1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○皇室經濟法の施行に關する法律案
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昭和二十二年三月二十六日(水曜日)
午前十時三十四分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=0
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001・奧田剛郎
○副委員長(男爵奧田剛郎君) 是より皇室經濟法の施行に關する法律案の委員會を開きます、最初に國務大臣より御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=1
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002・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 皇室經濟法の施行に關しまする法律案に付て内容の概略を御説明申上げます、第一は、皇室經濟法の第二條に規定して居ります所の一定價額に付ての規定であります、即ち皇室と皇室外の者との間に行はれます財産の授受に付きましては、同條に、謂はば自由に授受し得る價額の限度、又皇室經濟會議の議を經ることを要するけれども、國會の議を經ることは必要としない價額の限度、又是等の授受が一年内に累積的に繰返して行はれます場合の最高限度、詰り此の限度を超えますれば、國會の議を經ることを要することになります、斯う云ふ限度に付きまして、別に法律を以て其の額を定むべき旨が規定せられて居るのであります、そこで本來でありますならば、法律案として、其の各各に付きまして、別々に其の額に關しまする規定を設くべきでありますけれども、色々の事情から致しまして、今直ちに之を本格的に規定しますことに付きましては、更に檢討を要するものがあると考へますので、其の完全な組立は、日本國憲法施行後の最初の國會の時に之を致しますることとして、それ迄の間の暫定的な規定として、今囘の法律案にありますやうに、相當な對價に依る賣買等、通常の私的經濟行爲に係る場合の外、通計五十萬圓を超えない範圍内に於きましては、皇室の行はるる賜與、又は皇室の受けらるる讓受共に其の度毎に國會の議決を經ることを必要としない旨を定めたのであります、此の場合に皇室經濟會議の議をも經ることを要しないと云ふことは勿論であります、其の第二點は、皇室經濟法第四條に規定して居ります所の内廷費の定額に關する規定であります、内廷費は天皇及び内廷にある皇族の日常の費用其の他内廷の諸費に充てらるるものでありまするが故に、經濟状態が變動致しますると、其の影響を受けまする面も多いのでありまするから、今日先々迄を見透しまして、其の定額を明確に致しますことには相當の困難があるのであります、そこで差當りましては、二年間の有效期間を附けまして、其の定額を暫定的に規定致したのでありますが、而も尚其の間に於きましても、諸般の事情から此の金額が不適當となることも豫想せられますので、其の場合に速かに其の額の變更に付きまして法律改正の手續を執るべき旨を豫め定めて居る譯でございます、第三點と致しましては、皇室經濟法の第六條に規定して居ります所の皇族費は、皇族である方の品位保持の爲に、其の資に充てる目的を以て、年額を以て支出せらるるものと、それから皇族であつた方に、其の身分を離れられまする際に一時金額を以て支出せらるるもの、詰り年額のものと一時金額のもの、此の二色に分れて居るのでありまするが、何れも別に法律で定める定額を基準と致しまして計算をすることになつて居ります、そこで此の年額の方の算出の基準である所の定額に付きましては、日本國憲法施行後の最初の國會に於て定額が定められます迄は、差當つて十五萬圓を其の算定の基準と定めまして、本格的な額に付きましては、尚將來十分な研究を重ねた上に之を規定することに考へて居るのであります、次に年額でないもの、即ち一時金額の方の基準たる定額に付きましては、矢張り皇室經濟法の第六條に規定する定額が定められて居りまして、それが基準となつて算定せらるるのでありまするけれども、此の部分は、前にも申しましたやうに、尚將來の研究に俟つことが適當と思ひますので、其の決定を見まする迄の間は、一時金額に關する規定は適用しない旨の規定を置いた次第であります、結り皇室經濟法の中で豫想して居りまする此の部分は、今囘は決めませぬで、日本國憲法施行後の最初に又此の法律案を改めて設けまして、それに依つて國會の議決を經たいと云ふ考を持つて居るのであります、以上が私の大約の説明でございます、どうか御審議を御願ひ致したいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=2
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003・奧田剛郎
○副委員長(男爵奧田剛郎君) 御質問がありましたら御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=3
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004・川村竹治
○川村竹治君 此の法律案の定額を八百萬圓、片方は十五萬圓と云つたやうな此の定額と云ふものは、其の算出の根據が無論あるのでありませうが、どんな割合で是は、算出されたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=4
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005・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の内廷費の額、それから皇族費の定額を決めますに付きましては、色々な數字を集めて作り上げたのでありまするが、細かい數字を集積して色々に之を組直して大體の結果を得るやうに努力しのたでありますけれども、此の内延費の計算の方は非常に正確な基礎を申上げましても、是は千變萬化の諸費に御利用になるのでありまするから、具體的のことを申上げましても、唯一つの基礎、計畫の輪郭を申上げることに止まると思ひます、で大筋の考へ方と致しましては、從來内延の經費に御用ひになつて居りまする實額に對しまして、今後の道行から起る補正を加へまして、それを基礎としてそれに物價の騰貴の趨勢、趨勢と申しますか、現在の情勢を基本として加へまして、其の結果八百萬圓と云ふ金額を見出した譯でございます、豫算の方で是は御承知のことと存じて居りまするが、八百萬圓と云ふ額を此の法律で決めまして、さうして實際は五月から始まるのでありまするからして、其の十二分の十一と云ふ計算を致しまして、豫算の方では七百三十三萬圓になつて居るのであります、此の金額の大掴みの中味を或程度迄申上げて宜いかも知れぬとは思ひまするけれども、今内延の費用を考へて居りまする其の費目と致しましては、色々な項目に分けて考へて居りますが、基本は本當の意味の御内帑金と申しまするか、狹い意味の御内帑金と申しまするものが其の約半分弱を占めて居る計算をして居ります、それから皇子の御養育費と云ふもの、是は御教育費ではございませぬが、御養育の面に於きまして、其の二十分の一位を豫想して居ります、それから供御、供膳の費用、詰り食饌に關しまする費用を約一割位其の中に計算して居ります
〔副委員長退席委員長著席〕
それから公の、正式の意味でなくて、色々な皇室の方々の皇子とか皇太后樣とか云ふやうな方及び其の他の兩陛下も固より含まれて居りますが、さう云ふ御旅行の費用と云ふものも、是は約六分の一位を豫想して居ります、それから尚御祭の費用でありますとか、用度の費用、用度と申しまするのは車馬とか消耗品とか云ふものでございまするが、さう云ふやうな經費も若干認めまして、さうして總計を致しまして此の額を八百萬圓として居るのでありまするが、結局根本の考へ方は、今迄實際御入用になつた費用を基礎として、それに今後の經費と致しましては、それは殖えると云ふ方の計算ではないのでありまして、實質は減ると云ふ方の考からの調整を加へまして、それに物價から來る増額をすると云ふ計算を致しまして、尚其の物價から來ます所の増額の計算も中身の一つ々々に付て、凡その率の計算を致しまして、大掴みでなく計算を致しまして、さうして概算をして八百萬圓と云ふやうな金額が出て居る譯であります、それから此の皇族方の歳費の方の十五萬圓の定額は是は計算が非常にむつかしいのでありまして、如何なる方法を以て計算をすべきかと云ふことに付きましては、相當に苦心を致したのでありまするが、要するに此の皇族費は何の目的であるかと申しますれば、國の象徴たる天皇の御一家の方としての體面を維持せらるる爲の費用と考へまして、そこで其の費用の全部を國から支出すると云ふ計算を以てすべきものか、それとも御一家に別の收入があるものとして、それを考に入れて皇族費の額を算出すべきものかと云ふ點に付きまして、最も考慮を加へた譯であります、そこで最後に十五萬圓に致しましたのは、此の法律を提出致しましたる理由として申述べましたやうに、今日尚此の暫定的な計算をするより外に仕樣がないのでありまするが、現在の計算と致しましては、先づ今迄の實際の御事情等