1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
商工協同組合法案(政府提出)
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昭和二十一年九月二十五日(水曜日)午前十時二十分開議
出席委員
委員長 竹田儀一君
理事 加藤一雄君 理事 小島徹三君
理事 塚田十一郎君 理事 原健三郎君
理事 宮前進君 理事 西村榮一君
理事 前田榮之助君 理事 川野芳滿君
理事 疋田敏男君 理事 福田繁芳君
安部俊吾君 井田友平君
西村久之君 厚東常吉君
田中源三郎君 田中實司君
瀧澤脩作君 山田善三君
馬越晃君 金光義邦君
九鬼紋十郎君 早稻田柳右衞門君
鈴木明良君 川崎秀二君
澤田ひさ君 金子益太郎君
竹谷源太郎君 中崎敏君
山口靜江君 加藤勘十君
東隆君 稻田健治君
駒井藤平君 伊藤恭一君
布利秋君
九月二十三日委員大宮伍三郎君、三木武夫君及び石原登君辭任に付其の補闕として川野芳滿君、駒井藤平君及び東隆君を議長に於て選定した
九月二十五日委員鈴木周次郎君及び田村定一君辭任に付其の補闕として早稻田柳右衞門君及び澤田ひさ君を議長に於て選定した
同月二十五日石原登君委員辭任に付其の補闕として川野芳滿君が理事に當選した
出席國務大臣
運輸大臣 平塚常次郎君
出席政府委員
内務事務官 谷川昇君
商工政務次官 小林かなえ君
商工參與官 小此木歌治君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 松田太郎君
商工事務官 池田欽三郎君
商工事務官 小出榮一君
運輸政務次官 松田正一君
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本日の會議に付した議案
商工協同組合法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=0
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001・竹田儀一
○竹田委員長 是より會議を開きます、此の際理事石原登君が理事を辭任されましたが、委員長に於て理事を指名するに御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=1
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002・竹田儀一
○竹田委員長 それでは川野芳滿君を理事に指名致します、引續き質疑を許可致します──井田友平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=2
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003・井田友平
○井田委員 私は此の協同組合法案に對しましては全面的に贊成する一人でありまして、本法案の精神が本當に指導と發達に依つて中小工業者に徹底したならば、そこに創意、工夫、努力と云ふやうなものが認められて、産業本然の姿に立至るのではないかと考へるのでありまするが、唯其の指導と運營と云ふ方面に於て、若干御尋ね致したいと思ふのであります、私の御尋ね致したいのは、商工業部面の工業部面に關して御尋ね致したいのであります、勿論基礎産業は國家管理或は國家管理に近い統制で今後行くことと思ふので、此の協同組合の對象となる中小工業の部面で御尋ね致したいと思ふのであります
先づ第一に中小工業者の一番當面の問題は、金融と物資の面だと思ふのであります、金融の面に於ては今まで再再大臣に同僚乃至私も御尋ね致したのでありまするが、具體的な方法は御示しになつて居らないので、中小工業を振興する復興金融の面に於ても、協同組合を單位として金融をするのか、個人工場を對象として金融をするのか、或は又其の金額の限度、融資の限度と云ふやうなものがはつきりして居ないのですが、此の點を御答へ願ひたいと思ひます、それから物資の面に於て、此の中小工業者は概ね基礎産業でなくて加工産業と申しますか、或は製品工業と申しますか、さう云つたものが多いのでありまするが、此の工業方面に物資を配給するのに、過日の物資需給調整法案の統制が實行され、協同組合が配給を受ける場合どう云ふ關聯を以て受けるか、斯う云ふ點をまだはつきり御説明になつて居らないのです
〔委員長退席、西村(榮)委員長代理著席〕
例へば從來此の方面の中小工業者の配給をやつて居つた統制組合、是は全國を單位として出來て居りますが、今後の協同組合は脱退加入が自由でありまするから、其の數は非常に殖えて來る、詰り同じ業者でも東京に四つも五つも出來る、又出來なければ施設組合としての機能が發揮出來ないから、當然數多く出來て來ると思ひますが、之を一々物資配給の對象として行くのか、或は何等かの方法を立てて之を總括的にやるのか、此の劃期的な組合改組に當つて、當局に於ては計畫なり、決定した事項があると思ひますので、此の點を御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=3
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004・小出榮一
○小出政府委員 只今御尋ねの中小工業の振興の上に於て最も重要な問題は、御話の通り金融の問題と、資材をどう云ふ風に配分して行くかと云ふことが、中心の問題になつて來る譯であります、先づ第一點の中小工業の金融の面でございますが、之に付て個人を對象とする金融、組合を單位とする金融と云ふ問題に付て御尋ねがあつた譯であります、御承知のやうに、現在中小商工業に對する金融機關としては、一般の市中銀行、普通の金融機關が勿論融資をすることも出來る譯でありますが、特別に中小商工業者の爲の金融機關としては、御承知のやうに商工組合中央金庫と云ふものが現在ある譯でございます、併しながら此の商工組合中央金庫は所謂組合金融でありまして、組合を對象として其の組合の行ふ各種の事業に對して金融を致し、結局それを通じて間接には各組合員である個々の中小商工業者の爲の金融を圖ると云ふ恰好になつて來る譯であります、其の他興業銀行とか、主として中小商工業者等を對象として居る特別の金融機關もありますが、專門の金融機關としては、現在の所商工組合中央金庫が中心になつて居る譯でございます、所が商工組合中央金庫の現状を見ますると、組合からの預金が比較的吸收困難で、隨て中央金庫に對する預金の高が比較的少い、にも拘らず貸出は非常に申込が多いと云ふやうな偏頗な状況になつて居ります、そこで今後中小商工業者の金融を促進する爲には、先づ第一に商工組合中央金庫を強化しなければならない、左樣に考へて、其の第一の主眼を中央金庫の資金を潤澤にすると云ふ所に置きまして、中央金庫が出來るだけ澤山の資金を吸收出來まするやうな途を開く、是が爲には既に、例へば農林中央金庫と云ふやうな所から、七千萬圓ばかり相當の融資の借入を致して居りまするし、或は庶民金庫から致しましても、五千萬圓位の借入を致して居ると云ふやうなことに依りまして、他の類似の金融機關から借入金をすると云ふことも、一つの方法として行つて居りまするし、又市街地信用組合と云ふものが現在ございまするが、其の市街地信用組合は比較的預金が潤澤にございまして、多少預金がだぶついて居ると云ふ傾向になつて居りまするので、此の市街地信用組合が持つて居りまする預金を、商工組合中央金庫の方に吸收致しまして、之を活用すると云ふことを考へまして、取敢ず市街地信用組合が、商工組合中央金庫に對し預入が出來ると云ふ途を開くことに致したのであります、之に付きましては既に大藏省當局と話合が終りまして、近く大藏省の省令を改正することに依りまして、市街地信用組合が商工組合中央金庫に預金が出來ると云ふ途を開きまして、是等の工作に依りまして、商工組合中央金庫の資金の潤澤化を圖りまして、さうして貸出の財源を得よう、斯う考へて居る譯であります、併しながら商工組合中央金庫は、前に申上げましたやうに組合金融でございまして、直接個々の業者に個人金融をすると云ふ途がございませぬので、其の途を開きまする爲に、更に今般復興金融金庫が設立せられました機會に於きまして、此の復興金融金庫からの中小商工業者に對する特に中小工業方面に重點的に金融を行ふ途を開いたのでございます、さう致しまして、一般の市中銀行と同樣に、商工組合中央金庫の本支店、出張所と云ふものも、總て復興金融金庫の代理店となりまして、窓口を澤山持ちまして、中小商工業者に對し、出來るだけ直接の金融の途を開いて行かうと云ふ措置に致したのでございます、出來ますれば復興金融金庫の中に中小工業に對する融資の枠を設けまして、例へば十億圓なら十億圓と云ふ枠を設けまして、それだけの分は中小工業者に對しての融資に充てると云ふ風なことも考へて見たのでございまするが、寧ろ金額の枠を作りまするよりは、自由に中小工業者に制限なしに出來るだけ融通をすると云ふ風な、運營の彈力性を持たした方が宜しからうと考へまして、別段枠は設けて居りませぬ、併し特に復興金融金庫の融資に當りましては、中小工業に重點を置くと云ふ運營方針を確立致して居る譯でございます、尚ほ是等の組合金融或は個人金融に對しましては、別段そこに金額の制限はございませぬ、要するに相手方の事業の内容でありますとか、或は其の將來性乃至は其の信用力と云ふ點に重點を置きまして、必要な限度に於て貸付をすることになる譯でございまするが、其の信用力の問題と致しましても、中小工業者は概して物的の擔保の力が非常に弱い譯でございまするので、出來れば人的な信用等に依りまして、例へば組合の役員の連帶保證と云ふ風な個人信用と云ふ點に重きを置きまして、餘り物的な擔保を要求しないで、金融を圓滑に圖つて行きたい、斯樣に考へて居る譯でございます
それから物資の問題でございまするが、御話のやうに現在も商工組合法に基きまして出來て居りまする統制組合は、主として物資の配給機關としての機能を果して居るものが大部分でありまして、是が今後統制組合が解散致しまして、協同組合の出來ました場合にどうなるかと云ふ問題でございまするが、是は御話のやうに、臨時物資需給調整法との關係の問題になつて來ると思ひますが、臨時物資需給調整法で考へて居りまする統制機關と致しましては、第一に物資の割當機關と云ふ場合と、それから物資の配給機關と云ふ場合と、二つに分けて考へなければならないかと思ふのであります、先づ第一の物資の割當機關として考へました場合に於きましては、先般も御答へ致しましたやうに、主として是は全國的な生産者團體と云ふものが、物資の割當機關になる場合が多からうと思ひます、全國を一本にしたやうな協同組合と云ふものは、寧ろ例外的のものでありまして、昔の統制會と云ふものが生れ變りまして、色々の協議會とか協會とか云ふやうな任意團體が出來て居りまするが、さう云ふやうな大きな生産者の全國的な團體が、大體に於て物資の割當機關に指定されるものと考へて居ります、併し場合に依りましては協同組合も物資割當機關として指定を受ける場合があらうかと考へます、之に反しまして實際の現物配給機關、配給系統の中に於きましては、やはり現在の統制組合と同じやうに、協同組合が其の配給機關に指定されると云ふ場合が相當にあらうかと思ひます、其の場合には大體に於きまして今後も統制を繼續致します物資、例へば纖維製品と云ふものを例に取つて見ますると、其の纖維製品の生産なり、或は販賣を致しまする業者が作つて居りまする協同組合、此の協同組合を配給統制の「ルート」の中の一つの機關と致して指定を致しまして、生産者から消費者に至るまでの配給徑路に於きまして、それ等の協同組合を活用して行く、斯う云ふやうなことが今後も繼續されるものと考へて居ります、其の場合にやはり統制組合のやうに強制加入ではございませぬので、「アウト・サイダー」と云ふ問題も出て參りまするが、是は結局其の組合の實力に依りまして、「アウト・サイダー」をそこに引張つて行くと云ふ以外に方法はなからうかと考へて居りまするが、大體に於きまして組合を指定致しまする場合には、其の組合に資材を渡しまして、其の組合が其の配分を行つて行くと云ふことになりまするので、自然「アウト・サイダー」の力は弱くなつて參りまして、組合に加入しなければ物が貰へないと云ふ事態が起つて來る場合も豫想されまするので、事實上問題は解決されるのではないか、斯樣に考へて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=4
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005・井田友平
○井田委員 今の配給の機關でございまするが、私の御伺ひしたいのは、假に一本の統制組合が廢止になりまして、脱退、加入の事由な協同組合となりますれば、東京とか、大阪とか、横濱と云ふやうな所に、同じ業種の協同組合が四つ乃至五つ出來る、斯う云ふ場合に此の五つなら五つ出來た協同組合に對して、同一に指定をするのか、或は其の一つを指定して、他の四つなり五つの協同組合と云ふものはどう云ふ取扱を受けるか、斯う云ふ點でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=5
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006・小出榮一
○小出政府委員 御尋ねの同一の地區内に、同じ業種で以て各種の組合が四つも五つも出來ると云ふ場合でございまするが、協同組合は申すまでもなく、利害關係の密接な業者の方々が、全く自由な結合に依りまして組合を作る譯でありまするので、勿論さう云ふ風な四つも五つも同じやうな組合が出來ると云ふ場合が、當然豫想せられる譯でございまするが、少くとも配給統制を今後も繼續しようと云ふ重要物資、或は國民生活必需品等に付きましては、其の配給統制の完璧を期する上から申しますれば、同じ地區内に多數の組合がありまして、それ等のものをそれぞれ指定をすると云ふことは、極めて配給統制上望ましくない形態であらうと考へます、併しさうかと申しまして、其の中の一つの組合だけを取上げまして之を指定すると云ふことになりますと、又其の間に色々の弊害も生じますので、さう云ふ風な場合に於きましては、出來るだけ各種の組員を綜合致しました聯合會を作るとか、或は別個に其處に任意團體を結成致しまして、其のものを配給統制機關として指定する、斯う云ふやうなことにならうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=6
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007・井田友平
○井田委員 次に戰災を被つた中小の工場でございますが、過日資料を頂戴したのは昭和十七年で、まだ出來て居らぬと云ふやうな御話であつた、戰災から一年有半になるのですが、大體商工省當局では此の資料の何「パーセント」位が戰災を被つて居るか、其の戰災を被つて居る工場の復興状態、斯う云ふことが大體で結構です、正確な數でなくて結構ですが、分りましたら一寸御聽かせ願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=7
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008・小出榮一
○小出政府委員 御手許に配付致しました工場の統計は、大體に於きましては昭和十七年の状況までしか分つて居りませぬ、御承知のやうに商工省で行つて居りまする工場統計表と云ふものの集計が、全國的に出來て居りますのが昭和十七年まででありましたが爲に、洵に古い資料で恐縮でございますが、昭和十七年末までの統計を御示し致したやうな譯でございます、御指摘のやうに終戰後に於きましても、急速に各地方の地方商工局なり、或は府縣廳を督勵致しまして、各地方別の組合なり、或は工場を通じまして、罹災の状況等を調査致して居るのでありますが、今迄全國的に正確なる集計が出來て居ないのは洵に申譯ないと存じます、唯現在までに大體分つて居りまするのは、工業關係の組合を通じまして、組合の中で戰災を受けた組合がどの位あるかと云ふことを、大體組合別に調査致しました集計に依りますと、全國の工業關係の組合の中で、二七%と云ふものが戰災を被つて居ります、隨ひまして是から推計致しまして、大體三割弱の程度のものが、現在に於て戰災を受けて居るのではないか、斯樣に大體推定致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=8
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009・井田友平
○井田委員 是は商工當局の統計を見なければ判斷の出來ない問題ですが、此の中小工業の振興、復興に付きまして、勿論今後の日本の産業と云ふものは、中小工業を樞軸として行くのだと云ふことははつきりして居るのでありますが、中小工業の復興振興と云ふことを、どの程度まで商工當局はやつて居るのか、戰時統制の時に一ヶ月の操業能力を持つて居りながら、十日間しか資材が間に合はないで、十日間仕事をして二十日休んだと云ふことが、到る處にあつたのでありますが、今後中小工業を無暗やたらに復興さして、それに伴ふ資材がなければ、やはり斯う云つたやうなことが起きて來るのではないかと我々は心配するのであります、此の物資需給調整法に依つて生産された所の素材と、中小工業者が配給を受ける所の素材と云ふものの睨み合ひ、又之に對する商工當局が、どう云ふ所で以て線を引いて、今云ふ戰時の統制のへまをやらぬで、之を推進んて行けるかと云ふやうな方針と、又數字に依つて御調べがありましたら、それを一つ御聽かせ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=9
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010・小出榮一
○小出政府委員 只今御指摘のやうに政府は中小工業を當然復興し、振興すると云ふ根本方針の下に進んで居る譯でございますが、具體的に然らばどの程度まで、戰前の何「パーセント」、或は戰前の何倍と云ふ所まで復活させると云ふやうな、具體的の計畫を持つべきではないかと云ふ御話でございますが、出來るだけ計畫性のある産業復興計畫と申しますか、經濟復興計畫を樹立致しまして、其の線に沿つて中小工業を其の中の具體的の一環と致しまして考へたい、斯樣に思つて居る譯でございます、只今の所差當り中小工業と云ふ面だけを取上げまして、之を全體の産業から切離しまして、具體的な計畫を決定すると云ふことは非常に困難でございまして、中小工業の問題と云ふのは、申すまでもなく全體の經濟再建計畫の一部分でありますし、又其の間に勞働問題、或は社會政策の面とも、相互に密接な關聯を持つて居りまする關係上、先づ經濟安定本部に於きまして、全體の經濟復興計畫の基本政策を立てまして、先般も御話申上げましたやうに、既に中小工業對策委員會を安定本部に於きましても設置せられた譯でございますが、それ等の委員會に於きまして全體の基本計畫を樹立致しまして、其の基本計畫に副ふやうに、中小工業の振興を圖つて行くと云ふ風な順序で只今進んで居ります、隨ひまして今直ちに、例へば業種別に全體の設備を何處まで持つて行くとか、或は生産額をどの邊までで抑へると云ふ風な計畫は、現在の所はまだ立つて居ないやうな状況でございますが、さう云ふ風な狙ひで以て進んで居る譯でございます、勿論是は基本計畫でありまして、其の間時々刻々に起つて參りまする應急措置と致しましては、只今行つて居りまする物資の需給計畫、毎月作つて居りまする石炭の配炭計畫を中心と致しまして、それから起つて參りまする各物資別の需給計畫を、商工省に於て毎月立案實施致して居りますが、是等の物資の需給状況と睨み合せまして、新しい中小工業の復興振興の申請があつたやうな場合に於きましては、それ等の資材の面と睨み合せまして──徒に設備は造つたが資材がないと云ふ風な、戰時中屡屡行はれましたやうな弊害に陷らないやうに注意致しまして、資材の状況が斯う云ふやうな工合であるから、其の見透しを十分持つた上で計畫を作つて貰ひたい、斯う云ふ風に業者の方にも、内容をざつくばらんに御話を致しまして御相談を致して居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=10
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011・井田友平
