1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○請願法案
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昭和二十二年二月十九日(水曜日)午前十時十八分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=0
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001・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) それでは是より委員會を開會致します、昨日に引續きまして御質疑を御願ひ致します、今日は金森國務大臣が御見えになりませぬで、佐藤法制局次長が御見えになつて居りますので、若し御質疑がございますれば、次長から御答辯を願ふことになると思ひますが、別に御異議ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=1
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002・村上恭一
○村上恭一君 本會議は勿論、委員會に國務大臣が一人も御出席にならぬと云ふことは宜しくないと云ふことが今迄屡屡發言されて居ります、私さう云ふことを承つた場合が度々ございます、是は法規上差支へると云ふことではありますまいが、實際の慣例上如何でございませうか、國務大臣が全然いらつしやらぬのに、此の委員會にしろ、其の會議を行ふと云ふことは差支ないのでございませうか、先例もあることでございませうが、此の點委員長に於てはつきりした御考を持つて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=2
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003・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 御尋ねでございますが、當然國務大臣の御出席が願はしいことと存じます、昨日何か御差支の件がございまして、今日は出られないと云ふ御話がありましたので、それで了承した譯なのであります、建前と致しましては、仰せの通り大臣が御出席あるべきのか當然であると考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=3
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004・村上恭一
○村上恭一君 委員長の御方針に反するやうでございますが、私は國務大臣が一人も御出席がない場合には會議を開かぬ方が宜いと斯う思ひます、殊に此の請願法の如きは左程火急に屬するものとも思ひませぬから、或は今日の午後なり、或は明日なり、相當の國務大臣の御出席のある時迄、この委員會の會議を延期した方が宜くはないかと云ふことを提案致しますが、併しそれに付て又御贊成がなければ致し方ありませぬが、一應私はさう云ふ案を提出致します、どうですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=4
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005・松尾國松
○松尾國松君 私は成る程今の御説の通り、責任の最大にある人が出ると云ふことが當然でもありませうし、又それが至當でもありませうが、併し差支へる場合には已むを得ぬのぢやないかと思ひますが、そこで只今の御説の通り、大臣が出て、大臣に聞かなければならぬと云ふやうなことがおありなら格別でありますが、承つて居ると、一つの慣例と云ふやうな意味のことのやうでありますが、さうでなかつたら委員長が了解をされた譯でありますから、大臣に聞かなければならぬことを除くの外は、今日進行して戴いたらどうかと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=5
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006・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 只今村上委員からの御動議もございますし、之に對して松尾委員からの御話もございましたのでありますが、之に付きまして皆さんの御發言を願ひたいと思ひますが、如何でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=6
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007・渡部信
○渡部信君 私は國務大臣の御出席のあることは望ましいことでありまするけれども、併し今御話の通りに國務大臣の誤答辯がなければいけない事柄は別問題としまして、差支のない場合には、御出席にならなくても委員會を開いても宜いのではないでせうか、此の前の議會で私地方競馬法案の特別委員になりましたが、殆ど大臣は一囘も御出席になりませんでした、政務次官其の他の説明員で進行した例もあります、違法でないならばさう云ふことも御認めになつて宜いのではないかと思ひます、是非其の中に國務大臣の答辯を要すると云ふ御質問がありましたならば、其の時々御出席願ふなり、會を延期になつても宜いのではないかと私はさう考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=7