を基に致しまして、或代表的な親王家を念頭に置きまして、其の親王家の御經費がどの位要るかと云ふ計算をして、其の全體の生活費の八割を此の法律に掲げてありまするやうな皇族費として支出したら宜からうと云ふ風に一應考へて居りまして、尚細かい算定の基礎等に付て申上げることが都合が好ければ、もう少しく具體的の例を取つて申上げても宜いと思ひますけれども、さう致しますと一人々々の宮樣の今迄の實際の御經費等に付ても申上げなければならぬことになりまするから、稍稍御遠慮申上げて置きまするが、大體の考へ方は、凡そ三十萬圓位と云ふやうな一つの着想を置きまして、其の三十萬圓の八割と云ふ計算になりますると、大體此の二十四萬圓位の計算になる譯であります、二十四萬圓は御一家の御入用でありますが、御一家は例へば親王、親王妃、御子樣もおありになるかも知れませぬが、先づ此の親王と親王妃だけを基に置いて考へて見ますると、其の二十三四萬圓と云ふことになります、親王は十五萬圓、それから親王妃が其の半額の七萬五千圓と云ふことになりますと、先づ二十二萬五千圓と云ふものが實際の御生活費となるのでありますが、併し非常に御窮屈であらうと豫想して居ります、まあさう云ふやうな計算で此の標準額を一應作りまして、尚實際の動き具合で更に適當な時期にやりたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=5
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006・川村竹治
○川村竹治君 只今の御説明は寧ろ私の希望したことより詳しい御説明を承つたのですが、私は此の定額と云ふものに付て、是は政府の物價政策と非常な關係を持つのであるからと斯うも考へたので、果して是で行けるものかと、今後の日本の物價と云ふものは、尚是以上上向いて行くのではないかと云ふやうな懸念を持つので、此の儘にして置けば……さうすれば折角此所で定額を御決めになつても、それでは立つて行けないと云ふことになる憂へが多分にありはしないか、斯う云ふやうに私は思ふのでありますが、今後の物價の騰貴に對しては、何割位の騰貴と云ふことを見積つて居られるのか、又現在の價格を抑へて御決めになつたのであるか、將來のことを御考になつたとすれば、どの位で御考になつて居るか、之を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=6
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007・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 其の點は、將來如何に物價が變化すると云ふことの豫想は困難でありまして、しなければならぬ大事なことではありまするけれども、それを今はつきり認めますることはむつかしいと思ひます、從つて此の皇族費の定額は現在を標準として考へて居ります、又此の法律の中に豫想して居りますやうに、色々な變化に依つて變り得る場合はあらうと存じますから、極めて暫定的な措置を講じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=7
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008・川村竹治
○川村竹治君 今後物價の騰貴に依つて、此の費用が足らぬと云ふやうな場合にはどう云ふ處置を執られるのでありませうか、近く鐵道運賃とか、郵便料金とか上る、斯う云ふのと相關聯して諸物價と云ふものは又益益騰貴するのではないか、現に分つて居るやうに思ふのですが、果して是で行けると云ふ御見込が立つて居るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=8
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009・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 其の點は日本の經濟の全般から來る所の大きな問題でございますけれども、之を今皇室費の關係に於きまして、色々な豫想を以て規定を致しますることは事情困難と考へて居ります、で結局是は現在の樣子で行く、從つて經濟の變化に依りまして、幾多の事情が皇室の御經費の上に窮屈を生ぜしめると云ふこともあるかも知れぬと存じて居ります、併しそれは暫く我慢して、此の暫定的な方法に依つてやる、從つてどうしても此の金額で行けないと云ふ場面が生じますれば、再び法律の改正を諮つて之を解決すると云ふより外に今の所は考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=9
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010・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の八百萬圓としましたのは何か實績を見てそれに物價を考へたと云ふ御説明でしたが、物價の御説明は今ので分りましたが、實績と云ふのは何時の實績を指したのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=10
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011・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 實績は昭和二十一年の實績を基礎として數字を集めて來た譯であります、唯其の一つ一つの項目に付きまして、今の物價の増額の率は是は物に依つて、事柄に依つて違ふ譯ですから、それをも加減してまあ其所の計算をしたのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=11
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012・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の第一條に五十萬圓とありますが、是は矢張り實績か何かに依られたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=12
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013・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は非常に困難な論點を含んで居りまして、御承知の如く、此の額は皇族と皇族外との渡合に於きまして、國民の側から皇室に對して通常の經濟行爲以外のものですから、結局無償で差出す積りで献納金と云ふものを豫想して居ります、それから皇族から皇族外に賜るものは、賜與、或は何か風水害等のありました時の御見舞金等を一部豫想して居る譯であります、それで此處にありますのは、國會の議決を經ないで是だけは宜からうと云ふ意味の、詰り憲法八條から來て居ります所の、あの規定に對して此の委任法律で謂はば簡易手續を設けて自由に贈與の出來ると云ふ範圍を豫想したのであります、此の金額をどう云ふ風にするかと云ふことに付きましては、前に此の基本法であります皇室經濟法が議會の議を經て居りまする時に、一應は當時の所見を述べたのでありまして、一件五萬圓の如きものは自由に出來るといふやうな感想を持つて居ると云ふ風のことを申上げて居つたのであります、處が、其の後色々此の問題に付きまして各方面の意見等を聽いて見ました處、どうも今其の金額を豫想して此處に決めると云ふことは非常に困難であると云ふやうな事情がありまして、併しもう今後はもつと精密に研究の出來まする迄は大掴みに行かうと云ふので、其の當時の考の五萬圓と云ふのを十倍位を此處に計上致しまして五十萬圓とした譯であります、そこで此の五十萬圓と致しましたのは、結局新しい法律が出來る、詰り憲法施行後の最初の國會に於て、精密な規定が出來る迄の暫定的のものでありますから、先づはつきりしたことは申切れませぬけれども、二月ばかりの間に亙ると思ひます、二月ばかりの間に五十萬圓と云ふものを此處に標準に設けて置きますれば、此の位は財物が皇室と皇室外の間に無償で動きますると云ふことは、國の法律の體系から云つても別に奇異なことではあるまい、斯う云ふ風な考を持つて居りまするので、之を本格的に一年の積算として考へて行きますると、此の金額では非常に少いと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=13
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014・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 其處の點を實は伺はうと思つたのでありますが、一年の期限がないと云ふと、是は今日五十萬圓、明日五十萬圓、一日五十萬圓を二度出しても宜いと云ふことになりますが、何か其處に制限はありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=14
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015・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) それはさうでございませぬ、非常にきぶい規定でございますけれども、例へば皇室の方から賜與せらるる場合は、皇室の總ての方を全部合算を致しまして、さうして此の法律が新に先で特別に決まりまする迄、五十萬圓を限度と致しまして、總計して五十萬圓でありますから、五十萬圓が一件を皇族のどなたかが御使ひになれば、外の方は此の規定の中に入つて來ない、總て總轄的な考でありますから、本當言へば窮屈な規定になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=15
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016・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで大體二月位を御豫定でございますか、五十萬圓に付ては……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=16
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017・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 期間は今申上げました通り、次の國會に於て法律が出來ると云ふ迄を見込んで居りますから、さう精密なことは申上げ兼ねますけれども、何れに致しましても此の憲法が實施せられますれば、遠からぬ中に國會が召集されるに相違ありませぬ、其の時に法律を出しますから、先づ二月と見れば大丈夫であらう、二月超えることはなからうかと實は思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=17
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018・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の三條の二項の一時金額と云ふものは是はどう云ふ意味なんですか、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=18
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019・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は斯う云ふ風になつて居ります、皇室經濟法の六條の一項に於きまして、皇族の方が皇族より外に御出になると云ふ場合を考へまして、さう云ふ時には今迄は年々の歳費を皇族には御渡しすることになつて居つたのが、皇族を離脱せられますと、一時金を以て金額を交付せられまして、それ以後には歳費は交付せられないことになるのであります、此の皇室經濟法の六條の中に其の規定がありまして、年々御受取になつて居る歳費の十五倍に相當する金額を超えない範圍内に於て、詰り年額の十五倍を最高限と致しまして、一時金を交付せられると云ふことになつて居るのであります、そこで今後現在皇族であらせられる方が、皇族を離脱せられると去ふ場合が相當多いのではないかと想像して居りまするが、其の時に此の一時金が交付せられると云ふことになるのでありまして、定額の、或一定額を法律で豫想して置きまして、其の十五倍以内に於きまして、皇室經濟會議の議を經て定める金額を嚴密に交付すると云ふやうになつて居るのであります、本來から申しますると、今囘此の法律を議會の協贊を求める爲に提出致します時に、其の一時金の額も決めなければならないのであります、決めませぬと云ふと、皇族が離脱せられまする場合の一時金の計算が出來ないことになる譯であります、それを一つ計算しよう、さう云ふ法律を規定しようと思つて居りましたけれども、色々な考慮の結果から、それは今日決めないで憲法施行後の國會の協贊を經ようと云ふ立場になつて居ります、尚御尋に關聯して附加へて申上げることでありまするが、世間で噂をされて居りましたやうに、皇族が憲法施行前にでも皇族を離脱せられるとか云ふやうな噂もあつたのでありまして、噂に付て私が意見を述べることも何もございませぬが、若し斯樣なことに該當するやうなことがあつたと致しましても、今一時金の法律が出て居ない爲に一時金を取扱ふことが出來ないと云ふやうな羽目になるのであります、從つて逆に申しますと、さう云ふ規定が早く出來ることが必要であると云ふやうに考へて居ります、其の金額を決めますに付きまして、まだどうもはつきりしない、解決の出來ない點が殘つて居りますので斯う云ふことになりました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=19
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020・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、露骨に申せば、此の金額が決まる迄は、皇族樣が離脱されることは先づ御見合せを願ふ、斯う云ふ意味なんですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=20
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021・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 甚だ大膽な御答になりますけれども、先づさう云ふやうな線に於て考へるより外途はないと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=21
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022・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 それで此の細い規定とか何とか、物價のことを言出したら切りもないでせうが、全體の所で能く之を御覽になつて心配はないでせうか、兎角斯う云ふものは低く見積られ易いものと私は思ふのです、殊に私なんか非常に各方面で斯う云ふ問題に付ては、遠慮をされる意嚮が多いので、私共は餘計なことと思ひますけれども、遠慮するやうな習慣があるのです、是も多少其の影響を受けて居りませうが、各方面で詳細に御調査になつたのでせうか、極く遠慮のない所を、將來物價が上れば別の話ですが、只今の所では、先づ是で動いて行くことは大丈夫でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=22
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023・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 此の動いて居ると云ふことが大丈夫と云ふことは、何が動くかと云ふ問題になるのでございますけれども、其の動き方に付て或想像した形を一つ描いて見なければならぬと存じて居ります、皇室の本體の方の兩陛下を含んで居る御内廷の方の問題に付きまして、曩に申しましたやうに、八百萬圓と云ふ金額に依りまして行くのであつて、是は何と云つても今迄の實績を基礎として比較的精密に計算されて居るのであります、皇族御一方の歳費と云ふ面になりますると、是は今迄皇族の御一人々々々に付きまして、此の御經費の要り方は決して同じではなかつたと思つて居ります、其處に一つの今迄に對する變化が起つて居ると考へて居ります、ここに盛込んで居りまする、親王及び親王妃の御二方を標準として、基本的に三十萬圓と云ふものを豫想して、其の八割を此の皇族歳費で出すと云ふ考へ方は、相當に經費を壓縮したやうな氣持になつて居りまして、其の點に付きましては尚色々考へなければならぬ點はあらうと存じて居ります、唯一つの立場から申しますると、此の額に付きましては、所得税を徴せられないことになつて居りまするから、此の金額の全部が御持になれるのでありまして、まあそれがどうも御一人々々々に取つて決して十分だと云ふ計算は何人が考へても出來ないと思ひます、まあ此の邊の所で解決するより外に今の所仕樣がないと云ふ羽目になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=23
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024・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 斯んなことを伺つちや何ですが、是はどう云ふ風に御決めになつたのですか、宮内大臣と貴方方の御相談で御決めになつたのですか、或はもう少し立入つて宮家の事務官のやうな方も相談に乘つて、御生活の樣子から何から、御伺ひになつて御決めになつたものでせうか、どうも斯う云ふものは餘程能く研究しないと、人間の生活と云ふものはむづかしいものであると私は思ふのですが、そんな所は實際としてどう云ふ風に御決めになつたのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=24
