1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
○日本銀行法の一部を改正する等の法律案
○金融機關債券發行特例法案
○臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案
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昭和二十二年三月二十二日(土曜日)
午前十時十七分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=0
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001・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 開會致します、御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=1
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002・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 前囘の御説明の補足の意味で更に具體的のことを御説明願ひたいのです、それは外の委員會との説明と重複することもあらうかと思ひますけれども、現在の通貨の状態がどんな風になつて居るか、それから將來の動向見透しをどう云ふ風になさつて居るか、それからそれに對する對策、之を具體的に一つ御伺ひしたいのです、當局の御都合に依つては或は速記を止めてでも結構でございます、即ち實際に流通して居る通貨の高と、退藏されて居る通貨の高、どの方面に主に退藏されて居るか、それから只今頻りに奬勵されて居りまする自由預金の成績、それから財産税の徴收に依つて通貨がどう云ふ風の影響を受けて居るか、聞く所に依りますと、納税の爲に第一封鎖を動かすので、金融機關が融資の爲に手許が逼迫して困難を愬へて居ると云ふことでありますが、之がどう云ふ風になつて居りまするか、當局の之に對する方策如何、それから頻りに先般から問題となつて居りまする第一封鎖預金の解除の時期、聞く所に依りますと、四月一日と云ふのが又一箇月ばかり延びて、五月一日頃と云ふことになつて居りまするが、一體解除と云ふことが出來ることであるか出來ないことであるか、どんな風に解除爲さるかと云ふこと、之を具體的に御伺ひしたい、それから直接此の議題となつて居りまする通貨發行に關することでありますが、通貨の發行限度と云ふものが凡そ日本の現状でどの程度であるものか、勿論金本位を離脱して居る今日でありますからして、物資を見返りにしての通貨發行と云ことにならうかと思ひまするが、物資と通貨との關係が今どう云ふ風になつて居りまするか、先般發表されました一ドルが五十圓に相當すると云ふやうなことも、相當日本の通貨に對しての國民の信用が動搖して居るやうに思はれるのでありますが、斯う云ふやうなことに付て詳細御示し願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=2
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003・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 通貨の發行の情況を先づ申上げますと、昨年の三月の措置に依りまして、當時六百億の通貨が百五十億に減退致した譯であります、處が當時の見透しから申しましても、百五十億が經濟界を運行するに適切な通貨でありまするかと申しますると、是では不十分な譯でありまして、まあ國民所得と云ふやうなことから計算致しますと、戰前戰時中を通じまして、ノルマルな年には大體國民所得の一割と云ふものが發行されて居つた譯であります、昨年度の國民所得が三千七百億と言はれて居るのでありまするが、其の一割と致しますと三百七十億であります、それから戰爭中、又戰前と違ひまして、今日に於きましては現金取引と云ふやうなものが非常に盛に行はれて居ります、信用取引と云ふものが少い關係に於きまして、三百七十億と云ふやうなことではまだ足りないので、五、六百億は少くも要るのではないかと考へて居つたのでありますが、左樣な状況でありまするから、どんどん通貨が殖えて五、六百億と云ふやうな點に行つたのでありまするが、是でもなかなか止まりませぬ、本年一月には千億を超え、最近は千百億を超えて居ると云ふやうな状況であります、そこで此の通貨がどうして左樣に殖えるかと云ふ原因に付て申上げますると、大體三月の措置以來今日迄通貨が殖えた理由と云ふものは、財政資金として殖えるものが大體六割、それから産業資金、即ち民間に對する日本銀行からの貸出、之に依つて殖えるものが約四割でありまして、財政で六割殖えるのはどう云ふことであるかと申しますると、本年度の豫算と云ふものが非常に大きな赤字を出して居る譯であります、六百何十億と云ふ赤字財政になつて居る譯であります、さうして此の赤字と云ふものが民間で消化されない、結局日本銀行からの政府に對する貸出と云ふ形で現れて來て居る譯で、比の原因が非常に大きな原因となつて通貨發行高の六割を制して居ると云ふやうな状況であります、それから一方四割は日本銀行から市中銀行を通じて産業に貸出す金でありまするが、是は預金が非常に集まりまして、さうして預金を以ちまして各市中銀行が融資すると云ふやうな状況でありますれば、日本銀行から金を貸す必要はないのであります、處が概ね日本銀行に頼つて居りまして、さうして日本銀行からの借入金で融資すると云ふ結果、通貨増發額の四割を形成すると云ふやうなことになつて居る譯であります、之に對しましては、さう云ふ状況でどんどん通貨が殖えて行く、之を何とかしなければならぬと云ふので、預金再封鎖をしたらどうかと云ふやうな議論もあるのでありますが、之に付きましては、さう云ふやうな小手先な處置を執つても、なかなか通貨其のものの信頼囘復と云ふことを圖らなければ所期の目的を擧げ得まいと云ふので、只今左樣なことは全然考へて居りませぬ、結局是は通貸の信頼を確立すると云ふ方策を採らなければいかぬと、其の通貨の信頼を確立すると云ふ面としては、申す迄もなく生産の増強と、それから通貨の發行を抑制すると云ふ、此の二つの面が考へられる譯でありますが、此の二つの面からインフレ問題に正面から取組んで行かうと云ふことなんであります、それで結局只今申上げました通り六割の財政、それから四割の産業、此の兩面に對する資金と云ふものを通貨面としてはどうしても抑壓して行かなければいかぬと云ふことで、只今御審議願つて居ります豫算、昭和二十二年度豫算と云ふ風になつて來た譯であります、是は一切赤字を出さぬと云ふ方針が執られて居る譯であります、それから産業資金の方面に於きましては、三月一日から資金融通の規制を實行致すことに致しまして、財政と全く同じラインの考へ方で實施して居る譯であります、即ち日本銀行からは、一切今後金融機關には貸出をしない、金融機關は自己資金でやつて行くと、而も自己資金でやる場合に於ても、自己資金の五十パーセントしか使ひませぬので、後の殘りの五十パーセントと云ふものは封鎖預金の引出の財源にする、又地方債や特別會計で出る所の赤字公債を引受けると、さう云ふ財源に留保すると云ふ仕組を實行致しまして、財政、産業資金兩面に出る所の通貨の根元を此處で打切つて行かうと云ふ態勢を整へたのであります、左樣な譯でありますからして、昭和二十二年度豫算が實施の段階になりますと云ふ頃になりますれば、通貨増發と云ふことはない譯であります、併しながら當面どう云ふことでありまするかと申しますと、只今毎日矢張り從來通りの勢を以て通貨は増發して居る、是はどう云ふことでありますかと申しますと、まだ昭和二十一年度の豫算は實施されて居るのであります、二十一年度の豫算は先程申上げます通り、相當大きな赤字を出して居る、民間資金の吸收以上に金を出すと云ふことでありますから、それが通貨増發の原因になつて居る、此の状況が三月を經ちましてもまだなくならないんぢやないかと云ふ風に考へて居ります、今議會に出す所の追加豫算なんかも相當ありますが、其の豫算の實施と云ふものは、どうしても四月、五月、六月位迄は出る關係であります、此の通貨増發が今囘の政府の措置に依りまして直ちに止まることは考へて居りませぬ、二三箇月の期間と云ふものはまだ多少の通貨増發と云ふものが續くのではないかと云ふ風に考へて居るのであります、それから御尋の第二點でありますが、自由預金の方はどうなつて居るかと云ふ御尋でありますが、自由預金と云ふものは、昨年の九月頃迄はさう大して預金はなかつたのであります、處が十月の議會に於きまして、例の補償打切法案が議會で審議されると、それと平行致しまして補償打切に依りまして、經濟再建の基礎が出來ると云ふが、通貨安定をしなければ是はどうしても經濟安定にならぬのではないかと、通貨安定に努力せいと云ふやうな機運が、特に衆議院の方から非常に強く叫ばれまして、又貴族院に於きましても同樣な傾向がありましたが、又政府に於きましても當然さう云ふことは考へて居つた譯であります、左樣なものが結合致しまして、救國貯蓄運動と云ふ風に展開して來て居るのであります、救國貯蓄運動が、相當皆さんから御努力を願つた結果に依りまして、效果を擧げて居るのであります、十月に七十億圓の自由預金が増加して居ります、又十一月には更に七十億圓の自由預金が増加して居ります、十二月には百億圓以上、百二億圓位でありましたが、更に増加して居りまして、一月は十二月よりも相當成績は好いだらうと云ふ風に考へて居つたのでありまするが、ゼネストの關係で引出が相當行はれまして、七十億圓に逆戻り致して居ります、それから二月に於きましては八十億圓の更に増加があつたと云ふやうな状況であります、併し貯蓄の必要量から見ますと、私共は百億位要ると云ふ風に考へて居ります、百億と申しますのは、金融機關が産業に對して融資される額でありますが、是が五十億圓要ると考へて居ります、昨年度に於きましては、大體平均三十億圓の産業資金融資と云ふことをやつて來た譯でありまするが、物價の状況等から考へますると、五十億圓位は要るのぢやないかと云ふ風に考へて居るのであります、それから今後復興金融金庫と云ふものが出て、貸出をして參る場合に於きまして其の資金は一般から調達する、即ち銀行預金で債券を買つて貰ふと云ふやうな建前を、健全財政の建前から當然取ることになるのでありまするが、それでも財源を約十四億圓持ちたいと思つて居ります、それから更に封鎖預金の解除の財源としまして、是は從來の統計に依りますると月に二十億圓位であります、此の二十億圓と云ふものを銀行が自由預金として手許に持つて居る必要がある、是が二十億圓、更に殘りの二十億圓と云ふものは、是は地方債、それから特別會計で公債が出るのであります、此の公債を茲で消化して行かうと云ふ爲に留保しなければならぬ金であります、合計致しまして百億圓、此の百億圓は少く共新規自由預金の増加で賄つて行く、又左樣なことが實現出來ると致しますれば、通貨の増發と云ふことはない、斯樣なことになるのでありまして、今後貯蓄が百億圓以上出來ますかどうかと云ふことが、只今政府の考へて居る所のインフレ抑制策の鍵を握つて居ると云ふ風な所に來て居る譯であります、今後の見透しと致しましては、左樣な譯でありますから、二三箇月の間はまだ多少の増發はあるかも知れませぬが、先づ預金の増加と云ふことが百億内外の線迄行きますれば、通貨はもう増發は止つてしまひまして、さうしてインフレは一つの劃期的な段階に入ると、斯樣に考へて居る譯であります、それから次に第一封鎖預金はどうなるかと云ふ御尋ねでありますが、第一封鎖預金に付きましては、此處の所はちよつと速記を御止め願へませぬでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=3
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004・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を止めて……
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=4
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005・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=5
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006・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) それから財産税の關係でありまするが、財産税として現金、第一封鎖が相當徴收されるのでありまするが、第一封鎖、現金を併せまして大體百二十億圓程度ぢやないかと云ふ風に只今見て居るのであります、それの内譯ははつきり分りませぬが、先づ大部分は第一封鎖預金になると云ふ風に御考へ願ひたいのであります、銀行の手許は第一封鎖が減少するのでありまするから、三月は此の關係上窮屈にはなるのでありまするが、先般も申上げました通り、今囘の銀行の融資規制と云ふものは天引であります、自由預金の半分は貸して宜しいと云ふことになつて居ります、財産税の關係は是は後の殘りは國債を消化するとかさう云ふやうな方面に食ひ込むのでありまして、此の關係は直接には銀行の手許には影響はないと云ふ風に見て居るのであります、併しながら三月は財産税を納入するとか、さう云ふやうな關係で、預金がなかなか伸び惱んで居ると云ふことが銀行融資に一つの窮屈さを與へて居ると云ふ風に考へて居るのであります、次に通貨の發行限度と申しまするが、左樣なことに付ての御尋でありまするが、通貨の發行限度と云ふことは、今度此の法律に依りまして作る所の審議會に於て御審議を願ひまして決定する所の問題だと云ふ風に考へて居るのであります、然らば現在幾何の通貨と云ふものが適正なる通貨であるかと申しますと、是はどうもなかなか色々標準がありましてはつきりしないのでありまするが、假に先づ國民所得と云ふやうな建前から言ひますと、今年はどうしても六千億位の國民所得と云ふ風に考へられまするので、其の一割と致しますれば六百億、それに現金經濟に應ずる分でありまするとか、左樣なものを加へますと、それに若干の増を見込んで然るべきものぢやないか、それ以上の額と云ふものが要するに退藏になつて居る、皆我我の箪笥の中に入つて居ると云ふ風な計算になるのであります、幾何が退藏されて居るかと云ふことは、はつきりとは左樣な譯で判斷出來ないのでありまするが、まあ凡その所推量願ひたいと思ふのであります、それから通貨の分布状況でありまするが、是亦なかなか捕捉困難でありまして、色々推測する人はありまするが、的確な所は實際は分つて居らぬと云ふのが實情ぢやないかと思ふのであります、それから一ドル五十圓の問題は、是はまあ色々な角度からの見方がありますが、品物によりましては十圓位のものもあるやうでありますし、品物によりますと百圓のものもあるやうであります、先づ是も只今の比較の基礎になる所の物價と云ふものがアメリカの方では自由相場である、こちらの方では統制相場で、それと闇とが非常に離れて居ると云ふやうな状況でありまして、的確な所は分りませぬが、油のやうなものは非常にレートが高い譯でありまするが、生絲のやうなものは安いと云ふやうな非常な凸凹があつて、何處が一體的確な所であるかと云ふことは實ははつきり申上げ得ない問題なんであります、以上簡單でありまするが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=6
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007・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私の質問は一先づ是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=7
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008・藍澤彌八
○藍澤彌八君 只今政府の通貨に對する御抱負を、御質問に依つて御答を伺つたのでありますが、大體將來はどうしても預金を保護して行かなければならぬと思ふのでありますが、預金に對しての保護の方法に付てどう云ふ御構想を持つて居られるのか、今の儘で行きましたならば、銀行預金するよりは物の流れに個人として通貨を廻した方が宜い、或は多少の金利を貰ふよりは只今御話のやうに箪笥預金をした方が宜いと云つたやうな傾向が非常に盛だと思ひますが、何か此の預金を増す方法に對しての一つの構想が茲に必要なのぢやないか、こんな風に私は考へて居るのでありますが、例へば銀行に以前特銀が發行致しましたやうな割引債券と云つたやうな形式のものを銀行が若し發行が出來る、まあそれに似たやうな定期預金が出來ると云ふやうな方法がありますれば、此の預金に安全性が出來て、次第に預金が殖えて來るのぢやないか、若し此の儘で行きましたならば、私預金と云ふものは政府の御考になつて居るやうに増進せずして、通貨の發行高が段々殖えると云ふことになるだらうと私は考へるのでありますが、それに對して政府の御所見を伺ひたいと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=8
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009・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 誠に御尤もな御話でありまして、結局問題は此の物價が安定すると云ふ所が決め手と云ふか、中心問題だと思ふのであります、物價を安定させまするには先程申上げました通り通貨と物資のバランスを圖らなければならぬのでありまして、生産の問題が大きな問題、それから同時に通貨面と致しましては、通貨が出て來る根源になる所の財政、それから日本銀行の赤字金融、之を處置して行かなければならぬと云ふことになる譯であります、是がまあ兎に角根本問題でありまして、此處へ手を著けずに如何なる施設を致しましても無駄な施策になる譯であります、政府と致しましては左樣な根本的な面に一つ手を著けまして、正面からインフレと取組むと云ふ態勢であります、併しながら是はなかなかさう申しましても、其の他の第二義的と申しますか、色々な補助的な手も併せ考慮する必要があるかと思ふのであります、今後貯蓄の面としましては、救國貯蓄運動と云ふやうなものを一つ大いにやつて戴きまして、之を獨り貯蓄と云ふやうなことだけでなく、經濟再建、國民の新生活、さう云ふやうな面にも考へて行きまするけれども、又銀行自體が今後中心になりまして、さうして預金の吸收に努力すると云ふ態勢を益益強化して貰ひたいと思つて居ります、今迄銀行と云ふものは、封鎖預金の拂出とか、さう云ふことに非常に手一ぱいでありまして、活動が鈍かつたのでありますが、大體此の三月の財産税が終りますれば、相當手が省けるのでありまして、銀行を一つ中心にして大いにやつて貰ひたい、其の場合の手段として只今仰しやられる所の此の預金の新しい構想と云ふことも考へたいと思つて居ります、それで仰しやられるやうな特殊な定期預金と云ふやうなことも今考へて居るのでありまして、例へば、記名をしない預金、無記名の定期預金と云ふことも是非やつて見たい、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=9
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010・藍澤彌八
○藍澤彌八君 次に私今一つ御尋して見たいと思ふのでありますが、此の日本銀行の一部の改正法律案の主要な問題は三十條の審議會だと思ふのでありますが、是は屡屡各委員會でも問題になるのでありまするが、此の審議會の會員は凡そ政府は一體何人位に御考になつて居るのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=10
