1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○参議院議員選挙法案
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昭和二十一年十二月九日(月曜日)午前十時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=0
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001・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 只今より參議院議員選擧法案の特別委員會を開會致します、御諮を致します、慶松君より、皆樣の御贊成を得まして、委員外でありますが、職能代表に付きまして質問を致したいと云ふ申出がありました、之を許可して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=1
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002・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 御異議ないと認めます、慶松君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=2
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003・慶松勝左衞門
○委員外議員(慶松勝左衞門君) 私委員外でありながら罷り出まして、皆さんの貴重な委員會の時間を割いて戴きましたことに付て第一に厚く御禮を申上げます、私は皆さんから既にもう十分に御研究になつて居ることとは存じまするが、職能代表制度に付きまして、私の意見を一つ御聽きを願つて、さうして政府の御意見も承りたいし、さうして私の意見が大體に於て可能であれば、十分委員會に於て御討議の材料として戴きまして、完全なるものに練り上げて戴きたいと云ふ希望を持て實は今日罷り出た次第であります、私は此の議案を拜見しまして、どうも百名と云ふ一選擧區であると云ふことは、余りに漠然として居つて、どう云ふ人が出るか、實に憂慮に堪へぬやうな點もあるので、あの百名を職能代表と云ふことに致して、さうして丁度他の百五十名が地域的に或一種の制限があると同樣に、職能的の制限と云ふことだけを加へることに依つて、其の他は全く自由にして、憲法に違反しない程度に於て職能代表を出し得るならば、最も宜いことでなからうか、又豫ねて私が議場に於て承つて居るやうに、矢張り色々な所謂學識、經驗、練達の士を出して、さうして衆議院に對する一つのブレーキの役をすると云ふ點に於きましても、此の職能代表と云ふものは、若しも制度の上でそれを出し得るならば、最も望ましきことでないかと思ふのに付きまして、私が豫ねてから非常に愚案でありまするが一つの案を拵へたので、それを皆さんに御聽きを願ひたいと思ふのが私の心情であるのであります、第一に御斷りを致して置くのは、總て此の職能代表に付て今日迄行はれて居る議論では、新憲法に反すると云ふのが第一の論據のやうであります、私も法律家ではありませぬが、四十三條、四十四條の規定に付きましては、一應檢討を致しまして、私の試案は先づ憲法には牴觸して居ないと、斯う考へるのであります、況や、如何に職能を決めましても、選擧する方はもう全く自由でありまして、全國一選擧區で、候補者の誰を選んでも選擧人の方は差支はないと云ふ原則の下に私の案は立つて居ります、從つて選擧民が如何なる候補者を選擧しようとも差支ない、是が私の立案の第一根本であります、又第二には、候補者は多少それは職能的に制限は加へます、それは地域的にも制限は一方に加へられてあると同樣でありますから、私は地域的に制限を加へ得るならば、職能的に制限を加へても格別差支へないと斯う考へるのであります、況んや私のは職能的の制限を加へるとは云ふものの、假りに先づ法律の職能、假りに醫術の職能、斯う致して、さう云ふやうな工合に分類を致しますが、併し必ずしも醫者が其の法律的の職能の方から出られないとは云へない、何故ならば、若しも醫者にして十分の法律を研究して、自分は法律の方の職能代表として出られ得るだけの自信があると云ふならば、それから出ても宜いと云ふ私は見解を採つて居りますから、從つて一つの規定の上では、表の上では職能を制限致しますが、併し候補者其の者が立候補致します場合に、如何なる職業の部分から立候補致しても差支へないと云ふだけの自由を持つて居るのであります、之を寧ろ地域的のに較べますと、其の地域より出られない、外の地域からはもう出られないのでありますから、寧ろ地域的の制限よりも、其の制限の程度が非常に緩和されて居るやうに考へるのであります、左樣な先づ憲法上の問題を餘程愼重に考慮致しまして、素人ながらも差支はないと考へまして、初めて私は私の私案を茲に皆樣方に御披露申上げたいと考へるのであります、先づ私は此の數に付きましては、原案に出て居ります所の百名と云ふものを採りまして、之をどう云ふ工合に分類を致しますかと云ふと、是は私の案でありますから、後で若しも御採用下されば、其の趣旨を御採用下さるだけで結構であります、私の案を申上げます、是から申上げますことに付きましては、部門とか或は私の割當てた數と云ふものに付ては、御懸念なしに、唯一例を申したに過ぎぬとして御聽き取りを願ひたいのであります、で私の部門を分けたのは、日本の現在の官公私立大學の總ての學科表竝に官公私立の專門學校の學科表、或は學科の色々な種類を大體通覽致しまして、さうしてそれを六つの部に分けたのであります、即ち法科系統、それから文科の系統、理科の系統、工科の系統、醫科の系統、農科の系統、大學がさう云ふやうな學部になつて居るやうなことは皆樣御承知でありますが、必ずしも學問に依つてさう云ふことをしたからとて、學者を出すと云ふ意味では毛頭ありませぬから、此の點も豫め御斷り致して置きます、先ず法科系から三十名、それから文科系から十五名、それから理科の系統からは八名、工科の系統からは二十二名、醫科の系統からは十名、農科の系統からは十五名と云ふやうに致しまして、此の數字は、私自身に於ては少しく色々なことを參酌致したのでありますけれども、必ずしも是はもう架空なものと御考へ下さいまして、それを合して百名と致したのであります、それを法科第一部、文科第二部、理科第三部、工科第四部、醫科第五部、農科第六部と致します、それから此の一部の、即ち法科の數に付て少しく説明を申しますと、それを六つ程の部門に分けます、極くもう譬へた話でありますが御聽き取り願ひたいのであります、第一門は政治、行政、外交方面の部門、第二門は財政、經濟、或は銀行と云ふやうな方面、第三門は保險とか商事、貿易と云ふ方面、第四が司法、警察と云ふやうな方面、第五が交通、運輸、第六が社會政策とか或は勞働問題と云ふやうな方面、斯樣に分けまして、さうしてそれに各各五名宛の人を割當てますと、丁度それで法科系統の人が三十名出ることになります、第二部の文科の系統のものを申上げますと、之を四つに分ける、第一門は教育方面、第二門は文藝、或は新聞、ラジオと云ふ方面、第三門は宗教、哲學の方面、第四門は美術、藝術、音樂等も入りますが、さう云ふものを第四門と致して、之に五名乃至二三名の人を當嵌めて、之を十五名と致す、理科は極めて僅かの八名でありますが、是は數學、天文、或は氣象、物理、化學、動物、植物、鑛物、地質と云ふやうな方のエキスパート若しくは之を以て職業として居る人の中から、各二名宛出して八名、工科に至りましては、是は實業方面に非常に廣いのでありますが、第一門から第五門に分ける、例へば土木、建築を第一門として、機械、造船を第二門、電氣工業を第三門、應用化學、纖維工業と云ふやうなものを第四門、採鑛、冶金、製鐵、石炭と云ふやうな方面を第五門として、此の中に適當に按配して二十二名を採る、醫科ならば臨床醫科、或は豫防醫學、或は衞生方面、或は藥醫學、或は齒科醫學と云ふやうな方面から十名、農科ならば畜産もあらう、水産もあらう、農藝化學、肥料、林業、或は蠶絲業、斯う云ふ方面を分けまして十五名を採る、斯くの如くに致します、此の數でありますとか、其の部でありますとか、部の分け方、或はそれに當嵌める數字は、是は若しも此の案に御贊成下されば、再檢討致しますと、適當な數字を得られると私は思つて居ります、例へて申しますと、一つの案でありますが、我が國の官公私立大學竝に專門學校の定員數若しくは入學して居る所の生徒の全部の數を集めまして、それを基本として、如何なる學科が如何なる人數の志望者或は入學者があるかと云ふことを調べますと、勿論政治とか法律とか云ふ方面は澤山ありませう、又實業では工學の方面が澤山ありませうが、さう云ふやうなものから割合を出しますと、世の中の實際の職業の需要供給の點が其の邊から編み出されると思ひますから、左樣なものを再調査して檢討すれば、私の只今申上げた架空數よりももつと實際に近い數が現はれると思ふのです、斯くの如くにして職能代表の部門を六つに分け、さうして部を六つに分け、其の門を多い所では四門から五門、六門と云ふ位まで出しまして、總計二十五か三十位な門に致しまして、それでさう云ふ一定數の表を政府が發表する、丁度地域的に東京都が八名とか、京都が四名とか、斯う云ふ工合に政府が御出しになつて居る、あれと同樣なものを私のは出すに過ぎないのであります、それで私のはそれで終ひなんです、扨て斯う云ふものを政府が御出しになると、其處にどう云ふ利害關係があるかと云ふことを、是から私の考を申上げるのでありますが、先づ第一、只今の案の規定に依りまして、全國を一選擧區にして、誰が出ても宜い、誰がどう云ふ工合に出ても宜いと云ふやうなことになると、是は恐らくは學識經驗に富んで相當年輩で、所謂衆議院に對するブレーキの役をするやうな人士が出るでせうか、或は逆に、私は先づさう云ふ人が引込んでしまひはしないかと思ふのであります、況んやそれの反對は、私の憂ふるやうな……言葉が甚だ惡いのでありますが、政治的ボスのやうなものが無限の財力と或は色々な權力を持つて、左樣なものが選出されると云ふやうな虞が寧ろあるのではないかと思ふのであります、斯くの如き一つの表を政府が發表されるとどう云ふことになるかと云ふと、例へて申上げますと、茲に漁業、水産或は水産の工業と云ふやうな部門で五人なら五人出すと云ふことになると、日本に於ける水産業者或は漁業者、さう云ふ者が寄りまして、我々に與へられたるこの投票を十分に之を活用しようと云ふので、其の中の有識の立派な人を推薦をすると云ふ勵みにもなりませう、唯漠然と一選擧區で誰が出ても宜いといふだけではさう云ふ事が出來ないが、愈愈さう決定されると、其の職域の人は揮つて適當なる有能の人を選擧すると云ふことの意識を非常に發揮しそれを獎勵する途にもなると思ふのであります、それからもう一つは出る方の側から申しますと、餘りに漠然として居りますと、是は百萬圓使はなければ當選しないのぢやないか、或はそれよりもつと以上出さなければ當選しないのではないか、左樣な目途もないことには容易に自分は出られないと云ふので尻込みする者が非常に多いのでありますが、斯くの如き一つの制限を置きますと、非常に有能なる士が出馬する決心も付き易いと思ふのであります、それからもう一つ都合の好いことは、有能或は經驗に富める人と申しましても、職能の範圍に於ては非常に數に於ての勢力のないところがあると考へるのであります、例へば私は純粹の學者として理科系統の者を八名と云ふやうな案を提出を致しましたが、斯くの如き理科系統の八名と云ふやうな人は、恐らくは選擧費もなければ、選擧する人も全國で何萬を數へる位に過ぎないと思ふのであります、例を申上げては甚だ失禮でありますが、御許しを願ひますが、貴族院に居られる我々の大先輩である田中館先生の如きは、今は非常に御年を召されましたが、十何年か二十何年か貴族院の爲に御盡しになつて居りますが、若しも今日以後行はれるやうな全國一選擧區の投票と云ふやうなことになりまして、果して田中館先生の如き人が如何なる方法に依つて出られませうか、私は疑ふのでありまして、恐らくは出られないだらうと思ふのであります、斯くの如き有力有能なる至寶的人物を參議院に迎へると云ふことの意味から申しましても、矢張り左樣な部分は職能的に全國では少數ではありますが、必要なる職能的な人を出すには、どうしても、私は數は其の理科系統の人達は三萬か二萬の投票を得ても出られるのだ、壓倒的に片方で社會事業或は法科に關係して居るやうな人が何十萬取つても、片方では二萬か三萬でもさう云ふ立派な參議院に入つて戴きたいと云ふ有能なる人は出られるのだと云ふ途を開きたい、丁度勅選に依つて今日斯樣なる人を得て居るのでありますが、左樣な勅選の途はなくなるのだから、何とか選擧に依つて出したいと思ふと、どうしても私は職能の制限と云ふことは必要である、處が制限したならば憲法に違反すると云ふことを度々私は聞くのでありますが、私は憲法の四十三條を讀みましても、「全國民を代表する選擧された議員」と云ふのでありますから、矢張り地域的にも制限されてもいけないのぢやないか、或は年齡に依つて制限されてもいけないのぢやないかと思はれるが、或程度の制限は是は私は許さるべきものと考へます、即ち各府縣と云ふ地域の制限が許されるならば、職能の制限も許される、況んや私は、斯樣なる職能の部門を拵へましたが、是は何も其の部門の人が選擧すると云ふ意味では決してないのでありまして、全國の選擧人は如何なる方面から如何なる人を選擧しようとも、一人を選擧する權利は十分に行使出來るのでありますから、選擧人に對しては最も公平なことであります、又候補者となつて被選擧の立場に立つた人も、必ずしも自分は百姓であるからして法律の方からは候補者には出られぬと云ふ譯ぢやない、百姓をやつて居つても、立派に法律の方に付ての知識を持ち、經驗を持てば、堂々と名乘りを擧げ得ることも出來るのでありますから、私の此の表を政府がお出しになると云ふことは、毫も憲法違反でない、出來るだけの自由を選擧人にも、被選擧人にも私は與へ得るものと信ずるのでありまして、どうか是は斯樣なることを此の委員會で御取上げ下されたい、さうして此の百人を漠然と一選擧區で選擧すると云ふことはどう云ふ結果になるかと云ふことに付ても、寧ろ憂ふべき點の多い結果になりやしないかと思ふのでありまして、今日迄職能代表に付ての議論が盡されて最早私の申上げる餘地はないのかも知れませぬが、斯う云ふ一つの案を皆さんに御覽に入れて、それで之に付ての御考慮をもう一度願ひたい、又政府當局にも私は御願ひするのでありまするが、斯くの如き職能の代表を出すと云ふことに付ては、其の法律の方の運用に依つてそれを企てると云ふやうな御趣旨のやうに承つて居りまするが、なかなか一遍決めましたものを運用をすると云ふやうなことでは、却つて選擧干渉のやうな形にもなりませうし、此の運用と云ふことは、非常に言葉として適切でありますが、實際としてはむづかしいことでありますから、矢張り斯う云ふ一つの部門を拵へて、丁度地域的に制限をして、それから數を決めたと同樣に、部門を拵へて數を決めて、さうして之を全國民に愬へると云ふ、一つの職能代表的の部門竝に比率と云ふものを私は拵へて戴いたらどうだらうかと思ひますので、甚だ簡單でありますけれども、委員外からして斯樣な出しやばつたことを申して相濟みませぬことを御詫び致しまして、之に付て政府御當局の御意見を承ることが出來、又皆さんの御意見を伺ふことが出來ましたら大變結構だと存じます、發言を私に御許しを戴きましたことに對して御禮を申上げまして私の發言を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=3
