1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○参議院議員選挙法案
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昭和二十一年十二月十四日(土曜日)
午前十一時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=0
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001・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 開會を致します、昨日に引續きまして討論に入ります、昨日は小山君より立會人の件に付きまして修正案が出ました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=1
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002・山田三良
○山田三良君 小山君の御提議のありました立會人のことに付きまして私贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=2
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003・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 贊成人がございましたから小山君の提案は成立を致しました、此の際政府よりの意見を拜聽致します、内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=3
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004・大村清一
○國務大臣(大村清一君) 立會人に付きましては、衆議院議員選擧法等に於きまして候補者の屆出主義を採つて居つたのでありますが、參議院議員選擧法の立案に當りましては屆出主義を改めまして、投票管理者の選任主義に致したのでありますが、只今修正御動議がございました衆議院議員選擧法と同樣に候補者の屆出主義に改めようと云ふ御修正に付きましては、茲に其のやうな御修正が成立致しまするならば、從來採つて居りました方針でもございますので、政府と致しましては其の修正に同意を致したい、御決定次第に從ひたいと云ふ考へを持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=4
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005・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 尚御意見のあります方は此の際御願ひ致します、別に御發言もなければ只今の小山君の修正案に付きまして採決を致します、小山君の修正案に贊成の方の起立を乞ひます
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=5
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006・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 全會一致であります、これで小山君の修正案は可決になりました、‥‥どうぞ討論でございますから御意見の發表を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=6
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007・松平親義
○子爵松平親義君 私は參議院議員選擧法案に對しまして聊か意見を申述べまして、本案に贊成を致したいと思ふのであります、本法案は申す迄もなく民主化されました新憲法の精神に則りまして起草されたものでありまして、參議院の構成は、全國民を代表する選擧せられたる議員を以て組織すると云ふ原則に基いたものでありまして、又議員選出の方法は、自由、直接、平等の三選擧原則に基いたものであります、斯く致しまして參議院の構成は最も徹底した所の民主的精神の表明であることを認めるものでございます、而して茲に問題とすべきことは、斯かる構成の參議院を以てして如何にして第二院たるの機能を茲に發揮せしめるかと云ふことの問題であります、固より單に衆議院に於ての政黨の勢力が其の儘に參議院に表現されると云ふやうなことは意味のないことでございまして、所謂練熟、愼重、耐久と云ふ要素が茲に採り入れられまして、而も其處に眞に民意を反映する所の公正な批判が行はれる所たらしめなければなりませぬ、されば兩院の構成は出來るだけ之を異質的なものたらしめるべきことは勿論であります、政府は是が爲本案に於ける法的の措置と致しまして、衆議院議員より被選擧人の年齡の引上を行ひ、又選擧區の構成に付きましては全國を一選擧區とする劃期的の制度等を採用せられて居るのであります、而も其の上は總て選擧民の參政能力と中正な判斷とに信頼せむとして居られるのであります、誠に此の法案の下に於きまして參議院の機能發揮を期待せむとするならば、何よりも先づ基本的には選擧民が民主政治の自覺に徹すると云ふことであると共に、第二院の存在理由を篤と認識すると云ふことにあると存じます、而して民主主義的基盤が未だ確立して居るとは申し難い我が國の現状に於きましては、尚更立派な參議院の成立が望ましいのでありまして、之が成否は、法案自體の是非と云ふことよりは、寧ろ國民自身に對し將來に殘された問題であると存じます、政府は國を擧げて國民の政治思想の啓發に努められまして、其の力に依つて二院制に依る所の議會政治の正しい歩み方が行はれて行くやうに、絶大の努力と一段の工夫とを致されたことを切望する次第であります、最後に一言附加へさして戴きたいと思ひますことは、選擧權と被選擧權との問題であります、本案に於きましては、是等の範圍が現行の衆議院議員選擧法より遙かに擴張されて居りますし、寧ろ其の點は行き過ぎではないかと云ふ感じもないでもありませぬ、此の點に關しましては既に政府の御答もあつたのでありますが、今後現行の衆議院議員選擧法竝に國籍法と十分の調整を圖ることが必要であると存じます、以上私は意見を述べまして、修正案を含めましての本案に對しまして贊成の意見を申述べます(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=7
