1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○國会法案
○衆議院議員選挙法第十二條の特例等に関する法律案
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昭和二十一年十二月二十三日(月曜日)午前十時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=0
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001・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 是より本日の委員會を開きます、衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案の審議に入りたいと思ひます、御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=1
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002・大木操
○大木操君 昨日御説明があつたのかも知れませぬけれども、海外引揚者の選擧權のことですが、まあ折角懷しの故郷に歸つて來て、是から逐次地方公共團體の長や其の議員の選擧が行はれるだらうと思ふのでありますが、其の方には選擧權を與へない、衆議院議員の選擧權だけ此の法律に依つて與へると云ふことになつて居るのですが、其の理由が、地方公共團體の特殊性に鑑みと云ふのですが、そこを寧ろ與へてやつた方が宜いのぢやないかと思ふのですが、何か特殊の事情でもおありになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=2
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003・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 海外の引揚者が内地に歸りました以上、温い氣持で之を迎へると云ふことは、確かに考へなければならぬ問題でございます、又引揚者の團體に於きましても、地方公共團體の公職に速かに就けるやうにして貰ひたいと云ふ要望もあるのであります此の點に付きましては、政府部内に於きましても段々考究を致して見たのでありますが、御承知のやうに地方公共團體は住民自治と云ふ所で進んで來て居るのでありまして、嘗ては公共團體の成立の上に於きまして相當に其處に關係が深くなつた人でなければならぬと云ふので、最近迄は二箇年の住居要件を必要として居つたのでありますが、確か先般の地方制度改正に於きまして之を大幅に縮減しまして、六箇月の居住條件に致したのであります、團體の性質から見まして是が最大限度の壓縮であらうと思ふのでありますが、海外引揚者と云ふ問題に付きまして、此の居住條件を無制限に取つてしまふと云ふことは、地方公共團體の本質上行過ぎである、矢張り六箇月の居住要件は必要とすることにしなければ、市町村等の平和なる自治行政の運行が困難な場合も想像されるやうな次第もありますので、矢張り六箇月の要件は存續すべしと云ふことに、結局其の結論に達した譯であります、唯此のやうに致しますと、善良なる引揚者の公務に對する參與を制限する缺點が殘るのでありますが、併し此の點に付きましては、それぞれの團體に於きまして善處する方法が制度上あるのであります、と申しますのは、六箇月の住居要件と云ふのは、町村會の決議に依りまして特免することが出來るのであります、故に引揚者に於きまして町村に定着を致し、さうして一般町村民と協力して公務に參與したい、又させて一向差支がないと云ふ者に付きましては、町村會の決議に依りまして、六箇月以内の者と雖も住居要件を特免を致しまして、選擧權を、公務に參與する機會を與へると云ふことが可能でありますので、此の運用に依りまして實際上の調和を圖つて、さうして制度の上に於きましては一應六箇月の住居要件は存續して置くことが、圓滿なる町村制の運行の上に適當であらうと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=3
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004・大木操
○大木操君 まあ是は意見の相違になるかも知れませぬけれども、町村會議員の方はさう云ふ特免があるとしましても、矢張り地方公共團體の長なり府縣會議員等にさう云ふ例はないのだらうと思ふのでありますが、其の點は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=4
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005・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の町村會議員及び町村會長の點に付きましてはそれで解決すると思ひます、それから府縣會の方もちよつと今他の政府委員を呼びますが、町村會議員の選擧權があることになれば宜い筈だと思つて居ります、ちよつと其の點私は不確かでありますから、政府委員を呼びまして御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=5
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006・大木操
○大木操君 其の點は追つて伺つて宜しいのですが、唯私は折角衆議院議員の選擧權の六箇月を免除すると云ふのに、矢張り海外引揚者に對しては、温い氣持を以て同樣に扱ふことが何故出來ないか、今の御説明でどうしても六箇月を維持しなければならぬと云ふことは、私には分らないのでありますけれども、それを假に何か制限を附さなければならぬとすれば、それを半減の短い月數にするとか、何かさう云ふことに付ての御檢討はなすつたことはないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=6
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007・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 先に申しましたやうに六箇月の要件を無條件に撤廢しまして、悉く選擧權を與へると云ふことになりました場合、例へば五六百戸の町村の所に百戸位の引揚者があると云ふことになりますと、引揚者の人にも依ることでありますけれども、それ等に選擧權を與へた爲に町村の自治の上に非常に暗影を與へることがあり得ると云ふことは、まあ政黨出身の閣僚あたりの經驗から言つても、是は餘程考へなければ町村の平和の點から見て極端のことを考へると、憂慮すべき事態が起り得る、それで矢張り町村制と云ふものは御互に信頼した者の寄集りでなければうまく運行が出來ない矢張り六箇月の要件は存續して置くことが、町村の性格から言つて必要だと云ふ議論が強いのであります、さうして併しそれは極端な場合を考へたことでありまして、常態の時にさう云ふことが起る譯でもないと云ふことになれば、是は指導と申しますか、勸告に依りまして、それぞれの町村に於きまして、居住條件の六箇月は特免することが出來るやうに制度が出來て居りますから、其の運用に依つて實際問題を解決して行つた方が宜からう、殊に居住條件は海外引揚者に限つて六箇月を特免すると云ふことでは、戰災其の他の關係に於きまして同じやうな状況の者もあり得るのでありまして、海外の引揚者に付て六箇月を特免すると云ふと、他の人間も特免しなければならぬさうすると地縁團體たる町村の性質に反する行き方ではないか、是は制度の上に於て、原則的に地縁團體の特質に鑑みて、元は公民權と言つて居りましたが、其の公民權的な考慮は存續させる必要があると云ふのが落着いた所なのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=7
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008・大木操
○大木操君 能く分りました、けれども唯海外引揚者に付て、どうも異端者扱にするやうな樣子があるやうな點だけ遺憾に思ひますが、是以上申しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=8
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009・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 それに牽聯して海外引揚者の有權者となる凡の數はどの位ありますか、何か御見込がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=9
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010・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 今他の政府委員が參りまして申上げます、資料はあつた筈であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=10
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011・山隈康
○山隈康君 先般の衆議院選擧の際に於て、有權者の脱落した數は全國にどの位ありますか、他の機會に御説明になつたかと存じますが、一應伺つて置きたい、其の内當局者の懈怠の爲に脱落したものと認められたる數及びそれに對して政府は如何なる制裁を加へたか、と云ふ點に付て一應伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=11
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012・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今御尋の點は他の政府委員を呼んで居りますから、其の上で御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=12
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013・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 選擧のことに付てちよつと承りたいと思ふのでありますが、各種の選擧が連續的に行はれる情勢になつて居ります、從つて選擧民の選擧に對する所の關心と云ふものが餘りに囘數が多くなればなる程無關心になり勝であります、言葉を換へて申しますれば棄權者數が殖えて來はしないか、折角新しき制度の下に、新しき民主主義の公選制度を採用しながら、結果に於て逆の結果が現れると云ふことは非常にまづいのではないか、其の點に付きまして自分の考と致しましては、選擧の地區と云ふものに付て何か御研究がないのかどうか、例へば區會議員の選擧、或は知事の選擧、斯う云ふことを考へますと二つとも同じ地區でやらせることが果して宜いかどうかと云ふことも考へられるのぢやないか寧ろ極端に申すならば一種の部落單位の投票區と云ふものを考案されますとさうしますと結局距離が近ければ、矢張り投票すると云ふ氣持にはなるだらうと思ひます、さう云う點から考へますと、地區を或一定の枠以外にさせない、或一定の決つた枠だけで全部行ふと云ふことは、今申した通り選擧の棄權率を多くさせる虞がありはしないかと思ひますが、それ等に付きまして何か内務當局に於て御考案が御有りになるのですか、一應承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=13
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014・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 誠に御尤もな御尋でありますが、地方制度の改正又參議院議員法の成立に依りまして、明春早々から各種の選擧が連續的に行はれると云ふやうに相成つて參つて居りまして、御話の如く之をだらだらに執行致しましては選擧に對する關心が薄らぎまして、從つて棄權者も多いと云ふ虞もあると思ひます、日本の民主化の上から申しまして非常に多數の棄權者が生ずると云ふやうなことは、講和會議を近く控へまして、内外に與ふる不利の點も深く考へなければならないと云ふ風に存じて居りまして、此の點に付ては公民教育と言ひますか、政治啓發、政治的精神の啓發と言ひますか、それ等の點に付きまして、十分手を盡しまする半面に於きましては、御尋のやうに選擧が餘り投票者の不便にならないやうに便利にしてやると云ふことも確かに考慮しなければならぬことであります、此の點に付きましては政府と致しまして、凡そ二つの點を今考慮中であります、其の一つは成るべく種類の違つた選擧を合併して行ふと云ふことをして選擧囘數を、投票に出て行く囘數を出來るだけ少なくして見たらどうかと考へて居るのであります、殊に既に貴族院を通過致しました參議院議員選擧法に於きましては、全國選出議員と地方選出議員が設けられたのでありますが、是は本來の性質上は二つの選擧を分けて施行すると云ふ建前でありますけれども、法律の上に兩者を合併して同時に行ふと云ふことも認められて居りますので、四月頃に行はれます第一囘の選擧に於きましては、只今の處全國選出議員と地方選出議員は同時に行ふと云ふことに致しまして、投票人は地方選出議員一票、同時に全國選出議員一票と丁度合併して行ふと云ふ形が豫想せられるのであります、其の訓練のことも考へまして、地方選擧は出來るだけ合併して行ひたいと云ふ風に考へて居ります、此の資格審査の關係もございますので、只今確定して居る譯でもございませぬが、地方選擧に於きましては公選知事の選擧市區町村長の選擧とは是は一つ同日に合併して行つたらどうか、更に府縣會議員の選擧、市區町村會議員の選擧共二つを合併して行ふと云ふことになると、四つの選擧が二囘で濟むと云ふことに相成ることと思ふのであります、其の線に沿ひまして只今具體的にやり方を研究中であります、多分其のやうな工合に落着くであらうと考へて居ります、第二の方法と致しましては、御尋の如く投票所を思い切つて澤山に作る、出來れば各部落、それから都市部に於きましては、各町會の區域に一つづつの投票所を設けると云ふところ迄徹底した行き方を致したい、幸ひにそれに要する豫算も大藏省が繰合せを圖つて呉れましたので、只今豫算總會で御審議中の豫算に必要經費も計上が出來て居りますので、各部落各町内會毎に投票所を作ると云ふことに致したい尤も之をやりますに付きましては、設備の點、又投票所の事務に從事する職員の關係等に於きまして、餘程困難な點がありますけれども、此の點に付きましては一つ前以て手順を能く整へまして、此の際思ひ切つて投票所の大増設を行ひまして、さうして投票人が容易に投票所に行つて投票の出來るやうに致したい、殊に此の春の選擧でありますと、積雪地方、或は婦人の有權者と云ふやうな點を考へますと、此の事が非常に必要だと考へて居りますので、萬難を排して、只今申しますところ迄投票所を大増設致して見たいと云ふやうに計畫を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=14
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015・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 脱落者がどの位あるかと云ふ御尋ださうでございますが、是は先般の衆議院議員の總選擧の際に於きまして、色々政治問題を惹起したのでございますが、あの選擧の際に用ひました名簿の脱落をして居りました總數は約二十五萬であります。有權者の總數から申しますと、是は約千分の六に當ります、是は色々脱落の事由はございますが、最初に九月十五日の現在で作りました名簿、是が丁度終戰直後でありまして、異動が非常に烈しい時でございましたので、さう云ふ意味で脱落が相當あつたのでございます、それから十一月一日に人口調査を致しまして、其の人口調査表を基礎に致しまして、新しい有權者である婦人と、二十歳以上二十五歳未滿の年齡低下に依ります新有權者、此の二つを登録致したのでありますが、是も人口調査表自身に相當脱落がございまして、其の後四月十六日に重ねて人口調査を致したやうな事情でありまして其の人口調査表を基礎に致しました關係で、是も或程度脱落があつたのであります、其の後政治犯罪人の爲に特別の名簿を作りました、又復員者、海外引揚者の爲に臨時名簿を作りましたが、是はそれぞれ申請等を基礎にしてやつて居りますので、之には左樣な脱落は少かつたと思ふのであります、何れに致しましても、以上申上げましたやうな二十五萬からの脱落者があつたのでありますが、是は平常の際の脱落者と比較致しますと、概ね三倍位の程度に増して居るやうに考へるのであります、從ひまして平常の時の脱落者として考へますれば、大體八萬位の脱漏者があるのではないかと考へて居ります、併し是は其の八萬の人總てが投票所に參りまして選擧權を行使する人ばかりではありませぬので、實際騒ぎになります者はもつと少いと思ひますが、絶對數から申しますと、其の位の者がありはせぬかと思ふのであります、今度は十月十日現在で作りました名簿を縱覽させまして、若しそれに載つて居なかつたならば直ちに脱漏者であると云ふことを判定しまして、申請に依て直ぐに臨時名簿の方に載せる、斯う云ふ處置を執ることに致して居ります、又此の前の脱落者を出しました市なり町村なりで特に脱落の數の多い者、又特別の事情の存したものが數十市町村ございましたが、さう云ふ市町村に付きましては、それぞれ府縣知事に於きまして懲戒處分を執りましたのがございまするし、又懲戒處分は執りませぬでも、本人が引責辭職をしたと云ふやうな市長、町村長などもございます、又最も悲慘な例と致しましては、長野縣の某村の書記の如きは、其の責任を感じまして、投身自殺をしたと云ふやうな逸話もあつたのでありますが、此の關係はそれぞれ適當な措置が付いて居るのであります、其の數がどの位あつたかと云ふ御尋でございますが、是は今此處に的確の資料を持合せて居りませぬけれども、さう澤山はなかつたと存じて居ります、それから海外引揚者の有權者はどの位あるかと云ふ御尋でございますが、是は大體引揚者は、本年の十月末迄に引揚を完了した者が二百五十萬人ございます、其の中で今年の四月の十日迄に歸つて參りました者は、總て六箇月以上其の居住して居ります町村に住居を持ち得る譯でありまして、さう云ふ人達は十月十日の一般の名簿に載つて居る譯であります、從つて四月の十一日以後歸つて參りまして、六箇月に達しないやうな引揚者の者と、それから今後、即ち十一月一日以降引揚げて參ります見込者と致しまして約八十四萬九千ございますが、是等の人達、此の兩方合せましたものが大體本年から明年にかけましての臨時名簿の中に登録せらるべきものでありまして、それを大體推定致しますと、衆議院の方に致しまして九十四萬人になります、是は六箇月未滿のものも皆含まれてのものであります、それから六箇月以上のものと致しましては、三月の末日現在で地方の選擧を致すと假定致しますならば、其の時迄に六箇月に達しますものが大體五十一萬と云ふ計算になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=15
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016・大村清一
○國務大臣(大村清一君) あの先に答辯漏になつて居りました市町村會議員の選擧權に付きまして、住居要件を特免致しました場合には、當然府縣會議員の方の選擧權も生ずると云ふことになる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=16
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017・片倉兼太郎
○片倉兼太郎君 私斯う云ふ所では如何かと存じますが、只今大臣閣下から御話がありました、投票を出來るだけ何囘もしないで、種類の變つたと申しますか、斯う云ふやうなものを一緒にすると云ふやうなことにする結果、却つて投票と云ふもの、所謂選擧と云ふものが、關心のない人を投票するやうなことになるやうなことはないものでせうか如何でせうか、假に申して見ると、町村會議員に付ては關心があつて能く分るけれども、出た序に府縣會議員の知らない者に投票をして來ると云ふやうなこともある、さうすると或は思はざる結果が生じて、其の選擧の結果が面白くないことになるやうなことに相成る場合がないこともないだらうと思うのでありますが、それに對して御考は如何でありませうか、尚伺ひたいことは、私參議院議員の委員會の速記なども拜見致しませぬで能く分りませぬが、今迄のやうな府縣でさへ同姓同名のものがありまして、詰り選擧に非常に困ると云ふやうな事態も起らうかと考へて居ります、全國となれば、詰り同名異人と云ふものが澤山出て來ると思いますが、之に對する御取締の關係は如何でございますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=17
