1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月二十七日(木曜日)午前十時二十一分開議
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議事日程 第二十五號
昭和二十二年三月二十七日
午前十時開議
第一 請願委員長報告
第二 労働基準法(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第三 学校教育法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第四 船員法を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第五 帝國鉄道会計法を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第六 皇室経済法の施行に関する法律案(政府提出) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第七 昭和十九年度歳入歳出総決算、昭和十九年度特別会計歳入歳出決算報告 會議(委員長報告)
第八 昭和十九、二十年度國有財産増減総計算書報告 會議(委員長報告)
第九 鳥取縣御來屋漁港修築ノ請願 會議
第十 鳥取縣西伯郡逢坂村ニ漁港築設ノ請願 會議
第十一 鳥取縣網代漁港改修ノ請願 會議
第十二 鳥取縣田後漁港修築ノ請願 會議
第十三 鳥取縣赤碕漁港修築ノ請願 會議
第十四 鳥取縣泊漁港修築ノ請願 會議
第十五 鳥取縣大羽尾漁港修築ノ請願 會議
第十六 鳥取縣岩戸漁港修築ノ請願 會議
第十七 鳥取縣賀露漁港修築ノ請願 會議
第十八 鳥取縣淀江漁港修築ノ請願 會議
第十九 鳥取縣酒津漁港修築ノ請願 會議
第二十 鳥取縣東伯郡宇野村ニ漁港築設ノ請願 會議
第二十一 鳥取縣浦富漁港修築ノ請願 會議
第二十二 鳥取縣御崎漁港修築ノ請願 會議
第二十三 省營自動車福浪線ヲ飯坂、湯野兩町マデ延長ノ請願 會議
第二十四 未成線鐵道佐久間線速成ノ請願 議會
第二十五 長野原線金島、小野上兩驛間ノ小野子ニ停車場設置ノ請願 會議
第二十六 奧羽本線新庄驛、最上郡大藏村清水間ニ鐵道敷設ノ請願 會議
第二十七 食肉加工品ノ物品税廢止ニ關スル請願 會議
第二十八 舊鶴見臨港鐵道線外三鐵道線拂下ゲニ關スル請願 會議
第二十九 長崎市、茂木町間ニ省營自動車運輸開始ノ請願 會議
第三十 戰災學校復興費國庫補助及ビ寄附金ノ課税免除等ニ關スル請願 會議
第三十一 盲及ビ聾唖教育ノ刷新ニ關スル請願 會議
第三十二 北越線鐵道敷設ニ關スル請願 會議
第三十三 岩内線岩内、壽都鐵道樽岸ノ兩驛間ニ鐵道敷設ノ請願 會議
第三十四 大谷光瑩ノ業蹟を國民學校教科書ニ輯録ノ請願 會議
第三十五 乳肉衞生事務ヲ農林省ニ移管ノ請願 會議
第三十六 農地調整法中改正ノ請願 會議
第三十七 帶廣農業專門學校ヲ畜産大學ニ昇格ノ請願 會議
第三十八 北海道帶廣市ニ地方裁判所設置ノ請願 會議
第三十九 東海道線沼津、濱松兩驛間電化速成ノ請願 會議
第四十 能樂ノ保護育成ニ關スル請願 會議
第四十一 磐越西線野澤、會津線宮下ノ兩驛間ニ鐵道敷設ノ請願 會議
第四十二 商工組合中央金庫ノ擴充強化ニ關スル請願 會議
第四十三 盲唖者ノ處遇改善ニ關スル請願 會議
第四十四 磐梯、吾妻國立公園指定ニ關スル請願 會議
第四十五 東北本線杉田信號場ヲ貨客取扱驛ニ變更ノ請願 會議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 諸般の報告は御異議がなければ朗讀を省略致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=1
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002・会議録情報2
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〔參照〕
昨二十六日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ即日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
裁判所法案
裁判所法施行法案
通信事業特別会計法を改正する法律案
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
学校教育法案可決報告書
皇室経済法の施行に関する法律案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、日程第一、請願委員長報告、委員長入江子爵
〔子爵入江爲常君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=3
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004・入江爲常
○子爵入江爲常君 請願委員會の第一囘御報告を申上げます、正副委員長の互選は去る二月十五日に行ひました、委員會は三囘開會致しましたが、其の第一囘は二月十五日正副委員長互選後引續き開會を致しました、分科擔當委員の選定、審査方針竝に分科會の開會日時等を決定致しました、次いで第二囘委員會を三月十四日第三囘委員會を三月二十二日に開會致しました、分科會の開會數は八囘でございまして、第一分科會は三月三日、同十日、同十七日の三囘、第二分科會は三月十一日、同十九日の二囘、第三分科會は三月十日、同十七日の二囘、第四分科會は三月四日に一囘、それぞれ此のやうな日にちに開會致しましたが、審査の詳細に付きましては速記録に依つて御承知を願ひたいと存じます、請願文書表の報告は四囘ございまして、第一囘報告は二月十六日第二囘報告は三月五日、第三囘報告は三月十二日、第四囘報告は三月十九日に提出致しました、請願委員會特別報告は二囘でございまして、第一號を三月十四日、第二號を三月二十二日に提出致しました、請願書受理件數は四十七件、此の請願連署人數は二百六名でございます、右の請願四十七件の中、請願文書表に掲載致しましたものが四十六件、未掲載のものが一件となつて居ります、委員會に於きましては、愼重審査の結果、議院の會議に付すべしとするもの三十七件と決定致しました、以上は昭和二十二年三月二十六日迄の御報告でございます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=4
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005・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第二、労働基準法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長畠山一清君
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労働基準法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十五日
委員長 畠山一清
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔畠山一清君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=5
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006・畠山一清
○畠山一清君 只今議題と相成りました労働基準法に付て、委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告致します、日本再建の途は改めて申す迄もなく、産業の興隆と民主化にあるのでありまして、此の法案はそれと密接な關係があるものとして、委員會は極めて愼重な態度を以て臨んだのでありまして、本月の二十日から審議に入り、一昨二十五日に至り漸く採決、決定を見たのであります、最初に政府から概括的な説明がありました、是は上程の當初本會議に於て行はれたことでもありますから省略致します、次で總括的の質問と致しまして、此の法案は勞働者の保護を主眼とし、勞働時間、休暇、給與を始め、安全衞生施設、寄宿舍生活に至る迄、從來に比べて格段の優遇措置が講ぜられて居るのであるが、敗戰の結果痛烈な打撃を受けて居る現在の時期に於て、而も國家再建の根幹を成す産業に對して、重大な影響を與へないかとの質問に對して厚生大臣は、相當の影響はあるが、勞働時間に付ては協約に依つて、延長することも出來るし、又災害補償に付ては、別に社會保險があつて或程度迄補ふことが出來る、又此の法律の施行に依つて、勞働條件が改善せられる結果、勞働者の生活が安定し、其の技術と能率が向上するから、法律施行の當初に於ては、多少の困難は豫想せられても、長い目で見ると云ふと、惡い影響はなくなつて、良くなる面が殖えると云ふ御答辯でありました、特に商工大臣に付て、商工行政上の見地から、其の意見を求めました處、現在通りの能率であるならば、當然打撃は受ける、殊に纖維工業に於て甚だしい、從つて今後は技術指導と能率向上に努力する必要があると云ふことでありました、次に此の法律は再建日本の勞働憲法とも言ふべきものであるに拘らず、八時間勞働制とか、年次有給休暇とか、最低賃金制とか、保護規定ばかりあるが、勞働者が責任感に缺けて、著しく勤勞精神が弛緩して居る現状に鑑みて、勞働者の自覺を喚起し、義務觀念を強める規定を併せて設ける必要があるのではないかとの質問に對して、それは原則として勞働者の自覺に俟つべき問題である、政府としては其の爲に勞働者の教育問題を研究中である、此の法律は勞働條件の規準を定めるものであるから、勞働者の義務に關する事項は規定し難い、此の法律としては一般的に勞働協約、就業規則及び勞働契約の定めを誠實に遵守すべきことを規定してある、又個々の事業場に於ける勞働者の義務違反に付ては、就業規則に依つて制裁を定めることが出來るのであるから、勞働者教育の振興と相俟つて政府は在來のやうな長時間勞働は必ずしも高能率ではない、勞働時間を短くして、浮いた時間を利用して健康の増進を圖り、又文化的教養に勵むやうにしたならば、是等の規定の運用に依つて遺憾なきを期したいとの答辯でありました、扨、法案の内容に付きましては、逐條的に質疑應答を重ねたのでありますが、其の詳細は速記録で御承知を願ふことに致しまして、此處には其の主なるものを聊か申上げたいと存じます、其の一つは勞働時間であります、勞働生産性の低い我が國で産業の再建を圖るには、相當の長時間勞働が必要である、此の法律で一日八時間、週休制を採り、更に年二十日迄の有給休暇を規定したのは時期尚早ではないかとの意見に對して、能率の向上にも資するのであらうとの答でありました、第二は賃金に關する問題であります、最低賃金の制定に當つて、生活給に依るか、能率給に依るか、又生活給の原則を採るとして、家族手當を最低賃金の中にどう云ふ風に採入れるかとの質問に對して、政府は能率給に依るのを原則とすべきであるけれども、現状に於ては賃金で生活を賄ふことが出來ないやうな異常な經濟状態からして、生活給の方式が採られることも亦已むを得ない、又相當限度に於て扶養家族の生活資金が家族手當の形で支給せられるのも、是亦已むを得ない所であると考へる、最低賃金の決定には賃金委員會で十分是等の點を檢討した上で行ふとのことでありました、尚此の生活給とか、家族手當とか、其の他賞與とか、退職手當の如き、是等は本來封建的なものであつて、外國には餘り行はれて居らぬ、斯うした封建的な給與形態を認めて、それを決める手續だけを民主化しようとするのは矛盾であるまいかと云ふ意見がありまして、社會事情に基く諸種の負擔を專ら企業に引受けさせることが問題となり、失業保險、社會保險等の制定が要望せられたのであります、第三に安全、衞生の問題が採上げられました、此の法律は事業場に換氣、採光、照明、保温等各種の施設を施すやう規定してあるが、斯樣な施設は、現在のやうな資材難、經濟條件の下では不可能ではないかとの質問に對して、政府は、本法案の規定は一應目標を示したに止り、其の具體的基準は命令で決めることになつて居る、命令に於ては現在の日本産業の實情を十分考慮して、企業の性質、形態に應じ、實情に即した基準を定めるとの答がありました、第四は女子勞働の問題であります、此の法律は男女同一賃金の原則を始め、時間外勞働の制限、月三日間の生理休暇、産前産後の休暇、哺乳時間等、女子勞働の保護に付て仔細に規定してあるが、餘り厚きに過ぎると、勢ひ女は雇はなくなつて、完全雇傭の要請に逆行することになると思ふが、政府の所見如何との質問に對し、此の法律は女子保護の目的であるから、賃金との關係に於ても女子就業の機會が減少しないやうに、國民の正しい理解が望ましいとの答でありました、次に監督機關に付て、從來の成績に照して末梢的取締に墮せず、實情に即した監督を行ふことが必要である、殊に一般行政組織の外に、此の法律を施行する爲に、獨自の監督機關を設けてあることは、兩者が競合して二重監督の弊に陷る虞はないかと云ふ質問に對しまして、政府は監督官としては教養の高い官等の者を多く任命して、十分な訓練を施し、監督官として一生を捧げる專門家を養成する方針で、之に必要な豫算上の措置も講じてあるから、是で從來のやうな弊害を一掃して、實情に即した監督を行ふことが出來ると考へると云ふ御答でありました、第六に罰則に付て、此の法律の罰則は一年以上十年以下の懲役を始めとして、嚴重な體刑を以て望むことになつて居るが急激な改革であるだけに其の適用に當つては、餘程の用意が必要ではないかと云ふ質問に對して、政府の實施に際しましては、直ちに罰則を適用することなく、先づ注意、戒告等の段階を經て行ふやうにし、相當期間は指導主義で當る旨の言明がありました、以上が質疑應答の主なものでありますが、一昨日質疑を終つて討論に入りました處、一委員より、本法案は勞働法制上の重要法案である勞働組合運動が動もすれば政治化し、爭議が頻發しつつある現時に於て勞働條件に一定の基準を示す本法の制定には贊意を惜しまぬ者であるが、之が内容は必ずしも我が國の實情に即應せぬものがあるから、希望決議を附して之を可決したいとの發言がありました
