1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○學校教育法案
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昭和二十二年三月二十六日(水曜日)
午前十時二十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=0
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001・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 開會致します、前囘で高等學校に關する御質問は大體濟んだと考へますから、本日は第五章大學に付きましての御質問を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=1
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002・羽田亨
○羽田亨君 大學に關して五十二條から七十條迄規定を設けてあるのですが、是れ以外に別に、例へば大學令の如きものに相當するやうな何か規定を御出しになる積りでございませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=2
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003・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學の方の點に付きましては、附則で、現行大學令は廢止されて居ります、其の他帝國大學令の方は廢止致しませんで、現行で殘つて居るのでありますが、其の他には、新に勅令に相當するやうなものは一應出すことを考へて居りませぬが、唯大學の場合に、大學設置委員會に付きましての事項は、六十條で「命令でこれを定める」と云ふことになつて居ります、是は大體新に政令を以ちまして規定する積りであります、其の他に付きましては、勅令に相當するやうなものは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=3
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004・羽田亨
○羽田亨君 それでは帝國大學令は現にある譯でありまして、其の上に是が行はれると致しますと、五十八條には「大學には學長、教授、助教授、助手及び事務職員を置かなければならない」と云ふことになつて居りますが、帝國大學には今學長と云ふやうなものはない譯ですね、それ等の點はどうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=4
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005・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 今迄の帝國大學の總長は、學長と云ふことに法制的に之で規定した譯でございますので、帝國大學令に於きましても、例へば帝國大學と云ふ名稱、總長と云ふ名稱に付きましては改正致さなければならぬと考へて居ります、唯此の法制上の學長と云ふ名稱は、歴史的な、或は其の他通稱と申しますか、さう云つたやうな意味合ひで、總長であるとか塾長と云ふやうな名稱は、通稱として使ふことは差支ないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=5
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006・羽田亨
○羽田亨君 只今の御説明ですと、此の總長と云ふ名前も用ひるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=6
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007・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 帝國大學に於きまして、將來總長と云ふ名前を用ひるかどうかと云ふことは、今後色々話し合ひを致しました上で決定したらどうかと考へて居ります、但しそれは法制上に於ては學長と云ふ名稱になります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=7
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008・羽田亨
○羽田亨君 念の爲に御伺ひいしたいのでありますが、此處にある學長と云ふ言葉は、之を英語などにすると、どう云ふ名稱になりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=8
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009・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) プレシデントです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=9
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010・羽田亨
○羽田亨君 現在帝國大學等に於て認めて居ります講座制と云ふものは、矢張り持續せられる御積りでございませうか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=10
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011・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 講座制の存續に關して、帝國大學等に付きましては、今の所、廢止する意思はございませぬ、此の法律で講座制をはつきりすると云ふことは、各私立大學其の他に付きましても、必ずしも講座制を採用しなくてもいいんぢやないかと云ふので、法律には規定致しませぬ、講座制の存續如何は、帝國大學に付きましては、色々御相談の上決定致したいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=11
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012・羽田亨
○羽田亨君 第六十八條に、學位の規定があります、「博士その他の學位を授與することが出來る。」それから次に「博士その他の學位に關する事項を定めるについては云々」とありますが、學位は博士ばかりでなく、他の學位も御考へになつて居るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=12
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013・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は大體、大學を卒業しますと學士と云ふ稱號を與へまして、それから大學院に居りまして、又其の他の方法に依りまして博士號を得るものと、此の二つの段階の間に、一定の年限を大學院に於て修了致しますと、それに特別の一つの稱號を與へたらどうかと云ふことで、其の稱號は確定は致して居りませぬが、一應其の中間的なものを豫想致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=13
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014・羽田亨
○羽田亨君 それから第五十九條に關聯しまして、「大學には、重要な事項を審議するため、教授會を置かなければならない」と云ふことでありますが、只今は御承知の通りに、教授會以外に、大學全體の事項を審議するために評議會と云ふものを置いて居る譯であります、是は此の法律に謳つて居られないのでございますが、之に付てはどう云ふ御考へでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=14
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015・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 實は大學の教授會に關しましては、一應最初は、大學の一般に入りまして、先にも御答へ致しましたが、一應勅令の形式のやうなものを考へて見ようと云ふ氣持でありまして、例へば教授會等に付きましてはさう云ふ規定に讓つたらどうかと云ふ考を實は持つて居つたのであります、處が所謂大學に關しまして必要なことは全部法律で決めるべきで、其の他のことは勅令と云ふ形式で出すことは避くべきだと云ふ結論になりまして、それでは最小限度のものだけを何か教授會と云つたやうなものを規定致す必要があると考へましたのであります、其の結果、各大學の全部に一應共通すると考へられますのは教授會と云ふものであります、茲に其の點だけを規定致したのであります、其の他色々の綜合大學に於ける全般的な行政機關と申しますか、諮問機關と云ふやうなものに付きましては一切を擧げまして、各大學の自由なる設置に御任せすると云ふ態度を執つたのであります、唯現在帝國大學に於きましては、帝國大學令の第五條に「評議會ヲ置キ各學部長及各學部ノ教授二人以内ヲ以テ之ラ組織ス」とございまして、帝國大學令が其の通りずつと存續致すのでありますから、帝國大學に付きましては是が尚生きて行く譯であります、尚帝國大學令を改正する場合に於きましても、評議會等に付ては何等かの規定を設けたいと考へて居ります、帝國大學に關しましては差支ないと思ひます、帝國大學以外のものに矢張りそれを強制することはどうかと考へまして、一般には評議會の規定は設けなかつたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=15
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016・羽田亨
○羽田亨君 一應是で私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=16
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017・荒川文六
○荒川文六君 先程御答の中の附則の九十四條の廢止令の中に帝國大學令が入つて居らない、是は氣が付いて居りましたが、それは帝國大學と云ふ名稱が變るかも知れないけれども、ああ云ふやうな矢張り法令が將來もずつと出來て行くと云ふことでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=17
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018・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 帝國大學令を改正致しませぬ理由は、帝國大學令は一面官制のやうな作用を致すものでございまして、其の意味合に於きましては之を官制……色々な點を考慮致しまして、其の際でないと之を廢止する譯には行かないと思ひまして、一應存續致したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=18
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019・荒川文六
○荒川文六君 さうすると、將來學校教教法と竝んでさう云ふものは何等かの形でずつと生きて居ると云ふ譯なんでございますね、當分あれは殘して置いて、將來は止めてしまふと云ふ意味ではないと云ふ風に了解致しましたが、それで間違ひないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=19
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020・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は官吏法とか、其の他の色々なことと關聯致しますと思ひますので、さう云ふものと十分將來睨み合せまして、斯う云ふ類似のものを存續するかどうかと云ふことを決定致したいと思ひます、現在の所では何等か斯う云ふ意味合のものを存置する必要が帝國大學に付てはあるのではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=20
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021・荒川文六
○荒川文六君 此の第五章をずつと讀みますと、五十三條に「大學には數個の學部を置くことを常例とする。」と云ふことで、綜合大學と云ふことが建前になつて居る、大學と云ふものは綜合大學と云ふものが建前になつて居る、一應斯う云ふ風に取られますが、併し特別の必要のある場合には一個の學部を置くことも出來る、所謂單科大學と云ふものを認められて居るものと思ひます、其の綜合大學と單科大學とでは同じ大學と云ふ名前が付いて居りましても、實質上は非常に違ひがあるのではなからうかと思ふのでありますが、從つてそれの構成に付ても學長、教授、助教授と云ふものが單科大學に於てはそれで宜いかも知らぬかと思ひますが、綜合大學に於ては、是が是だけでは、先程羽田委員からの御話の中にもありましたやうに、どうも現在の状態から見ても、又將來のことを考へても不十分ではなからうかと思ふのであります、綜合大學と單科大學とを同じやうに取扱ふと云ふことが一體將來うまく行くものでございませうか、そこに私は疑念を持つて居るのでありますが、さう云ふことに付ての御見透しはどうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=21
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022・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 綜合大學と單科大學に付きましては、其の組織等に付きましては相當違ふと云ふことは事實でございまして、實は大學の學長と云ふ名稱で統一することに付きましても、私共と致しましては、大體矢張り綜合大學に於きましては、各學部が一應單科大學に相當すべきものでございまして、それを綜合致します學長は、矢張り學長の上に一應あるべきものだと云ふので、總長と云ふやうな名稱も存置致したかつたのでございますが、此の點に付きまして、單科大學とか綜合大學に付きまして一つの階級的な見方をすると云ふことが、どうしてもいけないと云ふ結論になりまして、規定の上では、如何にも單科大學と綜合大學とを同じような取扱に致すやうなことになつて居るのでございます、併し唯大きな單科大學と綜合大學の相違點は、其の綜合大學に大學院を大體置くと云ふことに依りまして、相當事情は違つて來ることになると考へるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=22
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023・荒川文六
○荒川文六君 大學と云ふ言葉は、多分英語のユニバーシテイと云ふのを譯して使つたことと思ふのでありますが、私聞いて居ります所では、其のユニバーシテイと云ふ此の名の與へられる教育機關には、昔から必ず文科の方面と、法科の方面と、理科の方面とを備へた綜合的のものでなければ、さう云ふ名は與へられないと云ふやうに聞いて居りますので、大學と云ふ學術の最高の教育をやる所は、唯學部が幾つつか固まつて、それを行政的に一つの機關の中に入れると云ふのでなくして、教育の方面に於ても矢張り色々の方面の教育が一人の學生に對して授けられると云ふ所に特色があるのではなからうかと思ふのでありまして、私は其の點から言つても、綜合大學と單科大學と云ふものを同じに取扱ふと云ふことは、非常な無理があるのではなからうかと思ふのでありますし、其の點に於て、此の第五章の規定がどうも物足りないやうに感ずるのであります、併し今之をどう修正すると云ふことは事實上出來ませぬから、將來に於てさう云ふ所を一つ御考へを願つて置きたいと思ふのであります、それからもう一つ、今大學院の話が出ましたが、此の法案を見ますると云ふと、大學院と云ふものは必ずしも綜合大學ばかりでなく、單科大學でも之を設けることが出來るやうになつて居るのではありませんでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=23
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024・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學院は矢張り第六十六條にありますやうに、「數個の研究科を置くことを常例とする。」と致しまして、大體綜合大學に大學院が、置かれると云ふことを常例とする原則として居るのでございますが、併し單科大學でも大學院を置けないと云ふことはない譯でございます、併し如何なる單科大學に大學院を置くかどうかと云ふ問題に付きましては、最初に第一章に申述べましたやうに、大學院を置き得る大學に付ては設置基準を相當嚴密に決めまして、其の方から大學院を如何なる大學に於きましても置くと云ふ譯には行かないことに相成ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=24
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025・荒川文六
○荒川文六君 其の大學院と云ふものと、第五十七條の專攻科と云ふものとはどんなやうな區別になりますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=25
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026・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 專攻科は高等學校の場合に於ける專攻科と云ふのを設けたのでございますが、其の大學を卒業致しまして、或特別の事項に付て、それよりも精深な程度に於て特別の事項を教授すると云ふ、さう云ふ制度を大學に設けることを認めたのでございますが、大學院と根本的に違ひますのは、大學院は先にも申上げましたやうに、一定の年限を修了致しますとそれに一つの學士と博士との中間に存在しますやうな一つの稱號と云ふものを豫定して居るのでございまして、矢張り大學を卒業した者に學士を與へると言つたやうなことを考へて居るのでございます、專攻科の方は全然さう云ふものを考へて居ないのであります、其の點に於て大學院とは性質上違つて居ると申すことが言へると思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=26
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027・荒川文六
○荒川文六君 どうも是はアメリカのマスターと云ふ學位を取ると云ふことに能く似て居るやうな風に思ひますけれども、此の專攻科、殊に單科大學に若し大學院が置かれるとすれば、專攻科と大學院と云ふものは、唯さう云ふ風な稱號を與へるかどうかと云ふだけの違ひになつて來るやうに考へられるのでありますので、非常に曖昧になつて來はしないかと云ふ懸念がございますが、是は將來のことでございますから、此の位の程度にして、もう一つ伺いたいと思ひますことは、高等學校迄の學校には學科課程に關することが色色規定してございまして、大學の學科課程と云ふものは、これは其の大學が自分の考へから、例へば教授會ならば教授會に於て、自由に決めることが出來る、又教授の制度例へば學年制にするか、單位制にするかと云ふやうなことも其處で決めることが出來る、斯う云ふ意味で茲に述べてないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=27
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028・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學に付きましては御説のやうに大體五十二條で目的を明示致しまして、其の他に關しましては、大體大學の自由に任せると云ふことでございますが、只今も申しました大學の設置基準と云ふものに付きましては、例へば法科とか工科と云ふものに付きまして、其の大體の編制を豫想致しまして、其の編制に付て色色な設置基準と云ふやうなものを、現に研究して居るのでございまして、設置基準には或程度の編制上の基準を考へて居る譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=28
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029・荒川文六
○荒川文六君 大體御話で分りましたやうですが、今の設置委員會と云ふのは第六十條に其の内容が出て居るやうでございますが、是は大學の設置の時に認可するかしないかと云ふことに關することのやうに見えますが、大學も既に出來て居つて、學科課程を或は授業の制度を變えようと云ふやうな場合も、矢張り斯う云ふ委員會に諮問されることになると云ふ譯なのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=29
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030・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大體設置委員會に掛けます場合に於ては、設置の認可の場合だけを一應豫想致して居るのでございますけれども、大學に關する色々重要な事項に付きましては矢張り諮問機關と致しまして、設置委員會に色々の點も掛けて行く必要があると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=30
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031・荒川文六
○荒川文六君 もう一つ伺ひたいと思ひますが、先程羽田委員からも御尋ねになりましたが、今現に帝國大學に評議會と云ふものがありますが、是は將來帝國大學の名が變つて、或は國立大學、或は國立綜合大學と云ふやうな名になるかも知れませぬが、假りに評議會と云ふものが、さう云ふ性質のものが殘されるだらうと云ふ話でありまして、唯私立の大學に於ては、現在では評議會と云ふものがなくして、學校の經營とか經理の問題は、例へば理事會とか、何とか、云ふものでやつて居るやうであります、さう云ふことは矢張り其の大學の歴史とか、或は從來のやり方とか、さう云ふ風な形式を採つてやることも出來ると云ふ譯でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=31
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032・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學全般の綜合大學としての運營に付きまして、根本的な機關を私立學校等に於きまして新たな形態で御作りになると云ふことは自由であると考へるのでございますが、唯大學の自治と云つたやうな面から申しまして、少くとも教授會は設置する必要があるのぢやないかと考へまして、さう云ふ風な譯で教授會だけの規定を、一應置いた譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=32
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033・荒川文六
○荒川文六君 ちよつともう一つ今の御話に續いて伺いたいと思いますが、教授會と申しますのは、大學全體の教授を含めた協議會と云ふ意味でございませうか、從來は帝國大學などでは、さう云ふ教授會はなくして、各學部の教授會と云ふことになつて居つたのでございます、是はどう云ふ風に解釋したら宜しいのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=33
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034・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の規定を斯う云ふ風に致しましたことに付きまして、一應今迄の手續上のことをちよつと申上げたら御了解になると思ひます、先程申しましたやうに、最初は是は斯う云ふことを決めませんで、勅令か何かで規定したいと考へたのでありますが、勅令で規定することは全然大學に付てはいけないことになりましたので……、是は教授會に付ては相當詳細に勅令で規定致さうと致しまして、或は教授會の定足數でありますとか、教授會に於て諮るべき事項であるとか、或はそれを各學部毎に置くとか、さう云つたやうなことを詳細に規定しようと致したのでございます、それに付きましては關係方面の了解を得たのでございますが、併し教授會に付きまして、さう云ふ詳しい規定を致しますことは、却て法規の上から申しましても、又大學教授會に取つて非常に拘束するやうなことになりますので、唯此處では教授會の行き方とか、さう云ふことに付きましては、大體大學に御一任して、教授會と云ふことだけを茲に規定したら宜いぢやないかと云ふことで茲に規定致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=34
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035・荒川文六
○荒川文六君 さうしますと今の教授會と云ふのは、大學の規定の中に適當にさうしたものを規定すると云ふことになつて來るでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=35
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036・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=36
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037・荒川文六
○荒川文六君 一應私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=37
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038・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私も大學に付て御尋ね致しますが、前申上げる大學は矢張り國家が之を必ず設置すべきものと云ふやうな建前でございますか、其の點が矢張り法文の上にははつきりしない、大學は必ず設置しなければならぬ、斯う云ふ譯でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=38
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039・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張り高等學校の場合と同じやうに、大學に付きまして、國家に設置義務と云ふものを規定は致して居ないのでありますけれども、併し法の全般的な精神と致しまして、國が日本の文化の向上發展を圖る責任がある限りは、それを義務付けませぬでも、當然に矢張り國の責任と云ふことは豫定されて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=39
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040・佐々木惣一
○佐々木惣一君 國の責任が豫定されて居ると云ふことはちよつと法律的説明としては如何がと思いますけれども、法文の解釋では高等學校は國家は必ず設置しなくても宜いと云ふ解釋なんですね、それから次に御尋ね致しますが、學部と云ふものに對しまして大學の豫科と云ふものを、大學自體に置くことが出來るのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=40
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041・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 今度の六・三・三・四の建前は、例へば高等學校に於きましても、大學に入學するに最も適當なる課程を置くことは、高等學校として豫想致して居りますけれども、それが當然或る大學に入つて行く豫科的なものとしての存在は、一應法規上は認めて居ないのであります、例へば私立學校等に於きまして豫科的の高等學校を造りまして、是は事實として其處に入ると云ふことに判定するが、學校と致しましては、全然豫科的なことは考へて居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=41
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042・佐々木惣一
○佐々木惣一君 豫科でなしに一個の高等學校として私立學校は建てなければならぬことになるのでありますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=42
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043・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大體或學校と、或學校との間に、一貫性と申しますかが當然認められると云ふことは、原則的には認められて居ないのでありますが、私立學校で入學に際して事實さう澤山入つて居ると云ふことは已むを得ない発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=43
