1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○開拓者資金融通法案
○開拓者資金融通特別會計法案
○食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案
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昭和二十一年十二月二十三日(月曜日)午前十時十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=0
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001・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) それでは只今から委員會を開會致します、御諮を致したいことがございます、それは開拓者資金融通法案は農林省が主務省であり、開拓者資金融通特別會計法案は大藏省が主務省でございますが、兩法案は互に關聯致して居りますものでありますので一括して審議を進めたいと思ひますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=1
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002・岩村一木
○委員長(岩村一木君) 御異議ないと認めます、尚條文も少いので、總括的な御質疑と、條文の御質疑と併行して審議を進めたいと存じますが御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=2
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003・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 御異議ないものと認めます、それから御質疑に當りまして委員長の希望を申上げますが、會期も切迫して居りますので審議の時間の關係上御發言は御自由でございますが、成るべく簡單に重複しないやうに御質疑を御願ひ致したいと思ひます、是から質疑に移ります、御自由に御發言を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=3
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004・青木重夫
○子爵青木重夫君 昨日御説明がございましたけれどもはつきり聽取れなかつたのでありますが、貸付限度を營農資金、住宅資金を何か一萬圓と云ふ御話がちよつとございますが、營農資金は幾ら、住宅資金は幾ら、それから新圓か封鎖かと云ふことを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=4
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005・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 初めは私共としては豫算で營農資金として一萬圓、それから住宅資金として七千圓として出したのでありまするが、財政の關係で一應兩方引括めて一萬圓と云ふことに致したのであります、從ひまして其の一萬圓の中で實は住宅を建てたい人は住宅を建てて行く、營農の方は營農に使つて行く、運營でそこの所はやつて戴かうと斯う思つて居るのでありまして、初めよりも豫算が減つたものでございますからさう云ふ結果に相成りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=5
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006・青木重夫
○子爵青木重夫君 新圓でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=6
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007・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 勿論さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=7
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008・久松定武
○伯爵久松定武君 今の一萬圓の中には農具、肥料、家畜の購入代が入りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=8
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009・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 左樣でございます、實は今御説明申上げましたやうに營農資金だけで一萬圓、例へば家畜、農具、肥料と云ふやうなもので一萬圓、それから住宅は別に七千圓ですが、やつた譯でありますが、どうも豫算の關係でそこが削られたものでありますから一應一萬圓と云ふことに致しまして、營農資金を家畜、肥料、さう云ふものに全部使つて戴く、或はそれで住宅を建てようとする人はそれで建てて戴く、さう云ふことに致した譯であります、勿論入つて行きます人が、資力の無い人でありますから、さう云ふ人は矢張り開墾の仕事に、勞働に從事して其の勞賃の收入がありますから、それがまあ大體二十圓位になると思ひます、そこで其の方で生活と云ふか其の方の何がし多少出て來る譯であります、それから住宅としては三千圓ばかりの補助がありますから、それや是や集めまして、斯う云ふ財政の時でありますからやつて貰ひたいと思ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=9
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010・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今の御話に依つて一萬圓の程度でありますと、時價から考へますと甚だ少額のやうに思ひます、財源が公債でございますから、多額を期待する譯に行かないと思ひます、又多額に支出すると弊害を生ずることもあると存じますが、昨日戴きました資料を拜見しますと、開墾計畫と開墾の實際の進行率と云ふものは餘り好くないので、どうも計畫と實行と伴つて居りませぬ、今後も貸付資金を濫用して費用と努力を使つて效果が擧らないやうな場合があるかと考へられます、昨日もニッポン・タイムスを見ますと、ユーナイテッド・プレスのニュースですが、スキャップのラデジンスキー氏の言葉として、日本の政府の開拓計畫は机上計畫であつて、ラデジンスキー氏個人の意見としては計畫の二十五パーセント以上の成功は考へられない、うまく行くのが二十五パーセントであらうと云ふことを言つて居ります、開拓に對して非常に悲觀的な見方をして居ります、果して二十五パーセント位しか成功の見込のないものに對して資金と勞力を放出するのも如何かと考へますし、又今迄の實績が非常に惡いのですが、スキャップの見透しと農林當局の御考と如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=10
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011・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御尤もな御質問だと思ひます、ラデジンスキー君は私も存じて居る人でありまして、農地改革の方では色々と話合をした人でありますが、開墾に付てはちよつと意見を異にして居ります、勿論此の百五十五萬町歩、五箇年間と云ふ計畫それ自體が五年間に行くかどうか、又計畫が非常に具體的なものであつたかどうかと云ふことに付ては、是は率直に申しますれば、具體的な點に於ては、缺けて居るものがあつたと思ひます、是は言はば一つのペーパープランであつたと思ひます、そこで私共は百五十五萬町歩と云ふものを是非實現します爲には、其の計畫自身に付ても茲で再檢討をすることが必要ぢやないかと思つて居る譯でありまして、此の點に付ては此の間中央開拓委員會を開きまして、之に諮問致しまして、其の委員會の方々に、どうか百五十五萬町歩と云ふ計畫に捉はれることなく、日本の開拓計畫と云ふものを本當に成功さす爲にはどう云ふ點に付て具體的に考へて行かなければならないかと云ふことを御話した譯であります、是は私の方でも、此の百五十五萬町歩と云ふものを假に實行して行くに付きましても、其の調査或は適地の選定と云ふやうなことに付ては十分に嚴密な調査を致しまして、苟も計畫を樹てたことが實行に移つた場合そんなに食ひ違ひのないやうにして行くと云ふ心積りで開拓の仕事はやつて行くやうに仕向けて居ります、今迄でも大體小開墾は六十パーセント近く、集團開墾三十七パーセント近く行つて居る譯でありまして、二十五パーセントと云ふのは是はどうかと思ふのでありまして、ラデジンスキー氏も是は方々の開墾地を實は歩かれた譯ではないので、開墾の方は先生やつて居る譯ではないのであります、實はラデジンスキー君はそれ程の專門家でもない譯でありますが、唯今迄の成績の惡かつた點は、私は矢張り色々の原因があると思ふのであります、それは一つには、終戰後失業者の群を之に收容し、又食糧の輸入等の關係で出來るだけ早く開墾をして行くと云ふやうなこともありまして、此の進捗率と云ひますか、計畫自體に付て非常に嚴密な調査とか、或は基礎と云ふものが總てが總てあつたとは思ひませぬ、それから又實際上色々の點で例へば軍用地のものでも色々な、或は大藏省の關係とか、色々な關係で捗々しく行かなかつた點もありまするし、又開拓を進めて行きます謂はば役所側と言ひますか、政策としての體系が整つて居なかつたのであらうと私は思ふのであります、斯う云ふ營農の資金の必要さは痛感せられながら極く僅かなものであります、又殆どなかつたと言つて宜い、それから勞賃なんかの收入にしましても、是亦非常に僅かなものであつて、單價が低いものであつて、資力のない人がそれでやつて行けると云ふことにもならなかつたし、營農の指導の點に付きましても、連絡統制が餘り十分に取れて居なかつた、唯食糧が非常に窮屈であつたので、誰でも農村へ、又は開拓へと云ふことで片方では殺到して來て居つたと云ふ事情で、私はうまく行かなかつたと思ふのでありまして、それにしても兎に角六十七パーセントから三十七パーセント行き、又今迄合せますれば、三萬戸なり、五萬戸なりの人が兎に角入植して居ると云ふ事實もあるのでありまして、是はやり樣に依りましては、日本の開墾と云ふものもそんなにラデジンスキー君の言ふやうに、悲觀的のものではないと、斯う考へます、殊に只今は計畫を進めて行きます上に付きましても、勞賃收入なんかの點に付ては、兎に角ペーパープランに終らぬやうに、實情に即して、假令計畫が或程度縮小されても、具體的に實を結ぶやうなやり方をして行けと云ふことで、實は指導致して居る譯であります、さう云ふやうにあの百五十五萬町歩自體の計畫の再檢討を一方でやりますと共に、實際上立てられましたものに付ては、是が實を結ぶやうなやり方を今後やつて行くと云ふことで、實は農林省としては此の開墾事業をやつて居る譯でありまして、二十五パーセントと云ふやうなことは、是はちよつと言ひ過ぎと、斯う思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=11
