1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
臨時物資需給調整法案(政府提出)
商工協同組合法案(政府提出)
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昭和二十一年九月二十日(金曜日)午前十一時八分開議
出席委員
委員長 竹田儀一君
理事 加藤一雄君 理事 小島徹三君
理事 塚田十一郎君 理事 原健三郎君
理事 宮前進君 理事 前田榮之助君
理事 石原登君 理事 福田繁芳君
井田友平君 飯國壯三郎君
西村久之君 厚東常吉君
田中源三郎君 田中實司君
瀧澤脩作君 山田善三君
馬越晃君 九鬼紋十郎君
鈴木周次郎君 鈴木明良君
坪川信三君 寺田榮吉君
川崎秀二君 金子益太郎君
加藤鐐造君 竹谷源太郎君
中崎敏君 山口靜江君
加藤勘十君 大宮伍三郎君
稻田健治君 三木武夫君
赤澤正道君 伊藤恭一君
小坂善太郎君 布利秋君
出席國務大臣
商工大臣 星島二郎君
國務大臣 膳桂之助君
出席政府委員
商工政務次官 小林かなえ君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 玉置敬三君
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本日の會議に付した議案
臨時物資需給調整法案(政府提出)
商工協同組合法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=0
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001・竹田儀一
○竹田委員長 會議を開きます、先づ商工協同組合法案に付て政府の御説明を求めます──星島商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=1
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002・星島二郎
○星島國務大臣 商工協同組合法案は、曩に本會議に於て申上げましたやうに、中小企業振興の重要な一方策と致しまして、中小企業の自主的組織化を圖ります爲に、戰時統制經濟の殘滓たる統制組合及び施設組合の制度を廢止し、之に代つて新たに民主的商工協同組合制度を設けようとするものであります
御承知のやうに、中小企業は其の性質上簡易な設備と勞務管理の徹底等に依り、經營が彈力性に富むと云ふ利點があるのでありますが、其の反面資金の小規模な關係上、金融の利便が少く、隨て設備の改善、技術の向上等と云ふ方面が甚だ不十分であり、又眼前の利害に囚はれて無統制な競爭に陷り易く、業者個人經營に打撃を與へるのみならず、其の事業一般の健全な發達を阻碍する弊も少くないのであります、隨て先づ中小企業を組織化致しまして、關係業者の緊密な自主的協同の力に依つて其の合理化、能率化を圖ると共に、大局的見地より中小企業家に適切な指針を與へ、其の進路を誤らせないやうに指導致しますことが、是非とも必要な次第であります、現行の商工組合法は、統制團體としての性格を持ち、戰時經濟統制遂行の便宜を圖る爲の組織化を狙ひとして居りまして、直接中小企業の振興向上を圖る爲の組織化を目的として居るものではありませぬので、此の點に於て既に戰後の新經濟情勢に相應しくないと申さなければなりませぬ
更に具體的に御説明致しますと、一、其の運用方法、理事長が原案執行權、役員任免權を持つと云ふ例にも明かでありますやうに、理事長を中心とする指導者原理を基調と致して居りまして、總會の權限が非常に弱く、組合員の總意が輕視せられて居ります點、二、設立に付ては、政府の命令に依る強制設立の制度を認めると共に、組合員は當然加入制となつて居り、脱退の自由は認められず、解散も政府の命令又は認可がなければ出來ない等、組合員の自由意思が著しく束縛せられて居ります點、三、組合は組合員に對しては、統制規程に依つて法令に依る場合に劣らぬ位の強力な統制權限を有し、經費、過怠金等に付ては強制徴收權を有する等、強權的色彩が強い點、四、隨て又政府は組合自體の設立、解散の命令權を初め、役員の任免權、各種の認可權等、煩瑣に近い監督權を留保して居ります點等、戰後經濟民主化の線に沿ひ、組合員自體の發意に依る自主的な團結に依りまして、業界を組織しようと云ふ要望とは、相去ること遠いものがあるのであります
他方、施設組合は、中小企業の共同經營組織體でありまして、比較的現下の要望に適するやうにも考へられるのでありますが、施設組合は沿革的には、舊商業組合法、工業組合法の小組合法の系統を繼ぐものでありまして、極く小規模な業者の統合體として利用せられ、檢査事業等も行へぬことになつて居りますので、今囘施設組合の制度を擴充致しまして、中小商工業者の純粹な協同組織としての民主的な新組合制度を作ることとしたのであります
