1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○皇室經濟法案
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委員氏名
委員長 伯爵 前田利男君
副委員長 男爵 杉溪由言君
公爵 島津忠承君
侯爵 西郷吉之助君
大谷正男君
子爵 加藤泰通君
子爵 六角英通君
子爵 北條雋八君
子爵 綾小路護君
子爵 齋藤齊君
白澤保美君
荒川文六君
霜山精一君
男爵 奧田剛郎君
男爵 佐竹義履君
男爵 中村貫之君
男爵 西酉乙君
種田虎雄君
名取和作君
高橋龍太郎君
徳田昂平君
竹中藤右衞門君
渡邊三郎君
中島徳太郎君
橋本萬右衞門君
飯塚知信君
重宗雄三君
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昭和二十一年十二月二十一日(土曜日)午前十時三十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=0
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001・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは是から會議を開きます、法案の説明を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=1
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002・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) それでは經濟法案の提案の理由を御説明申上げたいと存じます、總理大臣が出まして御説明を申上げまする豫定でありましたけれども、體の故障の爲に、私から代つて御説明を致します、從來皇室經濟に關しまする事柄は帝國憲法、皇室典範、皇室財産令等に色々散らばつて規定せられて居りまして、其の現實の運營も、國の方から申しますると、單に年々定額の皇室經費を支出するだけでありまして、皇室の全體の經濟自身は、國の經濟とは全く別のものでありまして、詰り政府と皇室との關係は、四百五十萬圓と云ふ供出金の關係に依つて連絡はされて居りまするけれども、皇室經濟としては全く獨立のものとされて來た譯でありまするが、先に公布せられました所の日本國憲法に於きましては、第八十八條に於きまして其の性格を明かにせられて居ります、即ち一切の皇室財産は國に屬すると云ふことになりました反面に於きまして、總て皇室の費用は豫算に計上して國會の議決を經なければならないと云ふことになりまして、皇室は公の財産を御持ちにならないと云ふ原則と、それから經費の全部は國から支出するものであると云ふ原則とが確立せられました譯であります、其の他に日本國憲法の第八條に於きまして、皇室に財産を讓り渡したり又は皇室が財産を讓り受け若しくは賜與することは、國會の議決に基かなければならないと云ふことになりまして、皇室と皇室の外との間に於きまして財産が動きますのは、國會の議決と云ふものを基本としなければならないと云ふことになつて居りまする爲に、一般の場合よりも面倒な制限が加つて來る譯であります、大體憲法と今囘の此の經濟法との關係は、此の二つの點から起つて來るものでありまするが、其の理由に依りまして、此の皇室經濟法案は色々其の見地から規定すべき事項を取纒めて、此の方面の基本的なる一般國法と云ふ意味に於きまして、立案を致しました、漸次此の法案の順序を逐うて内容の概略を御説明を申上げたいと存じます、先づ第一條でありまするが、此の第一條の中に於きましては、皇室の公用に供する國有財産を、國有財産法上の公用財産たる皇室用財産とすると云ふことを規定致した譯であります、御承知のやうに、今度の改正に依りまして、皇室に今現にありまする財産は、先づ三つに分れるものと存じて居ります、一つは皇室の純粹の私有財産であります、一つは又純粹に國の方に移つて來て、皇室と關係を持たないことになる財産であります、例へば多くの山林等は左樣なことにならうと存じて居ります、處が其の中間に於きまして、所有權は國に移りまするけれども、實際は皇室で御使ひになると云ふものが出來て來る譯であります、其の最後に申しました實際皇室で御使ひになりまする財産が、此處に定めて居りまする所の皇室用財産と云ふことになる譯であります、そこで左樣な皇室用財産と云ふ考が定まりますると、それでは此の皇室用財産を定めましたり、又其の定めを解きまするにはどうすれば宜いかと云ふ問題が起りまして、是は皇室經濟會議と云ふ一つの公の會議の議を經て出來ると云ふことを明かに規定する必要がありまして、それが此の第一條の一つの眼目となつて居る譯であります、尚既に此の皇室經濟會議と云ふものを拵へますると、更に其の經濟會議には特別な色色な權限を加へることが必要でありまして、其の一つの權限は、此の皇室經濟會議が皇室用財産に付きまして色々の調査をすると云ふことを規定を致しました、將來皇室用財産に關しましての扱ひ方が完全に公正が保たれまして、一般の疑惑を惹くこともなく、手續の上に間違ひも起らない、斯う云ふやうな風に考へた譯であります、それから第二條に於きましては、是は今の條文とは全然別の問題でありまするが、憲法第八條に於て、今囘新たに設けられました財産の授受に關することの規定でありまするが、此の日本國憲法第八條に於きましては、曩にも申しましたやうに、皇室から民間に移る財産、民間から皇室に移りまする財産の其の動きに付きまして、國會の議決を經なければならぬと云ふことになつて居る譯であります、處が斯樣な財産の動き方と云ふものは大小樣々でありまして、例へば果物一籠の問題もありまするし、或は又大きな何十萬圓と云ふやうな財産に付て起ることもある譯でありまして、それを一樣に國會の議を經ると云ふことは甚だ不便な結果になる譯であります、此の事は憲法改正の當時に於きましても大體の方向を適當な機會に述べたと存じて居りまするが、斯樣な複雜な財産の動き工合に付きまして出來るだけ簡便な、實際に適する方法を考へなければならぬと云ふ風の著想から致しまして、色々の項目を分けまして斯う云ふ場合は何等の手續を要せずしてやつても宜しい、又斯う云ふ場合には皇室經濟會議の議を經ただけで財産の移動をやつても宜しい、而して最後の場合には國會の議に一つ一つ掛けなければならぬと云ふ、此の三段の分け方に決めまして、其の範圍を限定した譯であります、それが第二條の中に入つて居るのであります、處が此の第二條は、今申しましたことよりももう少し複雜な規定を含んで居る項目がありまするが、結局それは今の趣旨を間違ひのないやうに導くと云ふことだけでありまして、何れ各條に付き御説明を申上げたいと存じまするが、一應略式に財産が動かし得る、斯う云ふことに致しますると、其の法文を濫用する結果と致しまして、例へば金額の少いものは何等の手續を要せずして移動をしても宜いと云ふことにして置きますると其の働きを濫用致しまして、今日も一口、明日も一口と云ふやうな風に重ね合せますると、結局法案の趣旨を沒却することにならうと思ひます、又左樣な方法に依りまして出來ました金額の移動が餘りにも大きくなりますると、又此の特別規定の趣旨に合はないことにもなります、そこでさう云ふ所に於きまして間違ひの起らないやうに、稍稍面倒ではありまするけれども、詳細なる規定を設けた譯であります、次に第三條から第六條迄に規定して居りまするのは、是は憲法の八十八條の規定に隨ひまして、豫算を以て皇室費を計上するのでありまするが、其の中味を茲に於きましてはつきりさせまして、詳細なる基本原理を樹立した譯であります、そこで皇室費を先づ三つの費目に分けるのでありまして、即ち内廷費と云ふものと、宮廷費と云ふものと、皇族費と云ふものと云ふ風に分けまして、さうして此の三つの費目は、支出の目的も異つて居りまするし、又其の費用を算出致しまする方法等も異つて居りまするので、それに付きまして規定を加へた譯であります、大體の著想は、内廷費と申しまするのは御手許金と云ふやうな意味に當るのであります、それから宮廷費と申しまするのは、それよりも、公務に直接ではないにしても、相當の程度に於て關係をする、詰り半公半私と云ふやうな意味のものを規定して居るのでありまして、例へば外國使臣を引見せらるるやうな場合の宮中の御取扱に關する經費と云ふやうなものが一つの例になる譯であります、それから皇族費と申しまするのは、古くは皇族歳費と云ふ言葉を使つて居つたことがあり、或は現にもあるかと存じまするが、詰り皇族方の御手廻りの經費を支辨する費目として居る譯であります、斯樣な種類のものの金額は、物價の激しい變動、其の外色々な事情に依つて變り得るものでありまするが故に、此の基本法たる經濟法の中には、はつきり金額迄計上は致しませぬ、内廷費及び皇族費に付きましては別に多分次の通常議會に於て御協賛を願ふことになりませうが、別の法律で決めると云ふことに考へて居ります、それから宮廷費は、是は其の時其の時の豫算に依つて決めると云ふことになります、尚其の外に、此處に掲げては居りませぬけれども、皇室に關しまする經