1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)(第四號)
衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案(政府提出)(第六號)
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本委員は昭和二十一年十二月十九日(木曜日)議長の指名で次の通り選定された
伊藤郷一君 石原圓吉君
小澤國治君 大谷瑩潤君
木村義雄君 北令吉君
廿日出厖君 原藤右門君
松浦東介君 八重樫利康君
山本正一君 横田清藏君
青木泰助君 稻本早苗君
犬養健君 生方大吉君
大島定吉君 白井秀吉君
地崎宇三郎君 佃良一君
坪川信三君 林連君
原健三郎君 八坂善一郎君
石川金次郎君 大澤喜代一君
澁谷昇次君 鈴木義男君
田万廣文君 竹谷源太郎君
玉井潤次君 松澤兼人君
松澤一君 伊東岩男君
大原博夫君 木下榮君
坪井龜藏君 原國君
鈴木彌五郎君 豊澤豊雄君
仲子隆君 野坂參三君
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十二月二十日(金曜日)午前十時五十分委員長理事互選のため次の委員が參集した
小澤國治君 大谷瑩潤君
寺尾豊君 廿日出厖君
松浦東介君 八重樫利康君
犬養健君 大島定吉君
白井秀吉君 地崎宇三郎君
佃良一君 原健三郎君
石川金次郎君 澁谷昇次君
鈴木義男君 竹谷源太郎君
松澤兼人君 伊東岩男君
大原博夫君 原國君
野坂參三君
〔年長者大島定吉君投票管理者となる〕
昭和二十一年十二月二十日(金曜日)午前十時五十四分開議
出席委員
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委員長 犬養健君
理事 北れい吉君 理事 大島定吉君
理事 原健三郎君 理事 鈴木義男君
理事 玉井潤次君 理事 大原博夫君
小澤國治君 大谷瑩潤君
寺尾豊君 廿日出厖君
松浦東介君 八重樫利康君
青木泰助君 生方大吉君
白井秀吉君 地崎宇三郎君
佃良一君 林連君
石川金次郎君 澁谷昇次君
竹谷源太郎君 松澤兼人君
伊東岩男君 木下榮君
原國君 野坂參三君
十二月十九日衆議院議員選擧法第十二條の特例等に關する法律案(政府提出の審査を本委員に付託された)
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)
衆議院議員選擧法第十二條の特例等 に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=0
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001・大島定吉
○大島(定)投票管理者 先例によりまして、私が年長の故をもちまして投票管理者となり、これから委員長の互選を行います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=1
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002・原健三郎
○原(健)委員 投票を用いず犬養健君を委員長に推薦いたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=2
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003・大島定吉
○大島(定)投票管理者 原健三郎君の御意見に御異議ありませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=3
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004・大島定吉
○大島(定)投票管理者 御異議なきものと認めます。よつて犬養君が委員長に當選に相なりました、委員長犬養健君に本席を讓ります
〔拍手〕
〔犬養健君委員長席に著く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=4
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005・犬養健