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004・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 只今御説明になりました件に付きまして政府の見解を直ちに申上げますことは困難でありますが、内務大臣一個の見解を取り敢へず御參考迄に御答へ申上げたいと思ひます、職能代表制は果して新憲法の條章に違反するかどうかと云ふ點が第一點であつたと思ひまするが、此の點に付きましては、職能代表制其のものが常に必ず憲法の條章に違反するものとは言へないと思ふのであります、此の點に付ては色々議論のある所と思ひまするが、只今申上げましたやうに、常に必ず憲法に違反すると云ふ結果にはならぬものであらうと考へて居るのであります、唯從來世間に提唱されて居りますやうな職能代表制は、我が國に於きましては未だ職能組織が完備致して居りませぬから、其の職能組織の上に立つて議員を割振つて、其處に當選者を得ると云ふ方法は、憲法の條章に直接は違反致さないと致しましても、只今御指摘になりましたやうな憲法の條文の精神に反すると云ふ虞があるのではないかと云ふやうに考へて居るのであります、次に、御述べになりました案の内容でございますが、部門別に區分を致しますことを法定致しますことが、果して適當に出來るかどうか、此の點に付きまして私と致しましては、只今の處、一應の疑問を持つて居るのであります、若し其の法定が適當に出來ないと云ふやうな結論に相成りますると、其のことは憲法の條章其のものに直接は違反致さないと致しましても、憲法の條章の持つて居ります所の精神に適合しないと云ふやうになる虞があるのではなからうか、是は法定が適當に出來ますれば、固より問題もないことでありまするが、其のやうに一應の疑問を持つて居るのであります、それから部門別の割當を決めまして、さうして候補者も自由に立候補する、又選擧人も其の候補者に付きまして自由に投票すると云ふ點は、此の案の持つて居ります非常な長所であらうかと考へまするが、唯結局は、立候補する人もどの部門に依つて投票を得むとするかと云ふ點は、恐らく立候補者に於て選擇するものだらうと想像を致すのでありますが、さうなりますと、若し私が立候補すると致しまして、法科部門の第一部門と云ふ所で立候補致しまして、結局全國の投票を集計致しまして、其の部門に屬する者の最多數の者から法定數だけの當選人を決めると云ふことに相成るのであらうと思ふのでありまするが、其のやうに致しました場合に於きまして、是は能く考へて見なければ輕率には申上げ兼ねることでありまするが、其の割當が國民を代表する上に於きまして、政治的な價値判斷に於きまして、適當であらうかどうかと云ふやうなことが起るのではなからうかと思ふのであります、最後に、政府の案に於きましては、職能代表的なことは一切採入れて居りませぬで、全國一選擧區で選擧を致す方法に依りまするならば、事實上推薦團體或は後援者と云ふやうなものが出來て參りまして、從來衆議院の選擧に於てもありました如く、法律上何等規定は致して居りませぬが、或は政友會の公認、或は民政黨の公認と云ふことに依りましてそれぞれ選擧が運營されて參り、さうして其の公認制に依りまして相當程度迄其の目的を達して居るやうな前例もあることであります、全國一選擧區に致して置きますならば、推薦團體或は後援者と云ふやうなものが段々と結成せられ發達致しまして、御例示になりましたやうな碩學の方、又練達堪能な方が當選せられる機會がある、全國的人物が當選せらるるであらう、是は今後の運營に依ることでございまするが、全國一選擧區制を採用することに依りまして、實際上全國的なる人物を選出することが可能であらうと云ふやうに考へて居る次第であります、甚だ不完全な答辯だと存じまするが、一應私の考へて居りますことを申述べて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=4
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005・慶松勝左衞門
○委員外議員(慶松勝左衞門君) ちよつと追加さして戴きます、今私ちよつと説明漏れを致しまして、寧ろ内務大臣から御訂正下すつたやうな點を一つだけ追加致して置きます、即ち私の考に依りますると、只今御話のやうに、候補者は第何部第何門より立候補すると云ふことだけを宣言しなければならない、其のことが一つ、それからして投票の數は今御指摘になつた通りに、全國を集めまして、さうして其の部門に於ける最高點から定員數だけ取つて行く、今、大村内務大臣が私の説明の足らぬ所を御追加下すつた通りに、私は申上げるのを忘れて居りましたが、唯其の點に付て大臣は、何かさう云ふ結果になると、非常に少數の人が出るぢやなからうかと云ふやうなことで、不都合ぢやなからうかと云ふやうなことがあつたやうでありますが、それは衆議院議員の選擧に致しましても、又今度の新しい參議院の地域的制限のある選擧に致しましても、數は多少は地域に依つて各各違ふのであつて、一方に五萬取つたから當選する、片つ方に八萬取つても落選すると云ふやうなことは、往々にしてあることと私は存じますので、其の投票は多少狂ひがありますが、寧ろ其の方を私は狙つて居るのである、私はそれに依つて各職域を代表する人が出るのであらうと思ふ、一選擧區に於て百萬の人を取つて、九十萬の人を取つて、八十萬の人を取つて行くと云ふ方が、却て職能を代表し得る所の望みが非常に少い、寧ろ或職能であれば、其の職能としては貴重だがそれを選擧する人の數が少いと云ふやうな場合には、其の職能の人は三萬や五萬でも當選し得る、片つ方に百萬の人が落選して居るのに三萬の人が當選することは、ちよつと疑問があると云ふやうな御話でございますが、寧ろ私はそれを狙つて居るのである、其のことは非常に立派なことをやられるのであつて、それは必ずしも民意に反したことでない、斯う云ふ風に考へて居りますから、此の點だけを附加へて置きます、どうも有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=5
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006・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それでは第九章に移りまして、大河内君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=6
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007・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 今日中で質問を御止めになると云ふやうな御話ですが、さうなると、甚だ時期は如何かと思ひますが、それきりで御止めになりますか、それとももう一日位‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=7
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008・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 今日で止めると云ふ譯ぢやないが、若し出來るならさうしたいと云ふだけの話です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=8
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009・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 實は私は總理に一應伺ひたいと思ふので成るべく後の方が宜いと思つて居りますが御願ひしたい、併し向ふの御都合もございますから、あちらの御都合が今日が宜ければ今日でも宜いのです、あちらの御都合で‥‥‥それでは質問を始めます、第七十三條の訴訟のやり方ですが、是は衆議院の例に依ると云ふやうに書いてありますが、衆議院も今の例ではございますまい、どうせ裁判所の構成も變つて居るのですからすつかり變へられるんだらうと思ひますが、どんな風になりますか、此の點御説明願ひたい、詰り何人を被告としてどの裁判所に持つて行つて訴へれば宜いのか、それから又上告とか何とかの途でもあるのか、そんなやうなことを新しい裁判所の構成の變つたものと關聯しまして一應はつきりさせて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=9
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010・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 仰せの通り衆議院議員選擧法で憲法實施迄に當然改正を加へなければならない問題と思ひますが、現在衆議院議員選擧に付きましては、大審院に出訴することに相成つて居ります、其の關係は新憲法實施後も同じやうに最高裁判所に出訴致すことに相成ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=10
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011・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、最高裁判所に出訴すると云ふことになりますと、此處にあるかも知れませぬが、是は何人を相手に訴訟を起しますのですか、それから最高裁判所ですからもうそれつ切りでお終ひで、無論上訴の途はないんだらうと思ひますが、さう承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=11
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012・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 當選の訴訟に付きましては當選人を、被告と致します、選擧訴訟に付きましては從來選擧長を被告として居りましたのが、委員會を相手に出訴すると云ふことが概ねの形に相成ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=12
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013・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 上告の途はないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=13
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014・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 一審制を採用致す考へであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=14
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015・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私それで九章は宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=15
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016・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 吉田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=16
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017・吉田久
