1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○教育基本法案
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昭和二十二年三月二十日(木曜日)午前十時五十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=0
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001・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは開會致します、審議の上に參考として必要な資料を御請求になりますならば、今御請求を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=1
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002・坂田幹太
○坂田幹太君 先刻御願ひ致しましたのは、あれは宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=2
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003・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) あれは今申しまして、求めて居ります、部數のあるだけを御廻しすると云ふことでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=3
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004・田中薫
○子爵田中薫君 ちよつと資料を願ひたいと思ひます、男女共學の問題でございますが、是は色々議論されて、可否が論ぜられて居るのに一向資料がありませぬ、内外の男女共學問題の可否に付ての學術的な論據、論爭が隨分あると思ひますが、それに付ての資料が世間に出て居りませぬ、又專門家の間にも行渡つて居りませぬので、それなしに色々常識論で判斷せられて居るやうに思ふのです、殊に私立學校ではどちらを採用するかを自由に任して居るやうな状態で、さう云ふ所は是非論據を掴んだ上で決めるやうにしなければならぬと思ふのです、それで若し御用意が願へるならば、内外の共學問題に關する色々な論爭とか、それから學説とか、それからアメリカに於ける實績の統計的な資料とか云ふやうなものですね、さう云ふものを御提供願へないかと思つて居りますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=4
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005・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今茲に僅かばかりのものてございまするが、資料を持參致してございますので、説明員から御説明を申上げることに致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=5
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006・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 説明員から説明致されるさうでありますが、許可して宜しうございますか、如何でございますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=6
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007・増田幸一
○説明員(増田幸一君) 資料が稍稍古いので恐縮でございますが、最近十年間程は、外國の其の時々の状況の資料が手に入りませぬでした關係で、已むを得ず斯う云ふ資料で調べたのですが、大體アメリカに於きましては、此の男女共學が世界中で最も理想的な形で、又最も徹底的に行はれて居ります、例へば千九百三十八年の統計では、アメリカのパブリツク・ハイスクールに於ては、女子の生徒が三百十九萬、カレツヂ及び大學の女子生徒は五十四萬、之を男子に比較致しますと、男子のパブリツク・ハイスクールに於ける在籍者數三百萬人、カレツヂ及び大學の男子の在籍者八十萬人に匹敵するやうな數字を示して居ります、是は言ふ迄もなく男女に對しての教育の機會均等と云ふことを原則として、其の情勢が現れて來たものかと考へらるるのであります、唯總てが男女共學ではありませぬので、勿論アメリカのことでありますから、州に依つて、或は學校に依つて、特に私立の學校に對しては強制的な手段が執られて居ないと云ふこともありまして、色々な形のものが現れて居ることは又注意しなければならぬのであります、即ち女子ばかりの學校と云ふやうなものがハイスクールに於きましても、又カレツヂ、大學に於きましてもあります、大學などにも女子のみの大學、女子大學と云ふやうなものもあるのでありますから、總て悉く男女共學であると云ふやうなことはないのであります、唯前申上げましたやうな數字に照らしまして、男女の教育上の勉學は殆ど同等に行はれて居ると云ふことが言へると思はれます、それからイギリスに於きましては、女子の學校は米國とは異つて、先づ大學教育が組織化され、續いて中等學校が出來上つて來て居るのであります、中等學校に於ては約四分の一が男女共學制でありまして、大部分は男女別の學制であります、男子、女子分離の教育の形になつて居るのであります、大學へは女子は男子と同等の資格で進學出來る、尚大學の中では便宜上女子のみを收容し得るカレツヂはありますが、大部分の大學に於ては男女共學であります、フランスに於きましては、女子の中等學校、リセー及びコレツヂは千八百八十年、即ち十九世紀の終りに創設せられて居りました、併しながら當時は男子に對して教育程度が低く定めらて居つたので、女子に對しても、男子と同等の教育を施すべしと云ふ要求が現れて參りました、現在では、男子と同等の女子の中等學校の施設せられざる町村に於ては、女子は男子のリセー及びコレツヂに入學することを得るやうになつて居ります、形式的には斯樣にして女子の中等教育が、殆ど男子と同等に行はれることになつて居りますが、併し生徒の數は現在に於ては非常に男子に比較して少いやうであります、高等教育に付ては、フランスの大學は男女共學であります、大分古い統計でありますが、千九百三十一年の實數に於きましては、フランスの大學生八萬人の中女子は約二萬人、四分の一でございます、それから最後にソビエツトであります、ソビエツトは、ソビエツト聯邦が始りまして男女共學を原則として長く行はれて來て居りました、是は徹底的に初等學校から大學程度の高等教育迄總て男女共學で來て居つたのであります、處が千九百四十四年に至りまして之を廢止致しまして、男女分離教育と云ふ形になりました、此の理由に付きましては、確かなことは掴めないのでありますが、一應は、當時まだ戰爭中でありましたので、戰時中の男子生徒に對する軍事訓練、女子に對する銃後の所謂勤勞動員、斯う云ふものを別々に行はなければならないと云ふやうなことから始つたものであると思はれるのでありまして、全く戰時中の一つの處置であつたやうに思はれますが、併し戰爭の終了した後、現在に於きましても此の制度は元へ戻りませぬで、分離制になつて居りますが、是は現在に於きましては、其の意義は新しい意義を持つて居りまして、男子の社會的な活動に對しての女子の家庭的な勤務と云ふやうなことから、我が國あたりでずつと前から言はれて居りましたやうな理由で、引續いて此の男女分離制で教育を續けて居るのではないかと思はれるのであります、調べ上げました各國の状況に付きましては、以上の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=7
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008・田中薫
○子爵田中薫君 若し又他の機會にプリシプルに付てどんな風になつて居るか御聽かせ願へたら大變結構と思ひますが、只今は是で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=8
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009・荒川文六
○荒川文六君 今の問題に付きまして、私は第五條の御審議をなさる時に伺ひたいと思ひましたのでありますが、丁度宜い機會でありますが、先の委員の方の御請求になりましたのは今のやうなことがあつたかも知れませぬが、私は尚それに續いて、此の法案に男女共學を認めると云ふことを御入れになりました其の根本となる男女共學に關する、今迄の色々の研究の結果に付ての何か資料があれば、それを大要で宜しうございすから、後でも宜いのでございますが伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=9
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010・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それではプリントにして……もう他に御請求はございませぬか、……それでは質疑に入ります、文部大臣が豫算總會の方へお出でにならなければならぬさうでございますから、成るべくならば大臣に對する御質問は纒めて御願ひしたいと云ふ御希望でございます、政府委員でも御答へ出來ますやうな比較的細かい御質問は後に廻して戴きまして、大きな、大臣でなければ御答へが出來ないやうな御質問を成るべく纒めて戴きたいと云ふ大臣の御希望でございますから、どうぞ左樣御承知を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=10
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011・荒川文六
○荒川文六君 此の教育基本法の一番大切な點は、教育の目的と云ふ見出のあります第一條にあるのではなからうかと考へますので、其のことに付きましてちよつと大臣の御考へを伺ひたいと思ふのでございますが、此の法律は、昨日本會議で御説明のありましたやうに、教育宣言、或は教育大憲章とでも言ふべき大切なものでありますし、又一方から申しますと、日本國民の道徳の基準とでも言ふものが生れて居るものだと思ふのでございますが、それが第一條にはつきり現はされて居るものと見られる譯だと思ひますが、是は非常に立派に出來て居りますが、日本國民が平和的な國家の國民とし、社會の形成者として、斯う云ふ風なことを、第一條に述べてあるやうなことになるやうな風に教育をやつて行くと云ふことでありますが、私は之に付きまして、もう一つ大切なことがあるのではなからうかと思ふのであります、それは日本國民として、國家社會に對して犠牲、献身的の精神を持ち、奉仕的の精神に滿ちた國民に日本國民をすると云ふことが、日本を平和的國家として是から發達さして行くのに非常に必要なことぢやないかと思ふのでありますが、さう云ふ精神に國民をすると云ふが爲には、どうも完璧に現はれて居ないやうな風に思ふのでありますが、斯う云ふことに付て何か御考へがあつたのでございますか、若し私は出來ましたならば、此の條文を修正することが可能であれば、例へば自主的精神と云ふ、それと共に奉仕的精神に滿ちた國民を養つて行くと云ふやうなことの修正をしたいと迄も考へて居るのでありますけれども、それは第二と致しまして、さう云ふ風な精神が此の中に矢張り籠つて居るのかどうかと云ふやうなことに付ての御考へを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=11
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012・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今の御質問でございまするが、此の第一條に掲げてあります國家及び社會の形成者、此の形成者と申しまする文字は、單なるメンバーと云ふだけでなくして、實際の國家及び社會の構成者、ギルダーと云ふやうな意味も含まれて居るものでありまして、尚國家竝に社會に對する奉仕の點は、後にありますやうに「勤勞と責任を重んじ」云々と云ふ言葉で十分に現はされて居るのではないかと存ずるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=12
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013・荒川文六
○荒川文六君 只今の御説明で大體分つたのでありますが、是以上は或は議論になるかも知れぬと思ひますけれども、私はもう少し之に國家社會を愛する精神を養ふ勤勞と責任と云ふことでございますが、是は責任以上のことを尚一層やると云ふ位の精神を國民が持つことを教育の目的として加へることが必要ぢやなからうかと云ふやうな心持がするのでありまして、形成者として斯う云ふ風なことをやりたいと云ふ其の中に、今言ふやうなことを附加へるのは却つて宜いのぢやなからうかと考へて居りまして申上げた次第でありまして、是以上は又後の機會に讓りまして、私は是で止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=13
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014・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私は大臣にちよつと御尋しますが、御出席にならぬと云ふのは今日だけの御話ですか、實は色々御尋ねしたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=14
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015・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 私質問の通告を受けて居りまするので、之に答へますれば、直ぐに又こちらに歸つて參ります積りで居ります、二人の方から御質問の通告がございますから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=15
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016・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、それぢや、色々あるが、昨日私が本會で申上げた所とは重りませぬけれども、多少關係がありますので御尋したいのですが、一般論として大臣に御聽きしたいことは、矢張り教育の目的は日本の教育の目的を定める、日本の法制としての教育を何か茲に……日本人と云ふものとして昨日申上げたですけれども、良い人間を作ると云ふやうなことが教育の目的であると云ふことを何處かに現はしたいと矢張り思つて居るのですけれども、尤も大臣の御話で、昨日、個人的の良い人間を作ると同時に、「個性ゆたかな」云々と書いてあるから、又個人の價値とも思ひまするし、此の前文の「個性ゆたか」と云ふのは、唯國家社會を構成する日本國民と云ふ意味の個性ぢや決してないのであつて、人間が澤山ある、其の共通の普遍的なものがあると同時に、個々の人間としての個性と云ふ文字だと思ふ、「個性ゆたかな文化の創造をめざす」と云ふやうなことぢや、決して日本人としての良い人間を作ると云ふやうなことはどうしても出て來ないと私は思ふのです、まあ併し斯う云ふ風に法的體制が整つて出ました以上は、之をどうすることも出來ませぬですから、私は矢張り此の條文の如何に拘らず、大臣其の他文部省の方に於きましては、日本人としての、無論日本としてと云つても良い人間としての日本人であるが、其の良い人間と云ふ意味を含んでの日本人としての良さと云ふものが又別にあらねばならぬから、それが教育の目的であると、斯う云ふ風に教育基本法を理解して宜しうございませうか、其の點を御尋ねするのであります、議論でなしに、此の基本法の意味をですね、ちよつと御聽きしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=16
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017・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 昨日も御答へ致しましたやうに、「個性ゆたかな文化の創造」、此の「個性ゆたか」と云ふことは、博士の御解釋になりますやうに、單なる個人的のものばかりでございませぬので、日本の國民性の十分に現はれた所の文化の創造と云ふ意味に私共は解釋致して居るのでございます、尚此の基本法なるものは、十分に普遍的なものと同時に、日本的なもの、特殊的なものをも求めて進んで行かなければならぬと云ふ精神に基いて出來て居るものと申上げて差支なからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=17
