1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了のものを除く)
商工協同組合法案(政府提出)
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昭和二十一年九月二十七日(金曜日)午前十時二十一分開議
出席委員
委員長 竹田儀一君
理事 加藤一雄君 理事 小島徹三君
理事 塚田十一郎君 理事 原健三郎君
理事 宮前進君 理事 西村榮一君
理事 前田榮之助君 理事 川野芳滿君
理事 福田繁芳君
井田友平君 飯國壯三郎君
西村久之君 厚東常吉君
田中源三郎君 田中實司君
瀧澤脩作君 山田善三君
馬越晃君 九鬼紋十郎君
早稻田柳右衞門君 鈴木明良君
川崎秀二君 澤田ひさ君
金子益太郎君 竹谷源太郎君
中崎敏君 山口靜江君
加藤勘十君 東隆君
稻田健治君 駒井藤平君
増井慶太郎君 戸叶里子君
布利秋君
出席國務大臣
商工大臣 星島二郎君
出席政府委員
大藏事務官 三井武夫君
商工政務次官 小林かなえ君
商工參與官 小此木歌治君
商工事務官 吉田悌二郎君
商工事務官 岡村武君
商工事務官 小出榮一君
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本日の會議に對した議案
商工協同組合法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=0
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001・竹田儀一
○竹田委員長 會議を開きます、稻田健治君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=1
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002・稻田健治
○稻田(健)委員 一寸私疑義がありますので伺ひます、第十二條に「組合員の利用に差支がない場合に限り、組合員でない者にも、これを利用させることができる」と云ふことがあるのであります、又第十三條には「行政官廳の許可を受けて、組合員の取扱商品について商品券を發行することができる」、斯う云ふやうに組合員以外の者が盛んに協同組合を利用出來るやうに考へられるのであります、所が第五條に參りまして「商工協同組合には、營業税を課さない」と云ふことになつて居りますから、納税義務のある一般商工業者に及ぼす影響と云ふものは相當に大きいものだと思ふが、是はどう云ふ關係でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=2
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003・小出榮一
○小出政府委員 商工協同組合の協同施設の利用の問題でございまするが、御話の通り商工協同組合の施設は飽くまでも組合員相互の協同事業として之を經營する譯でございますので、當然本來ならば組合員だけが之を利用すべきものでございます、併しながら組合員の利用に支障のない限りに於ては、組合員以外の者でも之を利用出來る、斯う云ふ内容でございますが、是は例へば組合の協同事業としまして倉庫を持つて居ると云ふ場合に、其の倉庫の中に組合員の商品だけを預つて、尚ほ其の倉庫に餘裕がある場合に於きましては、必ずしも其の倉庫を空いた儘にしないで、他の關係のある方の依頼があればそれを預つても宜しい、さう云ふ場合には別段組合員に迷惑を及ぼさない譯でありますので、其の範圍に於ては例外的に員外利用を認めても宜しい、斯う云ふ意味でございます、商品券の點に付きましては、是はやはり組合員だけの本來の事業としまして、商品券の發行をする譯でありまして、勿論其の商品券を利用する者は、是は一般消費者でございますので、關係する方面は多いのでありまするが、飽くまでも協同組合の事業の精神は、組合員が大體でございまして、唯組合員の利用に障碍を來さない、餘裕があると云ふ場合に限つて、例外的に員外の人にも利用希望者があればそれを認めてやつても差支へないのではないか、斯う云ふ意味であります、隨ひまして税金等の關係から申しましても、是は別段營利的にさう云ふやうな員外利用をやると云ふやうな關係ではございませぬので、營業税の免除と云ふことだけは、最小限度の免税の特典を與へる、斯樣な關係になつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=3
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004・稻田健治
○稻田(健)委員 大體分りましたが、商品券の問題に付きましては是は中々組合員だけと云ふ譯には行かぬものだ、斯う考へるのであります、是は見解の相違でございますが、要するに協同組合と云ふものは、勤勞自主、相助、相愛の精神を基調とする、自發的に、或は又合意に依つて、協同の福祉の社會を實現する爲に、各産業、各職業及び各社會生活を通じまして、協同組合を組織して其の普及發達に依つて、生産或は輸送、配給、消費の各分野に於ける資本力に依る支配と利潤の獨占を避けて、精神的或は肉體的勞働力を尊重しまして、産業の振興と民主の安定の爲に自由に設立して、且又加入脱退も自由である、總會に於ける表決權の平等、組合員に依る役員の選任、或は剩餘金の割戻し等に於きましては、勤勞自主、相助相愛の精神に則りまして、組合員の總意に基く運營に依つて、營利に墮せず、利益を目途とせず、搾取なき愉快なる經濟民主化の徹底を期するやうに努めなければならぬのでありますが、斯かる點から本案は完全なる經濟民主化を目的として居るとは、認めるのに困難なのであります、生産者と消費者が協同しないと云ふ所に、舊來の官廳に於ける繩張根性が濃厚に現はれて居るのであります、實地に付て申上げますれば、肥料は商工協同組合に於て製造出來るのでありますが、其の原料であるとか製品の輸送、或は又食糧、肥料の容器たる所の叺、繩、勞力等は商工協同組合でなさるるとは考へられぬのであります、是は農林省と商工省とが合併して居つて、或一つの省であつたと假定しますならば、商工單獨の協同組合法なるものが提出されなかつたのではなからうかと思ふのでありますが、政府の御考へは如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=4
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005・小出榮一
○小出政府委員 此の商工協同組合法に依りまして設立を致します範圍は、御話の通り商業、工業、鑛山業の範圍でございまして、それ以外の事業を行はない一般の消費者でありますとか、或は農業關係の方々等は、此の組合の制度の中には勿論入つて居ない譯でございますが、是は此の協同組合の精神と申しますか、目的と致します所が、主として中小商工業の經營の合理化と云ふ面にございます關係上、他の農業關係の事業とも勿論關係はございますが、其の事業の性質なり運營のやり方等に於きまして、非常に自ら違ふものがございますので、隨ひまして商工業關係の組合制度だけを別個に考へた譯でございます、唯御話のやうに生産者或は配給業者と云ふやうな關聯のある縱の關係に於きまして、別々に組合を作ると云ふことも勿論ある譯でございまするが、必ずしもさう云ふ場合のみならず、生産者と配給業者が一緒に組合を作る、例へば原料の生産をする人と、加工をする人或は其の製品の販賣をする人と云ふ風な色々の關係のある人が、一緒に商工協同組合を作る、必ずしも業種に依つて別々にばらばらに作る必要はないのでございまして、關係のある者は廣く之を此の組合の中に入れることが出來るやうになつて居ります、隨ひまして生産から配給に關聯する面に於きましては、それ等の縱の關係に於きましても、例へば問屋と中小商工業者が一緒に組合を作るとか、或は生産者が、生産資材を扱つて居るもの、或は生産用の色々の副資材を扱つて居る業者と一緒に組合を作ると云ふ風な、相當廣い範圍に關聯のあるものが、自由に結合が出來るやうな組織になつて居りますので、其の點に付ては別段支障を來さないやうに考へて居ります、勿論農業關係の協同組合との關係がございますが、農業と云ふものの特性が、專ら土地に即しまして特殊な形態を持つて居ります關係上、必ずしも同じ協同組合の中に包括することは適當でない場合もございますので、一應別個に考へた譯でございます、唯農村に於て農村より生産されるものを原料と致しまして、色々農村工業的に原料の加工を致すと云ふ風な場合があります時に於ては、それ等の農村工業の面に於きましても、やはり此の工業の協同組合が結成出來る譯でありまして、さう云ふ面に於きましては相當實際の運營に於て、廣く關聯するものを包括することが出來るのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=5
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006・稻田健治
○稻田(健)委員 如何なる職業でも加入を拒まぬと云ふやうな話で、加入出來れば成程支障を來さないのでありますが、私はさう云ふ加入を全部すると云ふやうにも考へられぬのであります、私等は過去に於きまして指導者から色々仰しやられました、頭の切換へをせよとか、或は新體制とやら、百八十度の轉換と云ふことを能く指導されたものでありますが、中々さう行かなくて困つたのであります、此の際舊來の繩張と云ふやうな爭ひをさつばりと止めまして、それを今まで指導されました官僚の方から、遲れ馳せながら百八十度まで行かなくても百五十度位の轉換をして貰つて、此の協同組合法なるものの實現に一つ邁進して貰ひたいのであるが、各産業各職業を一丸とした協同組合の組織が出來ぬものであらうか、又今日議員の方からも提案して居ります所の色々の法案を見ます時に、近き將來には農業、漁業或は林業とか、蠶絲業とか、或は交通業とか、其の他各種各業が各各協同組合を組織せられると云ふ風な氣配があるのであります、之を阻止することは出來ないのではないか、さうしますと、其の結果は此の法案の提出事由となつて居ります所の、我が國産業の急速なる再建を圖ると云ふやうなことが目的であるのでありますが、凡ゆる職業が協同組合をやつた場合に於ては、此の目的達成に蹉跌を來す虞がないか、斯う思ひます、此の點はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=6
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007・小出榮一
○小出政府委員 凡ゆる産業を包括した協同組合制度と云ふことも勿論考へられるのでありますが、唯其の場合に於ても、先程申上げましたやうに、農業關係と商工業關係とでは、非常に事業の性質なり、又行ひまする組合の事業も異つて參りまするので、假令形式的には同じ構成の中に入れましても、又其の中でそれぞれ業種別に分類を致しまして、實際の運營は結局分れることになつて參ると思ひますので、取敢ず商工業關係に付きまして別個の法制を考へたやうな次第であります、勿論御話の通り此の法律の運營に付ては、農林省と商工省との對立と云ふやうな、所謂「セクショナリズム」の弊害を極力避けまして、緊密な連繋の下に運營を致して參りたい、斯樣に考へて居る次第であります、此の組合法の如きも農林省商工省共同提案を致して居ると云ふやうな譯でありまして、兩省で自由に之を活用出來る、斯う云ふことになつて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=7
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008・稻田健治
○稻田(健)委員 是れ以上申しますと、意見の相違になりますので、此の位にして私は止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=8
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009・竹田儀一
○竹田委員長 駒井藤平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=9
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010・駒井藤平
○駒井委員 私は極く簡單に、單的に、要約して御尋ね致したいと存じます、協同組合の本質は所謂協同主義であつて、それは他人の犧牲に於て自己の利益を得ることを排除するものである、此の社會に於ては、萬人相集まつて自然と人力とに依つて得られる恩惠を受けんとする協同あるのみで、個人關係や或は團體的の鬪爭のないことを目標とするものであると私は信ずるのであります、隨て資本主義に立脚して協同組合の如きは、眞の協同組合たることを得ない、斯う思ふのでありますが、此の點如何に政府委員は考へられて居るか、總ての人は生産者であると同時に消費者であるのであります、否、消費者なるが故に生産者でなければならぬのである、隨て綜合的消費者として分業的生産者たることが、協同組合員の本質であるのであります、一般の商業に此の本質を具備して居るかどうか、それから會社組織の商工業に此の本質がないことは勿論であるが、個人と雖も消費者の犧牲に於て利益を得んとする所謂營利的産業者には、此の本質を求めることは出來得ない、本質が異なるにも拘らず等しく「協同」なる言葉を頭へ冠せると云ふことは、眞の協同組合の性格をそれだけ阻害する虞がある、商工業者の組合には「協同」なる用語を省くべきではないのか、斯う私は考へるのでありますが、政府委員の御考へを承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=10
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011・小出榮一