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008・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) どうぞ他に贊否の御意見があります方は御述べを願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=8
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009・作間耕逸
○作間耕逸君 私も此の法案に對して一般的、根本的には今松平委員が御述べになりました通りの理由で贊意を表する者であります、併しながら此の贊意を表する前提として、矢張り遺憾な點は之を明かにして置きたいと思ふのであります、其の點は現在の客觀情勢、内外の事情から、修正案としては提出は致しませぬけれども、併しながら斯う云ふ説を委員會の中にも、どうせ他に御贊成がないのでありますから、少數とは思ひますけれども、さう云ふ意見を持つて居つた者もあると云ふことだけは、矢張り一般をして知らしめて置きたいと思ふのであります、それは參議院は性格的に成るべく衆議院と遠ざからなければならぬ、異ならなければならぬ、即ち參議院の特殊性を出來得る限り發揮せしめなければならぬのであります、それには選擧の方法、之を衆議院と異なりたるもの、遠ざかりたるものにする程、それ程參議院の性格は異つて參り、違つて參るのである、處が原案に依りますると云ふと、大體に於て衆議院と選擧區は同じである、定數の上に於て衆議院より稍稍之を減じて居る、而して被選擧人の年齡を五歳程高めて居る、是だけであります、さうして此の地方選出の主義を半分は採入れて居る、さうすると云ふと此の採入れた半分だけは、矢張り衆議院の性格にそれだけ歩み寄つて居る、近付いて居ると云ふことに相成るのであります、茲に於て私としては、此の選擧の方法を寧ろ全國選出の一本に改むるに如かずと考へて居ります、處が全國選出の案に付きましては、之に推薦制が法制化されて居らぬ、或は職能代表制が具體化されて居らぬと云ふ理由で、唯何となく其の實施の結果に不安を伴ふ懸念があると云ふ危惧の念から、全面的に之を採用されることが出來ずして、半分だけ、半ばだけ之を採用されて居る、其の趣旨は政府も認めて居られるが、政府の苦心の存する所は御察し致しまするけれども、所謂五十歩、百歩である、五十歩、半ば、半分だけおつかなびつくりでありますけれども、其の全國選出主義を御採用になつた以上は、今五十歩である、さうすれば私は完全に衆議院の選擧方法と異りたるものを維持して行くことが出來るのである、茲に於てか參議院の特殊性は完全に發揮せられるのである、勿論推薦制、或は職能代表制が伴ひまする方が、全國選出主義の確立の上に安定感は多いのでありまするけれども、是が伴ひませぬでも、絶對にそれは不可能であるとか、或は混雜を惹起すると限つたものではないのであります、現に政府は半分は矢張り推薦制を伴ふことなしに、職能代表を伴ふことなしに此の制度を實施せんとして居られるのである、私は新しき制度に於ては常に若干の不安は伴ふのであるけれども、實施の結果は案外それ程ではないと云ふことを信じて居ります者でありまして、私は現に大正の半ばから昭和の初めに掛けて衆議院に席を持つて居りました、其の時諸君も御承知の通り小選擧區の制限選擧が俄かに中選擧區の普通選擧に改められると云ふので、之に對しては相當反對の聲が、強かつたのでありますが、其の反對の理由の中には、丁度現在參議院制に對する全國選出を不安がられる此の理由が、相當加へられ、交へられて居つたのであります、然るに實施の結果はどうでありまするか、それ程混亂、混雜も生ぜずして、普通選擧は先づ完全に近い状態に於て實現し得たのであります、處が今日に於ては、假令職能代表制若しくは推薦制が伴ひませぬでも、政府が危惧なされて居る程、決して全國選出の混亂や、混雜は生じないと私は信じまする一つの理由は、今日は御承知の通り全國到る所町會あり、部落會あり、其の下には隣組が完全に運營されて居るのであります、參議院の選擧は或程度は自由主義を認めて居るのでありまするから、此の參議院議員の選擧に付ては隣組、其の上の部落會、町會が相當自主的に、民主的に活動するに相違ない、統制と申しては語弊がございまするけれども、或程度の規律と秩序が保たれるに相違ないと思ふのであります、是は成る程隣組、或は部落會、町會が直接選擧人の投票に干渉することは無論避けなければならぬことでありまするけれども、候補者の選定に當つては、自ら自然の間に一種の統制が保たれて行く、丁度制限選擧が普通選擧に改められました時代とは餘程趣が變つて居るのではないか、それだけ全國的であつても選擧の實施は困難なことはないと信ずるのであります、齋藤國務大臣は個人として頻りに地方選出一本主義を強調して居られる、それは同大臣の信念の強いこと、或は其の意見の良心的であることに付ては敬意を表しまするけれども、時代は正に革新されて居るのであります、同大臣はそれ程懸念なさつて居りまするけれども、實察に於ては私は左樣な結果は生じないと云ふことを信ずるものであります、此の意味に於て私は、結局參議院は衆議院の性格とは異なれるだけ異なるものを現はさなければならぬ、違へるだけ違へるものを現はさなければならぬ、それには選擧の方法を根本から變へて行くことが一番捷徑である、それには選擧の主義を中途半端な、全國選出主義と地方選出主義と混用するやうなことなく、寧ろ斷然全國選出主義一本槍を以て進むべきものである、而して私は修正案として提出は致しませぬけれども、只今永井議員の非公式の御報告を伺ひましても、關係筋に於きまして、比較的他の事項よりも歡迎されて居るのは、或は關心を持つて居るのは、此の全國選出主義であるのであります、之を一本に改めると云ふことは私は必ずや了解を得るのではないかと信じまするけれども、修正案として提出するものでありませぬ以上、是以上は彼此れは申上げませぬ、さう云ふ點に於て原案は私の見る所、信ずる所と異なるものがありまするけれども、此の場合、先づ半ば全國選出主義を採用された、而もそれが職能代表制、若しくは推薦制なしに、無條件に採用された、寧ろ此の自信と勇氣を持つて、此の線一本主義で進まれなかつたことを遺憾と致すものでありますけれども、先づ暫く漸進主義を認めて、原案に贊同を表する外なからうと思ひます。是だけを申上げて置きまして、其の餘のことは總て松平委員御陳述の理由に依つて原案に贊成を表するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=9
