1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
商工協同組合法案(政府提出)
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昭和二十一年九月二十三日(月曜日)午前十一時一分開議
出席委員
委員長 竹田儀一君
理事 加藤一雄君 理事 小島徹三君
理事 塚田十一郎君 理事 原健三郎君
理事 宮前進君 理事 西村榮一君
理事 前田榮之助君 理事 石原登君
理事 疋田敏男君 理事 福田繁芳君
井田友平君 飯國壯三郎君
西村久之君 厚東常吉君
田中源三郎君 田中實司君
瀧澤脩作君 山田善三君
馬越晃君 九鬼紋十郎君
鈴木明良君 坪川信三君
川崎秀二君 金子益太郎君
竹谷源太郎君 加藤勘十君
大宮伍三郎君 稻田健治君
三木武夫君 伊藤恭一君
布利秋君
九月二十一日委員小坂善太郎君辭任に付其の補闕として増井慶太郎君を議長に於て選定した
出席國務大臣
商工大臣 星島二郎君
運輸大臣 平塚常次郎君
出席政府委員
商工政務次官 小林かなえ君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 小出榮一君
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本日の會議に付した議案
商工協同組合法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=0
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001・竹田儀一
○竹田委員長 それでは會議を開きます、商工協同組合法案に關する質疑を繼續致します──加藤一雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=1
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002・加藤一雄
○加藤(一)委員 先づ質問の順序と致しまして、法案の細部の問題に付きましては、又別に順序を經まして質問致したいと思ひます、大項だけを先づ御伺ひ致しますそれから委員長に御願ひ致しまするが、運輸大臣に緊急質問を致したいと思ひます、午後御出席を御願ひ致します
我々は定刻十時に參集致しまして、政府の來場を待つて居つたのでありますが、中々お見えになりませぬので、一同申合せをしまして、十一時までに御來場がなかつたら一時散會と云ふことに方針を定めて居つたのでありますが、たつた二分間で政府は助かつたのであります、我々は雨の降るのに國民のことを思ひまして一生懸命やつて居るのでありますし、政府と致されましても、自分でお立てになりました法案の審議でありますから、十分其の點を御考への上で、大臣が御出席であらうがなからうが、政府委員と致しましては、陪席して十分審議を致されるのが至當と思ひます、爾今は左樣なことのないやうにお心掛けを願ひたい、質問に先立ちまして政府に警告を發して置きます
そこで先づ第一に御伺ひしたい點は、從來の組合法を改正する趣旨であります、其の趣旨を簡單に御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=2
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003・竹田儀一
○竹田委員長 委員長よりも警告を發して置きます、大分お待ちになつて、宥めて宥めてお待ちを願つたやうな譯でありますから、どうか一つ、もう少し早目に來られんことを嚴重に警告を發して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=3
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004・小林かなえ
○小林政府委員 洵に申譯ございませぬ、厚く御詑びを申上げます
只今加藤委員から御質問がございました點に付きましては本會議竝に本委員會に提案の理由を説明致しました中に申上げて居りまする通り、從來の商工組合法と云ふものは、戰時の統制を中心として作られた法律でありまして、此の商工組合法の中には、統制組合に關するものと、施設組合に關するものとがありましたけれども、大體に於て統制と云ふことを中心にされて居ります、隨て是所謂戰時中に行はれました指導者原理に依る獨裁的な基礎觀念の下に作られた法律でありまして、終戰後の今日、特に民主主義に徹底しようとする今日に於きましては、非常に其の基本的理念に於て相容れないものがございます、即ち是等の從來誤つた統制に陷つた觀念を根本的に切換へまして、さうして民主主義政治に徹底した自治的な、下より盛上つた組合と云ふものを作りたいと云ふことから、本案の提案がされたのでございます
又一方、終戰後に於きまする我が國の經濟産業状態が、御承知の如く財閥は解體せられ、軍需工業は其の根柢から覆へされ、殆ど我が國の從來の産業組織と云ふものが根柢に於て其の基盤を失ひまして、是から先澤山な賠償施設が取去られ、將來日本が立つて行く道に於ては、此の中小商工業と云ふものを基本にして日本を再建して參らなければならぬ、それには極めて民主的な組合を作つて、さうして中小商工業の人々がお互に協力し合つて、共同施設に依つて産業の合理化を圖つて、さうして中小商工業者自體の發展を圖ると同時に、我が國の産業組織を根本的に建直さなければならぬ、從來動もすれば中小商工業者が、資材が足らぬとか、或は不當な競爭の爲に粗惡な品物が出ると云ふやうなことから、永續して行かないやうな状態であつた、さう云ふ弊害を根本的に建直しまして、さうしてお互の協力に依つて其の短所を補つて、中小商工業者の健全なる發達を圖つて參らなければならぬ、斯う云ふやうな點をお互に綜合考覈致しまして、さうして今囘の商工協同組合法案と云ふものを立案致しまして、皆さんの御贊同を得る爲に提案をした次第であります、大體只今の御質問に對しては、甚だ簡單ではありますけれども、さう云ふやうな意味に於て提案されたものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=4
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005・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこでもう一つ關聯して御伺ひ致して置きますが、從來重要輸出品工業組合と云ふものがありました、それと此の協同組合法案はどう云ふ關係になりませうか、もう一つは從來の商業組合との關係であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=5
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006・小出榮一
○小出政府委員 只今御尋ねの、工業組合及び商業組合と、今度の商工協同組合との關係でございますが、御承知のやうに、工業組合法は、最初重要輸出品だけに付きまして出來た組合法であつたのでありますが、其の後工業一般に之を擴げまして、工業組合法として制定せられました、是が大正十四年であつたかと思ひます、それに引續きまして、大體此の工業組合法と同じ内容を持つた法律を、商業關係に付きましても制定する必要を生じまして、商業組合法を昭和七年に制定致したのであります、此の二つの法律を戰時中更に廢止致しまして、之に代るものと致しまして商業、工業全體を包括致しまして新たなる統制組織を作りましたものが、昭和十八年に出來ました、商工組合法であります、隨ひまして、商工組合法が出來ました際に、工業組合及び商業組合の制度はなくなりました、今度此の商工組合法を更に協同組合法に改める、斯う云ふやうな關係になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=6
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007・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで御伺ひ致しますが、從來の重要輸出品工業組合と商業組合を見ますと、第一條の目的の項に於きましても、事業の點に於きましても、本協同組合法案と全く一致して居るやうに考へます、其の點はどう云ふことに相成つて居りますか、昔のものを復元してそこに協同と云ふ字を付けたのが、今囘出す協同組合法であるやうに私は考へます、其の間の事情を御説明戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=7
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008・小出榮一
○小出政府委員 昔の商業組合、工業組合の制度と、今度の商工協同組合法との内容に付きまして異なる點でございますが、第一條の目的に於きましては、御話のやうに何れも大體中小商工業者の復興、振興と云ふことを主眼として居りまして、其の爲の共同事業、共同施設を行ふと云ふ點に於ては大體一致して居るのでございますが、昔の工業組合或は商業組合の制度は、單に共同で共同仕入とか、或は共同販賣と云ふやうな經濟事業を行ひますのみならず、之に併せまして統制事業が或る程度出來ることになつて居るのでございまして、例へば工業組合等に於きましても必要がありますれば「アウトサイダー」に對しまして、組合の統制に從ふやうな強制的な統制命令と云ふものが出せるやうになつて居るのでございます、商業組合に於きましても統制事業と云ふことが一つの重要なる事業の内容になつて居りまして、經濟事業と統制事業が併せて行へると云ふことが、昔の組合制度であつたのでありますが、今度の協同組合制度は統制事業は行ひませぬので、純然たる經濟事業だけでございます、其の點が根本的に從來の組合と違ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=8
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009・加藤一雄
○加藤(一)委員 今政府の御話で一つ重要なる問題が出て參りましたが、「アウト・サイダー」を「コントロール」すると云ふのが從來の觀念、今度の協同組合はそれが出來ぬと云ふことになります、然らば臨時物資需給調整法に於きましても、同僚の方から伺つたのでありますが、從來あつた統制會社とか、戰時中に出來ました各種の統制會と云ふものが廢止せられて、民主主義的に組織せられる團體に依つて將來は運營せられて行く、所がそれに「アウト・サイダー」があることは分り切つて居る、行く行くは此の協同組合も、臨時物資需給調整法に於きましては指定せられるものがあると云ふことを、商工大臣が御指摘になつて居る、そこで「アウト・サイダー」に強力なるものがあつて、此の組合に入つて居るものが非常に貧弱なものである、斯う假定致しますと、物の割當、配給、運搬等に付きまして産業界に摩擦があることは分り切つて居る、それを如何にして政府は民主的に統制せられる御考へであるか、是は重要事項ですから掘下げて一つ承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=9
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010・小出榮一
○小出政府委員 臨時物資需給調整法と今度の協同組合との關係でございまするが、御話のやうに商工協同組合と云ふものは、純然たる民主的に組織された經濟團體でございまして、臨時物資需給調整で謂つて居りまする所の、民主的に組織せられました産業團體の觀念の中に入るものと考へて居ります、隨ひまして物資需給調整法の所謂物資の割當團體と致しまして、民主的に組織せられました産業團體を指定致しまする場合に、協同組合も其の團體の一つとして指定を受ける場合があり得る譯でございまするが、物資需給調整法に於ける物資割當團體の指定に當りましては、需給調整法の審議の際に申上げたかと思ひまするが、大體に於きまして、全國的な生産者團體と云ふものが中心になりまして、全國的な生産者團體が、自分の所で生産致しまするに必要な資材の割當を行ふ爲に指定を受けるのが、通則でございまして、隨ひまして協同組合のやうな、主として中小企業者を中心とした任意的な團體、是が全國的な生産者團體と云ふ形に於て現はれる場合は、寧ろ例外であらうかと思ひます、併しながら例外ではありまするけれども、勿論指定を受け得る譯でございまして、其の場合には御話のやうに「アウト・サイダー」との關係と云ふことが出て參る譯でございます、併しながら是は協同組合に限らず、統制會が改組して出來て居りまする何々協議會と云ふやうな任意團體等に於きましても、勿論加入脱退は自由でございまして、「アウト・サイダー」の存在が前提となつて居る譯でございます、是は民主的に組織されました團體でありまする以上は、或る程度已むを得ないのでごさいまするが、「アウトサイダ・ー」との摩擦と云ふ問題に付きましては、大體指定を受けました團體なり、組合が物資の割當をする權限を與へられる譯でありますので、どうしても其の組合の方が中心になつて「アウト・サイダー」の分も割當をすることになりますので、結局組合に入つて發言權を持たなければ、非常に「アウト・サイダー」が弱い、斯う云ふ結果になりまするし、又割當を公正に行ひまする爲には、出來るだけ多くの人が組合に入つて協同で審議をして、割當を行ふと云ふことが好ましい譯でありますので、實際問題としては「アウト・サイダー」の方が強力で、團體の方が弱體であると云ふやうな事態は、餘り起つて來ないのではないか、斯樣に豫想致して居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=10
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011・加藤一雄
○加藤(一)委員 今の御答辯で略略了承致しましたが、「アウト・サイダー」があり、協同組合に加入して居るものがある、斯う云ふ場合の割當等に付ては、組合加入者を中心に實行して行く、隨て「アウト・サイダー」は組合に入らなければならぬと斯う私は了承致しまして、次の質問に進みたいと思ひます、政府も其のやうに御考への上で組合の運營を處置せらるるやうに希望致して置きます
そこで協同組合は任意組合であるから入らぬものがある、今の場合と裏腹でありまするが、さう云ふ場合に政府は、どのやうにして協同組合を發展せしむるやうな政策を御執りになりますか、強制的加入は出來ないから、何か準則でも設けて、協同組合に入ることが利益であると云ふことを宣傳する必要があるやうに私は思ひますが、さう云ふ點の御方針はどうなつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=11
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012・小出榮一
○小出政府委員 協同組合は全く業界の自發的な意思に基いて、利害關係の密接な業界の方がお互ひに手を繋いで、共同の事業を行つて行くと云ふのが主眼でありますので、政府の方から斯う云ふ風に組合を作れとか、或は組合に加入しなければならぬとか云ふことを強制しない積りでございます、併しながら御話のやうに協同組合と云ふものは、主として中小企業者が立直つて行きます上に、極めて適切な制度と認めまして立案致しました以上は、此の組合制度は出來るだけ中小企業者の間に普及發達せしめますことが望ましい譯であります、其の意味に於きまして組合制度と云ふものを活かして使つて行くと云ふことの爲に、或る程度普及、宣傳、啓蒙と云ふやうなことを行ふ積りに致して居ります、隨ひまして組合に對しまして、組合を作つた爲に色々な利益があると云ふ風なこと、例へばそれが立派な法人格を持ちまして、政府の公認の團體と致しまして各種の組合事業が出來ると云ふ風な問題、それから資材の割當等を致します場合に於きましても、やはり好い加減な團體でなしに、協同組合と云ふ風な立派な團體でありますれば、之を出來るだけ活かして行くと云ふ風なことに依りまして組合制度を作ることが、中小業者に取りましては非常に有利であると云ふ風な方向に之を指導して行くと云ふことは、勿論考へて居る譯でございまするが、併しながら畫一的に斯う云ふ風に組合を作れとか、或は此の組合に入れと云ふやうなことは、強制的にしない積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=12
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013・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで次に御伺ひ致しまするが、此の協同組合の協同と云ふ字は、英國の「ロバート・オーエン」、綜合組合主義でありまするが、又戰爭前から「デンマーク」、「スエーデン」等に於て實施せられて、今日非常に盛んになりまして戰後の世界の一つの動向になつて居ります協同組合主義でありますか、何れを御採りになつて居りますか、私の見る所では「ロバート・オーエン」主義を一歩も出て居らぬやうに思ひますが、政府は最近世界各國に擴がりつつありまする協同組合主義と云ふものを參酌せられて、本法案を制定せられて居りまするかどうか、立法の基礎の觀念を伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=13
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014・小出榮一
○小出政府委員 協同組合と云ふ言葉から出て來る問題でございまするが、今日各方面に於きまして、一般に協同組合主義と云ふことが色々の角度から言はれて居ります、併し是は必ずしも其の協同組合と云ふ言葉なり、觀念に付きまして、之を用ひて居る人に依りまして統一的な思想がないやうに考へられて居ります、今の御指摘のやうに、「ロバート・オーエン」式の勞働組合と云ふものもありますれば、色々の角度から性格の違ふものが混同されて使つて居られるやうにも考へられるのでありますが、今度私共の方で考へました商工協同組合の協同と云ふ觀念に付きましては、所謂生活協同組合と云ふ風な觀念とは違ふ譯でございまして、丁度組合國家とでも申しますか、全體の生活と云ふものを、總て協同組合化して行かうと云ふ風な考へ方のものも一部にある譯でございます、さう云ふ協同組合の觀念は主として組合の日常の消費生活或は家計經濟の合理化を圖る爲の一種の協同組織でございまして、さう云ふ風な所謂生活協同組合と云ふものとは、之を區別して考へて居る譯でありまして、商工協同組合は、さう云ふ風な生活協同體と云ふ風なものではございませぬで、企業者それ自體の中小商工業者共同施設、共同事業、斯う云ふ風に考へて居る譯でございます、さう云ふ意味に於きまして協同組合と云ふ文字を用ひた譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=14
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015・加藤一雄
○加藤(一)委員 然らば此の協同が將來發展することがあると思ひまするが、其の發展形態はどのやうに政府は御考へになつて居られまするか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=15
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016・小出榮一
○小出政府委員 協同の發展形態と申しますと、結局、此の協同組合と云ふ風な組織が、商工業の社會に於てのみならず、農業方面に於きましても、或は日常の消費生活、一般「サラリーマン」の階級等に於きましても、凡ゆる面に於て此の協同組合化が行はれて行くと云ふ、發展と云ふ風なことも考へられるのでございますが、商工省と致しまして考へて居りまするのは、單に中小商工業者が大資本と對抗致しまして、經營の合理化を圖つて行く爲には、中小業者の共同の力を協はせて、協同の事業を行つて行くと云ふのが望ましいと云ふ程度のものでありまして、之をずつと押擴げまして、社會全般の基礎構造と致しまして、協同組合制度と云ふものを理想として掲げて居ると云ふ風なことは、考へて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=16
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017・加藤一雄
○加藤(一)委員 此の點に付きまして少し意見がましいことになるかも知れませぬが、是は重要事項でありますから、もう少し掘下げて私は伺ひたいと思つて居ります、今日の日本の經濟の再建は、明治御一新の比でございませぬと云ふことは、私が申上げるまでもないことであります、御破算でございまして、新たに建設をやり直すと云ふ底の問題であると私は思つて居る、そこで將來、此の御指摘になつて居りまする中小工業の問題であります、是が發展をして行きまする其の基礎の再建構圖は、何と申しましても日本の貿易が世界の市場にどれだけ發展が出來るかと云ふ、一つの大きな前提が要ると思ひます、左樣致しますれば、日本産業の構造と云ふものがそこで決まる譯である、私は斯う考へて居る、そこで日本産業の構造が決まると云ふことは、工業と農業、又商業もそこに加はつて參りますが、それの組合せがどうなるかと云ふことに依りまして、日本の産業が可能であると云ふ結論に到達すると私は考へるのであります、所が今のやうに商工協同組合は、單に商工業者の組合に止まるので、農業其の他の關係には關係がない、斯う云ふ御説でありますれば、從來の如く「セクショナリズム」を一歩も出ない日本再建計畫になると思ふ、要するに農林省方面に於きましては、將來農山漁村協同組合一本で行くやうに、此の間の委員會に於ても御話があつた譯であります、そこで其の協同組合、農林方面の協同組合と、此の商工協同組合と云ふものは十分に提携しなければ、日本産業の再建は覺束ない、私は左樣に考へて居ります、そこで發展形態如何でありますが、政府は今の所農業方面に對しては、商工業協同組合は何等關係をせしめず、斯う云ふ御方針であるやうであります、もう一度御考へ直し戴けるなら御考へ直して戴きます、飽くまでも農業方面には商工協同組合は關係せしめぬ方針で進むのだと云ふ御話でありますれば、我々同僚は違つた角度から政府に相當辛辣な質問を致さなければならぬ、其の點ははつきりと、今の御答辯に拘らず、御間違ひを訂正が出來るものであつたら御訂正を戴きたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=17
