1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
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昭和二十一年八月十二日(月曜日)午前十一時十五分開議
出席委員
委員長 本田英作君
理事 石原圓吉君 理事 鈴木仙八君
理事 林連君 理事 武藤運十郎君
木村公平君 廣川弘禪君
九鬼紋十郎君 佃良一君
金井芳次君 酒井俊雄君
中田榮太郎君
同日委員有田二郎君辭任に付其の補闕として木村公平君を議長に於て選定した
出席政府委員
戰災復興院總裁 阿部美樹志君
内閣事務官 中田政美君
内務事務官 岩澤忠恭君
司法參與官 中村又一君
委員長の許可を得た出席者
司法事務官 小澤文雄君
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本日の會議に付した議案
罹災都市借地借家臨時處理法案(政府提出、貴族院送付)
訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律案(政府提出、貴族院送付)
辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=0
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001・本田英作
○本田委員長 開會致します、罹災都市借地借家臨時處理法に付きましては、一應質問を打切りましたが、更に質問を再開することに致します──木村君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=1
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002・木村公平
○木村(公)委員 私は主と致しまして復興院當局、國土局の方々の御意見を伺ひたいのであります、茲に附帶決議も軈て出るかに聞知致して居るのでありますが、附帶決議の第一條にもありまする如く、本法即ち罹災都市借地借家處理法は、罹災建物竝に疎開建物の借主、居住者等を保護することを目的とはして居るけれども、建物の自己建築の出來る者だけが救はれ、政府は權利があつて而も力がない者の爲に適切な對策を立つべきものであると云ふことが、決議にならうと致して居るのであります、私共も全く同感でありまして、今囘罹災都市借地借家處理法案が上程されたのでありまするが、是は實に所謂建物を建て得る能力ある者だけが救濟されるのでありまして、今日の状態下に於きましては、半數以上の建物を建て得ない者は、是等の救濟から除外されるものと思惟致さなければ相成らぬのであります、然らば能力ない者は如何にして救はれるか、之に對しまして、政府は未だ法律に依つて保護すべき何物をも我々の眼前に示さないのでありますが、私は考へまするに、今日全國數十萬、數百萬の家を燒かれました人達が、現状下に於ては、殆ど家を建て得ない状態ではないかと考へるのでありまぬ、卑近な例を申上げますれば、地方に於きましても、今日大體「バラック」を建てまするにも一坪當り四千圓或は五千圓の巨費を投ずるにあらずんば「バラック」を建てることが出來ないのであります、其の状態下に於て、最も戰災住宅の復興の障碍を致しまするのは、一方に於ては今日の止まりなき「インフレ」の嵐でありますが、地方に於ては、私は都市計畫が之を妨げるものなりと常に考へて居るのであります、恐らく復興院總裁も御同感の節もあるかに思ふのでありますが、今日の都市計畫の濫觴は、嘗て後藤新平氏に依つて是は發案されたのでありますが、其の當時の後藤新平氏の宏壯にして緻密なる考へ方は、遺憾ながら完膚なきまでに打ちのめされました現状に於ける日本には、當嵌め難いものであると私は確信を致して居るのであります、にも拘らず嘗ての夢を追ひまして、内務當局は飽くまで都市計畫を強行せんと致して居るのであります、然らば今日都市計畫に依つて、貴重なる住宅に對して失はれます所の、所謂減歩率がどの位あるかと申しますると、多きは六割、少くも一割五分、の減歩率があるのであります、即ち貴重なる住宅地が都市計畫に依つて一割五分から六割までなくなつてしまひまして、或は道路となり、緑地帶となり、或は公園の擴張と相成るのであります、私は曾て滿洲へ旅行致しまして、新京の都市計畫を拜見致しまして、實に結構であると感じたのでありまするが、あの構想を此の國土狹き我が内地に於て行はんとすることは、現在の國費に於ては無理ではないかと思ふのであります、なぜ無理かと申しますると、現に國土局長も御承知の通り、初めの豫算から考へますと、今日の都市計畫に要する豫算は、恐らく私の想像にして誤りなくんば、一割を捻出することが難かしいのぢやないか、然らば實際問題として、日本に於ては都市計畫は出來ないのぢやないか、にも拘らず内務當局は從來の色々發しました言質に捉はれまして、飽くまで之を強行せんとする、狹い人口五萬に滿たないやうな處に、五十「メーター」或は三十「メーター」と云ふやうな大きな道路を作る、それが爲に住宅地は非常な脅威を受ける、それのみならず、折角建てました「バラック」等を、今盛んに立退き等に依りまして、之を撤去せんと致して居る暴擧も隨所に見られるのであります、私は都市計畫を百年の大計であると存じまするが故に、之を直ちに今廢止すべしとは申しませぬけれども、是は飽くまで百年後の日本の國富、全く増大致しました時の計畫でありまして、今日は飽くまで之を計畫と致しまして、此の實踐は、日本の國富が少くとも戰前位に囘復致しますまでは、當然待たなければ相成らぬものなりと私は考へて居るのであります、御伺ひ致したいのは、私は都市計畫に依つて日本の戰災住宅の復興が後れて居るものなりと確信致すのでありますが、復興院總裁は一體是等の方法に依つて、圓滿に矛盾なく、日本に於ける戰災復興が出來得るものなりとの御考へがあるかどうか、其のことを先づ御尋ね致して置きたいのであります
次に御尋ね致したいのは、此の莫大なる都市計畫の豫算をここで大幅に削減を致しまして、此の費用を以て國家は國營住宅を作る意思がなければ相成らぬのではないか、斯樣に私は考へて居るのであります、冒頭に於て申上げました如く、今日お互ひ戰災者が「バラック」を建てます爲には、木材の比較的あります所の地方に於ても、實に一坪當り四千圓、五千圓を要する現状であります、而も現在の金融界の状態は御承知の通り、此の状態下に於て、日本の恐らく七割は住宅を建て得ない人達であるのでありますが、戰災者達に對して、自力を以て家を建てよと云ふことを求めても是は不可能であります、而て戰災者の家を要する人達は、永久に我が家を持たない、或は住ふべき住宅を持ち得ないと云ふ、實に悲慘なる状態に置かざるを得ないのであります、國家が之を見まして、自力を以ちまして建てよと言ふ元氣があるかどうか、恐らく左樣な殘酷なことは言ひ得ない状態にあるのであります、然らば切めて都市計畫とか、國家百年先の仕事の爲に莫大なる費用を投ずることを止めて、大削減をなさいまして、此の費用を以て、戰災住宅を國家の手に於て速かに建設さるべきであると私は考へるのでありますが、此の點に付て國土局長閣下の御考へが拜聽致して置きたいのであります
更に復興院總裁に御尋ね致したいのは、今日あなた方の手に依つて建設され、或はされつつありまする所の住宅は、新聞紙の報告する所に依りますれば、相當の數に上つて居りますが、併しながら今後斯の如き緩漫なる速度に於て、住宅が建設されて行きますならば、一體何年先に於て戰災者達は我が家を得るでありませう、恐らく是は總裁が深夜密かに御考へになりますれば、俺の力でも、日本の力に於ては到底なし得ないと云ふ感すら御感じになるのでないかと思ふのでありますが、此の點私は率直に承つて置きたいのであります、萬一我が國力に於ては此の程度までより戰災住宅の復興は出來ないのだ、是以上は出來ないのだと云ふ御明言がありますれば、あとは其の道に於て、我が力がないのでありますから、別の方法を以て、例へば聯合軍に愬へるとか、或は其の他の方法を以ちまして、何か第二の政策を考へなければならないのではないかと私は考へるのであります、之を要しまするに、結論的に申しますれば、住宅は建てなければならない、併しながら個人には力がない、仍て國家は、出來るだけ國家の力を以て住宅を建ててやるべきである、然るに其の障碍をなすものは、一に都市計畫である、だから私は、都市計畫は計畫だけに之を止めまして、此の實行は百年先に延ばす、さうして現在の莫大なる都市計畫費用は、擧げて之を戰災國營住宅の費用にする途があるかないか、斯う云ふ點に付て總裁竝に國土局長の御答辯を要求致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=2