○井田委員 もう一つ御伺ひしたいのは、今後商工當局が産業の面に於て民間の調査を必要とするか、或は意見を取入れるとか、或は價格の面、出來た物の色々の面に於て、商工當局が對象とする民間團體としては、此の協同組合を重點的にやるのか、或は又今言ふ聯合會とか、或は別個な社團法人が此の協同組合の上に出來る、斯う云ふ場合に之を對象とするのか、それを一寸承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=11
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012・小出榮一
○小出政府委員 今後政府が色々の經濟政策なり社會政策を立案して參ります上に於きまして、廣く民間の、特に專門の業界の方々の經驗に基く御意見を承ると云ふことは、勿論出來るだけ其の線に沿つて參りたいと考へて居る譯であります、特に中小商工業の問題に關聯致しましては、廣く業界の方々の御意見を採り入れて、寧ろ其の御意見に從つて政府の施策を立案して行きたい、斯樣に考へて居る譯でありまするが、其の場合に於きまして然らばどう云ふ風な業界の團體の方の御意見を聽くかと云ふことに付きましては、それぞれ業種別に、專門的な業界の方も居られると思ひまするが、取敢ず商工協同組合法に依りまして出來まする商工協同組合中央會と云ふもの──現在商工組合中央會がございまするが、之に代りまして、商工協同組合中央會と云ふ、協同組合の全國的な指導連絡機關が出來ることになつて居りますので、此の中央會なり、或は其の中央會の各府縣の支部の意見と云ふものが、先づ協同組合の全體を代表する意見と致しまして、最も今後尊重すべき問題であらうと思ひます、其の外勿論各地域毎には、今出來つつありまする社團法人の商工會議所でありまするとか、或は其の他色々の任意的な團體が出來る譯でございまするが、それ等の各方面の意見を綜合的に採り入れて行くと云ふことは、申すまでもないのであります、中でも商工協同組合中央會と云ふやうな團體の御意見を相當に尊重して參りたい、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=12
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013・井田友平
○井田委員 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=13
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014・西村榮一
○西村委員長代理 政府委員に希望しますが、今井田委員から要求された戰災工場の統計、是は必要だと思ふのですが、どうですか、本委員會の終了までには調査出來ませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=14
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015・小出榮一
○小出政府委員 工場別の全部のものは不可能だと思ひます、大體の所で御勘辨願へますれば…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=15
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016・西村榮一
○西村(榮)委員長代理 大體の所で出來るだけ早く出して下さい──山田善三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=16
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017・山田善三
○山田(善)委員 厚生大臣のおいでが出來ませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=17
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018・西村榮一
○西村(榮)委員長代理 呼びにやつて見ませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=18
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019・山田善三
○山田(善)委員 本案は主として中小商工業者を對象として編まれたものと考へるのでありますが、戰前に於ては我が國の中小商工業、殊に小賣商業者であります、是等は上からは大資本の進出に依る「デパート」の壓力を受けて、非常に發展を阻碍されて居つたのであります、更に又下からは消費組合の進出に依りまして、其の分野を狹められて、兩方から挾み撃になつた形でありまして、戰前既に日本の小賣商は非常な苦境に喘いで居つたと考へて居ります、當時反産運動などが猛烈に展開せられ、且又小賣商の救濟に付ては、相當に政府も關心を持つて居られたと考へるのであります、之を世界各國の例に徴しましても、日本の小賣商は其の數に於て餘りに多過ぎると言はれて居つたのであります、然るに戰爭が始まつて此の方、段々此の小賣商の分野は一層狹められて參りまして、遂に大幅の企業整理となり、只今の状態では戰災其の他の故障も簇出致しまして、殆ど四分五裂の状態になつて居ると思ひます、それが終戰後多少貯へて居つた資金も殆ど食ひ潰してしまつて、元の古巣に歸つては見たが仕事はない家もなければ資金もなし、資材も手に入らぬと云ふやうなことから、相當數闇商人に顛落した者もあるであらうと考へます、然るに一方外地よりの引揚者は日々増加して參りまして、外地で可なり大きな商業を營んで居つた人々も、丸裸で歸つて見れば仕事がない、是等が先づ第一に食ひ付き易いのは小賣商であります、物の生産をやるのは容易ではありませぬが、先づ手取早い商賣は小賣商である、是は極く小さやかな資金を以てしても、風呂敷一つを持つて闇商人になることも出來るのであります、隨て斯う云ふ人々が歸つて參りまして、相當數又此の闇商人なり小賣商の一群に加はつて居ることであらうと思ふのであります、斯う云ふことから考へまして、將來更に此の小賣商の數と云ふものは、此の儘放つて置けば相當數増加するであらうと考へられるのであります、然るに戰前に於てすら既に其の數が過剩であつて、お互ひに共食ひをして、其の生活に喘いで居つた状態であるに拘らず、更に昨今の状況では非常な惡條件が増加致して居るのであります、又將來に於ては更に此の惡條件が増加するのではないか、數は益益殖え、資金は戰爭以前に比べて思ふやうに行かなくなり、而も取扱ふ物資は寧ろ少くなつて居ると云ふやうなことで、段々惡い條件が増加して來ると云ふことを想像出來るのであります、是等の惡條件下にある小賣商を、今囘御提案になりました單なる商工協同組合と云ふやうな一本の組合を作つて、それで此の困難なる小賣商を一體維持し得るか、救濟し得るかと云ふことを私は非常に憂ふるのであります、之に依つて資金の調達を圖り、或は共同施設をなすと云ふやうに、色々目的は掲げてありますが、唯此の一つの協同組合で、斯くの如き惡條件の中小商業者を救ひ得ようとは考へられないのであります、之に對して政府は果して自信があるか、日本の中小商業者の將來に對して、此の法一本で之を完全に救ひ得て、戰前以上の活況を呈し得るやうになし得る自信があるか、さう云ふことを先づ一つ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=19
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020・小出榮一
○小出政府委員 只今の御尋ねは、中小商工業者、特に商業者の振興の對策と致しまして、商工協同組合法に依る協同組合組織と云ふものだけでは、到底それ等の振興對策を解決するには不十分ではないか、斯う云ふ風な御尋ねであつたやうに考へるのでごいざますが、勿論政府と致しましても、此の協同組合組織と云ふものが、之を以て小賣業者なり、中小商工業者對策の全部であるとは考へて居ない譯でございます、御話のやうに戰前から戰後を通じまして我が國特有の状態と致 しまして、一般に商業者、特に小賣業者が非常に多い、總體的に其の數は非常に過剩であると云ふことは、我が國特有の状態であらうと思ふのであります、之に付きましては、其の小賣業者の人口構成に於て占めて居りまする數は、絶對數に於て非常に多過ぎると云ふことは必ずしも言へないのでございまするが、諸外國の人口構成の例から考へて見ますると、絶對數に於ては兎も角總體的に特に工業生産、生産人口との比率が、配給人口と申しまするか、小賣業者の人口と云ふものが、生産面に携つて居りまする人口に比較致しまして、總體的に非常に過剩であると云ふことは、はつきり申すことが出來ると思ひます、なぜ斯う云ふ風な状態になつて居るかと云ふことに付きましては、色々の原因もあらうかと思ひます、特に我が國の商業の形態が、所謂戰前に於きましては通過貿易の形態でありまして、原料を輸入してそれを國内で加工して、更に製品として輸出をする、其の國内を通過致しまする中間に、色々の配給團體が必要であると云ふやうな特有の事情からも來て居るのでありまして、一概に是は多過ぎるからいけないと云ふことは言へないかと思ふのであります、併しながら全體として考へて見ますると、確かに生産人口に比較して配給人口が多過ぎると云ふことは、是は必ずしも國の經濟力の充實と云ふ面から考へますると、望ましい状態ではないと考へられるのであります、そこで今後に於きましても、小賣業者が本當に健全なる小賣業者になると云ふことの爲には、どうしても全體の小賣業者の數が多過ぎると云ふ状態を、何時までも放つて於きますると、如何に一方に於て協同組合に依つて經營の合理化なり、經理の合理化を圖りましても、今御話のやうに、次から次に謂はば素人なり、或は半失業者のやうな形に於て、是が小賣業界に次次に流れ込んで來ると云ふやうな状態が、何時までも解決されませぬと云ふと、健全なる小賣業者と云ふものは、常に一方に於て不健全なる小賣業者と云ふものをそこに受入れて參ります爲に、本當の小賣業としての全體の振興は出來ないと云ふ風な状態になる譯であります、そこで政府と致しましては、先づ健全なる小賣業者の育成と云ふことに重點を置きまして、其の健全なる小賣業者を育成致しまする爲には、協同組合に依りまして、其の組合の協同事業に依る經營の合理化に依りまして、健全なる小賣業者を育成致しますると同時に、他方に於きまして不健全なる小賣業者の無制限な發生と云ふものを、出來るだけ抑制しなければならないと考へるのであります、併しながら其の抑制の方法と致しましては、例へば營業認許制であるとか、或は企業許可令の延長と云ふやうなことに依りまして、不健全なる業者が新たに事業を開始することを全然抑制するとか、或は禁止すると云ふ風な方法も、勿論考へられないことはないのでありまするけれども、併し今後に於ける經濟民主化、或は營業自由と云ふ風な根本原理から申しますると、是等の基本的な營業の自由と云ふ風な、個人の權利を抑制すると云ふことは、是は誤つた方法であらうと考へられるのであります、隨ひましてさう云ふ風な營業許可と云ふ風な制度は採らないのでありますけれども、一方に於きまして出來るだけ生産を振興する、生産の振興に依りまして、出來るだけ過剩な人口を生産面の方へ吸收をして行く、斯う云ふ風な方法に持つて行く以外に方途はないのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=20
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021・山田善三
○山田(善)委員 私も實は左樣に考へて居る一人であります、隨て此の際小賣商の一部を出來るだけ生産面に廻して、中小工業の發展を圖ると云ふことに指導することが一つの方法であると思ひます、併しそれだけではまだ足りない、もつと深刻なものが生じて來るのではないか、出來るならば私は日本の──是は平和條約が結ばれなければ出來ませぬが、海外發展の一策として、所謂華僑に對する日僑と云つたやうなものの進出を大いに奬勵されまして、其の一部を外地に出して活躍させると云ふことも、一つの方法ではないかと實は考へて居るのであります、然るに現下の状況では日僑が海外に出來るどころではなくて、寧ろ華僑が内地に參りまして、相當に根強く其の地盤を作りつつあるかの如く感ずるのであります、此の傾向は日に日に進んで居る、是は日本の單なる中小商業者の問題だけでなく、日本の産業組合全體に、相當に深い影響を持つものであると考へるのでありますが、之に對して如何なる對策を御考へになつて居るか、之を一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=21
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022・西村榮一
○西村(榮)委員長代理 山田君に申上げますが、厚生大臣は經濟閣僚懇談會で、まだ出席の時間が豫定が付かぬさうです、ですから是だけ進めて、厚生大臣に對する質問は後に廻はして戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=22
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023・小出榮一
○小出政府委員 現在所謂第三國人と申しまするか、特に中華民國或は朝鮮、臺灣と云ふ方面の方々が、日本の經濟界各方面に進出をして居られると云ふことは事實でありまして、之に對しまして政府としてどう云ふ風な對策があるかと云ふ御話でありますが、之に付きましては現在の所主として所謂華僑と云ふ風な勢力が進出をして居りますのは、主として配給部面、特に末端の小賣業界と云ふ風な方面に進出をして居られる向が多いぢやないか、斯樣に考へるのであります、之に付きましては特に聯合國人の一環になりまする面に付きましては、勿論日本と致しましては、聯合國人としての取扱ひをする以外にないと思ふのでありますが、其の他日本の法律を當然適用して差支ないと思はれまする範圍に付きましては、御承知のやうに先般から行つて居りまする各種の闇市場の肅正と云ふ風な場合に於きましては、全く日本人と同樣に取締の對象と致しまして、相當嚴重なる肅正を行つて居ります、隨ひまして東京なり或は大阪等に於ける、所謂青空市場に對する八月一日を期して施行しました肅正も、一應相當の成果を擧げたやうに考へて居ります、併し今後に於きまして是が配給面のみならず、或は生産の面に於きまして、特に中小工業の面に於きまして、問屋的な勢力になり、段々進出をして來ると云ふことも考へられる譯でありますが、之に付きましては結局經濟的な進出でありまする以上は、特別に之を抑制するとか、或は「コントロール」するとか云ふ方途はない譯でありまして、結局日本人自身の手に於て、お互の實力を備へまして之に對處して行くと云ふこと以外には方法はないのではないか、斯樣に考へて居りますが、現在の所は全體として餘程深刻な問題になる虞があると云ふ風には、必ずしも樂觀する譯ではございませぬが、それ程重大に危惧する程の事態にはまだ立至つて居ないのではないかと考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=23
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024・山田善三
○山田(善)委員 次に「デパート」に付て御伺ひ致したいと思ひます、先程も申上げましたやうに、「デパート」が大資本を擁して中小商業者を壓迫して居つたと云ふ事實は、相當に深刻なるものがあつたのであります、それが戰時になりまして色々な統制が強化されるに從ひ、段々物が窮屈になりました、所が政府は「デパート」だけを特殊な團體扱ひにして、物の配給を擔任せしめたやうに存じます、是は相當に強い力を持つて居りまして、今後に於ても更に別な形態に於て、「デパート」は相當な力を發揮するであらうと思ひますが、從來執られたやうな行き方で、「デパート」だけに別個の團體でも作らせて、それに物の配給なり、生産を指定される意思があるかどうか、或は協同組合にあらざる別個の「デパート」の團體等にも、さう云ふことを擔任せしめる意思があるかどうか、斯う云ふことを御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=24
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025・小出榮一
○小出政府委員 「デパート」に付きましては、御承知のやうに從來から百貨店法と云ふ特別の法律が出來て居りまして、此の百貨店法に基きまして百貨店組合と云ふ、一種の統制組合的な組合が出來て居ります、此の百貨店組合の自治的な協定に依りまして、百貨店内部の「コントロール」は出來るやうになつて居りまして、一般の小賣業者とは色々な面に於て其の經營形態も違ひまするし、取引關係等も違つて居りまするので、從來から百貨店組合の組合員に付きましては、一般の組合員とは別個に、配給なり生産の場合に於て、特別な「ルート」として考へて居つたのでございまするが、今後に於ても大體百貨店は百貨店として之を纒めまして、別個の團體として之を活用して行くと云ふことが、實際上の配給の統制の上に於て、非常に便宜ではないかと考へるのであります、例へば百貨店を一般の組合の組合員の中に入れますると、百貨店は凡ゆる商品を扱つて居りますので、二十、三十と云ふ澤山の組合に加入をしなければやつて行けないと云ふことになりまして、百貨店自體としても非常に不便でありまするし、又一般の組合から申しましても、非常に經營形態なり規模の違ふものが、一緒に入つて來ることに依りまして、却て全體の調和が亂れると云ふやうなこともございまして、原則的には、百貨店組合を別個に、配給團體として之を動かして行くと云ふやうに考へて居ります、併しながらそれぞれの地方の實情に依つて──是は從來からもさう云ふ原則でありましたが、例へば九州の福岡縣等に於ては、百貨店が一般の生活必需品の小賣の組合の中に入つて居ると云ふ例もありまして、結局それぞれの地方の實情に依つて、百貨店自身も一般の組合に入つて差支へない、入つた方が便利であると云ふ場合には、それを入れることを決して妨げる譯ではございませぬが、原則としては一般の小賣業者と百貨店と云ふものは、やはり一應別個の形にして行く方が便利ではないかと考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=25
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026・山田善三
○山田(善)委員 次に主として都市に於ける消費組合の問題であります、是は從來産業組合法に依つて設立せられたものでありまして、特に消費組合と名の付くものは、産業組合中の購買事業だけを行ふ購買組合として存置して居る、所が其の産業組合法なるものは、御承知のやうに元々農村に其の源を發したのでありますが、其の母體である農村の組合は、農業會法に入れられまして其の方に移行してしまひましたし、今殘つて居りまする産業組合法と云ふものは、全くあるかなきかの如き存在であるやうに──戰時中は色々な面から見て、産業組合が不適當であると云ふやうなことから、相當に經營難に陷つたものがありました、解散したものが多數であつた、只今殘つて居りまする産業組合と云ふものは、極めて少數ではないかと思ひます、併し之に似た購買組織と云ふやうなものは、各工場或は鉱山等に多數に設けられて居りますので、是と同じ機能を發揮して居る任意團體は多數にあると思ひます、併しそれは全く法的根據を失つて居ると思ひます、然るに今後社會主義經濟が強く強調されるやうになりますれば、必ず此の消費者團體たる消費組合の機能と云ふものは強化されねばならぬ、殊に特定の物資に於きまして、私などは重要食糧品の如きは此の購買組織で配給するが一番宜しいと考へて居る一人でありますが、さうなつて參りますと、之に何等かの法的根據を與へる必要がありはせぬか、今の産業組合法で決めて居つたのでは、極めて弱いものであり、又不備なものであると考へられる譯であります、殊に今後の消費經濟を合理化すると云ふ面から申しましても、此の消費組合の發展と云ふことは、相當に重く考へられて宜いのではないか、出來るならば消費組合法と云つたやうな單行法でも作つて戴きたいと考へるのでありますが、政府の御所見を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=26
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027・小出榮一