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018・小林かなえ
○小林政府委員 只今御質問になりましたことに付て御答へを致します、今商工協同組合に付ての法案が出て居るのでありますが、加藤さんの仰しやるやうに、將來農業方面にも組合法案が出ることであらうと思ひます、併し只今加藤さんからも御心配になりましたやうに、將來日本の農業或は工業、商業と云ふやうなものが、どう云ふ風に再組織されて行くべきものかと云ふやうなことは、是は根本的に考へなければならぬことだと思ひます、今日主食糧に於て非常に缺乏して我々は困つて居るのでありすが、併しながら各方面に於て心配されて居りますやうに、近き將來に米の生産過剩と云ふやうなことが起らないとも言へないし、或は南の方面、或は「ビルマ」、「マレー」方面から米が輸入されると云ふことになれば、日本の農業の状態も大分變つて來なければならぬ、斯うなれば此の議會に於ても各方面に色々論議されました如く、將來日本の農業の中に工業化した力を加へて參りまして、さうして農村の經營が機動化されたものにされて行かなければならぬと云ふことは、御異議はないことと考へるのであります、さうなりますと、將來農村方面にも、相當工業の方面の經營が加味されて參り、隨て又商業的作用も、或る程度深くなつて參るかも知れませぬ、斯う云ふことから、差當り農村が工業化されて參ると云ふことになれば、農村の中に工業化の力が加はり、工業的の生活状態、事業の經營形態と云ふものが入つて參ります、さう云ふ時には、やはり此の商工協同組合の中に、農村の中の人も加はつて貰はなければならないやうなことにもなつて參るであらう、隨て成程農業方面の協同組合と、商工協同組合とは別な法律が出來て居りましても、そこにお互ひに錯綜關聯する部分もあり得ることになるのでありまして、さう云ふことに依つて、將來加藤さんの御心配になるやうな點は、十分救つて參れるであらう、或は將來斯う云ふ組合法案の實施から、次第に此の組合の發達育成と云ふものが達成されて、非常に好い結果を來たして來るやうなことがあるのであらう、或はさう云ふことから次第に進んで行つて、農業も商工業も同じ形態に於ける一本の協同組合と云ふ法案が出來て來ると云ふことも、豫想されないものではないと思ひますが、何を申しましても、今日終戰後に於ける此の渾沌たる時代に於ては、一應此の緊急對策として是だけの法案を出して置いて、近い將來に於て、出來て來る農業協同組合法と云ふものの發達育成の具合に依りまして、善處して參りたいと考へて居ります、隨て加藤さんの御心配になるやうな點を、十分一つ完全に融合して、日本全體の發展が出來るやうに考へて參りたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=18
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019・加藤一雄
○加藤(一)委員 將來はさう云ふやうになることは、今政務次官から訂正の御趣旨で御辯明がありましたから分りましたが、私は現状です、日本の再建に當りまして民主主義で行かなければならぬ、其の民主主義は、一應商工業に關しては商工組合民主主義で行くんだ、斯う云ふ形を茲に御示しになつたのですから、現状に於きまして、日本政府の部内に於きましては、日本の民主主義と云ふものは、殊に商工經濟會法廢止の時に、農林方面の政府委員から話がありました通りに、自分の方でも協同組合一本で行くんだ、斯う云ふ話があつたんですから、協同組合民主主義一本で行くと云ふことは、今日もう政府内でも話が付いて居ると私は思つて居る、そこで今日民主主義の型を商工業にしろ、農山漁村の民主主義の型にしろ、一應一定して置きませぬと、農林省の言ふことは違ふのだ、商工省の民主主義は違ふのだ、斯う云ふことになりましては、國民こそ迷惑であり、健全なる民主主義と云ふものは日本に發達せぬと云ふことになります、又其の間隙を縫ひまして、外の方面の民主主義の型も出て參りませうし、旁旁以ちまして、中々民主主義と云ふものは巧く行かぬと云ふことになりますれば、商工組合と云ふものの、發展もせぬと云ふことになります、其の間の事情を私は十分斟酌して質問致して居る譯です、そこで古い話でありますが、第一次滿洲事變が起りまして、日本が滿洲の經營に參劃するやうになりまして、櫻桃を滿洲に移植することになりました時に、御案内かも知れませぬが、山形、青森方面の櫻桃栽培者は、どれだけ日本政府に陳情もし、之に反對したかと云ふことを、今御想起願ひたいと思ひます、櫻桃の罐詰を日本が作ると云ふことになりまして、今日滿洲の櫻桃が非常に盛んになつて居りますが、日本の櫻桃を罐詰工業にしなければならぬと云ふ要請がありますれば、どんどん山形、青森方面に櫻桃を栽培せしめまして、之を安價に、而も技術的に巧く工業化して、それを海外に輸出せんければならぬ、さうして滿洲の櫻桃を根こそぎ日本の櫻桃に依つて拂拭するやうな方策を執らなければ、日本の櫻桃は成立たぬ、そこで私は農業と商工業との關係に於きましては密接な關係がある、又此の關係を拔きに致しましては、日本の商工業の再建も、農業の再建も斷じて罷りならぬ、まだ外に相當例を持つて居りますが、先づ此の櫻桃に付て次官の御考へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=19
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020・小林かなえ
○小林政府委員 御答へ致します、御質問の意味が能く分りませぬが、今日の提案中の商工協同組合法に於きましても、例へば農村に於て櫻桃なら櫻桃が取れる、此の櫻桃に加工をして、或る物を生産をして之を賣ると云ふやうな場合には、工業的經營素質が入るのでありまして、さう云ふ場合には商工協同組合法の中に組合員として加はることも出來るのでありますから、其の點は御心配のやうなことは起り得ないだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=20
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021・加藤一雄
○加藤(一)委員 私はさう云ふ點を質問して居るのぢやございませぬので、さう云ふ例もあるから、農業と商工業の關係と云ふものは今日密接ではなからうか、此の關係を拔きにしましては、商工協同組合一本では、將來日本の再建は難かしい、さう云ふことを聽いて居るのであります、又速記録を見て、少し御研究の上で此の點に付ては御答辯戴きたいと思ひます、そこで次に伺つて置きたい點は、此の商工協同組合の運營は商工省單獨で爾今おやりになりますか、經濟安定本部が上にのし掛つて此の運營が左右せられる譯になりますか、其の點を一應伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=21
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022・小林かなえ
○小林政府委員 御答へ致します、加藤さんの御質問の前段の部分に付てもう一應申上げて置きます、現在商工協同組合法と云ふものが假に出來、又一方農林省方面から農業協同組合法と云ふものが出來ることになつて居るのでありますが、商工業の方面は商工協同組合法、それから農業の方面は農業方面の協同組合法と、自ら其の分野がありますので、此の點は同じ民主主義精神に徹底して、下から盛り上る民主主義的な組合を作ると云ふやうな、お互に協同し合つて行くと云ふやうな意味に於ては同一なものでありますが、其の仕事の形態に於ては異つて居ります、但し農業の方面の工業の部面に加はつて居る部分は、先程も申上げました通りに商工協同組合の方に加入してやることが出來るのでありますから、其の點はまだ私御質問の意味を取違へて居るかも知れませぬが、十分補ひを付けて行くことが出來るものと考へて居ります、それから商工協同組合法案の適用に於ては、何處が主となつてやつて行くかと云ふことでありますが、是は關係する部面に於きまして、或は商工省が主務大臣であることがあり、或は厚生大臣、或は農林大臣の關與する部分もあらうと思ひます、經濟安定本部は固より、總ての經濟政策の一番の中心になつて方策を定めるのでありますから、固より其の計畫の下に、其の同意を得てやると云ふことになるのでありまして、此の點はお互に縱と横とに關聯して、助け合つて行くべきものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=22
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023・加藤一雄
○加藤(一)委員 其の點ははつきり致して置きたいのでありますが、從來我我が官廳に參ります時に、例へば「アルミ」に付て參りますれば商工省の「アルミ」の所に參りますし、陸軍、海軍があります時は陸軍、海軍の「アルミ」の所に參ります、又企畫院の「アルミ」の所に參りますと云ふやうに、四つも五つも「トンネン」を通らなければ「アルミ」のことは分らないのが日本の現状であります、又地方の府縣廳に參りますと、現在石油の問題に付きましても、多い所は六つの「セクション」がある、協同組合法案に關しましては或るものは商工省に、或るものは農林省に、或るものは經濟安定本部と云ふやうに、何處へ行つて止めが付くのか、はつきり分らぬやうな現状でありまして、是れ亦協同組合の發達に非常な阻碍になるかと私は思ふ、さう云ふ點は今此の席上ではつきり致して貰ひたいと思ふ、原則は商工省で、商工省は斯う云ふ所をやるのだ、經濟安定本部は斯う云ふ所を上から見て貰ふ、斯う云ふ大綱でもはつきり此の席上でして置いて戴きまして、速記録を讀む國民全部が納得の上で、將來商工協同組合の發達育成の爲に、心から盡力するやうに仕向けて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=23
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024・小林かなえ
○小林政府委員 御答へ致します、經濟安定本部は基本的の政策に關するものでありまして、其の他の各省大臣が主務大臣たる場合は、産業別に依つて各各違ふのでありますから、具體的事項の起つた場合に決定するより外はないと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=24
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025・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで第十二條の「組合員の取扱品の仕入、保管、運搬、加工、販賣その他組合員の事業に關する共同施設」、「組合員の取扱品又はその生産若しくは加工の設備に對する檢査」、「組合員の事業に關する指導、研究、調査その他組合の目的を達するために必要な事業」是だけしか事業がないのです、全般的も相對的もあつたものではないのです、之に付て御説明戴きますれば、例へば仕入は商工省が監督をやる、保管はどう、斯う御明記戴きますれば、はつきり分る、何も難かしいことを政府に聽いて居るのではありませぬ、納得の行くやうに國民に知せて置いて戴きたい、之を聽いて居るのです、例へば運搬と云ふことになりますれば商工省が先にやるが、運輸省方面に於ても關係があるのでございますから、或る場合は運輸省に行つて貰はなければならぬと云ふ結果になりませう、さう云ふ點を聽いて居るのであり、此の點を明かにして置いて戴きたいと私は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=25
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026・小出榮一
○小出政府委員 此の商工協同組合に對する監督指導等の問題に付きましては、それぞれ主務大臣がなされる場合があるのでありまして、結局此の協同組合を組織して居りまする組合員、どう云ふ事業を行つて居るかと云ふことに依つて、先づ決まつて來るのであります、例へば一般の中小の機械工業者が作りました協同組合でありますれば、是は機械工業と云ふものの所管が商工省でございますから、其の主務大臣は商工大臣、さう云ふことになりましてそれから食料品の加工を致しまするとか、或は薪炭の販賣をするやうな業者の組織して居るものでありますれば、是はそれぞれの事業が農林省の所管でありますので、其の組合員の事業を所管致して居りまする主務大臣が其の組合を監督致します、斯う云ふことになるのでございます、尚ほ今御話のやうに、此の出來ました協同組合が、例へば運輸事業をやる、それから保管事業をやる、倉庫を持つて保管事業を行ひまして、倉庫證券を發行すると云ふことになつて參りますと、御指摘のやうに此の倉庫證券の發行と云ふことに付きましては、運輸省との關係も出て來るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=26
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027・加藤一雄
○加藤(一)委員 能く分りました、そこで大臣に御伺ひ致したいのでありまするが、大臣が御出席ありませぬから、腑に落ちませぬければ他の機會に大臣に再質問することに致しまして、今日は、是は私本會議でも質問致しましたが、日本の商工業の再建に當りましては、東亞の關係が一番重要であると考へて居ります、臨時物資需給調整法に於きまして、政府は第一次に紡績を主に致しまして産業の再建を圖る、斯う云ふことを膳國務大臣も、星島商工大臣も、口を揃へて此の席で御發言になつて居ります、そこで政府に於きましては、今日は聯合軍の配慮に依りまして、棉等が輸入されて居りますから、一應其の業態は成立つやうに考へますが、國交調整をした曉に於きまして、原料を何處から御求めになりまして、どのやうに日本の紡績を育成しようとなさつて居りますか、其の點に付て先づ御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=27
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028・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 物資需給調整法の委員會の席上で、商工大臣は纖維産業に重點を置くと云ふことを言はれたのであります、殊に其の中心を成します所の綿業は、勿論我が國の産業の中心でありますし、又中小商工業と致しましても織布其の他加工業の關係で、非常に廣い範圍に我が國の中小商工業の分野を占めて居る譯でありまして、非常に重要なものであります、のみならず輸出品と致しましても從來非常に廣い實績を持つて居りますし、又海外の他の國に比べまして、我が國が非常に有利な地歩を占めて居ることも御承知の通りであります、隨ひまして此の纖維産業、特に綿業の育成と云ふことは重點視して行かなければならぬのでありますが、其の原料は御言葉の通り國内にはございませぬ、無論海外に全部仰ぐ譯であります、戰前どう云ふ徑路で之を得て居りましたかと申しますと、やはり是は天然の産物でございますので、どうしても出來る地域と云ふものが世界的に限られて居ります、無論一番多いのは北米で、「インド」及び「アフリカ」、其の他南米方面に若干ございますが、大部分は北米、「インド」、「アフリカ」方面でございます、隨ひまして、是は將來のことは餘り計畫的に、さう詳しく分らないと思ひますが、此の生産地と我が國との結付きを考へる以外にないと思ひます、勿論最も重要視すべきものは米棉でございませうし、又短纖維で、割合値段が安いと云ふ關係から、我が國は從來「インド」棉を使用致して居つたのであります、勿論それ等の地方にも戰爭中相當綿業の勃興があつたと考へるのでありますけれども、其の消費を十分生産し得る程の能力ではないと考へます、最近の數字は存じませぬが、天然物の増産と云ふことは、工業品の増産より更に斯う云ふ地域には容易であらうと考へますので、やはり戰爭が濟み、平和が克復致しまして、我が國も是等從來の輸出國と交易の状態に入ることが出來ますれば、やはり是は從前通り輸入して貰へるものと考へて居ります、隨ひまして是等の地域に對して相當の物を輸出する、製品を輸出する、其の見返りに原料の輸入をして貰ふと云ふことが出來るものと考へます、隨て「アメリカ」、「インド」、「アフリカ」、「ブラジル」と云ふやうな方面に對しましての製品の輸出を考へまして、綿布の原料である所の棉花を入れる、斯う云ふことが可能であらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=28
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029・加藤一雄
○加藤(一)委員 私も將來は左樣にあつて欲しいと思ひます、米棉の輸入がどんどん日本に來るやうに米國が日本に好意を向けて戴かなければ、日本の紡績は成立たぬと思ひます、それで成立たぬ前に、政府としては今日から肚を決めて考へて置いて戴きたい點が一つあります、それは御指摘になつて居りますやうに、戰時中「インド」に於ては、私の調査に依れば、相當「ランカシア」の紡績が働いて居りました、又戰後に於ても「インド」の復興と云ふことは、英國も第一次歐洲戰後の状況に比較して深刻に考へて居る譯であります、此の方面の輕工業の勃興と云ふことは私は當然だと考へます、而も隣國中華民國に於ては御案内の通り上海、青島、滿洲を中心に中華民國人も相當の紡績を持つて居りますが、搗てて加へて從來日本が經營致して居りました綿絲紡績工場が、彼處に無疵で殘つて居ります、現在日本の内地の紡績錘數と、中華民國にあります錘數を比較致しますれば、大同小異の程度と私は考へて居ります、而も日本の紡績は賠償の對象に依りまして幾分は解體を命ぜられまして、「フイリピン」に行きますか、「インド」に行きますか、中國に行きますか分りませぬが、相當の打撃を受けることは分り切つて居る話であります、而も戰時中相當の引外しをやつて居る譯であります、そこで支那に花を栽培することは、大東亞戰爭を通じて日本の全生命を賭して、支那大陸を綿業化した譯は各位御存じの通りです、支那には綿絲、棉あり、而も日本に匹敵するやうな工場を持つて居ると致しますれば、其の原料を日本に供給するよりは、自國で錘いだ方が宜しい、斯う云ふ結果になります、而も日本の工業は向ふへ參りまして過去數星霜、日本内地に於てやつて居りました以上の技術を向ふに移植致しまして、現在其の技術を向ふに殘して居ります、それが將來日本人の手に歸りますれば何等申すことはございませぬが、全部中國人のものとなります以上は、茲に考へを及ぼして戴かんければ、今政府委員の御話になりましたやうに、大したことはない、まだ販路は擴がるであらう、斯う云ふ漫然たる御考へを以て、日本の綿業を今日中心に育成強化せられると致しましても、將來は大變な問題になると云ふことを、私は此の際政府に警告を發すると同時に豫言を致して置きます、而も日本の繭の問題でありますが、是も御案内の通り、養蠶は日本の種を日支事變を通じ、大東亞戰爭の前期に於てはどんどん中國へ持つて參りまして、桑の植ヱ方、栽培の方法に至るまで、細部に亙つて日本は向ふに教へて歸つて居ります、而も從來は太絲しか錘げなかつた中國人は、日本の技術を修得して非常に細い絲まで錘ぐやうになつて居ります、さう云ふ點から考へますと、日本の絹絲業も將來を考へなければ、世界市場の開けた後に於ては、相當危機に瀕すると云ふことも分り切つて居る譯であります、もう一つ惡いことは、中國が早急に工業化と云ふことをやることになりますれば、それに要する資本、技術、機械、設備等は、日本は其の方面の工場が今日爆碎をせられて居りますし、賠償の對象で引外される關係になりますから、生産がない、必然的に歐米に其の糧を求めることは分り切つて居る譯であります、さうなると彼等としては其の反對給付として、生絲、茶を是等方面に出しで行くことも分り切つて居る譯です、さうすると日本が從來歐米に出して居つた茶、生絲の市場は、歐米に於ても競合する、斯う云ふ結果になりますので八方塞りであります、是は杞憂ではなく、現實なんですから、斯う云ふ所を十分に御勘考戴いて政府はどう云ふ方針を以て綿絲紡績を中心として再建せられる考へを持つて居られるか、もつと底のものを承つて置きたい、もつと惡いことは先般も指摘致しました通り、東洋の經濟の基盤は農業でありまして、是も御存知の通り半封建的で、水田農法で、零細農業で、農村に於ける人口過剩は日本と類似です、此の農業の基盤の上に東洋の商業工業が成立致して居る譯でありますから、此の點に付ても十分政府は御考へを繞らして置きませぬと、本當に開けた時に、日本は歐米資本主義の奴隷になつてしまふ、私は左樣に考へて居ります、一つの好い話がありますから話して置きますが、昭和六七年頃と思ひます、滿洲事變の善後措置として、當時飯倉君が農林省の課長をして居り、眞鍋と云ふ技師が居り、是が日本の減段運動を資源局の參與官會議に堤案致して居りまして、「アメリカ」では戰後小麥の畑が段々殖ゑましたが、減段を致しました
〔塚田委員長代理退席、委員長著席〕
之を日本が眞似て、日本の田圃を減す、滿洲の水田を設計するに當つては、日本の農業は立ち行かぬから、減段して滿洲に米の田を作るのだ、斯う云ふ所まで突き進んで、農林省に堤案したことを私は記憶致して居ります、日本は今全く反對の立場に立つて居ります、中國に於て減段して呉れなければ、日本は凡ゆる面に於て立ち行きませぬ、日本は當時とは反對の方向に政策を向けて行かなければ、將來滅亡を見る、斯う云ふことになりますから、歴史は繰返します、過去を振返つて、日本再建の今日こそ、政府ははつきりした對策を執り、是なら大丈夫だ、國民を率ひて立つことが出來るのだと云ふ綿業對策を、政府の口からはつきり國民に闡明願ひたい、是なくして我々は如何に星島商工大臣、膳國務大臣が聲を嗄らして、將來綿絲紡績を中心に日本の再建を圖るのだと仰しやいましても、納得する譯に行きませぬ、納得行かぬものは如何に致しましても國民として推進致すことは出來ませぬ、其の點を商工大臣に代つて御答へを戴きますれば結構でありますが、若し御答へ出來ませぬければ、御傳へ戴きまして商工大臣からはつきりした御答辯を伺ひたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=29
