徴役又は十萬圓以下の罰金に處すと云ふことでありますが、一體是はどれだけのものを對象としたのであるか、十萬圓の罰金と云ふが、例へば一億萬圓の闇をして儲けたものは十萬圓位のものは何でもない、全く儲け放題と云ふことになる、十年の懲役に入ると云ふが替玉を送る方法もありますし、實際的の問題に付ては餘り高い所に居られるから分らないのではないか、一體官僚諸君は──大臣は官僚ではありませぬが、官僚諸君は芋の値段、米の値段が闇で幾らして居るか御承知でありますか、恐らくさう云ふ下々のことは御承知ではなからうと思ふ、詰り實際の生活面と間隔がありはせぬかと思ふ、政府は六月になつたら芋が出る、麥も出る、もう暫くの我慢だと云はれた、併し六月は過ぎましたが我々はまだ芋の配給を受けて居ない、麥も不幸にして配給を受けて居らない、闇で買ふだけである、是が官僚の仰しやつた通りに物が行くのであるならば、私は何をか質問をしませう、褒める一方だ、今星島さんは九州の石炭の問題に付て喜ばしい話をされた、それから過ぐる本會議場に於ても石炭はぼつぼつ出始めたと言はれ、私共は洵に好い商工大臣であると言つて褒め立てた、所が昨今は朝の一時間半しか瓦斯が出ない、夕方も出ない、それなら夕方は電氣を使はうと云ふので一齊に使ふから、今度は電氣が止まることになる、所々に於て斯う云ふ事故が起きて居るのは、皆石炭から來て居るのです、御考へになつて居ることは、何でも巧く行くのだ、俺の方は情報は實に宜いのだと思つて居られる、洵に御氣の毒であります、實際は居住權に依つて生きて居る人間と云ふものは實に哀れな状態で、ぽつりぽつり一足づつ進んで居る、さうして九月一杯で家賃も上らうとして居る、家賃も十倍になる、地代も十倍になると云ふ計算で所有者は考へて居る、之をどの法律で御止めになるのか知りませぬけれども、少くとも家賃等が十倍になれば、今度役人の月給が本俸が三倍になつたと云ひますが、やはり十倍にならなければ、それに對處して行けないと云ふ結果が生じはしないか、斯う云ふ下々のことも御考へになつて居ることであるか、先程から消費者々々々と仰しやつて洵に有難い話であるが、此の第三條に「當該官吏に必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる」とある、さうすると、是は物を取扱つて居る者が極めて弱者の立場に居つて、強い者は官憲のみと云ふことになる、さうすると消費者と云ふものは一體どつちに入るか、消費者と云ふものは之を取扱ふ者も亦別個に居るのか、其の下に居るのかと云ふことになりますが、官憲に力があるものならば、消費者にも力があるのぢないかと思ふ、茲に惡い業者が出て來たから之を逮捕すると云ふ時には、消費者側にも權利があるのぢやないか、さう云ふ所に眞の民主主義があるのだけれども、併し日本のは獨特の民主主義であるから強ひて申上げられぬが、併しさう云ふ消費者と大衆が嘴を出せないで、唯流れて來る品物を貰つたならばそれで宜い、易々諾々と受けて、營團から來ます米が何「グラム」足らなくとも仕方がない、粉が何「グラム」足らないと云つても仕方がない、で泣寢入つて居りますが、其の溜つた横流れが、どう云ふ風に配給業者の方から流されて居るかと云ふことを御承知がありますか、是は大臣でなくても宜しい、政府委員の方から一寸御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=151
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152・星島二郎
○星島國務大臣 結局あなたの御趣旨は、人を尊重せよと云ふ御議論と私は拜察したのでありますが、色々縛るやうな法律が出來て居ることは、餘り喜ばしいことではありませぬ、但し斯う云ふ特殊な法案に對しては、他の法律案と比較して見て、大體現在の所では此の位のものが宜からうと司法省が狙ひを付けて呉れたので、私共も實は此の十年以下、何萬圓以下と云ふことを一寸見ると重く見えますが、昨今こんな重い法律があつても犯す者がある、犯す者があると又候段々加はつて來るやうなことになつて、甚だ遺憾に思つて居ります、本當はこんな罰則で以て物事は進んで行くのぢやなくて、硝子張りの中の統制をやりまして、皆がさう云ふことをすれば、昔の武士道ではありませぬが、笑つてやらうと云ふやうな氣持が一般にありますれば、それが本當の民主的な政治になる譯である、民主的な色々な統制に致しましても、總て皆で共々にやると云ふ氣持がなくて、何で罰則等で物事が運んで行きませう、今日の闇は日本の恥であります、併し如何せん已むなく斯う云ふ法律を出す時には、こんなものを付けなくちやならぬと云ふ、是は實に殘念な次第でありますが、他の法律との均衡上、已むなく斯う云ふものが付いて居る譯であります、さうして臨檢等の如きも外と違ひまして、別に憲法に牴觸することもなく、初めから約束づくで、何時でも帳面や倉庫は見ることが出來るぞ、承知致しましたと云ふ承諾の下に團體がやつて居る譯でありますから、それさへも拒否すると云ふやうなことがありますれば、若干そこに規則に觸れなければならない、斯樣なことでありますから、人を如何に尊重すると言ひましても、而も此の罰則も上から下まであるのでありまして、最近の裁判所は中々碎けた裁判所になりまして、執行猶豫もあれば十年以下と云ふ中には色々な種類の判決がありますから、さう御心配になることはないと思ひます、併し色々多岐に亙つた御例示の御質問でありましたけれども、要するに人を尊重し、互ひに尊敬し合つて行く方が本當だと云ふ意味に於きましての御主張ならば、全然同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=152
