1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月四日(火曜日)午前十時十一分開議
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議事日程 第十一號
昭和二十二年三月四日
午前十時開議
一 所得税法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
〔寺光書記官朗讀〕
去月二十八日統計法案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長 伯爵 宗武志君
副委員長 男爵 紀俊忠君
去ル一日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
所得税法の一部を改正する法律案
昨三日内閣總理大臣ヨリ左ノ通第九十二囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
政府委員
内閣事務官 岩倉規夫君
同日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
恩赦法案
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、議事日程、所得税法の一部を改正する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=2
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003・会議録情報2
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所得税法の一部を改正する法律案右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月一日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
所得税法の一部を改正する法律案
所得税法の一部を次のように改正する。
第十六條第一項中「二千四百圓」を「六千圓」に改める。
第二十四條第一項中「七十二圓」を「二百四十圓」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十二年二月一日以後の支給に係る給與に対する分につき、これを適用する。
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〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=3
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004・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました所得税法の一部を改正する法律案に付きまして、提案の理由を御説明申上げます、政府は最近に於ける國民經濟の推移、國民生活の實情、竝に中央及び地方の財政事情等に鑑みまして、今議會に税制の根本的改正に關する法律案を提出致し、此の際必要とする中央及び地方の財政收入の確保を期しますと共に、經濟其の他諸情勢の推移に即應して、國民負擔の公正及び納税の簡易化等を圖ることとし、目下其の立案に努めて居る次第であります、而して最近に於ける勤勞所得者の給與及び生計費等の實情を考慮致しますれば、是等勤勞所得者の租税負擔に付きましては、相當改正を加ふべき點がありますのみならず、現行の課税手續上に於きましては、給與の支拂ひが行はれます都度、支拂者が其の給與に對する分類所得税を控除して、之を政府に納入することになつて居りますので、改正税法の實施に先立ちまして、勤勞所得者の租税負擔に付て、實情に即するやう適當なる是正を爲すことを必要と認めた次第であります、茲に於きまして、政府は近く提案の運びとなつて居ります所得税の改正案の構想に即應致しまして、源泉課税となつて居ります甲種の勤勞所得に對する分類所得税の課税に當りましては、基礎控除額現行月二百圓を五百圓に引上げ、又扶養家族控除額現行一人に付月額六圓を二十圓に引上げ、二月一日以後の支拂に係る給與に對する分から之を實施することと致したいのであります、此の改正に依りまして、本年度の租税收入の見込額にはさしたる影響を及さない積りであります、何卒御審議の上、速かに御協贊を賜はらむことを御願ひする次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=4
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005・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました所得税法の一部を改正する法律案は、其の特別委員の數を十五名とし、議長に於て其の委員を指名あられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=5
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006・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=7
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008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
所得税法の一部を改正する法律案
特別委員
公爵 岩倉具榮君 伯爵 金子武麿君
子爵 富小路隆直君 子爵 交野政邁君
子爵 梅渓通虎君 男爵 内海勝二君
男爵 近藤滋彌君 男爵 毛利元良君
黒田英雄君 田島道治君
小山完吾君 徳田昂平君
丹羽彪吉君 深田武雄君
伊藤豐次君
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 昨日政府より提出せられました恩赦法案を此の際議事日程に追加して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、木村司法大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=10
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011・会議録情報3
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恩赦法案
右
勅旨を奉じて帝國議会に提出する。
昭和二十二年三月三日
内閣総理大臣兼外務大臣 吉田茂
國務大臣 男爵 幣原喜重郎
司法大臣 木村篤太郎
國務大臣 齋藤隆夫
逓信大臣 一松定吉
國務大臣 星島二郎