費と致しまして、謂はば行政費とでも言ふべきものが一つ殘つて居る譯であります、と申しまするのは、今の宮内省は自然なくなることになりまするが、其の代りに宮内府と云ふ官廳を豫想致して居ります、宮内府と云ふ官廳は、國の一つの官廳ではありまするが、皇室に關する事務を擔任するものであります、其の經費は一般の國の官廳の費用の一種として支辨するのでありまするが故に、此處の皇室經濟の中には入れて居りませぬ、是よりも獨立した普通の國費の支拂と、斯う云ふ考を以て考へて居りまするが、繰返して申しますれば、將來は皇室に實質上關しまするものに四つの費目がある、宮内府の費用、それから茲に申しました三つの費用、此の四つの費用が同時に聯想せらるることになる譯であります、次に第七條に於きまして、是は稍稍特別なる規定である譯でありますが、第七條に於きましては、今述べましたことと違ひまして、謂はば皇室の私有財産、本當の皇室の個人として御持ちになるやうな私有財産を念頭に置きまして、此の私有財産と云ふものに付きましては段々考へて參りますると、二つに區別して考へなければならぬと云ふ風に存じて居ります、と申しまするのは、普通の國民が持つて居るやうな私有財産、是が一項目でありまして、それは今後一般の民法等の法律の規定に依つて處理せられて宜からうと思ひます、處が他の一面に於きまして皇位に非常に密接な關係がありまして、一般の私有財産の移轉の原則に依ることが出來ない、御位のある所に此の財産が歸屬すると云ふやうな風であるものでありながらも、色々な理由に依りましてそれを皇室の公の財産と考ふることの出來ない場面がある譯であります、其の中の代表的なものとして今考へて居りまするのは、三種の神器と言はれて居ります神器でありますが、其の他にも尚考ふべきものがあらうかと存じて居ります、まだ色々の事情がありまして具體的に其の範圍は決定は致して居りませぬ、さう云ふものがありまして、是は私有財産ではありまするが、公的性質の非常に強いものでありまして、特別に第七條にそれを規定した譯であります、それから第八條から第十一條迄の間に於きましては、是は又謂はば手續に關するやうな規定でありまして事の鄭重を期しまする爲に皇室經濟會議と云ふものを設けまして、運營に付て何等の誤りなきを期して居るのでありまするが、此の皇室經濟會議がどう云ふ目的を持つて居るものであるかと云ふ點に於きまして、此の條文はあちらこちらに分散して居りまして、一口に纒つては居りませぬけれども、色々な意味を持つて居ると存じます、一つは、第一條の面に於きまして、今度の皇室用財産と云ふものに付きまして間違ひのないやうに公正にそれが取計はれて行くと云ふことを見張つて居ると云ふやうな役目を持つて居るのであります、處がもう一つ考へなければなりませぬのは、何しろ皇室の御經費と云ふものを國に於て適切な量を計算致しますると云ふことは、國の方としても自然細目迄分りにくい事情があります、けれども皇室の方から之を御請求になると云ふことも實際の上に於ては可なり滑かに行かないと云ふやうなこともあらうと思ひます、例へば現在の皇室費が四百五十萬圓で出來、是が憲法施行後唯一囘變つただけでありまして、固定して居るのであります、さう云ふ風になりますると、結局皇室の經費の適正を期し難いのでありまして、それに付て始終注意をして居つて、經費の必要等に付て意見を述べ、政府の注意をはつきり喚起し、又國會の注意をも引くやうに順序があつた方が工合が好いのであります、さう云ふことも皇室經濟會議は一種の役割として居る譯であります、そこでその著想から此の皇室經濟會議の組立て方、詰り構成員と云ふものも決つて參りまするし、其の運營の仕方と云ふことも決つて來る譯でありまして、大體組立は衆議院及び參議院の議長、副議長、内閣總理大臣、宮内府の長並に會計檢査院の長と云ふ八人を以て組織することにして居ります、是は皇室典範の方に規定して居りまする所の皇室會議よりは少し組立てが違つて居ります、と申しまするのは皇室典範の方には裁判的、司法的と云ふ意味が相當にあるのでありますが、こちらは其の部分が稀薄でありまするので、さう云ふ方面の人を除いて居ると云ふやうな點、それから先程ちよつと落しましたが、大藏大臣がこちらには關係をして居る、斯う云ふやうな點が經濟と云ふことに密接して居る譯であります、併し大體は其の運營の方法と云ふものは、是は皇室典範の方の皇室會議とさう違ふ譯もございませぬので、そちらの方の規定を準用致して居る譯であります、それから次に附則の方に參りまして、まあ此の施行は當然に日本國憲法施行の日からであることは、是はもう申す迄もございませぬがそれと同時に其の切換への時に於きまして現在の皇室財産の中からはつきり皇室用財産が決つて來なければなりませぬ、五月二日迄は皇室の財産は色々混ざりながら一つの性質になつて居ります、五月三日からは判然皇室用財産と云ふものが出て來るのであります、其の切換への時には今申しました皇室經濟會議はまだ出來て居りませぬ、で皇室經濟會議の議に依つて其の財産の確認をすることが出來ない譯であります、で此の附則に於きましては、第二項に於きまして、其の皇室經濟會議の議を經ることなくして直ちに皇室用財産になると云ふ風の規定を設けて居ります、是は經過の場合として已むを得ないのでありまして、斯樣な途を設けた譯であります、處がさうなりますると一つの問題と致しまして、將來は皇室經濟會議が此の財産に付て責任を持つが、切換への時に於きまして左樣な責任を持つ機關がないと云ふことは不完全ではないか、斯う云ふ問題が起り得るのでありまするが、それは目下暫定の方法と致しまして、此の經濟法がまだ施行されませぬ間に、此の問題に關係を持つて居りまする各省の職員及び貴衆兩院の議員の方等に關與して、戴いて、謂はば皇室經濟會議の前身ともなるべき稍稍小規模の委員會を拵へまして、其の委員會の議を求めて誤りなきを期したい、斯う云ふやうな風に考へて居る譯であります、其の外の經過規定は、是は極く簡易なことでありまして、特に御説明を申上ぐる程のこともないと存じて居ります、大體今迄説明を致しました其の事柄の骨子となりまするものは、曩に臨時法制調査會を設けまして、各方面の方から御意見を拜聽しまして、それに依つて決つた所を骨子として、之に幾分其の後の研究の結果を加へて居る次第でありまするが、何分宜しく御審議を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=2
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003・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 此の際何か政府に參考資料を御要求になるなら仰つしやつて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=3
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004・大谷正男
○大谷正男君 是は質疑の方法はどんな風になさいますか、各條に付てですか、全體に付てですか、どう云ふ風になさいますか、此の際御決めになつて置いた方が宜いのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=4
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005・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=5
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006・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 速記を始めて、それぢや引續いて御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=6
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007・大谷正男
○大谷正男君 只今國務大臣から詳細な原案の御説明がありましたので了解致しましたのでありますが、尚少し御尋ねして見たい、先づ第一條の皇室用財産を公用財産其の他に分ける、是は今の皇室經濟會議が決めると云ふ御話であつたのですが、其の前に私有財産と其の他のものとを分ける、斯う云ふことに付ては今御説明がありましたので、初めて了解致しました、是は此の本案施行迄の間に一切完了をして、それから次に今の皇族經濟會議が改めて皇室用財産と其の他に分けるやうにする、斯う云ふやうな御話のやうであります、大體さう云ふ風に了解して宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=7
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008・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) はい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=8
