1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年八月六日(火曜日)午前十時二十分開議
出席委員
委員長 本田英作君
理事 石原圓吉君 理事 鈴木仙八君
理事 武藤運十郎君
廣川弘禪君 九鬼紋十郎君
佃良一君 金井芳次君
大矢省三君 鹿島透君
酒井俊雄君 中田榮太郎君
出席政府委員
内閣事務官 大橋武夫君
内務事務官 中田政美君
司法政務次官 古島義英君
司法事務官 奧野健一君
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本日の會議に付した議案
罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=0
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001・本田英作
○本田委員長 開會致します、質問を續行致します──鹿島君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=1
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002・鹿島透
○鹿島委員 簡單に二、三點質問致したいと思ひます、第一に、本法にありまする所の建物と、市街地建築物法で云ふ建築物とは同じ行き方でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=2
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003・中田政美
○中田政府委員 同じであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=3
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004・鹿島透
○鹿島委員 尚ほ現在建つて居る極く粗末な「バラック」は、市街地建築物法の一時的建物であるか、或は又戰時罹災土地物件令で謂ふ假設建築物でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=4
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005・中田政美
○中田政府委員 現在の建てられつつある「バラック」は、御質問の通り假設建築物に相違ありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=5
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006・鹿島透
○鹿島委員 現在建つて居る建物が、假設建築物に相當しますと、戰時罹災土地物件令の第四條の一項で是は認められることになつて居ますが、併し本法附則の第二十九條の一項に依つて、本法施行後一年間しか認められないと云ふことになつて居るやうであります、此の點は果してさうであるかどうか、御伺ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=6
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007・古島義英
○古島政府委員 御質問の通り一年間認められる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=7
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008・鹿島透
○鹿島委員 さうしますと、現在のああ云つた「バラック」は、一年後に於ては禁止をされる御積りであるか、其の點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=8
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009・古島義英
○古島政府委員 それは必ずしも建ててあるものを破壞すると云ふやうな意味はありませぬが、恐らく借地權を取得するやうなことになれば、改築をするやうなことになるのではあるまいか、是は私の方の、此の法律の建前から言へば、一年間は其の儘で宜しいが、一年後は必ず建直せと云ふ意向もないのであります、此の法律では約束しないことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=9
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010・鹿島透
○鹿島委員 私が特に聽きたいのは、一年後に於て、やはりああ云つたやうな「バラック」を御許しになる積りか、それとも戰災復興院の方としては、本建築を之にやられるのであるか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=10
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011・中田政美
○中田政府委員 現在の「バラック」を一年後に於ては認めるかどうかと云ふ問題に付ては、現在御審議を願つて居る臨時處理法案の一年とは必ずしも一致しない譯であります、是は土地區劃整理の進捗状況、それから本建築を許す場合の資材の客觀情勢、さう云ふものに依りまして、「バラック」の存續期限と云ふものは、其の方面から又判斷して行かなければならぬことになりまかすら、必ずしも一年に限定した譯ではございませぬし、又現在許可致して居りまする許可條件に於ても、一年とは限定する譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=11
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012・鹿島透
○鹿島委員 さうしますと、斯う云ふ點に疑念があるのでございます、現在の「バラック」は戰時罹災土地物件令で認められて居ると考へます、所がそれに代るべきものが本法でありますので、そちらの方に規定がなければ、何か「バラック」を許すと云ふ法的の根據がなければ、市街地建築物法と牴觸しやしないかと思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=12
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013・古島義英
○古島政府委員 本當の狙ひどころは、建物の構造等にはないのであります、其の整地を使用することの權利が狙ひどころなんでありますから、其の權利を持つて、或は權利を讓受け、權利を取得した者が其の上に建てる場合に於ては、どのやうな建築を建てるかは、別の法規に依つて制裁は受けませうが、本法に於ては何等の拘束は致さないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=13
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014・中田政美
○中田政府委員 尚ほ私からも補足して御答へ申上げます、御質問の點は、根據法がどうかと云ふ問題でありますが、現在市街地建築物法に依つて、防火地區に指定されて居る地區内には、御説の通り所謂「バラック」、假設建築物と云ふものは存續して建てられないことになつて居ります、唯市街地建築物法の施行規則の第百三十五條の二の規定に依りましては、地方長官は防火地區内に在る建物にして一時の使用に供するものは、必要な處分をなすことが出來ると云ふ緩和規定がありまして、此の規定の運用に依つて、防火地區内と雖も假設建築物が或る程度許されると云ふことに現在なつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=14
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015・鹿島透
○鹿島委員 防火地區の方は、只今の御説明で分りましたが、其の地區外に於ても、現在存するやうな「バラック」は、構造上から申しましても、衞生上から言つても、色んな點に於て建築物法に牴觸すると思ひますが、其の方の規定は、市街地建築物法の施行規則の第百四十九條の二に依つて大體現在は行けると考へて居るのですが、併しさうであるとすれば、是は其の區域を指定しなければならぬと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=15
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016・中田政美
○中田政府委員 只今の御質問の點が若干分り兼ねますので、もう一囘御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=16
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017・鹿島透
○鹿島委員 現在の「バラック」及び今後許される「バラック」、それを造る法的根據如何と云ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=17
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018・中田政美
○中田政府委員 是は現在の法規で「バラック」を許可すると云ふことは差支ないやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=18
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019・鹿島透