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030・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今の加藤委員の御話は商工大臣に能く御傳へ致します、一言申上げて置きますが、仰せの通り纖維産業の再建の前途には東洋各市場とも各種のむづかしい問題があります、日本の立場から考へても、戰災で相當やられて居る所へ、戰時中の戰力化の意味で轉用され、其の各種機械は相當破壊されて居る譯であります、隨て再建自體が非常に困難な状況であります、そこで取敢ず政府は纖維産業再建委員會と云ふものを設けまして、關係各方面の御助力を得まして、關係各省、民間の方々を入れた大委員會でございまして、此處で對策を審議致して居ります、此の邊で大體基礎的なと申しますか、取敢ず對策を練りまして、更に之を安定本部等に御審議を願ふ基礎案として是が作られるものと考へて居りますが、先づ其の邊に政府は著手致して居る譯でございます、全般的な問題に付きましては、何れ又大臣から御答へ申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=30
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031・加藤一雄
○加藤(一)委員 それでは其の問題はお預けと云ふことに致しまして、更に御伺ひ致します
全般的な問題と致しまして、商工業は日支事變、大東亞戰爭中に相當轉廢致しましたが、此の轉廢業者の處理はどのやうになつて居りませうか、それから臨時物資需給調整法が成立致した其の日に轉廢業者が組合又は其の他の民主的に組織せられたる産業團體に加盟致して居りませぬければ、永劫末代商賣が出來ぬやうに相成るのかどうか、此の二點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=31
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032・小出榮一
○小出政府委員 第一點の御尋ねの戰時中企業整備其の他に依りまして轉廢業致した業者の今日の状況でございまするが、戰時中に於きましては所謂軍需産業方面へ動員致しまする爲に、工業の方面に於きましても、特に商業の方面に於きましては、非常に強力な企業整備を行ひまして、其の爲に全國的に凡ゆる業種に亙りまして、相當多數の轉廢業者を見たのでございまするが、終戰と共に是等の轉廢業者は、再び元の職場に戻らうと云ふ傾向が非常に強いのであります、特に戰時中實施して居りました、企業許可令と云ふ營業の免許制度の基礎になつて居りまする勅令があつたのでございまするが、此の企業許可令に依りまして、數百の業種が企業許可制を布かれて居つたのであります、終戰後經濟民主化の線に沿ひまして、此の企業許可令の指定業種を極度に壓縮致しまして、現在商工省關係に於ては僅かに纖維製品の小賣業、石炭、石油の販賣業の外は全部營業は自由になつて居ります、のみならず、企業許可令も國家總動員法に其の基礎を置いて居る以上は、今月末を以て消滅致しますので、今後は全く企業の開始は凡ゆる業種に付て──少くとも商工省關係に於ては自由になつて來る譯でございます、隨て一旦轉廢業致した者も今日續々と事業を開始致して居ります、併しながら勿論そこには戰災に依つて店舖を失つたり、或は事業資金の獲得が出來なかつたり、色々な隘路はありますが、兎にも角にも營業の再開と云ふことに付ては、今日全然自由になつて居ります
それから需給調整法が假に來月から施行になつた際に於て、其の施行の當日に於きまして所謂民主的に組織された團體に加入して居ない業者はどうかと云ふ御話でありますが、是は申すまでもなく、民主的に組織されて居りまする團體でありまする以上は、其の加入、脱退は自由であると云ふことが原則でありますので、正當な理由がありまする以上は、其の加入を拒むことは出來ない譯でありますので、今日其の業に携はつて居ない人であつても、將來それに加入することは勿論自由であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=32
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033・加藤一雄
○加藤(一)委員 もう一つそれに關聯して申上げますが、一番難かしいのは石油業だと考へます、石油業に付ては石油界に於て波瀾重疉を極めて居る事實を私は目撃致して居ります、此の轉廢業者の關係に付きましては、今の御説明に依つてはつきり了承致しましたが、政府に於かれても非常に心配して居られる向もありますので、速かに其の旨業者に御示達の上安心するやうにしてやつて戴きたいと考へます、是で午前中の質問を一應打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=33
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034・竹田儀一
○竹田委員長 暫時休憩致しまして、午後一時から質疑を續行致します
午後零時三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=34
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035・会議録情報2
――――◇―――――
午後一時二十分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=35
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036・竹田儀一
○竹田委員長 引續き會議を開きます──加藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=36
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037・加藤一雄
○加藤(一)委員 午前中に引續きまして續行致します、もう一つ全般的の問題で御伺ひ致して置きたいと思ひます、中小商工業と云ふ定義でありまするが、是ははつきり御明示戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=37
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038・小出榮一
○小出政府委員 中小商工業と一口に昔から殆ど常識のやうに言はれて參つたのでありますが、果して中小と云ふのはどう云ふ範圍であるかと云ふことに付きましては、色々議論があらうかと思ひます、學者の分類等に依りましても、例へば工業關係で申しますれば、商工省で從來から行つて居ります工場統計に基きまして常時使用して居ります工員の數、絶えず使つて居る工員の數を基礎にして分ける分け方、是が一番普通のやうになつて居ります、其の前に於きまして例へば百人以下を中小と見るとか、或は二百人以下を中小と見る、或は三十人以下を特に小工業と見ると云ふ風な分類をする人もあります、大體是が代表的な分け方になつて居りまして、我々も大體觀念的には少くとも大きくて三百人程度までを中小の工業の範圍に入れまして、當時使用工員が三十人以下と云ふやうな所を小工業と云ふ風に考へて居るのでございますが、唯申すまでもなく工員の數だけで之を分類することは非常に不合理な事態が起つて來る場合が多いのでありまして、例へば業種に依りまして非常な違ひがございます、機械工業で申しますれば、比較的其の生産の内容から見まして工員の數は餘計要る譯でありますけれども、之に反しまして化學工業の方に於きましては、寧ろ設備が中心でありまして、非常に大きな化學工業の工場でありましても、案外使つて居る工員の數は非常に少くて濟むと云ふ風な事態がございまするので、之を業種別にやはりそれぞれ分けて考へることが必要であらうかと存じます、隨ひまして本當に合理的に中小商工業の範圍を決めようと致しますれば、使用工員の數、資本金額、それからそこに投下してあります設備の内容、それから生産額と云ふやうな各種の方面から綜合的に之を考へなければいかぬことにならうかと思ひます、それから商業の方に於きましても、例へば資本金額に依る分け方とか、或は賣上金額に依る分け方と云ふ風に色々の面があらうと思ひます、商業の方に於きましては大體大部分のものが、特に小賣業者等は百貨店等を除きますと、殆ど全部が中小商業者と考へられる譯であります、是は或は御答へにならないやうな御答へになるかと思ひますが、結局結論に於ては、それぞれの業種で具體的場合に應じまして各種の條件を綜合した、結局經濟常識的な點に歸著せざるを得ないのではないか、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=38
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039・加藤一雄
○加藤(一)委員 私が今其の定義を伺ひました理由は、今度商工協同組合法案の提案理由書にあります通り、商工業の合理化を圖ると云ふことに一應の理由がありまするが、合理化の問題で御伺ひ致したいのであります、此の間も質問致しましたが、「フォード」の經營方針は時間及び勞力の節約、設備の發達するに從ひまして、勞働者一人當りの生産額は無限であると云ふ定義が、「フォード」の産業合理化の指導精神になつて居るやうであります、左樣に致しまして一人でも機械化の立派なものが出來ますれば、其の業は運營出來ると云ふことは是で明かであります、そこで中小商工業者等の定義が必要になる譯であります、政府は今後の日本の合理化に於きまして、今申上げましたやうな「フォード」の經營方針を日本に採擇して、「アメリカ」が第一次世界大戰後に於きまして、溢れるやうな失業者が巷に滿ちた時に、安易なる失業救濟に趨らずして、機械化を以て此の失業を救濟した、さう云ふことで多くの物を生産して、而も薄利でさうして一般の購買力を盛んに致しまして、「アメリカ」の今日の復興をなしたやうに「ニューディール」政策では讀み取れるのであります、今後日本の産業復興に當りましても、理想は唯一人の工員に依つて全工場を動かすやうな、機械化設備を技術的に發達せしめてやる御意思があるか否かに、私の質問は懸つて居るのであります、さう云ふ意味合で中小工業、其の他の大企業等の定義を將來御考へになるやうな御積りがあるかどうか、是も併せて此の際承つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=39
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040・小林かなえ
○小林政府委員 只今加藤委員の御述べになりましたことは洵に結構な御意見でありまして、技術の高度化と云ふことは、將來我が國の商工業のみならず、農業方面凡ゆる方面を通じて最も力を盡さなければならぬ所であらうと思ひます、從來此の點に於て我が國は非常に後れて居りまして、殊に農村方面などに於ける機械力の利用と云ふことは、非常に後れて居るやうに考へます、是は勞力の過剩であると云ふやうなことも自ら禍をして、其の爲に機械力の利用と云ふやうなことが後れて來る傾向があつたやうに思ふし、又將來勞力が剩つた時代にはさうなり易いのでありまするが、農業方面と雖も十分に機械を利用して行くと云ふことが必要であらうと思ひます、是が非常に日本の農村文化を高める理由にもならうと思ひます、況や工業の方面に之を使ふ、僅かな人を以て機械力に依つて仕事をすると云ふことは、最も必要なことであらうと考へます、殊に近來は技術の高度化と云ふやうなことは、非常に院内に於ても叫ばれる所でありまして、我々は徹頭徹尾是は贊成をする者であります、出來得る限り凡ゆる方面に於ける技術指導と云ふやうなことを、政府に於ても計畫を立てて、是非一つ非常なる努力を以て御希望のやうにやつて參りたい、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=40
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041・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで各論に入ります、以上の全般的質問に並行致しまして、以下細部に亙りまして御伺ひ致したいのでありますが、何と申しましても膳國務大臣、星島商工大臣が御述べになつて居りますやうに、今後は中小工業を中心に日本を再建しなければならぬと云ふ宿命が、日本に課せられて居るやうに思ひます、そこで私は此の中小工業がどう云ふ譯で日本に將來中心とならなければならぬかと云ふ理由を一應私の意見として此處で述べさして貰ひまして、政府の御考へもそこに一致するかどうかを御伺ひ致しまして、國民にも之をはつきりと認識して戴くやうに速記録に留めて置きたいのであります
先づ聯合軍が日本に進駐して參りまして、第一に「ポツダム」宣言忠實實行の建前から要求致しましたことは、軍隊の解散と云ふことであります、それから重工業、軍需工業の解體、一部施設の撤去、左樣にして直接的に日本を非武裝化すると云ふことが、第一であります、第二には日本の社會から軍國主義の發生を容易ならしめるやうな要素を取除かうと云ふことが考慮せられました、其の具體的の措置として先づ農地の解放を實行せしめまして、農村に於ける軍國主義發生の基盤を根本的に剥ぎ取り、一方産業財界に於きましては財閥を解體して、從來動もすれば軍國主義の重要なる柱となつて居りました所を根こそぎ搖がしてしまふ、斯う云ふ所に「ポツダム」宣言の忠實實行の建前から、日本に聯合軍は要求して居る底意があるやうに自分は考へます、そこで此の事業は昨年八月十五日以後進駐軍が日本にやつて來まして、著々實效を得、約一年餘になりまして今日に及んで居ることは、我々共に能く知つて居る所であります、此の見地から將來中小工業を中心に日本産業を開發復興しなければならぬと云ふ結果が生れて來るのであります、此の點は國民、政府共に此の際はつきり認識して掛かりまして、以下商工協同組合法案に付きましての凡ゆる施策を考究する必要があると考へますが、政府の御考へはどのやうになつて居りませうか、簡單で宜しうございますから一應御答へを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=41
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042・小林かなえ
○小林政府委員 洵に加藤委員の御述べになつた通りであると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=42
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043・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで中小工業は今朝程申上げました通り、從來是が國民の生活物資を造り、或は又輸出貿易品を造つて居りました關係で、今日御配付になつて居る政府の資料に依りましても、破壊率は相當でございます、そこで現在及び將來に亙つて國民生活及び貿易振興上、此の破壊率を以て致しましては大變大きな問題が茲に包藏して居るやうに考へます、所が人動もすれば眼先の問題だけを考へまして、中小工業の復興對策を研究するやうな氣配がなきにしもあらずと考へて居ります、今囘の商工協同組合法案は正に其の通りであります、政府は此の商工協同組合法案に依りまして、商工業者が本當に救はれると御考へになつて居るかどうか、我々の見る所を以て致しますれば、此の法案に依りましては非常に難問題であると考へて居ります、意見に亙りますが、何としても商工業の育成開發と云ふことは、それ自體の問題だけでは今日解決は罷りならぬと考へて居ります、是は日本經濟の全體乃至は世界經濟の一環として物を御考へ戴きませぬと、大變な間違の方向に行くことは必然であります、先程も致府の意思を尋ねましたが、私は日本の貿易が將來どの程度まで許されるかと云ふこと、それに依つて日本の産業の構造がはつきり決まりますから、そこで農業と工業との關係も組合せもはつきり致す譯であります、前提が茲にありましてこそ商工業或は農業、國全體の産業が跛にならず圓滿に解決されると思ひますが、今囘商工協同組合法案を御立てになります時に、さう云ふ考へを以て立案になつて居られますかどうか、若しなつて居られると致しますれば、法案の何處にさう云ふ精神が盛つてあるか、此の點をもう一度はつきりして置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=43
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044・小林かなえ
○小林政府委員 我が國の中小商工業者を初とし、商工業者の將來はどう云ふ風に向つて行つたら宜いかと云ふやうなことに付きましては、洵に加藤委員の御述になつた通りであります、現在聯合軍の管理下に於きまして、又貿易の許されない今日に於て、我が國の商工業の行くべき道を確定すると云ふことは極めて困難であります、さう云ふ自由なる貿易が行はれる時代になりますれば、固より我々の考へる所が本法に依つて非常に伸張されるに至るであらうと考へます、併しながら現在に於きましては、大體現在に於ける情勢に適ふやうにして參るより外はないのであります、今囘提案致しました商工協同組合法案に於きましても、さう云ふ具體的な場合を彼此れ決めて居る譯ではありませぬが、如何なる場合にも順應出來るやうに、其の組織だけは作つて參りたいと云ふことから、一つの進むべき方向を示してあるのであります、此の協同組合法案は、全體を御覽になれば御分りになる通り、何處にはつきりしたものがあるかと問ひ詰められれば、甚だ其の答へに困るのであります、併しながら、若し此の組合と云ふものが非常に有效に使はれて行くならば、それこそ其の效力は測り知るべからざる偉大なるものがあると思ふ、又之を善用しなければ殆ど霞を吸つて居るやうなものでありまして、あつてもなくても宜しいと云ふやうなものに終るかも知れませぬ、中には之を惡用して惡い方面に使ふやうな組合がないとは言へませぬ、さう云ふものは政府は出來るだけ善導致しまして、此の組合法が本當に活きて使はれるやうに致したいものだと考へて居る次第であります、要するに、本當に立派な組合が出來て、之を構成する組合員諸君が之を有效に使ふならば、此の組合法に依つて得る利益と云ふものは、極めて大きなものがあらうと思ひます、我々としては、一日も早くさう云ふ模範的な組合が出來まして、他の組合が之に眞似て全體が進んで行くやうに致したい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=44
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045・竹田儀一
○竹田委員長 加藤君、運輸大臣が御出席になりましたから、緊急質問と云ふことですから、それを許可致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=45
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046・加藤一雄
○加藤(一)委員 運輸大臣に緊急質問を致します、私が今日緊急質問を致しますのは、運輸大臣を御苦しめ申上げる爲の緊急質問ではありませぬですから、其の御積りで、答辯等に付きましては愼重に御答へを願ひたいと思ひます、先般運輸省に於て行はれました「ストライキ」の爾後の經過は如何樣になつて居りませうか、それを御尋ね致しまして、あと私が考へて居ります二三の點を運輸大臣に進言致しまして、運輸大臣の御善處を御願ひ致したい、是が今囘の私の緊急質問の要旨であります、先づ以て經過を御報告戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=46
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047・平塚常次郎
○平塚國務大臣 國有鐵道の爭議は先般解決致しましたが、爭議の起きた原因は、國有鐵道が多數馘首すると云ふことが問題になつて起きたのでありまして、元々私共は馘首することは目的でなかつたのであります、皆さん御承知の通り、國有鐵道の從業員の國民に對する「サービス」が非常に惡いのでありまして、此の「サービス」の改善をしなければならぬ、其の爲にはどうしても合理的に國有鐵道の運營を圖らなければならぬ、其の目的の爲には現在の儘ではいかぬ、之を色々配置轉換、詰り多い所には非常に職員が多い、又其の一方不足な所は非常に不足であると云ふことがあるのでありまして、是等の者を整理致しまして、實際に人が十分働き得る形に直さなければならぬ、其の結果が偶偶人が餘つた場合に之を整理すると云ふことであつたのであります、其の整理すると云ふことだけを捉へて爭議に入つたのでありますが、幸ひにして數囘に亙つて從業員組合と折衝致しまして、「ゼネスト」に入らない、さうして合理化に協力しようと云ふ組合の申出を受けまして、一應解決したのであります、解決に當りましては爭ひの途上に於て、「ゼネスト」をやつて何處までも爭ふと云ふ態勢であつたのでありますが、私と致しましては、此の日本に一分でも汽車を止めるやうな混亂状態に入ることを避けまして、本來の目的である鐵道の合理的經營が出來ると云ふことにしたい、幸ひに話が妥結致しまして、十三日に兩者の間に調印を見た次第であります、是が大體の經過であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=47
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048・加藤一雄
