1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十二年三月二十九日(土曜日)午前十時二十分開議
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議事日程 第二十七號
昭和二十二年三月二十九日
午前十時開議
一 臨時軍事費歳入歳出決算報告 會議(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=0
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001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
〔寺光書記官朗讀〕
昨二十八日本院ニ於テ修正議決シタル左ノ政府提出案ハ即日之ヲ衆議院ニ囘付セリ
地方自治法案
同日檢察廳法案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長 男爵 奧田剛郎君
副委員長 子爵 高木正得君
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
所得税法を改正する法律案
法人税法を改正する法律案
特別法人税法の一部を改正する等の法律案
土地台帳法案
家屋台帳法案
地方税法の一部を改正する法律案
地方分與税法を改正する法律案
相続税法を改正する法律案
國有財産法の一部を改正する法律案
作業会計法を改正する法律案
燃料局特別会計法を改正する法律案
造幣局特別会計法の一部を改正する法律案
國有林野事業特別会計法案
労働者災害補償保險特別会計法案
公債金特別会計法外四法律の廃止等に関する法律案
企業再建整備法等の一部を改正する法律案
日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案
日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案
行政官廳法案
宮内府法案
恩給法の一部を改正する法律案
日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律案
労働者災害補償保險法案
健康保險法の一部を改正する等の法律案
昭和二十年度第一予備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一予備金支出の件
昭和二十年度特別会計第一予備金支出の件
昭和二十年度特別会計予備費支出の件
昭和二十一年度第二予備金支出の件
昭和二十一年度特別会計第二予備金支出の件
臨時軍事費特別会計予備費支出の件
臨時軍事費特別会計予備費外予算超過支出の件
(承諾ヲ求ムル件)
同日衆議院ヨリ左ノ議案ヲ提出セリ
國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律案
議院に出頭する証人の旅費及び日当に関する法律案
國会予備金に関する法律案
議院事務局法案
國会図書館法案
國会職員法案
同日衆議院ヨリ本院ノ囘付ニ係ル左ノ政府提出案ハ同院ニ於テ本院ノ修正ニ同意シ奏上セル旨ノ通牒ヲ受領セリ
地方自治法案
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=1
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002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、昨二十八日從四位勳二等木下謙次郎君卒去せられました、誠に哀悼の至りに堪へませぬ、就きましては弔辭を御贈り致したいと存じますが御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=2
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003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=3
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004・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 議事日程、臨時軍事費歳入歳出決算報告、會議、委員長報告、委員長倉富男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=4
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005・会議録情報2
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臨時軍事費歳入歳出決算ヲ審査シ
第一
臨時軍事費歳入歳出決算大藏省所管歳出第一款臨時軍事費第一項陸軍臨時軍事費中臨時陸軍東京經理部ノ支出ニ係ル件、第四項臨時軍事費中陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、海軍省經理局、海軍省經理局ノ支出ニ係ルモノ四件
臨時軍事費歳入歳出決算商工省所管歳出第一款臨時軍事費第四項臨時軍事費中軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局ノ支出ニ係ルモノ四件
右ハ政府ノ措置適切ナラサルモノト認ム
第二
臨時軍事費歳入歳出決算大藏省所管歳出第一款臨時軍事費第一項陸軍臨時軍事費中臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、關東軍經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、關東軍經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、臨時陸軍東京經理部、關東軍經理部、臨時陸軍東京經理部、關東軍經理部ノ支出ニ係ルモノ十六件、第二項海軍臨時軍事費中呉海軍經理部、呉海軍經理部、呉海軍經理部ノ支出ニ係ルモノ三件、第四項臨時軍事費中陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、關東軍經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、陸軍東京經理部、海軍省經理局、大湊海軍經理部、海軍省經理局、大阪海軍經理部、呉海軍經理部、佐世保海軍經理部、鎭海海軍經理部、海軍省經理局、第十二海軍航空廠ノ支出ニ係ルモノ二十件
臨時軍事費歳入歳出決算商工省所管歳出第一款臨時軍事費第四項臨時軍事費中軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局、軍需省航空兵器總局及ヒ商工省整理部ノ支出ニ係ルモノ八件
官有物ニ於テ軍需省航空兵器總局及ヒ商工省整理部ノ自動車ノ管理及ヒソノ處分宜シキヲ得サル件
右ハ政府ニ對シ將來ノ注意ヲ促スヘキモノト認ム
第三
其ノ他異議ナシ
右ノ通議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月二十七日
委員長 男爵倉富 鈞
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔男爵倉富鈞君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=5
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006・倉富鈞
○男爵倉富鈞君 臨時軍事費特別會計歳入歳出決算に對しまする決算委員會の審査の概要を御報告申上げます、本特別會計は御承知の通り、昭和十二年の七月から二十一年の二月に亙りまして、足掛十箇年の長い間に於きまして歳出豫算は御承知の通り、一番初に昭和十二年の第七十一議會に於きまして、一般會計に於て成立しまして、後に本特別會計に繰入れました所の北支事變費の九千五百十八萬餘圓のものが一番初でございまして、同年之に對して追加豫算の成立がございましたが、次いで同年の七十二議會に於きまして、初めて臨時軍事費の名前の下に約十億餘圓の豫算が成立しました、爾來二十年の八十六議會迄の間に十二囘に亙りまして追加豫算が順次提出せられまして、其の結果歳出豫算の合計は二千二百十九億二千餘萬圓の巨額に達したのでございます、臨時軍事費の成り行に付きましては、議員の皆樣は勿論、一般國民も之に對して深い關心を持つて居ることと存じますので、今囘此の特別會計の決算審査に當りまして、政府の説明なり或は質疑應答を通じて明かになりました點は、成るべく詳細に御報告申上げますことが委員長としての私の御務めかと存じますけれども、唯是が爲には普通の場合の決算の御報告に比べまして、若干長い時間が掛かりはしないかと云ふ懸念がございますから、此の點は初から惡しからず御了承置きを願ひたいと存じます、以下順次説明を申上げますが、一番初に此の臨時軍事費の審査を委員會としてはどう云ふ方法でやらうか、臨時軍事費は御承知の通り、陸海軍、軍需省關係の所管事項が多いのでございますから、決算委員會の第三分科に付託して審査をすると云ふことも一つの方法と思はれますけれども、委員會は事の重大性に鑑みまして、之を分科に付託することなく委員會で審査をすると云ふことに話が纏りまして、今月の二十五、二十六、二十七の三日間に亙つて愼重に審査を致しました、是から其の大要を申上げますが、一番初に臨時軍事費特別會計の終結に至ります迄の經過に付て簡單に申上げます、政府は終結に伴ひまして、臨時軍事費特別會計の支出を成るべく速かに打切りまして、本特別會計を終結せしむるの必要がありと考へまして、戰後に於ける内外地部隊艦船等の復員進捗の状況と睨み合せまして、終結の時期方法等に付て色々研究をされたさうであります、一方に於きましては關係方面の意嚮も斟酌致しまして、ポツダム宣言の受諾に伴ひ發する命令に關する件の勅令に基きまして、昭和二十一年勅令第百十號臨時軍事費特別會計終結に關する件と云ふものを公布致しました、此の勅令の規定に從ひまして本會計を終結せしむることに相成つたのださうでございます、即ち此の特別會計は二十一年二月二十八日を以て終結することとしまして、此の歳入歳出の出納關係の事務は一切同年の六月三十日限り悉く之を完結せしむることとしたのであります、さうして此の會計の歳入の決算額は、二十一年の五月三十一日迄に歳入事務管理廳に判明しました收入濟金額と致しまして、又歳出の決算額は同じく五月末日迄に所管大臣に判明せる支出濟金額から資金前渡官吏の支拂ひました支拂で以て同日迄に内容の判明しない分を控除した金額となつて居るのであります、從つて此の會計に所屬しました所の歳入又は歳出の金額でありまして、二十一年六月一日以後に收入若しくは支出されましたものは、此の收入若しくは支出が判明しました年度の一般會計に繰入れて整理することとなつたのであります、と共に此の會計に於きまして特別會計の剩餘又は不足を生じました場合も、是も亦一般會計に移して整理すると云ふ處置を講ずることとなつたのでございます、是から決算面に現はれました數字の概略に付きまして御説明を申上げたいと存じます、歳入の收入濟額は千七百三十三億六百餘萬圓でございまして、之に對して歳出の支出濟額は千五百五十三億九千七百餘萬圓でございます、差引結局百七十九億八百餘萬圓の剩餘金が出た譯でありますが、此の剩餘額は先に申上げました二十一年の勅令第百十號の規定に依りまして、之を一般會計に移して整理することとなつたのであります、次に收入濟額と歳入豫算を比べて見ますと、歳入豫算は二千二百二十一億六千五百餘萬圓でありまして、之に對して歳入の收入濟額は千七百三十三億六百餘萬圓でございますからして、差引四百八十八億五千九百餘萬圓の減少となつて居るのであります、次に歳出の支出濟額と歳出豫算の比較に於きましては、歳出豫算額は二千二百十九億二千四百餘萬圓でありますが、それに豫算決定後増加致しました金額二億三百六十八萬餘圓を加へますと、歳出豫算現額は二千二百二十一億二千八百餘萬圓になります、之に對して歳出支出濟額は、千五百五十三億九千七百餘萬圓でございますからして、差引六百六十七億三千百餘萬圓の減少となつて居るのであります、さうして此の六百六十七億三千餘萬圓の減少額の中から致しまして、臨時資金調整法に基いて政府の特殊借入金に依つて決濟されました約百億圓と、前に申上げました昭和二十一年勅令第百十號の三條に依る控除額、即ち資金前渡官吏の支拂が判明しない爲に、歳出支出濟額から控除することになつて居ります控除額三百八十一億五千餘萬圓の合計四百八十一億七千餘萬圓を控除致しますと、結局豫算殘額は百八十五億五千九百餘萬圓となるのであります、さうして今申上げました控除額三百八十一億五千餘萬圓と、政府の特殊借入金に依つて決濟されました百億餘のものが、歳入歳出決算額の差額剩餘金百七十九億八百餘萬圓と同樣に勅令百十號の規定に依りまして、今後一般會計に移して逐次整理されることになつて居るのでございますので、是等の控除金等の一般會計に移して整理されるものの整理が完全に濟みます迄は、臨時軍事費の實質上の決算は濟まないと云ふ風に考へられるのであります、或は言葉が過ぎるかも知れませぬけれども、是等の控除額の内容がはつきりしませぬ間は、臨時軍事費の全貌ははつきり分らないと云ふやうな感じがすると申上げたいと思ふのでございます、次に臨時軍事費特別會計の決算に對する會計檢査院の所謂批難事項は五十四件で、其の金額は五億二千五百七十餘萬圓になつて居るのでございますが、是は檢査院の檢査報告の第三頁から八十三頁に亙る大部のものでございますので、其の内容を此處で申上げることは時間の關係で出來ませぬけれども、大體に分けますと、戰局の苛烈さが加つて參りまして、さうして終戰間際に戰局が段々不利になりましたに連れまして、軍需物資の調辨を出來るだけ急がなければならない、又軍關係の色々の倉庫等の建設物の施設を一日も早く造らなければならないと云ふやうな目前の急に追はれました爲に、或は物件の購入の單價が後になつて見れば高過ぎてあるとか、或は代金の支拂、概算拂、前金拂等の方法が亂雜であつたとか、或は工事のやり方等が後で見れば、もう少し、當時に考へたならば、工事の途中で模樣替へをして、其の爲に多額の損失を國庫に掛けると云ふやうなことはなかつたらうかと云ふやうに思はれると云ふやうなものが第一の部門に屬するものでございます、第二の部門は、終戰直後の混亂の爲に退職給與金の支拂であるとか、或は代金の支拂とか、或は契約解除に對して爲すべからざる損害補償をなしたとか、或は契約物件の製造工程の見積が不當であつたとかと云ふやうに、終戰直後の混亂の爲に起つた色々の間違ひと云ふやうな部類に屬するものと申上げて宜いと思ひます、第三の部類に屬しまするものは、是はいつも出て來るものと思ひますけれども、取扱官吏の犯罪に依つて國庫に損失を及したと云ふやうな部類のもの、それから最後にありますものは、官有物の終戰後の自動車の管理及び處分に對する措置が惡かつたと云ふやうな風に分類が出來ると思はれるのでございますが、其の件數は元の陸軍省關係に於きまして二十八件で三千三百五十六萬餘圓、元の海軍省關係に於きまして十三件で一億三千二百二十三萬餘圓、軍需省關係に於きまして十二件で三億五千九百九十四萬餘圓、合計五十三件で五億二千五百七十餘萬圓、之に今申上げました自動車の管理處分の仕方が惡いと云ふ物件關係の批難事項が一つ、併せて五十四件と云ふことになつて居りまして、此の檢査院の批難に對しては、政府も大體檢査院の意見は承認せられまして、終戰前後の混亂の時のことであると雖も、此のやうな不當の事項が起つたことは誠に遺憾であると云ふ意を表明せられて居るのであります、之を以ちまして計數竝に檢査院の批難事項に對しまする説明を終ることに致しまして、次に審査中にございました質疑の主なものを一二申上げたいと存じます、一番初に申上げたいことは、臨時軍事費の決算は言ふ迄もなく極めて重大なものであるのに、此の會期の差迫つた今日となつては時間的にも審査が頗る困難であるばかりでなく、二度と此のやうな無謀な戰爭を再び繰返さない爲にも、國民の反省を促す意味に於て此の臨時軍事費の決算を徹底的にやつて行く必要があるのだからして、それには新憲法が施行された後に新しい國會で以て、必要なだけの資料を提供して貰つて、十分な時間を掛けて審査をする方が寧ろ適當ではないか、從つて政府は此の際提出されました臨時軍事費の決算案を撤囘して、新しい國會に改めて提出する意向はないかと云ふ質問があつたのでございますが、之に對して當局は、御説は誠に御尤もであるけれども、當局と致しましては、折角提出したものだから、何とか御審査を願へるものならば願ひたい、又之を此の議會に提出しました手續上の理由と致しましては、前に申上げました昭和二十一年の勅令第百十號、臨時軍事費特別會計終結に關する件の規定に依りますと、臨時軍事費の決算は、二十一年度に開かれました通常議會に提出すると云ふ規定がございますから、其の規定に依つて、會期切迫の折柄をも顧みず敢て提出した譯であるからして、それ等の點も御了承の上に何とか審査を出來るものならばして戴きたいと云ふやうな答辯があつたのでございます、其の次には臨時軍事費と云ふ此の特別なるものは非常に重要なものであつて、之に對する一體支出に際しましての内部監査と申しますか、内部事前監督と云ふやうなことはどう云ふ風にやつたのであるかと云ふ質問がございました、之に對しましての答辯は、一般の豫算は御承知の通り、議會の協贊を得ますれば、後は豫備費の性質の場合以外には、勅裁を經ると云ふやうな手續は執つて居りませぬけれども、臨時軍事費に限りましては、支出の都度一々勅裁を經ると云ふ愼重な手續を執つて間違ひのないやうにやつて居ると共に、末端迄も其の趣旨を十分に徹底さして居つた積りであると云ふやうなことでございました、其の次には、臨時軍事費の支辨に依つて施設されました所の軍關係の學校とか、兵營等の建設物が相當あると思ふが、之を將來文化的使途に轉用して活用することが相當出來るのではないかと思ふが、之に對して政府はどう云ふ方針を執つて居るかと云ふやうな意味の質問がございました、之に對して政府からは、誠に御尤もな御尋であつて、政府としても目下それ等に付て調査はやつて居るけれども、今申上げましたやうな、兵營であるとか、學校であるとか云ふやうな建物は、現在は差向きの暫定的の用に用ひられて居るのであつて、未だ之を文化的方面にどう云ふ風に轉用するかと云ふやうなこと迄は行つて居らないけれども、御尋の趣旨を體して將來其の方面に之を活用することが出來るやうに調査をしたいと云ふやうなことでございました、次には、檢査院の批難事項に關係します一二の質問を申上げて見たいと思ふのでありますけれども、先にもちよつと申上げましたやうに、檢査院の批難事項の中には、終戰後の復員の際の退職給與金が本省の指令の二倍若しくはそれ以上の巨額に上つて居ると云ふやうな點を批難されて居るが、一體出先の部隊であつて、退職給與金は本省の指令なしにはやつてはならないと云ふことが、能く末端迄行き亙つて居つたのであらうかと云ふやうな意味の質問があつたのであります、それに對して今の第二復員局の當局からの答辯に依りますと云ふと、各出先艦船部隊の長官は、退職金が給與されると云ふことは知つて居つたけれども、どの位の金額が給與されると云ふやうなこと迄は知つて居なかつたのであるが、一方に於きまして、急いで解員をしなければならないと云ふことと、解員者が郷里へ歸つて分散してしまつた後では、退職金を給與することが實際上は非常に困難であるのみならず、是等の解員者が無一文で艦船から下りて社會に出ますと云ふと、無一文なるが爲に色々問題が起ると大變である、と云ふやうな長官の部下に對する親心から、此の位の金額を給與しても、是は恐らく本省の指圖して來る範圍内の内輪のものであらうと思つて給與したのが、本省からの指令を見ますと云ふと、指令以上の金額を給與して居つたと云ふやうな結果になつたのであるが、是も終戰直後の通信關係も十分に行かない場合のことであるからして、其の間の事情は了察を願ひたいと云ふやうなことでございました、第二の問題は、終戰直後に復員者に對して軍が給與しました所の被服其の他の軍需品が、其の後多量に市場に横流しをされたと云ふやうな噂が大分當時世間にあつたのである、又復員者に對する被服等の給與が、部隊に依つては非常に澤山の物を與へたにも拘らず、他の部隊では極めて僅かな物しか貰へなかつた、其の間に大分不公平なことがあつたと云ふやうな聲も當時大分あつたのであるが、是等の眞相はどうなのであるかと云ふ御質問に對しまして、第一復員局からの答辯は、復員の場合の陸軍の個人給與の基準額は、毛布だとか雜嚢だとかを含めまして、被服が一揃ひと、糧食は大體五日分のものを持つて歸らすと云ふことになつて居つたのであるが、是等の給與は其の部隊の手持品の中でやり繰りをすると云ふことになつて居りました爲に、手持品を豐富に持つて居つた部隊では、給與の基準額のものを與へることが出來たし、或は中には基準額以上に多少の物を與へたと云ふやうな部隊もあつたかと思はれる、又手持品の少い部隊では、規定だけの給與が出來なかつたやうな場合もあるかも知れないけれども、一方では澤山の物を貰つた、一方では極めて貧弱な物しか貰へなかつたと云ふやうな、所謂不公平と云ふことは、世間で言はれて居る程大したものではないやうに我々は思つて居る、尚又それ等の物を復員者が闇で市場に流したと云ふやうな事實もないとは言へないけれども、是は噂程大きなものではないやうに思はれるし、又復員者それ自身が今のやうな闇行爲をやつたのではなくて、保管中の物品が當時の監視の手不足の爲に盜み出されて、それが市場に流されたと云ふやうな事實もあるのではないかと云ふ風に思つて居ると云ふ意味の答辯でございました、それで質問者は續けて斯う云ふことを尋ねられたのであります、部隊の責任者が給與規程の標準以上の物を持つて歸らせたと云ふことになると、其の責任者は處罰を受けたのであるか、之に對して、嚴格に言へば是は處罰をされなければならぬかも知れないけれども、別に刑法上の罪にもならぬのであるし、部隊を解體して、部隊の責任者も復員してしまつて居るので、實際は其の規程以上の物を與へたと云ふことに付ての處罰は行はれて居らないのである、又中には部隊の責任者の命令ではなしに、個人が勝手に規程以上に持つて歸つたと云ふやうな者もあるのであるが、是は嚴格に言ひますと犯罪が構成されるかも知れませぬが、是も復員して方方に分散してしまつた今日となつては、全部の者を追及して處罰すると云ふことは迚も出來ないのである、以上申上げましたやうな色々の行違ひと申しますか、混亂は、結局終戰直後に於きましては、軍隊を一日も早く解散して、さうして軍人を一日でも早く復員させると云ふことが當時の終戰處理の第一目的であつたのであるからして、其の間の事情を御酌取り願ひたいと云ふやうな意味の答辯があつたのでございます、質疑應答の點に付きましては、大體此の程度に致して置きます、是から審査の結果に付て一應の御報告を申上げたいと存じます、先づ初に、檢査院の批難事項に付て委員會がどう云ふ決定をしたかと云ふことを一應申上げたいと思ひます、檢査院の批難事項に付きましては、先程申上げましたやうに、政府に於きましても、大體檢査院の意見を是認して居られまして、之に對しまして遺憾の意を表されて居りまするのであるばかりでなく、戰局が逐次不利に陷りまして、極力所要軍需品の調辨を急がなければならぬと云ふ必要に迫られました爲に、製造業者の生産能力以上に無理なる生産を強要しなければならぬと云ふやうなことにも其の當時相成りました爲に、今日になつて冷靜に考へて見ますれば、購入物件の單價が高過ぎる、或は請負に出したものの請負金額が高過ぎる、或は代金の支拂、概算拂、前金拂等のやり方が粗漏であつたとか、或は又終戰直後の混亂時代に於て、通信關係も極めて不圓滑であつた、一方に復員は出來るだけ早くしなければならぬと云ふやうな事情に追ひ詰められまして、上司の命令を又出先長官が獨斷專行をしなければならなかつたと云ふやうな事情もあるのであります、それ等の事情は、色々説明を聽いて見ますと、一面無理からぬ情状酌量すべき點は多々あるやうに思はれるのでありますけれども、一面から見ますと云ふと、如何に目先の急に迫られたと申しながら、愼重の考慮を缺きました爲に、國庫に多大の損害を及すやうなことになりましたし、又其の爲に所謂軍需成金と云ふやうなものが出來まして、社會に色々の害毒を流したと云ふやうな結果になりましたことは、其の當時の當局の措置が宜くなかつたと云ふことに原因すると云ふ風にも思つて見ますと云ふと、檢査院の批難事項も決して之を輕々に視ることは出來ないのでございますけれども、先にも申しましたやうに、此の當時の急迫混亂した時に於きまして、急に物事を片付けねばならなかつたと云ふ當事者の苦しい立場も考へまして、委員會と致しましては、大體次のやうなことに批難事項に對して決定をしたのであります、即ち取扱上の措置が宜しきを得なかつた爲に、其の結果國庫に多大の損害を及したもの、或は取扱が著しく愼重を缺いたが爲に、どう見ても取扱が少し不當ではなかつたかと思はれるやうなもの、即ち情状の重しと認められるものに付きましては、之を決算審査方針の第三、政府の措置適切ならざるものと認むと云ふことに決定致しました、之に屬しますものが次の大體八つの事件があるのであります、第一には、物件の購入の場合に前拂金の措置が餘りに放漫であつたと云ふやうなもの、それから物件の購入に際して豫算の使ひ方の措置が惡かつたもの、或は工事の施行が極めて愼重を缺いた爲に、其の結果が好くなかつたもの、或は終戰後契約物件の製造工程の査定を致します場合に其の査定が極めて宜くなかつた、中には軍の當局と業者との間に製造工程の査定に付きまして狎合ひのあつたと云ふやうな、質の惡いものと云ふやうなものを併せて八件が、今申上げました政府の措置適切ならざるものと認む、と云ふことに決定致しました、此の件數は今申上げましたやうに八件ございまして、之に對して金額が約一億五千六百餘萬圓になつて居るのであります、其の次に審査方針の第四、政府に對し將來の注意を促すべきものと認む、と云ふものに屬しますものは、件數にしまして四十五件、金額に致しまして三億六千八百餘萬圓になつて居りますが、件數も四十五件と云ふやうに澤山ございますので、其の内容を申上げますことは省略致したいと存じます、今の四十五件は金錢會計に屬するものでございますが、其の外に、さつき批難事項の説明の際に申上げましたやうな、自動車の保管處理の惡かつたものと云ふのが一件ございます、是も政府に對して將來の注意を促すべきものと認む、と云ふことに決定致しました、此處で一言附加へたいと存じますが、臨事軍事費の決算と云ふやうなことは今後ある筈がないのであるから、此のものに對して政府に將來の注意を促すと云ふやうなことを申しますことは、何だか妙にも、ちよつと思はれると思ふのでございますけれども、成る程我が國が戰爭放棄を致した今日となつて、戰爭の爲にするやうな、所謂臨軍費と云ふやうなものは、今後出て來ることはないと思ひますけれども、今後我が國が産業を再建し、經濟を復興すると云ふ爲にも、矢張り急いで物を造らなければならないと云ふやうなことは今後もあると思ひますので、それ等の施設を致します場合に、急いだからと云つて今申上げましたやうな代金の支拂とか、工事の設計などに愼重を缺く點があつてはならぬと思ひますので、此の機會に於て政府に對して將來の注意を促すと云ふことも強ち無用ではないと思ひますので、委員會としては今申上げましたやうに、決定した次第でございます、今申上げました檢査院の批難事項以外の部分に對しては、委員會は全部異議なきものと決定を致しました、此の異議なしと決定を致すに付きまして、一委員の方から次のやうな趣旨の發言があつたのであります、臨時軍事費の審査のやり方に付きましては、質疑の際にも色々議論があつたやうに、必要なだけの資料を出して貰つて、十分な時間を掛けて審査をすることが本筋であらうと思ふが、今囘は資料の提出も必ずしも滿足を得るに至らず、又何分にも審査の日數が短かつた爲に、徹底的に十分に審査が出來なかつた憾みがあるのであるが、併しながら一方から言ひますと云ふと、今囘の臨時軍事費の決算は必ずしも臨時軍事費全部の決算でもないと思はれるのである、と申しますのは、先程も説明の際にも申上げましたやうに、歳入、歳出決算額の剩餘金百七十九億餘萬圓、それから歳出支出濟額に今日計上することが出來ないが、資金前渡官吏の手許に於ては支拂はれてしまつて居ると、所謂控除額三百八十一億五千餘萬圓と云ふやうなものが今後一般會計に移して整理されるのであるからして、それ等の處理に關しては、將來政府が十分之を完全に整理するやうに政府の善處を要望しなければならぬし、又それ等のものが今後一般會計の決算として、今後の新しい國會に提出されました場合に、國會の決算委員會は之に對して徹底的に審査をしなければならぬのであるが、兎に角今申し上げました通り、今囘の臨時軍事費特別會計の決算に付きましては、會計檢査院も一應檢査を終了致しまして、先に申上げました批難事項以外の部分に對しましては、檢査院も之を承認して居ることでございますから、此の際決算委員會としては、批難事項以外の部分に對しましては、異議なしと決定することが寧ろ妥當ではなからうかと云ふ意味の御發言があつたのであります、之に對して委員全部の方が御贊成になりまして、今申上げましたやうに、批難事項以外の部分は、異議なきものと決定致した次第でございます、以上を以ちまして、大變不十分だつたとは思ひますけれども、臨時軍事費特別會計の決算に對しまする委員會の審査の概要を申上げた譯でございます、詳細は御手許に差上げてございます處の報告と、それから政府から提出されて居ります處の決算書、臨時軍事費特別會計始末、會計檢査院の檢査報告等を御覽になりまして、御了解願ひたいと云ふことを申上げまして、報告を終ることに致します(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=6
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007・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、是より採決を致します、決算委員長報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=7
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008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=8
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009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、所得税法を改正する法律案、法人税法を改正する法律案、特別法人税法の一部を改正する等の法律案、土地台帳法案、家屋台帳法案、地方税法の一部を改正する法律案、地方分與税法を改正する法律案、相続税法を改正する法律案、以上八案を一括して議題と爲し、第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=9
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010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=10
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011・会議録情報3
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所得税法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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所得税法を改正する法律案
所得税法目次
第一章 総則
第二章 課税標準及び税率
第三章 申告
第一節 予定申告
第二節 確定申告
第四章 納付
第一節 申告納税
第二節 源泉徴收
第五章 更正及び決定
第六章 審査、訴願及び訴訟
第七章 雜則
第八章 罰則
所得税法
第一章 総則
第一條 この法律の施行地に住所を有し又は一年以上居所を有する個人は、この法律により、所得税を納める義務がある。
前項の規定に該当しない個人は、左に掲げる場合においては、この法律により、所得税を納める義務がある。
一 この法律の施行地にある資産又は事業の所得を有するとき
二 この法律の施行地において、公債、社債若しくは預金(貯金その他これに準ずるものを含む。以下同じ。)の利子又は合同運用信託の利益の支拂を受けるとき
三 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人から利益若しくは利息の配当又は剩余金の分配を受けるとき
四 この法律の施行地において、俸給、給料、賃金、歳費、費用弁償(月額又は年額を以て支給するものに限る。以下同じ。)、年金(郵便年金を除く。以下同じ。)、恩給、賞與若しくは退職給與又はこれらの性質を有する給與の支拂を受けるとき
法人は、左に掲げる場合においては、この法律により、所得税を納める義務がある。
一 この法律の施行地において、公債、社債若しくは預金の利子又は合同運用信託の利益の支拂を受けるとき
二 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人から利益若しくは利息の配当又は剩余金の分配を受けるとき
第二條 前條第一項の規定に該当する個人については、所得の全部に対し、所得税を課する。
前條第二項の規定に該当する個人については、同項各号に規定する所得に対し、所得税を課する。
年の中途において、前條第一項の規定に該当する個人が同條第二項の規定に該当することとなつたとき又は同條第二項の規定に該当する個人が同條第一項の規定に該当することとなつたときは、この法律の施行地に住所又は一年以上居所を有した期間内に生じた所得の全部及びその他の期間内に生じた同條第二項各号に規定する所得に対し、所得税を課する。
法人については、前條第三項各号に規定する所得に対し、所得税を課する。
第三條 所得税は、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体及び民法第三十四條の規定により設立した法人には、これを課さない。
第四條 信託財産につき生ずる所得については、その所得を信託の利益として受くべき受益者が信託財産を有するものとみなして、所得税を課する。但し、この法律の施行地において、信託の利益の支拂をなす合同運用信託については、この限りでない。
前項の規定の適用については、受益者が特定していないとき又はまだ存在していないときは、委託者又はその相続人を受益者とみなす。この場合において必要な事項は、命令でこれを定める。
公益信託の信託財産につき生ずる所得には、所得税を課さない。
第五條 株式の消却に因り支拂を受ける金額又は退社、脱退若しくは出資の減少に因り持分の拂戻として受ける金額がその支拂又は拂戻を受ける者の当該株式又は出資を取得するために要した金額を超過する場合においては、その超過金額は、これを法人から受ける利益の配当又は剩余金の分配とみなして、この法律を適用する。
前項の規定の適用については、相続、贈與その他命令で定める事由に因り、株式又は出資を取得した場合においては、被相続人、贈與者その他命令で定める者がその株式又は出資を取得するために要した金額は、これを相続人、受贈者その他命令で定める者がその株式又は出資を取得するために要した金額とみなす。
前二項の株式又は出資を取得するために要した金額は、株式若しくは出資の拂込済金額(会社が額面以上の價額で株式を発行した場合の額面を超える金額又はこれに準ずる金額を含む。)又はその株式若しくは出資の讓渡を受けた場合の対價の價額による。
第六條 左に掲げる所得については、所得税を課さない。
一 皇室経済法第四條第一項及び第六條第一項の規定により年額により受ける給付
二 傷病者の恩給並びに遺族の恩給及び年金
三 旅費、学資金及び法定扶養料
四 郵便貯金の利子及び命令で定める当座預金の利子
五 第九條第一項第八号に規定する所得のうち、営利を目的とする継続的行爲から生じた
所得以外の一時の所得(第四十二條第一項に規定する所得を除く。)
六 日本の國籍を有しない者のこの法律の施行地外にある資産又は事業の所得
第七條 この法律において合同運用信託とは、信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。以下同じ。)が引き受けた金銭信託で共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいう。
第八條 この法律において同居親族とは、配偶者及び三親等内の親族で生計を一にするものをいう。
前項の規定の適用については、生計を一にする者の一人と同項に規定する関係がある者が二人以上あるときは、その二人以上の者相互の間には同項に規定する関係がない場合においても、その生計を一にする者全部の間に同項に規定する関係があるものとみなす。
この法律において扶養親族とは、納税義務者の同居親族のうち配偶者及び年齢十九歳末満若しくは六十一歳以上又は不具癈疾の者(命令で定める者を除く。)をいう。
前三項の規定は、この法律に特別の定がある場合を除く外、毎年十二月三十一日(年の中途において死亡した者とその他の者との間の関係においては、死亡当時)の現況により、これを適用する。
第三項に規定する不具癈疾者の範囲は、命令でこれを定める。
第二章 課税標準及び税率
第九條 所得税の課税標準は、左の各号に規定する所得につき当該各号の規定により計算した金額の合計金額(以下所得金額という。)による。
一 公債、社債及び預金の利子並びに合同運用信託の利益(以下利子所得という。)は、その年中の收入金額(無記名の公債及び社債の利子については、支拂を受けた金額)
二 法人から受ける利益若しくは利息の配当又は剩余金の分配(以下配当所得という。)は、その年中の收入金額(無記名株式の配当については、支拂を受けた金額)から、その元本を取得するために要した負債の利子を控除した金額
三 第五條第一項に規定する利益の配当若しくは剩余金の分配又は積立金(法人税法第十六條及び特別法人税法第九條ノ二に規定する積立金をいう。)でなした利益の配当若しくは剩余金の分配で株式若しくは出資の拂込に充てられたもの(以上臨時配当所得という。)は、前号の規定にかかわらず、その年中の收入金額(無記名株式の配当については、支拂を受けた金額)の十分の五に相当する金額
四 俸給、給料、賃金、歳費、費用弁償、年金、恩給及び賞與並びにこれらの性質を有する給與(以下給與所得という。)は、その年中の收入金額から、その十分の二に相当する金額(その金額が六千円を超えるときは六千円)を控除した金額
五 一時恩給及び退職給與並びにこれらの性質を有する給與(以下退職所得という。)は、その年中の收入金額の十分の五に相当する金額
六 山林の伐採又は讓渡に因る所得(以下山林所得という。)は、その年中の総收入金額から必要な経費を控除した金額の十分の五に相当する金額