○鹿島委員 現在の法規と云ふのは、市街地建築物法でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=19
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020・大橋武夫
○大橋政府委員 市街地建築物法の規定は、戰時中實質的に停止せられたものが多く、此の間の建築の取締に付きましては、從來防空法に依つてやつて居つたものが多いのでございます、此の防空法は前囘の議會に於きまして廢止の法律案が出て、慥か本月の初めから廢止になつたと思ひます、其の後の建築物の取締の關係に付きましては、都市計畫法に依りまして勅令を以て取締を致したい、斯う云ふことで只今勅令案を準備致して居ります、何れ其の中に於きましては、現在の情勢が繼續されまする限り、當分の内現在の「バラック」に對する制限、即ち十五坪の制限、或は又構造上の緩和とか云ふ取扱に付きましては、現在の取扱のやり方と同樣のやり方で、當分續けて行きたいと思つて居ります、斯う云ふことで、近く此の勅令が制定される豫定になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=20
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021・鹿島透
○鹿島委員 まだはつきり致しませぬけれども、併し質問が咄嗟でありましたから、御研究の餘地がないと思ひますが、尚ほさう云ふ點は御研究下さいまして、「バラック」でありましても、私は幾らか構造方面、衞生方面の規定がありませぬと、中々今後うるさい問題が起つて來はせぬか、そんな風に考へますので、さう云ふやうな勅令を御出しになるのならば、成たけ早く御出しになる方が宜いぢやないかと云ふ風に考へる譯であります
次に御伺ひしたいことは、只今の御答辯で、現在ある「バラック」及び今後建てる「バラック」、それは許されると云ふことでありますが、迚も斯う云つたやうな「バラック」は、もう現在でも、建てる直ぐから見方に依つては既に朽廢して居ると云ふやうに見ても差支へないものもございます、此の法案は十年以内に朽廢した場合には借地權を失ふとなつて居りますが、恐らくああ云ふ不完全なものであつたならば、十年以内に殆ど朽廢に達しはせぬか、朽廢と云ふことの解釋鑑定が相當問題になると思ひますが、從來色々の法規にありました所謂朽廢と、今度の第五條の建物の朽廢、此の鑑定に付てどう云つたやうな御考へを御持ちになつて居りますか、其の點に付て御伺ひを致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=21
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022・古島義英
○古島政府委員 第五條に依る建物の朽廢は、自然的の力に依つて腐朽した時を意味するのであります、即ち自然的の力でなく、一時的若しくは何かの災害に依る滅失等は含みませぬから、自然的の朽廢、腐る、腐つたと云ふやうな、若しくは自然的に腐つて倒壞すると云ふやうな意味を言うて居るのでありまして、其の他の意味は入りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=22
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023・鹿島透
○鹿島委員 私も曾て朽廢の鑑定を頼まれたことがあるのでありますが、今御答へがあつたやうに、自然的に腐つたと云ふのでありますけれども、腐る腐らぬと云ふことよりも、私は果して建物が、例へば住宅でありましたならば、中に入つて居て危險であるかどうかと云ふことが一番問題でありまして、さう云ふ點に鑑定の一番大事な點があると思ひます、さう致しますと、是はもう數年經つたならば、所謂自然的に腐らぬまでも、住むに堪へないやうな危險な建物になりはせぬか、そんな風に思つて居ります、是は「バラック」を造る者に付ては非常に大事なことでありますから、此の鑑定に付ては、十分一つ委員會に於て、借家人に有利な鑑定があるやうに希望したいと思ひます、其の點はそれだけにして置きます、それから臨時建築制限令でありますが、是は別に地區等のことは書いてありませぬから、全國的に此の制限令は適用されるものと思ふのであります、是は何時頃廢止される御見込であるか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=23
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024・中田政美
○中田政府委員 大體一年と云ふ差當りの法令として考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=24
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025・鹿島透
○鹿島委員 それで大體安心しましたが、罹災都市に於ては是でまあ宜いと私は思ふのでありますけれども、さうでない非戰災都市及び農村方面等に於ても是が適用されて居る譯であります、それに依りますと住居、店舖等は一戸當りの床面積が五十平方「メートル」を超えてはならないとなつて居りますが、是は所謂非戰災都市なり、或は地方に於ては非常に困つて居るのであります、尤も是は地方長官の認可に依れば建てられるのでありますけれども、成たけ非戰災都市なり農村等に於ける建物は、此の規定はありますけれども、特別に是は認めて貰つて、之を超した所の建築が段々出來るやうに御考へを御願ひしたいと共に、地方の實情から申しますと、家を造りたい、併し何しろ十五坪ではどうにもならぬ、資材等もあるので、造るならばもう少ししつかりしたものを造りたいと云ふ氣分が多いので、それ等の點に付ても御考慮を煩はしたいと存じて居ります、尚ほ臨時建築制限令に於て、一年間はやはり所謂「バラック」が許されることと思ふのでありますが、施行規則の三條の第四號にあります共同住宅、下宿屋、寄宿舍、公衆食堂、公設市場、其の他がありますが、是等もやはり「バラック」を御許しになる積りでありますか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=25
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026・中田政美
○中田政府委員 是は勿論市街地建築物法の適用内にある譯でありますが、併しながら戰災都市に於きましては、必要に應じて「バラック」をも認めなければならぬ、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=26
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027・鹿島透
○鹿島委員 それから戰災都市の學校等の建築は、やはり市街地建築物法に依るものかどうか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=27
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028・中田政美
○中田政府委員 其の通りだと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=28
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029・鹿島透
○鹿島委員 それから、もう一つ其の點で御伺ひしますが、公設市場と云ふのは、是は色々解釋の仕樣があると思ふのですが、其の點御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=29
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030・中田政美
○中田政府委員 是は所謂公設市場であります、或は市町村とか、或は各種の食糧品の統制團體等の承認を得て、公的團體が設けるやうな市場とか、之に付て別段の趣旨はありませぬ、普通の公設市場であります、唯よく此の頃見受けますのは、小廻りにして、店舖住宅併用の、十五坪のものを長く作つて行くと云ふやうなのがございますが、其の意味とは、公設市場は違ふのは勿論であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=30
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031・鹿島透
○鹿島委員 大體分りましたが只今御答辯がありましたやうに、所謂公設市場に名を籍りたやうな店舖が相當出來て來はせぬかと云ふやうに考へるのでありまして、是は特殊の者が、全く公益に反する所の奢侈的な立場から建てて居るものがありはせぬか、又今後そんな計畫も其の方にありはせぬかと云ふ心配がありますので、其の點を御伺ひしたのであります
それから最後に御伺ひしたいことは住宅營團のことでありますが、是も先日の本會議で總裁から、營團に付ては色々改善すべき點があるので、今其の考究中で、何れ近い中に何とかしたいと云ふやうな御答辯もありましたが、やはり地方に於きましても、當地は知りませぬが、相當此の營團の仕事はうまく行つて居りませぬし、尚又色々な點に於て餘り評判が好くないのであります、それで折角出來ましても、それを利用する者が非常に少いとか、或は建てましても、軈て一寸した颱風等でそれが壞れてしまふと云ふたことは、全く多額の金と資材を、謂はば極端に申すと浪費をすると云ふことになりはせぬか、寧ろ地方の中小都市に於ては、營團の金を地方の住宅組合等にやりまして、さうして住宅組合の方へやらした方が宜いのではないか、其の方が本當にしつかりした家も出來、又自分の好むやうな家も出來ますので、地方の實情に適して居りはせぬかと云ふやうに考へるのでありますが、先日も總裁から目下考究中であると云ふ御話でありましたが、其の後之に付て何等かの方策が決まつて居るかどうか、其の點を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=31
