1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
内閣法案(政府提出)(第一號)
—————————————————————
昭和二十一年十二月十日(火曜日)午前十時三十二分開議
出席委員
委員長 高橋泰雄君
理事 安部俊吾君 理事 三浦寅之助君
理事 大久保傳藏君 理事 淺沼稻次郎君
理事 竹山祐太郎君
飯國壯三郎君 江藤夏雄君
花月純誠君 栗原大島太郎君
綿貫佐民君 五坪茂雄君
苫米地義三君 保利茂君
八木佐太治君 金井芳次君
清澤俊英君 土井直作君
林田哲雄君 吉川兼光君
井上徳命君 橋本二郎君
平川篤雄君 疋田敏男君
丸山修一郎君 吉田セイ君
出席國務大臣
國務大臣 植原悦二郎君
出席政府委員
法制局次長 佐藤達夫君
━━━━━━━━━━━━━
本日の會議に付した議案
内閣法案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=0
-
001・高橋泰雄
○高橋委員長 これより會議を開きます、本委員會に付託せられたる内閣法を議題に供します、まず政府の説明を求めます、植原國務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=1
-
002・植原悦二郎
○植原國務大臣 委員會に付託されまし〓内閣法案につきまして御説明申し上げます
まず第一に、内閣の職權、組織、責任、運營に關する基本的な規定を定めておるのであります、すなわち第一條として、内閣は、日本國憲法第七十三條その他日本國憲法に定める職權を行うものであることを規定して、行政權の主體としての職權を明らかにし、第二條第一項として、内閣は、首長たる内閣總理大臣と國務大臣十六人以内をもつてこれを組織することを規定して、組織の根本を定め、第二條第二項として、内閣は、行政權の行使について、國會に對して連帶して責任を負うものであることを掲げ、行政權行使についての國會に對する責任を明らかにし、第四條として、内閣がその職權を行うのは、閣議によるものであり、閣議は、内閣總理大臣がこれを主宰すること等、閣議に關する事項を規定して、内閣の機能運營の根本を定めたのであります
第二に、内閣を組織する各大臣と、各省その他行政各部との關係を明らかにするため、第三條として、各大臣は憲法上の主任の大臣として出でて各省大臣等となり、行政事務を分擔管理することを規定いたしておるのであります、尤もいわゆる無任所大臣の存することを妨げるものでないことは、第三條第二項に明らかであります
第三に、首長たる内閣總理大臣の職權に關する規定を設けております、すなわち内閣總理大臣の職權として、第五條において内閣を代表して議案を國會に提出し、一般國務及び外交關係について國會に報告すること、第六條において、閣議にかけて決定した方針に基ずいて行政各部を指揮監督すること、第七條において、主任の大臣間における權限についての疑義は、閣議にかけてこれを裁定すること、第八條において、行政各部の處分、または命令で適當でないものについてはこれを中止せしめ、内閣の處置を待つことができることを定めているのであります
第四に、内閣總理大臣及び主任の國務大臣の事故のある時、並びにこれらの大臣が缺けた時、その職權を臨時に行うものを規定するため第九條及び第十條を設けました
第五に、政令に規定し得る事項の範圍を明らかにするため、第十一條として、政令には法律の委任がなければ義務を課し、または權利を制限する規定を設けることができないことを定めました
本來政令は、改正憲法第七十三條の規定に基ずいて、憲法及び法律の規定を實施するために、内閣において制定し得るものでありますが、これは國民の權利及び義務に關する新憲法第三章等新憲法の原理に即するものであります
最後に内閣の補助部局に關する規定を設けました、即ち第十二條第一項乃至第五項において、内閣の補助部局として内閣官房、法制局に關する事項を規定し、さらに同條第六項において内閣官房及び法制局以外必要な補助部局をおき得る旨を規定いたしたのであります
以上は概ね臨時法制調査會の答申に則つて立案いたしている次第であります、よろしく御審議のほどをお願いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=2
-
003・高橋泰雄
○高橋委員長 質疑にはいります、綿貫佐民君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=3
-
004・綿貫佐民
○綿貫委員 新憲法の下におきましては、國會をもちまして國權の最高機關とせられたのでありますが、國權發動が直接國民大衆に接觸いたしますのは、すなわち行政の面であります、しこうして行政の範圍たるや、國民生活のあらゆる部面にわたりまして接觸面を有しておりまして、その能否は、直ちに國民全般の福利に重大なる影響を及ぼすものでありますが、その責任の衝に當りまするものは内閣であります、この意味におきまして内閣の地位というものは、きわめて國政運營上における重大なる地位を占めるものと言わなければなりません、如上の見地から、本案に關しまして、あらゆる角度から檢討できましようけれども、私は二、三の點につきまして、政府の所見を伺いたいと存じます
第一點といたしましてお伺いいたしたいのは、新憲法の下における行政機構の一般の問題でございます、御説明にもありましたごとく、新憲法は、行政權は内閣に屬すると規定しております、これは内閣が行政部の首腦機關であることを示すものであると考えるのでございますが、本案もその建前で行つておるものと考えるのであります、行政部の最高首腦官廳としての内閣の機構は、本案によつて大方明らかにされておるのでございますが、この内閣を首腦とする一連の行政機構は、新憲法の下においては、いかが相なるのでありましようか、本案におきましてはこれを窺い知ることが不可能のように存ずるのであります、これらの全貌を概ね承知いたさなければ、本案の意圖いたしまする所の内閣制度そのものも、的確に把握することは困難と存ずるのでございます、恐らく現在の各省のごとき中央機關が存置されると推測いたされるのでありますが、もししつかりといたしますならば、各省と内閣との關係はいかに考えておりましようか、すなわち各省の長官と國務大臣とは、現行制度のように同一の人をもつてその地位を兼ねしむることとなるのか、または各省長官の行政責任は、内閣が國會に對して負う所の行政責任との間にいかなる關係をもつのであるか、これらの點を中心といたしまして、内閣と一般行政機構との關係を明らかにいたしますることは、内閣の性格を把握する鍵であると存ずるのであります、以上の點につきまして國務大臣の御意見を伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=4
-
005・植原悦二郎
○植原國務大臣 綿貫君にお答えいたします、一体「内閣」という字は英國のキャビネット——明治十八年にできました時にはその飜譯でありまして、内閣というのは行政機關の中心たる合議体をいうのである、しかもこれはキャメラという字から來ておる祕密會議という意味であります、そこで内閣というものは行政權の中心となつて、その局に當る中心のものが、合議的に決定して連帶責任を負う、それが内閣の起源であります、英國などにおきましては、内閣會議にはいります時には、いかなる閣僚も紙一枚と鉛筆一本だけしかもつことができない、そこで決定した手續きについては絶對に祕密、もしこれを發表するものがあれば、日本でいうならば書記官長の口を通して言ふだけのこと、各大臣はその決定事項に對しては、その行掛りがいかなる行掛りであらうとも連帶責任を負う、決定のみに從う、その手續きについてはどういう手續きがあつても、これは祕密として絶對に記録にも留めないというのであります、やはりその建前がずつと日本の内閣なり、今日の内閣制度であるのであります、そこで新憲法におきましても、行政權の行使については、その中心は内閣である、内閣というものは合議制で、全會一致で決定する、その決定したことは連帶責任でこれを行う、さうして新憲法におきましては、内閣總理大臣は國會の指名によつて天皇陛下がこれを御任命なさる、その下に十六名の國務大臣ができる、その十六名の國務大臣が内閣を組織するのであります、その十六名の國務大臣の中で、特に各省——只今の制度で言いますならば、大藏省とか農林省とかいう特殊な國務大臣がその省の行政の任に當る、その行政の任に當る者は内閣閣議に基ずいてこれを行う、各省の大臣は内閣總理大臣に責任を負う、内閣總理大臣は全部の行政に對して責任を負う、こういう建前だと思います、そういう建前で内閣法は新憲法の精神に則つて、行政の權は内閣が中心、内閣總理大臣がその主宰者、その下において十六名の國務大臣がある、その十六名の國務大臣の中、或る者は特別な行政事務に當る、當らない所の無任所大臣のごときものもあると思います、またその下のずつと行政官廳の下部組織においては、また行政官廳法で定められるものと思います、大體においてさように御承知願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=5
-
006・綿貫佐民
○綿貫委員 了承いたしました、第二點といたしましてお伺いいたしたいのは、只今お話のありました國務大臣の數に關する問題でございます、内閣制度につきましては、少數閣僚制を主張する者も相當世間には少くありませんまたその他面におきまして、行政の複雜化に伴いまして行政機構の分科を示唆する傾向もないではありません、たとえて申しますれば、近來勞働者、水産省、國土省、或は建設省を新設すべきであるという議論も、相當盛んなようでありますが、各省長官と國務大臣とを兼ねしめることといたしますれば、これらは閣僚數を増加する方の議論となるのであります、かような點に關聯いたしまして、本案が國務大臣の數を十六名以内ということに定められました所の根據、理由をお伺いいたしたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=6
-
007・植原悦二郎