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012・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今の大臣の御説明を私は了承致しましたが、私は栃木縣に於て那須野原の開拓の委員を縣廳から仰せ付かつて居りますが、一遍も委員會をしたことがありませぬ、もう二年間位……、それで大臣の御方針と縣廳の御方針とはどうも一致して居ないやうに思ひますが、例へて申しますれば、縣廳の林務課では平地林を餘り開墾してしまへば、薪炭材もなくなるし、又落葉や草を取る所もなくなるので贊成して居りませぬが、農政課とか耕地課と云ふ所は天降りの開拓計畫を押付けられた儘に苦し紛れに平地林をどんどん開發しようと云ふ計畫でありますが、さうしますと、今迄の既存の農家の落葉を取つて居た所はなくなる譯で、新たに開墾する所には肥料作物を作るから宜いと言ひますが、肥料作物はそれは何を作るかと言へば赤クローバーを栽培すると稱して居りました、處が大抵今後の開墾地は酸性土壤ですから石灰がなければ赤クローバーの栽培もむつかしいと云ふことになりました、どうも只今申上げたやうに机上計畫と實際とが合致して居ないやうに思ひます、それから是はリーダース・ダイジェストで見たのでありますが、日本の葛を土地改良にアメリカで用ひて非常に成功して居ると云ふことを見て居りますが、斯う云ふことも日本でまだ研究されて居らないのであります、居らないのか、聞いて居りませぬ、却て外國種の肥料作物を作ると云ふことを言つて居りますが、さうすると今迄の農家が困るやうなことになる、今迄の農家を犠牲にして新たに開墾すると云ふことは、増産の意味を成さないと思ふのであります、斯う云ふ點に付て、どうも綜合的に考へられて居らないやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=12
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013・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) さう云ふ點は私も過去に於てはあつたと思ふのであります、と云ふのは、開拓の仕事とそれから從來の農地の改革の問題とが一體を成して居なかつたのであります、地方の行政機構に於きましても、今度はそれではいけないと云ふので、地方に農地管理局を作りますし、又地方に農地部を作りまして、そこで從來の農政關係とそれから開拓關係を一つにしまして、此の農地の部に集めてしまつた譯であります、そこで今度は其の間の連絡と云ふものも相當取れると思ふのであります、それからもう一つは、開拓關係をやつて居る人達と、それから從來の農地の方をやつて居ります人達との間の十分な話合ひと云ふものをしなかつたのだらうと思ふのであります、さう云ふ點が非常に日本の行政機構の惡い所でありまして、是ぢやいけないので、今度は農林省で一つ成るべくならば地方に於てもさう云ふやうに一體になつてやつて行くやうに、態勢だけは一應整へたのでありまして、實は此の新しい態勢の下に指導して行きますれば、今御話のやうな點は大分避けられるのぢやないかと思ふのであります、それからもう一つは、是は今迄もさうであつたのでありますが、土地改革に付ても、又開拓と云ふものに付て、全部が全部、地方長官が十分な興味を持ち關心を持つて居るかと言へば、さうは言へないと思ふのであります、併し斯う押し詰つて來ますれば、是はどうしてもやらざるを得ないことは、自然に分つて來て居りまするし、又縣々に依りましては、開拓、開墾に付ての地元の希望も相當強いやうなことがありますので、どうしても是は推し進めざるを得なくなつて來ることにもなりますので、其處等の點をうまく指導して行きますれば、是は御話のやうに、中央で考へたことが縣の末端へ行けば、是はペーパー・プランとして、實際とプランとがちつとも一致して居ないと云ふやうな點も段々避けられて來るのぢやないかと思ふのであります、今度農地委員會が開かれまして、既墾地の改革をやりますが、開拓の方も農地委員會と連絡を取つてやつて行くと云ふことに致して居りますので、其處等の點を農地委員の人達が本當に動いて來れば、是亦うまく行くと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=13
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014・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今の大臣の御話で能く分りました、開拓の成功か否かと云ふことは、根本を成すのは、開拓地の適否が決するのでありまして、それには農地委員が其の土地の事情に最も精しいから、開拓委員と密接な連繋を保つてやつて戴きたいと云ふことは、只今の大臣の御話の通りでありますが、私は開拓金融委員と農地委員が同一人となる場合が多いのではないかと云ふやうなことも考へますので、開拓金融委員の構想を若し御分りでしたら承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=14
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015・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 御説明致します、開拓金融委員に關しましては大體今の所中央と地方に開拓金融委員會がありまして、それに金融部會を作つて行きたいと云ふ風に考へて居ります、さうして金融部會構成メムバーと致しましては、開拓關係及び財務關係の任に當つて居る官廳の主任官、それから入植者の代表者、是は是非參加させます、それから開發事業主體の代表者、或は營團とか農業會とか、それから農業金融機關の代表者、それから學識經驗ある者、さう云ふやうな者で大體十名乃至十五名程度のものに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=15
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016・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今の御話でよく分りました、それから次に一戸當りの耕地面積はどう云ふ風になつて居りませうか、是は地方によつては異なると思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=16
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017・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 御説明致します、一戸當り耕地面積は地方に依つて、或は高冷地、或は低暖地と云ふ所に依つて違つて居ります、大體北の方から申しますと、北海道は五町五段程度と考へて居ります、それから東北地方では二町五段程度、それ以外の地方は一町五段程度と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=17
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018・青木重夫
○子爵青木重夫君 只今の御話に依りますと、非常に面積が狹くて一町五段程度では、條件の惡い開拓地では營農不可能に考へられますが、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=18
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019・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 其の點は實は今のは一應の目安でありまして、我我の方としては本當はそれに捉はれて居ないのです、だけれども一應人を入れます時に、大體其の地帶に於て此の程度は、二町五段なら二町五段で宜い所は二町五段でやりますけれども、併し必ずそれでなければならないと云ふことではないのでありまして、例へば非常に地味が惡くて二町五段では非常に惡いと云ふやうな所は、若しも開拓適地であるならば、もつと廣くしなければならぬのは當り前であります、唯ああ云ふ一應の目安を付けて置きますのは、御承知のやうに只今引揚者或は失業者等で、開拓地に人を收容しなければならない、此の現實のなにがあるものでございますから、そこで兎に角人に職を與へると云ふやうな意味で考へますと、餘り面積を多くしますれば入つて來る人が少くなると云ふ結果にもなりまするので、そこで一應の目安を付けて居る譯でありますが、是は地元の實際の實情に少くとも私は委せて行く、大體の目安をつけて行く、斯う云ふ考であります、勿論此の營農方式と云ふものがそれぞれの地帶に於て私は變つて來ると思ひます、地味の良い所は二町五段でなくても、一町位でやつて行ける所が、或はあるかも知れませぬし、さう云ふ點は實際に委せて行くに如くはないのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=19
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020・松尾國松
