1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十一年十二月二十日(金曜日)
午後二時四十六分開議
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議事日程 第十三號
昭和二十一年十二月二十日
午後一時開議
第一 皇室經濟法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
第二 昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
第四 開拓者資金融通法案(政府提出) 第一讀會
第五 開拓者資金融通特別會計法案(政府提出) 第一讀會
第六 昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
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〔朗讀を省略した報告〕
一、政府から提出された議案は次ぎの通りである。
(改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案有償證券の處分の調整等に關する法律案
昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案
食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案
開拓者資金融通法案
開拓者資金融通特別會計法案
昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案
議長の報告(以上十二月十九日提出)
一、昨十九日吉田内閣總理大臣から次ぎの通り發令があつた旨の通牒を受領した。
内務事務官 池田清志
第九十一囘帝國議會内務省所管事務政府委員
農林事務官 笹山茂太郎
第九十一囘帝國議會農林省所管事務政府委員
大藏事務官 前尾繁三郎
專賣局長官 杉山昌作
第九十一同帝國議會大藏省所管事務政府委員
内閣事務官 中田政美
同 塩原有
第九十一囘帝國議會政府委員
一、昨十九日常任委員補闕選擧の結果次ぎの通り當選した。
第五部選出
豫算委員 大津桂一君(田中たつ君補闕)
一、昨十九日議長において次ぎの通り常任委員辭任の許可があつた。
第二部選出建議委員 大島多藏君
第八部選出建議委員 松岡運君
一、昨十九日委員長理事互選の結果次ぎの通り當選した。
國會法案(大野伴睦君外十九名提出)委員
委員長 井上知治君
理事 高橋英吉君 理事 坂東幸太郎君
理事 廣川廣禪君 理事 荊木一久君
理事 古賀喜太郎君 理事 淺沼稻次郎君
理事 細野三千雄君 理事 宇田國榮君
増加所得税法案(政府提出)委員
委員長 稻田直道君
理事 井田友平君 理事 神田博君
理事 西村久之君 理事 小池新太郎君
理事 舟崎由之君 理事 佐竹晴記君
理事 松永義雄君 理事 赤澤正道君
一、昨十九日議長において次ぎの委員を選定した。
參議院議員選擧法案(政府提出、貴族院送付)委員
伊藤郷一君 石原圓吉君
小澤國治君 大谷瑩潤君
木村義雄君 北令吉君
小柳冨太郎君 坂田道太君
寺尾豊君 廿日出厖君
原藤右門君 松浦東介君
八重樫利康君 山本正一君
横田清藏君 青木泰助君
稻本早苗君 犬養健君
生方大吉君 大島定吉君
白井秀吉君 地崎宇三郎君
佃良一君 坪川信三君
林連君 原 健三郎君
八坂善一郎君 石川金次郎君
大澤喜代一君 澁谷昇次君
鈴木義男君 田万廣文君
竹谷源太郎君 玉井潤次君
松澤兼人君 松澤一君
伊東岩男君 大原博夫君
木下榮君 坪井亀藏君
原國君 鈴木彌五郎君
豊澤豊雄君 仲子隆君
野坂參三君
一、昨十九日次ぎの通り特別委員の異動があつた。
増加所得税法案(政府提出)委員
辭任 松岡運君 補闕 早稻田柳右ェ門君
辭任 澁谷昇次君 補闕 川島金次君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=0
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001・山崎猛
○議長(山崎猛君) 是より會議を開きます。日程第一、皇室經濟法案の第一讀會の續を開きます。委員長の報告を求めます。委員長樋貝詮三君。
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第一 皇室經濟法案(政府提出) 第一讀會の續(委員長報告)
報告書
一 皇室經濟法案(政府提出)
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十一年十二月十九日
委員長 樋貝詮三
衆議院議長山崎 猛殿
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〔樋貝詮三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=1
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002・樋貝詮三
○樋貝詮三君 只今議題となりました皇室經濟法案に關し、委員會の經過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、本月十二日皇室典範案のあとをうけて本委員會に付託せられたのであります。十六日以來昨日まで四囘の委員會を開きました。まず政府の提案説明があり、次いで質疑に入りました。
政府の説明を通じて本案の内容を檢討いたして見ますると、從來皇室の經濟は、國の經濟より獨立いたしており、これに關する規定は、帝國憲法、皇室典範、皇室財産令等に散在しておつたのであります。しかるに憲法の改正によつて、これらの規定はなくなることと相なりました。また純然たる御私有の財産のほかには、皇室所有の財産というものはないこととなつたのであります。しかし國の象徴としての天皇及びその周圍の方々のためには、皇室公用のための財産として、一定の財産が認められなければならないのでありまするし、また皇室の御經費は、新憲法上國家より支出すべきことが認められておりますが、これらの事項を規定するために法律の制定が必要となるのであり、本法案がこれに應ずるものであります。
本法案の骨子とする所は、第一に皇室の公用に供せんとする財産は、國有財産の公用財産という位置を占めるものであり、これは新たに設けられる宮内府で管掌することとなつております。しかして皇室の公用に供すること、またその用途を廢止變更することは、皇室經濟會議の議を經てすべきものと規定し、その使用の公正にして誤りなきを期しているのであります。また皇室財産の授受は皇室が當事者の一方としてなすものでありますが、これを三段に分かちまして、質買等の通常の私的經濟行為をもつて取引きするものと、法律できめる或る一定額以下の輕微のもの、この二つは、全く皇室と相手方當事者との自由の授受に任せる。それよりは大きく、右の一定額は超ゆるけれども、さらに一段上の一定價額以下であるというものは、皇室經濟會議の議を經れば授受し得るものといたしております。さらにそれ以上の價格の大きなものの授受は、一々國會の議を經てのみ有効にこれをなし得るものとしておるのであります。
また皇室の經費は、國の豫算に計上し、國會の議に付して檢討すべきものといたしておりまするが、その費目の大別は、内廷費、皇廷費、皇族費の三種といたしております。内廷費というのは、天皇とその直接の周圍にあらるる方々の日常の御費用であり、いわゆるお御手許金となるものでありまして、宮内府經理の公金として取扱わないものであります。宮廷費とは、宮廷諸費に當てらるる所の、お手許金以外の公金であります。宮内府がこれを經理いたします。皇族費は、皇族の品位保持の資に當てるために毎年支出する年金と、皇族の身分を離れらるる際に支出する一時金とを併稱するものであります。その額は、皇族が天皇に對して近親者であらるるか否か、また既婚者であらるるか否か、また成年者であらるるか否かということによりまして、それぞれ異なるのであります。この皇室公用財産の設定、廢止、用途の變更、その授受等に關しまして、皇室經濟會議というものを參議せしむるのでありまするが、その議員は八人をもつて構成するのであります。そのうちには衆議院及參議院の議長及び副議長もはいつておるのであります。
本委員會は十七日より質疑に入りまして、委員と政府との間に熱心なる應答がありました。第一には皇室財産の範圍はどうかという問いであります。これに對し政府は、天皇が國の象徴としての立場のもの、及び天皇御私有のものとしても幾分そういう意味を加えたもの、及び天皇の周圍にあらるる方の公用に供するものがそれであり、見透しといたしまして、宮城、御所、離宮、陵墓等が豫定されており、山林土地等の收益財産や、皇室の宗教的財産は、これにはいらぬとの答辯でありました。從つて宮中の三殿のごときは、由緒あるものとして、皇位とともに傳わるべきものではあるけれども、公用財産のうちには入らない。私有財産であると答えております。
次ぎに、本案第二條によれば、皇室用財産の讓受、讓渡、賜與等で、直接議會の議決を經ないで處置し得るものもあることとなつておるが、これは憲法の規定に反せないかとの問いに對しまして、政府は、憲法は、國會の議決に基づかなければならぬという廣い含みのある表現をもつて規定しておるのであるから、議會の議を經たこの法律できめることは、すなわち國會の議決に基づいたものと言えるから、憲法の定むる所に違反しないとのことでありました。
次ぎに、皇室經濟會議の設置の理論的根據如何という問いに對しましては、政府は、この會議は三種の權能を併有しておる。國有財産の利用管理等に對する國家としての監督、國會の議決に代わる作用、豫算額の適正を確保する所の作用、この三つの權能がこれであると申しております。
次ぎに、議會の議決を要せずして授受できる財産の價格の限度はどれだけであるかという問いに對しまして、未だ確定の見透しはつかないが、全く自由に授受できるものの價格限度は、戰前の五千圓、目下で申せば約五萬圓程度のものである。皇室經濟會議の議を經ればいいとするものは、二、三十萬圓程度の見込みであると答えておつたのであります。
次ぎに、皇室經費の總額はどのくらいの見込みであるかという問いに對しましては、帝室林野局、學習院等の會計を除いて、二千萬圓程度になる見込みだと答辯し、なお現在の皇室經費は年額約六千萬圓であると附加しております。
次ぎに、内廷費及び皇族費は所得税の對象になるかという問いに對しましては、國の象徴たる方と、その周圍の方々の品位保持のためのみならず、その地位に表裏して使われる所の經濟であるから、一般個人の所得とは異なつた性質をもつておつて、課税の對象としない方針をもつて考慮を加える旨の答辯でありました。
次ぎに第七條の、皇位とともに傳わるべき由緒あるものにも相續税がかかるかという問いに對しましては、皇位とともに傳わるべきものとして直接考えられる三種の神器その他のもの、たとえば正倉院の御物等についても、一般の相續原則に從ごうのは不適當であり、これに對しても同樣課税の對象とならないものと考えたいとの答辯がありました。
次ぎに、この由緒あるものの認定または一般皇室用財産の認定は、いかなる機關をもつてするか、その機關は事務的官僚的のものでなく、公の機關といたしまして、國會議員を參加せしめる考えはないかという質疑に對しまして、皇室用財産の認定は、皇室經濟會議のできる以前にも起る問題であり、これを本法に規定したのでは十分でないと思うから、皇室經濟會議と類似の同じ線に沿つて、やや小規模の、官僚臭のない委員會に任せる考えであると申しておるのであります。由緒あるものとしての決定は、むしろ皇室内部のことであろうが、國の象徴としての天皇に關することでもあるから、その内容を具體化させるためには、政令等でも出して、これによる考えであると答辯されたのであります。その他宮城復舊、神宮造營、御料林評價等について質疑がありました。
また所管當局と懇談會をも開いて審議を重ねたのでありますが、昨日午前質疑を終り、午後は討論にはいりました。日本自由黨を代表して小島徹三君は、本法案は物質の方面より國の象徴のあり方をきめるものであるから、皇室財産、皇室經費等にゆとりのあるように注意をせられたいとの希望意見をもつて原案に贊成いたし、日本進歩黨の吉田安君は、同黨を代表いたしまして、天皇が國民の一人であるという點よりのみでなく、國の象徴であるという點をも十分に考慮して、ゆとりのあるようにせられたいとの意見を付して原案贊成の旨を述べ、社會黨の井伊誠一君は、同黨を代表いたしまして、皇室財産の範圍を明瞭にし、民主的運營を望むという旨を述べて原案に贊成いたし、協同民主黨の酒井俊雄君よりは、憲法の大原則に則つて運營せらるべきことを、また國民黨の久芳庄二朗君よりは、國民が皇室費を負擔するということは、國民と皇室とを直結する所以であるという趣旨を述べられまして、それぞれ原案贊成の旨の意見の陳述がありました。次いで採決の決果、全會一致をもつて原案を可決いたした次第であります。この段御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=2
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003・山崎猛
○議長(山崎猛君) 本案の第二讀會を開くに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=3
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004・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて本案の第二讀會を開くに決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=4
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005・高橋英吉
○高橋英吉君 直ちに本案の第二讀會を開かれんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=5
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006・山崎猛
○議長(山崎猛君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=6
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007・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて直ちに本案の第二讀會を開き、議案全部を議題といたします。
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皇室經濟法案 第二讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=7
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008・山崎猛
○議長(山崎猛君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案に贊成の諸君の起立を求めます。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=8
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009・山崎猛
○議長(山崎猛君) 起立多數。本案は原案の通り決しました(拍手)これにて本案の第二讀會は終了いたしました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=9
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010・高橋英吉
○高橋英吉君 直ちに本案の第三讀會を開かれんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=10
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011・山崎猛
○議長(山崎猛君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=11
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012・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて直ちに本案の第三讀會を開き、議案全部を議題といたします。
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皇室經濟法案 第三讀會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=12
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013・山崎猛
○議長(山崎猛君) 別に御發議もありませんから、本案は第二讀會議決の通り可決確定いたしました。(拍手)
日程第二及び第三は、便宜上一括議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=13
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014・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。
日程第二、昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案、日程第三、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案、右兩案を一括して第一讀會を開きます。上塚大藏政務次官。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=14
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015・会議録情報2
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第二 昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案(政府提出) 第一讀會
第三 食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