○加藤(一)委員 能く其の間の事情は了承致しました、私が一つ運輸大臣に私の考へ方を申上げまして、今後の運輸行政に對し御取上げを願ひたいと思ふことがございます、それは外でもございませぬ、今日我々旅行致しまして一番不愉快に感じますのは、各驛に汽車が停まりますと、窓から入つたり出たりする人間が大變に多い、又三等客が二等の列車内に闖入する、先般私は目撃致しましたが、熱海から朝歸りました時に、三等の客が二等の席に掛けて居る、あなたは三等ですか、二等ですか、自分は三等だ、三等なら一つ代つて戴きたい、今二等も三等もあるものか、斯う云ふ權柄づくで、依然として三等客が二等席に掛けて居ります、階級を設けることが宜いか惡いかと云ふことは、今日としては問題が相當殘らうと思ひますが、一應二等車があり、三等車があると云ふことになりますれば、賃金を拂つて二等の切符を買つて居る人間には、一應二等の優先權があるやうに自分は考へて居る、而も窓から入つたり出たりすると云ふことは、如何に今日列車の運轉車數が少いとは申せ、洵に以て國民道義の頽廢と云ふものは見逃し得ないと思ひます、私は日支事變から大東亞戰爭に掛けまして中國に在勤致して居りましたが、當時中國の鐵道は日本の軍隊に依つて爆碎せられまして、日本で機關車を造り、貨車、客車を造りまして、又「レール」も日本で造つて向ふへ持つて行つて、日本人の手で敷設致しましてさうして走らす、支那には四億の民があることは御存じの通り、日本は多くて八千萬、汽車の混雜から申しますれば、中國の方が當時上であると云ふことも、一應我々日本人としては考へなければならぬと思ひます、併しながら私五箇年間の在職中、中國人一人として汽車の窓から乘り降りした人間を私は見て居りませぬ、如何に日本が敗戰を致しましたとは言へ日本人は昨年の八月十五日以前までは、東亞の盟主と稱して居つた、此の國民が今日汽車の窓から乘り降りすると云ふことは、どう考へましても割切れませぬ、そこで若し鐵道方面に餘剩の人員がございまするならば、各驛に之を有效適切に御配置を願ひまして、汽車の窓から乘り降りする人間を整理し、先づ以て日本の心臟であります交通機關の面に、國民道徳の昂揚を御期待願ひたい、一石二鳥だと思ひます、國民に迷惑を掛けず、「ストライキ」も圓滿に妥結致したのであります、若し餘剩人員ありとせば、今日只今より其の計畫を推進せられまして、一人も汽車の窓から乘り降りせず、圓滿に旅行が出來ますやうに、運輸大臣の御力で國民道義の昂揚を御圖り戴く譯に參らぬものか、此の點獻策しまするが、御採り上げになりまして速かに御實施を願ひたい、敢て私は緊急質問を致しました理由であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=48
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049・平塚常次郎
○平塚國務大臣 各驛に見る状況は今御質問の通りでありまして、洵に此の點は遺憾に存じて居つたのであります、どうしてあんなに混亂するのかと色々原因を探究して見ますると、終戰後朝鮮人、中國人などが、無切符で相當大量の者が乘込んで居つたと云ふ事實が發見されたのであります、勿論邦人でもあの混亂に紛れて、無切符で乘つた者が相當ありまして之を一番先に手を著けなければならぬ、それには或る程度やはり警察力を用ひなければならぬと云ふので、内務省等に應援を求めまして、移動警察官に車に乘つて貰つて、切符の嚴重なる調べを行つたのであります、其の結果無賃乘車は非常に減つて居ります、隨て混亂も多少緩和され、過去のやうに窓の出入も餘程緩和されたのでありますけれども、思ふ程に列車を運行出來ませぬ爲に混雜はまだ止みませぬ、併しながら是がどの程度に減つたかと云ふことは收入の點に明かに現はれて居ります、あれだけ混雜した時の收入と、今日餘程汽車の利用者が減つて居るのに、月々の收入は殖えて居る、是は無切符で乘る者が餘程整理された結果と思つて居るのであります、又三等の切符で二等に乘る者が非常に多いと云ふ御非難があるのでありまして、是は出來るだけ嚴重に取締らうと云ふ方針の下に大分前から實行して居りまして、餘程其の點は減つて來たと思はれるのでありますけれども、まだ十分行つて居らぬことは御説の通りでありまして、洵に遺憾に思ふのであります、是は國民の道義が失せたと云ふ點からでもありませう、今後は十分取締り、さうして國民の良心に愬へて行きたい、餘り窓から出入りすると云ふやうなことは、平時に於てあり得ることでないと思ひますし、幸ひ今囘爭議が解決致しましたので、色々配置の轉換をやりまして、餘つて居る者はさう云ふ方面に使つたら宜いだらうと云ふ御説、御尤もであります、出來るだけ短かい期間に再び今まで行つたやうなことを繰返さないやうに、十分なる努力を拂ふ積りであります、其の爲にはどうしてももう少し列車を殖やして行きたい、乘降りが樂になりますると、何も好んで窓から出入りする者がないやうになると私は想像して居るのであります、幸ひに石炭の方も多少増産になつて居るやうでありますので、商工當局とも相談を致しまして、幾らかでも石炭の配給を殖やして貰つて、列車の數を殖やし、切符のやうなものも無制限に賣るやうにして、國民の旅行が樂に出來るやうにしたいと思ひます、此のことは改めて計畫するまでもなく、既にさう云ふ考への下にさう云ふ方針で進んで居りまするから、餘り遠い將來でなく、解決するものと私は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=49
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050・加藤一雄
○加藤(一)委員 能く了承致しました──商工大臣に御伺ひ致しますが、屡屡臨時物資需給調整法案で、纖維工業、主として綿業でありますが、さう云ふものを中心に日本の産業を育成する、斯う云ふ御話がありましたが、左樣致しますに付きましては、原料が必要と云ふことになります、そこで政府委員の今朝程の御答辯は、國交調整の曉には、「アメリカ」の方からも、地の利を得まして相當棉花も戴くやうになり、又なるやうにしなければならぬ、斯う云ふ御話がございまして、私もそれを庶幾して已みませぬが、一應東亞を考へますると、日本に匹敵するやうな錘數の紡績工場も、中國に今日現存して居ります、而も其の技術は日本人が過去幾星霜、營々として作つた技術をそこに殘して居ります、左樣になりますと東亞の販路に付きましては、相當日本は削減をせられ、而も印度に於きましては戰時中「ランカシヤ」、濠洲から相當移駐されて居ります、又相當の移駐の傾向も見受けつつある状況であります、尚更販路は縮小して來るだらう、それに搗てて加へまして、生絲は大東亞戰爭、日支事變を通じまして、華中蠶絲は餘す所なく日本の蠶卵紙に依り、而も桑畑まで日本式に植ヱ、育てることも教へて、太い絲しか錘げなかつたものを、細絲まで錘げるやうに向ふに技術を教へて歸つて居ります、御案内の通り中國國民は北に北京政府が出來、南に南京政府が出來ませうとも、一向平氣なんです、現在中共が蒋介石の軍と鬪爭開始、喧嘩を致して居りますが、國民は戰亂に依る苦痛はございませうが、一向平氣であります、何等痛痒を感じない、北に政府が出來、南に政府が出來ませうとも、此の商賣人が南に行きまして商賣をやる、南の商人が北に來て商賣をやると云ふことが大體中國の國民性であります、現在鬪爭して居ることを目途に、高を括つて何等の對策を講じて居ないと云ふことは、悔を將來に貽すことは勿論でありますけれども、私の考へと致しましては、商工大臣竝に膳國務大臣が、屡屡日本の纖維工業を中心に産業開發をやると云ふ仰せでありますが、そこの消息をはつきり認識を致しまして掛りませぬと、一時的の復興は出來ますが、恆久末代日本を救ふ纖維工業の復興は罷りならぬと自分は考へて居ります、此の點に對しまする商工大臣の御考へを御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=50
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051・星島二郎
○星島國務大臣 若し必要ならば詳しい數字を以ちまして、纖維局長からでも御答へさせたらどうかと思ひますが、丁度今纖維局長は他の用があつて出て居りますから、何れ委員會に來ると云ふことで實は私參つたのでありまして、大綱だけ私より御答へ致したいと思ひます、加藤君の仰せの通りに、日本は今年度の見返り物資と致しましては、殆ど纖維品が六〇%位出て行く譯であります、併し金高から言へば纖維品になる譯であります、それに依つて小麥粉其の他の食糧の輸入を受けて居る譯であります、今後の方針としては、自轉車とか、時計とか、色々考へを進めて居りますけれども、相當數量を得まするのはやはり纖維品であります、又是が一番復興し易いやうに考へられますので、當局と致しましても之に主力を注いで行きたい、斯う云ふやうな關係から紡績工場等に付ては特に意を用ひて行きたい、事變前一千二百萬錘あつたと申しますが、是は其の中少くとも一、二割は稼働出來なかつたのも數へて居つたやうに思ひますので、今日實働百萬錘、百五十萬錘と言つて居りますけれども、少くともG・H・Qとの色々の御話合で、今の所まだ最後の決定には至りませぬけれども、戰前の三分の一、四百萬錘程度は日本が復舊し得ると云ふことを認めて呉れて居るやうです、さうして今日は本當に動いて居るのは百萬錘前後だと私は思ひます、そこで日本に食糧や色々なものを送つて來ます見返りとしては、是れ以外に纒まつたものはないものでありますから、先般御話が纒まりまして、今年度は三十四、五萬「トン」の棉を取敢へず送つて來ることになりました、既に神戸其の他に今日約八十萬俵著いて居ります、非常に活況を呈して居ると思ひますが、殘念なことに食糧事情或は最近勞働問題等で、民主化の履き違へ等がありまして、日本の再建の爲に一生懸命に働かなければならぬ際に、比較的農村が落著いて居る關係か、工場等に女工員を得るのが非常に困難を致して居る、或は假令集まつて來ましても直ぐ歸つてしまふと云ふやうな關係で、あの豫定計畫の半數にも達しない、五〇%も生産が出來ないので、送つた棉は其の儘倉庫に積んであると云ふやうな、實に今困つた問題が起りまして、あとは少し送ることを止めるかも知れぬと云ふやうなことがある譯であります、甚だ殘念の至りでありますが、併し是は食糧事情等が良くなりますれば、私は逐次復活して來まして、少くとも豫定のものだけは消化し得るだらう、斯樣に考へて居る譯です、旁旁印度棉も若干入れて宜しいと云ふことになりまして、今印度棉と米棉とを巧く合はして紡錘する、一つの試驗などを致して居るやうな所まで進んで居る譯でありますが、それに又濠洲より十三萬俵の毛を入れて參ると云ふやうなことも起つて來ましたので、我が纖維界へ將來前途に非常な光明を見て居る譯でありますが、如何せん現状と致しましては、石炭や食糧の不足で以て、どうも思ふ通りに參つて居らぬのであります、そこで只今加藤君の仰せのやうに、相當數量中華民國に於きまして、日本の資本家或は共同的な色々な關係で、相當の紡機が働いて居つたのが、今日一切が取られてしまつたと云ふことになつて居るのでありますが、是等は非常に理解のある蒋政權の下に於きましては、或は日本の技術を入れ、相當の人が殘つて之を指導して居るやうなことも聞いて居りますし、極めて圓滿に總ての仕事が遂行されるのであります、中には滿蒙、中華色々の紡績業者の方が歸つて見えて、日本内地に於て再び其の技術、其の紡機を活かしたいと言うて、色々と研究されて居るやうな譯でありますから、此の東亞諸國全體の非常なる衣料不足難に對しましては、各方面から是の復興を圖つて行かなくちやならぬ、今は「ランカシヤ」等がどうだとか、或は支那の紡績と競爭と云ふやうなことは姑く考へる必要はないだらう、兎に角現在日本にありますものが、凡そ四百萬錘までは如何に早く復活するか、是は紡機の生産も許可されて居りますし、食糧問題を解決して、少くとも現在殘つて居る紡織機は全能率に、晝夜二交替でも三交替でもして之を働かして、今送つて貰つて居る綿でも足らなくて困ると云ふやうな所まて、目的を達成することが先決問題であります、其の後に於きまして、お互ひが眞に目覺めまして、從來の世界に覇を唱へた日本の纖維産業を本腰で掛つたら負けはせぬ、唯願ふことならば、民主化を色々と履き違ひを致しまして、さうして勞働能率を下げたり、或は一般物價面に付きまして、全體に非常な損を招くやうなことのないやうに、巧く指導して行きますれば、少くとも前途に光明があると思ふのでありますが、只今仰せのやうな印度棉等の輸入に付て、或は東亞諸國に付きまして、將來自由貿易になつた場合に、日本の纖維と云ふものが、再び事變前の繁榮を見るやうに、今から十分に心して用意して置かなければならぬかと、斯樣に考へて居る譯であります、加藤君の御意見のある所を十分尊重して參りたい、斯樣に存じて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=51
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052・加藤一雄
○加藤(一)委員 能く分りました、次に御伺ひ致しまするが、中小工業を育成すると云ふことは今御話の通りはつきり致しましたが、將來中小工業と大企業との關係を如何に御調節になりますか、例へば自轉車のやうなものに例を取りますれば、加工團體に於きまして相當程度細分化が出來る譯でありますが、其の細分化に依りまして、中小工業に有利な立場を御與へになるやうな御考へがあるかないか、それから中小工業に適する業種に付きましては、大企業の獨占を禁止するやうな、法律的措置を御講じになる意思があるか、行政的にさう云ふことをおやりになる御考へがあるか、大東亞戰爭の末期に於きまして、大變日本で行はれました大企業と中小工業の下請關係であります、將來大企業をなくして、中小企業を育成して行くと云ふことになると、やはり下請關係制度が殘ると思ひます、斯う云ふものの合理的組織の組替と云ふことも必要だと思ひます、斯う云ふ點に對しまして中小工業を育成する根柢がはつきり致しませぬと、從來のやうな、轍を又踏むこと必然と自分は考へて居ります、是は大臣でなくても宜しうございますから、政府委員の方で大臣に代つて、御方針がはつきりして居りますれば御伺ひ致したい、若しはつきりして居りませぬければ、行く行くさう云ふことは調整をする、斯う云ふことでも宜しうございますから、此の點の關係を十分認識致すやうにして置いて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=52
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053・星島二郎
○星島國務大臣 中小工業の何と言ひますか、一つの線と言ひますか、五百人以下の勞務員を使つて居るも中小工業と言へますし、いや百人以下でなければ中小工業とは言へないと云ふ見方がありまして、先般本會議での御質問に對しまして、私共は答辯に困つて、いい加減なことを答辯して居るのですが、今實は經濟安定本部に於きまして、中小工業の對策協議會と云ふ、會の名前は一寸今はつきりしませぬが、さう云つたやうなものを設けまして、さうして愈愈政府が中小工業の振興を圖るのでありますが、それをどの線に從つてやるかと云ふ最後の確定をしたい、大體材料は今まで我々が話しましたので、或は金融方面、或は協同組合を通して──自轉車工業に例を取つて見ましても、一々部分品に付てそれぞれ勝手にやらして、最後を纒める所を、協同組合の方でやらすとか云ふやうなことも考へまするし、或は從來の下請制度にも、一面其のよさも非常にあつたのです、事變前能率が上つたのは大體下請制度です、唯其の間に、搾取的な弊害もありますが、さう云ふ所を能く是正してやる、昔の親分的搾取的な所さへ巧く是正しますれば、日本の下請制度も可なり宜い點もあるのでありまするから、そこでさう云ふ點を解決致しまして──寧ろ自分は現在殘つたものは全部中小工業だと、斯樣に考へて居るのでありまして、少しでも大きいものが殘れば、それは「アンチ・トラスト」として將來利用出來る考へです、是は「ポツダム」宣言受諾に伴ふ件から行きましても、當然之を整理して掛らなければならぬから、不日之に關する法律も、次の臨時議會に於きまして御協贊を願ふやうなことになるだらうと思ひます、それ等と照合せまして今後の日本の行くべき姿、而も世界水準に負けないやうな、中小工業者が集まつて大きな工業にも負けないだけのことをやると云ふ所を狙ひとして、而もそれが實に民主的な所を狙ふと云ふ所へ持つて行きたいのでありまして、大體は安定本部會議の其の別派の委員會で決定を受けることと存じますが、さう云ふ氣持の下に今折角準備中であります、併し早急に準備調査も出來ませぬから、是は個々の取扱の濟む濟まないに拘らず、或は金融方面に付きましても、既にそれぞれ指導致しまして、唯言葉のみに終らぬやうに致したい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=53
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054・加藤一雄
○加藤(一)委員 能く分りました
それから次に御伺ひ致したい點は、終戰後政府は技術者の調査と、熟練勞働者の軍需産業等から追はれました關係者の御調査が出來て居るか、出來て居ないか
〔委員長退席、塚田委員長代理著席〕
それから今軍需産業方面に於きましては、賠償の對象になるものは相當ございませうが、それを拔きに致しまして、あと殘存する設備の調査が出來て居るかどうか、若し出來て居るならば、早急におやり戴くことを願ひたいのであります、出來て居ると致しますれば、是等を中小商工業の再建の爲に再配分せられる御計畫があるか、之を御伺ひしたいと存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=54
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055・星島二郎
○星島國務大臣 今度の賠償物資に依りまして、まだ賠償の最後の線は決まりませぬからでありますけれども、取られるものが今の線に依れば是程取られる、此の線で巧く決まれば是程殘ると云ふことが、今商工省内に整理部と云ふのがありまして、商工省内に於ては一番大きく色々な施策を持つてやつて居るが、そこで大體調査はもう終つて居る譯であります、さうして是は是非殘して欲しいと云ふやうなことも既に色々な數字を以て、材料を以て懇請して居るやうな譯でありますから、加藤君の要求せられるやうなものも、勿論御報告出來ると思ふのであります、併し最後に撤去されて殘つたものを、或は産業設備營團──是は今囘假稱でありますが、産業復興營團、若しくは産業再建營團と云つたやうな、名前に變へまして、さうして實は此の議會に御協贊を願ひたいと思つたのが、到底間に合ひませぬけれども、それ等が從來の大型な戰時型を變へまして、中商工業型に引直して、さうして設備を作つては貸し與へる、或は設備を補助してこちらでしてやると云ふ、色々な方法にまで延びて行きまして、單なる復興金融に依つて金融面の措置以外に、仕事をして一つ助けたい、其の方式は全部中商工業型に引直して行くやうに今折角準備中であります、尚ほ技術に付きましては今囘商工省の官房に技術室と云ふものを設けまして、是は「エンジニーア」の尊重と共に、日本の科學的な色々の施設を其の室を通してやりたい、或は失業對策等に付きましても、賠償物資等に依つて失業する「エンジニーア」を一つ有效に、能率的に之を巧く按配したいと云ふやうなことをも、併せて研究して、それに進んで行きたいと斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=55
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056・加藤一雄
○加藤(一)委員 次に商工大臣に承りたいのでありまするが、官房に技術室を御作りになりますこと、洵に私は結構なことと思ひます、そこで此の技術室に於て立案が出來ませうが、それを今度下部に實行する場合は、やはり府縣工業試驗所を御使ひになる御意思と思ひますが、其の點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=56
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057・星島二郎
○星島國務大臣 まだ其の邊までは少し私共頭に入つて居りませぬ、何れ必要とありますれば、さう云ふことも十分考慮致しまして進んで行きたいと思ひます、まだ殊に技術方面とは、文部省との關聯は大臣の間には非常に付いて居りますけれども一つも實行に移つて居りませぬ、議會でも濟みましたら、其の方面と巧く結び合はして進んで行きたいと斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=57
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058・加藤一雄
○加藤(一)委員 私は技術の問題が最も重要と考へて居りますので、商工大臣の方から早々に御答辯戴きまして恐縮致しました、日本の勞働力の低廉なるもののみを以てして日本の運營は、今日では私は出來ぬと思つて居る、何と致しましても貿易振興を圖るに當りましては、技術の高度化と云ふことが第一條件になる譯であります、機械設備に致しましても人間の技術に於きましても、之を向上すると云ふことが先決問題であります、左樣に考へますると、先般も商工協同組合法の審議の初めに當りまして、商工大臣お見えになりませぬので政務次官まで御尋お致したのでありますが、私は國土及び資源の徹底的利用開發と云ふことが、第一に技術の目標にならなければいかぬ、それから消費生活に於きましては合理化改善をする、所謂此の間も膳國務大臣が本席に於きまして御話になりましたやうに、聯合軍の今日の食糧を見ると、含水炭素を含んで居るのが相當ある、是は日本人が以て學ぶべきだ、さうして臺所の仕事を非常に「セーブ」致しまして、婦人にも教養の途を與へることが必要だ、斯う云ふ御話がありましたが、洵に私は其の通りだと考へます、消費生活の改善合理化と云ふものも、今後の技術指導の目標でなければならない、其の上に今申しますやうに低い勞力のみを以て立つことは出來ませぬで、此の技術水準を高度化致しまして、輸出貿易の維持振興を圖ると云ふことが、今後殘された日本の最も重要な事項と考へて居ります、そこで第三章第十二條の第三號にあります研究と云ふ所です、斯う云ふ所に商工大臣の官房技術室の御配慮があるやうでございますが、後で結構でございますから、之を如何に具體化して商工協同組合下部方面にまで技術の滲透が出來るか、さう云ふ面の目標を以て致されるのでありますか、其の點を御伺ひ致して置きたい、斯う思つて御伺ひして居る譯であります、此の場で御答辯願へますれば、結構でありますが、後で政府委員の方から御答辯と云ふことでありますれば留保致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=58