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009・大谷正男
○大谷正男君 さうすると、皇室經濟會議が正式に決めると云ふ時期は、準備としてですな、憲法の準備のことは爲し得る、施行迄の中に經濟會議が正式にやる、さういふことは出來る譯なんですか、兎に角憲法が施行されてから早速早期にやると云ふことになるのでありませうか、ちよつと憲法との關係を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=9
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010・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 御尋の點は全く御尤もと存じて居ります、此の憲法が五月三日に施行されますると、其の瞬間に現在の皇室の財産は新憲法の趣旨に合ふやうに動かなければなりませぬ、そこで現在の皇室に關しまする財産は、先にも申上げましたやうに、色々な種類のものを含んで居りますけれども、それを憲法が行はれまする前にどうすると云ふことは出來ませぬ、新憲法が行はれる瞬間に、謂はば自動的に切り換へて行くやうな構想を用ひませぬと、法律が動かない譯であります、そこを考へまして計畫を立てたのでありまするが、實際の道行は、それに至りまする前に、此の財産税法の關係に依りまして、相當の財産が國の方に移つて居るのではないかと豫想して居ります、さう致しますると、其の切換への當時に起りまする客體となる財産と云ふものは、可なり少いものになつて居ると思ひます、可なり少いものになつて居りまするものではありまするけれども、觀念的に言ひますと、純粹の私有財産ははつきり殘る、それから茲に考へて居りまする皇室用財産になるものもはつきりと殘らなければならぬ、それからそうでもない純粹に國に移るものも區別しなければならぬと云ふことになりますると、そこに境界線が二つ出來て來る譯であります、私有財産との境界線、それから一般の國有に行く財産との境界線、其の二つの境界線が出來て來る譯であります、そこでその境界線を精密に見分けまして、是はどの部類に屬するかと云ふことを決めて置きませぬと、五月三日に自動的に財産が確定して行くと云ふことに不便であります、そこで其の準備はどうしても其の前にして置かなければなりませぬ、先に申上げましたやうな、經濟會議の少し小さい仕掛のやうな會議を、勿論法律には依らない別の手續で作りまして、それに依りまして宮内關係、政府關係等の人の智慧と、それから民間の人達の公正なる判斷をそこに網羅しまして、すつかり準備をして置きまして、五月三日になりますと、憲法の解釋に依つて自動的に其の變化が起つて來ると云ふやうに考へて居ります、此の皇室經濟法の附則の第二項の所に、「皇室經濟會議の議を經ることなく、これを皇室用財産とする。」皇室財産が出來ることが書かれて居ります、處で私有財産と皇室財産との境界點をどうするかと云ふことは、是はなければならぬことでありますけれども、如何にも法律に書いてそれを見分けると云ふことはをかしいものでありますから、是は實行行爲として境界線として行くと云ふ、斯う云ふ方法を執つて居る譯であります、なかなか切換へと云ふことは非常に機微の點がありますから、さう云ふやうな方法でやつて行きたいと計畫して居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=10
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011・大谷正男
○大谷正男君 了解致しましたが、今御話の皇室の私有財産と其の他の財産、即ち公有財産、國有財産とを區別すると云ふ、それは私の機關と云ふか、私の機關では勿論ないが、表面官制に依らざる……是は官制をお作りになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=11
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012・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) それは官制に依りますか、依りませぬかと云ふことは、まだ未定にして居ります、それは官制に依るのが正式だと思ひますけれども、少しそれを用ふることの困難なる事情も一面に於て考へて居ります、只今の處まだはつきりして居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=12
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013・大谷正男
○大谷正男君 そこで其の私有財産と其の他を分けると云ふことは、實は國の機關として、國の機關が決めると云ふことではなく、段々御話のやうに、皇室側と國との機關が相談して決めると、斯う云ふやうなことかとまあ了解するのですが、國の機關としてそれをおやりになるか、そこがはつきりまだ決まらないかのお話のやうであります、ここは詰り國有財産と、其の他純然たる私有財産と區別すると、斯う云ふ譯なんですから、詰り皇室側と國の機關とが相談をする、斯う云ふ風な性質になるかと思はれますが、其の點はどう云ふものですか、國の機關の側だけで決めると、斯う云ふことがちよつとどうかと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=13
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014・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は決めると云ふ言葉を、餘り強く取つて戴きますると、さう云ふことになるのですが、皇室の財産の所有範圍と云ふものを、國が決めることは出來ないのです、それは筋違ひです、併し公の財産は國に持つて來ると云ふので、さう云ふ規定がありますので、現實に於て其の境界線を認定しなければなりませぬ、憲法の解釋を現實の姿に移すと云ふことになると、境界線の認定が起つて來ます、それをやるのが國の建前だと思ひます、けれどもさう云ふことを國が勝手にやつたら、きつと不適當な結果が起るのですから、此の委員會は實質に於きましては、相談をすると云ふ意味を多分に含んで居ります、併し表向きに正確に申しますると、境界線として國で必要なる範圍を認定すると云ふことは、國の責任でありますが、實際の運用には、密接な連絡があります、斯う云ふ風に御了解を願ひたいと思ひますが、尚ちよつと附加へますが、第一條の第四項に「皇室經濟會議は、五年を超えない期間ごとに皇室用財産に關し、必要な調査を行い、」斯う云ふ規定がございますが、是が矢張りそれに關する權能を持つて居りまして、憲法事項に依りまして、當然に財産が國に移つて來る、其の時は今のやうな法律の冷かなる規定の働きで、移つて行くと云ふ建前になつて居りますが、五年を超えないのは、一年でも半年でも宣い譯でありまして、皇室經濟會議が後で、實際の道行を能く調査致しまして、皇室用財産に納めたことが、適當であるかないか、或は皇室財産になるべきものが、側に殘つて居るとか云ふことは、意見が立てられる譯で、法律の正式な判斷としては、今の第四項に依りまして、皇室經濟會議が決める、斯う云ふことになります、其の前の今申しました小さい委員會と云ふものは、それよりももつと準備的なものにならうと思つて居ります、それを今の勅令か何かで作ると云ふことが本筋でありますけれども、先にも申しましたやうにそれにも亦弱點と申しまするか、善いか惡いかに付てまだ考慮しなければならぬ點が殘つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=14
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015・大谷正男
○大谷正男君 了解致しました、大體さう云ふ風に國の側のみで決めると云ふのでなく、大體相談をして決めると云ふ、實質を持つて居ると云ふ御話であります、さう云ふことで了解致しました、次に皇室經濟會議の性質と言ひますか、段々の御説明で明瞭して居るのではございますけれども、是は御話もあつたやうに、色々な働きをする、是が唯諮問に答へると云ふ機關ではなく、自ら進んで積極的に色々調査する、斯う云ふ風に第一條の四項に書いてある所に依つても、必要な調査を行ふ斯う云ふのであります、進んで調査しなければならぬ、是は斯う云ふ經濟會議自體の構成でありますが、さう云ふ風な色々手足を以て、調査機關を以てやると云ふ、斯う云ふ風な仕組になるものでありませうか、此の構成委員のあれから見ますると、大體各省で調べてやると云ふ、色々な手足を持つて居りませう、ちよつと考へますると是は官内府で色々の事務を扱ふことになると思ふ、官内府ですつかり調べたものを皇室經濟會議にかけて、其の議を經て内閣に報告すると云ふ筋になるのではないかと思つて居りますが、是は經濟會議が積極的に自分で働き掛けてやると、そこに特別の意味がある譯でありませうか、そこをちよつと伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=15