○小出政府委員 此の法律案に於きまして「協同」と云ふ文字を使ひましたのは、前にも御答へ致しましたやうに、協同組合主義と云ふ風な特別の主義理念に立脚して、それを社會經濟組織の全般に及ぼしまして、それに基いて此の中小商工業の方面にも、それを當嵌めて行くと云ふやうな見地から之を考へた譯ではございませぬので、專ら中小商工業者と云ふものの脆弱な力を鞏固に致しまして、大規模經營の持つて居りまする經營の合理性を、それ等のものにも均霑すると云ふ爲には、やはり協同の力に依つて、力を併せて協同事業を行ふことが一番適當であらう、斯う云ふ意味に於きまして「協同」と云ふ文字を使つたのであります、隨ひまして御説のやうな、もつと廣い意味に於ける生活協同體と云ふやうな考へ方に出發して居る考へではございませぬで、資本主義か社會主義かと云ふやうな考へ方とは別個の見地から、組合制度一般に付て申しますれば、資本主義社會に於ても協同組合はあり得ますし、社會主義社會に於ても協同組合と云ふものはあり得ると云ふやうな考へ方の下に立案致した譯であります、隨ひまして商業の本質、或はそれを目的の會社と云ふやうな、本來營利性を持つて居りまするものが集まして組合を作ります場合に於ても、組合それ自體の事業と致しましては之を營利的に運營しないで、個々の組合員の利益を、組合事業を通じまして増進すると云ふ見地に立ちまするならば、必ずしも商業本來の性質に矛盾を來さないのではないか、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=11
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012・駒井藤平
○駒井委員 昨日我々同僚の澤田女史が、商工大臣に此の「イデオロギー」に付て質問致しましたが、其の時の大臣の御答へは、慥か澤田女史の希望のやうに、協同主義、即ち廣く社會協同主義に向つて進むのであると云ふ風なことに私聽いたのでありまするが、只今の御答へと一寸齟齬致しますので、昨日も時間もあればそれに付て質疑を致したいと考へて居つたのでありますが、本日も大臣がお見えになつて居りませぬから、此の問題は保留致して置きます、次に商工組合と消費者の協同組合との、同一事業に於ける優位性を明確にする要があると思ふのであります、勿論其の消費者により多く寄與するものが優位になるべきであるのでありますが、優位か否かは一時的の現象で決まるべきものではない、先づ顧客を得て、然る後、より多くの利益を得んとするが如き働きは、永久的寄與ではない、斯かる寄與は獨占事業に於ては直ちに專横に變ることは、戰時の統制經濟が既に明白に立證して居るのであります、然るに政府に於ては現在までの方針は、單に從來の實績の尊重と云ふ全く便宜主義で何等の「プリンシプル」は認め得られぬのであります、從來生産して居り、又賣つて居つたと云ふことが、如何なる積極的合理性を持つものであるか、それは獨占の特權を恣にせんとするものに徒らに力を貸すと云ふことになりはしないか、斯う思ふのであります、政府は常に今後改めると云ふことを能く仰しやるのでありまするが、政府の意に離れんとする本質を持つものに之を期待せんとすることは先づ不可能である、空頼みである、斯う私は考へる、不可能と知りながら、尚ほ維持せんとするが如きは、消費者の立場より組織した協同組合と變りはないと思ふが、明確に其の邊の御所見を御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=12
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013・小出榮一
○小出政府委員 今後尚ほ特定の物資に付きましては色々物資の割當でありますとか、或は生産配給の統制と云ふことを臨時物資需給調整法の運用に於きまして、或る程度行ふ譯でありますが、其の場合に於きましても從來の戰時中から、例へば整備に依りまして尚ほ殘存して居ります業者、さう云ふ方々の實績を尊重して、それ等の人達のみの獨占と云ふやうな弊害が、再び繰返されることのないやうに運用して行くことは申すまでもないのでありまして、何分にも少い資材を分けて行くのでありますから、出來るだけ有效に是等の資材を活用する、能率的に活用致します爲には、必ずしも實績に囚はれず、寧ろ能率本位に物資の割當なり、其の他の統制を行つて行くべきものであらうと思ひます、協同組合の精神と致しましても、單に組合員だけの獨占に任せず、加入脱退に付きましても、組合員たる資格を持つて居るものは自由になつて居りますので、それ等の過去に於ける既存業者の特權の保護と云ふやうな弊害に陷らないやうに、注意して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=13
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014・駒井藤平
○駒井委員 只今能く注意してやると云ふことでありまするが、獨占的にならぬやうにくれぐれも實は希望して置くのであります
次に現在の農業會に對する取扱はどう云ふ方針に基くのであるかと云ふことを伺ひたい、本年度の麥及び馬鈴薯の供出報奬用にされたあの地下足袋に付ては、七月の二十日に食糧管理局長と商工省の纖維局長との通知で、概ね半數を全農を通じて配給すると云ふ通牒があつたのであります、それにも拘らず、遂に全農を通じなかつたと云ふのはどう云ふ理由であるか、又八月末になつても、出荷責任者たる「ゴム」統制組合に、通知が行つて居らないと云ふやうなことを聽いて居るのでありますが、其の眞相を聽きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=14
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015・小出榮一
○小出政府委員 先般食糧供出の見返りと致しまして、極く臨時的な意味に於きまして、數量を限定して地下足袋の配給を全農を通じて──半分でありますか、之を配給すると云ふやうな方針の下に實施せられたことは事實でありますが、其の現物が全農を通じて居ない、斯う云ふ御話であります、其の點に付ては只今茲に農林當局の方が御見えになつて居りませぬので、私詳しく承知致して居りませぬが、私の聽いて居ります範圍に於ては、さう云ふ臨時的な食糧供出の見返りと云ふ風な問題に付きましては、例外的な、寧ろ原則に對する例外的な扱ひと致しまして、農業會系統の配給──現物に付きましての配給も農業會を通じて行くと云ふやうな方針になつて居るやうに聽いて居りますので、恐らく其の方針通りに實施されたものと信じて居ります、尚ほ萬一其の通りに行はれて居ないと云ふことでありますれば、農林當局とも連絡致しまして、實情を能く調査して見たいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=15
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016・駒井藤平
○駒井委員 それは大分話が違ふのでありますが、全く全農を通じて居らぬと云ふことになつて居ります、御承知のやうに農業會もやはり自活せなければならぬと云ふやうな建前になつて居る、君は商工組合でも同樣でありますが、然るに供出さす時には、農業會を通じてやり、其の報奬する品物を貰ふのに商人の方へ委せると云ふやうなことは、大變農業會としては期待が外れて居る、と云ふのは、農業會の御承知のやうに購買購入組合、それが事業の一つになつて居るが、さう云ふものを利用してやることが農業會の本質を活用することになると思ふので、今後は是非さう云ふ場合は農業會を通じてやつて貰ひたい、斯う私は希望するのであります、それから同じやうなことですが、「タイヤ」「チユーブ」「ゴム」の「ベルト」云ふやうなものも農業會を通じてやつたら宜い、或は町村を通じてやつたら宜いと言ひながら、いつも農業會を通じて居らぬやうな事實があるのであります、只今申したやうに自活をせなければならぬやうな建前になつて居りますから、是非共薄い手數料でも取り得られるやうに、全農を通じてやつて戴きたいと思ふのでありますが、其の話はさうすると云ふことであつたのを實行されて居らぬ、斯う聽いて居るのであります、それかか八月十九日の都道府縣農業會長會議の決議に基く物資配給に關する要望事項、其の陳情書が各省に參つて居る筈でありますが、既に御審査濟みのことと思ひます、其の御處理の方法を、一つ大臣に聽きたい、御出でがなければ政府委員に御伺ひ致します、若し御手許になければ此の要望事項を持つて居りますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=16
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017・小出榮一
○小出政府委員 八月十九日の都道府縣農業會長會議の書類の内容に付きましては、私今手許に持つて居りませぬので、詳しいことは記憶致して居りませぬが、特に今御指摘になりました農業會に對する配給の問題、「タイヤ」「チユーブ」「ベルト」其の他の農業生産用資材を初めと致しまして、農業者の生活用品と云ふものの配給に付きまして、御話のやうに供出なり、農業者の方から取上げる場合には取上げるけれども、之に對する見返りの配給が十分に行つて居ない、斯う云ふやうな御話でございまして、中にはさう云ふ風な事例もあつたやうに聞いて居ります、隨ひまして出來るだけ農業會の活用と云ふことに付きましては、少くとも食糧供出の見返り品と云ふ風な面に於きましては、出來るだけ活用して行きたいと思つて居ります、唯前に申しましたやうに、原則と致しましては、やはり餅屋は餅屋で商業者を活用すると云ふのが本則でございますが、唯食糧供出と云ふやうな緊急な問題に付きましては、出來るだけ農業會を活用すると云ふやうな、臨時的な意味に於きまして之を取扱つて居るのでございまして、本來ならば商業者が扱つて然るべきやうなものでありましても、特にさう云ふやうな場合に於きましては農業會を活用して居ると云ふ、そこまでの氣持を以て之を運營して居るやうな次第でございます、私共と致しましては、農業會の活用に付きましては相當に意を用ひて居る積りでございますが、尚ほ今後商業者との關係等、色々難かしい問題もございますので、其の間の調整に付きましては十分意を用ひまして、善處して參りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=17
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018・駒井藤平
○駒井委員 まだ大分あるのですが、余り細かくなりますから、是で私の質問は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=18
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019・竹田儀一
○竹田委員長 それでは九鬼君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=19
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020・九鬼紋十郎
○九鬼委員 今駒井さんの御質問の中に、協同組合の名稱に付ての御質問があつたのでありまするが、私も其の點に付きまして、此の協同なる字句が十分に今後の商工業組合の内容を適切に現はして居ないと云つたやうな意味から行きまして、「協同」の字を「共」の字に直したらどうかと思ひます、協同組合の内容に付きましては、只今も御説明のやうに、必ずしも「イデオロギー」に依つて是は考へたものではないと云ふことでありまするが、此の今囘の法案に使はれて居る「協同」と云ふ字句から見ますると、詰り箇々に亙つて有機的に繋りがあると云つた意味も、此の組合法の「協同」なる字句に含んで居ると私は考へるのでありまして、寧ろ唯集まると云ふ意味から行きましたならば、「共」と云つたやうな字を使つた方が、却て適切であると思ふのであります、例へば組合に於きましても、統制的な、「カルテル」的な組合も恐らく出來ると思ふのであります、例へば組合に於きましても、統制的な、「カルテル」的な組合も恐らく出來ると思ふのでありまするが、さう云つた意味から行きましたならば、寧ろ「共」を使つて其の性格をはつきりとした方が宜いのではないかと思ふのであります、其の點に付きまして政府の御意向を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=20
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021・小出榮一
○小出政府委員 協同組合の此の「協」の字の問題でございますが、協同組合の考へ方に付きましては、御説の通り其の考へ方が色々違つて居りまして、議論の分れる所でございます、私共が敢て「協同」と云ふ字を使ひました意味は、先程から申上げましたやうに、中小工業の運營の合理化の爲に、力を協せて利害關係の本當に共通であり、密切なものが、相互に其の人的結合に依りまして、力を協せてやつて行くと云ふ所が主眼でございまして、御話のやうに有機的結合がないと云ふ風な前提に立つて考へて居る譯ではございませぬ、寧ろ逆に有機的な、本當に親密な結合の上に立つて、此の組合を運營して行くと云ふことが主眼でございまするので、有機的結合と云ふ點から致しましても、協同と云ふ文字で差支へないのではないか、斯樣に考へて居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=21
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022・九鬼紋十郎
○九鬼委員 只今御説明のやうに、政府がさう云つた意味を以て考へて居られるとしたならば、今後唯統制的のやうな團體があると云つた時に、それに對してやはり此の協同組合の認可を與へられるのでありませうか、どうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=22
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023・小出榮一
○小出政府委員 協同組合であります以上は、統制團體とは全然別個に考へて居ります、若し其の協同組合が統制を目的としたやうな、或は統制と云ふことを表面に謳はないでも、それを「カモフラージュ」したやうな組合であります場合に於きましては、勿論是は協同組合の本質に反するものと考へまして、認めない積りであります、唯臨時物資需給の調整法との關係に於きまして、臨時的の意味に於きまして、此の協同組合を偶偶統制の一環として活用をすると云ふやうな場合はあらうかと思ひますが、組合設立の精神なり目的が、本來統制と云ふことから出發すると云ふやうなものでありますれば、是は認ない方針であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=23
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024・九鬼紋十郎