○犬養委員長 それではちよつと御挨拶を申し上げます、私は一向委員長としての經驗に乏しいものでございますが、御推薦にあずかりましてよくその任に堪えるかどうか心配しております、どうか一つ特に御協力、御援助を願います、この法案は御承知のようになかなか重要な法案でございますが、會期も切迫しております上に、相當御議論があることと存じますので、一つ各黨派御協力、御協議の上、議事の進行について萬全をおはかり願えれば、まことに委員長として仕合せに存じます、どうかよろしくお願い申し上げます、引續き理事の互選を行いたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=5
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006・原健三郎
○原(健)委員 理事はその數を八名とし、委員長において御指名あらんことを望みます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=6
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007・犬養健
○犬養委員長 只今の原君の御意見に御異議はございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=7
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008・犬養健
○犬養委員長 御異議ないものと認めます、それでは私から氏名を申上げます
北れい吉君 原藤右門君
山本正一君 大島定吉君
原健三郎君 鈴木義男君
玉井潤次君 大原博夫君
以上八名の方を理事に指名をいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=8
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009・犬養健
○犬養委員長 これより審議に入ります、參議院議員選擧法案、政府提出貴族院送付、衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する法律案、政府提出、これを議題といたします、まず政府より提案理由の御説明を願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=9
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010・大村清一
○大村國務大臣 それではまず參議院議員選擧法案の御説明を申し上げます
日本國憲法におきましては、第一に參議院議員は、全國民を代表する選擧された議員であること、すなわち國民代表であること、第二に議員及びその選擧人の資格は、人種、信條、性別、社會的身分、門地、教育、財産または收入によつて差別してはならないこと、すなわち平等選擧であること、第三に參議院議員の任期は、六年として、衆議院議員の任期よりも長期のものとし、かつ、三年毎に議員の半數を改選すること、第四に參議院には解散のないこと等の基本的事項を明定いたしているのであります
參議院議員選擧法において、參議院議員の組織及び選擧の方法を定めるに當りましては、新憲法のこれらの基本的事項に則りまして、新憲法の精神に最もよく合致する制度を採用しなければならないわけであります、しかして新憲法が、國權の最高機關であつて、國の唯一の立法機關である所の國會を構成いたしまするに、衆議院及び參議院の兩院をもつてしておりますのは、けだし兩院制度を採用いたしまして、長短相補はしめるとともに、審議の愼重を期し、もつて國權の最高機關たる機能の發揮に遺憾なからしめようとしたものでありまして、この兩院制度採用の趣旨に省みまして、參議院議員の選出方法には、衆議院議員とは異なつた方法をとり、兩院の構成をできるだけ異質的のものたらしめるべきであると思うのであります。參議院議員の組織については、このような見地から、或は職能代表制をなんらかの形式でもつて採用すべきものであるとし、或は兩院又は一定の團體等より推薦した一定數を候補者の中から、これを選擧する方法によるべきである等、各種の試案が各方面から出されたのでありますが、これらの諸案を檢討いたしまして、これが採否を決するためには、新憲法の規定乃至精神に、何が最もよく適合するかを考慮する必要があることはいうまでもない所であります、職能代表制は必ずしも新憲法の規定に違反するものでないとも考へられますが、國民代表の制度といたしまして、職能代表制がはたして適當なものであるかどうかという點につきましては、理論的に多少疑わしい點があるのみならず、職能代表制がよしんば國民代表制として適當なものであるといたしましても、現在のわが國におきましては、未だ職能組織の完備したものがないのでありまして、この不完全な職能組織の上に職能代表制を強行いたしますことは、不適當であるとともに、はたして平等選擧の原則に適合するかどうかにつきましても、なお疑問の餘地が存するのであります