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008・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 他に御發言ございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=8
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009・飯沼一省
○飯沼一省君 私も松尾さんのやうに御進行を願いたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=9
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010・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 大體本委員會の模樣に於きましては、昨日を以て大體の御質疑は終了したやうに御見受け致すのでありますが、今各委員からも御話がございましたやうに、特別に大臣に對する御質疑があれば別でございますけれども、若しないと致しますならば、今御話がありましたやうに今日會議を續行と云ふことに致しましたら如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=10
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011・松平銑之助
○子爵松平銑之助君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=11
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012・北小路三郎
○委員長(北小路三郎君) それでは御贊成の諸氏の御起立を願ひたいと思ひます
〔起立者多數〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=12
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013・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 多數と認めます、是より質疑を續行致します、別に御質疑は…発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=13
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014・松尾國松
○松尾國松君 私は昨日御三方から理論と實際に亙つて非常に御詳しい御質問がありまして、私承つて居りまして非常に能く分りましたし、又請願法の實施に付ても、請願者の意思を尊重し親切に取扱ふ、斯う云ふことを國務大臣が答辯されまして、私は御三方の質間に對して敬意を拂ふと同時に、此の請願法の趣旨が非常に能く分りました、それでありますから、第一番に此の請願法に付ては施行規則、施行細則を設けない、從來我が國の法律は施行規則や施行細則に依つて、本筋を相當に、何と言ひますか、一つの權利と云ふものを縮小される場合が多かつたと思ひますが、さう云ふものも今後はない、斯う云ふことが明かになりました、殊に第五條にある所の親切に扱ふ、斯う云ふことに付ては、私は其の親切と云ふ意味は、御質問の要旨から答辯を聽いて見ますと、或は口達の場合もあり、或は指示の場合もあり、或は指令も含むやうに私は聽いて考へて居る次第であります、斯樣な意味に於て、此の請願法の實體と云ふものが能く分りました、此の法に於て總てを扱つて請願者の意思を十分に尊重する、斯う云ふことであります、殊に「何人も」と云ふ憲法の關係に於ても可なり廣い意味に承りました譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=14
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015・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 他に御質疑はございませぬか――大體御質疑
終つたやうでありますから、ここらで討論に移りたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=15
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016・村上恭一