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昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に関する法律案
政府は、昭和二十一年度一般会計歳出の財源に充てるため、他の法律により起債することができる金額の外、九十四億八千九百八十万円を限り、公債を発行し、又はこれに代え借入金をなすことができる。
前項の規定による公債の利率は年三分五厘、その発行價格は額面金額百円につき九十八円、その償還期限は十八年以内とする。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案
食糧管理特別会計法の一部を次のように改正する。
第二條中「本會計ニ屬スル經費」を「本會計ニ於テ食糧ノ買入代金以外ノ經費」に改める。
第三條 本會計ニ於テ食糧ノ買入代金ノ財源ニ充ツル爲必要アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ一年内ニ償還スへキ證券ヲ發行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ爲スコトヲ得
本會計ニ於テ食糧ノ買入代金ノ支拂上一時現金ニ不足アルトキハ政府ハ本會計ノ負擔ニ於テ當該年度内ニ償還スヘキ證券ヲ發行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ爲スコトヲ得
第四條 同條第一項ノ規定ニ依リ發行スル證券又ハ借入ルル借入金ノ借換ノ爲政府ハ一年内ニ償還スヘキ證券ヲ發行シ又ハ同期間内ニ償還スヘキ借入ヲ爲スコトヲ得其ノ借換ニ付亦同シ
前項ノ規定ハ前條第二項ノ規定ニ依リ發行スル證券又ハ借入ルル借入金ノ借換ニ付之ヲ準用ス此ノ場合ニ於テ前項ノ規定中一年内トアルハ當該年度内トス
第四條ノ二を削る。
第四條ノ三中「五十二億圓」を「百億圓」に改め、同條を第四條ノ二とする。
第五條中「償還金」の下に「(年度内ニ償還スル證券及借入金ノ償還金ヲ除ク」)を加える。
第六條中「借入金及」を「證券(年度内ニ償還スル證券ヲ除ク)ノ發行收入金、借入金(年度内ニ償還スル借入金ヲ除ク)及」に改め、「償還金」の下に「(年度内ニ償還スル證券及借入金ノ償還金ヲ除ク)」を加える。
附則第二項乃至第五項を削る。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。但し、第四條ノ三の改正に関する規定中金額の改正に関する部分は公布の日から、これを施行する。
第三條の改正規定施行前に買い入れた食糧の代價に関しては、なお從前の例による。
第三條の改正規定施行前に同條の規定により発行した証券及び前項の規定により発行する証券の割引、借換及び償還に関しては、なお從前の例による。
米穀の生産を確保するための補給金で昭和二十年以前産の米穀に対するものに関しては、なお從前の例による。
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〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=15
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016・上塚司
○政府委員(上塚司君) 只今議題となりました昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案外一件の提出の理由を御説明申し上げます。
昭和二十一年度一般會計歳出の財源に充てるための公債發行に關する法律案について申し上げます。目下本院において御審議中の昭和二十一年度改正歳入歳出總豫算追加案、改第三號に計上いたしました經費の所要財源九十三億圓につきましては、今日の場合これを全額公債によるのほか途がありませんので、この法律案を提出致しました次第であります。
次ぎに食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案につき御説明いたします。政府において買入れる食糧の代價の支拂いにつきましては、從來現金の交付に代えて食糧證券を交付して參つたのでありますが、今囘食糧の買入計畫を豫算上において明瞭ならしむる趣旨によりまして、從來の交付證券たる食糧證券を、食糧買入資金の調達のための證券にその性質を變えまするとともに、食糧の買入代金の支拂いを現金によることといたしますのと、現在この會計の證券及び買入金の最高限度額が五十二億圓と相なつておりますのを百億圓に増額いたし、この會計の運營を圓滑にいたさんとするものであります。
以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御協贊を與えられんことを希望いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=16
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017・山崎猛
○議長(山崎猛君) 質疑の通告があります。これを許します。伊藤實雄君
〔伊藤實雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=17
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018・伊藤實雄
○伊藤實雄君 私は只今審議中でありまする兩案のうち、食糧管理特別會計法の一部を改正する法律案につきまして、政府の所信をお質しいたしたいと存ずるのであります。
この食糧管理法は、その中心はなんとしても米の買上げであります。從つて米價の問題が重點だと存ずるのでありますが、先日來豫算委員會におきまして、米價の問題につきまして、政府はいろいろな御答辯をなさつているわけでありますが、私といたしましては、只今まで政府の御答辯なさつたあの要旨をもつては、どうしても了解をいたすことはでき得ないのであります。從つて米價につきましては、實際の篤農家の一例をひきまして、はたして政府は現在の五百五十圓の米價をもつて妥當なりと思われるか否か、この點をお質しいたしたいと存ずるのであります。私の例しまする所の篤農家は、六反五畝歩の水田を耕作いたしております。この農家が秋まで支拂いました所の費用を精算いたしますると、まず第一番に水稻、いわゆる稻に對する所の肥料に千八百圓を支拂つております。稻をつくりまするために、鋤の修繕、或は鋤の柄、こういう稻ばかりに必要なる所の農機具代を四百五十圓支拂つておる。さらに進んで用水路の費用といたしまして百五十圓を支拂つておる。自分が田植の支度をする、或は苗木の支度をする、こういうことは無賃にいたしましても、田を植えます日には、どうしても人に頼まなくてはならぬ。この六反五畝歩の田植二日間で、六百圓の費用を支拂つておるのであります。そして秋になりまして穫り入れになりますと、稻を刈りますのは、これは自分でやりますから無賃といたします。しかし鎌であるとか、籠であるとか、筵であるとかいう所の農機具費の二百五十圓、これは無理ではありません。なお稻をこきまする所の稻扱機が三千五百圓いたしますが、これは十箇年で使用できなくなりますから、一箇年の償却費三百五十圓、油とか或は電力とかいうものが二百圓、そうして刈りますのは、自分がいたしますから無賃にいたしましても、稻をこく日にはどうしてもこれを寄せ集めなくてはならぬ。電力の關係もありますから人を傭い入れるが、これが二日間で二百五十圓、これを合わせますと、四千五百圓と相なるのであります。これに對します所の課税が、いわゆる六反五畝歩の課税が、最低五百圓を支拂つております。してみれば、必要經費、なかんずくどうしても出さなくてはならない費用、しかもこれには自分が働きました所の勞力を無賃といたしまして、四千五百圓を必要といたすのであります。
飜つて收入の方面から見ますると、先日私の所に手紙が參つたのを見ると、臼挽きをしたが、十三石米があつた。このうち十石供出するのであるそうな。なおこの籾摺りをいたします時に、一石で五十圓を支拂う。これを考えてみると、一石に對して五十圓の籾摺り代をとられる。しかも供出するのに、一石に對して二俵半の俵菰が要りますから、俵と繩で、一石を供出するのに五十圓要ります。しからば供出のための籾摺りと俵装の材料で百圓を要する。從つて米價五百五十圓は、四百五十圓と相なるのであります。してみれば十石を供出いたしまして四千五百圓、しかも三石の米を殘してもらつたのでは、家族四人でありますから保有米に足りません。しかるに四千五百五十圓の費用、しかも自分の勞賃を無賃といたしまして四千五百五十圓でありますから、これから四千五百圓の供出代を除けば、結局五十圓の赤字となるのであります。してみれば、四月に苗代をつくり、五月に田植の準備をいたし、夏の暑い時に汗と膏でもつて田の草をとつて、その結果が保有米に足りない。三石が殘つたのと、赤字の五十圓という悲慘なる農家の状態でもつて、政府ははたして米價が妥當なりと仰しやるのであるかどうか。この點につきまして、政府の米價に對する所の所見を伺いたいと存ずるのであります。
なおさらに進んで、政府は米價はどうにもならないから、農機具、肥料、いわゆる農業用資材に對してとやかくするというようなお言葉を聽いておるのでありますが、現在農業會と農家は、いわゆる農業會は農家の保護團體であります關係上、常に親子の關係をもつて、密接不離の關係にあるのでありますが、しかも農業會を通して農業用資材を配給いたしておりまするがために、農業會は強いて供出に對して協力もでき得ます。農家も農業會の命に服しまして、供出にいそしんでおるのであります。しかるに今囘聞く所によりますと、配給公社をつくりまして、農機具、肥料も配給公社の手によつて配給いたしまして、農業會の手から離るるのであるかのごとく聞いておるのでありますが、もしさようなことに相なつた時には、農業會が農家に對して供出を命令いたしまする時においても、農業用資材の配給權を失つた曉には、とうてい供出に對して挺身をすることはでき得ません。從つて供出に對する所の事務は、さような立場になつた時には、配給公社自身がなさるのであるか、配給公社の性格について明確に御指示を願いたいのであります。
以上米價の問題と配給公社の問題につきまして、政府の明確なる、責任ある御答辯を要求する次第であります。
〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=18
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019・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 只今米價の問題について、事例を擧げて内容こまかくお話になりましたが、それらの點につきましても、いろいろ議論は私あると思うのであります。殊に私の氣がつきましただけでも、副産物收入を片方に擧げていない點があるのであります。今囘の米價というものは、いろいろの事情で、生産費その他農業必需品を占めまする比例といつたような關係で決定されたものでありまして、私はこの米價をもちまして、他の物價と均衡をとつて行くという方向に施策を進めたいと思つておるのであります。差し當り肥料については、今囘の追加豫算には間に合いませんでしたが、只今關係方面と折衝いたしておる次第であります。
それから配給公社の點は、まだ伊藤さんの仰しやるように何もきまつたわけでありません。只今それぞれの關係方面と折衝いたしておるのであります。ただ私は農村における協同組合――只今は農業會でありますが、そういう協同組合というものを末端において實際上使つて行くということは、これはどういう配給のシステムができましても、どうしてもこの點はやらなければならない點であつて、それを無視していろいろな事柄はできないのであります。その點につきましては、現在の實情及び配給さるべきそれぞれの物資につきまして、只今嚴密に檢討いたし、それぞれ關係方面と折衝いたしておるのでございまして、伊藤さんの仰しやるような、そういうような、まだ内容がきまらないものについて、徒らに不安の念を抱かれることはないということを申し上げておきたいと思います。
〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=19
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020・上塚司
○政府委員(上塚司君) 伊藤君の御質問にお答えいたします。大藏省關係といたしましては、米價の問題でありまするが、米價五百五十圓に決定いたしましたのは、現在の經濟事情下におきまして、すべての物價基準を十分に考慮いたしまして、なお他の生活状態その他を勘案して決定いたしたような次第であります。さよう御承知を願います。
〔伊藤實雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=20
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021・伊藤實雄
○伊藤實雄君 只今の御答辯によりますると、米價は他物價と均衡のとれるような考えでもつて五百五十圓である、かような趣旨であるのでありまするが、私をして言わしむるならば、現在農家に特に配給になつておる所のあのお酒にいたしましても、一升四十圓である。しからば米八升をもつて酒一升である。コロナ、ピースのごときは、政府が價格をきめられたのであるから闇ではありません。これがなんと米四升、五升をもつて行て一箇というがごときは、はたしてどの觀點からして物價の均衡がとれているのか。なおまた農業用資材から申しましても、鎌一挺が十二圓、十三圓、これが農業會の配給である。なお供出用俵にいたしましても、古俵が一俵十五圓、十六圓というがごとき價格でもつて、はたして物價の均衡がとれておると仰しやるのであるか。この點政府の所信をお質しいたしたいと存ずるのであります。(「ヒヤヒヤ」拍手)
〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=21
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022・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 私が只今言いましたのは、米價というものをきめたその事情を申し上げたのであつて、その米價と個々の商品とが一々均衡がとれているということを申し上げたのではありません。殊に個々の商品そのものの價格の構成につきましては、それぞれの事情があるのでありまして、それはそう簡單には私は參らぬと思うのであります。ただ私が言いますのは、そういう米價がきまりました以上は、これについて均衡をとるように努力していると、こう申し上げたのであります。(拍手)
〔伊藤實雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=22
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023・伊藤實雄
○伊藤實雄君 どうしても私は諒解に苦しみますが、しからば農家は戰爭中には、勝つためだ、勝つためだと、無理に供出いたして、敗戰後におきましては、食糧緊急措置令によつて、出さない場合には罰するというがごとき、そんなに農家が何が故に日本のために犧牲にならなくてはならぬのか。一體われわれは同じく日本人であります。しかるに農家に對してのみ、戰爭中は勝つために出せ、終戰後の今日は食糧緊急措置令によつて縛る。一體こんな不公平な政治はどこにあるか。政府はこれに對していかような考えをもつているのか。この點明確な御答辯を要求する次第であります。
〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=23
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024・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 私は農家というものにつきまして、あなた方と同じように尊重いたしております。ただしかし私は廣く考えていただきたいのであります。肥料の生産の状況におきましても、肥料生産のためには、この少い石炭を、他のものを切つても、肥料には切らずに、できるだけやつているのであります。そしてまたその他の物につきましても‥‥。
〔發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=24
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025・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=25
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026・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君)(續) これは乏しい經濟の中から、やはり供出をしていただくために、いろいろの事柄をいたしておるのであります。どうかそういう點を十分お考え願いたいのであります。われわれはやはり農家を愛しまするが故に、いろいろのことをやつているのであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=26
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027・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて質疑は終了いたしました。各案の審査を付託すべき委員の選擧についておはかりいたします。
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028・高橋英吉
○高橋英吉君 日程第二及び第三の兩案は、一括して政府提出増加所得税法案委員に併せ付託せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=28
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029・山崎猛
○議長(山崎猛君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=29
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030・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
