1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
増加所得税法案(政府提出)(第五號)
有價證券の處分の調整等に關する法律案(政府提出)(第七號)
戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案(左藤義詮君外四名提出)(第一號)
昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出)(第八號)
食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)(第九號)
開拓者資金融通法案(政府提出)(第一〇號)
開拓者資金融通特別會計法案(政府提出)(第一一號)
昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案(政府提出)(第一二號)
政府の契約の特例に關する法律案(政府提出)(第一三號)
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昭和二十一年十二月二十一日(土曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 稻田直道君
理事 井田友平君 理事 西村久之君
理事 小池新太郎君 理事 舟崎由之君
理事 佐竹晴記君 理事 松永義雄君
理事 赤澤正道君
今井はつ君 河原田巖君
田中重彌君 田中實司君
天野久君 原捨思君
細川八十八君 井上良次君
川島金次君 町田三郎君
二階堂進君 的場金右衞門君
井出一太郎君
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本日の會議に付した議案
増加所得税法案(政府提出)
有價證券の處分の調整等に關する法律案(政府提出)
戰時補償特別措置法の一部を改正する法律案(左藤義詮君外四名提出)
昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出)
食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)
開拓者資金融通法案(政府提出)
開拓者資金融通特別會計法案(政府提出)
昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案(政府提出)
政府の契約の特例に關する法律案(政府提出)
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十二月二十日委員島田普作君及び松本淳造君辭任につきその補闕として稻村順三君及び大澤喜代一君を議長に於て選定した。
十二月二十日
昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出)
食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出)
開拓者資金融通法案(政府提出)
開拓者資金融通特別會計法案(政府提出)及び昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案(政府提出)の審査を本委員に付託された。
十二月二十一日
政府の契約の特例に關する法律案(政府提出)の審査を本委員に付託された。
出席國務大臣
運輸大臣 平塚常次郎君
出席政府委員
大藏政務次官 上塚司君
大藏事務官 野田卯一君
大藏事務官 池田勇人君
大藏事務官 櫛田光男君
大藏事務官 長沼弘毅君
農林政務次官 大石倫治君
農林事務官 松野孝一君
食糧管理局長官 片柳眞吉君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=0
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001・稻田直道
○稻田委員長 それでは會議を開きます。昨二十日の本會議で、昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案、開拓者資金融通法案、開拓者資金融通特別會計法案、昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案の五案が本委員會に併託になりましたので、これらを一括して議題にいたします。まず政府より提案理由の説明を聽取することにいたします。上塚大藏政務次官。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=1
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002・上塚司
○上塚政府委員 まず昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案について御説明申し上げます。
本案提出の理由は、本會議において申し上げました通りでありまして、昨日本院を通過いたしました昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加改第一號乃至第三號のうち、第一號及び第二號の經費につきましては、増加所得税法の制定による租税の増加、煙草値上げによる專賣局益金の増加等による増收額を財源として、收支の均衡をはかつたのでありますが、改第三號に計上いたしました經費の所要財源九十三億圓につきましては、今日の場合、これを擧げて公債によるのほか途がありませんので、やむを得ずこの法律案を提出することといたしたのであります。
次に食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案提出の理由のその一つは、從來の交付證券たる食糧證券の性格を變えて、これを食糧の買入資金の調達の證券とし、食糧の買入代金の支拂いを現金によることとするものでありまして、すなわち從來食糧證券が交付證券でありましたため、食糧の買入代金が原則として豫算に計上せられません關係上、豫算上においては食糧の買入計畫の全貌が明らかにされていなかつたのでありまするが、今囘それを改めまして、豫算上においてその計畫を明瞭ならしめようとする趣旨によるものであります。
その二は、この會計の負擔で食糧證券を發行し、または借入金のできる最高限度額を現行の五十二億圓から百億圓に引上げようとするものであります。これは主として米穀の買入價格の引上げに伴うものでありまして、これにより食糧の買入れについて萬遺憾なきを期しようとするものであります。
以上の理由によりこの法律案を提出いたした次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=2
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003・稻田直道
○稻田委員長 次ぎは大石農林政務次官。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=3
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004・大石倫治
○大石政府委員 開拓者資金融通法案につきましてその内容を御説明を申し上げたいと存じます。
この法案は現在開拓者の最も必要とする營農に要する資金と、住宅の建設または取得に要する資金とを、政府の手で融通しようとするものでありまして、その資金の貸付及び償還に關する條件、その他の事項をここに規定し、別途開拓者資金融通特別會計を新設し、これによつて運營することにいたしているのであります。
この法案の内容の第一點は、政府の貸付けする資金の種類とか、相手方に關するものであります。政府の貸付ける資金は、開拓者が農具とか、肥料とか、家畜とかいう、營農に必要なものを調達するのに要する資金と、住宅を建てたり買つたりするのに要する資金に限られておるのでありまして、いわゆる生活資金は含んでいないのであります。ここに開拓者と申しますのは、開拓地にはいつて農業を經營する者を本來は指すのでありますが、開拓地でなくても、入植の實情が開拓民に準ずる境遇にある者をも含めているのであります。開拓者一戸當りの貸付額は毎年度の豫算と物價などとの關係を睨み合わせて定められているのでありますが、その最高限度は、たとえば營農に要する資金は一戸當り一萬圓というように命令で定める豫定であります。
次ぎに貸付の相手方でありますが、これは開拓者個人またはそのつくつている組合が法人格をもつている時は、その組合を相手として貸付けることといたしております。
次ぎに内容の第二點は、貸付金の貸付條件とか償還の方法に關するものであります。貸付金の利子は年三分六厘五毛でありまして、これは公債の平均利廻りと同率であります。しかしてその償還は、最初の五箇年は無利子で据置き、第六年目から十五年の元利均等年賦償還の方法によつて辨濟させることになつております。しかし償還義務者の申し出による一時償還の方法を認めておりまするとともに、次ぎの場合には償還義務者の償還能力または償還の意思が疑われるので、開拓委員會の意見を聽いて、状況によつて一時償還を請求することができる仕組にいたしているのであります。すなわち(イ)、償還義務者が年賦金の支拂いを怠つた時。(ロ)、資金の貸付を受けた者が、その資金をもつて商賣をするというような貸付の目的に反する用途に供した時。(ハ)、資金の貸付を受けた者が、その農業經營を怠つたりやめたりした時、またはその貸付を受けた組合の組合員が農業經營を怠つたりやめたりした時であります。
内容の第三點は、年賦金の支拂いに際し、開拓者の經濟状態と物價の變動との調整に關するものであります。普通の貸借の場合には、貸付當時と償還當時との間に貨幣價値の變動があつても、償還の金額を動かさぬのが通例でありますが、開拓民は資力貧弱であるため、今後の貨幣價値の變動のままに放任しておくことは、開拓者の農業經營を苦しめることになりますので、年賦金のうちの元金部分を、この變動に應ずるよう増減しようとしているのであります。すなわち現在物價の目安を比較的的確に表示するものとして、政府の米穀の買入價格をとり、年賦金の支拂いの時の米穀の價格が、當初の貸付金の貸付を受けた時の米穀の價格に比較して下落した時は、その年賦金のうちの元金に當る部分をこれに應ずるように減額し、その反對に米穀の價格が昂騰した時は、當初の貸付金を超過しない限度においてその年の償還金を増額することにいたしておるのであります。そうして米穀の價格の下落が續いて、年賦金の減額が重なつたため、當初の貸付金額に達しないような場合は、その不足額は支拂うに及ばないという、いわゆる減免の制度を設けているのであります。そこで各年の年賦金の増減があつた時、その次ぎの年の年賦金は、本來ならばその増減のたびごとに改訂になるはずでありますけれども、このことを實際にやりますことは、非常に複雜な事務になりますので、或る年の年賦金の増減は、その年以降の年賦金の額に變更を及ぼさないことにし、これを償還の最後の年に廻して、そこでそれまでの増と減とを入り合わせて清算することにいたしているのであります。
なおここで政府の米穀の買入價格といいますものは、食糧管理法第三條によつて、毎年農林大臣の定める米穀の標準買入價格を指すこととしておりまして、このことは、この米價はあくまで一般物價の趨勢の目安として適當であることを前提としている建前上、今後此の性質が變ることがありとすれば、これとは別に目安を設ける必要があると考えるのであります。前に述べました貸付金の一時償還をさせる場合、それが貸付金の一部について行われる時は、右の年賦金の増額の場合と同樣に取扱うことにいたしております。
次ぎに内容の第四點は、年賦金の支拂いの猶豫に關するものでありまして、災害や、これに準じて考えられるような事由で、開拓者の農業收益が減少した時は、その年の年賦金の支拂いを實情に應ずるよう猶豫しようとするものであります。
最後に内容の第五點は、資金の貸付及び償還に關する重要事項について、開拓委員會の活用に關するものでありまして、貸付金の償還義務者の申し出によらないで、政府から請求する場合における貸付金の一時償還の請求、米穀の價格の變動に對應して行う年賦金の増減または災害等の事由による年賦金の支拂い猶豫等の事項については、政府は開拓委員會の意見を聽いて行うことにしているのであります。開拓委員會は、現在中央及び都道府縣に設けられているものに、金融部會といつたようなものを設けて、そこで扱わせる豫定であります。
以上内容の概要を御説明致しましたが、何とぞ愼重に御審議の上、御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=4
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005・稻田直道
○稻田委員長 上塚大藏政務次官。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=5
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006・上塚司
○上塚政府委員 次ぎに開拓者資金融通特別會計法案提出の理由は、別途提案の開拓者資金融通法案によりまして、開拓者の農業經營を安定させるため、政府において行いまする開拓資金の融通に關する歳入歳出につきましては、これを一般會計と區分經理いたしまして、開拓者資金融通に關する事業の經理を、一括明瞭にすることが必要と存ぜられるのでありますが、この措置を講じますにつきましては、會計法第三十九條の規定により、これに關する法律の制定が必要でありますので、この法律案を提出いたしました次第であります。
次ぎに昭和二十一年法律第五十五號の一部を改正する法律案提出の理由は、帝國鐵道會計收益勘定及び通信事業特別會計業務勘定における昭和二十一年度の經費の財源につきましては、さきに兩會計收支の状況に顧み、その一部を借入金に求めることといたしまして、これに關する昭和二十一年法律第五十五號の制定を見たのでありますが、今囘帝國鐵道會計收益勘定において必要といたしまする追加經費の所要額十一億七千二百十餘萬圓及び運賃收入の減小による歳入不足の補填のための所要額十三億二千萬圓と通信事業特別會計業務勘定において必要といたしまする追加經費の所要額五億八百十餘萬圓のうち、四億二千四百七十萬餘圓の財源につきましては、兩會計收支の現状からいたしまして、借入金によるのほか途なきものと存ぜられまするので、やむを得ずこの法律案を提出いたした次第であります。何とぞ右四件につき速かに御贊成を願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=6
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007・稻田直道
○稻田委員長 以上をもちまして政府の提案理由の説明は終りましたが、この五案のうちにおきまして開拓者資金融通法案と開拓者資金融通特別會計法案の二つの案は、政府において非常に審査の終了を急いでおられまするにつきましては、この委員會におきましてもこの趣旨に贊成いたしまして、この二案を特別に審査し、議了いたしたいと思います。いかがでございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=7
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008・稻田直道
○稻田委員長 それではこの二案に關しまして、質疑の通告順によりまして質疑に入ります。川島金次君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=8
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009・川島金次
○川島委員 簡單に今の二案についてお尋ねを申し上げたいと思います。この内容につきまして或は政府側から非公式にそれぞれ各黨にお話があつたということでありますから、或は説明濟みのことではないかとも想像されるのですが、私それに携わつて承つておりませんでしたので、一言一應お伺いを申してみたいと思います。
この開拓資金の問題ですが、だいたい政府におきましては、どの程度の開拓地というものを豫想しておられるか。それからこの資金を貸付けまする場合の開拓者の人員等も、あらかじめ豫定の基礎があるのではないかと、こう思うのでありますが、その點についての計畫がございましたならば、お教えを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=9
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010・大石倫治
