1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年八月二日(金曜日)午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 本田英作君
理事 石原圓吉君 理事 鈴木仙八君
理事 林連君 理事 武藤運十郎君
廣川弘禪君 九鬼紋十郎君
細川八十八君 金井芳次君
大矢省三君 鹿島透君
酒井俊雄君 中田榮太郎君
出席國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
出席政府委員
内閣事務官 財津吉文君
内閣事務官 大橋武夫君
内閣事務官 中田政美君
大藏政務次官 上塚司君
司法政務次官 古島義英君
司法事務官 奧野健一君
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本日の會議に付した議案
罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=0
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001・本田英作
○本田委員長 開會致します──林連君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=1
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002・林連
○林(連)委員 私は極めて簡明率直に當局に御尋ねをして見たいと思ひます、我が國は戰ひに敗れて、國民の殆ど全體が、まだ喪心状態から脱却し得ない傾きがあるのであります、國民大衆は、今や奈落のどん底に突き落された状態に陷つて居るのであります、洵に悲しむべき現象であります、併し私は悲しんでばかり居る譯には行かない、何とかして此の難局を打開して、さうして民主主義、文化的な立派な平和日本を築き上げることに努力を拂はなければなりませぬ、斯樣な點を考へました時に、本案の如き大衆に關係の深い法制の審議に當りましては、どう云ふ心構へを以てやらなければならぬかと云ふことに付て、私は當局の御意見を伺つて見たいと思ふのであります
戰爭前の考へ方と、戰爭中の考へ方と、又現在の考へ方と、即ち法制の理念に付きまして、相當の距離があるものと考へられるのであります、然る所、此の臨時處理法の制定經緯等を考へまして、私共の考へて居る所とは相當の距離があるやうに思はれるのであります、當局は之を以て足れりと考へて居るのであるか、先づ此の點を御伺ひ致したいのであります
それから更に、本案は貴族院に提出せられて、貴族院から送付をされて居る議案と承知致して居ります、私共は、斯樣な國民大衆と極めて密接なる關係を持つて居る所の議案、さうして極めて重要なる法案に付ては、政府としては、衆議院に先づ提出せられることが相當であると考へて居るのでありますが、此の點政府當局はどう考へて居られるか、無論我が現行憲法に於ても、改正憲法草案の條章を見ても、豫算案だけが衆議院に先議權を認めて居る、即ち衆議院に先づ提出することを規定して居り、其の他の法案に付ては規定がないのであります、故に政府として貴族院に之を提出しやうが、又衆議院に先づ提出しやうが、其の點に於て違憲等の問題が起らないことは、本員も能く承知を致して居るのであります、併しながら、豫算案に付て憲法が衆議院に先議權を認めた其の精神と云ふものは、申すまでもなく、其の豫算が大衆に關係が深いと云ふ點から致しまして、此の重大豫算案に付ては先づ衆議院を尊重して、衆議院の方に提出せしめると云ふ、此の規定を設けて居るのであります、其の精神と云ふものは、やはり他の法案に付ても考へられるものであります、大衆の利害が極めて密接であり、極めて重大である場合には、やはり豫算案に準じて、成べく衆議院から先に法案を提出することが適當のやうに思はれるのであります、況や衆議院と貴族院との關係は、此の事案に關する所の關心の度合が違ふと思ひます、人は其の利害の厚薄に依つて、自ら感情の動きが違ふと思ふのであります、衆議院に於ては社會大衆の密接な關係があり、自分の生活と大きな關係があるのでありますから、斯う云ふ問題に付ては非常に深い關心を持つて居りますけれども、貴族院に於ては、法律學者等は澤山居つても、其の生活の密接な關係と云ふ點に於ては、衆議院とは雲泥の差とは申しませぬが、相當の距離があると考へられるのであります、さう云ふ意味に於て、若し貴族院で無修正で之を通過せしめて、衆議院に送付して來る、衆議院に於ては、自分の利害の係る所が大きいのでありますから、或は之を修正しないとも限らない、其の場合に於ては、又再び之を貴族院に囘送すると云ふやうな面倒が起ることは、恐らく事例に乏しくないと思ふのであります、斯う云ふことを考へた時に、斯樣な法案に付ては、衆議院に先に提出せられることがどの方面から見ても適當なりと考へるのでありますが、當局は其の點に對して如何なる御考へを持つて居られるか、之を御伺ひ致したいのであります
更に此の條文の色々な點に於て、第二條の權限であるとか、或は正當なる事由と云ふやうな點がありまするが、是等は他日逐條審議の際に考へることに致しましても、立法理念より出て來る所の、相當大きく見なければならぬ問題があるのではないかと思ふのであります、此の法律の運營に付きまして、相當方面に亙つて問題が惹起するであらうことは、想像に固くないのでありますが、其の場合に於て之を處理する機關は何であるかと云へば、鑑定委員會の仕事である、第十九條の「鑑定委員會は、三人以上の委員を以て、これを組織する。」斯う云ふ鑑定委員會の組織の問題に付て、私は御伺ひしたいのであります、前に申上げましたことは、立法理念の問題が相當考へられるのでありますが、此の條文を見ると、率直に言へば、實に舊態依然たるものがあつて、今日の時勢には相應しくない、少くも今日の民主化した考へが織込まつて居ない、斯う云ふことを考へざるを得ないのであります、それはどう云ふ譯かと云ふと、此の鑑定委員會の仕事は、前申上げたやうに、此の規定を運營して行く上に非常に重要な役割を持つものであるにも拘らず、其の鑑定委員の選定に於て、やはり舊法が其の儘に踏襲され、轉用されて居ります、舊法の通りである、唯舊法に於ては五名の鑑定會員とあるのが、三名となつて二名減らされただけであります、其の精神に於ては毫も變つて居らぬのであります、是は私共の採らない所であります、此の條文に依ると、「地方裁判所長が、毎年豫め、特別の知識經驗のある者その他適當な者の中から選任した者」斯うあります、是は實に舊態依然たるものであると云ふことを、私共はつきり申上げたい、總てが民主化しやうと云ふ時に、斯かる民衆と非常な利害關係の深い、さうして密接である其の法規を運營して行く所の、私共から云へば重要な機關である其の機關の組織に付て、獨り裁判長のみが此の選定權を持つて居る、是は根本理念に於て、私共は考へを變へて貰はなければならないのではないかと云ふ見方をして居るのであります、斯う云ふ場合に於ては、私共をして云はしむるならば、やはり辯護士會の會長であるとか、或は理事であるとか、其の他何々會の理事長であるとか云ふやうな、少くとも大衆と極めて密接な關係があり、さうして借地借家等の實際問題に付て能く理解があり、之を能く裁くだけの能力がある者が、先づ裁判長と共に此の委員の選定に當るのが當然ではないか、斯樣に私共は考へて居るのであります、第二號に「當事者が、合意で選定した者」斯う云ふことがあります、それで民衆の意見を決して輕く見て居る譯ではないではないか、と云ふのは、第二號に於ては、當事者が合意でやればそれをはつきり認めて居るのである、斯う云はれるでありませうが、私共から考へますると、爭ひをして居る當事者が、合意で鑑定人をお互ひに拵へようではないかと云ふやうなことは、それは稀にはあります、甲の當事者も、乙の當事者も、某氏を絶對に信用して居ると云ふやうな事例が稀にはありますけれども、それは本當に稀でありまして、多くの場合に於て、爭ひをなして居る者の間に於て、合意を以て鑑定委員を拵へると云ふが如きは、是は考へにくいのであります、でありますから、先づ私共は、第二號の方はあつてなきが如き條文であつて、少くとも第一號に重點を置かなければならぬ、其の第一號に重點を置く場合に於ては、今申上げましたやうに、もう少し民主化した、もう少し大衆の意見を織込んだ鑑定委員會を設けて、さうして本法の運營に遺憾なきを期したいと考へるのでありますが、此の點に對する當局の御意見を承りたいのであります
それから私は、司法省に對しての一般質問はそれだけを申上げますが、更に都市計畫局長もおいでになつて居ますから、一點御尋ねして置きたいと思ふのでありますが、私共の聞く所に依ると、都市計畫の大體の計畫は出來上つて居ると云ふことであります、内務省に於ても、東京都に於ても、其の圖面の作成せられて居ることを承つて居りますし、又東京都に於ては親しく拜見さして戴いたこともありますが、實際問題に付て調べて見ますと、中々まだ著手どころでないやうであります、無論豫算の關係があり、資材の關係がありますので、計畫が出來たからと云つて、直ちに是が實施せられるものであるとは、私も考へて居りませぬが、私共の希望し、又相當なりと考へる所は、苟くも計畫が出來ましたならば、道路の擴張でありましても、緑地帶の設計でありましても、少くとも輪廓だけは大衆に示す必要がある、之を早く示さないと云ふと、復興事業の妨げに相成るものである、斯う云ふ風に考へて居るのであります、實例を擧げますと、道路の擴張がどれだけに、或は百「メートル」になり、或は五十「メートル」になると云ふことを言はれて居りまして、どちらの方が擴がるのであるか、又どう云ふ風に其の屈曲を取られるのであるか、左樣な點に於ては皆目分らないのであります、そこで家屋を建てると致しましても、其の計畫が分らない爲に、もう切込んで居りながら、其の建築の實行は出來ない、又建てようと思ふが、計畫が分るまでは、どうも何時取られるか分らぬので、其の地所を買つた所で、あの地所に建てられるかどうか分らぬと云ふやうな問題を、毎日一件や二件ではなく、多數の人から問ひ合せを受け、多數の人から相談を受けることがあるのでありますが、是等の點に付て、當局は計畫されましたならば、出來得る範圍に於て、其の計畫を少くとも大衆に示す、さうして、大衆をして向ふ所を知らしめると云ふやうにやつて戴きたいと思ふのでありますが、此の點に對する當局の御意見を伺ひたいのであります、其の他に付きましては、逐條審議の際に御尋ねしたいと思ひます、一應御答へ願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=2
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003・古島義英
○古島政府委員 只今の林君の御質問は、何れも洵に御尤もな御質問でありまして、敗戰後日本の國民は全く失神状態になつて居ると云ふ状況も、御説の通りであります、斯樣な時代に於て、法律を如何樣な心構へで作るべきか、是は洵に重大な問題であります、併し我々が考へますと、世の中に衣食住と云ふことを申しますが、今日では衣食住と云ふよりは食住衣になつて居るのであります、どうしても食を得、どうしても其の住居を確保せねば相成らぬと云ふ状況になつて居ります、何が困るかと申せば、全く食事のない程困ることはありませぬ、住居のない程難澁なことはないのであります、そこに於て、先づ如何樣な所から着手を致して立法すべきかと云ふならば、其の食事獲得の方面に於て先づ以て全力を注ぐべし、而もそれと相竝行致して、其の住居のことを考慮せねば相成らぬのであります、是に於てか本法が出て參る所以でありますが、如何にして其の住居を確保するかと云ふならば、住居自體を建てる所の、敷地の問題に紛爭があつてはなりませぬ、又今後の紛爭を豫想されては相成りませぬ、成べくは之を防止すると云ふことが、建前でなくんばならぬのであります、而して左樣に、先づ住居と云ふ問題に重點を置くと云ふことならば、住居は貴賎貧富の區別なく、各各が此の問題には心を碎いて居るのでありまするが、其の中でも極めてより多く心膽を碎く者は細民であります、此の細民方面に於ては、更に一層の努力をしてやると云ふ必要があるのであります、而も我々の申す、細民と云ふ程度に參りませぬでも、相次ぐ困難を感じて居る者は、中産階級の其の家を燒かれ、其の住居を奪はれた人達であるのであります、かるが故に、どうしても借地關係等を鞏固に致し、さうして借地關係等に於ては、何等の心配なく出來ると云ふやうな所までに推し進めねばならぬと思ふのであります、左樣なことから考へまして、先づ皆國民は困つて居るのだが、其の中でもより多く困つて居ると云ふ方面に目を注いで、是等の救濟方法を講ずると云ふのが、我々の建前でありますので、本法を提出したのも、さう云ふ風な事情から參つたのであります