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003・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 御質問に御答へ致します、色々御話の點は洵に御尤もであると存じます、第一に庶民住宅と言ひますか、國民住宅を國營にする考へはないかと云ふことでございますが、之に付ては私も率直に申上げますが、日夜苦心して居る次第であります、と申しますのは、昨年決りました簡易住宅と申しますか、三十萬戸の應急的簡易住宅は本年打切になりまして、此の二十五萬戸を建設しようと云ふことが閣議決定になつて、其の線に沿うて只今進んで居るのであります、所が御承知のやうに、復興院と云ふ處には、家を建てる豫算が只今の所ございませぬし、役所の性質と致しまして、住宅計畫を立てられまして、それを住宅營團、或は地方廳、其の他住宅組合等を通しまして建設致すことになつて居るのであります、御承知のやうに、地方の都市では相當の復興を見て居りますが、是は木材とか勞務とかが割合に安いと云ふ事情にありますから、四割、五割の復興を見た處も相當數に上つて居るのでありますが、遺憾ながら大都市では、それが少しも進行しないと云ふ状態になつて居りまして、今日まで東京の如きは四「パーセント」、或は四「パーセント」半と云ふやうな復興率しか示して居ない、其の原因は何にあるかと申しますれば、要するに先程御話のありましたやうに、坪當り二千圓、三千圓、或は四千圓、五千圓と云ふやうな建築單價になつて居ります、それでは一般の人は無論建て得ないことになります、一方に於きまして、東京其の他五大都市では、借家率、貸家率と申しますか、是が非常に高いのでありまして、地方の都市は大體持家が多いのでありますが、大都市の貸家は、五大都市附近に於て約八割二分と云ふことになつて居ります、然らば多くの人は皆借家に住んで居るのだと云ふことになりますが、其の借家を建てる場合、坪假に二千圓と致しましても、十坪の家は二萬圓、十二坪であれば二萬四千圓と云ふやうな、其の他土地代が要りますし、結局其の位の家を建てますれば、三十坪位で家賃が二百圓或は二百數十圓に上るのであります、さう云ふものは借手もありませぬし、結局建て得ないことになりますので、それが非常に大きな原因であらうと考へて居ります、然らば家が建たないからと云つて、私共が晏如として居る譯には參りませぬから、今年は高額の國庫補助を計上致しまして、相當程度此の家賃を引下げ得るやうに處置しようと云ふ考へであります、是は近く豫算として出るだらうと思ひますが、之を大幅に認めて貰ひまして、出來るだけ復興住宅が建ちますやうに致したい、斯う云ふ考へであります
それから都市計畫が住宅の復興を妨げて居ないかと云ふ質問でありますが、都市計畫は無論御話の通り百年の大計でありまして、是非ともやらなければならぬ計畫だと私も信じて居ります、併し其の時期に付ては、御説のやうに多少延ばさなければならぬと云ふ所もあり得ると思ひます、無理にそれを今實行致しまして、例へば燒跡の空地の多い所に緑地をわざわざ買上げると云ふやうなこと、或は公園を作ると云ふことは必要がないのでありますから、御説のやうに、何十年先にまで延ばす譯には行きませぬけれども、一應の計畫を立てまして、先づ以て必要な所から家が建つやうにして行きたいと考へて居ります、それからもう一つ、なぜ大量に建たないか、どの位の計畫で一體建物が建つかと云ふ御質問でございましたが、是亦非常に難かしい問題でありまして、只今燒失及び疎開家屋の合計が大體三百萬戸に上つて居ります、其の外に、抑制されて建てることの出來なかつた建物が百萬戸以上ありませうし、尚ほ腐朽の爲に速かに改造を要する家が三十萬戸程度あると想像して居りますから、合計で四百三十萬戸と云ふ大きな數字になります、其の中昨年から本年の七月までに建ちました家が、全國で二十七萬戸餘りになりまして、結局四百萬戸程の家が今日不足して居るのである、之を假に十年計畫に致しますれば、年間平均四十萬戸と云ふものを建てて行かなければならぬと云ふことになりますが、それで假令十坪或は十二坪單位の家に致しましても、それに要する木材と云ふものが、大體計算致しますと、三千五六百萬石に上るのであります、御承知のやうに、今日森林を伐採し得る木材の量は六千萬石程度のものであらうと思ひます、其の中から三千數百萬石取ると云ふのは不可能であります、其の點に於て木造建築のみで行くことは到底出來ないことであらうと思ひます、尚ほ先程御話のありました如く、四千圓、五千圓と云ふやうな單價である、其の因は木材が大體闇で相當高價になつて居ると云ふことが原因して居ります、そこで私共と致しましては、決つた譯ではありませぬが、私共の氣持を打割つてと云ふ御話でありますから申しますが、考へた所では、十二年位の積りで考へて居ります、それは明年度は割合少いのでありますが、最終年度に於て四十萬戸位まで達しますやうに考へて居りますが、其の中の約六割を木造の建築に致しまして、殘り四割が鐵筋「コンクリート」或は「コンクリートブロック」、或は煉瓦造と云ふものでやつて行きたいと云ふ考へであります、其の理由と致します所は、現在「コンクリート」或は鐵筋「コンクリート」の建物が、木材の只今の價格に於ては、殆ど同値或は一割増し位の程度で出來るのであります、而も一方木材は非常な不足を告げて居る、又之を濫伐することが出來ないやうな日本の國情になつて居りますので、成べく之を温存し、他の材料に代へる、それは都市計畫の一つの大きな目的である都市の不燃化と云ふ目的に適ひますやうに、今申上げました不燃材料を使つて行きたいと考へて居ります、是は國家的にも經濟であり、又御承知の如く東京、横濱の如きは、震災では燒かれ、戰災で燒かれ、二囘も非常に大きな災害を蒙つて居りますから、之を三度繰返す必要はない、又さうあつてはならないと考へまして、目下商工、農林其の他の當局と、其の資材増産に付ての打合せをして居る次第であります
尚ほ、日本には材も金もないぢやないか、それを海外に仰ぐ考へはないかと云ふやうな御質問もありましたが、私も是は至極同感でありまして、どうも日本で家を建てると申しましても、國家豫算の都合もあり、旨く參りませぬ場合が多いと思ひまして、出來得れば海外の資源を入れ、幾分なりとも此の復興建築に寄與致したいと考へを持つて居ります、是はまだ具體的に進んで居りませぬが、構想と致しましてはさう云ふ風に考へて居ります、それは金でも宜いのですが、大體資材で賄つて貰ふと云ふ考へであります、是も非常に難かしい問題であらうと思ひますが、或る知合ひを通して相談したこともあるのでありますが、現在日本では、食糧を輸入する見返品で手一杯であると云ふやうな話を聽きまして、今直ちに是が實行は難かしいと思ひますが、關係筋とも協議の上、出來るだけさう云ふ線に沿うて復興建築を推進して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=3
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004・岩澤忠恭