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044・佐々木惣一
○佐々木惣一君 「大學には、夜間に於て授業を行う學部」とありますが、是は夜間の學部だけの大學と云ふものも出來るですが、五十四條でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=44
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045・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 茲に「大學には」と規定してありますのは、大體晝間の大學がありまして、それに夜間の學部を付設すると云ふ場合を考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=45
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046・佐々木惣一
○佐々木惣一君 先刻の詰り何ですな、大學に學長とか一方に總長とか言つて居るのでありますが、今度學長にする、それは宜いのですが、總長を通稱として許されるとか、さう云ふことは分らぬですね、ああ云ふことが非常に弊害を生ずる、制度上には學長となつて居れば、總長と稱することは止めると云ふのがどうも本當であると思ふのです、國家、政府に於て一定の名稱でやると云ふ時は、他の名稱を用ひることを禁ずると云ふのが國家の建前なんですが、通稱であらうが何であらうが、通稱としては總長と言つて宜いことは第五十八條の建前としては如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=46
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047・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 總長と云ふ名稱を廢止すると申しますのは、ちよつと假に帝國大學令にあります總長と云ふ名稱は、法律上に限つては改正しなければならぬと考へます、唯例へば慶應義塾の塾長でありますとか、何々學院の院長と云つたやうな所謂法制上の名稱でないけれども、それを禁止すると云ふことは如何かと考へまして、さう云ふものは使つても宜いのぢやないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=47
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048・佐々木惣一
○佐々木惣一君 内部で使ふのは勝手ですけれども、それは一般社會的に、例へば學生を募集するとか云ふやうな時に、院長とか塾長とか云ふ名前でも宜い、斯う云ふ譯ですか、外部に對する通稱と云ふことが分らないのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=48
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049・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 公のものと致しましては、全部學長で行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=49
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050・佐々木惣一
○佐々木惣一君 法律上學長であるものを内部で以てさう云ふ名稱を付けても、それは勝手だと云ふことですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=50
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051・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=51
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052・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたが、通稱と云ふのはさう云ふ意味に外の場合では使つて居ないのですね、一般社會の、法制上取り決めて居る名稱以外に用ひる名稱であつて、一般社會に於て行はれて居ることは、社會的に客觀的に認められて居ると云ふことを通稱と言つて居りますが、今の話ではどうも通稱と云ふ譯に行きませぬね、まあ宜いです、それから第五十八條の學長は「所屬職員を統督する」とあるのですが、此の統督と云ふのは特別の監督と云ふことになりますか、外の學校には皆監督とありますが、統督は監督と違つた意味で使つて居るのでありますか、それをちよつと伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=52
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053・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是はそこに使ひましたのは多少氣分的の問題でございまして、そこに多少大學と致しまして重みを付けると申しますか、決して特別な意味があつた譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=53
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054・佐々木惣一
○佐々木惣一君 統督又は監督致します態度は、行ひ自體には差はないのですね、氣分で感じを重くする譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=54
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055・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 事實問題と致しまして大學の學長は、さう云ふ統督すると申しますのは、小學校とか中學校の場合とは多少違ふ所があると云ふことを氣分的に現はした積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=55
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056・佐々木惣一
○佐々木惣一君 其の御趣旨は分つたのですが、ちよつとをかしいですけれども……それから五十八條の四項に教授の任務は「教授は、學生を教授し、その研究を指導し、又は研究に從事する」とあります、之を言葉通りにとりますと云ふと、今の大學の教授の職責の一部であるけれども併しながら重いと思つて居る所の學問の研究に從事すると云ふことが、ひどく輕くなるやうに思ひますが、如何なものでありますか、「又は」とすると、研究に從事しないでも宜いと云ふことになりますが、どう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=56
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057・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 其の點は尤もと思ひますが、併し大學教授として學生を教授し、其の研究を指導する意味に於きまして、學生教授自身の關係に是だけを規定致したと致しまして、教授自身が研究を致しますと云ふことは從來と同じやうに重要なことと考へるのであります、唯是だけを規定致しますと、例へば研究所の教授で事實問題として研究のみに從事されまして、教授されて居ない方が入らないやうになりますので、さう云ふ研究のみに從事されて居ります研究所の教授も認めると云ふ意味に於きまして、斯う云ふ規定を致したのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=57
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058・佐々木惣一
○佐々木惣一君 研究のみに從事する教授、從來通俗の言葉で言つて居ります研究教授も認めると云ふ、斯う云ふ譯ですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=58
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059・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の點に付きましては、大學のあり方に付て研究教授を認めないと云ふ意見も從來ございましたが、現在研究所に於きましては研究のみに從事されて居る教授もありますので入れたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=59
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060・佐々木惣一
○佐々木惣一君 別に研究所と云ふやうなことにならないでも、そこに研究所と云ふことは書いてありませぬから、研究所を設置して居ない大學に於て研究だけに從事すると云ふことは許される譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=60
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061・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は矢張りさう云ふ研究教授を研究所の教授以外に認めるかどうかと云ふことは、非常に色々な問題がある點だと思ひます、それで其の點に付きましては、各大學當局とお話の上、實際上置くかどうかと云ふことは決定して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=61
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062・佐々木惣一
○佐々木惣一君 兎に角私の先程御尋ね致しましたのは、大學教授と云ふものの、研究教授とか、それから研究所の一員たる教授と云ふことでなしに、一般大學教授の任務としては學問の研究と云ふことが寧ろ主たるもので、其の研究に基いて學生を教授する、又學生自身の研究を指導して行くことだらうと今の大學では思つて居りますが、是では、何となく讀んだ所では、大學教授の職責が、所謂學生の教授或は學生の研究を指導すると云ふ、詰り對學生の態度に關するやうでありまして、教授自身が專心に研究すると云ふ其の方には重きを置いて居ない風に、實際此の法文は何と云つても見えるやうに私は解釋致しますが、併し今の御説明で、「又は」の上で、大學教授自身が研究すると云ふことも入ると仰しやつたのですけれども、併しそれは學生を教へる、學生の研究を指導すると云ふ意味の研究ならば入れても解釋が出來るのですが、そんなことと無關係に、一體大學教授と云ふものは學問自身を研究するものだ、又同時に學生を指導するものだと云ふ風に私共考へて居りまするけれども、此の五十八條をさう云ふ意味に解して宜しうございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=62
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063・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學の程度の差はありましても、特に大學の教授に於きましては、學生を教授すると云ふことはもう當然に教授が研究されると云ふことと一體になつて居るのぢやないかと考へるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=63
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064・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私の御尋ねしましたのは、學生の教授、對學生の問題、それが爲に研究するのは言ふ迄もないことですけれども、併しながらそれだけでなしに、學問を研究すると云ふこと其のことが一つの獨立した大學教授の職責のやうに、今日は少くとも考へて居りますが、其處が變更するかどうかと云ふことであるのですけれども、それは常に大學に關する色々な問題が起る、取締り、其の他官憲、色々な問題が起る時に、大學教授と云ふものは學問の研究と云ふことをやると云ふことが本來の任務の一つだと云ふやうなことを前提として、色々な問題が解決されて居るのです、それですからちよつと御尋ねするのですけれども、大體分つたやうですけれども、其の點はさう云つた問題だと云ふことを御考へ置き願つて、其の上で此の解釋を妥當に御考へ置き願ひたいと思ふのです、それから大學院ですが、先刻來御話がありましたが、先づ第一に大學院の入學資格のことから御尋ねしますが、大學院には大學を卒業した者を入れるのですが、其の大學と云ふのは當該の大學ですか、或は其の他凡そ大學と制度上認めてある其の大學を卒業した者を入れるのですか、此の五十七條の第二項の是は專攻科ですけれども、是が準用になると思ふのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=64
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065・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學に入學することの出來ますのは、其の當該の大學に限りませず、何處の大學からでも入學させることが出來るやうに思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=65
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066・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたが、非常に重大な問題ですから……、それから大學院のことでありまするが、「數個の研究科を置くことを常例とする」と、此の數個の研究科と云ふものに付て御尋ね申上げたいのは、大學院では或教授が、是迄の大學院と違ひまして、科目の講義をすると云ふことが建前でございませうね、六十五條に依れば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=66
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067・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 必ずしも講義と云ふことを豫想して居りませんで、矢張り個人教授と云つたやうなものも、個人指導も出來ると考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=67
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068・佐々木惣一
○佐々木惣一君 數個の研究科と申しますとどう云ふことになりますか、研究科と云ふと、私には矢張り講義をせなくてはならぬかとも思はれるのですが、如何でせうか、それが常例とすると云ふのですから……、結局今度の大學院と云ふものは、從來の大學院のやうに我々が指導教育をする、其の指導の下に、今御話のやうに或學生に個人教授と云ふやうなものをするのではない、何か其處に研究科と云ふやうなものを拵へて講義をするのではないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=68
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069・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 現行に於きましても、大學院には矢張り研究科を置くことになつて居るのでありまするが、研究科を置きまする場合には、當然に講義をすると云ふことにはならぬと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=69
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070・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今日の大學院に於ては、實際は研究科と云ふものを置いて居る所はどうですか、大學院に於て研究科を置く所は殆どないのではないでせうか、と思ひますが、如何でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=70
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071・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の研究科と申しますのは、矢張り一應必ずしも是は各部に對應するとは考へて居りませぬが、大體各部に對應するやうな科に分けて行くと云ふ考へ方であります、大學院として、全體を一體とした大學院とは考へませんで、一應其の中に、工學部なら工學部に對應する工科の研究科を置くと云ふやうなことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=71
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072・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今日の大學院は、例へば或科目を以て大學院に出願する、入學を許す、それに付て指導教授と云ふものを決めて、教授なり指導教授を命ず、斯う云ふことになつて居りまして、率直に理解する意味の研究科と云ふものぢやない、詰り學生の研究科目と云ふものは、是は無論決つて居るのだけれども、併し所謂研究科と云ふやうなものは今日の大學院には餘りないやうに考へて居りますが、今日のことはどうでも宜しうございます、兎に角それはそれとして、尚御尋ねしたいのでありまするが、各大學でどの程度迄自分の大學に關する組織のことを決め得るのでございますか、其の點可なり重大な問題ですが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=72
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073・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は先程申しましたやうに、大學の設置基準に一應依りまして、編制、設備、組織等に付て大體の基準が決ると思ひます、其の基準の決りました範圍に於きましては、大學は自由に組織に付て決めることが出來るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=73
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074・佐々木惣一
○佐々木惣一君 現行の大學では、まあ國家の制度として一般大學に通ずる規定がある、それは大體勅令に依つて出來て居る、其の勅令に基いて文部省令と云ふものがある、其の勅令及び文部省令と云ふやうなものに準據して又各大學で規定を設ける、此の各大學でと云ふのは、文部省令とか勅令で作る大學一般の規定と云ふものではなしに、矢張り個々の大學が規定を設けて居ると云ふのが今日の大學ですが、其の關係は將來一般にどうなるのでありませうか、或は文部省令が出て規定を色々設けると云ふやうなことは將來止められる譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=74
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075・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の大學に付きましては、屡屡申上げましたやうに設置基準と云ふものをもう一つ作りまして之に當嵌まるかどううかと云ふことは、大學設置委員會で審査する譯でございますが、それに當嵌まるかどうかと云ふ以外に於きましては、他のことは一般的に大學で學則で決める、それに對して餘り細部のことを勅令では勿論決めませぬが、省令でも決めないと云ふ建前を執つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=75
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076・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつと今度は別のことを御尋ねして見たいと思ふのですが大學院を卒業したる者には、中間的な、博士と學士との間の學位と云ふものが與へられる譯ですね、さうするとそれは今の大學院はさう云ふ意味の、卒業と云ふ意味のものがないのでありまして、矢張り大學院に於ては、學位論文を提出し得る資格が大學院に居ると云ふことの結果あります、卒業したから直に學士とか何とかと云ふやうなものを得ると云ふことになつて居りませぬ、先刻の御話では、今度は何か其の大學院と云ふものを卒業すれば當然さう云ふ何かになることが出來るさうですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=76
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077・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=77
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078・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さう致しますると、此の大學院の組織と云ふものに關し、數個の研究科と云ふやうなものに付ても、非常に明確に規定して戴かなければいかぬのであつて、先刻來申上げた質問に對する御説明では滿足出來ないやうに思ふのですが、研究科などと云ふものは謂はば學校と同じやうなものであつて、そこを卒業すれば當然に學位が貰へると云ふことが出來ると云ふことになりますれば、餘程研究科と云ふものは、御話のやうに漠然たるものではいけないと思ふですが、それからもう一つ學位のことですが、さう致しますと、將來學位令のことは無論御考になつて居ると思ひますが、是は其の大學院と云ふやうなものの卒業と無關係に學位を得ると云ふやうな方法をも御考になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=78
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079・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 學位令の改正に付きまして、將來どう云ふ方法で學位を與へるかと云ふことに付きましては、矢張り今色々研究は致して居るのでありますが、實際決めます場合に於ては、六十八條に規定してありますやうに、大學設置委員會に諮問致しまして之を決めたいと考へて居ります、現在の大學院を卒業致しまして、學位論文を出すと云ふやうな問題に付きましては、矢張り其の點は大學院との關聯に依りまして、出來るだけ殘して行つた方が宜いのぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=79
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080・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私のは大學院を卒業してではない、一般に大學と關係のないやうな者が、或大學に學位を請求するやうな論文を出して、さうして其の審査の結果學位を授與すると云ふことが今あるのでありますが、さう云ふことはどうなるかと云ふことであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=80
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081・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) さう云ふことも考へられると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=81
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082・佐々木惣一
○佐々木惣一君 論理的に考へられると云ふことぢやなく、政府の御考はさう云ふことをもしようと云ふ御考へかと云ふことです、政府の御趣旨を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=82
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083・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 今私共の研究致して居ります範圍に於きましては、さう云ふことを入れたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=83
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084・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それは大變贊成です、何も大學院とか、大學を出た以外の人が學位を貰へないと云ふことはいけないと思ひますが、それで學位に付きましては、今日は大學で審査請求しまして、其の上に更に文部大臣の認可と云ふことがあつたと思ひますが、さう云ふことは將來どうなりますか、どう云ふ必要があつて其の認可と云ふことが要り、何を檢べて居るのかそれを承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=84
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085・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 今迄文部大臣の認可を要することになつて居りましたが、學位令改正の際は、さう云ふ認可を要しないことにしたいと考へて居ります、唯其の場合學位の名稱等でありますが、或大學の學位と云ふか、或は博士と致しまして全國的な名稱にするか、そこは研究を要する點と考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=85
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086・佐々木惣一
○佐々木惣一君 大學が審査する以外に何か學位を審査する機關に付て御考になつて居りませぬか、ざつくばらんに言へば、今日は學位の授與は大學の獨占的のものになつて居る、大學の先生は偉い人ばかりだから宜いやうだが、率直に申上げますれば色々な情實が行はれることがあると思ふ、大學の連中でも皆立派な者ばかりでも必ずしもない、特に大學の教授と聯關を付けたり何かする者もある、私共は理想を言へば、大學とは無關係に學位を審査する機關を設けて、一つの大學とは全然關係のないやうな人で、公平に審査を受け得るやうな機關か……或はそれのみが宜いかも知れませぬが、それのみでなくても、さう云ふものが大學以外に、學位を、審査決定し得るやうな方法があつたが宜いと、是は私個人の意見でありますが、さう云ふことに付ては何にも御考はありませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=86
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087・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 學位に權威を持たせる意味に於きまして、學位の審査に付て大學以外に特殊の機關を設ける、若しくはさう云ふ機關をして、大學以外のものにも學位を與へる權能を何か與へると云ふやうなことに付きましては、一應私共の考と致しましては、逆に考へて居るのでありまして、矢張り大學の責任に於きまして、學位を其の大學で與へる、學位の權威に付きましては、其の大學が如何に權威ある審査をしたかと云ふやうな方が宜いぢやないかと云ふ氣持を持つて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=87
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088・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私は別に贊成して居る譯ではありませぬが、二三の人は例へば大學以外に、學士院の一機關として、學位審査所と云ふやうなものを設けて、そこで一つやつた方が宜いだらう、色々情實と言つてはおかしいが、情實が行はれ得ると云ふやうなことを言ふ人もありまして、それで私も申上げたのでありますが、必ずしも學位の授與に情實關係がないとは私は斷言出來ない、今の御話では大學の權威と云ふやうなことを御考になつて居るやうで、大變大學關係としては有難いのですが、學位と云ふやうなものは、或大學とか何とか言ふことでなく、國家全體として非常に重大なものであるから、大學がさう云ふ權限を持つのも宜いが、必ずしも大學のみにさう云ふ權限を獨占せしめる必要はないぢやないかと思つて居ります、是は此の法案の解釋には直接關係ないやうでありますが、將來學位のことに付て御考になる時に、さう云ふ點も一つ御考慮を願ひたいと思ふと、さう云ふ意味で申上げたのであります、次に學部の部長のことなんですが、教授の任免のことに付てちよつと申上げたいのでありますが、部長は現行法では御存じのやうに、其の部の教授諸君が互選して、其の中から部長を出すと云ふことになつて居りますね、今度はさう云ふ點は何もないのでありますが、どうして部長と云ふものを定めると云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=88
