1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月十七日(月曜日)午前十時十四分開議
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議事日程 第十七號
昭和二十二年三月十七日
午前十時開議
一 会計檢査院法を改正する法律案(政府提出) 第一讀會
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 諸般の報告は、御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
去ル十三日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ即日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
参議院議員選挙法の一部を改正する法律案
都道府縣及び市区町村の議会の議員及び長の選挙の期日等に関する法律案
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出案ハ即日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
選挙運動の文書図画等の特例に関する法律案
同日左ノ質問主意書ヲ政府ニ轉送セリ
ローマ字教育に關する質問主意書
(田中館愛橘君提出)
同日内閣總理大臣ヨリ左ノ通第九十二囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
内務省所管事務政府委員
内務事務官 荻田保君
文部省所管事務政府委員
文部事務官 岡田孝平君
同 福田繁君
去ル十四日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
請願委員會特別報告第一號
一昨十五日内閣總理大臣ヨリ左ノ通第九十二囘帝國議會政府委員仰付ケラレタル旨ノ通牒ヲ受領セリ
内務省所管事務政府委員
内務事務官 鈴木俊一君
同 柏村信雄君
大藏省所管事務政府委員
大藏事務官 忠佐市君
同 北島武雄君
同 石原周夫君
同日政府ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
会計檢査院法を改正する法律案
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、去る十三日豫算委員木下謙次郎君、懲罰委員吉田久君、何れも都合に依り委員辭任の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、就きましては第四部及び第六部に於て各各其の補闕選擧を行はれむことを望みます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より議事日程に移ります、会計檢査院法を改正する法律案、政府提出、第一讀會、金森國務大臣
〔國務大臣金森徳次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=5
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006・会議録情報3
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会計檢査院法を改正する法律案
右
勅旨を奉じて帝國議会に提出する。
昭和二十二年三月十五日
内閣総理大臣 吉田茂
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会計檢査院法を改正する法律案
会計檢査院法目次
第一章 組織
第一節 総則
第二節 檢査官
第三節 檢査官会議
第四節 事務総局
第二章 権限
第一節 総則
第二節 檢査の範囲
第三節 檢査の方法
第四節 檢査報告
第五節 会計事務職員の責任
第六節 雜則
第三章 会計檢査院規則
会計檢査院法
第一章 組織
第一節 総則
第一條 会計檢査院は、内閣に対し独立の地位を有する。
第二條 会計檢査院は、三人の檢査官を以て構成する檢査官会議と事務総局を以てこれを組織する。
第三條 会計檢査院の長は、檢査官のうちから互選した者について、内閣においてこれを命ずる。
第二節 檢査官
第四條 檢査官は、両議院の同意を経て、内閣がこれを任命する。
檢査官の任命について、衆議院が同意して参議院が同意しない場合においては、日本國憲法第六十七條第二項の場合の例により、衆議院の同意を以て両議院の同意とする。
檢査官の任免は、天皇がこれを認証する。
檢査官は、年額五万円の俸給を受ける。
第五條 檢査官の任期は、七年とし、一回に限り再任されることができる。
檢査官が任期中に欠けたときは、後任の檢査官は、前任者の残任期間在任する。
檢査官は、満六十五才に達したときは、退官する。
