1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案(審査終了ノモノヲ除ク)
參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)(第四號)
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昭和二十一年十二月二十三日(月曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 犬養健君
理事 松浦東介君 理事 廿日出厖君
理事 大島定吉君 理事 青木泰助君
理事 玉井潤次君 理事 大原博夫君
伊藤郷一君 木村公平君
大谷瑩潤君 北浦圭太郎君
北れい吉君 小柳冨太郎君
坂田道太君 小島徹三君
田中實司君 水口周平君
亘四郎君 白木一平君
生方大吉君 白井秀吉君
井上知治君 佃良一君
坪川信三君 林連君
井上東治郎君 八坂善一郎君
石川金次郎君 大澤喜代一君
竹谷源太郎君 松澤一君
伊東岩男君 木下榮君
坪井龜藏君 豊澤豊雄君
仲子隆君 野坂參三君
十二月二十二日委員田万廣文君、稻本早苗君、原健三郎君、小野眞次君、横田清藏君、石原圓吉君、木村義雄君、寺尾豊君、八重樫利康君及び山本正一君辭任につきその補闕として田原春次君、白木一平君、井上東治郎君、木村公平君、亘四郎君、江藤夏雄君、北浦圭太郎君、小島徹三君、田中實司君及び水口周平君を議長において選定した
十二月二十三日委員地崎字三郎君及び井上東治郎君辭任につきその補闕として井上知治君及び荒木武行君を議長において選定した
十二月二十二日理事原健三郎君委員辭任につきその補闕として同月二十三日青木泰助君が理事に當選した
出席國務大臣
内務大臣 大村清一君
出席政府委員
内務事務官 郡祐一君
内務事務官 鈴木俊一君
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本日の會議に付した議案
參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=0
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001・犬養健
○犬養委員長 これより會議を開きます、この際おはかり申し上げますが、原健三郎君から理事辭任の申し出がありました、これを許可するに御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=1
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002・犬養健
○犬養委員長 御異議ないものと認めます、なお原君の後任は先例によりまして委員長が指名いたすことに御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=2
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003・犬養健
○犬養委員長 御異議なしと認めます、それでは青木泰助君を理事に指名いたします、引續き質疑を許します、木村公平君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=3
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004・木村公平
○木村(公)委員 私どもが參議院議員選擧法案を重視いたしますことは、參議院議員選擧法案そのものもきわめて重要な法案であるのでありますが、この法案の基盤をなします政府の考え方が、やがて、將來提出さるべきもろもろの選擧に關係する法案にも影響する所がきわめて多いと存じまするから、參議院議員選擧法案に對しましては、一層の關心を抱くわけであるのであります、通覽いたしまして、この法案はだいたい進歩的であるということを、私どもはにわかに否定はいたさないのでありますが、ただ選擧の根本は、申すまでもなく、きわめて自由に、しかも公正に行われなければならないことは申し上げるまでもないのであります、ここに許されました所のいわゆる事前運動竝びに恣にできます所の戸別訪問、選擧費用の制限撤廢等の考え方は、恐らく政府におきましては、そういうような今までの制限を撤廢することが、すなわち自由公正な選擧を行い得るものなりとお考えであるのでありましようけれども、私どもはむしろその反對で、さような制限を撤廢されること自身が、自由公正を傷つけるものであるという考えをいたしておるのであります、長い間お互いは身をもつて選擧を體驗して來た者ばかりであるのでありますが、何にいたしましても、わが國の知識水準は、歐米先進國の知識水準に劣る所もありまして、殊に選擧運動等におきましては、その選擧に對する理解力が、歐米諸先進國に非常に劣つておることを、私どもは非常に痛感をいたして參つたのであります、そこで今にわかに政府の考え方によりまして、費用制限を撤廢する、或は戸別訪問は自由である、事前運動は全くお構いなしであるという、いわゆる形式的の自由尊重論から選擧が行われましたならば、私は弊害が續出するのではないかということを恐れるのであります、申し上げまするまでもなく、選擧の自由というものは、人情であるとか、或は金錢であるとか、或はその他のもろもろの行爲によつて掣肘を受けざるを得ないのであります、たとえば自分は自由なる意思をもつて、某に入れる意思であつた、しかるにたまたま自分の最も親しい友人が一夜訪れた、そうしてあなたの心中に描かれる候補者は誰であるかは知らないけれども、わしと某候補者には特別のかくかくの關係があるのであるから、ぜひとも某候補者のためにあなたのその手にお持ちの一票を投じていただきたいというような請託を受けました場合には、これは人情といたしまして、直に自由意思によつて、何某という者に入れるという意思を、その請託によつて變更いたしまして、請託された見たこともない何某という者に入れるというような危險は、私は生じ得るものと思うのであります、はたしてそういう事例が可能であるといたしますならば、戸別訪問を許すということが、ほんとうの自由かつ公正なる所の選擧を妨害する、自由意思を蹂躙するということに結論せざるを得ないのであります、或はまた金錢等によつて、自由に投票せんとする所の心理が變更されまして、そうして自分の好まざる者、思わざる者に投票するというようなこともあり得ると、私どもは信ずるのであります、然らば實際問題として、大選擧區においては、金錢であるとか、個別訪問であるとかいうようなことは、實效を來さないというようなことをも、政府筋の考えとしてもつておられるかも知れませんけれども、それは選擧の御經驗がないからである、いかに地域が廣くても、眞に戸別訪問、或は金錢等によつて勝を制せんとするならば、戰法はいくつでもあるのであります、殊に政黨が發達すればするほど組織は細胞的となり、どの村にも、どの町にも、どの郡にも、どの市にも、どの縣にも、全國津々浦々、到る處に手足があるのであります、その手足を動員していかなることをもできるのであります、戸別訪問もできましよう、個々面接もできましよう、金錢でもつて買收することもできましよう、或は利益をもつて誘導することもできる、そういうことをするということが選擧の自由公正を助長することだらうというような理由は全く見出せない、選擧の自由公正を妨害しこそすれ、決してそれは選擧の自由公正を助長するものとは言えない、政府の考え方は買收結構、或は利益誘導結構、個々面接結構、戸別訪問結構、これこそ自由、公正な選擧の實體ではないかと仰しやるのでありますけれども、私は政府の考え方は全く誤りのものである、政府の考え方こそは自由公正というものを傷つけるものである、政府の考えこそは自由公正というものの敵であると私は考えるのであります、その意味におきまして、私どもは萬一現在の情勢下において、直ちにこれを改正するということは、或は審議を了する暇もないというようなことでありまして、重大なる所の國家的の結果を招來することを恐れまして、最後には附帶の決議をいたしたいと思つておるのでありますが、附帶決議につきましては、わが黨から松浦君がその趣旨を辯明するのでありましようけれども、私どもの考え方を速記に止めまして、そうしてこういう考えというものは、現在において直ちに行われ得ないにしても、それは必ず將來國民の支持を得ることを信じまして、私は私の意見を開陳いたしたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=4
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005・郡祐一
○郡政府委員 選擧運動費用の制限の撤廢は選擧の腐敗を來し、金權候補の不當の進出を來しはしないかという御意見でございます、一體選擧運動費用の超過につきまして犯罪といたしませず、單に當選無效の原因といたしておりまする現行法の下におきまして、殊に實際に徴しまして、擧證の困難とともに、費用制限の意味というものは、今日實際法の適用上、意義を失つておるのであります、これにつきましては適當な方法によりまして、現行法にありまするような素朴な費用制限の形でなく、より合理的な形によりまして費用制限をいたしませぬ限りは、現行衆議院議員選擧法におけるがごときものは意味をなすまいと考えております、また選擧運動の制限撤廢に關しまして、これがために選擧界が著しく腐敗するのではないかというような御意見であります、お言葉の中に戸別訪問等によりまして、人情の弱點から選擧權の行使が歪められるというような御懸念があつたようであります、しかしながら公權の行使と人情によりまするこれの歪み方というような考え方がもしありまするならば、それは四千萬有權者の中に若干あるかも知れません、しかしながらかくのごとき考え方が拂拭されません限りにおきましては、デモクラシーの發達というようなことは、これは全然望めぬことだと思うのであります、公權の行使がいかに大事であるか、現在のごとくあらゆるものを選擧によつて出しました場合には、公權の行使が私情と全く離れたものでなければ相ならぬということは、機會あるごとに私どもは國民の前に徹底いたさなければならぬと思います、仰せの通り選擧の自由、公正平等でなければならないことは勿論であります、それで選擧運動の煩瑣な制限と申しまするものそれ自身が、實は多くの意味はないのでありまするが、これを意味づける論者はこれらの煩瑣な、たとえば戸別訪問とかいうような規定があるということが、買收惡質犯の端緒等を得るのに利益があるということを言うのであります、しかしながらそれは同時にまた買收がないから、いろいろな惡質犯の嫌疑のために煩瑣な取締規定を利用いたしまして、選擧の干渉というものが行われる動機になることはきわめて多いのであります、前囘の選擧におきましては、御承知の通り買收犯はきわめて多數を檢擧いたしました、多數と申しますと絶對數ではございませぬが、檢擧總數の八割は買收犯であります、戸別訪問については、一割程度の檢擧をいたしておるだけであります、しかもこれが送局いたした者はきわめて少いのであります、かようなことは戸別訪問の制限というものが實は多くの效果をもたらしておらず、また反面から申しまするならば、それを適用法上といたしましての干渉ということは、近時は行われなくなつておる、しかし過去におきましてはこれがきわめて多かつたということが言えるのであります、私どもの所期いたしておりまする所では、むしろ煩雜な取締規定を排除いたしまして、これを不要といたしまする結果、極力買收、選擧妨害等、選擧の公正を害する惡質犯の檢擧勦滅に努めたのであります、それはお話の中にありました、金錢によつて選擧權の行使に惡結果を來すというようなことがございましたが、買收、利益誘導、選擧妨害、これらの惡質犯につきましては、衆議院議員選擧法の際には、さらにこの罰則を強化いたす考えでおります、これらの犯罪に全力を注ぎまして、形式的な犯罪、或は輕微な犯罪はこれを追及いたしませんけれども、それが買收、利益誘導、選擧妨害、さらに官公吏の選擧に關する犯罪等につきましては、この罰則なるものはさらにこれを強化する必要があるのではないであろうか、これはまだ結論は出ておりませんけれども、さような意味合であると考えておりまして、從つて只今仰せになりましたごとく、惡質犯の徹底的な防止によりまして、選擧の自由公正を保ちたいという考え方においては全く同感の意を表する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=5
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006・木村公平
○木村(公)委員 只今の當局の御答辯、だいたい了承いたしました、御答辯の中に公權行使の重大性が述べられたのでありまして、全く同感でございます、今後わが國は事ごとに選擧の方法によつてことを處して行くのでありますから、公權の行使ということはますます重大視せなければならないのであります、そこで政府當局にお伺いいたして置きたいのは、現在においては公權の行使については國民に大きな關心がないのであります、從いまして、この點につきましては、只今政府の答辯にありましたごとく、全國民に向つて、公權の行使がいかに重大であるかということを、徹底的に普及いたさなければ相ならないのでありますが、あたかも今度は憲法を普及いたしますがために、政府は數千萬圓の費用をもつて、まさに普及をせんといたしておるのでありますが、丁度いい折でありますので、憲法普及と相竝びまして、公權行使の重大性を國民に徹底せしめ、そうして選擧の誤りなきを期せなければならないと私どもは考えているのであります、これに對しまして、政府は具體的に何ものかお考えにありますれば、お漏らしを願つて置きたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=6
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007・郡祐一
○郡政府委員 まさに仰せの通りでございます、本日も丁度この午前中の時刻に、實は憲法普及のために全國の主管者の會合をいたしておるのであります、その際にも私が出席をいたしまして、憲法の普及と申しても、この選擧權の行使ということが、恐らくそれの第一の問題である、これが立派にできるかできぬかで、新憲法の差當つての値打はきまつてくるのであろうという意味合のことを、よく徹底いたす考えであつたのであります、私參れませんために代人をそちらに差し向けまして、私の氣持はよく傳えているのであります、それで政府部内におきましても、憲法の普及の中で、具體的な問題としては選擧權を適正に行使する、そこに重點をそそいでやつて行こうという工合に話をいたしまして、憲法普及の仕事に當ります事務的な主管者もきまりましたわけであります、この者ともよく連絡をいたしております、從いまして、憲法普及の運動においては、常に選擧權の行使ということを強調いたす、それからこれらの基本となりまする各種の選擧法令並びに地方制度等につきまして、まずもつて地方の理事者側の方に、十分趣旨を徹底いたしまして、知事なり市町村長みずからが、事柄の重要性を自覺することに、これは會議を開いたり通牒をいたしたりして進めております、それから實際に府縣なり市町村の隅々まで、これがなかなか考えますほどできておらぬのでありますけれども、適當な講師を得まして講演會をいたし、或は簡單な印刷物をもつて普及を圖る、それでアメリカのコネクチカットで、選擧權というものの意味、それから選擧權行使の仕方、選擧權を行使しました結果が、いかに國民生活なり、住民の生活に影響するかということを、非常に興味深く書きました書物があるのであります、これをヘツド・コーターを通じまして、コネクチカット州の州政府に飜譯配布方を依頼いたしました、それで實は全文飜譯をいたしてあるのでありますが、五日ほど前に完全な飜譯ができ、かつこれの版權を政府等が自己の手に獨占するという考えがなければ、内務省で刊行することを認めるということを申して參りました、從いまして、繪入りの、かなりよくわかる、私どもが見ましては一番よい選擧權行使についてのパンフレットではないかと思うのであります、パンフレットと申してもかなり厚いものであります、これを大分印刷をいたしまして、印刷ができ次第、コネクチカット州からは二十部送れというような條件をつけて參りましたが、とにかくかような手續が至急取り運びまして、そうしてこれを、現在印刷能力があるのでありますが、でき得る限りこれを現品の形を存したものにいたしまして、配布をいたしたい、結局あらゆる方面で文書によりまする宣傳と、演説によりまする啓蒙でございまするが、さようなことには可及的手を盡くし、方法を盡くしまして、いたしたいと思います、この點につきましては、若し願えますならば、議會側の方でもかような國民の自覺を促します運動には、今後も力をそそいでいただきたいと思つている次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=7
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008・木村公平
○木村(公)委員 質疑は終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=8
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009・犬養健
○犬養委員長 石川金次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=9
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010・石川金次郎
○石川委員 先ず第一に、諄いようでありますが、參議院の性格につきまして、もう一度お尋ねいたしたいと思うのであります、内務大臣がわが黨の鈴木君の本會議における質問に答えまして、參議院は抑制的な促進的な存在であるというようにお答えになりました、また政府委員がよき意味における保守的な作用を營ましめるものであるというようにお答えになつたのでありますが、抑制的な、促進的なという意味と、保守的なという意味とは必らずしも融合するものでないと存じます、そこで參議院が抑制的である、促進的である、或は保守的であるこういう性格を付與せられました政府の根本的な考え方は、新憲法におきまして、參議院がその組織上、衆議院と議員の任期が異なるということ、及び解散がない、そういうことの事實上の結果到達したものでありますのか、また或は政治上、二院制度の組織というものは、このようになければならぬという理想から出て參りましたものか、或はかくありたいという念願から出て參りましたものか、或はまた各國が二院制度を採用しておる、それによるとそのような作用があるのだから、日本またかくあらねばならぬ、こういうようになつて參りましたのかをお聽きしたいのであります、この參議院の性格を確かめておきたいと存じますることは、私達國民が、參議院の將來の任務が遂行され、批判檢討いたしますのにも、また議員を選擧して參りますのにも、非常に重大なものでありますので、先づこの性格について、政府のお考えをはつきりと伺つておきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=10
