1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○檢察廳法案
○下級裁判所の設立及び管轄區域に関する法律案
○裁判所職員の定員に関する法律案
○裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案
○檢察官の俸給等の應急的措置に関する法律案
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委員氏名
委員長 男爵 奧田剛郎君
副委員長 子爵 高木正得君
公爵 九條道秀君
侯爵 淺野長武君
伯爵 橋本實斐君
子爵 秋月種英君
子爵 清岡長言君
村上恭一君
渡部信君
吉田久君
霜山精一君
副島千八君
男爵 内海勝二君
男爵 村田保定君
野村嘉六君
我妻榮君
山隈康君
有馬忠三郎君
淺井清君
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昭和二十二年三月二十八日(金曜日)
午後一時十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=0
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001・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) 本日付託
になりました「檢察廳法案」外四法案の委員會を開催致します、最初に司法大臣より、法案に對する御説明を御願を致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=1
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002・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今より御審議を相願ひまする檢察廳法案外四件に付きまして、其の提案理由を御説明申上げます、從來裁判所構成法に依りまして、檢事は裁判所に附置されました檢事局の職員として廣義の意味の司法の分野に屬する檢察事務を行つて來たのでありまするが、檢察事務は狹義の意味の司法即ち裁判では決してないのであります、從つて新憲法が司法權獨立の思想を現行憲法以上に明瞭に致して居ることに鑑みまする時、裁判を行ふ裁判官及び裁判所と、公訴權を行ふ檢事及び檢事局とは、之を別個獨立のものとすることが、一層新憲法の精神に適ふものと思料致しまするので、今般新憲法の施行に伴ふ裁判所構成法の改正に當りましては、檢事局を裁判所より分離して獨立せしめる方針を採つたのであります、其の結果曩に本院に提案致しました所の裁判所法案の外に、檢事及び檢事局に關する規定を設ける必要が生じたのでありますが、檢事及び檢事局に關する事項は、廣義の司法制度の重要な一部を成すものであることは疑を容れない所でありまするので、法律を以て之を規定することを相當と信じまして、本案を提案致した次第であります、以下其の要領を簡單に申述べます、第一に新憲法は檢事に相當する者を「檢察官」と稱して居りますので、從來の「檢事」を「檢察官」に、「檢事局」を「檢察廳」に改めることと致しました、第二に檢察廳は各裁判所に對應して之を置くこととし、共の種類は最高裁判所に對應する最高檢察廳、高等裁判所に對應する高等檢察廳、地方裁判所に對應する地方檢察廳、簡易裁判所に對應する區檢察廳の四と致しました、第三に新憲法の下に於きましては、裁判所の地位が向上するに伴ひまして、之に對應する檢察廳の地位も亦之を向上せしめる必要を感じましたので、最高檢察廳及び高等檢察廳の長官たる檢事總長及び檢事長は特別の官と致しまして、其の任免に付ては天皇の認證を經ることと致したのであります、尚最高檢察廳に於きまして、檢事總長を補佐する檢察官と致しまして、新たに次長檢事の制度を設けまして、是又特別の官とし、其の任免に付きましては、天皇の認證を經ることと致しました、地方檢察廳の長を檢事正と稱し、特別の官とせず、檢事を以て之に充てることは從來の通りでありますが、新たに區檢察廳に二人以上の檢事又は檢事及び副檢事が居りまする場合には、監督官として上席檢察官を置きまして、檢事を以て之を充てることと致したのであります、又新たに副檢事の制度を設けまして、專ら區檢察廳に於て檢察官の職務を行はせることと致したのであります、副檢事の制度を設ける理由は、裁判所法の施行に伴ひ違警罪即決例が廢止され、從來警察署長に依つて即決されて居りました違警罪、即ち拘留又は科料に當る罪は、總て簡易裁判所に於て處理されることとなりました爲に、檢察官の取扱ふ事件は急に激増致すのでありますが、今遽に從前の檢事と同樣の資格を有する多數の檢察官を得ますることは、人的にも豫算的にも困難であるのみならず、是等の事件は必ずしも總て從來の檢事と同樣の資格を有する者をして之を處理せしめる必要はないと思はれまするので、從來の嚴格な檢事の任用資格を緩和致しまして、所要の檢察官を得ようとする點に存するのであります、第四に檢察官の職務は、從來の檢事の職務と同樣で、刑事に付て公訴を行ひ、裁判所に法の適正な正常な適用を請求し、裁判の執行を監督し、又裁判所の權限に屬する其の他事項に付ても、必要と認める時は裁判所に通知を求め、又は意見を述べ、又は公益の代表者として、法令の定める其の他の事務を行ふのであります、尚檢察官が犯罪搜査の職權を有することは勿論であります、第五に檢察官の任命は、裁判所法に依る司法修習生の修習を終へた者、裁判官の職に在つた者、又は三年以上一定の大學に於て、法律學の教授、助教授の職に在つた者に付て之を行ふのが通常の場合であります、辯護士は今後總て司法修習生の過程を經ることと相成りまするので、司法修習生の修習を終へた者として檢事に任ぜられる資格を有するのであります、副檢事は前に申述べましたやうな理由から、右の資格を有する者の外に、高等試驗に合格した者、又は三年以上政令で定める二級官吏其の他の公務員の職に在つた者で、副檢事選考委員會の選考を經た者の中からも之を任命することと致して居ります、而して三年以上副檢事の職にあつて、別に定める考試を經た者は檢事に任命することが出來ることと致しました、特別任用の檢事を認めることとなつたのであります、此の副檢事及び特別任用の檢事の制度は、從來の裁判所書記、警察官等に對しまして、新たに昇進の途を開くものでありまして、意義のある改革と存じて居るのであります、第六は檢察官の職務遂行の公正を擔保する爲に、裁判官に準じまして、其の身分を保障する必要のあることは贅言を要しないことと存じます、本法律案に於きましても、其の點遺憾なきやう考慮して居ります、唯檢察官の身分保障が鞏固に過ぎ、心身の故障其の他の事由に依りまして、檢察官の職務を行ふに堪へない場合にも、尚且之を罷免することが出來ないと云ふやうなことは決して當を得たものではありませぬので、左樣な場合には、檢察官、裁判官及び辯護士の中から選任されました委員で組織される檢察官適格審査委員會の議決を經て、其の官を免ずることが出來るやう致して居ります、第七は、檢察官は從來と同樣、司法大臣の指揮監督の下にありまするのであるが、檢察權行使の獨立性を尊重する爲に、個々の事件の、取調又は處分に關しましては、司法大臣は檢事總長のみを指揮することが出來ることになつて居るのであります、第八は、檢事局には是迄檢事の外に檢事の取調、又は處分に立會ひ、書類記録を作成し、其の他庶務に從事致します裁判所書記と、檢事の指揮を受け、其の補佐として犯罪搜査に從事する檢察補佐官が居りますが、檢察廳には檢察官の外に、檢察事務官と檢察技官とを置くことに致しました、檢察事務官は、從來の裁判所書記と檢察補佐官との兩者の行ふ事務を併せ行ふ權限を有するのであります、之に依りまして、人の經濟を圖ると共に檢事直屬の搜査機關を設けまして、所謂人權蹂躙事件の根絶を期すべしとの一般の要望にも應へむとするものであります、檢察技官は今後に於ける犯罪搜査に關しては、科學的知識を一層活用するの必要があると信じまして、其の技術を擔當せしめる爲に之を設けることに致したのであります、以上が檢察廳法案の要領であります、次に「下級裁判所の設立及び管轄區域に関する法律案」に付て御説明申上げます、高等裁判所及び地方裁判所の設立及び管轄區域に付きまして申上げますると、之を從前の控訴院及び地方裁判所と比較致しますれば、從前の控訴院所在地七箇所の外に、高松市にも高等裁判所を設けまして、四國四地方裁判所管内を統一して、其の管轄區域としたこと、大阪高等裁判所は、從前の大阪控訴院の管轄區域より、高松、徳島、高知の三裁判所の管内を失ひ、廣島高等裁判所は從前の廣島控訴院の管轄區域より松山地方裁判所の管内を失つたこと、東京民事、刑事の兩地方裁判所が併合されまして一個の地方裁判所となつたのであります、又樺太、那覇の二つの地方裁判所が除かれたことが、從來と相違致して居りまするが、其の他は大體同じであります、高松市に高等裁判所を設けましたことは、從來四國が二控訴院の管下に二分されて居りまして、現地に諸種の不便を與へて居りましたので、此の度此の不便を除去する爲に、同一状況下にある四國四縣を統一致しまして、一高等裁判所の管下に置くことに致したのであります、尚今囘設立することと致しました高等裁判所及び地方裁判所の名稱は、總て所在地名を冠することと致しましたので、仙臺市に設立される高等裁判所は仙臺高等裁判所、津市に設立される地方裁判所は津地方裁判所となつて居ります、簡易裁判所の設立及び管轄區域に關しましては、簡易裁判所が刑事訴訟法の改正に依りまして、治安の確保に極めて重要な任務を擔當致しますることと、其の數も數百に及びまする關係から、愼重に現地の事情を調査して、之を檢討の上決定しなければなりませぬので此の度は此の法案の規定に基いて、之を暫定的に政令で規定することに致したのであります、新憲法施行後の最初の國會には必ず簡易裁判所の設立及び管轄區域を定めた改正法案を提出する積りであります、次に「裁判所職員の定員に関する法律案」に付きまして御説明申上げます、裁判所法案は、下級裁判所の裁判官、司法研修所教官、裁判所調査官、裁判所事務官、裁判所技官の各員數を別に法律で定めることを規定して居りまするので此の法案を立案した次第であります、次に本法案の内容に付て概略御説明申上げます、先づ裁判官の員數に付けて申上げますると新裁判所法下の裁判官は最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補、簡易裁判所判事の六つの官に分れて居りまするが、此の中、下級裁判所の裁判官四者の員數を此の法律で定めたのであります、此の中判事とありますのは、高等裁判所長官以外の高等裁判所の裁判官と地方裁判所の判事とを含むものでありまして、現在の豫定内譯數は、高等裁判所の判事が百九十九人、地方裁判所の判事が六百十五人でありまして、此の地方裁判所の判事の中には、地方裁判所長四十九人が含まれて居るのであります、地方裁判所の裁判官は、此の地方裁判所の判事六百十五人と判事補二百五十人とから構成されるのでありまして、判事補は原則として單獨で裁判をすることが出來ない、同時に二人以上合議體に加はることも出來ませぬので、此の見地から具體的に定員の配置を考へまして、此の員數を決定したのであります、尚從前は、裁判官は判事と云ふ一つの官に統一されて居りましたので、裁判官の間に兼官と云ふことは起り得なかつたのでありまするが、新裁判所法下では、此のやうに官が分れましたので、從前のやうに機動的に事務を取扱ふ爲には、所在