○九鬼委員 次に中小商工業者に對して、金融の保障は復興金融金庫に於てやると云ふことを承つて居りますが、それ以外の施設等に付きまして、是も箇々に依つて之をやる時には非常に高い設備費となるのでありまして、斯う云つた點は非常な惡影響を及ぼして參ると考へるのでありますが、是等に付きまして、政府は何か特別な補助制度を考へて居られるか、此の點に付て御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=24
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025・小出榮一
○小出政府委員 組合の共同設備、特に工業者の機械設備でありますとか、或は倉庫とか云ふやうな物的設備に付きましては、それに相當な金を要しますので、之に對します政府の助成の方途はないかと云ふ御尋ねでございますが、御話の通りさう云ふやうな共同設備に對する補助金と云ふやうな制度は、曾て工業組合等の時代に於てはあつたのであります、併しながら何分にも今日の財政状態から致しまして、さう云ふやうな組合に對する補助金を箇箇の組合に對して出すと云ふ餘裕は、實はまだないやうでございます、併し若し將來に於きまして財政上の餘裕が出來ました場合に於きましては、出來るだけさう云ふ風な場合の補助金と云ふものに付きましも、十分に考慮を拂ひたい、斯樣に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=25
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026・九鬼紋十郎
○九鬼委員 もう一點御伺ひします、此の商工協同組合が取扱ふ物資と、今後農業會が出來て其の取扱ふ物資との間に、非常な競合關係を生ずると思ふのであります、曾て以前の産業組合が、以前の商業組合との間に非常な摩擦を生じて、殊に我々肥料商としては、産業組合と肥料商との間に、肥料の取扱に付て比率を決めたやうな時代があつたのでありますが、今後はさう云つたことが一層顯著になつて來ると考へるのであります、さう云つた時に何か之に對して對策を考へて居られるかどうか、御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=26
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027・小出榮一
○小出政府委員 御話の通り所謂産業組合に對する商業者の商權擁護運動とか、反産運動と云ふやうな永年に亙る經濟上、社會上の問題が、今日に至りましても尚ほ根本的に解決されて居ないと云ふ點は、洵に遺憾に存ずる次第でございます、之に對して政府としては商工省及び農林省、業者の緊密なる連絡に依つて、今後の根本方針としては大體具體的に其の取扱ひ物資の分野を定めまして、例へば農業會に於ては主として農業生産資材を扱ふことを本旨とし、一般の生活用品其の他の日用品或は贅澤品に付ては、餅屋は餅屋で商業者に扱はせると云ふ風な大體根本の方針を定めて、其の線に沿つて更に具體的に其の取扱ひ物資の範圍を定める、尚ほ其の外臨時的措置として、食糧物資の見返りと云ふ緊急な問題に付ては、其の都度別途の對策を講じて行く、斯う云ふやうなことで今相談を進めて居る次第であります、何れ出來るだけ早い機會に具體的な要綱を決定致したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=27
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028・九鬼紋十郎
○九鬼委員 それでは私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=28
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029・竹田儀一
○竹田委員長 加藤勘十君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=29
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030・加藤勘十
○加藤(勘)委員 先程稻田さんから第十二條に付て、組合員以外の組合利用に付ての御質問がありましたが、私は第一號、第二號の共同購入とか、保管とか、運搬販賣さう云ふ施設は、之を所屬組合がやつた場合には組合員全體が其の適用を受けるのか、それとも、希望する人間だけであるのか、其の點商工省の御意向としてはどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=30
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031・小出榮一
○小出政府委員 協同組合の精神から申しまして、組合員がお互ひに利害共通して居ります者が集まつて、皆で一緒に協同事業を行ふ譯でありますので、組合員全部が此の施設を利用すると云ふのが本來の趣旨であらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=31
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032・加藤勘十
○加藤(勘)委員 第二項、例へば事業資金の貸付と云ふことは組合員全部と云ふ譯ではなくして、誰でも利用したい者が利用すると云ふことです、實際に貸付を受けた者だけが此の規定の制約を受ける譯ですか、一號と二號は、組合の理事者が組合の名に依つてやつた場合には全組合員を拘束するか、それとも組合各自の自由意思に依つて、組合はさうやつたけれども、俺は其の點だけは希望しないのだと云ふ場合に、さう云ふ個人の組合員の自由の意思が許されるか、それとも組合の當事者がやつたことは組合員全體が拘束を受けるか、斯う云ふ點だと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=32
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033・小出榮一
○小出政府委員 組合の理事は組合の事業に關しましては其の業務の執行機關でありますし、又外部に對しては組合の代表機關でありますので、理事の行ひました行爲に付ては、其の儘に組合の行爲と見られることになりますので、自然其の組合の構成員に其の關係が及んで行く、斯う云ふことになる譯であります、唯理事が事業として行ひますに付ては、飽くまでも是は組合員の總會が中心でございまして、總會が凡ゆる事業運營の最高意思決定機關でございますので、總會の意思決定に反するやうな事業運營は、理事者としては出來ない斯う云ふことにならうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=33
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034・加藤勘十
○加藤(勘)委員 其の點は私は正に其の通りであらうと思ひますが、餘りに此の間中から組合員の自由意思と云ふことが言はれて居りました、若しさう云ふことがあると組合の統制は、切角共通の利害關係に依つて結ばれた組合の運營が非常に圓滑を缺くと思ひますので、念の爲に御伺ひするのであります、それからもう一つ第八條の組合組織の問題ですが、此の場合に、例へば同一地域に於て業者が假に百人なら百人あると云ふ場合に、其の中の八十人人若しくは九十人が組合を構成した、事實上は私は其の地域全體の業者は組合に入ると思ふ、それでなければ實際一つ一つの小さなものでは對抗出來ぬから入ると思ひますが、若しさう云ふ組合が出來た時に入らない人が假にあるとすると、先程から稻田さんが御聽きになつたやうに、組合員外と雖も、組合の施設を利用することが出來ると云ふことから、組合に入らなくても、組合の仕事は自分達にも其の恩惠が受けられるのだ、だから組合に入つて組合の拘束を受けなくても宜いのだと云ふやうな利已的考へから、組合に入らなかつた人があつた場合に、其の地域に於て、同種産業に付て、三分の二とか四分の三とかの多數が入つた場合に、其の他のものを當然其の組合の決定の拘束を受ける、例へば勞働組合の團體協約の場合のやうな適用を受けるものか受けないものか、此の點はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=34
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035・小出榮一
○小出政府委員 協同組合の事業の内容は、御承知の通り經濟事業が主眼でありまして、共同仕入、共同販賣と云ふ經濟事業が主眼である關係上、統制的な事業は一切行はないこになつて居るのでありまして、一定の販賣の協定生産に關する割當と云ふやうな統制的な事業は、此の組合では出來ないことになつて居ります、隨ひまして或る一定の地域内に於て、組合員の資格を持つて居るものの大部分が組合に入つて居る場合に於ても、あとの少數の人を、其の組合の統制的な事業の拘束を強制すると云ふやうなことは、勿論協同組合の本質から出來ないことになつて居ります、唯此の協同組合が假に臨時物資需給調整法に依つて、物資割當團體と云ふ指定を受ける場合がある時、初めてそこに物資割當の權限を別の法律に依つて與へられる、斯う云ふ關係になりますので、其の場合に初めて「アウト・サイダー」に對する割當と云ふ權限が出て來るのであります、協同組合自體としては「アウト・サイダー」に對する割當は一切出來ないことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=35
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036・加藤勘十
○加藤(勘)委員 私の御伺ひしたのは、協同組合と云ふものが、當然臨時物資需給調整法に依つて、民主的に構成された産業團體として指定されると云ふことを前提として居ります、勿論此の法律自體はさう云ふ拘束力がないとしても、一切の業務運營上に於ては拘束力を持つことになると思ふ、其の時に組合員と組合員外に對する共同の負擔義務を負ふものと、何等負擔義務を負はないものとをどう云ふやうに處置するか、是は此の法律の範圍内ではないにしても、實際に法律に依つて協同組合が運營されて行く場合に起る問題であります、將來恐らく地方々々に於て、若干のとらぶるを起すのではないかと思ひますが、さう云ふ場合の解釋を御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=36
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037・小出榮一
○小出政府委員 臨時物資需給調整法に謂つて居ります民主的の組織と云ふものは、産業團體と云ふ言葉の解釋から申せば、此の協同組合の如きは當に其の條件に當嵌まる譯でありまして、隨て協同組合が物資割當團體として指定される場合は勿論あり得る譯であります、之に付ては先般御答へ致しましたやうに、大體需給調整法に謂つて居る割當團體は、全國的な生産者團體が中心でありまして、協同組合が物資割當團體に指定されると云ふことは、寧ろ例外的な場合ではなからうかと考へます、併しながら若し實際問題と致しまして割當團體の指定を受けました場合に於きまして、組合員と「アウト・サイダー」との關係をどうするかと云ふ問題に付きましては、例へば割當を致します場合の割當手數料であるとか、さう云ふ風な問題が起つて參りまする場合に於きましては、組合員と「アウト・サイダー」との間に區別を設ける、其の手數料の額等に付きまして區別を設けると云ふやうな問題も出て參りますし、又協同組合の事業それ自體の内容から申しましても、組合の協同施設を員外者が利用すると云ふやうな場合、例へば倉庫の保管料と云ふやうなものを取りまする場合は、「アウト・サイダー」からは組合員よりも多額の保管料を取ると云ふやうなことに依りまして、組合員と「アウト・サイダー」との間の區別を設けることに依りまして、結局組合に入らなければ、實際上色々の點が不便であると云ふ風な運營が出來るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=37
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038・加藤勘十
○加藤(勘)委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=38
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039・竹田儀一
○竹田委員長 それでは金子君、商工省に對する御質問はございませぬか、貿易廳次長が來るまで宜しうございますか──それでは川野芳滿君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=39
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040・川野芳滿
○川野委員 私の質問の大半は大藏省關係でございまして、大藏省の出席を昨日から要求致して居つたのでありますが、まだ御見えになりませぬから商工省關係のことを御尋ねして見たいと思ひます
昨日來の答辯を聽いて居りますと、小賣業者が多過ぎると云ふことを政府は御認めになつて居るやうであります、さうして健全なる小賣業者は育成するが、不健全なる業者は抑制する、斯う御言明に相成つて居るのであります、健全なる小賣業者の育成の方法に付ては縷縷御説明がありましたが、不健全なる小賣業者を抑制する方法に付ては何等の御説明がなかつたのでございます、先づ不健全なる業者の抑制の方法を御尋ねして見たいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=40
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041・小出榮一