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089・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それは帝國大學に付きましては、帝國大學令に依つて決めると思ひますが、其の他の大學に付きましては、部長の決定の方法等は大學の自由で宜いのぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=89
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090・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今私は帝國大學令で決めると云ふやうなさう云ふ法制上の形式に付ての御尋をするのぢやありませぬ、文部省としてはさう云ふ點に付ては、將來大學令を御定めになる時にはどう云ふ風にしようと云ふ考かと云ふことを伺つたのです、部長と云ふものはどう云ふ風に決めようと云ふのか、是は今考へてないと云ふならそれで宜しいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=90
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091・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大體それは大學の自治に御委せすべきものであると考へますし、それが教授間の選擧に依りますとか、さう云ふやうなことに決めますことは、大學自體で御決めになつて戴く、さう云ふこと迄法制的には決めようとは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=91
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092・佐々木惣一
○佐々木惣一君 其の大學と仰しやるのは、大學一般ぢやない、詰り個々の大學でさう云ふことをどう決めても宜いと云ふのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=92
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093・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=93
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094・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 段々諸先生の御質問に依つて明かになつて參りました、私も三點程御質問申上げます、それは設置委員と云ふことに付てでありますが、是は文部省に御設けになるのでありますか、各大學に御設けになるのでありませうか、或は全國的に幾つ位御設けになるのですか、さうして是は常置機關でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=94
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095・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 現在の所は文部省に全國で一つ、常置的に認める積りであります、唯併し地方教育行政法が出來ました場合に於きましては、或は一應の研究と致しましては、決定は致しませぬが、地方ブロツク的に中間機關を設けて、或は其處に設置委員會を設置することに相成るかも知れまぬが、現在の所では文部省に一つ常置的に置く豫定でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=95
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096・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 次の問題に移りますが、各大學は、先程の御問答を拜聽致して居りますと、講座は設けても宜しい、講座の設置は各大學に委せてあると云ふやうに伺つて居りますが、ドイツなどの大學では各講座を擔任される教授に於ては、俸給の外に講座料と云ふうやなものを認めて居られる、良い先生はなかなか講座料の收入が多い、從つて研究の資力にもなると云ふことも伺つて居りますが、さう云ふやうなことは制度として御設けになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=96
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097・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 只今迄過去に於きましては、帝國大學の教授に付きまして申上げますと、其の俸給の外に講座俸と云ふのがあつたのであります、併し此の講座俸と申しますのは、實は俸給の中の一部分でございまして、講座俸と俸給と合せたものが俸給になるやうな考へ方で、只今のやうな講座俸の性質とは全然違つて居つたのであります、今囘俸給令を改正致しまして、講座俸を含めまして、講座俸を中に組み入れて單一の俸給に致したのでございます、一應昨年の七月一日現在を以ちましてさう云ふ處置を執つてあるのでございますが、それは教育者の俸給を一般の官吏竝の俸給に建て變へると云ふ意味合を以て致してあるのでございまして、今後に於きまして此の特別の講座を致されます場合とか、或は研究とか、さう云つたものに付きましての特別の措置は、今後の方針として十分考へて行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=97
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098・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 さう致しますそ、今後の御研究の結果では、或は斯う云ふ制度も發生し得るかと了解して宜しいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=98
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099・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) さう云ふことに付て、十分考究して見たいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=99
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100・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 此の制度は非常に良い制度だと存ずるのであります、教授方の御勉強を刺激することになりますし、又過去に於きまして大學教授等の俸給が非常に低い爲になかなか本も買へない、さうなりますと專門以外の、學校の講義以外の仕事に手を染めて、本を書かれますとか、雜誌に投稿されるとか云ふやうなことで、どうも本當の研究を妨げるやうな結果になると思ひます、此の講座料等を設けられまして、學生の聽講を非常に多くすると云ふことになりますと、大學の教授方の御勉強にも非常な助けになると思ふのであります、斯う云ふ制度が實現されますことを私は希望致します、それからもう一點御伺ひ致しますことは、今度の學制改革に依りますと、大體此の制度は米國の學制を模範とされて居るやに想像されるのでございます、而して米國に於きましては、國立の學校よりも民間の學校が非常に發達致して居る、之を平たく申しますと、民間の學校同士はお互に、通俗に申しますと、商賣仇になりますから、學校相互に於ての學生のやり取りはなかなかやかましいだらうと思ふのであります、然るに從來のドイツあたりの大學ですと、國立の大學でありますから、或は何の講義はボンの大學が宜い、何の講義はベルリンの大學が宜いと云ふことで、學生が秀でた教授の多い所へ始終聽講に行かれる、學校相互に於て何處へでも聽講に行かれると云ふことは、學生から致しますと、非常に便利な方法である、今度の學制を御採りになりますと、さう云ふやうな制度にはなるまいと存じます、私は新たに制度を立てられます場合には、さう云ふ制度を採用して戴くことが、非常に學問の奬勵にもなるし、又教授方の御勉強の刺激にもなる、斯う考へるのでございますが、其の點に付てちよつと御方針を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=100
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101・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 自分の希望に依りまして、他の大學の講義を聽きに行きましたり、さう云つたやうな制度に付きまして、十分出來るやうに考慮致して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=101
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102・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 十分御考慮を、と云ふことで大變希望を持たせられる譯ですが、是が若し國立と民間との學校の間には出來ないと致しましても、それは國立の大學同士では左樣なことが出來るやうに、實現致すことに御努力を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=102
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103・荒川文六
○荒川文六君 先程の御話の間に疑問が起つたのですが、大學に關係したことでございますが、只今の帝國大學に於ける大學院と申しますのは、組立が少しく曖昧な所がありますので、實際之に當る者は時々困る問題にぶつかるかと思ひますが、此の新しい制度に依りまして、大學院の仕事だけをする教授と云ふものを考へることが出來るのだらうかと思ひますが、其のことに付て、國立大學に於ては、將來さう云ふものを認めるやうにするとかしないとかと云ふ政府の方針と、若し私立大學に於て、さう云ふものを置かうとするならば、それは差支へないと云ふ御考へでありますかどうか、そこの所を御伺ひしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=103
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104・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是からの大學院は、矢張り大きな大學院が出來ると想像出來ますので、さう云つたやうな場合に於ては、矢張り大學院にのみ教授研究を致されます教授を置くと云ふやうな豫定に致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=104
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105・坂田幹太
○坂田幹太君 私素人で能く分らないのですが、結局今迄の專門學校と云ふものは大學の方に移るのでございませうか、高等學校の方に殘ることになるのでせうか、詰り現在の專門學校程度のものは是は無論大學設置委員會で或基準を設けられて決められるだらうと思ふのでありますが、今の專門學校と云ふものが兩方に分れると思ふのであります、素人の何から考へて見ますと、中學校と云ふものは三年にされたのでありますが、今度の高等學校と云ふものが後の中學校の殘りのやうなものになり、さうして詰り大學と云ふのは、大體今の專門學校程度のものになり、大學院と云ふのが今の大學ぢやないかと思ひます、さう考へて見ると、今數科の研究科を置くとか何とか云ふこともはつきり我々の素人頭では入らぬ、結局大學院と云ふものが今の我々の解釋して居るやうな今の大學の程度のものであつて、此の大學と云ふものは今の專門學校の程度なものになるのぢやないか、こんな風に素人考へで今度の學制の改革案が思へるのであります、それは非常な間違つた考へでせうか、どんなものでせうか、それと今の專門學校と云ふものがどつちの方へ分れて行きますか、專門學校は高等學校程度の專門學校で殘るのでせうか、皆大學と云ふやうな風になつてしまふやうなものが多いぢやないかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=105
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106・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張り大學と稱する限りに於きましては、或程度の基準に於きまして、限界を設けなければならぬと考へましたので、現在存在致します專門學校中には必ずしも全部のものが大學になり得ると考へて居りませぬし、又今あります專門學校の中で、大學には到底無理でございますけれども、例へば裁縫とか家事とかを擧げて見ましても、さう云つたのは高等學校の四年或は五年の課程を經ます高等學校に移る場合が非常に多いのぢやないかと豫想されます、それから今度の大學は普通の年限に致しまして、年限が從來よりも一年短縮になる譯でございまして、其の程度に於きましては、どうしても從來の大學よりも、程度は何と致しましても低いと云ふことは間違ひないと思ひます、其の意味に於きまして、大學の目的に於きましても、從來の大學令にありました、學術の理論及び其の蘊奧を極めると云ふことは大學院の目的の中に入れまして、大學からは一應取除いたのでございます、今迄の專門學校だとか、新制の大學に付て、斷言するのは非常に辛いのでございますけれども、氣持と致しましては學術の深奧を極めるのは大學院であると云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=106
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107・坂田幹太
○坂田幹太君 さうすると今のやうな考へ方も餘り間違つて居ない譯でせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=107
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108・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=108
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109・田中薫
○子爵田中薫君 ちよつと三つの點に付て伺ひたいと思ひますが、第五十八條の第四項に付て、先程佐々木先生の御質問がありましたが、まだ私ちよつと疑問があるので御伺ひ致したいと思ひます、此の「又は」と云ふ言葉の意味なんですが、政府の考としては、教授は教授をするのが當然の義務であつてさうして研究をするんだと云ふ意味を主にして、此の「又は」と云ふ字を御使ひになつたのでせうか、結局教授をしない、研究だけの教授を認めぬと云ふ意味を表はす爲に此の言葉を御使ひになつたのでせうか、どつちが主なのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=109
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110・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 私共は原則と致しましては、教授は學術を研究し、學生を教授し、其の研究を指導すると云ふ風な決め方を初め致して居つたのでございますけれども、さう致しますと、今申されます研究ばかりをする教授がどうしても拔けて參りますので、一應佐々木先生の御指摘になりましたやうに、重々御話のやうな憾みは免れないと思ひますけれども、さう云ふ法制的に技術的な意味に於きまして茲に持つて參つたのでございまして、御議論の點は色々規定の建前からはあるかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=110
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111・田中薫
○子爵田中薫君 さうしますと、研究だけをすることも色々無理であると思ひますけれども、さう云ふやうな研究だけする教授が無制限に澤山出來ると云ふことは非常に問題だと云ふやうな考だらうと思ひますが、例へばさう云ふ研究だけする教授を何人位置くことが出來るかと云ふやうな問題とか、或は場合に依つては非常に授業が忙しくて、一向研究出來なくて困るから、半年授業をして、半年研究に沒頭すると云ふやうな制度が出來るとか、さう云ふやうなことは大體教授會で以て決められるやうな問題なんでせうか、それとも矢張り文部省なり、或は設置委員會と云ふやうな所に諮らなければ決められない問題なんでせうか、其の點をちよつと……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=111
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112・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 只今迄の帝國大學に於きましては、大體學部の教授は講座を擔任することを必要要件と致して居りまして、研究のみに從事される教授が認められて居ないのでございます、唯研究所と言つたやうな所に居られまする教授は大體研究に專念されて居ると云ふ譯であります、其の場合に於きまして、研究に專念されます教授に付きましては、帝國大學に付きましては研究所を設置致します所の定員の關係がございまして、官制で是が決められるのでございます、將來學部に研究される教授を置くが如きことは、今後の矢張り問題と致しまして、大學御當局で以て必要を御認めになるならば、さう云ふ制度も官制上置かなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=112
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113・田中薫
○子爵田中薫君 次の問題をちよつと御伺ひしたいのですが、綜合大學等を設置する場合に、各學部が非常に地域的に離れて居ると云ふ場合、離れて居るものを一つの綜合大學として纏めて、綜合大學を作ると云ふやうなことを御認めになるのでせうか、どうでせうか、例へば離れて居りましても、極端に離れて居る場合でなくて、一つの地域に散在して居ると言つたやうなものを集めて綜合大學に對すると云ふやうなことを御認めになるのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=113
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114・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 綜合大學と言はれます限りに於きましては、大體地理的にも單一體として認められるやうな設備でありますことが極めて望ましいことだと考へます、併し事實の問題と致しまして多少地理的にも離れて居る場合、已むを得ず離れる場合もございますし、又研究所でありますとか、色々な施設に付きましては、其の大學の存在場所が相當離れた時でも事實上必要な場合もございますが、必ずしも一箇所に纏めなければならぬと云ふことは考へて居ないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=114
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115・田中薫
○子爵田中薫君 もう一つ最後に學科課程の問題でありますが、ちよつと其の前に遡りますのですが、高等學校の教科課程のちよつと少し細い問題に付て伺ひたいことは、此の御配付になりました印刷物の學科課程の中に地學と云ふのがありますのですが、此の地學は從來使はれて居る言葉でありますけれども、余り多く使はれて居なかつた、例外的に使はれた言棄でありまして、地理とどう云ふ區別があるかと云ふことは問題だと思ふのでありますが、文部省としては地學と云ふのはどう云ふ意味に御使ひになつて居りますか、それから之に對應する英語としてはどうなつて居りますのですか、それを伺ひたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=115
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116・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 大體地質或は鑛物又は自然地理斯う云ふやうなものを之に含めて居ります、或は又地球物理學あたりにも關聯を持つて來るものだと思ふのであります、それに正確に對應するものもございませぬけれども、例へば地理の問題では人文地理が之に對應致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=116
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117・田中薫
○子爵田中薫君 從來地理と言ひますと、極く普通の分け方で二つに分けて人文地理と自然地理とに分けて居りますが、地學は其の自然地理に相當すると云ふ風に解釋して宜いでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=117
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118・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) そればかりでなく、矢張り地質學でございますね、それから只今申しましたやうな地球物理學と申しますか、多少從來の自然地理よりは廣いだらうと思ひます、或は又鑛物あたりも入るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=118
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119・田中薫
○子爵田中薫君 此の地學は聞く所に依れば、フイジカル・ジオグラフイ――を地學と譯して、さうして内容をさう云ふ風に少し改めて御用ひになつたのぢやないかと云ふことを聞いて居りますのですが、英語はどうなつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=119
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120・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) ちよつと私英語の方は分りませぬが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=120
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121・田中薫
○子爵田中薫君 實は多少疑問なんでありますが、從來の地理は人文地理と云ふ課程のみで此の學科課程に採入れられて居りまして、さうしてもう一つの半分の自然地理と云ふものが、どうなつてしまつたのか、ちよつと分らないやうな氣がするのであります、それに代るものが地學であれば非常に結構なんですけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=121
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122・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 是は經過的に申しますと、勿論建て方は違つて居りますが、現在の中等學校の物象、此の中には物理と化學と、そから地學が入つて居ります、それから地理は地理で又別に國民科に入つて居ります、今度の新しい行き方とさう云ふやうな行き方と相通じて居ると思ひます、御話のやうに是の中心となります自然地理、中心と申しますか、今度のユニツトの採り方は違つて居りますから、多少系統立てとしてはしにくいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=122
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123・田中薫
○子爵田中薫君 前の物象からの經過でさう決つて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=123
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124・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 多少そこに關聯があります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=124
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125・田中薫
○子爵田中薫君 どうも有難うございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=125
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126・坂口康藏
○坂口康藏君 ちよつと伺ひたいのですが、色々の疑問の點は今迄皆さんの御話の點で能く分りましたが、大學院に關係致しましては此處には年限が書いてありませぬが、外には專攻科では一年以上とありますが、是は政府當局のお考では、大學設置委員會に諮問して、それからお決めになると云ふお考へなのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=126
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127・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 最初は大學院の修學年限は、設置委員會の御意見もありまして、二年以上と一應規定致したのでございますが、修了致しました者に一定の學位と云ふものを授けると云ふ意味から致しまして、どう云ふ年限内容を修了すればどう云ふ學位を授けるかと云ふことを確定致さない間は年限を決められないと云ふことで、一應此の年限は規定致さなかつたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=127
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128・坂口康藏
○坂口康藏君 能く分りました、もう一つ伺ひたいのでありますが、先程の御質問でありますが、專攻科と大學院との關係が御答辯に依りまして能く分りましたが、さう致しますと、斯う云ふ風に了解して宜しいのでございませうか、そこの大學の教授陣容なり或は色々の設備なりが大學院を置くに十分であると云ふ風に、此の大學設置委員會か或は何處でございますか、文部當局としてはさう云ふ所で認められたものには大學院を置かせるが、さうでない大學には大學院を置かせないけれども、そこの卒業生を專攻科として採つて研究させることは自由だ、斯う云ふやうな意味にとつて宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=128
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129・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學院を置きます大學には專攻科を認めないと云ふやうな意味はないのでございますが、併し大學院を置かない大學に今申されましたやうなことはあり得ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=129
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130・坂口康藏
○坂口康藏君 さう致しますと云ふと、自然に此の大學に、値打と云ひますか、あの大學は大學院を置けるだけの價値のある大學だ、或大學はさう云ふことの値打がないと云ふことになつて、自然にそこに大學の價値に付て差別が起る譯でありますが、是は已むを得ない或は或程度當然かと思ひますが、今度そこを卒業しました者が大學院に入ります場合に、其の大學院に附屬して居る大學からは卒業生は入り易いけれども、外の大學から來た者は入りにくいと云ふやうなことが起りがちではないかと思ひますが、それに付てはさう云ふことのないやうに何か政府の方で御考慮になつて居りませうか、或はさう云ふことも大學設置委員會の方に諮問して實際にお決めになると云ふ御考でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=130
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131・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學院の入學に付きましては、矢張り如何なる大學から參りましても、公平に入學考査をやりまして入れると云ふことに致したいと考へますが、唯之に付きましても、前にも申しましたが、例へば私立學校等に付きましては、事實上そこの學校の者を澤山入れると云ふことはあり得るかと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=131