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153・布利秋
○布委員 今の御答辯で斯うした法律は司法省で行くのだからと仰しやつた、又民主政治と云ふことも根強く仰しやいましたから、そこで私が申上げたいのは、民主政治と云ふものは司法省だけで法律を作り上げる、手盛りの法律と云ふものが民主政治でないと私は考へる、やはり議員の中に法律を知つて居る者の各團體、それも委員會に出て貰ふ、然る後に官吏と議員との兩方の話合に於て出來上つた其の原案が、衆議院に廻されると云ふことが、私は本當の民主主義の立法の立て方ではないかと考へる、此の法文を見ましても、如何に司法省が分らない文章を作るかと云ふことが能く分る、御參考までに一つ讀んで見ます、第二條などが最も宜い例だと思ひますが「主務大臣は、前條第一項第一號の割當の實施について必要且つ適當と認めるときには、民主的に組織された産業團體に、その構成員の議決に基いて、その構成員及びその構成員以外の同業者で物資の割當を請求する者に對する物資の割當を行はせることができる。」たつた二十三字の間に「その」と云ふのが三つもある、斯う云ふ文章は私共は不幸にして拙文を書きますから見たことがない、是は名文だらうと思ふ、さうして何處が區切であるか分らない、凡そ此の文章は英語に飜譯しようと思つても飜譯は出來ますまい、或はわざわざ出來ないやうにされて居るのかも知れないから、是はうつかり言へない、斯う云ふ風に分らぬやうに仕上げて居るのだと仰しやればそれまでである、そこで此の經濟安定と云ふものが經濟安定をどれだけ惱ますかと云ふことは、多分御承知であらうと思ふ、御承知でない筈はありませぬ、第三國人が紙幣を第三國に於て贋造して日本へ送つて居ると云ふ噂、それから又今まで使ひました證紙も第三國で出來たのを送つて居ると云ふ、それだけならば兎も角も、此の日本の財閥の方々で第三國人と關係の深い方々が、其の第三國人の名前に財産や株券をちやんと切替へる方法を巧みにおやりになつて、財産税は減つた、相續税も助かつたと云ふ方があると云ふ噂も屡屡耳にして居ります、斯うした財界の攪亂が日本人自身の手でもやりませうけれども、日本人以外に依つてやる場合には、一體どう云ふ風にして經濟安定の完成を滿足に果し得るかと云ふことの御信念と御自覺が、一寸短い言葉で宜しいから承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=153
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154・星島二郎
○星島國務大臣 第三國人の攪亂、尤も朝鮮の人は第三國と言つても、講和會議の決定後でなければ明瞭に言へませぬが、要するに非日本人が日本の財界を攪亂する場合には、どしどし取締らなければならぬ、是は先般來もG・H・Qから指令がありまして、遠慮なくやれと云ふことでありますから、現に内務、司法兩當局に於きましては色々手を盡して居ると思ひます、それで若し不法なことがありますれば、それを取締るのに決して躊躇するものではありませぬ、尚ほ最初の御意見にありましたやうに、此の法律は直接さう云ふ問題には關係ないことでありまして、主として物を中心に需給調整を圖らうと云ふ趣旨でありますので、左樣な意味で御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=154
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155・布利秋
○布委員 何れにしても此の法案を通すことが政府の目的でありますし、無理押しでも是は御通しにならなければならぬのでありますが、併し其の點に對して私共の希望も多少は御酌取り願ひたいと思ふ、産業團體と云ふものが是は今まで質問が多くありまして、第二條にあります此の産業團體が、從來の軍及び官、之に依りましたものは解體すると云ふことになつて居るが、是が解體をします時に、唯形だけを解體して、今まで牛耳つて居つた理事と云ふものはやはり其の儘居殘るのでありますか、私共は今までの産業體制に居つてそれを指揮して來た人は、今までの日本の暗い歴史の責任者であると思ふ、此の責任者が九月から新しい體制に入るのに、又姿を變へて其の理事者になるのであるならば、更に暗き影を將來に殘しはせぬか、斯う考へますが、併し政府としては其の方が宜いと仰しやいますか、一つ御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=155
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156・星島二郎
