1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月十一日(火曜日)午前十時十一分開議
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議事日程 第十四號
昭和二十二年三月十一日
午前十時開議
第一 参議院議員選挙法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
第二 都道府縣及び市区町村の議会の議員及び長の選挙の期日等に関する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
去ル七日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ即日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
所得税法の一部を改正する法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ即日之ヲ衆議院ニ送付セリ
恩赦法案
去ル八日内閣總理大臣ヨリ左ノ通第九十二囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
政府委員
内閣事務官 師岡健四郎君
内務省所管事務政府委員
内務次官 齋藤昇君
同日政府ヨリ左ノ決算及同決算報告ヲ提出セリ
昭和十九年度歳入歳出總決算
昭和十九年度特別會計歳入歳出決算
昭和十九年度歳入歳出決算檢査報告
昨十日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
參議院議員選擧法の一部を改正する法律案
都道府縣及び市區町村の議會の議員及び長の選擧の期日等に關する法律案
同日内閣總理大臣ヨリ左ノ通第九十二囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
内務省所管事務政府委員
内務事務官 小林與三次君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、請暇の件及び決算委員辭任の件に付御諮りを致します、男爵多久龍三郎君、病氣に付會期中請暇の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、昨十日決算委員、男爵飯田精太郎君より、病氣に付委員辭任の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、就きましては第一部に於て其の補闕選擧を行はれむことを望みます
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=5
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006・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 私は此の際遞信省の綱紀問題に付きまして緊急質問の動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=6
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007・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=7
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008・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 大河内子爵の緊急質疑の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、大河内子爵
〔子爵大河内輝耕君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=10
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011・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 此の度發生致しました遞信省の綱紀問題に付きましては、新聞紙上にも色々傳へられて居ります、併し必ずしも其の新聞紙上に傳へられる所、悉く正鵠を得て居ると云ふことも申上げられますまい、どうか其の顛末を詳細に、具體的に御述を願ひたい、又それに對しまして政府の御見解はどうであるか、是も併せて伺ひたい、尚將來之に對する善後策もございませう、それ等に付きまして政府の御考もございますれば伺ひたいと存じます(拍手起る)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 一松遞信大臣
〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=12
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013・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 只今大河内子爵より、遞信省内に只今起つて居りまする綱紀肅正問題に關して御質問がありましたので、御質問の趣旨に從ひまして、事實の内容を明かにし、政府の之に對しまする所信を申上げ、最後に如何なる善後處置を執る積りであるかと云ふことに付て詳細に御報告を致したいのでございます、遞信從業員が一昨年八月十五日の前後に於ける郵便の配達等に關しまして、或は封筒内の書留を拔取り、小包の中にありまする品物を窃取し、若しくは電話工事に牽連して不正に金錢の要求をし、若しくは貯金事務に從事致して居りまする者が不當に官金を横領費消し、窓口に居る者が不深切な態度を執ると云ふやうな如きことに關しましては、貴衆兩院の本會議若しくは特別委員會に於て非常に御叱りを受けましたことは、遞信大臣に就任致しました當時の私と致しましては誠に遺憾に考へまして、何とかして是等の事實を絶滅し、一方には遞信從業員の諸君が、以前國民の尊敬と信用を博して居つた當時のことに之を囘復して國