希望決議
政府は本法の施行に當り左の諸點に留意せられむことを望む
一、本法の施行期日を定むるに當りては經濟、勞働の實状、特に本法運營の爲多くの施設準備を要すべき事情に鑑み、十分の餘裕を存するやう篤と考慮すること
二、本法施行の爲の命令規則の制定に當りては、經濟、勞働に知識經驗ある委員に諮問して之を行ふこと
三、本法の運營に當りては徒らに取締乃至處罰を旨とすること無く、指導斡旋に努め且つ此の方針を行政の末端に徹底せしむること
四、本法の施行と竝行して社會保險及び公的醫療機關の整備充實を圖ること
仍て原案に付て採決致しました處、一同異議なく可決し、次いで希望決議案に付て採決致しました處、是亦滿場一致可決せられたのであります、尚此の際厚生大臣より發言を求められ、御決議の趣旨には同感である、本法實施に當つては、十分其の趣旨を尊重する旨を言明せられました、茲で私から一言附加へて置きますが、厚生大臣にして、萬一にも御忘れになるやうなことがないやうに委員長として此の壇上から念を入れて御願ひして置きます、以上簡單ながら委員會に於ける審議の經過竝に結果を御報告申上げた次第であります、最後に委員會の空氣をちよつと御傳へして置きます、一體我が國の今日の状態は海外領土の全部を失ひ、都市の多くは戰災に遭ひ、物資は極度に缺乏して國家の再建は一に人間勞働力に懸つて居るのであります、然るに終戰後勞働運動が急速に發展致しまして、今日では全勞働者の八割に及ぶ四百五十萬の者が組合に組織せられ、勞働爭議も亦頻發しまして、昨年の暮迄約一年餘りの中に凡そ二千件、其の參加人員は二百萬人を數へるのであります、而も他方生産は戰前の三分の一にも充たないやうな状態でありまして、勞働問題の解決は實に刻下の急務であります、勞働基準法案は一昨年暮の勞働組合法、昨年夏の勞働關係調整法と相俟つて勞働運動の健全なる發達を圖らむとするものであり、中にも本法案は勞働條件の基準を規定する根本法でありまして、其の及す所は産業全般、特に中小工業や女子勞働を主とする部門には決定的な重大影響を與へるのでありまして、委員會と致しましては、曩の日本國憲法改正の場合にも劣らぬ眞劍さを以て審議に當つたのであります、折角斯樣な畫期的な勞働立法が出來たのでありますから、勞働者と致しましては、須く自重自戒して十分なる自覺と責任とを以て我が國産業の復興に努力貢獻すべきことを附言して本報告を終ります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=7
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008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=8
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009・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=9
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010・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=10
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011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大寺子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=11
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012・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=13
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014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=14
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015・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=15
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016・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=16
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大寺子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=20
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021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第三、学校教育法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長今園男爵
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学校教育法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十六日
委員長 男爵今園 國貞
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵今園國貞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=21
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022・今園國貞
○男爵今園國貞君 只今議題になりました學校教育法案の特別委員會に於ける審議の經過竝に結果に付て御報告致します、本法案は教育基本法案の特別委員會に併託せられまして、去る二十三日から連續審議を致しまして、昨日原案通り可決すべきものなりと決定致しました、本委員會は最初に文部大臣から提案理由の説明を聽取致しましたが、本議場に於てせられました説明と略略同樣でございますから、重複を避けまして茲には省略致しまして、直ちに質疑應答の主なるものを御紹介申上げます、御質疑は頗る多岐に亙つて居りまして、多種多樣でございますが、其の主なるものを拾ひまして、監督廳の問題、教員免許状の問題、小學校の教科書に關するもの、中學生の社會活動に付きまして、高等學校の通信教育に付きまして、學位に付きまして、或は師範學校に關するものなどに要約致しまして申上げます、尚簡單に致しまする爲に、御質疑に對する當局の答辯だけを申上げることに致します、本法に擧げられて居りまする監督廳には、都道府縣を區域としまする監督廳と、文部大臣を指す場合との二つがありまして、前者は教育に關しまして、都道府縣の區域を管轄する監督廳でございまして、現在は知事が之に當つて居りまするが、將來地方教育行政法が實施せられますると、教育に關する監督廳は必ずしも知事でないと云ふことでございます、又監督廳の監督の範圍は、出來るだけ教育者の自主に委せまして、成るべく消極的に規定しまして、例へば教育の仕方の善惡、教育方針の可否などには立ち入らぬやうにする考であるとのことでございます、教員免許状に關しましては、出來るだけ既得權を尊重する考であるさうでございまして、學力の不足な點などは、講習會などを設けまして、再教育などをすることなども考へて居ると云ふことでございます、又校長の免許状に付きましては、今迄は校長には免許状を必要としなかつたのでございますが、本法に依りまして、それを必要とすることに定められたのでございます、さうして其の校長の免許状は、立派な人物で、識見があり、教育に對し熱意を持つ人には適格證のやうなものを與へるやうにしまして、教員免許状のやうな窮屈なものでないやうにしたいと云ふ考であるさうでございます、小學校の教科書に關しましては、各地方で、其の地方の實情に應じた有らゆる種類の教科書を用ひさせるのが適當と認めまして、國定教科書と併用することを原則として居るのでございます、併し之を放任致して置きますると、統一を缺く虞がありまするから、地方教育研究所を設けまして、文部省と連絡して、差別の中に統一ある運營をする考であると云ふことでございます、中學生の社會活動に付きましては、本法の第三十六條の三に、「學校内外における社會的活動を促進し、」と謳はれて居りますることから出されました質問でありまするが、之に對しましては、教育的見地からの社會活動でありまして、中學校の少年達がやるに相應しいものに付てやらせるのであつて、決して無制限に社會的活動をやらせる意味には取つて居ないと云ふことでございます、又高等學校の通信教育に關しましては、非常に皆樣が疑懼の念を持たれまして、色々御質問がございましたが、當局が今考へて居られますことは、單に一つの職業教育として實質だけを與へるものと、クレジツトを伴ふものとの二つがあること、さうして其のクレジツトを伴ひますものは一定の試驗を行ふとか、一定の場所に集めて實驗、實習をするとか、或は其の他修養研鑚の施設を伴はしめるとか致しまして、修業年限は最短三年と致しまして、入學資格も高等學校生徒と同等とすること、又通信教育に關しまする責任は學校が負ひます、さうして校外生として指導すると云ふことなどが明かにせられたのでございます、學位に付きましては、博士の外に、學士と博士との中間に當るやうな學位を設ける考であるさうでございますが、どう云ふ方法で學位を授與するかと云ふことに付きましては、大學設置審査委員會に諮問しまして、學位令の改正を行ひまして之を定める豫定だと云ふことでございます、師範學校に關しましては、師範學校は從來色色な弊害がございましたので、之を廢止することと致しまして、現在あるものに關しましては、内容の充實して居りますものは大學に昇格致しまして、教養大學と云ふやうなものを作ります、さうでないものは高等學校に入れて處置をする考であると云ふことでございました、前に申上げました通り、御質問は極めて多岐に亙りまして、又詳細を極めて居りまするが、此の他は總て速記録に讓つて之を省略致します、質疑を終りまして、討論に入りました處、多數の委員の方方から御發言がございまして、或は詰込み主義の弊を除いた點、或は小學から大學迄一貫した目的を持つものとした點、或は義務教育を充實し、且國民一般に教育を受ける機會を與へようとする精神に充ちて居る點、或は教職員に獨立性を持たせた點などを特に御指摘になりまして、贊成の御意見を御述べになつたのでございます、其の御演説の中に、當局に對する御希望を述べられた點もございましたので、それを御紹介致しますと、或一委員は、此の法案に依つて、知識のある人間を作ることは出來るが、大きな人物を造り上げることが出來るかどうかに付ては多少の心配があるから、其の運營に付ては十分に注意せられるやうにと云ふ御希望がございました、又一委員は、現在の大學は綜合大學の實がないが、是から後は綜合的運用が出來るやうにせられたい、斯う云ふ御希望がございました、又他の一委員は、教育家に獨自性を持たしたから、行政家との間に摩擦を起す虞があるから注意せられたいと述べられたのであります、又他の一委員は、學生にカレツジ・ライフを樂しみ得るやうな施設其の他を十分に設けられたいと云ふやうな御希望を御述べになつたのでございます、討論を終りまして、續いて採決を致しました處、滿場一致原案通り可決すべきものなりと決定致しました、右報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=22