第二の先議權の問題でありますが、勿論林さんの仰せの如く、法律では豫算以外のものの先議權は何等區別はしてありませぬ、併しながら我々が今日議會制度を尊重致し、さうして此の國會と云ふものに重きを置く以上は、國會の中でも衆議院の方面には十分重きを置かねばならぬことは、御説の通りであります、然るに今囘本法を貴族院に出して、なぜ衆議院の方は後廻しになつたかと申せば、同じく先議權は法律では決まつて居らぬに致しましても、我儘で貴族院に之を提出致したのではないのであります、御承知の通り、此の法律は非常に急速を要すると云ふことは、御察し下さることが出來るであらうと思ふのであります、それのみでなく、此の法案を提出致しました當時は、衆議院の方には國家の大本である憲法の大改正の法案が出て居るのであります、七月分の豫算等に付ても、もう七月に入つて其の使ふ金がないと云ふ豫算が出て居るのであります、或は又勞働調整法の如き、法案も出て居るのであります、多數の法案が衆議院には出て參りまして、それの審議の爲には非常な御努力を願つて居るのでありますが、當時貴族院の方面に於ては、審議致すべき法案が洵になかつたのであります、斯う云ふ場合に於て、衆議院に提出すべき感情上の問題ではあるが、併しながら帝國議會の能力を全部活用致し、全能力を果して戴かんとするならば、手の空いて居る方に一應出すと云ふことも御諒承願へることと思ふのであります、當時左樣な状況でありましたから、本法案は感情的、精神的には衆議院に出すべき法案のやうでありますが、手の空いて居る貴族院に先議を願つて、衆議院が一應豫算なり憲法なりの問題を解決致しました時に、丁度廻るやうな時間を見計らつて提出を致したい次第でありまするから、其の點は御諒承願ひたいと思ひます
第三の鑑定委員會の問題であります、鑑定委員會の構成に付て、如何にも地方裁判所の所長が、毎年學識經驗ある者の中、若くは其の他適當の者の中から選任して置くと云ふことは、官僚的の見方のやうでありますが、併しながら地方裁判所の所長と雖も、今日我々と同樣の感じを持つて居る方であります、銓衡するに當つては、學識、經驗ある者、若くは適當な者を、必ず之をやれと云ふことの命令的の事項ではないのであります、學識經驗ある者の中から、若くは其の他適當な者の中から、地方裁判所長がそれを選任するのでありまして、此の銓衡に付ては辯護士會の意見も勿論尊重するでありませう、或は其の他の方々の御意見等も之を斟酌するでありませう、左樣にして委員を選任する前の銓衡に付ては、地方裁判所長が十分なる注意を用ひてやることでありませうから、其の點は御心配がないのであらうと思ふ、唯此の鑑定委員を選任するに當つて、選擧の方法でやらなかつたと云ふことは、何如にも退嬰のやうでありまするが、斯樣な問題は、必ずしも選擧の方法でやることが適當かどうかと云ふことは、一考を要する所であらうと思ふのであります、なぜならば、此の問題に付ては相當特殊の經驗と、特別なる知識を有することが必要になつて參るのではなからうかと思ふ、曾て陪審委員を選定致します際に、其の選定が誤りまして、檢事の口述が採用され或は陪審員の供述が其の儘採用されないと云ふやうなことも間々あつたのであります、是は全く其の點に知識のない、初めて裁判所の門を潛るやうな方々が陪審員に出ると云ふやうなことも、一つの動機になつたことと思ふのであります、斯樣なことから考へますと、斯くの如く紛爭を解決する、而も相當込入つた法律關係等に付て、之を鑑定致す其の委員でありまするから、先づ注文と致せば、相當なる經驗、知識を有する人を必要とすると云ふ場面も起つて參る譯であります、それ等を考慮致し、却て選任等に付ては裁判所長に之を御任せ致し、裁判所長が他の意見を聽いて選任することが、洵に正鵠を得た選び方であると云ふので、斯う云ふ風な法條に致したのであります
それから第四の復興問題であります、復興院の方に説明を願ひたいのでありまするが、司法當局と關係を持ちますことは、復興問題を促進すると云ふのが本法案の提出の理由にもなつて居るのであります、そこで復興問題を促進致し、それが進捗を致し、それに對する借地借家の法案が出來て居らないと云ふことは、洵に佛作つて魂入れぬやうなことになりますので、先づ法律は拵へて待機する、さう云ふやうに凡ゆる場合に處する準備を致し、さうして復興計畫と本法の施行に依つて、兩々相對して行くと云ふのが、今日の此の窮状を救ふ所以であらうと信じまして、本法案を提出した所以であります、左樣御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=3
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004・大橋武夫
○大橋政府委員 只今林さんの御質問の御趣旨は、都市計畫が既に決まつて居るにも拘らず、是が一般に能く知れて居らない、殊に罹災都市の現場に於て、何處がどう云ふことになるかと云ふことが明かになつて居らない爲に、建築其の他に色々な支障が日常生じて居る、之に對して促進する方法はないか、斯う云ふ御趣旨でございました、復興計畫、殊に其の骨子に相成りまする街路、緑地等の計畫は、殆ど全部各都市完成致して居ります、東京都に於ては數箇月前に決定になりまして、現在では各區役所に於て之に關する圖面の從覽を許して居るのであります、併しながら圖面だけでは、一般の人が之を御覽になりまして、どう云ふ風になるか、中々判斷することが困難でありまするので、當局と致しましても、圖面で決定して居りまするものを、出來るだけ現地に杙打をして行くと云ふことを促進するやうに致して居るのでございます、併しながら此の杙打に對しては測量を必要と致しますので、目下此の測量と併行して杙打を致して參ることに致して居ります、東京では大分遲延を見て居るやうな所があるのであります、併しながら地方の諸都市に於ては、殆ど杙打を終了した部分もあるやうな次第であります、何分東京都は面積が廣大でありますので、相當困難な仕事であるとは存じますが、併し只今御述べになりました如く、一般國民に影響する所極めて重大な問題でありますので、今後とも當局と致しましては、一層測量の促進竝に杙打の促進を圖るやうに致しまして、御趣旨に副ふやうに努力致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=4
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005・林連
○林(連)委員 司法當局の御答辯大變親切でありまして、教へられる所もあつたのでありますが、私が第二點として御伺ひした、本案は貴族院に先に出すべきでなくして、衆議院から出すのが至當でなからうか、斯う言ふのは、無論今度の此の案に對する考へ方ではないのであります、此の案に對する考へ方は、當局から仰せになりましたやうに、衆議院には憲法其の他重要法案が澤山出て居つた際でありまするから、貴族院から御出しになつたことは已むを得なかつたであらうことは、想像するに難くないのであります、併し此の種の大衆に關係の深い法律案に付ては、左樣な心組を當局として持つて居られるか、是が承りたかつたのであります
それから鑑定委員の問題でありまするが、是は當局の御話も一應は御尤もでありまするが、今日の國民大衆は法制に於ても、内治外交、總ての方面に於きまして、やはり民主化した政治、又民主化した行政を願つて居ります、國民の納得の行くやうな制度と云ふことが、法の運營上私は極めて重要なものであると考へて居るのであります、國民を納得せしむる上に於ては、裁判所長が一人で鑑定委員を任命したよりか、民衆の代表として、或は辯護士會、或は各種の團體の代表と云ふものが、何人でも加つて之を銓衡すると云ふことになれば、我等の代表が詮衡したのだと云ふやうな意味に於て、其の民衆の氣持の度合が多分に違ふ、今日の政治を行つて行くには其の氣持が必要である、斯う云ふ風に考へられるのでありまするが、此の點に付てもう一應御面倒でせうが御説明を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=5
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006・古島義英
○古島政府委員 先議權の問題に付きましては先程申上げた通りでありますが、今後民衆に極めて密接な關係を持つて居りまする法案は、出來得る限り衆議院に提出すると云ふ心構へで進んで參りたいと存じます、唯萬已むを得ない場合は、本法案の如く貴族院に先に出すと云ふやうなこともあるのでありますが、成べく衆議院に先に御審議を願ふと云ふことの心構へに致したいと考へて居ります、鑑定委員會の鑑定委員の選任に付きましては、御説の通りである、全く民衆に關係のある方を委員に選任すると云ふことは、其の委員の御氣持に對しましても、さうなければならぬのである、此の點は地方裁判所長に御話を申上げて、地方裁判所長の心構へをさう云ふ氣持になつて戴けば、此の急場は間に合ふことと思ひますから、左樣な順序で進めたいと思ひますので、左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=6
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007・林連
○林(連)委員 私は此の程度で止めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=7
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008・本田英作
○本田委員長 武藤運十郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=8
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009・武藤運十郎
○武藤(運)委員 質問の前に一寸委員長に御願ひをしたいのであります、昨日から本日に掛けまして質問が行はれて居るのでありますけれども、司法省の政府委員と致しましては、古島さんともう一人政府委員が御出になつて居るのでありますけれども、私はやはり此の罹災都市借地借家臨時處理法は、司法省と致しますれば、今議會に於ける唯一とも云ふべき重要な法案でありますし、承れば非常に其の審議を急いで居ると云ふ風なことも聞いて居るのでありまして、審議を急ぎ、圓滑に行く爲には、やはり大臣、民事局長が御出なるべきものと私は考へるのであります、古島さんは私の尊敬する先輩であります、學識經驗も非常に積んで居られ、立派な御答辯をなさいますし、政府委員の方も隨分研究して居られるやうでありますが、昨日から伺つて居りますと、古島さんと政府委員の方と併せて、辛うじて滿足な答辯になると云ふやうな場合もあるやうに拜聽して居りますので、是はどうしても大臣か、少くとも民事局長は御出になつて戴かなければ、工合が惡いぢやないかと考へるのであります、別な例でありますけれども、内務省關係の地方制度の委員會などは、私十數囘行つて居りますけれども、常に大臣が郡地方局長を帶同して出て參りまして、初めから終りまで説明の任に當つて居るやうであります、どうか司法省に於かれましても、豫算總會、其の他新しい立案等で御多忙ではありませうけれども、一つ委員長の方から、成べく早く此の法案の審議を完了させる意味で、此の趣旨を御傳へ戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=9
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010・本田英作
○本田委員長 御答へ致します、實は開會の初めに司法大臣の出席を求めたのですが、本日は豫算總會の方に是非居なくてはならぬことがあつて、どうしても來られないと云ふことでありましたし、林君の方では、已むを得ないから次官でも宜いと云ふ御承諾を得たものですから、進めた譯ですが、御希望でありましたならば、もう一應其の旨を傳へます──それでは武藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=10
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011・武藤運十郎
○武藤(運)委員 先づ、本會議でも私は質問を致したのでありますけれども、罹災都市の復興は先づ家を建てることにあると思ふのでありまして、隨て家が建たなければ復興は出來ないと言つても過言ではないと思ひます、聞く所に依りますと、現在の不足家屋は、戰災疎開が約二百六十五萬、引揚者用、戰爭中の供給不足百五十五萬位で、合計では四百二十萬戸位になると云ふことでありますけれども、之を解決しなければ住宅問題は解決しないと思ひます、毎年二十萬戸づつ造りましても二十一年掛る勘定になりますし、其の内に、今造つて居る古い家屋は二十年も經てば朽廢を致しますから、何時まで經つても住宅の不足と云ふものは緩和しないし、解決もしないと思ひますが、政府の方では、此の住宅の不足を解決する自信があるのでせうか、具體的に御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=11
