1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○増加所得税法案
○有價證券の處分の調整に關する法律案
○昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案
○昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案
○政府の契約の特例に關する法律案
○戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案
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昭和二十一年十二月二十四日(火曜日)午前十時十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=0
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001・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それでは昨日に引續きまして、委員會を開會致します、昨日増加所得税法案に付きまして專ら御質疑を願つたのでございますが、此の案に付きましてもまだ御質問があるかと思ひますし、又板谷委員が昨日の御質問の際に御留保になつた點も二、三あつたやうに思ひますけれども、今日は大臣は午前中はジー・エッチ・キューの方に御用があるさうで、午後は此の委員會に御出まし願へることになつて居るやうでございますから、昨日殘りました點、若しくは御留保になりました點は、大臣が御見えになつた上で御質問を願ふなら願ふことに致しまして、午前中は所得税法案も含めまして、あと政府の御提出になつて居ります、「有價證券の處分の調整等に關する法律案」外三件も併せまして、御質疑を願ふことに致したいと思ひますが、御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=1
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002・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それではさう云ふことで御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=2
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003・藍澤彌八
○藍澤彌八君 「有價證券の處分の調整等に關する法律案」に付きまして、ちよつと御伺ひしたいのでございますが、大體處分とか云ふやうなことは、多くの仕事が取引所に關係することと思ひますけれども、普通ならば取引所でやるべきことであるが、斯くの如き多數のものが各方面に分れて居るから、結局一つの調整機關と云ふことでやらうと云ふことから起つたことと思ひますが、併し將來證券廳と云ふものが出來るやうに思ふのでございますが、其の證券廳との關聯はどう云ふことになりますか、例へば有價證券の登録と云ふやうなこともあるやうに思ふのでございますが、そんなことは一體政府はどう御考になるか、此の協議會の方で登録して、證券廳の方は要らぬと仰しやることになるのか、どう云うことになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=3
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004・上塚司
○政府委員(上塚司君) 今ちよつと、其の係りが參りますからして、ちよつと御待ち下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=4
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005・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 政務次官からの御話でございますが、主税局長が御見えでありますから、政務次官はちよつと席を御外しになる御用がございますから、主税局長への御質問がございましたら、此の際御願ひします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=5
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006・黒田英雄
○黒田英雄君 昨日午後用事があつて、席を外して、既に御質問のあつたことかも知れませぬ、若しさうでありましたら、政府で答辯したと云ふことだけで結構であります、一、二御伺ひしたいのですが、今度の増加所得税に於きましては、政府は所謂新興所得者を目標にされて居るものと思ふのであります、大部分はさうぢやないかと思ふのでありますが、さうしますと此の收入を四十五億圓と見積りになつて居るやうでありますが、大體其の内譯は既に昭和二十一年度の所得税を申告して納めて居る者で、本年度に非常に所得の殖えた者の納税者、竝に二十一年度には納税をして居らぬ者で、新に今度政府が申告を待ち、若しくは申告しない者は政府決定で決定しようと云ふ者の納税人員は、どの位に御見込になつて居りませうか、尚それの税額はどれ位と云ふやうに御見込になつて居りませうか、其の點を一つ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=6
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007・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りに今囘の増加所得税法に依りまする納税者の數は、矢張り營業所得者が一番多いのであります、さうして税收入に於きましても、四十五億圓中三十九億六千萬圓は營業所得者から徴收する見込で居ります、尚納税者の點でありますが、營業所得を主と致しまする甲種事業所得は昭和二十一年度の決定は八十數萬人でございました、併し二十一年中に新規開業した者が五、六割の増を見込んで居ります、只今の税法で甲種事業所得の昭和二十二年に當るべき數字は、納税者は百三十萬人程度を見込んで居る次第でございます、又此の百三十萬人ばかりの中から大體今囘の増加所得税法に依りまして納税義務者となる見込の者は六十數萬人と計算致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=7
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008・黒田英雄
○黒田英雄君 大體それで了承致しましたが、此の税法に依つて本年度は、詰り收入實績に依つて課税される譯であるのでありますが、さうしますると云ふと、來年度の所得税に付きましては前年度の實績に依ると云ふことになると云ふと、同じ者を掴へると云ふやうなことになつて來ると思ふのですが、來年度の所得税の改正に付きましては、矢張り豫算課税に來年度はしようと云ふ御見込なんでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=8
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009・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 左樣でございます、豫算課税の方が最近の如く經濟界が非常に變動致します場合には、課税竝に徴税上適當であると考へまして、政府は豫算課税に持つて行きますやうに只今研究致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=9
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010・黒田英雄
○黒田英雄君 それから此の税法に依りますと云ふと、決定は増加所得税調査委員會に諮問して決めると云ふことになつて居りまして、増加所得税調査委員會に關する規定は勅令で定めると云ふことになつて居るのでありまするが、是は從來の所得税調査委員と云ふものの如く選擧する御考であるのですか、或は勅令で全く別個に組織を御定めになる御積りでございませうか、どう云ふやうな組織にされる御積りでありますか、其の點を御伺ひしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=10
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011・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 所得調査委員會と同樣に各税務署に設置致しまするが、其の構成に付きましては所得調査委員會よりは餘程違つて居ります、即ち調査委員は各界の代表者、或は非常な經驗のある方を官選致しまして、さうして其の數も所得調査員の數よりも餘程多く致したいと考へて居ります、選擧の點は、從來所得調査員は前年の納税義務者から選擧することになつて居ります、今囘の増加所得税は只今申上げましたやうに、新規納税者も澤山ございます、又選擧致しますに致しましても、其の時日がございませぬので、選擧の方式は用ひず、官選で行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=11
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012・黒田英雄
○黒田英雄君 それで能く分りましたが、所得税の方に置きまするやうに、之に對して更に審査委員會と云ふやうなものは御設けにならないのですか、所得税の審査委員會に御掛けになるのでせうか、どう云ふ風になるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=12
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013・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 此の點も所得税法とは違ひまして、財務局に審査委員會と云ふものを置きませぬ、一般の原則に依りまして、税務署長の決定に對して異議があります時には、通常の手段又は行政訴訟に移る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=13
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014・板谷順助
○板谷順助君 増加所得税の問題に付て大體事務的のことを先に片付けたいと思ひますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=14
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015・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=15
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016・板谷順助
○板谷順助君 本案の第三條に依りますと、二十一年度中の現收入金額から必要な經費を控除した合計金額から、一定金額の計算の基礎となつたものを差引く、此の計算の基礎となつたるものと云ふのはどう云ふものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=16
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017・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 決定金額に依りますと基礎控除の關係もございますので決定金額の基礎となつた所謂控除前の金額に依る、斯う云ふのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=17
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018・板谷順助
○板谷順助君 さうすると昨日橋本委員からも御質問があつたのでありますが、例へば前年度所得の金額は合計十萬圓と云ふものがですね、今年になつてそれが十五萬圓となつて三月三日に財産税の申告をする、所謂五萬圓殖えたと云ふことになりますと、此の法案が、即ち二十一年度の一月からの計算に依つて増加したるものを取る、斯う云ふ建前でありますから、從つて前年度の十萬圓と三月三日の十五萬圓の差引五萬圓、此の五萬圓に對しては一方に於て財産税を取られ一方に於て増加所得が取られる、所謂二重課税です、是はどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=18
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019・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 斯かる場合には財産税と所得税とは其の對象を異に致して居りますから、私は二重課税とは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=19
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020・板谷順助
○板谷順助君 對象を異にして居るのは當然でありまするので、御承知の通り財産税と云ふものは率が非常に高いのみならず今囘の所謂増加所得税と云ふものも殆ど率が高い、場合に依つて、其の金額の如何に依つては財産税と或は増加所得税と合せましたならば零になるやうな結果になりはしないかと斯う思ふのであります、財産税がないなら宜しい、併しながら財産税と云ふものを一方に取ると云ふ目標があるのでありますから、此の點は餘程御考慮にならぬと、或は財産税を取られ、一方に於て増加所得税を取られ、そこで殆ど何ですね、税にのみ取られて收入がないと云ふ結果になりはしないか、大體此の法案は新圓所得、之に對する増加所得を取らうと云ふのが目的です、三月以降に於ける所謂新圓に依つて收入ある者から取らうと云ふのが目的だ斯う思ふのです、それはあなたの御考へは、對象は違ふと云ふけれども、私は所謂結論に於ては二重課税になると考へます、委員諸君の御考へはどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=20
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021・藍澤彌八
○藍澤彌八君 此の事に付てはそれは重複するものと看做さなければならぬでせうな、財産税と云ふものの建前と増加所得の建前は、成る程税の建て方は違ふと思ひます、性質は違ふか知れませぬが、實質に於ては同じ結論になると思ひますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=21
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022・板谷順助
○板谷順助君 是は重大問題でありますから、能く一つあなたの方でも御研究になつて、或は又御相談になつて一つ御答辯を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=22
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023・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 昨日も橋本委員の御質問に對して御答へ致しました通りに、今迄の税制に於きましても斯かる場合には二重課税とは致して居りませぬ、我が國に於きましても相續を開始致しました場合に、被相續人の所得に對しましては翌年相續人が納税を致します、而して前年例へば十一月に相續開始致しました時には、其の年中の所得は相續財産に入つて居ります、で財産税の性質を得る相續税を課し、翌年又被相續人の事業所得等に付て所得税をかけて居るのであります、又世界の今迄の税制の歴史を見ましても、年の中途に於て財産税をかけます場合に付きましては二重課税ではない、矢張り斯う云ふ建前でやつて居るのでございます、色々研究は致しまして考へ、又他國の實例を見ましても斯かる方法にやつて居るのであります、若し二重課税なりとして如何なる處置を講ずるかと言つたら、殆ど處置の講じやうがございませぬ、一月から三月迄の所得を上積にするか下積にするか、色々な問題がございます、矢張り斯う云ふ點もありますので、各國の税制が示しますやうに、是は片一方は財産を對象として課税するものである、片方は所得を對象として課税するものである、それで讓渡所得即ち第三種の所得に付きまして三月三日の價格を引くと云ふことになつて居りまするが、是は沿革的に申しましても、實質的に申しましても、名は所得となつて居りまするが、是は財産課税の問題であります、從ひまして其の點の矛盾もないと信じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=23
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024・板谷順助
○板谷順助君 餘り時間を取つて皆さんに御迷惑でありますけれども、此の問題ははつきりして置く必要があると思ふ、要するに税金は收入の中から拂ふべきものである、私は先般本會議に於ても最近に於ける地方税、或は附加税と云ふものが非常に過重で、例へば營業所得に於て十萬圓の收入があつた場合には十萬七百五十圓、百萬圓の收入があると云ふと百十一萬八千五百圓を拂はなければならぬ、是は事實に於て調べた結果私は其の點を質した、税は要するに收入の中から拂ふ、然るに現在營業所得が、今申上げました通り最近に於ける所の地方税が非常に膨脹して、或は三百と言ひ或は八百と言ひ隨分亂暴な課け方をして居る、ですから地方の財政を維持するに於て已むを得ないと致しましても、今私が申上げるのは、或は財産税と増加所得は對象が違ふと思ふ、違ふだらうが、兎にも角にも收入の中から拂ふべき税が萬一超過したならば、それに對して政府が相當の對策を講ずべきものである、でありますから恐らくは今私が申上げまするやうに、一方に於て財産税を取つて居る、若し一月から三月の間の増加所得税を取ると云ふことでございましたならば、要するに二重課税である、又増加所得の目的が新圓獲得、所謂新興財閥から取る、勿論三月以前に或は儲けたものもあるだらうが、尤もそれはちやんと屆けてある、屆けて財産税に依つて取られるのでありますから、是は私はあなたの御答辯では承服出來ませぬ、恐らくは委員諸君の多數の方もさう云ふ御感じぢやないかと私は想像致します譯でありますから、是は後程に讓ります、それから此の税は一年限りと言つて居るのでありますが、此の法案を見ますると云ふと、脱漏があつて發見をされた時は、昭和二十五年十二月三十一日迄増加所得税委員會に諮問すると云ふのであります、さうすると二十五年迄此の委員會と云ふものを存置して御置きになる御考へでありませうか、一年限りの税は是はどうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=24
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025・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 所得税は其の所得よりも多かるべき筋合のものではございませぬ、飽く迄所得の範圍内に限るべきと考へて居ります、是は原則でございます、唯併し今囘の如く重い財産税が課かる時には、其の年の所得よりも財産税、或は所得税を通じて政府に納むべき金額が多くなることは、是は致し方ないと思ひます、併し所得税と致しまして其の年の所得よりも所得税を澤山取ると云ふことは、是は惡法でございまして、私は世界に其の例がないと思ひます、百萬圓の所得があつたものが、百十萬圓も所得税、營業税を通じて納める場合がある、斯う云ふ御話でございまするが、私は斯かる場合はないと信じて居ります、假令地方の附加税が非常に高くなつても、斯かる負擔になるやうな高率の附加税は許してない筈でございます、唯問題は營業税を加へてから所得よりも殖えると云ふ場合はありませう、併しそれは營業税は、所得百萬圓なら、營業税を納むべきものを引いたものを所得と致して居りますから、例外的に非常に或程度高率の附加税を許して居る所は、一年分に付きましては、初めの所得よりも超過する場合は是は理論的に起り得ることと思ふのでございますが、營業税を損金としない場合に於きましては、斯かる場合は私はないと考へて居ります、次の問題の一年限りの税と云ふものが昭和二十五年十二月三十一日迄は追加決定が出來る、是ぢや一年限りと云ふ譯に行かぬぢやないかと云ふ御質問でありますが、是は來年三月三十一日迄に調査致しまして徴收するのでありまするが、決定漏れと云ふことがございます、其の場合には昭和二十一年の實績を、二十五年迄は遡つて決定し得る、斯う云ふ途を開いて居るのでございまして、昭和二十二年度分に付きましても、昭和二十三年度分に付ても決定する、斯う云ふ意味ではないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=25