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018・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 異つた選擧を同時に合併して行ふと云ふ問題に付きましては、御話の如き缺點も是は確かに豫想されることであります、是は長所短所が各々あることでありますが、例へば府縣知事と町村長とを同時に選擧すると云ふことになりますると、是は地方の事情に依つて違ふことでありますが、町村長の方の選擧に非常に關心を持つて居る者は、固より投票所に進んで參る譯でありますが、其の際に知事の選擧にも投票する、又町村長の選擧には左程深い關心がない、競爭がない、併し知事に付て非常に關心を昂めて居ると云ふやうな場合に於きましても、知事の關係で投票所に多數の人が參ると云ふやうなことになりまして、別々に執行致しますよりも棄權者は餘程減るのであらうと云ふことは、是は想像出來るのであります、併し其のやうなことのあります半面に於きましては、何人に投票しようかと云ふことをはつきり認識して行つて居ります序に、餘り關心を持つて居らぬ所に不眞面目と迄は參りませぬでも、十分に考へて居ない投票をすると云ふ機會も是は豫想が出來ることであります、併し日本の政治が民主主義に立脚致しまして、國民が各々主權を持つて居ると云ふ所に今後の政治の基調があります。以上は、有權者の自覺と又政治教育と申しますか、公民精神の啓發喚起に依りまして、今後の民主政治の完全な運行に全國民が努力しなければならぬことに相成つて居りますので、是は官民共に此の點に十分なる努力を致しまして、進んで行かなければならぬものと思ふのであります、斯樣な見地から考へますと、合併選擧と云ふやうなことも訓練して、それが完全に行へるやうには進めて參らなければならぬことと考へて居るのであります。現状に依りまして色々な缺點、暗い面を見ますと確かにあるのでありますが、缺點や暗い面は今後國民の努力に依りまして、之を克服して行くと云ふ所に目標を置いて進まなければならぬものではないかと云ふやうに考へて居る次第であります、それから選擧の際に於きまして、同名異人の人が時々過去に於ても實例がございます、又參議院議員選擧の如き全國一選擧區を採ると云ふやうな場合に於きましては、從來よりもさう云ふやうな事例が多いであらうと思ふのでありますが、最近の此の選擧關係法令に於きましては、必ず其の本人で候補者となつたことを屆け出る、又他人が推薦しました場合に於きましても、本人の承諾を受けて屆出をすると云ふことになりまして、同一人が二つの所で屆出をすると云ふやうなことは、出來ないことにまあ取計つて居るのであります、其のやうな次第で、議員候補者となります者は公式に必ず屆出があることであります、さうして其の屆出のありました法定上の候補者が決りました場合に於きまして、偶偶同名で人を異にすると云ふやうな場合が起りました場合には、是は其の何れの方に投票するかと云ふことに付きましては、或は年齡を書くとか職業を書くとか云ふやうなことに依りまして、其の投票の異同が分るやうにするより外にはないのでありまして、其のやうな場合に於きましては、其のやうな注意を投票者に與へるやうに出來るだけ取計ふ積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=18
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019・山隈康
○山隈康君 只今御説明の脱落者の全國に對する率は承知致しましたが、町村若しくは市に於て脱落者の一番多い所でどう云ふ比率になつて居るのでありませうか、私も當時聞く所に依りますと、十萬の有權者を有して居る市で一萬内外の脱落者を生じたと云ふやうなことも新聞紙上に傳へられて居りますが、最も脱落者の多い町村若しくは市に於ける其の率を御示しを願ひ、次にさう云ふ脱落者の生じました原因は色々ありませうが、主なる點はどう云ふ所からさう云ふ多數の脱落者があるかと云ふ點を併せて御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=19
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020・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 此の脱落者の率は、先程申しました千分の六と申しますものは全國平均でありますが、其の外個々の市區村に付て見ますと、百分の一を超えるやうなものがあつたのであります、一割に達すると云ふやうなものはございませぬでしたが、百分の一を超えるやうなものがございました、又所に依りましては、或部落をそつくり其の儘脱落した、或は婦人有權者を置き忘れた、斯う云ふのがありまして、斯う云ふのは大體選擧の直前に選擧監視官がそれぞれ各市町村を廻つて歩きまして、急遽再調製をさせるやうな手續を採りましたのでありますがそれでも選擧當日になりまして、一般的脱落が百分の一を超えるやうなものがございました、さう云ふ所に付きましては、特に當面の町長なり或は名簿調製の責任者に對して府縣知事から懲戒の處置を執つたのであります、譴責或は懈怠と云ふやうな處置を執つた次第であります、殊に前囘の選擧に於ても左樣な脱落者を出して、更に今囘も脱落の事態を起した、斯う云ふ場合に於きましては、特に解職の處置を取つた所も或縣に於きましてはございます、唯部落とか或は婦人を皆忘れたと云ふのは論外でありますが、一般的に脱落の多かつた所と致しましては、例へば青森縣の青森市などは非常に問題を起したのでございますが、是は當時の事情と致しまして投票場の入場券を交付しなかつたのであります、其の爲に本來自分の所屬して居ります投票區が甲の投票區で甲の投票場に行くべきであるに拘らず乙の投票場の方に行つた、其處で名簿を見た處が名簿には載つて居らぬ、脱落者だ、斯う云うことで、實際載つて居るのに拘らず脱落者だと云う計算の中に入つて騷がれたのがあるのであります、社會黨の青森縣の支部あたりでは非常に騷いだのでありますが、其の後實際調査員を派遣しまして調査しました所では、脱落と云ふよりは、投票場の入場券を事前に交付して、何處の投票場に其の選擧權者は行くべきであると云ふその指導が十分でなかつた爲に却て混亂を起して居ると云ふ状況でありまして、純粹の脱落者と云ふのはそれ程多くはなかつたのであります、次に脱落の理由は何かと云ふ御尋でございますが、是は矢張り九月十五日の現在で作りました名簿は、先程もちよつと申上げましたやうに、青森とか或は鹿兒島と云ふやうな所では聯合軍が進駐して參り、そこで婦女子は急遽避難をしなくちやいかぬと云ふやうな避難騷ぎのありました最中でありまして、さう云ふやうな關係で矢張り名簿調製の當の責任者も一體選擧などは何時やれるのか分らぬと云ふやうな氣持がありまして、稍稍責任を輕く視た點がございますと、事實登録しようと思ひましても居る者がはつきりしなかつたと云ふやうな點もあると思ふのであります、十一月一日の現在で作りました新有權者の名簿に付きましては、先程申上げましたやうな人口表を基礎にして作つた所が多くありまして、人口表自體が相當脱落がありましたので、其の結果として脱落が起つて居るやうに考へるのであります、尚其の外の一般的な理由と致しましては、從來掲示名簿制度を採つて居りますから、古い名簿を基礎に致しましてそれを作り上げて行き、それとの異同を調べ上げて行く、斯う云ふことで作つて居りましたので、非常に脱漏が少なかつたのでありますが、作年の場合にはさう云ふ古い名簿が燒けてしまつた、或は疎開でなくなつてしまつた、從つて全く新たなる名簿を作つたと云ふやうな關係で、矢張り相當の手落があつたと云ふ點も認められるのであります、尚例年でありますならば、九月十五日が調製期日でありますとすれば、大體三月、四月頃から事前調査を致しまして、大都市等に於きましては殊に事前の屆出を取りまして、さうして長らく掛つて作り上げて行くと云ふのが順序でありますが、矢張り戰爭の最中でありまして、左樣な豫備手續が不十分であつた、最も矢張り一つの原因になつて居ることと思ふのであります、さう云ふ關係から專ら申告主義を採つて申告して作つたら宜いではないか、斯う云ふ論も當時非常にあつたのでござますが、是はアメリカあたりの申告制を採つて居りますものは、甚だしい例は有權者の半數位が名簿に載つて居らぬと云ふことでありまして、申告主義を一般に採用することはどうも一般的に採用することはどうも矢張り適當でないと思ふのであります、新しい制度としてカードの式臺帳を作つて參りたいと、斯樣に考へて居りますが取敢ず今囘は暫定措置と致しまして、申告に依りまして隨時名簿を作つて脱漏者を防止して行かう、斯う云ふ考で居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=20
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021・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 他に御質疑はございませぬか、別に御質疑ないやうに見受けますから、是にて質疑を打切りまして直ちに討論に入りたいと思ひます、衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案の討論に入ります、御發言はございませぬか、御發言ないやうでございますから、本法案の採決に入りたいと思ひます、衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案、本法案に付て御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=21
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022・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 御異議ないものと認めます、是にて本法案に可決されたものと認めます、是にて午前の委員會は終ります、午後一時より國會法の委員會を開きます
午前十一時二分休憩
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午後一時十五分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=22
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023・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) それでは是から引續いて會議を開きます、此の國會法審議に付きまして、議事進行の點に付きましては、章別に御質問を願ひたいと思つて居ります、若しも之を遂條的に致しますると非常に時間を要しまするので、さう云ふことに致したいと思ひます、但し吉田委員及山隈委員から特に總論的な御質問の御要求がございます、是は御許しを致したいと思ひますが、兩委員に御願ひ致したいことは、各章別の際に御質問戴けることは出來るだけ其の方に御廻し願ひまして、各章別に御質問を戴けない點だけを纒めて御質問を願ひたいと思ひます、此の點一つ十分御注意を願ひたいと思ひます、吉田委員発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=23
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024・吉田久
○吉田久君 御許しを得まして一言總論的の質問を致します、それは本案の成立に關しまして政府の説明を伺ひたいのであります、併しそれに付て只今委員長から御注意がありましたが先づ委員長に御願ひ致したいことがあります、それは本案の當委員會の審議に於きましても、其の審議を餘り御急ぎにならないで、十分に審議を盡して貰ひたいのであります、承りますれば本案は今明日の内に議了してしまひたいと云ふやうな御話でありますが、併しそれが爲に委員の審議か盡されない、疎かになつては困ると思ふのであります、本案は既に衆議員に於て可決されて居るのであるから、貴族院の審議などはどうでも宜しいと云ふことならば、それは何も申上げませぬ、併しなから本案は申す迄もなく衆議院と次いで成立されまする所の參議院との共通の根本法であるのであります、貴族院と致しましても十分本案に付ては審議を盡さなければならないと、斯樣に考へて居るのであります、若しも之が爲に會期が盡きもして審議未了になると云ふやうなことがありましても、是は私は已むを得ぬと思ふ、會議でも佐々木氏から御論議がございましたが、本案が衆議院の提案であつて、而も衆議院で可決された案であると云ふ爲に、貴族院の審議に影響さるべき理由は少しもないと云ふことを申されましたが、私は其の點に付て全く同感であるのであります、今臨時議會に假令本案の成立を見ないと致しましても、通常議會に提出すれば十分に其の目的を達するので、必ずしも此の臨時議會に於て之を成立させなければならぬと云ふ理由はないと考へて居るのであります、其の點をどうか委員長に於かれましても頭に入れて置いて戴いて然るべく御采配を願ひたいのであります、私が本案の成立に關して政府の説明を伺ひたいのは、昨日衆議院側の當局の御説明に依りますと云ふと、本案は兩院の議政の運用に關するものであるから衆議院で立案して提出したのであると云ふことでありました、さう致しますと云ふと此の立案及び提出に付ては貴族院は關與しなかつたことになるのでありませうか若しさうだと致しますれば私は甚だ遺憾であると思ふのであります、現在の貴族院は姑く措きましても、近く實現する參議院は全國民の投票に依つて選擧せられた議員を以て組織せられるのでありまするから、此の點に於きましては衆議院と少しも違はないのであります、而して本案は左樣に衆議院とは異らない參議院にも共通なる根本法でありますから其の立案に付ては暫く衆議院を立てて提出者としたと致しましても其の立案に付きましては貴族院側の意嚮をも十分受容れて之を議案に反映せしめて仕上げらるべきであつたと思ふのであります、昨日のウイリアム氏の申されたと云ふことだけでも、本案は兩院相談の上で作るやうにと云ふことであります、然るに衆議院だけの立案に致して、それに付て貴族院の意嚮が少しも參酌されなかつたと云ふことは如何なる理由に依るのでありませうか、此の點に付て先づ政府の御説明を伺ひたいのであります、是が私の總括的の質疑であるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=24
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025・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 此の案を議會に提出するに付て、何故貴族院に諮らなかつたかと云ふ御質問の趣意のやうでありますが、政府と致しましては貴衆兩院の上に何等差別をして居る譯ではありませぬ、參議院法に付きましては、將來の國會を構成する上から言ひますれば現在の貴族院の方々よりは、より多く關心を有するのみならず、深い關係を持つて居ると申さなければならないのであります、新しい憲法は、吉田君も御承知の通り國權の最高機關は國會であることに規定されて居ります、其の國會に於ては衆議院が優越權を持つて居ることに規定されて居ります、と申しましても、總ての法律は兩院を通過しなければ成立致さないことになつて居ります、從つて政府と致しましては昨日本會に於て申上げました通り國會法なるものは憲法の附屬の法律として頗る重大なものと考へまするが故に、法制調査會の審議を待ち、其の御意嚮に依つて立案することを進めて居つたのであります、然るに新憲法に依りますれば今迄の政治の運用と著しく違ふと云ふことを先づ第一に御認識を得なければなりませぬ、今迄は政府が總ての法案を提出し、帝國議會はそれに、過去五十七年の歴史に依つて見ましても、多くは其の政府の提案を審議致したことで、稀には議員の發議に係るものもありましたけれども、是は殆ど輕視されて居つた形であることを、歴史を御存じならよく御存じの筈であると思ひます、然るに新憲法に依りましては國會が中心になる、國會の多數が政府を構成せしむる所の主導力であります、從つて將來に於きましては國會が殆ど總ての法律も立案するやうな形にならなければ、新憲法の精神ははつきりと運用の上に發揮することは出來ないと考へて居るのでございます、從つて政府と致しましては、此の國會法を法制調査會の審議に依つて立案して居りましたけれども、衆議院の議長の方から新しい憲法の精神を汲んで衆議院に最も關係のあることだから、衆議院の方の立案に依つて提出したいと云ふことでありますれば、新憲法の意義を徹底的に理解されるならば、其の御趣意は御尤も至極だと申さなければならないのであります、そこで政府で少しも之を無關心で居つた譯ではありませぬ、衆議院と致しても決して貴族院に對して貴族院の存在を無視した譯でも、之を輕視した譯でもありませぬ、法制審議會に依つて相當調査された所の材料、政府の有らゆる方面で集めました資料は、全部左樣な場合に於ては、衆議院に提供することが然るべきだと思ひまして之を提供したのであります、故に衆議院が此の立案をするに致しましても、有らゆる方面の意嚮と意見を參酌して立案されたものと私共信じて居るのであります、さう云ふ意味に於きまして決して貴族院を輕視したとか云ふやうなことではありませぬ、それ故に現在此處に皆さん方の御審議を得て居る、丁度參議院の方は貴族院の方により多く御關係のあることと思ひまして貴族院へ提案して、さうして只今衆議院でそれを審議して居る次第であります、國會法のことは、將來の國會の構成を思ひ憲法の精神を思ひまするならば、衆議院が主體となつて之を審議し、さうして貴族院の方々の御審議を煩はす爲に只今此處に提案されて居る譯で、吉田君の仰つしやる意味でないことは事實の上にはつきりして居ることでありまするから、其の點を能く御了承願ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=25
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026・吉田久
○吉田久君 只今植原大臣から御説明を承はりましたが、成る程從來の法律案が政府の提案に係るものが多かつた、從つて議會はそれに同意をすると云ふ建前であつたことは、是は明かであります、而して新憲法は之に反して寧ろ國會を中心としての提案と云ふものを認めて居るのであります、其の新憲法の趣旨から申しますれば、國會が主となつて法律案を提出すると云ふことは是は當然なことであります、從つて本案に付きましても國會を中心として案を出させると云ふ態度を執られたことに付ては少しも異論はない、寧ろそれは相當なことであると考へて居るのでありまするが、其の國會なるものは唯衆議院を以てのみ構成されるものではない、貴族院も矢張り國會の構成機關であります、而して植原國務相は衆議院の優越性と云ふことを高調せられまして、本案は先づ衆議院に依つて立案せられると申されましたが、其の所謂優越性と云ふことは、新憲法の規定に依りますと、法律案の成立等に關し又豫算案の先議に關するだけであります、御承知の通りに新憲法に於ては衆議院で可決した法律を參議院で否決した場合に、猶衆議院が三分の二以上の同意を以て其の修正を是認しない時には衆議院の可決した通りのものが法律になると云ふことを規定してあります、此の意味に於きましては明かに衆議院の優越性を認めて居る、又豫算案に付ても同樣先議權がある、それだけであります、其の外に於きましては全く私は參議院も衆議院も國會としての働きは平等である、斯樣に考へて居るのであります、然るに其の點から唯國會と言へば衆議院である、衆議院が優越性を持つて居るのだ、故に衆議院を中心としなければならぬと云ふことは、現在の貴族院は姑く措きまして是からの參議院に付きましては、私は其の論は當らないと考へて居るのであります、先程申しました通り參議院は矢張り衆議院と同じやうに全國民に依つて選擧せられたる議員を以て組織するものであります、而して其の職能は又貴族院とは異つた角度から國會としての働きを爲すのであります、之を唯所謂優越性と云ふことだけで衆議院だけを立てて參議院を無視する、若しくは輕視すると云ふやうな御考は、是はどうも私甚だ植原國務相の爲に採らないのであります、若し左樣な御考が本になつて本案が衆議院の立案で決定されるのであつて、貴族院に付ては審議する必要はないと云ふことであつたならば、是は甚だ遺憾であると考へるのであります、先程參議院議員選擧法の御話が出ましたが、是は先づ政府原案の議案が貴族院に提出されました、併し此の事に付ても私は遺憾がある、元來衆議院議員選擧法の改正に付きましては衆議院が主になつて立案をして提出すると云ふことになつて居ると云ふことであります、若しそれが誠であるならば參議院の構成に關しては矢張り貴族院をして自主的に案を拵へて提出せしめる、さうして審議せしむると云ふことでなければならなかつたと思ふのであります、然るに其の事がなくして政府が立案になり、先づ貴族院に御提出になりましたけれども、其の提案は全く以上述べた趣意に於きまして私は甚だ遺憾であると考へて居つたのであります、參議院法に付きまして曩に貴族院に提出したから今度の法案に付ても矢張り其の趣意だといふ御論は私は腑に落ちないのであります、左樣な次第で本案は遂に衆議院を通過したのでありますから、今更彼此れ申上げても仕方がございませぬが、併しながら矢張りそれは本案の審議に影響があります、貴族院の審議はどうでも宜しい、衆議院で十分審議して可決になつたのだから、それに從つたら宜からうと云ふやうなことであつたらいかぬと考へて居ります、此の點に付ての私の所見を述べまして、本案の審議等に付ては十分に一つ貴族院としての審議を盡さしめて貰ひたい、是が私の願であるのであります、又此の願は當然國會法として貴族院の使命を果す上に於て正當なことであると考へて居るものであります、決して我田引水の論ではないと考へて居るのであります、御承知を御願い致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=26
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027・山隈康
○山隈康君 私は委員長の御指示を仰ぎまして一應一般に亙る質問を取消します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=27
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028・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) それでは是より各章別の審議に入りたいと思ひます、先づ第一章國會の召集及び開會式、此の章に付ての御質疑を願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=28