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012・大橋武夫
○大橋政府委員 住宅不足の状況は、只今武藤さんの御話になりました通りでございます、之に對しまする政府の對策と致しましては、先づ第一には政府自らの手に依つて、或は公共團體を通じて、公の機關で以て住宅を建てて行くと云ふことでありますが、何分にも不足住宅の戸數が莫大でございますので、公共的な住宅だけで此の住宅難を緩和することは困難で、どうしても不足住宅の大部分は、個人の自力に依つて復興させて行かなければならないと云ふ勘定に相成つて來るのであります、勿論之に付ては、政府と致しましても出來得る限り資金、資材等の方面に於て、斡旋の努力をする方針でございまするが、只今の實情は御想像の通り、資金の點でも色々な困難な部面があり、又資材の點に至りましては、更により以上の隘路を痛感して居る次第でございます、併しながらここ一兩年中には、財界の資金面、或は資材面等も今日とは多少状況を異にするものがあらうと存ずるのでございまして、今日の實情が長く繼續致して居ります限りは、中々住宅難の解決は困難でございますが、戰後經濟の復興と云ふことに依つて、先行き相當住宅難の緩和も、足並を早めることが出來るものと期待を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=12
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013・武藤運十郎
○武藤(運)委員 只今の御話に依りますと、私が質問致しましたやうな現状であるから、政府だけの公の力では其の解決の見込がない、自力に俟つ外はないと云ふ風に承はるのであります、洵に其の通りだと思ひますが、さうすると今御話のありました通りに、民間の資金、資材と云ふものが先づ問題になるのでありますが、此の資金の點に付て大藏當局に御伺ひしたいと同時に、復興院にも御伺ひを致して見たいと存ずる次第であります、本會議の一萬圓で家が出來るかと云ふ私の質問に對しまして、大藏大臣は、自分も一萬圓では家は出來まいと思ふ、斯う云ふ御趣旨の御答辯がございましたが、さうなると家を建てることが復興の第一要件であるとすれば、一萬圓で家が出來るやうに物價を下げるか、或は一萬圓以内で出來上がるやうに資材を供給するか、或は一萬圓以上必要なだけ特殊預金を解除するか、又は金融でもするか、兎に角出來るやうにしなければ、何時まで經つても家は出來ない、新聞を見ると、豫算總會では、物價を急に下げると云ふことは出來ないから、大體に於て現在の水準を保つて行くの外あるまいと云ふ、御答辯を、大藏當局でなさつて居るさうでありますから、結局預金を解除してやらせるか、或は特別に金融をするか、物で資材を供給するかの外はないと思ひますが、復興院の此の點に關する御考へは如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=13
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014・中田政美
○中田政府委員 御答へ致します、現在の物價の状況から見ますと、仰せの通り、新築致すとすれば一萬圓では建たないが實情のやうに承知して居ります、此の點に付きましては、昨年來急激に物價が上りましたので、當初五千圓まで許容されて居つたものを、倍にして貰つたのですが、尚且つ今日の時勢では、それには追付かないことになつたのでありまして、財政當局に對しては、私共の方から是が増額に付て屡屡要求を致して居るやうな譯であります、唯復興院と致しましては、一萬圓とか或は三萬圓とか云ふやうな線で家を建てると云ふ自力のものも、勿論建てて行かなければならぬのでありますが、それすら出來ない庶民階級、勤勞大衆に對しましては、能ふ限り政府の財政的援助の下に、低廉なる家賃の住宅を供給したい方針で、目下財政當局の方と折衝中でございます、本年度中に於ては、此の財政處置が我々の希望の如くなりますと、相當建築費は緩和されることになりますので、隨て其の結果庶民階級へは、低廉な家賃の住宅が供給出來ることに、相成らうかと考へて居ります、前段の一萬圓の問題に付きましては、全體の金融措置にも關聯しまして問題になる所でありますから、極力財政當局に、現在の物價からしまして、十坪或は制限十五坪以内の家屋が建て得るやう、一萬圓の値上げに付て折衝したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=14
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015・武藤運十郎
○武藤(運)委員 伺ひましたが、さうしますと、當局では一萬圓以上でどの程度あつたら制限以内の家が出來ると御考へでありませうか、御伺ひしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=15
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016・中田政美
○中田政府委員 どの位と申しましても、建物の規模に依りますが、現在の建築制限令に依りますれば、十五坪以内と云ふことになつて居ります、現在政府に於きまして試作中の庶民住宅の標準は、十坪乃至十二坪位の所を標準にして、昨年の越冬住宅のやうな粗雜でないものと云ふ狙ひで、今著々準備を進め、一部分は實施に移して居るやうな譯でございます、隨ひまして、其の程度の家屋と致しますれば、大體四月頃では二萬圓見當で建てたいと云ふ考へで居りました、是は勿論公定價格に依つて資材を能ふ限り取得した、其の結果に依つて建て得る建築費と思ひますが、世上公定價格に依らざる建築費に付ては、それ以上に上るやうに承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=16
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017・武藤運十郎
○武藤(運)委員 さうしますと、十坪二萬圓と申しますと、一坪二千圓に當るのでありますが、實際に於きましては、一般庶民が資材を集めまして建てますことになりますと、五千圓も六千圓も掛るやうな状態にあるのでありますが、左樣な高い建築費を掛けなければ家が出來ないと云ふことを、當局は、是は實際問題でありますけれども、御聞きになつて居りますでせうか、さうしてそれに對して、それが出來るやうに御取計ひになる御意思がございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=17
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018・中田政美
○中田政府委員 世上の實際としては、坪當り五千圓、或はそれ以上掛ると云ふやうなことを仄聞きする點に付ては、御話の通りでございます、唯政府と致しましては、勤勞大衆に對してどう云ふ家を供給するかと云ふ所が、最も緊迫した問題でありますので、此の點に對しては、前段申上げた通りに、政府の建築費に對する財政援助に依つて、能ふ限り低廉な家賃の住宅を勤勞大衆に供給したいと云ふ考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=18
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019・武藤運十郎
○武藤(運)委員 住宅のことで引續き御伺ひをしますが、庶民住宅の建築と云ふことを伺ひましたけれども、餘り小さい住宅を、「マッチ」箱を竝べたやうに澤山造りますよりも、私は「アパート」式のものに重點を置いた方が宜しいと考へます、殊に燒「ビル」とか燒けた學校、或は兵舍、さう云ふものを「アパート」式に改造を致しましたならば、非常に能率的でもありますし、經濟に澤山の部屋が出來ると思ふのでありますけれども、今後當局では、此の住宅問題の解決に付て、日本式の小住宅を澤山造つて解決すると云ふ所に重點を置くのでありませうか、それとも集合住宅、「アパート」式のものを造ると云ふことに重點を置くのでありませうか、此の點も御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=19
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020・中田政美
○中田政府委員 只今の御質問の點に付きましては、必ずしも政府は小住宅の一戸當りのものを澤山建てると云ふ主義ではございませぬ、規模は概ね十坪乃至十二坪位の規模のものを建てる趣意でございまして、固より之を實施する場合に於ては、所謂棟割長屋式に建てることになりますので、「アパート」式になるものも中にはございます、併し木造の場合に於ては、必ずしも何十戸と云ふやうな集合長屋にならない、四戸とか或は其の倍とか云ふ程度の、棟割長屋にすることが概ね多いだらうと思ひます、單一の十坪の家と云ふことは比較的少い、是は勿論經濟的な觀點からしまして、敷地の基準、或は經費の關係等で、概ねさう云ふ棟割長屋に致す考へで居ります、併しながら、前段御質問の燒「ビル」とか、或は既設の建物を其の儘修理して、之を協同住宅化すると云ふことに付きましては全く同感でございます、昨年來及び今年に於きましても、燒「ビル」の改造に依る共同住宅、其の他既設の住宅化し得るものに付きまして、之を共同住宅にすることに付きましては、相當量の豫算的措置も考へて居りまして、現に實行しつつある次第でございます、そこで是等の二つの住宅は、共に應急的住宅對策でございまして、將來都市計畫が實施される場合、即ち本建築になる場合に於きましては、前段御質問のやうな趣意で、能ふ限り不燃性の共同住宅と申しますか、「アパート」式のものも相當量之を助長して行きたい、斯う云ふ考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=20
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021・武藤運十郎
○武藤(運)委員 その問題はそれだけにしまして、今度は現在ある建物に付て、住宅緊急措置令と云ふものが出て居るのであります、是は住宅の國家管理の一部をなすものであると考へるのでありますけれども、之を更に強化してはどうか、斯う云ふことなのであります、具體的に申上げますと、緊急措置令の第二條に依りますれば、「地方長官必要ありと認むるときは罹災建物其の他の建物、寄宿舍、空住宅、之に準ずべき住宅を含み、是れ以外の住宅を除く、又は住宅として使用し得べき建物以外の工作物にして現に使用されず又は使用上餘裕ありと認められるもの及び其の物件に付き公共團體、恩賜財團、戰災援護會、住宅營團、其の他地方長官の指定するものの爲め使用權を設定するを得」云々斯う云ふ風になつて居るのでありますけれども、此の強權を發動すべき目的、住宅の範圍が、非常に拔け途が多くて漠然と致して居ります爲に、所期の目的を達して居らないと云ふ状態であるのであります、殊に親類縁者の名前を掲げて置くとか、或は何々事務所、何々研究室と云ふやうな名目を掲げて供出を免れると云ふやうな工合でありまして、此の條文の文句に依りましては、迚も實際に餘裕のある住宅を、庶民住宅に、邸宅開放と云ふ趣旨に向つて之を捕捉することは出來ない、現に今までの例から申しましても出來ないのでありますけれども、此の點に付きまして、もつと目的住宅の範圍を嚴重に致しまして、苟くも餘裕のある住宅は免れられないと云ふやうに、強く規定しては、どうかと思ふのでありますけれども、此の點に付て御意見を承りたい
それから第二に、今までは自發的な届出──私の所で是れ是れ空いて居りますからと云ふことで、區役所か何處かへ届出のやうな形式を執つて居るやうでありますけれども、左樣な任意な届出に依らないで、どんどん之を申告させるなり、調査をしますなりして、所謂強權を發動してはどうか、現在の法令の儘と致しましても、強權を發動してはどうか、斯う云ふ風に考へるのであります、更に此の問題に付きまして、公共團體や住宅營團ばかりに使用權を設定すると云ふのではなくして、一般人にも直接使用權を設定し得るやうに、一般人からも直接使用權設定の申請の出來るやうに致しましたならば、それぞれ近所では、あの家には幾つ部屋があつて、幾人人が居つて、餘裕があるとかないとか云ふことは分つて居りますから、此の目的を達する爲に效果的であると思ふのでありますけれども、此の三つの點に付きまして御意見を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=21