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011・郡祐一
○郡政府委員 參議院の性格がかくありたいという考え方から、或は憲法それ自身から流れ來ておるのかというような點につきましては、政府は、わが國におきます二院制存置の理由が、かくの如く上院に抑制作用を營ます、そのためによき意味の保守性をもたせるということに相なつて參ると存ずるのであります、新憲法におきましては、衆議院が優越いたしました權能をもつております、アメリカの上院等は、御承知のように上院の獨自の權限というものを相當もつております、これに比しまして日本の國の衆議院というのは、日本の國の憲法におきましては、衆議院が專ら優越的の地位を占めておりまして、それに第二院が存在するわけであります、かような意味合における第二院と申しますものは、いろいろ人の説明はあると思いますけれども、要約して申しますならば、御指摘になりましたように、第一院の審議に對し、第一院の審議がもし輕率に失し、或は矯激に失しまする等の場合に、これに對し適度の抑制作用を營むということ、およそ一度でものをきめます場合と、二度で決めます場合とは、おのずから愼重さが違つて參ると思うのであります、從つて第一院できめましたことに對して、第二院でもう一度考え直す、その考え直す場合に、第一院の態度と第二院の態度が違つておりまする場合におきましては、第二院が第一院に對して反省の機會を與えると申しますか、さような意味合において、抑制作用が營まれるということが言えると思うのであります、さように考えまするならば、この第二院と申しまするのは、その態度において第一院よりも保守的である、第一院よりもいはば愼重な、從つてその場合に進歩性において缺ける所はあるかも知れないけれども、愼重さにおいては、立ち優つた性格が持たれることは好ましい、かような意味合で、よき意味の保守性というようなことを言つておるような次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=11
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012・石川金次郎
○石川委員 私の考えによれば、參議院が反省的な機關であり、反省という見地から抑制というような、覆審というようなものが生まるべきものであると考えております、この場合において左に行こうか、右に行こうか、たとへば保守的だというような場合においては、舊來の考え方をできるだけ保存しようというような考え方に現われて來ると存じます、もしそういうことであるならば、參議院は、衆議院があまり保守的な考え方に支配される時に、一歩進んで進歩的な考えをまたとるというような作用を營まなければならぬと思うのであります、從つて私は、保守的だと政府が定義づけられますことについては非常に不滿を感ずるのでありまして、參議院の性格は反省的な、覆審的なものでなければならぬと考えるのであります、それは何れといたしましても、政府が抑制的な、しかして覆審的な作用を營ましめるということを目的とするものであると言つたのでございますから、重ねてお伺いするのであります、そういたしますと、抑制的な作用を營ましむるのでありますから、將來政府は重要なる議案、憲法に定めてありまする所の重要なる豫算案、これは當然でありますが、その他國策に關する重要議案、法律案等は、すべてまずもつて衆議院に提出されるということに相成るかと存じますが、政府はその御決心でございますかどうかをお伺いいたしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=12
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013・郡祐一
○郡政府委員 第二院がいろいろな意味會で仰せのように、第一院があまりに現状維持的である場合に、これについて適當に補正をいたすとかいうような作用が營まれまするならば、それは非常に理想的だと思いますけれども、なかなかに事柄の實際の動きというものは、さように相ならぬものだと思うのであります、それは第二院と申しまするのに期待できることは、やはり愼重さにおいて——從いまして進歩性においては缺けておるけれども、建設的な面においては若干缺ける所があつても、安全という點においては長所をもつているという程度の性格の附與の限度において、第二院の機能というものを期待するということではないかと存ずるのであります、その點は別といたしまして、お尋ねになりました重要な議案、これは憲法上もおのずからさように相なつて參る部分がございますが、恐らく常に第一院というものは、優先的に重要な議案について審議をいたされるということは、さような運用になるものと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=13
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014・石川金次郎
○石川委員 そういたしますと、まだ施行に至つておりませんけれども、新しい憲法が出たのでありますから、本會議において社會黨の鈴木議員が指摘いたしましたように、參議院議員の選擧法もまた衆議院にさきに提出していただきたかつたものだと私達は考えております、今日このように會期が切迫いたしました状態に相なりましての審議を求められますことは、甚だわれわれ衆議院における手續きが困るのみならず、十分な審議を第一院たる衆議院ができなかつたという遺憾をもつのでありまして、この點は私は殘念の意を政府に表したいと存じます
そこで續けて伺いますが、全國の選出議員に對しまして政府がいかなる人を求めておるか、期待しておるかということの答えに對しまして、學識經驗の優れた人、有名人、職能的知識經驗を有する人、こういうような人をまずもつて第一に求められておるのであります、これらの學識輕驗の優れた人、職能的知識經驗を有する人、これをもつて參議院と衆議院との異質を高めたいというのでありますが、その異質を高めるということは、覆審的な作用を高度に發揮せしめたいということに違いないのであります、そこで私は學識經驗の優れた人というのは、何を指されるのかをお聽きしたいのであります、こう申しますと甚だ非常識な、きわめて不合理なことになると思いますが、學識經驗という言葉は甚だ美しいのであります、文章もまた綺麗であります、言葉も合います、しかし參議院に求める學識というのはどういうことでありましようか、政治學的な學識というのか、經濟學的な學識というのか、或は法律學的な學識というのか、或は農業か、工業か、蠶絲か、たいへんあるのであります、從つて學識——學問識見と言いましても、多方面にわたらざるを得ないのであります、眞實の學者というのは、政府が言うがごとき有名でないことは確かであります、私どもは有名な學者であると思つて、一生懸命聽いておりました所が、今日のように日本を慘禍に陷れたような學者も、またそれに味方した學者も多くあつたのであります、ここで學者と仰しやるのはどういうような學者であるか、これをまずお伺いしたいのであります、つまらないことでありますが、それをお聽きしたい
その次ぎに、政府は參議院の構成を、學識經驗のある人を全國的な選出に期待し、しからざる地方的利益を代表する者といたしまして、地方選擧に期待したのでありますが、同一院内において、一方が學者であり、有名であり、全國選出であり、一方において、田舍の議員で、田舍の代表者である、こういう二つの議員をおかれましたことが、これはどういうような結果を招來せしめるつもりでありましようか、この思想の動向、この經驗事實の動向が、あなた方のいう所の抑制機關乃至は覆審の機關を、十分ならしめるというお考えであるのかも知れませんけれども、ここにまた一院内において特別上級議員というようなものの存在、そのような誇りと——人間は完成した者ばかりではございません、不完成な人間が、多いのであります、そのような感じを與えるというような、内部ではうまく行つたといたしましても、國民の間にそのよのような觀念を植えつけるようなことがないかどうか、この點についてお考えになりましたかをお聽きしておきたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=14
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015・郡祐一
○郡政府委員 初めに仰せになりました參議院議員選擧法の貴族院先議の問題でありますが事柄の筋から申しますならば、衆議院で先に御審議いただくことが筋だと思います、ただ先ほども新國會におきまする運用を申し述べましたのは、左樣にいたしまするためには、當然長期の會期を要するのであります、このたびのごとき短期の臨時議會を餘儀なくいたします際におきましては、兩院に先議議案を振分けまするのは、これはまことにやむを得ない事情にあつたのであります、お尋ねの全國議員は學識經驗者を期待しておる、この學識といふのが地方選出議員に比べて何か上級のような感じになつてしまう、決してさようには考えておらぬのであります學識經驗と申しまして、これが學者というようなものを決して限定はいたしておりません、それは社會的な經驗が乏しくても、學問的に優れておつた人であれば、それは學者として期待ができると思います、また同時に學問的には特別の長所を持つておりませんでも、その人が社會的に、或はその人自身の生活において、非常な豐富の經驗をもつておられまするならば、そうしてまたその方が先ほども申しましたように、十分愼重な、かつ練熟をした方でありますならば、さような方が——或は一地方には自分の地盤というものをもたない人でも、その人が屬している政黨、或は全國的な組織によりまして推される場合に出て來られるならば、さような方を得たい、また地方選出議員は、なんと申しましても國會におきまして、議員は勿論全國國民の代表でありますけれども、地方の實情に精通しておるということは勿論必要なことであります、また地方の實情に精通されませんでも、或る地方で輿望を擔われるということは、國會の性質上必要だと思うのであります、そのいずれの方におきましても愼重な、十分練熟した方でありますならば、これを參議院に期待いたしたいのであります、それではそのような人が、全國選出の選擧區と府縣單位の選擧區と兩方設けることによつて、理想的形態で選出されるかといふこと、これになりますと、實際に選擧の結果の問題でありまして、法律はそこまで確實にそうなるという保證を、法律自體がいたすことは困難である、私どもが期待いたします所は、今後政黨がさような意味合の練熟堪能な士を、參議院議員の候補者として推薦いたし、また進歩的な、建設的な面を、衆議院の議員候補者として推薦いたす、なんと申しましても政黨のみが候補者を推薦いたしません、各種の團體等もいたしましようが、政黨自身が國民に、まずもつてこうした人が參議院に向かれることが望ましい、こうした人が衆議院に向かれることが望ましいという判斷をいたしまして、そうしてさような候補者を推薦支持いたされるという政治活動によりまして實際の運用はできるものだと考えております、ただ法律に期待いたします所の意味合の學識經驗とか、地方選出議員というのは只今申し上げたように考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=15
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016・石川金次郎
○石川委員 なるほど只今、一切の選擧がうまく行くかどうかは、國民の教養によつて決定されるものでありますことは申すまでもございません、ただ私は政府がここにお考えになりました考え方をお聽きしたいのでありますが、全國選出の方法によらなければこの學識經驗ある方面もしくは職能的な知識經驗者を網羅し得ないだろう、この考えられた御理由であります、勿論これには社會觀とか、人生觀を異にするに連れまして、お互いに理由があるのでありましようけれども、まず本當の學者であるとか、或は識見のある人だとかこういうような人におきましては、地方選擧におきましても十分期待し得ると私たちは考えておるのであります、この選擧法における一つの缺點とでも申しましようか非常にわれわれの考えてみなければならないのは、全國單一選擧として、外國にも類例のない事實をもつて參りまして、日本を一つの選擧の試驗臺に上げようとしたお考えであるがこれに非常な政府が期待できますならば、私たちはこれに贊成するのでありますけれども、大きな疑問をもつておるのでありますから、これを政府にお聽きしたいのであります、殊に高邁な識見をもつた、經驗の豐當な、立派な期待いたしますような人は、費用が無制限に、運動の範圍が非常に廣い選擧は出て來ない、選擧というものは政府が考えられるようなもので、はございません、あなた方も御覽の通り、選擧のたびに選擧違反、買收等の違反が出て參るのであります、このような無制限の選擧區、無制限の運動、無制限の費用、こういうような一つの組織の下にありまして、このような高邁な識見、學識、經驗のある人、しかもそれが立派な人を期待し得るとお考えになりましたか、そうお考えになりましたら一つその點をお聽きしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=16
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017・郡祐一
○郡政府委員 全國的選出議員のみが、學識經驗者を網羅する手段とは斷定はいたしておりません、ただ全國的な組織、或は或る地域に偏しません團體、或は政黨にいたしましても黨外の候補者に特定の地盤を豫想されないけれども、しかしながら全國的にみて多數の支持者を期待いたし得る候補者、かような團體について、或はかような具體的の人間について、全國選擧區というものが、府縣單位の選擧區と違つた結果を現わし得るものということは、これは期待できると存ずるのであります、殊に費用の點でありますとか、或は運動の點は、費用の制限自身が、全國單位の選擧區になつたらば意味がないじやないかということでありまして、問題は全國選出議員のことに限定していらつしやいますから、全國選出議員の問題として論じてみますが、さように金をばら撒きますこと自身があまり多くを期待し得ない選擧になると存ずるのであります、また取締の面にいたしましても、全國選出議員を考えますならば、各種の取締りの制限ということは、實際これは励行も困難でありますと同時に、現在さような取締りをいたしておるようなことを、全國選出議員について一々やつておる暇もなく、それに多くの期待はできないということに相なると存ずるのであります、從いまして費用の點とか運動の點とかいうものが、全國選出議員につきましては適材を得ますのに、このたびの法案のような扱いをいたすことが、全國選出議員の選擧に支障を來すということには考えておりませんで、むしろその實情にきわめて合うことに相なるだろうと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=17
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018・石川金次郎
○石川委員 衆議院と參議員とを異質的なものたらしめるという、政府の狙いました革新的な作用を營むという點については衆議院の方の選擧法を改正せられまして、たとえば選擧區自體について改正の方法をとられ、異質的な作用をとらしめるということを今お考えになりませんでしようか、政府は新しく衆議院議員選擧法の改正を、來る議會に提出されると申されたのでありますが、その時において選擧區の改正について、どのような腹案をもつておられるかをお聽きしたいのであります、その法案を聽きますと、私たちは參議院の選擧區をどうしたらいいかということについての參考にもなると思いますので、大體のことをお聽きしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=18
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019・郡祐一
○郡政府委員 選擧法の内容につきましては、既に先般成立いたしております地方制度、或はこのたびの參議院議員選擧法、それらのものと不鈞合いの點が屡屡御指摘に相なつておりますように、それらの點につきまして、當然改めて參らなければなりまん、また私先程申しましたように、罰則等につきまして、一方においては處罰の對象から省きますと同時に、惡質犯につきましては、さらに斷乎たる處置で臨むべきものではないかと考えております、さような點は、これはなんと申しましても選擧の基礎は衆議院議員の選擧でありますから、この選擧法について適當な審議を煩わして改正いたしたいのでありますけれども、お話のありまする選擧區の問題につきましては、これは考え方としていろいろな考え方ができると思うのであります現在のいわゆる大選擧區或は中選擧區、或はさらに一人一區の小選擧區、これらの案がいろいろ考えられますし、實際の投票の方法といたしましては、各種の議員の同時選擧、或は現在の自書主義に代えまして、記號式の投票とか、いろいろな種類のことが考えられるのであります、しかしてまたさような選擧方法と選擧區の問題、單記にするか、制限連記にするか、完全連記にするか、これらの問題がそこに絡み合つておる問題であります、從いましてそれらの後の方に申しました點については、政府としても只今十分各種の利害得失を研究はいたしております、しかしながら現在かような結論というものには未だ到達いたしておりません、またなるべく各方面の御意見を參酌し、また實情を調査いたしまして、愼重にきめたいと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=19
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020・石川金次郎