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016・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 皇室經濟會議の働きの中に、例へば第一條の第二項に書いてありますやうなのは、「皇室經濟會議の議を經ることを要する。」をと云ふことになりまして、國有財産今度公用に供すると云ふ考が、所管の官廳に於て其の考が起つて來ますと、そこで發案をして皇室經濟會議の議にかける、丁度今樞密院が、色々な御諮詢に奉答する任務を持つて居られまするが、それと同じやうに其の場合に於きましては、皇室經濟會議が受身の立場を取る譯であります、處が第四項のやうな場合に、皇室經濟會議が、自らの責任として必要なる調査を行ひ、内閣に報告すると云ふことになりますると、是は少くとも法の建前に於きまして、皇室經濟會議が自發的に行動をする、極めて公正なる立場に於きまして、自發的に行動すると云ふことになるのでございまして、働き工合には受身の場合と、積極的な立場と二つあらうと思つて居るのであります、左樣な點を考慮致しますると、制度の表に於きましては、經濟會議は獨立したものであります、宮内府の直接の關係のものではない、斯う云ふことにならうと思ひます、併し實際此の委員だけで事實經濟會議が動く譯はございませぬので、其の幹事役、所屬の事務局と云ふ風な役割を勤むる者が、別に出來ることになりまして、さう云ふ者の中には、關係廳の人が勿論入つて、宮内府の關係者、最も能く了知して居る人達が、此の中に入る、斯う云ふことになると思ひます、其の責任は經濟會議の所管の系統は、内閣に屬するのでありまして、内閣の責任で、ものが動いて行くと云ふことになるかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=16
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017・大谷正男
○大谷正男君 今の國有財産法に依りまして、國有財産の管理官廳が決つて居る、皇室用財産に付て、さうすると内閣が所管の官廳である譯でありませう、さう云ふことですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=17
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018・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 大體其の考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=18
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019・大谷正男
○大谷正男君 そこで經濟會議が其の内閣の管理に屬すると云ふやうな、此の官制と云ふものは別にないから、内閣の管理に屬する會議と云ふ譯でもないのですか、其處はどう云ふ風になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=19
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020・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は法律で決めて居りまするのは、法律上必要なる條件だけを此處に規定して居りますので、是だけで謂はば經濟會議の、一番骨子となる所だけが、法律に現れて居りまして、現實の場面に於きましては、是だけで動くものではありませぬ、之に對しまして多分政令か何か出來まして、之を普通の行政の各委員會等と同じやうに肉付けをして動くやうにしなければならぬと思つて居りまするが、斯樣なものに付きまして、政令が決め得ると云ふやうなことは、今日はまだ決つて居りませぬ、將來と申しましても次の通常議會に多分提出致しまするけれども、さう云ふ行政官廳に關しまする、一般の規定が出來まして其の時に必要なる根據、規定も併せて出來ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=20
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021・大谷正男
○大谷正男君 是は總括的な質問と云ふことになりますか、或は各條に入るやうなことになりませうか、若し總括的な御質問の方がありまするならば、其の後に願ひましても宜しうごごいますが、委員長どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=21
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022・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=22
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023・霜山精一
○霜山精一君 ちよつと大谷委員の資問に關聯した、疑問のある點を伺ひたいのですが、皇室財産の切換の所が一番むづかしいのぢやないかと思ふのですが、附則の二項に、此の法律施行の際、現に皇室の用に供せられて居る從前の皇室財産で、國有財産になつたものは皇室會議の議を經ることなく皇室用財産とする、斯う云ふ風になつて居りまするが、現は皇室の用に供せられて居る從前の皇室財産と云ふものは、今の皇室財産と云ふものは總て皇室の用に供せられて居るのではないかと思ふのでありますが、それは憲法が施行になると其の財産が全部國有財産に切換へになる譯なのですが、切換へになると此の規定に依つて、今皇室で使つて居られるものは經濟會議の議を經ることなく皇室用、所謂公用財産になる、斯う云ふことになるのですが、それを決めるのに何か今の會議全體のものを設けて決めると云ふ、そこの所をさう云ふ風にしないで、一度憲法施行の際に、現在の皇室財産を全部國有財産にしてしまつて、それから此の一條に基いて其の中で是だけは公用にするとか、是は普通の國有財産にするとか云ふ風に、公用にする財産とさうでない財産を皇室經濟會議を直ぐ作つて、それに依つて決めさしたらいけないものでせうか、此の二項の規定に依ると、何も皇室經濟會議で決めないで、變なもので、極く私のやうなもので決めてしまふと云ふのが、それがどうも餘り切換への時に少し變になるのぢやないかと思ふのです、寧ろ私の考では、全部國有財産に一度してしまつて、さうして此の經濟會議を開いて、其の經濟會議に依つて是だけの財産は公用の財産にする、あとは國有財産とする、斯う云ふ風に經濟會議で決めて何か不都合があるのでせうか、其の點を一つ伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=23
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024・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の實質的なる變化は憲法施行の瞬間に、詰り五月三日の午前零時に一切の所謂皇室用財産、皇室の財産、憲法に認めて居りますやうな一切の皇室財産は國有に法律上當然に移つてしまふと思つて居ります、でありますから今の御説の通りに其の財産は全部國有になつて來ると思ひます、さう致しますとそこの中で一般の國の管理するものと、皇室で管理せられるものとが其の瞬間に實は二つに分けなければならぬ、斯う云ふことになります、處が二つに分けます爲には憲法及び皇室經濟法の豫想して居ります所に從つて、經濟會議を作つて其の組分けをすると云ふことに致しますと、何しろ經濟會議と云ふものは五月三日以後に出來ることを豫想して居りますから、そこで參議院議長を入れる副議長を入れるとかして經濟會議を作るとなりますと、多少時間が掛かる、其の間の中間の時に是は宮内府が管理するものか大藏大臣が直接管理するものかと云ふ紛糾が起つて、御住居になつて居る宮殿迄の所屬の責任者が誰か、斯う云ふ問題が起りますから、兎に角多少そこに不自然な所がありますけれども、一應委員會等に依つて經分けた所に依つて移り變りを置いて、其の後で經濟會議が出來ますと、第一條の四項でありますが、「皇室用財産に關し必要な調査を行い」、之が働いて來まして、さうしていけなければいけないと云ふ意見を立つて、さうしてあとで補正する、事實さう云ふこともなからうと思ひますけれども、それで補正する、斯う云ふ風の考を以て之をやつたのであります、それが理窟の表面からの説明なんです、處が實質に於きましては、そこはもう少しものが複雜に動くものでないかと思つて居りますが、理論的に言ふと、多少の議論の餘地が殘つて居りますけれども、實際は財産税と云ふことの動き方に依つて此の境界線がはつきり其の行道の中に決つて來るのぢやなからうか、是は腹案なんですから、どう云ふ風に變化するか分りませぬが、さうすると現實には決つて居つて大して紛糾の餘地もなからうと考へて居る譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=24