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032・中田政美
○中田政府委員 住宅營團の改善に付きましては、色々と考へなければならぬ點があることは御承知の通りでございます、此の住宅營團も、戰時中に於きましては、戰時の必要上各種の軍需工場等の勞務者住宅を建設すると云ふやうな當面の必要上から致しまして、可なり全國的に廣く、地域から申しますと、非常に偏鄙な所にも住宅を建てると云ふやうな仕事に大童になつて居りました關係上、どうしても戰時に於ける營團の活動状況と云ふものは、終戰後の今日となりましては餘程變へて掛らなければならぬと云ふ點は確かにあるのでありまして、是等に付きましては、住宅營團の活動部面と云ふものは、只今御質問の御趣意の如く、主として地方の住宅建設は、地方の公共團體なり、或は場合に依つては貸家組合等比較的に信用ある、而も早くやれると云ふ方面に成べく之を委讓して、住宅營團の如き大組織のものは、最も困難な戰災大都市方面に精力を集中すると云ふことの必要を認めまして、先程此の根本原則に付て、計畫なり、或は機構の改善案を樹立するやうに、住宅營團に命じて居るやうな譯でございます、又其の他住宅營團の世帶が餘り大きくなりましたので、どうしても各支所毎の活動が必ずしも本部の意の如く動かないと云ふやうな點も見受けられるのでありまして、是等に付きましては本部に於て各支部を作つて、有機的に全體の營團の機能が運轉するが如く、機構改革等に付ても現在檢討を加へて居りまして、成べく近い中に營團の内容の改善なり、やり方の惡い所に付きましては、是正を加へるが如く、折角現在努力して居る次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=32
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033・鹿島透
○鹿島委員 色々御答辯を戴きまして、大體了承致しました、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=33
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034・本田英作
○本田委員長 鈴木仙八君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=34
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035・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 本法案に關聯致しまして、司法當局に大體三、四點御伺ひ致したいと思ひます、先づ第一は、此の法案が既に新聞紙上に現はれ、不當な地主は從來のものに附加して、權利金、地代等を多く取り難い、其の爲に此の法律の公布以前に他の者に多額の權利金を取り、又地代を高く貸して居るのが相當ありまして、此の法律の公布に依つて紛爭が激しくなるのではないかと云ふ虞が多分にありますが、政府は是等に對して、如何に之を防止するか、其の御考へを承りたいと思ひます
それからもう一つは、甲が建築の目的を以ちまして乙の戰災空地を買受けた所、終戰になりまして、乙の借家人は、是が同居人が甲の建築に不同意の注意にも拘らず終戰後此の土地に對し建築物を設定致しました、然るに甲は該土地に對し建築物設定の認可濟にて、速かなる立退きを必要とするも、中々肯せず、さうした場合、不法建築者に對する政府は處置をどう致しますか、此の點を御伺ひ致したいと思ひます
それからもう一點は、建築疎開に掛りました建築物、又疎開をせざる間に戰災燒却をなして、借地權者は疎開解除の見透しを付け、即刻地主に對し從前通り是が使用を願出で、契約に至らざる内終戰になりまして、疎開解除となり、地主は借地權者の申出を言を左右に託して承知をせず、再使用の場合は高額の權利金と、頗る高額の地代を要求をして參ります、斯うした場合、地主の取扱に對して政府の御見解はどうでありますか、此の點も御伺ひしたいのであります
それから甲の所有地又は借地權設定土地が、戰災に依り其の建築物は燒却をし、未だ復興するに至らざる間に、乙は戰時非常措置令に依つて所有者又は借地權者に無斷にて、而も當局の建築許可を得て、建築住居せる場合、及び其の土地が甚だ利用價値高く、甲より乙に對し、是が撤去を希望せる場合、當局としては之を如何に御取扱ひになるか、先づ以上四點に付て御答辯戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=35
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036・古島義英
○古島政府委員 第一の此の法律が施行されることを前提として、土地を賣却したと云ふやうな御話でありますが、さう云ふ場合に於きましては、其の弊害を除去する考へで、昭和二十一年の七月一日以後に賣買した者に向つては、此の借地權を讓受けた者は對抗が出來ることに致したのであります、即ち昭和二十一年の七月一日以後と決めましたのは、丁度貴族院に此の法案の掛かりましたのが七月十日と記憶致して居ります、此の法案の綱領等が大體世間に分りましたのが六月の終りであります、そこで六月の終りに新聞等にも載りましたから、恐らくさう云ふ巧いことをやる地主は、其の當時に所有權の移轉をした者がありはせぬかと云ふことを心配致しまして、七月一日以後に動かしたものに對しては、其の權利の對抗が出來ることに致したのであります、之を以て防げることと思つて居ります
それから第二の、權利なくして何等借地關係に立つて居らない者が、そこに勝手に家屋を建てたものに對する處置をどうするかと云ふ御話でありますが、是は全くの不法占據者でありまして、又其の前に敷地の上に家屋があり、其の家屋を借りて居つた者でありますれば、本法の適用を受けるのであります、即ち借地權の讓渡を望むなり、或は改めて地主に貸して呉れと云ふことの申出をすることが出來るのであります、其の申出をすることの不適格者が其處に建物を拵へた、或は假設建築物を拵へた場合は、全くの不法占據でありまして、先般來此の問題は、大分議論が出たのであります、一方に於ては之には何とか強權を以て收去されるやうにしなければならない、一方に於ては、さう云ふものと雖も一應は保護しなければならない、其の見解に基く御質問等もありましたが、法律の建前と致しましては致し方がない、保護すると云ふことは中々出來ませぬから、是には調停を申立てるなり、裁判上の手續でやるより外はないのでありますが、裁判上の手續でやり、調停でやることになれば、相當時間が掛かりますので、不法占據された者の權利は滿足に保護されないことになります、さればと言つて、之に強權を以て直ちに收去させると云ふことになれば、今日資材の洵に不自由な時に、どんな「バラツク」と雖も建てて、そこでつまらないものの商ひでもすることは、其の人の生活の資料でありますから、其の生活を脅かすと云ふことにもなり、折角そこに拵へたものを強權でやることになれば、或は暴力沙汰にもなり兼ねないと云ふ状況がありまするから、まさか是は不法占據だからと云つて、強權を以て腕づくで取壞すと云ふことは出來ぬのであります、やはり法律上の規定に基いてやるより外ないと思ひます
それから第三の、借地權のない場合に相當するのでありますが、甲が其處の上に建物を持つて居つて、それが戰災に依つて燒却し、若くは疎開に依つて取拂はれた、其の跡に乙が行つて家屋を建てると云ふことになりますれば、其の乙の立場に依つて大變違ふのであります、只今御答へしたやうに、若し其の人が其處に居住して居つた人ならば、同樣に借地の申出が出來ます、又單純な借家人であるならば、借地權の讓渡の申出が出來るのであります、其の乙の立場如何に依つては大變違ふのでありますが、恐らく是は疎開地に於ける問題が多いと思ふのであります、疎開地に於きますと、疎開前の借地權は多くは買收されて居る筈であります、即ち借地權付の儘で疎開したのでなくして、疎開をされる時に家屋の所有者なり、居住者なりは、是の補償料を取つて居る筈であります、其の補償料を取る時に借地權の抛棄をして居る筈であります、此の借地權の抛棄を致しますと、全く新地同樣になるのでありまして、何等引續いて借地權と云ふものはないことになります、詰り其の土地が前所有者に戻りましても、其の土地は借地權を負擔せざる土地であります、本當の新地であります、斯う云ふ新地でありますれば、借地權なき土地でありますから、本法の適用に依つて、若し前に住んで居つた人であるならば、借地の申出をすれば用が足りるのであります
それから第四の物件令に依る建物でありますが、物件令に依る建物は本法にもありますやうに、やはり相當期間はそれを認めることになつて居ります、一年間は物件令に依る建物は其の儘效力を認めると云ふことになりますから、是の紛爭は其の具體的の問題を承つた上でないと、明瞭な答辯が出來ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=36
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037・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 七月一日以前に所謂登記濟みになつて居なければ、此の賣買契約は認められないものでせうか、其の以前に、假に新地賣買と云ふことにして、年金を打つて賣買契約をして證書を取交はし、新地になつた時に登記をすると云ふ場合に、契約後既に其處に建物が設立された等の場合がある、さう云ふ場合に付ての御見解を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=37