民の期待に副ひたいと云ふことが私が念願と致す所でありました爲に、それ等の點に關しましては、就任後着々之を是正すべく努力致しました、それが爲に從業員諸君も非常に自肅自戒致しまして、御互ひ同志で斯くの如きことのないやうにと云ふことに注意せられて居つたことは私は非常に喜んで居つたのでありまするが、併しながら一部の者の不正行爲に依りまして、他の多くの善良なる從業員の名譽を毀損したと云ふことに關して、從業員諸君もそれ等の不正の者に對しましては自分から進んで之を肅正すべく努めて居りました結果、段々に斯くの如き不正行爲がなくなりまして、國民の信用を囘復しつつありました時に、只今新聞に謳はれて居りまする彼の三福問題事件が起つたのであります、三福問題と申しまするのは、新宿の伊勢丹の道路を距てた向ふにありまする元三福と云ふ料理屋でありまして、五階建の鐵筋コンクリートの宏荘な家屋であるのでございます、それが此の戰爭中に其の戰災を逃れると云ふやうな意味でありましたか、遞信省の方で之を買つて呉れないかと云ふことで買受けた建物であります、それが戰災に罹りまして屋内が大分燒けて居つたので、其の儘に遞信省の仕事もすることなく放置して居りました時に、大屋何某と云ふ只今ダンスホールを經營して居りまする人から、あれを是非一つダンスホールに貸して呉れまいかと云ふ申出があつたさうであります、是が色々な關係者の方面に採上げられまして、貸すが宜しい、貸してはいけないと云ふ議論があつたさうでありますが、所管致して居りまする遞信本省の營繕部では、苟も公の建物をダンスホールに使用せしむるが如きと云ふことは不都合であるから貸すことは出來ないと云うて一旦之を拒絶したと云ふことであります、處が、大屋氏は色々手を變へ品を變へまして策動致しました結果、工務局の或係員の者が酒食の饗應等を受けまして、そこで之に對して立入を許すと云ふやうな許可を與へたさうであります、但し是は工務局長が知らない間に工務局長の名前を使ひ、判を使つて立入を許可すると云ふことを許したと云ふことになつて居ります、それが爲に、大屋氏は其の三福ビル内の四階にダンスホールを開設すべく色々な施設を致して居りまする時に、遞信省の營繕部の者がそこを通り掛かつて、是は貸したのでないのに、斯う云ふことをするのはどう云ふ譯だと云ふことを推問致しました結果、いや、是は借りて居るのだ、貸したことはないと云ふことが爭になりまして、結局此の三福を所管致して居りまするものは遞信本省ではなくて東京遞信局であります、そこで遞信局に至つて之が使用の許可を頼んだのであります、當時遞信局の方では同じく之を貸す貸さぬと云ふ議論があつたさうでありまするが、遞信局長が本省の總務局長に榮轉をし、其の後に名古屋の遞信局長が轉任して參つてまだ事務の引繼ぎをしてない時に、其の新遞信局長の名前を使ひ、判を使つて此の使用の許可を許したと云ふことであります、それが爲に大屋氏は其の工事を進めまして、進める前に先づ只今のやうな書類を警視廳に提出し、四谷警察署に提出して、さうして警視廳では是だけのものが本省で許し、遞信省が許した以上は、ダンスホールを許可しないと云ふ筈はないと云ふ意味に於て許可したと云ふことを私は實は聽いたので、非常に私は驚きまして取調を致しました處が、それ等の事實が大體判明を致しました、そこでダンスホールの經營者の大屋氏を呼びまして、あれは正當にあなたの方に貸したことになつて居らないから、一つ是は明け渡して貰ひたいと云ふことを話しました處が、大屋氏は、若し遞信大臣が之を明け渡せと云ふことを要求致しまするならば、私は二百數十萬圓の費用を使つて施設をして居るのであるからして、之を國庫から支辨して貰ふことは勿論、遞信省及び遞信局及び警視廳及び四谷警察署からも繩附を出しますが宜しうございますか、私は繩附とはどう云ふことか、いや、それは深く説明は致しませぬ、説明する所に行けば説明致しますが、さう云ふことをしますると繩附を出しますからそれを覺悟の上で明け渡すなら明け渡しの要求をしたら宜い、或は國庫に對して私はそれだけの支出した所の損害の賠償を請求致しますと云ふことであつたのであります、驚きまして、それは大變だ、さう云ふことであると此の儘にして置く譯には行かないが、さりとて自分の部下から繩附を出す、自分の部下にさう云ふ不正な者があつたと云ふことを天下に明かにすると云ふことはどうも面白くないから‥‥、さうかと云つて此の事實の眞相が明かにならなければ、此の家屋の明け渡し問題に付ても適當な處置が取れないと云ふことで、大村内務大臣に話を致しまして、警視廳で祕密裡に之を取調べて貰ひたいと云ふことを私が頼みました、それが爲に警視廳は極祕密裡にそれを取調べて居つたのでありますが、其の取調べの結果に依りますると、それ等の遞信省就職中の官吏の數人の者が、數囘殆ど十囘に近く、或は一人、或は二人、或は五人と云ふ者が、百圓若しくは百五十圓位の饗應を十數囘受け、若しくは五六囘受け、若しくは十二囘受けたと云ふ者が出て參りました、そればかりではありませぬ、其の中の一人は價格八百圓位する腕時計を一個貰つて居ります、今一人の者は千圓と千圓、合計二千圓の金を其の大屋氏から貰つて居る事實があります、斯う云ふやうなことを明かにせられましたけれども、私は之を職務外の行爲であるとするならば、所謂權限外の行爲であるが故に、涜職罪は成立しないと思ふ、併しながら官吏が苟くも其の自己の奉職して居る官廳内に於ける公の建物を左樣な不正なことに依つて之を貸與して饗應を受け、若しくは金品を受けるが如きことは甚だ面白くないことであると考へました、何とか是は穩かに一つ處分して見たいものであると考へて居りましたが、御承知の如く、警視廳の調べだけではまだ直ちに其の調べた事實を捉まへて是ありと斷ずることは早計なりと考へました結果、之が書類が檢事局に送られて檢事の調べを受けた結果を待たうと云ふことになつて暫く私は其の儘にして置いたのであります、さうして居りまする中に今年の二月十一日に復本法、復興本部法、法とは法律の法でありますが、是はどう云ふ意味でございますか知りませぬが、遞信省の一機關復本法と云ふ名前を以ちまして私に親任状が參りました、明けて見ました處が、其の中に書いてありますことが、彼の囘線統制法本部事件であります、其の事件の内容はどう云ふことであるかと云ふと、昨年の十二月に遞信省本部の工務局内に拵へた囘線統制本部の豫算、是は二千二百萬圓あります、其の豫算の中に百數十萬圓の金が