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025・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 其の御尋ねは甚だ私から御答するのに困難な事情がありますが、私共の立場と致しましては宮内省の方からの特別なる御協力を得まして、向ふの方で集められました數字を基礎として、さうしてまあ計算をしたのであつて、宮内省で執られた中味のこと迄は私の方では發言の權利はないと、斯う云ふことになつて居ります、それで私共の知つて居りまする範圍は、是は正直に申しますと少し豫定が狂つたと云ふやうな事情がございまして、此の規定は廣い形にはなつて居りますけれども、實際直宮樣だけに當嵌る考で起草して居つたのでありますが、處が、今の實状はさうでなく廣く及んで居ります、大體此の計算を出しまするのは直宮樣方の御使ひになつて居る經費の實状と云ふものを基礎に致しまして、それに色々御意見は同じと云ふ譯に行かないものですから、色々其の數字を元にしつつ、若干の考察を加へて出來たのでありまするから、此の邊の所に於きましては非常な計算違ひと云ふことは起つて來ないと思ひます、唯御一人御一人の皇族樣になりますると、どうも何とも標準に嵌めます限りは、一々當ると云ふことも出來なからうと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=25
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026・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつと速記を止めて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=26
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027・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=27
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028・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=28
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029・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 なかなか問題がむづかしうございます、併し皇室が今後只今の地位でずつと御進みになることに付ては、餘程の物質的のものが要らうと思ひます、之に付きまして將來は餘程政府の方でも御注意下すつて、成るべく御窮屈なことがないやうに一つ、仕向けて戴きたいと思ひます、兎角斯う云ふものに内輪になり過ぎて始末が行かないことが多い場合を生じ易いのです、さう云ふことがございませぬやうに、政府でも十分な御配慮を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=29
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030・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 其の點は政府でも十分考へて居りますし、又今後法律に從つて設けられまする皇室經濟會議と云ふものがございまして、是は皇室經濟法の中で豫想して居りまするやうに、斯う云ふやうな金額に付きましての變更を必要とするやうな場面が起りますれば、自發的に意見を決めまして之を政府に述べたり、或は國會に其の意見が傳はるやうにする、斯う云ふやうな途もございまして、政府も固より注意は致しますが、さう云ふやうな面からも相當刺戟を與へられることと思ひます、現在の皇室經費が殆ど固定されて動かなかつた、三百萬圓が四百五十萬圓になつただけで、其の後變らなかつたと云ふやうな固定的なことはないやうに思つて居りますが、まあ其の線を以て妥當な途を執りたいと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=30
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031・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 宮内省の方お出ででございますか、お出ならば私は伺ひますが、何ならば速記を止めても宜しうございますが、いけなければ後で消しても宜しうございます、甚だ立入つたことを申上げるやうでございますが、皇族樣のお屋敷は今後どうなるのですか、燒けてしまつたりどうにも斯うにも致し方がない、是は政府の方で何か或は相當の方法を以て善處するより外に致し方がないと思ひますがどう云ふ御考ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=31
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032・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=32
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033・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 速記、始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=33
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034・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 金森大臣に伺ひますが、今の御用邸の問題は餘程むつかしい問題でございまして、是は政府としては大いに努力される必要があらうと思ふのであります、今の御答辯を伺へば、何でもないやうでありますが、實際東京の状態を見、宮内省の營造物の状態を見ると云ふと、容易な問題ではないと私は思ふのであります、是は政府に於ても、然るべく御考へ下さる必要があらうし、特に豫算を出すとかと云ふやうな方法がなければいけないだらうと思ひますが、どう云ふ御考でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=34
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035・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 其の線に沿ひました問題は、結局色々な面から考へなければなりませぬので、一つは日本全體の復興の進み工合と調節の無理でないやうな、不自然でないやうな方面からも考へなければなりませぬし、一つは憲法八條の考へ方でありまして、國から皇室に對して謂はば無償の讓り渡しをすると云ふことになりますると、憲法八條の制限も掛つて來ることでありまして、さう簡單にはものも運ばないと思ひまするし、それに又それ以外にも尚考慮すべき事情もあらうと存じて居りまして、何れに致しましても、最も合理的な結論を作らなければならぬと思つて考究は致して居りますけれども、まだそこ迄具體的の考を進めて居りませぬ、今御示しになりましたやうな線に沿つて十分研究致したいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=35
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036・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 どうか是は御研究を願つて善處されるやうに御願ひ致します、速記を止めて戴きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=36
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037・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=37
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038・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=38
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039・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 金森國務大臣に伺ひますが、是は私覺え違ひかも知れませぬが、又ないやうに思ひますが、皇族樣の財産の御相續はどうなるのでせうか、矢張り今度民法が改正になりまして、一般にはああ云ふやうな民法になるやうでございますが、皇族樣のは矢張り家督相續があるのですか、どんな風になるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=39