七 不動産、不動産上の権利、船舶(製造中の船舶を含む。)、鑛業若しくは砂鑛業に関する権利若しくは設備又は株式その他命令で定める資産の讓渡に因る所得(前号に規定する所得及び営利を目的とする継続的行爲に因り生じた所得を除く。以下讓渡所得という。)は、その年中の総收入金額から当該資産の取得價格、設備費、改良費及び讓渡に関する経費を控除した金額の十分の五に相当する金額
八 前各号以外の所得(以下事業等所得という。)は、その年中の総收入金額から必要な経費を控除した金額
前項の規定により所得金額を計算する場合において、配当所得又は事業等所得の計算上損失があるときは、これを山林所得及び讓渡所得以外の所得の金額から差し引いて計算する。
第一項の規定により所得金額を計算する場合において、山林所得の計算上損失があるときは、これを讓渡所得の金額から差し引いて計算し、讓渡所得の計算上損失があるときは、これを山林所得の金額から差し引いて計算する。
第五條第三項の規定は、第一項第七号に規定する株式その他命令で定める資産の取得價額について、これを準用する。
第十條 前條第一項第一号乃至第五号に規定する收入金額は、その收入すべき金額(金銭以外の物又は権利を以て收入すべき場合においては、当該物又は権利の價額以下同じ。)により、同項第六号乃至第八号に規定する総收入金額は、その收入すべき金額の合計金額による。
前條第一項第六号及び第八号の規定により総收入金額から控除すべき経費は、種苗、蚕種又は肥料の購買費、家畜等の飼養料、仕入品の原價、原料品の代價、土地、家屋その他の物件の修繕費又は借入料、土地、家屋その他の物件又は業務に係る公租公課、使用人の給料、收入を得るために必要な負債の利子その他收入を得るために必要な経費とする。但し、家事上の経費及びこれに関連する経費は、これを除く。
所得税は、前條第一項第六号及び第八号に規定する必要な経費には、これを算入しない。
前條第一項第七号に規定する資産で財産税法第一條に規定する調査時期前に取得したものについては、前條第一項第七号の取得價額は、その調査時期における價額(土地、家屋、借地法による借地権、借地法による借地権たるもの以外の地上権又は永小作権及び株式その他命令で定める資産の價額については、財産税法第三章の規定及びこれに基いて発する命令により計算した價額)にその百分の五に相当する金額を加算した金額によることとし、前條第一項第七号の設備費又は改良費は、その調査時期後になされた設備又は改良のため要した費用に限る。
前條第一項第七号及び前項の規定の適用については、相続、贈與又は遺贈に因り取得した資産は、相続人、受贈者又は受遺者が引き続きこれを有していたものとみなす。
前條第一項第七号及び前二項に定めるものの外、讓渡所得の計算に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第十一條 公債若しくは社債又は無記名の株式について、その所有者以外の者が利子又は配当の支拂を受けるときは、利子所得、配当所得及び臨時配当所得の計算上、その所有者が支拂を受けるものとみなす。但し、利子又は配当の生ずる期間中にその所有者に異動があつたときは、最後の所有者を利子又は配当の支拂を受ける者とみなす。
第十二條 第一條第一項又は第二項第一号の規定に該当する個人については、その所得金額から四千八百円を控除する。
前項の個人が給與所得又は退職所得とその他の所得とを有する場合においては、前項の控除は、まず、給與所得又は退職所得について、これをなし、なお不足額があるときは、その他の所得に及ぶものとする。
同居親族のうちに、所得を有する者が二人以上ある場合において、これらの者の所得の全部が給與所得及び退職所得以外の所得であるときは、これらの者の所得金額は、これを合算し、その総額について第一項の規定を適用する。
同居親族のうちに、所得を有する者が二人以上ある場合において、給與所得又は退職所得を有する者が一人だけであるときは、まずその者の給與所得又は退職所得について第一項の控除をなし、なお不足額があるときに限り、その不足額をその者及び他の同居親族の他の所得の金額から控除する。
同居親族のうちに、給與所得又は退職所得を有する者が二人以上ある場合においては、当該所得を有する者の当該所得の金額から各各四千八百円(当該所得の金額が四千八百円に満たない者については、当該所得の金額に相当する金額)を控除する。この場合において、同居親族の給與所得又は退職所得の金額から控除する金額の合計額が四千八百円に満たないときは、その不足額は、同居親族の他の所得の金額から、これを控除する。
前三項の場合において、誰の他の所得の金額からいかなる金額を控除するかは、命令でこれを定める。
第十三條 所得税は、前條の規定による控除後の所得金額(以下課税所得金額という。)を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して、これを課する。
一万円以下の金額 百分の二十
一万円を超える金額 百分の二十五
一万五千円を超える金額 百分の三十
二万円を超える金額 百分の三十五
三万円を超える金額 百分の四十
四万円を超える金額 百分の四十五
五万円を超える金額 百分の五十
七万円を超える金額 百分の五十五
十万円を超える金額 百分の六十
二十万円を超える金額 百分の六十五
五十万円を超える金額 百分の七十
百万円を超える金額 百分の七十五
前項の場合において、同居親族の課税所得金額は、これを合算し、その総額に対し税率を適用して計算した金額を、各各その課税所得金額に按分して、各各その税額を定める。
第十四條 第一條第一項の規定に該当する個人については、扶養親族一人につき二百四十円を、前條の規定を適用して計算した所得税額から控除する。
同居親族のうち、所得を有する者が二人以上あるときは、これらの者につき前條の規定を適用して所得税額を計算し、その税額を合算し、その合算額について前項の規定を適用する。
前項の場合において、誰の所得税額からいかなる金額を控除するかは、命令でこれを定める。
第十五條 第一條第一項又は第二項第一号の規定に該当する個人で、所得金額(同居親族については、所得金額の合計額)が五万円以下のものに課すべき所得税の税額は、前三條の規定により計算した金額によらず、命令の定めるところにより、所得金額並びに扶養親族の有無及びその数に應じ、別表第一に定める金額(第一條第二項第一号の規定に該当する個人及び命令で定める者については、所得金額に應じ、扶養親族がない者について同表に定める金額)による。
第十六條 第二十六條第二項の規定により、同條第一項に規定する確定申告書の提出を必要としない者に課すべき所得税の税額は、第十二條乃至第十四條の規定により計算した金額又は前條の規定による所得額によらず、第三十七條第一項、第三十八條第一項、第四十條又は第四十二條の規定により徴收すべき税額の合計金額による。
第十七條 第一條第二項の規定に該当する個人が、この法律の施行地において支拂を受ける利子所得、配当所得又は臨時配当所得については、第九條第一項第一号乃至第三号及び第十三條の規定にかかわらず、他の所得とこれを区分し、その支拂を受くべき金額(無記名の公債及び社債の利子並びに無記名株式の配当については、支拂を受けた金額、第五條第一項に規定する利益の配当又は剩余金の分配については、その支拂又は拂戻を受ける金額が株式又は出資の拂込済金額を超過する場合におけるその超過金額)に対し、百分の三十の税率を適用して、所得税を課する。
第一條第二項の規定に該当する個人が、この法律の施行地において支拂を受ける給與所得又は退職所得については、第九條第一項第四号及び第五号並びに第十三條の規定にかかわらず、他の所得とこれを区分し、その支拂を受くべき金額(退職所得については、その支拂を受くべき金額の十分の五に相当する金額)に対し、百分の二十五の税率を適用して、所得税を課する。
第十八條 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人が、この法律の施行地において支拂を受ける利子所得、配当所得又は臨時配当所得については、第九條第一項第一号乃至第三号及び第十三條の規定にかかわらず、その支拂を受くべき金額(無記名の公債及び社債の利子並びに無記名株式の配当については、支拂を受けた金額、第五條第一項に規定する利益の配当又は剩余金の分配については、その支拂又は拂戻を受ける金額が株式又は出資の拂込済金額を超過する場合におけるその超過金額)に対し、百分の二十の税率を適用して、所得税を課する。
この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人が、この法律の施行地において支拂を受ける利子所得、配当所得又は臨時配当所得については、第九條第一項第一号乃至第三号及び第十三條の規定にかかわらず、その支拂を受くべき金額(無記名の公債及び社債の利子並びに無記名株式の配当については、支拂を受けた金額、第五條第一項に規定する利益の配当又は剩余金の分配については、その支拂又は拂戻を受ける金額が株式又は出資の拂込済金額を超過する場合におけるその超過金額)に対し、百分の三十の税率を適用して、所得税を課する。
第十九條 信託会社が、その引き受けた合同運用信託の信託財産について納付した所得税額は、命令の定めるところにより、当該合同運用信託の利益に対する所得税額から、これを控除する。
前項の規定により控除すべき合同運用信託の信託財産について納付した所得税額は、当該合同運用信託の利益の計算上、当該利益に、これを加算する。
第二十條 命令で指定する重要物産の製造、採掘又は採取を業とする個人には、命令の定めるところにより、開業の年及びその翌年から三年間は、その業務から生じた所得に対する所得税を免除する。
前項の重要物産の製造、採掘又は採取を業とする個人が、その設備を増設したときは、命令の定めるところにより、設備を増設した年及びその翌年から三年間は、その増設した設備による物産の製造、採掘又は採取の業務から生じた所得に対する所得税を免除する。
第三章 申告
第一節 予定申告
第二十一條 第一條第一項又は第二項第一号の規定に該当する個人は、毎年四月一日においてその年中における所得金額が四千八百円を超えると見積られるときは、毎年四月一日から同月三十日までに、命令の定めるところにより、左に掲げる事項その他必要な事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。(この申告書を四月予定申告書という。)
一 その年分の所得金額及び当該所得金額につき第十二條乃至第十四條の規定により計算した所得税額(所得金額が五万円以下と見積られる者については、第十五條の規定による所得税額)の見積額
二 その年分の第三十七條第一項、第三十八條第一項、第四十條又は第四十二條の規定により徴收される所得税額及び当該税額の計算の基礎となる所得金額の見積額
三 第一号に規定する所得税額の見積額から前号に規定する徴收税額の見積額を控除した金額
四 扶養親族の数
前項の場合において、その年中における給與所得及び退職所得の收入金額(退職所得については、收入金額の十分の五に相当する金額)の合計金額が六万円以下で、且つ、その他の所得の金額が千円に満たないと見積られるときは、四月予定申告書は、これを提出することを要しない。
四月予定申告書に記載すべき所得金額及び所得税額の見積額並びに扶養親族の数は、毎年四月一日の現況による。
同居親族のその年中における所得金額の見積額は、これを合算し、その総額について第一項又は第二項の規定を適用する。
同居親族のうちに申告義務者が二人以上ある場合においては、各申告義務者について、第一項に規定する事項を区分して記載し、連署で四月予定申告書を提出しなければならない。但し、他の同居親族の氏名を附記して、各別にこれを提出することを妨げない。
前二項の規定の適用については、同居親族であるかないかは、毎年四月一日(その年一月一日以後三月三十一日以前に死亡した者とその他の者との間の関係においては、死亡当時)の現況による。
第二十二條 第一條第一項又は第二項第一号の規定に該当する個人は、毎年四月二日から十月一日までの間に、左の各号の一に該当することとなつた場合においては、当該各号に定める期限までに、命令の定めるところにより、前條第一項各号に掲げる事項その他必要な事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。(左の第一号の規定により提出する申告書を七月予定申告書といい、第二号の規定により提出する申告書を十月予定申告書という。)
一 毎年七月一日において、あらたにその年中における所得金額が四千八百円を超えると見積られるに至つた場合においては、その年七月一日から同月三十一日限
二 毎年十月一日において、あらたにその年中における所得金額が四千八百円を超えると見積られるに至つた場合においては、その年十月一日から同月三十一日限
前條第二項乃至第六項の規定は、前項の規定による申告書を提出する場合について、これを準用する。この場合において前條第三項及び第六項中「四月一日」とあるのは、前項第一号の場合においては「七月一日」、同項第二号の場合においては「十月一日」と読み替え、前條第六項中「三月三十一日」とあるのは、前項第一号の場合においては「六月三十日」、同項第二号の場合においては「九月三十日」と読み替えるものとする。
第二十三條 四月予定申告書を提出した者は、当該申告書に記載された所得金額又は所得税額の見積額がその年七月一日における所得金額又は所得税額の見積額に比し、増減があるに至つた場合においては、その年七月一日から同月三十一日までの間に、命令の定めるところにより、第二十一條第一項各号に規定する事項のうち異動があつた事項その他必要な事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。(この申告書を七月修正予定申告書という。)
左の各号の一に該当する者は、その年十月一日から同月三十一日までの間に、第二十一條第一項各号に規定する事項のうち、異動があつた事項その他必要な事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。(この申告書を十月修正予定申告書という。)
一 四月予定申告書又は七月予定申告書を提出した者で、当該申告書に記載された所得金額又は所得税額の見積額が、その年十月一日における所得金額又は所得税額の見積額に比し、増減があるに至つたもの
二 七月修正予定申告書を提出した者で、当該申告書に記載された所得金額又は所得税額の見積額が、その年十月一日における所得金額又は所得税額の見積額に比し、増減があるに至つたもの
前二項の規定は、第四十四條第一項乃至第三項の規定による更正又は決定があつた者の当該更正又は決定に係る所得金額の見積額又は第二十一條第一項第三号に規定する金額(以下予定納税額という。)につき増減があるに至つた場合について、これを準用する。
第二十一條第三項乃至第六項の規定は、第一項又は第二項(前項において準用する場合を含む。)の規定による申告書を提出する場合について、これを準用する。この場合において、第二十一條第三項及び第六項中「四月一日」とあるのは、第一項の場合においては「七月一日」、第二項の場合においては「十月一日」と読み替え、第二十一條第六項中「三月三十一日」とあるのは、第一項の場合においては「六月三十日」、第二項の場合においては「九月三十日」と読み替えるものとする。
第二十四條 通信、交通その他の状況により、政府において已むを得ない事由があると認めるときは、政府は、命令の定めるところにより、前三條に規定する申告書の提出期限を延長することができる。
第二十五條 第十四條の控除に関する規定は、四月予定申告書、七月予定申告書又は十月予定申告書に、第二十一條第一項第四号に規定する扶養親族に関する事項の記載がない場合においては同項第一号に規定する所得税額の見積額の計算については、これを適用しない。
但し、命令で定める場合は、この限りでない。
第二節 確定申告
第二十六條 第一條第一項又は第二項第一号の規定に該当する個人は、その年中における所得金額が四千八百円を超えるときは、翌年一月三十一日までに、命令の定めるところにより、左に掲げる事項その他必要な事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。(この申告書を確定申告書という。)
一 その年分の所得金額及び当該所得金額につき第十二條乃至第十四條の規定により計算した所得税額(所得金額が五万円以下である者については、第十五條の規定による所得税額)
二 前号の所得金額及び所得税額の計算の基礎
三 所得の基本たる資産若しくは事業の所在地又は所得の生ずる場所
四 扶養親族の氏名、生年月日、申告者との続柄及び不具癈疾の事実
五 その年中における所得につき第三十七條第一項、第三十八條第一項、第四十條又は第四十二條の規定により徴收された又は徴收さるべき所得税額
六 その年中における所得につき第三十條、第三十一條、第三十三條、第三十四條又は第四十五條の規定により納付した又は納付すべき所得税額(命令で定める金額を除く。)
七 前二号の所得税額の合計額が第一号の所得税額に比し過不足ある場合におけるその超過額又は不足額
前項の場合においてその年中における給與所得及び退職所得の收入金額(退職所得については、收入金額の十分の五に相当する金額)の合計金額が三万円以下で、且つ、その他の所得の金額が五百円に満たない場合その他命令で定める場合においては、確定申告書は、これを提出することを要しない。
第三十八條第一項の規定により税金を徴收された者は、確定申告書には、第六十二條の規定により交付せらるべき源泉徴收票を、添附しなければならない。
確定申告書を提出する義務がある者が当該申告書の提出前に死亡した場合においては、命令の定めるところにより、相続人その他の者は、当該申告書を提出しなければならない。
第二十一條第四項及び第五項並びに第二十四條の規定は、確定申告書を提出する場合について、これを準用する。
第二十七條 確定申告書を提出した者は、当該申告書に記載された前條第一項第七号に規定する過不足額について不足額が過少であること又は超過額が過大であることを発見したときは、命令の定めるところにより、同項各号に掲げる事項のうち、修正すべきものその他必要な事項を記載した申告書を政府に提出しなければならない。(この申告書を修正確定申告書という。)
確定申告書を提出した者は、当該申告書に記載された前條第一項第七号に規定する過不足額について不足額が過大であること又は超過額が過少であることを発見したときは、確定申告書の提出期限後一箇月間を限り、政府に対し、同項第一号に規定する所得金額及び所得税並びに同項第七号に規定する過不足額の更正の請求をなすことができる。
政府は、前項の請求があつた場合において、その請求の理由がないと認めるときは、その請求をなした者にその旨を通知する。
第二項の請求があつた場合においても、府政は、税金の徴收を猶予しない。但し、政府において已むを得ない事由があると認めるときは、税金の全部又は一部の徴收を猶予することができる。
前條第四項の規定は、修正確定申告書を提出すべき者又は第二項の規定による更正の請求をなし得る者が、当該申告書の提出又は更正の請求前に死亡した場合について、これを準用する。
第二十八條 第十四條の控除に関する規定は、確定申告書に第二十六條第一項第四号に規定する控除に関する事項の記載がない場合においては、同項第一号に規定する所得税額の計算については、これを適用しない。但し、命令で定める場合は、この限りでない。
第二十九條 年の中途において死亡した者のその年一月一日以後死亡の時までの所得金額(死亡当時の同居親族に所得があるときは、その所得金額の見積額との合算額)が四千八百円を超えるときは、命令の定めるところにより、相続人その他の者は、第二十六條第一項の規定に準じ、必要な事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。
第一條第一項又は第二項第一号の規定に該当する個人は、第六十六條に規定する納税管理人の申告をなさないで、この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、命令の定めるところにより、その住所及び居所を有しないこととなる当時の現況により、第二十六條第一項の規定に準じ必要な事項を記載した申告書を、その住所及び居所を有しないこととなる日までに、政府に提出しなければならない。
前二項の場合において、第十四條の控除に関する規定の適用その他に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第四章 納付
第一節 申告納税
第三十條 四月予定申告書を提出した者は、その予定納税額の四分の一に相当する税額の所得税を、左の四期において、政府に納付しなければならない。
第一期 その年四月一日から同月三十日限
第二期 その年七月一日から同月三十一日限
第三期 その年十月一日から同月三十一日限
第四期 翌年一月一日から同月三十一日限
七月予定申告書を提出した者は、その予定納税額の三分の一に相当する税額の所得税を、第二期至第四期において、十月予定申告書を提出した者は、その予定納税額の二分一に相当する税額の所得税を、第三期及び第四期において、それぞれ政府に納付しなければならない。
第三十一條 七月修正予定申告書又は十月修正予定申告書を提出した者の納付すべき所得税額は、左の各号の定めるところにより、当該各号に掲げる金額による。
一 七月修正予定申告書を提出した者が第二期乃至第四期において納付すべき所得税額は、前條第一項の規定による当該納期分の所得税額につき、四月予定申告書に記載された予定納税額と七月修正予定申告書に記載された予定納税額との差額の三分の一に相当する金額を加算又は減算した金額
二 第二十三條第二項第一号の規定による十月修正予定申告書を提出した者が第三期及び第四期において納付すべき所得税額は、前條の規定による当該納期分の所得税額につき、四月予定申告書又は七月予定申告書に記載された予定納税額と十月修正予定申告書に記載された予定納税額との差額の二分の一に相当する金額を加算又は減算した金額
三 第二十三條第二項第二号の規定による十月修正予定申告書を提出した者が第三期及び第四期において納付すべき所得税額は、第一号の規定による当該納期分の所得税額につき、七月修正予定申告書に記載された予定納税額と十月修正予定申告書に記載された予定納税額との差額の二分の一に相当する金額を加算又は減算した金額
第三十二條 確定申告書を提出した者は、予定納税額の申告をなし又はその決定を受けた者であるときは、前二條及び第四十五條の規定による第四期分の所得税額に代え、当該税額につき第二十六條第一項第七号に規定する金額を加算又は減算した金額に相当する税額の所得税を、その他の者であるときは、同号に規定する金額に相当する税額の所得税を、第四期において政府に納付しなければならない。
第二十六條第四項に規定する場合における前項の規定の適用については、被相続人のなした申告又は被相続人の受けた決定は、相続人その他の者のなした申告又はその受けた決定とみなす。この場合においては、同項中「第四期において」とあるのは、「命令で定める期限内に」読み替えるものとする。
修正確定申告書を提出した者は、当該修正に因り増加した所得税額を、当該申告書の提出の日に、政府に納付しなければならない。
第三十三條 その年中における所得の主たる部分が農業から生ずる所得で、且つ、その年十月一日以後において生ずるものである者の納付する所得税の納期その他の事項については、命令で特別の定をなすことができる。
第二十四條(第二十六條第五項において準用する場合を含む。)の規定により申告書の提出期限の延長があつた場合においては、命令で定める税額の所得税については、その納期限が当該提出期限まで延長されたものとみなす。
四月予定申告書、七月予定申告書、十月予定申告書、七月修正予定申告書、十月修正予定申告書、確定申告書又は第二十九條第一項若しくは第二項に規定する申告書の提出期限後又は申告をなすべき日後に当該申告書を提出した者の所得税については、命令の定めるところにより、当該申告書の提出の日に、これを政府に納付しなければならない。
第三十四條 第二十九條第一項の規定による申告書を提出した者は、命令の定めるところにより、被相続人の納付すべき所得税額のうち、まだ被相続人が納付していない税額の所得税を、政府に納付しなければならない。
第二十九條第二項の規定による申告書を提出した者は、命令の定めるところにより、その納付すべき所得税額のうち、まだ納付していない税額の所得税を、この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなる日までに、政府に納付しなければならない。
第三十五條 納税義務者が、前五條に規定する所得税を期限内に完納しなかつたときは、政府は、國税徴收法第九條の規定により、これを督促する。
第一期乃至第三期において納付すべき所得税については、國税徴收法第三章の規定により滯納処分を行う場合においても、確定申告書の提出期限までは、同法第二十四條の規定による公賣は、これをなすことができない。
第三十六條 七月修正予定申告書又は十月修正予定申告書の提出があつた場合において、すでに納付した所得税額に過納額があるときは、その全部又は一部は、命令の定めるところにより、その後の納期において納付する所得税額に、順次これを充当する。
第二節 源泉徴收
第三十七條 第一條第一項の規定に該当する個人に対し、この法律の施行地において利子所得、配当所得又は臨時配当所得の支拂をなす者は、その支拂の際、その支拂うべき金額(第五條第一項に規定する利益の配当又は剩余金の分配については、その支拂又は拂戻を受ける金額が株式又は出資の拂込済金額を超過する場合に於けるその超過金額)に対し、百分の二十の税率を適用して算出した税額の所得税を徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、これを政府に納付しなければならない。
第一條第一項の規定に該当する個人について、前項の規定により徴收した所得税額が、その年中の所得金額につき第十二條乃至第十四條の規定により計算した所得税額(第十五條の規定の適用を受くべき者については、同條の規定による所得税額)を超える場合においては、第十二條乃至第十五條の規定にかかわらず、命令の定めるところにより、前項の規定により徴收した金額を以てその者のその年中に納付すべき所得税額とする。
第三十八條 第一條第一項の規定に該当する個人に対し、この法律の施行地において給與所得又は退職所得の支拂をなす者(命令で定める者を除く。)は、その給與の支拂をなす際、左の各号に定めるところにより、左に掲げる税額の所得税を徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、これを政府に納付しなければならない。
一 第三十九條の規定による申告書を提出した者の当該申告書の経由先から支拂を受ける給與については、その給與の支給期が毎月、毎半月、毎旬、毎週又は毎日と定められているときは、当該支給期の区分に從い、その給與の金額並びに申告された扶養親族の有無及びその数に應じ、別表第二の月額表、半月額表、旬額表、週額表又は日額表の各甲欄に掲げる税額
二 第三十九條の規定による申告書を提出した者の当該申告書の経由先から支拂を受ける給與については、その給與の支給期間が月又は週の整数倍の期間により定められているときは、その給與の月割額又は週割額並びに申告された扶養親族の有無及びその数に應じ、別表第二の月額表又は週額表の各甲欄に掲げる税額に当該倍数を乘じて計算した税額
三 第三十九條の規定による申告書を提出した者の当該申告書の経由先から支拂を受ける給與については、その給與の支給期が前二号に定めるものと異なるものであるときは、その給與の日割額並びに申告された扶養親族の有無及びその数に應じ、別表第二の日額表甲欄に掲げる税額にその支給日数を乘じて計算した税額
四 第三十九條の規定による申告書を提出しなかつた者の支拂を受ける給與又は二以上の給與の支拂者から給與の支拂を受ける者の当該申告書の経由先以外の支拂者から支拂を受ける給與については、前三号の規定に準じ、別表第二の各乙欄に掲げる税額(給與の支給期間が月又は週の整数倍の期間により定められているときは、その給與の月割額又は週割額に対する別表第二の月額表又は週額表の各乙欄に掲げる税額に当該倍数を乘じて計算した税額、給與の支給期間が第一号又は第二号に定めるものと異なるものであるときは、給與の日割額に対する別表第二の日割額乙欄に掲げる税額にその支給日数を乘じて計算した税額)
五 賞與及び賞與の性質を有する給與については、その給與の金額及びその金額の計算の基礎となつた期間の区分に應じ、別表第三に掲げる税額
六 退職所得については、その給與の金額に應じ、別表第四に掲げる税額
前項第二号乃至第四号の給與の月割額、週割額及び日割額の意義、同項第一号の申告された扶養親族の数に関する特例その他同項の規定の適用について必要な事項は、命令でこれを定める。
第三十九條 この法律の施行地において支拂を受ける給與所得を有する者は、命令の定めるところにより、給與の支拂者及び扶養親族の氏名その他必要な事項を記載した申告書を、給與の支拂者(二以上の支拂者があるときは、主たる給與の支拂者以下本條において同じ。)を経由し、毎年最初に給與の支拂を受ける日(年の中途においてあらたに給與所得を有するに至つた者については、その最初に給與の支拂を受ける日)の前日までに、政府に提出しなければならない。
前項に規定する申告書を提出した者は、給與の支拂者又は扶養親族に異動があるに至つたときは、命令の定めるところにより、異動があつた事項その他必要な事項を記載した申告書を、給與の支拂者を経由し、その異動があつた日後最初の給與の支拂を受ける日の前日までに、政府に提出しなければならない。
前二項の場合において、給與の支拂者が申告書を受け取つたときは、その申告書は前二項の規定により、政府に提出されたものとみなす。
第四十條 第一條第一項の規定に該当する個人に対し、この法律の施行地において給與所得につき支拂をなす者は、その支拂者がその個人に対しその年中に支拂う給與所得につき第九條第一項第四号の規定により計算した所得金額が五万円以下である場合において、第三十八條第一項の規定により徴收する所得税額の合計額が、当該所得についての第十五條の規定による税額に比し過不足あるときは、命令の定めるところにより、過納額は、その年最後に又はその翌年において給與の支拂をなす際徴收すべき所得税額にこれを充当し、(徴收すべき税額がないときは還付し、)不足額は、その年最後に又はその翌年において給與の支拂をなす際、順次これを徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、これを政府に納付しなければならない。
第四十一條 第十七條又は第十八條に規定する所得につき支拂をなす者は、その支拂の際、第十七條又は第十八條の規定による所得税を徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、これを政府に納付しなければならない。
第四十二條 この法律の施行地において、原稿、挿画、作曲及び音盤吹込の報酬、放送謝金、著作権の使用料及び講演料並びにこれらの性質を有する報酬又は料金の支拂をなす者は、その支拂をなす際、その支拂うべき金額に対し百分の十五の税率を適用して計算した税額の所得税を徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、これを政府に納付しなければならない。
この法律の施行地において、外交員、集金人その他これらの労務者に準ずる者に対し、報酬又は料金の支拂をなす者は、その支拂をなす際、その支拂うべき金額に対し百分の十の税率を適用して計算した税額の所得税を徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、これを政府に納付しなければならない。
第四十三條 第三十七條第一項、第三十八條第一項又は前三條の規定により徴收すべき所得税を徴收しなかつたとき又は徴收した税金を納付しなかつたときは、國税徴收の例により、これを支拂者から徴收する。
法人が解散した場合において、前項の規定により徴收せらるべき税金を納付しないで残余財産を分配したときは、その税金については、清算人が連帶して納税の義務があるものとする。
第五章 更正及び決定
第四十四條 四月予定申告書、七月予定申告書、十月予定申告書、七月修正予定申告書又は十月修正予定申告書の提出があつた場合において、申告又は修正に係る所得金額の見積額又は予定納税額が、政府において調査したところと異なるときは、政府は、その調査により、その所得金額の見積額又は予定納税額の更正をなすことができる。
政府は、四月予定申告書、七月予定申告書又は十月予定申告書の提出をなす義務があると認められる者が、当該申告書を提出しなかつた場合においては、政府の調査により、所得金額の見積額及び予定納税額の決定をなすことができる。
政府は、前二項の規定により更正又は決定をなした所得金額の見積額又は予定納税額について、第二十三條第一項又は第二項の規定に該当する事実があると認めるときは、第一項の規定に準じ、所得金額の見積額又は予定納税額の更正をなすことができる。
政府は、前三項の規定により、所得金額の見積額又は予定納税額の更正をなし又は決定をなしたときは、これを納税義務者に通知する。
この法律の施行地に住所及び居所を有しない個人が、第六十六條に規定する納税管理人の申告をしていないときは、前項の通知に代えて公告をすることができる。この場合においては、公告の初日から七日を経過したときは、その通知があつたものとみなす。
第四十五條 前條第一項又は第三項の規定による政府の更正があつた場合においては、その更正に係る予定納税額と更正前と予定納税額との差額は、左の各号の定めるところにより、更正前の所得税分納額に加算して、これを政府に納付しなければならない。
一 四月予定申告書、七月予定申告書又は十月予定申告書に記載された予定納税額について更正をなした場合においては、更正に因り増加した税額は、第三十條第一項又は第二項に規定する納期及び分納額の区分により、更正前の各納期の所得税分納額にこれを加算する。
二 七月修正予定申告書又は十月修正予定申告書に記載された予定納税額について更正をなした場合においては、更正に因り増加した税額は、第三十一條各号に規定する納期及び分納額の区分により、更正前の各納期の所得税分納額にこれを加算する。
前條第二項の規定により、決定をなした場合においては、その決定に係る予定納税額は、第三十條第一項又は第二項の規定による納期及び分納額の区分により、これを政府に納付しなければならない。
前二項の場合において、納期限前十日にあたる日以後に更正又は決定の通知を受けたときは、更正に因り増加した税額又は決定に係る税額で当該納期以前の納期に係る分は、当該通知を受けた日後一箇月を経過する日までに、これを政府に納付しなければならない。
第三十五條の規定は、前三項の規定に因る更正により増加した税額又は決定に係る税額について、これを準用する。
第四十六條 確定申告書又は修正確定申告書の提出があつた場合において、当該申告書に記載された所得金額若しくは所得税額又は第二十六條第一項第七号に規定する金額が、政府において調査したところと異なるときは、政府は、その調査により、所得金額若しくは所得税額又は同号に規定する金額の更正をなす。
政府は、確定申告書の提出をなす義務があると認められる者が、当該申告書を提出しなかつた場合においては、政府の調査により、所得金額及び所得税額並びに第二十六條第一項第五号乃至第七号に規定する金額の決定をなす。
前二項の規定は、第二十九條第一項又は第二項の規定による申告書の提出があつた場合又は当該申告書の提出がなかつた場合について、これを準用する。
政府は、前三項の規定による更正又は決定後、その更正し又は決定した所得金額若しくは所得税額又は第二十六條第一項第七号に規定する金額について脱漏があること(同項第七号に規定する金額が超過額であるときは、当該金額が過大であること)を発見したときは、政府の調査により、所得金額若しくは所得税額又は同項第七号に規定する金額の更正をなすことができる。
政府は、前四項の規定により更正又は決定をなしたときは、これを納税義務者に通知する。
第四十四條第五項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第四十七條 政府は、前條第一項乃至第四項の規定により更正又は決定をなした場合において、その追徴税額(その不足税額又はその決定による税額をいう。以下同じ。)があるときは、同條第五項の通知をなした日から一箇月後を納期限として、これを徴收する。
第六章 審査、訴願及び訴訟
第四十八條 納税義務者は、第四十四條第四項の規定により政府の通知した所得金額の見積額又は予定納税額に対し異議があるときは、通知を受けた日から一箇月以内に、不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。
第二十七條第四項の規定は、前項の請求があつた場合について、これを準用する。
第四十九條 納税義務者は、第四十六條第五項の規定により政府の通知した所得金額若しくは所得税額若しくは第二十六條第一項第五号乃至第七号に規定する金額又は第五十七條第二項の規定により政府の通知した税額に対して異議があるときは、通知を受けた日から一箇月以内に、不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。
前項の規定は、第二十七條第三項の規定による政府の通知に対し、納税義務者が異議がある場合について、これを準用する。
第二十七條第四項の規定は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の請求があつた場合について、これを準用する。
第五十條 政府は、第四十八條第一項又は前條第一項(同條第二項において準用する場合を含む。)の請求があつたときは、これを決定し、納税義務者に通知しなければならない。
前項の場合において必要な事項は、政令でこれを定める。
第五十一條 前條第一項の決定に対し不服がある者は、訴願をなし又は裁判所に出訴することができる。
第四十四條第一項乃至第三條若しくは第四十六條第一項乃至第四項の規定による更正若しくは決定又は第五十七條第一項の規定による所得税額の追徴税額に関する訴願又は訴訟は、審査の決定を経た後でなければ、これをなすことができない。
第七章 雜則
第五十二條 納税義務者が、災害その他の事由に因り著しく資力を喪失して、納税困難と認められるときは、政府は、命令の定めるところにより、所得税を軽減し又は免除することができる。
政府は、前項の場合において、同項の規定による軽減又は免除の処分が確定するまで、税金の徴收を猶予することができる。
第五十三條 納税義務者の提出した申告書又は更正若しくは決定に関する書類を閲覽しようとする者は、命令の定めるところにより、政府にその閲覽を請求することができる。
第五十四條 納税義務があると認められる者が、確定申告書若しくは修正確定申告書を提出しなかつた事実又は所得金額若しくは所得税額若しくは第二十六條第一項第七号に規定する金額に脱漏があると認められる事実(同号に規定する金額が超過額であるときは、当該金額が過大であると認められる事実)を、政府に報告した者がある場合において、政府がその報告に因つて当該所得金額、所得税額又は同号に規定する金額を決定し又は更正したときは、政府は、命令の定めるところにより、その報告者に対し、決定又は更正に因り徴收することができた税額の百分の十以下に相当する金額を、報償金として交付することができる。但し、報償金の金額は、十万円を超えることができない。
