1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案
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昭和二十一年十二月二十四日(火曜日)午前十時十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=0
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001・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) それでは只今から委員會を開會致します、本日は食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案の御質疑を願ひたいと思ひます、尚本法律案に直接關係はございませぬが、食糧事情を聽取希望の方もございましたので、農林省の食糧管理局長の出席も依頼してございますので、是は御含みを願ひます、只今から質疑に移ります、御發言を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=1
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002・青木重夫
○子爵青木重夫君 食糧管理特別會計法案の第二條を承知致しませぬので、第二條を御説明願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=2
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003・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 食糧管理特別會計法の第二條の現行規定は「本會計ニ屬スル經費ヲ支辨スル爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ借入ヲ爲スルコトヲ得」と云ふのでありますが、それを今度の改正に依りまして、此の「本會計ニ屬スル經費」と云ふのを、「本會計ニ於テ食糧ノ買入代金以外ノ經費ヲ支辨スル爲必要アルトキハ」云々と、斯う云ふ風に改正になる豫定であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=3
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004・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 他に御質疑ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=4
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005・井上勝英
○子爵井上勝英君 此の會計法の改正に依つて、具體的にはどの位支拂が早くなるやうな見込があるのでございますか、今大分前から大變遲いとか云ふやうな話がありまして、段々それが良く直つて來て居るのでありますけれども、是は迅速にすると云ふのが一つの趣旨でもあると思ひますが、具體的にどの位になる御見當か、御分りでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=5
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006・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 米其の他の食糧の買上代金の支拂の時期の問題でありますが、是は實際上の問題としましては、會計それ自體よりも手續上の問題と思ふのであります、出來るだけ早くするやうに、我々の方からも農林當局の方に要望致して居ります、今度の改正自體ではそれ程に直接の關係は餘りないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=6
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007・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 五十二億圓を今度百億圓に致しますに付きまして、其の百億圓の大體の内容を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=7
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008・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 現在の五十二億圓を百億圓に増加致します理由は、大體に於きまして食糧證券の發行殘高、其の見込を附けて見たのでありますが、其の見込は、十一月末が五十一億五千八百萬圓、十二月末が八十九億六千九百萬圓、一月末が八十九億九千七百萬圓、二月末が六十二億一千二百萬圓、三月末が六十八億四千二百萬圓、斯う云ふ風に大體なる見込であります、是は新しく發行するもの、それから償還するものの差引の殘高が不足になる見込でございますので、大體百億程度にする必要がある、斯う云ふ譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=8
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009・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 此の一番終ひの理由にございます「食糧の買入代金の支拂を現金によることとする」此の點を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=9
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010・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 是は今現存の制度であります、それに依りますと、食糧の買入代金は食糧證券で支拂ふ、所謂現金を支拂はないで、形の上では證券で渡すと云ふ形になつて居ります、處が今度は證券を直接渡さず金を拂ふ、其の必要をどうして調達するか、それは食糧證券を發行しまして、資金を調達して、其の金で買入代金を拂ふ、斯う云ふことに致したのであります、今迄の食糧證券は交付證券と云ふ性質のものでありましたが、今度は調達證券と云ふ風な、是は少し技術的になりますが、さう云ふ風に食糧證券の性格が變つて來ました、それでありますから豫算の上に於きましても、幾ら買入れたかといふ買入代金がすつかり出て來るのであります、今迄は豫算の上には買入代金が出ないのです、買入れた時に證券をずつと渡してしまふのですから、買入代金が出て來ないのです、唯其の證券を償還する金は出て來る、さう云ふ風な會計上幾ら買入れたか、幾ら賣つたかと云ふことが現在の建前でははつきり出て來ないのです、それを改正致して明瞭にする爲に、今囘の改正案の如き方法を採らむとするものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=10
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011・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 今迄の交付證券は償還期限等はどうなつて居りますか、それから一部現金を渡すこともあつたと思ふのでありますけれども、それはどう云ふ方法でやつて居られましたのですか、それから此の食糧證券となりますと、其の引受の關係はどう云ふ風になりますか、ちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=11
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012・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 期限は大體今迄二箇月乃至三箇月になつて居ります、それから今迄食糧を買つて居りますのは、全部食糧證券を以ちまして支拂つて居るので、現金を支拂つて居る譯ではないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=12
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013・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 全然やつて居らないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=13