地を同じくする廳に勤務する地方裁判所の判事と、判事の資格を持つ簡易裁判所判事との間、簡易裁判所判事の資格を持つ判事補と判事補の資格を持つ簡易裁判所判事との間には、互に他を兼任する必要を生ずることがありまするので、判事、判事補、簡易裁判所判事の員數は孰れも專任、詰り本官の員數として規定し、兼任の員數は此の數の外になることを明かにしたのであります、司法研修所教官は裁判所法では一級、二級又は三級となつて居りますが、差當り一級一人、二級五人の教官のみを置きまして、三級の教官は設けなかつたのであります、此の教官の中には司法研修所長を含むものでありまして、一級の教官一人とあるのは、之に當るのであります、裁判所調査官は、裁判所法では最高裁判所及び各高等裁判所に通じて置かれることになつて居ますが、差當り最高裁判所にのみ二十人を置く積りであります、裁判所事務官は最高裁判所事務局を始め、其の他の事務局や司法研修所等まで、庶務的事務を執る者と、裁判所書記に補せられて記録の作成、保管等に當る者とを含むのでありまして、一級一人とあるのは最高裁判所事務局の次長を之に豫定して居るのであります、裁判所技官は裁判所法上、各裁判所に通じて置き得るやうになつて居りますが、差當り最高裁判所事務局に、此の三人を置く積りであります、次に「裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案」に付きまして御説明申上げます、國内の治安を保持し、國民の權義を保全する重大な職責を有しまする裁判官に對し、其の地位に相應する額の報酬を支給しなければならぬことは申す迄もない所でございます、併しながら只今は經濟情勢、尚變轉極りない状態にありまするのみならず、目下政府に於て官吏全體の給與改善に付鋭意研究中でございますので、裁判官の報酬等に付ても、茲に暫定的の措置を構ずることと致し、先づ、最高裁判所長官の受ける報酬の額は、内閣總理大臣の俸給と同額とし、最高裁判所判事の受ける報酬の額は、國務大臣の俸給の額と同額とすることと致しました、又高等裁判所長官の受ける報酬の額は、各省次官の俸給の額より高く、國務大臣の俸給の額より低い額の範圍内で最高裁判所が定める額と致しましたが、此の點に關しては、衆議院に於て、東京高等裁判所長の報酬の額は、他の高等裁判所長官の受ける報酬の額より高く、最高裁判所で之を定める旨の修正が加へられました、次に其の他の裁判官及び司法修習生の受ける報酬又は給與の額に付きましては、それぞれ一定の枠を定めまして、其の範圍内で最高裁判所が其の等級なり、各裁判官の受ける報酬を定めることと致しました、更に報酬以外の諸給與に關しましては、一般の官吏の例に依ることとしたのであります、尚現職の裁判官で、此の法律施行の際、裁判所法施行法第三條の規定に依つて、引續き裁判官たる地位を有しまする者の受ける報酬に付きましては、其の者が新たに裁判官に任命されます迄は、此の法律施行の際、現に其の者が受けて居りまする元の儘の俸給の額に相當する報酬を受けるものと致し、其の旨附則に規定致しました、最後に、此の法律は前申述べました通り、應急的措置に關するものでございますので、政府は出來得る限り早い機會に、新しく裁判官の報酬等に關する法律を制定致したいと存じて居ります、次に「檢察官の俸給等の應急的措置に関する法律案」に付きまして御説明申し上げます、檢察官の俸給に付きましては、檢察廳法案第二十一條に依り、一般官吏とは別に裁判官に準じて法律で之を定めることとなつて居るのでありますが、裁判官の報酬に付て只今申しましたのと同樣、檢察官のみに付て今直ちに法律を以て俸給の額を定めることは困難な事情にあるのであります、從いまして一般の官吏の給與の額の決定を見ました上で、檢察官の俸給に關する法律案を御審議願ふこととし、新憲法施行後當分の間の應急的措置として、本法案を提出致しました次第であります、次に本法律案の内容を概略御説明申上げます、第一條は最高檢察廳の長たる檢事總長の俸給の額に付ての規定でありまして、當分の間其の額は國務大臣に次ぐものとし、内閣が之を定めることと致しました、御承知のやうに別に上程致しました「裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案」に於きましては、當分の間、最高裁判所長官の報酬は總理大臣の俸給と、又最高裁判所判事の報酬は國務大臣の俸給とそれぞれ同額として居るのであります、此の最高裁判所に對應する最高檢察廳の長官たる檢事總長に付きましては、少くとも國務大臣に次ぐ待遇を與へることが當然であると考へるのであります、第二條は、次長檢事其の他の檢察官の俸給の額を先に申上げました理由に依り、當分の間、一般の官吏と同樣なものと教しました、又第三條は、檢事總長を含めた檢察官の俸給及び手當等の支拂、其の他の措置に付ても亦、第二條と同樣の理由に依り、當分の間、一般の官吏と同一の取扱を受けることを明かにしたものであります、附則第二項は、檢察廳法第四十條に依り現に在職する奏任官たる檢事が任命の辭令を省略されて、新たに檢察廳法に依る檢事となつた場合に、是等の檢事が其の儘一般の官吏の例に依る從來の俸給を受けることを定めたもので、俸給の辭令を省略した規定であります、附則第三項は、此の法案が應急的措置でありますことを示したものでありまして、政府としましては前に申上げた通り、それ迄の間に於て出來るだけ早い機會に、改めて檢察官の俸給等に關する法律案を上程致したいと思ひます、以上甚だ簡單ではございますが、各法案の概略を御説明申上げました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=2
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003・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) それでは、午前中は此の程度に致して、午後は一時から開會を致します
午前十一時三十八分休憩
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午後一時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=3
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004・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) 午前中に引續いて檢察廳法案外四件の委員會を開きます、最初に檢察廳法案を議題として御質問を御願ひ致します、御異議がなければ此の法案は餘り條文も多くはありませぬので、特に全般的質問と、逐條質問とに分ける要もなからうかと存じまするので、其の區別なく御質問を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=4
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005・村上恭一
○村上恭一君 此の法案に付きましても、順序なく御伺ひして宜いのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=5
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006・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) それで宜からうと思ひます、いや、檢察廳法案からであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=6
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007・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 ちよつと宜しうございますか私は裁判所關係のことには全然ずぶの素人で何も存じませぬので自然伺ひますことが價値がございませぬければ御叱りを受けても宜しいのでありますが、今囘は裁判所と、それから檢察事務の方とを截然區別されまして裁判所より分離し、組織及び檢察官に關する事項は是で御定めになるのでありますが、之を施行するに當りまして、廳舍等の關係は隨分東京等に於きまして、又地方に於きましても罹災した所が多いのでありまするが實際の支障は御ありにならないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=7
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008・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 此の度裁判所と檢察廳が、全然法制の上に於ても獨立となりまするので、從つて廳舍も全部別々に設けなければならぬのでございまするが、現存の事情の下に於きましては、全部を建替へると云ふ所迄は參りませぬので、差當り戰災等の爲に其の復舊に付て新營工事を爲して居る所は、早速別々の廳舍として建てることに方針を決めまして、左樣な方針の下に目下進行致して居るのでございます、戰災を受けて居らない、而も早急に改築を要しないやうな所は、當分現在の儘の建物で併し成るべく出來るだけ一方に檢察廳を纏め、他の方に裁判所を纏めると云ふやうな工合に區分致しまするけれども、廳舍としては當分の間は現在の廳舍を兩方で使ふと云う方法で行きたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=8
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009・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 一應の御答辯は承りましたが、差當り東京、横濱、長崎とか、全國の大きな都市の廳舍は御支障はないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=9
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010・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 東京は御承知のやうに戰災を蒙りまして、元の裁判所の建物は全部使用に堪へないのでございますが、明年度の豫算に於きましては、前の建物の燒け殘つた周壁を利用して、二階建位の建物として裁判所の爲に使用しようと云ふ計畫で、目下進行致して居りまするが、それ迄にも裁判所と檢事局は成るべく分離したいと思つて居りまするが、どうも建物が思ふやうに手に入りませぬので、區裁判所を目下本省の側に二階建を建築して居りますけれども、是は恐らく區裁判所が將來地方裁判所と、それから區檢察廳と兩方兼ねて使用されるのではないかと存じて居ります、それから横濱は元々裁判所と檢事局と建物が別になつて居りまするので、其の儘檢察廳と裁判所とが別個に使用出來るやうになつて居りまするけれども、最近裁判所の方の廳舍は、進駐軍の方に接收されるやうに聞いて居りまするので裁判所の廳舍が何處に定まるやうになりますか、そこは確定致して居りませぬけれども、裁判所と檢事局とが別な廳舍を使用されると云ふことは、明かなことであります、それから御尋の長崎は、戰災を蒙つて居りまするので、早晩新築されることと思ひまするので、此の分は一般の方針に從つて檢察廳と裁判所が別々の廳舍を使用したい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=10
