1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○参議院議員選挙法案
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昭和二十一年十二月七日(土曜日)午前十時十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=0
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001・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 參議院議員選挙法特別委員會を開會致します、三島子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=1
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002・三島通陽
○子爵三島通陽君 私は先日來皆樣の有益な御意見を承つて居りまして、それから政府の御答辯を伺つて居りまして、此の參議院議員選挙法と云ふものが、何だか私共の少し期待に副はない、詰らないと言つては失禮かも知れませぬけれども、少し何か特徴付けるものを豫想して參つたことが、甚だ殘念に思つて居るのでございます、何か參議院と云ふものが、もつと衆議院と違つた特徴を發揮すると云ふことに、もう少し色々な方面から考へて見る必要があるのではないかと思ふのでございます、勿論政府に於かれても、色々御研究になつたでありませうけれども、それをやつて見ると、あつちの壁にぶつかる、之をやつて見るとこつちの壁にぶつかる、或は斯う云ふ弊害があるとか、色々なことに、束縛と言ひますか、掣肘を受けて、結局斯う云ふ何となく、ばあつとしたものになつてしまつたのではないかと思はれるのでありますが、其の點で皆樣がまだ仰しやらない一つの構想が殘されて居るやうに思ふので、其の點政府が御研究になつたかどうかを一應承りたいと思ふのでございます、私は大體職能代表的な議員が參議院に出られると云ふことが望ましいことだと思つて居るのでございますけれども、先日來の御意見を段々伺ひ、それから政府の御答辯を伺つて居りますと、職能代表制と云ふやうなものは非常に望み薄になつて來て居るやうでございます、若し果してさうとすれば、それならぐつと構想を變へて逆なことを考へて見られないかと云ふことが考へられて來るのであります、と申しますのは良い人を參議院議員に出さうとすると、それには色々の方法があらうと思ひますけれども、例へば參議院を樞密院のやうな存在にするやうなことならば、或は良い人が出て來る一つの方法になりはしないかと云ふことも考へられるのではないか、例へば參議院議員に當選した人は、丁度樞密顧問官のやうに色々な職業を皆擲つて議員になると云ふことであるならば、出て來る人が制限されて、良い人が出て來はしないかと云ふことも考へられるのであります、先日大河内子爵が參議院議員の兼務のことに付て御述になりました、私も大變結構な御意見だと思つたのでありますが、其の構想をもつと進めて、さうして全然職業を擲つて議員になる、其の代り其の人は今迄の職業を活かして參議院で十分に活躍して戴く、學者のやうな方々はさうなると先生をやることが出來なくなりますけれども、參議院議員の期間中は先生を御辭めになつて、又參議院議員を御辭めになつた後で再び先生に歸ると云ふやうなことも一つの行き方ぢやないかと思はれるのであります、然らば三十そこそこの學識經驗もない若い人が參議院議員に當選したやうな場合はどうかと云ふことも考へられ得るのでありますけれども、假にさう云ふ若い議員が出て來たとしても又參議院で十分に勉強して戴いたならば矢張り職責を完う出來るのではないかと思ふのであります、先日も大河内子爵が御述べになりましたやうに、さう云つた場合には、參議院議員と云ふ者には十分なる一つ手當を出すと云ふ、研究費なり何なり澤山出して、丁度アメリカの議員が相當の研究費を持つて居られるやうに、調査員なり何なりを雇つてでも勉強する、專心參議院議員として職能を完うする爲に勉強すると云ふことであつたならば、假に若い人が出て來ても相當の力を發揮することが出來るのではないかと思はれるのです、現にそれとは少し違ひますけれども、貴族院議員の中の公侯爵議員の方には隨分若い人も居られて勉強しておいでになり、貴族院議員としての立派な職責を完うせられつつある例は多々あるのでありますから、必ずしも、さう云ふ心配も一應はされるけれども、併し構はないのではないか、併し大體に於ては社會で活動せられて學識經驗のある方々を選出される、さうしてそれ等の人は相當な費用を取つて衣食には十分困らせないやうにして勉強を十分にして戴いて、專心參議院のことをして戴くと云ふやうな構想も一つの考へ方ではないかと思はれるのでありますが、政府に於かれましてはさう云ふことを一應御研究になりましたかどうか、御意見を拜聽したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=2
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003・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 參議院議員が其の他の一般の業務に從事されて居ると云ふ關係に於きましてのことは、兩者が兩立し得ざる特殊の事情がありますならば、他の業務と兼ねることが出來ないと云ふやうな點に付きましては、段々研究もせられ、現に立法もされて居る次第でございまするが、それよりも更に進みまして、參議院議員は恰も樞密顧問官に於けるが如く、他の業務に從事して居つても之を總て絶縁致しまして、參議院議員一本でやつて行くと云ふ點に付きましては、實は臨時法制調査會に於きましても、又閣内に於きましても、只今御述べの構想に付ては餘り論議されて居なかつたやうに承知致して居るのであります、從ひまして私が此處で申上げますことも、私の考に過ぎないことでありまするが、參議院と云ふ國權、國政の最高機關を構成する方に於きまして、或は任期六年間で世間と絶縁すると云ふやうな行き方が果して適當であらうかどうかと云ふ點に付きましては、多大の疑問があるのではないかと考へる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=3
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004・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) ちよつと補足して‥‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=4
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005・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 植原國務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=5
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006・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 今内務大臣の御答で十分だと思ひますが、もう少し新らしい憲法の下に出來る國會と云ふものを徹底的に考へましたならば、今の御考も可成り違つた觀點から御覽になるやうになりはせぬかと思ひますことは、國會法で決まることでありますが、國會の會期は五箇月になるやうになりますが、實は其の期限も私は足りぬと思ひます、是からですな、國會と云ふものは年中行事になる、憲法の本當の趣意から言へば國會の期限を付けて居らぬのであります、唯皆幾らか今迄の頭に囚はれて居るので、まあ五箇月にしたら宜からう、いや三箇月と云ふ議論、四箇月と云ふ議論で、結局國會法は五箇月の會期で出る譯でありますが、其の會期内に決まらない時には幾らでも國會が任意に延長出來ることで、憲法の立て方は議會が中心だ、議會と云ふものは一年中存在して居る、さうして内閣と云ふものは、譬へて言ふならば、議會の行政執行委員と云ふやうな形になつて來るものだ、此の今の憲法で民主主義の政治が行はれるやうになれば‥‥從つて參議院の方で任期三年なり、六年であり、結局はずつと六年になりますが、其の六年の間衆議院の方では色々澤山の委員、十二、三の委員が出來て常置委員が置かれるやうになりますから、參議院の方では二百五十人と云ふ點から言つて、さう衆議院と同じやうな全部の委員を作ることが出來ないやうになりはせぬかと思ひます、從つてアメリカあたりの上院の如く、外交の問題とか、財政の問題とか云ふので參議院の方が六年間繼續して研究するのみならず、それに專門的にずつと研究して行くと可なり練達堪能の士が出來ると思ひます、さうして又本當に參議院の議員として改正憲法の規定に依りまして、民主主義の政治が運用されるやうになるとすると、參議院の方も衆議院に比較すれば權能は少いですけれども、之を絶えず衆議院の下流に流れたり、或は餘り政黨的に偏することを、大處高處から見て本當の職員を完うしようとするならば、可なり御研究なさらなければいけないし、一念之に當る御覺悟でなければ、今迄の議員のやうに色々の仕事をして參議院の職責を完うすると云ふやうなことは出來ない筈だと思ひます、事實に於て私は參議院と云ふものに出て行つた議員が本當に勤めますれば、制限された權限の中で國家の爲に可なり能く活動が出來る、さうして社會的の地位も可なり重くなる、さうして待遇の如きも御承知でありませうが、國會法に於ては、國會議員は如何なる官吏よりもより多くの手當、俸給を得なければならないことに規定されて居るのでありまして、今迄の衆議院や貴族院のやうに官吏の中の最下級の俸給を貰つて居るとか、或は勅任と親任の間の待遇を受けると云ふやうなことでなくて、國會議員と云ふ者は、政治的にも社會的にも日本國の最高の地位を占むる形になるからそれに合せて他の職業を選ぶと云ふやうなことは自ら建前に於て無くなるのではありますまいか、或意味から見れば隱居役の樞密院の地位よりはもつと尊重される地位になることが、此の憲法の精神に依つて自然に起つて來る現象であると思ふのであります、それであるから特に樞密院の地位よりも勝さる地位になると思ひます、社會的にも精神的にも亦さうならなければ新憲法の意味が本當に發揮されない、さうして議員たる者は、今迄はどうも政治は政治家と云ふ專門家に委せるなんて云ふことはいかぬと云ふことでありましたが、議會中心の政治をやる日になれば政治に專念するものでなければ本當に其の任務を果すことは出來ぬと思ひます、掛け持ちやなんぞは‥‥一念政治をやつて行く、國會中心の國政を處理する上に於ては、議員の副業のやうな、今迄のやうな形では私は出來ぬのが原則でさう云ふことを考慮しても、考慮せなんでも、新しい憲法に於ては自然さう運用上なるより致し方ない、さうならねばならぬ、又さうなる心懸けでない者ならば參議院に出ても役に立たぬ、斯う御了解下さることが正しいことではなからうかと、ちよつと、内務大臣の御答辯に滿足だと思ひますけれども、附け加へて申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=6
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007・三島通陽
○子爵三島通陽君 植原國務大臣御親切な御答辯で誠に感謝致します、内務大臣からも縷縷御答辯戴きまして、能く了承を致しました、唯、今植原國務大臣の仰せの如くなかなか兼務して行くのはむづかしいであらうと云ふ御言葉で、是も御尤もだとは思ひまするが、私の申した意味は丁度内務大臣の御答辯に對して一言申上げて見たいと思ひますことは斯う云ふ意味でございます、此の何か職能代表見たいなものが出て來て、さうして自分の組合と云ふか、或は職業と云ふものと常に連絡を執つて居て、議員たるの本分を盡すと云ふことも矢張り一つの、其の議員の職能を果して行く上の非常な好い方法であるとも思はれる、で常に新しい考が其の人に傳はつても來ませうし、又色々な勉強にもなるし、それは好い方法であると思ひますけれども、併し今又植原國務大臣の仰せのやうに全然參議院なら參議院に沒頭すると云ふことは、又望まほしいことなのでありまして、練達堪能と云ふことは其の人の今迄の社會的の經驗で、それを活かして參議院の上に、參議院議員の職能を全うして行く上に活かして行けば、宜いのではないかと云ふ構想も亦出來るのではないかと云ふことを申上げたのでありまして、其の點は植原國務大臣の仰せと、私の考へと丁度一致して居るやうに思はれるのでございます、兎に角斯う云つたやうな構想を一應は考へて見る必要がありはしないか、で又法律で決めないでも實際問題としてさうなるのではないかと云ふ御話なのでありますが、私の申上げました趣旨は、寧ろ法律でさう云ふやうに決めた方が、何と申しますか、さう云ふ方を選出して來るのにはより效果がありはしないかと云ふことなのであります、參議院議員になれば今迄の職能を、職業を殆ど止めてしまはなければならないと云ふことに法律で決つて居れば、立候補する人も餘程二の足を踏んで來る、參議院議員になつてから本當に活動が出來ると思ふ人でなければ立候補しないと云ふことになつて、そこが一つの堰になりはしないか、さう云ふ堰が出來ると云ふことが參議院議員により練達堪能の士を選ぶ一つの方法になりはしないかと云ふことを私は申したのであります、さういふ意味で大體兩大臣の御答辯で了承して、で實際問題として今はむづかしいやうに思はれますけれども、又御研究戴くことが出來れば仕合せと思ひますが、何か今まだ之に付て御意見がございますれば承はらして戴きたいと思ひます、強ひて御答辯の必要もございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=7
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008・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それではもう第二章に付ては御通告がありませぬから、第三章に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=8
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009・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是は此處で伺つて宜いのか何か分りませぬが、十三條に全國選出議員のことが出て居りますが、此の事務を管理する爲に委員會を作るとかと云ふことが出て居りますけれども、兎に角此の全國選擧とか云ふことに付きましては色々なことが行はれて來やうと思ふのですが、是は選擧運動の方へ行つて十分伺はうと思ふのであります、今問題は事務管理ですから、事務の管理のことに限りますが、此の事務の管理と云ふものは、一體どう云ふやうなことになりますか、中央官廳は定めし内務省であらうと思ひます、それから各府縣にでも總てそれを機關として御使ひになつて、さうして此の委員會と連絡を取つて總てのことを御やりになる、又計算などもさう云ふやうな工合にして中央へ纏めて御やりになると云ふやうなことだらうと思ひますが、ちよつと全國のものを短期間にやつて行くと云ふやうなことは大變なことだらうと思ふので想像が付かない、内務大臣から大體の組織と運用を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=9
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010・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の選擧事務は從來市町村長、府縣知事、全國選出議員の例は餘りございませぬが、大體に於きまして府縣知事、市町村長と云ふ所で選擧に關する事務を處理致して居つたのでありまするが、地方制度の改正に際しまして行政事務の一部として之を執行致しますよりも、管理委員會を設けまして選擧に關する事務は擧げて之を選擧管理委員會の責任に移しまして、さうして管理委員會の選任の上にも之を中正な方法を採り、さうして選擧事務の執行の上に於きましても管理委員會の責任に於てやらせると云ふことが選擧の公正を確保する上に於きまして適切であると云ふ見解で地方制度に初めて之を採用したのであります、此の考へ方は新時代に即するものと考へまして、參議院議員選擧法にも之を採入れることに致したのであります、大體のことを御説明申上げますと、管理委員會は全國選出議員に付きましては、委員數を十人と致しまして原則と致しまして是は十四條に依りまして、參議院に於きまして其の議員の中から選擧することに致します、尚第一囘の參議院議員の選擧に於きましては、附則第四條に依りまして參議院が成立するに至る迄の間は衆議院と讀み替へます、從ひまして衆議院議員の中から十人を選擧して管理委員會を構成すると云ふことに致して居ります、さうして全國選出管理委員會は、一二の例を申上げますると、選擧長の選任をする、或は選擧録及び開票の結果の報告書類を保存をする、それから無投票に關する選擧長の報告の受理をする、當選人の氏名等に關する選擧長の報告、又は當選人がない旨、若しくは當選人が定數に達しない旨の選擧長の報告を受理する、當選承諮の屆出の受理をする、再選擧の期日の告示をする、公正證書の付與、當選人の氏名の告示及び内務大臣に對する報告、其の他段々ございますが、大體斯う云ふやうな事務を管理委員會に於て處理するのであります、而して管理委員會の實際の仕事を運營するに付きましては、必要なる事務職員を置きます、書記等の事務職員を置きまして、其の補助の下に於てやることになります、補助者は選擧の事務に馴れて居ります者を選任致しまして、管理委員會の指揮の下に、責任の下に馴れた所に依りまして間違ひなく事務を處理して行くと云ふ建前に致して居る次第であります、尚又全國選出議員の選擧の事務を管理するに當りましては、是は地方に於きましても同一系統でなければなりませぬので、府縣にあります所の府縣會議員の選擧管理委員會、それから町村に於きましては町村會議員の選擧管理委員會をそれぞれ指揮監督を致しまして、府縣の區域に於ける選擧事務、市町村の區域に於ける選擧事務はそれぞれ其の責任に於て管理をすると云ふことに致して居る次第であります、其の點は第十五條の第一項、第二項に於きまして規定を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=10