○松尾國松君 私は御尋ね申す要旨を先に述べるのですが、第一開墾が机上の計畫であると、斯う云ふことでありますが、私は之に付ては其の通りである、今日以後は知りませぬが、今日の結果は其の通りであると思ふ、是は今農林大臣の御話の中に態勢が整つて居らなんだ、行政機構にも不備がある、地方長官にも不十分なことがある、是でもうはつきりして居るのです、此の通りです、それは私は誰が惡いと申すのではない、例へば今日迄の調査の實情を見ると、農林省で開拓地は何處にあるかと云ふと何處にある、ああ彼處にも此處にもちよつとはあつたなと云ふのが今日迄の恐らく實情です、それを農林省が纒めて是だけある、あれだけあると言ふのですから、初から出來ないのです、それを今農林大臣がはつきりと態勢を整へて居らなんだ、行政機構にも不備があつた、地方廳の調査にも不十分があつた、今日の實情はさうであります、それを本當に物を穫ると云ふことになつて來たのでありますから、机上プランと云ふことはもう原因から既に最初に現はれて居る、今日の政治の根本は其處にある、其の根本を定めずして、此處でやあ農林大臣の責任ぢや、あれぢやと云ふことは、それは各々誰でも責任は持つけれども、それは已むを得ざる責任であつて、實際でない、其の次には開墾と云ふものは、素人の人々や政府に居る人々は、我々が見て居ると、唯起せば物が穫れると思つて居る、そんな風に開墾と云ふものは行くものぢやない、殊に樂な所は既に既成田になつてしまつて居つて、今日以後に開墾すると云ふ所は所謂原始的の勞苦に科學を加へると云ふのでありますから、原始的に起すよりも遙かにむつかしい、それを起しさへすれば宜いと云ふことで今迄來て居るのに缺陷があると私は思つて居る、そこで農林大臣はさう云ふやうな缺陷を認めて今日改めると、斯う云ふ御話であるので、是はまあ一番私共は有力にさう思ふのです、此處へ出ます時に、北海道の方に聽いて見ると、北海道は九十八萬町歩戰爭前に開拓して、それが七十七萬町歩、畑が十六萬町歩、水田が五萬町歩荒れて居る、それで移住者はちつとも構はない、北海道は三箇年間の生活補助がなければ、やれない、是も尤もなことである、處が地方でも今度はそれを開拓すると云ふことになると、是はなかなか骨が折れる、此處で私共が申す位のことでない、本當に開墾をして獨立しようと思ふと、非常な決心と非常な努力とを要することは、私が申す迄もなく歴史の上から眺めても同じでありますが、私は今日は二百年、三百年前に開墾した勞苦と今日の開墾して行く勞苦とは、寧ろ今日の方が困難でないかと思ふ、まあ斯う云ふ意味から私は御尋ねするのですが、先程の農林大臣の御説明に依ると、一萬七千圓と云ふ積りであつたが、財政上の都合で一萬圓となつたと仰せられましたが、是は己むを得ぬと思ふのですが、併し今日の物價の状況から一萬圓位では斯う云ふ……大臣の御話の中に、入植者は比較的資産の少い者であつてと云ふ御話があつたのですが、其の者に一萬圓位の金でどうして自分が生活し得る迄の、三箇年を要する、地方でも三箇年を要するとも思ひませぬが、私は順に覺えて行けは宜いし、先程大臣の御話の中に住宅の補助が三千圓あると云ふ御話もあつたのですが、兎に角一萬三千圓やそこらでは、現在の相場から申すと、牛一頭買つても一萬圓位要る、でありますからどうしてそれがやつて行けるか、斯う云ふことで、之が一つと、其の次には開拓者が自分の都合の好い補助のある内はやつて行くが、都合が惡いとやめてしまふ、法案の中にも少しあるやうですが、それは最初の選定を非常に注意しないと又机上プランに結果する虞がある、入れる時に餘程調査をしなければいかぬのでありますが、それなどの途中で、其の開拓の目的に合はないやうな者は、都合の好い一年か二年の期間だけ金を借りてやつて、後は退くと云ふ者に對しては、本當に最初に詮議を嚴密にするか、若しくは其の後に於てさう云ふ怠慢者に向つてどうするか、斯う云ふことです、それから第三には之に準ずる者と斯う云ふことが此の提案の時に御説明があつたやうでありますが、準ずる者と云ふのはどう云ふ者でありますか、先に申上げたのは本當に之を開墾するやうにする、今迄のやうな机上プランでなく、現實にあらしめる、今日此の法案成立後は決して豫定と實績とが左程に違はぬやうにと、斯う云ふことに付て私は農林大臣に、是からは本當にやる、今迄の事は斯うであつたが是からは斯うであると云ふ御意見を承つて置きたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=20
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021・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御話のやうに開拓と云ふことは非常に私はむづかしいことだと思つて居ります、是は普通の開墾地の色々の仕事と違ふ、土地改良をやるとか色々な事柄があるので開拓と云ふことの困難は比較にならぬ程のことだと思ふのであります、此の開拓の事業をやつて行くに付ては兎に角事業をやつて行くのは政府でありますが、それが先づ鬪はなければならぬのは、開墾と云ふものは非常に困難であつて、今迄開墾されずに殘つて居つた土地は、是は條件が惡いのだから殘つて居つたのだと云ふ、所謂常識化された意見其のものを打破して行かなければならないのであります、其の意見は或意味から言へば正しいのですが、他から言ふとどうもそれは絶對正しいものと云ふことは出來ないのであつて、從來のやうに米や麥を作つてやつて行くと云ふならば、さう云ふことがあるかも知れませぬが、外の作物なんかを考へて行けば必ずしも其の意見が正しいとは言へない、さう云ふ所謂世間の常識化されたやうな、偏見と云ふと少し言ひ過ぎかも知れませぬが、さう云ふ意見と先づ鬪つて打破して行かなければならぬ、假にそれに打勝つて見ても、農業が非常に易しい仕事であつて誰でも出來るのだ百姓なんと云ふものは誰でも出來ると云ふ、此の考へ方に先づ打ち勝たなければいけない、百姓と云ふものは私をして言はしめれば、自然の影響を受けることの非常に大きく、勞力が苦しいだけでなく、色々なことをやらなければならぬ、非常にむつかしい仕事だと思ひます、多年の經驗を經なければ熟練した良い農業者にはなれない、是は松尾さんも能く御存じのことと思ひますが、一年に一遍しか米は穫れないのでありますから、是からやつても一年に一度しか經驗が出來ない譯であります、ですから二十年經つても二十遍しか經驗が出來ないさう云ふむつかしい仕事を誰でも直ぐ出來る、百姓をやれば米が食へると云ふ考へ方を先づ打破しなければならぬ、矢張り開拓地に入つて行く其の人の心構への問題になつて來る、其處で松尾さんの仰しやいましたやうに、先づ開拓に付ての入植者を選ぶに付ては、其處に矢張り一種の訓練をやるなり何なりして、人を選ぶと云ふことが非常に大きな要件になつて來るのであります、其の點に付きましては、是は現在でも誰でも彼でも入れて居ると云ふのではありませぬ、矢張り其處に相當の吟味を致して居るのであります、併し尚其のやり方に付きましては、曾て滿洲移民の時にやつたやうに共同訓練をやるとか、何んとかと云ふことをやつた方が宜いぢやないかと思つて居ります、それから一萬圓の點はどうかと云ふことであります、是は御説のやうに一萬圓と云ふものが十分だとは私は考へて居らないのであつて、今の價幣價値から言へば是は取るに足らない金でありますが、豫算の關係上已むを得ず一萬圓と云ふことに致したのであります、唯此の一萬圓の使ひ方に付ては、共同に買へる物は矢張り共同に買つて貰ふと云ふことでやれば、牛馬とか何んとか云ふものは個々の人が持つことが理想でありますけれども、物によつては矢張り共同で買つて共同で使つて貰ふと云ふやうなことでもやりますれば、そこに可なりの餘裕が出て來る譯であります、もう一つは開拓者はどうしても集團的に入つて行きますから、開拓者團體と云ふものがしつかりして御互ひの間で、互ひに相互牽制し合つて、唯金のある間だけ農業をやつて行くと云ふことのないやうに相互に團體として存して行くと云ふことが必要ぢやないかと思ひます、さう云ふことに付きまして、是は現地に於て、具體的にさう云つた問題は、現地に居ります者が指導して行く、斯う云ふことにやつて行きたいと思つて居ります、さう云ふ態勢を實は整へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=21
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022・松尾國松
○松尾國松君 御意見は能く分りましたが、大臣の此處での答辯と申しますか、それを現地の關係吏員に徹底するやうに一つ處置を、私は希望致して置きます、それから準ずる者と云ふものが可なり問題になりますが、それを一つはつきりと此處で承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=22
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023・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 開拓者竝に之に準ずる者と云ふのでありますが、開拓者と云ふものは新たに開墾する土地に入植する者を開拓者と言つて居ります、處が實際開いて見ますと、海外から引揚げた同胞、或は戰災者で偶々既墾地に歸農して居ると云ふやうな者があるのであります、是からは少い現象と思ひますけれども、住宅もなく營業の資材も全然持たないと云ふ者に對しても矢張り開拓者に準じて適當に融資せしめると云ふので、準ずると云ふことを設けたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=23
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024・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 其の點を詳しく申上げて見ますれば、普通の開拓者と云ふ者は、新らしく土地を拓きまして其處に入つて行く者であります、處が準ずると云ふのは今申しましたやうに滿洲の移民に行つて居つた者が歸つて來る、さうして元出て行つた村で、滿洲に行つて居る間土地を人に預けて置いたのが話合がうまく纒つて、農地調整法の上から言つても土地を返して貰へて其處に歸農した、歸農したものの滿洲から歸つて來たので何もない譯でありますから、さう云ふ人には普通の新らしい土地を拓いて入つて行つた農家と同じやうに金を融通したら宜いぢやないかと云ふ意味であります、今申上げました趣旨を末端迄徹底させたらどうかと云ふことですが、それはやつて居ります、現に農地部長の會議を開き、又其の土地の開拓或は農地關係の者を呼び集めまして、是は此の前の議會が濟みました以後屡屡會議を開きまして、十分趣旨を徹底させて居る譯であります、尚御話のやうな點は今後機會ある毎に、是はブロック、ブロックでやつて、矢張り會合を係の者で開きますから、其の時に中央から出て行き、事務上の色々な話合を致します時に、十分趣旨を徹底させたい、斯う云ふ積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=24
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025・松尾國松
○松尾國松君 一言私は尚希望を申して置きますが、茲で御話の通り、今迄の行政機構の不備な點を擧げて、さうして今後、今農林大臣の方針を、從來の役所の取扱の缺點を改むべく、一つ十分なる部下の御指導を希望を致して置きます、是で私はもう質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=25
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026・赤木正雄