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011・山隈康
○山隈康君 此の各地方檢察廳に於ける檢事正は、最高檢察廳の檢事總長竝に高等檢察廳の檢事長と同樣に、「その廳及びその廳の對應する裁判所の管轄區城内に在る區檢察廳の職員を指揮監督する」と同樣の職務權限を持ち、事實上檢事正が地方檢察廳に於ける所謂長の職務を執るべきものと存ずるのであります、どう云ふ譯で檢事總長なり、若しくは檢事長は最高檢察廳の長と高等檢察廳の長と云ふことの規定があつて、檢事正には長と云ふことを認めなかつた理由が一つ、それから次に此の第三條の「檢察官は、檢事總長、次長檢事、檢事長、檢事及び副檢事とする」と云ふことがあつて、只今申上げましたやうな職務權限を有する檢事正を檢察官の中に加へなかつたと云ふこと、もう一つは第十五條、第十六條に於きましては檢事總長、次長檢事及び各檢事長竝に檢事及び副檢事の職に對する任兔及び補職の規定があるに拘らず、檢事正に對しては是等の規定がないのは、どう言ふ事情でありませうか、一應伺つて見たいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=11
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012・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢事正は、地方檢察廳の長として、其の廳竝に管轄區域内の區檢察廳を指揮監督する長官であることは、現在と同樣なのでありますが、檢事總長、檢事長は、それぞれ最高檢察廳の長及び高等檢察廳の長として、一般の檢事とは別な官名を用ひたのでありまして、それは檢事總長、檢事長は、所謂認證官として、官と職とを一緒に致したのでありますが、檢事正の方は、官としては檢察官であつて、職として檢事正の職を掌ると云ふ建前に致したのであります、檢事正迄も認證官と云ふ譯には參りませぬので、檢事正は一般の檢察官と同じやうな官名で、職だけが檢事正の職を掌ると云ふ風な分け方に致したのであります、是は丁度裁判所法の中でも、地方裁判所の長は、同じ裁判官の中でも地方裁判所長と云ふ職名だけに止めたのと、平仄を合せたやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=12
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013・山隈康
○山隈康君 續いて承りたいと思ひますが、第四條の、「裁判の執行を監督し、又、裁判所の權限に屬するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、云々」と、是は刑事に付ての規定になつて居りまするが、民事に付きましても、刑事事件の如く檢事が意見を述べる必要がある、即ち親族會議行使に關することとか、斯う言ふ人事等のことに關しましては、檢事が意見を述べ、若しくは公益の代表者としてそれ等に參加することが出來るものと思ふのでありまするが、第四條では唯刑事に付てのみの規定であつて民事に付ての規定がないやうでありまするがどう云ふ御趣旨でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=13
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014・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 第四條の後段の方で、「又、」以下の規定で其の點は規定致して居る積りでありますが、「裁判所の權限に屬するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその權限に屬させた事務を行う。」、此の規定に依りまして、只今御尋の點は、現行法通り檢事の職務として行使することになるだらうと存じて居ります山隈康君 さう致しますと、第四條の規定は、「刑事について、」と云ふことは、「且つ、裁判の執行を監督し、」と云ふ迄であつて、其の次からは一般の法律關係を指したものと解して差支ないですか、此の文章から致しますると、全體が刑事に付ての如く解釋がされるものですから、一應承つたのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=14
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015・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 御尋のやうに、「刑事について、」と云ふ制限は前段だけで、後は刑事、民事に拘らず、全般的なことを規定して居るものと解釋致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=15
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016・山隈康
○山隈康君 さつき御質問がありましたやうでありますが、檢察廳は裁判所と獨立したる職務と權限を有すると云ふ建前は誠に結構だと思ひます、從來動も致しますると、檢事の職務執行に對しまして疑惑を懷いて居るのは、判事と同一の廳内に住んで事務を執る、此の關係から致しまして、動もすると檢事と判事との間に一種の妥協氣分がありはしないか、又同一の廳内に居るから、幾分か檢事に對する憚る所があつて、自由なる刑の量定若しくは判決を爲すのに支障がありはしないかと云ふ、是はまあ理由のない疑惑と思ひまするけれども民間で左樣な疑惑を懷いて居る者が少くないと思ふのであります、此の趣旨から致しますれば、檢察廳の獨立と云ふことが、何と致しましても法制の上に貴重であるのみならず廳舍も新たに御拵へになりまして、別箇の廳舍に檢察事務を執ると云ふことが、左樣なる假令理由のない疑惑に致しましても、それを解くのではないかと存ずるのであります、新たなる檢察廳の廳舍新築に對しまして、何等かの制約を御持ちになつて居るのでありませうか、念の爲に伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=16
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017・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 其の點に付て私から御答へ申上げます、今御質問のやうに、從來は動ともすれば、世間では裁判所と檢事局が同一廳舍に住んで居るから、或は檢事と判事との間に何等か連絡を取る疑があるのではないかとか、或は又檢事からの壓迫を判事が受くるのではないかと云ふ、是は理由はないと申しましても、世間の疑惑があつたことは事實であります、其の根本は何處にあるかと申しますと、要するに、同一廳舍を使用して居ると云ふのみならず、判事も檢事も等しく司法大臣の監督を受けて居る、斯う云ふ點にあつたのではなからうかとも考へて居ります、そこで新憲法實施に伴ひまして、裁判所が全然司法大臣の監督を離れるのであります、其の方面から申しましても、餘程世間の疑惑は解けることと確信して疑ひませぬ、のみならず廳舍の問題に致しましても、是は理想論としては全然分離すると云ふことが建前であらうと思ひます、併し現實の問題と致しましては、何分にも非常な之に要する經費も掛りまするから、直ちに之を、建物を分離すると云ふことは、實現致し兼ねまするが、新たに廳舍を新築すると云ふやうな所から徐々にやつて行きたいと思つて居ります、現に左樣に取計らつて居ります、御説のやうに出來る限り急速に實現致したいと思つて、今司法當局では色々考慮中であるのであります、左樣御了承を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=17
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018・山隈康
○山隈康君 第二十二條、此の「檢察廳法案」の檢察官と、「裁判所法」の判事と、年齡の差を設けられた理由は何處にあるのでありますか、判事に於ては最高裁判所の長は七十歳と云ふことになつたやうでありますが、同じく法律執行と申しますか、其の任に當る者が、年齡に付ての差があると云ふことは、どう云ふ譯でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=18
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019・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 裁判官の職務と檢察官の職務は、其の性質上の差もあります關係から、職務を執行される職員の能力と申しますか、體力の點に於ても、檢察官が裁判官に比べて積極的に活動することを必要と致します關係から、裁判官程高い定年を設けることは適當ではなからうと云ふ考の下に、現行法通り定年を六十三と致したのでありまして、長官級の方はそれより高めて、現在の檢事總長の定年を六十五と斯う云ふ程度に止めたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=19
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020・山隈康
○山隈康君 一應御答辯に依つて御趣意だけは了解致しましたが、唯私共は最高裁判所の長と云ふものと、檢事總長と云ふものは、殊に檢事總長のやうなものは自ら表面に立つて犯罪の搜査、檢擧の任に當るのでなくして、一般警察官を指揮監督をすると云ふ位置に立つて居るのでありまするからして、さう云ふ地位に立つて居る者は、寧ろ職務なら職務に練熟をし、相當の年齡に達すると云ふことは、是は我々は極く必要だと思ふのであります、別に當面の衝に當る檢事であれば、是は或は身體の關係から致しまして、餘り高齡者では其の職務に堪へないかも知れませぬけれども、檢事總長と云ふ職務と最高裁判所の長と云ふものとの間には、實際としては何等の區別がないやうに考へまするけれども、まあ一應御答辯で滿足して置きませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=20
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021・村上恭一