○岩澤政府委員 御質問の趣旨に御答へ申上げたいと思ひます、戰災都市の復興計畫、非戰災地の都市計畫は、戰災地の方は復興院の方で之を擔當することになりまして、非戰災地に於ける都市計畫は、從來通り内務省の方でやつて行きたい、斯う云ふことになつて居りますが、戰災地の復興に關係したことに付きましては、私から御答辯申上げ兼ねるのであります、唯、只今御説の如く、此の都市計畫と云ふものは百年の大計でありまするから、之を無理やりに強行すると云ふことは愼むべきことであらうと思ひます、特に被戰災地に於ける都市計畫は、御覽の通りにやはり一應の目途を作つて、それの必要に應じて順次仕事をして行く、斯う云ふ風に相成つて居りまするから、さう窮屈なことに強行すると云ふやうなことは萬々ないと存じて居ります、特に此の頃のやうに住宅の拂底する際に於て、必要な道路とは言ひながら、此の際家屋まで取拂つて、さうして道路を造ると云ふやうなことは、大體愼んで、又私の方も注意もして居ると云ふやうな状態です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=4
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005・木村公平
○木村(公)委員 只今國土局長の御説明に依りまして能く了承致しますが、左樣致しますると、戰災地の都市計畫は復興院の方に於ておやりになるものと云ふ御答辯でありましたので、重ねて復興院總裁に御尋ね致すのでありまするが、先程來私が屡屡口を極めて申しました如く、此の戰災地に於きまする所の都市計畫に依りまして、復興住宅の建設が非常な障碍を受けて居る、此のことに付て、復興院總裁は如何御考へになつていらつしやるかと云ふことを御尋ね致したいのであります、例へば、具體的の例を申しますれば、初めにも申上げました如く、戰災地に於きましては、燒けたのを幸ひと致しまして、此の機會に都市計畫をするにあらずんば、將來は種々の妨害があつて出來ないのだ、今勿怪の幸ひだと云ふやうな根柢思想の下に考へられました所の都市計畫と云ふものは、御承知の如く實に厖大な都市計畫であります、例へば人口五萬に垂んとするが如き小さな都市に於て、幅員五十「メートル」以上の道路を幹線路を四通八達させると云ふやうな計畫が立つて居る、或は戰災地の中央に大きな公園を作る、或は又川を利用して、川の縁には理想的なる緑地帶を設ける、隨て其の附近でありまする所の、それの計畫に掛りまする所の土地は住宅を建てさせない、所謂住宅がさう云ふやうな計畫の爲に減少しまする所の減歩率が、甚だしきは六割、少くとも一割五分を下らないと云ふ實情にあるのであります、一割五分以下の減歩率のやうな所はない、少くとも一割五分、多きは六割と云ふものが、さう云ふ篦棒な不逞な計畫の爲に住宅地が減つて居るのであります、一方に於て復興院は住宅の建設に狂奔され、他方に於ては住宅地をさう云ふやうな方法に依つて取上げると云ふことは、一つの矛盾でなければ相成らぬと思ふのでありますが、復興院總裁は如何御考になつていらつしやるか、此の點も先づ御伺ひ致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=5
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006・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 御答へ致します、復興住宅が都市計畫の爲に建たぬのぢやないか、斯う云ふ御尋ねに付て答辯致しますが、御承知のやうに大規模な都市計畫と申しますか、相當程度に道を擴げたり、緑地を設けたりしますのは大都市であります、大都市は先程申上げましたやうに、中々色々な事情、詰り勞務、資材等に制約されまして、家は建たない、庶民住宅は建つて居りませぬ、建つたのは、大體、言ふことは憚りますが、闇屋と云つたやうな、新圓を以て何か利益を目的としてやると云ふのが多いやうに見えるのであります、さう云ふ點から考へまして、大都市では復興住宅の建設を阻止して居るとは考へて居りませぬ、さう云ふことがないやうに成べく進みたいと思ひます、又都市計畫が田舍の町で餘り大袈裟過ぎる、それは現に私共注意をして、成べく行過ぎのないやうにと云ふ風に指導して居ります、時偶五十「メートル」と云ふやうな所がある場合もありますが、それは驛前の廣場の代用になるとか、或は繁華地區を通り拔ける所の部分だけには、五十「メートル」の道路を設定しますとか云ふこともありますが、其の前後はそれ程大きくないものになるやうにして居ります、五萬、六萬と云ふやうな都市に於ては、五十「メートル」幅員の街路を設定したのは、恐らくありましても極く少い、斯う云ふ風に考へて居ります、ありましたならば今申上げたやうに、驛前の廣場と云ふやうな所に限つて居ると思ふのでございます、又大きな公園とか、緑地の爲に非常に宅地の減歩が大きくなる、是も私共嚴に愼んで居ることでありまして、殖えない土地に對して、大きな施設の爲に減歩の多くなることは、都市の住民と致しましては極めて不幸なことであります、併し一方都市計畫の根本精神と申しまするのは、其の都市の衞生、それから能率、さう云つたやうな主なる目的の爲に設定せられるものでありますから、之を餘りに小規模のものに止める譯には行かぬと思ひます、諸外國の例を採る譯ではありませぬが、大體空地、緑地と云ふものは、諸外國でも一割程度に止めて居りまして、街路は二十五乃至三十數「パーセント」と云ふのが常例であります、さう云つたやうな則を越えないやうに、其の範圍内に於て計畫をして居る次第でありまして、此の點御諒承を願ひたいと思ひます、私共の豫定では、今囘は減歩率が多少多くなると云ふことは豫想して居ります、平均に於て一割五分、一割五分を超える部分に對しては、是はやはり補償を致す考へであります、先程御話のありました震災直後の區劃整理に於ては約一割、實際の減歩率が一割五分乃至二割でありますが、一割までを減歩率と致しまして、國庫の補償を致しましたが、今囘は少し上りまして、一割五分と云ふことにならうと思ひます、平均に於て三割を超えない程度にやつて居りますから、五割、六割となる所は非常に稀な例であり、又さう云ふことがあつてはならぬ、さう云ふ場合には換地を與へると云ふ風な構想で居ります、簡單ですが御答辯申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=6
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007・木村公平
○木村(公)委員 重ねて御尋ね致したいのでありますが、初め戰災地の都市計畫の豫算等を内示されました當時の、政府の心組と申しまするか、意氣組と申しますか、其の當時と、最近に於きます、状態とが變つて參つたやうに感ぜられるのであります、それは初めは私共は全額國庫負擔を以て戰災地の都市計畫は施行されるものなりと考へて居り、聽かされても居つたのでありますが、段々變つて參りまして、最近に於ては左樣なことはないと聞いて居りますが、國庫補助はどの程度であるかと云ふことも一つ伺つて置きたい、それから更に伺ひたいと思ひますのは、初め政府が企圖されました當時に於ける都市計畫に要する費用、是と只今の實際現實に御施行なさらうとする所の豫算とを勘案致して見ますと、恐らく初めの御構想の一割位より實は都市計畫に使ふ御金はないやうに考へるのでありますが、其の點に付ては如何でありますか、更に萬一私の只今申上げました如く、政府は初め百圓の豫算を以てやらうとして居つたんだ、所が事實問題としては其の一割の十圓より金が出せないと云ふことにならば、實際問題として都市計畫は出來ないと諒承すべきあると思ふのでありますが、如何でありますか、萬一現在の國情に於ては、都市計畫が出來ないと假定しますならば、無暗に地方に於て都市計畫が出來るかの如き想定の下に、現に立退きを命じ、大きな道路を構想しまして、其の道路の構想の下に杙を打ち、立退きを命じ、甚しきに至りましては、假許可を致しました住宅に於て、營業の許可をしないと云ふやうな逸脱したる事實があるのでありますが、左樣な事實があつた場合に、あなた方の方は責任上之を看過なさる御意思であるかどうか、或は之を地方廳に連絡を取りまして、左樣な逸脱せる所の行動は、末端官吏の間違であるから、直ちに是正する御考へがあるかどうかと云ふことも、重ねて御伺ひ致して置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=7