○吉田久君 九章の訴訟に付きまして一つ私も疑問として居る所を申上げて政府當局の御意見を伺ひたいと思ふのであります、七十三條に依りますと、「選擧又は當選の効力に關しては、衆議院議員の選擧又は當選の効力に關する訴訟の例により、訴訟を提起することができる。」但し是々の理由で出訴する者は「全國選出議員選擧管理委員會の委員長を被告としなければならない。」斯樣に相成つて居ります、そこで三十三條の規定に依りまして、投票の效力が斯う云ふやうな場合に問題に相成つた時に、其の效力は、開票立會人が之を決定する、可否同數の時には開票管理者が之を決定すると云ふことになつて居ります、處が此の開票立會人の決定を本に致しまして、三十四條の規定するやうな投票が無效であると云ふやうな場合には、七十三條の規定から申しますると、選擧の效力に關する訴訟と云ふことになると思ふのでありますが、此の場合には投票の效力が問題になつて居る、此の投票の效力は投票立會人が之を決定致して居りまするけれども、此の決定に對しては選擧人等は訴訟に付ては拘束を受けないと思ふのであります、そこで三十四條の規定等からして、成規の用紙が用ひられて居ない、投票の用紙は成規の用紙を使つてないと云ふやうなことを理由と致しまして、選擧の效力に關する訴訟を提起する場合に、七十三條の但書の規定に依りますと、全國選出議員選擧管理委員會の委員長を被告としないと云ふことになるやうでありますが、それは如何なものであらうか、矢張り此の投票の效力等が問題になりまして、是から延いて選擧の效力に訴訟の理由が存在する場合に於きましては、選擧管理委員會の委員長を被告とするのが適當であると思ふのであります、此の點が此の七十三條の但書からは除外されて居るやうでありますが、之を除外すべき理由はどうであるか、どう云ふ風な理由であるか、此の點に付て御伺を致したいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=17
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018・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 七十三條の但書で申して居ります選擧の效力に關する訴訟は、選擧の手續に關する一切の訴訟を含んで居ります、從ひまして御指摘の如き事由に付きましては、此の但書に依りまして委員會の委員長を被告と致すことに相成る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=18
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019・吉田久
○吉田久君 處が此の但書の是々の場合と云ふ中に、三十三條の規定、三十四條の規定に關すると云ふ理由が加へてないやうに思ふのでございますが‥‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=19
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020・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 此の但書に掲げて居りまする條文は、多く被選擧權の有無等に關しまする當選訴訟の場合の理由を掲げて居りまするが、此の選擧の效力に關する訴訟は、全部但書末尾の「委員會の委員長を被告としなければならない」に係りまして、其處に掲げて居りまする三つばかりの理由と申しまするのは、當選の效力に關しまする訴訟の中の、當選主張の前提として當選人を被告とするよりも委員長を被告と致しました方が合理的のものに付きまして、特に當選訴訟の中に付きまして拔き出したのであります、選擧の效力に關しまする訴訟は、全部委員會の委員長に參る、斯樣に御讀みを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=20
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021・吉田久
○吉田久君 「選擧の效力に關する訴訟及び當選の效力に關する訴訟の中で」とありますけれども、此の「及び」で切つて、選擧の效力に關する訴訟に付ては委員長が被告、斯う云ふ解釋でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=21
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022・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 仰せの通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=22
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023・吉田久
○吉田久君 それでは宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=23
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024・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 第十章に入ります、大河内子爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=24
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025・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は此の選擧運動に付て、此の前植原國務大臣に色々教を受けて感謝して居りますが、尚是は事務的の方からも色々重要な問題になつて來ると思ひますが、一應内務大臣の御考を伺ひたいと思ひます、一體斯う云ふ新しいやり方ですが、選擧運動としては、府縣別のは是はまあ大して伺ふ迄もない、見當も付きますが、全國をやると云ふやうな場合、やり方にも依るけれども、どう云ふ風な選擧運動が行はれることになりませうか、其の點御調べでもあるなら伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=25
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026・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 全國議員の選擧運動と致しましては、各黨各派の代表者に依りまするラジオ放送演説の如きもの、又は各黨各派の代表者に依りまする府縣中心地帶に於きまする演説會の如きもの、或は新聞紙に依りまする廣告の如きもの、是等のものが有力なる選擧運動として用ひられるのではないだらうかと考へて居ります、新聞紙に依りまする一般記事の報道等が相當有力に作用致すことと相成りまするが、新聞紙自體が特定の候補者に付きまして選擧運動を致すと云ふやうなことは、不適當であらうと考へるのであります、但し此の場合に機關紙等の如きものを持つて居りまする場合の選擧運動と云ふものは、又別個に考へて參らなければ相成らぬかと考へて居ります、左樣に致しまして、選擧運動の主體と云ふものが、地方選出議員の場合に於きましては、或は從來の各種の選擧に於きまして個人本位の運動でありましたものが、漸次團體本位の運動と相成るものかと考へて居ります、左樣な運動方法が行はれますることと、公營と致しまして經歴に關しまする公報を發表致しまするとか、或は投票所に於きまする氏名の掲示等、最少限度は有權者に對して、候補者に對する判斷資料を提供致し得まするので、それと團體等に依りまする運動と相俟つて、有權者をして適切なる判斷をさせると云ふやうなことに相成ることかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=26
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027・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 今仰しやつた各黨各派と云ふのはどう云ふ意味なのですか、政黨に限るのですか、それともどう云ふことを言はれるのですか、誰でも團體を作れば直ぐさう云ふものを利用が出來るやうになるのでせうか、どう云ふ意味ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=27
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028・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 政黨は勿論、或は特定の候補者を後援致しまする場合に出來まする團體もありませうし、其の他既存の各種の團體が全部之を用ひることは可能だと考へて居ります、唯團體に依りましては、其の團體の目的から考へまして、適當なものと比較的不適當なものは自らあるだらうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=28
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029・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、斯う云ふものを利用する方法は餘程面倒だらうと思ふのです、或人に片寄つて、或會派ばかりに片寄つてやられても困るし、さうかと言つて小さな團體が大きな政黨と同じやうに使ふと云ふことも、何だかおかしなものですし、そんなことはどう云ふ風に御決めになるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=29
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030・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 仰せの通り、團體の中、比較的全國選出議員に付きまして適當なものは、自ら全國的な團體に相成つて來ると考へます、從ひまして又一方何と申しまするか、政治的な活動を致しまするとか、極めて不適當な團體等も考へられまするので、是等のものに付きましては、全國的な團體であり、且左樣な活動を致しまするのに適當な團體に認めて參りまするやうな方法が講ぜられなければ相成らぬと思ふのでありますが、是等の問題と云ふものは、其の根本に於きまして、政黨法とでも申しまするか、政治的な活動を致しまする團體に對して或種の規正を致しまするやうな立法的な手段に依りまするか、立法的な手段に參りませぬでも、何等かの方法で之に規正を加へて行くと云ふやうなことは、別途考へて參らなければならぬことと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=30
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031・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其の問題が伺ひたかつたのですが、どんな御腹案がありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=31
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032・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今の所まだ腹案と致しまして、はつきりと斯う云ふ方法で參ると云ふ風に決定致して居る所はないのでございます、唯先般の衆議院議員選擧、それから其の後に於きまする近く豫想されて居りまする地方議會の選擧等に於きましても、議員候補者等を支持致します政黨、團體其の他の會から一定の屆出を取つたり致して居ります、左樣な方法を講じて居りますが、それ等の方法を先程申しました立法的手段か、或は實際上の問題と致しまして、其の點の標準を更に明瞭に致して參ると云ふやうな方向に進んで參ると思ひますが、現在斯樣な方法を全國議員に付て豫想して居るとはつきり申上げられます程度のものは、未だ用意を致して居らない状況でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=32
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033・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 更にちよつと、伺ひ違ひかも知れませぬが、新聞が或候補者‥‥機關紙は別だけれども、さうでないものは或特定の候補者に力を入れることは穩かでないと云ふ御話ですが、是はちよつと止められないと思ふのです、或新聞が特に或候補者を褒めると云ふことは止められもしないし、差支もないのぢやないかと云ふ風に考へられますが、私の伺ひ違ひであつたかも知れませぬ、其の點が一點、それから新聞の廣告なども、是も制限の仕樣はないと思ひます、新聞社と話合つて、さうして廣告して呉れと云ふのは、向ふが承知すれば仕方がない、新聞社が御止めになれば格別ですが、其の點はどうですか、誰でも廣告ならばして宜いと云ふことになるのでありますか、さうむづかしい制限も付けないのだらうと思ひます、それでもう一つは公報なり、ラジオなり、新聞なりを利用するのは、是は有料でやらせますか、それとも無料でやらせますか、有料でもノミナルなものだけ取つてやらせますか、其の點如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=33
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034・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 新聞の一般報道記事としての扱ひに付きましては、是が特定の候補者に對しまする選擧妨害のやうな事態が起りませぬ限りは、仰せの通り制限を加へる方法もなし、其の必要もないだらうと存じて居ります、新聞の廣告に付きましても同樣に取締に觸れませぬ限りの廣告は自由だと存じて居ります、それから費用の點に付きましては、ラジオに付ては無料、新聞の利用に付ては有料と云ふことに相成るかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=34