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029・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 常會の十二月上旬と云ふのは、伺ひますと一月上旬に初めしようと云ふ議があつたさうだが、十二月に御繰上になつた、是は矢張り審議期間を年度内に相當に取つて置かうと云ふことから之を御繰上になつたと承知して宜しいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=29
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030・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 今の會計年度のことを考へますれば、出來るだけ早く繰上げて召集することが宜いと云ふので、十二月末よりは十二月上旬の方が豫算に付きましてもより多くの審議期間があつて宜しい、其の他に支障を生ずることがないと考へまして斯樣に規定した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=30
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031・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますれば當然のことでありますが、假に豫算が早く出來ると云ふやうな、十一月頃に出來るやうになつても矢張り十二月でなければ召集されないと云ふことになりますな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=31
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032・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 豫算が七月か八月か十月に出來るやうになりますれば、又考慮の餘地もありませうけれども、現在の状態では十一月に全部出來上ると云ふことも可なりむづかしいことであることを大河内子爵は能く御存じだと思います、左樣なことを考へまして十二月上旬ならば適當だらうと云ふことで定めたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=32
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033・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 更に反對な方面から伺ひますが、今國務大臣の仰しやる通り是はなかなかむづかしいと思ひます、さうしますと惡くすると豫算を中斷するやうな弊が起つて來る、決り切つたものを總豫算に組んでしまつて、さうしてむづかしいものは皆追加豫算に廻すと云ふやうな弊がどうしても是は起つて來やうと思ひます、併し召集の日を何とか決めて置かなければなりませぬから、十二月上旬が穩當だらうと思ひますが、豫算の關係は矢張り劈頭に御出しになることと承知して居つて宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=33
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034・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 大河内子爵能く御存じだと思ふが、現在の豫算の編成方法は良い方法ではないでありますまいか實際今の状態では款項目に亙つて審議をするなどと云ふことは不可能の状態になつて居りますね、で豫算の編成方法も自ら違つて、新國會が運用されるやうにならなければはつきり分りませぬけれども、私共の考では英國式のやうに先づ第一に豫算の根本を定める、さうして其の細目は次に議論すると云ふやうな形にして、國家の國政運用上になる所の豫算の大綱は何としても定めて、それを一應審議に諮ると云ふことになつて居りましたから今矢張り御説の如き必要なものばかり先に出して、後で追加豫算が出ると云ふやうなことになるではありますまいか、それは軈て新國會が出來て、新國會は議員の方が主として支配し、政府も議會の多數に依つて動くやうになるのだから、どうもさう云ふ御心配のやうな弊は出て來まいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=34
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035・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 丁度植原國務大臣がおいでのことでありますから大變都合が好いのでございますが、イギリスのやうな豫算のやり方、根本だけ決めて置いて後からやると云ふやうなやり方も一つのやり方だらうと思ひます、日本のは何から何迄一つに纒めてしまつて、さうしてそれを印刷局へ廻して非常なものを拵へてしまふからあれはあんなに暇を取るので、イギリス式にやりさへすれば御説の通り早く出來上るのです、そして又事實困らないと思ふ、又他にも色々やり方があらうと思ひます、早くやらうと思へば今のやうなあんなやり方をして居つたのでは、それは印刷局だけでも大變な騷ぎです、是は此處で伺ふのも惡いかも知れませぬが、何か豫算の編成に付ては根本的にやり直さうと云ふやうな御考でもありまするか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=35
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036・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 今大藏省で相當研究されて居ると思ひます、さうして此の國會法に於ても御承知の通り財政及び金融委員會と云ふ常任委員會か出來ます、又豫算委員會と云ふ委員會が出來ます、是は常任であつて而も一つの會期に拘らず、其の國會議員の任期中、國會議員の任期中と申しましても參議院は別でありますけれども衆議院の任期中、其の常任議員は存在して居るのでありまして、是は如何なる政府であらうとも、反對の政府であらうとも、其の委員は矢張りずつと存續するのでありますから、それ等が如何なる場合に於きましても、有らゆる政府の資料も亦必要なものも、民間の要求もみんなそこへ集つて來て、寧ろそこにあるものが軈ては豫算編成の基礎になる位になるではありますまいか、丁度此の運用はアメリカ式のやうに立てられて居りますが、アメリカの議會は御承知の通りアメリカの衆議院議員か總てのアフレクレーション・ビルを作るのでありまして、さう云ふやうな民主主義の議會の行き方も茲に取入れられてあるのだから、只今のやうな大河内子爵のやうな、今迄の豫算に對するやうな御懸念、御心配はなくなると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=36
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037・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私の質問は是でもう宜しうございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=37
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038・木内四郎
○木内四郎君 今大河内子爵から御質問があつた趣旨に關聯して居るのですが、十二月上旬と召集を御決めになる、其の點に付て植原國務大臣から今御答辯は得なかつたのですが、今度會計法を御決めになる場合に、矢張り集會の初めに於て豫算を提出すると云ふ規定を御設けになる御考でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=38
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039・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 其の點を左樣に決めるか決めないかと云ふことはさうはつきりしないでも宜しいぢやありますまいか、實は成るべくさう云ふことをがつちり決めたがる所に今迄の官僚政治の弊があるから、決めても私は差支ないと思ひますし、どうも楊子で重箱の隅を突つくやうに、豫算は何日に編成して何日に提出しろと云ふやうなことをがつちり決めちまふと云ふと、民主政治の運用には可なり支障を來たして來るぢやないか、勿論是から國會が中心であるから、國會で宜いと思ふことはどう云ふ法律でも國會の多數で決められるから、運用の上でどう云ふ風にでもなりますが、さう云ふことを今から左樣でありますと云ふ御答をしても宜しいし、さう云ふことは考慮中であると御答しても宜いと、もう少し裕りを取つた方が宜からうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=39
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040・木内四郎
○木内四郎君 實は私は伺ひたいと思つたのは、若し十二月の初に召集されて、今の會計法通りの規定を御置きになつて、開會の劈頭に御出しにならなければならぬと云ふことになると、豫算編成の技術上非常な困難がありはしないかと云ふことを懸念しまして伺つた譯であります、必ずしもさう云ふことを御考になつて居らぬらしくも窺はれます、はつきりしませぬけれども、若しそれであれば私の懸念は解消するのです、同時に是かルーズになつて、何時迄も放つて置いて置くと云ふことになると、議會の審議權が非常に制約されるやうなことになつて工合の惡いやうなこともあるので、或一定の時期位に抑へなければならぬと云ふやうな規定も何れは御置きにならなければならぬと思ひますが、其の點に付てはつきりしたことを御決定になつて置かなければなりませぬ。其の點に付ては其の程度にしまして、第一條に少くとも二十日前に云々と云ふことがありますが、是は如何なものでせうか、今日に於きましては、現在の四十日と云ふ議院法の規定も全く形式的なものでありまして、交通も發達して來て居ります、勿論色々な不便もありまするけれども、發達して來て居りますし、通信の便も色々ありますから、第二條に於て十二月上旬と云ふことを豫め御書きになつて、居ると致しますれば、是はもう五日でも宜し、十日でも宜し、短かければ短かい程宜いぢやないか、唯實際上通達し、議員がこちら迄來られないのでは困りますけれども、二十日なんと云ふことは餘り形式的になりはしないかと思ひますが如何なものでせかう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=40
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041・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 御承知の通り是迄は日本の國土も丁度半分に縮めた譯ですか、之も色々法制調査會の方に於ても御意見がありました、又衆議院の方に於ても色々の御意見のあつたことを承知致して居りますけれども、交通、通信機關が發達したから、五日でも出來るかも知れませぬけれども、十二月上旬と決めて居るものを、普通の召集だから二十日にしたつて少しも差支ないぢやないか、少し裕りを取つて置いた方が宜いと云ふことで之に決つたもので、是も無理に五日にしなければならないと云ふ御意見もなからうと思ひますし、何處かに線を引くとすれば、此處が一番宜い線だと思ひますので、左樣に御承知を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=41
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042・木内四郎
○木内四郎君 誠に御尤もな話ですが、此の裕りを取るのは寧ろ長いよりも短い方が行政の運用上裕りがあるので、長ければ長い程裕りがないものと思ひますが、短くして置かれれば政府の御都合に依つて非常に運び方に都合が好いぢやないかと感ずるのですが、其の點に付ても御意見が大體分りましたから其の程度に致して置きたいと思ひます、其の次は第四條の終りに、參議院の議長に之を請求しなければならぬと云ふことがありますが、請求と云ふ言葉を御使ひになつたことはどう云ふ意味でありませうか、請求と云ふことは、それに應すると云ふことを前提としたものだらうと思ひますが、若し應じなかつたらどう云ふことになるのでせうか、此の言葉は稍稍適當でないのぢやないかと思ひますが、どうでせうか、參議院の緊急集會を求めるには、内閣總理大臣から、集會の期日を定めて、參議院議長にこれを請求しなければならない。」と云ふ其の請求と云ふ言葉ですよ、參議院を召集する、其の時に總理大臣が參議院を召集する譯には參りませぬからして、參議院議長に通達しなけりやならぬ、參議院議長に之を集會をして呉れろと云ふことで、言葉の問題ですが、それならば何と云ふ言葉を之に代用すれば宜いと云ふ御言葉があるのならばだけれども、先づ請求しなければならない、參議院議長が自由に召集することも出來ないし、參議院に緊急集會を求めるのは、大分は政府の行政上の都合でありませうから、其の場合には總理大臣から集會の期日を定めて請求しなければならないと云ふことで、どうも斯う書かざるを得ないのぢやありますまいか、何か宜い……今迄の法文の字が惡いと云ふことならば、移り變りで色々苦情はありませうけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=42
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043・木内四郎
○木内四郎君 私の伺ひたいと思ひましたのは非常に小さな問題で甚だ恐縮ですが、文字の問題ですが、法制局の方で斯う云ふものに對してどう云ふ風に御考になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=43
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044・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 今の御質問の趣旨は、請求と云ふ言葉の代替物として何か頭に御持ちになつて居つて、例へば要求と云ふやうな言葉を對照的に御考になつて、それと較べて此の場合にどう違ふだらうかと云ふやうにも伺へるのでございますけれども、假に私が勝手に想像致しまして、要求と云ふ文字と、それから請求と云ふ文字を竝べまして、此の場合に何方が適當かと云ふやうな問題と假に致しますと、是は法律的に假に要求とした場合、請求と云ふのと意味が違ふと云ふことは、私ははつきり申上げ得ないことだと思ひます、之に對して此の請求に對して議長が應ずる義務があるかどうかと云ふ問題は、是は書き方の問題と云ふよりも、寧ろ憲法の趣旨と申しますか、其の方から來る言葉ぢやないかと云ふやうな考を持つて居ります、要するに請求と云ふ言葉で決して惡いことはないのぢやないかと云ふ感じを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=44
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045・木内四郎
○木内四郎君 非常に小さい問題で大變に恐縮なんですが、要求も請求と似たやうなことだと思ひます、召集の日には日を決めてぴちんと其の時に義務的に集會しなければならない、それと同じやうな、或は通告とか、何か召集に似たやうな效果を直ちに發生する言葉の方が適當ぢやないかと思ふのですが、さう云ふ點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=45
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046・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 是は今の憲法の方の條文と致しましては、内閣が參議院の緊急集會を求めることが出來ると云ふ表現になつて居ります、それを恐らく其の求めると云ふ求め方の問題でありますからして、請求と云ふ言葉を御使ひになつたのではないかと云ふ推測でございますが、それで又一向差支ないのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=46
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047・木内四郎
○木内四郎君 私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=47
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048・大木操
○大木操君 今の四條に關聯してちよつと御尋したいのですが、此の參議院の緊急集會の請求は、集會の期日を定めるとあるのですが、所謂普通の議會の會期に當るやうな、幾日間位緊急集會があるかと云ふやうなことは、其の際に内閣の方から御明示になるやうになるのでせうか、どんなものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=48
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049・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 是は事柄が緊急事態に處すべき緊急案件と言ひますか、緊急の措置に付ての其の爲の緊急集會でございますから、何れ長い會期と云ふことは當然考へ得られませぬ、從つて何日とか云ふやうな問題を、法律の表に表す迄の事柄ではないのではないか、寧ろ其の提案した緊急案件と云ふものを一刻も早く審議して戴いて、其の審議が濟めば勿論緊急集會が解ける、閉會になると云ふやうなことで宜いのぢやないかと思ひます、從つて此の法律に期間を定めてと云ふやうなことを、麗々しく書くのもどうだらうかと云ふ御氣持ぢやないか、さう云ふ原案の御趣旨ぢやないかと云ふことを考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=49
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050・大木操
○大木操君 さうぢやないので、會期に當るべき期間を法律で定めたらどうか云ふのではなく、法律には「集會の期日を定めて、」請求すると云ふことがあるのでありますが、内閣からして參議院議長に請求する場合に、矢張り幾日間位の集會期日を以て集會するかと云ふことを、何か請求の際に、其の期間を矢張り示されるのかどうか、斯う云ふ御尋であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=50
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051・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 御質問を取違へて居りまして失禮致しました、是は政府の方からさう云ふ期間を指定するやうにはなつて居らぬ積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=51
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052・大木操
○大木操君 第二條の但書でありますが、「會期中に議員の任期が滿限に達しないようにこれを召集しなければならない。」とありますからして、例へば十二月上旬に衆議院が解散になる、すると其の任期滿了の四年目の際にはどうしても之を百五十日以前に議會を召集しなければならぬ、斯う云ふことになると思ふのであります、さう云ふ際に今御話が出て居つた豫算のことが關聯すると思ふ、常會の性質として矢張り豫算を審議するのが本體であらうと思ふ、處が十二月上旬から遡つて百五十日以前に、即ち六月か七月の頃に、其の年は憲法上の常會として議會を召集しなければならない、其の場合はどうも政府として、豫算は到底編成し得る時期ではなからうと思ふし、從つて其の常會は豫算は殆ど審議し得ない、他の法律案でも豫算を伴ふやうなものは、殆ど矢張り提出出來ない、其の常會は殆ど議會の機能を發揮しないで終るやうなことが起りはしないかと云ふことでありますが、さう云ふ點は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=52
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053・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 其の時の事情に依つて臨機の處置を採る外はないと思ひます、結局追加豫算と云ふやうな形の補正作用がそこに行はれるやうなことになるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=53
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054・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 今の御話ですが、現在十二月下旬に召集しても、議會の任期が一月選擧があつた場合は、四年目の議會がずつと成立して居れば任期の盡きることがありますね、今の状態でも……それでさう云ふ場合に於ては任期を續けると仰つしやつたが、任期は四年で、一月選擧した場合に、四年の任期は一月で終りますね、それを繼續すると云ふことで繼續しなければいけない譯ですね、之に付ても適宜なさう云ふ處置が取れると思ひます、議會自體も、國會が中心のものであるから、其の場合出來はしますまいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=54