○植原國務大臣 これを十六名と定めましたのは、現在の内閣の行政の運用状態を基礎として定めたものであります、大體日本の今の行政の全體の場面から見て、また現存する内閣の制度の状態から見て、十六名くらいが適當だろう、こう考えております、但しいろいろ新憲法に附屬する法律の審議において、貴衆兩院を通じて私御意見を拜聽いたしておりますのに、或る御質問は現行憲法の下に行われているいろいろのことをお考えになり、そのことを想定して、新らしい憲法の下にでも行われるでなかろうかというような考えの御質問も多いように思われますが、新しい憲法の運用される場合においては、御承知の通り議會が國權の中心になり、議會から内閣ができ、司法ができる、かういう形になつておりますので、議會が國權の中心で、現行憲法でずつと日本が過去五十七年やつて來た議會政治の運行とは、根本において違つた形ができる、さうしてその違つた下において、かようにしたらよかろうと内閣法を定めるのでありますが、一體議會政治というものはあまり窮屈に考えないで、國會の必要な状態において必要な法律が定められる、こうお考えになつていいではありますまいか、國會がすべての政治の中心になるのだから、今こういう法律ができたから、これが永續すると考えることもあるまいし、御承知のごとく英國や何かには内閣の官制というものはありません、英國は樞密顧問官があつて、内閣總理大臣は樞密顧問官であるので、内閣總理大臣の任命というものは英國にはありません、英國では樞密顧問官に任命されて、その樞密顧問官の人が内閣をつくる形になつておるくらい、法律を窮屈に考えません、どうも日本人はあまり法律を窮屈に、形式的に考えて、微に入り細にわたつて議論して、運用の時には違つたものができるという形になる、それよりは、むしろまず法律は大掴みの所で、その他は議會政治の下にあつて、運用の上で國務大臣が必要なら、議會の意思で必要だけ數を増して行くことはできるぢやないですか、それだから現在十六名と決めましたのは、率直に申せば現在行つている所の各省の状態、そして無任所大臣の状態を見まして、まず十六名ならば現在において支障なかろう、そのくらいが適當であろう、こういうことで定めたので、これがどれだけ深い根據があるとか、規則があるとかいうような、それほど掘り下げたものではない、だいだいこれでよかろう、こういう風に御諒解下さつてよからうと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=7
-
008・綿貫佐民
○綿貫委員 お説のようでありますならば、十六人以内をもつてこれを組織するといふ窮屈なことにせずに、若干名とか、或は何名とか最小限度をきめて、何名以上というふうにしておけば、いつの時期でも決して窮屈なことなしに、だいたい國會にかける必要もない、運用の妙を得るというふうに考えられますが如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=8
-
009・植原悦二郎
○植原國務大臣 お説御尤もでありますけれども、内閣に列する國務大臣が若干名という規定も、妙なものでしようし、またそういうことをしなくても、議會が中心ですべての法律をつくれるのだという考えならば、現在に即した規定を設けておいて、そうして他日必要があつたならば、それを動かすということの方が、もつと正しい考え方でありますまいか、若干名などということは見當もつかないことで、法律を定める上からいつて、どうもあまりよい考えではなかろうと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=9
-
010・綿貫佐民
○綿貫委員 次に第三點といたしまして、内閣がその職權を行うのは閣議によるものと規定しておるのでありますが閣議の決定は全員一致によるのでありましようか、或はまた多數決によるのでありましようか、この點がこの法文では必ずしも明らかでないと思います、これは内閣運營の根本に關する重要な點と認めますので、この際この點を明確にしていただきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=10
-
011・植原悦二郎
○植原國務大臣 さような御質問もあろうと思いまして、御質問を未然に防ぐために、一體「内閣」という字の起りました所以をお話しておいたわけであります、内閣というものは合議制で一つのものにならなければならないから、當然全會一致であります、これは只今の現行憲法の上においても同樣であります、内閣ということはさようなことを意味することであります、この會議は合議制で、外に向つてはただ一つのものになる、どんな議論が起つても結論は一つ、その一つは全會一致、連帶責任をもつというのが、内閣政治の根本であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=11
-
012・綿貫佐民
○綿貫委員 しかし閣僚の中で或は一名、或は二名なりが自己の主張を固執して、どうしても全體の人と調和がとれない場合も、必ずや起るものと思いますが、そういう場合においては如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=12
-
013・植原悦二郎
○植原國務大臣 事實はさようなことも起り得るかも知れません、しかしさようなものは、内閣としての存立の上において支障を招くのでありますから、内閣において總理大臣が特に主宰する力を持つておる、さような違う意見は、總理大臣の主宰によつて必ずや一致できるものと思います、一致しなければ、内閣として内閣の政策を實行することはできないのであります、意見を吐露することは、どんなことでもできるが、政府の政策として決定して現われる時には、一本のものと御了解になり、また内閣總理大臣が、區々の意見が起つてそれをまとめ得ないような内閣總理大臣では、總理大臣の資格がないのですから、その御心配は御無用だと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=13
-
014・綿貫佐民
○綿貫委員 重ねてお伺いいたしますが、大臣になるくらいの方であれば、相當強い自負心と信念を持つておるものと思います、どうしてもこの點については自己の意思をまげない、とことんまでがんばるという方もあると思います、そういう場合に閣議がまとまらないといたしますれば、總理大臣はその大臣を免官にするのか、或はその場合には内閣を投げ出すのかという點について、私は伺つてみたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=14
-
015・植原悦二郎
○植原國務大臣 綿貫君のお考えも、やはり過去五十七年の内閣のことに多く囚われておいでになると思いますが、これからの内閣は、多くの場合において政黨が基礎であります、從つて政黨のだいたいの新政策、意見は一致するものと見て差支えない、同じ主義主張を持つ者が内閣を組織する故に、御推測のような事態は、私は多く起らぬと思いますけれども人間社會のことだから起ることも想定できます、そういう場合には總理大臣が必ずそれを調節して一本にまとめ得るものだと思います、萬一それがまとまらぬ場合においては、それは内閣の閣僚として一致して責任を持つて行けない人でありますから、その人はみずから進んでさような意見を固執する場合にはおやめになることもありましよう、或は内閣總理大臣がその者を罷免することもありましよう、何れにしても内閣としては全體一致の決定によつて國策を行うという立場に立つものと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=15
-
016・綿貫佐民
○綿貫委員 私の申し上げたことは過去に囚われておるかも知れません、しかし大臣の御説はまたあまりにも將來のほんとうの理想にはしり過ぎておるようにも思われますが、その程度にいたします
第四點といたしましては、本案には内閣總理大臣に事故のある場合の代理者を、總理大臣があらかじめ指定すべきことを規定しておるのでありますが、これは實際上副總理を定めると同樣の事柄であると考えられます、これが指定は相當重要なる問題と存ずるのでありますが、元々總理大臣は國會の指名に基づいて任命されるのであります、從つてこれを代理する所のいわゆる副總理という方の指定につきましても、これは總理大臣の場合に準じまして國會の議を經るという必要がありはせんか、かように考えるのであります、御所見を伺いたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=16
-
017・植原悦二郎
○植原國務大臣 内閣官制の下で、總理大臣がすべてを主宰するのであります、從つて事故のある場合に、あらかじめ副總理を定めておくという必要がありましようか、それが國會の承認を經なければならぬという建前は、いかがなものでしようか、むしろ總理大臣は國會の指名によつて陛下から任命されるが、萬一に處する副總理は、總理大臣の意を酌むものでなければならないのでそれをまた別に國會の承認を經るということは妙なことではありますまいか、むしろそうならない方が私はいいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=17
-
018・綿貫佐民
○綿貫委員 この問題は私もしつかり〓かりませんので、一應國務大臣の御説が正しいことと伺つておきます
最後に内閣の機能強化、統括力の強化というものに關連いたしまして、この補助機關の問題についてお伺いしたいのでありますが、本案には官房、それから法制局という二つのものを掲げて、なおその他は法律によつてその機關を置き得るということになつておるのであります、内閣の機能を強化充實いたしまして、その施策に遺憾のないようにいたしますためには、これが補助機構につきまして特段の考慮を拂う必要がありと存ずるのでありますが、大臣の御所見を伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=18
-
019・植原悦二郎