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022・中田政美
○中田政府委員 餘裕住宅の緊急措置に付きましての御質問でございますが、第一點の、拔け穴があると云ふ點に付きましては、極力拔け穴のないやうに今後研究致しまして、さう云ふ措置を執りたいと思ひます、唯考へなければならぬ點は、日本家屋に付きましては、建物の内部の構造上非常に困難な點があるやうに考へられますので、實際問題として、餘裕住宅と申しましても、之を數區に區分して世帶を張ると云ふ點に難點があるのではないか、實際我々が憩ひの場所とした場合に難問題があるやうに承つて居りますので、是等の實情も檢討しまして、さう云ふ拔け道、或は範圍を擴大することに付て、餘地はないかどうかと云ふやうな點に付ては、今後一つ一段と研究して見たいと存じます
第二段の、届出に依り強權の發動と云ふ問題の點でございますが、此の届出主義を執りましたのは、勿論こちらが強制的に調査することが中々困難でございますし、國民の協力を待ちたいと云ふ趣意から、穩健なる届出主義を執つたのであります、併しながら最近に於きましては、殊に東京の或る區に於きましては、現に私が聞き及んで居る限りに於きましても、區役所の係員が、相當大邸宅には赴いて實情を調査して、御宅には尚ほ餘裕の居室があるから、之を提供して貰ひたいと云ふやうな、區役所から申出があつたと云ふやうなことも、私耳にして居りますので、是等は行政の運用に依つて、遺憾なきを期したいと思つて居ります、第三點の、此の強權の發動に依つて住宅化する、所謂使用權を設定するものの範圍でございますが、之に個人を加へてはどうかと云ふ點に付ては、更に研究を俟つて善處したいと思ひます、唯個人と云ふことになりますと、其の使用權の其の後の監督を──是は本來庶民住宅を供給して、比較的に間違ひのない目的を持つた住宅營團、或は同胞援護會と云ふやうなものに許してありますが、中々其の管理なり、監督が難かしいと云ふ點もございますので、是も一つ研究しないと、確たることは御答へが出來ない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=22
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023・武藤運十郎
○武藤(運)委員 只今の御答へは、住宅の範圍に付て、日本家屋は構造上餘裕があると云つても、開放と云ふことは中々難かしい、憩ひの場所として云云と云ふ風な御話がございましたけれども、私は色々御研究の上で範圍を擴大し、嚴格にすると云ふ御趣旨は結構だと思ひますが、兎に角住む家がない人が多いのでありますし、雨の日には雨の漏る壕舍に入つて居る人があるのでありますから、少し位構造が何だとか、憩ひの場所だとか云ふやうな、さう云ふ平時的な考へ方は拂拭致しまして、斷乎たる考へ方に基いて、此の問題を解決すると云ふ御決意がなかつたならば、邸宅の開放などと云ふものは百年河清を俟つやうなものであつて、私は絶對に出來ないと思ふ、疊敷なり坪敷なりを、人數と比較してびしびしやつて、兎に角住む所がない人に住居を與へなければならない、さう云ふ觀點に立つて、御考へ直しを戴きたいと思ふのであります、其の次には …発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=23
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024・本田英作
○本田委員長 一寸御相談致しますが、司法大臣は午後差支へがあるさうですから、出來れば司法大臣に對する御質問を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=24
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025・武藤運十郎
○武藤(運)委員 御忙しい所を司法大臣を御呼立てして恐縮ですが、それでは本會議に於ける質問に洩れて居ります、稍稍細かい點に付て御伺ひ致します、尚ほ質問の要旨を御手許に差上げてあると思ひますから、それに從ひまして質問を致します
第一には優先權、先借權確保の保護策に付て御伺ひ致します、本法案は建物罹災又は疎開地の借主に、地主に對して優先的に賃借權の設定を受けることが出來る、借地權者に對しては、優先的に借地權の讓渡を受けることが出來る、又其の地上に建築せられた建物に付きましては、罹災又は疎開地の借主が、優先的に其の家を借りることが出來る、さう云ふ風な規定を設けて居るやうでありますけれども、罹災又は疎開に依りまして地方へ轉出した借主は、最近の食糧事情から轉入の禁止と云ふ措置がありますし、建築の制限と云ふ措置があります、食糧なり乘車券の入手難等に依りまして、事實上優先權を行使することが不可能な實情にあります、之に對して當局は、如何なる方法を以て借主の優先權を具體的に確保せんとするか、若し適當な方策がないとすれば、斯樣な色々な障碍の爲に、折角規定を作りましても、實際に於て優先權を保護すると云ふことは畫餅に歸するのではないか、假に右の制約が解決されたと致しましても、土地賃借權の設定、借地權の讓渡、借家契約の締結に當りまして、地主、家主から不當な權利金、敷金、家賃などを請求せられましたのでは、どうにも仕方がない、大體に於て賃借權の設定を受け、借地權の讓渡を受けたい、家を借りたいと云ふのは勿論でありますが、さう云ふやうな者は元の借家人であつて、貯金も、食糧其の他に使ひ果して居ると云ふ實情でありまして、中々地主、借地權者の要求するやうな、金額を出すことが出來ないのではないかと思ひますが、當局は是等の授受を一切禁止するか、或は一定の標準を設けて之を制限をする用意はないかどうか、法案には何か相當の條件とか云ふことがあるやうに思ひましたけれども、此の點に付きましてはどう云ふ風になさる御考へでありますか、先づ之を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=25
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026・木村篤太郎
○木村國務大臣 御答へ致します、元の借家主、詰り住居を使用して居た人、それから借地人、是等の人が疎開をして居つて、中々東京への轉入が難かしい、さう云ふ人達に對する取計ひはどう云ふ工合になるだらうかと云ふ御質問のやうに承りました、それは借家主に付きましては、法案の第二條に、此の法律施行の日から一箇年以内と云ふことになつて居ります、又借地人に付きましても、同樣法案の施行の日から一箇年以内に申出ることが出來ることになつて居ります、それで此の法律が何時施行になるかと申しますと、凡そ此の土地物件令が九月の三十日で以て廢止されることになりましたから、それと同時に施行されることにならうと豫想して居ります、さうすると今年の十月から向ふ一箇年内、此の間には恐らく疎開者も歸つて來られることだらうと思ひます、一箇年と申しますると相當期間があるのでありまして、十分に此の點に於て疎開して居る借地人、借家人などを保護されることが考へられます
次に、借地人、借家人が、其の土地に借地權の設定、讓渡を求めた所で、強慾な地主は色々な條件を持ち出して、之に應ずることを難ずるのぢやないかと云ふやうな御疑問であります、極めて適切な御疑問でありますが、それは十分に此の法案で處理出來ることになつて居ります、と申しますのは、此の法案に依りまする借家人、借地人は、借地權の設定なり讓渡を申出て參ると、茲に法律的效果が發生するのであります、此の場合に地主との間に、或は元の借地權者との間に、合意が出來ればそれに越したことはありませぬが、假令合意が出來なくても、一應は借地權の設定なり、借地權の讓渡なりを認められるのであります、其の條件に付きまして爭ひがあれば、是は裁判所で鑑定委員會の意見を聽きまして、實地に即しまする一つ條件を決めて掛らうと云ふのであります、申すまでもなく裁判所は凡ゆる觀點から考慮致しまして、而も民主的な鑑定委員會の意見を聽いて、之を處理致すのでありますから、其の點に付ての御心配は恐らくなからうと思ひます、又實際問題として、將來斯樣な事案に付きましては、十分に裁判所に於て考慮致しまして、横暴な地主の要求を抑制させるやうに努める次第であります、左樣御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=26
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027・武藤運十郎
○武藤(運)委員 只今政府委員から御話がありましたから、法律上の細かい點に付きましては、午後民事局長から承ることにしますけれども、只今の司法大臣の御答へに依りますと、居住者が賃借權設定の申出をする、借地權讓渡の申出をすれば、それでそこに一應借地關係と云ふものが成立を致しまして、あと問題は細かい地代、敷金、其の他の條件とは別に、爭ひがあれば鑑定委員會なり、裁判所で判斷しても宜しいと云ふ御答辯のやうに伺つて居りますが、さうしますと、此の賃借權設定の申込、借地權讓渡の申込、借家の申込、是等は所謂形成權のやうに考へて宜しいものでありませうか、さうではないやうな條文の建前であるやうでありますけれども、それに依りまして是は非常に違ふと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=27
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028・木村篤太郎
○木村國務大臣 御答へ申上げます、一應の承諾は要するのでありますが、併し其の承諾は、御承知の通り正當な利用に基かなければ、是はいけないのであります、正當な理由がなければ拒絶致すことは出來ませぬから、萬一正當な理由のなきに拘らず拒絶するやうな場合に於ては、是は裁判所に於て借地權の讓渡なり、設定なりを認める譯でありまして、其の點に於て十分保護し得るやうになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=28
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029・武藤運十郎
○武藤(運)委員 其の點は後に讓りまして、司法大臣に最後に一點伺つて置きます、本會議でも私は申上げましたが、色々借地、借家の紛爭が將來起る見込が多いのでありまして、それに付きましては、特別の何か機關を設ける意思はないかと云ふ私の質問に對しまして、別にさう云ふ特別な機關は設ける豫定はないけれども、精鋭な裁判官を選つて其の方面に向けると云ふやうな、大體結構な御答辯でありましたけれども、私は此處で一つ特に申上げたいのは、立派な裁判が出來る爲には、裁判官の氣持が何時も安定をし、平和でなければならないと思ふのでありますが、左樣な心の平靜、平和は、何と申しましてもやはり前提と致しまして、物質生活の安定と云ふことが第一條件だと考へるのであります、今の世の中に於きましては、安逸と云ふ位の安易な生活は誰にも許されない所でありまして、苛烈な生活をしなければなりませぬけれども、せめて裁判官には最低限度の生活が出來るやうな待遇をしてやらなければならないと思ひます、今度官吏の待遇も良くなると云ふことを聞いて居りますけれども、判檢事、書記に至るまで、司法省關係の職員は、他に此しまして待遇が餘り良くないやうでありますし、又役得と云ふやうなことも、是はあつてはならないことでありますけれども、少いやうであります、此の際一つ特に司法官、判檢事、辯護士、書記、職員に至るまで、物質的な待遇を改善致しまして、同時に素質の改善を圖るやうにして戴きたい、さう云ふやうに我々在野法曹と致しましても考へて居りまして、之に依りまして適正な裁判をして貰ひたいと思ふ、判事や檢事が、裁判所の往復に「リュクサック」を背負つて通ふと云ふやうなことは、餘りに體裁の好いことではありませぬし、是では良い裁判が出來る筈はないと思ふのであります、此の點に付きまして司法大臣の御意見を承つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=29
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030・木村篤太郎
