1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了ノモノヲ除ク)
皇室經濟法案(政府提出)(第三號)
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昭和二十一年十二月十九日(木曜日)午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 樋貝詮三君
理事 小島徹三君 理事 吉田安君
理事 及川規君 理事 井伊誠一君
理事 酒井俊雄君
井上卓一君 稻葉道意君
大塚甚之助君 齋藤行藏君
田中善内君 竹内茂代君
苫米地英俊君 藥師神岩太郎君
大島定吉君 菅又薫君
津島文治君 星一君
武藤常介君 森山ヨネ君
菊地養之輔君 島田晋作君
中原健次君 森三樹二君
今井耕君 越原はる君
大石ヨシエ君
出席國務大臣
國務大臣 男爵 幣原喜重郎君
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局長官 入江俊郎君
法制局次長 佐藤達夫君
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本日の會議に付した議案
皇室經濟法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=0
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001・樋貝詮三
○樋貝委員長 これより會議を開きます、質疑に入ります——井伊誠一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=1
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002・井伊誠一
○井伊委員 私は皇室經濟會議のことにつきまして二、三お伺いをしたいと思うのであります、それに先立ちまして、會計檢査院及び宮内府の官制に關する法律案は、だいたいいつごろ御提出になるお考えでありましようか、そうして皇室經濟會議の成立の時期に關すること、また宮内府の方のことを考えますと、皇室用財産が、本法施行の時に、現に附則にありますように、皇室經濟會議の議を經ることなく、皇室用財産になるものもありますから、直ちに宮内府において管掌をしなければならぬような仕事が起きると考えますので、この官制を早く制定する必要があると思います、その點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=2
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003・金森徳次郎
○金森國務大臣 會計檢査院の制度は、來るべき通常議會に提出する豫定にいたしております、と申しますのは、今囘の臨時議會は、主として根本的な問題に集中をいたしましたので、會計檢査院の制度は、既に行政調査會におきまして、その要綱等について研究をしておりますけれども、まだこの議會には具體化いたしません、それから皇室經濟會議は、この法律が施行せられます所の來年の五月三日にならなければ、これを設けることができないというのが建前でございます、と申しますのは、その時になりませんと、參議院というものもまだ本當のものはできるわけはありませんし、それから會計檢査院も新しいものはできませんしというわけで、結局法律施行後にできることと存じております、そこで現在の財産が政府に引き繼がれる等の場合におきましては、皇室經濟會議はまだ間に合わないということになるわけであります、そのために附則の所におきまして、「第一條第二項の規定にかかわらず、皇室經濟會議の議を經ることなく、これを皇室用財産とする、」という特例を設けておるわけであります、そういたしますと、その特例のために、そこに一つの制度の穴の明いたような場合が起つて來まするが、これは法律の規定そのものによらないで、その前におきましてそれに代るべき一つの機關を設けまして、それによつて實際におきましては矛盾の起らないようにしようと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=3
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004・井伊誠一
○井伊委員 只今宮内府のことをお聽きしたのでありますが、その點お答えを願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=4
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005・金森徳次郎
○金森國務大臣 ちよつと今聽き落しましたが、宮内府のことという御質疑であつたと了解いたしております、現在まだ宮内府の具體的な制度は確定はいたしておりませんが、大體今の著想といたしましては、今後行政官廳法という法律ができると存じますが、それと別に、宮内府に關します制度をつくる法律を出したい、一緒に出すがよいかどうかということは疑問にしておりますが、やはり特殊なものでありますから、何か別の法律で出す方がよいのではないかと存じております、宮内府の仕事というものは何かといえば、今までは宮内府の仕事は、皇室關係の國の仕事と、御一家の仕事とを取り混ぜて行つておりましたけれども、今度は宮内府というものは、全く國の仕事をするという所にいたしまして、皇室御一家のことは國の法律は關係しないということにいたします、そういたしますると、現在の宮内省官制に當りますようなものが二つに分れまして、國に關しますことは、今度の宮内府法の方にはいつて來ると思います、それから皇室の御一家の、いわば内輪の使用人に關しますこととか、そのほか純粹の私有財産の處置等に關しますことは、原則といたしまして、皇室御みずから私のやり方をもつておきめになる、こういうふうなことになろうと思います、そこで國に移つて來ます所の宮内府の職制というものが、どういうことになるかと申しますと、中身は結局今申しました趣旨によつて組まれますが、一口に言えば、皇室に關する公けの事務を管理するということになります、その結果といたしまして、たとえば御璽、國璽と申しますような、天皇のお使いになる判ですが、そういうようなものを保管することは、これは重大な任務でありますが、宮内府の所管になることと考えております、それから皇室用財産とか、皇室經費とか、皇統譜とか、皇室會議、皇室經濟會議、即位の禮というふうなものにつきましても、全部または部分が宮内府の所管になることと思つております、そういうように目的がきまりますと、今度は宮内府の中の仕組の問題が起つて來ますけれども、この組織は今の所まだはつきり考えておりません、大體今よりも相當簡素な組織にすべきものではなかろうかと存じておりまして、その中に必要なる職員として、宮内府の長官とか、次官とか、侍從長、侍從というようなもの、それから事務官、技官というものは、まず普通の官廳並みにできて來るということになろうと思います、それから宮内府の經費は、結局國の豫算で、普通の官廳の豫算と同じような扱い方をするというようなことになります、宮内府をどこで管理するか、官廳の系統の中におきまして、どこで管理するかという問題が起りますけれども、これもほかに行く所はございません、結局内閣總理大臣の所管ということになります、系統は總理大臣の系統に屬し、體面上獨立した外局のような姿をとるものではなかろうかと、今の所は考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=5
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006・井伊誠一
○井伊委員 今御説明のありました附則の第二項の、皇室會議がまだ成立しない前、本法の施行せられるまでの間の經過的な處理をするためには、特別の機關を設けるというお話でありますが、それは昨日お話になりました、宮内省と現政府側との混合の委員會というようなものを構想しておる、そのことに當るであろうと考えるのでありますが、その取扱われました事務と、その後にできている皇室經濟會議との關係は、どうなるのでありましようか、と申しますのは、現に處理せられたものが、皇室經濟會議においては全然關係のないものであるかどうか、それとも皇室經濟會議は第一條の第二項、こういうような仕事をするものであるから、後にその報告を受けてこれをさらに判斷をし直すというようなことになるのか、全然切り離されたものであるかという點を一つ伺いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=6
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007・金森徳次郎
○金森國務大臣 今考えております過渡期の調査委員會というものは、まだ法律も施行されていない現在のことでありまするから、法律以外の方法でつくるのでありまして、だいたいの組立て方は、内閣總理大臣の下におきまして、皇室財産に關係いたします皇室經濟法附則第二項の規定によりまして、皇室用財産となるを適當と認むるものの範圍の中で、答申するということになるわけでございます、だいたいその組立て方も、昨日も申し上げました經濟法に認めておりまする經濟會議と類似しておつて、しかし少しく小柄となつたものをつくりたい、こういうふうに考えておるわけであります、今拵えようとしております臨時の會議は、五月二日になれば——つまりこの皇室經濟法が行われるようになりますれば、任務が終了いたしますから、結局五月二日までしか働かない、五月三日からは、できますれば新たなる皇室經濟會議が働くこととなるのであります、でありますから前の機關はつまり廢止されて、そうして新しく機關ができるということになりますので、事務の引繼ぎはいたしますけれども、直接に法律上の承繼であるわけではございません、そういうふうにして現在の過渡的委員會が過渡的の問題を處理いたしまして、それが濟んだ所で皇室經濟會議が後を受け繼ぐということになるわけであります、そうすると、その經濟會議は第一條第四項のような規定によりまして、皇室用財産に關し必要なる調査を行い、これを内閣に報告するということになりまして、そこに五年を超えない期間とありますが、何も五年待つておる必要は毛頭ありません、必要がありますれば、新しい經濟會議が全部をまた批判し直すこともできるという仕組になつております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=7
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008・井伊誠一
○井伊委員 只今の過渡處理の皇室經濟會議類似の一つの委員會のようなものができるまで、これが處理をいたしますことが、附則の第二項にあります、そういたしますと附則第二項を全部一應われわれが承認いたすということに相なりますれば、このまま全部認めてしまうということに相なるのでありますが、すなわち重點は皇室財産であつて、本法施行の際に國有財産法の國有財産となるものがどれだけのものであるとか、或はどんなものであるとか、或はその中で施行の際に皇室用に供せられるものはどういうものであり、どれくらいあるかというようなことは、その時になつてからどういうものであるかということがわからずに、そのまま現在ここで承認してしまうことになると思うのであります、從いまして、この第二項にあるような、從前皇室財産であつて、本法施行の際に國有財産法によつて國有財産となるものがどのくらいになるか、その施行の際に皇室財産となるものは、どんなものがなるかということは、一應ここで示しておく必要があると私どもは思うのであります、しかしこれを承りますことも、事實上困難であろうと思いますし、承つても、これをそのまま認めるということは、實際こまかくなれば、かえつてわからないので、皇室用に供せられてあるものとして、一應常識的にこれを是認する、こういうことになると思うのであります、しかしそれだけに、これは何か後においても皇室經濟會議を通して、その前にこういうものが經過的規定として認められたということの報告はあつてしかるべきである、こういうふうに思うのであります、しかし事實は、經濟會議の方では、その以前にある事務報告は受けられるかも知れませんけれども、義務としてこれを國會に報告する、内閣に報告して、内閣からまた國會にこれが報告せられるというふうに、實は規定してはないのであります、その點の、これに對しましてのお考えはどうでありましようか、別にどれかの規定によつて、或は法の全體の趣意から、報告せらるべきものであるというようなお考えであるのでありましようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=8