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011・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今の所では十名内外と云ふ風に考へて居るのであります、其の中には大藏大臣それから日銀總裁も入れる、さうして其の他は學識經驗者と云ふことで行きたいと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=11
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012・藍澤彌八
○藍澤彌八君 將來日本銀行の持つ役割から申しますと、其の審議會の委員の方の職責は非常に大きいものではないかと思ひまするが、只今の御話を伺ひますと大藏大臣及び日本銀行總裁も御入りにならなければならぬ建前と思ふのでありますが、其の他の方々に對しては凡そ政府では見透しを付けて、どう云ふ方面から求めると云ふことの肚構へが出來て居るぢやないかと思ふのでありますが、若し其の肚構へが出來て居るならば、此の際明かにして戴いたらどうかと思ふのであります、我我が憂へる所は、今後の日本の産業を復興致しまするには、日本銀行總裁、大藏大臣は勿論必要でありませうが、最も産業に理解のある人で、且金融界に於て相當重大な經驗のある人が審議會に入つて戴かねば、私は效果は擧げ得ないぢやないかと思つて居ります、此の點に於きまして只今の大藏大臣、日本銀行總裁と云ふやうな位置の方のみを以て實際の仕事に間に合はすことは、私はどうかと思ひます、實際仕事に對して經驗のある、實力のある人を擧げなければならぬぢやないかと思ふのでありますが、凡そ後の八人の方に對する構想を示して戴けば結構と思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=12
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013・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の委員會の構成に付きましては、只今申上げた通り大藏大臣、日本銀行總裁には入つて戴きますが、其の他の八人をどうするかと云ふことでありますが、是は全部學識經驗者と云ふ風に考へて居るのであります、學識經驗者と云ふ中には、金融界の代表、産業界の代表、それから學者も考へて見たいと思つて居ります、それから場合に依りますと勤勞階級の代表者と云ふやうなことも考へて見たい、それから議會の議員も入れるかどうかと云ふ點はまだ決定して居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=13
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014・藍澤彌八
○藍澤彌八君 私の希望する所は部分的の職能の方でなくして、實際物を經營した經驗のある人が必要ではないかと思つて居るのであります、物の經營と云ふことは部分的のものでなく、綜合的のものでありますから、苟くも通貨を發行せむとし、産業を助長せむとし、大きな復興を目指して行く日本としては、本當の經營の才のある人が、最も重要な役割を示すぢやないかと思ふのであります、私は此のメムバーの中には事業の經營と云ふことに付て、經驗のある人を十分入れて戴くことを切望する譯であります、政府の御考は如何でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=14
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015・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 學識經驗者と云ふ中には只今申上げた通り金融界の經驗者、産業界の經驗者と云ふことを考へて居るのであります、御話の通りに行くと思ふのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=15
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016・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を止めて下さい
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=16
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017・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を始めて……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=17
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018・藍澤彌八
○藍澤彌八君 第三十一條は制限外發行に關する條文と思ひますが、此の三十日を超ゆることになりますと、審議會の議決が要らぬことになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=18
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019・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=19
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020・藍澤彌八
○藍澤彌八君 日銀も次第に斯う云ふ改正に依りまして、營業の部面が公開的になると思ふのでありますが、日銀の從來持つて居りました市中銀行をコントロールする權限の中に、銀行の個人の預金の祕密を保つと云ふことが、十分信用を保つ所以と思ふのでありますが、コントロールの意味に於きまして、此の祕密が祕密にならないと云ふやうな憂を世間では持つぢやないかと思ふのでありますが、一體將來の銀行預金に對する祕密は嚴守する方法を御考になつて居るでせうかどうか、此の祕密が漏れるやうなことがあつては貯蓄振興を阻害することになつて、貯蓄奬勵と矛盾する結果を生ずると考へるのでありますが、此の預金の祕密を十分尊重させる意味で、日本銀行をしてさう云ふ手段方法を採らせると云ふやうな御考は如何でありませう発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=20
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021・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 預金の祕密性と云ふ問題でありますが、是はなかなかむづかしい問題を含んで居るのであります、特に是は税を取る觀點から申しますと、其の持つて居る預金から利子が入る、當然是には税を課けるべきぢやないかと云ふやうな議論になるのであります、さう云ふ一種の正義觀から申上げますれば、預金を拘束するやうな考へ方はあり得るのであります、處が現在の問題として考へますと、非常なインフレ過程にある次第でありまして、之を何とかしますると云ふ見地からは、どうしても預金が集まらなければならぬと云ふ問題がある譯です、只今の政府の考へ方としましては、税を取ると云ふ見地よりも寧ろ預金を保護する、さうして貯蓄を増加すると云ふ所に重點を置いて、税の方は此の際犠牲にすべきであると云ふ風な考へ方を取つて居る譯であります、此の趣旨を根本的に貫徹する爲には、現在の税法の建前を變へて行く必要もあるのでありまするが、先般來各税務署長に大藏省から訓令を出しまして、税を取る見地から一切預金を調べちやいかぬと云ふことになつて居ります、まあ特殊異例な場合であります、例へば反則事件でありますとか、或は滯納事件でありますとか、左樣な場合にはもう仕樣がない、普通の場合には税務署長が銀行を覗いて預金を調べると云ふ譯には行かぬと云ふことになつて居ります、今度の税制改正に當りましては、從來通りの源泉課税制度を存置致しまして、そして其の制度に依りまして源泉選擇を致しますれば、もう預金はちよつと分らぬと云ふ風なことになります、それから先にも申上げましたやうに、御好みに依りましては無記名預金と云ふやうな方法も考へたらどうかと云ふことも考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=21
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022・藍澤彌八
○藍澤彌八君 能く分りました、私は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=22
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023・太田半六
○太田半六君 日銀の銀行法の一部を改正する法律案を拜見したのでありますが、私は此の日銀法を今日の時代に最も即したやうに根本的に御變へになつてはどうか知らぬと云ふやうな感じを持つて居るのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=23
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024・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 比の歴史的大敗戰の後でありまして、國力と云ふものも前に比べれば非常に變つて來たやうな状況に即應しまして、金融機關全體の仕組をどうするかと云ふやうな根本問題がある譯であります、殊に新時代に即應して日本銀行をどうするかと云ふやうな問題がありますが、私共は根本的な考へ方と致しまして、只今はインフレの過程にありまして、まだ財界も安定致しませぬ、斯樣な際に左樣な機構の問題を取り上げると云ふことは、其の據つて立つ基礎が非常に不安定でありまして、それのみならず更に此の機構弄りを致しまして銀行がごたごたすると云ふやうなことが、銀行の使命と云ふものは只今預金を吸收しましてさうしてインフレにブレーキを掛けると云ふやうな役目でありまするから、左樣な使命に聊かマイナスの影響があるのぢやないかと云ふ風に考へて居ります、左樣な見地から只今機構の問題はやらぬ、インフレ問題に關係のある、即ち發行限度を抑制するとか、左樣なことだけを當面取り上げると云ふことに致して居ります、根本的な問題は只今金融制度調査會がありまして、そこで愼重審議をして戴いて居ります、其の答申を俟ちまして、又財界の安定とも睨み合せまして、さうして實施して參りたいと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=24
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025・太田半六
○太田半六君 只今藍澤委員から預金のことに付て御尋ねがあつたやうですが、政府委員の御答辯に依ると、預金の増加しないことは物價の高いことが影響して居るやうな御答辯に伺つたのですが、それも勿論影響するだらうとは考へて居りますけれども、私はそれのみではないと思ふのであります、通貨に對する國民の何と言ひますか、政府が更に何等か通貨に對して手をうつのぢやないかと云ふやうな危惧がある爲に、通貨の死藏が行はれて居るのである、斯う云ふやうに私は見て居るのであります、其の點はどう云ふ御考でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=25
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026・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 通貨がどんどん殖えて行つて止まらぬから、何か又再封鎖でもあるんでないかと云ふやうなことが、仰しやる通り一部預金しないと云ふことの原因にもなつて居る譯でございます、懷ろに置いて、何かさう云ふ氣配がありましたら何時でも手放すと云ふやうな態勢にありたい、斯う云ふことだらうと思ふのであります、併し此の點に付きましては、政府が始終言つて居る通り、新圓の再封鎖は全然やらないと云ふことを言つて居る譯であります、再封鎖と云ふのはなかなか口で言ふと簡單なやうでありますが、之を理論的に檢討致しましても、技術的にやつて見ましても、なかなかさう云ふことは出來る譯のもんではないのです、と云ふことは、再封鎖をすべしと云ふ議論は二つ論據がある、一つはどんどん紙幣が殖えて行つて、底なしである、だから一つ此の底なしのやつを此處で又去年の三月みたいに喰ひ止めたらどうかと云ふ議論が一つ、もう一つは新圓階級と云ふものが新圓を握りこんで闇取引をどんどんして居る、闇肥りにどんどん肥つて行つて、非常な社會的な對立感情と云ふか、正義感に反すると云ふ議論がある、さう云ふ二つの議論から新圓再封鎖と云ふやうなことが唱へられて居るのでありますが、假に新圓を封鎖して見ましても、是は次に來る通貨と云ふものが安定通貨でなければ、又それ以上のスピードで殖えて行く譯なんであります、それどころぢやないのです、實は通貨と云ふものに對する信頼がもう、ああ云ふことを二度もやつたら、全然なくなつちやうんですね、次に通貨と云ふものは、同じどころぢやない、えらい勢ひで殖えて行かなければならぬと云ふやうな状況に置かれることは、是は必至であります、で輕々に出來ない、それから社會的なアンバランスを矯正すると云ふ面から左樣なことを唱道する人もあるのでありますが、其の點に付きましては、是はまあ今の世の中でやる施策でありますから、事前に必ず漏れます、漏れれば新圓を持つて居る人は皆手放してしまふ、押へようと云ふ新圓を持つて居る人は其の措置をやる時には、もう蛻の殼になつて居ると云ふことで、全然押へようもないのです、それから假に押へ得たとしましても、次に又、どうせ通貨は安定しないのですから、新新圓階級と云ふものが出て來ると云ふやうなことで、是はどうしてもさう云ふ封鎖をすると云ふやうな小細工では片附かぬものであります、インフレの根源を衝く態勢を整へると云ふことでなければ此のインフレは收まりませぬ、只今新圓再封鎖、左樣なことはもう全然考へて居りませぬし、是は理論上も技術上も成り立ちませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=26
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027・太田半六
○太田半六君 新圓の封鎖をしないと云ふことは、大臣からも屡屡伺つて居るのでありますが、どうも巷間傳ふる所に依ると、大臣がさう云ふことを聲明しても、何か國民はそれを信用して居ないのぢやないか知らぬ、斯う云ふやうに思ふのです、此の點もう少し強調してさう云ふことのないやうな具合にして戴くやうな方法はないのでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=27
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028・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是はどうしても國民自身の自省反省と言ひまするか、再建意欲と言ひまするか、さう云ふことから出發しなければならぬ問題ではないかと考へて居るのであります、今の救國貯蓄運動あたりでもさう云ふことを宣傳して戴くやうなことを考へて居るのでありますが、どうも大藏大臣があれだけ言明してもまだ納得の行かぬとするとなかなか簡單に片附きませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=28
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029・大谷正男
○大谷正男君 條文に付てちよつとお尋ねしたいのでありますが、「第三十六條ノ二」と云ふ次の三十九條の三項を改める譯でございますね、是は從前の規定では「年四分ヲ下ラザル割合ノ配當ヲ爲スベシ」と、斯う云ふことであつたのが、今囘は「配當ヲ爲サントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」と、斯う云ふ譯なんです、是は成るべく將來は配當をさせないと云ふやうに迄御考なのでありませうか、是はまあ當分の措置と云ふことでありませうか、此の附則の三頁の第五項の終ひから二行目の所に當る、當分の間、準備金に相當する配當に當るものは積立金にすべしと云ふ、此の大體の趣旨は配當を成るべくさせないと云ふことでありませうか、まあ其處迄御考へではないと云ふのでありませうか、其の點は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=29
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030・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の趣旨は只今迄は出資者と致しまして政府と一般人とある譯でありますが、政府が劣後して居りまして、一般民間が優先して居る、而も一般民間の保證は四分迄政府が保證して居ると云ふ關係があつたのでありますが、今度は政府も民間も同列に置かれる、さうして但し配當の保證は國家保證はない、斯樣なことに致した譯であります、是はマッカーサー司令部の要請に依りまして昨年政府が劣後株とか、さう云ふやうなことは一切廢めると云ふことになつて居るのでありまして、其の方針に準據致した譯であります、「但シ其ノ配當ハ年五分ノ割合ヲ超ユルコトヲ得ズ」と書いてありますが、大體まあ五分位の處が適正ではあるまいかと云ふやうに考へて居りますので、其の制限を置いた譯であります、是が永久的のものであるかと云ふやうな問題に付きましては、是は日本銀行自體の機構全部に亙りまして、近く先程申上げました通り再檢討をすると云ふことになつて居りますので、それ迄の繋ぎであります、それから三頁の終りから二行目の「當分の間、剩餘金の配當をしない」と云ふことが書いてありますが、是は只今金融機關全部に亙りまして配當をして居ないのであります、是は極く暫定的な措置なのでありますが、さう云ふやうな配當をしない場合に、配當をし得る金があつた場合に、是は何等かの形で積立てしめた方が宜いのではないかと云ふやうなことから、極く暫定的な意味で置いた譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=30
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031・大谷正男
○大谷正男君 今のことに關聯して居ります附則の第六項でありますが、四頁の終ひから四行目に「特別準備金は、損失の補填又は主務大臣の定めるその他の目的以外に」、此のその他の目的と云ふのは大體どんなことでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=31
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032・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御答へ致します、只今の處は大體損失の填補だけを考へて居りますが、場合に依りまして、配當の平均を致します爲の使用に充てることがあり得ると云ふことを豫想致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=32