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008・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 國庫補助率の問題でありますが、清掃整地と云ふものに對しましては、國庫負擔、國庫補助が九割になつて居りました、昨年度は九〇%でありました、今年はそれが國家財政の都合上八割に減るであらうと思ひます、大體八割と云ふことになつて居ります、其の外道路、水道、下水等の補助率は皆それより以下であります
次に都市計畫豫算が、諸物價の騰貴其の他に依つて段々少くなつたらどうするかと云ふ御話でありますが、現在さう云ふ點もあるのであります、譬へて申上げますと、清掃整地の如きも、地方では相當多く拂つて居る所もあるやうであります、それは豫算面から見て増額する譯には參りませぬから、其の盛つて居ります豫算の程度で清掃整地をして貰ふより外に方法がないのであります、御話のやうに一〇%まで下ることがあるかどうか、今日まではさう云ふ所はありませぬですが、極端な場合ですが、さう云ふ場合には實際上出來にくいと云ふことになるのは當然であります、それから最後に御話のありました、都市計畫の決つたやうな所で、杙打をやつて家の立退きを命じて居る、是はどうも少し行過ぎのやうに私は感ずるのであります、勿論移轉が容易に出來る所は已むを得ませぬが、杙を打つたと云ふのは恐らく其の路線の明示でありまして、直ちに此の計畫を實行に移すと云ふのではないと思ひます、二、三箇月前にもさう云ふ實例が東京にありました、杙を打つて道路の中に自分の家が來るのだが、直ぐ立退くか、立退いて呉れては困る、是は尤もな話でありまして、今日一軒でも多く、一日でも早く家を建てようと云ふ際に、現に存在して居る家を立退けてまで都市計畫を實行しようと云ふことは、御説のやうに行過ぎでありまして、是正しなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=8
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009・木村公平
○木村(公)委員 滿足な御答辯で了承致しましたが、昨年計畫されました簡易住宅が打切になつたのは何故か、其の點伺つて置きたい、それから先程の御答辯でも少し分り兼ねるのは、都市計畫に依つて、例へば路線の明示の爲に杙を打つ、それは飽くまで路線の明示であつて、其の爲に既に建つて居る住宅を撤去するとか、直ちに立退かせると云ふことは飽くまで逸脱せるものである、隨てそれは責任を持つて是正すると仰しやつた御厚意に對しましては、感謝するのでありますが、實際問題として、全國各地に於て現在此の問題は頻繁に起つて居る、道路擴張に依つて路線明示の杙が打たれると、直ちに既に一應假許可を致して、住宅を建てることを許可して居つた所の「バラック」の建設者に向つて、立退を要求して居る、此の事實は全國各地に具體的にあるのであります、更に私が奇怪に思ひますのは、役所が許可した其の住宅で營業せんとすれば、それは軈て都市計畫道路に入るのであるから、營業は罷りならぬと、是はあなたの方の所管ではないかも知れませぬが、そこまで行つて居ります、爲に全國各地に於て、今此の問題で非常に紛擾を起して居ることは、恐らくあなた方の耳にも入つて居らねばならぬと思ひます、是は大變な問題でありまして、先程の御答辯中にもありました如く、大體減歩率は一割五分位の程度に止めたいと云ふ御話でありますけれども、それはあなた方の理想的御方針で、地方に參りますと中中そんな程度に止めて居りませぬ、此の機會に徹底的に都市計畫をすることに依つて、百年の大計を樹てるのだと云つたやうなことを申しまして、實に地方に於ては行詰つて居るのであります、例へば先程申した如く、五萬にも達しないやうな所で、驛前の廣場でもない、街中を貫通する所の幹線道路を五十「メートル」にすると云ふやうな、例は一箇所か二箇所であるまいと思ふが、若し資料を其處に御持ちになれば御示し戴けば結構に思ひます、是は數箇所の少きではないと思ふ、況して小さい道路、三十「メートル」の道路に至つては、四通八達と云ふ言葉を以てしなければならぬ程多く計畫されて居るのではないか、此の爲に一番迷惑を蒙つて居るのは戰災者であります、燒跡に家を建てんとすれば、軈て道路になるから建てられないと言ふ、役所に哀願して、道路になる場合には退くと云ふことを條件にして、やつと許可を貰つて、有たけの財産を使つて建てると、今度は計畫が早まつた、來年の四月新年度に掛らなければならぬと云ふので、昨日建てたのに今日立退けと云ふ、常軌を逸した行動が各所に行はれて居る、斯樣なことは地方に照會なさつて、十分御檢討の上、徹底的に是正して戴きたい、況して一方に於て當局が住宅を許可し、他方に於て營業を許可せぬと云つた篦棒なことはない、大體復興院の都市計畫の爲に、全國數十萬の善良なる人民が、本當に只今泣いて居ると云ふことを訴へまして、重ねて善處を希望して私の質疑を終りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=9
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010・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 私の信念を申上げますと、我が國は戰勝國ではないので戰敗國であります、燒けたのは即ち戰爭に敗ける前提であつて、さう云つたやうな關係で、戰災を被つて居りましたのを戰勝國であるかの如き感じで以て、都市計畫を實行すると云ふことは、極めて行過ぎたことであると思ひます、何處までも我々は負けたと云ふことを頭に置いて行かねばならぬと思ふ、負けたと云ふ事實を頭に置くと云ふのは申すまでもないのでありますが、復興すべき金にさへ行詰つて居るのでありますから、成べく餘分な、或は贅澤な施設はしないで、出來る限り忍んで行ける程度の都市計畫でなければならぬ、斯う云ふ風に考へて居りまして、今御話のやうなことがありましたならば、それは非常に行過ぎであらうと思ひます、私の信ずる所では、五萬前後の都會に於て、五十「メートル」と云ふ道路がさうざらにはないと思ひますけれども、若しありましたならば、一つ私が調査の上御返事しても宜しいと思ひます
それから都市計畫の明示の爲に家がどんどん立退を命ぜられる、是も餘り多くはない筈でありますが、先程御話のやうな、千載一遇と云ふやうな考へで、大きな都市計畫をやらうと云ふやうな所がありますれば、さう云ふ行過ぎがあると思ひますが、私は常識ではそれはないと考へて居る、と云ふのは、此の都市計畫の根本は自力更生と云ふことになつて居ります、決して役所の方から指導をして、斯う云ふ風にやれとか、斯う云ふ風になるのだと云ふことは言うて居りませぬし、又指示もして居りませぬ、詰り斯う云ふ敗戰の結果罹災をして居ります關係上、其の都市の經濟力、歴史も考へなければなりませぬが、經濟力を本にして立上り得ると云ふ力の範圍を決めて、都市計畫を樹てることになつて居ります、若し御話のやうな所があつたとしたならば、其の根本方針を誤つて居ると云ふ風に考へなければならぬと思ひます、此の點色々御説もありますから、私も將來の計畫上に其の信念を織込んで、成べく無駄のないやうに致したいと存じて居ります
それから簡易住宅は、昨年の越冬對策として三十萬戸を豫定したのでありますが、實際問題は色々資材とか、勞力其の他に制約されまして、十分な建設をなし得なかつたのであります、のみならずあれは率直に申上げますと、實際は人の住むやうな家ではないやうでありまして、色々改造、改良すべき點もありますが、詰り庶民の住宅としては不適當である爲めもありますし、さう澤山も出來ないと云ふことから、一旦是は打切になつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=10
