1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
付託議案
○船舶公團法案
○石油配給公團法案
○配炭公團法案
○産業復興公團法案
○貿易公團法案
○價格調整公團法案
―――――――――――――――――――――
委員氏名
委員長 伯爵 後藤一藏君
副委員長 男爵 内田敏雄君
侯爵 東郷彪君
侯爵 大炊御門經輝君
伯爵 金子武麿君
子爵 柳澤光治君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 牧野忠永君
男爵 松田正之君
男爵 肝付兼英君
中村藤兵衞君
田部長右衞門君
竹中藤右衞門君
渡邊三郎君
鹽田團平君
岸本彦衞君
朽木嘉郎君
小汀利得君
村上巧兒君
―――――――――――――――――――――
昭和二十二年三月三十日(日曜日)午前十一時七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=0
-
001・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは只今から船舶公團法案外五件の特別委員會を開催致します、初めに運輸大臣からの御説明を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=1
-
002・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) それでは船舶公團法案の提案理由に付御説明申上げます、本會議に於て申述べましたる如く、我が國の海運は全く壞滅に等しい状態にあるのでございまして、戰前六百數十萬トンの船腹を保有し、米英に次ぐ海運國として世界に雄飛致しましたる我が國海運界も、今日殘存船腹僅か百三十萬トン、戰前の五分の一程度となつて居るのであります、而も船舶の性能に至りましては、戰時急造の標準型船舶が其の大部分を占め、他は殆ど老齡船でありまして、故障續出し、輸送能率亦著しく劣惡でございます、之が爲今日陸送貨物の海上輸送への轉換が各方面より強く要望せられて居りますにも拘らず、之が實施は異常な困難を伴ひつつある状況であり、又明年度の物資需給計畫も、海上輸送力の飛躍的なる増強なくしては、到底之が完遂を期し得ないものと認められるのでございます、一方現在の海上運賃は一般物價に比して著しく低位に据置かれて居りますに反し、新造船價及び修繕料は勞銀竝に資材の急激なる値上りに依りまして、著しく昂騰して居りまする爲、海運業者は新船の建造は固より、現有船舶に要する所の修理、改造を施すことすら容易に之を爲し得ない状況でございます、殊に我が海運界は軍需補償の打切りに依りまして巨額の投資を期待することは到底望み得ないのであります、從つて新造船價、修繕費等にして現在の運賃率より見て、業界に負擔せしめることの困難な部分に付きましては國家が之を負擔して船舶を共有し、海運經營に對する民間の企業心を萎靡せしむることなく、急速且圓滑に當面の船腹増強對策を實施するを必要と認め、茲に國家の代行機關として船舶公團を設立することと致した次第であります、船舶公團の當面の業務と致しましては、所謂續行船舶約三十六萬重量トンの建造に關する業務を、先般閉鎖されました産業設備營團より承繼し、之が急速なる完成を圖りまする外、現有の非能率船約十五萬重量トンの改造、修繕を實施し、沈沒船約十三萬重量トンの引揚修理を行ふ豫定であり、是等は何れも昭和二十三年度未完了を期して居ります、尚船舶公團としては、右の業務の外、舊海軍工廠拂下資材の配給に關する事務及び聯合國に返還すべき拿捕船舶の管理に關する事務等をも附帶的に行ふことと致して居ります、船舶公團の組織に付きましては、概ね從來の此の種機關と同一の方式を取つて居るのでありまするが、其の業務の運營に當るべき役職員に付きましては、政府の責任を明確ならしめる趣旨より、之を政府職員とすることとなつて居りまするが、之が運用に當りましては、民間の知識經驗を十分に活用致しますと共に、嚴正且能率的なる業務の遂行を圖りたいと考へる次第でございます、以上を以て船舶公團法案の説明を終りまするが、右に申述べたる如く、船舶公團は、今日の産業竝に海運事情より見まして、是非共早急に之を設立する必要があるものと存ぜられ、又關係方面よりも強く之を要望されて居りまするので、本法案に付きましては、會期切迫の折柄ではありまするが、十分御審議の上御協贊あらむことを切に希望致す次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=2
-
003・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御質議はございませぬか、議事の進行に付て何か御注意がありますれば、此の際伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=3
-
004・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 何か本法案に對する參考資料を戴くものがございますれば戴きたいのですが、政府の方で何か御用意がございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=4
-
005・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 參考資料は委員課の方に廻してありますから、恐らく配付の運びに至るだらうと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=5
-
006・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 本委員會は船舶公團法外五件が付託されて居るやうでありますが、此の船舶公團法は相當重要な法案でありまして色々御質問も多くあることと思ひまするし、尚所管の主務官廳も船舶公團法と外とは別々になつて居る關係上、此の船舶公團法案だけ切り離して、先に一つ御審議、御採決願ふやうにしたら如何かと思ひますが如何なものでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=6
-
007・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 如何でございませうか、皆さんに御異議ございませぬでせうか
〔「贊成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=7
-
008・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議がなければ左樣に進行致すことに決定致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=8
-
009・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 此の船舶公團の基本金は三億圓とありますが、まだ本法案を拜見しませぬから能く分りませぬけれども、隨分厖大な資金を要することと思ひますが、之に付て何等制限なく幾らでも矢張り復興金融金庫から金が出ると云ふものでせうか、それに對して利子とか何とか云ふものが公團の負擔ではない、所謂無利子なんでせうか、さう云ふ點は如何なものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=9
-
010・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 大對現在計畫致して居ります此の船舶公團の事業經營と致しまして、全體で資金が二十億圓ばかり要ることに豫定されて居ります、其の中で基本金三億、其の三億圓を本と致しまして、設備をどんどん補充して參る譯でありますから、それが所謂擔保力になりまして、御指摘の復興金融金庫から後を借りて行くと云ふ仕組であります、固より復興金庫より資金を借ります時には、利息は一般通りにすることになつて居りますから、公團が其の利息を負擔する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=10
-
011・竹中藤右衞門
○竹中藤右衞門君 第十五條の「但し主務大臣が經濟安定本部總務長官の承認を受けて給與、服務その他必要な事項に關して特例を定めたときにはこれによるものとする」、是は一般の他の公團にも同じやうな條項があるやうでありますが、今後民間人を御採りにならうと云ふのには相當給與を良くしないと、是はどうも民間人を拔擢することは出來ないと思つて居ります、斯う云ふ點の是は御用意かと思はれるのでありますが、是は餘程其の點は思い切つた待遇をなさらないと民間人は採れないと思ふのです、此の點は如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=11
-
012・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 此の公團は政府職員たることを原則として居りますが、政府職員と申しましても、勿論民間人を大いに活用致したいと考へて居ります、從つて現在官吏の給與も相當改善はされつつありますが、矢張り民間との開きが相當ありますので、茲に特例を設けまして有能なる民間人を比較的活用出來るやうに、十五條の三項を規定した次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=12
-
013・金子武麿
○伯爵金子武麿君 今の御答辯に關聯して實例をちよつと申上げるのでございますが、私の關係して居る範圍に於て、例へば十五條に關聯して人を採ると云ふから、出せと云ふ御話が安定本部にありました、今内審査の程度で、其の際に例へば課長をして居る者を主任事務官的の所へ採るとか、取締役をして居る者を部長若しくは課長級に採ると云ふやうなことで、今竹中委員の仰しやつたやうに餘程思ひ切つて採つて戴かないと、思ひ切つた方策を御考へにならないと、唯基準とか卒業年度で學歴とか云ふものを御覽になると、實際仕事の出來る人間は學歴がないのもある、それが爲に一例を申上げると、取締役、是はどうもいかぬから課長とか云ふやうな經緯もそろそろ起つて居りますから、其の點は公團の職員を御採りになる時に今竹中委員の仰つしやつたやうに餘程思ひ切つて採るやうな御決心がないと、公團の完全な運用と云ふものはちよつと人的要素が揃はないと云ふ危險が全體にあるやうでありますが、其の點を御注意願ひたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=13
-
014・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 只今の第十五條の御質問に關聯して伺ふのでありますが、此の條文の中に「同級又はこれと同格とし」と云ふ意味が入つて居りますが、此の區別はどう云ふ區別になつて居るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=14
-
015・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 十五條の一項に「役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする」と書いてあります、官吏となれば、所謂一級或は二級、三級でありますが、官吏でない者に付きましては、一級とか二級とか云ふ官吏の俸給と言ひますか、所謂昔の勅任、奏任と云ふやうなことが其の儘嵌りませぬので、それで之を同格と云ふ言葉を用ひたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=15
-
016・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 「官吏その他の政府職員」と云ふ待遇は、例へばどう云ふ取扱ひをするのを政府職員と呼ばれるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=16
-
017・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 政府職員と申しますと、所謂ガヴアーメント・エンプロイーと云ふので、政府からその給與なり俸給を支拂ふ、斯う云ふことでありまして、現在では囑託とか、さう云ふやうなことでありますが、御承知の通り此の法案は今囘日本と致しましても新しい試みでありますので、從來の仕來りと云ふやうな、さう云ふ意味ばかりに解せずして、要するに此の船舶公團と云ふのは、純然たる官吏、さうでない人が居る、併し其の俸給、給與は政府から豫算を取つて拂ふ、斯う云ふ仕組になつて居ります、從ひまして政府職員は官吏の一般法令に從はなければならぬと云ふことが原則であります、飽く迄責任を持たなければならない、併し官吏の通りの行き方では實際の動きが十分でなからうと云ふので、其の特例を設けまして、要するに民間人も十分に採用することが出來ると云ふやうな仕組を必要とした譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=17
-
018・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 只今の大體の御説明は分りましたが、さうすると採用される場合の官吏と政府職員とを何を以てさう云ふ區別を付けられるのでありませうか、それから其の種類を分けた爲に、そこに官吏と政府職員との差別は、唯俸給を、直接何と申しますか、内閣から貰ふ、其の公團から貰ふことの違ひだけでありませうか、それとも政府職員は兼職を許され、官吏は兼職を許されない意味合を含んで居るのでありませうか、其の邊の意味合を承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=18
-
019・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 要するに官吏も其の儘公團に入れる場合も矢張り考へられる譯であります、左樣な場合には強ひて月給を上げたり、別の待遇をしないでも宜い、併し先程來も申しますやうに民間人を大いに活用しなければならない、其の時に官吏と同じやうな月給其の他の待遇ではなかなか民間人は良い人が採れない、さう云ふ人は初めからガヴアーメント・エンプロイーでありますが、同格と云ふ意味なのであります、其の邊の所は經濟安定本部、其の他此の公團による商工省方面とも纏めまして、略略同樣の行き方をしたいと今目下研究中のやうな次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=19
-
020・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 同格と云ふ意味がはつきり致しませぬが、只今の御説明に依ると、資格としては同格であつて、實際上の給與の上に付ては多少考慮される餘地もあると云ふ風にも伺つたのでありますが、其の他活動の上に於て官吏と同樣の拘束を受け、責任を負ふと云ふことになるのでありませうか、其の邊を一つ伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=20
-
021・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 此の三項にもありますやうに、官吏に關する一般法令に從ふのでありますから、民間人から採用した人も原則としましては官吏に關する法令に從ふのであります、併し其の同格と云ふ言葉を用ひましたのは、官吏通りではない、併し例へば細かい話になりますが、出張するとか、色々さう云ふやうな問題がありますが、さう云ふ時には政府では一級官吏、二級官吏、三級官吏、それぞれ出張旅費なども違ふ譯であります、從ひまして民間から採る人も一級官相當官と言ひますか、二級官相當官、三級官相當官と云ふやうな區別が自ら出來まして、出張旅費其の他の扱ひに付きまして三つの區別をしたい、斯う云ふやうな意味で同格と云ふ言葉を使つたのであります、それからもう一つ洩らしましたが、他職兼務は原則として許されて居りませぬが、例へば現在官吏である者が此の公團の役員或は職員を兼任して行くと云ふことは、此の公團の性格から見まして、是は許さるべきものであると斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=21
-
022・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 官吏の方が御話のやうな兼務を許される、さう云ふ意味の兼務と、それから政府職員が其の仕事と、他の民間の仕事を兼務すると云ふ點に付てはどう御解釋になりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=22
-
023・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 他の民間人に付きましては十四條に書いてありますやうに、例へば海運業であるとか、或は造船業であるとかと云ふやうに、此の公團の仕事と利害關係のある者は兼務が許されない、併し一般の、例へて見ますれば、是と關係ない金融人とか、左樣な人が政府職員としまして兼務すると云ふことは、此の法律では差支ない、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=23
-
024・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さう致しますと、獨占禁止法にもあるやうに、政府の職員と云ふものは、大體に於て他の會社三つ迄は兼務が出來ると云ふ風に解釋致しても宜しい譯なのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=24