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026・板谷順助
○板谷順助君 私は先般此の地方税が事實に於て超過して居ると云ふ表を銀行局長に渡してある、又内務省の財政課長でありまするか、それが參りまして、私が實際に於て調べた結果を質問したのであります、處が今あなたの御話のやうに初年度は已むを得ない、初年度は税の支拂が收入より殖えても已むを得ぬ、翌年から詰り引く事になるからと云ふ御答辯であるけれども、初年度に於て收入が税よりも不足になる、税が超過すると云ふことに付ては重大問題であります、それから地方の税が或程度迄制限はして居ると云ふ御話でありますけれども、例へば北海道に於て、市が八百、道に於ては三百といふ之に對する附加税が掛つて居りまして、是では地方の財政も容易でないかも知れぬけれども、納税者も容易ぢやないと云ふことで、色々此の點を御話をしたのでありますが、あなたは之を一遍能く御調べを願ひたい、それから又成る程國家非常な財政の窮乏の場合でありまするから、出來るだけ國民として納税をする義務があるかも知れませぬ、あるかも知れませぬが、假令對象が違つて居つても、財産税を一方に取つて居つて、一方に於て今御話する増加所得税を取ると云ふことは、私は不都合だと思ふ、要するに三月三日以後を對象とするのが當然ではないか、斯う私は考へて居るのであります、是以上はあなたとは議論になるから申しませぬけれど、あなたの方でも國民の今日の窮状を矢張り御考へになつて、所謂新興事業家、闇に依つて暴利を取つて居つた斯う云ふ者から取ると云ふ、是が御趣旨であると云ふなら、相當に御考へになる必要があるのぢやないかと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=26
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027・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 新興所得階層から出來るだけ税を徴收致したいと云ふ氣持で斯く原案を作つた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=27
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028・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 「政府の契約の特例に關する法律案」に付て御伺ひしたいのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=28
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029・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) ちよつと御待ち下さい、藍澤さんから「有價證券の處分の調整等に關する法律案」に付てさつき御質問がございまして、政府委員の答辯がちよつと殘つて居りますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=29
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030・上塚司
○政府委員(上塚司君) 藍澤さんの先程の御質問の趣旨は、證券處理調整協議會と證券廳との關係はどうかと云ふ御質問と、もう一つは證券の登録とはどうするのかと云ふことであつたと思ひますが、只今理財局長が參りましたから、理財局長の方から御答辯を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=30
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031・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 御答へ申上げます、只今の第一の點の今度出來ます證券處理調整協議會と證券廳と云ふのがございますが、此の證券廳と申しますのは、只今私共の手許で證券取引所の方の改正、詰り證券取引法と云ふものを今練つて研究致して居る最中でございまして、其の中に新しく證券の取引全般を所掌する官廳と致しまして、證券管理廳とでも申しますか、さう云ふものを作つたらどうかと云ふ構想を持つて居ります、其の御話ではないかと存ずる次第でございますが、今度の有價證券處理調整協議會、此の法案にありまする協議會の方は、何と申しませうか、碎いて申しますと、政府でありますとか、閉鎖機關、或は持株整理委員會、其の他今囘の各般の措置に依りまして大量の有價證券を處分する必要に迫られて居ります所の、市場で申しますと大きな賣方とでも申しませうか、此の大きな賣方が相集りまして、自分勝手に處分致しますことを避けまして、其の時期なり價額なり、數量なりを御互に相談し合つて計畫を立てまして、さうして合理的に統一的に處分をして行かうと、斯う云ふ趣旨の協議會でございます、それから證券管理廳とでも申しますか、今考へられて居りまする官廳がございます、仕事は有價證券の取引全般に付きまして、之を監督すると云ふ風な立場に立つものでございますので、自ら別な役割を持つて居る譯でございます、御了承願ひたいと思ひます、それから證券の登録をどうするか、是は結局此の有價證券處理調整協議會の下に、相當大きな事務局が設置せられるだらうと思ひます、其の事務局に於きまして、特定の株式會社から其の株主の名簿に付きまして、竝に現在の特定の局に於ける株主の名簿と申しますか、さう云つたものを御屆けを願ひまして、それを何と申しますか、保管し、整理をし、ノートに取つて置くと、斯う云つた役割を其の事務局で致すのでありまして、唯それだけのものでありますが、具體的な仕組等に付きましては、此の證券處理調整協議會が出來上りまして、其の下部の構造其の他を關係者の間で十分相談致しまして發足致したいと存じて居りますので、それ以上細かいことはちよつとまだ申上げられませぬが、御了承願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=31
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032・藍澤彌八
○藍澤彌八君 能く分りました、それでは政府は總ての協議會に委する證券を、指定證券と仰しやるやうでありますが、指定證券の方の登録は此の協議會の方に登録せしめ、總てのものは其の證券廳の方に登録させると云ふ御趣旨に承知して宜しい譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=32
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033・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) ちよつと重複致すやうな感じが致すのでありますが、御答へ申上げますと、此の有價證券處理調整協議會の方では、詰り此のメンバーになつて居りまする特殊の團體と申しますか、機關、それから特別經理會社等が再建整備法に依りまして此の指定證券を處分致します場合には、其の處分の計畫其の他を全部持つて來なければならぬと云ふことが一つと、それから此の第十四條にございます通り、政府の指定しまする會社其の他の法人は、其の株主の名簿とか、出資者名簿とかを出さなければならぬ、其の政府の指定する會社其の他の法人は、必ずしも此の指定證券の、是等の各機關が持つて居りまする株式の會社と、此の政府の指定する會社とは必ずしも同一ではないと思ひます、唯政府の指定する會社に付きましては、此の指定法人に付きましては、全部其の株主なり出資者なりの住所氏名其の他を協議會に屆出なければならない、それから御話のありました證券管理廳とでも申しますか、さう云ふ方面でやります役割の一つに今豫想されて居りますのは、此の株主は誰それであるかと云ふ、登録とでも申しますか、それとは別でございまして、會社自體の中味とでも申しますか、どう云ふことをやつて居つて、どう云ふ資本金で、どう云ふ仕事をやつて居るか、又どの位の營業内容を持つて居るかと云つたやうな事柄を、そちらの證券廳の方に屆出て貰はうかと云ふやうな構想を持つて居りますので、多少取引の對象内容竝に會社等の範圍其の他が違つて居りますし、ダブることはないと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=33
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034・藍澤彌八
○藍澤彌八君 一方は指定證券と、一方は普通のものと區別する、さう云つたやうに解釋することになりますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=34
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035・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 指定證券は此の協議會に、それから其の他の證券は今考へられて居りまする證券廳と云つたやうなものにと云ふ譯ではございませぬ、政府の指定する會社、それから對象の方はダブるかも知れませぬが、其の會社の屆出まする内容が違つて參ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=35
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036・藍澤彌八
○藍澤彌八君 それで、さうなりますると、仕事は取引の仕事のやうに考へられますが、第一條に書いてありまするやうに、市場の状況に應じて處分すると云ふことでもあり、此の處分と云ふことは、取引所を中心にして處分すると云ふ御構想のことだらうと思ひますが、如何でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=36
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037・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 御承知のやうに今日本證券取引所は閉鎖された儘になつて居りまして、閉鎖と申しますか、休業致して居りまして、まだ再開の運びになつて居りませぬ、出來るだけ早い機會に之を再開する段取りが付きましたならば、勿論此の取引所を通じて是等のものが捌かれるのは當然でありますが、それ迄の間に於きましては、有價證券業者、金融機關等と十分に此の協議會で連絡を執りまして、具體的に處分して貰はう、さう云ふ工合になつて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=37
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038・藍澤彌八
○藍澤彌八君 そこでさうなりますと、第四條の五項の人選でありますが、昨日大藏大臣の黒田君の質問に對しての御答では、制限會社から採る方針だと云ふ風に御答辯があつたやうに思ふのでございますが、是は如何でございますか、さう云ふ風になつて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=38
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039・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 第四條にありまする協議會の協議員の中味でございますが、第一號から第五號迄ございます、大體に於て是は先程申上げました大きな賣方になる方々は其の代表者、斯う云ふ意味でございます、唯現實に處分を致します場合には、勿論金融機關なり有價證券との間に緊密な連絡を取らねばなりませぬので、具體的には協議會の下に出來ます事務局、此の中には相當業界の方々に御參加を願ひまして、又現實の問題と致しましては、是等の協議員が有價證券業者、金融機關等の方々と具體的にそれぞれの場合に於きまして、十分に御相談をして行く、さもなければ圓滑に公正な處分と云ふことは出來ないのでありますから、其の運營の點に於て萬遺憾のないやうにやつて行く、協議員としては、賣る方の代表者が集つて御相談をすると、斯う云ふ工合に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=39
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040・藍澤彌八
○藍澤彌八君 ああさうですか、實は私は此の中に相當業者の經驗のある者を御加入になる方が運用上、且つ消化の部面に於きましても、非常に宜いのぢやないかと考へたものですから、さう云ふ點を伺つたのですが、今政府の御答辯に依りますと、賣る方だけを糾合して、それが協議員のメンバーなんだ、さう云ふ趣旨なんだと云ふことでありますれば、それも已むを得ないと思ひます、能くそれで了解致しました、それから一體指定證券に屬するものの數量は非常に厖大なものになつて居ると思ふのでございますが、我が國産業の大部分迄には行かぬかも知れませぬが、我が國産業の資本の約半數に近いものが今囘政府の財産税の對象に依つて茲に指定證券として統一せられるものと思ふのですが、此の大きな處分は隨分困難なことだと思ふのですが、一體政府は此の期間をどう云ふ風に御考へになつて居るか伺ひたいのです、御承知の如く、既に財産税は本年度の豫算に計上せられて、消費の對象になつて居ると思ふのでありますが、さうしますと、出來るだけ早く此の處分を完了しなければならぬと考へられる譯でありますが、政府は一體之に對する期間はどう考へて居るか、一つ御示しを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=40
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041・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 御承知のやうに財産税等に依りまして、國庫に納付せられた有價證券等に付きましては、又外の持株整理委員會等が預りました有價證券等に付きましても、出來る限り早く處分すると云ふことは必要であらうと存じますが、唯急ぐばかりが能ぢやございませぬ、矢張り是だけ全體と致しまして……資料で御配りしてあるかと存じますが、差當り見ただけでも、百八十數億と云ふものが動くやうな情勢にございますので、其の他のものを入れますと相當もつと大きな金額になるかも知れませぬ、之をまだ色々な意味で經濟の實態が立直らぬ状況に於きましてやりましたのでは、圓滑に且つ公正に此の處分が出來るとは存じませぬので、矢張り潮時を見まして段々と此の協議會で相談をして、捌いて行くと云ふことになりますので、或程度時間は掛ると云ふことは、覺悟致さねばならぬと思ふのであります、それが具體的にどれ位掛るかと申しますのは、只今ちよつと申上げ兼ねるのであります、それから今度は財産税關係の歳入の方でありますが、御承知のやうに物納されました財産に付きましては、其の七割五分の範圍内に於て公債を以て發行することが出來る、處分致されまする迄の間公債の發行に依つて繋いで行く、大體今年度の豫算に於きましても百八十六億の公債發行を豫定してございます、唯此の公債の發行に付きましては、日銀引受と云ふよりは、出來る限り民間に、直接金融機關其の他に、消化をして戴いて、詰り國民の蓄積せられた資本を動員するとでも申しますか、まあさう云ふ風なことを今折角研究致して居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=41
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042・藍澤彌八
○藍澤彌八君 御答辯に依りますると、此の期間に對しての見透しはないと、斯う云ふ御意味でございますな、言ひ換へれば、處分を急いで、さうして不當の値段、公正ならざる値段での處分が起らないやうに注意するには、相當の期間を見なければならぬ、又投資等も考へなければならぬと云ふ御構想のやうに見えますから、要するに其の點から申しますると、此の厖大な處分は大凡期間は定められないと、斯う云ふ風に承知して宜しい譯でございまするな発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=42
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043・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 早ければ早い程宜しいのでありますが、色々なことを考へ併せまして、具體的にどう、何年とか或は何箇月とか云ふことは、現在に於ては定められないと、斯樣に存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=43
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044・藍澤彌八
○藍澤彌八君 一方に於て財政上の關係から、早急に處分しなければならぬと云ふ問題がありまする際に、此の處分は何等目安が付かないと、斯う云ふことは、どんなものかと考へるのであります、一體政府は此の消化に付て何等か特殊な構想を以て投資層を開拓する、開拓させる、斯う云ふ風の御構想はないのであるか、昨日は大藏大臣の御答辯の中に、約三割程度のものは從業者に持たせ、而もそれに對する資金の供給は政府で世話する考だと、斯う云ふ御答辯のやうに承つて居んですが、一體それは一つの證券消化の便法でもあり、又民主化の線に沿ふ方法でもあらうかと思ひますが、一體補助をするとか金融をするとか云ふことは、實際の國民貯蓄に依つて産業を育成する建前から云つたら、宜くないんぢやないかと思ふのですが、其の點に於て政府は他に何か此の投資層を作る或は投資層を助成する、斯う云つた方法に對しての御溝想はないのであるかどうか、斯う云ふことを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=44
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045・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 今後資本の蓄積が成るべく民衆全般の有價證券に對する直接投資の形で行はれますことを望む次第でありまして、從ひまして健全なる有償證券が、健全なる大衆の間に廣く分布せられまするやうに、色色今研究を致して居ります、證券取引法を、新たに廣い見地から、單に有價證券取引所の改組と云つたやうな意味に止らず、もつと廣い見地から證券取引法を作らうと致しまして今研究致して居りまするものも、まあ其の一つのラインだと存じて居ります、尚從業員或は其の地方の方々に成るべく優先的に、今度處分致しまする有償證券、殊に株式を持つて戴きたいと思ひますのは、一つはまあ經濟民主化と云つたやうなラインに沿ひまして致します譯でありまして、唯從業員の方々にお持ち願ひます場合に於きまして、其の當事者の間に話合が付きまして、尚多少若干資金が不足するとか、さう云ふ風なことがあります場合に於きましては、勅令五百六十七號ポツダム勅令の、先般出ました會社の資金保有の制限に依りまして、其の第十條にありますやうに、特定の金融機關をして、特別の場合に限つて之を一時金融をしようと、斯う云ふ構想は持つて居りますが、是は何處までも有價證券を廣く國民の間に分散して、經濟の民主化を圖らうと云ふラインを採つてございます、それを培養するとでも申しますか、涵養して行くとでも申しますか、さう云ふラインで行つて行かう、斯う云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=45
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046・藍澤彌八
○藍澤彌八君 今一つ伺ひますが、日本の産業の發達を考へますると、色々ありまするが、各貿易業者とか金融業者と云ふものの助成とか、産業の助成が多く與つて力があつて今日になつたと思ふのでありますが、それを悉く民主化にしようとする場合に當つて、政府の仰しやるやうに何も構想がなくては、此の處分方法が甚だ困難ではないかと思ふのであります、是は多少意見になるかも知れませぬが、最近に於て農地調整法案に依つて地方の土地、即ち田畑が證券化すると云ふやうなことになつてしまふと思ふのでありますが、斯かる證券とか或は國債の一部、少額債券、政府の保證する社債と云ふやうなものを以て換へ得る方法を御講じになつたならば、私は一つの投資層を作るのではないか、是は健全なる資本の民主化になるのではないかと斯う考て居りましたのでありますが、唯何の構想もなくして百八十億とさう言ひますが、新株がありますから大凡二百億以上のものでありませう、又價格の騰貴が起つた場合には三百億とも計上せらるべき數字ではないかと思ふのであります、斯かる多數のものが何等の構想もなくして消化されるだらうか、斯う云ふことだけでは私は到底其の消化は困難である、斯んな風に考へますが、如何でございませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=46
