1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○皇室經濟法案
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昭和二十一年十二月二十二日(日曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=0
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001・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 是より引續いて會議を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=1
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002・種田虎雄
○種田虎雄君 昨日御配付を受けました御料財産概況と云ふものがございますが、此の中で皇室の私有財産に屬すると認むべきものはどう云ふ程度のものを指すものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=2
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003・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の御料財産概況に掲げました數字は現在の御料財産として考へられますものを全部一應掲げたものでありますので、從つて憲法八十八條に依りまして、此の中からどの程度の物が皇室財産、公の性質を持つ物として國有財産になり、どれだけの物が私有財産として殘るかと云ふことに付ては、今日まだ其の振分が十分出來て居りませぬ、併し此の中で現金、有價證券等に付きましては、私の財産として殘る物もあらうかと思ひますが、土地或は建物等に付きましては相當のものが國有財産として引繼がれることにならうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=3
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004・種田虎雄
○種田虎雄君 此の皇室の私有財産に對しては、財産税、其の他普通の民法に謂ふ相續税等、さう云ふやうなものが將來かかつて來るのだらうと思ふのであります、私有財産が段々と將來減少して行くと云ふやうなことに相成るのぢやないかと思ふのであります、其の點に付て一つ伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=4
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005・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 御料財産が約十五億六千萬圓かございますが、之に對して財産税が賦課されると云ふやうに考へられるのであります、さうしますと云ふと、財産税に依りまして八割前後のもの、或は九割近くのものが財産税として徴收せられるのではないか、是等はまだはつきりしたことは分りませぬ、そこで其の殘つたものに付きまして、結局更にそれを振り分けまして、國有財産とそれから本當のフライベートの財産に御分けする譯でありますが、其のプライベートの財産は、從つて金額から申しますと云ふと、さう多くの金額を一應は豫想出來ないのであります、併しながら今度の皇室經濟法で國の豫算から皇室に對して内廷費を支出致しますが、其の内廷費は或は既に御説明はあつたかと思ひますが、定額を内廷の費用として陛下に差上げる、さうしますると云ふと、其の内廷費の使用は陛下の御自由に委されて居りまして、若し或一年度に於きまして殘額が殘りますれば、それは結局天皇の私有財産としてそれが蓄積されると云ふ風にならうかと思ふのであります、さう云ふ譯で、私有財産と云ふやうなものが、全然今度は減つて行くものでもなからうと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=5
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006・種田虎雄
○種田虎雄君 大體御説明で分りましたが、普通の相續税と云ふやうなものが、矢張り皇室の私有財産にもかかることを豫想しておいでになるのでありますか、如何なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=6
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007・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇室に對する課税に付きましては、どう云ふ方針を立てるかは目下研究中でありますが、原則論と致しまして、天皇及び皇族に付ての課税に付きましては、それが特に國の象徴であると云ふ御地位、若くは皇位系統と云ふ御地位と密接不可分の方面からして、特別な理由がない限りは、課税に付ては一般國民と等しく法の前に平等であると云ふことにならざるを得ないやうに考へて居ります、そこで私有財産に付きましては、相續税と云ふ風なものは、今日としては一應一般的な原則が適用されることにならうかと考へて居りますが、まだ是は研究中でありまして、はつきりした結論に到達致して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=7
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008・霜山精一
○霜山精一君 今種田君からの御質問で、現在の皇室財産が財産税微收の結果、八割乃至九割近くのものが國有財産になつてしまふ、斯う云うことになりますと、殘りの一割前後のものが皇室財産である、斯う云うことに相成るやうでありますが、さうすると昨日問題になりました點でありまするが、其の一割前後の皇室財産に對して、其の中で皇室の公用に供せられるものと然らざるものとを區別すると云ふことになるのでありまするが、經濟法の附則の第二項に依りますと「この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている從前の皇室財産」、斯うありまするからして、從前の皇室財産と云ふのは、結局此の一割前後の皇室財産と云ふことになるだらうと思ふのでありますが、之を公用と然らざるものとを區別すると云ふことに、附則の二項に依つてなると思ふのでありますが、さうすると憲法施行前に、詰り現行法の下に於て、財産税徴收の結果國有財産になつたものに付ては、公用に供するものと然らざるものとを、どう云う風に區別するのでありませうか、其の點を一つ御伺ひしたいと思ひます、其の分に付ては此の規定は適用はない譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=8
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009・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 實際の扱ひから申しますと、先づ來年の二月頃に財産税の徴收が完了すると思ふのでありまするが、それに依りまして、大體どう云ふものを財産税の客體として國の方に戴くかと云ふことが決まると思ふのであります、大體今の所宮内省、大藏省等の話合ひに於きましては、色色研究はして居りますけれども、來年二月頃の財産税の徴收の際に、略略國有財産として、特に皇室に御使ひを願ふやうなものでないものが、國有財産の方に一應移るやうになるのではなからうか、從つて此の附則の第二項に於きましては、大體に於きまして、財産税を徴收した後に殘つた皇室の財産で、是が來年五月三日を以て憲法八十八條に依つて國の財産に移る、それに付ての振り分けに適用せらるるやうなことになるかと考へて居ります、其の際に然らば財産税を差引いた殘つた皇室の財産を、更に所謂皇室財産と然らざる財産とに分け、或は又其の中の或るものを皇室の私有財産として御殘しすると云ふことの振り分けは、是は極めて重要なことであると考へて居ります、其の爲に、出來ますならば、何等かの成るべく公正な一つの調査機關のやうなものを作りまして、そこで其の振り分けを行ひまして、萬遺憾のないやうに、豫め新憲法施行前に準備をして、五月三日から其のやうに實行して行くと云ふ風な豫想を今日持つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=9
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010・霜山精一
○霜山精一君 もう一つ、先程種田君から御質問のあつた點でありますが、皇室の私有財産と認められるものに付ては、矢張り民法の規定に依つて、普通の通りに遺産相續ですが、今度は民法が改正になるやうでありまして、家督相續と云ふことはなくなりまして、遺産相續と云ふことに全部なつてしまふ、相續人の持つて居る財産は相續人に均分される原則が採用せられるやうでありますが、さう云ふことになると、皇室の私有財産に付ても、矢張り相續の規定に依つて均分相續と云ふことになるのでございませうか、其の點を一つ御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=10
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011・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇室の私有財産に付きましては、御話のやうに原則として民法の規定が適用になるものと考へて居ります、唯皇室經濟法の第七條にございます「皇位とともに傳わるべき由緒ある物は、皇位とともに、皇嗣が、これを受ける。」と云ふ規定は、是は只今申しました民法の一般原則に對する一つの特例とも考へられるものかと思ひます、是以外に民法の中で特に私有財産の相續關係に付て特例を作るかどうかと云ふことは、今研究して居りますけれども、今日はまだ特に特例を作らなければならぬと思ふやうなものを的確に把握して居りませぬ、是はまあ更に研究致しまして、次の通常議會……民法改正案が出る迄に、果してさう云ふものがあるかどうかを研究したいと思つて居りますが、大體に於ては民法の一般原則が適用あるものと御了承願つて宜しいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=11
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012・霜山精一
○霜山精一君 皇族は皆年々皇族費のやうなものを支出することになつて居りますから、例へば天皇に屬する私有財産の如きものは、矢張り皇嗣だけで、まあ前の家督相續のやうに天皇直屬の私有財産と云ふものは皇嗣が之を承繼する、斯う云ふ風になつて宜いのではないかと思ふのですが、普通の民法の原則に必ずしも據らなければならぬ必要はないのぢやないかと考へられるのですが、是はまあ私の意見でございます、それから「皇位とともに傳わるべき由緒ある物」是はまあ皇嗣が相續すると云ふことになりますが、民法では墳墓とか、祭具とか系譜とか云ふやうなものは相續人の特權に屬すると云ふことになつて居りまして、さう云ふものが今度の新らしい民法にも同樣なものが出來ると思ふのでありますが、さう云ふ規定と此の七條の規定との關係でございますね、民法も適用になり其の上に七條も亦適用になると斯う云ふ風になるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=12
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013・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 七條の規定は「皇位とともに傳わるべき由緒ある物」と云ふので特別なものを考へて居ります、それから其の外に皇室の私の御一家として民法の原則に從ふ、例へば祭具であるとかさう云ふ風なものに付きまして、之を「皇位とともに傳わるべき由緒ある物」と考へられる、此のものは此の七條の規定が優先的に適用になると思ひますが、それ以外に於きましても「皇位とともに傳わるべき物」と云ふものでなくても、民法で謂ふ系譜であるとか、祭具であるとかと云ふものの中で、此の規定にはどうも劃されないけれども、民法の規定に依つてと云ふこともあるかと思ひますが、大體の所は民法で特別に相續者に傳はるやうなものは、多く此の七條の規定の方に入つてしまふのぢやなからうかと豫想して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=13
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014・霜山精一
○霜山精一君 御陵墓に關することは典範の方にあるやうでありますけれども、是も民法では墳墓の所有權は家督相續人の特權に屬すると云ふことになつて居るのであります、又是は「由緒ある物」と云ふのは動産のやうに見えますが、墳墓、山陵のやうな不動産に關するものも矢張り此の七條の規定の適用を受けるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=14
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015・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇室の、今お話の御陵墓の關係でありますが、皇室典範の考から申しますと云ふと、此の御陵墓は、實は皇室の公の方面の性質を持つ財産と考へるのであります、其の結果として實は憲法の八十八條の規定の適用に依りまして、一應是は國有財産となる、併しながら是は皇室經濟法の第一條の規定に依りまして、國有財産の中で皇室用財産と致しまして之を管理して行くと云ふことになりますから、此の點は民法に於けるあの墳墓の取扱とは異つた扱ひになつて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=15
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016・霜山精一
