1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了ノモノヲ除ク)
皇室經濟法案(政府提出)(第三號)
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昭和二十一年十二月十八日(水曜日)午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 樋貝詮三君
理事 小島徹三君 理事 武藤常介君
理事 吉田安君 理事 黒田壽男君
理事 酒井俊雄君
稻葉道意君 大塚甚之助君
田中善内君 竹内茂代君
大島定吉君 神戸眞君
菅又薫君 津島文治君
星一君 新妻イト君
菊地養之輔君 中原健次君
松本七郎君 森三樹二君
今井耕君 川野芳滿君
越原はる君 井上赳君
久芳庄二郎君
出席國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局長官 入江俊郎君
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 井手成三君
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本日の會議に付した議案
皇室經濟法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=0
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001・樋貝詮三
○樋貝委員長 これより會議を開きます、質疑に入ります、吉田安君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=1
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002・吉田安
○吉田(安)委員 簡單に二、三點お尋ねいたします、だいたいすでに同僚各位から質疑をした所に觸れまして恐縮いたしますが、なお一度承わつておきたいと思うのであります、第一は皇室用財産に關することでありますが、皇室經濟法は憲法實施と同時にその效力を發するものでありまして、これが實施の曉には皇室用財産の種類、範圍といつたようなものが皇室經濟會議で決定するのであります、從つてこの經濟法が效力を發生しました後のことは、經濟會議に委ねておいてもまずよろしいと思うのでありまするが、それまでの中間のことであります、この點は本會議で同僚森君或は委員會あたりでも十分お尋ねになつているのでありますが、かりに皇室經濟會議が機能を發揮するようになりましても、いきなりにその範圍等をきめるということも勿論これは困難なことであると思うのであります、從つてそれまでの經過の期間内には、現在のいわゆる財産の保管調査ということについては、同僚が尋ねましたように、これは何か適當なる機關を設置する必要がありやしないかと考えるのであります、これに對しまして、金森國務大臣は、それは必要を認め、なお考究中であるという御意見のように拜聽いたしておるのでありますが、かりにそれが實現するといたしますれば、これはすべからく急を要することではないかとも考えられるのであります、その點につきまして今一應御面倒でありますが、政府の御答辯を煩わしたいと思うのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=2
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003・金森徳次郎
○金森國務大臣 只今の御質疑の點につきましては、事務上の意味と、いくらか政策的の意味と、二つに分けてお答えを申し上げたいと存じます、極く事務的に申しますれば、皇室にありまする所の財産をよく區別けをして、政府に移るべきものは移させる、皇室に殘すべきものは殘すということでありまするが故に、その調査は、いわばこれを現在もつておる所の宮内省の職員と、これを引き取るべき政府の職員との間におきまして、周到な調査研究をする必要が起つて來るのであります、いわば相談ずくでまず基礎を固めなければなりません、そうしてさようにしてきめましたものが、來年の五月三日午前零時に、法律的に申しますると、その國に移るべきものは當然に移す、こういう建前になるわけであります、所がその段階におきまして、勿論事務的に解決し得べきものに止まりませんで、ここに一つの國全體としての判斷が要るわけであります、それは憲法はまだ施行されていなくても、現在からその準備的な研究をして、最後にはなんの間違いもないように、移るべきもの、殘るべきものがきまるようにしなければなりません、これはただ事務當局にばかり任せておくべきものではないのでありまして、結局この皇室典範が豫想しておりますような、皇室經濟會議に類似するものがそこに一つ豫想されなければならぬと思うわけであります、まだ法律を今準備中のような次第でありますので、この準備期間の間は、皇室典範の認めておりますような堂々たる形式を具えておる經濟會議を設けることは、少しく困難な事情にあります、でありますから經過的のものといたしましては、だいたい皇室經濟會議の組立と同じような考え方、つまり内閣側と大藏省側と、それから宮内府側、會計檢査院側、それに貴衆兩院の關係者を加えるというような工夫によりまして、一つの委員會をつくりたいというふうに考えております、ただ委員會をつくりますことが、今日の實情におきましては、そう右から左に政府で簡單にきめにくい事情もありまするので、どういう形でつくるかということは、なお今研究中でありますけれども、實質的には今申しましたような點に副つて行くことにならうと思います、そこで、そういうような委員會をつくつたと假定いたしますと それはどんなものができるであろうかということを一つ豫想してみなければなりませんけれども、だいたい内閣總理大臣の監督に屬する委員會にすることが適當だろうと思つております、事柄はほんとうを言えば、宮内省と政府の兩方にわたつておりますので、どつちにつくるのがよいかという問題が起りますけれども、いずれにしても今度は國の問題としてこれを解決しようというわけでありますから内閣總理大臣の監督の方にその委員會を歸屬せしむることがよろしかろう、こういうふうに考えております、そうすると、それではどんなことをそれにさせるかという問題が起りますが、極く形式的な文字を使つて申しますならば、内閣總理大臣の諮問に應じて、皇室經濟法附則第二項の規定により、皇室用財産となるものを適當と認むるものの範圍について調査研究をし、答申をする、こういうような建前になつて行けばよいと思うのであります、いくらかこれは略式のものでありますから、その委員を選びまする場合にも、本委員とか豫備委員というふうに區別する必要もありませんので、いくぶんはこの經濟會議の豫想しておりまする組立よりも簡素と申しますか、もう少しい低い所に考えまして、しかし、系統としてはこの八條に豫想しているような系統に從つて、つくつて行つたならばよいのではなかろうかと存じております、と申しますのは、將來の本格的な經濟會議は、何といつても堂々と表面に現われることを期するのでありますが、今度つくりますのは、實際痒い所まで手を屆かせるようにして、調査研究をして行かなければなりませんので、實務家をよけい著想したり……こんなふうなことを考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=3
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004・吉田安
○吉田(安)委員 只今の御答辯で、事務上の面と政策的の面から經濟會議に類似した委員會をつくろうというような御構想であるということを承りまして、諒承する次第であります、こういう財産を區別するということは、その時にならないと勿論これは甚だ困難なものでありまして、その限度、範圍ということは、今から政府にその御見透しを伺うということも、これは甚だ無理なことともなりますし、すこぶる困難なことでないかと考へますが、だいたい今からの御見透しを政府に御答辯ができますならば幸いだと思いますが、いかがでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=4
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005・金森徳次郎
○金森國務大臣 だいたい皇室の公用に供しまする財産というものを、どういう範圍においてきめるかということは、もとよりこれから考えなければならぬのでありますけれども、憲法の示す所によりまして、國の象徴としての天皇がその御立場において御使用になる場合と、それから天皇御みずからの御使用でなくても、いくぶんその周りに餘裕をおいて考えるべきものと思つております、從つてその邊の所の見分けは、今も申しましたように、多少大きい著想から區別をしなければならぬと存じます、たとえば陵墓等につきましても、天皇ばかりではなく、若干その周りにあらせらるる所の、いわば近親者等につきましてのものも、公用に供するものと解し得べきように考えております、具體的な内容につきましては、宮城とか、京都御所であるとか離宮であるとか、それから御用邸の中のいくぶん公がかつたものとか、或は陵墓というようなものが豫定せらるることになろうと存じております