日程第四、開拓者資金融通法案の第一讀會を開きます。和田農林大臣。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=30
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031・会議録情報3
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第四 開拓者資金融通法案(政府提出) 第一讀會
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開拓者資金融通法案
開拓者資金融通法
第一條 政府は、開拓地において耕作の業務を営む者その他命令で定める耕作の業務を営む者(以下開拓者という。)又はその組織する法人に対し、毎年度予算の範囲内において、左の資金を貸し付けることができる。
一 農具、肥料、家畜その他開拓者の営む耕作の業務に必要な資材又は施設を取得し、又は設置するのに必要な資金
二 開拓者の住宅を取得し、又は建設するのに必要な資金
第二條 前條の規定による貸付金(以下貸付金という。)の償還は、償還期間二十年(据置期間を含む。)以内、年利三分六厘五毛の均等年賦償還の方法によるものとする。但し、左の場合には、政府は、何時でも貸付金の全部又は一部につき一時償還を請求することができる。
一 貸付金の還償をすべき者の申出があつたとき。
二 貸付金の償還をすべき者が年賦金の支拂を怠つたとき。
三 前條の規定による貸付を受けた者(その者が法人であるときは、その法人を組織する者を含む。)が貸付金をその貸付の目的以外の目的に供したとき。
四 前條の規定による貸付を受けた者(その者が法人であるときは、その法人を組織する者)がその営む耕作の業務を怠り、又は廢止したとき。
第三條 前條の規定による年賦金の支拂時期における米穀の價格が第一條の規定による貸付をした時における米穀の價格に比較して下落し、又は高騰した年においては、政府は、命令の定めるところにより、その年に支拂うべき年賦金額のうち元金に相当する部分を米穀の價格の変動に應ずるように減額し、又は増額する。
前項の規定による年賦金の減額又は増額は、貸付金の償還の完了するまでの間におけるその後の年の年賦金の額に変更を及ぼすことはない。但し、年賦金の一部の支拂によつて貸付金の償還の完了する年において、その年の年賦金の額に変更のあることを妨げない。
第一項の規定による年賦金の減額又は減額及び増額があつた場合において、償還期間中の各年の年賦金のうち元金に相当する部分の合計額が貸付金の額に達しなくなつたときは、その不足額に相当する貸付金の償還の義務は、これを免除する。
第一項の規定による年賦金の増額があつたときは、政府は、命令の定めるところにより、その増額分に対する利子に相当する金額を年賦金額から控除しなければならない。
第一項の米穀の價格は、食糧管理法第三條の規定による買入の價格による。
第四條 貸付金の一部につき第二條の規定による一時償還があつた場合には、前條第二項及び第四項の規定を準用する。
第五條 災害その他これに準ずべき事由によつて開拓者の耕作の業務による收益が著しく減少したときは、政府は、年賦金の支拂を猶予することができる。
第六條 政府は、第二條第一項第二号乃至第四号の規定による一時償還の請求、第三條第一項の規定による年賦金の減額若しくは増額又は前條の規定による支拂の猶予をするには、開拓委員会の意見を聽かなければならない。
開拓委員会に関する規程は、勅令でこれを定める。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
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〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=31
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032・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 只今上程されました開拓者資金融通法案につきまして、その提案理由の概要を御説明申し上げます。
御承知のように、政府はさきに緊急開拓計畫を樹立いたしまして、爾來これが促進に努めておるのでございまして、過去一年間に開發されました耕地は、田が九千町歩、畑が十五萬町歩に及んでおりまして、これらの新開拓地に入植しました者は、純入植者のみで約八萬三千戸に達しております。しかしながらこれらの入植者は、概ね資力に乏しくありまして、殊に最近の物價騰貴によりまして、住宅の建設は勿論のこと、營農に不可缺な農具でありますとか、家畜とか、種苗とか、肥料等の入手にも、非常に難澁をいたしておるような状態であります。勿論この入植者の住宅の建設でありますとか、營農の指導につきましては、若干の補助施設を講じておるのでありますが、これだけではとうてい問題は解決されませんので、さらにこれを金融によつて補おうといたしましても、普通の金融機關を利用することは、事實上はほとんどできない状態にございますので、入植者に對しましては、特別の金融對策を積極的に講ずる必要を痛感いたしておる次第でございます。
そこで政府としましては、政府の資金をもちまして、みずから開拓者またはその組織しまする法人に對して、長期低利の金融を行う方策をとることといたしまして、この法律によりまして、資金の貸付及び償還に關する條件その他の事項を規定いたしまするとともに、別途新たに特別會計を設けまして運營することに決定いたした次第であります。
この法案の要點は、第一には政府の貸付けます資金の用途は、農具、肥料、家畜といつたような、開拓者が營農に必要なものを調達する、いわゆる營農資金と、開拓者が住宅を建設しましたり、またはこれを取得しますに必要な、いわゆる住宅資金を對象といたしております。
第二點は貸付けの内容でありますが、貸付金は償還期限は二十年といたしまして、五年間を無利子で据え置きをいたし、年利三分六厘五毛の均等年賦償還の方法で償還させることにいたしております。
第三は、入植者の營農の經濟状態と償還との調整の問題でありますが、現在の經濟界の状況が、將來相當變動のありますことは當然豫想せられるのでありまして、本法によります貸付金の償還については、物價の目安としまして、比較的把握しやすい米價を基準としまして、この變動に應じて、毎年の年賦金額の中で、元金に相當する部分の額を變えるという仕組にいたしまして、將來物價の下落が續きました時は、年賦金の減額しました部分の償還を免除するという制度をとつてゐるのでございます。
だいたい以上がこの法案の趣旨と内容でございますが、どうか速やかに御審議の上御協贊あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=32
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033・山崎猛
○議長(山崎猛君) 質疑の通告があります。これを許します。稻村順三君。
〔稻村順三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=33
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034・稻村順三
○稻村順三君 私は本法案の上程に當りまして、若干の質問をいたしたいと存じます。私は終戰直前に北海道の開拓歸農團の一人として、つぶさに開拓の苦難を經驗して來た者でありますが故に、私がここになさんとする質問は、實に開拓者がひとしくもつている所の疑問であるというふうにお考えになつて、これまでのように、政府が單に第三者的な批判者に聞かせる意味合いにおいて、論理上の辻褄さえ合えばそれでよろしいといつたような態度を捨てて、御答辯を願いたいと思うのであります。
このたび政府が本法案によつて、これまで中金を通じて四分五厘の利子で金融せしめて、その貸付金の三分の一を國家が補償することになつていたのを、政府自身が年三分六厘五毛の利子でもつて開拓農民に貸付けんとしているのでありますが、その限りにおきましては、從來に比すれば極めて進歩的になつたということは認めることができるのであります。と申しますのは、由來中金の資金というものは、わが國現在の農民の膏血でありまして、これは何をおいても現在の農民のために使はなければならないという理由によつて、これが直接現在農民の利益を増進する以外のものには、絶對に使つてはならぬ性質をもつていると思うのであります。もとより現在の農民が資金を溢れるほどもつており、中金の資金なしでも、この戰後の農業再建のために、生産樣式を自己資金で近代化し得るという状態であるならば、私といたしましても、あえて中金の資金を他に流用すべからずというようなことは固執いたしません。しかし今やわが國民主化の經濟的障碍を撤去する意味において、また早晩來るべき農業恐慌に備えるという意味におきまして、農業生産樣式の近代化ということは、緊急の要務であります。否、この一、二年間のうちにさえ完成しなければならない、重大な事態に當面しているのであります。この資金は、よしんば中金という組織そのものが赤字を生ずる場合にも、農民が必要であるならば、私は全資金をこれに放出するのが當然の義務であるとさえ思つているのであります。また私が思いますのに、恐らく徹底的に現下の要務をはたすがためには、現在の中金の全資金を放出しても、まだ足りないものがあろうと思うのであります。尤も現在の中金竝びに農業會の機構は、明らかにこれを妨げております。私は農業會を農民大衆の力によつて民主化することによつて、ぜひこれを決行しなければならないと思うものでありますが、既に農村におきましては、農民組合その他の民主的團體の町村農業會に對する攻勢によつて、著々この民主化は進行しておりますので、中金及び農業會の現幹部の好むと好まざるとに拘らず、さようにやつて行くことが必然であろうと存じます。
かように中金資金を考えますならば、その窮屈に運命づけられている資金をもつて、戰爭の犧牲者を主體とする開拓者の資金に當てようという考えそれ自身が、私は間違いであつたと思うのであります。(「ノーノー」)私がかように申しますならば、政府は或は、政府資金を或る程度中金を通じて既に放出しておつたと言うかも知れませんが、しかしこのことは決して政府の誠意を證明するものでなくして、實にその逆に政府の無誠意を物語つているものであるとさえ言うことができるのであります。何となれば、むずかしい問題はなるべく政府自身がその解決の責任をもたずして、これを他の團體に押しつけて、これを轉嫁するという狡い心組がこの中に窺われるからであります。(「それはその通り」と呼ぶ者あり、笑聲)それはとにかくとして、このたび政府の直接的の責任によつて貸付するために、本法案ができたということは、確かに一歩の進歩であります。しかしながら一歩前進ではありますが、その前進に――このむずかしい事態に當面して、これを切り開いて行くためには、百萬人といえどもわれ行かんの氣概がなくてはならないのでありますが、この法案の中には、かよう氣概が少しも見られないのであります。すなわち本法案の開拓者に對する所の金融が、あまりにも消極的であつて、本法案が法律となつて實施されたとしても、開拓者が獨立農民として生計を立てることができるかどうかは、實に疑問であると言わなければならないからであります。第一全國百萬戸の農業者といえば、これを人口に直すならば、恐らく五百萬を超えるでありましよう。これが完全に開墾によつて吸收されるか否かということは、實にわが國の産業復興にとつて重要な問題であるのであります、從いましてこれが審議には、わが國の失業問題その他と結びつけて、實に愼重な態度をもつて臨まなければならないにも拘らず、本案の上程が匆々の間になされ、本會議竝びに委員會においてこれが審議を十分になす餘裕を與えていないということは、實に政府がこれに對して積極的政策を何らもつていないことを證明しているものであると私は思うのであります。(拍手)――――――――――――――――去る議會からこれまでの期間を通じて、たいてい進歩的な傾向をもつ法案といえば、政府自身積極的に、自分みずからの責任においてこれを提出したという事實は、非常に少なかつたことをきわめて遺憾に思うのであります。(拍手)
私はかような立場におきまして、この法案というものが、既にわが國の客觀的情勢を振り返つて見ますならば、當然に政府の手においてなされなければならなかつたということは、前議會において既に明らかであつたと思うのであります。それを既に會期も終らんとする匆々の間に急遽上程したという態度に對して、實に不可思議な感をもつ。その理由は奈邊にあつたかを私は第一に質問したいと思うものであります。
次に私の質問したいことは、この法案によらなくとも――この開墾の方針でありまするが、百五十五萬町歩の開墾地に、百萬戸の農民を入植させるといつております。これによりますと、一戸當り平均一町五反五畝でありまして、實に既墾地の一町一反の平均と大差がないのであります。開墾地といえば、豐度の上から見ましても、また位置の上から見ましても、既墾地に比すれば遙かに條件の惡いことは自明の理であります。ここに既墾地においてすら過小農制が叫ばれ、零細農と稱せられて、日本民主化の癌がここにあるとさえ言われておりまして、そのためにこそ、この既墾地における農業すらも、急速にこれを近代化しなければならないということが當面の問題になつておる時に、さらに條件の惡い未墾地において、同じような過小農制をつくろうという、この方針はどういうものであるか、これを伺ひたいのであります。
私をして言はしむるならば、未墾地こそ、農業生産を近代化するために最大の桎梏である所の土地所有の壓力がないのでありますからして、思い切つた近代的農業をここに建設すべきが當然であると思うのであります。そうしてここに建設された農業をもつて、むしろ計畫的に既墾地における農業の近代化の契機となすべきものであると思うのであります。さらに農産物の關係からみましても、同じ條件をもつておりましても、既墾地と未墾地では、經濟的な結果が非常に變つて參ります。從いまして經濟學上で言ふならば、かような所において、この過小農に生産價格を保障するということになるならば、私は一般的に一切の日本の農産物は、さらにさらにこれを引き上げなければならないという状態に陷るのではないかと存ずるのであります。經濟學的に教える所によりますならば、農産物の價格は、最劣等地における所の生産價格によつて決定されると申しております。そうだとすれば、既墾地におけると同じような規模の農業を未墾地につくつたならば、この未墾地における所の農産物の生産價格をここに保障するということでありますならば、一般消費者大衆が今非常に――とにかく農民はたしかに米價が相對的に安いことには苦しんでおりますが、一般消費者がこれをもつて自分の生活水準に比べてみますと、決して私は農産物が安いとは言えない點もあらうと思うのであります。
このことを考えてみますならば、私達は今日の既墾地における所の農産物すら値上げ問題が起つておりまして、これが國民の消費者大衆に大きな影響を與えておるという場合に、さらにかような未墾地に過小農制を植えつけて、その高い所の生産價格を保障しなければならなかつたとするならば、私はこの惡性インフレーシヨン下における物價對策というものは、全く立たなくなると言わざるを得ないと思うのであります。(拍手)從いまして私は、今日の既墾地における所の農産物價格が高い安いのことは別問題といたしまして、少くとも今後開墾さるべき、かような未墾地における所の農業生産物というものは、努めてこれはコストの低いものにというふうな方策を立てる必要があると思うのであります。そうするならば、未墾地における所の農業經濟というものは、コストを低くするために、いわゆる近代的生産樣式をここに採用するということによつてのみ、私はこの目的を達することができるのであろうと存ずるのであります。しかるにかくのごとき近代的生産樣式の農業を建設するというためには、少くともここに政府が多くの經費を負擔しなければなりません。政府は何が故にかような易きについて、そうして過小農制を未墾地につくることばかりに夢中になつて、かような未墾地における所の近代的農業の建設に對して、何らの手を打たなかつたかということについて、農林大臣の設明を伺いたいと思ふものであります。
私がかように質問いたしますと、農林大臣、或はまた大藏大臣にいたしましても同じでありましようが、これは國家財政が許さないというように逃げるか、或はまた未墾地において、この過小農制を建設するのでなかつたならば、百萬戸という多數の過剩人口を吸收することができない、こういうふうな口實をもつて逃げるであらうと信ずるのでありますが、しかしながら私達から申しますならば、國家財政が許さないというのは、これはほんとうの理由にはならない。なぜかと申しますならば、今日におきましては、生産増強の名目の下に、相當大盤振舞に似たような補給金すら、多く出しておる事實がたくさんあるのであります。かような場合におきまして、今日一方において五百萬の失業者を吸收し、他方において食糧増産に寄與すべき所の未墾地の開墾ということに對しまして、相當の國家財政の負擔を覺悟するのが當然でなかろうかとさえ思うものであります。また失業者の收容力を小さくするというような意味合いにおいて、なるべく過小農制をたくさんつくろうというような意味合いは、たしかに私は一理はあると思うものでありますが、しかしながらこれは單に農業だけをこの未墾地に建設しようという意味から申しますならば、それで濟むかも知れませんが、私をして言わしむるならば、近代的農業の發達というものは、必ずそれに附隨したところの工業的施設が伴わなければならぬと思うものであります。もしここに近代的農業と竝んで、工業的施設を移植するというような決意さえもつならば、必ずしも未墾地に吸收されるものは過小農ばかりではなくして、實に工員、いわゆる工業勞働者もここに吸收し得るということになりますので、私はかような計畫的な一個の開拓というようなものがあるならば、百萬戸の人間を移植すると同じような重大な效果を上げることができるということを信じておるものであります。