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010・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私も簡單に贊成の理由を申述べたいと存じます、先日來の質問應答で、結局是は運用に依るより外ありませぬ、松平委員から御話の通り缺點は非常に多い譯だが、法文だけでは十分目的を達しないことになつて居るのだから、國民の自覺に依り、運營を全うして行くより外ない、又それが據るべき道であると云ふことを明かにされました、尚内容に亙つて私の意見を多少付け加へたいと存じます、例へば人數とか年齡とか云ふやうなことは、それは到底此の案だけでは御請合ひ致し兼ねるけれども、是は内外の情勢已むを得ないことだと存じま‐す、それから全國の選擧區と云ふことは、理由だけ簡單に申しますが、到底是は‥‥私は作間君と少し説を異にして、非常に不安にして居ります、全國的に有名な人必ずしも全國的に大人物とは見られない、どうも其の點から見ると、誠に危險な制度、先づ全國は私は止めた方が宜からうと思ひます、併し若し全國を止めることが出來なければ、是はどうしても推薦制と云ふことは必要である、推薦も職能代表のやうなものは、それはもう度々御議論がありましたやうに、全國民の代表たる性質を失はせてしまふ、一部の人の奉仕者であると云ふやうな結果に持つて行くことになりますから、職能代表のやうなことは許されませんけれども、それでなくても、相當の推薦の方法はあらうと思ふ、民主主義に反しない推薦の方法もあらうと思ひます、併し是も大體の空氣の上からいかぬと云ふことであれば、それも致し方がない、それで次に希望を申述べて置きたいのは兼職の問題であります、是は全體の兼職を禁ずるか、一部の兼職を禁ずるかと云ふ問題、私は寧ろ政府に縁の近い者の兼職を止めさせるより仕方がないと云ふことでございますが、それは皆樣の御意見で、趣旨は結構だけれども國會法に讓つたらどうだらうと云ふので、此の中でも、見るとさう云ふ點もございますけれども、それは皆樣の多數の御意見に從ひまして、國會法に讓るべきものだらうかと存じます、尚區の割當だとか、或は沒收金の算出の仕方などに付ても議論がございましたが、是は私としては誠に御尤もな御議論だと思ひますけれども、今更それだけに付て彼此れするのも如何かと思ひます、是は將來の御研究に俟つより仕方がなからうと思ひます、尚皇室の選擧權、被選擧權の問題も問題になりましたが、是は至極私御尤もだと存じます、併し多數の御意見と致しましては、是は運用に俟つ、皇族樣は貴族院に席を御連ねになつて居つても、御出になつたこともなし、樞密院に御出ましになつたこともないのであります、是は事實の運營の上に於て、政爭の渦中に投ぜられるとか、或は投票場に御出ましになると云ふことも事實あるまいから、運用に依るべきものだらうと云ふ多數の御意見に私も贊成を致します、唯惡くすると是は餘程危險なものになると思ひますから、深甚な注意を要するものだらうと思ひます、それで要するに大分如何かと思ふ點も此の運用上ありますので、法律だけではうまい結果は得られまいと思ひます、結局國民の自覺に依る他はないと思ふのでありますが、内外の情勢が是より進めないと云ふのであれば已むを得ない、此の意味を以て此の法律案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=10
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011・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 他に御發言ございませぬか‥‥‥別に御發言がございませぬければ採決を致したいと存じます、それでは採決を致します、先程可決されました小山君より提案されましたる修正の箇所を除きまして、參議院議員選擧法案の原案全部を問題と致します、此の原案に贊成の諸君の起立を願ひます
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=11
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012・林博太郎
○委員長(伯爵林博太郎君) 多數でございます、是で本案は可決すべきものと決りました、是にて散會致します
午前十一時四十二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=12
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013・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 林博太郎君
副委員長 男爵 高木喜寛君
委員
公爵 桂廣太郎君
伯爵 橋本實斐君
子爵 大河内輝耕君
子爵 織田信恒君
子爵 水野勝邦君
子爵 松平親義君
山田三良君
平塚廣義君
永井松三君
男爵 伊江朝助君
男爵 松田正之君
男爵 肝付兼英君
男爵 小原謙太郎君
大木操君
松本學君
小山完吾君
山地土佐太郎君
作間耕逸君
國務大臣
内務大臣 大村清一君
政府委員
内務事務官 郡祐一君
同 鈴木俊一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009101169X00919461214&spkNum=13
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