○霜山精一君 外の問題に亙りまするが、現在では皇室財産令と云ふものがありまして、そこに色々なことが規定してあるやうでありまするが、其の規定の中で治産能力に關する規定がありまするが、未成年者が法律行爲をする時は法定代理人の同意が要るとか、或は禁治産、準禁治産の宣告、竝に其の解除に關すること、保佐人の選任とか、色々な民法の特例が、皇室財産令の中に規定してあるのですが、斯う云ふ治産能力に關することは、今度は全然民法に委ねて、此の皇室經濟法の中には規定しないと云ふことになるのでありまするか、或は又特別に何か特別な法律でも出るのか、斯う云ふ御意見なんでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=16
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017・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 私關係の御財産に付ては、行爲能力若しくは意思能力等に付きましての原則は、只今の處、民法の原則が先づ適用になるのであつて、現在認めてありますやうな皇室財産令中の色々な規定は必要なくなるのではないかと云ふ豫想の下に今研究して居ります、併しながら民法の改正案も、愈愈最後的に決める迄に、或は若干のものが皇室に付て特例のものが考へつくかも知れませぬが、今日としては未だ的確に例外的規定の必要を把握して居らない状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=17
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018・霜山精一
○霜山精一君 現在では禁治産、準禁治産の宣告に關する手續等に付ては、全然皇室には民法の規定は適用のないことになつて居りまするが、裁判所の方でも斯う云ふことに關する、皇室に對しての、特別な手續と云ふものはない譯で、若し此の規定が廢せられると云ふことになりますれば、皇族に對する禁治産、準禁治産の規定を矢張り何處でやるとか云ふやうな、色々手續的な規定を矢張りそちらの方で、訴訟手續の方で規定しなければならぬのぢやないかと思ふのです、尚十分に御研究を願ひたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=18
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019・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 實體法的な部分は民法の規定が先づ適用になると思ひまするが、手續的な部分に於きましては、管轄權であるとか、或は又其の手續を實行する裁判所等の關係に於きまして、若干の特例があるのぢやなからうかと云ふ風に考へて居つて、それに付て今研究して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=19
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020・霜山精一
○霜山精一君 それからもう一つ、皇室財産令の中に遺留財産の規定がありまするが、遺留財産の設定又は増加、廢止、遺留財産と云ふのは、華族で云へば華族の世襲財産のやうなものらしいのですが、處分禁止になつて居つて、さうして強制執行の目的にならぬと云ふやうな規定がある、斯う云ふものは何れも廢せられるものと思ふのですが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=20
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021・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 只今の處左樣に考へて居りまして、將來は特に斯う云ふものの必要はないやうに思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=21
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022・霜山精一
○霜山精一君 それから是は多少皇室典範の方に關係のある問題かも知れませぬが、皇族の特權は色々ありまするが、典範の方では色々殿下と云ふやうな稱號もありまするが、經濟法の方では、皇族費を差上げると云ふやうな、色々皇族に伴ふ特權があるやうであります、若し皇族の中に色々特權を享有するに値ひしないやうな事績が例へば出たと云ふ場合には、從來の規定でありますと皇族の懲戒と云ふ規定があつたやうであります、懲戒に依つて特權を取上げるとか、或は特權を停止するとか云ふやうなことが規定されて居つたやうであります、斯う云ふことは、まあ餘り豫想されないことかも知れませぬけれども、規定としては何かさう云ふものがあつて然るべきではないかと思ふのですが、皇室典範の方にもありませぬし、經濟法の方にも皇族懲戒の規定が少しもないのですが、斯う云ふ問題はどう云ふ風に御考になるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=22
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023・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇族の懲戒に付きましては、現在は皇室典範に規定がございますけれども、是は今度の皇室典範の建前から申しまして、國務と考ふべきものでなく、皇室の御一家のことと考へることが相應はしいと云ふ意味に於きまして、皇室典範からは除いてあります、從つて皇室の私の御一家として如何樣に之を御取りになるか、是は皇族内部のこととして御自由に御考へ願ふと云ふことになつて居るのであります、唯實際問題として皇族の方の中に、斯う云ふ風なことに値ひするやうな事柄があつた場合にどうするかと云ふ問題でありますが、皇室御一家の中で懲戒若しくは之に類似する御手續を御取りになるか、ならないかは、是は國務の觸れる所ではありませぬが、斯う云ふ事實を受けまして、其の御方に皇族としての御身分の上から特別な考慮を拂はなければならないと云ふ場合もあるかも知れませぬ、其のやうな場合に於きましては、皇室典範の第十一條の規定で、皇族の御身分を御離れになると云ふ風な場合も考へて居りますし、或は又皇室典範の規定で以て、皇位繼承の資格若くは攝政とおなりになるやうな資格を、一時順位を變更して、其の御地位に御就きにならないやうにすると云ふ規定があらうかと思ふのであります、併しながら皇族である以上は其の品位を保持すると云ふ上から申しますと、皇室經濟法の皇族費と云ふものは、是は差上げる、併し其の程度は強くて、結局皇室典範第十一條の第二項の規定に依つて、特別の事由がある場合に、皇室會議の議に依つて皇族たる御身分を御離れになると云ふこともあり、今の霜山委員の仰しやつたやうな場合も、此の皇室典範第十一條第二項の場合に含まれるものと思ひますが、さう云ふ形は皇族の御身分を離れてしまへばそれで皇族費と云ふものはなくなると云ふ譯であらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=23
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024・霜山精一
○霜山精一君 今の御説明の中で身分を離れると云ふ御話がありましたが、ちよつと之に關聯したことを伺ひたいのですが、現在では皇族の身分を離れると云ふことになりますと、臣籍降下で華族に列せられると云ふことになつて居るやうですが、今度皇族の身分を離れられると何に列せられるのでありませうか、是は要するに族稱をどうするかと云ふ問題になる譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=24
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025・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 新しい皇室典範の規定に依りまして、皇族の身分を御離れになつた時にどう云ふ特別な身分を取得するかと云ふことに付きましては、今日特別な身分を取得するやうなことを考へて居りませぬ、又族稱に付きましても新憲法施行後は戸籍の上からも特に族稱の規定等は除く方針に於て、司法省でも研究中と承つて居りますが、結局皇族が臣下に降下すると一般の國民と同じやうになるより外ないやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=25
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026・霜山精一
○霜山精一君 一般の國民と同樣になるのですけれども、一般の國民は今族稱がありまして、士族とか平民とか云ふ風になつて居りますが、士族に列せられるのですか、或は平民として列せられるのですかその點が……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=26
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027・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 所謂士族、華族、或は平民と云ふ風な族稱と申しますか、さう云ふものは新憲法施行後は戸籍法等の扱ひからみても、さう云ふことを國法の上から消してしまふと云ふ方向の下に司法省で研究中であります、從つてさう云ふものはなくなる譯でありますから、どうと云ふことはないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=27
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028・霜山精一
○霜山精一君 現在の法規では皇族の失踪に關する規定がどこかにあつたやうであります、民法の失踪の規定の適用がなくて、皇族失踪には特別な規定が設けられて、民法の規定が適用がないやうになつて居るのですが、今度は失踪に關する規定が典範にもありませぬですから、多分廢されて民法一般の厚則に依られるものと思ふのですが、さう了解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=28
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029・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 現在皇族身位令で失踪の規定がありますが、さう云ふ規定は將來考へて居りませぬ、併し民法の規定が其の儘適用になるやうに今日の段階では考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=29
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030・霜山精一
○霜山精一君 其の次に御伺ひしたいのは、現在の典範でしたか何かに、皇族と人民との間の訴訟、それから皇族と皇族との間の訴訟關係に付て特別の規定が設けてあるのですが、此の點に付きましても何等規定がないやうでありまするが、人民から皇族に對する訴へ、或は皇族から人民に對して訴訟を起す、或は皇族對皇族の訴訟關係に付いて何か特例を規定する必要はないのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=30
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031・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 現在の皇室典範増補に於きまして皇族と一般國民との間の權利義務關係に付ての特別な規定がございますが、是は實體法的に皇族に適用せられるやうな規定が一般國民にも適用せられると云ふ風なことになつて居ります、將來はさう云ふ區別を致しませぬで、皇族と一般の皇族以外の國民との間に於ける訴訟關係に付ての實體關係は民事規定が一般的に適用せられると考へて居ります、唯之の訴訟手續の上に於ける管轄の問題等に付きましては、或は皇族相互の民事訴訟等に於きましては、若干の特例を或程度作るかと思つて居りますけれども、今日は其の位に考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=31
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032・霜山精一
○霜山精一君 現在では皇族對皇族の訴訟は裁判所に來ないのでありまして、宮内省の方で特別な裁判所が出來てそこで取扱ふと云ふことになつて居ります、それから皇族對人民、人民對皇族の民事訴訟に付きましては東京控訴院で第一審をやつて、それから第二審を矢張り東京控訴院でやる、それから第三審を今の大審院でやると云ふ風な特別な管轄が出來て居るのでありますが、斯う云ふことはどう云ふ風に……其の儘存置されるのですかどうですかよく知りませぬ、今の制度でをかしいと思ふのは、東京控訴院を第一審として、第二審を又東京控訴院でやると云ふのが、私は常にをかしいと思つて居つたのです、控訴院と云ふ一つの裁判所で一審をやつて置いて、其の控訴を矢張り其の控訴院、同じ裁判所の別な部でやると云ふことになつて居るのであります、どうもをかしなものだと常常思つて居つたのですが、さう云ふ點に何か御考がございますですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=32
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033・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 御話の點確かに一つの問題であると思います、それで將來は皇族相互の間に於ける民事訴訟に付きましては兎に角管轄權に付て若干の特例を必要とするのではなからうかと考へて居るのでありますが、さて其の第一審と第二審との關係に付きましては一方御承知のやうに裁判所法が出來まして、根本的に新奮關係の裁判所の構成も變るやうでございますから、それと關聯させまして、今の御意見を十分參酌しまして一つ考へさして戴きたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=33
