1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
臨時物資需給調整法案(政府提出)
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昭和二十一年九月十一日(水曜日)午前十時二十六分開議
出席委員
委員長 竹田儀一君
理事 小島徹三君 理事 塚田十一郎君
理事 原健三郎君 理事 西村榮一君
理事 前田榮之助君 理事 石原登君
理事 疋田敏男君 理事 福田繁芳君
安部俊吾君 井田友平君
西村久元君 厚東常吉君
小野孝君 田中源三郎君
田中實司君 金光義邦君
鈴木明良君 川崎秀二君
田村定一君 金子益太郎君
竹谷源太郎君 中崎敏君
加藤勘十君 稻田健治君
三木武夫君 戸叶里子君
布利秋君
九月十一日委員米山久君辭任に付其の補闕として加藤勘十君を議長に於て選定した
出席國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
農林大臣 和田博雄君
商工大臣 星島二郎君
國務大臣 膳桂之助君
出席政府委員
物價廳次長 工藤昭四郎君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 池田欽三郎君
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本日の會議に付した議案
臨時物資需給調整法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=0
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001・竹田儀一
○竹田委員長 それでは會議を開きます──井田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=1
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002・井田友平
○井田委員 膳國務大臣に御答辯戴きたいと思ふのであります、本法案の委員會が始まつて以來、私は各大臣に一言も聽洩らすまいと思つて、非常に勉強して伺つて居るのでありますが、實は今日に至るまでまだ各大臣から私の納得の出來る御答辯が聽かれないのみならず、益益失望を感ずるやうな次第であります、御答辯が出來ないのか、或は事實がそれなのか、實は甚だ殘念に思つて居る次第でございます
尚ほ私は膳國務大臣に對しては非常な好意と信頼の感を以て聽いて居るのでありまするが、其の點が甚だ殘念であります
第一に私が御伺ひ致したいのは、此の經濟安定本部が各省の大臣に命令をすると云ふやうな強大な權限を持ち、本法案が産業の面に於ては、總動員法以上の廣大な權限を有して居るので、斯う云ふ非常な力強い組織の下に出發する所の我が産業の計畫でございまするが、之に付きまして私は具體的に日本の産業をどの線まで持つて行くのだ、結局國民生活を安定させるには、基礎産業をどの程度まで持つて行く、私の申す基礎産業と云ふのは、今まで答辯で伺つたやうな狹い範圍でなく、廣い範圍の基礎産業でありまして、要するに産業に必要な資材を造る産業を、どの線まで持つて行くかと云ふことと、それからそれを持つて行くにはどう云ふ方法でやるが宜しいか、此の統制の法案だけの運營に依つて行くのか、或は別箇の單行的な法案を作らなければいけないのかと云ふやうなことを承りたいのです、實は昨日の膳國務相の答辯には、此の法案は配給の面の方へ主に力を入れるのだ、斯う云ふ御話でございましたが、配給の面に於てのみ斯う云ふ廣大な法案は必要はないと我々は思ふ、配給と云ふ面ならば寧ろ通貨の信用を囘復すると云ふ方途を立てれば、政府の官吏の御厄介にならぬでも、立派に製品を造つて圓滿な配給が出來ると、私は斯う信じて居るのでありますが、此の點御見解を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=2
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003・竹田儀一
○竹田委員長 一寸御注意申上げて置きます、各大臣なり政府委員の御答辯の親切丁寧なことは洵に結構でありますが、少しく冗漫に流れるやの御意見も委員の中にありますから、適當に整備して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=3
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004・膳桂之助
○膳國務大臣 第一の御尋ねの點は、基礎産業の持つて行きます標準は、どの點を目當にして持つて行くかと云ふことであります、是は大まかに申しますと、大體日本が平和産業に歸ると云ふ時に、一應の標準を或は滿洲事變の始まる其の時とか、或は日支事變の始まる其の時とか云ふやうなことを目標にせよと云ふやうな、色々の考へ方もございます、併しながら具體的にどの標準にまでと云ふことは、是から賠償の問題も決まり、又輸入がどの位出來ると云ふことも決まり、要するに國内生産物の原料、それから設備、それ等の點が見合ひが出來まして、一應工業的と云ふか、或は科學的に睨み合ひまして、もう少し是からの動きを見た上でないと、本日此のことを申上げると云ふことは、却て大變な間違ひが出來はせぬかと思ひます、是が經濟安定本部のやらうとして居ります大きな仕事の一つであります、今日直ちに申上げられないのは甚だ殘念でありますけれども、左樣な次第であります、又本法を單に割當配給の面にのみ使ふとは、必ずしも申す譯ではありませぬ、併しながら此の法律に依つて、日本經濟再建の生産の増強、其の他凡ゆる部面に、是だけで足りやうとは考へて居りませぬ、要するに強力な權力を以て經濟再建をやると云ふことは、策の下なるものと存じます、要するに國民協力、或る目標に向つてお互に盛り上る生産意欲を發揮し、日本の凡ゆる資材を活用して經濟再建の途に向ふのが宜いと思ふのでありますけれども、やはり其の場合に此の物資の足らない場合には、統制の枠を嵌めて物資の需給をやらなければならぬ、そこで本法は先づ第一に、足りない物資の割當、配給面に力を注ぐ、併しながら尚ほ色々工場の轉換其の他に付きまして必要な場合には、二號、三號のやうな生産方面への剌戟、竝に設備の融通轉換と云ふ方面にも力を仰ぐのでありますが、此の法律だけで經濟再建をやりたいと云ふのではございませぬことは、昨日も申上げた通りであります、御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=4
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005・井田友平
○井田委員 どうも第一條の「産業の囘復及び振興」と云ふことを、我々が正直に受入れた點があるかも知れませぬが、今の國務大臣の答辯に依ると、現在ある所の少い物資を、有效に配給するのが目的らしく思はれる、どうもそれだけでしたら斯う云つた大掛りな役所や、斯う云ふ非常な權限を持つて居る役所の法案は要らないことと存ずるのであります、尚ほ今までの商工大臣乃至は只今の國務大臣の御話は、能く輸入と云ふことを申されるのでありますが、成程日本が今斯う云ふ状態に於て許可される所の輸入物資を前提としての計畫は、是は立たないのが當然であります、之をどう斯う言ふのではありませぬが、少くも國内でやり得る資源と云ふものは、どう云ふ方法で開拓し、さうして國民の生活安定に資するのだと云ふやうな計畫は、當然立たなければならぬと私は思ふのですが、どうもさう云つたやうなことが、立つて居つても御答へがないのか、實際に其の計畫が今立つて居らぬのか、尤も正確なものは兎に角、一つの方針とか構想と云ふものが當然なければならぬと、斯う私は信ずるのですが、此の點をはつきり御答辯願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=5
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006・膳桂之助
○膳國務大臣 御答へ申上げます、此の物資の需給に關しまする或は生産配給、是等の計畫は簡單に申すと、斷片的と申しますか、箇々のもの、又差當りのものに付きましては、既に計畫もあり、例へば石炭の増産なら増産、肥料の増産なら増産と云ふことに付きましては、現在の能力に應じまして或る目標を作り、其の目標に努力をして居るのであります、又季節的に申せば、此の第二、四半期の需給計畫と云ふやうなものに付きましては、一々の物資に付きましての計畫は從來通り作りまして、是は御手許に參考資料として配付申上げたのではないかと存ずるのであります、併しながら全體の基本の産業を、どの水準に持つて行くと云ふ綜合的な計畫になりますと、實は今日立つて居らぬと云ふことを申上げるのが正直なのでありまして、一々の物資に付き、或は是からどう云ふ風に持つて行かうと云ふことは、計畫は立つて居りますけれども、長きに亙る綜合的計畫は、是から安定本部が其の爲に出來た譯でありまして、一々の物資に付き、或は短い期間の配給計畫等に付きましては、既に政府に確たる計畫がありまして、それに基いて推進して居る譯であります、御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=6
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007・井田友平
○井田委員 配給計畫に付ては、餘り私は伺ひたくないので、今の最初の、今後の日本の産業、要するに國民生活を安定する産業を、どの線にどう云ふ風に持つて行くかと云ふ計畫が聽きたいのです、正直に立つて居らぬと云ふなら、是は致し方ないのでありますが、どうも折角經濟安定本部が出來て、さうして相當な日が經つて居るのですから、構想でも是は當然出來て居らなくちやならぬと私は思ふのでありまして、どうも出來て居らぬと云ふことは甚だ殘念であり、何だか自分の信頼感を裏切られたやうな感じがするのであります
此の點は是で質問を止めまして、次に今後統制經濟を、新しく出發して運營して行くに付て、色々科學的とか統計を基礎にするとか、戰時統制經濟の失敗に鑑みて、斯う云ふ風にやつて行くと云ふ御答辯を承つて居るのでありまするが、私は此の戰時統制經濟が慘憺たる失敗をしたと云ふ要素の一つとしまして、精神的な原因が相當あるのぢやないかと思ふ、それは要するに統制經濟に於ては、國民が要領よく立廻つた人が非常に利益を得て、正直に良心的に立廻つた人は悉くひどい目に遭つて居る、是は議論ではなく事實でありまして、斯う云つた點が非常な原因をなして居るので、戰爭當時から思ひますると、現今に於ては道義の頽廢、それから戰爭當時統制經濟と云ふものは、今言つたやうに良心的な行動をする人はひどい目に遭つて、要領の良い人が非常に良くなるのだと云ふことは、是はもう常識になつて居るので、斯う云つた統制經濟を厭がる、斯う云ふ統制經濟に對する認識を持つて居る所の人の氣持をどう云ふ風に直して行くか、是が中々大變なもので、統制經濟に於ける生産意欲が減ると云ふことは、是は私が申上げなくとも、斯界の「オーソリティー」である膳さんは能く御承知のことと思ふのですが、斯う云ふ精神方面の缺陷をどう云ふ風に克服して之をおやりになる積りか、此の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=7
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008・膳桂之助
○膳國務大臣 只今從來の統制經濟の失敗が、國民の道義心を振興せしむる上に反對の方向に行つた、是が大きな原因だ、斯う云ふ御意見で、私も全く御同感でありまして、昨日も申しましたが、從來の統制經濟の失敗は人間性を缺いて居る、要するに一番の誤りが、經濟の動きに個人の正當の利潤を認めないと云ふ觀念が根本の誤りであります、一概に何かまるつきり我を忘れて國家天下に殉ずる、此の間に唯一つの自分に對する利潤の計算と云ふものがあるのが不純だと云ふやうな、斯う云ふ人間性を無視しました、又人間の努力が──無論共同生活の制限こそありまするけれども、本然の欲望を滿足せしむる、是が經濟活動の中心であると云ふことは申すまでもないことなのでありまして、斯う云ふことを全然無視した一つの規範を作つて、之に人を強ひたと云ふ所に、神憑り的な統制經濟、又總て私營事業と言へば利益追求と、一言の下に排撃すべきやうなことで人を導かうとする、所が凡ゆる經濟の動きに於ては、自分の利益を考へると云ふことは當然響いて來る、そこにお題目と實行が違ふ、到底實行出來さうもない所に、お題目だけで人を引いて行かうとする、そこに人心の機微を把握することが出來ないので、統制經濟の誤りがそこに出たのではないか、詰り道義心の頽廢と云ふことは、人間として出來ないことを強ひようとする、又人間の本然の性質をまるつきり度外視して、經濟の原則を忘れて、新しい一つの強制的の形體を作らうとする、そこに根本の誤りがあらうと思ひます、是からの統制經濟は斯くの如き失敗は繰返したくないのでありまして、今御質問になられました道義心の頽廢、是こそ統制經濟の破れた大きな原因でありまするけれども、此の問題は正當なる利潤を得ると云ふことを、一つの醇化した精神で、やはり經濟を高きより低きに水が流れるやうな、人間性を本としたものにして致しますれば、從來のやうな失敗はなくして濟むのではないか、是からの統制經濟の在り方は、やはりさう云ふ點に考慮しなければならぬと私は深く確信して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=8
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009・井田友平
○井田委員 國務大臣は戰時の神憑り的なことがいけない、勿論是は根本から言へばいけないことであるが、併し私は全面的にさう云つたやうなことが、戰時統制經濟の失敗の原因とは認めないのであります、少くも統制經濟を引摺つて、失敗したとは云ひながらあれだけ持つて來たと云ふことは、戰爭に勝つ爲に、又神憑り的な、何と云ふか一つの旗幟を持つて來たからまだあれだけ續いたのでありまして、其の旗幟が良いか惡いか、是は別です、良くないとは思ふけれども、併し其の旗幟と云ふものは、統制をやるに付ても何か必要なのではないかと思ふのであります、之に付て同僚委員から再々「イデオロギー」がないとか何とか云ふやうなことの御話があつたのでありますが、「イデオロギー」と云ふことは、旗幟と云ふか、やはりさう云つた何か確固とした旗幟と云ふものが、今後の平和的統制經濟になければならぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=9
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010・竹田儀一
○竹田委員長 井田君、大きな聲で願ひます、速記が取りにくいやうですから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=10
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011・井田友平
○井田委員 此の點は今の答辯で稍稍分りましたがもう少しはつきりして戴きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=11
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012・膳桂之助
○膳國務大臣 餘り此の點を申上げますと、又何か「イデオロギー」と云ふか、主義と云ふか、さう云ふものの何か討論のやうなことになりまするので、どう云ふ風に申上げて宜いか分りませぬけれども、何時も繰返して申上げますやうに、是から私共がやらうとします經濟の統制の枠は、要するに戰爭當時には、或る一つの大きな興奮と云ふものが國民を惹いて居つたのでありますけれども、やはり平常の經濟になりますと、茲に起きて來るものは、やはり一時的の興奮やら、大きい一つの標語に率ヰられて行く一つの國民的感激と云ふことよりも、平靜に考へた人心の機微と云ふものを捉へて經濟をやらなければならぬと思ふのでありまして、要するに是からは私の考へに依りますれば、やはり誰もが斯う云ふ統制經濟に服することが共同の爲であり、自分の爲にもなるのだ、此の國家の經濟の統制に服して、決して馬鹿々々しさがないと云ふ所に持つて行かなければならぬかと思ふのでありますが、併し是は言ふべくして中々困難であります、ありますけれども、私は人間性を十分咀嚼した其の上に道義を要求したい、到底人間では出來ないやうなことを要求して道義を要求すると云ふ點に間違ひがあるのではないか、こんな風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=12
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013・井田友平
○井田委員 それでは其の點はそれ位にして置きまして、次に經濟安定會議の内容に付て、是は再々委員の方から能く承つたのでありますが、是の持つ權限、内容と云ふやうなものを、もう少し詳しく説明を願ひたいのであります、經濟安定會議に掛ける所の物資の面でも、それから命令の面でも、もう少し内容を詳しく御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=13
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014・膳桂之助
○膳國務大臣 安定本部の仕事が實は前々申上げまするやうに、應急的の方面と根本的の方面と、中々内容が多岐に亙つて居りまして、今日安定會議に掛けまする問題は、斯く斯くのことを斯く斯くの方法でと云ふことは、直ちに豫定を作り兼ねるのであります、唯此の調整法に關しまする限りは、事立法事項に屬するやうなこと、又根本の方針に關しますること、統制の範圍等に關しまする問題は、總て此の安定會議に付議致します、安定會議の組織は此の前も申上げましたやうに、貴衆兩院議員其の他當業者、各界の代表、學者等、約六十人を以て組織する積りでありますが、此の安定本部の會議も大きな問題を諮問する場合もございまするし、又假に此の法律に例を取りますると、本法第一條の事項に關しまする方針を作りまして、此の方針を其の委員會に掛ける、又事項に依りましては、安定本部の中に長きに續く一つの常置小委員會のやうなものを作りまして、是も例へば本法の施行の如きものに付きましては、此處に絶えず諮問をして其の運用を圖ると云ふやうな構想も致して居ります、要するに安定本部の仕事が非常に機動性のある仕事をやらなければなりませぬので、是の陰になり日向になりまする安定會議其のもののやりまする仕事の範圍も、機動的に考へたいのであります、直ちに斯う云ふ仕事を斯う云ふことの枠を初めから作りますと云ふことは、如何なものであらうかと存じて居る次第であります、御滿足が參りますか如何でありますか、斯樣なことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=14
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015・井田友平
○井田委員 それから此の法案に依つて統制をやつて行く種類の書類が、商工省のは手許に戴きましたが、農林省其の他の役所は戴いて居らないから、どの範圍まで此の枠へ入れて行くかはつきりしないのですが、是は少くも經濟安定本部は此の法案に依つてやつて行くと云ふ意味の、見透しの付いたものだけを至急手許へ戴きたいのであります、そこで此の枠の中へ入れて統制を運營して行くと云ふ品目以外の商品は、どう云ふ方法で今後やつて行く御積りであるか、全然野放しにしてしまふのか、或は或る程度の自治的統制をやらせるとか、或は何か他の省令のやうなものを出してやらせるとか、其の點を一寸御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=15
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016・膳桂之助
○膳國務大臣 書類を差上げるのが遲れて洵に恐縮でありますが、農林關係及び藥品の厚生省關係、斯う云ふ方面から新しく、或は從前統制の枠に入つたものに付ても、安定會議に掛けて、統制の範圍に入れて欲いと云ふ希望のものも出て居ります、目下印刷中で、實は今朝は間に合つたかと思ひましたが、或は午後になりますか、明朝は必ず御手許に差上げ得られると思ひます
尚ほ是も安定會議に掛けまして、どう云ふ風な會議の御意見になるか分りませぬけれども、私の考へとしては、斯う云ふやうな統制は已むを得ざるに出づるものなので、絶對的に必要なもの以外は、出來るだけ自治統制に任せるのが宜いのではないか、どうしても枠を嵌めなければならないものは、出來るだけ其の範圍を最小限度に止めて、あとは自治統制に任せるのが宜しいのではないかと只今は考へて居ります、但し御手許に差上げた表の中でも、更に會議で精査の上、其の中から除去されるものも出來ませう、又新たに追加されるものもあるかも知れませぬが、大體の方針としては左樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=16
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017・井田友平
○井田委員 それから經濟安定本部と物價廳との關係を承りたいと思ひます、是は國務大臣が長官を兼任をして居ると云ふ御話ですが、此の物價の最後の決定權は經濟安定本部の長官にあるのか、物價廳の方にあるのか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=17
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018・膳桂之助
○膳國務大臣 官制其の他の上から申しますと、物價の最後の決定權は物價廳の長官にございます、但し物價の決定は經濟安定の前提を成すものでありますから、是と離れた方針で行くと困りますので、安定本部の中には第五部と云ふものが設けてありまして、是は物價部であります、物價部は當然──是は官制上當然ではありませぬけれども、事實上物價廳の次長を以て部長に充て、物價廳の部長の一人を以て副部長に充てて居ります、それで安定本部で全體の經濟の根本方針を決めまして、同時に物價水準及び色々な品種間に於ける物價の「バランス」をどうするかと云ふやうな、根本の考へは安定本部で定めまして、物價廳が之を更に物價委員會に掛けて決定致します、勿論色々の官廳がありまするから、そこに多少見解の相違はありますけれども、大綱は安定本部が之を指揮をする、斯樣な考へであります、尚ほ事實問題としては、其の間にやはり考への相違などもないとは言へませぬ、官制の上では別に國務大臣が物價廳の長官に就任することに相成つて居るのでありますけれども、此の際當分の間は、やはり安定本部長官と物價廳の長官は同一人である方が宜しい、是は私の考へで、私が双方兼任さして戴いて居ります、將來物價廳の長官は別になるかも知れませぬけれども、斯樣な官制上竝に事實上の人の交流と申しますか、こんな關係で方針は一あつて二のないやうに運用致したいと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=18
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019・井田友平
○井田委員 私が一番最初に國務大臣に對して、物資を現状の儘公平に配給して國民生活を安定させるのか、又或る程度國民生活の安定する所まで日本の産業を引張つて行くのかと質問したのはそこにあるので、結局色々な要素はありますが、生産意欲を上げると云ふことは、價格の根本が一番の要素になるのではないかと思ふのです、そこで此の價格と云ふ問題の權限を別な省が持つて居ると云ふことは、經濟安定本部の仕事の遂行上、當分の間同一人が長官をして居ると云ふことになれば、當分の間は宜いかも知れませぬが、別に新しい國務大臣が出來て物價廳の長官になり、經濟安定本部は別な長官を置く、斯う云ふやうなことになると、殆ど又對立的な各々の意見がそこへ出て、非常に不便ではないか、斯う思ふのです、是は官制の問題でありますが、物を増産すると云ふことは、價格から非常に影響がある、斯う云ふ點に於て之を遂行するに、どう云ふ點を御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=19
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020・膳桂之助
○膳國務大臣 物價廳と經濟安定本部との關係に付きましては、御心配のやうな點も考慮しまして、やはり之を經濟安定本部の下部機構にした方が宜いと云ふやうな有力な考へも實はあつたのであります、唯飽くまで安定本部は實施機關でなくて、計畫廳であつた方が宜しいと云ふので、別に一つの實施機關であります物價廳が設けられたやうな譯でありますが、何れ斯う云ふやうな點は運用に依りまして、憲法でも改正になりますと、後で内閣法も出來ませうし色々の官廳の問題に付ての考へも出來ませうし、何れ其の時に有力に考へて貰ひたい問題と存じて居ります、又物價の規定如何が生産意欲の増進と云ひますか、生産の推進に必要だと云ふことは、全く御同感でありまして、物價政策の如何が生産意欲を縮めもするし、殖やしもすると云ふことは、申上げるまでもないことであります、唯現在の状況に於きましては、色色經濟上の不自然の状況が行はれて居り、殊に本當の生産費を以て律することの出來ないやうな事象もありますので、是はやはり經濟の安定の先づ先になるべき、人々の生活の安定と云ふやうなことが定まつて、そこに勞銀の安定があり、各種の生産費の計算も出來る譯ですが、兎角從來の物價に關する考へが實費計算主義で、是は宜いのでありますけれども、高く掛つたものは掛つた儘、安いものは安い儘、少しもそこに人間の生産の努力に基く報奬が行はれない、即ち自分の能力に於て活動しても、能力に應ずるだけの報奬がないと云ふことは、馬鹿々々しいと云ふ感じを起さして、生産意欲を縮めるものであります、價格政策を考へます際には、そこに努力すれば努力するだけの、何と言ひますか、單に精神的のみならず、物質的にも報奬がある、酬いがあるのだ、斯う云ふ形を考へてやるのが大切だと私は考へて居る譯であります、物價の定め方に依つて生産の推進、此の點が經濟安定本部の仕事の、大きな考へを向けなければならぬ點だと、左樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=20
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021・井田友平
○井田委員 大體國務大臣に對する御質問は是で打切りますが、實は新しく出發する所の統制經濟が、現在御伺ひして居る答辯範圍の御氣持で推進して行かれることは、西村委員とは別な角度から見て、どうも失敗に終るのでないか、私は斯う云ふ心配を持つて居る一人であります、是は見解の相違ですから、答辯は要りませぬ
物價廳の次長さんに御伺ひ致したいのですが、戰時の、要するに九・一八當時の丸公價格、此の丸公價格は大體凡その數がどの位あつて、其の後終戰になつて丸公の價格がどう云ふ風な變化をして居るか、其の儘施行されて居るのか、或は改訂されて居るのか、或は名前が變つて出て居るのか、それを一寸承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=21
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022・工藤昭四郎
○工藤政府委員 御答へ申上げます、戰時に執られました公定價格の數字は、世間一般に言はれて居りますやうに、中央と地方を通じまして約八十萬、實は私も正確な數字は存じませぬが、其の後大藏省物價部が出來まして、本年の三月に新しい物價體制を確立致しました時の方針と致しましては、國民生活に重大な影響のないものは、成べく統制を外したいと云ふ考へを持つて居つたのであります、併し敗戰後の實情から申しまして、統制を外すと云ふことは、日本の經濟を益益「インフレ」的に持つて行く、斯う云ふやうな意見も強力に出ました、現在に於きましては大體戰時中のものは其の儘、丸公或は丸協は存續して居ると御諒承願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=22
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023・井田友平
○井田委員 そこで折角獨立した大きな機構を持つた物價廳と云ふものが出來まして、此の戰時中八十萬に餘る公定價格と云ふか、協定價格と云ふものを整理と云ひますか、ずつと今後も此の儘で進んで行くのか、或は此の中から國民生活に必要なものを選定して、さうして是だけを守つて行くのか、事實言ひますと此の八十萬の公定價格と云ふものが、此の中の幾つか完全に行はれて、さうして國民生活に丸公を附けたものは良くて安い──丸公の附いたものに良いと云ふものは一つもないが、惡いものですけれども、併し丸公で配給になつて來れば安い、斯う云つた實情に即した政策をどうやつて立つて行くか、斯う云ふ點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=23
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024・工藤昭四郎
○工藤政府委員 物價の統制に付きましては、去る三月方針を大體公表致しました通り、國民生活に或は國民經濟に、重大な影響を持つて居るものから四段階に分けて居ります、最も重要なものは嚴重に統制をやつて行く、隨て第四段階に屬するものの一部は、御承知のやうに限界價格と云ふもので、最高の價格を一本決めまして、其の同種類のものは其の價格の範圍内で販賣さす、生産をさす、斯う云ふやうな方針で進んで居ります、尚ほ今後生産が増進致しまして需給の「バランス」が取れたもの、斯う云ふものに付きましては關係方面と折衝致しまして、成べく自由に販賣が出來るやうな方向に持つて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=24