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033・大谷正男
○大谷正男君 今御話のやうに配當平均のことも入つて居るのだらうと推測は致して居りました、是は先刻の配當をしない時に特別準備金を積立てると云ふことになりますから、是は配當準備金ではございませぬが、配當準備にもなり得る、斯う了解して居りますが、今の御話も左樣でございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=33
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034・河野通一
○政府委員(河野通一君) 左樣でございます、それから只今銀行局長から御説明致しましたことにちよつと補足致しますが、日本銀行の配當の率を大體年五分の割に抑へました理由は、只今銀行局長から御話申上げました所と、もう一つの理由は、御手許にあります法案の第四頁の終りから二行目、第何項になりますか、現行の日本銀行法で四分の配當迄保證致して居りますが、それは廢める、併し損失の補填は致すことになつて居ります、一方に於て損失が出た場合に補填を致すことになつて居りますが、それと裏腹を爲します所の非常に多くの利益が出た場合に、總て一割も二割も配當すると云ふことは、公共の利益に反すると云ふことで、現行法と同じやうに五分の率に制限を致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=34
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035・大谷正男
○大谷正男君 了解致しました、第四十條が削除になつて居りますが、是は四十條と云ふのは、今の配當の保證のやうな意味になつて居るかと思つて居ります、之を削除しまして、只今の御説明になつた損失と云ふ所の附則の條文に變つた、從つて配當補償と云ふことは全然しないが、損失補償をしたもの、斯う云ふ風に主義が變つた、斯う了解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=35
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036・河野通一
○政府委員(河野通一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=36
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037・大谷正男
○大谷正男君 尚前に遡りまして、三十一條の二でありますが、此の發行税のことでありますが、是は元あつたのですが、廢したのは何時からでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=37
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038・河野通一
○政府委員(河野通一君) 昭和七年に改正致しまして廢めたのであります、昭年七年に納付金法と云ふものが出來まして、日本銀行の利益が出て參りますものは、政府納付金で政府に納めさせると云ふことに致しました爲に、從來ありました發行税の制度を廢めた譯であります、失禮致しました、ちよつと訂正致しますが、昭和七年に改正致しましたのは、發行税の内限度内發行に對する税を落しましたので、限外發行税は殘つて居りました、それを終局的に落しましたのは、昭和十二年の四月特別の臨時特例法に依つて之を落したのであります、今般第三十一條の二に依りまして、發行税制度を復活致しました、詰り納付会制度は其の儘にして置いて發行税の制度を復活致しました理由は、發行税を課することに依りまして日本銀行の貸出制度、割引制度、詰り金利政策でありますが、金利政策に直接的な影響を與へる、具體的に申上げますると、通貨が非常に限外發行が殖えると云ふ場合に於きましては、日本銀行に或率の發行税を課することに依つて日本銀行は貸出歩合を上げられない、之に依つて通貨の放出を出來るだけ抑制して行かう、斯う云ふ直接的效果を狙つた譯であります、從ひまして日本銀行の經理上から言ひますると、納付金で取りまするもの、發行税で取りまするものは僅かでありまするが、金利政策に直接的な影響を與へるか、唯經理を通して間接的に影響を與へるかの差異がある譯であります、此の際と致しましては、さう云ふ直接的な影響を日本銀行の金利政策に與へることが必要であらうと云ふ私共の考の下に發行税制度を復活することに致した譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=38
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039・大谷正男
○大谷正男君 納付金も制度は其の儘あるのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=39
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040・河野通一
○政府委員(河野通一君) 其の儘であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=40
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041・大谷正男
○大谷正男君 尚今の御話では、今度發行税を復活致しましたのは、金融政策上の見地から詰り發行の調節を講ずると云ふのが主眼であつて、其の收入を狙つて居ると云ふことはまあそれは無論多少の影響はありますが、第二義的なものである、財政上の收入のことは殆ど考へて居らぬ、斯樣に了解して宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=41
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042・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御話の通りであります、之を取りませぬでも收入の點から言ひますると、結局廻り廻つて政府に取られる譯でありますから、收入の點からは此の制度を設くる理由は何等ありませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=42
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043・大谷正男
○大谷正男君 私の質問は是で一應打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=43
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044・三浦新七
○三浦新七君 ちよつと御伺ひ致しますが、「通貨發行審議會ノ議ヲ經テ」と云ふことが三十一條にありまする、それから三十二條の二には「通貨發行審議會ノ議決ニ基キ」と云ふやうにあつて、文字が違つて居りますが、是は何か特別の意味があるのでありますか、ないのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=44
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045・河野通一
○政府委員(河野通一君) 之を變へました理由は實質的には殆ど變りありませぬ、唯氣持の上で、三十一條の二にありまする「審議會ノ議ヲ經テ」と云ふことになりますと、是は法制上はつきりした拘束力を持つ、從ひまして主務大臣は、此の場合で申しますと、發行税率を審議會で議決致しましたものよりも低く定めることは絶對に出來ない譯であります、それに反しまして、比の「議決ニ基キ」と申しまするのは實質的には其の議決が非常に尊重される譯でありますが、其の點に於きまして、實質的に諮問に基きとか、諮問を經てと云ふことと又意味が違ひます、違ひまするが、最終的に内閣が發行限度を定めます場合に、其の議決に反することの決定が出來ないと云ふ效果はある譯であります、從ひまして、實質的には「議決ニ基キ」と全く同じでありますが、法制の建前から言ひますると、最終の拘束力は持つて居ない、斯う云ふことに相成る譯であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=45
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046・三浦新七
○三浦新七君 さうすると、其の「議決ニ基キ」と云ふ條文がある所に、之を「閣議ヲ經テ」云々と云ふ三十條ですか、それの規定になりますと、其の閣議で審議委員會の議決を改めると云ふやうな場合に於ては、別に再び審議會に掛けると云ふやうな必要はないことになりますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=46
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047・河野通一
○政府委員(河野通一君) 形式上は左樣になりますが、實質上は左樣なことは考へて居りませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=47
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048・三浦新七
○三浦新七君 それからもう一つ紙幣發行の擔保の割合を決める、それが此の中に書いてないのでございますが、それは舊日本銀行法の三十二條の第二と書いてある所ですが、第二は「第二十條第二號又ハ第二十二條第一項ノ規定ニ依ル貸付金」、それから第四の所に「第二十條第五號ノ主務大臣ノ認可ヲ受ヶタル債券」と云ふもの、是はどう云ふやうなものなのでありますか、具體的の問題は、近頃大分金の出る原因になつて居る一般銀行に對しての融通金、貸付金と云ふやうなものが此の條文で含まれることになるのでありますか、ならないのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=48
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049・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今の市中銀行に對する貸出金關係のものは第二號であります、勿論第二も該當しますが、第一號より第二號であります、今市中銀行に出す貸出分が殖えて居りまするが、第四のルートを通つて出て參るものは殆どございませぬ、今の特殊の債券を持つて居りまするものは、ちよつと今手許に材料を持つて居りませぬが、殆どない筈であります、此の債券、第二十條の第五號ですね、言ひ換へますると、第三十二條の第四號……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=49
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050・三浦新七
○三浦新七君 其の今の「商業手形、銀行引受手形其ノ他ノ手形」とありますが、國債擔保其の他の債券擔保で貸出した金は此の中に入るのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=50
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051・河野通一
○政府委員(河野通一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=51
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052・三浦新七
○三浦新七君 私はそれだけで結構です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=52
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053・大谷正男
○大谷正男君 尚ちよつと伺つて置きますが、三十一條の二でございますね、あの發行税を納めるのは主務大臣の定める割合を以つて納める、斯う云ふことになつて居ります、其の但書に「其ノ割合ハ通貨發行審議會ノ議ヲ經テ主務大臣ノ定ムル割合ヲ下ルコトヲ得ズ」とあり、大變まあ規定としては、多少複雜して居るやうに見えますが、是は無論前以て決めて居る其の割合を下ることを得ない、此の但書は前に豫め決めて置く、斯う云ふ譯でございますね発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=53
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054・河野通一
○政府委員(河野通一君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=54
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055・大谷正男
○大谷正男君 其處で本文の方の「主務大臣ノ定ムル割合ヲ以テ發行税ヲ納ムベシ但シ其ノ割合ハ通貨發行審議會ノ議ヲ經テ主務大臣ノ定ムル割合ヲ下ルコトヲ得ズ」と云ふことは、ちよつと自明のことのやうにも考へられる、今此の規定のあるのは、豫め通貨發行審議會の議を經て割合を決めて置くのだと云ふことを言はむとする譯でありませうが、規定として少しをかしいやうにも思はれるのですが、其の點はどうでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=55
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056・河野通一
○政府委員(河野通一君) 發行税に關する今迄の法律上の沿革を申上げますると、大體斯う云ふ本文は斯う云ふ書き方で、但し其の割合は年三分を下ることを得ずと云ふやうな、詰り最低率が法律で定つて居つた譯であります、今般法律でさう云ふことを決めることは、矢張り今後の金融情勢、特に金利の情勢、其の他から見まして彈力性を持たせる必要があらう、さう云ふ點から矢張り法律できつちり三分と云ふことを書くのは適當でないだらうと云ふ結論に到達致した譯であります、さらばと云つて主務大臣が勝手に定めるのも適當でないので、矢張り各界の代表の方の御集りになつて居ります通貨發行審議會に掛けて其處で最低の割合を決めて戴いて、そして其の決めて戴いた割合を形式的には矢張り主務大臣が定めるのでありますが、實質的には通貨發行審議會で定めた其の最低の割合を下ることは出來ないと云ふことにしてはどうか、此の點の御話は先程三浦委員から御話がありました通り、此處だけ「通貨發行審議會ノ議ヲ經テ」となつて、後の所は一切「議決ニ基キ」と、斯う云ふことになつて居りますので、其の「議ヲ經テ」と云ふことは、主務大臣を拘束する意味に於て「議ヲ經テ」と云ふことが書いてあります、是は形式的にも實質的にも拘束されます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=56
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057・大谷正男
○大谷正男君 さう云ふ風に主務大臣を拘束する審議會の議を經て確定して居ると、其の割合を下ることを得ず、斯う云ふことでありますが、私先刻御話したのは、規定の書き方と云ふことになりますが、前の本文の方は其の都度の指定でありますから、此の割合を以て發行税を納むべしと、斯う云ふことは茲にさう書かなければならぬ譯でありませうが、但書の方は、もう少し他の書き方があつたのぢやないかと思つたのでありますが、併しまあ別段、特に之を變へた方が宜からうと云ふ迄に考へて居りませぬけれども、大體從前は百分の五でありましたか、前の舊規定によりますと、是は今後は大體どんなことになりますか、其の都度のあれでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=57
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058・河野通一
○政府委員(河野通一君) 先程申しましたやうに、舊規定に依りますと年三分を下ることを得ず、是が最低率になつて居る、從來の適用は、あの法律の規定を廢めます迄、その直前頃迄はずつと三分で最低率を適用して參つて居ります、過去に於きましては五分、四分を適用したこともございます、今後之を運用致します場合に、最低率をどの程度に定めたら宜いかと云ふことは、ちよつと今金利の情勢、其の他から見ましてはつきりしたことは申上げる迄に至つて居りませぬので、暫く研究させて戴きたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=58
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059・大谷正男
○大谷正男君 序に三十條の所で、ここの條文を書いたのには現れて居りませぬが、第二項に依つて公示されて居る發行限度は、只今はどう云ふ數字になつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=59
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060・河野通一
○政府委員(河野通一君) 是は六十億と云ふ數字になつて居ります、是は昭和十七年に其の發行限度を日本銀行法が出來た時に定めまして以來、今では實は空文になつて居ります、有名無實の状態になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=60
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061・太田半六
○太田半六君 ちよつと分らぬことがあるので御尋ねしたいのですが、三十一條の限外發行のことですが、但書に「十五日ヲ超エ其ノ發行ヲ繼續セントスルトキハ主務大臣ノ認可ヲ受クベシ」、それから更に三十日を超える場合には通貨發行審議會の決議に基くとしてあるのですが、是は唯日だけ制限を置いて居るやうですが、金額に別段關係がないのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=61
