1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○会計檢査院法を改正する法律案
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午後一時十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=0
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001・柳澤保承
○委員長(伯爵柳澤保承君) それでは是より前日に引續きまして會計檢査院法を改正する法律案を議題に供して特別委員會を開會致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=1
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002・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 昨日既に各委員より質問がありまして、之に對して國務大臣より御懇切なる御答辯を戴きました所の本法案第三十條と、國會法案第七十二條との關係に付きまして、本委員會と致しましては、之に付き更に明かに致して置きたいと存じまするので、此の兩法案の是等二つの條文の關係に付きまして質問致したいと存じます、此の兩法案の是等二つの條文は一見互ひに食ひ違つて居るやうに見えるのでありまするが、是は會計檢査院の内閣と獨立であると云ふ權能の面と、會計檢査院が檢査官をして國會に出席せしむるに付ての實際手續の面と、此の兩方面より觀察致す必要があるのでございまして、今權能の面から見ますれば、本法案は會計檢査院が飽く迄内閣又は國會に獨立のものであると云ふ意味で起草されたものでありまするから、本法案の國會と云ふ文字も、具體的に衆議院或は參議院又は其の委員會とされずに、廣く抽象的に唯國會と表現せられ、會計檢査院が檢査官をして出席せしむることが出來ると書かれてあるのでありまするが、併し實際手續の面から見ますれば、是は何處迄も國會の規則に從ふものであり、唯會計檢査院が國會に對して意思の傳達が出來るものであると云ふことを漠然と規定致すものでありまするから、斯う云ふ解釋より致しますれば、本法案は原案通りで其の實質に於て國會法案と何等食ひ違ひを生ずるものではない、斯う心得て宜しいものでございませうか、もう一度御答辯を戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=2
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003・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 只今御尋になりましたやうに、會計檢査院法を改正する法律の第三十條の趣旨と云ふものは、全く會計檢査院が必要を認めました時に出席又は説明の權能を持つて居ると云ふだけのことでありまして、現實の手續等に付きましては、是は國會の方で受けらるることでありまするが故に、國會に於て然るべき規律を之に當嵌められて宜からうと思ふのであります、他面に於きまして、國會法の方は、第七十二條に於きまして、「会計檢査院の長及び檢査官の出席説明を求めることができる。」とございまするが、是も亦是と同じやうな趣旨でありまして、國會の方が必要と認めらるれば、斯樣な出席請求をなすことが出來ると云ふのでありまして、權能を書いたものと思ふ譯であります、唯國會法の方は、議會の方で法律案を作成せられ、又國會の委員會の規定の中に入れられました爲に、そこに幾分手續に關すること迄も併せて規定せられて居りますけれども、要するに會計檢査院法の示す所と同じやうな事柄を、一方は會計檢査院の方から求めて説明が出來ると云ふのでありまするし、一方は國會の方から求めて説明をして貰ふことが出來る、斯う云ふやうなことでありまして、全く同じ水準に立つて兩方の規定が出來、相對して補ひ合つて居ると云ふ風になつて居るものと考へて居ります、規定の文字が幾分違つたやうな風になつて居りますのは、結局案の提出が別々の所から出たと云ふ風なことに影響されて居りますけれども、意味に於きましては、私の今申し上げた所に依つて、御了解を願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=3
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004・藤井兼誼
○子爵藤井兼誼君 能く分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=4
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005・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 昨日から第二條の、是は檢査官の、三人で檢査官會議を組織すると云ふことに付ての御説明があり了承致しましたが、是は何ですか、檢査官三人と云ふと其の中の一人が會議の議長になると云ふことであります場合に、可否同數と云ふ場合は起らぬのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=5
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006・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) さう云ふやうな場合に可否同數と云ふことは、若し委員長が發言權を持たないと云ふ立場を執りますれば、可否同數になり得るものと思ふのであります、斯う云ふ三人の合議體の場合に於きまして、議長が可否の數に加はるかどうかと云ふことは、此の法律はどちらにも決めて居りませぬ、實際さう云ふ場合に二つの考へ方がございまして、議長自身もそれに參加すると云ふことになりまして、例へば今此の内閣でやつて居りますパージの資格審査委員會などでは必ず議長が可否の數に加はりまして、最後に又キヤスチングヴオートを持つと云ふことにして居ります、そこで會計檢査院の此の會議を如何にしますかと云ふことは、是は矢張りはつきり決めて置かなければ工合が惡いことと思つて居りますが、要するに三人の檢査官が其のことを決められると云ふことが適當であると思つて居りまして、此の法律の第三十八條に考へて居りまする「会計檢査に關し必要な規則は、会計檢査院がこれを定める。」と云ふ其の規定の適要に依りまして解決するやうに考へて居ります、第三十八條で「会計檢査に關し」と云ふ言葉がぴたりと此の場合に當篏まるやうに出來て居りませぬけれども、是は併し全般の檢査院の事務を包括して居る爲に斯樣な廣い言葉になつて居りますが、當然此の中に現はれて來ると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=6