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014・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) さうです、實際上の問題としまして其の末端に於きまして農業會と各個々の農家、其の間に於ては金融上の問題があるのでありますが、政府の建前としては買入金は全部證券で支拂ふと云ふことに致して居ります、金利は日歩一錢一厘と記憶して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=14
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015・松尾國松
○松尾國松君 今度の改正で、今後の支拂は直接支拂はれるのですか、矢張り農業會を經られるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=15
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016・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 是は矢張り從來通り農業會を經由する形を採ることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=16
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017・松尾國松
○松尾國松君 農業會へ現金を出されるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=17
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018・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 大體預金に振替の形で、皆生産者の方が農業會に預金勘定を持つて居りますので、其の預金に今振込むと云ふ形を採つて居りますが、是は今後も同樣に引續いて行かれることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=18
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019・井上勝英
○子爵井上勝英君 只今の御話で大體分つたのですが、今大分農村へ行つて見ますと、金を呉れないと云ふやうなことが色々あるのですけれども、それは自由拂で預金に入る形ですか、封鎖拂ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=19
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020・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 此の食糧の問題に付きましては、此の支拂を全額自由にするか、或は一部封鎖、一部自由でするかと云ふのは、場合に依つて違つて居りますか、米は半分は自由拂で以て、半分は封鎖拂になつて居るやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=20
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021・井上勝英
○子爵井上勝英君 是は先程御話の出た問題なんですけれども、此の自由拂と封鎖拂があるに付きまして、昨今非常に新聞紙上で以て何と云ふのですか、早耳と云ふのですか、決定しないやうなことが出て、農家あたりでそれが決つたやうに考へられて居ると云ふことが非常に多いと思ひますけれども、さう云ふ點に付きましては公報などではつきりして戴くと云ふやうなことは出來ませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=21
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022・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 御承知のやうに斯う云ふ問題に付きましては、日本の政府だけで只今決め兼ねるやうな事情になつて居ります、それで日本の政府の中で、或は或一部局に於きまして、斯う云ふ方針でやらうと云ふやうなことを内部的に決定致しまして、それが新聞に漏れましてでかでかと傳はる、處が色々な方面に色々話した結果、必ずしもそれが實現出來ないと云ふやうなことになりますと、何と申しますか、初の新聞の記事を信用した人に對しまして、裏切られたと云ふやうな感じを與へる、斯う云ふやうなことになりますので、問題がはつきり決る迄、出來るだけ新聞に漏らさぬやうにと云ふことで能く注意を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=22
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023・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 買入れの品名の大體の所を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=23
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024・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 食糧の買入の中で、一體米はどれだけ、藷はどれだけと云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=24
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025・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=25
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026・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 丁度今資料を持つて居りまして、數字も分つて居りますから、御參考迄に申上げて置きます、内地米と輸入食糧と藷と干甘藷、澱粉、それから雜穀其の他と云ふ風に六つに區分して申上げます、之に依りますと、少し面倒でありますが、十二月、一月、二月、三月と四箇月の大體の計畫を申上げますと、内地米が十二月が九百萬石、一月が六百五十萬石、二月が三百萬石、三月が二百五十四萬石、それから輸入食糧、是はトンですが、各月とも十萬トン、それから藷類でありますが、是が十二月分二億三千萬貫、一月が二億貫、それだけであります、干甘藷は一月が七十五萬石、二月が二百萬石、三月が三百萬石、それから澱粉であります、是は一月が三百萬石、二月が五百萬石、三月が八百萬石、それから雜穀でありますが、是は十二月がありませぬで、一月が七萬石、二月が七萬石、三月が二萬石、大體斯う云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=26
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027・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 金額も御分りになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=27
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028・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 金額は茲に資料を持つて居りませぬので、ちよつと分り兼ねますが、大體米でありますと、生産者價格が一石五百五十圓であります、輸入食糧は非常に色々な物がありまして、今申上げ兼ねるのであります、それから藷類に付きましては、一貫匁確か四圓になつて居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=28
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029・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 インフレガ段々進んで參りまして、百億圓かの豫算を取るに付きまして、今後の御見込は如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=29