○小出政府委員 消費組合に付きましての法制的な根據でございまするが、御指摘のやうに、現在の所は産業組合法に依る購買組合、此の制度以外にはないのでありまして、其の他御話の通り、工場なり或は炭礦等に於ける購買會と云ふやうなもので、必ずしも産業組合法に依らないで、任意的に出來て居る購買會もあるのであります、是等に付きまして何等か特別の消費組合法、或は生活協同組合法と云ふ風な特別な法制が要るのではないか、斯う云ふ御話ざございますが、之に付きましては、消費組合と云ふものの狙ひが、主として物資の配給であると云ふ風に考へますると、是は配給機關の一つと云ふことになりまするので、其の面に於きましては商工省なり、或は主として食糧品の配給に重點を置いて居りまする組合が多い關係上、農林省に於きましても非常な關係を持つて來る譯でありまするし、之に反しまして單なる配給機關ではなくして、更にもつと進めまして生活一般に關する協同組合組織と云ふ風に考へて參りますると、是は或は厚生省と云ふ風な面も關聯して參りまするので、是等に付きましては色々農林、商工、厚生各省の間に於て、目下研究は致して居りまするけれども、只今の所、特別に法制を直ちに設けると云ふ風な所までは進んで居ない状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=27
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028・山田善三
○山田(善)委員 それに付てもう一つ御尋ねしたいのでありますが、物資需給調整法に依る所謂民主的に組織された團體と云ふことで、此の合法的な産業組合と云ふものを、配給機關として御指定になる御意思がありますかどうか、それをもう一點伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=28
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029・小出榮一
○小出政府委員 臨時物資需給調整法で言つて居りまする民主的に組織されました團體と云ふ解釋でございまするが、是は商工協同組合法に依る協同組合の如きは、其の條件を十分に備へて居るものと考へまするし、其の條件のみを考へますると云ふと、産業組合法に依る一般の産業組合と云ふものも、やはり協同組合の一種でありまして、民主的に組織された團體と云ふ言葉の中には入らうかと考へまするが、實際問題と致しまして、臨時物資需給調整法に依りまして指定を受けまする團體は、所謂物資の割當團體でありまして、而も生産者を中心とした團體、生産者が自分の所で生産を致しまするに必要な生産資材の割當をする團體と云ふ風な場合でありまして、隨ひまして例へば鐵鋼の生産を致しまする團體が、其の鐵鋼の生産に必要な石炭の割當をする爲に、其の團體が指定を受けると云ふ風な場合でありまして、全國的な生産者團體、工業生産の團體と云ふものが大體中心になりまする關係上、實際問題と致しましては産業組合が指定を受ける場合は先づないのではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=29
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030・山田善三
○山田(善)委員 そこまでもう少し伺ひたいのでありますが、生産の場合に於てはさうでありますが、上部組織に於て一般的に配給を受け、生産されたものを段々下部の其の組合員に配給して參りますと、一番最後には組合員箇々にそれが配給される、さう云ふことになるのぢやないか、さう云ふ場合に結局其の組合員にあらざれば其の配給を受けられない、斯う云ふ結果に結局なつて來ると思ふのです、是は配給の面でありますから生産とは關係はありませぬが、併し其の統制されたさう云ふ製品の配給に付ても、相當に規制され統制されると思ひます、さう云ふ場合に於て大きな配給機關に一應其の配給物資の割當をされて、其の割當を受けた大きな全國的な配給團體が、更に其の下部組織たる箇々の組合員たる團體に配給して參りますと、最後には其の團體を構成して居る個人に物が配給される、其の個人を通し、組合員を通して消費者に配給すると云ふことになるのであります、さう云ふ場合に斯う云ふ産業組合法に依る一つの團體が其の統制下に入ることが出來るかどうか、さう云ふ統制を取扱ふ團體の中に、一つの消費團體として加入が出來るかどうか、斯う云ふことをもう一つ御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=30
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031・小出榮一
○小出政府委員 臨時物資需給調整法に依りまして、統制團體として指定を受けまする場合に付きましては、先程申しました所謂全國的な生産者團體が、其の生産資材の割當をする爲に、團體として指定を受けると云ふ場合の外に、今御話のやうに現物の配給系統と致しまして、其の配給系統の一環として、箇々の組合なり團體が指定を受けると云ふ二つの場合があるのでありますが、其の現物の配給系統の中の配給機關と致しまして、消費組合なり或は農業會と云ふ風なものが、其の配給系統の中に入つて來ると云ふことは勿論あり得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=31
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032・山田善三
○山田(善)委員 分りました、次に將來の生活必需物資、殊に重要産業に於てでありますが、さう云ふものの生産に付て、私は規格生産と自由生産と云ふものの分野を、はつきり定める必要があると思ふのであります、殊に物資が限られて居り足りない時代に於ては、特に之をはつきりして置く必要があるのではないか、是だけはどうしても要ると云ふ最低限度のものは規格生産をする、而も之に丸公を付けて嚴重なる統制をする而して其統制の仕方は、餘り種類を多くし錯雜にならないやうにして、極めて簡明にして實用的のものに止めまして、餘裕のあるものは任意生産、自由生産と申しますか、さう云ふものにしまして、之を補つて行く、斯う云ふ二本建ではつきりした生産の系統を作つて置くことが宜いのではないかと考へるのでありますが、之に對する御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=32
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033・小林かなえ
○小林政府委員 只今御質問中にありました通りに、一定の非常に足りない品物に對しては規格生産をやり、他のものは出來るだけ自由生産をやつて、さうして其の競爭研究に依つて増産を圖ると云ふことは、洵に結構なことであらうと思ひます、戰後物資の足らないものが比較的非常に多いのでありますが、追々常態に還るに從つて、御希望に副ふやうな方面に政策を執ることが出來るだらうと思ひますから、それ等の點に付ては商工省に於ても十分研究致しますが、尚ほ經濟安定本部とも連絡を執りまして、御趣旨のやうに我我もやつて參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=33
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034・山田善三
○山田(善)委員 次に是は中小商業、と云つて宜いか分りませぬが、將來、殊に平和條約が出來ましたら、日本の執るべき一つの政策と致しまして、觀光事業を盛んにすると云ふことは、外貨獲得の大な役割を果すのではないかと思ふのでありますが、此の場合、觀光施設組合と云つたやうなものを、此の協同組合法に依つて作り得るかどうかと云ふことが一つ、同時に觀光施設組合と云ふやうなものが出來得るとすれば、斯う云ふものに相當な資本を掛けて所謂外國人向きの施設を完備する、殊に私は、此處で申上げるのはどうかと思ひますが、人類の無限の欲求に對する完全なる、「サービス」をする意味合に於て、或る種の設備を施す、殊に何等資材を要しないことから生ずる相當の資源獲得の途もあると思ふのであります、之には相當な設備が要ります、さう云ふ設備を斯う云ふ組合を以て完全にする、旅館の設備にしても從來のやうな日本人向きの設備ではいけない、之を根本的に建直して所謂外國人向きの設備に變へる、又「サービス」の點なども從來のやうな「サービス」でなくて、別個の「サービス」を考へると云ふやうなことで、日本の觀光事業を盛んにすると云ふことは、一つの商業政策の方向ではないかと思ひます、斯う云ふ組合を作り得るかどうか、又さう云ふ事業をなす意思ありや否やと云ふことを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=34
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035・小林かなえ
○小林政府委員 我が國が戰爭を抛棄致しまして、是から世界平和の爲に立派な文化國家として立つて行くと云ふ上に於て、我が國の文化を高める意味に於きましても、出來るだけ色々の收入を圖ると云ふことは、極めて大切なことだと思ひます、殊に我が國は自然の美に於て世界に冠たるものでありまして、御承知の如く「スイス」の如きも丁度我が國の條件に似て居る、我が國よりも遙かに小さい國でありますが、立派に一つの觀光國として立つて行つて居るのであります、あの國の國費の殆ど大部分が、教育其の他の文化方面に注がれて居ると云ふやうな點から見ましても、我が國は斯う云ふものを參考にして、軍備方面に使はれる金を將來さう云ふ方面に注ぎまして、凡ゆる方面に於て我が國獨特の文化を建設して、立派な國になることが必要であります、さう云ふ意味に於ては外國人がどんどんと觀光に參りまして、我が國に金を落すと云ふ政策を執ることも、非常に必要なことだと思ひます、隨て旅館とか觀光施設と云ふやうなものも是から大いに發展させ、或は足を留める意味に於て、「ゴルフ」場を作るとか云ふやうなことも、非常に必要であらうと思ひます、さう云ふ場合に於ける旅館とか、斯う云ふ觀光客を相手にする商品の販賣と云ふやうなことに付きまして、所謂商業の範圍内に入れば、無論此の協同組合法が適用される中に入る組合も出來ることと考へるのであります、併しながら何處までも我が國の權威を落すやうな「サービス」は、決してすべきものでないと思ふのであります、世界に範を示す文化國家を作ると云ふ意味に於ての態度、寧ろ立派な日本のさう云ふ方面に接すると云ふ意味に於ての觀光客を歡迎し、同時に之に依つて我が國の經營の一助に資すると云ふことも必要であらうと考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=35
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036・山田善三
○山田(善)委員 二、三細かいことを最後に御尋ねしたいと思ひます、此の組合法案に依りますと、組合員たる資格は定款を以て決めると云ふことになつて居ります、其の場合今存して居ります所謂統制組合は、自ら統制組合員であつた過去の資格を資格として、組合員たる資格を設定すると云ふことになるのぢやないかと實は考へるのであります、さう致しますと組合員たる資格が可なりに限定されるのであります、さうしますと其の資格に適合しないものは其の組合に加入は出來ない、寧ろ組合の側から言へば、さう云ふ組合にして指定權を獨占しようと云ふやうな傾向になるのではないかと考へるのであります、若しさうしないで、業者であれば誰でも安易に入れると云ふやうな定款を假に作つたと致しますと、從來轉廢業をした者、或は強制疎開をやつた者、或は外地から引揚げて來た人々、或は又新しく業務を開始した人々、樣々なものが其の組合に入ることになる、先程から縷々「アウト・サイダー」を規制し得ない所に困難があるやうに伺ひましたが、恐らく「アウト・サイダー」はなくなつてしまつて、どんどん其の組合の中に加入して來るだらう、さう云ふ風に多くの人々が加入して來ました場合、組合員間の統制と云ふものは非常に困難なものになりはしないか、又配給物資が非常に少くなつて居ります現状から申しまして、多數の組合員を擁した場合に、其の割當に非常な困難と摩擦を生ずる虞があるのであります、ここらは實際斯う云ふ組合を運營致します上に於て非常に大事なことであります、之を誤りますと折角作つた此の組合が寧ろ混亂を來して、運營の圓滑を期することが出來ないと云ふことになるのであります、此の定款の決め方、或は加入の範圍、さう云つたやうなことは全く自主的に決めらるべき性質のものと思ひますが、それが果して宜いことであるかどうかと云ふことを懸念するものであります、之に對する御考へは如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=36
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037・小出榮一
○小出政府委員 協同組合の本質から申しまして、協同組合であります以上は、物資需給調整法にも載つて居ります所謂民主的に組織すべき團體でありまして、隨ひまして其の組合員の資格に關する定款の規定に於きましても、別段法律に於て斯う云ふ風な決め方をしなければいけないと云ふ制限もございませぬし、勿論加入脱退に付きましては、組合員である資格を持つて居りましても、組合に入る入らないは全く任意である、それ等の點に於て各箇々の業者の自主的な意思に任して居ると云ふ點に於きまして、本質的に民主的な團體と云ふことになるのでありますが、御話のやうに協同組合の組合員の資格を、具體的に決めますものは定款であります、定款に於て決められた資格を持つて居る場合に於て、初めて組合員になることが出來るのでありまするが、其の場合に定款の決め方は、全く組合員となる者の自由なる意思に基いて決める譯でありますから、何等の制限がないと言へばない譯でありますが、併しながら例へば從來統制組合の組合員であつた者に限るとか云ふ風な、極めて特殊な制限を設けると云ふことは、是は寧ろ協同組合の本質に反するものと考へられますので、非常に一般的な制限を設けると云ふことは可能であらうと思ひますが、極めて特殊な、統制組合の組合員であつた者に限るとか、或は戰時中轉廢業した者は入れないとか云ふ風な、特殊な制限を設けると云ふことは望ましくないことだらうと思ひます、それ等の點に付きましては、行政官廳が組合の認可を致します場合に、其の定款の内容を十分に審査致しまして、合理的なもののみを認可して行く、斯う云ふことになると思ふのであります、それから物資の割當に付きましても、假に協同組合が割當團體と致しまして指定を受けました場合に、「アウト・サイダー」との間に非常な混亂摩擦を生じまして、到底物資割當團體としての機能を果すだけの、價値がないと認められる組合に付きましては、是は當初から十分に、組合の持つて居る實力と言ふか、其の機能なり組織を十分調査致しまして、眞に適當であると認められるもののみを指定する譯であります、若し指定致しました以後に於て、其の間に非常に混亂を生じまして、其の運營が旨く行かないと認められる事態に立至りました場合には、直ちに其の指定を取消すと云ふ途もある譯でありますので、其の間に付きましては需給調整法の運用に依りまして、適當に調整が出來るのではないか、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=37
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038・山田善三
○山田(善)委員 一應了解が出來るのでありますが、實際問題と致しましては、さう簡單に中々行かぬと思ひます、例へば私も幾つもさう云ふ組合を經營致して居りますが、事實上殘存業者は相當多額の轉廢業資金の負擔をして居りまして、今尚ほ其の返濟も出來ずに居る状態であります、殊に配給物資は段々減つて參ります、其の負擔に堪へない位苦しんで維持をして居る状態であります、それに一旦轉廢業資金を貰つて廢めた者が、再び又ここに入つて參ります、外地から引揚げた者も入つて參ります、さう云ふ人々がどんどん入つて參りまして、之を拒否することが出來ないと云ふことになりますと、從來の組合員と、新しく入つて來た組合員との配給實績比率とか、或は受持區域の定め方とか、細かなことに付きまして、中々それはさう簡單には片付かぬと思ふ、ここいらは運用上と云へばそれまででありますが、何等かのそこに制限と申しますか、規約と申しますか、一定度の基準、それ等を示す基準と云ふやうなものが、施行規則か何かで決まらなければ、形は純民主的にと申せば非常に宜いやうなものでありますが、實際上運營をしますに當つては、中々困難ではないかと私は考へ、非常に憂ひを持つて居るのであります、此の協同組合法の施行規則と申しますか、さう云ふものに付て若干の點に關しては、もう少し細かにさう云ふ點を規定して戴いた方が宜いぢやないかと思ふのでありますが、それ等に對する御所見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=38
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039・小出榮一
○小出政府委員 現在殘存して居りまする業者の組織して居ります統制組合等に於きまして、戰時中行はれました企業整備の結果、各種の共助資金と云ふものを負擔して居りまして、之を國民更生金庫なり、中央金庫に對して返還しなければならぬと云ふやうな、非常に苦しい状態に立つて居られることに付きましては、我々も十分に承知致して居る積りであります、そこで是等の戰時中の色々の負擔を、此の際どう云ふ風に處置するかと云ふことに付ては、統制組合に付きましては、御承知のやうに一應今度の法律が施行になりますると、全部解散を致さなければならぬことになりますので、當然に清算の段階に入る譯であります、隨ひまして從來の統制組合と今度の協同組合とは一應切離しまして、清算の面に付きましての色々の不便等に付ては、出來るだけ御斡旋を申上げたいと思つて居りまするが、新たに協同組合を作る時の考へ方と致しまして、やはり從來の組合の持つて居ります債務と云ふやうな關係と、一應別個の見地から之を組織すべきではないか、斯樣に考へて居ります、勿論從來の統制組合の組合員が、大部分今度の新しい協同組合を其の儘の形で組織すると云ふ風な場合もあらうかと思ひます、さう云ふ場合に於きましては、其の債權債務の讓渡に付きましては、何等か金融措置等との關聯に於きまして、大藏省と相談致しまして、例へば從來の統制組合が持つて居ります第二封鎖預金は、其の統制組合が大體其の儘の形に於て、新しい協同組合に變ります場合に於きましては、第二封鎖預金を其の儘次の組合に第二封鎖預金として引繼ぐ、斯う云ふやうな途を開くことに話合ひが出來たのでありまして、さう云ふ風な措置に依りまして、戰時中の色々な負擔が成べく後に掛つて來ないやうに考へて居る譯であります、併しながら、新しい組合の加入の條件と致しまして、極めて特殊な條件を設けると云ふことは、先程も申しましたやうに好ましくないと考へて居る譯であります、尚ほ、是等の點に付きまして、施行規則に書くかどうかと云ふ問題でございますが、施行規則は主として法律に基きまして、法律の委任を受けて居ります範圍に於て、手續上の問題を書くことになつて居りますので、施行規則にはさう云ふ運用上の問題に付きましては、大體に於て觸れない積りでございます、併しながら、施行規則の外に、例へば次官通牒と云ふ風な通牒に依りまして、各地方長官なり、現地の長に對しまして、組合員の認可、定款の認可等に付きましての運用の方針を御示しをしたい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=39
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040・山田善三