○植原國務大臣 この御審議を願つておる法案によりますと、内閣の補助機關は官房と法制局に限られております、必要があれば他の補助機關がつくれないはずはないのでありますが、どういうことを想定なされておるか存じませんけれども、内閣がその政策、行政を徹底的にやる上においては、なるべく補助機關が少い方がいいのではないでしようか、人事その他いろいろのことについては、官房というものの必要なことは、これは補助補強の機關というよりは、むしろ、補佐的のもので、事務的のものです、それからいろいろの法制上の事務を取扱わなければならない上から言えば、法制局ができる、そのほかどういうことを想定なさつておるか、いろいろそういうものができるほど、かえつて行政上分裂せしむるようなもので、なるたけそういう機關は少い方がよろしいと考えております、それで官房と法制局だけで足りるではないか、もし必要な場合においては、現在の經濟安定本部のようなものでも一つの内閣の補助機關なりと見れば見ることができますが、そういうものを隨時に必要に應じてつくつてもよろしいのではありますまいか、この官制の上に特にこれ以上のものを只今つくる必要を強く考えておりませんが故に、官房と法制局にしたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=19
-
020・綿貫佐民
○綿貫委員 私の質問はこれをもつて一應打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=20
-
021・高橋泰雄
○高橋委員長 苫米地義三君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=21
-
022・苫米地義三
○苫米地(義)委員 今日は總理大臣は見えませんか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=22
-
023・高橋泰雄
○高橋委員長 總理大臣は樞密院に行つておるので見えられません、總理大臣の御出席を待ちますか、後に廻わしてもいいと思いますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=23
-
024・苫米地義三
○苫米地委員 それでは國務大臣から私の質問の總理大臣に對する所見のことはお取次ぎを願つておきます、私は大體左の三點についてお伺いしたいと思います第一は、内閣法の第二條に、國務大臣は十六人以内とすることでございまして、その件につきましては本會議でもだいたい特別な意味があるわけじやないという御説明がございましたが、現在この議會の内外におきまして、行政省を新設してもらいたいというような議論が相當ございます、その現われといたしましては、たとえば生産省、或は水産省、勞働省、國土省、土木省等がいろいろ希望されておるのでありますが、政府はこの點に對しましては、何か既定の方針でもあつて十六人以内と限つておるのでございましようか、或はこういう問題につきましては、さらに考慮の餘地があるのでございしようか、その點をお伺いいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=24
-
025・植原悦二郎
○植原國務大臣 お答えいたします、只今の日本の國の行政分量から考えましたり、また實際のお話の水産、水政等の問題を考えましても、それらのものを獨立の省につくるだけのことがあるかないかということも考えられないのであります、だからして現在の日本の行政の分量、只今しておりまする國政の運用の點から見ますれば、まずだいたいにおいて十六人以内で相當能率的な内閣の行政事務を運行することができると考えたのであります、勿論なお念のために、かようなことを申し上げておいた方がよろしいと思いますが、現在の政治の運行と、實際議會中心の政治の運行とは、その間に自ら相違が出て來ると思います、そういうことを考慮いたしまして、實は現在の内閣の組織も根本的に改める必要があるのではなかろうかということを考えまして、只今行政機構全體に對しての調査研究をいたしております、その結果またいろいろなことも起ろうと思いますが、現在の建前では、まず日本の國家が要求する行政の各部門のことを考えまして、十六人以内で可なり有效にして能率的にやつて行けると考えて、現在の事實と、これまでやつて來た内閣のやり方との兩方合わせまして、十六人ときめたわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=25
-
026・苫米地義三
○苫米地(義)委員 政府が發表いたしました六大政綱のうちにも、行政調査部というものを置いて、檢討いたされるということでありますから、只今御説明になりましたようなことでございましよう、その枠は十六人以内ということに、だいたい政府としては考えておられるものと、御説明によつて拜聽するのでありますが、さきに厚生大臣は勞働省を設置するということに對しては考慮しておるというふうに言われておりますが、その點に對しましていかがでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=26
-
027・植原悦二郎
○植原國務大臣 勞働省の問題も、厚生大臣が言われる通り相當考慮いたしております、さようなものを一省としてつくるだけの日本の現在の状態か、或は一省としてでなくて、或る特別な院の程度でよろしいものか、まだ最後の段階に到達いたしておりません、そればかりではない、全體の行政機構に對しても、議會中心の政治になるようになつたならば、相當の變革が起るのではなからうか、たとえて言いますならば内務省の問題です、内務省は今までの内務省と全く違つたものができはせんか、地方の知事が民選になり、かりに地方に行政警察が移されてしまい、司法警察だけが中心になつて行われるような状態になり、地方に完全な自治體ができましたならば、内務省というものの仕事はほとんど極くわずかなものになりはしますまいか、一體立憲政治の下で民主主義が徹底的に行われ、地方分權が確立いたしますれば、どこの國でも内務行政というものは非常に輕いものになる、これらを一體どうしてよろしいかということも、やがて起ると思います、そういうことを考えまして、ほんとうに國會中心の政治が行われるようになつたならば、いろいろの變革があらうと思います、そういうことを想定して、今は行政機構の全體を考えておりますが、そういう立場からいたしましても、いろいろの組合せがあります、その組合せを商工省と農林省の問題はお考え願つておるのですが、元は農商務省と言つていた、そういうようにしてしまつた方がいいか、これを今のまま別々にしておいた方がよいかどうか、或は通商貿易の局部のものだけをはずして、あとの商工、農林というものを一緒にした方がよいのではないかという考え方もあつた、そういうことを考えて日本の今日の國政の上の全體を考えまして、十六名の國務大臣があつたならば、たいがい、いろいろのものを考えて行けるのではなからうか、どうせこれは腰溜めの問題ですけれども、そういう腰溜めの上に十六名と定めたことを御承知願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=27
-
028・苫米地義三
○苫米地(義)委員 只今の御説明によつて大體輪廓はわかりました、現在の内閣は、十六名の大臣の中に行政機構を檢討しよう、こういう風な御意思のように拜聽いたしました、私は只今大臣からお話がありましたように、次の點に對しましては、ぜひこれは伺いたいと思つておつたのであります、それはいわゆる産業省——産業面にある農林省、商工省の關係でございます、かつて日本の行政中、陸海軍が非常に摩擦が多くて仲が惡いということは世界中の評判であつた、所が現在農林省、商工省の關係が或はそれほど強くなくても、かなり産業面の關係は困つた存在として考えられておるのであります、私はこの前の議會で肥料増産配給の決議案を出しました時に、この説明の中に、肥料生産行政の一元化ということを取り上げたのでありますが、これは現在の所ではなかなか容易に實行できない、それがために肥料の生産復興ということが遲れておることは事實であります、こういう大事なものが行政機構のために阻碍されておるということは非常に大きな問題だと考える、これを根本的に解決するには、むしろ農林省と商工省を統合して、産業省というようなものにしてはどうかということを申したのでありますが、これは必ずしも産業省でなくとも、生産省でも、或は農商務省でもよからうと思いますが、こういう實際の運營につきまして篤と一つ御調査を、或は御調査の上は實行を期待してやまないのであります、肥料關係の例をとつてみますと、この暮れには硫安の工業のごときは、年産百萬トンできると政府は言つておつたのであります、われわれもまたこれを期待しておつた、しかるに復興轉換の工場に對しまして、農林省、商工省が別々に調査する、そしてその調査が合わないために、またさらに再調査をする、或は金融に對しましても、農林省と商工省とは必ずしも金融の系統が意見が一致しません、そういう點から相當この復興轉換の仕事が遲れている、現在これほどやかましい肥料問題に關しまして、確かにこの行政が障碍を起しておるということは、これは間違いのない事實である、それをしも現在のままでこうしておくといふことは、日本の食糧問題その他の産業の上において緊急に取り上げていただかねばならぬ必要があると思う、いわんや日本の産業というものは賠償施設として順次撤去されますし、それから仕事の範圍が狹まり、商工省行政も可なり少くなります、また農林省系統におきましても、領土が減りましたから、これまた範圍が狹くなつておりますから、これを統合して一省にしても、決して行政の面において不自由はないと思います、所がそれほど大きくすると、一人ではそれはできない、こういうことをよく聞くのでありますが、これはそんなに廣くて人がなければ、次官を二人おいてもよからうし、また日本の産業というものは今後小さくなりまして、中小工業が主たる問題になり、從つて農村にこの中小工業、また農村工業が盛んになりまして、工業と農業とは分離ができないような状態になるのではないかと思うのであります、從いまして商工省、農林省のけじめを、今までのような割據主義につけておりましたならば、日本の再建復興ということは可なり面倒になるのではないかと思うのであります、この點に對しまして只今御説もありましたけれども、深甚なる考慮をしていただきたいと思うのでありますが、今までに内閣においてさようなことが話題に上つておつたことがありましようか、どうでしようか、その點を伺いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=28