○村上恭一君 その前に、私は此の機會に於きまして政府當局の御方に特に耳を傾けて聽いて戴きたいことがあるのでごさいます、それは私の年來考へて居る所であります、其の事は此の請願法に直接關係はして居りませぬか、併し本法に定める所の請願と一脈相通ずるものと考へまする、それは他でもありませぬ、世間で申しまする陳情と云ふことでございます、某の陳情の運動のことでございます、是は固より今日に始まつたことではありませぬ、年、來、餘程以前から行はれて居ることでありまするが、私の見る所ではそれが段々廣く行はれ、又段々深く行はれて參つて居るやうに思はれます、それには官廳内部に於きまして、地方の官廳が中央の官廳に對して行ひ、又下級の官廳が上級の官廳に對して行ひまするものもありますし、又一般の人民が官廳に對して行ふのもあります、又中央に於てばかりでなく、各地方に於て行はれて居りまする此の陳情の運動と云ふものは、要するに下の意思を上に通達する、下意上達と云ふことでありまするから、其の趣旨に於きまして惡いとは言へませぬけれども、其の運動が漸く甚しくなるに至りましては、其の弊害の憂ふべきものあるに違ひありませぬ、申す迄もなくそれには少なからぬ時間を要する、費用を要する、正に時間や費用の浪費でありまする、さうして又昨今殊に甚しい此の交通の混雜が、此の陳情の運動の爲に何程か激化されて居るに違ひありませぬ、それ等のことの外に、更に想像を逞しくしますれば、陳情を受ける側の關係者が、或は饗應を受けるとか、或は金錢の供與を受けるとか云ふやうな、忌はしい涜職事犯を釀し出す一つの機縁となると云ふ虞も絶無とは云へないと思ひまする、彼を思ひ、之を思ひまして、此の陳情の運動と云ふものは之を減らしたい、止めたいと思ふのでありまする、此の運動が斯樣に盛んに行はれまする所以のものは、私の解する所では、概ね此の陳情を受ける側の關係者の心構へが惡いのではないかと、斯う思ふのであります、元來官廳に對する申出は、必ずと言つても宜しい、文書を用ひて居りまする、それで申立つべきことは、其の文書に詳細に傳ふれば宜しいのであります、其の外に更に面談する、口頭で陳述すると云ふ必要はない筈なのであります、にも拘らず、左樣の申立を受けました側の關係者は、單に文書で申立てられただけでは之を取上げない、問題にしない、で、口頭の陳述があつて、初めて其の事件を取扱ふと云ふやうな風が確かにあるのでありまする、それに付て一つの挿話でありまするが、嘗て或る時、時の農林省の次官、其の人の氏名を言ふことは差控へますが、是は私が豫て信頼して居る人物であります、此の農林次官が部下の局長でしたか、課長でしたか、さう云ふ人と小聲で話をして居りまするのを私が傍で聞いたのでありますが、其の部下の係官が次官に向つて、あの何々の縣から申出て居りまする何々の事件はどう取扱ひませうか、斯う尋ねました處が、次官がまあ暫く打ちやつて置き給へと言はれました、續いて其の部下の係官が、併し實は其の件に付きまして昨日から縣廳の主任者が上京して居ります、どうしませうか、斯樣に重ねて尋ねましたのに對して、次官の答へるのに、ああさうか、それなら話を聽いてやらなければならぬ、さうして又其の事件も何とか取扱はなくちやならんな、斯う答へたのであります、即ち單に文書で申立てただけでは相手にしない、陳情があつて始めて之を取上げると云ふことを、其の農林次官、私が豫ねて信頼して居りまする其の人物が左樣に申したのであります、私は其の問答を傍聞き致しまして、つくづく感じましたことは困つたものだ、斯う云ふ情況では、陳情の運動が殖えこそすれ、減りはしない、實に嘆かはしいことだとつくづく感じたのであります、大體に於きまして此の陳情の運動が此のやうに盛に行はれますのは、今申述べました如く、陳情を受ける側の關係者の心構へが惡いんだと思ひます、此の點政府當局に於て特に御考慮を願ひたいのであります、で此の陳情は請願ではありませぬ、正式の請願ではありませぬ、併しそれと趣旨を同じうするものでありまして、此の頃流行の言葉を用ひて申しますれば、此の陳情は闇の請願であります、闇の請願を止めて、正式の請願にするが宜い、それはこの法律に謳ひまする通り、必ず文書に記載すべきものであります、さうして受理したる官廳公署に於ては、誠實に之を受理すべきものであります、此の法律に規定してありまする正式の請願が行はれますれば、彼の陳情、其の運動は之を大いに減少することが出來るに違ひありませぬ、其のやうな次第でありまするので、私は此の請願法に依る請願を出來る限り活かして行きたい、さうして其の結果、彼の憂ふべき陳情の運動を出來る限り減らしたい、出來れば全滅したい、斯う思ふのであります、此のことは行政各部に亙ることでありまするが、金森無任所國務大臣、一省の事務の擔當のない金森大臣が、行政各部、即ち政府全部を代表する立場で、今私が申述べましたことに付ての御意見を承ることが結構と存じたのでありまするが、併し是が爲に金森大臣の御出席を煩はさうと迄は考へませぬ、幸ひ此處には行政各部に關係のある、さうして其の各方面に、俗な言葉を用ひて申しますれば、睨みの利く法制局の最高幹部の御方が政府委員として御列席でございまするから、其の方から金森大臣に代る御心持を以て、以上私の申述べましたことに付ての御意見を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=16
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017・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 