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025・霜山精一
○霜山精一君 さうすると財産税の徴收に依つて大部分皇室財産が國有財産になる、さうすると此の法律施行の前に國有財産と云ふものになつてしまふ譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=25
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026・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=26
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027・霜山精一
○霜山精一君 さうすると現に皇室で公用せられて居る財産に付きましては、國有財産法の規定に依つて何とか始末しなければならぬ譯ですね、さうなるとそれを公用財産にするか普通の國有財産とするかと云ふことは、其の間は矢張り決らぬ譯ですね、憲法施行迄はさうなんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=27
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028・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の憲法施行の前迄は實際の腹の持ち方と、法律の説明と二つ別にして申上げなければなりませぬが、實際の動きを別にして、法律的に申しますれば、今御説明になつた通りにならうと思ひます、それから實際の運用に於きましては、さう云ふ紛糾の起らないやうに、國の方に憲法施行以前に移りますものは、公用でない物を皇室で現在御用ひにならない物で以て財産税の中身にして充てて行きますれば、あとに殘る物は財産税に入らないで、皇室の方に殘る物は現實に皇室の用に供せられて居る物と殆ど同じに近いやうになつて行くのぢやなからうかと思ひますからして、實際に於てはそこに困難は起らぬと思ひますけれども、法律的に之を申しますと、現在の皇室の用に供せられて居る財産、例へて申しますと、或御所の一部と云ふものが、國有財産の方へ早くから移つて居ると云ふことも理論的には考へる譯であります、さうしますと國有に移つて居るけれども、尚皇室の用に供られて居る財産、斯う云ふ部類に入つて來ると思ひます、まあさう云ものが矢張り附則の中に姿を現すこともあり得ると云ふことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=28
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029・霜山精一
○霜山精一君 さうすると財産税で、例へば宮城の敷地が國有財産になつたと云ふやうな場合には、それを現に皇室で以て公用して居られるのですが、其の時にもう既に公用財産になつて居るので……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=29
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030・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 或意味に於て公用財産になつて居るのです、併し此の皇室經濟法の豫想する皇室財産にはならないのです、それは五月三日に切換へになるのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=30
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031・霜山精一
○霜山精一君 まあさうですが、國有財産に所謂公用財産になつて居るので、其の點何か何も委員會のやうなものを作つて、是はどうだと云ふやうな、公用かどうかと云ふことを決める必要はないのぢやないですか、國有財産になる瞬間に、もう公用財産と、國有財産法に所謂公用財産になつて居るのぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=31
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032・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) それは確かに國有財産法に所謂公用財産になつて居ります、併し皇室の用に供する公用財産になつて居ると云ふやうなことは、まださう法律の表に何處にもないものですからして、一般の公用財産になり、而もそれは皇室に於て御使用になると云ふ内譯のものになつて居る、斯う云ふことになります、五月三日に正式のものになる、斯う云ふ考であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=32
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033・霜山精一
○霜山精一君 國有財産法の公用財産の中には皇室に使はれると云ふ意味の公用財産は入つて居るのぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=33
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034・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) そこの點に少し疑惑があるのですけれども、現在の國有財産法の公用財産と云ふものは「國ニ於テ國ノ事務、事業又ハ官吏其ノ他ノ職員ノ住居ノ用ニ供シ又ハ供スルモノト決定シタルモノ」と云ふことになりまして、今度まあさう云ふものがありと致しますれば國有財産法に所謂公用財産になつて居るかどうかと云ふことは文字に當てますと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=34
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035・霜山精一
○霜山精一君 其の文字には正確には入りませぬけれども、公用財産と云ふ觀念がそこで違つて居る、公用財産の觀念に入るんぢやないかと思ひますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=35
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036・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) それは入ると思ひます、だからさう云ふ風に入ることを固より法律的には豫想して居る譯であります、さう云ふものがありましても、それは國有財産法に云ふ公用財産でありますので、それをはつきり此の法律に謂ふ皇室用財産になるかならぬかと云ふことに付きましては、まあ一つの新なる判斷が加はる餘地はあらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=36
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037・大谷正男
○大谷正男君 ちよつと今のことに關聯してでありますが、私今の皇室經濟法に依つて、新しく皇室用財産と云ふものが出來て、それは國有財産法に依る……國有財産法第二條ですか、其の性質は公用財産であるけれども、そこにぴつたり入るのぢやなくて此の特別法に依つて新しく皇室用財産と云ふものが出來たと、斯うまあ了解して居るのですが、それで宜しいのですな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=37
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038・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 詰り國有財産法の公用財産の或一つの特別種類と云ふ風なものとして出來ると斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=38
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039・大谷正男