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047・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 農地證券でありますとか、國債等に依りまして此の株を買ふ途が拓けるかどうか、是も十分研究を致して居ります、唯今度處分致しまする此の賣方其の他の中味に依りまして色々場合があるのでございます、政府が財産税として納付せられました有價證券を賣ります場合に於きまして、是は一應歳入に見て居るのでありますので、之を農地證券、國債等で御納め願ひますと、それはそれで又償却しなければならぬと斯う云ふことになりまして、實はさう言つた點は多少研究する點があらうと思ひます、又持株整理委員會のものを處分致しまするやうな場合には、國債なり農地證券なりで受取ると云ふやうなことも考へられるのではないかと思ひますので、斯う言つたやうなことに付きまして、今細かく研究を致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=47
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048・藍澤彌八
○藍澤彌八君 一體此の處分が遲れますると、私は日本の産業の状態が殆ど嗜眠状態に陷つて、少しも其の活動が圓滑に行かぬと斯う考へるのでありまして、其の促成を實は望んで居るのであります、是は國家も望むことだと考へて居るのであります、其の意味に於きまして、只今御研究になつて居らるると云ふ其の證券の投資層の培養、或は助成、さう云ふやうなことに付きまして、私の申しましたことが多少の參考になり、又政府もそれに對して御調査をし、御構想を持つて居ると云ふことでありますから、是非此の構想の線に沿うて此の消化の速かに行きまするやうに、國家經濟の再建の一歩も早からむことを希望致しまして私は此の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=48
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049・金子武麿
○伯爵金子武麿君 證券處理調整協議會と云ふものの構成を拜見致しますと、政府の官吏一名、其の他は特別經理會社等の委員と云ふことで、是だけの有價證券を相當整理……賣つたり、今の政府の御答辯のやうな、賣り方から斡旋して行くと云ふやうなことになりますと云ふと、色々な産業別に此處に出て居りますが、是は唯是だけの政府の官吏だけでなくて、もつと各省の、商工農林あたりの官吏もはつきり此の協議會に御加はりになつた方が宜いのぢやないかと思ひますが、其の點に付て御考はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=49
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050・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 此の證券處理調整協議會の方は先程申上げましたやうに、大きな賣り方が集まりまして、其の處分の方針なり、更に具體的なことを決めて行かうと云ふのでありまして、評議員と致しましては、例へば財産税關係で納入せられました證券を處分すると申しますか、政府の所有して居る有價證券を處分すると云ふ建前に於きましては、大藏省國有財産部長と云ふのが其の方の第一の責任者に相成る譯であります、さう云ふ風な工合でありまして、關係機關が集ります結果、官吏が表向に入りました所は割合と少いのでありますが、唯下部構造と致しまして、事務局を持ちまして、其の事務局の中で相談を具體的には致します譯であります、其の時には先程申しました通り、外側からは金融機關なり、有價證券業なりの方の御參加を願ひまして、又關係官廳の方もそこに入りまして、十分に今仰しやいましたやうな事柄に付きましても、齟齬を致しませぬやうに、廣い見地から具體的な案が出來まするやうに努力致したい、斯樣に存じて居ります、御了承を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=50
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051・金子武麿
○伯爵金子武麿君 さうしますと、有價證券の處分の斡旋に關する事項と云ふことになれば、事務局でさう云ふ風な相當な案が御出來になる迄、又政府委員の御答辯に依つても廣く大衆に分布して民主化を圖ると云ふことであれば、餘程是はやり方を……今藍澤委員が仰しやるやうに、色々の方針を御持ちになつて發足されないと、唯漫然となすつちやどうかと思ふのであります、例へば此處にあります制限會社、若しくは財閥から出て來ました肥料會社の株なんと云ふものは、農村の農民に廣く御持たせになつたらどうかと思ふ、さうすると新圓なんか、今言はれて居る農村にある新圓と云ふやうなものも若干の吸收が出來やしないか、勿論全部肥料會社の株が農村に行くと云ふこともございますまいけれども、そこで幾らか生産者と消費者の直結と云ふことも出來、且つ農林省の御考になつて居つたやうな、所謂農村自體で肥料會社をやると云ふ、さう云ふ御方針にも合つて行つて宜いぢやないか、生産者の株を消費者大衆に矢張り撒いて行くと云ふやうな御構想の下に、總て……總てとは申さないけれども、御考になつて行くのに宜いぢやないか、それには矢張り十分方針を立てて、協議會の運營を政府自體が御方針を立ててやつて行かないと、今藍澤委員の言はれるやうに、何年掛つても出來ないと云ふやうなことに陷りはしないか、此の點餘程偉大な決心を持つて政府は臨まなければならぬと、斯う云ふ風に私は考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=51
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052・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 御尤もでございまして、此の協議會が今下準備を致して居りますが、出來上りまして具體的に發足致しまする迄の間には、只今御指摘になりましたやうな事柄、其の他色々なことをはつきりと決めまして、其のラインに從つてやつて行かう、斯樣に存じて居ります、それから何年掛るか分らないぢやないか、十年、二十年掛るなどと云ふことは毛頭考へて居りませぬ、實は餘談になるとも存じますが、他方今やつて居ります貯蓄推進運動に於きましては、十一月から三月迄五百億以上のものを目標としてやつて居ります譯でございます、どんなに致しましても月に八九十億圓、百億位と云ふものは集めて行きたい、さうしますと年間を通じまして千億と云ふ風なことに相成る譯でありまして、さう言つた國民貯蓄と云ふことが他方出來るやうな情勢でありますならば、二百億にしましても有價證券の直接投資の氣風と申しますか、さう言つたやうなことを國民の間に十分に納得して戴き、培養して行きますならば、そんなに長いこと掛らずして是が都合良く出來るのではないかと斯樣に考へるのでありまして、はつきりと何箇月、或は一年なら一年で之を處分をして見せると云ふことになりますと、株、有價證券の内容にも色々なものがございますので、斷言は致し兼ねるのでありますが、其の大部分のものに付きましてはそんなに長く掛る、ものぢやないのではないか、斯樣な工合にも考へられて居ります、具體的には申上げにくいものですから、どの位掛るかと云ふことははつきり申上げられないのでありますが、出來るだけ早く相當手際良く行くだらうと云ふことは、大局的に見ては考へられるのではないかと思つて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=52
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053・金子武麿
○伯爵金子武麿君 能く了承致しました、消費大衆と云ふものの今申上げるやうな關係から、十分一つ政務次官の方でも御善處願ひたいと思ひます、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=53
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054・板谷順助
○板谷順助君 矢張り事務的の質問は順序をずつと……例へば株とか、或は其の特定契約の關係とか云ふ風に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=54
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055・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 自然さう云ふことに御願ひしたいと思ふのですが、それから今委員の方から御注文があつたのでありますが、席に居ると皆さんの聲が聞きにくい所があるさうで、成るべく委員が御聞き取りになれる程度に御發言願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=55
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056・村田保定
○男爵村田保定君 増加所得税法案の質問は打切られたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=56
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057・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) まだ打切りませぬが、次の方に幾らか移つて居りますが …発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=57
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058・村田保定
○男爵村田保定君 後で質問して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=58
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059・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 宜しうございます後で大臣がおいでになりますと、又元に戻ると思ひますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=59
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060・板谷順助
○板谷順助君 株の問題に付て、外の諸君からは御質問がありませぬから、私から御質問申上げたいと思ひます、指定證券、或は財産税に取る物納の關係の處分は、政府の分布の構想とでも申しまするか、從業員に三分の一、或は地方の縁故者に三分の一、一般公衆に三分の一と云ふ風に御考になつて居るのでありまするが、藍澤委員、金子委員から御質問になつた通り、今は株を分けてやらうと言つて見た所が、會社其のものの内容が安定して從つて配當がどの位取れるかと云ふ目安が出來て來なければ、株を引受ける者はありはしない、そこで例へば補償打切の結果、御承知の通り未だに資産に對する評價の基準と云ふものは決つて居らない、だからして一日も早く基準を決めて、さうして其の會社に對する現在の資産状態がどう云ふ程度になるかと云ふことを決める必要があると思ふ、是はあなたに質問しても仕方がないと思ひますが、安定本部でも頻りに、未だに關係筋から何等の返事がないと云ふやうなことを言つて居られますが、要するにそれが決らぬければ、如何に政府が賣出すと言つても引受け手がない、それから從業員の三分の一の問題であります、是は從來は私共關係會社に於ては從業員に株を皆持たした、持たしたけれども、少し値が良くなると皆賣つてしまつて、持ちはしない、でありますからして、從業員に持たせると云ふことに付ては、恐らくは全額を買はせなければなかなか持ち手はないと思ふ、中にはそれはあるでありませう、さうすると何か任意組合でも作つて、さうして所謂團體に依つて之を買はせる方法を考へて行かなければならぬ、之に付ては大藏大臣は、出來るだけ融資の方法を考へてやると云ふやうなことを言つて居られます、でありますから私は平和株は別問題としても、先決問題としては、補償打切の結果、資産の評價の基準を先づ第一に定めて、其の會社の内容が如何なる程度であるか、現在市價などで色々な大體の目安が付いて居りますけれども、果して是が會社の實際に觸れての評價であるかどうか、私は相當に疑問を持つて居るでありまするから、政府は先づ第一に之を御急ぎになる必要がある、然らざれば株式の處分などは出來ない、此の會社の内容は此の位の程度で、此の位の配當が出來ると云ふことでなければ持ち手はありはしない、それから金子委員の仰つしやる通り肥料株の如き是等はこんな協議會が早く出來て農民に處分出來るやう準備なさつたが宜い、そこで、あなたが今申上げた所の資産の評價基準と云ふものに付て何か御聽きになつて居りますかどうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=60
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061・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 仰つしやいます通り企業再建整備に依りまして新しく生れます會社殘ります會社がどんな状態で、將來がどうであるかと云ふことが、株式の中味を決しまする處分の前提になる問題でありますことは、仰つしやる通りでありますので、一日も早く評價基準が決まりまして、それに基きまして會社の再建整備計畫が早く出來ますることを望んで已まないのでありますけれども、色々な關係がございまして、未だに決まりませぬことを非常に殘念に存じて居りますが、私共一日も早く決まりますやう色々努力は致して居るのでありますが、まだいつどうと云ふことが申上げ兼ねる状態にあるのを誠に申し譯なく存じて居ります、それから從業員の御持ちになる場合に於きましても、過去の例に依りますれば、大體に於て仰つしやいます通りに、値が好くなれば直ぐ賣つてしまふ、さう云ふ場合が多かつたのでありますが、今後も此の問題に付きましても、當初之を持ちまする資金が出せませねば、先程申上げます通り特定の機關から之を融通しよう、斯う云ふ段取りに致してあるのでありますが、斯う云ふことを致しまして、結局從業員の方竝に大衆に於きまして長く堅實に此の有價證券を持つて、戴くと云ふことを、何と申しますか、培養して行く、涵養して行くとでも申しますか、さう云ふ氣風を出來るだけ植付けて見たい、斯樣に存じて居る次第であります、又それから特定の組合等を作りましてそれに持たせたらどうかと云ふ問題に付きましても色々今考へて居ります、唯現在の所と致しましては、從業員の方が一人々々株主になられる譯でありまして、是が一つの株主の分擔とでも申しますか、さう云ふ趣旨にも合ふ譯なのでありますので、差當りは從業員の方々に株を御讓り致します場合に於きましては從業員組合、或は職員組合と云ふ風なものを斡旋の中間機關として、さう云ふ方々を經由して色々な處分を、具體的な取り纒めを御願ひすると云ふ風なことにするのが宜しいかとは存じて居りますが、差當りの所は組合に讓ると云ふよりは、矢張り個人で御持ちを願ふと云ふ風な考へ方で居ります、居りますが、色々具體的に今後物事が運んで參りますと、色々其の具體的な實情に應じまして考へなければならぬ問題が多からうと思ひますので、研究を續けて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=61
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062・板谷順助
○板谷順助君 どうも是は率直な申しやうでありますけれども、政府のやり方が總て緩い、甚だ失禮な言葉であるかも知れませぬが …だから斯う云ふ混沌たる時代には或程度迄は拙速主義でも宜しい、どんどん目鼻を付けて行かなければ、いつ迄經つても解決しやしない、例へば今御話した肥料株なんか、農家は非常な金を持つて居る、いつでも賣れる、それが協議會でなければ處分が出來ないとか何とか言つて居つたのでは、時機が遲れてしまふ、此の點は御考へ願ひたい、それから未拂込の株の問題、是はどうなりましたか、まだ未決定であるやうに聞いて居りますが、どう云ふ風に今なつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=62
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063・櫛田光男
○政府委員(櫛田光男君) 未拂込の問題も評價基準の問題と併せまして非常に大きな問題でありますが、是も今色色具體的な案を作りまして、關係方面と相談中でありまして、まだはつきりと右か左か決まつて居りませぬ、是も甚だ申し譯なく存じて居りますが、さう云ふ状況であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=63
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064・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 「政府の契約の特例に關する法律案」でありますが、本法に依りますと、政府と契約を結んで仕事をする場合に、政府の支拂金額が確定せざる時は、後日政府に於て一方的に其の金額を決めよう、斯う云ふ譯であります、是では甚だ不安で仕事が出來ないと思ひます、殊に御承知の通りに、今日のやうに非常に物資が缺乏致して居りまして、仕事をする場合に於ても、已むを得ず闇でも買はなければならぬ、斯う云ふ状態の下にあつて、果して後日適當な工事費が決められるか否やと云ふことに非常に不安を持つて居る、若し強いて、さう云ふことを直ちにおやりにならうとしますると、今後仕事が圓滑に進捗しないのではないかと云ふことを惧れる者でありますが、此の點は我々は無論、國民と致しまして、此の經費の輕減を圖ることには全力を盡したいと思つて居ります、どうも只今の状態では非常にそれが困難である、而も此の特定委員と云ふやうなものが、果して民間の意思が入れられるかどうか、適當な價格が決められるか否や、一方的に官僚のみがおやりになると云ふことになりましたならば、どうも業者との摩擦も生じまして、今後進駐軍の工事が圓滑に行くと云ふことは期し難いと思つて居ります、之に對しまして、復興院の方が御見えになつて居りますから、此の點に付きましての御考を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=64
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065・上塚司
○政府委員(上塚司君) 指定金額の決定を一方的に行ふと云ふ措置は、竹中委員の御説の如く、普通の場合でありますると好ましくないと思ひますけれども、今囘の場合は他の場合と違ひまして、相當非常の手段を必要とすると考へられます、尚單に獨斷的に金額の指定を行ふと云ふ譯ではありませぬで、若し相手方に不服があるやうな場合は、委員會の意見を斟酌するとか、又相手方が裁判所に提訴するとか云ふ機會が開かれて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=65