以上の説明に依りまして、大體明かになりましたことと思ひますが、此の法律に依つて設立せられます商工協同組合は、商業、工業又は鑛業を行ふものが自由に寄り集まつて、其の事業經營の合理化を圖る爲に必要な共同施設を行ひ、延いては當該産業の改良發達に寄與することを目的とする協同組合でありまして、隨て設立、加入、脱退、解散等は總て組合員の意思に委ねられて居ります、組合の運營に付きましても、此の法律の中には公益上必要な最小限度の規定を置くことに止め、他は役員の任免、經費の徴收等、總て總會を中心とする組合員の自由意思に基きまして、民主的に運營することとし、組合員の創意と責任に於て、極力其の民主化を圖ることとしたのであります、隨て行政官廳の監督規定も必要な最小限度に止めまして、必要に應じ、變轉する經濟情勢と各業界の實情に即する事實上の行政指導に依りまして、組合の健全な發達を圖りたいと存じて居ります、又組合自體の自治的指導連絡機關として、商工協同組合中央會を法定致しまして、中央會に依る組合經營の實務指導を更に一層活溌ならしめたいと存じて居ります
最後に、商工組合に依る統制組合は、戰時中の殘滓を一婦する意味に於きまして、此の際全部解散し新たなる構想に基いて再出發すると云ふことに致しまして、新機構へ移行の一線を劃しますると共に、施設組合は、其の性質上當然新法に依る協同組合と看做すことに致したいと考へて居ります
商工協同組合法案の内容は大體以上の通りでありますが、尚ほ御質問に依りまして御答へ申上げることと致します、どうぞ御審議の上宜しく御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=2
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003・竹田儀一
○竹田委員長 就きましては、商工協同組合法案に對する御質疑は午後一時から御願ひすることに致しまして、全員懇談會を以て臨時物資需給調整法案に對し、之を如何に取扱ふかと云ふことに付きまして懇談會を致したいと思ひます、仍て午後一時まで休憩致します
午前十一時十五分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=3
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004・会議録情報2
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午後二時八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=4
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005・竹田儀一
○竹田委員長 是より臨時物資需給調整法案を議題として討論に入ります、先づ各派共同提案の修正案及び附帶決議に付て説明を許します──塚田十一郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=5
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006・塚田十一郎
○塚田委員 本臨時物資需給調整法案の修正案に付て、其の提案理由を御説明申上げます、本委員會に於きましての本法案に付ての各委員の意見を綜合致しますと、結局本法案は非常に廣汎にして且つ包括的な委任立法であるから、其の運用が民主的に行はれるやう特に留意する必要がある、隨て法文に付ても其の趣旨の下に必要な修正を加へなければならないと云ふ點に歸著するのでありまして、此の點を根本と致しまして、次の諸點に付て修正を加へたいと考へるのであります
先づ修正の第一點は、經濟安定本部總裁と主務大臣との關係を明確に致します爲に、主務大臣が第一條に掲げる事項に關し命令を發します場合には、經濟安定本部總裁の同意を得ることを必要とすると云ふことに致すのであります、斯くすることに依つて主務大臣の專斷で命令を發することなく、經濟安定會議を中核と致しまする最も民主的な官廳であると、一應考へられて居ります經濟安定本部に於きまして、本法の運用に付きましても各省の施策を綜合的に調整することを、法文の上からも明瞭にすると共に、其の法律の民主主義的な運用を企圖した次第であります、此の趣旨を修正文に第一條の第四項と致しまして、「第一項の命令は、經濟安定本部總裁の同意を得てこれをなすものとし」と云ふ具合に規定致したいと存ずるのであります
次に修正の第二點でありますが、第一條の命令の發動に當りまして、官廳側が恣意に依つて不平等な取扱ひをすると云ふことは非常に困るのでありますからして、同樣な條件の下にあるものには差別なくそれが適用されると云ふことに致しまして、其の趣旨を第一條第四項の後段に「且つ同樣の條件の下にある者には、差別なく適用されるものとする。」と云ふ具合な文句を附加へて修正案に致したいと存ずるのであります
次に修正の第三點は、第一條第一項各號の、即ち主務大臣が命令をなし得る場合に付てでありますが、政府の原案に於きましては多少尚ほ不備な點があると考へられますので、檢討の上物資の使用の制限又は禁止の命令及び物資の出荷の命令を之に加へて、命令事項の整理を致したいと存ずるのであります、尚ほ物資の割當及び配給の命令以外の事項は、特に其の運用を愼重に行ふ必要があると考へますので、其の範圍を供給の特に不足する物資に限ると云ふことに致しまして、尚又設備の讓渡命令に付きましては、單に設備と云ふだけではなく、其の讓渡命令が發しられますやうな設備は、其の當該設備が遊休設備である場合に限ると云ふことに限定したいと考へるのであります、其の趣旨を法文の中に盛込みますのに、第一條第一項に新たに第二號を設けまして、第二號と致しまして「經濟安定本部總裁が定める方策に基く供給の時に不足する物資の使用の制限又は禁止」と云ふ文句を入れるのであります、隨て原案の第二號が三號に、第三號が、第四號になるのであります、新たな第三號に於きましては「經濟安定本部總裁が定める方策に基く」の下に「供給の時に不足する」と云ふ文句を入れるのであります、それからして更に「物資の生産若しくは」の下に「出荷」の文句を入れます、更に「工事の施行又は物資の生産若しくは」の下に「出荷若しくは」と云ふ文字を入れるのであります、次に新たなる第四號中に於ける「經濟安定本部總裁が定める方策に基く」の下に「供給の時に不足する」と云ふ文句を入れるのであります、更に其の次の「物資又は」の下に「遊休」と云ふ文字を入れるのであります