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034・霜山精一
○霜山精一君 現在の法規に依りますと、皇室に關する訴訟行爲に付きましては宮内大臣が皇室を代表して訴訟する、訴訟の代表を宮内大臣がやると云ふことになつて居ります、宮内大臣は尤も代理人を立てると云ふことが出來ると云ふ風なことになつて居ります、是は何か規定があつたやうでございます、現に實際宮内大臣が當事者として訴訟を起して居るのです、將來宮内大臣と云ふ者はなくなりますし、皇室關係の訴訟に付ては矢張り宮内府の長官とでも云ふ者が訴訟の當事者になられるのではないかと思ふのですが、其の點は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=34
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035・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の訴訟當事者の關係に付きましては、現在御話の特例がございますが、之に付て矢張り何等かの特別規定が必要ではなからうかと考へて居ります、特に天皇に付きましては誰が此の訴訟代理人になるかと云ふ點はまだ研究中で、はつきり致して居りませぬ、是非考へなければならぬ、まあ皇族に付きましては、どの程度必要であるか、更にもう少し研究して見たいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=35
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036・白澤保美
○白澤保美君 私は昨日缺席を致しまして、昨日金森國務大臣の御説明があつたやうに承りましたが、或は重複致しますかも知れませぬが、今日伺ひたいことは、皇室財産の中で殊に御料林のことに付て伺いたいと思いますが、第一番に財産税のことでありますが、財産税は詰り皇室財産が國へ移管になる前に何れ徴收になることと思いますが、それに當つて最も財産税を積るべき關係になるのは、御料林であらうと思いますが、御料林の何は新聞等でちよつと見ましたが、皇室財産が五十億あります、五十億の中でも、御料林と云ふものは大部分……大部分とは申しませぬ、非常に澤山な位置を占めて居る、其の御料林の値の積り方と云ふものは、大變關係があるのですが、或人の説に依ると例へば御嶽、富士山のやうなああ云ふ御料林がなくとも、ああ云ふ所の山の頂上の木迄皆現在の値で評價すると云ふことに伺つて居りますが、さう云ふことになると非常に澤山なものになりまして、それで税金を拂ふと云ふことになれば御料の今の財産の中からそれを拂はなければならぬと云ふことになつて、非常に澤山になると思いますが、御料林と云ふものは新憲法施行後は當然に國に移るものであつて、それだけのものを今の御料林の財産を御料と國とに分ける時に於て今の御料から拂ふと云ふことになると、非常に其の後に殘る財産の高が減ると云ふことになると思いますが、其の後は一體どう云ふ風に御考になつて居りますか現に今拂ふとすれば、此の二月の期限の中に拂はなければならぬと云ふことになると、大變關係があると思いますが、是は他の場合と違ひまして、當然國に行くべきもので、御料の外の財産と一緒にしてそれで御料を今拂ふと云ふことはえらい御氣の毒に感じますが、それはどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=36
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037・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇室の財産の重要な部分を占めて居ります此の御料林の關係でございますが、只今の計算では、矢張り此の御料林は大部分、殆ど全部國有の財産に移るやうに考へて居ります、そこで現在に於きまして、御料林の關係は、其の土地の價格及びそこにありまする立木の價格等に付て相當な巨額に上りますが、是も現在の收支計算から申しますと、立木を伐りまして、之を賣却するに付ては矢張り的當なそれに關する費用も掛かるので、帝室林野局の會計としての豫算から申しまして、收入が相當あると同時に又支出もございまして、其の差引が結局純益として皇室に殘つた譯であります、さう云つたやうな譯で、其の純益も必ずしも御料財産の額から見てさうえらい額になつて居らないやうに思ひますが、何れにしても本體は國有に移つてしまひますから、そこでそれだけ皇室の方の御財産は減つて來ると云ふ風になつて來ることと思つて居ります、尚附加へて申しますと來年の二月項に財産税の賦課がございます、其の時の計算でも財産税の客體として……財産税の客體と云ふのでなくて、財産税を課せられた結果、財産税として國に引繼ぐべき財産の中に此の御料林が大部分豫想せられて居ると云ふ風に申上げて宜からうかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=37
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038・白澤保美
○白澤保美君 もう一應伺ひますがさうすると、國に歸屬するものの中に財産税を勘定に入れると、斯う云ふ御話ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=38
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039・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 憲法の八十八條は公の性質を持つ皇室の財産は、憲法施行の時を以て國有財産に移ります、從つて財産税と云ふものが若しありませぬでしたならば、此の御料財産概況に掲げてありますやうな數字が、其の儘五月三日に國有の中に、此の中の公の性質のものは、國有になりますが、其の前に財産税の賦課がありますから、此の御料財産概況の中の財産の大部分が、一應財産税として國の方に取られまして、殘つたものに付て憲法八十八條が來年の五月三日に適用になつて來ると云ふ風に御了承になつたら宜いかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=39
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040・白澤保美
○白澤保美君 是は只今の問題でないかも知れませぬが、國に歸屬になつてから將來のことでありますが、此の御料林を今の諸所からの情報を聞きますと、此の御料林、殊に北海道の御料林は、是は内務省の所管に移ると云ふことであります、それから内地の方の、内地と申しますのは、本州にある所のものは、是は農林省の方の所管に屬すると、斯う云ふことになるのですが、まあさう云ふ話を聞いて居りますが、それに對して私は此處でちよつと農林大臣の意見を伺ひたいと思ひますが…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=40
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041・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=41
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042・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 速記を始めて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=42
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043・綾小路護
○子爵綾小路護君 期日も切迫致して居りますし、又委員の御方の中には他の委員會の委員の兼務の方もあらうと思ひますので、衆議院に於きまする本法案委員會に出た所の質疑應答の模樣を政府委員から一應伺ふことが御便宜かと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=43
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044・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 今資料を取寄せて居るさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=44
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045・大谷正男
○大谷正男君 是は別に御尋ね申上げると云ふのは、少し御無理かも知れませぬが、御話致して見まして若しも何かの答があれば幸だと思ひます、それは第四條と第六條にあります「別に法律で定める定額」と云ふことであります、是は昨日御説明がありまして、目下調査中であるので、是は次の通常議會に提案することになるであらう、斯う云ふことであります、それでありまするから今其の概要と云ふやうなことを伺ふことは出來ませぬのでありますが、唯四條は色々各般に亙つて居りませうが、第六條の方の法律であります、是は本條の中に「定額相當額」「定額の二分の一」とか、それから「四分の一」とか云ふ風に率は決めてあるが、其の基額が分りませぬから、全體の凡そどの位になるものであらうかと云ふ概略すら分らない譯である、是等は此の額に付きましては物價の状況等に對しまして今後どう云ふ風になるか、其の見透しがまだはつきりつかぬやうな時でありまするから、通常議會に御提案になります迄に色々御調査になつて上程される譯だと存じますが、併し此の法律となりました後に物價指數に變動があつたからと申しましても、さう之れを度々變へると云ふ譯にもいかぬ譯でありますが、大體の見透しをつけて御決めになる、斯う云ふ譯でありますが、其の皇族費の目安になる定額、大體是は現在の物價の状況に依つて及現在御生活になつておいでになる御樣子、それを更に非常に縮減されることは當然でありますが、縮減された状況と云ふものを想像されまして、是は非常に決めるのはむつかしいと存じますが、大體是は基本になる、例へば親王と親王妃の二方の場合にはどうなるか、それが年額どの位と云ふことを極く大掴みに目安を立てないことには、實は何とも想像がつかぬ譯でございますが、是は通常議會の時のことを今此處で伺ふと云ふ譯ではございませぬが、先々さう御困りにならない程度に、併しもう一般臣下と同樣の御生活、非常に縮減せられた御生活をなさるのでありまするから、其のことを見越して無論餘裕のあらうとも思ひませぬが、何か標準となる、斯う云ふ位の程度とか何んとか、今御差支ない所で御示しになることがあれば、伺ひます、それは無理に額を伺ふと云ふ積りではございませぬが、大體斯う云ふ所を、標準として御審議の状況を若し御差支なければ基本額を……親王、親王妃或は王、王妃の御二方の此の位の所と云ふ、さう云ふ額を示すことがむづかしければ、何か基準となる御考の方針とか標準とかを御差支へがなければ伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=45
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046・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の六條の皇族費の定額に付きましては、實は研究中なのでありまして、色々微妙な關が係あるものですから、まだはつきりしたことをちよつと申上げ兼ねる状況であります、併しながら或金額を定めますならば、大體其の御一家に未成年の御方があり、又妃殿下のおありと云ふやうな所で、段々積算して、或額に達し、大體御生活を維持し、品位を保存する爲に遺憾のないやうな程度の金額に定めたいと思つて居るのであります、尚速記を止めまして申上げたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=46
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047・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=47
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048・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 速記を始めて発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=48
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049・大谷正男
○大谷正男君 さう云ふ色々從來と變つた何がございますから、其の邊は十分に御調査になつてのことでございませうが、大體の目安を御研究になつて居ると云ふことを伺つて置きまして一應私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=49