○赤木正雄君 簡單に私は申します、先程農林大臣が、百五十五萬町歩の開拓地は再檢討しなければならぬと仰しやつたのは、私は實に有難い御言葉と思ふのであります、實際大臣の仰しやつた通りに、私はあれは本當に机上の計畫である、事實さう言ふより外にないと思ひます、だから百五十五萬町歩と云ふことに囚はれないで、一日も早く實際に適したものをやつて貰ひたい、此の前の議會の濟んだ後に私は二三歩きましたが、或町村では隨分山の高い所迄村長さんが開墾に部落の人を連れて行く、村長さん實に無駄なことだ、あんな所を開墾しても意味をなさぬ、併し自分達は仕方なしにやつて居る、地方事務所からしてあれをやれと斯う云ふ風な話であるから、已むを得ずやつて居る、やつた所で意味をなさぬ、何故政府は斯う云ふ無駄な金を使ふか、實際斯う云ふ所があるのを二三知つて居ります、今其の名前は申しませぬが、知つて居ります、或は農林當局は、大部分の集團開墾に成功して、二、三のさう云ふやうなものは已むを得ないのぢやないかと御考へになるかも知れませぬけれども、私は一つでも二つでもさう云ふものはあるべからざるものである、やる以上は立派なものをやつて欲しい、さう云ふ無駄なことをやる必要はない、さう云ふ所を今後開墾しても必ず無駄になります、町村長がさう云ふ風な考へを持つて居る所を、事改めて開墾すると云ふ必要はないと思ふ、斯う云ふ點に付て、今後の開墾の新しい計畫を爲さる時には、是非共御考へを願ひたいと思ひます、もう一つは、之も或所ですが、矢張り三千町歩の開墾をなさる豫定で、其の中の千五百町歩は既に出來て居ります、入植者が千戸入つて居ります、處が此の開墾の結果、非常に土砂が出て、其の下流の熟田三百町歩は今度は水害の影響を直ぐにも受けさうな状態であります、さう云ふことも今迄全然考へずに、やたらに開墾を計畫していらつしやる、斯う云ふ風な情勢が方々にある、だからして今度再檢討をなさる時には、斯う云ふ點も特に御考へ願ひたいと思ひます、それから來年度の開拓計畫に付きましても、開墾は一日も早くせなければならぬ、斯う云ふ御趣旨か知れませぬが、もう一度再檢討なさつて、それからして本當のものをやつて戴きたいと思ひます、一年を爭つて無駄なことをして居ることは、國家の爲に損だ、斯う云ふやうな考を持つて居りますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=26
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027・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 其の點、全體的の計畫は實は中央開拓委員會で檢討して貰ふことに致して居ります、又我々の方としても檢討を致して居ります、それから來年度のものに付きましては、是は實は少し計畫を縮めまして、實際上現段階に於て我々の確信の持てるものと云ふことでやつて居ります、それから只今村長さんの御話があつた譯でありますが、或程度御尤もでありますが、實は東北なんかでも、相當の高い土地を矢張り利用すると云ふことに付ては、相當の研究を實は致して居るのであります、私の友人の東北帝大の高橋純一君、是は地理學の先生ですが、此の人達が十分東北の高い地帶を地理學的にも亦氣象學的にも研究を致しまして、是はスイスが一應の模範にもなり得るのであります、あの山嶽地帶の高い土地で、牧畜或はさう云ふものを主にした多角的な經營をやつて居ります、固より日本とは相當條件が違ひますが、又似た所があります、可なり熱心にやつて居られる譯でありまして、矢張り日本はさう云ふ研究をして、片方では學問の研究を進めると同時に實際上利用され得る所が比較的多いのぢやないかと私は思ふのであります、唯從來のやうに米麥本位で行きますれば、恐らく可能ではありませぬが、他の作物を色々考へて行きますと、日本はまだまだ利用出來る、さう云ふ未分野の點が非常に多くはないかと思つて居ります、殊に將來の日本の農業を考へますと、私が始終言つて居りますやうに、全國的に多角經營化して行かなければなりませぬので、さう云つた高冷地の利用と云ふことは、今後共相當に大きな問題ではないかと思つて居ります、勿論之には有らゆる智能を動員して色々な面から研究して、實際上そこへ入つて經營が成立つやうに仕向けて行かなければならぬことは勿論でありますが、さう云ふ風に一應は考へて居ります、それから殊に面白いのは、此の間も私の友人の杉野忠夫君が來て、石川の話をして居りましたが、あそこでも色々な人が滿洲から歸つて來る、其の時に自分が相談に預る、さうすると何處かの村では、矢張り山の中腹を多少昔は耕し、そこに人が入つて居つたが、條件が變つたので、又里に下りて、放置されて居る所があるらしい、そう云ふやうな一つの開拓の中間地帶と云ふか緩衝地帶とか云ふものがあるやうであります、さう云ふ所は、今迄のやうなことではなしに、何かそこに新しい工夫でもすれば、定著出來るのぢやないかとも思ひますし、開拓のことは矢張り未分野の點が非常に未だ多い譯でありますので、計畫は著實に御話のやうにやりますが、一面では、さう云ふ新しい分野を開拓することの研究も必要であると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=27
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028・赤木正雄
○赤木正雄君 今大臣の御話で、非常に滿足致しました、特に高冷地帶の開拓ですが、是は食糧問題に關係するのですが、牧場とかさう云ふ風なものを盛んにやつて、特に開墾しないでも、さう云ふ風なことで食糧を供給する、さう云ふ風に考へるべきであると私は思つて居ります、又さうしないと、多くの人を立派に養ふことが出來ない、唯米ばかりではどうしても出來ないと云ふやうに考へます、其の點に付ては、大臣もさう云ふ御考を御持ちのやうですが、特に其の點を御考慮願ひたいと思ひます、それから今御話の石川縣でありますが、石川縣は白山の山脈がずつと續いて居りまして、夏だけ入る、さうして收穫して行く、冬になると自分の村に歸る、從つて小學校の先生も山へ入つて、部落々々と云ふよりは寧ろ一戸一戸を教育して居る、是も非常に結構と思ひますが、それが今日其の儘に放棄されて居る所も隨分あります、之に付て特に御願ひしたいのは、私は治水のことを非常にやかましく言ふのですが、開墾する爲にそこに非常に水害を起して居る所が澤山ありますから、此の點を特に御考へ願ひたいと思ひます、私の質問は是だけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=28
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029・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 農林大臣に御尋ね致したいのでございますけれども、大體此の法案の御趣旨は誠に結構なことだと存じて居るのでございますが、第二條の第四號が、「貸付金の全部又は一部につき、一時に償還を請求することができる。」と云ふのに對して「その營む耕作の業務を怠り、又は廢止したとき。」と云ふのが、理由になつて居りますが、其の營む耕作の業務を怠つたかどうかと云ふことの御監督、又はどの程度のものが怠つたものであるかと云ふことはなかなかむつかしい問題だと思ひますか、併し此の法案と致しましても、最も主要なる部分を、實際上としてなすものだと思ふのでございます、現に食糧緊急措置令などで供出をしないやうに煽動したものと云ふことがありますけれども、其の法令を適用するに當つて、なかなか誰が煽動者だか分らないと同樣に、耕作の業務を怠つた者と言ひましても、何か開墾に付て期限を付するなり、或は資金の使用目的が本當の開墾の目的のみに使はれて居て、無駄なく此の豫算が使はれると云ふことの十分な御監督をなさるとか、さう云ふやうなことをなさらないと云ふと、結局農地調整法に依りまして、平地林が徒にさう云つた開墾者の、所謂開墾者の手に移りまして、一方に於て耕作の業務を怠りながら、其の資金は更に別の目的に運營されて行く、さうして其の結果は、内地に於て非常に土地の狹ばまつて居る平地林が荒廢して、荒野を澤山作ると云ふやうな結果になりはしないかと思ふのでございますが、此の「耕作の業務を怠り、又は廢止したとき。」と云ふことに付ての御監督、或は其の開墾の期限などを御付しになるかどうか、其の點は十分に政府に於て責任を持つておやりになられるのであるか、或は外の現在の統制のやうに、十分に監督が事實上出來ないのだから已むを得ないではないかと云ふやうなことに終りがなつてしまふのぢやないかと憂へるのでございますが、此の點の政府の御監督に付ての實行力、さう云つたことに付ての御所信を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=29
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030・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 今度の法律に依りまする資金の融通は、農地管理局を通じ、それから府縣の農地部を通じて行くことになつて居ります、從つて縣の農地部、之には農政の方をやるものと、元の耕地關係をやるものが一つになつて居りますから、そこに相當の人員が居る譯でありまして、それが實際上やることになつて居りますから、監督はうまく行くのぢやないかと思つて居ります、末端の農地委員會には實際上に書記が居るし、又開拓委員もあり、縣で無論開拓委員會を開くのでありますが、村の農地委員との連絡は此處からも取らせますので、實際の事務は農地部がやることになりますから、其の點で監督の點は割合役人が怠けませぬ限りはうまく行くのではないかと實は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=30
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031・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 農地委員の選擧は此の度開始されて居りますが、ああ云ふやうな民主主義的な委員制度が出來ます時にも、何等委員の資格に付て限度の設けられて居りませぬ結果、其の目的に外れるやうなことになる虞が實際問題として起つて居るのでございますが、例へば小作者の代表を出す場合にも、何年間位か其の土地に小作をして居る者で、又相當の面積をやり、今後もやると云ふものが代表に出れば宜いのでございますが、さう云ふ資格の限度がございませぬ結果、何の資格もない、唯心臟で押して行くと云ふ者が代表となつてしまつて、折角の農地調整の目的を、自己の有利のやうに導く委員が出て來る虞があるのでございます、それで此の場合に於ても、開拓資金貸付委員會が出來ましても、同樣な結果が起つて、大臣の御目的となさることが外れて行くのではないかと思ふのでございます、從つて私が先程申上げたやうに、開墾には監督をする、或は資金の使途に付ての枠を設けて監督をさせるとか、此の種の枠を作つて目的を達成するやうにしなければ、全然手放しで以て所謂委員會に任せて置けば、それで目的が達成されると云ふやうな御方針は如何かと思ひますのでございますが、それでも尚此の目的が達せられると御思ひになるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=31
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032・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 是は全然委員會に任せてしまふのではないのであつて、委員會の中に金融會を置いて、そこで貸付なり、何なりをやりますが、實際上の監督なり指導と云ふものは、開拓者の組合なら組合に指導員を置くことになつて居りますから、それが實際上は監督して行くことになると思ひます、それから又、上の府縣の此の方面をやつて居りまする監督官と言ひますか、職員も同時に指導員と十分連絡を取ると云ふことになつて居りますから、それは比較的嚴密に出來るのではないか、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=32