次に修正の第四點と致しまして、損失補償の事項は、物資の生産又は出荷に關する命令、工事の施行に關する命令と云ふやうな、積極的な命令に付てのみ損失補償を要求し得ることと致しまして、隨て生産の制限若しくは禁止、それから工事の施行の制限若しくは禁止と云ふやうな消極的な命令に付ては、損失の補償を爲し得ないこととするのであります、其の趣旨を取入れまして原案の第二項に「政府は、勅令の定めるところにより前項第二號」とありますのを「第三號」に改め其の「第三號」の下に「に掲げる物資の生産若しくは出荷若しくは工事の施行」と云ふ文字を入れます、又其の次の「又は第三號」とありますのは「又は第四號」と改めるのであります
次に修正の第五點でありますが、是は原案第二條に關係する問題でありまして、原案第二條に於きまして、民主的に組織された産業團體に物資の割當をなさしめると云ふことになつて居るのでありますが、此の民主的に組織された産業團體と云ふのは、どう云ふものを意味するのかと云ふことは、唯是だけの文句では非常に分り兼ねますので、其の産業團體の性格をはつきりして置く必要があると考へられますので、之を勅令で具體的に其の要件を示しまして、産業界の向ふべき方向を明確に指導する措置を執る、それと同時割當に不服のある者の不服の申立は、原案に於きましては主務大臣が之を裁定すると云ふことになつて居りましたのを、主務大臣が一々之を捌くと云ふことは、實務上非常に困難がある、隨て運用の妥當圓滑を期し難いと云ふことが考へられますので、新たに物資需給調停委員會と云ふものを設けまして、そこで不服の決定をすると云ふことに改めたいと考へるのであります、以上の趣旨を盛り込みまして、原案第二條に新たに第三項と致しまして、「第一項の産業團體の組織その他の事項に關し必要な事項は、勅令でこれを定める。」と云ふ工合に致します、隨て原案の第三項が第四項になる譯であります、隨て新しい第四項に於きまして冒頭に「前項の」とありますのを「第二項の」と改めます、それから四項中に「物資の割當の決定に不服のある者は遲滯なくその旨を主務大臣に」とありましたのを「物資需給調停委員會に」と改めます、次に「申し出ることができるこの場合には」の次に「主務大臣は」とありまするのを「物資需給調停委員會は」と改める次第であります、次に新しく第五項を設けまして、「物資需給調停委員會に關し必要な事項は、勅令でこれを定める。」と云ふ一項を入れるのであります、隨て原案の第四項が第六項になる譯であります、隨て新たなる第六項の冒頭の「前項に」とありますのが「第四項に」と云ふ工合に改まる譯であります
次に修正の第六點と致しまして、報告聽取及び臨檢檢査に關する第二條の内容が戰時統制經濟實施中の此の種の法規と同樣な内容を盛つたものになつて居りますので、民主的な運營を確保する見地からして、此の原案第三條に報告の提出を求める相手方、それから臨檢檢査をなし得る場所、それから報告を求め得る事項等にはつきりと、どう云ふ事項に付て報告を求められるか、どう云ふ場所に付て臨檢檢査がなし得るかと云ふやうな事項を明定したいと考へるのであります、其の趣旨を採り入れまして、原案第三條を次の如く修正したいと存じます、「主務大臣は、第一條の規定の適用に關して必要な」と云ふ此の「必要な」の三字を消しまして、「左に掲げる」と致しまして、「左に掲げる事項につき」、とし其の次に「關係者」とありますのを一字削りまして、「關係事業者又は前條第二項の規定により指定された事業團體」と云ふ工合に直します、さうして「産業團體から報告を取ることができる。」と致します其の後に更に文句を加へまして「この場合において、報告がなされず、又は報告が虚僞と認められるときには、主務大臣は、」それから「當該官吏に」と續きまして、次に「必要な場所」の五字を削りまして、「事務所、營業所、工場、事業場又は倉庫」と云ふ工合に新しく文字を挿入するのであります、それから「に臨檢し、業務の状況」の次に「若しくは」とあります四字を削りまして、「又は」と直します、詰り「又は帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。」斯う云ふ工合に致します、更に其の後に第一號と致しまして、「一物資の割當又は配給、二物資の使用、三、物資の生産若しくは出荷又は工事の施行、四、物資又は設備の状況」と云ふ四號を加へるのであります、更に第二項は、「前項の規定により、當該官吏に」とありましたのを、「當該官吏が」と致しまして、「臨檢檢査させる」とありましたのを三字削りまして、「檢査する場合には」、と致します、さうして「その身分を示す證票を携帶させなければならない」とありました其の「させなければならない」と云ふ以下を削りまして、「携帶し、且つ關係者の要求に應じて、これを示さなければならない。」と云ふ工合に訂正すると云ふのであります