○星島國務大臣 仰せのやうに、從來の統制團體が改組されて民主的な團體になるに付きましては、全部の人が迭つては仕事も分りませず、色々困ることもありますから、相當の人が殘ることと思ひます、併し若し追放令に該當するやうな人がありますれば、是はG項該當其の他に依りまして、明瞭に徐籍することになつて居りますから、其の點は懸念なからうかと思ひます、それはもう其の方針が確立して居るのであります、併し外觀的に見まして、何だ、あれは改組ではない、殆ど同じものではないかと云ふやうに見えるかも知れませぬ、併し役員が選擧に依つて決まるやうになり、それから加入、脱退等が自由な機構になれば、從來の統制法と違つて、追々と必ず改善されて所期の目的を達し得ると思ひます、是は右から左に急に、餘りにもぱつと引繰返すやうには行かぬと思ひますから、少し藉すに時間を以て致しますれば、立派に民主的に行く、元來日本人は其の點私は行けると思ひますから、少し忍耐を持つてそれを見て戴きたい、併し立派に追放令に該當する人は、必ずそれから除外されて、指導者とはなれない、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=156
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157・竹田儀一
○竹田委員長 布君、纖維局長も紙業課長もお見えになつて居りますから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=157
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158・布利秋
○布委員 私の考へるのは、總て人間の善し惡しに依つて、ものを活かすことも殺すことも出來ると云ふ考へ方で、多少商工大臣の御考へとは違ひますが、其の點は討論になりますから之を省きまして、そして今申上げたのに關聯致しますが、詰る所産業團體なり、統制會社なりが今度解體を致します時に、其の解體する機會に乘じてどう云ふ不始未が出るかも分らぬ、其の經理清算面を一體どう云ふ風に指導されるのであるか、もう見放題であるのか、放任主義であるのか、何とでもして行く、火事泥奴、斯う仰しやるのであるか、それらが改組します時の一番注意すべき所ではないか、それに對してどう云ふ御計畫がありますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=158
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159・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 從來の統制團體の解散等に付きましては、産業團體令とか、統制會社令とか、法令がございまして、九月までは其の法令が生きて居る譯であります、隨ひましてさう云ふ團體の解散の場合は、さう云ふ團體關係の組織法が適用される譯でございます、併しながら九月以降に於きましては、總て斯う云ふものは效力を失ひますので、別の見地から考へて行く譯でございますが、一體經理上の監督と云ふ問題は、統制會社令等に於ては、從來政府も指導致して居りましたが、統制會等に付きましては物の關係、財産の關係と云ふものは殆どございませぬ、唯割當を實施致して居つたと云ふ關係でありますから、格別の監督をする必要はないと思ひますが、統制會社等に付きましては、價格補給金等を政府の指導で持たして居ります、隨ひましてさう云ふものに付ては、個々の事例に付きまして其の金の行方をはつきり致しまして、次の團體に適當に移り變ることを指導して參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=159
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160・布利秋
○布委員 私共は實際官僚の方々を信用したい、何處までも信用して行きたいが、併し信用の出來ないことが多々實在致しますから、それで斯うした質問をするやうなことになる、例へば私共の毎日喫みます煙草にしても、闇に隨分流れて居る、是等は專賣局の中にあるものがどうしてあんなに流れるのであるか、大量に流れる、單に喫まないものを賣ると云ふ程度のものではありませぬ、噂に依りますと、專賣局に入つて居る役人が少しづつ持ち出して居るのだと云ふ話を聞きます、斯う云ふやうな噂を聞くに付けて、信用したくとも信用出來ないことになる、一つの切符を買ひますにしても、驛員に幾らか金を出さなければ買へないと云ふやうなことで、驛員もやはり役人の一つなんです、警察側に於てもさうですが、さうして噂を屡屡聞きます、斯う云ふ人達の親分が結局統制會などを監督されて居るのだと思ふと、どうもそこに不安を感ずる、こんな状態が起きて居るが、もう少し人民に信用させるやうに一つ努めて戴きたい、信用したいのですから、其のしたいものが逃げて行くやうな方向にせずに、どうか信用させるやうにさせて戴きたい、之に對して御返事を戴くならば洵に幸ひでありますが、出來ないかと思つて居つたのだが、どうも出來さうな顏も見えるから、誰か一つ答辯をして戴きたいと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=160
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161・星島二郎