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040・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 新しい憲法が施行されますると、さう云ふ面に於きましても、總て原則としては同格で行くと云ふことになりまして、結局皇族方に付きましても、相續に付きましては一般人と異る所はない、斯う云ふことになつて行くのであります、皇室のそれ自身の方では、此の前の皇室經濟法の中で、或極く僅かな特殊な財産がありまして、それに付て相續關係が變つて行く、是はもう壺切の御劔とか、極く限られたものを豫想して居つたのでありますが、さう云ふ特例はありますけれども、外にはさう云ふ特例を設けないと云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=40
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041・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 さうしますと、皇族樣の御財産は斯う云ふ定額のなにがありますから宜しうございますが、矢張り民法を其の儘當嵌められますか、例へば自分の家なら家を遺留分にすると云ふこともあるし、是は言葉がちつと惡いが、夫婦財産制と云ふものもあるし、夫婦の相續と云ふやうなこともありますし、そんなやうなことも總て適用になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=41
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042・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 勿論是は財産相續であります、家督相續と云ふものはなくなりますから、財産相續だけでありますけれども、全く同じやうに法律の上ではなつて來ると思ひます、事實の運用は、色々な御考がありませうが、法律通りに行くことにならうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=42
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043・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は是で宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=43
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044・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 他に御質問ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=44
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045・霜山精一
○霜山精一君 皇室經濟法に依りますと、色々、別に法律で決めると云ふ風になつて居りますけれども、其の法律が今度の施行に關する法律になる譯でありますが、其の法律で決めるとしてある中で、今度の法律で決めた場合、例へば宮廷費の如く八百萬圓と、斯う云ふ風に二箇年間すつかり決つて居る場合があるし、それから後の三條のやうな十五萬圓と云ふやうな、是は最初の國會の開かれる迄の暫定的なもののやうであります、第一條の五十萬圓と云ふのも、是も暫定的なもののやうであります、それから規定されて居らぬ部分もあるやうであります。例へば皇室經濟法の二條の第一項の二號に、「別に法律で定める一定價額を超えない財産の」云々とある、此の「別に法律で定める」と云ふ此の二號に關する法律は、少しも何にも規定が出て居らない、それから先程御話の一時金のことに付ては適用しないと云ふ風に特別な規定が出來て居る、斯う云ふ風に皇室經濟法では法律に委してある部分に付て、本法に於て暫定的に決めたものと、それから二年で恒久的に決めたものと、それから全然適用しない部分と、特に適用を排除した部分と云ふ風に色々なつて居るのですが、是はどうして一本に、皆法律で決めると云ふことになつて居るのですから、決めるならば全體を同じやうに決めたならば宜ささうなものを、暫定的に決めた部分と、恒久的に決めた部分と、適用しない部分と、色々ごつちやになつて居るのですが、是は何か特別な理由があるのでせうか、非常に混亂を來して居るやうに思ふのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=45
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046・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 御尋の點は誠に御尤もと存じて居りまして、結局此の全體の道行きで御分り下さいますと思ひまするが、會期も正に終了に近づいて居る今日に、此の皇室經濟法の施行の法律案が此處に出て居りますやうな羽目になつて居りますが、平たく言へば研究が行き屆かなかつた、斯う云ふ風にならうと思ひます、それは今の皇室經濟法を議會の議を仰ぎました當時では、先見の明がなかつたと言ひますか、略略具體化された稍稍形態的な法律が施行法として出來る豫想を持つて居りまして、それに基いて色々可なり細かな規定を經濟法でも作り、又施行法の中でも豫想して居つたのであります、處が、實際には、段々時日が經過して行きますと、何しろ皇室に關しまする色々な問題が、總て新しい觀點から研究しなければならぬ羽目になりまして、詰り基本の法律がはつきり出來ますると云ふことは、皇室に對する今後の色々な經濟問題がどうなるかと云ふ基本的な大黒柱を立てると云ふ風の結果にならうと思つて居ります、處がそれになりますると、可なり研究をすべき問題が思ひの外に發生致しまして、此の際は兎も角も暫定的に行かう、斯う云ふ風に出たのであります、先程稍稍恒久的なものもあると仰せになりましたけれども、其の部分と雖も要するに暫定的でありまして、内廷費を八百萬圓にしたと云ふことも、それから又色々と中味の動くべき點がありまするのでありますが、内廷費は暫定的でありながらも、或程度迄恒久的に致しませぬと、此の次の、一年二年の間の色々な計畫が殆ど立たなくなるのですから、是は兎も角も長期間の二年間で……二年間と申しましても豫算の計上では、今年の分は少くなつて居りまするし、後一年でありますけれども、其の位の所で行かう、斯う云ふことになりまして、讓り渡しとか云ふ方面に於きましては、是も色々の……少し言ひ過ぎかも知れませぬけれども、皇室から離脱されますやうな、場合も色々差迫つて居るが如く噂もされて居るやうなことでありまして、さう云ふ所は、じつと落ち著いてから考へた方が本當のものが出來るのだと思ひます、それでまあ從來の方針を少し變更した譯ですが、それから今の皇室經濟會議に掛けてすると、斯う云ふことを前に考へて居りまして、其の當時はまあ十五萬圓ですか、斯うした唯普通で自由に取扱へるのが五萬圓、それから金額が超ゑまして少し大きいもの、例へば十萬圓と云ふやうなことになりましたならば、皇室經濟會議に掛ける、斯う云ふ風の豫想を以て研究を進めて行つたのであります、處がどうせもう斯う云ふ羽目になつて、まだ先がはつきりしないと云ふ時になりますと、一括して五十萬圓と云ふ額を抑へまして、五十萬圓以内ならば自由にやれる、斯う云ふ風に致しましたから、皇室經濟會議と云ふものを持ち出す程の、差當り餘裕がなくなりまして、此の次に出て來る恒久規定にしたい、斯う云ふ風に考へたのであります、先程の皇族費のことですけれども、此の年額は、是は直ぐ決めませぬと五月以後の取扱に困つてしまふから、無理やりにも決めなければならぬので、十五萬圓を決めた、處が、一時金の方になりますと、是は十五年以内に於て決めるとか云ふことで、金額が決りまして、從つて基本金額の標準額を定めることも、是は鄭重にしなければならぬからして、皇族を御離脱になると云ふことが別にさうはつきり決つて居るのではございませぬから、是は次の機會に讓つた方が宜い、さう云ふ見地で、先づ餘裕の置けるものだけは餘裕を置いて延つ引きならんものだけを此處に置いた、それで今のやうに外觀上複雜な形になつた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=46
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047・霜山精一
○霜山精一君 大體了解致しましたのですが、憲法施行後最初に開かれる國會も間近に迫つて居る譯でありますし、經濟情勢もどうなるか、先のことは分らぬ譯であります、寧ろ斯う云ふ種類の問題を暫定的にやらないで、最初の國會に總て讓ると、斯う云ふことの方がはつきりして宜いのぢやないか、さうして最初の國會で色々定額等を決めまして、それを遡らせば宜い譯なのですから、別に今暫定的なものを、面倒な暫定的なことをやらないで、總て次の國會で法律を決めて貰うと、斯う云ふやり方の方が整然として宜いのぢやないかと思ふのですが、何かそれに付ては非常に御困りになる點があるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=47