○山田(善)委員 最後にもう一點御伺ひしたいと思ひます、是はもつと小さなことでありますが、私の關係して居る加工團體であります、加工團體で第二次生産の場合に、「ミシン」を登録して居る、是が全國で約九萬何千臺かの「ミシン「を登録して居る、從來の統制規則に依ると、登録「ミシン」にあらずんば加工が出來ないことになつて居る、私は其の登録と云ふものが、一體どう云ふ法律上の根據を持つて居るかと云ふことをよく知らないのでありますが、それ等も全部今月限りでなくなつてしまふと云ふことになりますと、登録「ミシン」と云ふものは何等意義を持たなくなる、さうしますと加工の部面に於て莫大なる「ミシン」が又出て來る、さう云ふ「ミシン」の統制及び加工の統制と云ふものを如何樣にして運營して行つたら宜いかと云ふ氣がするのであります、是は細かいことでありますが、全國には少くとも登録されて居るものだけで九萬何千臺あると思ひます、其の外登録されて居らない「ミシン」が、恐らくそれ以上あるかも知れませぬ、それ等が平等一律になつて來ると云ふことになると、加工を如何にしてするかと云ふことは相當に考へなければならぬ、是等に對してどう云ふ御處置をなさる積りであるか、御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=40
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041・馬越晃
○馬越委員 只今山田君の御質問は極めて主要な問題であるのであります、此の問題に付ては私共も非常な關心を持つて居ります、又加工業者に取つては生死を決する所の大問題であらうと思ひます、政府委員は之に付ては責任のある方が責任のある答辯をして戴きたいと思ひます、特に希望します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=41
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042・小林かなえ
○小林政府委員 國家總動員法が今月一杯で失效致しますので、それに依つて統制を受けて居つた企業許可令其の他のものが效力を失ふことになります、隨て只今山田君の御質問のやうな結果になると思ひますが、併し此の點に付きましては、設備制限規則と云ふものが從來あつたのであります、何か其の代りを出すやうになるのだと云ふやうなことも私一寸聞いて居りますが、私としてはまだはつきり致しませぬから何れ纖維局長から、一つ能く調べて御答へ申上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=42
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043・山田善三
○山田(善)委員 其の設備制限規則はどうも違ふと思ひます、詰り、設備をして居る者が澤山ある、唯それ等が此の統制の枠の中に入るか入らぬかの問題であります、新たに設備をすると云ふのではないのであります、さう云ふ設備をしたものが澤山「アウト・サイダー」としてある、それ等が一緒になりますから、そこで非常な混亂を生ずる譯であります、それの取扱ひ方と云ふことが今御尋ねした問題であります、是非能く御調べになつて、御答へを願ひたいと思ひます、是で私の質問は終ります
〔西村(榮)委員長代理退席、委員長著席〕
尚ほ厚生大臣の方は、實は留保致して居りますが、機會があれば、質問を致して、機會がなかつたらもう是で打切に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=43
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044・竹田儀一
○竹田委員長 是で休憩致しまして、午後一時から再開致します
午前十一時五十一分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=44
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045・会議録情報2
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午後一時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=45
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046・竹田儀一
○竹田委員長 會議を開きます、福田君の御質問は十分位で濟むさうですから最初に願ひます──福田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=46
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047・福田繁芳
○福田委員 此の商工協同組合法の根本骨子は産業の再建となつて居りまして、殊に其の中でも所謂商業と工業、それから鑛業となつて居りますが、商業、工業に對しては相當各黨の同僚から微に入り細に亙つた所の御質問があつたのであります
〔委員長退席、前田委員長代理著席〕
併しながら殘されて居る鑛業に付ては、何等の質問もまだないやうであります、少くとも是からの日本の國の産業の囘復を圖ると云ふことは、どうしても國内資源の開發にも、相當重點を置かなければならぬやうに思ひますので、丁度鑛山局長が御見えでありますから、此の鑛山行政に付て、現在に立脚しての將來の見透しと云ふやうな點が分りますれば、國内資源の開發の爲に非常に光明を見出すと思ひますので、此の點見透し竝に對策と云ふ點に付ての御高見を承りたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=47
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048・池田欽三郎
○池田(欽)政府委員 鑛山に關しまする協同組合の問題に付きまして御質問でございますが、鑛山部門に於きましては從來中小の鑛山に付きまして統制組合と云ふのがございまして、中小鑛山に對しまして、生産資材の割當でありますとか、物資共同購入、さう云ふやうなことをやつて來たのであります、何を申しましても鑛山部門に於きましては、其の作業の性質でありますとか、或は地理的環境から申しまして、中々共同施設をやると云ふことは色々困難な事情があるのでありまして、從來も餘り設置を見て居ないのでありまするが、今度此の協同組合法案が成立致しますれば、中小の鑛山に於きまして、原鑛石とか製品の共同輸送の問題でありますとか、或は協同保管でありますとか、場合に依りましては物資の共同購入、さう云ふやうなことも指導して行きたいと考へて居るのであります、御話の通り、日本の地下資源は外國に比べまして品種は非常に多いのでありまするが、量的に見ましても、或は又品質的に見ましても、非常に劣つて居ると云ふやうな關係があるのでありまして、どうしても再建日本の爲には、此の地下資源を出來るだけ開發しなければならぬ、それには大きな鑛山だけでは目的を達し得ないのでありまして、中小の鑛山も出來るだけ其の資源の開發に努力をするやうに仕向けて貰はなければならぬと考へて居るのであります、此の法案が出ますれば、其の共同保管とか、共同輸送、共同購入さう云ふやうな面で中小の鑛山が成立つやうに協力して參りたい、斯樣に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=48
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049・福田繁芳
○福田委員 只今の御話で、鑛山業に於ける所の商工協同組合、其の大體の意圖は能く分つた譯でありますが、鑛山業の中でも就中鐵、石炭は大體分りましたが、金銀銅、斯う云つた部門に對して、今後の見透しをもう少し詳しく承りたいと思ふのであります、御承知のやうに戰爭中に於ては、相當積極的に當局も奬勵して採掘さしたやうでございますが、現在御承知の通りの状態でありまして、果して是で、どうだらうか、斯う業者は懸念も致して居りますので、此の點をもう少し詳しく承れれば、非常に結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=49
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050・池田欽三郎
○池田(欽)政府委員 只今の御質問に對しまして、日本の金屬鑛山の状況、又將來の見透しに付きまして、概略を御説明申上げたいと思ふのであります、日本の金屬山の中心は、何と申しましても銅にあるのであります、戰爭中銅は電氣銅に致しまして十萬「トン」近くの生産を見て居つたのでありますが、終戰後精錬用の石炭の不足、或は鑛山に於ける勞務者の不足、食糧の不足、色々な原因に依りまして、非常に銅の生産が落ちて參つたのでありまして、終戰後は月産に致しまして何百「トン」と云ふ所まで落ちたのであります、最近に至りまして段々と囘復の曙光を認めるやうになりまして、此の七月、八月は二千「トン」以上の電氣銅を生産して居ると云ふやうな状況でありまして、此の鹽梅で行きますと、二十一年度に於きましては、二萬數千「トン」の電氣銅は確保出來るのではないか、斯樣に考へて居るのであります、併し一面銅の需要を申しますと、國内需要と致しまして、電線、伸銅品、其の他色々入れまして、五、六萬「トン」の銅がなければならぬと云ふやうな状況でありまして、まだまだ電氣銅の生産を上げなければならぬと云ふやうな事情にあるのであります、現在に於きましては、幸ひ多少の電氣銅の「ストック」もございますし、又故銅もございまして、此の方を伸銅加工品に廻はすと云ふやうな事情がございまして、さう云ふ面で緩和は致して居るのであります、將來の問題と致しましては、大いに銅の増産を圖らなければならぬ、斯樣に考へて居ります、現在二萬數千「トン」を目標にして居るのでありますが、將來は其の需要を賄ふだけの數量、即ち五、六萬「トン」は確保致して行きたい、斯樣に考へて居るのであります、併し其の品位が外國に比べまして、一%以下のものが相當多いのでありまして、是が増産に付きましては相當苦心が要るものと考へて居るのであります、それから金の問題でありますが、金は銅に附隨して出ます分と、それから珪酸鑛と一緒に出る分とあるのでありまして、現在の金の價格は一「グラム」十七圓と云ふことになつて居るのでありますが、現在の生産費を申しますと、數十圓を要して居ると云ふやうな事情にあるのでありまして、其の採算關係から見まして、金を増産すると云ふことは、非常に困難な事情にあるのであります之をやりますのには、どうしても金の價格を引上げなければならぬと云ふことになるのでありますが、一面金の價格を引上げますと、將來爲替の決定されます場合に非常に不利になると云ふやうな關係もございまして、さう云ふ點を考慮に入れますと、今金の價格を引上げると云ふことは、是は相當考慮しなければならぬ問題だと考へて居るのでありまして、其の金の價格の引上げ以外の方法に依りまして、出來るだけのものを作つて行きたい、斯樣に考へて居るのであります、それに依りまして二十一年度の豫算と致しましても、例へば金の探鑛奬勵金でありますとか、精錬所の施設の助成費、さう云ふやうなものを計上致しまして、さう云ふ方面から金の増産をやつて行きたい、斯樣に考へて居るのでありまするが、其の根本の金の價格の問題が解決しない限りは、思ひ切つた増産は不可能だと考へて居る譯であります、それで大體の目標は、本年は大體一・五「トン」位の生産になるのではないか、斯樣に考へて居るのでありまして、是は主として銅に附隨して出る金であります、其の他の金屬に付きましては、例へば鉛の如きは今非常に不足致して居りまして、年間の所要量が、五、六萬「トン」あるのでありますが、現在の生産から行きますと、五、六千「トン」しか出來ないと云ふやうな状態でありまして、是の不足分は現在手持のもので賄ふとか、或は又輸入を懇請しなければならぬと云ふ風に考へて居るのであります、亞鉛に付きましては、是は日本としては他の金屬に比べまして比較的に恵まれて居るのでありまして、所要量の五、六萬「トン」に對しまして三、四萬「トン」のものは生産出來ると云ふやうな事情にあるのであります、其の他の金屬と致しましては、錫とか「アンチモニー」其の他があるのでありますが、是は國内の生産は極く僅かでありまして、將來の問題と致しましては、國外から輸入を仰がねばならぬ、斯樣に考へて居るのであります、全般の金屬山の概況は、終戰後將來の見透しと云ふものが分りませぬ事情とか、或は又食糧が極めて逼迫したと云ふやうな事情から、其の生産意欲が極度に低下致しまして、大體鑛山の整備をすると云ふやうな事情にあつたのでありますが、終戰後半年以上經過致しまして、さう云ふやうな需給状況を大體見當も付けて參りまして、又價格の問題に致しましても三月に相當大幅の引上を致しまして、前途の見透し、「コスト」の状況と云ふやうなものがはつきり致して參りましたので、現在としては相當生産意欲が出て參りまして、鑛員の募集に著手して居ると云ふやうな山も相當見受けられるのであります、大體金屬山の現状は其のやうになつて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=50
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051・福田繁芳
○福田委員 能く分りましたが、其の序でに銅に對する買上價格は現在どうなつて居りますか、尚又聞く所に依りますれば、現在の價格では國家自體で如何に要求されても、業者としては迚も成立たない、勢ひ之に對してどう云ふやうになされるか、其の御對策を承れば非常に結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=51
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052・池田欽三郎
○池田(欽)政府委員 銅の價格に付ての御尋ねでありますが、現在銅の生産者價格は二萬圓と云ふことになつて居ります、需要者價格は一萬三千圓と云ふことになつて居りまして、其の差額の七千圓は價格差の利益に依つて補填すると云ふことになつて居るのであります、御話の通り現在の状況から致しますと、此の二萬圓で採算の取れない山も相當あるのでありますが、一面是れ以上引上げますことは、需要面に非常に影響を與へることになりますので、二萬圓で抑へ、而も需要者價格は一萬三千圓に致しまして、其の方の影響を出來るだけ少く致して居るのであります、將來の問題と致しまして其の二萬圓の價格の問題に付きましては、需要者の方に對する影響と云ふものを十分考へまして檢討致したいと思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=52
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053・福田繁芳
○福田委員 聞く所に依りますれば、現在の鑛業法を改正なされると云ふ御意向があるやうに承つて居るのでありますが、若し局長に於て御分りでございますれば、どう云ふ意圖の下に現在の鑛業法を御改正なさらんとするのであるか、それを承れれば非常に好都合であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=53
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054・池田欽三郎
○池田(欽)政府委員 鑛業法の改正の問題でありますが、鑛業法は制定以來相當な年月を經て居りまして、而も戰爭中に於きまして地下資源開發法と云ふやうな臨時的立法も色々出まして、其の系統が亂れて居りますので、此の際統一した鑛業法を、新しい情勢に即應した構想の下に考へたいと云ふ風に思ひまして、現在商工省に鑛業法改正準備室を設けて檢討を致して居るのであります、其の狙ひます所は色々あるのでありまして、まだ成案を得て居ないのでありますけれども、關係者の間で意見に上つて居る點を若干申上げますと、現在地下資源の開發に付きましては鑛業法それから砂鑛法と云ふのがあるのであります、斯う云ふものを一本に統一したらどうかと云ふやうな點が問題になつて居るのであります、又鑛業權自體に付きまして、休眠鑛區に活動を促すと云ふやうな意味から致しまして、鑛業權の使用權の問題を取上げて規定をしたらどうかと云ふやうな點も問題になつて居るのであります、更に其の對象と致しまする鑛物に付きまして規定があるのでありますが、それを必要なものにもう少し範圍を擴張してはどうかと云ふやうな問題もあるのでありまして、例へば珪石でありますとか、粘土でありますとか、さう云ふやうな鑛種を更に追加したらどうかと云ふやうな意見も出て居るのであります、其の外石油資源の開發に付きましては、是は特別な規定を要するのでありまして、それに付ての規定を新たに設ける問題でありますとか、或は又鑛業法には現在勞働關係の規定もあるのでありますが、其の勞働に關しまする規定も、新しい情勢に應じました改正を加へる必要があるのではないか、斯樣に考へて居るのでありまして、さう云ふ諸點が現在取上げられて問題になつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=54
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055・福田繁芳
○福田委員 鑛業の問題に付きましては大體終りましたが、もう一つ最後として申上げて置きたいのは、一部今御洩らしになられたやうに思ひますが、何と致しましても休眠鑛區の整理と云ふことが私は重點ではないか知らぬと思ふのであります、色々協同組合を作つたり又價格を上げると云ふやうなこともして、業者を導くと云ふやうなことも宜うございますけれども、何と申しましても今の鑛業法に依りまして作られて居ります鑛區の設定であります、是は御承知の通り相當の期間に亙つて全然著工しない、著工しない爲に外の業者がやらうと致しましても之に手を著ける譯に行かない、取りも直さず此の休眠鑛區の整理であります、此の際鑛業法の改正をなされるならば、是非とも之を根本に織込んで戴いて、斯う云ふ版圖の狹くなつた資源の少い所で、有用な物を一刻も早く出して、そして日本の産業の囘復を圖り得るやうに、是非ともして戴きたい、是は話の行掛り上、私の希望意見になりましたが、之を附加へて私の鑛山局長に對する質問は打切ります
唯一言商政局長さんに一寸伺つて私の質問を終りたいと思ひます、此の商工協同組合法は認可主義になつて居りますが、どうも此の認可主義と云ふのは官僚獨善に陷り易いと云ふ謗りも、又事實もありますから、何とか之を届出主義に變更なさる御意思があるかないかと云ふことを一言承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=55
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056・小出榮一
○小出政府委員 只今の御尋ねは商工協同組合の設立等に付きまして、行政官廳の認可制度を止めて届出にしたらどうかと云ふ御趣旨のやうに承つたのでありますが、商工協同組合は御承知のやうに法人格を持つて居ります、又其の行ひまする事業は各種の經濟事業を行ひまして、資本金もありまして、一つの企業體の如き運營を致します、隨ひまして取引を致しまする第三者に對する關係でありまするとか、色々の點を考へますると、大分關係方面に影響する所も大きい譯でありますので、やはり斯う云つた立派な法人格を持つた組合は、一應其の設立に付きましても、餘り單なる届出と云ふことでなしに、最小限度はやはり行政官廳の認可に依つて、初めて其處に公認の團體として成立する、斯う云ふ風にした方が宜いぢやないか、斯樣に考へまして、設立と解散、それから定款の變更に付きましては、認可制度に致したのでございます、併しながら御話のやうに此の認可制度を惡用致しますると、官僚の獨善的な弊害が出て來ると云ふ虞は十分にございます、隨ひまして此の條文の中にも、行政官廳の認可に付きまして一定の制限を設けまして、即ち第五十二條を御覽になると分りますが、五十二條に於きまして、「この法律に基く許可又は認可の申請があつたときには、行政官廳は、法令に違反し又は公益を害すると認める場合の外、その許可又は認可を拒むことができない。」斯う云ふ規定を設けまして、行政官廳が勝手に自由裁量で以て認可をしたり、しなかつたりすると云ふ風な弊害の起らないやうに致したのでございます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=56
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057・福田繁芳
○福田委員 私の質問は終りました
〔前田委員長代理退席、福田委員長代理著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=57
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058・福田繁芳