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011・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうすると地方長官は關係を直接はしない譯でございますか、それとも何かの名前で關係して來ますのですか、地方長官と管理委員は關係があるのですか、どんなになりませうか、或は管理委員會と云ふものは何處迄も書記を使つてやるんで、地方長官なんと云ふものは、關係がないと云ふことになりませうか、其の點はどうなんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=11
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012・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 法律上に於きましては、地方長官、市町村長は此の一連の選擧管理委員會に付きまして關係はございませぬ、唯或は都會議員、若しくは道府縣會議員の選擧管理委員會が此の仕事を運營して行きます上に於きまして、其の委員會の指揮の下に、責任の下に實際の事務を處理して行くと云ふ場合に於きましては、府縣廳、或は都廳のそれに馴れて居ります職員を書記に採用致しまして、實際上の事務に當らせると云ふことはございまするが、法律上は飽く迄も此の管理委員會が其の責任に於て事務を處理する、そこには何等の府縣知事は關與を致さないと云ふ建前に相成つて居る譯でございます、又全國選出選擧管理委員會に付きましても、是は獨立の機關でありまして、内務大臣との間に於きましてもそこに指揮關係、命令關係等は全然ございませぬ、全く獨立したる委員會でございます、唯十三條の第二項に内務大臣の所轄とすと云ふことに致して居ります、是は中央政府に於きます所の事務は大體各省に適當に分轄を致して居りまして、是も一種の政務でございまするが、政務の所轄は明かにして置く必要がありまして、或は豫算を何處に計上するかと云ふやうな點に於きまして、此の所轄を明かにする必要があります、尚又一つと致しましては、内務大臣の所轄になつて居ります以上、内務大臣は選擧管理委員會の仕事が適正に行はれます爲には種々注意を致して居りまして、要すれば管理委員會に對しまして注意を喚起する、乃至はアドヴアイスをすると云ふやうなことは、實際の仕事の運行の上に於きましてはやらなければならぬことと思ひますが、是等も何處迄も注意を喚起をし、アドヴアイスをする程度であります、管理委員會の責任に於きまして、管理委員會の判斷に於きまして、ものを決して貰ふと云ふ點に付きましては、何等の監督的關係はないものと致しまして、さうして選擧事務の執行の中正適正を期すると云ふ建前である次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=12
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013・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の十八條の書記ですが、是は專任の書記もお置きになるだらうと思ひますし、兼任の書記もお置きになるだらうと思ひますが、それは各府縣に依つて違ひませうけれども、凡そどの位の人數をお置きになりませうか、是は高等官も判任官も入つて居るのでありませうが、高等官判任官と云ふものは、今度なくなつたのですが、どんな地位の者でせうか、我我の舊い頭の者は、高等官級の者か、判任官級の者か、或はもつと進んで勅任官級の者で行くのか、其の點はどんなでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=13
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014・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 管理委員會に於きます所の書記は如何なる者を以て任用するかと云ふ點に付きましては、法律上何等規定は致して居りませぬが、管理委員會の事務を間違なく、又能率を上げて執行致します爲には、選擧事務に馴れて居ります者を使ふことが、實際の運用として當然行はれると考へて居るのであります、全國選出議員に於きましては、其のやうな見地に基きまして、恐らく是は内務省の地方局の課長或は課員と云ふやうな者から管理委員會が選任をせられる、任命をせられると云ふことにならうと思ひます、尚又必ずしも之に限りませぬで、一部の者は既に選擧事務の經驗のあります者で、在野の者も必要に依つて御任用になると云ふやうなこともあり得ることと考へて居ります、それから府縣にあります管理委員會に付きましても、多くの場合に於きましては府縣廳の地方課の課長、課員と云ふやうな者が主として任用せられると云ふことに相成らうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=14
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015・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、先づ中央では地方局長、それから地方では矢張り地方課長ですか、さう云ふやうな者がまあ書記と云ふ名前でやると云ふやうなことになりますのですか、それともさう云ふ人達はさうでなくて、もつとずつと地位の低い人がやるのでございませうか、其の邊はどうでございませうか、それとも又兼任書記も出來るし、專任書記も出來るのですが、其の人事は誰が扱ひますか、此の管理委員會の委員が合議の上で扱ひますか、それともどんな風に、或は矢張り人事は府縣知事がやることになるのですか、そこは如何ですか、その二點を伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=15
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016・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 是は、書記は十八條の第二項に依りまして、管理委員會の委員長が任免をされるのでありますが、委員長が任免をされるに付きましては、管理委員會の意向を恐らく徴されるであらうと思ひます、尚又委員長が任命されるに付きましては、例へば内務省の官吏或は府縣廳の職員を任命される場合に於きましては、内務大臣乃至府縣知事と御打合せの上で任命されると云ふことに相成ると思ひます、尚民間人の者を任用される場合に於きましては、委員長に於きまして、民間人の承諮を得て任用されると云ふことになりませうが、此の委員會附屬の書記でございますから實際の作用と致しましては、一段の事務遂行上必要なる要員を任命されまして、其の中に書記長とも言ふべき者を選ばれまして、さうして其處で事務組織が出來るやうなことの必要上、其の邊の組織も自ら整つて行くものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=16
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017・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで段々能く分つて來ましたが、此の書記長と云ふものはどの位の地位の人なんでせうか、今で言ふと高等官の良い階級の人でせうか、奏任官の良いところの階級でせうか、例へば今で言へば高等官三等四等位の人に行くのでせうか、それとも勅任級でせうか、或は又ずつと下つて判任官の五級のところでも宜いと云ふやうなことになるのでございませうか、大體の御見込みはどんな風でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=17
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018・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 是は此の管理委員會の指揮命令の下に實際の實務をやりますことから考へまして、書記長と云ふやうな立場に立ちます者は二級官、元の奏任官級の者がなりまして、所謂平書記の立場に立ちます者には、元の判任官、現在の三級官と云ふやうな程度のところの人が之に任用されると云ふことが實際上豫想せられて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=18