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055・大木操
○大木操君 全然それは違ふのでありまして、現行法は議會中に議員の任期が滿期になれば會期中は在任期間が延長されることになつて居る、だから少くとも國會として審議には差支ない、今度の新憲法に於きましては、議員の任期と云ふものがフイックストされて居りまして、何等彈力性がない、彈力性のない結果但書が生れて來た譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=55
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056・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 分りましたあなたの質問は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=56
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057・大木操
○大木操君 ですから此の但書は憲法の結果、斯う云ふ規定を國會法で設けざるを得ないことになつた、でありますから私が今御質問申上げた、非常に遡つて六七月頃に何すると云ふ問題が起り得ると思ひます、而も四年目に一遍と云ふ譯ではないのでありまして、參議院議員の半數改選の場合も三年目毎に生じて來る、解散の場合が二年目毎に來るかも知れない、さうすると二年三年、二年三年と云ふやうに始終十二月上旬と云ふ此の期日が亂れて來ることになると思ひます、常會の性質上、總豫算と云ふものを審議すると云ふことは意味をなさないと思ふ、又其の後で臨時議會を開いて豫算を審議する、斯う云ふ事態が始終起りはせぬかと云ふことを憂ふるのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=57
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058・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 大木議員の仰しやるやうなことが起り得るかも知れませぬ、其の點は憲法の實際不備と云ひますか、今の憲法の立場からどうもさう云ふことが想像すれば起り得ると想定し得られる、斯う申上げるより仕方がない譯であります、今の憲法の規定の中でさう云ふことを想定すればさう云ふことも起り得る、實際に於てはさう云ふことは屡屡起りますまいけれども、起り得ることがある、其のことは國會中心の政治として、實際に於てさう云ふ非常な支障が起つた場合に於ては、それを又是正する途が自ら開かれる、それが本當の民主政治の運行ではなからうか、斯う御答した方が宜からうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=58
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059・大木操
○大木操君 其の問題はまあそれでは止めまして、參議院議員選擧法との關係なんでございますが、今衆議院に於て審議中の參議院議員選擧法の第九條の參議院議員の半數改選の場合に於て、其の任期が會期中に到達した場合には議會後に行ふと云ふ規定がある、會期中に半數ではありますが、任期滿了の場合が決めてあるのですが、此の國會法の但書と矛盾するのではないかと思ふのですが、其の點はどう云ふ解釋ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=59
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060・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 是は矛盾すると申しますよりも、寧ろ兩方で避け合つて居ると云ふやうな形になつて居ると云ふやうな氣が致します、實は參議院議員の半數改選を致します場合は第二條と云ふ、斯う云ふ形はございませぬ、衆議院議員の選擧法に付ても同じやなうことがあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=60
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061・大木操
○大木操君 衆議院の選擧法はどうせ來議會で何されると思ひますが、參議院の選擧法は審議中でありますから、あの矛盾と云ふか、不一致を除くやうな手續を御考になつて居らぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=61
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062・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 積極的にそれを除かないと工合が惡いと云ふやうなことはどうも考へられませぬので、別にどうと云ふことは今は考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=62
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063・大木操
○大木操君 それ以上は意見の相違になりますから申しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=63
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064・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 只今の問題に關聯して私も一つ伺つて見たいと思ひます、第二條に依りまして十二月の上旬に召集され、十條に依つて會期が百五十日ですから五月迄で、四月の末は任期中であります、五月三日に新憲法が施行せられて四月の上旬頃に參議院議員の選擧をやる、今度の通常議會は三月に終つて參議院の選擧が四月上旬に來る、其の後三年目毎に參議院の選擧が四月十日に來る、さうすれば二囘以後の參議院議員の選擧と云ふものは必ず四月の十日に行ふ、さうすると是で決めた十二月から四月迄の會期中に何時でも參議院の選擧に出會はすことになります、是は何とか避けて置かぬといかぬのぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=64
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065・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 御尤もな御懸念でございますが、參議院の選擧法の確か最後の附則の方であつたかと思ひます、參議院議員に選ばれた人が參議院議員の身分を取得するのは五月三日其の任期も五月三日から起算すると云ふことになつて居りますので、今の御懸念のやうなことは起らないと思ひます、任期の起算と云ふのは五月三日以後になりますから発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=65
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066・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 選擧其のものは四月に行ふことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=66
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067・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 選擧の時期は任期滿了の前に行ふことが出來ます、任期起算點が五月三日になつて居りますが、新憲法施行直前に行はれるやうになるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=67
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068・吉田久
○吉田久君 迂濶な質問のやうですが、四條の參議院の緊急集會は、是は新憲法の五十四條の二項但書に、「衆議院が解散されたときは、參議院は、同時に閉會となる、」とありますが、さうすると國體と云ふものの活動が止まる譯です、それにも拘らず、「國に緊急の必要があるときは、參議院の緊急集會を求めることができる。」とあつて、參議院だけが國會として働くことが出來る場合が但書に依つて豫想されて居るのでありますが、此の緊急集會が出來る場合と云ふのはどう云ふ場合になりますか、緊急の必要がある時に參議院だけが國會として働くのはどう云ふ場合ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=68
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069・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 衆議院は御承知の通り解散されます、衆議院が解散されて選擧が終了する迄は衆議院が成り立たないのですから、其の間は參議院だけが存在すると見なければなりませぬ、解散後から次の衆議院議員の選擧が終つて成立する迄、其の期間に於て國會に諮らなければならない必要のある時には……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=69
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070・吉田久
○吉田久君 其の國會に諮らなければならない時と云ふのはどう云ふ場合に特に參議院に諮らなければならぬか、衆議院はまだ出來て居ない、衆議院は解散後だから――國會を召集するには其の選擧の日から三十日以内に召集しなければならぬ、選擧後に國會が召集せられることになれば是は問題はないが、其の前に、解散になつて衆議院がまだ出來ない、出來ない間に緊急の必要があつて緊急集會をすると云ふのはどういう場合ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=70
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071・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) それは其の時の政府の考へでせう、斯う云ふ場合は矢張り參議院の意嚮を、參議院も國民を代表する一部の機關としてあるそれに諮つた方が宜いと思つた時にやれば宜いので、必ずやらなければならぬと云ふことはない、さう云ふ具體的のことは申上げることは無理だと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=71
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072・吉田久
○吉田久君 さう云ふ風に働く場合が起つて來る、法律の規定の上から參議院だけが無論國會として働くだらうと思ひますが、衆議院は出來て居ない、それなのに、參議院だけが、國會として働く場合が法律上起つて來るのか來ないのか、どうもそれが想像されないのでありますが、斯う云ふ場合がそれに當るのだと云ふことであれば、それを御聞かせ願ひたい、是は憲法の問題になるかも知れませぬが、それを御聞かせ願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=72
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073・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) どうも只今申上げた以外に答へやうはないのです、其の時の政府が何か突發事項でも起りまして、是は寧ろ國民を代表する人の意見に徴した方が宜いと思ふ時に、參議院を開いて、さうして其の意見を徴すると云ふことですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=73
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074・吉田久
○吉田久君 參議院だけが國會として働くことがあり得るのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=74
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075・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 御尋の趣旨がちよつとはつきり致しませぬけれども、實は緊急集會の制度其のものの趣旨と申しますか、それを申上げましたならば御分り願へるのではないかと思ひます、現在の憲法に於ては御承知の通り緊急勅令でありますとか、財政上の緊急處分でありますとか、本來ならば法律を要する事項、議會の協賛を經なければならぬ事項でありましても、緊急の必要があれば議會の協賛がなくても緊急勅令なり、財政上の緊急處分等の臨機の措置が出來るやうな道が在の憲法にはございます處が今度の新しい憲法に於きましては、それは民主主義と申しますか、立憲主義の見地から見てさう云ふことはどうだらうか、成るべく國會を尊重した方が宜い、さう云ふ緊急の必要があるならば、議會が閉會中ならば議會を召集して、國會の臨時會を召集して、そこで緊急の法律を作る、或は財政上の緊急處分に付て臨時會へ懸けて決めて貰ふと云ふ建前になつて居る、偶偶衆議院が解散されました場合に於きましては、國會其のものがございませぬので、法律案を提案しようとしても、臨時會を召集しようとしても、召集が出來ませぬ、そこで其の場合は已むを得ず參議院を以て國會に代へて、參議院の緊急集會で法律案を議して貰ふ、さう云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=75
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076・吉田久
○吉田久君 さうすると、參議院が國會として働くのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=76
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077・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是は植原國務大臣に伺ひますが、私選擧のことなど全然存じないので何ですが、段々今伺つて見ると十二月の上旬に議會を召集する、それから四月になると選擧が行はれると云ふやうなことになりますと、一方で議會をやつて居りながら、一方では選擧もやらなければならぬと云ふやうな結果になると、是は選擧に立つ人には不便だと思ひますが、是は已むを得ない結果なのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=77
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078・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 大河内子爵の只今の御質問は主として參議院の選擧のことを仰しやると思ひますが、參議院の選擧は議會の會期中半數改選の場合には行はれることもあらうと思ひます、さう云ふ形で行きますれば仕方がないのではありますまいか、それのみらず只今關聯して中村さんの御意見がありましたが、其の前に選擧が行はれて、近くは五月三日になる憲法の實施から、今度新たに行はれまする所の參議院は四月の初に選擧を致しましても、それで當選しましても、參議院議員の資格を得るのは五月三日以後になります、斯う云ふ今の御話でして、それと同時に將來半數改選の場合に、四月の會期中に選擧が行はれることはありますけれども、今の五月の任期が盡きる前に、後の代りの人が出來なければ困ります、それは丁度アメリカの大統領が任期前に選擧されて居つても、其の任期が來なければ交替出來ないと云ふことが行はれて居るのですから、さう云ふ意味に解釋すれば宜いのではありますまいか、アメリカの大統領は現にずつと半年も前に選擧されて大統領となつて居るけれども、其の任期が來る迄は交替せぬ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=78
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079・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 只今の植原國務大臣の御話のやうだとすれば、議會の會期中に選擧が行はれると云ふことになりますと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=79
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080・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) それではちよつと植原國務大臣の御答を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=80
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081・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 只今の中村さんに關聯して、參議院法では選擧をずらすやうに規定されて居るさうであります、ずらさないでも私は差支ないと思ふのですけれども、ずらすやうに規定されて居るさうであります、そこで大河内さんの何は、今ずらすやうになつて居るさうですから、さうすれば任期中にはないことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=81
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082・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ずらすと云ふことを私は知らないで、甚だ詰らぬ質問を致しまして、其の爲に御迷惑を掛けたのですが、念の爲にずらすと云ふ規定をちよつと政府委員から……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=82
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083・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今私持合せて居りませぬが、一應取敢へず記憶して居る所を申上げたいと思います、參議院議員の任期滿了が參議院の開會中に係つて居る場合、それから參議院の閉會後一定の期間に係つて居る場合、要するに參議院の開かれて居る間に參議院議員の任期が滿了する場合には、其の後任者の選擧は、其の議會が閉會になつた後、三十日乃至三十五日以内の間に其の選擧を行ふと云ふ例外規定を置いてあつた筈であります、今直ちに取寄せまして成文を申上げますが、取敢へず覺えて居る所を申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=83
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084・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 重ねて伺ひますが、衆議院の方にはさう云ふことは規定する必要はないのですか、衆議院でも矢張り會期中に議員の任期が滿了に達しないやうに召集しなければならないと云ふのですから、會期中には何ですけれども、直ぐに來るやうでは困りますが、其の點は御改正にでもなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=84
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085・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 現在の衆議院の選擧法に付きましては、議會の開會中又は議會閉會の日より二十五日以内に議員の任期が終る場合には、選擧は議會閉會の日から三十日以内に行ふと云ふことになつて居りまして、只今參議院の法案に付きまして、私が記憶して居る所を申上げましたのと同じ歩調に相成つて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=85
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086・大木操
○大木操君 小さい問題ですが、第三條に「議院の總議員の四分の一」云々とありますが、總議員と云ふのは憲法にもありますが、是は法定數ですか、現在員數ですか、憲法と同一解釋になるのですか、憲法の時も其の點は觸れなかつたやうに思ふのでありますが、念の爲にちよつと解釋を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=86