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035・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それからもう一つ伺ひますが、多分此の章の中に費用が入つて居ると思ひますが、費用がどう云ふものであるかと云ふことは、今の衆議院のやり方で大概は分つて居りますが、大體の仕組の仕方があんな面倒でないやうなものに、成るべく簡單な誰でもやれるやうな工合にしてやらうと云ふ御考のやうですが、どんなものを書いて出したら宜いのですか、其の標本でもあつたら見せて戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=35
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036・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 選擧運動費用に付きましては、其の運動費用の範圍は衆議院議員選擧の場合に於きまする既成の概念を其の儘採つて居りまするけれども、之に付きましては數字を設けて居りまするやうに、事實責任者を定めまして、收入支出を明かにさして、其の屆出を政黨なり議員候補者自身に要求致して居りますので、其の屆出の内容に於きまして、當事者に明瞭に相成るやうに圖りたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=36
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037・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうすると、其の費用の範圍の中に分けてある科目と云ふのは、大體今のやり方なんですか、もう少し簡單に行かぬものでございませうか、其の邊の御考へはありますまいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=37
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038・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 大體今の範圍を考へて居りまするけれども、寧ろ今後の費用公開の建前から申しまして、選擧運動費用の總額制限を廢しまする代りに、費用を公開致すことに依りまして、一般の判斷の機會を多く與へようとする爲であります、從ひまして、一般の有權者に取りまして最も適切なる判斷を下し得るやうに、左樣な意味合での整理は十分致したいと思つて居ります、從ひまして仰せのやうに、現在の何と申しまするか、煩瑣な部分と申しまするか、不必要なる部分と云ふものの整理は當然致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=38
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039・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 次に八十三條で伺ひますが、是は事務當局から御考になれば何でもないのでせうが、素人が見ると大變面倒になるのですが、「選擧運動のために掲示し又は頒布する文書圖畫の形式、數量、掲示の場所等に關して、命令で制限を設けることができる。」此の命令でどんな風に御制限になるのですか、此のやり方に依つては、隨分候補者の選擧運動の責任者が困ることは、今迄も始終經驗して居るだらうと思ひますが、此の點はどんな風になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=39
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040・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 此の八十三條に大體明記して居りまする規定は現在衆議院議員選擧法第百條にございますが、此の現在の衆議院議員選擧法では選擧運動の爲め頒布し又は掲示する文書圖畫に關し命令で制限を設けることに相成つて居りますけれども、參議院議員選擧法に於きましては、特に文書圖畫に關しまして、其の形式、數量、掲示の場所等に限定を致す命令を定めることに致して居るのでございます、斯樣な文書圖畫の制限を最少限度に於て設けようと致しますのは、現在竝に近く行はれまする選擧の状況から考へますると、紙の需要状況と云ふものが何と致しましても非常に窮屈だらうと思ひます、過般の衆議院議員の總選擧の場合に於きまするだけの數量を供給致しますることも、或は困難かと考へて居ります、從ひまして左樣な意味合で用紙の利用を均等致させなければ相成らない、特定の候補者が偶偶非常に多くの用紙を持つて居つたからと云つて、無制限に使ひますることは、是は選擧の機會均等の立場から防止を致さなければ相成らぬのではないか、又運動費用の總額制限をしないと致しましても、其の費用の無制限な使用は望ましくございませぬので、文書圖畫の總量に付て制限を加へる必要があるのではないか、斯樣な趣旨から此の規定を設けたのでありまして、從ひまして、各投票區毎に一箇所乃至二箇所位の掲示場所を市町村の選擧管理委員會が指定を致し、或は斯樣に決めました場所以外の文書圖畫の掲示を認めない、又掲示場に掲示致します場合にも、成るべく機會を均等に致しまする爲に、抽籤等に依りまして時期、位置を定めます、斯樣な掲示の場所に付ての規定を設けることが必要ではないか、此の點は從來の選擧の實績に徴しましても無制限な掲示と云ふものを制限する必要があるのではないか、又掲示ビラの大きさ等も制限する必要があるのではないか、斯樣な見地から極く大きい枠を決めまして、是で自由な選擧が拘束されると云ふやうなことは努めて致したくないと考へて居ります、從ひまして以上申上げましたやうな文書圖畫の量全體のもの、それから大きさ等の點、それから掲示の場所、是等の點だけに付ての制限を設けようとするのでありまして、從ひまして衆議院議員選擧に於きまする取締よりは遙かに自由なものに相成ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=40
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041・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もう一つ伺ひますが、そんな非常識なことをする人もないでせうが、法律の建前から言ふと、さうしますと斯う云ふものを作るのは、全國を一選擧區とするやうな人になると、全國に持つて行つて皆んな立てなければならないと云ふことになつて、非常におかしなことになりますが、それはどうも制限する必要もないかも知れませぬが、さう云ふ風になるのですか、放任して御置きになりますかどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=41
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042・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 只今申しましたやうに總量に於ての制限、掲示の場所に於ての制限を致しまするから、其の制限の範圍内に於きまして、全國一樣に貼らうと云ふ者も起り得ることであります、選擧の實際に於きましては、總量に於て制限をし、且掲示場所に於て制限を致しますれば、自ら選擧運動に主力を集めます所に使ふやうに相成ることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=42
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043・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで實は少し具體的のことを伺はうと思つたのですが、理窟から言ふと各府縣で、それだけ各府縣を選擧區として居る人は府縣に貼られて差支へないが、全國を選擧區とすれば、それだけのものを全國に貼られてもいけないとも言へないと思ふ、其の費用の制限から、色々な紙の制限からして制限されるのは宜うございますが、其の點は各府縣の何倍とか云ふことで御制限になるのですか、どんなことになるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=43
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044・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 總量の制限等は配給を致し得まする用紙等の分量から割出して參ると思ひますけれども、全國議員に付きまして、一府縣當りの制限と云ふやうなものは置かないことに致して、實際の扱ひに任せて置きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=44
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045・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 第十章は私は是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=45
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046・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 吉田君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=46
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047・吉田久
○吉田久君 私は選擧運動費用に關聯しまして、選擧公營の方法及び範圍に付て内務大臣の御説明を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=47
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048・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 選擧公營と致しましては、他の選擧に於けるやうな選擧公報の發行は事實上不可能でありまするので、大臣の御説明にもございましたやうに、議員候補者の氏名、經歴等を記載致しました文書の發行、是は選擧公報の場合と同じやうに、各世帶等を單位と致しまして、總ての有權者に屆くやうに致したいと考へて居ります、それから第二には演説會場の施設の公營、是は衆議院等の場合と同樣に致したいと思つて居ります、それから第三には投票所等に於きまする議員候補者の氏名の掲示を致すことに致したいと思つて居ります、それから法律上は規定致して居りませんけれども、實際上の運用と致しましてはラジオの利用と云ふのは努めて致したいと考へて居ります、但し是は全國選出議員の候補者數等から考へまして、均等な利用に付きましては、全部の候補者に悉くラジオを利用させると云ふことは相當困難だと思ひまするので、先程も申しましたやうに、政黨等の代表者に依りまする均衡を得たラジオの利用と云ふことを致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=48
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049・吉田久
○吉田久君 只今御説明になりました候補者の人物、閲歴等を掲載した文書を頒布することでありますが、此の點に付て過日當委員會に於て内務大臣は、衆議院議員の候補者の該文書頒布に付てよりも非常な制限を受けることになるだらう、例へば衆議院議員候補者に付ては一頁だけ與へるものが、或は其の半分位になりはせぬかと云ふやうな趣意の御説明があつたのでありまするが、參議院の候補者に付きまして其の人物、閲歴等を選擧民に知らしめる必要があると云ふことは申す迄もありませぬ、又それを知らしめるのに付て衆議院議員候補者よりも一層詳細に之を知らしめる必要があると私は考へて居るのであります、然るに色々の、紙の都合とか其の外資料等の關係とは思ひまするけれども、衆議院議員のそれよりも非常な制限があると云ふことでは、今私が述べました參議院議員の候補者の人物閲歴を選擧民に周知せしめると云ふことに付て甚だ遺憾なことに相成ると思ふのであります、でありまするから、此の點に付きましてはどうか萬難を排して十分な周知方法を遺憾なく講ぜられるやうに致されたいのであります、尚今の閲歴文書の配布と云ふことは、候補者の選擧費用を節約せしめることにも相成るのであります、本案の規定に依りますと云ふと、選擧運動の費用に付ては格別の制限が加へられて居らないのでありまして、候補者に依りましては隨分多額な費用を使はせられることと思ふのであります、さう云ふ風なことになりますと云ふと、自然有能な立派な人が尻込をして候補者に立たないと云ふことになるのでありますから、成るべく費用を候補者に使はせないやうにと云ふ方法を法律として執つてやるのが適當であると考へるのであります、左樣な次第で、どうか殊に閲歴文書の配布に付きましては、衆議院議員の候補者のそれよりも十分に詳細に掲載される程の文書を頒布するやうに願ひたいのであります、それから從來衆議院議員候補者の閲歴文書の配布に付て遺憾を感じましたのは、選擧の間際になりまして一括して配布されるのであります、相當分厚なものが選擧間際に一遍に配布されましたのでは、選擧民がそれを讀む間がなくて選擧場に出ると云ふやうなことが實際にあるのであります、斯う云ふことは事手續に關するのでありまするが、選擧權の行使に付ては、重大なる影響があるのでありまするからして、此の閲歴文書の配布に付ては漸を逐うて‥‥‥、一遍に配布しないやうに十分の御配慮を煩はされるべきだと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=49