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019・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もう一つ御伺ひ致しますが、此の委員は參議院の議員の中から選ばれると云ふのですが、分り兼ねますが、參議院の議員の人達が其の次の選擧をやらなければ何ですが、やるとなるとこんなことは迚てもして居られないと思ふのですが、何か私が考へ違ひをして居るのかも知れませぬが、其の點はどうでせうか、此の十四條ですな、「全國選出議員選擧管理委員は、參議院においてその議員の中からこれを選擧する」とあります、それで自分は候補に立たなければならず、此の仕事もしなければならぬと云ふのだと無理ぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=19
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020・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 是は參議院が成立致しました曉に於きましては、管理委員を構成して戴かねばなりませぬから、適當の時期に參議院で議員の中から御選擧を願ふと云ふことで運用が出來る積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=20
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021・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつと分りませぬが參議院議員が自分のところの選擧を管理する、さうして參議院議員にも色々段階が出來ませうし、今度は政黨の所屬の人も出來ませうし、參議院議員が是をやるとなるとなかなか厄介だと思ひます、殊に暇がないと思ひます、事實甚處は如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=21
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022・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 參議院が成立致しましたならば參議院で此の各種の委員を御選任になると同じやうな方法に依りまして、直ちに此の管理委員を御選擧願ふと云ふことが可能であるやうに考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=22
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023・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それはそれでもう事務的には譯ありませぬ、事務的には譯ありませぬけれども、可なり是は厄介な仕事だと思ふが、さう云ふ人を參議院から出す、良いか惡いかは別として、假に良いとして見ても其の選び方が今度は政黨と絡んで來ますから餘程むつかしからうと思ふ、其の割振りにしてもやり方にしてもそれは成る程外の外交員だつて、財政員だつて同じぢやないか、斯ういつてしまへばそれきりですが、それとは大分性質が違ふやうに思ひますが、もう少し何かやるならば、公平の立場の者が斯う云ふものをやらないとどうかと思ふのですが、そこの點なんです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=23
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024・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の管理委員會の取扱ひます仕事は、多くは事務的なものでございまして、選擧の結果を左右すると云ふやうな政策的な點は管理委員會の機能には餘りないのでございます、唯其の事務的の仕事も斯う云ふ合議機關に於きまして十分簡素化されるといふことは選擧の結果の公正を保つ上に於きまして非常に望ましいことでございます、其のやうな次第でありますので、管理委員會の職務の内容から考へまして、只今御心配になりましたやうな點は選任上に於て非常に困難だと云ふやうなことはないものと考へて居ります、現に地方制度に於きまして管理委員會を設置することに致し、府縣に於きましても段々管理委員會を選任致して居りますが、其の實績に徴しましても、府縣會で管理委員會を選任することにさ程問題もなく困難もなく進んで居りますから、此の點に付きましては私共大なる懸念を持つて居ない次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=24
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025・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、私は一應そこで止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=25
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026・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 大木君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=26
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027・大木操
○大木操君 私は第九條に付てちよつと伺ひたいと思ふのでございますが、通常此の選擧と云ふのは、參議院議員半數改選の場合の總選擧斯う思ふのでありますが、之を現任議員の任期中に豫め行つて置く、さう云ふ例は餘り今迄立法例がないやうに思ふのでありますが、是は參議院議員の繼續性とか、或は全國選擧の場合に投票の集積が手數が掛かると云つたやうな關係から、斯う云ふ事前に行ふと云ふのかと思ふのでありますが、其の立法の建前をちよつと伺つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=27
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028・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の任期終了前に前以て選擧を行ひますことは餘り前例のないことでございまして、此の點は御尋の通りでございます、唯我が國に於きましては、市町村長等に付きまして前以て選擧を行ひまして途中に於て其の缺員を生じないやうにしようとして居る例がある次第であります、而して新憲法に依りますと、參議院は衆議院議員のない場合に於きまして、緊急集會をやると云ふことになつて居ります、其の點から考へましても成るべく出來るだけ參議院議員が曠缺すると云ふことのないことを致して置きますことが必要だと考へまして、只今申しますやうに、帝國議會に於きましては前例のないことでございますが、此のやうな成るべく議員の曠缺を防ぐことが新憲法の趣旨であると云ふことで、此のやうに立法せむと致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=28
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029・大木操
○大木操君 それから次に此の第九條の二項に關聯してちよつと御尋ねしたいのでありますが、此の二項の規定は勿論能く分つて居ります、半數改選の選擧期日が參議院の開會中に到來するとか若しくは議會閉會の日から三十日以内に跨る場合には其の議會閉會の日から三十一日以後乃至三十五日以内に行ふ、是は極めて明瞭でありますけれども、此の議會開會中に選擧を行ふ、選擧期日が到來すると云ふことは、詰り半數の議員の任期がそこで終了する譯になると思ふのであります、さうすると云ふと會期中に或時期に於ては參議院は半數の百二十五人で其の會期の後半期を運營して行かなければならない、斯う云ふ事態が生ずると思ふのでありますが、さう云ふ場合には參議院としての運營上可なり支障を生ずる虞があるのではないか、斯う思ふのでありますが、それ等に付て何か對處策でも御考になつて居られるかどうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=29