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038・古島義英
○古島政府委員 申上げるまでもなく、不動産上の權利は登記するにあらずんば第三者に對抗が出來ないのであります、民法の百七十七條でありますかさう云ふことになつて居りますから、手金を打つた、代金を拂つたと云ふだけでは、當事者に於ては對抗力がありますが、其の當事者間の賣主買主の仲でなく、其の他の者に向つては、自分で買取つたと云ふことの對抗力はありませぬから、御質問のやうな場合に於ては、其の家屋を持つて居る者が一番弱い立場に立つと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=38
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039・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 次に復興院に御伺ひしたいと思ひます、先般神田君の御質問に對して、大橋計畫局長は、建築統制を警察力を以て是が統制を強化し、又は商工業地域の確立を期する旨の御答へを承りましたが、商業地域に於ては輕工業と雖も不可なるか、若し輕工業差支へなしとすれば、輕工業馬力數の限度はどの程度であるか、それから又、若し商業地域に於て輕工業絶對不可なる場合に、現存する輕工業の取扱を如何致しますか、それからもう一點、區劃未だ分明ならざる以前の建築許可であるかも知れませぬが、今日區劃整理の決定に依りまして、當然後日立退きを必要とする未建築、又は未完成建物に對し、事前に中止又は禁止の方策があるかどうか、是等の點に對して御當局の見解を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=39
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040・大橋武夫
○大橋政府委員 商業區域に於きましては、現在の市街地建築物法に於て或る程度の工場を許可する場合があり得ることにはなつて居りますが、只今復興院と致しましては、市街地建築物法を、戰災後の復興に付きまして全面的に改正しようと云ふ考へを持つて居ります、此の改正案は尚ほ研究中でございまして、はつきりしたことを申上げ兼ねるのでございますが、從來商業地域と云ふやうな、廣汎な地域を同一の制限を以て規律致して居りましたに對して、只今研究中の案に於きましては、同じ商業地域の中にも或る程度の階段を設けて、多少の工場を許す、商業地域、又商業以外の建物は全然認めない地域と云ふやうな、所謂地域制度の專用制を強化すると云ふ風なことを考へて居る譯でございます、是は何れ法案の内容が定まりますと、之に關聯致しまして、特に商業專用區域等に於ては、或る程度の馬力數以上の工場を絶對禁止することに相成ると存じますが、是等の馬力數、又專用區域をどの程度に區分するかに付きましては、尚ほ調査中ではつきりしたことは申上げ兼ねます、それから商業專用となつて其の區域に輕工業の禁止される場合に、其の工場を如何に處置するか、是も一つの立法上の問題で、是は當然或る程度の期限を附して立退きを命ずることに相成ると存じます、尚ほ專用地域が具體的に決定せられるまでの間、將來斯樣な地域に於て禁止されるであらうと豫想される或る種の建物に付て、豫め制限をして置く必要がある、是は洵に御尤もなことでございまして、此の法案の調査と同時に、此の點も十分研究したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=40
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041・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 御答へでありますが、勿論私が御尋ねしましたのは工業、商業が混つて居る綜合地域とか、はつきりした工業地域、商業地域とか云ふことに付ては、何か案がおありのやうに承つて居りましたから、商業地域とはつきり確定した地域に對することを御伺ひしたのであります
それからもう一つは、建築許可がありましても、既に道路がはつきり確定した場所に、確定前の許可を理由にどんどん家屋が建てられて居る實際なんです、是等に對して、至急に當局が、何等かの方法で早く處理をされた方がお互ひの爲に宜いのではないか、又都市復興の上に於ても、それが先決問題でないかと私は思つて居るのであります、又之に關聯して申添へて置きますが、先般私が特別都市計畫委員會に於て、あなたに御尋ねした際の御答辯に、各省との連絡状態に付ても、非常に連絡が付て居ない所が多々あるやうに見受けられるのであります、あなたは運輸省其の他に付て緊密な連絡が付て居るやうに御答辯がありましたけれども、私の知つて居る範圍内に於ては、何か都市の計畫の上に於きまして、運輸省との連絡がまるきり付て居ないやうに聞いて居る箇所があるのであります、それ等に付ても十分考慮を御願ひしたいと同時に、速かに都市計畫を御立てになるやうに御注意が望ましいと思ひます、是で復興院に對する私の質問は打切ります
次に大藏省に對して質問したいのでありますが、大藏省の方がお見えになつて居りませぬから、是は後に留保して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=41
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042・本田英作
○本田委員長 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=42
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043・古島義英
○古島政府委員 金井さんがおいでになつて居りますから、昨日神奈川縣中郡の問題に付ての答辯が殘つて居りますので、御答辯申上げたいと思ひます、金井さんの御質問に類似致した事件があるのであります、神奈川縣中郡秦野町、北秦野村、西秦野村、南秦野村、大根村の一町四箇村にあつた問題で、此處には農家は大體二千三百戸あるのでありますが、其の中の千五百戸までが、昨年八月初め頃に供出の爲め檢査を受けて、其の證紙のあるものを各戸の同年産生産麥を農會倉庫が手狹な爲に、農會倉庫より自分の家に保管を命ぜられて居た事實があるのであります、さうして其の保管を致して居りましたのが、九月の末頃より本年の五月下旬に亙りますが、其の保管をして居る麥の中、各戸の家が二俵乃至二十一俵、全戸數に類別致しますと、大小麥五千七百三十二俵、「ビール」麥二千五百八十八俵、總計八千三百二十俵を恣に食込んで居りましたので、本年五月に於ける農業會よりの出荷命令に應ずることが出來なくなりました、町村別では就中北秦野村が最も甚だしいのでありまして、二千六百俵に及んで居るのであります、本年の五月初め食糧事情逼迫の爲に、緊急措置と致しまして、縣當局が食糧營團秦野支部に對し、同地區内の農家の保管麥を配給すべき旨の指示がありましたが、各農家に於て各保管麥の引渡しをしませぬので、秦野署で之を追求致しました結果、自家に於てそれぞれ食込み、又は贈與等の横流しをしたと云ふ事實が判明致しました、斯樣な次第でありまするから、所轄小田原區檢事局は、横濱地方裁判所檢事局の指示の下に、所轄秦野署を指揮致しまして、地區内町村長、農業會等に命じまして、供出制反對論者、又は供出義務觀薄き者、其の他惡質と思はれる者に、約三囘に亙つて合計九十四件、九十六名の檢事取締を行はしめたのであります、就中其の代表者六十八名に付て檢事が直接取調を行ひました、さうして割當數量、出荷數量、家族數等を考慮斟酌致しまして、罪状の輕重を計つてそれぞれ之を措置致しました、即ち公判を請求致しました者は三十二名であります、略式の請求を致しました者が三十二名であります、起訴猶豫に致した者が三名であります、まだ取調中の者が一名と云ふことになつて居ります、さうして其の種類を申しますると、實行組合長が七名此の中に入つて居ります、農業會長が四名入つて居ります、役場の村長さんが各各一名入つて居ります、其の他村會議員若干名と云ふやうな種類であります、是は私が申上げませぬでも御分りのやうに、食糧管理法施行規則第二條に牴觸致しますので、それぞれ左樣に處置を致したのであります、決して何等罪なき者を取調べたとか、或は又全く適法行爲を不適法行爲として檢擧したと云ふやうな事實はございませぬから、左樣御諒承を願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=43
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044・金井芳次