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050・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 全國議員候補者に取りましては、議員候補者の閲歴等を記載致しました文書が選擧運動の上に於きまして非常な有力な重要な地位を占めるであらうと思ふのであります、就きましては此の點に付きまして十分注意を致して、選擧公營の趣旨に合ふやうに致したいと考へて居ります、唯第一囘の選擧に際しまして百人の定員の所にどの程度の立候補がありますか、只今から豫想も困難でありますが、恐らく數百人と云ふ程度のものにはなるであらうと思はれるのであります、而して全國候補者でございますから、數百人の經歴等を記載しましたものを各世帶に漏れなく配布を致すと致しますると、相當其の文書が浩瀚なものになることが豫想せられるのであります、用紙の缺乏の今日でもございまするし、又印刷力も十分でございませぬから、自然衆議院の場合よりは簡單にせざるを得ないこととならうと思ひます、尚前囘の選擧の際に於きまして、一部の選擧區に於きましては、一區數十人‥‥‥五六十人以上の立候補者がございまして、其の選擧公報が一括選擧直前に配布された、殆ど閲讀することも困難だつたと云ふやうなこともございまして、あのやうな場合に於きましては、寧ろ簡にして要を得た公報であつて欲しいと云ふやうな要求も一部にはあつた次第であります、餘り詳しく浩瀚になりますることも、全國候補者を選擇する上に於きまして有權者は不便であるかと思ふのであります、それらの事情から致しまして、尚此の點に付きましては御趣旨に依りまして十分研究は致しまするが、只今の所に於きましては衆議院の場合は二千字以内と云ふことでございましたが、經歴公報に於きましては、此の席でもちよつと申上げましたが、高々四百字以内と云ふ位な所に集約しなければならぬのではないかと考へて居るのであります、それから尚投票直前になりまして公報が配付されますことは、如何にも公報發行の趣旨に悖ります、殊に全國に亙りまして準備を致す必要もございますので、大體立候補は選擧期日の二十日以前にしなければならぬと云ふ取扱に相成つて居ります、經歴公報の原稿も立候補と殆ど同時に提出を願ひまして、早手廻しの上で、之を成るべく早い機會に有權者の手許に文書が屆くやうに、諸般の手續を進めたいと云ふやうに考へて居る次第であります、只今申上げますやうに、十分なる、衆議院同樣の文書を發行致しますことは、事實上至難ではあらうと思ひまするが、全國候補者に取りましては最も有力なる運動方法の一つでなければならぬ經歴文書でございまするので、御述べになりました趣旨に出來るだけ副ふやうに今後も工夫を致したいと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=50
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051・吉田久
○吉田久君 私が此の閲歴文書の配付に付て御問ひ致しましたのは、唯單に全國區の選擧のみに付てではないのでありまして、地方區の選擧に付きましても、參議院の候補者の人物如何と云ふことを選擧民に知らせることは衆議院議員の候補者のそれよりも丁寧でなければならぬ、詳細でなければならぬ、選擧民はどう云ふ人物、閲歴の人であるか、衆議院の候補者のそれに比べてどう云ふ風な違ひがあるのだらうかと云ふやうなことを、少くも比較して考へることが出來ることが大切であると存じますので、地方選擧區の選擧に付きましては、少くも衆議院議員の候補者のそれよりも其の範圍が狹められてはいけないと思ふのであります、大臣は主として全國區の選擧に付て御述べになりましたが、地方區の選擧に付きましても矢張り其の趣旨を貫きまして、衆議院議員候補者のそれよりも十分な、遺憾のない經歴文書を配付せられるやうに致されたいのであります、全國區の選擧に付きましても、只今大臣は十分趣意に副ふやうにすると云ふ御話でありましたが、是は私實際承りまして、紙其の他の資材の關係からして困難であるとは萬々承知致して居りまするが、併しながら此の萬難は如何樣にしても排除せられて、矢張り衆議院と同じやうな程度のものを配付せられるやうに御配慮に相成るのが相當であると存ずるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=51
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052・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 私の説明が不十分であつた點がありますので、此の際申上げて置きます、全國選出議員の經歴文書に付きましては、先程申上げた通りでありますが、他の機會でも申上げました通りに、全國選出議員及び地方選出議員の選擧のやり方に付きましては、出來るだけ同樣に致すことが適當であらうと考へて居りますので、地方選出議員の經歴文書は、全國選出議員の文書と同樣に、數百字と云ふやうな簡潔なものに統一をする豫定で居る次第であります、尚又衆議院議員の公報に付きましても、先に申しました二千字迄の公報を繼續することは、必ずしも其の必要を認めて居りませぬので、大體參議院議員の選擧の經歴文書と同樣に、簡潔なものに統一したらどうかと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=52
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053・小山完吾
○小山完吾君 ちよつと伺つて宜しうございますか、關聯して‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=53
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054・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 關聯してなら宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=54
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055・小山完吾
○小山完吾君 先刻來大河内子爵竝に吉田委員の應答を伺つて居りまして、私は更に政府の御考を承りたいのは、一體費用を幾ら掛けても宜しいと云ふだけの肚を決めて選擧に臨むと致しました所で、凡そ選擧の實際に於て、健全なる選擧の方法と云ふものは、文書竝に演説と云ふことより外にありはしない、是が選擧の方法の一番健全なる方法なのである、それを一面に於ては紙が不足だから紙を制限するとか、或は新聞に書いて貰ふ積りだとか、ラジオだとか、新聞、ラジオなんと云ふものは今日の時勢に於て利き目はありません、さうすると要するに、選擧の健全なる方法と云ふものは、今度の選擧に於ては盡されないと云ふことになる、それから又只今吉田さんの色々の御註文がありましたけれども、是も選擧の實際に照して御考へになれば、政府は實際を知つて居るから四百字に制限すると云ふやうなことを言ふ、是は驚き入つたことで、一體制限しなければならぬやうな選擧方法を作るのが間違ひ、健全なる選擧をさせようとするならば、文書其の他を如何に自由に使つても宜しい、自由に使はせるやうにしなくちやならぬ、それを制限しなくちやならぬと云ふのは、何故ならぬかと言へば、是はそこに全國から選擧すると云ふ方法の弱點を遺憾なく現はして居る、例へば府縣に於ては三名とか四名の當選者である故に、恐らく此の候補者と云ふものは七八名以上にはならぬだらうと思ひます、それですから、それはどんなに紙を使つても健全なる選擧をやる爲には、言論の機關を動かすとか色々のことをどんなにやつても差支ないのですが、全國議員になると、當選者が百名でありませう、此の當選者百名と云ふことであれば、候補者が二倍と言へば二百名、三倍と言へば三百名、衆議院の選擧に於て、東京都下からして數十人の候補者が出たから大變だと云ふけれども、何ぞ知らん、今度は一人の當選者の爲に、何百名の候補者が出る、即ち一人の當選者と云ふのは、量の方から言へば一人だが、併し當選數の方から言へば百名出なければならぬ、ですから大變な候補者になるにきまつてゐる、さうすると其の爲に政府は苦しまぎれに紙を制限するとか、選擧の方法を色々窮屈に考へる、そんな窮屈なことを考へると云ふのは、即ち選擧の不可能なことを證明して居ることであるのですが、一體政府は其の點をどう考へて居られるのか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=55
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056・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 選擧に當りましては、言論文書に依りまして當選を爭ふと云ふことが最も望ましいことでありまして、それ以外の方法、或は買收とか、選擧妨害と云ふやうなことは、依然として是は嚴重に禁じて進んで行くのが至當であると考へて居る次第であります、而して全國選擧制を採入れました理由に付きましては、豫て政府の考へて居ります所は御説明にも申上げました通りであります、尚選擧運動の方法に付きましては、是は選擧公營を致すと致しますると、或程度の制限を設け、さうして實際上それが運營の出來るやうに致さなければならないことでありますし、尚又文書、演説、選擧の爲に掲示致しまする文書に付きましては、曩に政府委員から御説明を申上げましたやうな理由に依りまして、又美觀上の必要もございますので、是亦或程度に制限をすると云ふことは已むを得ないことでありますが、其の他の點に付きましては、全國的に亙りまして運動を致す上に於きましては色々の障害はあらうと思ひまするが、そこは自由に致して居りますので、可能の範圍に於きまして適當なる運動方法を自由に講じて戴きますならば、之に依りまして適當に選擧が行はれると云ふやうに考へて居る次第であります、重ねて申上げますが、全國選擧區制を採りました所以は全國的人物が選出せらるる所を狙ひと致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=56
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057・小山完吾
○小山完吾君 少し諄くなりますが、其の全國的人物を出すと云ふ狙ひは宜いのですが、選擧の一番健全な方法を用ひることの出來ないやうな案を立てて、さうして其の案を固執する爲に、選擧の健全なる方法を制限せねばならぬやうなことをすると云ふことは、是はもう根本的に此の全國選擧と云ふものが架空な机上の空論であると云ふことを表はして居る一つの證據であると申さざるを得ない、それだけのことを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=57
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058・秋田三一
○秋田三一君 政府委員の方で宜しうございますが、ちよつと御尋ねしたいのですが、第七條にございまする「在職の裁判官、檢察官、會計檢査官、收税官吏及び警察官吏は、被選擧權を有しない」殊に此の警察官吏に付て御尋ねしたい、是は選擧運動には從事して差支ないのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=58
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059・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 關聯して居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=59
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060・秋田三一
○秋田三一君 選擧運動のことに付て御尋ねするのであります、選擧運動に警察官吏などが從事することは差支ありませぬかと云ふことです、此の七條には斯う云ふやうに「被選擧權を有しない。」と云ふことが書いてあるけれども、選擧運動はしても差支ないかと云ふことを御尋ねするのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=60
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061・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 選擧運動をなし得ないことは當然でございまして、警察官等に付きましてはそれ等の場合に對して、特に違反に對して罰則を一般人よりも加重してある位でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=61
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062・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もう一つ伺ひます、此の費用の制限を撤廢されたことと、それから戸別訪問の禁止を解かれたことは、是は昨日來の御説明で能く分つたのですが、段々又衆議院あたりの模樣を聞くと、之を存置して置いた方が宜からうぢやないかと云ふやうな御説もあるやうに承つて居ります、是は理論から來たのもありませうし、實際の方面から來たのもありませうし、寧ろ實際の方面から伺つて見たいと思ふのですが、此の戸別訪問も差支ない、費用も制限しないでやると云ふやり方は如何でございませうか、最も此の選擧の實際に當つて居られる齋藤國務大臣の御説を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=62
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063・齋藤隆夫