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033・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 他に御質疑ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=33
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034・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 ちよつと伺ひますが、外國の機械を使つてやつたものと、手でやつたものとの結果はどうなつて居りますか、それから動物が非常に不足して居る、是は非常にむつかしい問題と思ひますが、之の問題と、それから從來の滿洲開拓等の實際の開墾、開拓、或は其の指導等に經驗のある者をどの程度に御活用なさる御計畫であるか、もう一つ資金は初めの御計畫と變らないと云ふこともあつたのですが、斯う云ふ計畫的に本當に新しく開墾する場合、先刻から御話の出て居るやうに限られた資金を一層有效に使ふとすれば、餘りばら撒いてしまつてもどうかと思ひますが、其の邊どんな風になつて居りますか、ちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=34
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035・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 御説明致します、機械開墾の問題でありますが、機械開墾は、現在約農林省に機械を四百臺ばかり持ちまして、地方にそれぞれ貸與して居ります、機械關係をやらして居りますが、現在の状況は、機械の色々な操作に馴れない、それから最近の運輸状況からトラクターの移動がうまく行かない、それから資材とか、機械の製造面に於ても相當缺陷があるので、豫期の成果が擧つて居りませぬ、其處に擧げて居る大體二割程度が機械開墾になつて居ります、それから畜力開墾の問題でございますが、是は今日畜力が非常に減少して居りますので、是も思ふやうに行かぬのでありますけれども、我々の方と致しましては、出來るだけ畜力開墾を勸奬して居りまして、畜耕隊と云ふものの組織を作つて、畜耕隊の力で開墾させると云ふことを奬勵して居ります、それから滿洲から歸つて來た多數の移民は非常に此の經驗があるので、其の經驗を採り入れると云ふことは重要なことでありますので、行政面に於きましても、滿洲方面から歸つて居る滿拓關係の者などを入れて、其の實際の經驗を生かすやうにして居ります、滿洲移民に付ても成るべく之を集團的に入れると云ふやうなことを考へてやつて居ります、それから開拓者に對する資金融通の範圍でありますが、開拓者全體に及ぶのでありますけれども、財政其の他の關係でトータルが抑へられて居る關係がありますので、成るべく實情を考慮して、手持資金の有無、それから個人で資金を獲得し得られるかどうか、營農の形態と居ふものを考慮して實情に副ふやうにして行きたい、總花的に機械的に分けてやるのでなく、さう云ふ風にしてやつて行きたい、從つて純粹の入植者を對象とする、それから今後は自作農創設特別措置法と云ふものが出來まして、政府が未墾地を買收して、其處に開墾を施し入植させる、さうして農地にして賣渡して年賦償還で返させると云ふ仕組になつて居ります、それとうまく併せてこちらの營農資金、住宅資金の囘收を圖る、それとうまくマッチさせるのが適當な措置と思ひますので今後は自作農創設特別措置法に依つて、入植させる者に主として貸付をなして行きたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=35
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036・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 もう一つ自分は資金を持つて居るし、新たに開墾農場を經營する實力もあり、眞面目である、それが土地を稍稍廣く使つて、全然新しく農場を經營すると云ふやうな者には、不眞面目なのはいけないけれども、今土地を斡旋なさる場合もあるのですか、小さい開墾でなく高冷地などを纒めて思ひ切つて開拓する場合に、實際問題としてはなかなか容易でない、相當力のある者が纒めてやらなければならないが、それは機械とか、資金とか、色々の點でなかなか進まない、それを纒めてやると云ふやうな眞面目な者があつたら、さう云ふ人に土地を斡旋される場合があるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=36
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037・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 今後段々開拓して行くのは奧地へ入つて行きますから、さう云ふ交通不便な所では相當の資力を必要とします、又個人々々が入つては失敗するだらうと思ひます、さう云ふものには特別な組織を作つて、組織の力でやる、「その組織する法人」と云ふのは主としてさう云ふものを指すのでありまして、それに大口に貸付けて、それに責任を持たせてやると云ふことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=37
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038・菅澤重雄
○菅澤重雄君 私は遲れて參りまして、大臣の説明を聞かなかつたのですが、開墾をすると云ふことは、第一の目的が食糧増産であり、それからもう一つは海外引揚者、失業者を救濟すると云ふのが、重點ではなからうかと考へるのでありますが、其の開墾と云ふことをして入植をさせる、若しくは開墾人に、其の入植者に農業をさせると云ふことに付て、單に海外引揚者に業を授けるとか、失業者にそれをやらせると云ふだけでは開墾の目的を達することは、私は不可能だと思ふのですが、是は餘程其の入植者を選ばないと云ふと、私の經驗から言ふと、資本などのある人は悉く失敗して居る、家屋敷を賣拂つて、全財産を擧げて開墾に出ても失敗して居る、金にのみ頼るやうな人は必ず失敗する、そこで困苦缺乏に耐へ、裸一貫で來た本當に開墾で一生終らうと言つたやうな精神の持主でないと、どうも成功しない傾がある、それはどうしても農家の生れの、生れる時から農業と云ふやうなものに育つた人が成功するので、私の開墾した二、三箇所の場所でも、さう云ふ金を持つて來て、金に頼る者は必ず途中で失敗に終つて、其處を出なければならないと云ふ例が多々あります、そこで私は人を選ぶと云ふことは、餘程考へなければならないことであると同時に、集團開墾をすると云ふことであれば、そこに農業の指導者と云ふものが、立派な人がなければならないのであります、さう云ふやうな計畫に付て、政府は何か御考があるのですかと云ふことを、私は聞きたい、さうでなければ指導者があつて、其の土地に適當する作物とか、或は色々の耕作法とか云ふやうなものがなかつたならば、其の集團開墾の農民と云ふものは、大抵は失敗に終ると私は考へる、一二の例を今言へば、甘藷の一段歩千貫取りの先生等が、三人、内原の加藤完治さんの處に行つて作つて見たら、千貫どころではない、其の三人の先生等が大抵五百貫位に終つたと云ふ例を、加藤さんは發表して居る、さう云ふやうな譯で、どれ程偉い技術を持つた人でも、土地が變り、氣候が變り、色々の風土の關係で、大抵は失敗に終る、斯う云ふ例は實際多々あるのですから、集團開墾の如きものには、どうしても立派な指導者がなければなるまいと思ふのですが、其の點に付て政府は如何樣に考へて居るか、それからもう一つは、集團開墾の如き何百町とか、何千町を開墾しますのには、どうしても一村を形作る所の、希望としては田もあり、畠もあり、山林の如きものもなければならない、若し山林の如きものがなければ焚物を取ることが出來ないので、それを遠方から買はなければならないと云ふことで、總て一方的の作物で、後のものは買はなければならぬと云ふことでは、本當の一村を成す力がない、それが爲に生活に困難するから、矢張り其の開墾は不成功に終ると思ふから、或は防風林の如きもの、或は山林、さう云ふものを集團地には立派に計畫を立てなければ私は成功しないと思ひますが、其の點に於ける此の場所に付て、適當な施設計畫を政府は立てて居るか否や、斯う云ふことを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=38
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039・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 全般の御質問に付きましては、他の委員の方々に御答へ致しましたが、私も全く同感でありまして、さう云ふ風に考へて居ります、營農指導者に付ては、是は各開拓の組合に營農指導者を置くことに致して居りまして、さう云ふ計畫をして居ります、是は豫算にも計上致しまして、是非人を置きたいと、斯う思つてさう云ふ計畫をして居ります、それから後の點でありますが、御承知のやうに是は村作りでありまするから、村作りの點から行きますれば山があり、田畑があり、或は其の他のものがありますことが是はもう理想的でありまして開拓に付きましては、今度の未墾地買收の點に付ては、さう云ふ點を考慮致しまして、土地の買收が出來ると云ふことに致して居る次第であります、從ひまして、集團開墾の如き場合に於きまして、其の適地の選定に付て嚴密な調査をやりますことは、是は勿論であります、それに基いて未墾地の買收をやりますことに付ては、勿論採草地、其の他の農業經營上必要なものに付ては、同時にそれ等のものを考へることが出來るやうに致して居ります、又さう云ふやうに今後は指導して行きませぬと、實際上の開拓は、本當の意味に地に付いたものは出來にくいのぢやないかと、斯う云ふ風に私共は考へて居ります、さう云ふ方針で進んで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=39
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040・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 大臣に伺ひたいのですが、開拓者資金融通法案の中の命令事項に付て御伺ひ致します、第一條に「命令で定める耕作の業務を營む者」と云ふのがあります、第三條の二行目に「命令の定めるところにより、その年に支拂うべき年賦金額のうち」と云ふのがあります、それから同條の中に、此の法案の三頁の中程に「政府は、命令の定めるところにより、その増額分に對する利子に相當する金額を」と云ふのがあります、それから第六條に、「開拓委員會に關する規程は、勅令でこれを定める。」と、此の四點がございます、此のことに付て御説明を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=40