○大石政府委員 詳細なる點につきましては、只今政府委員より説明を申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=10
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011・松野孝一
○松野政府委員 お答え申し上げます。開拓地の範圍は、昨年十一月政府において緊急開拓實施要領に基きまして、百五十五萬町歩となつております。それから資金の對象となるべき開拓者は、營農資金の方におきましては、全體で三十一萬一千二百九十人を豫定しております。これから住宅資金の方におきましては、内地が二十萬二千八百戸、北海道が十三萬五千戸を豫定しております。一人當りの金額は營農資金においては一萬圓、住宅資金におきましては七千圓を豫定しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=11
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012・川島金次
○川島委員 只今政府のきめてあります開拓の總地積というものはわかつておりますが、開拓の總地積の中で、田を開拓するもの、或は畠を開拓するというようなことも計畫の中に定めしはいつておるのではないかと思いますが、その點もわかつておりましたならばお教え願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=12
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013・松野孝一
○松野政府委員 お答え申し上げます。この百五十五萬町歩のうち、内地が八十五萬町歩になつておりますが、そのうち畑がほとんど大部分でありまして、田はわずかに一割に過ぎないのであります。それから北海道の七十萬町歩は全部畑になつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=13
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014・川島金次
○川島委員 開拓者の營農の上において、私は當然田畑に伴つてそれに附隨する所の山林なども相當必要なことになつておると思うのですが、この開拓計畫の中には、それ等營農者の必要とする山林などの對案というものも、やはりおありでありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=14
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015・松野孝一
○松野政府委員 御説明申し上げます。この開拓者に與えられる面積につきましては、たとえば東北地方以外は一町五反歩、東北地方は二町五反歩、北海道は五町歩、こういう工合にだいたい標準を定めておりますが、その一町五反歩、二町五反歩、五町歩の中におきまして、採草地、薪炭をとる所、それ等をこの外にとつておるのでございます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=15
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016・川島金次
○川島委員 その以外に、今の採草地や山林というものがあるということでありますと、やはり採草地、山林等に對する總體的な面積も出ておるのだと思うのですが、それはいかがでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=16
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017・松野孝一
○松野政府委員 御説明申し上げます。だいたい百五十五萬町歩の三割を豫定しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=17
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018・川島金次
○川島委員 この機會にもう一言お尋ねしておきたいのですが、開拓者の住宅資金は七千圓という話でありますが、一體七千圓の程度で住宅が今日の状況ではたしてできるかどうか。およそ開拓者というものは、だいたいにおいて戰災者もしくは疎開者或はまた引揚者、その中でも引揚者等が最も多數を占めておるのではないかと思うのですが、この七千圓という基礎を定める時に、どういう計畫内容で七千圓あれば住宅が建つという計算をなさいましたか。それを一つ伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=18
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019・松野孝一
○松野政府委員 御説明申し上げます。只今住宅資金として七千圓を貸し付けることにいたしておりますが、この住宅建設に關しましては、別途に政府において三千圓の補助金を出しておりますので、合計一萬圓となります。その一萬圓の算出基礎でありますが、だいたい材料費といたしまして七千圓、そのほか工事費二千七百圓、雜費三百圓として一萬圓ということになります。なお政府といたしましては、資材が非常に不足しておりますので、できるだけ資材を使わないように、住宅のいろいろな形式を考案いたしまして、結束型という、努めて資材のかからないものを特に奬勵してやつておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=19
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020・川島金次
○川島委員 私はこの開拓問題につきましては、年來多少の興味をもつておりまして、滿洲方面の開拓義勇軍、或は邦人の青年層の開拓地なども可なり見て參つた經驗もあるのですが、この住宅の問題は非常に私は開拓者にとつて重要な問題であるように思うのであります。恐らく政府當局といたしましては、この内地並びに北海道における開拓者に對する住宅の設計その他のことについて、十分の配慮があるのではないかと想像を申し上げますけれども、往々にして開拓者の住宅という問題が、營農開拓ということが重點に置かれまして、その開拓者の生活の面においては非常に第二義的な考へ方で輕視される恐れが、從來は多分にあつたのであります。殊に北海道の青年義勇隊或は開拓者等の實情を私が見て廻りました時にも非常に痛感をいたしたのでありますが、ほとんど住宅としてなつておらぬという形であつたのが、滿洲開拓の住宅の實情であつた。恐らく今のこの當局の御説明によりますれば、開拓者一世帶に對する七千圓竝びに補助金三千圓で、はたして井戸まで間に合つて行くような、或る程度まで人間の住める住宅というものができるかどうかということについて、非常に私は疑いをもちますと同時に、その無理な設計をいたしまして、採光とか或は通風とかいうふうな問題が非常に粗惡な條件にありますことは、開拓者自身の再生産の上に、いわゆる健康、衞生というような上にも、非常な響きをもつのでありますが、そういうことについて、私は、十二分の配慮をした上の設計と、その設計に基づいて、しかもこの金額の程度で完全にできるという確信がおありになるならば別でありますが、およそ開拓者というものはほとんど無一物というものが多いのじやないかと思う。この金だけをもつて直ちに住宅を建てなければならぬ、自分の餘裕の資金というものはほとんどない者が大部分である。そういつたことを考えましたときに、只今申し上げましたような採光、通風その他の關係上、殊に北海道のごときは寒い地帶でありまして、さういつた寒帶に對する所の住宅としての對策なども十分に配慮した上の設計でなければ、折角の開拓者がはいつたが、住宅の問題で病人が續出した、健康を害したというようなことでは、政府の目的とする百五十五萬町歩の大開拓事業というものも、畫餅に歸する恐れが十分にあるのではないかと思う。その點について十分の配慮があると私は思うのでありますが、もう少し詳しく御説明ができますれば、お教えを願いたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=20
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021・大石倫治
○大石政府委員 只今の御質問はまことに適切なる御質問であります。政府におきましても、御質問のごとき趣旨の上に立つてそれぞれ設計等を見込み、また一般の生活の常識的な方面からも考慮いたしていることは勿論でございますから、理想的の住宅、すべての完備したものをつくらせたいということには變りがないのでありますけれども、御承知のごとくこういうような時局でございまして、殊に開拓地はたいてい偏つた方面に多くありますので、理想的なすべて完全したものというわけには參らぬのであります。殊に物價が日々變動しておりまして、今日立てました豫算、設計は、明日の間に合わないというようなこともありますので、お話のごとき完全なる住宅を完全に提供するということが容易ならざることであることは、お察しの通りであります。從つて一万圓をもつて建てましても、家族數人が普通の日本建物に住まうというわけには參りかねるわけであります。御承知の通り全國の戰災復興の事情を御覽下さいましても、また實際の資材不足、物價の騰貴、いろいろの方面から開拓者としては不滿足、不便な點が多かろうと存じますけれども、政府といたしましては經費の支出の財政關係もあり、またいろいろのことがありまするから、その缺點短所を補いますためには、或は建築樣式を工夫して指導するとか、或は建築資材のいろいろのものをもつて、自主的、自治的に建築の安價にして方法のつくようなものをやつてもらうとか、暫くの間は不便或は不完全な點を忍んで、この時局に即應してもらはなければならぬというような考え方も含んでおらざるを得ない。これはやむを得ざる考え方であります。またこの開拓は全部無資力、無一物の者だけを對象といたしているのではありませんので、相當の資本力或は資力をもつている者も含めているのでありまして、全部失業救濟とか、救濟事業としての立て方でございませんから、そこに多少の積極性は見込んでおりまするので、この一萬圓は全部開拓者全體が借入れを必要とする場合もありましようし、或はその際自費をもつて、或は他の融通力をもつて行ける者もあると存じますから、たいていこの程度で政府は精一ぱいのことをいたしつつあるのであります。今後の情勢の變化によりましては、或はまた他にこれらの修正をしなければならぬ時があるかもしれませんけれども、現在におきましては、政府の施設といたしましても、これが精一ぱいのものであるという考えの下にできているということを、御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=21
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022・川島金次
○川島委員 今の御説明でだいたい了承いたしました。ついでにお尋ねしますが、内地方面はどうかと思いますが、殊に北海道方面の開拓地帶における位置というものは、非常に偏つた、しかも廣汎な範圍におかれるのではないかと思うのです。その場合に開拓者はだいたい集團的な入植ということになるのではないかと私、想像するのでありますが、そういう場合における第二の重要な問題は、開拓者自身の有する醫療設備、醫療機關の問題であります。それからさらに教育施設の問題、こういつたものも非常に開拓入植地帶における、重要な缺くべからざる所の問題になつて來るのであります。そういつた方面の對策というものも十分に立ててあると私は思うのですが、具體的にありましたならばお教えを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=22
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023・大石倫治
○大石政府委員 御質問の醫療、衞生等に關する問題でありまするが、これはやはり醫療班をつくつて巡囘診療、或は診察というような方法をとる方針をもつております。しかし五戸十戸の開拓民のために特に醫者をそこに定置しておく、或は特別の診療機關を設けるというふうには參りかねるのであります。なるべくそれらに對しましても附近の醫療或は診療機關との連絡及び巡囘診療等をいたさしめるようにいたしたいと存じます。また教育につきましても、これはなかなか通學の不便な所も、或は困難な所もございましようから、なるべく獨立したる學校或は教室を設けたい考えをもつておりまするけれども、五人、十人或は三十人、四十人のために、一つの學校を建築し經營するということは、國家財政の上からも、實際上においてもできないことは御諒承下さることと存じます。これらの點につきましては分教場式のものを建てまして、義務教育はなるべく完全にいたすように努力いたすつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=23
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024・川島金次
○川島委員 よくわかりました。どうぞ一つ開拓地の實際問題としましては、住宅或は飮料或は醫療施設、文化施設、教育施設と非常に重大な關連をもつものであります。どうかその點に十分に政府におかれまして配慮をすべきであると私は思いますので、希望を付しておく次第であります。なおついでにお伺いしますが、この開拓の場合において、政府としましては、開拓者がほんとうに生産にはいれるまでには私は相當の期間がなければならぬと思いますが、大體開拓者が入植してからその開拓地を開拓しまして、名實ともにほんとうに生産にはいれる期間を、どのくらいに見ているのでありますか、お伺いいたしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=24
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025・大石倫治
○大石政府委員 それらにつきましては、相當の期間生活上の問題が起ることは當然であります。かりにそういうふうにして、すべて營農資金、住宅資金等によつてやるという場合においても、やはりだいたい五箇年無利子貸付をするというような趣旨に基づいて考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=25
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026・川島金次
○川島委員 猶豫期間五箇年ということは、今のような事情を考慮に入れての話だと思うのでありますが、この説明によりますと全部が營農の資金、住宅資金で、先ほど政府の説明によりますと、生活資金はほとんどはいつておらぬ、こういう説明であります。入植者は必ずしも無一物の者ばかりではない、相當の餘裕のある者もいるのだと言いますけれども、資産のほんとうにない者も、相當な率になつているのではないかと私は想像申し上げる。その場合に開拓者が入植して、しかも世帶主のような者が入植して開拓に着手しまして、しかもその開拓地から改めて收穫を得るまでの間には、相當の困難と時期がかかるのである。その間の生活というものをどういうふうにしてやらせるかということも、非常に入植勸説の上におきまして、また入植者を遇する上におきましても、非常に大切な事柄だと思うのでありますが、どういう意味でその生活方面に對する資金はお考えにならずにおくのでありますか。それを一つお伺いいたしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=26
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027・大石倫治
○大石政府委員 お話のごとく國家が一切の生活を保障して開拓をさせますことは、やはり國力の關係、また實際におきましてもこれは容易ならざることでありまして、國家がそれほどの負擔をいたし得るものでないことはお察しを願いたいのであります。ただこの一箇年或は二箇年開墾したといたしまして、收入によつて生活なし得るまでの過渡期におきましては、或は開墾補助もあります。開墾の途次に對する政府の助成もあり、或は勞銀を得るやうな指導奬勵もあり、北海道のごとき地方におきましては、たいてい林野が伴つているのでありまするから、薪炭の生産、或はその利益、その勞賃等によつて、また開墾地であつても開墾をいたしました年のうちに收穫をし得るようなものもあります。たとえば蕎麥の如きものでありまして、氣温の關係もありまするけれども、やはり開墾をし、直ちに播種をして、收穫し得るものもありますから、すべてが完成するまで政府がことごとくこれを負擔するというようなやり方は、かえつて事の成功を妨げる恐れもありまするし、そこに自立的の奮勵力を奬勵するというような必要も認めるので、今日はその情勢において開墾を促進いたしたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=27
