1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
皇室經濟法案(政府提出)(第三號)
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昭和二十一年十二月十六日(月曜日)午前十時三十二分開議
出席委員
委員長代理 理事 小島徹三君
理事 吉田安君 理事 及川規君
理事 酒井俊雄君
大塚甚之助君 竹内茂代君
殿田孝次君 苫米地英俊君
藥師神岩太郎君 馬越晃君
菅又薫君 津島文治君
日比野民平君 星一君
森山ヨネ君 新妻イト君
菊地養之輔君 松本七郎君
森三樹二君 今井耕君
川野芳滿君 井上赳君
久芳庄二郎君 野本品吉君
出席國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局事務官 井手成三君
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本日の會議に付した議案
皇室經濟法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00719461216&spkNum=0
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001・小島徹三
○小島委員長代理 會議を開きます、本日は委員長が差支えができましたから、私が代理させていただきます、去る十二月十二日に本院に付託せられました皇室經濟法案を議題に供します、まず政府の説明を求めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00719461216&spkNum=1
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002・金森徳次郎
○金森國務大臣 本日吉田内閣總理大臣が出まして、だいたいの御趣旨を御説明申し上げる豫定でありましたが、病氣のために支障がありまして、私から大略申し上げたいと存じます
一番骨子となりまする考え方としましては、從來皇室の經濟に關しますることは、國の法律で規定をするのではなく、全く皇室の方面の規定、つまり皇室典範、皇室財産令をもつて定めらるることになつておつたのでありまするが、この憲法の改正に伴いまして、皇室の御經濟のこともすべて國の法律をもつて規定するということになりましたがために、必要なる事項を今御審議を願つておりまする皇室經濟法が定めようと狙つておるわけであります、今囘の日本國憲法の中におきましては、第八十八條には皇室財産は國に屬するということが一つ、それから皇室の費用は豫算に計上して國會の議決を經なければならないということが一つ、つまり財産の所屬と經費支出という、この二點が規定せられております、それから憲法の第八條におきましては、皇室と皇室外との間の財産の動き方につきましては、國會の議決を要するということが規定せられております、かようなふうにいたしまして、憲法との關係におきますると、三つの問題、第八十八條の豫想しておりまする二つの點、それから第八條の豫想しておりまする一つの點、この三つの點が法律の内容となつて來るわけであります、結局今御審議を願つております所のこの皇室經濟法案は、この三つの項目を、しかるべきように規定をしたいという念願に基づいておるものでありまして、漸次この條項の順序に從いまして御説明を申し上げたいと存じております
まず經濟法の第一條におきましては、皇室の公用に供する國有財産を國有財産法上の公用財産たる皇室用財産とするということを規定しておるわけでございます、つまり皇室の財産は國有になりまするけれども、しかしその中でも、日常の皇室の用にお使いになるという財産につきましての規定をしようというわけであります、更に皇室用財産を定めましたり、これを解除いたしましたりすることは非常に重要なことでありまするが故に、皇室經濟會議の議を經るというふうにきめまして、そのほか皇室用財産につきましての皇室經濟會議の調査に關する諸般のことを規定いたしまして、今後皇室用財産に關しましての取扱い方が、公正であり、間違いがないというふうにいたしたいと存じておるのであります
第二條におきましては、これは日本國憲法第八條の財産の授受に關するものでありまするが、憲法改正の時に御説明を申し上げておいたと存じまするが、今後人民から皇室に差出しまする財産、また皇室から人民の方に移されまする財産も、ともに憲法八條によりまして國會の議決を經るということになつております、しかし事柄の非常に輕微なるもの、或は性質のきわめて明瞭でありまするものは、一々國會の議決を要する必要もないと存じまするからして、これにつきましては簡便法を設くる必要があるということを狙いまして、この第二條ができたのでありまして、その條項に掲げてありまするように、ことの性質が普通の經濟行爲であるような場合、取引の一般の場合と同じように行われまするものは、國會の議決を經なくてもよかろう、また別に法律で定めまする所の、一定價額を超えない財産の授受の場合、つまり比較的金額の少いものの授受につきましては、一々國會の議決を經なくてもよろしい、それからまた、右の價額を超えましても、しかし必ずしも大きな價額ではないという場合があるのでありまするが、そういう中等程度の價額の財産の授受につきましては、これは一一國會の議を經るを要しないけれども、しかし皇室經濟會議という特別なる議を經るようにしようというふうなことを規定いたしました、かようなことを規定いたしますると、またこれに關連をいたしまして、ことによるとかような規定の形式を利用いたしまして、その趣旨に副わないような實行が起るかも知れませんために、かような場合に周到なる規定を併せて設けておきますることが適當と思いまするからして、それにつきましてのやや細かい規定を同條の中においたのでありまするが、根本の精神は今申し上げましたような考えに基づいておるわけであります