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025・井田友平
○井田委員 私の聽きたいのは澤山ある丸公價格の中から、本當に國民生活に必要な物を戰時統制經濟のやうに丸公さへ付けて置けば、國民は安いものが手に入るのだと云ふやうな、所謂官僚の言譯的な丸公を一日も早く整理して、今度の統制經濟の出發に當つて、本當に國民生活に必要であり、又必要だけの物の配給の出來る商品を選定して、それ以外の物は丸公を外すのが宜いのぢやないか、さう云つたやうな政策をどう御考へになつて居るか、斯う云ふことを聽きたいのであります、それから是は一つの例ですが、生鮮食糧品の如き、八・一禁令の前、六月、七月あたりには、野菜物は配給よりも自由販賣の方が安かつた、是は場所にも依るかも知れませぬが、大體東京の近くで、品物に依つては安かつた、さうして買ふ方では要るだけ買へる、茄子三つでも胡瓜二本でも買へる、配給となると向ふから割當てられただけは、自分の臺所の經濟に關係なく買はなくちやならぬ、斯う云ふ弊害がある、現在の統制に於ては何でも公定價格の數を多く作つて、自分の仕事を自慢すると云ふ傾向が相當あつたやうに思ひます、今度の新しい統制經濟に於ては此の點を一番先に整理しなくちやならぬ、斯う私は考へるのでありますが、斯う云ふ點をもう少し整理する氣があるかないか、整理するとすればどう云ふ方法でやつて行くか、斯う云ふ點を御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=25
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026・工藤昭四郎
○工藤政府委員 御話の問題に付きましては、私の方でも最終の目標と致しましては自由價格に依る經濟の自然的な安定と云ふことを目標に進んで居るのであります、併し御承知のやうに敗戰後の經濟事情、殊に物資の非常に窮乏して居ります現状に於きましては、中々一足飛びにそこまで參ることが出來ませぬ、隨て重要なものに對しましては、やはり嚴重な統制をやつて行かなければならないことは申上げるまでもないと思ひます、但し今御話がございましたやうに、從來の統制價格と云ふものは無數に存して居るのであります、それで今度の統制令では前の九・一八のやうに、必然的に統制の適用を受けると云ふものはなくしてあります、隨て統制を受けますものは政府が許可したもの、認可したもの、或は指示したものに限られるのでありまして、其の他のものに付きましては一應自由價格と云ふことになる譯であります、此の自由價格に付きましては從來の暴利等取締規則を今度其の範圍で、或は程度を強化致しまして、それに依つて取締つて行かう、斯う云ふ考へ方であります、其の點は今度の物價統制令の中に織込んである譯であります、尚ほ統制品目の數を減らすことに付きましては、私共も全く御同感でありまして、色々努力致して居るのでありますが、先刻申上げましたやうに關係方面に於きまして強力にさうしちやいかぬと云ふ意向を以て居る所がありまして、中中思つたやうに折衝が進みませぬ、併し既に日用雜品等に付きましては、所謂限界價格と云ふものを決めまして、さつき申上げましたやうに、最高價格を一本に決めまして、其の範圍内に於て販賣或は生産をする、斯う云ふ方向に進んで居りますそれから生鮮食料品等に付きまして、今御話がありましたやうに、一時は配給價格の方が自由價格より高かつたやうな状態もあつたやうであります、是は當時食糧が非常な窮迫を告げまして、それと共に從來の物價廳に於きましては直接取締が出來なかつたものでありますから、取締の不十分な點其の他で、さう云ふ現象が起つて參つたのであります、是からはさう云ふ過ちを繰返へすやうなことはないと信じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=26
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027・井田友平
○井田委員 さうしますと、統制の枠へ入つたものは嚴重な丸公を付けてやる、是は當然なことでありますが、統制の枠へ入らない商品は當然自由價格になる、其の場合に今あなたの仰しやつた限界價格と云ふもの、統制品以外のものは限界價格が取れる、斯う云ふ意味に解釋して宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=27
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028・工藤昭四郎
○工藤政府委員 統制以外の品物は、現在一應自由價格と云ふことになるのでありますが、併しそれが國民生活と密接な關係を持つて居ります場合には、其の生産して居ります業者から價格を届出て貰ひまして、其の價格を査定した上で販賣して宜しい、斯う云ふ方法を執つて居るものもあります、又届出の必要のないものは自由に販賣して戴く、限界價格中に含まして居るものもありますし、又限界價格外のものもある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=28
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029・井田友平
○井田委員 丸公は此の統制の枠の中でおやりになるとしても、今後の價格を決める基礎を何處へ持つて行くか、原價採算で行くのか、又他の方法で行くのか、此の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=29
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030・工藤昭四郎
○工藤政府委員 其の點の根本方針は昨日大臣から御答辯になつたやうでありますが、米、賃金及び石炭の價格、斯う云ふものを基本に致しまして、それ等のものの價格と成べく釣合の取れた物價の系列を作つて行く、斯う云ふ考へ方で進んで居るのであります、併し其の際に於きましても御承知のやうに現在は物資の窮乏時代でありますから、單に需給關係から價格を決めて行きますと非常な高いものになつて參ります、隨て斯う云ふ時代は生産原價と云ふものを十分に尊重して行かなければならぬ譯でありますから、生産原價も十分考慮致しまして決めて居る譯であります、併し先程から再々御話がありましたやうに、無數と言つて宜い位の公定價格が出來て居る譯でありますから、其の一々に亙つて原價を査定して決めて行くことは非常に困難であります、隨て三月以來やつて參りましたのは、重要物資のみに付てどんどんやつて參りました、それで大體の物價の高さを考へて、其の他の物に付きましては九・一八價格の何倍、或は最近決まつて居りました公定價格の何倍と云ふことで、一應體系を建直した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=30
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031・井田友平
○井田委員 もう一つ御伺ひ致したいのでありますが、今の物價を決めるに當つて九・一八價格の何倍と云ふ標準でおやりになつて居るやうに伺ひましたが、大體其の標準は戰爭前の何倍とか、九・一八の何倍とか云ふ一つの腰だめ方針があるのですか、それはどんな程度にやつて居るか、實は米が戰前の二十倍、石炭が二十四倍と云ふやうな基礎があるやうですが、物價廳でやつて居る其の基礎はどう云ふ所を基礎にして其の價格を決めて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=31
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032・工藤昭四郎
○工藤政府委員 其の點に付きましては昨日も長官から御説明がありましたやうに、米の平年時に於ける生産原價を、良心的に科學的に算定致しますと、大體昭和十二年なら昭和十二年と現在の米の相場との差がはつきり分つて來る、其の差が何倍になつて居るか、之に依りまして物價水準がどの位まで來て居るかと云ふことが分る譯であります、米の平年の生産原價を取りましたことは、昨年のやうに米が凶作でありますと、是はもう將來の標準とならぬから、それで平年の生産高で計算したのであります、石炭に付きましても現在は生産條件が非常に惡くなつて居りますので、現在の石炭の生産原價其の儘を持つて參りますと、其の石炭の惡い條件に總てが引摺られて物價が決まる譯ですから、是も將來條件が改善せられまして約四千萬「トン」の石炭が出來る、其の時に現在の總ての物價水準が動かない時には、石炭の價格は幾らになるか、斯う云ふ算定を致しまして、其の兩者に依つて大體の物價水準の高さを測定して、それに合せるやうにやつた譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=32
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033・井田友平
○井田委員 私の御聽きしたいのは、現在八十萬に餘る丸公があるのですから、相當物價廳へも公定價格なり限界價格の變更が行つて居ると思ふのですが、數多い物が一々お役人の頭に明細に入つて居らぬ、或る程度戰爭前の何倍と云ふことを腰だめにしてそれを處置して居るのぢやないかと思ふのですが、其の戰爭前の何倍と云ふのが、現在物價廳で行つて居る物價決定の標準になつて居るか、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=33
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034・工藤昭四郎
○工藤政府委員 三月に物價體系を決めました時に、米の生産原價は大體昭和十二年の九倍強、十倍弱と云ふ數字が出て居ると思ひます、石炭が四千萬「トン」採れるものとして計算致しますと、七倍半位の倍數になつた譯であります、非常に大まかでありますが其の當時に於きましては大體十二年の九倍から十倍と云ふやうな見當で決めて來たのであります、其の後御承知のやうに經濟状況が大分變つて參りましたから、其の點に付ては改めて考へ直さなければならぬと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=34
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035・竹田儀一
○竹田委員長 もう宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=35
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036・井田友平
○井田委員 どうも是からどう云ふ工合に持つて行くかと聽いて居るのに、過去つたことを聞いたのでは仕方がない、經濟を再建するのに付ての今後の物價の決め方、方針を言つて戴きたい、兎に角國務大臣となり、相當高位に就く以上は、今後は斯う云ふやうにやつて行くのだと云ふ、一つの抱負と云つたものがなければ、國民はどう蹤いて行つて宜いか分らない、それがさつぱり今の國務大臣、政府委員から聞けない、殘念ですが、何時まで同じことを聽いて居つても仕方がないから、此の程度で、あと大藏大臣と商工大臣の質問を留保して私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=36
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037・竹田儀一
○竹田委員長 それでは御留保になつて居つた布君、農林大臣、司法大臣に對する質問を許可致します──布君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=37
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038・布利秋
○布委員 司法大臣に御尋ねしたいことがあります、此の調整法案の第三條と第四條、之に附帶しました檢察方法と刑罰方法のことに付て御尋ねしたい、私は十年以下の懲役又は十萬圓以下の罰金と云ふのは、決して重いものではないと思ふ、私個人の意見としては、以下と云ふことは是は十萬圓以下一圓までです、十年以下と云ふことになりますれば、一月になります、是は適當に處罰されるのでありませうが、茲に新しい處罰の案が出たに付ては、今までの官吏がやりました闇に對する取締方法を見て居りますと、今後の取締に於て其の惡い慣例を更に延長させはしないかと云ふ心配から質問致すのでありますが、詰る所は官吏が必ずしも絶對正しいとは限らぬ、臨檢で行つた場合に、其の官吏が絶對的に正しいからと云つて認めることが出來ない場合がある、其の役人が間違つたことをして居つたことが發見した場合、それに對する官吏を處罰する方法が今までの官吏服務法律に於ておやりになるとすれば、餘りに輕いものではないか、斯う云ふ經濟界の問題に對して、犯罪面に對する監督の立場が、もう少し重刑を認めて居ると云ふ譯ではありませぬけれども、良心的に疑ふ點があります、斯う云ふ官吏に對して古い服務紀律で、今後も御通しになると云ふことは、若干片手落ちがありはせぬか、さう云ふ不法はないから、官吏だけは輕く處罰して行けば宜いと云ふ御考へであるか、それとも新しく作る氣があると仰しやるのか、其の點を一つ聽かして戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=38
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039・木村篤太郎
○木村國務大臣 只今の御質疑に對して御答へ致します、官吏に對して特別に輕く取扱ふと云ふ氣持は少しもないのであります、そこで此の法第三條でありますが、此の場合に假に官吏に涜職行爲がありとするならば、官吏は涜職罪で罰せられます、又業者及び業者の團體と共犯關係にあつたやうな場合でありますと、やはり此の法第四條に依つて官吏も亦罰せられることになるのであります、官吏の涜職に付きましては、我々も十分考慮して居ります、そこで此の第二條の産業團體に付ては、經濟關係罰則の整備に關する法律第二條の團體に指定して、其の涜職行爲に對する處罰を完全に實施して行かうと云ふ豫想の下に、今政府では構想を進めて居るのであります、官吏に付ては特別に罰則の規定を設けると云ふ考へは持つて居りませぬ、左樣御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=39
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040・布利秋
○布委員 是までの政府のやり方を見て居りますと、役人が涜職事件なり其の他の不正行爲をやりました場合に、それを新聞に傳へると云ふ時には、それを取消さして、成べく官吏の罪業は世の中に知らしめぬやうに努められた過去がありますけれども、將來もさう云ふ風におやりになる御積りであるかを、御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=40
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041・木村篤太郎
○木村國務大臣 從來のことは私は存じないのであります、將來特に官吏に付て、一般犯罪者と異にして取扱ふと云ふやうなことは、斷じて致さない積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=41
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042・布利秋
○布委員 經濟攪亂をやりました場合に、是が第三國人と連繋してやる場合が往々あります、又株券でも或は財産でも、第三國人の名前に今どしどし塗り變へてやつて居ります、斯う云ふことはまあ見逃した方が宜いと云ふ御考へであるか、見逃さぬ方が宜いと云ふのか、是も御聽きしたい、同時に贋紙幣、贋證紙と云ふものを、或る近い第三國の場所で印刷して、それをどしどし今でも運んで居ると云ふ噂を聞くのですが、斯う云ふことは取締りが出來ないものであるのか、それには皆日本人が携はつて居りますが、さう云ふことは第三國人と提携した仲間であるから、まああれは見逃してやらうと云ふ御考へであるのか、其の邊の事情を一つ聽かして戴きたいと思ひます、是が經濟攪亂になるのか、ならぬのかと云ふ建前を一つ聽かして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=42
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043・木村篤太郎
○木村國務大臣 日本人が第三國人と共謀して左樣な犯罪を犯した場合でありまするが、無論嚴重に處罰する所存であります、今紙幣のことに付ての御話がありましたが、左樣な者に付ても、司法當局としては發覺次第、十分に之を檢擧して行くと云ふ考へを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=43
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044・布利秋
○布委員 甚だ御説は簡單明瞭で洵に好いやうですが、實行と云ふものが出來ますでせうか、過去に於て出來ないことが、來將に於て保證が出來ますか、多少具體的なことを一つ聽かして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=44
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045・木村篤太郎
○木村國務大臣 只今資料を持つて參りませぬから、具體的なことを申上げることは出來ませぬが、現にやつて居ります、是は新聞紙上に發表されないから分らぬのでありますが、現にやつて居ります、御安心下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=45
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046・布利秋
○布委員 司法大臣に對します質問は之を以て打切りまして、丁度農林大臣が見えて居りますから、農林關係に移ります、極めて簡單に御質問を致します、芋と麥は六月頃になれば十分に皆の口に入れるからと云ふ御聲明も耳にして居る、それが今尚ほ私等の方は麥と芋と云ふものは配給面に入つて居りませぬ、是はどの程度に配給されて居つて、局部的に廻つて居らぬのか、又相當の産額であると聞きますが、配給されて居ないとすれば、一體何處にあるのか、芋や麥は今日どう廻つて居るのか、粉だけの配給を受けて居ります今日ですから、それで麥と小麥と芋の所在と、それに對する御説明を一つ農林大臣から御聽きしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=46
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047・和田博雄
○和田國務大臣 私細かい資料を持つて居りませぬが、それは斯う云ふことであります、此の馬鈴薯と麥とを割當てましたのは、是は大體に於て地方で食つて貰ふ、斯う云ふことであります、それで是が中央へ出て來て消費都市に配給する分量と云ふものは、比較的少いのであります、今度の麥、馬鈴薯の時の食糧事情に於きましては、是はどうしても各縣々々が、それぞれ中中自給出來ないやうな状態にあつた譯であります、それで出來ました麥なり馬鈴薯なりは、出來るだけ縣で供出をして貰つて、縣内でそれを分けてやつて行くと云ふ建前が實は主になつて居るので、隨て一面から言ふと非常に縣縣の割當が樂であつた、斯う云ふ聲も聞くのでありますが、それは從來は一應中央へ取つてしまつて、それを又地方へ分けると云ふことをやつたのであります、さうでなくして、中央に出て來る縣外移出のものだけを中央から割當てて、あと縣内のものは縣としてやると云ふことになつて居りますので、そこで馬鈴薯に付ても、例へば東京は一日分配給になつたと思ふのでありますが、さう云ふ程度なのでありまして、今までの所供出割合は縣々に依つて違ひます、麥其の他はまだ完全に完遂して居る譯ではありませぬので、目下供出の途中にある譯でございます、其の點に付ては左樣に御諒承を御願ひしたいと思ひます、若しも數字が必要でありますれば、他日政府委員より數字を持つて來まして、どの縣はどの程度の供出があり、どう配給したかと云ふことを、詳しく御説明したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=47
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048・布利秋
○布委員 其の數字はもう宜しうございます、もう數字には飽きて居ります、それで少しは都會でも配つた芋は一日分を配つたと仰しやるが、一日も貰つて居らぬ區域があります、それは特別の繼子扱ひになつたのでありますか、どう云ふ譯であるか、それから大體計畫通りにおやりになる、其の計畫面が左程巧く行かないのに、今度の安定で餘程巧く行くと云ふ御考へがありますか、長いことは要りませぬ、簡單に農林大臣から御答辯願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=48
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049・和田博雄
○和田國務大臣 私は馬鈴薯其の他麥の供出は比較的圓滑に行つて居ると思つて居ります、各都市の配給は都市自體が具體的に計畫を立てるのでありまして、農林省としましては各縣それぞれに割當を致しまして、都市の配給計畫はそれぞれ縣々で立てる譯でございます、或は只今の現状よりして、布さんの所に行かなかつたのはどう云ふ譯か私能く存じませぬが、今度の供出は今年は比較的「スムース」に行つて居ると、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=49
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050・布利秋
○布委員 只今の御説明で能く分りました、そこで昔の言葉で言ふと、農林省は農林省、商工省は商工省とそれぞれ今日幕府的な所があると思ひます、結局今度の經濟安定本部と云ふものは、さう云ふものを全部綜合して、其の上に此の經濟安定本部と云ふものが出來上つたものだと思ふ、先程一寸座談的に次長に御伺ひしたら、直接に實物を安定本部で扱ふのではないと云ふことを言つて居られましたが、さうすると企畫だけで、詰る所は會議々々である、尤も會議で或は成功もし會議倒れもし、そこで案が出て、農林省、商工省の部と移されて實行されることにもなると思ひますが、若し安定本部の命令が巧く行かなかつた場合には、どうなるか、そこを考へるとさう云ふことよりもつと綜合した、單一化した方が仕事がやり宜くはないかと考へるのでありますが、此の點に付て農林大臣の御意見を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=50
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051・和田博雄
○和田國務大臣 結局御尋ねの點は、安定本部と各省との關係であると思ふのでありますが、是は經濟安定本部と云ふものが出來ました事情を考へて見ますと能く分るのでありまして、今日本は終戰後凡ゆる面に於て、まだ實際經濟の軌道に乘つて居ないのであります、例へば價格の面に取つて見ましても、各省それぞれがばらばらになつて居て、農林省其の他が知らない内に鐵の價格が上る、石炭の價格が上ると云ふことになると、其の部門だけはそれで宜いでせうが、併し石炭、鐵を使つて農機具、肥料を造る方面に響いて來ると云ふことになるので、經濟の安定を圖るには、今日賠償其の他色々大きな問題を控へて居る日本の場合には、どうしてもそこに計畫性を與へざるを得ない、其の計畫性を與へるには農林部面なら農林省だけで出來る、それから商工部面ならば商工省だけで出來る、併し農林省の農業部面も、商工省の扱つて居ります商工業も、是は國民經濟として見れば切離されて存在して居るものではありませぬ、それは意識すると意識せざるとに拘らず兩方が不可分的に絡み合つて現在の社會經濟が動いて居る、そこでどうしても今のやうに復興の需要が旺盛である、又生きる爲の食糧の需要も旺盛である、而も日本の農業力は戰爭に依つて破壊され、實に全體の規模が非常に小さくなつて居る譯であります、そこで日本の經濟を一つの安定した基礎の上に置いて、三年なり五年先に於ては、しつかりした日本の經濟にするやうにやる爲には、どうしてもそこに統一的な經濟の計畫をやらざるを得ないのであります、是は資本主義の立場たると、社會主義の立場たるとを問はず、此の必要だけは認めざるを得ない、此の必要を充たす爲に出來たものが即ち經濟安定本部であります、隨ひまして經濟安定本部が一々細かい所までやると言つても、安定本部に集まつて居る人達の知識、經驗だけでは、さう云ふものが具體的に出來る譯でない、そこで各省から出て居る委員も自分の知識、經驗に基いて意見を述べ、又經濟安定本部に居られる方々も、其の經驗より、大所高所から意見を述べて、或る事柄を決めるまでには熱烈な「デスカッション」をやつて貰ひたい、と云ふのは民主主義は「デスカッション」をやり、「トライヤル」をやる、又過ちがあればそれを直して行くと云ふのが「デモクラティツク」な「プロセス」であります、それで凡ゆる面から知識經驗のある人が其處に集まつて議論をやる、併し目的は日本の經濟再建の爲に、綜合的に良い案を立てると云ふ所にあるのでありますから、其處で一旦良い案が決まつたなら、各省は文句なしにそれに從つてやつて行くと云ふことで、初めて日本の行政が圓滑に、各省の「セクショナリズム」を打破して動くことになるのであります、我我はさう云ふ風に今後經濟安定本部の機構は動くべきだと思ふのであります、我々は經濟安定本部は、本質上「プランニング」をやるものだと思ふのでありまして、隨ひまして經濟安定本部はそれだけに叡智と、經驗と、寛大なる廣い心とを以て、又政治的凡ゆる情勢を考慮して、凡ゆる點から考へて、良い案を作つて行くと云ふことにならなければならぬのであつて、それに對して各省はそれぞれの今までの經驗なり、知識なりを提出して、お互ひに協力して行く、さうして其處で一旦決まつた以上は、それを受けて各省は迅速に國民の爲になるやうに、どんどん實行に移して行く、斯う云ふ風になるのだらうと思つて居りまして、私共はさう云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=51
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052・布利秋
○布委員 其の御答辯で繩張り主義でないと云ふことが能く分りました、そこで闇と云ふ問題が此の法律に依つて若干でも少くなる御見込であるか、殖えると云ふ御見込であるか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=52
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053・和田博雄
○和田國務大臣 是はどうも「スフィンクス」が人間とは何ぞやと云ふのと同じ問題でありますが、私は斯う考へるのであります、闇が少くなるか多くなるかと云ふことは、是は今後經濟安定本部を中心としまして行ひまする所の經濟安定の計畫が實際上地に付いたものであり、言換へれば科學的なものであり、又一面人事の機微を捉へた、心理的な機微を捉へたものであると云ふことに懸つて居ると思ふのであります、それから今一つは何と申しましても、國民の食糧生活と云ふものが安定することになりますることに依つて、闇と云ふものは少くなる、斯う思つて居ります、それからもう一つは各企業者が、今の日本が置かれて居ります所の地位を十分認識しまして、さうしてお亙ひに唯自分が儲ける爲に無駄な資材の競爭をやると云ふことでなしに、安定本部なり其の他で作りました一定の計畫に從つてやつて行く、斯う云ふことがやはり必要なんだと思ふのであります、今の資材の少いのを各方面から奪ひ合つたのでは、是は闇とならざるを得ない、さう云ふことは出來るだけ避けることが必要なのであつて、其の爲には此の臨時物資需給調整法と云ふ一つの基本的な統制と云ふか、計畫の裏付けをするやうな法律がありまして、之に從ひまして合理的な計畫を行つて、其の計畫に從つて、而も其のやり方は何處までも私は今後は民主的でなければいかぬと思ひます、さう云ふ方法に依つてやつて行けば、漸次闇と云ふものは少くなつて行くと思ひます、又其の點に付ては我々自身、國民全部が日本の復興と云ふことに付ての責務の一班を分ち合つて居るのでありますから、政府が全力を盡してやるのみならず、國民も協力致しまして、さう云ふ闇がないやうに努力して行くより仕方がないと御答へするより御答への仕方がないのであります、左樣に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=53
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054・布利秋
○布委員 誰が答へると致しましても其の程度のことが常識であらうと思ひますので、それ以上は申上げませぬ