-
025・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 法律的には左樣な解釋も成立つと思ひますが、實際問題と致しまして、此の公團の仕事をやつて貰ひますのに、餘り澤山な兼務になると云ふことは自ら不適當であるやうに存ずるので、現在考へて居りますのは一つ位の兼務なら差支ないのだらうと斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=25
-
026・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 餘りに細かいことに入りますが、最近の俸給令の改正に伴つて、色々な俸給に附屬して居るものを全部一括して是が月給制度のやうに官吏はなつて居るやうでありまして、ボーナスと云ふものは全然官吏にはなくなつて居るやうな現状なのでありますが、此の政府職員の方に對してはさう云ふボーナスと云ふやうな點は別個に考慮されるのでありませうか、それともさう云ふことは他の仕事に依つて補ふと云ふ風に考へても差支ないのでございませうか、其の邊の所を一つ伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=26
-
027・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 此の公團は勿論さしたる利益はございませぬが、併し兎も角收支を償ふやうな經營になるだらうと云ふことを豫想して居ります、從ひまして、官吏のやうに全然賞與を與へないと云ふやうなことは考へ得られないのでありまして、矢張り或程度の賞與の如きは、與へた方が然るべきであらう、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=27
-
028・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さうなりますと、官吏として此の公團に入つて來られた方も同樣、其の賞與は受け得る譯になるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=28
-
029・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) それは相當問題でありまして、官吏と致しまして、最低の生活を保障されれば、純然たる官吏としましては、それで滿足すべきだと思ひます、一般民間人の給與と同じやうに、賞與を其の儘與へると云ふことは、聊か當を失するのぢやなからうかと考へて居ります、其の邊の所は一つ具體的問題に處しまして、一般の純然たる官吏と、又其の他の民間人から起用した政府職員との均衡の問題を考へながら、善處しなければならぬと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=29
-
030・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 大變苦しい御答辯を承つて、御同情に堪へませぬが、そこに私は此の公團の非常な難點があると思ひます、仰しやることは理窟の上からは、私達は決してそれを否定致しませぬが、實際問題として其の場に臨んだ時々、果してそれで官吏が滿足するか、又同時に政府職員となる者が、それに對してどう云ふやうな感じを持つかと云ふやうなことは、非常な私はデリケートな問題になつて來るので、勿論國家の爲に私を捨てると云ふ精神の上から言へば問題にすべきことではないと思ひますが、實際問題としては、私はそこに非常な難點が生じて來るだらうと思ひますが、此の點は其の時になつてからと云ふことでなくて、豫め何等かの手段を御考になつて、御置きにならないと、矢張り是ぞと思つて狙つた官吏は來ないと云ふやうなことにもなり、それからそれを調整しようとすると、政府職員に今度は良い人が來ないと云ふやうなことで、非常なヂレンマがそこに出來ると云ふことを惧れるのでありますが、此の點は一つ十分御研究を願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=30
-
031・岸本彦衞
○岸本彦衞君 今の報酬で、第二十二條に「船舶公團は、その役員及び職員に對して、特別の報酬を與える必要があるときには、その報酬規程」云々と書いてございますが、是は特別の報酬と云ふものは、どう云ふ場合のことを豫想して居られるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=31
-
032・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 一般定期的に與へる給與に付きましては、先程十五條でありましたか、給與に關する特例で行くのでありますが、此の二十二條に考へて居りますのは、定期的の給與でない、例へば退職金の問題であるとか、或は慰勞金であるとか、旅費とか、さう云ふ問題は特別措置で給する、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=32
-
033・岸本彦衞
○岸本彦衞君 それでは先程肝付君からの御尋になりました賞與金と云ふやうなものとは、全然關係のないものでございますか、それも此の中に含まれて居るのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=33
-
034・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 賞與の如きは定期的のものでないと云ふので、或は二十二條に含めた方が宜いのぢやなからうかと考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=34
-
035・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 運輸大臣から發言を求められて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=35
-
036・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 肝付男爵と岸本さんの種々御質問でございますが、私から一つ此の方針に關するやうですから、申上げたいと思ひますが、要するに皆さん御承知の通りに、産業設備營團は一つの謂はば商賣的の、公共的の仕事はして居りましたけれども、企業團體としての仕事をして居つた、それが今度船舶公團と云ふものを設けて、關係方面の了解を得て、併し仕事は矢張り一つの企業主體として出發する譯でございます、從つて商賣的の心持が餘程勝つて居りますから、本當に此の方面に煉達堪能な實業界人に是非御願いしたい、それが爲には、實業界の方々は、相當の報酬とか給與を取つて居られるのでございまして、色々な業務を兼務することを禁止しながら、而もこちらは官吏竝みの給與しか差上げないと云ふことでは、到底民間の煉達堪能の人材を御願いすることが出來ませぬから、さう云ふ趣旨の特例でございます、從ひまして、官吏から斯う云ふ方面に轉ずる者がありましても、矢張り同じく官吏でございますから、之に對しては民間の煉達堪能の士と同樣な給與をすると云ふことは、常識上面白くない、特例としてはさう云ふ場合があるかも知れませぬが、要するに廣く民間の煉達能堪、學識經驗者を招聘したいと云ふ趣旨からの特例でございますから、其の趣旨に則つて諸給與を差上げる、報酬を差上げる、斯う云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=36
-
037・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 大臣の御趣旨は能く分りましたが、實際の運營上から參りますと、さう云ふ制度で、同じ一つの公團の中で仕事をする場合に、官吏と、それから民間人が、全く遊離してしまふことを非常に恐れるのであります、是は私太鼓判を捺して申上げて宜いと思ふのであります、そこで官吏として來られた方は、官から來られた下役の人に全部廻りを取り圍まれます、又民間から來られた方は、民間から自分の採用した者に皆取り圍まれてしまふ、全く二つに分れてしまつて、遊離してしまつて、そこが圓滑に行かない問題と云ふものが、私は必ず起ると思ふのですが、之をどう云ふ風に調整される御考でありませうか、其の調整の方法如何に依つては、或は運營が出來るかも知れませぬが、此の調整がない限り、私は恐らく動かなくなつてしまふと云ふことを非常に恐れるのであります、御意見がありましたら承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=37
-
038・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 肝付男爵の御意見、誠に御尤もでございまして、私が今申しました趣旨は、廣く民間の煉達堪能の學識經驗者を招聘したい、斯う云ふ趣旨から、經濟的に餘り御不自由をおさせしては、到底民間のさう云ふ立派な方々を招聘申上げることが出來ないからと云ふのが、法案十五條或は二十二條の趣旨でありまするが、今仰しやつた官吏に付ては、特例を設けることを敢て妨げないのでありまして、私が特別の場合と申しましたのは、そこであります、併し原則としては、民間の煉達堪能の士を招聘する爲に辭を低くし、禮を厚くして招聘したいと云ふのが、十五條乃至二十二條に現れた精神であります、從つて官吏が其の場合に同じ役職員でありながら、一方が給與が低いと云ふやうなことは、必ず二つが遊離した状態になつたり、或は色々公平、不公平の問題が起つて、うまく一つの運營體として立派に仕事が運べないのぢやなからうかと云ふ御心配は御尤もでございまするが、併し官吏で參りましても、同じく官吏でございまして、今度は官吏と官吏と云ふ問題が起きて、他の全官公の問題とか、さう云ふ大きな問題も起きて來ますし、是は余程考へませぬと、官吏と致しましては、船舶公團に參りましても亦出たり入つたり致します、又例へば經濟安定本部へ歸つて來るとか、大藏省に歸つて來ると云ふやうなことになり、出入り自在でありますが、民間の方は、さう云ふ出入り自在と云ふ譯にも參りませぬし、出た時には給與が高く、入つた時には給與が三分の一と云ふことになるのでも困りますし、其の間の調整もございますから、原則としては、官吏は官吏並みで我慢して戴く、御心配の點は、調整の點は努力致します、左樣御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=38
-
039・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 其の邊のことは、手拔かりなく御承知のことと思ひますが、給與が少い割合に官吏は、民間から入つた方々と違つて、何と云つても法的の權限を持たれる場合が多いのでありますから、仕事の上で結局、民間人が折角積極的に活動しようと思つて計畫したことも、法的根據を盾に取つて、動もすると阻まれる憂が非常に多いのであります、それが正當な理論の上からのみ解釋されればいいのでありますが、そこに俸給問題が絡んで來て、彼の方が多いのだから、此處で抑へてやらうと云ふやうなことで、妙な感情から、折角の能率的な仕事が抑へられると云ふやうなことが、間々現實にあるのですが、其の弊害に落ちないやうに、十分其の邊の所を御研究を願ひたいと思ひます、尚只今の問題とは變りますが、先程の御説明の通り、船舶の非常な不足と、それから現在動いて居ります船の修繕の迫つて居るものが、非常に多い状態であります、處で御承知のやうに、石炭の三千萬トンの増産に付きまして、石炭を増産すると同時に之が輸送の施設……、鐵鋼船竝に機帆船の問題に入りますが、現在は細々ながら動いて居つても、兎に角修繕其の他は、非常な費用を要しますし、資材が不足な爲に、已むを得ず修繕もしないで、無理に使つて居る船が現在相當多いやうなのであります、此の儘修繕をせずに無理をして使つて、愈愈とことん迄船を磨り減してしまふやうなことになると、其の時に輸送の非常に困つた問題が、石炭の三千萬トン増産に附隨して當然起つて來る問題なのであります、此の點に付ては、政府の修繕等に對する資金繰りと、それに對する鐵材が相當要りますし、其の他船の修繕等に熟練して居る職工と云ふものが少い、其の上に電力の制限等に依つて、思ふやうに修繕が出來ないと云ふやうな、惡條件が重なつて居ります現状に於ては、何か特別な御措置を戴きませぬと、石炭の増産は、恐らく私は不可能だと見て居るのであります、政府としては石炭増産の爲には、特に製鐵方面にも石炭を廻し、其の他の資材も鐵工業には廻すと云ふことにはなつて居りますが、それが石炭増産直接の使命のみに重點が置かれて居つて、船腹が其の増産に重大な直接關係を持つと云ふ點を、どの程度迄御考慮になつて御計畫になつて居るのでございませうか、其の邊に私は非常な不安があるのでございますが、此の際其の點を一つ伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=39
-
040・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 肝付男爵の御指摘の點、誠に御尤もであります、動もすると、石炭の増産々々と云ふ問題が起ると、其の方ばかりに重點を置いて、肝心の足の問題を忘れがちになる傾向があるのであります、從ひまして我々としましては、經濟安定本部の方に罷り出まして、石炭の三千萬トン生産計畫と同樣に、輸送の問題を忘れてはならぬと云ふので、輸送の問題に付きまして、安定本部に參りまして、石炭の増産問題と併せて考慮して、色色な具體的計畫を立てて居るやうな次第であります、そこで今の船舶の修繕の爲に、非常に困つて居るものが相當あるのでありまして、我々としましては修繕第一主義と云ふことを標榜致しまして、さうして關係方面と折衝しまして現在の所は資材を優先的に渡すと同時に新圓を、例へば三割五分ばかりは新圓で拂ふやうな措置を講ずるとか、或は電力の問題に付きましては、具體的に應じまして制限を解除すると云ふやうな手を打ちつつあるのであります、電力の問題は御承知の通り、相當送電關係に依りまして、一つの造船所を助けたいが、さうなると其の送電電氣の爲に他のものに同時に制限を解除しなければならぬと云ふやうな、相當困る問題もあつたのでありますが、もう昨今では豐水期になりまして、此の問題も解決致したと思ひます、そこで資材の問題でありますが、資材も先程申しましたやうな修繕第一主義を標榜致してやつて居ります關係上、相當年度計畫としての割當は受けたので、唯如何せむ、全體の鋼材の問題が非常に少い爲に、第一四半期の計畫としましては、是は單に船舶ばかりではありませぬが、全體に非常に割當が少いやうになつて居ります、是は非常に遺憾であります、併し幸にしまして、船舶關係では終戰後海軍工廠より引入れた資材があります、さう云ふものをやりくり致しまして、修繕の促進と云ふことに大いに努めたいと考へて居ります、と同時に、今囘の船舶公團を設立致しましたのも、經常修理は別でありますが、大修理、改造と云ふことを此の公團の手に依つて大いに促進したい、此の公團を作る一つの目的も、今肝付男爵の仰せになつたことも一つ狙はれて居るやうな譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=40
-
041・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さう云ふ御趣旨は非常に結構だと思ひますが、今日石炭三千萬トン増産の爲に、特に炭礦勞務者のみに非常な恩典を與へて居る譯でありまして、食糧の増配から賃銀の昂騰迄、先般來大分色々議論がございまして、到頭昨日かの閣議に於て、坑内夫九十五圓、坑外夫七十圓出すとか云ふ風に賃銀が上つた爲に、約十五億六千萬圓の三月迄の臨時支出を認められると云ふことで、非常に石炭の坑夫に付ては優遇をされて石炭の増産に努めて居られるのでありますが、此の船舶方面に付きましても、板子一枚下は地獄と云ふやうな海上生活をするのだ、是が一體炭礦の坑の中の勞務とどれだけの差があるか、我々と雖も相當な地獄のやうな生活をしなくちやならぬ、而もそれが石炭の増産に缺くべからざる輸送を受け持つて居るのに、我々の賃銀を上げて呉れないと云ふのはどう云ふ譯だ、我々も賃銀を上げて欲しいと云ふやうな要求も切實に今起つて居りまして、是は炭鑛勞務者よりもうんと高く給料を要求して來て居るのであります、是等を或程度解決すると云ふことになりますと、自然運賃と云ふものが相當に上つて來なければならぬ、さう云ふことの爲に運賃が上つて來る爲に、修繕費に廻す餘地は今の所全然考へられない、そこで此の公團が修繕を第一主義と考へて戴くのは宜いのでありますが、それに要する費用と云ふものが實際船腹を運營して居るものから申しますと、修繕費の豫定が付かない、其の金繰りが付かないと云ふ所に、非常な惱みがある譯でありまして、此の點は修繕を第一主義とされると同時に、其金のをどう云ふ風にして御融通になりますか、或は船賃を上げるとか、特別に公團は公團としての何か多少補助的な考から修繕をしておやりになるやうな方法も考へられるのでありますか、其の邊の所を一つ伺つて置きたいと思います発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=41
-