厚生大臣 河合良成
内務大臣 植原悦二郎
大藏大臣 石橋湛山
國務大臣 金森徳次郎
運輸大臣 増田甲子七
商工大臣 石井光次郎
文部大臣 高橋誠一郎
農林大臣 木村小左衞門
國務大臣 田中萬逸
…………………………………
恩赦法案
恩赦法
第一條 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権については、この法律の定めるところによる。
第二條 大赦は、政令で罪の種類を定めてこれを行う。
第三條 大赦は、前條の政令に特別の定のある場合を除いては、大赦のあつた罪について、左の効力を有する。
一 有罪の言渡を受けた者については、その言渡は、効力を失う。
二 まだ有罪の言渡を受けない者については、公訴権は、消滅する。
第四條 特赦は、有罪の言渡を受けた特定の者に対してこれを行う。
第五條 特赦は、有罪の言渡の効力を失わせる。
第六條 減刑は、刑の言渡を受けた者に対して政令で罪若しくは刑の種類を定めてこれを行い、又は刑の言渡を受けた特定の者に対してこれを行う。
第七條 政令による減刑は、その政令に特別の定のある場合を除いては、刑 を変更する。
特定の者に対する減刑は、刑を変更し、又は刑の執行を減軽する。
刑の執行猶予の言渡を受けてまだ猶予の期間を経過しない者に対しては、前項の規定にかかわらず、刑を変更する減刑のみを行うものとし、又、これとともに猶予の期間を短縮することができる。
第八條 刑の執行の免除は、刑の言渡を受けた特定の者に対してこれを行う。但し、刑の執行猶予の言渡を受けてまだ猶予の期間を経過しない者に対しては、これを行わない。
第九條 復権は、有罪の言渡を受けたため法令の定めるところにより資格を喪失し、又は停止された者に対して政令で要件を定めてこれを行い、又は特定の者に対してこれを行う。但し、刑の執行を終らない者又は執行の免除を得ない者に対しては、これを行わない。
第十條 復権は、資格を回復する。
復権は、特定の資格についてこれを行うことができる。
第十一條 有罪の言渡に基く既成の効果は、大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権によつて変更されることはない。
第十二條 特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除及び特定の者に対する復権は、檢察官又は受刑者の在監する監獄の長の申出があつた者に対してこれを行うものとする。
第十三條 特赦、特定の者に対する減刑、刑の執行の免除又は特定の者に対する復権があつたときは、司法大臣は、檢察官に特赦状、減刑状、刑の執行の免除状又は復権状を送付し、これを本人に下付させなければならない。
第十四條 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権があつたときは、檢察官は、判決の原本にその旨を附記しなければならない。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
監獄法の一部を次のように改正する。
第六十四條中「裁可状」を「特赦状、減刑状若クハ刑ノ執行ノ免除状」に改める。
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〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=11
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012・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今上程になりました恩赦法案の提案理由を御説明申上げます、御承知の通り、現行憲法に於きましては、恩赦は天皇の大權事項でありまして、從つて其の方式、效力及び手續等は總て勅令の恩赦令を以て定められて居るのであります、然るに改正憲法は、内閣が恩赦を決定し、天皇は内閣が決定した所の恩赦を認證することに改め、尚恩赦の一種類と致しまして、新に刑の執行の免除を規定致して居りますので、今般憲法の改正に伴ひまして、恩赦に關し必要な事項を定める必要が生じたのであります、而して恩赦は、司法權に基く裁判の效果を動かすものであり、又恩赦の恩惠を受けるかどうかと云ふことは國民の權利に重大な關係がある所でありまするので、恩赦の方式、效力等基本的事項は、之を法律を以て規定致すのを相當と考へまして、此の法律案を提出致しました次第であります、此の法案が現行恩赦令と異りまする主な點は、第一に、恩赦の新たな種類と致しまして刑の執行の免除を加へたこと、第二に、大赦、特赦及び復權の三種の恩赦は、刑の言渡を受けた者のみでなく、刑の免除の言渡を受けた者に對しましても之を爲し得ることと致しましたこと、第三に、此の法案は恩赦に關する基本的事項のみを規定することと致しまして、詳細な手續規定は施行政令に讓ることと致したのであります、其の外の點に付きましては、其の内容は略略現行恩赦令と同樣であります、何卒愼重御審議の上、速かに御協贊あらむことを切望に堪へませぬ発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=12
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013・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程せられました恩赦法案は、其の特別委員の數を十五名とし、委員の指名を議長に一任することの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=13
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014・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=14
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015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
恩赦法案特別委員
侯爵 淺野長武君 伯爵 南部利英君
子爵 大久保教尚君 子爵 稻葉正凱君
子爵 京極高光君 吉田久君
霜山精一君 男爵 奧田剛郎君
男爵 尚琳君 男爵 中村徹雄君
野村嘉六君 有馬忠三郎君
藍澤彌八君 中島徳太郎君
清水由松君
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時二十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01119470304&spkNum=17
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