そこで石炭と、勞働と、食糧と云ふものを經濟安定の根本とされて居りますが、私は昨日も申上げました通り、人間の生活の居住權と云ふものが茲に安定しなければ、本當の國民生活の安定はないのではないか、斯う考へまして、次長も今日はおいでになつて居り、膳長官も見えて居るのでありますから一寸御伺ひしたいのは、今月一杯で總動員法が解かれるからと云ふので、地主と家主とはもう暗默の中に活動を致しまして、或るものは十倍、或るものは十五倍に將に上らんとして居るのであります、さうして其の人を叩き出す爲には凡ゆる嫌がらせを、何處でも此處でもやつて居る有樣であります、毎日嫌がらせを受けながら借家に居ると云ふことは、是は安住のないことでありまして、經濟安定の趣旨に背くことではないか、一つの「アパート」を借りるにしましても、管理人に對して千圓乃至千五百圓の權利金をやらなければ、一寸手に入らぬやうな状態になつて居りますが、斯う云ふ下層民の苦しさは上層の大臣には分らないかも知れない、又家を借りるにしましても、安きは三千圓の權利金、高きは七千圓、時に依ると一萬圓も權利金を出さなければ借家が手に入らぬと云ふやうな情勢も見えつつある、一體今月一杯で解いてしまふのだから次には法律は出ない、別に此の法案の中にはそれが入つて居ないから、斯う云ふことになるのではないかと云ふ不安を私共は抱くのでありますが、戰爭が濟んだからもうそれで居住權は自由自在にすべしと云ふ御考へであるのか、「フランス」は此の前の戰爭に勝ちましたが、それでも、十年間「アパート」に對しても、又普通の借家に對しても、全然家賃を上げることが出來ないと云ふ法律を作つて居つたが、日本は來月からどれだけ上げても宜しいのであるか、家主の爲にせいぜい御努力遊ばすのか、又は借家人大衆の爲に御努力遊ばすのか、九月一杯を境にして甚だ不安でありますから、責任のある言葉、又次の法律は斯う云ふ風にして作ると云ふのなら作ると云ふことを、明瞭に御答へ戴きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=54
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055・膳桂之助
○膳國務大臣 地代、家賃等に關しまする統制をどうするかと云ふ御尋ねでありますが、總動員法の適用は今月で濟みますが、其の點に付ての統制は依然續ける方針で居ります、如何なる形に於て統制を續ける根據を作るかと云ふことに付ては、目下諸般の準備中、研究中であります、統制は依然續ける方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=55
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056・布利秋
○布委員 其の御研究中の間に今月は直ぐ過ぎ去つてしまひますが、さうすると來月に入つて研究中がまだ續いて、其の間に空間と云ふものが出來て來た時に、其の間にどれ位の尻上りが來るか、それを十分御考慮になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=56
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057・膳桂之助
○膳國務大臣 空間の出來ないやうに今研究中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=57
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058・布利秋
○布委員 其の研究と云ふことを聽きたいのでありますが、答へも亦研究で終つて居るのであります、來年まで研究されるのか、それは兎に角として私も簡單と申しましたから簡單に切上げて、あとは讓ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=58
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059・膳桂之助
○膳國務大臣 此の規定を作ります形式等に付きましては、多少研究の餘地が殘つて居りますが、其の内容に付てはもう既に研究濟みなのであります、其の手續に付ては只今關係方面との問題もあり、今研究中であります、是は統制の間に期間的な「ギヤップ」のないやうな積りで實行する用意は致して居ります、此のことをはつきり申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=59
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060・布利秋
○布委員 最後に甚だ要領を得ましたので、是で終ります、感謝致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=60
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061・竹田儀一
○竹田委員長 次は留保になつて居る疋田君の農林大臣に對する質問を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=61
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062・疋田敏男
○疋田委員 農林大臣に御尋ね致したいことは、藷類統制會社が農業會との合併に反對をして、藷類の會社を作ると云ふことを聲明して居りますが、私實は之を非常に憂慮して居るのであります、と云ふのは經濟安定本部が出來上りますれば、當然農業會との關係も出來、又農業會に藷類統制會社が合併されれば甘藷の配給なども農業會が一手にやることになると思ひますが、其の暫定期間中を藷類統制會社がやることになつて居る最中に、斯う云ふやうに藷類統制會社が一の爭議を起すと云ふことに付ては、此の甘藷の配給に付て私は不安を持つて居る譯であります、之に對する農林大臣の御考へを伺ひたいのでります
次にいつかも農林大臣に御話をし、又本會議でも御話を致しましたが、昨年は御承知のやうに非常に甘藷が不作でありながらも、農村では十五億貫出來て、其の甘藷が闇に四億貫流し、五億貫は腐敗させた、今年は少くとも豐作でありますので、私の見た所で、甘藷は二十億貫を突破すると見て居ります、さうすると若し只今申上げたやうに藷類の統制會社が廢止になつて暫定的に藷を取扱はれる、然るに爭議を起して居ると云ふ場合に於ては、決して配給取扱が完全に行かないと見て居ります、昨年の如きは不作でありながら、五億貫と云ふ莫大なるものを腐らせて居る、而も闇に四億貫も流して居りますが故に、今年は必ず私は又々甘藷を腐らせ、闇に流すに違ひないと思つて居ります、之に付きましては當局に餘程の御決心がございませぬと、私は色々の非難が起つて來るのではないかと思つて居ります、そこで二十億貫假に甘藷が出來たと致しまして、若し是が闇或は腐敗等に向ふと云ふ數字を昨年の數字に比較致しまするならば、昨年は闇と腐敗で九億貫でありますから、本年は少くとも十四億貫の闇と腐敗の數字を計算することが出來ます、厖大なものであります、之を米に換算すると五百六十萬石になるのであります、是だけの厖大な數字を闇と腐敗に致しますることが宜いのか、或は他に適當な方法に依つて、之を國民に全部濕はすことが宜いかと云ふことが問題なのであります、然るに貴族院に於きまする農林大臣の御發言の中に、甘藷の自由販賣をやらないと云ふ御話がございましたが、私は反對に只今申上げた統計から言つて、闇に流し、腐敗をさせるやうな甘藷があるのだつたら、此の際は政府の命令に依つて、完全に供出をした農民に對しては、甘藷に限り自由販賣を許すと云ふことが、却て甘藷の腐敗を防ぐと共に、國民に甘藷が全部行渡るのではないか、或は又今日は御承知のやうに、或る面に於て米が不足して居るので、加配米を縮小しておいでになる、或は此の面に於て加配米を復活させて、此の腐らかす甘藷を加配米に廻はすと云ふことも一つの手であります、斯う云ふやうな手を打つことが安定本部の出來て來る重要な使命であると共に、農林大臣と致されましても斯う云ふ方面に特に御注意を拂ひ、誠意を披瀝して戴きたい、吉田内閣の中では最も進歩的な、最も我々の信頼して居る農林大臣でありまするが故に、どうか一つ此の點はつきりした、今の兩者に對する御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=62
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063・和田博雄
○和田國務大臣 藷類統制會社の職員の爭議でありまするが、是は藷類統制會社の職員組合の人達とは私も會つて居ります、併し職員組合の諸君は非常に眞面目な、且つ自分達の現在に於ける職責を十分知つて居りまする方々でありまして、假令藷類統制會社の廢止と云ふことには反對の何を上げて居りまするが、甘藷の集荷でありまするとか、其の他の實際上の藷類統制會社がやつて居りまする事柄に付ては、決して支障を來さないと云ふ考へでやつて居るのでありまして、其の點に付ては御心配はないと思ふのであります、そして是は戰爭中出來ました各種の統制會社と云ふものは、戰後になりまして色々經濟の變動がある譯でありまするが、それぞれの機能を十分調べた上で、廢止すべきは早く廢止しまして、不要のものは出來るだけなくして行くと云ふことを常々考へて居る次第なのであります、藷類會社に付きましては、現在又今後藷類の統制、統一と云ふことが目睫に迫つて居りまするので、私共と致しましては農業會なり、又農林省と、三者が相談して、十分具體的に、支障を來さないやうな具體案を以て、漸次之を解消して行くと云ふことを、御互ひに話合つて研究しようではないかと云ふことで、やらせて居るのであります、隨て現在、是からやりまする供出に付ては、藷類統制會社の人達もああ云ふ決議は致して居りまするが、其の點に付ては自分達の重要な地位に付ては、十分職員の方々も自覺を持つて居りまするので、其の點に付ては支障はないと私は確信致して居ります
それから甘藷に付て、昨年は非常に腐つたが、今年は腐らせない意味で自由販賣にしたらどうか、斯う云ふことでありますが、是は先般或る新聞にさう云つた一部の記事が出ましたやうに、是は關係方面との間の關係が、さう云ふことは中々微妙な關係にありまして、色々の交渉を致しまする上に於て、非常に困つた事態になるのであります、甘藷に付きましては今年は幸ひ御話のやうに非常に豐作でありまするので、統制と云ふことは是は關係方面との關係で撤廢することは出來ませぬ、是は何と仰しやられても出來ないのであります、併し私は、唯統制の爲に統制をして居ると云ふやうな考へでは、毛頭統制は致して居らないのであります、要は結局國民の手に渡つて、さうして生活が潤ひさへすれば宜いので、今度は芋に付きましては早期の割當をし、供出を致しまするが、今年は幸ひ豐作でありますので、去年の轍を履みませぬやうに、大きな統制と云ふ線は讓りませぬが、其の中に於て十分さう云つた目的を達しますやうな具體的な案を考へまして、是非御説のやうな愚を繰返さないやうに致す考へで居る次第であります、甘藷は輸送が一番問題なのであります、腐り易いものでありますので、輸送と云ふ點が非常に大きな何になりますので、先般も各縣に係員を派しまして、又輸送關係其の他の關係の人達にも全部寄つて貰ひまして、今年の芋の輸送に付ては具體的な計畫を立て、さう云つた誤りのないやうに致して居る次第であります、さう云ふやうな事柄で進んで居りますので、大きな統制の線は外せませぬが、芋に付てはあなたの仰しやいましたやうな、遲配缺配の填補の問題、或はそれに依る加配の問題、將來色々芋に付て打つべき手は澤山あると考へますので、此の點に付ては關係方面の何もありますので、大きな統制の線は外すことは出來ませぬが、現在の豐作又は其の他の氣構へ、又國民の生活等を考へまして、是非芋に付ては皆樣方の協力助力を得て、今年は是非誤りなきを期して行きたい、斯う思つて著々準備を致して居る次第であります、左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=63
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064・疋田敏男
○疋田委員 只今の御話で若干了承致しましたが、然らば加配米の問題に付てもう少し具體的な御意見を伺ひたいことは、例へば今日薪炭を製造して居られます田舍の人達は、加配米を廢止されて居ります、而も薪炭は今日進駐軍にも非常に取上げられて、洵に重要な物資になつて居りまするが、それにも拘らず加配米がないのであります、或は又戰災者の住宅を建てて居る人達にも加配米が除けられて居りますが、此の芋を斯う云ふ人達に加配米として復活させてやる、今輸送と云ふ御話がありましたが、炭を燒かれる人には輸送の不自由は心配要らない、自分が取りに行きます、與へると云ふことであれば喜んで取りに參ります、又大工にしても、土工にしても、若し芋を加配米として與へると云ふことでありますならば、地方々々團體がありまして、是が喜んで芋を取りに行きますから、輸送の面は解決が付くのであります、斯う云ふ方面、其の他まだまだ加配米を廢止せられて、而も重要な産業に勞働して居る人があると思ひますが、さう云ふ面を至急に調査せられて、芋を有效に振向けると云ふことを御考へになる御意思がないかどうか
今一つは、昨年宮崎縣と鹿兒島縣に於きましては、芋が三千萬貫腐敗して居ります、然るに御承知のやうに宮崎縣と鹿兒島縣は燒酎の産地であります、若し當時の役人諸君が非常に融通の利く人であるならば、之を腐らかすことを考へずに燒酎にすることを御考へになつたならば、如何に戰爭中に於て産業の興隆に、此の腐り芋が役立つたかと云ふことを私は考へるのであります、是は現地に私が視察に行つて此の話をして、現地の人も非常に贊成をして居つたのであつて、是も決して輸送面の影響はないのであります、今年も大いに一つ敗戰後の日本を再建する意味に於て、産業の興隆は最も必要でありますが、少くとも九州の芋は一つ燒酎の製造の方へ振向けると云ふやうな、新しい構想は農林大臣は浮ばないのでありますか、此の二つを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=64
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065・和田博雄
○和田國務大臣 どうも問題を部分的に考へる譯には私共行かないのでありまして、加配米の點に付きましては、是は幸ひ今年の米は豐作であり、又其り他雜穀も相當豐作であり、甘藷は御話のやうに非常に豐作でありますので、來食糧年度は是非私は現在やつて居ります加配米は相當數量を殖やさうと思つて居ります、加配米を殖やすことに依り、又一面に於ては一般の配給基準量を殖やすことに依りまして、本當に日本の産業の再建に働いて居る人達の食生活を、是非安定させたいと云ふ意味で、色々と交渉を致し施策を致して居る譯であります、今の加配米は月約十萬石程度でありますが、是では實際足らないのであります、併しながら何故然らば現在加配米をすら削つて居るかと云ふと、今は殆んど「アメリカ」の輸入食糧に依つて、大都市其の他各府縣ともやつと持つて居るのであります、そこで此の足らない時でありますので、重點的に産業を色々選擇致しまして、どうしても減らしてはならないものは減らさないで之を殘しますが、さうでないものは──勿論大きな見地から見ますれば必要でない産業はありませぬが、併し斯う云ふ時期でありますので、さう云ふ方々には已むを得ず我慢して戴く、斯う云ふ意味で或る程度のものを切つて居るのであります、勿論此の薪炭のものに付きましても、是は必要であることは私も十分承知致して居ります、物があればさう云ふ方にもそれは上げたいのでありますが、上げるだけの何がないので、我慢して貰つて居りまして、此の本年度の豐作と云ふものを契機にしまして、漸次それは軌道に直して行かう、斯う考へて居るのでございますので、其の點は一つ御諒承を御願ひ致したいと思ふのであります
芋の燒酎其の他の點に付ての利用の點でありますが、是は何としましても一應日本の此の食糧情勢の上から言ひまして、芋と云ふものが主食の中に入つて居る、而も甘藷は馬鈴薯と違つて其の數量が相當大きな部分──或る所に依つては二週間から二十日も、兎に角是が主食を占めなければなりませぬやうな、主食として可なり重要さを持つて居りますので、我々としましては何としても此の主食としての甘藷の供出を確保致しまして、それを先づ出發點として、其の後の事柄は十分考へて行きたい、斯う云ふ段取りで行かざるを得ないのであります、どうかさう云つた點も十分御理解を御願ひ致したいと思ふのであります、勿論宮崎其の他鹿兒島に於きまして、去年さう云つた點で腐敗の芋が出たと云ふことは私は承知して居りますが、それ等の點に付きましては今年は何等さう云ふことのないやうに裕りを持ちまして、是はさう云ふものを確保した上で、色々さう云つた點に付ての施策を具體的に考へて見たい、斯う思つて居るのであります、左樣御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=65
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066・疋田敏男
○疋田委員 それでは只今の質問はそれで打切りまして、農業會と漁業組合を、安定本部が出來ますれば、安定本部の法文にありますやうに、民主的産業團體に致します爲に、改組致しますやうな意思はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=66
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067・和田博雄
○和田國務大臣 農業會に付きましては、私は今囘議會に是非農業協同組合法を出しまして、農地改革をやりまして、變りました農村の耕作する人々を中心にした本當の協同組合を作りまして、農業會を是非改組致したいと思つて居つたのでありますが、是は金融措置令其の他色々の關係から致しまして、暫らく延ばした譯であります、是非次の機會に於きましては農業會を協同組合に改組致しまして、民主的な團體に致したい、斯樣に考へて居ります、漁業會等の點に付きましては、私は是は今後水産其の他山林方面に付きましては、何か基本的な委員會か調査會か何か作りまして、根本的な調査をして、本當に良いものを作つて行きたいと考へて居ります、漁業の方は農業と違ひまして、漁業權と云ふ非常に厄介な問題がそこに纒はつて居りますのと、漁業の經營の色々な形と云つたものに付きましても、今後日本が領土を失ひ、水産の方に相當出て行かなければならない時機でありますので、是は基礎を固めると云ふ意味からしましても、今後さう云つたやうな調査會なり委員會なりを設けて、是非御趣旨の達成されますやうに、出來るだけ早い機會に是は實現して行きたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=67
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068・疋田敏男
○疋田委員 もう一つ御尋ねして農林大臣に對する質問を終りたいと思ひます、今日食糧増産に最も大きな役割を持つて居ります牛でありますが、此の牛が戰爭後に於ては闇の撲殺が非常に行はれまして、其の爲に各地方に牛が非常に少くなつて居ります、從來日本の牛は朝鮮から主として輸入して、之を補つて居つたのでありますが、朝鮮との關係も今日ではまだそこまで交通状況が復活して居りませぬので、輸入も杜絶えて居ります、今年は幸ひにして非常に豐作でありましたので、何としても牛を殺すまいと云ふことで、此の地方ではさうでもありませぬが、關西九州方面では青年團が夜警をやりまして、牛の番をして居るやうな有樣であります、洵に憂慮すべき状態であります、是等に對しまして或は不足して居る牛は將來朝鮮から早急に輸入するのか、或は青島の牛などを輸入する御計畫であるのか、或は是れ以上撲殺されないやうに、何か農林省として御考へがあるのでありますか、此の點を一つ御伺ひして見たい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=68
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069・和田博雄
○和田國務大臣 日本の牛は御話のやうに青島又は朝鮮から入つて來まして、朝鮮のは主として役牛であつたと思ひますが、青島から來たものは肉牛として使ふ、斯う云ふことでありましたが、是は今後やはり日本の農業は有畜農業として進まなければなりませぬので、御話のやうな點に付ては我々としましても、現在の牛が肉なり其の他の關係で非常に戰後高くなつたので屠殺されると云ふ傾向に付きましては、極めて遺憾だと思つて居るやうな次第であります、先づ牛其の他馬に付きましても、飼料の方からがつちり固めまして、牛の頭數が減りませぬやうに、色々と施策を講じて行きたいと思ひます、只今の所、今仰しやいましたやうな關係でありますので、朝鮮牛の輸入でありますとか其の他の點に付てはありませぬが、是は日本としましては將來どうしても──牛は今よりももつと大分減りますから、殖やす必要がありますので、之に付ては今後又具體的な色々施策を立てまして、色々と御審議なり御意見を伺つて實行して行きたい、斯う考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=69
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070・疋田敏男
○疋田委員 農林大臣に對する質問は濟みましたが、膳長官に對する質問があります、まだ十分位宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=70
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071・竹田儀一
○竹田委員長 それではそれは午後に御願ひすることにして、休憩致しまして、午後一時より開會致します
午後零時十八分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=71
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072・会議録情報2
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午後一時二十五分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=72
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073・竹田儀一
○竹田委員長 會議を開きます、疋田君御留保になつて居る膳國務大臣の御質疑を願ひます──疋田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=73
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074・疋田敏男
○疋田委員 それでは膳國務大臣に御尋ね致しますが、現在御承知でせうが、進駐軍行の勤勞者が總動員法の適用を受けて、終戰後ずつと今日まで繼續されて居りますが、九月に總動員法が廢止になりました場合には、此の進駐軍行の徴用されて居る人はどう云ふことになりますか、何を適用されることになりますか、本法は物資のみと云ふことになりますると、斯う云ふ人達に對しまする今後の徴用方法がなくなるのぢやないか、是は實際に私は郷里に於ては此の徴用に關係をして居りましたが、總動員法の適用を當時受けずに進駐軍行の徴用をやりました爲に、もう戰爭が濟んだので徴用を受けることがないのだ、斯う云ふことで警察、勤勞署が躍起になつて、自動車まで向けても中々それが集まらずに、それが爲に私共も非常に心痛致しまして、或る時は進駐軍から留置所に打込め、人が集まらないから放り込めと云ふことで、呼出しを受けて、將に私なども留置所に入れられると云ふやうな瀬戸際まで行つた事實があるのであります、そこで已むを得ず今日では勤勞署が國家總動員法を今日も適用して、此の進駐軍行だけの徴用をやつて居るのでありますが、是が廢止になると茲に大きな人の面に於ての問題が殘つて來やしないかと思ひます、此の點に付ての何か御構想がございますかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=74
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075・膳桂之助
○膳國務大臣 只今の點は私も實際問題を能く承知して居りませぬ、能く厚生當局に打合せまして、或は厚生當局から御答へ申上げた方が宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=75
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076・疋田敏男
○疋田委員 それではどうぞ一つ…、是は重大な問題でありますると同時に、今後進駐軍が日本を占領して居る限りにて於、進駐軍方面の此の面は色々な問題が起るのでありまするから、一つ是非ともさう云ふことを御願ひ致します
それから本法の第二條の構成員以外の者に對する割當に關しましては、特別の手數料を徴集することが必要であるやうに考へられるのでありますが、是は勿論理由は最早申上げなくても、構成員は經費を負擔して出資を致しますけれども、構成員以外の者は經費も出資もないと云ふことになりますので、ここで構成員以外の者からは割當てられた場合の特別の手數料を取ると云ふことが至當でないかと云ふ風に考へられるのでありまするが、此の點は如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=76
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077・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通りに此の割當を致します爲には色々な調査を致します、相當の職員も必要でございますので、其の經費を賄ひます爲に、構成員の方は其の經費を茲に負擔して居る譯でございまして、所謂員外者「アウトサイダー」が要求を致します場合にも、やはり調査を致しまして割當をする譯でございますから、それに必要な經費と云ふものは御負擔を願ふと云ふことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=77
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078・疋田敏男
○疋田委員 それから商工組合法に基きまする施設組合は商工協同組合となりまして、統制組合の方は解散となるのでありまするが、此の場合に、此の新組合が組織されまするまでの間の暫定期間中に於ける、本法が施行せられまする場合に、此の一時的な中間の事務と云ふものは何處で執ることになりまするか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=78
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079・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通りに、此の商工組合法に依りまする統制組合が新しい協同組合法に依りまして、新しい協同組合法の施行後三箇月以後に於きまして當然解散をせられることになるのであります、隨ひまして商工協同組合法は恐らく今議會中に御協贊を得まして施行せられる譯でありますが、來年の一月或は二月頃までには統制組合と云ふものは當然解散と云ふことになるのであります、併しながら需給調整法の適用の關係に於きましてはそれだけの餘裕の期間がございまするならば、其の間にもつと早い期間に於て之を改組致しまして、或るものは任意組合、或るものは共同事業等が十分出來ます場合になりますれば、新しい協同組合と致しまして組織變更せられまして、之を第二條に依つて指定して行く、斯う云ふ工合にして行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=79
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080・疋田敏男
○疋田委員 さう致しますと、茲で御尋ね致したいことは、統制組合に參加して居る組合員に對しましては、解散になれば當然其の出資金を返さなくてはならない、事實私共も或る一つの統制組合に入つて居りますが、開店休業になつて居つて、別の團體を商工省から命令されて作つて居りますが、前の統制組合の出資金は其の儘にお預けを食つて居るのであります、さう致しますと、是で又統制組合が解散になると云ふことになると、二つの組合と普通は一つですが、我々の場合には又新しい組合には出資をする、前の出資金は、果して現在の封鎖の状態で我々の手許に戻るかどうかと云ふことは、是は大きな問題であります、一人から言へば出資金一口或は幾口と云ふので、金額は五十圓或は千圓程度のものかも知れませぬが、全國的に此の金額の計數を擧げて見ると厖大なものでありまして、恐らくは一萬五千圓の枠から考へると、第二封鎖に全部廻つて居ると思ひますが、然らばさう云ふ風な解散になつた場合に、大藏省の方が統制組合の解散に對しては第二封鎖のものを第一封鎖に廻はして、各組合員に戻しても宜しいと言はれるかどうかと云ふことは、非常な疑問ではないか、恐らく此の點は全部の統制組合の一つの疑念ぢやないかと思つて居りまするが、此の點どう云ふ風な對策がございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=80
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081・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 統制組合の預金等が第二封鎖になつて居るのが相當あるかと存じます、解散を致しました場合に其の第二封鎖をどう云ふ風に處分するかと云ふことは、やはり他の一般の經濟界の整理に依りまして、銀行の預金等がどれ位打切られるかと云ふことに絡んで來るかと考へます、隨ひまして現實にどれ位の金が活きて來るかと云ふことは、其の整理が濟むまでははつきりせぬのではないかと考へるのであります、隨ひまして只今仰せの通りの不便はございます、新しい組合に又出資せんならぬと云ふ不便はございますが、此の整理は他の經濟關係の整理と同時になりませぬと、解決が付かぬのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=81