○大谷正男君 さう云ふ譯ですな、でありますから、今の其の他の特別法に據らざるものは、皆國有財産法の適用になる譯でありますから、で今霜山委員から御話があつたやうに、財産税の關係からして國に移つてしまつたもの、それはもう既に實質上に於ては皇室用財産になつて居るけれども、併し此處の經濟法の謂ふ皇室用財産ではないから、例へば宮殿の一部がもう國に移つて居る、併しながらそれは御使用になつて居る、法律に依らずして御使用になつておいでになると云ふ事實上の問題と斯う了解して宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=39
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040・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=40
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041・大谷正男
○大谷正男君 ちよつと續いてお尋ね致しますが、第四條の第二項の御手元金と云ふもの、是は先刻御説明があつたやうに是はまあプライヴエートのものになる、宮内省の經理に屬する公金にあらずと、斯う云ふことになつて居りますが、全然私有財産と云ふことになつて、是は、支出せられたと云ふことは、會計檢査の對象になるか、其の内容即ち如何に使用せられたかと云ふことに付ては、檢査の對象にならぬと、斯う云ふ風に了解して宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=41
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042・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 左樣でございます、併しそれに付きまして皇室經濟會議が此の法律の許す範圍に於て若干の關係を持つといふことは云へますけれども、國の方面に於きましてはもう手放し、斯う云ふ考になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=42
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043・大谷正男
○大谷正男君 少くも會計檢査の對象にはならぬと、斯う云ふものでございますな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=43
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044・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=44
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045・大谷正男
○大谷正男君 それからそれに關聯致しまして第二條に戻るのでありますが、二條で「賜與する」、財産を讓り受けたり賜與すると云ふこと、此の「賜與する」と云ふことは、今のやうな御手許に差上げたもの、其の中からの賜與と云ふそれも皆入る譯なんでございませうか、念の爲に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=45
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046・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の皇室關係に於て賜與が起りまするのは、二つの場合があらうと思つて居ります、一つは宮廷費の方です、宮廷費の方の豫算で賜與せらるる場合もあらうと思つて居ります、一つは御手元金、内廷費として一括して支出せられました中から賜與せらるるものもあらうと思います、更に今一つの場合を考へますると、此の經濟法の中に全然現れて來ない所の皇室の私有財産、例へば蓄積です、其の蓄積の中から賜與せらるることもあらうと思ひます、其の總ての場合を第二條の所では「賜與」として抑へて居る、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=46
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047・大谷正男
○大谷正男君 さうすると純然たる私有財産に付てもそれの制約を受ける、さう云ふ譯ですな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=47
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048・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=48
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049・大谷正男
○大谷正男君 此の宮廷費でありますが、五條に掲載せられて居ります此の宮廷費と云ふものの大體の費目であります、先刻御説明もあつたのでありますが、外賓を接待する其の一例としてお示しになつた、其の外今賜與の方面のお答があつたのでありますが、是は大體の費目をちよつとお示し願へませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=49
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050・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 大體まだ是等の金額の費目及び其の内容に付きましては、關係官廳間に於て現在全く準備時代でありまして、正確とは申上げ兼ねますけれども、大體宮廷費として考へて居りますのは、一つは儀典費詰り儀式の費用発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=50
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051・大谷正男
○大谷正男君 何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=51
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052・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 儀式、典禮の費用と云ふものを、まあ第一目として考へて居ります、第二目と致しまして行幸啓費と云ふものを考へて居ります。是は公式の行幸と云ふことを念頭に置きまして、それの經費が茲に計上せられなければならぬ、それから第三目と致しまして、皇子の御學問の費用と云ふものの計上が必要であらうと考へて居ります、併し是は少しくまだ内容に付きましては考慮すべき點が殘つて居りまするので、皇子の總ての方の御學問費と云ふ風に考へては居りませぬ、其の一部分の御學問費と云ふ風に考へて居ります、それから第四目と致しまして、宮城等の管理の費用と云ふものが考へられます、言ひ換へますると、營繕の費用とか、用度の費用とか、施設を致しまする費用とか云ふものを念頭に置いて居ります、それから第五目と致しまして、物を與へられまする時の經費、贈賜の費と云ふものを考へて居りまして、是も憲法の全精神に依りまして、餘り多くの範圍のことを豫想して居る譯ではございませぬが、例へば慶弔に關しまする御使用の如きものが、稍稍公式な意味を持つて居りまする部分は、茲に屬して居るものと考へて居ります、五項目位を今念頭に置いて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=52
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053・大谷正男
○大谷正男君 それに對しまして先刻の宮内府の費用でありますが、第三條に掲げる三つの費目以外の宮内府の費用、是はまあ廳舍の費用であるとか色々なものがありませうが、此の宮廷費の管理費と云ふやうな、さう云ふのと區別がつかないやうなものが隨分あるかと思ふのであります、又人件費に付てもさう云ふ風なことかと思はれますし、まあ一例を申しますると、御料の自動車と廳用のあれとが、隨分同じやうに管理されて居るのが、此の宮廷費の費用と云ふのと、宮内府の費用と隨分境目のむつかしいものが澤山あるものとまあ想像されますのですが、さう云ふ方面に付ては大體の見透しはついて居られる譯でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=53