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030・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 御承知のやうに食糧中一番大きなものは米でありまして、米の買入が十一月、十二月、一月、二月、三月に一番多く行はれます、それから其の買入れた米が平均的に毎月賣られて行くと云ふことになりますが、矢張り一番、何と申しますか、食糧證券の發行高の殖えるのは十二月、一月、二月、三月なんで、それから後は順次に減つて參ります、それから明年のことになりますと、假に米の値段が上ると云ふやうなことになりますと、又米穀證券の擴張の問題が起つて來る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=30
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031・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 三月危機と申しまして非常にインフレが向上するやうに經濟界のあたりでも考へて居るやうでございますが、さうすると申す迄もなく、こんなものではやれなくなると思ひますが、それと同時に所謂供米のデモなんかの樣子も伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=31
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032・野田卯一
○政府委員(野田卯一君) 三月危機の問題はどちらかと申しますと、食糧自體よりも、所謂商工省關係の基礎的物資の問題だらうと思ひます、極く最近の話を承りますと、石炭を中心としまして、各種の物資の生産が思ふやうに參りませぬ、非常に各方面に思ひ切つた、何と申しますか、措置を執らなければならぬと云ふので、目下政府が考究されて居ります、石炭が足りない爲に、有らゆる鐵、セメント其の他色々の物が皆減つて參ります、それから從來ございましたストックも食ひ潰し、其の結果ストックからの補充が足らない、斯う云ふ結果で、各産業の基礎的物資がどんどん減つて行く、此の方面から日本の經濟の均衡を維持して行く爲の困難が起ると云ふことが、所謂三月危機の言はれて居る原因ではないかと思ひます、三月に危機が來るかどうかと云ふことは別問題でございますが、さう云ふやうな内容を持つて居ると我々は見て居る譯でございます、食糧問題に付きましては、三月危機といふことはちよつと考へられないのです、又考へるに及ばないと思ひます、供出の點に付きましては、初めのうち十月頃迄は良かつたのですが、十一月になつてから、一時非常に生産が惡くなりまして、其の後農林當局も御骨折になりまして、又囘復して居るやうであります、最近はどちらかと云ふと、順調に近いやうなことを聞いて居ります、食糧の供出と云ふ問題は、我々百パーセントと迄は行きませぬけれども、相當程度迄は行くのではないか、色々な方面の情報を聞きましても、相當出る物は出る、相當程度の物は出ると思ひますが、最後の所で矢張り何か物でも、肥料とか其の他の農機具等の、或程度の物を貰はないと百パーセントは完遂しないと云ふやうなことを申して居る向もあると云ふやうなことを聞いて居ります、でありますから、豫定數量の大部分は比較的そんな困難を生ぜないで行くではないかと云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=32
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033・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 此の間食糧管理局次長に伺つたのでございますけれども、此の供米のことに付きまして、緊急措置令が出て居るので、それで簡單に解決するやうに農林省ではお考になつていらつしやるやうだけれども、なかなか緊急措置令以上の供米をさせないやうにする挑發者と云ふものが、どの人であるかと云ふことが直接には分らない、緊急措置を直ぐ適用することが出來ない、特に此の二、三月になりまして、地方選擧などが始つて、農民の集るやうな場合が多いやうなことになると自然供米も順當に行かないやうに、寧ろ不安に思つて居られるやうに伺つたのでございますが、さうして又現在農村の状態を見ましても、相當供出した、割當殘りの手持を持つて居るやうでございますが、いざ闇値で賣つて呉れと云ふことになりますと、自分の持つて居る物は將來のインフレ氣構へであるから出さない、米は一年間は腐らないものだから暫く持つて居る、友達の物で何か斡旋してやらうと云ふやうなことになります、どうしても米を出したがらないやうなことになつて居るやうに思ふのでございます、今御話を承ると、供出に付ては、今後も順當に行くと云ふやうな御話でございますけれども、如何かと思ふのでございます、もう一度伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=33
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034・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 私から御質問の米の供出の見透しに付きまして、現在見て居ります情勢を申上げたいと思ひます、只今大藏省の主計局長から御話があつたのと、大體我々も同じ見方と思ふのでございます、今日迄の供出の經過を調べますると、十二月十日現在で千三十一萬千百六十二萬石、三十六、七パーセントになつて居ります、其の後矢張り大體同じ調子で供出は出て居ります、本月の二十一日の報告に依りますると、推計が千百九十八萬千六百六十七萬石、比率で申上げまして四十二・六パーセントと云ふやうな状態であります、大體毎旬百五十萬乃至二百萬と云ふやうなピッチで進んで居ります、今日迄の状況をトレースして見ますと、當初の早場米は、是は奬勵金等があつた事情の爲と思ひますが、豫定以上に出ましたが、十一月に入りまして、實は關東、東北、北陸地帶の米の供出地帶が、非常にピッチが降りて參りまして、非常に心配して居りまして、私共も地方に出まして色々督勵を致しましたが、其の後本月に入りましては、今申上げました關東、東北、北陸も亦調子を盛り返して居る、斯う云ふやうな状態であります、十一月が惡くありましたのは、早場米に相當馬力を掛けた、其の後を受けた、斯う云ふ事情もあらうと思ひまするが、もう一つは十一月の天候が非常に惡くなりましたことが一つの原因でございます、更に麥蒔等の方面に、農家の方で力を致して居つた、斯う云ふやうな事情もあるやうであります、幸に本月に入りましては又元のやうな調子に復元して居るやうであります、殊に今年の供出關係で注目されまする點は、西日本の方は、今言つたやうな非常に或意味で、波瀾的なトレースを取つて居るのでありまするが、關西から西の方の供出關係は、是は大體今日迄は非常に堅實な歩調で進捗を示して居ります、特に九州地區が非常な成績を收めて居りまして、一番晩場米地帶と言はれまする九州の、例へば福岡縣の例を申上げますと、十二月十日現在で五十三萬石以上を出して居ります、比率に致しまして五十二・五パーセントと云ふやうな非常に好い成績を示して居りまして、西日本は比較的早く、而も堅實な供出の状況を辿つて居ると云ふやうなことが言へると思ふのであります、斯樣な状況で、今日迄非常に全體的には調子が揃つて出來て居りまして、此の調子で是非とも一つ百パーセント、或は我々が期待をして居りまする所のそれ以上の超過供出と云ふ所迄、漕ぎつけて參りたいと云ふことで、色々現在も對策を練つて居るやうな譯でありますが、我々が見て居りまする今後の見透しを、現在の状況で判斷をして見ますると、今日迄は以上申上げましたやうな關係で大體順調ではございまするが、一部の府縣には、是は御承知のやうに或は八割なり七割程度を出して、後のものは或は農村で、之を自主管理を致しまするとか、或は政府からの報奬物資が確實に來ることを條件として、之を政府に請求を致したい、斯う云ふやうな實は遺憾な動向が、是は若干はあるやうであります、此の地帶と申しまするのは、今日迄の情勢で判定を致して見ますると、主として秋田、山形、新潟等の、所謂裏日本の米作專業地帶に、特に此の傾向が強いやうであります、其の他の府縣にも、若干の動きはあるやうでありますが、主として東北から北陸に掛けて、斯樣な動向が強いやうであります、此の點に付きましては、現在色々愼重な態度で、對策を今練つて居るやうな譯であります、西日本地帶に付きましては、今日迄の状況では勿論絶無とは申上げ兼ねまするが、大體西日本の方はさう云ふやうな傾向は、比較的ないと大體申上げて宜しいかと思ひます、矢張り米作專業地帶が、どうしても一番米の關係では議論なり意見が多いやうでありまして、是は單に本年の現象ばかりではないので、過去の供出の實績に徴しましても、裏日本の東北、北陸の地帶が、どうも矢張り色々な困難が多いと云ふ風に見て居る譯であります、斯樣な次第でありまして斯樣な傾向に付きましては色々愼重に我々は處して行かなければならぬ譯でありまするが、大體斯樣な傾向が出て參りまする其の原因を調ベて見ますと、兎も角此の食糧問題が、一應と言ひますか今囘の増配に依つて、或程度一應の安定と言ひますか、見透しが付いたのであります、處が其の次に出て參りましたものが、一般の産業方面では非常にもう原材料もないと云ふやうなことが、新聞紙其の他で逐次判明をして參りました、又實際に米の價格が決つた以後の物價の状況等も、實は或程度騰つて居ると云ふやうな見方が行はれて居るやうであります、四合を保有することに今年は致した譯でありまするが、それ以外に、物交用の米を保有して參りたいと云ふことであります、此の感じは當初からも若干ありましたが、其の氣分が、實は最近の物資の状況なり、或は生産の状況から致しまして、物交をすると云ふやうな氣構へが特に此の一月、二月の間に、非常に顯著に強くなつて來て居る、斯う云ふ情勢にどうもあるやうであります、此の點は今主計局長から御話があつたさうでありまするが、私の方も大體さう云ふ傾向が昨今のインフレーションの情勢に於て特に是は顯著になつて來て居ると云ふことが看取出來ると思ふのであります、そこで實は本日も衆議院の食糧對策委員會で色々其の點に付きましても、相談致したいと考へて居りまするが、兎も角さう云ふやうな状況でありまして、大體適當な手を打ちますれば、兎も角今年は米は私共はあると云ふ風に確信をして居る譯でありますから、適當な對策を講じて參りますれば矢張り物はあります譯でありますから、出ると云ふやうな考へ方を持つて居りまして、左樣な點から報奬物資等に付きましても、勿論全體が非常に窮屈ではありまするけれども、其の苦しい中から、農家の必要とするものを出來るだけ出して、此の態度に應じて參りたいと云ふやうなことで考へて居ります、要するに此の米の穫れました實力から致しますれば、百パーセントは勿論私は問題はないと思ひますが、今言つたやうな農家は先へ行きますと物がなくなる、又入るにしても非常に高い物しか入らぬ、斯う云ふ見透しを持つて居るのでありますので、此の機會に、一つ米と農家の必要とするものをバーターをして行きたいと云ふ思想が強い譯でありますから、矢張り此の態度には政府としても即應する對策を講じて行かなければならぬと云ふやうに考へて居る譯であります、超過供出に付きましても、地方長官には割當以上に大體一割程度の超過供出を御願ひして居る譯でありまして、府縣に依りましては、超過供出が相當可能性のある縣も數縣は、もう出て居る譯であります、此の超過供出に付きましては、先程申上げました報奬物資等は、特に此の超過供出の部分に付きまして、特に重點を置いて參りたい、百パーセントの實力は、是は勿論ある譯でありますから、それ以上の超過供出に付きまして、特に此の報奬物資に重點を置いて參りたいと云ふ風な考へ方で、今案を練つて居るやうな譯であります、斯樣な譯でありまして、勿論此の七割八割迄は、大體是はスムーズに行くと思つて居りますが、それ以上に付きましては、現在は樂觀は出來ませぬが、之に應ずる手を適當に講じて行きますれば、實力はあります譯でありますから、政府の買入れは出來得るのではないかと、又是非出來して行かなければならぬと云ふやうなことで、今色々やつて居るやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=34
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035・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 今のに關聯致しまして食糧管理局長官に伺ひたいのでありますが、今年の供米の割當でございますが、大體に於て農村を廻つて見ますと、從來の段別割當の頭が拔け切れませぬのと、今年の新方式であります年齡別保有米と段別の檢見成績に依つて割當てると云ふのと、兩方の、此の新しい頭の人とが、全然話合で決めると云ふことになりましたもので、大勢に押されて、從來の段別割當の思想に依りまする所の、年齡に依らない人數割、又段別一々の檢見に依らない部落平均の實收高に依つての割當と云ふやうなもので、強制されて個別割當が決つた所が多いやうな工合でございまして、從つて其の爲に不公平な割當を受けた爲に、報奬物資も貰へない、完全供出も出來ないと云ふやうな所もあるやうに思ふのでございますが、それが供出に相當最後に行つて差支へるのではないか、結局強權發動の來ます時には當局の方針に依つて來るのでありますから、其の個別段別の成績と年齡別の保有米を引いて足りない以上に供出を割當てられた人は、そこで頑張ると云ふやうなことを言つて居つて、なかなか部落内で纏らない所が多かつたやうなのでございます、今年の供出割當は例年よりも各部落に於ては割當の話合の會がなかなか纏らず、纏つては又崩れると云ふやうな、四、五囘やつてもまだ纏らぬ、現在まだ纏らない所があるやうに思ふのでございます、さう云ふことを何か御聞きになつておいでになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=35
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036・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 御指摘のやうな點が地方に依りまして、或程度あると云ふことは聞いて居りますが、段別割が相當全國的に矢張り依然としてやつて居ると云ふやうには實はまだ聞いて居らないのであります、今度の新方式は色々な方面から早目に農村にも知らせると云ふやうな措置を講じて居る譯でありまして、さう段別割が從來のやうに依然として行はれて居ると云ふやうにはまだ聞いて居らない譯でありますが、併し御話の點が若し事實としますれば、新制度の趣旨にも非常に反する譯でありまするから、十分調査して參りたいと思つて居ります、唯市町村の食糧調整委員會が大體之が機能を擔當して居りますので、御話のやうに新しく出來た委員會が未だ新しい割當等の方式なり技術に習熟して居らぬと云ふことはあらうと思ひまして、今後は出來るだけ此の點は直して行きたいと思つて居りますが、唯一旦決つたものを變更することは、なかなか困難かと思ふのでありまして、私の方では綜合供出、綜合保有と云ふことでやつて居りますので、若し御指摘のやうな今年の米の割當で非常な凹凸が起つて居りますれば、來年の馬鈴薯なり麥の割當の場合に、其の凹凸は調整補正をして參りたいと云ふことで、やつて行きたいと思つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=36
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037・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 末端に對しては此の際民主主義の思想の行き過ぎがございますので、斯う云つた制度の方針がある場合に於ては、或程度の全然自由な話合で以て決めると云ふのは、理想ではございませうけれども、頭の切替へられない者が末端には多いやうでございますので、結局供出の出る所は、各農家から、末端から出るのでございますから、斯う云ふ場合には適當な、例へば年齡別の保有米にしろ、段別の檢見成績に依つて割當てる、其の位の所だけは、原則として話合に依らず、各農業會からの指令として御通達遊ばして置かれた方が宜くはないかと思ひますが、今後斯う云ふ機會にさう云ふやうにしないと、折角の民主主義が行き過ぎてしまふことが多いやうに思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=37
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038・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 私も市町村の委員會の置き方を見て居りますと、大體さう云ふやうなところが相當あるやうに考へて居ります、私の方では矢張り委員會には、農業會長を委員の一員として加へたいと云ふ風にも大體通知を出して居りますし、特に今後の割當に付きましては、結局は各農家の生産見込高、當該農家の家族の員數で、大體是は數量は決つて來るだらうと考へます、食糧檢査員と云ふものが大體現在では各町村に數名づつ設置されて居りますが、今日の状況では此の委員會に入つて指導的な役割をする迄には至つて居りませぬが、今後食糧檢査員を食糧管理行政の末端機關と致しまして、之をば指導、訓育を致して村の委員會で出來るだけ間違ひないやうな指導なり、仕事をやつて行つたらどうかと云ふやうなことで、今後此の趣旨の徹底を期して見たいと云ふ考で居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=38
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039・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 別のことでございますが、現在の食糧事情に付て御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=39