また私は本法の實施によりまして、開拓農家一戸について農業資金を一萬圓、住宅資金七千圓を標準にこれを貸しつけるということを聞いております。しかしながら惡性インフレーシヨンの今日のごとく深刻になつておる時代におきまして、はたして一萬圓の農業資金や、七千圓の住宅資金というような目腐れ金でもつて、その效果を上げることができるかどうかは疑問であろうと思うのであります。ややもすると、本當の意味で農業というもの、耕作農業というものを知らない人々は、自分達の生活のことは棚に上げておいて、一萬圓といえば相當大金のごとく考え、また七千圓といえば相當のものだというふうに考え、甚だしきに至つては、自分は二十萬圓、三十萬圓の住宅に住みながら、百姓が一萬圓ぐらいな家に住むことは贅澤だというような考え方から、七千圓で澤山だというような考え方をする人もあろうと思うのでありますが、私は自分が開拓農民として北海道に歸農いたしまして、その際つくつたのは、去年ですらもが、十五坪のバラツクが一萬二千圓という價額を要したのであります。また今日一萬圓の營農資金であつては、馬一頭が一萬五千圓、二萬圓しておるので、馬一頭買えないではありませんか。これから考えてみましたならば、かくのごとき一萬圓の營農資金、七千圓の住宅資金というようなことは、開拓農民をして、實に文化の低い、野猿か熊のような生活を強要しておることを反面において物語つておるものであると私は信じております。(拍手)
私はかようなことを考える場合に、もしこの開拓農民に對するほんとうの意味の發展を思うならば、百萬戸の農民というものをほんとうにこの未墾地に吸收し得るというのであるならば、この未墾地における所の、いわゆる文化的施設、住宅、或はその他電化、交通或は醫療設備、教育施設というようなものが、既墾地におけるよりもまだまだ高度なものでなければならないと思つております。なぜそうかと申しますならば、既に文化的水準の高い生活になれて來た所の都市の人間をここに吸收し、さらに平地における所の文化水準が相當の程度に達した農家の子弟を、ここに吸收するというようなことになるならば、私は平地におけるよりもはるかに低い文化の下に我慢させるような、さらに經濟的に苦惱を倍加させるような政策が、はたしてかような人々を喜んで入植せしめるものであるかどうかに對して疑わざるを得ないのであります。現に私たちは開拓營團の手によつて日本各地において開墾せられておるその土地が、ちようど賽の河原のように、開墾される後からどしどしと入植民が逃げ出しておるという事實を、あなた方はわからぬはずがないと思うのであります。私はそのような意味合いにおきまして、農業經營にほんとうの意味で專念させるならば、そうしてまたここにおいてほんとうは定著せしめようとするならば、まず何よりも、少くとも平地におけると同じように、既墾地におけると同じだけの文化的施設をまずしなければならないと思うのでありますが、かような文化的施設に對する所の政府の方針如何ということを聽きたいのであります。
さらに最後に、本法によりますと、貸付けの範圍だとか、或は金額、償還金の増減につきましては、開拓委員會というものをもちまして、この開拓委員會によつて決定することになつております。しかし私は、この開拓委員會というものがいかなる方法によつてつくられるかということに對して、政府に質問したいのであります。なぜかと申しますならば、これまでかような種類の委員會は、往々にして政府からの任命がなされたり、或はまたただ貸付ける關係の人ばかりを選ばれた所の委員會になつて、開拓者の要求というものが全く無視される場合が非常に多かつたからであります。今開拓者が、或は東北、北海道という所の氣候條件の非常に惡い土地において、この嚴寒の中に、塗炭の苦しみに陷つている事實をみるならば、私たちはかかる金融というものに對して、この開拓民の發言權を強化するということが絶對に必要であり、緊急なものがあると信じているのであります。
さらに私は、これは本法の問題ではありませんけれども、最後にお聽きしたいことは、今日百五十五萬町歩の開墾が計畫されておるのでありますが、この計畫によつて既に一部實施されつつあります。その中に、私はこの開拓というものが實に請負によつてなされておるという事實があることを知つております。殊にこの請負が、かつての戰時中において軍需事業を請け負つたり、或はその他のいろいろな政府事業を請け負つたりして、しこたま儲けた人々が、戰爭が終つて事業がなくなつた、そのために後から狂奔して、この開墾事業を請負いしようというような計畫がなされている事實が澤山あるのであります。殊に私が開拓農民として土著しております所の北海道のごときは、實に土木請負業者、或は政治的ボス、こういうような人たちが中心になつて、あの狹い北海道に三つもの開拓會社ができて、その開拓會社が政府の開墾の請負をしておるという事實を、私は指摘することができるのであります。ここに私に名前を擧げよと言えば、直ちに名前を擧げることができるのであります。このためにいかにこの開墾事業、開拓事業というものが、世の中から疑惑の目をもつて見られているかということを、われわれは無視することはできないと思うものであります。殊に北海道の或る一部では、實にこの開拓會社による所の開墾自身は、たこ部屋の延長とさえ批判されておる事實を、われわれは見逃すことができないのであります。私たちは、かような疑惑に充ちた所の開墾方針を、この明朗なるべき民主的日本の再建において許されておるという事實は、何が故であるかを政府にお伺いいたしたいのであります。簡單でありますが、私の質問はこれで終ります。
〔國務大臣和田博雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=34
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035・和田博雄
○國務大臣(和田博雄君) 只今の御質問にお答えいたしますが、この法案―――――――――――――――――開拓の金融については、開拓者自身がその必要を叫び、われわれもその必要を感じまして、いろいろ個々の案につきましては、只今まで折衝いたしておつたのでありますが、最後の案といたしましては、こういう特別會計をつくり、國が直接これを貸して行くということできまりましたので、きまりました以上は、一刻も早く御協贊を願いまして、實際資金を必要としておる開拓者にそれを貸すという意味で、これを只今緊急出したのであります。やはり政府といたしまして、獨自の考えをもつてやつたことを御諒解願いたいのであります。
それから百五十萬町歩の開墾と、百萬戸の入植者ということについて、何か過小農の基礎をつくつて行くではないかという御質問であつたようでありますが、私はこの點はさようには考えておりません。入植者が與えられた土地については、その土地々々の實情に應じまして、必ずしも平均一町五反というものにこだわつておりません。北海道においては五町歩、或は所によりましては二町歩、三町歩というように、やはりその適當な面積というものを開拓者に與えて行くという方針を堅持いたしておるのであります。
それから近代化の問題でありますが、近代化ということは、いろいろの内容をもつのでありまして、恐らく稻村君の言われるのも、もつと資本的に集約化して行けということと思うのでありますが、當然そのことにつきましては、營農の方式といたしまして、十分考慮して指導をいたしておるのであります。ただ問題は、只今のような、敗戰後において資材が十分でない時に、それをどういう形で、どういう程度にやつて行くかということが具體的の問題なのでありまして、われわれの方といたしましては、それらの點については十分考えて指導をいたしておるのであります。
それから近代的な工業施設をつくつたらどうかということでありますが、これは勿論開拓地においては、既懇地におけるように米麥中心の農業經營ばかりはできないのでありまして、やはり何分にも家畜を入れることが必要でありますし、その他の工業施設というものをその經營者に結びつけるということが必要だと考えております。現にこれはあなたの新潟で、開拓者と、それからその開拓者を指導しておる人たちが一つの工場をつくつて、たとえば醫藥品をつくるというような試みをしておる所もあるわけでありまして、そういう傾向については、これは十分助長して行きたい。かように考えておるのであります。
それから營農資金の一萬圓というものは、不十分ではないかということでありますが、これは多ければ多いほどいいのは當り前であります。しかしながらやはり財政の實情も考えなければなりません。そこでわれわれといたしましては、一萬圓ということにいたしまして、この不足いたしまする部分は、或は開墾に出て行く所の勞賃の支拂い等によりまして、入植者の方々にやつていただく、こういうように考えているのであります。勿論開墾ということは非常に困難なことでありますので、これはやはり入植者の心構えも私は必要かと思います。何もかも政府がなんとかしてくれるというのでは、開墾というものは土地條件のよい所でも成功いたしません。殊に開墾地は、御承知のように五年間ぐらいはなかなか收穫が上りませんし、また日本は御承知のように非常に災害の多い國であります。三年に一遍は災害を受けるというようなこともありますので、開拓する以上は、どうしても或程度の心構えをもつて、自分は農民として立つて行くのだという確乎たる確信をもつてはいつていただくことが、根本的に必要じやないかと考えるのであります。勿論そういう方々に對しましては、われわれとしてはできるだけの援助をいたす心組みで、開拓政策を進めているのでありまして、決してはいつている人をミゼラブルな状態においていいのだというような考えではないのであります。
それから開拓委員會に開拓者の代表を入れるかという問題は、勿論代表がはいることになつております。それから北海道のことを御指摘になつたのでありますが、それらの具體的な事實につきましては、私詳しく存じませんが、少くともこの開拓事業は、公共事業としていたしておるのでありまして、その關係では、嚴重にこの事業の監督はいたしておりまして、いやしくもそういうことのないようにやつていると思います。なお北海道の事情は私詳しく存じませんので、御指摘がありますれば、十分調べて見たいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=35
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036・稻村順三
○稻村順三君 なお言いたいことは澤山ありますけれども、委員會に讓ることにいたしまして、これだけで質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=36
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037・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて質疑は終了いたしました。本案の審査を付託すべき委員の選擧についておはかりいたします。
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038・高橋英吉
○高橋英吉君 本案は政府提出増加所得税法案委員に併せ付託せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=38
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039・山崎猛
○議長(山崎猛君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし〕と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=39
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040・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
日程第五及び第六は便宜上一括議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=40
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041・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。
日程第五、開拓者資金融通特別會計法案、日程第六、昭和二十一年法律第五十五號帝國鐵道會計又は通信事業特別會計における昭和二十一年度の經費支辨のための借入金等に關する法律の一部を改正する法律案、右兩案を一括して第一讀會を開きます。上塚大藏政務次官。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=41
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042・会議録情報4
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第五 開拓者資金融通特別會計法案(政府提出) 第一讀會
第六 昭和二十一年法律第五十五號帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
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開拓者資金融通特別会計法案
開拓者資金融通特別会計法
第一條 開拓者資金融通法による貸付に関する歳入歳出は、これを一般会計と区分して特別会計を設置する。
第二條 この会計においては、貸付金の償還金及び利子、一般会計からの繰入金、公債募集金、借入金並びに附属雜收入を以てその歳入とし、貸付金、公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子、公債の発行及び償還に関する諸費並びに附属諸費を以てその歳出とする。
第三條 この会計における貸付金を支弁するため、政府は、必要な額を限度としてこの会計の負担で、公債を発行し、又は借入金をすることができる。
第四條 貸付金の償還金は、公債及び借入金の償還金の財源にのみこれを充てるものとする。
第五條 この会計の負担に属する公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子並びに公債の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、これを毎年度國債整理基金特別会計に繰り入れるものとする。
第六條 この会計において支拂上現金に余裕があるときは、これを大藏省預金部に預け入れることができる。
第七條 この会計において支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担で、大藏省預金部若しくは日本銀行から一時借入金をし、又は國庫余裕金を繰替使用することができる。
前項の規定による一時借入金又は繰替金は、当該年度の歳入を以てこれを償還しなければならない。
前項の場合において、当該年度の歳入減少のため一時借入金又は繰替金を償還することができないときは、政府は、その償還できない金額を限り、この会計の負担で大藏省預金部又は日本銀行から借入金をすることができる。
前項の規定による借入金は、一年以内にこれを償還しなければならない。
第八條 この会計において決算上剩余を生じたときは、これを翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
前項の規定による繰入金は、公債及び借入金の償還金の財源にのみこれを充てるものとする。
この会計において、貸付金の償還金及び第一項の規定による繰入金を以て公債及び借入金の償還金を支弁するのに不足する金額と、貸付金の利子及び附属雜收入を以て公債及び借入金の利子、一時借入金の利子、公債の発行及び償還に関する諸費並びに附属諸費を支弁するのに不足する金額との合計額に相当する金額は、予算の定める所により、一般会計からこの会計にこれを繰り入れるものとする。
第九條 政府は、毎年この会計の歳入歳出予算を調製して、歳入歳出の総予算とともにこれを帝國議会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出予算ほは、当該年度及び前年度における貸付計画表並びに前前年度末現在における第三條の公債又は借入金の発行額又は借入額及び償還額表を添附するものとする。
第十條 この会計の收入支出に関する規程は、勅令でこれを定める。
附 則
この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
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昭和二十一年法律第五十五号帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律の一部を改正する法律案
昭和二十一年法律第五十五号の一部を次のように改正する。
第一項中「又は」を「における昭和二十一年度の經費支辨及び歳入不足補填竝びに」に、「昭和二十一年度」を「同年度」に、「五千八百萬圓」を「二十五億五千二十萬圓」に、「四億四千萬圓」を「八億六千四百八十萬圓」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
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〔政府委員上塚司君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=42
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043・上塚司
○政府委員(上塚司君) 只今議題となりました開拓者資金融通特別會計法案外一件につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
まず開拓者資金融通特別會計法案にて御説明を申し上げます。今囘別途提出いたしました開拓者資金融通法案に關する經理上の措置といたしまして、開拓者資金融通のため政府の行います貸付金に關する歳入歳出は、これを一般會計と區分して特別會計を設置いたしまして、その經理を明確にいたしますことが適當と存ぜられるのであります。しかしこれがためには法律の制定を必要といたします關係上、この法律案を提出いたしました次第でございます。
次ぎに、昭和二十一年法律第五十五號の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。帝國鐵道會計收益勘定及び通信事業特別會計業務勘定における昭和二十一年度の經費の財源につきましては、さきに兩會計收支の状況に顧み、その一部を借入金に求めることを餘儀なきものと認めまして、これに關し昭和二十一年法律第五十五號の制定をみたのでありまするが、今囘さらに必要とする兩勘定の追加經理及び帝國鐵道會計收益勘定における運賃收入の減少による歳入不足の補填の財源につきましては、今日の場合、前囘同樣その財源の一部を借入金に求める必要がありますので、この法律案を提出いたした次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御協贊を與えられんことを希望いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=43