○國務大臣(齋藤隆夫君) 委員會の御質問も段々おしまひになるやうでございまするが、私は此の機會に於きまして此の法案を御審議になりまする御參考と致しまして、私の卑見を一言述べさして戴きたいと思ひます、御斷りをして置きまするが、此の全國一選擧區と云ふことであります、政府案として提出をされました以上は、私、政府の一員と致しまして決して之に反對をする意味で御話をするのぢやありませぬからして、先づ以て其のことを御承知を願ひたいと思ひます、私及ばずながら議員生活をやつて居りまして、殊に此の選擧法の改正に付きましては初めから關係を致して居ります、政黨に居ります時分にも、又内務省に奉職致して居ります時にも、選擧法の改正に付きましては相當に研究を致しましたのみならず、過去十二囘の選擧に當りまして選擧界のことは自分の選擧に限らず、他人の選擧のことに付ても相當に經驗を致して居るのであります、此の見地からして見まして、全國的選擧區といふことが實際どう云ふ工合なものになるかと云ふことを私考へて居ります、政府の説明に依りますと、全國的に選擧區を設けたと云ふことは、一つは職能代表の意味を加味せしめる、もう一つは全國的の偉い人物をば選擧せしむる、これが二つの理由になつて居ります、處が私は職能代表と云ふことに付きましては元來贊成を致しませぬ、日本の社會組織が職能的に組織せられて居らぬと云ふことは御承知でありまするからして、職能的代表と云ふことは實際行はれるものではありませぬ、職能代表と申しますならば、其の職能所謂國民の一部を代表するのであります、一階級を代表するのでありまして、憲法に規定して居ります所の、衆議院も參議院も共に全國民を代表すると云ふ此の原則に矛盾するものでありますからして、私は職能代表と云ふ言葉は此の意味に於て憲法の精神と相容れないものであると思つて居ります、殊に是迄も現れましたやうに、例へば辯護士と云ふ職能を代表しようと云ふ時に、僅かに五千か六千の辯護士團體であるからして、全部揃つたところで一員の代表者を出せるものぢやありませぬ、醫者の方に於きましても、五萬人か六萬人の人であるから、全部結束したところが一人の代表を出せるものではないのでありますからして、全國の職能代表と云ふことは實現しないものであると云ふことは、之に依つても分るのであります、それからして全國的の大人物を出すと云ふのでありますが、是は大人物でありまするならば、全國的の選擧區を設けぬでも、府縣單位の選擧區に於て十分出られます、(拍手)例へば府縣に於て出られぬけれども、全國的に於てなら出られると云ふことは、それは大人物でも何でもないのであります、例を採るのはをかしいのでありますが、例へば尾崎行雄君であります、是は大選擧區に於ても、中選擧區に於ても、小選擧區に於ても必ず出られるのであります、何も全國でなくては出られぬと云ふ譯はないのであります、(拍手)府縣を單位とする選擧區では、出られぬと云ふことは實際今日に於てはないと思つて居ります、故に全國に向つて大選擧區を維持すると云ふことは、私には腑に落ちぬのであります、處が是が爲にどの位の不便があるかと云ふことを、一つ御考を願ひたいのであります、先づ第一に府縣單位の選擧區とせられまするならば、選擧運動を相當に制限することが出來るのでありますけれども、全國と云ふことになりますと、却て選擧運動が全く無制限になつてしまつて、選擧運動に關する枠を外してしまふのであります、即ち今日の衆議院議員選擧に關しては、選擧期日公布後にあらざれば選擧運動をなすことは出來ぬと云ふことであります、其の枠を取ると、參議院は年中選擧運動が出來るのであります、又事務所の制限はしない、運動員も事務員も何ぼ使つても宜しいのであります、衆議院議員選擧に關しては制限するのでありますけれども、參議院の方に於ては無制限である、戸別訪問は衆議院に於ては禁じて居りますけれども、是もやつても宜しい、尤も全國の選擧區になつて來ると、一々戸別訪問は出來るものではありませんけれども、それでも町會長、部落會長を訪問する、或は隣組長を訪問することに依つて、相當な有效なる選擧運動が出來るのでありますが、是も禁じてない、それからして何ぼ郵便を出しても、新聞には何ぼ廣告しても宜しい、文書戰もどんなにやつても宜しい、斯う云ふのでありますからして、金のある者は何ぼ金を使つても選擧運動をやれる、唯金の支出は公告致しまするけれども、併しながら百萬圓使はうと、二百萬圓使はうと金の制限はありませんから、不適法にあらざる限りはどんなに金を使つても宜しいのでありますからして、今日の金の安い時代に於きまして、參議院議員になれると云ふことになりましたならば、百萬や二百萬の金は何でもないのでありますからして、隨分私は變な選擧が起るであらうと思ひます、それからして、政府の手數のかかることは大變なことであります、非常に手數がかかる、投票の計算はむづかしいのであつて、二十日位かかつても宜いのであります、それから補闕選擧であります、當り前から申しまするならば、一員の補闕があつても補闕選擧をやらなければならぬのでありますが、全國的でありますと、補闕選擧を請求致しまして、何でも四分の一以上の補闕がないと、補闕選擧をせぬと云ふのでありますから、少くも十五、六名の補闕がないと選擧をしない、一人でも闕員がありましたならば一人の代表者を失ふのでありますから、補闕するのが選擧の原則でございまするが、全國一選擧區と云ふことになりますると是も出來ない、もう一つ一番御考へにならなければならぬのは、一人で二人の議員を選擧するのであります、即ち全國的の候補者に向つて投票する、或は地方的の候補者に向つて投票する、一人の有權者が自分の代表者として二人の議員を選擧すると云ふことになります、是は選擧法に於て斯う云ふことが認められるものかどうかと云ふことは、御互ひに考へなければならぬことであります、處が一人の有權者で二人の議員を選出すると云ふことは、どう云ふ結果になるかと申しますと、一人は例へば自由黨の議員を選出する、一人は共産黨の議員に向つて投票する、と云ふことが可成り起るのでありまするから、全く是は意義のない選擧になるのであります、斯う云ふことを數へますると限りはございませぬが、一選擧區とする理由として、職能代表と云ふことも無意味である、人物の選出も無意味である、のみならず是が爲に生ずる弊害は斯くの如きものでありまするからして、是はもう少し御互ひに研究しなくてはならぬことであると思ひます、私は是が爲に決して政府者として政府の原案に反對する者ぢやございませぬが、(笑聲起る)、併し此の問題を御研究になりまするに付ては、斯う云ふことも一つの御參考になると云ふ、自由獨立な(拍手、笑聲起る)、御考を以て御審査を願ひたいと思ひます、是だけのことを御話致しまして、何か御參考の一端に供することが出來ましたならば仕合せでございます(拍手、笑聲起る)
〔子爵大河内輝耕君、發言の許可を求む〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=63
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064・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 如何ですか、後は午後からにして如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=64
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065・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 直ぐ濟みますが、いけませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=65
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066・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それではまだ後五分位‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=66
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067・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 年來の御經驗から大變貴重な材料を御與へ下さいまして、私が唯質問の範圍を限定してしまつて、狹くしてしまつたに拘らず、廣く論をして戴きましたので、非常な有益な材料を得られたことを深く感謝致しますが、是は晝からになつても宜しうございますが、實は戸別訪問と費用の制限を伺つたのでございますが、此の際どうでせうか、晝からにして宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=67
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068・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 晝からやりませう、休憩致しまして午後一時三十分から開會を致します
午前十一時五十八分休憩
――――◇―――――
午後一時三十九分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=68
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069・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 開會を致します、下條君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=69
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070・下條康麿
○下條康麿君 私は第九十條の選擧公營に付て御尋ねしたいと思ひます、先程午前に吉田委員から選擧公營に付きまして御尋ねがありまして、政府委員の答辯で、所謂選擧公營なるものは、演説會場と經歴文書と竝に候補者の氏名の掲示と、此の三つの件であることが分つたのですが、是以外に通常郵便物に關して特例があるものなんですか、それはどう云ふ風になつて居りますか伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=70
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071・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 無料郵便物差出の制度は、此の度の參議院選擧法に於ては採用致して居りませぬ、是は現在の郵便事務の状況から申しましても、又用紙の點から申しましても、此の無料郵便の制度の取扱は、當分の間、見込がございませぬ、それで先般の衆議院の總選擧に於きましては、特に先般の衆議院の總選擧に限つて無料郵便物の制を停止致した譯であります、選擧法を恆久的に改正致します機會には、矢張り無料郵便物差出の制度は之を止めにすることに相成らうかと思つて居ります、唯無料郵便物差出の制度を止めに致しまして、其の代りに一定の枚數の郵便葉書を特に議員候補者に交付致すと云ふやうな扱ひに致したいと思つて居ります、前囘一萬枚さう云ふ扱ひを致しましたが、之を法令の上に明定致しますかどうかに付ては、只今研究致して居る所でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=71
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072・下條康麿
○下條康麿君 一萬枚でいいかどうか、全國選擧の場合に付てはもう少し多量にさう云ふ取扱の必要があるのぢやないかと思ひますが、其の點は尚御考慮願ひたいと思ひます、それから此の春の衆議院の選擧の際、私は應援に行つたことがあるのですが、其の府縣内の運動員には鐵道のバスが出て居るやうです、さう云ふことも矢張り今度あるのでせうか、如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=72
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073・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 前囘の總選擧に於きまして、議員候補者竝に其の運動員に、一定數を限りまして當該の選擧區内の乘車券をバスのやうな形で發行致して居ります、是は當時の鐵道の状況から可能な限度に於て致したのでありまして、其のやうな取扱方は今後の選擧に於ても可及的致すことに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=73
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074・下條康麿
○下條康麿君 全國の場合は全國に對するパスを御出しになるだらうと思ひますが、さう云ふ點をよく御考究願ひまして、出來る限り政府の手に於て賄ひ得るものは成るべく選擧公營の趣旨に則つて便宜を與へられるやうに御願ひしたいと思ひます、是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=74
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075・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それでは今度は附則に付きまして御質問願ひます、大河内君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=75
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076・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 附則ですか、補則の九十條で伺ひたいのですが‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=76