-
029・植原悦二郎
○植原國務大臣 お尋ねにお答えいたします、お説のごとき節々もあるのでございまして、新憲法が實施される曉に處する行政機構のごときも、一大變革の必要に迫られるのではないかと考えまして、折角このことを研究調査しておりますし、お説のごとき御意見は十分その中の考慮に加えられることと信じております、その點はよく御諒承願いたいと思います、さような場面で日本の新しい建直しをする上に國政全體を考えまして、國務大臣の數は十六名くらいで大體行けるではないかということで、十六名といふ規定をつくつた、そう御承知を願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=29
-
030・苫米地義三
○苫米地(義)委員 御説明で大體わかりましたが、もし急に商工省、農林省の統合ができません場合、先ほど申し上げました肥料政策の困難は、なかなか打開されないと思うのでありまして、私どもは、むしろ肥料廳というようなものを内閣直屬に置きまして、そして生産配給を統合し、製品は專賣の形式にもつて行くのがよいのではないかというような氣持をもつておるのでありますが、肥料廳を内閣に設置してやるというようなことに對しましては、これは何かやはりお話でもございませんでしようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=30
-
031・植原悦二郎
○植原國務大臣 只今の所で、内閣で肥料廳をつくるというような考えはもつておりません、けれども、農林、商工の間において、肥料の問題についてはいろいろの意見の相違等もあることもよく認めております、けれども、現在肥料が思うようにできない一番の根本の問題は、石炭の不足であります、この不足をどうしても全力を擧げて増産の出來るようにいたさなければ、如何にお説のごとく肥料省をつくつてみた所が、どうも御希望のような結果を得られるかどうかわからぬと思います、行政上の商工、農林両省の問題については、政府も愼重に考慮いたしております、肥料省をつくる考えはありませんが、何とかして肥料の問題をできるだけ増産いたさなければならないと、その根本の石炭の増産の方にも非常に、できるだけの手配をいたしておるわけであります、さように御承知を願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=31
-
032・苫米地義三
○苫米地(義)委員 石炭の問題が重要であることは勿論でありますが、しかし肥料から申せば石炭はやはり一つのものであります、その他澤山條件がございまして、これが農林省、商工省に跨がつております、この跨がつておるということが、非常な障碍になつておるのでありますから、單純にお考えになりませんで、今年も、もう一箇年そういうふうな小田原評定で送つてまいりました、現に生産が思うほど參つておりません、これは篤と政府もお考えを願いたいと思うのであります
第一點はそれだけでございますが、私の伺いたい第二點は、日本が敗戰後に對しまして、本當に根本的に起ち上る基礎は何であるかと言いますと、やはり國民の道義、教養及び知識、科學の向上だと思うのであります、政府もすでに六大政綱の中には、教育制度の刷新を取り上げておるようでございます、しかしながら、ただ教育制度の刷新のみでは、到底これは行くものではない、文部省の今年の豫算を見ましても、その點に對しましてはきわめて貧弱であります、たとえば一つの例をとりましても、科學の振興は非常に必要でありますけれども、その科學研究費、奬勵費といふものが、わずかに三千八百萬圓であります、新聞で傳える所によりますと、ロシヤでは昨年が二十億ルーブル、本年はさらに二倍半の五十億ルーブルをもつて科學の研究調査をやつておるということでありまして、各國とも科學の振興に對しては非常な力を注いでおるのであります、また一面に對しましては、日本の道義、道徳、國民の教養、この點を刷新向上するのでなければならぬ、われわれ民族が他日國際連合にでも加入する場合には、どうしてもその形をとつて行かなければならぬと思うのであります、その點に對しましては、文教に對する非常な大きな抱負をもつてお考えを願い、またその機構を整えなければならぬと思う、この點に對して政府はどういうふうにお考えになつておるのでありませうか、その點お伺いいたしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=32
-
033・植原悦二郎
○植原國務大臣 直接法案に關係のお尋ねではありませんが、きわめて重要なる御所見でありますから、お答えいたします
戰爭の一番恐ろしいことは、物質の破壞よりも、人間の精神的破壞だと思います、從つて今日日本の再建に對して何よりも必要なることは、この道義の頽廢に對して、人心の作興をはかることにあるのではないかという御意見は、まことに御尤もだと思います、それなくてはいかなる政府の組織がありましても、いかなる物質がありましても、立派な再建は出來ないと思います、そのためにはお説のごとく、教育の振興と申しますか、人心の刷新と申しますか、それに政府は非常なる努力を傾けべきだと思います、同時に新憲法が發布されまして、やがてはその效力を發生する日も近いのでありますが、この憲法は御承知の通り、民主主義を可なり徹底的に取り入れておる憲法であります、今までのような日本の教育で、今までのような日本の國民が附和雷同するような状態では、健全なる國家の建設は不可能だと思うのであります、從つて、從來の詰込み主義の、劃一的な個人を抹殺するような教育は、根こそぎ徹底的に叩き潰して、立直さなければならないと思ひます、それと同時に、國民も、今自由を與えられたといつて、大多數の國民は自由と放縱と利己主義勝手わがままとをはき違えておるようであります、自由なるものは反省があり、自制がある、他人の權利や義務をよく理解しない所には自由も何もないのだが、それさえも十分に理解せずして、ほとんど日本の今日の思想上においては混亂状態だと思います、これを立直すには、あらゆる法制を定めることも必要だと思いますが、これを立直して、そうして道義の頽廢を改めて、精神的に日本の國民が個々に責任を感じて、國家再建に奮い起つように指導することが、お説のごとく第一の問題ではなからうかと、政府もそのような考えで非常に考慮し、努めてその方向をとりたいと思つて、折角努力しておる次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=33
-
034・苫米地義三
○苫米地(義)委員 よく了承いたしました、法案に關係がないと仰しやいますけれども、私の申し上げたことは、文教の行政機構その他に對して、もつと擴大して、從來わが軍部が陸海軍にあれだけ金を使いましたが、これからはほんとうにその方にむしろ金を使うということにつきまして、一つの基本的なお考を伺つたのでございます、現在そういう御意見がありますのに、たとえば私立大學等におきましては、物價の昂騰によりまして教授その他の從業員はほとんど生活に困るというようなことにもなつており、また第二封鎖は使うことを許しませんから、私立大學は行詰まるというようなことにもなつておるようであります、こういう點に對しましても、もし今のようなお話があれば、もつと積極的に御研究下さつて、文教のすたらないようにしていただきいたと思うのであります、その點が第二問であります
第三點といたしまして、この新憲法の國民の權利義務、只今お話がございました通り、また財産權に對しましても、從來のような自由奔放な權利ばかりでなくて、そこに一つの大きな義務が生じて來ているのであります、從つて今後この憲法によつて、いろいろ行政的な措置が講ぜられなければならぬと思う、その一つの例といたしましては、現在わが國再建の鍵を握つております所の、生産復興に對して起りつつある勞資の對立問題、この勞資の對立ということに對しまして、たとえば、資本すなわち財産は、公共の福祉のために利用されるようにこれを規定する、また勤勞の權利も、やはり公共の福祉のために利用する責任を負うというふうに憲法にございます以上は、ともに公共の福祉ということについて、兩方とも拘束を受けるやうなことになるかと思うのであります、從いまして從來のような勞資の法案は、こういう憲法の精神によつて改變されるのではないかと思うのでありますが、政府のお考えはどうでございましようか、この點お伺いをいたします発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=34
-
035・植原悦二郎
○植原國務大臣 お説の通りだと思いますが、それを理解するにはかなり國民が民主的に教育されなければならない、ちようど自由を與えたといえば放縱に流れ、公共の福祉のためと言えば、公共の福祉よりは、さらに個人の權利を侵害するような所まで行くということになるので、お説のように非常に努めなければならないことであるが、むつかしいことで、これからは、いかなる行政の任務に當る者も、個人の基本的權利はどこまでも尊重し、公共の福祉に對しては努めてこれを増進するようにし、同時に共同生活、勞資と申されましたがただ勞資ばかりでなく、共同生活がほんとに理想的にできるようにするには、なんと言つても國民を再教育しなければならない、これは可なりむづかしい問題だと思いますが、これから後の政府に課せられた一つの大きな仕事であると思うのであります、その點についてはこの内閣法を相當考慮して、政令をつくる場合にも、個人の權利を制限することについては、非常に深甚なる注意を拂わなければならぬ、或は義務に對しては相當の考慮を拂つて、これを全うさせるようにしなければならぬということについて、非常な考慮を拂えるように、法の建前をしてあるつもりであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=35
-
036・苫米地義三