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066・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 是はさう云ふ途があるかも分りませぬけれども、徒らにそれは事端を繁くするものと思ひます、寧ろ根本的に、現在非常に發註が多元的である、斯う云ふ點は何か、此の矢張り發註を一元化する、或は仕事を物資が集つてからする、或は期限に於てはもう少し之を緩めると云ふやうな色々な方法が考へられなればならぬと思ふのです、其の方が寧ろ工事費を低下する所以だと思ひます、之に對しまして、政府と致しましては、何か斯う云ふ手を一つ御考にならなければ、現在のやうに、もう發註が非常に至る所に出て、それが期限を嚴しく決めて、それで出來ないと云ふと、業者は何んとか言つて脅される、さうしますと自然に闇の物を買つてやらなければならぬ、最近のガラスとか或はセメントなどの相場と云ふものは、實にどうも信じ難い値段であります、併しそれも我々は買つて早く仕事をしなければならぬ、斯う云ふ状態の下に行ふので、成るべく之を一つ今後政府は御考になつて、さう云ふ點の調整を一つ御考へ願ひたい、それからもう一つ承りたいのは、此の特定契約委員會であります、此の構成はどう云ふやうな構成になりませうか、我々聞いて居る所に依りますと、アメリカあたりでは委員會と云ふのは、常に所謂註文者と受註者と第三者と斯う云ふ三つの人々が集つて、公平な判斷をすると云ふことで、非常にうまく、且つ安んじて業者も仕事が出來ると云ふのであります、此の特定契約委員會と云ふものが我々の死活の生命を握るやうに思はれますが、此の構成は、どう云ふ風におやりになる御考でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=66
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067・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 御説のやうに發註者詰り官廳側でありますが、それと、受註者側と、公平な第三者の工事等に付きまして具體的知識を持つて居られる方、斯う云ふ三種類の方々に御集りを願ふ積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=67
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068・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 發註の一元化と云ふか、願くは復興院などに一元的に御集めになつて、さうして我々が受註をすると云ふやうなことに運ばなければ工事の調整がうまく行かないと思ひますが、其の邊は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=68
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069・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 工事關係に付きましては、今後復興院で全部一元的に統合致す積りであります、唯御承知の如く何分にも相手のあることでありまして、日本側だけで決定致し兼ねるやうな場面が屡屡出て參りますので、御希望通り參らないやうな場合も實はあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=69
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070・村田保定
○男爵村田保定君 第一條の特定契約の相手方と云ふのは何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=70
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071・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 工事を施工致します所謂業者であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=71
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072・村田保定
○男爵村田保定君 さう致しますと、政府と進駐軍と言ひますか、斯う云ふ工事をして貰ひたいと云ふ工事の發註者と實際の仕事をする業者と第三者がある譯ですが、其の關係はどう云ふことになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=72
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073・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 法律的に申しますれば、進駐軍と云ふのは表には出て參りませぬ、事實上の注文者ではございますが、法律的には政府が注文者で、從つて政府と業者との關係だけが表には出る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=73
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074・村田保定
○男爵村田保定君 契約面には政府と業者との關係だけしか、最初から終ひ迄表れて來ないのですね、處が事實は一番大きい支配力を持つて居るものは發註者と言ひますか、進駐軍になりはしませぬか、そこで今迄此の問題に付て、質問者も色々な疑問を起して居られるやうな面倒な場面が出て來る譯ですが、例へば是は政府と業者との間に於て契約が出來て、指定金額、支拂金額が業者に渡されるやうな場合に、直接政府から業者に支拂ふものですか、一遍進駐軍の手を經て、さうして業者に支拂はれるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=74
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075・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 進駐軍の手を經ませぬで、政府から直接支拂ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=75
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076・村田保定
○男爵村田保定君 さうしますと、進駐軍の關係することは、此の工事の進行の指圖と云ふことだけに止まつて居る譯でありますか、進駐軍と政府との關係が調整されて居れば、あと契約は單純に政府と業者との間で行くので、餘り面倒なこともないやうにも考へられるのですが、其の關係は色々な場合に、例へば此の節進駐軍の支拂が惡くなつたと云ふやうなことを言はれる場合があるのですが、是は政府の支拂が惡いと云ふことになるのですか、何が故に政府の支拂が惡くなつて行くか、そこに又別の關係が出て來ると思ふのですが、進駐軍關係の支拂が惡くなると云ふのは何處から出て來るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=76
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077・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 是は實に色色な原因がございまして、あつさり斯う云ふ譯だからと云ふやうに簡單には申上げ兼ねるのでありますが、一例を申しますと、根本的な問題は、例へば兵舍の建築と云ふ風なものは、政府側には全然計畫が分つて居ない、何處で何が造られるかと云ふことがさつぱり分つて居ない、それから飛行場を造られると云ふのも、何處でどう云ふ飛行場が造られるかと云ふことも全く分らない、是がいきなり二月以内に何億圓の飛行場を造れと斯う言はれましても、豫め資材等を全部彈きまして、具體的に計畫を進めて、契約者と値段の協定迄も出來上ると云ふやうな段取には實は參らないのであります、それから燒け跡のビルディングをいきなり來月一杯に全部家族の住宅に直せと斯う言はれましても、どれだけのボイラーで、どれだけのパイプが要るのかと云ふことも、事前に勉強して掛ると云ふ譯には參りませぬ、さう云ふやうなことで、支拂の方も實際計畫的に支拂ふと云ふ譯に參りませぬ、のみならず、例へば十月なら十月に何億の註文が出ると云ふことを見合ひまして、それに相當の歳入の金繰りを用意して置くと云ふ譯にも參らない色々な原因が實はある譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=77
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078・村田保定
○男爵村田保定君 尚此の問題に限りませぬけれども、進駐軍關係の處理に付ては非常に政府は……さう云ふ風に言つては惡いのかも知れませぬが、實に御遠慮が過ぎて居るのぢやないかと思ふのですが、さう云ふ風に、出來ぬものは出來ぬ、出來るものは出來ると、例へば飛行場を何時迄造れと言つたつて、それは日本の經濟の現況に於ては、是だけのことはやれるが、是以上のことは迚も出來ぬ、若し是非やつて呉れと言ふならば、資材なり何なり持つて來て呉れと云ふことを、まあ敗戰國だからさう強いことも言へぬかも知れぬが、或程度は其處の所を突張つて、こちらで自主的に仕事が出來るやうに調整して行かないと、進駐軍に引摺り廻されて、此の上亡國の上塗りをしなければならぬと云ふことにならないとも限りませぬ、殊にさう云ふことは最近非常に豫算面に於ける濫費と言ひますか、浪費を憂慮されて居るやうでありますから、其の點に付て政府は確乎たる肚を決めてやつて戴かぬと、國民は非常に大きな負擔を負はなければならぬことになると思ひます、其の點に付て御所信を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=78
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079・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) それは申す迄もないことでありまして、先般來總理からも最高司令部の方に正式に申入を致して居りまして、私共も事ある毎に事務的には十分相當強く色々話合を致して居ります、簡單に私共の今話合を致して居りまするポイントを申上げますと、第一は計畫を事前にはつきり分らして貰ひたい、それから期限の緩和をして貰ひたい、尚所要資材に付て、現在の日本の經濟に於ては背負ひ切れない物が澤山ありますので、此の點は現物で支給せられるなり、乃至はクレジットを設定すると云ふ風なことを願ひたい、又工事の期限と云ふものは是非緩和して貰ひたい、又代用品の使用と云ふことも是非十分認めて貰ひたい、それから中央で色々話合を致しましても、實は現地軍に勝手なことを註文されてしまひますと何にもならない譯でございますので、中央の計畫が現地軍の末端迄十分に浸透するやうに、又各現地軍毎に工事なり施設なりの枠を決めて貰ひたい、まあ色々斯う云ふ點に付きまして折衝を續けて居ります、最近は財政面の非常な重壓と云ふ風な點も先方で十分考へて呉れまして、例へば日本の現在の經濟生活から申せば少し贅澤である何億圓のゴルフ場と云ふやうなものがある譯で、さう云ふやうなものは先方でも積極的に工事の中止を命ずると云ふ風な所迄非常に協力して呉れるやうな傾向に向ひつつあるのでございます、尚出來るだけ努力を致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=79
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080・村田保定
○男爵村田保定君 まあ戰敗國として、戰勝國の先方と色々御折衝なさる御苦心は大變なものであらうと思つて、其の點は十分御同情申上げる所でございますが、大臣、首腦者に於ての御覺悟があつても、先方と折衝する其の當局に於て矢張り肚を据えて御折衝下さらぬと、出來ぬものは出來ぬと云ふことになりますから、其の點に付ては強くすべき所は飽く迄強く突張る、讓らなくちやならぬ所は讓ると、さう云ふので、飽く迄自主的に、さうして日本の國が立つて行くやうに一つ御進めを願ひたいと思ひます、それは希望として申上げて置きます、私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=80
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081・藍澤彌八
○藍澤彌八君 只今の村田男爵の御質問に關して私も考へたのですが、又政府委員の御答辯の中にもあつたと思ひますが、昨日政府委員から此の進駐軍費の豫算及び現在迄使つて殘額が幾らと云ふ御説明があつたのでありますが、只今の政府委員の御説明に依りますると、中央に於ての費用は大凡見當は付く譯であるが、地方の進駐軍の使つた費用はさつぱり分らぬ、斯う仰しやつたやうに思ひますが、さう致しますと、地方から相當の出費があると云ふことが又重ねて豫算面に現れて來ると承知して宜い譯なんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=81
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082・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) さう云ふ意味ではございませぬ、地方で使ひました金類も多少時期はづれますけれどもはつきり分るのでございます、唯何と申しますか、中央で知らない註文が地方で出ることなきを保せないのであります、さう云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=82
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083・藍澤彌八
○藍澤彌八君 さうすると、進駐軍の使ひます費用と云ふものは、豫算に計上せられて居る百九十何億と云ふ、數字はちよつと記憶致しませぬが、それだけですつかり賄ひ得ることになつて居るのでございませうか、或はそれは事實豫算であつて、實際の費用はもつと非常にかかると云ふことですか、其の點は如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=83
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084・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 是は確定的には申上げ兼ねますが、現在豫算上の措置をして居る金額で是非賄つて貰ふやうに懸命に折衝中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=84
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085・藍澤彌八
○藍澤彌八君 結果は分らぬと居ふ譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=85
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086・板谷順助
○板谷順助君 私も今の問題に付て伺ひたいのであります、今村田委員から御話になりました通り、政府も出來るだけ努力はして居られるだらうけれども、どうも國民經濟に重大な影響があり、財政非常に困難の場合に於て、勿論敗戰國として、占領目的を達する爲に出來るだけのことはしてやらんければならぬけれども、是では國が潰れてしまふ、若し從來のやうに先方の註文を滿足させてやれば、國の財政は破滅する、そこで御承知のやうに消費經濟である占領軍の費用と云ふものは、何等日本の再建に付ては働きをする譯ではない、處が之に要する資材は、大半は殆ど其の方面へ使はれて居る、だからして御承知の通り九十三億、是が一時日本銀行の假拂になつて居つて、果して占領軍の方で持つて貰へるものか、日本の負擔になるのか分らない、併し愈愈日本の負擔と云ふことに決つた結果、今度是が更に公債として提案された譯であります、だからしてあなた方は、出來るだけ資材を、今我々の方では出來ませぬから、資材の輸入を一つ斡旋して貰ひたい、此の運び方を、今の御説明に依れば無論御やりになつて居るだらうが、もつと徹底的に御やり願ひたいと思ふ、それから大體進駐軍の費用の殆ど六割は工事費であります、土建業者に言はせると期日は必ず間違なくやれ、期日が遲れたならば罰金だとか、軍法會議に付すと云ふ重大な命令が出て居る、從つて闇でも何でもどんどん買つてやらなければならぬと云ふ實情であります、處が此の代金の支拂に付て、聞く所に依ると七割より拂はない、後三割は保留して居る、或は見積が正當であるかどうか、私は分らぬけれども、或は眞面目に見積を出して、さうして後の三割が取れぬが爲に、非常に苦しんで居る者がある、七割概算拂で、後の三割は取れるか取れぬか分らぬと云ふやうなものは、或場合に於ては七割で相當利益のあるやうな見積をやつて居るのぢやないかと思ふ、假令進駐軍の命令であると言つても、日本政府の責任に於て此の工事はやるのであります、其の點を能く御考になつて、資材が足りないならば、資材を出來るだけ提供して貰ひたい、斯う云ふことはもう初めから仰しやるべきものでなかつたかと思ふ、若し此の儘で進んで行つたら國の財政は破滅です、恐らく進駐軍の方でも日本の財政を能く御考になつて、それが爲に例へば京都のゴルフ場の如きものは御止めになつたと云ふことであるが、もつと積極的に努力して戴きたい、だから場合に依つては日本は今日敗戰國でありますから、もう屈辱などと云ふことを考へて居る必要はない、或程度擔保を提供しても外資の輸入と云ふよりは、物資の輸入、之を考へなければならぬ、此の上とも努力して、さうして日本の國情を能く進駐軍方面へ了解願ふやうに御配慮願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=86
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087・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 此の問題に付て、まだ御質問もあるかと思ひますが、もう彼此十二時でありますから、茲で一旦休憩致しまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=87
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088・板谷順助
○板谷順助君 ちよつと伺ひたいのですが、此の進駐軍の費用の内譯の中に、賠償管理費が五億七千八百萬圓と云ふものが計上されて居る、是は賠償物件を今度撤去するに付て、進駐軍側の方で管理して居るのですか、金額が如何にも、多過ぎるやうに思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=88
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089・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 是は日本側で管理致して居りまする管理費用であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=89
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090・板谷順助
○板谷順助君 日本側の管理として斯んなに金が掛るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=90
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091・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 是は實際申しますと、戰爭中機械などを山に穴を掘つて全部入れた、斯う云ふものを全部掘り出して原状に囘復しなければならぬと云ふやうに、是は一例でございますけれども、唯在る姿のものを其の儘じつと持つて居るのではありませぬ、油をやつたり、錆を取つたり、何時でも動かし得る状態に囘復して置く必要があるのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=91
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092・板谷順助
○板谷順助君 それから工場の跡片附に三億九千萬圓の支出がある、是はどう云ふ……、日本の政府の責任に於て、日本の勞働者がやるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=92
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093・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) ちよつと私の持つて居りますのに、どうもさう云ふのがありませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=93
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094・板谷順助
○板谷順助君 跡片附三億九千萬圓、是は此の間説明員から聞きました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=94