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087・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 憲法の御審議の際に御答へ申上げましたかどうか記憶して居りませぬが、一應法定數と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=87
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088・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 第六條に付て伺ひます、各議院に於て召集の當日に議長若しくは副議長がないとき、又は議長、副議長が共にない時には其の選擧を行ふ、是は改選後、或は總選擧後初め議會に起る譯ですから、當然議長、副議長はないのではないかと思ふのです、と云ふのは其の次の條文から見ても議長、副議長が選擧せられる迄は事務總長が議長の職務を行ふ、此の七條から見ても第六條は總選擧後の初の議會で當然議長、副議長はない場合を規定するのではないかと思ふのですが、さうすると議長、副議長共ないのが當然と思はれるのですが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=88
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089・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 議長、副議長とも兩方ない場合は、恐らく御指摘の場合が普通の場合だらうと考へます、理論的に考へるとそれ以外の場合にも偶偶さう云ふ事態があるかも知れぬと思ひますが、實際上はないと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=89
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090・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 總選擧後の初めての議會に議長副議長がないのが當然ですから、議長、副議長の選擧を行ふ、缺けた場合には二十三條にあるから、此の書き方はどう云ふ意味でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=90
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091・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 多くの場合は御説の通りだと思ひます、併し有らゆる場合のことを法律で規定したので、多くの場合は御説の如くだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=91
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092・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 現行の議院法の第三條には、衆議院の議長、副議長は其の院に於て云々と、議長選擧のことが規定してあります、それと同じやうに議長が缺けた時、副議長が缺けた時、共にない時と云ふ書き方は如何なものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=92
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093・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 要するに此の國會法が五月三日から施行致されますから、其の施行後に於て想像されます其の總ての場合を網羅すれば結局斯う云ふことになると云ふ御趣旨のやうに考へます、現在の三條の書き方も一つの書き方だと思ひますけれども、是は院の出來て居なかつたやうな場合を考へると、どうも第一囘の議會だけを考へて居るやうにも取れると云ふやうな點から、素直に六條のやうな形に書いた方が宜くはないかと云ふ御趣旨のやうに考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=93
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094・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 御説明のやうならば、第二十三條で澤山ぢやございませぬか、「各議院において、議長若しくは副議長が缺けたとき、又は議長及び副議長が共に缺けたときは、直ちにその選擧を行う。」此の規定で十分と思はれます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=94
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095・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 六條と二十三條と繋ぎ合せて書けば、是で本當に滿點に相成ることと思ひますが、此の二十三條の場合は先程御示しのやうな總選擧の後でありまして、是は六條の方で押さへませぬと入り得ないぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=95
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096・大木操
○大木操君 念の爲に伺ひますが、さうすると六條は解散後の總選擧の時にのみ限ると云ふ意味でございますか、さうなると云ふと「議長若しくは副議長」と云ふのは要らないのぢやないかと思ひます、議長、副議長共にないのが原則でありますからして、「議長若しくは副議長」と云ふ文字は不必要ぢやございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=96
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097・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 是は非常に一目して分り易いやうにと云ふ建前も多少加つて居ると見えますのですが、第一章で國會の召集、それから開會式と云ふやうな見出しにして、最初の召集の際のことは一聯の規定となつて出て居る譯であります、其の意味で、或は之を冷やかに考へますと、先程申述べました二十三條の場合と多少ダブつて居るやうなことがあるやうにも考へられますけれども、それに致しましても召集當日のことを第六條として一應眺めますれば、其の際に議長、副議長がない時には選擧しなければならぬと云ふことを書いてそれを明かにして居ると云ふ點に於ては、是は相當意味があるのではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=97
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098・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 諄いやうでありますけれども、私は斯う云ふ風に解釋したらどうかと思つて居ります、第一の議長、副議長ともにないときは、と云ふのは衆議院の解散、總選擧後のことである、前の議長、副議長どつちかないときと云ふことは、衆議院の方が半數改選ですから、半數の方に議長でも殘るとか、副議長でも殘つた場合のことを豫想して書いたのではないかと思ふのでありますけれども、さうでも解釋すれば此の表現が生きるやうに思ふ、然らざればどうもちよつと腑に落ちないやうな考えが致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=98
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099・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 是は一應六條の規定は國會を召集したり、開會式をして居るから、六條に於て左樣な規定を設けた、二十三條の方は役員の規定から當然出て來る解釋である、それから第六條の各議院に居ないと云ふ場合に、中村議員の御説の如く國會法ですから、衆議院と參議院の兩方にかかるものだと云ふ場合に於て、參議院に於ては半數改選と云ふ建前から左樣なことも、副議長があつて議長がない、或は議長があつて副議長がないと云ふ場合も起り得ると思ひます、さう云ふやうな場合に各議院に是は共通するものとして此の規定が出て來た、斯う御解釋爲さつては如何でございませうか、衆議院の提案ですから、さう云ふ風に條理を正して解釋すれば、此の兩方の案が一層よく理解出來る、斯う思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=99
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100・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 次に第八條「國會の開會式は、會期の始めにこれを行う。」、誠に國民學校の生徒の教科書のやうに、開會式を會期の始めに行ふことは當然のことではないか、從來の議院法にはなかつた例であります、此の條文は削つても宜しいのではないかと思ひます、開會式を會期の始めに行ふと云ふのは當然過ぎるやうなもので、憲法附屬の法律に、國定教科書に書くやうなことを書くのは如何でせうか、なくて十分間に合ふと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=100
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101・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) なくて宜くはないかと云ふことも一つの御考へ方とは存じますけれども、此の會期の始めにと申しますのは、開會式と言ひますと召集日か或は召集日以後に行はれなければならないぢやないかと云ふ疑問も起り得るかと思ひます、昨日の話に依りますれば、さつきありましたやうに召集の翌日或は其の以後と云ふやうなことを大體考へて居りますので、其の意味で寧ろ召集日と書かずに、會期の始めにと書くことに依つて、さう氣分が出るのではないか、是は極めて小理窟を申上げて恐縮でありますが、さう云ふ實益もあるのではないかと考へられます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=101
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102・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 是迄は會期の始めは開院式の日から、それならば開院式と云ふことをはつきり書くのは意味があるけれども、今度は召集日から會期が始まる、斯う云ふことが書いてあるのでありますから、開會式のことを特にどうも御説明のやうに書かなくても宜いやうに思ひますが、是は私の考へだけを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=102
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103・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の八條のことで伺ひたいと思ふ、矢張り開會式は從來の通りの形式でおやりになりますか、即ち行幸を仰いでああ云ふやり方で行くのですか、今度はどうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=103
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104・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 左樣にならうと思ひますけれども、民主主義の憲法として左樣なことを表さないのが宜いぢやないか、國民の慣例的にそれを行ふ、斯う云ふやうな趣意で大體大河内子爵の仰しやる通りにならうと思ひますので、特に其の規定を設けなかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=104
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105・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 第一章に關する御質疑ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=105
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106・吉田久
○吉田久君 第七條に事務總長とありますのは今の書記官長に相當するものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=106
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107・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 只今の丁度書記官長に相當するものであります、唯只今の書記官長は官吏でありますけれども、是は議員以外に、議會が定める所の公務員であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=107
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108・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 他に第一章に關して御質疑ございませぬか、なければ第二章に移ります、「國會の會期及び休會」之に對して御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=108
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109・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は十條で百五十日と御決めになつたことを伺ひたいのですが、寧ろ私は建前を別にして、別に會期なんと云ふものは設けないで、ずつと御開きになつて、何か都合のある時休會する、それで宜い筈だと思ひます、さうすると色々な面倒なことも起らないで宜いと思ふのですが、年に一囘召集することにしたらそれで宜しいのですから、殊に衆議院あたりでは議會中心と云ふやうなことは最も重んじなければならないもので、何んだか斯う會期を人爲的に制限した案が出て來ると、衆議院案としては如何にも相應はしくないやうに考へますが、如何がですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=109
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110・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 政府としては衆議院の御決定を批判する立場には立ちたくないのであります、法制調査會の方に於ても色々國會法に對しての御意見を徴する場合にありました、新しい憲法の意味は一年中國會が開けると云ふのが民主的だらうと云ふ御意見もあり、さう云ふ風にやつて居れば、どうも案のないのに開いて居るやうな形になるし、緊張味を失ふやうな場合がある、今迄も三箇月の中本當に會議をして居つたのは二箇月であるのに、それを一年中と云ふやうに飛躍するのも餘りに大きな飛躍だと云ふやうな御意見で、寧ろ四箇月で宜からうと云ふ御意見が可なり強いやうでありました、さうして色々の方面から色々のことを御研究になつて百五十日と御決定になつたと思ひます、政府と致しましても今の議會のことを半面に於て考へたり、又新しい憲法のことを考へますれば、まあ此の邊が折衷的なものとして宜からうやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=110
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111・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 御趣旨は能く分りました、此の他にも色々集會する方法も憲法に開いて居りますので、會期を設けても強ち議院の權限を制限するやうなことにもなりますまいかと思ひます、是は是で運用が良く行けば宜いと思ひます、從つて會期は延長は出來ないのですか、延長は差支ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=111
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112・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 第十一條で、臨時會及び特別會の會期は、兩議院一致の議決で延長することが出來るやうになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=112
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113・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さう致しますと此の十一條に「臨時會及び特別會の會期は、兩議院一致の議決で、これを定める。」とありますが、是は會期の初に御決めになるのですか、どう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=113
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114・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 會期の始まりとも限らないと思ひます、會議の進行の具合に依つてそれを延長した方が宜いと云ふ場合もありませうし、或は開會して後に特に臨時議會を開いて宜しい、或は特別議會を開いて宜しいと云ふことを兩院の院議に依つて議決すれば出來ますので、何時之をして宜いと云ふやうなことは其の時の國會の運營に關することだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=114
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115・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 第十五條二項の七日以内と云ふのは、休會の決議は是以上出來ないと云ふことになるのでございませうか、七日を更新することになれば、別に之を決めて置いた所で何にもならないやうに思ひます、七日以内と御決めになつたのはどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=115
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116・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 此の七日以内と云ふ限定を置きました趣旨は、昨日の説明にもありましたやうに憲法の關係で、參議院と衆議院との間のやり取りに付て、參議院が何と申しますか握り潰すと云ふやうな場合に付て、休會中の期間を除き何月以内に議決しない時と云ふやうな制限があるので、兎に角はつきり日時を決めるのが適當であらうと云ふので、斯う云ふ日時の制限が設けられたのであります、而も七日以内と云ふやうに割に短く決めたものと考へるのであります、そこで理論上の問題と致しましては、一囘が七日以内と云ふことに相成りまするから、之を一兩日置いて更に又七日以内の休會と云ふ風に重ねられると云ふことは、是は法律上は可能であらうと思ひます、是は恰も現行の議院法に於きまして、停會に付ての規定がございますが、其の關係と同じ解釋に相成るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=116
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117・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=117
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118・大木操
○大木操君 今の十一條でございますが、植原國務大臣の御答辯に依りますと云ふと、臨時會なり特別會の會期を決めるのは、開いて置いて途中で決めるやうな御答辯と伺つたのでありますが、劈頭に御決めになるのぢやないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=118