○星島國務大臣 現在の日本の社會の中に於て、道義の頽廢して居ることは、官吏にも民間にも共にあります、是は本當にお互ひが努めて行き、唯徒らに官民を罵倒するのみではなく、民間でも隨分闇流しがある譯ですから、是は相努めて一つ道義の頽廢を復興すると云ふことが根本かと私は思ひます、それがないと、百の法律がありましても駄目であります、布さんの仰しやる通りです、其の邊から一つ改めて行くやうにしたい、是はお互ひも責任があると思ひます、官僚にも勿論間違ひがありませうが、民間にもあるのでありますから、さう云ふ間違ひがあるから、こんな法律を出すにも必ず罰則が付かなければならぬ、先程も一寸誤解がありましたが、何も司法省に頼つて全部司法省の言ひなり放題になつて居る譯ではありませぬが、斯う云ふ法律を出す時に、他の法律を按配して、どの法律はどう云ふ罰則になつて居るから、是も斯う云ふ程度が必要だと云ふことを、法制局なり、司法省なりに相談しまして、最後に原案になる譯ですから、全部が司法省の言ふなりになつたと云ふ譯ではないのです、斯う云ふ罰則を付けないやうになつたら日本は目出たい譯ですが、遺憾ながら仰せのやうな現状ですから、凡ゆる方面に斯う云ふ罰則を付ける譯ですから、さう云ふ意味に於て相共に戒めて參りたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=161
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162・布利秋
○布委員 洵に結構な御話であつて、其の罪が役人にも、又人民側にもあるのは當然でありますが、併し指導する人の建前と、指導されるものとの割合から言ひますと、指導するものの方に罪が重くなければならぬやうに私としては思ふのです、其の點平等に五分五分と云ふ御話ですが、それは私は受入れる譯に行きませぬ、そこで一つの實證を出します、商工省内に於ける空氣としてのものを出します、商工省が統制の大本山であつて、過去に於て商工省のお役人共が如何なることをおやりになつたかと云ふことは、人に尋ねるよりも、先づ自ら胸に手を置いたら分ることだと私は考へます、三月の中旬頃商工省内の紙業課長で木内さんと云ふ…おいでになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=162
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163・竹田儀一
○竹田委員長 見えて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=163
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164・布利秋
○布委員 其の木内課長が松田事務官と一緒であつたかどうかは知りませぬが、地方に御出掛になつて紙業の「メーカー」を集めて、紙統制を今度は支部販賣會社に改組する、それで構成分子は「メーカー」と消費者で、從來の販賣業者は「オミット」する、詰り販賣業者には廢業補助金と云ふものを支給して居るから、其の復活は認めぬのである、斯う云ふことを何囘おやりになつたか、囘數は調べれば分りますが、地方に斯う云ふことを言つて三月の中旬御呼掛けになつた、三月の十日には商工大臣が毎日新聞を通じて此の政策を發表されたと云ふことは、是は繰返す必要はありませぬ、皆が知つて居る、さうして三月の中旬に木内課長や松田事務官が地方に御廻りになつたと云ふことである、それから四月の二十五日に此の松田局長が──松田局長御見えになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=164
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165・竹田儀一
○竹田委員長 纖維局長見えて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=165
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166・布利秋
○布委員 松田纖維局長の部屋に販賣業者の代表者達が集まりました、私の調べでは集まつた、それから配給機構に對する懇談會を開くと云ふことになつた、それで松田局長も御贊成になり、さうして自分の局長としての命令に依つて、木内紙業課長に懇談會を直ぐに開けと云ふことを命令されたと云ふことである、さうすると直ぐに開けと云ふ松田局長の懇ろなる此の氣持が木内課長に傳はりまして、動かざること二月、それを松田局長も御承知はない筈はないのであるが、そこで痺を切らしましたのが、結局紙販賣業者の代表者達である、それならば我々は態勢を整へて、獨自の立場で組織を作つてやりますと云ふ決意をして、茲に松田局長に迫つたら、それは無理のない話だ、待つて呉れと仰しやつて、其處の現場へ木内課長を呼ばれて、君は何を戸惑ひして居るか、わしが懇談會を開けと言つたのは局長として命令したのぢやないか、何を戸惑ひして居るんだ、早く開けと、斯う云ふ一令が下つたさうでありますが、事實でありますかどうか、一寸之を御兩人おいでになつて居りますから私は御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=166