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044・山崎猛
○議長(山崎猛君) 質疑の通告があります。これを許します。――山下榮二君。
〔山下榮二君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=44
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045・山下榮二
○山下榮二君 私は只今上程に相なりました鐵道通信兩事業關係本年度經費支辨のための借入金等に關する法律案に對し、二、三當局にお尋ねいたしたいと存ずるのであります。
第一に伺いたいと思いますことは、本法案は鐵道通信兩事業の事業擴張のための借入れであるかどうか、乃至は從業員の待遇改善等のために、その借入れを必要とされて本法案を出されたのであるかどうか。もし待遇改善のために必要とされたといたしますならば、先般鐵道遞信兩勞働組合から、生活確保の要求、すなわち生活保障給、家族手當、越冬資金等の待遇改善の要求が出たのでありますが、これらに關して本法律案を出されたのであるかどうか、この點を第一にお伺い申し上げたいと存じます。
次ぎに伺ひたいと思いますることは、もししかりといたしまするならば、この待遇改善の問題は、過般中央勞働委員會にその調停方を依頼されたのであります。しかもその調停案は、昨日既に發表されているのであります。私たちは本調停案を見まして、勞働組合の要求とは甚だしく相違のあることを認めるのであります。組合側もまたこれを承知せないことを表明いたしておるのであります。この調停案に對しまして、政府はいかようにお考えになつておるのか、この機會に承つて置きたいと存ずるのであります。中央勞働委員會の裁定に對しましては、政府はさきの電氣産業勞働組合のストライキの場合は、中央勞働委員會の裁定を十二月二十日否定されたのであります。私はこの機會に申し上げたいことは、中央勞働委員會の査定を否定さるることは、わが國の勞働運動の唯一の民主主義的な勞働問題の處理機關である所の勞働委員會の裁定を否定するがごときことが、今後もなおかつありといたしまするならば、中央勞働委員會はもとより、地方勞働委員會に及ぼす影響はまことに重大でありまして、まさしく勞働委員會の抹殺行爲だと言わなければならぬと存ずるのであります。(拍手)かような面から考えまして、今囘この問題に對する政府の所信をこの機會に伺つておきたいと思うのであります。
さらに次ぎに伺いたいことは、もし勞働委員會の裁定を承認され、勞働組合の要求する要求條項を是認さるるといたしまするならば、本法律案通過後、速やかに豫算化して、追加豫算を上程さるる御用意があるかどうかを伺いたいと思うのであります。
次ぎに伺いたいことは、鐵道賃金乃至は通信費の値上げが、世上いろいろ噂をいたされておるのであります。鐵道賃金、或は通信費の問題は、國民生活に重大なる影響を與えるものであります。從つて世上言わるるがごとく、二倍乃至三倍の値上げが政府において意圖されておるのかどうか。もし値上げをさるるといたしまするならば、その時期はいつであるかを伺いたいと思うのであります。
最後に、最近の電報通信、これらのものが甚だしく遲延いたすのであります。政府は平和文化國家建設と言い、憲法その他附屬法一切がその線に沿うた、新しき國家建設に努力をされつつあるのであります。しかるに最近の電報通信等の状況を見ますと、まさしく文化國家とは夢にも思えぬほどの遲延をいたしておるのであります。はたしてその遲延の理由が那邊にあるかは私は存じませんけれども、この機會に、その理由が那邊にあるかを伺うと同時に、平和國家、文化國家にふさわしき通信機關の確立を要望してやまないのであります。
以上甚だ簡單でございますけれども、當局の親切なる御答辯を煩わしてやみません。(拍手)
〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=45
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046・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今御質問に相なりました、私の方から御審議をお願いいたしておりまするこの豫算の五億八百二十餘萬圓といいまするのは、これは職員の待遇改善の費用と、物價騰貴に伴う物件の價格の増額という意味でありまして、二つ合せて五億八百二十餘萬圓になるのでありまして、職員の待遇改善の費用は三億六百九十餘萬圓、價格騰貴によりまする費用が一億七千八百萬圓でございます。これらのものは遞信省の從業員諸君が只今中央勞働委員會に要求いたしておるあの金とは違うのでありまして、政府の考えといたしましては、これらの諸君が今日物價騰貴その他によつて生活に困られておるという實情を察しまして、これらの待遇の改善をいたしたいということで、只今その待遇改善に要する基準を厚生省方面において取調べておるのでありますが、これが完成いたしまするのが來年の三、四月頃になるように思うのであります。そういたしますると、その基準法ができましたならば、これに遞信從業員諸君の要求しておることが屆かなければ、その基準の程度まで引上げるし、またその基準よりほかに出るならば、基準の所まで引戻してこれを給與しようというのでありまして、それは今申し上げまする給與の最底の基準のきまるままでの間、繋ぎを從業員諸君に差上げなければならぬ。そうしてこの苦しい生活を切拔けてもらいたいという意味におきまして、政府においては、この年末にこれらの繋ぎの費用を本俸二箇月分だけ出して、さうしてその二箇月分は、上に薄く下に厚いというような給與の方法によつて、一時凌ぎをしてもらおう、こういう意味において、職員の給與改善のために三億六百九十餘萬圓というものをお願いいたしておるのであります。
そういたしますると、政府の態度は、十八日に中勞委において裁定をした所のあの調停案によると、赤字補填一人一千圓、それから家内に對して二百圓、その他扶養者に對して一人百圓、こういうように裁定をしたその金額と、今度政府の御審議を願つておる、この年末に二箇月分だけ差上げるという間において、非常に差異があるではないかということでありまするが、なるほど差異がございます。しからばその調停案通りにしなければならぬではないかという點に對しては、政府としてなるたけこれに從いたいと思うのでありまするが、これらの點につきましては、財源の點について考慮をいたさなければならぬことは言うまでもないのでありまするが、關係方面においてはたしてこれを許可せらるるや否やということに對しましても、非常に今考慮を拂つておるのでありますが、取りあえず政府の考えておりますことは、今囘の三億六百九十餘萬圓を出しますと、二箇月の繋ぎができまするから、これをまずやつていただこう、こういうことになるのであります。これならば、お問いのごとぐ郵便料金の値上げということは要りませんで、これだけの金のうちは、預金部の特別會計竝びに保険年金等の特別會計から繰入れを八千三百五十餘萬圓いたしまして、足りません所の四億二千四百萬圓というものを大藏省の預金部の方から借入れますれば、今御審議を願つておりまする五億八百二十餘萬圓が賄いができまするから、そういうようにいたしたいというのであります。
もし遞信從業員諸君から中勞委に要求しておりますあの要求を全部認めると假定いたしますれば、只今二十五億いくらというものを人件費に拂つておりまするし、その上に五十五億圓ほどう金を必要とするのでありまして、八十億圓以上のものを人件費のために支出しなければならぬ、こういうことになります。そういたしますると、今の郵便料金を六倍に上げませんと賄いができぬということになるのでありますから、葉書にいたしますならば九十錢、手紙にいたしまするならば一圓八十錢、郵便料金その他のものも、これに準じて値上げをする、こういうことになるのであります。これがはたして民衆に及ぼす影響はどうであらうか。今まで十五錢のものが九十錢になり、三十錢のものが、一圓八十錢になり、或は一圓の電報料金が五圓にもなりまして、はたして國民がこれを不平なく受容れることが出來るであらうかどうであらうかというようなことは、政府においても十分考えておるばかりではありません。皆樣方におかせられましても、それらの點を御考慮に入れて、御審議を願わなければならぬと考えておるのでありますが、取りあえず調停案が今當事者双方に送達せられまして、この二十八日にこれに應ずるか應じないかがきまるのであります。今私の方でこの調停案の赤字千圓、家内二百圓、扶養家族一人百圓というものに應ずることができるかできないか愼重に調査いたしておりまして、二十八日までに態度を決定いたしたいと考えておるのでございます。かりに調停案通りにいたしますとすると、合計で四億數千萬圓ほどの金が要るのでありますから、もしそういうことになれば、さらにまた追加してお願いをしなければならないのではないかと考えておるのでありますから、どうかこの邊に對しましては、國家の財政、民衆のいろいろな御負擔等を御考慮に入れまして、愼重に御審議あらんことをお願いいたすのであります。(拍手)
〔國務大臣平塚常次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=46
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047・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 鐵道會計についてお答えいたします。鐵道會計におきましては、現在五千七百九十九萬一千圓の借入金で、收益勘定の歳入缺陷を補うことに相なつておつたのであります。しかるに十月一日以降實施の豫定でありました運賃改正が遲れまして、今の所告示期間が一箇月を要する關係からして、二月一日以前には實施することができなくなつたのであります。從いまして十月から一月までの増收見込み十三億二千萬圓を收入より削減することになつたのであります。なお支出の面におきましては、事業費において物價騰貴の經費、また特別給與、今囘爭議の對象になつておりまするいわゆる越冬資金、こういうものに合計一億六千二百五十六萬三千圓の増加が必要であるのであります。また借入金及び公債の發行額につきまして、利拂いの増額九百六十一萬一千圓の支出増加があります。その財源不足を補うために借入金二十四億九千二百十七萬四千圓を増加する必要が起きたのであります。前議會が協贊を經ておりましたものを加えまして、借入金が二十五億五千餘萬圓に相なつておるのであります。これが今囘の議案になりました内容でございます。
爭議につきましては、只今遞信大臣からお答えがありました通り、私の方も總連合が提訴いたしまして、中央勞働委員會で目下裁定中でありまするので、裁定の通告を受けましたのちに十分協議をして、協定をまとめて行きたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=47
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048・山下榮二
○山下榮二君 簡單でありますから自席からお許し願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=48
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049・山崎猛
○議長(山崎猛君) 許します。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=49
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050・山下榮二
○山下榮二君 通信物の遲延に對する理由を伺いたいと思うのであります。鐵道關係につきましては只今説明を伺つたのでありますが、二月まで値上げをしない、こう拜承しておるのであります。二月になつたら値上げをする、こういうことであらうと察するのでありますが、その値上げの額等を公表できますならば、この機會に伺いたいと存じます。
〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=50
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051・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) お答えいたします。年末二箇月の繋ぎを支給するということでありますれば、郵便料金の値上げを必要といたしません。只今御審議を願つておるこれが通過いたしますれば、この特別會計等においていたすのでありますが、もし中央勞働委員會の裁定をいたしておりまする赤字補填千圓、妻二百圓、扶養者一人百圓ということになりますと、この金額を一億圓ほど殖やせばいいのでありますから、やはりこれも料金の値上げという所まで參りません。ただ私の申し上げるのは、賃金の裁定をいたしまして、それが今の給與の金額よりもよほど多くなるということになれば、事業の性質上郵便料金の値上げをしなければならぬ。その時にはまたさらに御審議をお願いしなければならぬのであります。先刻私の申し上げましたのは、遞信從業員諸君の要求する通りにすれば、六倍の値上げをしなければならぬ、こういうふうに假定的に申し上げたのでありまして、さよう御承知を願います。
〔「郵便物の遲れることだよ、なぜ遲れるかということだよ」と呼び、その他發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=51
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052・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=52
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053・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 何が遲れるというのですか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=53
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054・山下榮二
○山下榮二君 電報、手紙、葉書等がまことに遲延いたすのであります。その理由は那邊にあるかを伺いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=54
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055・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) いや、よくわかりました。それらの郵便物の遲延いたしますることは、戰災のためにいろいろな施設が破壞いたしましたり、もしくは道徳的の、いろいろ思想が低下したというのでありましようか、一時そういうようなものもございましたが、それらの點につきましては、從業員諸君も自肅自戒いたしまして、自己の責任の重大なることに思いをいたされまして、そういうような思想方面のことは、だんだん是正せられておりまして、近來ではよほどそれらのものが早く送達できるようになつておりますが、ただ資材の面に對しましては、十分の資材が入手いたしませんがために、これらの施設が十分になつておりません。從つて戰前におけるように迅速ではなかつたのでありますが、終戰前後におけるようなことは漸々に改めまして、只今では葉書とか封書とかいうものの到達期間も非常に短縮せられておりますし、電信のごときは、たいがいその日に打つたものは、その日に送達局には到達いたしますが、たとえば夜間到達いたしたものとか、その他いろいろな施設の故障のために遲れるというようなことがありますが、それらのことも、なるたけ民衆の御期待に副うように今努力いたしておりますから、さよう御諒承を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=55
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056・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山下君、まだありますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=56
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057・山下榮二
○山下榮二君 二月以後の値上げの問題について‥‥。
〔國務大臣平塚常次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=57
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058・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) 輸送が非常に惡いということのお尋ねのようでありますが、これは石炭の事情が非常に惡いためで、石炭さえあれば解決するのであります。ほかに理由がございません。
〔「そんなことを聽いておるのでない」と呼び、その他發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=58
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059・山崎猛
○議長(山崎猛君) 山下君、重ねての質疑を簡明に願います。
〔「それは何の答辯か」と呼び、その他發言する者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=59
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060・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。
〔國務大臣平塚常次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=60
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061・平塚常次郎