次ぎに兩院や一定の團體の推薦した候補者の中から選擧いたします方法は、各部門、各職域の學識經驗ともに勝れた人材を選擧し得る點に、長所があるように思われるのでありますが、衆議院または政府が推薦をするという方法をとるといたしますれば、參議院の獨立性を害する恐れがありまして適當でありません、また參議院が推薦する方法をとるといたしますれば、いわゆる自薦の弊に陷る危險があるのでありまして、これも適當でないと思われます、そのほかに適當な推薦母體を求めましても、なかなかこれを發見するに困難であります、加うるにかような候補推薦の方法は、選擧人の候補者選擇の範圍を制限いたしまするとともに、立候補を抑制することと相なりまして、國民の自由に表明された意思をあくまで尊重しなければならない、いわゆる自由選擧の見地から申して、はたして妥當であるか否か疑わしいのであります、このように考えて參りますと、參議院議員の組織をいかに定めるかの問題は、國民代表、平等選擧、自由選擧の原則と、參議院の獨立性確保の方針を堅持しながら、その範圍内におきまして、參議院の構成を衆議院とはできる限り異質的なものたらしめるためには、いかにすればよいかということに歸著するのでありますが、結局主として選擧人の年齡及び選擧區の構成について、衆議院議員の選擧の場合と異ならしめることによりまして、その構成上の相違を實現して行くというよりいたし方ないという結論に相なるわけであります、以上の考え方に基ずきまして、參議院議員選擧法におきましては、まず被選擧人の年齡を三十歳として、衆議院議員の被選擧人の年齡よりも五年を高めることといたしております
次ぎに參議院議員は地方選出議員と、全國選出員の二種類に區別し、地方選出議員は、各都道府縣を一選擧區として選出し、全國選出議員は、全國を一選擧區として選出することといたしております、地方選出議員につきましては、原則として府縣の區域を一選擧區として選擧する、衆議院議員との間に選擧區構成上差異がないことになるのでありますが、しかし第一には各選擧區において選擧される議員の定數は、參議院においては二人乃至八人である、從つて半數交替の原則から、第二期以後の通常選擧におきましては、一人乃至四人ということに相なります、衆議院議員の選擧の場合における一選擧區の定數四人乃至十四人に比較いたしまして、遙かに少いこととしてありますから、同一の選擧區より兩者が選出されるといたしましても、その間にはおのずから異つた色彩を有することとなるものと期待されるのであります
第二には投票方法におきましても、衆議院議員の選擧における制限連記制に對しまして、參議院議員の場合においては單記制を採用しておりますので、兩者おのずから異色を見せることになると考えられるのであります、全國選出議員は、全都道府縣を通じ、全國を一單位として選擧されるのでありますが、これは地域代表的な考え方を全然考慮に入れず、專ら學識經驗ともに勝れた、全國的な有名有爲の人材を簡拔することを主眼といたしますとともに、職能的知識經驗を有する者が選出される可能性を生ぜしめることによりまして、職能代表制のもつておる長所を取り入れんとする狙いをもつものであります、全國選出議員候補者は、候補者單獨で名乘りを上げる者もあるでありましよう、また全國選出議員候補者でありましても、一地方に地盤を求めまして、地方選出議員候補者と同樣の地盤を根據として出馬する者もあるでありましよう、しかしまた政黨や職能團體等の全國的團體から、事實上の推薦支持を受けて立候補する者が少くないのであろうと思われるのであります、これによりまして社會各部門、各職域の知識經驗ある全國的の人物が選出されることを期待いたされるのであります、勿論この全國單位で選擧を執行することは、技術的に申しまして多くの困難と障碍が豫想されるのでありますが、これらの難點あるに拘らず、あえてこの制度を採用することといたしましたのは、ひとえに參議院の構成を衆議院と異るものたらしめ、參議院にふさわしい性格を有せしめようとするにほかならないのでありまして、地方の事情に精通した地方選出議員と相まちまして、全國選出議員は、參議院を特徴あらしめることに、大いなる效果があると思われるのであります
以下參議院議員選擧法案の内容につきまして逐次その概略を御説明申し上げます