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030・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の第九條の第二項を設けました趣旨は、參議院開會中に議員の任期が終る場合に於きまして、そこに議員の曠缺を避ける爲に開會中に選擧を執行すると云ふことになりますと、是は議事の方に現任議員が專念することを強く要求致しまするならば、現任議員は選擧運動の上に於きまして非常な不利に立ちます、又現任議員が議事の方を捨てられて選擧に專念致されますと、議事の進行上にも支障を來すことでありますので、其の點を考慮致しまして、閉會後に選擧を行ふと云ふことに致したのであります、而して帝國議會に於きまして、議會が閉會になりました後に於きまして直ちに又議會を開かねばならぬと云ふやうなことは、是は多くの場合に於きまして無いことであらうと思ひます、併し是は例外的に議會を閉會して直ちに又次の議會を開くと云ふことも是は實際の必要上起り得ることでありますが、之に對處致します方法と致しましては、現在の衆議院議員の場合に於きます如く、議會の閉會に至る迄は任期が來ましても其の任期を延ばすと云ふ措置が講ぜられて居ります、併し其の措置を講じますることは是は憲法の上に於きまして、矢張り議員の任期は憲法上明定されて居りますので、法律で以て其の任期に異なる規定を作ることは出來ませぬから、其の點は現在の衆議院に於ける例を踏襲することが不可能なのであります、而して議會が閉會になつて尚選擧の行はれぬ先に次の議會を開くと云ふやうな必要の起りますことは、稀有ではございますがありました場合に於きましては、是はそこに議員に曠缺が生じて居りましても、事實已むを得ないと思ひます、其の場合に於きましても議員定數の三分の一以上の議員がありますならば、法定要件は充たし得ることでありまするから、さう云ふやうな場合に於きましては、稀有な場合でありまするが、對處の方法がございませぬので、缺けた儘で進行をするより外は致し方がないものと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=30
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031・大木操
○大木操君 今の御答辯で參議院として會期中後半部の最も忙がしい時期に百二十五人の議員で運營して行かねばならぬと云ふのは非常な是は缺陷があるのではないかと思ふのでありますが、元々私は參議院議員の定數と云ふことに付てどうもまだ實は納得が行かないのでありまして、多少此處で後に戻りまして議員の定數に觸れることの御許しを願ひたいと思ふのであります、大體現在の衆議院議員の約半數に近い二百五十人と云ふ根據は、是は豫て内務大臣から本會議で御説明がありまして、議員の審査、其の他議員としての活動に支障がないと云ふ御説明であつたのでありますが、どうも私其の點まだ納得が行かないのでありまして、今の御答辯に依りますと百二十五人で運營する場合でも仕方がない、斯う云つたやうなことなんでありますが、是は此の議會に於て近く衆議院から提出される新國會法、其の國會法もまだ提出は致されませぬけれども、其の大體の骨格なり、草案を拜見しますると、將來の國會の運營と云ふものは餘程變つて來るのでありまして、私は此の定數を決めるのにも矢張り運營と睨み合せて行かなければならぬと思ひます、先に二百五十人と云ふ枠を作つてしまつて、さうして國會として發展性のある運營の方はどうなるか分らないと云ふやうな、運營の方は後廻しに考へると云ふことはどうも物事の順序が逆ではないかと考へるのであります、そこで國會法の新しい構想に付て例を擧げて申上げますると、新國會法では常任委員會と云ふものが設けられるやうであります、そうして其の常任委員會と云ふのは各部門別に分れまして、法律案から議案から請願に至る迄總てのものを其の委員會で以て處理する、調査もすれば立案もする、又或は其の委員會が公聽會を開くとか、議會の外に出向いて行つて議員が色々調査するを云つたやうなものでありまして、其の常任委員會が今度の國會の本體と言ひますか、根源になるやうに思はれるのでありますが、それが新國會法では豫定されて居りますが、それ以外にも尚數個の委員會が考へられて居るやうであります、さう云ふ場合に於きまして此の二百五十人と云ふものを割り當て考へて見ますると、勿論正副議長とか、色々内閣に人を送り出すとか、其の他缺員もある場合も豫想されませうし、故障のある方もあらうと思ひますので、大體十人内外の委員會になるだらうと思ひます、若しくは十人を缺ける場合が起つて來はしないかと思ふのでありまして、さう云ふ場合其の員數の割當から申しましても私は非常に困難ではないか、勿論是は兩院共通の法律でありますから、衆議院だけが滿足に運營されて、參議院はどうでも宜いと云ふ譯には行かないのでありまして、共通の個數に制限せられますから、其の點に付て私はもつと定數を増加するのが適當である、參議院の機能を發揮の上から言つても、もつと定數を増加しないとさう云ふ支障があるのではないか、殊に半數でやらなくちやならぬと云ふ場合には、其の常任委員會が殆ど三四人で以て運營しなくちやならぬ、是は殆ど運營の破綻ではないか、極端に申しますればストツプしてしまふやうな場合も起り得るのではないかと云ふやうなことを憂へまするので、運營の方を能く檢討の上でそれに應ずるべく、議員の定數を決めると云ふのが順序ではないかと思ふのでありまして、それ等に付てどうしても是で宜いと云ふことの御説明なり御所見をもう一度伺ひたいと、斯う思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=31
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032・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の問題は國會法に關聯することだと思ふのでありますが、國會法がどのやうになりますか、今はつきりしたことを申上げる時期になつて居りませぬが、聞く所に依りますと、國會法に於きましては委員會は凡そ十五、六のものになるやに承つて居るのであります、それから更に委員會に於ける兼務兼任は餘り多數は認めない、一人の議員が二つの委員會のメンバーになられることは可能なやうに承つて居ります、斯樣な次第でありますので、只今御述になりましたやうな百二十五人と云ふことになりましても、是は稀有な場合でありまして、大體運用は出來得るであらうかと云ふやうに考へて居る次第であります、尚又此の九條の二項に依りまして、議會の開會中に任期が盡きると云ふことで、此の二項の適用に依りまして選擧の期日が伸びますれば、次の議會からはさう云ふやうな事故は生じないことになりまして、此のやうな故障は一囘は生じましても、次囘からは其のやうなことが先づないと云ふことにもなりますので、大體運用上に於きまして、政府と致しましては大なる支障ないものと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=32
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033・大木操
○大木操君 唯單に大なる支障がないと云ふだけでは、どうも私にはまだ納得が行かないのでありますが、それ以上は申上げてももう討論に亙ると思ひますからして、止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=33
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034・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 作間君、居ませぬければ、外に御通告がありませぬので御相談を致します、第四章、五章、六章にはまだ御通告がないのですが、なければ第七章に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=34
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035・永井松三
○永井松三君 若し第四章に入るならば、ちよつと御通告致したいのですが、第四章に通告がおありの方が濟んだ後でも宜しうございますから‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=35
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036・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それでは第四章に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=36
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037・永井松三