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132・坂口康藏
○坂口康藏君 私の質問はそれで終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=132
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133・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 第五十二條、是は一番重要な規定でありますが、此の意味が分りませんが……、文句がなかなかはつきり能く分らないやうな所があります、「學術の中心として、廣く知識を授ける」、此の「學術の中心として」と云ふ意味は分るやうな分らないやうな文句ですが、もう少し具體的に説明して戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=133
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134・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 「學術の中心として」とありますのは、又大學は學術の殿堂としてとか、さう云つたやうな、英語で申しますとセンターと云ふやうな意味合ひで、其の意味で現したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=134
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135・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 分りました、大體はさう云ふ意味に解して宜しうございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=135
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136・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) はい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=136
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137・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 それから「教授研究し」とあるのは、教授をし研究をしと云ふ意味ですか、或は教授研究と云ふ一つの言葉ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=137
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138・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それは教授と研究とは密接で、區別することが出來ない場合があると思ひましたので、教授し研究すると云ふことも含めまして、教授研究と云ふことが一體となつた場合も含めた意味で、斯う云ふやうな表現を使つたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=138
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139・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 前の「知識を授ける」と云ふのは一種の教授になりますが、あと又繰返されたのは、さう云ふ意味でお繰返しになつたのですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=139
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140・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=140
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141・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 それから此の五十九條の教授會のことに付きましては、先程も色々御話がありましたが、其の具體的なことは總て各大學の自治に委せると云ふやうなことでありましたが、兎に角此の法令の中で教授會と云ふものが特に擧げられたとすれば、而もそこで「重要な事項を審議するため」と云ふ風に特に擧げられたとすれば、文部省の方針としては、矢張り此の教授會を非常に重要視されて、大體教授會が學術の行政は總てやる、さう云ふやうなことを豫想されてのことと思ひますが、さう云ふ點に關して、今可なり現實の各大學では學生の間にも色々意見があり、其の爲に色々問題もあるやうでありますが、文部省の御方針としては、此處には別にさう云ふ規定の細かいことを御書きになることもありませんでせうが、矢張り教授會が中心で大學の自治と云ふものはやらせて行かうと云ふやうな御考なんでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=141
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142・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 御説のやうに、只今大學に付ては或は職員組合、或は學生運動等が起りまして、甚しきは學生が大學の行政にまで參加すると云ふやうなこと迄も言ひ出して居るやうな趨勢であります、そこで矢張り原則と致しましては、大學の自治の爲には教授會が當ると云ふことを、積極的にさう云ふ意味を以ちまして、此處に法律上規定した方が宜いのぢやないかと云ふ氣持もあつた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=142
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143・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 其の點はつきり伺へれば結構です、有難うございました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=143
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144・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 今御話が出ましたことに關聯致しますが、近來學生が學校行政に迄携つて行かうと云ふ傾向がございますが、文部省と致しましては、それを御容認になるのでございませうか、私共は絶對にあんなことはおさせにならないやうに一つ願はなければいかぬと思ひます、是は私は汽車でずつと通勤致して居りますが、汽車の中で學生同士が話し合つて居るのを小耳に挾んで居りますと、眞面目な學生は、あんなことを我々にさせられては、我我は學校の勉強も何も出來ない、くたびれるばかりでどうも困つたものだと云ふことを話し合つて居たのを耳に致したのであります、正にさうあるべきであつて、學生が學校行政にまで携はり、殊に會計事務に……其の話して居つた學生は偶偶會計事務に廻されるらしいのでありますが、そんなことを我我にさせられては堪つたものぢやないと云ふことを頻りに申して居りました、是は誠に實情でありまして、勉學を專一とする學生に學校行政にまでも頭を突込ませると云ふやうな傾向は、嚴に愼むべきであらうと思ふのでありますが、只今の御答辯に依りますと、單なる一つの事實として、まあ已むを得ないと云ふやうな風に私は了解致したのでありますが、文部省としてはそんな生温い態度を執つて戴いたのでは誠に困ると私は思ふのでありますが、此の點をはつきり伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=144
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145・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 私の申上げ方が惡かつたかと思ひますが、學生が學校の行政にタツチ致しましたり、容喙をすると云ふことは、今日までも終始一貫、文部省として斷然それを認めないと云ふ態度を堅持して參つて居るのでありまして、將來と雖も明確に其の點は堅持して行く積りであります、唯此處に規定致しましたのは、さう云ふことは執らないと云ふことをはつきりして置く必要があるのぢやないかと云ふことで教授會と云ふ規定をしたのでありまして、全然さう云ふことは認容すると云ふ態度を執つたことはないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=145
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146・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 只今の御説明に依つて能く分りました、教授會のことに付ての立法の御精神は能く分りました、それから序でにもう一點伺ひますが、六十一條でありますが、「大學には、研究所その他の研究施設を附置することができるる」、斯うございますが、醫科大學に於ける附屬病院は之に入るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=146
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147・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 醫科大學に於ける附屬病院は教育施設其のものと考へて居るのでございます、實習施設だと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=147
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148・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=148
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149・佐々木惣一
○佐々木惣一君 此の五十八條ですが、「大學には、前項の外、必要な職員を置くことができる」とあるのですが、必要な職員と云ふのはどう云ふものを豫想して居られるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=149
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150・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 例へば衞生技師でありますとか、技手とか、さう云ふものも入りませうし、それから之には實は講師とかさう云ふものを規定して居りませぬので、さう云ふ講師なども置くことが出來る発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=150
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151・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りましたですが、通じて高等學校及び大學の規定を拜見致して見ますると、學生を教授するとか、研究を指導すると云ふことはありますが、例へば學生の一般生活を指導すると云ふやうな訓育ですな、さう云ふことに付ては何も規定してありませぬが、是は教授の任務として、さう云ふことの爲に特別の職員を置くことが、矢張り此の「必要な職員」の中に入りますか、現行制度で言へば、例へば主事と云ふやうなものも、今も主事と申して居るかどうか知りませぬが、現行の高等學校にも大學にもさう云ふものがありませう、さう云ふものはどうなるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=151
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152・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 只今の點ですが、今迄ございました學生主事と云ふのは全部一應廢止致しまして、全部文部省事務官になつたのであります、それで事務の方で厚生とか其の他學生の世話をすると云ふことにしたのでありますが、今申されました訓育といふものは、全般的には矢張り斯う云ふ仕組の中に當然入つて居ると考へますし、尚必要に應じましては、其の他必要な職員と致しましては、さう云つたやうなものを置いても差支ないと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=152
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153・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、其處が重大です、要するに大學の教授にはさう云ふ學生に對する訓育も當然の職務として入つて居る、斯う云ふ御考なんですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=153
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154・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=154
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155・佐々木惣一
○佐々木惣一君 それで結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=155
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156・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 休憩致します、午後一時より開會致します
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時二十三分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=156
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157・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) では午前に引續き開會致します、大學の分に關しまする質問は大體終つたと考へられまするので、第六章特殊教育、第七章幼稚園、之を一括して御質問を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=157
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158・荒川文六
○荒川文六君 是は兩方にちよつと關係のあることでございますが、主として幼稚園のことを伺ひたいのでありますが、是も法案に依りますと、將來幼稚園は此の法律に依ると學校と云ふものの中に入りますから、第二條に依つて「國、地方公共團體及び別に法律で定める法人のみが、これを設置することができる」と斯うなりますが、現在の状態に於ては、幼稚園とは私立の小さい幼稚園が澤山ある、寧ろ其の方が多いのではなからうかと、統計は能く知りませぬが、其の方が多いのではなからうかと思ひますが、さう云ふ風な幼稚園は、是が出ますと、どう云ふ風に御取扱になるのでありませうか、それと似寄つたことが此の特殊教育の中にもあるのぢやなからうかと思ひますが、例へば不具の子供を收容して居る小規模のクリツプルハウスと云ふやうなものがある、さう云ふやうなものはどんな風に取扱はれるやうなことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=158
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159・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 其の點に付きましては附則の百二條を御覽願ひたいと思ひますが、百二條に「法律で定める法人とは、當分の間農業會その他これに準ずる公共團體又は民法による財團法人とする」と一致しまして、尚「但し、盲學校、聾學校、養護學校若しくは幼稚園又はこの法律施行の際、現に存する從前の規定による學校で、民法による財團法人でないもの又はその設置者が民法による財團法人でないものと設置者は、當分の間、民法による財團法人であることを要しない」と云ふ規定に致しまして、外して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=159
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160・荒川文六
○荒川文六君 此の附則に氣が付きませんで、能く分りました、唯當分の間と云ふのは是も能く斯う云ふことが使はれるのですが、凡そ將來は矢張り本則に依ることになりますか、是から出來るのは……、從來のは何年間位すればそれを認めると云ふやうな見當でもございますのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=160
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161・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の「當分の間」の原則は定めたのでございますが、今迄當分の間と言つても隨分長く續いたのでございまして、實際に幼稚園が、本法に依り法人に定めると云ふことになると、色々な社會的情勢に於て認めなければならぬと思ひますが、唯別に定める法人と云ふものに付きまして、前にありました法人、或は相當特別なるものも認めるやうな方針も考へられるのではないか、其の點は十分研究して見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=161
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162・佐々木惣一
○佐々木惣一君 第六章の第七十五條の特殊學級と云ふのですが、小學でも、中學でも、更に高等學校でも別に特殊學級を置くと云ふことに付て、何か宜いこともありませうが、弊害も御想像になつたことはありませぬか、さう云ふ特殊學級、低能的な特殊な學級も同じ學校に置くことは、別にさう云ふものを置くのではなしに、同じ學校にさう云ふ學級を一つ置くと云ふことに付て、何だか弊害があるやうにもちよつと思ふのですが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=162
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163・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 其の點は不自由な者、或は欠陷のある者を一般の生徒から特別に目立たせるやうな點で、或は差別待遇を行ふことや、或は生徒の間に馬鹿にしたりするやうな、さう云ふ傾向があることは勿論憂へて居るのでありますが、併し斯う云ふものを全然離して作るだけの餘裕があるかどうかと云ふことがもう一つの心配であります、又さう云ふものを一般の中に一緒に入れて置くことも一層教育上困るやうなことがあるかと思います、多少の弊害を考慮しながら、必要な場合は特殊學級を置くことが出來ると云ふ風に考へたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=163
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164・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、さう云ふ多少の弊害を御考慮の上で此の規定を御作りになつたと云ふことであればよく分ります、從つて又適用上さう云ふ心配が除かれるやうな法制、或は行政上の考慮を以て適用せられることを望みます、よく分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=164
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165・宗武志
○伯爵宗武志君 此の精神薄弱者と云ふのはどう云ふ程度のものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=165
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166・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 素質智能檢査と云ふものがございまして、年齡と智能との比較を致すやうになつて居るさうであります、それで其の百が平均の者でありまして、それが百に到達しない、八十五から五十位迄の間の者を精神薄弱者と云ふカテゴリーで、それをさう云ふ所で教育する、それ以下になりますと、普通の教育には手に負へない者になるさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=166
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167・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、それでは性格異常者と云ふのはどう云ふ者を言ふのでありますか、それを御説明願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=167
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168・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 性格異常者と申しますのは、盜癖がありますとか放火癖があるとか、色々性格的に皆と同じやうに學級編成が出來ない異常性格、さう云つたやうな特殊の性格なるものを指して居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=168
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169・宗武志
○伯爵宗武志君 第七十五條の特殊學級と申しますのは、性格異常者、精神薄弱者以下七項目までありますが、此の各各一項目の爲に一學級を特に設けるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=169
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170・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是等のものを矢張り別々に設けるので、同じ學級の中で集めてやると云ふのではありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=170
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171・宗武志
○伯爵宗武志君 さう致しますと、一つの學級毎に、一人の特殊な教員が必要だと云ふことになるんぢやないかと思ひますが、それだけの準備が實際問題として果して出來ますでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=171
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172・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それは實際問題と致しましては、之を一つの學校に全部のさう云ふ學級を設けると云ふことは、非常に困難であると思ひますが、併しまあ學校の中で、さう言つた或る例へば性格異常者、精神薄弱者と云ふやうなものに付きまして一つ設けて、他の學校で又外のものを設けると云ふことは有り得ると思ひますし、一應制度と致しましては、斯う云ふことは出來ると云ふことに致したのでございまして、實際はなかなか全部を一つの學校に置くと云ふことは、非常に困難であらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=172
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173・宗武志
○伯爵宗武志君 養護教諭と云ふのが第二十八條にありますが、是は精神薄弱、身體不自由、其の他心身に故障のある者を教へる教諭の意味なんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=173
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174・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 養護教諭と申しまするのは、一般に小學校等に於きまして、兒童全般の養護を掌るのでございまして、さう云ふ特殊學級の教諭を申すのではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=174
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175・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 今の御説明に關聯致すかも存じませが、又私が遲れて參りましたから私の居りませぬ中に、既に御質疑がございましたらば、御注意願ひまして差控へます、養護學校と云ふのはどう云ふ意味でございますか、初めて出て來るやうな字でございますが、從來の制度としては我々知らなかつたのでございますが、矢強り盲學校とか聾學校に相對する觀念に於きまして養護學校と云ふのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=175
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176・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は盲者を盲學校、聾者を聾學校に入れまして、精神薄弱者、身體不自由其の他心身に故障のある者に對しまして、養護學校と云ふものを作ると云ふのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=176
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177・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 是は今囘初めて日本で御發明でございますか、既に諸外國に於きまして斯う云ふものがあるのでございますか、一つの單一の學校として是だけのものを御集めになるのでしたら、趣旨は結構と思ひますけれども、うまく參りませぬと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=177
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178・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) アメリカ其の他の外國には、相當澤山あるさうでございますが、日本に於きましても光明學園でございましたか、さう云ふ身體不自由者に對しまする特別の養護學校がございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=178
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179・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 是は自體の不具者で、精神的には餘り缺陷がない者が多いのでございますか、其の實際の例はどう云ふものでございませうか、精神上の薄弱者の方でございますか、身體不自由の……詰り兩方でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=179
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180・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 兩方含めてであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=180