○石川委員 もう少しお伺いしたいと存じましたけれども、御責任のある御答辯はそれ以上には承ることができないと思いますので、それは後に讓りまして、では選擧權と被選擧權の選擧能力についてお伺いいたしたいと思います、準禁治産者は欠格者としてずつと參つたのでありますが、參議院議員選擧法及びこれからの衆議院議員選擧法は、準禁治産者を資格者にしておいてやつたらどうかという考えがいろいろありますが。參議院議員選擧法においては、この點をどうしてお考えにならなかつたか、刑餘の人まで選擧權を與えられまして、もう一つ刑の執行猶餘中の者について、どうして選擧權をお與えにならなかつたか、こういう點をお聽きしたいのであります、欠格者をできるだけ狹めて參りますことは、私たちはこれは一つの時代の流れでもあり、當然さうなつて來なければならぬと思つておるのであります、殊に刑の執行猶餘中の者につきましては、執行猶餘中に再びどれほどの犯罪を犯すかということは、政府は御存じでありましようが、きわめて少いのであります、またこの時におきましては自分たちの行動を愼しみつつ犯罪を再びなすまいとする努力が、その人に現われておることを往々にみるのであります、浪費者においては政治上の識見、能力がないということのために、準禁治産者はないのでありまして、これらに對しましても、もう一つの被選擧權を與えるべきが當然である、殊に刑餘の人、及び破産宣告を受けましたものでも、選擧權ありといたしましたが、參議院議員選擧法におきましては、どうしてこれを考えられなかつたかをお聽きすると同時に、將來これらのものに對して政府の御見解がいかにあるかをお伺いしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=20
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021・郡祐一
○郡政府委員 仰せの通り、準禁治産者中、浪費者のみの理由によりますものにつきましては、その故をもつて政治上の無能力者と斷定することは適當でないかと考えるのであります、ただ今囘の欠格條項の整理におきましては、可及的欠格の範圍を狹めたのであります、準禁治産者中、さらに浪費者についてよりわけをいたす、これにどれほどの實益があるであらうか、むしろ準禁治産者という一つの觀念に含まれておりますものは、これは一つに扱つて差支えないのではないか、これをどう考えるかというお尋ねに對しては、政治上の無能力者と一概に斷定すべきものでないと存じますけれども、しかしながら法律上の表現といたしまして、準禁治産者中、特に浪費者について選擧權を認めるほどの實益もないのではないだろうかと考えたのであります、それから刑の執行猶豫中のものにつきまして、執行を受けることがなくなるまでの間を制限いたしておるのであります、仰せの通り執行猶餘を取り消されるものはきわめて少數でございます、ただこの執行猶餘期間中というものは、いかにも不安定な状態に相なつておりまするし、なんと申しまするか、その者のもちまする反社會性というものは、執行猶餘期間中は未だ完全に拂拭されていないとみるのが、執行猶餘の性質上適當ではないか、取り消されぬものが多いから一旦公權を與えて、取り消された場合には不合理な結果が生ずるということよりも、むしろ刑の執行猶餘中の者というものは、未だその者のもちます反社會性というものは完全に拭い取り去られてはおらないのだと見るべきものであろう、かような見解によりまして、このたびのような立案をいたした次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=21
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022・石川金次郎
○石川委員 それでは進めて參りまして、全國選出議員の當選者が最終確定をいたしますまでに、投票の日から何日くらいの日數を要しますかを、お考えでありましたらお聽きしたいのであります、昨日でしたか二十日とかいうように承つたのでありますが、いかがでありませうか
それから同時にもう一つ、今囘全國選出議員という制度を取入れますために、どのくらいの國家費用が必要であると御算定であるか、恐らく豫定なされたと思いますので、それをお聽きしたいと思うのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=22
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023・郡祐一
○郡政府委員 開票結果の集計につきましては、所要總日數はお話しのように、大約二十日かと認めます、これは全國を一つの選擧區といたします結果、交通不便等のために、最も時間を要しまするものを標準といたさなければ相ならぬ、從いましてこの點は一つの複雜な點として指摘されるのでありますが、とにかく二十日をみればこれは十分であると思うのであります、二十日の内容を申しますならば、第一日に市町村におきまする開票を五日とみております、それから市町村の開票結果の、府縣單位の選擧分會に對しまする報告を二日とみております、それから府縣單位の選擧分會におきまして、市町村から集まりました開票の結果を中間集計いたしまするのが五日、それから選擧分會の中間集計の結果を、中央にある選擧會に報告いたしますのが三日、それから選擧會において全國の結果を總集計いたしますのが五日、かようにみております、しかしこの期間はかなりたつぷりみてあるのだと考へます
それから全國選出議員の國費というお話でありましたが、これは國費それ自身を支出いたしまする部分もありますが、これにつきましては全國選出議員でありましても、格別投票の技術等は——このたびは町内會、部落會單位にいたそうと思つておりますが、その單位で投票いたす、それから府縣の今までの衆議院議員の選擧をいたしまする選擧會が選擧分會に當るだけであり、そういたしますと全國選出議員のための費用は、中央における選擧會に四十六の府縣から報告をもつて參る費用、それだけが選擧執行のために要する費用として加わるだけでありまして、特別にその部分を計算はいたしておりません、但しもしお話が選擧運動それ自身のための費用でありますならば、これは相當計算に困難なことであらうと思つております、選擧執行の費用それ自身は、この分がいくらになるということは出しておりませんが、このたび一齊に行います地方議會の議員選擧につきまして、約一億數千萬圓要ると思つておりまするけれども、全國選出議員それ自身につきましては、執行に要する費用それ自身は、衆議院議員の場合と大して變りがないと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=23
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024・石川金次郎
○石川委員 次ぎにお伺いしたいのは、供託金の問題でありますが、五千圓に供託金を増額いたしましたその標準は何によつてなされたのか、それから供託金は候補者濫立を抑えるということが目的とされたようでありますが、候補者濫立が一體供託金という制度で抑え得るのかどうかという疑問が多いのであります、從つていろいろな有爲な人材を國會内に吸收しようと思いまするならば、五千圓というような供託金制度は、むしろ當初この制度をつくつた根本の精神がいれられないで、遂にこれを達成することができなくなつておる状況でありますから、廢してはどうかと思います、殊に運動の自由ということに相なりますると、立候補もまた自由というような考え方になりはしないでしようか、尤もこの立候補の無制限でありますことについては、考えなければならぬ點はあるかも知れませんが、運動が自由だということに相なりますと、供託金の制度によつて候補者濫立を防止するということは、事實においてもできないし、理論的にも合わないし、感情的にもまたわれわれ相容れないものがあると存じますが、政府はいつまでもこの供託金五千圓というような制度をおいて、時によつてこれを高め、時によつてこれを低めて、この制度をもつて行くというお考えかどうかを伺つておきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=24
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025・郡祐一
○郡政府委員 現在の供託金という物的擔保が、所期の結果を期待するのに十分でないという點は仰せの通りだと思います、擔保方法といたしましては、物的擔保と人的擔保を組合わせまする方法、或は地方制度におきましては、町村等については人的擔保、一定の人間の連署によつてその人間の信用度を保證するというような形をとつておりまするが、衆議院とか參議院とかに相なりますると、人的擔保の方法は講ずることが困難であります、さようにいたしますると、むしろお話の中にもございましたが、物的擔保それ自身の效がないのだから、これを存在することが、たいした理由がないじやないだろうか、或は立候補というものは、自由な重要な一つの權利なんだから、それについては擔保のような方法を講じないのがいいのじやないか、御意見御尤もな御趣旨があると思ひます、但し私どもはこれについてもやはり政黨等が十分確立をいたしまして、これをなるべく早く期待したいと思いまするが、いわゆる泡沫候補が濫立をいたしましても、これらの者がかりに濫立をいたしましても、これらの者に多數の得票が、死票が流れるような結果にならないように、一方におきまして政黨等の推薦の候補が、確たる地位を占めまするならば、供託金というような擔保方法は不要になると考えるのであります、ただこれを五千圓といたしましたのは、必ずしも、現在の物價指數等に相應していたしたのではないのでありまするけれども、二千圓という額が、ほとんど現在意味をなしません、しかしそれと同時にまたあまりに高めまするならば、立候補の自由を妨害する恐れもあると思いまして、かたがた五千圓という程度にいたした次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=25
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026・石川金次郎
○石川委員 政黨法のことについて昨日來お話し下さいましたけれども、政黨法において何を決定するか、どういうことを目的とするか、目的は多少わかつたような氣がいたしますが、ここで一點私かどうもわかりかねる點がありますのでお聽きしたい、政黨法によつて、選擧運動における所の厖大な費用というものはかからないようになる、大體においてこの選擧における金錢關係の不正は防止し得るであろう、こういうように御趣旨を伺つたと思つておりますが、私は主といたしまして、候補者が、いろいろな人たちが立つて——政黨人、政黨人外の人たちが立つて、選擧運動をいたします時に、この政黨法によつて選擧費用を大體に押えて行くという仕組みが、この法の中からどういふ構想によつてなされて來るかを一つお聽きしておきたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=26
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027・郡祐一
○郡政府委員 政黨法というような言葉を使いますると、何か既にさような法律が前提されているかのようになりまして語弊があるかと存じますが、とにかくなんらか只今仰せのような點について、立法手段が必要ではないであろうかということは考えられるのであります、それを前提として考えますると、なるほど選擧運動費用自身を、いかなる立法手段によりましても、これによつて輕減いたし、或は膨脹を防止するという作用は困難だと思います、ただ選擧運動費用につきまして、現在ポツダム省令によつてその收支の公開をいたしております、しかしながらこれはわが國情がこれについてまだ慣れておりませんので、ポツダム省令それ自身にもきわめて不完全な點がございます、私どももあの收支の公開を若干拜見いたしておりますけれども、これは手數をかけて適當に拵えられた種類のものが多いのであります、これはまあ無理からぬことだと思うのであります、あのようなものでは實は何にもならぬのであります、從いましてもつとあれは合理的に拵えなければなりませず、また議員候補者を選びまする經過におきましても、政黨それ自身が、現在よりももつと合理的な方法で議員候補者を選定いたされまするならば、これも私どもなにも詳しいことは存じませんが、いろいろな經過において金がかかるのだということも、これは世上言うているだけでありますが、なにかいろいろな點につきまして適當な手續きをきめますることによりまして、かつ公開というようなことをもつと合理的にいたしまして、國民が判斷いたしますることによりまして、徒らに金をかければ出られるというようなことを、防止して行くことができるのじやなかろうかというだけでありまして、これはどうしても實際の政黨それ自身の發達、政黨それ自身の運營に期待いたさなければならぬことであります、ただそれについて、なんらかの基準を設けるというようなことが、考えられている程度に止まるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=27
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028・石川金次郎
○石川委員 次ぎに投票及び開票の立會人についてでありますが、原案として當初政府は、市町村の選擧管理委員會がこれを選任するものと定められたようであります、これは後に貴族院において修正されたのであります、この修正になりました經路につきましては、政府委員から昨日でありましたかお聞きしたのでありますが、私のお伺いしたいと思いますことは、政府はこの投票開票立會人を選擧管理委員會の選任とすることを、きわめて民主的であり、合理的であると考えて、かく決定したとこう言われたのであります、一たびその確信をもつて、恐らくは貴族院にも臨まれたであろうと存じますが、しかし貴族院でこれを訂正いたしまするや、それにまた民主的なりといたしましたかどうか、合理的なりといたしたかどうかはわかりませんが、これによつて變えられたという點であります、事や非常に小さいのであります、一たび政府が民主的なりと肚をきめましたこと、妥當なりと肚をきめましたことを、或る機會においてまた再び民主的ならずと反省したのかどうかといふ點であります、私達の非常に不安に思つておりますことは、政府委員が時々仰しやいます所の——關係方面がこう言つているとか、ああ言つているとか仰しやつておりますけれども、もとより私達は命令に從わなければならぬことは十分承知しております、しかしながら日本の實情はかくのごときものであること、われわれの考えがかくの如きものであること、われわれ日本人は正義を缺くるような點につきましては、やはり正直に、純情に、敢然としてこれを言つて諒解を得べきことではなかろうかと思うのであります、この決定をなすに至りますのも、わずか開票投票立會人ではございまするけれども、その經過を見て參りまするのに、一たび正しいことと決定しながらも、それを維持し得なかつたというようなことに現われて來たのであります、その經路と政府の一つのお考え、このような態度を私達必ずしも感心をいたしませんのでお聽きしたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=28
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029・郡祐一
○郡政府委員 經過につきましては、過般の懇談會の際にも申し上げておりまするし、この議會にはできるだけ要約した説明でお許しを願いたいと思うのであります、この點につきましては、選擧管理委員會というものが、今までの官吏、吏員が投票管理者等になるのでなくて、委員會それ自身獨自性をもつたものがいたすのであるから、それの選任ということは、十分公益の代表として信用し得るものであろう、また全國議員のような多數の候補者を期待して、その候補者から屆け出させて、若干の人間を互選できめるというのでは、屆け出の意味がなくなるではないであろうか、それで他の衆議院議員選擧法、地方制度等と調和がとれておらないでも、これ自身については特例を設くべきであろうという主張をいたしまして、關係方面が容易に納得いたしませんでしたが、この理窟は非常に立派な理窟であろうというて實はほめられて、さようにいたしたのであります、所がさらにより廣い全體會議を開きました結果、立會人はあくまで候補者が選任すべきであるという主義に改めるべきものであるということの決定に相成りました、これにつきましては、仰しやるように正直にかつ誠意をこめまして十分折衝いたしたのでありますが、さような經過に相成つているのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=29
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030・石川金次郎
○石川委員 私は政府案の方がよかつたのではないかと思います、それができなかつたのは殘念だと思います、むしろ開票立合人と投票立會人に關しては、時間の經濟の上から申しましても、立法の上から申しましても、私は政府原案の方がよかつたと思いますけれども、これは今申し上げても仕方がないことであります、この點でなお一點ありますけれども十二時になりましたから打切りますが、午後にちよつと殘しておいて下さい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=30
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031・犬養健
○犬養委員長 それではこれで休憩いたしまして午後は一時から再開いたします、ただちよつと御注意申上げますのは、委員長は別に自由な御議論を抑制する意味は毛頭ございませんが、御承知のように會期が殘り少いことでございますから、昨日行われましたような、參議院法に關係しない、たとえば、追放令の内容とか、經過というような種類の御質疑は、この際一つ御遠慮願えればたいへん幸せに存じます
午後零時二分休憩
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午後一時五十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=31
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032・大島定吉
○大島(定)委員長代理 委員長がちよつと遲刻いたしておりますので、その間暫時私が委員長の席を汚すことをお許し願います、午前に引き續き會議を開きます、石川金次郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=32
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033・石川金次郎