なおこれに關連して申し上げたいのは、宮中には一種の信仰に關しまする施設がありまして、宮中の三殿というようなものになつておりますが、そういうふうなものは宗教と國のこととを切離しまする關係から、特別の注意を用いなければなりません、まず現在の所では、公用財産にそういう宗教的の色彩のあるものは入れないことが正當と考えているわけであります、なほ今度他の一面におきまして、今皇室のいわば收益財産というような意味の深い所の山林、その他これに似たような土地等がありますけれども、これはもう皇室の公用財産ということはできないのでありますし、この經濟法にも特に收益財産を公用財産に入れることはできないというふうに、はつきり書いてあります、こういうふうな著想で行きますから、一々こまかいことはきまりませんけれども、だいたいの方向において、不明な所は起つて來ないだろうと思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=5
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006・吉田安
○吉田(安)委員 だいたいこの程度では、それ以上のお答えをお願いすることも無理だと思いますが、只今陵墓の點、それから宮城内の賢所、皇靈殿、神殿というものは、宗教的關係のことでお取扱いはすこぶる御困難とは存じますが、これを皇室公用面に移行してはならぬということになると、この三殿の取扱いが妙なことになりはしないかと思ふのであります、しかしそれは將來のことといたしまして、皇室のいわゆる天皇を象徴としての御使用になる面の財産でありまするから、今御説明になりましたような土地、山林といつたようなものも、その目的とする所はいけないということは、これは常識からいつても當然のことではないかと思います、從つてこの第一條の第三項にあります、皇室用財産は收益を目的とするものであつてはならないというのは、當然のことであつて、正確にその意味を探究いたしますると、むしろこの條文は蛇足のように考えられまするが、これは少し行き過ぎた考えでしようか、お尋ねいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=6
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007・金森徳次郎
○金森國務大臣 今仰せになりましたような第一條の第三項は、實は第一項との關係におきましては、言わなくてもわかつておることでありまして、少しく丁寧親切に過ぎるという御非難を受けてもいたし方はないと存じておりますけれども、何分にも皇室用財産というものにつきまして、これが新しい事柄でありますが故に、できるが上にも明白にしておくことの必要があろうと思いまして、さようなふうにいたししたわけであります、なおこれに關連して、その前にちよつとお觸れになりました宮中三殿、賢所、皇靈殿、神殿というふうのものにつきましては、もとより研究中ではありますけれども、やはりその財産といたしましては、皇室の私有財産の扱いをいたしまして、できるならばそれは由緒ある私有財産として扱う方法が考えられるのではないかと存じておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=7
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008・吉田安
○吉田(安)委員 次ぎに第一條第四項の點でありますが、これによりますと、「皇族經濟會議は、五年を超えない期間ごとに皇室用財産に關し、必要な調査を行い、これを内閣に報告しなければならない、」こう規定いたしたのでありますが、この點でお尋ねいたしたいのは、必要な調査という事項の範圍、限度、それからこれを五年といふ程度にきめたその理由、それからこういうことから關連いたしまして、この經濟會議というものには、常會であるとか、臨時會というようなものを設けるものでありましようか、どうでありましようか、この三點を伺います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=8
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009・金森徳次郎
○金森國務大臣 だいたい經濟會議というものは、第一條の關係について申しますると、公用に屬せられておりまする所の皇室用財産について、この大きな目でもつて内閣に報告し、また自然に國會に報告になるようなことを調査するというわけでありまするが故に、その中味につきましては、そういう角度から判斷すべきものでありますから、法律をもつてその内容を限定することはいたしませんで、實際に妥當なる働きをこの皇室經濟會議が行つて行くものと考えておるわけであります、そのほかの點につきましては、だいたい五年目くらい毎に調査をいたしますることは、現行の秩序の下に、國有財産一般につきましては、政府の方でその調査をつくつて國會に報告をいたしておりますが、そのような氣持と並行いたしまして、五年を超えない期間という一つの指標をつくりまして、かような財産について世間の何らの疑惑を起すことのないようにしておるわけであります、この弊害の方から考えて見まするならば、公用財産というものは、今日皇室においてその用に御供しになるということにつき、世間が疑惑をもち得るとは全然私どもは考えておりませんけれども、強いてその正確を期しまするならば、皇室は常に經濟の面におきまして一點の曇りはないということを、できるだけはつきりさせまするためには、このくらいのことをやつた方が、諸般の關係から適切であろうというふうに考えて、盛つたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=9
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010・吉田安
○吉田(安)委員 次に第三條第四條に關係しまして、内廷費のことですが、内廷費は結局この規定によりますと、いわゆるお手許金となるのでありますが、そうしますと、これは宮内府の經理に屬する公金ではないということになるのでありまして、そうなりますと、このお手許金というものに對しては課税の對象となりはいたしませんか、その點を御尋ねいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=10
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011・金森徳次郎
○金森國務大臣 内廷費は御説のように、政府からこれを豫算の規定に從いまして拂い出すという時におきまして、お手許金になつてしまいまして、もはや國の公金ではなくなるわけであります、そういう點を考えますと、一般の人民の立場におきまして、そこに收入があつた場合には租税を納めなければならぬという原理が、何となく當てはまりやすい感覺をもつて來るわけであります、從つてこれに對しましても、租税をとるということがよいか惡いかという問題が當然に起つて來るわけでありますが、これはなほ今後研究をしなければならぬのでありますけれども、内廷費というものの性質は、國の象徴及びその象徴たる方の周りにあられる方の品位維持——ひとり品位維持に止まらずして、なおどうしても象徴たることに裏表となつて御使いにならなければならないものを多分に含んでおりまするが故に、一括して申しますれば、個人の關係におきます所得というものと區別して考えられるものではないかというふうに存じております、今後そういうふうなことに基づいて、なお研究を進めて行きたいと思つておるのでありますが、今の所どうも正確にまだお答えし得る時期に達しておりません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=11
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012・吉田安
○吉田(安)委員 私も只今の御答辯を承りましてすこぶる同感であります、この内廷費のことを考えました場合には、徴税の對象とならないという方にぜひお取計らいをお願いいたしたい、かように希望する次第であります
次ぎに、この内廷費というものはこの三條、四條の通りでありまして、内廷の諸費用にあてられるのでありますから、その限度においてこれは國が支給するということになるのでありますから、そうしますと、今までよく御仁慈を賜わつておりました例の御下賜金というようなものは、將來これはできなくなることになりはしないかと思いますが、その點はいかがでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=12
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013・金森徳次郎
○金森國務大臣 前の方からまた蒸し返しますが、内廷費につきましての租税は今研究中である、私はこう申しておきました、勿論そうでございますけれども、肚の中の豫想でありまして、當り外ずれということは、どうも非常に責任はもちませんが、これは租税の對象にはとにかくしないという方針をもつて、今の所考慮をめぐらしているわけであります
それから今の御下賜金等の場合でありますが、これは二いろ分けて考えらるると思うのであります、現在皇室から御下賜になつておりますものの中にも、いわば普通の給與のような意味をもつて御下賜になつておる、ほとんど恆例の形におきまして御下賜になつておるといふものもあるのでありまして、そういうものは一部分は宮廷費から出ることと考えておりますが、所がそうではなくて、ほんとうの皇室の特別なる思召によつて出るというものは、これは内廷費から出るものと存じております、所が内廷費は本當のお手許金であり、皇室において缺くべからざる經費を國から支出するわけでありまするが故に、その内廷費の中に御下賜金に當りまする分量は、そんなに多く考えられないのであります、先のことを想像して言うことは、少しく行き過ぎかも知れませんが、結局内廷の經費を御儉約になるというようなことがありまして、その殘餘が御下賜金になつて來る、本當の御下賜金らしい御下賜金が、これから生れて來ると考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=13