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011・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 只今同僚木村さんから縷縷御尋ねがありました、之に關聯を致しまして御伺ひして見たいと思ひます
大體木村さんの選出區と、私の選出區は區が違ひますので、其の見方も大變違つて行くかと思ひます、戰災復興は、所謂禍を轉じて福と爲すの筆法で、おやりになる都市計畫が單なる夢であり、理想であつてはならないと思ひます、戰災地に於ての區劃整理は、速かに之を實行して戴きたいと考へて居ります、百年の大計が此處で一歩を誤つてしまひますれば、千年萬年の空樓と化してしまふだらうと私は思ふのでありまして、是は速かに都市計畫の面に副つて、所謂區劃整理の實現方が望ましいと思ふのであります、何か目下の都市計畫は机上の空論でありまして、言ひ換へれば、唯圖面を書いてそこに線を入れて居るだけではないかと私共考へて居るやうな有樣であります、それは見方に依りまして、復興を致します住宅問題も色々考へ方が違ふと思ひます、東京都などから申しますれば、區劃整理が燒けた跡に早急に出來上れば、住宅難も所謂都民の實力に依つて、自力に依つて幾分でも緩和されるのではないかと思ひますが、如何にも區劃整理が遲いのでありますは言ひ換へますと、只今木村さんは線を引いた中の住宅が急速に立退きを命じられやしないか、或はさう云ふことがあると云ふやうな御質問のやうでありましたが、線を引いて杙を打つて、當然是が幹線道路である、主要線であると云ふ所にどんどん建築物が出來て居るのです、先般之に付て大橋計畫局長さんに質問を致しましたが、私の見る所に依りますと、日々にそれが多くなつて行くのでありまして、是は勿論其の線をはつきりする前に、建築の許可を取つたものに違ひないのでありませうけれども、今度此の都市計畫を本當に立派な理想都市とする上に於て、移轉を命じたりなどする場合に大變な障碍になるのぢやないかと思ひます、勿論お役所の方は規則一點張りでおやりになつた、まだ是が決らない内だから宜いと云ふやうな考へ方から、御許しになつたに違ひないと思ひますが、既に杙が打たれて、此處が五十「メートル」道路である、或は何々道路であると云ふ風に決定付けられた場合は、さうした建築物に對しても、適當なる方法を以て當然除却をされなければならぬのですから、今の中に何か方法を講じられたら、宜いのではなからうかと私は思ふのでございますが、此の點に付て一點御伺ひしたいと思ひます
それから内務省は燒かれてない都市の計畫、復興院では燒かれたる地區の復興計畫と云ふやうな御言葉が先程ありましたが、私は此の都市計畫に於きまして、何よりも問題になるのは、やはり各省との連絡が一番問題になるのではないかと思ひまして、管々しく特別都市計畫委員會に於きましても、大橋計畫局長に御尋ねを致しました所、各省との連絡が非常に緊密に出來て居ると云ふやうな御答辯でありました、併し私は餘り是は緊密でないと思ふのであります、主に運輸省其の他との連絡方法でありますが、幾度か申しますが、今囘の特別都市計畫法でなく、都市計畫法に基いた立派な道路が、何年となく鐵道省の線路、堤防或は橋梁の爲め、橋が出來ない爲め道路が道路としては役をなさないやうな場所が大變ある、立派な道路が出來ても、そこに踏切があつて踏切の間口が狹い、道路は幅員が廣い、何時まで經つても其の道路が道路だけの役をなさない所が大變ある、是等は内務省、或は其の計畫の當局と運輸省との連絡が全くなつてない證左でありまして、先般も大橋計畫局長は、連絡は付いて居ると居ふやうな御答へでありましたが、何か知ら今囘の都市計畫に付きましても、既に東京都に於て驛前廣場とか、或は幹線道路が決定されました、其の後に於て運輸省では、其處に厖なる所の機關庫の設置を計畫をして居る、さうなると、今決定されて居る道路に沿つた商業地域などと云ふものは、忽ちにして夢となつてしまふ、是は實際の現在の問題なんです、私は大橋計畫局長の其の言を信用して居りましたから、まさかと思つて居りましたが、本日登院の際に、其の地區の區長竝に區會副議長等に會ひまして、實に連絡の付かざることに驚き入つたやうな始末でありまして、是から浦和の運輸省の、誰がさうした計畫の所へ陳情に行くと云ふやうなことを言つて居りましたけれども、是等は全く都市計畫を施行する上に於ての大障碍であらうと思ひます、斯う云ふことを繰返して居たならば、机上の空論どころではない、何も彼も出來ないのぢやないかと私は考へるのでございますが、此の點に付て御伺ひしたいと思ひます
それから住宅難に付きまして、是は昨日一寸見聞致しまして、思ひ付いて御尋ねして見たいのですが、各省に於ける斯うした問題も多々あるかも知れませぬ、又私共東京都に於きまして、議員として方々實見を致しました時にも、大變斯うした悲しい現状に打突かつたことがありますけれども、芝浦の埋立地に復興院資材の倉庫があります、又厖大な資材置場の敷地があります、倉庫の中は私共窮ひ知ることが出來ませぬが、多分大變資材があるのではないかと臆測致して居ります、屋外には夥しい木材や鐵鋼材が置かれてあります、私共一本の柱にさへも現在非常な執著を感じて居る際に、雨曝しになつて、是は疎開の古材かい、いや、是は新材がさうなつたのだと側近者に聞かされました時に、やあ是は無駄なことだと昨日思ひました、又其の鐵鋼材は赤錆びになつて居ります、ああ云ふものを、どうしてああ云ふ所へ放置して置くのか、私は其の扱ひ方が實に無謀ぢやないか、其の氣持が分らぬ、既に戰災民は三疊の座敷を一間でさへも借り得られないやうな状態なんです、何かしら情けなくなつてしまひました、ああ云ふ風な資材を適當に處分をされまして、假令四疊半一間でも、二疊一間でも餘計に御造りになる御考へがあるかどうか、私は特に之を復興院の總裁閣下に御尋ねして見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=11
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012・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 内務省其の他關係官廳との連絡でありますが、是は非常に大事なことでありまして、御説の通り緊密なる連絡を取らなければならぬと存じて居ります、又其のやうに致して居ります、其の方法でありますが、元々内務省から大部分の人が復興院に參つて居りますから、内務省國土局との連絡は緊密に行つて居ります、又お互ひに連絡を取り、協議を致しましてやつて居りますから、此の點には支障を來して居ないと思ひます、他の省の關係でありますが、私共も出來るだけ──關係して居ります所は大體運輸省でありますが、運輸省と私個人でも折衝をして居りまして、例へば港灣計畫、鐵道計畫の如きものは、適當の人に來て貰ひまして、向ふの計畫と矛盾しないやうにして行つて居ります、時たま御話のやうな、機關庫問題は私も承知して居りませぬでした、一々私も協議はして居りませぬから……最近に鐵道關係の人に入つて貰ひまして、技官の人で、是は相當な地位に居つた人であります、さう云ふ人にこちらに任官をして貰ひまして、運輸省とは直接に、其の人を通じて設計なり計畫なりが緊密に連絡し得るやうに致して居ります、先刻御話の、道路はあるが、堤防に閊へて居る其處が堤防の除却をして居ない、それが一年も二年も其の儘になつて居ると云ふやうな例は、私共も見たことがありますから、御尤もだと感じまして、さう云つたやうな不合理、或は何と申しますか、一方に金を投じて道路を造り、一方に豫算がないかどうか知れませぬが、さう云ふ關係で道路の效用をなさないと云ふやうなことは洵に殘念であり、國家的にも宜しくないことでありますから、さう云ふことのないやうに努めて居ります