○金井委員 勿論法律の建前から言つて、不適法とは考へて居りませぬ、隨て質問の要旨も不適法なりとは斷じて居らないのであります、唯斯うした事態は、今御調査の發表の如く千五百戸と致しましても、數萬の家庭に影響が甚大にある、同時に農繁期だつたのであります、そこで事實は事實として判明致して居つたのでありまするから、之を隱すべき餘地は少しもなかつたのであります、そこで農繁期の作付だけを許して貰ふことは出來ぬかと云ふことを、御願ひしたのであります、さうして其の後で御檢擧なさることに對して反對はないが、一應農繁期の作付をさせて貰へぬかと云ふ相談を致したのであります、それともう一つは、食込んだと云ふことが事實である以上は、如何にして之を供出するかと云ふことが大事な問題であります、そこで我々は供出の方法に付て會合をすべく方法を執つたのでありますが、警察は、昨日申上げた通り、之を許さなかつた、そこで私は已むを得ず警察部長に話をした、所が警察部では關係部落の有力者を交へて開いて呉れるならば差支へない、斯う云ふことになつたのであります、そこで私は考へるのに、少くとも農民それ自體が供出に付て集會をし、さうして如何に速かに之を供出すべきか、又如何なる方法を以てしたら一番良いことが出來上るかと云ふことを協議することに對して、其の集合を差止める理由が法的に何處にあるか、私が昨日申上げたのも其の點であります、其の第三點は、少くとも是だけの大事件でございますので──地方に取つては大事件であります、殊に村長初め實行組合長、農會長などがそれぞれ引掛つたのでありますが、私は引掛るのが當り前で、少しもそれに對して文句はない、所謂是等が地方の癌であります、此の農會長であるとか村長であると云ふ者は、所謂曾ての既成勢力の人であつて、當然改革される餘地のある人である、それ等の怠慢に依つて出來上つた事犯と云ふものは、五月まで置く必要はない、早く供出を命ずれば宜かつた、それを早く命じないものだから、先程も申上げました通り、此の地方は大村大臣も能く知つて居られるが、外に食ふ物がない、供出すれば還元麥を貰つて、直ぐ食はねばならぬ部落なんです、眼の前にあるのですから、而も證紙が付いて居たやうに仰しやつて居りますが、大部分は付いて居らぬのです、是はもう一度御調べ願ひたいと思ふが、私證紙の付いて居らぬと云ふ證據としまして、一つも糊も何も貼つてない、貰つた儘の證紙を次官まで御屆けしても宜しいと思ふ、さうすれば、證紙の附いて居るものを剥いで、勝手に食べたと云ふことには私はなるまいと思ふ、ですから實際檢査麥でなかつたと言ひ得る餘地があらうと思ふ、是は全體とは申しませぬ、又横流しも御承知の通り、恐らく其の報告書にあらうと思ひますが、此の引つ張られた九十六名の中の大部分は、横流しと云ふものは殆どない、絶對ないとは申しませぬ、さうして中には特に氣の毒な人々も多かつた、そこで私共は、一體政府の物を取つたと云ふが、還元麥を、貰はずして、さうして目の前にあるものを順ぐりに食つて行くと云ふのは、法は別問題として、是は人情です、そこで法と云ふものを活かして使ふならば、此の保管麥を適當に、速かに正常の「ルート」に流さすやうに、供出さすやうに、之を勸奬して、以て事犯を擴大する必要はなかつた、私は個人の考へとしてはさう考へます、そこで私共は其の方法を講ずるべく集會のこともしたのですが結局中々許さなかつた、斯う云ふやうな事實を見ましても、私は決して「スムース」にものが運んで居つたとは考へられませぬ、同時に私共の方では、此の人達を中心にして、何とか救濟の方法を講じようとした場合に、是は申上げて宜いか惡いか分りませぬが、斯う云ふ噂まで飛んだ、是は一の噂として聽き置いて貰つて結構ですが、併し絶對火のない所に噂が立つとも考へられませぬので、御參考に申上げて置きたいが、或る官憲が、農民組合にものを頼むやうなことでは、是は折角どうにか治まつて來たものが問題が起るから、と云ふやうなことで、御丁寧な忠告があつたとさへ言はれて居るのであります、ですから其の間の色々な流れがあつたと云ふことは、次官は世の中を御承知過ぎるのですからお分りと思ひます、斯う云ふやうな事情にありますので、私共は、裁判所の側から言ふならば、當然起訴すべきものであり、當然處置すべく、法に當嵌まるのだと云ふことも否定するものではありませぬ、併しもう新しい麥を出した所の此の地方では、還元麥を貰はねば食べられない、即ち今度の供出が出來ない、さう云ふ實情にある、之を考へまして、一方には食糧を増産せい、尚ほ一方には峻嚴なる法規に依つておやりになると云ふことになれば、増産意欲と云ふものが果して出るか、幸ひに此の法律が通過致しまして、先づ我々の居住權と云ふものがそこに旨く出來上ると致しましても、居住權を裏付するものはやはり生活權の問題であります、生活權を考へる場合には食糧が問題である、其の食糧の増産意欲を、斯うしたことに依つて低下せしめるよりも、此の事件を中心にして司法當局が啓發し、啓蒙し、さうして増産への拍車を御掛けになることが、私は司法警察官、或は司法官の運營の宜い所である、斯う云ふやうに政治的に考へる、即ち政治的に解釋した場合には、私はさうあつて然るべきではないかと考へるのでありまして、隨て是等の人々が若し裁判所の言ふが如く、最高五、六萬圓になつて居りませうと思ひますが、報告にあらうと思ひますが、貧乏の階級が多い所でありますから、五萬圓、六萬圓を假りに分納さして戴きましても何年と掛る、さうして一方には生産をせよと仰つしやいましても、是は出來ない相談です、斯う云ふものに對して、私は一體現在の法律と云ふものは、そんなに冷たいものであるかと云ふことを歎かざるを得ない、そこで世故に通じて居られる次官に御尋ねしたいのは、今後の處置に對して、果して政府はさうした親心を以て、増産意欲を増發さすと云ふやうな御考へを御持ちになるやうな、法的な處理に付ての何か御考へはないか、又なさるべきではないかと云ふことを、一應申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=44
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045・古島義英
○古島政府委員 只今の御話中、農繁期に何等の斟酌なく、檢擧を致して増産を阻碍したと云ふ御話であります、洵に遺憾至極であります、併しながら、別に言譯をするのではありませぬが、當時都會地に於ける食糧事情等を考へて、どうしても供出して貰はなければならぬと云ふことで、其の供出を促した際に是が發見をされて、偶偶播種期若しくは田植時期に遭遇したものだと思ひます、機會が惡かつたのと、丁度都會地の食糧事情の甚だ惡くなつて參りました時とが合致して、さう云ふ風な結果を來したのだと存ずるのであります、併し是の對策に向つて協議をすべく集會をしようとすると、集會を許さなかつたと云ふことは、今日の事情から申しまして容易に看過することの出來ない事情だと思ふのであります、出來るだけ集會をし、或は其の他の對策を講ずるかも分らぬし、或は之に向つて善後策を講ずるかも分らぬのでありますから、若し集會に不適當であるならば、それに解散を命じても宜いのでありますから、集會もさせず、之を禁止するが如きは、餘り事情を知らざるやり方だと思ひまして、是も私はちと遺憾な點があるのではないかと存ずるのであります、今後に向つてどう云ふ對策をするかと云へば、此の間も同樣な問題が起つたのであります、漁師が自分の獲つた魚と米とを物交を致したと云ふので、檢擧された事實がある、成程是も漁師は五合なり一升なりの御飯を頂戴せねば中々漁が出來ませぬから、已むを得ず物交をしたのであらうと思ふ、併しながら愈愈それが事案として現はれた時には、已むを得ず之を處罰致して居ります、茲に法律の威信を保ちつつ、増産に阻碍にならぬやうに見て行かねばならぬと思ふのであります、決して罪科を負はせるの感情から、増産を阻碍しても構はずにやると云ふやうなことは、今後十分に注意をせねばならぬことだと思ふのであります、お互に世間を廣く見て、さうして世の中の事情を洞察して、法の適用をするに當りましても、其の檢擧する時期に付きましても、餘程注意せねばならぬものだと思ふのであります、我々の方に於きましては、今後は相當此の點に注意を拂つて、善處致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=45
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046・金井芳次
○金井委員 大體諒承致しました、唯現に控訴をする者も二十何名かありまして、さうして處置を御願ひすることになつて居りますので、其の邊も一應御考慮の中に入れて戴きたいと思ひます、同時に、是は裁判の内容になりますので、此處で申上げる筋合ではないのですが、報告の中に斯う云ふことが書いてありますか、ありませぬかを一應御伺ひ申上げて置きます、證紙の問題はさう云ふ工合で、報告が證紙を全部附けて居ると云つても、私は附けて居らぬと云ふことの證據を次官まで提出することが出來ます、今一つは、金を全部拂つて居るとは書いてあるまいと思ふ、即ち一部は拂ひ、一部は拂つて居らぬ場合にも拘らず、それぞれの處置を被つて居るのであります、證紙があり、金が拂つてある場合には、百姓は自分のものでないと考へます、併し證紙が貼つてなくて、唯預けられて居ると云ふことと、金が拂つて貰つて居らぬとなりますと、一體保管麥と云ふものはどれだけかと云ふ見當をどうして百姓が付けることが出來るか、即ち證紙の附いたもの、金を貰つたものこそ、保管麥とは言へますが、證紙が事實上附いて居らない、證紙は棚の中にある、さうした場合に、一體どれが保管麥である、どれを食つたことが一體犯罪になるか、斯う云ふことであります、さう云ふ點が報告がございますか、私は是は重大であると思ふ、私共は事實棚にある證紙を見て居るのであります、さうすると保管麥が一體どれかと云ふことになる、さうして其の人も引張られた、而も我が農民組合の指導者も引張られて居ります、是は何も關係がないにも拘らず一日引張つた、こちらが抗議を申込んで出して來て居ります、私は斯うした事實を見て、次官の仰しやるやうに適法ばかりでなかつたと云ふことを、甚だ遺憾にして居ります、確かに或る意圖の下に來たんぢやないかと云ふやうな惡い考へまでも、及ぼしたくないのでありますが、人間でありますから、さう云ふことを及ぼすものがないとも限らぬ、さう云ふことを心配するのであります、一つ此の點は報告にあるかないかだけを、一應聽いて置きまして、私後日の參考に致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=46
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047・古島義英
○古島政府委員 金の支拂濟だと云ふやうなことは、別に報告には明瞭に言うてありませぬが、保管せしめた米麥であると云ふことは言うてあります、保管せしめる爲に證紙を貼るかどうかと云ふことは、特に是は地方長官のやることでありまして、謂はば農林省の所管に關することだと思ひますが、處罰するに當つては、其の點も保管麥であるか、保管麥でないかと云ふことは、明瞭に突詰めて處置致したものと信じます、報告にそこは書いてありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=47