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028・川島金次
○川島委員 そうすれば入植者、すなわち開拓者というものは、餘程資力をもたぬとはいれぬという形になると私は思うのであります。資力をもつた者はよろしいのですが、むしろ私は資力のない人こそ、こういう方面に大いに奮勵してもらいたいということと、またそういうことが必要な時であると思うのであります。そういう場合に全然生活資金のない者を、蕎麥がとれる、何がとれると言いましても、それが全部熟練の營農經驗の積んだ農家の人が入植するならばいざ知らず、そうでない方面の人を相當に吸引しなければならぬという問題になつて來ると思うのであります。そういう場合に、相手が資力がない、それで入植した翌年から一年位は生活資金に困る人ができるだろう。一年位困つても心配ないのだという最低限度の條件、裏づけというようなものを與えておかなければ、この開拓者の吸引というものは成果を擧げることはできないのじやないか、かように思うのですが、その點に對して何らか適切なる措置を、今からでも遲くないのですから、考慮すべきではないかと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=28
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029・大石倫治
○大石政府委員 開拓事業と社會救濟事業とか失業救濟事業とは、おのずから異つておるのであります。御質問の標準となさる所は、全然無資力、業態をもたない者を標準とした時のお話のように窺われますが、そういう方は勿論あります。また引揚者であるとか、或は復員者であるとか、そういうような人も澤山あることは認めておるのでありますけれども、全部が全部そういうような全然無職、無資産、無資本というような方ばかりを標準としたのでは、開拓事業の遂行はおぼつかないのであります。只今のよやな方法は、つまり社會救濟事業、失業救濟事業というようなものと、ほかの國家施設を相俟つて、適當なる方法を講ずるよりほかないと存ずるのであります。なおその他にも開拓事業遂行上、或は開墾地をただちに收穫用に供するというばかりではなく、或はいろいろの副業、藁工品であるとか、竹細工であるとか、いろいろな地方々々に應じて適當な資材を得て、その餘剩能力を活用して、生活資金をつくらせるというような指導もいたすのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=29
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030・川島金次
○川島委員 ついでに御伺いいたしますが、その開拓者に對する食糧の當初の配給、たとえば米麥はわれわれ國民に對する配給と同樣に必要になつて來るのではないかと思うのですが、開拓者に對しては一定の收穫を得るまで、これは非農家と同樣な立場になるのですが、それに對する食糧の配給の量、それはわれわれ一般國民と同樣か、もしくは開拓者に對しては特別の配慮をすることになつておるのか、それを一つお聽かせを願いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=30
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031・大石倫治
○大石政府委員 只今まで入植者に對しては普通の配給を合わせて四合程度の配給をいたしており、また今後もより以上の配給をいたしたいという考えで要求いたしておりますが、未だそれ以上のことについては決定いたしておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=31
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032・川島金次
○川島委員 本案に對する私のお尋ねはこれで終りますが、たまたま農林政務次官がおいでになるので、一言この機會にお伺いを申し上げ、政務次官の御意見を一つ御發表願いたいと思うのです。それはほかでもございませんが、昨年來農地調整の改正に伴いまして、全國的に耕地の不當取上げが、白晝公然と頻發しておることは御存じの通りであります。これに對しまして、政府では昨年の十一月二十三日以降における不當なる耕作權の取上げに對しましては、それぞれ嚴重なる措置をする何か法令が出ておるように、私は覺えておるのであります。何かそれに對する具體的な罰則のようなものがあつたと思いますが、御承知でありましようか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=32
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033・大石倫治
○大石政府委員 自作創設に關する、先般御協贊を得まして實施いたしておる法律及び農地調整法の中に、はつきりそれは書いてあります。昨年の十一月二十三日以降における契約は全然效力を認めないということになつておりますから、政府におきましても實施に當りましては、これらの點を嚴重に堅持いたしまして、そうして不當取上げ等に對する返還、そういうものは買上げを無效といたしまして、全然新しき土地として取扱うような方針をとつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=33
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034・川島金次
○川島委員 それは私知つておるのですが、不當取上げに對する罰則があつたと思います。私の記憶によりますと、昨年の十一月二十三日以降における地主の不當なる小作者の耕作權の取上げに對しましては、五萬圓以下の罰金、一年以下の懲役というような嚴重な罰則があつたと記憶いたすのですが、それはないのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=34
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035・大石倫治
○大石政府委員 成文を見ませんと、今はつきりお答えはできませんが、暫くお待ち願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=35
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036・稻田直道
○稻田委員長 それでは次ぎに町田三郎君に許します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=36
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037・町田三郎
○町田委員 貸付けの條件をもう少し詳しくお話し願いたいと思うのですが、というのは、先きほど川島君の質問に對して、五箇年据置きというお話がありましたけれども、それ以後何箇年間に銷却するとか‥‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=37
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038・大石倫治
○大石政府委員 さつき説明の時に詳細に申し上げました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=38
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039・町田三郎
○町田委員 さうですか。それから一度入植した者が、數箇年農業に從事したけれども、何らかの事情でやめなければならないという事情があつた場合に、それを他に讓るということができるかどうか。これをお伺いしたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=39
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040・松野孝一
○松野政府委員 そういう入植者が何かの事情で農業を廢止してしまうというような場合におきましては、これは先ほど政務次官から御説明がありましたように、その人に對して貸付けた資金に關しましては、一時償還を請求するということになつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=40
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041・町田三郎
○町田委員 そうして他へ讓ることは認めるわけですか、認めないのですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=41
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042・松野孝一
○松野政府委員 それは別に讓らないということはありません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=42
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043・町田三郎
○町田委員 讓れるのですね。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=43
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044・松野孝一
○松野政府委員 そうです。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=44
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045・町田三郎
○町田委員 それから開墾の豫定地ですが、豫定地は既に決定しておりますか、どうですか。というのは、前に土地改良の仕事などやつた場合に、各府縣に何町歩というのを割當てして、その府縣ではこれだけの町歩をどうしても開墾しろということを天降り的に割當てて、そうして各府縣では相當無理をして工事をやつたということもあるのですが、今度の場合はあらかじめ豫定地を既にもう調査してあるのか、どうか。もしこれからまたこの前と同じように各府縣に町歩で割當てて、Aの縣では何町歩開墾をしろというような方法で進むのか、どうか。その點をお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=45
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046・松野孝一
○松野政府委員 御説明いたします。百五十五万町歩のうち、だいたい開墾できる調査はやつておるのであります。それを五箇年間にやつて行こうという建前でやつております。そのうちの大きい團地面積、たとえば五十町歩以上というものは、はつきり地域を豫定しておりまして、それは縣營とか營團で經營する、さらに大きいのは國が經營するというふうにやつておりまして、それより團地の小さい五十町歩以下というのは、府縣に一般的に割當ててやつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=46
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047・町田三郎
○町田委員 割當てするために、非常に無理な開墾をするという場合も豫想できると思うのです。というのは、自分の府縣に割當てられて、どうしてもやらなければならないために、必ずしも開墾に適當しない所までも、形式的に開墾しなければならないということが起り得るのではないかと思います。そういう場合に付どうしてもそこで長く經營することができないで、結局は途中で放棄するというような場合も生じはしないかと思うのですが、そういう點についてはいかにお考えになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=47
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048・松野孝一
○松野政府委員 御説明いたします。只今の御懸念に對しましては、一旦こちらの割當てたものに對しましては、府縣における開拓委員會にかけまして、それからなおそれが民有地等の場合におきましては、農地委員會にかけてそれを買收いたしまして、それから開墾いたすのでありますから、十分に開墾のできるものに對してのみ、やることにいたしまして、開墾のできそうもないのはやらないようにするつもりでありますから、そういう御心配はないと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=48
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049・町田三郎
○町田委員 まあ北海道、東北には相當有利な開拓の豫定地があるかも知れませんけれども、關東地方等には、そういうような所も非常に少くなつておると思う。今食糧の價格等が非常に高いものですから、今の場合としてはその土地の利用がなり立つても、食糧等が相當潤澤になつて參りますれば、非常に條件の惡い所で農業を營むというようなことは、ほとんどできなくなるというような場合が生じはしないかと思いますが、その場合に今開墾を始めても、途中で放棄しなければならないような場合が、相當に起きるのでないかと思うのですが、そういう點は農林當局も、一つよく御注意になつて、無理な開墾をしないようになさつていただきたいということを希望いたしておく次第であります。なおそういうふうな不利な條件の農場におきまして、普通農業だけに依存するということは、非常に危險じやないかと思うのです。從つて牧畜を經營するとか、もしくは果樹を經營するというような必要が大いに生ずるのでないかと思いますが、牧畜とか果樹の栽培というような普通農業以外の農業に對しても、この開墾は適用になるかどうか、その點をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=49
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050・大石倫治
○大石政府委員 それはお話の通りでありますが、しかし開拓の今の事業としては、牧畜というようなことを考えてはおらぬのであります。自然農業の經營上有畜農業、多角經營というようなことは當然必要であります。やはりそれぞれ開拓者とともに或は共同的に、或は個人の資力等の關係によつてやられることにおきましては、奬勵の意味をもつて指導しております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=50
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051・町田三郎
○町田委員 以上をもつて終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=51
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052・稻田直道
○稻田委員長 井出さん、簡單ですか‥‥。井出君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=52
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053・井出一太郎