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018・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたですが、私自身は、諄いやうですが、此の文句を率直に讀むと人間としての個性であつて、例へばイギリス、日本、アメリカ、ドイツと云ふやうな國民を成して居る所の個性のやうにとれぬと思ひますけれども、只今の御解釋をはつきりと頭に入れまして、矢張り人間として、而も日本人としての良さと云ふことを育成する目的であると理解することに今御説明願ひまして、大變私は滿足であります、次いで是も昨日申上げたのですが、時間がなかつたからちよつと……、教育勅語との關係は、教育勅語は大體廢止する意思ではない、私は教育勅語を廢止するかどうかと云ふことを御尋ねしたのではない、教育勅語は教育基本法が出來れば文部省が廢止する意思があるかないかと云ふことでなく、教育基本法と教育勅語の關係が客観的に決つて來る、それを教育勅語を廢止するか否かと云ふことを御尋ねするのではなくして、教育基本法と云ふものが出來れば、教育勅語と云ふものはどう云ふ風に取扱ふべきものになるのか、文部省がどうするかと云ふのでなく、どうなるかと云ふことを御尋ねしたのであります、それは同じやうなことですが、それはどうもさうぢやないのです、道徳的根本律と云ふやうなものは、それは別問題でありますが、政治的作用として決めるものであるか、さうでないかと云ふことが問題である、何れにしても教育勅語も出て居るのですから、此の教育勅語に付きましては、君主の個人的道徳觀と云ふやうな説明が或る時代にはありましたが、さうぢやない、是は國務、政治だ、教育勅語を發すると云ふことが政治だと云ふことになりまして、今日は教育勅語は君主の政治的の行動の現はれと云ふことに取扱はれて居る、それであるから、國家的意義に於て之を要求すると云ふことになる、決して明治天皇が個人的の倫理觀を述べられた、孔子が論語で述べた、さう云ふやうな性質のものでないと理解されて居るかと思ふ、さう云ふ意味に於てならば、一體教育勅語は教育基本法が出ればどうなるか、どうするかと云ふことでなく、どうなるかと云ふことを御尋ねした積りでありますが、何故それを申すかと云ふと、日本國憲法の精神と云ふやうなことを重んじて、さうして殊に教育基本法を作ると云ふ立場になりますると云ふと、日本國憲法では天皇は國務行動をなすことを限られて居るのでありまして、日本國憲法に掲げてある以外の政治行動は出來ない、從つて教育勅話のやうなものを國務行爲として考へると云ふことになると云ふと、明治天皇の個人的倫理觀でない、さう云ふことに相成りますると云ふと、一體さう云ふものが憲法の上で存續し得るものかどうかと云ふ非常に重大な根本的の法理觀がそこに出て來るのであります、教育基本法が出來れば、教育勅語と云ふものは存續することが出來るものか否かと云ふことを御尋ねしたのでありまして、決して政府は之を廢止する意思があるかどうかと云ふことを御尋ねしたのではない、是は或意味に於きましては金森國務大臣に御尋ねした方が宜しいかと思ふのでありますけれども、若し文部大臣に御説明願へれば結構だと思ひます、是は昨日も御答がありましたが、教育勅語の内容が教育基本法に採入れられて居るかと云ふやうな、そんな問題ぢやないのでして、實は日本國憲法の根本的の精神……若しさう云ふ風なことが解決しませぬと云ふと、所謂君主が將來とも國民の道徳觀と云ふものを決め得るやうなことになるかどうかと云ふ根本の問題があるのですから、唯さう云ふ政府が只今廢止なさる意思があるかないかとか、内容が基本法に入つて居るかと云ふ、さう云ふ問題ぢやない、實は私の問ひますのは……、昨日時間がありませぬでしたから、是は今日でなくても宜しうございます、是は事が非常に重大なものと思ひます、それで此の問題は、此の點は昨日も申上げましたが、宜い加減にして置くと云ふことは、將來の教育上非常に缺點を生ずると思ひます、それで御尋ねしたのですから、若し御答が願へれば結構でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=18
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019・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の點に關しましては、閣議に於きましても相當議論のあつた所でございまして、兩者併存して差支へないと云ふ解釋になつたと記憶致しまするが、尚其の際の金森國務大臣の御意見はどうあつたのでありまするか、私今之を茲に傳へますることは、或は誤まる虞がございまするので、御話の如く極めて重大な問題でございまするので、尚同國務大臣の意見も徴しまして、後の機會に於て御答へ致したいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=19
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020・佐々木惣一
○佐々木惣一君 結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=20
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021・羽田亨
○羽田亨君 近頃の教育界で最も寒心に堪へないことの一つは、師道の頽廢、師弟の道の頽廢と云ふことであらうと思ふのですが、師道と云ふやうなことを申しますると、兎角東洋的、封建的、或は時代錯誤的に響くかも知れないのでありますが、併し如何なる時代でも、又如何なる風潮の社會でも、又どんな政體の國家に於きましても、凡そ此の教育のことは、師弟の間に於ける愛情、尊敬、即ち敬愛と言ふやうな文句で申しませうか、之を離れては到底成果を期待することは出來ないことだと思ふのであります、教へる者は其の子弟に對して知識に於ても、人格に於ても、少くとも數歩先立つて居るものであると云ふことを自任して、愛し育てて行く、愛育の念で子弟を導いて行く、教へられる者も亦其の師長に對しては、少くとも自分達よりも知識人格共に先んじて居られるものである、即ち先生であると云ふことを認得して、尊敬して其の教導に從つて行くと云ふことに於てこそ、此の教育のことが考へ得られると云ふことは言ふ迄もないと思ふのでありますが、扨て此の基本法案に於きましても、御承知のやうに第一條に於て教育の目的を明かにしまして、「人格の完成をめざし」云云と云ふやうな遠大な理想が謳はれて居るのでありますが、斯う云ふ理念は、昨日も本會議に於て佐々木議員其の外の方から述べられましたやうに、勿論教員が學生、生徒、兒童を愛して教へ導くと云ふことに依つて實現を期し得られることなのでありますが、併し教へられる者が教員に對して深い尊敬の念を有せない限り、到底其の効果は期し難いことだと思ふのであります、ところで近頃教へを受ける者の一般の傾向と云ふものが、師長に對する尊敬の念と云ふものが殆ど地を拂つたかの如くに見えるのであります、特に中等以上の學校などに於きまして、教員が學生生徒の爲を思つて、少しく立ち入つて教導の實を擧げようと云ふやうなことに努める場合は、干渉が甚だしいとか、或は自由を束縛するとか云ふやうな意味に於きまして、之を忌避し排斤する、甚だしいのは、教員の地位は學生生徒の掌中にあると云ふやうな觀念を有する者も少くないと云ふやうなことは、地方に於ける實例の示す通りなのであります、師道の頽廢誠に甚だしい有樣だと言はなければならぬと思ふのであります、ところで世間の父兄も亦此の誤つた時代の風潮に乘ぜられて、何か問題が起つた場合にも、ろくろく事情も究めないで、子弟の言ふ所に雷同して、謂はば暴擧であると云ふやうに考へられること迄も支援すると云ふやうなことが、少くないやうな有樣に見られるのであります、こんな有樣で、嘗ては監督官廳なんかの監督とか指令とかと云ふことに盲從して思ふ通りの教育も動もすれば阻害された教育當事者には今は其の子弟の鼻息を窺つて機嫌取りをして、其の地位の安全を圖る者も出て來ると云ふやうな有樣で、誠に教育上に於ける深憂事だと言はなければならぬだらうと思ふのであります、斯う云ふ傾向からして近頃高等學校、大學程度の學校に於きまして、學校行政に對して學生の參加が求められ、或學校に於ては、事實是が或程度實現して居るやうに聞き及んで居るのであります、無論學生生徒達が學校當局に對しまして、其の處遇なり或は教科課程などに對しまして、色々な希望を申出ると云ふことは、是は當然許さるべきことなのでありまして、是は從來からさう云ふ風に行はれて來て、誰も怪しむ者はないのでありまするが近頃のやうに學較行政に立ち入つたり、人事のことに立ち入つたりして、教へられる者が教へる者を自由にしようと云ふやうな考へが起きて居るやうな有樣でありますが、是は教育の目的、方針の上からして、看過することの出來ないことぢやないかと云ふ風に考へるのであります、是は全く自由思想、民主思想とか云ふものの履き違へに外ならぬと思ふのであります、此の間も或大學で、近頃の風潮に乘じました學生の團體が米軍の民間情報部の或士官が其の大學を訪問しました際に、頗る氣勢をあげまして、さうして其の士官に對しまして、アメリカで學生が學校行政に關與する有樣を話して貰ひたいと云ふやうなことを求めた場合に、其の質問に對して其の士官は、アメリカに於ては學生がさう云ふことに容喙すると云ふことは絶無であるのみならず、教員すらも之には觸れないのが通例であつて、さう云ふやうなことは、大學内のそれぞれの機關、それぞれの特定の人々の會議に委されて居るのであると云ふことを説明したので、其の學生達は意氣大いに阻喪したと云ふやうな有樣であつたと云ふやうなことも聞いたことがあるのであります、御承知のやうに歐米諸國の大學などでも、斯う云つたやうな學生の行動をば是認せられて居る所は、私の聞知して居ります限り、殆どないと言つていいだらうと思ひます、それで此の法案は、文相からも説明を承りました時に、新時代に即した教育の基本を定めたものであると云ふことから見ますれば、此の新時代の斯う云ふ學生の氣分、傾向に對しまして、本法案の何處かに、例へば第六條の「學校教育」と云ふやうな所に於きまして、唯教員が其の自己の使命を自覺して職責の遂行に努めなけれでならないと云ふことを規定するだけでなく、教へを受ける者の心掛けにも何處か觸れて置く必要があるのでないかと思ふのでありますが、併しそんなことは教育の本義の上から當然のことなんで必要ないことであると云ふなれば、それならば此の教員が其の使命を自覺して職務の遂行に努めると云ふことなども當然のことなんで、特に規定の必要はないと言はなければならぬと云ふ風に考へるのでありますが、大臣の方でさう云ふ點に付てはどう云ふ御考へで必要でないと云ふ風に御考へでありますか、一つ承りたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=21
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022・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 師道の頽廢誠に歎ずべきもののありますることは、御同感に考へます、此の點に關しまして、先程御話のございました學生の學校經營に參加致しまする運動、斯う云ふやうなものが段々強くなつて參つたやうでございまするが、我々の考と致しましては、學生自身の問題であるならば之を學生の自治に委ねて參りたいのでありまするが、學校の經營に學生が參加すべきものではないと云ふ考を堅く持つて居るのでございます、御話のございましたやうに、私の會ひました司令部の方達も同樣の見解を採つて居られたのであります、尚斯う言つた點が此の基本法中に盛られて居らないのが遺憾であると云ふやうな御考もございませうが、教員に關しましては御覧の通り第六條に「全體の奉仕者であつて、自己の使命を自覺し」云々と述べられて居るのでございまして、尚立派な教員、智徳の模範たるべきものを多く養成致しまするが爲には、どうしても教員の待遇を改めて行かなければならぬ、單り物質上のみならず、有らゆる點に於て教育者の待遇を改善して行かなければならぬと云ふことを常に私共考へて居るのであります、尚學生に關しましては特殊な規定は設けられて居らぬのでありまするが、第二條にありまするやうに「自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と發展に貢獻するように努めなければならない。」と云ふ風に述べられて居るのでありまして、學生は學生の分を守つて學校當局者の權益を害すると云ふやうなことのないやうに、自他の敬愛と協力によつて進んで行くべきものである、此の條項に依つて學生を指導して參りたいと考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=22
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023・羽田亨
○羽田亨君 只今伺ひました所で能く分りましたのでございますが、第二條の「自他の敬愛」云々と云ふことは、私も能く氣が付いて居つた文句なんでありますが、但し此の第二條は特に御伺ひ致したいと存ずるのでありますが、全體を通じまして、少し意義晦澁の文句ぢやないかと思ふのでありますが、「この目的を達成するためには」と云ふ以下の所は、一體誰が對象になつて居るのか、此の文章として其處に、サブジエクトは何であるかと云ふことは、私ちよつと分り兼ねるのでありますが、唯その「自他の敬愛」云々と云ふことは、學生に對して述べて居られることではないのであらうと云ふ風に解釋致しまして、從つて只今のやうなことを御伺ひ申したのであります、此の第二條に付きましては別に御説明を御願ひ致したいと思つて居るのでありますが、私が只今申しますやうに、何か特に學生の心掛にも觸れて置かれることが出來れば大變結構ぢやないかと思ひましたので、御意見を御伺ひした譯なんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=23
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024・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の文章に晦澁な點があると云ふ御説に伺ひましたのでありますが、之に對しまする解釋は、政府委員から御答へさせて戴きたいと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=24
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025・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、第二條は御話の通り、前段と後段と色々と錯綜したりして居るではないかと云ふやうな御考もあるかと思ひますが、前段の方は謂はば教育の目的を達成致しまする爲にはどう云ふやうな方針で進んだら宜いかと云ふことに付きましての形式的な面を謳つたのでありまして、次の「この目的を達成するために とある「この目的」と申しまするのは、教育の目的と云ふことでありまするが、是は此の後段の方は謂はば實質的な方針、内容を示したものであるのでございます、で、此の前段の方は特に御説明をする要はないかと思ひまするが、後段に付きましては、是は第一條に掲げてありまする教育の到達すべき目標を達成する爲には、教育を取扱ふ者、教育に從ふ者は斯う云ふ風な心構へを以てやらなければならないと云ふことを謳つて居るのであります、即ち是は學校の種類、程度、段階等に於きまして、それぞれ重點は或は違ふかも知れませぬが、「學問の自由を尊重し、實際生活に即し」、唯學問の自由を尊重するだけで實際生活から全然遊離してしまふと云ふやうなことがあつては困りますので、「學問の自由を尊重し、實際生活に即し」と云ふやうに致しましたが、是も學校の程度に依りまして、大學の場合と小學校の場合とは、それぞれ其の重點の置き所が違ふことは當然であります、「自發的精神を養い」、是は學校の生徒が上から、先生から物を授けられると云ふだけでなしに、先徒、兒童が自發的に勉強して研究して行くと云ふ態度、精神を養ふと云ふ意味であります、「自他の敬愛と協力によつて」と申しますのは、先程大臣から御説明がありましたやうに、是は相互の互に敬愛することと、又力を協せると云ふことに依つて、從來の色色缺陷であります所のものを矯正して、さうして立派な日本國としての文化を創造して行かなければならぬ譯でありますので、此の「自他の敬愛と協力によつて」と、從來比較的缺陷となつて居りましたやうなことに付きまして掲げたのであります、大體以上が第二條の内容でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=25
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026・羽田亨
○羽田亨君 それぢや只今伺ひましたやうに、「この目的を達成するためには」と云ふ次に「教育に從ふ者は」と當嵌めて宜しい譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=26
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027・辻田力
○政府委員(辻田力君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=27
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028・羽田亨
○羽田亨君 さうすると、この「自他の敬愛と協力によつて」と云ふことは、是は學生が主ぢやないのですね、教育に從ふ者は、自他の敬愛と協力に依つて云々と云つた風に導いて行けと云ふことなんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=28
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029・辻田力
○政府委員(辻田力君) 今教育に從ふ者と云ふのは、教育者は勿論のことでありまするが、教育に關係しまする人人を廣く言つた譯でありまして、教員だけの心構へと云ふ譯ではございませぬ、従つて此の「自他の敬愛と協力によつて」と申しますことも、先生達同士で御互に敬愛し協力しと云ふ意味では勿論ございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=29
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030・松平齊光
○男爵松平齊光君 教育の根本の原則が出ましたことは私非常に嬉しく存じて居ります、嘗て憲法の中に書いて戴きたいと云ふことを願ひましたことがございますので、今日是が斯う云ふ形ででも出ましたことは私非常に贊成でございます、内容に於きましても殆ど私の思つて居る所と一致して居るかの如くに取れまするのであります、唯ちよつと伺ひたいのでありますが、斯う云ふ風に出來ました根本の原則の適用の場合でありますが、是は勿論普通の法律とは違ふ譯でありまするけれども、此の根本精神に實際の教育が反するか否かと云ふのを決定するものは、監督官廳の權限に入る譯でありませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=30
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031・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の點は第十一條補則にございまするやうに、「この法律に掲げる諸條項を實施するために必要がある場合には、適當な法令が制定されなければならない」のでございまして、昨日佐々木博士の御質問に御答へ致しましたやうに、種々の法案が考へられて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=31
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032・松平齊光