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054・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 斯う云ふ費目の分配と云ふものは、經濟的な實際行爲と關聯して居りますので、まださうはつきり致して居りませぬ、何處の官廳でも、さう云ふ所には融通のつき得るものでありまして、宮内府の費用と宮廷費との間に於きまして、境界線の幾分はつきりしない、謂はば彈力性のある部分は起り得るものと考へて居ります、宮内府の費用と致しましては俸給とか給料、手當、旅費、廳費、交際費、雜給と云ふやうな風のことを考へて居りまして、普通の官廳の事務費と云ふ意味に取つて居りますが故に、先程御擧げになりましたやうな費用は、皇室費の方に屬するものではなからうか、少くとも大部分はさう云ふものだらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=54
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055・大谷正男
○大谷正男君 例へば何ですか、宮内府の廳舍の管理に屬するやうなものは、宮廷費の方に入れてしまふ、宮殿とか、さう云ふ風な意味でなくて、さう云ふ廳舍の費用等も宮廷費の方でやると云ふ御話ですが、さうでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=55
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056・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) さう云ふやうには考へて居りませぬ、矢張り宮内府と云ふものの廳舍は宮内府費で出すのが本筋のものでありまして、實際のものが兩方の性質を持つて居れば別でありますが……と申しますのは、今囘の考へ方に於きましては成るべく一般の行政費の形の中に費用を收めて行く方が色々妥當ぢやないかと思ひますから、普通の行政費の方に相當まあ入つて來ると云ふやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=56
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057・大谷正男
○大谷正男君 續いて伺ひますが、第七條の「由緒ある物」と云ふことに付て御尋ね致しますが、是は先刻御説明がありまして、私有財産を二つに分けて、普通の私有財産と其の他の皇位に關聯のある特別のもの、後者の方を第七條に規定したやうに御話がありましたのですが、尚例として三種の神器のことを御話になつたのでありますが、主として三種の神器のことを規定されたものと了解致しますが、其の他何か之に當るものとして何を豫想して居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=57
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058・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の皇位に非常に由緒のあると云ふものの限界がどう云ふ風になるかと云ふことに付きましては、可なり多角形に考へなければならぬのでありまして、簡單な一つの原理のみでは進行しがたい面がありますので、今尚大部分に付きましては、研究中であります、と申しまするのは、是はまあ實行面から來る考が強いのでありますが、今の三種の神器でありましても、皇位と云ふ公の御地位に伴ふものでありますが故に、本當から云へば國の財産として移るべきものと考ふることが、少くとも相當の理由があると思つて居ります、處がさう云ふ風に致しますると、どうしても神器などは、信仰と云ふものと結び付いて居りまする爲に、國の方にそれは物的關係に於ては移つてしまふ、それに籠つて居る精神の關係に於ては皇室の方に置くと云ふことが、如何にも不自然な考が起りまして、取扱上の上にも面白くない點があると云ふのでありまするが故に、宗教に關しまするものは國の方には移さない方が宜いであらう、と致しますると、皇室の私有財産の方に置くより外に仕樣がない、こんな考へ方で三種の神器の方は考へて居ります、それから是は私はまだ詳しいことは存じませぬけれども、立太子の式などの時に何か正式に用ひられる劍があるとまあ伺つて居ります、さう云ふ風なものは矢張り、是も公私何れに屬するか見分けには問題はありますけれども、矢張り此の種類のものに入るのが筋ではなからうかと云ふ風に考へて居ります、それから宮中三殿と云ふやうな面の財産に於きましては、是も國有財産に移すと云ふことは、何か聯想上好ましからぬやうな點がありまして、之を矢張り第七條の中に入れて考へる方が適當ではなからうか、是はもう皆研究問題なんであります、さう云ふ風に考へて居ります、そこで更に問題となつて居りまするのは、皇室に特に縁故の深い日本の文化財でありまして、一番顯著な例は正倉院の色々な貴重な品々と云ふことになりまするが、是は色々な見方が成立致しまして、國の美術品の保存と云ふ見地よりして、今迄皇室で御持ちになつて居たのである、斯う云ふ風に單純に考へますと、帝室博物館に竝んで居る美術品と大して區別がないと云ふことになれば、當然國有に移すと云ふことが論になつて來ると思ひます、併しながら他の一面から斯樣な御物が古い沿革を以て、假令或時期には東大寺ですかに寄附されたとしても、其の後間もなく勅封と云ふやうな慣例が出來て居るやうな性質から見ますると、是は歴代の皇室に非常に密接な關係のあるものであると云ふ觀察も出來て來ます、さう云ふ點から考へて行きますると、矢張り此の第七條の方面に移す方が宜いのではなからうかと云ふ考が起つて來まするが、尚之には色々面倒な問題があるのでございます、と申しますのは、保存の面に於きましての經費が相當あると考へなければならぬと云ふ意味がありますし、それから是が純粹の私有財産でありますと、將來租税制度の色々な關係からして、租税の客體になると云ふことも考へられます、さう云ふことを考へ、さうして又保存が極く適切に、從來あつたやうに遺漏なき保存が出來ると云ふ點に付てはどうしたら宜いかと云ふことも考へなければなりませぬ、あちらこちらの意見を聽き、是は希望では決められないので、矢張り法律的に純理上憲法の精神に顧みて正しい所へ決めなければなりませぬけれども、併しそれをまあ色々な角度から意見を求めて居る譯でありまして、此の間あたり衆議院の委員會等の皆樣方の希望として、矢張り此の第七條に入れて、維持なんかにも特別扱ひにした方が能く保存が出來るのでないかと云ふ御意見もありまして、傾聽して引下つて、答ははつきり言はなかつた、斯う云ふ段階になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=58
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059・大谷正男
○大谷正男君 色々御話あつて、先つきちよつと伺ひ漏しましたが、御劍に特別なものがあるやうに伺ひました、例へば壼切の御劍のやうなああ云ふ、是は皇太子が受ける、是は矢張り七條に依つて皇位と共に皇嗣が之を受ける、之に依つてあれでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=59
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060・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 私はこちらの方は具體的に能く知らぬものですから能く分りませぬけれども、矢張り立太子の時に授與せられると云ふことになりますと、矢張り其の財産は天皇が經常的に御持ちになつて居らなければならないのではないか、さうすると矢張りここに入るのではないか、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=60
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061・大谷正男
○大谷正男君 まだ第七條の適用に付ては是からの御相談と云ふことになる譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=61