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041・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御答へ致します、第一條の命令は、是は所謂開拓者に準ずる者はどう云ふ者かと云ふことを書く譯でございます、それから一條に融通の限度を書きます、資金の融通は、例へば營農資金は一萬圓、住宅は七千圓、と書きます、それから三條の方には、貨幣價値の變動に從つて年賦の支拂を調整すると云ふのでありますから、是は米價の變動の限度を書いたらどうかと思ひます、米價がどの位變動した場合に、其の元金の増減をやるとか云ふ其の限度を書いて見たいと思ひます、まあ二割程度以上はどうかと思つて居りますが、此の點は尚司令部の方とも連絡を取りたいと思つて居ります、それからそれと同時に矢張り支拂猶豫の點に付ての、收穫の減つた其の割合、どの位に減つた時に、一體支拂猶豫するかと云ふ點を書きます、それから委員會の點は是は委員會の組織でありますとか、或は權能と云つたやうなものを書くことになる譯であります、大體大雜把な内容はさう云ふ譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=41
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042・久松定武
○伯爵久松定武君 開拓に付きまして現在共同開拓を目的として訓練して居ります開拓訓練所でございますが、あの昨今の状況を見ましても、將來あの見透しは如何かと云ふことと、それからもう一つは家畜に付きまして或は畜力の利用、或は牧場等の御奬勵のやうでありますが、現在開拓者達の一番困難なものは飼料難、農村全般ではありますが、特に開拓の困難なのは飼料の點であると思ひます、此の點に付きまして御伺ひしたいと、斯う存じます、それから第二の質問の開拓訓練所の樣子を見ましても、其の前身者である農兵隊時代には相當希望者が多かつたのでありますが、是は一例に過ぎないかも知れませぬが、私の郷里の方に於きましても開拓訓練所に入る希望者が非常に少いやうな實情にあるのでございますが、政府は將來訓練所に對しては如何なる考を御持ちでございませうか、其の點に付て御伺ひしたいと思ひます、それから尚家畜の飼料に付きましては或は聯合軍に懇請されて輸入されたことも伺つて居りますが、來年以後に於きましてはどう云ふやうな見透しでございませうか、其の點を此の際御伺ひして置きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=42
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043・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 訓練所に付て御答へ致します、從來戰時中に於ける訓練所の使命は專ら戰時食糧増産と云ふので專心して參つて、寧ろ其の指導の中心を精神方面に重點を置いて來たものであります、處が戰後になりましてから其の方針を變更致しまして、今後は相當に科學的な部面を採入れまして、みつちり科學知識を導入して行きたい、殊に開拓地に於きましては從來の米麥中心主義の方針と異りまして相當に科學的に、畜産を採り、森林を採入れた、相當綜合的なものの農業を營まなければならぬと思つて居ります、それから科學的にそれに適したるものを主にして行きたい、其の方面に寧ろ重點を指向するやうに致して居るやうな次第であります、戰時中のやり方と致しましては相當其處に全體の氣運と云ふやうな關係から致しまして希望者も多かつたのでございますけれども、今度はさう云ふ風に地道にみつちり叩き上げて行かうと云ふやうな考でやつて居ります、それで入植者の據點と致しまして、機關と致しましてそれを開拓して行かう、それが中心となつて全般を指導して行くと云ふやうなことに傾いて參つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=43
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044・久松定武
○伯爵久松定武君 尚今の飼料の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=44
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045・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 此の開拓訓練所、それから農民道場、それから其の他農事指導の色々な施設と云ふやうに、戰爭中に色々農業方面の所謂指導機關と云ふものがあつた譯であります、それがまだ終戰後それぞれ存續は致して居りますが、そこに是は私の率直な話をしますれば、統一したと云ふものが私はまだないと思ひます、之を何とか統一して、丁度農地部に於て開拓と農地とが一緒になつたやうに、さう云ふ民間に今迄ありまするものに付ても、唯元の役所の息の掛つたものに付ても何かはつきりした相當の理念を與へて一緒になるやうな方向に是非是は仕向けて行きたいと苦慮致して居る譯であります、今の開拓者の訓練所、其の他農民道場なんかに付きましても、謂はば今一つの轉換期と言ひますか、戰爭中は是は戰爭遂行の爲に一つの目標がありまして、どちらかと云ふと可なり精神的な形式化したやうなもの迄もあつたと私は思ふのでありますが、それを今度經營を主にした、而も農家の本當の長男なり或は農家の次男、三男なりで開拓に行くと云ふやうな人が入つて、そこでそれを經營指導の上の據點として、又自分達が村に歸つて來て、又農業をやつて居る時に其處を集り場として、色々な研究、錬磨をして行くやうな場所にすると云ふことが、是が理想的だと私は思ふのでありますが、それをやりまするには色々な矢張り條件がありまして、現在の施設、其のものが十分でないと云ふ點もありますれば、又人其の者が、總てが總て適任であるとは言へない點も多少ありませうし、或は今の組織制度其のものに付ても多少の考へる餘地があると云ふやうな點がありまして、まだ十分なるそこの統一が取れて其處迄行つて居らないのでありますが、是は將來の問題として、是非一つ何んとかうまい解決を見出したいと斯う思つて居る譯であります、開拓訓練所に付ては、矢張り誰でも開拓に行くと云ふのでなくて、矢張り引揚者とか、又其の他の人が行くに付ても、次男三男で農業をやつたことのない人は、何處かで本當に訓練することが必要だと思ひます、さう云ふやうな施設にも使つて見たらどうかと考へて居る次第であります、大體訓練所、指導道場、さう云ふやうなものに付て是非やつて行きたいと思ひ、色々内部的にやつて居る譯でありますが、なかなか急には參らない譯であります、それから家畜の點でありますが、是は家畜は全く減つてしまつて居る譯でありまして、農林省としては是は家畜の奬勵の第一に増産計畫を建てて行くことから始めたいと思つて、是が増産計畫に付きましては、只今農林省の方で各家畜に付きまして檢討を致して案を建てさせて居る、それに必要なる飼料作物であります、それも出來るだけ方針は内地で矢張り自給する方に持つて行きたい、飼料作物は色々な工夫をしますれば、是は内地でも相當の飼料作物がある譯でありますから、飼料作物の自給は出來るだけやつて行きたいと思つて居ります、勿論現状としては足りませぬので、此の輸入は矢張り昨年通りやつて居りますが、さう多額のものを矢張り望む譯にはなかなか參りにくいと思つて居ります、只今具體的の數字は私はちよつと覺えて居りませぬが、餘り多く期待することも現實の問題として出來にくいと思つて居ります、それから矢張り餌を作るに付きましては、どうしても食糧の方との關係もありますので、今年は色々な點で、例へば粉食等に付て甘藷の經營なんかも止めて餌に返すとか、其の他九十六パーセントの白米を認めると云ふやうな形で出來るだけ、餌が農家の手許に殘りますやうに仕向けて居ります、是で勿論十分ではございませぬが、此の點は尚一層具體的の案を建てて努力して見たいと斯う思つて、只今色々なことを計畫して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=45
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046・菅澤重雄
○菅澤重雄君 從來十町歩、二十町歩と云ふやうな纒つた場所を開拓しました場合に、農調法から見て之を財團法人とか個人とかと云ふものでやるにしまして、其の土地はどう云ふ風に行くのでありますか、十町歩、二十町歩を自分で作れば差支なく此の開墾に付ては所有權を確保して行けるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=46
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047・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 結局農地調整法の規定に從つて自作農を創定して行くことになる譯であります、其の場合に其の土地々々に依つて違ひますが、自分で自作を本當にやると云ふ意味でありますから、其の經營面積は其の土地に適した經營面積を考へる……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=47
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048・菅澤重雄
○菅澤重雄君 それで差支ないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=48
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049・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 差支ありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=49
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050・菅澤重雄
○菅澤重雄君 もう一つ、今の時代では開墾の奬勵金とか若くは補助と云ふやうなものは一段歩どの位、金額の何割を給して居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=50
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051・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 開墾は大きい面積と小さい面積に依つて分けまして、大體五十町歩以下を小開墾と言つて居ります、五十町歩以上は集團開墾で、其の中一番難しいのは國營、それから營團、府縣農業會と云ふやうに委託開墾をやつて居りますが、それはこちらの經費で全部支拂つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=51