最後に第七號と致しまして、本法の有效期間の問題でありますが、原案に於きましては、本法の有效期間は「經濟安定本部の廢止の時」までと云ふことになつて居つたのであります、併し經濟安定本部は今日の見透しでは、必ずしも當局が現在意圖して居ります一年と云ふやうな期間で、廢止が出來るやうな時期に到達するとも考へられませぬし、それに一方此の法律は政府當局の意向に徴しましても、成べく其の存續期限を短期間に限りたいと云ふ意向がありますから、其の存續期限を昭和二十三年四月一日以降に亙らないやうにと云ふことに原則として致し、經濟安定本部が其の期日以前に若し廢止されるやうな場合がある時には、勿論其の時期に於て本法律も廢止されると云ふことに致したい爲に、此の附則の第二項を次のやうに訂正致したいと存じます、「この法律は」の下に、「昭和二十三年四月一日又は」と挿入致しまして、「經濟安定本部の廢止の時」の下に「の何れか早い時」と修正致します
以上簡單に修正の要點を申上げたのでありますが、尚ほ詳細な點は皆樣方の御手許に配付されて居ります刷物──即ち臨時物資需給調整法案中、側線を引いてある箇所が只今申上げました修正の箇所でありますから、詳しくは其の點に付て御確かめを願ひたいのであります、以上を以て修正要旨の説明を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=6
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007・竹田儀一
○竹田委員長 加藤勘十君に附帶決議の御説明を願ひます──加藤勘十君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=7
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008・加藤勘十
○加藤(勘)委員 本法の性格に付きましては、本委員會に於て十分の質疑が鬪はされまして、略略明かにされたのであります、問題は斯う云ふ包括的な強い權限を持つた委任法と云ふものは、平常の場合ならば到底承認さるべき性質のものではないのでありますけれども、日本の今日の事情に於ては已むを得ざる一箇の經過規定としてなくてはならないと云ふことが、本委員會に於ても是認されたやうでありまして、此の政府の案も只今述べられましたやうな修正意見の下に、大體此の委員會に於て通ることと存じます、就きましては何度繰返しても此の法律が今申上げますやうな非常に強い包括的な規定を持つた委任法でありますから、一たび其の運用が誤られまするならば、總ての面に民主主義化が行はれなければならない日本の今日の段階に於て、非常に大きな疵を附けることとなりまするから、本法案が通過して愈愈施行されると云ふことになりまする場合、政府當局が十分に委員會の意のある所を酌んで、曾ての總動員法が運用された場合のやうな、世間から獨裁的であると云ふやうに見られるが如き態度は御執りにならないで大臣の質疑に對する御答への中にありましたやうに、十分民主的に運用されるやう、最善の注意を御用ひになるであらうとは思ひますが、本委員會としましては、念には念を入れなければならぬ性質を持つて居る法律と思はれまするので、大體各派共同の附帶決議と致しまして、次に申上げる趣旨の決議案を出したいと思ひます、其の案文を朗讀致します
附帶決議案
本法施行に關し運用の民主化を圖る爲め兩院議員を主とする委員會を設け重要事項は其の議を經るものとすること
斯う云ふ附帶決議案を付し、之に對する政府の御所信を伺ひまして、政府に於ても委員會の意のある所を、十分に斟酌されまして御同意を御與へ下さるならば、本委員會は此の法案を通すに躊躇しないであらうと思ふのであります、簡單でありますが、附帶決議案提案の趣旨を辯明致した次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=8
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009・竹田儀一
○竹田委員長 此の場合商工大臣の發言を許します──星島商工大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=9
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010・星島二郎
○星島國務大臣 只今塚田君より御提案になりました修正案全文、竝に加藤君より縷縷説明を以て御提案になりました附帶決議に對しましては、政府と致しましては謹んで御同意申上げる次第でありす、殊に此の運用に付きましては、民主化を圖る爲め兩院を主としたる委員會を設け、重要事項は其の議を經て致すことにしたいこと、但し其の委員會は安定本部會議の中に設けるや、或は其の外に設けるや、出來ることならば、別箇に外に設けてやりたいと思つて居る譯でありますが、關係方面との協議も若干ありますので、其の邊は御任せを願ひまして、其の趣旨とする所、即ち民主化を圖る爲に、其の委員會を十分尊重して運用を致すと云ふことだけを茲に誓ふ者であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=10