○村上恭一君 此の「檢察廳法」の骨子中の骨子は、裁判所と檢察廳とを區別すると云ふことであるやうであります、さうしてそれは憲法の改正に伴ふ立法なるが如く唱へられて居りまするが、私は本質的にはさうではない、憲法の改正に關係なく、此の裁判所と檢察廳とを區別すると云ふことは、考へられて然るべきことだと思ひます、現に皆樣御承知でございませうが、昭和の初め頃時の司法大臣、故人、原嘉道先生の立案の意見に依りまして、檢察廳法と云ふものの草案を起草されたことがあるのであります、其の際はそれが實現しませぬでした、今囘憲法改正の氣運に乘じて其の改正が行はれますので恐らくは故人、原先生も、泉下に於て滿足して居られることと思ひます、此の新しい立法は結構なことと思ひまする、裁判所と檢察廳とは區別されるものではありまするが、併し兩者は共に廣義の司法機關を構成するものでありまするから、其の間に密接なる關係がなくてはならないと思ひます、將來此の裁判所と檢察廳との關係に付きましては、どう云ふ風にやつて行かれる積りでありませうか、法規の上ではそれぞれ職務が區別してありますが、之を實際に運用するに當りましては、其の間に密接な聯關があり、さうして圓滑な協調がなくてはならないかと思ひます、甚だ漠然たる問ひ方でありまするが、私十分準備が出來て居りませぬので、私の考を率直に言ひ現す言葉を見出すに苦しんで居ります、詰りは裁判所と檢察廳との關聯は、法規よりも實際の上でどう云ふ風にやつて行くべきでありませうか、其のことに付きまして、當局の御考を伺ひたい、先刻他の委員からの御質問に對する政府の御答辯に、裁判所と檢察廳とは廳舍を區別する積りであると云ふことを申しました從來の廳舍を其の儘使用するので、直ちに之を區別することは出來ないが、今後新營するに當りましては、其の方針を以て工事を設定する積りであると云ふことを申されました、別の廳舍と云ふことはどう云ふことでありませうか、同一の構内に裁判所と檢察廳とが棟を異にして居ると云ふやうなことでありませうか、或は同じ市町村に於ても、其の間若干の間隔を置いて、一は山の手にあり、一は下町にあると云つたやうな風にしてなさる考でありまするか、先刻の其の廳舍を別にすると言はれましたことをもう少し具體化して御答辯を願ひたい、私一個の考を申しますれば、兩者の間に密接な關係が、あるのでありますから、同一の廳舍を使つて一向差支ないのではないか、事務室は變りませう、一方裁判所の事務室と他の檢察廳の事務室とは違ひませうが、同じ建物の中に隣り合つて其の部屋を占めて居つても一向差支ないのではないかと云ふやうに、私一個は考へて居るのであります、以上甚だ漠然たる質問で、甚だ恐縮でありますが、之に付て然るべく御答辯を願ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=21
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022・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今の御質問に御答へ致します、從來山隈委員の御質疑になりました通り、往々にして裁判官と檢察官、檢事局と裁判所の間に於て、平たい言葉で申しますれば馴れ合とか、或は威壓と云ふやうな疑惑を懷かれましたことは、先程も申しましたやうに遺憾ながら現實の事實であります、是は是非とも拂拭しなければ相成らぬと考へて居るのであります併し事務上の點に付きましては、村上委員の仰せになりまするやうに、全然切り離して、例へば裁判所は麹町にある、檢事局は日本橋にあると、さう云ふやうな考へ方はして居ないのであります、事務の取扱に於て、世間の疑惑を招かないやうな方法に於て、別箇の廳舍を使用したいと云ふに過ぎないのであります、現に横濱の裁判所に於きましては進駐軍に今一部分を接收されて居りますから、左樣に完全に參つて居りませぬが、それ迄は裁判所と檢事局との間に棟を異にして居る所から、世間の疑惑を招かずに圓滿に行つて居ると云ふ事實がありますので、左樣な形式に於きまして、裁判所と檢事局の廳舍を異にしたいと云ふ考を持つて居ります、それから將來裁判所と檢事局との、或は司法省との聯繋でありますが、是は御説の通り、機構は變りましても、矢張り一聯の、日本の司法事務と云ふ大きな觀點から申しますると關聯性があるのであります、之に付ての行き方は、御承知の通り裁判所、檢事局、司法省に勤めて居る者の人事の交流と云ふやうなことが、將來大いに考へられると思ひます、是は又是非ともさうなければならぬと考へて居ります、是が一つであります、それから裁判所側に於きましては、今度は事務總長と云ふものを最高裁判所に置きました、是は一種の行政官であります、此の機構の運營が、餘程司法省との密接な關係を持つて來るのではないかと考へて居ります、どう云ふ風な形に於て密接な關係を持つて來るかと云ふことを、具體的に申兼ねまするが、私の考へ方と致しましては、要するに司法省では、裁判事務とは全然別箇になりまするが、少くとも司法に關する法制の立案其の他に付きましては、是非ともやつて行かなければならぬ、裁判所、檢事局との聯繋を保つて行かなければならぬと云ふことは分り切つたことであります、此の點に於きまして、裁判所の事務局を總括致して居ります事務總長なんかと司法本省との關聯性を持たせて、十分に司法の運營に付て遺憾なきを期したい、期う云ふ考で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=22
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023・村上恭一
○村上恭一君 裁判所と檢察廳との分離に關聯した事柄でございますが、兩者は其の職務を異にするから區別する併しながら職務上密接な關係があることは、只今司法大臣から御説明を戴いた通りであります、就きましては、裁判官と檢察官との人事の交流と云ふことは、どう云ふ風に御考へでございませうか、從來私共の見まする所では、裁判官と檢察官、即ち從來の判事と檢事の間には、人事の交流が殆ど全くなかつたと言つても宜いのではないかと思ひます、最初の司法官試補は一體でありますが、是が本官になりまする時には、本人の志望を聽き、又司法行政の都合に依りまして、或は判事にせられ、或は檢事にせられる、さうしますと云ふと、それが終身、判事は判事であり、檢事は檢事である、中途で判事が檢事となり、檢事が判事となると云ふことは、殆ど全く行はれないやうであります、私共同輩の友人の申しますには、判事と檢事とは全く職務の違ふものであるから、其の間の人事の交流は到底出來ないと云ふやうなことを申します、併し私共素人の部外の者から見ますれば、成る程或程度以上、上の高い階級になりましては、判事と檢事を交流することは、是はむづかしいでありませう、例へば地方裁判所長を檢事正にすると云ふやうなことは、むづかしいでありませうが、下級の、低い下の階級に於きましては、右の交流が出來得るのぢやないか、又之をした方が其の本人の人物、教養、之を完成するのに、却て有利なのではないか、判事と檢事とは別のものとは言いまするが同じく司法機關の職員でありまするから、判事の仕事しか出來ない、檢事の仕事しか出來ないと云ふ、謂はば片輪の人物を拵へ上げるやうなことなく、どちらにも役に立つ有能な人物を育成すると云ふことも、考えて宜しいことではなからうかと、斯う思ひます、即ち私共の眼に映じ頭に浮ぶ所では、從來判事と檢事との人事の交流が殆ど全く行はれなかつたことを、寧ろ遺憾に感じます、此の感想が間違つて居りますかどうか、就きましては、又將來裁判官、檢察官の間に、人事の交流を行ふ御積りであるか、行はない御積りであるか、此の邊に付きまして御答辯を戴くことが出來れば、仕合せに存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=23
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024・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) お答へ致します、御承知の通り、此の「裁判所法」に於きましては、裁判官の任命に付ては、最高裁判所でリストを作るのであります、其の如何樣にリストを作られるかは、豫測は出來ませぬが、併し私の考では、最高裁判所で判事のリストを作る時には、それ等の點は、十分考慮すべきものであらうと考へて居ります、殊に外國の例を見ましても特にアメリカあたりに於きましては、在野法曹から判事が任命され、或は檢事は御承知の通り、アメリカでは行政官でありまするが、アターニーをやつた者が辯護士になり又判事になつて、始終人事の交流が圓滑に行はれて居るやうであります、將來日本に於きましても、固定的にならずに、人事の交流と云ふことは、段々行はれるべきものであらうと私は豫想致して居るのでありますが、是は一に、最高裁判所でリストを作るのでありますから、其の時の最高裁判所に於ける考へ方如何に依ることと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=24
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025・村上恭一
○村上恭一君 今囘の改正に依りまして、從來裁判所に附置せられると云ふ形でありました檢事局が、先づ獨立性と申しませうか、檢察廳となるのでありまするが、其の檢察廳の職員たる檢察官の地位、又職務權限、斯う云ふものは大體に於て、從來の檢事のそれと違ひはない、斯う了解して宜しいのでございませうか、例へば檢事一體の原則、それも大體に於て變りはないと云ふことが、此の説明書の中にありますが、其の他要するに檢察官の地位又職務權限、是は大體に於て、從前の檢事のそれと違ひはない、斯う了解して宜しいでございませうか、此の問に關聯して、或は其の結びになるかも知れませぬが、凡そ官吏を大別して行政官と司法官とにします場合、私共從來の考では、判事は司法官であり、檢事は行政官であると心得て居ります、同じやうに今後に於きましても、裁判官は司法官であり、檢察官は行政官であると心得て宜しいでございませうか、尤も是は官吏を司法官と行政官とに大別すると云ふことが前提でありまするから其の前提を否認なされば私の質問の一點は消滅します、若し官吏を行政官と司法官とに大別するならば、檢察官は檢事と同樣に、司法官ではなくして行政官であると了解して宜しいか、御答辯を願ひたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=25
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026・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 仰せのやうに、檢察官は將來と雖も、裁判官と行政官とを區別しまするならば、行政官に屬するのであります、併しながら狹義の司法官ではありませぬけれども、廣い意味に於て司法の一翼を擔ふ者でありまして、其の職務權限に於きましても、純粹の行政官とは違ふ性格を多分に持つて居りまするので、從つて地位の保障等に付きましても、裁判官に準じた待遇をして行くのが相當と考へまして、此の法案に於ても、左樣な點に於きまして、規定を致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=26
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027・村上恭一
○村上恭一君 此の法律の第六條第一項に、「檢察官は、いかなる犯罪についても搜査をすることができる。」と云ふことが規定してあります、此の犯罪の搜査と云ふことは、檢察官の主要なる職務の一部ではありますまいか、さうしますれば犯罪に付て搜査をすることが出來ると云ふやうな表現でなしに犯罪搜査の職務を行ふと言つたやうな表現が適當ではないのでありませうか從ひまして此の條項を置く場所が第六條の第一項でなしに、檢察官の職務が全般的に規定してあります第四條に結附け、之に合せて此の條項を置かれることが適當ではないのでありませうか、搜査をすることが出來ると云ふやうな表現で、さうして之を本來の職務とは離して別の條項に決められたと云ふ點が、私にはしつかりと理解が出來ませんので、どうぞ御教示を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=27