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050・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 衆議院の本會議に於きまして、色々問題もありましたけれども、重要なものを申上げますと、改正憲法施行と同時に、皇室財産は國有財産になる、さうして其の國有財産になりました中でも、皇室經濟法の規定で、或ものは皇室の財産として特別な扱ひを受けることになるのであるが、それ等のはつきりした分界を決める爲に、何か審議機關のやうなものを設ける意思はないか、其の審議機關を設けるとすれば、それには成るべく民間の人、或は兩院の議員を加へて、さうして公正に其の決定をしたらどうかと云ふ御意見がございました、皇室經濟法が施行になつた後は皇室經濟會議がそれに當るのであります、此の皇室經濟法の附則の第二項は經過的なことを決めて居りまして、それを設けることに付ては、將來の問題である、皇室經濟會議は關與しませぬ、それで其の基礎を作る上に於きまして矢張り何かさう云ふ公正な機關で以て判定をするやうに考へたらどうかと云ふ御意見がありまして、之に對しては成るべくさう云ふ趣旨に於て考へて見ると云ふことを御答をして居るのでございます、それから國有財産に移るものと、皇室に殘る私有財産との分界をどう云ふ所に標準を作るかと云ふ御意見もございました、是は其の事柄に應じて判斷をする外ないと考へて居りますが、それに付きましても今申上げましたやうに出來るだけ公正な機關で此の判定をすると云ふことにしたいと云ふ意味で御答をしてございます、それから皇室財産が國に移管せられた後で以て、其の國有に移つた財産に付ても是も單に國有に移つたと云ふだけで以て其の管理が適當でないと云ふことは面白くないが、それ等に付ては十分有效に之を處置するやうなことを考へて貰ひたいと云ふやうな御意見がございまして、其の點は御尤もと答へた譯であります、尚皇室經濟法に於ては恰も皇室が權利義務の主體となるやうな規定になつて居るが、一體皇室を法人格を持つものと認めたのであるかと云ふ風な御質問がございましたが、之に付きましては、別に皇室を法人格を持つものと認めたのではないが、皇室と云ふ御一家を皇室と云ふ言葉で呼んだのである、法律的に申しますれば、天皇又は皇族と云ふものが權利の主體になるのであると云ふことを御答を申上げた譯であります、それから内廷費或は皇族費等に付きましても物價騰貴、物價變動の時期であるから、どう云ふ基準で算出するか、出來るだけ公正な方法を以て算出するやうにと云ふ御意見がございまして、それは誠に御尤もである、出來るだけ努力すると云ふことを申上げて居る譯であります、それから別に法律で定める一定額と云ふのは皇室經濟法の中に一緒に書いたら宜いぢやないか、別の法律にすると云ふことは非常に見る場合にも不便であるし、又若し其の時々に之を變へる必要があるならば、法律の改正で行くのであるから、同一の法律にするのが適當ぢやないかと云ふ御意見がございました、是は一つの御意見であるけれども、今日としては未だ一定の金額と云ふものを算出するのに機が熟して居らぬのである、其の方面から言つても、別の法律にする必要があるのと、それから又もう一つの考へ方は、皇室經濟法が皇室の經濟に關する基本法規を決めたのであつて、一定の金額と云ふのはさう始終變る譯ではありませぬけれども、一應過渡的な性質を持つものである、さう云ふ風なものは矢張り別の法律で、金額だけのことを決める法律を出す方が適當であると云ふやうなこともありまして、別の法律にした譯でありますが、さう云ふ御意見もあつたのであります、それから正倉院の御物に付てはどう云ふ風にするのかと云ふやうな御意見がございました、之に付きましては、正倉院の御物であるとか、東山文庫であるとか云つた、さう云ふ風な文化的な財産に付きましては、愼重に考慮を拂ひまして、或物は私有財産として御殘しをするのであらうし、又是が博物館等に出品として並べるやうな物に付ては、是は國有財産になるとしても、文化財の管理方法に付ては十分の工夫を凝らして行きたいと云ふ風なことを申上げてあるのであります、本會議に於きましての御質問の趣旨並にそれに對する政府の所見は今申上げましたやうなことでございました、それから委員會に於きましては、矢張り同じやうな問題が取上げられましたが、皇室財産に入るものは一體何を考へて居るのかと云ふやうなことでございましたが、是は天皇の象徴たる御地位に伴なつて必要なものであつて、現に天皇が公に御使ひになると云ふ風なものを考へて居るのである、從つて宮城であるとか、或は特に政務を御執りになるやうな建物であるとかと云ふやうなものは正にそれになるし、更に御陵墓も矢張り此の場合皇室用財産として考へると云ふことを申上げて居ります、尚宮中三殿は寧ろ第七條の由緒ある私有財産と考へることが適當であらうと云ふやうなことを申上げたのであります、それから第二條に於きまして、第二條の二項、三項の規定は大變正確であり、且亦細かい規定であるが、斯う云う規定の必要があるのかと云ふやうな御意見もございましたけれども是は矢張り皇室財産と云ふものを十分はつきりし又皇室の御立場と云ふものを十分明らかにする爲には、矢張り是だけの規定の必要があるのだと云ふことを申上げた譯であります、それから内廷費及び皇族費に付きまして、課税の對象になるかどうかと云ふやうな御質問がございました、之に付きましては、皇室の私有財産に付きましての收入に付ては、一般の税法は適用になるのでありますけれども、内廷費と云ふもの、及び皇族費と云ふものに付きましては、國の豫算からして直接に天皇及び皇族に差上げる金額であつて、是が所謂所得税の對象となるべき所得と考へるが宜いかどうかに付ては一つの問題があるかと思ふのであります、それで衆議院の委員會の御質問の趣旨は、或は課税の對象にならないことが適當ぢやないかと云ふやうな御趣旨の御質問のやうに承りましたが、之に付きましては、政府としては目下研究中である、さうして内廷費及び皇族費は所得税等の税法の課税の客體となるべきではないかと云ふやうな方向で研究はして居るけれども、まだ確たる結論には到達して居らぬと云ふことを申上げて居ります、それから此の皇室經濟法の第七條で、「皇位とともに傳わるべき由緒ある物」と云ふと、何を意味するかと云ふこと、並にそれの判定はどう云ふやうにして決めるか、判定者は誰かと云ふやうな御質問がありました、之に付ては由緒ある物と云ふのは、三種の神器とか、宮中の三殿とか云ふやうなものを考へて居ると云ふことを申上げたのでありますが、併し其の以外にもまだ色々あるかも知れない、それでそれ等の認定は、「皇位とともに傳わるべき由緒ある物」と云ふ、一つの日本の國家として、又皇室の御特色として、客觀的に決まるものでありませうけれども、併しながら其の認定は矢張り重要なことでありますので、之に付ては何か其の判定をするのに適當な組織を將來一つ考へたいと思ふと云ふことを御答をしてございます、併しそれだけの組織の細かいことはまだ決つて居りませぬけれども、さう云ふやうな程度のことを御答してございます、それから皇室經濟會議で色色なことを議する、又は決するのであるけれども、民主的に行くならば、寧ろ國會がもう少し之に參與してはどうであらうか、此の法律では、皇室經濟會議に大體一任して居りまして、其の結果を國會に報告すると云ふやうなことになつて居ります、それではどうも國會側として發動する餘地が少い、もつと國會の權限を強くしたらどうかと云ふ御意見がございましたし、之に對しては、斯う云ふ皇室財産の實際の運營と云ふ風な面は、是は事行政に關することであつて、矢張り皇室經濟會議と云ふやうなもので先づ第一段的には研究して行つて、さうして其の結果を國會に報告し、國會側としては其の報告を受けまして、國會側の獨自の見地で或は立法するなり、或は何等かの意見を述べるなりする途があるからと云ふやうなことを御答した譯であります、それから又或委員は此の内廷費、皇族費に對しては……ちよつと話が前後したやうでありますけれども、先程の或方の御質問は課税の客體にしない方が宜いだらうと云ふやうな意味で御質問になつたやうでありますが又或方は内廷費、皇族費は當然課税の客體にすべきではないかと云ふやうな御質問もありました、之に付ては先程申しましたやうに御答をしてあるのであります、それから皇室經濟會議の議員の任期に付きましては、是は五年となつて居りますが、國會議員の任期が四年であるから、是も矢張り四年としたらどうかと云ふ御質問もありましたけれども、是は議員の任期を直接關係はないと云ふことで、五年とした譯であります、それから尚或委員からは、宮城の御建物が現在御燒けになつてしまつたので、一日も早く御造營する必要があると思ふが、政府は其の用意ありやと云ふ御質問がありましたけれども、之に付きましては、勿論さう云ふやうなことは一般國民として甚ださう云ふことを考へるけれども、是は色々な關係もありまして、未だ政府として具體的に御造營の手續になつて居らぬと云ふことを御答をしたのであります、大體以上のやうなことが、委員會に於て出た大要でございます、今の御説明に附加へましてちよつと言ひ落したことをもう少し補足さして戴きます、更に宮内府及び會計檢査院官制は何時議會に提出するかと云ふ御質問がありまして、之に付ては來議會、詰り通常議會に提出する方向で考へて居ると云ふことを申上げてあります、それから皇室經濟會議と云ふのは何處に設けられ、又誰に對して責任を負ふのかと云ふ風な御質問もありましたが、皇室經濟會議は是は總理大臣が委員長となる譯でありまして、内閣に是は置かれるものであると云ふことを御答をした譯であります、さうして内閣は皇室經濟會議の事務に付ては内閣として連帶して國會に責任を負ふ性質のものであると云ふ風に申上げたのであります、大體さう云ふやうなことがございました、それから更に衆議院に於ける委員會の討論の際には各黨皆之に御賛成でございまして、全員一致で可決になりましたが、其の中で特に金額に付きましては出來るだけ實情に合ふやうに考へて、まあ餘り少い金額でないことを望むと云ふことを特に皆さんが仰しやつて居りました、それから又最初皇室用財産として決める經過的の分に付ては是非一つ民主的な組織を作つて、そこで、公正に判斷をするやうなことにして貰ひたいと云ふ特別な御話がございました、それから又宮城其の他皇族の御家の復舊に付ては特に政府としても意を用ひて貰ひたいし、又文化的な財産が皇室から政府に移ると云つた、後に於ける文化財の將來の保護に付ては特に格段の考慮を拂つて貰ひたいと云ふ希望意見がございました、それだけのことが衆議院に於ける審議の大要であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=50
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051・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 霜山委員、何か御質問があれば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=51
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052・霜山精一
○霜山精一君 大した問題ぢやないのですけれども、今の宮廷費、それから皇族費に付ては課税の對象にしない方が宜いだらうと云ふ考の下に御尋ねしようと思つて居つたのですけれども、其の點は御説明がありましたから、止めて置きまして、もう一つ皇室財産が國有財産になりまして、それを皇室で公用されて居る場合、其の公用される財産に對する使用料を拂ふかどうかと云ふ問題が起るだらうと思ふのです、國有財産を私用、公用するに付きましても原則としては只で使ふと云ふことは出來ないことに關係の法律の方に皇室の公用に供するものに付ては使用料は要らぬとか云ふ風な規定を設ける必要があるのぢやないかと云ふ風に考へるのですが、其の點は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=52
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053・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 只今の考と致しましては、國有財産法の公用財産に是はなるんでありますけれども、之に付ては別に使用料をお取りしてお使ひを願ふと云ふことを考へて居りませぬ、是はもう全く從來通りにお使ひを願ふと云ふことで、使用料と云ふやうなことでなく、其の維持管理等は全部國で責任を負ひながら御使用を願ふと云ふ風に考へて居るんでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=53
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054・霜山精一
○霜山精一君 唯國有財産法の方に、法規の方に、何か使用料を、國有財産に付ては……是は國有財産になるんですから、放つて置けば國有財産法其の他の規定がなつて居るやうであります、例へば官舍を借りるにしても必ず何程かの借家料を拂ふと云ふことに法律上なつて居るやうであります、拂ふ義務がある、必ず拂はなければならぬと云ふことになつて居るやうです、處が皇室で御使ひになるに付て、其の使用料を御拂ひになると云ふことはどうも餘り望ましくないと思ふのですから、此の點に付ては何か國有財産法適用になつて、例へば官舍に付ては必ず使用料を拂はなければならぬと云ふことになつて居りますから、さう云ふ規定を除外する何か規定を置く必要があるんぢやないかと云ふことをお聽きしたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=54
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055・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇室用財産に付きましては、斯う云ふ考へ方で居るんであります、即ち例へば總理大臣官邸と云ふものを國の財産として持つて居りまして、それを總理大臣が公用に使つて居りますけれども、それに付ては別に使用料と云ふやうなことを考へて居りませぬが、それと同じやうな風に運營して行きたいと思つて居ります、それから尚國有財産法の關係に於きまして、今お話のやうな點は、尚十分研究は致しますけれども、建前としては、さう云ふ風な考へ方で運用し、又制度を立てて行きたいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=55
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056・井手成三
○政府委員(井手成三君) 只今の長官の御説明でもう十分でございますけれども、私共の考へて居りまする所をもう少し附加へさして戴きます、今囘特に之を皇室經濟法の一條を作りませぬでも、當然公用になるだらうと云ふ考へであつたのでありまするが、特に皇室の公用に供すると云ふものは、國有財産の公用である、即ち國有財産法の二條の公用に供して居るんであると云ふやうな考へ方で立案して置きまして、只今申されました國有財産法の十六條で「國有財産ハ云々」「公用若ハ公益事業ニ供スル爲必要アル場合及」之々を除くの外公用に供することになつて居るんだと云ふことを、立法的に片付けた積りであります、更に若し何等かの疑惑が起りますれば、次の機會に公用財産法は多少の手直しを致す積りでありますので、若し工合の惡いことが起りますれば、更に研究したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=56