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062・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御話の通り、金額にも關係がありますが、之に書きましたのは所謂限外發行と云ふものは赤字信號、俗な言葉で言ひますると赤字信號的意味を持つ、是は通貨の正常の發行の状態に於きましては、大體普通の季節的な、例へば月末から月初に掛けて非常に一時通貨の發行が殖えると云ふことが大體十五日位續く程度ならば、是は所謂赤字信號として考へる必要はない、季節的増加であつて、それは必ず來月に於て收縮すべきものであると云つた状態、是は通貨の發行状態が正常の状態を逸脱して居る状態とは考へない、實は十五日程度のものならば別段認可を受けないでも日本銀行は自由に發行して宜しい、斯う云ふことに致したのであります、それから十五日を超えて來ますと、是は矢張り相當繼續的に限外發行が出ると云ふことでありますから、通貨政策としては相當考慮を要するのぢやないか、それが更に三十日を超えて一月も續くと云ふことになりますれば、是は益益以て、是は程度問題でありますが、程度が非常にひどくなると云ふ風に考へられますので、實際としては主務大臣が限外發行の認可を致します場合には、通貨發行審議會の議決に基いて之をやる、通貨發行審議會としては其の際、場合に依りましては、是は通貨の發行状況が非常に不健全であると云ふことで、別段の措置を執らなければならぬ場合もありませう、と申しますのは、具體的には更に其の通貨の發行の増加を規正する方法を考へなければならぬと云ふ場合もありませうし、又一方でさう云ふ風に恆常的に限外發行が出て行くやうな状態が、其の時の金融なり、經濟の情勢から見て別にさう怪しむに足らぬ事柄だと云ふことになりました場合には、三十條の發行限度を更に擴張すると云ふやうな問題に相成るかと思ひます、是等の點は其の時の事情に依つて考慮しなければならぬ、斯樣に考へます、御話のやうに、金額で何億以上の限外發行が出たら通貨審議會の議決を經なければいかぬと云ふやうなことにするのも一つの考へ方でありますけれども、是は具體的に金額を擧げることは、實はなかなか困難でありますので、期間的な今のやうな方法でやつて行くことが、此の際としては適當であらうと云ふ結論に到達した譯でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=62
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063・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) ちよつと御諮りを致しますが、本會議の方から定足數を缺くから出席をしてくれと云ふことでございますから休憩を致します、午後一時から始めたいと思ひます
午前十一時四十分休憩
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午後一時二十二分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=63
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064・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 午前に引續き開會致します、御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=64
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065・三浦新七
○三浦新七君 今度の日本銀行法の一部を改正すると云ふものは臨時の處置であらうと思ひますが、此の大體の趣意は此の前實は此の案の説明の時に聽かなかつたのですが、大體の趣旨は何とかして日本銀行の發行高を減らさうと云ふやうな所に目的があるのでございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=65
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066・河野通一
○政府委員(河野通一君) 減らさうと申しますか、全體の經濟の實勢に合ふやうな、通貨の發行高に規正して行きたいと云ふ意味でありまして、絶對額を減らし得るかどうか、是は減らすべきかどうかと云ふ問題もございますが、通貨量を規正して行きたい、斯う云ふ趣旨の問題もございますが、私共として經濟の實勢に適合したやうな發行高に規正をして行きたいと云ふのが此の法律案を提案致した譯です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=66
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067・三浦新七
○三浦新七君 さうしますと別に進駐軍の方の趣旨であつて、出來るだけ日本銀行と云ふものの經營を政府の財政からして、もう獨立させようと、斯う云ふやうな趣意は今の所先づ此の法案には含まれて居ない、さう云ふやうな趣旨で出したんぢやないと解釋して宜しいのでございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=67
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068・河野通一
○政府委員(河野通一君) さう御解釋願つて結構だと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=68
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069・三浦新七
○三浦新七君 さうしますと何れ是は通貨發行審議會と云ふやうなものの性格がどう云ふ工合になるか、此の案だけでは分らない譯でありますが、今の紙幣發行の無暗に出て行くと云ふことは金融の状態から來るのではなくして、主として外のものが足らないと云ふ所から來る、直接原因は其の主食物の遲配にある、經營の資材がなかなか政府が企圖して居るやうな所に統制を取つて適當な所に流すことが出來ない、斯う云ふやうな所にあるのぢやないかと思ひます、なかなか政府が金融界の統制をすると云ふことだけぢやない、無論從たる現象として起つて來るので、其の外の條件が伴はない内は何としても仕樣がない問題ぢやないか、審議會と云ふものが出來て見た所でどうすることも出來ない性質のものではないかと斯う考へるのであります、幸にして大藏大臣の努力に依つて兎にも角にも一應の豫算のバランスが取れて來て居る、斯う云ふやうなことになつて來て一つの條件は段々備つて來たやうには見へるのでありますが、偖、矢つ張り今度の、どの位の程度に信頼を受けるか存じませぬけれども、所謂賠償設備の撤收、百分の三十程度位までは直ぐにやらうと云ふ指令が出たと云ふ電文もあります、さう云ふことになれば自ら其の金の出所がない、結局政府の財政も、所謂健全財政と云ふことは保し得ないことになるやうな状態になつて來る、總てのことは皆外から來るのでありまして、日本銀行券の發行の制限と云ふことは、已むを得ず之にくつ附いて行くだけの話で、此の方が主力になつて抑へるから、どうか出來るかと云ふことの問題は、疑問としなければならぬ、是が早い話が片つ方の紙幣が出て居る、原因の方に對して打つ政府の手が遲れて居つて、統制が出來る方の、比較的簡單な事の方に統制を行ふと云ふやうなことがある爲に、却て紙幣の濫發、若しくは紙幣の囘轉と囘數と云ふやうなものを増加しまして、物價騰貴を煽ると云ふやうなことがありはしないかと云ふことを心配する譯であります、少し從たる方面に於ての統制を早くやり過ぎて居るんぢやないかと云ふ氣が致しますが、此の間の緊急措置の資金流通の方面を、甲乙丙とか云ふ工合に分けてやつたと云ふことも、其の物資なり資材なりの統制がすつかりさう云ふ方面に行き渡つて居ると云ふことがあつて、初めて資金の方に統制を用ひて效果が發揮するのであります、どうもさうでなく片つ方だけ早くやつたと云ふこと、若しくは配給公廳と云ふものがまだ出立しない前に、ああ云ふことが出來て來たと云ふ爲に、折角どれ位の程度集まり得たのか分りませぬけれども、集まり得るやうな紙幣の要件と云ふものを却て阻害してしまつて、金融機關と稱せられる銀行が、謂はば金融方面から浮き上がり立つて、銀行を通さない資金の融通、或は高利貸の形式に依り、或はインべストメントの形式に依つて、丙乙、さう云ふやうなものに金を出して、其の出來たものだけ己の所に寄越せと云ふやうなことで、益益スペキユレーシヨンと云ふものを増加すると申しますか、大藏大臣は度々健全の方針を執つたと云ふことの爲にスペキユレーシヨンの枠が出來たんだから、先へ行つて高くなると云ふやうな見込がなくなるからスペキユレーシヨンは起らないと云ふやうなことを言はれて居るのですが、なかなかさう云ふやうなスペキユレーシヨンをやる、物價が高くなると云ふことは貨幣の平面にあるのではなく、其の外の平面にあるのであつて、其の方がもつとも抑へられないとするとどうも效果がない、效果がないなら兎に角、それに依つて大きな弊害を起すと云ふことを恐れるのですが、其の邊に付て大藏省の御意見のある所を一つ伺つて置いて、兼ねてさう云ふやうな、詰り此の間のやうな緊急措置を行ふと云ふやうなことに付ても矢張り資金審査會と云ふやうなものの議を經ることになるのでありませうか、是はもう行政處分だからやつつけちやうのだと云ふやうな態度では、さう云ふやうな委員會を設け、それに依つて紙幣の發行高を調整して行かうと云ふやうなことはどうも效果がないのではないかと恐れるのでありますが、如何ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=69
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070・河野通一
○政府委員(河野通一君) 問題が非常に大きいので、或は大藏大臣から御答すべきことかと思ひますが、御話の現在のインフレーシヨンと申しますか、通貨膨脹の状況は單に御話のやうな通貨金融の面だけに原因があるのではなくして、或は物資でありますとか、或は物價でありますとか、生産でありますとか、或は勞務、其の他の經濟各般の要素に大きな原因がありますことは御話の通りだと思ひます、インフレーシヨンの對策と致しまして政府が今考へて居りまするのは、勿論通貨金融の面だけから何等かの手を打てばインフレーシヨンは止まる、通貨の膨脹は上まると云ふやうな安易な氣持で此の問題を考へて居りませぬことは御了承戴けることと思ふのであります、私からさう云ふことを申上げるものも僭越でありますが、經濟安定本部を中心と致しまして、經濟の綜合的な一貫した何と申しますか、緊急と申しますか、應急と申しますか差當りの政策と、それから今後長きに亙つて考へなければならぬ恆久的な方策と云ふやうなものを今著々審議致して居りますし、又其の中で一二のものは既に具體化致して居りますることは御承知の通りであります、是等の總ての政策が理想的に申しますると、揆を一にして同時に、而も同じ歩調で辷り出すと云ふことが最も好ましいことでありますことは勿論でありますけれども、遺憾ながら現在のやうな内外諸般の情勢から致しまして、どうも是等の綜合的な施策をゆつくり考へて、さうしてそれを何と申しますか、極く俗な言葉で申しますると、第一章から結論迄全部揃へて一緒に出すと云ふことはなかなか困難な事態でもありますし、差迫つて起つて參りまする問題を一つ一つ捉へて、併しそれは綜合的な見地から問題を判斷しながら急ぐものを逐次實施して參るより外方法がないと云ふやうな實情であるのであります、通貨金融の面に付きましては、徒らに唯形式的に其の通貨の發行限度と云ふものを定めて見たつて、是は正に御話の通り空なものであります、内容の何もないものであります、此の通貨の發行限度を今般法律の改正に依りまして適正なる方法を執りたいと云ふ點に付きましては、此の委員會の御席上でも御説明申上げました通り、此の裏になりまする點として通貨の發行を規制すべき各般の措置を必要とすることは申す迄もないことであります、此の規制すべき措置と致しまして、それは矢張り御話の通り通貨が出て行きます徑路、其の原因と申しますか、其の徑路に於て之を適當に調整する必要があるのではないか、それは只今御指摘のありました通り一つは財政の問題であり、一つは日本銀行からの市中に對する貸出金の問題であります、此の二つに付きましては色々御批判はあらうと思ひますが、政府と致しましては先づ財政の均衡化と申しまするか、收支の調整と云ふことに付て極力努力を致して居りますと共に、他の一つの通貨發行の徑路でありまする所の日本銀行からの市中貸出と申しますると、詰り日本銀行からの借入に依る産業資金の供給と云ふやうなことを極力抑制致しまして、日本銀行からの借入に依存して市中の金融が行はれると云ふ状態を出來るだけ抑へて行くと云ふ方向に極力努力を致して居る譯であります、唯御話の通り物價の状況に致しましても、生産の状況に致しましても、思ふに任せない點が多多あります爲に、是等の色々な點で何と申しますか、寧ろマイナスになるやうな傾向が現はれて居ります點は御指摘の通りであります、例へば産業資金の供給の規制の點を一つ捉へて見ましても、之をやりましたが爲に却て融通された資金の囘收がうまく行かぬと云ふやうな點もあります、それから御話のやうに金融を闇の金融に追ひやつてしまつたと云ふ傾向があることも正に遺憾ながら事實であります、併しながら是等の點に付きまして私共として極力さう云ふ風な障碍支障を無くする、乃至は少くとも最小限度に止めるやうに努力致さねばならぬことは申す迄もないことでありますが、斯う云ふ風な弊害があり、又外の各般の措置と云ふものが、政策と云ふものが歩調を合はせて進んで參りませぬから、と云ひまして通貨金融の面から致します措置を今の儘に放置して置きますと云ふことは、是は矢張り國家經濟の全體から見ると、インフレーシヨンと云ふ刻下の重要問題を解決と迄申しませぬでも、之に對する態度と致しましては宜くないのではないか、通貨金融の面からも出來るだけの措置を私共としてはやらなければならぬのではないか、それに依つて生ずる障碍弊害等に付きましては、是は極力最小限度に止めるやうに一生懸命に努力しなければならぬことは今申上げました通りでありますけれども、刻下のインフレーシヨンの状況から致しまして、今申上げましたやうな譯合から、此の通貨の發行を規制すると云ふ通貨金融面からの處置も併せ實施致しますことが必要であらうと云ふ氣持を以ちまして此の法律の提案を致した譯であります、尚通貨發行審議會の組織とか權限等に付きましては、先程來詳しく申上げた譯でありますが、例へば今御指摘のありましたやうな産業資金の供給を規制致します所謂金融資金融資準則等の實施に付きまして、是は通貨審議會の議決に付するか付さないかと云ふ問題に付きましては、具體的な問題として之を此の委員會に必ず懸けると云ふことは申上げ兼ねると思ひますが、是等が總て直接に通貨の發行量に影響を與へまする譯合に於きまして、十分に通貨發行審議會の御意見を承つて、政府として之に對する對策なりに付、善處致さなければならないと考へて居ります、詰り通貨發行審議會の權限と云ふものは、見方に依りますと非常に無限大のやうでありまするけれども、又自ら其處に一つの限界もあると云ふ譯でありまして、例へば通貨の發行限度を決めると言つたつて、財政が分らねば駄目ぢやないか、財政を勝手に何處かで決められて、通貨發行審議會には何も示さぬぢやないか、それぢや財政の問題迄總て通貨發行審議會で決めるかと、斯う云ふことになりますると、又茲に自ら何と申しますか、任務、職責の限界と云ふものもある譯でありまして、財政に付きましては、矢張り財政に付て憲法なり、其の他の法律に依つて與へられた手續に依つて是は決る譯でございます、さう云ふやうな譯合から致しまして、必ず通貨發行審議會に、通貨の發行に關係のあることを總て之に御諮りして決めると云ふことを此處で申上げる譯にも參り兼ねるかと思ひまするけれども、出來るだけさう云ふ通貨の發行に影響のありまするやうな事柄に付きましては、通貨發行審議會の御意見なり御指摘なりを十分に尊重して、運用上遺憾なきを期したいと云ふ風に私は考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=70
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071・三浦新七
○三浦新七君 先程少し遲刻致しましたので、審議會の内容に付て御説明があつたことを聽き得なかつたのですが、併し結局先程言うたやうな具合に、經濟の安定しない原因が金融面の方面よりは外の方面にあるのだと云ふことを御認になるとすれば、寧ろ此の金融……そこがどう云ふ具合に御説明になつたか、もう一應伺ひたいのでありますが、安定本部の中に斯う云ふやうなものが出來る、安定本部の仕事として審議會が出來る、安定本部の中に於ける一つの詰り外の國策を決める中に於て斯う云ふやうなものが、審議會と云ふものが出來る、斯う云ふやうな形でなければ、矢張り凸凹が出來て、片方の方が急ぎ過ぎる、片方の方は間に合はぬと、斯う云ふやうなことになつて來るんぢやないか、此の點は一つ十分に御考へ願ひたいと思ふのであります、要するに今御話があつた如くに、總ての方面からして手を打つて行かなければならないのでありますけれども、それが動ともすれば其の獨立して居ると云ふことの爲に前後の差が起きて、今度のやうな混亂を惹起しはしないかと云ふことを心配する譯なのであります、無論是はもう結局時期の問題なんであります、今迄私共外から見て居るだけの話でありますけれども、今のインフレ問題と云ふと、何だか斯う貨幣の方面だけを考へられて居るやうな具合に思ふのであります、貨幣の、兌換券の發行がもう起るべき原因が少くなつたからして、紙幣の方面からは、紙幣の増發と云ふやうなことは餘計來ないだらうとか、何とか云ふやうなことなんかあつて、まあインフレと云ふ言葉が惡いと云へばそれ迄の話ですが、どうも問題が生産方面と、それからして金融方面と云ふやうな具合に別別に離して考へられて居る傾きがあるのであります、是が詰り審議會とか何とか云ふやうなものが出來ましても、そいつが外の安定本部や何かの仕事の方に十分な發言權を持つて居ると云ふやうな制度でなければ效能がないんぢやないか、却つて惡い結果を生ずるのぢやないかと云ふやうな具合に考へる次第であります、其の點を甚だ恐縮ですがもう一應承りたい、それからもう一つ、日本銀行の兌換券の數量と云ふことに對して、金融界の連中もさうでありますけれども、大藏省も餘りそれに神經質ぢやないか、今日の物價の状態から考へて見まして、假に十分の一とすれば百何十億と發行になり、五十分の一とすればずつと減つて居る數量の發行高なんでありまして、詰り銘々が所謂此の貨幣を交換の用具として使ふと云ふ時に、是だけの金が要ることは當り前の話でありますし、況や其の小切手で以て支拂ふと云ふやうな慣習が殆ど止つて居る今日に於ては尚々さう云ふやうな譯でありまして、さう云ふ紙幣の總高と云ふやうなことよりはですね、寧ろ其の出た紙幣が始終適當な、所謂金融機關を通して運轉しないと云ふことに原因があるのではないか、外の言葉で言ふと、詰り囘轉囘數と申しますか、兎に角現金を持つて居さへすれば、産業がスベキレーシヨンが出來ると、金儲けが出來るんだと云ふことになりまして、十萬圓なら十萬圓の札が今の所購買力としては五十萬圓になり百萬圓になつて居る、其の問題である、詰り紙幣の日本銀行から出て來る分量と云ふよりは、其の出て居る物が如何に物價騰貴を原因とする購買力に換はるかと云ふことが問題になるのであつて、さうどうも發行高と云ふやうなことに氣を配るよりは、寧ろ其の方の少くとも金融機關を通してさう云ふやうな具合に投下する方法、詰り貸付とか何とか云ふ形で出で行く統制が或程度迄出來る、金融機關の預け金、貸付金等を通して行くと云ふやうなことにしないと、何ぼ總高を抑へようとして見た所で實際の效果がないのではないかと思ふのでありますが、餘りどうも神經質にならないことが宜いのではないか、殊に世間の心理状態と申しますか、新聞や何かで以て、何ぼ迄行けば必ずインフレが起るんだと云ふやうなことを盛に宣傳する者があつて困るのですが、斯う云ふやうなことに付ては十分理解のある説明を大藏省としてやつて戴きたいと思ふやうな氣が致しますが、如何なものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=71