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028・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察官の職務と致しましては、仰せの如く第四條に於て公訴を行ひ、又それに必要な犯罪搜査をすると云ふことが檢事の職務の主なるものでございまするので、此の法案を立案するに當りましても、檢事の職務として第四條に犯罪の搜査を行ひ公訴を行ひと、斯う云ふ風に致したかつたのでありまするが、御承知のやうに英米の制度に於きましては、檢察官の職務は公訴を行ふと云ふ所に重點を置きまして、犯罪の搜査と云ふことが公訴を行ふことと引離して、附隨的な職務のやうに考へて居る意見も多分にありまするので、左樣な點も考慮に入れまして、色々工夫致しました結果、第四條と第六條に分けて、檢察官の職務は第四條の公訴を行ふことと、且第六條の犯罪搜査を爲すことと、斯う二本建に規定致した次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=28
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029・村上恭一
○村上恭一君 檢察官の犯罪搜査の職務の執行機關でありまする司法警察官司法警察官と言ふのが宜しいのか、司法警察官吏と言ふのが宜しいのか、何か法律案にそれを書き分けてあつたのがありまして、私適當な機會に其のことを御教示を受けたいと思つて居りましたが、此の法案には關係ありませぬから後に致しまして、司法警察官、之を檢察廳の專屬機關として、まあ檢察廳專屬の犯罪搜査の機關として設置する、斯う云ふことは確かに一つの問題であらうと思ひます、而もそれは古い問題、以前から此の檢事局が直接に自分の手足となる犯罪搜査の司法警察官を持つと云ふことが必要だ、從前の如く行政警察官と言ひますか、一般の警察官が兼ねて、併せて此の犯罪搜査の事務を行ふのでなしに、檢事局直屬の直接の手足の司法警察官を持つと云ふことが必要だと云ふことが唱へられて居りました、今囘の改正に當りましても、是亦、一つの問題となつたらうと思ひます、此の機會に於きまして、此の點に關する當局の御見解を承つて置きたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=29
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030・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 其の點に付て、私から御答を申上げたいと思ひます、行政警察官と司法警察官とを分離致しまして、司法警察官を檢事直屬にすると云ふことは、是は多年我々も主張して來た所であります、又我々の考と致しましては、是非さうありたいと念願して居るのであります、今のやうな制度の下には色々弊害が起るのでありまして、檢察事務一本建にすると云ふことは最も望ましい所でありまするが、是は警察事務、警察制度、其の根本的の改革と相伴つて是は考慮しなければならぬことと考へて居ります、只今此の警察制度の問題に付きましては、全面的に政府では考へて居るのであります、過渡期の行き方と致しまして、昨年暮に豫算が通りまして、檢事直屬の所謂司法官とも申しませうか、檢事補佐官といふ者、相當の人員であります、約五、六百名であります、此の制度を設けまして、さうして檢事指揮の下に、所謂搜査の第一線に當らせると云ふことに相成つて居るのであります、此の法案に於きましても、檢察事務官、是は今の檢事補佐官に相當致します、檢察事務官と云ふものを設けまして、檢事の補助機關として搜査の第一線に當らしめると云ふことに相成つて居ります、從來よりも相當此の檢察事務に付ては活溌に仕事が出來るやうになつて居る次第でありまして、根本的の問題に付きましては、全般的の警察制度の問題と睨み合せて政府に於ては考慮致して居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=30
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031・村上恭一
○村上恭一君 檢察官の職務の執行振りに付きましては、世間で深い關心を持つて居ります、強く注目して居る所でございますが、從來動もしますれば檢察官が職權を濫用する、そこで所謂人權蹂躙と云ふやうな問題を惹起し非難を蒙つたこともあるのであります、固より其のやうな事態を生じてはならぬことは明かでありまするが、さりとて又反對の極端に近附きまして、檢察官が其の職務を行ふのに餘りに萎縮する、餘りに卑怯である、民衆に媚びると申しますか、戰々兢々として其の職務を行ふやうな傾向を帶びて遺憾なく公正に其の職務を執行することを憚ると云ふやうな事態を生じましては、是亦國家の爲に由々しき大事であると思ひます、近來又反對に、或は其のやうな憂ふべき傾向があるのではなからうかと私共には感じられます、此の點に付きまして司法大臣はどう云ふ御見解でございませうか承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=31
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032・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御答へ致します、御尤もな御説と考へて居ります、人權蹂躙、行き過ぎた點は是は是正して行かなければならぬが、さればと言つて餘りに其の聲に怯えまして萎縮すると云ふことは、是は由々しき大事であります、其處がなかなかむづかしい點であらうと考へて居ります、大體に於て私の今見る所に於きましては、檢察方面に於て相當人材が集りまして、人權蹂躙なんと云ふやうな惡評は段々薄くなつて來ました、それと同時に、又檢擧すべきものはどんどん檢擧して、活溌に働いて居ることは事實であります、私は大變喜んで居ります將來とも萎縮せざるやう、又人權蹂躙の非難を蒙らないやうに、十分にここは警戒して行かなければならぬかと思ひます、要は人の問題と同時に待遇の問題も之に絡み附いて來て居ります、十分に檢事の身分を保障を致しまして生活の不安のないやうに、其の壓迫を蒙らないやうに、さうして自己の信念に基いて、公正なる檢察を行ふやうに努力して行きたいと、斯う考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=32
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033・村上恭一
○村上恭一君 小さい問題でございますが、檢察廳の名稱ですが、檢察廳には等級がございます、最高檢察廳は最高裁判所、高等檢察廳は高等裁判所、地方檢察廳は地方裁判所、此のやうに最高、高等、地方と同じ名稱を用ひて居ります、最下級に至りまして區檢察廳と簡易裁判所とが對應します、ここに至つて名稱の別れましたのはどう云ふ譯でありませうか、どちらを取つてでも宜しいのでありますが、裁判所の方を取りますれば、簡易裁判所に對應すべき簡易檢察廳と名附けても宜かつたのではないかと、此のやうに感ぜられます、此の段に至つて名稱を區別されましたのが、誠に不體裁と云ふのも少々言ひ方がまづいのでございますが恰好が惡いと申しませうか、何かしらどう云ふ譯だらうかと云ふ不可解の感じを起させるものであります、當局と致しましても、勿論さう云ふ點には御氣附になつたでせうが、にも拘らず、簡易檢察廳と言はず區と言つたのはどう云ふ理由でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=33
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034・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 此の廳名に付きましては、「裁判所法」と「檢察廳法」との間に相互連絡を取りまして、十分調子の合ふやうに一致させたいと考へて居つたのでありますが、簡易と云ふ言葉がどうも適切ではありませぬので、檢察廳の方では初めから最下級の檢察廳は、區檢察廳と大體其の方針で參つたのであります、處が「裁判所法」の方では、簡易と云ふ言葉が餘り適當でないので、簡易にしようか、或は治安裁判所にしようかと云ふやうなことで、大分長い間確定致しませぬで一時は治安裁判所と云ふ風に呼んで來た時代もあつたのでありますが、最後に又簡易裁判所と云ふ風に確定致したのでありまして、檢察廳の方の最下級の廳名と、裁判所の最下級の廳名とが、どうも調子が合はなくなりましたけれども、檢察廳の方は、最高、高等地方、區と斯う段階がはつきりして、其の職務も自ら上命下服の一體をなして居るのでありますので、其の段階に應じて斯樣な廳名を附することが適當と考へて、其の儘に致して居つたのであります、處が裁判所の方では、檢察廳と違ひまして、上下の關係が檢察廳のやうにはつきり致して居りませぬし而も簡易裁判所は、從來の裁判所の制度と違つた裁判所を、茲に新たに設けたのでございますので、其の手續等に於て簡易迅速に運ばうと云ふ點に特色があるので、裁判所の方は簡易裁判所と云ふ名前を最後に決定したのであります、どうも其の點は名前の平仄に合はないのが、檢察廳と裁判所の制度の違ひに依つて、斯樣な區別が自然に生じたのであると云ふことを御了承願ひたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=34
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035・村上恭一
○村上恭一君 檢察廳の管轄區域と云ふものはないのでございませうか、第二條の第二項にも檢察廳の「位置」並びに「名稱」とありまして、管轄區域はありませぬ、又第五條を見ても「檢察廳の對應する裁判所の管轄區域」と云ふやうに表現してあります、抑々檢察廳なるものは、自己の直接の管轄區域を持たないものでありますか、それは恐らく現在の檢事局以來の共通の問題であらうと思ひますが、此の點は畢竟私の無學を告白することになるのでありますけれども、恐縮でありますが此の機會に御教示を仰ぎたうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=35
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036・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察廳と致しましては、只今申上げましたやうに總て上命下服で一體となつて職務を執る關係から、別に管轄區域と云ふものは設けて居らないのであります、唯實際の仕事を取扱ふ上に於て控訴を提起すると云ふことになりますると、裁判所の方の管轄區域に自然制限されることにはなりまするけれども、檢察廳自體は別に管轄區域を持たないと、斯う云ふ建前で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=36