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048・金井芳次
○金井委員 そこなんです、實はそこに無理があつた、即ち保管麥を云ふものは、如何なる場合でも證紙がなくちやならない、即ち檢査米でなくては、保管米とは言へない、是はもうはつきりして居る、そこで保管麥と云ふものを確認して百姓に保管せしめるとすれば、檢査を受けた證紙が貼つてなくちやならぬ、所がそれが貼つてない、さうして一年も經て金も拂つてない、だからどうしても私には、素人考へとして考へられない節が澤山あるのであります、さうしてあの場合、何もそこまで行かないでも宜いのぢやないかと云ふ氣持もあるのです、是はお互に次官も報告に依つて居られますし、私は實際見て來た話なんですけれども、是は此の程度に止めまして、一つ次官の御暇の日に一度御伺ひして、詳細私の方から申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=48
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049・本田英作
○本田委員長 中田榮太郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=49
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050・中田榮太郎
○中田委員 小さな問題で、而も簡單な問題であります、宅地地主が戰災前に其の一角に貸家を造つて貸して居つたのであります、所が燒けてから、其の貸家から燒出された者は、永らく此の土地、此の家に居つたのであるから、此處に一つ二十坪ばかりの所であるが、家を建てさせて呉れと云ふ、所が其の地主の方では、それは今自分の所の家を建てる都合上、そこに建てて貰ふと云ふ譯には行かない、斯う云ふことで斷つた譯であります、所が今此の法案を手にしまして、其の借家人であつた者が、是は自分等が要望すれば、其の二十坪位の所は借りて家を建てることが出來るものである、斯う云ふ解釋をして申込む、而も其の宅地主が營團に住宅を依頼して居つた關係から、一年後の今日まだそれが出來ない、事實そこは空いて居る、さう云ふ場合に、其の二十坪の地面は貸すべきものであるかどうか、是は第二條に當るかと思ひますが、それを一つ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=50
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051・古島義英
○古島政府委員 丁度それは本法の狙つた通りの事案であります、戰災前にそこに借家を致して居つた、そこで其の家が燒けてしまつたから、今度は自分が來てそこに家を建てて住ひたいと考へて居るから貸せないと云ふのでありますから、丁度本法の第二條に適合する事案であります、其の借入の申込は十分出來るのでありまして、さう云ふ人を保護せんが爲に本法が出來たのであります、左樣御諒承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=51
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052・中田榮太郎
○中田委員 分りました、それでさう云ふ者が別に又家を既に建てて居るらしい、さう云ふ場合に突詰めて見て、別に建てて居つたとすれば、地面を貸すべきものであるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=52
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053・古島義英
○古島政府委員 別に建てて居ると云ふのが、今度は立場を變へまして、今御質問の趣旨は地主が建てて居るやうに聽いたのでありますが、次の御質問は、今度は別に建てて居ると云ふのは借家人が別に建てて居ると云ふことに諒承致しますが、さう致しますと、別に建てて居るものも尚ほ借入の申込は當然出來るのでありますが、併し其の建てやう如何に依つては、外に建てて居るので必要がなからうと云ふ意味合と、地主が自分で自ら使用する爲に建てるのだと云ふ主張と、兩方併せて正當なる事由と云ふことに當る時が甚だ多いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=53
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054・中田榮太郎
○中田委員 それで其の場合、先づ二十坪と見ます、所が特別都市計畫の方では、一番小さくて三十坪、それ以上成べく廣くしたい、斯う云ふ案である、洵に結構なことと思ふが、今の場合二十坪とすれば、其の地主は更に十坪を加へてやるものであるかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=54
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055・古島義英
○古島政府委員 特別都市計畫は勿論都市の美觀の點もあります、都市の衞生の點も考慮致しまして、餘り過小借地、過小宅地と云ふものは認めないことになつて居るのであります、さりながら、此の場合に於て借入の申込を致したが、都市計畫の問題を考慮して申込なきに拘らず、加へなければならぬと云ふことはないと信じます、假に其の小さい部分で家屋を建てることが出來ないと云ふことになりますれば、是は許可を要する建物であるならば、其の許可書を持つて參らねばならぬと云ふことになりますし、後日に於て過小宅地であるから之を整理すると云ふのであるならば、整理の對象になるのでありまして、本法に於ける申込は、左樣な所まで地主に負擔をさせない積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=55
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056・中田榮太郎
○中田委員 さうすれば、今の場合二十坪と申しましたが、十五坪の場合も考へられます、其の過小宅地に於て、十箇年間は「バラック」を建てて居ることは出來る譯であります、さうすればさう云ふものがあちこちに澤山出來るやうになれば、折角の特別都市計畫の三十坪以上と云ふことが實現出來ないことになると思ひますが、其の點如何樣に考へて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=56
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057・古島義英
○古島政府委員 先程まで御答へしたやうに、特別都市計畫法と本法との衝突の點でありますが、本法は申込みをすれば借りることが出來ると云ふことが主眼であります、都市計畫は先程申したやうに、都市の美觀であるとか、衞生であるとか云ふやうな點を考慮致して、過小宅地と云ふものを認めないことになるのでありまするから、本法でも其の心持ちを汲みまして、さう云ふ場合には或は併合し、分配をする、割當をすると云ふやうな規定を設けたのは、其の積りでございます、左樣な事情でありますから、其の小さな過小宅地の上に過小住宅を建てたと云ふ場合に於て、それが取拂はれるか、取拂はれぬかと云ふのは、自ら拘束すべき法律が違つて參るのであります、都市計畫の方で許さぬと云ふことになれば、其の人が假に建てました所で是は收去されるでありませう、唯本法の狙ひ所は、全くどんな者でも其の住居を持たねばならぬと云ふので、住居を持たすべく其の土地を手にすることが出來ると云ふのが狙ひ所でありますから、其の後の問題に付ては、別の法律に於て收去されると云ふことがありましても、本法は何等無駄になることはないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=57
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058・中田榮太郎
○中田委員 今の御話を綜合して來ますると、どうもそこにやはり難かしい衝突があるやうな感じが致します、都市計畫の點から行きますれば、今直ちに三十坪以上と云ふことに整理して行かなくては、是は出來にくいことと思ひます、之を何とか調和させる──都市計畫法と此の法との調和をさせる點を見付けることは出來ますまい、私の問題は實際の問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=58
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059・古島義英
○古島政府委員 勿論各省に於て、大目的遂行の爲には十分なる協調を保ち、協議の上にやらねばならぬのでありまするが、若し實際問題として左樣な事案が起りますれば、其の察は調停裁判等の申出を致しても解決し得られることだと存じます、勿論各省が協調をしてやらねばならぬと云ふことは御説の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=59
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060・中田榮太郎
○中田委員 はつきりと、成程斯う云ふ工合に實際に處置すれば宜いかと云ふことが、何だか私は今の御話では十分承り得ないやうな感じが致すのでありますが、是は都市計畫の方にも併せて一つ御考へを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=60
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061・大橋武夫
