1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○教育基本法案
○學校教育法案
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)
午後一時十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=0
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001・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは教育基本法案の委員會を開きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=1
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002・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 私は文部大臣に對しまして、教員の身分に關係しまして、勞働組合等の勞働運動に加入し、又組合に加入すると云ふやうなことの可否に付て一應伺つて見たいと思ひます、其の前に文部大臣がお出でになりませぬでした御留守の間に學校の種類に付きまして此の前御伺ひ致したのでありますが、是は法文の讀み方が粗漏でございまして、それを後日讀みまして能く了解致しました、尚學校教育法も併せまして先日御尋ね申上げたのですが、誠に愚問であつたと云ふことを氣付きまして、能く其の點は了解致しました、本日は只今申上げましたやうに、主として第六條の第二項の關係に關聯しまして、教員の身分に關係しまて、是が生活維持の爲に勞働組合に加入すると云ふことが宜いか惡いかと斯う云ふことに付て、聊か御質問申上げたいと存ずるのであります、申す迄もなく教員は大切な子弟を預りまして、殊に小學校教員の如きは、單に學術を教へるのみならず、身を以て自分の人格を幼い兒童に及ぼすと云ふやうな重大な任務を負ふ立場に置かれて居るのでありますから、教員の一擧一動は幼い子供の心に極めて印象深く植附けられる譯であります、日頃尊敬して居る教員が、教員自體の生活の爲に徒黨を組み勞働組合などに加入致しまして、勞働條件の爭ひから、是が罷業、延いては總同盟罷業等に關し、教師は學校の教職を其の間、等閑にして狂奔すると云ふことを幼い兒童に見せましたことは、兒童に對する感化上も如何かと存じます、又教育をして居る身と致しまして、其の父兄等に對しましても、責任上から致しましても、非常に大きな問題であります、又學校全體と致しましても、父兄に對しまして、其の子女を預つて居る立場から致しまして、教育の途中に於て左樣な支障を長く繼續するやうなことは、甚だ遺憾なことであります、伺ひます所に依りますと、民主主義の最も發達して居りまする英米等に於きましても、過般我が國に於て行はれましたやうな、教員の罷業と云ふやうなことは全然見られない事實である、尤もアメリカに於きましては積極的に教員が勞働組合に加入し、若しくは罷業してはいかぬと云ふ規定はないさうでありますが、教員自體の良識に於きまして斯かる行動は決して見られなかつたことである、我が國に只今駐在して居ります連合軍の人達も、過般我が國に於きまして展開されました實情には、極めて奇異な感を懷かれたさうであります、日本の法制上から致しまして、教員が勞働組合に加入して良いか惡いか等のこと、又是が國立の學校等にあります時は、教員は教員にして同時に官吏の身分を持つて居る、それが勞働組合に加入して宜しいかどうかに付ては、どうも法制上はつきりした區別がまだないやうに、私共感ぜられるのであります、今囘御制定になりまする教育基本法に於きまして、其の六條の第二項でありまするが、「教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。」斯う書いてあります限りは、此の條文を受けて、將來日本の政府に於きまして教育には少くとも衣食住には困却させい、後顧の憂なく教職の任務を十分盡させるやうにしなければならぬと云ふことに相成る次第でありまするから、斯くなりますれば、教員は何も勞働組合に加入し、徒黨を組んで自分達の生活權を守ると云ふ必要も起らないやうになるのではないか、さう致しますれば事實上からして、大問題が解決されるやうな氣も致します、又さうありたいと私共は念願して已まないのであります、此の點に付て制度の問題と致しまして、先づ教員が、殊に小學校教員が教職を放擲して勞働爭議に身を投ずる、又組合員として結成に入ると云ふことが宜しいものでありませうかどうか、此の點を御伺ひ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=2
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003・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 教員が勞働組合を結成すると云ふことを禁ずることは、どうしても是は出來ないことと考へるのであります、團體權と云ふものが保障されて居りまする以上、如何ともすることが出來ないのではないかと考へます、勞働者一般に關する勞働組合法の適用と云ふものが受けられるのであると考へられるのであります、唯教員は此の基本法の第六條にも書いてありまするやうに、一般勞働者とは異つた性格と使命を持つて居りまするので、其の罷業權などに付きましても、他の勞働者とは違つて、教員自體の自覺に依る行動が望ましいのであります、從つて本法第六條には、教員の罷業權に付て勞働組合法以上に何等規定は致さないのでありますが、要するに教員の自覺に委ねた次第であります、どうも今日の大勢上教員が組合組織を行ふ團體を組織すると云ふことを如何ともすることが出來ないことと思ふのであります、彼等の待遇を改善することに依りまして、不謹愼な態度に出ることを抑制しなければならぬと信じて居るのであります、併し單に物質上の方面のみならず、教員の特殊の地位と云ふものを自覺させて參らなければならぬことは無論であると考へるのでありまするが、彼等の團結を抑壓すると云ふことは爲し得ないことと考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=3
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004・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 今文部大臣から御述べのことは能く理解致しました、併しながら今囘我が國に展開せられました教員のみならず、鐵道、遞信從業員の如き、一方は教育の重大な使命を帶びて居り、一方は公益上重大な關係を持つて居ると云ふ立場から致しますと、從來の一般の勞働組合法の關係に於て、何等か今御特別な法制上の例外とでも申しまするか、さう云ふものを考慮することが寧ろ國家進運の爲になると云ふ風に私共考へて居りまするが、聯合軍から過般出ました聲明でございまするか、談話でございまするか存じませぬが、是等の點に關聯のある話があつたやに記憶致しております、國家の公益に關係する者が斯かる大きな罷業をやつて國民の生活を脅かすと云ふやうなことはあり得べからざることである、一般の人もさう考へられる點である、況して今日敗戰の爲、國力の非常に疲弊した日本の立場から致しまして、一刻も早く國力を恢復しなければならぬ、其の立場に立つ公益從業員の行動と致しましては、非常にああ云ふ大きな爭議をやると云ふことは甚だ不適當である、斯う云ふ關係は國民生活に直接の關係はございますまいけれども、先程も大臣も仰せられました、私共も申上げましたやうに、教職員の身分は非常に重いものでありまするから、只今の日本の法制上組合に加入することを阻止することはどうしても出來ないと云ふことではございませうが、さう云ふ點から鑑みまして、將來の立法上の考慮は矢張り加へられて然るべきものかと考へる、其の代り國としては教職員に生活上の後顧の憂を與へないと云ふことにして、安心して教育のことに身を委ねると云ふことにする、國家の制度として進まれることが非常に私は願はしいことであると考へます、其の點は重ねて申上げまして、或は論議に亙るかも存じませぬ、私の感じと致してはさう云ふ風に考へて居ります、此の點重ねて御尋ね申上げる譯ではございませぬ、何か御考がありましたならば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=4
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005・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今御質問になりました中に、教員の身分に關しましては、只今教育刷新委員會に於て審議中でございまして、近く内閣に對する答申がある筈に相成つて居ります、其の結果を俟ちまして教員の身分に關する法律を立案致したいと考へて居るのでございます、尚教員中には組合運動の爲に時間を多く割きまして、教授を廢すると云ふような虞がありまするので、寧ろ是は何百人に一人と云ふやうな風に、斯う云ふ方面の仕事に當りまする者を特に定めますることが宜いのではないかと思ひまして、先般教員の組合とも契約を結びましたのであります、寧ろ向ふの要求を容れた次第でございます、是は御參考迄に此の點を申添へて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=5
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006・三島通陽
○子爵三島通陽君 只今橋本伯爵の御質問の御趣旨に私も大贊成でございます、大臣の御答辯で能く了承は致しましたけれども、少しく此の問題に付きまして心配の點もございまするので、其の點を伺ひたいと存じます、現在教員が教員組合を作つて、鬪爭をする、是は今大臣の御話で已むを得ないであらうと云ふことでありました、是は今認めることに致します、認めると致しまして、此の組合が、今度選擧が行はれますが、選擧でエーだとかビーとか云ふ人を、代議士なり或は參議院議員に推薦をして、其の當選を圖る爲に色色な活動をすると云ふことはどう云ふ風になるのでございますか、此の點を伺ひたいと思ふのでございます、教員組合が政治運動をすると云ふことは、第八條に關係があると思ひますので、元來組合が其の組合の使命を離れて……生活權の獲得と云ふことで鬪爭するのは、是は宜しいと思ひますが、組合が政治運動をした場合に……是は多分今度の選擧あたりでは屆出をするのではないかと思ひますが、屆出だけしてそれで濟むものであらうかと云ふやうに考へられるのであります、或候補に立つた人が政黨に入らない、それなら或は宜いかも知れませぬが、若しかして其の候補に立つた人が特定の政黨に入つた場合、どうするか、それは教員が個人の資格に於て自己の共鳴する政黨に入る、之を止めることは出來ないと思ひます、是は自由だと思ひますが、特定の政黨に入つた人を組合に指名して選擧させると云ふことは、大きな問題になつて來やしないか、又假に政黨に入らないにしても、組合が一時的なりともさう云ふ政治運動をすると云ふことは、組合の本質から考へて如何なものであらうか、斯う云ふ心配が一應されるのでありますが、其の政黨に入つた場合、入らない場合、兩方に於きましての大臣の御考を一應伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=6
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007・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今御質問の點の教員組合は、勞働組合法第二條に依りまして副次的に政治運動を爲すことが認められるのでありまするからして、其の範圍内に於きまして選擧運動を爲すことは妨げないと考へるのであります、唯本法第六條第二項に依りまして、法律に定める學校の教員は全體の奉仕者と致しまして、其の使命を自覺し、其の職責の遂行に努めなければならないのでありまするからして、學生生徒の教育を怠つたり、其の教育を殊更に利用を致しまして、又は自らの地位を濫用したりすると云ふやうなことはいけないと言つたやうな限界があることと考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=7
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008・三島通陽
○子爵三島通陽君 成る程只今大臣の御話のやうに、法律的には是は自由であるかも知れませぬ、併しどうも是は教育者と云ふものの立場から考へますと、特定の政黨に入つた人を教員組合の者が假に推す、其の教員組合の個々の組合員はそれぞれ色々な思想を持つて居られるので、必ずしも或者は自由黨とか、或者は社會黨とか、或者は共産黨とかの思想に共鳴しない人も相當あるのではないか、それを無理に組合で特定の政黨に入つた人を推さなければならないやうに仕向けて行くと云ふことは、是は如何なものであらうかと云ふ、さう云ふ疑問が起つて參ります、是は單り教員組合のみならず、色色な組合に起つて來る當然の問題ではないか 最近の新聞の投書欄のやうな所にもそれが少しく問題になつて居るやうでありますが、是は教育家であるが故に斯う云ふ問題を尚反省をして考へなければならない重大な問題ではないかと思ふのであります、勿論教育家が何れの政黨に入らうと是は個人の自由で、之を止めることは出來ませぬ、併し教員としての組合が特定の政黨に動かされると云ふやうなことは、是は教育家としてそれで善いか惡いかと云ふ根本疑念が湧いて來るのでありますが、是はどう云ふ風に御考でありませうか、もう一應伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=8