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059・星島二郎
○星島國務大臣 加藤君の仰せのやうな御趣旨に副ふやうに之を活用して、さうして進んで行きたいと思ひます、此の所謂日本の技術水準と云ふものが、今までは所謂安い惡いであつた、是が良い物を安く行く爲には、勞働賃金なんか抑へて、搾取的なことを以て行かなければ、世界に負けてしまつて居つたのですが、さりとて今日本が無暗に最低勞働賃金法の如きものを決めてさうして出來た物が高くて惡ければ、是は問題にならぬ、世界に對する商品にならぬのです、併しまだまだ日本の生活水準と云ふものは、歐米の人と較べて其の正味は安いと思ひます、だから現在日本の内地に於ての相當の社會生活の水準から行きますれば、十分の優遇を致しても、私は競爭をやつて行けるものと思ひます、併し惡くしますと、無暗に權利思想ばかりが發達しまして、さう云ふ方面は大分高くなつたわ、出來る物は惡くなつたわと云ふことになつたのでは、是は見返り物資になりはしないのですから、さう云ふ點に付きまして私は特に企畫と技術と云ふものを尊重して、科學的な意味で十分其の度を高めて行きまして、將來日本はもう武力がないのでありますから、本當に是で良い物を安く造つて、而も日本の勞働者の生活水準を下げないで、平和な民衆生活が出來て、而も世界に負けないと云ふ所を狙ふべく十分なる意を用ひて行かなくてはならぬ、それには只今仰せのやうな技術的、科學的な方面に、うんと力を入れて行かなくてはならぬ、斯樣な考へを以て是等を能く運用して行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=59
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060・加藤一雄
○加藤(一)委員 そこで技術研究の關係でもう一點商工大臣に御伺ひ致して置きまするが、中間工業試驗組織と云ふものを御作りになる意思がございますかどうか、金は相當掛ると思ひます、是は從來御案内の通り、日本の産業家と云ふものは安易に歐米から技術の導入が出來た譯でありますが、金を拂へば何でも買へたと云ふ時代はもう今日は過ぎまして、日本は單獨で焦土から立上るのでありますから、歐米に負けないやうな技術を持つことが必要と考へます、何でも向ふにあるから買へと云ふ式では、金も續きませぬし、日本人の頭で不足な物を有效に生産するやうな技術を習得しなければならぬ、自分で持つと云ふことが大切なのであります、それには中間工業試驗組織と云ふものが私は一番必要と考へる、如何に費用が掛りませうとも、軍備を抛棄致しました今日、日本と致しましては其の負擔に堪へることも勿論考へ得られる次第であります、さう云ふ方面に對する御考へがあるかどうか、一應御聽かせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=60
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061・星島二郎
○星島國務大臣 中小工業の振興對策の委員會に於きましては、何れさう云ふ問題をも採り上げて審議されるでありませう、茲一、二年は或は色々な問題で大藏省も中々金廻りはさう宜くない譯でありますけれども、陸海軍の費用のなくなつた日本と致しましては、一通りの整理が濟みますれば、今度は斯う云ふ方面に惜みなく金を使つてやつて行くと云ふ方向に行かなくちやならぬことと存じますので、仰せのやうな議題も十分出して、中央の工業試驗所は、勿論、地方の各府縣、或は業種別に、それぞれ研究所指導機關と云ふものを設けて、之を一つ活用して行きたい、斯樣に思つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=61
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062・加藤一雄
○加藤(一)委員 それから先般本會議で御伺ひ致しましたが、商工大臣に御答へを載けぬで洵に不滿であつたのであります、それは「フオード」の經營方針に付てであります、今囘の商工協同組合法案には、最後に合理化と云ふことが書いてあります、合理化運動と云ふのは、やはり、日本に昭和四、五年頃輸入せられました「フオード」の合理化の線に沿つて──世界各國何處を見ましても今採り上げるべき資料はなからうと思ひますので、あの線でおやりになる御考へでありますかどうか、其の點を一つ御明示戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=62
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063・星島二郎
○星島國務大臣 加藤君の仰せが、一つの「フオードシステム」を、大量生産主義とか、流れ作業主義で人手を省くことを中心としたる行き方と云ふ風に解釋致しますならば、必ずしも私はさうはやれないと思ふのでありますが、さう云ふ意味でなしに、個々に分れた小工業でも協同體の力で以て「フオードシステム」に負けないやうな、詰り大量生産に負けないやうな──一つの工場で一つの「シャフト」で以て車を廻はす譯には參りませぬけれども、それが分れ分れになつて居りましても、最終の所ではそれに負けない一つの行き方があるだらう、例へば自轉車を例に引きますれば、「サドル」は「サドル」、或は「ハンドル」は「ハンドル」、銘々一つ一つに分れて小さく生産して居りましても、最後にそれを集めて纒めると云ふやうな所を、又一聯の地方的にずつと散在して居るものを、最後に集めて一つのものに仕上げて行くと云ふやうな、其の採り入れ方を「フオードシステム」に做へば、私はあなたの仰しやるやうに、「フオードシステム」の良い方面を十分採り入れると云ふやうなことは出來ると思ふ、唯一つの大きな工場に集めて來て、さうして多量な勞務者を使ふ代りに非常に機械的な流れ作業として、「ベルト」作業でずつと行くやうなことは望めない、其の點に於て若干の無理がある、けれども日本では、一つに集つまらないでそれぞれ家庭工業に近いやうなものでやらしても、其の間に一脈の連絡があれば、「フオード」の行き方に負けない埋め合せが出來るだらう、斯樣な意味に於きまして、若し出來れば此の協同組合をさう云ふ方面の共同施設に利用したらどうだらうかと云ふ考へを持つて居る譯でありまして、必ずしも丁度御尋ねに「ピント」が合はぬ答辯かも知れませぬけれども、大體さう云ふ氣持を以て進んだら日本の爲になるだらう、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=63
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064・加藤一雄
○加藤(一)委員 洵に結構と考へます、次に先般御伺ひ致しましたが、「ブレトン・ウッズ」協定で、日本が國際協定に參加することは必然ですが、其の時に金爲替本位制を採擇することは考へられます、それで現在採金政策はどうやつておいでになりますか、もう一つは國が開けます時に一番重要なのは、日本の物價水準だと思ふ、是は商工大臣に御尋ねするより膳國務大臣に御伺ひした方が宜いと思ひますが、御答へございませぬければ、膳國務大臣の出席を求めて御答へを願ひます、物價水準をどの線に置いて國を開く御考へでありますか、是は平價切下げ其の他の關係が相當出て參らうと思ひます、複雜な問題と考へまするが、御考へがごさいましたら御伺ひ致して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=64
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065・星島二郎
○星島國務大臣 それは迚も大きな難かしい問題で、それが難かしいからこそ、經濟安定本部會議を作り、さうして安定本部長官が物價廳長官を兼ねて、表裏一體となつてやらう、其の安定本部會議には無論商工大臣、農林大臣も入つて行つて、全體が綜合的なる結論を見出したい、斯樣な譯であります、併しそれに臨むべき私の用意如何と云ふ御問ひならば、若干の答へはしなければならぬ、今囘米の値はまだ決定發表に至りませぬ、或は六百圓と言ひ、五百五十圓と言ひ、さうして消費價格は四百圓と言ひ、四百五十圓と言うて居りますが、それを今なぜそんなに練つて居りますか、やはり結局は物價の總ての水準は昔に返つて米を基準とする、其の次は工業で云へば石炭で行きますが、先づ米で結構である、先づ米の値を決めて、それに勞働賃金を合せて行く、それに生鮮食料品を合せて行く、それに纖維品を合せて行く、斯うなると此の米を幾らと決めることが一つの根本で、是が決まつた後を均らして行つて、今の物價の凸凹を直して行くべきぢやないかと、斯樣に考へて居ります、私は若し會議が開かれたら、さう云ふ意見を以て行きたい、斯う云ふ意見は大體常識論として、今の日本の情勢から云へば、其の邊を一つの標準として凸凹を直して行くより手がないと思ふ、そこで此の間も生活保護法で二百五十圓、あれは假に米の値を上げれば、もう直ぐ上げなければならぬ、だから先づ何かの標準を一つ置いて、そこからずつと全體の調子を合せて行くと云ふ所で安定をさせたいと云ふやうな希望を持つて居る譯であります、何れ米が其の一つの標準になりますれば、一つさう云ふ風な政策を執つて商工省の物價方面に對する對策も次いで左樣に決めて行きたい、斯樣に考へて居ります
それから金は今囘豫算を戴きましたやうに、一時金がもう一寸目先役に立たなくなつたものですから、産金政策は抛棄して居つたやうな譯ですが、まだ今日は世界の貿易は物々交換で殆ど金は必要としないのでありますけれども、そろそろ日本が自由貿易になつた時分には、何れにしましても金は必要でありますから、今囘産金の奬勵と云ひますか、從來に歸りまして、採鑛の上に、或は色々な産金政策の上に、相當の高率な補助金政策を執りましたのも、其の金を尊重する意思からやつたのでありまして、相當豫算を戴いて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=65
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066・加藤一雄
○加藤(一)委員 今の物價水準の御考へ方は洵に御尤もと思ひますが、此の點に付きましては何れ膳國務大臣にも御伺ひ致したいと思ひますから、一應膳國務大臣の質問は留保致して置きます
次に御伺ひ致したいことは、工業の再建に當りましては物資の配給と云ふことが非常に重要視せられる譯であります、商工大臣は屡屡御答辯に相成りましたやうに、商工協同組合に對し物資の配給を受けるやうに、又物資の配給をやるやうな機關に御指定になるやうに、臨時物資需給調整法で御話になつて居ります、そこで問題がありますので、私は一番自分で分つて居りまする石油の問題に付きまして御伺ひ致したいのであります、石油の配給は從來ありましたやうに、農山漁村に對する七萬三千「キロ」の一つの枠は其の儘存置せられまして配給をおやりになりますかどうか、之を石油統制配給株式會社に一元的におやりになるのかどうか、それから切符は從來商工省が出して居る切符もありますし、警視廳が出して居る切符もあります、船舶運營會に前渡しをして居る切符もあります、斯う云ふ切符を如何樣にして自今は處理せられる御方針であるか、又是がはつきり致しませぬと、戰時中に於きまするやうな態たらくが、石油面に於きまして運輸も成立ちませぬし、産業も成立たない、斯う云ふ結果になるのが必然であります、一應其の點を御伺ひ致して置きます、それからもう一點は商工大臣も既に御案内の通り、大東亞戰爭中に政府民間共に總力を結集致しまして、石油の増産計畫を實施致しました、何と致しましても三十萬「キロ」しか國産原油は出なかつたのであります、所が現状を見ますると、戰時中に設立致しました日本石油を初めと致しまして、七つの石油會社が其の儘に殘存致して居ります、石油統制配給株式會社があると思ひますれば、原油輸送株式會社が生れて居ります、石油統制配給株式會社の下には一千に垂んとする配給諸社が又くつ付いて居ります、而も今日轉廢業者が復歸をせんとする動向が、極めて濃厚に動いて居ります、此の國産原油の現状を眺めまして、是だけの大きな機構を抱へて、何等政府は御施策になつて居ないやうに見受けまするが原油入手の確信でも御付きになりましたか、又製品入手の見透しが御付きになりましたか、此の點を伺つて置きたいと思ひます
もう一つは、前の質問に關聯致しまするが、今後の國内の配給組織は、從來通りの配給組織でおやりになるのか、もつと違つた方向の配給組織を御採りになりますのか、今日貿易廳が一手に輸入の關係をやつて居られまするが、將來は民間にも石油の輸入を御任せになる御意思があるかどうか、斯う云ふ點に付きまして、石油を中心に、後の準備に付きまして、御伺ひ致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=66
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067・星島二郎
○星島國務大臣 今月限りで廢止になりまする色々な統制會社令等から見まして、各方面の配給機構或は色々な機構を廢止しなければならぬと思ひます、其の中でも石油に關するものは、實は少し複雜過ぎて、只今仰せのやうに現に既に手を染めまして、二、三のものを或は合併して行くやうな施策を致して居ります、私まだ詳しい報告も得て居りませぬので、何れ後程鑛山局長から御答へさせたいと思ひます、殊に今日の配給機構は確かに改善しなければならぬ、空切符が多いと云ふことも聞いて居りますので、末端の方は協同組合法に依つて旨く行くのではないかと思ひますが、中央の機關が少し複雜過ぎて多岐に亙つて居る、而も實力は戰時中の如く多量に購入も出來ないのに、非常に大きな機構になつて居ると云ふやうなこともありますので、既に業者自らも目覺め、是は何とかしたいと云ふので、寄り寄り相談をして、或る部分は既に纒めて居るやうな次第であります、殊に原油の輸入に付きましては、是は既に懇請の手續を執つて居りまして、從來日本に若干と雖も製油の經驗があり、技術があるのであります、或は鑿井の機械すら造つて居る工場がありまするから、輸入其のものの開始は出來るだけやつて行かなければならぬと思ひまするが、原油の輸入を仰いで之を製油する技術も整ひ、それに依つて副産物も生じ、又それに依つて大きな意味に於ける、所謂何と言ひますか、將來に對する對策も私は考へるべき必要があると思ひますので、旁旁從來事變前に原油の取引をして居る「アメリカ」等の會社とも若干の連絡を保ちまして是非是は元に復してやらしたい、併しそれには個々の今申しましたやうな複雜な色々な競爭に依りまして無駄を致させるよりも、若干の統制を加へて、さうしてやらす方が宜い、斯樣に考へて、寄り寄り相談を致して居ります、或る程度まで既に御發表しても宜いと云ふやうなものもあらうと思ひまするが、つい私多忙にしてまだ發表するやうな材料がありませぬ、今此の委員會のある間に事務當局から御答へ致させるやうに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=67
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068・加藤一雄
○加藤(一)委員 それでは商工大臣仰せの如く詳細のことは後程承ることに致しまして、もう一點石炭に付て御伺ひ致したいと思ひます、先般新聞紙上で拜見致しましたのでありますが、中國が粘結炭を日本に送つて、「ボイラー」炭を九州炭に求めると云ふことが新聞に出て居りました、斯う云ふ方面の御話合は中國又は聯合軍を通じてやつておいでになりませうか、如何でありませうか、あれは新聞辭令に止まるものか、一應承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=68
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069・星島二郎
○星島國務大臣 曩に香港或は朝鮮に此の少い石炭を送るのに甚だ困りますので、司令部の方に懇請致しまして、さうして一時香港の方は止めて貰ひ或は朝鮮行の方は殆ど半減するやうになつたのでありますが、併し又一面製鐵其の他に付きまして、粘結炭が要りますので、約月産三萬「トン」程度のものは開らん炭の輸入を受けるやうな話合になつて、今若干進みつつあると同時に、或はもつと此の量を殖やして、新聞にも出ましたやうに十萬「トン」程度のものを粘結炭を持つて來る、又是と同數量のものを送ると云ふやうなことも話合をしつつあるのでありまして、さう云ふことは今囘の色々な石炭政策の實施と共に、決して新聞の單なる噂ぢやなくして、實際に進んで行かれるやうに多分圓滿に話合が進んで居るものと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=69
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070・加藤一雄
○加藤(一)委員 それから秋田に粘結炭の炭山が見付かつたと云ふことが出て居りましたが、あれは事實でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=70
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071・星島二郎
○星島國務大臣 調査をすると云ふだけの話であつて、是はまだ十分に喜んだ「ニュースヴァリュー」のあるものぢやないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=71
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072・加藤一雄
○加藤(一)委員 それから御伺ひ致しまするが、中小工業に關係致しまして、中小商業の問題であります、終戰後軍需産業の解體に伴ひまして、資本が要りませぬから、安易なる露店商業が非常に今日勃興致しました、私は昭和四五年頃の商業の氾濫期、而もあの當時よりもつと慘めな姿で今後商賣人が簇出すると云ふことを豫想致して居ります、之に對する政府の健全なる指導方針は、此の商工協同組合にあるやうに思つて居りますが、何と致しましても店舖が見付かりませぬと健全なる商業と云ふものは育成出來ぬと思ひます、都市で申しますると、都市の復興が先決問題、家を建つてやる、是がなくしては全部露店商業へ走ることは勿論であります、勿論斯う云ふ面に對する經濟安定本部の企畫等もございませうが、商工大臣と致されまして如何なる御方針で將來之に對處せられて、之を誘導せられまするか、御漏らし戴きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=72
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073・星島二郎
○星島國務大臣 全く仰せの通りでありまして、唯闇がいけないとばかりに彈壓すれば、消費方面に於きましては非常に不便を感じて參つて、既に何とか驛前等の所謂青空市場は或る程度まで非常に便利であるから復活せよとの聲さへあるのであります、そこで當局と致しましても本當の意味の商業の發達を冀ひたいのでありますが、唯是が元の所謂共食生活に入つたのでは意味を成しませぬので、農業會等の生産者と直結した一つの市場を設けるとか、或は商人の協同組合を作つて、一定の地に「マーケット」を持つて、而もそれ等が闇取引をしないで相當な利潤を得、一般の消費者からも非常に便利なものであると云ふやうなことは、十分手を打たなければいけない、或は所謂露店商の如きも組織化されまして、さうして非常に一面に於て便宜を與へて居るやうな譯でありまするし、又百貨店等の如きが順次復活致されまして、日用品に代るべきものは十分やらすと云ふやうな點に、商業方面に相當の施策を實行しなければならぬ、斯樣に思つて居る譯でありまして、之に對しましては内務當局も非常な協力を以て、各方面、地方長官とも十分の連絡を保ちまして、所謂一面彈壓して闇市場を封ずると共に、一面中小以下の商業、之を一つもつと能く利用しなければならぬ、斯樣な方面に意を注いで行きたい、斯樣に思つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=73
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074・加藤一雄
○加藤(一)委員 最近將來の貿易に臨みまして三井、三菱が又暗躍して居るやうに見受けて居りますが、國民の輿論を聽いて見ますと、誰がやりましても同じことでありませうが、今日一寸聞えが惡いやうに私は見受けます、石油界に付きましては特に其の感を深く感得して居ります、我々國民自體の中に於きまして誰が戰爭犯罪人である、彼が追放者である、斯う云ふことを私は言ひたくありませぬ、是は日本人の不幸でありますから御互ひに日本國民と致しまして、戰爭の責任を受けることは勿論私も考へて居ります、併しながら聯合軍の進駐の砌ああ云ふ制度が執られまして我々の先輩は政界から追はれ、我々の他の官吏は官界から追はれ、或は軍人は全部處罰せられ、追放せられる、斯う云ふ状況でありまして、一應三菱、三井と云ふものも財界から其の性格として追放せられた以上は、是が暗躍、又は表面に躍り出ましてやると云ふことは、將來の日本の再建に對しまして相當惡影響を及ぼすやうに自分は考へて居ります、此の點に對しまして政府は如何樣なる御考へを以ちまして指導せられて居りますか、取分け紙の統制株式會社の如きは、三井の暗躍が過去に於きまして甚大なものがありまして、あの株式と云ふものは何れ統制會社の解散に當りましては、相當私は問題があると思つて居ります、私も紙に關係致して居ります一人でありますから、是は注視の眼を以て見て居りますが、斯う云ふ點にも相當難色がある所でありますので、政府の御考へを戴くと同時に、日本人として排斥する譯ではごさいませぬが、一應何等かの政策を御執りになることが目下の必要事項ではないか、斯う考へまして敢へて商工大臣の御意思を承つで置く譯であります、率直な御答へを戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=74