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082・疋田敏男
○疋田委員 さう致しますと、今の御答辯に依りますと、此の金は返つて來ない我々の手許に取敢ずは返つて來ないと云ふ風に考へられますが、是はもう一歩進まれて、當局に於かれて大藏省と交渉せられて、或は返らなくても宜いから、然らば新しく新設される民主的産業團體の出資金に振替へると云ふやうな便法を講ぜられる所まで、御努力をせられるやうな御意思はございませぬかどうか、大變に重大な問題でございますので重ねて御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=82
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083・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今の出資の點は事情御尤もな點があるのでございます、併しながら今後出來まする産業團體、主として需給調整法が考へて居りまする産業團體は、物資の割當を主とする團體でございますので、之に要しまする基本的な資金と云ふものは、さう澤山要らぬのではないかと考へて居ります、唯協同組合等で共同事業を別に御經營になるやうな場合には若干の資金が要ると思ひますが、現在でも商工組合法に依りまする共同施設組合は、其の儘商工協同組合に振替ることになつて居りますので、大體は其の儘新しい資金を要せずに行けるのではないか、それから割當の方の組合、統制關係の協定なり、任意組合と云ふものは、只今申しましたやうに、さう多額の資金を固定せぬでも、割當事業は出來るのではないか、斯う云ふ風に考へて居りますので、やはり暫く經濟界の整理の付くまで、恐らく一年位は掛ると思ひますが、今の所は御待ちを願ふ以外には直接には適當な方法はないかと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=83
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084・疋田敏男
○疋田委員 多額の費用を要しないと仰しやいますが、是は政府の机上に於ける御計畫でありまして、實際の面に於きましては、さう云ふ色々な配給をすると云ふ面に於ての手數料などは澤山に入るものでないかも知れませぬが、又人件費或は設備費色々なものが要るのでありますから、此の金は今日の物價高に於きましては相當に要るものであります、隨て私の考へと當局の考へとには大變な差がございますが、是は是れ以上追究致しましても、大變に當局も御困難な問題と思ひますので、兎に角皆の杞憂を抱いて居る點でありますから、特に愼重に親切に、一つ御調査の上御善處を希望して置きます
其の次には、是はやはり厚生省に關係がありますから如何かと思ひますが、本法の適用を受けることに組織を改組せられる所まで、御要求になる御積りでありますかどうか、なぜならば現在の住宅營團は、物資を直接に配給を受けて居ります、又配給もして居るやうな機構になつて居りますので、本法と非常に重要な關係のある營團でございますから、此の點御伺ひして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=84
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085・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 土木建築關係の資材の配給に付きましては、住宅營團の關する限りに於きましては、此の組合に參加しないことになつて居るのでございまして、只今まだ確定して居りませぬが、直接政府から住宅營團に割振りまして、住宅營團は自己の事業と致しまして建築の仕事をする、斯う云ふことになるのではなからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=85
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086・疋田敏男
○疋田委員 それでは是は或は物價次長の方に御伺ひしなければならないかと思ひますが、今居られませぬから、長官の方から御答辯の出來る範圍で御願ひ致したいと思ひますが、蔬菜の面でございます、それに付て他の人の質問に色々御答へになつて居られましたが、現在蔬菜が滿足に出て來ない、之に對しましては、勿論物價廳或は安定本部に於きまして十分御研究になつて居られると思ひますが、現在の制度では絶對に蔬菜或は鮮魚は出て參りませぬことを、私は確信を以て申上げられるのであります、何故かと言ひますと、今までの日本の習慣から行きますと、必ず蔬菜は、茄子にしても胡瓜にしても、走りは走としての値段があり、其の次には中間の値段、それから最後には裏なりの値段、所謂三段に値段が分れて居りまして、金を持つて居る階級とか、非常に新しいものを好む階級は走りを高い値段で買つて食べる爲に、農村の人は走りに良いものを出すことを一つの誇りとして居つて、茲で金をうんと擧げる、其の次には第二の値段を付ける、三段階になつて居るのが從來の例であります、然るに政府に於きましては常に價格の統制を改革せられましても、私の見る面では一本で進んで居られるやうに思ひます、斯う云ふ面に於きましても政府は今度の安定本部に於かれまして、配給を農業會の連絡等に於てやられる場合に於ては物價廳に依つて、少くとも此の蔬菜に對しては、餘程愼重に三段階級の價格の制定をせられるやうな構想を練らなくては、私はいけないのではないかと考へて居るのでありまするが、此の面に對して何か御考へがありまするか、之を伺ふのが一つ、今一つは現在の配給制度、是は生産者から農業會、其の次は青果市場、斯う云ふ三段の階級になつて居りまするが、此の制度が今日お百姓さんから直接に品物が我々消費者の所へ完全に參らないのであります、一つは價格の面、一つは配給制度の面に於て缺陷があるのでありまして、農業會も積極的に生産者の方へ出荷を督促する傾向もなし、又青果市場に於ても農業會に督促する傾向もない、生産者が出したものを農業會も、青果市場も受繼ぐと云ふ程度である、然るに生産者に於ては一生懸命で、自分の作つたものが、唯農業會へ持つて行けば傳票一枚で農業會がぴんを刎ねる、手數料を取る、さうして又それが青果市場に行けば傳票一枚で又頭を刎ねる、農業會と青果市場で其の頭の刎ね方が、お百姓さんが農業會へ出す値段よりも高い、斯う云ふ馬鹿な話はないと云ふことで、お百姓は闇で直接消費者に賣ると云ふことをやつて居るのであります、隨て此の面を根本的に改革して、私共から申しまするならば、政府は折角民主日本の建設に努力して居る際でありまするから、安定本部に於かれては全國的に消費組合を町内會單位に奬勵するとか、或は法令を出す位にして、生産者から消費組合に此の農産物、蔬菜類を出させる、斯う云ふ風にすれば、農業會、或は青果市場、斯う云ふやうなものの手數料が省ける、或は又一遍に二つの制度を剥ぐのはいけない、農業會はどうしても必要であれば、農業會から青果市場を通らずに消費組合へ持つて行く、さすれば一つ手數料が減るから、それだけ安い物が市民の口へ入ると同時に、お百姓さんに對しては、青果市場に拂ふ手數料だけ高く買つてやれば宜いと云ふことになるので、今の蔬菜類もどんどん出るのであります、此のことは魚の場合に於ても同樣に論ぜられるのでありまして、魚の面を申しまするならば、現在の魚に付ても、氷詰の物でも、近海物でも、殆ど統制價格は同じであります、夏も冬も同じであります、隨て先般も築地では鰮が何百貫と腐つた、是は値段が一年中同じであるから、氷を使つては馬鹿らしい、そこで氷を使はずに其の儘に之を捌かうとするから、魚は當然腐る、所が昔は季節々々に依つて魚の値段が違ひまするから、冬は冬の相場、春は春の相場、秋は秋、夏は夏と云ふことになりまするので、夏は氷を入れて腐らないやうにする、其の代り氷を込めた價格で魚を販賣する、或は遠洋航海で獲つて來た所の魚は冷凍物である、是等は安い、近海物は生きて居るから値段は高いと云ふやうに、非常にゆとりのあるやり方であるからして、魚も能く廻はり、旨く食べられたものが、今日では政府の一本のルートで總て價格を決めて、配給も漁業組合から市場へ出すと云ふやうなやり方で、其の間に輸送の關係も色々ありまするし、或は又積極的にやらないと云ふことで、お魚は我我の口に入らない、殊に東京などは比較的地方より宜いのでありますが、我我の所は水産縣であつて魚が口に入りませぬ、東京などは最近闇で鰮が四十尾十圓で買へる、大臣あたりは鰮などは召上りませぬから御分りになりますまいが、我々東京では鰮は非常に賞味すべきものの中に入つて居ります、四十尾十圓と云ふ相場は實に安い、是が闇の値段であります、斯う云ふ面に於ては我々として大いに研究しなければならないのであります、隨て魚の價格に付ても、季節的に價格を變更させる、近海物と遠洋物との價格も變更させる、斯う云ふやうな方法の研究をせられる所まで行つて戴きたいのでありまするが、左樣な構想があるかないか、是だけを御尋ね致して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=86
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087・膳桂之助
○膳國務大臣 只今の御質問は私が豫ねて考へて居りますことに大分共通と申しますか、共鳴する所があるのであります、新鮮食料品に對して現在まで執つて居ります方策に付ては、物價廳の次長から縷縷申上げた通りでありますが、安定本部としての新しい構想として、從來のやうな新鮮食料品に對して、非常に細かい點にまで亙つての公定相場が宜いかどうか、又從來のやうな新鮮食料品の配給の「ルート」が、是で宜いかどうか、之にどの程度まで統制して、あとは自由にすべきかと云ふことに付きましては、實は私個人としては豫てから私見を持つて居りますし、又此の點に付ての世論も大分承知して居ります、私が安定本部の事務を始めました其の中の第三部──是は生活必需品の需給、又生産の奬勵とか需給、其のやうなことを掌る所でありますが、それの第一の課題として此の問題の研究に今著手致して居ります、今更研究に著手すると云ふことを申上げますと、大變長いやうに思召すかも知れませぬが、此の秋或は差當りの青果、或は魚類等に付ての配給或は價格制度を、直ぐどうと云ふ考へは持つて居りませぬ、併しながら是は從前と違ひまする食料品の需給關係等と見合せ、又將來の農産物の價格、それ等の動きとも見合せまして、又戰時中と違ひます一つの配給「ルート」、只今消費組合の話もありましたが、やはり市場機構と云ふものは、多少口錢は取られますけれども、結局に於て物の融通を滑らかにすると云ふ點に於きましては、若干の手數料を拂ふ以上に、消費及び生産方面にも利益する所があると思ひます、私此の市場の問題に付きましては、豫て中央卸賣市場の問題の時の責任者でもありますし、其の後魚類、蔬菜等に付ての配給價格の問題に付きましては多少考へる所がございまして、安定本部に取上ぐべき國民生活の安定方策の一つの大きい問題としまして、折角今研究に著手して居ります、今日直ちに構想を申上げることが出來ませぬのは殘念でありますが、只今の御意見に付きましては、大いに共鳴することを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=87
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088・疋田敏男
○疋田委員 それでは本法が何時頃から施行されるやうになつて參りますか、其の時期、竝に本法が施行されたならば、我々の憂へて居ります所の魚やら野菜が直ちに市場へ出て、國民を潤すやうになると云ふ御確信が長官にごさいますかどうか、えらい質問かも知れませぬが、我々非常に飢ヱて居りますので、一つ御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=88
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089・膳桂之助
○膳國務大臣 此の法律の御協贊を得ますれば、出來るだけ早い手續で裁可を經まして、即日にも施行したい積りであります、但し現在までの食料品の配給、此の問題は現在既に定まつた方策で動いて居るのでありまして、之をどう動かすかと云ふことは、やはり適當な時期を見ないと徒らに混亂を起すばかりでありますので、私は此の法律を離れて、やはり今の食糧品價格及び配給の問題は解決し得ると思つて居りますが、場合に依りますれば、此の法律の第一條を適用するかも知れないのであります、どうぞ左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=89
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090・疋田敏男
○疋田委員 只今の御答辯で長官の御熱意を十分に知ることが出來ました、願くは長官の其の御熱意で一つ物が出て參りますやうに御願ひ致しまして、私の長官に對する質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=90
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091・竹田儀一
○竹田委員長 それでは田中實司君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=91
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092・田中實司
○田中(實)委員 私は本案の内容竝に是が戰時統制經濟の理念的な淺滓が、少しも拭ひ取られて居らぬと云ふことに付きまして、連日同僚諸君竝に先輩諸氏から色々と御質疑になつて居るのでありますが、之に對して大臣からの御答へには、遺憾ながらまだ釋然とすることが出來得ないのであります、私は何だか本案に對しまして當局の御説明には、超ゆべからざる一線を何處までも墨守して、此の線を入れさせないと云ふ氣持が多分に現はれて居るやうな氣がするのでありますが、今日我が國の經濟の囘復と是が振興を圖るが爲には、官民共に一致協力して、さうして此の大きな仕事を成し遂げねばならぬのでありまして、即ち政府の施策は何處までも國民の中に溶け込まなければならぬと私は考へて居るのであります、左樣な觀點から見ました時に、どうしても此の線を超ゆるべからざるが如き御説明を御聽きすると云ふことは、私の如何にしても承服せざる所であります、私は寧ろ墨守して居られる所の最後の線がありますれば、其の線を超えさせても、お互ひに意見を交換し合つて、茲に立派な法案を出來上らせて、今日の非常に大切なる所の所謂過渡的な統制を行つて行かなければならぬと考へて居るのであります、今申上げまするやうに、我が國經濟の囘復と是が振興の爲に、何等かの形に於て過渡的に──私は敢て過渡的にと申しますが、生産配給等の統制を行ふと云ふことは、是は何人も之に對して異議を唱へることは出來得ないと思ふのでありますが、それは何處までも過去の戰時統制を根本的に拂拭した、新たなる構想の下に建てられるものでなければならぬのでありまして、言換へますれば眞に國民が安心し、納得して、さうして政府に協力し得るやうな統制を行つて行くと云ふことでなければならぬと思ふのであります、本案の内容は斯かる意味に於て國民を非常に不安に陷れしむるやうな點が多々あるのでありまして、私は如何に當局が御辯解になりましても、曾ての國家總動員法の再現であることは、否定し得られないやうな點を多分に杞憂として抱いて居るのであります、隨て私は茲に率直に、當局が此の案の内容に付ては、過去の戰時中に於ける所謂國家總動員法の如きものではなくて、本當に是れ是れと斯う云ふ物資に對して、斯う云ふ構想の下に、而も國民の協力を得て此の統制を行つて行くのであると云ふやうなことに付て、安心の行く一つの御説明を願ふと同時に、願くは私は本案に盛られて居ります内容に付きましても、今少し御變改を願ふやうな御用意があるかどうか、殊に近く石炭、「コークス」等に付きましては、單一の法規の下に統制を行ふやうな御構想もあると云ふやうに私も承知して居るのでありますが、寧ろ私は此の際は此の過渡的な生産配給等の統制を行つて行く上に於きまして、斯樣な物資別に單行法を設けて、さうして之を實施して行くと云ふやうなことに依りまして、國民が喜んで此の經濟建直しの爲に協力をすると云ふやうな氣持になつて來ると云ふことを御考へになる御用意がないか、昨日の膳國務大臣の御言葉を借りて申しまするならば、私は此の法案自體が、軈ては希望的な計畫に終るのではないかと云ふやうなことさへ憂へる一人でありますが、此の點に付きまして虚心坦懷に、膳國務大臣の御答へを願ひたいと思ふのであります
〔委員長退席、塚田委員長代理著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=92
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093・膳桂之助
○膳國務大臣 極く率直に申せと云ふことでありますから、本當に私の考へを申上げますれば、實は斯かる法律を出すことは安定本部としても本懷ではありませぬ、出來ますならば、總ての物資が──どうせ需給と調整との見合と云ふものは、さう短急に出來る譯のものではありませぬけれども、略略主要物資に付てさう云ふ見込が付きますれば、只今御説にありましたやうな、或る限られたる物資に付て單獨の統制法を出しまして、此の何でも網に掛るかの如き感を與へまする法律は、一日も早く不必要にならんことを希望して居る譯であります、併しながら是は、私からも、商工大臣からも縷縷申上げました通り、現在の事情に於きましてはまだ色々な方面の日本經濟の需給の實態が定まつて居りませぬ、一例を申しすまれば、例へば石炭の如きに於きましても、若し石炭が戰時中或は戰前のやうな勞働事情其の他の事情でありますならば、現在の使用人員に於きましても、一年に二千三百萬「トン」とか二千五百萬「トン」の生産量ではない筈なので、既に是は四千萬「トン」にも上るべき筈なのであります、茲に通常の經濟状態を以て測定し得ざる色々の事情もございます、それに是も縷縷申上げますやうに、日本の生産を増強する爲の施設其の他に使ふ素材等に於きましても、此の際やはり輸入を以て辯じなければならぬものも多々ございます、是等に付ては政府は折角關係方面に懇請中でございますけれども、例へば鐵に付て申しても、將來の原料鑛石をどう云ふ風に入れ得るか、或は若し銑鋼一貫作業が困難なりとするならば、銑鐵を果してどう云ふ風に日本に輸入し得るかと云ふ問題の見透しに付きましても、今日直ちに或る一つの構想を描いて、全般的の統制を外すと云ふ譯には中々參りませぬ、經濟安定本部の出來ましたのも、斯う云ふ渾沌たる經濟状態の變轉極まりなき時に、何かそこに平常の状態に戻す爲の一つの機構でございます、是等の豫測し難い色色の經濟事情に於きまして、甚だ不本意ではありますけれども、一應臨時的な──戰時から平常へ切換へます時の已むを得ざる、又豫測し得ざる方面にも統制の必要が出て參るのでありますから、已むを得ず一時斯う云ふやうな法制を御承認して戴きまして、希望を申しますれば安定本部が廢止される後には、或る幾つかの主要物資に付て、先程御指摘の石炭及び「コークス」等の統制に關する法制の如き若干のものが殘りまして、あとは當業者の自治統制に任し得る、或は自由の需給に任し得る方面はそちらに任して參りたい、全く是は戰時經濟から平時經濟へ移る過渡的の、一時的措置でありまして、私共は決して統制の爲の統制を欲するのでなく、又國民に一片でも疑ひを懷かしむる如き統制の形は採りたくないのであるが、今申しましたやうな諸般の事情で、或る時期を限つた短期臨時的の措置であると、期う御諒承下されば甚だ幸甚であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=93
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094・田中實司
○田中(實)委員 御説明を戴きました點に付きましては、私共も大體同感でります、唯所見を異に致しまするものは、結局左樣な意味からどうしても過渡的な統制を行はなければならぬと云ふことに對して御同意申上げますが、其の手段と方法に於て、斯樣な形を執らなければ此の急場を乘切ることが出來得ないのか、更に是よりも國民を納得せしめ、所期の目的を達成せしめる方法があるのではないかと云ふやうなことに對して、當局と私共とは所見を異にするのでありますが、此の點に付きましては同僚諸君からも既に色々と御質しになり、又將來も色々御意見があることと思ひまするし、本日は時間等の制限もありますので、是れ以上御尋ね致さないことに致しまして次に移ります
國家總動員法は昨年の年末に廢止になつたのでありますが、此の總動員法に依つて發せられました所の色々な勅令省令は、本案が成立致しますと──成立しなくても今月を以て其の效力を失效すると云ふことになつて居りますが、是等の失效になりました所の諸々の勅令省令等は、更に本案が通過致しました場合に於きましては、總てを何等かの形を變へて御取上げになるものか或は又さうでなくて、其の中にどうしても今日の情勢上必要なものは是と是である、隨て是だけはどうしても其の内容に於て多少變改すると雖も、其の精神を生かして行かなければならないと云ふやうな命令、省令等がありましたら御知らせを願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=94
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095・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 御手許に御配り致しました資料の中で、國家總動員法に依りまして出しました勅令省令がございます、其の中に現在生きて居ります、勅令省令、及び廢止を致しました勅令省令表がございます、是は全部一應廢止をするのでございます、總動員法を廢します趣旨が、總て戰時中の法制は全部一擲を致しまして、新しい構想に依つて新しい統制をやつて行くと云ふ建前にある次第でありますので、是等の法令は全部此の際廢止を致しまして、新しい法制に依つて物の關係は調整關係の勅令省令を作つて參る豫定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=95
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096・田中實司
○田中(實)委員 既に本案を御提出になりまして之を實施致さうとされるならば、當然之に發します所の色々な命令がなければならぬと思ひますが、只今御尋ね致しましたのは一應全部廢止になる、動員法に依る所のものは全部廢止になると云ふことは了承致して居るのであります、此處に參考資料として戴きました現在の色々な勅令省令等がありますが、其の中其の精神を汲んで殘るものは、どれとどれであるかと云ふことを御尋ね致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=96
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097・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 是も御手許に差上げました表の中で、統制致します物資の表がございます、其の中で丸を付けましたものがございますが、現在統制致して居りますもので今後引續き統制を致します物資の表がございます、之に關係致します物資に關する省令と云ふものは、今後新しい内容に書換へまして、新しい内容の下に書換へましたものを制定致す豫定で、今後のものに付きましても、勿論新しく省令等を制定致す豫定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=97
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098・田中實司
○田中(實)委員 諒承致しました、それでは更に御尋ね致したいと思ひますが、本法實施の際に、改めて只今御示しになりましたやうなものを初めと致しまして、將來色々と必要に應じて發せられる所の命令等であります、之に關しましては國家總動員法に於きましても、昨年の年末に廢止になりましたものが、其の情勢に依りまして本年の九月まで之を延期されたと云ふことでありますが、更に本法に依りまして發せられる所の命令其の他が、豫想されて居ります所の安定本部が一箇年で終る、更に此の法案が一箇年で其の效力を失ふやうな場合に於きましても、今囘執り行はれましたやうな扱ひ方に依りまして、やはり之を一年なり或は半年、此の臨時物資需給調整法案に依つて發せられた所の命令其の他の行政處分を、存置させる御意思であるかどうかと云ふことを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=98
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099・膳桂之助
○膳國務大臣 只今の御尋ねの點は、安定本部が廢止されます時には當然此の法律が廢止され、此の法律が廢止されます時には、當然此の法律に基いて、只今政府委員から御説明申上げました諸省令等は廢止をされるのでありまして、其の後に尚ほ統制をしようとするやうな物資、又其の統制の樣式等に付きましては、若し必要がありますれば更に新しい立法に依りまして、議會の御協贊を經ることに相成つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=99
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100・田中實司
○田中(實)委員 私は此の際少しく膳國務大臣に御尋ね致したいと思ふのでありますが、我が國の經濟の再建に付きましては色々な角度から十分愼重な研究を致しまして萬遺憾なき御計畫を建てられなければならぬと云ふことは申すまでもない所であります、茲に新しく我が國の經濟の建直しの上に於て最も大切なるものは、中小企業の急速なる再建復興でありますが、私は之に關しまして今日まで動とも致しますれば、やはり今までの資本主義的な經濟に囚はれて大きな企業に總てのものが引摺られて行くと云ふやうな傾向が多分にあるのであります、中商企業の再建復興等に關しまして、國務大臣はどう云ふ御構想を御持ちになつて居りますか、更に又將來に向つての對策に付ての具體的な御意見を一應御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=100
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101・膳桂之助
○膳國務大臣 日本の經濟の再建に中商工業に大きな重點を置くべしと云ふことに付きましては、御質問者と全然御同感であります、日本の經濟再建に課せられて居ります一つの大きな問題に、經濟民主化の問題がございます、是は單に安定本部のみで取上げる問題でありませぬので、關係各省と協力して今此の問題を取上げる準備中でありまするが、其の構想も唯大財閥の會社を解體し、或は「トラスト」的なものを解體して行くと云ふやうな目標ばかりではありませぬので、次に進んで行きますまでは、如何にして日本の産業が民主的に經營せられるか、言葉を換へて平たく申しますれば是等の經濟の再建に、經濟民主化と云ふ點から考へましても、中小工業と云ふものの擔ふ役割と云ふものは相當大きい、從來の關係から申しましても、是も度々申上げ又皆さんも御承知の通り、日本の輸出工業の六〇%と云ふものは中小工業の生産品であり、日本の中堅階級が中小工業であると云ふことも申すまでもないことでありまして、唯遺憾なのは中小工業に對しましては、一方には技術の指導も必要でありまするし、資金の供給と云ふことも必要であります、殊に是からは勞働關係と云ふものが、相當中小工業振興の意氣を沮喪するやうなことがあつてはならないのでありまして、是等の點に付きまして、安定本部では大きな根本問題の一つとして取上げて行くことにして居りまして、現に是の爲に部内では、中小工業問題を經濟民主化の問題と見合つて取扱ふ爲の一つの協議會と云ふか、合議組織をば研究し、もう始めて居りますやうな譯であります、此の點に付きましては、經濟安定本部が相當力を入れてやる問題だと云ふことを御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=101
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102・田中實司
○田中(實)委員 中小企業に對する國務大臣の御熱意に對しては、私も非常に滿足に思ふのでありますが、茲に一つの實際の問題を取上げて御話申上げたいと思ふのであります、我が國の經濟を建直す上に於きましては、只今御話のありましたやうに、中小企業が其の中核とならなければならぬと云ふことは、是は最早私は常識であらうと考へて居ります、此の日本の經濟を建直す中核となる中小企業の其の中核をなすものは、私は我が國に於きましては、何と言ひましても纖維産業であらうと思ふのであります、然るに最近の情勢を眺めて居りまするのに、此の纖維工業の急速なる復興と云ふことが非常に忘れ勝であるやうな形を辿つて居るのであります、實際に於て當局が之に對して相當細心の注意を拂ひ、又御研究をなされて居るかは存じませぬけれども、現はれて居る一々の問題を取上げて檢討致しました時に、私は甚だ遺憾ながら左樣なことを申上げなければならぬのであります、今日終戰と共に我が國の經濟の中核となつて、多年の創意と工夫、經驗を活かして、我が國の經濟再建の一役を買つて出ようとする所の、所謂燃ゆるが如き熱意を以て待構へて居る所の我が國の纖維産業は、萎靡して振はぬ現状であります、之に對しては原料の問題、勞務の問題、或は食糧の問題等、色々な問題があるのでありますけれども、將來日本の中小企業が、どうしても其の中核を纖維産業に置くことに重點を持たなければならぬと云ふことでありますならば少くとも之に對して當局は凡ゆる困難を排しまして、是が急速なる復興、燃ゆるが如き施策を、勇敢に而も大膽に致さなければならぬのであります、之に對しましては遺憾ながら、只今申上げましたやうに其の曙光をだに認めることが出來ぬのでありますが、如何なる御考へを持ち、又如何なる御取扱ひをされんとしつつあるか、それに對しまして御答へを願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=102