○木村國務大臣 只今武藤委員から、司法官に對する待遇改善の御言葉がありました、洵に司法官に對して御同情ある御言葉でございまして、私は司法當局として感謝を致します、御承知の通り、司法官の待遇と云ふものは一般行政官に比して非常に菲薄なのであります、併しながら、幸ひにして新憲法草案が各位の御審議の結果可決されて、實施される曉に至りますと、憲法の成文上、裁判官は相當なる報酬を受くることが出來ると云ふことになつて居ります、是は憲法の條項に於て規定されて居るのであります、隨て所謂裁判官の待遇と云ふものは、其の點から十分に改善されることと考へるのであります、併し其の以外の所謂司法職員に付きましては、何と申しましてもやはり司法部の公正を維持し、世の中の秩序なり、正義なりを昂揚して行く職責に當つて居る人達でありますから、其の人達に十分なる休養と教養と、出來るだけの生活の保障と云ふものはして行かなければならぬ、斯う考へて居りますので、幸ひ一般官吏に對する給與令の改正も見ますれば、幾分は其の點に付て改善されることと存じますが、尚ほ十分に、殊に專門家であられまする武藤委員などの御助力を借りまして、一般司法職員の待遇改善に十分の努力を拂つて行きたいと存じます、尚ほ一言申上げて置きたいのは、只今の御言葉にもありましたやうに、裁判官は特に一般的の教養と云ふことが必要と存じます、唯所謂法律技術に堪能であるばかりでなく、人間としての教養が極めて重大であると存じます、此の點に付きましては、將來裁判官の學識、社會的教養、其の他萬般の觀點から致しまして十分の指導と修養をさせると云こふとを講じて行きたいと思つて居ります、何分の御助勢を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=30
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031・本田英作
○本田委員長 是にて休憩致しまして、午後は一時半より再開致します
午前十一時五十二分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=31
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032・会議録情報2
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午後一時四十六分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=32
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033・本田英作
○本田委員長 午前に引續いて再開致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=33
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034・武藤運十郎
○武藤(運)委員 やはり復興院の關係になりますが、住宅、宅地の強力な國家管理をする意思はないかと云ふ問題に付て御尋ねを致します、是は其の大綱を、本會議に於きまして質問を致したのでありますけれども、それに對して御答辯が洩れて居つたやうでありますからして、御答辯を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=34
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035・財津吉文
○財津政府委員 私から宅地の方の問題に付て御答へを致します、市街地の國有又は國家管理と云ふやうなことに付きましては、今日客觀的情勢が、まだそこまで熟してはいないやうに思はれます、併し限られた今日の我が國の國土の中で、密度の高い人口を包容して行かねばならない今日の日本に於きまして、健康で能率的な都市を建設致しますには、宅地の合理的な配分、調整と云ふことがどうしても必要ではなからうか、斯樣に考へられますので、さう云ふ方向に向つて目下研究を進めて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=35
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036・武藤運十郎
○武藤(運)委員 客觀的情勢が熟さないと云ふ御話でありますけれども、客觀的情勢が熟したと云ふのは、どう云ふことを申しますのでせうか、具體的に伺ひたいと思ひます、私は今程客觀的情勢の熟して居る時はないと思ふのであります、是から更に延びればもう時機を失するかと思ふ位でありまして、見解の相違かも知れませぬけれども、或は認識の相違かも知れませぬけれども、一つ客觀的情勢が熟すと云ふことに付ての具體的な御説明を戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=36
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037・財津吉文
○財津政府委員 客觀的情勢が熟するか熟せないかと云ふことは、是は見解の相違でありまして、具體的に説明は一寸致しにくいのであります、唯市街地の問題に於ては、農地と異りまして其の權利の關係が極めて複雜でありますし、又其の收益の點に付きましても、又價格の點に付きましても、其の評價が極めて困難でありますので、之を調整致します爲には、相當の資料、準備、調査が必要でありますので、目下さう云ふものを取纏め、之を如何にしたら宜いかと檢討して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=37
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038・武藤運十郎
○武藤(運)委員 宅地の國有と云ふことと國家管理と云ふことは、言ふまでもなく大變違ふことであると思ふのであります、國有をするに付ての客觀的情勢が熟したと云ふことと、國家管理をするに付ての客觀的情勢が熟したと云ふこととは、大變開きがあると思ひますが、只今の御説明は國有に付てでせうか、國家管理に付てでせうか、私は兩方共伺ひたいのでありますけれども、差當つて私が最も客觀的情勢が熟して居り、今を措いて時機がないと云ふ位に適當な時機だと思はれるのは、宅地の國家管理の方なんでありますけれども、是は準備調査をなさると云ふ御話であります、勿論準備調査も結構でありますが、客觀的情勢が熟したから、之を實行する爲に準備調査をやると仰しやるのか、それとも客觀的情勢はまだ熟しないが、其のうちに熟すかも知れないから、一應準備をして置かうと云ふ御趣旨なのか、此の所を一つ明確に御答へ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=38
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039・財津吉文
○財津政府委員 國家管理と云ふ言葉は、非常に狹くも廣くも使はれると思ふのでありまして、或は國有と云ふ意味を含んだ場合もありませうし、或は國有よりももう少し狹い意味に御使ひになることも出來ると思ふのであります、それで國有と云ふ點に付ては、まだ客觀的情勢がそこまで熟して居ないやうに私は思ふのであります、唯國家管理と云ふことが、所謂農地に於ける農地調整法のやうなものを國家管理と云ふやうに考へますならば、是は宅地に付ても、或はう云さふ情勢になりつつあるのではなからうかと云ふやうに考へて居る譯であります、隨ひまして、唯先程客觀的情勢が熟して居るから準備調査を必要とするのか、或は將來熟すから準備調査を必要とするのかと云ふ御質問でありましたが、今の所私の個人的な考へでありますが、段々さう云ふ方向に向ひつつあるのではないか、殊に今日の日本に於きましては、社會的な情勢と云ひますか、それが急變することが考へられますので、さう云ふ意味で─是は又意見の相違と言はれるかも知れませぬが、客觀的情勢は熟して居ないけれども、急變を豫想されますので、さう云ふ意味で研究をして置くと云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=39
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040・武藤運十郎
○武藤(運)委員 結局私の申上げる國家管理と云ふのは、極く簡單で宅地などは宜いと思ふのであります是は全部借上げてしまつて、之を適當に配分すると云ふ程度で宜いと思ひますけれども、其の程度のことも、まだおやりになると云ふ御意思はないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=40
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041・財津吉文
○財津政府委員 武藤委員の仰しやいます國家管理の意味が大體分つて參つたのでありますが、現在に於きましても、其の程度のものならば必要になつて居ると云ふやうに私も考へて居ります、先般議會に於て、既に可決して戴いたのでありますが、特別都市計畫法、此の中に過小宅地並に過小借地權の整理と云ふ一項が設けられて居るのでありまして、是は只今武藤委員の仰しやいました、國家管理への非常に僅かてはあるが一つの現はれである、斯樣に御諒解を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=41
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042・武藤運十郎
○武藤(運)委員 では此の點は是で打切りませう、どうか十分其の方向に向つて御努力を願ひたい、斯樣に希望して置きます
次に住宅の國家管理、先程國家管理と云ふことが大變問題になりまして、意味がはつきりしないと云ふやうな御趣旨でありますから、住宅に付て私が是から用ひる國家管理と云ふ趣旨の大體を申上げますと、私の構想して居ります住宅の國家管理に付きまして、只今から質問をしますのは、日本中の全部の建物てはないのであつて、大中都市及び其の附近町村の全家屋を一元的に國家が把握しまして、全家屋の收容力と收容世帶、又は人員との均衡を圖ること、貸家は全部國家が借上げて、之を國家から借家人に貸渡す、賣家は個人間の賣買を禁じて、國家で買上げるか或は借上げて、之を借家人に貸渡す、自家用の家屋に付きましては、午前中に質問致しましたやうに、緊急措置令のやうな形に於て、餘裕ある住宅は強權を發動しても供出せしめて、之を國家で借上げて然る後に借家人に貸渡す、大體申上げますと、さう云ふ風な意味の國家管理でありますが、之を御やりになる御意思があるかどうか、之を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=42
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043・中田政美
○中田政府委員 主として市街地に於ける住宅の國家管理の問題に付ての御質問でございますが、政府に於きましては、目下の所御質問の御趣意のやうな國家管理に付ては、未だ研究を重ねた上でないと御答へ出來ぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=43
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044・武藤運十郎
○武藤(運)委員 責任を以て御答へ願ひたいのでありますが、さうしますと、斯う云ふことをやらなくても、大中都市に於ける住宅問題は解決を付けることが出來ると云ふ御考へのことに、只今のやうな御答辯があるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=44
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045・中田政美
○中田政府委員 現在政府の方で、諸諸の住宅對策はやつて居りますが、其の詳細は既に御承知でございませうから、極くあらましを申上げるだけに止めたいと思ひますが、只今の所、餘裕住宅に付ては、先般制定しました餘裕住宅の開放令とも稱すべきものの運用で、更に之に不備があれば改善をして、餘裕住宅は成べく之を開放する、庶民住宅に對しては、政府の財政的援助を成べく厚くして、勤勞大衆の住宅對策に資したい、それから又土地區劃整理の進行に伴ひまして、本建築が始まるやうになりますれば、不燃性の、所謂耐火性の建物を奬勵助成しまして、之に依つて限られた土地に多くの住宅が收容出來るが如くやつて行きたい、斯う云ふやうに考へて居る譯でありまして、是等に更に加ふるに、相當な又強化したことをしなければならぬと云ふ時期が參りますれば、それに相應して善處して行きたい、斯う云ふ考へで進んで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=45
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046・武藤運十郎
○武藤(運)委員 それでは復興院の關係は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=46