前項の規定は、その報告をなした者が官吏又は待遇官吏であるときは、これを適用しない。その報告が官吏若しくは待遇官吏の知り得た事実、公務員(官吏及び待遇官吏を除く。)の職務上知り得た事実又は不法の行爲に因り知り得た事実に基くものである場合も、また同樣とする。
第五十五條 納税義務者は、第二十七條第一項の規定による修正に因り増加した税額、第三十三條第三項の規定により納付する税額、第四十四條第一項若しくは第三項の規定による更正に因り増加した税額又は同條第二項の規定による決定に係る税額については、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、当該税額百円につき一日三銭の割合を乘じて計算した金額に相当する税額を加算して納付しなければならない。
前項の規定は、政府が第四十七條に規定する追徴税額を徴收する場合について、これを準用する。
第三十五條の規定は、第一項の場合について、これを準用する。
第五十六條 第四十三條の規定により支拂者から所得税を徴收する場合においては、第三十七條第一項、第三十八條第一項又は第四十條乃至第四十二條の規定により徴收すべき所得税を徴收しなかつたこと又は徴收した所得税を政府に納付しなかつたことについて已むを得ない事由があると認められる場合を除く外、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、当該税額百円につき一日三銭の割合を乘じて計算した金額に相当する税額を加算する。
第五十七條 確定申告書の提出期限後に確定申告書若しくは修正確定申告書の提出があつた場合又は第四十七條の規定による追徴税額に相当する所得税を徴收することとなつた場合において、左の各号の一に該当するときは、当該各号に掲げる事実について已むを得ない事由があると認められる場合を除く外、政府は、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、第一号の場合においては、第二十六條第一項第七号に規定する金額、第二号の場合においては、修正確定申告により増加した所得税額、第三号の場合においては、追徴税額に相当する所得税額に、一箇月を経過するごとに百分の五の割合を乘じて計算した金額に相当する所得税を追徴する。但し、この金額は、当該税額に百分の五十を乘じて計算した金額を超えることができない。
一 確定申告書の提出期限後に確定申告書を提出した場合においては、確定申告書の提出期限内に確定申告書を提出しなかつたこと
二 修正確定申告書の提出があつた場合においては、前の確定申告又は修正確定申告に係る所得税額について誤謬があつたこと
三 第四十七條に規定する追徴税額に相当する税額の所得税を徴收することとなつた場合においては、納税義勞者の申告又は修正に係る所得税額が政府の調査した所得税額と異なること
政府は、前項の規定により追徴する税額を決定したときは、これを納税義務者に通知する。
第四十四條第五項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第五十八條 この法律の施行地において利子の支拂をなすべき公債又は社債を募集した者(委託募集の場合は委託を受けて募集した者)は、命令の定めるところにより、その公債又は社債に関する事項を記載した調書を、政府に提出しなければならない。
第五十九條 この法律の施行地において無記名の公債、社債又は株式について利子又は配当の支拂を受ける者は、命令の定めるところにより、氏名又は名称、住所その他必要な事項を、利子又は配当の支拂の取扱者に告知しなければならない。
利子又は配当の支拂の取扱者は、前項の告知をなさしめた後でなければ、その支拂をなすことができない。
第六十條 この法律の施行地において、俸給、給料、賃金、歳費、費用弁償、年金、恩給、賞與若しくはこれらの性質を有する給與又は報酬若しくは料金で命令で定めるものの支拂をなす者は、命令の定めるところにより、使用人又は労務者の職名別人員その他必要な事項を政府に申告しなければならない。
第六十一條 左に掲げる者は、命令の定めるところにより、支拂調書を政府に提出しなければならない。
一 公債、社債若しくは預金の利子又は合同運用信託の利益の支拂をなす者
二 利益若しくは利息の配当又は剩余金の分配をなす法人
三 第四十二條に規定する報酬又は料金の支拂をなす者
合同運用信託以外の信託の受託者は、命令の定めるところにより、各信託について、計算書を政府に提出しなければならない。
第六十二條 第三十八條第一項の規定に該当する給與支拂者は、命令の定めるところにより、左に掲げる事項その他必要な事項を記載した源泉徴收票二通を作成し、給與の支拂をなした年の翌年一月二十五日まで(年の中途において退職があつたときは、退職後一箇月以内)に、一通を政府に提出し、他の一通を給與の支拂を受ける者に交付しなければならない。
一 その年中の支拂に係る給與所得及び退職所得につきその種類ごとにその合計額
二 前号の所得につき第三十八條第一項及び第四十條の規定により徴收した所得税額
三 第三十九條の規定により申告された扶養親族の数
政府の承認を受けた場合においては、前項の規定による源泉徴收票の提出及び交付を要しない。
第六十三條 收税官吏は、所得税に関する調査について必要があるときは、左に掲げる者に質問し又はその者の事業に関する帳簿書類その他の物件を檢査することができる。
一 納税義務者又は納税義務があると認められる者
二 前二條に規定する支拂調書、計算書又は源泉徴收票を提出する義務がある者
三 納税義務者若しくは納税義務があると認められる者に金銭若しくは物品の給付をなす義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又は納税義務者若しくは納税義務があると認められる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者
第六十四條 收税官吏は、所得税に関する調査について必要があるときは、命令で定める事業をなす者の組織する團体に、その團体員の所得に関する事項を諮問することができる。
前項に規定する團体は、同項の諮問を受けたときは、命令の定めるところにより、調書を提出しなければならない。
第六十五條 所得税は、納税義務者の住所地(この法律の施行地に住所がないときは居所地)をその納税地とする。但し、納税義務者は、政府に申告して、居所地を納税地とすることができる。
この法律の施行地に住所及び居所がない納税義務者は、納税地を定めて政府に申告しなければならない。その申告がないときは、政府は、その納税地を指定する。
第六十六條 納税義務者が、納税地に現住しないときは、この法律による申告書の提出、納税その他所得税に関する一切の事項を処理させるため、納税地に居住する者のうちから納税管理人を定め、政府に申告しなければならない。命令で定める場合を除く外、納税義務者が、この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときも、また同樣とする。
第六十七條 同族会社の行爲又は計算でその株主若しくは社員又はこれと親族、使用人、命令で定める出資関係がある会社等特殊の関係がある者の所得について、所得税を免れる目的があると認められる場合においては、政府は、所得金額又は所得税額の更正又は決定に際し、その行爲又は計算にかかわらず、その認めるところにより、所得金額又は所得税額を計算することができる。
前項の同族会社とは、法人税法第三十四條第二項に規定する会社をいう。
第六十八條 都道府縣、市町村その他の公共團体は、所得税の附加税を課することができない。
第八章 罰則
第六十九條 詐僞その他不正の行爲により第二十六條第一項第一号に規定する所得税額の全部又は一部につき所得税を免れた者は、これを一年以下の懲役又はその免れた税金の三倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。詐僞その他不正の行爲により第三十七條第一項、第三十八條第一項又は第四十條乃至第四十二條の規定により徴收せらるべき所得税を免れた者も、また同樣とする。
前項の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第一項の場合においては、政府は、直ちに、その免れた税金を徴收する。
第七十條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 四月予定申告書、七月予定申告書、十月予定申告書、七月修正予定申告書又は十月修正予定申告書に虚僞の記載をなしてこれを政府に提出した者
二 第五十九條第一項に規定する告知すべき事項について、虚僞の告知をなした者及び同項の規定に違反し告知をなさしめないで支拂をなした者
三 第六十一條第一項若しくは第二項の支拂調書若しくは計算書若しくは第六十二條第一項の源泉徴收票を政府に提出せず又はその支拂調書、計算書若しくは源泉徴收票に虚僞の記載をなしてこれを政府に提出した者
四 第六十二條第一項の源泉徴收票を給與の支拂を受ける者に交付せず又はその源泉徴收票に虚僞の記載をなしてこれを交付した者
五 第六十三條の規定による帳簿書類その他の物件の檢査を拒み、妨げ又は忌避した者
六 前号の帳簿書類で虚僞の記載をなしたものを呈示した者
七 第六十三條の規定による收税官吏の質問に対し答弁をなさない者
八 前号の質問に対し虚僞の答弁をなした者
第七十一條 所得税に関する調査に関する事務に從事している者又は從事していた者が、その事務に関して知り得た祕密を漏らし又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
第七十二條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第六十九條又は第七十條の違反行爲をなしたときは、その行爲者を罰する外、その法人又は人に対し、各本條の罰金刑を科する。
第七十三條 他人の所得税について、政府に対し、第五十四條に規定する事実に関する虚僞の報告をなした者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第七十四條 第六十九條第一項の罪を犯した者には、刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、これを適用しない。但し、懲役刑に処するときは、この限りでない。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 この法律は、本州、北海道、四國、九州及びその附属の島(勅令で定める地域を除く。)にこれを施行する。
第三條 この法律は、昭和二十二年分以後の所得税につき、これを適用する。但し、讓渡所得のうち、株式その他命令で定める資産の讓渡に因る所得に対する所得税については、昭和二十二年四月一日以後における讓渡に因る分に、これを適用する。
改正後の第十七條及び第十八條の規定により課する所得税については、昭和二十二年四月一日以後の支拂に係る所得につき、これを適用する。
第四條 不動産所得、乙種の配当利子所得、甲種の事業所得及び乙種の事業所得、乙種の勤勞所得、山林の所得、乙種の退職所得及び個人の総所得に対する昭和二十一年分以前の所得税及びこの法律施行前に課した又は課すべきであつた甲種の配当利子所得、丙種の事業所得、甲種の勤勞所得、甲種の退職所得及び清算取引所得に対する分類所得税並びに從前の第百六條第一項の規定により支拂の際賦課することを得べき綜合所得税については、なお從前の例による。但し、從前の第三十六條第二項又は第六十八條第一項の規定により所得金額を決定すべき場合においては、これらの規定にかかわらず、所得調査委員会の調査又は所得審査委員会の決議によることなく、政府において、その所得金額を決定する。
第五條 改正後の第一條第一項の規定に該当する個人が、この法律の施行地において支拂を受ける公債、社債、銀行預金、銀行貯蓄預金、市町村農業会貯金、産業組合貯金、市街地信用組合貯金その他命令で定める預金の利子及び命令で定める。合同運用信託の利益については、改正後の第九條第一項第一号及び第十三條の規定にかかわらず、納税義務者の申告により、他の所得とこれを区分し、利子又は利益の支拂の際、その利子金額又は利益金額を課税標準とし、百分の六十の税率により、その所得税を課することができる。
前項の規定による所得税は、その利子又は利益の支拂の際、支拂者においてこれを徴收し、その徴收の日の属する月の翌月十日までに、政府に納付しなければならない。
改正後の第四十三條及び第五十六條の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第六條 信託会社が、その引き受けた合同運用信託の信託財産について、從前の規定により納付した甲種の配当利子所得に対する分類所得税額は、命令の定めるところにより、当該合同運用信託の利益に対する所得税額から、これを控除する。
前項の場合において、控除すべき分類所得税額は、当該合同運用信託の利益の計算上、当該利益にこれを加算する。
第七條 増加所得税は、改正後の第九條第一項第六号及び第八号に規定する必要な経費には、これを算入しない。
第八條 昭和二十二年分の所得税については、昭和二十二年一月一日から同年三月三十一日までの間に支拂を受くべき甲種の配当利子所得(公債及び社債については、支拂を受けた利子)に対する分類所得税額又は從前の第百六條第一項の規定により支拂の際課せられた綜合所得税額は、これを改正後の第三十七條第一項又は附則第五條第二項の規定により徴收された所得税額とみなす。
昭和二十二年分の所得税については、昭和二十二年一月一日から同年三月三十一日までの間に支給に係る丙種の事業所得、甲種の勤勞所得又は甲種の退職所得に対する分類所得税額は、これを改正後の第三十八條第一項、第四十條又は第四十二條の規定により徴收された所得税額とみなす。
第九條 從前の第三十五條第二項の規定に基く命令の規定により、昭和二十二年一月一日現在の扶養家族につき提出された控除に関する申請書は、これを改正後の第三十九條第一項の規定により提出された申告書とみなす。
この法律施行の際、現に改正後の第八條第三項の規定に該当する扶養親族と前項に掲げる申請書に記載された扶養家族とが異る場合においては、給與所得の支拂を受ける者は、この法律の施行後最初に給與の支拂を受ける日の前日までに、改正後の第三十九條第二項に規定する申告書を、給與の支拂者(二以上の支拂者があるときは、主たる給與の支拂者)を経由し政府に提出しなければならない。
改正後の第三十九條第三項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第十條 昭和二十二年に限り、四月予定申告書、七月予定申告書、十月予定申告書、七月修正予定申告書及び十月修正予定申告書に関する事項並びに第一期及び第二期の納期については、命令で特別の定をなすことができる。
第十一條 日本國憲法施行の日までは、改正後の第五十條第二項中「政令」とあるのは「勅令」、改正後の第五十一條第一項中「裁判所」とあるのは「行政裁判所」と読み替えるものとする。
第十二條 財産税法の一部を次のように改正する。
附則第三項を次のように改める。
納税義務者が財産税の納付に関し立木を讓渡した場合(立木を伐採して讓渡した場合を含む。)又は立木を財産税の物納に充てた場合においては、命令の定めるところにより、所得税法第九條第一項第六号の規定にかかわらず、当該立木の讓渡又は物納に因り生ずる收入金額から必要な経費及び財産税額に納税義務者の調査時期における財産の價額中その讓渡し又は物納に充てた立木の價額が占める割合を乘じて算出した金額の合計額を控除した金額の十分の五に相当する金額により所得金額を計算する。
第十三條 増加所得税の課税については、なお從前の所得税法第五條、第六條、第十條第一項、第一号、第三号、第五号及び第八号、第十一條第六号及び第七号、第十二條第二項、第三項及び第六項乃至第八項、第三十六條第四項、第三十九條第二項、第六十六條、第七十三條第二項、第七十五條、第七十六條、第八十一條、第八十二條及び第八十四條乃至第八十七條の規定並びに從前の財産税法附則第三項の規定による。
第十四條 この法律施行前になした行爲に対する罰則の適用については、なお從前の例による。
第十五條 昭和二十一年法律第十四号(所得税法の一部を改正する等の法律)の一部を次のように改正する。
第五十一條に次の但書を加える。
但し、從前の同法第十七條第二項又は第二十二條第一項の規定により利得金額を決定すべき場合においては、これらの規定にかかわらず、昭和二十二年の所得税法を改正する法律による改正前の所得税法の所得調査委員会又は所得審査委員会の調査又は決議によるここなく、政府において、その利得金額を決定する。
法人税法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
法人税法を改正する法律案
法人税法目次
第一章 総則
第二章 課税標準
第三章 税率
第四章 申告
第五章 納付
第六章 課税標準の更正及び決定
第七章 同族会社に関する課税の特例
第八章 審査、訴願及び訴訟
第九章 雜則
第十章 罰則
法人税法
第一章 総則
第一條 左に掲げる法人は、この法律により、法人税を納める義務がある。
一 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人
二 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産又は事業を有するもの
第二條 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人に対しては、その所得及び資本の全部について法人税を課し、この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産又は事業を有するものに対しては、この法律の施行地にある資産又は事業の所得及びこれに関する資本についてのみ法人税を課する。
第三條 法人が合併した場合においては、合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人は、合併に因り消滅した法人の所得及び資本について法人税を納める義務がある。
第四條 法人税は、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体及び民法第三十四條の規定により設立した法人には、これを課さない。
第五條 第九條の規定により計算した各事業年度(清算中の事業年度を除く。以下同じ。)の普通所得金額(第六條の規定により法人税を免除する場合における当該業務より生ずる所得金額を含む。以下本條において同じ。)のない法人の当該事業年度の資本に対する法人税は、これを免除する。第十七條及び第四十一條の規定により算出した各事業年度の資本に対する法人税額が、その事業年度の普通所得金額からその事業年度の普通所得及び超過所得に対する法人税額を控除した残額を超過するときは、その超過額に相当する各事業年度の資本に対する法人税についても、また同樣とする。
第六條 命令で指定する重要物産の製造、採掘又は採取をなす法人には、命令の定めるところにより、製造、採掘又は採取の事業を開始した事業年度及びその翌事業年度開始の日から三年以内に終了する事業年度において、その業務から生じた各事業年度の普通所得に対する法人税を免除する。
前項の重要物産の製造、採掘又は採取をなす法人が、その設備を増設したときは、命令の定めるところにより、当該事業年度及びその翌事業年度開始の日から三年以内に終了する事業年度において、その増設した設備による物産の製造、採掘又は採取の業務から生じた各事業年度の普通所得に対する法人税を免除する。
第七條 この法律において事業年度とは、法令又は定款に定める事業年度をいう。
法人が事業年度の中途において解散し又は合併に因り消滅した場合においては、この法律の適用については、その事業年度開始の日から解散又は合併の日までの期間を一事業年度とみなす。
第二章 課税標準
第八條 法人税は、左に掲げる所得及び資本について、これを課する。
一 各事業年度の普通所得
二 各事業年度の超過所得
三 清算所得
四 各事業年度の資本
第九條 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人の各事業年度の普通所得は、各事業年度の総益金から総損金を控除した金額による。
法人が各事業年度において、納付した又は納付すべき法人税又は罰金若しくは科料(通告処分による罰金又は科料に相当する金額を含む。)は、前項の普通所得の計算上、これを損金に算入しない。
法人が各事業年度においてなし
寄附金のうち、命令の定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、第一項の普通所得の計算上、これを損金に算入しない。但し、命令で定める寄附金については、命令の定めるところにより、これを損金に算入する。
法人の各事業年度開始の日前一年以内に開始した事業年度において生じた損金は、第一項の普通所得の計算上、これを損金に算入する。
前三項に規定するものの外、第一項の普通所得の計算に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第十條 法人が各事業年度において、所得税法第十八條の規定により納付した所得税額は、命令の定めるところにより、当該事業年度の普通所得及び超過所得に対する法人税額から、これを控除する。
前項の場合において控除すべき所得税法第十八條の規定により納付した所得税額は、法人の各事業年度の普通所得の計算上、これを損金に算入しない。
前二項の規定は、清算所得に対する法人税について、これを準用する。
第十一條 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産又は事業を有するものの各事業年度の普通所得は、この法律の施行地にある資産又は事業について、第九條の規定に準じて計算した金額による。
第十二條 所得税法第四條及び第七條の規定は、法人税を課する場合について、これを準用する。
信託会社の各事業年度の普通所得の計算については、合同運用信託に因る收入及び支出は、その総益金及び総損金から、各各これを控除する。
第十三條 法人の各事業年度の超過所得は、各事業年度の普通所得が各事業年度の資本の金額に対し百分の十を乘じて算出した金額を超過する場合におけるその超過額による。
前項の超過所得の計算の基礎となる各事業年度の普通所得は、第九條第三項但書の規定を適用しないで計算した金額による。
第十四條 法人の清算所得は、左に掲げる金額による。
一 法人が解散した場合において、その残余財産の價額が解散当時の拂込株式金額又は出資金額を超過する場合のその超過額
二 法人が合併した場合において、合併後存続する法人若しくは合併に因り設立した法人が合併に因り消滅した法人の株主又は社員に対し交付する株式の拂込済金額又は出資金額及び金銭の総額が、合併に因り消滅した法人の合併当時の拂込株式金額又は出資金額を超過する場合のその超過額
法人が解散した場合において清算中になした寄附金で、命令で定めるものの價額は、これを残余財産の價額から控除する。
第九條第五項の規定は、第一項の清算所得の計算について、これを準用する。
第十五條 この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人の各事業年度の資本は、各事業年度の各月末における拂込株式金額、出資金額、基金又は醵金の月割平均額及び各事業年度開始の時における積立金額の合計金額に当該事業年度の月数を乘じたものを十二分して計算した金額による。
宗教法人又は法人たる労働組合の各事業年度の資本は、收益を目的とする資産又は事業について前項の規定に準じ、命令の定めるところにより計算した金額による。
この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産又は事業を有するものの各事業年度の資本は、この法律の施行地にある資産又は事業について第一項の規定に準じ、命令の定めるところにより計算した金額による。
法人が合併した場合における各事業年度の資本の計算に関しては、前三項の規定にかかわらず、命令で別段の定をなすことができる。
第十六條 この法律において積立金額とは、積立金その他法人の各事業年度の普通所得のうち、その留保した金額をいう。
法人税として納付すべき金額は前項の留保した金額には、これを算入しない。
第三章 税率
第十七條 法人税は、左の税率により、これを課する。
一 各事業年度の普通所得
この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人 所得金額の百分の三十五
この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産又は事業を有するもの 所得金額の百分の四十五
二 各事業年度の超過所得
各事業年度の超過所得金額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用する。
各事業年度の普通所得のうち、当該事業年度の資本の金額に対し百分の十を乘じて算出した金額を超える金額 百分の十
同百分の二十を乘じて算出した金額を超える金額 百分の二十
同百分の三十を乘じて算出した金額を超える金額 百分の三十
各事業年度の資本の金額が年十万円以下である法人に限り、本号に規定する税率百分の十は、これを百分の五とし、同百分の二十は、これを百分の十五とし、同百分の三十は、これを百分の二十五とする。
三 清算所得
清算所得金額を次のように区分し、各税率を適用する。
積立金又はこの法律若しくは他の法令により法人税を課せられない所得から成る金額 百分の二十
その他の金額 百分の四十五
四 各事業年度の資本 資本金額の千分の五
第四章 申告
第十八條 納税義務がある法人は、第二十一條の規定に該当する場合を除く外、各事業年度終了の日から二箇月以内に、その確定した決算に基き当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を記載した申告書を政府に提出しなければならない。
前項の規定による申告書には、命令の定めるところにより、財産目録、貸借対照表、損益計算書、第六條、第九條、第十一條乃至第十三條及び第十五條の規定により計算した各事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額の計算に関する明細書並びに当該所得及び資本に対する法人税の税額の計算に関する明細書を添附しなければならない。
この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有しない法人でこの法律の施行地に資産又は事業を有するものは、前項の書類の外、この法律の施行地における資産又は事業に関する損益を計算した各事業年度の普通所得金額及び超過所得金額の計算に関する明細書並びにこの法律の施行地における資産又は事業についての資本金額の計算に関する明細書を添附しなければならない。
宗教法人又は法人たる労働組合は、前二項の規定に準じ、收益を目的とする資産又は事業の各事業年度の普通所得金額及び超過所得金額の計算に関する明細書並びに当該資産又は事業についての資本金額の計算に関する明細書を添附しなければならない。
第一項乃至前項の規定は、法人に法人税を課すべき各事業年度の普通所得、超過所得又は資本のない場合について、これを準用する。
第十九條 納税義務がある法人が、前條第一項の場合において、同項の申告期限までに決算が確定していないときは、同項の規定による申告書の提出に代え、同項の申告期限までに、当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を概算し、その概算による当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を記載した申告書を政府に提出しなければならない。
前項の申告書には、命令の定めるところにより、その概算による当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額の計算に関する明細書、法人税の税額の計算に関する明細書その他必要な書類を添附しなければならない。
前條第五項の規定は、第一項の申告書の提出について、これを準用する。
第二十條 前條第一項の規定により概算申告書を提出した法人は、当該事業年度の決算が確定したときは、決算確定の日から二十日以内にその確定した決算に基き当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を記載した申告書を政府に提出しなければならない。
第十八條第二項乃至第五項の規定は、前項の申告書の提出について、これを準用する。
第二十一條 納税義務がある法人について、法令又は定款に定めた事業年度(以下法定事業年度という。)が六箇月を超える場合においては、この法律の適用については、法定事業年度開始の日から六箇月間を一事業年度とみなす。この場合においては、当該法人は、当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を計算し、当該期間の終了の日から二箇月以内に、当該事業年度の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を記載した申告書を政府に提出しなければならない。
第十九條第二項及び第三項の規定は、前項の申告書の提出について、これを準用する。
前二項の規定は、宗教法人及び法人たる労働組合については、これを適用しない。
第二十二條 納税義務がある法人は、前條第一項の規定に該当する場合においては、法定事業年度終了の日から二箇月以内に、その確定した決算に基き当該法定事業年度(前條第一項の規定により一事業年度とみなされた期間を含む。)の普通所得金額、超過所得金額及び資本金額を記載した申告書を政府に提出しなければならない。
第十八條第二項、第三項及び第五項の規定は、前項の申告書の提出について、これを準用する。
第十九條及び第二十條の規定は、第一項に規定する申告期限までに当該法定事業年度の決算が確定していない場合について、これを準用する。
第二十三條 解散した法人は、残余財産のうち拂込株式金額又は出資金額を超過する部分を分配しようとするときは、命令の定めるところにより、命令で定める期限までに、清算所得金額を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。
前項の申告書には、命令の定めるところにより、解散の時における財産目録及び貸借対照表、残余財産分配の時における財産目録及び貸借対照表その他清算に関する計算書並びに当該清算所得に対する法人税の税額の計算に関する明細書を添附しなければならない。
第二十四條 合併後存続する法人又は合併に因り設立した法人は、合併の日から二箇月以内に、合併に因り消滅した法人の清算所得金額を記載した申告書を政府に提出しなければならない。
前項の申告書には、合併に因り消滅した法人の合併の時における貸借対照表その他合併に関する書類及び合併に因り継承した資産の明細書を添附しなければならない。
第二十五條 第十八條乃至前條の規定により政府に申告書を提出した法人又は第十八條乃至前條の申告期限後に申告書を提出した法人は、申告書に記載した各事業年度の普通所得金額、超過所得金額若しくは資本金額又は清算所得金額について脱漏があることを発見したときは、直ちに政府に申し出て、その申告書を修正しなければならない。
前項の申告書の修正をなす場合においては、修正に関する明細書を政府に提出しなければならない。
第五章 納付
第二十六條 左の各号に掲げる法人税は、命令の定めるところにより、当該各号に定める期限内に、これを納付しなければならない。
一 第十八條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税については、同項の申告期限
二 第十九條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税については、同項の申告期限
三 第二十條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税(前号の規定により納付すべき法人税を除く。)については、同項の申告期限
四 第二十一條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税については、同項の申告期限
五 第二十二條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税(前号の規定により納付すべき法人税を除く。)については、同項の申告期限
六 第二十二條第三項において準用する第十九條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税(第四号の規定により納付すべき法人税を除く。)については、同項の申告期限
七 第二十二條第三項において準用する第二十條第一項の規定による申告書に記載された各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税(第四号及び前号の規定により納付すべき法人税を除く。)については、同項の申告期限
八 第二十三條第一項の規定による申告書に記載された清算所得に対する法人税については、同項の命令で定める申告期限
九 第二十四條第一項の規定による申告書に記載された清算所得に対する法人税については、同項の申告期限
第十八條乃至第二十四條の申告期限後に申告書を提出した法人の各事業年度の普通所得、超過所得若しくは資本又は清算所得に対する法人税又は第二十五條第一項の規定による申告書の修正に因り増加した各事業年度の普通所得、超過所得若しくは資本又は清算所得に対する法人税については、当該申告書の提出又は修正の日に納付しなければならない。
第二十七條 法人が解散した場合において、各事業年度の普通所得、超過所得若しくは資本又は清算所得に対する法人税を納付しないで残余財産を分配したときは、その税金については、清算人及び残余財産の分配を受けた者は、連帶して納税の義務があるものとする。但し、残余財産の分配を受けた者は、その受けた利益の限度においてその責に任ずる。
第二十八條 納税義務がある法人が第二十六條第一項に定める期限内又は同條第二項に定める申告書の提出又は修正の日に法人税を完納しなかつたときは、政府は、國税徴收法第九條の規定により、これを督促する。
第六章 課税標準の更正及び決定
第二十九條 第十八條第二項、第二十條第一項、第二十二條第一項、第二十二條第三項において準用する第二十條第一項、第二十三條第一項又は第二十四條第一項の規定による申告書が提出された場合又はこれらの申告書について第二十五條第一項の規定による修正があつた場合において、申告又は修正に係る課税標準(各事業年度の普通所得、超過所得若しくは資本又は清算所得をいう。以下同じ。)が政府において調査した課税標準と異なるときは、政府は、その調査により、課税標準を更正する。
第十九條第一項、第二十一條第一項又は第二十二條第三項において準用する第十九條第一項の規定による申告書が提出された場合又はこれらの申告書について第二十五條第一項の規定による申告書の修正があつた場合において申告又は修正に係る課税標準が政府において調査した課税標準と異なるときは、政府は、その調査により、課税標準を更正することができる。
第三十條 政府は、納税義務があると認める法人が申告書を提出しなかつた場合又は法人税を課すべき所得又は資本がない旨の申告書を提出した場合においては、政府の調査により、課税標準を決定する。
第三十一條 政府は、前二條の規定による課税標準の更正又は決定後、更正又は決定した課税標準について、脱漏があることを発見したときは、政府の調査により、課税標準を更正する。
第三十二條 政府は、前三條の規定により、課税標準を更正又は決定したときは、これを納税義務がある法人に通知する。
第三十三條 第二十九條乃至第三十一條の規定により課税標準を更正又は決定した場合においては、前條の通知をなした日から一箇月後を納期限として、その追徴税額(その不足税額又は決定による税額をいう。以下同じ。)を徴收する。
第七章 同族会社に関する課税の特例
第三十四條 政府は、同族会社の行爲又は計算で法人税を免れる目的があると認められるものがある場合においては、その行爲又は計算にかかわらず、政府の認めるところにより、課税標準を計算することができる。
この法律において同族会社とは、株主又は社員の一人及びこれと親族、使用人、命令で定める出資関係のある会社等特殊の關係のある者の有する株式又は出資の金額の合計額がその会社の株式又は出資金額の二分の一以上に相当する会社をいう。
第三十五條 政府は、同族会社が各事業年度の普通所得のうちその十分の三に相当する金額を超えるものを留保した場合においては、その超過額に対し特別の率を乘じて算出した金額を当該事業年度の普通所得に対する法人税に加算することができる。
前項の特別の率は、同族会社の当該事業年度の普通所得金額を年額に換算した金額のうち十万円以下の金額に百分の三十五、十万円を超える金額に百分の五十五、二十万円を超える金額に百分の六十五、五十万円を超える金額に百分の七十、百万円を超える金額に百分の七十五を乘じて得た金額の合計金額の普通所得年額に対する率とする。
第二項の各事業年度の普通所得及び普通所得中留保した金額は、その事業年度の普通所得、超過所得及び資本に課せられる法人税額(同項の規定により加算する税額を含まない。)をその事業年度の普通所得及びその普通所得中留保した金額の双方から控除した金額による。
第一項の規定は、この法律の施行地に本店を有しない会社でこの法律の施行地に資産又は事業を有するものその他命令で定める会社には、これを適用しない。
第三十二條及び第三十三條の規定は、第一項の規定により税額を加算した場合について、これを準用する。
第八章 審査、訴願及び訴訟
第三十六條 納税義務がある法人は、第三十二條の規定により政府の通知した課税標準、前條第五項において準用する第三十二條の規定により政府の通知した加算税額又は第四十四條の規定により政府の通知した税額に対して異議があるときは、通知を受けた日から一箇月以内に不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。
前項の請求があつた場合においても、政府は、税金の徴收を猶予しない。但し、政府において已むを得ない事由があると認めたときは、税金の徴收を猶予することができる。
第三十七條 政府は、前條第一項の請求があつたときは、これを決定し、納税義務がある法人に通知する。
前項の場合において、必要な事項は、政令でこれを定める。
第三十八條 前條第一項の決定に対し不服がある法人は、訴願をなし、又は裁判所に出訴することができる。