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077・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 九十條がありますか、それぢやどうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=77
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078・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の命令で御決めになる「營造物の設備」と云ふのはどう云ふものを御決めになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=78
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079・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は只今選擧法に於きましても規定致して居ることでございまするが、九十條に於きまして「學校その他命令で定める營造物」と申して居りますのは、選擧法に於きましては此の部分は公立學校となつて居ります、官立學校が選擧運動の爲に使用されますることを防止しようと云ふやうな考へ方であつたかと存ずるのであります、今日左樣な區別を致しますことは無用で、寧ろ不適當だと存じますので、一般の學校を使用致させまするし、其の他公會堂、議事堂等、選擧運動の爲に使用し得る可能なものは全部網羅致さうと思ひまするし、それから此の設備を致します限度は、椅子の類を用意致すこと、藁蓆を用意致すとか、左樣な程度の、其の儘使ひ得る程度に於きまして設備を致すやうに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=79
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080・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 能く分りました、處で八十九條の、「選擧の施行に關する費用については、命令でこれを定める。」是はどう云ふ意味なんですか、何を定めるか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=80
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081・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は選擧の施行に關する費用でございますが、例へば名簿を拵へまするとか、それから投票函を拵へまするとか、立會人に費用の辨償を支給致しますとか、左樣な種類のものでありますが、是等の費用の負擔が國に屬するとか、地方廳に屬するとか、斯樣な事項を命令で定めることに致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=81
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082・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、今のをもう少し具體的に御伺致したいのでありますが、地方費と國費の區別を御決めになると云ふことでありますが、さうなりますれば、どう云ふものが地方費で、どう云ふものが國費であるか、はつきり伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=82
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083・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は現行の衆議院議員選擧法に於きますると、選擧人名簿、投票用紙、封筒、投票函、點字器、是等の費用が地方費に相成つて居ります、それから各種立會人に關する費用が地方廳の負擔と相成つて居ります、それから公立學校其の他營造物の使用に關する費用が國庫、それから選擧公報、從つて此の度に於きましては經歴公報、それから投票所の前の掲示であります、斯樣な費用が國費になつて居ります、それで立會人の費用に付きましては、之を國費を以て支給致すことに致す考でございます、それ以外の、投票函でございますとか、名簿等の費用も、是は形と致しまして、直ちに國費に移しても宜しいことのやうに存じますが、只今の所全額補助の形で執行致して居ります、之を全額補助の形で致しまするか、直ちに國費に持つて參りますか、是等の點に付きましては、財政當局とも能く連絡致しまして、地方の負擔を、實質の負擔を掛けないやうに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=83
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084・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうすると、大體今のやり方とちつとも違はないと考へて宜いですか、何處か御直しになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=84
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085・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 是は現在の衆議院と同じことと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=85
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086・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=86
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087・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 宜しうございますか、大河内君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=87
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088・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=88
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089・下條康麿
○下條康麿君 別表に付て御尋ね致したいのでありますが、別表は、各府縣、地方選出議員に付きまして議員數が定めてありますが、是は人口に配當してある譯でありますが、此の決め方は、苟も各府縣二名は出す、此の半數改選の爲に二名出す、それからそれ以上は二、四、六、八と云ふ偶數で以て定員が定められて居る譯であります、此の案は法制調査會の案でありましても私共一應此の案を見たのでありますが、今内務省から御提出になりました人口の配當の表を見ますと、どうも此の定員の割り方が、府縣に依りまして非常に不公平があるやうに考へられるのであります、例へば栃木縣は人口が百五十萬三千人であります、それで四名の定員が配當になつて居ります、然るに宮城縣は百四十六萬二千人でありまして、其の半數の二名の配當になつて居ります、其の差が人口で四萬一千五百十九、此の割合で言ひますと云ふと、非常に差が小さくつて〇・〇〇以下の差であります、それで二名の違ひが出る、是は茲に説明にありますやうに、偶數配當の爲にさう云ふことが起つたのでありまするが、餘り此の偶數に囚はれる爲に、縣民の側から見ますならば甚しく不滿を感ずるやうな状態ではないかと思ふのでありまして、之を少し緩和致しまして、最少限度は二名にするが、最高を今八名になつて居りますけれども、之を六名に止めて、二・三・四・五・六と云ふ風にしたならば大體此の凸凹が直るではないか、但し其の場に於きまして、偶數改選の爲に、奇數がありますから、それはどうするかと云ふ問題が起ると思ひまするが、それは適宜或は三名の所は二名と一名、或はこちらへ一名であちらへ二名と、さう云ふ風に組合せて決めれば其の點は良いし、又此の選擧に於てさう云ふ組合せをして、次の選擧に其の逆の組合せをすると云ふことも可能であると思ひまして、此の點は定員を少し修正をするのが宜いのではないかと思ひ付きまして、當局の御意嚮を伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=89
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090・郡祐一
○政府委員(郡祐一君) 地方選出議員の定數を配當致します場合には、色々な案を考へまして、彼是檢討を加へて見たのではありまするが、誠に機械的ではございまするけれども、議員一人當りの人口を出しまして、之に依りまして總人口を除して定數を得て參りまする方が最も公平に相成ると考へられまするので、御話にございました奇數を出しまして、半數づつの改選の割合を、選擧區に依りましては一人、二人と云ふやうなことが起つて參りまするやり方も考へられないことではございませぬけれども、矢張り全國を通じまして半數を改選致します際に、各選擧區に付きましても、矢張り正確に半數づつ改選することが望ましいのではないかと、斯樣な工合に考へた次第でありまして、從ひまして御指摘のやうに栃木と宮城との差、又は、宮城は百四十六萬の人口がございまして二人、鳥取が同じやうに二名でありますが、五十五萬しか人口がない、此のやうな例が起つて參るのでございます、斯樣なことは、似たやうな例が何時も衆議院議員の選擧に付ても起つて參りまして、衆議院の場合には四捨五入の形を取つて參りまするし、此の度は御指摘のやうに偶數の定員を置きました爲に、其の差が更に顯著に出ては參つて居りまするが、色々な案を比較致しました結果、矢張り此の方法に依りますことが、一番機械的ではあるが、公正と申しまするか、納得の出來る方法ではないかと斯樣な結論に達した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=90
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091・下條康麿
○下條康麿君 半數改選は憲法の定める所でありまして、是は動かない所でありますが、併しながら半數改選に囚はれて、縣民から選出する所の議員數が餘りに差が酷いと云ふことは、是は必ずしも公正ではないと思ひます、それで大體今迄の定員配當の場合も四捨五入法に依つて居りますから、四捨五入に依つて奇數に配當した方が妥當であるやうに考へます、一應意見だけを述べて置きまして、後は他の機會に讓ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=91
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092・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 他に御質問ございませぬか、――さうすると大河内君の總理に對する御質問は、次の機會に殘すことに致しまして‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=92
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093・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 今日は如何でせう、駄目ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=93
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094・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 今日はおいでがないさうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=94
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095・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 先程、何とか都合して見るとか云ふ御話があつて、それきりになつて居るのですが‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=95
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096・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 本日は都合が出來ないと云ふ御話ださうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=96
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097・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 未だそこには通じてないのだらうと思ひます、これは強いて私は主張しませぬけれども、二時半頃迄待つて呉れと云ふことです、私はさう承つて居ります、其の後に何か御聞きになつたのなら別ですけれども‥‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=97