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167・松田太郎
○松田(太)政府委員 紙の生産竝に配給の問題が、今日の文化情勢の上に於きまして極めて重大であり、又同時に産業方面にも色々必要な役割を致して居りますることは申すまでもないことであります、隨て是の生産竝に配給の圓滑、言換れば出來たものは極力正規の「ルート」を通じて、必要な消費者の方に廻はさなければならぬと云ふことは、御話になるまでもなく當然のことでありまして、之に付きまして我々と致しましては、出來るだけ一方に於て生産の増強を圖りますと同時に、此の配給に付きましても出來るだけ適正な方途を講じて、必要な方面に出來たものは必ず廻つて行くと云ふ位にしたいと云ふことは、商工省と致しまして誰しも同感のことなのであります、唯今日まで配給の統制の問題に付きましては、紙統制會社に於て色々統制を取つて居るのでありますが、其の間に從來の統制の方式等の考へ方が、やはり殘つて居ると云ふ考へ方からして、自然そこに所謂從來の問屋さんと申しますか、販賣業者と云ふものは十分活用してないと云ふ面があることも亦事實であります、それで今御話のやうに、日にちははつきり覺えて居りませぬが、多分四月頃だと思ひます、靜岡の方の配給業者の方が見えまして、色々御話をしたことも是は事實であります、さうして出來るだけ配給業界の意向も十分反映しなければならぬ、併しながら同時に消費者の面も考へて見なくちやならぬ、それから又同時に生産者が本當に配給の方に、十分な協力をすると云ふ態勢も亦考へて行かなければならぬ、そこで唯誰某がいかぬと云ふのでなしに、本當に生産者なり、配給業者なり、消費者なり、それぞれの立場からの色々の意見を承つて、そこに三者の意見の纒まる所を能く掴みたい、さうしてそれを色々法制の上等から十分檢討して、出來るだけ、生産者の立場から言つても、消費者の立場から言つても、又配給業者の立場から言つても、此の三者の意見の一致する所に持つて行きたいと云ふのが私と申しまするか、商工省として當然考へなければならぬことでありまして、之に付きましてはさう云ふ意味で懇談會を開くと云ふことは、業界の方にも私は御約束を致しました、又私は私の責任に於て、さう云ふ會合を開くやうに致したのであります、併し色々其の間に生産者の方からも、配給業者の方からも、具體的の問題として御意見も出ました、又私の所管の方も實を申しますると、色々新聞或は出版關係の用紙に非常に難かしい事務等が、次から次へと出て參りまして、私も氣になりつつ懇談會を開くと云ふことが非常に遲れまして、先般懇談會を開きまして、大體さう云つた意見の纏まりも見まして、今纒まつた其の意見を基礎にして、具體的に生産なり、配給なり、消費なり、此の三つの關係をどう結付けて行くかと云ふことに、折角今檢討致しまして、間もなく成案を得て、今後の十月以降の新機構になりました場合には、十分にさう云ふ方法で進めて行きたいと云ふ工合に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=167
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168・布利秋
○布委員 今の答辯技術の巧妙なるにも敬意を表します、先程仰しやつた、自分の責任に於ても懇談會を開くと言はれたのですが、私に取つて可なり重大なものでありますので、是は木内さんの考へに依つて責任に於てでありますか、之を一つ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=168
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169・松田太郎
○松田(太)委員 是は勿論私の責任に於て、松田纖維局長の責任に於て開くのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=169
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170・布利秋
○布委員 松田局長の責任に於てでありますならば、松田局長が命令した日は、茲に先程も申しましたやうに、それ以後二月も經つて居ると云ふことは、上官の云ふことを幾分長引かせて居る、私は斯う考へる、だから松田局長が急いで直ぐにと云ふ言葉が、業者が行きました時に出たと云ふことは、それは自然であらうと思ひます、私は考へますと、斯うした課長級のやり手が上を混亂させて、上から傳はります命令に對して利口に、巧妙に、技術的に掻き混ぜて來たと云ふことが若しあつたならば、私は是が今まであつたならば、今後とも斯う云ふ人達の一つの責任が中へ入つて來て、其の言葉、其の筆が安定本部に入つて行きますならば、私は安定本部の將來に正しいものを見ないのではあるまいかと云ふ感じを持つ、だから私は最初から物の面も大切であるが、人的質の問題も大切であると言つた、質と云ふもの、人間が物を動かすのでありますから、其の人間が唯利口で、數學的で、成績が好く、非常に敏活な頭を持つて居るから、統制を牛耳つて行くことも適任者であるとは思へない、斯う云ふ點から見まして、私は松田局長は良心的であると云ふことに對して敬意を表します、どんな風に