○石川委員 第五十三條の全國選出議員選擧管理委員會についてちよつとお伺いいたします、まず全國選出議員選擧管理委員會は、他の選擧管理委員會がございますので、同一の性格とは存じますが、一應その性格を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=33
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034・郡祐一
○郡政府委員 全國選出議員選擧管理委員會は、全國選出議員について事務をいたしまして、そうして中央において第一囘の管理委員はこれを衆議院において互選をいたし、その以後におきましては參議院において互選をいたします、參議院議員の任期は六年でありまするが、この管理委員の任期は三年といたしまして、長い方の任期にありまする者が委員に選ばれますると、ちようど短い方の議員の改選の時に選擧事務を行うことができますので、中央におきまする選擧會長の選任であるとか、當選者の告示であるとか、全國選擧管理委員會がいたさなければならない仕事を、さような構成によつて行うことに相なると考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=34
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035・石川金次郎
○石川委員 これは參議院議員選擧法に基づいて發生いたしました、國家の一つの機關ということに相なるのでしようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=35
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036・郡祐一
○郡政府委員 參議院選擧法上の獨立の權限をもつておる機關、こういうことに相なるだろうと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=36
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037・石川金次郎
○石川委員 そこで獨立權限を有する機關だといたしまして、法第十三條第二項に書いてあります「内務大臣の所轄」とする關係を承つておきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=37
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038・郡祐一
○郡政府委員 所轄と申しまするのは、法令上の用語といたしましては文部省の教育制度刷新委員會、地方制度調査會等に、内務大臣なり、文部大臣の所轄に屬することが書いてありまするが、これは權限としては獨立でありますけれども、その機關につきます庶務的事項、或は豫算でありますとか、いろいろな關係が起つて參ります、それらの事項につきまして、いかなる大臣をさような庶務的事項、或は豫算上の措置を講じまする大臣といたすかという關係を、明瞭にいたしておくことが必要でございます、さような意味合で所轄という言葉を使つてあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=38
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039・石川金次郎
○石川委員 内務大臣と選擧管理委員會との間には、指導監督という關係は全然ないものと承知してよろしいわけでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=39
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040・郡祐一
○郡政府委員 さようにお考えいただいてよろしゆうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=40
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041・石川金次郎
○石川委員 次ぎに本法に基づく獨立の機關でありますが、しからばその選擧管理委員會を、參議院にこれを屬せしめますよりも、むしろ第一囘に成立しておきまする委員が衆議院の選任によるのでありますから、衆議院が最高機關たるの建前上、この衆議院に屬せしめるというようなことについて、考究なさつたかどうかを伺いたい、もしお考えになりましたならば、衆議院に屬せしめることがどうしていけなかつたかをも承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=41
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042・郡祐一
○郡政府委員 お尋ねをもし取り違つていたら訂正いたしますが、第二期以後の選擧管理委員の選任を、參議院議員でなく、衆議院議員のうちから選任いたすかという意味合でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=42
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043・石川金次郎
○石川委員 さようです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=43
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044・郡祐一
○郡政府委員 さような意味合でありますならば、或は全國選擧管理委員會の委員というものを、參議院、衆議院から、半々ずつ選ぶというようなことはできないだろうかということも考えたのであります、しかしながら選擧といたしましては、參議院議員の選擧、衆議院議員の選擧、それぞれ別箇の系統をもつた選擧でありますし、從つてその選擧手續き自體は、獨立した選擧手續きでありますから、當該の選擧手續きによりまして選出いたされました參議院議員でいたしまする方が、關係がより密接であり、しかもその選擧手續きについては格別私意を差し挾む餘地のないものでありまして、選擧長をきめるとか、所定の告示をするとか、訴訟の相手方になるとかいうようなことでありますから、格別參議院にいたしましても、自己の利益に關係いたしますことを扱いまするがために、曲つた結果が出て來るというようなことを考える餘地のないものでありまして、このものにつきましては、むしろ參議院議員のうちから選ばした方が適當なのではなかろうかと考えたのであります、ただこれにつきましては、參議院議員のうちから選ぶといふようなことでなく、むしろ廣く有權者のうちから選任する、全く別箇にしたらどうかというようなことを考えてみたこともございました、しかしながら全國選出議員選擧管理委員會でいたします仕事は、府縣におきまする選擧分會までの仕事を、それぞれ道府縣なり、或は市町村の選擧管理委員會がいたしまして、結局府縣單位の選擧分會から報告を受けました以後の扱いをいたすのが、全國選擧管理委員會の仕事でありますから、さように選任についてまで複雜にいたす必要はないであろうというような、いろいろな考えの經過を辿つて、只今の原案のように落ちついたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=44
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045・石川金次郎
○石川委員 八十一條に關連して、費用の屆出について伺いたいと思います、どういう趣旨で屆出主義をとつたか、またその效果についてもお伺いいたしましたが、その屆出は内務大臣にも、それから都議會議員選擧管理委員會にも、道府縣會議員選擧管理委員會にも、全國選出議員選擧管理委員會にも、全部屆け出るようにしなければならぬように見えますが、その通りでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=45
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046・郡祐一
○郡政府委員 第八十一條はそこに列擧いたしましたような機關が、屆出の公表をいたすのであります、この公表の形は、告示、公示、或は公聽會というような形をもつていたすこともあろうかと思いますが、團體支出責任者なり、或は政黨その他の團體の主幹者が屆け出ます相手方は、七十九條及び八十條に書いてありまするように、それぞれの種類のものにつきまして、數府縣に跨がりまする場合におきましては、内務大臣であるとかそうでないものにつきましては、都道府縣の選擧管理委員會であるとか、そういう工合にそれぞれきめてありますので、その機關に屆出をすればよろしいわけであります、從いまして、公表もそれぞれの機關がいたすわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=46
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047・石川金次郎
○石川委員 八十一條については、あなたの仰しやる通りでありますが、ここで内務大臣にも、全國選出議員選擧管理委員會にも、兩方に屆けるようになつておるのではないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=47
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048・郡祐一
○郡政府委員 仰せられまするのは、八十條第一項の「主たる事務所のある都道府縣の云々「經て内務大臣に」という所でございましようか——これは經由機關になるだけでありまして、屆出の相手方は内務大臣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=48
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049・石川金次郎
○石川委員 内務大臣のみが屆出を受けるということになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=49
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050・郡祐一
○郡政府委員 そこにありますように、二以上の都道府縣の區域に亙つております場合には、二以上府縣に跨がります選擧管理委員會というものはございませんが、全國選出議員選擧管理委員會がございますから、從いまして二以上の府縣に亙りまする場合には、いずれの管理委員會にもこれを專屬させることは適當でございませんし、それから數府縣に跨がりまするから、一つの府縣の選擧管理委員會が公表しただけでは不十分でございます、さような意味合において二以上の府縣に亙りまする場合には内務大臣だけにいたしております、但しさような屆出のあつたということは承知しておく必要がございますから、經理機關としてだけ、道府縣選擧管理委員會にお願いすることにいたしております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=50
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051・石川金次郎
○石川委員 最後に一つお伺いいたしたいと思います、私どもの考えによりますと、選擧費用の最高限を廢止したという點と、なお供託金の制度を金高を高めたというような點、選擧の公營ということを徹底化したいという點について、この選擧法が求めんとする所の參議院議員の學識經驗ある人、職能に經驗ある人ということを求めますことは私どもにはきわめて危險が見られるのであります、この危險であるかないか、至難であるかどうかということはまず見解の相違といたしましても、政府はより優秀な議員を參議院に求めまするために、國民の教養を高めるには、どのような努力をなさるのか、ただ單に國民の教養に俟つのだ、國民にこれを期待するのだ、こういうことだけになりましては、政府が役目を果さないことになるのであります、政府がこのような方針によつて、この參議院議員選擧法を生かして行くのだということの御決意を一つお伺いしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=51
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052・郡祐一
○郡政府委員 參議院議員選擧法の精神の存します所を、各種の行政機關竝びに公共團體に徹底いたしまするためには、あらゆる會議、講演會、文書によりまする徹底等の措置を講じております、それから費用の最高制限額を撤發いたすことに伴いまして、もしその結果惡質な買收というようなものが起つて來るような傾向がありますれば、これは嚴に抑制しなければならないことでありますから、それらに對する取締り方針の徹底というようなことは勿論いたします、それから公營の點につきましては、公營を擴張したいことは希望する所でありまするけれども、現在の物資、勞力の點では十分にこれ以上に擴げることができませんから、すべて經歴等に關しまする公報の發行と、行い得まする公營の範圍を、きわめて有效にするような指導はいたします、しかしさような行政機關、公共團體、取締官憲等に對しまして、適切なる措置をとるようにはいたしまするけれども、それ以上いかにしてよい人が選ばれるか、いかにしてよい人を候補者に出てもらうかということにつきましては、かつてのいわゆる肅正選擧——東條選擧のごときは論外といたしまして、かつての肅正選擧におけるがごとき、政府が進んで候補者を引き出そうということには、一切觸れるべきものではないと考えております、これらの點につきましては、參議院に適當するようなよい候補者を出すということにつきましては、政府なり支持團體なりの活動に專らまちたい、かように考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=52
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053・石川金次郎
○石川委員 私の質問はこれで終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=53
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054・大島定吉
○大島(定)委員長代理 青木泰助君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=54
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055・青木泰助
○青木(泰)委員 私の伺いたいことは、たいてい同僚委員各位の應答によりまして了承いたしましたが、ただ一、二點ちよつとお伺いしたいのは、この草案に總括主宰者ということがありますが、衆議院議員選擧法の方では、選擧事務長を廢止したということは、非常に時代に副うたやり方であると考えておりますが、やはり總括主宰者というものを、どうしても責任の對象にしなければ、公正なる選擧はできないと當局はお考えでしようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=55
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056・郡祐一
○郡政府委員 總括主宰者の點につきましては、衆議院選擧法におきまする總括主宰者と同じように、實質上さような總括主宰をいたします者を考えております、その點は全く衆議院議員選擧の場合と同樣に考へております、從いまして選擧事務長というような、かつての法定選擧運動者等のごとき思想は、全然はいつておりません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=56
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057・青木泰助
○青木委員 從來疑問になりますのは、總括主宰者の位置でございます、見方によつては選擧の總括主宰者であるし、また見方によつては一部分を擔任するというので、これが裁判所においては非常に議論の分るる所であります、いつそのこと選擧事務長を廢止した趣旨によりまして、選擧の條文から總括主宰という文句を、將來拔くお考えはありませんか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=57
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058・郡祐一
○郡政府委員 いわゆる總括主宰者は選擧の中樞といたしまして、その全般を支配する實權を有する者、かように抽象的には觀念できますが、只今お話のように、その間に疑問の起る場合があるのでございます、ただかような觀念を全く拔いてしまいまする時は、これによりましていろいろな弊害が起つて參る、さような點が心配いたされるのであります、從いまして、抽象的には十分觀念が出て參るのでありますが、實際問題として疑問の生じますような表現によりませずに、もつと的確に押えますとか、他の方法によりまして、犯罪の防止ができまするような方法がもし考えられますれば、これに固執いたすわけではありません、その點は次ぎの衆議院議員の選擧法の改正の場合には、よく檢討いたして見たいと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=58
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059・青木泰助
○青木(泰)委員 その點は了承いたしましたが、第八十條には「政黨その他の團體の主幹者」とありまして、選擧法に政黨という字句がはいりましたのはこの法案が初めてと思います、それだけにわが國の民主主義が發達したということは私どもは非常に喜んでおりますが、この第八十條のような場合に、議員候補者を政黨が推薦した場合に、その主幹者が屆出の責任を負うということになりますと、これは事實においてとうてい處理ができないような場合が起りはせぬかと思うのです、たとえば一つの大なる政黨が、全國定員百人に對して百人の候補者を推薦した、そういう場合に、その主幹者が一一責任をもつて收入支出の監督をして屆出るという責任を負わされ、しかもそれが罰則をもつて臨まれておるという點につきましては、いささか政黨の自由を拘束するような嫌いがあるのではありませんか、重ねてその主幹者とは、現在各政黨にありまする總裁、或は幹事長その他また選擧に對して臨時にできまする所の選擧對策委員長というようなものを意味するのでありましようか、そこを判然と一つ御答辯を願いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=59