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047・本田英作
○本田委員長 大藏省の方がおいでになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=47
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048・武藤運十郎
○武藤(運)委員 御尋ねを致します、本會議で質問を致しました問題でありますけれども、今建築資金と致しましては、一萬圓と云ふやうに限られて居るやうでありますけれども、此の一萬圓で家が出來ると考へるかどうかと云ふ私の質問に對しまして、大藏大臣は、一萬圓では家は出來ないと思ふ、斯う云ふ御答辯でありました、併しながら家を建てることが、私は復興の一番大きな先決問題であると考へるのでありまして、家が建たなければ從つて復興はないと申しても過言ではないと考へるのであります、家を建てることは復興に必要欠くべからざる要件なのでありますからどうしても、是は建てなければならないと思ふのでありますが、若し一萬圓で家が出來ないとすれば、隨て出來るやうにしなければならぬ、言換へますれば、一萬圓で家が出來るやうに物價を下げるか、或は一萬圓の範圍内で出來るやうに資材を供給するか、或は其の兩方が駄目だとすれば、一萬圓以上必要なだけ、特殊預金なり、封鎖預金なりを解除してやるか、或は特別に住宅資金の金融をするかしなければ出來ないと思ふのであります、兎に角此の何れかの方法を執つてやらなければ家は出來ない、而も四百二十萬戸と云ふ不足の住宅に對しては、當局は、自分の方で背負つて立つて全部賄ふと云ふことは出來ないのであつて、是は民間でやつて貰ふ外はないのだと云ふことを云つて居るのでありますから、是はやはり民間で出來るやうにして貰はなければならぬと思ふ、以上三つか四つに亙りますけれども、只今申上げましたことに付て、大藏當局の責任ある御囘答を御聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=48
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049・上塚司
○上塚政府委員 武藤君の御質問に對して御答へ申します、建築資金の問題に付きましては、結局戰災保險金の問題と關聯すると思ひます、此の問題に付きましては、近き機會に於て經濟金融の措置對策が發表せられると思ひますから、其の時に明かに數字を發表するだらうと思ひますけれども、相當引上げられることと考へます、まだ此の點に付ては確實なる數字まで申上げることの出來ないことを遺憾と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=49
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050・武藤運十郎
○武藤(運)委員 新聞で見ましても、豫算委員會では、物價を急激に下げると云ふことは難かしいと云ふ風に大藏大臣が言つて居つて、結局現在の物價水準で行く外はあるまいと云ふ風に言はれて居ります、隨て一萬圓で家が出來ると云ふやうなことは、是は不可能な話でありますが、特殊預金の問題は、後でもう一度伺ひたいと思ふのでありますけれども、それ以外に、何等か金融を特別に貸付けると云ふやうな方法で、家を建てることに御協力なさる御考へはないでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=50
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051・上塚司
○上塚政府委員 戰災に遭つた人々が家を失して、非常に今日悲慘な状態にあることは、我々の日々目撃を致しまして、洵に同情に堪へない所であります、速かに建築が出來て、本當に生活を樂しむに足る安居の出來ることを期待するのでありまするが、之に對する特別の資金の融通等に付きましては、目下研究中であります、具體的な問題に付ては御答へが出來ませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=51
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052・武藤運十郎
○武藤(運)委員 特殊預金の問題に付て伺ひますが、住宅に關する限りに於きましては、先程御話しがありまして、金額は申上げられないと云ふやうな程度の御話しでありますけれども、大體に於て今どの位掛けなければ、制限だけの十坪乃至十五坪の家が出來ないと云ふことも、大藏省としては知悉されて居ると思ひますので、其の程度までは特殊預金を殘して置くと云ふ、さう云ふ御趣旨と拜聽して宜しいかどうかと云ふことが第一、それから特殊預金に關聯致しまして、それで建物を建てる資金又は生活資金と云ふ、さう云ふ面乃至角度から見ました特殊預金の、打切らないで殘して置く金額の問題でありますけれども、尚ほ燒けた者と燒けない者との公平を圖ると云ふ點から考へますと、例へば茲に二軒の家がございまして、一軒は燒けなかつたし、隣りの家は燒けた、さうして燒けた家は十萬圓の保險金を貰つて特殊預金になつて居ると云ふ風に、極く分り易い例で申上げますと、此の十萬圓の特殊預金は家屋、衣類、家具に代るべきものであると思ふのでありますけれども、それが全部打切られると云ふことになると、是は全部沒收されたことになるのであります、隨て國民負擔の公平と云ふ點から申しますと、もう一軒殘つて居る家は、國家で之を接收して、國有にしなければならないと云ふことになると思ふのであります、それから又十萬圓の中半額五萬圓殘して五萬圓だけ打切ると云ふことになりますと、此の家屋は半分だけは、國家で税金なら税金の名前、どう云ふ名前になるか分りませぬが、何等かの形で之を取上げると云ふことにならなければ、公平を失すると思ふのでありますけれども、さう云ふ點に付きまして、財産税なり、何なりの立場からは、燒けた者と燒けない者との公平は、どう云ふ風にして御圖りになる御積りであるか、特殊預金の打切問題が喧傳されて居りまするから、それと關聯して、大藏當局の此の點に關する御考へを承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=52
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053・上塚司
○上塚政府委員 武藤君の只今の御尋ねに依りますと、保險金を、國家の力で特殊預金を打切ると云ふことになれば、さう云ふ目に遭はない人、或は罹災しない人との間に非常に公平を失するぢやないか、それをどう云ふ風にして公平ならしむるか、平均せしむるかと云ふ御尋ねのやうであります、此の問題に關しましては、綜合的に司令部の方から言つて來て居る命令の線に沿ひまして作られる所の、所謂課税案と云ふものが實行せらるるのであります、燒けた人と燒けない人との間に、多少の不公平を起すかも知れませぬけれども、出來るだけ公平な方法に近い途を執つて居るのであります、まだ其の具體的内容に付ても、今日は申上げられないのを御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=53
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054・武藤運十郎
○武藤(運)委員 もう一點あるのですが、建物建築資金の面から見た問題でありまして、もつと具體的に申上げますと、今家を建てるのに、坪五千圓位掛ります、十坪の家を建てても五萬圓、十五坪の制限一杯の家を建てると七萬五千圓掛りますが、左樣なことを考慮されて、特殊預金を殘される御考へがあるかどうか、此の點を伺ひたいのであまりす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=54
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055・上塚司
○上塚政府委員 特殊預金の殘される範圍と云ふものは、さう云ふ點から色色と考慮して殘すと云ふ譯には參りませぬ、或る一定の限度に於て、日本政府が出來るだけの努力をしまして、さうして諒解を得ました所に止まるのであります、其の限度を得るまでには、相當の努力を致したことを御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=55
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056・武藤運十郎
○武藤(運)委員 それでは其の程度で打切ります
次に司法省の關係に付て御尋ねします、先程此の點は司法大臣にも一寸御尋ねをしたのでありますけれども、其の他の點に付ては民事局長から御答辯があるやうに伺つて居りましたので、重ねて民事局長に御尋ねを致します、本法は罹災建物の罹災、又は疎開建物の疎開當時の借主は、地主に對しまして優先的に賃借權の設定を受けることが出來る、借地權者に對しては優先的に借地權の讓渡を受けることが出來る、其の地上に建築せられた建物に付ては優先的に借家をすることが出來ると云ふ、所謂先借權と申しますか、優先借權と申しますか、それを規定して居るのでありまして、是は洵に結構なことでありますが、罹災又は疎開に依つて地方へ轉出した借主は、轉入の禁止、建築の制限、食糧難、乘車券の入手難等に依りまして、事實上優先權を行使することの不可能な實情にあるのでありますけれども、之に對して當局は如何なる方法を以て、借主の此の優先權を確保せんとするのであるか、若し適當な方策がないとするならば、此の規定は結局空文と申しますか、畫餅に歸するのではないかと考へられます、假に右の制約が解決せられたと致しましても、土地賃借權の設定、借地權の讓渡、借家契約等に當りまして、地主、家主から不當な權利金、敷金、家賃などを請求されたのでは、到底之を買受又は借受けることが出來ないと思ふのでありますけれども、此の點に付て如何なる御用意を持つて居りませうか、左樣な權利金等の授受を禁ずるなり、或は一定の標準を設けて之を制限するやうな御考へがあるかどうか、此の優先權確保の具體的な方策を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=56
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057・奧野健一
○奧野政府委員 御説のやうに、本法律案では罹災建物の借主或は居住者、さう云ふ者を第一に保護して居るのでありまして、それ等の所謂罹災者には借地權の優先的設定、或は借地權の強制的讓受を認め、之を保護しようとするものであることは、御説の通りでありまして、それ等の者が地方へ轉出して居つたが爲に、所謂轉入の禁止、建築の制限、食糧難と云つたやうなことで、轉入が出來ない場合に對する保護はどうするかと云ふ御質問でありまして、御尤もなことと考へます、轉入の點に付ては、現在の所、九月三十日までの間に於ても、食糧事情の緩和と云ふやうなことと相俟つて、轉入し得る可能性があると考へます、又本法に於きましては、今後一年間に於てさう云ふ保護の機會を與へて居りまするが故に、恐らくは其の間に於て轉入禁止等が解けて、轉入が可能になるのではないかと云ふ風に考へて居る譯であります、併し場合に依つては、それまでにも或は轉入が可能にならないやうな場合は、然らばどうなるかと云ふ風なことになるかと思ひますが、併し是は他面國家的見地からして轉入を禁止されて居ると云ふ場合は、之をも突破してそれを厚く保護すると云ふことは、國家の全面的政策から行きまして、其處まではやはり進み得ないのではないか、結局さう云ふ罹災の都市に居住を認められることを前提としての借主、或は前の建物の居住者と云ふことにならざるを得ないと思ふのでありますが、此の點に付て、御説のやうに徹底した保護と云ふことから言ひますと、それ等の者に對する取扱を別に考慮すれば宜いではないかと云ふ御趣旨になるかと思ひますが、此の點は、やはり國家全體的の政策と云ふものの制限の下に於ける保護と云ふことに相成るかと考へて居ります
第二點の、それ等の戰災者が借地權の設定なり、借地權の讓渡を受ける場合に於て、地主等から權利金とか、敷金とか、家賃と云つたやうなものの不當な要求の爲に、事實上借り得られないとか、或は保護を受けられないと云ふことになる虞はないかと云ふ御質問でありますが、地代とか或は敷金とか云ふことに付きましては、地代、家賃統制令が現在ある譯でありますが、現在の地代、家賃統制令は九月三十日限り效力を失ふことになつて居りますから、それまでには更に適當に改正された地代、家賃統制令の如きものが出るかと考へられますので、最高は其の法令に依つて制限を受けて、居住者等の保護が出來るのではないかと云ふ風に考へます、又其の他色々な條件等に付ても、當事者の協定が調はなければ、本案の第十五條に依つて裁判所が適正に之を定むることになつて居りますし、又其の當事者の協定があつた場合でも、それが著しく不當であります場合に於きましては、本案の第十七條に依つて、裁判所が其の不當なる條件を是正する途も開いて居りますので、旁旁、さう云つたやうな地主等からの不當な要求に對しては、相當の保護が加へられるものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=57