○福田委員長代理 前田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=58
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059・前田榮之助
○前田委員 本協同組合法案に付きまして御質問申上げたいと思ふのでありますが、それに先立ちまして一言申上げて置きたいのは、私は本案に對しましては大體贊成であると云ふことを前以て申上げて置きたいと思ふ、隨て本案を否決するとか大修正を行ふとか云ふやうな意思はないので、或は多少は部分的な修正は行ひたいと云ふ希望を持つて居りますが、さう云ふ線に沿うて質問を申上げたいのであります、贊成ではあるが、本案に付きまして政府に對して、私は先づ第一に二つの點に付て反省を求めたい點があるのであります、參與官も居られますが、此の點に付ては實は大臣にはつきりと申上げたいのでありますが、大臣が差支へられて出席されて居りませぬので、大臣に能く明確に傳へて置いて貰ひたいのであります
政府は中小商工業者の維持、育成、發展を圖る爲に本法案を作られたのであります、隨て中小商工業者に對して、非常な熱意を以て將來に處して戴きたいと思ふのでありますが、大體現在の所から見ますると、其の點に二つの缺陷があると思ふのであります、第一は本案は既に早く衆議院にも上程され、隨て此の法案は既にもう公布されて居らなければならぬ筈なのであります、敗戰後に於ける日本の中小商工業者と云ふものは、私が今更申すまでもなく右せんか左せんか、進むべきか退くべきか、所謂虚脱状態の儘で今日まで右往左往して居るのが、日本の經濟状態なのでありまして、斯う云ふ際に業者は正しい道へ進みたいと云ふ正義感はあつても、已むを得ず或は闇市場の中に活路を求めて見たり、或は隱匿物資を活用しようと云ふ疚しい心を起したり、所謂表より裏へと業者が忌はしい方向に流れる傾向があり、さうして結局は眞面目な取引、眞面目な生産と云ふものに對しては馬鹿を見ると云ふ心持が、業界に横溢して來て、惡い日本の經濟思想が瀰漫しつつある今日の状況は、所謂政府は或は政治力の上に於て、或は又中小商工業者の問題を非常な熱意を以て解決するとするならば、早く斯うした日本の中小商工業者の行くべき方途と云ふものを、政府自らが明示してやらなければならぬ、而もそれは政府が、今考へて居るやうな協同組合組織の下に於て、自主的に民主的な發展をささうと云ふ考へならば、尚更本法の如きものは既に議會劈頭に出なければならぬ、又此の案は既に大體に出來て居つた筈なのであるが、斯う云ふ點に於ても中小商工業者と云ふものの今日の日本の立場を、口では政府は日本の産業の中核體となすべきものだと言つて居りながら、やはり斯うした中小商工業者に對する熱意が缺けて居つたのではないか、斯う云ふことがはつきりと言はれると思ふ、此の點に付て私は政府に甚だ遺憾な點があると思ふ、將來とも中小商工業者に對しては、もつと熱意を以つて事に當られんことを希望する、此の點が一つなのである、併しながら既に行去つた點は繰返して申上げませぬが、今後に於て私は政府の施策が宜しきを得なければならぬと思ふ、殊に本案の如きは大體に於て各黨各派の同僚諸君も、反對ではなしに、本法の將來の實施の問題、或は行政の問題、斯う云ふことが中心になる問題だと思ふのであります、さう云ふ點に於て、殊に只今申上げたことの重要性を強調申上げて置きたいのであります、それから第二は、既に衆議院を通過して居りまする商工經濟會法の廢止に依り、商工會議所が民主的に全國に段々設立されつつあるのでありますが、是との關係なのであります、政府は此の委員會に於きましても、協同組合法と商工會議所との關係に付きましては、それぞれの立場に於て活用されるべく説明されて居りますが、併しながら今日の日本の中小商工業者が、民主的に自主的な發展をしようと思ひましても中々日本の工業者に致しましても、商業者に致しましても、社會的訓練と云ふものが足りないのか、日本の國民性と云ふものに弱點があるのか、何れに致しましても共同的な發展と云ふことは、非常に困難な國民性を持つて居るのであります、況してや此の中小商工業が、所謂お互ひに生存競爭の上から競爭し合つて來た所の、商賣仇の間柄であるやうな感情を持つて居る業者と致しましては、非常に困難があるのでありますが、中小商工業者は將來の日本の經濟再建の中核をなすべき任務を持つて居る、而して全國の主要なる各都市に於て商工經濟會の役目を果すのには、やはり依然として中小商工業者が中核體とならなければならぬと思ふ、それで只今申上げたやうに此の協同組合法が大變遲れて來て居る點から、是が結局十月の十日頃に假に公布になつたと致しましても、三ヶ月以内に戰時中の統制組合等を解消して組織替をするのには、一月の半ば頃にならうと思ひますが、さうした中小商工業者の組織態勢が整つた時には、既に此の商工會議所と云ふものは全國殆ど設立を終つた後ではないかと思ひます、私は全國各都市に於ける商工會議所が、中小商工業者を中心とした經濟發展の爲の役目を果すべきものであると考へますが、まだ中小商工業者が準備も或は組織態勢も整はない内にやることは、結局地方の古き「ボス」的の存在、或は又相當なる財力を持つた連中に依つて、此の商工會議所等が利用される結果に陷り、又現に其の傾向があることは見逃すことが出來ぬと私は思ふ、既に東京都に於ても現在設立委員が設立せんとして居る所の商工會議所に對して、反對して居る業者の組合が相當あるやうな陳情を受けて居ります、是は東京都ばかりでなしに、全國の相當なる都市にまだ表面的には現はれて居りませぬが、相當あるのでありまして、斯う云ふことは即ち政府の中小商工業者に對する熱意が、本眞劍でないことを物語つて居るのではないかと私は思ふ、大體に於て本法案は前に申上げましたやうにさう大した缺陷を持つて居りませぬが、此の運用が斯うした態度での運用であり、行政であり、執行であるならば、我々は憂慮せざるを得ないのであります、將來日本の産業は所謂荊の道を歩まなければならぬ實に困難なる情勢にあるのでありまして、尋常一樣で日本の經濟が再建出來るものでないことは私が申上げるまでもない、其の點特に申上げて置きたいのでありますが、此の二點に付て政府の反省を求めると同時に、ここで政府の御所見を承りたいのは、現在段々政府へ設立認可の申請をしつつある所の商工會議所の認可を、此の協同組合法が實施されるまで延期する意思があるかどうか、此の點を先づ第一に御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=59
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060・福田繁芳
○福田委員長代理 一寸皆樣に御諮り申上げます、今の前田君に對する御答辯は御待ち願ひまして、今實は午前中の山田君の質問に對して御答辯をなさる纖維局長が參られまして、直ぐ又他へ參らなければいけないので、此の機會にそれに對する答辯をさせて貰ひたいと云ふ御話でありますから、前田君の質問に御答へする前に纖維局長から山田君の質問に對して御答辯を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=60
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061・松田太郎
○松田(太)政府委員 大變特別な御計らひを戴きまして洵に有難うございます、午前中に登録「ミシン」の問題に關聯致しまして、今日未登録になつて居る「ミシン」を將來政府としてはどう云ふ工合に扱つて行くのであるかと云ふ方針に付ての御答へを特に私から御答へ申上げるやうにと云ふことであつたのでございまするが、御承知のやうに今日登録を受けて居りまする「ミシン」は、臺數に致しまして約十一萬臺程あるのであります、此の他に未登録「ミシン」と申しまするのは、大部分が戰時中に軍の關係で設置されました「ミシン」でありまして、是が略略今申しました登録「ミシン」と同數位の相當の臺數があるのであります、之を我々と致しましては出來るだけ登録を受けるやうにして貰ひまして、さうして現在ございます登録「ミシン」と同樣に、お互ひの間の生産調整を行ひまして、極力之を活用して參りたい、斯樣に考へて居るのであります、唯是が具體的の實施の問題に付きましては、今日纖維全體の再建計畫と云ふ意味に於きまして、聯合軍と色々打合せを致して居るのでありまするが、近く其の打合せもはつきり結末を見ると思つて居ります、其の場合には今申しましたやうな方針の下に於て、未登録の「ミシン」も總て之を登録を受けて貰ひまして、さうして其の設備も極力活用すると云ふ方針の下に、今後の生産の調整を圖つて行きたい、斯樣に考へて居ります、尚ほそれに關聯しまして此の登録制度の根據に付て御話がございましたさうでありまするが、現在は是は總動員法に基きまして纖維設備制限規則と云ふものが出來て居りまして、それに基いて登録を行つて居りまするが、是が御承知のやうに九月末を以ちまして根據法規がなくなるのであります、之に代るものとして先般來御審議を願つて居りまする、臨時物資需給調整法が議會を通過致しまするならば、之に基きまして從來の規則と略略同樣の規則を新たに設けまして、それに依つて此の登録制度と云ふものを今申しましたやうな方針の下に運用して參る、斯樣なことになつて居りますので、御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=61
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062・福田繁芳
○福田委員長代理 只今の纖維局長の答辯は自由黨の同僚委員から山田君に傳達して貰ふことに致しました、それでは前田君の先程の質問に對する政府委員の御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=62
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063・小出榮一
○小出政府委員 只今の御質問は政府の中小企業對策に對しまする熱意と申しまするか、其の點に於きまして遺憾の點があるのではないか、斯う云ふ點が第一點であつたのでありまするが、御話のやうに此の商工協同組合と云ふ風な制度が如何に立派な制度でございましても、之を運營するに當りまして熱意が缺けると申しまするか、官に於ても、又民に於ても、之を本當に活用すると云ふ熱意がない場合には、全く死んだ制度になつてしまふ譯でありまして、政府と致しましては出來るだけ此の組合制度を中心として、之を根幹として中小企業對策を推進致したい、斯う云ふ熱意を十分に持つて居る積りでございます、唯此の法案を提出致しますに當りましては、色々關係方面との折衝等に以外に時間を費しまして、其の御協贊を願ふ時期が非常に遲れましたことを洵に申譯ないと思つて居ります
次に此の組合制度が出來ました場合に於きまして商工會議所との關係でございますが、其の點に付きましては先程も御答へ致しましたやうに、兩者は洵に密切な關係がある譯でございます、併しながら其の兩者の制度の内容に於きましては、此の協同組合制度は一つの事業團體でございまして、之に對しまして商工會議所は一定の地域に於ける各種の業者なり、或は團體の意見を綜合致します地域團體でございまして、自ら其の間に關聯はございまするが、其の職能に於きましては全然別個のものでございます、隨ひまして兩方の制度はそれぞれ別々に實施致すことになつて居りまして、偶偶商工經濟會法の廢止が先に成立致しまして、新しい商工會議所の設立は法律に依らないで、民法に依る社團法人に依つて出來ることになつて居りますので、是はもう既に京都、大阪、神戸、奈良と云ふやうな各地方に於きましては、逸早く社團法人の商工會議所の設立認可の申請が參りまして、既に認可を致したやうなことになつて居ります、隨ひまして斯う云ふ風な自發的にそれぞれの地域に於きまして、逸早く會議所を作りたいと云ふ風に話が纒まりました場合に於きましては、必ずしも此の協同組合法の實施を俟たずして、健全なものでありますれば次々に認可を致して參りたい、斯樣に考へて居ります、唯先程御話の中に出ましたやうな、東京に於きましては多少此の設立に當りまして意見が分れまして、大體に於て大企業の利益を代表する方面と、中小の企業の利益を代表する方面の方々との意見の對立があつたやうに伺つて居りますが、是も極く最近に至りまして圓滿に解決を致しまして、兩方一緒になりまして、全體が一緒に設立の認可の手續を進める、斯う云ふことに相成つたやうに承つて居ります、斯う云ふ風に大體圓滿に解決致して居りますものに付きましては、必ずしも協同組合法の實施を俟つ必要もないのではないか、斯樣に考へまして、兩制度の實施に付きましては、一應時間的には別個に考へて居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=63
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064・前田榮之助
○前田委員 只今の答辯で大體了解したのでありますが、唯今中小商工業者は、戰時中の種々なる組織から新しい組織への轉換期でありまして、隨て團體的な秩序整然たる行動と云ふことには、もう少し時を藉さなければならぬのではないかと思ふのであります、中小商工業者は大企業家、大資本家とは違ひまして、個々の業者である間は極めて弱者であり、是等の業者の發展性に付ては微力なものであるのでありますが、要するに組織體としての中小商工業者が發展してこそ、新しい經濟再建の基盤となり得るのではないかと私は信じて居るのであります、さう云ふ上から言ひますと、成程商工會議所と云ふものは社團法人組織であつて、個人或は法人、其の制限を別にしないで、地方の民主的な組織になると云ふことにはなつて居りまするが、主として中小商工業者に關する限りは、此の組織體を強めた上に於ける所の指導機關、或は又色々な研究機關、其の他の商工業に對する利用機關としての商工會議、斯う云ふものこそが日本に今日必要ではないかと思ふのであります、さう云ふ上に立つて商工會議所を政府の指導の中に、中小商工業者の團體的な活動と云ふものを、もつと強く織込むべきではないかと私は強く感じて居るのでありますが、之に對する政府の御意見と、若しさうだとするならば、今後どう云ふやり方でそれを進めて行くか、御所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=64
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065・小出榮一
○小出政府委員 商工會議所の行ひます職能に付きましては、先程御答へ致しましたやうに、都市なり府縣と云ふ一定の地域に於きまして、其の地域の中にありまする各種の經濟團體、其の中には中小業者もありますれば大企業者もありまするし、團體もありますれば個人、法人もあるかと思ひまするが、一定地域内の各種の經濟團體の總意を反映致しまして、それを政府に對して建言し、或は横の連絡なり縱の連絡を圖る、乃至は一緒になつて色々な調査をすると云ふ風なことが職能である譯でありまするが、之に對しまして中小商工業者の公正なる利益を代表し、其の意見を反映するやうに運營をすると云ふことに付きましては御話の通りでありまして、東京や大阪と云ふ風な大都市に於きましては、勿論色々な種類のものがございますけれども、田舍の方の府縣に參りますと、寧ろ商工會議所の主たる「メンバー」は、中小商工業者及び其の團體が、其の中心勢力を成すことは當然であらうと思ひます、隨ひまして商工會議所はさう云ふ場合に於ては、勿論中小業者の公正なる利益を代表する機關としての役割を十分に果すことが出來るかと考へて居るのであります、又商工會議所と竝びまして、此の商工協同組合に付きましては、法文の中にもありまするやうに中央會と云ふ組織がありまして、其の中央會が各府縣に手足を持つて、是が主として中小業者の公正なる意見の代表者と致しまして、政府なり或は關係方面に其の意見を反映して行く、斯う云ふ風な組織もありますので、兩者相俟ちまして、中小業者の意見を反映する十分なる運營が出來るものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=65
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066・前田榮之助
○前田委員 どうも本員の考へとは多少違ひますが、是れ位にして置きまして、本法案の商工業の中で、商業の部面と、工業の部面と、商工に關する部面と三通りあると思ひまするが、先づ商業の部面から御質問を申上げたいと思ふのであります、中小商業者に對する本法の適用或は利用に付て、今まで當局からの御説明の中で、百貨店對策に付ては「チェーン・ストア」其の他協同施設に依つてそれぞれ對抗し、其の中小商工業者の發展を自主的にやらせたいと云ふ御意見であります、又消費組合等の關係に付きましては、やはり餅は餅屋で、商賣人の持つて居る技術的な方面を活かして働かせれば、又消費組合の中の配給部面を擔當するやうな妥協的な方法等もあるのであつて、中小商業者が生きる道はある、又農業會其の他に付ては、それぞれ只今申上げましたやうな理由の下に、中小商工業者の將來生きる道があると云ふやうな、只今までの大體の御説明であつたやうに記憶致して居りますが、日本の商業者の最も弱點は、前にも同僚議員から質問がありました通り、要するに日本の總人口に對して必要以上の業者が居ると云ふこと、而も其の業者と總人口との比率が極めて非科學的であり、又商賣の仕方も極めて非科學的な商賣の仕方をする爲に、是は今日のやうな實情、或は過去に於ける日本の國際的な立場のやうな場合に於ては、或は關税障壁等を設けると云ふやうなことで、日本の商賣人を、何等かの形に於て擁護する方法もあつたであらうが、將來に於ける日本の商賣と云ふものは、やはり國際經濟の線に沿うた商賣の仕方をしなければならぬのは、是は當然なことであつて、單に政府が考へて居られるやうに、商賣人が協同組合を組織して、「チェーン・ストア」をやつて百貨店に對抗すると云ふやうな生易しいことで、中小商工業者は浮び上る望みは絶對にないと思ふ、若しさう云ふことになるならば、其の間に自由競爭の上に立つて、沒落する所の憐れなる小さき業者側は、多くの犧牲の上に立たなければならぬのではないか、詰り中小商工業者の中で、生存競爭の上に立つて、澤山の犧牲の上に立つた後、殘存する所のものだけが百貨店に對抗するのであつて、多數のものは沒落するのではないかと、我々は心配致して居るのでありますが、政府は唯民主的な自主的なことで、何とかやつて行けるだらう、斯う云ふやうな意味の答辯にしか結論はなつて居らないと思ふ、假令今日民主主義の思想が尊重される世の中であると雖も、斯うしたことが若しあるとするならば、相當高度なる計畫經濟の上に立つての統制が行はれなければならぬと思ふ、さう云ふ觀點から日本の商業と云ふものを見ますと、結局今の商業者の數の制限でなければならぬ、是は企業許可令の延長か、或は許可制度を布くか、何れかの方法を執らなければ、日本の商業者と云ふものは活路が開かれないと思ひますが、政府の御所見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=66
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067・小林かなえ
○小林政府委員 只今御質問にありましたやうに、我が國に於ける中小商業の廣汎な存在と、問屋制其の他商業組織の封建的性格を殘存して居る點等から見まして、戰時經濟の進行に依つて、昭和五年に於ける四百四十八萬の商業從業者と云ふものが、昭和十九年には二百二十四萬に半減し、軍需産業に依つて大分それ等が轉身しまして、終戰後は商業が非常に減つて參つたのでありますが、併し段々とそれ等の人々は軍需方面から解放せられて、多數の人口が最も資本の要らない露店的商業と云ふ方面などに赴きつつある現状であります、人口が多くて生産物の少い我が國に於きましては、非常に少い所得を成べく多數の人口が分け合ふことの必要から、商業人口の減少と云ふことは、御説の如くに當然當分の間は望み難いことになるであらうと思ふのであります、隨て此の儘に置いておきますると、中小商業の氾濫と云ふものが、非常に慘めな形態で再現するやうな結果になるのではないかと思ふ、其の點に於て洵に御同感であります、隨て是等の中小商業が、凡ゆる方面に於ける資本の大きい百貨店などと對抗してやつて行く上には、一方に於て其の商業者の數を出來るだけ少くするやうに指導をすると同時に、一方に於ては斯う云ふ資本の小さい所の中小商業者が一つの組織を持つて、組合組織に依つて是等の缺けたる力を補つて、さうして御互ひに相倚り相扶け合つて、組合組織の發達に依つて、大企業の持つ合理性に幾分でも接近すると云ふ風にして行くことが、之を救ふ唯一の途ではないかと考へるのであります、從來の問屋が持つ商業金融、販賣廣告、商品需給の豫測等の諸機能を、民主的な組合機構に依つて代替する方向に向はなければならぬ、斯う云ふ風に考へて居るのであります、御説の如く我が國に於ける中小商業の行き方に依つては非常なる苦しい立場に至るであらうと思ひますので、政府は出來るだけさう云ふ方に考慮を用ひて、行かなければならぬと考へて居ります、其の第一歩として此の協同組合法なども考へられたものでありまして、此の協同組合法其のものを讀みますれば、之に依つて起死囘生の妙藥が盛られて居るものでは決してありませぬけれども、併し是の運用が非常に宜しいと云ふことになれば、只今御心配のやうな缺點を救ひ得る、一つの大きな助けとなると斯う考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=67