それから先程住宅難に付ての資材利用の御提案であります、私も此の住宅難の際、建物を早く建てたいと云ふことに日夜苦心して居ります、御話の芝浦倉庫は特殊物件倉庫でありまして、元々復興院のものではなかつたのであります、御承知の進駐軍家族宿舍を急速に建てる爲に、非常に厖大な資材が要りますので、遂に我々の手だけでは負へないことになりまして、進駐軍に其の事情を愬へたのであります、其の結果、終戰と同時に内務省に返還した昔の軍需資材がありまして、それは特殊物件として内務省に保管されてあつたものであります、其の内から必要なものは復興院が分けて貰へると云ふことに協議が整ひまして、其の調査中の材料と思ひます、看板は或は復興院と書いて居つたかも知れませぬが、全部が復興院のものではないのでありまして、一部は内務省に返し、一部は商工省に還る品物もあるのであります、何れのものに致しましても、御話のやうなことになつて居ることは遺憾至極でありますから、是は私からも能く注意を致させまして、さう云ふことのないやうに取計ひます、但し其の資材を使つて果してどれだけのものが行くか、優先的には進駐軍の宿舍用にしなければならぬのでありまして、鐵材其の他は相當にあるやうに表示されて居ります、出來る限り、是は民生安定の上から申しましても、國民住宅の建設に振向け得るものは振向けて行きたい、斯う考へて居りますから、左樣に御諒承を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=12
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013・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 道路の決定致しました其の杙を打つた中に建てられる建築物、それはもう許可になつて居るのでせうけれども、何か適當な御處置に依つて、將來もう直きに除却されることは分つて居りますから、是等に付て特段に御考慮を拂つて戴きたいと思ひます
それから各省との連絡に付ての、運輸省の問題でありますが、唯立派な道路が運輸省の線路に依つて阻碍をされて居ると云ふばかりでなく、目下都市計畫に依りまして大きな道路が造られ、もう既に是は發表になつて居る、さうして其の廻りが商業地區として軈て立派な町が出來るだらうと、附近の住民が其の方向に向つて自から以て起上らうとして居つた所へ、運輸省から是が機關庫になると云ふ風な計畫が發表されたらしいのであります、忽ちどうも是は夢になつてしまつた、是等に付て、若しさう云ふ風な運輸省邊りからの御交渉があつた際に、復興院としましては、計畫通りに之を實現させ得られるかどうか、此の點を御伺ひ致して置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=13
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014・阿部美樹志
○阿部(美)政府委員 今の件は洵に遺憾なことでありますから、十分調査を致しまして、どちらを變更することになりますか、それは今の御話ではどちらにも宜くないことでありますから、一應調べまして、善處することにしたいと思ひます、若し何處であると云ふことを御話下されば非常に私共としては好都合だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=14
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015・鈴木仙八
○鈴木(仙)委員 是は王子區の下十條驛附近であります、そこばかりでなく、大體東京都に於ける都市計畫は、運輸省との連絡を非常に必要とするのではないかと私は思ひますが、推定に依つて此の地區が驛前になるのではないか、又驛前廣場を作つた場合に、其の驛の方向が他に行つてしまつたやうな時は、是は御當局ばかりでなく起上らうとして居る都民に執つて苦痛なことでありますから、それ等に付て十分御調査あらんことを切に御願ひしまして、私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=15
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016・本田英作
○本田委員長 午後は一時半より再開致しまして、本案の討論採決を行ひたいと思ひますから、御用意の程を御願ひ致します、是にて休憩致します
午後零時二十三分休憩発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=16
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017・会議録情報2
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午後一時五十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=17
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018・本田英作
○本田委員長 午前に引續き會議を開きます、是より罹災都市借地借家臨時處理法案を議題と致しまして討論に入ります、先づ原案に付て討論を許します──石原君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=18
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019・石原圓吉
○石原(圓)委員 先日來の本會議の質問竝に委員會等に於きまして希望及び意見を述べたのでありまするが、大體此の附帶決議に餘程理事者が重點を置くことを強い希望と致しまして、尚ほ本法案第二十九條の適用に於て、都市の荒廢地には農耕菜植を奬勵することとありますが、更に之を修正することは御無理かも知れませぬが、私の意見としては、斯かる土地は成べく住宅に困つて居る者に住宅地として與へると云ふことの意味が含めたいのであります、兎に角さう云ふ希望を述べまして、私は原案に贊成するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=19
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020・本田英作
○本田委員長 武藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=20
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021・武藤運十郎
○武藤(運)委員 只今石原さんから御話がございましたけれども、私は本案に附帶決議を付したいと思ふのであります、御承知の通り、本案は都市復興と借地借家關係の整理を目的と致しまして、急いで之を通過させなければならない法案だと我々は考へるのであります、寧ろ本會議でも御質問がありました通り、本案は其の提出が遲きに失して居る位に考へるものでありまするが、併し我々が本案を審議致しますと、全く是が完全なものだと云ふ風には考へられないのでありまして、多少之を修正又は補足すべき點もあると考へるのであります、さう致しますと云ふと、既に貴族院を通過して居りますので、兩院協議會と云ふやうなことにもなりますので、一應原案の儘で通過をさせまして、私共の希望を附帶決議として之に附加致しまして、併せて本法の運用の全きを當局に期して戴く、斯う云ふやうに考へるのであります、附帶決議として付すべき條項を、僭越でありますが一寸讀上げて見ます
一、本法は罹災建物竝に疎開建物の借主居住者等を保護することを目的とはして居るけれども、自己建物の出來る者だけが救はれる、政府は權利があつて力のない者の爲に適切の對策を立つべきこと
二、政府は都市計畫中不急のものは後廻しとし、先づ住むに家なき者の爲に、急速に居宅を與へるやう努力すること