○永井松三君 第四章の御審議が濟みますれば、事少しく細かいことになりますので他の質疑等がすみましてからと思つたのですが、外にないさうですからして、之を政府立案側に御尋ね致しますが、それは第二十三條には投票所のことが出て居ります、「選擧人は、投票所において、」と書いてありますから、此の投票所に付て何等どう云ふ風にするかと云ふことが參議院議員選擧法に付ては出て居りませぬ、衆議院議員法の方には或程度書いてあります、こちらには書いてありませぬが、此の投票所と云ふことに付て幾分の考量を繞らさなくてはならないかと考へますので、之に言及するのであります、投票所の設置の如何が存外選擧の結果に影響すると云ふことがあるのであります、殆どそんなことはないやうに御同樣に思はれますけれども、ドイツ國家社會主義勞働黨、即ちヒットラーの黨が最大多數を得ましたものですから、そこで政權を取ることになつて議會を解散して、第一囘の總選擧を致したのであります、其の際に其の政黨は、即ちヒットラーを總統としまして、全國一票も反對者がない結果になつて來たのであります、茲に於てかヒットラー初め外の同黨の首領株の人の演説報告等に於て全國民一致の結果を得て居るぢやないかと云ふことを申したのであります、表面に於ては正に其の通りでありますけれども、どうしてそんなに良い結果を得たかと云ふことを仔細に研究致して見ますと、幾つかの原因がありますが、其の中の原因の一つで此處で拾ひ上げて申上げたいのは、投票所の數を非常に多くした、言葉が少しく過ぎますか知れませんが、一町に一箇所置くと云ふ風に投票所の數を非常に多く致しましたからして、表面の理由は投票者の便宜の爲に之を置いたと云ふことになる、成程忙しい投票者が遠くへ行くよりか近い所で投票した方が便利でありますから、一應良く聞えて居つたのでありますが、併しながら投票者が少いと云ふことは其處の投票數の少いことであつて、さうしますと、其の區域に屬して居る投票者が誰だと云ふことは、凡そ分つて居りますから、其の投票の結果と投票者とを睨み合せて考へると、誰が反對したか、誰が贊成したか、直ぐ分る組織になつて居りましたから、誰も反對すればどう云ふ制裁を受けるか分らない恐ろしい世の中でありましたからして、誰も彼も皆贊成の方に、即ち同政黨の政綱其の他を贊成しまして、同黨の爲に投票をしたと云ふ結果になつて來るのであります、即ち投票所の設置數が多いか少いかと云ふことが矢張り選擧技術の上から言ひますと考へなくてはならぬことであります、既に此の邊のことは内務當局其の他我が國の選擧のことに付ての研究を重ねて居りまする諸先輩に於て十分氣が付いて居らるることかと思はれますが、併しながら第二十三條を見ましただけでは、唯「投票所において、」と非常に簡單に書いてあつて、投票所に付て何等の制約が加つて居らぬのでございますが、是で宜しいものでありませうか、如何でありませうか、其の點を提案政府側に御尋を致したい、それと關聯致しまして、投票紙には「自ら議員候補者一人の氏名を記載して」となつて居ります、自分で投票者が書くと云ふことになつて居ります、此の點も選擧技術に屬することで、本委員會に於て私は此處で申すのも如何かと思ひますが、今囘の憲法の精神竝に規定が絶對に民意の自由表示を記載致して居るのでありますから、自分で筆を取つて書くと云ふことになりますると筆跡が殘ると云ふことになるのであります、是は自分で名を書く場合と、それから皆樣も直ぐ御推察が出來るやうに、候補者の氏名の印刷してあるものに印を付けると云ふ投票の方法もあるのでありまするが、我が國に於ては衆議院も亦今囘の參議院も自書の方法でやることになつて居りますが、是は是で差支へないものでございませうか、如何でありませうか、事甚だ細かいことになつて居りまするが、第二十三條の第二項には「投票用紙には、選擧人の氏名を記載することができない。」と云ふ風に無記名と云ふことが茲に書いてある位でありますから、矢張り出來るだけ自由の意思表示を記載して居る立法であります、さうしますと自書と云ふやり方よりは今申しますやうに候補者の名を印刷して置きまして之に何かの印を付けると云ふやうなことにした方が宜いのぢやないかと云ふ風に考へますが、無論此の邊は御研究濟と思ひますが、本員の啓蒙の爲に御示を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=37
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038・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 我が國の選擧に於きましては衆議院議員の選擧が多年行はれまして、此の點に付きましては我が國の國情或は實際の成績に依りまして、段々と衆議院議員選擧法の諸規定は發達を致して、大體各方面から惡い點に付ては是正を致しまして、今日に於きましては滿足すべき状態に發達して居ると思ふのであります、斯樣な次第でございますので、參議院議員選擧法の立案に當りましては、此の法律の上に特に規定をする必要のありまするもの以外は衆議院議員の選擧の例に依ると云ふ建前で立法を致して居ります次第であります、或は將來に於きましては國會議員選擧法と云ふやうなことに致しまして、參議院議員選擧法と衆議院議員選擧法の二本建を一本にした方が適切であるかも存じませぬ、要するに衆議院議員の選擧法の例に出來るだけ依ると云ふ建前を執つて居るのであります、只今御指摘になりました二十三條に於きましては投票所のことに付きまして殆ど規定がないのであります、此の點は其の建前を執つて居りまして、二十八條に於きまして、「この法律及びこれに基いて發する命令に規定するものの外、投票については、衆議院議員の選擧の投票の例による。」と云ふことに致しまして大體衆議院議員選擧の投票の例に、茲に規定して居ります以外のものは據ることに致して居る次第であります、次に此の投票所の數の問題でございますが、我が國の從來の選擧に於きましては投票所の開設數が少なきに失しまして、それが爲に交通關係或は選擧の時期に依りまして棄權者が多くなつて居ると云ふ弊害がございますので、殊に又有權者の數が殖え、普通選擧になり、更に女にも選擧權を付與すると云ふことになりました今日に於きましては、一層投票所の數が少なくて混雜を激しくすると云ふやうなこともありまして、投票所を増設すると云ふことが非常に要望されて居りましたので、此の點に於きまして曩の衆議院議員の選擧に於きましては、投票所の増設と云ふことに相當の努力と配意を致して來て居るのであります、而して大體の標準と致しましては、國民學校の數に等しい位の投票所を設けることが適當であらうといふことで、其の線に沿ひまして進んで居ります、是は地方に依つて違ひますが、大體國民學校の數と同數の投票所を設けられた地方が多いのでありますが、まだ其處迄至つてゐない所も府縣に依つてあるのであります、今後に於きましては國民學校の數に相當する位の投票所は是非設けたい、さうして其の程度の投票所でございますと、選擧の公正乃至祕密投票の實を收める上に於きましても何等弊害がないと云ふ見解で居る次第であります、それから次に投票に於ける自書主義でありますが、是は我が國の衆議院議員の選擧又地方選擧に於きましては當初からずつと維持せられた原則でございます、恐らく此の主義を立てられました理由は、文字の讀めない程度の人には選擧を致させなくても已むを得ない、其の程度の教育のある者を要すると云ふ所に立脚して居るものと考へます、近時教育は非常に普及致しまして、今日になりますれば自書が出來ないからとして選擧をさせるだけの資格が無いと云ふことに考へることはどうかと云ふやうな議論もございます、又諸外國に於きましては候補者の氏名を印刷致して置きまして、さうして自分の選ばむとする人にマークをすると云ふやうなことが諸外國には廣く行はれて居ります、それ等のこともありまして自書主義を捨てて記號式に改めたらどうかと云ふ意見もありまして、此の點に付きましては選擧方法の改正と同時に我々の方に於きましても研究は致して居りますが、まだ自書主義を捨てまして其の方に移つた方が宜しいと云ふ結論迄には至つて居ない次第であります、從ひまして參議院議員選擧法の立案に當りましては、從來通り自書主義を踏襲することに致して居ります、尚此の自書主義を踏襲しなければならぬ點に付きましては、全國選出議員の場合に付きまして、候補者の氏名を印刷して置いて其處にマークをさせると云ふことは今日の状態と致しましては實施不可能であると云ふことも實はあるのであります、併し是は更に考案を致しますと何等か御工夫があるかも存じませぬが、參議院議員選擧法の立案で全國議員を認めますと、自書主義を矢張り維持しなければならぬであらうと云ふ一應の結論を持つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=38
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039・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それでは他に六章迄はございませぬから第七章に移ります、大河内君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=39