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068・前田榮之助
○前田委員 結局は最初から申上げましたやうに、運用の問題に舞戻つて來て居るのでありますが、此の運用の問題に付きましては色々説が分れる點もありますから、是は此の位にして置きますが、只今申上げましたのは、要するに横の數の問題に付ての制限の問題に觸れたのであります、其の次に日本の商業の、所謂國民生活に必要なる配給をなす配給機關としての配給機構の改善に付て、政府の御所見を御伺ひしたいのであります、戰爭中に於きましても隨分斯うした問題が取上げられまして、色々整備整理が行はれたのでありますが、尚ほ今日の日本の經濟の一弱點ともなつて居るものは、生産から消費への段階に於ける階段の多過ぎることなのであります、それぞれ其の品物に依つて勿論色々違ひますが、生産、大卸、中卸、小卸と云ふやうな者があつて、仲買人等が其の中に介在して、小賣商人の所へ參るのには四段階も經なければならぬものもありまするし、それぞれ非常に複雜な爲に、一箇々々の單價が歐米諸國から見ますると非常に高く付いて居ることは、日本の將來の經濟の爲に非常に遺憾なことであり、又之を改革すべき要があると思ふのでありますが、政府は此の縱の配給機構の改革、生産から消費への段階の壓縮、斯う云ふ點に付ての何等かの御意圖があるかどうか、御意見を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=68
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069・小林かなえ
○小林政府委員 只今前田さんの言はれますやうに、生産者から消費者へと云ふことは、殊に消費者の爲に考ふべきことであらうと思ひます、併しながら此の頃隨分我々が考へることでありますが、品物がない爲に消費者が自分から苦しい汽車に乘つて方々飛び廻つて、直接色々芋を買ふとか、野菜を買ふとか云ふやうなことをして居る所謂買出と云ふことから考へて見まして、必ずしも消費者が直ちに生産者に直結すると云ふことが、全體的に宜いとのみは考へられないのでありまして、場合に依つては其の中間に居つて、所謂餅は餅屋で、品物を集めて直接に個人が買ひに行つて買出をして來るよりは、安い値に於て品物を捌いて行くと云ふことも出來るのでありまして、さう云ふ意味に於て商業と云ふものの存在の價値があるのであります、併しながら其の間に幾多の中間者があつて、色々な利潤、手數料が其の間に加算されて行けば、結局消費者の手に渡る場合には高い値段になるのでありますから、出來るだけ其の中間者の存在と云ふものは少くしなければならぬのでありますけれども、さればと云つて、之を全然壓縮して直ちに生産者から消費者へと云ふことに依つて、必ずしも消費者に全幅の利益を與へると云ふものでもない、要するに程宜しきを得る所に於て、初めて商業の存在の價値があるのであり、同時に消費者の爲にもなるのである、斯う云ふ風にも考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=69
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070・福田繁芳
○福田委員長代理 前田君に御諮り致します、只今御要求中の警保局長が御見えになりましたからどうぞ…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=70
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071・前田榮之助
○前田委員 警保局長に御質問申上げたいのでありますが、只今審議中の商工協同組合法は所謂中小工業者の重大なる問題なのでありますが、此の中小工業者の問題の中で、勞務者の取扱と云ふことも將來の工業者には重要な問題なのであります、最近「ストライキ」が各所に起つて居りまするが、此の「ストライキ」に關聯しまして、現實の問題が廣島縣に二件忌はしい問題が起つて居るのであります、其の一つは終戰後本年の三月頃だつたと思ひまするが、呉市役所の從業員組合の爭議の際に、爭議團に暴力團が毆り込みをやつて、暴力行爲に依つて之を抑壓しようとした、所謂極めて民主主義國家に於てあるべからざる行爲があつたのであります、此の問題は其の後司法當局の方でどうなつて居るか、私は其の後能く聞きませぬが、其の際に於ける警官の取扱も極めて私は不滿足であつたので、當時も縣警察部長へも強く抗議を申込み、其の時の警察署長は既に罷めて居りますから是は問題にしませぬが、どうも地方警察官の斯う云ふ取扱に萬全が期せられて居らぬのを遺憾とするのであります、警保局長は既に御存じであらうと思ひますが、最近廣島縣の比婆郡東城町に、山本鐵工所と云ふのがあります、其處に爭議が起りまして、此の鐵工所の所長である工場主の山本某は、東城から離れた三次町、庄原町方面から暴力團を雇ひまして、何でも一日五百圓とか云ふ手當で十萬圓とか出す約束をして、私が最初聞いたのは本月の七、八日だつたと思ひますが、二十人ばかりの暴力團が、罷業團が生産管理で工場で仕事をして居る所へ毆り込みをやつて、罷業團側に八名の負傷者を出し、それから毆り込みをやつた方も一人か二人怪我をしたさうであります
〔福田委員長代理退席、委員長著席〕
それから其の後私は丁度廣島に歸つて居つたので、警察部長に會ひまして其のことを言つたら、嚴重に此の問題は處理するからと云ふことで、警察部長も、所轄警察署長に於ても、十分なる警戒をして暴力團が東城町に入ることを嚴重に警戒をして居るやうに聞いて居るのでありますが、唯私が當局に御尋ねして置きたいのは、司法省と地方警察との連絡と云ふものが、どの位の程度に行つて居るかと云ふ問題であります、呉の爭議に於ても現行犯でないからそれを收容しなかつた、暴力を行ふやうな危險な人物が、暴力を行つて一時間か二時間の後に分つて、それを收容しないなんと云ふやうな不都合なことはない、又暗に暴力團に好意を持つて居ると云ふことを示すやうな不都合なことはないと云ふことを強く言つたのであります、其の後の處置を私は知りませぬが、結局其の暴力團よりも暴力團を雇つた山本工場長を收容して、之に嚴重なる處置を執りさへすれば、是は簡單に片付く問題だと思ふ、之ら放つて置いて、唯端つばの暴力團を五人や八人引張つた所で、やはり甲の暴力團から乙の暴力團へ、色々の手を別け品を別けてやることになるのであつて、所謂拔本塞源でやらなければならぬ、根本の暴力團を雇ひ入れ、暴力團の首魁者に對して、是は現行犯でないからあれだらうと云ふやうな想像ではやれぬと云ふやうな、さう云ふ生易しいことで、民主主義的な民衆運動を抑壓すると云ふことは以ての外だと思ふのであります、警保局長は此の點に付てどう云ふ御處置をなさつたのか、又どう云ふ御考へであるのか一つ御尋ねしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=71
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072・谷川昇
○谷川政府委員 只今の前田さんの御尋ねに御答へを申上げます、勞働爭議を隨伴致して起つて居ります不法越軌行爲等に對しての取締は、警察の取締の對象と相成つて居るのでありまして、勞働爭議其のものに對しましては、内務省としては何等關知する所はないのであります、今御指摘になりました呉市職員の罷業竝に東城に於ける山本鐵工所の爭議に付きましても、私一應の報告は受けて居りますが、其の内容に付ては十分承知致して居ないのであります、御指摘になりましたやうな點は極めて遺憾なことでありまして、兎角健全であるべき我が國の勞働運動、殊に勞働爭議が兎もすれば越軌不法行爲を隨伴して居りますことは、實に殘念なことであると思つて居ります、其の越軌不法行爲は、或は事業主側、或は爭議側、或は第三者に依つて行はれましても、是は明かに我が警察の取締の對象となるのでありまして、決して雇傭主側、或は爭議團側、或は第三者であると言つて甲乙を付けて取締を致して居る譯ではないのでありまして、是は同じやうな考へで、警察と致しましては嚴正中立に取締を致すことを嚴に命じて居るやうな次第であるのであります、又不法行爲或は越規行爲等に付きまして、檢擧の必要があります場合には、現行犯は兎も角と致しまして、色色な豫備的或は後からの措置と致しましてやる場合には檢察當局と十分なる諒解の下に實施すべきことを命じて居るのであります、唯最近に於きまする我が國の勞働と云ふものが、特別な形態を執つて參つて居りますること、又之に對しまする取締法規の制定と云ふものが、最近盛んに行はれて居りまする關係上、地方の警察官と云ふものが其の精神或は其の内容と云ふものを十分承知致し兼ねて、或は十分御期待に副ひ兼ねると云ふやうな點があるかも知れませぬが、是は今後十分に戒め、又凡ゆる機會を利用致しまして、此の點に付ても十分訓練を與へまして、嚴正公平なる取締をなさしむべく努力致したいと考へて居るやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=72
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073・前田榮之助
○前田委員 大體警保局長の答辯で了解したのでありますが、此の山本爭議に付ては、私も勞働委員をして居るので、一番最初問題は組合と工場の方で解決は付いた、其の解決條件と致しまして、勞働側の方から隱匿物資の摘發と云ふものを、檢事局へ來て居つたのを取下げると云ふ條件が付いて居つた、それを總同盟大會が東京で開かれて、組合の役員が東京へ來ていざこざして居る間に檢察當局が手を付けたと云ふことから、工場主が怒つて八名の馘首を宣言したと云ふことですが、隱匿物資の摘發は取下をしたから、是で山本工場長の罪がなくなる譯でもない譯であります、親告罪ではない筈である、さう云ふやうな亂暴なことはないのであつて、其の後勞働委員の小委員が現地へ行つて色々仲介斡旋をして居つても、山本工場長の頑冥不靈なのには驚いたと、私は今日持つて來て居りませぬが、地方新聞に出て居ります、非常な田舍でありまするし、井戸の中の蛙で隨分分らぬことをして居ると云ふ話です、結局問題は只今申上げました此の負傷者を出し、暴力團を使つたのは山本に違ひないのだから、山本を引張つて山本の適當な處斷を行ふと云ふことが、一番根本問題であると思ふのであります、それが改悛の情があるならば、それで勞資の間が圓滿に解決が付くならば、是はそれぞれ當局として處置の仕方は第二段に考へられるものだと思ふのでありますが、其の點を能く地方と連絡を御執りになり、適當なる御處置をされんことを希望して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=73
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074・竹田儀一
○竹田委員長 布利秋君より運輸大臣に對する緊急質問の申出があります、此の際之を許可致します──布利秋君
〔委員長退席、福田委員長代理著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=74
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075・布利秋
○布委員 緊急質問の形を先日申述べました所が、それを一時取消すことに致しました、さうしたら加藤君から陸の運輸に對する「ストライキ」の質問がありましたから、私は之を略しまして、海の罷業の状態から調印に至りますることを新聞で片々と見て來たのでありますが、是は議員としまして人から聞かれた場合に、新聞で讀んだ通りであると答へることは出來ませぬから、それで一應運輸大臣の御説明を簡單に一つ御伺ひして置いたならば洵に便利である、斯う考へました、そこで御尋ねしたいことは、首馘りは取止めであると云ふやうな記事が出て居りまして、「ストライキ」に對する首馘りの取止が妥協案であるならば、私は正しい「ストライキ」もあれば、場合に依りましては不正なる「ストライキ」もあると思ひます、斯う云ふことを建前として見ます場合に、やはり政府當局から一應妥協に至る簡單なる報告を承つて、さうして二三質疑をして見たいと考へるのであります、其の點どうぞ運輸大臣の御考へを述べて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=75
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076・平塚常次郎
○平塚國務大臣 海の「ストライキ」が先般解決致しましたことは新聞に依つて發表された通りであります、船員組合と運營會との間にあの協定をしますまでに、新聞に發表した外に兩者の間に一種の諒解事項がございます、それには惡質者又は不適格者は組合の自由意思に依つて整理をすると云ふことの話合ひが出來た、それが一つの諒解事項になつて居ります、鐵道の方は御承知のやうに惡質者は整理すると云ふ言葉は協定書の中に入つて居つたのであります、海の方は色々な關係からして其の協定書には現はれて居りませぬけれども、諒解事項にはやはり同一のことが謳つて居るのであります、左樣御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=76
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077・布利秋
○布委員 さう致しますと組合側のみで惡質なりや否やを決定すると云ふ建前を持つとしましたならば、是が組合が正しい行き道をするならばそれで宜しいのでありますが、人間が寄つてやりますことは動もすれば感情が働く、殊に私は日本人から感情を除きましたならば殘るものは若干少くなると思ふ、さう云ふ場合に對蹠的な立場に居ります者も、其の相談の中に入るべきものではないかと思ふのであります、それは運輸省としてはどう云ふものでごいますか、一つ御尋ねして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=77
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078・平塚常次郎
○平塚國務大臣 鐵道の方は鐵道と勞働組合と直接であつたのでありますが、海の方は運營會と組合であつたのでありまして、非常に縺れまして第三者を煩はして、其の第三者が立會つて、又運輸省も直接の關係でありませぬけれども、監督官廳として立會つて此の協定をしましたので、諒解事項と云ふものは必ず實行しなければならないものと私は確信して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=78
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079・布利秋
○布委員 海の「ストライキ」と陸上の「ストライキ」は稍稍動きを異にする場合があります、海の場合に於きましては、詰り海員其のものが長い間外國の港々を見て參つた者も中にありますので、外國の良い所ばかり見て來て居るならば宜しいが、中には相當惡い點を見て來て、自ら反省をしない者も私は若干ながらさう云ふ知識を持つて居りますので、今「ストライキ」をやりますと云ふ場合と、それから惡質者を自分の方で詮議すると云ふ組合側の言ふこと、其の「ストライキ」に依つて受けまする損害、それは誰が被るかと云ふと、私は背後の國民が受けるものであらうと思ふ、背後の國民にも其の惡質であるか惡質でないか、首を馘つて宜しいものであるか、宜しくないものであるかの御相談を受けるだけのことは、私は被害を受けます一般國民の識者の中にも、相談に與つて宜しいと云ふことが、公正なる民主政治の行き道ではないかと考へますが、運輸省として如何なる御意見であるかを伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=79
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080・平塚常次郎
○平塚國務大臣 是は組合がやると致しましても組合だけではない、海の方でありますと運營會と組合と協議をしてやることにしなければならぬと思つて居ります、鐵道の方は勿論協議會に諮つて相談してやると云ふことになつて、組合だけが勝手にやつて行くと云ふことではないと解釋して宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=80
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081・布利秋
○布委員 私共は外國の「ストライキ」も體驗して來て居ります、無論「ゼネスト」にも遭つて苦しんで來ました、日本の「ゼネスト」にはまだ遭ひませぬが、小なる「ストライキ」には遭つて居ります、それを比較對照して見ますと、日本のは是は批判的だと思ふが、他動的でない場合がありはせぬか、又煽動的である場合がありはせぬか、外國の「ストライキ」、殊に「アメリカ」の「ストライキ」に至つては模範的なものであらうと思ふ、一つも是には煽動と他動的のものがない、自立的に必要であると云ふ時に、正しく整然と行ふのであつて、紳士と云ふ言葉は、語弊があるかも知れませぬが、此の言葉を使はして戴くならば紳士的なる「ストライキ」である、感情がない、合理性であると云ふ點、此處が日本の場合は國民性が違ひますから、感情が入れば暴行にまで及ぶ、私は「ストライキ」を外國で見て來ましたが、暴行を企てた「ストライキ」は一度も私は見て居らぬ、是れ程質が違ひます、勞働觀念と云ふものと、文化水準が違ひます、併し今直ちに其の水準に達すると云ふことは、無論出來ませぬ、出來得ませぬけれども、之に達するやう自他共に努力し合ふのが本當ぢやないかと思ふ、それで被害を一番受けます國民としては、どうも斯う云ふことに付ては一應御尋ねして置く必要があるから尋ねましたが、此の不良と云ふ言葉を私は使つて宜いかどうか知りませぬが、正しくないと云ふ者、之を養ふと云ふことと、それから失業者を救濟すると云ふこととは意味が違ふやうに思ひますが、失業救濟と首馘り取止めとはどう云ふ關係にあるのか、一寸そこを御伺ひして置きたと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=81
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082・平塚常次郎
○平塚國務大臣 御承知の通り勞働法が昨年初めて出たのでありまして、何處でも相當組合と云ふものを結成して居りますが、本當の勞働運動と云ふものに對しましては、日本はまだ外國に比べて極めて幼稚であります
〔福田委員長代理退席、委員長著席〕
隨ひまして我々としましてはどうしても組合を指導して、本當の正しい勞働運動にしなければならぬと思つて居ります、併し將來は何としても勞働組合と云ふものは相當に發展して行くだらうと思ふのであります、唯其の場合に成べく正しく勞働運動をさせるやうに關係者が指導して、さうして又指導ばかりでなく教育を施して、健全なる組合運動が起きるやうにしなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=82
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083・布利秋