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057・霜山精一
○霜山精一君 唯官舍に關する規定がございますね、官舍の使用料は必ず拂はなければならぬと云ふ古い太政官か何かの規則がございますね、其の中には有料官舍と云ふことを原則として居るやうでございますね、さう云ふ所に障りはしないかと思ふのです、其の點を御研究願つて置けば結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=57
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058・大谷正男
○大谷正男君 先刻法制局長官から御説明があつた衆議院の質疑應答に付てちよつと念の爲に伺つて置きたいのでありますが、御説明もあつたのでありますが、御手元金として差上げた内廷費、それから皇族費でありますね、是は課税の對象にならないかと云ふ御質問があつて、それに對して大體課税の對象とはしないと云ふ方向に進めるやうに研究して居ると云ふ風な意味に伺つたのでありますが、そこで内廷費として支出されたものは御手元金になつて是は公金としないと云ふ規定があるやうであります、公金としない、純然たる私有財産となるかと云ふと、是は其の儘純然たる私有財産とはならない其の中から更に蓄積せられたものがあるとすればそれが純然たる私有財産になる、御手元金其のものは私有財産ではない、同樣に皇族費も亦皇族の私有財産に其の儘なるのではない、其の中からなにがしか集積されたものがあれば、それが私有財産だ、皇族費其のものは私有財産ではない、斯う云ふ風に觀念しまして、即ち公金ではない、公金ではないが、併し私有財産でもない、斯う謂はば中間的のものでありまするが、さう云ふ風に觀念して、それに對してはまあ課税の對象にはならないやうな立法をする、當然放つて置けば課税の對象になるが、特に課税對象にしないやうな立法を爲さるのでありませうか、或は性質からして當然かからないと云ふことになるか、其の邊をちよつと念の爲に伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=58
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059・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の内廷費と皇族費に付きまして之を國庫から支出してしまつた後、受けた方の側から申しまして、是が私有財産となるか、ならないかと云ふ點でございまするが、只今の御話では私有財産ではない、併し公金でもない、其の中間的なものだと云ふ御話でございました、實質的に申しますと慥かにさう云ふ點がありますけれども、私共一應此の案を立てました考へ方は、矢張り是は私有財産となると考へるのであります、併しながら内廷費と云ふ風なものは、謂はば打切りの金額でございますから、或年度に於きましては若干餘りましても、其の次の年度、又は其の次の次の年度位になりますと、足りないこともあり、其の場其の場で一々其の金額は還つて參りませぬから、或年には餘つた金額も、其の次の年に於ては實質的の内廷費の足し前にもすると云ふことでありまして、私有財産ではありますけれども、そこに自ら實質上の一つの租税が附加されたことになる、併し、法律的に申しますと、どうも私有財産と考ふべきものではなからうかと考へて居ります、そこで私有財産としてそれが入つて來るならば、之に對して矢張り所得税を課するのが當り前ではないかと云ふ議論も一應考へられるのであります、併しながら所得税法の建前如何に依るけれども、是は特に勤勞に依る所得でもなし、特に此の法律の規定に依りまして國の費用を皇室に差上げると云ふ形であるから、是は税法の建前に於きまして課税の客體たるべき經濟上の價値移轉であると考へない立て方を取ることが出來るのではなからうかと云ふ風に一鷹考へて居りまして、それ等に付きまして課税の方法の上に於きましてどう云ふ理論構成をするかと云ふことは今日研究中でありますので、もう暫く御猶豫を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=59
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060・大谷正男
○大谷正男君 御研究の途中でありませうから何でせうが、今のを重ねて申上げます、今の國の象徴としての御地位と云ふ、天皇のさう云ふ御地位として當然課税の對象にすべきでないと斯う云ふ風な方面から特に考へるならば此の内延費に付ては……併し皇族費に付きましてはさう云ふ關係がない、或はそれに準ずると云ふやうに御考慮になるかも知れませぬが、今の是は公金ではないが併し差上げた儘、此の内廷費なり、皇族費、殊に皇族費に付ては課税對象にならないと云ふことにする特別の立法をなさる、諄いやうでありますが、今の特別にさう云ふ立法をしなければかかると、斯う云ふ風に御覽になつて特別の立法をなさる御積りでございませうか、つまりこれをかからないと云ふ意味の立法ですな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=60
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061・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 税法の方で是等の費用をどう云ふ風に扱ひますか本來はかかるやうなことになるのを特別の例外を置いてかけないとするか、或は本來さう云ふ所得税等がかかる經濟上價値の移轉と云ふ風なものでないやうに之を考えることに依つて所得税法等の規定に對する考へ方も變つて來ると思ふのでありますが今日私共が研究の段階に於きましては寧ろ内廷費であるとか、皇族費は、是は所得税の客體になるやうな意味の經濟價値の移轉ではない性質のもののやうに考へたいと思つて居るのでありまして、そう云ふ風な方向で所得税法等も考へて行ければ行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=61
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062・大谷正男
○大谷正男君 どうかその邊十分御研究願ひまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=62
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063・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 白澤委員、農林大臣が見えました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=63
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064・白澤保美
○白澤保美君 農林大臣にちよつと御伺ひ致したいのですが御忙がしい處有難うございます、御料林が今度全部國に移管することになりまして、今是は將來國に移管されるのでせうから、農林大臣のなさる仕事と思ひますが、ちよつと伺ふのは早いやうでありますが此の問題が國に移管するに當つての後の處理に付ては色々世間で運動と申しますか、論議と申しますかありまするが、それに對して參考の爲に農林大臣の御意見を伺ひたいと思ひます、第一番に北海道の問題であります、北海道の林政統一と云ふことは、是は農商務省時代から多年の懸案になつて居りまして、なかなか解決致しませぬ、農林大臣としては隨分主張された方がありますが之を閣議に懸ける時に於て内務大臣が何時もそれに付て反對をせられる爲に、まあ他の大臣もさうやかましく言はなくてもと云ふことで順々に延び延びになてつ來て居るやうでありますが今度御料林の非常に澤山な面積が北海道に移つて是も内務省で現在の國有林を合せて北海道所管と申しますか内務省が、監督しようと云ふのか、是が大分有力のやうに承つて居ります又文部省その他厚生省、文部省は學校教育の方面から、又厚生省は何と申しますか、風光と云ふやうな關係からその他からも色々あり、又地方廳からも例へば此の頃私ちよつと聞いたことでありますが木曾の御料林の岐阜縣に屬するものを岐阜の方の縣有林に何して呉れ、長野縣の或人なども長野縣にある木曾の一部分を呉れ、而も長野縣選出の代議士など色々主張して居ります、其の他色々各地方々々で此の機會に於て御料林を分けて貰ひたい、國有林の方に及ぼす今度御料林の此の機會にと云ふことで色々運動されて居りますが是等に對して第一番に農林大臣は何れ將來の問題と致しましてもですね、どう云ふことの御方針でありますか、それと今度此の機會に於て此の事は私が前の大臣に伺つたことがありましたし外の豫算會議で外の委員からも主張されたこともありますが、此の機會に於て北海道の林政を農林省に統一したら内務省を離れて農林省に統一したら宜からう、殊に北海道の拓植と云ふことは、農林省としては非常に重きを置いて居られて、隨分澤山な面積を開拓することになつて居りますから、最も直接な關係があるのは森林地でありますが、是等に付てのことを農林省の拓植計畫としては分れ分れに今森林を離すよりは寧ろ農林省へ一緒にして、新たに柘植計畫をなさつた方が非常に開拓の爲にも便利であり、同時に此の森林の經營に於ても、當然爲すべきことと思うて居りますが、是等に付ての農林大臣の御意見を此の今の御料林の問題に關聯致しましてちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=64
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065・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 御料林は是は御承知のやうに皇室財産として帝室林野局で經營されて居りまして、日本の木材の需要の點から行けば非常に重要な一部を擔當致して居る譯でありまして、此の作業廳としての運營、斯う云ひますものは、是は現在のやうな木材の緊急生産の上から云ひましても、どうしても停滯することは許されませぬので、我々としては是非御料林は現行形態の儘農林省に移管して貰ひまして、引續き是は國有林の一體として經營して行く、木材生産の施行等を爲して行くと云ふやうに主張致して居ります、又さう云ふ考へで居る譯であります、それから大體此の御料林と云ふものは、是は白澤さんも御承知のやうに、非常な施業案を立てまして、合理的な經營を致して居るのであります、そこで良好な成績を擧げて居るので、之を只今色々の御説にありましたやうに、地方に分割するとか云ふやうなことを致しますることは、是は治水の點から云ひましても、生産の保續の點から云ひましても、又國土保安の點から云ひましても、採るべき策ではないと、斯樣に考へて居ります、そこで農林省には現在の形の儘で移管して貰つて、さうして國有林一體として之を經營して行くと云ふことが、最も合理的であり、又森林、山林と云ふものを國土の上から云つて、保續して行く上から云ひましても必要なことだと、斯う考へて居る譯であります、色々と農林省が其の一元化を主張しまする理由は他にもある譯でありますが、我々としましては是は何處迄も是非統一した組織でやつて行けるやうに致したいと考へて居ります、それから北海道の林政統一の點は、私は此の前の貴族院、衆議院兩方の豫算總會に於ても主張しました如く、又色々の委員會に於ても主張して居ります如く、大體北海道の獨立國であると云ふ意識は、是は徹底的に打破しなければならぬと思ひます、斯う云ふ資源が少くなつて來ました以上は、國としては北海道が非常に重要な所になればなるだけ、又經濟の方から言つても一體として之を動くやうに仕向けて行くことが必要なのでありまして、幸ひ此の地方制度の改正の場合に於ても、亦北海道と云ふものは府縣として北海道を數箇の府縣に分けたら宜いとさへ思つて居るのでありまして、さう致しませぬと、どうしても實際上の從來の弊害と云ふものは是正出來ないのでありまして、此の間内務省に出來ました北海道對策委員會と云ふものが出來たのでありますが、其の時に於ても矢張りそこに於てはさう云ふ所管の問題とか豫算の問題は取扱はずに北海道を開拓するのにはどう云ふ手段が宜いかと云ふやうな具體的なことを有らゆる方面の知識を集めてそこで審議すると云ふことに致して貰つた次第でありまして、實は我々と致しましては御料林を北海道へ分割するとか、或は地方の公共團體へ分割するとか、或は文部省の方から色々の要求があると云ふことに付きましては、是は一應全部農林省に移管して貰つて、其の上で最も適當な經營法をやつて行く、斯う云ふ風に實は考へて其のやうに努力致して居りまして、是は是非一つ好い機會でありますので、此の際に從來の蟠りを去つて本筋に返したいと、斯う私は考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=65
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066・白澤保美
○白澤保美君 有難うございました、明答を戴きまして私も非常に安心致しましたが、御料林の方は國有林と違つて隨分纒つて居りますから、御料林の經營は國有林の方でも模範とすべき所も大分あります、又國有林は國有のまあ長所もありますから、今度是が一緒になつてやれば互ひの長所短所が分りますからして、我が國の新たな國有林の經營の上に於ても非常に好いやうに思ひます、北海道問題に付きましても、農林大臣が兎に角移管を受けてからこつちで處分をすると云ふ御決心は私の喜ぶ所でありますが、どうぞ宜しく御願ひ致します、どうも有難うございました、それで私は宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=66
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067・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは午前は是で終りまして、午後は一時から致します
午前十一時五十六分休憩
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午後一時十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=67