042・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 海上運賃が低い爲に船主經濟の合はないと云ふ現状は、仰せの通りであります、併し之を、所謂汽船と機帆船と分れる譯でありますが、汽船に付きましては御承知の通り、船舶運營會を通じて一元的に運航して居りますので、其の足らざるものは政府から補助と云ふことにして、來年度の豫算も約十二億何千萬圓と云ふものが出て居る譯であります、問題は機帆船で相當問題を起して居る譯であります、そこで機帆船の運賃を上げなくちやならぬ、又同時に如何に運營會でやつて居ると言ひましても、出來るだけ國庫の補助を少からしめる意味に於きましても、我々の立場としましては汽船の運賃も上げて、さうして政府の補助と云ふやうなことをなからしめる形態が宜いのでなからうか、斯樣に考へて居りますが、非常に是は問題がありまして、一方鐵道運賃との關聯もございまして、鐵道運賃も今の所では相當上がるやうに進まれつつありまするが、何と申しましても現状から言ひますと、海上運賃の方が鐵道より高い、是は非常に不自然な現象でありまして、どうしても鐵道運賃よりも海上運賃が安いと云ふのが自然の現象であります、そこへ持つて來て、海上運賃が現在の鐵道運賃より高いのに、又そこへ引上げると云ふことは、運賃政策の見地から申しますれば、非常に其處に問題が生ずる譯であります、それで現下の段階と致しましては、鐵道と海上と歩調を合せながら、何とか運賃の調整を圖らうと云ふやうに進みつつありまするが、同時に此の向きを放つて置いては機帆船界も參つてしまふだらう、斯樣に考へまして、機帆船の運賃を陸上運賃竝に本船の運賃と睨み合せまして、可及的に上げる餘地のある限り運賃を上げまして、其の足らざる分は或は石炭價格の所謂格差補給と云ふやうな形で、石炭の方から別の附加金としまして機帆船の方へ廻して行くと云ふやうな方途を講じたらどうかと云ふやうな考で今進みつつあります、それから金融の問題はどうかと云ふことでありますが、汽船に付きましては、運營會を通じて金融の道も見通しが附いたのであります、木船に付て現在私の記憶では七千萬圓でございますか、其の程度の修繕費の金融をして呉れと云ふ要求がございまして、それを今復興金融金庫と交渉中でありまして、大體さう云ふ線で宜いやうになるやうな話を進めつつありまして、大體の了解は得つつある次第であります、そこで公團がどう云ふ工合にそれを手傳つて行くかと云ふ問題でありますが、實は公團で扱ひますものは、經常修理は公團では扱はない、今沈船を引揚げた分に對する大修理をやるとか、或は其の邊に擱坐して居るものを所謂長期修理と云ふか、大修理、改造に近いやうな修理を公團でやりたい、斯樣に考へて居りまして、さう云ふ問題に付きましては公團と船主とのそれぞれの共有關係に於きまして修理を促進しよう、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=42
-
043・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 只今のやうな大修理だとか、或は引揚作業と云ふやうなことを御計畫のやうでありますが、サルベージ方面でも、御計畫に對するさうした專門的な人間と云ふものの補給が十分付く御見込なんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=43
-
044・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) 此の公團は、此の業務内容にも書いてありますやうに、船舶の製造にしましても、或は沈船の引揚にしましても、さう云ふものの注文をする役割を果して居るのでありまして、實際沈船を引揚げる仕事それ自體は、勿論引揚業者に頼んでやらせるのでありまして、或程度の專門家は必要でありますが、自から其の仕事をやるのではありませぬので、大體の見當と常識が備つて居れば宜いだらう、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=44
-
045・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さう云ふ民間のさうした設備等に付ても、民間自體がなかなか色々な問題で苦んで居る爲に、政府の注文に應じ得ない場面が非常に多いと思ひますが、さう云ふ民間のさうした事情と云ふものに付て、十分御調査が出來て居るのでありませうか、それから又造船方面に付ても、造船事業用設備の貸付又は賣渡と云ふ御話でありますが、造船所其のものが、今迄あつたものの中、大部分が例の賠償に相當持つて行かれる部面もあると思ふのでありますが、殘つた部面として、此の公團がどの程度のものを見込んで御計畫なさるのでございませうか、其の邊を具體的の數字がございましたら、或は參考資料の中に戴いて居るのかも知れませぬが、ちよつと急なことで甚だ失禮でございますけれども、伺へたら伺つて置きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=45
-
046・有田喜一
○政府委員(有田喜一君) それでは公團の企業目録とでも申しませうか、數字を加へまして今考へて居ります所の計畫を御説明したいと思ひます、第一、公團のやります仕事は、終戰後繼續してやつて居ります所の所謂續行船でありますが、其の續行船は約三十六萬トンをやる、斯う云ふ計畫であります、是は現在それぞれの造船所に於て所謂工事を進めつつあるものですから、それは問題ありませぬ、それから次に沈船の引揚でありますが、相當近海に沈船が澤山沈んで居るのであります、色々と引揚げて役立つものをやらないと、折角引揚げてもそれが役に立たないのでは、今日の資材、其の他の不如意の上から、出來るだけ有效なものを揚げたいと思ひまして、實は關係筋より十八萬トンばかりのものを揚げたらどうかと云ふ指示もあるのでありますが、私達の計畫と致しましては、約十三萬トンを引揚げたい、斯樣に今考へて居ります、それから其の次々は不良船でありますが、是は戦時中急造船で、修繕を加へましても殆ど動きが取れないと云ふ船が相當あるものですから、之を約十萬トンばかり解體して、其の代りに優秀船を十萬トン造つて見たい、斯樣に考へて居ります、其の次は改造でありますが、此の改造は主として改E型をやることになつて居ります、改E型にはウインチのないものが相當ありますし、又燒玉エンジンで非常に非能率なものがありますので、それをレシプロに改めると云ふやうなことに致しまして、約十四萬トンばかりを改造して行きたい、斯樣に考へて居ります、それが主なる事業の内容でありますが、其の外に拿捕船を所謂聯合軍の方へ返さなければならぬ問題でありますが、それに付て拿捕船を、各國の船を原状に返す爲に修理せよと云ふやうな指令を受けて居ります、それも公團の手に依りまして、指令に從つて修理をし當分の間返還する迄の保有、管理は公團でやることになつて居ります、それから是は大した問題でありませぬが、今回の補償打切竝に財産税の關係で、船主か非常に困つて船舶を物納せざるを得ないやうな結果が出て來るかも知れない、左樣な時には此の公團で其の船舶を保有、管理せしめまして、さうして船主をして運航せしめると云ふやうな形で進んだらどうかと云ふことを考へて居る次第であります、それから又一つは、海軍から引繼いだ所の資材の配給であります、是等を此の公團の仕事の、企業内容と致して居るのであります、そこで造船事業設備の問題でありますが、此の法律の十六條でありまするが、十六條の三號に、造船事業用設備の貸付又は賣渡と云ふ項目があります、是はちよつと今申しました企業内容の變態的なものでありまして、是は現在の産業設備營團が自から設備をしまして、さうして造船業者との契約に依りまして、それを貸付けてやる、其の造船業者が希望であればそれを又賣渡す、斯う云ふやうな契約になつて居るのですが、賠償對象になるやうなものは此の公團では引繼がないのでありますが、現在鐵船、鋼船の造船設備が四箇所にあると思ひます、後三十一箇所ばかりは木船關係或は造機關係、さう云ふものを一應營團から公團へ引繼ぐことになりますが、是は軈て造船業者竝に造機業者の方に其の儘向ふへ移ることになりまして、是は一つの過渡的のトンネルに過ぎないのでありまして、是は永續的の仕事ではないと思ひます、それから造船所の賠償の問題でありますが、是は現在の所では、約二十箇所の造船所の賠償指定を受けて、其の保全管理を命ぜられて居るやうな次第でありますが、御承知と思ひますが、現在保全管理の命令を受けて居りまするが、是は現在やり掛けの仕事はやつてしまへ、それから造船關係は有らゆる賠償の一番最後に持つて行くと云ふことも、聯合軍の方から申して居りますので、現在の公團の計畫には支障なく進み得る、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=46
-
047・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 今度決定されました船舶保有量に對する造船所の設備能力と云ふやうなものは十分考慮されて居ることなんでありませうか、其の邊の數字等は十分日本として了解し得る程度のものが考へられて居るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=47
-
048・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 速記を止めて下さい
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=48
-
049・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは速記を始めて、他に御質疑はございませぬか、御質疑がございませぬければ、是より討論に入ります、別段御發言もなければ採決を致します、船舶公團法案は政府提出の原案通り可決すべきものと決定致しまして御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=49
-
050・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議ないと認めます、それでは是で休憩致しまして、午後は一時半から開會致します
午後零時二十四分休憩
――――◇―――――
午後一時四十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=50
-
051・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) それでは午前に引續きまして委員會を開催致します、先づ最初に高瀬物價廳長官からの御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=51
-
052・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 價格調整公團法案提案の理由に付きまして御説明を申上げたいと思ひます、是は本會議で既に申述べました通りでありますが、現在の困難な經濟條件の下で合理的な且均衡のある物價體系を確立致します爲には、必要に應じましてどうしても價格調整を實施しなければならないと存じます、是等の價格調整の業務は、從來は配給統制會社などで實施されて來たのでありますが、今囘企業獨占の禁止及び臨時物資需給調整法に基く物資の配給方式の改變に基きまして、是等の統制機關は一手買収販賣及び物資の割當業務などの統制機能を喪失し、解散が豫定せられるに至りましたので、從來是等の統制機關が實施して參りました價格調整の中で配給公團の設立せられます物資に付きましては、それぞれの公團に於て價格調整を實施させ、それ以外の物資に付て尚價格調整を繼續して實施する必要のありますものに付きまして價格調整公團を設立しようとするものであります、價格調整公團は、經濟安定本部總務長官の定める基本的な政策及び計畫に基きまして物價廳長官の爲す指導監督に從つて價格などの調整の爲の資金の受入又は交付、買取及び賣戻竝に是等の附帶業務を行ふものであります、從つて此の公團に於きましては他の配給公團と異つて配給業務は全く行はない、專ら價格の調整の業務のみを行ふのであります、價格調整公團に於て行ひます價格調整の一般方針と致しましては、特別會計及び配給公團取扱物資以外の重要物資に付きまして、次に申述べますやうな事情があります場合に、價格平準制、價格差補給制及び運賃プール制を實施しようとするものであります、即ち第一に、自然的條件其の他巳むを得ない生産諸條件の相違に依りまして、生産費の差異が著しい場合、第二に、生産方法の相違に依つて生産費の差異が著しい場合、第三に、一般物價水準に比べて、價格が著しく騰貴して居る國内品と同種の物品の輸入が相當程度に豫定されます場合、第四に、現在の操業度は異状に低位でありますが、近い將來操業度が高度化することが豫想されます場合に於きまして、生産者價格は現在の繰業度に於て決定をし、消費者價格を將來の想定操業度に依つて決定するやうな場合、第五に、生産費が其の物の効用度に適合して居ないやうな場合、第六に、運賃が價格の主要部分を占めるやうな場合乃至は平均運賃込みの統制額を設定致しますと、配給が著しく不圓滑となる虞のあるやうな場合、第七に、國民生活必需品であつて、消費者價格を成るべく低位に維持することが必要であるやうな場合、以上のやうな場合に、價格調整公團に於きまして、價格調整を實施する豫定でありますが、其の豫定品目は差當り金屬關係に於きましては銑鐵、普通鋼々材、硫化鑛、銅、鉛、亞鉛、硅酸鑛、アルミニウム、化學工業關係に於きましては、セメント、ソーダ、硫酸、タール製品、石綿、加里鹽等、纖維關係に於きましては、綿紡績、綿糸、人造絹糸、スフ其の他では砂利、砂、石材等であります、價格調整公團に於きましては、只今申述べましたやうに、種々の物資に付きまして價格調整を致しますが、此の際事業費關係は物資別、調整方法別に勘定を獨立して處理することを原則と致したいと考へて居ります、價格調整公團の圓滑な業務運營を確保致します爲、價格調整公團は關係者から報告を受け、檢査を行ふことが出來ます外、物資の購入者が其の賣主に支拂ふべき代金を代理受領する業務も實施出來る途を拓いて居ります、價格調整公團は出來る限り速かに成立せしめたい所存でありますが、之が成立致しました時は、此の公團で價格調整を行ふ物資等の統制機關は速かに解散をし、昭和二十三年四月一日迄に清算を結了することに相成るのであります、尚價格調整公團の役職員が政府職員であることは他の公團と同樣でありますが、出來る限り民間の優秀な經驗者を採用し、業務運營の圓滑適正を期したいと存じて居ります、以上を以ちまして價格調整公團法案の提案理由の説明を終ります、何卒御審議の上速かに御贊成戴きますやう切望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=52
-
053・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 只今議題となりました石油配給公團法案以下四公團法案に付て提案理由を御説明申上げたいと思ひます、先づ石油配給公團法案に付て申上げます、戰後の我が國の復興を圖る爲には基礎物資である石油石炭等の適正迅速な配給を行ふことが其の前提條件であります、殊に石油類は産業の復興及び國民生活の安定上缺くべからざる物資でありまして、是等の配給の適不適は直接我が國の復興に影響することと相成るのでございます、今囘石油配給公團を設立致しますのは、主として次のやうな理由に依るのであります、第一に石油類の需給が極度に逼迫して居る現状に於きましては、特に配給の適正迅速化を圖らなければならないのでありますが、石油類は毎月の消費量の五分の四以上を聯合軍に仰いで居る有樣でありまして、聯合軍に對し輸入を懇請する前提條件と致しましても、政府の責任に於て配給を實施する體制を整へねばならないのでございます、第二に先に成立を見ました臨時物資需給調整法に基きまして、重要な物資の總ては政府が直接公文書で消費者に割當てると云ふ體制が樹立されたのでありますが、石油類に付きましては、割當てると云ふことだけでは、配給の適確を期し難く、割當の裏付けであります所の現物の流通其のものも政府の責任に於て行はなければならないと存じます、第三に石油類の配給を割當公文書だけに放置せず、現物の流通も把握しなければならないやうな場合、一手買取、一手賣渡機關として考へられまするのは、私企業である石油配給株式會社に依るか、私企業に一定の監督規定を置きました所の統制會社に依るか、國家が出資する公法人である所の營團に依るか、何れかでありますが、私企業である石油配給株式會社が一手買取販賣を行ふことは、別に提出せられます私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案の趣旨に反するのであります、又統制會社も營團も何れも政府の割當の實施機關と致しましては、十分とは言ひ難いのであります、即ち政府の外にある機關として存在して居る爲に、石油類の配給に付ては、政府が直接の責任を負ふと云ふ譯には參らないのであります、第四番目に、それでは政府の專賣事業はどうかと言ひますと、專賣事業とするには巨額の政府の投資を要しますので、目下の財政事情では容易に是が許されないのであります、又官營事業と致しますと、運營の面に於て色々の拘束を受けまして、此の變轉甚しい經濟状態に於きましては、圓滑な運營は望めないと存じます、更に近き將來に於きまして平常の自由經濟が許容せられる時には、其の圓滑な移り變りに大きな障碍となる虞があるのではないかと思はれるのであります、第五番に、そこで政府としましては、石油類の配給機構と致しまして、謂はば政府の代行機關とも云ふべき公法人である石油配給公團を設立しまして、專賣と營團の中間の形態を取ることと致しました次第でございます、第六に、石油配給公團は今迄申上げました趣旨に依りまして、營團とは異りまして、其の役職員が國家の官吏、其の他の政府職員として、俸給、給與を國庫から支給せられると共に、官吏に關する一般法令である官吏服務規律、文官分限令、文官懲戒令等に服さなければならないと云ふことに依つて國家の代行機關としての性格を明かにして居るのであります、併しながら同時に專賣に依ります所の豫算の拘束を除く爲に公法人として會計の獨立を圖つて居るのであります、又所要の施設は買收に依らないで、原則として賃借に依るものとして居ることは公團の解散