安定本部をおやりになるのか、おやりになるのであるから、私は何も喙を出す必要はありませぬが、國民として私は政府に申上げたいのは、人間が日本を滅したことが六割だと私は申します、四割は物です、斯う云ふ風に私は考へて居ります、經濟安定本部の目的を達成することの出來ないやうに將來することがあつたならば、私はやはり人の歩と云ふものが、何割かの責任を負擔すべきものであると考へます、經濟安定本部は安々と出來るやうに──法律で安々今月一ぱいに出來まするけれども、是は重大なるものであつて、前途にどう云ふ蔭を生ずるかと云ふことに付ては、物はものを言ひませぬけれども、人間は物を言ふのでありますから、人間を非常に吟味して、經濟安定本部の人的資源を御固めにならなかつたならば、全く私は長年星島さんが人民の味方として鬪はれておいでになつた其の方が、一つの階級の流れに入つて、踏み誤るやうなことが若しありましたなら、私は星島さん御氣の毒だと思ひます、又膳さんの場合は違ひます、膳さんは何も國民の味方として御立ちになつて來たのではありませぬ、此の方は其の筋合が違ふのでありますから、失敗しようが成功しようが、國民から見て又別個の感覺を持つて居ります、星島さんに於ては、長年軍閥や官僚にもいぢめ拔かれたことがあるし、長年逼塞されて、今日此の難かしい、實に頭の利口な、選り拔きの寄集まつて居ります商工省を牛耳つて居られることに於て、私は實に御大役であると思ふ、此の點私は星島さんの過去に對して御氣の毒にならぬやうに努めなければならぬと思つて居る、私はどう云ふ目で商工省を見て居るかと云ひますと、何も警察官が見るやうな目ぢやありませぬ、兎角商工省が考へて居ります「サイコロジー」の中に、少くとも一日でも長く此の統制を續けて行つた方が何やら氣持が好い、役得と云ふものが若し世の中にありとしましたならば、役得も受けられる、斯う云ふ建前か何か知りませぬけれども、複雜なものが戰時中四、五年の間に商工省の内部に動いて、それに依つて商工省も亦大きくなつたものと思ふ、今日商工省はどえらいもんです、そこで今のをもつと追窮したいのでありますけれども、もう一つ申上げますならば、茲に紙統制株式會社と云ふ──私は是は伏魔殿だと思つて居る、其の理由は、戰時中の習慣ではありますが、官吏が社長を指名する、三名の株主を指名して、一名は死にました、それで株式會社が出來上つて居る、株を募集したことも聽かない、株券のない株式會社、戰時中だから是で宜しいと仰しやるでありませうけれども、併し戰爭は既に戈を收めて一年になる、良心がありましたならば、今までに斯う云ふことははつきりして貰ふべきものであつたと思ふ、權利義務のない株券に依つて株式會社の資本が一千萬圓、拂込が其の半分の五百萬圓、斯う云ふものを終戰後も立派な會社として認めて、それに命令したり監督しておいでになつたのであるから、私は奇態なことが世の中にはあるものだと思ふ、若し此の會社が解散することがありましたならば、どう云ふことになる、此の清算をします時に餘程考へべきものでないかと云ふことを先程私が附屬として申上げたのは、解消する時に考へないと、どさくさ紛れにどうなるか、世の中に惡い響きを流すことは、人心を指導する上に於て非常に邪魔になると云ふ建前から、一寸前に口を滑らしたのである、此の會社は三菱系の信木榮造と云ふ人が社長で、理事は自分の思ふ人を社長が任命する、思ふが儘のことが出來る、會社を整理する上に於て思ふが儘にやる、まあ斯うしたことは勝手に儲ければ儲けよと云ふことで、大きい氣持になるのも亦宜いでせうが、併しそれ程日本は財布の方は幅がない、やはり切詰つて居りますから、斯う云ふことを監督される商工省としては良心的であることが必要だ、唯法律に依つて逃げられるだけ逃げる、總動員法があるから、それで答へようと云ふ御考へであるのか、そこに私は人的の此の心と云ふものの答へが得たいと云ふので、盛んに一つのことを申上げた、どう云ふやうに御考へになりますか、一つ御意見を聽かして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=170
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171・松田太郎
○松田(太)政府委員 紙の配給の問題は先頃から御話があつたやうに、極めて重要な問題であり、隨て配給統制を行ふ場合に、其の統制機關と申しますか、其の統制の中心をなす組織を如何に考へ、又それの運營をどう云ふ具合に、最も現在の情勢に合ふやうにやるかと云ふことは極めて重大なことであります、最近に於ける紙の配給は、政府と致しましても亦業界の方に於かれても、色々自主的に之に付て御檢討願ひ、又御協力願つて居るのでありますが、紙配給統制會社の少くとも運營の上に於きまして、十分な成果を得て居ないと云ふことは是れ亦事實であります、先程申しましたやうに生産者、配給業者、消費者、各業界のそれぞれの意見を再三私の方も聽取致しまして、大體に於て九月一ぱいを以て從來の總動員法に基く統制會社令の廢止に依りまして、紙統制會社は其の機會に之を廢止することに大體考へて居ります、さう致しまして今後それに代るべき配給協議會なり、さう云つたものを、それぞれの關係業界の專門家を入れまして協議會を作り、極力民意のある所、又國全體として紙の配給が非常に苦しいだけに、又適正に、公正に、是が配給出來るやうに、其の間に於て十分必要な方面と相談をして、配給の圓滑適正化を圖り得るやうな組織に變へる積りで居ります、さう云ふ意味に於きまして、過去に於きまして紙統制會社に付きましては、我々としましても其の組織なり、運營なり等に付て、何とか之を致したいと云ふことを考へて居りまして、今日まで遲くなりましたことは洵に遺憾な點もあるのでありますが、今囘さう云ふ工合に制度の改正を機宜に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=171