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068・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=68
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069・種田虎雄
○種田虎雄君 今朝程私皇室の私有財産のことに付て伺ひました時に、現金、有價證券が大體それに當るのだと、斯う云ふやうな御話でありました、大體是が財産税の對象になるやうに思ひますが、さうすると恐らく九割前後の税率で、後殘る金額は恐らく四千萬前後ぢやないかと、斯う思はれるのであります、今日の貨幣價値の非常に低落して居る際に、一國の元首として國民尊崇の中心である、所謂憧れの中心であるとして、今後日本の天皇が、例へば御手元金から社會事業其の他に御救恤になると云ふやうなことを想像致しますと、斯う云ふ小さい金額では到底皇室の尊嚴を維持出來ないのではないかと云ふ風な氣がするのであります、成る程内廷費等で、それの殘額は蓄積されるのだと、斯う云ふ政府御當局の御説明でありますけれども、之も恐らく國會の議を經て豫算に計上されるのでありますから、さう大した金額を計上することは出來ないと云ふ風に考へられるのでありまして、是等の點に付きましては、相當政府の方でも御研究になつて居ることと思ひますけれども、餘程そこらの點に付て、凡そどの程度の皇室の私有財産を想定されて居るのであるかさう云ふ點に付て御伺ひすることが出來れば非常に結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=69
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070・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 皇室に殘る私有財産の額に付きましては、今の所まだはつきりしたことは申上げ兼ねるのでありますが、兎に角此の御料財産概況にありまする總額の中の約九割近くのものが財産税として徴收せられると云ふことは、是はどうも致し方がないことと考へるのであります、さうしますと云ふと、御話の現金、有價證券等に付きましても、大部分財産税として徴收せられてしまひますし、又それ以外に於きまして、御料財産概況の中の五と云ふ所に物件と云ふのがありまして、裝飾品であるとか、圖書、家具生物等、之が二千九百萬圓程の金額を計上して居りますけれども、此の評價額も矢張り九割近くが財産税として處分されますけれども、其の殘存部分もある、それに致しましても、一應私有財産として殘る額はさう巨額なものではないのであります、併しながら新憲法の建前上一應皇室の御財産は公の性質のものは國有財産にして、さうして後の關係は内廷費或は皇族費と云ふ風なものを、國費から出すことに依りまして、其の間に支障のないやうにやつて行かうと云ふ建前でありますものですから、内廷費の金額をどの程度にするか、或は又先程も御話の出ました通りの皇族費の全額、それ等の點に付きまして、出來るだけ無理のないやうな數字を考へると云ふ風なことで以て此の點の調和を圖る外にはないやうに思ふので、其の點に付て出來るだけの努力を拂つて遺憾なきを期したいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=70
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071・名取和作
○名取和作君 只今の御話に依れば皇室の私有財産としては、物品は殘らぬのであるか、收益を生ずるものを殘してはならぬのか、例へば土地であるとか山林であるとかさう云ふ風なものは殘らぬのであるか、何と云ふか、固有確定の資産、さう云ふものは殘らないのですか、有價證券とか金とか云ふものだけしか殘らないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=71
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072・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の憲法の八十八條で皇室財産が國に屬すると云ふことに書いてあります、其のものは必ずしも收益を生ずるもの、或は不動産と云ふ風なもの、それに付きましても矢張り私のものと公のものとの區別を致しまして、振り分をすることにならうと思ふのであります、それ故に收益を生ずるやうなものに付きましても、それが公の性質を持つて居るものは國に屬し、私の性質を持つて居るものは皇室の方へ私の財産として殘るのでありますけれども、唯營林財産と申しますか、御料林のやうなものは是は現在實際に於きまして皇室の公の財産として扱つて居りますので、從つて大部分は矢張り國有財産として移つてしまふであらうと思ひます、尚さう移つた後で以て、皇室經濟法の皇室用財産と云ふものに、或ものをするのでありますけれども、收益財産のやうな、詰り御料林のやうなものは、皇室用財産として皇室に將來御使ひを願ふと云ふことはないのであります、其ことは皇室經濟法の第一條の第三項に「皇室用財産は、收益を目的とするものであつてはならない。」と云ふ規定を置きまして、斯う云ふものは皇室用財産とはなり得ないと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=72
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073・名取和作
○名取和作君 さうすると、斯う了解して宜いのですか、收益を生ぜぬものであるならば不動産のやうなものも皇室財産として殘る、斯う了解して宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=73
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074・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) いや斯う云ふ趣旨であります、即ち憲法八十八條で皇室財産が國に歸屬する、即ち國有財産になると云ふあの規定は、皇室の公の性質を持つ財産が、憲法施行と同時に國有財産となると云ふ規定であります、そこで皇室の御用ひになつて居る現在の財産、即ち御料財産と云ふものの中にも、公の性質を持つものと、さうでないものとがある譯でありまして、其の時には收益を生ずる財産であつても、公的のものもあり、私的のものもあると思ふのです、例へば有價證券の如きは收益を生ずる財産でありますけれども、併しながら多くは私の性質を持つ財産ではなからうと思つて居ります、處が土地なんぞになりますと云ふと、是は御料林のやうなものは、收益を生ずる財産ですけれども、現在は之を皇室の公の財産と考へて居るのでありまして、是等は大部分が國有になつてしまふ、斯う云ふことなんでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=74
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075・名取和作
○名取和作君 私はまだ了解せぬが、要するに皇室には、皇室の財産としては、株券、それから現金の外に殘るものは何がありますか、豫想では……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=75
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076・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 株券の外には、私財産として殘るものに付きまして申上げますと、それ以外には建物工作物に付きまして若干あらうかと思ひます、それから物件、即ち裝飾品であるとか圖書、家具、さう云つたやうな御財産も、大部分は皇室の私の財産になるのではなからうかと思つて居ります、尚正倉院の御物と云ふ風なものに付きましても、是はまあどの程度か分りませぬけれども、皇室の私の財産としてお殘りになるものがあるのぢやなからうかと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=76
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077・名取和作
○名取和作君 私共……私共と云うても、あなた方は別なお考か知れませぬが、私などの憂ふる所は、先刻種田君の御質問のあつたやうに、株券であるとか現金であるとか云ふものは、是は貨幣價値の下落に依つて非常な不安定を來す、苟も一國のシンボルたる所の皇室が、御不自由があると云ふやうなことであつては、それはシンボルになりませぬ、却てさう云ふ所からして如何なる國難が起らぬとも限らぬ、餘り皇室が御困窮になると云ふと……、であるから株券であるとか現金であるとか云ふものの外に、何か年と共に財産の變らぬもの、年と共に財産の成るべく變ることの少いもの、さう云ふものか若しくは國が繁昌すれば繁昌する程殖えるもの、さう云ふものを皇室に幾らでもお殘しして置くと云ふことが今日我々の考へることぢやないかと、斯う思ふのでありますが、政府はその邊に付て我々と同じやうなお考を持つて居られるのでございませうか、さう云ふことはお考になつて居られぬのでございませうか、其の點を一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=77
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078・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 其の點は我我が日本國民としての心持から申しまして、さう云ふ氣持に強くなるのでありますが、此の憲法を施行する建前の上から申しますと云ふと、憲法の八十八條の趣旨に依りまして、兎に角現在の皇室財産の中で、公の性質を持つものと考へられますものは、正確に國有財産として移して、それと關係ない私の財産は、之を振り分けまして皇室にお殘しする、其の結果として、私の財産の額が比較的少い或は又意想外に少いと云ふことが假にありましても、それを無理に、私の財産でないものを私の財産として殘すと云ふ風なことは、是はさう云ふ風なことは出來ないと考へて居ります、そこで將來の問題は、あとは内廷費なり或は皇族費なりの運用に依りまして、御不自由のないやうにして差上げると云ふことしかないのではなからうか、斯う云ふ風に私共としては考へて居るんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=78
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079・渡邊三郎
○渡邊三郎君 色々先程から承つて居りますると、非常に御窮屈のやうに拜察されるのであります、内廷費の上に於ても、一定の金額を差上げると云ふことになりましたら、是は今日のやうな、又將來も續きませうが、此の額がこれを差上げても、貨幣價値が落ちて參りますと、非常にお困りになることが出來やしないか、それで四條に於ては、之に付て早速内閣の方で之をお取上になつて、變更なさると云ふことでございませうな、併し何か昔のやうに米を納めるとか何とか、幾らか物を對象とするやうな御取扱に付ては御考になつていらつしやらぬもんでせうか、是は出來ないかとも思はれますけれども、何とかやつて置かなければ御窮屈なことが急に出來た時に、一々國會の協賛を經るとか何とかで非常に手間取つて、御困りになるのぢやないかと思はれるのですが、如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=79
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080・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 御話は御尤もでありますが、此の皇室經濟法の建前の上では、國の方から物として皇室に差上げると云ふ風な途は考へて居らないのであります、併し是はまあ内廷費をどの位にするか問題でありますが、内廷費として差上げて、或年には若干の餘剩が出來、又或年に足りない時には其の餘剩を廻すと云ふ御運用に依りまして、支障はないやうに一つ圖つて行きたいと考へて居ります、尚物を差上げる方面のことは、其の途は全然不可能ではないのであります、憲法八條の規定を適用し、更に此の皇室經濟法第二條の規定の適用に依りまして、皇室に物を差上げる途もありますけれども、併しながら、國家として皇室に對して、建前上どう云ふ風にして費用を差上げるかと云ふ點は、此の三條以下の内廷費、宮廷費、皇族費と云ふ三本建で持つて行くと云ふやうな考へ方に出來て居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=80
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081・渡邊三郎
○渡邊三郎君 先程から色々御話があるやうですが、皇室で御持ちになつて居る家具とか建物とか云ふやうなものは、寧ろ御費用が掛かるものになるやうに考へられれば、我々ならばそれを捌いてどうすると云ふやうな途もございますが、御所でさう云ふことは簡單に出來るものではないし、非常な是は或場合には御窮屈になるやうな氣が致すのであります、先刻御話のありました象徴とされて、又社會事業や何かなさる上に於ては、非常な御費用がなければ迚も出來るもんでない、荷厄介と云ふものでもございますまいが、斯う云ふ費用の掛かるものを御持ちになつて、經費が非常に切りつまると云ふことであられたら、非常に御困りのことが出來やしないかと云ふことを先程來の御話で感ずるのでありますが、之に付ては一層一つ政府に於て御考慮を願いたいと思ふのであります、それと國の象徴であられる陛下の皇居が、先程も衆議院で質問があつたと云ふのでありますが、何時迄も何時迄もあの通りで居られると云ふことは、非常にどうも國家としても體面が惡い、國民としても甚だ意氣地がないやうに思はれますが、斯う云ふ時勢であるから、御所をどうすると云ふことは御上に於ては勿論御考もあらせられぬでありませうが、我々國民として又政府としても、何か一つの議會なり何なり、さう云ふ運動なり何なりを起されるやうなことになるのでありませうか、又して戴かないと此の問題は何時迄も非常に長引いてしまふことになりはしないか、其の點は先程衆議院の方からも御質問があつたやうですけれども、我々としても一遍其のことを伺つて置きたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=81