○苫米地(義)委員 御説明の通りでございますけれども、憲法は來年の五月でなければ施行にならぬから、從來の通りの法律がまだ存在しておりましようが、新憲法が實施になつた曉においては、勞働法規であるとか、或はカルテル取締法であるとかいうようなものは、どうしても檢討される必要があると思う、それは新憲法の精神によつて調整されなければならぬことである、そういうことが考えられておりますかどうかという意味でございます、この間アメリカを風靡しましたあの炭坑罷業、これの解決にこういうことが書いてございます、一九三三年以來の根本的な問題、すなわち公衆の利益が組織勞働運動に先行するかどうかといふこと、これはいつか解決しなければならぬことであつた、しかるに今囘はその公衆の利益が先行するということに勝利が揚がつたのである、こういうふうにニユーヨークからの電報にございますが、アメリカのような資本の無制限な權利及び勞働のこれに對する無制限な權利を認められる國においてさえ、公益が優先的に勝利を得ている、しかるに日本の憲法は、はつきりとわれわれの權利は祖先天賦の、祖先の信託によつて得られたものであり、しかもこれは公共の福祉のために利用しなければならぬという責任を負うのであります、政府は憲法を擁護する建前にございますから、その線に沿うた一つの法規なり、政令が編み出されるものじやないかと思うのであります、そのことによりまして、國民がほんとうに自分の權利と義務、そして公共の福祉ということに對する認識が深まるじやないかと思うのでありまして、この點に對しまして、政府は何かしら用意があると思うのでありますか、それはどうでございましようか、その點を重ねてお伺いしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=36
-
037・植原悦二郎
○植原國務大臣 新憲法の精神に副うように民法も刑法も商法も皆改正されることと思います、それらの準備を政府がいたしておりますが、それらはやがて通常議會に提出されるようになりましよう、この臨時議會は特に差迫つて皆さん方の御審議を願う内閣法とか、國會法とか或は參議院法とか、皇室典範とかいうものに局限されておりますが、今お話のような意味の新憲法の實施の中に含まれている所の、すべての人權擁護の問題、共同生活の福祉増進の問題等に對しては、それに適應する所のすべての法制の改正が、通常議會に提出されることと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=37
-
038・苫米地義三
○苫米地(義)委員 今日本の最も必要なものは生産第一でございましよう、しかもその生産を阻碍している問題につきまして、勞資の對立ということが現實の上にあることは一般によく知られていることであります、私が先ほどから申し上げましたこの新憲法の精神と、そして日本の現實の推移を思い合わせますと、勞資の關係というものはもつと調和が可能であり、むしろ勞資が物理的な調和ということでなしに、ほんとうの化學的な結合体になつて、日本再興の鍵を握つて行くということになるべきものじやないかと思うのであります、財閥解體、財産税の徹收その他によりまして、威力を揮うような資本というものは日本にはなくなつた、同時に財閥解體の株式が、その會社の從業員に優先的に持たれるという基本的な方針も立つております限り、從業員それ自身が、やはり一種の資本家となつて、資本家と勤勞者の間には、はつきりした色彩がなくなると私は思う、從いまして今後の經營形體は違つて來る、こういうふうに私は思うのであります、私はこれを自分で一つの信託主義經營ということを考えておるのであります、われわれ國民の間には、遊んで食うということは、憲法の上でも許されないことであります、「すべて國民は、勤勞の權利を有し、義務を負ふ、」國民全部が勤勞の義務を負うという限りは、自分の技能によつて國家に貢獻し、みずからが生きて行かなければならぬということでありますから、その線に沿うてこの經營形體を考えてみまするならば、技能經營者のみがそれぞれの適材適所の地位におつて、そうして社會から事業を信託され、また民衆から資本を信託されるというような道義的な觀點に立つて最善は經營をして行く、もとより民主的な機構を置いて運營をいたすのでありますが、そういうことになるのが、われわれの國の向うべき所であり、それがしかもこの憲法の精神に合致しておるというふうに考えまするので、もしこの憲法の精神を織り込んだ法規がだんだんできますれば、その實現も早かろうと思うのであります、今そういう點について十分考慮もし、實行もしてみたいというような御説を伺いまして、私は非常に欣快に堪えない次第でございますが、私の伺いたい問題はそれだけでございます、ただこの行政機構の、農林省、商工省の統合問題につきましては、どうか總理大臣にもこの點の質問があつたということにつきまして御傳達を願い、深甚な考慮をお願いしておきたいと思います、私の質問はこれで終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=38
-
039・植原悦二郎
○植原國務大臣 今最後にお述べのことはよく總理にお傳えいたします、なほ前段にお話のありましたことは直接この法案に關係はないと思いますが、きわめて重要なることであると思いますから、一言所見を申上げておきます、實際日本の國民が、ほんとに敗戰の實情と今日の國勢をよく承知したならば、御説のごとく勞資の爭いをしておるなどという時代ではないと思います、ほんとに協力して國家の再建に當らなければならないと思います、資本家が横暴するとかなんとか申しておりますけれども、さようなこともありましたでしよう、けれども、今日はもうほとんど資本家が横暴するなどという機會は、今日の實情においては全然ありません、また極く原始的な農業時代ならともかくも、今日の世の中に處して、たとえ日本が小さな輕工業、小工業國として將來立つて參りますにしても、資本の蓄積がなければ機械の設備はできません、それ故に資本をただ非難し攻撃して、そうして日本の産業の再建がはかれるなどと考えているのが、徹底的に私は間違つておると思います、資本と勞働と相ともに提携してこそ國家の産業の發達がはかれる、資本の蓄積も必要である、資本の存在もなければならぬと思います、また今日資本家が横暴跋扈しておると言つておりますけれども、資本家の横暴跋扈などというのは、現段階においては、する餘地はありません、それのみならず、過去において可なり資本をもつておつた人も、株式をもつておつた人も、配當が貰えないで五百圓の枠で生活して行かなければならない状態、その現状を考えます時に、隨分今日困つて不自由な生活をしておると思います、不自由な生活をしておるものは、あにひとり勞働者のみならんや、勞働者が今日の自分の生活に喘いでいることもよくわかります、また勞働者がほんとに勞働條件を改めよう、自分の生活を向上せしめよう、ほんとに勞働問題だけで勞働の爭議を起すなら、これもよろしいのでありますが、これが政治を絡んだ運動をするというようなことは、國家の産業に非常なる影響を及ぼすものと考えております、だからして、もしほんとに日本の現状に徹底するならば、どんなんでも今日滿足する者はありません、過去において蓄積して株式をもつておる人も、配當がとれないような状態、勞働者も隨分不利な状態において生活せられるでしようけれども、勞働者のみが今日困つておるものではない、日本全國民が困つておるのだから、勞働者もほんとに今日の生活がどうやらこうやらできるならば勞資の間の爭いを起さないでほんとに協調して生産に盡力して立つて行くでなければ、國家の再建は私は不可能だと思います、その點において全體の國民が徹底しておらぬじやないか、ほんとに日本は負けたのだ、外國の軍隊が占領しておるのだ、現在ポーレーの出しましたような賠償が、ほんとにその通りやられるなら、日本の再建などは思ひもよらないような状態である、これらの問題を考えます時に、今日目先の問題で勞資の間で爭うなどということは、どうもあつては困ると思いますけれども、あることは事實であります、だからして、これをなんとか皆んな御同樣に現状に徹して、そうして國家の再建に努力されるようにならなければならないと思う、どんな人でも今日不自由でない人、滿足できる人はない、これはもう負けたこの悲慘な状態だから、これを協力して建て直すことに全國民が協力されることを、政府としては一に切望してやまざるものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=39
-
040・高橋泰雄
○高橋委員長 三浦君におはかりします、御要求の内務省の政務次官が見えないのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=40
-
041・三浦寅之助
○三浦委員 植原さんで結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=41
-
042・高橋泰雄
○高橋委員長 三浦君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=42
-
043・三浦寅之助
○三浦委員 第一にお伺いしたいと思いますることは、將來の日本の政治が、先ほど植原國務大臣が申されましたように、政黨政治でありまして、政黨の總裁が當然總理大臣になるわけであります、そういたしますると、總理大臣の立場はまた一黨の總裁でありますから、所屬の政黨の政策を實行しなければならない當然の責任があると考えておるのであります、さういたしますると、内閣は當然政黨の主義主張を實現するために、努力するという結果になりまするから、或る半面から見ますると、當然政黨の制肘を受ける結果となるわけだらうと思うのであります、この際におきまして、内閣と政黨と、もし意見を一致しないというような場合があつた時に、いかに處置するかということを、まず第一點にお伺いしてみたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=43
-
044・植原悦二郎