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048・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 今御考になりましたやうな理論も、一當りは持出して研究の課題に供したこともございます、處がまあ次の國會と云ふものを豫想致しましたら、何時の豫想か分りませぬけれども、正確のことは分りませぬけれども、恐らく開會せられますのに憲法施行後極く短期間、一月未滿位の期間は掛かるではないかと思ひます、それから又其の時に政治的に解決しなければならぬ問題もないとは言へませぬものですからして、どうも二月は餘裕を見て置かないと實行が出來ないと思つて居ります、二月餘裕を見ると云ふことになりますと、此の五月六月の二月の豫算の支出など全く經理が出來なくなつて行くのではないか、今度はもう總て經濟の扱ひ方が變つて來ますから、宮廷費で色々な經費を出すことが出來ませぬし、結局假令短い期間でも何か決つて居りませぬと、責任を以て現實の支出が出來なくなりまして、非常に困ります、それで退引きならぬ點だけを解決したのです、唯その時の内廷費だけ二年間と云ふのが、それと趣旨を異にして居りますけれども、是は實際又内廷費の中に含まれて來ますものが、一時的のものでなくて、或職員を置くとか、何かかにか、幾らか先の方を計畫をせなければならないことがありますから、一應目度を付けて、實は可なり變つた法律ですけれども、まあ物價の變動する時の規定を置いて其間の調節をした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=48
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049・霜山精一
○霜山精一君 第一條に付て御伺ひするのですけれども、五十萬圓と云ふのが最初の國會の開かれる迄の間のものでありますから、是は二箇月、三箇月の間の金額ですが、將來はまあ一年を通じて幾らと云ふ風になると思ふのですが、大體此の五十萬圓と云ふものを基本にして、將來は一年の通計が出るものと考へて宜しいでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=49
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050・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 其の點が實ははつきり決りませぬ爲に、此の暫定的な五十萬圓と云ふ額を作つたやうなことでして、其の點は今ちよつと御答へするのは困難な事情が含まれて居る、問題は中心點に觸れて居りますので、御答へすることは困難でありますが、唯金額の點から考へて行きますると、何しろ内廷費は八百萬圓と云ふことになつて居りまして、それから考へられまする賜與と云ふものは、其の一部分と云ひますか、是は分りませぬけれども何分の一なんです、是が精々二三百萬圓かそこらしかないと思ひます、さうしますとそれをどう云ふ計算をしても、一月に盛りますると矢張り二十五萬圓とか云ふやうな額位に、一月が其の位になつて來るのぢやないかと思つて居ります、それから皇族方から御出しになる賜與のやうなものでも、何分にも皇族歳費の方が限定されて居りますから、それは私有財産で御出しになることもないとは言へませぬですけれども、何れにしても金額は御一軒で二十萬圓とか三十萬圓と云ふ額ですから、そんなに大きな額を豫想することは意味はないと思つて居ります、唯皇族外から皇室の方に献納すると云ふ場合が豫想されますので、是は憲法第八條に豫想して居りますやうに、斯う云ふことは程度を超えると弊害の元になるから、是は矢張り限定して行かなければならぬと云ふことになりますと、恐らく矢張り斯う云ふ考へ方の線をそんなに變へることはないのだらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=50
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051・霜山精一
○霜山精一君 細かい問題になりまするが此の通計五十萬圓とありまするが、皇族經濟法に依ると、第二項に通計の觀念が斯う決つて居るのですが、同一のものの間に於ては、一年内に二囘以上の財産の授受が行はれた場合には、其の價額を通計したものとして算定する、適用すると云ふ風になつて居りまして、同一のものの間に二囘以上財産の授受が行はれた場合に通計すると云ふことに皇室經濟法ではなつて居りまするが、こちらの通計は先程御話を聽くとさうではなくて、同一のものの間ではなくて、皇室の全體と、それから皇室以外のものとの間に於て通計するのだと云ふやうな御話でありまするが、此の點は皇室經濟法と通計の觀念が違ふのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=51
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052・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 今囘の此の施行に關しまする法律は、皇室經濟法の本當の施行的規定と云ふよりも、皇室經濟法の持つて居りまする原理を姑く變化さしたやうな、暫定的に變化さしたやうな意味がございまして、其の點は全然別個な觀點を採つて居ります、只今仰せになりました此の通計と云ふものは、皇室側から出すものは全部一つに通計してしまふ、それから皇室の方で受けられるものも一つに通計してしまふと云ふことで、極く經常的に普通に考へると無理な規定なんであります、甲の家に澤山献納金があつて、乙の家には受けられないと云ふことになりまして、全部一括して調節をして計算をして行くと云ふことは可なり無理な規定であります、何しろ暫定と云ふものが迫つて居ると云ひますか、暫定的な規定を設けなければならぬと云ふ必要が迫つて來て居るものですから、極く荒つぽく規定を作つた譯なんであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=52
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053・霜山精一
○霜山精一君 さう去ふ意味ですと、通計と云ふ文字だけでは極めて不明瞭で、どう云ふ風に通計するのか殆んど解釋に苦しむのぢやないかと思ふのですが、通計の觀念を書かなけくちやいかぬのぢやないかと思ひます、それから皇室經濟法の二條の第三項の、是は矢張り通計に關係のある規定ですけれども、斯う云ふことも矢張り此の一條に付て要るんぢやないかと思ふのですが、一時にやつてしまつて、後はいかぬと云ふやうな場合ですね、一條の方には此の期間がありませぬですけれども、二箇月國會の開かれる迄に期間があるのですから、其の期間の初めの間に五十萬圓を出してしまつたならば、もう後はいかぬと云ふ風な、斯う云ふ種類の規定は要らないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=53
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054・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 皇室經濟法の採つて居つた考へ方を精密に持つて行きまするならば、理論的には矢張り其處も細かく分けて考へる必要があると思つて居ります、併し何しろ五十萬圓全部を包括したと云ふ風なものですから、中味を細かく計算を致しましても大した實益もないので、此の際は斯う荒つぽくしたのであります、極く内輪を申しますと、もう何とかして國會の協贊を經なければならぬので、斯う云ふ風なことに落着かざるを得ない状況になつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=54
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055・霜山精一
○霜山精一君 さう云ふ暫定的な法律ですから、餘り細かいことは少し無理になるのかも知れませぬと思ひますが、茲に第一條に「相當の對價による賣買等通常の私的經濟行爲に係る場合の外、」と云ふことが入つて居ります、此の私的經濟行爲に係る場合に付ては、第二條にもう既に規定がありまして、是は讓り渡し、或は讓り受け、賜與することが出來ると云ふことを第二條の明文で以てはつきり書いて居るのですから、此の場合の外と云ふことを外す必要は少しもないのぢやないかと思ふ、是は法文の形式の問題になるかも知れませぬが、何か「係る場合の外」と云ふことを書かなくちやならない理由があるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=55