○國務大臣(平塚常次郎君) よく聽取れませんもので、間違つた御返事をいたしましたが、運賃の値上げは鐵道會議においてきまりまして、さらにこれを閣議にはかりまして、だいたい閣議の諒解を得まして、關係方面との折衝中であつたのであります。しかるに鐵道の運賃を大幅に上げるということは、一般物價に及ぼす影響も大きいのでありまして、その交渉が延びて現在に至つておるのでありまして、最近になりましてよほど進行しておりまするので、あまり遠くない將來に解決いたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=61
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062・山下榮二
○山下榮二君 殘餘の質問は委員會に讓りまして、本日はこれで質問を打切ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=62
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063・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて質疑は終了致しました。各案の審査を付託すべき委員の選擧についておはかりいたします。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=63
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064・高橋英吉
○高橋英吉君 日程第五及び第六の兩案を一括して、政府提出増加所得税法案委員に併せ付託せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=64
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065・山崎猛
○議長(山崎猛君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=65
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066・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて動議のごとく決しました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=66
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067・高橋英吉
○高橋英吉君 委員に付託中の議案の上程を待つため、この際暫時休憩せられんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=67
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068・山崎猛
○議長(山崎猛君) 高橋君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=68
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069・山崎猛
○議長(山崎猛君) 暫時休憩いたします。
午後四時三十三分休憩
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午後六時三分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=69
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070・山崎猛
○議長(山崎猛君) 休憩前に引續き會議を開きます。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=70
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071・鈴木仙八
○鈴木仙八君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、(改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、(改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改第三號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案の五案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=71
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072・山崎猛
○議長(山崎猛君) 鈴木君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=72
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073・山崎猛
○議長(山崎猛君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
(改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、(改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改第三號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、(改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案、右五案を一括して議題といたします。豫算委員長の報告を求めます。豫算委員長竹田儀一君。
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(改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
(改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
(改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
(改第三號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
(改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
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報告書
一 (改第一號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十一年十二月二十日
豫算委員長 竹田 儀一
衆議院議長山崎 猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 (改特第一號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十一年十二月二十日
豫算委員長 竹田 儀一
衆議院議長山崎 猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 (改第二號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十一年十二月二十日
豫算委員長 竹田 儀一
衆議院議長山崎 猛殿
附帶決議
一 現下教育の重要性と、教育者の任務の特殊性に鑑み、教育者の生活を確保するため、速かに其の最低月收六百圓基準を實現することとし、差當り今次の特別給與金の外に、月收六百圓となる樣、特別の緊急措置を講ずべし。
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報告書
一 (改第三號)昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十一年十二月二十日
豫算委員長 竹田 儀一
衆議院議長山崎 猛殿
━━━━━━━━━━━━━
報告書
一 (改特第二號)昭和二十一年度特別會計改定歳入歳出豫算追加案
右は本院において可決すべきものと議決した因つてここに報告する。
昭和二十一年十二月二十日
豫算委員長 竹田 儀一
衆議院議長山崎 猛殿
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〔竹田儀一君登壇)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=73
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074・竹田儀一
○竹田儀一君 只今議題となりました昭和二十一年度改定歳入歳出總豫算追加案、改第一號ほか四案について豫算委員會の經過竝びに結果を御報告申し上げます。
今囘政府より御提出に係る追加豫算は、一般會計分三件、特別會計分二件、合計五件でありますが、あらかじめその内容を御説明申し上げたいと存じます。まず一般會計分でありますが、歳入歳出とも改第一號が五十二億一千八百餘萬圓、改第二號が二十六億九千八百餘萬圓、改第三號が九十三億圓、合計百七十二億一千六百餘萬圓であります。
右の歳出の内譯を申し述べますと、改第一號分は、米その他主要食糧の價格の改訂及び供出奬勵金の交付等により、本年度中に生ずる食糧管理特別會計の損失補填のための一般會計よりの繰入れが四十三億一千二百餘萬圓、民生安定のため海外引揚者その他困窮者に對し越冬對策として供給する寢具の購入費、及び住宅施設の補助費が十一億八千五百餘萬圓であり、他方引揚者の引揚状況が當初見込んだ所に比較し遲延したこと等による經費の減少二億八千萬圓を立てております。
改第二號の歳出のおもなるものは、政府職員その他の給與改善に關する經費十二億二百餘萬圓、臨時議會開會に伴い要する經費六百餘萬圓、都道府縣の長及び市町村長の選擧に要する經費七千八百餘萬圓、都道府縣及び市町村の議員改選に要する經費三千百餘萬圓、第二復員局關係の復員に要する經費二億七千四百餘萬圓、國立病院等經營に要する經費の増加五千三百餘萬圓、石炭價格調整補給金その他石炭増産對策に必要なる經費の増加八億四千八百餘萬圓、物資割當關係事務に要する經費、經濟安定費の増加一億圓、私立學校の戰災復興のための國庫貸付金二千四百餘萬圓等でございます。
次ぎに改第三號の歳出九十三億圓は、終戰處理費の追加でありまして、改定本豫算には百九十億圓を計上してあつたのでありますが、各種施設費の増加、進駐軍用勞務者の給與の高騰等に伴い不足が見込まれるにいたりましたので、一應この際の不足額を追加してあるのであります。
以上三件の歳出については、政府としては現下の經濟、金融状況に鑑み、極力普通歳入の増加を企圖しておるのでありまして、すなわち今囘の増加所得税法による増徴額四十億八千萬圓、税の自然増收額十四億四千餘萬圓、自由販賣の煙草、すなわちピース、コロナの値上による專賣局益金の増收額十一億五千百餘萬圓、前年度剩餘金の繰入十一億四千七百餘萬圓、雜收入、寢具等の拂下代金の増加二億八千四百餘萬圓、計八十億千六百餘萬圓より、日本銀行納付金の減少一億五千餘萬圓を差引き、計七十九億千六百餘萬圓の普通歳入を豫定し、差引九十三億圓、すなわち終戰處理費の追加額に相當する額の財源について、公債を發行することにしてございます。なお改第一號の財源は、當初その大部分を歳入補填公債で支辨することになつておりましたが、改第二號でこれを行わないことに修正してあります。
次ぎに特別會計について簡單に御説明いたしますと、まず改特第一號は食糧管理特別會計の追加豫算でありまして、これは昭和二十二年二月以降の食糧の賣買を歳入歳出に計上することに改めることと、食糧價格の改訂等による食糧の買入れ賣渡しの收支及び事業費の増加することに基づくものでありまして、一般會計の改第一號と關連しておるのでございます。
改特第二號の追加豫算は、帝國鐵道、通信事業、專賣局を初め十五特別會計と、開拓者に對し營農資金を供給するため、今囘新たに設置した開拓者資金融通特別會計に關するものでございます。特別會計のうちおもなるものについて申しあげますれば、帝國鐵道特別會計におきましては、資本勘定の追加は六億九千二百餘萬圓でありまして、その内譯は鐵道の建設改良及び自動車線設備費の増加四億二千七百餘萬圓、連合軍より拂下げを受ける自動車購入に必要な經費二億三千九百餘萬圓、職員に對する特別給與支給に必要なる經費二千六百餘萬圓であり、この財源はすべて公債によつております。また收益勘定の追加は、物價騰貴による事業費の増加、職員に對する特別給與支給に必要な經費等十一億七千二百餘萬圓でありまして、この財源はすべて借入金によることとしてあり、かつ第九十議會において豫算上十月一日より實施いたすことになつておりました鐵道運賃の引上げの實施が遲延しましたので、十月以降四箇月分の減收額についても借入金によることとし、從つて收益勘定の借入金は二十四億九千二百餘萬圓になつております。通信事業につきましては資本勘定三億圓の追加額は、物價騰貴に基づく事業費の増加及び職員に對する特別給與支給に必要な經費であり、これが財源は帝國鐵道と同樣公債によることとなつております。業務勘定も同樣な事情により五億八百餘萬圓の追加を必要とし、その財源に充てるため四億二千四百餘萬圓の借入金を餘儀なくされております。專賣局特別會計においては、葉煙草の増産のため必要な經費、物價騰貴に基づく作業費の増加、職員に對する特別給與支給に必要な經費を歳出に計上するとともに、近く實施豫定の煙草の値上げ等による増收額を計上してあります。なお今囘創設に係る開拓者資金融通特別會計においては、概ね四萬七千戸に對する資金の貸付けのため歳入歳出四億七千九百余萬圓を計上してあります。右以外の特別會計は、概ね今囘の特別給與支給に關するものであります。各特別會計を通じ、特別給與の經費は九億七千五百餘萬圓でありまして、てうち帝國鐵道五億六千餘萬圓、通信事業三億二千七百餘萬圓であります。さらにこれを一般會計分と合計し、學校特別會計の重複額を控除いたしますと、今囘の給與改善の經費の總額は二十一億二千二百餘萬圓となる次第であります。
なお今議會提出の追加豫算において豫定している公債及び借入金の豫定額を申し述べますと、公債は一般會計九十三億圓、帝國鐵道資本勘定六億九千二百餘萬圓、通信事業資本勘定三億圓、開拓者資金融通特別會計四億七千七百餘萬圓、合計百七億六千九百餘萬圓であります。また借入金は、帝國鐵道收益勘定二十四億九千二百餘萬圓、通信事業業務勘定四億二千四百餘萬圓、大藏省預金部八千三百餘萬圓、合計三十億餘萬圓でありまして、さらにこれを前議會までに成立にかかる豫算において豫定したものと合計いたしますれば、今年度の公債または借入金の豫定額は、公債三百七十六億六千餘萬圓、借入金三十五億二千九百餘萬圓、合計四百十一億八千九百餘萬圓と相なる次第でございます。
豫算委員會は十二月十三日から開會いたし、一昨十八日のごときは、午後十時まで質疑を繼續し、本日ようやく終了いたしました。種々の事情からいたしまして豫算案の上程が遲れましたため、十分なる審議時間をもたなかつたにもかかわらず、委員諸君の理解ある協力により、眞劍なる檢討を盡くすことを得ましたことは、まことに感激に堪えません。その審議の詳細につきましては速記録に讓りますが、そのおもなる質問及びこれに對する政府の答辯を簡單に御報告いたしたいと思います。
まず質問の焦點は、總理が本會議における施政方針演説において述べられたがごとき、現在の經濟一般情勢の危機に對處する政府の施策と決意とを、あらゆる角度から檢討することに集中せられました。今囘上程せられました追加豫算案を加えますると、今年度の豫算純計は恐らく千五百億圓を突破するでありましようし、なお四百億圓を超ゆる赤字のことを考えまする時、財政と經濟力の不均衡より或は招來せんとする國民經濟の破綻は、何人も憂慮する所でありまするが、この點の質問に對し、政府當局の見解として述べられていることは、財政資金を徹底的に壓縮するということより、進んで積極的にあらゆる努力を經濟力の囘復培養をはかることに集中いたし、未稼働の勞力、設備資材の存する限り、かつまた生産財部門と消費財部門の不均衡を生ぜざる限り、追加購買力を注入して、生産の振起に努めることにあるようでありまして、ために若干の赤字を來し、國債の發行により財源を調達せざるを得ないものがありましても、これが國民の貯蓄によつて消化せられる限度においてなされるならば、あえてこれを辭さない方針と拜承いたしました。
なお健全財政をめぐつて、増税及び税制改正の問題、救國貯蓄運動の問題、豫算の實行監査の問題等に關し、各委員からそれぞれ熱心なる要望的質問がございました。
次ぎに現下の經濟危機を物の面より見まする時に、最も重要な問題は基礎原料の供給不足であり、特に鐵、石炭が隘路中の隘路なのでありますが、いかにしてこの隘路を打開するかについて熱心なる論議が交されました。本質論といたしまして、石炭、セメント、鐵鋼のごとき重要産業が、現在自由經濟でやつて行けるかどうか。或は直接に國營とするか、高度の計畫經濟により統制して行くべきではないかという委員諸君の質問に對し、政府は、あくまで統制は一時的、便宜的なるものであつて、經濟が民主化された曉においては、正當な利潤を前提とした、自由なる競爭の行はれる自由なる經濟でやつて行ける確信がある旨答辯がありました。
なお一般に戰時中におけるいわゆる官僚の惡統制が、現在においてもなお餘喘を保つていること、及び食糧殊に生鮮食料品等の統制は、かえつて不必要な經費の支出と物資の偏在を結果すると考えられる實情もある點、さらに進んでは今後組織せらるべき配給統制機構の性格等に關し、熱心なる要望的質問がありましたが、政府も前者に對しては十分なる戒心を約束せられ、後者に對しては、未だ考究中であるが、でき得る限り從來の經驗者、民間の人材を活用して、その運用に細心の用意をいたすべき旨の確答を得ました。
第三に、現在の段階において産業復興の鍵は一にかかつて勞働問題にあるとして、舌端火を發するがごとき論議があつたのでございますが、殊に先般の電産爭議に關し、政府が中央勞働委員會の裁定案を拒否したことに對し論議がありましたことは申すまでもありません。これは中央勞働委員會の權威の問題として、今後起るべき他産業の爭議に對し、調停の基準となるべき調停案に對しとつた政府の態度として、今後の勞働問題に影響する所も多く、實に重大なる問題であるとの質問に對し、政府は電産の賃金引上げの結果は、電氣料金が三倍強も引上げられ、公益上廣範圍に影響する所があるのに鑑み、やむを得ずとつた措置であるとの答辯がありました。なお組合運動を通じての待遇改善の要求が、單に名目賃金の水準を高くし、生産増加を伴わざる場合は、やがて實質賃金の切下げを招來する事情、また企業或は國家が整理せらるべき産業豫備軍の勞働者を、国民の負擔において背負い込み、自繩自縛に陷る點を指摘し、かつ擬制資本の切捨て、産業の再編成に即應すべき勞働再編成が、包括的に施策の對象として取り上げられていない點を指摘せられた、傾聽すべき質問のありましたことを忘れてはなりません。