○小出政府委員 我が國の小賣業者が絶對數に於きましても、生産人口に對する比率から申しましても過剩でありまして、之を適當の數に押付けると云ふことが、結局小賣業界全體の健全なる發達を圖る根本の所以であると云ふ點に付きましては、前に申上げました通りでございます、其の方法と致しまして、一方に於て健全なる業者を協同組合組織其の他に依りまして育成致しますると同時に、不健全なる者が多數少賣業界に流れ込むことを阻止すると云ふことは勿論必要でございます、唯其の場合の方法と致しましては、例へば企業許可令でありますとか、其の他營業の免許制と云ふやうなものを布きまして、新たに小賣業と云ふ事業を開始することを抑制すると云ふことも一つの方法でございますが、之に付きましては營業自由の原則、經濟民主化の根本理念から致しまして、自由に事業を開始することを不當に抑制することはどうかと思はれますので、只今の所さう云ふ營業免許制と云ふことに依つて、新規事業の發生を抑制するやうな方途は考へて居りませぬ、隨ひまして結局過剩の人口を新しく吸收する分野を育成して行く、言換へますれば生産方面の振興に重點を置きまして、生産人口への吸收と云ふことに努力する以外に方法はないではないか、斯樣に考へて居る譯であります、唯細かい具體的な問題になりますと、例へば露店商と云ふ風なものの取締を致します場合に於きまして、警察許可制度と云ふやうなものを布きまして、露店に出店するやうな業者に付きましては、餘り素人或は搬出業者的な不健全な──不健全と云ふよりは經驗のない人が、徒に簡便に事業を續々と開始すると云ふやうなことのないやうに、過去に於て戰災に遭つて店舖を失つたと云ふ風な、經驗のある業者を優先的に許可して行くと云ふやうな方途に依つて、相當に露店出店者等に付きましては抑制の途を講じて居るやうな次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=41
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042・川野芳滿
○川野委員 小賣業者の抑制の方法をどうするかと云ふ問題は中々難しい問題でありますが、只今の御答辯を聽いて居りましても、どうも策はないやうに思ふのであります、企業許可令が廢止されますと、小賣業者と云ふものは自由勝手にやつて參ります、之を法律的に抑制すると云ふことにしなければ、恐らく私は小賣業者は現在の數倍に増す多數の業者が出て來ると思ふのであります、殊に現在東京竝に中都市で行つて居る闇業者の轉業策でありますが、露店商の店よりは少しは發達した家屋、一間四方位の家屋を造りまして、どんどん小賣商人の營業を許可致されつつあるやうな状態であります、斯う云ふ状態を續けますると恐らく多數の小賣業者が出ると思ふのでありますが、先般も小賣業者が多いと云ふので其の轉業對策として、政府は多額の補給金を使はれたと云ふことは、是は過去に於ける事實であります、小賣業者の轉業對策をどうするかと云ふことは、相當な問題になりつつある今日に於きまして、尚更小賣業者をどしどし許可になると云ふことになりますれば、此の將來に於ける轉業對策には莫大な費用を以てしなければ、此の對策を講ずることは出來ないと云ふやうな實情に相成ると考へますので、此の點に付きましては愼重なる御考慮を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=42
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043・竹田儀一
○竹田委員長 川野君、大藏省の政府委員が御見えになりましたから…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=43
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044・川野芳滿
○川野委員 それでは大藏省關係を先に一つ…、現政府に於きましては中小商工業者の育成と云ふことに全力を盡して居られると云ふことは御説明があつたのでありまして、農林中央金庫の改正法案が、今議會に御提案に相成つて居るのであります、然るに商工組合中央金庫改正法案と云ふものは未だに御提案になつて居りませぬが、是は何時御提案になるものでありますか、此の點を御尋ねして見たいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=44
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045・三井武夫
○三井政府委員 御答へ致します、商工組合中央金庫法に付きましては、改正を要する點も色々出て居ると思ひます、適當な機會に其の改正と云ふことを考へたいと思つて居るのでありますけれども、今議會に改正法律案を提出すると云ふやうな考へは今の所ない譯でございます、御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=45
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046・川野芳滿
○川野委員 勿論今議會は餘日が幾何もございませぬので、今議會に提案されるものとは私も考へて居りませぬ、併し少くとも次の臨時議會には御提案に相成るもの、斯う私は考へまして御質問申上げたのでありますが、臨時議會に提案するか否かと云ふやうな點も、只今の御答辯から推しますると危ぶまれるやうなことでございますが、少くとも臨時議會には、何とかして一つ御提案になるやう切望して置く次第であります、尚ほ其の際に於て特に御願ひすることは、昨日でございましたかの答辯に依りますると、復興金融金庫の資金を中小商業者に優先的に貸すと云ふことを御言明に相成つて居るのであります、併し如何に御答辯になりましても、實際問題と致しますると、大企業家が取りまして中小商業者に其の資金が行くかどうかと云ふことを實は私非常に危むのであります、それで復興金融金庫から或る程度の纒まつた金を商工組合中央金庫の方に貸しまして、商工組合中央金庫より中小商業者に貸すと云ふことが、眞に中小商工業者の救濟になるのではないか、斯う考へるのでございまするが、此の點に付て御尋ねして見たいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=46
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047・三井武夫
○三井政府委員 御答へ致します、復興金融金庫が設立致しました後に於きまして、中小商工業者に對する金融と云ふことを特に重要視致しまして、全力を擧げて之に當つて參りたいと云ふことは、屡屡他の委員會に於きましても申上げたのであります、今後の日本經濟の復興と云ふ上に、中小商工業者が非常に大きな役割を務める點を考へましても、是は當然のことでございますので、出來るだけの努力を致して參りたいと云ふ考へで居ります、現に只今復興金融金庫が出來るまでの經過的の措置と致しまして、日本興業銀行に特別融資と云ふ形で、復興金融金庫が行ひますと同樣の資金の融通をやらして居るのでございますけれども、最近九月十八日までも融通を見ました件數が七十七件あるのでございますけれども、其の中の六十件と云ふものが金額百萬圓以下の中小融資と見られるものでございまして、既に只今申しましたやうな中小商工業者への融資と云ふことを、現に相當努力してやつて居るのでございます、で中小商工業融資を圓滑にやつて參ります爲には、どう云ふ方法を執つたら宜いかと云ふことに付きましては色々考へて居ります、中小商工業融資を專門に扱ひますやうな部課を金庫の中に設けまして、或は中小商工業融資の常設の相談所を設けますとか、或は一歩進んで中小商工業者に對する指導所と云つたやうなものを金庫の中に設けまして、特に中小商工業の指導育成の、資金的な援助と云ふやうなことをやつて參りたいと云ふやうなことも考へて居るのでございますけれども、丁度今御話がありましたやうな、中小商工業融資を取扱ふのに適當な機關を代理店と致しまして、それに相當纒まつた資金を出して置きまして、其の資金を自由に代理店に使はせると云ふやうなことも、一つの方法として現在は致して居りますので、適當な方法が付きましたならば、さうした手續もやつて參りたいと云ふ考へで居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=47
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048・川野芳滿
○川野委員 現在の商工組合中央金庫は、地方の商工業者と非常な密接な繋りがあるのであります、此の密接な繋りを利用致しまして、商工組合中央金庫に纒まつた所の資金を貸しまして、さうして商工組合中央金庫から中小商業者に貸すと云ふことになりますると、現在の密接な關係は生きたことになりまして、非常に中小商業者は助かるのではないかと考へますので、是非此の點を御研究になりまして實現されんことを切望致します、尚ほ先日の御答辯に依りますと、市街地信用組合の預金を、商工組合中央金庫に預入れることを認めるやうにすると云ふ御答辯があつたのでありますが、洵に當を得た御答辯であると考へて居ります、是と同時に市街地信用組合も商工組合中央金庫に一つ出資する途を講じたらどうか、斯う私は考へるのであります、と申しますことは現在の市街地信用組合と云ふものは、其の約六十「パーセント」と云ふものは殆ど中小商業者の預金であります、主に中小商業者の預金を吸收する所の市街地信用組合は、當然商工組合中央金庫にも出資する途を講ずると云ふことが便宜である、又名實共に商工組合中央金庫が、中小商業者の金融機關であることも立證されて居りまするので、此の點も一つ斯う云ふ途を開かれたらどうかと考へるのであります、尚ほ市街地信用組合の監督官廳でありまするが、是は現在農林省と相成つて居ります、が併し是は少くとも商工省にされた方が便利ではないか、中小商工業者の資金を扱つて居る所の市街地信用組合であるが故に、其の中小商業者を監督する所の商工省に其の監督權を移讓した方が適當ではなからうか、斯う考へるのでありまするが、此の點に付て御尋ね申上げたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=48
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049・三井武夫
○三井政府委員 市街地信用組合の問題でありまするけれども、只今も御話のありましたやうに、市街地信用組合は其の大部分の構成員が都市の中小商工業者でありまして、其の性質から申しましても農業會と云ふものとは相當違つて居りますので、從來から此の市街地信用組合をどう云ふ系統に置いたら宜いかと云ふことに付きましては、相當研究をして居る實情であるのでありますけれども、從來の經緯から、現在の所は大藏省と農林省がそれを監督し、更に農林中央金庫の系統に入つて居ると云つたやうな状況になつて居るでございます、併しながら只今御話がありましたやうに、其の性質から申しまして、相當是は無理な點もある譯でございます、將來商工中金との關係を付けると云ふことも一つの方法と思ひます、それから監督官廳の問題に付きましても、當然考へなければならぬと思ふのでありますが、十分今後研究を致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=49
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050・川野芳滿
○川野委員 政治は活き物でございますので、宜いと御認めになつたことは早目に實行して戴きたいと思ふのでございます、尚ほ次の二點は本會議でも實は私質問致したいのでありまするが、答辯に滿足しませぬので、簡單に重ねて御質問して見たいと思ふのであります、企業整備で廢めた人の共助金と云ふものは、總て特殊預金として實は千圓を除き預けさしてあるのであります、然るに此の特殊預金を第二封鎖の中に繰入れて居りますので、是は少くとも戰災者が戰災保險五萬圓までは課税を免れると云ふことに相成つて居るやうでありますが、是と同樣に少くとも此の企業整備に依つて廢めた者に限つては、特殊預金に或る程度の特別待遇で取扱ふべきものである、斯う考へるのでありまするが、此の點に付て御尋ねして見たいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=50
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051・三井武夫
○三井政府委員 企業整備を受けました者の特殊預金の問題に付きましては、非常に其の當事者の状況から申しましても、何とか之を救つて上げなければならぬことは、是はもう當然のことでありまするので、さうした考へを以ちまして相當檢討したのでありまするけれども、結局の所、只今御話の出ました状況に相成つて居るのでありまして、戰災を受けた者との間に非常な不權衡を來して居ると云ふ、洵に御氣の毒な状況になつて居る譯であります、此の點に付きまして、企業整備を受けた方々の中には、過去に於きまして十分な經驗を持つて居る譯であります、それから能力もあると云つたやうな方々で、當然是から復興して行きたい、新しく又商賣を始めたい、或は事業を始めたいと云つたやうな方々に對しましては、今度の復興金融金庫に於きましても、十分其の資金的な援助を致さう、其の復興に必要な資金を積極的に援助致しまして、特殊預金として持つて居つたものが封鎖されてしまつたのに代へるやうな方法を講じて行きたい、斯樣に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=51
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052・川野芳滿
○川野委員 洵に血も涙もない御答辯を戴きまして、實は私非常に悲しむ者であります、企業整備に遭つた者は、先祖代々永年に亙つて營業致して來た其の營業權を振捨てて、國の命令の儘に國の要請する場所、即ち地下數千尺の坑の中に入つて石炭を掘つたり、或は又政府の命ずる儘の軍需工場に參つて、さうして慣れない仕事ではありながら、國家の爲に汗或は膏に塗れて働いた方であります、此の方々は將來又何時の日か先祖代々の營業もやらう、或は生産事業にも加はらう、斯う云ふやうな考へて實は働いて居つたのであります、然るに終戰後今日營業をやると考へましても、資金がないのであります、其の資金たるや實は自分の財産として特殊預金になつて居る、其の特殊預金すら一錢も貰へないと云ふことに相成りますると、さう云ふ方は如何なる考へを起すでありませうか、斯う考へます時に、私は非常に慄然たらざるを得ないのであります、今日總て政府と云ふものは、猛烈なる運動をやりますると、其の運動に依つて政治を行つて居られるが、此の企業整備に依つて廢めた方々が相當な運動をやつたと云ふ聲を聞きませぬ、それで血も涙もない所の政治を御執りになつて居るのではないか、斯う私は考へまするので、少くとも幾らかの特殊預金は之を特別取扱とすることが、國の命令の儘に、或は國の要請に依つて轉業致した方に對する報いではなからうか、斯う私は考へるのであります、尚ほ企業整備に當りまして廢めた方にやつた所の現在の中小商業者は、當時政府が命令致しました即ち三箇年以上十箇年の利益割と云ふ此の命令の儘に、半分は手出しをし、半分は更生金庫からの金を借りて出して居るやうであります、其の金も、現在示された統計表に依りましても三・四%は支拂濟になつて居りまするが、六六%と云ふものは未拂金となつて居ります、此の金を拂へと申しましても拂ふことの出來ない統制組合が大多數であると私は思ふのであります、然るに此の更生金庫に對する借金と云ふものは、時の役員が個人判を押して借出して居るのであります、若し今日絶對支拂へと云ふことになりますると、此の役員が個人判を出して居る關係上、全部手出しをして拂はなければならぬと云ふやうな現下の實情でありまするが、之に對して政府は如何に御考へになつて居りまするか、此の點を御尋ね致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=52