○井出委員 かつて農林省が鐘太鼓で宣傳をされました大陸への分村移民というものがありました。終戰の結果、この諸君が最近ぼつぼつ歸つて參るのでありまして、私の知つておる一例として、長野縣の大日向村の例でございますが、これはかつて劇に仕組まれ、或は映畫にとられて、農林省としても相當に宣傳の具に供されたように考えておるのであります。この歸還した諸君の状態を見てみますると、まことに悲慘なものでございまして、大體において人口は三分の一に減つております、ほとんど戰死或は病死をしてしまつておる。しかもその家族の構成たるや、屈強なる若人が一人もおらぬ、老人乃至は婦人を中心とした集團でありまして、歸つてみたら故郷の風は冷たい、そうしてかつての自分の家や田畑はことごとく所有權は移轉をしておる。そのために集團移轉をしたのでありましようけれども、こういうような實情でございまして、このままで放置しておきますると、これは全く實に慘めな姿でばらばらになつてしまうのであります。母村といえどもこれを受け容れる實力は現在もつておらない。そういうような分村移民というようなものに對して、農林當局においては何らか特殊の御配慮をいただいて、しかるべき入植地というようなものに對する御熱意がおありになるかどうか、これを伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=53
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054・大石倫治
○大石政府委員 只今のお尋ねに對しては、お尋ねの通り、そういう考え方をもつて奬勵もし保護も與えたいと思つております。しかしながら、お話のごとく開拓移民の實情はまことにお氣の毒であります。そういうような開拓者に對してはあらゆる便宜を與え、あらゆる保護を加えたいという考え方でありますけれども、十分にやりかねておることはまことに遺憾なことであります。これはひとり農林省だけの力をもつては容易でありません。そういう人々に對しては一般の引揚者も同樣の境遇に置かれております。國家的にこの綜合對策を立つべきものであるという考えをもつておりますけれども、今これらの對策の確立いたしませんことも、まことに遺憾であります。農林省といたしましては、これらに對して、でき得るだけの保護救濟及び再建の方途を講じたいと心配をいたしておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=54
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055・井出一太郎
○井出委員 只今政務次官の誠意ある御答辯に對して、どうか一つそういう方向へ絶大の御努力を願いまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=55
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056・稻田直道
○稻田委員長 先ほどの川島君の質問に對する御答辯はありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=56
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057・大石倫治
○大石政府委員 ちよつとわからぬのですが。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=57
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058・町田三郎
○町田委員 議事進行に關して——この法案は委員長も先ほどのお話で非常に審議を急いでおられるようですが、にわかに併託になつたので、前の増加所得税の委員は、必ずしもこの委員として適格でないと思う。われわれの方におきましては適格者と交代しておるのですが、今朝その交代が發表になつて、まだ見えていないようですから、一つ午後も續行してこの問題を審議していただくようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=58
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059・稻田直道
○稻田委員長 委員長として甚だ僭越でありますが、お答えいたします。もう各派でもそういうふうに御諒解を得まして、審議に取掛かつておるわけですから、あなたの御提議は一つ御遠慮願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=59
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060・町田三郎
○町田委員 午後は續行しないわけですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=60
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061・稻田直道
○稻田委員長 午後は他の案についてやるので、一ぱいであろうと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=61
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062・大石倫治
○大石政府委員 先ほどの罰則問題は、この問題とは少し離れておるのですが、今調査しております。どの條文でどうなつておるかということは、これは農政局の管轄に屬しておることで、今參つておるのは開拓局でありますので、ちよつと勝手違いで、まことに申し譯ありませんが、後刻調べてお答えいたしますから、どうかこの開拓者資金融通法の審議をお進め願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=62
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063・川島金次
○川島委員 どうも政務次官として恐れ入つた言葉を承ります。記憶々々と言つておられるが、實際はあるのです。かつてそういう法文に接しておるのです。それがあるに拘らず、農林省の政務次官ともあろう人でさえもそういうことを知らない。ああいう問題に對して少しも重視しておらない。そこに私共は政府と多少の見解を異にする立場をもつておるのです。一體不當なる地主が現はれて、不當に耕作權を取上げた時、これに對しては嚴重な罰則に付すとあるに拘らず、全國の農村社會においてそういう事件が頻々として行われておりながら、未だかつてそれが適用されたことがない。一體なんのために罰則を設けたのか、わけのわからない結果に今日はなつておる。一つ政務次官御存じなければ、もう一遍歸つて調べて下さい。必ずあります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=63
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064・大石倫治
○大石政府委員 どうも試驗臺に登せられてまことに恐縮に存じます。しかしいかに政務次官博學達識なりといえども、全法律をことごとく辨えかねておる。甚だ不堪能の點恐縮に存じております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=64
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065・川島金次
○川島委員 だいぶ恐縮されたようなお言葉ですが、これは重大問題ですよ。日本の農村社會の大革命をやる所の農地改革ですよ。その農地改革に伴う自作農創設に關して、當然附隨されておる法律です。萬般の法律には通曉しかねるというけれども、勿論それは神樣でないから無理もないのですが、しかしこの重大問題に對しては政務次官も相當に重大な關心をもつておつたのではないかと思う。實際にはあるのです。所がそれが實行されておらない。まことに農村の自作農創設に對する政府の熱意を疑う。そういうことになつて非常に困難な事情に突き落されておる零細小作農民は、全國農村に溢れておる。そういうことに對して農林當局は府縣を通じて積極的な對策をもつて來ない。そして見て見ぬふりをしておつて、農地のほんとうの民主的な改革の障碍となつておる事態を抛擲しておるという形になつておる。私は實際政府の農地改革に對する熱意を、こういう方面からも疑いたくなる。いわんや全國の耕作權を取上げられた小作農民は、その問題に對して政府に對して非常に怨んでおります。そういうようなことで農村の民主化というものは達成できないと私は思う。全國に實に夥しい數であります。零細農民にとりましては、申し上げるまでもなく猫の額のような土地であつても、それを經營して一家五人も六人もかかえなければならぬ生命線である。その生命線を不徳な地主に遭遇して不當に取上げられたために、塗炭の苦しみに泣いておる零細小作農民、それに對して政府は當然嚴重な措置を講ずるという規定があるに拘らず、くどいようでありますが、それが實行されておらない。そうして小きな食うに困るような農村の零細農が、少しでも闇でもすると、すぐ警察に引つぱつて行く、そして六日も七日も豚箱の中に叩き込んでおくというような實情です。私は零細農家のそうした些細な闇取引きに對して警察官が嚴重な取締りに出るならば、一方において地主階級がそういう不當なことをした場合に、積極的に農林當局がそれに對處することが、公正な政治ではないかと思います。それに拘らずそうしたことをやらずに、地主階級の不徳を見て見ぬふりをしておる。私はそういう所からわれわれの仲間として、今の政府のやり方を資本主義的だと言うのは、そこの所であります。實際問題としてそういうことは事實あるのです。政務次官は御承知ないでありませうが、この機會に私はお願いするのでありますが、そういう不徳な地主に遇つて泣いております所の零細農の心境をも、一つ御推察願つて、そういう問題に對して、ぴしぴし片づけてもらい、そうして泣いておる零細農を救つていただきたい。私はそれが農村民主化の第一の要件だと思ひます。どうかこの機會に、私は政務次官がおいででありますから、實はほんとうの具體的な事實を申し上げまして、お愬えをしておく次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=65
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066・稻田直道
○稻田委員長 これをもつてだいたい質疑の通告の分は濟みました。別に御質疑の方はありませんか——ないと認めます。しからば右兩案についての質疑はこれをもつて終了いたしまして、次ぎは通告順によりまして討論を行います。川島金次君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=66
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067・川島金次
○川島委員 本案に對しては別に異議はありませんが、ただ贊成をいたしまするにつきまして、私の意見を申し上げたいのでありますが、その意見は既に質問の形式におきまして申し述べた通りであります。どうぞ本案實施に當りましても、政府は開拓の重要性に鑑み、同時に開拓者の種々なる條件等にも十分の配意を願いまして、折角今日の食糧生産の重要な時期に際會しての、その挺身隊とも申すべきこれら開拓者に對して、いささかの時期を失するようなことなしに、できるだけ手を差し伸べて一切の條件に對する面倒を見て行くという、この一貫した熱意によつて、ともどもにこの開拓事業の有終の成果を擧げられんことを特に希望いたしまして、本案に贊成するものであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=67
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068・稻田直道
○稻田委員長 次ぎは井出一太郎君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=68
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069・井出一太郎
○井出委員 私は國民黨を代表いたしまして、只今の二つの法案に對して贊意を述べたいと思うのでありますが、この機會に一言希望を申し上げたいと思います。開拓という仕事がいかに困難な仕事であるか、これはもう言うまでもないことであります。荒地に對して鍬を入れる。それは大自然に對して人間が挑むことでありまして、わが國の耕作地の面積が、だいたい六百萬町歩内外ということで止まつておつたのは、開くべき土地が別にないというわけではない。それを開くにたるだけの經濟條件が具わつておらなかつた。こういうことであります。先ほど來伺つておりますと、百五十五萬町歩の新たなる開墾計畫を、當局はおもちのようでありますが、およそこれは經濟條件に反して開拓を行う。恐らく現在は既に耕作の限界點に到達しておるのでありまして、それ以外の土地へ鍬を入れるのでありまするから、これはよほど腹を据えてかからないと途中で挫折をするというふうなことにならぬとも、はかりがたいのでごどいます。アメリカが西部の開拓をするに當つて、例のカルフオルニヤ・スピリツトを發揮して、それが今日のアメリカ精神の基をなしておるというふうに聞くのでありますが、わが國の今後の食糧政策の上における開墾事業の重大性、これらを考え合わせますると、よほど腹を据えまして、しかも惠まれない自然條件と鬪う農民のためには、あらゆる文化施設、厚生施設、こういつたものが望ましいのでありまして、これらを十分に考慮されて、果敢にこの開拓事業に政府としては向われることをお願いいたして、贊成の言に代える次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=69
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070・稻田直道
○稻田委員長 その他討論はないと認めますが、ありませんか——なければこれをもつて討論は終局いたしました。これより採決をいたします。兩案とも原案に贊成の諸君は御起立願います。
〔總員起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=70
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071・稻田直道
○稻田委員長 起立總員であります。よつて兩案はいづれも原案の通り可決いたしました。
しからば午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時より殘餘の法案につきまして質疑を行いたいと思います。しかして相なるべく本日中に殘餘の案件の質疑を終了いたしたいと思います。本日の本會議においてあと一件併託になるらしいのでありますからして、それを明日審議いたしまして、全部を明日の午前中に討論をお願いいたしまして、午後の本會議に全部上程いたしたいと思うておりますによりまして、左樣な意味においてそれぞれ各派におきまして御準備を願いたいと思います。それでは暫時休憩いたします。
午後零時二十分休憩
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午後二時十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=71
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072・西村久之
○西村委員長代理 それでは會議を續行いたします。午前説明を願いました食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案、昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案、昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案、この三件を議題といたしまして質疑應答を重ねたいと存じます。それでは通告順に從いまして川島金次君に發言を許します。川島君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=72
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073・川島金次
○川島委員 まず第一に、私はこの機會に政府の公債政策の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。前議會來から政府の公債政策に關しましては、現下のインフレーシヨンの問題と絡み合いまして、非常に國民の重大關心を拂つておつた所であることは御存じの通りであります。そこで質問いたします前提といたしまして、少し詳しい數字的なものが欲しいのであります。すなわち終戰當時の公債の發行金額、それからその終戰當時の公債高の中の純粹の軍事公債と稱すべき公債の總額、それからさらに終戰以後に發行されました公債の今日までの總額、それを一つお尋ねいたしたいのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=73