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095・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 報償費と申しますのは、一種の賠償金のやうなもので、移轉費用とか、實は色々なものが入つて居りますが、爆藥處理を今やつて居ります、是で非常に死傷者が出るのであります、それからジープで勞務者が轢かれましたり、さう云ふ性質のもので、色々なものが入つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=95
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096・河西豐太郎
○河西豐太郎君 今の問題に付ては政府委員の御話で能く分りましたが、今迄進駐軍の注文で、中央若しくは地方に於て、今の御話中にも建設物の非常に立派過ぎるものは斷るとか、話合をするとか云ふやうなことを承つたが、過去の實例に於て先方の注文は悉く容れてありますか、或は曰本政府、若しくは日本當局の側から見て、是は行過ぎである、是は不當であると云ふやうなものに對しては、そこに何等かの道がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=96
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097・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 過去の實例に於きましても、例へば材料等は先方の注文よりは遙かに質の惡い物にして貰ふと云ふやうなことは、極力やつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=97
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098・河西豐太郎
○河西豐太郎君 それは先方に交渉の上ですか、こちらの手心だけですか、今私のお尋ねする意味は、日本政府に、先方の言ふことに付て唯命是れ從ふ……之に對して何等かの強い決意を以て事を處理して來て居るか居らぬか、私の伺ひたいのは其の點です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=98
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099・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) ちよつと速記を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=99
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100・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 速記を止めて
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=100
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101・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 速記始めて……それでは是で一時休憩を致しまして、午後一時から再開致したいと思ひます
午前十一時五十一分休憩
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午後一時十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=101
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102・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それでは午前に引續いて開會を致します、間もなく大藏大臣御出席の筈でございますけれども、其の間の時間を利用致しまして、昨日御諮り致しましたやうに、衆議院提出の戰時補償特別措置法の改正案に付きまして、便宜主税局長から衆議院の改正要點竝に其の理由、之に對する政府の御所見を伺ふことに致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=102
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103・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 私から便宜上衆議院提出の戰時補償の一部を改正する案に付きまして、其の提案の理由竝に趣旨を御説明致します、御承知の通りに戰時補償特別措置法第十二條に於きましては、民法三十四條の規定に依つて設立された所謂公益法人のみならず、又營利を目的としない法人或は團體に對しまして、戰爭保險金に基く特別税が課税になりまする場合に於きましては、戰時補償特別税審査委員會の議に附しまして、其の特別税を輕減免除する規定があるのであります、從ひまして此の十二條の規定に依りますと、輕減免除を受けます税は、戰爭保險金に基く、所謂火災保險に基く戰時補償特別税に限られて居るのであります、併し實際面に於きましては、京都等に於ては舊防空法の規定に依りまして建物が強制疎開され、それに基きます所の補償請求權でありますとか、或は強制疎開に依りまして建物を賣渡した場合の賣買代金請求權、斯う云ふものに付きまして、先程申上げましたやうな公益法人や或は營利を目的としない法人が全部課税を受けることになると酷である、斯う云ふので、戰時補償特別措置法の第十二條中「現に別表二第一號」の下に「及び第五號」を加へまして、戰爭保險金に基くもののみならず、舊防空法に依りまする疎開に依る請求權に付きましても、戰時補償特別税を輕減免除すると云ふ趣旨から、改正案を提案して居られるやうでございます、唯御承知の通りに、戰時補償特別措置法に依りまする申請は、十二月の十四日が期限になつて居りますので、もう既に此の法律を施行致します時は是は納税濟になつて居ります、從ひまして此の改正案が兩院を通過致しました場合には、もう納税濟になつて居りまするから、附則に「改正後の戰時補償特別措置法第十二條第一項の規定により輕減又は免除される戰時補償特別税で、この法律施行の際既に納付されたものについては、命令の定めるところにより、當該税額に相當する金額を還付する、」斯う云ふことに致しまして、遡りまして輕減免除の規定を適用せむとするのでございます、簡單でございますが、衆議院の提出の「戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案」に付きまして御説明を申上げた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=103
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104・板谷順助
○板谷順助君 ちよつと御伺したいのでありますが、戰時中に戰災に遇つたものはどうなるのですか、戰災保險のことでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=104
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105・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 請求權は補償特別税から外されて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=105
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106・板谷順助
○板谷順助君 大臣がまだおいでにならぬやうでありますから、昨日の續きを主税局長に御尋ね致します、一番の問題は新圓獲得、所謂闇に依つて多大の利益を得た者から増加所得を取ると云ふ建前であつて、從つて是は個人と云ふことは先に書いてあつて、後で又何條かに法人云々と云ふやうな問題がありますが、昨日申上げたやうに、法人組織と申しましても、例へば相當の事業會社であつても、公定だけでは儲からぬ、利益が擧らぬと云ふやうな關係からして、一部は公定で賣り、一部は闇で賣ると云ふやうな會社も相當にある、從つて又有限會社の如き、二十萬圓以下の會社を作つて、さうして所謂闇の賣買、之を盛に行つて相當の利益を擧げて居るものも澤山ある、あるからして、若し徹底的に新圓獲得に依つて暴利を貧つて居る者から増加所得を取ると云ふこになれば、是等も一樣に取締をして、徹底的に調べなければならぬが、此の法案の適用に依つて、今申上げた所謂個人同樣の會社、是は取締が出來ますか、或は課税することが出來ますか、之をはつきり一つ……、あなたは昨日は認定云々と云ふやうな御言葉があつたけれども、是は認定ではない、是は法律其のものを言ふのでありますから、此の法律の範圍に於て其の法律が適用が出來るか出來ないか、若し適用が出來ないとすれば之を改正する必要があると云ふ風に考へるのでありますが、どうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=106
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107・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 増加所得税法第十五條の「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に關して第十一條又は第十二條第二號乃至第四號の違反行爲をなしたときは、その行爲者を罰する外、その法人又は人に對し、各本條の罰金刑を科する、」と云ふことは、責任罰の規定でございます、而して個人の業務其の他財産に關しまして此の調査をして行きます上に於て、法人にも持つて行つて法人の帳簿檢査や或は質問をすることがございます、其の時に法人の使用人が十一條或は十二條二號乃至四號の規定に違反した場合でありまして、課税の問題は全然規定致してございませぬ、是が第一點、第二點は、個人の方に對して増加所得税を取るのならば、法人に對しても矢張り是と同じやうな趣旨で臨むべきではないか、斯う云ふ御質問だと思ひます、法人の方に對しましては、只今の法人税法で十分でございます、何故かと申しますと、此の増加所得税は先程來申上げて居ります通りに、二十一年分は前年の實績で課税して居ります、然る處二十一年は經濟が膨脹致しまして、二十一年分として決定致しました所得よりも非常に個人が殖えて居ります、さうして政府は二十二年、來年からは其の年の所得税は其の年の所得から納めて貰ふ、斯う云ふ豫算課税制度に改めるのであります、さうすると二十年の實績で二十一年を安く決めて居りまして、さうして其の二十一年が非常に殖えたと云ふ時に、其の差額の分を今度取つて置かないと、二十二年からは豫算課税で行きますから、永久に拔けることがある、斯う云ふので二十一年に限つて其の差額を取る、斯う云ふ考へ方でございます、而して豫算課税とはどうかと申しますと、二十二年になつて豫算課税が兩院の議決を經まして施行になりました時に、我々の考では、二十二年の一月から三月迄の所得に付きましては四月の末に納めて貰ふ、或は四、五、六の所得に對しましては七月末に納めて貰ふ、斯う云ふ風に區切りまして、一應豫算で其の年分を區切り區切り納める、さうして翌年に至つて之を翌年一月末に更正致しまして、豫算課税が殖えて居る場合には還付する、少い時には追徴する、斯う云ふ建前に致して居るのであります、而して法人の所得は、是亦先般申上げたやうに、各事業年度の所得を事業年度終了後申告して徴收する、斯う云ふことになつて居ります、從ひまして法人が一月から六月迄の事業年度であれば、七月末迄に申告して八月末には取れる、斯う云ふ今の建前になつて居りますから、只今の處法人の所得に付きましては、大體個人の豫算課税を取つたと大體同じやうな結果を來すのではないか、併し是亦只今研究致して居りまするが、六箇月の事業年度の法人所得税ならば割合に所得に近く取れるけれども、一年の法人所得税ならば是亦一年遲れになるぢやないか、斯う云ふ御懸念があるのぢやないかと思ひます、斯かる場合に於きましては、一年の分に付ては半事業年度で取ると云ふこと迄進まうかと思つて居りますが、是は結論は通常議會に提出したいと考へて居ります、從ひまして法人ならば豫算課税と申しますが、實績の課税と申しますか、兎に角六箇月毎に決算を出すのでありまするから、豫算課税とも言ひ得る、唯個人の豫算課税を六箇月毎に取るとすれば、法人と同じやうな建前で豫算課税でも行つて居るのであります、從ひまして法人に付きましては一年のづれがございませぬ、從來から豫算課税的になつて居るのであります、それで法人の増加所得税は今の處出さなくてもいい、二十一年分の個人の増加所得税を今取つて置かないと、永久に取れなくなる、斯う云ふ考で居るのでありますから、法人の増加所得分に對しましては、三割超過致しました時に超過分に對して八割七分六厘の所得税だけを徴收する建前で、所謂最近儲けました法人に付きましては、此の法案が通過致しました場合の個人と同樣に、相當進んで所謂暴利を剥奪することが出來ることに相成つて居ると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=107
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108・板谷順助
○板谷順助君 あなたの今の御話は、是は平時なら宜い、平時なら宜いが、要するに新圓を獲得して意外な利益を擧げて居る、是はどう云ふ種類であるかと云へば、要するに闇の賣買に依つて不當に儲けた者が多い、公定ならば、今御話するやうに儲からぬから、或は事業會社の一部は、一部は公定で處分する、一部は闇で處分する、是は現在の實情であります、それから今申上げたやうに、詰り二十萬圓以下の有限會社を拵へて、是は幽靈とは申しませぬ、其の名目の下に今日闇の賣買をやつて居る者が相當多い、それは或は法人税に依つて取ることが出來ると云ふ、是は理窟だ、理窟だけれども、實際に於て闇の賣買と云ふものは、一方に摘發されると云ふと罪を著なければならぬ、罪を著なければならぬから恐らくは之を調査なさると云ふことに付ては私は容易ぢやないと思います、我々は昨日もお話したやうに、此の法案に依つて所期の目的を達することは出來ない、決して協力しないと云ふ意味ぢやありませぬよ、出來るだけの協力をするけれども、あなたの御考になつて居るやうな成績を擧げることは私は困難だと思ひます、之を徹底させるにはどうするかと云ふことに付ては、要するに此の新圓を幾ら持つて居るか、或は、又此の新圓が何の物に變つて居るかと云ふこと迄行かなければ、公平に取扱ふことは出來ませぬ、或は町内會長とか、部落會長とか、警察官吏を利用して云々と云ふことがあるが、是は一朝間違ふと、所謂苛斂誅求、私有財産に對する色々な問題が起る、色々な問題が起るから、此の點を能く御考になつて、詰り之を徹底的にやると云ふならば、今私が申上げたやうに、新圓を再封鎖しろとは言はぬ、しろとは言はぬが、此の新圓を持つて居ることを明かにし、或る物に變つて居ると云ふ所迄行かなければ徹底はしませぬで、其の間非常な不公平が出來る、所謂正直者が馬鹿を見ると云ふやうな結果になるから、之に付ての取扱をどうなさるかと云ふことを昨日來私は質問して居るけれども、あなたは、どんなことをしても取るんだと言つて居るけれども、道義がすたれ、殆ど思想が惡化して居る今日に於て、平時ならばそれは出來る、今日は甚だ困難だと思ひます、今の所謂豫算の四十五億と云ふ、是は確かに取る見込がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=108
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109・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 板谷委員の仰しやいます御質問の主眼點が、私には呑込めませぬが、先づ初めは、個人には増加所得税法を設けて、取れるだけのものは取る、法人に付ては何か立法上手を打つことはないかと云ふ御質問と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=109
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110・板谷順助
○板谷順助君 其の通りです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=110
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111・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先程御答したのであります、併し只今の御質問に依りますと、徴税技術と云ふか、調査の方法と云ふやうな御質問と考へるのでありますが、さうではありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=111
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112・板谷順助
○板谷順助君 私の申上げたのは、要するに此の初めの目的に書いてある通り、新圓獲得で以て、所謂増加所得に對する課税をしようと、斯う云ふのであります、之を全部取扱するに付ては、徴税の方法に付てもどう御考になつて居るか、或は又法人税云々と云ふことが法律の上に於ては取ることが出來るかも知れませぬが、一面に於て闇の賣買と云ふものは、それは決してあなた方が法人税に依つて取ると云つても取れやしない、之をどうなさるか、此の目的を達するに付ては徹底しなければならぬ、不公平が起るも已むを得ないと云ふのでは政治でない、それを今伺つて居る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=112
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113・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 個人と同樣、法人に付きましても、最近の増加所得に付きまして、徴税の手續は、大體此の法律案が通過すれば同樣な建前になつて居ります、而して増加所得税法施行後の所謂昭和二十一年の個人の所得、或は又一般法人の、殊に二十萬圓以下の有限會社等に於きまして非常に儲けて居る會社に對しましても、相當の手を盡せば、個人、法人同樣に、調査網を完全に張つて行けば、其の所得を把握し得ると考へて居ります、又把握しなければいかないのであります、我々は先程來申上げます通りに、有らゆる機構を動員しまして、さうしてあなた方を始め國民の心からなる御協力を得まして、一人だに所謂不眞面目者が不正直者が得をすると云ふやうなことのないやうに、渾身の努力を盡したいと云ふ、斯う云ふことの外、只今の所申上げられませぬが、私は國民の協力を受け、税務官吏が一生懸命にやるならば、十分把握し得る確信があるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=113
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114・板谷順助
○板谷順助君 政府當局はそれ程確信があるならば、一つ徹底的にやつて下さい、私は何も新圓獲得で暴利を取つて居るものを緩和しろと云ふのぢやない、けれども、あなた方の今の御説明では、果して徹底が出來るかどうか、其の點を心配して申上げるのであります、我々は勿論協力することに異議がある譯ではないのであります、そこで大臣がおいでになりましたから、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=114
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115・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=115
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116・板谷順助