第六條 檢査官は、他の檢査官の合議により、心身の故障のため職務の執行ができないと決定され、又は職務上の義務に違反する事実があると決定された場合において、両議院の議決があつたときは、退官する。
第四條第二項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
第七條 檢査官は、刑事裁判により禁錮以上の刑に処せられたときは、その官を失う。
第八條 檢査官は、前二條の場合を除いては、その意に反してその官を失うことがない。
第九條 檢査官は、他の官を兼ね、又は國会議員、地方公共團体の吏員若しくは議会の議員となることができない。
第三節 檢査官会議
第十條 檢査官会議の議長は、院長を以て、これに充てる。
第十一條 左の事項は、檢査官会議でこれを決する。
一 第三十八條の規定による会計檢査院規則の制定又は改廃
二 第二十九條の規定による檢査報告
三 第二十三條の規定による檢査を受けるものの決定
四 第二十四條の規定による計算証明に関する事項
五 第三十一條の規定による処分の要求
六 第三十二條の規定による出納職員の檢定
七 第三十五條の規定による審査決定
八 第三十六條の規定による意見の表示又は処置の要求
九 第三十七條の規定による意見の表示
第四節 事務総局
第十二條 事務総局は、檢査官会議の指揮監督の下に、庶務並びに檢査及び審査の事務を掌る。
事務総局に官房及び左の四局を置く。
檢査第一局
檢査第二局
檢査第三局
檢査第四局
官房及び各局の事務の分掌及び分課は、会計檢査院規則の定めるところによる。
第十三條 事務総局に、事務総長一人、事務総局次長一人、祕書官、事務官及び技官を置く。
事務総長及び次長は、一級とし、祕書官は二級、事務官は一級、二級又は三級、技官は二級又は三級とする。
一級事務官は專任十一人とする。
第十四條 一級官吏は、檢査官の合議で決するところにより、内閣でその任免、進退を行う。
事務総長及び次長については、官吏の任用敍級の資格に関する法令の規定は、これを適用しない。
二級官吏は、檢査官の同意を経て事務総長の指名するところにより、内閣総理大臣においてその任免、進退を行う。
三級官吏は、事務総長においてその任免、進退を行う。
第十五條 事務総長は、事務総局の局務を統理し、公文に署名する。
次長は、事務総長を補佐し、その欠けたとき又は事故があるときは、その職務を行う。
第十六條 各局長は、事務総長の推薦により、檢査官の同意を経て一級の事務官のうちから、院長がこれを補する。
各局長は、局務を掌理する。
第十七條 祕書官は、檢査官の命を受けて、機密に関する事務に從事する。
事務官は、官房又は各局の課長となり、又は局課に分属し、上官の指揮を受け、庶務、檢査又は審査の事務に從事する。
第十八條 技官は、各局課に分属し、上官の指揮を受け、技術に從事する。
第十九條 会計檢査院は、会計檢査院規則の定めるところにより事務総局の支局を置くことができる。
第二章 権限
第一節 総則
第二十條 会計檢査院は、日本國憲法第九十條の規定により國の收入支出の決算の檢査を行う外、法律に定める会計の檢査を行う。
会計檢査院は、常時会計檢査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。
第二十一條 会計檢査院は、檢査の結果により、國の收入支出の決算を確認する。
第二節 檢査の範囲
第二十二條 会計檢査院の檢査を必要とするものは、左の通りである。
一 國の毎月の收入支出
二 國の所有する現金及び國有財産の受拂
三 國の債権の得喪又は國債その他の債務の増減
四 日本銀行が國のために取り扱う現金、貴金属及び有價証券の受拂
五 國が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計
六 法律により特に会計檢査院の檢査に付するものと定められた会計
第二十三條 会計檢査院は、必要と認めるとき又は内閣の請求があるときは、左に掲げる会計経理の檢査をすることができる。
一 國の所有又は保管する物品及び有價証券又は國の保管する現金
二 國以外のものが國のために取り扱う現金、物品又は有價証券の受拂
三 國が直接又は間接に補助金、奬励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を與えているものの会計
四 國が資本金の一部を出資しているものの会計
五 國が資本金を出資したものが更に出資しているものの会計
六 國が借入金の元金又は利子の支拂を保証しているものの会計
七 國の工事の請負人及び國に対する物品の納入者のその契約に関する会計
会計檢査院が前項の規定により檢査をするときは、これを関係者に通知するものとする。
第三節 檢査の方法
第二十四條 会計檢査院の檢査を受けるものは、会計檢査院の定める計算証明の規程により、常時に、計算書及び証拠書類を、会計檢査院に提出しなければならない。
國が所有し又は保管する現金、物品及び有價証券の受拂については、前項の計算書及び証拠書類に代えて、会計檢査院の指定する他の書類を会計檢査院に提出することができる。
第二十五條 会計檢査院は、常時又は臨時に職員を派遣して、実地の檢査をすることができる。
第二十六條 会計檢査院は、檢査上の必要により檢査を受けるものに帳簿、書類若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し若しくは出頭を求めることができる。
第二十七條 会計檢査院の檢査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官又は監督官廳その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計檢査院に報告しなければならない。
一 会計に関係のある犯罪が発覚したとき
二 現金、有價証券その他の財産の亡失を発見したとき
第二十八條 会計檢査院は、檢査上の必要により、官廳も公共團体その他の者に対し、資料の提出、鑑定等を依頼することができる。
第四節 檢査報告
第二十九條 日本國憲法第九十條により作成する檢査報告には、左の事項を掲記しなければならない。
一 國の收入支出の決算の確認
二 國の收入支出の決算金額と日本銀行の提出した計算書の金額との不符合の有無
三 檢査の結果法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項の有無
四 予備費の支出で國会の承諾をうける手続を採らなかつたものの有無
五 第三十一條の規定により懲戒の処分を要求した事項及びその結果
第六 三十二條の規定による出納職員に対する檢定
七 第三十四條の規定により意見を表示し又は処置を要求した事項及びその結果
八 第三十六條の規定により意見を表示し又は処置を要求した事項及びその結果
第三十條 会計檢査院は、前條の檢査報告に関し、國会に出席して説明することを必要と認めるときは、檢査官をして出席せしめ又は書面でこれを説明することができる。
第五節 会計事務職員の責任
第三十一條 会計檢査院は、檢査の結果國の会計事務を処理する職員が故意又は重大な過失により著しく國に損害を與えたと認めるときは、本属長官その他監督の責任に当る者に対し懲戒の処分を要求することができる。
前項の規定は、國の会計事務を処理する職員が計算書及び証拠書類の提出を怠る等計算証明の規程を守らない場合又は第二十六條の規定による要求を受けこれに應じない場合に、これを準用する。
第三十二條 会計檢査院は、出納職員が現金又は物品を亡失毀損したときは、善良な管理者の注意を怠つたため國に損害を與えた事実があるかどうかを審理し、その弁償責任の有無を檢定する。
会計檢査院が弁償責任があると檢定したときは、本属長官その他出納職員を監督する責任のある者は、前項の檢定に從つて弁償を命じなければならない。
第一項の弁償責任は恩赦によらなければ減免されない。
会計檢査院は、第一項の規定により出納職員の弁償責任がないと檢定した場合においても、計算書及び証拠書類の誤謬脱漏等によりその檢定が不当であることを発見したときは五年間を限り再檢定をすることができる。前二項の規定はこの場合に、これを準用する。
第三十三條 会計檢査院は、檢査の結果國の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を檢察廳に通告しなければならない。
第六節 雜則
第三十四條 会計檢査院は、檢査の進行に伴い、会計経理に関し法令に違反し又は不当であると認める事項がある場合には、直ちに、本属長官又は関係者に対し当該会計経理について意見を表示し又は適宜の処置を要求し及びその後の経理について是正改善の処置をさせることができる。
第三十五條 会計檢査院は、國の会計事務を処理する職員の会計経理の取扱に関し、利害関係人から審査の要求があつたときは、これを審査し、その結果是正を要するものがあると認めるときは、その意見を主務官廳その他の責任者に通知しなければならない。
主務官廳又は責任者は、前項の通知を受けたときは、その通知された意見に基いて適当な措置を採らなければならない。
第三十六條 会計檢査院は、檢査の結果法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは、主務官廳その他の責任者に意見を表示し又は改善の処置を要求することができる。
第三十七條 会計檢査院は、左の場合には予めその通知を受け、これに対し意見を表示することができる。
一 國の会計経理に関する法令を制定し又は改廃するとき
二 國の現金、物品及び有價証券の出納並びに簿記に関する規程を制定し又は改廃するとき
國の会計事務を処理する職員がその職務の執行に関し疑義のある事項につき会計檢査院の意見を求めたときは、会計檢査院は、これに対し意見を表示しなければならない。
第三章 会計檢査院規則