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058・武藤運十郎
○武藤(運)委員 第一の點に付きましては、轉入禁止が解除にならなければそれは仕方がないと云ふ、見殺しになるやうな御話でありますけれども、洵に遺憾のことでありまして、私は現に罹災都市に籍を持つて居る人も、復興に對しましては大きな役割を果して居り、今後も果すべきものであるとは考へますけれども、國家の命令で、或は自發的に疎開をし、或は罹災で轉出して居つた者の中には、都市に於ける非常に有力な、財産的にも、知識に於ても、中堅階級たる實力のある者が非常に多いのでありまして、左樣な者には是非入つて來て、都市の復興を擔任させることが宜しいと思ふのでありますけれども、何か一つ御考へ置きを願ひたいと思ひます
其の質問はそれで打切りまして、次は第二條に所謂「正當な事由」とは何かは云ふことを御尋ねしたいのであります、是は昨日神田さんからも斷片的に御尋ねがあつたけれども、私から重ねて民事局長に確かな所を伺つて置きたいと思ふのであります、此の「正當な事由」と云ふのは、洵にはつきりして居るやうで、實際に打突かりますとはつきりしない場合が非常に多い、從來御承知の通り、借地法及び借家法にも同樣の規定があるのでありますけれども、私共の經驗に依りますと、此の規定が必ずしも、居住者の利益に解釋されて居ない、のみならず地主、家主の方の利益に解釋されて、持主の恣意が、裁判所を通じて合理化されて實現されると云ふやうなことを見るのであります、例へば、是は自分の家で使ふからと云ふやうな名目で明渡しを求めると、裁判所は一人か二人證人を調べて、自分の家で使ふなら、それを正當な事由であると云ふことになるのであるが、其の外復員して來た者とか、或は分家をするとか何か口實を設けて、正當な事由に當嵌るものとして明渡しを求めまして、明けてしまふと直ぐそれを他に賣拂つてしまふ、人が入つて居つたのでは高く賣れない、それから安い家賃で貸して置いたのでは算盤に合はないと云ふ考へ方から、口實を設けて、裁判所を通じて明渡しをして、それを他に賣却する、或は高い權利金とか敷金、家賃を取つて他に貸す、さう云ふ例が非常に多いのであります、裁判所は判決をしてしまへば、後はどう云ふ風に實行されて居るかと云ふことは現場を見に行く譯ではないから御分りにならぬけれども、實際問題と致しましては、其の後に多くの問題を殘して居るのであります、今度のことに付きましても、私は此の正當の事由と云ふことに依りまして非常に拒絶される場合が多いと思ふ、それが問題になつた時には、一應それは裁判所に依つて正當な事由と認められて、拒絶されることになることが多いのではないかと思ふのであります、隨ひまして、漠然たる「自ら使用することを必要とする場合その他正當な事由」と云ふやうなことにしないで、此の際一つ制限列擧主義に改めまして、條文が少し長くなつても構ひませぬから、十でも十五でも項目を竝べて、此の場合以外はいけないのだと云ふ風にしてはどうかと考へる、此の點に付て御考へを承りたいと思ひます、尚ほそれが出來なかつた場合に、地主なり借地權者が、正當の事由と稱して賃借權の設定又は借地權の讓渡を拒絶した、其の正當の事由以外の目的に使つた場合、例へば地所を賣却してしまつた場合、借地權を他に賣却してしまつた場合、他の者に貸した場合、さう云ふ者に何か制裁を加へることを考へなければならないのではないか、之に付て御意見を承りたい、第三には、「正當な事由」として政府が現在考へて居られる所の例を、出來るだけ多く例示して御聽かせを願ひたい、私共は假に「正當な事由」と云ふ言葉の儘で法案を通過させるに致しましても、一つでも多くの例を參考として承りたいのであります、昨日古島政務次官から幾つかの例を御教示願つたのでありますけれども、尚ほもつと具體的に多くの例を聽かして戴きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=58
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059・奧野健一
○奧野政府委員 御説のやうに「正當な事由」と云ふ漠然とした用語である關係上、是が動ともすると地主等に依つて承諾を拒む口實に使はれる虞はないかと云ふ御質問でありますが、是は御承知のやうに借地法、借家法等に於きましても、現在「自ら使用することを必要とする場合その他正當な事由」と云ふ風に規定されて居りますので、大體今までの法律の建前を踏襲した次第でありまして、實は此の前まだ此の法律案として確定して居りませぬ際に、此の議院内で法案の下説明に參りました際にも、武藤委員から其の御話が出まして、何等か列擧的に成べく例示した方が宜いのではないかと云ふ御注意もあつたと記憶致します、そこで其の當時は漠然と「正當な事由」と云ふだけであつたのを、特に今囘は「建物所有の目的で自ら使用する」と云ふやうに、更に絞りを掛けまして、一番正當な理由とする例を、自ら單なる使用と云ふことでは如何にも漠然となるので、「建物所有の目的」と云ふ絞りを掛けて、其の正當の事由の例、標本を示すと云ふことに致したのであります、併しながら總ての場合を網羅して列擧すると云ふことは、非常に彈力にも欠けますし、色々な場合を豫想し、色々な事情が發生しますので、總ての場合に適合するやうに立案すると云ふことは非常に困難でありまして、是は所有者の方の事情もあり、或は借りる方の事情もあり、或は社會的な事情もあり、色々な要素を加へて正當な判斷をしなければなりませぬので、結局は甚だ曖昧ではありますが、「其の他正當な事由」と云ふことを規定しなければならなくなつた次第であります、而して「建物所有目的で自ら所有することを必要とする」と云ふやうになつて居りますので、單に自ら使用したいのだと云ふやうな、單なる希望であるとか、それを口實にして拒むと云ふことは許されないので、さう云ふことを必要とする客觀的事情がなければならないと云ふことになりますので、單なる口實とか希望と云ふやうなことで、之を拒むことが出來ないと云ふことになるかと考へます、そこでさう云ふ場合に爭ひになつた場合に於ては、裁判所に於きましてはさう云ふ點を十分調査の上、單なる口實であるか、眞にさう云ふやうな必要とする客觀的事實があるかどうかと云ふことを、選別して判斷すると云ふことにならうかと思ひます、勿論正當でない事由で斷つて居る場合は、其の拒絶の意思表示は無效であつて、寧ろ申出の側に對して承諾ありたるものと看做されることになる譯であります、恐らくさう云ふ場合には、更に爭ひが起きて、本案の第十五條等に依つて、裁判所が其の場合を判斷すると云ふことにならうかと思ふのであります、其の場合には、裁判所はさう云ふやうな口實でなく、眞に自ら使用しなければならない必要があることを確定して、切めて申出を受け、拒絶することが出來ると云ふことを確定する譯でありますが、さう云ふ意味で、大體さう云ふやうな濫用的な口實は、是は排斥されることにならうと思ひますが、若し誤つて、裁判所の方で正當な事由あるものと云ふ風に判斷されました場合に、其の後地主等に於て自ら使用しないで、他に賣却するとか、他の者に使はすとか云ふやうになつて參りますと、其の時は更に事情が變更した譯でありますから、一年以内でありますれば、改めて第三條に依つて申出が出來るものと考へて居ります、さう云ふ次第でありますから、大體に於て、別に此の場合に特に制裁規定を設けると云ふことに致さなくても、十分に保護は與へられるものと云ふ風に考へて居ります
次に成べく具體的に其の正當な事由を例示しろと云ふ御主張でございますが、是は結局は各具體的事案に付て、諸般の客觀的事情を考慮して決しなければなりませぬので、總ての場合を此處で網羅致すことは困難と考へます、少くとも正當な事由の最も代表的なものとして掲げられてありますやうに、土地の所有者が建物所有の目的で自ら使用しなければならない必要があるやうな場合、其の外それに相應するやうな重味のある事由を意味して居るものであると考へて居ります、今のは土地所有者の方の正當な事由でありますが、是はやはり借受ける方の場合も考へなければなりませぬ、或は借受けようと云ふ者の方が權利濫用的に、或は今までに於て非常に不信の行爲等があつて、今後さう云ふ者と借地關係を繼續して行くことは、客觀的に見て不當であると云ふ風に思はれる場合も、或はさう云ふ正當な事由に入るものと考へます、即ち申出の方で自分で建物を所有して其の土地を使ふと云ふ積りもないのに、逆にそれを口實にして居ると云つたやうな場合、或は又七條等に依つて、正當な事由がなく建物の建築に著手しない前に解除せられたにも拘らず、更にそれに追掛けて申出をした、其の間何等の好轉すべき客觀的事情もないのに、又再び申出をしたと云ふやうな場合は、以前の情勢等から見て、さう云ふものを拒むことも、或は正當な事由と云ふ風にも見えるぢやないかと思ふのでありますが、具體的に、列擧的に只今御示し致すことは困難でありまして、要は具體的事情に依つて、而も客觀的事情を判斷する、即ち所有者の側竝に相手方である借受ける方の側のみならず、更に一般的の社會的等の客觀的事情を綜合判斷して、正當な事由と見られるか否かを決定することにならうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=59
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060・武藤運十郎
○武藤(運)委員 念の爲に御伺ひして置きます、さう致しますと、正當な事由と稱して拒絶をして、一年間放置して置きまして、外へ貸すか、賣るかしてしまつたと云ふやうな場合には、最早住居を保護すると云ふ點に於ては、救濟の途がないことになるのでありませうか、それからもう一つ「正當な事由」の引例の場合に御説明があつたのでありますけれども、借主側の方に付ても、正當な事由があるかないかと云ふことを、御調べになると云ふ御趣旨ではないのでせうね、御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=60
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061・奧野健一
○奧野政府委員 只今御話のやうに、正當な事由が事實ないのに、之を拒んで、放置して一年經つた場合に、借地權は事實上なくなるのではないかと云ふ御話でありますが其の場合には、正當な事由なくして拒んだ場合で、其の拒絶は無效でありますから、其の時には此の第二條の第二項の規定に依つて、當然に承諾をしたものと看做されて、借地權は設定されて居る筈でありますから、其の點に付て爭ひがあれば、借地權存在の確認の訴へと云ふことに依つて借地權が保護されて行くことになり、なくなる譯ではありませぬ、第二の、此處に現はして居るのは、專ら土地所有者側の正當な事由を初めの方には規定して居りますが、「その他正當な事由」と云ふ中には、廣く或は借りる方の關係、或は其の他の社會的事情と云ふ、諸般の事情が判斷されて、正當なりや否やと云ふことが判斷されますから、さう云ふ借りる方の事情も考慮の對象になるものと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=61
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062・武藤運十郎
○武藤(運)委員 是は其の程度にして、其の次に、本法案の設定賃借權と云ふやうな名前で呼びますが、それは借地法上の借地權と本質を異にするものであるかどうか、設定賃借權の存續期間を特に十年とし、借地法上の借地權の存續期間たる六十年乃至三十年と區別される理由は何處にありませうか
それから賃借權の有償設定を禁ずるかどうか、若し之を禁じないとするならば、相當な金額が授受されると思ふのであります、例を申しますれば、現在銀座あたりでは坪三千圓から五千圓の金額が授受されて居りまして、二十坪の借地權に付て六萬圓乃至十萬圓も取引が行はれると云ふやうな實例が多いのであります、左樣な場合には、期間の點、更新の點、其の他一切借地法上の借地權と同一に取扱つて居住者を保護するのが妥當ではないか、此の點に付て御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=62