第二十九條乃至第三十一條の規定により政府のなした更正又は決定、第三十五條第一項の規定による加算税額又は第四十三條の規定による追徴税額に関する訴願又は訴訟は、審査の決定を経た後でなければ、これをなすことができない。
第九章 雜則
第三十九條 納税義務がある法人の提出した申告書又は課税標準の更正、決定若しくは修正に関する書類を閲覽しようとする者は、命令の定めるところにより、政府に、その閲覽を請求することができる。
第四十條 納税義務があると認められる法人が申告書を提出しなかつた事実又は課税標準に脱漏があると認められる事実を、政府に報告した者がある場合において、政府がその報告に因つて課税標準を決定し又は更正したときは、政府は、命令の定めるところにより、その報告者に対し、課税標準の決定又は更正に因り、徴收することができた当該事業年度分の法人税額の百分の十以下に相当する金額を、報償金として交付することができる。但し、報償金の金額は十万円を超えることができない。
前項の規定は、その報告をなした者が官吏又は待遇官吏であるときは、これを適用しない。その報告が官吏若しくは待遇官吏の知り得た事実、公務員(官吏及び待遇官吏を除く。)の職務上知り得た事実又は不法の行爲に因り知り得た事実に基くものである場合も、また同樣とする。
第四十一條 第十七條の規定により算出した各事業年度の資本に対する法人税額が五百円に満たないときは、これを五百円とする。
第四十二條 納税義務がある法人は、第二十六條第二項に掲げる法人税については、同項の規定により法人税を納付すべき日に、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、当該税額百円について一日三銭の割合を乘じて算出した金額に相当する税額を加算して納付しなければならない。
前項の規定は、政府が、第三十三條の規定による追徴税額を徴收する場合について、これを準用する。
第四十三條 第二十六條第二項の規定による法人税の納付があつた場合又は第三十三條の規定による追徴税額に相当する法人税を徴收することとなつた場合においては、第十八條乃至第二十二條、第二十四條の申告期限若しくは第二十三條第一項の規定により命令で定める申告期限内に申告書の提出がなかつたこと、第二十五條第一項の規定による申告書の修正があつた場合において前の申告若しくは修正に係る課税標準について誤謬があつたこと又は納税義務がある法人の申告若しくは修正した課税標準が政府の調査した課税標準と異なることについて已むを得ない事由があると認められる場合を除く外、政府は、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、当該税額に一箇月を経過するごとに百分の五の割合を乘じて算出した金額に相当する税額の法人税を追徴する。但し、この金額は、当該税額に百分の五十を乘じて算出した金額を超えることができない。
第四十四條 政府は、前條の規定により追徴する税額を決定したときは、これを納税義務がある法人に通知する。
第四十五條 收税官吏は、法人税に関する調査について必要があるときは、納税義務がある法人又は納税義務があると認められる法人に質問し又はその帳簿書類その他の物件を檢査することができる。
第四十六條 收税官吏は、法人税に関する調査について必要があるときは、納税義務がある法人又は納税義務があると認められる法人に対し、金銭の支拂若しくは物品の讓渡をなす義務があると認められる者若しくは金銭の支拂若しくは物品の讓渡を受ける権利があると認められる者に質問し又はその事業に関する帳簿書類を檢査することができる。
第四十七條 都道府縣、市町村その他の公共團体は、法人税の附加税を課することができない。
第十章 罰則
第四十八條 詐僞その他不正の行爲により法人税を免れた場合においては、法人の代表者、代理人、使用人その他の從業者でその違反行爲をなした者は、これを一年以下の懲役又はその免れた税金の三倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
前項の罪を犯した者には、情状に因り、懲役及び罰金を併科することができる。
第一項の場合においては、政府は、直ちに、その課税標準を決定し、その税金を徴收する。
第四十九條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の徴役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第四十五條又は第四十六條の規定による帳簿書類その他の物件の檢査を拒み、妨げ又は忌避した者
二 前号の帳簿書類で虚僞の記載をなしたものを呈示した者
三 第四十五條又は第四十六條の規定による收税官吏の質問に対し答弁をなさない者
四 前号の質問に対し虚僞の答弁をなした者
第五十條 法人税の調査に関する事務に從事している者又は從事していた者が、その事務に関して知り得た祕密を漏らし又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
第五十一條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して、第四十八條又は第四十九條の違反行爲をしたときは、その行爲者を罰する外、その法人又は人に対し、各本條の罰金刑を科する。
第五十二條 他人の法人税について、政府に対し、第四十條に掲げる事実に関する虚僞の報告をなした者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第五十三条 第四十八條第一項の罪を犯した者には、刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、これを適用しない。但し、懲役刑に処するときは、この限りでない。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 この法律は、本州、北海道、四國、九州及びその附属の島(勅令で定める地域を除く。)にこれを施行する。
第三條 この法律は、法人の各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税については、昭和二十二年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算所得に対する法人税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、これを適用する。
第四條 第二十一條の規定は、法人の昭和二十二年四月一日以後に終了する事業年度で当該事業年度開始後六箇月に当る日がこの法律の施行後に到來するものについて、これを適用する。
第五條 法人の昭和二十二年三月三十一日以前に終了した各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税並びに同日以前の解散又は合併に因る清算所得に対する法人税については、なお從前の例による。但し、改正前の第二十四條第一項の規定により、所得金額、資本金額又は加算税額を決定すべき場合においては、同項の規定にかかわらず、昭和二十二年の所得税法を改定する法律による改正前の所得税法の所得審査委員會の決議によることなく、政府において、その所得金額、資本金額又は加算税額を決定する。
第六條 この法律の施行後に終了する事業年度において又はこの法律の施行後における解散に因る清算の期間中に法人の納付した從前の所得税法第十條に規定する配当利子所得に対する分類所得税は、これを所得税法第十八條に規定する所得税とみなし、第十條の規定を適用する。
第七條 日本國憲法施行の日までは、第三十七條第二項中「政令」とあるのは「勅令」、第三十八條中「裁判所」とあるのは「行政裁判所」と読み替えるものとする。
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特別法人税法の一部を改正する等の法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長山 崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿特別法人税法の一部を改正する等の法律案
第一條 特別法人税法の一部を次のように改正する。
第四條第五項中「前三項」を「前四項」に改め、第三項の次に次の一項を加える。
特別ノ法人ガ各事業年度ニ於テ爲シタル寄附金中命令ノ定ムル所ニ依リ計算シタル金額ヲ超ユル部分ノ金額ハ第一項ノ剩餘金ノ計算上之ヲ損金ニ算入セズ但シ命令ヲ以テ定ムル寄附金ニ付テハ命令ノ定ムル所ニ依リ之ヲ損金ニ算入ス
第五條に次の一項を加える。
特別ノ法人ガ解散シタル場合ニ於テ清算中ニ爲シタル寄附金ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノノ價額ハ之ヲ殘餘財産ノ價額ヨリ控除ス
第六條 削除
第九條第一項第二号中「百分ノ三十五」を「百分ノ二十」に、「百分ノ五十」を「百分ノ四十」に改める。
第十條 納税義務アル特別ノ法人ハ各事業年度ノ決算確定ノ日ヨリ一箇月以内ニ當該事業年度ノ剩餘金額ヲ記載シタル申告書ヲ政府ニ提出スベシ
前項ノ規定ニ依ル申告書ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ財産目録、貸借對照表、損益計算書、第四條ノ規定ニ依リ計算シタル各事業年度ノ剩餘金額ノ計算ニ關スル明細書竝ニ當該剩餘金額ニ對スル特別法人税ノ税額ノ計算ニ關スル明細書ヲ添附スベシ
前二項ノ規定ハ特別ノ法人ニ特別法人税ヲ課スベキ各事業年度ノ剩餘金ナキ場合ニ付之ヲ準用ス
第十條ノ二 解散シタル特別ノ法人ハ殘餘財産中拂込濟出資金額ヲ超過スル部分ヲ分配セントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定ムル期限迄ニ清算剩餘金額ヲ記載シタル申告書ヲ政府ニ提出スベシ
前項ノ申告書ニハ命令ノ定ムル所ニ依リ解散ノ時ニ於ケル財産目録及貸借對照表、殘餘財産分配ノ時ニ於ケル財産目録及貸借對照表其ノ他清算ニ關スル計算書竝ニ當該清算剩餘金ニ對スル特別法人税ノ税額ノ計算ニ關スル明細書ヲ添附スベシ
第十條ノ三 合併後存續スル特別ノ法人又ハ合併ニ因リ設立シタル特別ノ法人ハ合併ノ日ヨリ二箇月以内ニ合併ニ因リ消滅シタル特別ノ法人ノ清算剩餘金額ヲ記載シタル申告書ヲ政府ニ提出スベシ
前項ノ申告書ニハ合併ニ因リ消滅シタル特別ノ法人ノ合併ノ時ニ於ケル貸借對照表其ノ他合併ニ關スル書類及合併ニ因リ繼承シタル資産ノ明細書ヲ添附スベシ
第十條ノ四 前三條ノ規定ニ依リ政府ニ申告書ヲ提出シタル特別ノ法人又ハ前三條ノ申告期限後ニ申告書ヲ提出シタル特別ノ法人ハ申告書ニ記載シタル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ニ付脱漏アルコトヲ發見シタルトキハ直ニ政府ニ申出デ其ノ申告書ヲ修正スベシ
前項ノ申告書ノ修正ヲ爲ス場合ニ於テハ修正ニ關スル明細書ヲ政府ニ提出スベシ
第十一條 左ノ各號ニ掲グル特別法人税ハ命令ノ定ムル所ニ依リ當該各號ニ定ムル期限内ニ之ヲ納付スベシ
一 第十條第一項ノ規定ニ依ル申告書ニ記載シタル各事業年度ノ剩餘金ニ對スル特別法人税ニ付テハ同項ノ申告期限
二 第十條ノ二第一項ノ規定ニ依ル申告書ニ記載シタル清算剩餘金ニ對スル特別法人税ニ付テハ同項ノ命令ヲ以テ定ムル申告期限
三 第十條ノ三第一項ノ規定ニ依ル申告書ニ記載シタル清算剩餘金ニ對スル特別法人税ニ付テハ同項ノ申告期限
第十條乃至第十條ノ三ノ申告期限ニ申告書ヲ提出シタル特別ノ法人ノ各事業年度ノ剩餘金又ハ清算剩餘金ニ對スル特別法人税又ハ第十條ノ四第一項ノ規定ニ依ル申告書ノ修正ニ因リ増加シタル各事業年度ノ剩餘金又ハ清算剩餘金ニ對スル特別法人税ニ付テハ當該申告書ノ提出又ハ修正ノ日ニ納付スベシ
第十一條ノ二 納税義務アル特別ノ法人ガ前條第一項ニ定ムル期限内又ハ同條第二項ニ定ムル申告書ノ提出又ハ修正ノ日ニ特別法人税ヲ完納セザルトキハ政府ハ國税徴收法第九條ノ規定ニ依リ之ヲ督促ス
第十一條ノ三 第十條第一項、第十條ノ二第一項、第十條ノ三第一項ノ規定ニ依ル申告書ノ提出アリタル場合又ハ此等ノ申告書ニ付第十條ノ四第一項ノ規定ニ依ル修正アリタル場合ニ於テ申告又ハ修正ニ係ル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ガ政府ニ於テ調査シタル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ト異ルトキハ政府ハ其ノ調査ニ依リ各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ヲ更正ス
第十一條ノ四 政府ハ納税義務アリト認ムル特別ノ法人ガ申告書ヲ提出セザリシ場合又ハ特別法人税ヲ課スベキ剩餘金ナキ旨ノ申告書ヲ提出シタル場合ニ於テハ政府ノ調査ニ依リ各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ヲ決定ス
第十一條ノ五 政府ハ前二條ノ規定ニ依ル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ノ更正又ハ決定後更正又ハ決定シタル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ニ付脱漏アルコトヲ發見シタルトキハ政府ノ調査ニ依リ各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ヲ更正ス
第十一條ノ六 政府ハ前三條ノ規定ニ依リ各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ヲ更正又ハ決定シタルトキハ之ヲ納税義務アル特別ノ法人ニ通知ス
第十一條ノ七 第十一條ノ三乃至第十一條ノ五ノ規定ニ依リ各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ヲ更正シ又ハ決定シタル場合ニ於テハ前條ノ通知ヲ爲シタル日ヨリ一箇月後ヲ納期限トシ其ノ追徴税額(其ノ不足税額又ハ決定ニ依ル税額ヲ謂フ以下同ジ)ヲ徴收ス
第十三條 削除
第十四條 納税義務アル特別の法人ハ第十一條ノ六ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル各事業年度ノ剩餘金額若ハ清算剩餘金額又ハ第十八條ノ四ノ規定ニ依リ政府ノ通知シタル税額ニ對シ異議アルトキハ通知ヲ受ケタル日ヨリ一箇月以内ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
前項ノ請求アリタル場合ト雖モ政府ハ税金ノ徴收ヲ猶豫セズ但シ政府ニ於テ已ムコトヲ得ザル事由アリト認ムルトキハ税金ノ徴收ヲ猶豫スルコトヲ得
第十五條 政府ハ前條第一項ノ請求アリタルトキハ之ヲ決定シ納税義務アル特別ノ法人ニ通知ス前項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第十六條中「行政裁判所」を「裁判所」に改め、同條に次の一項を加える。
第十四條第一項ニ規定スル事件ニ關シテハ訴願又ハ訴訟ハ前條第一項ノ規定ニ依ル決定ヲ經タル後ニ非ザレバ之ヲ爲スコトヲ得ズ
第十七條 削除
第十八條ノ二 納税義務アル特別ノ法人ハ第十一條第二項ニ掲グル特別法人税ニ付テハ同項ノ規定ニ依リ特別法人税ヲ納付スベキ日ニ命令ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定ムル期間ニ應ジ當該税額百圓ニ付一日三錢ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ニ相當スル税額ヲ加算シテ納付スベシ
前項ノ規定ハ政府ガ第十一條ノ七ノ規定ニ依ル追徴税額ヲ徴收スル場合ニ付之ヲ準用ス
第十八條ノ三 第十一條第二項ノ規定ニ依ル特別法人税ノ納付アリタル場合又ハ第十一條ノ七ノ規定ニ依ル追徴税額ニ相當スル特別法人税ヲ徴收スルコトトナリタル場合ニ於テ第十條、第十條ノ三ノ申告期限又ハ第十條ノ二第一項ノ規定ニ依リ命令ヲ以テ定ムル申告期限内ニ申告書ノ提出ガナカリシコト、第十條ノ四ノ規定ニ依ル申告書ノ修正アリタル場合ニ於テ前ノ申告若ハ修正ニ係ル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ニ付誤謬アリタルコト又ハ納税義務アル特別ノ法人ノ申告若ハ修正シタル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ガ政府ノ調査シタル各事業年度ノ剩餘金額又ハ清算剩餘金額ト異ルコトニ付已ムコトヲ得ザル事由アリト認ムル場合ヲ除クノ外政府ハ命令ノ定ムル所ニ依リ命令ヲ以テ定ムル期間ニ應ジ當該税額ニ一箇月ヲ經過スル毎ニ百分ノ五ノ割合ヲ乘ジテ算出シタル金額ニ相當スル税額ノ特別法人税ヲ追徴ス但シ此ノ金額ハ當該税額ニ百分ノ五十ヲ乘ジテ算出シタル金額ヲ超ユルコトヲ得ズ
第十八條ノ四 政府ハ前條ノ規定ニ依リ追徴スル税額ヲ決定シタルトキハ之ヲ納税義務アル特別ノ法人ニ通知ス
第十九條 詐僞其ノ他不正ノ行爲ニ依リ特別法人税ヲ逋脱シタル場合ニ於テ特別ノ法人ノ代表者、代理人、使用人其ノ他ノ從業者ニシテ其ノ違反行爲ヲ爲シタル者ハ之ヲ一年以下ノ懲役又ハ其ノ逋脱シタル税金ノ三倍以下ニ相當スル罰金若ハ科料ニ處ス
前項ノ罪ヲ犯シタル者ニハ情状ニ因リ懲役及罰金ヲ併科スルコトヲ得
第一項ノ場合ニ於テハ政府ハ直ニ其ノ剩餘金額ヲ決定シ其ノ税金ヲ徴收ス
第二十條 左ノ各號ノ一ニ該當スル者ハ之ヲ一年以下ノ懲役又ハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
一 第十二條ノ規定ニ依ル帳簿書類其ノ他ノ物件ノ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ又ハ忌避シタル者
二 前號ノ帳簿書類ニシテ虚僞ノ記載ヲ爲シタルモノヲ呈示シタル者
三 第十二條ノ規定ニ依ル收税官吏ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サザル者
四 前號ノ質問ニ對シ虚僞ノ答辯ヲ爲シタル者
第二十一條 特別法人税ノ調査ニ關スル事務ニ從事シ又ハ從事シタル者其ノ事務ニ關シ知得タル祕密ヲ漏洩シ又ハ竊用シタルトキハ之ヲ二年以下ノ懲役又ハ二萬圓以下ノ罰金ニ處ス
第二十一條ノ二 特別ノ法人ノ代表者又ハ特別ノ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者其ノ特別ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ第十九條第一項又ハ第二十條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ其ノ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ特別ノ法人又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
第二十二條中「第十九條」を「第十九條第一項」に改め、同條に次の但書を加える。
但シ懲役刑ニ處スルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第二條 有價証券移轉税法の一部を次のように改正する。
第五條中「萬分ノ五」を「千分ノ一」に、「取引所の實物市場」を「證券取引所」に、「萬分ノ十」を「千分ノ二」に、「萬分ノ二十」を「千分ノ四」に改める。
第三條 登録税法の一部を次のように改正する。
第二條第一項及び第四項中「三圓」を「十圓」に、「二圓」を「五圓」に、「二十圓」を「五十圓」に改める。
第三條第一項中「三圓」を「二十圓」に、「二圓」を「十圓」に、「一圓」を「五圓」に改める。
第三條ノ三及び第三條ノ四中「十五圓」を「五十圓」に改める。
第三條ノ五中「五十錢」を「三圓」に、「二十錢」を「二圓」に、「十錢」を「一圓」に、「二圓」を「二十圓」に改める。
第四條第一項中「一圓五十錢」を「十圓」に、「三十錢」を「二圓」に、「二十錢」を「一圓」に、「一圓」を「十圓」に改める。
第四條ノ二、第五條及び第五條ノ二中「五十圓」を「二百圓」に、「十五圓」を「五十圓」に改める。
第六條第一項中「百圓」を「五百圓」に、「百五十圓」を「五百圓」に、「六十圓」を「二百圓」に、「五十圓」を「百五十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に改め、同條第二項中「十五圓」を「五十圓」に改める。
第六條ノ二第一項中「五十圓」を「二百圓」に改め、同條第二項中「十五圓」を「五十圓」に改める。
第六條ノ三中「五十圓」を「二百圓」に改める。
第六條ノ四第一項中「六十圓」を「二百圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「十五圓」を「五十圓」に改め、同條第二項中「五圓」を「二十圓」に改める。
第七條中「百五十圓」を「五百圓」に、「五十圓」を「二百圓」に、「五圓」を「二十圓」に改める。
第八條中「醫師」の下に「、齒科醫師」を加え、「百五十圓」を「五百圓」に、「八十圓」を「二百五十圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「二十圓」を「七十圓」に、「三圓」を「十圓」に改める。
第九條中「五十圓」を「百五十圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「二十圓」を「六十圓」に、「十圓」を「四十圓」に、「七圓」を「三十圓」に、「五圓」を「二十圓」に、「二十五圓」を「八十圓」に、「六十圓」を「二百圓」に、「二圓」を「十圓」に改める。
第十條中「五圓」を「二十圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「三圓」を「十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「二圓」を「五圓」に改める。
第十條ノ二中「六十圓」を「二百圓」に、「五圓」を「二十圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「三圓」を「十圓」に、「二圓」を「五圓」に改める。
第十一條及び第十二條中「五圓」を「二十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「三圓」を「十圓」に改める。
第十二條ノ二中「五圓」を「二十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「三圓」を「十圓」に、「五十錢」を「十圓」に改める。
第十三條中「五圓」を「二十圓」に、「六十圓」を「二百圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「三圓」を「十圓に改める。
第十四條中「三百圓」を「千圓」に、「百五十圓」を「五百圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「三圓」を「十圓」に、「六百圓」を「二千圓」に、「六十圓」を「二百圓」に、「五圓」を「二十圓」に、「一圓」を「五圓」に、「五十錢」を「三圓」に改める。
第十五條中「五十圓」を「百五十圓」に、「十圓」を「三十圓」に、「三圓」を「十圓」に、「十五圓」を「五十圓」に、「五圓」を「十五圓」に、「五十錢」を「三圓」に、「二圓」を「五圓」に、「三十圓」を「百圓」に、「一圓」を「五圓」に改める。
第十五條ノ二中「三圓」を「二十圓」に、「十五圓」を「百圓」に、「一圓」を「十圓」に、「十圓」を「七十圓」に、「二圓」を「十圓」に、「五圓」を「五十圓」に、「五十錢」を「五圓」に改める。
第十九條第四号ノ二を削り、同條第五号を次のように改める。
五 市町村ノ一部ニ屬スル財産ヲ其ノ市町村ニ移ス場合ニ於ケル市町村ノ權利ノ取得又ハ其ノ市町村ニ所有權ヲ移スニ付爲ス所有權ノ保存ノ登記又ハ登録
同條第五号ノ二を削り、同條第六号中「、町内會部落會」を削る。
第十九條ノ七及び第十九條ノ八を削る。
第十九條ノ九中「評價」を「國税徴收法第三十一條ノ二第一項ノ規定ニ依ル審査」に改め、同條を第十九條ノ七とする。
第十九條ノ十乃至第十九條ノ十三を削る。
第四條 酒税法の一部を次のように改正する。
第二十五條第二項中「第二十二條第二項」の下に「及第二十三條」を加える。
第二十七條第一項を次のように改める。
酒税ノ税率左ノ如シ
一 清酒
第一級 一石ニ付 八千八百三十圓
第二級 一石ニ付 六千四百圓
二 合成清酒 一石ニ付 六千三百二十圓
三 濁酒 一石ニ付 四千圓
四 白酒 一石ニ付 八千八百三十圓
五 味淋 一石ニ付 七千五十圓
六 燒酎 一石ニ付 六千二百三十圓
七 麥酒 一石ニ付 四千四百六十圓
八 果實酒
第一級 一石ニ付 六千圓
第二級 一石ニ付 四千五百圓
第三級 一石ニ付 三千九百圓
九 雜酒
第一級 一石ニ付 一萬二千八百圓
第二級 一石ニ付 八千八百五十圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコール分二十度ヲ超ユル一度毎ニ五百三十一圓ヲ加フ
第三級 一石ニ付 八千圓
アルコール分二十度ヲ超ユルトキハアルコール分二十度ヲ超ユル一度毎ニ四百八十圓ヲ加フ
第四級 一石ニ付 六千八百圓
同條第三項中「百三十八圓」を「四百四十八圓」に改める。
第二十七條ノ四 酒場、料理店其ノ他酒類ヲ自己ノ營業場ニ於テ飮料ニ供スルコトヲ業トスル者ガ其ノ業務ノ用ニ供スル酒類ニ付テハ第二十七條、第二十七條ノ二又ハ第八十三條ニ規定スル酒税ノ外左ノ酒税ヲ課ス
一 麥酒 一石ニ付 一萬千四百圓
二 雜酒 一石ニ付 五萬圓
三 前二號ニ掲グルモノ以外ノ類酒 一石ニ付 二萬圓
第三十三條但書中「引取人ヨリ」の下に「、第二十七條ノ四ニ規定スル者ノ業務ノ用ニ供スル酒類ニ付テハ其ノ業務ノ用ニ供スル爲販賣シタル石數ニ應ジ販賣者ヨリ」を加える。
第三十四條ノ二 酒類ノ製造者又ハ販賣業者が酒類ヲ自己ノ經營スル酒場、料理店其ノ他酒類ヲ營業場ニ於テ飮料ニ供スルコトヲ目的トスル場合ニ於テ飮料ニ供シタルトキハ第三十三條但書ノ規定ノ適用ニ付テハ其ノ製造者又ハ販賣業者ヲ以テ第二十七條ノ四ノ規定ニ依リ酒税ヲ課スベキ酒類ヲ販賣シタル者ト看做ス
第三十五條ノ二 第二十七條ノ四ノ規定ニ依リ酒税ヲ課スベキ酒類ヲ同條ニ規定スル者ニ販賣シタル者ハ毎月其ノ販賣シタル酒類ノ種類毎ニ石數ヲ記載シタル申告書ヲ翌月十日迄ニ政府ニ提出スベシ但シ酒類販賣業ノ免許ヲ取消サレ又ハ同條ノ規定ニ依リ酒税ヲ課スベキ酒類ノ販賣ヲ廢止シタルトキハ直ニ申告書ヲ提出スベシ
前條第三項ノ規定ハ前項ノ場合ニ付之ヲ準用ス
第三十六條第一項但書中「第三十三條但書ノ場合ニ於テハ」を「保税地域ヨリ引取ル酒類ニ付テハ」に改め、同條第二項中「前條第一項」を「第三十五條第一項但書又ハ前條第一項」に改める。
第五十九條及び第五十九條ノ二中「酒類業團體法」を「酒類業組合法」に、「團體」を「組合」に改める。
第六十四條第一項第四号中「又ハ第二項」を「若ハ第二項又ハ第三十五條ノ二第一項」に改める。
第八十三條第一項中「千八百五十五圓」を「六千三百四十五圓」に、「百四十八圓」を「五百七圓」に、「千六百九十五圓」を「六千百七十五圓」に、「八十一圓」を「二百九十六圓」に改める。
第五條 酒類業團体法の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
酒類業組合法
第三條中「整備發達及統制運營」を「改良發達」に改める。
第三條ノ二第一項第一号中「統制」を削る。
第四條ノ二 削除
第五條 酒類製造者カ酒造組合ニ加入セムトスルトキハ酒造組合ハ正當ナル事由ナクシテ其ノ加入ヲ拒ムコトヲ得ス
第五條ノ二 酒造組合ハ定款ノ定ムル所ニ依リ其ノ組合ニ對シ經費ヲ分賦シ及過怠金ヲ徴收スルコトヲ得
第五條ノ三及第五條ノ四 削除
第五條ノ六 酒造組合ノ組合員ハ左ノ事由ニ因リテ脱退ス
一 組合員タル資格ノ喪失
二 死亡又ハ解散
三 除名
組合員ハ前項ノ規定ニ拘ラス三月前ニ豫告ヲ爲シ事業年度ノ終ニ於テ酒造組合ヲ脱退スルコトヲ得
前項ニ定ムルモノノ外組合員ノ脱退ノ場合ニ付必要ナル事項ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム
第六條ノ三 削除
第六條ノ六 削除
第六條ノ七及び第六條ノ八中「第四條ノ二、第四條ノ三、第五條ノ二第一項、同條第二項、同條第五項、第五條ノ三、第五條ノ四、第五條ノ七及」を「第四條ノ三乃至第五條ノ二及第五條ノ六乃至」に改める。
第六條ノ九及び第九條ノ三を削る。
第十條中「定款若ハ統制規程」を「法令ニ基キテ爲ス處分若ハ定款」に改める。
第十條ノ三中「整備發達及統制運營」を「改良發達」に改める。
第十條ノ七 削除
第十條ノ八中「第四條ノ二」を「第四條ノ三乃至第五條ノ二、第五條ノ五」に改める。
第十條ノ九中「第四條ノ二乃至第五條、第五條ノ二第一項、同條第二項、同條第五項、第五條ノ三、第五條ノ四、第五條ノ七、」を「第四條ノ三乃至第五條ノ二、第五條ノ六乃至」に改める。
第十條ノ十一第一項中「酒類業團體」を「酒類業組合」に改める。
第十條ノ十二乃至第十條ノ十五削除
第十條ノ十六乃至第十一條中「酒類業團體」を「酒類業組合」に改める。
第六條 清涼飮料税法の一部を次のように改正する。
第二條中「三百二十圓」を「千三百圓」に、「五百五十圓」を「二千三百圓」に、「二百圓」を「八百五十圓」に改める。
第七條 砂糖消費税法の一部を次のように改正する。
第三條中「二百八十圓」を「八百七十圓」に、「三百四十圓」を「九百圓」に、「三百五十圓」を「千五十圓」に、「三百六十圓」を「千八十圓」に、「四百六十圓」を「千四百圓」に、「八十五圓」を「三百二十五圓」に、「四百八十圓」を「千四百四十圓」に、「百二十圓」を「三百六十圓」に、「二百五十圓」を「八百五十圓」に、「百四十圓」を「四百二十圓」に、「三百十圓」を「八百五十圓」に改める。
第七條第二項中「製造場外ニ移出シ」の下に「又ハ保税地域ヨリ引取リ」を、「移出先」の下に「又ハ引取先」を加える。
第八條 織物消費税法の一部を次のように改正する。
第二條但書中「原料トスル織物」の下に「及命令ヲ以テ定ムル織物」を加える。
第九條第三項乃至第五項を削り、同條第六項中「此ノ場合ニ於テハ前三項ノ規定ヲ準用ス」を削る。
第九條 物品税法の一部を次のように改正する。
第一條第一項第一種中
「二 寫眞用ノ乾板、フイルム及感光紙
三 蓄音器及同部分品
四 蓄音器用レコード
五 樂器、同部分品及附屬品
六 雙眼鏡、隻眼鏡及同ケース
七 銃及同部分品
八 藥莢及彈丸
九 ゴルフ用具、同部分品及附屬品
十 娯樂用ノモーターボート、スカール及ヨツト
十一 撞球用具
十二 ネオン管及同變壓器
十三 喫煙用ライター及電氣マツチ
十四 乘用自動車
十五 化粧品
十六 貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタル製品
十七 眞珠又ハ眞珠ヲ用ヒタル製品
十八 貴金屬製品又ハ金若ハ白金ヲ用ヒタル製品
十九 鼈甲製品
二十 珊瑚製品、琥珀製品、象牙製品及七寶製品
二十一 毛皮又ハ毛皮製品但シ第四十五號ニ掲グルモノヲ除ク
二十二 羽毛、羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル製品」
を
「二 蓄音器及同部分品
三 雙眼鏡、隻眼鏡及同ケース
四 銃及同部分品
五 藥莢及彈丸
六 ゴルフ用具、同部分品及附屬品
七 娯樂用ノモーターボート、スカール及ヨツト
八 撞球用具
九 ネオン管及同變壓器
十 乘用自動車
十一 貴石若ハ半貴石又ハ之ヲ用ヒタル製品
十二 眞珠又ハ眞珠ヲ用ヒタル製品
十三 貴金屬製品又ハ金若ハ白金ヲ用ヒタル製品
十四 鼈甲製品
十五 珊瑚製品、琥珀製品、象牙製品及七寶製品
十六 毛皮又ハ毛皮製品但シ第四十五號ニ掲グルモノヲ除ク
十七 羽毛、羽毛製品又ハ羽毛ヲ用ヒタル製品
乙類
十八 寫眞用ノ乾板、フイルム及感光紙
十九 蓄音器用レコード
二十 樂器、同部分品及附屬品
二十一 喫煙用ライター及電氣マツチ
二十二 化粧品」
に、「乙類」を「丙類」に、「丙類」を「丁類」に、「丁類」を「戊類」に改める。
同項第一種第八十五号を次のように改める。
八十五 削除
同項第一種第八十七号を次のように改める。
八十七 削除
第一條戊二項中「又ハ丁類」を「、丁類又ハ戊類」に、「丁類ニ該當スルモノハ之ヲ丙類トス」を「丁類又ハ戊類ノ何レカニ該當スルモノハ之ヲ丙類トシ丁類ニ該當スル物品ニシテ戊類ニ該當スルモノハ之ヲ丁類トス」に改める。
第二條第一項を次のように改める。
物品税ノ税率左ノ如シ
第一種
甲類 物品ノ價格百分ノ百
乙類 物品ノ價格百分ノ八十
丙類 物品ノ價格百分ノ五十
丁類 物品ノ價格百分ノ三十
戊類 物品ノ價格百分ノ二十
第二種
一 燐寸 千本ニ付 一圓五十錢
二 飴、葡萄糖及麥芽糖 百斤ニ付 六百圓
三 サツカリン及ヅルチン 一瓩ニ付 二千四百圓
四 蜂蜜 百斤ニ付 九百圓
第十六條ノ二第二項を削り、同條第三項中「第一項ノ規定ニ依リ」を「前項ノ規定ニ依リ」に改める。
第十九條第一項第一号中「第三項」を「第二項」に改める。
第十條 入場税法の一部を次のように改正する。
第三條第一項を次のように改める。
入場税ノ税率ハ入場料ノ百分ノ百トス
第四條第一項中「五十錢」を「一圓」に改める。
第六條ノ二第一項中「税率ノ區別ニ從ヒ」を削る。
第八條ノ二第二項を削り、同條第三項中「第一項ノ規定ニ依リ」を「前項ノ規定ニ依リ」に改める。
第十條第一項を次のように改める。
特別入場税ノ税率ハ特別入場料ノ百分ノ四十トス
第十一條第一項中「五十錢」を「一圓」に改める。
第十四條第一項中「税率ノ區別ニ從ヒ區分シテ」を削る。
第十六條ノ二第一項第一号中「第三項」を「第二項」に改める。
第十一條 取引所税法の一部を次のように改正する。
第四條中「及日本證券取引所」を削る。
第五條 取引所(證券取引所ヲ含ム以下同シ)ニ於ケル賣買取引ニシテ差金ノ授受ニ依リテ決濟ヲ爲シ得ルモノニハ其ノ賣買各約定金高ニ對シ左ノ税率ニ依リ取引税ヲ課ス
第一種 地方債證券又ハ社債券ノ賣買取引 萬分ノ一
第二種 有價證券ノ賣買取引 萬分ノ十
第三種 商品ノ賣買取引
甲 銘柄又ハ等級別ニ相對賣買ノ方法ニ依リテ行ヒ履行期ニ於テノミ差金ノ授受ニ依リテ決濟ヲ爲シ得ル取引ニ屬スルモノ 萬分ノ一・二五
乙 其ノ他ノモノ 萬分ノ二・五
賣買ヲ解約スルモ其ノ税金ハ之ヲ免除セス
第十七條第一項中「第二十五條」の下に「第一項」を加え、「日本證券取引所法第五十四條」を「證券取引法第六十六條第一項」に改める。
第十二條 骨牌税法の一部を次のように改正する。
第四條第一項中「百圓」を「三百圓」に、「十圓」を「三十圓」に改め、同條第二項中「二圓」を「六圓」に改める。
第十三條 印紙税法の一部を次のように改正する。
第四條第一項第一号乃至第五号中「十錢」を「三十錢」に、「五十錢」を「一圓」に、「一圓」を「二圓」に、「五圓」を「十圓」に、「十圓」を「二十圓」に、「五十圓」を「百圓」に、「同百萬圓ヲ超ユルモノ 百圓」を「同百萬圓ヲ超ユルモノ 二百圓」に、同項第六号中
「記載金高三圓以下ノモノ 五錢
同五圓以下ノモノ 二十錢
同十圓以下ノモノ 六十錢
同二十圓以下ノモノ 一圓二十錢」
を「記載金高二十圓以下ノモノ 一圓二十錢」に、「五錢」を「一圓二十錢」に、同項第七号中「十錢」を「二十錢」に、同項第八号乃至第三十二号中「十錢」を「三十錢」に、同項第三十三号中「二十錢」を「五十錢」に、同項第三十四号中「二圓」を「五圓」に改める。
第五條第十号中「一圓」を「十圓」に改める。
第六條ノ二中「十錢」を「三十錢」に改める。
第十一條中「又ハ科料」を削り、「十圓」を「二十圓」に、「科料」を「罰金」に改める。
第十二條中「十圓以上ノ」を「百圓以下ノ罰金又ハ」に改める。
第十四條 狩猟法の一部を次のように改正する。
第八條第一項中「綜合所得税」を「所得税年額五千圓以上」に、「二百圓」を「六百圓」に、「分類所得税年額百五十圓以上」を「所得税」に、「百二十圓」を「四百圓」に、「五十圓」を「二百圓」に改める。
第十五條 租税特別措置法の一部を次のように改正する。
第一條中「特別法人税、營業税」を「相續税、財産税」に改める。
第二條中「甲種の配當利子所得」を「公債、社債又は預金の利子」に、「分類所得税」を「所得税」に改め、同條第一号中「(日本銀行を除く。)」を削る。
第三條を削る。
第四條中「分類所得税」を「所得税」に改め、同條を第三條とする。
第五条乃至第七條を削る。
第八條中「及び營業税法による純益」を削り、同條を第四條とする。
第九條中「及び營業税法による純益」を削り、同條を第五條とする。
第六條 昭和二十年八月十四日以前に開始した相續につき相續税を納付すべき義務のある者が、相續財産(相續開始前一年以内に被相續人が贈與した財産を含む。以下同じ。)のうちに含まれてゐた財産を昭和二十一年三月三日まで引き續き有してゐた場合において、その引き續き有してゐた財産(第七條に規定する在外財産等を除く。)について財産税法第三章の規定及びこれに基いて發する命令により算定した價額の合計額が當該財産の相續開始當時における價額の合計額に比し十分の三以上減少してゐるときは、當該相續税について、命令の定めるところにより、その減少額の當該相續についての課税價格に對する割合を昭和二十年八月十互日以後に納期限の定められた相續税の税額に乘じて算出した金額に相當する税額を免除する。
前項の規定により免除された相續税の額は、財産税の課税價格の計算上、これを財産税法に規定する調査時期における財産の價額に加算する。
第七條 昭和二十年八月十五日以後に相續の開始があつた場合において、相續財産のうちに命令で定める地域外にある財産その他命令で定める財産(以下在外財産等という。)が含まれてゐるときは、命令の定めるところにより、當該在外財産等の價格を算定することができることとなるまで、當該相續についての課税價格の計算上、その價額(相續開始の時において命令で定める債務があるときは、その債務の金額を控除した金額)を相續財産の價額に導入しない。
前項の規定を適用して課税價格を計算した場合においては、政府は、在外財産等の價額を算定することができることとなつた際に、命令の定めるところにより、その課税價格を更正することができる。
第八條 昭和二十年八月十四日以前に開始した相續につき相續税を納付すべき義務のある者が、相續財産のうちに含まれてゐた在外財産等を昭和二十年八月十五日まで引き續き有してゐたときは、政府は、命令の定めるところにより、その引き續き有してゐた在外財産等の價額(同日において命令で定める債務があるときは、その債務の金額を控除した金額)の當該相續についての課税價格に對する割合を同日以後に納期限を定められた相續税額に乘じて算出した金額を限度として、相續税の徴收を猶豫することができる。
第十條乃至第十六條を削り、第十七條を第九條とし、第十八條を第十條とする。
第十六條 國税徴收法の一部を次のように改正する。
第四條ノ五 既納ノ税金過納ナルトキハ其ノ過納額ヲ未納ノ税金ニ充ツルコトヲ得
第五條 削除
第六條中「又ハ市町村」を削る。
第八條 削除
第三十一條の次に次の一章を加える。
第三章ノ二 審査、訴願及訴訟
第三十一條ノ二 租税ノ賦課徴收ニ關スル處分又ハ滯納處分ニ關シ異議アル者ハ所得税其ノ他別ニ法律ヲ以テ定ムルモノノ外當該處分アリタル日ヨリ二箇月以内ニ不服ノ事由ヲ具シ政府ニ審査ノ請求ヲ爲スコトヲ得
政府ハ已ムコトヲ得サル事情アリト認ムルトキハ前項ノ期限經過後ニ於テモ仍同項ノ審査ノ請求ヲ受理スルコトヲ得
第一項ノ請求ハ税金ノ徴收又ハ滯納處分ノ續行ヲ妨ケス但シ政府ハ已ムコトヲ得サル事由アリト認ムルトキハ税金ノ全部若ハ一部ノ徴收ヲ猶豫シ又ハ滯納處分ノ續行ヲ停止スルコトヲ得