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009・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 勞働組合が選擧運動を致しますることは、厚生省、内務省、中勞委間の會議に於きまして、數日前認められることとなつたのであります、從つて勞働組合法に依りまする教員組合の選擧運動も許される譯であります、どうも勞働組合法に依りまする教員組合の選擧運動が許されまする以上、之を如何ともすることが出來ないのではないかと考へるのであります、教員組合が組合員の基金を選擧運動費に支出しようと致しまする時には、唯勞働組合法十三條の規定に依りまして、總會の決議を經て行へば差支へないと云ふことに相成つて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=9
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010・三島通陽
○子爵三島通陽君 私は此の問題に付てはもう是以上申上げない積りでございます、唯私と致しましてはどうしてもさう云ふ根本の疑念が殘りますけれども、後は議論になりますから申上げない積りでございます、大臣の御答辯で一應了承致しました、序に伺ひたいのでございますが、第九條の宗教教育の問題でございますが、是は昨日佐々木先生と荒川先生から御質問が大分出まして、もう既に先生の御意見で盡きて居るやうに思ひますが、當局の御答辯も大體了承致しました、併しどうもまだ少し私の氣持がはつきりしない所がございますので、是は唯大臣の御意見だけを承つて見たいと思ふのでございます、と申しますのは、私は教育と云ふのは智育、徳育、體育と此の三本足で立つて居ると思ふのであります、其の中の徳育を施します上に、矢張り人格の完成と云ふ上からは、どうしても宗教的情操と申しますか、斯う云ふ言葉を政府委員は御使ひになりましたが、さう云ふものが人間の生活の上に、徳性の涵養の上に非常に大きな力を持つて居るのではないか、此の敬虔な態度、斯う云ふものなしでは全き教育と云ふものが果して完成されるものであるかと云ふやうな私個人としては疑を持つのでございますが、此の兒童が何れの宗教宗派に屬するかは、是は兒童なり學徒なり其のフアミリーなりが決める問題であつて、教授が濫りに自己の宗教を學童に押賣りするべきものではないと思ひます、又此の間の答辯にございましたやうに、或特定の宗教儀式をやる、是は差支へないと思ひます、併し教育全般から申しまして、さう云ふ宗教的情操と云ふ言葉が當りますかどうか、是は政府委員の御言葉を其の儘頂戴したのでありますが、さう云ふものも大いに必要であつて、是は文部省としても十分小學は小學らしく、中學は中學らしく、それぞれの年齡に應じた教育を施さうと云ふ御話で、私も是は安心をして居るのでございますが、併し何だか此の法律を讀んで居りますと、宗教と云ふやうなものに對して無宗教と云ふやうな態度があつて、結局法律だから冷たい態度でも宜いのかも知れませぬが、此の法律だけでは無宗教も許される、是は許されることは當然なのでありますが、それに對しても何等教育的には差支へないのだと云ふやうにも取れはしないかと云ふ疑念があるが、此の點がどうもまだぴんと私に來ないのでありますが、如何なものでございませうか、勿論無宗教と云ふものも許されると思ひますが、教育家が教育を施す上に、殊に小さい小學校あたりで教育をされる場合は、矢張り宗教的敬虔な心持、情操教育と云ふやうなものも、是は非常に重大なものではなからうかと云ふやうに考へるのでございます、サイエンス一點張りの教育と云ふのでは何だか徳育の上に缺けることがあるのではなからうか、サイエンスを通して神に近付けて行くと云ふやうなものが何かあつて欲しいやうな氣が致します、昨日の政府委員の御答辯も、小學校等に於ては、科學を研究する上に於ても矢張り鳥の親子の愛情とか、或は鳥なら鳥を研究するものを通して宇宙の神祕と云ふやうなものに近付けるやうに仕向けると云ふやうな御話もありましたので、一應了解致しましたのみならず、さうあらねばならないと思ふのでありますが、併し何だか此の法律を拜見して居ると不安なのでございまして、何か大臣の之に對する御考を承ることが出來れば幸ひに考へる次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=10
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011・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 昨日私は午後他の委員會に參らなければならなかつた爲に缺席致しましたが爲に、佐々木、荒川兩博士の御質問竝に政府委員の答辯をも聞き漏しましたのでございますが、此の點に關しましては少しく歴史がございまするので、最初は宗教的情操の涵養云々と云ふ文字になつて居つたのでございます、寧ろ宗教的情操を涵養せしめることを謳つて居つたのでありまするが、去る方面の意見に依りまして、之を削りまして、單に宗教に關する寛容の態度が記されることになつたのであります、積極的に宗教的情操を涵養する必要を説いて居つたものでありまするが、其の後になりまして寧ろ消極的な規定になりましたのでありますが、併しながら其の次に宗教の社會生活に於ける地位を尊重しなければならぬと云ふことが述ぺられて居るのでありまして、宗教の社會生活に於ける地位が尊重せられるに連れまして、自ら又其處に宗教的情操と云ふやうなものも湧いて來ることになりはしないか、こんな風に考へて居るのでありますが、只今申しましたやうな經緯を經て居るものでありますることを、御了承願いたいと考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=11
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012・三島通陽
○子爵三島通陽君 大臣の御言葉で了承致しました、教育上の宗教の地位を尊重すると云ふ意味に私が申上げたやうなことは含まつて居るんだと云ふやうに承りましたので、安心を致した次第でございます、是は御答は大臣からでなくても結構でございますが、もう一つ簡單なことを伺ひたいのでございます、第七條の「社會教育」の第二項でございますが、此の二項と憲法の八十九條との關係を伺ひたいのでございます、憲法の八十九條には、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは團體の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に屬しない慈善、教育若しくは博愛の事業に對し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と云ふ條項でございますが、此の圖書館とか、博物館とか、公民館とか等の設備の設置等に付きまして、公金其の他公の財産と云ふものは此の八十九條に依つて物的には援助が出來ないのではないかと云ふ疑念を持ちさうに思ふのであります、八十九條は是は宗教のことを言つて居るのだと思ひますが、「教育若しくは博愛」と云ふ字がございますので、此の教育と云ふ言葉が引掛つて來ると、此の點誤解を生じ易いと思ひますので、はつきりさして置きたいと思ふのでございますが、如何でございますか、さう云ふ點は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=12
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013・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、教育基本法の第七條第二項に於きまして「國及び地方公共團體は、圖書館、博物館、公民館等の施設の設置、學校の施設の利用その他適當な方法によつて教育の目的の實現に努めなければならない。」是は社會教育の從來非常に不振でありました點を改めまして、今後民主的な、平和的な、文化的な國家を建設する上に於て、社會教育が非常に重要である點を認めまして、特に國及び地方公共團體は此の點に留意しなければならないことに付て茲に謳つて居るのでございます、從つて直接には新憲法の八十九條と關聯しての問題ではないのでありますけれども、併し只今御質疑がありましたやうに、八十九條の後段の「公の支配に屬しない慈善、教育若しくは博愛の事業」とありまして、勿論「公の支配に屬しない」と云ふのは矢張り教育にも掛つて居るのでございますが、是は教育に付て例を申上げますと、一私人が育英的な方面に經費を出して居ると云ふ風な育英事業等もございますが、さう云ふ風な一私人が出して居られるやうな事業に對しては、公の支配に屬しない教育の事業と云ふ風に解釋して居るのでございます、從つて一定の法規に基きまして國又は地方公共團體が事業をして居ります場合には、それは公の支配に屬する教育の事業と云ふ風に解釋して宜いだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=13
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014・三島通陽
○子爵三島通陽君 只今の政府委員の御答辯で大體了承致しましたが、さうすると、若し假に個人が私立の圖書館、博物館、公民館等が……公民館はどうか知れませぬが、尠くとも圖書館、博物館等があつた場合に、是は矢張り八十九條で地方公共團體若しくは國家が援助することは出來ない、併し此の七條の精神から言へば、當然斯う云ふものも或程度の補助をして宜いと思はれるのでありますが、是は精神的援助のみしか出來ないと、斯う云ふ風に解釋されるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=14
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015・辻田力
○政府委員(辻田力君) 只今私が説明申上げましたのは、言葉が足りませぬで、只今のやうな御質疑がございましたが、例へば個人が圖書館を作りまして、其の時に將來圖書館法と云ふ風な法律が出來まして、此の圖書館法に基いて個人が其の圖書館を經營して居ると云ふやうな場合には、公の支配に屬すると云ふやうなことにならうと思ひますが、單に自分の書齋の一隅に閲覽室を設けたと云ふやうな場合には、公の支配に屬しないと云ふことにならうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=15
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016・三島通陽
○子爵三島通陽君 了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=16
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017・佐々木惣一
○佐々木惣一君 教員のことが出ましたので、それに關聯して……、教員の尊重とか待遇の適正とか云ふことに色色關聯しまして、まあ教員のみでなしに、一體國家の公事に關與して居る者は尊重し又それの待遇を適正にしなければならぬと云ふことは分つて居る、さうすると、特に教員と云ふものであるが故に、それに對して尊重し其の待遇を適正にすると云ふやうな、さう云ふ考を以て此の教育基本法が出來て居るのでありまするか、唯一般國家の公務に當つて居る者を尊重し其の待遇を適正にしなければならぬと云ふことを、唯此處で現はしたものでありませうか、ちよつとそれを御尋ねしてみたいと思ふのですがね、第六條第二項です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=17
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018・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今の御質問でございまするが、此の點に關しましては、教員の特殊の身分と云ふことを茲に考へて居るのでありまして、一般の官公吏とは自ら違つた所のもののあることを認めまして、斯くの如き規定を設けた次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=18
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019・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうしますと、まあ何れ身分法と云ふものが出るとか、或は待遇に關する法が出ると思ひますが、今若し、大體言つたらどう云ふ方法で特に教員に對する尊重とか待遇の適正と云ふことを御考へになつて居るかどうかと云ふことを、聽くことが出來ますか、若し出來なければ、其の時でも宜しうございますけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=19