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009・金森徳次郎
○金森國務大臣 お説の通り、附則によりまして皇室用財産に移りまする具體的のものは、今日といえどもはつきり申し上げるまでに參つておりません、財産税の關係もありまするし、そのほか各個のものについて研究をしなければなりませんので、今申しましたような委員會を經由することによつてだんだん具體化されて參りますから、實際においてはこれからだんだんわかつて來まするけれども、今の所お答えをすることができないのでありまして、あらかた申し上げられる所は、昨日も申しました宮城とか御所とか、或は離宮とか、御用邸中の若干とか、陵墓とかいつたようなものに限定されるものと存じております、そこでそれが次の五月三日以後の段階になりまして、皇室經濟會議がその問題を所管することになりますれば、そこにおきまして正確に調査をして、事の適否等の判斷をいたしまして、もしそれが間違つておりますればそれを補正するとか、或は責任を問うとかいうようなことになろうと思います、その時にどういうような報告を内閣及び國會に對してするかということは、この法律では規定をいたしておりません、しかし改正憲法の第六十二條によりますると、兩議院はおのおの國政に關する調査を行いまして、これにつきましていろいろな記録の提出を要求する所の權能がはつきりありまして、これは今日の憲法ではございませんけれども、新しい憲法の時代になりますれば、その途ははつきりついておるのであります、また必要がありますれば、そういう固苦しい方法によらなくても、しかるべき御連絡をすることはできようと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=9
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010・井伊誠一
○井伊委員 その點わかりました、それでついでに申し上げますが、附則の第三項に「この法律施行の際、從前の皇室會計に所屬する權利義務で國に引き繼がるべきもの」ということになつておるのでありますが、この權利義務というのはだいたいどういうものがこれに屬しておるかということを承りたいのであります
なお併せてお伺いしますが、政令によりこれを定めるとありますが、この政令というのは、新憲法施行後ということになりませんか、そうするとその後だけのことになると思うのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=10
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011・樋貝詮三
○樋貝委員長 附則の第三項の、必要な事項は政令できめるというが、政令は新憲法施行後でなければ出て來ないであろう、いつきめるか、かういう質問であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=11
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012・金森徳次郎
○金森國務大臣 この法律施行の際の經過規定は、今豫想しておりますのは大してありませんけれども、しかしいろいろ實際の場面におきまして、取扱いに面倒を生ずるものもないとは言えないので、用心のためにさような規定を設けたのでありますが、たとえば債權者がはつきりわかつておりましても、それに支拂をすることができない、たとえば向うが歸還者であつて、まだ還つて來ない歸還者でありまして、渡すにも渡せないというようなこまかい問題で、大したことはございません、ほんの、清算事務の途中に起る問題でありますから、大したことではないと思いますけれども、とにかく權利義務の具體化をはかります上において、何か事があり得ると思うわけであります、その用心のためにこの規定を置いたわけであります、その實際のやり方は、ここに政令できめるということになつておりますが、勿論政令は效力を生じますように、これを定めるについては、憲法の施行後でなくてはならぬと思いまするが、準備を内輪でいたして置きますることは一つも差支えないのでありますからして、この經濟法が施行されまするその瞬間に、その政令を出すというようなふうに今の所は計畫を立てております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=12
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013・井伊誠一
○井伊委員 併せてその權利義務、だいたいどういうようなものでやるか、豫想しておられまするならば、もう少し詳しく御説明願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=13
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014・金森徳次郎
○金森國務大臣 これは規定がいかめしいのでありますけれども、實際はこれに該當することがほとんど起らないかも知れないと思つております、つまり、拂おうと思つても相手がいない、受け取らうと思つても相手がいないという場合が、理論上あり得るわけであります、皇室の會計に屬する權利義務で、そういうことがそうあろうとは思つておりませんけれども、しかし法というものは周到を期するために、かような規定を置いておるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=14
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015・井伊誠一