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072・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御尋ねの第一點、通貨發行審議會の構成、竝に經濟安定本部との關係でありますが、通貨發行審議會は御承知の通り……御承知の通りと言つては失禮でありますが、度々御説明申上げました通り、内閣總理大臣が大體其の會長と申しますか、委員長と云ふ風な形で、内閣で統轄することに形式がなりますが、實質上は内閣とは別個の機關、獨立の機關である譯であります、經濟安定本部は、是はまあ政府と獨立的な運營を致すことに相成るかと思ひますけれども、矢張り通貨發行審議會よりも遙に政府の機關としての色彩は強いものであると、斯樣に考へます、通貨發行審議會の委員には、大藏大臣とか、日本銀行總裁等と合せて、經濟安定本部の總務長官たる國務大臣も、職務上當然に委員に相成ることになつて居ります、是等の點から、一方で經濟安定本部と致しましては、此の通貨發行の限度を決めまするに當りまして、大藏大臣單獨でなく、閣議を經て内閣に於て之を決定致すことに相成りまする點で經濟安定本部とは當然關係を持つと思ひます、他方通貨審議會の有力な職務上當然なるべき委員として經濟安定本部の總務長官も之に加はることになりまするので、此の方面からも經濟安定本部と通貨發行審議會とは制度上密接な關係を持つことが出來る、更に進んでは通貨發行審議會と内閣と經濟安定本部、此の三つの間には今申上げましたやうな關係に於て相互に緊密な關係が保たれる、斯樣に考へて居る次第であります、それから第二點の御話の通貨發行高が殖えると云ふことに對して、政府と申しますか、大藏省が少し神經質に過ぎると云ふ御話でありますが、此の點に付きまして、私共として結局インフレーシヨンに對する根本的な考へ方の問題になるかと思ひますが、千億通貨が出たら途端に日本の經濟が破綻するとか、或は千二百億になつたら日本の經濟は駄目だと云ふ意味に於て、私共は之を神經質に考へて居ることは毛頭ございませぬ、唯さう云ふ風に誤解された色々の點はあるかも知れませぬけれども、さう云ふ風には考へて居りませぬか、併しまあインフレーシヨンと申しますものが、矢張り何と言つてもそれは外の原因もありますけれども、通貨の發行高の増加と云ふ所に集約的に現れて參つて居ることは、是は申す迄もないことであります、從ひまして是は有らゆる意味に於て矢張りインフレーシヨンの指標であり、是は學説的に色々あるやうでありますが、少くともそれが主要な原因でないかも知れませぬけれども、最も典形的な指標であると私は言へると思ひます、其の意味に於きましても矢張り通貨の發行高とインフレーシヨンとの密接な關係にあると云ふことは、是は否定すべからざる事實ぢやないかと、斯う云ふ風に考へて居ります、今御話のやうな唯發行高が殖えたと云ふことで心配するよりも、御話のやうに其の通貨がどう云ふやうな徑路でどう云ふ風に動いて來るかと云ふことが最も問題であり、從つて潛在的なる購買力としてうろうろして居る通貨を出來るだけ安定したルートに之を引付けて、さうして具體的に申しますならば、或は之を金融機關への預貯金の形に於て吸收するなり、或は堅實なる有價證券、其の他の投資の方面に向けるなり、適當の方法に依つて之を安定した方向に持つて行つて、浮動的な濳在購買力と云ふものを出來るだけなくして行きたいと云ふことは、私共御説の通り考へて居ります、それが爲に、昨年來實施致して居りまする救國貯蓄運動等に依りまして出來るだけ是等の浮動的の購買力、詰り何時騷ぎ出すか分らぬやうな購買力を出來るだけ安定した方向に之を引入れて行くと云ふ方向に進めて行かなければならぬと考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=72
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073・三浦新七
○三浦新七君 今の御話で大體の安定本部との間の連絡があると云ふことを承つたのでありますが、連絡があると云ふことは、今の状態ぢや餘り頼りにならないことなんぢやないか、是は此處で以て申上げる直接の問題になつて居ることでありませぬから、此處で申上げるのも如何かと思ひますが、どうも之に附帶した考なんでありますが、もう其の大體の方針と云ふやうなものは、最後の決定を與へる所はそれは上の方の頭株が連絡して相談すると云ふやうなことになりますが、案の立案と云ふことは、そんな所にあるのぢやないのであつて、調査し、本當に實際の状態を觀察して、さうしてそれに對する適當なる案を立てると、斯う云ふやうなことは、所謂安本の幹部にあることなんである、其の首長が、頭が誰であるとか總裁が誰であるとか云ふやうなことは事實上問題になることはないと思ふ、さう云ふやうなことなんでありますからして、此の通貨發行審議會と云ふやうなものの目的から考へて見ても、結局是は安本の中に於て金融の方面の……相當に強い發言權を持つやうな組織にすると云ふ風なことが要點なんぢやないか、で今のお話に、或は成るべく安本の方は政府の機關であるし、片方は内閣の中にはあるけれども、内閣とは離れたものである、斯う云ふやうなことに、其の點に於ては或は先程御尋ねした、成るべく政府からして獨立した金融界の組織を作らうと云ふ趣意が入つて居るのかも知れませぬが、それは現在の状態に於てはそんなことは迚も不可能な問題であります、政府がどうしても資金が要る、公債は募れないと云ふ時は、それより外に方法がないのであります、先程申上げたやうに賠償金の問題なんど現に起らうとして居る、直ぐ年度内には起つて來ると思はれる、それは直ちに片方に響いて來るのであります、是はどうしても少くとも現在の状態に於ては、一方に於て日本銀行と云ふものを全く所謂商業銀行の親方にする、商業銀行のレザーブ・バンクにすると云ふ制度がなければ、其の外に政府の機關で以て、例へば今の復興金融金庫とか云ふやうなものを活用して、其處で以て資金を拵えるとか、何とか云ふやうな道があれば兎も角、さう云ふやうな獨立したフアンクシヨンを持たないで、又それだけの能力を發揮しない以上、結局どうも是はなんぼ理想が政府の手から難れようと云ふやうなことをやつて見たつて、政府の財政、詰り政府の財政と云ふことは、要するに一國の國民の財政を代表して居る政府なんでありますから、決して政府が獨立したものぢやなく、それが國民の、詰り今負擔すべき金額を政府が政府の名に於て拂つてると云ふだけであります、是はどうしたつて今の少くとも現在の状態に於ては、政府の財政から日本銀行の制度を獨立させると云ふやうなことは是は不可能な話で、又そんなことをすべきものぢやないと云ふやうに考へるのであります、若しそれをやるとすれば、其の外に別の機關、詰り政府が國民の名に於て負擔すべき、將來負擔すべき金高を將來に延ばす其の設備を、其の機關を拵へなければ出來ない仕事なんであります、是は中央に入つて居るかどうか知りませぬが、どうも連絡があるとか、内閣總理大臣が其の頭になるとか、總裁になるとか云ふことで、内部の連絡が付くと云ふ工合に考へると云ふことは少し私には腑に落ちないのでありますが、そんなことでなく、實際に安本の方針を決める上に、此の金融界の方針と云ふやうなことに十分な發言權を持つと云ふやうな制度にしようと云ふ御考はございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=73
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074・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今の御意見非常に傾聽致したのでありますが、結局委員會の出來た本は、大きく言へば昨年の十一月頃迄は通貨の増發の趨向に對しまして、政府としては傍觀、寧ろ傍觀的な態度を執つて居つた譯であります、併しながら三月危機でありますとか、再封鎖であるとか、左樣な説が飛びまして、暮のあの日銀券の出方と云ふものは御承知のやうな非常な状況を呈した、是は何か措置を講じなければならぬ、殊に午前中も申上げたのでありますが、通貨の殖える原因は大半と云ふものが財政から來て居るのです、ちよつと速記を止めて戴きたいのですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=74
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075・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記を止めて下さい
〔速記中止〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=75
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076・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 速記始め……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=76
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077・三浦新七
○三浦新七君 少くとも物の經濟と云ふ方面をより能く考へなければならぬ、我々の生活の中でも、物を他から買はなければならないと云ふ生活を出來るだけ減らして行かなければならぬと云ふ方針を執らなければ生計が取れない状態にあるのであります、中央の政策を立てる場合には、いつでも總てのものを貨幣の平面に浮べて……殊に大藏省は初から、さう云ふ貨幣の金高に依つて扱つて居られる譯でありますから、さう云ふことになるのでありますが、成るべく其の政策を立てる上に於て、金錢貨幣の平面でない、物の平面と云ふものを十分に是迄も無論御參考になり、又それを御考の中心に入れて行く、豫算を編成して行く場合に於てはさう云ふやうな方針を執つて居られることと思ひますが、尚一層之を餘計やつて戴かないと、斯う云ふ平常の時であつて貨幣が出て行き、財政が赤字になつて居ると云ふことの爲にインフレが起るのだと云ふこと、それも一つの原因ではありませうけれども、そこに主たる原因があるのぢやなくして、物がないと云ふ所に原因がある、今日の經濟不安と云ふやうなことを考へて行くには、もう少し一層物の平面を考の中に入れてやつて戴きたいと思ふのであります、其の上はもう議論でありますから申しませぬが、此の機構を考へ、通貨發行審議會を作ると云ふやうな場合に於ても出來るだけ安本の中に於て全體の政策を決める根本に於て、根本の場所に相當の發言權を持ち得るやうな制度にして戴かないと全きを期し得なくなりはせぬかと云ふことを心配して居るのであります、私のはこれだけにして置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=77
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078・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 他に御發言はございませぬか、それでは日本銀行法の一部を改正する等の法律案竝に金融機關債券發行特例法案に對する質疑を終つたものと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=78
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079・大谷正男
○大谷正男君 ちよつと金融機關の方ですが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=79
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080・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 兩方やつて居るのですが、まだ御質疑が……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=80
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081・大谷正男
○大谷正男君 ちよつと一言、宜しうございますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=81
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082・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) どうぞ……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=82
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083・大谷正男
○大谷正男君 ちよつと遲刻致しましたので……、或は金融機關債券發行特例法案の方ですが、興業銀行法に依りますると、今の拂込資本の十倍を限つて債券を發行すると云ふことになつて居るかと心得ますが、其の規定の外に十六條でしたか、それに依りますと、低利借換の場合には其の制限に依らざることを得と云ふ規定もあるやうであります、此の法案に依りますと、唯此の商法の二百九十七條を適用しない關係からして拂込金額を超えても差支ないと云ふだけであつて、制限と云ふことに付ては何等規定がないやうでありますが、是は第一條の「勅令の定めるところにより」と云ふ其の中で何かさう云ふ規定を設けることになる御見込なのでせうか、其の點を伺ひたい発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=83
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084・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣でごさいます、勅令の中で如何なる額、形式のものを發行するかと云ふことを決めたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=84
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085・大谷正男
○大谷正男君 大體どの位と云ふやうなことに付てはまだ何等決つて居らぬのでありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=85
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086・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) まだ具體的にそこ迄出來て居りませぬです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=86
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087・大谷正男
○大谷正男君 是はまあ形式のことになりますが、さうしますと第一條の「勅令の定めるところにより」と云ふのは、立法事項を規定すると云ふやうな、謂はば法律の委任命令のやうな重要さを持つて居るやうに考へますが、さう云ふ風な仕組になつて居りまするか、此の法律は……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=87
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088・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣な仕組になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=88
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089・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今のに附加へて申上げたいと思ひます、此の「勅令の定めるところにより」と致しましたのは、是は今御話が出ました日本興業銀行だけに適用のある法律であります場合には、其の銀行に具體的に應ずるやうな發行限度とか、或は發行の方法等に付て法律が書けるのでありますが、此の法律自體の建前と致しましては、場合に依りましては他の特殊金融機關に付きましても、此の法律が當然に適用される場合があり得る、さう致しました場合には、各金融機關毎に、或は發行限度に付きましても、發行方法に付きましても、區別を要する部分がありますので、法律に之を具體的に書くことは餘り適當でない、斯う云ふ趣旨に依りまして、勅令に定めることに致したのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=89
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090・三浦新七
○三浦新七君 ちよつと、今の金融機關と云ふもの、此の法律が適用になるのは差向きの處興銀だけの問題だらうと思ふのですが、さうなると、今の一般の銀行法に從つてやつて、さうして其の上に債券發行の特權を持つ、斯う云ふ形になる譯であります、其の場合に詰り一般の預金と云ふのは普通の性質としても、亦今日の状態に於ては殊にさうでありまして、是はもう短期の、極めて短期の預金になる譯なのでありますが、さう云ふやうなもので、一方に於て債券發行の方法に於て長期資金を作ると云ふことを、兩方同じ所にやらして弊害が起りませぬでせうか、それに付ての……詰り債券發行の方でやつて行かなければならないものを、本來短い所の預金と云ふやうなもので賄つて行かうと云ふやうなことは、全體の方針としてはさう云ふことはないでありませうけれども、一時なりともさう云ふやうなことになる心配はないものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=90
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091・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今金融機關の預金の状況を見ますと、殆ど當座でありまして、長期預金と云ふものは三パーセントとか、左樣な低い率であります、左樣な性質の預金を以ちまして長期のものも短期のものも色々な資金を賄つて居る、是が非常に現在の預金の特殊性から來る變態的な状況であります、今度の此の法律の適用に依りまして、興業銀行が普通銀行となつて、而して債券を發行すると云ふ形を帶びるのでありますが、是は興業銀行が將來、場合に依りましたならば金融機關全體としてどう云ふことになるかと云ふ問題もありますので、暫定的に最もスムースに行く仕組と云ふものを考へて見た譯でありますが、其の際に於きましても、其の運用と致しましては、從來の興業銀行のやうな運用をして行きたいと、其の資金は成るべく債券を以て募集すると云ふ風に致したいと思ふのであります、そこへ若干預金等が入つて來ると云ふこともありませう、是は現在の預金の特殊性から見まして、どうも好ましくはないが、已むを得ないと云ふ風に考へて居る次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=91
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092・三浦新七