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037・村上恭一
○村上恭一君 今の點に關聯致しまするが、檢察廳が總ての檢察廳、各々檢察廳が自己の管轄區域は持たないと云ふことと、各檢察廳に屬する檢察官が一定の區域内に於て職務を行ふと云ふこととは全然矛盾しないのでありませうか、檢事一體の原則と云ふやうな立場からしまして、檢察廳に管轄區域なし、斯うしますると各檢察官は何等地域的拘束を受けることなく、自由奔放に其の職務を行ふことが出來なければならぬのではないか、檢察廳には管轄區域なしと言ひ、檢察官は何と申しますか、其の職務執行に地域的の制限があると云ふことは、何か其の間に矛盾があるやうに感ぜられます、是は蓋し素人の感想であらうかと思ひまするが序に御教示を仰ぎます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=37
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038・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察廳と申しますると、檢察廳自體が一つの官廳のやうに見えまするけれども、檢察廳自體が職務を執ると云ふことは考へて居りませぬので、從つて檢察廳自體の管轄區域と云ふものは認めなかつたのであります、併しながら其の檢察廳に於て職務を執る檢察官に對しては、此の第五條に示してありまするやうに、其の職務執行の一定の區域と云ふものを設けてあるのでありまして、此の點はどうも裁判所及び裁判官の管轄區域と檢察廳及び檢察官の此の管轄區域との考へ方が食ひ違ひがあるのでありまして、第一條で「檢察廳は、檢察官の行う事務を統括するところ」と云ふだけで、檢察廳は一つの官廳としては認めて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=38
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039・村上恭一
○村上恭一君 諄いやうでございますが、さうしますると、各檢察廳は一つの官廳ではないから、管轄區域がないのが當然だ、各檢察廳に屬する各檢察官が單獨に一つの官廳を構成するものである、其の各檢察官が、謂はば管轄區域を持つ、斯う考へて宜しいのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=39
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040・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 御説の通りでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=40
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041・村上恭一
○村上恭一君 さうしますると、檢事一體の原則との調和はどうなりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=41
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042・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 御説のやうに、檢察官としては第五條に示してありますやうに、それぞれの職務執行の制限は受けて居りまするけれども、職務を執る上に於て上下の關係、詰り檢事一體の原則、又同僚の檢事との間の職務關係に於ても、所謂檢事一體の原則は從來と何等變りはないのでありまして、檢察官がそれぞれの職務執行の區域の制限を受けて居りましても、又職務の性質から、檢事一體の原則とは何等矛盾するものではない、斯樣に考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=42
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043・村上恭一
○村上恭一君 只今私がお尋ねして居りまする點に關する限りは、從前の檢事局の規定と此の改正の檢察廳の規定との間に、何等違ひはないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=43
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044・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 其の點は何等違ひがないと解して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=44
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045・村上恭一
○村上恭一君 此の機會に於ける私の質問は、是で打切つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=45
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046・山隈康
○山隈康君 第十四條「司法大臣は、」「檢察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は處分については、檢事總長のみを指揮することができる。」、是は第七條の「檢事總長は」「すべての檢察廳の職員を指揮監督する。」、此の點から致しまして、個々の職務若しくは取調に對しては檢事總長が爲すべきものであつて、其處まで司法大臣は干與しない、斯う云ふ意味であらうと解釋をするのでありますが、司法大臣に於て個々の事件に尚取調のあることを感じ、尚處分に付ても之を是正すべきものであると云ふことを感じました際に於て、直接に其の事柄に對して、各檢察官に指揮命令することが出來ないと致しましても檢事總長を通じて、更に個々の事件の重要なる取調若しくは處分の是正を要するものに付ては是正するやうに、檢事總長を指揮することは差支ないと解釋して宜しいのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=46
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047・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢事總長は御説のやうに、第七條に於きまして全國の檢察官全體を指揮監督する權限を持つて居るのでありまするが、更に司法大臣は、其の全國の檢察官竝に檢事總長に對して矢張り其の上に立つて指揮監督をすると云ふ建前になつて居るのであります、それは第十四條に於て示された通りでございます、處が、從來のやうに司法大臣が、個々の事件の取調、處分に付ても、總て直接に個々の檢察官を指揮すると云ふことになりますると、將來色々な弊も考へられます、從來は左樣な弊害を見て居りませぬけれども、段々政黨政治が盛になるに連れまして、司法大臣が直接個々の事件の處理に付て個々の檢察官を指揮すると云ふやうなことは適當ではなからうと云ふ考から、個々の事柄の指揮をする場合には、必ず先づ檢事總長に指揮をさせる、檢事總長に於て司法大臣の指揮に應じて、自己の意見を其處に加へまして、適當な處置をなさる、斯樣な仕組にする方が、將來の檢察事務の運營上適切であらうと云ふやうな考の下から、第十四條に於ては一般的な指揮監督の權限は、司法大臣は持つて居られるけれども、個々の事件の取調、處分に付ての指揮は、必ず檢事總長に對してやる、斯う云ふ風な制限を設けたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=47
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048・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 午前中の法案の御説明の時に、ちよつと私、席を外して居りましたので、或は其の間に御説明があつたかも存じませぬ、重複するかも知れませぬが、其の點ちよつと御了承を願ひます、「檢察官適格審査委員會」ですが、是は二十三條の末項に依りまして、政令で御定めになると云ふことになつて居ります、細かいことはそれに御讓りになるのでせうが、是は全國に一つ御設けになるのでございませうか、それから又、之の人數は凡そどの位の御腹案でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=48
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049・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 此の「檢察官適格審査委員會」の構成に付きましては、何れ政令で定められるのでありますが、只今の處腹案と致しましては裁判官、檢察官、辯護士、大體檢察官の平素の職務執行振りに付て非常に關心を持つて居らるる三者が一番適當ではないかと考へて居ります、其の構成員の人數でありますが、斯樣な事項を決定するのに、餘りに大人數では運營も適切に行はれませぬので、今の處六名乃至、多くとも十名位に留めたい、而も此の委員會は司法省所管の下に、中央に一つ設けると云ふ考でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=49
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050・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 是は更に細かい點になりますが、此の構成委員が、檢察官、裁判官及び辯護士の中から選任せられると、其の振合は十人になりますれば、各各三人宛でございまするか、檢察官の身分を裁くと云ふのでありますから、矢張り檢察官が一番數が多い又其の委員會の委員長は、矢張り檢察官が當る、斯う云ふことになるのでございませうか、それとも公平に他の裁判官若しくは辯護士から互選される場合もあるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=50
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051・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 其の點は檢察官、裁判官、辯護士、必ず同數の委員に致したいと考へて居ります、從つて委員長も、例へば二人づつに致しますれば六名の中から、又三名づつとしますれば九名の中から互選されることとなります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=51
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052・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 此の任期は、矢張り御腹案では、相當長い任期でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=52