不正に使用されて居る、どう云ふことに使用されたかと云ふと、それ等の金を以て係員が築地方面に頻りに出入をして豪遊を試みて居る、それ等の人々は是々である、料亭の名前は是々である、又それ等の金を以てそれ等の工事に從事して居る者に對して百圓、百五十圓、二百圓、或は多い者は四百圓を受けてやつて居る事實がある、それは是々である、又それだけの金を以てさうして遞信省の厚生課から品物を買受けて、其の買受けた品物を從業員に只でやらなければならぬのに、從業員から金を取つて居る事實もある、甚だしいことは僅か三萬圓位する其の工事に必要な機械を買入れるに、元遞信省に就職し居つた何と云ふ人間に其の品物を納付せしめて、六萬圓の金を支拂つて六八四十八萬圓、其の内で二十四萬圓は實費で、後の二十四萬圓の金はどうなつたか分らない、實に不都合千萬である、やつた者もあれば、やらぬ者もあるのだと云ふやうなことを書いてあるのを見て私はびつくり致しました、是は大變なことだ、併しながら遞信省内部に起りました事柄であるし、而も此の重要なる任務に從事して居りまする人々が今日物價高の當時、生活に困つて居る時、待遇の惡い時に、自分等の生活を補助して貰ふ意味に於て、夜遲く迄朝早くから晝夜兼行で仕事をして居る者に對して、係員の者が斯う云ふことをしたと云ふことは犯罪であらうし、不都合ではあらうけれども、大いに恕すべきことがある、誠に氣の毒だ、成るだけ之を一つ公にしないやうにしようと思ひまして、當り前だと警視廳に御願ひし、若しくは檢事局に御願ひして調べれば宜しいのでありませうけれども、成るだけ問題を小さくする意味に於きまして遞信大臣の官房の中に監察課と云ふものがございます、それがさう云ふ不正、不當を取調べて私に報告する任務に從事して居るものでありますから、監察課長を呼びまして、其の今の投書を渡して、旨を含めて成るだけ穩密に調べて、成るだけ人の名譽を毀損しないやうな方法にして此の事實の眞相を出來るだけ捉へて見よ、斯樣なことを命じて居りました、それが最近さう云ふことの調が始つて居る時であります、處が丁度一方警視廳から檢事局に送りました書類に依つて檢事局が最近其の警視廳の調の裏打をする意味に於て調を始めたのであります、其の二つのことが丁度ぶつつかつたのが最近である、今一つ是も今から一箇月程前のことでありますが、海軍省の方が終戰直後に電信、電話、ラヂオに關しまする物資を殆ど數億圓に近いものを遞信省に之を拂下げることになつたのであります、但し是は聯合軍の方から拂下を受けたのであります、それが全國の遞信省の倉庫、若しくは内務省等から借受けました倉庫の中に非常に澤山物が確保せられて居るのであります、其の品物が帳簿が整備して居ないで其の儘になつて居る、價格も決つて居らぬ、此の箱の中には何が入つて居るかも分らないと云ふやうな所に、それ等の係員の所に民間方面から出掛けて行つて、あれを見せい、之を見せいと云つて見せて貰ふ、自分の好みな品物だけを持ち去る、但し値段を決めない、値段は後から決めると云ふやうなことで持ち去つて、さうしてどうも不都合なことがあるやうだ、是は何とか早く一つ處理しなければ大變な問題が起るからと云ふことで、或私の親しい、而も貴族院議員の一人の方が私にそれを話して戴きました、私はびつくりしました、遞信次官を呼んで、さう云ふ物があるかと言へば、あります、資材局長を呼んで、さう云ふ物があるかと言へば、あります、帳面に付て居ない品物が澤山あるさうだが、あるか、あります、何故付けないのか、餘りに品物が多く、餘りに咄嗟でありました爲に、人手が少いが故に之の整理が出來ぬで困つて居るのであります、品物を人に渡して置きながら、其の値段を決めず、幾らであるかと云ふことも決めなくて渡して置いて、後で計算をして受取つたと云ふやうな事實ありや、さう云ふこともございます、品物を渡して置きながら、既に六箇月以上にもなつても、まだ代金も入手しないと云ふことを聞いて居るが、あるか、さう云ふこともございませう、いや、それは大變だ、又民間の人に品物を見せる時に、其の民間の人に自己の欲する品物を取出す爲に、貴重な品物をあつちから掘り出したり、こつちから掘り出したりして、さうしてそれを中から選擇をして、自分の思ふ儘に持去ると云ふやうなことがあるか、それもどうもあるかも分りませぬ、いや、それは飛んでもない話だ、それは一應一つ見に行かうと言つて、私は先月でありましたか、浦賀の方にそれを見に參りました、見に參りました處が、或一つの倉庫は秩序整然とありましたが、他の數箇の倉庫は實に亂雜極まる、甚だしい所は、私が其の倉庫を見に行くと云ふことになりました處が、あすこは立入禁止の場所であるから、遞信大臣が行つたつて中に入ることは出來ませぬと云ふ話であります、どう云ふ譯で遞信省の所管の倉庫に遞信大臣が行くのが立入禁止か、それは進駐軍の方で何か必要があつて立入禁止をして居るのであります、それはさう云ふこともあらうが、遞信大臣が自己の職權の行使の爲に、其の現場を見ると云ふことに付ては、假に立入禁止であつても、其の方面の了解を得れば見ることが出來ようぢやないか、私は必ず行程を變へずに行つて見たい、行つて見ても、到底それは中に入れられますまい、入れられるか、入れられぬかは行つて見た上にしようと思つて、丁度其處に參りました時に、大きいトラツク二臺で倉庫から品物を積んで丁度出る所に出遭ひました、是は實に不思議なことがある、何事だ、段々聞いて見ました處が、あれは進駐軍の方へ遞信省から引渡す品物があるさうです、大藏省から取りに來たからそれを今日渡してやるのであります、それは正式に書面でも來たか、正式には書面は參りませぬ、進駐軍の引渡さない品物が、引渡を受けた遞信省の倉庫の中にあるのはをかしなことだ、それはどう云ふ譯だ、私の方は引渡を受けたと思ひますが、進駐軍の方では引渡したのではないさうであります、誰が言ふか、何の何某が言ひます、書面が來たのか、口頭であります、確めたのか、其の人はさう云ふのであります、上の方は分りませぬ、遞信省へ引渡した人はアメリカへ歸つて居るから分りませぬ、飛んでもないことだ、併しさういふことならば調べれば宜からうから、今日は行つて見ようと思つて其の倉庫を見ました處が、實に亂雜極まりない、是は大變なことだと思ひました、そこで私は直ちに全國の是等の關係の部課長を東京に招集致しまして、さう云ふやうなことで世人の疑惑を招くと云ふことは甚だ悲しむべきことである、殊に綱紀肅正のやかましい時に