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075・星島二郎
○星島國務大臣 三井、三菱が事變前竝に戰時中、色々な「エキスパート」を集めて、さうして資本の力、色々な力を以てやつて居つたのでありまして、如何に今日財界が解體せられたと言ひましても、其の部下に使はれて居つた人達は「エキスパート」であり、經驗を持つて居る譯でありますから、是等の人が今後の仕事の爲に、三井を名乘らず、三菱を名乘らずにやられることは私は結構なことだと思ひます、それがつい經驗があり、力があるものでありますから、第三者から見ますと又三井が復活した、三菱が復活したと、多少の誤解をされる點もあるかと思ひます、併し中には又本當の意味で暗躍して居る奴があるかも知れぬ、是は仰せいやうに監視して財閥の復活をなさぬやうに方法を構じなければならぬ、併し一應ここまで「メス」を入れたならば、其の人は或は元三井に居つたかも知れない、或は三菱に居つたかも知れないが、三井財閥、三菱財閥と云ふものは從來のやうに銀行を持ち、倉庫を持ち、商社を持ち、製造會社を持ち、運送會社を持つと云ふやうなことは最早行はれぬことであります、而もそれぞれ今囘の解體に依りまして、全部が民主的なものになりました時には、是は日本國民と致しまして其の經驗と力を以て、出來るだけ産業の復活に處して戴きたい、徒らに追放呼ばはりをせぬでも宜いだらう、御趣旨のやうに中には表面民主化した形で、ともすれば鉾先を現はして從來の型をやるかも知れませぬ、今の紙の例其の他色々な例があると思ひますが、それ等に對しましては、十分監視の眼を以て行きたい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=75
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076・加藤一雄
○加藤(一)委員 結構な御答辯で滿足致します、宜しく御願ひして置きます、次に私は金融のことに付て御伺ひして置きたいのであります、金融は從來の如き商業金融から生産金融に移ることは勿論必要と考へます、商工大臣は之に對しましては全面的に御同意を得るものと云ふ前提で質問を致したいのであります、從來日本の銀行は動もすれば大企業に結託しまして、中小商工業及び農業の金融を等閑に附して來たと云ふやうな向きがあります、是も商工大臣は全幅御認め戴けると考へます、そこで今度の復興金融金庫法案を議會に御提出になりまして、もう既に協贊になる段取りになつて居りませうが、是は當面の三年の間の問題でありますから、之に依りまして金融をなさることも考へられますが、えてして重點産業と云ふ名目に隱れまして、大きい方面に金融が廻はると云ふことは、日本の從來の經驗から徴しても明かな所でありますから、私は重點産業の弊害を説く積りはございませぬが、さう云ふ方面に出さずに、どれをぶつた切りましても、日本の産業は片ちんばでしか發達致さないのであります、全體の綜合計畫を御作り戴きまして、取分け中小商工業者と農村方面に金融が圓滑に廻はりますやうに御配慮して戴きたいと思ひます、農林中央金庫もありませうし、商工中央金庫もあるやうに聞いて居りますが、それはそれとして、もつと突進んで、地方色のあります銀行を御作り願ひまして、それと同時に工業の地方分散化も御作り戴けませうし、又農業の格段なる民主經營化もおやり戴けるやうに、取分け此の金融方面に付ては御高配を願ひたいと私は考へて居ります、政府の御考へはどのやうになつて居りませうか、一應御伺ひ致したい次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=76
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077・星島二郎
○星島國務大臣 仰せの通りでありまして、今囘の復興金融の如きは取敢ず當面重點的な方面に放出しなければならぬと思ひますが、併し一般の中小商工業其の他に付きましては、やはり金融資本的な考へから中々急に拂拭出來ませぬから、今仰せになるやうな弊害もありますので、何とか是は協同組合等の一つの綜合機關に依りまして、商工組合中央金庫等から流れて行きます分別をしまして、實は此の議會にもそれを提案したいと思ひましたけれども、其の相談が纒まらなかつたのであります、次の機會には必らず──全體から言ひますれば集まる金がある譯でありますから、農業の方面から見ましてもさうでありますから、之を再び小さい方面にどんどん活用出來るやうに流して行きたい、一應重點的の金融が一亙り濟みますれば、今度財界の整理が濟んだ後に於て、一應普通銀行と云ふものをうんと活用しなければならぬ、それを活用をさせて一般の小金融を十分やらす、それからは商工組合を活用すると云ふやうな所へ伸ばして行かなければならぬ、今囘の復興金融の分は特に早くやることと、さうして重點にやらなければならぬのでありますけれども、全體が重點々々と云ふことになつて、一般の方が止まるやうでは全體の進行を害しますから、其の點は十分留意して行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=77
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078・加藤一雄
○加藤(一)委員 金融問題等に付ては膳國務大臣と大藏大臣とに對する質問を留保致しまして次に移ります、屡屡私は斯う云ふ席上で政府に質問して居ります、又御願ひも致して居りますが、統計と云ふものが、非常に日本國民の氣質と致しましては受けが惡いのであります、どうも統計と云ふものを能く見ると云ふ習慣も付いて居りませぬし、之を作ると云ふ習慣も日本人は缺けて居るやうに私は考へます、取分け消費統計と云ふものが日本に缺如致して居りますのが、今日のありの儘の姿でありまして、復興の關係が非常に遲れて居りますのも、斯う云ふ面に私は其の大部分の責任があるやうに見受けて居ります、そこで何と致しましても今囘の再建に當りましては、消費統計式の統計資料を整備することが目下の急務と考へますので、政府は其の御意思があるかどうか、之を伺ひます、勿論膳國務大臣も、科學的統計資料に基礎を置いた今後の復興をやると云ふお題目を唱へて居りますが、それも結構であります、併しまだ商工大臣から其の御考へを聽いて居りませぬので、商工大臣の御考へも一應承つて置きたい、勿論各方面から資料が出揃ひませぬと、如何に安定本部が大きなことを申しましても、一つも揃はぬことは明かであります、一應御伺ひ致します
それと竝行致しまして、度量衡の統制と規格統一と云ふことも、私は最も必要だと考へて居ります、度量衡の關係に於きましては、此の間も我々の先輩の北さんから御話を承りまして、私は成程立派な御考へであると感心致しましたが、何も十進法で行く必要はない、日本の十二進法も宜しい、十二の配分は二で割れば六になる、六の配列もあれば、三の配列もある、四の配列もある、非常に便利な數字です、干支も十二で出來て居りますし、一年も十二箇月である、十進法に依るのみが宜いのではなくて、日本式の十二進法も宜しい、斯う云ふ點はありまするが、一應私は或る部面に付きましては度量衡の統一も必要と考へて居ります、又是がございませぬと、第三章事業の十二條に書いてありまする檢査と云ふことが區々になりまして、旨く成果が收まらぬと云ふことも考へられる譯であります、從來日本の工場其の他の檢査制度の不備なる點も、此の度量衡の統一がなかつたことに基因すること大半であるとも私は考へて居りますので、此の間の關係は如何樣に御考へになつて居りまするか、御答辯戴きたいのでりあます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=78
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079・星島二郎
○星島國務大臣 統計のことに付きましては全く仰せの通りであります、殊に私は今囘進駐軍が日本に見えてから以來と云ふものは、非常に其のことを教へられるのでありまして、何かにつけて今まで日本の統計が成つてない、尤も金も掛けてないし、人手も掛けて居なかつたが、殊に日本人全體が斯う云ふことに今まで興味がなく、訓練がないのか、或は僞りを言ひつけて居るのか、本當のことが分らぬと云ふことは殘念であります、的を外れて行くと云ふやうなことは、正確な統計がないからであります、そこで今囘商工省に於きましては統計局を設けて、少くとも産業一般に關する凡ゆる統計をして、其の數字を以て安定本部の方に材料を渡して、そこで本當の最後の審議をさすと去ふやうな資料を十分やらねばならぬ、殊に内務省の國土計畫のやうなものは、本當の統計を以て又安定本部を助けると云ふことで行くべきで、取敢ず今の御趣旨に依つて商工省内にも統計に關する一局を設けて行きたい、斯程な熱意を持つて居るのであります、併し是とても非常に金と人を要するのでありまして、末端の色々な組合等の助力を仰がねば到底出來ませぬ、一つの纖維協會あたりでも、私察するに、一年に九百人かの人も全體では使つて居りませうし、檢査部を入れればもつと多いでせうが、金高にしても大變なものです、之を今纖維局に入れて一機構にした所で、迚もそれは大きな豫算になりますから、現在の日本の財政では許されませす、そこで何とか人も殖やして貰ひ、金も殖やして貰つて、さうして一つ相當な成績を擧げて見たい、各省ともそれをやつて居り、それを集め合せたものに大きな一つの、安定本部を中心に各省の實際の統計を以て、最後の立案をすることになれば、間違ひのないものが出て來ると思ひます、是非御趣旨に副ふやうにやつて行きたいと思ひます
度量衡の間題は、是は是から一つ調査會を設けて、最後の結論を見出すやうになるだらうと思ひまが、御説の通りであります、大體私は「メートル」法一本で行つて宜いと思ひますが、既に尺貫法の問題が議會で決議されて居りますから、うつかり手も付けられませぬけれども、兎に角大體御趣旨に副ふやうにやつて行くべきだ、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=79
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080・加藤一雄
○加藤(一)委員 此の點に付きましてもう一點だけ私の御願ひを政府に申して置きます、終戰後日本の官廳から「マッカーサー」司令部の方に出しました資料が、各省とも區々でありまして、例へば肥料の問題等の如き、農林省の出したものと商工省の出したものと食違ひがあつたやうに聞いて居ります、又業者が出したものと、上級官廳の商工省の出したものと食違ひがある、又運動する面に於きましても、各各行く人に依つて資料の出した方が違ふ、日本政府竝に日本國民は何をして居るかと言つて、當時肥料問題が非常に喧しい時でありましたが、聯合軍の方で受納しなかつたと私は聞いて居るのであります、左樣なことがないやうに、日本國の資料は、商工大臣が御出になりませうが、農林大臣が御出しになりませうが、誰が持つて參りませうが、上は總理大臣から、下は車夫馬丁の輩に至りますまで、誰が使ひ致しましても、同一の資料を以て同一のことが説明出來る、斯う云ふのが日本の産業の復興竝に日本人の本領を、各方面に十分知悉せしめる所以であると考へて居ります、自今は、今商工大臣御説示になりました通り、各省とも統計局の新設の用意があるやに聞くのでありますが、此の非常時乘切りの場合にのみ、安定本部を中心として其の資料を活かすことなく、「ノルマル」な状態になりましても、日本全般に亙りまして、例へば鐵の問題は商工省一本、其の鐵の資料を持つて參りますならば、如何樣なる場所に何人が參りましても説明が出來る、斯う云ふ底の資料を一つ御纒め戴くやうに希望致します
最後にもう一點でありますが、商工協同組合と、商工經濟會法廢止に伴ひまして新たに設立を豫定せられて居ります商工經濟會議所ですか、是の思想が一貫して居ないやうに自分は考へます、先般商工省の方から御配り戴きました商工會議所の定款例を見ますと、戰時中の指導者原理と云ふものは拂拭されて居るやうに思つて居ります、それ以前の商工會議所の指導精神と云ふものは全部今度の定款例には盛り込まれて居ります、所が今朝程伺つて居りますと、此の商工協同組合と云ふのは、今日一種變つた指導原理、協同原理に依つて生れ出たやうに私は感得致したのであります、そこで私は兩者の間に思想的混淆があるのではなからうか、一口に民主主義、民主主義と申されますが、此の二つの會議所、或は組合に於きましても、既に民主主義の行き方に於て相當の食違ひがあります、而も實質上之を眺めますと、商務局長が以前御話になりました通りに、此の商工會議所には大企業も入り得る、中小商工業も入る、斯う云ふ仰せであります、左樣致しますれば、其の間に利害得失は自然的に起きて來る譯です、其の利害得失を圓滿に調整するのが會議所の使命であると申されればそれまでである、飜つて商工協同組合を眺めますと、是は中小商工業者が寄つてたかつて組合を作るのだと云ふことになつて居りますから、日本全國各地域に設けられます商工會議所と、此の組合との「メンバー」の上に於ても性格の相違が出來て參ります、同じ中小商工業者が、片や組合、片や會議所に入つて、指導者原理の違ふものの運營を受けるのでありますから、同じやうな民主主義と云ふもので、中小工業が將來伸びて行く譯には參らぬと思ふ、そこで末端に於きましては民主主義の履き違ひが起つて參りませうし、又政策遂行の政府に於きましても、將來民主主義の勵行の上に於きまして、相反する二つの傾向が生れて來ぬとも限らぬと思ふ、而も今商工大臣が御指摘になりました通り、將來は、又現状に於きましても、農村方面の關係と組合は密接に連繋して行かなければならぬと云ふ御言葉が只今出た譯であります、それから考へて見ますと、農林省方面は、農山漁村の關係に於きましては、協同組合一本で塗り潰して行かうと云ふ考へを持つて居るやうでありますが、其の間に於きましても會議所方面との摩擦相剋が、中小商工業、大企業との間に起きて來ると考へる、此の點に付きまして御考へがございましたら商工大臣の口から我々に御明示戴きまして、誤らぬやうにして戴きたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=80
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081・星島二郎
○星島國務大臣 前の統計の御注意は謹んで承ります、本當に新しい政治の基盤として、各統計を一つ本調子に纒めて、そこから發足した企畫をやつて行きたい、斯樣に考へまして、是は安定本部に於きましても何れ其の積りで準備をされて居ることと思ひます、殊に産業省である商工省は、十分さう云ふ方面に──此の際統計局さへも設けてやらうと云ふのでありますから、御趣旨に副つてやりたいと思ひます、今の商工會議所と協同組合の方のことに付きましては、一つ十分圓滑に旨くやつて行きたい、殊に商工會議所の中へも、協同組合を代表せられるものが旨く入れるやうな調子に持つて行きたいと云ふやうなことも考へて居りますが、是は立案の時に關係して居りまして課長より詳しく説明させたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=81
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082・小出榮一
○小出政府委員 御話の通り、商工經濟會法は今度廢止になりまして、其の後に社團法人の商工會議所を作る、斯う云ふ豫定になつて居りまして、既に本省に於て許可致した會議所もぼつぼつ出來て居る譯でありますが、此の會議所と今度の協同組合との間に、何か考へ方に矛盾混淆があるのではないか、斯う云ふ御話のやうであります、御承知のやうに商工協同組合は一つの事業體でありまして、利害關係の密接な中小商工業者が集まりまして、お互に協同で經濟事業をして行く、一つの資本金を以て事業を運營して行く、一種の事業團體であります、之に對して商工會議所は、都市なり府縣の一定の地域を單位として、其の地域の中にある複雜な商工業者、或はそれ等の團體を綜合致しました一つの地域團體でありまして、根本的に其の性質が違つて居る譯でございます、併しながら何れにしましても、商工協同組合の組織運營は、經濟民主化の線に從ひまして、純然たる所謂民主的に組織された團體と云ふことになりますし、商工會議所の方も、御承知の通り全く加入脱退等も自由であり、經費の強制徴收等も致さない極めて民主的な團體に、今般改組された譯でありまして、何れも經濟民主化の線に沿つて形造られて居ると云ふ點に於ては、兩者の間に何等矛盾はないと思ひます、殊に會議所と協同組合との關係になりますと、會議所の中には大企業者も會員として入り、中小商工業者も會員として入る譯でありますが、其の場合に中小商工業者が單獨で加入することが、色々經費等の點から困難であるやうな場合には、協同組合と云ふ組合單位で團體加入することも可能でありませうし、其の間の調整は十分出來るやうに考へて居ります、何と申しましても、商工業者の團體は農業關係と違ひまして單純ではございませぬ、農業のやうに一定の地域に即した單純な形態の業界とは違ひまして、色々な複雜な形態のものがございまして、或は組合があり、或は大企業者があり、或は任意團體もあるし、乃至は貿易關係もございますし、關聯する金融關係もありますので、要するに、一地域を單位として、其の地域の内に於ける商工業界全體の綜合的な意見を反映する、是が商工會議所でございまして、其の中の或る一つの構成「メンバー」として協同組合と云ふものが存在し得る譯であります、事業團體と地域團體と云ふものの關係になつて居りまするので、さう云ふやうな關聯に於て、業者の間には何等摩擦する所なく運營が出來る、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=82
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083・加藤一雄
○加藤(一)委員 了承致しました、是で質問を打切りますが、條文に付きましては後で御修正を願はなければならぬやうな箇所もございませうから、それは又此の機會に讓りまして質問を打切ります、唯最後にもう一點だけ商工大臣に御願ひがございます、此の席で洵に恐縮でございますが、靜岡縣蒲原郡に輕金屬の窒素肥料の工場の新設の件でございます、此の點は如何樣に相成つて居りませうか、肥料需給逼迫の今日非常に緊急問題であると考へますので、一應最後に御伺致して置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=83
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084・星島二郎
○星島國務大臣 肥料の増産に付きましては、從來の戰爭中の工場を轉換して増産を圖りたい、斯樣に考へて調査を致して居るのであります、全體の資材等の配給の關係上、各方面の調査を致して居りまして、今仰せの蒲原の如きも其の候補の一つに加はつて居ることは確かでございますが、未だ最後の結論には達して居りませぬ、そこへ持つて來て、今囘硫酸の工場の非常に大きな設備の撤去の指令がありましたので、それや是れやを今非常に研究を致して、全體の肥料生産に遺漏なからしめんことを期して居るのでありますが、今此處で具體的に蒲原の工場はどうなると云ふことを、御答へ申上げることの出來ないことを遺憾とする次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=84
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085・加藤一雄
○加藤(一)委員 是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=85
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086・塚田十一郎
○塚田委員長代理 原健三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=86
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087・原健三郎
○原(健)委員 大分時間が經つて居りますので、成べく簡單に御質問致します、各條項に付ては又後日の機會に讓りまして、總體的なことに付きまして數點御伺ひ致して置きたいと思ひます、一體、協同組合主義は資本主義に立つものであるのか、或は社會主義に立つものであるのか、資本主義を肯定するものか否定するものか、或は修正するものか、更に、本法案は商工業者の協同組合を慫慂するものであるが、工業の場合は別としましても、本來利潤を否定する協同組合主義を商業者に適用して、果して矛盾に陷ることはないか、斯う云ふ觀點から協同組合と云ふものの本質に付て御答辯を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=87
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088・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 今囘の商工協同組合は特別の主義を標榜して居るものではございませぬ、附則にもありまするやうに、現在の商工組合法に依ります共同施設組合を、其の儘今度の協同組合に看做すと云ふ規定がございます、是なども一つの例でありまして、今日までの實情に即しまして、現在ありの儘の産業の上に、一つの協同事業と云ふもので、中小商工業の經營の合理化、事業の刷新を圖つて行かうと云ふ點が要點でございまして、之に依りまして社會主義化を圖るとか、或は資本主義を維持するとか、或は資本主義の缺點を修正して行くと云つたやうな、特別の主義を持つて居らぬのでございます、又營利を目的としない協同組合主義に依つて、商工業者の組合を作ることは矛盾を生じて居るのではなからうか、斯う云ふ御質問でございますが、是もやはり商工業者の中の事業の一部を共同致すことに依りまして、中小の商工業者の持つて居る不利益な點を補つて行くと云ふ點に主眼があるのでございまして、總て事業の一部を共同にすることに依つて、中小商工業者がそれぞれ獨立して仕事をする形では非常に脆弱であるので、それを強化して行かうと云ふ點であります、能く譬へにありますが、一本の矢は折れ易いが、數本を束ねれば強くなると云ふ一般の原則に依つて、多數のものが相寄り相扶けて、其の共同の力を以て事業界の刷新を圖つて行く、さうして延いては廣くは日本産業の改善に貢献をして行く、是が此の組合制度の眼目でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=88
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089・原健三郎
○原(健)委員 一定のさう云ふ主義に拘泥しないと云ふことは分つたのであります、それで第一條にありますやうに、組合員の事業の經營の合理化を圖る爲に、斯う云ふ商工協同組合を設立すると云ふことになるのであるならば、協同組合なんかと云ふ非常に紛らはしい名前を付ける必要はない、唯商工組合で結構ではないかと思ふのですが、其の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=89
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090・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せの通り言葉の上にはそれを特に付けなければならぬと云ふ理由はないのでございますが、從來中小商工業に關しまする色々な組合制度が出來て參りまして、幾多の變遷を經て來たのであります、今度の新しい組合も或は普通の商工組合と云ふ名前でも宜かつたのか知れませぬが、從來の商工組合とは内容が多少違ひまして、所謂「コーベラチオン」協同の力に依つて立つて行く仕事だけになりました、從來の組合は色んな統制事業等も加へまして、一つの業界の改善の仕事もやつて居つたのでありますが、其の内容が大分變りました機會に、新しい組合であると云ふ印象を明確に致します爲に、名前も茲に其の本質を現はしまして、共同事業、共同施設と云ふものに本質があります點を、名前の上にも擧げまして、茲に協同組合と云ふ名稱を用ひた譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=90
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091・原健三郎
○原(健)委員 どうも協同と云ふ名前を用ひた理由の根據が薄弱なることを痛感する者であります、それはそれと致しまして、次に私は本組合制度は、今後の中小商工業對策の一つとして重要な役割を持つものでありますが、此の制度だけでは中小商工業の問題の總てが解決せざることは無論言ふまでもないのであります、それで此の制度と併せて行ふべき施策は多々あると思ふのであります、一體政府は今後我が國産業の基盤である中小商工業對策を、どう云ふ構圖に基いて推進しようとするのであるか、それを伺ひたい、商工大臣其の他から色々の機會に聽いたのでありますが、中小商工業を盛んにしたいと云ふ掛聲とか熱意は、度々聽いて分つて居るのであります、さう云ふ熱意を聽くのではなくて、一體中小商工業を振興しようと云ふ對策の構圖如何と云ふことを御尋ねしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=91
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092・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 中小商工業の對策と云ふものは色々あるのでございます、我が國の産業の基盤は中小商工業でございまするが、其の數が非常に多いこと、又其の組織が非常に脆弱な組織と申しますか、其の規模が非常に脆弱な形を執つて居りますこと等に依りまして、中小商工業に對してなすべき對策と云ふものは實に澤山考へられるのでございます、一番根本のものは、只今も仰せの通り組織化の問題でございまして、商工協同組合法を作ります所以が茲にあるのでございます、只今申しましたやうに脆弱な形の小さい企業と云ふものも、或る程度之を束ねて、組織化致しますることに依つて強度を増すと云ふことになりますので、中小商工業の新たなる施策と云ふことを考へます上に於て、どうしても組織化をすると云ふことが、凡ゆる施策の基盤でございます、數の多いもの、脆弱なものを扱ひ、一々別な施策をすると云ふことを考へましても實行が不可能であります、さう云ふ意味から致しまして、先づ小さい方々は一つの組合組織化をして戴きまして、其の上に色々な仕事を考へて行く、中小商工業の對策を考へて行くと云ふことが先づ基礎になる譯でございますが、其の一の問題と致しましては、先づ金融の問題であらうと考へます
〔塚田委員長代理退席、委員長著席〕
先程商工大臣は復興金融金庫の問題に御觸れになつたのでございますが、今囘の補償打切の措置法に依りまして、金融に關しまする方面は、大きな商工業も勿論でございまするが、中小商工業が非常に打撃を受けて居ります、之を囘復致しまする爲には、どうしても金融の途を中小商工業に付けて上げねばいかぬのであります、と云ひましても數の多い中小商工業の金融を付けることは不可能でございますから、之を商工協同組合と云ふ組合に對しまして金融を付けて行くことが、一番一般的な、差當りの方策として實行の出來る事柄であると考へまして、政府は復興金融金庫法の施行に依りまして、商工組合中央金庫の全國の各本店支店全部に代理業を認めて貰ひまして、復興資金を之を通じて融通する途を開いたのでございます、此の補償打切に伴ひまして生じました金融機關の預金の封鎖等に對しまする爲に、新しい事業資金は、總て復興金融金庫を通じて貸すやうな譯でありますが、此の資金の流れる途を、やはり商工組合中央金庫の本支店を通じまして、組合の方へ通ずる、是が一番の根本の問題でございます、將來の問題と致しましては先程加藤委員からの御質問もありましたが、此の復興金融金庫のみならず、各種の金融機關と云ふものを組合に直結致しまして、そこに自然に金融が流れて行くと云ふ途を作りますやうに、指導して行かねばならぬものと考へて居ります
其の次に考へられますることは、經營の内容の合理化の問題でございます、是は商工協同組合の本來の仕事でありますが、原材料の共同購入、或は製品の共同販賣、或は或る工程の一部の共同設備に依りまして共同にする、斯う云ふやうな共同施設の設置でございます、之に付ては從來とも斯う云ふものを作ります場合には、補助金或は低利資金等を融通して居つたのでありますが、今後は斯う云ふ補助金制度を設けることが色んな方面の影響から致しまして困難でございまするので、政府は之に代るべき何等かの施策を講じまして、組合等に於てさう云ふ施設を設けまする場合の援助をして行くことが必要だらうと考へて居ります、一應出來るならば組合が金融を受けまして、さう云ふ設備を作ることが望ましいのでございまするが、さう云ふことの事情が許じませぬ場合に於ては、又特に最近の色んな物價高の見地から致しますると、さう云ふものが非常に困難である今日に於きましては、何か之に代るべきものを設けまして、中小商工業の經營上の合理化を圖り得る設備を作つて行くと云ふことに、重點を置いて行かねばならぬものと考へて居ります、是等の仕事は成べく早い機會に之を具體化致しまして、議會の協贊を得て實行に移したいと考へて居るのでございます
次に其の技術の向上の問題でございます、是は御承知のやうに中小商工業はそれ自體貧弱な經營内容でございますので、宜い技術者を雇入れまして指導を仰ぐと云ふことも困難でございまするし、又資本が少い關係で宜い設備を作ると云ふことも困難でございます、さう云ふやうな状況から致しまして、どうも自分で適當な「デザイン」を考へて、新しい商品を作つて行くと云つたやうなことも、非常に今までは後れて居つたのでございまして、是が將來各種産業等に及ぼす影響も、隨分中小工業としては不利益な立場であると考へますので、今後は組合等に於きまして、適當な技術者の指導を受けるやうなことを考へて行きたいと思つて居ります、幸ひ戰時中に相當我が國の機械工業等は高度の進歩を致しまして、是等の適當な技術者が、今日巷に隘れると申しては少し多過ぎますが、各方面に十分に供給し得る状況で、寧ろ失業の状況になつて居りますので、是等の人を組合等で雇入を致しまして、指導を仰ぐ、或は商工會議所或は地方自治團體等に是等の人の手を借りまして、商工業者の實地の指導をして貰ふ、斯う云ふことに依りまして技術的の水準を高めて行く、斯う云ふことが非常に中小工業の將來の振興に、大きな影響を及ぼすものと考へて居ります
次に、從來問屋と中小商工業と云ふものは不可分の關係にあつたに拘らず、今日までの組合制度の機構から申しますると、問屋の組合と中小商工業の組合とは別個に組織を致して居つて、お互ひに利害相反するやうな組織化をして參つたのでございまするが、今後は寧ろ問屋で持つて居る金融的な力を、中小商工業の中に取入れることに致しまして、例へば協同組合を組織致しまする場合には、原材料を扱つて居る問屋と、中小商工業とを一つの組合に組織化致しまして、原材料の購入の部面を其の問屋が擔當し、之を同じ組合員であります中小商工業者に加工させまして、又其の出來たものを買上げて之を賣る、さう云ふ金融的な仕事をして居つた問屋等を、自分の同じ業體に包攝することに依つて、中小商工業者の金融上の弱點を直すと同時に、製品を進んで自分で改造しながら賣り擴める力を付けて行くことになるのではなからうかと考へます、又小さい工場は今後の勞働問題に付ても、非常に對處し易い形になつて居るのではないか、大きな工業に付きましては勞働者の隅々に對しましても、色々な配慮が行届かぬのでありますが、所謂中小工業で少い勞働者を扱つて居りまする處に於ては、事業主の凡ゆる配慮が勞働者の隅々まで宜く行渡りまして、色々な勞働問題の起りますやうなことを未然に防止することが出來まして、本當に勞資協調の形に於て、仕事が進んで行くやうな意見もございまするので、是等に付きましては、寧ろ中小商工業者の方に、勞働問題に付て、適當な理解をせしむるやうに指導致しますることに依つて、中小商工業の本當に強い形の經營體としての完成を圖るやうに、指導して行きたいと考へて居ります
次に商業の問題でございまするが、商業は御承知の通り只今は物資が非常に逼迫致して居ります關係上、特殊の配給の形を取つて居るものであります、食糧營團其の他のやうな一元配給と云つたものを執つて居りまするが、斯う云ふ形で將來とも永續する譯のものではございませぬ、當然將來は國民の必需品が潤澤に供給されるやうになりますれば、商業者と云ふものは各々自由な活動を致しまして、物の配給、消費者への圓滑なる配給と云ふものを、圖つて行かねばならぬものであると考へて居りまするが、是等の仕事に對しましても、國家の將來の問題でございまするけれども、小さい形の場合では中々其の組織が旨く永續性がないと云ふやうなことから致しまして、是等の人をやはり組合に組織化を致しまして、自由連鎖店「ボランタリー・チエーン」と云つた形の經營法を執りまして、商品の共同施設を行ひ、販賣が同じやうな「マーク」を持つて同じやうな「マーク」の店を各地に設けて、賣り擴めて行くと云つた強さを以て、信用を維持して行くと云ふことを考へて行くことも結構であらうと考へて居りますし、工業者に付て申しましたやうに、問屋を同じやうに小賣商の中の一員として、商業組合の中に包攝致しまして、卸賣業者、所謂經營者から共同購入等を致しまして、其の問屋が協同組合の仕事を引受けて、之を同じ組合員に流す、斯う云ふことから致しまして、經費の節約、其の他色々圖つて行きたいと考へて居ります、其の外政府と致しましては、戰時中非常に低下致しました商業道徳の囘復、是が延いては商人の信用の囘復にもなる譯でございまするが、斯う云ふ本當の根本的の方面にも「メス」を入れまして、商業者が本當に全消費者から、愛される商業者と云ふものを作り上げます上に於ての修養の普及と云ふやうなことに、政府としても今後努力を致して參りまして、斯う云ふことを併せまして中小商工業の全般の振興を圖りたいと考へて居ります、但し是等のことは逐次之を具體化致しまして、帝國議會の御協贊を得つつ實施をして參りたいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=92
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093・原健三郎
○原(健)委員 各方面に亙つて非常に詳細なる御説明を戴きまして、今後の中小商工業者に對する政府の對策の「アウト・ライン」を知ることが出來て、本法案の審議に非常に便宜を與へられたことを感謝するものであります
次に御尋ね致したいことは、從來の組合に對しては免税があつたり、低利資金或は補助金等の特典が與へられて居つたのでありますが、本法案に依る組合には、僅かに營業税の免除が規定せられて居るに過ぎないのであります、中小の工業に對する政策に付ては、多分に社會政策を加味しなければならぬと思ふのであるが、中小工業に對する社會政策的の對策は、どう云ふやうに考へて居られるか此の點を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=93
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094・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今仰せの通り、此の新しい協同組合に對しましては、例へば税金等の問題は營業税だけの免除に相成つて居ります、從來の商工組合等の中で、統制組合は法人税なり、或は所得税等の免除があつたのでございますが、今囘の協同組合は營業税だけの免除に相成つて居ります、是は同じ商工組合法の中でも、協同施設組合は同じく營利法人に近い性質を持つて居ります關係で、營業税だけを免除することになつて居ります、其の點前と同じやうなことに相成つて居ります、一般的に申しまして、中小商工業者の團體である協同組合に對しては、色々な社會政策と云ふ言葉が出ましたが、色々な政府の援助が必要であることは申すまでもありませぬ、但し政府の援助は今後やはり補助金と云ふ形で參ることは、色々の關係方面もございまして、困難でございまするので、補助金と云ふ形で之を助成して行くことは困難でありますが、政府と致しましては、之に代る色々な方法を考へたいと、今豫定を致して居るのでございます、一つはやはり資金の融通に付いてでございまして、是は先般來商工大臣も仰せの通り、只今一應は復興金融金庫を通じて、復興金融金庫の資金を商工組合中央金庫でやらす例の方法であります、低利資金と云ふ金利の問題は、今日餘り重要な問題ではございませぬが、資金を流す點に於ては、先づ商工組合中央金庫と云ふものをもう少し強化致しまして、其の資金も潤澤に、又貸出の方法も割合に簡易に行くやうに之を改正致したいと考へて居りまして、是も成べく早い機會に、新らしい改正法律案を次の議會に提出することを考へて居ります、又補助金と云ふものは、今日先程申しまするやうに、非常に困難な情勢でございます、豫算も多額に亙りますし、色々な關係で困難でありますが、之に代りまして、本當に中小工業の經營の合理化に必要な施設と云ふものは、或る程度政府が之を助成して行くことを考へて行かなければならぬと存じて居ります、組合のさう云ふ施設に對する色々な既存の工場等に付ては、今度の整理等に依りまして、さう云ふ工場が不要に歸します、さう云ふものは一應政府が預りまして、之を適當にさう云ふ所へ貸付けて行くと云ふやうなことも、仕事として考へられる譯でございまして、補助金の交付以外の仕事で、之に代るやうな助成的な方法を考へて行きたい、斯樣に考へて居る次第であります、是等に付きましても、總て是は議會の協贊を經る必要がございまするので、只今相當立案も致して居るものもございますから、確定次第御審議を仰ぐやうに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=94
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095・原健三郎
○原(健)委員 大體其の點は能く分りました、此の法案を讀んで私の一寸感じたことは、此の法案に依ると、一區域内の同業者間に同じやうな組合が多數濫立することも出來る、それから業界の調整を必要とする時、却て相互の小數黨派が泥仕合をして、收拾付かないと云ふ危險が必らずあるのであります、是は同一地域に於て非常に組合を作りたいと云ふ意向が盛んで組合を作る場合があります、さうかと思ふと、反對にこんな組合などは必要がないと云つて、全然作らない所があると思ふのであります、それで此の間に濫立する場合にはどうするか、又全然政府が之を慫慂をせずに放つて置いた場合に、自發的に作らない場合はどうするか、是は任意に作れとなつて居るが其の時に於ける調節をどう云ふ風にやられるか、伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=95
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096・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 仰せのやうに、業界では今日まだ的確な進むべき途を確認して居らぬやうであります、隨ひまして、只今仰せのやうに、或る土地の或る仕事に於きましては、非常に澤山斯う云ふものを作つて、何かやつて貰はふと云ふ藻掻きを示して居られる所もございますし、又所に依つては、政府は之に對して大した仕事もやつて呉れないから、まあ暫く樣子を見ようと云ふ、日和見的の態度を執られる所もあらうと思ひます、やはり政府としては、中小工業と云ふものが、國の中樞の基盤的な業態であると云ふことに相成つて居りまする今日と致しまして、一日も早く其の組織化を圖りまして、殊に生産の少い今日に於て、さう云ふ組織化を致しまして、將來伸びる基盤にする、例へば設備等が十分に出來て居りませぬ今日、非常に合理化された共同設備等を作つて行くやうに仕向けますことが、將來中小工業を維持育成する上に非常に便利である譯でありますから、それ等の點を府縣を通じて業者の指導をする積りで居ります、併しながら、要はやはり業者の方方が、協同組合に依つて自己の業界を強化し、自己の事業を「プロモード」すると云ふ確信の出來ることが要點でございまして、さう云ふ意味から申しますると、やはり政府としては、さう云ふ模範的な組合を先づ強力に指導致しまして、それに依つてぐるりの中小商工業者の方々が之に倣つて、右へ倣へをして戴く、斯う云ふことに一番重點を置いて行くべきものぢやないかと考へるのであります、さう云ふ意味に於きまして、模範的な組合を育成する爲に、從來の商工組合法の下に於ても、協同施設組合等もございます、今後商工協同組合に直ぐ變更する譯でございますが、さう云ふ適當のもの或は統制組合のやうな共同事業をやりまして、色々な實績を擧げて居るものもございます、さう云ふものを今後も更に大いに培養致しまして、斯う云ふ形で行けば、自分の仕事も將來伸び得るのだと云ふ確信を得て戴くことが、一番必要だらうと思ふのでありまして、私共は寧ろさう云ふ代表的なものを維持育成して行く、殊に地方的に維持育成致しまして、之に右へ倣へをして貰ふと云ふことが、先ず第一に必要だらうと考へます、さう云ふ方針で、府縣廳を督勵致しまして、優良なる組合を更に強化するやうな方針、之を育成して行く方針と云ふことで、先づ參りまして、然る後一般的な組合としての指導をやる、斯う云ふ風に致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=96
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097・原健三郎
○原(健)委員 其の點は分りました、其の次に御尋ね致したいのは、中小商工業對策基盤としての商工組合組織が必要であると云ふことを大體伺つたのでありますが、現在及び將來、中小企業を壓迫する色々な原因がありますが、其の原因を取除かなければ、私は問題は解決しないと思ふのであります、隨て少くとも中小企業を壓迫するやうな次の點に付て、明確な方針を承りたいのであります、第一は、百貨店の資本的進出に對して中小業者を保護する對策はどうであるか、それから第二には、消費組合の濫設は、消費者にも必ずしも好影響を與へないが、一般中小商業者に重大な影響を與へる、是と業者との調節策如何、もう一つ、農村物資の配給を、農業關係團體に依つて一元化すると云ふ企てがあるやうに聞いて居るが、やはり其の持場々々に任ずべきであると思ふが、政府は此の方面の方針はどうであるか、先づ此の三點に付て御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=97