○井伊委員 この皇室經濟會議はどこに對して責任を負うつもりでありますか、その點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=15
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016・金森徳次郎
○金森國務大臣 これは行政部局の一つと考えております、從つて内閣總理大臣所屬の一つの會議というふうに考えております、しかしその責任の問題は、國會がすべて行政の監督權をもつておるというのでありますから、國會が内閣を經由してこれを監督する、こういう建前になろうと思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=16
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017・井伊誠一
○井伊委員 これは、そうすると、一應は内閣總理大臣がこれを統括せられる、そうするとどうなりますか、これは國會に對してやはり連帶して責任を負うということになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=17
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018・金森徳次郎
○金森國務大臣 もとよりその問題につきまして、内閣は國會に對して連帶責任を負うわけになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=18
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019・井伊誠一
○井伊委員 皇室經濟會議のことはこれだけでありますが、もう一つ、皇室經濟法の第一條の第三項でありますが、「皇室用財産は、收益を目的とするものであつてはならない、」これはどういうことでありますか、この收益ということの意味はわかりますが、收益というものになるかならぬかというようなものが非常にあり得るのではないか、それとも、收益として私の想像しておりますのは、田地というようなものが若干殘されることはないか、耕地です、それはどうなりますかわからないのでありますが、そういうようなもので皇室の供奉と申しますか、そういうようなものをおとりになる必要があるのではなからうか、そういうようなものは、やはり皇室用財産でなければならぬが、しかし、全然そういうものははいらぬとすれば、私の豫想しているような問題はありませんけれども、そういうようなものが多少皇室用財産として殘るとすれば、そういうようなものは收益というものに係わるかどうかというような疑問を持ちますので、その邊のことを關連して一つ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=19
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020・金森徳次郎
○金森國務大臣 皇室の財産は、既に第一條の初めの方にありまするように、皇室の公用に供する趣旨のものでありまするが故に、收益ということは本來あるべからざることでありまして、ただ裏表から規定をして、間違いの起らぬようにはつきりさせたというだけのことであります、そこで收益とはどういうことかと申しますと、これは認定の問題でありまするけれども、これに加えた勞力、これから得る利益を考えまして、利益の方が餘計にあるということにほかならぬと存じております、ただしかし、ものが收益があるということと、收益を目的とするということとは非常に差があるのでありまして、初めから收益を目的とするという建前において公用財産はあり得ないということになろうと思います、でありまするが、土地から或る生産をすることは、普通は收益の目的に屬しておると思います、しかし外國使臣を待遇するために切花が必要であるといふので、もしも公の施設として切花をつくる花園が一部分にあつたからとて、それは收益を目的とするということにはならないわけであります、さようなものを別に考えておるわけではございませんけれども、理窟を言えばそういうことになろうと思います、でありまするから、今まで山林をもつて收益の資源にした、或は耕地等をもつて或る經濟的なる利益を得るようにするというようなことは、今後の公用財産には絶對にないことになるわけであります、ただしかし、これと關連して、間違いを避けますために御説明を申し上げておきたいのは、理論的に申しますれば、この公用と陛下の純粹の私用というものがあるわけであります、だからその私用の面におきまして、もしもその財産がほんとうに純粹の私有財産であつて、多少收益の用に供せられることは理論的には考えられるわけであります、けれども今の所はさようなものもあろうとは實は想像いたしておりません、それからもう一つ考えますのは、たまたま或る目的によつて財産を管理しておいて、その結果若干の利益を生ずることが考えられるかも知れないのであります、これは理論的の問題でありまするが、たとえば宮殿の一部に木が生えておつて、その木が枯れてそれを賣却する時になりますれば、何か經濟的の價値がそこに出て來ますけれども、そういうことはすべて收益を目的とするものではないと考えております、さような解釋を前提といたしまして、一切の公用財産には收益を目的とすることはないときめております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=20
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021・井伊誠一
○井伊委員 私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=21
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022・樋貝詮三
○樋貝委員長 小島徹三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=22
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023・小島徹三