、帳面も付けなかつた品物があつて見たら、帳面に付いて居るけれども、品物がなかつて見たり、或は値段も決めずして引渡して見たり、或は引渡した品物が最近數箇月も金が入らないと云ふやうなことがあつたりしては、それは飛んでもないことだからして、さう云ふことのないやうに、早く一つ人手を集めて是等の整理をして、疑を解くやうにしなければいけませぬからと云ふことの注意を與へました、係官は承知致しましたと言つて歸つたのでありますが、斯う云ふやうなこと、今一つ以前に遡りますが、貴衆兩院に於て、電話工事に付て、金を貰はなければ電話を引かないと云ふことがやかましいぢやないかと云ふ御叱りを受けましたので、何とかして之を一つ阻止致したいと考へた結果、一策を案じまして、それ等の工事をした人の、澤山でもなかつたやうでありまするが、數百人の人に對して、遞信局の方から御尋の文書を出しました、御承知の如く、手紙が何時着きましたかと云ふことを御尋するあれと同じ形に於て、電話を架けて戴いたさうでありますが、何か工夫が要求致しましたか、金を差上げましたかと云ふことの御尋の文書を出しました、それが其の工事に從事して居る人に對して非常に刺戟致しまして、是は遞信大臣は大變なことをやる、是では我々はもう民間の人の電話を引受けるに付ても、成るたけ金とか云ふやうなことは言はないやうに、上司の命令でなければやらないやうにしようと云ふやうな態度になつたやうでありますが、爾來それが效果を發揮致しまして、金を要求すると云ふ者はなくなつたと云ふことを聞いて、私は非常に喜んで居つたのであります、皆樣、斯う云ふやうな色々な事情が遞信省の内部にあるのでございます、それがです、丁度先刻申しました統制囘線本部の金を分けたとか、物資をどうしたとか、料理屋へ行つて飮食したとか云ふことと、三福問題に關して檢事の調が始つたと云ふ、丁度時が本月の初めであります、私は何も知りませぬでしたが、本月の五日、午後の五時頃に私に會ひたいと云つて、工務局の連中が五十名ばかり大臣室に來ましたから會ひました處が、曰く、我々は今日迄遞信大臣を信頼して居つたのであるが、今日只今に於て遞信大臣に對する信任感を失つた、故に今後はあなたの下では仕事を致しませぬ、善處しなさい、之を聲明しますと云つて私の部屋を出る、それは君、何のことかさつぱり分らないが、一つ話さうぢやないか、話せば分るから、あなたの胸に手を當てて御覽なさい、分りませう、それでは君、分らぬから、一遍話して見ようぢやないか、君等は誤解して居るのだらう、いや、誤解も何もない、そんなことは分つて居ると云つて、席を蹴つて出たのでありますが、私は非常に驚きまして、是はどう云ふことであらうかと思つたけれども、今申上げたやうなことで、多分是等の關係者の感情を刺戟したのであらう、是はどうも自分は極く祕密裡に、成るたけ問題を大きくしないやうに、さうして一面には官紀綱紀の振肅の實を擧げ、一面には官公吏の信用を高めて、さうしてこの日本の再興に寄與しようと思つたことが、一々それ等のことを關係者に打明けて言はなかつた爲に之を誤解して斯う云ふことになつたのであらうと、非常に實は私自身で實に悲しんで居るのでございます、斯う云ふやうなことが、是等の諸君が餘り騷いだ爲に、今申上げたやうな投書は、遞信省内の郵便記者團に宛てて、私に來た投書と同じものが行つて居るさうであります、それを成るたけ抑へ抑へて、書かないやうにして居つたのが、其の問題の爆發と共に新聞記者諸君も之を書いたと云ふことが、最近の新聞に現はれて居るのであらうと私は思ひます、斯う云ふやうなことでございまして、實は私が甚だ迷惑をして居る、日本の有りふれた言葉で言ひますれば、親の心子知らずと言ひませうか、成るたけ是等の諸君の名譽を傷付けないやうにし、成るたけ圓滿に解決して、さうして一面には官紀綱紀の振肅が出來、一面には仕事を一生懸命やつて貰はうと思つてしようとした事が、彼等が騷いだが爲に問題を大きくして、遂に今日に至つたのである、甚だ遺憾に思つて居りまするが、此の事も御質問がなければ勿論祕密にして置きませうと思つて居つたのです、先日も是等の關係者の諸君が、あなたの言ふことと、是等の課長連の言ふことと違ふ、だからして課長連とあなたと我々と三者が立會つて、どちらが本當か黒白を明かにしようぢやないか、事實を明かにしようぢやないか、それがなければあなたに對する信用と云ふものは致しませぬと云ふことであつた、私はそれはしても宜しいけれども、さう云ふことをするとそれ等の人々の名譽を毀損しなければならぬ、名譽を毀損して迄、此の事實を明かにすると云ふことは、私としては忍びないから、それは御斷りする、それではあなたは我々の言ふことを採上げない、とするとあなたに對する信用をしない、信用するかせぬかは‥‥餘り騷ぐと却て問題を大きくして面白くないからと云ふことになつたのでありまするけれども、結局それも三者會談と云ふことは、物別れになつたと云ふことは、只今申上げた通りでございます、けれども私は成るたけ出來るだけ問題を小さく片附けて、さうして一面には小さく片附けたけれども、實は綱紀肅正の實が擧つたと云ふことが一番宜しい、のみならず此の事が大きくなればなるほど、工事に影響致しまして、進駐軍の進駐目的を阻害するやうなことになつては大變だと私は考へて居るのである、さう云ふことでありまするから、取敢ず三福問題と云ふものが、只今檢事局で祕密に調べて居りまするから、是等の事實と關係なく、あれの二人の課長を休職處分に付しましたのは、斯う云ふ問題で騷いで居る時に、是等を收めなければならぬ地位に居る者が、自分等が先に立つて問題を益益大きくならしめたのは、甚だ面白からぬことである、のみならず此の二課長も今申上げました問題の渦中の人であります、どう云ふことをしたかと云ふことは、今是等の點迄申上げることは、どうか御許を願ひたいのでありますが、さう云ふ人でありますから取敢ず休職處分に付して、さうして是等の人が自分から改悛の情が明かになれば、更に又之を復職して、國家のために働いて貰ひたいと云ふ意味で、私は唯二人だけを休職處分に付したのであります、處が、休職に付することを止せ、休職に付すれば我々は一大決心を以てお前に對抗する、之を此の儘に收めれば宜しい、納めないならば我々はどこ迄も結束してお前に對して善處を要求する、是です、私は此處まで問題が明かになつた以上は、之を不問に付すると云ふことは絶對に出來ない、出來なければ我々は總辭職するだけだ、それでは困るからと云ふのが、今日迄の經緯でございます、で私は新聞の傳ふる所に依りますると、既に四百人ばかりの人が辭表を出したと云ふことを言はれて居りまするが、是はまだ公式に私の手許に出して居りませぬ、然らば此の辭表を出した者に對して、遞信大臣として如何なる處置を執るかと言ひますると、私は私の手に參りましたならば、それ等の者を一人々々個別に面會を致しまして、其の辭表を出すに至りました眞相を一々尋ねて見る、今のやうな眞相が分つても、尚且遞信大臣の下で仕事をしたくないから、辭職をすると云ふやうな者は、已むを得ませぬから辭表を採用致しまするが、事實の眞相が明かになつて、さうであつたか、それならばと言うて、辭表を撤囘する者は喜んで撤囘して貰つて、さうして仕事に挺身して貰ひたい、斯う云ふやうな私は考を持つて居るのであります、政府の所信如何と云ふ質問に對しましては、政府は御承知の如く、此の官紀綱紀の紊亂して居りますることは、もう今日では一般國民の與論である、之を是正すると云ふことが、我が吉田内閣の一つの政策であり使命である、斯樣な事になりまして、只今私が申しましたやうな綱紀の振肅をやると云ふことに對しましては、閣議決定の事項でありまするから、是等の事柄をです、唯多數を恃んで私に辭職を要求するやうな一事を以て、宜しい、然らば是は臭い物に蓋をしようと云ふ態度に出られませぬ、將來とても斯くの如き官紀を紊す者があれば、是は斷乎として處分を致すことになつて居りまするが、但しそれ等の點に對しましても、色々な事情がございませう、同情すべき幾多の事柄がございませう、さう云ふ點は悉く細かに之を檢討致しまして、同情に價するやうな者に對しては、出來得る限り親心を持ち、血と涙を以て之を處斷致したい、是が遞信省の私の考であると同時に、政府の所見であると云ふことを申上げまして、大河内子爵の御質問に御答へ致します(拍手起る)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=13
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014・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 非常に御丁寧な御説明で感謝致します、事柄が極めて重大でございますので、どうか穩健なる、又圓滿な御處置を、結末を見るやうに希望致しまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=14
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015・小山完吾
○小山完吾君 議長、只今の問題に……発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=15
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016・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) ちよつと御待ち下さい、自席から御發言願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=16
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017・小山完吾
○小山完吾君 議長、只今の問題に關聯して一言尚御質問を、意見を申述べたいのです発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御登壇願ひます
〔小山完吾君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=18
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019・小山完吾
○小山完吾君 只今大河内子爵の、誠に適當なる御質問に依つて、遞信大臣より委細包む所なく實状を御話し下さいまして、私共は、其の意外に重大なる事件が我が行政部に起つて居ると云ふことを承知致しました、就きましては是は立憲政治の下に於て、單に質問として止むべき筈の小さな事件ではないと思ひます、抑抑立憲政治の下に於て、大臣と云ふものが行政官府の首長として、其の權限を行ひ得ると云ふことは、議會の信任と云ふこと以外にはない筈であります、で是迄我が憲法政治と云ふものが、圓滿に行はれて居らない時代に於きましては、官僚と云ふ者があつて、其の官僚の外には、種々な因縁に依つて有力者がありまして、所謂官僚系と云ふものが存在致して、さうして大臣を内から牽制すると云ふやうな弊は今迄非常に多かつたのであります、誠にをかしなことを申すやうでありまするが、政黨の大臣が出來る、其の大臣になつて居る間だけは其の人に敬意を表するが、一旦退職すると、地方を歩いても、地方官の如きは之を見向きもしないと云ふやうな状況であるに反して、官僚出の大臣が例へば内務大臣と云ふやうなことになると、退職された後に於ても矢張り大臣の貫碌を以て、日本中を横行濶歩出來ると云ふやうなことがあつて、誠に妙な話と、私共は感じて居つたのでございますが、今日一松遞信大臣が、何故に斷乎とした態度を以て、此の官紀肅正をし得るかと云ふことは、獨り議會の信任以外にある筈はないのであります、又斯くの如き醜態が日本の官府の上に起つて居ると云ふことは、我々人民の代表者として驚き入つたことと言はなければならぬ、決して之を單なる一場の質問として、單なる出來事としては之を見逃すことの出來ないと云ふことを我々は考へなければならないと思ひます、そこで私は本當の、若し行き方をするものであるとすれば、此の問題を直ちに議會は採上げて、一松遞信大臣に信任の意を表して、さうして國家の爲に斯樣なる醜態を一掃すると云ふことを努力せよと云ふのが當り前だと思ひます、私は議事規則と云ふものに精通して居りませぬから如何であるかは知りませぬが、私は此の際一松遞信大臣に依つて、能くもそこ迄決心をされた、どうか國家の爲に斷じて鞏固の態度を以て御臨を願ひたいと思ひます、又是は獨り遞信大臣の問題ではありませぬ、日本の官府が斯くの如き醜態を呈して居ると云ふことは、日本の國家にジヤステイスと云ふものが行はれて居ないと云ふことになつて、我が憲法政治の下に