○板谷順助君 大臣、只今御聽きの通り、此の増加所得税の徴收の目的は、要するに三月三日以來新圓が舊圓に切り換へられた、其の後に於ける商行爲或は其の他の收入に依つて増加したるものに對して課する、斯う云ふ建前に於て此の法律が出來て居る譯であります、處が今主税局長の御話に依れば、兎に角此の新興の收入者に對しては、まあ徹底的に取ると云ふことを仰しやるから、出來るだけ御努力の上取つて貰ひたいと斯う思ふのですが、その間に此の第一種の所得は、大體に於て商工業者、或は不動産の所得者と云ふことでありまするが、不動産の所得に付きましては、地代が、土地の價格と云ふものは二十一年度の春以來、現在に於ても、さう大した變りはない、從つて此の地代に對する經理統制令と云ふものがあつて、現在地方税などが非常に高くなつて、經費も非常に膨脹して居るやうな關係から、殆んど地代と經費と云ふものが、稍稍收支償ふ位の程度であります、其の程度でありますから、之に對して私は餘り重きを置かれないと思ふのであります、尤も其の關係に於て、此の税額は二千萬圓位の課税の見積りのやうであります、それはそれとしましても、第二種の此の所得に對し山林の總收入から經費を引いた其の殘りに課税する、斯う云ふ建前になつて居ります、處が大體此の山林を直營すると云ふものが、從來に於ては會社關係が多い、山林伐採の所謂直營事業をやつて居るものは、會社關係が多い、處が個人の山林を持つて居る者が賣買する場合に於きましては、立木の儘其の儘賣る、處か此の法案から行きますと云ふと、管理費其の他の經費だけを引いて、さうして殘りのものに對する増加所得を掛けると云ふのでありまするが、併し苟くも財産税を創設する場合に於ては、山林に於ける所の相當な、詰り評價と云ふものをして居る、賣買する場合に於ては所謂原價と云ふか、評價と云ふか、其の基準になるべきものを引かないで、全部に對する課税をすると云ふ主税局長の御答辯でありましたが、大臣はどう云ふ御見解を持つて居られますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=116
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117・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) ちよつと御質問が能く分りませぬから、今確めましたが、それならば主税局長の申上げた通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=117
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118・板谷順助
○板谷順助君 それは必ず私は税を徴收なさる上に於て不公平、不合理であると斯う考へるのであります、さう云ふものは、一方財産税を取る場合に於ては山林に於ける立木其の他の評價をして、之に依つて財産税を取る、増加所得税の場合に於ては其の立木に對する原價なるものを引かれないと云ふことは、理窟に於て甚だ不合理であると斯う考へるのでありますが、併し飽く迄それを實行なさる御考ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=118
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119・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 便宜上私から代つて御答へ致して宜しうございますか、御答をすることに致します、此の山林の所得に對しまする増加所得税法案の第二種の所得は、山林は御承知の通りに前年の實績で課税致して居ります、で、昭和二十一年中に山林を伐採致しました所得に付きましては、昭和二十二年に課税致して居るのであります、宜しうございますか、斯かる場合に昭和二十二年から豫算課税をして參りますと、二十一年中に伐採した山林所得の課税が永久に拔けてしまひます、從つて二十二年に山林を伐らない場合にでも、今の税法で行くならば、二十二年に山林の所得を掛ける譯でございます、それを二十二年から豫算課税で行きますから、二十二年で納めるものを繰上げて、此の増加所得税法案に依つて山林所得に課税すると云ふのでございまして、之を増加所得税法案に入れると、今の第二種の場合と云ふものと考へ方が違ふのでございますから、其の點を御考へ置きを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=119
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120・板谷順助
○板谷順助君 どうもあなたの説明では分らぬ、それは二十一年に掛けようが、二十二年に掛けようが、要するに増加所得を割出す場合に於ける山林の原價を見ないのは不都合だと斯う云ふのです、私の申上げるのは… 是以上、あなたと見解が違ふから、幾ら聽いても仕方がない、昨日から盛んに聽くけれども、あなたはさう云ふ答辯を繰返されるのみである、それから尚最後に伺ひたいのは、三月三日を基準としたる財産税を御取りになる、是は勿論已むを得ぬ、已むを得ぬが、大體増加所得税を割出す建前が、前年度の所得金額、増加したる所得金額から本年度に於ける所の所得を差引いた増加所得に對して課税する、是は二十一年度、即ち二十一年一月からですよ、さうなると、例へば前年度が十萬圓である、それから三月三日の財産税を屆ける場合に於ては十五萬圓である、さうすると差引其の五萬圓に對しては、此の法案の建前から言つたならば、一月と三月の間に五萬圓殖えて居る、それに課税をされる、それから又一方財産税が十五萬圓として課税をされるのであります、勿論財産税と増加所得税とは性質は違ひます、性質は違ひますけれども、併しながら綜合して、財産税は是は一時の財産税であるとしても、財産税と増加所得税を綜合して收入以上の税を納めなければならぬ、或は收入に近い所の税を納めなければならぬと云ふ結果になる、二重課税ではないかも知れぬけれども、是は私はどうも不合理であると云ふことを申上げて居つたのでありますが、大臣の御見解はどうでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=120
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121・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 突然で能くも考へて居りませぬが、併し財産税は性質が全然違ふのですから、財産税を含めれば、二十一年度になりますかに納める税が其の年の收入を超すと云ふことは、是は已むを得ないことでせう、是は當然の話ぢやありませぬか、財産税を見込んでどうしてもそれだけになる、財産税の收入で拂ふのではないですから、それは二十一年度の普通の税を合せれば收入以上になると云ふことはあり得ることだと思ひます、致し方がないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=121
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122・板谷順助
○板谷順助君 併しさう云ふ答辯をなされば是はどうも何と云つても仕樣がないですね、國民が有らゆる收入の中から今日納税すべき義務がある、財産税は兎に角國家非常の場合であつて已むを得ぬ、國民は犠牲を拂ふ、是も仕方がない、仕方がないが、今度は詰り赤字が出來る、歳入が足りないと云ふので、思付きでもないでありませうけれども、其の新圓獲得者に對する課税をしよう、斯う云ふ建前でありますから、私は詰り三月或は三月以後から取ると云ふならば宜しい、それが一月に遡ると云ふことは不合理ぢやないかと思ふ、若し不合理であるとしたならば、之に對する所謂新圓獲得に依つて利益を得たのではないのでありますから、相當に斟酌をして課税の上に手心を加へべきものぢやないか、斯う云ふ意味のことを申上げて居るのであります、それは大臣のやうに實際の税が收入より多くなつても已む得ぬ、斯う言はれればそれ迄の話でありまするけれども、併しながら所謂國家が政治を行ふ上に於ては、是位の手心があつて然るべきものぢやないかと云ふ考を持つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=122
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123・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 便宜上私から代つて御答辯申上げまするが、前年十萬圓の所得があつた人が十五萬圓の所得になりました時に五萬圓に課税を致します、其の負擔額の増は極く微々たるものであります、問題は、前年所得のなかつた、今年一月から三月迄に十五萬圓儲けた、此の場合にどうするか、若し御説の通りに是は十五萬圓ならば、大體の計算は五萬圓に對しまして百分の二十五、三十、三十五の此の三階段に税率が掛かります、それだけで宜しうございますか、私は十萬圓を超えた五萬圓に對して財産税を課税すると同時に、矢張り十五萬圓の所得に對しても課税しなければならない、其の時に五萬圓は財産税の課税對象になつて居るから所得税は十萬圓だけだと云ふことは輕いんぢやないか、實際の面から……、理論的には十五萬圓に所得税を掛け、十五萬圓に對して財産税を掛けるのは税の理論にも合つて居ります、又實際に於ても課税するのが適當だと考へて居る次第でございます、さうして其の程度のものなら大した負擔にも相成りませぬ、茲に五十萬圓の所得のあつた人が、一年に五十萬圓所得があつたと致します、そして其の方が一月から三月に三十萬圓儲けた、此の時に是が新圓所得階層と云ふならば、三十萬圓は財産税として九萬圓課税して居るから、殘りの二十萬圓だけ課税する、斯う云ふ技術は使へないと思ひます、使つたら負擔の不公平になると思ひます、斯かる場合に於きましては、三月三日現在に於て三十萬圓の財産、さうして二十一年度の所得が五十萬圓だから五十萬圓として所得税を掛ける、是が理論的にも實際的にも合ふのぢやないかと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=123
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124・板谷順助
○板谷順助君 是は先程來色々議論したのでありまするが、大體二十一年度の營業所得税、是は詰り地方税或は附加税を加へますと、十萬圓と言へば、成る程七百五十圓、百萬圓となると十八萬五千圓で非常に多い、是は實際ですよ、主計局長か何かに私は明細を書いたものを渡してありますから、あなたは能く御調べになつたら宜いかと思ひます、勿論國家が財政に窮乏して居る時であるから税を取るのは宜しいけれども、此の税は適當に按配して、さうして國民が幾らか殘した金に依つて、之を更に資本化して生産増強に努力しなければならない、働けば働き甲斐のあるやうに幾らか殘つて、それを蓄積して初めて資本となり、生産の増強になると思ふのでありますから、所謂税を御取りになるに付ても適當に其の點は按配してやらなければ、如何に税を取るのが目的であると言つても、幾らか報酬が伴はなければ國民は働く氣になりはしない、此の點は一つ御考へ置きを願ひたい、それから更に大臣に御伺ひしたいのは、今囘の此の増加所得税に付きまして、中國人、朝鮮人の問題であります、是はなかなか重大な問題であります、例へば政府が國民に消費節約をしろ、一月、二月は如何なる犠牲を拂つても國民が儉約をしなければいかぬ、是は當然であります、當然でありまするが、之に對して政府が例へば物價政策、經濟政策、如何なる政策を御竝べになつて見た所が、今私が申上げまする所の一番の根源となつて居る所の朝鮮人、中國人の闇行爲を取締らざる限りは、效果などはありやしないと思ふ、之に付ては政府も非常に苦心をなすつて居るでせう、或は色々關係方面に御交渉になつて居るでありませう、けれども現在率直に申すならば、殆ど新圓の三分の一以上は彼等が持つて居るのぢやありませぬか、それは中には所謂親善關係に於きまして日本に同情し、日本の爲に出來るだけの努力をすると云ふ人格のある人々も相當にありませうけれども、現在の華僑と云ふものが非常に跋扈して居つて、之を此の儘放任して居つたならば殆ど私は日本の物價政策などは立ちやしないと思ふ、現に率直な話でありますが、例へば伊豆方面に於ては殆ど椎茸の山元などは全部買收してしまつて居る、又日本人が彼等の手先になつて今日盛んに動いて闇行爲をやつて居る、であるから國家財政の非常な困難な場合に於て政府が如何に努力をなすつても、此の方法に付て關係筋と御交渉になつて適當な手段を御講じにならなければ容易ぢやないと思ふ、それから又申上げまするが、進駐軍の關係であります、勿論敗戰國として、占領の目的を達する爲に出來るだけの便宜を與へ、出來るだけ日本としては之に應じなければならぬことは當然でありまするけれども、あなたは前の特別議會に於て進駐軍の費用は本年限り、後は大したことはないやうな御話であつたが、今の情勢でありますともう段々殖えて居る、殖えて是が此の儘續いて行きましたならば、日本の財政などは私は立ちはしないと思ふのです、併し之に付て聯合軍側に一つ十分の御交渉を願つて、現在の我が國の財政は斯う云ふ状態である、從つて日本の政府の責任に於て仕事をするのでありますから、物資が足りないならば出來るだけ物資だけを持つて來て貰ひたい、今日殆ど資材其の他に付きまして、大半は此の方面に取られて居る、だから如何に叫んだからと云つても生産増強の方面に物資が廻る譯はないのであります、今申上げました二點に付て大臣の御所見を承ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=124
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125・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今の二つの御質問は御話の通りであります、前者に付きましては、無論課税を致すことに致して居りますが、尚其の實行に付て種々の難點があると云ふことは事實であります、其の難點を打破して行くと云ふことに努力しなければならぬ、それから第二の進駐軍費に付ては、是は私から特に茲で御答を致さずとも、即ち聯合軍の占領目的が、元來日本の財政の破綻を來すが如きことを目的として居るものでないと云ふことは、私信じて居りますから、適當に調節が出來るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=125
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126・板谷順助
○板谷順助君 皆樣の御許しを得て私の質問だけを引續いてやりたいと思ひますが、此の大藏省からの發表に依りますと、公債借入金と云ふものが非常に多い、現在赤字を賄ふには公債に依ると云ふことでありまするが、此の儘行きましたならば、恐らくは日本の財政はなかなか容易ではないと思ふのでありますが、大體日本銀行の引受公債を見ましても、約二百七十億からあるのでありますから、市場に之を消化することに付て御成算がありますか、市場に消化をする、從つて民間の所謂資金を吸收して、之を事業方面に廻すと云ふことに付て、是だけの公債、將來發行さるべき所の公債の數、額が多大なるものでありますが、恐らくは大臣はインフレを御嫌ひのやうでありますけれども、是が若し日本銀行の引受となり、一般の市場が消化が出來ない場合に於ては、インフレが助長することは、免れることは出來ないことであります、それに付ての御意見を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=126
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127・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 今年の二十一年度の豫算に於て、今迄の所では一般會計に於ては、公債を發行して居りまするのは、復興金融金庫の出資金、それから産業復興の出資金、合計確か四十二億圓であります、今囘の追加豫算で進駐軍費、終戰處理費の分として九十三億ばかりが直接の公債支辨になつて居ります、一般會計に付ては其の外に財産税の關係がありますが、是は姑く措きまして見ますと、出資金と今囘の九十三億圓の終戰處理費は、既に日本銀行で立替へて居ります金を、返濟する譯でありまして、金融市場としては直接の影響がありませぬ、即ち日本銀行の帳簿の上で日本銀行の貸出金が公債に振替はると云ふことであります、斯樣にして一般會計に於ては、先づ國債の發行をさう殖やさずに濟んで居る、唯殘念ながら特別會計が現在赤字が續いて居りますから其の爲に公債及び借入金が若干殖えて居る、斯樣な状況であります、特別會計は明年度中に全部之を調整して全然赤字なしにすることは、困難ではないかと考へて居りますが、一般會計に於ては、大體今年度と同じ方策を採つて行きたいと存じて居る次第でありまして、其の爲に日本の政府の公債が明年度に於ても續いて無限に増加すると云ふやうなことは致したくないし、又することも出來ませぬ、從つて事實に於て左樣なことにもならぬ、斯う考へて居る譯であります、ですから無論色々なことを考へれば、あれも出すのではないか、是も出すのではないかと云ふ色々御話がありますが、出す出さないではなく、出せるか出せないかの問題でありますから、今日に於ては、出せないものは出せない、斯う云ふより外はない、御話のやうに今後日本の公債が無限に殖えて行くことはないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=127
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128・板谷順助
○板谷順助君 あなたは世の中を悲觀させないやうに、樂觀的なことを御話なさるが、率直に申しますならば、あなたの仰しやることは事實裏切つて居る、例へば物價政策に致しましても、或はあなたはインフレではない、物價が本年の二月から言ふと段々下る傾向にあると云ふことでありますけれども、事實に於て成る程二月から幾らか下つて居つたけれども、九月からは段段高くなつて來た、是は日銀の物價指數の表は、やり方も惡い、だから之を改正しなければならぬと云ふ問題も起つて居るけれども、其の表はあなたの手許に差上げてある、それでもあなたは何處迄も物價は下る傾向にあると言ふ、市中を御覽なさい、前月から今月を見ますと、殆ど三割以上高くなつて居る、だからして失禮だけれども、餘り自説に御こだはりなさらぬで、矢張り現實に即して現在の時代に即して政策を行ふべきではないかと思ふ、例へば如何に物價政策、或は經濟安定の策を講ずると言つても、今申上げるやうに詰り闇を取締るに付ても中國、朝鮮方面の人々、之を取締らざる限り決して效果はない、百の政策を竝べても效果はない、だからしてあなたは今、國民を成るべく悲觀させないやうに、樂觀的の希望は宜いけれども、例へば俸給賃銀の値上の問題でも、金を要求して、越冬資金を官公吏其の他の教員方面に迄出すと云ふことになれば、各會社も之に倣つて越冬資金を出す、此の金は要するにインフレを助長する元になる、又働いて居る勤勞大衆などが品物を要求する、品物は誰が作るか、此の人々の手に依つて作ることを怠つて居つて賃銀俸給、金ばかり要求するから惡循環で以て幾ら金を出しても段々物が高くなり、收まりが付かぬことになるのであります、まあ大臣は餘り自説に囚はれて居る、現實に即する、それが所謂政治であります、甚だ失禮だけれども、あなたは要するに自由論者だ、あなたは民間においでになつた當時は自由論者だ、此の間も私質問して要領を得なかつたが、芋の如き北海道に於ても非常に豐作である、豐作であるに拘らず統制を外さない、そこで食糧營團が七車も腐らして貰ひ手もない、斯う云ふ状勢であります、だからして統制と云ふものも考へもので、或程度迄之を外して、豐作であるならば自由販賣をやるべきものではないかと思ふ、要するに今申上げまするやうに、各方面が金ばかり請求して居る、物の裏付がなければ通貨と云ふものは價値がなくなるのが當然であります、であるから此の點に付て能く一つ御考慮願ひたいと思ふのであります、それでもあなたは現在の状勢は何處迄もインフレぢやない、物價は此の儘或程度迄安定して大したことはない、此の儘で切拔けられる、斯う云ふ御確信を持つておいでになるのでありますか、腹藏ない御意見を仰しやつて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=128
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129・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 私は自分の持説などに少しもこだはつて居りませぬ、現實を見て居ります、現實に於て經濟界もどうせ生き物でありますから、だからして色々の動きがあります、本年の二月項から九月迄物價が安定、若しくは下つて居ることは、あなたも御認めの通りであります、私は特に十月からは色々の關係で上ると言つて居ります、今日は色々の關係で、あなたの言はれるやうに日本銀行の指數に依れば、十一月は確か二月か三月と同じレベルになつて居るやうであります、是はまあ指數の作り方もありますから、物價廳の作つた指數はそれと違つて低いやうでありますが、其の邊はどうでも宜いとして、要するに十月から年末に掛けて物價が上り掛けて居ることは確かであります、是はまだインフレと云ふ程度のものではありませぬ、今日の物價と云ふものは、二、三月頃迄非常に上つた高いレベルに於て一應横這ひして居る、其の高いレベルに於て九月迄下つたのが、十月以來又元へ戻りつつある、或は十月あたりは二三月以來少し高くなるかも知れないですけれども、其の位の動きは、是は致し方ないのであります、それを尚所謂惡性インフレにするかしないかは今後のやり方です、それが出來なければ是はもう日本經濟全體が破滅するのであります、我々としてはさう云ふことをさせないやうに致すと云ふことより外には出來ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=129