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052・松尾國松
○松尾國松君 開拓關係者及び開拓に從事した者が第二封鎖の方を利用しなければやれないと云ふことがあるのです、是は大藏省の所管でありますが、政府機關に依つて行はれることになつた此の重大なる事業に對して主管大臣としてどう御考になりますか承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=52
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053・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 御答へ致します、開拓關係諸團體に於て第二封鎖があつた場合の處置と云ふことでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=53
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054・松尾國松
○松尾國松君 詰り第二封鎖になつて居る者が入植者になりたい時にどう云ふ考を持たれるか、もつと分り易い言葉で言へば、私が第二封鎖を持つて居つて、それで開拓をやりたいと云ふ場合、開拓と云ふことは大切な事業であるから、金融上の措置を考へられるかと云ふ、斯う云ふことであります、それは私は失禮なことを言ふやうだが、大臣として閣議でどう云ふ風のことを言はれるか、是は此のことばかりではない、外の問題にもあるのであります、それだから大臣はさう云ふことを聞いて居られるか、考へて居られるかと、斯う云ふことを聽きたいのであります、そんな事務的のことではない、是は政治の問題でありますから大きい問題であります、だから大藏大臣に聽くのも必要でありますけれども、主管大臣として此の事業を完遂せしめる上に第二封鎖を解いて貰ひたいと、斯う言つて來た時にどう云ふことを考へて居られるか、斯う云ふことを承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=54
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055・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 其の問題は何も開拓者だけでなく、農林關係では色々なものがある譯であります、例へば、北海道のビートの耕作者の問題、其の他木材とか色々ある譯でありますが、是は私共の方としては出來るだけ解除して貰ひたいと云ふことを始終事務的にもやつて居りますし、大藏大臣にも私から話をして居る譯であります、開拓の問題に付きましても、お話のやうにやつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=55
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056・井上勝英
○子爵井上勝英君 私ちよつと聽き漏したかと思ひますけれども、此の特別會計で金融する大體の相手方の人數はどの位になりますか、八萬三千戸は純入植者と云ふことを伺ひましたが、其の以外の法人は、大體の金額はどの位になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=56
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057・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 八萬三千戸と稱するのは、純粹の入植者を代表して居ります、それから金額は、是は最初ののは、今年度分は是から出來ますが、四億七千萬圓別途豫算に計上して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=57
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058・井上勝英
○子爵井上勝英君 四億七千萬圓と云ふのは、是は法人も全部含めてでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=58
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059・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) さうでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=59
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060・井上勝英
○子爵井上勝英君 是が全部一度に新圓で出るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=60
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061・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 大體調査さるべき必要なる農具とか、それから住宅とか色々なものに依つて區分を付けて居りますけれども、大體半分位は新圓で支拂はれることになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=61
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062・井上勝英
○子爵井上勝英君 なると思ふのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=62
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063・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 今迄の開墾に對する諸費用は、大體そんな工合にして區分を付けてやつて居ります、封鎖拂で出來るものは封鎖拂ひ、新圓拂でどうしてもやらなければならぬものは新圓拂にしてやつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=63
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064・井上勝英
○子爵井上勝英君 大體何時頃是は入植者に渡る豫定でありますか、今非常に入植者は困つて居る譯でありますから、此の問題は大分色々の問題、あれがあると思ひますけれども、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=64
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065・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 是は色々な事情で遲れて居りまして、我々も入植者に對しては非常に濟まぬと思つて居りまするので、速かに其の施行令等を整備致しまして出して行きたいと考へて居ります、尚其の繋ぎと致しまして、遲れて居りますので、九千萬圓だけ差當り國庫から出して居ります、それはもう地方廳に通知濟でございます、唯繋ぎとしてやらうと、非常に急いで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=65
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066・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 今の點でありますが、是は繋ぎとして實は九千萬圓、一戸當り千八百圓でありますが、それを出した譯でありますが、それでは實は迚も足りませぬので、それで急遽御審議を願ふことにしまして、是が幸ひ通りますれば一月の末頃に是非出すやうな手續を是非進めたいと思つて居ります、色々な點で、例へば命令事項などはジー・エツチ・キユーとの話合がありますから、是が通れば、施行令は作ることは譯はないから直ぐ出來るのでありますが、一月末には是非やつて行きたいと、斯う云ふ段取りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=66
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067・井上勝英
○子爵井上勝英君 速記を止めて戴きたいのでありますが …発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=67
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068・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=68
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069・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 速記を始めて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=69
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070・青木重夫
○子爵青木重夫君 融通金に對して償還能力のない者に對する御處置、それから生活が苦しい爲に、苦し紛れに其の資金を生活資金に廻す者が相當出て來ると思ひますが、之に對する對策を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=70
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071・松野孝一
○政府委員(松野孝一君) 此の生活資金の問題に付きましては、實際問題と致しまして、我々の貸付に當りまして、成るべく個人貸をしませぬで、歸農組合と云ふ團體、其の團體を通してやらせる、團體の所謂指導者、即ちリーダーと云ふものに十分責任を負はしてやりたい、それからもう一つは先程大臣からも御話がありましたが、各團地毎に國の方で營農指導員と云ふものを置いて居りますから、其の指導員の方で能く見て居つて、彼等の營農の指導と融合させて行かなければ囘收が困難であります、其の點を十分やつて見たいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=71
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072・松尾國松