第一には參議院議員の定員についてでありますが、參議院の地位と職能に鑑みまして、議員の定數は、衆議院議員に比べて相當減少することが適當であると考えられるのでありますが、他面議案審査、その他議員の活動に支障なからしめることが必要であるのであります、これらの事情をかれこれ酌量いたしまして、結局議員定數はこれを二百五十人といたしておるのであります、このうち百五十人を地方選出議員とし、各選擧區において選擧すべき議員數は、最近の人口調査の結果に基ずきまして、各都道府縣の人口に比例して最低二人、最高八人の間において、半數交替を可能ならしめるために、それぞれ偶數となるように定めておるのであります、殘りの百人を全國選出議員に振り當てた次第であります
第二には選擧權、被選擧權についてであります、まず選擧權につきましては、新憲法第十五條に、「公務員の選擧については、成年者による普通選擧を保障する」と規定してありまして、衆議院議員竝びに地方議會の議員、及び地方公共團體の選擧につきましては、既に年齡二十歳以上の日本國民は、一定の缺格條項に當る者を除きまして、男女を問わずひとしく選擧權を有するということとせられておるのであります、參議院議員の選擧權につきましても、その範圍を衆議院議員の選擧の場合と同一にいたし、衆議院議員の選擧權を有する者に對しては、すべてこれを認めることといたしまするとともに、さらにこれより一歩を進めまして、現行衆議院議員選擧法においては、まだ選擧權を認めておりません破産者、被救護者、および刑餘者等にも、これを與へることに確定をいたしておるのであります
被選擧權は前にも申し述べましたように、衆議院に對して參議院を異質的なものたらしめるとともに、參議院の性格にふさわしい分別と、經驗とを保持せしめるために、日本國民で年齡三十年以上の者に、ひとしくこれを與へることといたしたのであります、その他一定の選擧事務關係者および在職の裁判官、檢察官等の被選擧權竝びに官吏府縣會議員等の兼職禁止の取扱は、概ね衆議院議員の選擧の場合と同一にいたしたのであります
第三には、通常選擧の期日についてであります、參議院の通常選擧は、通例議員の任期が終る日の前三十日以内にこれを行ひまして、任期滿了前に新議員を定めることといたし、もしこの期間が參議院開會中、または參議院閉會の日から三十日以内にかかる場合におきましては、現任議員の選擧運動上の不利を來さしめないようにするために、參議院閉會の日から三十一日以後三十五日以内にこれを行うことといたしまして、できるだけ參議院議員の缺けることなきを期してゐるのであります、なお、最初の參議院議員の通常選擧につきましては、特例を設けまして、詔書をもつて定める日にこれを行うことといたしているのであります
第四には、參議院議員の選擧の管理機關についてでありますが、地方選出議員の選擧に關する事務は、都道府縣の選擧管理委員會がこれを管理し、全國選出議員の選擧に關する事務につきましては、新たに參議院において、その議員の中から選擧する全國選出議員選擧管理委員十人を以て組織する全國選出議員選擧管理委員會を設けて、これが管理に當らしめることといたしているのであります
第五には、投票及び開票についてのことであります、投票管理者及び開票管理者は、選擧管理委員會制採用の趣旨を貫きまして、選擧事務執行の公正を期するため、さきの地方制度改正の例に準じ、關係選擧管理委員會において、これを選任することと致しますとともに、更に投票立會人及び開票立會人につきましても、公益代表の立場を取り入れまして、選擧管理委員會がこれを選任し、原則として投票の拒否、投票の效力の決定に當らせることといたしたのであります、また地方選出議員と全國選出議員の選擧は、別箇に行う建前としておりますが、選擧事務手續の便宜上、兩者の選擧を同時に合併して行うことをも認めているのであります、その他一般に投票および開票につきましては、衆議院議員の選擧の投票および開票の例によることといたしているのであります
第六には、選擧會及び選擧分會についてであります、地方選出議員は都道府縣を選擧區として選擧されるものであり、當選者の最終決定を行う選擧會についても、衆議院議員選擧の選擧會の例によることとするをもつてたるのでありまして、特段の措置を講ずる必要はないのでありますが、全國選出議員につきましては、當選者の最終決定を行う選擧會のほかに、都道府縣ごとに開票の結果の中間集計を行わせる必要がありますので、このため特に選擧分會を設けることといたしているのであります
第七には議員候補者及び當選人に關する事柄でありますが、議員候補者の屆出及び推薦屆出は、後に申し述べますように、選擧公營として行う所の議員候補者の經歴等に關する文書の發行の準備、その他との關係上、選擧期日前二十日までにこれをしなければならないこととし、又地方選出議員については、一つの選擧區で議員候補者の屆出をなし、または議員候補者の推薦屆出の承諾をなしました者は、他の選擧區では議員候補者の屆出をなし、又はその推薦の屆出を承諾することができないこととして、同一人が重複して立候補することを認めないことと致しますとともに、近時の物價状況に即し、供託金の額はこれを五千圓とすることといたしておるのであります