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011・竹田儀一
○竹田委員長 是より討論に入ります──加藤一雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=11
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012・加藤一雄
○加藤(一)委員 日本自由黨を代表致しまして修正以外の原案、修正案竝に附帶決議に贊成致します、此の贊成に當りまして一言政府に御願ひを致しますと共に、要求致して置きます、それは外でもございませぬ、今日統制計畫と云ふものが國内外の情勢から考へまして必至であると云ふことは分り切つたことでありまするが、現状日本の國内を眺めまして、統制經濟の適格者は現在の所官吏より外に私はないと考へて居ります、そこで官吏は思ひを茲に致されまして、大東亞戰爭の砌實行致して居りましたやうな、國民の不評判を買ひましたやうな經過を取らずに、附帶決議にもありましたやうな、民主的方向に十分に配意戴きまして、從來ありました不名譽を挽囘願ひたいのであります、左樣に致しませぬと、折角日本の再建の中心勢力となつて居ります安定本部の官僚も、有終の美を得ることなくして、又國民の不評判を買ひまして、日本の經濟再建も覺束ないと云ふ結果になることを惧れるであります、其の點を十分に政府は御勘考戴きたいのであります、第二は政治の責任と云ふことをはつきりして戴きたい點であります、法律第一條に於きましては、經濟安定本部總裁は、主務大臣に對して云々と云ふやうに規定してありますが、官制を見ますると、内閣總理大臣と云ふ名前がそこに載つて居ります、内閣總理大臣が經濟安定本部總裁を兼務せられるのでありますから、同一人が二重人格で仕事をなさいますことは、日本の在來の考へから申しますれば、尤もと考へまするが、是は憲法上から考へまして聊か疑義のある點であります、斯う云ふ點も殘つて居りますし、從來の如く我が國に於きましては、動もすれば此の政治の責任と云ふことが不分明になりまして、第一次滿洲事變から敗戰に至りますまでの經過を考へて見ましても、其の間の事情は十分明かなる所でありますから、斯う云ふ點も十分に御勘考の上で、政治の責任を明かにせられまして、上意下達、下意上達の制度を十分に活用せられまして、政府中央機關其他中央の組織が命令致します事項は、立ちどころに下部組織が之を承繼致しまして、國民が納得してそれを受入れまして、經濟再建が經濟安定本部を通じまして、一日も早く完成致しまするやうに、政府に格段の御努力を御願ひ致します、國民も之に應へまして、十分に政府の意を體し、經濟再建に勵しむ譯でありまして、兩々相俟つて一日も早く日本の再興を圖る、斯う云ふ方向に參りたいと存じます、以上大略希望其他を述べまして贊成致す次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=12
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013・竹田儀一
○竹田委員長 川崎秀二君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=13
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014・川崎秀二
○川崎委員 進歩黨は修正案竝に附帶決議に贊成の意を表するものであります、本案が廣汎な委任立法であり、官僚に對して洵に白紙の委任状と云ふやうなものを渡すことになるに付ては、本會議竝に委員會に於て各議員から異口同音に發せられた質問の中心でありました、隨ひまして此の點に關する運用の妙味と云ふことは、今日最も要望せられる所でありまして、附帶決議竝に修正案の趣旨と云ふものは十分に尊重されなければならぬと私は考へるのであります、是と竝行して政府の各部局に於ける所の從來の「セクショナリズム」の打破、或は繩張爭ひを排すること、是等に付ての修正は今度の修正案に十分に盛られて居りまして、我々が要望して居る所の經濟安定本部に、強力なる權限を附與しなければならぬではないかと云ふことが修正案に多く盛られたことは、私は頗る贊意を表するものでありますが、經濟安定本部の強化と云ふことは、決して經濟安定本部の官僚化ではないのであります、我我が今日強く希望致したいことは、經濟安定本部の民主化でなければならぬ、斯樣に考へるのであります、經濟安定本部は日本經濟の建直しに付て、内閣よりも更に鞏固な一連の計畫性を持ち、内閣各大臣に命令をすると云ふやうな所にまで、此の臨時物資需給調整法を通じて其の權限が發揚されるに至つたことは、結構なことであると私は考へるのであります、同時に附帶決議の重要性と云ふものは、是は更に強調されなければならない、從來附帶決議と言ひますと、大體に於て兩院が之を附しても、政府は唯畏まつたと云ふことだけで、實際に於ては效果が現はれたことがないのでありますが、此の法案に付ての附帶決議の重要性と云ふことは、特に本日御列席の兩大臣に十分認識して戴きたいと私は考へるのであります