が臨時物資需給調整法と等しく昭和二十三年四月一日、或は經濟安定本部廢止の時の何れか早い時か、又は經濟安定本部總務長官の解散命令に依ると規定せられて居ることと相俟ちまして、平常の經濟状態に復歸致しました曉には、直ちに解體することを前提として居るのであります、第七、石油配給公團の役職員は民間から採用するのを原則として居りますが、現行の官吏の任用内規等の關係上、相當例外を認めても、尚任用することが出來ない場合が豫想せられますので、政府と致しましては法律中に公團の役職員は官吏、其の他の政府職員となる旨を明かに致しまして、何等の手續を用ひないで、當然政府の役人となることと致しまして、無用の手續上の澁滯を避けて居るのであります、石油配給公團の業務は、經濟安定本部總務長官の定めます所の基本的な割當計畫及び配給手續に基いて主務大臣の行ひます所の個別的な監督處分に服しながら、第一に石油類の一手買取及び賣渡、第二に石油類の保管及び配給上必要な加工業務、第三に石油類の配給及び之に附帶する輸送等の業務、第四に輸送施設の配置に關する法令に基き石油類の適切な輸送を行ふ爲の措置、第五に販賣業者の指定等を行ふのであります、是は從來石油配給株式會社の行つて來た範圍を更に一段と強化し、石油の配給に關しては、總て石油配給公團に於て處理すると云ふことを明かにしてあるのであります、殊に販賣業者の指定に付きましては、其の及す影響が重大でありますから、此の實施に付きましては、安定本部總務長官が條件を定め、主務大臣が認可を行ふこととしてあるのあります、石油配給株式會社は本公團の設立と共に解散することになりますが、其の從業員の惜置に付きましては、現下の勞働事情を考慮致しまして、遺憾なきを期したいと存じて居ります、即ち石油配給株式會社の職員は大部分石油配給公團に引繼ぐことと致しますし、其の給與は現在の給與額を確保して行く爲に、俸給の特例を設け、更に特別報酬を與ふる餘地を殘しまして、圓滑なる業務の引繼を圖る所存であります、又無用混亂を避ける爲、石油配給株式會社の資材は原則として石油配給公團に引繼ぎ、石油配給株式會社の施設は其の所有して居ると、賃借して居るとを問はず、總て一應石油配給公團に引繼ぐこととなつて居るのであります、但し施設の最終處分に付きましては、石油配給株式會社の清算期間中に關係者と協議の上、出來得る限り迅速に決定して行きたいと存じます、次に配炭公團に付て申上げます、第一に配炭公團の性格に付ては、石油に付て申上げた通りであります、之を省略致します、第二に配炭公團の業務は、石油、コークス及び此の法律に指定する三千五百カロリー以上の亞炭の一手買取竝に賣渡が此の主なものであります、公團は經濟安定本部總務長官の定めまする割當計畫を配給手續に從ひまして、是等の物資の適正な配給を行ふのでありまして、生産された石炭、コークス及び指定亞炭は総て生産業者から公團に賣渡され、公團は之を直接需要者に賣渡すこととなるのであります、之に伴ひまして、配炭公團は一定の荷渡場所に於て是等の物資の荷渡しを受けるものとし、其の際品質數量等に付て、的確な檢査を行はなければならない規定であります、配炭公團の業務を遂行する爲必要な施設は公團が短期の存續を豫定されて居るのと、政府豫算及び貸出に當る復興金融金庫の資金關係から之を買收せずに、公團設置と共に解散する舊會社其の他の第三者から賃借することとし、其の使用料は經濟安定本部總務長官が適正に定めることと致して居ります、第三には公團の監督は經濟安定本部總務長官竝に主務大臣が之を行ふのでありますが、經濟安定本部總務長官は主として一般的な割當計畫及び配給手續に關して公團を指導監督するのであり、主務大臣は之に基いて實施上の具體的、個別的な監督を行ふと云ふ趣旨であります、公團の會計に付ては其の基本金が政府出資である建前から、特に會計檢査院が其の檢査に當ることとして居ります、第四に公團の設立に伴ふ諸般の措置であります、配炭公團が成立した時には現在の日本石炭株式會社、各地方の石炭販賣株式會社及び日本亞炭株式會社は解散することとなり、其の清算は明二十三年四月一日迄に完了致すことになつて居ります、配炭公團自體は臨時物資需給調整法の失効又は經濟安定本部總務長官の命令に依つて解散するのでありまして、比の配炭公團法も亦昭和二十三年即ち明年四月一日又は經濟安定本部の廢止の時の何れか早い時に其の効力を失ふのであります、尚現行の石炭及びコークス配給統制法は配炭公團成立の時を以て廢止致しまして、其の後は臨時物資需給調整法の有效期間に限り、該法律竝に之に基く省令を以て配給に關する必要な統制を爲すことと致して居ります、之を要しまするに、我が國産業の復興に緊要缺くことの出來ない石炭、コークス及び亞炭の如き重要物資に關しましては、需給が極めて不均衡な期間に限りまして、政府自ら其の統制の衝に當ることと致し、民間の會社其の他の産業團體が行つて參りました統制業務は、私的獨占禁止の建前から之を止めることと致したのが公團設立の眼目でありまして、政府は政府機關とも申すべき此の公團の組織と人に依りまして石炭、コークス及び一部亞炭の適切公正な配給を行はしめたい所信でございます、即ち政府は公團の組織及び運用に關しましては以上申上げましたやうに、所謂官僚統制の如き弊害は極力之を抑止し、産業復興と國民經濟生活の安定の爲に、是等物資の配給に萬全を期したいと存ずるものであります、次に産業復興公團法案の提案の理由を概略申上げたいと思ひます、政府に於きましては曩に第九十臨時議會の協贊を經まして産業復興營團法を制定致しました、之に基きまして去る一月二十五日産業復興營團を設立、目下著々其の事業を推進中でありまするが、今般物資配給の分野に於ける公團の設立に伴ひまして、從來の營團組織を公團組織に改組致す必要を生じましたので、茲に新たに産業復興公團法を制定し、之に依り産業復興公團を設立しまして、産業復興營團の一切の事務を之に引繼がしめることと致した次第であります、茲に提出致しましたる産業復興公團法案は現行の産業復興營團法と其の内容に於きましては殆ど同一であるのでありまするが、營團を公團に改めましたる爲次のやうな相違が生ずるのであります、第一は産業復興公團の役員及び職員が政府職員とせられ、官吏に關する一般法令に從ふものとせられた點であります、但し此の場合に於きましても、給與其の他必要な事項に關しましては、特例を設けることが出來ることとせられて居ります、尚公團の總裁は通常次官と同級の官とせられて居るのでありますが、産業復興公團に關しましては、其の業務の分野が廣汎に亙り、總裁の人選に關しましては特に産業界の老練權威ある人材を推拔する必要があると考へまするので、關係方面とも打合せ致しました結果、總裁は之を親任待遇と致したのであります、第二は、公團の業務竝に會計に對する監督に付きましては他の公團と同樣であります、第三は、産業復興營團に付きましては、役員が法令又は定款に違反致しました場合には、主務大臣が之を解任することが出來るものと定められたのでありまするが、公團に付きましては、右の外役員が不適任又は業務を適切に遂行して居ないと認めまする場合には、經濟安定本部總務長官が之を解任出來るものと致した點であります、第四と致しまして、産業設備營團の閉鎖に伴ひまして同營團の設備資材は之を整理處分することとなつたのでありますが、此の法律では特に規定を設けまして、主務大臣は同營團の清算人に對し、右の設備資材を産業復興公團に貸與せしめ、又は其の讓渡しを命ずることが出來ることと致しました、以上申述べましたる通り改正を行ひました外に、産業復興公團は最近に於ける産業の實情に鑑みまして、從來産業復興營團の業務とせられました産業設備及び資材の建設、貸付及び賣買に關しまする業務の外に、經濟安定本部總務長官の指定する事業を隨時實施致して、産業復興の促進に資せしむることと致したのであります、又産業復興公團は先に申述べましたる如く、産業復興營團の業務を其の儘繼承するものでありまするから、現在の營團の權利及び義務は、其の一切を公團に引繼がしむることと致し、公團に對する政府の出資も産業復興營團に對する出資を以て其の儘引當てることと致した次第でございます、次に貿易公團法の提案理由に付て申述べたいと思ひます、御承知の通り我が國の輸出入貿易は聯合國總司令部の理解ある取扱に依りまして、終戰以來漸次軌道に乘り、食糧、棉花、石油、肥料等の必需物資の輸入並に之が見返りとしての生糸、纖維製品、機械類、農水産物、其の他各種諸商品の輸出等、輸出入共に相當の進展を見て居ります、申す迄もなく是等輸出入貿易は聯合軍總司令部の管理の下に運行されて居る特殊貿易であり、又我が國としては、唯一の貿易業務專管機關たる貿易廳の責任に依つて運營される一種の國營貿易であります、貿易業務は總て此のやうに貿易廳を中心とする政府機構で行ふことが建前でありまするが、官廳機構では、豫算、經理、人員等の制約もあり、又貿易業務は其の内容が複雜多岐で、而も敏速圓滑に之を處理することを要し、從つて實務の末端まで官廳業務として行ふことは、能率上必ずしも適當でない點もありますので、便宜昨年初より輸出入の品目別に七十餘の民間團體を其の取扱機關に指定して、貿易廳の下で實務を行はせて參りました、併し何分にも當初の急速整備を要する情勢に應ずる爲に、取急ぎ指定しました關係上、取扱機關の形態も貿易組合があり、任意團體たる協會があり、又株式會社組織の會社があり、其の他特殊の形態を取るものもあると云ふやうに、種々雜多で、且つ其の數も多きに過ぎ、業務の進展に伴ひ運營上不便を感ずるに至つて、早晩再檢討の上改めて適當なる整備を要する時期に立到つて居つたのであります、而も是等輸出入取扱機關は、それを通じなければ事實上に於て輸出入が困難なものもあること、一部の取扱機關は其の加入が必ずしも自由でないこと等から致しまして、私的獨占禁止の趣旨に副はない虞があり、種々檢討の結果是等の民間團體たる取扱機關に依り實務を行はしむる現行制度に付ては修正を加へざるを得ない事態となつたのであります、從つて政府としては、貿易廳の責任を完全に果す爲の措置としまして、私的獨占禁止の趣旨に即應しつつ、能率的なる事務運營を期し且つ民間業界の創意と協力とを十二分に生かす方針の下に愼重に檢討しました結果、此の際貿易公團を設け之に依り圓滑適正なる輸出入業務の遂行を圖ることが最も時宜に適したものであると思ひ、此の貿易公團法案を提出致すことになつた次第でございます、次に本案の骨子とする所を概略申述べたいと存じますが、第一に本公團の目的でありまするが、貿易公團は經濟安定本部總務長官の定めまする輸出入に關する基本的なる政策及び計畫に基き主務大臣の定めまする輸出入計畫及び其の手續に從つて輸出入に關する業務を行ふことを目的とする法人でございます、第二に公團の種類でありますが、取扱物資の種類及び内容に於て極めて複雜多岐、且厖大なる輸出入業務を單一の公團で處理することは、運營の點から見ても能率の點から見ても到底不可能と考へられますので、鑛工品、纖維、食糧及び原材料の四つの公團を設け、迅速的確なる運營を圖ることと致した次第でございます、第三に資金に付きましては、基本金は鑛工品貿易公團千五百萬圓、纖維貿易公團三千萬圓、食糧貿易公團千五百萬圓、原材料貿易公團二千萬圓であり、各公團の運營資金は貿易資金特別會計の資金から借入れることとし、貿易資金統理の統一を圖ることと致しました、第四に、業務に付きましては、輸出品の發注、買取、保管、輸送、引渡が其の主なるものであります、他方輸出入に關する原材料、包装材料の取得、配分の業務もあるのでありますが、是は專ら原材料貿易公團の專掌事項となるのであります、更に以上の諸業務に附帶する業務をも營み得ることは一般の例の通りでございます、以上のことは公團の職能、即ち是等の業務は公團の責任の下に於て行はれると云ふ意味でありまして、蒐荷、積込、積取等の實務は一般業者の活動に俟つのが能率の點から言つても望ましいのでありますので、從來通り極力錬達なる業者を十分に活用する方針でございます、第五に、公團の監督は經濟安定本部總務長官及び主務大臣がそれぞれ各事項に付て當る建前でありますが、經濟安定本部總務長官が、貿易公團に對して監督命令をなす場合は、貿易廳の主管たる主務大臣を通じて之をなすことになつて居るのであります、第六に輸出入取扱機關の處置に付て申しますと、現在の取扱機關で統制機能を營むものは、命令の指定する所に依つて公團成立と共に解散し、是等の財産又は債務は公團に承繼させることが出來ることになつて居ります、第七に、公團設立に附隨しまして貿易資金特別會計法を改正し、其の資金を五千萬圓より十億圓にに増額し、公團への融資を可能ならしむることに致しました、以上申上げました事項以外の點に付ては、大體一般公團の規定と同樣でありまするから、説明を省かして戴きます、以上四公團の説明を是で大略終つた譯でありまするが、何卒速かに御審議、可決せられむことを御願ひ致す次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=53
-
054・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御質疑がございますれば、此の際願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=54
-
055・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 常委員會に掛けられました法案の中、先程船舶公團法は別箇に可決を見た譯でありますが、あとまだ石油配給公團法案法外五件でございますが、其の中價格調整公團法案は安本の方の關係になつて居りますし、石油配給公團法外三件は商工省の所管になつて居りますので、商工省の所管だけを纏めて御質問を願つて、是だけ纏めて御審議願つた方が宜くはないかと思ひますが、如何なものでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=55
-
056・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 只今の肝付男爵の御發議のやうな風に審議致したいと思ひますが、皆樣御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=56
-
057・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) では左樣に致します、それでは石油公團法外三件に付ての御質疑を願ひす発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=57
-
058・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 公團法の何れにも共通的な問題で、先程船舶公團法の際にも御質問を致したことでございますが、所管が違ひますので、改めて商工大臣の御意見を一應伺つて置きたいと思ひます、此の公團法の職員に關する問題でございますが、例へば石油配給公團法としては、第十四條の「石油配給公團の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする、」此の第十四條に付て一應伺つて置きたいのでありますが、此の公團法の中に官吏とそれから政府職員二通りを置くと云ふ趣旨はどう云ふ所におありだつたのでありませうか、其の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=58
-
059・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 公團の役員及び職員に充てまする爲に官吏其の他の政府の職員を以て當てると云ふことに致してございます、要するに公團の役職員は總て政府が任命した者を以て之に當てると云ふ意味でございます、狹義の官吏、即ち官制に基く官吏だけにしなかつた、と申しますことは、現在斯う云ふ公團に於ける仕事を統制會社が當つて居る譯でございますが、そこらの職員等の技術的な方面の經驗を活用する意味に於て、新しい公團に於きましてもそれ等の職員を成るべく優先して使用する譯でございまするが、其の際官制に基く官吏に付きましては任用令の制限がございまして、實際上の官吏に當嵌める譯に行かぬ場合も多々あるかと存じます、さう云ふ意味に於きまして自由に任用し得る餘地を殘します爲に、所謂官制に基く官吏に致しませぬで、唯政府が雇傭すると云ふ關係の政府職員と致しまして、之の職員を使用して行く、斯う云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=59
-
060・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 尚其の際に同級又は同格とすると云ふ字句がございますが、官吏に付ては所謂官吏と同等の級にする、それは政府職員に付てはそれと同格にすると云ふ趣旨のやうでありますが、其の同格と云ふ内容に付ては待遇上の一切を含んで居りますか、俸給上の問題から一切……其の點はどう云ふ風になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=60
-
061・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 本官を持つて居りまする者に付きましては、一級官、二級官、三級官と云ふ區別を致す譯でございますが、本官を持つて居りませぬ政府職員、政府の使用人に付きましては、其の待遇に付きまして矢張り一級官待遇或は二級官待遇と云ふ待遇の區別を致す譯でございます、仰せの通りの扱ひになることと考へます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=61
-
062・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 比の待遇に付ての問題で一番我々が心配致しますのは給與の問題でございますが、此の公團の性格上から考へまして、必ずしも一般官吏と同じ考を以て扱ふ譯にも行かないと思ふのでありますが、其の際に所謂官吏と政府職員とに對する給與の問題をどう云ふ風に御扱ひになる積りでありますか、例へば官吏は兼務と申しますが、官以外の職務に從事することが出來ないのでありますが、斯う云ふ規定を矢張り政府の職員にも同樣に當嵌められる御考なんでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=62