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053・佐藤藤佐
○政府議員(佐藤藤佐君) 任期は二年位に制限したらどうかと云ふ腹案を持つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=53
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054・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 更に細かい點になりますが、二十二條に、此の定年が六十五歳とございますが、是は先程御意見も出ましたやうでありますが、人に依りましては六十五歳に達しても、尚有能な方もあり得ることで、殊に非常に練達達識な方でございますれば六十五歳に達しても、之を職を去らせるのは非常に惜しいと云ふやうな例外もありますから、私の考では、原則は六十五歳を定年と致し、例外の場合に更に此の年齡を延長し得るやうな彈力性のある制度を設けらば如何かと存じますが、併し斯う致しますと、一面それに伴ふ弊害もあるかも存じませぬが、是は運營宜しきを得れば宜しいかと思ひます、さう云ふ點に付きまして御意見如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=54
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055・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 其の點私から御答へ致したいと思ひます、此の年齡の點に付ては非常に議論のある所であります、どの邊を以て退職年齡を定むべきかと云ふことは、相當我々も考慮したのであります、御承知の通り「裁判所法」では、最高裁判所の判事は七十歳、檢察方面に於きまして、少くとも檢事總長の年齡は七十歳迄引延ばして宜いのぢやないかと云ふ意見も出たのであります、併し此の檢察事務は、裁判事務と餘程違ひまして、相當活溌性を有せなくちやならぬ、殊に他の行政官との振合の點から考へまして先づ六十五歳、普通の檢事は六十三歳にした方が宜いぢやないかと云ふことに一先づ落附いたのであります、露骨に申しますると、是は關係方面との間にも色々議論もあつたのであります、我々も隨分退職年齡に付て各國の實例をも調査したのであります、外國あたりでも御承知の通り、隨分高齡な人が裁判官をやつて居ります、現に昨年亡くなりました有名なアメリカの最高法院の長官でありましたストーン氏、是は六十五歳であります、今の最高裁判所の長官は、是はずつと若くて五十八歳になつて居ります、まちまちであります、但し凡そ人間の活動の能力と云ふものは、先づ六十五歳位が相當ぢやないかと云ふことに落附いたのであります、それでは最高裁判所の判事を七十歳にしたのはどうかと云ふことになりますが、是はなかなか人を得るのにむづかしい、殊に新憲法上、最高裁判所の地位と云ふものが非常に高められて、此の長官になる判事なるものは、國民の極めて厚い信頼を得なければいかぬのであります、さう云ふ人を得るのはなかなか容易なことぢやないと云ふ點から色々考慮致しまして、七十歳にしたのであります、是も打明けての話は、關係筋では六十八歳と云ふ議論も出たのであります、我々は七十五歳でも宜いのぢやないかと云ふ氣持を持つて居つたのでありますが、まあ七十歳に落附いたのであります、檢事の方では、總長は六十五歳、普通の檢事は六十三歳、先づ人間の活動能力の點から見て、是等が適當な所ぢやないかと云ふことから、斯樣に落附いた次第であります、併し御議論の點は能く分るのであります、我々と致しましても、實は斯う云ふやうな檢事總長あたりの人は、なかなか容易に見附からないのでありますから、相當高齡の人でもなつて戴くことが望ましいことぢやないかと考へて居りますが、一應先づ斯樣な觀點から六十五歳に落附いたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=55
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056・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 只今の大臣からの檢事總長に關します年齡の原則的な標準に付ての御議論は能く了承致しましたが、私は之に對して、制度上例外的措置を執り得る途を御開きになつたらどうか、是が私の質問の要點であります、此のことも、私の伺ひました氣持は御了解戴いたやうでありますが、大體今の外國の立法例、殊にアメリカ、イギリスあたりはどう云ふ風になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=56
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057・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 外國では大體定年制はないのです、統計に出て居る所に依りますると、アメリカの最高裁判所の判事の就任當時の年齡が、千七百八十九年から千九百三十七年に至る迄の七十六人に付ては、最高は六十八歳、それから最低が三十二歳、平均が五十三歳、千八百九十七年から千九百三十七年に至る二十人に付ては、平均五十七歳となつて居ります、ドイツでも最高裁判所の判事には定年はありませぬ、フランスの破毀院の判事は七十歳と云ふことになつて居ります、イリギスの上院判事は定年はございませぬ、併し大體に於て先づ平均年齡が七十歳以上を超えることはないやうであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=57
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058・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 了承致しました、二十條に關係致しまして、是は檢察官に採用する資格が、一般官吏よりも特に嚴格になつて居るやうでありますが御方針は私は結構と存じます、私の伺はむと致します氣持は、人の犯罪の搜査に從事するやうな者は、自分が正しいものでなければならぬ、と云ふ建前に立つて見ますると、矢張り苟も刑忌に觸れたやうな者は御採用にならないやうなことが、願はしいやうな氣が致します、一面人道上から考へましても、人には過ちがある、其の過ちを悔いた者は是は一視同仁、決して區別すべきものではありませぬけれども、矢張り人を裁き、人の犯罪を搜査をするやうな、特別の地位に立つ官吏に付きましては、其の資格に對する要求は、もう少し嚴格なものであつても宜いやうな氣がするのでありますが、此の一號に掲げられて居りますのは、「禁錮以上の刑に處せられた者」と、斯うなつて居ります、輕微な刑忌に觸れた者は、其の罪を悔いた者ならば、斯う云ふ地位に就けても宜いのぢやないかと、斯う云ふ極めて情深い御考に基いた制度であらうと存じますが、此の點に付て司法大臣の御考を御伺ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=58
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059・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 御説御尤もであります、是は檢事は一國の治安を預かるものでありますから、國民の信頼を得ると云ふことが先づ第一であります、それには苟も刑餘の人を、左樣な地位に就けることは望ましくない御説御尤もであります、併し建前と致しましては、兎に角禁錮以下の極く輕い刑に處せられた者は、一度改悛致しまして、立派な有能な人であれば、それを採用する途を開くことが妥當でないかと考へて、此の規定を設けられたのであります、併し實際上運營と致しまして、それは餘程考慮さるべきものだらうと考へて居ります、恐らく罰金刑に處せられたやうな人で、極く情状の輕いやうな者であれば格別、さうでない限りに付きましては、實際の運用と致しましては、餘程考慮さるべきものだらうと、私は考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=59
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060・橋本實斐
○伯爵橋本實斐君 了承致しました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=60
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061・霜山精一
○霜山精一君 二、三點御伺ひしたいと思ひます、憲法に依りますと、「檢察官は、最高裁判所の定める規則に從はなければならない。」と云ふ規定がありまして、檢察官は此の法案に書いてありますやうな色々の職務を持つて居りますが、一面に又最高裁判所の規則にも服する義務があることが、憲法の規定で明かになつて居るのであります此の義務を持つて居ると云ふことを、此の法文の上に明かにして置くことが必要ではないかと思ふのですが、其の點はどう云ふ風に御考になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=61
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062・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 申す迄もなく、憲法ではつきり其の明文は設けられて居るのであります、而して其の裁判所の定める規則と申しますのは、要するに所謂裁判事務運用に關する實際の規則でありまして、苟も國民の權利義務に直接影響のあるやうな規則は最高裁判所と雖も制定することが出來ないのでありますから、恐らく是は實際の訴訟事務運用に關する規則に、檢察官が縛られると云ふに過ぎないのであります、それは憲法に規定されて居る以上は、本法案に其の點を明かにせずとも明瞭であらうと云ふ趣旨から規定しなかつた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=62
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063・霜山精一
○霜山精一君 憲法に規定が明かでありましても、矢張りそれを其の下の法律で繰返して規定して居る場合は、澤山他にもあるやうであります、此の問題だけ、憲法に書いてあるから、もう「檢察廳法」には書かぬでも宜いと云ふことはないと思ふ、例へば基本的人權に關する色々な規定が憲法に出來て居りますが、是は矢張り總て刑事訴訟法の方に規定しなければならぬのぢやないかと考へる、それ等との關聯から見ると、矢張り斯う云ふ規定を置いて置く方が相當ではないかと私は考へる、其の點は是以上は議論になりますから止めて置きます、それから檢察官と云ふのは準司法官的性格を持つて居りまして、一面は司法官的に取扱はれ、一面は又行政官的に取扱はれる、さう云ふ兩性的な性質を多少持つて居るのでありまするが、檢察官の懲戒處分の如きものは、矢張り是は法律で規定して置いた方が宜くはないかと思ふのでありますが、檢察官の懲戒に付ては、何で規定せられる御考なのでございませうか、政令で規定せられると云ふことになるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=63