只今村上委員から、誠に適切なる御發言がございまして、私共實は多年其のことを念頭に置き、問題に致しまして、何とか其の陳情と云ふものに伴ふ弊害を防止、或は除去出來ないものかと云ふやうなことを、多年念頭に置いて研究して參つたのであります、場合に依りましては、或は地方に陳情受付所と云ふやうな、承り所と申しますか、さう云ふものを各地方に置いて、先程ちよつと御觸れになりました、陳情の爲に時間を取り、費用を取る、交通の困難を増すと云ふやうな、さう云ふ方面のせめて弊害だけでも除去出來ないだらうかと云ふやうなことも、實は考へた時代もございます、併し是にはまだ色々な考慮すべき點も伴ひますし、又それのみで到底先程御話のありました陳情と云ふものの全般的な弊害と云ふものを防止し得る對策とも言へませぬ、まあ實はそれは其の儘で一つの話題となつたのみに止まりましたけれども、只今御示になりましたやうな點を有らゆる面から實は排除して、考慮して參つた、まあ今囘の請願法に於きましては、最後に村上委員が御述になりましたやうな精神を十分盛込みまして、成るべく今迄の陳情と云ふやうなものは闇の所謂請願でなくして、正式の請願として、正式の文書として、法律の保護のある手段として、それが行はれるやうにと云ふことを十分考へまして、先般確か御説明申上げたであらうと思ひますが、此の請願の形式などに付きましても、現行の請願法よりも餘程樂に致しまして、容易く請願の形に於て國民の意思が官廳方面に表明出來ますやうに配慮致して居る次第であります、まあ其の方向に成るべく向ひますやうに期待して居ります、と同時に、只今御話がありましたやうに一般の役人の心構へ、比の方面に付きましては、固より十分之を考へて心構へを立直して行きますと申しますか、今迄のやうな氣持を改めて行かなければならぬ、さう云ふ點は十分注意致しまして、今後に於きましては其の法制の面と相俟ちまして、役人の心構へと云ふことに付きましても、政府としても十分の意を用ひて參らなければならぬと考へて居ります、取敢へず私政府委員としての所感を申述べましたが、只今御發言の段は國務大臣、其の他内閣の首腦部へ傳へまして、御意思の存する所を徹底致して置きたいと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=17
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018・村上恭一
○村上恭一君 只今政府委員より先刻私が申述べましたことに付きまして、全面的に贊成を表明すると云ふ趣旨の御答辯を戴きまして私甚だ滿足致しました、どうぞそれを其の政府委員たる御方だけの言葉でなしに、本當に之を理解して生かして戴きたい、十分に效果を擧げて戴きたい、行政各部に向つて適當な時期に、適當な文言を以て通達する、其の趣旨を政府部内に周密に徹底させると云ふ處置を執つて戴きたいと思ひます、全く此の陳情の運動が盛に行はれまするのは、之を受ける側の關係官の心構へが惡いのです、極端に言ひますれば陳情運動を爲す者には面會をしない、面會を拒絶する、又會つて話を聽いてもそれを唯聽き流して相手にしない、さう云ふ陳情の運動のないのこそ其の事件を採上げて本當に考へてやる、斯う云つた位に反對な、謂はば皮肉な態度を取ると云ふ位迄行きましてこそ、初めて此の陳情運動を大いに減少することが出來ると思ひます、どうぞ此の位な心組を持つて戴きたい、斯う申上げる次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=18
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019・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 他に御發言もございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=19
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020・松尾國松
○松尾國松君 をれでは一言、大變重要な問題の御答がありましたので、私一言甲上げたいと思ふのですが、希望質問をするのですが、今次長の御答の中に、此の請願法に依つて最もこの規定を能く扱つて、請願者の意思の通るやうにと云ふ斯う云ふ御話であります、一體今迄の此の官廳のやり方、殊に法制局の人が特に注意をしなければならぬことはです、大體國民に分らぬやうに出來て居るのです、何でも……、何でも分らぬやうに出來て居る、例へば新憲法の上に於て豫算其の他國務は國民に知らしむると斯う云ふことになつて居るにも拘らず、政府の出す豫算と云ふものは分らない、それは法制局は、法律でなくて自分の干與せないことだと斯う云ふことを言はれるかも知らぬが、今日迄に法律でどう斯うと云ふやうな議論はもう過ぎ去つて、國民に知らしむると云ふことが原則であるならば、もつと能く分るやうにしなければならぬ、此處で何の爲に豫算の話をするかと云ふと、此の請願法に依つて民意を暢達し、一方に於て陳情運動をなくすると斯う云ふことになります、先づ一番先に考へにやならぬことは、一番能く知らにやならぬ豫算と云ふものが分りやしない、恐らく松尾の知る限りに於ては當局も知られまいと思ひます、恐らく今日の豫算と云ふものは組んだ者の外分らぬものなんです、だから斯う云ふ點を憲法の上に於て國民に知らしむると云ふならば、もつと分り易く、例へば今度の第一の追加豫算が出て居りますが、私は法制局の次長さんに伺ひます、あなたはあれを讀んで分りますか、分ると言はれるならば私は別の席に於て應答をしてみたいと思ふ、さうするとどう言はれるかと云ふと、僕は法制局で、豫算なぞ知らんのや、さう云ふ意味で陳情をやられると云つてもやれるものぢやないのです、例へば終戰處理費は斯うやつて、斯うやつて、斯う斯うと書いてあると、それで陳情に來なくとも分る、處が日本の今日迄と云ふものは行政が政治を吸收して居るのです、行政が政治を吸收して居つて、それであるから他の御方は知らぬが、松尾に關する限りは何でも聞きに行かなければ分らぬ、一つも分りやしない、だから私は常に議會と云ふものは質問會だ、講習生で來て居るやうなものです、聞かなければ出來ない、議會に於ても豫算が一番分らぬ、であるから多くは申上げませぬが、斯う云ふ點に於て法制局は、本當に民主化すると云ふならば分りよくしなければいかぬ、豫算は僕の方ぢやないから知らぬ、法律でなくては知らぬ、そんな片輪なことを言つて居るからいかぬのです、だから斯う云ふ點に於て一體法制局は將來どう云ふことを考へるか、例へば國民に知らしむると云ふ憲法の規定は、法制局が總てを、さう云ふ關係を握つてゐる役所であるからして、さう云ふ方が最もさう云ふ方面に努力をして貰はにやいかぬ、だから私は誰が惡いとも何とも言はぬ、豫算と云ふものは簡明と詳細と二色ある、簡明は宜いけれども詳細は書いてはならぬ、ちつとも分りやしない、だから斯う云う點に於ても、請額法と同樣に民意の能く分る……、豫算の例で申しますと、陳情などは豫算がもう少し分つたら半分に減ると云ふやうに申しても宜い、それが何が何であるかちつとも分りやしない、法制局は豫算ばかりでなしに、豫算が實例であるから、さう云ふ方面に向つて國民に知らしむると云ふ、憲法の原則を國民に徹底せしむると云ふのは、法制局が私は十分なる責任があると思ふ、此の點に付て一言伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=20
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021・佐藤達夫
○政府委員(佐藤達夫君) 半分はお叱りの御言葉のやうに拜承致しましたが、兎に角總ての事柄を分り易くと云ふ點に於て、我々が出來るだけの努力をして居りますことは、手近な例で申しますと、丁度只今御審議を戴いて居ります請願法の法案と現在の請願令、「請願書ノ文字ハ端正鮮明ナルコトヲ要ス」と云ふやうな言葉を使つて居ります現在の請願令と御較べになりますれば、我々の努力の一部分は御諒察願へることであらうと思ひます、是は法令の分野の面でありますが、只今御指摘になりました豫算の關係、是は豫め松尾委員から一本釘を差されて居るのでありますが、是は實は法制局は仰せの通り直接豫算の編成には觸れませぬので、どうと云ふ直接の立場から申上げる譯には參りませぬが、今の豫算がむつかしくはないかと云ふ御所見に對しては、私の至らぬ故かも知れませぬが、個人として之を見た場合になかなかむつかしいものだと云ふ感じを持つて居ります、併しそれは豫算と云ふものの本質、性質からどうしても徹底的に分り易くは出來ない限界線があるんぢやないかと私は實は思ふのでありますが、それは別と致しまして、實は此の豫算の組み方等に付きましては、恐らく今期議會に於て御審議を受けることと相成ると思ひますが、今囘の昭和二十二年度以降の豫算の組み方は、今迄の豫算の組み方とは餘程變るやうであります、私はちよつと、雛形を見たことがありますが、今迄よりは少しは分り宜いんぢやないかと云ふ感じを持ちました、さう云ふ方向の努力は大藏省でやつて居りますので、私共の方は御手傳ひの程度ですが、私共も關心を持つて居るのでありまして、十分努力はして居るのであります、只今御指摘のやうに、新憲法に於きまして、財政其の他に付て國民に周知させなければならぬと云ふ明文がございます、其の明文から申します措置と致しましては、更に財政法と云ふやうな法律案の方に於きまして、周知徹底の方法を、例へばラジオに依るとか新聞等の手近な方法に依て、分り易い、又普通の正式の豫算と云ふものとは違つた分り易い形を取りまして、之を周知せしむると云ふ方法も今考へて居りますので、彼是相俟つて參りますれば、只今松尾委員の御指摘のやうな所に餘程近附いて行くのではないかと思ひます、尚將來も益益努力して行きたい所存で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=21
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022・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 別に御質疑はございませぬか、大體御質疑も終つたやうでございますから、本法案の討論に移ります、御發言がございましたら御自由に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=22
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023・村上恭一
○村上恭一君 私は本案に贊成致します、此の法律は改正憲法第十六條に直結するものでありまして、どうしてもなくてはならぬものでありまする、此の形式が果して法律たることを要するか、或は政令にても足るか、多少疑問はありまするが、併し之を法律にしては惡いと云ふことはないと思ひまする、現在の勅令の請願令に代るものであります、此の規定の内容、現行の請願令と本案の請願法と比較しますると、趣旨に於ては勿論違ひはありませぬが、唯請願の手續を簡單にするとか、其の他若干變更はありますが、其の變更も別に惡いことはないやうに思ひまするが、大體に於きまして是は一般民衆の爲に設ける規定でありまして、それが簡單に分り易く出來て居ることは結構であります、むづかしい條件なく請願することが出來ると云ふのも結構と思ひまする、要するに本案各條項、別に異議はございませぬ、本法の第五條に、請願は關係官公署に於て誠實に處理すると云ふことが定めてありまする、此の官公署に於て請願を誠實に處理すると云ふことが此の請願法の生命であります、此の法律の眼目中の眼目であります、此のことをどうぞ十分活用して戴きたい、此の規定を遺憾なく活かして戴きたい、斯う思ひまする、私はさう云ふ心境に立ちまして此の法案に贊成するのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=23