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020・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 刷新委員會の答申がどう云ふことになりまするか、まだ今の所何とも申上げ兼ねるのでございまするが、近く此の點が明かにされることと考へて居るのでございます、唯私共が先程團體協約を締結致しました際などは、一般官公吏の待遇と違ひまして、特に教員に關しましては、勞働の時間、其の外の點などに關しまして、考慮しなければならぬ點が多多あるものと考へまして、新聞などで報道せられて居りまするやうな契約を締結することに致した次第なのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=20
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021・佐々木惣一
○佐々木惣一君 どうも少しはつきりしないやうに思ひますが、併し今御説明のやうに、教育刷新委員會なるものの答申がなければ御説明が困難のやうに察しますが、併し私の希望する所は、教育刷新委員會と云ふものはどんな適切な考を持つて居るものであるかどうかは知りませぬけれども、矢張り文部省の方で少くとも基本的の考を以て教育刷新委員會と云ふものをリードと云ふと可笑しいけれども、之に處される方が宜いかと思ひます、教育刷新委員會と云ふものがどんなものであるか知れぬけれども教育基本法全般を見まして、決して必ずしも適當な審査能力を持つて居るものと斷言出來ないと思ふのです、是は澤田君が本會義で申しましたやうにまずい法律です、而も此の教育基本法と云ふのは、是から所謂教育刷新委員會なるもの一點張りでおやりになるのはどうかと思ひます、其の人的構成は知りませぬけれども、委員の人選を餘程謹しまなければならぬのであつて、餘程重大な問題であると思ふ、それは別として、私の方から御尋ね申上げて見たいのは例へば教員といふものを尊重すると云ふやうな場合には、何か教員であると云ふ故に、從つて教員でなければ得ることの出來ないやうな勳章に致しましても、何に致しましても、其の功勞を表彰する教員功勞章と云ふものをもつと御考へになることは如何でせうか、それから又經濟的の待遇と申しましても、是迄の私の知識に依りますと、教員に對する待遇方法が外のものと違つて居るのは、其の教員になる時の初めての待遇の問題ぢやないのであつて、今は專門學校になつて居りますから違つて居ると思ひますが、前の師範學校の卒業生に付きましては、初任の時には、他の公務員とか他の社會に行く者よりも寧ろ良かつた、中等學校の教員でも良かつた、唯それが問題となるのは、段々と年月が經つて見ましても一向待遇が上らないのです、從つて大學などを卒業致しましても、官界へ行つた者と、中等學校の教員になつて居る者とは一定の年齡に達すれば、非常に待遇の差異がある、そこで教員の實質的待遇と云ふやうなことになりましても、さう云ふ點を又今後も御斟酌になつて、詰り教員諸君に前途に希望を與へると云ふことが非常に重大だらうと思ふのです、今教員の間に色々の不平がありませう、併しそれの最も同情に値するのは詰り希望がないのです、何時迄經つても自分と同じやうな行き先を持つて居る者の下に置かれる、それは職責上色々監督を受けると云ふこともありますけれども、中等學校の先生などで恐らく自分の子弟を大學などに比較的樂に卒業せしめるやうな者は餘程少いと思ひますから、さう云ふ意味で、矢張り初めの待遇は少々まずくても宜いけれども、段々と年が經つに從つて待遇が外のものと同等に行くと云ふやうなことを私は望むやうな譯です、それから精神的にも教員にして初めて得られるやうな、國家が表彰する文化勳章など色々あるけれども、あれは色々な議論があり得るものでありまして、教員勳章、言葉はどうでも宜いが、さう云ふものでも設けると云ふことなども、今後尊重のことを御考になる時に、御考へ下すつたら適當だと思ひますが、既に御考になつて居るのでありますか、ちよつとそれを御尋ねして見たいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=21
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022・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 教育刷新委員會の構成に付きましては、成立の當時から致しまして色々議論もあつたのでございまするが、是は御承知の如く内閣に直屬致して居りまするもので、文部省の力では如何ともすることの出來ないものが甚だ多いのでございます、文部省と致しましては文部省關係の法案を立てまする場合等に於きまして、教育刷新委員會の答申を鵜呑に致さないやうに、十分に之に檢討を加へて參りたいと考へて居る次第でございます、尚教員の待遇でございまするが、此の點も色々考へて居りまするし、只今御指摘になりました昇給の點なども、十分考へて參る積りで居りまするし、表彰の點はまだ考に上りませぬでございましたが、此の點も將來に於きまして考慮致したいと存じて居ります、尚最近に於きまして六・三制が實施せられると云ふことになりますと云ふと、教員の再教育の爲に、教員自身研究費などを要するものが甚だ多からうと、斯う考へまして、最近に於きまして大藏省と折衝致しまして、僅かながら豫備費の中からして割いて貰ふことになり得ると考へます、こちらから要求致しました額は、約一億圓でございまするが、恐らく之を通して呉れるのではないかと思つて居ります、こんな風に致しまして段々教員の待遇を改善して參りたいと、努力致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=22
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023・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りました、細かいことはまだ互に意見もありませうが、兎に角教員と云ふものに付て、他の公務に關係して居る者と、又特別の觀點から其の身分の尊重、待遇の適正と云ふことを御考慮になつて居る、斯う伺つて宜い譯ですね、さうすると私は大變喜ばしいことですが、それに付きまして「法律に定める學校の教員」とありますが、是は私立學校も入るでありませうか、私は私立學校の教員と云ふものの身分待遇と云ふものの尊重及び適正と云ふことに付ても御考慮を願ひたいと思ふのであります、それは此の間も申しましたやうに、甚だ文部省のことの批評になつて相濟みませぬでしたけれども、文部省の方では學校行政と言へば自己の管理して居る、或は施設して居る官公立の學校の行政を良くすると云ふことを考へて、私立學校を良くすると云ふことは、自分の所管の學校行政の外だと云ふ風に或は御考になつて居るやうに思はれるが、今日ではさうでないのです、私立學校と云ふものも文部省の所管學校行政の對象でありますから、私立學校を良くすると云ふこと、從つて私立學校の教員と云ふものも色々な關係上、官公立の學校の教員とは實際上差異を受けるやうなことになりましても、兎に角文部省だけは國家の方針として、私立學校の教員も官公立の學校の教員と同じやうな結果を與へしむるやうに取扱ふと云ふやうな根本方針に御願ひしたい、今日私立學校は非常に國家の爲に役立つて居るのですから、是等の先生は矢張り官公立の學校の先生と國家的の意味に於て區別する必要は一つもないと私は思ふのです、それで何れ私立學校に關する法規が出來ると云ふ御話のやうに伺ひますが、何れにしても是は私立學校の教員は別だと云ふやうな規定はないのでございませうね、此の教員の身分の尊重、待遇の適正と云ふことは、私立學校教員に付ても國家としては方針はさうである、從つて是は直接には自己の學校とは違ひまして待遇の方法を國家が定めるのではないのですが、併しながら其の解釋の如何に依りましては、將來私立學校に關する規定が出來る時に、國家としては、私立學校の教員の待遇、其の尊重の方法を適正にするやうに私立學校に對して一つの要求を國家が爲し得る、斯う云ふ結果になるのですが、私の解釋に依りますれば、さうでなければ、私立學校の内部に於て私立學校の先生方がどんなに慘めな目に遭つて居つても、國家はそれに對して何も言ふことが出來ない、斯う云ふことになる、私共は私立學校と云ふものは非常に尊重しなければならぬと思ふのですから、其の點教員は官公立と私立學校とに於て相違はないと云ふ根本觀念を持つて居るのです、さう云ふやうに理解して宜しうございませうね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=23
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024・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 無論只今御示しになりましたやうに解釋致すべきものと考へて居るのであります、私立學校に對しましては、今日私立學校が非常に惱んで居りまするが爲に、國家が補助を行ふべきものではないかと云ふ意見が相當強いのでございます、此の點に關しましては、復興の爲の補助金ばかりでなく、學校の經營に要しまする費用、即ち教員の俸給などの點に於きましても、餘程援助を與へなければならぬ必要に驅られて居るのでございまして、それが爲に私立學校の性質を考へまして、補助金の形よりも寧ろ貸付金の形を採つた方が宜いのではないかと云ふやうな考から、貸付金に重きを置いて豫算を計上致したのでありまするが、文部省の力足らずして十分に之を得ることが出來ませぬでしたのでございまして、約五千何百萬かを計上することが出來たのでございまするが、明年度に於きましては更に多くのものを計上したいと考へて居る次第でございます、尚私立學校の自治を擴大したいと云ふ考から、又此の私立學校の發展に資しまするが爲に、御承知のやうに全國の私立大學聯盟と云ふものが出來まして、是等のものと聯繋を取りまして、私立學校の發展、私立學校の教員の待遇の改善にも力を盡したいと考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=24
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025・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りました、大體の御方針は私共の願ふ所で、大變有難うございました、どうか其の御方針を實現せられむことを御願ひするのであります、それからもう一つ最後に教員に關することだけを御尋ね申上げたいと思ひます、前の時でございましたか、教育は一體何ものを主體とするかと云ふやうなことを御尋ねしたのですが、ちよつとはつきりして居らなかつたので、其の點を御尋ね致します、具體的に申しますれば、是からは國民學校の先生の身分は、一體國の官吏でありますか、或は地方團體の吏員と云ふやうなことになるものでありますか、と云ふやうなことからちよつとはつきりして置かなければいかぬのですが、或は中學校の先生でも、例へば今各公共團體で大學を建てて居りますが、さう云ふものは一體其の公共團體の吏員と云ふものでありますか、或は國家の官吏と云ふものでありますか、將來はどう云ふ風な御考になるのでありますか、矢張り此の身分をはつきりすると云ふことは重大なことだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=25
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026・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 學校教育の主體は、是まで總て國とせられて居るのであります、教育は國の事業であるとせられて居つたのであります、此の度の地方自治法に依りますると云ふと小學校の先生は當分の間矢張り官吏と云ふことに相成つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=26
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027・佐々木惣一
○佐々木惣一君 甚だ私だけ言つて相濟みませぬが、當分の間と云ふのはどう云ふのでございますか、私は此の質問は、私自身は非常に重大だと思ふけれども、併し考へ方は可成り細かく考へなければならぬことでありますから、今は止めまして後日で宜しうございます、今質問は止めて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=27
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028・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) ちよつと此の點政府委員から……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=28
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029・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 其の點に付きましては、先程から大臣から御答がございましたやうに、今教員の身分に關しまして、教員身分法と言つたやうなものを研究を進めて居るのでございます、其の結果に依りまして、或は官吏と致しますか、或は又官吏と全然違ひましたやうな教員に致しまして、身分を考へるか、さう云ふことを研究して居りまして、其の結果として自治法の關係も考へて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=29