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119・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 臨時會と特別會の會期はどの位に定めるかと云ふことは、其の會の始りに當然決められることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=119
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120・大木操
○大木操君 其の場合に、憲法六十七條に依つて特別會のやうな場合には、「内閣總理大臣は、國會議員の中から國會の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。」とありますが、さう云ふ場合に先づ先に會議を開いて、さうして總理の指名を議決なさるのでありませうか、「すべての案件に先だつ」と言へばそれにも優先すると解釋するのでございませうか、ちよつと此の邊の點を御伺したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=120
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121・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 一應御答へ致します、此の憲法の「すべての案件」と申しますのは、例へば議長、副議長の選擧でありますとか、さう云ふものは寧ろ考へませぬで、法律案でありますとか、豫算案でありますとか、さう云ふ普通の國會の權能として掛けられる、さう云ふ案件と云ふ積りで考へて居ります、從つて會期を決めます只今の議決と云ふやうなものは、此處の案件と云ふことには寧ろ入らないと考へて宜くはないかと云ふ風に考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=121
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122・大木操
○大木操君 十五條に付て伺ひたいのでありますが、「國會の休會」と「その院の休會」と云ふのを區別してあるのでございますが、此の「國會の休會」と云ふのは、政治的の意味も含まれて居る場合もありませうし、兩者の間にどう云ふ性質の差異があるのか、御説明を願ひたいと申ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=122
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123・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 此の第一項の國會其のものの休會として考へられますのは、會期が兎に角百五十日と云ふやうな、例へば常會の場合で申しますと百五十日と決つて居りますが、其の間案件か跡絶えて用事がない期間と云ふものが兩院とも共通に生ずると云ふやうな場合、或は假に從前のやうに年末年始の慣例的な休會と云ふものが考へられますれば、それらも入るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=123
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124・大木操
○大木操君 其の國會休會と云ふものは、矢張り本會議、委員會共に全部の休會と云ふことを意味して居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=124
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125・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) さう云ふ趣旨に解釋致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=125
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126・大木操
○大木操君 第三項でございますか「各議院は、議長において緊急の必要があると認めたとき、又は總議員の四分の一以上の議員から要求があつたときは、國會の休會中又はその院の休會中でも會議を開くことができる。」とありますが、兩院で十日なら十日と國會休會の議決をした際に、此の三項に依つて其の日に開會をしたと云ふ場合に、其の日だけが休會から除算されるのであるか、一旦開會されたならば、それ以後の休會日數と云ふものは御破算になつてしまふのであるか、其の邊の御解釋を承りたいと思ひます、さうなると矢張り憲法の六十日なり三十日なりの期間に關係があるのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=126
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127・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 國會の休會を兩院で決めまして、其の休會中に一つ院だけで、或は一日だけ此の末項の規定に依つて會議を開くと云ひます場合は、國會としては矢張り休會中であつて、其の休會中其の院だけが活動をしたと云ふことに相成るのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=127
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128・大木操
○大木操君 もう一遍伺ひますが、假に十日間の國會休會を議決して居つた際に、衆議院なら衆議院が一日開會しても依然として十日の國會休會かあるものと、斯う見ると云ふ御趣旨であつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=128
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129・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 私の申しましたのは、さう云う趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=129
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130・吉田久
○吉田久君 十五條の國會休會のことでありますが、是は兩院の一致の決議で爲される、それから二項の各院の休會は其の院の決議で爲される、而して各院の休會は七日以内と云ふ制限があるのでありますが、此の國會の休會の方は日限の制限がありませぬが、是はどう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=130
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131・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 國會其のものとしての休會の方の日時は兩院で一致した決議に依つて決めることに相成りまするから、それに任してあると云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=131
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132・吉田久
○吉田久君 任せると云ふのは無制限に任して居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=132
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133・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 兩院一致の議決に任してあると云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=133
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134・吉田久
○吉田久君 會期中はもう休會すると云ふやうなことは出來るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=134
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135・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 勿論數日で國會としての仕事が終つてしまへば會期は百日ばかり餘つて居りますけれども、其の間議案がないと云ふやうな場合に於きましては、勿論今仰しやつたやうな決議が出來ると思ひます、兩院一致して決めますればさう云ふことに相成ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=135
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136・吉田久
○吉田久君 休會と云ふものは必ずしも議案がない場合だけに行はれるものぢやないと思ひます、議案があつても休會する場合があると思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=136
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137・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 衆議院と參議院で左樣に決定すれば、議案があつても休會出來る譯だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=137
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138・吉田久
○吉田久君 議案がありました場合でも、議會の都合で休會出來るのであります、必ずしも議案がない時だけに休會すると云ふ譯でもないと思ひますが、衆議院の方では議案がない場合を前提として御説明がありましたから伺ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=138
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139・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今申上げましたのは例を擧げまして、斯樣な場合には想像致されますと云ふことを典型的な想像し得る場合を申上げたのでありまして、言葉が足りませぬでしたことは御詑び致しますが、勿論議案のあります場合に於きましても、兩院で一致して休會の決議を致しますれば休會が出來る、それは左樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=139
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140・吉田久
○吉田久君 其の休會でございますが、國會の休會には、會期中だけはもう休會すると云ふやうな決議ができるのでありますか、さう云ふ場合には議案がある場合に於ても……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=140
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141・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 兩院に假令議案があつても、一致して休會すると決定すれば法理上休會出來ぬことはないと思ひます、唯さう云ふことは政治道徳の上から出來るか、或は政治上した方が宜いかと云ふことは別問題でありますが、法理的には出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=141
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142・吉田久
○吉田久君 もう一つ伺ひたいと思ひます、此の國會の休會の方は、兩院一致の決議で爲される、從つて何時も議決がありませぬ以上は休會出來ないのでございますが、其の場合に此の十三條のやうに「衆議院の議決したところによる。」と、それで決めると云ふやうなことには、休會の場合は致して居らぬやうでございますが、是はどう云ふ譯でせうか、會期延長の場合に付て……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=142
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143・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 此の十五條の場合に於きましては、國會としての休會の外に各議院、衆議院になり參議院なり、各議院限りでの、其の議院の休會と云ふ制度がございますので、強ひて會期の規定のやうな、一致の議決に至らない時には衆議院の議決を優先せしめると云ふやうな所迄考へる必要はないと云ふことが申し得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=143
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144・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 他に第二章に關して御質疑はございませぬか、別にないようでございますから、第三章「役員及び經費」の章に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=144
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145・吉田久
○吉田久君 第十六條に規定して居りまする役員の範圍に付てちよつと伺ひたいのでありますが、役員の範圍は是是だと云ふことを規定して居ります結果、此の常任委員であるとか、若しくは彈劾裁判所の裁判員、それから訴追委員と云ふやうなものが役員の中に入らないやうになると思ふのですが、それはまあ彈劾裁判所のことは更に又御伺ひ致しますが、どう云ふ意味で斯う云ふ役員の中から除かれたのでございますか伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=145
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146・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 此の章に於きまして、役員として書かれて居りますのは、各議員プロパーの仕事に携はりまする重要なる職員として擧げてあるものであります、只今御擧げになりました彈劾裁判所の裁判員でありますとか、或は訴追委員と云ふやうなものは、是は彈劾裁判所其のもの、或は訴追委員會其のもの、是等のものは本來の國會と申しますか、本來の衆議院、參議院と云ふものとは、何と申しますか、張出しとでも申しますか、少し縁の遠くなつた一つの機關として考へられて居る次第でございます、其の意味で副議長でありますとか、常任委員長と云ふやうな國會本來の役員と云ふやうなものとは餘程性質を異にすると云ふやうな風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=146
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147・吉田久
○吉田久君 さう致しますと云ふと、此の三十條の「役員は、議院の許可を得て辭任することができる。」と云ふので、辭任に付ては議院の許可を要するのでありますが、今私が申しました常任委員であるとか裁判員であるとか云ふやうな役員は、是は辭任する時には議院の許可が要るのですか要らないのですか、辭任は出來るだらうと思ひますが、其の辭任に付て許可が要るのか要らないかと云ふことを御伺したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=147
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148・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 彈劾裁判所の關係の裁判員なり或は委員の方の問題は、少くとも只今御擧げになりました三十條の問題としては扱つて居らない譯であります、其の方は其の方と致しまして、別途措置されることに相成る譯でございます、或は場合に依りましては、彈效裁判所法と云ふ法律が何れ出來ますので、其の方ではつきり示されることに相成るかとも思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=148
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149・吉田久
○吉田久君 彈劾裁判所の裁判員はそれで宜しうございますが、各議院の常任委員であるとか、特別委員と云ふものは、矢張り議會の一つの構成員として任命されて居る職員だと思ひます、是が辭める時にはどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=149
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150・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 今の其の委員は、是は恐らく各議院の規則に依りましてそれ等の委員の辭任の手續等は決められると考へて居ります、是は現在に於きましても、左樣に兩院の規則に於て決められて居るやうに承知致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=150
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151・吉田久
○吉田久君 さうすると各委員に付て特別の規則が出來ると云ふ譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=151
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152・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 憲法に基きまして衆議院は衆議院視則、參議院は參議院規則と云ふ内部規定を設ける譯でありますが、其の各各の内部規定に於きまして、各委員に付ての規則を一一細かく設けられると云ふ考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=152
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153・吉田久
○吉田久君 此の委員の章の中にはさう云ふことが謳つてある規定がないやうに思ふのですが、是はどう云ふ譯でせうか委員會の組織等に付ては別に規則を以て決めると云ふやうなことが規定されて然るべきだと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=153
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154・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今申しましたやうに、憲法其のものに於きまして、衆議院なり參議院なり、兩院は各各其の内部規則を決めることが出來ると云ふことをはつきり規定致して居りますので、一々國會法の方に於きまして、此の場合規則で決める、此の場合規則で決めると云ふやうに繰返す必要はないと考へて居る譯であります、現在の議院法の關係に於きましても、一一左樣な規定を置きませずして、當然各兩院の規則に於て決められて居る部分が澤山ございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=154
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155・吉田久
○吉田久君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=155
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156・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 「役員は、官吏と兼ねることができない。」と云ふことが三十一條にありますが、此の十六條の一、二、三、四迄は委員だから官吏と兼ねることは出來ないのでせうが、さうすると、是は事務總長だけに此の規定が適用されるのでせうか、此の意味はどう云ふ意味でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=156
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157・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 事務總長は確に仰しやる通り、最も適例に相成ると思ひます、尚議員其のものに付きましても、現在のやうに、例へば政務官ならば兼ねても宜しいと云ふ現在規定がございますが、此の五月三日以後假にさう云ふ規定が存續致すと致しますれば、此の場合には役員たるものは、國務大臣なり、或は内閣書記官長なり、法制局長官なり、議員と兼任を許されて居るものであつても、役員は其の兼任を許されないと云ふ意味があるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=157