○男爵松平齊光君 左樣致しますと、勿論違反があつたと云ふことが認められました場合には、それぞれの法律に依つて色々處分されると云ふ譯であらうと存じますが、例へば第七條に社會教育とございまして、「家庭教育及び勤勞の場所その他社會において行はれる教育は」、是は非常に奬勵しなければならぬと云ふ風に書いてございますが、例へば家庭に於ける教育と云ふやうなものと此の根本精神との相反する場合と云ふやうなこと迄、國權が立至つて監督すると云ふやうなことになるものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=32
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033・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、只今大臣から御答辯ございましたやうに、此の法律是自身で直ぐ違反した場合に、違反した者を罰するとか云ふやうなことは是は考慮して居りませぬ、從つて罰則もない譯でございますが、併し法律に掲げました諸條項を實施する爲に必要がある場合には、適當な法令が制定せられまして、此の法令の中に加へれば、罰する場合がありますればそれに依つて處置を受けると云ふことになります、只今御質問でありました第七條の家庭教育等にも、國家が或は地方公共團體が立入つて行くのかと云ふ御質疑でございますが、是は家庭教育の内容に一々個々の家庭に付てあれ是れする譯ではございませぬが、法に於きましては家庭教育を含めました廣い意味の社會教育が從來非常に我が國に於ては發達して居なかつたのでありまするので、今囘は社會教育を非常に重視致しまして、家庭教育を含めました社會教育と云ふものが、國及び地方公共團體に於きまして大いに奬勵されなければならぬと云ふ大方針を謳つた譯でございます、それで現に家庭教育に關しまして文部省の實施して居ります事柄の一、二を申上げますると、例へば各地方に母親學級とか兩親學級と云ふ風なものを設けまして、先づ家庭の教育者の中心である母親を教育する、或は其の教養の向上を圖ると云ふ風なことをくれぐれ實施して居りますが、此の兩親學級或は又母親學級と申します事は、大概の國民學校に殆ど全部作られて居りまして、非常に是は效果を擧げて居る譯であります、さう云ふ面を通じて家庭教育を奬勵して行くと云ふ風に致して居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=33
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034・松平齊光
○男爵松平齊光君 御説明に依りまして大體分りましてございます、兩親教育と云ふやうなことが段々行はれなければならぬと云ふのも如何にも尤であると考へます、唯餘り此の法が窮屈になりますると云ふと、折角家庭或は其の他の團體の教育上の效果が減少すると云ふやうな虞がないぢやないかと云ふ感はありまするけれども、是以上法文を以てどうすると云ふものではないかと考へます、是で私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=34
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035・田中薫
○子爵田中薫君 第八條の第二段に出て居ります問題でありますが、「政治教育その他政治的活動をしてはならない」と云ふことに關聯して伺ひたいのでありますが、政黨が學校を持つて、さうして其の政黨の主義に從ふ政治教育をすると云ふことは段々多くなるのではないか、例へば社會黨とか共産黨あたりの學校と云ふものがもう共産黨では出來つつあると思ひますが、さう云ふものは此の所謂法律に定める學校としては全然御認めにならない方針だと了解して宜しいのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=35
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036・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の法律に定める學校では、政治的活動をしてはならぬと云ふことになつて居りまするので、此の各種學校に於きましては特定の政黨を支持するやうな教育を施しても差支へはないと斯う云ふやうな解釋を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=36
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037・田中薫
○子爵田中薫君 從來の各種學校と云ふのは、極く小規模なもの、或は形の整はないものに當篏められたやうに思つて居りましたのでありますが、此の場合ですと、學校の規模とか設備とか、さう云ふことは無關係に、幾ら大規模な組織を持つたものでも、それは各種學校として御取扱ひになる譯なんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=37
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038・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 各種學校は名前の表して居りまする通り、實に各種多樣のものでございまして、現在存在して居りますものでも、相當大きな規模のものもございますので、此の大きさ等に關しましては實は何の制限も無いのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=38
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039・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私は實は此の法律に付きましては各條毎に多少御尋ね致したのですけれども、併し委員長の先日の御話で大臣から伺つて置きたいことは先きに云ふことでありますし、大臣も御忙しいやうでありますから、其の意味でちよつと伺ひたいと思ひます、それに關係する條文に付ては又後日御伺ひすることがあるかも知れませぬ、先づ御伺ひ致したいのは、學校教育と云ふ一つの繼續的な活動があるのですが、それの主體は一體何ものである、何ものが主體である、何ものを主體とすると云ふやうな見地で此の基本法及び將來の學校教育に關する構成を立てるのであるかどうかと云ふことを御尋ねするのであります、詰り言ひ換へますと、具體的に申しますれば、學校教育と云ふものは、國家が之を行ふと云ふ、國家の活動として行ふと云ふ、國家を主體とする活動だと云ふ本來は建前でありまするが、從つてさうなりますると云ふと、國家以外のものが行ひまする……それは公共團體であらうが、法人でありませうが、兎に角國家以外のものの行ひまする學校教育活動と云ふものは、國家の本來行ふべきものを委託されて行ふのである、斯う云ふのでありまするか、どうかと云ふことを、此處ではつきりと決めて置かなければならないかと思ひます、將來の法制の建て方として……、例へば文部省の方の前で申すのはをかしいことですけれども、國民教育と云ふものは、今日國家の活動だと云ふ建前になつて居る、併しながら小學校を設置、施設を設けると云ふことは、是は各地方團體の活動だと、斯う云ふことになつて居る、是は非常に複雜でありますけれども、兎に角さうなつて居るのであるからして、それは教育と云ふものは國家が之を、學校教育は國家が之を行ふものであると云ふ建前になつて居るのであるか、さう云ふ建前を將來矢張り取るのであるかどうかと云ふことは非常に重大である、行政、詰り法制的に見れば……、さうしてそれは……後でも實は大臣に御尋ね申上げたいが大臣は時間がありますまい、私立學校などに對する國家の取扱と云ふやうなことに付て非常に重大な、基礎になる問題でありますから、そこの所を……私は意見を申上げるのではありませぬが教育基本法ではどう云ふ風な見地を御採りになつて居るか、學校教育と云ふものは本來國家がやるべきものだ、國家を主體とする活動であるかどうか、斯う云ふものであると云ふことをちよつと御答へ戴きたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=39
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040・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今の御質問でございますが、此の六條に規定してございまするやうに、學校教育……學校教育は公の性質を持つものであると云ふことに相成つて居るのでございまするが、學校は國が經營する場合もございませうし、地方の公共團體が經營する場合もありませうし、又法律に定めましたところの法人が經營する場合もある譯でございます、是等の何れも皆公の性質を持つものであるのであります、今日私立學校は多く財團法人の形を取つて居りまして、極めて稀に社團法人になつて居るやうに聞いて居りますので、將來に於きましては、此の教育を目的とする特殊の法人と云ふものを設けまして、是等のものを律して行きたいと、斯う考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=40
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041・佐々木惣一
○佐々木惣一君 實は私の申上げた言葉が足らなかつたか知れませぬが、ちよつと私の伺ひたいことと少し喰ひ違つて參りましたが、即ち其の公の性質と云ふことを大臣が申されましたが、實は私は公の性質と云ふことを質問して居つた、是は私は別の解釋を持つて居ります、けれども、只今御説明になつたやうな意味であるかどうか、はつきり分りませぬし、其の條文のことは別と致しまするが、私の申上げましたのは、教育すると云ふ、其の活動と、其の教育すると云ふ、さう云ふことの爲に必要なる諸般の活動と云ふもの、例へば學校を建てると云ふやうなことは、是は教育すると云ふ活動そのものではない、教育活動そのものと、之に達する爲の行政活動と云ふのは別にあると云ふのが從來の考へ方でありますが、而して學校の設置と茲にありまするが、茲に第六條も其の點に付て關係がありまするが、學校の設置と云ふことは現法行でも使つて居ることであるが、それと教育活動と云ふことを今日迄別に解して居るのであります、從つて市町村は國臣學校と云ふものを設置する義務を持つて居つて設置致しまするが、併しながら國民學校に於て行はれる教育其のものは國家が行つて居る、斯う云ふ建前に從來はなつて居りますが、將來は或は今の大臣の説明に依れば、さう云ふ建前をしないのである、國民學校教育と云ふものも、將來に市町村と云ふものの活動其のものだと云ふことになるのでありませうか、どうでありませうか、是は實は制度を樹てる上に於ては非常に基本問題であつて、今後發動されるでありませう學校教育法などは、或は教育行政法などは、非常にそこから出發するだらうと、斯う思ひますので、そこらの點から、今の大臣の御話ははつきりしない所があるから、若し何でしたら……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=41
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042・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 地方教育に關しましては、地方分權の主義に則りまして、中央集權を廢して參りたい、斯う云ふ立場にあるのでありまするからして、矢張りそれぞれの地方公共團體が教育をする、斯う云ふことに相成るものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=42
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043・佐々木惣一
○佐々木惣一君 いや、意見でありませぬが、能く分りました、其の立場は……、さうすると私立大學を建てると云ふやうな時に、現行法では所謂國家の許しと申しますか、認可、其の許しと云ふやうなものの其處に、私等の今日迄の理解では、例へば營業の、宿屋を營む、或る會社を營むと云ふやうな者に對する許し、單に其の者が勝手なことをしてはいかぬから、それを監督する、取締ると云ふ、さう云ふ意味の許しでなしに、本來是は國家がやることである、數育は國家を主體とする仕事である、併しながらそれを私立學校にさせるのだが、其のさせるのは取締の爲にさせるのぢやない、國家が委託する、本來國家は大學教育の如きに付きましても、從來から殊に日本憲法の如きに依りますれば、苟くも大學教育を受くるに能力上の資格があるやうな者であつて、大學教育を受けたいと云ふ者であるならば、國家が受けさせると云ふのが教育行政である、併しながらそれは諸般の事情からして自分の設置する所の施設だけでは受けさせられぬからして、それで他に私立、私の人が大學教育を修め授ける施設を設けるならば、それに許すのだが、其の許すと云ふのは營業許可と云ふことぢやないのでありまして、本來ならば國家が、自分がやるべきことをやつて貰ふのだと云ふことで許す、斯う云ふ風に、なると云ふやうな考を私は持つて居る、そこで國家と云ふものは、私立大學其の他の私立學校に對しては、極力積極的の意味で、之を援助保護しなければならぬ、唯取締りと云ふことだけぢやない、斯う云ふことになりまして、其の何れの見地に基くかと云ふことに依つて私立學校などに關する國家の法制と云ふものは、根本的に違はなければならぬ、斯う云ふ風に思ふのです、それで今伺つたのでありますが、地方分權法と云ふものが出ると云ふので地方團體のことはそれで分りました、地方團體の教育の主體と云ふことになりまするが、高等專門學校とか、大學とか云ふものを私立に許すと云ふ時には、どう云ふ見地になるでありませうか、併し是は只今でなくても後で、政府委員の方の御研究に願つても構ひませぬ、大臣が御忙しいからと云ふことを考へて居る、それだけのことを御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=43
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044・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 後程御答へ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=44
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045・佐々木惣一
○佐々木惣一君 結構でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=45
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046・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 一寸伺ひたい、昨日佐々木先生から本會議で御質問になりましたこと、或は今日羽田先生が御質問になりましたことは、私も御同感で實は伺ひたいと思つたのでありますが、それに付きまして大臣からの御答辯、是も私能く了解致しました、それに付て「自他の敬愛」、或は「個性ゆたか、」それから「社會の形成者」と云ふやうな條項に、色々な意味があると云ふことは十分了解致しましたのでございますけれども、併し斯う云ふ風に法令として出まして、果して一般の人が此の條項から、只今御質疑になりましたやうな問題が直ぐ出て來るか、若しさう云ふことがはつきり文部省の方で御意見でもございましたら、もつと具體的に、例へば生徒の、師弟の關係とか、學校の經營に參加するとか、しないとか、さう云ふやうな具體的なことをはつきり矢張り御書きになつて、讀んで直ぐ分るやうにして戴いた方が宜くはないか、なかなか此の敬愛と協力と云ふ言葉から色々な問題を解釋することが、解釋は出來ますけれども、ちよつと普通の人が讀んでも、直ぐぴんと來ないと思ふのです、さう云ふ重要な問題は、若し必要ならば具體的に書いて戴く、又さう云ふことを擧げる必要がないと云ふならば、それでも宜しうございますけれども、殊に師弟の關係とか、學校の經營に關する生徒の參加して宜いか惡いか、可なり重要な現代の問題と思ひますが、斯う云ふ風に草案が出來て居りますから、修正と云ふことになると大變でございませうけれども、私としては斯う云ふ重要な問題は、もつと具體的な言葉ではつきり書いて戴いた方が、一般の人が直ぐに能く分るのぢやないか、なかなか之を解釋する、解釋に依つて普及すると云ふやうな方法もありませうが、非常な手間が掛るし、分りませぬから、もう少しさう云ふ點も、必要なことは書いて戴いた方が宜かつたのぢやないかと云ふやうな感が致しますのですが、佐々木先生、羽田先生の御質疑に關聯して、御答辯は能く分りましたが、さう云ふやうな感を懷きますのですが、どうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=46
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047・高橋誠一郎
○國務大田(高橋誠一郎君) 極く大本を規定致しました基本法でございまするので、只今御指摘の點を特に明記すると云ふことを致さなかつたのでありますが、尚之に關しまする解釋其の他に依りまして、御話のやうな點を十分に徹底させて參りたいと考へて居るのでございます、基本法と致しましては、此の程度に止めて置いた方が宜いのではないかとも考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=47
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048・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) では休憩を致します、午後一時三十分再開致します
午後零時四分休憩
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午後一時四十六分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=48
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049・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは午前に引續き會議を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=49