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023・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=23
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024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=24
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025・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=25
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026・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=28
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029・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=29
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030・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=30
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031・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=31
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032・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=32
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033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=34
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035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=36
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037・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四、船員法を改正する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長後藤伯爵
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船員法を改正する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十五日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔伯爵後藤一藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=37
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038・後藤一藏
○伯爵後藤一藏君 只今上程になりました船員法を改正する法律案に關する特別委員會の審議の經過竝に結果を御報告申上げます、本委員會は去る三月二十三日、二十四日、二十五日の三日に亙りまして、愼重なる審議を致しましたる處、本法案は希望決議を附しまして、原案通り可決すべきものと決定を致しました、質疑應答の内容は、法案自體に關するものと、法案以外の海運政策一般に關するものとに分つことが出來ます、先づ法案自體に關する質疑應答に付きまして概要を申上げます、質疑の第一は、本法案は既に會期の切迫した本議會に於て早急に審議すべきものでない、更に愼重に案を練り、次期の議會に於て審議すべきではないかと云ふ點でありましたが、之に對し政府は、本法案は新憲法の要請に基き、船員の給料、勞働時間、休息、其の他の勞働條件に關する基準を定めるものであるから、陸上勞働者に對する勞働基準法案と共に、是非新憲法の施行前に成立せしめる必要があるから、會期切迫の折柄ではありまするけれども、本議會に提出をしたのであると云ふ答辯でございました、質疑の第二は、本法案と勞働基準法との關係はどうであるかと云ふ點であります、之に對しまして政府は、勞働基準法は陸上勞働者の勞働保護の基準を定めたものであるのに對して、本法案は海上勞働者たる船員の勞働基準を定めるものである、兩者は獨立の地位を有し、兩々相俟つて海陸の全勞働者の保護に關し萬全を期するものである、勞働基準法案中の所謂勞働憲章的規定に付ては之を其の儘船員にも適用する、勞働基準法案第百十六條及び本法案の第六條が其の趣旨で相表裏して規定して居るのであるとの答辯でございました、質疑の第三、質疑の重要なる點は此所に注がれたのでありまして、非常に熱心なる質疑應答が交はされたのでありまするが、船員の保護に付きましては行き過ぎをして居るのではないか、即ち勞働時間制の適用を受ける船舶の範圍は、國際勞働條約の規定する範圍よりも廣く、更に又有給休暇の期間は同じく國際條約の規定する日數よりも遙かに長くなつて居る、斯くの如く條約を上廻つたやうな勞働保護を與へるならば、海運業が自營體制に復歸した場合に、敗戰に依つて壞滅的打撃を受けた我が海運業は、其の經費の負擔に堪へ得ず、到底國際競爭場裡に再び立つことは不可能になりはしないか、斯くの如くあつては我が海運の再建はおろか、自滅を來たすの虞れがあるとの質疑がありました、之に對して政府は勞働時間制を實施する以上、本法案の程度でなければ船舶の運航の範圍の現状から見て、其の意義は殆どなくなつてしまふ、家庭を遠く離れて洋上に働く海上勞働の特殊性から見て、休暇日數が一年に付て二十五日程度は當然であるばかりでなく、是は現在運營會の船舶も實行して居るのであるし、船員の既得の權利となつて居る、他方是等の保護規定に依つて船員費の増加は傳へられるが如き大なる影響を海運界に及すものでなく、却て是等の規定の實施に依つて船員の勤勞意欲を向上させ、又運行能率を増進せしめ、且從來の我が國の蒙つて居つた所の、所謂ソシアル・ダンピングの汚名を拂拭して、國際海運界に再び登場することが許されて、寧ろ我が海運の再建の確乎たる第一歩を此の改正案の實施に依つて踏出すことが出來ると考へると云ふ答辯でありました、質疑の第四は、諸外國の立法例を參考にして立案したかどうであるかと云ふ質疑に對しまして、政府は戰時中及び戰後に於けるものは、遺憾ながら入手出來ないが、それ以前のものを參考とすると共に、最近の國際勞働會議に於ける動向を斟酌したのであると云ふ答辯でありました、次に逐條審議に於ける質疑應答に付て申上げます、第一點は、衆議院の委員會に於ける附帶決議第五號にある船長の懲戒權は獨立不覊のものたるべしと云ふ要望と、本法案第二十四條との關係はどうであるかと云ふ質疑に對しまして、政府は船長が海員を懲戒する際に立會人の意見を聽くことになつて居るが、其の意見には何等拘束されるものでなく、獨自の判斷に基いて懲戒することが出來るのであるとの答辯でありました、第二點、法案第三十條の爭議行爲の制限の規定に於て、「人命若しくは船舶に危險が及ぶようなとき」と云ふのは、船舶の碇泊中の場合をも含むのであるかどうかとの質問に對して、政府は航行中であると、碇泊中であるとを問はず、苟も人命又は船舶に危險を及すやうな時には、爭議行爲は禁止さるべきものであると云ふ答辯でありました、第三點、労働基準法案では最低賃金の決定に關し、勞働委員會とは別個の賃金委員會が審議することになつて居るのに、本法案では最低給料の決定に際して、船員勞働委員會の議を經ることになつて居るのはどう云ふ譯かと云ふ質疑に對しまして、船員法に於ては労働基準法案と異つて、適用を受ける事業が海運業、漁業等に限定されて居るから、敢て別個の機關を設けなかつたのである、獨り最低給料に關する事項のみならず、有らゆる勞働條件の決定に關して勞働委員會を活用することにしたのであると云ふ答辯でありました、第四點、災害補償の規定に關聯して、船員保險法の改正手續の遲延は誠に遺憾である、又船員の勞働保障である船員保險は船員行政と一體的に海事官廳に於て所管すべきではないかとの質問がありましたが、之に對し、改正手續に關しましては、厚生省政府委員より種々の事情で今期議會に提案することは困難であるが、來議會には是非提案したいと云ふ御答辯でありました、又船員保險行政の所管に關しましては、厚生省及び運輸省の政府委員から關係省に於て善處したいと云ふ旨の答辯がありました、第五點、地方海運局長と船員勞務官との關係はどうであるかと云ふ質疑に對しまして、兩者は別個人格であるが、實際補職が行はれる際には、兩者は互に有機的關聯を保ち、行政の重複を來さないやうに措置したいと云ふ答辯でありました、次に海運政策一般に關する質疑應答の概要を申述べますと、第一、海運の民營復歸に付ては從來屡屡表明されたに拘らず實現を見ないが、今後の見透しはどうであるかと云ふ質疑に對しまして、政府は、海運企業は其の性質上民營を理想とし海運業者の企業意欲に依つて能率的運營を行ふことが望ましいと考へ、目下諸般の準備を進め、一日も早く本來の姿に復するやうに努力中であるが、種々の事情で實現が出來ないのは誠に遺憾であるが、其の實現の時期に付ては未だ明言は出來ない、又民營に復歸しても過渡的には、或程度の統制は已むを得ないのではないかと考へると云ふ答辯がありました、第二に、船員行政は海運行政の一環をなすものであるから、將來勞働省が設置せられた場合にも、船員行政を海運行政から分離して、勞働省に統合することは不適當だと思ふがどうであるかとの質問に對しまして、政府は全く同感であつて、船員行政を海事行政から切離して勞働省に移すことは理論倒れになつて、實際には弊害の方が多いと考へる、國際勞働總會に於ても船員の監督行政は工場勞働者の監督行政と別の組織であるべきだと勸告してゐる、それ故船員行政は海事官廳で所管し、新しい勞働省とは別個にして、相互の連絡を緊密にする措置を講じたいと考へるとの答辯がありました、以上の外、此處に御報告申上げたい質疑應答が澤山あつたのでありまするが、時間が許しませぬから詳細は速記録に付て御承知を願ひたいと思ひます、斯くて委員會は昨二十五日を以て質疑を終了致しまして、直ちに討論に入りました、一委員より次の希望決議を附して原案に贊成する旨の意見の開陳がございました、次いで採決の結果全員異議なく希望決議を附して政府原案通りに可決すべきものと決定を致しました、希望決議を朗讀致します
希望決議
一、本法案の規定中國際海上勞働條約所定の條件に加重し、我國現在の國情に適せず海運の再建を妨ぐる虞あるものあり、仍て勞資協調の精神に基き之が實施に當りては適當に緩和の方策を執るの要ありと認む、即ち
(一)勞働時間、休日及び定員に關する規定は、左の船舶に適用せざること
1、國際航海に從事せざる船舶
2、主務大臣の指定する隣接國の近海のみを專ら航行する船舶
(二)有給休暇の期間は國際海上勞働條約に準據し船主と船員の間に於て船舶運行に支障なき程度に於て協定すること
二、衆議院委員會に於ける附帶決議は本委員會に於ても之に贊同す、仍て政府は其の趣旨の實現に對し適當なる措置を講ずべきことを要望す
以上の希望決議に基き、後日本法に相當の改正を加へ、萬遺憾なきを期すべし、以上を以て私の報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=38
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039・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=39