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074・櫛田光男
○櫛田政府委員 只今數字を手許にもち合わせておりませんので、後で申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=74
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075・川島金次
○川島委員 その數字がはつきりいたしませんと、私のお尋ねすることも自然根據が薄くなるのでありますが、その數字的な事柄が明らかになるまでの間の繋ぎとしてお尋ねをいたしましよう。だいたいわれわれが今想像している公債の總額は千數百億と推定をいたしているのであります。その千數百億の公債の上に、今年度中にさらに來るべき通常議會には終戰處理費その他を合わせまして、これまた少からざる追加豫算案が出るのではないかとも想像されております。その追加豫算案のしかも大部分というものは、これまた公債によらなければならない。その結果といたしまして今年度中の公債、さらに明年度の種々なる政府の財政政策等を睨み合わせて想像いたしますと、公債の總額というものは兩年度を合算すれば、どんなに低目に見ましても二千億にはなるのではないかと想像されているのであります。私は先般來から大藏大臣にお尋ねをいたし、さらに私としての意見をもつけ加えて質問を續行しておつたのでありますが、大藏大臣の御説明によりますと、政府の赤字公債の發行というものは、それが廻り廻つて生産の増強に役立つものであれば、すなわち生産の裏づけとなる性質のものであれば、公債を多額に發行いたしましても、それはインフレにもならなければ、健全財政の枠をはずれたものではないというような説明でございますけれども、事務當局の觀點に立ちまして、はたして日本の現状におきまして、そういう徒らな公債の膨脹をもつてして、今日の日本、將來の國の財政というものの行詰まりが來ないかどうか。この點は私どもが非常に憂慮をいたしておるのであります。公債の増發ということは、やがてそれが國民の大きな負擔にかぶさつて來るということは、これはもとより申し上げるまでもない事柄なのであります。そこでたまたま私は承つたのでありますが、日銀においては、發券制度の研究と竝びまして、今日の日本全國における所の貯蓄、いわゆる資本の蓄積状況に鑑みまして、公債の發行を日銀が引受ける場合におきましても、何らかの線を引く、何らか引受けの限度というものを設けなければならないことになるのではないかというような事柄をも、日銀總裁あたりが考慮されているという話をも承つておるのでありますが、事務當局といたしましては、それらの事柄につきまして、公債政策についてどういうお見透しをもち、竝びにその政策に對してどういう確信の下に今後の公債政策に臨んで行くのであるかどうか。それを一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=75
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076・櫛田光男
○櫛田政府委員 非常にむづかしい問題でございますが、私どもが今考えており、研究いたしておりますことを概略申し上げまして、御參考に供したいと思います。仰しやいます通りにいろいろの事情からいたしまして、公債を發行いたしますことがやむを得ない場合もございます。しかしいかなる場合におきましても、その公債が國民の蓄積と申しますが、國民の貨幣的貯蓄によつて公募せられますことが、最も望ましいと存じております。殊に現況におきましては、日銀の追加發行と申しますか、日銀の引受けによりまして、それだけがそつくりそのまま市場に出て參りますようなやり方よりは、只今衆議院の皆樣及び日本銀行において特に中心になつてやつておられます貯蓄推進運動と睨み合わせまして、國債を公募という形で、できるだけ金融機關その他國民各位の間に直接に消化していただくという方法でやつて行きたいと存じまして、研究をいたしておる次第であります。ただ日本銀行はこれ以上は國債の引受けをしないとかいつたような限度を設けるということにつきましては、いろいろな觀點からいたしまして、十分檢討を遂げなければならぬ點がございます。と言いますのは、政府の支出の觀念におきましては、いかなる場合においても、ぜひとも出さねばならぬ性質のものもあるわけでございまして、一定限度の檢討に當りましては、いろいろな點からいたさなければなりませず、そういう意味におきまして、この問題につきましてはいろいろな角度から、なお十分に研究いたしたいと思つております。ただ要は財政の部面でありましても、できるだけ普通歳入で賄いまして、なお足らざる部分を公債でもつて賄いますることが餘儀なくされる場合におきましても、それをできる限り直接消化の方法がとられるような方向にもつて行きたい。こう存じまして今いろいろ研究をいたしておる所であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=76
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077・川島金次
○川島委員 御當局は事務の立場にありますので、私があまり突込んでお尋ねすることは無理と思うのであります。公債の發行に際しては、少くとも國民の蓄積とあくまでも見合うということでなければ、私は健全な公債政策とは言えないと思います。そこで現在全國の貯蓄の額というものは、きわめて微々たるものであるし、さらに最近活動しておりまする所の貯蓄推進運動のごときも、相當の働きはしておるようでありますが、實際においては思うように貯蓄が増加しておらないというのが眞實のようであります。そういうような事柄を考えて見ました時に、蓄積とあくまでも見合うべき性質のものであつて、蓄積というものに對しては何ら關係なく、國家が所要とする所のものであるならば、際限なく公債を發行して行くといつたような、いわゆるインフレーシヨン的な政策では、國の財政の破綻はもとより、日本の國内の經濟再建、延いては國民の生活の上にも重大な影響がある。從つてこういうような考え方からいたしますれば、國家の所要とは言いながら、公債の發行の上にも相當の壓力を加えて行くような財政政策をとるべきことが、すなわち健全財政の所以だ。しかるに只今申しましたように、日本國内における所の資本蓄積というものは微々たるものでありまして、その上に増加の傾向もまたきわめて思うように行つておらない。そういう現状にあるに拘らず、國家の所要だからと稱して、徒らに公債の増發を續けるということは、私はきわめて危險性が伴うのではないかと思うのであります。そういう事柄について事務當局は、その公債の増發に對してどの程度まで、今の國の現状から言えば、一方の資本の蓄積と見合つた程度において、どの限度が公債發行の可能にはいるかということを、もし事務當局の御觀點に立つてのお考えがありましたならば、それを率直にお聽かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=77
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078・櫛田光男
○櫛田政府委員 お尋ねでございますが、たいへんむつかしい問題でありまして、公債が一體どの程度まで出せるのか、ここではつきり事務當局の見透しありやというお尋ねでありますが、結局、いろいろな觀點からいたしまして、私ども財政全體のバランスをとりますことには八方苦心をしておる次第であります。勿論この公債を國家の所要であるから、いくら出してもいいというような考えはもつておりません。從いまして豫算の歳出面におきましても、あらゆる手段を用いまして、これを合理的な範圍にまで、なんと言うか、露骨に申しまして、壓縮するということを努力いたしております。また歳入の方におきましても、只今御審議をお願いいたしておりまする増加所得税といつたようなあらゆる方途を講じまして一般歳入を擧げて行く。それでもなおやむを得ざる場合にはでき得る限りの力を盡くして、それを直接國民蓄積にまつて消化していただこう。その方法にも結局國民蓄積の方をできるだけ多くするような努力も片方續けておるわけであります。また蓄積しましたもので國債をおもちになれるような氣持というか、そういう情勢をつくり出すことにもまた努力しておるのでありまして、今ここで何億、どのくらいになればもうそれが行止まりである、もうどうしてもそれ以上は行かないのだというような、固いと申しますか、彈力性のない、拔き差しのならないような意味におきましての限度はどのくらいかということを申上げることは、非常な困難な状況だと存ずるのであります。ただよく昔から言われておることがあるのでありますが、國民所得の總額といつたようなものが、一つの目安になるのではないかと言うお方もあります。國債の現在高は、國民所得額の限度を超えない程度においては、だいたいバランスを得るのではないかという學説もあるわけであります。まあこれは御參考までにそれだけをつけ加えておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=78
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079・川島金次
○川島委員 だいたい只今の國民所得の標準をもつてそれに見合う所の公債、それが學問上もだいたいいいのではないかというようなお話が出ましたが、私も實はそれを申し上げたかつたのであります。既に明年の豫算等を睥み合わせますと、だいたい公債の發行高というものは二千億圓になる。一方國民の總所得額というものは、今年はどうか知りませんが、昨年あたりまではだいたい二千億と言われておる。さらに私は國民所得の上に國民の總財産をも一つ觀點に加えて、綜合的な公債政策というものは生れて來るのではないか。それが私は健全なる公債政策の所以であるというふうにも、私どもは考えておるので、そういうようなお尋ねをいたしたわけであります。しかし大藏大臣とのお話合いではありませんから、御無理な御尋ぬを申し上げてもどうかと存じますから、その問題はこれで打切ります。ただこの際これは參考のためにお伺いしておきますが、このようなインフレーシヨンの現状下におきまして、政府の今後發行いたします所の公債に對して、その利率を現状のままで行くべきか、それとも公債の利率に對して何らか別な措置を考えなければならぬようなことになつておると今お考えになつておるかどうか。それを一つ參考のためにお聽かせ願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=79
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080・櫛田光男
○櫛田政府委員 今後發行いたしまする公債の利子について、これを現状に据え置くか、またこれを變更するような意思があるかどうかというお尋ねでございますが、公債の利子といいますよりは、金利全體の問題が今檢討を進められている問題でございます。御承知のように戰爭中におきましては國債の利子というのが中心となつておりまして、これをだいたい基準といたしまして各種の金利構成ができておつてと存じます。現状においてもこの資金の需要供給等の關係からいたしまして、また國債が現在において相當出るような状況にありますので、相當この國債の利子というものが金利の中の中核的存在になるであらうということは言い得ると思うのでありまするけれども、終戰後のいろいろな經濟の變遷激動に伴いまして、金利の樣相もいろいろに變つて來ておるわけであります。金利のごときは極めて最近上つて來ております。また日本銀行の金利政策の部面におきましても、本年に入りまして既に二囘引上げを實行しているような状況がありまして、金利全體の樣相につきまして非常に變つておる次第でございます。この金利全體につきまして、今いろいろ檢討をいたしておる次第でありますが、ただ私どもの考えといたしましては、できる限り財政負擔その他の點も考えまして、國債の金利水準はできる限り現在を維持して行きたいというふうな考えをもつておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=80
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081・川島金次
○川島委員 これに關連してこの際お伺いいたしますが、わが黨は御承知の通り戰時國債の棒引きということを、大いて強く主張しておるのですが、政府の方でも既發行の公債に對して、いわゆる利子の引下げ或は利子の棚上げなども考えたことがあるではないかというような話も聞いたことがあるのでありますが、いわゆる軍事公債に關する限りにおいて、そういう公債の利息の支拂いに棚上げもしくは利下げ、こういつたことは目下の所考えられてはおらないのでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=81
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082・櫛田光男
○櫛田政府委員 現在の所におきまして、過去の公債の利拂いを止めましたり、またこれを引下げたりするようなことは、全然考えておりません。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=82
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083・川島金次
○川島委員 大藏大臣がおりますれば、いろいろこの公債政策の問題についてお尋ねをいたしたいことがあるのでありますが、その程度でこの問題は打切ります。但し先ほどお尋ねを申し上げました公債發行額の明細な數字につきましては、ぜひともお知らせを願いたいと思うのであります。それから主計局長さんがお見えになつたのでありますから、この際これは私がお尋ねするというよりは、むしろ委員各位の希望でありますのでお尋ねをいたしますが、運輸省竝びに遞信省のもつと詳しい内容を知りたいという各位がだいぶんおりますので、御承知の範圍内で簡單でよろしいのでありますから、お知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=83
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084・野田卯一
○野田政府委員 運輸、遞信關係の詳しい材料は今もち合わせておりませんが、だいたいの御希望の内容を承りまして、それについてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=84
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085・川島金次
○川島委員 運輸、遞信省の特別會計の資本勘定、收益勘定等に關する現状、それから借入金、こういつたもの‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=85
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086・野田卯一
○野田政府委員 私は極く簡單に申し上げまして、あとは運輸省の總務局長が來ておりますから、詳しいことは局長から補足してやつていただきます。帝國鐵道の特別會計の現状でありますが、これを資本勘定と收益勘定について要點だけを申し上げますと、去る九十議會に成立いたしました改定豫算によりますと、帝國鐵道特別會計の資本勘定は歳入歳出が約三十億になつているのであります。このほとんど全部を公債によつて賄つている、こういうことになつております。收益勘定におきましては、歳入歳出において八十五億九千萬圓になつているのでありますが、この中で借入金によりましたものは五千七百九十萬圓という程度でありまして、大部分は業務收入によつて賄つている、こういう實情でございます。それから通信會計を申し上げますと、通信會計の方は九十議會に成立いたしました豫算によりますと、資本勘定におきましては十三億四千萬圓程度の歳出歳入でありまして、そのうちで借入金によるものが約十一億になつております。また業務勘定におきましては約三十二億程度の歳入歳出でありまして、そのうち借入金によつて賄つているものは四億四千萬圓ということになつております。