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063・奧野健一
○奧野政府委員 本法案に依つて設定せられる借地權に付ては、第五條の規定に依つて、唯其の存續期間のみが、借地法第二條の規定に拘らず十年とすると云ふことに致した譯でありまして、其の存續期間以外の點に付ては、總て借地法の規定が適用せられる積りで立案を致しました、さう云ふ譯でありますから、更新の場合等に付て、二十年と三十年と云ふやうなことに付ても、やはり借地法の規定が其の儘適用されることになると考へて居ります
次に何が故に其の存續期間を十年と致したかと云ふ御質問でありますが、此の點は罹災者の保護、或は生活の保護と云ふか、さう云ふ目的から致しますと、二年、三年と云ふのでは餘りに短きに失するのではなからうか、又餘りに短いと折角建築をしようと云ふ意欲が──折角建てても三年や、五年で取拂はれると云ふことになると、折角建築致さうと云ふ復興に志す復興意欲を阻碍することにもなりまするので、餘り短か過ぎることはいけない、併しながら一面是は土地の所有者、或は借地權者から、半強制的な意味に於て、其の所有者等の意思を強制して設定を受けたり、讓渡を受けたりする關係もありますので、餘り長くても所有者等の所有權を不當に侵害することにも相成りまするので、是等の兩者の關係を考慮し、更に現在建築せられつつある建物の耐久力等をも考慮に入れ、或は資材等の入手状況等も勘案致しまして、大體十年程度持續すると云ふ風に見て、十年と規定したのであります、勿論相當堅牢なものであつて、十年の期間が到來した後も十分持續の出來るやうなものであれば、借地法の第四條なり、第七條の規定に依つて更新を致されることになり、更新の場合は先程申しましたやうに、二十年、三十年と云ふ風に延びることになります、又十年の期間内に建物が朽廢するやうなものであれば、朽廢に依つて借地權は消滅すると云ふことは、第五條第一項但書に依つて規定して居る次第であります
次に借地權の有償設定は認めるかと云ふ御質問でありますが、是は第二條等にも明かにありまするやうに、「相當な借地條件で、その土地を賃借することができる。」ことになつて居りまして、「相當な借地條件」と云ふ中には、借地權の設定の對價と云ふやうなことも含むものと考へますので、御質問の借地權の有償設定と云ふか、それは認めることになります、尤も其の條件は相當な借地條件でなければなりませぬので、それが不當である場合に於ては、十五條なり、十七條等に依つて之を是正する途を、或は設定の當時に於て、其の點に付て裁判所が適當な條件に之を決める、或は一旦決まつたものが著しく不當であれば、十七條に依つて之を是正すると云ふ途を開いて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=63
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064・武藤運十郎
○武藤(運)委員 それでは其の次の質問に移ります、借主が地主又は借地權者に對して建物買取請求權を行使した場合に、形成された建物の、所謂時價の標準を何處へ置くかと云ふことを伺ひたいのであります、建物、建築の實費は、終戰當時に於きまして、坪當り千圓から千五百圓でありましたけれども、最近に於きましては三千圓、五千圓、或はそれ以上を要するのでありまして、十五坪の「バラック」でありましても、五萬圓から十萬圓も掛ると云ふ風な實情であります、之に付て爭ひがあつた場合に、如何なる標準で其の金額を定めるかと云ふことを伺ひたい趣旨なのであります、從來の經驗に依りますと、裁判上鑑定に掛けましても、借地權を含まないと云ふやうな考へ方から、上物だけの値段、所謂焚物にも等しいものでありまして、實際掛けた金の十分の一にも足りない、之を他に賣却する價格の十分の一にも足りない、さう云ふ鑑定の結果が出ることが常でありまして、裁判所は大體に於て其の鑑定に從ひまして裁判をすると云ふのが、是れ亦例であります、司法大臣は本會議に於きまして、裁判所は必ずしも鑑定の結果に拘足されるものではないのだから、心配は要らないと云ふやうなことを、何處か鑑定委員の問題に付て御説明がありました、さう云ふ場合もなきにしもあらずではありますけれども、大體に於て其の鑑定に從ふのでありまして、さう云ふ場合に於きまして、借主は非常な不利益を蒙ることが多いのであります、當局は此の價格の點に付きまして、從來のやうなやり方で時價を決せんとするのであるか、それとも實際掛つた經費を標準とするなり、當時の賣買價格を標準とするなりして決めるものであるかどうか、此の點を伺ひたい、關東大震災後の區劃整理の際の實例を考へて見ましても、是は民事局長や政務次官も私以上の先輩として、隨分御經驗の多い所でありませうけれども、當局からは、居住者に對して一定期間内に「バラック」を除却すべき旨の命令が出て來まして、地主及び家主からは「バラック」及び住居、土地の明渡しの訴へが出まして、兩方から挟み撃をされ、居住者は二束三文で建物は向ふへ取られてしまふ、さうして居住權を失つてしまつて、路頭に迷ふと云ふ例が非常に多かつたのでありますが、此の點に付てどう云ふ風な御方針で居りますか、大綱を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=64
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065・古島義英
○古島政府委員 私の御答へでは定めしお氣に入らぬことでありませうが……是、隨分人に依つては見方が違ふのであります、場合に依ると全く權利がないのに、居住者を保護するの餘り、焚付に等しきものを、そこに現存するもの、そこに借地權があつて正當な權限を持つて居住して居るものと誤解を致しまして、無理な要求をすると云ふ立場もあるのであります、併しながら本法に於ける買取請求の價格等は、決して焚付同樣のものだと云ふやうなことでやるやうなことはありませぬ、少くとも此の場合に於ては、其の場所に家屋が建ち得られるもの、其の場所にあると云ふことを前提に於て鑑定を致し、査定を致しますから、質問の如き、さう云ふ焚付同樣のものだと云ふやうなことには相成らぬのであります、又左樣なことに指導する積りで居りますから、御安心を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=65
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066・武藤運十郎
○武藤(運)委員 もう一つ伺ひたいのでありますが、第七條に「六箇月を經過しても、正當な事由がなくて、建物所有の目的でその土地の使用を始めなかつたときは、土地所有者又は借地權の讓渡人は、その賃借權の設定契約又は借地權の讓渡契約を解除することができる。」斯う云ふことになつて居りますが、借地權の讓渡契約の解除の場合に、解除しますると元の借地權者、詰り讓渡人が又再び借地權者になるのでありませうけれども、其の際に於ける地主の承諾の問題は、どう云ふ風になるのでありませうか、最初の讓渡のことに付きましては、「承諾したものとみなす」と云ふ風な規定があるやうでありますけれども、解除の場合に付きましては、何にもないのでありますか、其の點の御解釋を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=66
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067・奧野健一
○奧野政府委員 其の點に付きましては、地上權の讓渡は、所謂準物件的法律根據と云ふことに相成りまするので、其の物件的法律根據を解除すれば、初めより讓渡なかりしことになりますので、當然復歸する譯でありまして、其の間更に再讓渡と云つたやうな關係に立たないので、解除に依つて當然元に復舊、復活すると云ふことになります、讓渡と云ふ關係になりませぬから、地主の承諾と云ふことは必要がないと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=67
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068・武藤運十郎
○武藤(運)委員 さうしますと借地權は地上權の場合だけで、賃借權は含まないでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=68
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069・奧野健一
○奧野政府委員 地上權の場合も賃借權の場合も、雙方含むのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=69
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070・武藤運十郎
○武藤(運)委員 最後に從來鑑定委員は、此の條文にもあります通りの趣旨で、十九條の「地方裁判所長が、毎年豫め、特別の知識經驗のある者その他適當な者の中から選任した者」と云ふやうな、條文は同じであるかどうか知りませぬが、大體同じやうな特別の知識經驗と云ふやうな名目で、選任をして居るやうでありますけれども、選任された結果を見ますと、地主、家主、官吏、軍人の古手と云ふ風なものが非常に多いのでありまして、居住者、借主は殆ど入つて居らないと言つても宜い位少いのでありますが、今後居住者を入れることに付きましては、本會議で司法大臣の御説明を承りましたけれども、今後に於きまして居住者同盟とか、或は借家人組合とか、相當組織された團體が出來て參りました場合には、其の役員なり幹部なりを特別の知識經驗のある者其の他適當な者の中に含めまして、選任參加させることがあるかどうか、詰り農民組合の幹部を割當委員として供出の割當に參加させると云ふやうな一つの例でありますけれども、同じ意味に於きまして、さう云ふことをなさる用意があるかどうか、之を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=70
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071・古島義英
○古島政府委員 只今の御質問は、午前中に林連君に答へたのとちつとも變りませぬから、どうかそれを御參照を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=71
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072・武藤運十郎
○武藤(運)委員 是は司法省の管轄になるかどうか知りませぬが、若しさうでなかつたらば外の省へ伺ひたいのでありますが、最近地代、家賃の値上が頻々として行はれて居るのでありますけれども、當局は値上を許したのかどうか、近い將來に於て許す積りなのかどうか、許すとすれば其の程度はどうなるのか、家賃、地代統制令に代るべき稍稍向上的な地代制限令、家賃制限令のやうなものを出しまして、地代、家賃の適正を圖る意思があるかどうかと云ふことを、司法省の御管轄ならば伺ひたいし、若しさうでなかつたならば宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=72
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073・奧野健一
○奧野政府委員 所管と致しましては復興院の所管になつて居りますが、現在地代、家賃統制令が儼として存する譯でありまして、當局と致しましては、それに違反した高率な地代、家賃を認める積りはございませぬ、而して地代、家賃、現在の統制令は九月三十日を以て失效することになつて居りますが、其の間に是の改正──どう云ふ形式になりますか、勅令になりますか、或は法律になりますか、改正法案を制定される豫定になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=73
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074・武藤運十郎
○武藤(運)委員 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=74
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075・本田英作
○本田委員長 本日は此の程度で散會致します
午後三時十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00319460802&spkNum=75
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