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040・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の第五十五條ですが、供託金が斯う云ふやうになつて、さうして相當數に達しなければ沒收すると云ふのですが、是は成る程斯う云ふ必要も出來て來ようと思ふのですが、もう大分候補者の地位も進んで來ようと思ひますし、まあさう云ふ此の間からの御説明で、詰らない候補者は出さぬやうにするのだと云ふやうな風でもあります、殊に今度は初めての選擧でどう狂つて來るか分らないので、眞面目に出ようと思ふ者でも、是だけに達しないと云ふ場合は幾らもあらうと思ふ、どの位の數に是がなりますか、大分此の五十五條の二項に依る數と云ふものは可成り高いものだと思ふ、殊に全國などの時に隨分高いだらうと思ひます、期う云ふことは少しそんな點から考へて無理ぢやありますまいか、若し好い加減な候補者が出ていけないと云ふならば、まだ他に幾らも止めやうもあり、さう云ふことは良いか惡いか知りませぬけれども、いつそ金を納めさしても宜いと思ふ、沒收すると云ふことはしないで、納め切りに納めさしても、それで宜いと思ふ、何か斯う此の規定は大變候補者と云ふ者を馬鹿にしたやうなことで、嫌な感じのする規定で、何とかもう少し紳士扱にするやうな風に行かぬものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=40
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041・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の供託金の制度が設けられましたのは所謂泡沫候補の濫立を防ぐと云ふ趣旨に外ならないと思ふのであります、最近に行はれました衆議院議員の選擧に於きまして、御承知のやうに立候補者は三千人に垂んと致しまして、實際の得票數を見ますると、中には百票に滿たざる投票しかなかつたと云ふ者もございます、數百票に止まつて居る人は相當多數であります、所謂泡沫候補と思はれるやうな者も相當多數であつたのであります、何等か供託金制度がありますことに依りまして、或程度の泡沫候補を防止すると云ふ作用はあると思ふのであります、而して此の不眞面目なと申しますか、賣名的な、自分で當選するだけの自信もないと云ふ人がどんどん立候補されると云ふことなりますと、選擧の公營等が非常に混雜して參りまして、選擧執行の上に非常に支障になるのであります、尚又此の選擧の公營に於きまして、衆議院議員の選擧に於きましては選擧公報の相當行屆いた行き方を致して居りまするが、今囘の參議院議員の選擧に於きましては、あの程度の選擧公報の發行は到底不可能でありまして、候補者の經歴等を簡單に表示致しましたものを有權者に公營で以て配付すると云ふことに致しますと、其の經歴公報は恐らく三百字とか四百字位に、一人に付て其の位に限らなければならぬと云ふやうなことに相成つて居りますので、何等かの方法に依りまして泡沫候補を制限すると云ふことは一層必要を痛感致して居りますので、今日の經濟上の關係も考へまして、供託金の額を五千圓に増額致しまして此の第五十五條を立案致しました次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=41
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042・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 是は私の申す意味は、新しい斯う云ふ選擧法なんですから、どう云ふ風に運營されて行くか分ららない、泡沫候補にならざる者だつて相當な得票を取れない場合も起らうと思ふ、寧ろさう云ふことならば、無責任な候補が立つていかんと云ふならば、沒收なんと云ふことを止めて、初めから五千圓を納めさしてもそれで宜からうと思ふ、それで何か得票が取れないと云ふと大變不都合なことでもしたやうな風に一般に見えますが、今度の新しいやり方ですからどう狂つて來るか分らない、必ずしも取れない人が泡沫候補だと言ふことは出來ないと思ふ、衆議院の方ではそれが言へませう、大概見當が付いて居ります、府縣を全體としてならば成る程さう云ふことを言つて宜からうと思ふ、大概見當が付いて居ります、全國の者に持つて行つて斯う云ふことをやると云ふのは少し無理ぢやあるまいかと私は思ふ、其の點と、もう一つは序でに伺つて置きますが、全國の候補者で、假に有效投票が今度の衆議院の有效投票と同じ位のものだと前提しますと、議員の定數を以てそれを割つた數の十分の一と云ふのはどの位になりますか、それも併せて伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=42
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043・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 御尋の點は、棄權者の數にも依ることでありますが、大體の見當と致しましては、全國議員の場合に於きましては約三萬票、地方議員の場合に於きましては約二萬票が此の十分の一となるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=43
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044・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は是で‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=44
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045・下條康麿
○下條康麿君 只今大河内子爵から述べられた點に關聯して居る問題でありまするが、得票の計算、有效投票の計算の方法に、地方選出の場合は有效投票を定員で割つて、更にそれの四分の一、全國の場合は同じ場合の八分の一と云ふことになつて居るのですが、それで計算して見ますると、要するに全國の場合は有效投票を百人で割り、更に八で割りますから八百分の一になる、それに對して地方選出の方は平均して考へますと、百五十人で割つて、更に四分の一ですから六百分の一になる譯です、で政府も全國の選擧に於きまして、投票が一方に集積するだらうと云ふことを豫想して左樣な數字になつて居ることと思ひます、亦左樣な御答辯もあるやうでありますが、其の程度で宜いかどうかと云ふことが問題で、是は程度の問題でありまするが、何しろ今囘の全國選擧は見透しが十分に付かないので、成るべく此の數字は安全にした方が宜いのぢやないか、丁度六百分の一に對して八百分の一と云ふと、約三割位の割増しになつて居るのでありまするが、或はもう少し之を減す必要があるのぢやないかと云ふやうな考を持つて居るのであります、計算して見ますると、全國平均が四萬五千に對して三萬五千になる譯であります、もう少し是は全國の數を減す必要があるのぢやないかと云ふことを御尋ねしたいのであります、私は實は有效得票數に付ては只今大河内子爵が述べられた供託物歸屬得票の斯樣な規定は要らぬのぢやないかと云ふことを考へて居ります、昔から斯う云ふ規定があるものであるから傳統的に殘つて居るのであつて、寧ろ法律的に考へて見ると、斯う云ふ規定は要らないのぢやないかと考へます、詰り學校の入學試驗と云ふものが定員を超えた場合にありますが、定員を超えなければ當然志願者が入學するのと同じやうに、此の參議院議員選擧でも、定員の數だけの候補者がなければ、投票を用ひずしてそれが當選になるのであります、其の思想から言へば、假に百人の定員に對して百五十人出た場合に、百番で打切つて、後は全部是は落選と云ふことで宜いので、別にさう得票を何點であると云ふやうなことを計算する必要はない、勿論學校の場合でも或は六十點以上でなければ入學出來ないと云ふやうな考でやつて居る所もありますが、大體は矢張り選拔試驗ですから、結局數で以て抑へて或時は五十九點で入學する時もあるが、或はもつと下つて五十點で入學する時もあるのであります、斯う云ふ規定は寧ろ排除する方が宜いと思ふ、現實に百番迄の人を當選にする方が宜いのぢやないかと考へて居ります、假に一歩を讓つて若し之を此の儘殘したとするならば、此の全國選擧の得票數の八分の一と云ふ數字をもう少し殖やして或は十分の一位にした方が宜いのぢやないかと云ふ考を持つて居りまするが、政府の御考は如何でありますか、それからもう一つは今大河内子爵が述べられた此の供託物國庫歸屬の御話でありまするが、地方の此の今の法定得票數は地方の場合と全國の場合と比べて全國の場合の數を少くしてあるのであります、例へば今六百分の一に對して八百分の一とありますが、どう云ふ譯か間違ひぢやないかと思ひますが、供託金の場合に付ては逆になつて居る、全國の方が數が殖える、同じ十分の一でありますから、地方選出の場合は百五十人で十分の一ですから、千五百分の一になる、此方は百人で十分の一だから千分の一になる、却て逆になるので、どうも今の供託金沒收の規定とそれから有效投票の得票數の規定とがちぐはぐになつて居るのぢやないかと思ひます、此の點はどう云ふ風に考へて居られますか、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=45