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181・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 それから、七十五條に關聯致しますが、「小學校、中學校及び高等學校には、左の各號の一に該當する兒童及び生徒のために、特殊學級を置く」と云ふことでございまして、是は制度の御思ひ付きとしては大變結構だと思ひますが、實際の運用と致しましては、小學校及中學校の初等級位では、さう云ふことが行はれ得ると思ひまするけれども、高等學校のやうな高學級に於きましては、特殊學級を置いて迄教育して行かうと云ふことは、困難ぢやないか、それを受ける學生から致しましても、なかなか辛いことぢやないかと思ひますが、もう小學校、中等學校で以て試驗濟の者は、高等學校に迄進む能力がないのぢやないかと思ひますが、實際の運營上どんなものでせう、是も諸外國での事例があることでざいませうか、制度のあれとしては非常に結構なことだと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=181
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182・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 例はあるさうでございますが、是は置くことが出來ると云ふ規定でありまして、置かなければならないと云ふ規定ではないのであります、それで實情に應じて、茲に掲げました一から七迄の中に當る者を集めるやうな特殊學級と云ふものを、置かうと思へば置くことが出來る、さうして置くことに依つて教育を徹底させる、効果があるやうな場合には置くと云ふ、さう云ふ意味でありまして、置けるやうに仕組んだのでありまして、今必ずしも直ぐ置くと云ふ譯ではございませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=182
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183・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 御趣旨は能く分りますが、實際の御見透しはどんなものでせうか、此の制度の途を御聞きになることは結構だと思ひますが、實際は高等學校あたりは實現しないのぢやないでせうかね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=183
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184・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 例へば盲者とか聾者とか、さう云ふ者には相當智能の高い者がある、唯全般的には多少は僻むやうな傾向はあるさうでございますけれども、專門家の話に依るとうまく教育すると普通の者と余り違はないだけの智能を發揮することが出來る、特に或る特殊の方面に於ては、普通より以上に優秀な者があると云ふことでありまして、從來斯う云ふ者に對する顧慮が非常に不足であつたので、新しい精神で出來るだけ不幸な者に對する教育を徹底させる意味で、斯う云ふ制度を考へたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=184
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185・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 ちよつと一言、養護學校と云ふものは、大體御説明も伺ひましたが、是は英語では何と申しますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=185
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186・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 私も其の點詳しく存じませぬが、英語と致しましては所謂スペシアル・スクールと云ふ概括的な言葉があるさうでありますが、其の他に付きましては、例へば精神薄弱なら精神薄弱と、さう云つたやうな一つ一つに對應する言葉はあるさうでございますが、養護學校と云ふ全般的の言葉と致しましてはスペシアル・スクールださうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=186
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187・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 養護と云ふ言葉は今度初めて法規上に御使ひになつたのですか、今迄にはなかつたのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=187
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188・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 確か小學校令の中に養護訓導と云ふ言葉がありまして、養護と云ふ言葉は使つて居ります、養護學級もあつたさうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=188
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189・大久保利謙
○侯爵大久保利謙君 現行の小學校令でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=189
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190・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=190
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191・宗武志
○伯爵宗武志君 幼稚園と云ふものは今度は此の一貫した學校體系の中に入ることになりましたが、此の幼稚園に子供を出すと云ふことは文部省の御態度としては非常に奬勵されて居るのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=191
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192・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 現在の所では出來るだけ良い幼稚園を作りまして、それに成るべく入るやうに仕向けたいと思つて居ります、現在の幼稚園は數も餘り多くございませぬし、それに内容が相當まちまちでありまして、非常に良いものもあるさうでありますが、非常に内容の貧弱なものもあると思ひますので、一概に之を奬める譯には行きませぬが、將來は幼稚園の内容を一種の學校として充實させた上では、成るべく良い教育を爲し得るやうにして奬勵したい、さう云ふ方針で一應學校の體系の中に入れた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=192
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193・宗武志
○伯爵宗武志君 幼稚園の入園時期は何時なのでございますか、第八十條に滿三才からと云ふことはありますけれども、何時でも此處に入つて何時でも出て宜しいと云ふ譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=193
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194・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) さう入園時期に付て嚴密に限る譯ではございませぬが、矢張り大體滿三歳になりまして、其の次の四月一日からと云ふことが普通になると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=194
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195・宗武志
○伯爵宗武志君 幼稚園に子供を出す場合の費用はどう云ふことになるのでありますか、矢張り授業料と云ふ風に名前を付けるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=195
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196・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 授業料は私立に於ては無論取つても宜いのであります、公立は出來れば成るべく取らないやうにしたいと思ふのでありますが、まだ内容が十分整つて居りませぬので、固い規則は出來てないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=196
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197・宗武志
○伯爵宗武志君 第七十九條にございます監督廳と云ふのは是は何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=197
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198・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 第七十九條は第百六條に於きまして矢張り文部大臣になると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=198
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199・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、それからちよつと前に戻りますが、特殊教育の方に戻りますが、性格異常者とか其の他聾者、難聽者、盲者、弱視者、斯う云ふ風な特殊な教育に携はる教員の養成とか、其の認可とか云ふことに付て、是はどう云ふ風に御考になつていらつしやるでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=199
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200・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 現在は東京盲學校、聾學校でこざいますが、其の二校に於きまして師範科を設けてやつて居るのでありますが、それが小學校、中學校に入る課程は今後義務教育となるのでありまして、それに要する教員は相當多數を必要とすると思ひます、尚是が非常に特殊な技術を要することでございますから、此の教員養成計畫に付きましては早急に其の計畫を樹てて實施したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=200
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201・宗武志
○伯爵宗武志君 此の點に關する私の質疑を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=201
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202・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつと御尋ねしたいが、第七十二條に小學部及び中學部とありますが、小學部の部と云ふのはどう云ふ意味ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=202
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203・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 是は盲學校、聾學校、養護學校の中で、前の七十一條にございまする小學校、中學校等に準ずる教育を施す部分を指しまして小學部、中學部と申します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=203
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204・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=204
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205・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 此の頃はまあ近年日本の食糧事情が非常に惡い爲に、學童の體位なんかも低下致して居ります、さうして又貧困兒童としては、食糧事情の逼迫して居らない時でも給食の制度を願はなければならぬ、今後と雖もさう云ふ現象は非常に起ると思ふのでありますが、昨日來教育令を拜見して居りましても、さう云ふことを學校で行ひ得ると云ふやうな規定は別にお設けにならぬでも、何かの運用で參りますか、何處かにさう云ふことを豫想してある規定がございますか、さう云ふ色々細かい實際的の規定がありますかと思つて今探して居りましたが、ちよつと見當らぬものですから……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=205
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206・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) まあ直接の規定ではないと思ひますが、十二條に「學生、生徒、兒童及び幼兒竝びに職員の健康増進を圖るため、身體檢査を行い、及び適當な衞生養護の施設を設けなければならない」とありまして、まあ衛生養護の施設の中に……と云ふのは少し苦しい説明でありますけれども、一應さう云ふ所に考へて居る積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=206
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207・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 御答辯でございますけれども、どうも少し苦しいやうに思ひます、是は設けなければならぬと云ふ義務を課して居りますから、さう致しますと、今のやうな給食施設は、矢張り必要がなくとも設備だけは設けなければならぬと云ふやうなことに……其の解釋は少し非常識かも知れませぬが、さう云ふ風なことにも強いて論ずれば論じ得られぬものでもございませぬが、是れで宜しいのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=207
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208・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此のことに付きましては、又其の第二項に於きまして、監督廳が色々定めることになつて居りますので、其の學校の程度に應じまして、學校給食を必要とする此の衞生養護の施設、或はさう云ふことには及ばないで、單に一般的に醫務室を置くとか、さう云つたやうな施設を置かなければならないとか云ふ、程度に付きましては、詳しく監督廳の定める所に規定致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=208
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209・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 寧ろ第二項の方が、今の御説明の方が無理がないやうに思ひます、矢張り監督廳が之を定めることが出來る、監督廳が必要だと思へばさう云ふことが定められると云す風に、此の規定の運用が利きますれば、其の方が無理がないやうに思ひます、今の件に關聯するのでありますが、矢張り幼稚園に關することも今の十二條の第二項の運用で參りますか、幼稚園兒童に給食すると云ふやうな必要が起つた場合には……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=209
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210・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張り含んで居る積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=210
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211・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 宜しいですね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=211
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212・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 十二條の「兒童及び幼兒」に幼稚園も含めた積りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=212
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213・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 十二條には幼稚園は含んで居らないで、「學校に於ては」と云ふ、廣い意味に於ては此の中には幼稚園も含んで居ると、斯う解釋して宜いのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=213
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214・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 第一條に「この法律で、學校とは」云々と、此の規定の中に幼稚園も入れてあるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=214
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215・宗武志
○伯爵宗武志君 此の機會に、前に遡つて質問することを御許し願へますか、どうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=215
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216・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 全體が終りましてから、全部に亙つてもう一度御質問願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=216
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217・宗武志
○伯爵宗武志君 それでは後に致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=217
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218・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) それでは第六章、第七章に付きましての御質問は終つたと一應考へられますが、就きましては次の第八章及第九章に付て……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=218
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219・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 ちよつと恐れ入りますが、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=219
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220・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) どうぞ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=220
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221・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 八十一條に、「幼稚園には、園長及び教諭を置かなければならない」とありますが、園長の資格はどう云ふ者を以てお充てになるのでありますか、何か資格が限定されて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=221
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222・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 園長に付きましては、今のところ餘り固苦しい制限をしない方が宜いのではないかと云ふので、資格を設けて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=222
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223・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 宜しうございますか、それでは第八章雜則、第九章罰則及び附則を議題と致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=223
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224・佐々木惣一
○佐々木惣一君 第八章の初めの八十三條ですが、「學校教育に類する」、……例へば或個人がありましてね、其の個人が、何か一週に一度でも二度でも決めまして、さうして講義をやる、そこに入つて來る人はちやんと限定して居ると云ふやうなのは、之に入りますか、詰り塾を公開して居るのですね、其の塾と云ふのは此處に入りますか、入りませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=224
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225・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) どこからどこ迄は學校教育で、其の他は講習會とか塾であると云ふ、其の境目は非常に困難ではあると思ひます、併し一定の設備を持ちまして、永續的に學校の事業を行つて居る場合には、大體之に入ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=225
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226・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、學校の授業と云ふことなんですか、問題は、是が學校の授業と言へるかどうか、兎に角或特定の人が一週に一遍でも授業時間を決めまして、さうして或科目なら科目を講義をして、そこに人が來る、特定の人が……或は二三人でも宜しうございます、是も矢張り學校教育に類するのが、各種學校として制限すると云ふことになりますか、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=226
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227・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) それは個々の場合に付きまして、矢張り一般的な常識を以て判斷するより仕方がないと思ひますが、其の判斷は、結局監督廳が、其の授業を行ふものであるかどうかと云ふことの判斷を致すことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=227
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228・佐々木惣一
○佐々木惣一君 例へば其の特定の人が、外でそんな會場を別に借りたりしないで、自分の家の中で、決まつた二十人でも三十人でも集めて講議を、期日を定めて話をすると云ふやうなことも、矢張り監督廳で各種學校と認めると云ふことになりますか、そうだとすると、大變なことになるだらうと思ひます、學校教育に類するものと云ふことは、私の意見では、學校教育に極めて似たものと云ふ意味に於て、嚴密に解釋しないと、特殊の人があつて、講習をすると云ふやうな建前でやつて居ることが皆學校教育になつたら、大變なことぢやないかと思ふのですが、如何ですか、社會教育の見地から言ひましても……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=228
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229・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 御話の通りだと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=229
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230・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、學校教育に入るのですか、入らないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=230
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231・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 入りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=231
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232・佐々木惣一
○佐々木惣一君 分りました、私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=232
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233・田中薫
○子爵田中薫君 八十三條の最後の所ですが、各種學校に對する監督廳と云ふのは何處になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=233
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234・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 各種學校に對する監督廳は、都道府縣が監督廳になる譯でございますが、唯八十三條の第四項に決めて居ります「各種學校に關し必要な事項は、監督廳が、これを定める」とございますのは、矢張り百六條に依りまして、當分の間文部大臣と致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=234
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235・田中薫
○子爵田中薫君 もう一つ伺ひたいのでありますが、從來各種學校に對する認可の制度は、各府縣で行はれて居たのでありますが、非常に府縣に依つて其の基準がまちまちで、或縣では、非常に詰らないもの迄認可を受け、或縣では、相當高いものでなければ認可が受けられないと云ふやうなことがあつたのでありまして、餘りそれが亂脈であつて不統一であつたやうに考へますが、今後さう云ふ點に付て、どう云ふ風に御考へでありましうか、それからもう一つは、認可を成るべく取らせると云ふ御方針なのでせうか、それは自由に委せて置くと云ふ御方針なのですか、或場合には、從來は、認可を取ると、非常にやかましい監督を受けなければならないから、認可を取らない方がいいだらうと云ふやうな風に、監督廳が奬めたりした場合も隨分あるやうに思ひます、さう云ふ點に付ては、どんな風に本省としては御考へですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=235
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236・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 各種學校に對する府縣の認可に付きまして、相當まちまちであると云ふ御尋ねでございますが、此の點に付きましては、大綱に付きまして、各種學校に關し一般的な事項は一應監督廳が決めて、さう全國的に凹凸がないやうに致したいと思ひますが、併し此の前に申しました成規の學校と違ひまして、其の點は普通の學校よりも相當監督の程度も緩うございまして、相當に變化があつても宜いのぢやないかと考へられます、それから認可は都道府縣の監督廳がやります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=236