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030・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私の質問は此の點に關しては終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=30
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031・荒川文六
○荒川文六君 今の第六條に關してもう少し伺ひたいのですが、私立學校の教員の問題ですが、一般に教員は優遇しなければならぬ、尊重しなければならぬとその御話であらうと思つて、それに依つて政府の御施設は進むだらうと思ひますが、それに追ひ付いて私立學校を經營して行かうと云ふのはなかなか困難なのであります、前の場合は私立學校の方が、例へば地方の中等學校に於きましても、府縣立の中等學校よりは少し待遇を良くしなければ良い先生を迎へることが出來ぬと云ふやうなことで、大體さう云ふ風に努めて居つたのでありますが、事變以來非常に手當とか何とか云ふやうな點に於きましては、どんどん公立學校の方が手當などが増して來て、今度はあべこべに私立學校の方が經營も困難になると云ふやうなことで、顛倒したやうな形であるのであります、そこへ持つて來て、中には戰災を蒙つたと云ふやうなことで、其の復興にも努めなければならぬし、教員の待遇にも努めなければならぬ、さう云ふ場合にもなかなか國なり縣なりの方からどうして戴くと云ふ譯にはいかぬものですから、寄附を集めるやうなことでありましても、其の寄附を募集することに付ても、なかなか監督がやかましくてそれが出來ないとか、政府の方の御補助はなかなか得られないと云ふことで、實に困り切つて居るのであります、併しながらどうしたつて是は身分なり待遇なりに付きましては、政府の方でも重んぜられて居るのは、私立學校としても重んじなければなりませぬが、それに付ては矢張り金が要ることでありますから、私立學校は私立學校で、寄附で集めるとか何とか云ふことでやつて行く外に途がない、唯月謝を徒らに上げました所で、それは限度があります、さう云ふことに付て非常に大藏省あたりの方面と始終差障りがあつて、なかなか思ふやうに行きませぬ、斯う云ふ點に付てはどうぞ一つ私立學校其のものの地位を御考へ下さり、又それに從事して居られる教員諸君の待遇などのことを考へて、それが改善し、此の通り尊重して行くやうな風に、私立學校の經營がスームスに行けるやうに文部當局の方でも御配慮を特に御願ひしたいと思ひます、罹災の復興に對しましては段々の御配慮で貸付を戴くと云ふことでありますが、あれを此の前の時には、豫算委員會では相當な金を大藏大臣はお出しになるやうなことを聞いたのでありますが、來年度もそれ程の金額ではないやうに承知して居りまするが、それを實際にはどう云ふ風に御分ちになりますか、私立學校の中にも併しながら玉石混淆があるのですから、文部省が直接にそれを御分ちになることが寧ろ困難であるだらうから、寧ろ委員會などを御設けになつて、そこで選別されたならば、非常に文部當局としてもやり易いのではないかと云ふことを、小山君でありましたか、私などからも申上げましたかと思ひましたが、それは實際はもう既におやりになつて居るのですから、どう云ふ風におやりになつて居りますか、概略で結構ですから此の際漏らして戴けば結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=31
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032・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今御話の分配の點に關しましては、委員會が出來て居りまして、之に掛けて分配を行ふことに致して居ります、それから尚私立學校の經營が段々困難に陷りますことは、一面に於ては認められることでございますが、併しながら他方に於きましては、又私立學校の爲に、聊か樂觀すべきものもあるのであります、六・三制が實行されますならば、下級の中學は此の點は隨分苦しい教育を施さなければならぬことになると考へるのであります、今年四月一日からして、下級中學の初年級を實施し、義務教育と致すのでございまするからして、色々不備な點、窮屈な點が澤山出來ると考へるのであります、それが爲に飽く迄私立の建前で經營せられて居りまする學校に對して子弟を送らうと云ふやうな父兄が相當多いのではないか、可なり高い月謝を拂ひましても、尚私立學校を選ぶと云ふ者が多いのではないか、そんな風に考へて居るのであります、更に上級のものも兼ねて經營する、詰り三を合せて經營する、斯う云ふやうなことになりますると、私立學校の經營、必ずしも悲觀すべきものではないと考へて居るのであります、現に私立大學の豫科の入學志望者の如きものも其の數が相當増加して居る所も多いやうに聞いて居ります、まだ正確な數字は得て居りませぬのでありまするが、そんな風に致しまして、一面に於て、經營困難なものもございませうが、他方に於て樂觀すべき資料も存して居るものと考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=32
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033・坂田幹太
○坂田幹太君 今の御話の委員會と云ふのは省内の委員會でございますか、或は外の人も入れての委員會が出來て居るのでございませうか、尚伺ひますのは、第六條と云ふのは學校教育法の第二條と同じ文句なんで、大體法律に同じ文句のものが二つ出て居ると云ふやうなことは、どちらかが前後して居る爲に斯んなことになつたのでありませうか、憲法と法律と云ふのは宜しいのですが、同じ法律に……、若し此の基本法と云ふものが法律であるとするならば、基本法の第六條の第一項にも、學校教育法の第二條にも同じものが出て居りますが、是は少し體裁がどうなんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=33
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034・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 委員會の御説明を申上げます、官制で決めたものではございませぬけれども、私學振興協議會と云ふものを文部省の中に作りまして、それは大體私立學校から委員を選びまして、文部省の關係者と懇談を致しまして、戰災復興に關する資金の分配が一つと、それから私學の經營補助に關する貸付金の分配、それを主に致しまして、それから問題が全般の問題として相談すべきことがあれば、今申上げた二つに限らない、全般の問題も協議すると云ふことに致しまして、それを今年の一月末でしたか、二月頃から始めて居ります、文部省で大體原案を作りましたものを、私學の代表と懇談致しまして、それを、十分私學の意向も汲んだ上で、調節致して行く方針でございます、現在やつて居りまするが、之を段々充實して、私學との十分の連絡を取つて行きたいと思つて居ります、今の學校教育法の第二條と基本法の六條との間に重複がございます、成程重複して居る所が相當あると思ひますが、是は非常に重要な規定でありますので、重複を顧みずに入れたものと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=34
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035・坂田幹太
○坂田幹太君 無論法律でありまするから、是は重要に決つて居るのでございますけれども、さう云ふ重複して居ると云ふ例は、外の法律にはないだらうと思ひますがね、それはまあそれで宜しうございます、今の委員會は、前に實は委員會を御設けになつたら宜からうと、かう申上げた趣旨は、文部省の方で、今の玉石混淆な私立學校を、時局に便乘して、色々戰災復興などを申出たりする場合に、文部省としては却つて御困りになりはせぬだらうか、それだから委員會を作つて、其處で是は惡い、是は宜いと云ふ風な選別をした方がやり易いんぢやないだらうかと云ふ風な、餘計な老婆心で申上げ、皆樣も其の意味で申上げたのでありますが、今の私學の人を入れて、さうして文部省の御當局の方と、私學の方と云ふのは、其の以外の方が御入りになつて居れば別でありまするが、矢張り自分も其の一人でありまするから、どうも色々な場合に自分の方にも相當な補助を貰はうとすると、人の方の補助のことも是は玉石の石であると思つても、まあ矢張り自分の方を貰はうと云ふやうなことで、それを看過すると云ふやうな、却つて弊害がありはしませぬか、此處に第三者の人が入つて居りますかどうですか、唯それだけ承つて置けば結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=35
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036・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 大藏省の人も入つて居りますし、それから文部省の會計の方の者も無論入つて居ります、それから視學官等も入つて居ります、それで主として私立學校の代表者でありますが、今御話のありましたやうに私立學校の中に玉石混淆があると云ふことは、確かに事實でございまして、是は別の方法で以てそれを改めたいと云ふ風に考へて居ります、例へば大學のあれでございますが、大學設立基準設定協議會と云ふものを作りまして、大學がミニマムに必要な標準を決めまして、是から設立を願ひ出て來るものは無論のこと、現在の大學にもそれを當嵌めよう、さう云ふ考で居ります、此のことは新しい高等學校に付ても考へまして、比較的公な委員會で以て基準を決めて公表致しまして、それに適合するものだけを正式に認める、適合しないものは寧ろ整理の對象になる、斯う云ふ方法で行きたいと思つて居ります、大学設立基準設定協議會の中には文部省の係の者も入つて居りますが、初めは官立から五人、私立から五人代表者も出しまして、それから文部省の係官と、實は司令部の係官も其のオブザーバーみたいな形で入つて居りまして、それを作つて、現在の所は一般的の基準が大體出來上つて居ります、文科的の大學と、理科的の大學と、女子の大學、それ等のものに付て細かい規定を又作りまして、其の基準が多分今年の六月頃迄には揃ふかと思ひます、揃ひましたならばそれを適當な手續を經まして公表して、其の基準に依つて現在の專門學校を大學にするか、或は高等學校にするかと云ふことを、決めて行きたいと云ふ風に考へて居ります、御指摘のやうに私立學校などのひどいものは、さう云ふ場合の篩に掛ける積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=36
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037・坂田幹太
○坂田幹太君 了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=37
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038・荒川文六
○荒川文六君 先程本法の第七條社會教育の第二項と、憲法第八十九條との關係に付て政府委員から御説明がありまして、其の中に例へば一私人の經營する圖書館の如きものが、若し圖書館法と云ふやうなものに準據するものであれば、それは公の支配に屬するものとして見ることが出來るから、それに對して公金の補助を受けることも出來ると云ふやうに伺つたのでございますが、念の爲にちよつと伺つて置きたいと思ひますのは、例へばさう云ふ風な圖書館を宗教團體が設置して經營すると云ふ場合も同樣でございませうか、政府委員からで宜しうございますから伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=38
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039・辻田力
○政府委員(辻田力君) 御答へ申上げます、宗教團體が圖書館を御作りになつて居る時に、其の圖書館が、假に圖書館法と云ふやうなものに依つて御作りになつて居れば、それに補助が出來るかと云ふことでございます、是は圖書館と云ふ事業體だけで考慮すれば、其の設立者が誰であらうと出來るのぢやないかと考へます、宗教團體に對する一つの特權を與へるとか、或は特別の權力を付すると云ふのでなく、圖書館事業に對して圖書の購入費を補助すると云ふことは、差支ないと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=39
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040・荒川文六
○荒川文六君 其のことは了承致しました、次に男女共學のことに付て伺ひたいと思ひます、男子と女子と、其の教育の程度、或は教育を受ける機會の均等と云ふやうなことは、性別に依つて差別をすると云ふことは、是は撤廢しなければならない筈のものであると思ひますが、それを實行致しますには、必ずしも男女共學でなくても出來るかと思ひます、過般本會議に於て文部大臣からの御答辯の中にも、特定の私立學校に於ては必ずしも男女共學を強制しないと云ふ御話でございましたが、此處に斯う云ふ風に基本法の中に、男女共學は認めなければならない、斯う云ふことが書かれてありますのは、國に於ては男女共學と云ふことを原則にすると云ふ意味なのでございませうか、今日戴きました歐米に於ける男女共學に關する參考資料にも、男女共學の支持の方の色々議論が書いてあるのでありますけれども、又私の承知して居ります所では、之に反對の議論もあるやうに聞いて居るのであります、それでさう云ふ點は、此の基本法に於ては男女共學を推奬する、從つて國立乃至公立の學校に於ては、小學校から大學迄男女共學を原則とするのである、斯う云ふ意味なのでございませうか、そこを一つ伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=40