○植原國務大臣 三浦君にお答えいたします、内閣と政黨との意見の一致しないという場合は、具體的にはかような形になつて現われはいたしますまいか、政府で提案する所の重要なる事項を、議會の多數において、その總裁を出している政黨でもそれを否定した場合に、必ず正面衝突の起つて來る場合があると思います、そういう場合においては、内閣は退却するか、或は國家の立場を考えまして、自分の所屬している政黨であるけれども、その政黨の一部の者の考え方が國民の輿論と一致しないとうようなことを考えました時には、議會を解散することもありましよう、また自分が自分の總裁である所の政黨の支持を受けないという時には必ず退却する、そういふ形も出て來ると思います、そういうふうにして調節される、大概政黨の總裁が内閣の總理大臣になる、その平素主張している所の、國民に對する公約した主義政策がありますから、それによつて内閣は制約されるといふ平素の形が出て來ると思います、正面衝突の場合においては、只今のような二つの形において處理される、なお内閣が辭職するか、或は自分の支持する政黨の全部の意見でなくて、その一部が反對しているという場合にこの問題は國論に問うて、むしろ處決した方がいいという場合には、議會を解散する、そういう形になつて政黨内閣の運用は現われて來るのではありますまいか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=44
-
045・三浦寅之助
○三浦委員 從來立憲政治というものの建前から、立法、司法、行政というものが各對等の地位にある所の、三權分立の立場をとつておつたと考えるのでありますが、新憲法の趣旨から見ると、國會は國の最高機關であります、殊にまた實際政黨政治の立場から見ますると、やはり政黨の政策を實行するという立場に立つて考えても、當然從來考えているこの立法、司法、行政の對等の地位というものが崩れて、國會は最高の機關であるが故に、内閣は國會に隷屬するという風にも考えられるし、また隷屬する程度までは行かなくとも、非常に弱い地位に立つと考えられるのでありますが、この點に對する國會と内閣との關係を御説明願いたいと存ずるわけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=45
-
046・植原悦二郎
○植原國務大臣 三浦君にお答へいたします、この三權分立のことについても、一つはつきりした徹底した御見解をとつていただきたいものであります、一つの統治權というものが、三つに分れる氣遣いはない、ただ統治權の機能が三方面によつて行われる、モンテスキユーがフランスの政變の頻々たることを見、英國の立憲政治がうまく行われていることを研究しまして、モンテスキユーは、英國の政治がうまく行われているのは、三權が分立する、法をつくるもの、法を司るもの、法を行うもの、但しそれは三つに分れているのではなくて、統治權が三つの機能を發揮する、こういう意味にほかならないのであつて、別々に存立しているのではない、そこで民主主義の政治が行われるには、國民が政治を行うのだから議會が中心となる、議會が國家の最高の權を持つている、その議會がつくつた法律を行うことが行政官廳である、その行うことを行政的に司つて行くのが司法權である、但し、いかに議會が國家の最高の權力を有するものであつても、その定めたものは人間のすることであつて必ずしも全部正しいとはいわれないのだから、その法律や政令が基本の法典憲法に反することを判斷するのは、議會で承認を與える最高裁判所なるものが、その法律に對して判斷をつける、議會で定めた所の大體の政策を行政部が行う、行政部は議會の一種の出店、國民を代表する所の多數を有する政黨が議會に存在する、その意思を汲んだものが内閣を組織する、こういう形になるので、ほんとの民主政治というものは、立法機關が政治の運用の中心となるけれども、それが法律をつくつたりすることは面例だから、その意見を纏めたものを内閣において法制化し、或は政策化したものを議會に出して承認を經るといふ形、議會によつて結局内閣が左右される、内閣が議會に對して連帶責任を負うといふことは議會の意思に應じて答えるといふ意味が、内閣の議會に對する連帶責任の意味であると思います、そう御諒承願います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=46
-
047・三浦寅之助
○三浦委員 次ぎに總理大臣が國務大臣を任命する場合であります、總理大臣が自己の意思によつて大臣を任命するのであるが、この點は何ら法規上や制度の基礎が見當らないのであります、その場合には國會方面の意思を尊重して大臣を任命するのであるか、憲法の原案には國會の承認ということがあつたのでありますが、それが削除されて、國會の承認はなくなつたのであります、勿論國會の承認は必要はないのでありますが、ただこの際大臣を任命される場合における總理大臣の心構えとでも申しましようか、その點をお伺いしたいと考えるわけであります、總理大臣が大臣を任命する場合に、若し政策の違つておる他の政黨から大臣を任命するとか、或は全然別個の方面から大臣を任命するとかいうようなことになりますれば、内閣の合議體、内閣が一致の行動をする際に、そういう主張の違つておる人が一つになつてこの閣議をまとめるということは、非常に困難であり、或る場合においては、極端な例を考えるならば、不可能ということも考えざるを得ない場合もあると思うのであります、こういうような場合において、總理大臣が指揮監督するという場合に、非常に支障を來すようにも考えるのであります、それで私はこの際におきまして、總理大臣の大臣を任命する場合における基礎とでも申しましようか、根據とでも申しましようか、その點に對する御説明を願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=47
-
048・植原悦二郎
○植原國務大臣 三浦君にお答えいたします、總理大臣がもし大臣を選擇するというならば、必ず自分と主義政策を同じくする者を選ぶと思います、從つて自分の所屬する所の政黨の人を主として内閣をつくる、理想でいうならば、それ以外の者を入れないことが一番いいのであります、一つの黨、議會において多數を有するその政黨の總裁が内閣をつくる、その黨議をもつて閣僚をすべて決定する、これが理想であると思います、しかしそうならない場合には、自分の屬する政黨に一番近い主義政策を把持する政黨人を選ぶ、できるだけ國會の人を中心として内閣を組織するようになると思います、そこで念のため申し上げておきますが、それでほんとうの民主政治を行うには、一大政黨がよろしい、政府を支持するものと政府に反對するものと、小黨分立の國で、ほんとうの民主主義のよい政治が行われたことはない、ヨーロツパの大陸諸國が民主主義の政治を行うにおいてしばしば失敗したのは、そのためであると私は思つております、議論をさせれば、フランス人などはイギリス人に勝る徹底した所の民主主義の議論をいたします、しかしフランス人が感情にはしつたり、フランスの選擧制度のために、フランスは終始小黨分裂をする、その結果フランスには確實な永續性のある統一のできた内閣ができたことがない、それがフランスが榮えない一つの理由ともいわれるくらいであります、最近御承知のごとくド・ゴールでさえそう言つている、なんとしても有力な内閣は連立内閣では不可だ、連立内閣をつくらないように議會政治の工面をしなければ、フランスにおいて確固たる永續性のある政治を行うことはできないと、ド・ゴール自身が言つているのであります、だから只今三浦君の御説の通り、總理大臣はなるたけ自分の黨派の者をもつて内閣を組織する萬一それができない場合には、一番それに近い人を國會の中から選んで、内閣を組織するといふことにならなければ、議會政治を圓滿に行うことはできないことと思います、必ずこの新しい憲法の下で總理大臣に議會の衆望を擔つて推薦され、陛下の御任命によつてなる人が閣僚を選ぶ、すなわち國務大臣を選ぶ場合においては、さような心掛けでなされるものと推定して誤りないと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=48
-
049・三浦寅之助
○三浦委員 次ぎに總理大臣が行政各部の指揮監督をするのでありますが、それをもう少し具體的に御説明を願いたいと思うのであります、それは各省の大臣だけを指揮監督するのか、大臣以下の局部長、或はその部下の方まで指揮監督をするのか、もう一つは地方公共團體等に對しても指揮監督をするのか、その點を御説明願いたいわけであります、殊に地方公共團體の形を考へますと、今後におきましては市長でも知事でも、すべて公選になるわけであります、そうすると公選した地方公共團體の長を指揮監督するということは、實際において非常にむつかしい問題が起るやうに考へざるを得ないのであります、たとえば中央においての總理大臣所屬の政黨以外の政黨の人が、地方公共團體の長に選ばれる府縣知事等においては、總理大臣と違つた政策をもつ政黨を支持する所の人がそういふものに選ばれた場合においては、總理大臣の地方公共團體に對する指揮監督に、非常に支障を來すということも考へられるし、又むつかしい問題が起るようにも考へられるわけであります、その場合においての指揮監督を、いかように取り扱いまするか、その點に對する御答辯を願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=49
-
050・植原悦二郎
○植原國務大臣 お答えいたします、第六條に「内閣總理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する」とありますが、總理大臣の監督するというのは、この法案にも規定されておる通り、十六名以内の國務大臣の中で、おのおの各省にわたつて大臣をされる人がありましよう、そういう場合において、その省に關係する所の下部の行政は、その主任の國務大臣に責任が歸することになります、その主任の國務大臣の責任は、勿論内閣總理大臣に歸することになります、内閣總理大臣の直接指揮監督するということは、各國務大臣を直接監督するという意味であります、又その各國務大臣は、その下部の行政機構に對して責任をもつ、こういう形になると思います、なおそれに加えて、地方の問題についてお尋ねでありましたが、地方の知事は民選になります、そうして極く始まりの間、知事は先般皆樣方が御協贊になつた地方自治制度の法律によりまして、當分の間は民選の知事も官吏でありますけれども、これはただ過渡期のことで近い將來において知事は官吏でなくて公吏になると思います、そうすると地方自治團體に對して、内閣總理大臣が指揮監督するということはないと思います、地方の自治團體の知事は、その下部組織における行政事務を監督することになりましよう、知事の責任の問題は、それを選出するその縣民の責任で、知事が行政上の責任をもつのは、その自分を選出した所の選擧民に對してだと思います、それまでも内閣總理大臣が行政の指揮監督をするという建前ではありません、ただ日本の國民として、日本の實際國政の大體の上において、政府の方針に從つて行くという道徳的の繋がりはありましようが、法律上においては、内閣總理大臣が地方の細部の行政官を監督するというようなことはないと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=50