-
063・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 官吏以外の他の公團の職員に付きましても官吏と同じやうな制限を受けるのでございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=63
-
064・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さう致しますと、大體公團の總裁或は理事長と言はれる人々は次官級と云ふことになつて居りますが、此の程度の待遇で果して希望するやうな人物を得られるかどうか、甚だ疑問だと思ふのでございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=64
-
065・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 身分の上のことは只今御答へ致しました通りでありますが、給與の點は特別に出せる方法が出來て居ります、今の官吏の俸給では恐らく今の石油會社、或は石炭會社も解散して其の主な大部分の人に來て貰ふと云ふ場合にも、二級官、三級官の待遇をしてやつても俸給が非常に合はないと云ふものが出來て來ると思ひます、今貰つて居りまする俸給よりも多い方針で採用する人は全部採用する、格は次官級でありまして、給與の點はもつと一般實業界其の他の例によりまして適當な待遇が出來る、さう云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=65
-
066・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さう云ふ場合に、例へば、或會社の社長をして居られる方でも、其の社長としての收入以外に相當な收入を持つた方が多いのでありますが、さう云ふものを全體的に考慮して御採用になると云ふことでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=66
-
067・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 無限に擴げて行くことは恐らく出來ないだらうと思ひますが、今迄の色々の統制會社等の例を見まして、此の位な所が適當でないかと云ふ點に於て、假に總裁なら總裁其の他の役員の場合にしますと待遇も明かにして此の程度でどうだと云ふことで話合ふ積りでありますが、色々な仕事をして居られて何十萬何百萬收入がある人を此の役員に當嵌めると云ふことは事實上は出來ないと思ひますが、先づ役員よりは相當給料を上げて待遇をされると云ふ意味に御取り願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=67
-
068・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 其の場合に此の公團としては一般の月々の給與の外に、ボーナスと云ふ問題が考慮されると思ひますが、政府から入つた官吏も矢張り其の職員と同樣にさう云ふやうなボーナスを受けると云ふことが考へ得られるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=68
-
069・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 特別の賞與等を出しまする規定がございまするが、是は只今大臣から御説明がありましたやうに、新しい職員の待遇が從來の會社の待遇を割らない程度に於て採用する、從來の待遇を保障する、程度に於て採用する、と云ふ目的の爲には現在の官吏の俸給令、一號俸から三十號俸迄ありまする俸給で足らぬ場合に於きまして先づ第一に、只今の十四條の三項にございまするが、主務大臣が經濟安定本部總務長官の承認を受けて給與に付て特別な例外を認めます、是は一般的に恐らく何割増とか或は三十號俸の例外の一般的な規定を設けます、それに依つて補はれぬ場合に於て賞與等も考へるのでございまして、さう云ふ爲に此の規定を活用致したいと考へて居るのでございまして、特別の賞與と云ふものに付きましては特に考慮しない考で居ります、此の公法人は營利を目的としないと云ふ立場も考へまして特別な賞與と云ふものは考へない積りであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=69
-
070・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 勿論各省の御説明に依つて多少は違ふと思ひますが、先程運輸省の方の船舶公團法の際の大臣の御答辯としては、多少營利的な企業體形を取るのだからボーナスと云ふことは一應考へられると云ふやうな御説明もございましたが、兎に角官吏と同等と云ふことでは立派な方が得られないと云ふことは當然だと思ひますし、さうかと云つて今度は官吏等をそれと伴つて同樣に待遇されると云ふことは、他の官吏に對する問題も起らうと思ひますが、所謂官吏に屬する方の待遇はどう云ふことになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=70
-
071・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 官吏から此の公團に入る者は極めて少數であらうかと思ひますが、此の公團に於きまする待遇を特に良くすると云ふことは、從來の報酬を保障する、收入を保障すると云ふ意味に於て運用致したいと考へて居りまするので、官吏の收入が從來に及ばぬ場合に於きましては、矢張り他の非常に收入の餘計な職員と同一に扱ふことではなくて、大體の基準を決めて採用致しまする其の一般基準に依つてやる、即ち特別賞與等は恐らく考慮せられないことになるであらうと、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=71
-
072・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 そこで官吏は兎に角一つの法律上の權限を持つて此處に入つて來られますが、政府職員となつた民間人の方は給與は非常に宜いけれども、權限の點に於て官吏に及ばないと云ふやうな問題が起りまして、茲に官吏のグループと民間人から入つた者のグループと二つに分れて、それが遊離してしまふかと云ふ心配が多分に起ると思ひますが、此の問題をどう云ふ風に御扱ひになりますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=72
-
073・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 此の配給公團なら配給公團の中に入りますれば、其の分掌規程と申しますか、其の仕事の分擔に依つて其の力が決るのでありまして、官吏出だとか、或は今迄の統制會社から來たとか云ふことで其の取扱の區別は全然ないと思つて居ります、其の扱ひをしたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=73
-
074・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 御取扱としてはさうあるべきだとは思ひますが、實際問題として、理窟を拔きにして、感情上の問題が其處に多分に殘つて來る爲に、結局仕事が動かなくなつて來ると云ふ心配が多分にあると思ひますが、其の點を豫め十分考慮願ひたいと思ふのでございます、尚此の點は一般に共通的な問題でございますので、此の程度に致しまして、それぞれの公團の特殊性に對して、又此の役職員の問題は自から別な問題が起つて來ると思ひますが、先程船舶公團に對して一應政府の御意見を伺つて置きましたので、此の機會に商工當局としての御意嚮を伺つた譯であります、尚石油配給公團の方は末端配給業者を指定することになつて居るやうでありますが、配炭公團の方は末端の配給迄を政府自體がやられると云ふ所に非常な違ひがあるやうですが、此の點はどうしてさう云ふ御取扱をなさるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=74
-
075・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 是は現在やつて居りまする形を大體承繼いだのでありますが、御承知のやうに、配炭公團の方でもそれぢや石油配給公團のやうに販賣店を設けてやらしたらどうかと云ふ意嚮もあるやうであります、現に衆議院に於てもさう云ふ意響を表明せられまして、附帶決議の中にあるのでありますが、今石炭が御承知のやうに、出て居る量が需要に比べまして非常に少い、さうして重點的な方面に向けられまして、一般産業の方面にも、一般民間の需要等にはなかなか向け得ない状態であります、それで來年度に於て三千萬トン増産と云ふことで、肝付男なんかも御盡力になつて居ります協力會等の非常な後援を得て我我も一生懸命やつて居りまするが、來年度三千萬トン出ましても、まだ重點的な方面に行くだけで、若し來年三千萬トンの基礎がしつかり出來上りますれば、再來年は三千何百萬トンと云ふやうなことに上昇して呉れなければならないのであります、其の三千萬トン以上になる頃になりますれば、初めて平和産業の面、一般の需要の面にも行くやうになるのぢやないかと思ふのでありますが、其の頃になりませぬければ、今の状態では、荷捌所みたいなものを拵へても、實際上看板を掛けただけで變りはないのであります、で此の際は今迄通りの方法に依りまして、石油の方は賣捌販賣店がありましたから其の儘、配炭公團の方は今迄なかつたから地方の方は地方石炭販賣會社の系統の方でやらせる、是で何等の不自由なく行くと思ふのであります、又店屋を昔やつて居つた人達が成るべく早く自分達にも扱はさせて呉れと云ふ聲はあると思ふのであります、さう云ふ時期になりましたならば、當然さう云ふ人達にも荷扱をさせる方針で居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=75
-
076・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 一應御取扱としてはさう云ふことも考へられると思ひますが、此の公團は先程御説明の中にもあつた通り、大體一年間或は經濟安定本部がなくなる時を以て同時になくなるやうな、本當に暫定的な措置として御扱ひになると思ひますが、さう云ふ場合に、石炭配給の場合の配給所とか、貯炭場とか、それから運搬の色々な機械、什器とか、道具とかと云ふやうなそれぞれ全國的に必要とするものが非常に多いと思ふのでありますが、斯う云ふ設備を改めて政府として御設けになると云ふことは、費用の點に於て非常に困難が多いと思ひますが、さう云ふ問題をどう云ふ所に取扱ふ御考でありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=76
-
077・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 是はさつきも趣旨の時に申上げましたやうに、總ての色々な設備は原則として借入れることを建前として居ります、是は中央關係に於きましては日本石炭株式會社、地方に於きましては地方石炭の關係の設備其の他を一切借入れることになつて居りますが、今迄の配給が無事で行つて居る限りに於ては、此の制度に於てやれると思うて居ります、若し今迄ので足りない所があれば、それを何等かの方法で増設すると云ふことになるだらうと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=77
-
078・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さうしますと、設備其の他什器一切を借りまして、其處に附屬して居る人間を御借りになることはなさらないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=78
-
079・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) それは人間は個々の公團員になつてしまふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=79
-
080・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 さう云ふやうなことになりますと、政府が嚴格に事をするやうになりますと、例へば斤量が不足して居ると云ふやうな問題が樣々起ると思ふのでありますが、斯う云ふものの適正を圖る、或は其の他政府のやかましい規格を當嵌めようと云ふことになりますと、一々立會ふ爲に人を要すると云ふことから、益々費用が厖大になりまして、炭價に非常に影響を及すと云ふやうなことが起らうと思ひますが、さう云ふやうな非常に複雜な摩擦を段々殖やすと云ふことは、必ずしも當を得た問題でないやうに思ひますが、此の點はどう云ふ風に考へられますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=80
-
081・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 今迄の行き方で良い點もありましたでせうけれども、惡い點として傳へられるものは、山から出ます炭が消費者に行き渡りまする間に、何處かで段々となくなつてしまふ、それが闇炭の因であり、それが本當に重點的に石炭を送らうとする所に行き得なかつた惡い點と云ふことは、我々の耳に入つて居るのでありまするが、今度は山で受取ることから途中のこと、それから消費者に行く迄の全責任を此の公團が負ふ譯であります、それぞれの部門に適當な人を配置致しまして、それの公正を期さなければならぬと思つて居ります、其の爲に御心配になつて居りますのは、無暗にさうしたら人が殖えて經費が増して、炭價に及ぶのではないかと云ふことでありまするが、私共はそれ程迄に澤山の人を増さぬでも、此の公團で今申しましたやうな公正なる扱ひ方の線に沿うて行けるのではないかと思つて居ります、それから又地方にも監査委員會みたいなものを置きまして、各適當の人に委員になつて戴きまして、之に依つて適正なる配炭が行はれるかどうかと云ふやうなことも、委員會に依つて査察をすると云ふやうなこともやつて戴きたいと云ふやうな風に思うて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=81
-
082・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 一應御説明に依つて了解は出來るのでありますが、大體官業と云ふことになりますと、能率とサービスが非常に惡くなることは、有らゆる部面に於て皆體驗して居られる所だらうと思ふのでありますが、特に石炭の如く、炭質其のものも非常に品種が多くて複雜多岐なものでありまするが、斯う云ふやうなそれぞれのボイラーの種類に依つて違ひ、或は用ひる業種に依つて其の炭質が違ふ、石炭の固有の特質を十分發揮せしめて、それを百パーセント效果的に利用せしめると云ふやうなことに付ては、業者自體の體驗を十分活かすと云ふやうな意味から云つて、政府の役員となつても同樣なことが出來ると云ふことも一應は言へるのでありますが、どうも官業と云ふことになりますと、其處に民間當時の氣持をすつかり捨ててしまつて、どうも官吏になつたと云ふ感じから、所謂官僚獨善的に陷りまして、非能率的となり、或は横暴となると云ふのが現状では到る所に現れて居ると思ふのでありますが、さう云ふ問題を無視して全部、末端の配給迄を官吏がやると云ふことに付ては、どうも反對の氣分が非常に多いやうに思はれるのでありますが、其の點をどうして御考慮なさらなかつたのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=82
-
083・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 誠に御趣旨は御尤もであります、私共も此の公團を拵へるに當りまして、一番心配を致す點、……十分注意もし、色々やらなくちやならぬと云ふやうな問題は官僚化の問題であります、今のやうな御話で、若し役人が末端迄もやればどんなに威張るであらうかと云ふやうな御話、是は假に私共の考では我々の家庭に色々のものの配給される状態を見ましても是が獨善的のやうな形になり、何處かそれからしか物が來ないと云ふ風な形になれば、役人であつても役人でなくても威張るし、非能率的になり、色々需要者側に迷惑を及すと云ふ例は、日々其の例を見るのであります、是は殘念ながら日本人の國民性で私はまだ教養が足りないのだと云ふ結論になると思ひます、そんなことを今更言うて居られませぬので、此の官僚化をどうやつて防ぐか、日本石炭に致しましても、日本石炭配給會社に致しましても、本當に民主的な氣持で、今迄の自由な時代の商賣人のやうな氣持で能くサービスするかどうかと云ふことも問題なのでありますが、更に役人と云ふ名が付けばもつと惡くなりはせぬか、私共は其の組織を役所の代行機關とは致しますが、要するに民間人に依つて之を經營して貰ふ、民間人が役所の中に入つて來るんだ、役所の中に一、二の人が行つて役人になると云ふよりは、役所になると云ふことは官僚的になると云ふのだから、民間人が御役所をやつて見るのだと云ふ氣持で經營して行くより仕樣がないではないか、其の意味に於きまして、殆ど大部分の今迄の仕事に居つた人達がそこに入つて貰ふ、餘程特殊な所にどうしても人が足りないと云ふやうな場合には一般の官吏、其の他から入れるのでありますが、建前としては今迄の業界で之をやつて戴くと云ふ所に先づ第一段の構へを致すのであります、併し、それだけでも役人になつたならば官僚的になる虞はないとは言へないのでありまするから、それを極力さうでないやうにするのは是が其の人達だけで勝手氣儘に動くのでなく、世間の目が光つて居るぞと云ふ心持を持たしめる爲に、さうしてそれに依つて皆が日常の動き方に注意されて、直して行きますやうに、今度は運營委員會、監査委員會と云ふやうなものを設けまして、それ等に依つて官僚は斯う云ふ所が斯う惡いぢやないか、斯う云ふ點は斯う云ふ風にすべきぢやないかと云ふ色々な御注意を受けましたら、それに依りまして運營を修正して行くと云ふことに致したならば、今御心配になりましたやうな點を幾らかでも直すことが出來るのぢやないかと、さう云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=83