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053・三井武夫
○三井政府委員 企業整備を受けた方方の問題は、只今御話のありましたやうに洵に御氣の毒な状況なのでございまして、只今血も涙もないと仰しやいましたけれども、私共と致しましても、十分考へられるだけのことを考へました結果が洵に御氣の毒のやうな結論になりました、其の點極めて殘念に思つて居るのでございます、今後立直りたい──十分能力もあり、經驗も御持ちの方で、今後復興したいと云ふ方方に對しましては、出來るだけの御援助をして參りたいと云ふ考へなのであります
それから只今の更生金庫からの借入金の問題でありまするけれども、是は其の組合々々の實情に基きまして十分考へまして、適當な取立てを致して行くことに相成る譯でございます、決して無理な取立をすると云つたやうなことは致さない方針でございます、實情に應じて囘收の付くものは囘收を圖る、決して無理なことは致さない考へでございますから、御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=53
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054・川野芳滿
○川野委員 どうも今の答辯ははつきり致しませぬ、支拂ふ能力ある者は支拂つて貰ふ、支拂ふ能力のない者はどうすると云ふ點がどうもはつきりせぬやうでございますが、當然此の點は、支拂能力がない者は支拂はぬでも宜い、斯う解して宜いのでございますか、此の點をもう一度伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=54
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055・三井武夫
○三井政府委員 支拂能力のある限りは、是はもう拂つて戴く譯でありますけれども、支拂ふ能力のないと云ふ場合には、是はもう已むを得ない譯であります、唯併しながら支拂能力がないと云ふことをどの程度に認定するか、是は認定の問題になつて、實際問題として箇々の場合に解決されると思ひます、支拂能力なしと云ふことになりました場合には、それ以上追求の方法がないと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=55
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056・川野芳滿
○川野委員 私の大藏省關係の質問は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=56
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057・竹田儀一
○竹田委員長 それでは加藤君に一つ御讓り願ひたいと思ひます──加藤勘十君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=57
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058・加藤勘十
○加藤(勘)委員 口の先で中小工業の復興助成が喧しく叫ばれ、机の上で其の重要性が喧しく叫ばれて居るにも拘らず、實際に於て責任のある大臣なり、主管の主任者が來ないと云ふことは非常に殘念なことであり、且つ遺憾であります、さう云ふことで、私の中小企業若しくは商工業の復興助成を中心とする法案の審議に當りまして、又疑義があるのに其の疑義を質す場合に、政府當局の十分な解明のないと云ふことは遺憾なことであります、併しながら私は午後又外に行かなければなりませぬので、已むを得ず──幸ひに事務官が此處に御出席になりましたので御尋ねしますが、一番初め、昨日も私申しましたやうに、復興とか助成とか言うた所で、現實に方法が講じられなければ、言葉で百萬遍叫ばれても何にもならない、昨日商工省の纖維局長からは相當具體的な説明がありました、今同僚委員に對するあなたの御答へはどうも抽象的で具體的でない、隨て私の御問ひすることにもさう云ふ抽象的な研究するとか考へるとか云ふことでなく、出來ることは出來る、出來ぬことは出來ぬ、出來なければどうすればそれが出來るやうになるか、はつきり言つて貰ひたい、其の點質問に入る前に豫め御斷りして置きます、今まで中小工業の復興若しくは助成と云ふことがやかましく叫ばれて居りますが、それは總ての人々から言はれる通り、日本の産業に於て中小工業の占めて居る比重から行けば當然なことです、併し果して然らば、叫ばれて居るやうに、中小工業の助成に付ての具體的な方法が講じられたかと云ふと、我々が現實に見て居る通り講じられて居ない、例へば金融關係に於ても、今までの財閥銀行を中心とする大銀行は、預金の場合は極力吸收するけれども、貸出の面に於ては極力制約して居つて、殆ど大産業に集中されて居ることは爭ひのない事實である、それが爲に中小工業者は非常に高い金利を──時には高利貸的な金利をすら拂つて金を借りて居ると云ふやうな實情は、我々が所在に見て來た事實なのであります、さう云ふ點から言つて、戰後日本經濟の樣相が一變したことに付て、戰前若しくは戰時中の如くに、中小工業に對する金融が輕視されると思ひませすが、又今あなたが仰しやつたやうに大藏省に於ても──大藏大臣が貴族院で答辯された所に依つても、相當積極的に此の方面に力を入れられるらしいことは分りますが、それを具體的に、手續の煩瑣な點を省略して、簡便に容易に金が貸出し得られる方法を講じて貰はなければいかぬと思ひます、そこで私は問題を限定して色々御尋ねしたいこともありますけれども、理窟や議論に亙ることは一切拔きにして、現實の問題として復興金融金庫と商工組合中央金庫との關係、具體的に復興金融金庫から商工組合中央金庫に資金を融通する意思があるかどうか、先づ之を御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=58
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059・三井武夫
○三井政府委員 先程申しましたやうに、商工中金に一括して資金を渡して置きまして、其の資金を以て商工中金に任せて中小融資をやつて貰ふ、是は一つの方法でありますけれども、實際問題として之を使ひます爲には、商工中金に融通しました資金の返還に對する商工中金の責任を初めから決めて置きませぬと、後になつて非常に問題になりますので、其の點を只今どう云ふ風にしたら宜いかと云ふことを考へて居る譯であります、詰り商工中金が其の融通して貰つた資金で金を貸しまして、其の貸金が囘收不能になつた場合に、商工中金は何處まで責任を負ふか、其の問題が適當に解決出來ましたならば此の方法が採れる譯でございます、今其の解決を研究して居りますので、それが出來ましたならば此の方法が採用出來る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=59
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060・加藤勘十
○加藤(勘)委員 其の方法を研究して居られると云ふことですが、それは復興金融金庫法案が此の議會を通つて初めて出發する譯で、融資し得る限度は總額どれ位ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=60
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061・三井武夫
○三井政府委員 本年の八月から來年の三月までの間に、各事業界で必要と致します資金を、非常に大雜把でありますが、集計した結果が二百億圓と云ふ數字になつて居ります、其の中の三割、六十億圓と云ふものを復興金融金庫から一應融資することにならうと云ふ、只今の豫想で居る譯でございますが、其の中的確に中小融資に屬する──假りに申しますならば金額何萬圓以下の融資が幾らと云ふ點に付きましては、現在の所まだ的確な推算を持つて居りませぬ、併し先程から申しますやうに、復興金融金庫と致しましては、中小融資は出來るだけの方法で以てやつて行きたい、其の爲には出來るだけの窓口を作り代理店を作り、融資の手續も簡便に致します、先程申しましたやうに相談所とか、指導所とか言つたやうなものも作りますし、中小商工中金とか、庶民金庫とか、或は農林中金とか云つたやうな、所謂庶民金融に適當したやうな機關をも、どんどん利用して行きたいと思つて居る譯であります、百億圓の中から相當の金額が中小融資として使はれて參ると云ふことは申す迄もない所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=61
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062・加藤勘十
○加藤(勘)委員 さうしますと政府の推定では八月から三月、八箇月間に六十億圓の融資が出來る推定ですね、其の六十億圓の中、中小工業に關する融資はまだ額は分らない、分らないが出來るだけ廣く出張所なり、代理店なり、相談所なりを設けてやられる、斯う云ふ譯ですね、其の代理店は興業銀行ですか、勸業銀行ですか、それとも普通銀行になりますか、相談所は何處に設けられる豫定ですか、それを御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=62
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063・三井武夫
○三井政府委員 現在日本興業銀行がやつて居ります特別融資の場合には、日本興業銀行の店の外に勸業行の店の全部、それから商工中金の店を全部、北海道拓殖銀行の店の中一部、それだけを現在の所は代理店にして居ります、復興金融金庫が出來ました後には、今度は興業銀行も代理店と云ふことに考へられます、其の外に只今申しました勸銀とか、商工中金とか、北拓とか云ふものは、當然代理店にする積りで居ります、それ以外に先程申しましたやうな庶民金庫とか、或は地方金庫とか、農業會とか云ふやうな適當な代理店を、どんどん殖やして行くと云ふ方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=63
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064・加藤勘十
○加藤(勘)委員 さうしますと復興金融金庫としては代理店なり、相談所なりを通じて直接に融資される方針でありますか、それとも普通銀行をして、若しくは商工組合中央金庫をして融資せしむる方法であるか、若しさう云ふ間接の融資とするならば、其處に當然融資が行はれる譯ですが、それはどつちの方針を御執りになる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=64
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065・三井武夫
○三井政府委員 先程申しました商工中金に一括して資金を任せまして、其の資金で以て商工中金に貸付をして貰ふと云ふ方法が實際に使へることになりますと、其の場合に商工中金自體の貸付と云ふ形で、資金を使ふ人に金が出て來る譯でございます、代理店として商工中金其の他の機關を使ひます場合には、是は何處までも復興金融金庫自體の貸付と云ふ形になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=65
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066・加藤勘十
○加藤(勘)委員 さうしますと二本建になる譯ですね、私の聞いた所に依ると、大きい業者は主として復興金融金庫の方針としては普通銀行をして融資せしめて、其の普通銀行に對して復興金融金庫から融資すると云ふ、間接の方法が執られると云ふことを聞いて居りましたが、中小企業の場合は二本建になる譯ですか、大企業の場合は必ずしもさうではなく、直接の場合もあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=66
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067・三井武夫
○三井政府委員 大企業の場合に普通銀行から融資をさせて、其の普通銀行に復興金融金庫から資金を供給すると云ふ考へはございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=67
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068・加藤勘十
○加藤(勘)委員 ないのですか、それでは其の點は其の位にして置きまして、それから是は具體的な問題ですが、此の點に付て大藏當局がどう云ふ工合に御考へになつて居るか御伺ひしたいのです、實は毛織物工業組合、愛知毛織に於きまして現在共同施設として原料の共同購入、それから製品の共同販賣をやつて居ります、其の原材料の共同購入をやりました代金、勿論是は組合員箇々が負擔するもので、組合は唯其の「トンネル」に過ぎない、其の場合に買受けた組合員から代金を封鎖で支拂ひまして、それが組合の手にある内に、八月十一日のあの預金措置令に當面しまして、まだ賣渡しの方に組合から引渡さない内に、組合で第二封鎖に引掛つてしまつた譯です、さうしますと預金の性質から言つて、是は組合の預金でも何でもない譯なのです、材料の購入者の預金に於て封鎖されるか、代金を受取つた賣渡業者の預金に於て封鎖されるかすれば、どちらでも當然のことだと思ひますが、其の中間の途中に於て組合の手で封鎖されてしまつたと云ふことになりますると、實際に組合の共同施設を組合員全體が共有する譯でありますけれども、此の場合になると、支拂つて封鎖に遭つた或る人は利益を得まするが──實際は利益も何もないのですが、其の他の組合員はそれが爲に組合資金の運轉の上に於て非常に支障を生ずる譯です、そこで日本銀行の名古屋支店に相談して見た所が、さう云ふ場合には實害がないのであるから、大藏省の告示に依つて之を買受業者か賣渡業者か、どちらかの手に移轉させても差支へないのであるし、移轉させることが出來ると云ふことを説明して呉れたさうです、大藏省は其の點に對してどう云ふ工合に御考へになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=68