最後に一言申上げたいことは、まだ經濟安定會議の構成に付て輪廓がはつきり致して居らない所があるのでありますが、本委員會に依つて漸く貴衆兩院議員が其の委員になるのだと云ふことが分ると云ふやうな、さう云ふ非民主的な考へ方では我々は日本の産業再開と云ふことが出來ないのではないか、貴衆兩院議員こそ寧ろ其の中樞になつて、經濟安定に付て十分なる意見を、常に吐露し得るやうな仕組に變へなければならぬ、其の點に付て經濟安定本部の總務長官の認識は稍稍遺憾な點があつたのではないかと私は考へるのであります、是と更に只今要望されしまた委員會は、日本經濟の需給計畫に付て、本當に此の法案實施の際に意見を吐露して行ける委員會であり、實際に經濟の實體を握る委員會になつて行かなければならぬ、宙に浮いたものであつてはならないと云ふことをはつきり申上げて、本案に贊成するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=14
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015・竹田儀一
○竹田委員長 加藤鐐造君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=15
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016・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私は日本社會黨を代表致しまして、本案修正個所を除いた原案竝に修正案、竝に附帶條件に對しまして贊成するものであります、唯茲に若干の希望意見を附して置きたいと考へる次第であります、本案は申上げるまでもなく、日本經濟再建の基本方策を樹立する爲めの法令であるのであります、斯かる重要な方策を立てる爲に、本案のやうな極めて廣汎なる委任を託する所の法令で以てやつて行かうとするには、非常な危險が伴ふことは、既に委員會を通じて各委員から申述べられた通りであるのであります、そこで私共は此の委員會を通じて、出來る限り其の基本方策の内容に付て、政府當局から御伺ひ致したいと考へたのでありますが、それ等の點に付きましては殆ど發表がなかつたのでありまして、是は甚だ遺憾なことであると思ひます、隨て日本の經濟の再建が成るか成らないかと云ふことは、本法の運用の如何に懸つて居るのであります、政府は本法を運用するに當りまして、戰時統制經濟の失敗の跡を十分檢討して、其の戰時統制經濟の失敗が、要するに官僚統制と資本主義を基盤とする所の統制經濟であつたと云ふ點を十分に檢討せられまして、今後の極めて困難な情勢の中に立つて日本の經濟を再建する爲には、日本の經濟の大きな變革が必要であると云ふことを、十分に御諒解を願はなければならないと思ふのであります、隨てさう云ふ點から社會主義的計畫經濟の線に沿つて、基本的な方策を決定せられたいと思ふのであります、而して出來る限り全國民の協力に依つて、今後の日本經濟の再建の方策を定め、其の運營を行はれんことを強く希望致しまして、本案に贊成するものであります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=16
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017・竹田儀一
○竹田委員長 石原登君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=17
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018・石原登
○石原(登)委員 日本の再建に當りまして本法を設けることに付きましては、協同民主黨と致しましては全面的に贊成する所でありますが、唯我々と致しましては其の運營如何を非常に注意して居つたのであります、斯う云ふ見地から私共は、只今申されました修正案竝に附帶決議案に對して、協同民主黨は贊成の意を表するものであります、是までの斯かる法律に對する政府の運營を見ますと、多く例を引くまでもなく、非常に獨善主義でありまして、そこに官の横暴は正に眼に餘るものがあつたのであります、私自身と致しましても隨分斯かる場合に臨んだのでありまして、何れも是等のことは法の立法の精神に背いて居る譯であります、斯う云ふ時私達は常に政府の責任者に對して其の所信を質し、更に善處されるべきことを要求したのでありますが、最高責任者の言明があるにも抱らず、常に下部役人に於ては間違つて運用されたことは、再々私達が經驗した所であります、どうか此の法の運營に付ては、責任者である所の大臣は、部下に對しまして十二分に法の趣旨を徹底せられまして、間違つても今後今までのやうな惡い印象を國民に與へることのないやうに、是非とも善處せられたいと思ふのであります、私は以上を申述べまして本案に對しまして贊成の意を表するものであります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=18
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019・竹田儀一
○竹田委員長 伊藤恭一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=19
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020・伊藤恭一