三、政府は積極的に本法を活用し、戰災復興院厚生省等の行政機關を動員し、裁判所鑑定委員會、調定委員會と協力し、戰災都市の復興、罹災者、疎開者、歸還者の保護に萬全を期すると共に住宅營團の事業實施の實情をも檢討し、其の促進の方法を講ずべきこと
四、本法に依る事件に對する非訟事件手續は成べく公開し、其の證據は制限せず、自由且つ立證させること
五、鑑定委員及び調停委員には少くとも半數位の借地借家人たる居住者又は居住者の代表を選任參加せしめ、尚ほ復興關係の官吏も適宜參加せしめること
六、本法の公示方法たる新聞廣告はお座なりの廣告に終らぬやう活字の大きな及び掲載紙面等を指示すること
七、本法に關聯しての提訴又は調停の申立があつた場合には、裁判所は申立により一應の疏明を以て無保證又は極めて小額の保證を立てしめ、所有權の移轉、賃借權の設定、借地權の讓渡、建物の建築等を禁止或は制限する等適切な假處分を簡易に許すこと
八、本法に關する裁判殊に無權限で罹災又は疎開土地を侵害して居る者に對する裁判は、簡易迅速な方法でやるべきこと
九、戰災保險金及び疎開補償金に對する課税に付ては、住宅建築竝に最低生活に必要な金額を免税點とし、自力建築の自力復興に必要な限度の封鎖引出を認めること
十、本法第二十九條第一項を善用し、戰災都市の荒廢地には農耕菜植を奬勵すること
以上であります、是は實は此の委員會に於ける各派に於きまして、協議の結果共同して作上げたものであります、どうか左樣御諒承の上、只今石原さんから御話のありました通り、當局に於かれまして一體として本案を善用せられることを望むものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=21
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022・本田英作
○本田委員長 林君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=22
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023・林連
○林(連)委員 私は當局が本委員會に於て行はれました質疑應答の精神を能く勘案せられまして、只今武藤君から發議になりました附帶條件を忠實に行ひ下さると云ふことを信用致しまして、本案に全面的に贊成致すものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=23
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024・本田英作
○本田委員長 是にて討論は終局致しました、御存じの通り原案と附帶決議とありますから、是は別々に採決しなければならぬことになる譯であります、仍て先づ原案に贊成の諸君の御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=24
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025・本田英作
○本田委員長 起立總員、仍て本案は原案通り可決致しました──次に武藤君の附帶決議に付て採決致します、武藤君の附帶決議に贊成の諸君の御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=25
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026・本田英作
○本田委員長 起立總員、仍て附帶決議も決定致しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=26
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027・本田英作
○本田委員長 次に辯護士及び辯護士試補の資格の特例に關する法律案を議題として討論に付します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=27
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028・林連
○林(連)委員 本案は既に貴族院を無修正で通過して居る議案でありまして、本委員會に於きましても、同僚から新しい觀點からの質疑に依つて之を質しまして、既に修正の必要もないと思ひます、原案通り決定せられんことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=28
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029・本田英作
○本田委員長 別に討論も他にありませぬから、之を以て討論を終局致しました、原案に贊成の諸君の御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=29
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030・本田英作
○本田委員長 起立總員、仍て本案は原案の通り可決致しました
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=30
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031・本田英作
○本田委員長 最後に訴訟費用等臨時措置法に付て審議致します──武藤君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=31
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032・武藤運十郎
○武藤(運)委員 一寸質問を致します、先づ第一に御伺ひしたいことは、金融緊急措置令の施行規則の今度の改正、其の他一連の緊急財政措置に依りまして、恐らく法律關係に於きましても、色々な影響を受けると思ふのであります、事情變更等がございますけれども、非常に大きな事情の變更であると私は考へます、勿論此の事情の變更に對處致しましては、それぞれ適當な法令が用意されると私は考へるものでありますけれども、併しながら細部に亙りましてはまだ及ばない點もあると思ひます、末端には十分でないやうな場合もあると考へます、若し左樣な場合に裁判所なり執達吏なりが、從來の民法商法或は民事訴訟法等の規定に依りまして、法律關係の決濟或は其の執行を致しますならば、司法關係に對して非常に大きな影響があると考へます、殊に債務者の立場に立つものに取りましては、非常に酷な場合も出て來ると思ふのであります、斯樣な場合に付て司法當局に於かれましては、裁判及び其の執行に付て、如何なる處置を取る積りであるか、此の點を先づ第一に御伺ひしたいと思ひます
第二に御伺ひしたいことは、執達吏役場の民主化と云ふことであります、執達吏は純然たる官吏ではないのでありますけれども、併しながら從來の例を見ますと、執達吏役場は非常に官僚的でありまして、一例を申上げますならば、最近は大變宜くなりましたやうですけれども、私共が辯護士を始めました二十數年前から十數年間に亙りましては、御承知のやうに、非常に執達吏の扱ふ事件が東京などでは多いのでありまして、一人が毎日二十件、三十件と云ふ風な差押、假差押、假處分等の事件の記録を持つて出られまして、終ひの方の五件や六件は何時も流れてしまふ、執行が出來ないで終ると云ふことが非常に多かつたのでありまして、さう云ふ實情でありますから、執達吏の方の鼻息も非常に荒くて、我々辯護士が、先生先生と云つて御願ひしないと、行つて呉れないと云ふやうな實情であつたのであります、最近は事件も非常に激減を致しまして、左樣なことも少いと思ひますけれども、色々な點に付きまして執達吏の役場が民主化されて居ないことが多いと思ふのであります、私は日本の民主化、司法の民主化の一環として、執達吏役場も之を大いに民主化しなければならないと考へるのでありますが、之に付て司法當局は如何なる御用意を持つて居られるか、之を第二に御伺ひ致したいのであります