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050・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 先程佐々木博士から御質問になりました點に付きまして、教育勅語と基本法との關係に付きまして只今金森國務大臣の意見を聽きました、又法制局の方の意見も聽きました、それで教育勅語は統治權者の意思を示されたものとして、國民を拘束すべき效力を有するものと考へるのでありまする、日本國憲法の施行と同時に之と牴觸する部分に付きましては其の效力を失ひ、又教育基本法の施行と同時に、之と牴觸する部分に付きましては其の效力を失ひまするが、其の他の部分は兩立するものと考へます、斯う云ふ解釋になつたのであります、それで詰り政治的な若くは法律的な效力を教育勅語は失ふのでありまして、孔孟の教へとかモーゼの戒律とか云ふやうなものと同樣なものとなつて存在するものと、斯う解釋すべきではないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=50
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051・佐々木惣一
○佐々木惣一君 伺ひましてちよつと私是は疑問がありますけれども、是以上しても皆さんの御迷惑になりますから、御意見を伺つたと云ふだけで、私は是で其の點に付ては申上げませぬ、併し申上げますが、今の御説明は餘程苦しい御説明で、大變な問題がありますけれども、是は是以上申上げませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=51
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052・瀧川儀作
○瀧川儀作君 教育勅語の取扱ひの問題に付きまして伺ひたいと思ひますが、御方針に付きましては昨日の本會議の御説明に依つて能く諒と致して居るのでありますが、一般には、私實は學校の經營を致して居りますので、先づ以て教育勅語なるものは結構ではあるが、極端なる國家主義者の惡用と言ひますか、何かの爲に、國際的の猜疑を受けることはどうかと云ふので、或はそれは自然に葬られてしまふのではないかと云つた位に感じて居る教育當事者と云ふものが相當多いのであります、今囘初めて文部大臣の御説明を伺つて、是は廢したのでない、從前のやうな取扱ひはやらないと云ふことを伺つたのでありますが、實際私共相當長く小學、中學の經營に當つて居るのでありますが、教育勅語は人倫道徳と申しますか、處世の大道をあの短文の中に網羅して居りまして、誠に少くも日本に於ける教育の指針としては結構なものであつて、私共凡人の考でありますが、何等民主主義に牴觸する所がないやうな感じが致して居りますので、出來得る限り之を善用して、矢張り用ひて行くやうに致したい、と申しますのは、先程佐々木博士も御話がありましたが、四書五經にも人倫の道が明かになつて居ります、或は佛教にも、キリスト教にもそれぞれ指導精神がありますが、非常に廣汎であつて、あれだけ短文のものに纒つたものがないので、少くとも現在の小學校や中等學校の先生方には、何かああ云ふ標準がないと困るのではないかと實際に痛感して居りますので、そこで繰返して申上げますが、惡用しない、善用する意味に於きまして、あれをもう少し從來の通りにはやる必要もありませぬが、殊に又國際間の猜疑を避けなければなりませぬが、善用さして戴くやうなことに願へぬものであらうか、斯う云ふことを考へて居るのであります、其の點に付ての御考は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=52
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053・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 昨日も申上げましたやうに、教育勅語を神格化するとか、或は又之を式日其の他に於きまして奉讀することは廢することにしてあるのでありまするが、併しながら御話の如く教育勅語の中には無論立派な道徳上の教へが含まれて居るのでございまするから、之を活用、善用なさりますることは、無論差支へないことと考へるのでございます、昨日私は澤田さんから大變お叱りを受けたのでありまするが、私共が福澤諭吉の定めました所の修身要領と稱しまする道徳上の教へを説き始めました時に、是が教育勅語の御趣旨に反するものではないかと云ふやうな非難を受けて、非常に惱まされたことがあつたのであります、まだ若い時分でございましたが、明治四十一年に私ひどく斯う云ふことを攻撃されたことなどもありましたが、それが爲に昨日も保守反動主義者に依つて、是が惡用せられるとか、或は曲解せられるとか云ふやうな虞があつたことをつい一言述べたのでありまするが、共産主義者流の言葉を使ふと云ふやうな御非難を受けたのでありますが、決して左樣な意味ではないのでありまして、唯、只今申上げたやうなことを想ひ出しまして、兎に角當時としては新しい思想であつた所のものを、教育勅語を楯にして抑壓する、斯う云つた傾向は避けたいと考へて居るのであります、無論あの中には立派な教へが含まれて居るのでありますから、之を十分活用なさり善用なさることには何等の支障ないことと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=53
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054・宗武志
○伯爵宗武志君 それに關聯してちよつと伺ひたいのでございますが、教育勅語の問題が屡屡昨年以來議會で問題になりまして、又新しい教育勅語のやうなものが出ると云ふ風なことも屡屡言はれたり、又否定されたりして居つたのであります、處が極く最近、二三週間前かと思ひますが、某新聞に、今新しい教育勅語が用意されてあると云ふ風なことが出て居つたやうに記憶致すのでありますが、是は果して全然無根のことであるのかどうかと云ふことをちよつと明かにして戴きたいと思ふのでございます、それから又嘗つて斯う云ふ問題が問題になりました時に、新しい教育勅語と云ふ風なものが、國事に關する天皇の御仕事としてでなく、單に天皇の教育上の御意見を發表なさると云ふ風な意味であれば、聊かも差支ないと云ふやうなことを文部大臣が御言明になつたやうに記憶して居りますが、其の時に併しそれは普遍的なものであつて欲しいと云ふ風なことがあつたのでごいます、併し若しさう云ふ風なものがあるとすれば、それは天皇の御自由な御意思を拘束するやうなことになるので、若し政府がさう云ふ風なことを考へるとすれば、それは由々しき問題ぢやないか、斯う云ふ風に思ふのでございます、若し將來に於て、天皇が全く自由な意思から教育上の御意見を御發表になると云ふ風な場合には、それは一向差支ないことであるのかどうか、政府としては、全然それがどんな性質のものでなければならない、とか何とかと云ふことを決して政府は言はないのであるかどうか、斯う云ふ點に付てはつきりと茲に此の問題に終止符を打つて戴きたいやうに思ふのでございますが、此の點に付て腹藏のない御考を承りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=54
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055・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今の御質問でございますが、是迄の教育勅語に代るべき教育勅語を奏請しよう、斯う云ふやうな意見が、昨年の春來朝致しました米國の教育使節團……日本側の教育者の團體に於きましては斯樣な考があつたのでございます、新しい時代に即應する教育勅語を奏請しよう、斯う云ふ考があつたのでございますが、此の教育者團體の後を承けたとも稱すべき教育刷新委員會に於きましては、此の考を去りまして、さうして茲に提案致しました所の教育基本法の中に教育の根本理念を盛らう、斯う云ふことになつたのであります、私の知る限りに於きましては、新しい教育勅語を奏請すると云ふことは恐らく誤聞であらうと考へます、どう云ふ方面に於てさう云ふ意見がありまするのか、私は承つて居らぬのであります、尚第二の御質問の點、是は文部大臣と仰せになりましたが、私を指して仰しやいますのでありませうか、或は前文部大臣でございませうか、其の點ちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=55
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056・宗武志
○伯爵宗武志君 時の文部大臣でございます、即ち現文部大臣ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=56
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057・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 前文部大臣はどう云ふ御考でありましたか、確めることが只今出來ませぬのでありますが、私の解釋致す所に依りますと云ふと、天皇御自身が個人としての資格に於きまして、御自分の教育上の御意見を御發表になる、徳教上の御思想を御發表になりますることは、無論差支へないと思ふのでありますが、併しながら是が特に政治上、法律上の拘束力を持つものとは考へられないのでございます、決して陛下の自由の御意思に依る所の御意見の御發表を御拘束申上げようと云ふ考は毫末も持つて居りませぬのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=57
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058・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 何か外に政府委員に對する御質問はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=58
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059・佐々木惣一
○佐々木惣一君 文部大臣がおいでにならぬのですけれども、私のは基本法だから總て文部大臣に行くのですが、便宜上政府委員の方でも宜しうございます、色々ありますけれども、昨日も御尋ねしたのですが、私は祖國觀念の涵養と云ふことに付て政府に特に用意せられた、斯う思つて居るのでありますが、誤解を生じてはいけませぬから、私の言ふ祖國觀念と云ふことをちよつと申上げて、御相談を願ひたいと思ひます、昨日は時間の關係で申上げませぬでしたが、祖國觀念と云ふのは、自分の國家が良いとか、そんなことを言ふのではない、唯自分の國家に親しみを感じ愛する、從つて其の向上、それから一層正しくなると云ふことを希ふの觀念、之を、祖國觀念と申して居るのでありますが、從つてそれは自己の長所があれば無論それは喜んで宜しい、併し又同時に自分の短所と云ふものも自ら知ると云ふことが租國觀念の根本要義であつて、決して他國に對して自分が優越すると云ふさう云ふ觀念ではない、斯う云ふ意味に於て祖國觀念と云ふのであります、處が此のことは言ふ迄もないことでありますけれども、敗戰後の状況を考へて見ますと、或は恐れる、祖國觀念と云ふものがどうも薄らいで居りはせぬか、其の原因は色々ありませうが、どうも自國の惡い缺點と云ふやうなもの、或は能力の足らざる所を非常に認識して來たと云ふやうなことから、又是と共に、其の爲に、他國から非常な援助を仰がなければならぬと云ふやうな事情がありまするが故に、自分の國の惡い缺點ばかりを見るやうになりまして、從つて將來の我々の行動を規定するやうなことを言ふ場合に、過去の惡いことばかりを言ふ、指導者と云ふやうな人々も、即ち過去の惡いことを言ふ、自己の缺點を知るのは宜いけれども、併し是は到底自分の國は駄目だと云ふやうな感じを持ちますると云ふと、言ふ迄もなく國家心と云ふものがなくなる、そこで分り切つたやうなことでありますけれども、殊に今日の如き時代に於ては、從來とは違ひまして、正しい意味に於て自國、祖國と云ふ觀念を涵養すると云ふことが必要である、それは何もマツクアーサー司令部とか、さう云ふやうな所に遠慮の問題と全然建前が違ふのですから、此の祖國觀念の涵養に依つてこそ本當に自己の缺點を知る、弱點を知ると云ふことになる、是がどうもないやうでありまして、是は若しさう云ふ風なことになつて行きますると、放つて置きますると、如何に國家再建と云ふやうなことを言つて見ても役に立たない、同時に自分の國家再建のことが必ず達せられると云ふ所の一つの自信と云ふものもなくなつて來はしないかと云ふ危險がある、是は本會議に於て他の場合に大藏大臣が、兎に角自分が信ずる所があれば必ず出來ると云ふやうなバイブルの言葉を引かれましたが、是は全く其の限りに於ては大藏大臣の御考へ方は宜い、併しそれは何もバイブルに限らないのでありまして、我が國に於きましても、東洋に於きましても、「百仭の溪に赴いて疑はず」と云ふやうな言葉がある、併し個人的の修養の問題でありますけれどもあるのでありまして、非常に苦難に陷つて居つても、併しながら自分は自分の使命と云ふものを達することが出來ると云ふことに付ては少しも疑はない、と云ふやうな言葉は、寧ろ我々の教養の眼目として我々が教へられた所である、それで祖國觀念に付ても今日では非常に我が國には薄らいで居るやうに思はれ、又其の能力も各方面から疑はれて居りますけれども、併しながら我が國としては決して使命を達することが出來ないと云ふことはないのであると云ふやうな、色々な意味のそれが本當の我が國の祖國思想、觀念と云ふことで、要するに我が國、自分の國と云ふ觀念、其の自分の國と云ふことは、決して善いから自分の國と云ふ觀念ぢやない、惡くても自分の國だと云ふやうな、さう云ふ意味に於て自分の國と云ふ觀念を涵養すると云ふことが特に今日は必要があると思ふ、今後の我が國の教育に於きましては……、それで昨日もちよつと申上げましたけれども、詰らぬことでありますけれども、我が國の建國のことを記念すると云ふやうなことは、此の頃は非常に怠つてしまつて居る、自己の祖國觀念と云ふことは何も他に遠慮する必要はない、フランスに於きましても、自己の共和國の出來たことを非常に祝つて居る、又アメリカに於ても祝つて居ると云ふやうな譯でありまして、祖國觀念と云ふものは何れの國に於ても、特に之を涵養することの方法こそ違ひますれ、皆やつて居るのでありますから、其の時に我が國の今日の如き状態であつてはどうも困る、自己の國の過誤、誤つて居つたことを知ると云ふことは非常に良いのだが、其のことが極端に及びまして、自分の國は詰らんものだ、殊に外國から援助を受けて居ると云ふやうな状況で、詰らんものだと云ふ感情がどうもありはしないかと斯う思ふのです、そこで矢張り祖國觀念の涵養を特に用意することが教育の方針として必要だと思ふのですが、如何なものでありませうか、さう云ふことに付て何か特別に用意をなされて居ると云ふことはないのでありませうか、當局の御方にそれをちよつと御尋ねしたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=59
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060・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、只今の御質問の點でございますが、我が國の國民を是から教育する場合に、只今御話になりましたことは、當然第一義に考へなければならぬとのことでございまするが、其の點は基本法に於きましても、第一條にそれぞれ包含されて居る積りであります、昨日から本日に懸けまして大臣からも御説明があつたのでありますが、前文に於きましては、第二項に於きまして「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造」と云ふことが書いてありますが、此の「普遍的に」と申しまするのは、我我の解釋致しまする所では、一般的な、世界的なものであつて、而も「個性ゆたかな」と申しますのは、日本的と申しますか、日本的な、又個人々々の個性を含めた意味に於ても日本的な豐かな文化を創造すると云ふことで、さう云ふ意味に於きましては、我が民族性、國家の成り立ちと云ふやうなことを十分考慮してあるのであります、此の點に付きましては、關係筋と折衝する時も十分説明した積りであります、尚第一條に於きましては「平和的な國家及び社會の形成者」と云ふ字が使つてありますが、此の「平和的な國家及び社會」の「國家」の場合でありますが、是は當然我が國のみを指すのでありまして、「平和的な」と特に形容詞を入れまして、民主的な、或は文化的なと云ふやうな言葉を特に入れませんでしたが、是は基本法の前文にあります「民主的で文化的」と云ふ形容詞を被せてありますので、此處では特に「平和的な國家」と云ふ我が國の大和の精神から進みまして、我が國が平和的な國家として、十分今後成り立つて行かなければならぬ、其の場合に國民は唯それの一メンバーとして教育されると云ふことでなしに、先程大臣からも御話がありましたやうに、立派な國家を作り上げ、形成して行く人間として特に必要な事項に付て謳つたのでございまして、此の第一條の方を先づ御説明申しますれば、教育は人格の完成、之を大目標と致しまするが、其の人格の中には勿論眞善美とか或は知情意と云ふやうなものを圓滿に調和をした人格を意味するのでありまして、此の中には個人主義的な人格と云ふやうなことは考へて居りませぬ、社會の一員としての立派な人格を備へなければならぬと云ふことでありますが、其のことを「平和的な國家」以下に置きまして具體的に説明した積りでございます、それで教育の目的の中には色々な徳目、或は掲ぐべき必要なことがあらうと思ひます、從來我が國の比較的缺陷と言はれて居つた所、或は現在の状態に於ても缺陷と考へられて居る所と云ふやうなものを特に強調教しまして、「勤勞と責任を重んずる」、「責任」と云ふ字を特に入れ、又「自主的精神に充ちた」と云ふやうなことを特に強調致しまして、此の我が國の國民として特に教養すべき點を掲記したのでありまして、此の中に有らゆる徳目を掲記すると云ふことは、必ずしも適當でないと思ひますので、それ等に付きましては「人格の完成」と云ふ中に包含してある譯であります、尚此の教育基本法から引つ張つて來る學校教育法、其の他社會教育關係の諸種の法律、政令等も出ると思ひまするが、學校教育法に於きましても、是は不日御審議を煩すことにならうと思ひますが、其の中に於きまして、郷土及び國家の傳統に付て正しい理解を導き、進んで國際協調の精神を養はなければならぬと云ふやうなことが、學校教育法案の中には書いてあるのでありまして、具體的の事柄に付きましてはそれぞれ別の法規に讓つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=60