○小島委員 私は一度質疑をいたしましたのですが、もう少しお伺いしたいことがありますので、再び質問させていただきます、それはこの經濟法の第二條についてであります、第二條の第一項第二項までは格別疑う所はないのでありますが、第三項すなはち一番おしまいの項に「一年に滿たない期間内に、」云々という規定があるのであります、これは條文自體としては、必ずしも私は意味がわからぬということではないのでありまするけれども、現實の問題となつた場合に、これでは非常に困る問題が起きるのではないかと考えられます、というのは結局この規定の内容から見ましても、かりに天皇という立場をとつてみますと、天皇はお一人であつて、陛下に對して物を獻上しようという方は澤山あるということがありました時に、おのおのの人は既に天皇の方にいくら財産が讓り渡してあるか、陛下がお受けになつておるかわかつていないわけでありますから、場合によりますと、既に陛下が一年に滿たない期間内にお受けになつた金額が、一定額に達しておつて、殘りの人はこれを出すことができない、極端な場合を言うと、この一定額を一度に誰かが陛下に獻上してしまつたということが起きた時には、その他のものは全然獻上ができないことになる場合もありまするし、同時に陛下の方からしましても、特別の事情が起きてどうしても使用しなければならぬというような場合が起きましても、この定額以上に受けてはならないとあつて、それはどうにもならぬというような不便が生じて來る恐れがあるのでありますが、それについて政府の方ではどういうようにお考えになつておるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=23
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024・金森徳次郎
○金森國務大臣 第二條の末項の規定は含蓄の多い規定であります、今お尋ねになりましたような部面の起ることはもとより考えなければなりません、憲法八條の趣旨によりますと、皇室に關しましての財産の動き方は、國會の議決を要するというのが根本原則でありまして、この條文によりましてその窮屈さを緩和させるというのがこの趣旨であつたわけでありますが、第一項の一號、二號及び第一項の本文の規定によりまして、國會にかけなくてもいい場合がここに擧げられております、つまり憲法第八條に對する特例といたしまして、國會にかけなくてもいい、何にもしなくても財産を動かしていい場合と、皇室經濟會議の議を經なければならない場合、この二つを規定しておるわけであります、所がかように例外をつくつておりますと、その例外を活用して、何か思いもつかぬような大きな財産の流通があるということになりますと、憲法八條の趣旨が壞れるという考えが成立するわけであります、そこでそれを何とかして間違いの起る疑いを避けるようにしなければならぬ——間違いが起ると斷定するのは少しく行過ぎでありまして、そういう疑惑を避けるというだけの立法上の工夫をして、議會の權威を尊重するだけの覺悟をもたなければならぬ、こういう立法の要求があるわけであります、所が他の一面におきまして、そういう形で一つ一つの輕微な財産の動き方が、一々國會にかからなければならないようになるということもまことに不自由なわけでありまして、この二つの考え、國會にかける場合を覺悟しながら、しかも實際の上において融通をつけるという工夫がなかなかむつかしいのであります、そこでここに第三項を設けまして、第三項は少しわかりにくい文字になつておりますけれども、この意味は、一年という期間を眼目の中に置きまして、その一年の間に第一項の一號、二號、すなわち略式手續で財産の移動ができる場合の總額を計算いたしまして、それがこの法律に豫想しておりまするような一定の額、たとえば七十萬圓とか百五十萬圓とかいうような額まで到達しておりますと、その到達した後におきましては一號、二號の規定によらないというのでありますが故に、憲法八條の原則に歸つて國會の議を經なければならぬ、こういうことになるのでありまして、つまり例外を、第一項でつくりましたので、末項におきましては、もうその例外の締切りである、これから先は例外でなくなつて本則に歸らなければならぬ、こういう規定をつくつたわけであります、窮屈と言えばたしかに窮屈でありますが、この例外を本則に戻すということの結果はどうなるかと言いますと、その金額を超えた部分につきましては、一々國會の議決を經なければならぬということになると思います、そこでこの規定だけを見ますと、あまりに確實性を尊びましたために、融通がきかなくて不便ぢやないかというお疑いも起り得ると思ふのでありますが、しかし普通の物の動きはそう特別な變化はないと思うのでありまして、およそ適當なる金額を盛り込んでおきますれば實際には支障はない、ただ客觀的に確實な姿を保證することができる、こういうようなことになろうと思うわけであります、でありますから、問題は末項に豫想しております所の金額をどういうふうに想定するかということにかかつて來ると思つております、先日御説明申上げましたが、第一項の一號はまづ五萬圓見當を——これは普通の皇族について言うのでありまして、天皇に對しては別に考えていいと思つております、普通の皇族について五萬圓見當、それから第二號の方はやはり普通の皇族について二、三十萬圓見當、こういうふうに考えまして、天皇に對しては、それは御家族の範圍も廣いのでありますし、また御地位に鑑み特別に考えなければならぬ、また場合によりましては、攝政につきましても何かの例外を考えなければならぬ、こういうふうに存じております、そこでその金額を片方は五萬圓、片一方二、三十萬圓という金額を一應豫想いたしまして、そうしてそういうふうのことが若干許されたる簡便法によつて動くものといたしまして、それが累積されてどのくらいになつたらこの邊で締切りにするという額を考えなければなりませんけれども、今の所非常に考え方がむずかしいのであります、あまり大きな金額にすると不自然で、小さくすると不便というわけであります、いろいろ考えておりますけれども、實際はあまり大きな金額は、末項につきましても盛り込みにくいのではなかろうか、まあ常識から申しまして、皇室の御經費等を目算をしてみまして、それの何割とかいうような所で見當をつけて行くよりほかにしようがないと存じております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=24