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060・郡祐一
○郡政府委員 仰せのように、ここに政黨と申しておりますのは、その政黨ということ自身の意義、これは何らか別途の方法をもつて、さらに明確にいたさなければ相ならぬと思います、それに伴いましていわゆる主幹者というようなものも、今後政黨というものをいかなるものを考えるか、また政黨自身の組織をいかに考えるかということによりまして、主幹者が何であるかということもはつきりして參ると思うのでありますが、この參議院議員選擧法上で、かつ施行令で明確にいたそうとしておりますのは、臨時に選擧等のために出て參りまする委員長のようなものではなくして、常時におきまする——屆出が法人である場合も法人でない場合もございましようが、組織の代表者という工合に考えております、しかしてその場合に代表者と申しますのは、事務的な面におきましてこれを代表いたしますものであります、從つて總裁のようなものではない、寧ろ幹事長というような形になる場合が多いだろうと考えております
〔大島(定)委員長代理退席、委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=60
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061・青木泰助
○青木(泰)委員 只今の御説明でだいたい了承いたしましたが、政黨の主幹者に對しまして、屆出を怠つた場合に、第八十六條によりまして體刑と罰金刑の選擇刑をもつて臨んでおりますが、これは一般の法制の觀念から、あたかも會社、いわゆる法人の代表者に對しましては、多くの場合罰金刑をもつて臨んでおるに拘らず、この條文では、政黨の主幹者が屆出を怠つた場合も、支出責任者が屆出を怠つた場合でも、同じに體刑をもつて、或は罰金刑をもつて臨むということは、課刑上少しく酷ではないかと思う、これを草案されました精神をお伺いしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=61
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062・郡祐一
○郡政府委員 七十九條、八十條を通じまして、自由刑、罰金刑の選擇刑を規定いたしておりますが、仰せのように政黨等につきましては、おのずから判決例によりまして、非常な不合理な結果を生ずることがないように規定いたされることと思つております、この課刑の程度は、現在の支出責任者の屆出に對しまする課刑と同程度に相なつておるわけでありますが、團體につきましても、かような選擇刑をもつて臨みまする程度に、團體の主幹者に對してもこれを要求いたします程度に、この公開の前提と相なりまする屆出制度というものは、嚴なる勵行を期待いたす、かような理由がこの罰則をきめました理由でございます、しかしながらこの運用につきましては、勿論十分考慮を拂われることと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=62
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063・青木泰助
○青木(泰)委員 只今の質問に附隨いたしまして、衆議院議員選擧法では、こういう屆出を怠つた場合には、罰金三百圓もしくは五百圓をもつて臨んでおるに拘はらず、今囘の草案によりますと三千圓ということに額を上げましたのは、やはり現在の經濟情勢を考慮してやつたものか、それとも特に重く處罰しようという精神から三千圓という額を上げたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=63
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064・郡祐一
○郡政府委員 御覽のように、罰則の所に、特に三條を設けておりまする部分については、いづれも現行の衆議院議員選擧法の該當條文に比しまして十倍になつております、これはやはり關係方面と折衝中に問題になり、そのように決定いたした點なのでありまするが、アメリカ等の立法例に比べまして、わが國の立法例は罰金が低いのであります、これはほとんどすべての法律の罰則を交渉いたしまする際に、罰金刑の低い點を指摘されるのでありまするが、左樣な立法例は別といたしまして、事實體刑と罰金刑との均衡が、日本の法律は實際低い、選擧法でもまたこれは低いように考えるのであります、それで一應十倍といたして置きましたが、さらに衆議院議員選擧法の改正には、全部にわたつて吟味はいたしまするが、だいたい十倍ぐらいに罰金刑は引き上げた方が、體刑との均衡がとれるであろう、從いましてこれ以外の部分につきましても次ぎの議會に提案いたすべく、衆議院議員選擧法については改正を加えたい、かように考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=64
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065・青木泰助
○青木(泰)委員 最後にお尋ねいたしまするが、この草案の罰則は、「衆議院議員の選擧に關する罰則を準用する」こういうふうに概括規定になつておりますが、衆議院議員の現行罰則は、先般の選擧によりましてだいぶ緩和されましたとはいいながら、或は御存知の通り昭和十二年かに、時の官僚が、政黨人が比較的計數法令の觀念に乏しい機會に乘じまして、政黨彈壓のために非常なる細かい罰則規定を設けたのであります、それが今日大部分生きております、かような立法精神からできたところの罰則を、今後このままに存置するということにつきましては、やはり今日の民主主義に反すると私は考えます、將來衆議院議員選擧法改正の際に、この罰則をやはり時代に適應したる、今殘つておりまするような政黨彈壓法ともいうべきようなものに、大改正を加えるの御意思があるか、またわれわれ立法部におりまする者も、これに對しては當局から案が出なければ、そうした大改正をしなければ、今日の選擧の自由というものはどうしても保てないと私は信じております、この點につき當局の御意見を拜聽します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=65
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066・郡祐一
○郡政府委員 總括的に罰則を準用しておりまするが、本委員會でたびたび御論議のありまするように、運動の部分におきまして、特に衆議院で取締つておりまするものを、參議院法では取締つておらぬ部分があり、從いましてさような準用が働かない部分が相當多いのであります、從いまして衆議院の罰則に比べまして、形式的な部分につきましては、罰則の準用範圍は遙かに縮減した次第であります、さらに根本問題といたしましては、罰則では、御説明も申し上げましたが、買收でありますとか、利害誘導、選擧妨害、官吏公吏の犯罪、これらの種類につきましては、相當重い罰則を設けまするが、その餘の手續き的な部分につきましては、極く原則的なものだけにいたしまして、殘りはなるべくお説のような方針で罰則の整理を研究いたしたいと思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=66
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067・青木泰助
○青木(泰)委員 私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=67
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068・犬養健
○犬養委員長 野坂參三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=68
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069・野坂參三
○野坂委員 私の第一の質問は、もし内務大臣がおられればその方が適當と思いますが、政府委員からお聽きして、もしそれでも納得が行かなければ内務大臣にお願いいたします、それは内務大臣が貴族院の委員會で、參議院の性格を抑制機關というふうに言われたと思ひます、これはどういうことを意味したのか、具體的に答えていただきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=69
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070・郡祐一
○郡政府委員 參議院は原則といたしまして、衆議院が判斷をいたしましたことについては、第二院としての性格上、第一院の決定が著しく不穩當である場合に、異つた決定をいたすべき性格のものだと考えるのであります、從いまして、第一院の決定いたします所が著しく輕率でありますとか、著しく矯激でありますとか、或は石川さんからもお話があつたように存じますが、或は著しく實情に合わない頑迷なものである、さような場合においてのみ、第二院は第一院の定めまする所に、異りまする判斷を下すべきものだと考えるのであります、さような意味合におきまして、第一院の定めましたことを、しかもわが國の憲法におきまして、衆議院は參議院より遙かに優越した權限をもつておるのでありまするが、その權限を前提としつつ、しかも著しく失當と判斷される場合において、第二院は異つた決定をいたして參る、そこに第二院の意味合があるのであつて、常に第一院と同じ判斷を第二院が下すものといたしますならば、二院制の存在の理由はないのであります、さような場合に、第一院の判斷と異る判斷をして、そうして事態の決定を最も妥當なる所に落ちつける、かようなものだと思うのであります、さようなことを參議院に期待すべきものだという意味合で、この抑制機關という言葉が用いられておると思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=70
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071・野坂參三
○野坂委員 するとこれは、こういう前提の下に言われておるというように判斷をしてよいのですか、つまり衆議院の方は誤りを犯しやすいこと、反對に言へば參議院の方は誤りを犯しにくい、そういう解釋より方法がないと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=71
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072・郡祐一
○郡政府委員 誤りを犯しやすいという前提は全くございませんので、誤りのあつた場合においてはという意味だと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=72
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073・野坂參三
○野坂委員 これはちよつと議論みたいになりますけれども、もう一度はつきりしなければならぬ、そうすると衆議院自身も參議院に對する抑制機關にもなるわけでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=73
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074・郡祐一
○郡政府委員 抑制機關と申します意味には、第一院が優越した權限をもち、しかももし常に第一院は誤りが絶對にないということであれば、二院を特に設ける必要はございませんけれども、誤りを犯した場合におきましては、これを矯正いたす、さような役割をもつております、申さば衆議院が積極的な、能動的な役割をもつておりますに對しまして、參議院は消極的な、受身な役割をもつております、かような意味合において、抑制機關という言葉が言われておられるのだと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=74
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075・野坂參三
○野坂委員 この問題はまだ議論が相當あると思います、ほかの方からも恐らくこの問題は質問されると思いますから、内務大臣が見えてからのことにして、次ぎの問題に移ります
第二の問題は年齡の問題ですが、この第四條に被選擧權は年齡三十年以上と書いてあります、これを衆議院の方は二十五年以上、こちらは三十年以上とありますが、どうしてこの五年の差を設けたかという點であります、この根據はどこにあるかといえば、恐らく憲法の第四十三條に「兩議院は全國民を代表する選擧された議員でこれを組織する。」つまり「全國民を代表する」というふうに書いてあります、これを本にして第四條が生まれて、年齡三十歳、これは同じく衆議院の方にも適用されるものだと思います、衆議院の方も二十五歳で全國民を代表する、當然參議院も國會の一つとして全國民を代表しなければならない、そうした場合において、一體五歳という年齡の差をどうして設けたか、二十五歳から三十歳までの人は、ここでは選擧されないということでありますか、それだけのものは全國民を代表しないということになると、その差ですね、この點についての説明を願いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=75
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076・郡祐一
○郡政府委員 まず全國民を代表するという意味合は議員は全國民の利益について考えるものでありまして、有權者は自分で選ぶものの委囑を受けるものではないという、選擧に關しまする基本的な思想を現わしておる所に、意味があると存ずるのであります、從いまして年齡をいかように制限いたしましても、それは全國民を代表することに、なんら差はないものと存じます、ただ被選擧權の年齡をいかに定むべきかということは、これは衆議院の場合、參議院の場合、すべてを通じましていろいろな考えがなり立つものであります、選擧權の方は、選擧權を行使するという一定の必要のために生まれて來るのであるから、これには制限を置く必要がある、しかしながら被選擧權の方は、有權者が參議院なり衆議院なりに、最も適格だと信ずる者を選べばよろしいのであるから、被選擧權の年齡制限は不要であるという論も、なり立つと思うのであります、しかしながらこれは考え方によるのでありまして、選擧權、被選擧權の年齡のごときものは、これは多くの國の立法例でも設けておりますように、極くわずかな國が選擧權と被選擧權とを同一にしておりますけれども、立法例の多數は選擧權と被選擧權とには差を設けております、また多くの國の立法例が、被選擧年齡の中で、第一院と第二院の年齡を區別いたしております、さような意味合で、先ほどの御質問でも抑制という言葉についてお尋ねがありましたが、北さんが仰しやられましたようにチェック・アンド・バランスでありまして、これは普通の書物などに、抑制機關という言葉を普通にいつも使うものですから、第二院の第一院に對する抑制機關であるという言葉を、普通にいつも使いまするために、大臣もさように申しているのでありまして、抑制という日本語それ自身も、あまり適當な日本語ではないと思いますけれども、とにかくさような意味合で、第一院の定めまする所に對して、第一院が失當な措置を講じたと考えます時に、これを矯正いたし、或は間接に反省を促すというのが、第二院の性格であると前提をいたしまするならば、第二院の方は第一院よりも、これは私はよき意味の保守性というような言葉で申しておりましたが、進歩的な面で、或は建設的な面で缺くる所がありましても、第二院の議員は第一院よりはより手堅いと思います、過誤を犯しにくい、熟慮する性格を持つというような面を、第二院の議員にはもたせるべきものである、かような見地が第一院と第二院の年齡を、いずれの國でも差別を設けている所だと思うのであります、しかしてその差別の設け方は、第一院に比べまして、第二院の方を十五年くらい高くしている例もございます、十年の例もございます、五年の例もございます、十五年の例は、チエッコスロヴァキヤは第一院の三十年に對して第二院が四十五年であります、それからフランスは、第一院が二十五年で第二院は四十年、十五年の開きをもつております、ユーゴスラヴィアは、第一院三十年、第二院四十年、かような例がございます、しかしながら、多くの國におきましては、常に第二院の方は第一院よりも年齡を高くしております、しかしながら、著しく第二院の年齡を高くいたしまするということは、保守的な性格をあまりに強くする結果、新憲法の運用に、かえつて支障を來すのではないだろうか、一定の社會的經驗を積み、しかも必要な思慮分別を備え、これはなんと申しますか、最も端的に捉えますのは年齡であります、年齡の點において若干高める、しかしその高め方を、なるべく第一院との差を少ない所に決定いたしたい、かような考え方で三十年といたしておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=76
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077・野坂參三
○野坂委員 私たちの方では、年齡を三十年とかいう制限よりも、衆議院と同じにしたらいいという考えをもつておりますけれども、これは別にして、第二の問題としては、選擧區及び定數の問題について伺います、全國選出、これが百名、これは單記で百人のうち選擧民はただ一人を選ぶ、こういうことになつております、そうなつて來れば、國民一人々々の立場から見ると、代表者全體の百分の一しか代表することができない、百分の一に代表させる、現在の衆議院の選擧では、この附近で行けば、たとえば一選擧區で十名とか十一名、そのうちの連記で二人自分が選ぶことができるのだから十分の二、これをわれわれは代表者に選ぶことができるということになつている、所が、百人の中で一人しか選べないということは、これはあまり選擧民の意思の代表され方が少な過ぎやしないか、こういうふうな私たちは考えをもつている、もう一つの言い方でいえば、これよりも理想的に言えば、比例代表、少なくとも連記制という方が、選擧民の全國選擧區における場合においての意思の代表というものは、一番適確ではないか、こういうふうに考えます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=77