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040・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=40
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041・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=41
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042・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=42
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043・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=43
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044・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=44
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045・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=45
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046・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=46
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047・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=47
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048・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=48
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049・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=49
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050・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=50
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051・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=51
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052・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=52
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053・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第五、帝國鐵道會計法を改正する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長齋藤子爵
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帝國鉄道会計法を改正する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十四日
委員長 子爵齋藤 齊
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔子爵齋藤齊君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=53
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054・齋藤齊
○子爵齋藤齊君 帝國鉄道会計法を改正する法律案の特別委員會に於ける審議の經過竝に結果に付て御報告致します、審議は去る二十三日、二十四日の兩日に亙つて行はれまして、結局原案通り全會一致を以て可決致しました、政府の提案理由の説明は、過日の本議場に於ける説明と殆ど同樣でありますので、之を省略し、質疑の大要を御報告致します、先づ一委員より、主要なる改正點に付説明を求められましたが、之に對し當局よりは、發生主義の原則を採用し、現金の收支のみならず、債權債務等をも計算整理し、事業の經營成績及び財政状態を明かにすることを期した、又資金の調達を圓滑にする爲、長期資金としては資本的支出の爲公債の發行及び借入金が出來るのみならず、新たに營業費の不足財源の補填の爲にも借入金が出來ることとし、又短期資金としては一時借入金及び融通證券の中償還が出來ないものは借替が出來ることとした、建設改良費の財源が不足した場合、之を補ふ爲に剩餘金を以て調整資金を保有することとした、現行制度の繰替拂と云ふ複雜な支拂方法を合理化した、當該年度の未拂金に相當する豫算は翌年度に繰越して使用出來ることとした、是等の點が主要なものであると云ふ答辯がございました、次に借入金に付外國資本を導入する考があるかとの質問に對しては、條文に制限規定はないか、左樣なことは考へて居らないとのことでありました、赤字の内容及び其の整理計畫に付ての質問に對しましては、赤字は二十年度約七億圓、二十一年度の見込額は四十六億七千萬圓、其の中四十二億七千萬圓を借入金で、四億圓を前年度剩餘金で賄ふ豫定であり、二十二年度の赤字の見込は、八十三億五千萬圓であつて、運賃値上に依つて之を緩和する旨の答辯がありました、運賃値上の程度如何と云ふ問に對しましては、之を鐵道會議に諮つて決定する旨の答辯があり、又國民經濟と運賃との關係及び我が國と外國との比較に付ての質問に對しましては、一般的には生活費に於ける運賃の割合は少く、且外國に比べても低率である、一例を石炭に採れば、我が國では價格の五パーセント乃至十パーセント程度であるが、米國の或例では五割位になつて居るものがある。尚最近の資料に付ては、極力蒐集に努め、物價指數等を併せ調査して、外國との比數研究も進めたいとの答辯がありました、質疑を終りまして、討論に入りましたる處、別段の御發言もなく、採決に入りましたる處、全會一致を以て可決致しました、以上に依りまして簡單でございますが御報告を終ります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=54
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055・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=55
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056・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=56
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057・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=57
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058・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=58
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059・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=59
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060・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=60
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061・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀会を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=61
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062・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=62
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063・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=63
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064・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=64
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065・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=65
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066・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=66
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067・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔〔異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=67
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068・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=68
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069・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第六、皇室経済法の施行に関する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、委員長黒田伯爵
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皇室経済法の施行に関する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十六日
委員長 伯爵 黒田 清
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔伯爵黒田清君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=69
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070・黒田清