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069・三井武夫
○三井政府委員 私直接に擔當でございませぬので、正確に御答へ致し兼ねるのでございますけれども、八月十一日現在に其の預金が組合の名義になつて居りましたとすると、やはり封鎖になつてしまふと云ふことになると思ひます、今告示で以て何か特別の措置と云ふことを仰しやいましたのですが、普通の毛織物組合でございますか、さう云つたやうなものに付きまして、只今の所さう云ふ特別扱ひをすると云ふ告示は出て居らないやうに思ひます、尚ほ正確な所を調べまして、適當な機會に御答へ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=69
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070・加藤勘十
○加藤(勘)委員 それは何處で扱つて居られますか、やはり銀行局ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=70
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071・竹田儀一
○竹田委員長 銀行局の福田事務官が一番詳しいやうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=71
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072・加藤勘十
○加藤(勘)委員 それは何時御答へ戴けますか、直接聽きませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=72
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073・竹田儀一
○竹田委員長 直接行つて御聽きになつたらどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=73
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074・加藤勘十
○加藤(勘)委員 具體的な問題ですから、委員會でなくとも直接に行つて聽いても宜いのです、では其の點は其處で聽くことに致します
それからもう一つ、是は銀行局の關係ではなくて主税局の關係になるかと思ひますが、織物消費税の取立の問題です、是は當然中小企業への金融と密接な關係がある、或は御聞き及びかどうか存じませぬが、具體的な例を擧げますと、一宮税務署管内に於ける織物業者が納めて居ります税の總額は、今まではそれ程でもありませぬでしたが、今度は消費税が一擧四割まで引上げられましたが爲に、本年度の實際の状態は二億七千萬圓に上る譯であります、此の二億七千萬圓と云ふ税金を納めるに付きまして現在行はれて居る方法は、是は織物消費税法に依つて擔保を入れて居る、さうして三箇月間の延滯──生産者から消費者に循環して來る過程を三箇月間と見て、三箇月間の期間が置かれて居るのであります、所が今まではさうではありませぬでしたが、今年は是だけの税金を納めるに付て、製品を作つて檢査を受けると直ちに税金を納めなければならぬ、それでなければ倉出が出來ない、所がさう云ふ遊んで居る金は何處にもないのであります、そこでどうしても勢ひ日歩を拂つて、銀行から金を借りて、さうして其の税金を納める、而もそれを納めるのに銀行が業者に代つて擔保を提供する、所が其の銀行が大藏省に提供する擔保は國債ですから、國債の利子を取る、それから業者には納税の爲に金を日歩で貸付けて利子を取る、そして三箇月間も何千萬圓と云ふ多額の金を無利子で流用して居る、結局國債は自分の手持であるから別ですが、銀行は二重の大きな利益を得て居る譯であります、所が業者は一々日歩を拂つて、銀行から金を借りて税金を拂ふ状態であるから、之を組合箇々に付て見れば、十分に擔税能力はあるのであります、設備とか、又製品は共同販賣でありまして、全部組合に集中されて居りますから、製品に對する税金の取損ひと云ふことは絶對にない譯であります、さう云ふ點から考へて、一方に於て金を借りると云ふ融資の援助を受けないでも、税金の延滯など自力で出來るやうになれば、組合は金融上の非常に大きな利益を得る譯であります、そこで組合の考へ方としましては、若し是が擔保制に依らないで組合の保障に於て延滯が認められると云ふことになれば、融資の利益を受けるから、隨てどう云ふ施設でも組合として出來る、斯う云ふ考へ方であります、之に對して先般來主税局長其の他政府の色々の係りの人とも話合つた結果、何とか方法を講じて見ようと云ふことになつて居りますが、大藏省全體の意向としては斯う云ふ場合に一方に於ては杓子定規で行けば、是等の組合にわざわざ金を貸さなければならぬ、又借りる方は只ではありませぬから、どうしても利子を拂はなければならぬ、詰り二重にも三重にも負擔をしなければならぬ譯でありますから、さう云ふ手數を省いて、一片の政治的措置に於てなし得ると云ふ手段があるならば、それをなさつてはどうか、斯う云ふ點ですが、大藏省としては其の點どう云ふ工合に御考へになつて居るでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=74
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075・三井武夫
○三井政府委員 税金の問題でありますので、私の直接の擔當ではないのでありますけれども、今御話のやうに税金が確實に或る時期になれば納入される、さうしてそれの擔保も十分に取つてあると云ふやうなことでありますれば、適當の措置が執れるのではないかと云ふ風に考へられます、所轄の税務署と、或は財務局の方と十分御相談下さつたならば、何か適當な方法があるのではないかと云ふ風に考へられるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=75
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076・加藤勘十
○加藤(勘)委員 是はあなたは擔任ぢやないから、全然「ピント」を外れて居りますから、聽くのは無理でせう、實は大藏大臣に其の點は聽きたいと思つて居つたのですが、大藏大臣がどうしても來られぬさうで、實際の措置は主税局方面と話をして居るのですけれども、一應大藏省としての意向を聽きたかつたのですが、それは仕樣がありませぬ、それから先程の、八月十一日の封鎖令は、組合の預金帳に記載されて居れば今仰しやる通りですが、若し是が記載されてなく、唯單に組合にあると云ふ、事務上の問題だけの場合はどうであるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=76
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077・三井武夫
○三井委員 組合にあると申しますと、どう云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=77
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078・加藤勘十
○加藤(勘)委員 詰り原料を買つて、組合員が代金を組合に支拂ふ、組合は直ぐ之を賣渡業者の方へ渡す譯です、其の帳簿上の途中にあるに過ぎない譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=78
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079・三井武夫
○三井政府委員 現金が組合にあるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=79
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080・加藤勘十
○加藤(勘)委員 現金ぢやない、封鎖です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=80
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081・三井武夫
○三井政府委員 現金が組合にあると云ふ意味でないのでありますか、やはり組合の名で以て一應銀行に預金されて居ると云ふ形でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=81
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082・加藤勘十
○加藤(勘)委員 預金されて居る場合もありませうが、預金にまで入らないで、組合の手にある場合です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=82
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083・三井武夫
○三井政府委員 さうすると小切手か何かの形で組合が持つて居る場合でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=83
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084・加藤勘十
○加藤(勘)委員 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=84
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085・三井武夫
○三井政府委員 小切手の扱に付きましては、あの日以前の拂出の小切手、是は預金の額の中に加算して計算すると云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=85
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086・加藤勘十
○加藤(勘)委員 さうすると小切手の振出人の方の預金に於て制限されると云ふことになる譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=86
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087・三井武夫
○三井政府委員 振出人の預金からそれだけ落ちまして、受取人の預金にそれだけ「プラス」する発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=87
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088・加藤勘十
○加藤(勘)委員 さうすると受取人の方で封鎖になる譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=88
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089・三井武夫
○三井政府委員 はあ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=89
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090・加藤勘十
○加藤(勘)委員 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=90
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091・竹田儀一
○竹田委員長 加藤君宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=91
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092・加藤勘十
○加藤(勘)委員 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=92
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093・竹田儀一
○竹田委員長 金子君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=93
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094・金子益太郎