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078・郡祐一
○郡政府委員 投票の記載方法につきましては制限連記、完全連記、單記、いろいろなことが考えられると思います、ただいかなる場合におきましても、各有權者について平等な選擧が行われなければならぬのでありまして、有權者の立場から言うても平等でなければならぬのでありますから、かような意味合におきましての差別のないような方法を用いなければならぬことは勿論であります、そうして現在の衆議院議員選擧法の制限連記と申しますものが、不完全ながら比例代表的な考え方に近ずかしむるために、また有權者をして選擇の範圍を豐かならしめるためというような考え方で、制限連記をいたしております、しかしながらその結果は世上しばしば指摘されますように、有權者の考えが全く分裂いたしておつて、いかなるものを推薦せんとするかが、判斷に苦しむような投票の結果が出ておる部分がありますことも御承知の通りであります、制限連記につきましては、いろいろと疑問があるのであります、それで定員が多數でありながら一名しか書かない單記というものは、投票の形式として、非常に不完全であるというようなことを論ずる學者もあり、論も成り立つのでありまするけれども、しかしながら單記という形は、わが國におきまして、或る程度親しまれて來た形であります、今度はなるほど定數は多いのでありますけれども、完全連記にいたしますということも、百名を完全連記いたしますことは不可能であります、またさような方法をとりまするならば、現在の貴族院の伯子男爵の互選の如き弊害の起つて參りますことも豫想いたされるのであります、それから制限連記につきましては、先般の衆議院議員の選擧の結果も、必ずしも好ましいものとも考えておらないのであります、いろいろの點を考えまして、且つ百人を選びます際の制限連記を、どの程度に認めるかというようなことは、既に百人という選擧區を認めます以上、結論を下すことが、ほとんど不可能でありましたので、單記ということそれ自身に、著しい各有權者に對する不平等というような缺陷のございませんように、この方法をとることが、一番妥當であるという結論に達した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=78
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079・野坂參三
○野坂委員 政府の方ではこういうことは問題にならなかつたかどうか、念のためにお聽きしたいのですが、それは參議院の方で、今二百五十名として、百五十名を地方選出議員、百名を全國選出議員、こういうことでありましたが、これを單記、全國選出議員一本で行く百名にして地方選出議員の方はやめてしまう、なぜならば片方で結局衆議院の選擧方法がそれとだいたい似て來ておる、重複して選出される、こういう形になるので、地方選擧の方はやめて、全國一本で行く、こういうことは問題にならなかつたのですか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=79
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080・郡祐一
○郡政府委員 選擧區の問題につきましては二種の選擧區を併用いたしますこと、それから地方選擧區のみによりまする方法、それから全國のみによりまする方法、だいたい採用し得る順位も、只今申し述べましたような順位で考え、從いまして全國選擧區一本の方法というものは、政黨の發達等の状況によりまして、比例代表のような形がとれまする場合には、それぞれの段階で締め括りをしまして、最後の締め括りの段階として、全國を一つの單位にみる、ワイマール憲法下におきまするドイツの選擧法のように、或は考えられるかも知れぬ、しかしながら現在の段階においては、全國一選擧區のみによるということは、到底不可能であろう、かような結論に達した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=80
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081・野坂參三
○野坂委員 特に全國選擧區の方ですが、或は地方選擧區の方でも同じことですが、つまり政黨以外の團體の推薦ということは、これは當然差支えないと思つておりますが、その點をお伺いします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=81
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082・郡祐一
○郡政府委員 候補者を政黨以外の團體が推薦支持いたしますことは、當然豫想いたしております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=82
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083・野坂參三
○野坂委員 そうしますと、たとえば勞働組合が勞働組合の名前で、自己の候補者を推薦するということも許されるわけですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=83
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084・郡祐一
○郡政府委員 勞働組合の議員候補者の推薦等の政治活動につきましては、ひとり選擧法のみでなく、他の方面からも判斷さるべきことと思いますけれども、選擧手續きそれ自體としては、さようなことは想像されることと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=84
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085・野坂參三
○野坂委員 その點もう一つはつきりお聽きしたいのですが、たとえば現在の勞働組合の方から推薦したといつた場合に、勞働組合法、或は勞働組合の性格、こういう點からみて、これは違法なのか、違法ではないのか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=85
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086・郡祐一
○郡政府委員 私が只今選擧手續きそれ自體としては、と申上げましたのも、さような意味合でありまして、勞働組合法自體の判斷から、無條件にこれを認め難いというような場合も、私は考えられるのではないかと思いますけれども、これは直接勞働組合法の解釋を私ども主管いたしておりませんので、その點は明瞭に私としてはお答えいたし兼ねます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=86
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087・野坂參三
○野坂委員 そうすると今の方面を變えて、たとえば全國産業協議會とか、或はその他のいわゆる資本家團體というものの推薦は、これはどうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=87
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088・郡祐一
○郡政府委員 これは政黨とそれ以外の團體の實際の選擧につきましての區別というものは、恐らく將來記號式の投票でも考えられまするような場合には、政黨それ自身については、記號式の投票に、直ちに候補者を記入することができましようけれども、それ以外のものにつきましては、いかなる團體、組合を豫想したらいいかが見當がつきませんので、そういう點で政黨とそれ以外の團體との區別が起つて參ると思うのであります、そうしてすべての團體につきましては、御承知のように政黨結社の屆出に關しまするポツダム命令も出ておりまするし、いろいろな系統の法令によりまして拘束されておりまするけれども、選擧法それ自體といたしましては、各種の團體間に差別の起るということはないと思うのであります、ただこれに附加いたしまする他の系統の法令によりまして、或る種の團體というものが一定の拘束を受けるということは、私はこれはやむを得ないことと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=88
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089・野坂參三
○野坂委員 こういう點は或はあとで、他の所管大臣の方からはつきりと説明してもらう必要があるだろうと思います、特に勞働組合の問題は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=89
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090・犬養健
○犬養委員長 では内務大臣を呼びます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=90
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091・野坂參三
○野坂委員 その次ぎは選擧費用の問題です、この問題は深く言うことはありませんが、ただざつくばらんにお聽きしたいのは、この選擧費用について制限しなかつたこと、これはつまり政府が取締りにくいといつたような、取締る能力がないからこうしたのか、それとも金のある政黨は大體成功する、こういう見透しでやつたのか、この點をざつくばらんにお聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=91
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092・郡祐一
○郡政府委員 ざつくばらんに申しまして、(笑聲)費用の取締りはさほどこれを重視して取締る必要もなし、實益もない、現在費用の制限と申しまするものは、現行法におきまするような立法でありまする場合には、これによりまして違反の取締りということも事實上——これによりまして何と申しますか、惡質犯を摘發するというような場合もございませんし、ほとんど實益を認めない、必要がない、こういうのでありまして、取締り能力の點でもなければ、金のある政黨を放任しよう、或はこれを助長しようという、いずれでもないのでありまして、さようなものはさして値打がない、ただ昨日來繰り返し申し上げまするように、費用の點につきましては、只今のような最高制限額を抑えるというような、素朴きわまる費用の制限それ自身は値打がない、このような種類の寄附金はこれは受け入れることができない、寄附の最高額はこれこれでなければいけない、收支はかくあるべきだというように、一方においてはより徹底した費用の制限が望ましいのである、かような考えで、最高制限額一本という素朴な方法にあまり重點をおいておらぬと、こういうわけで落した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=92
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093・野坂參三
○野坂委員 あと少し小さい問題になりますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=93
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094・犬養健
○犬養委員長 大臣が見えましたから、今のことを……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=94
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095・野坂參三
○野坂委員 一通りこの小さい問題を濟ましましてから……、第二十二條に投票立會人、それから三十條に開票立會人、これに候補者自身がなれない、こういう規定を設ける必要はないか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=95
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096・郡祐一
○郡政府委員 お尋ねの趣旨が、候補者自身が立會人になることを禁じないのかという意味でありまするならば、立會人は候補者の利益を代表いたしまして、投票なり開票なりに關與いたすものでありますから、本人自らがさようなものに當るということを阻止する理由はないと思いまして、さような制限をおく考えはございません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=96
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097・野坂參三
○野坂委員 それから小さい問題ですが、第六條の終いの方に「官吏及び吏員」とありますが、この「官吏及び吏員」というのはどういうものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=97
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098・郡祐一
○郡政府委員 これは一切の國の官吏及び公共團體の吏員を含んでおります、但し第六條に書いてありますように、選擧事務というものは、すべて選擧管理委員會で行われますので、官吏及び吏員が選擧事務に關係をして參りまする場合は、選擧管理委員會が手不足であるがために、囑託をされたというような種類のものが、官吏、吏員の身分で第六條の適用を受けて來るものと存じます、非常に稀有な例を申しますと、東京都管内の島の中に、町村制を施行しない土地がありますが、かような島では選擧管理委員會がございませんから、そこの吏員に當る者が管理するというようなことが、理窟の上ではあるのでありますが、さようなことはお尋ねの根本ではないと思います、結局囑託を受けた者というくらいが殘るわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=98
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099・野坂參三
○野坂委員 あとは皆小さい問題ですけれども、この條文にはわかりにくい點が相當あると思います、たとえば氣のついたことだけ見ても、第二十七條の第二行目などで「全國選出議員の選擧ごとに、一の選擧を以て合併して」と「一の選擧を以て合併とあるが、こういうことはどうもはつきりしない、私は氣のついた點を擧げますから、あとでこれが修正できたらわかるように修正していただきたい、ずうつと見ればまだ澤山あると思います、二十三頁の第五十六條の第七項などもそれに屬する、二十三頁の三行目の「第二項の規定」そこの文句も非常にわかりにくい、それから六十二條の第一項、二十六頁の四行目の「但し、同一人に關し」この同一人というのは、これは或は私の誤解かも知れないけれども、明確でない、それから六十八條、二十九頁の後ろから四行目に「缺員の數を通じて」の「數を通じて」というふうなこと、それから七十一條にも同じような「數と通じて」とあるが、これは變な日本語で、もしこれを合計してという意味ならば、合わせるとか、合計するとか言つた方がはつきりするじやないかと思います、それから附則の第五條、四十四頁の第五條の二行目に「第七十五條の規定にかかわらず」とあります、けれども、實は七十五條の但書だと思います、もしそうならば、これは但書と入れる方が正確じやないかと思います、これが但書かどうか、ちよつとお聽きします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=99
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100・郡祐一
○郡政府委員 只今御指摘になりましたような點は、なるほど率然と見ますと、ちよつとわかりにくいような言葉もあるのでありますが、これらの規定はそれぞれ現行の衆議院議員選擧法等に用いてありまして、慣熟した一つの觀念ができておりまして、これを變えますことは、かえつて觀念の混雜を來す種類のものでございます、「缺員の數を通じて」にしましても、「同一人に關し」にしてもそうであります、ただ從來文語を用いておりましたのを口語に直しましたために、やや口語として熟しておらない點があるやの部分もありますけれども、それらの點については、今後十分考えて參りたいと思いますが、只今御指摘になりましたものについては、多く他の選擧手續き等について規定しております用語と同一の部分でございますから、これはこのようにいたしておいた方がよろしいように考えます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=100