次にこの間提出しまして昨日衆議院を通過いたしました兩特別會計の追加豫算について申し上げます。これによりますと、帝國鐵道の資本勘定におきましては約六億九千萬圓程度の金を必要といたしまして、これを全部公債によつて賄つております。また收益勘定の方におきまして、約十一億圓程度の新たなる物價騰貴、或は特別給與等に要する經費がありまして、それは全部借入金によつて賄つております。なおそのほかにこの收益勘定について特に申し上げておきたいことは、鐵道の收益勘定におきましては、本年の十月から運賃を相當大幅に引上げまして、その内容を申し上げますと、旅客については二割五分、貨物については四倍に引上げるという案をもつておつたのであります。これがこの前の豫算には組んであつたのでありますが、その後關係方面との折衝におきまして、未だに認められません。從いましてこの十二月中に運賃引上げが認められたといたしましても、二月以降しか實施ができないというわけで、十月、十一月、十二月、一月の四箇月分は遂にこの値上げができなかつた。これがために約十三億圓の歳入缺陷を生じております。そこでその事業費の増加と只今申しました歳入缺陷と合計いたしまして、借入金を二十四億九千萬圓程度いたすという豫定になつておるのであります。
それから通信事業の方の特別會計の追加豫算については、資本勘定は、事業量の増加より、むしろ物價騰貴によるのでありますが、三億圓程度をさらに要します。それに對する財源は全額公債によるということになつております。次ぎに業務勘定につきましては通信業務費が五億圓以上増加しております。このおもな原因はやはり物價騰貴と特別給與の關係でありまして、これを賄うには一部他の會計よりの受入れによつて充當し、大部分、すなわち四億二千四百萬圓というものを借入金によつて仰ぐということになつております。
以上の點を合計いたしまして、借入金の状態がどうなるかということを申し上げますと、帝國鐵道特別會計におきましては、公債が三十七億千三百萬圓、それから收益勘定におきましても借入金が二十五億五千萬圓、それから通信事業會計におきましては、資本勘定におきまして借入金が十三億八千百萬圓業務勘定におきましては、借入金が八億六千四百萬圓、こういうように相なるのであります。概略でございますけれども、お答えいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=86
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087・川島金次
○川島委員 よくわかりました。そこで運輸大臣が見えられましたからお尋ねをいたします。只今大藏當局の御説明によりましても、まさに運輸省の財政危機ともいうべき状態になつておりますが、さらに石炭の事情の惡化に伴いまして、最近では旅客列車六割も減少しなければならぬという、まことに遺憾な事情になつております。その矢先、またしても總連合の方から相當な要求が出ております。その問題につきましては、昨日の本會議において大臣から何かお話があつたようでありますが、私どもこの委員會におりましたので、よく承る機會を失したのであります。昨日の運輸大臣のお話の内容によりますと、この運輸省の總連からの提訴にかかりました。中央勞働委員會の決定案に對しましては、昨日はまだ研究中のようなお話でありましたが、この問題につきまして、まだ運輸省といたしましては、この中勞委の裁定決定案に對しまして、具體的な腹案がまとまる段階に達しておりませんのでありますか、ちよつとそれをお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=87
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088・平塚常次郎
○平塚國務大臣 組合側と當局との交渉がまとまりませんで、組合側は中央勞働委員會に提訴をしております。また中央勞働委員會でいろいろ裁定を行いつつあるのでありますが、その間におきまして、私の方からも中央勞働委員會にいろいろ事情を申し述べておるのであります。結局あの問題を解決するためには、主たるものは越冬資金であります。これはどうしても解決しなければならぬと思います。勿論これは國有鐵道だけでなく、遞信省その他の官吏も適用を受けることになりまするので、内閣といたしましては全體的の取扱いをしておりまして、今囘の追加豫算に本俸の二箇月分に該當するものを計上して、そうしてこの要求を滿たす考えでおるのであります。しかるに中央勞働委員會の方では、まだ政府の意向を漏らしただけでありまして、いろいろ私の方も折衝中であります。これは組合の方がもつと大幅に要求しておりますけれども、政府の立場から行きまして、この程度より支給をすることが困難な情勢下にあるのでありまして、中央勞働委員會へも政府側からそのことを詳しく申し述べてあるのでありまして、今日まだ最後の段階に至つておりませんので、どうしても政府事業である以上は、この豫算の範圍を脱することが困難な情勢下にあるのであります。また從つて裁定もきまつておらぬのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=88
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089・川島金次
○川島委員 今度の運輸省初め遞信省、全官勞の要求問題は、當然來るべきものが來たという感じを私はもつております。それは先般の電産爭議の當時において、政府は最初においてえらい眞向から横槍を入れた形でありますが、結論においては電産側の要求を承認せざるを得ない形になつて來た。しかも電産の要求の内容というものは、私がくだくだしく申し上げるまでもなく、相當な額になつております。
〔委員長著席、西村委員長代理退席〕
しかも勞働戰線のうちで一つのあの大きな勞働組合の要求が、政府の承認する所となつてあすこに落ちついた以上は、同時にその勞働組合に關連をもつておりまする所の政府の從業員の人たちも、あれに右へならつて行くべきであるという感じを強くしたことは免れないではないかと思うのです。從つて今度の運輸省竝びに遞信省、全官勞の要求の問題、それに對する中央勞働委員會の裁定、これに對して運輸省初めその他の各省が、政府としてどのような態度に出るかということは、またきわめて重大な問題になるのではないかという恐れを、われわれは多分にもつておるのでありまして、政府の現在といたしましては、中央勞働委員會のあの裁定に、全幅的に速やかに承服するという所まで行つておらないらしい。しかもまた一方組合側におきましても、あの中央勞働委員會の裁定に對しては、必ずしもこれまた滿足の意を表しておらないというのが現状であります。從つてこの兩者間の態度の開きというものは相當な開きがあるように私ども今でも考えておるのでありまして、これに對しては政府としても電産爭議の當時における所の状況をもよく睨み合わせまして、今囘の中央勞働委員會の裁定に對しましても、十分の善處をするという態度がありませんと、またしても國民全體が重大な關心を持たなければならぬような事態が發生するのではないかという心配をわれわれは持つておるのであります。幸いにして前囘の國鐵總連合對運輸省との問題は、一應圓滿な解決を遂げたのでありますけれども、あの當時の運輸大臣としての熱意を持たれまして、今囘の問題に對しても十二分の一つ奮鬪をお願いし、かつ勞働組合方面のやむにやまれない要求に對して、十分なる理解をもつた態度で善處されんことを私は強く要望してやまないのであります。
この問題はそれで打切りますが、この機會に運輸大臣に重ねてお伺いいたしますることは、只今當局からも御説明がありましたごとく、本來ならば本年の十一月一日から旅客運賃の二割五分、貨物の三十割の値上げの實施をしなければならぬという建前において、運輸省もいろいろの豫算を立てられて來たのでありますが、それが遂にいろいろな事情で今もつて解決がつかない事態に立到りました。これがために運輸省における所の重大な收入減を招きまして、豫算上非常な障碍を來しておることは、われわれが申すまでもない事柄でありまするが、一體今の運輸省といたしましての立場から考えました場合に、例のいわゆる十一月一日から上げると豫想されました旅客運賃の二割五分、貨物運賃三十割増というこの問題が、はたして近いうちに決定されるというお見込みであるかどうか。さらにまた勞働總連合の方面の今度の問題のことと睨み合わせまして、あの程度ではたして運輸省は今後の經理というものがなり立つて行くかどうか。かりに運賃の値上げが決定されましても、あの程度で今度の勞働委員側の要求をかりに或る程度まで容れました場合に、今度の値上げが實現いたしましたという假定を基といたしまして、はたして運輸省の經理というものが足りないながらもどうやらやつて行かれるという見込みでもありましようか。もし中央勞働委員會の裁定に近いものを承認するということになれば、さらにまた運賃の値上げをしなければならぬというようなお話も昨日あたり運輸大臣はされたようでありまするが、運賃の値上げをする前に、別な方面にもそういつたものを生み出すような、いわゆる合理的經營化と申し上げますか、そういつた方面において收支のバランスを引き上げるような仕組みというようなことも併せて考えておりますかどうか。それを一つこの際伺つておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=89
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090・平塚常次郎
○平塚國務大臣 鐵道の財政はまことに困難な立場にありますることは、先般御承知の通りの運賃の値上げによつて、一應赤字の補填をする考えでおつたのでありまして、前囘の議會において鐵道の運賃を上げ得るものとして豫算をつくたのであります。しかるに今日までその運賃の値上げが行われないのであります。目下繼續して關係方面との諒解を求めつつあるのであります。また一方においてかりに運賃の値上げを行いましても、だんだんと物價の昂騰があります。また今囘の勞働爭議解決のための越冬資金等のような支出も嵩んで來まして、その結果がここに追加豫算として二十五億五千萬圓借入金をしなければ合わないことになつておるのであります。運賃に對しましては、かりに三十割、二割五分上げたといたしましても、來年度においてはやはり足りないだろうと思います。御承知のように石炭事情の惡いために、列車の削減もいたしておりますので、收入減になりまして、また石炭が先般價格が發表されましたあの價格によりますると、國有鐵道の石炭の値上りというものは非常に大きなものでありまするので、石炭だけでも十億圓以上の缺陷が起きて來るのでありまして、目下經濟安定本部と關係方面との間に、國有鐵道の石炭の値段をどうきめるかということが懸案になつておるのであります。從いましてこの運賃の値上げも、この石炭の關係に絡んでおるような情勢下にありまするので、この程度に値段を上げたのでは將來やはり相當赤字が遞増されるものと思われるのであります。しかし一應現在計畫しておりまする運賃の値上げができますれば、その不足額については石炭事情が許され、いわゆる増産が行われますれば、相當大幅に賃金收入の増加も期待できるのでありまするけれども、不幸にして現在石炭の増産ができませんために、反對にこの輸送を邪魔しておるような状態でありますから、石炭の増産の見透しがつくまでは、國有鐵道としては今後にもさらに赤字が遞増されるものと思われるのであります。しかしそれは將來ですからそれをどうするか。それは鐵道の増收をはかる以外に途がないのでありまして、この懸案の問題が解決しました上で、改めて計算を起さなければならぬのでありまして、大切な石炭の値段と運賃の値上げが決定いたしません限りは、相當大きな赤字が繰越されることはやむを得ない情勢にあるのであります。しかし運賃は相當長くこのまま行くということはあり得ないのでありまして、絶えずこの運賃値上げの決定と石炭の價格の決定を急いでおる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=90
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091・川島金次
○川島委員 運輸大臣のお話によりますれば、運輸省から出ております運賃の値上げ案も、時期が遲れて來てはおるが、近いうちにいずれかを決定する。いずれかを決定するということは、値上げが實施できるのだというお見込みのようでありますが、その値上げがかりに實施せられても、只今のお話によりますれば、さらにまた運賃の値上げをしなければならぬ。結局こういう二段構えに出なければならぬようなことになつておるのでありますが、もしかりに今度の運賃の値上げ問題が中止の已むなきに至るというような状態になりました時に、それに對して運輸省としては今からそういつた豫想の下に、何らかの御用意があるのでありますか。それをお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=91
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092・平塚常次郎
○平塚國務大臣 大きな問題が解決いたしませんと將來の計畫が立ちかねるのでありまして、私はもし今囘の運賃の値上げが行われた後の値上げということは、なるべく考えたくないと思つております。今經濟安定本部の方とも話合いまして、鐵道の使う石炭は從來の値段で使わして貰いたいということを交渉しておるのでありまして、この二つの問題が解決した後でありませんと、全く計畫が立てにくいのであります。私は石炭さへ出て來れば鐵道の増收は相當に得られると思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=92
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093・川島金次
○川島委員 問題は石炭に懸かつておる。そして今度の運賃の値上げ案が實施されれば、何とか鐵道の實收入を飛躍的に上げることができるのだというお話を承つたわけでありますが、この機會にもう一つお尋ねをしておきたいと思いますことは、先般の本會議で運輸大臣からまことにわれわれとしても、國民といたしましても喜ぶべきニユースを受けたわけでありますが、あの運輸省が購入いたします所のトラツクをもつて、承る所によりますと、全國の各府縣にこれを配置いたしまして、賠償物資の運搬にそれを備えると同時に、また一般の小運送の方面にまでもできればそれを利用する。こういうようなことがぼつぼつこのごろ一般民間業者の間に傳わりまして、一般民間業者の脅威となつておる實情もあるのでありますが、運輸省としてあのトラツクを購入いたしました後の使用法と申しますか、そういつた問題に對しましては、どのような方法であれを使用することになりますか。それをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=93
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094・平塚常次郎
○平塚國務大臣 輸入トラツクの運用につきましては、原則として全部省營でこれを運用するということになつておるのであります。もともと輸入を懇請します時に、小運送が圓滑に行つておらぬために非常に困つておる。また一部交通機關緩和のためにも必要であるという二つの理由を延べまして懇請の結果、輸入が許されたのでありまして、この自動車の運用につきましては、まず政府關係の各省が必要とする所のもの、たとえば農林省において開拓事業をやる、或は開墾事業をやる、こういうものはその要求だけのものを割當でる。或は復興のために必要なものはその方面に向ける。それから重要物資のいわゆる小運送の方が大部分の目的でありまするので、その方に重點を置いて行くつもりであります。また交通機關の調節のために、拂下げ自動車のうち八百五十臺、このうち東京がたしか四百臺と思つておりますが、東京都にこれを改造いたしましてバスの代用にさせる。それから名古屋と大阪に二百臺づつやつて同じ目的に使用せしめる。その他のものは重要物資の搬出に使うのである。ただ非常に分量が多いのでありまして、民間の業者にも協力を求める考えをもつております。協力ということは具體的にどういうことかということは、今日まだ申し上げる程度に行つておりません。また受取りましたものが四千六百五十臺より受取つておりませんので、差當り受取りましたものは以上の運用方法によつて配置するつもりであります。さらに全部の一萬七千臺のものが實際に政府の手にはいつた時には、なるべく業者にも協力を求めて、完全にこれを運用して行きたいという考えをもつております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=94
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095・川島金次
○川島委員 そうすると運輸省が拂下げを受けまする自動車をもつて、一般各府縣下における所の民間業者と競合になるような、一般的な小運送はやらないという方針に進んでおるわけでありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=95