○伯爵黒田清君 只今議題となりました皇室経済法の施行に関する法律案の特別委員會の經過竝に結果を御報告申します、本委員會は、昨日二十六日に開きまして、同日之を可決すべきものと決定致した次第でございます、本法案が皇室經濟法を施行致します爲に、同法中に別に法律で定めるものと致しました事項を、定める必要があつて本法案が提出されたのでありまして、極く簡單な法案でございますので質疑も誠に多くはなかつたのでございますが、其の中二三申上げますると、此の同法案中に、第二條及び第三條に規定してございまする内廷費及び皇族費等の定額を算出致しました、其の基礎はどう云ふことを基礎としたのかと云ふ御質問があつたのであります、内廷費に付きましては、從來の費用の實情に今後の方針に依る補正を加へまして、更に現在の物價の情勢を考へて決定したのであると云ふことでございました、又皇族費に付きましては、具體的に例を考へまして妥當と認められまする御生活費を考へ、大略其の八割を國庫より支出すると云ふ建前で算出したのであると云ふ御答辯でありました、次に茲に決まりましたる内廷費、皇族費等が將來物價騰貴其の他の諸情勢に依つて色々不足を生ずると云ふやうな場合には非常に困るやうな場合が起りやしないか、さう云ふ場合にはどうするのかと云ふ御質問、又臨時費はどう云ふ風になるかと云ふやうな御質問があつたのでありますが、之に關しましては、諸情勢に急速な變化が起るならば、是は法律改正の外はないであらう、又臨時費に付ては其の都度法律制定の要があらうと思ふと云ふ御答でありました、最後に此の皇室經濟施行法に見ますると、皇室經濟法中別に法律で定めるものとして居りながら、此の法律では全く定めて居ないものもある、又内廷費の如く二年間を限つて定めたものもある、又次の國會迄の暫定的なものもある、特に適用を排除したものもある、一見非常に不統一の感があるが、それはどう云ふ譯かと云ふ御質問があつたのであります、之に付きましては、此の法律は極めて暫定的なものであつて、嚴密な意味では皇室經濟法の施行法と言へぬかも知れない、一應暫定的な規定を設けて將來の研究に俟つ爲一時皇室經濟法の規定を變形した所もあるのである、其の爲斯うした體裁のものとならざるを得なくなつたと云ふやうな御答辯があつたのであります、總て政府側の御答辯に付きましては、委員諸君十分之を御了解なさいまして、討論に入りましたる處、他に別に御質疑もなく、其の儘採決に入りました處、全員異議なく之を可決すべきものと決定致した次第でございます簡單でございまするが、是で御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=70
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071・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=71
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072・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=72
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073・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=73
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074・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=74
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075・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=75
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076・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=76
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077・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=77
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078・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=78
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079・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=79
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080・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=80
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081・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=81
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082・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=82
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083・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=83
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084・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=84
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085・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第七、昭和十九年度歳入歳出総決算、昭和十九年度特別会計歳入歳出決算報告、日程第八、昭和十九、二十年度國有財産増減総計算書報告、會議、委員長報告、是等の二件を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=85
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086・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長倉富男爵
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昭和十九年度歳入歳出総決算竝昭和十九年度特別会計歳入歳出決算及既往年度檢査未確定金額ノ檢査確定シタルモノヲ審査シ
第一
昭和十九年度歳入歳出総決算歳入経常部第一款租税第一項所得税中桐生税務署、岩村田税務署、岩村田税務署ノ徴收不足ニ係ルモノ三件昭和十九年度歳入歳出総決算歳入臨時部第一款租税第一項臨時利得税中新潟税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十九年度特別会計歳入歳出決算運輸通信省所管通信事業業務勘定歳出第一款通信業務費第三項補充費中通信院貯金保險局ノ支出ニ係ル件
昭和十五年度歳入歳出総決算歳入経常部第一款租税第一項所得税中西宮税務署ノ徴收不足ニ係ル件、八王子税務署ノ徴收過ニ係ル件、第六項資本利子税中西宮税務署ノ徴收不足ニ係ル件、第七項法人資本税中八王子税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十五年度歳入歳出総決算歳入臨時部第一款臨時利得税第一項臨時利得税中八王子税務署ノ徴收過ニ係ル件
昭和十六年度歳入歳出総決算歳入経常部第一款租税第一項所得税中西宮税務署、日本橋税務署、日本橋税務署、小田原税務署ノ徴收不足ニ係ルモノ四件、松山税務署ノ徴收過ニ係ル件、第二項法人税中東税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十六年度歳入歳出総決算歳入臨時部第一款臨時利得税第一項臨時利得税中東税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十七年度歳入歳出総決算歳入経常部第一款租税第一項所得税中日本橋税務署、日本橋税務署、日本橋税務署、澁谷税務署、澁谷税務署、甲府税務署ノ徴收不足ニ係ルモノ六件、第二項法人税中港税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十七度歳入歳出総決算歳入臨時部第一款臨時利得税第一項臨時利得税中港税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十八年度歳入歳出総決算歳入経常部第一款租税第一項所得税中日本橋税務署、日本橋税務署、日本橋税務署、日本橋税務署、小樽税務署ノ徴收不足ニ係ルモノ五件、第二項法人税中飯田税務署ノ徴收不足ニ係ル件
昭和十八年度歳入歳出総決算歳入臨時部第一款租税第一項臨時利得税中小樽税務署、飯田税務署、靜岡税務署、諏訪税務署、沼津税務署ノ徴收不足ニ係ルモノ五件
右ハ政府ニ対シ將來ノ注意ヲ促スベキモノト認ム
第二
其ノ他異議ナシ
右ノ通議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十五日
委員長 男爵 倉富 鈞
貴族院議長公爵徳川家正殿
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昭和十九、二十年度國有財産増減総計算書ヲ審査シ総テ異議ナキモノト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十五日
委員長 男爵 倉富 鈞
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵倉富鈞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=86
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087・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 昭和十九年度歳入歳出総決算、同年度の各特別会計歳入歳出決算竝に昭和十九、二十年度の國有財産増減総計算書に對しまする決算委員會の御報告を申上げます、先づ初に政府の説明に基きまして決算面に現れて居ります所の數字の全貌を要約して申しますと云ふと、昭和十九年度の歳入歳出總決算に計上されて居ります所の歳入の收入濟額は、經常部に於て百十一億九百六十餘萬圓、臨時部に於て九十九億三千七十二萬餘圓、合計二百十億四千三十八萬餘圓と云ふことになつて居りまして、之に對しまして、歳出の支出濟額は、經常部に於きまして五十六億九千九百四十六萬餘圓、臨時部に於きまして百四十一億七千二百四十八萬餘圓、合計百九十八億七千百九十四萬餘圓と相成つて居りますので、歳入の收入濟額と歳出の支出濟額との差引を致しますと云ふと、十一億六千八百四十四萬餘圓の剩餘金となるのでありますけれども、此の中九億八千五百餘萬圓は、二十年度に繰越されました所の歳出其の他特定の歳出の財に源充當せられましたので、結局十九年度の一般會計の決算上の純剩餘金は一億八千三百四萬圓と相成る計算でございます、今申上げました歳入の收入濟額と歳出の支出濟額を、歳入の豫算と歳出豫算に比べて見ますと云ふと、歳入の豫算は二百十二億四千四百三十餘萬圓でありまして、之に對して歳入の收入濟額は二百十億四千三十八萬餘圓でございますからして、結局二億三百九十四萬二千五百餘圓の減少となつて居るのであります、此の減少の主な原因は、收入濟額が歳入の豫算に比しまして、經常部に於きまして三億四千六百六十九萬餘圓の減少となつて居りますのに對しまして、臨時部に於きましては、歳入の收入濟額が豫算に比しまして一億四千二百七十五萬餘圓の増加となつて居りますので、差引今申上げましたやうに二億三百九十四萬餘圓の減少となつて居るのでございます、今の減少と増加との主なものを項目別に拾つて見ますと、大體に於きまして歳入の收入濟額が歳入の豫算に比べまして殖えて居りますものは、租税及び還付税の收入、印紙の收入其の他でございまして、其の合計が九億二千八百三十三萬餘圓となつて居ります、之に對しまして豫算に比べて收入濟額が減少して居りますものは、官業及官有財産の收入、特別會計からの受入、公共團體の工事費の納付金及び分擔金