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101・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 只今御尋ねのこの附則第五條の方におきまして「第七十五條の規定にかかわらず」といつておるのは間違いではないか、七十五條但書の規定にかかわらずというべきではないかというお尋ねのようでありますが、これは本文の七十五條と申しますのは、選擧訴訟、當選訴訟竝びに七十四條のいわゆる連坐訴訟、これらにつきましては衆議院議員選擧法の訴訟の例によるということになりますると、地方長官と内務大臣に裁判所の方から通知をせよ、こういうことになるのであります、それに對しまする例外として、全國選出議員の方につきましては、本文の方に特に但書で例外規定を書いております、地方選出議員につきまして特に附則で、内務大臣及び地方長官の代りに、「内務大臣及び關係都道府縣の長を經て都議會議員選擧管理委員會又は關係のある道府縣會議員選擧管理委員會」、こういうふうにいたしました、これは將來衆議院議員の選擧法におきまして、裁判所の方から通知いたすべき相手方が、内務大臣と道都府縣の選擧管理委員會というふうに變ることを豫定しているわけなのであります、そういうふうに衆議院の選擧の方の訴訟の通知は、内務大臣と都道府縣選擧管理委員會に通知せよということになりますと、七十五條の本文の方によりまして、「訴訟の例による」と申しておけば、當然衆議院と同じように、内務大臣と都道府縣の選擧管理委員會に裁判所から通知することになるのであります、所が衆議院の方には全國選出議員という制度がございませんから、そこで本文の方に特にこの但書でこういう條項を設けたのであります、しかしこの附則の五條の方では、この本文の但書を排除するだけではいけないのでありまして、やはり本則の内務大臣及び都道府縣の地方長官というものを排除いたしまして、特に「當分の間」というのは衆議院選擧法が改正されるまでの間、内務大臣及び都道府縣の選擧管理委員會を指すのだ、こういうふうに書き替えておるのであります、非常に技術的でございまして、ややはつきりいたさぬと思いますが、簡單に申しますと、選擧法が未だ直つておりませんから、選擧法が直りましたならば、地方長官という言葉が全部選擧管理委員會と變ります、その變つた場合には本文の方で「訴訟の例による」と申しておけば、地方選出議員の場合も、衆議院と全く同じように選擧管理委員會に通知をしなければならないということになるのであります、こうなりましても、全國選出議員の方につきましては、そういう對應する規定が衆議院の方にありませんから、そこで特に七十五條の本文に但書を書いたのでございます、そこでこの附則の五條の方では衆議院の選擧法がさように改正するまでは衆議院の例によると申すと、地方長官ということになつて參りますから、そこで地方長官の代りにこの選擧管理委員會という言葉を、特に出して讀み替えておるこういうわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=101
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102・犬養健
○犬養委員長 それでは速記を止めて懇談會に移ります
————◇—————
〔午後三時十分懇談會に入る〕
〔午後三時二十分懇談會を終る〕
————◇—————発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=102
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103・犬養健
○犬養委員長 それでは速記を始めます、引續き質疑を許します、大澤喜代一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=103
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104・大澤喜代一
○大澤委員 だいたいこの法律案に對する質疑はほぼ出盡くしたようでありますが、しかしいろいろ伺つておりましてもこの法案の根本的な性格ということにつきましては、まだ一應納得しかねる點がありますので、極く簡單に、できるだけ意見を交えないでお尋ねしたいと思います、言ふまでもなく參議院法につきましては、過ぐる第九十議會において憲法が討議された時に、その性格というものが規定ずけられております、しかし同時にあの憲法が通過する際に、重大な附帶決議がついていることは御承知だと思います、念のためにその附帶決議を讀みますと、「參議院は衆議院と均しく國民を代表する選擧せられたる議員を以て組織すとの原則はこれを認むるも、これがために衆議院と重複する如き機關となり終ることは、その存在の意議を沒却するものである、政府は須くこの點に留意し、參議院の構成については、努めて社會各部門各職域の智識經驗ある者がその議員となるに容易なるよう考慮すべきである。」という附帶決議がついております、そこで私がお伺いしたいのは、この附帶決議の精神に基づいて今度の法律案がどういう風に構成されているか、そのおもなる點をお伺いしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=104
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105・郡祐一
○郡政府委員 政府は立案に當りまして附帶決議の御趣旨を十分尊重しつつ考慮いたしたのであります、ただ今もお話がありましたように、附帶決議中に言われておりまする以外にも、憲法それ自身がいくつかの選擧についての基本的事項をきめております、そのために練熟堪能の社會的な經驗を積まれた方を得るために、被選擧年齡について若干の差違を設け、それから選擧區の點におきまして、全國選出議員という形式によつて、社會の各部門から、府縣の全國選擧においては得られないが全國的な組織によりましては、或る職能の者を選び得るというような期待をもつているのであります、それ以外におきまする職能代表的な考え方、或はいろいろな職域から出そうというような構想、純粹な意味においての職能代表制それ自體は採用できませんし、それではそれ以外に適當に候補者を出す部門分をいたすというような程度のことをいたしましたのでは、衆議院と一向變りがございません、いろいろな案を考えましたが、そのいずれも採用し得ず、さようにいたしました結果、その趣旨に副ふものとして全國選出議員を考えた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=105
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106・大澤喜代一
○大澤委員 續いてお伺いしますが、これは内務大臣から直接お伺いしたいと思ひますが、内務大臣の本案に對する提案説明の中に、職能代表制は、必ずしも新憲法の趣旨を阻むものではないと考えられるがということを前提といたしまして、ただそれができないのは、現在のわが國においては未だ職能組織の完備したものがないのであるという點で説明しておりますが、完備しないという點と、完備した形態とはどういう形態を指すのか、その點をお聽きいたしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=106
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107・大村清一
○大村國務大臣 別にそこに一線を劃するというようなものはあるわけではございませんが、だいたいわが國の職能組織は、きわめて不完備なものだということは定論だと思つている次第であまりす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=107
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108・大澤喜代一
○大澤委員 完備した形態というものについてわれわれは相當關心をもつのですが、はたから見て少くとも完備していない、完備ということはよほど複雜な内容をもつておりますが、あなたの仰しやる完備した形態とはどういう形態を指すのか、もう少し具體的に承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=108
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109・大村清一
○大村國務大臣 職能代表制を選擧の上に採用するといたしまして、もし完備という言葉が不適當でありまするならば、採用するのには甚だ不完備だという趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=109
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110・大澤喜代一
○大澤委員 それ以上はもう仕樣がないから後廻わしにします、そこへできるだけ職能代表的なものを採用するという意向は或る程度盛られております、しかしかりに二百五十人のうち百人は全國の選擧單位であるし、百五十人は地方選擧、いわゆる地方を選擧區にしてやることになりますが、二百五十人の中の百五十人は多い方なのです、百五十人を地方府縣別を單位にして選擧したというだけで、はたして附帶決議の精神というものが具現するでしようか、その點の大臣の御意見を伺います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=110
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111・大村清一
○大村國務大臣 衆議院の附帶決議にありますように、社會各部門の知識經驗を參議院に反映するという點から、だんだん構想を練り考えたのでありますが、その御趣旨に最も近寄る方法といたしましては、新憲法の基本的條項等を參酌いたしまして、さきに地方局長からお答え申し上げましたように、全國一選擧區制を取り入れるという點が、最も衆議院の附帶決議の趣旨に合うものだという結論に達したわけであります、しかし參議院を構成します上におきまして、地方選出議員というものを加えますことも、地方の事情に精通した人を入れるという點において大いに意義のあることであります、また各國の第二院の構成におきましても、地方選出議員というものが、どこでもあるものでありますので、參議院の構成の上におきましては、兩者を適當に配合した方がよかろうという結論に達したわけであります、しかし今までにも御説明を申し上げましたように、全國選出議員を選ぶ場合におきまして、一時、百五十人、百人、乃至五十人というような大體三説あつたのでありますが、百五十人はいささか多きに失しはしないか、また五十人は少い、まず地方選出議員の百五十人に對して百人くらいにいたしておきますれば、全國的議員の選出にちようど適當な所ではなかろうか、これはいわば腰だめ式なことでありまして、的確な根據があるわけではありませんが、そういう判斷で地方選出議員を百五十人とし、中央はそれよりいささか少い百人ということに結局落ちついたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=111
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112・大澤喜代一
○大澤委員 この附帶決議の精神から言いますと、できる限り衆議院と異質的なものでなければならない、異質的なものだということは、換言しますと、可能な限り職能代表が多く參加するということになるだろうと思います、所が今までの説明を聽きますと、結局そういう異質的な、衆議院議員を異なる職能代表的な議員の選出は、そうでない百五十人の數より少い、そうしますと、この參議院の今後の運營性格の上から申しましても、異質的なものということが確言されないのではないか、私はこう考えております、この點はたとえば大村内務大臣は、參議院の選擧法案特別委員會の速記録を見ますと、貴族院においてそういうことを言つておられるようでありまして、政府が地方選出議員よりも少くいたしました趣旨は、學識經驗のある全國的な、有力な議員を得るという點からみますと、その數が餘り多きよりは、百人程度がその趣旨に合うておるというようなことを言つておりますが、しかしほんとうの學識經驗を兼ねて職能代表をするというような人ならば、全國を一單位にして百人しかないというような見解は、私としては贊成しない、むしろ私の方の黨としましては、全國單位でなくして、地方ということを言つておりますが、しかしかりにそのことにいたしましても、今大村内務大臣の議論からみますと、でき得るだけ一流の人物を出すという意味から言えば、どうしても全國一選擧區單位が十分考慮されぬばならぬ、そうすると百人ではなく、むしろ百五十人といつた方が趣旨に合うと思います、そこじやないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=112
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113・大村清一
○大村國務大臣 參議院の構成において、地方選出議員と全國選出議員を設けるにいたりました理由は、だいたいさきに申し上げたのでありまするが、さて全國選出議員を採用するといたして選出することにつきましては、これはわが國におきましてはもとより初めての試みであります、また外國の例を見ましても、全國一選擧區という例は未だありません、ただ一つドイツにおきまして、比例代表制をとる場合におきましての投票の計算法に、全國的なことをやつたのでありますけれども、これはわが國に採用しております全國一選擧區とは、全く性質の異つたことでありまして、結局諸外國にも前例の見るべきものはございません、そのような次第でありまして、だいたい百人程度のものでございましたならば、まづ間違いなく制度の趣旨としておる當選人を得ることができるであろうという、一つの見透しからこの制度をとつたのであります、なお地方選出議員につきましては、選擧區の關係におきまして、衆議院議員の選擧區と大差はないのでありますが、しかしかねても御説明申し上げましたように、各選擧區に配當されます議員數におきまして、參議院の方は著しく少ないのであります、なおまた憲法におきまして、兩院制度を採用いたしました趣旨によりまして、選擧人が衆議院には衆議院に適する人、參議院には參議院に適する人という所で、投票人におきまする判斷も大いにあることでありまして、これによりまして地方選出議員といえども、衆議院と全く同一なりということにはならぬと思うのであります、まず新しい制度でもございますので、この程度で選擧を執行いたしまして今後全國選出議員が、制度の趣旨に合うように廣く選ばれる、それがいいということになりましたならば、またその時におきまして、それに對應いたしましたことを考慮しても遲くはないと思うのであります、國權の最高機關たる兩院のことでありますので、構成上におきまして、あまり見透しのつかぬことは、理論に走らず堅實に進んだ方がよかろうというような所で、このようなことにきまつた次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=113
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114・大澤喜代一
○大澤委員 もう一つお伺いします、大臣の説明の中に、參議院が異質的なものでなければならぬという具體的な説明としまして、こういうことを謳つております、第二に投票方法においても、衆議院議員の選擧における連記制に對し、參議院の場合には單記制をとつておる、ここでお伺いしたのは、そうしますと現在の衆議院の選擧法でありまする連記制が、しばらく續くものと前提しまして、この單記制という今度の參議院の案がつくられたのでありますか、この關係はいかがでありますか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=114
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115・大村清一
○大村國務大臣 只今御指摘になりました點は、現行の衆議院議員選擧法と參議院議員選擧法案との相違點を述べる點に、私は重きをおいて説明をしたつもりであります、そうして現在の衆議院議員選擧法の制限連記制につきましては、世上可否の議論があることでありまして、この點につきましては、選擧關係をもつておりまする内務省といたしましても、理論的にまた際實的に、輿論の動向等につきまして深甚の注意を拂つておる次第であります、なおまた一面におきましては、先ほど來ここでも話題に上りましたように 完全連記制も考慮すべしというような機運も動きつつあるようでございます、これらの點につきましては今後十分に考慮いたしまして、將來或は兩院とも同一の方法に改めるというようなこともあり得るのではないかと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=115
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116・大澤喜代一
○大澤委員 それでは念のためにもう一度お伺いいたしますが、衆議院議員の選擧法中、連記制が今後改正される場合におきましては、參議院の方の選擧方法もまたこれに沿うて改正されるのだ、こういうふうに受け取つて構はないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=116
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117・大村清一
○大村國務大臣 それは必ずしも同一になるとも言い切れない問題だと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=117
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118・大澤喜代一
○大澤委員 しかしあなたの御説明の中で、參議院は衆議院と比較して異質的なものでなければならぬ、そうすると異質的なものだというきわめて大きな現われが、すなわち衆議院の連記制に對して參議院は單記制をとるのだ、こういうことになつておりますと、萬一衆議院が連記制でなくて單記制になつた場合に、ここの異質的なものだという現われが、そこにおいて意義を失つて來るのではないか、それですから今後の衆議院の選擧法の見透しについて、われわれは重大な關心をもつのであります、この參議院の法律は今後しばしば變るものだと考えてよいかどうか伺いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=118
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119・大村清一
○大村國務大臣 その單記と制限連記との點につきまして現状を説明したのでありまして、將來これをどの程度に改正せられるかということにつきましては、國會を中心にいたしました輿論によつてきまるものと思うのであります、なおその點につきましては、現在の選擧區については、地方選出議員については衆議院とほとんど同樣でございますが、これにつきましても世上或は衆議院は中選擧區にしろ、乃至は小選擧區にしろということの意見もあります、もしそれらにきまりますれば、かりに投票方法がいずれも單記或は連記に統一されました場合におきましても、選擧區を變えることによりまして異質性をそこに求めるということも可能な次第でありまして、これらの點は全體の選擧方法の構成と睨み合わせまして、そこに兩院が異なつた質のものになるという大目的を達するように、考慮する餘地があるのであります、しかし政府といたしましては、未だこれらについて的確なる結論を得ておるわけではございません、またこれは今後の政治の行き方として、政府が單獨に、獨善的にきめるべきものではないと思います、國會を中心にいたしまして、新憲法の精神に、何か最も適する兩院の構成であるかという所で解決されるものと考えておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=119