-
084・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 大臣としての思召し誠に結構でございます、我々は只今の御趣旨に對して全幅の贊意を表する者ではございますが、末端に迄其の大臣の御意嚮が傳らないのが大體現状なのでありまして、民間人は非常に弱いものでありますから、非常な苦痛を嘗めて居つても、之を訴へる方法も知らなければ、又立場上訴へられて居ない、泣寢入りになる場合が非常に多いのであります、甚だ例としては是と立場が違ふので恐縮でございますが、所謂官僚獨善の如何に甚だしいかと云ふ體驗を私は最近に嘗めましたので、其の實例を申上げて、今後の御處置に十分一つ御考慮願つて置きたいのであります、實は私子供が帝國大學醫科病院に入院を致しまして、手術を受けたのであります、手術の結果が誠に面白くない、それは要するに入院した當人の責任と云ふよりも、大學病院自體の設備の不完全と、それからそれに携る官吏、詰り大學の教授とか、或は助教授とか、さう云ふ官吏の心持が非常に奢つて居るのと、不注意と云ふことから起つて來た問題だと思ふのでありまして、例へば設備の不完全、或は消毒の不完全……是は現在のやうに物資が不足し、或はインフレーシヨンの爲に、官設の建物としては色々な點に十分徹底しない不便もあるとは致しましても、苟くも人命を預かるべき最高學府の病院の官吏として、もう少し考へて貰ひたいと思ふ點が多々あるやうであるに拘らず、此の不注意から致しまして、非常な命の危險迄暴らす所迄持ち來して、尚且色々陳情致しても、それを受付けず、見ても呉れない、看護婦は餘りうるさいと馬鹿野郎呼ばはりをすると云ふやうな工合で、一般の入院患者としてはそれを泣寢入して、涙を呑んで自分の大切な息子なり、夫なり、妻なりを殺してしまつても、それを仕方ないと云ふことで諦めて居る所の者が非常に多いのであります、其の點は私は非常に遺憾に思ふのであります、斯う云ふ立場を私は體驗致しまして、危い所で漸く大學病院を拔け出しまして、さる民間の方に依つて深切にサービスして戴いた爲に、命だけは取止めることが出來たのであります、私は未だに官吏の民間に對する態度が、何と申しますか、監獄に入れられた罪人を扱ふやうな氣持に比べまして、私は實に遺憾に思つたのであります、此のやうな事實から考へましても、兎角官吏と云ふ立場になりますると、人を人とも思はないで、人の命をも問題にしない、今日所謂民主主義的な日本を建設しようと云ふ時に、依然として官吏は一般人を恰も罪人である如く考へて、問題にして呉れないと云ふ事實を考へます時に、私は矢張り斯う云ふ公團なども、官吏になりますると、其の末端が同樣な考へ方に依つて人間扱ひをしないと云ふやうなことが起つて來ると、折角の大臣の只今の御話も結局何等効を奏しない結果になりはしないかと云ふことを私は多分に恐れるのでありますが、此の點を末端迄徹底させるやうに一つ是非此の機會に御願ひ致したいと云ふことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=84
-
085・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 御注意を受けまして、誠に私共も曩に申しましたやうに、此の點一番心配を致して居る問題でありまして、色々とやる途もあり得ると思ひますが、第一の問題は、私は首腦者が本當に商賣人の氣持で、之を運營して行く人が其の位置に就くと云ふことが一番手取早い問題ではないかと思つて居ります、其の人の氣持が次のクラスの人に傳はり、一般に傳はり、此の公團法の制定迄衆議院に於ても、貴族院に於ても、此の官僚化の問題が一番問題であつたと云ふことを能く頭に入れてやつて行きますれば、私は今御心配のやうな點は幾分でも又軟らぐやうになり、又御希望に副ふやうになると思います、さう云ふやうな積りで以て首腦部の人選も注意致したいと居つて居ります、御注意は謹んで承つて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=85
-
086・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=86
-
087・岸本彦衞
○岸本彦衞君 私は貿易公團のことで御尋ね致したいと思ひますが、公團と貿易廳との關係に付て大臣から御説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=87
-
088・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 貿易廳は貿易全般の管理をして居るのは御承知の通りでありまするが、茲にもありまするやうな、色々今度の貿易公團のやるべき仕事は、本來ならば貿易廳でやつても然るべき仕事とも言へるのであります、是は外の公團等にもありましたと同じやうに、實際貿易廳其のものがやりますると、色々な點に於て不自由が起つて參りますので、之の代行機關として、矢張り貿易公團を置いた方が宜からうと云ふことで、貿易公團を設けた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=88
-
089・岸本彦衞
○岸本彦衞君 今の御説明に依りますと、色々の不便から公團を御設けになると云ふことになりましたさうですが、さうしますと、貿易廳の扱ひますことと、公團の運營とに於きましては、貿易廳は監督とか、其の他政府の方針を實行なさる所であつて、さうして公團は、公團として此の業務を行ふ上の運營に付ては、貿易廳から干渉等はなさらないことになるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=89
-
090・岡村武
○政府委員(岡村武君) 御答へ申上げます、貿易廳と貿易公團との關係に付きましては、基本的な面は大臣から申上げました通りでございます、更に御分り易く申上げますならば、本來ならば、貿易に關する業務は、基本的な政策も、或は其の實施の上にも、悉く貿易廳が其の責任と名と計算に於て遂行すべきものでございます、是は一昨年十月九日の聯合軍のメモランダムに依つて明かでございまして、其の趣旨に依つて出來た譯でございます、併しなから貿易廳が間口も非常に廣い、又奧行も非常に深い貿易に關する仕事を、何から何迄、ぴんから切り迄一切取りしきつてやる譯には、是は物理的にも不可能でございますし、又適當でもございませぬ、從つて貿易廳と致しましては、基本的な面、即ち輸出入計畫の策定であるとか、或は輸出入手續でございまするとか、或は經理の關係の仕事でございますとか、聯合軍との接觸、交渉、報告等の問題でございますとか、さう云ふ面は悉く、貿易廳が其の責任に於て行つたのでございますが、實務の面になりますると、是は到底手に負へませぬので、それを一種の代行的な機能を營む機關をして委任契約に依つて遂行せしめて居つたのでございます、是が所謂貿易輸出入代行機關と稱するものでございます、處が此の輸出入代行機關は、之を仔細に檢討しますると、今般の獨占禁止法の趣意に背馳する點が出て參ります爲に、之を今度の貿易公團に切替へた譯でございます、即ち本來、現在の代行機關のやつて居りまする仕事は、其の性格上當然政府が其の責任に於て遂行すべきものを、便宜の立場から之を代行機關をして行はしめたものでございまして、之を本來の形に引戻しまして、政府的な機關であります所の貿易公團に之を移すと云ふことになりました次第でございます、從つて貿易廳との關係に於きましては、貿易廳とは全く表裏一體の有機的な關聯を以て結び付いて居るのでございまして、事實、實際的な關係から申上げますると、比の貿易公團の活動の範圍なり、或は種類なり、さう云うものは總べて貿易廳の指圖に依つて動くと云ふことに相成りまする譯でございます、此の法案に依りますると、勿論經濟安定本部長官及び主務大臣の二元的な監督が其の建前に相成つて居りますが、實際的の問題と致しましては、貿易廳がG・H・Qに對して一元的な責任を負ふ專管官廳でありますから、其の實施の面を擔當することになりますれば、矢張り貿易廳の意圖する所に副ひまして、其の手足となつて實務を擔當して參ると云ふ有機的な關聯が、當然茲に生れなければ相成らぬかと思はれるのであります、此の意味に於きまして、他の配給公團とは多分に其の性格と内容を異にするものがあるのでございます、或は御分りにくかつたかとも存じますが、重ねて御尋ねがございますれば御答を申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=90
-
091・岸本彦衞
○岸本彦衞君 只今の御設明に依りますると、非常に複雜なものに考へられます、貿易廳が表裏一體となり、さうして關聯性を持つて居ると仰せられまするが、業務上のことに付きまして、公團がなすことに付きましても、悉く其の表裏一體と云ふ上から、色々の點に干渉と申すと甚だ語弊があるかも知れませぬが、營業者から言へば非常に複雜を感ずるだらうと思ひます、要はどちらに行つて了解を得れば宜いかと云ふことが屡屡起りはしないかと云ふやうな感が致します、さう云ふことに付てはきつぱりした、例へば業者のこととか或は石油配給公團の中には販賣店の指定と云ふやうなこともございますか、斯う云ふことは業務上のことでございますから、公團が決めることであつて、貿易廳に於てさう云ふこと迄の指圖はなさらないのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=91
-
092・岡村武
○政府委員(岡村武君) 只今公團の設立に依りまして、却て業務の段階が複雜化する、從つて關係業者の迷惑が大きくなるのではないか、例へば業者の指定の如きはどう扱ふのだ、斯樣な御尋かと存じますが、先程申上げましたやうに、貿易公團と貿易廳とは、勿論是は形式的の性格は別でございます、別個の法人ではございますけれども、實際の運用の面、實質的な關聯から見ますると、是は全く同一のものと御考へ置き下さつて結構なんであります、丁度只今の代行機關が、貿易廳の委任に依つて動いて居りまするが、是が一種内包的な機關でありまして、極端に申せば其の獨自の意思、企業的な危險負擔も一切やつて居らないのであります、それが獨占禁止の趣旨に觸れる、詰り民間團體の範疇を脱し得ませぬので、獨占禁止の趣旨に觸れるから、其の性格を斯樣に明確に塗り替へ、更に運營に便宜なる如く組立てましたと云ふことでございますので、實際上の運營の上から申しますれば、現在より遙かに便宜に、又明確に相成るべき筋のものであります、從つて之を業務の段階から考へて、一つの段階が殖えたと觀念するよりも、寧ろ今迄離れ勝であつた代行機關と、其の本體である所の貿易廳が一緒になつて、一つの貿易に關する統制官廳を作り上げる、斯う見るべきであるし、又實際の運用の面に於きましても左樣に相成るべきものと心得るのでございます、從つて先程御尋ね戴きました業者の指定問題も、是は矢張り民間團體に、斯樣な仕事を任して居ることに依つて生ずる獨占禁止に背馳する現象の一つと云ふ風に取上げられて居るのであります、此の業者指定、詰り代行團體の仕事で、更に實務を擔當致します所謂實務擔當者の指定は、是は貿易公團と云ふ風に相成りますれば、此の公團に於て指定しても別段の弊害を生じ得ざる筋合のものかとも存ぜられまするが、是が最も重大なる點でございまするし、寧ろ貿易廳が取上げまして、最も公正な國家的な見地から決定すべきものぢやないか、斯樣な意味合から、此の法律の上からははつきりは致して居りませぬけれども、左樣な特定の業者を指定致しまして實務を擔當させる場合に於きましては、其の指定は貿易廳自體が之を行ふ方針でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=92
-
093・岸本彦衞
○岸本彦衞君 承れば益益複雜を感じますのでございますが、此の公團の法規には、さう云ふ貿易廳が云々と云ふことに付ては一切觸れて居りませぬ、唯一つ茲に是だけの大きな公團の理事長、或は役員は …十五條の第二項でございますが「理事長たる者は、貿易廳局長と同級又はこれと同格とし、」と云ふことになつて居りまするが、是で見ますると、此の複雜な又非常な大きな公團である貿易公團の理事長は、局長と同級又は同格、さう云ふ人に依つて運營せられることが、我々は立派な又學識經驗、及び殊に貿易の如きは非常な創意工夫を要する重要な業務でございますが、それに局長と同級或は同格の人を以つて一番上の理事長であると云ふ程輕く見て居られる場合に、さう云ふ所へ行つて本當に豫期せられるやうな立派な人が得られるでせうか、甚だ疑念を感じますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=93
-
094・岡村武
○政府委員(岡村武君) 事務段階の複雜化と云ふ、再び御尋を戴きました問題に付きましては、又同樣に御答を申上げる外はないのでございまするが、少くとも現在の代行機關制度と比べまして、寧ろそれが單純化をされ業者に取りましても行き道がはつきり致した、指標が與へられ方向が明瞭になつたと云ふことは、是は確かに斷言出來るかと存ぜられるのであります、そこで政府職員の問題でございまするが、此の貿易公團では、他の配給公團に於きましては、其の長が總裁であり、それに次ぐ者が副總裁である、其の待遇と致しましては、次官程度のことを豫定を致して居るのでございまするが、此の貿易公團に付きましては、名稱を理事長、副理事長、斯樣に致し、又其の待遇も局長と同級同格と云ふ風に致して居るので、此の點明瞭に格下げを致して居るかの如き感じを與へることは、御示しの通りでございます、何故斯樣なけじめを付けましたかと申上げますると、此の貿易公團は他の配給公團と違ひまして、複數制度を採用致して居ります、詰り配炭公團でございますと、一年何千萬トンの石炭を扱ひまする公團と致しましては、單個の公團を設けたのみでございます、石油又然りでございます、然るに貿易公團に付きましては、貿易の特殊の實情性格から致しまして、複數制を採用することを適當と認めました爲に、四箇の公團に分けました譯でございます、從つて若しも此の公團が單一の公團で、此の法律に現はれると致しましたならば、恐らく其の長は總裁であり、それに次ぐ者は副總裁であり、從つて其の待遇は他の配給公團と同樣であるべきかと存ぜられるのであります、併しながら斯樣に四つに分けましたから、丁度若しも單一の公團に致しますれば四つの部が出來る、其の部長副部長に相當する者が、此の理事長副理事長、斯樣に觀念致しますると、矢張り其の特殊の事情に應じました名稱と待遇を考慮すべきだ、斯樣に存じました爲に、名稱も亦待遇も局長と同級又は同格と致した、斯樣な次第でございます、斯樣に格下げを致しますると、適當な人が得られるかどうか疑問ではないか、斯樣な御話でございまするが、私共が仕事をやつて居りまする上で、此の問題の見透しを付けまするならば、左樣な心配は先づなからうかと存ぜられるのであります、何となれば、極めて巨大な單一の公團に致しますると、其の全公團を統率し、一糸亂れず運營してやつて行くと云ふ、非常に高度の統率力、或は知識經驗、其の他の適格を持つた人を發見することは極めて困難かと思ひます、併しながら斯樣に複數に致しますると、それぞれ物品別にグループが分けてございまするので、其の面のみの知識を持つた人を探すことは比較的容易でございます、又一面から考へまするならば、現在代行機關、詰り今度の公團に吸收され、其の本體となるべき運命を持つて居りまする代行機關は七十七箇ございます、此の七十七箇の代行機關では、それぞれ會長なり、副會長、理事長、副理事長、其の他の役員が相當數居るのでございまして、從つて此の七十七箇の代行機關を解消致しまして、僅かに四つの公團に集約せられると云ふことになりますると、職員に付きましては、集團的な失業を生ずる虞は先づないかと存ぜられまするが、役員に付きましては、是は相當の退職者を出さざるを得ない、此の公團の役員たるべき人は、勿論十分に知識經驗を持ち、其の職に應ずる適格を持つて居る人でなければならないかと思ひますので、實際的の問題と致しましては、現在の代行機關の役員中から之を選考すると云ふことに、相成るかと思ひます、さう致しますると、其の選考の代表たるべき人は相當多數あるのでありまするし、又現に有能なる、多年業界に職を奉じまして、十分の適格を持つて居る人が少からず居るのであります、此の中から選考致しますることは、左程の困難ではないかと存ぜられるのであります、又待遇の點に付きましては、現在の待遇を下らざる特別の考慮を拂ひ得る制度に相成つて居りまするので、其の面から適當な人が得られないと云ふ、斯樣な心配は先づなからかうと存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=94
-
095・岸本彦衞