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014・吉田安
○吉田(安)委員 次ぎに内廷費の關係でさらにお尋ねいたしたいのでありますが、内廷費を見ますると、この内廷費の範圍はほとんどきまつております、それから第六條の皇族費を見ましても、皇族費の支給だけはきまつておるのであります、ここで私なお妙なことをお尋ねしたいのでありますが、皇室外の庶子であります、庶子というものが將來全然ないということになりますれば問題はないのでありまするけれども、そういうことは勿論ないことを希望して、皇室典範も皇室經濟法もその建前になつておるのでありますけれども、將來そういうことがありました場合にはどういう取扱いになるでしようか、これは甚だ立ち入つたお尋ねをするようでありますが、一つ伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=14
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015・金森徳次郎
○金森國務大臣 もしも正當の結婚外においてお生れになつた方があるといたしますると、皇室關係の法規、すなわち皇室典範でも皇室經濟法でも、それを當面の規定の中味には盛り込んでおりません、いわば知らざる形になつておるのでありまして、それは一般の民法の原理によつて扱われて來る、皇族の御血筋ではあるけれども、皇族ではないという方におなりになるわけでありまして、この規定は與り知らん、こういう顏をしております、從つてそれに對しまする經濟上の問題等は、結局何かこういうことによつてできた所の金額の繰り合わせによつて、處置せられるのほかはないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=15
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016・吉田安
○吉田(安)委員 その點はその程度で了承いたしておくよりありますまい
宮廷費でありますが、宮廷費は今までも相當に多額の金がかかつておるのでありまして、いつも皇室からは宮廷費に關する部分までも、お手許金といつた意味のものからお出しになつておつた、そしてその不自由を我慢なさつておつたということを聞いておるのでありますが、將來そういうことは絶對にないことを希望するのでありまするから、この宮廷費に關する費用は、將來だいたいどの位のお見透しでありましようか、その點をお尋ねしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=16
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017・金森徳次郎
○金森國務大臣 從來は皇室の經濟が皇室の内部のものとなりまして、いわば一本になつておつたのであります、政府からは毎年四百五十萬圓を供出いたしまするけれどもこれが何に充がわれるということでなくて、皇室の方の會計でそれを適當な方向に、まぜておいてから振り分けられることになつておりますから、政府から皇室の經費のどの部分にそれが廻つておつたかということは、後筋をつけることができないのでありまして、昨日でありましたかちよつと申し上げましたように、皇室經費は六千萬圓くらい豫算の上に、最近に計上せられている、それに對しまして政府の供出金が四百五十萬圓、つまり一割以下ということになつておつて、それから先のことは計數を追つ駈けてみることができぬという状況になつております、今囘の皇室經濟の審議におきましては、内廷費は一つの拂ひ切りの金になつておりまするし、宮廷費は豫算で一々、ちようど政府が普通の歳出と同じような形において支辨をいたしまして、もしもそれが殘りますれば、當然國の金としてそのまま殘つておるというふうの建前になつております、そこで内廷費から宮廷費に廻わるということは、今度は考えられないことになると思つております、そこでお尋ねになりました宮廷費に、いかなる金額を盛り込むかということは、私としては今日まだお答えのできないような状況になつておりまして、昨日でありましたか申し上げましたように、だいたい一つの意見として聞いておりまする所を見れば、皇室のこの三つの費目、そのほかに宮内費の經費を合わせまして、二千萬圓くらいは要るのぢやなかろうかというようなことを聞いておりまするが、その實情はやはり宮内關係の人の意見等も精密に聽きませんとわかりませんし、また今後豫算を計上いたしまする時に、篤と考えなければならぬことと存じております、ただこの宮廷費を考えます時に、一體宮廷費はどういうことに充てられるであらうかということを、はつきり意識いたしまするために、試みにその費目を竝べてみますと、ほぼその樣子がわかつて來るものと思つております、つまり金額のことは言い切れませんけれども、その費目の方から申して行きますと、たとえば儀式に用いらるる所の費用、儀典費とでも申しましようか、それから正式の行幸啓にお用いになります費用、すなわち行幸啓費というものが考えられると思うのであります、また皇位の繼承に密接の關係のあらせられます所の皇太子の御學問費というものも、もとより宮廷費から支辨されてよかろうと存じております、また宮城の中のいろいろの管理費というもの、さらにこまかく申しますならば、建築物の營繕をいたしましたり、必要なる物件を買い入れましたり、施設をしたりするというものが、考えらるると思うのであります、さらに第五の項目といたしまして、何か賜り物の費用というものが一つ考えられると思うのであります、賜り物と申しましても、それはたとえば吉凶禍福の慶弔に伴いまして、いろいろな從來の慣例等もありまするが、それに從つて賜り物があるという場合、そのほかの賜り物の場合も豫想せらるるのであります、先ほどちよつと申しました、ほんとうの個人的意味において賜りますものはこちらの方からは出ないのでありまして内廷費の方から出ることになろうと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=17
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018・吉田安
○吉田(安)委員 最後にもう一點お尋ねいたします、これは昨日小島君からも熱心にお尋ねいたしたのでありますが、第七條の「由緒ある物」でありますが、先刻大臣は宮城内の三殿、こういつたものも由緒ある物として取扱うべき筋合いではないかというお話であつたのでありますが、そうしますと、やはりどうもこの點に來ると、わからなくなつてしまうのですが、その認定はいつすべきものであるかということが、やはりこれは經濟會議が發足してからすべきものであるか、今からそういうものは認定をしておくべきものではないか、それについては法律ですべきものであるか、或いは昨日御答辯のように、政府、皇室との兩面から考慮して、政令でやつてはどうかというようなことも承わつたのでありますが、これは由緒ある物の範圍といふことが非常に困難に逢著すると思います、今一應この點に關する御答辯を承わりたいと思うのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=18
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019・金森徳次郎
○金森國務大臣 第七條の特別なる皇室私有財産に關しまする問題は、相當いろいろな角度から考えなければならぬ點があると思うのであります、この第七條が示しておりまするように、この財産は天皇の皇位繼承と相伴つて傳わつて行く、そのほかの財産は一般の民法の關係によつて傳わつて行きまするが故に、同じ一つの原因が起りましても、つまり天皇崩御という原因が起りましても、その財産が誰に傳わるかという所が、この七條による財産はこの方向に從つて行く、その他の一般の財産は一般の規定に從つて行くということになりまして相當ここに緻密な判斷をしなければならぬ問題が起つて來ると考えております、いわばこれはほんとうの意味の私有財産、それから公的意味の財産との、また中間にくらいするような趣旨のものでありまして、この扱い方をどうしていいかということにつきまして、實は相當苦慮しておるわけであります、當初かようなものを立案いたしましたその肚の中の氣持は、これは三種の神器だけと實はそう思つておりました、しかしだんだん研究を進めて行きますると、三種の神器だけではこれにどうも適應しない、もう少し廻りにいろいろのものがあるべきではなかろうかというふうに考えを進めて行きまして、私も詳しいことは存じませんけれども、たとえば立太子の式の時に、その立太子の何か儀式の當然の内容といたしまして、或る刀をその場合に交付せられるのでありますが、これはもう長年の儀式の中に行われる所でありまして、その劔はやはり由緒ある物として取扱われて行かなければならぬ、そういうふうにも考えておりまするし、それから先に申ました宗教的なる皇室の施設であり、しかもそれは國の方の財産には移り兼ねるという宮中三殿及びこれに關係をいたしまするものは、やはり何かこの財産の中に入つて來るのが正當ではなかろうかと考えます、それからまた皇室に特に密接の關係があつて、皇位繼承と不可分的に考えられるいわゆる文化財というものがあるのではなかろうか、こういう氣持もありまするし、それらのことを何らかはつきりさせなければならぬということは考えております、そこでどういうふうにして考えたらいいかという問題になつて來ますが、何といつてもこれは私有財産そのものでありまして、宗教的のものを國の方に持つて來るというわけには行きませんので、これは私有財産としての取扱いで行かなければならぬということになりまするとやはり國家がこれに積極的に關係するといふことは行き過ぎではないかということになります、しかし國家の方でかような特別な相續關係をきめておりますし、もしできるならば將來ともかようなものについては財産税というようなふうの——財産税はなくなるかも知れませんがそのほかの移轉に關しまする租税などはかからないことが本筋であるように思いますると、そこにまた國の方の面から特に留意をしなければならぬ點があるということになりまするから、何としてもかような財産をきめまするにつきましては、その適正であるということを考えなければなりませんし、それがはつきりされておるということが必要でありまするし、またかような財産を國家が特別に扱うならば、それは間違いなく管理されて行くということを注意しなければならぬということになるのであります、つまり認定、かような財産であるということの認定と、それからその認定を公の帳簿等によりましてはつきり確定させておくということ、それからさような財産の今後の扱い方につきまして、若干の保證をすると言いますか、間違いのないように注意をして行くという、この三つの任務がどこかにはつきりなければならぬのでありまして、これは皇室の權能のみとすることは少し不十分であろうと思います、でありますから、やはりこれに對しましては何か國と皇室との兩方面の人たちが關係する所の、正式な委員會のようなものがあつて、それが始終この問題を扱つて行くということにしたならばいいのではないか、但しそれは皇室經濟會議のように公益面の方に特に重きをおく大掛りなものとは違いまして、普通にはそんなに仕事があるわけではありません、ただ周到なる注意をもつて專門的な立場でやつて行く、まあ何と申しますか、私法的と技術的とこういう兩面から考えて行くべきものであるように考えますが、どうも別個の委員會が必要であるのではなかろうかということに考えまして、これは將來に研究しなければなりませんが、今仰せになりましたように、そう先き先きで考えてはいけないのであつて、この憲法の移り變りの時を目指して成べく——絶對というわけではありませんで、成べくその時にやつて行くことが必要であろうと考えております、そういうことはまだ研究中ではありますが、政令を決めるという諸般の手續の問題は、既に第七條という法律の規定がありますので、この實行的なる内容は政令をもつてきめるというふうにしたならばどんなものであろうかというように考えておりまするし、今後できるであろうと存じておりまする行政官廳の中にさような委員會を——特別に委員會を組織いたすというわけではありませんが、委員會というものを政令で設ける途を許すような規定もはいるように思つておりますから、だいたい政令で然るべき委員會をこさえて、これの選定、確保の遺漏なきを期して行きたいと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=19
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020・吉田安
○吉田(安)委員 只今の御答辯でだいたい了承いたしたのでありますが、ただ象徴たる天皇のこの皇位とともに傳わるものが私的性質のものであるか、公的性質のものであるかということにつきましては、どうもまだ割り切れない感じが十分あるのでありますけれども、これも只今の御答辯を諒といたしまして、この程度で私は質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=20
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021・樋貝詮三
○樋貝委員長 中原健次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=21
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022・中原健次
○中原委員 私は第九條の皇室經濟會議のことにつきまして、一應皇室經濟會議というものをお設けになるための理論的な根據とでも申しますか、特別にこの機關を設けられました意圖のあられる所を承つてみたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=22
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023・金森徳次郎
○金森國務大臣 皇室經濟會議は、この法律の中に現われておりまするように、いくつかの權能をもつておりまして、その權能の内容に從いましてこの會議を設けました理由がいくぶんづつ違つて來るわけであります、でありまするから、主なる點に分けて皇室經濟會議の設置理由を御説明しなければならぬと存じまするが、この第一條の關係におきましては、皇室の公用財産は實は國の國有財産であります、國有財産が皇室によつて利用せられ、管理せられておるということになりますと、國家の見地におきまして、その利用關係が正當であり、十分であるということを始終氣をつけていなければなりません、その意味におきまして第一條の皇室經濟會議は設けられたわけであります、でありまするからここにありまするようにその財産の使い工合、増減とか消耗とかいうようなことにつきましては、常に注意をするということになるわけであります、所がこの第二條の面に入つて行きまするとやや趣旨が異なるのでありまして、この第二條第一項第二號に皇室經濟會議の議を經ましたものは、議會の議決を經なくても財産の移動ができるということになつておりまするが、これは本來ならば國會の議に付すべき性質のものでありまするけれども、金額等が輕微であり、大よそ前後の事情が輕微な取扱いをしてもいいということを示しておるのでありまするから、一々國會にかけないで皇室經濟會議の議を經るというふうにいたしたのでありますから、この意味におきましては、議會の議決に代る働きをするという所に相當深い意味があるわけであります
それからまた先の方へ參りまして、いろいろこの皇室經濟會議が内閣に意見を述べるというふうの規定がありまするが、これはまたやや別箇の意味をもつておりまして、皇室の經費等が適切に國から供進せられなければならないといたしますると、現實に皇室の方に支出しておりまする所の經費が、はたしてほどよいかどうか、すなわち過不足なく動いておるかどうかということについて調査をいたしましてそれを内閣に申し出で、從つてその經費増減の機會を政府にはつきり供給するということになりまするから、これはまたこの豫算の額を常に適正に確保する所の、一つの積極的なる意味をもつておるわけであります、そんなようなふうに、今擧げましただけでも三つの趣旨を含んでおるわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=23
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024・中原健次
○中原委員 皇室經濟會議が決定を議決いたしました事項について、これを内閣に報告し、内閣は同時にそれを國會に報告しなければならないと規定されておりまするようでありますが、もしこの會議が決定いたしました事項を、國會が議決するという場合が考えられると思うのでありますが、そういう場合が萬一ありました時に對する御見解、御豫想はいかがでありましようか、それともこの經濟會議のもつておりまする權限が、國會の決定を抑える力をもつているものであるかどうか、あくまで國會によつてこれを左右されるものであるかどうかということを一應伺つてみたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=24
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025・金森徳次郎
○金森國務大臣 皇室經濟會議は、今御説になりましたように、例えば第四條の第三項等によりまして、或る意見を内閣に提出するまたその意見は内閣がこれを國會に報告するということになつておりまして、この皇室經濟會議それ自身の役割は意見を通告するという所に留まつているわけであります從つて内閣でも國會でも一應はそれを聽き置く、聽いて自分の知識の中身にするということが當然の内容であるわけでありまするから、内閣がその意見を否定したり、或は國會が皇室經濟會議の意見を否定するということは直接の結果ではございません、法律的に申しますると、さようなことになると思うわけであります、しかしながら事實におきまして、皇室經濟會議のきめましたことにつきまして、内閣がこれと異る意見をもつこともありましようし、國會がまたこれと異る意見をもたるることもありましようけれども、それはただ事實問題でありまして、法律的に影響は出て來ないわけであります、今後國會の權能は、從前よりも遙かに實質において強くなるのでありまするし、ひとり皇室のことと限るわけではなく、一切の場合に、法律を提案されることはもとより當然の權限でありまするが故に、それらの意見を參考としつつ、もし國會において何か法律をつくられまするならば、それが國の決定となり、皇室經濟會議もこれによつて拘束せられて行くということになろうと思います、でありまするから、一口に纏めて申しますれば、皇室經濟會議と國會というものは、ただ知識を報告し、これを受け取るというだけの直接の關係であると、こういうことが第一義であります、しかし第二義といたしまして、それらを參考とした後に國會が法律をつくられますれば、皇室經濟會議はやはりその法律に覊束せられるということになろうと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=25