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103・膳桂之助
○膳國務大臣 一々の業態に付きまして私が答へるのは、却て不適當と思ひますので、政府委員に御答へを願ひたいと思ひますが、唯一言、從來からも綿業及び蠶絲業、斯う云ふやうな輸出物資を取扱ひます事業としての纖維工業、又國民の衣生活の中心でありまする纖維工業を、兎に角國土にも適し、色々な點から見まして、是も相當重要な問題と考へて居りますことは勿論御同感であります、唯今差當りどう云ふ風に纖維工業の復興に付て方策を執つて居るかと云ふことは、是は商工省で現在やつて居りますことを申上げて御諒承を願ふ方が宜いと思ふのでありまして、一つ政府委員に代つて貰ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=103
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104・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 纖維産業の復興に付て、考へて居ります大體の所を申上げます、先づ第一は設備の復興でございます、御承知の通り、戰爭中纖維の設備と云ふものは、所謂企業整備を致しまして、專ら其の資材を軍需品の方へ廻はすべく破壊せられたのでございます、隨ひまして我が國の紡績機械、織機等は非常な減少でございまして、今日相當の棉花の輸入がありましたにも拘はりませず、之をこなすに困る程の状況でごいます、一日も早く之を復舊することが第一であると考へまして、纖維に關する機械を、早く整備すると云ふことを非常に重點的に考へて居るのでございます、今後安定本部に於て色々重點産業の御考慮を願ふ時に、纖維、産業の復興に對する特別な施策を御採り上げ願ふことに、商工省として特に御願ひを申上げて居るのであります、次に其の原料の問題でございます、是は只今仰せのございましたやうに、多く輸入品でございます、棉花と言ひ、羊毛と言ひ、麻と言ひ、概ね海外の品物を入れて加工する譯でございます、是等に付きましては既に御承知の通り、棉花に付ては相當のものを一應輸出用の原材料として輸入して戴いて居ります、又目下盛んに入りつつあるのでございます、羊毛等に付きましても、或は近い機會に輸入が認められるのぢやないかと云ふ豫想を致して居ります、さう云ふ風に逐次其の方の關係も近い内に解決を見て行くことと考へます、隨ひまして殘る所は勞務の關係で、殊に勞務の關係の一番重要な問題は食糧の關係であらうと思ふのでありますが、此の方も段々食糧關係の見透しが明るくなつて參りまして、最近は農林當局とも御話合ひが出來まして、特に輸出用の品物を造つて居られまする斯う云ふ關係のものに對する勞務加配に付きましては、近く何等かの解決をする所まで御話が進んで居ります、恐らく近く公表が出來ることになると考へて居ります、斯う云ふ手を逐次打ちまして、先づ第一に設備關係の整備、續いて原材料の問題の解決、更に働きまする人達の食糧問題の解決、斯う云ふことで逐次手を打ちまして、全般的な進行と云ふものを進めて行きたい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=104
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105・田中實司
○田中(實)委員 御説明一應了承致しましたが、終戰後に於きまして、色々な經濟事情に亙つて國民が諸々の困難を堪へ忍んで來たのであります、殊に食糧問題に對しましては非常な苦痛を嘗めて、漸く聯合國の厚意に依りまして此の非常危局を突破致すことが出來ましたことは、洵に感謝に堪へない次第でありますが、次に來るべきことは世界的な衣料の饑饉であらうと私は思ふ、着る物の饑饉であらうと思ふ、此のことは單り我が國ばかりではなく、各國共に之に目を著けて、是が急速なる所の復興に對して、或は作業の再開に對しまして、凡ゆる努力を致して居るのだらうと思ふのであります、曾て戰前に於きましては世界に冠たる所の、纖維王國を誇りました所の我が國に於きましては、須く此の點に著眼致しまして、來るべき衣料の饑饉に對する對處を致さなければ、曾て食糧に於て色々な無駄をし、又食糧問題に對しまして色々國民に對して不安を與へたと云ふやうなことを、衣料の問題に於て再び繰返さなければならぬと云ふことには、將來至ることがないとは、何人も保障し得ないのであらうと思ひますが故に、此の點に付きましては特に大きく御取上げになりまして、政府の施策として萬違算なき計畫を御立てにならんことを、而も之を急速に御立てにならんことを強く要望する次第であります
次に御伺ひ致したいと思ひますることは、戰爭の犧牲者は凡ゆる方面にあるのであります、殊に昨日來膳國務大臣が色々御話になりましたやうに、戰爭一本に集中して、所謂戰爭に勝つと云ふこと、戰爭に勝つ爲の軍需品を賄ふと云ふことの爲に、凡ゆる國民を總動員致しました結果、凡ゆる面に於て國民は是等の犧牲を背負はされて來たのであります、是等の犧牲に對しましては、國家が其の出來得る限りの力を致しまして之を救護致し、救援致し、更に補償致さなければならぬと云ふことは當然であるのであります、御承知のやうに戰時中に於きましては、徴用其の他に依りまして父祖傳來の家業等をそれぞれ放擲致しまして、國の目的の爲に動員されたのでありまするが、是等の人々が終戰と共にそれぞれの職場に歸ります場合に、會社に或は其の曾て勞務を致して居りました所の工場に、それぞれ優先的に是等の人々は復歸を見て居る形になつて居ります、殊に第一線に於て働いて居られました所の復員軍人諸君に於ても亦然りでありますが、獨り大きな犧牲を背負はされまして、さうして今尚ほ自己の安住すべき所を得ずして、而も押迫る所の色々な生活難に苦しみ喘いで、自分の持つて居つた所の貯蓄も使ひ果し、更に自分の周邊にありまする所の凡ゆる資材を金に換へて、其の生活の一助と致して居つたと云ふやうな、非常に苦しい茨の道を歩んで來て、今尚ほ落著く所に落著けない所の多くの人々があると云ふことを、私は目を蔽うてはいけないと思ふのであります、即ち戰時中に於きまして所謂彈壓的な企業整備に依りまして、強制的な轉廢業を致されました所の中小商工業者をどうするのか、是等の人々は歸農を致さうとして農村に參りますれば、農村に於ては是等の人々を受入れるべき余地はないのであります、更に工場に參りましても、或は役所に參りましても、それぞれの門戸は固く閉ざされまして、是等の人々を受入れる所の途は少しも開かれて居らぬのであります
〔塚田委員長代理退席、委員長著席〕
隨て已むを得ず、先程申上げましたやうに、自己の父祖傳來受繼いだ所のなけなしの財産を賣喰ひし、僅かばかりの貯蓄を使ひ果して、今や氣息奄々として自己の向ふべき道に苦しんで居る、さうして自らの運命を呪ひ、更に國家の施策に對して呪ひを發しまして、知らず識らずの裡に、是等の人々が思はざる方面に走ると云ふことが今日の現状であります、曾ては我が國の文明に寄與致しまして、文化の發達に大きな貢獻を致し、國民の中堅にして而も穩健な思想の持主として、非常に社會に重きをなして居りました所の是等の中小商工業者は、遂に自らの生きる道がなくして、思はざる邪道に踏み入れざるを得ないと云ふやうなことが、滔々として底止するする所を知らずと云ふやうなことになりましたならば、私は如何に現内閣竝に閣僚諸公が一生懸命になつて經濟を建直し、日本の再建を圖らうと致しましても、私は此の面から大きな破綻が來るのではないかと云ふことを憂ふる者であります、隨て私は是等の人々に對しては政府はもう少し温い手を差伸べると云ふことに付ての、本當の御計畫を御披瀝願ひたいと思ふのであります、殊に企業許可令の如きものが只今現存致して居りまして、此の企業許可令の阻む所に依つて、小さいながらも一つの企業に取付いて、自分の生活を建直すと同時に、國家の經濟に寄與致さうとする所の熱意も、此の戰時中の所産である所の企業許可令の爲に阻まれて、それをなし得ないと云ふことも今日の現状であります、先程私が御尋ね致して居りまする國家總動員法に依る所の命令勅令等に依つて、何と何とを廢して何を殘されると云ふこと、本當に問ひたい所は此處であります、企業許可令は御承知のやうに國家總動員法に依りまする所の勅令に依つて定められて居るのでありますが、是が當然今月中に廢止になりましたならば、更に之に代るべき柵を設けて、是等の憐むべき、人々に對して門戸を固く閉ざされると云ふやうな途を、再び採られるのかどうか、幸ひに致しまして左樣なことなく、此の企業許可令と云ふものが此の際撤廢されると云ふことでありまするならば、全國の中小商工業者はどれだけ喜ぶかと云ふことを、私は心竊かに思ふのであります、殊に企業許可令が撤廢され、更に自己の曾ての營業に──假令其の營業から收益を受けることは能はずと致しましても、戰爭に依つて涙と共に打切られた所の懷かしい自分の職場に戻り得ると云ふことの安心と、そして其の將來に對する假令淡いながらも大きな希望を持つて、國家の經濟再建の爲に小さい力を捧げ得る、曾て我が國の文化に商工業を通じて貢獻致しました所の是等の人々が、更に過去の經驗等を活かしまして、大いに此の國家建直しの非常時にお役に立つことが出來ると云ふことになるのではないかと思ふのでありまするが、此の點に付きまして一つ御意見を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=105
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106・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 戰時中企業の整備に依りまして、父祖傳來の仕事を御廢めになつた方は相當ございます、其の後新しい仕事がない爲に、色々御困りの方もあらうと存じまして、洵に御氣の毒に存じて居る次第であります、只今御尋ねの企業許可令の關係でございますが、終戰後勿論此の種の統制は成べく早く廢止する方が宜しいと云ふことを考へまして、工業方面には早くより之を撤廢致しました、殘つて居りまするのは、配給の方面で纖維外若干の品物に付て、尚ほ許可令の適用があると云ふやうなことになつて居ります、併しながら此の勅令も本月末を以て廢止をせられる譯でございます、隨ひまして其の後に付きましては、此の新しい需給調整法に依りまして、消費者の立場を考へました適當な配給統制を考へると云ふことは致しまするけれども、此の許可令を延長する意思はございませぬ、左樣に御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=106
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107・田中實司
○田中(實)委員 私は只今の御言明で滿足致します、次に御尋ね致したいと思ひまするのは、やはり其の轉廢業の問題に關聯して居るのでございますが、御承知のやうに戰時中に於きまして先程申上げましたやうに殆ど強壓的に轉廢業を致させました場合に於きまして、之に對する轉廢業の資金であるとか、或は又其の有して居ります所の資材竝に設備、工場、商品等を買上げ致しました所のそれぞれの金額が、特殊預金として拂はれて居るのでありますが、此の特殊預金は五箇年の年期になつて居りまして、まだ其の年限になつて居らないのでありますのに、偶偶今囘補償打切の對象となりまして、是等の特殊預金を全部是が對象として、是等の人々が更に將來立上らうとする時の爲の資金、或は其の他の必要な經費に充てると云ふやうなことは出來得ない状況になつたのであります、隨て之に付きましては復興金融金庫其の他に依つて、政府はそれぞれ御考へになるやうなことを漏れ聞いて居るのでありますが、併し私は茲にどうしても納得の出來ぬ問題があるのであります、是は寧ろ大藏大臣に御尋ね致さなければならぬと思ふのでありますが、大臣御出席になつて居りませぬので、膳國務大臣に御尋ねを申上げ、國務大臣が此の問題に對しまして、大藏當局と云ふ立場ではなくして、經濟安定本部長官として之に對する御判斷を願ひまして、若し私の申上げることに御贊成でありましたならば、是非とも大藏當局に、強い意味での御折衝が願ひたいと思ひまするのは、國家が、轉廢業をした爲に、所謂報奬的な意味を以て渡しました所の金額に對しましては、是は補償打切の精神から申しまして、是が對象となると云ふことは已むを得ないことであつて、之に對して私は異議を挾むものではありませぬが、設備工場、商品等は是は明かに當時自己の手を以て他に轉賣致しますれば直ちに資金化し、直ちに現金化して自己の財産として保有することが出來たのでありますが、一律に國家の政策に依りまして、之を中央金庫に買上げせしめ、さうして若し是が損害が行つた場合に於ては、中央金庫は之を國庫の補償に依つて賄つて行くと云ふ建前でありますが、私の承知致して居ります範圍内では、是等の設備、商品、工場に於きまして、多く損害を蒙つたものはないのであります、そして現實に此の商品の代金なり、或は設備其の他の代金は中央金庫の手に入り、更に政府は之に對し豫想して居りましたやうな多くの損害を受けて居ないのぢやないかと云ふことを私共は承知致して居るのであります、既に人の設備或は商品等を買上げて、其の代金を懷ろにした、所謂特殊預金と云ふものを、之を整理の對象として拂はないと云ふやうなことは、私はどう云ふ意味か納得が出來ぬのであります、左樣な實情に付きまして十分に御研究を願ひ、御調査を願ひまして、私の申上げますることが本當に受容れられると云ふことでありましたならば此の補償打切りの爲の所謂特殊預金と云ふものの中から、此の轉廢業に依つて買上げられた所の商品、設備其の他の特殊預金は、例外的な措置を執つて戴かなければ、是は國家と致しましても、是等の人々に對して相濟ぬのぢやないかと云ふことを私は考へるのでありますが、此の點に付て御答へを願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=107
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108・膳桂之助
○膳國務大臣 只今御擧げになりました問題、實際問題と致しまして甚だ御同情申上げるべき點が多々あるのでありまして、之に關しましては近く戰時補償特別税法と云ふ形で、どう云ふ範圍まで補償の打切りが及び、それに關聯します特殊預金の運命がどう云ふ風になるかと云ふことが明かになるのでありますが、只今御述べになられましたことに付きましては、私としては衷心同感を持つて居るのであります、唯此の戰時補償打切りの問題に付きましては、色々の方面の問題との見合ひもありまして、或る場合には涙を呑んで馬謖を斬る、併しながら他の方面に於て之を援助すると云ふやうな場面も出て來ようと存じます、政府としましては之に對して出來るだけの力を擧げて善處する積りで居りますが、今御擧げになりました問題に付きましてどうかと云ふことは、まだ色々の關係に於て研究折衝中の問題もありますので、今日御答へを申上げられないのは大變殘念であります、御氣持は大藏當局にも御傳へ申上げることを喜んで致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=108
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109・田中實司
○田中(實)委員 私の申上げましたことを大體御會得願つたらうと思ひますが、只今の御説明に依りまして一部危惧な點がございます、私の申上げますのは國家が商品なり其の他のものを買上げて、そして、之を他へ轉賣してしまつて、所謂國民の品物を自分が買上げたと云ふ形で取上げてしまつて、そしてそれを他へ賣つてしまつた、其の賣つた代金は國家へ納まつて居つて、此の補償の精神とは全然違ふのである、國家が損害を補償すると云ふことは、國民更生金庫に對しまして、此の買取らしたものが若し損をした場合補償すると云ふことであります、私はそれ以外に何も此の問題に付て色々御研究を願ふと云ふ問題はないのでありまして、是は寧ろ轉廢業に對する共助金其の他のものと、截然と御區別にならなければならぬ性質のものぢやないかと考へて居りますので、若しそれが不幸に致しまして最惡の場合、此の所謂商品其の他の買上代金と云ふものの特殊預金が、政府の共助金と同じやうな取扱をされた場合に於ては、所謂轉廢業をした所の業者、或は工場主と云ふやうな者は、不當に自己の財産を取上げられたと云ふことになりますので、私は是は何と考へましても不合理であると云ふことを申上げたのであります、此の點を一つ十分御諒承願ひまして大藏當局と嚴重な御折衝を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=109
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110・膳桂之助
○膳國務大臣 只今の問題は色々關係します事項もありまして、御意見の趣旨は明瞭に了承致しました、此の問題に付ては本日直ちに何とも申上げ兼ねる問題でまあ暫く御猶豫が願ひたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=110
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111・田中實司
○田中(實)委員 それでは此の問題に對しましては、是れ以上申上げても詮ないことでありますので、只管膳國務大臣の御善處を要請致しまして打切りたいと思ひます
〔委員長退席、塚田委員長代理著席〕
次に御伺ひ致したいと思ひますことは、先程同僚の方も御述べになつたのでありますが、終戰後に於ける物價の建前が非常に混亂致して參りました、私は曾ても私的に色々と御話を申上げたのでありまするが、今日統制經濟の下に於て而も價格を嚴密に丸公制度に依つて抑へて居る今日、其の價格と云ふもの自體を眺めました時に、私は寧ろ「ナンセンス」ぢやないかと云ふことを考へられるのです、實際公正適正な價格の建てられて居るものと、只今申しました「ナンセンス」に近いやうな價格が、平氣で丸公として市場を横行して居ると云ふやうなことは、是は何としても避けなければならぬ所の現象でありますが故に、今囘此の法案が通過致しますと假定致しました場合更に經濟安定本部に於て、此の價格問題に對する新しい御構想を御建て直しになりまして、今日の價格政策と云ふものに對しまして、根本的な「メス」を入れて御變改になると云ふやうな用意があるかどうか、又若しそれがおありならば、どう云ふやうな方向に向つて御進みになる積りであるかと云ふことを御伺ひしたいのであります、先程も御尋ねがありましたやうに、唯單に九・一八の何倍であると云ふやうな漫然たる價格の建て方は、必ずしも現状に即して居らないのでありまして、今日國民生活に最も必要な物資と然らざる物資とに依りましては、相當の大きな開きがあるのであります、私共今日眺めて居ります所に依りますと、國民に最も大切な生活必需物資は、是は又已むを得ないものと致しましても、比較的必要にあらざる物資に致しまして、相當の高額なる所の價格が定められて居ると云ふやうなことは私は何としても此の際、是正を致さなければ、一般の物價に大きな影響を來すのぢやないかと思ふのであります、殊に私は先程同僚から御尋ねになりましたことに對して御答辯を聽いて居りまして、熟熟感じて居つたのでありますが、斯樣な價格の問題を、官廳に於て一つの標準を御定めになると云ふことは極めて危險なことでありまして、私は寧ろ是等の問題に付ては業者を信じて、業者の公的な團體の自治的な所謂査定に依りまして、澤山の所謂何千何萬、何十萬と云ふ所のものに對する價格を御定めになつて行くと云ふことが、最も宜いのぢやないかと思ふのであります今までの──私はさう云ふことを申上げたくないのでありますが、官僚と云ふ言業は使はせて戴きますれば、官僚統制の弊害の中には、何事もお役所で決めたことが至上である、是が最善であると云ふやうな考へ方の爲に、さうして又其の反面には、民間で決めたこと、民間のなすことは總てが劣つたことであり、又民間の者の考へ方は總てが自己本位な、所謂利潤追求的な考へ方であると云ふやうな先入觀を以て御取扱になつて居ると云ふことが、非常に大きな禍ひをして居るのではないかと思ふのでありまして、私は政治の要諦から申しましても、やはり國民を信ぜざる所に本當の政治はないと思ふのであります、物價政策、經濟政策、價格政策を行はれる上に於きまして、業者を信じない所に本當の經濟政策、價格政策は樹立されることはないと思つて居ります、固より業者の中にも過つた者があるのでありますが、斯かる例外的なものを捉へまして、直ちに業界全體、業者全體を惡いものと云ふ御取扱ひの前提の下に、色々な問題を御解決になると云ふことは、民主的な考へ方から申しましても避けなければならぬと考へるのであります、故に今日の官廳に於きまして、數萬數十萬のものに對する價格を急速に是正して、之を變改されると云ふやうなことは、技術的にも肯定出來得ないのでありますので、是等は須く業者の本當に民主的に組織されたる所の團體を信頼致しまして、此の團體を基準として、それぞれの價格を適正に決定せしめると云ふことが、寧ろ業者をして良心的な物の價格形成を、官廳に提出せしめると云ふやうな意味に於ても、もつと效果的ではないかと思ふのでありまするが、斯かる構想等を御持ちになるか、ならないのかと云ふやうなことに付て御尋ね致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=111
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112・膳桂之助
○膳國務大臣 價格の問題は、兎に角にも此の無理な戰爭をやりまして、無理な物資の需給、是が總ての混亂の因でありまして、之を數箇月の間に、此の混亂した價格、言葉を換へて申しますれば、需給の非常な不自然と云ふものを矯めまして、希望するが如き物價水準の下に、短期間に之を目的通りにすると云ふことは中々困難な問題であります、從來執り來りました方策に付きましては、今朝物價廳の次長から縷々申上げた通りであります、是からどう云ふ風な物價標準に依つて新物價の水準を定めるかと云ふことに付きましては、根本の考へ方に付ては、是は何れ物價廳に於きましても物價委員會なるものが開かれまして、能く色々な方面の人の間に熟議をして貰ひたいと思ひまするから、私が輕々に私見を述べて、それが是からの確定的の方針と申述べるのは甚だ濳越でありまするが、大體自分と申しますか、只今物價廳で考へて居ります構想を申上げたのであります、只今御指摘のありました、官自ら總ての物價を定めて、民間の自治協定値段と云ふやうなものを信じないのだと云ふやうな御意見、私も豫てからさう云ふやうなことを申して居る一人なんでありまして、物價を公定します際にも、微に入り細に入り、凡ゆる品目に付て公定相場を定めると云ふことは甚だ無理なことでありまして、國民の生活必需物資及び産業再建に必要な資材、重要物資なるものに付きまして、又需給調整の著しく困難なるものに付きましては已むを得ませぬけれども、漸次需給の見合せの出來る見込みのありますもの、又國民の生活の上から見ましても生産再建の上から見ましても「ウエイト」の少いやうなもの、斯う云ふやうなものは漸次官の統制竝に價格の統制から外しまして、或る一つの標準の下に、自治的な協定値段が自然的に無理のない發達をするやうに指導するのが適當ではないかと、私は左樣に考へて居りまして、是から物價廳が新たなる物價水準に於て新たなる物價統制の公式に於てやりますものに付ても、私はさう云ふ特色と申しますか、さう云ふものを發揮したいと思つて居るのであります、是も辯解がましく申上げる譯でもございませぬけれども、是等はやはり一應兎に角私共の構想を、近い機會に於きまして、物價委員會の天下の謂はば公論と云ひますか、衆智に問ひまして、是等の考へを段々と具現して參りたいと存じて居るのであります、どうぞ御諒承を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=112
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113・田中實司
○田中(實)委員 次に私御尋ね致したいと思ひまするのは、本法案の第二條には、主として割當に關する指定産業團體のことが規定されて居るのでありまするが、是は産業の基礎資材に關することのやうに解されるのであります、更に民生安定の爲に絶對必要なる物資の配給と云ふことに關しては、どう云ふ風な御取扱をなされるのであるか、茲に第一條第一項第一號に示してありまするやうに、割當及び配給と云ふことになつて居りますが、此の第二條に於きましては、明かに割當と云ふことを規定致して居るのであります、此の場合に配給との關係、取扱をどう云ふ風に解釋して宜いものであるかと云ふことを御尋ね致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=113
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114・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 需給調整法第一條第一項の第一號には、割當又は配給と云ふ二つのことが書いてございます、割當は只今仰せになりましたやうに、原則と致しまして、産業團體をして企業別の割當を致す譯でございますが、配給と申しますのは、是は現物の物の流れの系統を見たのでございまして、之に付きましては別途御手許に資料を配りましたが、物に依りましては一つの會社に買上げまして、之を流して行くと云ふ形を取りまするし、又需要者、供給者共に少いやうなものに付きましては、關係者の方々の配給協議會を作りまして、其の協議會に於て物の流れを維持して行く、斯う云ふ形を執る豫定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=114
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115・田中實司
○田中(實)委員 最後に大臣にもう一點御尋ね致したいと思ひます、先程私は企業許可令の問題に付て申上げたのでありますが、今日の我が國に於ける中小商工業者と云ふものは、非常な悲境にあるのでありまして、殊に是が生活の面に於ては刻々として其の危急を告げて居ると云ふのが現状であります、是は何と致しましても急速に救濟を致してやらなければならぬと云ふことは當然でありますが、私は一面に於きまして是等の人々に對しまして、本當に自分自らの力に依つて、又業界團體等の力に依つて立起り、さうして生き拔くと云ふ上から考へました場合に於きましては、やはり團結の力が最も大切であらうと思ふのであります、今囘安定本部に於ても御參畫になつたであらうと思ふのでありますが、御提案になるべき所の草案を拜見致しますと、商工協同組合法案の性格は、私の申上げました斯う云ふやうな意味合から非常に對蹠的のものを示して居るのでありまして、私は是では商工業者は立上ることは出來得ないと云ふことを考へるのであります、一面自由主義的な考へ方から、今までの戰爭時代のやうに所謂指導者原理とか、或は統制原理とか云ふやうなことに依つて、業者を縛るやうなことは宜くないと云ふことは、私も同感でありますが、一面業者が團結する所の何かの法規を與へられなければ、此の業界が段々と寂れて行き、將來に於ては生きることが出來ないと云ふ淵にまで追込まれると云ふことまで思ふのであります、今日勞働者は勞働組合に依りまして勞働組合法の保障される所であり、更に憲法に依りましても保障をされまして、團結をする權利を持つて居ります、此の團結の力に依つて自らの生活權を擁護し、自らの運命を何處までも打開して行くことが出來るのでありますが、獨り國民の將來に於きましても、中産階級として最も大切な役割を果さなければならぬ所の中小商工業者に於てのみ、此の團結の力がない、隨て之には所謂勞働組合に於ける罷業權、「ゼネスト」と云ふやうなことに對するやうな、何等の力を持つて居らぬと云ふことは、偶偶是等の業者が將來に伸びることが出來ぬと云ふ一つの要素であらうと考へるのであります、更に又今囘斯樣な統制組合法が改組されまして、其の最も反對の方向に行くべき協同組合法が提案されると云ふやうなことになりますれば、私は業者はどう云ふ方面に此の強い團結能力を以て、さうして自分の生活、自分の業態を擁護することが出來るのであらうかと云ふことを考へるのでありますが、之に對しまして是等の階級の將來に對して、膳國務相はどう云ふ御考へを御持ちになつて居るか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=115
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116・膳桂之助