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098・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 只今の三點は殊に中小商業者に對する非常な脅威になつて居る問題でございます、但し此の問題は今日の状況と將來の状況と、少し事情を分けて考へねばいかぬかと思ふのであります、今日は所謂非常に闇取引の多い時代で、又闇の配給等も澤山ございまして、中小商業者を保護するよりも、消費者を保護する必要が切なる時代であります、隨てここ暫くの問題と致しましては、やはり的確に公定價格なら公定價格を以て、物資が消費者に配給される形に重點を置かねばいかぬと考へて居るのであります、さう云ふ意味で百貨店などは割合に公定價格を守つて、何と申しまするか、竝んで買ふ譯でありまして、公平に配給せられるのでございますから、さう云ふ意味に於て所謂青空市場よりも百貨店の方が割合に信用の置けるものが公定價格で入ると云ふやうなことを考へますと、之を無闇に壓迫することは、色々な面から云つてどうかと考へられるのであります、將來或る程度物が潤澤になつて參りまして、所謂一般の小賣商と云ふものが、昔のやうな形、或はそれに近いやうな形に還つて來ましたやうな後に於きましては、勿論此の二つの間には、消費者の便利だけのことでなくて、仕事の上の調整を行ふ必要があらうかと考へます、小さい方方は百貨店と云ふやうな大きな資本の商賣に對しましては、是は先程申上げました自由連鎖店のやうな形に依つて之に對抗する、所謂經濟的な、何と申しますか、組織を作ることが必要でございます、うさ云ふことに依つて經營上の合理化を圖る、さうして消費者との繋りを或る信用を以て、自由連鎖と云ふ形の信用を以て之に對抗すると云ふ必要があると思ひます、基盤に於ては自由競爭と云ふことが基盤でございまぬから、無暗に小さいからと云つて保護する譯には行かぬのでありまして、消費者の立場も考へねばいかぬののでありますから、やはり小さい方々も自分の經營の合理化を圖ると同時に、百貨店との或る程度に於ける仕事上の調整と云ふことを致しまして、百貨店が滅茶苦茶に暴威を振ふと云ふことを抑へて行くことが必要であらうと思ひます、さう云ふことは、百貨店法と云ふものが今日もございまして、是は中小商業者を保護する爲に出來ました法律でありまして、さう云ふ事態が至りますれば、此の法律を運用致しまして、百貨店の行動に對しましても或る程度の制限を加へる、一面小さい商業者の方も經營を合理化し、其の商品の信用を高める意味に於て、やはり組合等の活動に依る合理化と云ふことを、併せてやつて行くやうに指導したい、斯う云ふ風に考へて居ります、又消費組合の問題、是も先程の百貨店と同じやうなことでございまして、消費組合を通じて本當に安い良い物が消費者に流れるならば、今日の場合に於ては是は消費組合を抑へる譯には行かぬのではなからうかと考へるのであります、將來やはり物が潤澤に出て參りまして、消費者がさう自分でわざわざ組合などを作つて特別な「ルート」を作らぬでも、手近な所に商人があつて、そこから良い物が直ぐ買へると云ふやうなことになれば、當然それは解消致すことにもなりませうし、又其の時は消費組合の方々が其の仕事の範圍を締めて戴いて、商業者に任して戴くと云ふことが根本的であらうと考へるのであります、要はやはり自由に業者を競爭さしても、一般の商業者の方が便利で宜い、斯う云ふ點がなくてはならぬのでありまして、消費組合がどうしてもさう云ふ時代に殘ると云ふことが必要であると致しますれば、それは消費組合の方が、假に配給の値段が一般の商人よりも安いと云ふこと、商品を集める力が非常にあると云ふこと、保管や輸送の設備が十分に良いと云ふやうなこと、資金的な事業の基礎が著實であると云ふこと、或は商品の配給が迅速適切であると云ふことがあれば、當然消費組合が勝つ譯でございますが、さう云ふこともやはり餅屋は餅屋と云ふことでありまして、一般の配給業者の方が立優つて行くだらうと思ひますし、又立優るやうに仕事をしなければ、消費者の立場もない譯でありますから、自然にさう云ふことは調整せられて行くことであらうと思ひます、唯さう云ふ場合に飽くまで小さい商人の方は、組合等に依りまして其の經營を合理化すると云ふことが必要であつて、やはり消費者の爲にも利益になると云ふことが根本であらうと考へます、最後の農村物資の配給の問題でございますが、是は少し前のものとは事情が違つて居るやうにも考へますが、農村の爲に農業團體に配給を一元化すると云ふ問題がありまして、今日のやうに物資の少い時代に於ては是も已むを得ない形であらうと思ふのであります、將來の農村に於ては、農業者團體に物を扱はして行くと云ふ御希望があるのでありますが、是はやはり餅屋は餅屋と云ふ言葉が之に確かに當るのでありまして、商業者を使つた方が物が便利に流れると云ふ點に要點があらうと思ひます、但し割當を致しまする仕事は、是は農村團體の方が農業者の點を能く知つて居るのでありまして、何處にどう云ふ物が欲しいと云ふ割當のことは、是は農村團體で切符を發行されると云ふことが必要でありませうが、現物を流す方の仕事、是は成べく專門の商人を使つて戴きたいと思ひまするし、場合に依れば此の商人の方を農村團體のさう云ふ配給機關に使つて戴くと云ふやうなことで、仕事の上の調整を執る、斯う云ふことが必要であらうと考へます、斯う云ふやうなことで、商業者と之を壓迫する關係の調整をすると云ふことでございますが、要はやはり商業者の方が其の經營を合理化致しまして、自由に競爭しても十分に之に對抗する力がなければ、結局長い眼で見れば大きな力に押されて行くと云ふことでございますから、やはり此の協同組合制度と云ふものを十二分に活用して戴きまして、又政府も之に相當に援助を致しまして、其の立場を維持すると云ふことに努力すべきものであると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=98
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099・原健三郎
○原(健)委員 最近第三國の資本が相當中小企業に入り込んで居り、又大企業にも入らうとして居ります、之に對する政府の見透し竝に將來の方針はどうであるか、御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=99
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100・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 第三國の資本が我が國の産業に入る問題は、非常に重要な問題でございます、まだ大きな産業に付てはさう云ふ問題は起つて居りませぬ、又第三國と申しましても色々な國がございます、併しながら東洋以外の國の方からの資本參加と云ふ問題は、現實になつて居ないやうでございます、唯今問題になつて居りますのは、やはり中國人、朝鮮人、臺灣人の問題であらうと思ひますが、今日若干中小工業の方、或は特殊の商業の方には此の力が入つて來て居るやうでございます、併しながら現實の問題として考へます時に、既に入つて居る力、それを排除すると云ふことは今日の國際の情勢から見て不可能でございます、隨ひましてやはり東亞の近い所に同じやうな生活をして參つた是等の人達は、やはり手を繋いでお互ひの利益を保護して行くことが宜からうと考へます、此の組合と云ふものも、やはり此の第三國人を包攝しながら、統制と云ふ言葉は當りませぬが、共同事業に參加して貰つて、お互ひに事業分野と云ふものを相侵さずに進んで行く、斯う云ふことになつて行くのが一番望ましい點であらうと考へます、東亞に同じやうに生活をして居りますものは、今後お互ひに無茶苦茶な競爭をしたり、お互ひに不當な競爭をしたりすることを避けまして、やはり相倚り相扶けて行くと云ふ意味に於て、之を包攝しながら日本の産業が伸びて行くと云ふことにならねばならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=100
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101・原健三郎
○原(健)委員 其の次は現在統制組合では生産割當とか、或は配給統制などを行つて居るものが多いのであります、然るに本法案に依る任意的な協同組合になつた場合、此の統制は誰が擔當してやるのであるか、又本組合を臨時物資需給調整法に基いて發せられる命令に依る指定機關に指定することが考へられるが、加入團體の任意な組合を指定することに缺陷はないと思はれるであらうか、又指定するに適當な組合を業者が任意設立しなかつた場合に於て、強制設立の方法がないから、此の場合必要な統制を行ふことは出來ないことになるが、斯う云ふことに對してどう云ふ處置をされるであらうか、御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=101
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102・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 先づ現在統制組合と云ふものが色々の統制の衝に當つて居る譯でございますが、是は今後此の法律の施行後三箇月の間に、當然解散せられて解消する譯であります、其の仕事を誰が擔當するかと云ふ御尋ねでございますが、是は業界に依りまして一律に參らぬかと考へて居ります、通常の場合に於きましては統制組合も同じく共同施設等を同時に出資して居られる組合は澤山あるのであります、さう云ふ場合に於ては當然協同組合と云ふ形に變更をせられて行くことと思ひます、さう云ふ場合には、其の協同組合を臨時物資需給調整法の第二條に依つて、統制の仕事をやらして行くことに考へて居ります、併しながら統制組合の中で、物資の割當と云つたやうな純然たる統制の仕事だけしかやつて居らぬ組合是は協同組合を作ることは出來ぬのでありますから、是は統制をやる必要から、別に任意的な協定を御作り願ふことが必要であらうと思ふのであります、物資割當の爲に其の仕事が必要であるとするならば、新たにさう云ふ協定をして戴きまして、其の協定を物資需給調整法第二條に依つて指定して、統制機關として行くことが必要でございます、次に加入脱退が自由でありまするから、組合員に入らぬ人が居るぢやなからうか、さう云ふ者を指定しても色々な統制がうまく行かぬではなからうかと云ふ御尋ねでございますが、是は員外の者にも割當が出來ることになつて居りますので、やはりさう云ふ協同組合、或は任意のさう云ふ協定と云ふものを指定して參りまして、業界全般から申しますと、さう支障はなからうかと考へて居ります、又業者が適當な組合を作らぬと云ふやうな場合には、強制設立の方法がないから、統制が行へぬではないかと云ふ御質問でございましたが、どうしても業者の方がさう云ふ組合を作らないと云ふ場合には仕樣がございませぬ、成べくならばやはり業界御自身で自主的な統制をやるやうな協定なり、組合なり、一つの團體を作つて戴くことが望ましいのでございますが、どうしても業界の實情から、さう云ふものが出來ないと云ふやうな場合には、自主的に統制をする能力がないと云ふ譯でございますから、是は政府自體必要な統制を自ら直接やる、所謂主務大臣自ら行ふと云ふ第一條の規定に歸ることになるのではなからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=102
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103・原健三郎
○原(健)委員 大分色々分つて參りまして、中小工業に對する指導は今後色色重要になると云ふ結論を得たのでありますが、それでは本案中にある商工協同組合中央會に對して、政府はどう云ふ指導か助成か、其の他のことをやらうと云ふ御考へであるか、それを承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=103
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104・吉田悌二郎
○吉田(悌)政府委員 從來の商工組合中央會は、此の法律にもありまするやうに、當然解散を致します、新らしく商工協同組合の中央會が出來る譯でありまして、さうして此の組合は此の法律にもございます通りに、やはり各組合に對しまする所の協同事業等の實際上の積極指導をする譯でございまして、今後此の中央會に對する活動に付きましても、政府は非常な期待を致して居る譯でございます、併しながら從來のやうに、補助金で色々な仕事をやつて行くと云ふことが、非常に困難な状況でございまする今日から致しますと、政府と致しましては、先づ中央會の據つて立つ基盤と云ふものは、組織する組合の自發的な支持と云ふものが第一であらうと考へて居ります、やはり組合自身の方が民主的に活動すると云ふ上から申しますと、之を組織する組合の方が、之を大いに支持して戴くと云ふことが必要でありまして、今後民主的に中央會と云ふものが動いて行きます爲には、官制的な、役所が作つた形の團體にすると云ふことは、成べく之を避けて行きたいと考へて居るのであります、但し政府と致しましても、中央會のやる業務で、特殊の業務に付て政府が特に御願ひをすると云ふものがあれば、是は其の事業毎に、場合に依れば補助金と云ふものを交付することも適當であらうと思ひます、色色な業界に徹底させるやうな仕事を、特別に御願ひすると云ふやうな場合には、其の仕事を徹底させる爲めの費用は、或は補助金として交付することを考へ得る場合がございますけれども、一般的に中央會自身を作ると云ふことに對する補助金と云ふものは、現在の情勢では困難であらうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=104
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105・原健三郎
○原(健)委員 先刻も質問があつたのですが、はつきり分らなかつたので、もう一度御聽きしたいのであります、戰時中に中小企業は所謂企業整備を行ひまして、轉廢業者に對し殘存業者に於て共助金を負擔して居りますが、此の共助金は今日國民更生金庫などよりの借入となつて居りまして、多くの同業者組合は此の負擔に堪へられない現状になつて居ります、此の共助金の借入金に付て、終戰後の現状から見て、之を免除又は輕減する意思はないか、又共助金を受取る側からすると甚だそれに對して不安を持つて居りますが、其の點に付て明確な御答辯を御願ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=105
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106・小出榮一
○小出政府委員 戰時中に行はれました各種の企業整備に依りまして、多數の轉廢業者が出た譯であります、此の轉廢業者に對しまする助成の方法の一つと致しまして、それ等の轉廢業者と、同業の人で後に殘存する業者の方方が組合其の他の團體を作りまして、轉廢業して行く人達に對しまして、其の所謂暖簾代と申しますか、營業を補償すると云ふ風な意味に於きまして、共助金を出した譯であります、其の共助金を出しまする財源と致しまして、御話の通り國民更生金庫、一部は市中銀行から借りて居りますが、大體に於て大部分國民更生金庫から共助金を借入れて居ります、此の借入て居りまする共助金は大體長いもので昭和二十五年以降に亙りまして、其の償還の期限がずつと長くなつて居りますし、又終戰と共に色々業界の實情が變つて參りまして、償還の能力にも色々な變動を來して居ります、隨ひまして速かに此の共助資金の處理をどうするかと云ふことを明確に致しませぬと、結局中小業者の本當の立直りが出來ない、戰時中の滓がまだ何時までも身體にくつついて居る、斯う云ふ風な關係にありますので、速かに之を整理致します爲に、先般政府に企業整備共助資金整理審査會と云ふ委員會を設けまして、國民更生金庫の理事長を委員長と致し、關係方面の方を委員と致しまして、全體の業界に付きまして業權別に精密な調査を行つて居ります、大體に於て現在までに於て業權別の目安が付きましたので、それぞれの業界の實情に應じまして、共助金の結末を付ける方針を確立したいと思つて居ります、其の結末を付ける方針と致しましては、先づ第一に償還能力が相當あるものがございます、是は寧ろ終戰後になりまして、却て償還能力が逆に殖えたと云ふ風な組合もないではありませぬので、さう云ふものに付きましては此の際出來るだけ繰上償還を致します、さう致しまして早く共助資金の決濟を付けると云ふこと、それから逆に償還能力が非常に減少して居るやうな組合、戰災に遭つたとか、或は業界全體が非常に資材其の他の關係から致しまして、萎縮して居ると云ふ風なものもございますので、それ等の償還能力の乏しい組合、或は全然ないやうな組合に付きましては、債務を輕減し、或は免除すると云ふ風な方針を立てて居ります、例へば償還期限を延長するとか、或は中間据置期間を設けるとか、或は債務の一部を免除してやるとか、或は場合に依りましては債務を全額捧引すると云ふ所まで行きたいと思つて居ります、併しながら是等の償還能力の判斷に付きましては、公正に專門の委員の方をそれぞれ各地方に於ても御願ひ致しまして、精密な調査を致しまして、本當に公正な調査に基きまして、それぞれの償還能力に應じて合理的な解決を致したい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=106
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107・原健三郎
○原(健)委員 それは今調査中らしいのでございますが、一體何時頃發表の豫定でございますか、非常に一般の轉廢業した人達はそれを氣に病んで居りますので、其の時期を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=107
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108・小出榮一
○小出政府委員 實は先程申しました企業整備共助資金整理審査會が發足致しまして、第一囘の審議を開始致しましたが確か六月頃であつたと思ひますが、其の當時の方針と致しましては、今年の終りまでに業種別にそれぞれ解決を付ける、解決を付けると云ふ意味は、拂ふべきものは拂はせるし、免除すべきものは免除すると云ふ方針をはつきり致したい、斯う云ふ積りであつたのであります、所が御承知のやうに其の後補償打切りの問題が出て參りました、國民厚生金庫も御承知のやうに政府の厖大なる補償に基いて、此の資金の貸出を致して居ります、隨ひまして國民厚生金庫に對する補償の問題、それから厚生金庫から貰ひました金の特殊決濟の問題と云ふ風な、補償關係の問題が絡んで參りました爲に、多少そこに時間的に遲れがございまするが、補償關係が明確になりますれば、速かに業種別に方針の決定したものから逐次發表致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=108
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109・原健三郎
○原(健)委員 次に商工政務次官に御伺ひしたいのであります、一體商工省の機構と云ふものは、未だに戰時中のそれと何等變らないものであると私は考へて居るのであります、それで商工省の機構を全面的に改革するの意思がありやなしやと云ふことを御尋ねしたいのであります、例へて言ひますると、纖維局の中に陶器だとか硝子だとか、「セメント」などが入つて居る、又纖維局の纖維課と云ふのが、新聞維誌用紙などの割當などに付ても關係して居ります、而も其の用紙の割當に當つては、甚だ以て我々の解せないやうな思想を以て臨んで、用紙の割當委員を作つて、其の思想に依つて用紙の割當をやられて居る、斯う云ふやうな甚だ以て我々の不滿に堪へないやうなものがある、而も是からは戰時中ではなくて、もう平和的なものになつて來た、又貿易を振興をしなければならぬと云ふことになつて來た、さう云ふやうな點を勘案致しまして、是は宜しく商工省の機構を全面的に改革する必要があると思ふのであります、又經濟安定本部と云ふやうなものも出來ましたので、それとも考へ合せまして、將來商工省機構を全面的に改革するの意思ありや否や、あるとすれば如何なる方面に向つて改革せんとするのであるか、それを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=109
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110・小林かなえ
○小林政府委員 終戰後昨年の八月二十六日に、軍需省當時の機構を全面的に考へまして、只今の機構になつて居ります、隨て全面的に之を變へると云ふ意向は今の所ありませぬが、併し仕事の上に色々の重要さを増したりすることから、逐次或る種の部分には機構の改革を行つて居ります、將來とも仕事の上に必要とする意味に於きましては、出來るだけ積極的に機構を變へて、實際の仕事に合ふやうにして參りたいと思つて居ります、例へば最近に於きましては窯業課と云ふのものが、工務局の中へ置かれまして、從來只今原君の指摘されました通り、纖維局の日用品課の中に陶磁器、煉瓦、硝子などの、纖維とは甚だ關係のないやうなものがあつたのを、窯業課の中に入れると云ふが如きは其の一例であります、又今囘の賠償物の撤去の爲に、賠償物資局と云ふものを置くことに大體なつて居ります、それから技術の必要だと云ふことから、先程大臣の言はれましたやうに大臣官房の中に技術に關する特別班を置かうと云ふやうな計畫もございます、又統計或は速報と云つたやうな重大なる問題を、もつと重大さを加へて參らなければならぬ、即ち統計と云ふやうなものの確實なものがなければ、仕事が實際の上に運營して行けないと云ふやうなことから、調査課なども是から大いに強化して參りたいと云ふやうな計畫も今ございます、さう云ふやうな部面に於て將來隨分改革さるべき點があらうと思ひますが、是は仕事の實際の上に應じまして、原君の御要望の通り大膽に、率直に、一つ積極的に機動性を帶びて働けるやうに、機構を變へて參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=110
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111・原健三郎
○原(健)委員 大體總體的な質問は是で終りまして、各條に付て色々御伺ひしたいことがありますが、是は又後日に讓りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=111
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112・竹田儀一
○竹田委員長 それでは本日は此の程度に於て散會致します、明後日午前十時より開會致します
午後四時六分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01019460923&spkNum=112
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