○三浦新七君 今其の問題を提出致しましたのは、現在の企業の状況が何處でも皆赤字でありまして、運轉資金と云ふ名前で以て借出して、運轉資金と云ふやうな名前で借出すものが、本當は運轉資金にどれだけ使はれるか、又使はれたとしても、直ぐ返されるものであるかどうか、非常にむづかしい状態にあります、詰り事業會社の短期融通と云ふことが殆ど不可能であると云ふ性質から言つて、短期融通と云ふことが出來ないやうな性質のものが多いと云ふやうに考へますので、さう云ふ時に今の、本來企業會社の資金を賄ふと云ふことの建前を以て、假に興銀と云ふやうなものがさう云ふ利子を上げたならば、後で長期に換へると云ふ時に妨げになりはしないか、妨げになると云ふのではないが、困るやうな事態が起りはしないかと云ふことを考へて御尋ね致したのでありますが、さう云ふやうな心配はございませぬか、詰り必ずしも興銀の融通が長期の投資と云ふことでなく、矢張り普通銀行と同じやうに融通資金も扱つてやると云ふことになつた時に困る場合が起つて來やしないかと云ふことの心配です、だから寧ろ斯う云ふやうなものを拵へる場合に、或は運用如何に依りませうが、どうも長期資金を賄ふ所と短期資金を賄ふ所が分業的にやつて居た方が却て宜い、斷る上に於ても都合が好いと云ふ工合に考へるのですか、是はまあ運用の方法で行けると言ふ考へならば……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=92
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093・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今御尋の問題は此の興業銀行は普通銀行になるのでありまするが、債券を發行することに伴ひまして、又政府の特別の監督指導を受けると云ふ立場になる譯でございます、其の際の監督指導の運用の方法と致しまして大體普通銀行である興業銀行の代理銀行は、是は長期資金を賄ふ銀行に致したいと云ふ風に考へて居る譯であります、唯此の長期資金を賄ふ建前ではありまするが、從來の此の興業銀行との關係等で、臨時的に短期資金を賄ふと云ふことは是は實際問題として出て來るだらうと思ひます、併し原則と致しましては左樣な性格の銀行と云ふ風に致したいと只今考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=93
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094・三浦新七
○三浦新七君 唯其の形から言ふと、此の案の形から言ふと、新たに起つた今迄の長期資金を扱つて居る銀行が普通銀行になつた上に、普通銀行が斯う云ふ特權を持つと云ふ形になるのでありませうか、でありますから本業は普通銀行なんです、それでまあそんなことは當局の方はやらせることはないでありませうが、普通銀行の詰り預金を持つて融通資金を賄ふ、斯う云ふやうなことを相當の分量に於てやられても、之を法文の上から、其の性質の上からと云ふことでコントロールすることが出來ない状態が起つて來やしないか、さう云ふやうなものになつて、長期と短期、是迄の所謂財閥銀行や何かが始めた長期と短期の間を一緒にしたバツク屋と云ふ性質のものになる心配はないものでせうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=94
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095・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は此の第二銀行が債券を發行する場合に於ては是は政府の免許を要するのであります、其の際運用に債券發行すると云ふ點から來る此の銀行の特性を誤らぬやうに十分此の條件等を附しまして、指導監督出來るやうな仕組を考へて居るのであります、只今考へて居るラインと致しましては、大體今迄の興業銀行の性格を受繼いで行くと云ふことを考へて居る譯であります、債券發行の免許をするに當りまして條件なり監督なり要領なり示すと云ふことに考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=95
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096・三浦新七
○三浦新七君 私の言つて居ることは今の債券を發行する時に監督すると云ふ問題ではないのですよ、本來興銀が持つて居た長期資金を拵へて、長い方の投資をすると云ふ職務が、殊に斯う云ふ工合の長期資金を募るといふことが困難な時代に於て、詰り資金を長く寢かすと云ふやうなことがなかなか實現せられない時代に於てですね、詰り此の普通銀行と云ふやうな方面の方が總てが多くなつて、所謂どうしても國家の將來の上に必要な長期資金でインベストすると云ふ方面が疎かにされると云ふのではない、其の方に自ら手が廻らなくなる心配がありはしないか、それから又一方に於ては普通の銀行で以つて、短期資金、短期の預金でもつて融通資金を賄つて居ると云ふことが、事實は長期の奴であるやうになるのだから、其の時に兩方の短期と長期を一緒にやつて居る銀行が出來ると云ふことの爲に、其の銀行の經營がちよつと困難が起ると云ふか、詰り短期だと思つて貸した奴が長期になつちやつて、預金で賄ふ性質のものぢやないと云ふ事實が起りはしないかと云ふことを聞いて居る、長期になつて居るものはコントロールするなんて問題でないので、是は今まで通りだと思ひます、唯長期と短期と同じに扱ふ、同時に扱ふやうな性質の銀行になつてしまふ、事實短期の名前で長期に使はれる方面に金が廻つて行くことになつて、經營が困難になりはしないかと云ふことの心配なのです、其の點は如何なのですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=96
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097・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 其の點に付きましては現在に於ても相當興業銀行、それから又復興金融金庫の設備資金融通ですね、さう云ふやうなことを主とする復興金融金庫等に於ても短期の繼ぎ資金を相當出して居るのです、多少仰しやる通りの傾向と云ふものがあるのでございますが、現在の何か押竝べて、企業と云ふものが赤字でありまして、比の赤字經理と云ふことを克服しない現在に於きましては、なかなかそれを全部興業銀行と云ふやうな今迄産業資金の賄つて居つたと云ふやうなものに、抑へ付けてしまふと云ふことは、なかなかむづかしいのではないかと思ふのです、今後普通銀行と云ふことに興業銀行がなる際には、表面上さう云ふやうな状況が強化されると云ふやうなことがあり得るかと云ふことは仰しやるやうな所もありますが、是は免許に當つて一つ左樣な混同が成るべく起らないやうに、多少のことは已むを得ないと思ひますが、私共も氣を付けて參りたいと、斯う云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=97
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098・三浦新七
○三浦新七君 是は素人が申上げるのですから辻褄が合はない點があるのだらうと思ふのですが、興業銀行の經營と云ふものは是から先の經營が非常に困難になるのぢやないかと云ふことを實は心配して居りますので、今迄に其の債券の方の利息も拂はにやならぬし、長期の資金を得ることは困難であらうし、相當に困ることがある、それが爲には何とかして資金を拵へ、仕事を擴張して行ると云ふやうなことを考へなければ經營が出來ないのではないかと云ふことを心配する所から申上げた譯なのですが、或は政府でですなあ、兎に角今日のやうな工合に長期資金を作ると云ふことが非常に困難な時代、さう云ふ時代に本當に他方に於て、又併しながらさう云ふやうな金を長期に貸出を受けることが必要な事業が多いと云ふ時代にですね、今の復興金融金庫と云ふやうなものと同じやうなものの性質にするか、若しくはそれと合併するか、そんなことにしてですね、兎に角政府の責任で長期資金を貸出す銀行を經營するやうな御意思はないものでせうか、なかなか簡單に今の状態を繼續してやると云ふことは非常に困難ぢやないかと云ふ心配をするのでありますが、又さう云ふやうなことは併しながら荒筋に於ては通りが惡いのでございますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=98
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099・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は復興金融金庫が丁度仰しやるやうな筋のものでありまして、是は主として此の長期金融を狙つて居る國家施設なのでございますから、是で十分行けると思つて居ります、唯復興金融金庫が發動する場合は將來の見透し等が不安定でありまして、さうして普通の一般金融としては危くて出來ないと云ふやうな性質のものばかりでありますが、其の他のものは普通一般金融で處置する問題、是は別に問題はなからうかと思ひます、今の仰しやるやうな筋は、復興金融金庫と云ふ制度がありまして、是で全部やつて行くと云ふ建前になつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=99
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100・三浦新七
○三浦新七君 私の言ひ方が惡かつたので、それを別に分けると云ふのではなしに、同じやうな政府の名に於て若しくは政府ともう少し關係の深い銀行を寧ろ復興金融金庫と云ふやうなものの名に於て、今迄興銀がやつて居つたやうな仕事を併せて行ふと云ふやうな方法はどうだらうと云ふことなのです、詰り今日の状態に於て是はまあどの位の分量でありますかは、素人でありますから見當が付きませぬけれども、相當に日本の是からの企業、工業と云ふやうなものが安全第一と云ふ方針で以て經營出來ると云ふものは少いんぢやないかと云ふことを心配するのであります、結局是は國民全體の負擔に於て相當なものを委して行つて、さうして若しそれに依つて損害が起つたと云ふやうな場合には國民全體がそれを負擔すると云ふやうなことが必要なんぢやないか、所謂復興金融金庫と同じやうな趣意で以て一般の長期資金の融通と云ふやうなものが行はれることが必要であるやうな形勢にあるんぢやないかと云ふことを考へるのであります、例へば此の際國民が第二會社を作り株券を募る、其の株券の何倍かの債券を募らうと思つてもなかなか其の債券の募集と云ふことは、それは出來ないことはありませぬでせうけれども困難である、それを矢張り安全第一と申しますか、今の普通金融界の常道に從つて金を動かすと云ふやうなことで以て日本の産業の復興と云ふやうなことが出來ませうか、どうも其處の計數が私には分りませぬから、どの位のものならば宜い、どの位のものは無事にやつて行けるかと云ふやうなことが計數が分りませぬから、ちよつと甚だ空に浮く状態でありますが、併し大體に於て今のものは皆赤字經濟で經營をして居るやうな譯であります、是は世の中が治れば赤字經濟と云ふものはなくなるでありませうが、今の状態では、是は誰がやつたつて一方に於ては公定價格で抑へられる、他方に於ては勞働賃金が昂まつて來る、そればかりでなしに今度の勞働基本法なるものは、謂はば外國の輸入的な制度であります、正しいことは正しいのでありますが、それが今迄色々な技術の發明、機械の利用と云ふやうなことの進歩の間に段々彼處迄到達したものなのである、ああ云ふヨーロツパの方の機械工業と云ふやうなものの製品の中に占める勞働賃金の割合と云ふものは、日本から比べて比較的少いのであります、それは殆ど日本の場合に於ては原始工業、と言つては惡いですが、詰り今迄勞働賃金が安かつたと云ふことも原因しませうが、兎に角或製品の中に含まれる勞働賃金の額等が非常に割合が多いのである、此の割合が向ふのものと同じやうな所迄行かなければ、今の勞働基本法で決めるやうな待遇は本來出來ない性質のものである、それをやるとすれば相當の赤字が出る、斯う云ふやうなことになるのぢやないか、況や他方に於ては合理的な整理と云ふやうなことは今日のやうな状態に於ては不可能になる、さうすると現在の赤字經營と云ふものは相當の期間繼續するものと見なければならないのぢやないか、詰り先へ行つて其の仕事が繁昌する、又國家の爲にどうしてもやらなくちやならぬと云ふやうなことから、無理をして赤字で以て經營をして居ると云ふ状態のものが相當多數にあるやうに見られる、其の計數は自分にはどうも見當は付きませぬけれども、さう云ふやうな時に、本來安全第一主義を執るべき企業として、さう云ふやうな方法で、整理すると云ふことは、如何なものであらうか、其の場合の御見込を實は伺ひたかつたのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=100
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101・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 現在企業が赤字經營を續けて居る、それに對して金融をすると云ふことになりますれば、國家或は復興金融金庫と云ふやうな形のものが寧ろ適當ぢやないかと、さう云ふ御議論かと思ふのであります、處が其の問題の考へ方と致しまして、昨年の九月でありましたか、司令部から要請等もありまして、今後企業、勿論其の中には金融機關も入るのでありますが、此の際國家の補助金とか補償とか、左樣なものは用ひないと斯樣なことになつて居るのであります、で今後企業、金融機關等を指導して行く場合に、是は當分の間の大原則になつて居る譯であります、之に對しましてはなかなか例外なことは致さぬと云ふ譯に相成つて居る譯であります、それに對する重要なる例外と申しますのは、此の復興金融金庫でありまして、是だけは企業補償打切に伴ふ關聯措置と致しまして、是だけを一つの例外として考へようと云ふことに今考へて居る譯であります、従ひまして今後其の方針を相當改めまして金融補償のラインに沿つて、方針を全部やり替へると云ふことでないと、仰しやるやうなことは考へられないのぢやないかと云ふ風に考へます、現在復興金融金庫と云ふものが國家の負擔に於きまして貸付金をするのであります、さうしてそれは一般の金融機關では片付かぬと云ふ際に發動する譯でありますから、又大體それで行つて居るぢやないかと思ふのであります、尚一歩擴げまして、興業銀行を復興金融金庫の如く性格を改めると云ふことを致しても、どうも機構改變に伴ふごたごたと云ふことも考へられまするし、先程申上げましたやうな國家助成の根本方針もありますので、どうも現在の復興金融金庫の態勢で行くのが一番適當ぢやないかと云ふやうに、私自身の考としてさう云ふ風に思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=101
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102・三浦新七
○三浦新七君 それはもう見解の相違で、私は數字を持つて居らぬから、明白なことを申上げることは出來ないのでありますが、それにしても現在の如き状態に陷つて居るものを扱ふ長期資金を扱ふ銀行に付ては、何とか良い方法で之を凌ぐ、安全第一主義だけではいけない、もつと可能ならしめるやうな案を作つて貰ふ、どうも是だけで債券發行の特權を與へると云ふことでは、どうも十分に活動が出來ないのぢやないかと云ふことを心配するので、併しまあさう云ふ一般方針で抑へられて居る時には何とも仕方がないかも知れませぬけれども、是は動もすると、さう云ふやうな銀行が普通銀行になつてしまひはしないかと云ふことを、心配するのです、正金が普通銀行に變つたと同じやうな工合に、片方のフアンクシヨンは當分なくなつたから宜いですけれども、また多くの重要なフアンクシヨンを持つて居る銀行が普通銀行に變つてしまふと云ふことはないか、さう云ふ方面に主力を注がなければならないと云ふやうな、好むと好まざるとに拘らず、長期資金吸收が困難であると云ふことからさう云ふ工合になると云ふやうなことが、動ともすると又兌換券増發と云ふやうなことの原因にもなりませうし、さればとて私にも今確乎たる案はないのでありますが、經過を見てからでも宜しうございませうが、何とか御考へ置きを願ふことは出來ないものだらうか、銀行に付ては政府でも株金を持つと云ふことすらも嫌ひますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=102
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103・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今の所では普通銀行と致しまして、政府で株を持つと云ふことは考へて居らないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=103
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104・三浦新七
○三浦新七君 いや、今の長期資金を扱ふ所ですよ、長期資金を扱ふ、例へば興業銀行と云ふものなら、第二興業の株と云ふやうなものを政府が持つと云ふことにすれば、詰り配當と云ふ心配がなかつた場合に於ては相當是は行けると思ふやうな氣がするのでありますが、さう云ふやうなことも矢張りやかましいですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=104
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105・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は別に話したこともありませぬが、私共政府で銀行の株を持つと云ふやうなことになりますと、是は相當金融制度自體の變革と云ふこと、それから外の金融機關の在り方にも相當の響きを持つて來ると云ふ問題で、餘り此の機構の根本に變更を來すやうな行き方を取らなかつたのです、それで差當り普通銀行に致しまして、唯債券の發行の特權だけ持つと云ふ仕組を考へて見たのでありますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=105
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106・三浦新七
○三浦新七君 それは今、其の根本の問題として國營にするとか、若しくは資本金だけは國のものにすると云ふやうな議論は今考へて居るのぢやないのです、私は兎に角興銀の状態と申しますか、今の長期資金を要する産業の状態から考へて、此の危機を乘切ると云ふことの爲に一時詰り株主になると云ふか、株に對する資金の融通をやつてやると云ふか、如何なる方法を、まあ配當が附くやうぢや困るのでありますが、兎に角一時的にそれを過渡的に出資をやつて、さうして其の株券を適當に世の中が始つて來た時には賣出す、賣出すと言つても、一時政府が其の危險を背負つてやると云ふ位のもので、金融制度それ自らの性質と云ふやうなものに觸れずに、一時を凌ぐ方法としてさう云ふやうなことが考へられないだらうか、斯う云ふ考です発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=106
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107・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 是は新銀行の株を募集する其の際に、餘程努力をしないとうまく株が集らぬと云ふことだらうと思ふのでありますが、左樣な際に萬全の努力を致しまして、成るべく是は民間からやつて行きたいと、只今はさう云ふ考で居るのです、で國家資金を其の際發動するか、萬一の場合に發動するか、或は他の何等かの方法を講ずるかと云ふやうなことは、只今の所は考へて居らぬ譯でありますが、成るべく一つ民間資金でやつて行きたいと云ふ考で只今考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=107