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026・中原健次
○中原委員 それでは皇室經濟會議がもし誤つて國民の總意に反するような決定をいたしました場合に、それでもただ知識として國會はこれを聽き置くということが禮儀であるというような考え方に聞えるのでありまするが、もし私の聽き方が正しいといたしますれば、そうでありまするならば、憲法第一條が主權在國民を規定いたしまして、今後一切の國のまつりごとは國民の總意によつてこれをなすというふうに理解されているのでありますが、この憲法の精神と聊かふさわしからない内容を皇室經濟會議はもつているというふうに考えられるのでありますが、もし萬一にそうであるならば、今や國民は、それがよし皇室のことに係わりましようとも、非常な注意をいたしておるのでありまして、その間聊かでも明瞭を缺くようなことがありますると、これは必ず國民がこれを納得するとは限らないと私は考えるのであります、殊に皇室經濟會議はこれを公開いたしまして、公の會議、公開會議にするということがありまするならば、勿論或る程度までその内容を納得する經過がそこに酌み取られて參りまするけれども、もし萬一この經濟會議が祕密の會議の形をとるといたしますならば、なおさらのこと、ここに一つの明瞭ならざるものが殘るのでありまして、そういう取扱い方がはたして今日の民主日本の政治の行き方として妥當であるかどうか、ここにいささかの疑問が起つて參るのであります、これにつきまして當局の御見解を承つておきたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=26
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027・金森徳次郎
○金森國務大臣 今のお説の點は、私の申し上げました所とは全然違つておると存じております、私は法律的な解釋として、經濟會議は議決をする、それを内閣に報告する、内閣はまたそれを國會に報告する、報告するということは國會がこれを知りおくというためにするのであります、こういうふうに申し上げたのであります、法律の表におきましては、經濟會議の内容が國會に報告せられるといふことに止まるわけであります、しかしながらそれは儀禮的に國會が知りおくということではありません、完全に法律的に國會にさような手續が行われておるわけであります、そこで國會はその知識を基本として、國會のもつておる所のあらゆる權能を働かせていいということになろうと存じております、だいたい國會というものの働きが、憲法の示しまするように、これは國の最高機關であると申します、しかしながら行政自身は國會はいたしません、ただ行政を監督するということ、それから立法をするということ、この二つが大きな眼目となつて來ると思います、そこでこの經濟會議のいたしますることは、實は行政的事務とだいたい考えらるるものであります、國會はそういうことを直接やるのではなく、これらの知識を正確に得ました後に、今度は行政監督の權能、それから立法の權能、この二つを働かせまして、十分に國會の働きができるということになりますから、そういう權能はこの皇室經濟法が認めておるということではなく、憲法それ自身が國會に認めておる權能と思うわけであります、ただこの經濟法が出來ましても、さような根本の權能があつても、聾棧敷に置かれたのでは十分な活動が出來ない、だから一部始終を國會に常に報告せしめよということが、この經濟法の趣旨とする所でありますから、大義名分には完全に適つておると思うのであります、なおこの經濟會議の内容が祕密會議であるならばというふうなお尋ねでありました、この會議自身は、恐らくその道行きにおいては公開の會議ではなかろうかと思つております、しかしながらその結果は公開せらるることになることは、今申しました所によつて明らかであります、それからこの會議の中身には、衆議院と參議院の議長、副議長がはいつておられるわけでありますから、實質におきましては公開と同じような結果を生ずるものと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=27
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028・中原健次
○中原委員 皇室經濟會議といふこの機關を設けることの必要性については、縷縷御説明があつたと思いまするが、私はむしろそうではなくて、皇室經濟會議というものをそのような形において別に設けることよりは、國會の中で必要に應じてそういう機關を特別に設けて、これを議決議了せしむるというような取扱い方でいいのではないか、しかも只今のお言葉の通り、そうたびたび頻繁にその會議が行われるものではないであろうというふうに申されたと思うのでありまするが、そうであるならばなおさらのこと、これはその必要に應じて國會の中にこれを設けて、そうして國會の意思によりましてこの會議の議決がなされて行くというような取扱い方の方が、よりいわゆる民主的ではなかろうか、このように考えるのでありまするが、それについての御見解はいかがでございましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=28
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029・金森徳次郎
○金森國務大臣 國會がいろいろなことをおやりになりますことは、もとより正當と存じますけれども、國會には國會としての特殊なる方面があるのでありまして、國の政治に關するこまかいことまでも一々國會が行わるるということは、或る見方によりますと、行政を國會が行なうということになりまして、不自然でありまして、もしこのことを國會がおやりになるということになれば、おのずからまた中身は變つて行くのであります、國會らしい範圍に限定せられて行くことになろうと思います、かつまた、かような經濟會議のことは、議會が批判をする、或は立法をするという趣旨と違いまして、宮内省の事情も考えなければならぬ、會計檢査の實體もこの場合に應用しなければならぬ、行政の面からの判斷もしなければならぬということになりますから、第一義的に、つまり最初に國會がこれを擔任されるということは、どうしても適當を缺く方面が多かろうと思うのであります、一つの例をあげてみますれば、たとえば小さな金額につきましての權能とか、使用というような問題につきまして、國會で議決をされることになりますと國會の大きな働きが、その小さな事項のために紛糾を生ずるという嫌いもありますし、それからまた國會が始終開かれているわけではありませんが、ここに起つて來る問題はいつ發生するかわかりません、そういう場合を考えますと、いろいろな角度から、これを國會にもつて行くことは不自然である、まずかような中間機關を置いて議定をせしめて、最後の報告を國會が握つている、その時は國會は自由な批判をもち、政府の行動を嚴密に示唆することができるということにしておくことが妥當のように考えたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=29
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030・中原健次
○中原委員 いわゆる行政的な範圍においてなされる仕事は、宮内府が置かれる以上、その宮内府に或る限度の、いわゆる豫算の範圍内における取扱いの自由は、當然與えられるであろうと思いますが、そうであるならば、皇室經濟會議に關する場合は、必ずしも別のこういう中間的な機關を設ける必要がない、むしろそういう中間的な機關を置くことによつて、取扱いが一層明瞭を缺くようになる恐れがあると考えるのでありまして、むしろこれはよし煩瑣でありましても、國會によつてこれを處理して行くというようになさるべきものではないか、このように私は考えるものであります、これは意見でありますが、しかしながら手續といたしましても、國會が皇室經濟會議の決定を否認する權限というようなものが、いわゆる國會の承認を得なければならないというふうな手續になれば、勿論私が最初申しましたような意味の不明朗性を一掃することができるのでありますが、それは機能が違うから、國會にはいるべきものではないというふうな御説明でありましたけれども、この皇室經濟會議という中間的な會議機關というものは、いくらかそこに民主性をもたせんがために法律案になつたものと私は思うのであります、そうであるならば、それを一層徹底せしめんがために、このような祕密會議——勿論結果としてはこれを報告し、發表すると仰せになりましたけれども、その會議自體が一種の秘密會議になるとするならば、なおさらのこと、この點は今囘の新憲法の精神から考えますると、必ずしもそれに相應えた所の機關ではないというように、私は疑惑をもつのであります、殊に皇室經濟法を審議いたします過程に思いつきます點は、なんだかはつきりこの問題の奧底まで觸れて行こうとすることに遠慮氣味の態度が始終見られるのであります、このようなことは國民の欲している所ではないのであります、國民はむしろあくまで物ごとを明瞭に取り扱つてもらいたいという要請をもつていると私は考えるのであります、何も皇室のことに關するが故に事を明確に表明することを遠慮し、かつ避けるということは、かえつて疑惑を深めさせるだけでありまして、決して皇室の御立場をよくするものではないと私は考えるのであります、このような見解から、やはり皇室經濟會議なるものは少くとも公開の機關であつて欲しいことと、從つてわざわざ中間的機關としてこれを設けることをやめて、國會の中に屬せしめるということの方が、只今申し上げまするような觀點からより適切ではないか、かように考えます、金森國務大臣の御所見をもう一度承りたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=30