第三十一條ノ三 政府ハ前條第一項ノ請求アリタルトキハ之ヲ決定シ當該請求人ニ通知スヘシ
前項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十一條ノ四 前條第一項ノ決定ニ對シ不服アル者ハ訴願ヲ爲シ又ハ裁判所ニ出訴スルコトヲ得
第三十一條ノ二第一項ニ規定スル事件に關シテハ訴願又ハ訴訟ハ審査ノ決定ヲ經タル後ニ非サレハ之ヲ爲スコトラ得ス
第十七條 納税施設法の一部を次のように改正する。
「第一章 納税團體」を削る。
第一條中「納税團體」を「納税組合」に、「團體員」を「組合員」に、「町内會部落會其ノ他ノ團體」を「組合」に改める。
第二條 納税組合ヲ組織シタルトキハ組合ノ代表者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ規約ヲ税務署長及市町村長ニ届出ヅベシ規約ヲ變更シタルトキ亦同ジ
第三條乃至第六條中「納税團體」を「納税組合」に改める。
第六條ノ二第一項中「納税團體」を「納税組合」に、「團體員」を「組合員」に、同條第二項中「團體員」を「組合員」に改め、同條を第七條とする。
第六條ノ三第一項中「納税團體」を「納税組合」に改め、同條を第八條とする。
第六條ノ四を第九條とする。
第二章及び「第三章 納税準備預金」を削る。
第四章及び「第五章 雜則」を削る。
第二十六條中「納税團體」を「納税組合」に改め、同條を第十七條とする。
第二十七條を削る。
第二十八條中「納税團體」を「納税組合」に改め、同條を第十八條とする。
第二十九條中「納税團體」を「納税組合」に改め、同條を第十九條とする。
第三十條を第二十條とする。
第三十一條中「納税團體、法人納税積立金」を「納税組合」に改め、同條を第二十一條とする。
第十八條 間接國税犯則者処分法の一部を次のように改正する。
第一條 收税官吏ハ間接國税ニ關スル犯則事件(以下犯則事件ト稱ス)ヲ調査スル爲必要アルトキハ犯則嫌疑者若ハ參考人ニ對シ質問シ又ハ犯則嫌疑者ノ所持スル物件、帳簿、書類等ヲ檢査シ又ハ之ヲ領置スルコトヲ得
第二條 收税官史ハ犯則事件ヲ調査スル爲必要アルトキハ其ノ所屬官署ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ臨檢、搜索又ハ差押ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ急速ヲ要スルトキハ收税官吏ハ臨檢スヘキ場所、搜索スヘキ身體若ハ物件又ハ差押ヲ爲スヘキ物件ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ前項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
收税官史第一項又ハ前項ノ許可ヲ請求セントスルトキハ其ノ理由ヲ明示シテ之ヲ爲スヘシ
前項ノ請求アリタルトキハ地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ハ臨檢スヘキ場所、搜索スヘキ身體又ハ物件、差押ヲ爲スヘキ物件、請求者ノ官職氏名、有效期間及裁判所名ヲ記載シ自己ノ記名捺印シタル許可状ヲ收税官吏ニ交付スヘシ比ノ場合ニ於テ犯則嫌疑者ノ氏名及犯則事實明カナルトキハ裁判官ハ此等ノ事項ヲモ記載スヘシ
收税官吏ハ前項ノ許可状ヲ他ノ收税官吏ニ交付シテ臨檢、搜索又ハ差押ヲ爲サシムルコトヲ得
第三條 現ニ犯則ヲ行ヒ又ハ現ニ犯則ヲ行ヒ終リタル際ニ發覺シタル事件ニ付其ノ證憑ヲ集取スル爲必要ニシテ且急速ヲ要シ前條第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ犯則ノ現場ニ於テ收税官吏ハ同條第一項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
現ニ犯則ニ供シタル物件若ハ犯則ニ因リ得タル物件ヲ所持シ又ハ顯著ナル犯則ノ痕跡アリテ犯則アリト思料セラルル者アル場合ニ於テ其ノ證憑ヲ集取スル爲必要ニシテ且急速ヲ要シ前條第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ者ノ所持スル物件ニ對シ收税官吏ハ同條第一項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第四條中「臨檢、搜索、尋問」を「質問、檢査、領置、臨檢、搜索」に改める。
第五條中「、尋問」を削る。
第八條第一項中「現行犯ノ場合」を「第三條ノ規定ニ依ル處分ヲ爲ス場合」に改める。
第九條中「臨檢、搜索、尋問」を「質問、檢査、臨檢、搜索」に改める。
第十條中「臨檢、搜索、尋問」を「質問、檢査、臨檢、搜索」に、「又ハ尋問」を「又ハ質問」に改める。
第十二條第一項中「臨檢、搜索、尋問」を「質問、檢査、領置、臨檢、搜索」に改める。
第十八條第一項中「裁判所」を「檢察官」に改める。
第十九條ノ二 第一條ノ規定ニ依ル收税官吏ノ檢査ヲ拒ミ、妨ケ又ハ忌避シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ處ス
第十九條 関税法の一部を次のように改正する。
第三十二條第二項を削る。
「第五章 異議及訴願」を「第五章 審査、訴願及訴訟」に改める。
第六十一條中「二十日以内ニ文書ヲ以テ税關長ニ異義ノ申立」を「一箇月以内ニ理由ヲ具シ税關長ニ審査の請求」に改め但書を削る。
第六十二條 前條ノ規定ニ依リ審査ノ請求アリタルトキハ税關長ハ文書ヲ以テ之ヲ決定シ審査請求人ニ之ヲ交付スヘシ前項ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第六十三條乃至第六十六條 削除
第六十七條中「異義ノ申立」を「審査ノ請求」に改める。
第六十八條中「判定」を「決定」に改め、「訴願」の下に「ヲ爲シ又ハ裁判所ニ出訴」ヲ加え、同條に次の一項を加える。
第六十一條ニ規定スル事件ニ關シテハ訴願又ハ訴訟ハ第六十二條第一項ノ規定ニ依ル決定ヲ經タル後ニ非サレハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第七十六條ノ二 第八十四條ノ規定ニ依ル檢査又ハ第八十五條ノ規定ニ依ル開示ヲ拒ミ、妨ケ又ハ忌避シタル者ハ千圓以下ノ罰金ニ者ス
第八十二條ノ四に次の但書を加える。
但シ第七十六條ノ二ノ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラス
第八十四條中「其ノ他ノ場所ニ臨檢シ搜索ヲ爲スコトヲ得」を「其ノ他ノ場所ヲ檢査スルコトヲ得」に改める。
第八十五條中「其ノ開示ヲ求メ若之ニ從ハサルトキハ身邊ノ搜索ヲ爲スコトヲ得」を「其ノ開示ヲ求ムルコトヲ得」に改める。
第八十六條中「參考人ヲ訊問」を「參考人ニ對シ質問」に改める
第八十六條ノ二 税關官吏ハ犯則事件ヲ調査スル爲必要アルトキハ其ノ所屬官署ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ臨檢、搜索又ハ差押ヲ爲スコトヲ得
前項ノ場合ニ於テ急速ヲ要スルトキハ税關官吏ハ臨檢スヘキ場所、搜索スヘキ身體若ハ物件又ハ差押ヲ爲スヘキ物件ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ前項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
税關官吏第一項又ハ前項ノ許可ヲ請求セントスルトキハ其ノ理由ヲ明示シテ之を爲スヘシ
前項ノ請求アリタルトキハ地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ハ臨檢スヘキ場所、搜索スヘキ身體又ハ物件、差押ヲ爲スヘキ物件、請求者ノ官職氏名、有效期間及裁判所名ヲ記載シ自己ノ記名捺印シタル許可状ヲ税關官吏ニ交付スヘシ此ノ場合ニ於テ犯則者ノ氏名及犯則事實明カナルトキハ裁判官ハ此等ノ事項ヲモ記載スヘシ
税關官吏ハ前項ノ許可状ヲ他ノ税關官吏ニ交付シテ臨檢、搜索又ハ差押ヲ爲サシムルコトヲ得
第八十六條ノ三 現ニ犯則ヲ行ヒ又ハ現ニ犯則ヲ行ヒ終リタル際ニ発覺シタル事件ニ付其ノ證憑ヲ集取スル爲必要ニシテ且急速ヲ要シ前條第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ犯則ノ現場ニ於テ税關官吏ハ同條第一項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
現ニ犯則ニ供シタル物件若ハ犯則ニ因リ得タル物件ヲ所持シ又ハ顯著ナル犯則ノ痕跡アリテ犯則アリト思料セラルル者アル場合ニ於テ其ノ證憑ヲ集取スル爲必要ニシテ且急速ヲ要シ前條第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ者ノ所持スル物件ニ對シ税關官吏ハ同條第一項ノ處分ヲ爲スコトヲ得
第八十七條中「臨檢、搜索、訊問ヲ爲ス」を「質問、檢査(第八十四條ノ場合ニ限ル)、臨檢、搜索若ハ差押ヲ爲シ又ハ開示ヲ求ムル」に改める。
第九十條第一項中「犯則事件ノ調査ニ依リ發見シタル物件犯則ノ事實ヲ證明スルニ足ルヘシト思料シタルトキハ之ヲ差押へ」を「犯則事實ヲ證明スヘキ物件ヲ差押ヘタルトキハ」に改める。
第九十一條第一項中「臨檢搜索及物件差押」を「臨檢、搜索又ハ差押」に、「現行犯ノ場合」を「第八十六條ノ三ノ規定ニ依ル處分ヲ爲ス場合」に改め、同條第二項中「臨檢搜索又ハ物件差押」を「臨檢、搜索又ハ差押」に改める。
第九十三條第一項中「臨檢、搜索、訊問」を「質問、臨檢、搜索」に、「若ハ訊問」を「若ハ質問」に改め、同條第二項中「訊問」を「質問」に改める。
第二十條 保税工場法の一部を次のように改正する。
第七條 税關官吏ハ取締上必要アリト認ムルトキハ保税工場ニ出入スル者ニ對シ身邊ニ所持スル物件ノ開示ヲ求ムルコトヲ得
第十三條第二号中「搜索」を「開示」に改める。
第二十一條 税関貨物取扱人法の一部を次のように改正する。
第十一條 削除
第二十二條 税務代理士法の一部を次のように改正する。
第一條中「、營業税」を削り、「行政訴訟」を「訴訟」に改める。
第二十三條 耕地整理法の一部を次のように改正する。
第十二條 耕地整理ノ施行ニ依ル土地ノ異動ニ關シテハ土地臺帳法第十八條、第十九條、第二十一條第二項、第二十三條、第二十四條、第二十六條乃至第三十條及第三十二條乃至第三十四條ノ規定ヲ適用セス
第十三條第一項中「定ム」の下に「但シ公有水面埋立法ニ依ル埋立ヲ爲シ同法第二十四條若ハ第五十條ノ規定ニ依り埋立地ノ所有權ヲ取得シ土地臺帳法第三條第一項ノ規定ニ依ル第一種地ト爲リタルモノニ付テハ賃貸價格ヲ除ク」を加え、同條第二項中「第十四條ノ四ノ有租地」を「前項但書ニ規定スル土地」に改め、同項但書を削る。
第十三條の二 削除
第十三條ノ三第一項中「第十三條第二項ノ規定ニ依リ賃貸價格ノ配賦ヲ爲シタル土地」を「第十三條第一項ノ規定ニ依リ處分ヲ爲シタル土地」に、「七十年」を「三十年」に、「耕地整理減租年期」を「耕地整理年期」に改め、同條第二項中「地租法第九條第一項」を「土地臺帳法第十一條」に、「耕地整理減租年期地」を「耕地整理年期地」に改め、同條第三項中「地租法第九條第三項」を「土地臺帳法第十七條」に改める。
第十三條ノ四中「耕地整理減租年期地」を「耕地整理年期地」に改め、「、地類變換又ハ開墾」を削り、「耕地整理減租年期」を「耕地整理年期」に改める。
第十三條ノ五 削除
第十三條ノ六中「耕地整理減租年期地」を「耕地整理年期地」に改め、「滿了スル年」の下に「ノ翌年」を加え、「地租法第九條第三項」を「土地臺帳法第十七條」に、「修正シ其ノ修正ヲ爲シタル年ノ翌年分ヨリ修正賃貸價格ニ依リ地租ヲ徴收ス」を「設定又ハ修正ス」に改める。
第十四條 削除
第十四條ノ二中「無租地」を「土地臺帳法第三條第二項ノ規定ニ依ル第二種地」に、「有租地」を「同條第一項ノ規定ニ依ル第一種地」に、「地租法第九條第三項」を「同法第十七條」に改め、同條に次の一項を加える。
前項ノ規定ニ依リ賃貸價格ノ設定ヲ爲シタル土地ニ付テハ其ノ設定賃貸價格ハ之ヲ土地臺帳法ニ依ル土地臺帳(以下土地臺帳ト謂フ)ニ登録セス
第十四條ノ三中「第十四條第一項又ハ」を削り、「前條」の下に「第一項」を加え、「修正又ハ」を削り、「地租法第九條第一項」を「土地臺帳法第十一條」に改め、「修正賃貸價格又ハ」を削る。
第十四條ノ四を削る。
第十五條第一項中「開墾減租年期、地目變換減租年期、開拓減租年期、埋立免租年期、耕地整理減租年期、耕地整理開拓免租年期又ハ耕地整理堺立免租年期」を「耕地整理年期」に、「地租法第九條第三項」を「土地臺帳法第十七條」に改め、同條第二項及び第三項を削り、同條に次の一項を加える。
前項ノ規定ニ依リ賃貸價格ノ修正又ハ設定ヲ爲シタル土地ニ付テハ其ノ修正賃貸價格又ハ設定賃貸價格ハ之ヲ土地臺帳ニ登録セス
第十五條ノ二中「又ハ第三項」を削り、「地租法第九條第一項」を「土地臺帳法第十一條」に改め、「、前條第三項ノ設定賃貸價格ハ工事完了ノトキノ現況ニ依リ」を削る。
第十五條ノ三 第十五條第一項ノ土地ニ付テハ其ノ年期カ賃貸價格配賦前ニ滿了スル場合ニ於テハ其ノ滿了スル年ノ翌年ニ於テ同項ノ規定ニ依ル修正賃貸價格又ハ設定賃貸價格ヲ土地臺帳ニ登録ス
第十六條乃至第十六條ノ七 削除
第十六條ノ八中「第十四條第一項、第十四條ノ二、第十五條第一項、第三項、第十六條及第十六條ノ二」を「第十四條ノ二第一項及第十五條第一項」に改める。
第二十四條 森林法の一部を次のように改正する。
第十二條 削除
第二十五條 北海道國有未開地処分法の一部を次のように改正する。
第十九條 削除
第二十六條 北海道旧土人保護法の一部を次のように改正する。
第二條ノ二 削除
第二十七條 大正八年法律第三十八号(私立学校用地免租に関する法律)の一部を次のように改正する。
第一條第二号中「大藏大臣」の下に「及内務大臣」を加える。
第二條中「大藏大臣」の下に「及内務大臣」を加える。
第二十八條 昭和十四年法律第三十九号(災害被害者に対する租税の減免、徴收猶予等に関する法律)の一部を次のように改正する。
第二條中「課税標準ノ決定又ハ更訂」を「課税標準ノ計算」に改める。
第三條中「申請」の下に「(審査ノ請求ヲ含ム)」を加える。
第二十九條 左の各号に掲げる法律は、これを廃止する。
一 地租法
二 家屋税法
三 営業税法
四 鑛区税法
五 遊興飮食税法
六 大正七年法律第四十三号(地種変更免租年期に関する法律)
七 昭和二年法律第十八号(御料地拂下地の地租及び登録税免除に関する法律)
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、第三條及び第十一條の規定は、政令で定める日から、第一條中特別法人税法第十四條乃至第十六條の改正規定、第三條中登録税法第十九條第四号ノ二乃至第六号及び第十九條ノ七乃至第十九條ノ十三の改正規定、第八條中織物消費税法第九條第三項乃至第六項の改正規定、第十六條中國税徴收法第三章ノ二の改正規定、第十七條中納税施設法第一章、第二章、第四章及び條五章の改正規定並びに第十八條乃至第二十一條の規定は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
第二條 第一條(同條中特別法人税法第十四條乃法第十六條の改正規定を除く。)の規定は、特別の法人の各事業年度の剩余金に対する特別法人税については、昭和二十二年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算剩余金に対する特別法人税については、同日以後の解散又は合併に因る分から、これを適用する。
特別の法人の昭和二十二年三月三十一日以前に終了した各事業年度の剩余金に対する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩余金に対する特別法人税については、なお從前の特別法人税法の例による。但し、改正前の同法第十五條第一項の規定により、剩余金額を決定すべき場合においては、同項の規定にかかわらず、昭和二十二年の所得税を改正する法律による改正前の所得税法の所得審査委員會の決議によることなく、政府において、その剩余金額を決定する。
第三條 第三條中登録税法第十九條第五号の改正規定施行の際、現に町内会部落会に属する財産の整理のため、当該財産が市町村その他政令で指定する者に移轉された場合において、当該市町村その他政令で指定する者の権利の取得の登記又は登録で当該規定施行後六箇月以内になすものに対しては、登録税を課さない。
第四條 第四條の規定施行前に課した又は課すべきであつた酒税については、なお從前の例による。
第四條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、酒類の製造者又は販賣業者が各種類を通じて合計四斗以上の酒類を所持する場合及びその所持する酒類が合計四斗に満たない場合でも命令で定める酒類が合計一斗以上である場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなして、その所持する酒類に対し酒税を課する。この場合においては、同條の規定施行の日に、その酒類を製造場から移出したものとみなし、改正後の酒税法第二十七條、第二十七條ノ二又は第八十三條の規定により算出した税額と從前の規定により算出した税額との差額をその税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の製造者又は販賣業者が酒場、料理店その他酒類を自己の営業場において飮料に供することを業とする者であるときは、その業務の用に供するため所持する麦酒については一石につき一万千四百円、雜酒については一石につき五万円、その他の酒類については一石につき二万円の割合により算出した金額を、前項の酒税額に加算する。
第二項の製造者又は販賣業者は、その所持する酒類の種類、級別及びアルコール分の異なるごとに数量、價格及び貯藏の場所並びに前項の規定に該当するときはその旨を、第四條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第四條の規定施行の際、製造場に現存する酒類で、戻入又は移入したものについては、酒税法第三十八條第一項の規定にかかわらず、これを移出した時に酒税を徴收する。この場合においては、第二項後段に定める税額を、その税額とする。
第五條 第六條の規定施行前に課した又は課すべきであつた清涼飮料税については、なお從前の例による。
第六條の規定施行の際、製造場以外の場所で、同一人が第一種又は第二種を通じて合計一石以上の清涼飮料を所持する場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなして、清涼飮料税を課する。この場合においては、同條の規定施行の日に、その清涼飮料を製造場外に移出したものとみなし、第一種の清涼飮料については一石につき九百八十円、第二種の清涼飮料については一石につき千七百五十円の割合により算出した金額をその税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の清涼飮料の所持者は、その所持する清涼飮料の種別、数量及び貯藏の場所を、第六條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第六條 第七條の規定施行前に課した又は課すべきであつた砂糖消費税については、なお從前の例による。
第七條の規定施行後一箇月以内に輸出した菓子、糖果その他命令で定める物品に対する砂糖消費税法第十二條ノ二の規定による交付金については、なお從前の例による。
從前の砂糖消費税法第三條の税率により消費税を課せられた砂糖、糖蜜又は糖水を原料として製造した砂糖(第三種の砂糖を除く。)、糖蜜又は糖水で、第七條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、同法第十二條の規定にかかわらず、消費税を徴收する。この場合においては、改正後の同法第三條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額を、その税額とする。
從前の砂糖消費税法第三條の税率により消費税を課せられた第二種乙の砂糖を以て製造した第三種の砂糖で、第七條の規定施行後製造場から引き取られるものについては、改正後の同法第三條中「三百二十五圓」とあるのは「千二十五圓」、「三百六十圓」とあるのは「千八十圓」と読み替えるものとする。
第七條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、同一人が各種類を通じて合計二百斤以上の砂糖、糖蜜又は糖水を所持する場合においては、その者が、同條の規定施行の日に、これを製造場から引き取つたものとみなして、消費税を課する。この場合においては、改正後の砂糖消費税法第三條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額(第三種の砂糖については、氷砂糖は百斤につき九百四十円、その他のものは百斤につき九百六十円の割合により算出した金額)をその税額として、命令の定めるところにより徴收する。
前項の砂糖、糖蜜又は糖水の所持者は、その所持する砂糖、糖蜜又は糖水の種別、数量及び貯藏の場所を、第七條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第七條 第九條の規定施行前に課した又は課すべきであつた物品税については、なお從前の例による。
第九條の規定施行後一箇月以内に輸出した菓子、糖果その他命令で定める物品に対する物品税法第十四條の規定による交付金については、なお從前の例による。
第九條の規定施行の際、製造場又は保税地域以外の場所で、改正後の物品税法第一條に掲げる第二種の物品の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者が左の各号の一に該当する物品を所持する場合においては、その場所を製造場、その所持者を製造者とみなして、物品税を課する。この場合においては、同條の規定施行の日に、その物品を製造場外に移出したものとみなし、改正後の物品税法第二條の税率により算出した金額と從前の同條の税率により算出した金額との差額をその税額として、命令の定めるところにより徴收する。
一 三十万本以上の燐寸
二 飴、葡萄糖又は麦芽糖で、合計三百斤以上のもの
三 サツカリン又はヅルチンで、合計一瓩以上のもの
四 二百斤以上の蜂蜜
前項の製造者若しくは販賣者又は命令で定める者は、その所持する物品の品名ごとに数量及び貯藏の場所を、第九條の規定施行後一箇月以内に、政府に申告しなければならない。
第八條 第十二條の規定施行前に課した又は課すべきであつた骨牌税については、なお從前の例による。
第十二條の規定施行の際、骨牌の製造又は販賣をなす者の所持する骨牌については、製造又は販賣をなす者が、改正後の骨牌税法第四條の規定による税額と從前の規定による税額との差額に相当する金額を税額として、骨牌税を納めなければならない。
第九條 第十四條の規定施行の日から昭和二十三年四月十五日までに狩猟の免許を受ける者については、昭和二十一年分の綜合所得税又は増加所得税を納める者及びその家族を以て狩猟法第八條第一項に規定する一等に該当する者、分類所得税年額百五十円以上を納める者及びその家族を以て同項に規定する二等に該当する者、これらの者以外の者を以て同項に規定する三等に該当する者とみなす。
前項の分類所得税年額の算定について必要な事項は、命令でこれを定める。
第十條 昭和二十一年分以前の甲種及び乙種の事業所得、山林の所得及び個人の総所得に対する所得税、増加所得税、個人の昭和二十一年分以前の営業税、法人の昭和二十二年三月三十一日以前に終了した各事業年度の普通所得、超過所得及び資本に対する法人税及び純益に対する営業税、法人の同日以前の解散又は合併に因る清算所得に対する法人税及び清算純益に対する営業税又は特別の法人の同日以前に終了した各事業年度の剩余金に対する特別法人税及び同日以前の解散又は合併に因る清算剩余金に対する特別法人税の軽減又は免除並びにこれらの租税の課税標準の計算、徴收又は納税積立金若しくは納税準備預金の特例に関しては、なお從前の租税特別措置法の例による。
第十一條 第十六條(同條中國税徴收法第三章ノ二の改正規定を除く。)規定施行前に市町村のなした納税の告知に係る國税の徴收及び税金送付に関する市町村の責任並びに徴收の費用として市町村に対し交付すべき交付金については、なお從前の例による。
第十二條 第十七條中納税施設法第一章、第二章、第四章及び第五章の改正規定の施行前納税團体たる町内会部落会が管理していた納税資金又は納税團体たる町内會部落会に対し國税その他の租税公課の納付を委託して交付した金銭等が当該規定施行前に亡失したため被害を受けた團体員に対する國税の軽減又は免除及びこの場合における町内会部落会の役員、使用人等の賠償の責任については、なお從前の例による。
法人の昭和二十二年三月三十一日以前に終了した事業年度分に係る從前の納税施設法第七條第一項に規定する租税に関する納税積立金については、なお從前の例による。
第十三條 第十八條及び第十九條の規定施行の際、從前の間接國税犯則者処分法第一條又は從前の関税法第九十條第一項の規定による差押中の物件がある場合において、收税官吏又は税関官吏がその差押につき第十八條及び第十九條の規定施行後十日以内にその所属官署の所在地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を受けたときは、当該差押は、これを改正後の間接國税犯則者処分法第二條第一項又は改正後の関税法第八十六條ノ二第一項の規定による差押とみなす。
前項の規定は、第十八條及び第十九條の規定施行の際、從前の間接國税犯則者処分法第一條又は從前の関税法第九十條第一項の規定を準用する他の法律による差押中の物件がある場合について、これを準用する。
改正後の間接國税犯則者処分法第二條第三項及び第四項又は改正後の関税法第八十六條ノ二第三項及び第四項の規定は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定により裁判官の許可を受ける場合に、これを準用する。
第十四條 第二十三條の規定施行の際現に從前の耕地整理法による耕地整理減租年期、耕地整理開拓免租年期又は耕地整理埋立免租年期を有する土地は、その残年期間に限り(その残年期間が昭和四十四年までに満了しないものについては、同年までは)、改正後の同法による耕地整理年期を有するものとみなす。
第二十三條の規定施行の際現に從前の耕地整理法による耕地整理開墾減租年期若しくは耕地整理地目変換減租年期を有する土地又は從前の同法第十四條第一項の規定により賃貸價格を修正し、第二十三條の規定施行の際まだ從前の同法第十四條第二項に規定する年期を許可されていなかつた土地に関しては、改正後の同法第十三條第二項の規定による現賃貸價格の計算については、從前の同法第十四條第一項の規定による賃貸價格の修正がなかつたものとみなす。
第二十三條の規定施行の際現に從前の耕地整理法第十六條の規定により配当金を有する土地があるときは、その賃貸價格については、同條の年期の残年期間の満了するまで(その残年期間が昭和四十四年までに終了しない場合においては、同年まで)は、その期間中に当該土地の異動に因り賃貸價格を修正することとなつた場合を除く外、なお從前の同法の例による。
前項の土地の賃貸價格は、同項の期間が満了した年の翌年において、これを修正する。この場合においては、その期間が満了した時における賃貸價格に從前の耕地整理法第十六條の規定による配当金を加えたものを以て、その土地の賃貸價格とする。
第十五條 第二十九條第一号乃至第四号の規定は、法人の各事業年度の純益に対する営業税については、昭和二十二年四月一日以後に終了する事業年度分から、清算純益に対する営業税については、同日以後における解散又は合併に因る分から、個人の営業税並びに地租及び家屋税については、昭和二十二年分から、鑛区税については、昭和二十三年分から、それぞれこれを適用する。
法人の昭和二十二年三月三十一日以前に終了した各事業年度の純益又は同日以前の解散若しくは合併に因る清算純益に対する営業税、昭和二十一年分以前の個人の営業税、地租及び家屋税並びに昭和二十二年分以前の鑛区税については、なお從前の地租法、家屋税法、営業税法又は鑛区税法の例による。但し、從前の営業税法第十七條第二項又は第二十二條第一項の規定により純益金額を決定すべき場合においては、これらの規定にかかわらず、昭和二十二年の所得税法を改正する法律による改正前の所得税法の所得調査委員会又は所得審査委員会の調査又は決議によることなく、政府において、その純益金額を決定する。
第二十九條第三号の規定施行の際、他の法令(地方税法及び地方分與税法並びにこれらに基く命令を除く。)中「営業税法」とあるのは「地方税法」、「営業税」又は「営業收益税」とあるのは「地方税法による営業税」、「営業税法による純益」とあるのは「地方税法による営業の純益」、「営業税の附加税」とあるのは「地方税法による営業税、営業税附加税及び営業税割」と読み替えるものとする。
第十六條 附則第十四條及び第十五條に規定するものの外、第二十三條乃至第二十七條並びに第二十九條第一号、第六号及び第七号の規定の施行に関し必要な事項は、勅令でこれを定める。
第十七條 改正後の税務代理士法第一條の規定中「訴訟」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、「行政訴訟」と読み替えるものとする。
第十八條 第二條、第三條(同條中登録税法第十九條第四号ノ二乃至第六号及び第十九條ノ七乃至第十九條ノ十三の改正規定を除く。)、第八條(同條中織物消費税法第九條第三項乃至第六項の改正規定を除く。)、第十條、第十一條、第十三條及び第二十九條第五号の規定施行前に課した又は課すべきであつた有價証券移轉税、登録税、織物消費税、入場税、特別入場税、取引所税、印紙税及び遊興飮食税については、なお從前の例による。
第十九條 第三條中登録税法第十九條ノ七乃至第十九條ノ十三の改正規定、第八條中織物消費税法第九條第三項乃至第六項の改正規定及び第十九條の規定施行の際、從前の登録税法第十九條ノ七第一項、從前の織物消費税法第九條第三項又は從前の関税法第六十一條の規定により、課税標準の評價の請求又は織物の評定價格若しくは関税の賦課に関する異議の申立中であるときは、当該評價の請求又は異議の申立は、これを改正後の國税徴收法第三十一條ノ二第一項又は改正後の関税法第六十一條の規定による審査の請求とみなす。
第二十條 この法律による他の法律の廃止又は改正前になした行爲に関する罰則の適用については、なお從前の例による。
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土地台帳法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
土地台帳法案
土地台帳法目次
第一章 総則
第二章 賃貸價格の調査及び決定
第三章 土地の異動
第一節 第一種地及び第二種地の轉換
第二節 分筆及び合筆
第三節 地目変換
第四章 審査、訴願及び訴訟
第五章 雜則
第六章 罰則
土地台帳法
第一章 総則
第一條 この法律の施行地にある土地については、その状況を明確に把握し、地租の課税標準たる土地の賃貸價格の均衡適正を図るため、この法律の定めるところにより、土地台帳に必要な事項の登録を行う。
第二條 土地は、これを第一種地及び第二種地とする。
第三條 第一種地は、第二項に規定する土地以外の土地をいう。
第二種地は、左に掲げる土地をいう。但し、第二号乃至第六号に掲げる土地で有料借地たるものを除く。
一 都道府縣又は市町村の所有する土地
二 國、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体において公用又は公共の用に供する土地
三 墳墓地
四 公衆用道路、鉄道用地、軌道用地、運河用地
五 用惡水路、溜池、堤塘、井溝
六 保安林
七 その他命令で定めるもの
第四條 土地には、一筆ごとに地番を附し、その地目、地積及び賃貸價格を定める。但し、第二種地については、賃貸價格は、これを定めない。
第五條 政府は、土地台帳を備え、左の事項を登録する。
一 土地の所在
二 地番
三 地目
四 地積
五 賃貸價格
六 所有者の住所及び氏名又は名称
七 質権又は百年より良い存続期間の定がある地上権の目的たる土地についてはその質権者又は地上権者の住所及び氏名又は名称
この法律の定めるものの外、土地台帳に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第六條 地番は、市町村、大字、字又はこれに準ずべき地域を以て地番区域とし、その区域ごとに起番して、これを定める。
第七條 第一種地の地目は、田、畑、宅地、塩田、鑛泉地、池沼、山林、牧場、原野及び雜種地に区別して、これを定める。
第二種地の地目は、第三條第二項第三号乃至第六号の土地にあつては、各各その区別により、その他の土地にあつては、その現況により適当に区別して、これを定める。
第八條 地積は、左の各号の規定により、これを定める。
一 宅地及び鑛泉地の地積は、平方メートルを單位としてこれを定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、これを切り捨てる。
二 宅地及び鑛泉地以外の土地の地積は、アールを單位としてこれを定め、一アールの百分の一未満の端数は、これを切り捨てる。但し、一筆の地積が一アールの百分の一未満のものについては、一アールの一万分の一未満の端数は、これを切り捨てる。
第九條 賃貸價格は、貸主が公租公課、修繕費その他土地の維持に必要な経費を負担する條件でこれを賃貸する場合において貸主の收得すべき一年分の金額により、これを定める。
第十條 土の異動があつた場合においては、地番、地目、地積及び賃貸價格は土地所有者の申告により、申告がないとき若しくは申告を不相当と認めるとき又は申告を要しないときは、政府の調査により、政府がこれを定める。
第二章 賃貸價格の調査及び決定
第十一條 賃貸價格は、十年ごとに、一般にこれを改定する。
第十二條 賃貸價格を一般に定める場合においては、その賃貸價格は、これを定める年の前前年四月一日現在の賃貸價格の定のある土地につき、各地目ごとに土地の状況が類似する区域を一区域とし、その区域内において標準となるべき賃貸價格によつて、これを定める。
前項の標準となるべき賃貸價格の算定に関する事項は、命令でこれを定める。
第十三條 前條第一項の区域及びその区域内において標準となるべき賃貸價格は、土地賃貸價格調査委員会に諮問して、政府がこれを定める。
土地賃貸價格調査委員会に関する規程は、政令でこれを定める。
第十四條 政府は、前條第一項の規定により第十二條第一項の区域及びその区域内において標準となるべき賃貸價格を定めたときは、これを市町村長に通知しなければならない。
市町村長は、前項の通知を受けたときは、二十日間関係者の縱覽に供しなければならない。縱覽期間は、予めこれを公示しなければならない。
第十五條 賃貸價格を一般に定める年の前前年四月二日以後賃貸價格を一般に定めるまでの間において異動があつた土地については、一般に定める賃貸價格は、第十二條及び第十三條第一項の規定にかかわらず、第十七條又は第三十條の例に準じ、政府の調査により、政府がこれを定める。
第十六條 この法律に定めるものの外、一般の賃貸價格の改定に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第十七條 第十一條の規定により一般に賃貸價格を定める場合及び第三十條の規定により賃貸價格を定める場合を除く外、賃貸價格を設定し又は修正する必要があるときは、類地の賃貸價格に比準し、その土地の品位及び状況に應じて、これを定める。
第三章 土地の異動
第一節 第一種地及び第二種地の轉換
第十八條 あらたに土地台帳に登録すべき土地を生じたとき又は第二種地が第一種地となつたときは、土地所有者は、一箇月以内に、これを政府に申告しなければならない。
第十九條 第一種地が第二種地となつたときは、土地所有者は その旨を政府に申告しなければならない。但し、これに関し予め他の法令に基き政府の許可を受け若しくは申告をなしたもの又は官公署において公示したものについては、この限りでない。
第二十條 あらたに土地台帳に登録すべき土地を生じたときは、當該地番区域内における最終の地番を追い、順次にその地番を定める。但し、特別の事情があるときは、適宜の地番を定めることができる。
第二十一條 あらたに土地台帳に登録すべき土地を生じたときは、直ちにその地目を設定する。
第二種地が第一種地となり又は第一種地が第二種地となつたときは、直ちにその地目を修正する。
第二十二條 あらたに土地台帳に登録すべき土地を生じたときは、直ちにこれを測量して、その地積を定める。
第二種地が第一種地となつたときは、直ちにその地積を改測する。但し、政府において、その地積に異動がないと認めるときは、これを省略することができる。
第二十三條 あらたに土地台帳に登録すべき土地が第一種地に該当するとき又は第二種地が第一種地となつたときは、直ちにその賃貸價格を設定する。
第二十四條 第一種地が第二種地となつたときは、命令の定めるところにより、当該土地の土地台帳に登録された賃貸價格を抹消する。
第二節 分筆及び合筆
第二十五條 この法律において分筆とは、一筆の土地を数筆の土地とすることをいい、合筆とは、数筆の土地を一筆の土地とすることをいう。
第二十六條 分筆又は合筆をしようとするときは、土地所有者は、これを政府に申告しなければならない。
第二十七條 一筆の一部が左の各号の一に該当するに至つたときは、前條の申告がない場合においても、政府は、その土地を分筆する。
一 別地目となるとき
二 第一種地が第二種地となり又は第二種地が第一種地となるとき
三 所有者を異にするとき
四 質権又は百年より長い存続期間の定のある地上権の目的となるとき
五 地番区域を異にするとき
第二十八條 分筆した土地については、分筆前の地番に符号を附して、各筆の地番を定める。
合筆した土地については、合筆前の地番中の首位のものを以て、その地番とする。
特別の事情があるときは、前二項の規定にかかわらず、適宜の地番を定めることができる。
第二十九條 分筆をしたときは、測量して各筆の地積を定める。
合筆をしたときは、合筆前の各筆の地積を合算したものを以て、その地積とする。
第三十條 分筆をしたときは、各筆の品位及び状況に應じ、分筆前の賃貸價格を配分して、その賃貸價格を定める。
合筆をしたときは、合筆前の各筆の賃貸價格を合算したものを以て、その賃貸價格とする。
第三節 地目変換
第三十一條 この法律において地目変換とは、第一種地の各地目を変更することをいう。
第三十二條 地目変換をなしたときは、土地所有者は、一箇月以内に、これを政府に申告しなければならない。
第三十三條 地目変換をなしたときは、直ちにその地目及び賃貸價格を修正する。
第三十四條 政府は、地目変換に因り賃貸價格を修正する場合において必要があると認めるときは、その地積を改測する。
第四章 審査、訴願及び訴訟
第三十五條 自己の所有する土地について適用されるべき第十三條第一項の規定により定められた賃貸價格につき異議のある者は、第十四條第二項の縱覽期間満了の日から一箇月以内に、不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。