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025・小島徹三
○小島委員 第二條の第二項の「一年以内に、二囘以上財産の授受が行われる場合」云々というのは、同一の者の間の規定でありますから、これは一年以内と言えばだいたいはつきり——その人が最初に賜與するなり、また讓り受けをした、そしてまたそののちの一年以内ということははつきりいたしますが、この末項の「一年に滿たない期間」というのは、いつから勘定するわけでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=25
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026・金森徳次郎
○金森國務大臣 この一年と申しますのは、法律で一年ときめただけでありまして、その一年をどういうふうに計算するかということは施行の規則、すなわち政令等によつて定めるものと考えております、その定め方は、もとよりその政令がきまるまでは、ほんとうの確實なことは言えませんけれども、一つの考え方といたしましては、形式的ではありますが、これが施行されます五月三日から計算をいたしまして、毎年五月三日に始まり翌年の五月二日に終る一年間、こういうものを區切つて行きますと、ほぼ一つの目算は立つと思います、甚だ機械的でありまして、そのちようど年度の變り目の所でいろいろなことが起るかも知れませんが、これはしかたがない、そういうことで一年間を區切りとする、そうすると一年間の累積をどういう風にして調べるかということになりますが、これはお説の通り甚だ面倒でありまして、皇室の御一人々々々の方につきまして記録をつくり、それについて、金額の動きでありますればそのまま計上できますけれども、金額でなく物體でありますれば、それをおうよそ金額にして、そうして計算をつくつて行かなければならぬ、こういう面倒は起ります、しかしどうもやむを得ざるものと思つております、そうやつて累積して行きまして、おうよそ帳簿の締切状態を見まして、實際はもう少し時期をまつとかなんとかいうことになつて解決されるだらうと思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=26
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027・小島徹三
○小島委員 どうもこの末項の規定を讀んでみますと、なんだかひどく——ちようど平家の士が水鳥の羽音に驚いて逃げてしまつたというようなその形があつて、とんでもないことを考えてしまつて、その陰の幽靈に驚いてこんな規定をつくつておるように思ひますが、私としてはこんな必要はないのだ、尤も一應規定されておるのでありますから、強いて削るというようなことは考えておりませんが、ただ別に定むる一定價額、この價額というものについては相當注意深い考慮を拂つていただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=27
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028・樋貝詮三
○樋貝委員長 これにて質疑は終了いたしました、午後は二時より開會いたしまして、討論、採決にはいることといたします、これにて休憩いたします
午前十一時十四分休憩
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午後二時二十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=28
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029・樋貝詮三
○樋貝委員長 休憩前に引き續き會議を開きます、これより皇室經濟法案を議題として討論に入ります、小島徹三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=29
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030・小島徹三
○小島委員 私は日本自由黨を代表いたしまして原案に贊成するものでございます、ただ御承知のように、この法律は物質の面におきまして、將來の天皇のあり方というものを覊束するものでございますから、その第四條とか或は第二條に規定してありまする所の金額につきましては、相當程度の御考慮を拂われていただきたいと思うのであります、いうまでもなく天皇も國民のお一人ではございまするけれども、ただ天皇が國民のお一人であるという面のみを強調しておいて、そうして肝腎の天皇が日本の國民の象徴であるこの觀念を忘れないように、この觀點におきまして相當程度皇室の御經費、或は皇族方の御經費というものについては、御ゆとりのある金額を認めていただきたい、かように思つております、殊に第二條の末項にありまする所の金額につきましては、相當のゆとりをもつて規定されませんと、將來國民に飛んでもない心配をかける、そうしてまた陛下の日本國民の象徴である御地位に傷をつけるというようなことになつても困ると思いますから、何とぞこれらの點につきましては、將來別の法律を政府が提出せられる場合におきまして、十分考慮せられんことを希望してやまないものでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=30
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031・樋貝詮三
○樋貝委員長 吉田安君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=31
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032・吉田安