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041・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の點は「認められなければならない」と云ふのでございまして、申請がありました場合には、之を認めて行くのでありまするが、原則として男女共學を認めるので、更に進んで強制を行ふと云ふ積りはないのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=41
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042・荒川文六
○荒川文六君 さう致しますと、公立學校の中にも男女共學をやらない學校も出來る譯でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=42
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043・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今大臣の御答へ申上げましたのを補足さして戴きたいと思ひます、義務教育は原則として男女共學にする、それ以外のものは男女共學を申出たものは、それを認めると云ふ、さう云ふのでありまして、禁止をしないと云ふことが此處で表面に出て居ります、義務教育の場合には男女共學を原則にするが、過渡的の情況に於きましては、殊に新制の中等學校に於きましては相當長い間の習慣もありますし、社會的の事情もございますので、是は強制は致さないことに決めまして、實施の場合に於ては各地方の實情に應じて、適當に決めて宜いと云ふことに致してございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=43
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044・荒川文六
○荒川文六君 了承致しましたが、尚もう一つ伺ひたいと思ひますことは、男女共學と申しますのは、色々やり方があると思ひますが、例へば同じ教室に男性と女性と、一緒に坐らして授業すると云ふのもそれである、是が普通に所謂コエヂユケイシヨンでありますけれども、或は又同じ學校に男子の組と女子の組を別にする、或はもう一歩進めまして現在の師範學校に於ける如く男子部、女子部と云ふ風に分けることも、廣い意味に於て男女共學と言つて宜いと思ひますが、さう云ふやうな實施の場合に付きましては、矢張り地方の状況に應ずるとか、或は學校長の考に依るとかと云ふことの自由が與へられるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=44
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045・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 男女共學は、普通の意味で一番初めに御指摘になりましたやうに、同じ教室で同じものを同時に教はると云ふことが男女共學の普通の場合と考へて居ります、女學校の場合にはそれを強制は致しませぬけれども、大體原則としてさう云ふ風に取扱ふ、中學校の場合に於ても原則は男女共學であるけれども、是は年齡が共學に多少差支のあるやうなことも相當あるかと思ひまして、それは強制は致さないやうに致して居るのであります、御指摘のやうに同じ學校に男子も女子も入れて居るけれども、クラスを別にするとか、授業に依つては同じ時間に別の授業をさせるとか、さう云ふことは學校長竝に父兄其の他の地方の意見に委せて、是等の裁量の自由を殘して置く積であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=45
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046・佐々木惣一
○佐々木惣一君 どうも甚だ恐縮ですが、後二點程ちよつと簡單に……、先刻來掛つて居る私立大學に對する補助、之を御考へになりますと云ふことで、實質其のものは贊成して居るのですが、はつきりと其の根據を憲法との關係に於て、矢張り憲法上私立大學と云ふやうなものに補助しても差支ないと云ふのですか、憲法第八十九條との關聯でありますが、是が別の意味から言つて、私立學校などに補助すると云ふことが憲法上差支ないかどうかと云ふ根據を一つ伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=46
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047・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の憲法八十九條との關係、是は色々疑問として取扱はれて居つたのでありますが、教育刷新委員會などで屡屡此の點質問がありましたのですが、刷新委員會の委員長安倍能成氏は貴族院の憲法の委員長もして居られましたので、同氏の意見も伺ひまして、尚其の外各方面の意見を徴しまして、差支ない、斯う云ふ風に解釋せられたものと心得て居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=47
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048・佐々木惣一
○佐々木惣一君 是は差支ないと云ふ結論を伺つたのですが、差支ないと云ふ結論をする理由を伺ひたいのですが、是は勿論八十九條の關係は自分の流儀では差支ないと思ふ、自分の自由でさう解釋して居るが、さう簡單にいかぬものと思ひますが、或は九十八條と比較して色々の反對論も起らぬとも限らぬと云ふこともありますし、御注意を申上げたので、私自身は差支ないと思つて居るのですが、それからしてもう一つの點と致しましては、國家又は地方公共團體で設立します義務教育の學校は、授業料を徴收しないと云ふのですが、それは宜いのですが、さうでない、私立學校と云ふやうなものが授業料を徴收すると云ふことも憲法上差支ないのですか、是は憲法の義務教育は無償とすると云ふ規定があるのですが、二十六條に總て義務教育は無償とするとありますが、それとの關係はどうなるのでありませうか、是も重大なる問題で、私、實は一つの解釋を持つて居りますけれども、政府の御解釋は如何でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=48
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049・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それに付きましては義務教育を行ふべき設備其の他の設置に付きましては、國が當然義務を負ふべきであります、從ひまして義務教育を受くべき年齡に達した者に對しては、義務教育を受け得る状態にしなければならぬと思ひますが、其の點に付きまして國が致しまする場合は當然無償になる譯であります、併し無償の所に行けるにも拘らず、自分の方で私立學校に入りまして、月謝を出しても宜いと云ふ、受け得る權利を放棄致しまして、私立學校に入つた場合には、其の私立學校で授業料を拂つて差支ない、一應斯う云ふ風に解釋して宜いと云ふことに致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=49
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050・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは詰り教育を受ける者の方が授業料を出しても差支ない、授業料は要らないと云ふ權利を放棄する譯でせう、さう云ふ意味で放棄すると云ふのでせう、私はさう云ふことを御伺ひ致したのではないのですが、憲法では二十六條からして、義務教育其のものの性質を言つて居るので、誰がどうして行ふとも無償とする規定があるのですね、國家が行ふとか、公立團體が行ふと云ふのではなく、義務教育と云ふものは無償でやらなければならぬ、從つて義務教育に於ては無償でないやうな状態をあらしめてはならぬと言つて居ります、國家のやつて居る義務教育だけが無償だと言つて居るのぢやないのですな、憲法では皆さうです、さう云ふ義務教育にして有償であるとか云ふやうな状態をあらしめないと云ふ義務を國家が持つて居る、憲法の解釋の時に皆さうなんです、ずつと……、それで此の規定に牴觸するかどうかと云ふことは、實は教育基本法と云ふものが、第四條第二項と云ふやうな規定が憲法に牴觸しやせぬかと云ふ問題は、此處ではつきりと御定めになつて置かぬと、永久の問題になるかと存じます、私はさう思ふんですがね、それだけのことを申上げて置くのでして、先刻大臣の仰しやつたのはどうもちよつと結論を伺つたのですけれども、私は丁度質問したい點だけは御了解下さつたらそれで宜い、私は是で質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=50
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051・宗武志
○伯爵宗武志君 色々な點に付て伺ひますことを御許し願ひます、一つは既に問題になりました授業料と云ふ點に關聯してですが、授業料を徴收しないと云ふことは分つて居りますが、授業料でない名目の下に父兄が金を拂はなければならないと云ふ状態にある場合、是は非常な問題だと思ふのであります、現に小學校に、今國民學校と言つて居りますが、子供を送つて居る親がどうしても月に學校に對して十圓とか、十五圓とか、二十圓とかお金を出さなければやつて行けないのだと云ふことを言つて居るのを屡屡耳にして居ります、それは父兄の方で申合せて、或は教員の俸給の不足を補ふ場合もありませうし、其の他教育上の材料を得ると云ふやうな場合もございませうし、色々なる場合があると思ひますけれども、要するに金を出すと云ふことは是は一つのもので、それで義務教育は是は無償で行はれると云ふことは、單に授業料と云ふ名目のものを出す必要がないと云ふ意味に解釋すべきであるのか、或は其の外全然金を使はなくても是は國家が補償すると云ふ意味であるのか、そこの所の解釋をはつきりとして置いて戴きたいと思ふのでございますが、其の點如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=51
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052・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の點は是非授業料だけでなく、其の他一切の費用を徴收しない、殊に學校必要品の如きものは之を公が給與するやうに致したいと云ふ考が無論あつたのでございますが、今日の經濟状態から考へまするならば、是は爲し得ないことであると云ふ意見に基きまして、此處では單に授業料とだけ規定致したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=52
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053・宗武志
○伯爵宗武志君 其の點分りましたが、授業料以外の費用は將來地方公共團體等で或は納税のやうな形式で之を賄ふと云ふ風なことを御考になつて居られませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=53
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054・辻田力
○政府委員(辻田力君) 只今大臣から御説明がありましたやうに、此の憲法二十六條の「義務教育は、これを無償とする」と云ふ「無償」と云ふ内容を、此の基本法の第四條の第二項に於て明かにした積りでございます、此の場合に只今御話がありましたやうに、授業料以外のものは之を取つても宜い、其の場合それに付ては何か特別の税金と云ふやうな形で地方公共團體が徴收するのかどうかと云ふやうな御話でありますが、此の點に付きましては文部省としても色々研究中でありまして、例へば近く次の議會あたりに或は御審議を煩すことになるかと思ひますが、地方教育行政に關する法律と言つた中には、教育に付て教育税のやうな獨立税的な税金を設けたらと云ふ意見もありまして、一應さう云ふことは研究はして居ります、併し是はそれぞれ研究中でありまして、決定的な所迄にはまだ行つて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=54
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055・宗武志