第三十六條 政府は、前條の請求があつたときは、これを決定し、当該請求人に通知しなければならない。
前項の場合において必要な事項は、政令でこれを定める。
第三十七條 前條第一項の決定に対し不服のある者は、訴願をなし又は裁判所に出訴することができる。
第三十五條に規定する事件に関しては、訴願又は訴訟は、前條第一項の決定を経た後でなければこれをなすことができない。
第五章 雜則
第三十八條 政府は、土地台帳に登録すべき事項につき異動があつたときは、これを市町村長に通知しなければならない。
第三十九條 政府は、土地の異動に因り地番、地目、地積又は賃貸價格を土地台帳に登録したとき又は登録を変更したときは、土地所在の市町村を経由し、土地所有者(質権又は百年より長い存続期間の定がある地上権の目的たる土地については、当該質権者又は地上権者)に通知しなければならない。
第四十條 第十八條又は第三十二條の規定により申告をなすべき場合において、第十八條又は第三十二條に定める申告期限内に土地所有者の変更があつたときは、旧所有者がなすべき申告で所有者の変更があつた時にまだなしていなかつたものは、所有者の変更があつた日から一箇月以内に、新所有者からこれをなさなければならない。
第四十一條 この法律により土地所有者からなすべき申告は、質権又は百年より長い存続期間の定がある地上権の目的たる土地については、土地台帳に登録された質権者又は地上権者から、これをなさなければならない。
第四十二條 当該官吏は、調査上必要があるときは、土地の檢査をなし又は土地の所有者、質権者又は地上権者その他利害関係人に対して、質問をなすことができる。
第四十三條 町村組合で町村の事務の全部又は役場事務を共同処理するものは、この法律の適用については、これを一町村、その組合管理者は、これを町村長とみなす。
東京都の区の存する区域又は市制第六條若しくは第八十二條第一項の規定により指定された市においては、この法律中市に関する規定は区に、市長に関する規定は区長に、これを適用する。
町村制を施行しない地においては、この法律中町村に関する規定は町村に準ずるものに、町村長に関する規定は町村長に準ずるものに、これを適用する。
第四十四條 この法律は、國有地には、これを適用しない。
第六章 罰則
第四十五條 第四十二條の規定による土地の檢査を拒み、妨げ又は忌避した者は、これを五百円以下の罰金に処する。
第四十六條 賃貸價格の調査若しくは審査の事務に從事し又は土地賃貸價格調査委員会の議事に参加した者がその調査、審査又は議事に関し知り得た祕密を漏らしたときは、これを五千円以下の罰金に処する。
第四十七條 第十八條、第三十二條又は第四十條の規定により申告をなすべき義務のある者がその申告をしないときは、これを二百円以下の過料に処する。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 地租法による土地台帳は、これをこの法律による土地台帳とみなす。
第三條 この法律施行前の土地の異動で、この法律施行の際まだ地租法による賃貸價格の設定又は修正その他の処分の確定していなかつたものについては、この法律中にこれらに関する地租法の規定に相当する規定があるときは、この法律を適用する。
第四條 地租法による申告で、この法律中にこれに関する地租法の規定に相当する規定があるときは、これをこの法律による申告とみなす。
この法律施行前になした地租法による開墾の成功又は地類変換の申告は、これをこの法律による地目変換の申告とみなす。
第五條 地積は、第八條の規定にかかわらず、当分の間、左の各号の規定により、これを定める。
一 宅地及び鑛泉地の地積は、六尺平方を坪、坪の十分の一を合、合の十分の一を勺として、これを定め、勺未満の端数は、これを切り捨てる。
二 宅地及び鑛泉地以外の土地の地積は、六尺平方を歩、三十歩を畝、十畝を段、十段を町として、これを定め、歩未満の端数は、これを切り捨てる。但し、一筆の地積が一歩未満のものについては、歩の十分の一を合、合の十分の一を勺として、これを定め、勺未満の端数は、これを切り捨てる。
第六條 この法律は、伊豆七島の土地に関しては、当分の間、これを適用しない。
第七條 地租法により賃貸價格を定むべき旨の定のある土地で、この法律により賃貸價格を定むべき旨の定のないこととなつたものについては、土地所有者は、命令の定めるところにより、命令で定める事項を、政府に申告しなければならない。
第八條 地租法により賃貸價格を定むべき旨の定のない土地(免租年期を許可された土地を除く。)で、この法律により賃貸價格を定むべき旨の定のあることとなつたものについては、当該土地の所有者は、命令の定めるところにより、命令で定める事項を、政府に申告しなければならない。
前項の規定に該当する土地については、政府は、その土地の現況により地目の修正、地積の改測又は賃貸價格の設定を行う。
第九條 地租法第十九條の規定による開拓減租年期、同法第二十條の規定による埋立免租年期、同法第三十六條の規定による開墾減租年期、同法第四十六條の規定による地目変換減租年期又は同法第五十五條の規定による荒地免租年期の許可を受けた土地でこの法律施行の際まだ期間の満了していないものについては、当該土地の所有者は、命令の定めるところにより、命令で定める事項を、政府に申告しなければならない。
前項の規定に該当する土地については、政府は、その土地の現況により、地目の修正、地積の改測又は賃貸價格の設定若しくは修正を行う。
第十條 前條の規定は、この法律施行の際現に地租法及び耕地整理法以外の法律により一定の期間賃貸價格について特別の取扱を受けている土地(一定の期間地租を免ぜられたことに因り賃貸價格について特別の取扱を受けている土地を含む。)その他これに準ずる土地で命令で定めるものについて、これを準用する。
第十一條 土地の第一囘の一般の賃貸價格の改定は、昭和二十五年一月一日において、これを行う。
第十二條 この法律に定めるものを除く外、この法律の施行に関して必要な事項は、命令でこれを定める。
第十三條 日本國憲法施行の日までは、この法律中「政令」とあるのは「勅令」、「裁判所」とあるのは「行政裁判所」と読み替えるものとする。
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家屋台帳法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長山 崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
家屋台帳法案
家屋台帳法目次
第一章 総則
第二章 賃貸價格の調査及び決定
第三章 家屋の異動
第四章 審査、訴願及び訴訟
第五章 雜則
第六章 罰則
家屋台帳法
第一章 総則
第一條 この法律の施行地にある家屋については、その状況を明確に把握し、家屋税の課税標準たる賃貸價格の均衡適正を図るため、この法律の定めるところにより、家屋台帳に必要な事項の登録を行う。
第二條 この法律において家屋とは、住家、店舖、工場、倉庫その他の建物をいう。
第三條 家屋には、一個ごとに家屋番号を附し、その床面積及び賃貸價格を定める。
前項の場合において、附属家屋があるときは、これを合わせたものを以て、一個の家屋とみなす。
一個の家屋のうちに所有者を異にする部分があるときは、各別にこれを一個の家屋とみなし、前二項の規定を適用する。
床面積の計算に関し必要を事項は、命令でこれを定める。
第四條 左に掲げる家屋については、賃貸價格を定めない。但し、第二号乃至第五号に掲げる家屋で有料借家たるものは、この限りでない。
一 都道府縣又は市町村の所有する家屋
二 國、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体の公用又は公共の用に供する家屋
三 國宝保存法又は史蹟名勝天然記念物保存法により國宝又は史蹟若しくは名勝として指定された家屋
四 私立の幼稚園、中学校、高等女学校、実業学校、專門学校、高等学校及び大学並びに命令で定めるその他の私立学校において直接に保有又は教育の用に供する家屋
五 宗教法人令による宗教法人の神社、寺院又は教会の用に供する家屋
六 その他命令で定める家屋前條第三項の規定は、一個の家屋のうちに賃貸價格を定める部分と賃貸價格を定めない部分がある場合に、これを準用する。
第五條 政府は、家屋台帳を備え、左の事項を登録する。
一 家屋の所在
二 家屋番号
三 種類、構造及び床面積
四 賃貸價格
五 所有者の住所及び氏名又は名称
この法律に定めるものの外、家屋台帳に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第六條 賃貸價格は、貸主が公租公課、修繕費その他家屋の維持に必要な経費を負担する條件でこれを賃貸する場合において貸主の收得すべき一年分の金額により、これを定める。
第二章 賃貸價格の調査及び決定
第七條 賃貸價格は、五年ごとに、一般にこれを改定する。
第八條 賃貸價格を一般に定める場合においては、その賃貸價格の調査は、これを定める年の前前年四月一日現在の賃貸價格の定のある家屋につき、これを行う。
第九條 一般に定める賃貸價格は、第十條に規定する場合を除く外、家屋賃貸價格調査委員会に諮問して、政府がこれを定める。
家屋賃貸價格調査委員会に関する規程は、政令でこれを定める。
第十條 賃貸價格を一般に定める年の前前年四月二日以後賃貸價格を一般に定めるまでの間において異動した家屋については、一般に定める賃貸價格は、第十三條第一項又は第十七條の例に準じ、政府の調査により、政府がこれを定める。
第十一條 政府は、第九條第一項又は前條の規定により賃貸價格を定めたときは、これを市町村長に通知しなければならない。
市町村長は、前項の通知を受けたときは、二十日間関係者の縱覽に供しなければならない。縱覽期間は、予めこれを公示しなければならない。
第十二條 この法律に定めるものの外、一般の賃貸價格の改定に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第十三條 第十五條の規定に依り賃貸價格を定める場合においては、その賃貸價格は、類似の家屋の家屋台帳に登録された賃貸價格に比準し、その家屋の状況に應じて、これを定める。
前項の場合においては、床面積及び賃貸價格は、家屋所有者の申告により、申告がないとき又は申告を不相当と認めるときは、政府の調査により、政府がこれを定める。
第三章 家屋の異動
第十四條 家屋を建築したとき、賃貸價格の定のない家屋が賃貸價格を定むべきものとなつたとき、賃貸價格の定のない家屋の一部が賃貸價格を定むべきものとなつたとき又は家屋を増築したときは、家屋所有者は、命令の定めるところにより、一箇月以内にその旨を政府に申告しなければならない。但し、建築又は増築した家屋が第四條第一項の規定により賃貸價格を定めない家屋に該当するものであるときは、この限りでない。
第十五條 家屋を建築したとき、賃貸價格の定のない家屋が賃貸價格を定むベき家屋となつたとき、賃貸價格の定のない家屋の一部が賃貸價格を定むべきものとなつたとき又は家屋を増築したときは、政府は、直ちにその賃貸價格を定める。
前項の規定は、家屋が損壞し家屋所有者がその旨を申告した場合について、これを準用する。
第十六條 家屋につき、左の各号の一に該当する事由を生じたときは、家屋所有者は、命令の定めるところにより、その旨を政府に申告しなければならない。
一 一個の家屋が数個の家屋となつたとき
二 数個の家屋が一個の家屋となつたとき
三 賃貸價格の定のある家屋の一部が賃貸價格を定めない家屋となつたとき
四 家屋の一部が所有者を異にするに至つたとき
第十七條 家屋が前條各号の一に該当するときは、命令の定めるところにより、從前の賃貸價格を配分又は合算して、その賃貸價格を定める。
第十八條 家屋が滅失したとき又は賃貸價格を定めある家屋が賃貸價格を定めない家屋となつたときは、政府は、家屋所有者の申告により、直ちにその家屋について、家屋台帳に登録された事項を抹消する。
第四章 審査、訴願及び訴訟
第十九條 自己の所有する家屋について第九條第一項又は第十條の規定により定められた賃貸價格につき異議がある者は、第十一條第二項の縱覽期間満了の日から一箇月以内に、不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。
第二十條 政府は、前條の請求があつたときは、これを決定し、当該請求人に通知しなければならない。
前項の場合において必要な事項は、政令でこれを定める。
第二十一條 前條第一項の決定に対し不服のある者は、訴願をなし又は裁判所に出訴することができる。
第十九條に規定する事件に関しては、訴願又は、訴訟は前條第一項の決定を経た後でなければ、これをなすことができない。
第五章 雜則
第二十二條 政府は、家屋台帳に登録すべき事項につき異動があつたときは、これを市町村長に通知しなければならない。
第二十三條 政府は、家屋の異動に因り、家屋番号、種類、構造、床面積又は賃貸價格を家屋台帳に登録したとき又は登録を変更したときは、家屋所在の市町村を経由し、家屋所有者に通知しなければならない。
第二十四條 当該官吏は、調査上必要があるときは、家屋の所有者、占有者その他利害関係人に対して、質問をなし又は日出から日沒までの間家屋の檢査をなすことができる。
第二十五條 町村組合で町村の事務の全部又は役場事務を共同処理するものは、この法律の適用については、これを一町村、その組合管理者は、これを町村長とみなす。
東京都の区の存する区域又は市制第六條若しくは第八十二條第一項の規定により指定された市においては、この法律中市に関する規定は区に、市長に関する規定は区長に、これを適用する。
町村制を施行しない地においては、この法律中町村に関する規定は町村に準ずるものに、町村長に関する規定は町村長に準ずるものに、これを適用する。
第二十六條 この法律は、國有の家屋には、これを適用しない。
第六章 罰則
第二十七條 第二十四條の規定による家屋の檢査を拒み、妨げ又は忌避した者は、これを五百円以下の罰金に処する。
第二十八條 賃貸價格の調査若しくは審査の事務に從事し又は家屋賃貸價格調査委員会の議事に参加した者がその調査、審査又は議事に関し知り得た祕密を漏らしたときは、これを五千円以下の罰金に処する。
第二十九條 第十四條の規定により申告をなすべき義務のある者がその申告をしないときは、これを二百円以下の過料に処する。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 家屋税法による家屋台帳は、これをこの法律による家屋台帳とみなす。
第三條 この法律施行前の家屋の異動で、この法律施行の際において、まだ家屋税法による賃貸價格の決定又は修正その他の処分の確定していなかつたものについては、この法律中にこれらに関する家屋税法の規定に相当する規定があるときは、この法律を適用する。
第四條 家屋税法による申告で、この法律中にこれに関する家屋税法の規定に相当する規定があるときは、これをこの法律による申告とみなす。
第五條 第四條第一項の規定により賃貸價格を定めない家屋については、当分の間、第三條、第五條及び第十六條の規定は、これを適用しない。
第六條 家屋税法により賃貸價格を定むべき旨の定のない家屋で、この法律により賃貸價格を定むべき旨の定のあることとなつたものについては、当分の間、命令の定めるところにより、第三條、第五條及び第十六條の規定は、これを適用しないことができる。
第七條 家屋税法により賃貸價格を定むべき旨の定のある家屋で、この法律により賃貸價格を定むべき旨の定のないこととなつたものについては、家屋所有者は、命令の定めるところにより、命令で定める事項を、政府に申告しなければならない。
第八條 家屋の第一回の一般の賃貸價格の改定は、昭和二十七年一月一日において、これを行う。
第九條 日本國憲法施行の日までは、この法律中「政令」とあるのは「勅令」、「裁判所」とあるのは「行政裁判所」と読み替えるものとする。
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地方税法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
地方税法の一部を改正する法律案
地方税法の一部を次のように改正する。
地方税法目次中 「第一節 府縣税第一款 附加税 第二款 獨立税」を「第一節 府縣税」に改める。
第一條第三項中「、府縣參事會」及び「、北海道參事會」を削り、「北海道廳長官」を「北海道知事」に改め、同條第四項中「東京都」の下に「及特別市」を加え、同條第五項中「、府縣參事會」を削り、「東京都、東京都税、東京都民税、東京都長官、東京都吏員、東京都參事會又ハ東京都條例」を「東京都若ハ特別市、東京都税若ハ特別市税、東京都民税若ハ特別市民税、東京都知事若ハ特別市長、東京都吏員若ハ特別市吏員又ハ東京都條例若ハ特別市條例」に改め、同條第六項中「又ハ北海道」及び「又ハ北海道廳長官」を削り、「東京都長官」を「東京都知事」に改める。
第二條中「國税附加税」を削る。
第七條 數府縣ニ於テ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲ス者ニ賦課スル營業税ノ課税標準タルベキ純益金額ノ總額ハ主タル營業所在地ノ府縣知事之ヲ決定スベシ
數府縣ニ於テ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲ス者ニ關係府縣ニ於テ賦課スル營業税ノ課税標準タルベキ純益金額ハ前項ノ府縣知事ノ定ムル所ニ依ル
第一項ノ府縣知事純益金額ノ總額ヲ決定シタルトキハ直ニ前項ノ規定ニ依リ關係府縣ニ於テ賦課スル營業税ノ課税標準タルベキ純益金額ヲ定メ之ヲ關係府縣知事(第一項ノ府縣知事ヲ除ク以下本條中同ジ)通知スベシ
關係府縣知事ニ於テ第二項ノ規定ニ依リ第一項ノ府縣知事ノ定メタル純益金額ニ異議アルトキハ内務大臣純益金額ヲ定ム
前項ノ異議ハ其ノ通知ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ之ヲ申出ヅベシ
内務大臣第四項ノ異議ノ申出ヲ受理シタルトキハ三月以内ニ之ヲ決定スベシ
内務大臣特別ノ必要アリト認ムルトキハ第一項又ハ第二項ノ規定ニ依リ第一項ノ府縣知事ノ定メタル純益金額ノ總額又ハ純益金額ヲ更正スルコトヲ得
第八條第一項第二号及び第三号中「當該府縣ノ本税額」を「純益金額ニ基ク當該府縣ノ税額」に改め、同條第三項中「及大藏大臣」を削り、同條第四項中「第四項及第五項」を「第五項及第六項」に改める。
第九條 鑛區若ハ砂鑛區又ハ漁場ガ數市町村ニ亙ル場合ニ關係市町村ニ於テ賦課スル鑛區税附加税又ハ漁業權税附加税ノ課税標準タルベキ本税額ハ鑛區若ハ砂鑛區又ハ漁場ノ面積ニ依リ本税ヲ按分シタルモノニ依ル
第十一條第一項を次のように改める。
法人ノ營業税(營業税割ヲ含ム)ノ賦課率ハ法人ノ事業年度終了ノ日又ハ合併若ハ解散ノ日ノ屬スル年度ノ賦課率ニ依ル
同條第二項に次の但書を加える。
但シ法人ノ營業税附加税ノ賦課率ハ法人ノ事業年度終了ノ日又ハ合併若ハ解散ノ日ノ屬スル年度ノ賦課率ニ依ル
第十二條第一項第二号中「勅令」を「政令」に、同項第三号中「勅令」を「政令」に、「家屋」を「土地、家屋」に改め、同項第五号を削る。
第十七條中「官吏若ハ」を削る。
第二十條第二項中「第四十八條ノ六」を「第四十五條ノ五」に改め、同條第四項及び第五項中「行政裁判所」を「裁判所」に改め、同條第六項中「府縣制第百二十八條及第百二十八條ノ二」を「地方自治法第二百五十七條」に改める。
第二十一條第一項中「官吏若ハ」を削る。
第二十三條第一項中「官吏若ハ」を削り、同條第二項及び第三項中「行政裁判所」を「裁判所」に改め、同條第六項中「府縣制第三十八條、第百二十八條及第百二十八條ノ二」を「地方自治法第六十六條第三項及び第二百五十七條」に改める。
第二十四條第一項第三号中「帝國」を「本邦」に改める。
第二十五條第一項中「地方税」を「市町村税」に改め、同條第二項中「府縣制第百二十八條及第百二十八條ノ二」を「地方自治法第二百五十七條」に改める。
第二十八條中「府縣参事會」を「府縣會」に改める。
第三十四條第一項中「帝國」を「本邦」に改める。
第三十六條第四項中「府縣制第百二十八條ノ二第二項」を「地方自治法第二百五十七條第三項」に改める。
第三十九條中「官吏若ハ」を削る。
第四十條第四項中「府縣制第百二十八條ノ二第二項」を「地方自治法第二百五十七條第三項」に改める。
第四十三條第一項中「官吏若ハ」及び「官吏又ハ」を削る。
第二章第一節中「第一款 附加税」及び第四十四條乃至第四十七條並びに「第二款 獨立税」を削る。
第四十八條第一項を次のように改める。
獨立税トシテ課スルコトヲ得ベキ府縣税左ノ如シ
一 府縣民税
二 地租
三 家屋税
四 營業税
五 鑛區税
六 船舶税
七 自動車税
八 軌道税
九 電話加入權税
十 電柱税
十一 不動産取得税
十二 漁業權税
十三 狩獵者税
十四 藝妓税
十五 遊興税
十六 入湯税
同條を第四十四條とする。
第四十八條ノ二を第四十五條とする。
第四十八條ノ三第一項中「四月」を「十月」に改め、同條を第四十五條ノ二とする。
第四十八條ノ四中「六十圓」を「百二十圓」に、「第四十八條ノ二」を「第四十五條」に改め、同條を第四十五條ノ三とする。
第四十八條ノ五を第四十五條ノ四、第四十八條ノ六を第四十五條ノ五とする。
第四十六條 地租ハ土地ニ對シ土地臺帳法ニ依ル土地臺帳ニ登録セラレタル賃貸價格ヲ標準トシテ其ノ所在ノ府縣ニ於テ其ノ所有者(質權又ハ百年ヨリ長キ存續期間ノ定アル地上權ノ目的タル土地ニ付テハ其ノ質權者又ハ地上權者)ニ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ土地臺帳ニ所有者、質權者又ハ地上權者トシテ登録セラレタル者ヲ以テ夫々其ノ土地ノ所有者、質權者又ハ地上權者ト看做ス
第四十六條ノ二 地租ノ賦課期日ハ四月一日トス但シ特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大臣ノ許可ヲ受ケ之ヲ變更スルコトヲ得
第十條第一項及第二項ノ規定ハ地租ニ付テハ之ヲ適用セズ
第四十六條ノ三 地租ハ各納税義務者ニ付同一市町村内ニ於ケル土地ノ賃貸價格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徴收スベシ但シ賃貸價格ノ合計金額ガ政令ヲ以テ定ムル金額ニ滿タザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十六條ノ四 土地臺帳法ニ依リ申告ヲ爲スベキ義務ヲ有スル者其ノ申告ヲ爲サザルガ爲賃貸價格ノ設定又ハ修正ナク仍テ地租ニ不足額アルトキハ直ニ之ヲ追徴スベシ前項ノ規定ニ依リ地租ヲ徴收スル場合及詐欺其ノ他不正ノ行爲ニ依リ地租ヲ逋脱シタル者ヨリ其ノ地租ヲ徴收スル場合ニ於テハ前條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第四十七條 家屋税ハ家屋ニ對シ家屋臺帳法ニ依ル家屋臺帳ニ登録セラレタル賃貸價格ヲ標準トシテ其ノ所在ノ府縣ニ於テ其ノ所有者ニ之ヲ課ス
前項ノ場合ニ於テハ家屋臺帳ニ所有者トシテ登録セラレタル者ヲ以テ其ノ家屋ノ所有者ト看做ス
第四十七條ノ二 家屋税ノ賦課期日ハ六月一日トス但シ特別ノ必要アル場合ニ於テハ内務大臣ノ許可ヲ受ケ之ヲ變更スルコトヲ得
第十條第一項及第二項ノ規定ハ家屋税ニ付テハ之ヲ適用セズ
第四十七條ノ三 家屋税ハ各納税義務者ニ付同一市町村内ニ於ケル家屋ノ賃貸價格ノ合計金額ニ依リ算出シ之ヲ徴收スベシ但シ賃貸價格ノ合計金額ガ政令ヲ以テ定ムル金額ニ滿タザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十七條ノ四 家屋臺帳法ニ依リ申告ヲ爲スベキ義務ヲ有スル者其ノ申告ヲ爲サザルガ爲賃貸價格ノ設定又ハ修正ナク仍テ家屋税ニ不足額アルトキハ直ニ之ヲ追徴スベシ
前項ノ規定ニ依リ家屋税ヲ徴收スル場合及詐欺其ノ他不正ノ行爲ニ依リ家屋税ヲ逋脱シタル者ヨリ其ノ家屋税ヲ徴收スル場合ニ於テハ前條ノ規定ハ之ヲ適用セズ
第四十八條 營業税ハ營業ニ對シ純益ヲ標準トシテ營業所ヲ設ケテ營業ヲ爲ス個人及營利法人ニ對シ營業所所在ノ府縣ニ於テ之ヲ課ス前項ノ純益ハ法人ニ付テハ各事業年度ノ純益及清算純益トシ個人ニ付テハ前年ニ於ケル營業ノ純益トス
法人ノ各事業年度ノ純益ハ各事業年度ノ總益金ヨリ總損金ヲ控除シタル金額ニ依ル
法人ガ事業年度中ニ解散シ又ハ合併ニ因リテ消滅シタル場合ニ於テハ其ノ事業年度ノ始ヨリ解散又ハ合併ニ至ル迄ノ期間ヲ以テ一事業年度ト看做ス
法人ノ清算純益ハ法人解散シタル場合ニ於テ其ノ殘餘財産ノ價額ガ解散當時ノ拂込株式金額又ハ出資金額及積立金額ノ合計金額ヲ超過スルトキノ超過金額ニ依ル
法人合併ヲ爲シタル場合ニ於テ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ株主又ハ社員ガ合併後存續スル法人若ハ合併ニ因リテ設立シタル法人ヨリ合併ニ因リテ取得スル株式ノ拂込濟金額又ハ出資金額及金錢ノ總額ガ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ合併當時ノ拂込株式金額又ハ出資金額及積立金額ノ合計金額ヲ超過スルトキハ其ノ超過金額ハ之ヲ合併ニ因リテ消滅シタル法人ノ清算純益ト看做ス
個人ノ純益ハ前年中ノ總收入金額ヨリ必要ノ經費ヲ控除シタル金額ニ依ル
營業税ヲ課スベキ營業ノ種類及營業税ノ課税標準ノ算定ニ關シテハ本法ニ定ムルモノヲ除クノ外政令ヲ以テ之ヲ定ム
第四十八條ノ二 個人ノ營業純益金額ガ政令ヲ以テ定ムル金額ニ滿タザルトキハ營業税ヲ課スルコトヲ得ズ但シ内務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十八條ノ三 特別ノ必要アル場合ニ於テハ營業税ノ課税標準ニ關シテハ營業ノ種類ヲ限リ内務大臣ノ許可ヲ受ケ第四十八條ノ規定ニ依ル純益ノ外他ノ標準ヲ併セ用ヒ又ハ第四十八條ノ規定ニ依ル純益ニ依ラザルコトヲ得
前項ノ場合ニ於テモ第七條第一項ノ規定ハ其ノ適用ヲ妨ゲラルルコトナシ
第四十八條ノ四 地租、家屋税又ハ營業税ノ賦課率ガ夫々地租、家屋税又ハ營業税ノ標準賦課率(地租ニ付テハ百分ノ十二、家屋税ニ付テハ百分ノ十・五、營業税ニ付テハ百分ノ七・五ヲ謂フ以下同ジ)ヲ超ユルトキハ内務大臣ノ許可ヲ受クベシ但シ左ニ掲グル場合ニ於テ賦課率ガ各標準賦課率ノ一・二倍ヲ超エザルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 災害應急費、災害復舊費、傳染病豫防費及國營事業費負擔金ニ充ツル爲借入レタル負債ノ元利償還ノ爲費用ヲ要スルトキ
二 災害應急又ハ復舊ノ爲費用ヲ要スルトキ
三 傳染病豫防ノ爲費用ヲ要スルトキ
前條第一項ノ場合ニ於テ適用スベキ營業税ノ賦課率ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ内務大臣ノ許可ヲ受クベシ
第四十八條ノ五 地租、家屋税及營業税(第四十八條ノ三第一項ノ規定ニ依ル營業税ヲ除ク)ノ賦課率ノ各標準賦課率ニ對スル割合ハ同一府縣ニ於テハ之ヲ同一ト爲スベシ但シ負擔ノ均衡上特ニ必要アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第四十九條 鑛區税ハ鑛區及砂鑛區ニ對シ其ノ所在ノ府縣ニ於テ其ノ鑛業權者(砂鑛權者ヲ含ム)ニ之ヲ課ス
鑛區税ハ左ニ掲グル賦課率ニ依リ之ヲ課スベシ但シ内務大臣ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
一 試掘鑛區 面積千坪毎ニ 二圓
二 採掘鑛區 面積千坪毎ニ 四圓
三 砂鑛區
河床 延長一町毎ニ 二圓
河床ニ非ザルモノ面積千坪毎ニ 二圓
第五十條第一項中「二十噸以上ノ船舶」の下に「又ハ其ノ取得」を、「所有者」の下に「又ハ取得者」を加え、同條に次の一項を加える。
左ニ掲グル船舶ノ取得ニ對シテハ船舶税ヲ課スルコトラ得ズ
一 家督相續又ハ遺産相續ニ因ル船舶ノ取得
二 法人ノ合併ニ因ル船舶ノ取得
第五十一條中「自動車」の下に「又ハ其ノ取得」を、「所有者」の下に「又ハ取得者」を加え、同條に次の一項を加える。
第五十條第四項ノ規定ハ前項ノ自動車ノ取得ニ對スル自動車税ノ課税ニ付之ヲ準用ス
第五十一條ノ二 軌道税ハ軌道法又ハ地方鐵道法ニ依リ敷設シタル軌道又ハ地方鐵道ニ對シ其ノ所在ノ府縣ニ於テ其ノ所有者ニ之ヲ課ス 第五十一條ノ三 電話加入權税ハ電話加入權又ハ其ノ取得ニ對シ電話機所在ノ府縣ニ於テ其ノ電話加入權者又ハ取得者ニ之ヲ課ス
第五十條第四項ノ規定ハ電話加入權ノ取得ニ對スル電話加入權税ノ課税ニ付之ヲ準用ス
第五十六條ノ二 遊興税ハ料理店、貸席、カフエー、バー、旅館其ノ他之ニ類スル場所ニ於ケル遊興、飮食及宿泊ニ對シ其ノ行爲地所在ノ府縣ニ於テ其ノ行爲者ニ之ヲ課ス
第五十六條ノ三 入湯税ハ鑛泉浴場ニ於ケル入湯ニ對シ其ノ浴場所在ノ府縣ニ於テ其ノ入湯客ニ之ヲ課ス
第五十七條 府縣税附加税トシテ課スルコトヲ得ベキ市町村税左ノ如シ
一 地租附加税
二 家屋税附加税
三 營業税附加税
四 鑛區税附加税
五 船舶税附加税
六 自動車税附加税
七 軌道税附加税
八 電話加入權税附加税
九 電柱税附加税
十 不動産取得税附加税
十一 漁業權税附加税
十二 狩獵者税附加税
十三 藝妓税附加税
十四 遊興税附加税
十五 入湯税附加税
十六 第四十四條第二項ノ規定ニ依ル獨立税附加税
第五十八條乃至第六十條を削る。
第六十一條中「本税ノ百分ノ三百」を「夫々地租附加税、家屋税附加税又ハ營業税附加税ノ標準賦課率(地租附加税ニ付テハ土地賃貸價格ノ百分ノ十二、家屋税附加税ニ付テハ家屋賃貸價格ノ百分ノ十・五、營業税附加税ニ付テハ營業純益ノ百分ノ七・五ニ相當スル率ヲ謂フ但シ第四十八條ノ三第一項ノ規定ニ依ル營業税附加税ニ付テハ百分ノ七・五ヲ同年度分ノ第四十八條ノ規定ニ依ル營業税ノ賦課率ヲ以テ除シテ得タル率ヲ謂フ以下同ジ)」に、「本税ノ百分ノ三百六十」を「各標準賦課率ノ一・二倍」に改め、同條第五十八條とする。
第五十九條 鑛區税附加税ノ賦課率ガ第四十九條第二項ニ掲グル率ニ相當スル率ヲ超ユルトキハ府縣知事ノ許可ヲ受クベシ
第六十條 地租附加税、家屋税附加税及營業税附加税ノ賦課率ハ同一市町村内ニ於テハ之ヲ同一ト爲スベシ但シ負擔ノ均衡上特ニ必要アル場合ニ於テ府縣知事ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六十一條 府縣税附加税(地租附加税、家屋税附加税、營業税附加税及鑛區税附加税ヲ除ク)ノ賦課率ハ同一市町村ニ於テハ之ヲ同一ト爲スベシ但シ負擔ノ均衡上特ニ必要アルトキハ此ノ限ニ在ラズ
第六十二條を削る。
第六十三條第一項中
「市町村民税
舟税
自轉車税
荷車税
金庫税
扇風機税
屠畜税
犬税 」
を
「一 市町村民税
二 舟税
三 自轉車税
四 荷車税
五 金庫税
六 扇風機税
七 屠畜税
八 犬税
九 廣告税 」
に改め、同條第二項中「第四十八條」を「第四十四條」に改め、同條を第六十二條とする。
第六十四條を第六十三條とする。
第六十五條第一項中「四月」を「十月」に改め、同條を第六十四條とする。
第六十六條中「四十圓」を「八十圓」に、「第六十四條」を「第六十三條」に改め、同條を第六十五條とする。
第六十六條ノ二を第六十六條とする。
第六十七條第一項中「二十噸未滿ノ舟」の下に「又ハ其ノ取得」を、「所有者」の下に「又ハ取得者」を加え、同條に次の一項を加える。
第五十條第四項ノ規定ハ第一項ノ舟ノ取得ニ對スル舟税ノ課税ニ付之ヲ準用ス
第七十三條ノ二 廣告税ハ廣告(新聞、雜誌及書籍ニ依ル廣告ヲ除ク)ニ對シ其ノ廣告物所在ノ市町村ニ於テ其ノ廣告主ニ之ヲ課ス
第七十四條中「第四十九條乃至第五十六條」を「第四十六條乃至第五十六條ノ三」に、「第六十三條」を「第六十二條」に改める。
第七十五條第一項を次のように改める。
府縣ハ都市計畫法ノ施行ニ要スル費用ニ充ツル爲府縣税獨立税ノ百分ノ十以内ニ於テ都市計畫税トシテ府縣税獨立税割ヲ課スルコトヲ得但シ地租割、家屋税割及營業税割ニ付テハ夫々標準賦課率ヲ以テ算定シタル地租、家屋税又ハ營業税(第四十八條ノ三第一項ノ規定ニ依ル營業税ニ付テハ其ノ税額ヲ同年度分ノ第四十八條ノ規定ニ依ル營業税ノ賦課率ヲ以テ除シテ得タルモノニ百分ノ七・五ヲ乘ジテ得タルモノヲ謂フ以下同ジ)ノ百分ノ十以内トス
同條第二項中「府縣民税」の下に「及鑛區税」を加え、同條第三項を削る。
第七十六條第一項を次のように改める。
市町村ハ都市計畫法ノ施行ニ要スル費用ニ充ツル爲府縣税獨立税及市町村税獨立税ノ百分ノ三十以内ニ於テ都市計畫税トシテ府縣税獨立税割及市町村税獨立税割ヲ課スルコトヲ得但シ地租割、家屋税割及營業税割ニ付テハ夫々標準賦課率ヲ以テ算定シタル地租、家屋税又ハ營業税ノ百分ノ三十以内トス
同條第二項中「府縣民税」の下に「及鑛區税」を加え、同條第五項を削る。
第七十七條第一項「水利ニ關スル事業」の下に「其ノ他土地ノ利益ト爲ルベキ事業」を加え、「水利税」を「水利地益税」に改め、同條第二項を削り、同條第三項中「水利税」を「水利地益税」に改める。
第七十八條第二項を削り、同條第三項中「第三項」を「第二項」に改める。
第八十條第二項中「二百圓」を「二千圓」に改め、同條第三項乃至第五項中「行政裁判所」を「裁判所」に改め、同條第六項中「府縣制第百二十八條及第百二十八條ノ二」を「地方自治法第二百五十七條」に改める。
第八十一條中「官吏及」を削る。
第八十三條中「勅令」を「政令」に改め、同條に次の一項を加える。
第四十八條ノ三第一項及第四十八條ノ四ノ規定ニ依ル内務大臣ノ許可ニ付テハ政令ノ定ムル所ニ依リ内務大臣ハ大藏大臣ト協議スルモノトス
第八十四條中「勅令」を「政令」に改める。
第八十五條ノ二中「區ノ存スル區域」を「特別區ノ存スル區域及特別市」に、「第四十六條」を「第四十八條ノ四第一項」に、「百分ノ二百トアルハ百分ノ五百、百分ノ二百四十トアルハ百分ノ六百」を「百分ノ十二、百分ノ十・五又ハ百分ノ七・五トアルハ夫々百分ノ二十四、百分ノ二十一又ハ百分ノ十五」に改める。
第八十五條ノ三中「區ノ存スル區域」を「特別區ノ存スル區域及特別市」に、「第四十七條」を「第四十九條」に、「百分ノ十トアルハ百分ノ二十」を「二圓トアルハ四圓、四圓トアルハ八圓」に改める。
第八十五條ノ四第一項中「東京都ノ區」を「東京都ノ特別區」に、「第四十八條ノ四」を「第四十五條ノ三」に、「六十圓」を「百二十圓」に、「第四十八條ノ二」を「第四十五條」に、「四十圓ニ區」を「八十圓ニ特別區」に改め、同條第二項中「都民税」を「東京都民税」に、「第四十八條ノ二」を「第四十五條」に、「第四十八條ノ四」を「第四十五條ノ三」に、「區ノ存スル區域」を「各特別區ノ區域」に改め、同條に次の一項を加える。
特別市ニ於テハ第四十五條ノ三第一項ノ規定ノ準用ニ付テハ同項中百二十圓トアルハ二百圓トス
第八十五條ノ五第一項中「區ノ存スル區域」を「特別區ノ存スル區域及特別市」に、「第四十八條」を「第四十四條」に、
「舟税
自轉車税
荷車税
金庫税
扇風機税
屠畜税
犬税 」
を
「一舟税
二自轉車税
三荷車税
四金庫税
五扇風機税
六屠畜税
七犬税
八廣告税 」
に改め、「東京都税」の下に「又ハ特別市税」を加え、同條第二項中「其ノ區」を「其ノ特別區」に改める。
第八十五條ノ六中「第七十三條」を「第七十三條ノ二」に、「區ノ存スル區域」を、「特別區ノ存スル區域及特別市」に改める。
第八十五條ノ七 東京都ノ特別區ノ存スル區域及特別市ニ於テハ第七十五條第一項ノ規定ノ準用に付テハ同項中百分ノ十トアルハ百分ノ二十(第八十五條ノ五ノ獨立税ニ付テハ百分ノ三十)トス
第八十五條ノ八中「區ノ存スル區域ニ於テハ」を「特別區ノ存スル區域ニ於テハ竝ニ特別市ハ」に改める。
第八十五條ノ九を削る。
第八十五條ノ十中「區ノ存スル區域ニ於テハ」を「特別區ノ存スル區域ニ於テハ竝ニ特別市ハ」に改め、同條を第八十五條ノ九とする。
第八十五條ノ十一中「東京都ノ區」を「東京都ノ特別區」に、「區税」を「特別區税」に改め、同條を第八十五條ノ十とする。
第八十五條ノ十二第一項中「區」を「特別區」に改め、同條を第八十五條ノ十一とする。
第八十五條ノ十三第一項中「區税」を「特別區税」に改め、同條第二項中「區、區長、區所屬ノ官吏、區所屬ノ都吏員若ハ區吏員、區會又ハ區條例」を「特別區、特別區長、特別區所屬ノ都吏員若ハ特別區吏員、特別區會又ハ特別區條例」に改め、同條を第八十五條ノ十二とする。
第八十五條ノ十四中「區ノ區税竝ニ東京都ノ區」を「特別區ノ特別區税竝ニ東京都ノ特別區」に、「勅令」を「政令」に改め、同條を第八十五條ノ十三とする。
第八十六條中「勅令」を「政令」に改める。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、官吏、府縣制、府縣参事会、東京都長官、北海道廳長官及び東京都の区並びに特別市に係る改正規定は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十二年度分の地方税(法人に対する営業税については、昭和二十二年四月一日以後に終了する事業年度分又は同日以後における合併若しくは解散に因る分)から、これを適用する。
昭和二十一年度分以前の地方税に関しては、なお從前の規定による。
土地及び家屋について一般に賃貸價格の改定されるまでは、地租及び地租附加税並びに家屋税及び家屋税附加税の標準賦課率については、第四十八條ノ四第一項、第五十八條及び第八十五條ノ二の規定にかかわらず、地租及び地租附加税に関してはその三倍以内、家屋税及び家屋税附加税に関してはその二倍以内において、命令を以て別段の定をなすことができる。
減租年期地、免租年期地その他地租法その他の法律により、一定の期間賃貸價格に関し特別の取扱をなす旨の定のあつた土地で土地臺帳法により賃貸價格を設定若しくは修正すべきもの及び家屋税法により賃貸價格を定めない旨の定のあつた家屋で家屋臺帳法により賃貸價格を決定すべきものについて、この法律施行の際賃貸價格が設定若しくは修正又は決定されていないときは、その土地又は家屋の賃貸價格が設定若しくは修正又は決定されるまでは、第四十六條第一項又は第四十七條第一項の改正規定にかかわらず、評定賃貸價格を標準として、地租又は家屋税を課することができる。
前項の評定賃貸價格は、類地又は類似家屋の賃貸價格に比準し、当該土地又は家屋の品位及び情況に應じ、府縣條例の定めるところにより、府縣知事がこれを定めなければならない。
日本國憲法施行の日までは、改正後の地方税法中「政令」とあるのは「勅令」、「裁判所」とあるのは「行政裁判所」と読み替えるものとする。
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地方分與税法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
地方分與税法を改正する法律案
地方分與税法目次
第一章 総則
第二章 道府縣分與税
第三章 市町村分與税
第一節 通則
第二節 大都市分與税、都市分與税及び町村分與税
第三節 特別分與税
第四章 補則
地方分與税法
第一章 総則
第一條 地方分與税(以下分與税という。)は、都道府縣、特別市及び市町村に対して、これを分與する。
第二條 所得税及び法人税の徴收額の百分の二十三・八六並びに入場税の徴收額の百分の三十一・三八を以て、分與税とする。
第三條 毎年度分として分與すべき分與税の額は、前前年度において徴收した所得税及び法人税の百分の二十三・八六並びに入場税の百分の三十一・三八とする。
前項の規定により分與すべき分與税の額が前年度における分與額の百分の百十を超過したときは、その超過額は、これを当該年度において分與すべき額から減額する。