○伊藤(恭)委員 各派の共同提案に依る修正事項竝に附帶決議を、政府當局に於ては責任を以て採用せられまして、日本經濟の再建の爲に公正なる民主化を圖られるやうに致されることを條件と致しまして、本案に贊成するものであります、尚ほ附加へて希望致したいのは、戰時に於ける統制經濟は、色々戰力の關係から其の内容を發表することは出來なかつたのでありますけれども、今後に於ける統制經濟は本當の日本經濟再建の爲であるから、出來るだけ其の内容を率直に明示せられまして、國民民主化を愈愈的確に致されるやうに、希望條件に附加へて置きたいと思ひます、以上を以て新政會を代表致しまして本案に贊成するものであります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=20
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021・竹田儀一
○竹田委員長 福田繁芳君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=21
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022・福田繁芳
○福田委員 私は無所屬倶樂部の立場と致しまして、本案に對して極く簡單に率直に一言申上げて、さうして本案に對する最後の態度を決めたいと思ふのであります、本法は産業の囘復振興を圖るにある、斯う云ふ所に重點がありますが、一たび本案を繙いて見ますれば、戰爭中ならいざ知らず、敗戰後の今日、我が國産業の再建を圖らうとする時には、餘りにも無理であり、又矛盾の多いことを非常に意外に思つて居るのであります、併しながら私達委員會に參りまして毎日之を審議するに當りまして、初めて此の條文の裏に於ける所の本法案の意味、尚又今まで政黨人であつた所の星島商工大臣の本法案に對する非常なる熱意のある所の御態度、尚又膳國務大臣と致しまして、既往の經歴を一切一掃して、殊に我が國の勤勞大衆より見られた所の色の付いた著物は此の際脱ぎ棄ててしまつて、新しい直つ白の著物を著て、さうして我が國經濟再建の爲に重大なる責任を背負つて起たう、斯う云ふことを屡屡言はれて居るのでありますが、私はさう云ふ點に滿腔の敬意と同時に期待を掛けまして、必ずそれを實行して貰へると云ふことを前提として、此の際修正案竝に附帶決議に對して、無所屬倶樂部として全會一致で贊成致したいと思ふのであります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=22
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023・竹田儀一
○竹田委員長 是にて討論は終結致しました、是より採決致します、先づ共同修正案に付て採決致します、此の修正案に御贊成の諸君は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=23
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024・竹田儀一
○竹田委員長 起立總員、仍て修正案は提案の通り決しました、次に只今議決致しました修正部分を除いた他の部分に付て採決致します、修正以外の部分に付ては原案の通り決するに贊成の諸君は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=24
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025・竹田儀一
○竹田委員長 起立總員、仍て修正部分を除いた他の部分は、何れも原案の通りに決しました、次に本案に付すべき附帶決議に付き採決を致します、此の附帶決議を付することに贊成の諸君は御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=25
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026・竹田儀一
○竹田委員長 起立總員、仍て附帶決議は之を付するに決しました
此の場合委員長として一言申上げます、此の法案は本議會中屈指の重要法案でありますが、斯く圓滿に結論を得ましたことは洵に感謝に堪へませぬ、此の際各委員諸君の御熱心なる御質疑、御態度に對しまして、深く敬意を表すると同時に、各大臣竝に政府委員諸君の御精勵に對しましても深く之を多と致します、尚ほ委員長と致しまして此の委員會全員の希望を、商工大臣竝に膳國務大臣に御取次致したいと思ひます
即ち第一、加藤勘十君御説明の各派共同の附帶決議となりました委員會の構成に付てでありますが、其の數は三十名程度と致し、成べく衆議院議員を多數に御選定願ひたいと云ふことであります、第二には、經濟安定會議の委員の中へ成べく衆議院議員を多數御加へあらんことを御願ひ致したいのであります、此の際膳國務大臣の發言を許します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=26
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027・膳桂之助