○膳國務大臣 今度提案されまする協同組合法案、之に對しまして、團結の力を示すのに力が足りないぢやないかと言はれます意味が、私に何か勞働組合と同じやうな、そこに保障された團結權に比較しての話でありますが、私には御尋ね下すつた御趣旨がぴんと參つて居らないのであります、私はやはり何と申しますか、中小工業者の組合の機構と云ふものは、階級的の意識或は又社會の或る方面に、自分の一つの對蹠的の階級を考へて、之に對する鬪爭的の思想を以て結ばれる團體では、中小工業の行くべき途を本當にやるのに少し違ふのではないかと思ふので、其の點が、御説が私に映らないのかも知れませぬけれども、私はやはり中小商工業者の是等の組合は從來のやうな統帥者原理に依るものでなく、又不自然な強制加入或は費用の強制徴收と云ふやうなことで束縛されるものでなく、本當に自覺した銘々の氣持が自然團結して、其の中に本當の自主的な團結が出來て、自分達の仕事を開拓して行く、それにはやはり從來のやうな強制加入、強制徴收と云ふやうな形ではいけない、又或は勞働組合であるとか小作組合であるとか云ふやうな、さう云ふ形と云ふか、精神の下に團結さるべき組合ではなくて、協同の商工業上の目的を達しまする別種の、さう云ふ階級的の思想を伴はない自治的のものであつてこそ、中小工業の健全な發達が指導出來るのではないかと云ふ風に考へて居るのであります、私はやはりああ云ふやうな考へ方の組合が本當に盛立ち、起き上つて、自分達の生産意欲と申しますか、企業意欲と申しますか、それで結び着いて初めて健全な「デモクラティック」な商工業の形體が出來上るのではないか、斯う自分では考へて居ります、私の答辯申上げますことが御質問にぴつたり合つて居るかどうか分りませぬけれども、左樣に一つ御諒承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=116
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117・田中實司
○田中(實)委員 私の申上げることが足らなくて確りと御聽き願はれなかつたことと思ひますが、私はさう云ふ意味ではないのでありまして、今囘協同組合法案と云ふものが上程致されましてどう云ふ運命になりますか、兎に角其の草案の示して居ります所は、只今私が申上げましたやうに、又國務大臣から御答辯のありましたやうに、極めて「フリー」な自由主義的な、所謂上から抑へ付けると云ふものでなくして、下から御互ひが寄合つて、さうして自分達の利益を協同で圖り合はうと云ふことでありますから、之に對して私は異議はないのでありますが、少し質問の意思が徹底して居らなかつた憾みがあるのであります、結局階級的な爭、或は階級的な意識を以て申上げるのではありませぬ、今日の勞動運動も決して是は階級鬪爭的な運動でないと私は考へて居るのであります、自己の生活權を擁護する、當然自己の權利として何處までも此の勞働組合運動を遂行して行かれるのだと私共は承知致して居るのであります、それと同じやうに、中小商工業者が自己の生活權を擁護する爲に、法規を以て何か之を擁護して呉れるやうな施策を御執りになることを、政府は將來御考へになるかならぬかと云ふことを御尋ねしたいのであります、此の點に付て御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=117
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118・膳桂之助
○膳國務大臣 中小商工業者、此の範圍に付てはどう云ふやうな線を引いて宜いか、中々難かしいことでありますが、特に中小商工業者たるが故に國家に一の生存權を與へよ、又自分達に或る保護施設を與へよと云ふさう云ふ行き方に付てはまだ別に考へたこともありませぬし、果してそれが「デモクラティック」の産業の再建に有益であるかどうかと云ふことに付ても、私は疑問を持つ者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=118
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119・田中實司
○田中(實)委員 私が誤つて居るのかも知れませぬが、此の點に付て一つの意見を持つて居るのでありますが、直接本案とも關係が薄いので、他日の機會に又御伺ひすることに致しまして、私の質問は以上を以て終りと致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=119
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120・塚田十一郎
○塚田委員長代理 次に、通告順に依りますと前田榮之助君になつて居りますが、前田君の御諒解を得ましたので、此の際小野孝君の司法大臣に對する質疑に限り之を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=120
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121・小野孝
○小野(孝)委員 質疑の順序が變つて妙なことになりますが、大臣の御都合もあるさうでありますから、主として法律問題に付て、就中新憲法草案と本法案との關係に付て御尋ね致したいと思ひます、本法案の第一條第一項第一號にしても、第二號にしても、第三號にしても、新憲法草案の第二十七條で保護して居ります所の財産權の侵害を伴ふものだと考へるのでありますが、如何御考へでありますか、唯勿論新憲法で保障して居る財産權も、同じく第十一條に規定して居る「公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」と云ふ條件がありますので、其の點で此の法案が許される、斯樣に御考へなのか承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=121
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122・木村篤太郎
○木村國務大臣 御説の通りであります、新憲法草案は第十一條、勿論のことであります、それから二十七條の第二項であります、是等も之に關聯して當然本法案實施に付ては妨げないと云ふ考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=122
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123・小野孝
○小野(孝)委員 第一號、第二號に付ては稍稍私も納得するのでありますが、問題は第三號であります、是は實際問題としては恐らく甲工場、乙工場があつて、甲工場は能率が上らない、だから乙工場に其の設備を讓渡さして經營させると云ふやうな場合を想定して居ると思ふのでありますが、其の際に甲工場から乙工場に賣らせると云ふことが、第二十七條の第二項の規定の「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と云ふ、此の公共の爲めと云ふ範圍に入るかどうかと云ふ點は、私は非常に疑はしいと思ひます、勿論國家の施設として利用すると云ふやうな場合は、當然許さるべきでありますが、單に能率が稍稍良いと思はれるやうな他の私人に、財産を讓り渡すことを命ずると云ふやうなことは、果して公共の爲に用ひることと云ふ風に言へるかどうか、疑問だと思ふのでありますが、此の點に關する御見解を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=123
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124・木村篤太郎
○木村國務大臣 御答へ申上げます、本法は御承知の通り物資の圓滿なる需給を圖る爲にある、全般的に見て是は國家の一つの大きな公共の福祉を目的として居る、其の觀點から見て、今御説のやうなことも當然解釋として含まれると云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=124
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125・小野孝
○小野(孝)委員 司法大臣の解釋ですと、本法案の大眼目が既に社會の福祉を目的とするものであるから、其の下に行はれる事柄は差支ない、斯樣な意味のやうでありますが、私は少し疑問に思ひます、假に極端な場合を考へますと、本法案の大きな目的は、社會の福祉の増進にあることは確かでありますけれども、偶偶間違つた官吏が居つて、其の法の精神に取誤りのあるやうな措置を執つた時も、尚ほ許されるやうなことになりはせぬか、隨て本法案全體の趣旨が社會の福祉に適するから、それに基く法律行爲は許されると云ふことは言へないのであつて、やはり其の個々の場合が果して公共の福祉の爲に要求されたことであるかどうかと云ふことに依つて、憲法違反であるか違反でないかと云ふことが決まるのだと私は思ふのでありますが、重ねて御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=125
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126・木村篤太郎
○木村國務大臣 個々の官吏の不當な處分、それは無論行過ぎもありませうが、それは又其の具體的の場合にそれを是正する方法手段も執り得るのであります、やはり斯う云ふ法案を作る時には、全般の福祉と云ふことを考へて、具體的の場合は又具體的の場合で、之を別段の措置に任せると云ふのが當然だらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=126
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127・小野孝
○小野(孝)委員 意見の違ふ所もありますが、是は討論の際、又は本法案に對する態度を決める際のことに致しまして、是れ以上議論は致しませぬ
次に御伺ひ致したいことは、本會議でも問題になりました第三條の所謂臨檢檢査が、新憲法草案の三十二條の住居權の侵害にならぬかと云ふ問題に付きまして、司法大臣はさうではないと、斯樣な答辯をされたのでありますが、之に對しましても私は疑ひの眼を持つのであります、もう一度此の點に關する御見解を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=127
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128・木村篤太郎
○木村國務大臣 御答へ致します、改正憲法草案三十二條は御承知の通り、犯罪を前提とした規定であります、要するに此の規定は、犯罪搜査の爲に、強制的に犯人或は證據品を發見する爲に、住居の侵入も出來るし搜査も出來ると云ふ規定であります、隨て此の三十二條は刑事の手續に關するものであります、本法案の第三條は、是は行政目的で出來て居るのであります、殊に關係者から報告を取り、或は當該官吏に必要な場所を臨檢させると云ふやうなことは、實は平穩裡にやらうと云ふことが建前になつて居るので、是と第五條の罰則の規定の「第三條第一項の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者」斯う云ふ規定から綜合して御考へ下されば、極めて明白であります、檢査を拒む、是は憲法草案三十二條から言ふと拒むも何もないのであります、拒まうが拒むまいがそんなことは勝手なんです、強制的にやつてしまふ、拒むと云ふことは、一應平穩裡に行つて本人の承諾を先づ求めると云ふことが前提になつて居るのであります、それを平穩裡に調査をしようと云ふ時に、拒んだ時には此の規定が出て來る譯であります、憲法草案三十二條とは全然法の建前を異にして居るのであります、要は憲法草案第三十二條は、犯罪搜査の爲にやる、犯罪があることを前提としてやつて居るのであります、刑事手續であります、本法案の三條は詰り行政目的である、結局平穩裡に搜査を求めて行かうと云ふことでありますから、法の精神が根本から違つて居る、左樣御諒解願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=128
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129・小野孝
○小野(孝)委員 問題は少し多岐に亙つて來たやうでありますが、先づ新憲法草案第三十二條の規定が、司法大臣に依ると犯罪搜査、犯罪のあると云ふことが前提なんで、刑事の手續に關する規定である、斯樣な解釋を執られるやうでありますが、私はさうではないと解釋するのであります、若し刑事手續の問題だと解釋するならば、住居不可侵の規定は此の憲法の何處にありますか、ないのであります、此の三十二條と云ふものは住居不可侵の規定が主であつて、其の住居不可侵の權利は犯罪搜査の場合であつても是々の手續を執らなければならぬ、さう云ふ規定であると私は考へるのであります、そこから問題の解釋の差が始まるのでありますが、先づ此の點に對して司法大臣の御意見を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=129
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130・木村篤太郎
○木村國務大臣 此の三十二條は私が今申上げた通り、結局犯罪搜査の爲にやる規定だと諒解して居ります、それで、犯罪搜査の爲にする令状を要すると云ふことになつて居るのでありますから、勿論普通の場合には勝手に住居に侵入することは出來ないと云ふことは當然であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=130
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131・小野孝
○小野(孝)委員 只今の御説ですと、三十二條は住居不可侵權の一般的規定であると云ふことを御認めになられたやうに思へるですが、犯罪搜査の場合ですら是れ是れの要件を必要とすると云ふ規定である、斯うしますと、本法案第三條の臨檢檢査、事實問題として臨檢檢査と云ふものが、住居の侵入又は其の書類及び所持品に付て、搜索押收と云ふ事實を伴はないのだと云ふ事實の解釋問題になると、是は又別問題になりますが、一應我々は臨檢と云ふものは住居侵入と云ふものを伴ふと云ふ解釋の下に論ずる譯です、さうしますと、司法官憲が發する令状を以てしなければ住居に這入れないものを、司法官憲でない者が一片の身分證明書を以て住居に入つて行くと云ふことは、明かに憲法違反ではないか、斯う云ふ議論なんでありますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=131
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132・木村篤太郎
○木村國務大臣 御答へ致します、是は小野君と大分御考へが違ふやうであります、あなたの方は詰り強制をして入ると云ふことを前提として御考へになつて居るのであります、三條はさうぢやないのであります、身分證明書を持つて、勝手に臨檢して搜索をすると云ふ規定ではないのであります、先づ本人の承諾を求めて平穩裡にやる、其の場合に何等の理由なくして拒んだ場合に、初めて五條の罰則の規定でそれはいかぬぞと云ふ規定でありますから、是は強制的に何も三十二條のやうな強制力を以て、本人の意思を無視してやると云ふ規定ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=132
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133・小野孝
○小野(孝)委員 先程私其の第二點に觸れるのは特にああしたのですが、此の第三條の臨檢、帳簿檢査の問題を強制してやるのかどうかと云ふ問題は一つの議論になるのでありまして、司法大臣の擧げられました罰則の所の、「第三條第一項の規定による檢査を拒み、妨げ、又ば忌避した者」とありますが、臨檢の條項は此處に書いてないのであります、さうしますと臨檢と云ふものはやはり承諾を得ないでやると云ふ前提のものではない、檢査の方は承諾を得ると云ふ前提だから、それを拒めば犯罪になると云ふことは書いてありますが、臨檢のことは其處に書いてありませぬ、是等の思想から言つても、私は臨檢と云ふものは否應なしに家の中に入るものと云ふやうに考へるのでありますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=133
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134・木村篤太郎
○木村國務大臣 臨檢も強制ではやられぬと御解釋を願ひたい、無論臨檢は本人の意思なくしてやることは出來ない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=134
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135・小野孝
○小野(孝)委員 それでは此の際法律論と言ひますか、解釋論は止めまして、立法論に入りたいと思ひます、左樣なものであれば果して當該官吏に臨檢し、檢査させるやうな規定の必要が、行政的にどれ程あるのかと云ふ問題になつて來るだらうと思ひます、物の報告を關係者から取ると云ふ義務を負はして置けば、其の義務に違反することは犯罪行爲になるのでありませうから、其の上で犯罪があるかも知れぬと云ふ前提の下で、司法官憲が憲法に規定するやうに、眞正面から入つて行けば宜いので、さう云ふ廻り諄いことをする必要がないぢやないかと云ふやうに考へるのであります、併し是は司法大臣の問題ではなくなつて、それは經濟安定本部若しくは商工省の方の關係になると思ひますから、商工省の方に聽きたいのでありますが、斯う云ふことをどうしてもしなければならぬと云ふ根據は何處にあるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=135
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136・木村篤太郎
○木村國務大臣 私から御答へしたいと思ひます、唯報告を取るだけでは事實の眞相は掴めない場合が幾らもあるかと思ひます、どうしてもやはり倉庫なり或は事務所なりに行つて、内容を調べると云ふことの必要が茲に生じて來るであらう、そこで今御説の通りさう云ふ行政的手段でなくして、さう云ふ場合には手取早く令状でも持つて行つて、内容を調べたらどうかと云ふやうな御説でありますが、それは私は斯う云ふ行政上の目的を達する上に於て、豫め犯罪を前提とした刑事手續を執つて行くと云ふことは穩かでない、先づ本人から報告を取り、又内容を本人の承諾を求めて能く調査すると云ふことが極めて民主的であらう、斯う思はれるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=136
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137・小野孝
○小野(孝)委員 私申上げ方が少し拙かつたのかも知れませぬが、私のは、犯罪があるかどうか分らないのに、普通の行政官吏が行くやうな意味で、司法官憲が令状を持つて行くと云ふ意味ではないのでして、私は司法官憲が令状を持つて行くと云ふやうな事態でなければ、行政官吏は行く必要はないのではないか、斯う云ふことなのであります、併し此の問題は色々議論があるかと思ひますから、一應此の程度に打切りまして次の問題に入りたいと思ひます
是は直接の問題ではありませぬが、一應新憲法のことに最も深く關係して來られた司法大臣に御伺ひする意味で申上げるのです、それは此の委員會でも或は本會議でも、一番問題になりました此の立法が大變な委任立法であると云ふ問題に搦んだ問題であります、政府側の今まで御答辯に依りますと、非常に大幅な委任立法なんで餘り氣持は良くないのだが、已むを得ず出した、唯立法事項の實質的なものも、何れ經濟安定本部會議の議を經て出すから、其の意味で官僚獨善にはならぬだらう、斯う云ふ答辯があつたのであります、そこで私御伺ひ致したいのは、新憲法に依つて國會法が如何に定まり、隨て國會の期間が幾らになり、或は常置委員制度が置かれるかどうかはまだ未定とは思ひますが、假に國會が常置されるものであれば、或は又常置委員會の制度がありますならば、本法案に依つて委任されて居る所の事項を規定する閣令、或は省令と云ふのは、當然其の議を經なければならぬものだと考へるのであります、そこで結論から申しますと、私は國會議員だけを以て組織する一つの委員會を作つて、立法事項に關する限りは、其の委員會の議を經てやると云ふことにするのが當然ではないか、さうして議會の常置委員會と云ふものが出來たならば、私の申上げるやうな委員會は其の常置委員會に其の席を讓る、斯う云ふことにするのが當然ではないかと考へるのであります、此の經濟安定會議に掛けるからと云ふことは、私をして言はしむるならば、少し立法府と行政府との關係をこんがらかせるものであると實は思ふのであります、新憲法の下に於ては行政府と立法府とは、はつきり分れて居るのでありまして、殊に立法府は國權の最高機關として、監督も致さなければなりませぬし、又唯一の立法機關として立法事項は總て國會が之を扱ふのであります、所が其の經濟安定會議と云ふものは、元來が行政府の諮問機關であらうと私は考へます、其の行政府の諮問機關である經濟安定會議に、立法事項を付議したからと云つて、それで國會の唯一の立法機關としての使命を侵犯しないと云ふ議論にはならぬと私は思ふ、それで此の議論を推進めますと、少しややこしくなるのでありますが、私は大體安定會議なるものに衆議院議員を入れることに實は反對なんです、普通の行政機關の諮問機關である所の經濟安定本部會議と云ふものに衆議院議員を入れると云ふことは、非常に其の責任を混淆することでありまして、後になつて衆議院議員が國會の立場から行政府を監督する場合に、其の責任がどうなるかを問題も濳んで居るのでありますから、私は其のことにも實は反對なのでありますが、それは觸れないと致しまして、少くとも斯かる大幅の委任立法をやる以上は、其の委任した事項を定める所の勅令、閣令、省令と云ふものを付議する、一つの議會人のみを以て組織する委員會を作るのが、今日の政治情勢としては當然のことであると私は考へるのでありますが、之に對してさう云ふ御用意があるか、或は御考へがあるか承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=137
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138・膳桂之助
○膳國務大臣 本法を施行する上に付ての諮問は、安定會議に總て集中して居ります、安定會議の中で又色々な小委員會的な、一つの部分的のものが出來るかどうかと云ふことは、安定會議の運營に關係する所でありますけれども、現在に於きましては此の第一條に基きます省令等を作ります爲に、兩院の議員のみを以て組織する特別の委員會と云ふことを考へては居りませぬ、やはり是は、誤つたら後で訂正致しますが、私共の了解に依りますれば、新憲法に於きましても、法律が事仔細に、成べく委任命令と云ふものは避けるのでありませうけれども、法律事項の爲の委任命令と云ふものは、相當やはり認められるのではないかと思ひます、要するに此の法律の運營は新憲法の下に於きましても、總理大臣の責任の下に於きまする一つの行政事項でありまして、殊に命令或は處分命令の如きは明瞭に行政事項でありまして、そこに立法府と行政府との、何と申しますか權限が分れると云ふことも、新憲法の下に豫想されるのではないかと思ひます、此の點は私憲法學者ではありませぬので、誤つたら訂正致しますが、少くとも左樣な氣持で是は立案されて居るものと存じます、どうぞ御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=138
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139・小野孝
○小野(孝)委員 膳國務大臣から御答辯がありましたから、殊更に司法大臣の御答辯は要求致しませぬ
〔塚委員長代理退席、委員長著席〕
唯最後に申上げて置きたいのでありますが、少くとも私は左樣な措置が講ぜられなければ、斯くの如き大幅な委任立法は、議員として良心から重大な考慮を拂はねばならぬと思つて居りますが、政府當局に於かれましてはまだ日もあることでありますので、其の間の問題に關して篤と御考慮を煩はしたいと思ひます、司法大臣に對する法律關係の質問を一應之を以て打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=139
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140・竹田儀一
○竹田委員長 それでは順序通りに致しまして、前田榮之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=140
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141・前田榮之助
○前田委員 私は膳國務大臣に對しまして本法案に關する御質問を申上げたいのであります、先づ第一に、只今木村司法大臣との質疑應答の中にありました、本法案と憲法との關係に付ては、之を最後決定するものは憲法衆議院修正案の第八十一條に規定されてある譯でありまして、木村司法大臣が如何なる解釋をされても、是は最後の決定は木村司法大臣の御見解に依つて新憲法は決定されるのではないのでありますが、斯樣な問題が本法案の中に包藏されて居ることに、本法案にも一種の暗影があると思ふのであります、本法案に左樣なものがある以上、此の法案の中にありまする只今問題になつて居る即ち第一條の各項、或は第五條の第二項の點、斯う云ふやうなものを寧ろ廢められて──さう云ふ我々が考へても本法案の方が惡いと思うて居りますさう云ふ疑義のあるものは廢められて、寧ろ斯樣な罰則規定と云ふものを、配給の上から或は統制の上から之を規定して行くと云ふことが、目的を達せられるのではないかと思ふ、例を以て申上げますならば、是れ是れの事項をしない者に對しては配給を停止する、若しくは配給した物資を取上げる、若しくは進んで其の事業を廢止せしむると云ふやうな法律に變へて行きますならば、憲法との關係は大變心配なしに行けるのではないかと思ふのであります、斯う云ふやうに變へて行くと云ふ御意思があるかどうか、之に關する膳國務大臣の御所見を先づ御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=141
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142・膳桂之助
○膳國務大臣 只今の御質問は臨檢罰則等の規定をば全然削除する、さう云ふことに依つて憲法との矛盾と云ふか疑念をば一掃してはどうかと云ふやうな御意見とも存ぜられます、政府としても色々研究したのでありますけれども、此の法律が木村司法大臣の答辯せられますやうな意味合ひに於きまして、新憲法に、牴觸乃至違反はないのではないかと云ふやうな見解の下に立案せられて居るのでありまして、尚ほ本法を修正の意思ありや否やと云ふことに付きましては、私何ともまだ此の機會に於て申上げられませぬが、やはり此の規定は斯樣にしまして、濫りに此の罰則は適用さるべきものではありませぬけれども、只今のやうな配給の停止云々と云ふやうなことでは、目的は達せられないのではないか、一例を申上げますれば、物資を配給せんとする其の物資の所在は、將來割當を受けないと云ふやうな部面にはありませぬので、別に斯う云ふやうな物品を所持し、占有をして居ります人に對して、臨檢或は檢査の必要に出て參ると思ふのであります、此の割當の運用に依り、さう云ふやうな制裁が與へられない場合も多いのぢやないかと存ぜられます、やはり此の法律を運用しますのには、之を濫りに濫用すべきものではありませぬけれども、やはり法律の裏付としまして、此の種の制裁規定、及び檢査の權限の規定は必要なものではないかと存ぜられますので、只今此の規定を全然削除すると云ふことに付てはまだ考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=142
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143・前田榮之助
○前田委員 此の問題は議論を致しましても涯しがないことだと思ひますから、大體政府の意思がどの邊にあるかと云ふことを突止めた程度に致して置きます
次に本法案が今日の時勢に極めて不合理であると云ふ點に付ての御質疑を申上げたいのであります、是は多くの同僚諸君から、各方面から論議されて居るので、私の質問は重複を避けた一面から見た點を御尋ね申上げて置きたいと思ふのであります、本案は誰が見ても、非常に非民主的な法案であると云ふことは一見して氣付く點でありまして、政府は之を其の實行の面に於て、唯民主的な諸團體、民主的な行動に依つて之を補つて行くのだと云ふ説明なのであります、本法案の中にも例へば第二條に、それを實行する産業團體は、「民主的に組織された産業團體」斯う云ふやうな文句を使つて、それで民主的に是は實行するのだと云ふ證左に、盛んに説明されて居るのでありますが、法案全體は極めて非民主的であることを我々は見逃すことは出來ないのであります、さう云ふ意味から私は本案に多くの缺陷があると思ふのであります、例へば第二條の其の次に「その産業團體の行つた物資の割當の決定に不服のある者は、遲滯なくその旨を主務大臣に申し出ることができる」。と斯う言つて居るのであります、遲滯なく其の旨を主務大臣に申出ることが出來ると書いてあるので、是は寧ろ遲滯なくと云ふ文字は要らないのであつて、遲滯なくと云ふ文字が要るならば、遲滯なく其の旨を主務大臣に申出るべしとか、申出ることでなければならぬと思ふ、出來ると云ふ文句があるならば、遲滯なくと云ふ文字は要らないのであつて、寧ろ此の遲滯なくと云ふことを、私が特に申上げるのは、其の次に、「此の場合には主務大臣は事案に付て遲滯なく公正な調査及び審議をする」と云ふことでなければならぬと思ふ、即ち此の本案が、産業團體其の他に遲滯なくやれとか、民主的に組織せよと云ふことを形の上で要求して、大體世の中を胡麻化して居ると云ふ恰好に我々は取つて居るのであつて、寧ろ之を政府が責任に於てやる方は、遲滯なく完全にやるんだ、やることが出來る、其の方は拔け穴を作つて居るのぢやないか、斯う云ふやうなことなのである、此の法案全體を見ますると、産業團體は民主的に組織せよと云ふことを言つて居る、是は後で御尋ねしようと思ひますが、此の民主的と云ふ問題に付ても、寧ろ此の民主的に此の法案全體を作るならば、第一條の一項、二項、三項を、斯く斯くの民主的の方法でやると云ふことが、明確に本法案に法制化されて居らなければならぬと思ふ、其の法制化しなかつた理由をはつきりさせて戴きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=143