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237・田中薫
○子爵田中薫君 從來は都道府縣を經て文部省に申請して、文部省が認可されるやうな形になつて居りましたのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=237
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238・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 從來とも、各種學校に付てはさうであつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=238
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239・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 先程の佐々木先生の御尋の中に入つて居るかも存じませぬが、各種學校と云ふのは、是から申上げますやうなものは各種學校に入りますか、例へば私なら私が語學の教授の看板を掲げて、若しそれが各種學校でありまするならば、第七條の規定の準用がありますから、さうなりますと、今迄「校長及び相當數の教員」と云ふやうな規定の準用を受けますが、一人で語學の教授をやつて居ると云ふやうな場合は、是は各種學校にならぬのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=239
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240・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 實質的には學校教育に類する教育を行ふものとなつて居りますが、形式的には、一定の限度に對しまして地方長官が認可したものが、前の第一條に言ふ學校以外のものを言ふのでありますから、實際上の問題と致しましては、相當程度の規模なり内容がある場合にのみ各種學校と名付けることが出來ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=240
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241・佐々木惣一
○佐々木惣一君 八十八條に「この法律に規定するものの外、この法律施行のため必要な事項は、監督廳が、これを定める」とありますが、形式的に一般的規則とか何等かの命令と言ふか、規則的の規程と云ふか、命令又は規程として出すのか、或は個々の場合の、個々の具體的の處分として之をなすと斯う云ふ風になるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=241
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242・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 只今の所、學校教育法の施行規則と云ふやうなもので、全般的に必要な規則を作る積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=242
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243・宗武志
○伯爵宗武志君 先程の橋本伯爵の御質問に類することでございますが、講習會のやうなものはどうでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=243
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244・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 講習會などは各種學校に入らないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=244
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245・宗武志
○伯爵宗武志君 若し一定の場所を、定期的に時々使ふと云ふやうな場合には、講習會のやうなものでも各種學校に入るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=245
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246・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) さう云ふ場合は入らないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=246
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247・宗武志
○伯爵宗武志君 宗教團體で日曜毎に何かを教へると云ふ風な場合は、各種學校に入りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=247
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248・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 日曜毎に教へると申しましても、其の教へる規模とか内容等に依つて相當違ふと思ひます、相當大きい規模を以ちまして時間割を決めて、さうしてずつと引續いて相當の期間やると云ふと、毎日でなくても學校の範圍に入ることはあり得ると思ひますけれども、普通の場合に於て、日曜毎に教會等でやる場合は是は學校でないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=248
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249・宗武志
○伯爵宗武志君 少し諄いやうでありますが、例へば一年を三期とか四期に分けて、其の一期で以て一通りの講習會を終るやうなものは各種學校に入りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=249
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250・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大體さう云ふ場合は入らないと考へられて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=250
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251・宗武志
○伯爵宗武志君 只今の御答辯非常に御丁寧に有難うございました、此の問題に付ては是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=251
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252・佐々木惣一
○佐々木惣一君 附則ですが、附則の第百一條「從前の規定による學校の卒業者の資格に關し必要な事項」とありますが、卒業者の資格と云ふことはちよつと分り兼ねる言葉のやうに思ひますが、どう云ふものでありますか、從前の卒業者たる資格と云ふことでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=252
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253・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 卒業者の持つて居ります資格と云ふやうな氣持でございます、例へば卒業後の上級學校の入學資格、さう云ふものであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=253
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254・佐々木惣一
○佐々木惣一君 卒業者たるに必要な資格ぢやなしに、其の卒業者が他の方面に行く爲に必要な資格ですな、……私は是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=254
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255・田中薫
○子爵田中薫君 ちよつともう一つ先程の所で伺ひたいのですが、各種學校の認可の問題ですが、認可をなるべく取らせるやうに御指導なさるのですか、放任なさるのですか、先程此の事をちよつと忘れましたが、尚認可と云ふものは從來非常に喧しく言はれましたのですが、今度の制度では認可と云ふものはどう云ふ風になるのか、認可を取つた各種學校と、取らない各種學校とはどう違ひますか、さう云ふやうなものは設立する時に、或ものは各種學校としての認可を取つて居る、或ものは取つて居らぬ、取つた者は例へば生徒の通學の定期の購入の便宜と云ふやうなことに關係して居りますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=255
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256・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張り認可を取りました場合に於ては、例へば私立學校の租税の問題でありますとか、又色々補助の問題でありますとか、色色有利な對象になり得ると思ひます、すると反面には第一條の一般的な監督規程も適用になりますので、其の點は多少監督を受けると云ふ形になりますけれども、出來るだけ相當な程度に達しました學校に付きましては、此の認可を受けることを勸めるやうに致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=256
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257・宗武志
○伯爵宗武志君 昨日終つた質問でございますが、引續き質問することを御許し願ひまするが、それは特殊學校のことでありまして、例へば放送局が一通りのプログヲムを組んでやる教育であるとか、或は學校でないものが通信教育を以て學校に類するやうなことをやる場合に、是は矢張り各種學校と認められるのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=257
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258・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) さう云ふのは各種學校と認めないことになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=258
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259・宗武志
○伯爵宗武志君 それから各種學校が付ける名前でございますが、是は第一條に掲げる學校の名稱以外でございましたら、假令何々と稱してもそれは差支へないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=259
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260・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 其の第一條に掲げる名前以外は差支へないと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=260
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261・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 百二條に關聯することかと存じまするが、産業組合なり漁業組合なんかで經營して居る學校の事例はございませぬですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=261
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262・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 只今の所、千葉縣に農業會の經營する學校が一校だけ全國を通じましてあるさうでございます、他にはさう云ふのはないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=262
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263・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 若し今後さう云ふ産業組合なり漁業組合等で學校類似のものを經營するとしても御認可になりますか、それを取締り……或は特殊學校になりますでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=263
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264・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 第一條に掲げまする學校に付きましては、さう云ふ小學校を建てます時には、普通なら財團法人で、其の場合には特別のものになりますが、唯各種學校に付きましてはさう云ふ制限はないのでありまして、自由にさう云ふのを作れる譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=264
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265・佐々木惣一
○佐々木惣一君 全般に亙るやうな質問にまだ入つていけませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=265
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266・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 是が終りまして願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=266
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267・佐々木惣一
○佐々木惣一君 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=267
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268・瀧川儀作
○瀧川儀作君 百四條でございます、「私立學校においては、前項の規定により委託を受けた義務教育については、授業科を徴收することができない、」是はまあ當然でありますが、私立學校に委託する場合に無報酬でと云ふことですか、或は報酬を取つても宜い譯ですか、家賃と言ひますか…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=268
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269・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 委託致します場合には、市町村の設置義務者が設置義務を果さないで委託するのでございまして、當然其の經費の負擔は設置義務者が負擔すべきことになりまして、委託に要する經費は一切其の委託する方から私立學校に差上げることになります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=269
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270・荒川文六
○荒川文六君 事柄は各種學校に關聯して居るやうでもありますし、又全般的の問題としても考へられるのでありますが、從來文部省所管以外の學校が若干あるかと思ひます、商船學校は元文部省にありましたが、戰爭中、外に移つたやうに記憶して居ります、又將來例へば統計學校と云ふやうなものを或官署で作る積りだとか云ふやうな話も聞いたのでありますが、さう云ふ風な學校は此の學校教育法とどう云ふ關係になりませうか、又もう一つは、是も只今あると思ひますが、遞信省で電氣通信技術の講習所、技術及び事務の講習所をやる、ああ云ふ講習所と云ふやうなものは、見樣に依つては學校と見られるのでありますが、さう云ふものは矢張り各種學校として此の法律で取扱はれることになりませうか、其の點をちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=270
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271・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 前の商船學校のことに付きましては、是は船員の養成と云ふやうなことから、實は戰時中文部省から一應移管になつたのでございますけれども、終戰後まだはつきり協議は致して居りませぬが、近くやはり文部省所管に歸つて來るやうになる筈でございます、其の他の同じく國で作る學校でございましても、講習所と云ふやうなものは、一應矢張り各種學校として取扱ふことになると思います、それから、出來るならば、第一條に關するやうな學校は大體文部省に一括して實は參りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=271
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272・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 第八章以下に關しまする御質問は、外にございませぬでせうか、それでは終つたものと考へまして、全般に亙り今迄御質問の漏れて居りましたものに付きまして、御質問願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=272
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273・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今迄漏れて居つたかどうか、或は觸れて居つたかどうか分りませぬが、ちよつと三點程伺ひたいと思ふのですが、學校を設立するのは、何れの種類に拘らず、法律に定める法人でなければいかぬと云ふことは分りましたが、學校自體が法人であることは必要ないことですか、今實は設立者が法人であつて、其の設立した學校と云ふものが又更に法人でなくちやならぬと云ふ場合があるのですが、さう云ふことは一切ない譯ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=273
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274・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 舊來學校即法人と云ふ考へ方があつた譯でございますが、今度の建て方と致しましては、一切學校設立者、事業主體は矢張り法人でございまして、學校は其の事業と云ふ風に、全部を統一して考へて居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=274
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275・佐々木惣一
○佐々木惣一君 さうすると、學校自身はもう法人でなくとも宜いのですね、學校の種類によつては……、さうだと、非常に弊害を生じやしないか、經營者が色々の場合に於てそれに干與するやうな事情が多くなりやしないかと心配するのですけれども……、御解釋は分りました、それからもう二つは、學校の教員の待遇のことですが、是は身分法とか或は待遇法とか云ふものが出來ると云ふことは別と致しまして、例へば大學の教授、それからして高等學校及び中學校、小學校の先生方と云ふやうなのは、假へば官吏、官吏の場合は例へば一級、二級、三級、さう云ふやうな風に大體分れるかと思ひますが、併しそれに付ては、斯う云ふ學校の先生は一級、二級、斯う云ふ學校の先生は二級とか三級とか、さう云ふことは區別をせぬと云ふ考であるか、それだけを御尋ね致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=275
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276・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 此の點に付きましては、内閣に設置されました教育刷新委員會の特別委員會に於きましても、色々論議されて居るのでありますが、其の中で今申されました學校の教員に付きましては、小學校から大學に至る迄の間に、一級とか二級とか三級とか、階級的な區別は致さない方が宜いのぢやないかと云ふ意見も爲されて居るやうであります、併し是は現在の制度は、學校の先生も大體私立學校は別として官吏でありますから、一般官吏法に依りまして決定される譯でありまして、一般官吏と全然別箇の學校の教員だけに制度を作るかどうかと云ふことは、相當重要な問題でございますので、今後十分其の點は研究して行きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=276
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277・佐々木惣一
○佐々木惣一君 今度は教員の養成のことですが、それは初めにちよつと御伺ひ致しましたけれども、教員は大切だ、從つて之を養成することが重大だ、教員になり手が段々少くなる虞があると云ふやうなことがあつて、特に教員を養成すると云ふことに付て……、師範教育令はなくなるのですが、どう云ふ方法で教員を將來養成すると云ふやうな何か御畫策がありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=277
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278・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 今公式に決定致して居りませんですが、教育刷新委員會の第七小委員會と云ふもので、其の點を檢討して戴くやうに御願ひしてあります、文部省としては此の前にちよつと申上げましたやうに、從來の教員養成學校である師範學校には重大な缺點があるからして、教員だけを養成する學校は寧ろ廢した方が宜からうと云ふ意見であります、併しそれを直ぐに廢してしまつて、教員の補給を確保することが出來るかどうか疑はしい、其の點では文部省として、教育刷新委員會の御趣旨は能く分るのでありますが、現實にそれを直ぐ實行して支障がないかどうか非常に疑問があります、是はまだ文部省の意見と云ふ風に申上げる譯に行かないのですが、私個人の考と致しましては、大體大學程度の學校で、名前は何と付けますか、例へば教養大學とか云ふやうなものの中で、教育學的な學問や、訓練を相當させるやうな學校を作りまして、大多數の者が教員志望の者を入れる、中には別の方向に行つて働くことも比較的自由にして置く、さう云ふやうな形で、現在の師範學校をさう云ふ方向に向けて改革する必要があるのぢやないかと云ふ風に考へます、尤も此の點に付きましては、關係方面は、刷新委員會とは相當違つた意見を持つて居ります、それはあちらでは相當教育科學とか、教育の實驗とか云ふことに重きを置いて居りまして、日本の教育學と云ふものは非常に非科學的であつて、不十分だと云ふことを力説して居る、まあ私の接觸した範圍での判斷では、非常に大仕掛の實驗心理學的な研究と云ふやうなものを、長く掛つて相當幅廣く材料を澤山持つてやる、從つて費用も十分掛けてやつて居るらしいのであります、さう云ふ點で例へばインテリジエント・テストとか、アカデミツク・アプテイテユード・テストとか云ふやうなことに付ては非常な自信を持つて居ります、從來の日本で言ひますと、面接して口頭試問で以て其の人の性格や能力を推察すると云ふのは、非常に非科學的であつて偏頗である、さう云ふことは是非止めなければいけない、又入學試驗等に付ても、日本の入學試驗はペリフエリーの問題を捉へて、根本的な問題を逃して居る、從つて日本の學生と云ふものはペリフエリーの問題の豫備と云ふことに全力を注いでしまふから、本當の學問を研究し、又それを應用する能力に乏しいのだ、是は日本の教育の缺陷である、斯う云ふ點で、もつと科學的に十分整備致さなければならぬ、日本人は教育に對して餘りメトーデツシユな研究をして居ない、大體直感に頼つて居る傾向が強い、それは教育を大成する所以でない、平均的な、大量の實驗的、統計的の研究をして、それに依つてそれを應用する際に各個人の持つて居る直感と云ふものを働かせなければならない、大體斯う云ふやうな趣意で非常に自信を以て力説して居るやうであります、事實はどの程度に進んで居るのか、はつきり分りませぬけれども、さう云ふことを言はれて見ますると、日本に於ける教育學とか、或は教育の實驗とか、或は心理學的な研究方法とか云ふやうなものに、相當非科學的な要素も多いのではないか、反省させられるやうなことも多々ありますが、さう云ふ一種の自信を持つて我々に忠告をして來て居るのでありますから、之を無下に無視することも出來ませぬので、我々は謙虚な態度で、さう云ふ人からも教はりたいと思つて居ります、さう云ふ點がまだ解決せずに殘つて居りますので、大學の設立が二十四年の豫定になつて居りまするが、それ迄の間に相當研究も致しまして、刷新委員會の指摘された缺陷は私共も十分肯けることでありますし、片方の側の意見にも尊重しなければならない點もあると思ひますので、何か其の間に解決の途があるのぢやないかと考へて居ります、併し是は私個人の意見でありまして、文部省の公式の決定ではございまもせぬけれども、御尋に對して御參考迄に申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=278
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279・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りました、教員の養成と云ふことが重大であることは言ふ迄もないのですが、師範教育がいけないと云ふことは、昨日色々御話があつて私も能く分つたのであります、それは現在の師範學校の教育がいけないと云ふことでありませうか、或は先生を養成する爲の特別の教育が一般にいけないと云ふことでせうか、先生と云ふものを特に養成すると云ふことが一般にいけないと云ふ建前で、今の師範教育令がいけないと云ふならば、之を廢止して、今仰せのやうに他の學校を設けて、先生を養成すると云ふやうなことになつても、いけない結果になるかも知れませぬ、それで是と別に、陸軍士官學校みたいに、特に先生だけを養成すると云ふ、さう云ふ特別の學校を設けるのではないけれども、從つて普通の高等學校とか、大學等の教育であるけれども、先生なる者に對してはそれが爲に必要なる所の知識とか、或は又何と申しますか實驗とか、さう云うことをやらせて、それで教育すると云ふやうなことと又別の考へ方があるかと思ひますが、そこはどちらが良いか私ら素人でありますから分りませぬが、今師範教育をやめてしまふと云ふことでなしに、特に一般に教員を養成すると云ふだけの目的の學校と云ふものを作らずに、一般の學校の教育に、更に先生になる人に對しては必要だと思はれる知識、訓練をすると云ふことを附加へるだけでは、教員の養成が出來ないと云ふ御考でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=279
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280・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 其の點少し曖昧でもございますけれども、大體教育刷新委員會の御意見は、委員に依つて多少御意見は違ふやうでありますけれども、主として從來の日本の師範教育と云ふものが、例へば師範學校を專門學校にした時でも内容的には十分改善されて居ない、それであるからして、あれを所謂大學昇格と言つたやうなことにしても、從來の缺陷を到底防ぐことは出來ない、それであるからして此の際は所謂形式的な昇格と云ふやうなことには目も呉れずに、さう云ふ考をやめなければいけないと云ふのが主であつたやうに私は解釋致して居ります、併し其の中には同時に、教員になる者だけを集めて教育すると云ふことは眼界が狹くなつて、人間的な一般的な關心と云ふものが非常に薄れるからして、出來れば、何になるか分らないやうな者の中から教員を養成するやうにした方が宜い、さう云ふ御意見も相當強くあつたやうです、併しさうして若し教員になる者は、大學とか、綜合大學に於ても、或は單科大學に於ても、教育學とか、教育の實習とか、實驗とか云ふやうなことをやらせれば、一定の單位を取つた者に教員の資格を與へると云ふ風にしたら宜いだらうと云ふ御注意であつたやうに記憶致して居りますが、一體果して非常に澤山必要である教員を確保することが出來るかどうか疑はしいと思ひます、矢張り教師の養成學校と云ふものは、内容は別として政府としてはどうも必要なんではないかと云ふやうに、是は私個人の考でありますが、さう云ふやうに思ひます、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=280