-
051・三浦寅之助
○三浦委員 今の國務大臣の御説明では、總理大臣が直接地方公共團體までの指揮監督はしない、つまり各省大臣の範圍に止めておるのでありますが、しからば各省大臣が地方公共團體を指揮監督するというような場合、今のような民選の知事、市長というような人を指揮監督する場合に、支障を來すようなことがありはしないかと思うのであります、監督上非常に支障を來す、またその點において困つた問題ができるやうにも考えますが、そういう關係はどう扱つておられますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=51
-
052・植原悦二郎
○植原國務大臣 こういうことをお考えになつてのことだと思います、知事は各府縣の民選である、その知事を今までのように内務大臣が指揮監督をするか、こういう考えから起る御質問だと思います、私は今の内務省の組織も性格もその權能も、地方の知事が民選になり、これが公吏となれば、全く違つた性格になると思います、内務省の地方に及ぼす指揮監督權というものは、非常に局限されたものとなると思います、そこで一番大きな問題は警察の問題ですが、警察も或は刑事上の問題になれば、全國を統一する必要があるから、これは内務省でやるか司法省でやるが、はつきりいたしませんが、そういうふうで、内閣からずつと一本の線で監督され統一される場面があり、また地方的な地方の治安警察なら治安警察だけが縣知事の手許に移るならば、それは内務大臣の行政監督から離れるようになると思います、それから各府縣で商工業をやるような場合においては、全國に對して取扱うところの商工や農林行政のものと、地方的に行われるものと、二つの種類になると思います、ちようどアメリカで各州が自治權をもつておるか、全國を通ずるインター・ステート・コンマースというようなものがあつて、全國を統一する法令に依つて一つの商工業が統轄されるようなことがある、日本でもそういふようになると思います、農林行政とか商工行政とか、全國を統一しなければならないものがある場合においては、今の商工大臣がやるか、農林大臣がやるか、これはまた後のことでありますが、そういうもので全國を統一しなければならないものは、その省の大臣の監督下にずつとはいる、しからざるものは、地方の知事の監督下になる、行政權内にあるということで、今の御心配のようなことは、現在の實情の下で考えるから、お考えのような質問も起ると思いますが、すべての問題が自治的に立直されるという點を考えまする時にはその御心配のような懸念も混亂も起らないじやなからうかと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=52
-
053・三浦寅之助
○三浦委員 今のように實は地方分權が確立して、地方自治體において絶對の權能をもつて、そうして運用するというならば、これはたいした問題は起らないと思います、ただ私は現在のことを考えて心配をしたのでありますが、しかしだいたいの御説明で了解することができたのであります、ただもう一歩進んで、そういう農林、商工行政等において、全國を統一した法規というようなことで根據ができますれば、勿論よろしいのでありますが、しからば具體的の事實を擧げますれば、知事は民選だ、それから各府縣の部長以下課長というようなものは、現在においては内務大臣が任免しておるというような場合において、將來この府縣における部課長以下の全部の役人の任免權というものも、府縣知事に一切委讓されるようなことになるのか、それともやはり知事は民選であつても、部課長以下の役人はやはり内務省の任免——内務省關係と或は府縣の關係と二本建てで行くのか、そういうような點に對して現在どういうふうにお考えになつておられるでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=53
-
054・植原悦二郎
○植原國務大臣 當分の間——當分という期限はわかりませんけれども、移り變り、過渡期の時には二本建てのような形になると思います、私は將來は一本建てになる、各縣の今いう部課長も知事の任免にならなければ、地方自治行政は行われない、ただかりに今の農地法のために、農林省で地方に出張所を置いて統一しなければならない場合には、そういうものができる、それが所在は縣廳にあつても、指揮系統は違う、こういう形になりはせんかと思います、それも私の考えというよりも、將來議會を背負つて立つ三浦さんたちの考えで、どうにでもなるという方が、私の答えはもつと正しいかも知れません発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=54
-
055・三浦寅之助
○三浦委員 實は將來において府縣知事等が公吏となつたような場合に、實際府縣知事が部課長等以下の任免權をもたなければ、實際の地方行政が行われないことは當然だと思うのでありまして、實は私はそういうように考えておつたのでありますが、只今の説明でだいたい了解することができたわけであります
次ぎにこれは少し出過ぎた意見になるかも知れませんが、現在の制度におきまして、來年の五月三日から申すまでもなく新憲法が施行されるというやうなことから考えて、當然新憲法の趣旨に從つて行くという建前から、私は現在國務大臣で議席を有しない人、また現在の貴族院等において當然議席を失うべき大臣は、當然來るべき參議院なり、或は衆議院の選擧等に立候補すべきであるというようにも考えられるのであります、勿論新憲法においては、國會議員中から半數というようなことがありますので、少くとも半數以上は新憲法の施行と同時に國會に議席を占めておる大臣を必要とすると考えるのであります、勿論これは法規の點においては別でありますが、當然趣旨から見てそうすることが妥當であると考えるのであります、そういう意味におきまして、決して私は議會を解散するとか、改造するとかいうのでなくしてそれは別個の議論でありますが、私は現在の議席を失う所の大臣は當然來るべき參議院の選擧なり衆議院の選擧に立候補して、この憲法の趣旨に從うようにすべきであると思うのでありまするが、そういうようなことは政府においてお考えになつておられるかどうか、お伺いしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=55
-
056・植原悦二郎
○植原國務大臣 新憲法の趣意から申しますれば、國務大臣は國會に議席をもつということが一番いいことであり、そうあらねばならぬと思います、そこで憲法の規定にも、或はこの法案にも、これから國務大臣になる者は大半は國會に議席を有する者でなければならないと規定されておりますが、理想的に言えば全部國會に議席をもつのが一番いいのであります、今の内閣についての突込んでのお尋ねでありますが、これは今私が皆の心持まで忖度してお答えすることは出來ないが、皆この内閣法も、新憲法のこともよく了解している國務大臣であり、また新憲法において經過法のあることも承知しておるのでございますから、適宜の措置をとられると御諒解下さつてよろしからうと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=56
-
057・三浦寅之助
○三浦委員 次ぎに内閣と各省との關係でありますが、一體各省の官制というものは、内閣において決定するのか、さらに各省の事務分擔或は官制というものは、法律によつて別個に制定するのか、この點は當然法律に制定するものと解釋しておりますが、明確にしておきたいと考えるわけであります、同時にまた各省大臣が獨立して行政事務を行う範圍、本法においては行政事務を分擔管理するというのでありますが、各省大臣はまた各省大臣の立場から、内閣と獨立して分擔の行政事務を行う範圍も相當なければならないと考えるわけであります、そういうような範圍はいかにしてこれをきめるのでありますか、念のために伺つておきたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=57
-
058・植原悦二郎
○植原國務大臣 今の各省の行政事務の範圍とその權限ということは、いずれ行政官廳法というものができましようから、それによつて、だいたいその權限が定まると思います、從つてその分擔の範圍もきまると思います、但しこれは内閣と獨立しておるわけではありません、内閣のすべての行政の一部を分擔する意味と御諒解を願いたい、全體は内閣の統轄の下に動くものと御諒承願いたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=58
-
059・三浦寅之助
○三浦委員 それからこれも念のために伺つておきたいのは、各大臣の權能は、これは閣議等においていろいろ意見の交換をするのでありまして、これは總理大臣と對等の地位になるのか、これは總理大臣に隷屬するのであるから、當然對等ではないようにも思うのでありますが、國務大臣として總理大臣と對等の地位に立つのか、それとも當然總理大臣が主宰するのであるから、總理大臣に隷屬するというような立場に解釋すべきものであるか、その點を御説明願えれば結構であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=59
-
060・植原悦二郎