○金子委員 極く簡單に御質問を申上げます、最近私共國民の中には明朗な氣分が出て來たのであります、其の明朗な氣分が出て來た一つの大きな原因は、本年の農作物が非常に豐作だと云ふことが、食糧危機突破の要素だと云ふことで以て喜びになつて來て居ると思ひます、其の次には此の間の議會に於きまする吉田首相の、平和會議が近くなつた、或は皆んなが考へて居るよりも案外近く來るのではないかと云ふ言明が、私共國民に非常な喜びと希望を與へて居ることも事實であります、それは少くとも今日私共日本國民が占領されて居りまして、占領地下にある日本國民、日本民族と致しますならば、そこには我々國民の本能と致しまして、完全獨立國家を要求し、望み、自由なる民族として發展して行きたいと云ふ希望を持ちましても、今日の占領治下にありましては、それが十二分に發揮出來ない、併し平和會議後に於ては我々國民は完全なる獨立國家になるし、又我々も完全な獨立國家の國民として、自由に世界に濶歩出來るのではないか、さうすることが又我々が今日の縛られて居るやうな民族から解放されまして、自由なる民族になり得るのだ、此の完全なる獨立國家の國民解放された民族の一員として世界に雄飛しようと云ふ此の氣合と云ふものが、國民に大きな喜びを與へて居ることも事實だと思ひます、もう一つは、少くも平和會議後に於きましては、今日のやうに制約されたる貿易關係にあらずして、又自由濶達なる貿易の場面に我我日本が活躍出來るのではないか、而も其の貿易が自由濶達に出來ますならば、此の廢虚の中から起ち上つた日本の産業經濟の再建と云ふものは、對外貿易を通じてそこに復興發展するのだ、此の大きな貿易に對する關心と云ふものが、又國民に將來に對する希望と喜びを今與へつつあることは、私は事實だらうと思ひます、そこで現段階に於ける輸出、輸入の問題は、凡ゆる條件から自由濶達になし得ないで、聯合國の許可の下に行はれて居ると云ふやうな状況で、其の間の事情は今日まで政府當局の色々な御説明に依りまして、我々も了承するのでありますが、私は貿易廳の方に是非とも御伺ひして置きたいことは、國民が今から待ちに待つて居る平和會議後に於ける我が日本の對外貿易は、如何なる方向と如何なる具體性を以て進んで行くべきか、即ち平和會議後に於ける對外貿易の構想は、如何なる構想を以て行くべきであるか、是は今日に於てこそ、政府當局は勿論でありませうけれども、民間人も、凡ゆる者が此の問題に對する所の準備をしなければならぬと思ふのであります、而も是が指導的な立場にある所の政府當局は今からそれに對する所の雄大なる構想を持つて國民を指導し、以て國民の協力を得て、平和會議後に於ける海外貿易の雄飛に備へ、我が日本民族をして發展せしめることが、絶對に私は必要であると考へて居ります、而も私共が平和會議後に、解放された民族と致しまして、完全獨立國家の國民と致しまして、世界の平和文化に貢獻なし得るもなし得ないも、我々日本の民族が、國家が、經濟的に起ち直るか直らないか、世界文明國家の一員としての經濟的な生活が出來るか、出來ないかと云ふことが、私は大きな要素にならうと考へて居ります、さう云ふ意味で私は日本の將來の産業經濟の復興の根幹をなすものは、對外貿易にありと言つても決して過言ではないと考へて居ります、其の意味に於きまして平和會議後に於る日本貿易の構想は如何なものであるか、それを一體政府は考へて居るか居ないか、考へて居るならばどう云ふ構想を今練りつつあるか、之を私は今にして國民に知らしめますならば、平和會議近きにありと云ふならば、其の近き將來に於て日本民族が如何なる貿易に進むかと云ふことを知りまして、そこに大きな希望と、準備も亦國民全體が持つことが出來ると考へるのであります、故に、詳細なことは私は御聽きは致しませぬけれども、大體の輪廓と云ふものを御持ちになるならば、其の輪廓を御聽かせを願ひたいと思ひます、又其の方向と云ふものを一つ御聽かせを願ひたい、さうして國民全體に平和會議後に於ける貿易に對する大なる希望を與へ、産業の再建と經濟の復興發展に驀進せしめて戴くやうに御願ひしたいのでありまするが、どうか平和會議後に於ける海外貿易の構想を、一つ是非とも御聽きかせを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=94
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095・岡村武
○岡村政府委員 只今の金子委員の御質問に對して御答へを申上げます、只今の御質問の御趣意全く全面的に私共も同感に存ずるのでございますが、何せ根本的な大きな問題でございますので、私如き者から彼此れ御答へ申上げますよりも、大臣なり、或は貿易廳長官から申上げるべき筋だと存じます、併しながら御尋ねがございますので、私共の抱懷して居まする一端を、何等かの御參考になればと存じまして御答へを申上げたいと思ふのであります
只今の御答へと致しましては、第一の問題は、平和會議の成立と共に、日本の現在の管理貿易は終熄を致しまして、從來の自主的な貿易が復元するやや否やと云ふ問題と、其の後に於ける我が國の貿易のあり方、如何に之を展開せしむべきか、其の根本方針如何と云ふ二つの點だらうと存ずるのでございますが、先づ第一の問題であります、御承知の通り現在我が國は聯合國最高司令部の完全なる管理下に於て貿易を營んで居るのでございまして、此の意味に於きまして嚴密な意味では、貿易とは申し難い情勢にあるかと存ぜられるのでありますが、是が平和條約の締結後に於きまして同時に終熄を致しまするか、或は繼續を致しまするかと云ふことに付きましては、有體に申上げますと、私共としてははつきり申上げ兼ねるのでございます、勿論現在の管理貿易と云ふものが一日も早く終熄する、或は少くも其の管理の程度を緩和致しますことは、私共のみならず一般國民の念願致して居る所ではございまするけれども、是は一に最高司令部の方寸にあるのでありまして、私共の推測を以て致しますれば、是は單に貿易だけの問題でなしに、其の背後にある日本の將來の産業の展開なり或は經濟の構造なり、さう云ふものの整備安定と睨み合つて許さるべきものではないかと存ぜられるのであります、此のことに付きましては貿易廳長官あたりからも、向ふの首腦部と會見致します都度、色々とこちらの希望を申述べ、又伺つて居るのでございますが、現在の所では、是が講和條約の成立と共に終熄を致すと云ふことを、はつきり申上げる段階には至つて居らないのでございます、併しながら或は是は希望的な觀測かとも存ぜられますが、現在の管理貿易は大體之を頂點と致しまして、今後の日本の經濟情勢の推移展開と共もに其の樣相を多少變へて參りまして、其の管理の程度を減ずるのではないかと云ふことに付きましては、是は期待が持てるかと存ぜられるのでございます、併しながら結論と致しましては、講和條約の成立と同時に、現在の貿易が再び從來の所謂自由貿易に復元を致すと云ふことは、確言を致し兼ねるのでございます
それから第二の問題と致しまして、其の講和條約成立後に於ける日本の貿易を、如何に展開せしむべきかと云ふ問題でございますが、今後の貿易が懸つて我が國の將來を左右すると云ふ御意見に對しては、是は全く同感でございまして、私共は左樣な信念を持つて現在貿易の仕事を御預り致して居るのでございます、從來は國防國家の建設の爲に、所課「アウタルキー」的な經濟の運營、又其の關係から致す貿易の運營と云ふことが行はれて參つたのでございますけれども、今後は左樣な意味合とは全然異りました世界に於ける文化的な國家の建設の意味合に於きまして、原材料の關係も、必ずしも之を國内に於て自給を致すと云ふ風な點に固執を致すことなく、寧ろ左樣な我が國に乏しい原材料を國内に於て無理に苦しんで生産を致すよりも、それを豐富に生産致します諸國より輸入を致しまして、之に加工をして之を輸出して貿易のばらんすを取り、それに依つて日本の經濟を安定せしむると云ふ方向に持つて參るべきだと存ぜられるのでございます、棉花の問題に致しましても、御承知の通り從來の所謂産業五箇年計畫、四箇年計畫に於きましては、或る程度の棉花の自給を考へて居つたのでありますが、今後は左樣な點は全く之を揚棄致しまして、之を豐富に生産致します「アメリカ」なり、「エジプト」なり、「インド」なりから供給を仰いで、之に加工して國内の需要を滿すと同時に、其の大部分を國外に輸出して、以て所要資材の輸入の支拂手段の増出に充てる、斯樣に持つて參るべきではないかと存ぜられるのでございまして、現在本年の下半期竝に來二十二年全年度に亙りまして、輸出入計畫を一應策定致しまして、總司令部に提出を致してあるのでございますが、其の品目なり、數量なり、仕向地、仕出地等の考へ方に付きましては、只今申上げましたやうな見地から檢討を致して居るのであります、尚ほ斯樣な根本的問題に付きましては、適當の機會に──本日貿易資金特別會計法案が上程になりますので、其の委員會に於きまして左樣なことを詳細申上げる機會もあらうかと存ぜられますが、一應私共の考へて居ります所を申上げまして、御參考に供した譯であります、何卒詳細に付きましては、其の委員會に於ても御尋ねを願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=95
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096・金子益太郎
○金子委員 今の政府委員の答辯に依りまして、大體の方向が分るやうな感じもするのでありますが、政府委員も言はれる通り、詳細なる點は後日申上げると云ふことになつて居りますから、時間の關係もありますので是れ以上は申上げませぬ、唯私共は今から考へて置きたいことは、私共は確かに戰爭に負けたのであります、而も「ポツダム」宣言を受諾致しまして忠實に履行して居ります、併し如何に負けた國民とは言ひながら、完全に聯合國の言ふ通りに「ポツダム」宣言を受諾して、之を忠實に履行して行く限りに於て、而もそれが認められて平和會議が開會される、平和條約が締結されることになりますならば、假令どう云ふ事情がありませうとも、其の瞬間から私共日本人は一箇の獨立國家の國民として、解決されたる民族として、凡ゆる諸聯合國の制約を排除すると云ふ、民族の誇りを持たなければならないのではないかと考へて居ります、唯負けたから凡ゆる條伴を忍ばなければならないと云ふやうな卑屈な考へを持たないで、日本民族が生きる爲め、日本民族が眞に世界の文化に貢獻なし得る所の、高度の文化を創造する爲に、必要なる經濟的基礎を築く爲に、若し自由貿易が絶對に必要なりと云ふ信念がありますならば、此の點は私は聯合國に向つても、是れ爲さずんば我が民族が高度の文化國民、高度の平和國民として生きられないと云ふ信念を披瀝して、之を打突けて戰ひ取ることが、我々に與へられたる所の重大なる任務なりと考へて居ります、どうか政府當局に於ても其の點は卑屈にならないで、日本民族の日本國家の眞に行くべき途が此處にあると信じたならば、大膽率直にそれを申上げまして、以てそれを獲得し、以て世界文明に日本民族が、文化的、平和的に貢獻をなし得る基礎を築くことが必要であると私は信じて居ります、どうかさう云ふ意味に於て政府當局に於かれましては、特に若い事務官に於かれては、若き熱意と力とを以て、大膽率直なる行動を是非起して貰ひたいと御願ひ致します、貿易廳に對する質問は是で終ります
それからもう一つ商工省の方に御伺ひ致しますが、商工協同組合が愈愈設立されることになりますれば、それが中小商工業者に及ぼす所の影響は、洵に重大なるものがあると私は考へて居ります、而も地方に於ける所の色々な中商工協同組合と云ふものは、地方々々に於ける所の特色を生かしながらやつて行かなければ、其の組合の發展はなし得ないと思ひます、さう云ふ意味合に於て商工協同組合府縣聯合會と云ふものを設立致しまして、地方の特色を生かして行くことが、將來地方に於ける商工協同組合の發達に、絶對に必要ではないかと考へて居ります、此の點に對しまして當局は如何に御考へになつて居られますか、若し商工協同組合府縣聯合會が、地方の特色を十二分に生かして發達すると云ふことになりますれば、それに對する所の金融の仕方は、やはり箇々別々の協同組合にするにあらずして、出來る府縣聯合會を通じて箇々の協同組合に、資金を撒布すると云ふ方法が必要ではないかと考へて居りますが、此の點に對してどう云ふ風に考へて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=96
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097・小出榮一
○小出政府委員 只今の御尋ねは商工協同組合が幾つか集まりまして、所謂聯合形態の協同組合を作る問題でございますが、それに付きましては此の法案の法文の上に於きましては、聯合會と云ふ又字を用ひては居りませぬけれども、第七條の組合の組織の所に於きまして、商業者或は工業者を以て組織する團體、それ等の團體を以て更に組合が出來る、斯う云ふ風な規定がありまして、是が申すまでもなく、幾つかの協同組合が集まつて、其の上に聯合會を作ると云ふことを豫想致して居る譯であります、其の場合に聯合會と云ふ名稱を用ひることは少しも差支へないのであります、隨ひまして業種別に、或は一定の地域に於きまして、綜合的に聯合會を作ることは差支へないことでございます、それから金融の場合に於きましては、勿論箇々の協同組合を單位に致しまして金融をすることも、出來れば聯合會の行ひます事業に對しまして、それを通じて金融をすると云ふ方法も、何れの方法も可能でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=97
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098・竹田儀一
○竹田委員長 是で質疑は全部終りました、一時半まで休憩致します、それまでに理事會を開きたいと思ひます、午後一時半から各派の討論を進め、討論を終結致したいと思ひます
午後零時二十一分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=98
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099・会議録情報2
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午後二時十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=99
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100・竹田儀一
○竹田委員長 是より商工協同組合法案を議題として討論に付します、協同民主黨を除く各派共同修正の動議に付ては、討論中加藤一雄君に御説明を御願ひすることに致します──加藤一雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=100
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101・加藤一雄
○加藤(一)委員 今囘政府は時局に鑑みまして商工協同組合法案を本議會に提案に相成りました、其の歸する所洵に時局下に際しまして最も妥當なる法案と考へて居ります、御案内の通り終戰後は道義地に墜ちまして、搗てて加へまして、今日物資は非常に缺乏致して居ります、此の缺乏の焦土から日本經濟の起ち上りを期するに當りましては、人各各自分だけ良ければ宜しい、他人はどうでも宜いと云ふやうな利己主義では、斷じて日本の再生は罷りならぬと考へます、茲に隣人愛の必要なことは各同僚議員から屡屡述べられた通りでありまして、私も至極同感な點であります、政府は茲に意を用ひられまして、協同組合が將來日本の經濟の基盤として、隣人愛を分ち合ひつつ、相共に再生日本を建設せられるやうに御指導を賜はらんことを、本案の討論に入るに當りまして一言政府に要望致して置きます