○岸本彦衞君 私は其の複數にすることが却つて簡易になるやうに御考のやうに伺ひましたが、寧る此の貿易公團は斯の如く四つに分けるよりも、なぜ一つに爲されなかつたかと云ふことを思う者であります、それは纖維貿易公團だけでも相當に大きな仕事でありますが、其の纖維貿易公團の中に含まれて居る、例へば棉花とか、或は色々な材料は、原料貿易の方へ入るのでございますか、或は纖維貿易公團の方に入るのでございますか、さう云ふ疑問のものは種々雜多にあるだらうと思ふ、さうすると關聯して居る諸物品でありまして、さうしてそれが御互ひに關聯するのみならず、或場合には對立的の場合も起るだらうと思ひます、さう云ふ場合に公團が違ひますと、意見が色々にありまして、業者も困り、又取扱の上に於ても、御困りになると云ふ複雜化を感じるのでございますが、此の四つに御分けになつたことに付きまして、私共は却て複雜にして、是は將來非常に紛糾する本になりはしないかと思ひますのですが、其の點に付て、大臣、どう云ふ御考でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=95
-
096・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 一つにする案も考へられたのでありまするが、大體之に要しまする人間が、所要人員が五千人以上位にもなるだらうと云ふやうなことが、果してうまく是だけの人間と、それから取扱額に於ても相當な大きな額に上る、今御話のありましたやうに纖維だけでも多額である、是等を一緒にすれば、今の貿易計畫に於て四百二三十億にも上らうと云ふやうなもので、此の種類の品質の複雜多岐に分れて居るものを一本にすることは、却て複雜を招いて運營がうまく行かないと云ふやうなことが起りはしないか、現に公益營團が一つでやつて居つた時代がある譯でありますが、是が誠に頭が大きいと云ふか、圖體が大きくて動けなかつたと云ふ例等を見ますと、今迄のやうに少くも四つ位に纏める方が宜いだらうと思ひます、又今御話のやうな點のどれに屬するか分らないと云ふやうな問題、是は一つのものを二つにする、二つのものを三つにする場合には、何處かに、必ず其の境目には起る問題であります、是等に付ては公團同士の間で話も付きませうし、付かない場合は貿易廳に於て話合ひを付けて、業者と話合ひまして、一番是が宜しいと云ふ方面に付ければ宜いのであります、何處へどれが取つて行くと云ふ權限爭ひを起す必要もない、要するに是は貿易の代行機關であり、貿易業者の爲の機關でありますから、如何樣にでも其の話は付くだらうと云ふ風に思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=96
-
097・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 私、石油配給公團に付て御質問致したとい思ひます、今迄の御質問と多少重複致すかも存じませぬが、第八條に「石油配給公團又はこれに類似する名稱を用いることができない。」と規定されて居りますけれども、石油配給公團と云ふものが設立されますと、石油配給に關する他の會社とかと云ふものは、當然なくなることになるぢやないかと思ひます、さう致しますと、第八條の意味がちよつと理解に苦しむのでありますけれども、どう云ふ意味になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=97
-
098・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) ちよつと皆さんに御諮り致します、船舶公團法案が只今本會議に上程される所になつて居るさうであります、それでありますから、一旦休憩を致しまして、濟みましたら又委員會を續行したらどうかと思ひますが、或は副委員長に御願ひ致しまして、私だけ行つて船舶公團の委員長報告を致して參りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=98
-
099・瀧脇宏光
○子爵瀧脇宏光君 斯う云ふ日のない時でありますから、委員長だけおいで願つて、副委員長に御代り願つてやつた方が宜いと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=99
-
100・後藤一藏
○委員長伯爵(後藤一藏君) それでは左樣に致します、此の席を副委員長に御譲り致します
〔委員長退席、副委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=100
-
101・石田磊
○政府委員(石田磊君) 只今の御質問に御答へ申上げます、此の石油配給公團設立の問題になりますと、現在の石油配給會社は解散されることになつて居りますので、其の點に於ての問題はない譯でございます、其の他のもので石油配給公團、或はそれに類似する名稱を使ふと云ふことになりますと、石油配給公團が一手買取、一手販賣をやつて居ると、非常に紛らはしいと云ふ關係で、類似名稱、或はそれと同樣な名稱を使ふことを禁ずる、斯う云ふ趣旨であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=101
-
102・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 次は第十三條でございますが、是も先程の御質問と多少關聯致して居ります、先程大臣から石油配給會社の從業員、其の他の大部分は、石油配給公團の方に引繼ぐやうな御話でございました、現在石油配給株式會社に出て居られます、役員、職員の中には、相當有能な士も居られますし、又石油配給の方面に於てのエキスパートも大勢居られるのでありますが、是等の方々も石油配給公團の方に、役員として今囘御入りになることになるのでございませうか、又之に依りますと、石油關係の會社の株式を所有して居るものは、是等の役員、職員になれないやうに、解釋出來ますが、斯う云つた今迄の石油配給會社の役員及び之に準じて居る方々は、大なり小なり株式を御持ちであるやうに思つて居りますが、株式を放棄すれば役員におなりになることも出來ませうか、此の點を伺ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=102
-
103・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 大體石炭の場合に申上げましたと同じやうに、石油配給株式會社に勤めて居る人達が、本人達が反對されない限りは一般の職員は、大部分の人を此方に移して來て貰ふ積りで居ります、役員に付きましては斯う云ふ性質上、先程も色々御話がありましたが、民主的に運營の出來る立派な是だけの仕事の責任者として適任なりや否やと云ふやうなことを十分考慮致しまして、今の人達、今の役員だけでなく、其の他一般からも選考致しまして決めたい、さう云ふ風に思つて居りますが、株の問題は本人の名義でさへなければ宜いものだと思つて居ります、然るべく……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=103
-
104・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 第三章業務の所でございますが、第十五條の第二號に石油類の保管及び加工」とございます、石油類の加工と云ふのは、石油製品の加工を意味して居るのでございませうか、原油の加工でありますか、石油製品の意味と解釋して宜しうございますか、次に第三號に「石油類の配給及びこれに附帶する業務」とございますが、之には輸送業務も含んで居るのでございませうか、若し輸送業務を含んで居ると致しますれば現在存在して居ります原油輸送株式會社の方はどう云ふことになるのでございますか、此點に付て承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=104
-
105・石田磊
○政府委員(石田磊君) 只今の御質問でございますが、第十五條第一項の第二號の「石油類の保管及び加工」とある加工の文字の解釋でございます、此の公團に於きましては石油類の精製は致しませぬ、從來の精製會社でやりまして、それを受取つて更に使用上さう云ふものの混合等をやらなければいかぬものがある譯であります、さう云ふことをやるやうな場合を豫定して居ります、それから輸送の關係でございますが、當然公團がトラツク等を用ひまして小運送をやらなければならぬ次第でございますが、同時にタンカー等の點に付きましては、原油輸送會社が從來ありましたが、是は先般解散致しました次第でございますが、此の設備等を借入れて此の會社が運營すると云ふ場合を豫想はして居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=105
-
106・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 ここに公團が石油、石炭、産業復興等大分ございます、四つばかりあるのですが、其の他にも色々の公團が出來るとか、此の次の議會に法案が出ると云ふやうなことを伺ふのですが、政府としては今後公團にすべき品目に對して何か御考がございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=106
-
107・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 是は臨時的な措置でもありまするし、出來得る限り種類を少く致したいと云ふのが私共の大體の方針でありますが先づ今度は配給公團と致しまして、炭の關係と石油とを出しました、其の他で考へられまするものは纖維或は鐵、化學品と云ふやうなもの等が考へられるのであります、併し今成案中で、此の議會に間に合はないから出さないと云ふやうな形でなく、是はさうすべきで、さうせぬでも宜いかと云ふやうな問題に付て研究中でございます、それから肥料配給は農林省の關係になつて居ります、是は一應成案を得たのでありますけれども、相當色々な聲もあるやうでありまするし、もう少し研究を要する點がありはせぬか、それで此の議會には間に合はないからと云ふので出して居ないやうです、次の議會に多分出されるだらうと思ひます、又其の他農林省にはもう少しあると思ひますけれども、私はつきりしたことは申上げられませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=107
-
108・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 先程の石油に續きまして、石油のことをもう少し伺ひたいと思ひます、此の第三十條にございますが、一年後に石油配給公團が解散すると云ふやうに解釋出來ますが、石油配給株式會社もなくなり、配給公團もなくなつた一年後の處置と云ふものに付て、或は御説明があつたかも存じませぬけれども、もう一度伺はして戴きたいと存じます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=108
-
109・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 是は公團法總てに關聯して斯う云ふ規定を設けたのでありますが、是が一年間で濟み得ると、必ずしもさう云ふ風には思つてぬ居りませぬ、特に石油の如きは日本で澤山掘れて、さうしてそれが自由に販賣出來るとか、外國から自由に石油が來年になればどんどん來ると云ふやうな安易な見透しはないのでありますけれども、併し段々貿易状態も好くなり、石油も我々が數年前に味はつたやうに、アメリカより廉い石油が來る時も想像されます、成るべく早い機會に斯う云ふものがやれれば公團は止めまして、自由な販賣をすると云ふやうなことになり得ると期待を致して居ります、一年位では是は事實上では無理だらうと思ひますが、諸規定の關係上斯う云ふことに致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=109
-
110・石田磊
○政府委員(石田磊君) 先程石油類の輸送に付きまして私御答申上げたことに付て訂正致したいと思ひますが、先程原油輸送のことをちよつと申上げて居りましたが、取違へまして甚だ恐縮でございますか、大體原油の關係に付きましては、此の石油配給公團とは直接關係はございませぬ、それで現在石油配給會社の持つて居りますタンカーは借入れて運營する、斯う云ふやうな經營をして居ります、それから同時に小さい輸送船等に付きましては同じく石營から借入れて、自分の手で運營する、斯う云ふやうな經營をして居ります、それから更に大きなタンカー、之に付ては運營會の方に委託しまして、大タンカーに付きましては運營會の物でありますので、それに輸送運搬を委託する、斯う云ふ關係に致して居ります、只今さう云ふ風に訂正致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=110
-
111・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 今日日本に於いて保有して居りますタンカー、船の方、タンカーは總トン數どれ位あるのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=111
-
112・石田磊
○政府委員(石田磊君) 全體のタンカーのことはまだ私、はつきり致して居りませぬが、必要でございますれば後程又調べまして……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=112
-
113・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 それから此の別表に、參考資料として戴いて居りますけれども、此の單位は全部キロリツトルで以て出て居りますのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=113
-
114・石田磊
○政府委員(石田磊君) 大體キロリツトルであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=114
-
115・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 全部キロリツトルですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=115
-
116・石田磊
○政府委員(石田磊君) さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=116
-
117・牧野忠永
○子爵牧野忠永君 それからアメリカではバレールを使つて居るやうでありますけれども、今後日本に於てはキロリツトルとか、バレールとか、ポンドとか、どれか一つに統一される御計畫でもございませうか、如何なものでありませうか、又引續き伺ひますが、現在日本の石油採掘業務を擔當して居るのは帝國石油でありますが、是は戰爭中に設立せられた、帝國石油會社法に依つて設立された會社で、其の主目的は、所謂南方石油の開發に置かれたやうでありますが、戰爭の結果、斯う云ふやうな状態になりました今日に於て、尚是等の斯う云ふ厖大な豫算と、非常な經費を要する會社が尚存在する必要があるか、尤も國内に於ても誠に微々たるものでありますけれども、原油の産出と云ふことは見られる譯でありますから、採掘會社を全然なくすると云ふことは考へられませぬけれども、國内の産油だけで、あれ程の大きな會社を今日も存置させて置くと云ふことが果して國策に適應するかどうかと云ふ點に多少の疑問があるのでありますが、之に關しまして政府當局の御意見を承りたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=117
-
118・石田磊
○政府委員(石田磊君) 先程のバーレルとリツターの併用問題、何か統一したらどうかと云ふ問題でありますが、差當り其處迄の考は實は持つて居りませぬのでございます、尚色々と一つ研究して見たいと思つて居ります、それから帝國石油の問題に付ての御質問でございますが、御説の如く、南方開發を主目的として帝國石油の組織が出來た譯でありますが、從ひまして現在に於きましては其の設立の經緯に鑑みまして、且又聯合軍の關係等も色々ございますので、色々其の邊のことを睨んで處置に付ては考へて行かなければならぬと、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=118
-
119・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 此の前石炭配給機構改善の委員會がございました時に、石炭の配給に關して最高諮問機關を中央に置いて、其の諮問機關に依つて配給其の他のことを決めると云ふやうな意見が一應纏つたやうでありますが、今度配炭公團が出來ますと、さう云ふ中央に於ける最高諮問機關と云ふものはどう云ふことになりますのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=119
-
120・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 其の精神を活かす爲に、今度も安定本部に委員會を置く積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=120
-
121・肝付兼英
○男爵肝付兼英君 安定本部に置く譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=121
-
122・石井光次郎
○國務大臣(石井光次郎君) 其の積りで居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=122
-
123・瀧脇宏光
○子爵瀧脇宏光君 委員外の片岡議員が質問されたいと仰しやつて居るのですが、此の際御諮り願つて、他になければ御許しを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=123