○伯爵宗武志君 御説明有難うございました、尚此の點に付ては先達つても新聞を見ますと、自分の家の子供が學校で給食を受けるから十五圓持つて來いと云ふことで持たせてやつたが、其の同じクラスの子供が一人だけ食べないで居る、どう云ふ譯かと調べて見ると、大體其の家庭が非常に貧しくて出せないのぢやないかと云ふ風なことで、其の次には今度は先生が特別に友達の辨當箱の蓋によそつてやつて食べさせた所が、どうしても食べないと云ふやうなことであつた、それで父兄が、是は可哀さうだから自分の方で以て出してやらうかと思つて居ると云ふやうなことが、新聞にも出て居つたので、さう云ふことの爲に子供の義務教育を受けられないと云ふやうなことになりましたら、是は大變なことでございますので、何卒此の點に付ては十分御考慮を御願ひ致したいのでございます、次に第五條の男女共學に關しまして先程御説明を承りましたのでございますが、將來義務教育は地域制になります爲に、父兄は自分の子供を男女共學に入れるか乃至はさうでない學校に入れるかと云ふことに付て、個々の父兄は其の選擇權がないのでございませうか、如何でございませうか、之に付て伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=55
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056・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 公立の義務教育を爲す學校に付ては選擇權がないものと存じます、其の代り私立の學校に於きましては、學校も亦父兄も或は學生生徒も、自分の受ける教育を選擇する自由が殘されて居ると解釋致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=56
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057・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、次に別の問題でございますが、宗教教育の箇條に關聯致しまして、一つの點は、私立學校が自分の學校は宗教學校だ、宗教的な學校であると云ふことを標榜しない場合に、其の學校に於て特定の宗教に依る行事が行へるかどうかと云ふことに付て伺ひたいと思ひますが、例へば或學校は、自分の學校は別にキリスト教を教へて居る學校ではないのであると云ふことを一般には言つて居りませぬけれども或場合に其の學校が主となつてキリスト教に依る行事を行へるかどうか、或は神道の儀式に依る行事を行へるかどうかと云ふことに付て、ちよつと御説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=57
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058・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 初めから宗教教育を行ふんだと云ふことを標榜して居るやうな私立學校に於てだけ特殊の宗教的な儀式或は教育と云ふやうなものを認める建前でございまして、それを明かに標榜して居ないものに於てはそれは此の條項に抵觸するものと解釋致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=58
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059・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、次にもう一つ、假に學校でなしに、或宗教團體に於て教育を行ふと云ふ場合に、其の教育のやり方が一般の教育の理想なり方法なりと牴觸するやうな場合に、國家は之に對してどう云ふ取締をすることが出來るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=59
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060・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それに付きましては本日衆議院に提案になりました學校教育法案に付きまして、それに觸れた規定を設けて居るのであります、それは法律で定めた學校以外に於きまして、所謂各種學校と云ふのでありますが、各種學校に付きましては、大體學校教育法に於きまして、それに觸れて居りまするが、重要な事項、監督上の規定は各種學校にも準用致して居りまして、若しさう云ふやうな場合には、地方長官は之を其の各種學校として全然認可を受けて居ない場合は、認可を受けさせることが出來ますし、さう云ふ風に各種學校になつて居る場合に於ては、其の授業なり教育内容の變更を命ずることが出來るやうになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=60
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061・宗武志
○伯爵宗武志君 只今御説明を伺ひましたが、私の申上げ方が不十分だつたかも知れませぬが、さう云ふ各種學校のやうな形式の整つた場合でなしに、單に宗教團體の内部で、例へば義務教育を受けべき年齡の者に對して特殊の教育的の態度と申しますか、教育的な手段が講ぜられた場合、それは又同時に政治團體に於ける場合も同樣なんでございますが、各種學校と云ふやうな形で取締れないやうな個々の場合に、何か非常に影響の強いやうな、教育的な措置が講じられたやうな場合のことを申上げたのでありますが、是は全然問題になりませんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=61
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062・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 義務教育に關しましては、是は完全に學校以外に於ては行はれないことになるのでございますが、其の學校以外に於きまして全然學校の形態を採らないで、教育に反するやうなことを行ふと申す場合に於きましては、一般の取締り上の對象になることは別と致しまして、教育機關としては之に對して何等取締方法は實はないと考へます、唯之に付きましては國民一般の自制に依りましてさう云ふことが行はれないやうに熱望するより外ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=62
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063・宗武志
○伯爵宗武志君 明瞭に御答へ戴きまして有難うございました、尚續いて別のことを御尋ね申上げたいのでありますが、現在の學校教員が非常に心配して居りますことの一つは、將來自分達が學校教員としての資格が失はれやしないだらうかと云ふことがあるのでございますが、之に付ては將來さう云ふ風な心配があるものでございませうか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=63
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064・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 現在の學校教員には、免許状がございます、併し今後新しい新制の中學校、及び新制の高等學校の免許状と云ふものは、まだ誰も持つて居らない譯でありますので、今の所では既得權になつて居るものは出來るだけ尊重致しまして、新しい免許状を得る迄、假の免許状を與へまして、さうして再教育機關を設けて再教育を果した者にはなるべく其の儘新しい免許状を與へる積りでございます、それから今後の免許状に付きましては、新しく委員會を設けましてなるべく整備したものを作らうと考へて居ります、現在持つて居る既得權を簡單に傷けることは出來るだけ避ける積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=64
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065・宗武志
○伯爵宗武志君 少し問題が外れるかも知れませぬが御許しを戴きまして、此の義務教育制が實施されますと云ふと、非常に多數の教員を要することになりますので、教員の實力が非常に低下しやしないかと云ふことが心配になりますのと、同時に、今度は生徒の方が今迄ならば六年で止めると云ふ筈の、詰り學力の劣等な人が、尚三箇年續けると云ふことの爲に、將來上級の學校にさう云ふ者が入つて來るやうなことになると、生徒の實力が非常に落ちやしないかと云ふことが心配されるのでありますが、それに對して何か宜い方法、それを御認めになれば、之に對して何か宜い手段がありましたならば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=65
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066・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御指摘の點は全然心配がないとは申されないのでありますけれども、例へば新制度中等學校に必要な教員は確か六萬一千人位要る所に、約一萬人少し足りない憂ひがあります、それには大體高等學校の免許状を持つ者、それから中等學校の免許状を持つ者、師範學校の卒業生、さう云ふ者を段々に選びまして、青年學校の教師の中、及び國民學校の高等科の教師の中で經驗があつて能力のある者を選んで充てようと云ふことになつて居るのであります、全國的に申しますれば、學校が殖えただけ教師の不足が多くなりますので、幾分素質が低下する心配は私共致して居ります、併しそれは一面には教員の待遇を善くすることに依つて、高等教育を受けた者を安んじて教員に向ふことが出來るやうな方途も考へようと思ひますし、又他面に於ては、先程ちよつと御話したやうに、再教育の機會を設けまして、そこで出來るだけ内容を充實さして行きたいと考へて居ります、それから是は六・三制ばかりではございませぬけれども、例へば新制の高等學校と云ふやうなものも、普通に考へるやうな、現在ある高等學校程度の學力と云ふものは、年限が二年違ひますから、無論のことでありますけれども、此の年限が同じであつても、學力の程度を同じに維持することは、相當むづかしいのではないかと思つて居ります、それは現在の高等學校と云ふものは、大學へ行く豫科のやうな性格を初めから持つて居りますので、高等學校へ行つて大學に行かない者は、殆ど一人もない位に、皆大學を志望して居りますから、其の意味に於て初めから選拔された學生々徒でありますから、素質に於ても、能力に於ても、相當優秀な者だけが集まると云ふ傾向が著しいのであります、今度出來ます高等學校は、少し性格が違つて居りまして、若し日本の財政や、經濟が許しますならば、十八歳迄位は義務教育にしたい位に考へるやうな、さう云ふ教育の内容を持つものでありますから、玉石混淆と申しませうか、相當今迄よりは程度の低い者でも、高等學校には入れなければならぬし、又さう云ふ者を入れて、更に向上させることを目標に致して居りますので、幾分學力其の他は、現在の高等學校と、新しい高等學校とを比べますれば、落ちざるを得ないと思ひますが、其の代り非常に澤山の學生を養成する中に、極く優秀な者は何處からでも大學へ行けると云ふやうな意味に於ては、優秀な者を育てて行く機會もなくはないと思つて居ります、御指摘の點は確かに私共も樂觀は致して居りませぬので、出來るだけ程度を下げないで、内容の充實した學校を作るやうに致したいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=66
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067・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の御答辯大變有難うございました、此の點は相當重要な問題ぢやないかと思ひますので、將來矢張り一つ御注意を願ひたいと思ひます、それから文部大臣からちよつと御答辯を戴きたいのでありますが、此の前、前文部大臣の時に議會で、是は社會教育に付てでありますが、農村の青年などの指導に付て、戰時中に餘りに精神的指導をやり過ぎた、寧ろ是等は精神的指導よりは科學的教育の方が重大だと云ふやうなことを伺つたやうに覺えて居りますが、私の個人の考へと致しましては、戰時中に行つた精神指導と云ふものは、精神指導なるが故に誤つて居るのではなくて、其の方向が間違つて居つたのではないか、茲で丁度言つて見れば指導された人々は井戸から吊り下されて水の際迄來て居つた、此處で以て今度は指導を全然止めてしまつて突き放すと云ふだけであれば、落ちてしまふ外ない、それで矢張り現在の政府としては、當時の政府のやり方が惡かつたならば、矢張りそれを是正するだけの御責任があるのぢやないか、井戸の淵迄はせめて引張り上げるだけの精神指導を青年達にやつて下さることが、寧ろ是非必要なのぢやないかと云ふ風に、是は個人的に考へるのでございますが、矢張り科學的教育の方が大切であつて、精神的指導はもうやらない方が宜いと云ふ風な考がございませうか、それとも精神的指導は非常に必要だと云ふ風に御考になるのでございませうか、此の點ちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=67