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172・布利秋
○布委員 洵に御答解が上手であります、惡い所は惡いと仰しやる、さうしてさう云ふことであれば人を斬つても惡かつたと云へば宜いやうなものであつて、さう云ふことに依つて生産面が遲れたと云ふことの、重大な責任を御考へにならぬのであらうか、私は食糧營團が私に謝つて來た謝り證文もありますが、謝りさへすれば宜いと云ふ考へ、是で世の中を濟ませて行かうと云ふ指導者側の圖々しいやり方に對して、私は絶えず反感を持つて居る、謝れば宜いのであつたら、私共でも何でもやる、唯人が好いからこつちは謝れば許して居るだけで、洵に簡單過ぎて損をして居る、併し木内さんに私は御尋ね致しますが、私の今までの質問で木内さんと云ふ名前を指したものに對しては、木内さんが御答へになるのが當然でありますが、名前を指さない場合には、松田局長が御答へになるのが本當ではないかと思ふ、それに紙の統制廢止も云々とか、それは自分の御意見なのですか、さう云ふ點がはつきりしない、一體國家がやるのですから、あなたがおやりになるのではないと思ふ、何でも自分が頭が良いから、自分でしやつしやつとやつてしまふと云ふやうな考へを御持ちになつたら間違ひますぞ、紙の統制廢止をやりましてと、自分の意見の如く仰しやつたのはどう云ふ譯ですか、斯う云ふことは松田局長に答辯を御讓りになるのが當然ぢやないのですか、松田局長は居られぬのですか(笑聲)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=172
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173・竹田儀一
○竹田委員長 松田局長と言はれますが、答辯されたのは松田局長です(笑聲)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=173
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174・布利秋
○布委員 あなたが松田局長か、それでは木内さんはどうなるか、木内さんは私には答辯されて居らぬ、どう云ふ譯ですか木内さん、又私は課長位の年輩だから課長だと思つた、我々の考へから言ふとまだ局長の年輩ではない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=174
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175・竹田儀一
○竹田委員長 布君、局長はあなたに敬意を表してずつと御答辯なさつたのだと思ひます、紙業課長でなければななぬのであれば、紙業課長へと云ふ御質問で御進め下すつても結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=175
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176・布利秋
○布委員 私もさう上手な質問ではありませぬが…(「興奮しないやうに願ひます」と呼ぶ者あり)興奮しないやうにと言はれても、私は材料を澤山持つて居ります、興奮しないやうに抑へ抑へて居るのです、大體私は人間と云ふものを疑ふのぢやありませぬけれども、經濟安定本部に對して粗末な人間を入れて戴かないことを念願して居るのです、委員會、審査會色々出來ると云ふ御話であつて、先程商工大臣も一寸御説明になりましたが、石炭は石炭の委員會、電力は電力の委員會、主要食物に付ては主要食物の專門の委員會を、それぞれ分科的に作つて戴く方が宜いのではないかと考へます、さうして委員會でも業者のみでありましたりすると、そこに偏頗な態度がないとも言へませぬから、そこでやはり消費者の代表も入れて貰ふ、又業者の團體もありますから業者側からも入れて貰ふ、無論生産者も役人も入ります、又出來ることなら新聞記者にも團體があるから、其の團體から代表を出して貰ふ、此の六團體なり七團體なりの人を集めて作るのが、本當の民主政治の委員會ではないかと思ふ、唯それに携はつて居る人のみの委員會であつたならば妙なものになりはしないか、私は自動車の委員會に出て居りますが、自分一人は業者でありませぬ、今日自動車の法案はもう出來上らなければならぬのに、今尚ほ行詰つて居るのはどう云ふ譯であるか、G・H・Qはどう云ふ返事をして來たか、詳しいことは知りませぬ、經濟安定本部のことに付てもG・H・Qは何にも問題にならぬのでありませうか、此の點一つ御尋ねして置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=176