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024・松尾國松
○松尾國松君 私も本案に贊成する、先程も一言申しましたが、昨日來各委員の御方から御質問になり、それに對して大臣及次長からも今日も御答になつたことを、答辯の爲の答辯でなく、之を現實に答辯の通り實行して戴く、斯う云ふことを申し加へて原案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=24
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025・佐々木惣一
○佐々木惣一君 私も原案に贊成致します、唯今村上委員の仰しやつた誠實に處理すると云ふあのことの適用に付て、非常に意を用ひられることを希望するのです、それは實は現行の請願令にはああ云ふ規定は文句としてはないのです、併し請願令の解釋に依りますれば、もう當然のことであると云ふ風に我々は解釋し來つたのであります、一體請願は、言ふ迄もなく是迄は所謂臣民の權利、只今は國民の權利と云ふか、兎に角權利でありますが、其の權利の内容、從つて之に對する國家、或は國家機關の義務と云ふものの内容に付きましては、是迄相當と云ふ程ではありませぬですけれども議論がありまして、少し亂暴な説に依りますと、請願は唯之を受理すると云ふことを以て、請願權に對する義務が盡されて居るのであると云ふのもあります、之に對しまして又極端なのは、請願と云ふものは希望の通りにせなければならぬものである、或は請願に依つて希望して來た通りにするやうに努力しなければならぬものであると云ふやうな説もあるやうでありますが、私共は從來の解釋としては、其の何れにも贊成しないのであつて、之を受理したら宜いと云ふやうなことは實に極端な議論でありますが、現にさう云ふ人がある、併し又同時に國民の言つて來た通りにすると云ふやうに考へて請願を處理すべきものであると云ふのも、請願權の本質を誤つて居ると私は思つて居つた、然らばどうかと申しますと、少く共、其の請願の内容を非常に……詰り結局私共の言ふ言葉が出て來るのでありますが、誠實に檢討して、さうして本當に國民の意思のある所を察して、さうして請願の通りにすべきや否やと云ふことを眞に檢討する、それが、即ち義務だ、さう云ふことを要求すると云ふのが請願の權利である、斯う云ふやうに我々は考へて居るのですから、さう云ふ意味に於きまして、此の誠實と云ふ言葉は從來はございませぬでしたけれども、私の解釋では當然の事と考へて解釋して居るのです、今度は國法の規定にはつきりと誠實と云ふ文字が出て來ましたことは、是はもう詰らぬやうなことでありますけれども、私が本案に非常に贊成致す理由の一つです、元來、今度政府が新憲法の制定と共に直ちに此の請願法と云ふものを出されたと云ふことは、私は非常に贊成して居るのであります、法律上當然であるけれども贊成して居るのでありますが、それは御存じの通りに、前の帝國憲法の時には、請願の規定を制定すると云ふことを豫想して居つたのにも拘らず、實は久しい間其の手續がなかつた、事實請願と云ふものが出來なかつたと云ふやうな、是は昨日金森國務大臣からも御話になりましたが、實に不だらなことをやつて居る、今度は新憲法と同時に直ちに請願法の提出をなされたと云ふことは、私非常に是は贊成して居ることでありますから、此の趣旨を、此の根本の精神と云ふものを個個の場合の適用に誤りなく即ち誠實に行はれむことを、分り切つて居ることでありますけれども、特に希望致しまして、さうして大いに此の本案に贊成の意を表する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=25
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026・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 外に御發言ございませぬか――別に御發言もないやうでありますから、本法案の採決に入りたいと存じます、本案は政府の提出原案通り可決致しまして御異議がございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=26
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027・北小路三郎
○委員長(子爵北小路三郎君) 御異議ないと認めます、仍て全會一致本案は政府提出の原案通り可決することに決定致しました、之を以て散會致します
午前十一時三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=27
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028・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 子爵 北小路三郎君
副委員長 男爵 沖貞男君
委員
候爵 佐竹義榮君
子爵 松平銑之助君
子爵 井上勝英君
佐々木惣一君
村上恭一君
渡部信君
男爵 高崎弓彦君
男爵 斯波正夫君
飯沼一省君
松尾國松君
政府委員
法制局次長 佐藤達夫君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009201999X00219470219&spkNum=28
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