○吉田(安)委員 皇室經濟法はわずか十一條よりなつておるのでありまするけれども、その重要性から愼重に考えますると、いろいろの角度からわれわれといたしましては希望もあるし、意見もあるのであります、しかしながらだいたいにおいて本案を了承いたしまするが故に、わが進歩黨におきましても原案を贊成する次第であります、ただ一言希望を申し述べますれば、同僚でありまする自由黨の小島君が申し上げましたことは、全部わが進歩黨におきましても同感であります、この大變革、ほとんど豫想さえもつき得なかつた大變革が行われまして、將來國民がひとしくこの皇室の御經濟ということについては頭を痛める次第であります、先日も同僚越原議員から、從來四百五十萬圓を支出しておつたが、今日の物價の状態から考えて十倍と見ても四千五百萬圓は必要ではないかということを言うておられたのでありまするが、私もそういう點はすこぶる同感であります、從つて只今小島議員から申し上げました通りに、ただ天皇も國民とともにあられる一個の國民だという觀點のみから急ぎますると、私これはいかなる結果に立ち至るかを憂慮するのであります、そういう點の觀點ももちろん必要でありまするが、同時に一面におきましては、天皇は國家の象徴であられるということに大いに考えを及ぼしまして、皇室の御經濟につきましては十分ゆとりのあるように考慮することが、最も大事なことであると考えるのであります、つきましては第二條の末項に規定してありまするこういう點であります、これは別に定むる法律を制定いたします時には、われわれ議員といたしましても十分考慮すべき點であるのでありまするが、政府當局におかれましても十分この點は御勘案を希望してやまない次第であります、同時にこの租税關係であります、この點も十分御考慮を期待してやまない次第であります、以上をもちまして贊成の意を表する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=32
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033・樋貝詮三
○樋貝委員長 井伊誠一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=33
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034・井伊誠一
○井伊委員 私は日本社會黨を代表して本法律案に贊成の意を表するものであります、この法律案は日本國憲法施行と同時にその法を實施して發足するものでありまして、同時にこの憲法と同一の精神をもつて成立つているものであります、從いましてこれは皇室に關する經濟の民主的な運營というものをはかりまして、まことに劃期的な立法であると思います、わが黨はこの憲法の精神に副うて、即ち天皇の象徴的たる地位に副い、且つ民主的なる意味においてこれが法律の運營を期待するものであります、これの運營の原則につきましては、だいたいこれを是とするものでありまするが、ただこの皇室財産の明確なることを要することは、この立法の精神自體の要求であると考えるものであります、すなわちその皇室財産の全體が明瞭にならざれば、財産税によつて引かるる部分も、また憲法の第八十八條によつての國に屬する部分も明らかになりません、この點を明らかにするということがすなわち最も大切なことでありまして、この點については一點の疑惑を與えるということがあつてはならないのであります、これは實に國民の皇室に對する衷心の表裏なき考えであると考えるのであります、しかるに皇室經濟會議は、この皇室用財産というものの確定をいたしまして後に初めて成立することでありますので、その點についての過渡的な處理が必要であります、これがためにその皇室經濟會議とほぼ同樣なる類似の機關を設けるということを政府が聲明せられたことを多とするものでありますが、むしろこの法律案そのものに含まれない所の過渡的なその機關こそ、この法律案が成立して皇室經濟會議が活動をいたしますことの最も大切な基礎をつくるものでありまして、この點は最も明朗なる處置がとられなければならないと考えるのであります、その意味におきまして、この豫想せられたる機關の構成に當りましては、どこまでもこれは民主的なものをもつて構成するということが望まれるのであります、これによりまして、初めてこの誕生すべき皇室經濟會議は百年の後までも誤りなく、今日決定せられまする所の原則を主としまして、國民も滿足し得る所の完全なる運營をなし得ることとなると考えるのであります、この點を特に期待いたす次第であります、全體につきましてはこれを贊成する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=34
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035・樋貝詮三
○樋貝委員長 酒井俊雄君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=35
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036・酒井俊雄
○酒井委員 私は協同民主黨を代表いたしまして、原案に贊成をするものであります、皇室の經濟に關することは、從來國民の關せざる所に置かれまして、議會におきましても、定額の四百五十萬圓を皇室費として、これを毎年とつて來たのであります、その内容に至りましては一言もこれに干渉する立場でなかつたのであります、ただこの定額を増すの議決だけをいたしたという状態でありました、皇室の基本法であります典範とともに、これが國民の世界からかけ離れて、皇室自治の原則の中へ織り込まれておつたのであります、今囘憲法の改正によりまして、皇室もまたこの憲法の大原則の下に、この經濟が運營されて行くという根本がなり立ちまして、ここに本案が上提され、將來は國民の關與のもとにこの皇室經濟が運營されて行くことになり、その根本なる精神でありまする民主主義の徹底、皇室におかれてもやはり國民の一人として、この憲法の大原則の下に規律され運營されて行くというこの精神を、この經濟法を通して生かすべく運營していただきたいという希望を附しまして、原案に贊成するものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=36