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158・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の三十二條の、「兩議院の經費は、獨立して、國の豫算にこれを計上しなければならない。」と云ふ意味はどう云ふ意味ですか、別に別册の豫算にでもして御出しになるのですか、それとも是は豫算で、議會で決めたら政府も削ることが出來ないと云ふやうな意味なんですか、其處の所はどうなんでせう、「獨立して」と云ふ意味は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=158
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159・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 私共の了解致して居りまする所では、現在は御承知のやうに、兩議院經費は大藏省所管と云ふやうな他所の屋根の下にある譯であります、之を今後は獨立の款項と致しまして、他の款項と離れた獨立のものとすると云ふことに重點があるものと了解致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=159
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160・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、書き方を言つて居られる譯ですな、今の外務省所管とか、大藏省所管とか云ふやうに、別に議院所管とか云ふものを決めて書く、唯書くことだけを別に書くと云ふ、款項を別にすると云ふ、それだけのことなんですか、それならば實際の效果から言へば、何處へ書いたつて、今だつて款項が別になつて居るのですから、大した違ひはないと思ふのですが、それも一つの書き方とすれば、別に害もないやうでありますから、別に意味もありませぬけれども、餘り實益もないやうなことのやうに思いますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=160
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161・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 是は新しい憲法の下に於て國會が中心となつて政治をする、さう云ふ場合に於きまして、今のやうに大藏省の一部に議會の經費が計上されて居ると云ふやうなことでは、國會として自由な活動が出來ないと思ひます、國會として特に調査したいこともありませうし、國會の活動は政治の中心になるのだから、矢張り國會として兩院の經費を獨立したものとして豫算を編成することが、國會の運用に一番必要なことであるとして、特に規定を設けたものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=161
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162・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それにしましても、今でも款項は別になつて居りますし、それを今度の兩議院だけ別の所管でも設けて書かれると云ふことにして見た處で、矢張り大藏省の査定には服さなければならない、査定に服すると云ふことは大變語弊がありますが、内閣へ出して、相當に大藏省で審議して、内閣で査定すると云ふやうなことになりませうし、餘り獨立してとやつて見ても實益がないやうに思ひますが、其の點はどうでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=162
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163・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 是は非常に大きな問題で實益どころではないと思ひます、矢張り議會が獨立した機關として特別な一本の豫算を持つて居ると云ふことが、議會をして非常に自由な活動をせしむることで、是より私は國會を中心とした政治を行ふには必要な項目はないと思ひます、是が今迄の大藏省の主計局の査定に依つて左右されるやうな状態では、本當に國會が國權の中心となつて政治を行ふことは出來ないのぢやないか、是から國會の活動のことを考へます時に、國會は矢張り獨自の經費を立て、獨自の會計に依つて之を處理して行くと云ふことが一番新憲法の下に於て國會が本當の權能を發揮する重要なことである、斯う考へまするし、それから今迄の豫算の編成方法とは、大河内子爵、非常に違ふぢやございますまいか、何としても役人が考へることに依つて豫算が編成されるにあらずして、政黨が中心となつて國政を燮理する上に於て必要なる所の經費を豫算の上に計上する、其の國政運用の上に於て國會が一番中心のものだ、其の國會が獨自の獨立した豫算を持つて居ると云ふことは、非常に意味の強い必要なことであるとして、特に此の規定が設けられたものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=163
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164・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、實際の運用から言へば、性質の違つたものになることは分りますが、さうすると、内閣の方でも此の經費に對しては、自然尊重をして、極端なことがあれば格別、さうでなければ大體手を觸れずにやつて行くと云ふやうな建前で行くべきものと、斯う解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=164
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165・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今の國會等の豫算の載せ方と言ひますか、豫算上の扱ひ方に付きましては、政府と致しましては、之を包括的に、所謂現在の會計法に代ります財政法とでも申しますか、さう云ふ法案の立案の問題と致しまして、大藏省に於て只今研究致して居ります、差當つて此の案の三十二條に付きまして申上げることは、只今植原大臣が述べられたやうな問題の外に、少くとも例へば現在の兩議院の豫算を取ります場合には、議院の事務局から大藏省の會計課長の所へ先づ行きまして、會計課長の所で下ごなしを受けて、主計局の方へ渡りを付けると云ふ段取になる、各省であれば、各省が直ぐ主計局の方に持込む譯であります、さう云ふ差別待遇が少くとも三十二條に依つて撤廢される、是は明かに申上げ得ることで、それ以上のことは、只今大藏省に於て財政法案の方面の問題として研究致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=165
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166・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 研究してと云ふことは、どう云ふことを研究して居るのですか、御差支ない程度で……、餘程有力なものになるのですから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=166
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167・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) ちよつとはつきり申上げ兼ねますけれども、何と申しますか、關係方面と云ふことで表されて居りますやうな方面等の折衝の關係も色々ございます、色々な案が考へられて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=167
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168・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 大變分つて來まして、又私も宜いと思います、思い切つて斯う云ふ時はやつて戴いて、兩議院の經費と云ふものは、特別の必要がなければ、もう査定なんぞはしないで通してしまふと云ふ位に、一つ尊重してやつて貰ひたい、それは兩議院だつて突飛なことでもやればそれは別ですけれども、さう云ふこともないでせうし、又さう云ふ場合はさう云ふ場合で自からやる方法もありませうし、それよりも大事なことは、大藏省のあの査定は實際無茶なんです、植原國務大臣も長く御在職でせうが、此の兩院の經費が馬鹿に少くて、どうにも斯うにもならないと云ふことは御承知だと思いますが如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=168
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169・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 大變な御質問ですが、私は兩院の經費と云ふものは、今の状態から言へば、實際は各省と對立するよりは、以上のものにならなければいかぬと思ひます、大きな圖書館……圖書館と云ふのは、唯議院だけでなくて大きな圖書館のことも考へる、又議院の事務室等のことも皆兩院の支配の下に來る、兩院の管轄すべき、兩院議長の取扱ふことは、國政の上で相當重要な廣い範圍になると思ひます、さうすると今の考へ方と元から違つた考を以て、此處が殆ど豫算の一番大部分を占めると云ふ位になつて、初めて良い民主主義の政治が行はれる位に思うて居ります、容易に其程度にはなりますまいけれども、今迄のやうな繼子扱いだけは眞つ平御免蒙りたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=169
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170・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 實は私も專賣局に居りまして、元の古巣のことを申して甚だ何んですが、經理課長を勤めて居りまして、大藏省の會計がどんなに働くかと云ふことは、能く存じて居る、それを飛び拔けて直かに主計局に交渉する途を拓くと云ふことは、實際に於て非常に効果が違ふと云ふことは能く存じて居ります、體驗して居りますから其のことは存じて居ります、此の案の御趣旨も能く分つて居りますが、何分今の兩院議員の經費と云ふものは目茶々々に少い、例へば圖書の經費なんかでも、是は我々も惡いのです、我々は何も言はないのですから惡いのですが、殆ど見る程のものもない、又此の通り外套を着て質問して居るやうな姿で、殆どなつて居ない、是なんかも經費さへあれば、疾くの昔に何とかなつて居ることなのです、我々は宜しうございますが、國務大臣あたりには大分御年寄の方もあるし、兎に角議員や議會と云ふ建物に居る者は人間扱をされて居ないと云ふのが現状なんです、何故こんなに人間扱をされて居ないかと云ふと、詰り御話の通り繼子扱をされて居るのです、成るべく議員は働かないやうにして置く方が宜い、議員が議事を審査しないやうに、電燈なんか夜點けない方が宜い、電燈なんか點けてやる必要がない、ラヂオなんかも附ける必要がない、聽かなければそれで宜いぢやないかと云ふやうに、總てがさう云ふやり方です、彙報なんか來るのだつて、我々が歸ると彙報が來て、彙報なんぞあつても無くても同じことだ、通ふ時はどうするかと言へば、汽車に乘れるかどうか分らないと云ふ程に待遇され、來られなくつても來られない方が惡いと云ふやうな扱ひ方なんです、總ての扱い方が議員として待遇して居ない、是は我々も惡いのです、決して政府ばかり惡いと云ふのではないのです、我々も重々責任は感じるのですが、斯う云ふやうなことになつた以上は、大藏省の方に十分御掛合になつて、今度やり損なつてしまつたらもう取返しが付きませぬ、今迄のやうな風なことをして、議會だけが人間でないやうな、議員だけが人間でないやうな扱ひをして居るのでは、迚も民主政治も何もあつたものではない、折角良い所へ御氣附でございますから、大藏大臣を此處へ呼び出して聽く程のこともありませぬが、大藏省に於ても十分さう云ふことを御認になつて居ると思ひますが、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=170
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171・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 私は大河内子爵のやうに此の問題はさう心配はございませぬ、と申しますのは、是から新國會法に依れば、總理大臣も各大臣も議會の同意を得なければなれない、總理大臣等も議會の意思に依つて決まるのでありますから……、唯此の問題に付て法規上どうなれば宜いかと云ふ問題でありますが、各省の大臣は各省の豫算に付て内閣に於て意見を述べることが出來ますけれども、兩議院の議長は閣議に出ることが出來ないから、兩院議長が直接其の問題を交渉することが出來ないと云ふ、一つのまあ或意味から言へば弱點があるやうに思はれるのであります、けれども大臣も總理大臣も總て議會に根據を持つ者だから、議會の要求とあればそれを第一に尊重すると思ひますから、大藏大臣の御意見を聽かなくても、今度の新しい國會が出來るやうになれば、其の點は御安心爲さつて宜からうぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=171
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172・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 御趣旨は御分りのやうですから、もう其の位に致して置きます、それから二項を伺ひますが、「豫備金を設けることを要する。」と云ふのはどう云ふことなんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=172
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173・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 私は國會の活動と云ふものは可なり今迄と違つて廣く大きくなると思ひます、それで國會が獨自の豫算を持つ、其の豫算に決められた範圍でない、何か臨時のことが起りました時には、其の臨時の支出が出來るやうに豫備金として準備をして置く必要からと、斯う云ふ考へ方ではなかろうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=173
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174・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと此の豫備金は豫算の超過支出、それから豫算外支出、まあ言葉を換へて言へば、どんな經費でも出せると斯う見て宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=174
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175・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) どんな經費でもと云ふことはちよつと困るのですが、年度の始まりに豫定しないことで、國會の活動としてしなければならぬ不時なことが起りました場合に、又さう云ふことが起り得ると思ひます、さう云ふ場合の備へであつて、どう云ふ經費でもとは申されないと思ひますが、國會の權限内に於て行ふことで、年度の初に豫定して計上されて居る豫算以外に、不時の出來事があつた場合に、丁度今の政府が豫算外に於て天變地異等が起りました時に豫備金から支出する、さう云ふやうなことも考へられまして、此の豫備金の制度を設ける、詰り國會をして十分其の機能を發揮せしむると云ふ意味の爲に設けたものだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=175
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176・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうすれば、今の御答に依れば、金の方で兩議院は先づ困らないのですが、此の支出の手續はどうなるのですか、兩院議長が直ちに上奏して支出をしますか、或は矢張り内閣の承認を得て支出をしますか、其の點はどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=176
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177・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 私の考では兩院の議長の意見に依つて總ての金が使はれるやうになると思ひます、さう私は解釋して宜いのぢやないかと思ひます、此の豫算は總て兩院の議長の管轄の下に入るのでありますから、參議院と衆議院との問題をどうするかと言へば、それは豫算を編成する時に自ら兩院の差別が出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=177
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178・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 大體分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=178
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179・松平外與麿
○男爵松平外與麿君 只今のことに關聯して尚念を入れて置きたいと思ひます、それは豫備金の問題でありますが、今の御話に依りまして大體分りましたが、假に此の國會法の中に豫備金の、制度を設けまして、それに不足を感じた場合、足りなくなつた場合、勿論濫費をする必要はありませぬけれども、正當なる支出に於て行ふ場合に不足を生じた場合、此の豫備金と云ふものを特に今度計上されますと、使ひ放しになりまして、後で如何なることがあつても金を使へないと、斯う云ふことになるのでありますか、或は又一般の豫算經理に於ける豫算超過として、第一豫備金なり第二豫備金の適用を受けることが出來る途が定められるのでありますか、それを念の爲に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=179
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180・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 理窟と致しましては只今仰しやいましたやうに、先づ三十二條の二項の豫備金を使つて、それが無くなつてから、一般の方の豫備金に喰込むと云ふことが考へられますけれども、只今の所はそこ迄考へて居りませぬ、此の三十二條の二項の豫備金から出しまして、尚必要な經費が生じて參りますれば、それは追加豫算と云ふやうな形で、新たに豫算を取ると云ふやうなことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=180
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181・大木操
○大木操君 此の三十二條の「獨立して」と云ふ意味なんでありますが、今迄の御話で最早國會の經費の重要なことは申す迄もないのでありますが、此の「獨立して」と云ふ意味は、矢張り豫算編成上の問題を意味するのでありませうか、皇室費なり、最高裁判所なりと併立して編成すると云ふ意味に止まらずして、内閣の豫算作成權に伴ふ査定權をも拒否すると云ふ意味を此の「獨立して」は持つて居ると、斯う云ふやうなことでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=181
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182・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 先程も申上げた所にも觸れて居る譯ですが、内閣の査定權迄も拒否すると云ふ所迄は、只今としては考へて居りませぬ、唯先程も申しました財政法案其のものの研究の一つの内容と致しまして、左樣な問題も研究問題に取り入れられては居りますけれども、只今の處はそこ迄は考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=182