於て是程大切なことはないのであります、ガヴアメント、政府と云ふものは即ち人民のジヤステイスを代表して居るべき筈のものである、其のジヤステイスを代表して居るべき官府が只今御述になつて居る所の是等の事實を見ても實に驚くべきことだ、斯くして日本の政府があるかと私は言ひたい位だ、聞く所に依れば商工省あたりに於ても隨分之に類似の事件があると、私は風聞を聞いて居ります、併しまさかと思つて居るのでありまするが、左樣な醜事實が公然として既に現はれて居る以上は他にもあるかも知れませぬ、雨の降る時には天地皆潤ふ、天地皆潤ひてさうして雨が降る、茸が出る時には茸が出るべき状態が山にあつて、是が茸が出る、遞信省に此の事件が起つたと云ふことは決して遞信省特有のことではないと私は考へる、商工省の如き或資材に關係して居る官府の如きに於きましても、隨分噂を聞いて居ります、さうして其の役所に入つて見れば、食物なり、民間に得られない所の物が散らばつて居ると云ふやうなことを、現に官府に出入をして居る人々から私は聞いて居ります、是は實に重大なことでありまするから、我が貴族院としても、明かに自分の信任して居る所の政府に對し、其の當局の大臣に付ては十分の信用を持つて、おやりなさいと云ふ信任状を出すが當り前と思ひまして、其の意見を茲に申述べて置きまする(拍手)
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、參議院議員選挙法の一部を改正する法律案、日程第二、都道府縣及び市區、町村の議會の議員及び長の選擧の期日等に関する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀会、是等の両案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、植原内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=21
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022・会議録情報3
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参議院議員選挙法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月十日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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参議院議員選挙法の一部を改正する法律案
参議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
第二十一條第二項中「市町村会議員選挙管理委員」を「市町村会議員選挙管理委員会」に改める。
第七十四條に第一項として次の一項を加える。
第七十九條第三項の規定により当選を無効であると認める選挙人又は議員候補者は、当選人を被告とし、第五十九條第一項又はこれを準用する第六十九條の規定による告示の日から三十日以内に、東京高等裁判所に出訴することができる。
第七十六條に次の三項を加える。
選挙運動は、第五十四條第一項乃至第三項又はこれを準用する第六十九條の規定による届出のあつた後でなければ、これをすることができない。
何人も、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的を以て戸別訪問をすることができない。
何人も、学校の兒童、生徒及び学生で年齢二十年未満のものに対する特殊の關係のある地位を利用して選挙運動をすることができない。
第七十九條 選挙運動の費用は、議員候補者一人につき、左の各号の額を超えることができない。
一 通常選挙における当該選挙区内の議員の定数(全國選出議員については通常選挙における議員の定数)を以て選挙人名簿確定の日においてこれに記載された者の総数を除して得た数を命令で定める金額に乘じて得た額
二 選挙の一部が無効となり更に選挙を行う場合においては、通常選挙における当該選挙区内の議員の定数(全國選出議員については通常選挙における議員の定数)を以て選挙人名簿確定の日において関係区域の選挙人名簿に記載された者の総数を除して得た数を命令で定める金額に乘じて得た額
三 第二十六條の規定により投票を行う場合においては、前号の規定に準じて算出した額
但し、都議会議員選挙管理委員会又は道府縣会議員選挙管理委員会は、必要があると認めるときは、これを減額することができる。
都議会議員選挙管理委員会又は道府縣会議員選挙管理委員会(全國選出議員に関する前項第一号及び第二号の規定による額については全國選出議員選挙管理委員会)は、選挙の期日の公示又は告示があつた後直ちに前項の規定による額を告示しなければならない。
議員候補者のため支出された選挙運動の費用が前項の規定により告示された額を超えたときは、その議員候補者の当選を無効とする。但し、議員候補者及び推薦届出者が支出責任者又はこれに代つてその職務を行う者の選任及び監督につき相当の注意をし、且つ、支出責任者又はこれに代つてその職務を行う者において選挙運動の費用の支出につき過失がなかつたときは、この限りでない。
第八十條に第一項として次の一項を加える。
支出責任者は、命令の定めるところにより、選挙運動に関する收入及び選挙運動の費用を都議会議員選挙管理委員会又は道府縣会議員選挙管理委員会(全國選出議員については全國選出議員選挙管理委員会)に届け出なければならない。
第八十一條中「前二條」を「前條」に改める。
第八十二條第一項中「第七十九條及び」を削る。
第八十四條 第七十六條第一項の規定に違反した者は、これを六箇月以下の禁錮又は三千円以下の罰金に処する。
第七十六條第二項乃至第四項の規定に違反した者は、これを一年以下の禁錮又は五千円以下の罰金に処する。
第八十六條中「第七十九條又は」を削る。
第九十條に第一項として次の一項を加える。
議員候補者又は推薦届出者は、命令の定めるところにより、選挙運動のためにする通常葉書を議員候補者一人につき一万枚を限り無料で差し出すことができる。
附則第四條中「衆議院」を「貴族院」に改める。
附則第五條に次の一項を加える。