第三十八條 この法律に定めるものの外、会計檢査に関し必要な規則は、会計檢査院がこれを定める。
附 則
第一條 この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
第二條 左の法律は、これを廃止する。
明治二十九年法律第九十一號
(會計檢査官退官ニ關スル法律)
會計檢査官懲戒法
第三條 この法律施行前の事由に因る出納官吏の弁償責任に関する第三十二條第三項及び第四項の改正規定の適用については、從前の規定による判決は、これを同條第一項の改正規定による檢定とみなす。
第四條 この法律施行の際現に存する会計檢査院事務章程その他会計檢査院の制定に係る会計檢査に関する諸規程に定めた事項は、第三十八條の改正規定による会計檢査院規則の制定があるまでは、なお從前の例による。
第五條 この法律施行の際現に在職する会計檢査院長は、この法律により、会計檢査院の長の任命があるまでは、会計檢査院の長の地位にあるものとする。
前項の会計檢査院長及びこの法律施行の際現に在職する部長又は檢査官のうち、同項の会計檢査院長の指名する者二人は、この法律により、檢査官の任命があるまでは、檢査官の職務を行うものとする。
この法律施行の際現に在職する会計檢査院長は、この法律により、事務総長の任命があるまでは、事務総長の職務を行うものとする。
第六條 この法律施行の際現に在職する部長、檢査官、書記官、副檢査官、理事官及び書記は、別に辞令を発せられないときは、同俸給を以て事務官に任ぜられ、勅任の者は一級、奏任の者は、二級判任の者は三級に敍せられたものとする。
この法律施行の際現に休職中の会計檢査院の職員は、別に辞令を発せられないときは、休職のまま、前項の例により事務官に任ぜられたものとする。
第七條 この法律により初めて任命される檢査官のうち二人の任期は、第五條第一項の規定にかかわらず、一人については三年、他の一人については五年とする。
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007・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 只今上程に相成りました会計檢査院法を改正する法律案に付きまして、提案の理由を説明致したいと存じます、會計檢査院法は、明治二十二年に制定されまして以來、今日迄特に重大なる改正もなく來つたのでありまするが、今囘日本國憲法が施行せられまするに付きましては、民主政治を徹底して、殊に此の議院内閣制の本旨を明に致しまする爲には、此の檢査院に付きましての制度を、權限と組織との兩面に亙りまして、根本的に刷新を加へる必要がある譯であります、そこで其の趣旨に從ひまして、本案を提出したのでありますが、此の法律案の内容に付きまして、組織と權限との兩面に分ちまして、其の大綱を申し上げますれば、組織に付きましては、先づ會計檢査院は、内閣に對して獨立の地位を有すると云ふことをはつきり掲げまして、さうして尚三人の檢査官を以て構成する檢査官會議と云ふものを本體と致しまして、之に事務總局を加へまして、此の兩者を以て會計檢査院を組織することにした譯でありまして、此の點は現在の會計檢査院の組織と可なり著しく違つて居る點であります、で重要なる事項は、今申しました三人の檢査官の會議に依つて決定することに定めて居る譯であります、次に會計檢査院の檢査官の任命は、如何にするかと申しますると、是は國會の、兩議院の同意を得まして、内閣が之を行ひまして、其の任免に付きましては、天皇の認證を要するものと致して居ります、尚左樣な場合に於きまして、兩院が其の人選、任命に付きましての同意を致しまする場合に、若しも兩院の意見が一致しませぬ場合に於きまして、どうするかと言へば、それは憲法に内閣總理大臣の指名の場合の規定がありまするが、其のやうな形に依りまして、衆議院の同意を以て、兩議院の同意とすることに致したのであります、會計檢査院の長はどうして出來るかと申しますと、それは三人の檢査官の互選に依りまして、其の結果に付て内閣が之を命ずる次第であります、尚ほ檢査官に付きましては、其の職務が完全なりとも言ふべき程度の獨立を要する必要がありまするので、十分其の身分を保障しなければなりませぬから、之に關しまする規定を法律案の中に設けて居ります、次に事務總局はどう云ふ風であるかと申しますると、檢査官會議の指揮監督の下に於きまして、庶務と檢査及び審査の事務を掌るものでありまして、事務總長其の他所要の職員を置くことと致して居ります、謂はば檢査院の事務の中に於きまして、執行的なる事務は、事務總局が致しまして、決定的なる事務は檢査官會議が之をすると云ふ趣旨であります、次に問題を權限の面に移して考へて見ますると、會計檢査院が憲法及び法律の規定に基きまして、會計檢査を行ふことは、是は當然のことでありまして、此の點に付きましては從來の通りでありまするが、今囘之を撓みなく繼續して行ふと云ふ意味のことを法文の上に明かに致しました、尚檢査の範圍に付きましては、從來の範