第一項の規定により分與すべき分與税の額が前年度における分與額の百分の九十に不足するときは、その不足額は、これを当該年度において分與すべき額に増額する。
第四條 地方財政の情況上必要があるときは、前條の規定により分與すべき分與税の額に、左の各号の一に定める額を増額することができる。
一 前條第二項の場合においては、前年度における分與額の百分の百十を超過する額の全部又は一部
二 前條第三項の場合においては、前年度における分與額に不足する額の全部又は一部
三 前條第一項の額が前年度における分與額に不足し、且つ、その百分の九十を超過する場合においては、その不足額の全部又は一部
四 当該年度における分與税の收入見込額が前條第一項の額を超過する場合においては、その超過額の全部又は一部
第五條 地方財政の情況上必要があるときは、第三條の規定により分與すべき分與税の額から、左の各号の一に定める額を減額することができる。
一 第三條第二項の場合においては、前年度における分與額を超過する額の全部又は一部
二 第三條第三項の場合においては、前年度における分與額の百分の九十に不足する額の全部又は一部
三 第三條第一項の額が前年度における分與額を超過し、且つ、その百分の百十に不足する場合においては、その超過額の全部又は一部
四 当該年度における分與税の收入見込額が第三條第一項の額に不足する場合においては、その不足額の全部又は一部
第六條 地方分與税分與金特別会計法第四條の規定による借入金の元利償還上必要があるときは、当該年度における分與税の分與額から、その所要額を減額することができる。
第七條 分與税は、左の区分により、道府縣及び市町村に対して、これを分與する。
一 道府縣分與税 分與税総額の百分の六十七
二 市町村分與税 分與税総額の百分の三十三
第八條 分與税の分與額は、前年度初日の現在により、各道府縣及び市町村について、これを算定する。
前項の期日後において、道府縣又は市町村の廃置分合又は境界変更があつた場合においては、当該道府縣又は市町村に対する分與税の分與額は、命令の定めるところにより、これを変更することができる。
第九條 分與税は、毎年度四回に分けて、これを交付する。
第二章 道府縣分與税
第十條 道府縣分與税は、これを第一種分與額乃至第四種分與額に分け、第一種分與額及び第二種分與額は道府縣の課税力を標準とし、第三種分與額は道府縣の財政需要を標準とし、第四種分與額は特別の事情がある道府縣に対しその事情を考慮して、これを分與する。
第十一條 第一種分與額乃至第四種分與額は、それぞれ道府縣分與税総額の百分の四十五、百分の五、百分の四十五及び百分の五とする。
第十二條 第一種分與額は、第一單位税額が道府縣第一標準單位税額に不足する道府縣に対し、その不足額に当該道府縣の人口を乘じた額に按分して、これを分與する。
第一單位税額は、当該道府縣の標準賦課率で算定した三收益税額(地租額、家屋税額及び営業税額をいう。以下同じ。)から、災害土木費負債額の七分の一を控除した残額を、当該道府縣の人口で除した額とする。
道府縣第一標準單位税額は、全道府縣の標準賦課率で算定した三收益税額に道府縣分與税総額の百分の九十を加えた額から、全道府縣の災害土木費負債額の七分の一を控除した残額を、全道府縣の人口で除した額とする。
北海道については、北海道拓殖費の毎年度支出額中の一定部分を北海道の人口で除した額を、第二項の額に加算した額を以て、第一單位税額とする。
前項の支出額中の一定部分は、命令の定めるところによる。
第十三條 第二種分與額は、第二單位税額が道府縣第二標準單位税額に不足する道府縣に対し、その不足額に当該道府縣の人口を乘じた額に按分して、これを分與する。
第二單位税額は、当該道府縣の普通税総額から、三收益税額、道府縣民税額及び地方税法第四十四條第二項の規定による独立税額(以下道府縣税法定外独立税額という。)の合算額を控除した残額を、当該道府縣の人口で除した額とする。
道府縣第二標準單位税額は、全道府縣の普通税総額から、全道府縣の三收益税額、道府縣民税額及び道府縣税法定外独立税額の合算額を控除した残額に、道府縣分與税総額の百分の十を加えた額を、全道府縣の人口で除した額とする。
第十四條 第三種分與額は、当該道府縣の割増人口に按分して、これを分與する。
割増人口は、当該道府縣の大都市部人口の三倍、都市部人口の二倍及び町村部人口の合算額に百五十万を加えたものとする。
第十五條 第四種分與額の分與方法は、命令の定めるところによる。
第十六條 第十二條乃至第十四條の規定による道府縣分與税の額を当該道府縣の人口で除した額及び当該道府縣の第三單位税額の合算額が、道府縣第三標準單位税額の一倍半を超過する道府縣については、その超過額に当該道府縣の人口を乘じた額を、分與税の分與額から減額する。
第三單位税額は、第十二條第二項の第一單位税額及び第十三條第二項の第二單位税額の合算額とする。
道府縣第三標準單位税額は、第十二條第三項の道府縣第一標準單位税額及び第十三條第三項の道府縣第二標準單位税額の合算額とする。
第十七條 前條第一項の規定により減額した額は、これを第四種分與額に加える。
第三章 市町村分與税
第一節 通則
第十八條 市町村分與税は、大都市分與税、都市分與税、町村分與税及び特別分與税の四種とする。
大都市分與税は大都市に、都市分與税は都市に、町村分與税は町村に、特別分與税は大都市、都市及び町村に対して、これを分與する。
大都市及び都市の区分は、命令の定めるところによる。第十九條 大都市分與税、都市分與税及び町村分與税の各総額は、左の各号の額の合算額とする。
一 市町村分與税総額の百分の四十五を、市町村第一標準單位税額から、大都市、都市又は町村の第一平均單位税額を控除した残額に、各総人口を乘じた額に按分した額
二 市町村分與税総額の百分の五を、市町村第二標準單位税額から、大都市、都市又は町村の第二平均單位税額を控除した残額に、各総人口を乘じた額に按分した額
三 市町村分與税総額の百分の四十五を、大都市総人口の三倍、都市総人口の二倍及び町村総人口に按分した額
前項第一号の大都市、都市又は町村の第一平均單位税額は、大都市、都市又は町村の標準賦課率で算定した三收益税附加税額(地租附加税額、家屋税附加税額及び営業税附加税額をいう。以下同じ。)を、それぞれの総人口で除した額とする。
第一項第一号の市町村第一標準單位税額は、全市町村の標準賦課率で算定した三收益税附加税額及び市町村分與税総額の百分の九十の合算額を、全市町村の人口で除した額とする。
第一項第二号の大都市、都市又は町村の第二平均單位税額は、大都市、都市又は町村の普通税総額から、三收益税附加税額、市町村民税額、地方税法第四十四條第二項の規定による独立税附加税額(以下法定外独立税附加税額という。)及び地方税法第六十二條第三項の規定による独立税額(以下市町村税法定外独立税額という。)の合算額を控除した残額を、それぞれの総人口で除した額とする。
第一項第二号の市町村第二標準單位税額は、全市町村の普通税総額から、三收益税附加税額、市町村民税額、法定外独立税附加税額及び市町村税法定外独立税額の合算額を控除した残額に、市町村分與税総額の百分の十を加えた額を、全市町村の人口で除した額とする。
第二十條 前條の規定による大都市分與税、都市分與税又は町村分與税の各総額を大都市、都市又は町村の各総人口で除した額及び大都市、都市又は町村の第三平均單位税額の合算額が、市町村第三標準單位税額の二倍を超過するものについては、その超過額に当該大都市、都市又は町村の総人口を乘じた額を、当該大都市分與税、都市分與税又は町村分與税の各総額から減額する。
大都市、都市又は町村の第三平均單位税額は、それぞれ前條第二項の第一平均單位税額及び前條第四項の第二平均單位税額の合算額とする。
市町村第三標準單位税額は、前條第三項の市町村第一標準單位税額及び前條第五項の市町村第二標準單位税額の合算額とする。
第二十一條 特別分與税の総額は、市町村分與税総額の百分の五とする。
第二十二條 第二十條第一項の規定により減額した額は、これを特別分與税に加える。
第二節 大都市分與税、都市分與税及び町村分與税
第二十三條 大都市分與税、都市分與税又は町村分與税は、それぞれ第一種分與額乃至第三種分與額に分け、第一種分與額及び第二種分與額は大都市、都市又は町村の課税力を標準とし、第三種分與額は大都市、都市又は町村の財政需要を標準として、これを分與する。
第二十四條 第一種分與額乃至第三種分與額は、それぞれ大都市分與税総額、都市分與税総額又は町村分與税総額の百分の四十七・五、百分の五及び百分の四十七・五とする。
第二十五條 第一種分與額は、第一單位税額が大都市第一標準單位税額、都市第一標準單位税額又は町村第一標準單位税額に不足する大都市、都市又は町村に対し、その不足額に当該大都市、都市又は町村の人口を乘じた額に按分して、これを分與する。
第一單位税額は、当該市町村の標準賦課率で算定した三收益税附加税額を、当該市町村の人口で除した額とする。
大都市第一標準單位税額、都市第一標準單位税額又は町村第一標準單位税額は、全大都市、全都市又は全町村の標準賦課率で算定した三收益税附加税額及び大都市分與税総額、都市分與税総額又は町村分與税総税の百分の九十の合算額を、全大都市、全都市又は全町村の人口で除した額とする。
第二十六條 第二種分與額は、第二單位税額が大都市第二標準單位税額、都市第二標準單位税額又は町村第二標準單位税額に不足する大都市、都市又は町村に対し、その不足額に当該大都市、都市又は町村の人口を乘じた額に按分して、これを分與する。
第二單位税額は、当該市町村の普通税総額から、三收益税附加税額、市町村民税額、法定外独立税附加税額及び市町村税法定外独立税額の合算額を控除した残額を、当該市町村の人口で除した額とする。
大都市第二標準單位税額、都市第二標準單位税額又は町村第二標準單位税額は、全大都市、全都市又は全町村の普通税総額から、三收益税附加税額、市町村民税額、法定外独立税附加税額及び市町村税法定外独立税額の合算額を控除した残額に、大都市分與税総額、都市分與税総額又は町村分與税総額の百分の十を加えた額を、全大都市、全都市又は全町村の人口で除した額とする。
第二十七條 第三種分與額は、當該市町村の割増人口に按分して、これを分與する。
割増人口は、当該大都市、都市又は町村の人口にそれぞれ九十万、四万五千又は三千を加えたものとする。
第二十八條 前三條の規定による大都市分與税、都市分與税又は町村分與税の額を当該大都市、都市又は町村の人口で除した額及び当該大都市、都市又は町村の第三單位税額の合算額が、大都市第三標準單位税額、都市第三標準單位税額又は町村第三標準單位税額のそれぞれ一倍半、一倍半又は二倍を超過する大都市、都市又は町村については、その超過額に当該大都市、都市又は町村の人口を乘じた額を、分與税の分與額から減額する。
第三單位税額は、第二十五條第二項の第一單位税額及び第二十六條第二項の第二單位税額の合算額とする。
大都市第三標準單位税額、都市第三標準單位税額又は町村第三標準單位税額は、それぞれ第二十五條第三項の大都市第一標準單位税額、都市第一標準單位税額又は町村第一標準單位税額及び第二十六條第三項の大都市第二標準單位税額、都市第二標準單位税額又は町村第二標準單位税額の合算額とする。
第二十九條 前條第一項の規定により減額した額は、これを特別分與税に加える。
第三節 特別分與税
第三十條 特別分與税は、特別の事情がある大都市、都市及び町村に対し、その事情を考慮して、これを分與する。
第三十一條 特別分與税の分與方法は、命令の定めるところによる。
第四章 補則
第三十二條 東京都は、道府縣分與税の分與に関しては、その全区域についてはこれを道府縣とみなし、市町村分與税の分與に関しては、その特別区の存する区域についてはこれを市とみなす。
特別市は、道府縣分與税の分與に関しては、これを道府縣とみなし、市町村分與税の分與に関しては、これを市とみなす。
第三十三條 この法律の適用については、町村組合であつて町村事務の全部を共同処理するものは、これを一町村、町村に準ずべきものは、これを町村とみなす。
伊豆七島に関しては、命令で別段の定をなすことができる。
第三十四條 第十二條、第十三條、第十六條、第十九條、第二十條及び第二十五條乃至第二十八條の人口、第十四條の大都市部人口、都市部人口及び町村部人口、第十二條、第十三條、第十九條、第二十五條及び第二十六條の三收益税額又は三收益税附加税額、第十三條、第十九條及び第二十六條の普通税総額、道府縣民税額、市町村民税額、道府縣税法定外独立税額、法定外独立税附加税額又は市町村税法定外独立税額、第十二條及び第十三條の道府縣分與税総額、第十九條の市町村分與税総額、第二十五條及び第二十六條の大都市分與税総額、都市分與税総額及び町村分與税総額並びに第十二條の災害土木費負債額は、命令の定めるところによる。
第三十五條 分與税の分與の基礎に用いる人口、税額等について錯誤があつた場合においては、命令の定めるところにより、後年度において、分與税の分與の基礎に用いる人口、税額等について加算又は控除を行い分與額を算定する。
第三十六條 この法律施行に関する重要事項について、政府の諮問に應ずるため、地方分與税委員会を置く。
地方分與税委員会に関する規程は、政令でこれを定める。
第三十七條 この法律に定めるものの外、分與税に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
附 則
第一條 この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、附則第十四條の改正規定中予算、帝國議会及び勅令に関する部分は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十二年度分から、これを適用する。
昭和二十一年度分以前の地方分與税については、なお從前の規定による。
第二條 第二條中百分の二十三・八六とあるのは、昭和二十二年度においては百分の二十三・七九とする。
第二條中百分の三十一・三八とあるのは、昭和二十二年度においては百分の二十九・三〇とする。
第三條 第三條第一項中百分の二十三・八六とあるのは、昭和二十二年度においては百分の百八十一・八六、昭和二十三年度においては百分の九十四・九九、昭和二十四年度においては百分の二十三・七九とする。
第三條第一項中入場税の百分の三十一・三八とあるのは、昭和二十二年度においては入場税及び遊興飮食税の百分の二百二十一・八五、昭和二十三年度においては百分の百六十一・二三、昭和二十四年度においては入場税の百分の二十九・三〇とする。
第四條 当分の間、道府縣分與税には、第一種分與額乃至第四種分與額の外に第五種分與額を設け、戰災に因り税收入の減少した道府縣に対し、その減收額を標準として、これを分與する。
第五種分與額は、道府縣分與税総額の百分の十以内において、命令で定める額とする。
道府縣分與税中第一種分與額及び第三種分與額は、当分の間、第十一條の規定にかかわらず、道府縣分與税総額から、同條に定める第二種分與額及び第四種分與額並びに前項に定める第五種分與額の合算額を控除した残額の半額ずつとする。
第五條 道府縣分與税中第五種分與額は、戰災後の税收入額(以下戰災後税額という。)が、戰災がなかつた場合において收入したであろう税收入見込額(以下戰災前税額という。)に不足する道府縣に対し、その不足額に按分して、これを分與する。
道府縣分與税中第五種分與額が、前項の不足額の合計額を超過する場合においては、その超過額は、これを第四種分與額に加える。
第六條 当分の間、第十六條第一項中「第十二條乃至第十四條」とあるのは「第十二條乃至第十四條及び附則第五條第一項」と読み替えるものとする。
第七條 当分の間、市町村分與税には、大都市分與税、都市分與税、町村分與税及び特別分與税の外に、臨時特別分與税を設け、戰災に因り税收入の減少した大都市、都市及び町村に対し、その減收額を標準として、これを分與する。
臨時特別分與税は、市町村分與税総額の百分の二十以内において、命令で定める額とする。
当分の間、第十九條第一項中「市町村分與税総額の百分の四十五」とあるのは「市町村分與税総額の百分の四十五から臨時特別分與税の半額を控除した額」と読み替えるものとする。
第八條 臨時特別分與税は、戰災後税額が戰災前税額に不足する大都市、都市及び町村に対し、その不足額に按分して、これを分與する。
臨時特別分與税総額が前項の不足額の合計額を超過する場合においては、その超過額は、これを特別分與税に加える。
第九條 当分の間、第二十八條第一項中「前三條の規定による大都市分與税、都市分與税又は町村分與税の額」とあるのは「前三條の規定による大都市分與税、都市分與税又は町村分與税の額及び附則第八條第一項の規定による臨時特別分與税の額の合算額」、「大都市第三標準單位税額、都市第三標準單位税額又は町村第三標準單位税額」とあるのは「大都市特別標準單位税額、都市特別標準單位税額又は町村特別標準單位税額」と読み替えるものとする。
第十條 前條の大都市特別標準單位税額、都市特別標準單位税額又は町村特別標準單位税額は、臨時特別分與税の大都市、都市又は町村に対する各分與額の総額を全大都市、全都市又は全町村の人口で除した額に、大都市第三標準單位税額、都市第三標準單位税額又は町村第三標準單位税額を加えた額とする。
第十一條 附則第五條及び第八條の戰災前税額及び戰災後税額並びに前條の人口は、命令の定めるところによる。
第十二條 昭和二十二年度及び昭和二十三年度に限り、第八條第一項中「前年度初日」とあるのは「当該年度初日」と読み替えるものとする
第三十六條第二項中「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、「勅令」と読み替えるものとする。
第十三條 当分の間、第十二條第二項の第一單位税額及び同條第三項の道府縣第一標準單位税額の算定については、命令の定めるところにより、三收益税額に改正前の地方分與税法及び地方税法の規定による還付税額及び國税附加税額を加え、第十三條第二項の第二單位税額及び同條第三項の道府縣第二標準單位税額の算定については、命令の定めるところにより、普通税総額から改正前の地方税法の規定による國税附加税額を控除することができる。
当分の間、第十九條第二項の大都市、都市又は町村の第一平均單位税額、同條第三項の市町村第一標準單位税額、第二十五條第二項の第一單位税額及び同條第三項の大都市第一標準單位税額、都市第一標準單位税額又は町村第一標準單位税額の算定については、命令の定めるところにより、三收益税附加税額に改正前の地方税法の規定による國税附加税額を加え、第十九條第四項の大都市、都市又は町村の第二平均單位税額、同條第五項の市町村第二標準單位税額、第二十六條第二項の第二單位税額及び同條第三項の大都市第二標準單位税額、都市第二標準單位税額又は町村第二標準單位税額の算定については、命令の定めるところにより、普通税総額から改正前の地方税法の規定による國税附加税額を控除することができる。
第十四條 地方分與税分與金特別会計法の一部を次のように改正する。
第二條中「地租、家屋税及営業税ノ收入、配付税」を「地方分與税」に、「還付税及配付税」を「地方分與税」に改める。
第四條第二項中「配付税」を「地方分與税」に、「第六條」を「第三條」に改める。
第八條中「歳入歳出豫算」を「豫算」に、「歳入歳出ノ總豫算」を「一般會計ノ豫算」に、「帝國議會」を「國會」に改める。
第十條中「勅令」を「政令」に改める。
附則第二項乃至第五項を次のように改める。
昭和二十一年度分以前ノ地方分與税ニ付テハ仍從前ノ規定ニ依ル
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相続税法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
相続税法を改正する法律案
相続税法目次
第一章 総則
第二章 課税價格、控除及び税率
第一節 相続法
第二節 贈與税
第三章 財産の評價
第四章 申告及び納付
第五章 課税價格の更正及び決定
第六章 審査、訴願及び訴訟
第七章 延納及び物納
第八章 雜則
第九章 罰則
相続税法
第一章 総則
第一條 相続が開始した場合において、被相続人がこの法律の施行地に住所を有するとき又は相続財産がこの法律の施行地にあるときは、左に掲げる者は、この法律により、相続税を納める義務がある。
一 相続人
二 受遺者
三 相続開始前二年以内に被相続人から贈與を受けた者
財産を贈與した個人(以下贈與者という。)がこの法律の施行地に住所を有するとき又は贈與の目的たる財産(以下贈與財産という。)がこの法律の施行地にあるときは、贈與者は、この法律により、贈與税を納める義務がある。
第二條 被相続人が相続開始の際この法律の施行地に住所を有するときは、相続財産の全部に対し、相続税を課する。
被相続人が相続開始の際この法律の施行地に住所を有しないときは、この法律の施行地にある相続財産に対し、相続税を課する。
條三條 贈與者が贈與のあつた年においてこの法律の施行地に住所を有するときは、贈與財産の全部に対し、贈與税を課する。
贈與者が贈與のあつた年においてこの法律の施行地に住所を有しないときは、この法律の施行地にある贈與財産に対し、贈與税を課する。
年の中途において、この法律の施行地に住所を有していた者がこの法律の施行地に住所を有しなくなつたとき又はこの法律の施行地に住所を有しなかつた者がこの法律の施行地に住所を有することとなつたときは、この法律の施行地に住所を有していた期間内に贈與した贈與財産の全部及びこの法律の施行地にある贈與財産で贈與者がこの法律の施行地に住所を有していなかつた期間内に贈與したものに対し、贈與税を課する。
第四條 左に掲げる財産は、これを相続財産とみなす。
一 相続開始前二年以内に被相続人が贈與した財産
二 相続開始の時においてまだ保險事故が発生していない生命保險契約で被相続人が保險料の全部又は一部を負担したものについては、命令の定めるところにより、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した保險料の金額に相当するもの
三 被相続人の死亡に因り相続人その他の者の受け取る生命保險契約の保險金
四 退職手当、功労金及びこれらの性質を有する給與(以下退職手当金等という。)で被相続人に支給せらるべきであつたものが被相続人の死亡したためその相続人その他の者に支給された場合におけるその退職手当金等
五 相続開始の時においてまだ定期金給付事由の発生していない郵便年金その他の定期金の給付に関する契約で被相続人が掛金の全部又は一部を負担したものについては、命令の定めるところにより、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した掛金の金額に相当するもの
六 定期金受取人の死亡に至るまで定期金の給付をなす外、一定期間内に定期金受取人が死亡したときは、その死亡後遺族その他の者に対して継続して定期金を給付する契約に基いて、定期金受取人たる被相続人の死亡後、相続人その他の者が取得する定期金に関する権利で被相続人が掛金の全部又は一部を負担したものについては、命令の定めるところにより、当該権利のうち被相続人が負担した掛金の金額に相当するもの
七 被相続人の死亡に因り相続人その他の者が取得する定期金に関する権利で、前二号に掲げるもの以外のもの
被相続人の被相続人が生命保險契約又は定期金の給付に関する契約について負担した保險料又は掛金は、それぞれこれを被相続人が負担した保險料又は掛金とみなして、前項第二号、第五号又は第六号の規定を適用する。
第五條 信託行爲があつた場合において、委託者以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者であるときは、当該信託行爲があつた時において、委託者が信託の利益を受ける権利(受益者が信託の利益の一部を受ける場合においては、当該信託の利益を受ける権利のうち、その受ける利益に相当するもの)を受益者に贈與したものとみなす。
委託者が受益者である信託について、あらたに委託者以外の者が受益者となつた場合においては、委託者以外の者が受益者となつた時において、委託者が信託の利益を受ける権利をあらたに受益者となつた者に贈與したものとみなす。
第六條 相続開始前二年以内に信託行爲があつた信託について、委託者たる被相続人以外の者が信託の利益の全部又は一部についての受益者である場合又は相続開始前二年以内に委託者たる被相続人が受益者である信託について、あらたに委託者以外の者が受益者となつた場合において、当該信託が左の各号に掲げる信託の一に該当するときは、当該信託の利益を受ける権利については、当該信託の受託者を受益者とみなして、前條の規定を適用する。
一 相続開始の時において信託行爲により受益者として指定された者が受益の意思表示をしていないためまだ受益者が確定していない信託
二 相続開始の時において受益者がまだ存在していない信託
三 停止條件附で信託の利益を受ける権利を有せしめた信託で相続開始の時においてまだ條件が成就していないもの
四 相続開始の時において受益者が不特定である信託
前項の場合において、受託者が同項の規定の適用により納付すべき相続税は、命令の定めるところにより、当該信託財産の中から、これを納付しなければならない。
第七條 生命保險契約で保險金受取人以外の者が全部又は一部の保險料を負担したものについては、保險事故が発生した時において、保險料を負担した者が、命令の定めるところにより、保險金額のうちその負担した保險料の金額に相当するものを保險金受取人に贈與したものとみなす。
前項の規定の適用については、被相続人が負担した保險料は、これを相続人が負担した保險料とみなす。
第一項の規定は、第四條第一項第三号の規定により当該保險金を相続財産とみなす場合においては、これを適用しない。
第八條 郵便年金その他の定期金の給付に関する契約で定期金受取人以外の者が全部又は一部の掛金を負担したものについては、定期金給付の事由が発生した時において、掛金を負担した者が、命令の定めるところにより、当該契約に関する権利のうちその負担した掛金の金額に相当するものを定期金受取人に贈與したものとみなす。
前項の規定は、郵便年金その他の定期金の給付に関する契約につき返還金その他これに準ずるものの支拂があつた場合について、これを準用する。
前條第二項の規定は、前二項の場合について、これを準用する。
第一項又は第二項の規定は、第四條第一項第六号又は第七号の規定により当該定期金給付の契約に関する権利を相続財産とみなす場合においては、その相続財産とみなされる権利については、これを適用しない。
第九條 生前処分で寄附行爲がなされたときは、財團法人設立の許可があつた時において、寄附行爲をなした者が、当該寄附財産を財團法人に贈與したものとみなす。
第十條 著しく低い價額の対價で財産の讓渡がなされたときは、その讓渡の時において、財産の讓渡人が、その対價の價額と讓渡の時における讓渡財産の時價との差額に相当する金額を当該財産の讓受人に贈與したものとみなす。
第十一條 対價を受けないで又は著しく低い價額の対價で債務の免除、引受又は第三者のためにする債務の弁済があつたときは、その免除、引受又は弁済があつた時において、免除、引受又は弁済をなした者が、免除、引受又は弁済に係る債務金額に相当する金額を債務者に贈與したものとみなす。但し、命令で定める場合においては、この限りでない。
第十二條 第五條、第七條乃至前條に規定する場合の外、対價を受けないで又は著しく低い價額の対價で、他人に利益を受けしめたときは、その利益を受けしめた者が、その利益を受けしめた時において、利益の價額に相当する金額を利益を受けた者に贈與したものとみなす。
前項の規定の適用について必要な事項は、命令でこれを定める。
第十三條 遺言で信託、生命保險契約の保險料若しくは定期金の給付に関する契約の掛金の拂込、寄附行爲又は前三條に掲げる行爲をなしたときは、遺贈があつたものとみなす。
第四條第一項第三号、第四号、第六号又は第七号の場合において、相続人以外の者が、保險金を受け取り、退職手当金等を支給され又は定期金に関する権利を取得したときは、当該財産について遺贈があつたものとみなす。
贈與者の死亡に因り効力を生ずべき贈與は、これを遺贈とみなす。
第十四條 左の各号に掲げる財産の所在は、当該各号に規定する場所による。
一 動産若しくは不動産又は不動産の上に存する権利については、その動産又は不動産の所在但し、船舶については、船籍の所在
二 鑛業権又は砂鑛権については、鑛区の所在
三 漁業権若しくは入漁権又は漁業権を目的とする権利については、漁場に最も近い沿岸の属する市町村又はこれに相当する行政区画
四 金融機関に対する預金、貯金、積金又は寄託金で命令で定めるものについては、その預金、貯金、積金又は寄託金をなした営業所又は事業所の所在
五 合同運用信託に関する権利については、その信託をなした営業所の所在
六 前各号の外、この法律の施行地に営業所又は事業所を有する者の当該営業所又は事業所の営業上又は事業上の権利については、その営業所又は事業所の所在
前項に掲げる財産以外の財産の所在は、権利者の住所の所在による。
第一項第五号の合同運用信託とは、信託会社(信託業務を兼営する銀行を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するものをいう。
第十五條 相続財産の所在は、相続開始の時の現況による。但し、第四條第一項第一号に掲げる財産については、贈與の時の現況による。
贈與財産の所在は、贈與の時の現況による
第二章 課税價格、控除及び税率
第一節 相続税
第十六條 被相続人が相続開始の際この法律の施行地に住所を有するときは、相続財産の價額から左に掲げるものの金額を控除した金額を以て課税價格とする。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 葬式費用
前項の課税價格の計算については、相続開始前二年以内になされた契約による贈與の義務で、相続開始の際現に存するものの金額は、これを前項第一号に掲げる債務の金額に算入しない。
第十七條 被相続人が相続開始の際この法律の施行地に住所を有しないときは、この法律の施行地にある相続財産の價額から被相続人の債務(公租公課を含む。以下同じ。)のうち、左に掲げるものの金額を控除した金額を以て課税價格とする。
一 その財産に係る公租公課
二 その財産を目的とする留置權、特別の先取特権、質権又は抵当権で担保される債務
三 前二号の外、その財産を取得、維持又は管理するために生じた債務
四 その財産に関する贈與の義務(相続開始前二年以内になされた契約によるものを除く。)
五 前四号の外、被相続人が、相続開始の際この法律の施行地に営業所又は事業所を有する場合においては、その営業所又は事業所の営業上又は事業上の債務
第十八條 前二條の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。
第十九條 左に掲げる相続財産の價額は、これを課税價格に算入しない。
一 國、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体に対してなした贈與又は遺贈に係る財産の價額
二 相続開始前二年以内に被相続人が同一人に対してなした贈與の目的たる財産の價額の合計金額が千円以下である場合における当該贈與に係る財産の價額
三 第四條第一項第三号、第四号、第六号又は第七号に掲げる保險金、退職手当金等又は定期金に関する権利の價額の合計金額のうち、三万円までの金額
四 互に扶養をなす義務のある者相互間において生活費又は教育費に充てるためになした贈與に係る財産の價額のうち、通常必要と認められるもの
第二十條 宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で命令で定めるものに対して相続開始前二年以内になした贈與に係る財産又は遺贈に係る財産の價額の合計金額のうち、十万円又は本條及び第二十一條の規定の適用前の課税價格の十分の一に相当する金額のいずれか低い一方の金額までの金額は、これを課税價格に算入しない。
第二十一條 相続税については、課税價格から五万円を控除する。
第二十二條 相続税は、課税價格(前條の規定による控除後の課税價格をいう。以下特別の定のある場合を除く外、本節中同じ。)を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して、これを課する。
納税義務者が二人以上であるときは、各納税義務者の納付すべき税額は、課税價格に前項の税率を適用して算出した金額を、前條の規定による控除前の課税價格中各各その者の受ける利益の價額の占める割合により按分して計算した金額とする。但し、二人以上の納税義務者について適用すべき税率の種類を異にするときは、課税價格についてその者に適用すべき種類の税率を適用して各別に算出した金額に、前條の規定による控除前の課税價格中その者の受ける利益の價額の占める割合を乘じて計算した金額とする。
二人以上の者が第四條第一項第三号、第四号、第六号又は第七号に掲げる保險金を受け取り、退職手当金等を支給され又は定期金に関する権利を取得した場合においては、第十九條第三号の規定により課税價格に算入しない金額は、これをその者の受け取つた保險金額、支給された退職手当金等の金額又は取得した定期金に関する権利の價額の割合により按分して、前項に規定するその者の受ける利益の價額を計算する。
前項の規定は、第二十條の規定の適用がある場合において、同條に規定する者が二人以上あるときの、各各の者の受ける利益の價額の計算について、これを準用する。
相続人のあることが分明でない場合において、その相続人について納付すべき税額は、第三種の税率を適用して算出した金額とする。
前項の規定の適用があつた場合において、相続人のあることが分明となり、且つ、その相続人が第一種又は第二種の税率の適用のある者であるときは、政府は、税率の適用を改訂し、税金の差額を還付する。
第二十三條 相続が開始した場合において、被相続人が当該相続の開始前五年以内に開始した相続について相続税を納付したとき又は納付すべきときは、命令の定めるところにより、その納付した又は納付すべき前の相続税の額に相当する相続税の全部又は一部を免除する。
前項の規定の適用については、第二十六條の規定により控除された税額については、相続税の納付があつたものとみなす。
第二十四條 第六條第一項第一号乃至第三号に掲げる信託について受益者として指定された者が受益の意思表示をなし、受益者が存在するに至り又は條件が成就した後当該受益者の死亡に因り相続が開始した場合においては、第六條の規定により当該信託の受託者の納付した又は納付すべき相続税は、これを当該受益者の納付した相続税とみなして前條第一項の規定を適用する。
第二十五條 この法律の施行地外にある相続財産について、その地の法令により相続税が課せられたときは、命令の定めるところにより、その課せられた相続税の額に相当する相続税の全部又は一部を免除する。
第二十六條 相続開始前二年以内に被相続人がなした贈與について納付した又は納付すべき贈與税があるときは、命令の定めるところにより、当該贈與税額(第五十八條及び第五十九條の規定による加算税額又は追徴税額に相当する金額を除く。以下本條中同じ。)を、相続人の納付すべき相続税額から控除する。
前項の規定の適用ある場合においては、当該相続についての課税價格の計算については、当該贈與税額に相当する金額を相続財産の價額に加算する。
前項の規定により相続財産の價額に加算した金額は、第二十二條第二項の納税義務者の受ける利益の價額の計算については、これを相続人の受ける利益の價額に算入する。この場合において相続人が二人以上あるときは、各相続人の受ける利益の價格に算入する金額は、その加算した金額をその相続分に應じて按分して計算した金額とする。
第二節 贈與税
第二十七條 贈與者が贈與のあつた年においてこの法律の施行地に住所を有するときは、贈與者がその年一月一日から十二月三十一日までの間に贈與した財産の價額の合計金額を以て課税價格とする。
贈與者が贈與のあつた年においてこの法律の施行地に住所を有しないときは、贈與者がその年一月一日から十二月三十一日までの間に贈與した財産で、この法律の施行地にあるものの價額の合計金額を以て課税價格とする。
年の中途において、この法律の施行地に住所を有していた者がこの法律の施行地に住所を有しなくなつたとき又はこの法律の施行地に住所を有していなかつた者がこの法律の施行地に住所を有することとなつたときは、この法律の施行地に住所を有していた期間内に贈與した贈與財産の價額及びこの法律の施行地にある贈與財産で、贈與者がこの法律の施行地に住所を有していなかつた期間内に贈與したものの價額の合計金額を以て課税價格とする。
第二十八條 左に掲げる贈與財産の價額は、課税價格に算入しない。
一 國、都道府縣、市町村その他命令で定める公共團体に対してなした贈與に係る財産の價額
二 その年中に同一人に対してなした贈與の目的たる財産の價額の合計金額が千円以下である場合における当該贈與に係る財産の價額
三 その年中に宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行う者で命令で定めるものに対してなした贈與に係る財産の價額の合計金額のうち、五千円(その贈與に係る財産の價額の合計金額が五千円を超えるときは、五千円及び五千円を超え十万円までの金額についてその二分の一に相当する金額の合計金額)までの金額
四 互に扶養をなす義務のある者相互間において生活費又は教育費に充てるためになした贈與に係る財産の價額のうち、通常必要と認められるもの
第二十九條 贈與税については、課税價格から五万円を控除する。
納税義務者が前年までの分の贈與税について前項の規定による控除を受けていた場合においては、同項の規定による控除は、これをなさない。但し、前年までの分の贈與税について同項の規定により控除を受けた金額が通じて五万円に満たないときは、五万円と前年までの分の贈與税につき同項の規定により控除を受けた金額の合計金額との差額を課税價格から控除する。
第三十條 贈與税は、納税義務者のその年までの課税價格(前條に規定する控除後の課税價格をいう。以下特別の定のある場合を除く外、本節中同じ。)の合計金額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して算出した金額から、納税義務者の前年までの課税價格の合計金額を左の各級に区分し、逓次に各税率を適用して算出した金額を控除した差額により、これを課する。
二万円以下の金額 百分の十五
二万円を超える金額 百分の十七
五万円を超える金額 百分の十九
十万円を超える金額 百分の二十一
十五万円を超える金額 百分の二十三
二十万円を超える金額 百分の二十六
二十五万円を超える金額 百分の二十九
三十万円を超える金額 百分の三十二
三十五万円を超える金額 百分の三十五
四十万円を超える金額 百分の三十八
五十万円を超える金額 百分の四十一
六十万円を超える金額 百分の四十四
八十万円を超える金額 百分の四十七
百万円を超える金額 百分の五十
百五十万円を超える金額 百分の五十三
二百万円を超える金額 百分の五十六
三百万円を超える金額 百分の五十九
四百万円を超える金額 百分の六十二
五百万円を超える金額 百分の六十五
第三十一條 この法律の施行地外にある財産につきなした贈與についてその地の法令により贈與税を課せられたときは、命令の定めるところにより、その課せられた贈與税の額に相当する贈與税の全部又は一部を免除する。