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061・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私が御尋ねしたのは、具體的に此の觀念の養成に付て御用意があるかと云ふことでありまして、此の法典の解釋を御伺ひしたのではありませぬけれども、さう云ふことを御尋ねしたと云ふことだけで宜いと思ひます、次に御尋ねしたいことは、第九條に宗教を、教育上尊重しろと云ふことがありますが、どう云ふことなんですか、教育上尊重すると云ふことはどう云ふ意味を以て、どう云ふ具體的のことを指すのか、それをちよつと伺ひたいと申しますのは、私は宗教教育と云ふものと、道徳教育と云ふものの差異關係に付て、少し疑を持つて居ります、宗教教育と、道徳教育と云ふやうなものの差異關係に付て、文部當局は如何なる御考を持つて居られますか、其の點ちよつと伺つて見たいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=61
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062・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、第九條に宗教教育と云ふものを掲げました理由に付きましては、是は憲法第二十條に信教の自由に付ての規定がございますが、憲法の其の條文を受けまして、教育上宗教に關しましてどう云ふ風な取扱をしなければならぬかと云ふことに付きまして、第九條第一項に掲げたのでございます、此の宗教の寛容の態度と云ふものは、私達の方に於きましては、宗教内に於けるそれぞれの他宗教に關する寛容の態度と申しますか、其の外に無宗教派、或は反宗教派に對する寛容の態度も茲に包含されると考へて居るであります、それから又宗教の社會生活に於ける地位でありますが、宗教は社會生活に於て重要な役割を持つて居ると云ふやうなことと、或は宗教家が色々強い修業をされて、得度されたと云ふやうな色々な諸方面からも説明したいと思つて居ります、宗教の社會生活に於ける重大な地位に付て十分説明を致しまして、是等のことを教育上現はすと云ふ態度に出て居るのでありまして、どの宗教を特に重視するとか、或は反宗教者、無宗教者に對して、それを排斥するやうなことは、憲法上許されないことと考へますので、宗教に關して、教育上は斯う云ふ態度であるのだと云ふことを書いたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=62
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063・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、第九條に宗教教育と云ふことを御決めになつたのは、宗教と云ふものを教育上重んじて、さうして宗教心と云ふものを成るべく國民に持たしむる、さう云ふものとは此の規定は關係ないのでございますね、所謂宗教教育其のものを重んずると云ふのでなしに、宗教に付ては皆、無宗教でも宜し、如何なる宗教でも宜いと云ふ、憲法上の精神を唯此處に稍稍具體的に謳はれたと云ふのであるのでありませうか、或は宗教と云ふものは重大なものであるからして、宗教を重んずると云ふやうな思想を入れる、斯う云ふことになるのですか、其の點を伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=63
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064・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、只今先生の先きに御話になつた通りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=64
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065・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、宗教其のものを重んずると云ふことの趣旨ではないのですね、それならば宜しうございます、さうはつきり伺へば……、さうすると假に或學校に於ける宗教教育と云ふものは、一般的宗教的情操と云ふことでなしに、特定のキリスト教とか佛教とか、所謂宗教的情操とか、宗教思想とか、道徳思想とか能く言ふけれども、私の感じでは混同して使つて居りますが、一般的宗教的情操と云ふやうなことを持つことを教育上促進する、さう云ふ意味ぢやなしにですね、宗教的情操と云ふものは人間が持たなければならぬからして、それが持たれるやうに教育に於て人間を作ると云ふやうな、意味ぢやないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=65
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066・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 學校教育に於きまする宗教的情操の涵養の點に付きましては、是は十分重視して參る積りでございます、併し例へば小學校、中學校に於きましては今後社會科と云ふやうな教科を建てて居りまして、其の中に於て致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=66
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067・佐々木惣一
○佐々木惣一君 所謂宗教的情操と云ふことが分らないのですが、どう云ふことを言ふのですか、宗教的情操と云ふのは、何か一般的のことであつて、私まあ自分では理解して居ります積りですが、政府の御趣旨は、私自身の感じから申しますれば、自分は宗教心は薄いけれども、何等か、キリスト教とか佛教とか、其の他何々に拘らず、或絶對的の我々を支配して居る何か精神的な絶對者を考へて、それに私自身は、自分は世常上の道徳なり社會なり、色々な羈絆に從つて最善を盡すが、併しそれと共に自分と云ふものを總て絶對者に任して、之に隨順して行つて居ると云ふ氣持を持つて居りますが、さう云ふものを指して、私は一般的宗教的情操と言ふか、それは佛教とかキリスト教とか神道と云ふのぢやなしに、そこで宗教的情操を涵養せしめることを御勸めになるのですか、或はキリスト教とか佛教とか、神道とか云ふ特定の宗教を持つ方が宜いと云ふ……特定の宗教に依つて涵養される、さう云ふ風な所謂宗教的情操を持つと云ふことが宜いと云ふことになるのですか、其處は憲法との關係に於て非常に重大なことなんです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=67
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068・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 公立の學校に於きまして所謂宗教的情操の涵養と申しますのは、前段に於て御引用になりましたやうに、宇宙の神祕でありますとか、生命の不可思議でありますとか云ふやうなことに對しまして、非常に敬虔な念を起すと云ふやうな所迄導いて參る譯であります、其の上に於てさうした氣持から一人々々が或は佛教に進み、或はキリスト教に進む、是は公立學校の領域ではございませぬので、其の素地を培ふと云ふ程度に致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=68
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069・佐々木惣一
○佐々木惣一君 はつきりと分りまして滿足ですが、更に之に關聯して御尋ねしたいと思ひますが、然らばさう云ふことは國、地方公共團體の設立する學校にはいけないのだが、私立學校に於てさう云ふ特定の、一般的宗教的情操と云ふことでなしに、特定の宗教的の行動とか、生活とか、信條と云ふものを教育しても宜しいと云ふ其の區別の根據が何處に在るのでせうか、其の點に付て公立とか何とか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=69
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070・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 私立學校に於きまして、特定の、例へばカトリツクであるとか、或は淨土眞宗と云ふやうな教育を行ひますことを最初から其の學校が標榜して居ります、入ります者はそれを志して入る、了解して入るから差支ない、斯う云ふ意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=70
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071・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは丁度私が法的の説明をする場合に言ふやうな説明であるのです、自分の意思に依つて入つたのだから、と斯う仰つしやるのでせう、併しそれは私共が言ふ法的の説明で、自分の意思に依つて入つたんだから、憲法の意味に於ける宗教を強制した譯ぢやない、まあ宜い譯ですが、併し社會的の實情を見ますとヽどうしても何處かに入らなければならぬ實情に實は置かれて居るのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=71
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072・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 其處に置きまして、例へば義務教育でございますれば、公共團體の方で、入りたいと思ふ生徒、兒童を入れるだけの設備の用意がある譯であります、ですからそれ以上私立學校を志す方は、自分の意思に依つて入る、斯う云ふ風に考へる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=72
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073・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは法律的の説明ならば、それで滿點ですが、社會の實情を見ると、兎に角教育を皆受けたいと云ふ人間が多いでせう、其の教育の施設、公立、官立の學校と云ふものは、施設としては不十分なんだ、そこで私立に行く、斯う云う状態なんです、だからして結局教育を受け、或は受けさしたいと思ふ者が、教育を受け又受けさせると云ふことを實現すると云ふ方面から申しますれば、矢張り強要されて居るのです、社會的に……、丁度勞働關係に於て法律上は契約の自由があると云つても、事實は契約の自由がないと同じ状態なんです、それですから、私立學校でどんどん宗教教育をやると云ふことになりますとそれは自分の意思で入つたと云ふことは、勞働者階級の契約の自由と同じ説明であつて、實際に強要されると云ふことを考へられぬかと云ふことだけ伺ひまして、別に議論をする氣持はありませぬ、私は是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=73
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074・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 今のに關聯して伺ひたいと思ひます、矢張り學校と宗教の關係でございますが、在來は矢張り帝國憲法に於きましても、信教の自由と云ふことは保障されて居つた關係上、日本に在來からございました例へばカトリツクの學校でありますとか、神道の學校乃至は佛教の學校とか、色色な宗教を行ふことを其の學校の特徴として居つたやうな學校が隨分ございます、併しながら矢張り文部省のお達しに依りまして、それに入る生徒は必ずしも其の宗派に入ることを強要してはいかぬと云ふことになつて居る、例へば曉星に入つて居りましても、皆がカトリツクを強要されると云ふことはない、其の信者もあれば、信者に非ざる學生もある、今後は教育上宗教を尊重すると云ふやうなことになりますと、初から其の學校に入らむとする者は、必ず其の宗派の者でなければならぬと云ふ規則を持つた特別の學校を設けることは差支ないと云ふことになるのでせうか、でありますから宗教を行ふ學校に二種類あつて、入る生徒は自由意思に依つて其の教を強要されないでも居られる一つの學校、從來の例へば日本にありました宗教の學校のやうなものと、それから更に今後は宗旨に入ることを志す學生だけしか收容しないと云ふやうな學校もあり得るんぢやないかと思ひます、學校の性質としては……、それは今後は御認めになる譯でありますか、その點をちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=74
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075・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 從來は御話の如く例へば私立學校で專檢指定學校に於きましては、公立學校と同じやうに特定の宗教教育をやつてはいかぬと云ふのがございましたのですが、戰後に於て一應其の制限を撤廢致して居ります、唯御話のやうにさうした學校へ入りました場合に、學校が生徒に強要するものか、強要と云ふと言葉は非常に強いのでありますが、自然そちらに入つて行くことになるだらう、それに對してやかましいことを役所の方では言はぬ、斯う云ふやうな状況になつて居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=75
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076・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 私の伺ひたいのは、從來の學校に付ても其の關係であつたやうな今の御説明であつた、今後は苟も其の學校に入るには、既に其の宗旨に入る志のある學生だけしか收容しない、斯う云ふ初めから強い規則を學校として持つて居るやうな學校、さう云ふやうな學校も設けられるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=76
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077・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御話のやうな學校も私立學校としては設け得ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=77
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078・荒川文六
○荒川文六君 此の問題に關係しましてですが、宗教教育と云ふ文字に付ては一體どう云ふ風な意味を含んで居るものでありませうか、今の宗教情操教育と云ふものもあるのでございませうか、我々の普通に使ひます宗教教育と言ひますと、宗教の信仰を養ふと云ふことを宗教教育と言つて居るのでありますけれども、是はどう云ふ風な意味に之を使つて居られるのでありませうか、先づ其處を一つ伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=78
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079・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、此の基本法の第九條に宗教教育と云ふ言葉がございますが、新憲法の第二十條の第三項に「國及びその機關は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と云ふ此の宗教教育を承けて居るのでありまして、宗教に關する教育は、全部と云ふ意味ではございませぬ、特定の宗教に關する教育と云ふ風に考へて居ります、從つて宗教に關する知識、例へば宗教學と云ふ風なことに付きましては差支ないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=79
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080・荒川文六
○荒川文六君 どうも今の所がはつきりしないやうでございますが、「特定の宗教のための宗教教育」と是にもあります、それから今の憲法の方に同じ意味のことがありますが、其の宗教の教義と云ふやうなものを教へると云ふことも其の中に含まれるのでありませうか、唯學問としてそれを教へると云ふことでありますか……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=80
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081・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、それぞれの學校の段階に於て多少取扱が違ふと思ひまするが、例へば大學あたりに於きまして、宗教學として又宗教上の知識も教へることは是は何等差支ないと思ひまするが、併し宗教教育の中にそれぞれ狹い廣い意味があると思ひますが、一宗一派の宗教に關して僧侶を養成すると云ふやうな意味に於ける儀式を、其の宗教宗派に屬する儀式を教へるとか、或は狹い意味の色々な行事を教へると云ふ風なことは、公の學校に於きまして、公と言ひますか、國及び地方公共團體の設置する學校に於てはしてはならないと云ふ趣旨から第二項の規定が設けられたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=81
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082・荒川文六