法定得票數は、地方選出議員につきましては、他の各種選擧の場合と同樣に、議員の定數をもつて有效投票の總數を除して得た數の四分の一でありますが、全國選出議員につきましては、何分にも選擧區が全國に亙りまする結果、投票の著しい偏在を生じ、又は散票を生ずるため、所要の當選人をうることが困難となる場合も豫想されますので、法定得票數は、特にその數を引き下げて八分の一といたしたのであります
繰上補充は同點者の場合を除き、當選承諾期間内に限つてこれを認めることといたしておるのであります、又全國選出議員の補缺選擧及び再選擧は、特に缺員及び當選人の不足數が、通じて同種の議員總數の四分の一を超えるに至つたときに、初めてこれを行うものといたしまして、煩瑣な手數と莫大な經費、勞力を要する全國選出議員の選擧は、これをできうる限り最小限度に止めしめるやう配意を加へて居る次第であります
第八には、選擧運動及び選擧運動の費用についてでありますが、選擧運動及び選擧運動の費用に關しまして、煩瑣な取締制限を設けますことは、選擧をなんとなく近ずきがたいものたらしめ、その明朗濶達性を失わせるばかりでなく、かえつてこれに對抗する新たな脱法措置を誘發するような結果となる場合もありまして、特に全國選出議員についてこれを見るときには、かりに制限拘束を加えてみましても、その實效を得ることは極めて困難であると申さなければなりません、むしろこの際選擧運動については、買收、選擧妨害等の惡質犯の處罰だけに止め、他はこれを自由に放任して一般國民の批判に任せるのが、最も適切な方策ではないかと考えらるるのであります、よつて參議院議員の選擧につきましては、選擧運動のための文書、圖畫の形式、數量、掲示の場所等に關して所要の制限を加えることといたしまするほかは、選擧運動は原則としてこれを自由とすることといたし、從つて事前運動や、選擧事務所及び休憩所の設置や、戸別訪問などに關しましても、なんらの制限を設けないことといたしたのであります、ただ選擧運動の費用につきましては、衆議院議員の選擧におけるような費用の最高制限の制を廢止いたし、これに代えまして政黨及び議員候補者の、選擧運動に關する收入及び支出の公開を行わしめることといたしておるのであります
第九には選擧の公營でありますが、參議院議員の選擧には地方選出議員の選擧及び全國選出議員の選擧を通じて議員候補者の經歴等に關する文書の發行、次ぎに議員候補者の氏名の掲示、第三に選擧演説會場の施設の公營を行うことといたしているのであります、その他訴訟については、選擧または當選に關する訴訟の中で、衆議院議員の選擧においては、選擧長を被告とすることとせられておるのは、關係選擧管理委員會の委員長を被告として出訴することといたし、また罰則については近時の物價事情に照らし、罰金の最高額をそれぞれ十倍に引上げることとするほか、訴訟及び罰則についても、概ね衆議院議員の選擧の訴訟及び罰則に準じて規定を設けておる次第であります
以上の通りでありますが、この案に對しましては貴族院において、各種立會人の選任方法等に關して若干の修正が加えられたのであります、すなわち原案におきましては、選擧管理委員會制の採用の趣旨と、特に全國選出議員の選擧における實際上の困難とを考慮に入れまして、各種立會人はこれを公益代表の立場から選擧管理委員會において選任することといたしておつたのでありますが、各種立會人は議員候補者の利益代表とすることが適當であり、かたがたさきに改正をみました地方制度の諸法案におきましても、この精神に基ずいて政府原案に修正が加えられたことでもありますので、立會人の選任方法は現行衆議院議員選擧法と同じように、議員候補者が屆け出でた者において互選することとせられたのであります、從つてこれに伴い投票の拒否、假投票の受理、投票の效力及び議員候補者の被選擧權の有無は、それぞれ關係立會人の意見を聽いて、これを決定しなければならないことに改められたのであります
次ぎに衆議院議員選擧法第十二條の特例に關する法律案について御説明申し上げます