○大橋政府委員 此の法律に於きまして、十年間建物を認めると云ふことは、是は借地權の存續期間を定めたものと存ずるのであります、建物の建坪なり、或は敷地内に於ける建物の建坪率を定めるのは、是は今日では市街地建築物法の定めることになつて居ります、區劃整理に依りまして過小宅地の制限が進行致しまするならば、是と竝行的に市街地建築物法の改正をして、此の過小宅地の標準でありまする一定の坪數よりも狹い土地に於ては、建物を將來建てることは制限されると云ふやうなことにしなければなりませぬので、是は市街地建築物法の改正案の内容の一項目と相成ることと存ずるのであります、勿論斯樣な條項が市街地建築物法に出來ました場合に於きましても、そこに立つて居りまする建物の構造に對する制限でございまして、此の結果借地權がどうなるかと云ふ問題は、市街地建築物法では決まつて來ない譯であります、此の借地權を如何に整理するかと云ふのが、先般御審議願ひました特別都市計畫法の中に盛られてございまする土地區劃整理事業でございまして、此の土地區劃整理事業を實施致しまする際に、現實に存在して居る所の過小宅地、即ち此の法律に於て十年間存續期間を認められて居りますが、其の過小敷地を如何に整理して行くか、是は都市計畫の土地區劃整理事業として行はれるものでございまして、是の處理に付きましては、土地區劃整理委員會に於て十分研究の上、此の地主の此の宅地は活かして行く、此の借地人の此の過小宅地は補償に依つて換價して行くと云ふやうな措置が、個別的に講ぜられることに相成る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=61
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062・中田榮太郎
○中田委員 今の御二人の御話、或る程度まで腑に落ちましたが、どうも腑に落ちにくい所があります、併し此の問題は別途に、實際起つた時に調停裁判其の他に於て解決する問題であります、其の問題はそれで打切ります
次は農耕の爲に使つて居つたものは、六箇月或は其の内外の猶豫を與へる、是は非常に結構なことであると思ひますが、是は法とどう云ふ工合に聯關して行くか、一體此の法案は極めて消極的な、何か事故があると、之を小さい事でもそれを調停する爲の法案であることは分りますが、地方から東京へ參りますと、四千五百萬坪の燒けた所の其の大部分と云ひますか、是は實測しないと分らぬが、兎も角四千五百萬坪位の所が今鐵道草が生えて蓬々として居る所が多いのであります、是は軍需會社の敷地等に於てもさう云ふのがありますが、斯う云ふものは、實際地主が誰であるか殆ど分らないのが東京あたりでは多いのだらうと思ふ、勝手に入つて耕作すると云ふことは不法侵入になつていけないのでありますが、斯う云ふことを今増産の喧ましい時、耕して山巓に至ると言はれて居る時に、之を默認すると云ふ形にして、どんどん作つて行く、其の代りに必要な時には取返すのだと云ふやうなことを──法の上では是は默認せられない、又都市計畫或は進んで農林關係の方から言つたならば、何等かの形で之を奬勵する、是は私自身が燒出されまして、濠の中に居つて僅かの地面であるが、昨年先づそれを緑化するに努めた體驗から申すのでありますが、斯う云ふやうなことは積極的に何もやらせることは出來ないか、其の點を伺ひたい、是は地方から東京へ來た者は、斯う云ふやうな工合に、折角の尊い地面、日本の國土が三分の二或は半分になつたと言うて居るのに、江戸の中を武藏野のやうにして放つて置くと云ふことは不都合だ、我々は斯う云ふ所へ出す米を持たない、斯う云ふ風に考へるのは無理もないことであります、極めて常識的なことでありますが、之に對して何等かの御答へを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=62
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063・古島義英
○古島政府委員 今日戰災地何れの都市に於きましても、莫大なる地所が燒かれた其の儘の姿で、草蓬々として居ると云ふことは、我々も承知致して居る所であります、而も此の土地に向つて積極的に耕作を勸奬すると云ふことは、是は法律の建前なり、政府の建前としては中々出來ぬことであります、他人の權利を侵害すると云ふことになります、或は全く權利なき者が耕作することを勸奬するまでには出來ませぬのであります、併しながら御承知の通り、此の戰時罹災土地物件令がありまして、左樣な土地は休眠状態になつて居るのであります、休眠状態になつて居る以上は、そこに何等かの手を著けて、自由に耕作致しましても、是はどうも排除する譯には參りませぬ、又自由に其の周りを耕作することこそ、今日の食糧事情から言うて洵に宜いことだと思ふのであります、殊に實際の實情から見まするならば、何等の關係ない所を耕作すると云ふことは洵に少いのであります、恐らくは自分が戰災前、疎開前には其の場所に居つた人である、或は其處に家屋を持つて居つた人である、何等かの關係のある人が多いのでありますから、其の方々が之を耕作すると云ふことは、本法でも其の點を認めまして、其の耕作物を收穫するまでの間と云ふので、六箇月と云ふ期間は之を認める位に致したのであります、併しながら現在の状況に照してそれを認めたのでありまして、故らに勸めて耕作しろと云ふやうに手引をすると云ふまでには參らぬのでありますから、其の點は御諒承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=63
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064・中田榮太郎
○中田委員 是は法の建前上已むを得ないことと思ひますが、是は司法省の問題と云ふよりも、寧ろ都市計畫或は農林省の問題であらうと思ふのでありますが、我々は斯う云ふ廣漠たる所の土地で移動農學校位の、名前は何としても宜いのでありますが、それをやつて、東京都の眞中に於て大いに耕作をするが宜い、斯う云ふ感じを私は痛感するのであります、是は司法省と云ふよりも、寧ろ復興院の方の御考へで、農林省或は町内會とか、何とかさう云ふ所で適當な手配が出來ないものか、關係のない所を耕作すると云ふのでありますから、確かに問題があるに違ひはないが、併し之を耕作するには整地を要しますから、整地をすると云ふことが持主から言つたら洵に有難いことだと思ひます、地方に於ては色々展覽會とか、或は實地に調べまして、之を褒美を出したりして奬勵して居る所もあります、唯法との問題があると思ふのでありますから、それを押切つて、此の國情に於て何かやつて戴きたい、斯う云ふ希望を持つて居ります、是は特に復興院の方で御心配しておらるれば結構かと思ふのであります
次に此の種の法案は多くの場合、總てではないが、地主或は家主の或る者が横暴をする、さう云ふやうなものが建前になつて此の法案が出て居るやうに私は感ぜられるのでありますが、一面から言つたならば、地主或は家主等に對する一種の強權發動のやうにも考へられます、此の點如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=64
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065・古島義英
○古島政府委員 地主若しくは家主に對する保護と云ふやうな、若しくは地主、家主の横暴を防ぐと云ふやうな、さう云ふ攻める防ぐと云ふやうな意味合ではないのであります、實際の實情に照しまして、地主が其の儘で地所を置くと云ふやうな場合に於ては、是は其の土地に住んで居つた者であり、其の地上に家屋を持つて居つた者である、斯う云ふ建前から申しまして、其の土地には何等かの繋がりがあるのでございます、主觀的に相當な關係があるのであります、さう云ふ方が家屋を建てようとしましても、建てることが出來ないと云ふやうなことになる、其の家屋に住んで居つたと云ふだけの關係で、借地人でない立場にある人が其處に又家屋を建てようとしましても、從來の借地權を持つて居りませぬから建てることが出來ないと云ふことになりますので、さう云ふ、其處に住みたいと云ふ意欲のある人、其處に住みたいと云ふ意欲を充たすべく、資力を有する人、若しくは其の他の人達で、どうしても其處に居住致したいと云ふ希望があるならば、其の立場に於て或は借地權の申出を致すなり、或は借地權の讓渡を請求するなり、其の場所に家屋を建てたならば、第一著にそれを申込んで自分で借りて住むなり、其の方法を講じたいと云ふのが本法の狙ひであります、決して地主、家主を相手にして、之に挑戰するのではなしに、若しくは其の反對の側に向つて之を特にどうすると云ふ意圖はないのでありまして、實際の住居を與へ、居住的に安心を與へたい、此の不安を除きたいと云ふのが本法立案の趣旨でありますから、どうか其の積りで御諒承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=65
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066・中田榮太郎
○中田委員 御説明能く分りましたが、凡そ斯う云ふものは地主、家主が受身になつて、被告の立場に立つと云ふことはあり勝ちのことであります、私は是れ以上御尋ねを致しませぬ
次に都市計畫の方で一寸御尋ねを致したいのであります、都市計畫の方では區劃整理等の問題の爲に委員を設ける、斯う云ふことがありますが、今の法案に於ても同樣な問題があるのであります、此の委員を設ける爲に、兎角實際問題としては其の土地の地主、或は家主或は借家人等に於て、何等かの係り合が私はあるかと思ふのであります、是は地方の實際に於て何時も起る問題であると思ふのであります、是は大變厄介なことです、斯う云ふ時に、殆ど其の地方に關係のない者を、何か委員或は推進隊と云ふやうなことにでもしますか、さう云ふやうなことに依つて、問題を比較的「スムース」に行くやうなやり方が出來ないものであるか、是は大橋局長に御尋ね申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=66