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031・金森徳次郎
○金森國務大臣 だいたいが御意見の差と存じまするが、皇室に關する經濟につきまして、一つの點も不明瞭な點は今後殘る所はないと存じます、今それをこの議會の議に付したらよかろう、或は議會内に特別なる施設を設けたらよかろうという御意見でありました、一つ一つの事柄を見て行きますると、つまり今の御質問の形は、皇室の經濟というものを概念的にお取扱いになつて、こういう重大なる問題は議會でやつたらいい、こういうお考えであろうと思います、その考え方は御尤もと思います、この皇室經濟法に現われております一つ一つの點をもつて見て行くと、第一條の意味の皇室經濟會議というものは、皇室財産の帳面を一々調べまして、こういう財産がこれは遊んでいるではないか、この所は公用に使つていると言うけれども、草が生えておつて何も使つていないではないかと、こういう所を調べ立てるのでありまして、これを國會が直接に出ておやりになるべきほどの性質のものではなかろうかと存ずるのであります、また第二條の關係において、皇室經濟會議にかかる事項は、たとえば一口二十萬圓の獻納がある、これを受けるが一體正當か、受けることに弊害があるかということの認定をするのでありまして、金額が非常に大きければもとより國會にかけるのでありますけれども、物の能率を高めまして、事務簡捷——國民が折角獻納したいと思つているのに、手續きがあつて一年もかからなければ答えがないということではどうか、こういう方法をとります上に、かような簡便な代行機關によつて適切の處置をされて、後から批判して、やり方が惡ければ十分政府を攻撃し、政府の不信任を議するということも殘されておりますが故に、簡便でいいではないか、行政の監督につきましても、今日認可主義で行政が後れているということも言われておるが、これはその通りであります、認可主義ではなく、責任をもつてやらしておいて、後からこれを批判攻撃して、根本まで掃除するという態度で行けば、行政の進歩が望める、小さいことを大きな機關をもつて、なんだか牛刀を揮うというようなやり方で行きまするならば、行政は永久に進歩發展の餘地はなかろうかと考えているわけであります、それから第四條等において、皇室經濟會議は定額についての變更の必要があると認める時というようなことがありますが、これは議會が直接というより、ほんとうの意味は、宮中側のお氣持がこういう所を通していわば恰好よく現われて來る、こういう建前でありまして、この途を置きません限りは、政府の方も不注意であつて豫算は増加しない、宮中の方もいろいろお考えはあるにしても、そういうことは言い出されないというようなことで、政治の適正が缺けるというような時に、かような機關が働くということでありまして、ぎごちなく直接國會が働いて行くという場面ではありません、從つてお説にお示しの所は、前にも申し上げましたように、概念的に皇室の經濟に關する根本のことをきめるものは、それはいわゆる議會の代りであるというお説は正しいと思います、しかしその機能はそんなに大きなものではありませんので、その點お含みを願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=31
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032・中原健次
○中原委員 皇室經濟會議のことにつきましては、これ以上申し上げますと議論になりますので、遠慮をいたしましよう、勿論私は金森國務大臣の御見解とは相容れないものをもつております、從つてこの經濟會議に關する質問はこれでよしまして、さらに先ほどから御意見もあり御答辯もあつたようでありますが、皇室費、内廷費或は皇族費等に關する課税對象としての問題に觸れるのでありますが、私はだいたいこの所得については、勿論基本的に一つの見解をもつております、少くともその所得は、それによつてその生活を賄う、餘剩のものではないであろうと考えるのでありますが、しかし現在わが日本の租税の基本的な取扱いから申しますと、いやしくも所得に對してはこれに課税をして、國民全體に均等なる負擔をなさしめ、公平なる負擔をなさしむるということが言われておるのでありますが、もしここで皇室のこれらの費用に對して課税の對象たらしめないことが基本的な觀念であつて、從つて政府當事者も、あくまでこれは課税の對象たらしめないようにしたいというふうな御見解をお述べになつておりますが、そうでありまするならば、いわゆる勤勞大衆は勤勞所得税に對していろいろな要請を相次いでいたしております、その勤勞大衆の所得税減免の要請に對して、政府は決して親切なる答辯を今までいたしたためしがないのであります、これらの點といわゆる皇室費全體に對しての考え方を直ちに關連せしむることは、或はいろいろな御意見も出ると思いますけれども、一應この點についても考慮をする必要があるのではないか、全然これを別のものとして考えようとする考え方は、必ずしも妥當ではないのではないか、かように私は思うのであります、從いまして、これは皇室の御事柄であるから全然別のことである、一般國民並みに問題を取り扱い、或は考えることが既に過ちであるというような概念は、この際一つ思い切つてやめるべきではないか、このように私は考えるのであります、やはり國民の御一人としての天皇であらせられるというように金森國務大臣は本會議で御答辯になられたと思いますし、また當然そうであると私も考えますが、まずこの基本的な考え方が間違いないならば、一應國民全體の中の御一人としての天皇に對する、從つて皇室に對する費用等についても、見解がまず根本的には必要なのではないか、ただ特別の例としてこういうこともあり得るし、またこうもなすべきであるということならば別といたしまして、まず最初からこれを別において取扱い、全然別箇に考えようとする考え方は、必ずしも適切なる考え方ではないというふうに私は思うのであります、この點いかがでございましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=32
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033・金森徳次郎
○金森國務大臣 御説の通り原理的に私もさように考えております、私は皇室なるが故に租税をとつてはならぬということは未だかつて申したことはございません、天皇も皇族もともに國民の一人であるが故に、もし國民と同じような意味における所得があるならば、これは理論的には課税の對象となるということは、初めから前提としておるわけであります、しかしながら問題は、ここに現われておりまする所の内廷費というものが、租税の客體となるべき性質のものであるかどうかというところに疑問があらうと思います、たとえば總理大臣の官邸に必要なる經費は國から支辨しておりまして、結局總理大臣の身邊のいろいろな經費となつて行くのでありまするが、それによつて税をとるかと言えば税をとつておりません、それが一つの考え方の示唆になるわけであります、また或る一つの觀點から申しますと、この經費というものは、實額これだけの經費は、なんとしてもこの象徴たる面におきまして必要である、こういう見地に鑑みて、ぎりぎりの金額を計上するというわけでありまするが故に、それを國家が出して置いて、すぐ税でとるというような行き道がはたしてよいかどうか、こういうような觀點からいろいろと考慮をいたしておるのでありまして、今日まだ結論は申し上げておりません、これは租税に關する制度の場合におきまして詳細に論議を致したいと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=33
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034・中原健次
○中原委員 象徴としての御地位を保つ上においての費用、或は只今の總理大臣の交際費などが出ましたが、そういう意味合においてだけの費用ではないのではないかと私は解釋しております、第一「皇族の日常の費用その他」云々というふうになつておりますが、やはり日常の費用がその中に包含されておる、つまりいわば大臣が大臣としての給料をとれるような意味においての内容が、やはりこの費目の中に考えられるのではないかと思うのでありまして、必ずしも全然これは別箇の使途を對象としたものではない、やはりその生活費それ自身としての費用がこの中に包含されておるもの、こういうふうに私は解釋するのでありまして、そうであるならば、全然別箇に、いわゆる象徴としての御地位を保たしめ、或は天皇のその職能において必要とする費用というふうにだけ考えるものではないのではないか、かように思いまして、こういう觀點から只今の御質問を申し上げたようなわけであります、そうであるならば、やはり一應これは研究の餘地のあることであつて、そのままそつくり、今までここで御言説のありましたように、あくまで對象たらしめるものではないということが絶對の論據ではない、私はあくまでさように思うのであります、それにつきまして、もう一度迷惑でありますが、お尋ねいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=34