次ぎに、勤勞所得税の撤廢もしくは免税點の引上げと、勤勞者の消費生活の確保に關する質問であります。前の點につきましては、その早急な撤廢及び免税點の引上げが國家財政に影響する所の多い點に鑑み、しばらく別として、ぜひ明年度の所得税の課税對象が變つて來ることを考慮し、税率の改正より、さらに進んでは税制の根本的改正が望ましく、當局としてもその線に沿い努力されている旨の答辯がありました。後の消費生活の確保という點については、これは一般國民に至大の關係のある問題であり、いわゆる五百圓生活の問題に關連しているのであります。インフレを抑止すべきはずの新圓及び封鎖預金という一連の貨幣政策が、かえつてインフレを促進する面がある旨を指摘し、一般物價の騰貴の状態より見て、五百圓生活の不合理なる點について種々質問があつたのでありますが、政府當局はこの問題に對し、近き將來において決定せらるべき新物價水準と睨み合わせて、漸次統制をゆるやかにする方針のごとき御答辯がありました。
第四に食糧の問題でありまして、消費生活の實質的な意味における確保の面から強く取り上げられたのでありますが、食糧は連合軍の御厚意による輸入食糧の放出、今年度の豐作等により深刻なる不安の時期を脱したるやの感がありますけれども、現在農地制度の改正、公職追放等の政治的原因、肥料を初め、報奬、見返り物資または資材面の制約、價格の問題等の經濟的な原因により、種々の派生的な問題を孕みまして、決して樂觀を許さざる問題として、多數の委員から質問が重ねられたのでございますが、供出意欲促進に關しては、報奬金制度、肥料、物資等の優先配給等は勿論萬遺憾なき配慮をいたしておるという答辯でありました。なかんずく石當り五百五十圓の米價を、他の商品との均衡上最低八百圓くらいに引上げ、供出意欲を促進してはどうかとの質問がありましたが、政府は米價がすべての物價の基礎になり、これが中心に諸物價が定められるといふ特殊な事情に鑑み、大局的にこれを五百五十圓と決定したとの答辯でありました。なお食糧に關連して米の供出ストライキ、肥料の國營または一元的配給機構等に關し、眞摯なる質疑が繰返されまして、謹聽に値すべき論議の少くなかつたことを附言いたしておきたいと思います。
第五に、經濟危機を金の面から論議せられまして、通貨對策、物價對策或は綜合的なインフレ對策として質問が重ねられましたが、この點については、通貨増發が勢いはまことに輕視すべからざる情勢にあるものではあるが、一方金融機關に還流されず、退藏せられる貨幣が多いという事態は、通貨の價値が未だ地に落ちざる證據と見られる故に、政府としてはこれを産業資金に誘導することに努め、新圓の再封鎖等に關する風説を一掃し、かえつて預金の祕密性の保持、預金課税率の引下げ等による通貨安定の各種の措置を考究中であり、他面生産を振起して、物價の安定と均衡を得るよう万全の配慮をいたすとの答辯でありました。
なお日本經濟の各般の現状より判斷いたしまして、連合國軍の積極的御援助及び政府の體當り的奮鬪なくしては、日本經濟の危機突破は不可能であるとの觀點から、消極的には終戰處理費の節約乃至は效率的使用、積極的にはクレヂツトによる連合國側の御援助に關し、政府當局に對し深刻なる質問がございました。クレヂツトに關しましては、過般來數次にわたる食糧及び石油等の輸入が既に實施せられ、わが國民のひとしく感激おく能わざる所でありますが、本格的なるものは、政治的の問題もあり、特に爲替相場の決定等をまたなければ明確なる見透しは今日言明いたしがたいとのことであり、また終戰處理費の内容につきましては、その全部が必ずしも純粹の意味の不生産的經費ではなく、失業救濟等に資する所も幾分ありますが、何分にもわが國財政にとつては容易ならざる負擔でありますので、その節約には連合國側の御理解と御援助をも懇請し、鏤骨の努力を傾倒しているとの答辯でございました。
右に述べましたほかに、いわゆる六・三・三制度に關する質問があり、文部大臣は、六・三・三制度は未だ制度として確定したものとは言えず、政府においてなお準備中であり、過渡的な種種の困難、たとえば教員の過剩とか、設備の不足とかいうことに關しても、折角考究中とのことでありました。
その他石炭増産の隘路に關する問題、水産事業の振興に關する問題、林業の劃期的施策、教員竝びに一般公吏の待遇改善、引揚民竝びに軍人遺家族の援護對策、なかんずく涙なくして聞くことのできない引揚促進の問題に全力をいたすべき旨の、熱心なる、また傾聽に値いすべき御質問があつたのでありますが、これは速記録に讓ることをお許し願いたいと思います。
かくのごとくにして、本日ようやく討論採決に入りまして、自由黨山本勝市君、進歩黨武藤嘉一君、社會黨中崎敏君、協同民主黨東隆君、國民黨笹森順造君より順次意見を述べられ、自由黨、進歩黨、社會黨、協同民主黨、國民黨、各派一致原案に贊成の意を表され、なお教員の待遇に關し各派共同の附帶決議が提案されまして、各案とも滿場一致可決せられました。その附帶決議を只今朗讀いたします。
附帶決議
現下教育の重要性と教育者の任務の特殊性に鑑み教育者の生活を確保するため速かに其の最低月收六百圓基準を實現することとし差當り今次の特別給與金の外に月收六百圓となる樣特別の緊急措置を講ずべし
これでございます。なお社會黨より、政府職員の待遇及び民生安定費に關し附帶決議を提案せられましたが、これは否決と相なりました。また協同民主黨より、米價を八百圓とするよう追加豫算を編成し、本議會または通常議會に提案すべしとの附帶決議を御提出になりましたが、これまた否決となりました。この段簡單ながら御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=74
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075・山崎猛
○議長(山崎猛君) これより討論に入ります。順次發言を許します。志賀義雄君。
〔志賀義雄君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=75
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076・志賀義雄
○志賀義雄君 只今竹田委員長より報告のありました豫算追加五案に對して、簡單に反對の趣旨を述べたいと存じます。石橋大藏大臣は、就任以來、またこの前の議會においても、今度の議會の本會議や豫算總會においても、生産が増加すればインフレは憂うるに足らないということを繰返しておられました。なるほど預金封鎖によつて一時減少した日銀の發行高も、その後再び増加して、その前の六百億圓臺を遙かに突破して、今日ではそれが年末には八百數十億圓にも上ろうというふうに豫想されておる。では大藏大臣の言明されたように、生産がこの紙幣の發行高と同じように増加したかというに、この方は一向増加しないばかりか、今後も、今の有樣では増加しないという状態であります。つまり大藏大臣の主張と現實は、全く食い違つております。しかも今度の豫算追加の諸案は、この現實と錯誤した大藏大臣の方針によつて編成されたもので、これは明らかに現實によつても、この財政方針では、日本の經濟の將來は破綻以外にないということが明らかなのでありますから、全體として私どもはこの追加豫算案に反對するものであります。これが第一の理由。
以下簡單に述べますが、政府は、殊に安定本部長官膳國務大臣は、物價を安定することが先であり、賃金俸給の値上げはその上でやる、賃金値上げをやればインフレーシヨンがますます促進されるという態度をとつております。現に今度の電産爭議の直後におきましても、九月の消費量を基準として、それ以上は使つてはならない、使えば罰金的に累進的な料金が徴收されることとなりましたが、一方大口需要者の、今まででも普通の需要者に比べて遙かに低い料金であつたものの方は後廻しであります。これは明らかに、勞働組合が賃金の値上げを要求すれば、一般の市民や農民の利益に直ちに差し響くというように見せかけて、大口需要者、すなわち資本家の利益を政府が擁護する政策に使つておるのであります。こういう立場から編成される豫算追加案に對して、われわれは贊成ができないというのが第二の理由であります。
なぜというに、インフレーシヨンが促進されれば、それは原因が賃金の値上げであるというけれども、事實はその反對であります。勞働者は勞働力を賣る、それ以外に生活の源はないのであつて、勞働力も商品の一つである。この勞働力という商品の物價は、こうしたインフレ時代には、いつでもその騰貴が最も遲れるものであり、勞働者はどうしても自己の勞働力の價格が飢餓線以下に陷れられることを防ぐために、今必死になつて起ち上つているのであります。それはもう價格現象でもなければ、貨幣現象でもない。明らかに國家財政支出を滅茶苦茶にやつて、それで働く者に對する收奪を行う、これが現在のインフレ政策、今度の財政の根本方針なのでありまして、こういうふうなやり方に對して、われわれは反對しなければならぬ。
今日の物價水準では、今世間でやかましい越冬資金でも、中央勞働委員會の少數意見にもありますように、一人當り千五百圓、家族一人當り三百圓、最低賃金六百圓、平均千五百圓でなければ食つて行けないのでありますが、しかるにこの改定豫算追加の第二號によれば、官廳職員に對して特別給與を支給するに必要な經費として計上されている分が、遙かに下廻つております。私どもは差當り今冬が迫つて、豫算も政府がにわかに出したために、働く人々はこの冬が越さないというので、右の經費を當面の費用として支給することは、應急策としてこれを認めるものでありますが、來年の給與審議會、官吏待遇改善委員會の決定を見るまでの數箇月間、これは官吏といえども、一般勞働者、俸給生活者といえども、それでは食つて行けない。しかるに今度この追加豫算が通過しても、來年度の豫算が通過するまではどうにもならないのでありますから、このまま進めば、再び日本に非常に勞働爭議その他が發生せざるを得ない。(「お前達が煽動するからだ」と呼ぶ者あり)爭議というものは、煽動によつて起るものではありません。いかに共産黨が煽動に巧みであつても、平地に波瀾を起すわけには行きません。共産黨の議員はたつた六名でありますが‥‥‥。
〔發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=76
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077・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=77
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078・志賀義雄
○志賀義雄君(續) つまり、しきりにそういうふうに言われることは、わずか六人の議員の力がいかに偉大であるかということを證明されることになるであろうと思います。しかもこのように、來年の給與審議會の決定ができるまでの豫算の支出が認められておりません。その意味において、來年の三月までの日本の働らく人々の生活に對して、何らの保障がされないということになる。殊に官公吏のような、豫算によつて縛られる者はそうでありますが、その意味において、本案に贊成するわけには參らないのであります。
なお最後に、石橋大藏大臣は、自由主義經濟と現政府の行う統制とは矛盾しない、レールの上を走る機關車を不自由とは言えない、というような珍答辯を豫算總會でもやつておられましたが、現在の統制というものは、闇を撲滅するというけれども、今度の増加所得税四十億八千萬圓というものは、その闇を撲滅するためにいろいろ強權を發動する政府が、結局闇が行われておるということを認めた所得税なのであります。これは政府の立場の矛盾を明らかに露呈したものであります。しかもその増加所得税が申告制に基づきまするから、それは大口の闇――そこいらの小さい闇屋にはこの税金が澤山かかつても――大口は、あらゆる手段を用いてこれを免れる結果になるのであります。今日の統制をなぜ配給公社によつて振り替えて行こうと政府がするかと言うに、これはどうしても統制ということが官僚の經濟的な力の土臺になるので、なんとかして、形を變えてこれを續けて行こうというのであります。そういう點について、われわれはこの追加豫算案が悠然として、こういう統制機構を維持するための豫算として編成されているので、われわれはこれに贊成するわけに行かないのであります。
最後に一つ附言しますが、引揚者、戰災者その他に對して、衣料、寢具、住宅等に對する豫算も計上されましたけれども、それではとうていこの引揚同胞の諸君の生活は、この冬を越すことのできない場面が非常に多いのであります。これはもう少し多く計上すべきで、これは少い。もつとこれは追加しなければならない、私どもはこの政府の豫算がなお足りないという意味で、反對するのであります。(笑聲)
私どもは、この政府のやり方をすれば、來年の三月に危機が來るというけれども――この危機は、今しきりに笑つておられた方もあるようでありますが、來年の三月になれば、とてもそういうふうに笑うことはできない危機なんです。それに對して‥‥。
〔「偉大なるかな共産黨」と呼び、その他發言する者多し〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=78
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079・山崎猛
○議長(山崎猛君) 靜肅に願います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=79
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080・志賀義雄
○志賀義雄君(續) それを言うと長くなりますが、よろしうございますか。だから私は反對すべき點だけを反對して、建設すべき所はまた大いに共産黨としてやります。それは別に省略して、これだけで終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=80
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081・山崎猛
○議長(山崎猛君) 小坂善太郎君。
〔小坂善太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=81
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082・小坂善太郎
○小坂善太郎君 私は日本進歩黨を代表いたしまして、只今議題となつておりまする追加豫算案に對しまして、委員長の報告通り贊成をいたすものであります。(拍手)この際きわめて簡單にわが黨の見解を述べまして、現政府を鞭撻いたしたいと思います。委員會でも詳しく論ぜられましたことでありますので、きわめて基本的な二點について申し上げたいと思います。
まず第一は道義の昂揚であります。敗戰のこの荒涼たる現實の中に、私どもはあくまで眞理を求めて、どうすればわれわれが現在の苦境から脱し得るかということを深刻に反省し、惱みつつあるのでありまするが、この際われわれが、なぜ戰を始めて負けたか、またなぜ新しい憲法をつくつて、その條項に從つて日本を建設して行こうというのかという點について考えてみまするならば、どらしてもそれに對しましては、教育の振興こそ一番の重點である、かように思うのであります。この點に關しまして、わが黨といたしましても、最もこの日本復興の基本的な重要な任務を擔う教育者の待遇の改善を、心より叫ばずにおられないのであります。(拍手)この教育者の待遇が改善され、教育者の崇高なる任務が自覺され、そうしてその上に新しい道義國家日本が建設されて行くことを考えざるを得ないのでありまして、この點に關しましては、わが黨はさらにさらに努力をいたしたいと考えております。(拍手)
次ぎに經濟的な面における復興でありまするが、なんと申しましても、現在われわれ國民を惱ましておる所の深刻なインフレーシヨンをいかにすれば防遏できるかということに重點をおかなければなりません。この點に關しましては、インフレが財政的な問題である限り、この面を通貨の面においていろいろと工夫をしなければならないのでありまするが、勿論貯蓄の増強であるとか、既にここにおいてとられておりまする諸般の政府の施策は、勿論全面的に推進しなければならないのでありまするが、どうしても今變動しつつあるこの貨幣價値を、或る安定した一點において捉える、すなわち安定價値計算の考え方をこの際とつて行かなければならないと思つております。通貨問題に對しては、簡單にここで止めておきます。
さらに、生産再開の問題こそ、インフレーシヨンを解決する最も重要な鍵であるのでありまして、この點に關しましては、政府も屡次述べておられる通りであります。そこで私どもはこれを三つに分けて考えて、まず生産財を増大すること、次ぎに消費財を極力節約すること、第三に勤勞者をして心から今の政府の政策に協力させるには、どういう態勢をとつたらいいかということを考えて行かなければならないと思います。生産資材の増大に對しましては、石炭が中心であることは申すまでもないのでありまして、あらゆる重點をこの石炭の増産に集中いたしまして、まず石炭を或る一定の段階に達せしめる。すなわち政府の屡次申し述べておらるる三千萬トンの線までなんとしても確保する。そうして他の物資をその線まで上げて行くということを、どうしても強力に推進して行かなければならないと思います。
生産資材のことについては、この點で簡單に打切りまして、消費資材の節約の問題でありまするが、これはわれわれの生活にきわめて重要な關連をもちまするので、どういうふうにしたらこの生活の不安、社會不安を釀成せずにこれをなし得るかということに對しての、政府の施策が必要であると考えております。第三の、勤勞者に心から生産に協力してもろう態勢のためには、われわれは生産協議會の問題を考えておるのであります。こういつた一連の施策は、現政府が綜合的な計畫を立てまして、その中において一歩々々を進めて行くにあるのでありまして、この點につきましては、政府はきわめて熱心に御苦心を續けられておるのであります。わが黨といたしまして、こういう點を政府に極力要望いたし、これを鞭達いたしておるのでありまするが、なおさらにこの豫算にも現わておりまするように、戰爭によつて犧牲を受けた方々に對して、いかにすればこの犧牲をいくらかでも少くしてもらえるかということに對して、種々の援護策を講じなければならないのであります。この點に關しましては、多々ますます多きを望むものでありまするが、國家財政の全般的な見地から見て、やむを得ざる點はあるのでありまして、この點に關しましては、委員長報告通りわれわれは贊成いたしておるのであります。(拍手)さらにこういうことを末端に滲透させてもろうように、極力行政機構の敏活なる活動が望ましいと考えておるのであります。