-
124・内田敏雄
○副委員長(男爵内田敏雄君) 御諮り致します、委員外の御質問を御許し致しまして宜しうございますか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=124
-
125・内田敏雄
○副委員長(男爵内田敏雄君) 片岡君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=125
-
126・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) 甚だ飛入りで御忙しい所申し譯ありませんが、簡單に質問させて戴きます、澤山ありますのですが、時間がありませぬので、端折つて結論だけを御質問したいと思ひます、初めに質問したいことは、公團が出來まして國庫の負擔と云ふことに總てなる譯でございます、大體三條にそれぞれ基本金を幾ら幾らと列擧してありまして、是が全部政府の出資になる譯であります、相當に是から段段と負擔が殖えて來るやうに思ひます、そこで公團は一體手數料はどう云ふ風にして御取りになりますか、之に付ての大體の御見込は御立てになつて居りませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=126
-
127・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 公團の經費は政府から之を支出致すことになつて居ります、豫算と致しましては、今日まだ表面化して居りませぬ公團等の費用も含めまして、出資は約八億圓、船舶公團は除いて居りますが、それ以外の公團と致しまして八億圓、それから人件費其の他公團の事務費に當てまする爲に、十五億圓を豫定致して居ります、それ等の經費は大體公團の扱ひまする品物の購入の價格と販賣の價格の差額を以つて當てる、斯う云ふことでございまして、其の公團の經費の剩餘がありましたものを國庫に收納をして大體それで辻褄の合ふやうに計上をして行きたい、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=127
-
128・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) 詰局御説明に依れば、剩餘金があれば繰越して歳入に入れると云ふことになつて居りますが、運營して行く裡に金が段々要つて此の條文に依れば必要があつたら貿易資金から出すとか、或は復興金融金庫から借入れると云ふ風なことになつて居りますが、只今の御話で大體分りましたが、大體借入金の金額に付ては……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=128
-
129・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 復興金融金庫から借入をする譯でございますが、復興金融金庫から借入れまする金額は只今の豫定の外でございまして、是は主として配給公團等に於ては物の購入販賣の運轉資金等を主と致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=129
-
130・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) まだ金額に付ては御豫定はない譯でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=130
-
131・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 種類別に申上げたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=131
-
132・平井富三郎
○政府委員(平井富三郎君) 配炭公團で差當り運轉資金として豫定して居りますのは約二十億圓であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=132
-
133・石田磊
○政府委員(石田磊君) 石油配給公團に於きましては約三億圓を豫定して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=133
-
134・松田太郎
○政府委員(松田太郎君) 産業復興公團の方に於きましては、第一四半期に於て約二十三億圓を豫定して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=134
-
135・岡村武
○政府委員(岡村武君) 貿易公團に付きましては、外の公團とちよつと趣が違ひまして、基本金の外所要の資金は貿易資金特別會計から貸出せるやうに相成つて居ります、又其の仕事の量も必ずしも明確に致す譯には行きませぬから、必要に應じまして貿易資金特別會計から貸出をする、斯樣な取扱を致すことに相成つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=135
-
136・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) 次に解散の問題で伺ひたいのでありますが、規定がございまして、配炭、石油、貿易、此の三つの公團の解散の場合には、安定本部長官が獨自で命令を發する、斯う云ふことになつて居りますが、それから價格調整と産業復興の二つの公團の解散は主務大臣に諮つて意見を聽いた上で解散の命令を出す、斯う云ふことをしなければ命令を出せない、斯う云ふ風になつて居ります、斯う云ふ差別を御付けになつた理由をちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=136
-
137・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 此の二種類を解散に付て規定して居りますのは、それぞれの法規の狙つて居る所が違ふのでございまして、安定本部長官の命令に依つて解散致しまするのは、主として配給關係の仕事の公團でございます、臨時物資需給調整法の失效と同時に解散すると云ふ規定になつて居ります、産業復興公團に付きましては、是は其の有效期限も設立以後三年間でございまして、此の配給公團等とは取扱が異つて居りまするので、時に主務大臣の方の解散に關する意見を求められた上で之を決めると云ふことに扱つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=137
-
138・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) そこで伺ひたいのでありますが、此の第七條の本文で、解散の場合が配炭と石油配給の二つの公團の場合は臨時物資需給調整法の失效した場合、それから安定本部長官が命令した場合、此の二つの場合と、それから附則で以て昭和二十三年四月一日と安定本部廢止の時との二つの場合、此の四つの場合が掲上されてあります、それで斯う云ふ解散の場合は、私は斯う分けずに一緒に固めてされた方が宜いやうな氣が致しますので、特に斯う云ふ風に御分けになつた理由を伺ひたいのであります、私は立法上のことを彼れ此れ申して申譯ないのですが、何となしにやるのだつたら、七條を公團は臨時物資需給調整法の失効、或は安定本部長官の命令、又は本法律失効の時解散するとされて、さうして附則に本法律は昭和二十三年四月一日又は經濟安定本部廢止の時に其の効力を失ふ、斯うされた方が宜いと思ひますが、御分けになつた理由をちよつと承りたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=138
-
139・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 是は規定の目的が、最初の第七條の方は公團の解散の問題でございまするし、三十條の方は、此の法律の有効期限を決めて居る譯でございますから、それぞれ規定の目的が違ひますので、別な條文になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=139
-
140・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) 次に先程或委員の方から御質問がありました輸送業務の點でありますが、相當に此の業務としての權限が配炭公團の方と石油公團の方と違があるやうに思ひますが、石油公團の方でありますと、其の業務として「輸送施設の配置及び使用に關する法令に基き石油類の適切な輸送を行うために必要な措置」を執ることが出來ると斯うなつて居ります、更に石油配給公團には、其の働きと申しますか、後ろに主務大臣が當公團の輸送を確保する爲には、輸送施設を其のの公團使用に供することを命令し得る、斯うあるのであります、それで配炭公團の方では、一應業務として輸送を行ひますけれども、石油の場合と違つて、主務大臣が配給公團の輸送業務の爲に積極的な輸送施設の利用を命令をすると云ふことが認められて居らないのであります、で、私は詰り是は結局獨力で解決しなければいかぬ、斯う云ふことになつて居りますので、詰り寧ろ石炭の輸送と云ふものが今日は非常に重大なことでありますので、石油配給公團のやうな風になさるのが本當ぢやないかと云ふ氣が致しますので、御分けになつた理由を承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=140
-
141・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 是は石炭と石油の物資の違ひから起つて居る問題でございます、石油の方は御承知のやうに特殊なタンカーボートを使つて居りまして、其の輸送機關と云ふものが特定されて居る譯であります、貨車の方もタンク車を使ひますので、さう云ふものは特定されて居りますが、石炭の方は一般の物資の輸送と關聯のある問題でございまして、例へば他の木材なり米なりの輸送と同じやうな舟なり何なり使ひます譯で、全般の輸送計畫と睨み合せて之を決定する譯でありまして、石油のやうに簡單な強力な輸送力に對する力を取り得ざる状況であります、全般の輸送の上に於て石炭の輸送と云ふものを割振つて參ることになつて居りますので、規定の上では若干の違ひが出來て居る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=141
-
142・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) それではタンカーボートを使ふ特殊なものであると云ふことで、石油は是は危險なものであるから、特にさう云ふボートを使ふと云ふ意味も含まれて居ると、斯う云ふ意味でございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=142
-
143・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=143
-
144・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) もう少しありますが、省略しまして、一番の肝腎な問題を伺ひたいのでありますが、今度日炭が改組される、斯う云ふことになつて全部是が買上げられる斯う云ふことになりますが、此の規定に依りますると云ふと、結局清算と云ふものが完了せぬやうになつて居るやうに思ひます、はつきりと是が買上げられると云ふことになればけじめが付きますが、是はどう云ふ譯で斯う云ふことになつて居るのでありませうか、之を一應承りたいのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=144
-
145・平井富三郎
○政府委員(平井富三郎君) 是は各公團共通の問題でございますが、配炭公團に付きましては短期の臨時な機構だと云ふ建前から、存立期間を非常に短かく設定されて居ります、固定資産は借上げると云ふことを原則に致して居る譯であります、それで日本石炭會社が、公團が出來ますと、之が清算に入る譯であります、其の期間も大體一年と豫定して居りますので、斯う云ふ設備の清算中に居るものは設備を石炭會社から借りると云ふことも出來るのでありますが、其の爲に日炭の清算自體が遲れて行くと云ふことも考へられますので、其の施設の歸屬に付きましては、成るべく早い機會に關係者の間で適當な措置を講じて行きたいと云ふ風に考へて居ります
〔副委員長退席委員長著席〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=145
-
146・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) 只今御説明でありましたが、適當の處置を講ずると云ふ意味が能く分りませぬが、實際に考へまして是以上出來ぬことになるのですがね、實際問題として、御説明は能く分るのですが、實際出來ないと思ひます、そこを御説明願ひたいと思ひます、後で困ると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=146
-
147・吉田悌二郎
○政府委員(吉田悌二郎君) 只今の問題は色々難かしい問題でありますので、關係方面と色々折衝致しまして、最後的に折衝致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=147
-
148・片岡直方
○委員外議員(片岡直方君) 何か特殊の事情があるやうでございますから、是位にしまして……有難うございました、大變飛び入りしまして貴重な時間を頂戴致しまして有難うございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=148
-
149・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 他に御質疑はございませぬでせうか、御質疑がなければ討論に入ります、別に御發言がなければ討論は是で終結したものと認めて御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=149
-
150・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議ないと認めます、それでは採決に入ります、石油配給公團法案外三件の採決を致します、政府提出の原案の儘で御異議はございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=150
-
151・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議ないと認めます、それでは石油配給公團法案外三件は政府原案通り可決すべきものと決定致しました、次に價格調整公團法案の質疑に移ります、價格調整公團法案の御質疑はございませぬか、御質疑がなければ討論に入りたいと存じますが、如何でございますか、御異議がなければ討論に入ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=151
-
152・金子武麿
○伯爵金子武麿君 私は此の價格調整公團法案には大體贊成する者でございますが、唯茲に希望致します所は、運賃プールだけはなかなか簡單なものでございませぬから、例へばレール、鐵道運賃又其の先の小運送と云ふやうなもので、其の末端迄行きます場合は、非常に把握することが困難でございますから、此の運賃プールに關しては出來るだけ小範圍に止めて、もう是れ以上は出來ないと云ふ所迄小範圍に御止め願はなければ、是は結局價格調整公團の機能發揮に非常な支障を來す結果になりはしませぬかと思ひますから、其の點政府に於て能く御考慮の上御實行願ひたいと云ふ希望を述べまして、原案に贊成致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=152
-
153・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 外に御發言がなければ是で討論は終結したものと認めます、採決に入ります、價格調整公團法案は政府の原案通り可決すべきものと決定して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=153
-
154・後藤一藏
○委員長(伯爵後藤一藏君) 御異議ないと認めます、それでは是で本委員會に附託せられました議案は全部終了致しました、是にて散會を致します
午後四時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=154
-
155・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 伯爵 後藤一藏君
副委員長 男爵 内田敏雄君
委員
侯爵 東郷彪君
侯爵 大炊御門經輝君
伯爵 金子武麿君
子爵 柳澤光治君
子爵 瀧脇宏光君
子爵 牧野忠永君
男爵 松田正之君
男爵 肝付兼英君
中村藤兵衞君
田部長右衞門君
竹中藤右衞門君
岸本彦衞君
杤木嘉郎君
委員外議員
片岡直方君
國務大臣
運輸大臣 増田甲子七君
商工大臣 石井光次郎君
國務大臣 高瀬莊太郎君
政府委員
物價廳次長 工藤昭四郎君
内閣事務官 島本融君
商工事務官 吉田悌二郎君
同 岡村武君
同 石田磊君
同 松田太郎君
同 平井富三郎君
運輸事務官 有田喜一君
運輸技官 大瀬進君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202078X00119470330&spkNum=155
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。