のやうな費目に於きまして十一億三千二百二十七萬餘圓の減少となつて居りますので、其の差額が先程申しましたやうに二億三百九十四萬圓の減少となつて居ります、次に歳出の支出濟額と歳出の豫算を比較致しますと、十九年度の歳出豫算は二百十八億三千八百餘萬圓でございまして、之に豫算決定後前年度の豫算殘額を本年度に繰越されました増加額が三億六千九百三十二萬餘圓ございますので、之を加へますと、十九年度の豫算現額は二百二十二億七百五十五萬餘圓となるのであります、之に對しまして、十九年度の支出濟額は、先程申上げましたやうに百九十八億七千百九十餘萬圓、之に年度内に支出を終らないで、次年度に繰越されましたものが十億一千三百四十五萬餘圓ございますので、結局差引、豫算不用額十三億二千二百十四萬餘圓の不用額が出た譯であります、此の不用額が生じました主な原因は色々あるやうでありますけれども、目星しいものを拾ひますと云ふと、大藏省所管の經常部で、特別會計に繰入るべきものの不用になつたものが二億三千九百餘萬圓、軍需省の所管で、臨時部、軍需生産増強諸費の不用額が一億四千三百餘萬圓、同じく補助費が一億二千四百餘萬圓、合計五億八百四十餘萬圓の不用になつて居ります、尚其の他に二十七の費目に付きまして、八億千三百餘萬圓の不用が出て居りまして、今申上げましたやうに十三億二千二百餘萬圓の不用額が出たと云ふことになつて居るのであります、一般會計に付きましての數字上の説明は、此の程度に致しまして、次は特別會計でございますが、御承知の通り、特別會計は、二十九の細かい特別會計がございますが、それ等の數字を一々申上げますことは餘り煩雜になりますので是は省略することに致します、次に會計檢査院の所謂批難事項でございますが、是は一般會計の歳入に付きまして四件、特別會計の歳出に付きまして一件、既往年度の未確定金額の檢査確定の分に付きまして、一般會計の歳入に於て二十五件、合計三十件の批難事項があるのでございます、其の中一般會計の分と既往年度の分、合計二十九件と云ふものは、租税の徴收上の手續上の過誤に依りまして、徴收過若しくは徴收不足を生じたものでありますが、全部二十年度に於て更正濟みになつて居るのであります、特別會計の歳出の批難事項の一件は、或郵便局に於きまして、局長と局員が業務上保管して居りました所の國債、證券と資金の中から七萬五千圓ばかりのものを横領致しまして、其の後補填又は辨償したものが六萬五千圓ばかりございまして、結局其の差額の一萬五百圓ばかりのものの缺損補填を國庫からしなければならぬと云ふやうになつたと云ふ事項でこざいます、之を以ちまして大要の御報告を終りまして、次に之に對しまする決算委員會の審査の模樣を簡單に申上げたいと思ひます、審査を始めます初めに當りまして、どう云ふ風な考へ方と申しますか、氣持で審査しようかと云ふこと付きまして、委員の方々で御打合せを願つたのでございまして、申上げる迄もなく決算の審査と云ふものは、豫算の審議と相俟つて十分愼重にやらなければならぬ極めて重要なものであることは申上げる迄もないことでございますけれども、世間一般に動とも致しますと、決算と云ふと何となく輕く考へられる傾向がなきにしもあらずと云ふ風に思はれるのであります、是は誠に見方に依つては、遺憾なことではないかと思ふのであります、申上げる迄もなく、會計の經理事務と云ふものは、事業を經營して參ります場合の中樞神經とも考へて宜いぢやないかと考へられます、其の整理が適正に行はれて居るかどうかと云ふことは、事業が健全な進展をするかしないかと云ふことに重大な關係があるかと思はれるのであります、此のことは國家財政の經綸の上から言つても、同じやうなことになるのではないかと思はれるのであります、と申しまして、今囘決算委員會で審査を致しました十九年度は、申上げる迄もなく、戰爭の末期に當りまして、戰局が最も苛烈な時でございますからして、情勢の急轉囘に應じます爲に、臨機已むを得ず、急場の處置を執らなければならなかつたと云ふやうなこともあると思はれますので、それ等の處置に對しまして、會計法規一點張りに嚴格に之を見ると云ふことも、却て實情に即しない場合もあるかも知れませぬし、でありますからして、時に多少の斟酌を加へなければならなかつたと云ふやうなことも考へられるのでございますけれども、一面に於きまして、戰爭中だからと云ふことを理由にしまして放漫に流れ、又不正、怠慢に依ると云ふやうな事實があるとしましたならば、是は嚴重に政府に對して警告しなければならないのではないか、此のやうなことは今、我が國が再建のスタートを切らうとして居ります際に、殊に昨今、官紀の肅正と云ふことの必要が特に痛感されて居ります際に、さう云ふことが尚必要ではないかと云ふやうなことを御話合ひ致しまして、さう云ふ氣持で一つ、此の審査をやつたらどうかと云ふやうなことで、審査を致した譯でございますが、それで其の審査の詳細のことに付きましては一々申上げて居りますと、徒に時間を取りますからして、委員會の速記録なり、或は分科會の速記録を御覽を願つて、詳細は御了承を願ふことに致したいと存ずるのであります、以上申上げましたやうなことで審査を終りまして、其の結果を御報告申上げる譯でございますが、大要は御手許に差上げて居ります所の報告の通りでございまして、所謂檢査院の批難事項三十件に付きましては、何れも政府に對しまして、將來の注意を促すべきものと認めました、其の他の部分に付きましては、全部異議なきものとして決定を致した譯でございます、以上を以ちまして十九年度の決算に對する説明を終ることに致します、次には十九、二十兩年度の國有財産の増減總計算書に對する御報告を申上げます、昭和十九、二十年度の國有財産の増加、又は減少した總額を見ますと云ふと、一般會計に於きましては、増加したものが五十九億千百五十餘萬圓、減少しましたものが八十九億三千九百四十六萬圓、差引三十億二千七百九十二萬圓の減少となつて居るのであります、之に對しまして特別會計の所屬に於きましては、増加しましたものが十八億九千五十五萬圓、減少しましたものが十六億八千八百五十六萬餘圓、差引二億百九十八萬五千五百七十餘圓の増加となつて居りますので、一般會計の方の減少と特別會計の方の増加を差引致しますと云ふと、二十年度の國有財産の純減少額は二十八億二千五百九十三萬餘圓と相成るのであります、更に之を財産の種類に付て見ますと云ふと、公用財産に於きましては、差引七十八億五百餘萬圓の減少となつて居ります、營林財産と雜種財産の二つの方に於きまして、四十九億七千九百六十餘萬圓の増加となつて居りますので、其の差引純減少額は、先程申上げましたやうに二十八億二千五百九十三萬餘圓と云ふことになります、さう致しまして、十八年度末の國有財産の總額は二百三十四億八千七百九十二萬圓でございますので、是から前に申述べました純減少額二十八億二千五百餘萬圓を引きますと云ふと、二十年度末の國有財産の總額は二百六億六千二百餘萬圓となる計算に相成つて居るのであります、計數的の説明は其の程度に致しますが、尚今申上げました増減計算書の計數には、元の陸海軍兩省以外の各省所管の國有財産の中で、外國及び朝鮮、臺灣、樺太、南洋、關東州、沖繩等にあるものは此の計算書に包含されて居らぬのであります、又元の陸海軍兩省所管の國有財産は、兩省が廢止になりました際に、昭和十八年度末の現在額を以て大藏省へ引繼がれて居るのであります、さうして減の部に整理されて居りますので、十九、二十兩年度中の増減額は、今囘の計算書には包含されて居らぬと云ふことであります、此の國有財産の増減計算書に對しまする會計檢査院の檢査報告を見ますと云ふと、増減計算書に掲載してある所の員數は、各所管廳の證明に係る國有財産増減計算書と對査して其の正當なることを認めて檢査を終つた、但し國有財産の取得に付不當と認めた事項は二十年度の歳入歳出決算檢査報告に掲載すると云ふことが載つて居るのであります、そこで決算小委員會に於きましては、此の檢査院報告の但書をどう云ふ風に解釋すべきかと云ふことに付きまして、小委員會は愼重に考慮を致しました、二日間に亙つて政府から色々の説明を聽取しまして、審査を致しました結果、斯う云ふことが判明したのでございます、即ち檢査院は増減計算書の員數は之を正確だと云ふことを確認して居るのであります、唯其の場合に、國有財産を取得する爲の支出、言換へますれば、歳出關係の金錢關係に於きまして、不當の事項がある、で此の不當の事項は、目下二十年度の歳入歳出決算の檢査がまだ終了して居りませぬので、其の檢査がに終つた場合に、其の他の批難事項と一緒に、二十年度の歳入歳出決算の批難事項として指摘すると云ふことになつて居るのであります、色々説明を聽きました結果、十九、二十年度の國有財産増減計算書の員數と云ふものと、それから今申上げました、それに關聯する所の歳出關係の檢査院の言ふ批難事項とは、切り離して考へる方が寧ろ正當ではないかと云ふことに結論がなりまして、小委員會と致しましては、増減計算書の員數に付きましては、檢査院も其の正當なることを認めて居りますので、之を異議なきものと決定致しました、さうして檢査院の言ふ其の取得の爲に生じた所の不當事項に付きましては、二十年度の歳入歳出決算の審査に當りまして、具體的事實を認めました上で、其の當否を決定しようと云ふ方が適當であらうと云ふことに小委員會は決定したのであります、此のやうなことが生じましたのは、結局今年度の決算委員會に提出されました所の歳入歳出決算は、十九年度のものであります、國有財産關係だけが十九、二十兩年度に亙つて居ります爲に、檢査院の檢査も、今申上げましたやうな食い違ひが出來たやうな譯なのであると思はれるのであります、以上の小委員會の決定を決算委員會と致しましては、小委員長から報告を受けまして、十分考慮しました結果、小委員會の決定通り、國有財産増減計算書は、此の際異議なきものと決定することが妥當であらうと云ふことになりまして、其のやうに決定を致した譯でございます、色々計數を列べ立てまして、且又話を急ぎました爲に、御分りにくい點も相當あつたと存じますけれども、決算の報告の性質上、計數を申上げない譯に參りませぬので申上げた譯であります、色々御分りにくい點があつたことと思ひます點に付きましては、御詑を申上げまして、私の報告を此の程度で終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=87
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088・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ採決を致します、二件とも次算委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=88
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089・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=89
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090・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 只今内閣總理大臣より、三月三十一日迄四日間、帝國議會の會期の延長を命ぜられる旨の詔書が傳達せられました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=90
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091・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第九より第四十四迄の請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=91
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092・会議録情報3
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{左の意見書案は朗讀を經さるも參照のため茲に載録す以下之に傚ふ}
意見書案
鳥取縣御來屋漁港修築ノ件
鳥取縣西伯郡御來屋町御來屋漁業會長脇坂貞幹呈出
右ノ請願ハ御來屋港ハ築堤方式實際ニ適セザルタメ冬期ハ利用價値著シク低下シ附近ニ良漁場アルニ拘ラズソノ發達ヲ見ルニ至ラザルハ誠ニ遺憾ナルニ依リ速ニ改修工事ヲ施シ以テ漁港タルノミナラズ商港、避難港トシテノ機能ヲ發揮セシメラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵 徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣西伯郡逢坂村ニ漁港築設ノ件