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096・平塚常次郎
○平塚國務大臣 運輸省が直接にやる部分は全部やりますが、地形の關係その他を考慮いたしまして、業者に煩わした方がよい部面もありますので、そういう方面に車を賣渡すということは、車の所有は原則がきまつておりますからできませんが、いわば一部委任をさせるということを現在考えておるのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=96
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097・川島金次
○川島委員 お尋ねの點が前後するようでありますが、運輸省では一體アメリカとかイギリス方面の國内における鐵道の運賃と、一般の先進諸外國における國内の重要物資の物價、そういつた物價と運賃との一定の比率的な御調査があるのではないかと思うのであります。米英方面のいわゆる運賃と米英兩國内における物價との比率はどの程度になつておりますか。この際お示し願えましたら、參考のためお示し願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=97
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098・平塚常次郎
○平塚國務大臣 外國との比較は、わが國の今日の状態下においては、圓貨の價値は外貨に對して一定の標準がありませんので、とても比較するとしても比較にならぬのであります。圓貨の價値が外貨に比較のできる場合、すなわち爲替相場というものが置ける時代になりますと、初めて外貨との比較ができると思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=98
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099・川島金次
○川島委員 今私のお尋ねいたしましたのは、日本國内における鐵道運賃と外國の爲替關係の比較ではない。アメリカ、イギリスあたりの現在の鐵道運賃と、アメリカ、イギリス自體の國内における所の重要物價との比率、そこがどの程度まで安定しておるか。これは當然お調べになつておると思いますから、今の國内における運賃と物價との比率について參考になるべき基準が出そうに思いますので、お尋ねしたのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=99
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100・平塚常次郎
○平塚國務大臣 日本の物價と運賃の比較をいたしますると、運賃は非常に安くなつております。これはもつと當然上り得るものと私は考えておるのでありますが、ただ鐵道の運賃を上げるということは、物價全體に影響するということがありまするために、運賃の値上げに當りましても最少限度に上げることを計畫したのでありまして、今日鐵道の運賃がかりにこれだけ上りましても、海上の運賃というものは全然なり立たぬのであります。元々すべて船の運賃というものは汽車の運賃より安かつたものであります。しかるに今日鐵道の運賃を、貨物を三倍にいたしましても、それと同し率で船の運賃を上げましても、船はなおかつその運賃では引合わぬような情勢でありまして、全體的に見て運賃は今日の物價に比較して安いと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=100
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101・川島金次
○川島委員 そのことは勿論でありますが、私の聽いております重點というものは、諸外國における所の國内自身の運賃と重要物資の物價との比率、それを私はあれば知りたいのです。そうしてその比率と、今の日本の國内の重要物資の物價と、そうしてその物價と睨み合わせた運賃の基準と諸外國と比べてどういうことになるかというようなことは、いわゆる司令部に申請する場合におきましても重要な基準でないかと思う。そこで私はそれをくどくお尋ねするわけであります。しかしながらこれは、運輸大臣を辯護するわけではありますが、今そういう事務的なことはおもちでないでしようから、お尋ねを進めませんが、問題は、國内の重要物資の物價と運賃というものは、一定の世界的な基準というものがどこかに出て來るのではないか。その基準を出した所によつて、日本の重要物資はここだ、そうして運賃はここでなければならぬという世界的な標準がそこに出て來れば、自然に司令部方面との關係の上にも話の進む糸口がそこに出て來るのではないか。所が日本の政府、殊に運輸省のやつておりまする運賃値上げ案というのは、恐らく世界的な基準や合理的な科學的なものではなくて、ただ運輸省自體の經營と收支のバランスの上から睨み合わせた運賃の値上げである。それではいかぬのじやないかと思う。それは從來の日本の状態であればそれで濟むでありましようが、今は政府の上に政府があるという日本の現状においては、やはりそういつたものを考え出す時には、そういうよその關係をも十分に調査して、科學的な一つの基準を出して、そうして司令部を納得せしめるということに行かなければ、それは司令部も納得せぬければ、國民も納得せぬということに私はなりがちなものではないかと思うのであります。そこでそういうことをお尋ねいたしたわけであります。そこでそういう事柄と關連いたしまして、日本の今の米價は石五百五十圓、石炭がこの間上つて補給金を加えれば四百なんぼということになります。その四百なんぼの石炭の單價とそれから米價一石に對する所の五百五十圓の單價と、そうして運賃との比率というものの標準がそこに必然的に出て來るのではないか。そういうことによつて運賃というものが國民も納得する所に落ちついて來るし、同時にまた司令部方面にもお話が進められるような形になるということを私は考える。そこで運輸大臣といたしましては、もう石炭の價格は一應決定いたしましたが、さらに米價も石あたり五百五十圓と決定しておるのでありますから、この米價とかつての日本における所の石炭の價格、かつての日本における所の米價、この當時の今から十年、二十年前の米價と石炭の價格、今から二十年前の現實における日本の鐵道の運賃というものはどういう状態であつたか。そういう状態を基礎として今の物價高と相並行した基準を立てて來れば、一體今の日本の鐵道運賃というものは、どのくらい上げなければならぬかというようなことも自然的にそこに判斷をしたり、或は決定をいたしまする所の若干の糸口がそこに出て來るのではないか。そういうことでなければ、私は國民も納得せぬと思う。ただ運輸省の支出が非常に莫大になつたから上げるのだ、或はインフレーシヨンのために物價が上つたから上げるのだというような事柄だけでは、國民大衆、殊に運賃を拂うことの多い所のいわゆる勤勞大衆といえども、なかなか納得できない。そういう事柄をも私は十分に睨み合わせて行くことが必要じやないかと思う。そういうことにつきまして、運輸省は當然お考えだろうと思いますけれども、この際やはりそういうことを研究された結果の今度の運賃値上げ案でありますか。そういうことは別に考えないで他の方法でこの運賃値上げというものを考え出したものか。それを一つお知りでしたらお教えを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=101
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102・平塚常次郎
○平塚國務大臣 これは經濟が安定しておりません時には、あなたのお説の通りであります。運賃というものは國際的でなければならぬのでありまして、日本の國も、經濟の安定ができ、先ほど申し上げましたように外國との貿易が興るようになりますと、まず運賃というものが非常に大きな關係をもつて來る。そういう時になりますと、船の運賃、鐵道の運賃というものは自然合理的に科學的に生まれなければならぬのであります。しかし今日のわが國の状態から見まして、また國有鐵道の状態から見ますと、昨年の十一月まで國有鐵道の使つておつた石炭が一トン二十三圓であつた。その後、値が上りまして現在百五十圓。所が今度三百四十六圓にきまりました。これは山元の値段でありまして、それに運賃をかけますと四百圓の石炭となる。この四百圓の石炭を焚いて、二十三圓の石炭を焚いた時の運賃では、石炭だけが十何倍も上つているのですから、運賃を合理的に計算をいたしましても合わないのです。これは、あまりにも混亂の状態であるのでありまして、一應ここで物價水準がほんとうにきまつてしまう、そうすると運賃というものも合理的にきまつて來ると思うのであります。これは一つの例を申し上げましたので、川島君の言われたことが正しいので、將來はそういうことでなければならぬ。また日本の海運が非常に發達したということは、日本の運賃が安かつたために、あれほど世界的に發展したわけであります。あの時にやはり鐵道の運賃と船の運賃というものは大きな差がなく並行しておつたのであります。ただわが國の現在の状態においては、遺憾ながらあなたの考えをここに行うことができぬのでありまして、それで今囘も、將來に對する運賃の値上げに對しても、石炭をどうしてくれるか、今百五十圓の炭を四百圓にやられたら、また運賃を大幅に上げなければならぬので、私としては、そう運賃を鰻上りにほかの物價と比例して上げて行くべきものではないじやないか。國有鐵道の全體の收益計算から行くと、石炭が上れば當然に上げる以外にないのであります。いつまでも赤字で行くということは、事業である以上は許されないと思う。それで、鐵道の運賃を値上げをしないで、國庫負擔にして行つてもらうか、或は運賃を値上げするか、どちらかというと、運賃の値上げの方が困難である。また關係方面の諒解を受けますにも、どうもあれ以上運賃を上げるということは非常な困難が伴うものと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=102
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103・川島金次
○川島委員 そこで運輸大臣にお尋ねするのですが、いろいろ私が今お話したことは、今の日本の現状ではできない、それもよくわかる。そのできないというお話を承りたいと思つて聽いたのですが、このできない現状にあるということは、これは運輸大臣にお尋ねすることは少し無理なんですが、やはり政府閣僚のお一人でありますから、この際私はお尋ねいたしたいと思うのですが、鐵道の運賃ですらも、今の物價の變動期であり、或はまたもつと物價が上るだろうというように豫想されているので、どういう所に運賃というものを落ちつけていいかわからない。一方においては或る筋ではそれは抑えられているというような形になつている事態というものは、日本の今の政府のやつている、いわゆる大藏大臣の石橋さんのインフレ政策、これと非常に大きな繋がりをもつているのじやないかと私は思う。私は先般も石橋さんとここで論議をいたしたのですが、一體今の日本の經濟を再建するには、要するに物をつくることが必要なのです。大いに物をつくることも必要だし、同時に私の見解からすれば、いわゆる不健全な財政政策でなく、健全財政というものがまず第一に必要なのだ。この健全財政と通貨の面と、この三つが綜合的に徹底的に推進されて行く政治でなかつたならば、今の日本の再建はできない。それは物價の安定をもたらすことはできないというのが私どもの考え方なのですが、大藏大臣に言わせると、そういうことは第二の問題であり、まず物さえできればいいのだと言つておるが、一體物をこさえる所の勞働者に對する勞働政策というものも、確立していなければならぬという問題があるのであつて、物をつくるだけが日本のインフレの根本的治癒策ではない。物をつくることと同時に健全財政、收支の均衡をできるだけ保つて行こうという勇敢な政治を行うことがまず第一に必要だ。同時に一方においては通貨の面の適切な措置ということをやらなければ、私は日本の經濟の再建はできないという強い考え方をもつておるのであります。しかるに今の大藏大臣はそういう考え方を拔きにして、ただ物ができればいいのだ。物ができればいいのだから、財政は少しくらい膨脹してもいいのだ。通貨の發行高も大いに殖えていいじやないか、こういうことを言つておりますが、その物のできるまでには期間があります。その物のできる期間を追い越して物價が上つたり、財政が膨脹したり、通貨が激發して、さらに一層インフレーシヨンを起す。インフレーシヨンを起せばさらに經濟の再建ができない、生産ができない。こういう形になるのでありまして、この石橋財政の考え方の及ぼす所、やはり運輸省における所の事業のごとき形態の上にも、大きな影響を來しておるというふうに、私どもは考えるのであります。そこでこれは專門ではありませんけれども、運輸大臣として、政府の閣僚として今のような財政政策でいいかどうかというようなことについて、あなたにもお考えがあるじやないか。石橋さんのあの財政政策というものが、あれでいいのだ、あれならばこそ鐵道事業もこれから大いに見込みがあるというお考えをもつているのか。それとも他に適當なあなたとして個人的に別な考えをもつているか。それを參考のために、できましたらお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=103
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104・平塚常次郎
○平塚國務大臣 これは大藏大臣から答辯することでありまして、私から具體的に答辯することは少し無理かとは思いますが、閣僚の一人として私の考えを申し上げますと、大藏大臣もそういう惡性インフレーシヨンにはならぬとしばしば言うております。私も惡性のインフレーシヨンにはならぬと思います。しかしながら、物價はなかなか下る傾向にないのでありまして、これは政府全體の意見として、一應物價水準をきめなければならぬじやないか。物が上る、生活ができない。また要求されてどんどん收入を殖やして行くと、從つて購買力が大きなものになり、わずかな物があれば、それが上ることは、これは常識上當然である。どうしてもここで物價の水準をきめ、また國民生活の生活基準をきめて、もうこれ以上物價も上げない、國民の收入も殖えない、それによつて生活ができるという、すべてのものの水準をそこまでもつて行こうじやないか。これで行くと、今日物價を下げるわけにも行かない。やはり石炭が高くなれば、或る程度までそれだけ生産費が高くなるから、上る傾向は防ぐわけには行かぬのであります。ただ程度がありまするから、ここでやはり物の値段の水準をきめて、その物の價値によつて國民の最低の生活ができるようにするには、現在の國民の收入をきめなければならぬ。そこまで行きますと、初めて高ければ高いなりに安定があると思うのであります。ただそうするにしても、あまりに今日物が不足でありますから、石橋君の言われる通り、どうしても物の増産に力を注がなければならぬ。もし物が殖えるならば、惡性インフレーシヨンは起きないということは、私もそう考えております。政府も國民生活安定のために、收入の方からもきめて行かなければならぬというので、先般來生活の維持と物價の基準をつくるために既に委員會を拵えてやつております。從つて政府の官吏、從業員に對しましも、三月項までにその收入を相當に増加して、決定をしようじやないかということが、相談になつておるのであります。從つて物の方の水準も或る程度まで上ると思われるのであります。そうして一方において生産を増加して行けば、惡性のインフレーシヨンにはならない。こういう大藏大臣の見方は、私もやはり同じ考えでございます。ただ今のままにして何もきめないでおきますれば、だんだんインフレーシヨンは深まつて行くことは想像されるのでありますが、そういう方策の下に、なるべく早い機會にすべての水準をきめて、できるだけ生産を増加することによつて、惡性インフレーシヨンは食い止められると私は考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=104
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105・稻田直道
○稻田委員長 なるべく簡潔に願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=105
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106・川島金次
○川島委員 食糧管理局長官がお見えになつておりますから‥‥。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=106
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107・稻田直道