圍よりも之を擴げまして、例へば一定額以上の資本金を出資して居る法人の會計を審査すると云ふやうな點を加へて居るのであります、次に會計檢査院が檢査をやつて居りまする間に色々な取扱ふ者の違法なる行爲とか、不當なる行爲を認める場合が起りまするし、又檢査の結果法令、制度又は行政に付きまして、然るべき改善を必要とするやうな事項を認むることもありまするので、左樣な場合に於きましては、直ちに會計檢査院が本屬長官又は主務官廳等に對しまして意見を示しましたり、必要なる處置を、要求を致しましたりして、其の缺點を是正改善せしむる處置を爲させることになつて居ります、且又同時に之を國會に提出致しまする所の檢査報告の中にはつきり掲げると云ふ風に致して居ります、其の外尚檢査報告には色々法律、政令、豫算に違反し、又は不當と認めた事項をも掲記するやうな譯になつて居ります、斯樣に致しまして、検査報告が國會に提出せられまする場合に於きまして、單に文書のみを以て國會に報告を致しますることは、詰り從前と同じやうな限度のことに致して置きましては、十分に會計檢査の趣旨が徹底しない譯でありまするから、斯樣な檢査報告に關しまして、國會へ出席して説明をするやうな必要がありまする時は、檢査官を出席させることが出來ると云ふ風にし、又書面で之を説明することも出來ると云ふやうな風に定めたのであります、尚其の外出納職員其の他の會計事務職員の責任に關する規定を整備致しましたり、或は又外部からの利害關係人から會計事務を處理する職員の取扱ひ振りに對しまして請求がありますると、之を審査を致しまして、其の結果是正を要するものがあれば、之に對して判定を主務官廳等に通知すると云ふやうな途をも設けまして、可なり多角形の考を以て會計經理の適正なる運行を期すると云ふ風に内容を規定致して居ります、以上が大略の説明でございますが、宜しく御審議の上に御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=7
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008・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました会計檢査院法を改正する法律案は、其の特別委員の數を十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=8
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009・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
会計檢査院法を改正する法律案特別委員
侯爵 前田利建君 伯爵 柳澤保承君
大谷正男君 子爵 森俊成君
子爵 藤井兼誼君 子爵 牧野忠永君
子爵 徳川誠君 子爵 三須精一君
子爵 岡俊二君 市來乙彦君
中村藤兵衞君 木下謙次郎君
戸口米次郎君 岸本彦衞君
上野喜左衞門君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 遞信大臣より發言を求められて居ります、一松遞信大臣
〔國務大臣一松定吉君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=12
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013・一松定吉
○國務大臣(一松定吉君) 三月十二日の御院に於ける参議院議員選挙法の一部を改正する法律案の特別委員會に於きまして、遞信省の政府委員より、來るべき參議院議員選擧に於て、候補者の使用すべき郵便葉書を一枚五錢にて差上げるやうに申上げたのは、其の後の研究の結果、是は無料にて差上げることに改めたのでございます、全國の地域を目標として立候補せられる方には三萬枚、地域的の選擧をなさる御方には二萬枚、之を政府から無料で差上げると云ふことに致したのでございまして、過半政府委員の一枚五錢で差上げると云ふことを改めましたから、此の點をちよつと御報告申上げて置きます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=13
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014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 次會の議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午前十時二十七分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X01719470317&spkNum=14
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