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037・樋貝詮三
○樋貝委員長 久芳庄二郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=37
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038・久芳庄二郎
○久芳委員 私は國民黨を代表いたしまして、皇室經濟法の原案に贊成をいたします、本法案は憲法八十八條で規定せられました、わが國皇室の本來の御面目である所の皇室無財産の、この美しい、嚴かなきまりが憲法ではつきりときまつたのでありますが、これを具體的に生かし運用するものでありますので、最も愼重にこの法律案の施行については考えていただきたいということを希望を申し上げたのであります、すなわち、別に法律で具體的の經費はきまるのでありますが、それは私としては遺憾と思うのでありますが、その別に法律できまる所の價額について希望を附しておきたいのであります、皇室の純粹性を保持し、その御安泰をはかる點から申しましても、この皇室無財産ということは、まことに美しく尊いものでありますと同時に、その經費を國民が負擔するといふ所に、より以上に私は喜びを感じているのであります、これこそ國民の至情であり、喜びとする所でありまして、いわゆる皇室と國民とが直結した、皇室即國家であるという、この國民の信念を具體的に事實として現わすのが、この法案であります、そういう意味におきまして、別の法律できまる價額につきましては、最も愼重に規定し、具體的の、少し例を申し上げますならば、今度の戰災で宮城等も燒失しておりますし、また三笠宮、或は東久邇宮の殿舍も燒失しているのでありますが、こういう點についての復興計畫はもとよりであるが、皇室によつて保護を受けて來ている所の日本の國を尊からしめ、價値あらしめ、世界に意義あらしめる所の多くの文化的なもの、こういう實に尊いものが皇室のおかげをもつて、保護し傳承して來られたものが澤山あるのであります、勅封なるが故に、御物なるが故に戰亂戰國の世にあつても一指をも染めなかつた、こういうものの將來の保護保管等につきましては、特に別にきまる所の法律によつては經費的に考慮していただきたい、こう思うのであります、以上の希望をつけまして本案に贊成いたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=38
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039・樋貝詮三
○樋貝委員長 討論は終局いたしました、これより採決いたします、原案に贊成の諸君は御起立を願います
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=39
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040・樋貝詮三
○樋貝委員長 起立總員、よつて本案は全會一致をもつて可決いたしました、(拍手)
本委員會に付託せられましたこの二大法案を審議いたしまして、本日最後の討論をここに終ることに相なりましたについて、慣例によりまして、委員長といたしまして一言御挨拶を申し上げます
本委員會が皇室典範と皇室經濟法と申す二つの實質上の憲法の案の審議を付託いたされましてからここに二週間實に委員諸君におかせられましても非常なる御勉勵を願いまして、幸いにして各方面から新憲法の精神に基づいての御質疑があり、御意見の發表がありまして、過日は親しく宮中に參内いたしまして、宮中における所の諸般の御事情をも目のあたり拜見をいたして參つたやうなわけでありまするしその際には畏れ多くも陛下より直接の御言葉をも賜わりましたようなわけで、われわれ委員一同のまことに感激いたす所でありました、その後非常に寒冷の時期にも拘らず、他の委員會においての出席が甚だ振わざるにも拘らず、この委員會では實に毎囘非常に澤山の委員が御出席下さいまして、熱心なる御審議を續けて來られたのであります、政府またこれに對しましては至れり盡くせり、懇篤なる御答辯があり、ここに幸いにいたしまして兩案を可決いたすことになりましたのは、われわれ委員一同といたしまして、まことに感激と喜びとを感ずる次第であります、ここに最後の時期に當りまして、各位の御努力に對して感謝をいたす次第であります
なおこの委員會におきましては、付託を受けました二議案がここでだいたい終了いたしましたので、明日の本會議にこの皇室經濟法案を上程いたしたい存じよりでおります、以上御挨拶を申し上げた次第であります、(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=40
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041・幣原喜重郎
○幣原國務大臣 ちよつとこの機會に一言申し添えることをお許し願いたいのであります、この法案につきましては、皆樣非常に御熱心に御研究下さいましたことは、私非常に有難く思うのでありますが、殊に只今各黨派を代表しておられる皆樣方の御演説を承りまして、皆樣方がこの皇室に對し奉りほんとうの御心持を私は了解することができまして、私はこれほど嬉しく思つたことはありませぬ、(拍手)この點私からくれぐれもお禮を申し上げておきます、どうかこの趣旨をもつてこの法律ができました時に運營を期したい、こう思うのであります、ちよつとお禮かたがた申し上げておきます、有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=41
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042・樋貝詮三
○樋貝委員長 本日はこれにて散會いたします
午後二時四十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009110895X01019461219&spkNum=42
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