○荒川文六君 どうも御答が私にはぴんと來ないのでございますが、儀式とか何とか云ふことは是は宗教信仰心を養ふ一つの手段と私は思つて居ります、信仰心を養ふと云ふのと知識を養ふと云ふのとは非常に違ひがあると思ひます、宗教教育と云ふのはどつちなんでございますか、兩方含めての話なんでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=82
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083・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 一般の宗教教育と申しますか、宗教情操の涵養と云ふ點に付きましては、御話のやうな歴史でありますとか、或は宗教の偉人の傳記其の他、其の上の方の段階になりますと、世界には現在色々な宗教があつて、それぞれの宗教は斯うした教養を持つて居ると云ふやうなことを、今辻田委員から申しましたやうに、知識として教へると云ふことがあり得ると思ひます、是はまあ廣い意味の教育でありまして、是は公の學校で許される部分であらうと思ひます、此の基本法にありまする「特定の宗教のための宗教教育」と申しますると、只今御話の後段でございますが、そこに一つの信仰に導き入るやうな宗教教育、此の基本法の第九條の第二項にあります意味のやうな本當に眞劍に特定の宗教に導く宗教、之を指定してあるやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=83
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084・荒川文六
○荒川文六君 宗教教育と云ふことは此の信仰に導くと云ふ意味であらうかと自分では思つて居るのでありますが、さう云ふ宗教教育に對して此の教育基本法の第九條第二項は、是は國立及び公立學校に於てはさう云ふことはしてはならない、是は憲法でさうなつて居りますから、無論其の通りのことでありますが、第一項の方はさう云ふ宗教教育、信仰を養ふと云ふ宗教教育に對して、此の法律でどう云ふ態度であるか、我れ關せず焉と云ふやうな冷淡な態度を取るのであるか、或は奬勵する態度であるかと云ふことが、どうも何だか私には消極的に考へられるのでありますが、此の宗教的信仰を養ふと云ふことは、是は私は國民の道徳の手本となることであつて、殊に社會教育の中に含まれた家庭教育に於ては、宗教教育なしには本當の家庭教育は出來ないと迄も思つて居るのでありますがさう云ふやうな信仰を養ふ意味の信仰教育に對しては、政府は奬勵すると云ふ位の態度を持つて居られるのでございませうか、或はさう云ふことはもう自然に任せようと云ふやうな態度で居られるのでありますか、さう云ふことをちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=84
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085・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 第一項の方は先般も申上げましたやうに、例へば宇宙の神祕と云ふやうなものに對して非常に敬虔な態度を養ふ、是は兒童の知識、興味等に依りまして段階はございますけれども、極く下の段階に於ては、例へば種子を蒔いてそれが段々成長する、是は蒔いた人の力だけだらうか、或はそれ以上何かお天道樣と土の力、それ以上の何かあるのだらうかと云ふ位に導きまして、所謂宗教心の素地を養ふ、上の方の段階に於きましては、現在の社會生活に於て宗教と云ふものがどう云ふ役割を歴史的にも又現在的にも果して來たか、又果しつつあるかと云ふやうなことを考へさせると云ふやうなことで、廣い意味の個々に囚はれないやうな宗教心を養ふと云ふことは、是は大いに教育上努めなければならぬことだと思つて居ります、更に又先程申しましたやうな歴史であるとか、威は藝術であるとか云ふやうな面から、宗教が人生社會に於て大きな役割を演じて居ると云ふことを知識としても教へると云ふことは、教育上大に努めて行かなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=85
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086・荒川文六
○荒川文六君 もう少し具體的のことを申上げて私の考を明らかにしたいと思ひますが、例へば國立及公立學校などで、學校としては特定の宗教の爲の信仰を養ふ宗教教育は出來ませぬけれども、併し其の學校に於て、例へば佛教青年會であるとか、キリスト教青年會であるとか云ふやうな團體が出來て、さう云ふものが活動して、それぞれの宗教の信仰心を養ふ爲の授業をする、或は又寺院であるとか、教會であるとかが外部にあつて、宗教教育をやると云ふやうな場合に、教育上それを奬勵するとか、助成するとか云ふやうな態度に出られるものでありませうか、そんなことはもう教育上民間に任して置いて勝手にやらせると云ふやうな態度に出られるであらうかと云ふことを伺ひたいと思ひます、從來に於きましても、例へばキリスト教或は佛教の一部分の人達が、日曜日にさう云ふ目的でささやかながらやつて居るものがあるのでありますが、國民學校の上級の或部分に於ては、日曜日にいろいろの行事……兒童がさう云ふ日曜學校に出ることを故意にではないかも知れませぬけれども、故意と見えるやうに妨げるやうな風がある、さう云ふことは決して正しい信仰を養ふ宗教教育を奬勵する意味ではなからうと思ふのでありますが、今のやうな團體に對しての態度、それをもつと廣く言へは、特定の宗教の正しい信仰心を養ふ爲の宗教教育と云ふものに對して、政府が此の法律に於てどう云ふ風な態度に出られるかと云ふことを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=86
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087・辻田力
○政府委員(辻田力君) 只今御質問になりました事項に付きましては、是は第九條第二項に依つて何等禁止して居る譯ではございませぬ、從つて國及び地方公共團體が設置する學校に於きましても、校友會の活動とか、或は信仰を持つて居る方々が集つて色々研究したり、信仰されたりすることは勿論是は差支へない、従つて小學校に於て先程御話のありました日曜學校に行くことを止めると云ふやうなことは是は適當でないと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=87
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088・荒川文六
○荒川文六君 今の宗教教育の問題ですが、此の條を逐うて色々の問題があらうかと思ひますが、どの問題でも宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=88
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089・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 條項が少うございますから、どの條項でも御隨意に御質問願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=89
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090・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今荒川さんが……宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=90
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091・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=91
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092・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それでは私は此の公民教育と云ふことを御尋ね致したいのであります、此處に「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。」と云ふことがありますが、第一に伺ひますのは、政治的教養は教育上これを尊重しなければならないと云ふのは、さう云ふ教養を與へるやうな教育をしなければならない、斯う云ふ意味であるか、或は又……是はどうも分らぬのですが、政治的教養は教育上これを尊重しなければならぬと云ふのは、丁度信教の場合に、宗教的情操、所謂「宗教の社會生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。」と云ふ文句は分ります、其の關係は別として……、併し公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならないと云ふのはどうも分らない、教育上尊重しなければならないではない、さう云ふ教育は教育として之を與へなければならぬ、斯う云ふ趣旨ではないのか、尊重しなければならないと云ふやうな迂囘的な文句ぢやなしに、公民たるに必要な政治的教養を教育に依つて與へなければならぬと云ふのか、どちらに解するのでせうか、是では公民教育と云ふのは必ず教育上やらなければならぬと云ふ意味なのですか、それとも是は教育其のものとは別に、何か政治教養と云ふものをなすものがあつて、それは尊重しなければならない、斯う云ふやうに見えますが、一體どう解釋すべきものでありませうか、第八條は……、ちよつとそのことを伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=92
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093・辻田力
○政府委員(辻田力君) 第八條第一項でございますが、「良識ある公民たるに必要な政治的教養」は、社會教育に於きましても學校教育に於きましても、これを尊重して實施しなければならない、斯う云ふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=93
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094・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さう云ふ教養を與へるやうな行動をしなければならぬと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=94
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095・辻田力
○政府委員(辻田力君) さういふ意味でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=95
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096・佐々木惣一
○佐々木惣一君 教育上尊重するのではない、それを目標とした教育を施さなければならぬと、斯う云ふ意味と理解して宜しいのですね、教育上尊重しなければならぬと云ふのはさう云ふ教養を與へる教育をしなければならぬと、斯うなんですか、どうもはつきりと分らぬ、今の御答辯では政治的教養を與へる教育をしなければならぬと承つたのですが、さう云ふ意味でなければ意味を成さないのですが、「教育上これを尊重しなければならない。」と云ふのは何のことか分らぬのですが、如何なものですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=96
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097・辻田力
○政府委員(辻田力君) 教育を尊重しなければならぬと云ふのは、尊重して授けると申しますか、是は社會教育と學校と双方含みますから、授けるだけではなくて、自分から求めて、圖書館等に行つて自分から勉強しなければならぬ、さう云ふことを全部含めまして、「教育上」と云ふことに通じたのでありますが、學校教育とだけ書きますと、多少言葉の使ひ方が違ひますので……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=97
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098・佐々木惣一
○佐々木惣一君 要するに國家の行政としては、さう云ふ政治的教養を與へるやうな教育を與へなければならぬと云ふことも、條項全部ではないにしても、それは含まれて居りますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=98
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099・辻田力
○政府委員(辻田力君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=99
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100・佐々木惣一
○佐々木惣一君 そこで、更に今度は所謂「公民たるに必要な」とある「公民」といふものは一體どう云ふものですか、それをはつきりしたいのです、と云ふのは、公民と云ふ文字が我が國に於て使はれて居りますのは、隨分卑俗にも使はれて居りますし、制度上にも使はれて居ります、是は私が申上げなくても……公民教育と云ふ文字が曾て教育制度の上にも使はれて居つた、けれども忌憚なく申上げれば、何を公民と言つて居るか、一體國民と云ふものとどう云ふ點に於て公民と云ふものが違つてゐるのか、或は又社會の一員としての人間と云ふ意味とどう違つて居るのか、特に公民と云ふことの意味が是迄ははつきりとせぬかと思ふのです、でありますから、斯う云ふ風に苟も教育基本法といふやうなものの中に御用ひになるやうな文字であります以上は、茲に其の概念をはつきりとして置いて、さうして從來は實ははつきりとしなかつたけれども、それは過去のことは過去として、今後は公民と云ふものは斯う云ふ意味のものであると云ふことを、結局定めて戴かないと、實際公民教育と云ふものは、或は公民科教育と云ふものは、是迄あつたけれども、忌憚なく申せば、其の效果は上つて居ないのです、それはそれを教へる公民科擔任の先生なんかも何をやつて宜いのかさつぱり分つて居ない、是は私共其の先生から聞いて能く知つて居りますが、それは過去のことは別と致しまして、公民と云ふのは特にどう云ふことを目指すのであるか、公民と云ふのを一つはつきり伺ひたいと斯う思ふのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=100
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101・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、此の基本の中に只今御指摘になりましたやうに、或る所では「國民」と使ひ、此の第八條では「公民」と使ひ、前文に於きましは、「人間」と云ふ言葉を使つてありますが、是はそれぞれ意味がありませぬでして、此の前文に於きましては「人間」と使ひましたのは、第一、前文が此の基本法を制定するに至りまする趣旨、沿革、經緯を示す意味に於きまして、從來非常に國民と言ひますか、國家を中心とした國民、國家の一員としてのものが非常に強調されましたので、人間と云ふ方の面が非常に閑却されましたので、それで前文に於きましては、「人間」と云ふ言葉を使つたのであります、それから第一條に於きましては、是は先程御説明申上げましたやうに教育の大目的でございますので、是は矢張り國家を中心としまする國民、國家と云ふものを前提と致しまして、それを國家及び社會の形成者として是々のことをしなければならぬと云ふ教育の大目的の爲に、國民と云ふ言葉を使つたのであります、それから第八條の公民でございますが、是は政治的な觀點から見た國民と云ふ風な考へ方でございまして、此の第八條は政治に關する教育の點を主として考へました爲に、特に政治的觀點から國民を眺めて公民と云ふ言葉を使つたのであります、尚從來立憲治下の民を公民と云ふとか、其の他色々法規の上にも公民と云ふ言葉が使はれて居る場合がありまするし、又教育上の公民教育とか色々言はれて居りますが、精神に於ては大體同じやうなことではなかつたかと思ひますが、併し此の基本法に於きましては、只今申しますやうな政治的な立場から見た國民と云ふ風なことにして居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=101
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102・佐々木惣一
○佐々木惣一君 其の政治的の立場から見た國民と云ふことがどうも分らないんです、どう云ふことを云ふのか、詰り國家の政治活動に於ける其の國民の地位と云ふ、さう云ふ方面から見たことを言ふのでありますか、詰り國民ですね、要するに是は……、假に私は公民と云ふのは、從來の制度にあります譯の分らぬことであつた、擔任者も何をやつて居るのか、十分知らずに……、私は實は自分の考を言ふことを許して戴くならば、公民と云ふのは、そんな國家とか云ふやうなものに於ける地位に付て政治的知識を與へるとか、政治的訓育をするとか、そんなことぢやないので、國家、社會をですな、自分が背負つて立つて居る、擔つて居る、國家に付て言へば、唯國家の一員であると云ふことの爲に必要な、さう云ふ知識とか訓練とか、と云ふことではないのであつて、國家生活と云ふものを自分が背負つて立つて居るのである、社會生活に於ても……何も國家生活に限らないのでありますから、此の社會を自分が背負つて立つて居るのである、此の社會が善くもなり、惡しくもなるのは我々自身が背負つて立つて居るのだと云ふ、さう云ふ詰り國家社會の團體の運命と云ふものを自分が擔つて居ると云ふ、さう云ふ知識、訓練を中心とした教育が公民教育だと思つて居ります、それでさう云ふ社會なり、國會なりと云ふものを背負つて立つ、其の運命を自分が支配するものだ、自分の行動が、さう云ふ立場からの思想訓練と云ふものを爲すと云ふことが公民教育である、それで公民と國民とは違ふ、國民であつても、それは自ら政治的の面に觸れますれば選擧權があるとか、ないとが、政治に干與するとか何かと云ふことになりますけれども、何も政治に限らない、總て國家と云ふものを自分が背負つて立つて居るから、此の運命を左右するものは我々だ、斯う云ふやうな立場で國民を見た時に、公民と云ふ風に實は外國の人でも言つて居りますが、私自身もさう云ふ言葉ではないのですけれども、私自身もさう云ふ氣持で、特に國民と云ふ言葉に對して公民と云ふ言葉を言ふ時には斯う思ひます、今伺つただけでは、どうも國民教育以外に、別に公民教育と云ふものが必要ありとするならば、國民教育と云ふことで、唯政治的の方面から見て、其の知識なり訓練なりを與へると云ふことのやうに思ふのですけれども、併し私はそれでは實は滿足致しませぬ、公民と云ふ觀念、特に公民教育と云ふものはそんなものぢやないと思ふけれども、併し政府の御趣旨は分りましたから、是れ以上は申上げませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=102