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144・膳桂之助
○膳國務大臣 此の法律が斯う云ふ形で出る其のことに付きましては、屡屡申上げました通り私共も是が最善な形である、或は甚だ好ましい形であるとは存じて居りませぬ、且つ根本に於て物資の統制を戰時に於ける統制と同じ形で續けると云ふやうな印象を與へる、是も面白いことでもありませぬ、出來るだけ早く統制と云ふものは、必要の最少限度に止めて參りたいと云ふやうなことに付きましては、既に度々申上げたのでありまして、此の全體の法文の構成に付きまして、どう云ふ點が民主的であるかと云ふやうなことに付ても、既に縷縷申上げたので重ねて申上げる點ももうないのでありまするが、やはり法律が出まする時其の目的とする所、それから其の運用に御信頼を願ふと、申上げるより外はないのでありまして、尚ほ今後指摘になりました字句の解釋等に付きましては、政府委員から詳細に御答へ申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=144
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145・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今の第二條の第三項でございますが、「不服のある者は、遲滯なくその旨を主務大臣に申し出ることができる。」と書いてございまするし、「又主務大臣は、事實について公正な調査及び審議を行つた上、公益に適した決定をなすことを要する。」と書いてございます、是は決して非民主的なと云ふ意味ではないのでございまして、唯斯う云ふ割當と云ふやうな仕事は、餘り其の後に於て長く掛りまして事情を調査致しますことは非常に困難でございまするので、さう云ふ割當が行はれました直後に、成べく早く主務大臣に申出て戴きたいと云ふことと、從來は斯う云ふ割當等に對しましては、斯う云ふ不服を訴へる途がなかつたのでございますが、此の規定に依つてさう云ふ權限と申しますか、割當を受ける方の立場を保護する規定を新しく作つたのでございます、一面主務大臣の方は、當然是は申上げるまでもなく遲滯なく事案を速かに調査を致して決定をする譯でございますが、さう云ふ意味で特に掲げたのでございますが、同時に斯う云ふ場合に主務大臣が公益に適した決定をなすことを要すると云ふ義務を、茲に明かにして居るのでございます、割當を受けます民間の業者の方に權利を與へ、主務大臣は之に對して義務を負ふと云ふ關係を明かにしたのでございまして、やはり民間の企業に對する保護の意味で是は書いた規定でございます、どうかさう云ふ趣旨で御諒解を願ひたいと存ずるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=145
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146・前田榮之助
○前田委員 國務大臣は本法の形態には滿足ではないが、之を運用の面に於て補ひたいと云ふ御意見であるのでありますが、斯うした案を我々議員の方から考へますと、どうも法案自體にも斯うした大きな不安を持ち、それかと言つて政府の方針を聽きますならば、政府の方針も安定會議に依つて決定すると云ふことを大部分申されるのであつて、其の政府の方針と云ふものが我我には明確にされて居らない、さう云ふ明確にされて居らないものを、唯政府を信頼し、其の御言葉だけを信頼して、運用の面で之を適正にやつて行くと云ふことだけで、我々審議する方から申しますならば、中々さうでありますかと──國務大臣個人は我々としては信用致しますけれども、我々は公人として中々さう簡單には參らないのであります、さう云ふ上に立つて次に御尋ねを申上げますが、大體政府に於ては經濟建設に對する年次計畫を立てて居るか、又其の腹案があるか、又今はないけれども將來立てようと考へて居るか、例へば經濟再建の三箇年計畫又は五箇年計畫、又是が經濟全體でなしに、それぞれ石炭に關する五箇年計畫、或は纖維に對する三箇年計畫と云ふやうな、事業別の年次計畫を立てて居られるか、若し立てようと考へて居るならば、何時頃に大體出來ると云ふ見透しが付くか、是等の問題に付ての御考へを御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=146
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147・膳桂之助
○膳國務大臣 御尋ねに御答へ申上げますが、箇々の物資に付き、又短い期間の需給計畫に付きましては、現在でも既に計畫は立つて居るのでありまして、一部分は過日資料としまして、本年度の第二、四半期の重要物資の需給計畫に付ては御手許に差上げてあると思ひます、尚ほそれに次ぐ四半期の應急的の需給計畫は安定本部で今研究調査中でありますので、是も決定致します、次に來たるべき年度に於きまする需給計畫も、今折角基礎資料を蒐集して立案を急いで居ります、尚ほ例へば重要物資の中、石炭の如きは二十五年度までの生産計畫が既に石炭廳に於て立てられて居ります、肥料其の他に於ても同樣と心得て居ります、唯重要産業でありましても、鐵鑛の如きは撤去せらるべき工場のまだ確定のありませぬ關係などもあり、又原料の輸入或は國内生産それ等の見合もありますので、まだ其の方面には出來て居らぬと思ひます、斯くの如く應急的の計畫、それから或る商品毎の計畫に付ては從來も政府は各部門でやつて居りますし、今申しましたやうに是からもやりつつある譯であります、但し是等の總ての物資を、戰後の日本の經濟の動きに見合ひました其の綜合的統一性のある計畫、是は今日立つて居るとは申上げられませぬ、かるが故に安定本部を作りまして、其の計畫を立てようと云ふのが安定本部の設置の目的の一つであります、どう云ふ風に是が立つか分りませぬけれども、やはり大體の構想は色々な場合も豫想しませうけれども、差當りの三箇年計畫、或は五箇年計畫と云ふやうな形になつて現はれるのではないかと私は豫想して居ります、何を申しましても經濟安定本部が設置せられまして、まだ一箇月になるやならずであります、私共の手許には各方面の資料、それの調査材料等蒐集中でありまするが、遲滯なくそれ等のことは漸次施行せられまして、出來次第に安定會議にも掛け、又皆さん一般の御批判も仰ぐ機會も出て來ようと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=147
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148・前田榮之助
○前田委員 どうも只今御聽きした點だけでは、政府の經濟再建に對する眞の抱負と云ふものに付ては中々了解し兼ねるのであります、併しそれは色々我々とは立場の違つた點もあらうと思ひますので、之を論議することは時間の關係上本日は致しませぬが、一つ膳國務大臣にここで御伺ひして置きたいのは、日本の今日の情勢と云ふものは、私が申すまでもなく、敗戰の憂目に立つた、所謂物資の點から、或は産業設備の點から、或は徴用の點から、各方面が敗殘國としての形態になつて居る、隨つて總ての産業を、現在に於て極めて合理的な計畫的な面へ進めようと致しまするならば、此の破壊された現状が極めて跛行的であると云ふ状態を考へまして、非常な高度な計畫性を持たなければならぬと云ふことは、私が申すまでもなく、大體今までの御答辯に依つて國務大臣も左樣に感じて居られるらしいのでありますが、今後世界經濟へ入つて來ます日本が、唯單に今までの日本産業を合理化さしたやうなことでは、到底日本は世界經濟と肩を竝べて行くことは困難だらうと思ふのであります、殊に此の問題に付ては、曩に西村君からも色々説は出て居るのでありますが、今後の世界は所謂科學に依る所の經濟革命が行はれるものなりと云ふことを前提として、我々日本産業の再建に對しては規範としなければならぬと考へて居るのであります、一昨日の新聞でありましたか、既に「アメリカ」に於ては原子力に依つて發電の可能なことを發表して居ります、十九世紀の經濟革命が蒸氣機關の發明に依つて行はれたやうに、二十世紀後半に於ける經濟革命は、原子力の發明と細菌力の發明、此の科學發明に依る所の經濟革命が當然行はれるものなりと我々は豫想致して居るのでありますが、此の上に立つて日本も高度なる所謂計畫經濟と云ふものを考へなければならぬと思ふのでありますが、國務大臣の御所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=148
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149・膳桂之助
○膳國務大臣 再建せられました日本が、世界經濟に關聯を以ちましての働きと云ひますか、役割は勿論考へて行かなくてはならぬことであります、但し今も御説の中にありました通り、全く御同感でありますけれども、さあそれでは日本經濟が直ちに三年五年の後に、世界經濟に各國と肩を竝べてやり得るか、又日本の産業に科學的の一つの産業革命と云ふものを誘ひ入れまして、それに依つてと申しましても、例へば今申されました原子力の使用等に付きましても、日本の之に對する研究は許されて居りませぬ、敗戰國の日本である現在の姿を見ますれば、實に思ひは色々にありますけれども、やはり私共は一つの理念と申しますか、理想と申しますか、そこに向つて日本發展の途を考へたいと思ひますけれども、やはりそこには約束せられました幾つかの制約がありますので、私共としては其の邊に現實に即した企畫をなさなければならぬかと存ぜられます、併しながら私共の物の考へ方としまして、さう云ふ方面にも絶えず、視野を擴げて行くと云ふことに付きましては、勿論其の必要があることは全く御同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=149
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150・前田榮之助
○前田委員 只今申上げました點を掘下げて申上げることは是で止めて置きます、次には本法案實施に關して御尋ねして置きたいのであります、是は他の委員からも御尋ねがあつたのでありますが、民主的な團體に依つて之を運營して行くと云ふことであります、此の民主的と云ふことは唯單に其の團體が、例へば組合長であるとか、或は幹部であるとか云ふものを選擧に依つて作つたから、それで民主的な團體だと云ふやうに御説明にもなつたと思ふのでありますが、眞の民主的な團體と云ふものを、どう云ふやうに御考へになつて居るか、唯さう云ふやうな選擧で役員を作つたからと云ふことだけで民主的な團體だと考へられるのか、或は又他に民主的な團體と云ふものの機構に付て一つの構想があるかどうか、之を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=150
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151・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今まで色々と民主的な團體に付て御説明申上げましたが、是は主として形式的な點に付て御説明申上げたのでございます、實質的に申しますと、民主的な團體と申しますものは、其の團體の會員が自己の意思を自由に表現が出來る點に根據を置いて居るものであると考へて居ります、さう云ふ目的の爲に或は加入脱退が自由であるとか、或は團體を運營する幹部は選擧に依るとか、或は其の議決が平等の原則の下に議決權が行はれると云ふやうなことになつて居ります、さう云ふやうにそれを組織して居る方々が自己の意思を自由に表現が出來る、斯う云ふ特徴のあるものを民主的な團體と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=151
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152・前田榮之助
○前田委員 只今政府委員から御説明がありましたが、さう云ふ民主的な團體に組織されて居るとか居らぬとか云ふ問題が、唯形式的でないと云ふことになりますならば、唯加入脱退が自由に出來るとか、或は其の議決權が平等に出來て居るとか云ふだけでは、從來の戰時中に行はれました統制組合の極めて非民主的なやり方に付ても、其の形式は大體似たり寄つたりのことをやらしめて居るのでありまして、其の中に從來の組合は、他の委員からも御指摘になつたやうに「ボス」的な存在等がありまして、多數の業者を苦しめて居つた事實は隨所にあるのでありますが、是等の判定は誰がするのか御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=152
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153・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 特に軍國主義的な色彩の濃厚な方に付ては、所謂追放令と云ふものがありまして、之に依つて標準を判定することになつて居りまして、既にさう云ふ見地から團體を退かれた方もございます、其の他の方々に於かれましても、從來の色々な團體の幹部になつて居られた方が、新しく團體の幹部に選擧せられた方もありますが、是等に付きましては專ら團體の會員の總意に依ることであらうと考へます、政府として積極的に之を交代を願ふと云つたやうなことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=153
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154・竹田儀一
○竹田委員長 前田君、御諮り致しますが、四時に經濟閣僚懇談會があるさうでして、膳さんは四時になると御退席の御都合のやうですが、膳さんの方は大體宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=154
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155・前田榮之助
○前田委員 それではあと少し政府委員にだけ御伺ひ致します、私は寧ろ商工大臣に御尋ねしたい事項があつたのでありますが、是は後日に讓りまして、あと一、二政府委員に御尋ねして置きたいと思ひます、只今御説明になつたことは、言葉では簡單に行くのでありますが、實際に於て、地方の田舍の組合に付ては、中々さう云ふ言葉だけでは解決が付かないのであります、追放令に付きましても、それは指定された特殊の團體と云ふやうなものの中で、相當なる幹部と云ふやうなことの明確になつて居るものは宜いが、經濟的な行爲をした者に對する追放令と云ふものは明確になつて居らないのであります、政府は此の新しく作る所の團體に對して、此の追放令の産業團體の役職員に對する追放令に關するものを、別に發表される御考へであるかどうか、此の點を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=155
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156・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 産業團體に對しまする追放令の範圍の個々に付きましては、既に具體的の例に付て、追放令に該當するかどうかと云ふことを確定された方もございますが、全般的の標準と申しますか、さう云ふものはまだ目下審査委員會で研究中でございまして、或は近くさう云ふものが發表されるのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=156
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157・前田榮之助
○前田委員 其の次に一つ政府委員に御尋ねして置きたいのは、本日も他の委員から御質疑があつたのでありますが、戰時中企業整備をやりまして、其の先發業者として整備された者の中の、色々な不遇な立場に對する質疑がありました、其の問題の中で、例へば織物業に付きましても、此の整備された方のものが、幾臺かの機械を整備されて、さうして共助金を貰つて廢業した、斯う云ふことになつて企業許可令も取上げた、所が其の當時金の問題もあつたのでありますが、金の問題よりも、其の相當な技術を持つて居つた者が、實績其の他の關係で整備されて、今日再び其の事業を開始しようと考へた時に、機械が手に入らない、前に整備される時には、當時の時價で或は一臺千圓なり二千圓なりと云ふ金で買上げられた、所が今日其のものを入手しようと致しまするならば、其の十倍、十五倍、或は二十倍と云ふ資金を要するのでありますが、其の金の出しやうは、どの面から考へてもない譯である、隨てそれ等の業者は寧ろ其の前に供出した機械を、殘存業者の團體が持つて居るものがある、是は明確になつて居るものと明確になつて居らないものとがあつて、明確になつて居らないものに對しては如何とも仕樣がないだらうと思ひますが、明確になつて居るものに對しては、其の組合に復歸せしめて、其の機械の供出した臺數を全部やれば宜い譯ですが、全部行かないにしても──或は十臺供出した場合に、他の關係もあつて、整備上十臺自分の手許へ返す譯に行かないにしても、或は五臺なり、七臺なり、明確になつたものは返すなり、或は其の元の代價でいけなければ、それに何割かを加へたもので、本人の手許へ歸るやうなことをしてやる御意思があるかどうか、御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=157
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158・松田太郎
○松田(太)政府委員 中小工業者の、特に纖維關係の方々の例が御出になりましたので、私から御答へ申上げますが、企業整備等の關係で、特に其の先發隊として、國家の爲に設備なり或は資材なりと云ふものを供出せられ、戰後になつて立派な技術其の他を持つて居られるにも拘らず、其の大事な時に國家の役に立たずに困つて居ると云ふ方々の少からずありますことは御説の通りでありまして、さう云ふ方々に對しましては、我々と致しましても、何とか其の技術なり經驗なりを活かして差上げたい、一方今も御話のやうに、此の補償其の他の問題に付きましては、洵に御氣の毒な立場になつて居りますので、何とかしてさう云つた方々の今申した經驗を活かしたいと云ふので、只今御話のやうに現在其の方の從來持つて居られた設備と云ふものが、結局轉用はしたものの使はれずにある、又其の方の出された設備はないが、併しながら登録を受けて居る機械設備等で、今本當にそれを使はうと云ふ人がない、又之を持つて居る人があつても、讓渡しても宜いと云ふやうな色々な方々が、中にはある譯でありますから、それ等に付てはそれぞれの組合なり、又必要があります場合には、纖維協會とか商工省の方で御斡旋を致しまして、さう云ふ方の仕事の出來るやうにして差上げたい、又さう云ふ場合に今御話のやうに、金融の問題が非常にお困りになつて來るのでありますが、さう云ふ場合には、例の今度出來ます復興金融金庫の貸出等に付きまして、所謂生産と金融の關係と云ふものを十分圓滑にする意味から致しまして、生産官廳であります商工省と致しましても、十分其の復興金融の委員會或は復興金融の實際の發動等に付きましては、出來るだけ此の生産方面に金融が圓滑に、而も迅速に參りますやうに、極力努力を致し、又打合はすべきことは、十分さう云ふ點に付て打合せを致して居りますが、さう云つた方面の金融は、只今の所他に良い方法がございませぬので、さう云つた復興金融金庫の方から何とか御借り出來るやうに御協力も致しまして、さうして又資材等に付きましても、本當に技術が進んで居る點に付きましては、さう云ふ方が今後も木當に仕事を進めて行かれるやうに、資材其の他の原料等に付ても考へて參りたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=158
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159・前田榮之助
○前田委員 私の質問は商工大臣に對する質問を殘して、是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=159
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160・竹田儀一
○竹田委員長 それでは御留保になつて居る中崎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=160
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161・中崎敏
○中崎委員 私、最初に委員長に對して希望を申上げたいのであります、大藏大臣に對しまして、豫ね豫ね再三當委員會へ出席方を要求して居る譯でありますが、未だに見えませぬ、議事進行上支障があると思ひますので、明日あたりから萬障繰合せて出て來て貰ふやうに、御催促願ひたいと斯う思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=161
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162・竹田儀一
○竹田委員長 承知致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=162
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163・中崎敏
○中崎委員 私の質問も大體商工大臣に直接御聽きしたい點が多々ありましたので、其の積りで今まで延ばして居つたのでございますが、丁度是から商工大臣も閣僚會議へ出られたと云ふやうな關係で、どうも今日も其の質問が出來ませぬので、商工大臣に直接質問して見たいと思ふ點一、二を殘して、大體に於て政府委員の方で御答辯を願ひたい、斯う思ひまするから、其の點御含み置きを願ひます、先程我が黨の前田君から、第五條の罰則の規定に付て、是は削除して、さうして物資の割當又は配給を期せられることが出來るやうにしたらどうかと云ふ質問に對しまして、膳氏の答辯では、例と致しまして、今までに既に業者の手許にあるものであつて、政府としては今後の計畫に付て、割當しないものに付ても出させるのだと云ふことを答辯されたやうに思ひます、所が昨日の政府委員の説明に依りますと、戰爭中に於て民間の手許にある隱匿物資の如きものは、其の隱匿物資に關する規定に當嵌るのであるけれども、此の規定の適用を受けないのだと云ふやうな御話であつたのであります、さうすれば膳さんのあの例として擧げられたものは不適當であると思ひますが、政府委員としてどう云ふ風に考へられるか、其の答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=163
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164・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 膳國務大臣の御話の場合もある譯でございますが、大體第三條の規定は此の規定の表にありまするやうに、第一條の適用に關して必要な事項に付て色々御報告を願ひましたり、或は帳簿を檢査致しましたりする規定でございます、勿論此の調査を致しまする範圍は、商工業と斯う云ふ産業に從事して居られます所の方々の事務所なり、或は工場なり、倉庫だけに限ることでございまして、住宅等に入る譯ではございませぬ、此の法令を施行して行きまする上に、例へば第二項に依りまして或る使用禁止を致します、或は制限を致します、例へば銅と云ふものは非常に貴重なものであるから、玩具に使用してはいかぬと云ふので、省令なりを出しまして、倉庫に行きましてさう云ふものがあるかないかと云ふことを調査する場合もあるかと思ひます、直接さう云ふ營業の場所に臨みまして現場を見ると云ふのが第三條の規定でございます、即ち此の第一條にありまする色々な統制、調整の實施を確保する爲にする手段でございますから、當然此の罰則と云ふものも之に附隨致すのでなければ效果は擧らない、斯う云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=164
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165・中崎敏
○中崎委員 さう致しますと、やはり膳さんの先程の説明と、政府委員との間には食違ひがあると思ひまするが、私は政府委員の説明を正しいものと信じて此の問題に付ては是で止めます
次に今の第五條の罰則の規定でありまするが、政府の要求する所の報告をしない、或は虚僞の報告をした場合に於きましては、配給をやらない、或は割當をしないと云ふやうなことに依つて目的を達するのではないか、殊に現下の情勢に於ては仕事は實際どんどんやりたいけれども、物の配給割當がない爲に出來ないと云ふのが産業界の實情でありまして、此の痛い所を衝くことに依つて悉く其の目的を達することが出來ますので、斯くの如く我が國民の懸念に堪へない所の罰則を多く設けるよりも、此の一つの手に依つて十分に目的を達することが出來ると信ずる譯でありまるが、此の點に付て政府委員の答辯を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=165
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166・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 御話の通り、營業を致して居る者から申しますと、原材料の割當を貰へないことは致命的なことであります、隨ひましてさう云ふ手段を從來執つた、例もあるやうでございます、併しながら此の第一條の色々な命令の中を見ますと、例へば第三項の物資又は設備の讓渡と云ふやうな命令を出します場合、是は原則として普通は斯う云ふ規定は使はないのでございますけれども、例へば賠償等に依りまして設備の大部を撤去されて、あとは倉庫なり何なりが殘つて居る、さう云ふものを讓渡すると云ふ場合がありますが、さう云ふ場合、割當をやらぬと云ふやうなことでは、どうも此の命令を確保する譯に參りませぬ、やはり現場に臨んでさう云ふ物があるかどうか、どう云ふ風に使へるかと云ふやうなこともございませうし、色々な調査を致す譯でございますから、やはり此の罰則の規定は此處に置いて戴きまして、之を適用しないで割當を減すと云ふやうなことで反省を求める場合もあると思ひます、割當基準等を適當に致しまして、さう云ふことで反省を求めることも結構と思ひますが、第五條の規定は第五條の規定として置いて戴いて、此の運用の全きを期して行きたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=166
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167・中崎敏
○中崎委員 只今政府委員から例を取つて御示しになりましたやうに、設備の讓渡、引渡、貸與と云ふやうな場合に適用する必要があるとするならば、其の場合に限つて之を用ひる、併し國民の頭には極めて重大な罰則をせられると云ふことに付ての濃厚な懸念を持ちますので、斯う云ふ點に付ては少くとも最小限度に於て此の罰則の規定を適用すると云ふやうにやつて貰つたらどうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=167
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168・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 此の第五條の罰則は、第六條に書いてありますやうに、使用人其の他がやつた場合も此の規定の適用があるのでございますが、其の爲に會社全部が痛い目に遭ふと云ふことも氣の毒でございますので、斯う云ふ點に付きましても別に割當の問題を考へた方が宜いかと思ひますが、やはり第五條は此處に置いて戴く方が、物資調整の圓滑を期する所以ではないかと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=168
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169・中崎敏
○中崎委員 どうも今の説明では釋然としませぬが、何れ是は後日の討論なり、我が黨の態度を決定する場合に留保することに致しまして、此の問題に付ては此の程度に致して置きます