この法律案の趣旨といたしまする所は、今後およそ一年の間、衆議院議員を初め地方公共團體の長、またはその議會の議員の選擧を行う時は、選擧の都度臨時に選擧人名簿を調製いたしまして、選擧直前の一定の時を押えて、選擧權を有する者を漏れなく名簿に登録して、國民參政の實を全ういたしまするとともに、海外引揚者につきましては、特に衆議院議員の選擧人名簿に登録されるために必要な六箇月の居住期間を必要としないことといたしまして、特別の救濟的措置をさらに繼續して行おうとするものであります、法案の内容の主要なる點を以下に御説明申し上げます
第一は臨時名簿の調製についてであります、選擧人名簿の調製については、現在いわゆる定時名簿主義をとりまして、毎年一囘調製することになつておるのであります、これは名簿の正確を期する上には確かに長所があるのでありますが、他面その名簿は一年間据え置かれます關係上、名簿調製後新たに選擧權を行使することができるようになつた者や、いわゆる脱漏者は、次きの年の名簿に登録せられるまでは、選擧權を行使することができないということになる缺點があるのであります、よつてこの定時名簿制度のもつ缺陷を是正し、選擧權行使の機會を、できるだけ廣範圍に與えるために、カード式の永久名簿制度を只今考案中でありますが、近く府縣知事、市町村長その他の地方公共團體の長、竝びに府縣會議員、市區町村會議員、その他地方公共團體の選擧が行はれることになつておりますので、去る十月十日現在で調製いたしました名簿調製後に、新たに二十歳に達した者、或は居住期間の要件を充足した者、またはいわゆる脱漏者等を救濟するために、本人の申請によりまして、臨時にこれらの者を登録する衆議院議員選擧人名簿、または補充選擧人名簿を調製することといたしたのであります、尤も地方公共團體の長の、いわゆる決選投票の際には名簿調製の餘裕がありませんので、この措置を講じないことといたしておるのであります
第二に海外引揚者に對する居住期間の要件の撤廢に關することであります、いわゆる海外引揚者につきましては、多くはその住所も安定しがたい状況にありますので、昨年衆議院議員の選擧權につき、一般的に六箇月の居住期間を撤廢した昭和二十年勅令第五百三十七號と同一の特例的措置を、右の衆議院議員の臨時選擧人名簿を調製する際に、海外引揚者に限つてさらに繼續することといたしたのであります、尤もこの特例的措置は、衆議院議員の選擧權に限つてこれを認め、地方公共團體の議員の選擧につきましては、地方公共團體が支援團體である特質に鑑みまして、これを認めないことにいたしておるのであります
第三に居住期間の六箇月に達しない海外引揚者を登録した衆議院議員選擧人名簿は、六箇月の居住期間を必要とする所の地方公共團體、またはその議會の議員の選擧にそのままこれを用うることができませんから、その名簿のうち、地方議會の議員の選擧權をもつておる者に關する部分だけを、衆議院議員選擧人名簿とみなして、それらの選擧に用うることといたしたのであります
第四に、現役または召集中の者に對する選擧權及び被選擧權の缺格條項の整理に關することであります、現在なお兵役法上現役または召集中の取扱いを受けておる者があるのでありますが、軍の解消いたしました今日、これらの者に選擧權、被選擧權を認めない理由がないのみならず、先般の地方制度の改正によりまして、既に地方公共團體の議員の選擧權、及び被選擧權が認められておるのでありますので、附則におきまして特に規定を設けまして、衆議院議員の選擧權及び被選擧權もこの際これを認めることとし、臨時名簿調製の際、これに該當者を登録できるようにいたしたのであります
最後に昭和十三年法律第八十四號は、現役または召集中の軍人等が歸還した場合の臨時名簿の調製、及び議員の應召や歸還に伴う臨時措置を規定した戰時立法でありますが、只今提案いたしました法律案の成立に伴いましてその必要がなくなりますので、これを廢止することといたしたのであります、ただ同法によりまして調製した名簿及び地方議會の議員で、應召中の者が復歸した場合における特例措置についてだけ、その效力を存續させることといたしておるのであります
以上で兩案の説明を終ります次第でありますが、何卒御審議の上御協贊あらんことを切望申し上げる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=10
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011・犬養健
○犬養委員長 本日はこの程度で散會いたしまして、明日午前十時から質疑を始めたいと思います、本日はこれにて散會いたします
午前十一時三十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00119461220&spkNum=11
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