鳥取縣西伯郡逢坂村長橋井義一郎呈出
右ノ請願ハ鳥取縣西伯郡逢坂村ハ漁村トシテノ素質ヲ有スルニ拘ラズ適當ナル船寄場ナキタメソノ發展ヲ阻マルルハ甚ダ遺憾ナルニ依リ速ニ漁港ヲ築設シ以テ同村ノ發展ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵 徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣網代漁港改修ノ件
鳥取縣岩美郡網代村長博田正道外三名呈出
右ノ請願ハ網代港ハ鳥取、兵庫兩縣ノ中間ニ位シ漁港、避難港トシテ山陰唯一ノ良港ナリシモ近時堤内及ビ港内ニ土砂堆積シテ船舶ノ出入ヲ困難ナラシメ從ツテ水産物増産上大ナル支障ヲ來セルハ甚ダ遺憾ナルニ依リ速ニ之ガ改修ヲ施シ以テ漁獲ノ増大ヲ圖リ地方ノ振興ニ資スルト共ニ日本海ニ於ケル船舶ノ避難ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵 徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣田後漁港修築ノ件
鳥取縣岩美郡田後村長山田節外一名呈出
右ノ請願ハ鳥取縣岩美郡田後村ハ純 漁村ニシテ同村ノ興亡ハ田後港施設ノ良否ニ存スルニ拘ラズ數次ノ暴風雨ト激浪ハ同港ノ生命線タル防波堤ノ大部分ヲ決壞シ今後ノ荒天ニ際シ憂慮措ク能ハザルモノアルニ依リ速ニ同港ノ修築ヲ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵 徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣赤碕漁港修築ノ件
鳥取縣東伯郡赤碕町赤碕漁業會長林原嘉武外一名呈出
右ノ請願ハ赤碕港ハ近年土砂ノ堆積著シク漁船ノ繋留ニ困難ト危險ヲ來シ港内事故年々増加ヲ見ルニ至レルハ誠ニ遺憾ナルニ依リ速ニ之ガ修築ヲ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵 徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣泊漁港修築ノ件
鳥取縣東伯郡泊村長石井良三外一名呈出
右ノ請願ハ泊漁港ハ近年土砂ノ堆積著シク船舶ノ出入ヲ妨ゲ爲ニ縣下樞要ノ漁村タル泊村ノ發展ヲ阻ムニ至レルハ誠ニ遺憾ナルニ依リ速ニ同港ヲ修築シ以テ同地方ノ振興ニ寄與スルト共ニ山陰線泊驛ト相マツテ海陸運輸ノ増進ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣大羽尾漁港修築ノ件
鳥取縣岩美郡東村長福壽春吉外一名呈出
右ノ請願ハ大羽尾港ハ天然ノ良港ニシテ船溜等ノ施設ヲ完備セバ同地方ノ漁業ハ飛躍的進展ヲ見ルコト明ラカナルニ依リ速ニ之ガ修築ヲ實施シ以テ地方産業ノ振興ト復員者及ビ海外引揚者ノ救濟ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣岩戸漁港修築ノ件
鳥取縣岩美郡福部村大字岩戸福部村漁業會長中西繁造呈出
右ノ請願ハ鳥取縣岩美郡福部村岩戸部落ハ日本海ニ面スル一寒漁村ニシ民テ村ハ近海漁業ヲ生業トナシ居レルモ岩戸港ノ施設不備ノタメ僅カノ風波ニモ漁船ヲ破損スル等出漁上ノ支障多キニ依リ速ニ同港ノ修築ヲ實施シ漁獲物ノ増收ヲ圖ルト共ニ村民ノ漁業意識向上ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣賀露漁港修築ノ件
鳥取市賀露漁業會長師網久太郎外一名呈出
右ノ請願ハ賀露港ハ年々港口ニ土砂堆積シテ多數漁船ノ出入及ビ繋留ニ支障甚ダシキノミナラズ轉覆溺死等ノ事故ヲ頻發スルニ至レルハ漁業振興上誠ニ遺憾ナルニ依リ速ニ之ガ修築ヲ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣淀江漁港修築ノ件
鳥取縣西伯郡淀江町長野川隆登呈出
右ノ請願ハ淀江港ハ島根半島ノ對岸ニ位置シ同地方唯一ノ商、漁船避難港ナルニ拘ラズ港内狹隘ニシテ波浪高キ時ハ小艇ノ繋留モ意ニ任セズ大型船ハ出入不可能ノ實情ナルニ依リ速ニ同港ノ擴張修築ヲ圖リ以テ産業、運輸ノ進展ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候他
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣酒津漁港修築ノ件
鳥取縣氣高郡酒津村長松林亀吉外一名呈出
右ノ請願ハ酒津港ハ縣費補助ニ依リ辛ウジテ現在ノ設備ヲ施シ得タルモ港内淺ク冬期ハ波浪ノタメ出漁不可能ノ實情ニシテ純漁村タル同村ノ經濟ニ及ボス所極メテ大ナルノミナラズ水産資源ノ開發上誠ニ遺憾ナルニ依リ速ニ國庫補助ヲ以テ之ガ修築ヲ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣東伯郡宇野村ニ漁港築設ノ件
鳥取縣東伯郡宇野村長尾崎益三外一名呈出
右ノ請願ハ鳥取縣東伯郡宇野村ハ耕地面積狹小ノ一寒村ニシテ村民ハ古來鮮魚ノ行商ヲ生業トナシ來レルモ戰時經濟統制ノ餘波ハ之等ノ面ニモ甚大ナル影響ヲ及ボシ現在村民ノ生計ハ窮乏ヲ極ムルニ至リ之ガ打開ノ方途ハ一ニ漁業生産ニ活路ヲ求ムルノ外ナキニ依リ速ニ漁港ヲ築設シ以テ同村ノ振興ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣浦富漁港修築ノ件
鳥取縣岩美郡浦富町長城戸清治外一名呈出
右ノ請願ハ浦富港ハ北方ニ何等ノ障壁ナク北風激シキ冬期間ハ漁船ノ出入杜絶シ數次ノ築堤モ激浪ニソノ大部分ヲ崩壞セラレテ用ヲナサズ爲ニ漁獲高著シク減少シ業者ノ損失甚大ナルニ依リ速ニ同港ヲ修築シ以テ新日本建設ノタメ漁業ニ邁進セントスル浦富町民ノ熱意ニ應フルト共ニ無盡ノ寶庫タル日本海漁場ノ開發ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
鳥取縣御崎漁港修築ノ件
鳥取縣東伯郡下中山村長小谷福次郎外一名呈出
右ノ請願ハ御崎港ハ防波堤不完全ナルタメ現今僅カニ數隻ノ漁船ヲ繋留スルニ止マルモソノ地形ニ惠マレタルト近海稀有ノ漁場ヲ控ウルコトニ依リ漁港及ビ避難港トシテ山陰沿岸有數ノ良港タリ得ル條件ヲ具備スルニ依リ速ニ之ガ修築ヲ實施シ以テ輸送竝ビニ食糧ノ増産ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
省營自動車福浪線ヲ飯坂、湯野兩町マデ延長ノ件
福島縣信夫郡飯坂町長國分嘉米吉外一名呈出
右ノ請願ハ福島縣飯坂、湯野ノ兩町ハ摺上川ヲ境トシテ相對スル温泉郷ニシテ現今療養ト觀光ノタメ來リ浴スル者頗ル多キニ拘ラズ之ガ輸送ハ省線福島、伊達兩驛ヨリ三十分毎ニ發スル電車アルノミニシテ何レモ超滿員ノ殺人的光景ヲ呈シ温泉報國ヲ期シツツアル兩町ノ頗ル遺憾トスル所ナルニ依リ速ニ省營自動車福浪線ヲ飯坂温泉マデ延長シ以テ旅客ノ利便ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
未成線鐵道佐久間線速成ノ件
靜岡縣濱松市長代理助役白井信一外三名呈出
右ノ請願ハ未成線鐵道佐久間線ノ速成ハ沿線地方ニ於ケル豐富ナル林産資源ノ開發ト農畜産ノ振興ニ貢獻スル所大ナルノミナラズ表日本裏日本連絡ノ捷徑トナリ國家再建ニ至大ノ關係ヲ有スルニ依リ速ニ之ガ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
長野原線金島、小野上兩驛間ノ小野子ニ停車場設置ノ件
群馬縣群馬郡小野上村長小野英多外二名呈出
右ノ請願ハ長野原線金島、小野上兩驛間ノ小野子ニ停車場ヲ設置スルハ同地方ニ於ケル豐富ナル林産物ノ搬出ト必需物資ノ導入ニ利スル所大ナルノミナラズ交通上ノ便益ヲ増進スルコト少カラザルニ依リ速ニ之ガ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
奧羽本線新庄驛、最上郡大藏村清水間ニ鐵道敷設ノ件
山形縣最上郡新庄町長代理助役松田久藏呈出
右ノ請願ハ奧羽本線新庄驛、山形縣最上郡大藏村清水間ニ鐵道ヲ敷設スルハ沿線ニ於ケル豐富ナル農、林、鑛産資源ノ開發上貢獻スル所大ナルニ依リ速ニ之カ實現ヲ圖リ以テ食糧及ビ燃料問題ノ解決ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
食肉加工品ノ物品税廢止ニ關スル件
東京都京橋區京橋二丁目四番地社團法人日本食肉加工協會理事長大橋金次郎呈出
右ノ請願ハ近時粉食ノ普及スルニ伴イ食肉加工品ノ需要増加セルニ拘ラズ原料ノ入手難、設備ノ破壞、勞銀ノ昂騰等ニ因リ著シク生産ヲ低下シ加ウルニ四割ノ物品税ヲ課セラルルタメ販賣價格ノ騰貴ヲ來シ爲ニ賣行キ頓ニ減少シテ業者ハ經營難ニ陷リ之ガ打開ノ窮策トシテ最近無檢査ノ粗惡品ヲ濫賣スル者漸ク増加スルニ至レルハ保健衞生上誠ニ寒心ニ堪エザルニ依リ政府ハ即時ソノ禍因トナレル食肉加工品ノ物品税ヲ撤廢シ以テ國民ノ榮養増進ト斯業ノ發達ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
舊鶴見臨港鐵道線外三鐵道線拂下ゲニ關スル件
東京都麹町區丸ノ内二丁目二番地鶴見臨港鐵道株式會社代表取締役社長山田胖呈出
右ノ請願ハ舊鶴見臨港鐵道、南武鐵道、青梅電氣鐵道及ビ奧多摩電氣鐵道ハ戰時輸送力強化ノ爲緊急措置トシテ政府ニ買收セラレタルモ元來之等四鐵道ハ一地方ノ交通ノ爲ニ發達シタルモノニシテ戰爭終結ニ伴イ國營ノ必要性ヲ失イシノミナラズ沿線住民ノ民營復歸ノ要望亦切ナルニ依リ速ニ前經營者ニ拂下ゲ以テ沿線地方ノ交通ト産業ノ開發ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
長崎市、茂木町間ニ省營自動車運輸開始ノ件
長崎市長代理助役菅野一郎外一名呈出
右ノ請願ハ長崎市及ビ茂木町ハ經濟、運輸等アラユル面ニ於テ密接不離ノ連繋アルニ拘ラズ兩者間ノ交通機關ハ皆無ニ等シク貨物運輸上ノ不利ハ固ヨリ通勤、通學ノ不便誠ニ大ナルニ依リ速ニ省營乘合竝ビニ貨物自動車ノ運行ヲ開始シ以テ長崎市ノ復興ト茂木町ノ繁榮ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
戰災學校復興費國庫補助及ビ寄附金ノ課税免除等ニ關スル件
清水市長代理助役程島定彦呈出
右ノ請願ハ戰災ニ因リ校舍ヲ失イタル國民學校ノ再建ハ焦眉ノ急ヲ要スルモ罹災都市ノ財政ハ極メテ窮乏ノ實情ナルニ依リ國庫ヨリ之ガ復興費ノ補助ヲナスト共ニ寄附金ニ對シテハ諸種ノ課税ヲ免除シ且第二封鎖預金ノ拂出シヲ可能ナラシムルト共ニ既ニ寄附募集濟ノ預金竝ビニ國庫債券ヲ以テスル寄附ニ對シテモ特別ノ措置ヲ講ゼラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
盲及ビ聾唖教育ノ刷新ニ關スル件
東京都小石川區雜司ケ谷町百二十番地日本盲教育會長片山昇呈出
右ノ請願ハ盲及ビ聾唖教育ヲ普及振興スルタメ之ガ教育制度ヲ改新シ昭和二十二年度ヨリ就學義務制ヲ實施スル等請願書記載ノ各條項ヲ速ニ實施セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
北越線鐵道敷設ニ關スル件
新潟縣東頸城郡松代村長市川俊雄外八名呈出
右ノ請願ハ信越線直江津驛ヨリ新潟縣東頸城郡ヲ經テ上越線ニ連絡スル北越線鐵道ヲ敷設スルハ北陸地方ト帝都ヲ結ブ捷徑トナリ且沿線地方ニ於ケル鑛、農、林産資源ノ開發ニ資スル所大ナルニ依リ速ニ之ガ實現ヲ圖ラレタク尚全線ノ敷設困難ナル場合ハ現在十日町、淺川原間ヲ運轉中ノ信濃川發電所工事專用線十粁ヲ營業線ニ編入ノ上千手町竝ビニ淺川原附近ニ停車場ヲ設置シ後日松代村マデ延長敷設セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
岩内線岩内、壽都鐵道樽岸ノ兩驛間ニ鐵道敷設ノ件
北海道岩内郡岩内町長代理助役角田定吉外七名呈出
右ノ請願ハ瀬棚線瀬棚ヨリ壽都ヲ經テ岩内線岩内驛ニ至ル鐵道ヲ敷設スルハ沿線ニ於ケル豐富ナル海陸資源ノ開發ニ資スル所大ニシテ北海道西海岸地方ノ發展上緊要ナルモ國家ノ現状ニ鑑ミ岩内線岩内、壽都鐵道樽岸兩驛間ノ鐵道ヲ敷設シテ黒松内驛ニ結ビ以テ地方産業ノ振興ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
大谷光瑩ノ業蹟ヲ國民學校教科書ニ輯録ノ件
北海道虻田郡倶知安町僧侶松下求呈出
右ノ請願ハ明治維新ノ諸政未ダ全カラザル時若冠十九歳ニシテ北海道ニ渡リ忍苦耐乏犧牲的精神ヲ以テ開拓、移民、教化ノ三大願ヲ成就セル大谷光瑩ノ業蹟ハ現下文化興隆、産業振興、閑地開發ノ叫バレル折柄模範的活教材ナルニ依リ之ヲ國民學校教科書ニ輯録セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
乳肉衞生事務ヲ農林省ニ移管ノ件