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108・三浦新七
○三浦新七君 其の場合に於て成るべく或一定の期間だけは所謂配當なしの資金が入らないと、是はどうも此の事業が非常に困難であると思ふのでありまして、其の點で政府が一般の名に於て持つて呉れると云ふことでなければ凌げないと思ふのでありますけれども、それはどうもうまく通らないとすれば仕方ありませぬが、あれは債券の發行高は資本金の何倍と云ふことになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=108
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109・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 拂込資本金の十倍であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=109
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110・三浦新七
○三浦新七君 さう云ふやうなことに付て何とかやかましい議論があると思ふのですが、第二銀行の資本金を少くして、債券を同じやうに發行出來ると云ふことを臨時處置として御認になると云ふ御考はございませぬか、詰り餘り是は預金と資本金のバランスが取れないとか云つてやかましいことを言つて居ると聞いて居りますし、從つて其の債券と云ふことに付てもあるでありませうが、非常に資金の面に於て日本の産業を經營することは困難な状況と云ふことを説明したら、元々政府のコントロールが非常に債券發行にはやかましい條件が附いて居るものであれば、資本金をさう大きくせずに、配當の方面に無理な、利益を少くしても差支ない工合に、債券の方で十倍とか何とか云ふものでない、もう少し餘計やると云ふやうな方法は御認になりませぬか、何とかして是は當り前に配當をして出來ると云ふことの目的からして株金を募ると云ふことは非常に困難な状態でないかと云ふ風に考へます、又資金が集つた場合に於ても、強く配當と云ふことを考へなければならない場合に於ては十分な活動が出來ないのぢないかと云ふ風に心配するのであります、是は銀行の計算を私は知つて居る譯でありませぬけれども、素人の、脇から考へて、どうもさう云ふ工合に思へるので、寧ろ斯う云ふやうな特例を出す時には、さう云ふやうな方面で、もう少し資金募集を容易にすると云ふ方面のことが必要でなかつたのぢやないかと自分は考へるのでありますが、如何なものでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=110
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111・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 只今債券發行は拂込資本金の十倍になつて居るのでありますが、尚別途興業銀行に於きましては臨時資金調整法で百億圓を其の他に發行し得ると云ふ風になつて居ります、で只今資本金は八千七百五十萬圓でありますから、其の十倍で八億七千五百萬圓の發行力がある譯であります、それに加へて臨時的に百億圓、併せまして百八億七千五百萬圓の限度に規定致しまして、只今發行して居るのは七十七億五千二百萬圓でありまして、尚餘力を三十一億二千二百萬圓持つて居ると云ふことになつて居る譯であります、で十倍と云ふのは、是は勸業銀行の二十倍、それから北拓の十五倍、恩給金庫、國民更生金庫の十五倍以外は全部十倍になつて居りまして、まあ是は普通の枠であらうと思ふのでありますが、それに百億を加へますと相當の倍率になりますので、先般勸業銀行の債券拂込限度を擴張すると云ふ問題に付きまして、關係方面とも色々と話合つたのでありますが、結局只今二十倍になつて居るものを、それを又四十倍にするとか五十倍にするとか云ふことは面白くないと云ふことで、結局増資を致すことに致したのであります、左樣な經過もありますので、十倍の方は宜しいが、此の百億と云ふ問題が付いて居る、それをどう處置するか、又其の全體を引括めてどう云ふ風にするかと云ふことは、今後若干研究を要するのぢやないかと云ふ風に思つて居りまするが、從來百億と云ふ瘤が付いて居りまするから、其の實績と申しますか、從來の沿革も相當尊重して行かなければならぬと云ふ風に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=111
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112・三浦新七
○三浦新七君 ちよつと今の御話になつた事で聽き落した所があるのでありますが、今の百億と云ふのを加へて發行餘力はまだ餘程あるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=112
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113・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 發行餘力は三十一億二千二百萬圓あります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=113
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114・三浦新七
○三浦新七君 分りました発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=114
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115・藍澤彌八
○藍澤彌八君 只今三浦委員からも債券發行の元受の御話があつたのですが、私共は現在の金融情勢や社會情勢から見まして、此の案が實際出來ましても、社債の發行と云ふことは餘程困難ぢやないかと思ふのでありますが、此の發行の技術とでも申しませうか、方法と申しますか、何か一つの構想がなければ、此の社債は復興金融金庫にしても第二興業銀行にしましても、社債を賣出して消化すると云ふことは困難なやうに思ふのでありますが、どうして此の社債を賣つて行くか、消化させるか、斯う云ふやうなことに付て政府に何か御考がありませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=115
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116・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 此の債券に付きましては、只今活溌に賣つて居るのは勸業銀行の債券であります、是は相當賣行きが宜いのでありまして、何時も申込の方がオーバーすると云ふやうな状況であります、と云ふことは、例へば日本貯蓄と云ふやうな所には餘程大きい預金が入つて來る譯であります、併しながら其の投資に困ると云ふやうな状況でございまして、さう云ふ所では餘程賣つて戴ける譯であります、それから農業會等に於ける預金の増加も相當ありまして、此の方面でも買つて戴くことが出來る譯であります、それから地方銀行に於きましても、先般來に現在の興業銀行の債券を、今囘の補償打切に伴ひまして、舊勘定に入れるか新勘定に入れるかと云ふことが非常に問題になつた譯であります、結局是は新勘定に入れると云ふことに致しまして、興業銀行は興業債券の債務を全部新勘定でフルに引受ける云ふことになつたのであります、其の交渉經過等から致しますと、さう云ふことに致しますれば、私共は新興業債券の消化には全幅の努力をすると云ふやうな話合ひもありまして、氣分は非常に宜いのであります、相當額は地方銀行、農業會、貯蓄銀行等で消化出來るのぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=116
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117・藍澤彌八
○藍澤彌八君 さうすると、興業銀行債券と云ふものは第一勘定に入れることになるのでありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=117
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118・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=118
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119・藍澤彌八
○藍澤彌八君 それからもう一つ伺ひたいと思ひますが、興業銀行が從來發行して居りました割引債券と云ふものは、矢張り將來も是は第二銀行に引繼いでやらせることになつて居りますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=119
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120・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=120
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121・藍澤彌八
○藍澤彌八君 是は御承知の通り無税と云ふやうな特典がありますが、是は此の債券に限つて斯う云ふ特典を與へて、他に重要な社債を發行する場合にも是と同樣な優遇をすると云ふやうな、他にも及す方法を御考になつて居りますか、どうでせうか、唯之にのみ限定して置く譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=121
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122・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 其の御尋ねの點は、新しい第二銀行が出來た場合に出すかと云ふ御話ですか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=122
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123・藍澤彌八
○藍澤彌八君 さうです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=123
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124・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 其の點に付きましては、成るべく元の金融機關興業銀行の持つて居つた特權を持つて戴きたいと云ふやうな氣持であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=124
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125・藍澤彌八
○藍澤彌八君 さうすると、從來の興業銀行の持つて居る特權を第二銀行にも持たせると云ふ意味になりますね、社債の發行の場合に限つては……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=125
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126・福田赳夫
○政府委員(福田赳夫君) 左樣な方向に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=126
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127・藍澤彌八
○藍澤彌八君 私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=127
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128・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 他に御發言はございませぬか、では兩案に對する質疑は終了したものと認めます、討論に入ります、それでは日本銀行法の一部を改正する等の法律案、金融機關債券發行特例法案、此の兩案を可決すべきものと決定することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり」)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=128
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129・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 御異議ないと認めます、次に今朝本委員會に附託されました、臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案の説明を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=129
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130・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 本日は經濟安定本部總務長官が病氣で缺勤致して居りますから、私から御説明申上げます、臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案を本會議に提出致しましたが、今囘本委員會に付託されますに當りまして、更に本法案の提案の趣旨を御説明申上げたいと存じます、本法は第九十臨時議會の協贊を得て、成立致しまして、昨年九月三十日から施行されたのでございますが、日本經濟の實相が當時考へられて居りましたよりも一層困難でありまして、現行規定を以て致しましては之を突破する爲の諸施策の遂行に不十分であると認められるに至りました結果、凡そ次の諸點を改正することと致したのでございます、第一に、現行規定に於きましては、物資等の生産、配給、使用、出荷等に關し、相當廣範圍の命令權が認められて居るのでありますが、物資の輸送に關する命令は之を發し得る規定がなく、物資の需給調整を徹底的且綜合的に遂行致します上に十分なる成果を期し得ない憾があつたのでございます、他方現行輸送關係法令に於きましても、物資の輸送に關する命令を發し得る範圍は極めて限定されて居りますので、本法第一條第一項策三號を改正致しまして、新たに主務大臣が、供給の特に不足する物資の輸送に關し、又は物資の輸送の制限、禁止に關して必要な命令を發することが出來ることと致したのでございます、即ち米、石炭、炭礦勞務者住宅建設用資材等の重要物資の優先的輸送命令を發したり、不緊要物資の輸送禁止を命じたりする途を拓いたのでございます、尚輸送に關する命令でございますから、當然小運送も荷役も之に含まれるものと解釋致します、一方此の輸送に關する命令に依つて生じました損失は、之を補償し得ることと致しました、第二は、現行第二條、即ち物資の割當を行ふ産業團體に關する規定を削除致しました、是は本法施行後物資の割當は我が國現下の情勢より見て、構成員の利益に依つて動かされ易い産業團體に委任することなく、總て政府の責任に於て行ふことが、事務の公正の上から申しましても、國民全體の利益の上から申しましても適當であり、且其の方が終局に於ては民主的であると認められるに至りました結果、此の第二條の規定は、實際上運用されない事情にありますので、此の際其の趣旨を明瞭に致しまして、之を廢止したのでございます、但し從來産業團體で物資の割當を致して居りましたものを、今直ちに一齊に政府の手に移しますことは、官廳機構の擴充と、人員充足の點から困難な所もございますので、暫定的には附則に於て諸般の準備が整ふ迄の、若干期間を限り、經濟安定本部總務長官が特定の産業團體を活用する途を殘して置くのでございます、第三は、第三條を改正して報告徴收の權限の擴張を圖りました、現行規定に於きましては、報告義務者の範圍は、單に關係事業者又は産業團體に限られて居りますが、之を廣く事業を行つて居ない個人にも及して、事業者にあらざる者に對して調査權の及ばなかつた法の不備を補ふことと致したのでございます、第四は、罰則の強化でございます、第五條を改正して、報告義務の違反及び臨檢檢査の拒否妨害、又は忌避に對する罰の最高限を現行の二倍に引上げ、第六條を改正して臨檢檢査の拒否妨害、又は忌避の場合にも本條を適用することとし、又新たに第七條を設け、物資或は、設備の讓渡、引渡若しくは貸與に關する命令又は報告義務の違反者から其の違反物件を沒收し、又は追徴金を科し得ることと致しました、何れも國民の遵法精神の強化を要請するの趣旨に出づるものでございます、以上各改正の要點を申上げましたが、此の度の改正は政府の責任に於て國内物資の適正且つ公平な配分を徹底することを主眼として居るのでございまして、政府と致しましては此の法律の迅速適切なる運用に依り我が國の經濟状態を一日も早く正常なものに復歸せしむべく萬全の努力を傾倒致す次第でございます、委員各位に於かれましても愼重審議の上何卒速かに御可決あらむことを切に御願ひ申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=130
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131・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 御質疑を願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=131
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132・大谷正男
○大谷正男君 第七條の第一項の末段でありますが、「犯罪の後、犯人以外の者が、情を知つてその物資又は設備を取得した場合においても、同樣とする」、是は今囘之を強化して大いに退藏物資を警戒すると云ふか、其の便宜の爲に置かれた趣旨かと思ふのです、之に依つて可なり廣い範圍のものが取締を受ける譯かと思ひますが、まあ大體是から先のやり方はどう云ふ風になるか、是はまあ取締官憲の仕方でありますが、比の立法の趣旨から云つて、どう云ふ取締になりませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=132