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056・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は御説の通り、皇室經濟法の二條で、さう云ふ場合はもう國會の議決を經なくても出來ると、斯う書いて居りますのですが、理論的に申しますと、それはもう皇室經濟法二條に任せて置いても宜からうと思つて居ります、處が、何分にも今囘の法律は非常に概括して書いて居りますので、矢張り其處迄注意的にはつきり拾つて置きませぬと、通計五十萬圓と云ふ中に入つたり何かして、通常の取引で五十萬差引かれて、現實の贈與は一部分に限定されると云ふ虞がありまして、非常に困る場面が起りまして、さう云ふ誤解等から來る禍ひを防ぐ爲に並べて書いた、斯う云ふだけの趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=56
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057・霜山精一
○霜山精一君 それから第二條に付て御伺したいのですけれども、但書の規定と、それから皇室經濟法第四條の三項及び四項との關係なんですけれども、内廷費に付ては皇室經濟法四條の第三項に依りまして變更の必要があると認める時には、皇室經濟會議がそれに關する意見を内閣に提出する、其の意見の提出があつた時には、内閣は其の内容を速かに國會に報告すると斯う云ふことになつて居りまするから、此の第四條の三項及び四項に依つて内閣の方で此の變更の案を立てて改正の法律を出されることと私は考へて居るのですが、然るに此の本法の第二條の但書に依ると、「不適當と認められるに至つたときは、速かにその額の變更について、法律改正の手續をとらなければならない。と斯う云ふ風になつて居りまして、何か是は四條と此の但書は重複して居るのぢやないかと云ふことを考へるのですが、如何なものでせう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=57
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058・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 經濟法の四條の此の第三項等は、是は皇室經濟會議は始終氣を附けて居なければならぬと云ふ規定でありまして、政府がどうするかと云ふこと迄規定は直接には觸れて居りませぬので、詰り改正を促す意味を持つ規定であつて、改正を現實にして行くと云ふこと迄言つて居るのではございませぬ、處が、此の今囘提出しました法律案の第二條の方は、政府の、直接の政府とは限らぬかも知れませぬが、此の法律自身の性質なんですけれども、併し先づ大體の考へ方から言つて、是は政府に直接さう云ふやうな義務を與へて居るやうな規定でありまして、見る角度が違つて居りますから、重複すると云ふことはないと思つて居ります、斯う云ふ風に今度の法律案が決定されましても、尚皇室經濟會議の持つて居りまする、何時でも内閣に意見を提出すると云ふ權能は省かれて居りませぬ、矢張り兩兩相俟つて出來て居ると思ふのであります、尚申添へますならば、今度の法律の第二條の二項の今の但書の規定なんと云ふものは、或意味から言ふと少しをかしい規定だと思ひます、斯う云ふ分り切つたことを書いて居ると云ふ點に於て、多少法律的の面から見ますると奇異なる規定である譯であります、之を一口に申しますると、此の規定は全く暫定的である、二年と決めたけれども、尚其の二年と云ふことも固定した二年ではなくして、非常に暫定的な二年であると云ふことの意味を強めて、今囘の議會で僅かな期間で恐らく無理に皆さんに御審議を願ふと云ふやうな所に對する申譯見たいな意味を含んで居ると考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=58
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059・霜山精一
○霜山精一君 「不適當と認められるに至つたときは、」と云ふ風に書いてありまするが、不適當と認めるのは誰が認めるのかと云ふことが第一書いてない譯ですが、政府が認めるのか、或はさう云ふ客觀的情勢になつたらと云ふ意味なのか、認める主體が少しも書いてないのですが、是は何人が不適當と認めると云ふことを御考へなのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=59
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060・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は客觀的な規定で日本の文章には少し奇異ですけれども、詰り受身のやうな形になつて居りますから、客觀的に、認められることがあつたらばと云ふ意味だらうと思ひます、今後は國會が主となつて法律を何するのでありますから、國會が認められた時には此の手續を執らなければならない、政府も亦之を認めるに至つたら手續を執らなければならないと云ふ譯で、誰なんと云ふことは前提してない譯であります、唯事實は政府であらうと、是は事實の豫想だけであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=60
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061・霜山精一
○霜山精一君 何か言葉の問題でありまするけれども、四條の方には「變更の必要があると認めるときは、」と書いてありまして、こちらの方は「不適當と認められるに至つたときは、」と云ふ風に書き分けられる理由はどうもなささうに思ふのですが、どう云ふ譯でせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=61
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062・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是はどちらでも意味は同じことにならうと思ひますけれども、此の不適當と云ふ意味は、詰り心持が此處に閃きを現して居ると申しませうか、詰り八百萬圓と云ふ額の本質の決めた方が是で以て理論的に正しいと云ふ所迄今日徹底した研究に迄進んで居りませぬので、其處に心の中に尚盡して居ない部分がある譯であります、其の閃きが此處に「不適當と認められるに至つたときは、」と云ふ文字を呼び出して居るものと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=62
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063・霜山精一
○霜山精一君 第三條に付てもう一つ御伺ひしたいのですけれども、第三條の規定は、「十五萬圓を以てこれに代わるものとする。」、斯う書いてあつて、「これに」と云ふのは何に代るのか分りませぬが、之を讀み下して見ると、「日本國憲法施行後の最初の國會において、皇室經濟法第六條第一項の年額の定額が定められるまでは、十五万圓を以てこれに代わるものとする。」と云ふ「これ」と云ふものの受ける主體がないのですが、是は何に十五萬圓が代ると云ふ御趣旨なのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=63
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064・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是はちよつとさう云ふ御考の起るのも無理がないと私は思つて居りますけれども、是は文章の通りに讀んで戴きます、「第一項の年額の定額が定められるまでは、」と云ふ風に、定額なんです、定額が之に代るものであると斯う云ふことなんです、言葉の續き工合でさう云ふ風に讀んで戴きたいと思ひます、唯さう云ふ風に申しますと、今度は實質的に、今度の十五萬と云ふものも定額ぢやないぢやないか、だから定額に代ふるに定額を以てすと云ふことは言葉を成さぬぢやないかと云ふ此の疑問が第二次に起つて來る譯であります、是は此の意味の含蓄と申しますか、「第一項の年額の定額」と云ふものは、謂はば研究を盡して安定して居る定額と、斯う云ふやうに了解して居りますから、今度のは謂はば暫定定額で、基本定額に代ふるに暫定定額を以てすと、斯う云ふやうな氣持を現はす爲に斯樣な言葉を使つたのでありますから、ちよつと讀みまして奇異な感じの起ることは、私共も實はさう思つて居るのでございますが、已むを得なかつたのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=64
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065・霜山精一
○霜山精一君 何か「定額が」と云ふ所で若し切れると、此の「定額」が「これ」に相當する、「これ」に當るものだと云ふことになるのだつたら、何か文章がもつと工夫されて宜いのぢやないかと思ひますが、「定額が定められる」と云ふそつちの方に掛るのではなくして、「定額が」と云ふ所で切れるのでしたら、其處にぽつを打つか何かしなくてはならぬのではないかと思ひますが発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=65