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035・金森徳次郎
○金森國務大臣 私はこれ等の經費が租税の客體となるかならんかということにつきまして、まだ明言をいたした覺えはございません、ことに皇族費の面につきましてその程度が強いのであります、かような問題につきまして、租税〓客體としていかに扱うかということは、とにかくいろいろな角度から周到なる研究をしなければならぬのでありまして、租税の根本原理につきましては、いくた未解決の問題があります、その未解決の問題を組合せて考えつつ、皇室に關しまする諸般の費用を問題としまする時には、相當注意深く論説をしなければなりませんので、今日はこの論議を差控えて置きたいと存じておるわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=35
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036・中原健次
○中原委員 その程度の御答辯をいただきまして結構でありますが、今までからの經緯から考えますと、第一そこからまづあらかじめこれを除いて取扱いたいという御見解のように承りましたし、またそういう解釋も必ずしも私の獨斷ではないと思いましたので、附加えて御質問申し上げたような次第であります、どうぞこの點はあくまで公正なる見解に立たれまして、後で問題の起きないような、公正なる御處置が願わしいと思います
さらに最後にお尋ねしたいのでありますが、昨日森君からお尋ねをした時に、だいたいその内容を詳細に明確にするために、特別の懇談的な時間をもつてその便利をはかろうというふうなお言葉が委員長からございましたが、その時に、私はもちろんそうであれば結構だと考えたのでありまするけれども、その後どうやらそうでもなさそうに承る節がありますので、もう一度この點は確めたいと思います
すなわち御料財産の概況をここにいただきましたが、この御料財産の概況につきましては、それぞれの科目の數字的な現われにつきまして、この算定の基礎がどういう單位評價によつてなされたかという一つの質問が、當然起つて參りまして、またこれはひとり本委員會のわれわれだけではなく、この問題については國民七千三百萬擧げて非常な實は注意を拂うておる事柄なのでありまして、どうあろうともよい、皇室に係わる事柄であるからわれわれの關する事柄ではないという考え方は、もはや今日の日本國民にはございません、ことに戰爭によつてかくのごとく傷つけられましたわが日本國民は、やはり物ということについては相當敏感性をもつておるはずでありまして、この際議會はその責任において、この御料財産の概況の内容を、或る程度まで明確にして發表する必要があると思うのであります、勿論大きな問題でありますので、速急にここ一兩日の間に適切なる、いわゆる過ちなき内容が發表されることは或は困難かと思いますけれども、少くとも或る程度まで基準のつく、見究めのつく程度の内容は、當然政府の責任において公表すべきものであると私は考えるのであります、これにつきまして、金森國務大臣の御見解をこの際伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=36
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037・金森徳次郎
○金森國務大臣 皇室にあります財産が政府に受け繼がれまする場合におきましては、これは政府の具體的な問題となつて、政府として責任ある御答辯をすべきものと存じておりまする現段階におきましては、政府としてそこまで行きまするためには、なおいくたの手續を要することでありまして、現實の問題は直接そういう事務を扱つている宮内省關係の人が、皆さん方に御滿足なる答えをなし得るや否やということが前提になるのでありまして、もしその時に御得心の行く説明ができますれば、それで恐らく得心が行くと思いますが、もし得心が行かないという場面がありましたならば、政府と宮内省との間によく相談をいたしまして、しかるべき方法をもつてまた申し上げたいと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=37
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038・中原健次
○中原委員 御料財産につきまして、特に問題になると思いますのは土地、立木、建物及び工作物、物件という項目でありますが、これの評價のいたし方につきましては、數字の上に大きな差額が生れて參るはずであります、なるほどここに數字が何圓まで書いてありますから、確かにこれは一應の數字を出すための單價が設けられての計算の結果であらうと考えるのであります、從いましてその評價するための評價額の基礎數字が、ほんとうに適當な數字であるかどうかということだけは、これは何としても本委員會はこれを承知する必要がある、責任においてこれはどうしても或る程度まで叶う限りにおいて明確にしておくべきであると私は思うのであります、從いまして國務大臣の今仰せになりましたように、宮内當局の方でないとわからないし、また宮内當局の方で、適當な方法をもつてこの數字の内容をできるだけ明確にすべきである、またそういうことはなし得ることであるというふうにだいたい受け取れるのでありますが、この點につきましては委員長に一應お願い申し上げたいのであります、これはあくまで隅の隅までほじくり廻して數字を追求しようというような意味では決してないのでありまして、そうではなくて、少くとも土地その他の財産については、しばしば數字の誤差も起るのでありますから、まずだいたいにおいて土地は、たとえば山林はこれこれ、この山林についてはこういう單價である、或は田畑でありまするならば、田畑についての單價がこうである、立木の單價はだいたいこういうふうに見たというくらいのことは、おのずから明らかにする責任があるのではないか、いやしくもこれだけの數字を公表いたしました以上は、その數字のよつて生まれました根據を、できるだけ明らかにするという行き方の方が、今日の議會の性格から考えまして、當然ではなかろうかと思うのでありまして、この點の内容が明らかになるための手續について、しかるべく御取計い願いたいと思うのであります、この點は特に懇請いたします、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=38
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039・樋貝詮三
○樋貝委員長 承つておきます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=39
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040・中原健次
○中原委員 これをもちまして質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=40
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041・樋貝詮三
○樋貝委員長 短時間だそうでありますので、もう一人星一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=41
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042・星一
○星委員 極く短かく第一條と第六條についてちよつと伺いたいと思います、第一條の第四項に「皇室經濟會議は、五年を超えない期間ごとに皇室用財産に關し、必要な調査を行い、これを内閣に報告しなければならない」、となつておりますが、議員の年限は四年でありますから、五年というと或る議員は報告を聽かずに終るということになりますので、この五年は三年を超えない期間ごとにというのが適當と思います、五年にしたことに何か理由がありまするのでございましようか、お伺いします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=42
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043・金森徳次郎
○金森國務大臣 ここに五年ときめましたのは、現在國有財産一般につきまして五年ごとに議會に報告することになつております、その形をとつて五年としたわけでありまするけれども、しかし五年と限つたわけではなくて、五年を超えない期間というふうになつておりまするから、或は三年ごとにとか四年ごとにということは法律の上でできるわけであります、また實際どうするかということは、ちよつと今の所何とも見當がつきませんけれども、御趣旨に副うように差支えがなければいたしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=43
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044・星一
○星委員 第六條でありますが、第六條の一の、親王に對しては、既婚者は定額相當額、成年未婚者は定額の二分の一に相當する額、既婚者の半分というのでありますが、實際の生活からいえば差はあるべきものではありません、それですから未成年未婚者は親王に對しては定額の四分の一に相當する額、また内親王に對しても定額の四分の一に相當する額とあるのは當然であろうと思いますが、どうもこれでは實際の生活費に當てはまつていないと思います、しかしこれで間に合うと思召しでおられるのかお伺いしたいと思います、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=44