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133・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 御答へ申します、御話のやうに此の規定は所謂隱退藏物資等の取締と申しますか、結局それを出させまして活用を圖る譯でございまして、其の趣旨を徹底致したいと思ひまして、此の規定を置きたいと、斯う存じて居るのであります、御存じのやうに從來隱退藏物資に付ては隱退藏物資緊急措置令と云ふのがありまして、主要生産資材、其の他の物の隱退藏物資の摘發を致しまして、之を緊要方面に配當して活用する、斯う云ふことを致して居るのでありますが、最近に於きましては各工場の持つて居る生産資材で一定量以上の物に付てはそれを必要な方面に廻して活用する、斯う云ふことを致しまして、只今それ等の調査も致して居りますし、其の準備も致して居ります、それで大體の方針としては主要なる生産資材に付て經濟安定本部に於ても需給計畫を作つて居るのでありますが、それ等の主要なる生産資材に付て、本法に依りましてそれ等の隱退藏された物を出來るだけ調べ上げまして、それを需給計畫に盛り込んで活用して參りたいと、斯樣に存じて居ります、但し其の運用に當りましては、餘り細かい物を目當てに致しますと色々な弊害が出來ますので、相當大量に持つて居る、或は相常量持つて居る、斯う云ふやうな者を中心に致しまして本法の運用を致しまして生産資材を確保する、斯う云ふ目的を達成して參りたいと、斯樣に存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=133
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134・大谷正男
○大谷正男君 今御説明のやうに大體大量の物を隱退藏して居る者に付ての摘發をするやうな御考のやうであります、まさか各家庭に踏み込んでどう斯うと云ふやうなことはある譯でもなからうかと存じますが、此の法規を適用する上に於てはそれも出來る力はある譯でありますが、餘り苛察に亙ると云ふこともなく、そこは適當に爲さると云ふ御考かと思ひますが、大體そんな風に考へて宜しい譯でありますか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=134
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135・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 各家庭の中にある物に付ては御話の通り惡質なもので相當各家庭に退藏して居る、是は一例を申上げますと、最近私の調べた事例に於きましても、終戰前に疎開致しました纖維品其の他が地方の所謂家庭の中に相當隱匿されて居る、斯う云ふものも報告其の他にございますので、それも惡質なものは當然是等の家庭の中に付てもやらなければならぬと思つて居りますが、さうでない物に付て一律に各家庭の物を調べる、斯樣なことを致しましても、主要なる資材を確保すると云ふ見地からは餘り大したものになりませぬので、さう云ふことはなくやつて行きたい、非常に惡質な、本當に隱退藏の意味で故意に隱匿して居るやうな物に主眼を置いて參りたい、斯う云ふやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=135
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136・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 二頁の附則の前の價額と云ふ意味でございますが、七條の二項目の最後の「價額を追徴することができる。」、此の價額と云ふのはどう云ふ意味でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=136
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137・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 「價額を追徴することができる。」と申しますのは、其の二項の前段に於きまして「前項の場合において、その物資又は設備の全部又は一部を沒收することができないときは、その價額を追徴することができる。」、斯う云ふのでありまして、沒收が今度一項で出來ることになつたのでありますが、既に其の物が消費されて居るとか、其の他の事情に依つて沒收が出來ない場合には、それに相當する價額を追徴金として取ることが出來る、斯う云ふ趣旨でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=137
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138・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 其の價額の計算は公でおやりになる譯でございますか、若しくは然らざる場合かが、是が文字の點で非常にはつきりしないと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=138
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139・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 是は大體公に依つて價額を算定して追徴すると、斯樣に考へて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=139
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140・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 さうすると闇値で賣つて、追徴されるのは公に依る價額と云ふことになると不當のものを利すると云ふことになりますが、此の價額と云ふのを代り金とか、相當する金額と云ふのなら宜しうございますが、價額と云ふ文字を狹く解釋しますと不當のものを利すると云ふ結果に陷ると思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=140
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141・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 此の運用に付きましては色々な場合が考へられると思ひますが、要するに趣旨は何と言ひますか、外に讓渡其の他をして、物がない場合にも不當にさう云ふことをした者に對して追徴金を取る趣旨でございますので、假に其の者が他に闇値で以て讓渡して居ると云ふことが明かになつて來れば、當然他に讓渡した其の闇値の價額を追徴金として取ると、斯う云ふことになると思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=141
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142・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 それは一方では闇値を否定しておいでになりましても、闇値で御取りになると云ふことは結構だと思ひますが、價額と云ふ文字が、公を政府が取引に付て強調しておいでになりまして、政府の取られる追徴金が闇値を認めて御取りになると云ふことが、物價政策として大きな矛盾を生ずると云ふやうな虞がなければ私は結構だと思ひますが……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=142
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143・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 實はさう云ふ場合が想像出來まして、其の場合に於きましては、假に犯人と申しますか、其の者が他に闇で賣つて居れば、政府が闇値を認めることは色々な問題になつて參りますが、他に賣つて取得した金があれば、其の金が刑法の規定に依りまして犯罪物件、斯う云ふことになりますので、犯罪物件として其の金を押へる、唯其の金の内容は闇値になつて居るかも知れませぬが、解釋と言ひますか、建前として犯罪物件として納める、斯う云ふことで參ることになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=143
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144・栗栖赳夫
○栗栖赳夫君 私は御趣意は至極結構だと思ふのでございますが、價額と云ふ文字の使ひやうが稍稍穩當を缺くのぢやないかと思つたから御尋ねした次第でございます、さう云ふ趣意に運用を御しになりますならば、是以上何も御尋ねすることはない次第でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=144
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145・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 他に御質疑はございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=145
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146・大谷正男
○大谷正男君 今の栗栖委員の質問に付てですが、此の價額と云ふのが不明だと云ふことは私も成る程さう考へられますが、此の價額と云ふ風に法文に現れまして、價額となれば當然是が公と云ふ、詰り公定せられたる公定の價格だと云ふことに當然解釋せられると云ふことになると、今政府委員の御説明になつたことが實際に於て行はれないことになるかと思ふのですが、さう云ふことはございませぬか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=146
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147・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 其の點でございますけれども、是は例へば其の者が消費したやうな場合には、公に依りまして其の價額を追徴するので、是は問題ないと思ひます、御話のありましたやうに他に讓渡した場合に、例へばそれが公定價以上の價額であつたと云ふ場合に問題になるのでございますが其の場合に於きましては、其の所謂公定價格以上の金は犯罪の物件と致しましてそれを取上げる、斯う云ふことになつて居りますので、其の點は解釋と致しまして差支ないのぢやないかと思つて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=147
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148・大谷正男
○大谷正男君 それは物のある時は其の物を取上げる、其の物のない時には其の價額と斯うなるのでありまして、此の價額の算定は、犯罪物件の價額の算定と云ふことで別に決められ得るやうな途があるなら是はまあ宜しいのでありますが、さうでなく單に需給調整法の表に於きましての價額と斯う云ふことになると、是が當然公定價格と云ふことになるのだと工合が惡くはないかと云ふことだけの意見でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=148
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149・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 價額と云ふものが、當然公定價格とは解釋上ならぬやうに考へて居るのでございますが、併し事實としては公定價格のあるものは公定價格と、斯う云ふことになるのでございまして、先程御話のやうに所謂闇値で他に讓渡したと云ふやうな者は、犯罪物件としてそれを取ると云ふことで解釋して參りたいと云ふやうに存じて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=149
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150・大谷正男
○大谷正男君 それで解釋が付きますなら、別に私は異存はないのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=150
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151・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 「出荷若しくは輸送」とありますが、此の輸送は運輸省の主管事項でございませうか、どこで主管するのでございませうか、輸送に關する事柄であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=151
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152・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 運輸省の關係に於きましても、まあ例へば國鐵は當然でございますが、命令を直ぐ出せるやうになつて居るのでございますが、問題は私鐵と小運送、荷役も含みますが、それ等に付きまして、現在必要なる場合には輸送を命じ得る法規の根據がないのでございまして、本法の改正に依りましては、それ等の私鐵小運送、荷役等に付きまして、必要がある場合には輸送を命令して參りたいと思つて居ります、大體の運用と致しましては、例へば米麥等の主食でありますとか、石炭でありますとか、或は炭礦用の住宅資材其の他でありますとかに付きまして、必要があれば此の規定を使つて參りたいと思つて居ります、それで本法の運用でございますが、輸送等を致します場合にも、それの基本的の政策と云ふものは本法に依りまして、經濟安定本部總裁が定める、斯う云ふことになりまして、其の方策に基きまして個々の命令はそれぞれの主務大臣が出す、斯う云ふことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=152
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153・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 若し輸送に關して罰則に觸れるやうな事項があつた場合にどう云ふ風になりませうか、是が民間の輸送會社なんかですと、トラックを沒收するとか何とか云ふこともあらうと思はれるのでありますが、國鐵の場合等は貨車を沒收すると云ふのは、どう云ふ風にしてなさるのでございませうか、此の點の取扱はどう云ふ風に御考でございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=153
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154・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 國鐵は政府で御存じのやうに經營致して居りますので、此の法規の適用がございませぬ、此の法規の適用がございますものは、國鐵以外の私鐵竝に小運送等でございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=154
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155・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 民間で色々取沙汰されて居る所に依りますと、此の國鐵に依る輸送が相當適正を缺いて居るやうな事例が澤山にあるやうでございますが、斯う云ふやうなことはどこで以てそれを匡正して行きますか、經濟安定本部とそれから運輸省の間で何か協議會のやうなものでも設けられると云ふやうな腹案でもございませうか発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=155
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156・椙杜正太郎
○政府委員(椙杜正太郎君) 輸送の問題に付きましては、我々の方も御話のやうなことを實は聽いて居るのでありまして、さう云ふ點は、誠に遺憾な點があるやうに存じて居ります、經濟安定本部と致しましても、物資の需給計畫を樹立、運營致して居るのでございますが、需給計畫の基礎は、矢張り輸送と云ふものが基礎になりまして、物はありましても動かないと、是は現實はもう工場にも廻らないし、活用されないのでございまして、同時に一般の綜合政策を經濟安定本部で致すことになつて居りますから、輸送に關しましても御話のやうな點を色々研究を致しまして、其の改善に努めて居ります、同時に運輸省自體に於きましても、所管の輸送に付きまして色々改善する點を考へて居るやうでございますが、經濟安定本部と致しましては、同じ政府部内でありますから、御話にありましたやうに運輸省と經濟安定本部で委員會を作ると居ふやうなことは今具體的に考へて居りませぬが、具體的には經濟安定本部に輸送班と云ふものを置きまして、そこに運輸省其の他關係の者も集りまして、所謂效率ある的確なる輸送がされるやうに致して居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=156
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157・八代五郎造
○男爵八代五郎造君 私の質問は是で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=157
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158・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 他に御發言はございませぬか、では本案に對する質疑は修了したものと認めます、討論に入ります、それでは臨時物資需給調整法の一部を改正する法律案を原案通り可決すべきものと議決して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=158
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159・渡邊修二
○委員長(男爵渡邊修二君) 御異議ないと認めます、連日御苦勞樣でございました
午後三時二十八分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=159
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160・会議録情報2
出席者左の如し
委員長 男爵 渡邊修二君
副委員長 子爵 瀧脇宏光君
委員
公爵 伊藤博精君
侯爵 淺野長武君
大谷正男君
子爵 鳥居忠博君
子爵 植松雅俊君
男爵 八代五郎造君
三浦新七君
太田半六君
藍澤彌八君
栗栖赳夫君
政府委員
内閣事務官 椙杜正太郎君
大藏事務官 福田赳夫君
同 河野通一君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009202854X00219470322&spkNum=160
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