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177・星島二郎
○星島國務大臣 色々御熱意のある御質問で、あなたの御趣旨のある所は十分尊重して、今後誤りないやうにして行きたいと思ひます、詰り凡ゆる團體から民主的に──消費者の代表も學識經験者も入つて貰ふ、紙であれば新聞社、雜誌社其の他の代表者も加へて、公平なる委員會の意見を徴してやると云ふ風に進んで行きたいと思ひます、安定本部は是は別な觀點でありまして、安定本部は全體の經濟安定の爲に、凡ゆる面からやりました安定委員會の議を經て、最後に安定本部總裁が之を決裁すると云ふことになつて居ります、勿論是には言論の代表者も入りませうし、或は消費者代表も入りませうし、各方面の專門の代表者も入りませうし、貴衆兩院議員も入りませう、色々な關係もある譯でありまして、丁度議會の縮圖のやうなものが出來るのであります、一面から考へれば、議會常備委員とか云ふものが出來れば、さう云ふもので私は濟ましても宜いのではないかと、私の私見としては申したこともあるのでありますが、併し今囘の安定本部會議と云ふものは、相當の人を集めて極めて公平妥當に──併し民主政治は色々な手續を踏みますので多少獨裁政治よりも時間が掛りますから、其の點は時々あなたのやうに爆發されるやうなことも起る、民主政治は一面から言へば話合、納得政治でありますから、兎もすれば多少時間を要しますることは、是は已むを得ない、其の間に於て一つ「スピード」を發揮して、時局に應ずるやうに行かなければならぬので、甚だ難かしいことでありますが、私が居りまする限り、少くとも民主的に總てのものを一つやつて行つて、決して獨裁的にならぬやうに心掛けて參る積りであります、只今木内君の如きは課長でありますけれども、赤い方面からは非常に反動的だと見られ、又反動的方面からは赤いと見られ、洵に氣の毒のやうな立場で、是は總て私監督致して居りますが、極めて公平な仕事をして居ります、今政府委員として直接答辯に當ることは、據ろない限り──證人か何かの場合以外は遠慮致すべきであらうと思ひます、纖維の方面に付きまして、只今松田纖維局長の言つたことは凡ゆる方面と相談して、今日までの進行の程度を申して居るのでありまして、松田局長の言ひましたことは、勿論私としては裏書する積りでありますから左樣御諒承を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=177
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178・布利秋
○布委員 私は洵にしち諄い人の問題を言ひましたが、商工省が法律的に認めて、是が言ひ分さへあれば、幽靈であらうと、法律的に一言も反對の理由なしと云ふ建前を執つて、いかさま物をずつと御立てになつたことを澤山に知つて居ります爲に、つい一つの例として紙の會社の問題を擧げました、それ以外に實質的に擧げろと仰しやれば幾らでも擧げます、是は此處で幾ら話しましても解決が付かぬ、本當の話をするならば、やはり檢事局相手でなければ話は出來ませぬ、併し斯うした總動員法は今月一杯と云ふやうな時期になりまして、今後新しい行き方をします時には、人も新たにし、それで新しい行き方を以て統制をやつて行く、何も彼も清らかな氣持で新しく進んで戴くことを、私は永く人民と共に苦勞された星島さんに對して、商工大臣の職責にあられますから、特に之を御願ひして置きたいと考へる次第であります、甚だ興奮しましたけれども、是には相當の實材を持つて居りますので、唯是れ以上は出さないだけであります、それであとへ一つ保留さして戴きたいことは、生活權の上に於て生活を安定する居住權と云ふ問題に付て、どうしても御尋ねせんければいかぬから、之を保留さして戴きたい、是は厚生省がおいでになるのか、どちらがおいでになるか、御調べの上で御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=178
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179・竹田儀一
○竹田委員長 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=179
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180・布利秋
○布委員 洵に言葉は亂暴でありましたが、心は亂暴ぢやないですから、兎に角是で私は質疑は打切つて、唯一つだけ保留さして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=180
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181・竹田儀一
○竹田委員長 それでは本日は此の程度に於て散會致したいと思ひます、明日午前十時より開會致します
午後四時十六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00419460909&spkNum=181
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