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046・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 此の法定得票數の點でありますが、是は從來の選擧の立法例に於きましては、選擧の種類に依りましてまちまちになつて居つたのでありますが、最近の地方制度の改正に依りまして、法定得票數は此の五十六條にございますやうに、大體四分の一と云ふことが我が國の選擧に於きまして一貫した建前のやうに相成つて來て居るのであります、而して法定得票數を設けられました趣旨は、私から申上げる迄もなく相當數の輿望を擔つた人でなければ議員とするに適しないと云ふ考へから來て居るものと思ひます現に先の衆議院議員の選擧に於きましても、法定得票數を得る者が議員定數に達しなかつた爲に、福井縣及び東京の二區に於きましては再選擧も行はれたのであります、此の考へ方は政府と致しましては維持した方が適當であらうと云ふやうに考へて居る次第であります、それから次に參議院議員の選擧の際に於きましては、全國議員と地方議員との間に於きましては、成るべく同一條件を維持したい、それが適當であらうと云ふ見解を持つて居るのでありまするが、唯全國選出議員の場合に於きましては、是は實施して見なければ分らないことでありますが、我々の見込と致しましては、全國選出議員に於て一部の候補者に投票が集中致して來ます關係から、一般原則の四分の一と云ふ法定得票數の規定では、一囘の選擧に於きまして所要の議員定數を滿たすことが困難な場合が起るのではないか、其處に心配がございますので、得票數を特に下げまして、下げる必要があつて、若し其の措置を講じませぬと、直ちに全國選出議員に付きましては再選擧をやらなければならない、全國に亙りまして再選擧をやりますことは非常に手數も掛ります、又費用も掛り、成るべく之を下げた方が宜からうと云ふ見解から、之を下げることになつたのでありまするが、之をどの程度に下げるかと云ふ點に付きましては、的確なる其準を發見することは困難でありまするが、先づ四分の一の半分位に致したら適當ではなからうか、五十五條の二項にございますやうに、供託金の沒收點が十分の一になつて居りまするから、十分の一よりも高い所、さうして八分の一程度に決めることが先づ適當であらうと云ふことで、立案を致しました次第であります、次に此の供託金の沒收點を全國議員と地方議員との場合に於きまして、通じて十分の一に致しました、是は他の選擧に於きましても、此の數字に相成つて居りまするし、兩者の議員に付きまして區別をする必要はなからう、一律にして宜からうと云ふ見解で之を立案致した次第であります、尚御參考に申添へて置きますが、五十六條の第一項に依りましての四分の一の得票數は、大體四萬七千票と云ふ見込で居りますそれから此の八分の一は、即ち全國議員に於きましての法定得票數は、凡そ三萬五六千票と云ふ見込で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=46
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047・下條康麿
○下條康麿君 今法定得票數は地方選出の場合に比べて、全國の場合は半分位にしたいと云ふやうな御考のやうに伺つたのですが、半分にならない、此の數字では半分としますと云ふと、六百分の一に約五割ですから九百分の一になると思ひます、數字がどうも今の御説明では合はないと思ひます、或は其の九百分の一でもいいのかどうか、將來の見透しが十分ない場合には最も安全な方法を取ると云ふことが妥當だと思ふ、或はもう少し此の數字を下げる、但し今御話の中にあつたやうに、供託金沒收の得票數が十分の一であるから此の枠に嵌ると云ふ、是は或は次に述べますが、間違ひだと思ひまするが、之の關係から見ますと、數字を殖やせばいい譯になると思ひます、それから今の供託金の方は、十分の一と云ふ其の分數の紙の上の數字は同じですけれども、基礎が違ふのでありまして、詰り一方は百五十分の一、一方は百分の一の場合の十分の一であります、是は同じにならないのです、間違ひだと思ひますが、もう一度伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=47
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048・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 大臣より御説明のございました四分の一、八分の一のそれぞれの區別は、片方は申す迄もなく四分の一の場合には、各選擧區に付て選擧が行はれまする爲に、八人乃至二人のそれぞれの定數に付て起つて參りまするし、八分の一の全國の場合に於きましては、全國を一選擧區として致しまするから、從ひまして大臣から申述べられましたやうに、全國を纒めて數字を出しますとあのやうに相成りまするけれども、個々の選擧區に付て考へまするならば、四分の一と八分の一のウエートは、八分の一の方は四分の一に比べまして半分だけウエートを經く見てあると云ふことは申して宜しいかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=48
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049・下條康麿
○下條康麿君 其の點はよく承知して居りますけれども、今の各都道府縣の各地方の選擧區の場合の計算は一應一つ計算書を出して戴きます、それから今の第二點に付ては、御答辯がございませぬが、今の供託金沒收の十分の一の計數です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=49
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050・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 供託金の沒收點を、全國議員と、地方議員と同一に致します理由は、供託金の沒收と申しますることは、物的擔保を要求致しますことの善し惡しは別と致しまして、物的擔保を要求致しまする以上は、全國議員に付きましても、地方議員に付きましても、其の擔保價値と云ふものに付ては差別がないのが當然だと存じます、沒收點と云ふ或得票數を抑へて、それに依りまして沒收するが、泡沫候補を抑制すると云ふ基本原則に付きましては、全國議員も地方議員も差別がないものであります、從ひまして數字の上で差が出來て參りましても、是は其の故に、數字を合せますが故に、十分の一と云ふ標準に差別を設けることは理由のないことでありまして、此の點に於きましては、同じ標準で當然行かなければならぬものと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=50
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051・下條康麿
○下條康麿君 是以上は議論ですけれども、供託物の價値が違ふ譯ですが、詰り得票數に依つて價値が決まる譯ですから、何點以上と云ふ割合を具體的の得票數に依つて取られる、取られないと、價値が變つて來るので、而して同じ數字だけでは、元の定員が違ひますから、同じ譯になりませぬ、是は明かに間違ひだと思ひますけれども、是以上は議論ですから止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=51
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052・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 本日は是で散會致しますが、明後日は午前十時開會を致します
午前十一時五十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=52
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053・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 林博太郎君
副委員長 男爵 高木喜寛君
委員
公爵 桂廣太郎君
侯爵 細川護立君
侯爵 中山輔親君
伯爵 橋本實斐君
子爵 大河内輝耕君
子爵 三島通陽君
子爵 水野勝邦君
桑木嚴翼君
平塚廣義君
永井松三君
吉田久君
下條康麿君
川村竹治君
男爵 伊江朝助君
男爵 松田正之君
男爵 肝付兼英君
男爵 松平齊光君
男爵 小原謙太郎君
大木操君
松本學君
結城安次君
小山完吾君
山地土佐太郎君
秋田三一君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
國務大臣 齋藤隆夫君
遞信大臣 一松定吉君
國務大臣 植原悦二郎君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00419461207&spkNum=53
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