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064・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 檢察官の懲戒處分に付きましては、一般官吏の例に依ることと致したいと云ふ考へから特に掲げなかつたのでありますが、一般官吏の懲戒處分は、恐らく將來法律に依つて規定されるだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=64
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065・霜山精一
○霜山精一君 裁判官に付きましては裁判所法五十二條に依りまして、政治運動の禁止に關する規定がありまして裁判官は在任中議員となつたり、政治運動をしたり、其の他のことが出來ないと云ふ風な禁止規定があるのでありまして、檢察官に付きましても、矢張り檢察官が政治運動をすると云ふことはいかぬ、一黨一派に偏して檢察事務を孰ると云ふことは、非常に危險なことでありまするから、是は裁判官と同じやうに、政治運動の禁止に關する規定を設けた方が宜くはないかと考へるのでございますが、其の點はどう御考へでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=65
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066・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 仰せのやうに、檢察官も裁判官と同樣に積極的な政治運動をすることは、制限しなければならぬことと存ずるのであります、國會法並びに地方公共團體の議會の議員となることが出來ないことは、特別法に於てそれぞれ制限されて居るのであります、それ等の規定から見ましても、積極的な政治活動をすることが出來ないのが明かだらうと思ふのであります、檢察官は、一般の行政官と其のやうな點に於て異なつた取扱をすると云ふことは、又他面に於て檢察官の當然の職務活動が阻害されるやうな虞も考へられまするので、一般官吏と同樣に此の點に付ては特別な規定を設けなかつたのであります、將來、一般官吏に付て、積極的に政治運動をすることが出來ないと云ふことが設けられまするならば、當然其の規定の制限を受けることになるのであります、現行法も、恐らく檢事は一般の行政官と同樣な取扱ひをすべしと云ふ考の下から何等制限を設けなかつたことと存ずるのでありまするが、本法を立案するに當りましても、現行法と同樣に、一般の行政官と同樣な取扱で行つて差支なからうと云ふ考から特に設けなかつたのであります、併しながら實際の運營と致しましては、裁判官に於て禁止規定が設けられたと同じやうな考の下に取扱はれるのではないかと云ふ風に考へられるのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=66
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067・霜山精一
○霜山精一君 極く小さな問題でございますが、現在の裁判所構成法第百四十條に依りますと、同法事務取扱の方法に關する抗告と云ふものが規定されて居りますが、「或ル事務ノ取扱方ニ對シ又ハ取扱ノ延滯若ハ拒絶ニ對スル抗告」と云ふやうなものが書いてあります、斯う云ふ司法事務の取扱に對して異議を言ふことが出來ると云ふ、斯う云ふ趣旨の規定はないやうでありますが、是はどう云ふ風になるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=67
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068・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 其の點は一般の行政事務に付ての抗告、不服申立の場合と同じやうに請願、訴願の方で賄へると考へましたので、「檢察廳法」には特に設けなかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=68
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069・霜山精一
○霜山精一君 もう一つ小さな問題でございまするが、裁判所構成法第百四十二條に、司法官廳に對して訴訟が起つた場合の規定があるのであります、檢事局が司法官廳を代表すると云ふやうなことになつて居りますけれども、斯う云う規定が矢張り見當りませぬのですが、此の點はどう云う風になる御考でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=69
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070・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 其の點に付きましては、他の法律に於て、例へば裁判所の事務局の者が代表すると云ふ風に規定致したいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=70
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071・霜山精一
○霜山精一君 何か特別法でおやりになる積りでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=71
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072・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 從來は御承知のやうに、民事訴訟法に依り國を代表するに付ての規定と云ふやうな勅令がございますので、斯樣な方式に則つて將來特別法を設けたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=72
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073・霜山精一
○霜山精一君 私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=73
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074・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) 外に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=74
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075・我妻榮
○我妻榮君 第十四條に付て伺はうと思つて居りましたが、先程御質問がありましたので、大體了承致しましたが運用上非常に重要な問題だと思ひますが、「一般に指揮監督することができる」と云ふのと、「個々の事件の取調又は處分については」と云ふ此の使ひ分けを、もう少し詳しく説明願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=75
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076・佐藤藤佐
○政府委員(佐藤藤佐君) 第十四條に於きまして、司法大臣は檢察事務に付ては、全國の檢察官に對して、「一般に指揮監督することができる」と云ふことを前段に於て規定致したのでありまして、但書の方では、個々の具體的の事件の取調、處分に付ては、直接には當該檢察官に對して、指揮をしないと云ふ制限を設けたのでありまして、寧ろ但書の方に個々の制限と云ふのを規定致しました爲に、前段の方で「一般に」と云ふ言葉を特に附加へましたけれども、此の意味は全國の檢察官全體を指揮監督することが出來ると、斯樣な意味に解して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=76
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077・我妻榮
○我妻榮君 例へばどの位の所が……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=77
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078・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) 速記を止めて……
午後二時五十二分速記中止
――――◇―――――
午後三時六分速記開始発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=78
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079・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) 速記を始めて……御諮りを致します、今日は此の程度に止めて、明日午前十時から開會を致したいと思ひますが、如何でございませうか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=79
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080・奧田剛郎
○委員長(男爵奧田剛郎君) では御異議ないとして、明日午前十時から開會致します、是にて散會を致します
午後三時七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=80
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081・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 奧田剛郎君
副委員長 子爵 高木正得君
委 員
公爵 九條道秀君
候爵 淺野長武君
伯爵 橋本實斐君
子爵 秋月種英君
子爵 清岡長言君
村上恭一君
渡部信君
吉田久君
霜山精一君
男爵 内海勝二君
我妻榮君
山隈康君
有馬忠三郎君
國務大臣
司法大臣 木村篤太郎君
政府委員
司法事務官 佐藤藤佐君
同 横田正俊君
同 内藤頼博君
同 野木新一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009200818X00119470328&spkNum=81
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