○稻田委員長 それなら待つて下さい。只今川島君の發言中でありますが、食糧管理法案に對する御質問のようでありますから、この間にちよつとおはかりいたします。只今本會議におきまして、政府の契約の特例に關する法律案が本委員會に併託に相なりました。つきましては大藏政務次官の時間の御都合もありますので、これを議題といたしまして、提案理由の説明を聽きたいと思いまするが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=107
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108・稻田直道
○稻田委員長 それではさよういたします。上塚大藏政務次官。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=108
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109・上塚司
○上塚政府委員 只今議題となりました政府契約の特例に關する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
連合國軍の要求に應ずるために要しました經費及び今後このために支出を要する見込みの經費は、厖大な額に達するのであります。しかし、そのうちいわゆる設營工事に關するものが、その經費の大きな部分を占めており、また近く實施を豫定されておる賠償施設の撤去につきましても、相當巨大な額が豫想されるのであります。これがためわが國財政經濟の運營に對して與うる影響は、きわめて大きいのでありますが、わが國がポツダム宣言受諾に伴い、この種の經費を負擔すべきことは當然であり、ポツダム宣言の條項を誠實に履行するために、國民を擧げてその負擔に任ずべきであると考えます。しかしながらこの種經費が増嵩いたしまするにつきましては、特に請負契約の價格等がややもすればその適正を失することも、その重要なる一因と認められますので、かような原因によつて經費が過當に膨脹いたしますることは、わが國財政經濟の運營上極力これを防止し、もつて經費の支出の適正を期することが特に肝要であります。政府はこのために政府の契約の特例に關する事項を定める必要を認め、本法律案を提出することといたした次第であります。
次ぎにこの法律案の内容について簡單に御説明申し上げます。第一はこの法律の適用を受ける特定の契約について、確定支拂金額を指定することについてであります。連合國軍の要求にかかる工事關係について、政府と請負業者との間の契約については、種々の關係で契約金額の不確定のまま大きな工事が進行せらるることが多いのでありますが、これがため所要經費が不當に増嵩する傾向が強いのであります。このような場合、政府はこれを防止することが必要でありますので、政府の適正と認める契約金額を適時決定し、相手方の請負業者にこれを指定して支拂金額とし、經費の不當な膨脹を來さないうにすることとしたのであります。
第二は、右の指定金額に不服のある相手方を救濟することについてであります。只今申しました政府の指定拂金額については、相手方としては滿足できな場合があるかも知れません。政府の指定した支拂金額は政府の獨斷的なものであつてはなりませんし、十分世間に納得できるものでなければなりませんが、この意味において、その指定金額に不服のある相手方に對しては、政府にその支拂金額の改定を申請させることとし、この申請があつた場合、政府は特定契約委員會に諮問して、支拂金額を決定することにしたのであります。なおこの委員會の答申に基づく政府の決定に不服のある相手方については裁判所に出訴させ、その判決にまつこととしたのであります。
第三は特定契約について必要な調査をすることについてであります。特定契約につきましては、契約履行の完了により適正な金額の支拂いを要するわけでありますが、契約條項の履行が完全であるか否か等につきましては、適當な調査をすることが必要であります。そのために政府は當該官吏をして契約の相手方等に對し質問したり報告を徴したり、これらの者の營業所、作業場等に臨檢したり帳簿書類等の檢査をしたりすることのできるようにいたしました。
第四は右に關する違反行爲者に對して必要な罰則を設けることにしたことであります。
なおこの法律の施行につきましては、その準備等につきいろいろ違つた事情がありますので、各事項別にその期日を定めることといたしました。
以上がこの法律案のだいたいの内容であります。何とぞ御審議の上、速やかに御協贊あらんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=109
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110・稻田直道
○稻田委員長 次ぎに運輸大臣に對しまする質問がまだありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=110
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111・川島金次
○川島委員 關聯して一つ質問して終りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=111
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112・稻田直道
○稻田委員長 では川島君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=112
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113・川島金次
○川島委員 一言お伺いいたしまして私の質問を打切りたいと思います。これは過般の豫算總會でも話が出たことでありますが、折角農民の協力によりまして供米なども非常に意外に順調になつている。今年はやや豐年だつたというので、全國の消費階級も非常に政府に信頼をいたしまして期待をしておつたのでありますが、
〔委員長退席、西村委員長代理着席〕
はからずも最近になりまして、東京都その他の地方におきましても、中小都市においての遲配缺配が目立つて參りました。一體遲配缺配の原因というものは、だいたい運輸關係にあるというのが私どもの耳にした所でありますが、現在の輸送の状況と、農林省が考えております所の食糧の輸送力、そういうことを見合いまして、どの程度缺けているものがあるのですか。それを一つこの機會に簡單でよろしいですから、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=113
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114・平塚常次郎
○平塚國務大臣 輸送については今囘貨物、客車の縮減をいたしましたが、食糧に關する限りは、しかも米に關しては最優先で運ぶという計畫を立てております。この計畫輸送の結果を申し上げますと、十二月の上期には全體で一〇七%運んでおります。十一月は九七%、そのうち米が計畫輸送に達しませんで、七一%程度より出ておりません。この原因について農林省と打合せをしたのでありますが、運輸省はこの米の搬出のためには、全國的にだいたい貨車を平らに配給しております。しかるに非常に供出のいい所はどんどん一〇〇%運んでおりますけれども、たとえば新潟縣のように供出が十分でない所は、貨車を廻しましても一〇〇%の輸送ができないのであります。重要物資の輸送を一〇七%行つているのでありますから、もし米が平らに出ておりますれば米が一〇七%送られるはずであります。ただ遺憾なことには今まで七一%より運んでおらぬということは、鐵道の配車の惡いためでは私は絶對にないと思つております。さらにその後昨日から輸送計畫をまた新たにいたしました。それは新たに石炭事情の惡いためでありますが、この計畫におきましてもだいたいにおいて非常な縮減をしなければならぬので、第一期といたしましては客車を七五%今度は切つたのであります。さらに一月になりますと、全部切れというような要求が強いのであります。それは主として進駐軍と食糧、それから石炭の輸送で汽車が一ぱいになつてしまうのであります。輸送力から行きますと、それほど減らした場合でも、米は最優先的にだいたい月に百萬トン輸送するという計畫をもつておりますが、供出がうまく全國的に平らに出てくれなければその目的が達成できません。幸いにして多く出た所には五千キロからの臨時列車を出して米を運んでおりますから、運輸省に關する限りは、絶對に米の輸送ができないために缺配になるようなことは、私は責任をもつてしないつもりであります。しかしこれは米が出て來ない限りは私の責任でないのでございますからお許しを願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=114
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115・川島金次
○川島委員 だいぶ力強い頼もしいお話で意を強うしましたが、それに反しまして運輸省が折角の熱意をもつて配車計畫等を立てておりまするに拘らず、その配車計畫に即應するだけの方法がとれないというのは、他にまた大きな事情があるのではないかと思うのですが、それについて農林當局のお話を承りたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=115
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116・片柳眞吉
○片柳政府委員 只今運輸大臣から輸送方面についてお話があつたわけですが、お話のように私の方で最近の廻着の不振の理由を檢討しておりますが、やはり私の方で見て參りますと、鐵道の配車の方は、運輸大臣のお話のようにだいたい要求通り行つております。ただ最近の情勢は、御承知のような東北、北陸方面の吹雪の關係で、實は數本の臨時貨車を貰つておるわけでありますが、遺憾ながら最近の状況ではそれを動かす石炭がないという實情であります。これは主として大きな生産縣であります所の秋田、山形地帶に特に強いのでありまして、實はその關係で本日も運輸省當局と折衝いたしましたが、差當りは吹雪の關係で折角の臨貨が動かないということが、最近の不振の原因であります。なお供出部面の關係は、お話のようにだいたいは順調に行つております。二十日現在で、全國の買入れました累計が千百七十八萬三千石でありまして、約四一・九%でありますから、物の面からは、まずだいたい順調に行つておる、こういうふうに言えると思うのであります。ただ吹雪等の關係で、配車を貰いましても、これを動かす所の石炭が最近はついておらないという原因がありますし、もう一つは同じく雪の關係で、米は村の倉庫に入つておりますけれども、驛までの小運送がきかない、こういう事情もあるようでありまして、今いろいろやつておりますが、そこで私の方の差當りの對策といたしましては、秋田、山形、新潟あたりはなかなか雪の關係で困難でありますので、現在の京濱向けの輸送は——勿論山形、秋田方面にも最善の手は盡くしておりますけれども、雪の被害をあまり受けません所の表日本から、だいたい京濱に入れて參りたい、こういうことでやつておるわけであります。從いまして、これは元來は消費縣に屬しまするが、岩手縣でありますとか、或は福島縣等から京濱向け輸送を最近お願いしておりますし、さらに關東地廻りの埼玉、茨城、栃木縣から現在特に輸送をお願いいたしておるわけであります。まだ最近の入荷状況は所期の通りには行つておりませんが、今月の下旬からは相當上る見込ではないかというふうに見ておるわけであります。それから大阪方面は、實は昨日の地震で、岡山縣から相當量が來ることになつておりますが、これがどうなつておるか今調べておりまするが、まず岡山から入る數量には影響がないようであります。なお大阪方面につきましては、滋賀縣なり、鳥取方面からできるだけ運ぶことになつております。だいたい現在の入荷の状況を申し上げました。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=116
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117・川島金次
○川島委員 只今主食糧の遲配、缺配が實現されておることは、國民の生活にとつてきわめて重大なことでありますので、輸送の方はまず運輸省が大分熱意をもつて萬全の策を講じておるようでありますから、それに即應する萬全の對策を急速に立てて、いやしくも東京その他附近中小都市に至るまで遲配缺配等の現出のようなことを一日も早く拂拭していただきたいということを、私は國民の要望とともにお願いを申し上げたいのであります。これは農林當局の責任ではないでありましようが、ややもすれば地方に行つて、いろいろな縣内の事情がありまして、なかなか小運送がきかない。その小運送のきかないということは、結局できるだけ安い費用で運送しようというような事柄も、もとより非常な原因になつておるようではありますが、繰返して申し上げますが、食糧の問題は實に重大でありますから、いろいろの惡條件もありましようが、地方全體を督勵しまして、その惡條件を克服するに足るだけの、農林省當局の強い、しかも地方に對する理解ある態度をもつて臨みまして、そうした遲配、缺配の一日もなくなるような強い態度と方策をとつていただきたいということを、重ねて強く要望する次第であります。
最後にお願いいたしますのは、都會地における食糧營團から一般消費者が買入れます場合に、今もつて到る處一一消費者が食糧配給所に取りに行つているという有樣であります。少くとも今日入手もあるでありましようし、いろいろな條件が、戰爭中とは打つて變つた時代になつておりますのに拘らず、今もつて各國民の家庭では、列をなして配給所に取りに行かなければならないというような事實が全國到る處に、大部分と言つてもよろしいのですが、行われておるのであります。農林當局といたしましては、そういつた事柄に對して、各機關を通じて、少くとももう今日に至りましては家庭への戸口配給ができる體制をつくるべきだと私は思う。今の家庭では毎日いろいろな食糧その他の配給を取りに行くことによつて、實に各家庭の主婦などは暇がない。民主主義國家の婦人として大いに教養をしなければならぬというようなことも言われておりますが、そういうことで多くの勞力を費しておるということは、いろいろな面において私は思わしくないことだろうと思うのでありまして、それに對して當局はどのような考えをもつておりますか、もしできることでありましたならば、各食糧配給所から戸口配給のできるように、戸口配給が許されぬとすれば、隣組單位にでも持ち込むような親切が、もうそろそろあつて欲しいのではないかと私は思うのでありますが、それに對する御所見を伺います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=117
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118・片柳眞吉
○片柳政府委員 今の點は私も全く御同樣であります。米の消費者價格の算定の場合におきましても、配給所から家庭まで持ち込む費用を加算しておりますので、營團の本來の性格からも、當然持込配給をしなければならぬ、その趣旨で各營團なり地方廳にも通牒を出しております。ただ遺憾ながら營團のストツクが非常に少いために、お話のような遲配缺配が一部には起つておるというわけでございまして、營團のストツクが非常にぎりぎりでありますので、今少しストツクが殖えました後には、一刻も早く家庭持込配給をやつてもらいたいと思つております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=118
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119・西村久之
○西村委員長代理 質問の通告がございませんから、本日はこの程度にいたしまして、明二十二日午前十時から開會いたしたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=119
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120・西村久之
○西村委員長代理 御異議ないようでありますから、そのように取計らいます。本日はこれで散會いたします。
午後三時五十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112115X00319461221&spkNum=120
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