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103・荒川文六
○荒川文六君 義務教育のことに付て少し伺ひたいと思ひますが、義務教育は原則として國又は公立の學校で行ふと云ふやうになつて居りますが、無論色々是れ迄の御話で私立學校でもそれをやることが出來ると云ふことは承知して居りますけれども、原則として國立或は公立の學校でやると云ふことになつて居りませうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=103
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104・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、義務教育の詳細な點に付きましては、學校教育法案の中に規定してございますが、國及地方公共團體に於きましては、義務教育を施す施設を、十分に備へて置かなければならない義務があると思ふのでございます、從つて私立學校に義務教育を認めるかどうかと云ふことに付きましては、私立學校に認められるのでありまするが、國及地方公共團體は少くとも其の範圍に屬しまする兒董、生徒等を收容するだけの設備を備へて置かなければならない義務があると云ふ風に考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=104
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105・荒川文六
○荒川文六君 今の御説明で、國或は地方公共團體は義務教育を行ふ施設をしなければならないと云ふことは分りましたが、國民が其の子弟に義務教育を受けしめようとする場合に、此の學校で義務教育を受けさせたいと云ふ學校を選擇させる自由はありますのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=105
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106・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 差當り來年度から中等學校の義務教育を發足するに當りましては、地域制を採ることを各地方廳に指示致して居るのであります、從ひまして現在の小學校に入學する人は其の近所の小學校に割當てられて居りますやうに、中學校に付きましても矢張り同じやうに選擇の自由なく入ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=106
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107・荒川文六
○荒川文六君 今の御答は、國或は公立の學校に付てのことであると思ひますが、……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=107
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108・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 國立、公立と、もう一つ國立に代用致します私立學校と云ふものがございます、それは地方廳の方から依頼を受けまして、設備が足りないので私立學校が公立代用になる場合がある、是は地域制ではございませぬ、それ以外の純然たる本當の意味の私立學校、是は選拔試驗を受けさせることが出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=108
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109・荒川文六
○荒川文六君 さう致しますと、例へば國民が自分の子供を所謂特定の私立學校で義務教育を受けさせたいと云ふ場合には、其の私立學校に入れて宜いと云ふことに承知して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=109
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110・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 所謂代用致します私立學校でない私立學校に付きましては、是は其處の選拔試驗を受けさせて宜い譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=110
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111・荒川文六
○荒川文六君 實は斯う云ふ例がありますのですが、今年國民學校を出まして、新しい制度の中學校の一年に入學したいと云ふ兒童があります、其の父兄も一つの私立學校に入れたい、無論其の私立學校は授業料を取る私立學校でありますけれども、處が其の國民學校の方で、自分の所に今度は公立の中學校の一年を收容することが出來るので、そこに入れたいと云ふ考から、國民學校の方で其の私立學校に入學する者を、強い言葉で言へば妨げるやうなことをやつた例が二、三あるのでございます、で、是は國民が教育を受ける機會を均等に致すと云ふことにも反することだらうと思ひますが、さう云ふ風なことは適當でなからうと思ひますけれども、斯う云ふ風なことはどう云ふ風に御考へになりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=111
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112・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御話の如く或卒業生が私立の中學校の入學試驗を受けたいと云ふのを妨げたと致しますれば、それは甚だ遺憾な話でございまして、それは間違ひでございます、さう云ふやうな間違ひのないやうに十分注意して居りますが、尚今後とも我々としては能く注意致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=112
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113・荒川文六
○荒川文六君 もう一つそれに關聯してのことでございますが、矢張り父兄が自分の子供をさう云ふ私立學校に入れたいと云ふ希望を持つて居ります、併し公立學校に入れば、授業料はなくて濟みますけれども、さう云ふ私立學校では授業料を要し、自然公立學校に入れるよりは色々の學費が餘計要るので、經濟的の理由に依つて、泣く泣く公立學校の方に入れなきやならない、斯う云ふ風な事例も二、三あるのでございますが、是は誰でも教育の機會を均等に受けると云ふやうな點から言つても、何だかさうでないやうな氣が致すのでありますが、此の第三條の第二項、經濟的の理由に依つて修學の困難なる者に對して修學の方法を講じなければならないと云ふやうな規定は、さう云ふ風な場合にはどう云ふ關係になるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=113
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114・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 此の點は先程辻田政府委員から申上げましたやうに、義務教育課程の學校は公立を原則と致します、公立に進みますのが普通でございまして、それ以上設備が良い、教育が良いと云ふ私立學校に好んで行きたい方はまあ授業料を拂つて行つて宜い、私立學校に參ります方が、何と申しまするか、矢張り現代の段階に於ては先づ例外になつて居りますから、是はちよつと御話の點のやうなことは私共考へて居ないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=114
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115・荒川文六
○荒川文六君 只今の問題に付ては私は其の位に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=115
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116・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 字句の問題を伺ひますが、是はもう既に御説明濟のことかとも存じますが、私は他の法案の委員會に臨んで居つたり何か致しまして、時々中座を致しましたので、若し重複しました質問でございましたならば差控へますが、「法律に定める學校」と云ふことは、先程來政府委員から仰せになりました公立學校に當るのでございませうか、此の基本法に現れます學校は、法律に定める學校と、それから國及び地方公共團體の作る學校と、斯う三種類あるやうでございますが、今御話に出て居りました純然たる私立學校は之に入らないのであつて、「法律に定める學校」と云ふのは、公立學校と言つて差支ないのでございませうか、其の點ちよつと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=116
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117・辻田力
○政府委員(辻田力君) 第六條の「法律に定める學校」と申しますのは、近く御審議を仰ぎまする學校教育法に定める學校と云ふ意味でございます、此の第六條から十一條を承けまして學校教育法が出來ますので、學校教育法案に依るものでございます、從つて小學校、中學校、高等學校、大學、盲學校、聾唖學校、養護學校及幼稚園とすると云ふことでありまして、公立學校のみでございませぬ、私立學校も勿論含みます、それから尚純粹の私立學校と純粹でないと云ふ御言葉がございましたが、法律に定めない學校と申しますのは、能く一般に各種學校と言はれて居る學校であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=117
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118・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 さう致しますと、結局學校教育法に依つて定められる學校でございませうか、實質的には從來の制度としてもあつたのでございませうか、實質的に現在の制度に於て之に該當する學校は、矢張り盲唖學校とか、其の他は、將來學校教育法に依つて御定めになる學校と同じ内容を持つて居る學校が今の制度でもある譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=118
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119・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、現在はそれぞれの學校令に依りまして國民學校、中等學校、高等學校、大學、盲聾唖學校、それぞれございますが、さう云ふ學校でございまして、この教育基本法に於きまして「法律に定める」と致しましたのは、先程申しますやうに、ここに謳ひまして、十一條が之を承けて、十一條からして學校教育法を今作成して、そこで明かにすると云ふことでありまして、從來は勅令で決つて居りましたのが、今度は法律で定めると云ふ考でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=119
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120・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 どうも能く腑に落ちませぬが、私の了解の仕方が惡いのかも知れませぬ、さう致しますと、現在の學校令は廢止になりまして、新に學校教育法が之に代る、斯う解釋致しても差支ございませぬかと云ふことと、今の現存する學校が、其の儘學校の法律的な名稱が變るだけのことであつて、學校の組織其の他には關係がない、唯法規の適用及び適用法令の名前が變る、是だけのことなんでせうか、其の點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=120
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121・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、此の學校教育法が法律として出來ます場合には、從來の學校教育令、勅令に依ります學校教育令は廢止になる譯でございます、それから尚それぞれの學校の内容に付きましては、學校教育法に於て規定されますのでございますが、大體所謂六・三・三・四の、あの學校制度で參りますので、從來とは變つたものになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=121
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122・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 もう一つ伺ひたいと存じますが、第八條に關係致すことでありますが、第八條には、「法律に定める學校は、特定の政黨を支持し、又はこれに反對するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」、それから今度反對に、第九條に於きましては、宗教に關係しまして、「國及び地方公共團體が設置する學校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない」、斯う云ふ内容、ここに八條及ひ九條に盛られました内容が違ひますが、立法の形態から致しますと、第八條に於ては、法律に定める學校はしてはいけないが、國及び地方公共團體が設置する學校に於ては特定の政黨を支持しても宜しい、斯う云ふ反對解釋も立つやうに思ひますが、さう解釋しても宜しうございますか、第九條に於ては國及び地方公共團體が設置する學校は宗教活動をしてはならない、法律に定める學校に於てはしても宜しい、斯う云ふ風に反對解釋を兩條に付て成立させても宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=122
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123・辻田力
○政府委員(辻田力君) 第八條の「法律に定める學校」の中には、國及び地方公共團體が設置する學校でありまして法律に定める學校、先程も申しましたやうに小學校、中學校、高等學校、大學、盲學校、聾唖學校及び幼稚園と云ふやうな學校教育法に定められる學校は、それが國及び地方公共團體の設置したものでありましても、又私立學校でありましても、苟も學校教育法で定められた學校は全部此の第八條に包含されるのであります、第九條は此の法律に依つて定められてない學校に付きましても、凡そ國及び地方公共團體の設置する學校は、法律に定められて居る學校であつても、法律に定められてない學校でありましても、第九條第二項の適用を受けることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=123
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124・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 一應質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=124
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125・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今の「法律に定める學校」と云ふことに關聯してちよつと御尋ねしたいのですが、今伺つて居りますると云ふと、學校教育法と云ふもののことをここで謂ふ法律と、斯う仰しやつて居るやうですが、之を率直に讀むと云ふと、そんなことぢやないんで、凡そ法律と云ふもので定める學校は、と云ふ風に取れます、詰り法律以外のもの、例へば勅令と云ふやうなもので定める學校と云ふものとはもう別に考へて居ると云ふやうな意味に取れるのですが、此の法律に定める學校と云ふのは別に學校教育法には限らぬのぢやありませぬか、此の基本法の時にはまだそんなものはないのだがら、事務的には考へて居られましても制度的には……、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=125
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126・辻田力
○政府委員(辻田力君) 只今私の言葉がちよつと足りませぬでしたので失禮致しましたが、此の「法律で定める學校は」と云ふ内容に付きましては、第十一條に於て適當な法令が制定される、其の法令に付ては、今考へて居りますのは學校教育法でございますが、併し又別に單行法律を作りまして、それで學校が出來る、法律に定める學校が出來ると云ふこともあり得る譯なのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=126
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127・佐々木惣一