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068・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 無論科學的教育の必要は之を認めて居るのでございまするが、是と竝んで、寧ろそれ以上に此の人格の完成を目指す所の教育、精神的方面の教育、之を特に強調して參りたいと考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=68
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069・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、それに付て何等か、從來迄の政府の御説明を承つて居りますと、餘り餘計なことをしないで置いた方が宜い、國民は其の儘に置いた方が無事だ、法律なんかで決めた所に任せて置いて、餘り實際的な指導をやらない方が宜いと云ふ風な御態度が、是は間違つて居れば申譯ないのでございますが、見えるやうに思ふのでございますが、寧ろ積極的に此の青年達を指導して下さる方が私共は宜いのぢやないかと、斯う云ふ風に思ふのでございますが、特別にさう云ふ風な積極的な指導を行ふ御考がありませぬのでございませうか、政府として……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=69
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070・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の點に於きましては、特に初等教育などに於きまして、是迄のやうな修身、倫理を説くと云ふことはございませぬのでありますが、併しながら社會科が置かれて居るのでありまして、此の社會科に於きまして國家の一員、社會人としての教養を積ましますることに十分の注意を拂ふことに相成つて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=70
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071・宗武志
○伯爵宗武志君 御答辯有難うございました、もう一つでございますが、今度は第二條の文字の點でございまするが、第二條に「自他の敬愛と協力によつて、」と云ふ文字がございますが、それは私共は自他の協力と云ふことは能く分るのでございますけれども、自他の敬愛と云ふことはちよつと分り兼ねまするので、是は相互の敬愛と云ふ風なことならば能く分るのでありますが、自他の敬愛と云ふものは、自分を敬愛し、又他人をも敬愛すると云ふ意味であるのか、それとも自分と人との間と云ふのは、必ずしも自分と云ふものを言ふだけではなく、人間の相互の間の敬愛と云ふ意味で使つて居るのでございますか、此の點明かにして置きたいと思ふのでございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=71
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072・辻田力
○政府委員(辻田力君) 第二條の「自他の敬愛」でございますが、是は只今御指摘がありましたやうに、相互の敬愛と同時に、自分自身を愛すると云ふ自信を持つて行動すると云ふ意味を含んで居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=72
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073・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の御説明に依りますと、即ち自分の人格を尊重する、又自分の精神及び肉體を愛護すると云ふ風な意味に取つて宜しいのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=73
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074・辻田力
○政府委員(辻田力君) 左樣でございます、それと相互の敬愛も含んで居ります、兩方でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=74
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075・宗武志
○伯爵宗武志君 御説明有難うございました、私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=75
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076・荒川文六
○荒川文六君 先程佐々木委員から御尋になりました義務教育は無償にすると云ふ件の憲法第二十六條に付きましては、私も同樣の疑問を持つて居るのでありまして、先程當局からの御説明で、公立學校に於て義務教育を受ける場合には、父兄はどの學校にやりたいと云ふ選擇權はない、若し自分の欲する私立學校に子女を送るならば、授業料を出す學校に入れなければならない、斯う云ふ譯になつて參りますのですが、現に今年學校を出まして、中學校に入る者の中に、例へば、殊に女子でございますが、公立學校では今度男女共學になるさうだ、併しあの私立學校では女子だけを採用するさうだと云ふところで、其の父兄が其の私立學校に自分の子供を入れたいと云ふ者が可なり多いやうな風でございます、又或家庭では宗教上の關係から、自分の子供はキリスト教の主義の學校に入れたい、公立學校より其の方が宜からうと云ふので、其の方に子供を入れたいと云ふ希望を持つて私立學校を選擇する者もあるやうでございます、さう云ふ風な父兄がさう云ふ學校に子女を入れるが爲に、授業料を出さなければならない、自然憲法に國民の權利として與へられて居る義務教育は無償とすると云ふ、其の權利は抛棄すると云ふことになる譯だと思ひますが、或は公共團體が準備して居る學校に入れないから、お前は斯う云ふ國民の憲法に依つて與へられた權利を受けることが出來ないのだと斯う輕く考へて、此の義務教育は無償にすると云ふ特典に當嵌めることが出來ないと云ふことはどうか、何とかして出來るのであらうかどうかと云ふ疑問を私持つて居るのでありますが、是は今日此處で御答を願はなくとも宜しいのでございますが、斯う云ふ疑問を持つて居ると云ふことだけを一つ御承知を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=76
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077・辻田力
○政府委員(辻田力君) 先程佐々木先生、又只今荒川先生から御質疑がありました點でございますが、是は政府の方としましては、それぞれ十分研究したのでありますが、憲法違反でないと云ふ考で居るのであります、其の内容に付きましては先程御話しましたやうに、義務教育と云ふ以上、國に於て義務就學者を十分教育するだけのものを備へて居なければならない、如何なる學校に於ても授業料を徴收することの出來ないのは勿論で、是は憲法第二十七條もそれを保證して居るのでありますが、斯かる學校以外の私立學校で義務教育を受ける場合に、其の學校の特色を慕つて行くのは學校の無償の權利を抛棄したものと考へられるのでありまして、其の場合には憲法の精神と矛盾しないものと考へると云ふ風に解釋を決めた譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=77
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078・荒川文六
○荒川文六君 一應承つて置きます、此の問題は是以上は伺ひませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=78
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079・坂田幹太
○坂田幹太君 昨日午後居りませぬので御尋の濟んだことかと思ひますが「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造」、是は前文でございますが、あの意味を、若しも重複したら恐縮でございますが「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造」と云ふ意味はどう云ふのかちよつと其の點を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=79
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080・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 此の點は普遍的、即ち一般的な世界的な文化の創造を目ざす、是が一つでありまして、それと竝んで「個性ゆたか」でありまするが、此の個性は昨日も申上げたかと思ひまするが、一面に於きましては日本的な個性の豐かなもの、それから又個人的な意味から豐かなもの、此の兩方のものが其の中には入つて居る、左樣に御承知願ひたいと思ふのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=80
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081・坂田幹太
○坂田幹太君 それから先刻第二條の「自他の敬愛」と云ふ所は、色々自分を重んずると云ふやうなことも入ると云ふことでございましたが、大體是はずつと拜見致しまして、兎に角是は個人の尊嚴なり、個人の價値と云ふことを大體教育基本法と云ふものは基にして立てて居られる、詰り今迄の日本の教育と云ふものが、昨日戴きました教育使節團の報告書を見ましても、「忠誠と愛國心が、必ずしもあらゆる國民に望ましくないのではなくて、如何にして合理的な代價でそれらを保證するかが問題なのである、絶對的な服從と盲目的な自己犠牲とは餘りにも高價な代償である」と、必らずしも我々には望ましくないのではないが、過去の絶對的な服從と云ふことの其の反動でございませうか、個人の價値と尊嚴と云ふことが今度は基本になつて居るやうでありますが、從つて個人の人格を完成すると云ふ點に付ては第一條に詳しく出て居りますが、其の完成した個人が社會を成して社會を形造つて居る、さう云ふ場合に、詰り社會の形成者であると云ふ場合に、個人が完成した人格者、皆完成されたさう云ふ人達が寄つて社會を成して居る、其所には年寄りもあれば若い者もある、長老を敬ふとか、或は若い者を助けるとか、或は男もあれば女もある、或は師匠とか弟子、さう云ふやうな關係に付ての、何と言ひますか、爲すべき道と云ふやうなことはちつとも盡すべき道が出て居ない、さう云ふ人に對する關係は親であらうが、兄弟であらうが、路傍の人と同じに考へて、自分だけが完成すると云ふことを主に書いて居るやうに思ふのでありますが、それを唯其所に自他の敬愛と云ふことであつさり簡單に片附けて、外のものはそれに含んで居ると云ふやうな意味に暫く之を解釋して宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=81
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082・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 只今御指摘になりましたやうな點は、此の二條の「自他の敬愛」と云ふ所にも現れて居ると考へまするし、尚第一條に記されて居りますやうに、國家及び社會の形成者として勤勞と責任を重んずると言つたやうな言葉に、相當能く現はれて居るのではないかと考へるのであります、個人を完成致しますることは、軈て又社會の一員としての其の職責を十分に果さしめるのではないかと考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=82
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083・坂田幹太
○坂田幹太君 今の御説明でございますと、詰り社會の形成者たるべき立派な人格、完成した人格を希望するのでありまするが、それは何をするのか、詰り社會の形成者として眞理と正義を愛すると云ふ、この位の所だらうと思ひますが、それから其の次は、個人の價値を尊ぶと云ふことは自己のことになります、眞理とか正義とか、昨日も御話があつたかと思ひまするが、眞、善、美、詰り善と言へば法律、さうしてすべきことをするのであつて、美がない、醇風美俗と云ふ點に付て斯う云ふやうなことをすると云ふことは、責任とか云ふやうな問題とは又違ふのではないかと思ひますが、醇風美俗と云ふやうなものは……、さう云ふやうなことは教育基本法として餘り御採上げにならないで、唯「自他の敬愛と協力」と云ふことであつさり片付けられると云ふことでは、何だか物足らぬやうに感ずるのでありますけれども、是は其の上は意見になりますから其の儘に致して置きますが、序に御尋ね致したいのは、此の際どうかと思ひますが、使節團の報告書の中には、今の點を十頁に、日本の教育の方針は轉換しなければならぬが、新しい計畫に力を與へるやうな人道上の觀念、理想としてどう云ふものが保存の價値があるかを知る爲に、今迄の中でどう云ふものが保存價値があるかを知る爲に、彼等の文化的傳統を分析することが日本の教育活動に携はる總ての人々に課せられた仕事でなければならぬ、日本人は其處に忠誠心と愛國心を合法的に振作する根據を見付けるし、初めの中は忠誠と愛國心と云ふものが必しも總ての好ましくないことではあつたが、餘りにも日本のやり方は絶對な服從、盲目的な自己犠牲であつたのは、高價な代價であつた、さう書いてあつて、併しそれを何か其の日本人は忠誠心と愛國心を合法的に振作する根據を見付けるであらう、斯う書いてありますが、斯う云ふ點に關する報告書に對しては、文部省の方ではどう云ふ風に御考になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=83