それから第三條、四條、五條、六條という部分におきましては、皇室に豫算として計上しまする費目をはつきりきめておきまして、この扱い方を正確にする趣旨をもつて内容を定めてありまするが、豫算で皇室に差出しまする經費は、内廷費と宮廷費と皇族費と、この三つに限定をいたしたわけであります、しかしここには三つだけ掲げておりますけれども、現在宮内省關係でお使いになつておる費目の中に、この外になるものもあるのであります、たとえば宮内府の經費というようなものになりますると、これは國の一般の行政費の中にはいることになりますから、この外になりまするので、現在の宮内省の經費を眼目にいたしますると、この三費目のほかに、いわば宮内府の經費というようなものが加わるような考え方になりまするけれども、ここでは特に皇室經費として計上するものだけを上げたわけであります、内廷費皇族費というものは、一應法律で定額をきめておきまして、しかもその法律を別のものといたしておこうという考え方をもつております、と申しますのは、内廷費も皇族費も定額であるということは必要でありまするけれども、その定額をいくらに見るかということにつきましては、物價の變動もありますることで、一々皇室經濟法の基本を修正することは必ずしも適當ではなかろうと存じまして、別個のものにしたわけであります
次ぎに第七條におきまして、日本國の象徴である天皇の地位に特に深い由緒ある物につきましては、一般財産相續に關する原則によらずして、これらのものが常に皇位とともに、皇嗣がこれを受けらるべきものなる旨を規定いたしております、このことはだいたいこの皇室經濟法で考えておりまするのは、民法等に規定せられることを念頭にはおかないのでありまするけれども、しかし特に天皇の御地位に由緒深いものの一番顯著なものは、三種の神器などが、物的な方面から申しましてここの所にはいるかとも存じますが、さようなものを一般の相續法等の規定によつて處理いたしますることは、甚はだ目的に副わない結果を生じまするので、かようなものは特別なるものとして相續法より除外して、皇位のある所にこれが歸屬するということを定めたわけであります
第八條から第十一條までの間におきましては、この法律を運營するために設けられた所の皇室經濟會議について規定をいたしておりまするが、その組立て方とか、動かし方につきましては、だいたい皇室會議に關しまする皇室典範の規定を準用しておりますが、違います所はその中の構成員でありましてこの經濟會議の方におきましては、衆議院及び參議院の議長及び副議長、内閣總理大臣、宮内府の長竝びに會計檢査院の長をもつて組織することといたしまして、裁判官の系統の方を除いたわけであります、これは結局この經濟會議において論じます事柄の性質が、かような結果を生み出したわけであります
さらに附則の方面におきまして、まずこの法律が日本國憲法と同時に施行さるべきことを規定いたしておりますることはわかり切つたことでありまするが、次ぎに從前の皇室の財産からこの法律によりまする皇室用財産に移り變るということに關しまする規定を設けまして、また從前の皇室會計に所屬していました所の權利義務が今度移り變ります場合の經過的處理に關しまして、必要なる事項を規定いたしております、つまり普通の經過法の内容に異ならぬのであります
最後にこの法律の施行期日は、結局五月三日から施行さるるということになりますので、一般の會計年度の途中にこの事柄が起るわけであります、そこでその見地から若干の特例を設けなければなりません、内廷費と皇族費の年額を必要な限度に止むる特例を規定しておるわけであります
今申し上げました諸般の論點は、だいたいにおきまして臨時法制調査會の答申を骨子として立案されておりまして、各方面の方々の御意見を伺い、殊に宮内省關係とは特に密接なる連繋をもちまして、過ちなきを期しておる次第であります、どうぞよろしく御審議を願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00719461216&spkNum=2
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003・小島徹三
○小島委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から質疑に入りたいと思います、本日はこれにて散會いたします
午前十時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00719461216&spkNum=3
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