○布委員 最後に一つだけ御伺ひして置きたいのは、運輸關係殊に陸上が最も我々に密接な關係があります、詰り省線の乘降りから荷物の關係まであるのですが、それが今までは取扱が惡い、人民に對する取扱が是れ位惡いものはない、どうか是は希望でありますが、是の問題が一番重要であると云ふことを考へて戴いて、もう少し明るい氣持にさせて貰ひたい、如何なる訓令も命令も未だあの驛員には及ばないと云ふ状態は悲しむべき現象ではないか、斯う考へまして最後の言葉と致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=83
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084・平塚常次郎
○平塚國務大臣 洵に御説の通りでありまして、恐らく何人も此の國有鐵道の「サービス」の惡いことには意見が一致して居ると思ふ、私も強く其の感に打たれて居るのでありまして、今囘の爭議も整理しようと云ふ所から衝突が起きたのでありますが、併し今度の協定に依りまして、合理的に國有鐵道の運營をする協議會を設けてやる、それには第一番に配置轉換をやらなければならぬ前に少數の人で經營して居つた時代には人手が揃つて居つた、所が戰時中役に立つ人が大分軍人其の他に徴られてしまひまして、其の代りに多數の人を入れてやつたのでありまするから、全く適當な人が適當な場所に就いて居らなかつた、それが今囘戰爭の終ると共に、外地から全體で十九萬人位歸つて參りました、是等の人は本當の專門家が多いのでありまして、そこで配置轉換詰り役に立つ者を適材適所に置いて、鐵道の合理化をしなければならぬ、隨てそこに起きる問題は一番先に配置轉換をやつた後には、國民に對する凡ゆる「サービス」──荷物を盜まれたり、取扱ひが惡かつたりして居つたのですが、總ての「サービス」を改善すると云ふ所に大きな目標を置いて、是から直ちに協議會を開いて實行したいと思つて色々練つて居りまして、一日も早く國民の御期待に副ふやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=84
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085・布利秋
○布委員 懇切に説明して戴いたことを感謝して是で私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=85
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086・前田榮之助
○前田委員 それでは前に引續いて御質問申上げます、成るだけ質問を縮めまして時間を節約するやうに致したいと思ひます、次には工業方面の共同組合に關する質疑を二三點申上げて置きたいのであります、中小工業者の立場に付ては既に同僚議員から相當御質疑もあつたのでありまして、私は其の重複を避けまして二三御質問申上げるのでありますが、日本の中小工業者の脆弱性と云ひますか、一つの弱點は家内工業的であり、或は又小規模であつて、今後世界經濟の線に沿ふ爲には何と致しましても、第一は「アメリカ」の大産業組織と云ふものが、日本に對する産業に非常に影響することを覺悟しなければならぬ、其の他世界の産業態勢と云ふものが段々と「トラスト」的となり、所謂一貫作業と申しますか、流れ作業的な高能率な作業方法と變つて來ることが、科學の進歩と共に世界の趨勢であることは間違ひないのであつて、此の線に沿つて行く爲には、極めて困難なる日本の立場であることは申すまでもないのであります、此の困難を打切る爲に、共同組合は能率の高度なる共同組織と云ふものの利用が實施されなければならないのでありますが、此の高度の共同組織をやる爲に、其の工業の一番基盤になるものは、先づ第一に機械工業は原器の統一でなければならぬと思ふのであります、私も長く工業界から離れて居りますから、日本の原器がどの程度統一されて居るか分りませぬが、「メートル」にも所謂米國式のもあれば英國式のもある、機械、旋盤等にも米式、英式等種々雜多な樣式が日本にはございますが、何れに致しましても原器が統一されて居らなかつたならば、共同作業と云ふものは出來ぬのである、現在の日本の原器の状態はどうであるか、又原器の統一は如何にしようと御考へになつて居るか、此の點を一つ御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=86
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087・小出榮一
○小出政府委員 中小工業が其の大部分を占めて居ります所の機械工業の分野に付きまして、御説の通り今後合理化された形態に於きまして、大量生産を推進して行く爲には、機械設備なり、或は冶具工具等の方面に於きましても、相當の規格の單純化と申しますか、製品の互換性と云ふものを確保して行くことは必要でありますが、之に關聯する原器の統一に付きましては、現在どう云ふ風な状況にあつて、どの段階まで進んで居るかと云ふことに付きましては、實は此處に機械の專門の政府委員が居りませぬので、何れ關係の人を呼びまして御答へ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=87
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088・前田榮之助
○前田委員 先日商工大臣であつたか、政府委員であつたか、技術の問題に付て商工省に技術室を設けて、そこに研究の本部を置くと云ふことでありますが、日本の機械工業に付きましては、大阪方面に造られて居る工作機械、東京方面に造られて居る工作機械、又九州方面に造られて居る工作機械と色々流儀があつて、複雜な形に出來て居るのであります、之を高度な技術にして高能率を發揮さす爲には、何としても科學技術の發展でなければならない、單に技術室と云ふやうなことでは我々非常に心許ないと思ふのであります、戰時中技術院と云ふものが設けられましたが、是は結局陸海軍其の他各省から繼子扱ひされた爲に、所謂技術院の效果を發揮することは出來なかつた、私は戰爭が濟みました今日、どうしても此の技術室と云ふやうなものではいかぬ、もつと高度な科學技術の粹を集めて、或は學界から、或は技術界からも相當有能有識の人を集めて、日本の工作機械其の他に付て、日本の科學の粹が次から次へと製造され、計畫されて行くと云ふことでなければいかぬと思ふ、唯單に自由經濟の上に立つて、民間の業者に競爭させて之を發達させると云ふやうなことでは、到底日本の産業發展は期し得ないと考へて居るのでありますが、此の技術室を廢めて、科學技術を一箇所に集めた科學院と云ひますか、技術院と云ふやうなものがあつて、其の長は少くとも國務大臣程度の人が統裁してやつて行くと云ふ位の政府に御意思があるかどうか、此の點を御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=88
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089・小此木歌治
○小此木政府委員 只今前田さんの御意見は頗る私共同感でありまして、實は過般も技術家の尊重と云ふことに付きまして、色々檢討致したことがあつたのでありますが、何と言ひましても文化國家建設と云ふ前提に於きましては、技術家を尊重することが勿論大切であると考へて居ります、隨ひまして政府と致しましても是が研究には未だ取掛つた譯ではありませぬけれども、現在是等のことに付きまして、相當意見を鬪はして居るやうな次第でありますから、今後出來得る限り御期待に副ふやう努力したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=89
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090・前田榮之助
○前田委員 御親切なる御答辯で了承致しました
其の次は技術と勞働と云ふものとは、勞働者が技術を持つて居ると云ふ點もありまして、或は二つである場合と、二にして一の場合とあるのでありますが、今後の日本の中小商工業を協同體として高度なる發展をさす爲に、而も只今申上げました一貫作業的な大資本經營と對抗し得る爲には、勞働と資本と技術の一體化と云ふものが、唯單なる勞資協調と云ふことでなしに、極めて有機的なる一體化と云ふことが實現しなければ、私は世界經濟の落伍者になる虞が多分にあると思ふのであります、さう云ふ上から勞働者の經營參加と云ふことに付ては我々は強く叫んで參りましたので、此の點に付ては改めて此の際御答辯を聽かうとは思ひませぬが、唯茲に本案の第三十一條の役員の條項の中に「理事及び監事は、總會において、組合員又は組合員たる法人の業務を執行する役員の中から、これを選任する」。要するに組合員から謂はば總會で互選すると云つた形で、組合員以外の者は理事、監事にはなれぬと云ふ條文になつて居るのであります、併し將來商業と工業とが一體化された協同組合もあらうし、或は工業組合が色々な形で協同組織をやる、或は既に東京都の自轉車業の中には、共同管理と云ふやうな本部が設けられてやつて居る所もありますが、斯うした場合に於ける技術者、或は企業家でない技術者、勞働者、斯う云ふものの代表者が、此の協同體の中での重要なる役割をしなければならぬ場合もあると思ふのであります、其の場合に役員になることは出來ないと云ふことになりはせぬかと思ふ、尚又是は東京あたりのやうな大都會に於ては別でありますが、田舍の方の斯うした工業組合或は商業組合等に於きましては、唯業者だけではお互ひに勢力爭ひ、或はお互ひに統制等が困難な場合もありまするし、又戰爭中に企業整備の爲に一旦隱退したけれども、有能なる士があつて、業務はやつて居らぬけれども、技術、能力等を持つて居る方もあるのでありますが、是等が總て此の理事、監事等になれないことになつて居る、何もさうしたことが決して私は民主的な組織だと云ふことにはならぬと思ふのでございまして、大體總會に於て組合員が、他から強要されたのではなしに決定されたものは、是は民主的に決定されたのであつて、強ち組合員であらうが、組合員であるまいがさう云ふことは問題でないと思ひます
〔委員長退席、原(健)委員長代理著席〕
唯此の際私は本案の立案者が之を考へたのは、或は政治家が斯う云ふ所へ入つて、政治的な策動の下に業界を攪亂させるのではないかと云ふ、從來動ともすればあつた唯一面の惡い點だけを目に付けて、斯う云つたことを立案されたのではないかと思ふのでありまするが、本當の民主的な社會に於ては誰を選任しようが、民主的に其の組合員自體が納得で決定されるものであるならば、何も組合員業者でなければ役員になることは出來ぬと決める必要はないと思ふ、それが何故に斯う云ふことを決定されて居るか、此の點一つ御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=90
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091・小出榮一
○小出政府委員 商工協同組合法の役員の問題でございますが、今御指摘のやうに第三十一條に於きまして、協同組合の役員は理事と監事でございます、其の理事と監事は何れも總會に於て組合員、或は組合員が會社と云ふやうな法人であります場合には、其の會社の取締役と云ふやうな業務を執行する役員の中から選任する、端的に申しますならば、要するに組合員の中からのみ役員を選任するのでありまして、組合員以外の所謂員外役員と云ふものは之を認めて居ないのでございます、實は現在の商工組合法に於きましては、統制組合と施設組合と二種類ございまして、統制組合の方は統制事業をやる統制團體でございますが、施設組合の方は純然たる經濟事業のみを行ふ自由なる、謂はば今度の協同組合と略略同じ性質のものでございます、現行法に於きましても、統制組合の方に於ては員外役員は認めて居りまするが、施設組合の方に於きましては員外役員を認めて居ないのでありまして、それに依つて施設運營を圓滑にやつて居るのでございます、斯う云ふ風に致しました趣旨は、統制組合の場合に於きましては統制事業を行ひまするので、或る程度組合員の利害と相反するやうなことも統制をさせなければならぬと云ふやうなことになりますると、全く組合員箇々の事業とは離れまして、別個の立場から第三者の公平なる見地から致しまして、統制を行ふと云ふ風な必要がございまするので、統制組合に付きましては、場合に依つては勿論例外ではございまするが、組合員のみから構成致しませぬで、組合員以外の第三者も役員に加へまして、それ等の人の力も借りまして、統制を適正にやつて行くと云ふことが必要であらうかと思ひます、併しながら之に反しまして今度の協同組合なり、或は現在の施設組合のやうな組合は、法律の目的、趣旨から申しまして、所謂協同組合組織でございまして、お互ひに利害關係の共通な業者の方々が、お互ひに自由に手を握り合つて、お互ひ同志の力、相互の共同利益の増進、事業の振興を圖つて行かうと云ふことが主眼であります、之に付きましては總ての役員の構成なり、事業の管理、實施、總ての面に於きましてお互ひ同志の手で之をやつて行けば宜いのでありまして、寧ろさうすることが協同組合の主眼と思ひます、さう云ふやうな協同組合の本質に鑑みまして、組合員以外の方を役員に致すと云ふことは、其の必要もなければ、又却てさうすることに依りまして、協同組合の本質に反したやうな弊害を生ずる虞がある、只今政治家が役員になつた場合等の御話が出ましたが、我々は別にさう云ふことを豫想して考へた譯ではないのでありまして、例へば戰時中に於ける統制組合等に於きましては、往々にして官僚が組合に天降りをして役員になると云ふやうな弊害もあつたかと思ひますが、さう云ふやうな見地でなしに、統制事業を行ひませぬ純然たる共同の力に依つて、組合員達が手を握り合つて、共通の利害の下に事業を進めて行くと云ふ譯でありますので、お互ひの間から役員を出すと云ふことは當然であらうと思ひます、勿論御話のやうに優秀なる技術者でありますとか、或は有能なる職員と云ふ人の力を借りなければ、忙しい組合としては、到底何から何までやれない場合もあらうかと思ひます、さう云ふ場合に於きましては、之を役員としてでなく、例へば事務局から相當の報酬を出しまして、事務局の局長なり或は技術の長と云ふやうな形に於きまして、之を活用することは幾らでも方法があらうかと考へまして、特に之に他の人が役員になる途を開かなかつたやうな譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=91
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092・前田榮之助
○前田委員 現在の施設組合は、組合員から役員を取つて差支ないと云ふこと──只今の御説明に依りますと、業者の經濟行爲に付てはお互ひに組合員であるべきものが、其の理事監事等の役員になるべきものであると云ふ御言葉でありますが、日本の今日までの業界の實態を見ますると、施設組合は當時戰爭中に起りました統制組合の中の一分派としての組合的形を取つた場合が多いのであります、勿論施設組合は單獨なる一つの業種の地方的な團體であつたことは認めますが、それとても此の上に統制組合法の色々な監督だの指導連絡等があつて、巧くそれが「リード」されて居つた、斯う云ふことは隨處にあるのであります、日本の今日までの唯業者達の寄り集まりでは、殘念ながら、詰り商賣根性と云ひますか、惡く申しまするならば我利々々亡者の、儲けさへすれば宜いと云ふやうな者の集まりでは、協同的發展と云ふことは、口では言ひ易いけれども、實際には效果が擧らない、斯う云ふこともあるのでありまして、それはどう云ふことにならうとも其の組合員自體が納得の上で適當なりとするならば、組合員であらうと否とに拘らず、其の組合員の自治に任せると云ふ建前で是は宜い譯なのであつて、若し組合が横に走ると云ふやうな場合には、それぞれやはり業者自體の不利益だから自ら顧ることでもあらうし、又他の優良團體等からの牽制等もあることであらうし、さう云ふことに付て何も本法に於て、さうした一種の制限を加へたやうなことは必要ないと思ふのであるが、此の點重ねて御意見を御伺ひ致して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=92
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093・小出榮一
○小出政府委員 現在の施設組合と統制組合との關聯に付きまして御話がございましたが、勿論施設組合の中には統制組合の非「メンバー」と致しまして、大きく言へば統制組合の「コントロール」を受けて居つたと云ふものもございますが、是は統制組合の「コントロール」を受けて居りますが故に、施設組合の運營が旨く行く、斯樣な場合も勿論あらうかと思ひますが、必ずしもさう云ふ場合のみではないと考へて居ります、施設組合として獨自の立場に於て立派に運營をして居るものがやはり大部分であらうと考へます、さう云ふ意味に於きましてやはり施設組合なり協同組合、何れも其の本質に於きましてはお互ひの同業者の、自分達の組合だと云ふ意味に於きましては、お互ひの事業を執行し、お互ひの組合を代表する人を選び出すと云ふのが飽くまでも本質でありまして、第三者を其處に持つて來る──今御話のやうに第三者が居なければ組合が成り立たない、寧ろさう云ふやうな日本の中小工業の發達の段階はまだ其の程度のものであつて、お互ひの力だけでは立直らないのだと云ふことになりますと、それは協同組合組織其のものの否定でありまして、さう云ふ協同組合組織は、假令そこに第三者を入れて見ましても、到底發達の見込みはないのではないか、極論致しますれば左樣なことにならうかと思ひます、別段之に依りまして制限を設けると云ふ趣旨ではなくして、協同組合の本質から流れ出る當然の歸結と致しまして其處に員外役員と云ふやうなものの本質を認めなかつた、斯う云ふ風な立場に立つて考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=93
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094・前田榮之助
○前田委員 是れ以上御質問申上げることは議論に亙る虞れがあるので差控へますが、要するに私は將來の日本の産業再建の鍵は、勞働と技術の高度の利用と云ふことなくしては、國際經濟の水準に上ることは困難であると云ふ建前から、進んでは勞働者の經營管理の問題へ進みたいと思ひますし、尚ほ此の問題に關聯致しまして、會社法の改正等の問題もありますが、是は又後日商工大臣等の御出席があつて、機會があればすることに致しまして、私の質問は一應是で打切ることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=94
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095・原健三郎
○原(健)委員長代理 東隆君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=95
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096・東隆
○東委員 私は協同民主黨で別途に協同組合法案を出さうと致して居りますので、それに關聯をして多少御伺ひを致したいと存じます、協同組合と云ふ考へ方から見ますと、凡そ生産者の協同組合と消費者の協同組合、斯う云ふ二つになるのではないかと存じます、此の場合に商工協同組合の場合と致しまして、中小鑛工業者の協同組合に付ては私は異存がないのでありますが、中小の商業者の協同組合に付ては、非常に疑問を持たざるを得ない譯であります、そこでどう云ふ風な考へ方で中小商業者の協同組合を作られるやうな考へになつたか、私は其の場合に付て色々考へて斯う云ふ點を考へたのであります、商業者の場合は、配給を中心にするのでありますけれども、其の仕事が效用を高める、一つの場所から他の場所に品物を持つて來ることに依つて、場所或は時、其の他の變更に依つて效用を高めると云ふやうなことで、一種の生産をそこにやつて居るのであります、生産者の協同組合は斯う云ふやうな觀念で考ふべきではないか──こぢ付けかも知れませぬが、さう云ふやうな氣が致すのでありますが、どう云ふ御考へで協同組合の中に商業者の協同組合を入れられたか、其の御考へを御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=96