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040・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) それでは、現在の食糧事情に付きまして、御話を申上げようと存じます、實は年間の需給計畫は、今後色々情勢の變化で相當變るべき性格のものでありますが、一應最近の見透しで立てました需給の事情の概略を申上げて見たいと思ふのであります、先づ供給高の點でありますが、本米穀年度初頭に前年度から持ち越されました米が二百八十七萬九千石と云ふことになつて居ります、是は新古米を合しまして、兎も角政府が持越しましたものが二百八十七萬九千石、それから麥が矢張り若干持越しがございまして、米換算で今後は數字を申上げますが、四十八萬四千石程度の麥の持越しがありました、それから次に今年の割當數量でありまする所の二千八百六萬石の中から十月以前に買ひましたものを引きましたものを全部買ふと云ふ、斯う云ふことで行きますると、十一月以降の二千八百六萬石に達する買入數量が二千三百三十萬七千石であります、それから來年の米でありまするが、是は來年の九月、十月の新米でございますが、之を二百五十萬石程度に豫定をして居ります、それから來年の麥でありまするが、是はまだ現在畑に芽が出て今後の肥培管理に懸る問題でありますが、來年の麥の中から主要食糧として豫定をして居りまするものが、四百三萬五千石程度を來年の七月頃から十月の端境期に配給して參りたい、尚來年の麥の見透しは、又天候等の如何に係はりますが、農政局で諸般の實情を勘案して居ります所の麥の生産見込は、麥の石數で千七百七十萬石位に見て居る譯であります、此の中から政府が買入れまして、味噌、醤油、其の他の用途に向けるものを引きまして、主食として充當し得るものが、四百三萬五千石と云ふ今の計畫になつて居る譯であります、それから其の次が甘藷でありまして、是は依然として主食として之を見なければならぬ我々の考であります、其の中今年の甘藷で、現在配給して居ります所の今年の甘藷で、十一月以降に主食として配給し得るものが百二十三萬一千石、是は略略既に之に近い數字になつて來て居る譯であります、百二十三萬一千石、それから來年の矢張り甘藷を早掘りを致し、之を大體百萬石程度に現在は豫定をして居るやうな譯であります、それから馬鈴薯が今年のものが極く僅かでありますが、北海道等で若干十一月以降に配給するものがございますので、今年の馬鈴薯は五萬六千石、それから來年の馬鈴薯は米換算八千五萬石、それから尚甘藷、馬鈴薯等の澱粉が或程度出來ますので、澱粉を約十萬四千石と云ふ風な計畫で現在澱粉の計畫を進行して居るやうな譯であります、さうしますると合計が三千八百九十七萬一千石位の國内食糧の供給力になる譯であります、それに對しまして需要の點でありまするが、需要の點で一般消費者に配給しますものが、是が今後の出生等に依る人口増加なり、或は復員等に依る國内人口の増加を、之を關係方面と推定致しまして、一般消費者の分を推定した譯でありますが、是が三千八百九十七萬九千石位の見込になるのであります、それから小さい農家で年間の食糧を保有し得ない、所謂一部保有農家に付きましては、配給をしなければならぬ譯でありまして、是が五百十五萬二千石位の推定に相成ります、それから其の次が勞務加配でありまして、一般の勞務者に對しましては、是は原材料の状況なりからしますれば、なかなか稼働し得る勞務者は相當減るのではないかと見て居りますが、一應過去の勞務者の數なり、或は各産業の稼働状況から推算を致しまして需給推算では三百六十萬石位を一應計上致して居ります、それから農村に對しましても養蠶農家なり、或は茶の栽培をして居る農家なり、或は煙草、蔬菜の專業者等に付きましては、食糧の代りに養蠶なり、茶を作つて居ると云ふやうな譯でありますので、之に對しましても十月迄は大體配給して行く必要がありますので、是等の點は四十一萬三千石位の計算で計上して居る譯であります、更に來年の四、五、六月の此の期の農繁期に付きましては、農家に付きましても、農繁期の加配を致す、是は一部保有農家に付ての現象でありますが、食糧を年間保有し得ない農家に付きましては、農繁期の食糧の加配を或程度する必要があると思ひますので、之は約十九萬三千石位を見て居るのであります、それから妊産婦の加配が十萬六千石程度、又引揚者用の、是は引揚者の方が自分の家庭に落著く迄、其の旅行中の食糧でありますが、是が八萬七千石程度、其の他の味噌、醤油等の加工用と致しまして、百七十四萬六千石程度を豫定して居ります、それからまだ確定は致して居りませぬが、來年から主要都市の消費と致しまして、學童給食を或程度實施しなければならぬやうな情勢になつて來て居りますので、之をも計算に加へますると、三十五萬石位の加配になりはせぬだらうかと云ふので、之を加へて見ますと、合計が五千二十七萬九千石と云ふやうな全體の數量になる譯であります、斯樣な譯でありまして、此の差引を致しますると、實は相當に大きな不足量が出て參るのであります、大體それで行きますと、一千四百四十二萬六千石程度の不足になるのであります、そこで先程の實は供給量の點でありますが、合計三千八百九十七萬一千石と云ふ風に申上げましたが、此の中で特に重要な點を後で御説明致す意味で保留を致したのでありますが、先程十一月以降の米の買入が二千三百三十萬七千石と云ふことを申上げたのでありますが、是は二千八百六萬石が完全に買ひ得る、そこで止まつてしまふと云ふことで計算して居りますが、此の關係は實は司令部側から此の點に付きましては色々意見が出て參りました、二千八百六萬石の供出の基礎を成して居ります所の米の生産量が五千七百四十九萬石と云ふこと 出て居るのでありますが、それは實體に比して少いと云ふ意見が出て來て居るのであります、此の點で、どの程度に日本の政府は今年の米の實收高を見て居るかと云ふやうなことで、色々折衝があつた譯であります、色々私の方では科學的な推論なり、或は各地に人を派しまして、全刈、坪刈等をやつて全國の實收を色々調べた譯でありますが、其の結果日本政府としては、大體六千百萬石程度の生産高を見て居る、斯う云ふことを實は言つて居るのであります、向ふ側でも新聞に出ましたように、それ以上あると云ふやうな意見も出ましたが、我々と致しましては段當一貫七百匁位の肥料の配給でありますし、是ではそれ以上の收量は困難であると云ふので、大體六千百萬石程度で向ふと話をして居るのであります、さうしますと五千七百四十九萬石で二千八百六萬石の供出ならば、六千百萬石とすれば或程度追加供出をしなければならぬと云ふ意見が出て參りました、併し是は從來の實績に徴しましても、實收が殖えたから又追掛けて強制的に取ると云ふことは、是は頗るまづいと云ふことを申上げまして、結局それは自發的に、超過供出として之を取得して參りたいと云ふことで、大體の話が附いて居りまして、それならばどの程度に追加供出の期待が出來るかと云ふ又意見が出て來た譯であります、此の點に付きましては大體二百五十萬石程度は矢張り實體に即して取れる、又取るべきではないだらうかと云ふ風に考へて居るのであります、そこで先程の供給高の合計の三千八百九十七萬一千石の中へ、今最後に申上げました二百五十萬石餘の超過供出が入りました數字を加へまして、尚全體のバランスが千四百四十二萬六千石の不足と云ふやうなことになるのであります、從ひまして此の超過供出が出ませぬと、千六百九十萬石程度の不足になるのであります、矢張り朝鮮、臺灣が日本の版圖から離れてしまつた此の影響は相當實は響いて來て居ります、日本が自給出來ました當時は外米の輸入數量が一千萬石から一千五百萬石の間になつて居りましたが、大體それに近いものが矢張り不足になるやうな状況であるのであります、勿論今後我々と致しましても、或は司令部との折衝等に於きまして、相當是は變るべきものとなつて來ると思ひますが、結論と致しましては、約千四百萬石程度の不足となるのであります、そこで尚今後の供給の見込に付きまして、若干補足をして御説明を致しますと、麥の生産見込は先程申上げましたやうに、千七百七十萬石と云ふやうな見込でありますが、勿論是は今後の天候如何で決定さるべきものでありますが、唯最近燐酸肥料、過燐酸も勿論前年度よりも澤山入つて來て居りまするし、特に大して要求を致して居りませぬでした加里肥料も相當入つて來て居ると云ふやうな状況は、前年度よりも是は勿論良いファクターと存じまするし、更に今年の米が比較的早く穫入れが濟んで居りますので、麥の早期播種と云ふ關係も、是は比較的順調に行つて居るのぢやないか、殊に此の間私、大臣と九州に參りまして特に其の感じを深くして參つた譯でありますが、從つて今後の肥培管理の樣式を見ますれば、或はそれ以上と云ふやうなことも期待出來るのではないかと云ふ風に思つて居ります、更に買ひました麥を先程四百三萬五千石を主食として配給すると云ふことを申上げましたが、來年の十一月以降に麥は或程度繰越して居ります、從つて、是は何時もやつて居ることですが、翌年度に繰越さるべき麥を、情勢が惡化すれば之を繰上すると云ふことは、此の邊に一つの擔保があると思ふのであります、それから今年の状況で特に御報告を致して置きたいのは、馬鈴薯の點であります、北海道の種馬鈴薯が非常な今年は豐作でありましたので、結局私の方で種薯として買ひました數量が約二百二十萬俵であります、之を今年は貨車輸送以外に船の輸送を竝行して、こつちに持つて來て居りまして、現在迄に大體二百萬俵の種薯は著いて居ります、是は勿論今迄斯樣な多量のものが入つた例はないのであります全く是は來年度の馬鈴薯には相當の良い要因ではないかと云ふ風に見て居ります、それから需要の面では、なかなか是は消費者人口等を正確に把握することに付きましては、實は非常に困難な問題があります、特に東京都あたりが逐次人口が殖えて參りまして、完全に轉入して元のやうに …、減つて來ますれば問題はありませぬが、なかなか急な生産も出來ないやうな關係で困つて居りますが、私の見る所では、先程申上げました農家用の五百十五萬石と云ふものは是は或程度壓縮が出來得るのではなからうか、實收高が殖えても、之を取ると云ふことはなかなか是は問題かと思ひまするが、配給する方に付きましては、實際穫れて居ると云ふことに依つて、相當セーヴが出來るのではないかと云ふやうな感じを持つて居ります、それから勞務加配に付きましても、先程申上げましたやうな三百六十萬と云ふものを計上してありますが、昨今の石炭の割當の状況なり或は其の他の原材料の状況等から申しますれば、遺憾ながら是だけの數字は相當是は結果に於て壓縮せざるを得ないのぢやないかと云ふやうな感じを持つて居ります、是は遺憾なことではありますが、どうも昨今の状況では、折角の勞務加配が其の儘出す餘地がないのではないかと云ふやうな見解を持つて居ります、斯樣な譯でありまして、是はまだ今後色々變つて參りまするが、最近の情勢では、大體以上のやうな状態であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=40
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041・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 只今御話中にありました所謂一部保有農家、詰り轉落農家でございます、政府では此の轉落農家に對する配給を壓縮すると云ふことは、是は供出に非常に關係のあることであり、農家に於ては去年の末に於て農家配給がなかつたと云ふことが、翌年の供出に非常に關係があるのでありますが、其の點は如何かと思ひますですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=41
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042・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 昨年迄は一部保有農家に付きましても、實は結果に於ては當然配給を受くべき一部保有農家に供出の割當を致しました、出したものは返してやると云ふやうな、所謂還元配給を約束した譯でありますが、今年からは全然其の制度を變へまして、一部保有農家には全然割當は行かないと云ふことでやつて居ります、是は自分の食糧がなくなれば、あとは消費者基準に配給致さうと云ふ約束で、一部保有農家には供出とは全然關係はありませぬ、昨年迄でありますれば御指摘のやうな心配は多分にありました、今年からは供出とは無關係でありまして、而も是が實收高に付ては相當低目なものを出して居ると云ふ傾向が強い、勿論是は無理は致しませぬが、或程度さう云ふ氣持で、矢張りさう云ふ食糧を持つて居る一部保有農家に澤山の食糧を配給すると云ふ譯には參りませぬ、其の程度でやつて居りまして無理は致さぬ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=42
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043・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 今の御話で、結局千四百萬石乃至千六百萬石の不足が出ますが、其の不足は來年度の麥の繰上とか、さう言つた方面で御濟みになるやうでありますが、是だけの大きな數字はなかなかさう言つたものでは割當てられないと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=43
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044・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 是だけの數量を麥の繰上消費等では到底カヴァー出來ない、是は寧ろ最後の國内的な調整用として殘して置きたいと思ひます、大體斯樣な實情でありまして、私共と致しましては矢張り是は輸入食糧に仰いで參りたいと云ふことで、既に折衝して居るやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=44
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045・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=45
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046・赤木正雄
○赤木正雄君 先程の政府委員の御話で、農家に對して成るべく交換物資を當てるやうな御話のやうにも承りました、御承知の通りに、今日の斯う云ふ都會に於ける各生産部門のストライキ、さう云ふ方面から考へて農家の必要とするやうな物資がさう出來るとは思へないのであります、それに對して政府は、供出を完全にさせる爲に地方に督勵に行かれる、行かれて、又行かれたと云ふことを聞きましたが、實際物が出來ないと云ふことは、先づ誰が見ても想像し得る、さう云ふ情勢に對して交換物資を與へるやうなことは、どう云ふ風にして農家に御話になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=46
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047・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 私共も御話のやうに、現在の此の状況で農家に出すべき物資がさう澤山あると云ふ風には承知は致して居りませぬ、併し農家側からしますると、要するにまだ、日本の現在の状況が分りませぬので、どうもある物を幾分しか出さぬと云ふやうな感じを持つて居りますので、我々と致しましては、矢張り各物資の全體の状況をすつかりぶちまけまして、此の苦しい中から… 數量は勿論多くは期待出來ませぬが、是だけのものを出すと云ふ誠意を示して行きたいと云ふやうなことで考へて居るやうな譯であります、現在の報奬物資で決つて居りますのは酒は約十二萬石で、是は決定濟であります、それから肥料の一俵一貫、是も既に決定されて居る報奬物資であります、それから第三には、供出を完了しました農家には一戸當り鹽を二貫目配給致します、此の三つが今日迄に決つて居りまする物資であります、勿論數量は酒等に付きましては相當の數量と思つて居りますが、鹽等いま少しく出したいと考へて居りますが、現在の鹽の生産なり需給状況では、是以上はむつかしいと思ひます、其の他色々纖維製品でありまするとか、或は煙草でありまするとか、斯う云ふものに付きましても、今色々關係方面と折衝をして居る譯であります、煙草に付きましては、昨日專賣局の方と大體話が付きまして、大體三億五千萬本を超過供出の分に付て之を出して參りたいと云ふやうな話を、大體數字的には決定致したやうな次第であります、纖維製品等に付きましては、色々聞いて見ますると、なかなか困難な事情もあるやうでありますが、結局輸出向の物を少し待つて戴いて、之を國内に出して戴くと、斯う云ふ懇請を致す以外に途がないのであります、是はまだ決りませぬが、出來るだけさう云ふ措置を講じて參りたい、尚肥料の問題に付きましても、今少しく何とかならぬだらうかと云ふので、今研究して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=47
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048・赤木正雄
○赤木正雄君 食糧は何と申しましても、農家からして供出を御願をせねばなりませぬ、又此の都會に於ける今日のストライキも、是も已むを得ない點から起つて居ることと思ひますが、併し此のストライキが農家にどう云ふ風に反映して居るか、之に對して政府はどう云ふ風に御話を地方になさつて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=48