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082・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の皇居の御造營に付きましては、先程もちよつと申上げましたやうに、今日具體的に政府としては、未だ其の點に著手して居りませぬけれども、心持としては今の御話の通りと考へるのであります、尚、國會方面、或は一般の國民方面から、恐らくさう云ふ聲も擧るのではなからうかと思ふのでありますが、政府としては、さう云ふ心持を十分考へまして、之に付ては善處したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=82
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083・名取和作
○名取和作君 先刻私は豫算委員會に出席して中坐致しましたが、其の時にちよつと斯う云ふことを政府委員が御言いになつたことを片耳に挾んで退去致しましたが、皇室の課税のことは是は尚又民法などで考慮すると云ふ御話がありました、霜山君からの御質問にも相續税などはどうするのかと云ふ御話もあつて是は我々國民としては成るべく我々と同樣な課税でなく、所得税の課税は免除するとか、相續税なども免除するとか、何か少しでも皇室の御有利になるやうに、さう云ふことの御考を願いたいと、我々は思つて居るのであります、政府では其の點に付てははつきりと御考を今でも持つて居られないか、何かはつきりしたさう云ふ點の御考はないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=83
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084・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の皇室に對する御課税の問題でありますが、之に付きましては一般論的に申しますならば、新憲法の原則として國民は等しく法の前に平等であると云ふ建前がありますので、皇室の御關係と致しましても、特に象徴たるの御地位、或は又皇位繼承若しくは攝政に御就きになる皇族の御地位と云ふものと不可分の問題以外には、他の國民との間の差別をすることは憲法上出來ないものであると思つて居ります、それで課税に付きましても、皇室の私の財産に付て相續も起り、或は又私の財産の取得と云ふことが一般的にあります場合には、假令皇室の關係でありましても課税をしないと云ふやうなさう云ふ原則を立てることは、どうも出來なからうと思ふのであります、併しながら先程も申上げましたやうに、象徴たるの御地位と本當に不可分なものであると云ふ風なことの十分立證出來るものに於きましては、勿論特例も作ることが出來ようかと考へて居ります、それから是は午前中も御話が出ましたが、内廷費、皇族費に對する課税に付きましては、是は此の費用の性質から見て、課税をしないやうな風に扱ふことが出來やしないかと云ふ方向で研究して居りますが、是も未だ的確な結論に到達した譯ではありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=84
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085・北條雋八
○子爵北條雋八君 先づ第十條に於きまして「皇室經濟會議は、五人以上の議員の出席がなければ、」云々と云ふことがございますが、此の議員には豫備議員と云ふものは含まれて居ないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=85
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086・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 十條それ自身は一應五人以上の議員の出席を必要として居りますが、豫備議員と云ふのは其の本議員に故障がありました時に其の代理をするものでありますから、豫備議員として其の代理をすると云ふことになつた場合には、それは議員としての地位を結局實質に於て得ることになりますから、豫備議員をも含めて五人以上の議員が出席すれば宜しいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=86
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087・北條雋八
○子爵北條雋八君 さうしますと、結局第八條に決められてあります八人の議員の中、豫備議員を含めて五人居れば議決されるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=87
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088・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) さう云ふことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=88
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089・北條雋八
○子爵北條雋八君 さう致しますと、例へば衆議院の議長、副議長、參議院の議長、副議長、それから總理大臣、此の五人が出席すれば議決されるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=89
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090・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) まあ八條の規定で議員が八人で組織して居りますけれども、其の議員は八條第二項に書いてある方々ですけれども、此の中で五人の方が居れば勿論それで議事を開いて議決をすることが出來ますし、それから其の中に誰が故障があつて、豫備議員が其の中の誰かを代理すると云ふことになりますれば、豫備議員を本議員と同じやうに考へまして、五人居れば議事が進められると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=90
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091・北條雋八
○子爵北條雋八君 さう致しますと、今申上げました衆議院の議長、副議長、參議院の議長、副議長、それから總理大臣と云ふ五人だと是で一般國民の總意が代表されて居りますが、完全に宮内府の長と云ふ者が拔けて居つても議事が決められると云ふことは、非常に合理的でないやうに思ふのです。是は非常に重大な會議でありまするし、又人數も非常に少いのでありますから、少くとも豫備議員を含めて八人は必要ぢやないかと思ひますが、其の點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=91
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092・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 斯う云ふ會議體に於きまして、定則數を決めます場合には、構成員が八人居れば其の半分、若しくはそれよりちよつと多い位の人間を以て最小限度の必要定員とするのが例であると思ひますので、其のやり方を踏襲したのでありますけれども、今御話のやうに五人に議員が非常に片寄つてしまふと云ふやうな場合、是は恐らく適當でなからうと思ひます、それで實際問題としては總理大臣が議長として招集權がございますから、出來るだけ豫備議員を加へて八人の方が揃ふやうに運用して行くのは當然だらうと思ひますけれども、非常に緊急を要する場合であるとか、已むを得ない場合に於きましては、矢張り會議に於ける定則數の規定を規定して置きまして、此の限度ならば議を進めて宜いと云ふやうにした譯なのでありまして、之を若し御話のやうに豫備議員を含めた八人、斯う云ふことになるのも一つの行き方でありますけれども、是等は運用に俟つことにして一應會議體としての一般原則に從つて所謂コーラムの規定を茲に五人とした譯であります、御説は御尤もでありますが、それは運用の方面に於て萬遺憾なきを期したら宜からうと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=92
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093・北條雋八
○子爵北條雋八君 私は矢張り斯う云ふ重大な會議でありますから、又第九條に八人が必ず揃ふやうに特別に豫備議員を作つたのでありますから、原則としては必ず八人以上と云ふことにされるのが適當ぢやないかと思ふのであります、尚豫備議員が病氣其の他の事故で缺けるやうな場合があれば、尚此の數を十六人としても必ず各部門から一人は少くとも缺かさずに出ると云ふ策を執つた方が適當ではないかと思はれます、其の點御訂正になるやう私は希望するのでありますが、如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=93
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094・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 其の點は此の皇室典範の方の皇室會議に於きましても、之に類似した規定がございますのですけれども、運用としては正に仰しやるやうに出來るだけうまく運用して行くことが理想と思ひます、併しまあ斯う云ふ會議に於きまして、急遽ものを決めなければならぬと云う時に、必らず八人と云ふと窮屈ではなからうか、從つてそれ等に付ては會議體に於ける一般原則の規定を一應踏襲しまして、後は運用に依つて十分其の目的を達するやうにすることで支障がないのではなからうかと私共は思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=94
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095・北條雋八
○子爵北條雋八君 是が大きな委員會であれば宜しいのですけれども、一般の場合、三分の二とか半數とか云ふやうなことを決められますが、斯かる重要な會議では、それはどうかと思はれる、私としては少くとも八人以上と云ふ風にした方が宜いと思ひますが是以上は見解の相違でありますから希望を述べまして、私の質問を終りたいと思ひます、ちよつと今申し落したのですが、尚其の希望の中に、少くとも宮内府の長、宮内府の長に事故があれば豫備議員、是はどうしても此の會議に列席する必要があると思ひます、共の點は御再考を願へないものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=95
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096・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 運用としては正にさう云ふ風にして行きたいと考へます、唯此の皇室經濟會議は、茲にありますやうに八人の方々で構成して居りまして、色々な方面から、事情に明るい方が參加され、又公正な立場からの方々が參加される譯でありますから、此の議員の顔觸れとしては、特に誰が出なければならぬと云ふやうなことを、法律で以て固定することも少し書き過ぎであるやうにも思ふのであります、從つてまあ是等は實際の運用に任せまして、總理大臣が議長として之を運營致しますから、今の御趣旨を十分酌みまして、將來運營するやうにし、具實際の運營として、宮内府の長或は其の豫備議員の方に成るべく出て戴くと云ふ風に、運營して行けると思ふのであります、尚是は人數も少いのでございますから、それで御話のやうにすることも一方法でありますが、豫備議員の方にも出來るだけ來て戴く、八人の議員で組織して居るのでありますから、全員が出席すべきことは當然でありますが、何等かの事故の爲にどうしても出て來られない、而も會議を開かなければならないと云ふ、已むを得ざる場合の最小限度の規定だと考へて居るので、運用に依つて其の點は解決出來るのではないかと考へます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=96
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097・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 豫て直宮樣には敷地、御住居をどの位にすると云ふ内規があつたやうに存じて居りますが、それは矢張り皇族費で決つて居りますか、皇族の御住居と云ふものに對しては何等か今でもさう云ふ御内規があるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=97
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098・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 各宮樣方の御住居のことに付きましては、實は宮内省の方でずつとやつて居りまして、政府直接の關係でありませぬから、私は能く明かにして居りませぬ、併し伺ひます所に依りますと、從來御一家を御創立になつて、宮號を賜る時に、一定の御下賜金、其の他邸宅等を賜ると云ふ風に承つて居ります、そこで將來どうすると云ふ點でありますが、將來の問題と致しましては一應皇族費と云ふもので以て、總ての點を御賄ひ願ふ、唯御住居等に付きましては、此の皇室の方の御財産として御殘りになる或る程度の不動産、或は皇室御一家の中で皇族の方に御使用を頗ふことになるのかも分りませぬけれども、併し茲の所は、將來は皇室の私の財産の方の運營の問題にならうと思ひますから、皇室經濟法としては直接之に觸れて居りませぬし、又政府としても其の點に付て國務としてどうと云ふ風なことはちよつと致し兼ねるのではなからうかと思つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=98