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045・金森徳次郎
○金森國務大臣 今仰せになりました實際の金額の事柄は、これはなかなかはつきり決めることのむずかしいものでありまして、だいたい御一家御一緒になつて御生活になるのが普通でありまして、未成年の未婚者一人生きておいでになるということは事實稀有な場合でありまして、そういう所は具體的には決めかねるのであります、ここにいろいろな計算が出してありまするけれども、この計算の仕方はこんな方法で考えております、つまり或る集團、何々の宮と申しまするような御一軒の皇族の方の御費用を考えまして、そうしてその中におられます所のいろいろな方々の經費を大凡見當をつけて分けまして、總額がこのくらいであれば現在御生活が支障なくおできになつている、こういうふうに考えまして、その總額が決まつた所から、今度はこの計算の方法として小分けに分けて來たわけでありまして、一つ一つのことは實際にこまかにはこれは見きわめがつかぬものであります、だいたい宮内省關係の人が、今のような一つの集團を基いとして、かような方法で集積して行きますとちようど勘定が合うという建前でありまして、相なるべくならばその邊の所で一つの御得心を願いたいと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=45
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046・星一
○星委員 私は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=46
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047・樋貝詮三
○樋貝委員長 それでは越原はる君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=47
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048・越原はる
○越原委員 私お尋ねいたしたいと思いますることが、だんだん皆樣から御發言がございましてよくわかりましたが、ここで宮廷費につきまして一つ金森國務大臣にお伺いいたしたいのであります、これまで宮廷費は四百五十萬圓ほどでありましたが、今度二千萬圓に計上されるお考えのようなお言葉でございましたが、昨今のように物價が十倍にも二十倍にも上りました時に、かりに十倍といたしましても四百五十萬圓に對する四千五百萬圓でなければならない所を二千萬圓ということになりますると、あまりにも少いように思いますのでございますが、この點どうお考えになりまするか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=48
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049・金森徳次郎
○金森國務大臣 これは數字の計算が、私の申し上げましたことと、御諒解下さいました所と少しく違つていると存じております、現在の計算の仕方は御承知でもありましようが、國からは宮廷費も何も區別なく、宮内省全體の御經費として四百五十萬圓しか出しておりません、所が皇室の方では御經費は二十一年度の豫算で見ますると、ちよつと六千萬圓に近いものであるわけであります、そこで四百五十萬圓しか政府が出さないというのに、どうして六千萬圓の御經濟を賄い得るかということになるのでありますが、その實際は、その差額は皇室の御財産から來る收益でもつて充てられておるわけであります、そこでかりに六千萬圓といたしますると、四百五十萬圓を引き去りました五千五百萬圓というものは、宮内省の、たとえば山林とか、或は有價證券等から生ずる收入をもつてお充てになつておるわけであります、所が今度はその山林とか有償證券とかいうものは、宮内省になくなつてしまうわけでありまして、そういたしますると、理屈の上では政府から出す金だけで皇室の經費をお賄いにならなければならぬ、こういうことになるわけであります、でありますから、今までの經費を充足しようといたしますれば、政府から今のおよそ六千萬圓というものを差出せば、辻褄は合うということになるわけであります、この場合に政府からどれだけを支出したらよいかということになりまするが、これから先は、非常に畏れ多いことではありまするけれども、皇室の經費は今囘相當に縮小遊ばされることと想像しております、つまりいろいろな經費の節約のできる部分は御節約になり、いろいろの考慮を廻らされまして、たとえば學習院とか、博物館とかいうようなものにつきましても、特別の御措置が講ぜられるかも知れないわけであります、そういたしますると、それでは實際どのくらいの御經費がお要りになるであろうかということになりまして、これは恐らく宮内關係者が懇談會の時に述べるであろうと存じまするけれども、まずそれを或る程度に計上しなければなりませんので、それは四百五十萬圓になるわけではなくして、そこの所は今はつきりした數字をもつておりません、一説によりますると、およそ全體として二千萬圓くらいは要るのではなかろうか、五千九百萬圓が二千萬圓になるということは、かなり飛躍的なことでありまするが、その行き道は私はよく存じません、いろいろと相談して見ますると、そのくらいという噂を聞いております、そうしますると、政府から二千萬圓を支出するということが正當だということになります、現在四百五十萬圓支出しておりまするから、この上にさらに千五百五十萬圓くらいを加えて支出するということになりまして、その財源は、多分は皇室財産が國の方へ移つて來ますから、ここに經濟の本は國の方に移つておると言えます、というくらいの所しか今申し上げ兼ねますが、それ以上の數字は今後研究をいたしまして、妥當なる數字としなければなりませんが、思いのほかに皇室の御經費は縮小せられることになろうと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=49
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050・越原はる
○越原委員 よくわかりましたが、できる限り皇室の經費を澤山御計上いただくようにお願いいたします、それから今一つお尋ね申し上げたいと思いますのは、去る十三日に宮中を拜觀いたしました時に、宮殿がまことに見る影もなく燒けてしまいました、陛下のまことに御不自由な御住居を拜見いたしまして、恐懼のほかはありませんでした、國の象徴であらせられる陛下の御殿を、一日も早く御造營申し上げなければならないと存じますが、この點はどうなつておりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=50
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051・金森徳次郎
○金森國務大臣 只今のお尋ねの點は非常に機微に亙るような問題になりまして、私どもとしては國民の側の意見を述べるよりほかにしようがないわけでございます、國民の側の立場としては、もとより宮殿等についてふさわしきものがあるべきことは當然でありまして、その時期等についても、緩急をよく注意をしなければなりませんけれども、よく機宜の處置をとらなければならぬことは御説の通りと存じております、ただ現在の所は、私としては申し上げる範圍ではありませんが、まださような運びにはなつていないと存じます、それにはいろいろな考えが含まれておると存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=51
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052・越原はる
○越原委員 私はこれで終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=52
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053・樋貝詮三
○樋貝委員長 午後は一時から開會いたすことにいたします、これにて休憩いたします
午後零時十五分休憩
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午後一時三十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=53
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054・樋貝詮三
○樋貝委員長 休憩前に引續き會議を開きます、これより懇談會にはいります
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〔午後一時三十一分懇談會に入る〕
〔午後二時三十分懇談會終る〕
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055・樋貝詮三
○樋貝委員長 これにて懇談會は終りました、明日は午前十時から開會いたします、本日はこれにて散會いたします
午後二時三十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X00919461218&spkNum=55
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