○佐々木惣一君 御説明は分りました、どうも併しここの條文もどうも率直に申せば條文としてどうも具合が惡いのですが、まあ暫く、こんなことを言つても間に合ひませぬから止めて置きまして、そこで之には私立學校も入ると云ふ御説明でありましたが、「法律に定める法人のみが」と、斯うあるのですが、法律に定める法人と云ひますると、國又は公共團體以外にも公共組合と云ふものがあり得るのですが、公共團體の中には地方公共團體もありますけれども、組合公共團體もあります、まあ今は到底實力上出來ないですけれども、何々水利組合とか、ああ云ふ組合がある譯ですね、さう云ふ組合公共團體と云ふものは、是はどうなんですか、學校を設置することが出來るのですか、出來ないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=127
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128・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 御答へ申上げます、現在は農業會で立てて居る學校が一校ございます、其の以外には大體地方公共團體でありまして、水利組合とかさう云つたものは事實に於てはないのでございますが、暫定的には農業會のも、後に提出致します學校教育法では認めて行く積りでございますが、將來と致しましては矢張り地方公共團體と、別に定める法人に、大體此の教育法に定めます學校に付ては、限定致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=128
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129・佐々木惣一
○佐々木惣一君 公の團體でありましても、所謂從來の謂ふ意味の私立學校でない、公共團體としては公法人、公の團體と考へられて居るものの建てる學校でありましても之には許されぬ譯ですね、基本法では……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=129
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130・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=130
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131・佐々木惣一
○佐々木惣一君 そこで法律で定める法人と申しましても、實は、例へば私立學校、其の私立學校は將來法人でなくちやならぬ、斯う云ふ譯なんですか、さう云ふ御趣旨でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=131
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132・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左様でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=132
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133・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それでさつき私立學校、私立學校と云ふ言葉は私も皆さんも使ひますが、其の公の性質を持つて居る……公の性質と云ふことはどう云ふことですか、その私立學校は公の性質を持つて居ると云ふ、假に私立學校とすれば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=133
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134・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の法律で定めます學校は、一應矢張り國の事業と致しまして、公の性質を持つものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=134
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135・佐々木惣一
○佐々木惣一君 只今申上げましたやうに、私立學校はどうなりますか、國の事業なんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=135
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136・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それは行政法になると解釋問題と思ひますが、今迄も矢張り私立學校に付きましては、私共矢張り公企業の特許と云ふやうな風に考へて居りまして、今度も法律に掲げます學校に付きましては、從來と同じやうに解釋を致して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=136
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137・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうしますと、此の公の性質と云ふのは、今日晝間文部大臣から伺つたのと少し違ひますが、經營の、事業の主體から見た……、文部大臣の御言葉にさう云ふことがあつたが、其の事業の性質が公の事業のやうに考へられた、今の御話は事業の主體の性質、此の公の言葉を使ふのは極めて漠然として居る、其の事業が公の性質を持つて居ると云ふことか、事業の經營する主體が公の性質を持つて居ると云ふのか、非常に漠然として居るので、此の條文もどうもはつきりしない、それでどう云ふものでありますか、此の解釋は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=137
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138・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 其の事業は公の性質を持つものでありますが、事業の主體としては矢張り學校の設置者と考へるのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=138
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139・佐々木惣一
○佐々木惣一君 其の事業の性質が公の……是はどう云ふ意味ですか、事業の性質は公と云ふのは、公共のことに役立つことは、公共のことを目的とすると云ふ意味で公と云ふのでありますか、事業の性質はどう云ふことですか、此處の所ははつきりしたいと思ひますけれども、私はそれで質問を止めませう、併し兎に角御研究を願ひたいと思ひます、是は非常に……、それからですね、法律に定める法人と云ふのでありますが、唯是はさう云ふ法人ですね、是は法律で定める法人は設置出來ると云ふことでありますか、或は此の法律で定められることに付て何等か或内容を豫想して……、今日私立學校は、大學に於ても私立大學は非常に、私共の立場から申しますれば、國家の爲に役立つて居ると思ひますけれども、併し色々内部關係がありまして、實際は弊害を釀して居るものもある、そこで此の私立學校などに關する法人は一般の他の法人と違つて、何か内容的に法人として決める場合に、内容的に何か一般法人と云ふ性質を持つて居ればいいと云ふのぢやなく、別に何か特別の規定を設くると云ふやうな、例へば定款に付きましても、何か國家が教育を是で法人上何か指揮するやうな意味の御考があるのでありませうか、具體的に申せば、例へば大學に付きましては、私立大學等に付きましては隨分亂暴な大學があるのでございます、大學の學長とか、總長とか云ふ首腦者は、所謂大學の創立者と稱した者の特別の親族的の、親類的の縁故があると云ふやうな人を以て之に充てると云ふやうなことに、嘗つて定款を改めた大學もある、それを又文部省が認可して居る、實はそんなものを作る學校も學校ならば、そんなことを認可する文部省も文部省なんです、實際是は……、凡そ私立大學の其の學長とか、總長とかになる人間が、其の創立者とか何とか云ふものの子孫であるとか、縁故者であるとか云ふ故を以て、甚しきに至つては規則的にも優先するやうな馬鹿らしいことは言ふ迄もなし、さう云ふ規則がないに致しましても、其の創立者なるものの縁故者の故を以て、或は學長となり或は總長となると云ふことに付ては優先すると云ふ事實があるならば、非常な間違だ、それが實際事實あるのだ、でありますから、さう云ふやうなことを將來ないやうに、又私立大學、私立學校の經營者と云ふものは、其の教職員に對して非常に專横だ、例へば其の職務を罷免する時に、一体の葉書でやつてしまふと云ふやうな亂暴なことをやつてる、それから待遇に付きましても矢張り亂暴なもので、經營者自身は自分が學校經營からして間接にでも金が入つて居る、さう云ふやうなことは、是はどうも法人と云ふやうなものが出來たからと言つて滿足すべきものでないのであります、それで將來學校に關する法人を御定めになる場合に、何等かさう云ふ點に付ては弊害を矯めると云ふ爲に、特に學校法人、私立學校法人と云ふやうなものを作ると云ふ御考があるのでありますか、唯形式的に法律と云ふもので作る法人だと云ふ御考であるか、ちよつと此處を伺つて置きたい、是はね、甚だ失禮でありますけれども、一體文部省の從來教育行政に關する考へ方が誤つて居やしないか、文部省は自分の學校、官公立、主として官立と云ふやうなものを良くすると云ふことが文部省の學校行政だと考へて居つたやうです、さうぢやない、文部省の學校行政と云ふものは、自分が設立して居る、管理して居る官立の學校を良くするのみならず、凡そ日本にある有りと有らゆる學校を良くすると云ふことが學校行政でなくちやならぬと思ふのです、處が從來の、失禮でありまするけれども、文部省のやり方はさうぢやない、唯自分の管理して居る學校を良くすることを學校教育行政であると考へて居ると思はれるやうな態度があります、そこで私は是は非常に間違つた考へ方だと思ひます、是は法人に改めると云ふやうな御話であるやうですが、それなれば唯法律で定めて法人にすれば宜いと云ふことぢやなく、法人にすると云ふやうな、其の内容に付て、其の法人法の内容に付て多少今から研究する所がなくちやならぬ、斯う云ふやうに思ふのですが、決して責めるのではありませぬ、言葉は責めるやうな言葉を使ひましたが、(笑聲)殊更さう云ふ御方針を伺つて置くだけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=139
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140・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 實は「法律に定める」と書いてございますのは、御承知のやうに、現在私立學校は大體に於きまして、民法に依る財團法人で設立されて居ります、一般の公益法人の民法上の法規に從ひますのですが、學校には學校自體の行き方があつて宜いのぢやないかと斯う考へまして、大體文部省に於きましては學校法人法と云ふものを豫定致しまして、今それを研究して居りまして、其の成立することを豫想致しまして、實は斯う云ふ風に規定して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=140
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141・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたですが、それで學校には學校のやり方があるが、併し今申ましたやうな現實の事實があるのだ、實際に非常に氣の毒なのは、私立大學に付て見ましても私立大學の諸先生であります、私共は官立から養成されまして官立に勤めさせて戴きまして、實は非常に勿體ないと思つて居る位であります、是は何か官立大學の教授であるが故に、其の故に私立大學の教授より偉いやうに、社會が、馬鹿な社會が思つて居る、斯んなことはない、皆其の待遇なり、其の施設なりと云ふものが私立に對して官立は良いから、それでまあ御蔭で以て官立に勤めて居る者は、甚だ失禮であるけれども私立に勤めて居られる方よりも如何にも良い仕事が出來るやうになつて居る、所を變へて、官立大學の先生を私立大學に遣つて、各私立大學の先生を官立大學に遣つたら、官立大學の教授と私立大學の教授の區別はない、私はそれ位に思つて居るのだ、それで私は私立大學を良くしたいと云ふ考を持つて居りますから、それで茲に法律で定める法人のやうなことに付きまして、將來私立學校に關する法人法を御作りになります時には、多少でも御參考になると思つて、私立學校の状況を實は忌憚なく申上げたのであります、是で私の質問を打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=141
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142・荒川文六
○荒川文六君 今の御話の中にもちよつと出ましたし、又昨日大臣の答辯の中にも出ましたが、教育に關する法律は、衆議院の方に學校教育法と云ふものが出て居るさうでありますが、其の外に大凡どう云ふものが是から準備せられるのでありませうか、豫定せられて居りませうか、若し出來ますならば、どう云ふものと云ふことと、内容の概略でも伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=142
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143・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ致します、只今御指摘のありましたやうに、學校教育法が現在衆議院の方に掛つて居りますが、之に續きまして今研究して居ります法律を申上げますと、地方教育行政に關しまする法律案と、それから只今も御話がありました學校法人に關しまする法律案と、學校教員の身分に關しまする法律案、それから社會教育關係に於きまして若干の、例へば圖書館とか、色々施設がございますが、それで法規を要するものに付きましての法律案、社會教育に關係ある法律案、さう云つたことを大體研究して居りますが、是は教育刷新委員會に於きまして御研究を願つて居りまして、其の結果を能く拜見した上でなければ、内容的に今直ぐ申上げることが出來ない事情であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=143
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144・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の御話の準備されつつある法律案の中に地方教育行政法の案があると云ふことでありますが、是は先達つて本會議で文部大臣が此の議會に御提出になると云ふことを仰つしやつたやうでございましたが、其の後遅れて居るのは、特別の事情がございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=144
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145・辻田力
○政府委員(辻田力君) 地方教育行政問題に關しまする法律案の問題でございますが、文部省としましては、此の議會に御諮りを申上げたいと思つて準備を進めて居たのでございますが、關係方面と種々の事情がございまして、此の議會にはお掛け出來ないと云ふ風な事情でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=145
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146・宗武志
○伯爵宗武志君 其の法律が出ませぬでも別に義務教育の 六・三制には影響はございませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=146
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147・辻田力
○政府委員(辻田力君) 其の點は差支へないやうに修正致してあります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=147
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148・宗武志
○伯爵宗武志君 承りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=148
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149・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) では本日は是にて散會致します、次囘は明後二十二日午後一時より開會致します
午後三時三十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=149
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150・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 今園國貞君
副委員長 伯爵 宗武志君
委員
侯爵 大久保利謙君
伯爵 橋本實斐君
子爵 北小路三郎君
子爵 三島通陽君
子爵 田中薫君
平塚廣義君
佐々木惣一君
荒川文六君
羽田亨君
男爵 松平齊光君
男爵 坂本大造君
坂口康藏君
坂田幹太君
瀧川儀作君
田島道治君
正田貞一郎君
小山完吾君
淺井清君
侯爵 大隈信幸君
國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
政府委員
文部事務官 日高第四郎君
同 柴沼直君
同 清水勤二君
同 稻田清助君
同 辻田力君
同 剣木亨弘君
説明員
文部事務官 増田幸一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00219470320&spkNum=150
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