東京都神田區司町二丁目二番地全國酪農協會會長松崎半三郎外二名呈出
右ノ請願ハ乳肉衞生ハ國民ノ保健上緊要ノコトナルニ拘ラズ從來之ガ行政機關ノ不統一ナルタメ事效擧ガラザルノミナラズ生産上ニ及ボス所亦少カラザルハ誠ニ遺憾ナルニ依リ速ニ乳肉衞生ニ關スル事務ヲ農林省ニ移管統一シ以テ食生活ノ改善ト畜産ノ振興ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
農地調整法中改正ノ件
長野縣埴科郡坂城町四千八百二十八番地農業中澤才治郎外一名呈出
右ノ請願ハ農地調整法第九條、同附則第三條ハ中小地主ニ不利ヲ及ボスコト少カラザルニ依リ速ニ之ヲ改正スルト共ニ請願書記載ノ各項ニツキ適當ノ措置ヲ講ゼラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付侯也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
帶廣農業專門學校ヲ畜産大學ニ昇格ノ件
北海道帶廣市西三條八丁目公吏川西輝昌外三名呈出
右ノ請願ハ帶廣農業專門學校ハ昭和十六年我ガ國唯一ノ官立獸醫畜産專門教育機關トシテ設立セラレソノ環境學修ト實地ノ研究ニ好適ナルノミナラズ教育上ノ諸施設亦充實セルニ依リ之ヲ畜産大學ニ昇格セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
北海道席廣市ニ地方裁判所設置ノ件
北海道帶廣市西三條八丁目公吏川西輝昌外二名呈出
右ノ請願ハ北海道帶廣市ニ十勝國及ビ釧路國ノ内足寄郡ヲ管轄スル帶廣地方裁判所ヲ設置スルハ裁判ノ迅速ト地方治安ノ維持上極メテ肝要ナルノミナラズ地方民多年ノ熱望ナルニ依リ新憲法ノ實施ト同時ニ之ヲ設置セラレタシトノ旨越ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
東海道線沼津、濱松兩驛間電化速成ノ件
靜岡縣清水市相生町社團法人清水商工會議所會頭植田朋八呈出
右ノ請願ハ東海道線沼津、濱松兩驛間ヲ電化スルハ石炭ノ節約、旅客輸送ノ増強ニ資スルノミナラズ列車事故ノ絶滅ニ貢獻スル所甚大ナルニ依リ速ニ之ガ實現ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
能樂ノ保護育成ニ關スル件
東京都麹町區九段三丁目六番地靖國神社境内社團法人能樂協會理事長寶生九郎外五名呈出
右ノ請願ハ能樂ハ我ガ國ノ古典藝術ニシテ之ガ保護育成ハ文化國家建設ノ礎石トシテ緊要ナルニ依リ政府ハ速ニ具體的方策ヲ樹立シソノ實ヲ擧ゲラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
磐越西線野澤、會津線宮下ノ兩驛間ニ鐵道敷設ノ件
福島縣河沼郡野澤町長臨時代理者齋藤龍多郎外一名呈出
右ノ請願ハ磐越西線野澤、會津線宮下ノ兩驛間ニ鐵道ヲ敷設スルハ沿線ニ於ケル豐富ナル農、林産資源ノ開發上貢獻スルノミナラズ運輸交通上裨益スル所大ナルニ依リ速ニ之ガ實現ヲ圖ラレタク尚ホ同鐵道完成マデノ應急措置トシテ省營自動車ヲ運行シ以テ現下窮迫セル貨客ノ輸送ニ資セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
商工組合中央金庫ノ擴充強化ニ關スル件
東京都京橋區木挽町一丁目二番地全國貨物自動車運送事業組合聯合會會長吉松喬呈出
右ノ請願ハ産業復興ノ中核體タル中小商工業者ハ緊急措置法ノ改正ニ伴イ極度ノ金融制限ヲ受ケソノ困窮容易ナラザルニ依リ政府ハ之ガ救濟ノタメ商工組合中央金庫ヲ擴充強化シ以テ圓滑ナル資金ノ融通ヲ圖ラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
盲唖者ノ處遇改善ニ關スル件
京都市上京區花ノ坊町一番地文部地方教官島田俊平外四十八名呈出
右ノ請願ハ盲唖者ガ一般人ニ劣ラザル智能ヲ有スルニ拘ラズ種々ノ制限ヲ受ケ日常生活ニ甚シキ不利不便ヲ餘儀ナクセラルルハ人道上看過シ難キノミナラズ文化國家建設ノ前途ニ暗影ヲ投ズルモノナルニ依リ政府ハ速ニ請願書記載ノ各項目ニツキ處遇改善ノ方途ヲ講ゼラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
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意見書案
磐梯、吾妻國立公園指定ニ關スル件
福島縣耶麻郡駒形村平民物江浩呈出
右ノ請願ハ福島縣磐梯山、吾妻山、猪苗代湖ヲ含ム一帶ノ地域ハ風光絶佳ナルノミナラズ史蹟名勝多ク且ツ東山、飯坂等大小各種ノ温泉點在シ國立公園トシテ十分ノ資格ヲ具フルニ依リ速ニ之ガ指定ヲナスト共ニ適當ナル設備ヲ施シ以テ觀光日本ノ確立ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=92
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093・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第四十の能樂ノ保護育成ニ關スル請願に對し、討論の通告がございます、坂田幹太君
〔坂田幹太君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=93
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094・坂田幹太
○坂田幹太君 私は此の能樂の保護育成に關しまする請願の趣旨に贊成致す者でありまするが、此の機會に特に政府の考慮と、請願者への覺醒を求めまする爲に一言致したいのであります、能樂が我が國の藝能文化の上に及しました影響の大なることは、今更申述ぶる必要はありませぬが、室町時代に於て其の以前に存しました有らゆる民衆的の藝術を採入れまして大成したる能樂は、其の以後に生じましたる文藝に多大の影響を有して居りまして、歌舞伎に致しましても、日本の舞踊に致しましても、或は淨瑠璃、長唄、常盤津、清元、或は琴歌、有らゆる藝能文化の上に感化と影響と連絡を持つて居るのであります、我が國の藝能史は謠曲と能樂を中軸と致しまして、前後に連續展開せるものと言ふことが出來るのであります、而も能樂自體は其の間に於きまして能く其の傳統を維持致しまして、今日に至りまする迄六百年の間古典藝術たるの本格を力強く守つて來て居るのであります、斯くも能樂が長い歴史を有して今日迄保存せられて居りますることは、幾多の理由もござりまするけれども、封建時代に於きましては幕府の保護を受けて居つて、明治時代になりましてよりは宮中の特に厚き御奬勵があつたと云ふことが、非常に大いなる原因であつたことは申す迄もないのでありまするが、此の度の無謀なる戰爭の爲に東都に於かれましても多くの舞臺は燒かれまするし、又由緒のありまする衣裳でありまするとか、面だとか、樂器だとか、さう云ふものが實は多數に失はれたことは誠に遺憾に堪へないのであります、舊き我が國の美術なり、或は建造物なぞが國寶として國家の保護を受けて居りまするのは、是は動かざる靜的の國寶とも稱すべきものでありまするが、世界に稀なる六百年もの傳統に輝いて居りまする此の能樂は、謂はば動的の國寶とも稱すべきものでありまして、同じく此の國家の保護を受くるに足る藝術であると云ふことが出來ると思ふのであります、況んや又此の古典藝術を保護致しますることに依りまして、やがて此の新しき時代の新しき藝能文化が生れ出る其の素材となる、又力強き刺戟を與へるものであると信ずるのであります、で政府は文化國家として再生せられるに方りまして、藝能文化の進展の爲に、此の請願の趣旨を容れられまして、能樂に對して適當なる保護を與ふることに御考慮を願ひたいのであります、是は洩れ承ることでありまするからどうかは存じませぬが、宮城の御近くに色々此の後の將來の爲に文化施設なぞが色々經營を考へられて居ると云ふことも聞いて居りまするし、又伊勢の外苑の能樂殿なぞも拂下げになると云ふやうな御話も承つて居るのであります、さう云ふやうな場合に、非常に此の能樂堂の建設などと云ふやうなことに付て、此の文化施設を御考になる場合には御考慮になつたらば非常に仕合せなことではないかと私は思つて居るのであります、次に又此の請願を紹介されましたる紹介議員を通じまして、請願者の覺醒を求めたいことがあるのでありまするが、能樂は御承知の通りに現在は六つの流派に分れて居りまするので、其の一流派でありまする梅若を一流と認めるかどうかと云ふことは、能樂界に於ては實は多年の間の爭ひでありました、それと申しますのも、畢意能樂師との間に色々な申合せとか慣習とか云ふやうな昔からの慣習がありまして、現代には即せないやうな封建的なもので、改めらるべきものが改められずに居つたと云ふやうな爲に、それに禍ひされて容易に解決が付かなかつたのでありまして、藝道の上には久しく暗い影を漂はして居つたのでありまして、心ある者の頗る遺憾とせる所であつたのでありまするが、一昨年二十年四月内務省の當局の肝煎に依りまして、遂に梅若を五流に準じて認めることとなり、梅若宗家は五流の家元に準じて處遇する旨の覺書が出來まして、圓滿に解決されたのであります、此の請願の如きは能樂協會に取りましては、重要な公式文書とも言ふべきものでありまするが、此の請願書を見ますると云ふと、能樂協會の理事長の外に、五流の宗家の名前が連ねてありますに拘らず、梅若の名前を缺いて居ります、協會の理事長は全能樂六流派を代表せられるのでありまするから、此の公式の文書には理事長の名を以てせられれば、それが當然であり、又それで十分なのでありまするが、其の外に各流派家元の名を連ねると云ふことは、實は蛇足とも申すべきことでありまするが、それにしましても、若し竝べるならば梅若の名を何故缺いたのでありまするか、恐らくは故意に、此の前の内務省に出されたる覺書の公約を無視したと云ふ譯ではないと思ひまするが、さうして協會の事務を扱ふ者の疎漏であつたと思はれまするが、斯樣な扱ひ方をされると云ふと、折角能樂界の六流派の融和と云ふものが、又ごたごたして居るのではないかと云ふやうな疑ひを生ぜしむるやうなやり方になるのでありまするから、是は甚だしき失態であると思ふのであります、能樂は六百年に亙りまする古典藝術として能樂は尊重すべきものでありまするけれども、併しながら之に携はりまする藝能人の頭は、古典的であつてはならないので、世と共に日に新たに進んで、舊來の陋習に泥むべきではないと思ふのであります、藝道を以て文化國家の再建に寄與するには、封建的たる過去の夢より覺めて、六流の人々が互ひに敬重し、協力し合つて、之に精進すべきでありまして、斯くして初めて國家の保護を仰ぎ、之を現代に輝かし、之を更に後世に傳へむとする古典藝術に携はる者の責務だと思ふのであります、此の心構と努力がなければ、斯かる請願を爲す資格はないのでありまして、折角の尊き藝術も時代の波に押沈められる外はないと思ふのであります、私は能樂を愛し藝術を尊重しまするが故に、此の機會に請願者たる能樂協會の覺醒と奮起を促しまして、此の請願の趣旨には心より贊成致しまして、之が採擇を望む者であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=94
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095・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第九より日程第四十四迄の請願は、請願委員長の報告通り採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=95
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096・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、本日は是にて延會することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=96
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097・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、明日は午前十時より開會致します、議事日程は彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午後零時二分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02519470327&spkNum=97
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