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066・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 文字のことでございますから色々に考へられまして、「定額が」の下にぼつを打つても矢張りをかしいですね、矢張り落著きませぬですね、是は普通の文章ならばそんなにをかしくないのです、處が、如何にも思想の内容が奇異な所があるものですから、それで迷ふ譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=66
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067・霜山精一
○霜山精一君 もう一つ此の文字だけの問題ですけれども、第一條に「その度毎」と「毎」と云ふ本字が書いてありますが、皇室經濟法の方には「毎」と云ふ字が假名で書いてあるのですが、是は何か御訂正になつた方が宜くはないかと思ひますが、「その度ごとに」と云ふ風に假名で書いてあるのです、正誤か何かで、どちらが宜いのか知りませぬけれども……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=67
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068・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 是は御説の通り、兩方違つて居るのでございまして、法律が違つて居るのですから、此の邊の所で御許しを願ひたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=68
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069・霜山精一
○霜山精一君 正誤か何かで直ぐ直るのぢやないですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=69
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070・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) それは事實の問題として御尤もなんです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=70
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071・霜山精一
○霜山精一君 いや私はそんな細かいことを別に追及する積りはないのです、直るなら直しても宜い、私の質問は終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=71
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072・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 簡單に伺ひますが、臨時費が色々出て來る場合がございますが、さう云ふ場合は若し是で金が足りなくなると定額以上に又増さなければなりますまいが、さう云ふ場合は法律を御出しになるものと解釋して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=72
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073・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 皇室に關しましての定額は斯うなつて居りますけれども、臨時の費用が起り得る場合は想像して居なければならぬと思つて居ります、必要な場面に於きましては固より法律も直しますし、直しますと言ふか、さう言ふことに對しまする法律を設けまするし、又必要なる豫算も計上することにならうと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=73
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074・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 もう一點伺ひますが、皇室費を斯う規定されたのは色色な場面から想像されますが、一つの理由としては、皇室費が濫用されることを恐れる、從來も多少そんなことがないでもなかつた、是は暫定の法律ですからさう云ふことを彼此申す程のものでもございませぬが、此の位の程度ならば先づ濫用されるやうな虞もないと云ふやうなことは御考へであらうと思ひますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=74
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075・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 皇室費はどう云ふ風に計上するかと云ふことは面倒な理窟を含んで居ると思ひますけれども、大體此の考へ方が從來の皇室の色々な經費の中で、新しい見方で行つて、皇室費と云ふ費目の中に嵌め込んで然るべきものを精密に集積致しまして、それに先に申しましたやうな經費の縮小とか、或は物價の増加率とか云ふものを加へた譯でございますから、大體此の邊でございましたら、まあ或意味から申しまして、可なり御不自由ではないかと云ふ方面の心配は相當にあると思つて居ります、けれども濫用されると云ふ方の懸念は全くないものと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=75
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076・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 ちよつと細かいことを伺ひますが、此の五十萬圓と云ふのは、賜る方も五十萬圓、皇室の方へ獻上する方も五十萬圓と云ふことになりますか、それを兩方通計して五十萬圓ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=76
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077・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 初めに仰せになりました意味、詰り別々に五十萬圓であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=77
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078・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 他に御質疑はございませぬか、御質問もないやうでございますから、是から討論に移りたいと思ひます、皇室經濟法の施行に關する法律案を議題と致します、御發言ございませぬか、別に御發言もないやうでございますので、採決に移ります、皇室經濟法の施行に關する法律案は可決することに御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=78
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079・黒田清
○委員長(伯爵黒田清君) 御異議ないと認めます、依りまして本法律案は可決に相成りました、有難うございました、是で散會致します
午後零時五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=79
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080・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 黒田清君
副委員長 男爵 奧田剛郎君
委員
公爵 岩倉具榮君
子爵 大河内輝耕君
子爵 高木正得君
子爵 松平親義君
牧野英一君
霜山精一君
川村竹治君
男爵 毛利元良君
三橋四郎次君
山隈康君
作間耕逸君
國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
政府委員
法制局長官 入江俊郎君
法制局次長 佐藤達夫君
法制局事務官 井手成三君
大藏事務官 東條猛猪君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201136X00319470326&spkNum=80
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