其の次に本日大藏大臣が御來場下さいましたならば、一應金融の民主化に付きまして御説明を承りたかつたのですが、大藏大臣が御出席ございませぬので、商工大臣が居られますから御歸りになりましたならば、大臣から大藏大臣に其の旨御傳へ願ひたいのであります、今日「ポツダム」宣言の忠實實行の建前上、聯合軍が進駐致しました後、各産業はそれぞれ解體を遂げまして、民主化の線に沿ひまして運營に當つて居るのでありますが、金融機關に關する限り、まだ民主化の聲を聞いて居りませぬ、今囘の議會に當りましても、何人も此の金融民主化の問題に付きましては、まだ論議を戰はして居るのを聞いて居りませぬ、そこで項目を分つて御願ひを致しまするが、第一に金融民主化と申しますのは、公債金融中心主義を排撃すること、證券金融及び割引金融中心主義に移行すること、資金の供給を從來の商業的金融から生産金融に移行すること、又從來政治的性格濃厚でありました特殊銀行に付きまして、其の關係する分野をはつきり調整を致しまして、全面的に之を調整すること、日本銀行の問題は暫く言及を差控へて置きまするが、以上の點に付て大藏大臣に、速かに此の金融の民主化を圖られまして、同僚議員が屡屡質問致して居ります通り、如何に政府が口で申されましても、此の方面の關係がはつきり致さぬことには、商工協同組合が畫餅に歸すること勿論でありますから、金融面の疎通を旨くやつて戴きまして、相共に産業復興に邁進するやうに、速かに此の制度を實現せられんことを御願ひ致す次第であります
以上を以ちまして私の討論を終りまするが、最後に私は第三十一條を修正致しまして、本法案に贊成を致します、即ち第三十一條第二項の次に左の一項を加へます、「特別の理由があるときには、理事のうち二人以内を限り、前項に該當しない者のうちから、これを選任することができる。」同條第三項を第四項とし、同項中「前項本文」とあるのを「第二項本文」に改める、第七十條中「第三十一條第二項第三項、」とあるのを「第三十一條第二項乃至第四項」と改める、此の修正を致しまして私の本案に對する贊成の討論を終ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=101
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102・竹田儀一
○竹田委員長 宮前進君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=102
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103・宮前進
○宮前委員 進歩黨を代表致しまして本案竝に其の修正案に贊成する者であります、唯員外理事の問題でありまするが、是は實際運營に當りまして非常な大きな組合のやうなものになりますと、其の組合の運營に際しまして、技術的にも事務的にも、非常に堪能な方を要する場合がありまして、斯うした場合に、業者から選出致しました理事のみを以て致しましては、其の目的を達することが出來ませぬので、是非とも員外の理事を選任することが必要である、斯う云ふ意味を痛感致しまして、特に此の修正に贊成する者でございます、尚ほ理事の中には從來能く見られたやうな官僚の古手を充てると云ふやうなことは、嚴に愼んで貰ふやうに願ひたいのであります
尚ほ特に強調申上げたいことは、第七條第三號に各種團體を以て團體を組織することが出來ると云ふことになつて居りますが、我が國の如く物資の少い國に於きましては、組合の運營に當りまして、其の少い物資を最も有效に生産し、最も有效に配給することが必要でありますので、斯うした關聯産業、例へば鐵とか石炭とか云ふやうな産業に付きましては、關聯産業を以て聯合會を組織致しまして、其の連絡を強化して生産の向上を圖ると共に、配給が眞に實際に要求して居る需要方面に、適正に流れるやうにしたいと思ふのであります、斯う云ふ意味に於きまして、關聯産業を組織することが出來ると云ふのみに止まらず、政府は進んで積極的に、關聯産業の聯合會と云ふやうなものを組織させるやうに奬勵して戴きたいと云ふことを、進歩黨の總意を以て強く強く切望する者であります(拍手)以上を以ちまして本案に贊成申上げる理由と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=103
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104・竹田儀一
○竹田委員長 前田榮之助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=104
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105・前田榮之助
○前田委員 本員は日本社會黨を代表致しまして、本商工協同組合法案の修正案を附したる本案に對して、贊成を表明致す者であります、本案に付きましては既に質疑の中で本員よりも強く申述べてあるのでありますが、要するに本案は日本經濟の再建の爲にも、又經濟民主化の爲にも、本法案それ自體が日本の只今申上げました事項に役立つと云ふよりも、此の法案の活用、法案の運用にあるのでありまして、要するに本案を活かすも殺すも今後の政府の態度、行政の運營の如何と云ふことにあると云ふ點を強く主張致しまして、政府にも十分なる熱意を以て、經濟の民主化に對しても進んで戴きたいことを強く要望する者であります、戰後日本の國民は、戰爭中に於ける所の官僚軍閥の誤まれる統制の爲に、自由を要求する熱意が非常に澎湃として起つて參りましたが、此の自由を要求する心持に對して、一部の人々は、唯國民に自由保護法を絶叫して糠喜びに終らんとすると云ふやうな傾向もあるのであります、我が日本社會黨は、政治的には國民に自由を與へるべきものであることを強く主張致し經濟的には個人の自由は尊重すべきでありまするけれども、日本の此の誤れる經濟を建直す爲には、高度なる計畫經濟、社會主義經濟に立たなければ再建困難であることを、黨の主張として長く唱へて參つたのであります、本法執行に付ても、政府は計畫經濟の拍車となるとも「ブレーキ」とならざるやうに、一つ肚を決めて、勇敢に實行されんことを特に要望致しまして、本案贊成の言葉とする次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=105
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106・竹田儀一
○竹田委員長 川野芳滿君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=106
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107・川野芳滿
○川野委員 私は協同民主黨を代表致しまして、原案に贊成致し、三十一條の修正案に反對の意を表明せんとするものであります
本法案は洵に民主的な法案でありまして、私は其の立案者に對し深く敬意を表する次第であります、併し如何なる民主的な法案でも、之を生かすか殺すかと云ふことは、其の運用に當る所の關係當局にありと私は考へるのであります、故に御當局に於かせられましては、先日來當委員會に於て、最も熱意ある御答辯をされたのでありまするが、其の答辯を實際に生かされんことを切望致す次第であります、尚ほ三十一條の修正は、此の民主的な法案を非民主的に導くものであると考へるのであります、戰時中官僚或は官僚の古手が統制組合に入りまして、組合を戰時型に導いたことは、茲に私が論ずるまでもないことでありまするが、私は此の愚を再び繰返すことを欲しない、故に修正案に反對致し、原案に贊成するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=107
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108・竹田儀一
○竹田委員長 増井慶太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=108
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109・増井慶太郎
○増井委員 私は國民黨を代表致しまして本案の修正されました所の部分に付きまして、全部贊意を表する次第であります、我が國の敗戰後に於ける所の中小商工業者が、今後の行き方に付て非常に惱んで居る、此の意味に於きまして、政府が本案を御提出になりまして、さうして中小商工業者の爲に色色おやり下さることに付きましては、私は非常に喜びとする次第であります、併し過去の商業組合、或は統制組合と云ふものは、唯徒らに其の名のみで、其の實は行はれて居ないと云ふことも往々にしてあります、尚且中央會に至りましては、多く其の役員の如きは、要するに組合屋と云ふやうな方々の集まりでありまして、何等地方の組合に對して指導をしたことがないと云ふやうなものがありました、今度の協同組合に於きましては斯かることのないやうに、どうぞ一つ宜しく御願ひ致します、以上を以ちまして贊成の意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=109
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110・竹田儀一
○竹田委員長 福田繁芳君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=110
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111・福田繁芳
○福田委員 私は無所屬倶樂部の立場で本案を眺めまして、率直なる意見を申上げ、一部政府に苦言を呈しまして、さうして以て私達無所屬倶樂部の本案に對する態度を表明致したい、斯う思ふのであります、本案全體を眺めますれば、非常に時代に則應致しまして、のみならず、少くとも日本の國の産業再建の爲には、一刻も急を要すると云ふ點に於きましては、間違ひがない事實であらうと思ふのであります、併しながら先般も商工大臣に御伺ひ致しました如くに、最近各部面に亙つて色々な組合が出來ますので、ともすれば其の各々の組合間の圓滿なる助成と云ふことが比較的困難に陷る、所謂摩擦が起つて來る、斯う云ふ點がございまするから、此の點は多分の御注意を願つて、以て本法案の提案の理由に副ふやうに努力して貰ひたい、是が一つ、もう一つは、是も過般申上げたのでありまするが、斯う云つた組合制度になつて行くことは、何と致しましても戰爭中に歐米各國から批評された如くに、我が國産業過程の獨占的「カルテル」化である、此の要素が強化されつつあるのである、斯う云ふ風に批評されて來たことは事實であります、殊に我が國は是から世界經濟に乘り出さんとする、斯う云ふ重大な時でありまするから、一面對外的にも然るべき對策と善處を心掛けてやつて戴きたい、斯う思ふのであります、斯う云ふ點を能く御念頭に置かれまして、本法案を扱ふ所の末端の方にも間違ひがないやうに監督して貰ひたい、此の二項目の希望を申上げて、さうして先づ第一に本案に贊成致したいと思ひます
其の次に、三十一條の修正でありますが、是は私はもう双手を擧げて贊成するのです、今もどなたか反對なされた方があつたのでありますが、本當の日本の産業界の過程に對する認識の疎いことを、非常に私は遺憾に思ふ、何と致しましても、組合員のみの理事者を以て運營をすると云ふ、さう云ふ生易しい事態の日本の産業の建直しではないのであります、相當重大な責任があるのでありますから、どうしても組合外から學識經驗ある者──先程言はれた官僚の古手はもう駄目です──學識經驗ある者、相當人格卓見のある者、斯う云ふ者を或る程度理事に入れまして、さうして實際の組合員の體驗と云ふものと、さう云ふ組合員外の方の持たれる所の長所、兩方を合せて渾然一體となさなければ、日本の國の産業の改革は困難である、斯樣に私は産業人の一人として固い信念を持つて居りますので、三十一條の修正には、無所屬倶樂部として双手を擧げて贊成する次第であります
以上、無所屬倶樂部としての本案に對する態度を表明致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=111
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112・竹田儀一
○竹田委員長 討論は終結致しました、是より採決致します
先づ、第三十一條第二項の次に左の一項を加へる、「特別の理由があるときには理事の中二人以内を限り、前項に該當しない者の中からこれを選任することができる。」
同條第三項中「前項本文」を「第二項本文」に改める
第七十條中「第三十一條第二項第三項」を「第三十一條第二項乃至第四項」と改めるの修正に付て採決致します、贊成の諸君の御起立を願ひます
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=112
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113・竹田儀一
○竹田委員長 起立多數、仍て本修正案は提案の通り決しました
次に、本案中只今議決致しました修正部分を除いて他の部分に付て採決を致します、本案中修正以外の部分に付て、原案の通り決するに御贊成の諸君の御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=113
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114・竹田儀一
○竹田委員長 起立總員、仍て本案の修正部分を除いて他の部分は原案の通り決しました、是にて臨時物資需給調整法案委員會の議事は全部修了致しました
此の場合一寸御挨拶を申上げます、臨時物資需給調整法案は、實に難物と云ふ渾名を付けられたのですが、諸君の御熱心なる御協力に依つて圓滿に修正可決せられましたし、又此の商工協同組合法案も、連日の御熱心なる御質疑の結果、大體圓滿に可決致しましたことを深く多と致すものであります、諸君連日の御精勵に對し謹んで御禮を申上げて御挨拶と致したいと思ひます、是にて本日は散會致します
午後二時四十分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013743X01319460927&spkNum=114
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