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120・大澤喜代一
○大澤委員 それではもう一度別のことをお伺いいたしますが、政府は今度の參議院の選擧に當りまして、職能代表が積極的に多く參加することを希望しておりますか、それとも積極的に希望しておらないか、その點を伺います、たとえば勞働組合であるとか、或は農民組合であるとか、そういつた人達の代表が、積極的に參議院の議席を占めることを希望しておるかどうか伺いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=120
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121・大村清一
○大村國務大臣 この新憲法を審議される機會におきまして、衆議院におきましては、各部門の知識經驗が參議院に反映するように、政府は深甚の考慮をするようにという附帶決議があるのであります、この附帶決議の御趣旨は、もし法制上また制度上といたしまして、いわゆる職能代表制が取り入れられるものならば、その點を一應考慮する責任は政府にあるというように考えまして、この點を種々檢討いたしたのでありまするが、結局これは、立法上の方法によつて解決することは、適正な案を得ることができなかつたので、これを抛棄したのであります、しかして衆議院の附帶決議の趣旨に最も近い制度としては、全國一選擧區制がまずこの際採用し得る最善のものであるということで、全國一選擧區制をとつたのであります、しかしてこれが運營につきましては、今後の事實上の選擧の遂行途上において、適當に解決せらるべき問題でありまして、政府といたしましては、職能代表制が、自然的にこの事實上の選擧に行われますことを特に奬勵もいたしません、反對もいたしません、これは選擧人及び候補者の自由に發展せしめられる所に任すべきが至當である、政府としてはそう考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=121
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122・大澤喜代一
○大澤委員 それではその點は意見になりますから省きます、ただ念のためにお聽きしたいのは、大村内務大臣は、今度の委員會席上ではつきりと、先ほども野坂君が指摘しましたように、參議院は單に抑制的な機關ではなくて、保守的でなければならぬ、こう言つております、その保守的なものだということは、いろいろ郡政府委員の説明で承りましたが、どうしてもわれわれ納得できない、それはどういう點において納得できないか、それは拔きにしまして、大村内務大臣が今度の貴族院における説明をみますと、内務大臣の考えておる保守的というものが、現在の政治經濟の状況に照らしまして、いわゆる保守反動的な見解を露骨に言つておられるのではないかと思われる點がありますので、一、二具體的にお聽きします、それは貴族院における速記録を見ますと、下條という方が、こういうことを質問しております、「全國に組織をもつておるような團體、たとえば具體的に申しますれば、勞働組合というような、その他そういうような團體が、その組織の力によつて多數の議員を參議院に送ることが可能じやないかと思います、それも必要と思います、しかしながらそういう一部の種類の議員だけが、餘計に參議院の議員の構成を占めるということは、適當であるかどうかという問題であります、」こういうことを言つております、これは明らかに今日の貴族院の性格を露骨に示しております、しかし私はこれを議論する意思はない、ただこれに對して大村内務大臣はどう答えておるかというと、「全國選出議員の場合におきまして、現に全國にわたりまして組織をもつておるというような場合におきまして、それから推薦をし支持をする者が當選しやすいということは、これは確かに豫想し得ることであります、しかし新憲法によりまして、兩議院を設け、しかして參議院をして抑制機關としての機能を發揮させるという、參議院の性格に相應わしい議員を選ぶということは、國民、特に有權者に課せられた責任でございます、この點につきましては輿論と申しますか、選擧人の自覺にまちまして、そこに參議院に議員として適當な者を選出する組織が、將來大いに發達しなければならぬものだと思うのであります。」非常に抽象的でありますが、われわれの受けた印象によりますと、貴族院の下條という方が、今度の參議院議員の選擧法が通過することによつて、勞働階級が進出するということに對して、國務大臣は積極的に反對する、やはり下條と同じような考えをもつておるように思われます、そういう意味から言いますと、大村内務大臣が、この間から申しております參議院は保守的でなければならぬということの、もつと具體的な内容を、もう少し私は説明していただきたいと思ふ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=122
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123・大村清一
○大村國務大臣 只今貴族院の委員會におきまする速記録を御引用になりましてお話があつたのでありますが、それはその速記録にあります通りでありまして、そこにそれ以上の推測を加えられることは、私すこぶる迷惑に思います、私が質問に答えました心持を申し上げますと、選擧法によりまして國民に貴重な選擧權が與えられました場合におきまして、國民はいかなる人を選ぼうとも、これは全く自由であります、故に進歩的な候補者に對しまして、全國民がそれに共鳴いたしまして、その人が多數に當選いたしますならば、參議院の性格は衆議院よりもさらに一層急進的こなりましても、これは一向差支えないことだと思うのであります、私は今後健全なる國民の政治活動によりまして、適當に參議院が構成されて行くことを期待いたしまして、そのような答辯をいたした次第であります
それからなお參議院の性格につきましては、私たびたび説明をいたしておりますように、結局これは兩院制度を設けまして、兩院の長短を相補わしめますとともに、審議の愼重を期するという所に、結局の作用はあるものと思うのであります、或は參議院の保守性乃至は抑制作用というような點は、これは學説におきましてそういうな傾向になつておるのであります、この點は鈴木委員におきましても御指摘になりました所でありまして、學説上のその作用というものは、私もだいたいそういう傾向のものであろうと思うのであります、或は年齡を高くとり、乃至は任期を長くするとか、しかもそれにおきましては半數交代というような所を入れております、なおまただいたい衆議院をもつて優越性を規定をいたし、參議院は結局の場合におきましては、衆議院に讓るというような所から見ましても、これは積極的に物を建設するというよりも、寧ろ退いて衆議院の行き過ぎを覆審をいたして、是正するというような、實際上の政治作用から來ておる傾向を言つておるのでありまして、いよいよの場合になりますれば、結局兩院の特性という點は、私は兩院制度を採用して、その長短を相補わしむる、それから同一事を二度審議してみるという所に、本質的なものがあるのだというように考える次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=123
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124・大澤喜代一
○大澤委員 保守的であるという意味は、學説上のことであるというようなことを言つておりますが、まあしかし、それは學説であつても何であつても構わないのであります、ただ日本の現在の状態におきましては、でき得る限り保守的でない方が、日本の民主化によいのであります、そこで私は特に保守的ということをお伺いしたいのであります、しかし只今の御説明によりますると、必ずしも參議院は常にいわゆる文字通り保守的でなくても、國民が選んだ參議院の性格によつては、急進的な場合も一向構わんのだというふうに仰つておりますが、それで差支えないわけですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=124
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125・大村清一
○大村國務大臣 一に民意によつてきまるものと考えます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=125
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126・大澤喜代一
○大澤委員 そうすると抑制機關であるということは、その場合にどうなりますか、あなたは急進的になつて構わぬということを仰しやつておりますが、急進的な場合には抑制機關として働かぬと思う発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=126
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127・大村清一
○大村國務大臣 この前にも申し上げましたように、結局參議院の突き詰めました特質は、衆議院と參議院とが長短相補つて審議をする、それからもう一つは複審をするとい所にあるのだと思うのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=127
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128・大澤喜代一
○大澤委員 それでは、先ほど勞働組合と今度の選擧の關係について木村君から言はれまして、まだはつきりしませんから、私からお伺いします、實はこの點は厚生省の方がお見えになつてはつきりさしていただきたいと思いましたが、まだお見えになりませんので……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=128
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129・犬養健
○犬養委員長 お答えいたします、厚生大臣も政府委員も不在なんで、本省に連絡して、まだ返事が參りません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=129
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130・大澤喜代一
○大澤委員 それではもしこのことが内務大臣の管轄に屬しておることだつたら御説明願いまして、それでなかつたならば、厚生大臣が來てからでよろしいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=130
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131・犬養健
○犬養委員長 これは委員長から便宜申し上げますが、選擧法自體としては差支えない、勞働組合の基本的本質から見て厚生省の意見があろう、こういうことで厚生省の意見を別に伺う、こういう態勢を整えているわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=131
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132・大澤喜代一
○大澤委員 ただこの點について質疑する點は、内務大臣からもし御説明できるのでしたら、していただくようにお願いしたいと思います、勞働組合と選擧、これを大きく見まして、勞働組合と政治活動、これはもう最近非常に大きな問題になつておるようでございますが、これについて、新聞の傳うる所によりますと、最近極東委員會は、日本の勞働組合に對して次ぎのような原則指令を出したと、こう言つております、それは勞働組合が政治活動に參加し、政黨を支持することを認めねばならぬ、こういうことになつておるようにわれわれは新聞を讀んでおります、そうすると内務大臣の御答辯をいただきたいのは、勞働組合が選擧活動をするのは、勿論これは政治活動ですが、今一つこれをもう少し一歩を進めて考えて見ますると、勞働組合が政黨と相呼應して、政黨の目的を達成するために、勞働組合に許されておる所の、たとえば罷業權だとか、或はその他の團結權を行使して、政治的な活動をするというようなことは、この場合政府としてはどういうふうに考えるか、極東委員會の指令というようなものと睨み合わせて、内務大臣の御感想を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=132
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133・大村清一
○大村國務大臣 勞働組合が勞働組合のもつておりまする本質、職能というものを達成する上におきまして、それに直接關連しております所の政治問題にタッチをするということは、これは私の見解によりますれば、當然認むべきものである、ただ勞働組合の本質と全く離れた、ほかのそれと遊離しました政治活動をいたしますことは、これは勞働組合の本質上適當でないだらうというように、私は一應考えておるのであります、しかしこの勞働組合の健全なる發達をはかるという上におきまして、この點は専ら厚生省におきましてその問題を主管いたしておりますから、もし只今私の申し上げましたことが、主管廳の厚生省の見解と一致せざる點がありましたならば、私は直ちにその説を放棄いたしまして、厚生省の見解に從うつもりでおります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=133
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134・大澤喜代一
○大澤委員 それではそのことはいずれ厚生省から來てから承らしていただきます、それでは、私地方に行つて體驗して來たのですが、集會の自由についてです、今度選擧が始まると、全國に澤山集會が行われます、所が私が今度歸つた時に、私達は治安警察法などはどんどんああいうようになくなりまして、今まで集會は屆け出なくてもできるものだと考えておりました、所が私の方の青森縣あたりで見ますと、一週間くらい以前に集會屆けを出さなければ、全然集會を許可しない、解散された例もあります、その後調査しました所が、これはどこか關係筋からの命令であつて、三日くらい前に屆け出なければ、集會は許さぬというようなことを、縣の警察部の方でも申しておるということであります、はたしてこれが事實であるかどうであるか、この點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=134
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135・大村清一
○大村國務大臣 集會の點につきましては、かつてわが國におきましては、治安警察法によりまして、相當の手續きが要ることになつておりましたが、治安警察法を廢止せられました今日におきましては、日本警察といたしまして、何らこれに對して取締りをいたしておりません、ただ進駐軍におきまして、進駐軍の必要から各現地軍におきまして、集會に對するいろいろの取扱いについての手續きを規定しておるもののあることは事實であります、これは全國的に統一されておりません、各地方の實情によりましてまちまちになつておるのでありまして、その事實は私らの方も十分確認をいたしておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=135
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136・大澤喜代一
○大澤委員 今後の選擧につきまして、一々二日以上、三日乃至一週間というような集會屆を出さなければ、許可せないということになると、非常に問題が大きくなつて來ると思います、これは全國劃一的でないかも知れませんが、いろいろ聞くと、かなり全國的に行われていると言いますが、これはどういうものでしようか、はたしてマッカーサー司令部のはつきりした意向であるかどうか、もしそういうふうな意向があるとするならば、この際何とか日本の實情を話して、そういう二日乃至一週間以上も前に屆け出なければ許可せぬというようなことをやめてもろうような方法はないものでしようか、これを一つ伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=136
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137・大村清一
○大村國務大臣 近く各種の選擧が行はれる場合におきまして、言論集會はなるべく活溌に行われることが望ましいことと思いますので、只今お話しの趣旨によりまして、なお内務省といたしましても十分考慮いたしまして、その邊の話し合いをいたしてみたいと考えております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=137
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138・大澤喜代一
○大澤委員 質問を終りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=138
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139・犬養健
○犬養委員長 竹谷源太郎君がおられませんし、松澤君もおられませんので、本日の質疑はこれで打切りまして、明日午前十時より會議を繼續いたします、本日はこれにて散會いたします
午後三時五十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009111168X00419461223&spkNum=139
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