○松尾國松君 大藏省の處置に付て承りたいのでありますが、御承知の通り入植者に政府が交付する補助金其の他入植者に直接渡るべきものを農業會を通じて與へた爲に、封鎖されてしまつた、是は受くる者から言へば、當然受くるべき權利があるものを途中で抑へてしまつた、其の抑へた理由と云ふものは、説明を聽かぬでも能く分るけれども、併し如何にも開拓營團を政府機構に於て爲すと云ふ迄の重要なものに對して、當然渡るべきものを封鎖して居ると云ふことは、如何にも無理である、處が農林當局の説明を聽くと、大藏省へ御願ひして居るがと云ふことですが、甚だ其の用語からして私は適當ぢやないかと思ふ、我々が當然受くるものを押へて置いて、さうして大藏省へ御願ひして居ると、さうして一方ではもつと開墾をやれと言ふ、そんなことは今日の政治に於てはあるべきことではない、私は論理は承らないでも、私は百も知つて居るから承らないでも宜いが、それに對して大藏省 何と考へるか、之れだけのことを四億七千萬圓も出してやる急な仕事に對して、其の持つて居る資金を當然受取るべきものを渡さぬで置いて、さうして主任の者は、大藏省へ御願ひして居るがと言ふ、主任の人が言ふか言はぬか知らぬが、貰ひに行くと、お前そんなことを言つてもやれないものは仕方がないぢやないかと言つて、受ける者は如何にも不自由である、之れ程の政治的の矛盾はないと考へる、それに對して大藏省は何と云ふ處理を考へるものか、政治的にさう云ふ迷惑を解除しなければならぬ責任を感じて居るのですか、さうして此の處置を如何に考へられるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=72
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073・上塚司
○政府委員(上塚司君) 今御尋の開拓資金と云ふのは、既に開拓者に渡つて居る資金のことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=73
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074・松尾國松
○松尾國松君 渡るべきものを、それを農業會を通じて渡す、そこで農業會でぴしやつとやられる発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=74
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075・上塚司
○政府委員(上塚司君) 既に渡つて居るものであれば、是は其の農業會に預けて居るものでも、一萬五千圓以内の範圍に於ては渡すと云ふことになるのであります、併しまだ渡つて居なかつたものに付ては、是は別途詮議する考へで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=75
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076・井上勝英
○子爵井上勝英君 今の問題に關聯してでありますが、大藏政務次官に伺ひたいのですが、別途審議して戴くのは非常に結構でありますけれども、非常に開拓者は困つて居る、速急に何とか解決してやつて戴きたいと思ひますが、それに付て大いに御盡力戴けるかどうか、それから見透しをちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=76
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077・上塚司
○政府委員(上塚司君) 元來封鎖預金に付ては關係筋からの通告もありまして、或一定の限度を持つて居る、即ち百億の範圍内に於て總ての補償等に付て賄つて行くやうになつて居る、銀行の預金の拂戻しに付ても、封鎖預金の解除は學校關係詰り教育關係、醫療關係詰り病院等の關係、慈善團體等、さう云ふ公益團體の中でも以上申上げたやうなものに大體限られて居り、それ以外のものに付ては出來るだけ認めないことになつて居る、さう云ふ行き方になつて居るのであります、それで今の開拓者の問題の如きは、當然是は非常に急を要するものと思ひまするが、特に審査會に於て審議して行く、さうして可決せられざる限りに於ては、此の實行が出來ないと云ふことになつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=77
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078・松尾國松
○松尾國松君 どうも本員の言うたことが能く通つて居らぬやうですが、今の私の關係に於て、井上子爵から御尋をされたのですが、實際の問題として此の開拓事業と云ふものは、申す迄もなく非常に緊要な大事業である、斯う云ふことなんです、それであるから、簡單な言葉で言へば、公益事業であるかないかと云ふことは、寧ろ今擧げられた公益事業と同等以上の公益事業であると言はなければならぬのであります、公益の定義とかなんとか云ふことは、今國家再建の最も焦眉の急のものである、故にそれの關係者が當然受くるべきものとして、政府が出したやつを、途中で封鎖して居ると云ふのもあり 又第二豫備金から之に使用すると云ふやうな、緊急なことであります、それであるから事務的にもう少し、政治家が聽いて、さうしてそれを解決するに努力して貰ひたい、是に止めて置きます、それ以上は、時間を取りますから申しませぬ、農林省の方からは、こちらの方の要求に應じて、大藏省に御願ひに行く、大藏省は、いや罷りならぬ、公益ではないと言ふ、そんなことはない、最も重要な公益であるから、之を政治的に採り上げて、更に十分閣議に於ても協議して、さうして急速なる措置を講ぜられることを希望して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=78
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079・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 他に御質疑はございませぬか、大體御質疑も終つたやうでありますが、尚念の爲、開拓者資金融通法案竝に開拓者資金融通特別會計法案の質疑を終了したものと認めて、御異議がございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=79
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080・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 御異議ないものと認めます、それでは兩法案の討論に移ります、別に御發議がないやうでありまするので、兩法案を一括致しまして、採決を致したいと存じます、政府提出原案通り可決致しまして御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=80
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081・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 御異議ないものと認めます、全會一致、政府提出原案通り、二法案共可決確定を致しました、次に只今の本會議に於きまして、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案が本委員會に併託されました、從つて此の際大藏政務次官から、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案の提案の趣旨を御説明して戴いたら如何かと思ひますが、如何ですか
〔「結構です」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=81
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082・上塚司
○政府委員(上塚司君) 食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申上げます、本案提出の理由の一つは、從來の交付證券たる食糧證券の性格を變へて、之を食糧の買入資金調達の證券として食糧の買入代金の支拂を現金に依ることとするものであります、即ち從來食糧證券が交付證券でありました爲、食糧の買入代金が、原則として豫算に計上せられませぬ關係上、豫算に於ては食糧の買入計畫の全貌が明かにされて居なかつたのでありますが、今囘之を改めまして、豫算上に於て其の計畫を明瞭ならしめようとする趣旨に依るものであります、其の二は、此の會計の負擔で食糧證券を發行し、又は借入金の出來る最高限度額を現行の五十二億圓から百億圓に引上げようとするものであります、是は主として米穀買入價格の引上に伴ふものでありまして、之に依り、食糧の買入れに付て萬遺憾なきを期しようとするものであります、以上の理由に依り、此の法律案を提出致しました次第であります、何卒御審議の上、御協贊を與へられむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=82
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083・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 何か此の法案に付きまして、參考資料の御要求でもございましたら、此の際御申出願ひます、それでは速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=83
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084・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 速記を始めて、それでは本日は此の程度に致しまして、明日午前十時から本委員會を開會致します、本日は是にて散會致します
午後零時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=84
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085・会議録情報2
出席者左ノ如シ
委員長 男爵 岩村一木君
副委員長 子爵 土屋尹直君
委員
侯爵 小村捷治君
侯爵 四條隆徳君
伯爵 久松定武君
子爵 青木重夫君
子爵 井上勝英君
男爵 平山洋三郎君
男爵 三須精一君
赤木正雄君
我妻榮君
松尾國松君
合田健吉君
菅澤重雄君
名古屋三吉君
國務大臣
農林大臣 和田博雄君
政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 野田卯一君
農林事務官 松野孝一君
農林技官 溝口三郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00219461223&spkNum=85
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