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067・大橋武夫
○大橋政府委員 土地區劃整理委員會の委員の選任に付きましては、何れ勅令に於て決めることに相成つて居りますが、此の運用に付きましては、只今の御述べになりました如く、單に其の區域内の地主、家主、借家人と利害關係人ばかりでなく、第三者的な人も入れるやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=67
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068・中田榮太郎
○中田委員 尚ほ簡單に續いて御尋ね致しますが、都市計畫の方は非常な大きな規模であります、東京の如きは、昨年九月の調査に依ると二百億から要すると云ふ御話でありますが、我々は何處の計畫を見ても、中々大計畫であることは肯かれますが、偖て其の大計畫を實現すると云ふことは中々難かしい、東京の二百億に對して、現に今年の豫算は全體として復興院は六億になるか、十億になるか、大いに努めて居られるやうでありますが、假に十億になりました所で、之を百二十の都市に適當に配分しなければならぬのでありますから、之を我々が考へて行つたならば、何時になつて都市計畫と云ふものが或る程度の形にまで進むものであるか、百年河清どころの騷ぎでなしに、中々是は容易ならぬものである、總て計畫は大きい、併しながら著手する場合は遲々として進まない、是は我々最も憂ふる點であります、此の點に付ての見透し等に付て御話を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=68
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069・大橋武夫
○大橋政府委員 只今中田委員の御述べになりました點は、私共も最も困難なる問題と考へて居る點でございます、都市計畫事業の將來の見透しに付きましては、財政的な面の外に、資材の面からする制約もあるのでありますが、是等の事業の中で、資材の點から比較的自由な立場にあります所のものは、土地區劃整理事業でございますので、當局と致しましてはここ數年間は全力を擧げて土地區劃整理事業に重點を向けて行きたい、斯う云ふ風に考へて居るのであります、此の土地區劃整理事業が完成致しますならば、其の後整理せられた土地の上に於て、道路なり公園なり、斯う云つた施設を設けますことは、是は將來時期を待てば出來ることでございます、併し土地區劃整理事業が荏苒遲れるやうなことになりますと、一切の復興が其の前提を失ふやうなことに相成りますので、取敢ずの所は、土地區劃整理事業に重點を置きたい、斯う云ふ考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=69
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070・中田榮太郎
○中田委員 是は結果を見なくては分らぬことです、計畫は立て易いが實行は容易ならぬ問題である、東京市ばかりでなく各都市とも……
次に都心に於ては不燃性、詰り「コンクリート」の建物を造るのを建前として居られる、而もそれは木造と大した開きがないやうな御話でありますが、現在に於ては恐らく木造の三倍以上位になりはしないか、昭和五、六年頃には木造と大した變りがない時代があつたが、現在は左樣な有樣ではない、さうすると不燃性のものを「コンクリート」で造つて行くと云ふことは、是は計畫が立つても事實上中々容易ならざる問題である、殊に東京邊りで見ましても、第一屋根瓦に皆困つて居る、若し「セメント」のやうなものが石炭の都合が出來て相當生産されるやうであれば、差當り「セメント」の瓦などを造らなければならぬ情勢ではないか、斯う思はれるのであります、さうすると折角の方針であられる所の、不燃性建物を以て都心にやると云ふことは、事實上困難なものであらうと思ひますが、此の點に付ての御話を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=70
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071・中田政美
○中田政府委員 中田さんの御質問の點に御答へします、都心に於ける防火地區には、勿論不燃性の建物を今後建築させるやうに施策したいと云ふ點に付きましては、是は現在の防火地區に指定されて居る地域を更に擴張して、能ふ限り防火地區を多くすると云ふことから出發するのでありますが、偖て其の不燃性の建物には、先立つものは御話の如く「セメント」であり、鋼材等でございます、現在の生産力の低下して居る我が國の供給量から致しますれば、洵に心細い次第でございます、併しながら是は基礎産業が逐次囘復して參りまして、殊に石炭等に於て餘裕が出來るやうになりますれば、「セメント」の生産能力は格段の生産増を見込めるやうになり得ると云ふことの見透しも付いて居る譯であります、又一方木材の供給量から考へましても、現在の戰災都市の住宅の建造を悉く木材に依存すると云ふことも、日本の木材の供給量から考へまして、是も中々大問題なのであります、隨ひまして、大都會に於ては今後の鐵鋼なり或は「セメント」の生産を極力努めまして、不燃性の建物を成るべく多く建てるやうにする、又其の他の地區に於ては、日本の木材の供給源と睨合はせまして之をも併用する、是はどうしても兩者併用して行かなければならぬ、斯う考へて居る次第でございまして、現在の状況から致しますれば、防火地區に不燃性の建物をどしどし建てると云ふ譯に行かないと云ふ窮状にあると云ふことに付きましては、中田委員の御意見の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=71
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072・中田榮太郎
○中田委員 大體分りましたが、併し是も實際どう行くものか、我々は關心を持つて大いに拜見し、又同時に立派に行くことを要望して居る譯であります、戰災學校の復興に付て非常に惱んで居ることは申すまでもありませぬが、「アパート」を造るならば八割の補助がある、それを一つ考へまして、上の方は「アパート」にして、下の方は學校にでもすると云ふやうなことは、是は内緒話であるかも知れませぬが、御認めになるのであるか、之を一寸御伺ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=72
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073・中田政美
○中田政府委員 只今の御質問の點に付きましては、まださう云ふ案に付て具體的に承知致して居りませぬ、我々の方で考へて居りますのは、都心に於て非常に土地の價格の高い、所謂商業地域等に付きましては、高層建築物の上の方は住宅にして、下の方は商店にすると云ふやうな構造の建物に付ては、色々の設計がございますやうでありますけれども、御質問のやうな建物の設計に付ては、まだ承知致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=73
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074・中田榮太郎
○中田委員 色々御話を承つて有難うございますが、先程の過小宅地の問題でありますが、是は都市計畫と司法省關係との連絡と云ふ點に付て、或は十分出來て居るかも知れませぬけれども、又解決が出來て居るのか知りませぬが、私は少し暗い影を殘して居るのでありますが、過日來色々委員會其の他の状況を承りますと、各方面の連絡が十分でないと云ふ感じを非常に持つのであります、例へば地方制度改革問題に付きましても、文部省の方は餘りそれに付ては知らなかつた、又あの對策をやるのには、當然そこに立派な成人教育、國民教育をやらなければならぬ、それも内務省の方では餘り考へて居ない、或は生活保護法、失業救濟對策、それに對しては職業補導と云ふことも當然加はつて來るのであります、又今問題にしました都市の農耕者、是は農林省との關係はどの程度に於て連絡が取れて居るのでありますか、それから戰災孤兒と云ふ問題に付ても、是はやはり厚生省、或は文部省關係は相當緊密な連絡を取らなければならぬと思つて居るのであります、私は全體を綜合して見ますると、各省間、或は同じ省に於ても、各局の間等に於ても、圓滑なる連絡が出來て居ないやうに推察出來るのであります、此の點に付て私は單に都市計畫──司法省ばかりでなしに、各方面共私としては何とか其の邊の十分な連絡を──尤も今年は急いでやられたと云ふ點もありませうが、それでは工事になりませぬので、此の邊の十分な御連絡を圖られんことを要望申上げまして、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=74
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075・本田英作
○本田委員長 明日は十時から始めまして、殘餘の質問をして、逐條審議に入り、大體明日で質問を打切つて、希望條件なり或は修正案と云ふやうなことにまで進みたいと思ひますから、どうか左樣の積りでおやりを願ひたいと思ふのであります、本日は是にて散會致します
午後零時十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00619460806&spkNum=75
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