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183・大木操
○大木操君 前の方へ戻りまして、兩院の副議長の問題でございますが、一人と規定されて居りますが、是は植原國務大臣も昔から能く御主張になつて居つたかと思ひますが、此の際矢張り二人を御設けになるやうな、衆議院としての御意嚮ではなかつたでせうか、どう云ふ、矢張り一人と云ふ從來通りと云ふ點に付ての御意嚮を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=183
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184・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 私共衆議院の意見として聽いて居る所に依りますれば、假議長が出來る、それで補へる、斯う云ふ意味で副議長二人にしないで宜いのだと云ふ衆議院の意嚮で斯く決定されたものと了解して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=184
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185・大木操
○大木操君 此の假議長の選擧のことでありますが、是は現行法では矢張り、議會自治の精神に則つて、其の意味の年長者なり、首席者なりが此の選擧を行ふ建前であると思ふのでありますが、之を今度の規定は事務總長が其の職務を行ふと云ふやうに規定せられて居るのでありますが、矢張り私は從來の議會自治の精神に則りまして、さう云ふ扱ひの方が宜いのではないか、況して事務總長が議長の職務を行ふと申しましても、若しどこか故障があるやうな場合には參事等が其の職務を執ると云ふことになるのではないかと思ひます、どうして斯う云ふ風な規定になつたのか伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=185
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186・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 現在は確か全院委員長が其の仕事を執り行ふやうになつて居つたかと思ひますが、今後全院委員會の制度が國會法に於きましてなくなりますので、そこで事務總長と云ふことになつたと考へます、處で此の事務總長は今度の國會法に於きましては結局各議院で選擧されたものでありますし、さう云ふ點から申しますと、一種の矢張り自治的に選ばれた人であるには違ひませぬ、まあ其の邊の所で尤もな所ではあるまいかと云ふ感じが致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=186
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187・大木操
○大木操君 勿論從來の書記官長とも違ひますことは承知して居りますが、矢張り豫め指名した首席參事等が行ふ場合が生じ得る規定を特に設けられて居ると云ふ趣旨が私は遺憾に思はれるのであつて、全院委員長のないのは承知して居りますが、それがない場合には、矢張り年長者とか、首席者が從來やつて居るのでありますから、それが議會自治の精神に適ふのではないかと思ふので、さう云ふ意味で御伺した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=187
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188・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 別に御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=188
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189・吉田久
○吉田久君 二十六條の職員の中に參事と云ふものが掲げられて居りますが、此の參事と云ふのは現在の書記官と云ふものに相當するのでありませうか、それからもう一つ關聯して二十七條では、「事務總長は、各議院において國會議員以外の者からこれを選擧する。」とありまして、選擧に依つて事務總長が出て來るのでありますが、さう致しますと、其の選擧した國會の議員が迭つたやうな場合には矢張り此の事務總長の選擧も變へる必要が起つて來るのぢやなからうか、さう云ふ意味に於て此の事務總長の任期を設けると云ふやうなことは問題にならなかつたのでありませうか、それから一つ事務總長に付て議院で選擧すると云ふことで任命は出來る譯でありますが、之を罷めるさせる方法はないのですか、罷免する方法はどうなんですか、さう云ふことが此の規定の中に謳はれて居らぬ、それはどう云ふことでありませうか、選擧された以上は何時迄も其の任に在つて議會としては、各議院としては之を罷免することが出來ないと云ふのでありませうか、さう云ふことを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=189
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190・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 最初の參事に付ての御尋でございますが、仰せの通り只今で申しますれば書記官に當るものと了解致して居ります、それから事務總長の任期の問題でありますが、私共も最初衆議院の方で御研究の際には任期を四年としたらどうかと云ふやうな御意見があるやに仄聞致したことがございました、併し其の後變りまして斯う云ふ案になつて居りまするが、恐らく參議院の關係、衆議院の關係、是は議員の方の任期と歩調を合せますと四年と六年と云ふことになつて色々なややこしいことになると云ふやうな點から、一切任期の規定をお止めになつたのではないかと云ふ推測がなされ得るのでございますが、それは運用に任して適當なる結果を得るのぢやないか、それから選擧することは決めてあるが、罷免の手續がないではないかと云ふ御尋もございます、御尤もな御尋だと存ずるのでありますが、事務總長が結局其の議院の信任を得なくなつて信用を失墜してしまつたと云ふやうな場合に於きましては恐らく決議の形に於て、不信任を表明するやうな決議と云ふことで意思が表明されることになります、さうなれば當然事柄の筋途と致しまして、本人たる事務總長としては其の職に堪へないことになりますので辭職すると云ふことになります、それから理窟でございますけれども、此の選任權に付ての規定がありますれば、それを罷免する權能は其の選任者にあると云ふ一つの理窟が是は一般の通念としてあるのだらうと思ひます、其の意味から申しましても、選任權が議院にあると云ふことになれば、理論上罷免權は矢張り議院にあると云ふことで、結局結果に於て運用の適正を期し得る、是で差支ないのぢやないかと云ふ氣持も致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=190
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191・吉田久
○吉田久君 さう云ふことだとすれば、寧ろ此の規定は率直に事務總長は各議院に於て議決に依つて之を任免すると云ふ風に直した方が率直であつて唯其の選擧をして任命するだけを規定して居ると云ふのはどうも少し廻り諄いし、其の間疑惑を起す餘地があるのではないかと考へるのであります、それから今不信任の決議をすると云ふやうな御話でありましたが、事務總長に對する不信任の決議をすると云ふのはどう云ふものでございませうか、又不信任の決議に依つて進退を左右すると云ふやうなことも如何なものでありませうか、それは選擧に依つて議會が任命する職員であると云ふ建前から申しますれば、議會の決議に依つて任命も出來るし、罷免も出來ると云ふことになつて然るべきだと思ふのであります、任期を決めますれば別でありますが、其の任期の間は少くとも地位の保障をして置いて宜いと思ひますが、任期を決めないとするならば、矢張り罷免の場合に付ての規定もして置いた方が宜いのぢやないかと思ふのであります、唯今御話のやうに、任免の權能があるものは罷免の權能もあるのだから出來るのだと云ふことになれば宜しいのであります、議會の決議に依つてさう云ふ趣旨だと云ふことになれば、それは私了承致しますが、其の點に付て疑義があるとすれば、矢張り法文の上に於て明確にして置く方が相當だと私は考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=191
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192・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 理窟の上から申しますれば、事務總長が事務上其の議院の威信を失つたと云ふ時には議員多數の決議で以てそれを罷免すると云ふことは出來るのでせう、併し實際議會の議決に依つて選擧するのでありますから、其の逆を丁度法理的に考へて宜しいが、實際問題とすれば事務總長は其の院を代表する議長の女房役を勤める役でありますから、議長の意見に依りましてそれが信頼して業務を擔當することが出來ないと云ふ場合には、議長から議員に相談してさうしてそれが罷免し得られる手續を執りませうし、又實際問題としては、さう云ふ風に極度にものを持つて行かないでも事務總長が議院の議長の信頼を失つたと云ふ時には、反省して辭任すると云ふことが實際問題に於て行はれることと御了解下すつて宜いぢやありますまいか、政治の運用は然かあるべきものだと私は思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=192
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193・吉田久
○吉田久君 一應了解致しましたが、要するに各議院に於て決議をすれば罷免することが出來る、斯う云ふ風に了承して居つて宜しうございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=193
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194・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 其の通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=194
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195・吉田久
○吉田久君 もう一つ、此の二十八條でありますが、「事務總長は、議長の監督の下に、議院の事務を統理し、公文に署名する。」とありますが、此の公文に署名すると云ふ意味は、議會を代表して公文に署名すると云ふことであるのか、若しくは單に事務總長として公文に署名すると云ふ意味でありますか、公文に署名すると云ふ意味がちよつとはつきりしないやうに思ひます、議會を代表するのは固より各議長であると思ふのであります、唯場合に依つては此の事務總長が議長の職務を行ふ場合がありますが、此の場合は無論事務取扱の事務總長として公文書に署名する、是は當然なことでありますが、普通の場合に外部だけに議會に關する公文の上に事務總長が署名せられて、そこでそれが議會の公文書として通用すると云ふことになるのか、或は唯事務總長一箇の職務に於て規定せられる公文書として署名するのか、どうも公文に署名すると云ふ意味がはつきりしないのでありますが、どう云ふ譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=195
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196・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 此の規定に相當致します條文は現在議院法の中にございまして、議院法の第十七條でありますが、書記官長の職掌を致しまして、「書記官長ハ議長ノ指揮ニ依リ書記官ノ事務ヲ提理シ公文ニ署名ス」、之を大體引寫して此の二十八條の規定と致して居るものと考へられます、そこで扱ひも現在の扱ひと今後に於ても此の點に於ては變る所はないと思ふのでありますが、現在の扱ひを我々承知して居ります所で申上げますれば、書記官長限りの仕事のものも是は勿論あります、是は書記官長が公文に署名することは當然でありますが、議院と致しまして、衆議院なら衆議院と致しまして議長の名前で公文が發せられる場合がございます、例へば議決したものを「議決せり」と云ふ通知を外部に通知すると云ふやうな場合には議長の名前が勿論出ますが、其の横に書記官長の名前が矢張り署名されて居ります、恐らく今後も扱ひは同じ扱ひになるだらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=196
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197・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 十六條の役員に付て御尋しますが、各議院の副議長と云ふ者は外の會社の副總裁とか、副會長とか云ふ者と違つて、副議長としての職務はないのでありますか、副議長が職務を執る時は議長の職務を執る副議長である、さうすると本來は副議長と云ふ者を役員の中に入れるのはどうかと思ふ、先ず是は常識的に見て副議長が役員と言つても宜しいかと思ふのであります、又假議長に付ても同樣でありますが、實は私は役員の中に入れるのはどうかと考へて居るのであります、併しそれは姑く措きまして第四番目の常任委員長と云ふものは議會の役員と云ふことでなく、委員會の役員であるから之を議會の役員とするのはどうかと思ふのでありますが、どうしても是は役員に入れなければいけますまいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=197
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198・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 常任委員は中村君の御解釋のやうに委員會の役員とも解されますし、又議院の役員と解釋される今度の新しい建前であります、今迄は常任委員は皆委員會に於て選擧されて居りましたが、今度常任委員は各院に於て選擧することになつて委員全體の選擧になるのであります、それが一つと、此の常任委員は今迄のやうな議案に對する委員ではなくて、特殊な二十一の委員がありまして、其の委員は議院の機能を運行する爲に作られるもので、議院の本體になるのであります、其の意味に於て常任委員を茲に役員としたと御了解願ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=198
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199・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 只今の御説明に關聯して……二十五條の「常任委員長は、各議院において各々その常任委員の中からこれを選擧する。」、常任委員長は本來常任委員が選擧すべきものである、一體議長にしても、委員長にしても、例へば議長に付て不滿があつても自分の選擧した議長であるからと云ふことで議員がうまく收まつて行く、委員長に付ても矢張り委員は自分で選擧した委員長の言ふことであるからと云ふことで、まあよい工合に議事が進んで行くものと思ふ、然るに常任委員をそつち除けにして置いて、常任委員長を議會に於て選ぶと云ふことはどう云ふものであらうか、常任委員から見れば何だか天降り的な委員長でも來たかのやうな感じを與へて、委員會の運行に障りが起るのぢやないかと云ふ懸念が起るのですが、是はどう云ふものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=199
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200・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 多年衆議院に於て幾多の御經驗を積まれた中村君の御考も一應は御尤ものやうに考へられます、けれども新憲法の下に於て、又此の國會法の下に於ける常任委員と云ふものは今迄の議案が目標で、その議案に對して委員會を作ると云ふのと全く建前が違ひます、此の常任委員と云ふのは、議員の任期中ずつと常任委員が作られて、寧ろ此の常任委員の方に、それの範圍に亙る所の議案を持つて來て付託すると云ふ形になる、さうして此の常任委員の審議の方が全體會議の審議が開かれるよりは先に重い審議になるやうで、此の運用はアメリカの議會で行はれて居る形であります、そこで常任委員の委員長たる人は、其の委員の中からでも亦議會全體の運用の上から見ても、適任者特に其の方に專門の知識經驗を持つ人を選んで、委員に選ぶよりは議會全體として、總ての點を考慮して選ぶ方が運用上私は良く行はれると思ひます、今迄の議會に於ける委員の運用と非常に運用の仕方が違ひ、其の任務が違ひ、而も是は其の議會が四年繼續するものならば四年同じ人がなる、又其の人が再選されれば、矢張り其の人が再び其の地位を占めるやうになると思ひます、だからして可なり常任委員と云ふ人は何期にも通じて、それに練達堪能の士が當ると云ふ立場から、委員會で選ぶと云ふよりは、議院全體が選んだ方が宜いと云ふ考へ方から、斯う云ふ風に定つて居ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=200
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201・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 事務總長の選擧制度に付ては先刻吉田委員から、選擧せられた以上任期を付けてはどうかと云ふ意味の御質問がありました、私アメリカに行つた時事務總長の話を聞いたが、任期がないと言ふ、それぢや政府が迭つたらどうするかと云ふと、共和黨になつても民主黨になつても此の通り首が繋つて居ると云ふ事務總長の話でそれはうまくやつて行くのだと云ふ話であります、私も任期を付けろとは申しませぬが、是は重要な役員であるから、二十九條に事務總長が缺けた時は直ぐ選擧を行ふと云ふ風なことを入れてはどうか、議長、副議長と同じやうに缺員が出來た時には直ぐ補闕をすると云ふ風な規定を入れる方が宜いではないかと思ひます、是には直ぐ首席の參事の人が其の事務を執ると書いてありますが、是は當然のことで、それよりは事務總長が缺けたならば直ちに選擧をすると云う風に二十九條を書替へた方が宜いではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=201
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202・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 中村君に御答へ致します、是は實際問題として一時缺員となつた場合に、參事が事務總長の職務を行つて行つて差支へない範圍に於ては行ふし、本當に支障を來すやうになれば當然事務總長は辭表を出して、さうして事務總長の選擧が行はれる、斯うなると思ひます、運用の上に於ては仰しやる如くなるが、さうきつぱりしないでも、此處で矢張り事故ある時とか缺けた時には先づ參事が其の事務を執る、其の運行が巧く行かない場合には當然事務總長が新たに設けられるものとして、運用上は是で行けるぢやないかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=202
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203・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 他に御質疑ございませぬか、なければ今日は此の位に致して置きたいと思ひます、明日は午前十時より開會致します、今日は是で散會致します
午後三時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=203
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204・会議録情報2
出席者左ノ如シ
委員長 伯爵 黒田清君
副委員長 男爵 松平外與麿君
委員
侯爵 廣幡忠隆君
侯爵 池田宣政君
子爵 大河内輝耕君
子爵 秋元春朝君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 松平銑之助君
子爵 京極高鋭君
吉田久君
男爵 伊藤文吉君
男爵 中御門經民君
男爵 多久龍三郎君
男爵 山名義鶴君
中村藤兵衞君
高木八尺君
大木操君
木下謙次郎君
木内四郎君
山隈康君
河西豊太郎君
馬場恒吾君
片倉兼太郎君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
國務大臣 植原悦二郎君
政府委員
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 宮内乾君
内務事務官 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009100975X00219461223&spkNum=204
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