第三に御伺ひしたいことは、執達吏の職務と云ひますか、執達吏の株が賣買されて居ると云ふことを聞いて居ります、詰り執達吏の權利と申しますか、是まで何千圓かで賣買されると云ふことを聞くのでありますけれども、左樣なことが從來あつたかどうか、又現在も行はれて居るかどうか、若し行はれて居るとすれば、左樣なものに付て當局では如何なる處置を執られんとするか、私は執達吏の株なんと云ふものはあるべきものではないと思ひますし、最近は事件も減りまして、執達吏の收入が非常に減收致しましたから、株と云ふものの賣買もないかと思ひますけれども、是から借地借家、それから經濟事情の激變に依りまして、訴訟は隨て執行等が非常に激増致すと豫想せられるのでありますけれども、さうなりますと又株が賣買せられると云ふやうなこともなきにしもあらずと思ひますが、其の點に付て當局の善處方を望むものであります
第四に御伺ひしたいことは、非常に小さなことでありますけれども、執達吏の送達のことであります、裁判所からの辯護士に對する呼出状、或は當事者、證人に對する呼出状は、書留訴訟書類が郵便で送られることもありますけれども、執達吏が持つて來ることもあるのであります、從來の郵便料金と云ひますと、郵便で出せば書留訴訟書類と致しましても二十錢前後で、確實に迅速に來たのでありますけれども、執達吏が持つて來ると云ふことになると、場所に依りまして、近い所でも五十錢、遠い所では一圓二圓と云ふ風な金額になるのでありまして、それを執達吏が次から次へ自轉車で持つて歩くと云ふことになると、莫大な金額に上るのでありまして、當事者は、持つて來られて直ぐ其の場で日當が幾らだと云ふ風に請求をされて、面白からざる口論があちらこちらで起つて居ると云ふ事實を、私は聞いて居るのであります、送達などは郵便が完備して居るのであるから、出來るだけ郵便送達に付し、執達吏は執行部面を受持つと云ふことにさせた方が、最も確實であり、迅速でもあると考へるのでありますが、此の問題に付きまして當局は如何なる御考へを持つて居られるか、此の點に付て御伺ひを致したいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=32
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033・小澤文雄
○小澤説明員 政府委員が不在の爲に、私から代つて申上げます
先づ第一點は、金融緊念措置令の施行規則、其の他一連の財政措置に依る一般人への影響をどうするかと云ふことでございますが、今度の一連の財政措置、直接には關係金融機關、或は關係會社だけを目標にして居りますので、其の他の一般國民に對しては、其の法令には直接に規定してございませぬ、唯少額預金者とか、或は勞務者、其の他の勤務者のやうな者に付て若干の規定は置いてございますし、或は時效制度などに付ても若干の特例は設けてありますけれども、併し是で一般國民全體に對する生活への影響が全部救はれるものでないことは勿論でありまして、それに對する措置と致しましては、今度の一連の措置と相關聯させて、例へば破産の豫防とか、それから場合に依つては強制執行の停止、さう云ふやうなことは在來の和議とか調停とかの制度を活用しまして、考へたいと思つて、實は其の準備を致して居ります、若し私共の豫定通りに參りますれば、此の一連の措置と同時に、本議會に提案出來る見込でございますので、さう云ふ時には又十分御審議を願ひたいと思ひます
第二點の執達吏役場の民主化の問題でございますが、私共實は仕事をして居ります上に於きましても、從來今仰しやいましたやうな噂を二、三に限らず聞いて居るのでありますが、今の所具體的にどの役場でどうと云ふことは實は調査したものはございませぬ、併し昔は恐らくあつたんぢやないかと思ひます、唯最近は非常に執達吏の收入が少くなりまして、さう激しい官僚的な態度で依頼者に接すると云ふことは、割合に少いのではないかと思ひます、併し是は最近の特殊の事情から來るのでございまして、又將來執達吏の仕事が非常に殖え、收入も殖えると云ふことになると、放つて置けば御指摘になつたやうな事實が起らないとも限らないのでございまして、それに對しては十分今から監督者の立場として、其の點に意を用ゆるやうに、私共のみならず一般の地方の監督官にも通達したいと思ひます
それから第三點の執達吏の株の賣買のことでございますが、是も實は申譯ないのでございますけれども、私共の方では現實に具體的にそれを調査した結果を今此處に持合はせて居りませぬ、さう云ふ事實があつたかないか、私ははつきり今の所申し兼ねるのでありますけれども、執達吏の收入が非常に多い場合には、或はさう云ふことも有り得るのぢやないかと思ひます、若しさう云ふことがあるとすれば宜くないことだと思ひます、恐らく最近の實情では、先程伺ひましたやうに、一寸私はないのではないか、現に執達吏を募集するのに、其の人がなくて困ると云ふやうな場所もございます、恐らくさう云ふ例はないのぢやないかと思ひますけれども、併し執達吏の待遇が改善されて、尚ほそれと竝行して事件が激増すると云ふやうな場合には、勿論警戒を要する事項でありますから、十分注意して行きたいと思ひます
それから第四點の執達吏の送達方法のことでございますが、是は實は私共の方では、普通の送達は執達吏送達の方が安く行くのではないかと考へて居ります、唯距離が非常に遠くなりますと旅費が掛るので、結局高くなつて參ります、大體今までの運用の方法と致しましては、執達吏送達の方法が利用されて居るのは、辯護士會邊りの受取人がある場合でありまして、是が執達吏送達に附せられる事件の過半を占めて居るのではないかと思ひます、其の他距離の遠い所でございますけれども、例へば郵便送達が何囘か行はれて不在の爲に目的を達しなかつたと云ふ場合に、執達吏送達をやることがありますし、或は期日が切迫して居る、それで郵便送達をやると、必ずしも其の期日までに送達が出來るかどうか其の點が確かでないと云ふやうな場合には、敢て執達吏送達を行ふ場合もあります、併し斯う云ふ特殊な場合は別として、それ以外の一般の場合に郵便送達でも執達吏送達でもどちらでも宜いと云ふやうな場合には、若し郵便送達の方が安く上るとすれば、勿論其の方を採るのが當然でございますし、又さう云ふ風に一般を指導すべきものだと思つて居ります、尚ほ御説のことは能く私共分りますので、各關係廳の方にも、其のことを趣旨が徹底するやうに、適當な措置を講じたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=33
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034・武藤運十郎
○武藤(運)委員 私の質問は是で打切ります
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=34
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035・本田英作
○本田委員長 是にて本案に對する質疑を終りまして、直ちに本案を議題と致しまして討論を致します──別に討論もないやうでありまするから、原案に贊成の諸君の御起立を願ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=35
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036・本田英作
○本田委員長 起立總員、仍て本案は原案の通り可決致しました、是にて散會致します
午後二時四十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009013794X00919460812&spkNum=36
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