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281・佐々木惣一
○佐々木惣一君 能く分りました、私は是で質問は打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=281
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282・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 ちよつと第二條の解釋に疑問の所が殘つて居りますので伺ひます、此の學校を設け得る者は、國、地方公共團體及び別に法律で定める法人のみが設置することが出來ると云ふ……、此の法人の中には外國法人も入つて居りますか、將來どう云ふ風に御定めになりますか、私の伺ひたいことは、外國人も學校を經營出來る、此の外國人と云ふ中には外國法人も入つて居るのですか、斯う云ふことに付て伺つて見たいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=282
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283・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 茲に「別に法律で定める」と書いてございますのは、此の前も申上げましたやうに、大體此の學校法人法と云ふやうな特別の法律を豫定致して居るのでございます、で外國人と雖も、矢張り此の法律に定めます學校を作る場合には、將來の問題と致しましては、其の特別法に依る法人を先づ作りまして、其の法人が此の學校を經營すると云ふことになると考へます、併し附則でも書いてありますやうに、暫定的には是は現在の民法に依る財團法人と云ふことに致して居るのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=283
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284・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 一應の御説明で了解致しましたが、段々まあ講和條約も出來、それから民主的國家として段々日本の信用も恢復されますると、外國との國交も段々始まり、從つて殊にアメリカ等とは非常に日本の國交は密接になると存じます、さう致しまするとアメリカあたりからも隨分日本に教育者も參り、又特殊の學校も設けて見たいと云ふやうな人が來るだらうと思ひます、又北米合衆國のみならず、其の他イギリスにしろ、フランスにしても來るのではないかと存じまするが、さう云ふ風なことは今から豫想して御置きになつて、此の學校教育法を御設けになりますに付きましては、さう云ふ事例が將來多く生ずるだらうと云ふことは、今から御覺悟になつて、學校法人法なるものに是からの事態に應じて困らないやうな規定を設けて御置きになることを、特に御註文申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=284
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285・荒川文六
○荒川文六君 全般に亙つての問題とは思ひますが、特に義務教育に關聯の深いことと思ひますが、米國の教育使節團の報告書の中にも重要なこととして採上げられて居りますのは、國語及び國字の問題であらうと思ひます、使節團の報告にもローマ字を使用すると云ふことを推獎して居る點がありまして、文部省に於てもローマ字の教育に付て、過般其の意見を御發表になりましたのですが、何時でございましたか、此の委員會の質問の御答辯に、小學校に於てはローマ字の教育は自由研究の時間の中に盛込む積りであると云ふ御答へであつたやうに思ひます、自由研究と言ひましても、幾らか外のものよりは輕く見られて居ると云ふやうに思はれる嫌ひがあるかと思つて居りますが、もう少しローマ字の教育に力を注いで行きたいと云ふやうな御考がありませうかどうか、もう既に斯う云ふことは御調査が濟んで居ることと思ひますが、日本の小學校に於ける國語の時間數、外國、例へばアメリカに於ける之に對應する學校の國語の時間と云ふものとの差が、日本では可成り多くの時間を國語の教育に使つて居る譯で、それと云ふのは、漢字を覺えると云ふこと、それも大きな原因であると申しますが、そればかりでなく、此の前に私もちよつと觸れましたやうに、教はつた其の文字を十分に使ひこなすことが出來ないと云ふことが從來の日本の少年青年の大きな缺點になつて居る、それが自然國民の文化的水準を高めることが出來なかつた原因であり、又高めようとすることに對しての大きな障礙になつて居るかと思ひますので、將來に於ては矢張り此の漢字の重荷から避けられるやうに、ローマ字を採用すると云ふことが非常に必要なことである、之を餘程今度の義務教育に於て重要視しなければならないと思ふのでありますが、此の點に付てどう云ふ風な御方針でありませうか、そこを一つ伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=285
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286・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) ローマ字の今後の教育上重要なことは御説の通りだと思ひます、小學校に於きましては、第四學年から年に四十時間程度、四年、五年、六年の上級に亙りまして國語の時間に含んで居るのであります、中學校に於きましては、選擇教科の國語の中でも多少やることと思はれますし、外國語等其の他自由教育等に付きましても、さう云ふ教育が行はれることと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=286
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287・荒川文六
○荒川文六君 尚此の兒童、生徒の使ひます圖書などにも其のローマ字を十分に使つて、ローマ字に慣れると云ふ方針を採られることが、私は大切なことぢやなからうかと思ひます、尚もう一つローマ字の綴り方の問題でございますが、是は此の頃何だか非常に妙な形に現れて居るとか云ふやうな話を聞きますので、甚だ遺憾に思つて居りますが、私と致しましては、日本語をローマ字で書き現はす爲には、日本語の文法に適つた綴り方を採るのが至當であると思ひます、日本語をローマ字で表はすことは、外國人の爲にしてやるのぢやなくて、日本人の爲にするのでありますから、日本の國語の文法に適當したものを採らなければならないと私は思つて居ります、又過日日本タイムスに投書しました或アメリカ人の投書に依りましても、自分はアメリカ人として日本式のローマ字で日本語を勉強したが、却つて其の方が都合が好かつたと云ふやうなことを投書して居ります、さう云ふ點から見ますと云ふと、外國人が日本語を習ふにも、日本式乃至は訓令式、文部省で定められました方式の方が宜いと私は信じて居ります、近頃此の問題が大分又色々な妙な方向に向つて居るやうであります、過日の御話の中にあつたかと思ひますが、之に付ては使節團の報告書にも、研究機關を設けて研究することを推獎して居るやうでございますから、さう云ふ御計畫があると思ひますが、唯斯う云ふ問題はどうか合理的に御取扱になつて、何も其のことに深い考のない者の言ふことは、大勢が言ふからと云ふので、まあ民主的と云ふやうな名の下に、さう云ふやうな一般論に傾かないやうに、あの文部省の訓令式と云ふものも、あれは隨分長い間の研究の結果あれに決まつたやうな譯でありますから、之に付てどうか政府に於ても御考慮を願ひたいと思ふ次第であります、是はちよつと附加へた私の希望であります、それからもう一つそれに類したことで伺ひたいと思ひますことは、度量衡の問題であります、是も過日統計法案が本會議で議せられました時に、どなたでありましたか、議員の一人の方が此のことに付て、御質問になりましたが、其の時の政府當局の御答辯では、何だか斯うあやふやなやうに思はれたのであります、それで今後の教育に於きまして、メートル法を主とせられるのでありませうか、或は又尺貫法を若干入れる、詰り將來の日本の度量衡を或面に付ては、或年月の後には、メートル法に變へると云ふ方針を持つて居られるのでありませうか、そこを一つ伺ひたいと存じます、從來國民學校で大分長い間子供がメートル法に慣れて居る、それが大人になつた時には、尺貫法と云ふものをさう重く見る必要もなからうと考へられるのであります、そのことを一つ伺ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=287
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288・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) ローマ字のことに付きまして、是は文部省の意見と云ふ風におとりになりませんで、私個人の意見として御聽取り戴きたいのです、荒川先生の御話に私は全面的に贊成なのであります、三十年位前から私はさう云ふ考を持つて居るのでありますが、今度のローマ字の綴り方に付きましても、私一個人の考としましては、日本語を表はすのには、日本語を表はすのに適當な訓令式の方が宜いのだと確信致して居りますが、私の發言し得る機會がありましたらば、さう云ふ風に言ふ積りで居ります、それから日本語をローマ字で書くと云ふことに付きましては、日本語そのものが整理されて居らないものでありますから、ローマ字に書き表はすと、意味が通じないやうなことが非常に多いのであります、其の點で日本語其のものを出來るだけ耳で聽いてはつきり分るやうな言葉に直すことを考へなければいけない、又それを直す爲にも、ローマ字を使へば、曖昧になることを避ける爲に、特に關心を呼ぶと云ふやうな點もあるかと思ひます、何しろ今の日本語の状態では、うつかりローマ字に書き直すと意味が通じなくなるやうな結果になりますので、其の邊に相當大きな困難があると思ひますけれども、出來るだけ教育上の負擔を輕くさせる爲に、ローマ字も時を藉して採用したらば宜いのぢやないかと云ふ風に考へて居ります、度量衡のことに付きましても、是も私一個人の考でありますが、先生の御話全く贊成でございます、慥か大正十一年かにメートル法を使ふことが議會で決定したかと記憶致して居ります、其の後色々の事情で、一應子供達にはメートル法で以て教へて居りまして、家庭なんかでも、父親母親の尺度と、子供達の尺度とが違ふ位にも一時なつて居たと思ふのであります、斯う云ふ點も矢張り合理的なシステムになつて居るものを早く採用することが、將來の日本の教育の負擔を輕からしめて、内容を充實させる爲に必要ではないかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=288
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289・佐々木惣一
○佐々木惣一君 ちよつとお尋したいのですが、國字、國語の問題は全く私素人で、其の内容に付ては發言する資格はありませぬが、併し私共としては、可なり長くローマ字會に入つて居る、もう三四十年其の會員ですけれども、自分がローマ字を使ふとか使はないと云ふことではない、日本將來の爲にローマ字と云ふものが宜いと云ふことを確信しての三四十年の會員ですけれども、併し自分自身は何等關係がない、どちらが宜いかと云ふことはないのです、自分勝手に書いて居りますけれども、但し此處ではさう云ふことに付きまして、ローマ字を何れの方式に依るのが宜いかと云ふやうなことに付て、色々議論があるやうですから、之に對しては矢張り文部省は何とか一定の方針を採られて、さうしてそこにどうせ議論はあるのですから、將來の爲に向けるやうな方針を御決めになつて戴きたいと斯う私は思ふのですがね、それから私はそれに關聯して、漢字の整理、假名文字の何と云ふか、整理といふか、何といふか能く分りませぬけれども、それも僕等は非常に贊成であつて、自分は實は此の間文部省の假名文字會でしたか何でしたか、一應發表した案を自分でやつて居る、處が是は非常に自分に取つては困難なんです、併しながら從來の古いやり方ではいけない、將來の爲だから、國民の……、是からのは相當早く一定の方針で以て國民に對して示すとか云ふやうなことがあつた方が宜いと思ふのですが、さうせぬとぐぢやぐぢやになつてしまひまして、今のメートル法でもさうです、おかしな話で、法律でちやんと決まつて居るにも拘らず、一部の反對で以て當分尺貫法を使ふと云ふやうなことで、其の時々にやるものだから、結局時間と無用の勞力を費したことになるのですから、どちらかと云ふと全く私自身は能く分らぬのですけれども、今の我我の立場でなしに、我々がやればどうせ不便には決まつて居る、併し將來の國民に對する問題として、何とか文部省の方で適富な方針を御決めになつて、國民に知らせて戴きたいと、是だけのことを申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=289
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290・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 丁度擔當の稻田局長が參つて居りますから、現在の文部省の方針を……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=290
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291・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 只今の御話のローマ字でございまするけれども、新しい教育に於てローマ字を用ひますことは、この機會を成べく早く致したいと思ひまして、先年來ローマ字協議會を設けまして、各方面の代表者の方と御協議を致しまして、一應暫定的に訓令式を基準と致しまして、それに標準式或は日本式をも加味して教へると云ふやり方を以て學校に通牒を致し、又それに基きまして教科書を目下編纂致して居ります、唯之に付きましては尚色々論議がありますことでありますので、來年度早々更に廣い範圍から委員を選びまして、此の問題を急ぎながら而も愼重に研究して參りたいと思つて居ります、それから次の國語の問題でございますが、御話のやうに既に當用漢字、それから現代かな遣ひを發表致しまして、官廳の公文用語に之を採用することに決定致しました、又此の中で、既に編纂中の教科書には其の線に沿うて出して居りまするけれども、教科書に於ては尚教育用漢字の限定と申しますか、さう云ふやうな措置が必要でありますので、目下それを致して居る譯であります、更に今度音訓整理を半ば進行して居ります、それ等が一應主査委員會の手を離れますれば、更に擴充強化致しました國語審議會に於て急速に御決定を願へることと考へて居ります、又關係官廳に於きましても、此の線に沿つて色々考へて戴いて居ります、例へば戸籍法の關係等に於きましては、司法省に於て其の點に付て色々御研究中であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=291
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292・佐々木惣一
○佐々木惣一君 結構であります、私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=292
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293・宗武志
○伯爵宗武志君 少し多岐に亙りますが御伺ひ致したいと思ひます、小學校から或は幼稚園から高等學校なり大學に至る一貫した教育を行ふ一つの學校と言つては語弊がありますが、一つの團體と云ふ風なものがあつた場合に、各各學長、校長は別々に定めなければならないのでございませうか、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=293
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294・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張り各學校は一つの獨立學校でございますから、假令兼務でありましても、一應校長を置く必要があります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=294
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295・宗武志
○伯爵宗武志君 例へば一例を申しますと、學習院と云ふものがございまして、是は今度宮内省の管轄を離れると云ふことになつて居りますが、其の場合に院長は大學の學長も、それから高等學校長、中學校長、皆それを別々に兼ねなければならないものか、或は別に部長と云ふ風なものを置いて宜いのか、斯う云ふ點に付て伺ひたいと思ふのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=295
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296・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 矢張り第一條に掲げます學校毎に、一應假令兼任されましても、校長と云ふのは存在すべきだと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=296
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297・宗武志
○伯爵宗武志君 了承致しました、次に第六十四條でございますが、此處に「公立又は私立の大學は、文部大臣の所轄とする」とございますが、國立の大學に付てはどうなるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=297
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298・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 國立のものに付きましては、是は當然まあ大部分のものは文部大臣の所管でございますが、國立のものでございましても、他省の所管のものも一應あるかと考へますが、大體其の文部省に屬するものは文部大臣の所管だらうと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=298
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299・宗武志
○伯爵宗武志君 次に學位のことに付て伺ひたいのでございますが、此處には斯う云ふ博士其の他の學位、又は學士號なども決めてございますが、之を今更私はどう斯うと云ふことは言はない積りでございますけれども、一體從來の教育と云ふものは看板を取る爲の教育であつた爲に、非常に實力本位と云ふことが蔑ろにされて居つたと私は思うのです、寧ろ學位とか、學士號と云ふ風なものは、私個人としては全然是は無くしてしまつた方が宜いやうな考を持つて居るのでございますが、斯う云ふ點に付て何か御考になつたやうなことがありますれば、少し御洩らしを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=299
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300・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 御話のやうに學位が看板の爲で、内容のないものも事實としてあつたと思ひます、さう云ふ點を放任して置いてはいけないと云ふことは、私も同感でございますけれども、併しそれとは別に矢張り一定の能力或は資格のある者を、社會一般の信用の爲に權威のある證明のやうな意味に於て、學位と云ふものは私は必要だと信じて居ります、之に付きましては現在は學士と博士だけでありますけれども、其の點に付てもつと研究したらどうかと云ふことを、關係方面からの指示もございまして、之もどう云ふ風になりますか、結論はまだはつきり分りませぬけれども、或は博士と學士との間に何等かの學位か、或は稱號か、さう云ふやうなものを研究の結果は置くやうになるかとも想像致して居ります、是は今後の研究に俟たなければならぬことだと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=300
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301・宗武志
○伯爵宗武志君 學位を置くか置かないかと云ふことは議論の外に致しましても、置くと致しますと、此の學位、例へば博士と云ふ場合に、何々博士と云ふ風なことを決めるのは、學校が決めるのか、或は文部省あたりで一定の規格を決めるのか、其の點に付てもちよつと伺ひたいと思ふのですが、例へば今經濟學博士と云ふやうな學位がございまして、昔はそれはなかつたので、皆法學博士でございました、併し此の時代の進展に伴ひまして、學問と云ふものは必ずしも一つの型に入れて分類さるべきものではなくなつて來るのではないかと思ふので、將來場合に依つては特別な學士號と云ふものが出來て來ると云ふ餘地があるやうに思ふのですが、さう云ふ場合に於て、相當其の枠に入れるか、或は相當自由にするのか、斯う云ふことに付きましても、是は又學士號に付ても關係のあることですけれども、御意見がありましたら伺ひたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=301
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302・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 從來は學位令に依りまして、或る大學で認められます所の博士號の種類に付きましては、其の教授會が博士號を出して宜いかどうかと云ふことを文部大臣が認可するやうな形になつて居つたのであります、從ひまして經濟學部に其の認可を致しますと、そこで認可された者が經濟學博士となつて居つたのでありますが、今度の場合に於きましては、其の學位全般に亙りまして十分色々な點を考慮して行きたいと考へて居るのでございます、例へば各大學に今色々な學位の種類を制限しないで、どのやうな學位でも與へて宜いと云ふやうなことにするかどうかと云ふ點迄も、十分考慮して行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=302
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303・宗武志
○伯爵宗武志君 次には先程荒川委員が少し御尋になつた點でございますけれども、此の綜合大學と單科大學の問題に付てちよつと伺いたいのですが、從來の綜合大學と云ふのは如何にも學問を綜合する機關のやうに、其の研究乃至教授の場合に於て綜合的にやると云ふやうな意味があつて置かれたものではないかと思つて居りますけれども、事實上は綜合大學と云ふのは色色な學部を唯くつつけただけで、其の間に少しも連絡がないのでございます、それは學生が教へを受けると云ふ場合にないばかりでなくて、研究の方でもないのでございます、まあ假に一例を申しますと云ふと、文學部で發音學と云ふやうなものを研究して居ります、さうすると又醫學部で發音器官に關する研究をして居ります、其の間には何等の關係がないのでございます、それで寧ろ綜合大學よりは單科大學のやうなものの方が却て綜合的な學問乃至教育が出來ると云ふ風な奇觀を呈して居つた、私はさう見て居るのでございますが、或は間違ひかも知れませぬけれども……そこで從來の所謂綜合大學の弊を匡すと云ふ意味に於て、例へば九州の法文學部のやうなものは是は一種の新しい綜合大學……法科の方に偏つてもいけず、文科に偏つてもいけない、中庸を得た圓滿な人間を作らう、さう云ふやうな意圖の下に初めは作られたものだと、私はさう承知して居るのですが、其の中に矢張り法科系統の方は法科系統の力を、力と云ひますか權力と云ひますか、さう云ふものを十分に立てたいと云ふやうなことになつて、段々それが又分れてしまつて、結局初めの目的が達成されないと云ふ風なことになつて來たやうに……實はそれは私直接に關係して居りませんので、聞き及んで居るのですが、私は矢張り圓滿な大人物を作り出すと云ふ意味から云つて、單に專門的な研究なり教育なりばかりを行ふと云ふのは足りないのではないか、さう思つて居るのですが、それで將來少くとも私立大學に於て特別な組織を作つたやうな場合に、斯う云うものを自由に文部省で御許しになると云ふやうな御考がありますか、それとも矢張り一通り型に入れた方が宜いと云ふ御考でありませうか、此の點に付てちよつと伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=303
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304・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 初めに將來の問題から申上げますが、將來の大學に付きましては、ちよつと先日申上げたかと思ひますが、大學設立基準設定協議會と云ふものがございまして、大學全般の最小限度の基準を定めまして、今文科的大學と、理科的の大學と、女子の大學に付ての基準を研究中でありまして、其の基準の設定が終りましたならば、適當な法制的の處置でも執りまして、それに依つて將來の大學の認可を決めて行きたいと思つて居ります、其の時には文部省だけでなしに、大學設置委員會と云ふものに掛けまして、さうしてそれを決定する方針で居ります、今豫め其の研究の終つて居りませぬ時に、御答へ申すことが出來ないと云ふやうな次第でありまして、御了承を戴きます、それから綜合大學に付ての御話でございますが、私は極く限られた範圍のことしか存じませぬので、全くの私見に陷る虞は十分にあると思ふのでございますけれども、矢張り私の知つて居ります限りでは、單科大學よりは綜合大學の方が、人間として一般的な關心を持つ機會も多うございますし、學問の研究の上に於ても、單科大學よりは寧ろ綜合的な研究に便宜なんではないかと云ふやうに考へて居ります、無論綜合大學と申しますものが、内容的に本當に綜合的に研究活動をして居ると云ふことは申されないと思ふのでありますけれども、併し教授にしても學生にしても、自分の專門のことを研究して居る途中に、同僚とか、或は同學の學生とかが接觸することに依つて、反省させられるやうなことが非常に多いのではないかと云ふ風に考へて居ります、私が接觸しました單科大學の學長が、單科大學であるが故に、例へば自然科學の學問に付ては助言を求めることが出來ても、人文科學に付て疑問があつても、なかなか助言を求めることがむづかしくて困る、學生も、例へば工業大學なら工業大學へ入りますと、人文科學的な學問に對しては全く進歩しないやうな状態であつて、非常に獨斷的な結論に陷り易い、斯う云ふことは成るべく綜合大學的にしたいのであるからして、外の大學との接觸若しくは結合が欲しいと云ふやうなことを言つて居られる方が大多數でありまして、私は矢張り綜合大學には、其の運營が十分綜合的であるとは申されませぬけれども、單科大學よりは綜合大學の方が矢張りユニバーシテイと云ふ意味に於て、學問の研究としては便宜が多いのではないかと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=304
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305・宗武志
○伯爵宗武志君 將來の點に付ては、只今はまだはつきりと御答を戴くのに時期が尚早であると云ふので、能く了承致しました、之に付きましては、私は十分に學校の特色を活かすことが出來るやうに一つ御骨折を願ひたいと思ふのでございますが、一つの法學部なら法學部を出ますと、法學士と云ふ肩書が付きまして、一生の間法學士としては通用するけれども、大學を卒業後發達した其の人の能力と云ふものは、法學關係以外の能力と云ふものは、世の中で少しも認められないと云ふ風なことにもなるのでございまして、斯う云ふことに付ても、例へば學士號を一律に決めてしまふと云ふ風なことに付ても多少疑問を持つて居りますけれども、少くとも大學に於ける研究が綜合的に爲される、さう云ふ機會を學生に與へると云ふことに、只今御答辯を伺つた所に依りますと贊成のやうでございますから、斯う云ふ點には一つ御努力を願ひたいと思ひます、第二の綜合大學と單科大學との問題に付きましては私の考が間違つて居つた、間違つて居つたと云ふのは、實は言ひ方が惡かつたのでございまして、此の點申し譯ないことでございますが、實は現在の綜合大學が十分綜合大學としての機能を發揮して居らない、寧ろ科を分けないで一つの大學にしてしまつた方がいいのぢやないかと云ふ風な、さう云ふ見解を申上げたのでございまして、併し私は科を分けると云ふことに反對して居る譯でも何でもございませぬ、さう云ふ綜合的な研究と云ふことをよく御考に入れて戴きたい、斯う云ふ希望を申述べさせて戴きます、それから、どうも長くなりまして相濟みませぬが、別の點ございます、先達て戴きました高等學校の學科目の中なんでございますが、選擇教科に社會と云ふのがございまして、それに東洋史、西洋史、人文地理、時事問題となつて居ります、此の各科目を一人の教師が教へると云ふことは當然無理なことだと思ひますので、恐らく分擔の先生が教へるのだと思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=305
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306・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御話のやうに、東洋史、西洋史、人文地理、時事問題は別の先生が教へることになるだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=306