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097・小出榮一
○小出政府委員 東委員の御考へになつて居られまする協同組合の理念と、我々の用ひて居りまする協同組合の言葉との間に或は考へ方の食ひ違ひがあまりして、さう云ふ所から御答へにならないやうな御答へになるだらうと思ひますが、私共の方で今度立案致しました商工協同組合の目的と申しますか其の趣旨は、組合を組織して居りまする組合員箇々の「メンバー」の協同の利益を増進致しまして、中小商工業の現在の極めて不合理な經營状態を合理化し改善致しまして、さうすることに依つて組合を協同事業の力に依つて、初めて組合員全體の箇々の事業の合理化が圖られ、事業全體の振興が出來る、斯う云ふやうな趣旨に依つて作つたのであります、隨ひまして工業の場合に於ては、其の「メンバー」である各工業者の生産力の向上、經營の改善がやはり其の狙ひになつて居りますし、商業者が作ります協同組合の場合に於きましては、それ等の組合であります箇々の商業者の經營の合理化を圖りまして、商業者がやはり商業者として振興し、健全なる發達を致しまする爲に、此の協同組合の組織を活用して行く、斯う云ふやうな狙ひで考へて居る譯でありまして、商業者の協同組合は、それが生産協同組合の方へ發展して行くと云ふことを狙ひと致して居るやうな譯ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=97
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098・東隆
○東委員 協同組合の考へ方は、中小産業者が協同組合の組織することに依つて大企業の齎す所の色々な有利な點を取得しよう、是が私は協同組合の一つの目的であらうと思ひます、で其の場合に普通の資本主義發達の過程でありますと、是は大企業に對する對立の形で以て當然現はれる、斯う考へますが、今囘の場合にはさう云ふ意味は別として、例へば市場の經營でありますとか、或は「デパート」の經營であるとか、或は共同の仕入れとか、其の他各般の仕事も出來ると思ひますが、さう云ふやうなことをやりますと、是は協同組合自體の直營になつて來る、それでさう云ふやうなものを御認めになるかどうか、單に協同組合の組合員である所のものの經營の合理化、或は改善、さう云うやうな方面だけに止めるか、其の點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=98
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099・小出榮一
○小出政府委員 御尋ねの通り協同組合の目的は、中小商業者が箇々ばらばらでは極めて不合理であり慘めな状態でありまするものが、例へば小賣業者で申しますれば、「デパート」が持つて居ります大規模經營の非常な有利な點、それを中小業者の小賣業者の組合の中に取入れまして、箇々の業者としては規模は小さいけれども、組合の事業としては寧ろ大經營組織の合理化された形態の有利な點を、其の中に取入れて行くと云ふことが主眼でございます、隨ひまして工業者の組合が商品の共同仕人をすると云ふ場合に於きまして、之を組合の事業として假に行ひますと致しますれば、一人々々の業者では迚も仕入をする資金もなければ、其の販賣の販路を開拓することも出來ない、仕入系統を探し出すことも出來ないと云ふやうな場合に、共同で組合の力に依りまして大規模に商品を大量に仕入をすることが出來ると云ふことになりますると、そこに「デパート」が持つて居りますと同じやうな仕入の力が與へられることにになる譯でありまして、中小業者のものが獨立して居る場合には持つて居なかつた力を、協同組合を組織することに依つて、大規模經營と同じ能力をそこに與へられると云ふやうな點が主眼になつて居るのでございます、そこで今御指摘になりましたやうに、組合自身が企業を持つて、或は「デパート」の場合もありませうし、或は店舖を持ちまして、組合が自分で事業を全部やつてしまふ、言ひ換へますれば、組合員がやつて居りますると同じことを組合がやりまして、例へば、組合員が仕入すべき商品を組合が全部仕入し、組合員が賣るべき商品を全部組合が賣ると云ふことになりますと、それは結局組合員と云ふものは、單に組合に對する株主であり、或は其の勞務者に過ぎないと云ふことになる譯でありまして、組合員の箇々の事業の獨立性を奪ふやうな組合の事業は是は組合とは言へない、寧ろ普通の會社と同じやうなことになる譯でありますので、組合員の箇々の事業の獨立性を全く奪つて、全部組合がやつてしまふと云ふやうなことは認めない方針でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=99
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100・東隆
○東委員 非常に其の間に疑問がある譯でありますが、半ば直營、半ば組合員に均霑させる、斯う云ふやうな關係のもの、殊に市場の經營のやうなものは、私はさう云ふ疑問が非常にあるのぢやないか、私は協同組合と云ふものは組合員の利益になる爲には、此の條文の中にも書いてありますやうに、私は加工も場合に依つてしなければならぬと思ひますし、製造もしなければならぬ、斯う云ふやうな過程が協同組合が皆聯關をして行く、さう云ふ場合に私は直營の仕事が當然附帶して行かなければ、大企業に對する中小産業者の生きる道、或は又大企業の利益になる點を享有することは出來ない、斯う云ふ考へ方を持つ譯でありますが、若し直營の關係の仕事が出來ると致しますならば、此處に掲げて居ります聯合會の形態、協同組合の聯合會の形態は之にはない譯であります、さう云ふやうなものも、尚且小さな商工協同組合の出來ない部面を、さう云ふやうなもので以てやつて行かなければならぬのではないか、斯う云ふやうな感じを持つたのであります、併し直營關係の仕事は進められないのだ、斯う云ふ御話でありますので、其の點は打切ります
そこで次に私は御伺ひ申上げたいのは中央會の關係であります、是は中央に一個拵へる、斯う云ふ關係でありますが、私は商業とそれから工業と鉱業、斯う別々に三つ中央會の如きものが出來上る方が、是は却て仕事がやり宜いのではないか、斯う云ふやうな考へ方を持ちますが、之を一本にされて居るやうであります、それからもう一つ都道府縣に支部が出來るのではないか、私は斯う考へますが、此の支部の關係のことも、何か規定がないやうにも見えますが、是はどう云ふやうになるのですか、私は商工會議所が社團法人を以て出來上る、斯う云ふことになりまして、一方に於てさう云ふものが出來て政治的な運動をやつて行く、さうして協同組合の方は事業團體、斯う云ふやうな形になつて參りますと、中央會の形は非常に政治的な方面に動いて行くのではないか、是は協同組合で以て、別に出來上ります農村或は漁村に於ける所の協同組合、さう云ふやうなもの、或は都市の中に於ける所の消費者の協同組合、さう云ふやうなものと、同じく協同組合と云ふ旗幟を掲げたものの中で、非常に政治的な爭ひ、或は其の他の問題が相當起つて來るのではないかと私は思ひますが、さう云ふやうな場合に於ける中央會の運動の範圍と云ふか、どう云ふやうな程度で以て其の範圍を、政治的な部面に付てそれを食ひ止められるか、さう云ふ點を御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=100
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101・小出榮一
○小出政府委員 只今の御質問に御答へ致しまする前に、其の一つ前の御質問に付きまして、尚ほ私の申し足りなかつた部分がありましたので補足致して置きます、組合の事業と致しまして直營事業は出來ないと云ふ風に、單純に申上げたのではございませぬので、組合が全部の事業を組合直營でやつてしまふと云ふことはいけないのであつて、御指摘のやうに組合が市場を持つて居る、尚ほ一部分他の方面では組合員がそれぞれ獨立に仕事をして居りまして、双方兩々相俟つて事業をやると云ふことは勿論差支へないのでございます、それから聯合會に關する規定がないと云ふ御話でありましたが、實は聯合會と云ふ名稱は法律の中にはございませぬが、聯合會組織のことは此の法律でも出來ることになつて居りまして、それは第七條に於きまして、組合を組織するものの範圍の中に、團體で以て更に組合が組織出來ると云ふことを書いて居りますのは、實は聯合會を意味して居るのでありまして隨ひまして法律上聯合會と云ふ文字は使つて居りませぬが、定款に於て聯合會と云ふ文字を使ふことは少しも差支へないことになつて居ります、此の點だけ前の御質問の分に付きまして補足致して置きます
それから只今の御質問でございますが、商工協同組合中央會の問題であります、之に付きまして商業と工業、それから鑛山關係の鑛業と三本建にしたらどうか、斯う云ふ御話でございまするが、今度の協同組合は商業者だけで作る組合もありまするし、或は商業者と工業者と一緒に作る組合もあります、或は鑛山業者と商業者が一緒に作る組合もございまして、其の間相互に色々の關聯もございまするし、其の點は現在の商工組合法に於て、商工組合中央會と云ふ一本になつて居る關係と全く同じでございますので、之を一本に致したのでございます、組合の内容はさう云ふ風に業種別に分れる場合もありまするし、綜合的な場合もありますと云ふやうな點と、それから中央會が三つに分れますると、却て相互に對立と云ふやうな問題もございまするし、昔商業組合中央會と工業組合中央會と二つに分れて居りまして、其の間が必ずしも圓滑に行つて居なかつたと云ふ點もありまするし、中小商工業者の立場に於きましては共通の問題が非常に多い譯でありまするので、其の力を強めると云ふ意味に於きましても、一本にした方が宜しからう、斯樣に考へまして中央會を三本建にしないで、一本に致した譯でございます、それから各府縣の支部でございますが、是はやはり御話の通り、各府縣毎に支部が出來ると思ひます、但し是は法律には特に書く程のこともないと考へまして、法律に書きませぬで中央會の定款に之を書くことに豫定致して居ります、それから中央會の行ひまする機能でございますが、是が政治團體化する虞はないかと云ふ御懸念は洵に御尤もでございますが、現在の商工組合中央會を御覽になりますと大體御分りになりますやうに、現在の中央會と略略同じやうな性質を持つた中央會でありまして、例へば定款を作成する御世話をするとか、或は設立の認可申請をする場合に官廳との連絡をするとか、或は金融措置に關して色々な陳情をする場合に便宜を圖つてやるとかと云ふ風な、中小業者の隅々まで親切に之を斡旋し、連絡をすると云ふ程度の機關でありまして、是が何か政黨的な、或は政治團體的な動きをすると云ふ風なことは、中央會の本質から申しまして出來ないことになつて居ります、隨ひまして將來是が或は農業團體との間に政治的な抗爭、摩擦を起すと云ふ風なことはないものと、我々は豫想致して居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=101
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102・東隆
○東委員 「マイニング」の方の鑛業でございますが、鑛業の協同組合の場合に、是は地區、構成員、それから中小鑛業者と云ふ場合に於ける程度を、どう云ふものを中小鑛業者と言ふか、或は此の中には會社でも非常に小さな會社もあらうと思ひますが、自然人だけでなく、法人も加入させるのか、斯う云ふやうな問題を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=102
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103・小出榮一
○小出政府委員 鑛山關係の協同組合に付きまして、所謂中小鑛山と云ふものはどの範圍であるかと云ふ點に付きましては、先般中小商工業者の中小の範圍に付きまして御尋ねがありました場合に、合理的な基準は非常に難かしいと云ふ御話を申上げたのでありまするが、鑛山關係に於きましても、例へば資本金何萬圓以下のものが果して中小であるかと云ふ風な、基準を劃一的に設けることは非常に困難でありまして、結局是は經濟上或は社會上の常識に俟つ以外はない、斯樣な程度に實は考へて居る譯でございます、それから申すまでもなく組合員の中には、自然人のみならず會社も勿論入る譯でございまして、寧ろ鑛山關係等に於きましては、會社經營のものが相當に多からう、斯樣に考へて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=103
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104・東隆
○東委員 金融の面に於て非常に難かしい問題があるのではないか、斯う思ふ譯でありますが、普通組合金融、協同組合金融と云ふのは、是は其の組合内に於ける金融に付て考へる場合が非常に多い譯であります、隨て吸收されたものを外部に利用するとか云ふやうなことは、是は協同組合金融から行きますると、私はどちらかと云ふと邪道ぢやないか、斯う考へますが、其の點は商工協同組合の場合には、全然さう云ふやうなことは御考へになつて居りませぬ、それで此の點で非常に難かしい問題が起きると云ふことは、是は市街地信用組合を採りましても、庶民金庫を採りましても、或は復興金融金庫を採りましても、其の組合の擔保能力と云ふやうな組合の能力、さう云ふものと、それからそれを表現する其の組合員の能力、斯う云ふやうなものに關聯をして參ると思ふのですが、さう云ふ場合に、貸付を行つたり何かする場合には、協同組合金融の場合には他の方面から借入れたもの其の他の全般を眺めて、其の上で以て金融をする、斯う云ふやうなことが普通行はれて來る譯です、さう云ふやうな點で金融をする場合に、何か十分な査察をして、安全な方法でやつて行くと云ふことを御考へになつて居るかどうか、さう云ふことを若ししないとするならば、是は非常な亂暴な貸付が行はれて來て、さうして折角小さいながら發達をして行かうと云ふやうなものが、最初に於て借入ばかりする、斯う云ふやうな形で以て、此の金融が壊れて行つてしまふのではないか、斯う云ふことを惧れますので、さう云ふ點に付て何か御考へがあつたら御聽かせを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=104
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105・小出榮一
○小出政府委員 組合金融の問題に付きましては、組合が組合員に對して金融をする場合と、それから組合自體が金融機關から金を借受けまして、それを更に組合を通して組合員に貸付けると云ふ二つの場合があらうかと思ひますが、組合自身が金融事業を行ひまする場合に於きましては、組合が自分の組合員に對して事業の資金を貸付ける、それから組合員の事業上の債務の保證をする、或は組合員の貯金の受入をすると云ふ、大體三種類の金融事業が出來ることになつて居りまするが、組合が組合員に對して事業資金を貸付けると云ふ風な場合に於きましては、勿論組合の基礎を危くするやうな亂暴な貸付はしないやうに、是は組合自體の經理の監査と云ふものを行政官廳も致しまするし、それから行政官廳が非常に忙しいので、大體組合の中央會をして、自治的な監査事業をやつて居りまして、謂はば絶えず組合の健康診斷を致しまして、餘り不健全な貸付或は借入をしないやうにと云ふことを、絶えず査察を行つて居ります、隨ひまして組合の金融事業の面から組合の基礎が危くならないやうにと云ふことに付きましては、今後も十分注意を致して參りたい、斯樣に思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=105
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106・東隆
○東委員 五條でありますか、營業税の免除の問題であります、私は此の點に付て營業税を免除する考へ方に一應贊成するのでありますが、日本の將來を考へて見ますると、中小關係の者が是から擔つて行かなければならぬ、斯う云ふ風に考へて、特殊法人税と云ふやうなものが出來上るのではないか、斯う云ふ風に考へて居ります、之に對してどう云ふやうな御見透しをされて居るか、御伺ひ致したい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=106
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107・小出榮一
○小出政府委員 只今の組合に對する課税の問題で、特殊法人税と云ふやうなものが將來出來るのではないかと云ふ風な御話でございますが、現在に於きましても實は特別法人税と云ふ制度がございまして、それは現在の商工組合法の統制組合が大體之に該當して居ります、それから施設組合の方は大體今度の協同組合と同じでありまして、營業税のみの免除でありまして、法人税は普通の法人税が課かつて居るやうな次第であります、言ひ換へますれば營利事業と公益事業との中間位に存在して居りまするものに付きましては特別法人税でやつて居りまして、協同組合はそれよりは寧ろ稍稍經濟事業の面に於きまして色彩が強い譯でありまするので、營利事業ではありませぬけれども、特別法人税と云ふ段階までは參らぬと云ふ程度のものに付きましては、普通の法人税を課しまして營業税のみを免除して居る、斯う云ふ風な恰好になつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=107
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108・東隆
○東委員 十七條の「保管事業を行ふ商工協同組合」と云ふのは倉庫業であらうと思ひますが、此の場合に倉庫業の方は別として、商品擔保で金融をする協同組合の金融の原則は、私は對人信用に於てするのが原則であらうと思ひます、併し商品を擔保にして金融すると云ふ面が、市街地信用組合の方にも餘り發達して居りませぬし、それから其の他の方面にも餘り發達して居りませぬ、それで私は都市の金融を圓滑にする爲に、斯うした部面を開く必要があるのではないかと云ふことを、豫ね豫ね考へて居る譯でありますが、如何なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=108
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109・小出榮一
○小出政府委員 御話の通り、中小業者が金融を受けます場合の擔保力と云ふものは極めて貧弱でありまして、特に不動産と云ふ物的擔保もございませぬし、又個人保證と云ふ點になりましても、人的信用力も薄い譯でありますので、今御話のやうに商品擔保と云ふ面をもつと促進することは、洵に必要なことであると考へて居りまして、出來るだけさう云ふ風な便宜な方法で融通出來るやうに、今後金融機關との間に相談を致しまして努力を致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=109
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110・東隆
○東委員 色々有難うございました、是で私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=110
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111・原健三郎
○原(健)委員長代理 それでは本日は是で散會致します、明日は午前十時から委員會を繼續致します
午後三時五十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=111
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112・会議録情報3
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〔參照〕
商工組合中央金庫の役員名簿
各役員の出身別(官吏出身か又は民間出身の區別)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01119460925&spkNum=112
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