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130・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) ちよつと申上げますが、今衆議院の本會議で大藏大臣に是非出席を願ひたいと云ふ急な要求があるのでございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=130
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131・板谷順助
○板谷順助君 それでは保留して置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=131
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132・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 今申しましたやうに大臣は急に衆議院の本會議においでになりましたから、大臣に對する質問は後に廻しまして、質疑の繼續を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=132
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133・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 此の増加所得税の第三種所得税に付て伺ひたいのですが、昭和二十一年三月三日から同年十二月三十一日迄の間に於ける不動産の讓渡と云ふことは、此の讓渡の事實は何に依つて認める譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=133
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134・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 此の第三種所得の所謂讓渡所得に付きましては、課税對象は不動産、船舶、鑛業權、砂鑛權の四種類に限られて居るのでございます、是は皆有權的に調査することになつて居りますので、土地薹帳、家屋薹帳の名義書替、其の他船籍の書替等に依りまして明確に分つて來るのでありますが、それ迄待たずに納税者から來年の一月末日迄に申告を願ふと云ふことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=134
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135・渡邊甚吉
○渡邊甚吉君 此の第三種の増加所得税に付ては、現行の動産讓渡税、是もまだ生きて居る譯だと思ひますが、此の増加所得税と現行の讓渡税と二重に課税される譯ですか、それを伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=135
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136・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 先程山林所得でも申しましたやうに、只今所得税法で規定致して居ります讓渡所得、是は今年の曩の臨時議會で臨時利得税法を廢止致しました關係上、臨時利得税から所得税の方へ持つて來た讓渡所得でございます、原則ならば昭和二十二年分として昭和二十二年になつて課税するのでございますからして、山林所得と同樣、昭和二十二年は豫算課税で致し、豫算課税に移りたいと云ふ考へ方を持つて居りますから、昭和二十一年三月三日以後二十一年中に讓渡所得があつたものも、此の法案に依つて課税して置かないと、二十二年分からは豫産課税になりますから、課税が永久に拔けて、從つて此の法案の中へ、此の増加所得と云ふのはちよつと意味が惡いのでございますが、一應是の中に入れて居るのでございます、通常ならば三月三日以後の讓渡所得に對しましては二十二年に課税するのを、繰上げまして此の法案で課税して行かうと云ふ趣旨でございますから、所得税法にありまする所の讓渡所得は……今年改正致しました讓渡所得は是で本年中は賄つてしまふ、昭和二十二年は今年の所得で課税致さない、二十二年は二十二年中の讓渡所得に課税する、斯う云ふ計畫で居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=136
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137・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 此の所得増加税と財産税とは共に一月に申告するやうになつて居りますが、之に對する用紙は十分御準備が出來て居るのでありませうか、現に第一種と第二種に預金を分割しますのは、十二月一日から三十日迄と云ふことでありますから、地方の税務署に於きましては、二十日頃迄も用紙が廻つて來ないと云ふことで屆け方が大變遲れて、大藏省がそれを御承知になつたのでせう、二週間ばかり延期せられましたのですが、今後も矢張りさう云ふことのないやうに、此の書類の準備と云ふものを十分なさいまして、さうして地方の隅々迄それが行き屆くやうに御送付になると云ふことが必要であると思ひますが、それ等の御用意は十分でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=137
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138・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 最近は印刷其の他に非常に困難を感じて居るのでございまするが、納税者の方に御迷惑を掛けないやうに極力やつて居ります、財産税の申告に付きましての注意書も二十八日には百萬枚以上刷り上りますから御配り致します、又御手許に參りましたか、財産税法施行勅令、施行細則或は注意書と云ふのは、四頁大の新聞用紙に印刷を致して先般配布致しました、仕事をうまくやつて行きます上に於きましては、只今用紙印刷の手配で一杯になつて居りますから、我我の方もそれに全力を盡してやつて居ります、財産税の準備を御參考に申上げますと、本年度中に百萬圓以上の會社の株は大體發表致します、それから各種不動産の評價に付きましては、今年度内に發表致します、用紙は少くも一月の上旬位には參るやうに手配致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=138
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139・板谷順助
○板谷順助君 財産増加税のことであります、第七條ですね、私のは昭和二十五年十二月三十一日迄は増加所得税調査委員會と云ふものを其の儘存置して御置きになるかと云ふ意味の質問でしたが、其の答辯がちよつとはつきりしませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=139
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140・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 存置致す考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=140
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141・板谷順助
○板谷順助君 併し一時的には、さう云ふものは本年度限りで財産税を取らうと云ふものを、二十五年と云へば、相當に其の間があるやうですが、どう云ふ關係で調査が十分に出來ないと云ふ關係に於て斯う延びるのですか、其の間に於て脱漏を發見することは容易でないと思ひますが、斯う云ふ問題は急速にやるべきものでないかと思ひますが、二十五年の目標と云ふものはどう云ふものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=141
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142・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 御話の通りに二十一年の増加所得に對して課税するのでありますから、そんなに長く延びることは全然ないと考へて居りまするが、租税賦課の時效が大體五年間になつて居ります、從ひまして昭和二十二年三月三十一日以後に於きましても色々な調査の中で二十一年度の所得が非常に殖えて居つたと云ふことが分りました時には、是は政府で決めても宜いのでございますけれども、矢張り前の方を増加所得調査委員會に掛けて決めました關係上、矢張り委員會としては官制上置いて置いて差支へないのではないか、其の代りもう開かない場合……二十三年になりましたらもう開かぬことが多からうと思ひます、又それ迄に調査を全部完了しなければならぬと思ひまするが、若しあつたと云ふ時には矢張り委員會と云ふものを置いて置きまして、さうして決定する時にはそれに掛けて決定する、斯う云ふことに致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=142
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143・板谷順助
○板谷順助君 それから此の増加所得税の調査委員會の組織、是はさつき御話に依りまして、官選に依つてやると云ふやうな御話であつたやうでありますが、さうすると官選と云ふことになると、さつき私が聽き洩らしましたが、大體の構想はどう云ふ方面から御採りになる御積りか、それを念の爲に一つ伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=143
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144・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 是は各税務署毎に置くのでございまするから、税務署に依りまして非常に納税者の内容を異に致して居ります、數としては或程度あると思ひまするが、農村を管轄して居りまする税務署に於きましては農村關係者の人が澤山選ばれると思ひます、都市に於きましては所謂營業者關係の人が澤山入ると思ひます、併し納税者の範圍に限りませず、一般經濟界の動向とか或は常識のある學識經驗者も入つて戴きたい、其の人數は税務署に依りまして餘程差があると思ひます、今所得調査委員會に於きましても、小さい所は三名、大きい所は十三名、斯う云ふ風になつて居るのでございますから、此の税務署毎に置きますると、矢張り全體の數が相當違つて來ると思ひます、併し私の見込では大きい税務署では三十人位、所謂所得調査委員會の倍位の委員を選任して所謂衆智を集めて審議を願ひたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=144
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145・板谷順助
○板谷順助君 尚念の爲に伺つて置きますが、財産税の問願に付てはまああなたが責任者である、處で先般委員會或は本會議に於て決つたやうに、詰り株式と不動産の物納は納税者の自由である、選擇に依る、斯う云ふことと、それから例へば建物を處分してさうして現金にして納税したいと云ふやうな氣持のある人も相當にあるやうでありますが、さうすると今囘の増加所得税に依つて、隨分大きな税金を取られると云ふやうな關係から、それを躊躇して居る人も相當にあるやうであります、從つて此の前の約束の通り住宅に對しては勸銀其の他の金融機關に積極的に貸出させる、斯う云ふ言明をされて居るのでありますから、是だけは一つ守つて戴かなければならぬ、建物の處分をして納税は現金で取るのが建前であると云ふのですから、現金があれば無論納めるのは當り前でありますけれども、今申上げるやうに建物を處分して納税をして、現金で納めると云ふことになりますと、或は半分々々以下になる、斯う云ふ結果になると思ふからなかなか此の處分をすることは困難と思ひます、其の場合に於ては出來るだけ便宜を圖つて戴きたいと云ふことと、それから申告税でありますから、是はまあ再々申上げて居りまするやうに、兎に角納税者の氣持を餘り害しないやうに、權柄づくで取立てると云ふやうなことのないやうに、例へば事前に家宅捜査同樣の調べ方をしないやうに、是は先般各税務署に訓令を出したと云ふことでありますけれども、さう云ふことのないやうに、豫め一つ此の委員會の席に於いて今申上げたことを更に一つ御言明を願つて置きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=145
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146・池田勇人
○政府委員(池田勇人君) 財産税の物納の場合に於きまして、株式と不動産と……正確に申しますと未拂込の株式は物納を認めないことに致して居ります、拂込濟の株式と不動産に付きましては同一順位であります、從ひまして納税者の御考へ通りで結構だと思ひます、第二の不動産を最近に賣つた場合に、讓渡所得が掛つて來て非常な税を納めるやうになると云ふ御話でございまするが、是は先程來ありますやうに、財産税の課税標準となつた金額を控除致しまするから、財産税と讓渡所得に對する所得税を入れまして、御賣りになつた實際の價格よりも高くなることは勿論ございませぬ、政府の評價が實際の取引價格よりも低い場合に於きましては、さうして其の方が現金を持たずに物納すると云ふ場合は、御賣りになつた方が御得かも分らぬ、御得の計算になることになつて居ります、それで最近どしどし賣買があるやうに聞いて居ります、板谷委員は先般の財産税で金はない、もう第一封鎖で金はないと申して居られましたが、私は斯う云ふ風なことを豫想致しまして、相當現金なり其の他で財産税が納まるのぢやないかと思つて居ります、それから物納を困難とする場合に銀行が家屋を擔保に積極的に貸出すと云ふことに付きましては、積極と云ふ字は私は申上げたことはございませぬ、大臣が申されたかも知れませぬが、併し政策として銀行がさう云ふ場合に積極的に貸さなくても納税者の申出に依つて、出來るだけ便宜を圖るやうに、それで私は結構かと思ひます、出來るだけさう云ふ場合に付きましては納税が樂に行きますやうに、又政府もそんな家屋を成るべく取らなくて濟むやうに、斯う云ふ風に出來る限り努力致したいと考へて居ります、第四點の財産税調査に當りまして、所謂申告納税であるに拘らず、申告期限以前に、營業者以外の一般の方々の御宅へ參りまして家宅捜査をすると云ふことは、是は行過ぎでありまして、嚴に戒飭さして居ります、唯申告がありまして後に、其の申告額と税務署の見込額とが違ひます場合に付きましては、是は出來るだけ調査をして正確を期さなければなりませぬので、調査に參ることもあらうかと思ひまするが、一月三十一日以前の申告期限前に積極的に營業者以外の者に參りまして調査すると云ふことは差控へるやうにしたいと、斯う云ふ言明を致して居ります、御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=146
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147・板谷順助
○板谷順助君 更に責任ある主税局長から言明を得て有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=147
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148・松尾嘉右ヱ門
○松尾嘉右ヱ門君 大臣は見えますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=148
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149・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 今衆議院の本會議に行かれましたが、出來るだけ早く戻つて戴くやうに申して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=149
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150・松尾嘉右ヱ門
○松尾嘉右ヱ門君 それでは増加所得税法案はちよつと後で御尋ねして、大臣に聽いて貰つて置く方が宜いと思ひますが、其の前に「政府の契約の特例に關する法律案」に付てちよつと御尋ね致しますから一つ御願ひ致します、此の法案は實際は一方的の法案でありまして、御承知の通り發注者、受注者双方で決める値段が本當であるが、今度の此の法律では大體百萬圓の仕事を七十萬であるぞと云ふことを言はれれば、左樣ですかと言はなくちやならぬやうな法律でありまして、實際は竹中委員からも是は午前中に質問されて居つたやうですが、此の仕事はなかなか進駐軍に無理なことを色々、例へば晝夜二十四時間制にしろ、三百人掛けろ、斯う云ふことが現場で嚴命があるのです、さうすると三百人掛ける所の資材がなくても掛けなければ、現場の方を監督する將校は肯かないのです、其の爲に已むを得ず一坪に對して八人なら八人、十人なら十人と云ふ人夫で大體割付けて居るものが、資材がないので餘計掛けられた爲に實は飛んでもない損害をして工事を進めて居る、私共此の仕事をする方も、今日の日本は敗戰國の國民として向ふさんの言はれることは何でも肯いて滿足をさせよう、一日も早く講和條約の結ばれることが日本の生きる道であると云ふやうな考で何でも肯いて居る爲に、向ふで無理を言うて居るのでせうけれども、まあ肯いて居る、處が今度此のやうな法律案が出て、現在聽いて居ると其の七割しか上げて居らぬと云ふやうなことになつて來ると、實際にあと三割掛けて居つた人なら貰はなくても宜いのですけれども、眞正直な人は五分とか八分とか云ふものしか掛けて居らぬ、さうなると之は絶對損をすることになるのだから、其の仕事が若しも遲れると云ふことになつた場合は、此の請負者になつた者は國外追放だの財産沒收だとか色々なえらいきつい契約をして居るのです、其の場合に詰り向ふさんの言はれる儘の仕事が出來ないやうな時には、其の責任は請負人が負はなければならないのですけれども、斯う云ふことになつた場合は政府が此の責任を負うて呉れるかどうか、これをちよつと御尋ねしたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=150
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151・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 是は政府が適正と認められる支拂金額をいざと云ふ場合に決める、斯う云ふのでございまして、申せば最惡の場合でございます、實際は此の法律が適用されないやうな工合に運行されることが望ましい譯です、事前にゆつくり十分御連絡をし御話合を進めて參る積りで居ります、事實上工事に支障を來さないと云ふことは十分考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=151
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152・松尾嘉右ヱ門
○松尾嘉右ヱ門君 さういう場合には此の委員會が又出來まして、出來るだけ復興院なり、政府と私共委員とで能く話し合つて、出來るか、出來ないか……今日國民は皆、請負師であらうが誰であらうが觀念して居るのです、實際敗けたのだと云ふことだけは知つて居るのですからどんなことでも肯くのですけれども、成るべくさう云ふ時に仕事の上に支障を來すことは……我々は進駐軍を滿足させなければいけないのだと云ふことはもう土薹に置いて居ますから、是非一つ色々とさう云ふ委員の場合も御相談を願ひます、あなたは復興院の御方さんですか、大藏省ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=152