第七十四條第一項中「東京高等裁判所」とあるのは、日本國憲法施行までの間は、「大審院」と読み替えるものとする。
附則第十條に次の一項を加える。
この法律により初めて行う参議院議員の通常選挙については、第六十一條中「十日以内と」あるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
附則第十一條中「及び第五十六條第一項但書」を「、第五十六條第一項但書並びに第七十九條第一項第一号及び第二号」に、「及び第六十七條但書」を「、第六十七條但書並びに第七十九條第一項第一号及び第二号」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
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都道府縣及び市区町村の議会の議員及び長の選挙の期日等に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月十日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
都道府縣及び市区町村の議会の議員及び長の選挙の期日等に関する法律案
昭和二十一年法律第二十六号(東京都制の一部を改正する法律)、同年法律第二十七号(府縣制の一部を改正する法律)、同年法律第二十八号(市制の一部を改正する法律)及び同年法律第二十九号(町村制の一部を改正する法律)により初めて行う都道府縣及び市区町村その他これに準ずるものの議会の議員及び長の選挙は、内務大臣の定める日にこれを行わなければならない。
市町村その他これに準ずるものの議会の議員で昭和二十二年四月二十九日までに任期が満了しないものの任期は、同日までとする。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。
東京都制の一部を次のように改正する。
第十三條第一項但書中第二号乃至第四号を次のように改める。
二 懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
市制の一部を次のように改正する。
第十四條第一項但書中第二号乃至第四号を次のように改める。
二 懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
町村制の一部を次のように改正する。
第十二條第一項但書中第二号乃至第四号を次のように改める。
二 懲役又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者
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〔國務大臣植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=22
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023・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 只今上程になりました参議院議員選挙法の一部を改正する法律案の提案の理由竝に法案中主要な事項の概要を御説明申上げたいと存じます、参議院議員選挙法は曩の第九十一議會を通過成立し、去る二月二十四日公布即日實施されるに至つたのでありまするが、本法に對しましては、議會審議の際衆議院に於きまして選擧運動に關して、我が國過去の幾多の選擧の實績に鑑み、選擧の事前運動及び戸別訪問の禁止竝に費用制限の規定を今俄かに撤廢することは時期尚早と思はれるから、政府は第九十二囘帝國議會に適當なる法案を提出して善處すべき旨の附帶決議がなされたのであります、政府は本法の立案に際しましては、選擧運動及び選擧運動の費用に關する餘りにも煩雜な法的規則制限は選擧の明朗闊達性を喪失せしめるのみならず、之に對抗する新たな脱法的措置を講じさせることになつて、所期の目的を達することが出來ないのが實情でありまして、特に全國選出議員の場合に付ては其の感を深くするので、寧ろ此の際選擧運動に付きましては、買收、選擧妨害等の惡質犯の處罰のみに止めて、他は之を放任して一般國民の批判に委せるのが最も適切な方策であると考へ、第一に議員候補者及び政黨の選擧運動に關する收支及び選擧運動の費用の公開、第二に選擧事務關係者の關係區域内に於ける選擧運動の禁止、及び第三に選擧運動の爲に掲示し又は頒布する文書圖畫の形式、數量、掲示の場所等に關する制限に關する措置を講ずるに止めて、他は一切之を自由に放任することと致したのでありました、固より選擧運動は原則として國民の自由行動に依るべきものでありまして、之に煩雜な制限を加へますことは適當ではないのでありますが、過去の實績に鑑みまして現下の状況に照し、最小限度選擧の事前運動の禁止等に關する規定は、尚當分の間之を存置することを適當であると致します衆議院の附帶決議の趣旨には傾聽すべきものがあり、旁旁衆議院議員の選擧其の他各種の選擧に於きましても、同樣の法的規制が存置されることでもありますので、政府は附帶決議の意のある所を了承して、次の議會に之に關しまする改正案を提出することを言明したのであります、以上の經緯に鑑みまして、政府に於きましては、參議院議員選擧法の一部を改正することと致し、選擧運動及び選擧運動費用に關して事前運動及び戸別訪問の禁止竝に費用の最高額の制限規定を設けますと共に、兒童等に關する特殊の關係ある地位を利用する選擧運動の禁止、其の他若干の事項に關して必要な規定の改正を行ふ爲に、本改正案を上程致した次第であります、以下改正規定の各條項に付きまして御説明申上げます、第一には、第七十四條第一項として新たに加へようと致します規定は、選擧運動費用の制限に伴ひまして、制限額の超過を理由とする當選無效訴訟の手續を定めようとするものであります、本項に於きまして、本訴訟を提起すべき裁判所を現行衆議院議員選擧法の規定するやうに、大審院に相當する最高裁判所とせずに、東京高等裁判所と致しましたのは、最高裁判所をして改正憲法に於きまして新たに定めた特殊の重要な職責を十二分に盡させると共に、事實審理を一切行はない、其の建前から見まして、之に出訴させることは適當でないと認められるのみならず、半面に於て、全國選出議員の選擧の特殊性、及び選擧に關する訴訟を出來るだけ速かに處理終結させる必要を考慮しなければならないので、特に東京高等裁判所に出訴させることが適當と考へたからであります、第二には、第七十六條の改正規定中、第一項は所謂事前運動の禁止の規定であり、第二項は戸別訪問禁止の規定であります、同條第三項の改正規定は昨年四月に施行された衆議院議員の總選擧に於きまして、特に國民學校等の兒童等に對する特殊の關係ある地位を利用して、選擧運動を行つて、不當に選擧運動の機會均等の原則を破る等、相當弊害の顯著なるものがあつたやうに見受けられますので、學校の教職員等が未成年の、即ち未だ選擧權を有しない兒童、生徒及び學生に對する特殊の關係ある地位を利用して選擧運動をすることを禁止しようとするものであります、第三には、第七十九條の改正規定は、選擧運動の費用の最高額を定めて、選擧運動費用を制限しようとするものでありまして、現行衆議院議員選擧法の規定に準じて規定しようとするものでありますが、唯最高額を定めるに當りまして、基準となるべき議員一人當りの選擧人の數を乘ずべき一定の金額は之を固定せず、物價變動の状況其の他を勘案して、最も適當な額を定めることが出來るやうに、命令を以て之を定めるやうにしようとするものであります、第四には、第八十四條の改正規定は、選擧運動に關し事前運動、戸別訪問及び兒童等に對する特殊の關係ある地位を利用して行ふ、選擧運動の禁止規定が新たに加へられるに伴ひまして、是等の規定に違反する者に對する罰則を定めようとするものであります、第五には、第九十條第一項の改正規定は、無料郵便に關する制度を定めたものでありますが、近く提案する豫定であります衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案に於きまして、現下に於ける用紙の逼迫の状況に鑑み、從來の無料郵便物の制度を改めて、通常葉書を議員候補者一人に付一萬枚を限つて無料で差出すことが出來るやうに改正する考であるのでありまして、本項は此の衆議院議員選擧法の改正に照應すると共に、選擧運動費用の節減に資し、選擧の機會均等を確保しようとするものであります、第六には、參議院議員選擧法附則第四條の改正規定は、其の後の政治情勢の變化に依り衆議院の解散が豫定されるに至つた爲に、第一囘の參議員議員の通常選擧の全國選出議員選擧管理委員を衆議院議員の中から選擧させることが困難となる虞がありますので、特に貴族院議員の中から之を選擧させるやうにしようとするものであります、第七には、參議院議員選擧法附則第十條の改正規定は當選人の確定を出來るだけ速かならしめて、成るべく改正憲法施行の時期迄に、參議院議員の選擧を完了させる爲に、今囘の選擧に限つて當選承諾期間を五日に短縮しようとするものであります、以上參議院議員選擧法の一部を改正する法律案の内容の大綱を御説明申上げた次第であります、何卒愼重に御審議の上速かに御協贊あらむことを切望致します、尚只今上程になりました都道府縣及び市區町村の議會の議員及び長の選擧の期日等に關する件に付きまして、其の提案理由竝に法案中の主要な事項の概略に付御説明申上げます、此の法律案は新憲法實施を控へまして、四月中に國及び地方の選擧を一齊に行ふことが適當と認められまするので、都道府縣及び市區町村等の議會の議員及び長の選擧を内務大臣の指定する日に、一齊に施行させる爲に必要な事項を規定しようとするものであります、先づ第一に規定しようとする點は、都道府縣及び市區町村等の議會の議員、及び長の選擧は衆議院議員及び參議院議員の選擧と共に、新憲法施行の期日迄に相踵いで行はれますので、是等の各種の選擧を圓滑に且支障なく行はしむる爲、内務大臣の定めたる期日に一齊に之を行はしめようとするものであります、第二の點は、市町村等の議會の議員の選擧は四月三十日に行ふ豫定でありますので、四月二十九日迄に任期の滿了しない市町村等の議會の議員の任期を同日に滿了させることと致しまして、一齊に是等の選擧を行ひ、新憲法實施の時期迄に一切の地方議會の議員を更新しようとするものであります、第三の點は、參議院議員選擧法等の制定に伴ひまして、今囘行はれる地方選擧に付ても、選擧權の缺格條項を整理し、選擧權の範圍を擴張しようとするものであります、何卒愼重御審議の上、速かに御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=23
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024・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました參議院議員選擧法の一部を改正する法律案外一件は、其の特別委員の數を十九名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=24
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025・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=25
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026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔小野寺書記官朗讀〕
參議院議員選擧法の一部を改正する法律案外一件特別委員
公爵 二條弼基君 候爵 中山輔親君
伯爵 大木喜福君 子爵 大河内輝耕君
子爵 三島通陽君 子爵 松平親義君
出淵勝次君 男爵 久保田敬一君
吉田久君 下條康麿君
男爵 團伊能君 男爵 小原謙太郎君
高木八尺君 大木操君
田所美治君 板谷順助君
膳桂之助君 結城安次君
淺井清君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 次會の議事日程は、決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是で散會致します
午前十一時十一分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01419470311&spkNum=28
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