以上甚だ簡單でありましたが、わが黨の立場を述べて、政府のより一層強力なる施設を要望するのであります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=82
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083・山崎猛
○議長(山崎猛君) 冨吉榮二君。
〔冨吉榮二君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=83
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084・冨吉榮二
○冨吉榮二君 私は日本社會黨を代表いたしまして、只今議題となりました豫算案に對し、二つの附帶決議を付しまして、若干の警告を付して贊成の意を表するものであります。きわめて簡單でありますが故に、與黨諸君の御清聽を煩わします。
まず附帶決議を朗讀いたします。
一、政府職員の給與改善費はきわめて少額なるをもつて、政府は來る通常議會に追加豫算を提出しその萬全を期すること。
一、民生安定費は少額にして現下窮迫せる引揚者、戰災者を救濟するには不十分なるにより速やかに豫算増額の措置を講ずること。
政府はさきに六大政策を發表されました。その中にいわゆる生産増強ということがありまするが、これはその限りにおいてはまことに重大なことであり、われわれもまたこれに贊成するものであります。しかしながら生産を増強するにはどうすればいいかということに關しては、いくたの方法、手段がありましよう。私どもは、いわゆる眞に生産に從事いたしておりまする人々をして、喜んでこの生産に最高度の能率を發揮せしむるようにする具體的な施策をすることが最も肝腎である、こう考えております。(拍手)ややともいたしますると、ストライキが起るのは煽動するからだとか、或は不純分子だとかというようなものの考え方をしておるような政府が存在する限り、斷じて生産は増強いたさないことを私は斷言いたします。(拍手)從いまして今日、豫算委員會におきましていろいろ繰返されたインフレ論の是非は私は論じません。いずれにいたしましても、今日國民大衆の生活が極度の逼迫を告げておることは、何人も爭われない事實である。(「だから追加したのだ」と呼ぶ者あり)從つて今日支給されておりまする費用は、ほとんど生活費ではありません。生活費となりますと、衣・食・住の三要素が備わらなければなりません。從いまして私は、今日の給與はわずかに呼吸費であると言いたいのであります。すなわち酸素を吸入して炭酸ガスを吐き出すに辛うじて足る、いや、それすらも危殆に瀕しつつあるのが大衆の生活であります。從いまして、今日健全なる生活を營まんとすればするほど、この苦難に陷りつつある。不健全なる方法によつて世渡りをせんとする者のみが私腹を肥やして行くというのが、今日の現状である。(拍手)今日住宅難が叫ばれておりまする状態におきまして建築せられまする所のものは、いかなる種類の人々が住まう家であるか、いかなる方面にその家が使われているかということは、私が説明するまでもございません。
かくのごとき不健全なる状態に現在發展しつつある、これに對しましては、宗教情操教育をやるだの、或は道徳が麻痺しているからこれを涵養しなければいかぬだのと、いろいろ仰しやいますけれども、安んじて仕事に從事せしめる生活の態勢が整わなくして、徒らに彼らに道徳のみを求めることは、私は木によつて魚を求むるごときものであると思う。よつて私どもがこの附帶決議を付しまする所の、すなわち官公勞働組合の要求にかかりまする越冬資金の問題、これを現在の學校職員並みに、二箇月の繋ぎ資金をお出しになつておるのでありますが、それらの點についていろいろ質問いたしてみましても、なかなか明答が得られないことは遺憾であります。よつて私どもは、この點はなんとしても、政府がいかなる犧牲を拂つても――また石橋大藏大臣の御説を借りるならば、赤字公債必ずしも惡性インフレにあらずということを仰しやつておる。この所以からいたしまして、赤字公債の發行によつてでも豫算を増額することによつて、勞働階級をして眞に働かしめ得る態勢を整える。從いまして私どもは、ここに次ぎの議會に提案されて、そうして眞に勤勞大衆をして安んじて働き得る態勢を組織すべきであるという立論に基づいて、この提案をいたすものであります。
さらに今日の農村の實情に一たび眼を放ちまするならば、農村には非常に金がだぶついている、こういうことが言われるのでありますが、勸業銀行の最近の調査によりますと、農民一戸當り平均一萬三千圓という預貯金でございます。この預貯金は、なるほど通貨の價値が‥‥(「それはわかつている」と呼ぶ者あり)わかつているけれども言わなければなりません。その當時の時代におきましては相當の資産でございましたけれども、しかしながら今日におきましては、牛の一匹も買えないような状態であります。昭和十二年以來、戰爭のうちに、飮むものも飮まず、食うものも食わず、着るものも着ずしてやつて來た預貯金がわずか一萬三千圓、砂糖十貫目の闇の値段にようやく足りるという程度でございます。かくのごとく農村におきましても、健全なる生活を營まんとすればするほど苦しみが増大いたすのであります。從いまして私どもは政府に對して、米價も、或はまた政府の供出量もお受けしよう、お受けするが、その代り肥料を安くしろ、そうして肥料を眞に農民の手に配給しろ、こういう要求をいたしておるのでありまするが、今日に至りまするも依然として肥料の増産はできておりません。そしてまた價格も依然として高價であります。かくのごとき状態でありまするが故に、これが政府に對する不信となつて、供出が頭打ちの状態になつておるのであります。
この状態を打開いたしまするには、強力なる所の政治力がなければならないのでありまするが、その政治力を現内閣に期待するのは甚だ心細いのであります。豫算の出し方が遲れたことには言及いたしません。しかしながらこの遲れた期間内において、豫算審議の上において、閣僚の不熱心なことには一驚を喫せざるを得ない。(拍手)十八日午後十時まで質疑を交しまする時に、おられました所の大臣はわずかに二人、種々なる理由はありましても、政府委員がこれに御出席あつてしかるべきだ。しかしその政府委員も來ていない。行方不明になつておる。われわれは、往年濱口首相が、兇刄に倒れながら手車に乘つて登院され、國務を處理されたことを思いまする時に、この敗戰後の議會に、總理大臣はほとんど毎日のように風邪を引いておる。(笑聲)他の閣僚は出席しない、GHQに行くのは晝の間である。夜遲くは行かないはずである。かくのごとき状態で、國民に協力をしろ、生産をしろと掛聲ばかりかけても、決して實績は擧るものではない。石炭の増産の問題についても、安定本部ができてもう何箇月間、一體安定本部なるものは何をしたか。(「脱線々々」と呼ぶ者あり)かくのごとき状態は、政府の政治力の貧困に存在すると思ふ。この豫算の遂行に當つて警告を發するのであるから、決して脱線ではないのである。今日この豫算を決定して、政府に一切の責任を負わせるのであるから、贊成する以上は、當然われわれとしてここにかかる警告を發せざるを得ないのである。種種なる方面から檢討いたしてみましても、まことにこの民生安定のごときは、政府が六大政策にわざわざ掲げておりながら、その盛られたる所の額というものもきわめて僅少であることは、前の議員が御指摘の通りである。かくのごときにおきましては、斷じて國民が擧つて現内閣を支持し、生産が再開されて行くということは、私ども保證できないのであります。われわれを協力せしめんとせば、眞に政府みずからが、眞劍にしてしかも合理的な豫算の編成をもつて臨むべきである。來るべき議會こそは、實に現内閣にとつての一大試金石であることを私は警告して、贊成の意を表します。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=84
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085・山崎猛
○議長(山崎猛君) 麻生正藏君。
〔麻生正藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=85
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086・麻生正藏
○麻生正藏君 私は協同民主黨を代表いたしまして、本追加豫算案に贊成する者でありますが、いささか生産者米價の是正に關して意見を申し上げたいと思うのであります。
わが黨においては、先ほどの豫算委員長の報告にもありましたように、豫算委員會において、附帶決議といたしまして、昭和二十一年度産米の消費者價格は一應妥當なるも、その生産價格は、生産費竝びに諸物價との均衡よりするも、一石五百五十圓にては甚だしく低額である、よつて政府は石當りさらに二百五十圓の補給金を生産供出者に交付し、實質的に手取りを石八百圓とするよう追加豫算を編成し、本議會または次期議會に早々提出すべきこと、という附帶決議を附したのでありまするが、遺憾ながら少數をもつて否決されたのであります。昭和二十一年度の米價は、諸君御承知のように消費者價格は一石四百五十圓、農家生産者價格は五百五十圓と定められたのでありまするが、消費者價格については、國民大衆の生活と五百圓の枠より考えますれば、この程度を妥當といたしましても、農家生産者價格については、石五百五十圓ぐらいでありましては、何としても農家の生産費より考えても、また他物價との均衡より考えましても、あまりにも低額でありまして、これでは米作農家は、たとえ最低生活に甘んずるといたしましても、とうてい次ぎの生産を維持することができないのであります。これは農林省が、反當二石三斗九升九合、すなわち二石四斗平均收量を上げている精農家を基準といたしまして、その勞銀が一日人一二十圓、肥料は配給肥料以外はすべて自給肥料をもつてつくつている農家の實例を基礎にして算定せられた生産費であります。その生産費さえ、一石五百五十圓についているのであります。その一日の勞銀を二十七圓として計算したものは、一石當りが七百五十四圓ということになつているのであります。しかも收量がこんなに反當二石四斗もとれているような農家ばかりがいるということにいたしますると、今年度の總收穫高は、實に六千九百六十萬石、すなわち約七千萬石近くになるのであります。しかるに農林省では、今年度の收穫は約五千八百萬石弱として發表しておられまするから、反當二石平均ということになるのであります。そういたしますると、勞賃を一日二十圓と見積つても、一石の生産費は七百二十圓となりまして、勞賃を一日二十七圓と見積りますると、九百圓餘りになるのであります。全國農業會が實情そのままの調査をいたしましたその資料によりますると、一石の生産費は一千五十圓以上についているのであります。
さような次第でありまするから、一石五百五十圓ぐらいで政府が買上げられるというのは、結局今私の申し上げました數字で明らかなように、農民の勞力を搾取しているか、または次ぎの生産を食ひ潰しているという結果になるのであります。また今農家の生産に要する所の資材はどういうふうかと申しますると、公定價格だけでも昨年に比較いたしまして肥料は三十數倍、農機具は十倍乃至二十倍、また農耕馬は一頭一萬數千圓というようになつているであります。ましてや闇肥料や闇農機具、日傭人夫賃などを考慮に入れましたならば、けだし驚くべき支出となつておるのであります。それであるから、米作農家は背に腹はかえられず、やむにやまれず、中には多少横流しや物交もやる者ができるのではないかと思うのであります。これをしも農民に同胞愛がないとか、或はまた公益心が乏しいとか非難するのは、あまりにも實情を知らぬ所の偏見ではないかと思うのであります。と言いましても、私どもに横流しや或は物交を、決して正當なことと申すのではないのであります。ただ農民をしてさような横道にそれたことをせなくても、正道をふんで、喜んで、あるだけのものを供出できるように、その働きに報いる施策をとることこそ、すなわち民主政治の要諦であると確信いたすのであります。
本年の稻作は、天候に惠まれて、思わざる收穫を豫想せられるとはいえ、六千萬石内外と推定せられまして、これに對して約二千八百萬石の割當と、約一割の超過供出を期待せられまして、目下供出の現況は、昨年、一昨年よりも順調に進捗しておるということであります。これはまことに喜ぶべきことと思うのでありまするけれども、農民の心中にある、割切れざる何ものかを考えましたときに、決して樂觀を許さるべきではないと思うのであります。
しかして一方において、三合配給なくしては生きられないという必需量に對して、政府はない袖は振られないというので、國民は二合五勺の配給を約束せられておりますけれども、なお近來大都市において遲配の事實は、たとえそれが鐵道輸送の不圓滑より生じたというふうに考えましても、これをもつて、單なる輸送の不良のみにその罪を轉嫁することができないのであります。その根柢は、從來のわが食糧政策は、實につくりやすく、出しやすいという生産農民の立場に立つたものでありませんで、どうして出させるかという、いわゆる取り立て主義による、農民の犧牲の上に立てられました食糧政策であるという所に、その深い原因が存在することを思わんければならないのであります。
ここにわれわれは思いをいたしまして、昨年の米價對策の失敗を再び繰返さない用意のために、國家財政の立場をも考えまして、すでに定められました所の農家生産者買上げ價格一石五百五十圓に、二百五十圓の給金を加へまして、農家の手取り一石八百圓となるようにいたす。これでもなほ不十分なりは思いますけれども、これでもつて農家の生産費を補うことによりまして次年の増産を期待するように、生産意欲の昂揚をはかるとともに、米作農家の生活を安定いたしまして、供出の急速なる完遂を期待せんとするものであります。勿論今後補給金の方法をもつて頼りとするものではありません。肥料、農機具、その他生産資財の増産と、その配給價格を、米價との平均を保持するやうに、政府は萬全の策を講ずべきであるとともに、農家自體が、またその經營の合理化と、科學技術の導入によりまして、増産と生産コストの引き下げに努力を傾注すべきよう、深き期待をもつものであります。
われわれは本豫算を修正いたしまして、以上述べました補給金の支拂いを即時實施するように企圖したいのでありますが、議員によりまして豫算の増額修正をなすことができないことになつておりますので、今次の議會、または次期の議會匆々に、補給金に關する追加豫算を提出していただきたいという希望條件を附しまして、本案に贊成する者であります。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=86
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087・山崎猛
○議長(山崎猛君) 笹森順造君
〔笹森順造君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=87
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088・笹森順造
○笹森順造君 私は國民黨を代表いたしまして、只今上程になつております改定豫算案全部に對しまして、特に各派共同提出になつておりまする附帶決議を含めて、贊成の意を表する者であります。(拍手)
只今委員長が縷縷お述べになりましたことでありますから、内容に觸れて重複する必要は一つもありませぬ。このことに關しまして特に社會黨、協同民主黨から折角個々の附帶決議をお出しになりました。私どもはこれを拜聽いたしまして、國民黨としては心からこれに贊意を表したのであります。しかる所大方見渡しますと、これに贊成をせられなかつた方々においても、精神においてはこれに同意をせられておつた向きを觀察することができたのであります。しこうして國民黨におきましては、共同提案になりまする附帶決議に關しましては、この夏以來渾身の勇を揮つてその面に努力をしたのであります。幸いにしてこの點におきましては、皆さん方の御同意を得ましたことを心から喜ぶのでございます。但しこの點についても共産黨の反對せられましたことは、まことに殘念に思います。申し上げるまでもなく、この附帶決議を含めて反對をせられましたことは――私どもがせめてこの點だけにおいても、わが國の教育者のために擁護したいという精神があつたからでございます。しこうして私は、この點について皆さん方に重ねて申し上げる必要はもう既にございません。一言實話を申し上げます。先日私が路上で御挨拶を受けました人は、重いリユツクサツクを背負つて歩いておりました。見ますると、その人は私の敬愛する國民學校の校長であります。そしてその人に何をしているかと申しますと、私は行商をしながら私の生活を死守している、教育者の生活の死守は、すなわち教壇の死守であると申したのであります。私はこの言葉を聞きまして、まことに感慨深いものがありました。願わくば、どうぞ特にこの附帶決議の意味のあります所を十分皆さんとともに領得いたしまして、今後日本の再建に進みたいと思います。以上重點だけを申し上げまして、本案に贊成の意を表さしていただきます。(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=88
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089・山崎猛
○議長(山崎猛君) これにて討論は終局いたしました。採決いたします。五案の委員長報告はいずれも可決であります。五案を一括して委員長報告の通り決するに贊成の諸君の起立を求めます。
〔贊成者起立〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=89
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090・山崎猛
○議長(山崎猛君) 起立多數。よつて五案とも委員長報告の通り可決確定いたしました。
これにて議事日程は議了いたしました。次會の議事日程は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散會いたします。
午後七時二十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009113242X01419461220&spkNum=90
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