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099・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 皇族は、將來を考へますと、矢張り多い場合もあるですね、さう云ふ場合に御住居と云ふものは何等か、是は矢張り國家の費用か何かで、之を御定めになるやうに御考へ下さらなければならぬし、それから又先刻來承りますと、皇族費は大體幾らと云ふ額があるのですが、御住居の廣さに依つては、さう云ふことで御住ひが出來るかどうかと云ふことも、是は相當考慮せなければならぬことだと思ふのでありますが、何か矢張りさういうことは、皇族の品位保持の上にも適當なる何かを考へなければならぬ。先刻承るやうな御費用で果してそれが行けるかどうか、ちよつと我々としては考へさせられるのでありますが、何卒さう云ふ點に付きまして、萬遺憾のないやうに一つの御配慮を願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=99
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100・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 今の皇族の御住ひになる邸宅の問題でありますが、皇族と云ふのは、兎に角皇室典範の方から申しましても、皇位繼承、若しくは攝政に御就きになる特別の御地位に在りまして、皇族と云ふ地位は、或る意味に於きまてし公的な面を有つて居ると考へることが出來ます、從つてさう云ふ面から皇族方の御住ひになる邸宅に付ては、或限度に於て皇室の公用に供する財産として、之を考へることも必ずしも不可能でないかも知れませぬ、それ等に付きましては今日まだそこ迄はつきり決定はして居りませぬけれども、皇族用財産を決定致します時に、今の御説等も十分考慮致しまして、研究を致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=100
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101・名取和作
○名取和作君 先刻來の御話を伺つて居ると、何だか皇室が御傷はしいやうに考へるので、成るべく憲法及び法律の許す範圍で皇室に厚く、皇室用財産を少しでも餘計に殘すと云ふことに政府は御努力下さることを私は希望致します、是は恐らく外の委員諸君も皆同感ぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=101
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102・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 念の爲に伺つて置きたいと思ふのですが、此の四條の内廷諸費、宮樣方の、皇太子、皇太子妃、それぞれ茲に書いてありますね、「日常の費用その他内廷諸費に充てる」、御直宮樣方の御婚儀であるとか、色々さう云ふ御慶事の費用、それはまあ内廷に係はる費用ではありませうが、併しさう云ふ臨時の御費用と云ふものは、五條の内廷諸費以外の宮廷諸費、斯う云ふもので臨時に切り盛りをして豫算は其の都度臨時費としてでも取る、斯う云ふ風なことに經理されるのかと思ふのでありますが、左樣な譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=102
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103・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 今の皇子樣方の御慶事の費用と云ふやうなものは、是は矢張り内廷費から御支出になるやうに考へて居るのであります、併しさう云ふ風な臨時的なのは一應毎年の定額の中から出すのもどうかと云ふやうなことも考へられますけれども、併し内廷費と云ふのは、内廷に關する諸費用を一應推定致しまして、定額に定めます、さうすると或年に於きましては餘ることもあり又或年には臨時的のことがあつて足りない時には、前の蓄積をそつちに廻すことが出來ると云ふやうな、さう云ふやうな彈力性のある費用として之を考へて居りますので、今のやうな矢張り内廷に關する事柄と云ふのは、宮廷費から支出するのではなくて、内廷費の方で御賄ひ願ふと云ふことが適當ではなからうかと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=103
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104・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 第四條の「別に法律で定める定額」と云ふことは、それが定額と云ふことになるのでありますから、是は主として御日常の供御であるとか、其の他普通の經常費に屬するものを盛ると云ふのが通常のことになる、今の全くの臨時のもの、併し是は蓄積に俟つべきものだと云ふことになりますと、先程から色々委員諸君の御話がありましたやうに、なかなか蓄積と云ふことは容易に今出來る譯ではないと考へられます、さう云ふものが臨時にあつた場合に、一方で法律で定額として定められて居る、是はなかなか其法律を改正すると云ふ譯には、實際問題としては出來ない、併し豫算として臨時に盛るかと云ふとそれは許されない、なかなかさう云ふ臨時の費用が大きなものになりますと云ふと、是は御慶事ばかりとは限りませぬ、不祥のことも考へられる、さう云ふやうなのは色々重なつて參りますと、なかなか容易なことではない此の宮廷諸費の中にさう云ふものは性質上入らぬものだと思ふのですが、まあそこらの所は考へ方に依つて、宮廷諸費の中に入る性質のものもあるかとも考へられる、昨日金森國務大臣が申されました慶弔費用と云ふやうなもの、是も宮廷費の中に入る、慶弔費用と云ふものは一般臣下に對する使用の場合もあると思ひますけれども、まあ費目を色々に切り盛りをしますと、さう云ふものの方から出せるものもある、是は話が細かくなりますけれども、先刻來御話があつたやうに、なかなか大きな臨時費を此の蓄積の方から出すと云ふことはむづかしいことになりはしないかと思ひます、一方に法律で定額が定つて居るのはなかなか動かせないと云ふことになります、其の邊の構想は尚又十分御調査の上善處されたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=104
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105・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 今の御心配御尤もと思ひます、唯宮廷費と云ふのは慶弔の費用等はございますが、是は國の象徴として、公の立場に於て御行動なさる場合の天皇の御費用として考へて居りまして、公の交際費であるとか、行幸啓と云ふ公の御旅行であるとか、或は又公の立場に於ける慶弔と云ふやうなことを考へて居るのでありまして、皇子樣等の御結婚と云ふやうなことに付きましては、どうも内延諸費と云ふ性質のものであらふと思ひますので、是は矢張り内延費から出し入れすると云ふことにならざるを得ない、そこで後は内延費を何處に盛るかと云ふことの問題かと思ふのでありますが、御趣旨は出來るだけよく體して善處致したいと考えて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=105
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106・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 御質問はもうございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=106
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107・大谷正男
○大谷正男君 第一條の條文のことでちよつと法制局長官に御尋ねしたい、第二項の方です、第一條の第二項は「國有財産を皇室の公用に供し、又は供するものと決定しようとするときは、」と斯うありますね、是は「公用に供しようとするときは、」で宜いかと思ひますが、矢張り「決定しようとするときは」と云ふことは條文として必要なんでございますか、前の第一項の方は無論公用に供するものと決定した分を云ふのでありまして、第二項の方は、公用に供しようとするときはで足りるやうにちよつと思はれるのでありますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=107
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108・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 此の表現が決定すると云ふ風な言葉を用ひましたのは、國有財産法の用例に從つた譯でありますが、まあ二項の方は假に「決定しようとするときは」と云ふ文句がなくても、一項がありますれば分ることと思ひますが、一項の趣旨と同じやうな趣旨を此處で言つて居る譯でありますから、そこで矢張り國有財産法の用例に從ひまして「供するものと決定しようとする」と云ふやうな表現にした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=108
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109・大谷正男
○大谷正男君 第二項の方は要らないかと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=109
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110・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 他に御質問はございませぬか、御質問はないものと致しまして御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=110
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111・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは是から討論に入りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=111
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112・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 天皇が我々の心の底から國民の統合の象徴であられると云ふやうなことに謳はれて參られたのでありまするが、此の精神的な部面は成る程其の通りでありまするが、從ひまして其の反面にありまする所の物の面に於きましても、我々は皇室の豐かな御存在と云ふものが願はしいのでありまして、其の意味に於きまして此の法律が實際に效果を現はしまする時に十分の御考慮を戴きたいと云ふ風に考へるのであります、さう云ふやうな希望を以ちまして私は此の法案に賛成する者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=112
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113・名取和作
○名取和作君 私も全く齋藤君と同感であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=113
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114・渡邊三郎
○渡邊三郎君 手前も此の法案に賛成であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=114
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115・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) 他に御發議がなければ採決に入りたいと思ひます、可決致したものと致しまして御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=115
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116・前田利男
○委員長(伯爵前田利男君) それでは皇室經濟法は可決致しました、是にて委員會は散會を致します
午後二時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=116
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117・会議録情報2
出席者左ノ如シ
委員長 伯爵 前田利男君
副委員長 男爵 杉溪由言君
委員
侯爵 西郷吉之助君
大谷正男君
子爵 加藤泰通君
子爵 北條雋八君
子爵 綾小路護君
子爵 齋藤齊君
白澤保美君
荒川文六君
霜山精一君
男爵 佐竹義履君
男爵 中村貫之君
男爵 西酉乙君
種田虎雄君
名取和作君
高橋龍太郎君
徳田昂平君
竹中藤右衞門君
渡邊三郎君
中島徳太郎君
橋本萬右衞門君
飯塚知信君
國務大臣
農林大臣 和田博雄君
政府委員
法制局長官 入江俊郎君
法制局事務官 井手成三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100894X00219461222&spkNum=117
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