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049・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 御話の都市に於きまする各種のストライキに付きまして、是は御話のやうに農村では非常に感情の宜しくないものを持つて居るやうであります、特に直面して居りまする籾摺なり脱穀等に付きまして、電力が停ると云ふ關係や、或は叺なり俵を夜業にしようと云ふ場合に、突然電氣が消えると云ふやうな關係で、頗る是は心證の惡いものがあるやうであります、地方へ出ましても、我々だけが眞面目に働いて米を作つて居るに拘らず、一般の都市で斯かるストライキをやつて居ると云ふことは、我々としては、さう簡單に米は出せないと云ふやうな行き方さへあるやうであります、現に新潟縣に於きましては、出荷を拒否すると云ふやうな例があるやうであります、併し是は僅かなものでありますが、我々としましては都市のストライキに付きましては、是は色々な見方があるのでありますが、是はストライキをやつて居る時は勞務加配は出すことは考へて居りませぬが、併し矢張り一般の市民として普通の食生活を續けるだけの食糧の配給はやらなければならぬと云ふやうなことでやつて居ります、それからもう一つは、結局それは現在の都市の状況は遺憾ではあるけれども、併しそれに傚つて農村もやつたんでは、是は元も子もなくなつてしまふ、此の意味で都市の色々な問題は、矢張り食糧が足らぬと云ふやうな譯でありまして、矢張り農村が此の際基盤となつて米を出して戴いて、食糧問題を解決すれば、或程度矢張りああ云ふ問題も、相當鎭靜をするんぢやないかと云ふ考へ方で、我々は話をして居るやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=49
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050・赤木正雄
○赤木正雄君 斯う云ふ場合に、特に先程御話のありました超過供出、之を農家に御話することは非常に私は重大な問題だと思ひます、ストライキでさへ非常に今の御話の通り農村の神經は鋭敏になつて居りますから、それ以上偶偶自分の所にあつた所のものを超過供出をし、多少の交換物資を貰つても、果して農民が喜んで出すか、是は大きな問題であります、眞面目に考へる農民は、或は出さないかと思ふやうな點もあるのであります、でありますから、超過供出を愈愈取運ばれる時には、特に其の點を御注意願ひたいと思います、それからもう一つ私が御尋ねしたいのは甘藷でありますが、是は御承知の通りまだ自由販賣になつて居りませぬ、寧ろ本年のやうに相當増産が上つた時には、之を自由販賣になすつた方が、益益農家の生産意欲を盛にするのぢやないか、なかなか貯藏方法も上手になつて腐らない量も殖えましたが、併し腐る量も相當ありますから、寧ろ自由販賣になさつた方が宜いんぢやないか、之を今日のやうな方策を御採りになりましたら、却て農家の作る段別が減りはせぬか、而も腐つてしまふ、自由に賣ることが出來ぬ、それよりも作らない方が宜い、斯う云ふ風なことも考へられるのであります、だから全體の生産を考へて、是は主要食糧になつて居りますが、自由販賣になさつたらどうですか、是は議論に亙るかも知れませぬが、それの方が生産を増し得ると思ひますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=50
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051・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 其の意見は各方面から我々御聽かせを願つて居る譯でありまして、眞劍に是等のことに付ても今日迄考へて來て居りますが、色々の情勢で、結論と致しましては、大規模と言ひますか、全部之を手離すと云ふやうな自由販賣は、諸般の情勢からして、是は困難のやうであります、尚私の考と致しましても、藷のやうに、相當に收量も嵩むものでありますが、實は昨今の非常に申譯ない東京等の遲配に付きましても、是は專ら矢張り貨車の不足から大體現在の所は來て居ります、小運送、貨車の足りないと云ふことは、結局石炭から來て居るのでありますが、輸送力も非常に足りない所から來て居るのでありまして、此の輸送力、小運送なり、鐵道輸送が戰前のやうに非常に復元をして増強して參りますれば、是は藷の産地で相當多量の藷を其處で自由販賣しても、結局水が高い所から低い所へ流れるやうに、自然に調整が附くと思ひますが、現在の梗塞した輸送力の状況では、産地で多量の藷を放任致しましても、買出しが行つても、さう大した消化力はございませぬ、趣旨は宜しいと致しましても、現在の輸送力の状況では、私は寧ろ却つて藷を相當腐らすことになるのぢやないか、當初は實は農民組合の方あたりの御意見では、當初は自由販賣と云ふ御意見が強うございましたが、最近の動向では寧ろ十貫四十圓で一つ政府はどしどし保證して欲しいと云ふ動向も出て來て居るのでありまして、是は結局輸送が利かないので、却て地方に依つては公定價格よりも下廻る、斯う云ふやうな地方も藷の出盛期には出て來て居るのであります、矢張り是は輸送力の關係から左樣な現象を生んで居るのであります、勿論是は今後も研究はして參りまするし、又或所で藷が腐りさうだと云ふ場合の時も、現地で臨機の處理をすると云ふことは今日迄もやつて居ります、計畫的な制度として自由販賣を認めると云ふことは、色々な情勢なり、又現在の輸送力からは困難ではないかと云ふ風に感じて居るのであります、併し尚大きな問題でありますから、今後も十分研究はして行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=51
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052・赤木正雄
○赤木正雄君 食糧の生産と食糧問題は、御承知の通り今日は何處でも米を食べるやうになりました、併し以前には飛騨の山奧では米は出來ませぬから、稗を食べて居た、是は實際の問題であります、又徳島縣の如きは、是は米よりも甘藷を澤山食べて居た人を、私も徳島縣に居て能く存じて居ります、さう云ふ風に、無理な注文かは知りませぬが、矢張り其の所に出來る物を食べる、斯う云ふ風にすれば、輸送も要りませぬし、又生産増強も寧ろ樂ぢやないか、さう云ふ風に今後指導することは、非常に無理でせう、無理でせうが、食糧を緩和すると云ふ意味に非常に重大なことだと私は思ひます、それからもう一つは芋にしましても、特に御承知の通りに、甘藷はさう寒い所では出來ない、さう寒い所では出來ませぬが、さう云ふ所には寧ろ馬鈴薯を作らして、それを今迄のやうな澱粉にしないで、所謂粉食にして、それも此の頃は戰爭の結果で、段々パン食も殖えて來ましたからして、パン食に出來る、さう云ふ風に食糧其のものを變へる風に御指導なさると云ふことも、今後の食糧に大きな問題になると思ひますが、之に對する御考は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=52
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053・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 御話の點は我々も同樣に考へて居りまして、實は今迄の統制に依つて、今迄米を食べて居らぬ人が却て米を食べて居ると云ふやうな事態を招來して居る譯でありますが、そこで現在の供出制度から申上げますると、先程申上げました二千八百六萬の割當に致しましても、米、雜穀を含めまして何でも宜しいと云ふことで、實は二千八百六萬の割當をして居ります、更に甘藷に付きましても、大體米に對して五パーセント以内は代替供出も宜しい、米の代りに甘藷が餘り出ましても處理に困る譯でありますから、五パーセントと云ふやうな限度で綜合供出も認めて居りまして、結局制度としては、農家としては自分の好きなものを食べて、自分の好きなものを出すと云ふやうなことになると思ひますが、そこで私共が今後研究すべき點は、結局此の價格に付てであらうかと思ふ、米を出すことが一番有利であると云ふやうな價格體系に、今後は食糧相互間で持つて參りたいと思つて居ります、處が、遺憾ながら寧ろ米に對して、外の物價、外の食糧農産物の方が高いと云ふやうな現象が、現在では經濟的にあるやうでありまして、是は逐次是正して參りたい、特に戰爭中は米に對しまして、麥、甘藷の價格の比率を、實は意識的に相當上げて來た譯であります、是は戰爭中の自給態勢と云ふ意味で、麥、藷の増産を出來るだけやつて參りたいと云ふので、特に米に對する比率を上げて來たのでありますが、是も斯うなれば、逐次又元の方へ還して行きたいと云ふ風に考へて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=53