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098・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 午前中に大河内子爵から御尋のありました點に御答へ申上げます、戸別訪問に付きましては、本案に於きましては、之を自由に致したのであります、衆議院議員の選擧に付きましては、從來個々面接或は電話に依る選擧運動、戸別訪問と云ふものを、一律に制限を致して居つたのでありますが、個々面接及び電話に依る選擧運動は、昨年の改正に際して之を自由に致したのであります、單り戸別訪問が殘つて居つたのでありますが、戸別訪問が禁止せられましたことは、一つには、國家の選良が各戸に投票を乞ひに行くことは不體裁であると云ふやうなことも考慮せられたのでありますが、一面に於きましては、又買收の機會を作る虞があると云ふことも考慮されたと聞いて居ります、併し今日のやうに選擧に對する國民の考へ方も行動も餘程改善されて居りまする際に於きまして、此のやうな餘りに微細に亙つた取締を致しますことも、一面に於きましては之が弊害もあることであります、そこで參議院議員選擧法を立案するに當りましては、寧ろ之を自由にした方が適當であると云ふことで、廢止することに致したのであります、衆議院議員の選擧に付きましても、將來法律の改正の機會に、參議院と同樣に取扱つてはどうかと云ふやうに考へて居る次第であります、次に選擧運動の費用の制限でございますが、是も選擧肅正の一つの方法として、衆議院議員選擧法に於て採り入れられた一つの制度でございましたが、參議院議員の選擧法案を立案するに當りましては、此の點を色々檢討致したのでありますが、一つには、現在の衆議院議員の選擧に於きまして、凡そ二萬五千圓程度が制限額になつて居りましたが、經濟事情の變化に依りまして、二萬五千圓で之を釘づけにすることは、必ずしも適當ではありませぬ、さりとて之をどの程度に引上げるか、或は貨幣價値の點から申しますと、十倍位に引上げると云ふやうなことになりまして、二十五萬圓と云ふやうな制限を附けますことが、果して適當であらうかどうか、又實際に於きましても、選擧運動の費用を法定で釘づけ致しましても、なかなか其の實效が收められて居ないと云ふやうなこともございますので、參議院議員選擧法の立案に當りましては、費用額の制限を撤廢致しまして、反面政黨及び議員候補者の選擧に關する收入及び支出を公開することに依りまして、選擧人等の健全なる判斷に依りまして、金權候補必ずしも選良として適當でないと云ふやうな、健全な判斷に依りまして行つた方が寧ろ適當であると云ふ結論に達しまして、選擧運動の費用額の制限を撤廢することに致した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=98
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099・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、是は衆議院の方で、若し戸別訪問の禁止も費用の制限も置いた方が宜いと云ふことになると、此の方の建前は能く存じませぬが、自然參議院の方も同じやうな制限を受けるやうなことになるのでこざいませうか、其の點はどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=99
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100・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 衆議院議員の選擧法で費用の點が若し存續されると云ふことになりましても、直接其の影響は參議院議員選擧法にはないと考へますが、併し國内に於ける同一選擧でありますれば、政府と致しましても、さう云ふやうな決議になりましたならば、更に參議院議員の選擧法に付きましても、それと歩調を合せるかどうかと云ふ點に付きまして、能く考慮して見なければならぬ問題であらうと考へて居ります、只今の所と致しましては、參議院議員選擧法に於きまして、費用の制限撤廢及び戸別訪問自由と云ふことに帝國議會に於て結論を得ましたならば、其の線に沿ひまして、將來の機會に衆議院議員選擧法も改めたいと云ふ希望を持つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=100
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101・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、是は衆議院の意向に依ると云ふことになりますが、是は少し伺ふのが無理かも知れませぬが、我々が衆議院の状況を考へて見ると、或は制限があつた方が宜いと云ふやうな人もないとは言へない、雙方色々な議論もあらうと思ふのですが、如何なものでせうか、我々は之を議する上に於て何も衆議院に追隨する譯ぢやありませぬが、衆議院の大體の樣子は頭に入れて置いた方が宜いと思ひますから、衆議院の大體の意向はどうでせうか、斯う云ふ撤廢も寧ろ贊成されるやうな意向が強いでせうか、或は制限を置く方を主とされるのでせうか、此處らはどうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=101
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102・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 政府と致しましては、只今の二點は參議院議員の選擧法案のやうに改めることが適當であると云ふやうに考へて居る次第でありますが、此の法案が貴族院及び衆議院に於きまして御審議になりまして、そこに是より異なる決議が若し起ると致しますと、其の御意思に依りまして今後政府として善處すべきものと考へて居る次第であります、尚此の參議院議員選擧法案に對する衆議院側の意向と云ふものに付きましては、一部に於きましては從來のやうに選擧運動の費用の制限、戸別訪問の制限は尚存續した方が宜しいと云ふ御意向があるやに承知致して居りますけれども、全體の御意向がどう云ふやうになつて居りますか、此の點に付きましては、政府に於きましても尚不明でございます、今後の審議に依りまして決ることと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=102
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103・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 大河内君の總理に對する御質問は明後日で如何でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=103
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104・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 已むを得なければ仕方がございませぬが、連絡が取れませぬでせうか、先程取れるやうに實は祕書官から話があつて、それを待つて居る譯ですが‥‥発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=104
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105・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 今申上げたやうに、今の所内務省の方で用があるから今日はちよつと覺束ないと云ふ御話です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=105
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106・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それでは已むを得ませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=106
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107・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) それでは大體御質問は是で濟みましたと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=107
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108・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もう一つ漏した所を内務大臣に伺ひたいのですが、先日永井委員から御質問があつて、大變私は有益なことと思ふのですが、投票所が多いと云ふと、どうも誰であると云ふことが知れ易いと云ふのです、是は此の前の推薦選擧の場合なども、さう云ふ弊は確かにあつたやうに思ふのです、それで投票所が多くても、開票區さへ相當に大きくして置けば其の弊はないので、さう云ふことは出來ることか出來ないことか知りませぬが、一縣なら一應皆纏めて一つにしてしまつて開票すれば、それこそ誰がやつたか分らないと云ふことになると思ひますが、此の法案の上ではさう云ふゆとりがとれて居ないやうですが、其の邊如何でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=108
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109・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 投票所の數と、それが祕密投票に及ぼす影響に付きましては、先般ちよつと御答へ申上げましたやうに、我が國の現状から申しますると、寧ろ投票所の數が少きに失しまして、之が爲に選擧人が非常に遠い所迄出掛けなければならぬ、殊に家庭を持つて居りまする婦人にも參政權を與へたと云ふ關係から致しまして、一層投票所の數が少きに失し、其の爲に選擧人に迷惑を及ぼして居ると云ふ點がございますので、寧ろ投票所の數は出來るだけ増加した方が適當である現状であります、而して祕密投票との關係でございますが、我が國の投票所の設備は簡素ではございまするが、相當に良い設備になつて居ると思ふのであります、投票所に於きまして投票を記載します場合に於きましても、障子其の他で簡單に目隱しを致して居りまするが、之に依りまして十分に祕密は保たれて居ります、尚又あの簡單な設備に依りまして、自書主義が型紙に依つて印刷をして違反をすると云ふやうなことも却つて防げると云ふやうな構造に相成つて居ります、尚又開票に際しましては、投票函を同時に開きまして混淆を致すことになりますので、それ等の點から考へまして、我が國の投票所の實情では、祕密投票の趣旨に反するやうなことはないと思ひます、從ひまして投票所の數を増加することに依つて祕密投票の趣旨に遠ざかると云ふやうな虞はないやうに考へて居りますので、寧ろ有權者が擧つて投票が出來得るやうに、投票所を増加する方向で進みたいと云ふやうに考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=109
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110・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、投票所を幾つ集めて開票されることになるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=110
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111・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 是は法案に規定してあります如く、原則として市町村の區域毎に纏めて開票すると云ふことに相成る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=111
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112・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 明日は休みまして、明後日午前十時開會を致します、本日は是にて散會致します
午後二時九分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=112
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113・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 林博太郎君
副委員長 男爵 高木喜寛君
委員
侯爵 細川護立君
侯爵 中山輔親君
伯爵 橋本實斐君
子爵 大河内輝耕君
子爵 秋元春朝君
子爵 織田信恒君
子爵 三島通陽君
子爵 水野勝邦君
子爵 松平親義君
桑木嚴翼君
平塚廣義君
永井松三君
吉田久君
下條康麿君
川村竹治君
男爵 松田正之君
男爵 肝付兼英君
男爵 小原謙太郎君
大木操君
松本學君
結城安次君
小山完吾君
松岡潤吉君
秋田三一君
委員外議員 慶松勝左衞門君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
國務大臣 齋藤隆夫君
國務大臣 植原悦二郎君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00519461209&spkNum=113
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