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007・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 就きましては、此の際、此の問題のみに直面して居る問題でありませぬけれども、私後の心得の爲に、總ての合議體を組織した場合の委員長或は議長の採決のことに付て、ちよつと金森國務大臣の御意見を承りたいと思ひます、少數の委員で組織した會議體の可否同數の場合に、普通の法規に依りますと、委員長或は議長の決する所に依る、是がまあ普通の行き方であります、其の場合に勿論委員長なり議長なりの自由判斷に依つてどちらを可とし、或は否とするかと云ふことは構はぬと思ひますけれども、自ら其の間に一つの基準があつて然るべきものではないかと私は年來考へて居ります、實例は暫く以前に、私も此處に奉職した時に、檢査院では一方が四人一方が四人、同數の場合が屡屡起る其の時に議長たるべき委員長は、或は右にし或は左にし、何もこちらを可とし、こちらを否とすると云ふ基準がないのであります、それはさう云ふ法律上權限を持つて居るから、それはそれで宜しとしても、同じことをしても、何か御機嫌の好い時には贊成とし、或は御機嫌の惡い時は反對とするやうな、全く取止めもない場合が度々起つて、實は私はあすこを去る時の一つの理由にさへした位であります、そこで私は考へて衆議院に參りまして、斯う云ふ場合に何か一つ議長或は委員長たるべき人の、其の場合に採決をする基準と云ふものがあつて然るべきものぢやないか、私は斯う云ふ風に考へて居るのであります、議案を成立させると云ふ時には、可否同數の場合に、其の可の方に案を成立させると云ふ意味で採決する、併し會計檢査院とか、或は能く衆議院で起る懲罰のやうな場合、人を攻撃する、非難をすると云ふ風な場合には、可否同數の場合には、委員長及び議長は否とする、斯う云ふ一つの目安を置いて、それでやつて行つたらどうかと思ひます、此のことに付ては私外國の本を能く讀めませぬけれども、どうも向ふでも其の點迄論じて居る本はないらしいのです、又故事になつたから構ひませぬけれども、衆議院の本會議に於て懲罰の議案の採決が起り、どうも怪しい、與黨は多數で有罪、詰り懲罰ありとする、野黨の方は、自分の黨派から被告議員が出て居る爲に無罪とすると云ふ風に議論が岐れかけて、其の數が、ちよつと考へて先づ半々に近いぞと云ふ憂があつた時に議長が意見を聽かれた、若しさう云ふ時にどうするか、まあ陰の話でありますけれども、其の意見を聽かれたことがあります、其の時に私は人を攻撃する、罪に陷れる、有罪であると云ふやうな場合には、私は否とする、懲罰に非らずと云ふ方の説に議長は御採決になる方が至當だと思ふと云ふことを申上げた所が、そこ迄は實際問題としては立入らないで終つてしまつたから問題は消えましたけれども、併し其のことが與黨の諸君に聞えたのでせうか、私は大分御叱りを實は受けたことがあるのであります、何か斯う云ふ場合に國務大臣の御考で、委員長或は議長の執るべき標準と云ふか、目標と云ふか、基準と云ふか、どうしたら宜しいか、法の上では勿論委員長、議長の決する所に依るものでありますけれども、一つ委員長、議長になる人の心得の爲に、御考があつたら承つて置けたら仕合せと思ひます、丁度斯う云ふ場合が、檢査院などの實例が度々あつたのでありますから、若し御研究になつて御考があつたならば、一つ承つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=7
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008・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 御尋の點は非常にむづかしい問題でありまして、斯う云ふキヤステイングヴオートの時に豫め方針を決めると云ふことは、結局キヤステイングヴオートの意味をなくすると云ふことであつて、ちよつとどうも私の所見と云ふものはございませぬ、唯實際是は委員會と申しますか、さう云ふ會議體の大きさとか、會議のやり方等に關係して來るものでありまして、衆議院や貴族院のやうに、議長が高い所に居つて、全體を統括して可否を決せられるやうな場合に於きましては、議長が同時に投票を行ふことが出來ない、從つてどうしても一應中立の地位に居つて、最後にどつちかに決めると言ふ羽目になりますと、是は責任が非常に重大でありまして、其の時には、政治的關係の多い時には色々困難な立場に置かれることになるだらうと思つて居ります、それをどうすべきかと云ふことは、今迄議會でも色々の先例はお有りになるやうでありますけれども、はつきりした筋は通つて居ない、是は仕方がないものと思つて居ります、小さい會議體になりますと、三人とか五人とかのラウンドテーブルを取圍んでやつて行きますやうな會議體になりますと、議長が唯中立で居ると云ふのでなくて、自分も投票の中に入ると云ふことが、そんなにおかしいことはございませぬ、其の場合になりますると、可否同數になりますれば、初め議長が先づ自分の表決をして居りますから、其の表決を倍にすれば宜いのでありますから、大體運命が決つて居ります、處が是は最近起つた、私の耳に入つた事例でありますけれども、さう云ふ時に、小さな八人の會議でありましたが祕密投票をした、それが四對四になつて困つたと云ふ時に、議長がどつちにやつたかと云ふことは分りませぬ、困つたけれども、議長は自分はこつちに投票したからこつちに加へると云ふことで、其の時はやつて居つたが、さう云ふのは個別的に圖るより途がないのぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=8
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009・中村藤兵衞
○中村藤兵衞君 分りました、宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=9
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010・柳澤保承
○委員長(伯爵柳澤保承君) 別に御質問はございませぬか、それでは御質問は是で終つたことと致しまして、是より討論に入ります、別に御發言がございませぬければ、討論は終結致したことと認めまして、採決に入りたいと思ひます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=10
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011・柳澤保承
○委員長(伯爵柳澤保承君) 本案、原案通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=11
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012・柳澤保承
○委員長(伯爵柳澤保承君) 全會一致、御異議ないと認めます、仍て本案は原案通り可決すべきものと決定致しました、之を以ちまして本特別委員會を散會致します
午後一時三十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=12
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013・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 柳澤保承君
副委員長 男爵 三須精一君
委員
大谷正男君
子爵 藤井兼誼君
長世吉君
男爵 徳川誠君
男爵 岡俊二君
中村藤兵衞君
木下謙次郎君
戸口米次郎君
岸本彦衞君
國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
政府委員
法制局事務官 宮内乾君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200231X00319470320&spkNum=13
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