○植原國務大臣 總理大臣は内閣を主宰するのであります、そういう意味から言つて總理大臣は各國務大臣と別個の存在でありますが、閣議における審議の問題においては、國務大臣として皆對等だと思います、ちようどここに委員長がおられますが、この委員長が審議を進めておる間は、皆樣方を委員長は主宰するけれども、委員としての權能は、委員長でも皆樣方と同等のものであると同じような意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=60
-
061・三浦寅之助
○三浦委員 次ぎに第八條の問題でありますが、第八條の「内閣總理大臣は、行政各部の處分又は命令を中止せしめ、内閣の處置を待つことができる、」と、こうありますが、實際問題としまして、内閣總理大臣がこの處分または命令を中止したものを、閣議によつてこれを覆えすというようなことは事實あり得ないと考えるわけであります、先ほど植原國務相のどなたかへの御答辯にもありました通り、内閣總理大臣の意見に反對する、或は意見の不一致という場合においては、その大臣は當然辭職するか、さもなければ罷免されるというようなことになるわけでありまして、そうなれば私は「内閣の處置を待つことができる」ということは、實際問題としては必要がないように考えるのであります、こういうような必要な場合が、どういうふうに具體的に生ずるものでありましようか、御説明を願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=61
-
062・植原悦二郎
○植原國務大臣 各大臣は一定の限定された範圍において行政權をもつているわけです、行使し得るわけです、その場合において内閣の方針と異なつたような處分がなされたり、或は内閣の方針と異なつたような命令が出た場合において、それを中止せしめ、そうしてその措置については内閣の處置を待つことができる、こういふ意味と御諒解願つたらよいでしようか、各省の大臣がその自分の受持ちの範圍において、人ですから必ずしも間違つた判斷をしないとも言われないですから、その間違つた判斷をして内閣の方針と違つた行政處分や命令を出した時には、中止をせしめる、こう御諒解願つたらよろしい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=62
-
063・三浦寅之助
○三浦委員 私の言うのは、その通りでありますが、内閣の方針と各省の大臣のやつたことが違つた場合、處分または中止せしめるのだ、それはよろしいのであつて、「内閣の處置を待つことができる」といふことは、實際上必要はないのでないかと言うのです、實際においては、内閣の方針に違うことをやつたら、内閣總理大臣は處分又は中止せしめればよろしいので、さらに「内閣の處置を待つことができる」といふ文句は、總理大臣に對する、もしくは各省大臣に對する解釋が、ちよつと私にはつきりしないが、この條文から言うと、總理大臣が處分または中止を命じた、そうしてさらに内閣の處置や命令を待つというように判斷されるので、その點がはつきりしないのですが、どうでしよう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=63
-
064・植原悦二郎
○植原國務大臣 總理大臣は主として内閣の閣議の決定を基礎として、行政事務を指揮監督されるのである、そこで今各省の大臣において、その方針を逸脱したとか、或は方針にないもののようなことをしたと總理大臣が考える場合には、それを處分したり命令をすることができるが、それだけで終るわけにいかぬでしような、なほそれを全體の國の問題としてやる時には、閣議の處分を經て、その處置をさらに徹底せしむるということが必要じやありますまいか、そういふ意味じやないかと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=64
-
065・三浦寅之助
○三浦委員 こういうように解釋してよろしいですか、一旦總理大臣が處分または中止したことが、内閣の閣議において、それが違法だというような考え、或はそういふ必要がないというような場合においては、總理大臣の處分または命令を中止したのを、それを内閣の合議によつて總理大臣の處置を解消せしむる、つまり處分や中止をやめさせるということもあり得るでしようか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=65
-
066・植原悦二郎
○植原國務大臣 總理大臣は御承知の通り閣議の決定事項でことをするという建前でありますから、それでそういう個々の問題の處分や命令を中止せしめた時には、最後の處置を決定するために閣議の處置を待つ、こういうことに御諒解願つたらよからうと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=66
-
067・三浦寅之助
○三浦委員 それから第十一條の政令の問題でありますが、「政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は權利を制限する規定を設けることができない、」この法律の委任命令の問題でありますが、一體法律によつてどの程度の委任を考えているのか、この委任命令の考え方を御説明願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=67
-
068・植原悦二郎
○植原國務大臣 政令はすべて法律に限定された以外のことでなければ發せられないわけですから、その法律を施行する上において必要な政令が發せられる、その政令を發する場合には、法律で委任された以上の義務を課したり權利を制限することはできない、こういうことです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=68
-
069・三浦寅之助
○三浦委員 この法律で委任する委任命令の範圍を、どの程度にお考えになつておるかということです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=69
-
070・植原悦二郎
○植原國務大臣 委任の範圍をどれだけに考えるかということですが、委任の範圍は、國會で法律をきめるのであるから、國會で定めると御諒解願わなければならぬのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=70
-
071・三浦寅之助
○三浦委員 次ぎには本案とは少し間接になるかも知れませんが、民主政治を徹底するという場合に、いろいろ議論されておつたのが、官尊民卑の弊風を打破するということでありますが、こういうような點において、しかも將來行政事務を擔任する官吏の任用というようなものを考えて見ますると、從來の官吏の任用は、官學出身の者が非常に優位なる地位に立つて、私學或は獨學等によつて立つた者は、その任用が非常に不利益なる立場に立つ、また將來官吏としての立身出世、優位なる地位をとる點においては、非常に不利益なる地位に立つておつたことは、事實だと私は思うのであります、私は將來においては、少くともこういうような官學と私學との區別をしたり、獨學によつて資格を得た者と官學出を區別するというような、從來の考え方は、非常に間違つておると考えるのでありまして、これらのものはすべて實力を主とし、また官私學等の區別を撤廢して、平等なる地位、平等なる待遇によつて行うべきものであると考えるのでありますが、そういうふうな官吏任用に對する政府のお考えを承りたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=71
-
072・植原悦二郎
○植原國務大臣 制度の上より官學、私學の區別を置いてあるわけではありませんけれども、試驗官が官學出身の人が多いとか、いろいろなことのために、運用上官學と私學との間に或る一種の差別があるような印象を與えたことは事實であります、しかし將來はさようなことは起り得ないと思うし、また官吏の任用の制度も可なり局限されるようになりますれば、それらのことは今行政調査會の方で折角研究して立案されるはずであります、今三浦君の御説のようなことは、全部これから立案する者の立場から言つても、それをまた運用する者の立場から言つても、私は頭の切替えで一掃されて、御懸念のような心配はなくなると思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=72
-
073・三浦寅之助
○三浦委員 最後にもう一つ、この文官試驗とか、或は文官任用のために獨學するとか、夜學するとかいうような者の官吏としての途を開く文官試驗制度というものについて、どういうふうにお考えになつているか、もう一つは、この官吏の自由任用の範圍というようなものも、どういう工合にお考えになつているか、お伺いしたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=73
-
074・植原悦二郎
○植原國務大臣 そういうことを決定的に申し上げるわけには行きますまいけれども、全体の輿論で自由任用の範圍をずつと擴大して、人材を登用できるようにしなければならないということが盛んに言われている、そういう輿論や、また今までの弊害を除去するという建前で、行政調査會の方で相當三浦君の御希望のように立案されるのではなかろうかと思つております発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=74
-
075・三浦寅之助
○三浦委員 私はこれで終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=75
-
076・高橋泰雄
○高橋委員長 次囘は明十一日午前十時より會議を開きます、本日はこれにて散會いたします
午後零時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009112806X00219461210&spkNum=76
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。