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153・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 大藏省です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=153
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154・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 大藏大臣が御見えになる迄に政府委員の方で宜しい御質疑がございますならば御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=154
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155・板谷順助
○板谷順助君 今の問題に關聯して……、七割拂つてあと三割殘して居ると云ふ現在の實情のやうに聽いて居りますが、君、其の通りですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=155
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156・松尾嘉右ヱ門
○松尾嘉右ヱ門君 其の通り発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=156
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157・板谷順助
○板谷順助君 さうすると、さつき申上げたやうに、眞面目にやつて居る者が三割取れぬ爲に今日非常に金融に困つて居ると云ふ情勢、處が一部に於いては其の三割が何時取れるかどうか分らないと云ふやうな關係に於て、三割はもう當てにしないで工事をやつて居ると云ふやうな噂もあります、進駐軍の方では金の方はこつちは關係ない、是は政府の責任であるから、猶もつと業者と云ふか、或は政府との間に能く話合つてやつて貰ひたい、現在の所では皆闇で買つて居る、其の闇で買つて居るものが日本の産業に非常な影響を來して居る、影響が來て居るやうなことであるから、其の點は拂ふべきものは拂ひ、きつちり豫算と居ふことを早く確かめて、工事を成るべく早く進行さしてやる、向ふは期日が遲れると云ふことは非常に喧ましいと云ふ御話であるから、是はどうですか、矢張り今でも三割は殘して御置きになつて、仕事は完成して、あなた方の方で査定……所謂適正價格と云ふか、此の法案に依れば‥ 、其の適正價格と云ふものが定まる迄は拂はぬ、斯う云ふやうな御方針でやつておいでになるのでありますか、是は大事な問題であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=157
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158・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 全然さう云ふことはありませぬ、三割は殘つて居ると云ふのはどう云ふ意味か能く分りませぬが、恐らく工事をやられた方面、請負業者の方で精算的な金額が確定して居らぬのぢやないかと思ひます、精算がきちつと出來て居るものに付きましてはそんなに支拂の遲延して居る筈はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=158
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159・板谷順助
○板谷順助君 大體概算拂ぢやないですか、私は能く分らないが、兎に角進駐軍の費用は國家の財政に非常に重大な關係があるから、是は我々として非常に重大な問題でありまして、どう云ふやうに是がなつて行くのか、其の意味に於て三割は保留して拂はぬ、それから又法案にもありまする通り、適正價格なるものを復興院が主となつて之を調査して、政府が指定して決める、斯う云ふことになつて居るやうですが、是は御拂ひになつて居るならば結構だ、そんなら差支ないと云ふ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=159
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160・長沼弘毅
○政府委員(長沼弘毅君) 此の法律で適用致しますものは、契約が出來て居つても金額が定まつてないもの、それから契約も何も全然なくて著手するものがあるのであります、其の契約もない、金額も定まつて居らない、さう云ふ末確定の分子のあるものだけに付て適用するのであります、從つて御話のやうな七割、三割と云ふやうなことは、是は全額金額が決つて居りまして、其の中の七割拂つて居る、斯う云ふやうなものは適用外になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=160
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161・板谷順助
○板谷順助君 御質問がなかつたら休憩したらどうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=161
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162・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=162
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163・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 速記を始めて……大藏大臣はまだ衆議院の方の御用が御濟みにならぬやうでございますが、大臣の質問は、先程のだけで宜しうございますか
〔「宜しうございます」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=163
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164・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それではさう致しまして、議案全部に付きまして、是以上御質問もございませぬやうでございましたらば、討論に移りたいと思ひますが、如何でございませうか
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=164
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165・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それでは先づ 増加所得税法案、有價證券の處分の調整等に關する法律案、昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案、昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案、政府の契約の特例に關する法律案、其の五案を討論の議題に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=165
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166・橋本辰二郎
○橋本辰二郎君 私は此の増加所得税法案に付きまして主として發言を致します、本案は石橋財政中に於きまして唯一の國民一般に歡迎せられる良案と思ふのであります、勿論一部の人は之に對して反對があるかも知れませんが、それは極く少數であつて、必ずや國民の多數は之を歡迎するに違ひないと思ふのであります、何となれば、此の増加所得税なるものに付て、政府の御答辯に依りますれば、闇を主として對象とすると云ふことであります、此の闇なるものに對しましては、國民擧つて是には反感を抱いて居ります、或者は或權力に媚びまして、其の保護に依りまして、特殊の請負工事を擔當し、之に依つて莫大なる利益を獲得して、國庫に限りなき損害を掛けることも毫も厭はないと云ふやうな者も往々あるかのやうなに聞いて居ます、又或者は國民として此の際何事を捨て置いても、所謂擧國一致で國の再建に努力しなければならない此の際に於きまして、道義に反し法を破つて、敢て自己の利益追求の爲に闇行爲を爲して居ると云ふ者が多々あるのであります、是等の者に對して若し課税をすることが出來ないと云ふことになれば、國民課税の衡平及び其の均衡と云ふことは破れるのであります、然るに此の法律に依りまして幾分か之を匡正することの出來ると云ふことは、私共の最も喜ぶ所であります、併しながら此の法律を以て必しも我々の希望する所の闇行爲其の他如何はしき行爲に依つて利益を得た者を、悉く對象として之を課税することが出來るかと云ふことは、是は大いに私共は疑を持つて居るのであります、何となれば是等の階級、詰り新圓階級でありますが、此の新圓階級の人々はなかなか鋭い頭を持つて居りまして、其の課税の逋脱に付きましては、大藏當局の力の及ばざる所の者もあるではなからうかと思ひます、願くは此の法律を拵へた以上は、此の法律の目的をして十分に達成せしむる爲に一段の努力を願ふ者でありまするが、我我の考へまする所に依れば、或は細鱗は網の目より逃れ、而して呑舟の大魚は網を破つて逸脱するの慮が必しもないではなからうかと思ひますから、此の點に付きまして十分な御留意を願ひたい、それに尚私は一つ附加へて言ふことがあります、財産税には密告の制度を設けてあります、私等は密告なるものは決して歡迎しませぬ、寧ろ斯くの如きことを以て非常に悲しむのであります、併しながら本案には其の密告の條項がないのであります、是は大變善いことと思ひまするが、財産税に於ける密告との比較上其の當を得ぬと思ひます、何となれば我々の知る限りに於ては、租税なるものは元來が禾穀の御初を領主に獻上すると云ふ觀念より順次發達して來たものであつて、即ち禾穀の幾分を取ると云ふことでなければならぬ、然るに財産税なるものは其の禾穀のみならず、其の本迄倒すと云ふことである、所謂金の玉子と共に金の玉子を生む親鳥迄も取上げようと云ふが如きものである、之が爲には日本の過去に於て、主として租税其の他のものを負擔をして居つた所の中堅階層以上の者は一朝にして沒落をし甚しきは數百年來連綿たる所の民家も亦之を崩潰すると云ふことは殆ど疑ひなきことであります、是等財産税を取るに於きましては、成るべく苛酷に亙らないやうに、本人の申告を尊重して其の儘之を許すと云ふやうな、此の程度の緩かなる御考を十分政府に於て期待したいのであります、然るに其の期待に反しまして、密告制度迄設けて之を取ると云ふことは實に其の酷も極れりと私は思ふのであります、然るに此の闇行爲其の他如何はしき手段に依つて莫大なる利益を獲得したる所の階層に對する課税に於ては、其の制度を設けぬと云ふことは其の當を得ぬ、甚だ政府のやり方は宜しからざるものと思ふのであります、願くは此の制度のあるなしに拘はりませず、是等の人に對しては十分に私は爬羅剔抉、隅から隅迄やりまして、課税の目的を徹底的に貫徹せらむことを私は要望致しまして、此の案に贊成致します、其の他の案に付きましては私は別に論及は致しませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=166
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167・板谷順助
○板谷順助君 私も質問を致しました關係から簡單に討論を致します、大體此の増加所得税法案に付きましては、只今橋本委員の御話の通り三月三日以後所謂新圓の獲得に依つて利益を擧げた者、之を主として對象として税を御取りになると云ふことであります、併し是は要するに闇行爲に依つてやつた仕事が多いことでありますから徹底的に徴收すると云ふことが私は非常に困難で、是が一朝間違つたならば苛歛誅求となり、或は又私有財産否認と云ふ點に迄行くやうな結果になりはしないかと思ふのでありますが、併しながら此のやり方如何に依つては、正直者は馬鹿を見る、或は不正の者が詰り得をすると云ふやうな結果が恐らくは相當に現れることと思ふのであります、政府當局としては非常な決心を持つて徹底的にやると云ふ御話でありまするから、勿論我々國民と致しましては之に協力は致しまするけれども、どうか御言明の通り漏れなく、將來闇行爲と云ふ取締の上から見ましても、漏れなく徹底的に、所謂一面に於ては是が從來發つた所の道義の建直しにもなり、又人心が惡化して居る此の匡正の意味に於ても非常に效果あることと思ふのでありますから、どうか御言明の通り徹底的にやつて戴きたい、併しながら今申しまする通り一面に於て財産税を取られ、或は一面に於て此の増加所得に對する一月から三月の間の此の分に付ては、私は如何に考へて見ても、あれは對象にはならぬでありませうけれども、所謂國民の今日安定を圖る上に於て相當の御留意を願ひたい、それから株券の問題に付きましては、是も先程申上げましたやうに、政府が出來るだけ民主的に株を全國的に分布しよう、成る程此の方針は宜しいのでありますけれども、恐らくは例へば其の會社の内容が或程度迄安定をし、從つて幾分でも其の事業の成績に依つて配當を爲し得ると云ふやうな所迄行きませぬければ、如何に政府が焦つても株の分布と云ふことは困難と思ひますし、又政府が斯う云ふ機關を御設けになつても、株を引受けることに對する構想と云ふものが同時に行はれて居らなかつたならば、株の處分と云ふことに付ても容易でありませぬ、勿論政府は出來るだけの努力はして居られるでありませうけれども、まあ私の見る所から言へば、餘りにどうもやり方がのろ過ぎる、緩漫過ぎると云ふやうな憾があるのでありますから、出來るだけの努力に依つて、勿論一二の處分は出來ませぬでありませうけれども、株の受入の方面に對する構想に付ても十分に一つ御考へを願ひたい、更に又今囘の公債の發行問題に付きましては、先程大臣に申上げましたる通り、殆ど赤字を公債に依つて賄ふ、然らば其の公債が市場に賣出が出來るか出來ないかと申すと、現在の情勢では殆ど不可能であります、公債を日本銀行は一旦引受けて背負ひ込みとなつて、殆ど其の日暮しの政策のやうに考へるのであります、如何に大臣が御言明になつても、日本の現在の情勢から言つたならば、益益インフレは助長して、物價は高くなる、國民生活が非常な不安になると云ふことは、今の情勢から言つては已むを得ないことであります、然るに大藏大臣は、インフレでない、物價は或程度迄安定する、成る程人心を安定させる上に於ては仰しやることもいいかも知れませぬけれども、併し甚だ失禮ながら大臣の仰しやることは悉く裏切られて居る、だからして政治は勿論現實に即さなければならぬので、例へば物價問題に付きましても、如何に大藏大臣が強辯されても、ずんずん進むべきものは進み、殊に先月から今月に較べたならば三割以上も高くなつて居る、從つて賃銀俸給の値上に付きましても、本年春から、三月に上げ、七月に上げ、最近に又賃銀値上の要求をして居る、如何に金ばかり要求して見た處が、物資がそれに伴はなければ物價は安定する譯はないのであります、でありますからして、大藏大臣もどうか現實に即したる一つ政治を今後は行つて戴きたい、又聯合軍の關係に付きましても、是も所謂消費經濟方面に使はれるのでありまして、現在の資材の殆ど大半以上は此の方面に流用されることでありまするから、どうか進駐軍の目的を達するに付ては敗戰國の義務として出來るだけやらなければならぬことは當然でありまするけれども、併しながち之に要する資材は是非外國から仰ぐ、又一面に於て日本の財政の非常に窮乏して居ると云ふことをよく聯合軍の當局に了解を求め、どうか日本の再建の爲に出來るだけの助力を仰ぐやうに御配慮を願ひたい、私は此の意味に於きまして此の案に贊意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=167
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168・藍澤彌八
○藍澤彌八君 私は此の「有價證券の處分の調整等に關する法律案」に付きまして、先刻色々御質問申上げたのでありますが、政府に於きましても、此の困難なことを能く御承知になりまして、業者の完全な協力を求めて、さうして之を國民の大衆に頒布するのであると云ふ御言明を得ましたので、斯かる株券の處分は勿論賣方だけでは出來るものではないのでありまして、一般市場の情勢に最も精通した業者の協力と云ふものが中心にならなければならぬと思ふのであります、此の點に付きまして、政府は御同意下さいましたから、私は此の法案に贊成する者であります、尚此の評價に付きまして只今も御話がありましたが、板谷委員からも御注意もあつたのでありますが、評價は普通の利附證券や、或は其の他の投資物と違ひまして、多くは此の處分せられるものが産業を代表する株式で、此の産業の状態はどうかと云ふと、多くの産業は根本的に破壊せられて居るのでありまして、之を最初目論み、及び保育しました多くの人達の苦心に依つて、貿易上及び金融上の利益を割いて、さうして今日になつたのが、さう云ふ保護者がない今日の状態の産業は、容易に之を引受けると云ふやうな進んだ考の者もなくなつたのではないか、又さう云ふ憂ひが多分にあるのではないか、私は斯う思ひますので、之に對する政府の御構想に依つて、相當此の持ち得るやうな評價の出來るやうな一つ御考を、十分此の際御考へ下さいまして、さうして是が早く日本の再建に役立ちますやうに處置をせられんことを要望致しまして、此の案に私は贊成する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=168
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169・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) 外に御發言もないやうでございますから、増加所得税法案外四件を採決致したいと思ひますが、政府の原案通り可決することに決定して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=169
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170・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それでは御異議ないと認めます、次には、衆議院提出の、戰時補償特別措置法の改正案を議題と致しまして、討論に入りたいと存じます、別段御發言もないやうでございますので、直ちに採決に入りますが、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=170
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171・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それでは本案も原案通り可決するべきものと決定して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=171
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172・倉富鈞
○委員長(男爵倉富鈞君) それでは左樣決定致します、是で昨日來非常に皆樣に御苦勞を願ひました本委員會も、お蔭で全部議事を終了致しました、昨日も申上げましたやうに、時間が非常に短かい上に、委員長は極めて不慣れで、定めし御不滿の點も多々あつたかと存じます、此の點に付きまして御詫びを申上げますと共に、昨日來の御苦勞に對しまして厚く御禮を申上げます、どうも有難うございました、では是で散會を致します
午後二時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=172
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173・会議録情報2
出席者左ノ如シ
委員長 男爵 倉富鈞君
副委員長 子爵 錦小路頼孝君
委員
侯爵 黒田長禮君
侯爵 大炊御門經輝君
伯爵 金子武麿君
子爵 交野政邁君
子爵 入江爲常君
子爵 土井利章君
子爵 日野西資忠君
男爵 高崎弓彦君
長谷川赳夫君
男爵 内田敏雄君
男爵 村田保定君
男爵 中村徹雄君
黒田英雄君
板谷順助君
橋本辰二郎君
河西豐太郎君
竹中藤右衞門君
藍澤彌八君
片倉兼太郎君
丹羽彪吉君
河端作兵衞君
岸本彦衞君
杉山茂君
松尾嘉右ヱ門君
渡邊甚吉君
國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 池田勇人君
同 櫛田光男君
同 大槻義公君
同 長沼弘毅君
内閣事務官 鹽原有君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009102116X00219461224&spkNum=173
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