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054・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 只今の超過供出の報奬に付ては、十分御考へ置き願ひたいと思ひますのは、供出割當の絶對公平と云ふことが基礎となる必要があるのでございまして、不公平な供出割當が行はれて居る場合には、超過供出を爲し得る人に對して特別の報奬があると云ふことになりますと、今後の供出割當額は更に混沌たるものとなつて、現在でさへも、先程申上げたやうに四、五囘も決定を覆したやうな状態にございますものが、愈愈ひどいことになると思ひますので、私は此の超過供出に對する報奬と云ふものは、宜くないことのやうに思ふのでございます、それから甘藷の五パーセント代替と云ふ點も、地方に依りまして、甘藷の産地には相當の何パーセントかの、五パーセント以上の代替も認める、一律にお米も出來ない、甘藷しか出來ない土地に對して迄、五パーセントを強ひる、斯う云ふことは非常にまづい政策と思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=54
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055・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 第一の點に付ては、全く御説の通りでありまして、割當が不公平で、割當の甘き者が褒美を貰ふと云ふやうなことは、非常に惡い結果を起すのでありますから、此の點は今日でも出來るだけ注意をして居りまするが、唯割當をした時が、或程度早くありますれば、割當をした以後の増産の努力と云ふものが、或程度、觀念上は考へ得るのぢやないか、勿論天候等で惡くなる場合もありまするが、割當以後に域程度、米の穫れる迄の肥培管理をする期間が殘つて居りますれば、其の間に非常に努力した者が褒美に與ると云ふ考へ方も、或程度は出來ると思ひます、併し是は今年なんかの割當の時期なんかから見ますると、さう云ふことも申上げ兼ねると思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=55
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056・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 今年は決して早いどころぢやない、寧ろ割當に於ては非常に遲かつた、決して其の後に於て肥培管理など出來るものぢやありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=56
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057・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 今年はさう云ふことになつて居りますが、實は私共は九月上旬に、各地には割當をしたのでありますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=57
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058・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 末端割當の時期を御考になつて戴かなければ、何にもならない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=58
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059・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) それは全く其の通りでありまして、是は出來るだけ一つ耕地の面積なり、地力なり、其の他の其の年の豐凶とを考へまして、最善を盡して參りたいと思つて居ります、それから第二點の五パーセントは、一應原則として五パーセントとなつて居りますが、御話のやうな藷の大産地に付きましては、或は十パーセントと云ふやうな、是以上の代替も認めて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=59
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060・土屋尹直
○子爵土屋尹直君 有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=60
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061・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 何か外に御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=61
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062・平山洋三郎
○男爵平山洋三郎君 もう一つ伺ひたいのですが、近頃新聞で統計機關を整理すると云ふやうなこと、それから農産物の、殊に米麥等の調査組織を農林省でおやりになる、斯う云ふことはどう云ふ風な方法に御進みになるやうになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=62
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063・片柳眞吉
○政府委員(片柳眞吾君) 直接所管をして居りませぬので、細かい點は私存じませぬが、大體の考へ方は、今迄の統計が結局無色の立場で統計の調査がされて居らないと云ふ點が、司令部側からも意見が出たやうであります、或は供出に關係して居る者とか、配給に關係して居る者が、米の生産高を抑へると云ふことは、矢張り雜音が入つて精巧なものが出て來ないと云ふことであります、そこで矢張り統計調査なり生産高と云ふやうな、全く客觀的の正確な事實を把握するものに付ては、是は要するに他の色々な業務と全く無關係の機關でやると云ふことが一つの考へ方でありまして、もう一つは矢張り地方的な機關にして置きますと、どうも矢張り地方的の制約を受け勝ちであると云ふ考へ方を持つて居りまして、從つてそれは外の全然業務に係はりのない、國家の直接機關としてやつて貰ひたいと云ふやうなことで、現在研究して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=63
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064・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 質疑は終了致したものと認めて御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=64
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065・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 御異議ないと認めます、それでは本改正案の討論に移ります、別に御發言がないやうでありますので、直ちに採決を致したいと存じます、改府提出原案通り、可決を致しまして御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=65
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066・岩村一木
○委員長(男爵岩村一木君) 御異議ないものと認めます、仍て全會一致を以ちまして、政府提出、原案通り、可決すべきものと確定致しました、是にて散會を致します
午前十一時五十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=66
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067・会議録情報2
出席者左ノ如シ
委員長 男爵 岩村一木君
副委員長 子爵 土屋尹直君
委員
候爵 四條隆徳君
伯爵 久松定武君
子爵 青木重夫君
子爵 井上勝英君
男爵 平山洋三郎君
男爵 三須精一君
赤木正雄君
我妻榮君
松尾國松君
政府委員
大藏事務官 野田卯一君
同 河野一之君
同 石原周夫君
農林政務次官 大石倫治君
食糧管理局長官 片柳眞吾君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100279X00319461224&spkNum=67
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