○膳國務大臣 此の非常時を乘切る必要な法案、而も非常に異常な形の法案を、皆樣が御寛大の御氣持で御協贊戴き、且つ非常に適切の御修正を戴きまして、洵に有難く厚く御禮を申上げます、只今委員長から仰せの二つの問題は私としまして出來るだけ尊重申上げたいと存じます、但し先程星島商工大臣から申上げました通り、委員會の構成等に付きましては、關係筋との協議の問題もありますので、出來るだけ御趣旨に副ふやうな意味合で、其の形等に付きましてはどうぞ御任せを願ひたいと云ふことをば、甚だ我儘のやうでありまするが一言申上げて御諒承を得たいと存じます、又御贊成演説を戴きました中に、色々の御希望、御注意のあられました點一々御尤もと存じまして、其の趣旨を體することをば此の機會に申上げまして、私の答辯と致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=27
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028・竹田儀一
○竹田委員長 それでは本日は是にて散會致します、次會は公報を以て御通知致します
午後二時五十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=28
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029・会議録情報3
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〔參照〕
臨時物資需給調整法
第一條 主務大臣は、産業の囘復及び振興に關し、經濟安定本部總裁が定める基本的な政策及び計畫の實施を確保するために、左に掲げる事項に關して、必要な命令をなすことができる。
一 經濟安定本部總裁が定める方策に基く物資の割當又は配給
二 經濟安定本部總裁が定める方策に基く物資の生産(加工及び修理を含む。以下同じ。)若しくは工事の施行又は物資の生産若しくは工事の施行の制限若しくは禁止
三 經濟安定本部總裁が定める方策に基く物資又は設備の讓渡、引渡又は貸與
政府は、勅令の定めるところにより、前項第二號又は第三號に掲げる事項に關する命令により生じた損失を補償する。
第一項の規定による命令をなす場合における擔保權の處理その他必要な事項は、命令でこれを定める。
第二條 主務大臣は、前條第一項第一號の割當の實施について必要且つ適當と認めるときには、民主的に組織された産業團體に、その構成員の議決に基いて、その構成員及びその構成員以外の同業者で物資の割當を請求する者に對する物資の割當を行はせることができる。
前項の産業團體は、主務大臣が、告示により、これを指定する。
前項の規定により指定された産業團體から、第一項の規定により物資の割當を受ける者で、その産業團體の行つに物資の割當の決定に不服のある者は、遲滯なくその旨を主務大臣に申し出ることができる。この場合には、主務大臣は、事案について公正な調査及び審議を行つた上、公益に適した決定をなすことを要する。
前項の決定にその産業團體が從はない場合又は第二項の規定により指定された産業團體の行ふ物資の割當を經濟安定本部總裁が定める方策に適合させるために必要がある場合には、主務大臣は、その産業團體に對して、その行ふ物資の割當の決定の變更を命ずることができる。
第三條 主務大臣は、第一條の規定の適用に關して必要な事項につき、關係者から報告を取り、又は當該官吏に必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により、當該官吏に臨檢檢査させる場合には、その身分を示す證票を携帶させなければならない。
第四條 第一條第一項の規定による命令に違反した者は、これを十年以下の懲役又は十萬圓以下の罰金に處する。
前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第五條 左の各號の一に該當する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千圓以下の罰金に處する。
一 第三條第一項の規定による報告をせず、又は虚僞の報告をした者
二 第三條第一項の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者
第六條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に關して第四條第一項又は前條第一號の違反行爲をしたときには、行爲者を罰するの外、その法人又は人に對して各本條の罰金刑を科する。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
この法律は、經濟安定本部の廢止の時に、その效力を失ふ。但し、その時までになした行爲に對する罰則の適用については、この法律は、その時以後もなほその效力を有する。
この法律の效力を失ふ際における損失の補償、擔保權の處理その他必要な事項に關する經過規定は、勅令でこれを定めることができる。
附帶決議
本法施行に關し運用の民主化を圖るため、兩院議員を主とする委員會を設け、重要事項は、その議を經るものとすること。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X00919460920&spkNum=29
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