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307・宗武志
○伯爵宗武志君 必須科目の方を見ますと、唯社會と云ふのが出て居ります、是は先達て佐々木委員が御指摘になつた所でございますが、此の必須教科の社會は誰が受持つのでこざいませうか、此の點或は重複するかも分りませぬが、もう一度……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=307
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308・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 必須教科の社會は、是はまあ小學校、中學校、高等學校と進みますに從つて、状況がまあ多少違ふことと思ひます、小學校あたりでは恐らく一人の先生が持たれる、中學校或は高等學校の初學年あたりになりますると、社會の中で色々ユニツトが違ひまするから、其の場合それに適する先生が二人或は三人で受持つことが出來るのでございます、まあ此の中には色々な題目を取つてやつて居りますから、例へば其の中で生物に關するやうな分が強いと云ふ點に付ては、或は社會であつても理科の先生が出て來ると云ふやうなこともあらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=308
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309・宗武志
○伯爵宗武志君 此の必須教科の社會の中には、道徳的な問題が多分に含まれて居ると思ふのでございますけれども、さう云ふ問題が二學年、三學年の方では多少は時事問題と云ふ風な所て觸れるかも知れませぬけれども、殆ど見えないやうに思いますが、此の點はどうなるのてございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=309
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310・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 御話の如く倫理、道徳乃至徳目と云つたやうな問題は、小學校、中學校乃至精々高等學校の一年程度の社會迄で止つて居りまして、高等學校の高學年に於きましては、時事問題と云つたやうな面に付てさう云ふやうな問題が出て來ることになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=310
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311・宗武志
○伯爵宗武志君 次に漢文の科目なんでございますが、是は少しどうも長くなつて相濟みませぬが、漢文と云ふものは、從來も文部省の試驗科目の中に國語、漢文並に外國語と云ふことが書いてございますが、漢文と云ふものは一體どの國の言葉であるかと云ふことを疑問を持つたことがございます、其の後色々考へまして、漢文と云ふものは結局國文と支那文と兩方含んで居るものである、例へば漢文で書かれた國文、それから支那文を國語式に讀んで行く漢文と、其の二色あるのぢやなからうか、それで前者は國語の中に入るものであつて、後者の方は、是は例へばギリシヤ語を英語で以て讀み直すと云ふやうな、さう云ふ不自然なものであるから、是は中國語科の中に讓つて然るべきものぢやないか、斯う云ふ風な考を以て、其の意味に於ての漢文抹殺論と申しますか、さう云ふものを再び持つて居るのでありまするが、從來漢文の支持者の中には、漢文は日本精神を作ると云ふ風な意味で之を支持して居られた方もありますけれども、漢文が人格教育の唯一の源泉でないと云ふ風なことは是は明かなことなんで、今更茲に漢文が持ち出されるのはどう云ふ譯でございませうか、是は私にはちよつと分りにくいのでございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=311
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312・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 我が國文化の中に一つの大きな流れを成して居りまする東洋思想と申しますか、或は東洋古典と云ふやうなものを學生生徒に習熟させますことは、まあ必要なことだと私共考へて居る譯であります、唯一面漢字制限等の關係もありまして、生徒の學習負擔を輕からしめると云ふやうな見地もございますので、新しい中學に於きましては、漢文其のもの或は書き下し文等を教へないことに致して居りまして、唯國語の中でさうした東洋の思想であるとか、東洋の古典であるとか、或は又支那大陸の人情風俗と云ふやうなものを日本文で現しまして、八學年、九學年即ち中學の二年三年に於て、國語の中で習得せしめると云ふことに致して居ります、それで高等學校に入りましてからは、只今御覽のやうに漢文と云ふ科目が選擇科目としてある譯であります、是は選擇科目でありますから、さうした文科的な面を基礎的に強くやらうと云ふ學校に於て是がやられるのだらうと思ひます、是はまあ最初から書き下し文等でなく、返り點、送り假名を付けた漢文から普通の漢文に進むと云ふやうなことを考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=312
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313・宗武志
○伯爵宗武志君 漢文で東洋思想の何かと云ふことを教へる、一應尤ものやうでありますけれども、抑抑東洋思想と云ふのが、何か日本の思想と支那の思想と印度の思想と同じやうなものだと云ふ風な漠然とした考があつて、從來日本人の倫理的な教養がうまく出來なかつたのぢやないか、私はさう云ふ風に考へて居る、それから又例へばイギリスの風俗、習慣を學ぶには、日本語で學んでもいいし、更に進んで學ぶにはイギリス語其のものを以て學ぶべきであると云ふ風な建前から、論語を「子曰く」何々と云ふ風に讀むよりは、寧ろツ・ユエ何々と云ふ風に讀んで行つた方がいいのぢやないかと云ふ考を持つて居りますが、是は議論になりますから、是以上は申しませぬ、それから次に伺ひたいのは、小學校、中學校の方でございますが、此の擔任は學級擔任でございませうか、學科擔任でございませうか、其の點に付て……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=313
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314・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 小學校に於ては學級擔任と云ふ恰好になつて參ると思ひますが、唯高學年に於きましては、從來でも專科教員等を置いて居りましたが、學科目に依つては學級擔任以外の先生も出て來る、中等學校に於ては學科擔任と云ふことに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=314
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315・宗武志
○伯爵宗武志君 教員の資格に付てですが、今教員の再教育と云ふことが頻りに言はれて居りますが、具體的には是はどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=315
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316・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) 新制の中學校の教員に付きましては、現在の高等學校若しくは中學校の教員免許状を持つて居る者、青年學校の高學年を教へて居る者、國民學校の高等科の教員と言つたやうな順で採用し、而も其の外に經驗及び能力のある者と云ふ基準で採用することにして居ります、不足の場合には、高等學校若しくは專門學校の卒業生以上の者であるならば採用しても宜いと云ふやうな標準で手順が出來て居ります、さうして採用しましたならば假の免許状を與へまして、それから再教育の途を立てて、それを眞面目にやつた者に付ては正式の免許状を與へると云ふ方針でやつて居ります、再教育の方針に付きましては、大體校長・教頭其の他主だつた者には比較的短い期間に、新しい學校教育の方針や、教科課程等に付ての講習を致しまして、中堅の者には、はつきり覺えて居りませぬが、三箇月乃至四箇月位の連續的な再教育の講習會、それから討論會、さう云ふやうなものをする計畫であります、是は東京、京都、仙臺、福岡、札幌、岡山、大體六箇所位に集めて講習をするのと、それから各地方の師範學校、專門學校等を借りまして、そこで再教育の講習會のやうなものをする、さう云ふ計畫を一應立てて居ります、それを滿足に出席し、又滿足に講習を終へた者に對して正式の免許状を與へると、斯う云ふ計畫を立てて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=316
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317・宗武志
○伯爵宗武志君 是は高等學校以上の範圍に付ては關係ないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=317
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318・日高第四郎
○政府委員(日高第四郎君) まだ高等學校の轉換が始まつて居りませぬから、事實は研究致して居りますけれども、具體的の計畫はまだ致して居まりせぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=318
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319・宗武志
○伯爵宗武志君 それから學校卒業者の檢定試驗と云ふものを將來御設けになる御積りでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=319
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320・剣木亨弘
○政府委員(剣木亨弘君) 大學の入學資格に關しまして、高等學校の卒業者と同等以上の資格を認めると云ふ檢定試驗と云ふやうなものは考へられると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=320
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321・宗武志
○伯爵宗武志君 第七十八條の「言語の使い方」に付て伺ひたいのでありますが、勿論標準語と云ふものに重きを置くだらうと云ふことは、私も想像致しますが、方言に付きましてはどう云ふ風な態度を御持ちになりますか、文部省として……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=321
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322・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 勿論基準は標準語を教へることでございまするけれども、兒童、生徒は社會人としてそれぞれの地方に於て活動して居りますことを十分考慮致しまして、標準語と區別し、誤りない程度に於てそれぞれの地方の方言等は、年次が上になりませぬと混同を生じますけれども、矢張り理解せしめることは宜からうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=322
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323・宗武志
○伯爵宗武志君 五十八條に「學生を教授し」とありますが、私には能く呑み込めないのでありますが、教授と云ふのは學生に何かを教へると云ふことぢやないかと思ひますが、斯う云ふ字の使ひ方に付ては問題にならなかつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=323
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324・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 一應音訓整理、現代假名使ひ等を用ひまして、公文用語にもそれを用ひることに致しますけれども、まだ大綱を決めた程度でありまして、色々の點に於て將來研究し、決定する餘地が殘つて居ると思ひます、斯う云ふ場合に、教授と云ふやうな熟字のさ行變格の用ひ方等の口語文法等の問題に付きましても、今後國語審議會で口語文法に付て研究され、決定されると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=324
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325・宗武志
○伯爵宗武志君 私は將來のことでなく、現在此の文章を書かれる場合のことに付て申上げたのでありますけれども、私共の使ひ方では「に教授し」なら分りますが、「を教授し」では分らなかつたので申上げたのであります、是は「に教授し」と同じ意味に解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=325
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326・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) に對して教へる意味であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=326
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327・宗武志
○伯爵宗武志君 有難うございました、尚言葉の使ひ方に付て、例へば五十七條の三行目に「精深な程度」と云ふ言葉がありますが、詳しくと言つたら宜かりさうなものと思はれます、「精深」ではちよつと意味が分らない、或は又「所屬職員を統督する」、「統督」と言つてもちよつと分らない、國語を整理して、ローマ字で書いても意味が分ると云ふやうな意味の日本語を主張される文部省の態度としては、私は腑に落ちない、是だけ申上げて私の質問を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=327
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328・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 是で御質問は終了したと認めて、討論に移ることにして御異議ありませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=328
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329・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 御異議ないと認めます、それでは是より討論に移ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=329
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330・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 私は學校教育法案を昨日以來諸先輩から隨分綿密に御檢討になつて居りまして、一應は是より仕樣がないのぢやないかと云ふ感じが致します、と申しますのは、從來明治教育に於きましては隨分詰込み主義の教育が日本を毒して參りました、其の結果、學校では隨分時間を掛けて習つたことが、卒業して見ると本人に殘つて居ない、是が從來の弊害であつたのであります、此の敗戰を期と致しまして、恐らく是はアメリカ流の學制に進んで行くのであらうと存じます、此の制度に依つて詰込み主義の弊が除かれ、多少全般的には教育の程度が落ちるやうな氣が致しますが、卒業して、卒業生が殆ど學んだものは自分の身に付けて行くと云ふ結果が之に依つて生じ得るならば、是は日本の將來の發展に隨分資することにもなるかと存じまして、此の點を、まあ新らしい試驗でありますから非常に危みながらも、さう云ふことを希望して置きます、併し一面に於きまして、之を以て彼の英國に於けるやうに人物を作ると云ふことに果してなるだらうかと云ふことに付きましては、全然私は、知識的な人間は出來るでありませうけれども、所謂英國流の從來の人間を作ると云ふことに果して是でなるかどうか、是は實驗を經て見なければ分らぬ、斯う云ふやうな心配も抱いて居るのであります、是は自分のことを申上げて誠に恐縮でありますが、嘗つて私はドイツの病院に居りまする時に、ドイツ人から聞きました述懷を、ちよつと御紹介を許して戴きますと、第一次歐洲戰爭に依つてドイツはああ云ふ風に敗れた、併しドイツは隨分學問を以ては自負して居る國である、然るにドイツの相當有名な上流の人達は、何故にドイツが此の第一次歐洲大戰に英國に敗れたかと云ふことは、學問に於て敗れなかつた積りであるけれども、人間を作ると云ふ點に於て敗れた、今後はドイツも人間を作ることに重きを置かなければならぬから、ドイツの學校に子弟を送るよりも、英國の學校に子弟を預けよう、斯う云ふことがドイツの當時の上流の家庭の流行になつたと云ふことを聞きました、ドイツは御承知の通り、明治初年に於て日本がフランスの學制を學び、其の次にドイツ流の學制に進んだのでありますが、其のドイツの先生から學んだ明治教育があの結果を來したのでありますから、此の戰敗を期と致しました時に於て、新たな學制を仕立てて進まうとすることは一應肯けるのであります、併し只今申上げましたやうに、是は今後の實驗に係ることでありまして、非常に私は一面に於て樂みを持つと同時に、懸念を持つて居ります、此の懸念がどうぞ起りませぬやうに、實力を國民が持つと同時に、國の役に立つやうな本當の人間が出來ることに、此の學制を運用して戴きたい、斯う云ふ希望を附しまして、私は本法案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=330
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331・坂田幹太
○坂田幹太君 私は只今の橋本伯爵の何と申しますか、御心配と申しまするか、運用に付ての御希望に對しては、全然御同意を申上げます、全く其の點は、私も人間を作ると云ふ上に付てどれだけ是が役に立つかどうかと云ふことに付ては、非常に心配して居る者であります、併し兎に角人間を作ることが教育の目的でありますから、之に付てはどうぞ十分なる一つ運用上の御注意を願ひたいのであります、それと同時に、是は前にも申上げましたけれども、此の學校教育法の第二條の第一項と云ふものは、是は全く此の基本法案と全然同じものであるのであります、恐らく基本法案と學校教育法は同じ頃に公布されることだらうと思ひますけれども、同じ時に公布される教育の二つの法に二つも同じものを載せると云ふことは、法律としては非常に不體裁だと私は思ふ、是は重大だから二つ載せたと云ふやうなことは、實は答辯にならぬと思ふのであります、併しもう斯う云ふ時でありますから、此の學校教育法案も是は隨分御急ぎになつて御提案になつて居り、當分の間、當分の間と云ふやうな條項も附則等には澤山あります、何れ又是は修正せられる時期があると思ひますから、其の修正される時期には寧ろ第一項だけお削りになる方が宜いのではないか、此の儘お削りになつた所で少しも妨げないと思ひますから、それだけの希望を述べまして、贊成の意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=331
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332・荒川文六
○荒川文六君 私も此の法案の、成立に贊成する者でございまして、尚其の運用に付きましては、今兩委員の方から御述べになりました所と全然同感でございまして、繰返しませぬ、私は唯希望として申述べたいと思ひますことは、第五章の大學に關することでございます、此の第五章は、質問の中にもちよつと申しました通りに、大學は數箇の學部を置くのが、大學の常例とせられて、單科のものは寧ろ例外のものと考へて然るべきものであらうかと思ふのであります、學部が數箇置かれますと、何れ其の學部にそれぞれの長が出來ることになりますから、さうしますと、綜合大學の學部長と單科大學の學長と云ふものが相對應するやうなものになりますので、自然綜合大學の長となるものと區別する必要があるのではなからうか、現在に於てはさう云ふ綜合大學の最高の長となるのが總長と云ふ名が附けてありまして、單科大學は學長となつて居ると承知して居りますが、何も總長が上で學長が下と云ふ意味でなしに、兎に角さう云ふ區別を置くことが必要でないかと考へるのであります、此の點は此の職員の規定をしてあります五十八條には、先程から政府委員の御話にもありました通り、學長と云ふ名に統一すると云ふ御話でありましたけれども、寧ろ統一の必要が何處にあるか、寧ろ區別した方が宜からうかと云ふ意見を持つて居ります、其の他先程宗委員からも申されました通り、從來の學部と云ふものは餘り、何と申しますか、互に離れて居りまして、綜合大學の實が擧つて居なかつた嫌ひが多いのであります、大學の運營に付きましてもさうで、其の點を十分綜合的の研究なり、綜合的の教育なりが出來るやうな方向に、之を御進めして戴くやうに希望して置きます、人物の養成と云ふやうな點から申しましても、綜合的の研究が必要なことは非常に多いのではなからうかと思つて居ります、さう云ふ希望を述べまして此の法案に贊成したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=332
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333・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私も此の法律の成立に贊成致します、唯私の贊成致しますのは、箇々の規定の是が宜いとかあれが宜いとか云ふやうなことからではなくして、それも色々ありますけれども、贊成の意見を申して置きますけれども、さう云ふことよりも、此の法律と云ふものを全般的に見て、成立を欲するのであります、第一は是は詰り小學校、中學校、高等學校、大學と云ふものは、全般的に通して見て、さうして何か茲に一貫した或意圖、或目的を達しようと云ふことがあるかと思ひます、箇々の學校に付きましては、小學校の目的、中學校の目的、高等學校の目的、大學の目的と云つたものは勿論ありますけれども、併しそれは此の法案にある箇々の章の目的であつて、此の學校教育法といふものの全般の目的と云ふものを唯さう云ふ箇々のものから見ることは誤りであつて、誤りか何か……不十分でありまして、私は矢張り小學校を良くし、中學校を良くし、高等學校を良くし、大學を良くすると云ふことは、勿論それは間違ひないことでありますが、同時に其の小、中、高、大學と云ふ全般を通じて、何か我我國民との關係を一つ律しようと云ふ所に、此の法律の特徴が寧ろあると斯う考へまして、私の理解する所に依れば、第一に義務教育の年限を長くする、是は宜しい、更に進んで、出來得べくんば義務教育以上の教育をも國民に與へよう、高等學校は勿論のこと、大學教育をも與へたいと云ふ所に、私は寧ろ此の法律全般の價値を認める、個々のことになりますると云ふと、多少色色不贊成の所もありますが、さう云ふことは言つて居られぬ、此の法案の成立に付きましては、さう云ふ全般的態度と云ふ方に重きを置てものだらうと思ひますから、それで義務教育を十分ならしめて、更に進んで出來得べくんば最高の教育迄も受けしめよう、それが爲には成るべく便宜を與へよう、其の全體的の精神に贊成する、それが非常に宜いと云ふことを諒として贊成する者であります、第二點と致しましては、本案の小學校、中等學校、高等學校、大學に至る迄教職員と云ふものに、教育行政官に對して、可なり何と申しますか、獨立と言つて宜いですか、自己の獨立の意見を持つて仕事をなし得るやうな餘地を作らうと云ふ意圖が、兎に角見えて居る、是も私は法律を全般的に見て非常に贊成する所であります、此の兩面から主として私は此の法律に贊成致します、唯其の故にこそ、却つて此の法案の長所が或は非常に弊害を生ずるかも分らない、第一の長所たる所の、下から上迄成るべく、教育を受けさせたいと云ふやうなことのみに拘泥致しますると云ふと、そこに無理が出來て、さうして學校自體のみならず、國民の方にも何か無理に自分の能力、知識上の能力とか財力的の能力に相應しくない所迄やらなければならぬやうな氣風を、學生、生徒は勿論のこと、父兄にも與へると云ふやうな弊が出來ないとも限らない、斯う云ふことを餘程御注意下されまして……、第二點は、教育家に獨自に働く餘地を與へたと云ふことから、從來に見ましたよりも、より多く教育行政當局との間に摩擦が起らぬとも限らないのであります、文部省と教育家の間に摩擦が起らぬとも限らない、從來に於きましても、摩擦が起つたならば教育の任務は無論出來ないのでありますが、本法に於きましては、一層教育家と教育行政家と云ふものが相組んで一つとなつて、初めて此の法律の目的が達せられると思ふのでありますが、私自身は何時も、此の間も申しましたが、日本では相睨み合つて居ると云ふ所の弊害があつて、各各其の職分に於て助け合ふと云ふ考を自分は持つて居りますが、從來は實際はさうでなかつた、處が此の法律は兩者の睨み合ひになりましたならば、是はとてつもないことになると思います、運用上其の點に餘程御注意になつて……併し其の場合にはどうか教育行政當局でありまする文部省の諸君の方が謂はば寛容な氣持を持つて、何と申しましても、是は此の法律が假令行はれましても、矢張り何と云つても實際上は、所謂教員よりも教育行政家の方が力を持つことは疑ひない、其の進退、任免と云ふやうなことに關係して……、でありますから矢張り或意味に於て弱いから、教員は、そこで弱い者と強い者とが本當に助け合ふと云ふことの可能なる爲には、より強き力を持つて居る者の方が寛容な態度を持つと云ふことが必要である、それは總ての場合にあると思ひます、さう云ふ點に於きまして、相當に教育行政家の方で御注意を下さいまして、さうして比較的弱い所の立場にある所の教員に生氣を失はしめることのないやうにして戴きたい、其の兩點を、前の長所から生じた弱點と云ふやうなことと相睨み合せまして……、併し私は此の法律は非常に贊成する者であります、此の意味に於きまして贊意を表します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=333
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334・田中薫
○子爵田中薫君 一言簡單に希望を述べさして戴きまして、贊意を表したいと思ひます、此の法律案には、所謂カレツヂ・ライフを味ははせると云ふ規定に付て具體的規定がないやうに思はれるのが、少し心配なんでございます、それで從來の寄宿制度とか寮制度と云ふものの特徴、弊害などに付ても十分御檢討を願ひたいと共に、私從來感じて居る點でございますが、學生が學内に於て授業時間以外に身を置く場所的な設備さへも一つもないと云ふやうな状態では、學園内の、學園を家として其處に生活を持つと云ふことは殆ど不可能のやうに思ふのであります、それで斯う云ふ點に付きまして、どうぞ所謂設立の基準を御決めになる委員會と云ひますか、さう云ふ基準を御決めになるやうな場合に、其の生活を持たせる爲の設備と云ふやうなものに付ても、一つ十分御檢討の上に、成るべく其の設備を設けることが、當然設けるべきものだと云ふ風にして戴きたい、それを一つ私多年感じて居りますので申上げて置きます、其の他の點に付きましては非常に結構と思ひますから贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=334
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335・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 他に御發言がございませぬか、御發言は盡きたものと認めます、では採決を致します、本案を厚案通り可決することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=335
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336・今園國貞
○委員長(男爵今園國貞君) 御異議ないと認めます、仍て本案は政府原案通り可決せられました、是にて散會致します
午後三時四十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=336
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337・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 今園國貞君
副委員長 伯爵 宗武志君
委員
侯爵 大久保利謙君
伯爵 橋本實斐君
子爵 北小路三郎君
子爵 内藤政光君
子爵 田中薫君
平塚廣義君
佐々木惣一君
荒川文六君
羽田亨君
男爵 加藤成之君
男爵 坂本大造君
坂口康藏君
坂田幹太君
瀧川儀作君
清水由松君
侯爵 大隈信幸君
國務大臣
文部大臣 高橋誠一郎君
政府委員
文部事務官 稻田清助君
同 剣木亨弘君
同 柴沼直君
同 日高第四郎君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200550X00719470326&spkNum=337
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