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062・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) ちよつと申し落しましたが、第七條の財産と云ふことは、謂はば法律で「皇嗣が、これを受れる。」と書いてあります、併し之を實行面から申しますと、今申しました通り第一に、如何にして皇室財産の中で是だけは特別のものにするかと云ふ見分けが必要になつて來ます、それから今度見分けた結果は誰が見ても疑ひのないやうにはつきり登録をすると云ふことが必要になつて來ます、それから左樣な扱ひをした限りは、今の租税の關係等に於きまして、恐らく是は矢張り特別に考へられて然るべきものと思つて居ります、又さう云ふ風の貴重なるものを保存するには何か特別の注意が要ることになりますが、是は純粹の皇室財産に屬することは屬しますけれども、國家の面から申しますると、今のやうな相續關係等に於きまして疑ひなきはつきりした根據を與へなければならぬ、若し又租税免除と云ふことになりますれば、租税法上の特例をなすと云ふやうな點に付て國家が關係を持つて居る、それから皇室部内の關係に於きましても、其の財産の所屬に付て疑ひが起つてはならぬと云ふやうな點に付きまして色々考へなければならぬのであります、それは此の法律一箇條だけでは動かないと思つて居ります、之に對しまして然るべき客觀的に内容の保障されるやうな順序が要るのではないか、それをどうするか、是は今研究中でありまするけれども、大體著想と致しましては、餘り是は皇室の内部のことに國が露骨に關係すると云ふことはをかしいものですからして、何か委員會のやうなものを一つ設けて此の見分をすると云ふこと及び或限度に於きまして、それに關しまする手續等を政令を以て規定すると云ふやうな方法を採つたならば、妥當な結果が得られはしないかと云ふ風に今の所は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=62
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063・大谷正男
○大谷正男君 只今租税のことに付て御話がありました、斯う云ふ風な特別の財産を、之をどうも租税の對象とすると云ふ觀念が……まあさう云ふ對象にしたくないと云ふ風に私共考へ、段々さう云ふ御詮議にならうかと存じますが、尚私有財産にすると云ふことに付て、今の三種の神器のやうな特別のものに付きましては、是は典範の方の委員會でさう云ふ御話が出たか存じませぬが、現在の典範には「祖宗ノ神器ヲ承ク」と明記されて居る、是は特に削られたのでありませうが、併しながら實際に於ては踐祚の時に矢張り從來の通りに其の神器を受けられる、是はまあさうだらうと思ひます、さう云ふ風な御品のことでありまするからして、是は矢張りさつき御話のあつたやうに國の方のものとするのが至當だと云ふやうな御考へもあるやうでありますが、是は其の面から言へば確かにさう云ふ風な感じが致します、又皇位と不可分だと云ふ關係から申しますれば、特に又國の方のものにすると云ふことも亦どうかと云ふ感じがあります、斯う云ふ風なものに付ては色々の面から考へなければならぬことは今御話の通りであります、どうか愼重に御審議を願ひたいと思ひます、尚、第八條の經濟會議の規定のことに付てちよつと御尋ね致したいと思ひます、此の「衆議院及び參議院の議長及び副議長」とある、是は典範の方の皇室會議に於ても同樣でありますのですが、さうすると副議長、是はまあ議長に代はる職務を持つて居るのであります、從つて若し國會の方の分子として人數の關係から議長だけでは足りないと、斯う云ふことであるならば、議員を選んでそれに充てると云ふ方が至當なのではないか、議長に代つて何か豫備委員と云ふやうな意味に於て副議長が出て來ると云ふやうなことなら是は分るのですが、當然に構成分子として、議員として副議長を加へると云ふことがどう云ふものかと考へらるるのでありまするが、其の點に付てはどう御考になつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=63
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064・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の委員會の構成が、衆議院の議長及び副議長參議院の議長及び副議長を出すと云ふ考へ方に付きまして、法律的な面から説明をする場合と、政治的と申しますか、實質的な面から説明する場合と兩方必要になつて來ると思ふ譯でありまして、そこで法律的の面から申しますれば、是は衆議院の議長なら議長と云ふ者個人が出て來るのでありまして、議會を代表して出て來ると云ふ譯ではありませぬ、それは議會の働きは院議に依つて決するのであるが故に、議長だけ出しましたからとて議會の代表者にはならぬ譯であります、けれどもさう云ふ風な法律的な觀察以外に、政治的な面から申しますれば、議會の議長が出られますれば、それで院全體との間に比較的密接な聯繋が取れる、詰り政治的には議會代表と云ふことにならうと思ひます、そこで政治的の面に於て議會代表を決めまする時に、出來るだけ議會の全體の心持を現す、詰り議會代表の質の問題であります、それから人數の問題と云ふ意味に於きましては、議會代表の量との問題と云ふものが起つて來るのでありまして、全體の組立に於きまして、今囘の憲法が民主憲法であり、是等の議會の本來やるやうな仕事を幾分經濟會議が擔任して居る意味合が深いものですから、量の面に於きまして議會代表の人が矢張り他より多くなくちや工合が惡いのではないかと云ふ考で行政部は二人、是は三人である、行政部よりも立法府の代表者が多いのであります、と云ふやうに量の面に於て議會を代表させる、さうすると量はそれで宜いのでありますが、質の面から申しまするとどう云ふ風にしたら宜いか、今後國會の動きがどうであるかと云ふことは、的確には豫見出來ませぬけれども、大體衆議院に付て申しますれば、議長は、政黨の關係で言へば、謂はば第一黨から是が出るのではなからうか、さう致しますと副議長は第二黨から出るのではなからうか、第一黨の代表者と第二黨の代表者が出て來ると云ふことは、結局斯樣な經濟會議に議會の意思を現す上に於て一番妥當な公正な見解ではないか、さう細かく小黨派の方迄代表者を選ぶ譯に行きませぬですから、此の方が宜いのではないか、他の考慮もありまするけれども、一つの點は其の點であつたのであります、そこで議會自身が選擧されたら宜いぢやないか、斯う云ふことになりますと、ことに依りますと、議會の中の働きは矢張り第一黨が多數を持つて居りまするから、第一黨の人が出て來ると云ふことになりますると、第一黨ばかりが其の經濟會議に代表されると云ふ所が面白くない、斯う考へてこんな風に案を立つた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=64
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065・大谷正男
○大谷正男君 大體御説明で了解致しました、大體私申上げましたのは、副議長、議長が差支があつた時に出て來る副議長、之を議員に竝べると云ふことがどう云ふものであらうか、大藏大臣が事故のある時には次官が出る、會計檢査院長が差支へあつた場合には内閣總理大臣の指定する他の官吏が出て來る、斯う云ふやうな譯であつて、どうも副議長は豫備の時に出られると云ふやうな形ならば何であるが、此の法規で規定する場合に、其の點は體を得たものであるかどうかと云ふ點に疑問を持つた譯でありますが、今の第一黨の代表者、第二黨の代表者と云ふ意味から申しますると、多少納得される點がある譯ですが、それは政治的の意味であつて、法律的の事から申しますと、尚疑問を持つて居るのでありますが、まあ其の點はそれで打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=65
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066・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 如何でございませうか、本日は此の位の所で…
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=66
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067・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御異議がなければ明日午前十時から委員會を開きます
午後零時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=67
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068・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 前田利男君
副委員長 男爵 杉溪由言君
委員
侯爵 西郷吉之助君
大谷正男君
子爵 北條雋八君
子爵 齋藤齊君
荒川文六君
霜山精一君
男爵 佐竹義履君
男爵 中村貫之君
種田虎雄君
高橋龍太郎君
竹中藤右衞門君
橋本萬右衞門君
國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
政府委員
法制局事務官 渡邊佳英君
同 桐山隆彦君
同 井手成三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00119461221&spkNum=68
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