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084・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 私の私見に陷るかも分りませぬが、普遍的にして個性豐かな文化の創造をするとか、或は平和的な國家社會の形成者としてと云ふやうな、本當に好い意味の國家の形成者、或は社會の形成者と云ふものの中には、抽象的に言ひますと、總ての人間を平等に扱ふと云ふやうなことにも考へられますけれども、現實の人間は男であるか、女であるか、或は年寄であるか、子供であるか、具體的には皆個性を持ち、特殊性も持つて居りまして、個性も特殊性もない普遍的な人間と云ふものは、概念上は考へられますけれども、現實には存在しないのだ、其の意味に於て、此の前に佐々木先生も御指摘になりましたやうに、是は矢張り善い意味の日本人となる爲には、日本の傳統も日本の文化も十分に尊重しなければ、善い意味の日本人にはなれない、善い日本人と云ふのは、同樣に世界的にも價値を認められると同時に、日本人の個性も決して捨てないのである、さう云ふ風に考へますと、普遍的にして個性豐かな文化を創造するやうな人間には、個性と云ふものが歴史の中に發展しなければならないと云ふ點から考へますと、自ら日本的な個性も、亦個人的な個性も其處に培つて行かなければならないし、日本の歴史を離れて今後の日本がある譯でありませぬから、過去に背負つて居る日本の歴史と云ふやうなものが日本國家の中に現れれば、自ら其處に日本的な國民と云ふやうなものが出來なければならぬ、國家及び社會の好い形成者と云ふものの中には、さう云ふ個性も特殊性も、全體の價値を傷けない限りに於ては十分尊重して行かなければならないのではないか、斯う云ふ風に考へまして、私共は此の表現に滿足を致して居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=84
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085・佐々木惣一
○佐々木惣一君 此の法律の適用に付てちよつと伺ひたいと思ひますが、一つは宗教のことですが、例へば或學校に於きまして佛教なら佛教と云ふものを教へる、其の場合、それに通じなければ、或は其の科目の成績が惡ければ、どうする、斯うすると云ふやうな取扱をすることは差支ありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=85
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086・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 初めから是は佛教信者でなければ入れないとか、キリスト教でなければ入れないと云ふことをはつきり謳つて居る學校に於ては、さう云ふものが或程度の成績を擧げなければ進級或は卒業をさせないと云ふことはあり得るかも知れませぬ、併しさう云ふ嚴格な規定を持たない場合に於ては、それを楯に取つて差別扱ひをすることは認めない方針であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=86
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087・佐々木惣一
○佐々木惣一君 はつきり分りました、それからもう一點は、公民教育、政治教育に付てですが、例へば學校に於きまして、社會黨の此の政策は自分は贊成する、或は又自由黨の此の政策はいけないと云ふやうなことを言ふことは、第八條の第二項に該當するのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=87
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088・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 是は其の場合に依つて多少違ふかと思ひますが、大學等に於て政治學を教へるやうな場合に、或黨派の政策を批判するやうなことは私は一向差支ないと思ひます、唯一黨一派を支持したり、排斥したりするやうな意味に於て、批判でなしにすると云ふ、其處が牴觸するかと思ひますが、是はどの程度でそれが此の條文に牴觸するかしないかは、寧ろ學校長竝に學校の教員達の判斷に委せるより、致し方がないと思ひますが、此の精神は、特定のものを支持したり、特定のものを排斥したりすると云ふやうな、政治的な偏頗な意見を強いる、其處の強いるか強いるに近いやうな態度がいけないと云ふことであつて、自由な批判檢討は許さるべきものだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=88
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089・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、例へば社會主義一般と云ふものは良いものだ、併しそれは現在の我が國の社會の支持する社會主義と云ふやうなことを言つても、今の御話で差支ないのであるが、そこですよ、問題は……社會主義一般と云ふやうな理論を言ふことだけを許されると云ふことであるが、今日社會主義と云ふものを政黨が支持して居る、或は一般社會主義より少し修正を加へて、此の政黨が支持する社會主義を言つて居るかと云ふことです、但しそれはどうも、さう云ふ主體を離れて主義だけを批判すると云ふことはなかなかむづかしいことでありますから、大學だらうが何處だらうが……、併し此の故に此の社會黨が日本では良いのだと言つたら、之に牴觸するか、社會主義、此の社會黨の支持して居る社會主義が良いと云ふことを言つても差支ないと云ふのでないと、何も言へぬことになる、主義一般と云ふことは、抽象的の人間と云ふものはないと云ふことを仰つしやつたと同じことであつて、現實に行はれ、存在する主義は誰かが把持して居りますから、でありますから、其の社會主義を執つて居るから此の社會黨は良いのだと云ふ解釋ではいけませぬか、此の第二項は……、是は大切な問題ですよ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=89
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090・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 是は矢張り學問的な立場から爲すことは差支ないと思ひます、學問的な立場でなくして、寧ろ實際運動と云つたやうな所に行く所に、けじめがあるのではないかと云ふ風に考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=90
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091・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたが、實際社會黨が良いと言つたらどうですか、社會黨に投票するとかそんなことぢやない、だから社會黨が良いのだ……將來是は必ずありますよ、此の問題は十分御研究になつて置くことを希望するのであります、私は是で……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=91
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092・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 第三條に付て伺ひたいと思ひます、是は教育の機會均等と言へば新しい近代教育の根本原則のことで、第二項で、若しそれが十分に實現されない場合は、國及び地方公共團體が積極的に此の行動に出て、此の機會均等を實現すると云ふやうなことを謳つて居られるのですが、そこで奬學の方法を講ずる譯でありますが、是は此處にも「經濟的理由によつて修學困難な者」とありますから、矢張り此の奬學方法と云ふのは經濟的の奬學方法と云ふことに歸するのぢやないかと、此の法文を見ますと解釋されるのです、さう云ふ風に解釋して宜しうございませうか、さうしますと、此の奬學の方法と云ふことは可なり色々な關係が重要な問題になると存じまするが、之に付て文部省として何か具體的な奬學の方法の考へ、用意が御ありになるのでございませうか、斯う云ふやうな奬學の方法を講じなければならぬ、斯う云ふ意味のことが教育方針の中に出たのは、從來餘りなかつたやうに考へられますので、此の第二項は實際問題として非常に大きな問題と存じますが、差當りの何か具體的な御豫定、御考へ等の大體で宜しうございますが、伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=92
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093・辻田力
○政府委員(辻田力君) 第三條の第二項の奬學の方法でありますが、是は義務教育の場合と、義務教育でないそれ以上の學校の揚合と、多少違ふと思ひますが、義務教育に付きましては、現在でもやつて居りますが、奬學資金とか、就學奬勵費と云ふものがございまして、それに依つて經費を支出して居ります、國からも補助して居ります、それから、それ以上の學校に付きましては、現在大日本育英會がありまして、そちらの方で奬學生と云ふものを選定されまして、其の奬學生に、國から育英會に補助した金を、育英會自身に於て選定した者に適當に補助或は貸付して居るのであります、其の育英の方の關係に付て簡單に申上げますと、二十一年度に於ては前年度の五倍に當る千七百五十萬圓の事業費を持つて居りましたが、昭和二十二年度に於きましては、更に其の五・四倍の九千六百萬圓の事業費を計上致して居ります、之に依りまして、奬學生は二十一年の十一月現在に於きましては、一萬八千九十八名でありましたが、二十二年度豫算に於きましては現在の約六倍となりまして、十萬七千五百五名と云ふことになつて居ります、是は豫算の財政上の關係もございますが、出來るだけ擴充して行きたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=93
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094・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) ちよつと速記を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=94
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095・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記中止
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=95
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096・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 速記を始めて、他に御發言ございませぬか、實は今日時間がございますれば、二三の委員の方から御希望がございましたので、速記を中止して懇談に入りたいと考へて居りましたが、もう其の時間もないやうに考へますから、本日は是にて散會致しまして、懇談は次囘に讓りたいと思ひます、それでは本日は是にて散會致します、次囘は明日午前十時から開會致します
午後三時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=96
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097・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 今園國貞君
副委員長 伯爵 宗武志君
委員
侯爵 大久保利謙君
伯爵 橋本實斐君
子爵 内藤政光君
子爵 三島通陽君
子爵 田中薫君
平塚廣義君
佐々木惣一君
荒川文六君
羽田亨君
男爵 加藤成之君
男爵 松平齊光君
坂口康藏君
坂田幹太君
瀧川儀作君
田島道治君
正田貞一郎君
小山完吾君
淺井清君
侯爵 大隈信幸君
國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
政府委員
文部事務官 日高第四郎君
同 辻田力君
同 剣木亨弘君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00319470322&spkNum=97
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