次に、是は商工大臣に御願ひしたいと思ふ點でありますが、先づ第一點として中小企業に對する觀念の問題でございます、此の前商工大臣は、大體に於て五百人以下の從業員を使つて居るものを中小企業と看做すと云ふやうな解釋をして居られたやうでありますが、唯使つて居る人員のみを以て一つの標準を求めると云ふのは大きな間違ひではないか、殊に此の中小企業と云ふものに對する今後の政府の執るべき方針と云ふものは、各大臣からも豫ね豫ね説明がありましたやうに、今までより變つた見地から、より重要視して日本經濟の再建をなさなければならぬと云ふ風な時に於て、唯此の漠然たる解釋を以て此の中小企業に對せんとするが如きは、當を得て居ないのではないかと考へて居る譯であります、私の考へとしましては、人員と云ふものを一つの要素と認めることは必要であるとは考へられまするが、更に投下資本の多寡であるとか、或は又設備の如何であるとか、或は生産額の如何と云を風に、大體各業態別に是等の解釋をはつきり科學的にやつて戴く必要があるのではないかと考へて居ります、此の點に付て政府委員の御説明を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=169
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170・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 中小工業の範圍と云ふものは非常に確定が困難でございます、只今の中崎さんの御話の如く、洵にさう云ふ標準に依つて實行すべき中小工業の範圍の標準と致しまして、色々な觀點から之を決むべきものと考へます、先般商工大臣が五百人以下と云ふことを假に申されましたのは、あれは生産數量等に付きまして或る比率を調査致したのでございまして、假に五百人以下の工場の生産額を見るとすれば、全部の生産の中大部分のものが、例へば「ゴム」製品なら「ゴム」製品の大部分のものが五百人以下である、斯う云ふ風な一つの例として仰せられたのでございまして、中小工業の線が五百人と云ふ人數で規定せられたと云ふ意味を述べて居られるのではない譯でございます、只今仰せられましたやうに人員の數なり、或は投下資本の金額なり、或は設備の能力なり、生産額なり、凡ゆる點を考慮致しまして、而も又其の産業の業態別に依つて若干の開きがあると思ひます、それ等の點を十分勘案致しまして此の範圍を規定すべきものと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=170
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171・中崎敏
○中崎委員 と申しますのは、從前此の大企業と言ひますか、或は此の線に上下して居るやうな業者と云ふものがそれ以下の線の者に對して政治的壓力を加へ、或は官僚其の他の統制機關の人々と結托することに依つて、自己の威力を示すことに依つて、中小それ以下の業者を壓迫して來た例は、實に澤山ある譯でありまするので、今後中小商工業を中核として盛立てなさると云ふ風な商工省の方針に對しましては、此の點に付て深甚の考慮を御拂ひ願ひたい、殊に戰爭後に於きましては、凡ゆる施設と云ふものが、多く戰禍に罹り、或は撤去されると云ふ風な状態になつて居りまして、勢ひ從前の中程度の規模組織を持つた企業と云ふものが、今後に於ては比較的大きな組織として認められなければならぬと云ふ風な情勢の變化を來して居る點もありまするので、此の點に付ては大工業と云ふものは、勿論政府として盛立てると云ふ風な方針には變りはない譯でありませうが、中小商工業と云ふものを、より以上「クローズ・アップ」せしめることに依つて、眞の日本經濟再建の上に適切な施策を行ふことに依つて、活かして貰ひたいと云ふことを希望する譯であります
次に商工大臣は、中小企業と云ふものは大企業の下に立つと云ふ風な觀念を大體持つて居られるのではないかと云ふ風に考へて居ります、例へば紡績の如き場合に於ては、其の紡がれた所の絲を加工する者を、大體中小商工業者の範圍に考へて居られるやうであります、此の點に付ては一應尤もと思はれまするが、中には大工場と併立しまして、競合することに依つて存在して居る事業が多々ある譯であります、戰爭中に於ける多くの例を見ますると、此の大工業者が先程申しましたやうに自分の威力を以て、或は政治的に、或は又官僚其の他の統制機關と結托することに依つて、此の競合して居る所の中小商工業者を突き落したと云ふやうな例は多々ある譯でありまして、今後に於きましても此の懸念は何等減少されて居ないと云ふ風な事態にありますので、此の競合したる所の立場に於ける中小企業と云ふものを如何に見て居られるかに付て、御答辯を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=171
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172・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 御承知の通りに我が國は、敗戰後財閥の解體と云ふ問題を聯合國に依つて與へられて居るのでございます、今日までの大工業と申しますると、原材料關係の、即ち鐵とか、「セメント」とか、銅とか、紡績とか、總て原材料を作るのがそれでございまして、此處で原材料を作つて中小工業の方に流すと云ふ形を執つて居つたのでございます、尤も只今仰せのやうに、最後の製品を作つて居りますものも大工業の中に若干ございます、製鐵所、或は從へば自動車であるとか云ふものは最終製品ではございますが、それ自體大きな資本と設備を要しますので、大工場の形になつて居ります、さう云ふものは從來からやはり協力工場と云ふものと抱合の一つの生産體系を取つて居ります、今後も斯う云ふ工業を殘すとすれば、當然中小工業で部品を作つて、之を所謂大工場である元の工場が組立をすると云ふ建前で抱合の形を取ります、それ等の分野は自ら出て來ることと考へます、併し一般的に申せば、原材料の方は生産の設備を要しまするので、之に對する又或る程度の投下資本を必要と致しますので大工業に行くと思ひます、勿論先程申しましたやうに財閥解體の線に沿ひまして、是等のものも或る程度解體されて參ります、而して所謂大工業に殘りますものは、恐らく已むを得ない──どうしても大資本を以て構成しなければ其の産業は成立たないやうなものだけに限定されて來るのではないかと考へます、目下財閥解體の仕事が進んで居りますので、是が完成致しました曉には、恐らく已むを得ないものだけが大工業の形として殘つて、あとは中小工業と云ふのが大部分の形になるのではないかと考へて居ります、さう云ふ意味で大きい方は其の原材料を供給し、之を中小工業の方に廻します、斯う云ふ形で我が國の産業の形が進んで行くであらう、斯う云ふ風に豫想して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=172
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173・中崎敏
○中崎委員 只今の政府委員の答辯に對しましては、大體滿足の意を表する者でありますが、實際の運用に當ります所の下々と申しますか、他の局課に於ては、どうも一貫した所の今の方針が實行されない場合もあり得ると考へられます、之を徹底することに依つて、實際の中小商工業者の振興を圖つて貰ひたいと云ふ希望を申上げて置きます
次に中小企業の金融問題でありますが、是は各方面から異常の關心を以て見て居られる所であります、我々は長い間中小金融に關する問題に付ては實際に於て苦勞して來ても居ります、或は銀行業者として長く中小企業に對する銀行の理解ある態度と云ふものを見て來て居りますので、政府委員の御答辯に對しても非常に危惧の念を持つて居るものであります、大體普通の銀行と云ふものは所謂對物信用と云ふものを基礎にして、中小企業の如く、實際に於て信用の對象のない時に於きましては、殆ど金の貸出をしない、唯金を預つて居る企業者に對しては、其の範圍に於ての貸出はしぶしぶやりますけれども、預金の餘りないやうな所とか云ふ風なものに對する貸出と云ふものは、極めて臆病其のものであると云ふやうな状態を見せ付けられて參つた譯であります、政府に於きましても商工中央金庫と云ふ機關を設けられまして、其の貸出に付ては聲を大きくして叫んで參つた譯でありまするが、其の成績たるや、やはり普通銀行と同じやうな觀念に於て、中小企業に對する貸出はまるで捨金を出すやうなものだと云ふやうな見地から、其の成績は擧つて來て居らない實情にあつたのであります、今囘復興金融金庫法案と云ふものが提案されまして、是が近く法律として成立しました曉に於ても、やはり此の觀念を以て中小企業に對するならば、戰後に於ける中小企業の復興は到底望み得ないのではないかと思ふ譯であります、私共の見る所に依りますと、大體今度の復興金融金庫法なるものは補償打切に依る所の一つの救濟手段であると云ふ風に考へて居る譯でありますが、是は主として大企業に振向けられるだらうと想像されるのであります、私が今申しましたやうに、極めて資力的に貧弱な中小企業を盛り立てる爲には、政府に於て最終的に豫定して居る所の二百億圓の資金を以て、其の或る部分を中小企業に分割することに依つて運營さるべきものではないかと思ふのであります、是は大藏大臣にも聽いて見たいと思ひますが、此の復興金融金庫に於て共管の立場にある商工省、殊に中小企業を盛り立てると言ふて居られる商工省の方から、直接御答辯を御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=173
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174・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 中小商工業金融と云ふ問題は、洵に難かしい問題でございます、小さい業者の方は信用力が少い、擔保力もお持ちになつて居らぬ、さう云ふ所へ金を貸すのでありますから、銀行から申しましても、勢ひ從來非常に金の廻はりが惡くなつて居ります、さう云ふ意味で中小商工業の方を特に組織化致しまして、組合金融と云ふことで、金融を流して行くことを考へましたのが、只今仰せられました商工組合中央金庫の形であります、即ち組合を通じて金融をして行くと云ふ建前であります、其の成績等確かに十分だとは考へられませぬが、擔保を取らずに組合の幹部の方の保證で金を廻はして居りまして、最近の貸出の金額は、私能く存じませぬけれども、十數億圓、殆ど二十億圓に近い貸出が今まで行はれて居るのではないかと考へます、勿論之を以て十分とは考へませぬが、或る程度の金融の役には立つて居つたかと思ひます、併しながら是だけで十分ではないのでありまして、今後廣く中小商工業の爲に金融の途を開くと云ふことは、今日の凡ゆる情勢から必要であると考へます、元來金融機關から申しまするならば、假に一萬圓を貸す場合も、百萬圓を貸す場合も同じ調査の手數が掛かるのでありまして、隨ひまして多額の金額を貸す方が利益である、同じ費用を以てやるならば、多額の金額を貸す方に傾いて居つたことは已むを得ないことであつたかと思ひます、今後は先程申しましたやうに、段々大企業がなくなつて中小企業に移つて參りますと、どうしても銀行の方々の對象としても中小商工業を相手にしなければ相手がなくなる形になりますので、段々さう云ふ方面の金融に、自然普通銀行の方々が重點を置いて御考へになつて行くことだらうと考へて居ります、併しながら當面の問題としては、只今仰せの復興金融金庫の資金を十分活用致しまして、此の補償打切に伴ふ各種の打撃を緩和することに努力致したいと思ひます、大藏省とは、中小商工業者に對する貸出金額に付ては、例へば十億、二十億と云ふやうな枠を設けることも考へまして相談致したのでありますが、枠を設けることに依つて、それだけ出せば宜いと云ふ風に履き違へられても困りますので、大藏省と話合ひを付けて、必要の都度、要求がありますれば、必要なだけ資金は融通すると云ふ建前で運用して參りたいと思ひます、尚ほ實際の運用に付ては、中小商工業の方は、主として日本銀行の支店のある地區毎に運用委員會が出來る譯でありますが、そこに商工省、大藏省其の他關係の方々の協議會が出來まして、其の協議會に掛けて必要な資金はどんどん貸出して行く、斯う云ふ建前を執りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=174
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175・中崎敏
○中崎委員 先般實施されました金融緊急措置令に依り、第一封鎖と第二封鎖が設定された譯でありますが、之に對しては個人も企業も等しく一萬五千圓を以て第一封鎖となり、其の他は第二封鎖とされた譯であります、併し個人の生活に於ては、是は一應已むを得ないかと考へられる節もありますけれども、苟くも事業をやつて居る者が、個人と同じやうに、一萬五千圓の金を以ては、到底事業がやつて行けないと云ふことは、火を賭るよりも明かなことであります、之に對して商工省としては企業振興の上に於て、どう云ふ態度を取られるかと云ふことを御答辯願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=175
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176・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 今囘の金融臨時措置令の關係で、第二封鎖に入りました金額が、今後の個人經營の中小商工業者の營業に、非常に影響を及ぼして居ることは私も能く承知して居ります、そこで只今復興資金の貸出しに付て、商工省と致しまして特に力を注いで居るものは、さう云ふ方面である譯であります、他の打切に依りまして事業が一時停滯致して居るのが大部分であると思ひますので、是等の資金難に遭遇して居る方々の爲に、特に迅速に此の資金を使ひたいと云ふ考へで、新しい金融でやつて參る譯でありますから、其の資金の圓滑化を圖る爲に、復興資金を十分に活用して行きたいと考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=176
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177・中崎敏
○中崎委員 今の企業者の中には、相當多額の預金が第二封鎖として凍結されて居る者がある譯でありますが、其の第二封鎖の預金額を、一つの大きな材料として貸出をして貰ふことが私は當然かと考へます、此の點に付て商工省として、特に考慮を拂はれる意思があるかどうか、又大藏省と折衝される御意思があるかどうかを御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=177
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178・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 第二封鎖の金は、御承知のやうに軍需補償打切に依り生ずる損害補償の爲に一應利用される金でございまして、軍需補償打切の影響と云ふものが明かになりますれば、どの位が本當に打切られ、どれだけ戻るかと云ふことが分る譯であります、隨ひまして其の額がはつきり致しますまでは、第二封鎖の金が全額使へるかどうか、其の判定は中々難かしいことがあらうと考へます、隨て此の全額を擔保に新しい金融を考へますことは、是は實行上中々難かしい問題でありますが、やはり其の點は企業者が實際必要とされる資金、事業の内容等を勘案致しまして、必要なだけの資金を融通する、斯う云ふことになるのではないかと考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=178
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179・中崎敏
○中崎委員 本法の規定の内容に付て御尋ねしたいと思ひます、少し細かくなりますが、第二條に「主務大臣は、前條第一項第一號の割當の實施について必要且つ適當と認めるときには」と云ふことがありますが、總て民主的團體を土臺として、それを重視して配給割當をやらせると云ふ御趣旨であるならば、民主的の團體であるならば、必要且つ適當と認めないでも、當然其の資材を割當配給をして宜いのではないかと思ひますので、此の條項は抹消して宜いのではないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=179
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180・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 産業團體に割當の仕事を御願ひする場合に、其の産業團體が其の業界に一つでございますると非常に結構なのでございまするが、或は二つ、三つとございますると、何れの團體にさう云ふ仕事を御願ひするかと云ふことも難かしいのでございます、即ち割當の仕事を御願ひするにやはり適當であり、又必要であると云ふ判定が要るのでございます、單に民主的に其の組織が出來て居ると云ふだけでは、此の仕事を御願ひするのは困難でございまして、やはり凡ゆる觀點から致しまして、此の産業の中樞機關と致しまして、割當をする適當な内容を持つて居る、斯う云ふことが此の産業團體を認定する際に、主務大臣に於て「必要且つ適當と認める」と云ふ條件が要る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=180
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181・中崎敏
○中崎委員 それでは必要且つ適當と認めるやうに民主的に組織された産業團體と解して宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=181
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182・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 此の「必要且つ適當と認める」と申しますのは、主務大臣の認定する標準でございまして、民主的に組織されました産業團體がございまして、それが其の産業界の實情から考へまして、割當をやらせるのに適當であると云ふ資格を認定した上で指定をすると云ふ建前になるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=182
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183・中崎敏
○中崎委員 それでは、同じやうに民主的に組織された産業團體があつて、それが同じ目的を持つた團體であるが、唯構成「メンバー」が違ふと云ふやうな場合が假にあつたとして、或る一つの甲の産業團體には割當配給をするが、乙の産業團體には割當配給をしないと云ふやうなことがある譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=183
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184・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 さう云ふ場合には甲乙兩者の團體をやはり一つに合併を願ひまして、勿論其の内容は民主的に組織を願ふのでありますが、さうして一つの業界にはやはり一つの指導團體と云ふものを御作りを願ひまして、其の上で割當權を御任せする、斯う云ふ形に致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=184
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185・中崎敏
○中崎委員 さう云ふ風に二つなり、三つなり同一の目的を持つた同種の團體があるとするならば、之を一つに合併さすと云ふことは、非民主的ではないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=185
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186・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 やはりそれは民間の意見に依つて團體を御作り願ふのでごさいまして、強制的に致すのではございませぬ、唯實際に割當權を御任せする場合に、二つ三つの團體がございますと、殊に會員外の者に對する割當をどの團體からするかと云ふ問題もございますし、又割當の基準と云ふものが團體に依つて違ひましても、非常に困難な問題に遭遇致しますので、成べく是は一本の團體に統合することが適當であつて、やはり割當を御願ひするのには「適營な」と云ふ條件が必要である、斯う云ふ風に此の條文に付ては考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=186
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187・中崎敏
○中崎委員 今度制定される豫定の商工協同組合と云ふものがありまするが、さう云ふやうなものに付ても其の中の或る組合に付ては、當然配給割當をされると思ひます、さうして産業團體と申しますと、それと競立すると云ふか、さう云ふものも一應考へられるのでありますが、斯う云ふものも一つの團體に纒めさせて配給割當をされる積りであるかどうか、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=187
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188・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 協同組合も、仰せの通り其の内容が適當であると認められまする場合は、第二條に依つて指定致しまして、之に産業團體として割當を御願ひする譯であります、又さう云ふ全國的な協同團體と云つたやうなものでなくて、個々の協同組合を集めまして、他の獨立した業者とも一緒に一つの産業團體を構成して、産業團體を組織して割當をする、斯う云ふものが出來ましても、それが「必要且つ適當」と考へられまするならば、之を指定致しまして割當を致したい、斯う云ふ豫定で居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=188
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189・中崎敏
○中崎委員 さうすると、協同組合を以て組織した例へば協同組合中央會と云ふか、斯う云ふやうなものと、之に對立すると云ふとをかしいが、大きな業者を以て假に組織したやうな團體と二つあると云ふ場合に於ては、一つにさせないで、別箇に割當配給をされると云ふことに解釋をして宜しいのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=189
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190・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今一寸例に擧げられました中央會と云ふものは、斯う云ふ統制の仕事をやる團體ではございませぬので、商工組合中央會には統制の仕事はやらせぬ積りでございますが、唯御話のやうに、協同組合と大きな企業者とが同じ業界にありまして、二つを一つの統制團體に纒めてやらせるか、或は別にやらせるかと云ふ御尋ねでございまするが、私共は原則と致しましては、是は成べく一つの産業團體に纒まつて戴きたいと考へて居ります、併しながら兩方の間に業態の上に劃然と區別がありまして、分けられると云ふやうな場合には、或は二つに分けて、其の二つの間の比率を主務省で決めて、大工業の方には、例へば全部の五割なら五割の資材を渡し、あと中小工業に五割を渡すと云ふやうに、それぞれ割當を別にすると云ふことも考へられまするけれども、是は寧ろ例外でありまして、出來るならば大も、中小も一つの割當機關を作つて、さうして大中小の事業調整と云ふか、それを能く考へて割當をして行く、斯う云ふことに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=190
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191・中崎敏
○中崎委員 今の場合に於ける實例を申上げますと、私は切削油の全國の業者を以て統合した──元戰爭中は切削油製造株式會社に關係して居りましたが、其の當時に於ては、石油精製業者、例へば日石とか、三菱とか、斯う云ふやうなものと兩方が竝立して居りまして、商工省に於ては此の兩方の團體に對して、一つの率を以て割當ててやらせて居られました、今日に於ては此の會社は組合に變りましてやつて居りまするが、依然として此の率と云ふものを保ちながらやつて來て居ると云ふ風な實例もある譯であります、斯樣な實例を以てしても、實際に於て何等不圓滑には行つて居ないと云ふ實情もありますので、原則とか、例外とか云はないで、實際の經濟界に於ける實情に即して、此の運用をやられたらどうかと云ふことを希望する譯であります
それからもう一つ御尋ねします、先程も他の委員から質問があつたのでありまするが、形式的に出來上つた所の民主的産業團體であつて、實際は依然として舊態の殼を脱し得ないと云ふやうな團體の例は多々ある譯でありまして、例へば戰時中の統制會とか、統制組合とか、統制會社と云ふものは、殆ど此の類に屬すべきものではないかと思ひます、中には會長が辭めたとか、迭つたとか、或は又理事長が迭つたとかと云ふ風なことはある譯でありますが、之に巣食つて居る所の幹部とか、或は職員の主たる者は、殆ど民主的に組織された商事會社なり、或は又組合なりと云ふ形になつて居りまするけれども、是は以前の各官廳の役人との腐れ縁に依つて、其の指圖に從つて、又其の威光を笠に著て、依然として天降つて來て、今日斯う云ふものを運營して居ると云ふやうな例が多々ある譯でありまして、斯う云ふやうな者は多く中小工業者に對して壓迫的態度を執つて來て居る、資材の面に於ても唯自分達の都合の好いやうな風に割當を取つて行く、或は生産費の統制の上に於ても我田引水的な方法に依つて中小企業を壓迫しつつあると云ふやうな、實情は多々あるのでありまするが、今後資材の配給割當の面に於ては、殊に此の點に付て異常の注意を拂つて貰ひませぬと、口では民主的團體と言はれましても、實際に於て何等民主的團體でないと云ふことになるならば、此の法律の精神として居る所の骨子と云ふものは、之に依つてなくなるのではないかと云ふ風に考へて居ります、それで私は之を是正する第一の方法は、各主務省内に於て委員會と云ふ風なものを設けられまして、それには中小企業を代表して居る所の業者を多く入れる、尚且つ新たに公正に、官吏を監督と言へばをかしうございますけれども、さう云ふものとの利害關係から離れた所の議員と云ふ者を多數御入れになつて、さうつて、其の運用の上に於て圓滑を期して貰ふ必要があるのではないかと云ふ風に考へて居ります、此の點に付ての御答辯を御願ひ致んます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=191
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192・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 經濟民主化の問題でございますが、只今膳國務大臣も御話になりましたやうに、我が國は敗戰後「ポツダム」宣言の趣旨に依りまして、經濟を民主化すると云ふ方向に進んで居る譯でございます、隨ひまして今日までやつて居りました統制を、やはり今後も統制は必要でございますので、統制の形を執つて參りますが、此の法律が變りました機會に、總ての經濟人、役所も勿論之に入るのでありまするが、頭を一新致しまして、所謂民主的に切替へて運營をして行くべきものと考へます、世の中が政治的の空氣も段々民主化されて參つて居りまするし、之に應じまして産業界の空氣も段段さう云ふ線に沿つて居るのでございます、第二條に特に「民主的に組織された」と云ふやうな形容詞を附けて居りますのは、此の法が經過的な意味を示すのでありまして、今後は斯う云ふことがなくとも、當然産業機構が民主化されるものだと思ふのであります、併しながら仰せの通り總動員法其の他に依つて訓練されて居ります我々の頭、之を切替へる意味に於てはつきり民主的と云ふ言葉を使つた譯でありまして、今後の運營は民主化されて參ると考へます、仰せの通り各産業別に色色改善の研究を致して居りまして、例へば纖維等に付きましては、目下纖維産業の整備の委員會を作つて居ります、是は中小工業者、大工業者及び議會の方々等を網羅致しまして、委員會を作つて、取敢ず三箇年計畫と云ふものを立てると云ふことは研究致して居りまするが、逐次他の産業に付きましても、さう云ふ關係の代表者の方に御集まりを願ひまして、それぞれの産業の改良發達に付ての御意見を聽いて參りたい、斯う考へて居りまして、それが段々安定本部の色々の施策の基礎を成すものだと、斯う云ふ風に考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=192
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193・中崎敏
○中崎委員 商工政府委員に對する質問は之を以て打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=193
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194・竹田儀一
○竹田委員長 それでは本日は此の程度に止めまして、明日午前十時より開會致します、是にて散會致します
午後五時五十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00619460911&spkNum=194
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