第三十二條 相続開始前二年以内に被相続人がなした贈與については、贈與税(第五十八條及び第五十九條の規定による贈與税を除く。)を免除する。但し、相続開始の日までに政府に提出された第三十九條の規定による申告書に記載された課税價格(第四十條の規定による修正後の課税價格を含む。)及び同日までになされた第四十五條の規定による政府の更正又は決定に係る課税價格に対する税額については、この限りでない。
第三章 財産の評價
第三十三條 地上権(借地法に規定する借地権を除く。以下同じ。)及び永小作権の價額は、相続財産については相続開始の時、贈與財産については贈與の時における現況により、残存期間に應じ、その目的となつている土地の價額に左に掲げる割合を乘じて算出した金額による。
残存期間が十年以下のもの 百分の五
残存期間が十年を超え十五年以下のもの 百分の十
残存期間が十五年を超え二十年以下のもの 百分の二十
残存期間が二十年を超え二十五年以下のもの 百分の三十
残存期間が二十五年を超え三十年以下のもの 百分の四十
及び地上権で残存期間の定のないもの
残存期間が三十年を超え三十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が三十五年を超え四十年以下のもの 百分の六十
残存期間が四十年を超え四十五年以下のもの 百分の七十
残存期間が四十五年を超え五十年以下のもの 百分の八十
残存期間が五十年を超えるもの 百分の九十
第三十四條 相続財産たる定期金に関する権利で相続開始の時までに給付事由の発生しているものの價額は、左に掲げる金額による。
一 有期定期金については、相続開始の時の現況により、残存期間に受くべき給付金額に、その残存期間に應じ、左の割合を乘じて算出した金額、但し、一年間に受くべき金額の二十倍を超えることができない。
残存期間が五年以下のもの 百分の八十
残存期間が五年を超え十五年以下のもの 百分の七十
残存期間が十五年を超え二十五年以下のもの 百分の六十
残存期間が二十五年を超え三十五年以下のもの 百分の五十
残存期間が三十五年を超えるもの 百分の四十
二 無期定期金については、その一年間に受くべき金額の二十倍に相当する金額
三 終身定期金については、相続開始の時の現況により、一年間に受くべき金額に、その目的とされた人の年齢に應じ、左の倍数を乘じて算出した金額
二十五歳以下の者 十五倍
二十五歳を超え四十歳以下の者 十二倍
四十歳を超え五十歳以下の者 八倍
五十歳を超え六十歳以下の者 五倍
六十歳を超え七十歳以下の者 二倍
七十歳を超える者 一倍
第八條第一項に規定する定期金給付の契約に関する権利の價額は、定期金給付の事由が発生した時の現況により、前項の規定を準用して算定した金額による。
前項に定めるものの外、相続財産たる定期金に関する権利で相続開始の時までに給付事由の発生しているものの價格及び第八條第一項及び第二項に規定する定期金給付の契約に関する権利の價格の評價に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第三十五條 相続開始の時までにまだ保險事故の発生していない生命保險契約に関する権利の價額は、相続開始の時までに拂い込まれた保險料の合計金額を基準として、命令の定めるところにより計算した金額による。
第三十六條 相続開始の時までにまだ年金支拂事由の発生していない郵便年金契約に関する権利の價額は、相続開始の時までに拂い込まれた掛金の合計金額に、掛金の拂込開始の時から相続開始の時までの経過期間を基準として、命令で定める割合を乘じて算出した金額による。
第三十七條 第三十三條、第三十四條第一項及び第三項並びに前二條に定めるものの外、相続財産の價額は、相続開始当時の時價により、相続財産の價額から控除すべき債務の金額は、相続開始当時の現況による。
第三十三條並びに第三十四條第二項及び第三項に定めるものの外、贈與財産の價額は、贈與の時における時價による。
第四章 申告及び納付
第三十八條 相続税について納税義務がある者は、命令の定めるところにより、相続の開始後四箇月以内に、課税價格その他の事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。
前項の場合において、納税義務者が二人以上あるときは、連署で前項の申告書を提出しなければならない。但し、他の納税義務者の氏名を附記して、各別に申告書を提出することを妨げない。
通信、交通その他已むを得ない事由に因り、第一項の期限内に同項の規定による申告書を提出することができない者については、政府は、命令の定めるところにより、同項の期限を延長することができる。
第三十九條 贈與税について納税義務がある者は、命令の定めるところにより、贈與をなした年の翌年一月三十一日までに、課税價格その他の事項を記載した申告書を、政府に提出しなければならない。
前條第三項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
贈與税について納税義務がある者が贈與のあつた年の中途においてこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなる場合における、第一項の規定による申告書の提出については、命令で特別の定をなすことができる。
第四十條 前二條の規定による申告書を提出した者は、前二條の規定による申告書の提出期限後その申告に係る課税價格について脱漏があることを発見したときは、直ちに政府に申し出て、その申告書を修正しなければならない。
前項の規定は、第四十五條の規定による課税價格の更正又は決定があつた者が更正又は決定に係る課税價格について脱漏があることを発見した場合における課税價格の修正について、これを準用する。
第四十一條 第三十八條又は第三十九條の規定による申告書に記載された課税價格に対する相続税又は贈與税は、第三十八條又は第三十九條の規定による申告書の提出期限までに、これを納付しなければならない。
第三十八條又は第三十九條の規定による申告書の提出期限後課税價格の申告書の提出があつた場合において、その申告書に記載された課税價格に対する相続税又は贈與税は、その申告書提出の日に、これを納付しなければならない。
前條第一項の規定による申告書の修正又は同條第二項の規定による課税價格の修正があつた場合において、その修正に因り増加する税額に相当する相続税又は贈與税は、その申告書の修正又は課税價格の修正の日に、これを納付しなければならない。
納税義務者が、前三項の定めるところにより、相続税又は贈與税を完納しなかつたときは、政府は、國税徴收法第九條の規定により、これを督促する。
第四十二條 第六條第一項第四号の規定の適用を受ける信託の受託者は、相続開始の時において現に存する信託財産の價額を限度として、相続税を納める義務を負う。
第四十三條 相続税について納税義務がある者が二人以上あるときは、各納税義務者は、他の納税義務者の納付すべき相続税について、その受けた利益の價額を限度として、連帶納付の責に任ずる。
第四十四條 受贈者は、贈與者の納付すべき贈與税について、贈與に因りその受けた利益の價額を限度として、連帶納付の責に任ずる。
第五章 課税價格の更正及び決定
第四十五條 第三十八條若しくは第三十九條の規定による申告書が提出された場合又は第四十條の規定による申告書の修正があつた場合において、申告又は修正に係る課税價格が、政府において調査した課税價格と異るときは、政府は、その調査により、その課税價格を更正する。
政府は、納税義務があると認められる者が第三十八條又は第三十九條の規定による申告書を提出しなかつた場合においては、その調査により、その課税價格を決定する。
納税義務者が第三十八條又は第三十九條の規定による申告書を提出せず、且つ、第六十五條に規定する納税管理人の申告をなさないで、この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、政府は、命令の定めるところにより、第三十八條又は第三十九條の規定による申告書の提出期限前においても、その調査により、その課税價格を決定することができる。
政府は前三項の規定による課税價格の更正又は決定後その更正又は決定に係る課税價格について脱漏があることを発見したときは、その調査により、その課税價格を更正することができる。
第四十六條 政府は、前條の規定により、課税價格を更正し又は決定したときは、これを納税義務者に通知する。
この法律の施行地に住所及び居所を有しない者が第六十五條に規定する納税管理人の申告をしていないときは、前項の通知に代えて公告することができる。この場合において、公告の初日から七日を経過したときは、その通知があつたものとみなす。
第四十七條 政府は、第四十五條の規定により課税價格を更正し又は決定した場合においては、前條第一項の通知をなした日から一箇月後を納期限として、その追徴税額(その不足税額又はその決定による税額をいう。以下同じ。)を徴收する。但し、納税義務者が第六十五條に規定する納税管理人の申告をなさないで、この法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなる場合においては、直ちに追徴税額を徴收する。
第六章 審査、訴願及び訴訟
第四十八條 納税義務者は、第四十六條の規定により政府の通知した課税價格又は第六十條の規定により政府の通知した税額に対して異議があるときは、通知を受けた日から一箇月以内に、不服の事由を具し、政府に審査の請求をなすことができる。
前項の請求があつた場合においても、政府は、税金の徴收を猶予しない。但し、政府において已むを得ない事由があると認めたときは、税金の徴收を猶予することができる。
第四十九條 政府は、前條第一項の請求があつたときは、これを決定し、納税義務者に通知しなければならない。
前項の場合において、必要な事項は、政令でこれを定める。
第五十條 前條第一項の決定に対し、不服がある者は、訴願又は訴訟をなすことができる。
第四十五條の規定により政府のなした更正若しくは決定又は第五十九條の規定により政府のなした税額の追徴に関する訴願又は訴訟は、審査の決定を経た後でなければ、これをなすことができない。
第七章 延納及び物納
第五十一條 相続税の納税義務者は、その納付すべき相続税額が一万円以上で、且つ、金銭で一時に納付することを困難とする事由があるときは、命令の定めるところにより、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供し、五年以内の年賦延納を申請することができる。
前項の規定は、相続税につき連帶納付の責に任ずる者について、これを準用する。
第五十二條 相続税の納税義務者は、その納付すべき相続税額のうち、金銭で納付することを困難とする金額について、物納を申請することができる。
前項の規定は、相続税につき連帶納付の責に任ずる者について、これを準用する。
前二項の場合において、物納に充てることができる財産の種類その他物納に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第五十三條 政府は、前二條の規定により相続税の延納又は物納の申請があつた場合において、必要があると認めるときは、税金の納付を猶予することができる。
第五十四條 第五十二條第一項又は第二項の規定の適用を受けて納付した相続税につき過誤納があつた場合の還付に関し必要な事項は、命令でこれを定める。
第八章 雜則
第五十五條 納税義務者が、災害に因り著しく資力を喪失して、納税困難と認められるときは、政府は、命令の定めるところにより、相続税又は贈與税を軽減し又は免除することができる。
政府は、前項の場合において、同項の規定による軽減又は免除に関する処分が確定するまで、税金の徴收を猶予することができる。
第五十六條 納税義務者の提出した申告書又は課税價格の更正、決定若しくは修正に関する書類を閲覽しようとする者は、命令の定めるところにより、政府に、その閲覽を請求することができる。
第五十七條 納税義務があると認められる者が申告書を提出しなかつた事実又は課税價格に脱漏があると認められる事実を、政府に報告した者がある場合において、政府がその報告に因つて課税價格を決定し又は更正したときは、政府は、命令の定めるところにより、その報告者に対し、課税價格の決定又は更正に因り徴收することができた税額の百分の十以下に相当する金額を、報償金として交付することができる。但し、報償金の金額は、十万円を超えることができない。
前項の規定は、その報告をなした者が官吏又は待遇官吏であるときは、これを適用しない。その報告が、官吏若しくは待遇官吏の知り得た事実、公務員(官吏及び待遇官吏を除く。)の職務上知り得た事実又は不法の行爲に因り知り得た事実に基くものである場合も、また同樣とする。
第五十八條 納税義務者は、第四十一條第二項又は第三項の規定により納付すべき相続税又は贈與税については、当該各項に規定する日に、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、当該税額百円について一日三銭の割合を乘じて算出した金額に相当する税額を加算して納付しなければならない。
第四十一條第四項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第一項の規定は、政府が、第四十七條の規定による追徴税額又は第五十一條の規定による延納税額に相当する相続税を徴收する場合について、これを準用する。
第五十九條 第四十一條第二項又は第三項の規定により相続税又は贈與税の納付があつた場合又は第四十七條の規定による追徴税額に相当する相続税又は贈與税を徴收することとなつた場合においては、第三十八條又は第三十九條の申告期限内に申告書の提出がなかつたこと、第四十條第一項の規定による申告書の修正があつた場合において前の申告若しくは修正に係る課税價格について脱漏があつたこと又は納税義務者の申告若しくは修正した課税價格が政府の調査した課税價格と異ることについて已むを得ない事由があると認められる場合を除く外、政府は、命令の定めるところにより、命令で定める期間に應じ、当該税額に一箇月を経過するごとに百分の五の割合を乘じて算出した金額に相当する税額の相続税又は贈與税を追徴する。但し、その金額は、当該税額に百分の五十を乘じて算出した金額を超えることができない。
前項の規定により追徴する税額については、第五十一條及び第五十二條の規定は、これを適用しない。
第六十條 政府は、前條第一項の規定により追徴する税額を決定したときは、これを納税義務者に通知する。
第四十六條第二項の規定は、前項の場合について、これを準用する。
第六十一條 相続が開始した後、相続人の廃除又はその取消に関する裁判の確定に因り相続人に異動を生じた場合においては、その裁判確定前に、裁判確定前の相続人のなした課税價格の申告(その修正を含む。以下本條中同じ。)又は裁判確定前の相続人について政府のなした課税價格の更正若しくは決定は、これを裁判の確定に因り相続人となつた者のなした課税價格の申告又は裁判の確定に因り相続人となつた者について政府のなした課税價格の更正若しくは決定とみなし、裁判確定前の相続人の納付した相続税は、これを裁判の確定に因り相続人となつた者の納付した相続税とみなす。
前項の場合において、裁判の確定に因り相続人となつた者は、裁判確定前の相続人の申告した課税價格又は裁判確定前の相続人について政府の更正若しくは決定した課税價格について異議があるときは、第四十八條の規定による審査の請求をなすことができる。但し、その期限は裁判の確定した日から二箇月以内とする。
前二項の規定は、相続の抛棄に因り、その抛棄前の相続人と異る者が相続人となつた場合について、これを準用する。
相続人の廃除に関する裁判の確定又は相続の抛棄に因り、相続人のうち、その受ける利益の價額が増加した者がある場合においては、裁判の確定に因り廃除された者又は相続の抛棄をなした者の納付した相続税は、これを相続人のうち、裁判の確定又は相続の抛棄に因りその受ける利益の價額が増加した者が納付したものとみなす。
相続人の廃除の取消に関する裁判の確定に因り、相続人のうち、その受ける利益の價額が減少した者がある場合においては、裁判の確定に因り、相続人のうち、その受ける利益の價額が減少した者の納付した相続税は、これを裁判の確定に因り相続人となつた者が納付した相続税とみなす。
第六十二條 第六條第一項第一号乃至第三号に規定する信託について受益者として指定された者が受益しない旨の意思表示をしたこと、受益者が存在しないことに確定したこと又は條件が成就しないこととなつたことに因り信託財産又は信託の利益を受ける権利が委託者に帰属したときは、当該信託は、初めからなかつたものとみなす。
前項の規定の適用について必要な事項は、命令でこれを定める。
第六十三條 相続人があることが分明でないとき又は相続人が相続財産について全く処分の権能を有しないときは、この法律中相続人に関する規定は、相続財産管理人又は遺言執行者に、これを準用する。この場合においては、第三十八條第一項の規定による申告書の提出期限は、その就職の日から四箇月とする。
第六十四條 相続税は、相続の開始地を、その納税地とする。但し、相続の開始地がこの法律の施行地外の地であるときは、この法律の施行地にある相続財産の所在地(その相続財産が二以上の地にあるときは、主たる相続財産の所在地)を、その納税地とする。
贈與税は、この法律の施行地にある贈與者の住所地(この法律の施行地に住所がないときは、この法律の施行地にある居所地)をその納税地とする。
贈與者が、この法律の施行地に住所及び居所を有しない場合における贈與税の納税地は、贈與者が納税地として申告した場所とする。その申告がないときは、政府が、その納税地を指定する。
第六十五條 納税義務者は、この法律の施行地に住所及び居所を有しないときは、申告書の提出その他相続税又は贈與税に関する一切の事項を処理せしめるため、この法律の施行地に住所又は居所を有する者の中から納税管理人を定め、政府に申告しなければならない。納税義務者がこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときも、また同樣とする。
第六十六條 相続人は、相続の開始後三箇月以内に、被相続人が相続開始前二年以内になした贈與の受贈者及び受遺者に対し、命令の定めるところにより、被相続人の氏名、相続開始の年月日、相続の開始地その他受贈者又は受遺者が、第三十八條の規定による申告書を提出するために必要な事項を通知しなければならない。
第六十七條 市町村長その他命令で定める者は、死亡又は失踪に関する届書を受理したときは、これを政府に報告しなければならない。
第六十八條 この法律の施行地において、生命保險金を支拂つた者は、命令の定めるところにより、支拂調書を政府に提出しなければならない。
この法律の施行地において、本人に支給すべき退職手当金等を、本人が死亡したため、その相續人その他の者に支給した法人は、命令の定めるところにより、支拂調書を政府に提出しなければならない。
この法律の施行地において、受益者と委託者とが同一人でない信託を引き受けた者は、命令の定めるところにより、信託に関する調書を政府に提出しなければならない。
第六十九條 收税官吏は、相続税に関する調査又は相続税の徴收について必要があるときは、左の各号に掲げる者に質問し又は第一号に掲げる者の財産若しくはその財産に関する帳簿書類その他の物件を檢査することができる。
一 納税義務者又は納税義務があると認められる者
二 前條の調書を提出しなければならない者
三 納税義務者又は納税義務があると認められる者に対し、債権若しくは債務を有していたと認められる者又は債権若しくは債務を有すると認められる者
四 納税義務者又は納税義務があると認められる者が、出資者であつたと認められる法人又は出資者であると認められる法人
五 納税義務者又は納税義務があると認められる者に対し、財産を讓渡したと認められる者又は財産を讓渡する義務があると認められる者
六 納税義務者又は納税義務があると認められる者から、財産を取得したと認められる者又は財産を取得する権利があると認められる者
七 納税義務者又は納税義務があると認められる者の財産を保管したと認められる者又は保管すると認められる者
八 納税義務者又は納税義務があると認められる者が、その営業又は事業に関し加入していたと認められる團体又は加入していると認められる團体
收税官吏は、贈與税に関する調査について必要があるときは、左の各号に掲げる者に質問し又は第一号若しくは第二号に掲げる者の財産若しくはその財産に関する帳簿書類その他の物件を檢査することができる。
一 納税義務者又は納税義務があると認められる者
二 納税義務者又は納税義務があると認められる者から贈與を受けた者又は贈與を受けたと認められる者
三 前條の調書を提出しなければならない者
四 贈與財産若しくは贈與財産と認められる財産を保管したと認められる者又は保管すると認められる者
第七十條 都道府縣、市町村その他の公共團体は、相続税及び贈與税の附加税を課することができない。
第九章 罰則
第七十一條 詐僞その他不正の行爲により相続税又は贈與税を免れた者は、これを一年以下の懲役又はその免れた税金の三倍以下に相当する罰金若しくは科料に処する。
前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第一項の場合においては、政府は、直ちに、その課税價格を決定し、その税金を徴收する。
第七十二條 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 第六十八條の調書を提出せず又はその調書に虚僞の記載をなして、これを提出した者
二 第六十九條の規定による財産又はその財産に関する帳簿書類その他の物件の調査を拒み、妨げ又は忌避した者
三 前号の帳簿書類で虚僞の記載をなしたものを呈示した者
四 第六十九條の規定による收税官吏の質問に対し答弁をなさない者
五 前号の質問に対し虚僞の答弁をなした者
第七十三條 相続税又は贈與税に関する調査又は審査の事務に從事している者又はこれに從事していた者が、その調査又は審査に関して知り得た祕密を漏らし又は窃用したときは、これを二年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
第七十四條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第七十一條第一項又は第七十二條の違反行爲をなしたときは、その行爲者を罰する外、その法人又は人に対し、各本條の罰金刑を科する。
第七十五條 他人の相続税又は贈與税について、政府に対し、第五十七條に規定する事実に関する虚僞の報告をなした者は、これを三年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第七十六條 第七十一條第一項の罪を犯した者には、刑法第三十八條第三項但書、第三十九條第二項、第四十條、第四十一條、第四十八條第二項、第六十三條及び第六十六條の規定は、これを適用しない。但し、懲役刑に処するときは、この限りでない。
附 則
第一條 この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
第二條 この法律は、本州、北海道、四國、九州及びその附属の島(政令で定める地域を除く。)に、これを施行する。
第三條 この法律施行前に開始した相続に対する相続税については、なお從前の例による。但し、左の各号に掲げる事項については、当該各号に定めるところによる。
一 この法律の施行後、政府が從前の第十五條又は從前の第十七條ノ二の規定により決定又は処分をなす場合においては、相続税審査委員会の諮問を経ることを必要としない。
二 この法律施行後、從前の第十六條の規定による出訴をなす場合においては、裁判所に対し、これをなすものとする。
この法律の施行前に信託に因り委託者が他人に信託の利益を受ける権利を有せしめた場合において、当該信託の元本又は收益の受益者がこの法律施行後始めて元本又は收益を受けることとなつたときは、当該信託行爲のあつた時において、從前の第二十三條の規定による遺産相続が開始したものとみなす。
第四條 この法律施行後開始する相続の開始前二年以内に被相続人が贈與した贈與財産に対し課した又は課せらるべき從前の第二十三條の規定による相続税があるときは、当該相続税額は、命令の定めるところにより、受贈者の納付すべき相続税額から、これを控除する。
第五條 昭和二十二年分の贈與税については、第二十七條に規定する課税價格は、この法律施行の日から昭和二十二年十二月三十一日までの間に贈與された贈與財産の價額により、これを計算する。
第六條 登録税法の一部を次のように改正する。
第二條第二号を次のように改める。
二 遺言、贈與其ノ他無償名義ニ因ル所有権ノ取得 不動産價格千分ノ二十五
第三條第二號中「千分ノ五十五」を「千分ノ二十」に改める。
第三條ノ二 信託財産タル不動産又ハ船舶ヲ受託者ヨリ受益者ニ移ス場合ニ於ケル所有權取得ノ登記ニ付テハ左ノ區別ニ從ヒ登録税ヲ納ムヘシ
不動産 不動産價格 千分ノ二十五
船舶 船舶價格 千分ノ二十
第七條 租税特別措置法の一部を次のように改正する。
第三條中「第十七條ノ二」を「第五十二條」に、「不動産又は立木」を「不動産、立木その他命令で定める資産」に、「山林の所得」を「山林所得」に改める。
第六條第一項中「以下同じ。」を「以下特別の定をなす場合を除く外、同じ。」に改める。
第七條第一項中「相續財産のうち」を「相續財産(昭和二十二年五月三日以後に開始する相續については、相續開始前二年以内に被相續人が贈與した財産を含む。以下本條中同じ。)のうち」に改める。
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〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=11
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012・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました、所得税法を改正する法律案外五法律案に付きまして、提案の理由を御説明申上げます、政府は最近に於ける國民經濟の推移、中央及び地方の財政事情、地方自治制度の改正等に鑑みまして、現行の税制に根本的改正を加へる必要を認めましたので、豫て税制調査會を設け、改正の具體的方策に付て諮問する等の準備を進めて居りましたが、今般其の答申に基きまして、成案を得ましたので、茲に之を提案する運びに相成つた次第でございます、今囘の税制改正は、多額に上る財政需要の現状に對應して其の收支の均衡を圖る爲、租税收入を確保致しますと共に、國民經濟の實情に即應して負擔の公正を期し、併せて租税の民主化及び税制の簡易平明化を圖り、以て現下當面する財政經濟の再建に資することを目標と致したものであります、斯樣な趣旨に基きまして、所得税は之を租税體系の中樞とし、一定額以上の所得を有する個人に對して、廣く其の擔税力に應じた課税を行ふことと致しまして之に依つて租税收入の根幹を形成せしめると共に、法人税及び特別法人税に付きましては、個人に對する課税との權衡を考へ、必要な改正を行ふことと致したのであります、又相續税に付きましては、相續制度改正の大勢其の他現下の諸情勢の推移に顧みまして、相續財産に對する課税の整備及び強化を圖ると共に贈與財産に對する課税を擴張する爲、贈與税を創設致します等、必要な改正を行ひたいのであります、又酒税其の他の消費税及び流通税に付きましては、物價事情の變動其の他各般の情勢の推移に即應致しまして、各税に亙り相當の増徴を行ひます一方、物品税は現在としては課税上不適當と認められる一部の税率の引下を行ひます等、所要の改正を行ふことに致したのであります、此の他地方自治制度の改正に關聯致しまして、地方財政の確立及び適切な地方應益負擔の實現に資する等の爲、地租、家屋税、營業税、鑛區税及び遊興飮食税は之を地方に委讓することと致したのであります、次に是等各税に付て改正の大要を申上げます、先づ所得税でありますが、租税負擔の適正及び納税の簡易化等を圖ります爲、現行の所得税の所謂分類所得税及び綜合所得税を兩建と致します方法を廢止致しまして、個人に對しては總ての所得を綜合して一本の超過累進税に依り課税することに改めました、又現在の課税方法は、前年中の所得に依つて税額を定め、政府が之を告知することになつて居るのでありますが、今囘之を改めまして、其の年の所得に依つて税額を定め、且納税者は其の申告した所得に依つて自ら税額を計算して納税する、所謂豫算申告納税制度を採用致したのであります、而して所得税改正の狙ひの一つは、納税者の負擔を現下の實情と如何に適合させるかと云ふことでありますが、之に付きましては所得及び生計費の實情竝に財政の需要等各般の事情に付愼重に考慮を重さねました結果、其の年一年間を通じて計算した所得金額に對し、最低百分の二十乃至最高百分の七十五の超過累進税率に依り課税することと致しました、それと同時に基礎控除及び扶養家族控除に付相當大幅の引上を行ひました、即ち納税者毎に年四千八百圓の基礎控除を認めます外、扶養家族を有する者に付きましては、家族一人毎に税額で年二百四十圓の控除を認めることと致したのであります、斯樣にして少額所得者及び扶養家族を擁する者の實際負擔を相當緩和致したのであります、特に又勤勞所得者に付きましては、其の擔税力を考慮致しまして、最高六千圓の限度に於て其の給與より生ずる收入金額の二割を控除して課税することと致したのであります、次に納税方法に付きましては原則と致しまして申告納税の方法に依ることは、前申上げました通りであります、一定の勤勞所得者以外の納税者は、斯くて毎年四月に自ら其の年の所得額を豫算致し、其の豫算税額の四分の一づつを毎年四月、七月及び十月に分納致し、其の年の確定所得に對する税額との差額は、之を翌年一月に納付することと致したのであります、但し勤勞所得及び配當利子所得等に付きましては、矢張り現在通り支拂の都度源泉に於て支拂者が一定の税額を徴收することと致して居るのであります、次に法人税に付て申上げますが、法人の超過所得に對する課税は、最近に於ける經濟界の急激な變動に伴ひ、其の負擔が實情に即せず、産業の再建に必要な法人の企業活動の促進を期し難い憾がありますので、今囘其の税率を相當程度引下げることと致しました、又本税に付きましても、全面的に申告納税制度を採用致しまして、所得の發生後速かに法人が自ら其の税額を計算致しまして納税することに改めたのであります、尚特別法人税に付きましても申告納税制度を採用することと致しました、次に相續税でございますが、先づ民法の一部改正に伴ひ、家督相續と遺産相續との別に依る税率の區分を廢止致しまして、被相續人と相續人、受遺者等との親疎の別に從ひ、税率を三本建と致しまして、税負擔に若干の差等を設けることとしたのであります、而して最も親等の近い直系卑族及び配偶者に對する第一種の税率は百分の十乃至百分の六十の超過累進税率と致して居るのであります、又相續税課税の適正を期する爲、課税に當つて、相續財産と看做すべきものの範圍を擴張整備致しまして、又併せて非課税財産の範圍を限定することと致しました、尚家督相續に付て二萬圓、遺産相續に付て三千圓の現在の免税點の制度を、一律に五萬圓の基礎控除の制度に改めますると共に此の際扶養家族控除の制度は、之を廢止することと致したのであります、次に贈與税でございますが、贈與財産に對する課税を擴張致しまする爲、新に贈與税なるものを創設致すことに致したのでありますが、即ち現行法に於きましては、贈與に對する課税は、親族間に行はれたものに限り、遺産相續が開始したものと看做して相續税を課税して居るのでありますが、今囘之を改正致しまして、相手方の如何を問はず、總ての贈與に對して贈與税を課税致しますと共に、納税義務者を受贈者から贈與者に改めることとし、以て相續税の補完税たる機能を十分果させることと致したのであります、又贈與税は之を年税と致しまして、其の課税標準を一囘毎の贈與財産の價額と致さず、贈與者の一生を通じての贈與財産の累積額に付きまして、五萬圓の基礎控除を行ひ、殘額に對し、相續税の第三種税率と同一の超過累進率を適用致します、さうして之に依り算出した金額から、前年分迄の贈與財産の合計額に對する贈與税相當額を控除致して、其の税額を算出することと致したのであります、尚相續税及び贈與税を通じまして、財産の評價に關する規定を整備致しますと共に、兩税を通じて申告納税制度を採用することと致しました、現在及び將來に於ける諸情勢の推移に即應して、自主的な納税制度を導入することに致した譯であります、次に酒税に付きましては、財政の現状及び酒類消費の状況等に照しまして、此の際各種酒類を通じ、一級清酒一升の小賣價格が百二十圓となる程度の、相當大幅の引上を行ひます外、料理店等に於て消費されまする業務用の酒類に付きましては、一般の酒税の外に、相當額の加算税を徴收することとし、是等に依り、相當多額の國庫收入の増加を圖つて居るのであります、酒税以外の消費税及び流通税に付きましては、現在從量課税を致して居りまする清凉飮料税、砂糖消費税及び燐寸其の他に對する物品税に付きまして、今囘相當程度の税率の引上を致しました、又定額税たる登録税の一部、印紙税、骨牌税及び狩獵免許税竝に有價證券移轉税及び取引所税の中、取引税の一部に付きましても、相當程度の税率の引上を行ふことと致して居るのであります、入場税に付きましては、最近の利用の状況等に鑑みまして、其の税率を一本とし、相當の増徴を圖ることと致したのであります、他方從價課税を致して居りまする所の物品税の大部分に付きましては、相當程度の税率の引下を行ひました、又織物消費税に付きましては、下級織物に對して輕減税率を適用する範圍を擴張する等の改正を行ひました、現下の經濟情勢の變動に伴ふ租税負擔の適正を期したいと考へて居る次第であります、尚今囘別途實施せられまする地方税制度の改正に對應致しまして、前に申上げました如く地祖、家屋税、營業税、鑛區税及び遊興飮食税を地方税として、之を委讓することと致しました、但し地方税たる地租及び家屋税の課税標準であります賃貸價格は、其の均衡適正を圖り、併せて土地及び家屋の状況を國に於て常に明確に把握する爲に、此の際土地臺帳及び家屋臺帳法を制定し、現在通り税務署に土地臺帳及び家屋臺帳を備へ、土地及び家屋に關し必要な事項を登録することと致したのであります、今囘の税制改正に依りまして、租税及び印紙收入の國庫收入額は、平年度に於て約六百七十二億四千三百萬圓、初年度たる昭和二十二年度に於て、約六百九十五億千四百萬圓に達する見込であります、其の各税に付きまして初年度の收入額で申上げますれば、直接税は約四百六十六億八千三百萬圓でありまして、全體の六割七分二厘に當り、間接税は約百九十一億七千萬圓でありまして、全體の二割七分六厘に當り、其の他の諸税は約三十六億六千百萬圓でありまして、全體の五分二厘に當るのであります、而して直接税の中所得税の收入額は、初年度に於て約四百十三億四千八百萬圓に達しまして、租税收入總額の五割九分四厘に當るのであります、國税の重點は所得税に繋つて居るのであります、最後に申上げたいことは、今囘直接の各税に亙り、劃期的な申告納税制度を採用したのでありますが、是が成否は一に全國民の協力に俟つこととなる次第でありまして、一般國民が自主的に納税の義務を果され、現下の難局に處し、財政の基礎確立に寄與せられるやう期待して已まない次第でありまして、是非共各位の特段の御協力を御願ひする次第であります、以上甚だ簡單でありますが一應の御説明を申上げた次第であります、何卒御審議の上速かに御協贊を與へられむことを御願する次第であります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=12
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013・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 植原内務大臣
〔國務大臣植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=13
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014・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 只今議題となりました地方税法の一部を改正する法律案及び地方分與税法を改正する法律案に付きまして、提案の理由を申上げたいと存じます、現行地方税制は、昭和十五年の國税地方税を通ずる税制の根本改正の結果制定されたもので、其の後若干の小改正が加へられたものでありますが、之を新憲法の精神とする地方自治強化の趣旨に副ひ、且は地方財政の現況に即應するものとする爲には、再び國税地方税を通ずる税制の根本改正を必要とするものとなつたのであります、之が爲に今囘地方所要財源の充足、第二に自主的地方財政の確立、第三に税種間負擔不均衡の是正、第四に地方財政調整の適正化の四つを目標と致しまして、地方税法の根本に觸れて其の一部を改正すると共に、地方分與税法の全文を改正することに致したのであります、先づ地方税法中の改正事項に付て御説明申上げます、改正の第一は還付税制度の廢止と、國税の地方委讓に關する事項であります、其の一は地租、家屋税及び營業税の委讓であります、現行地租、家屋税及び營業税は、國税として賦課徴收し、之を還付税として其の儘徴收地、即ち都道府縣に還元交付されて居たのでありますが、向後地方團體をして自主的に財政運營を行はせて行くと云ふ見地から考へまして、此の制度を廢止して、之を都道府縣の獨立税とすると共に、市町村に於て附加税を課するものとせむとするのであります、其の二は鑛區税の委讓であります、鑛産地帶の財政状況に鑑み、且は地租に準じまして國税鑛區税を都道府縣の獨立税として委讓を受け、市町村に於て之に附加税を課するものとせむとするのであります、其の三は遊興飮食税の委讓であります、遊興飮食税に付きましては、其の沿革竝に此の税の性格に鑑みまして、之を都道府縣の獨立税として委讓を受け、市町村に於て附加税を課するものとせむとするのであります、併し特に遊興とは言へないやうな飮食や、宿泊に對して迄課税することは穩當でありませぬので、之を遊興税として地方獨立税に採入れることと致しました、改正の第二は法定獨立税目の擴張に關する事項であります、即ち地方財源は極めて窮乏した状況にありますので、地方團體が熱心に課税を希望して居ります獨立税の中、餘り無理のない税は廣く法定税目の中に採入れることとし、一々主務大臣の許可を受けると云ふ煩瑣な手續を經ないでも、自由に課税し得るやうな途を拓いて置くことが適當であると考へまして、新に道府縣の此の種の税目として、電話加入權税、軌道税及び入湯税を追加すると共に、現行の自動車税及び船舶税の内容を擴張して、自動車及び船舶の取得に對しても課税し得るものと致しました、新に市町村の法定獨立税目としては、廣告税を追加すると共に、現行舟税の内容を擴張して、舟の取得に對しても課税し得るものと致しました、改正の第三は、住民税の増税に關する事項であります、地方財政の窮乏、經濟事情變化の状況等に鑑みまして、住民税を倍額に引上げることとし、一納税義務者當り平均の賦課額を府縣民税百二十圓、市町村民税八十圓に改正せむとするものであります、此の外目的税等に付きましても、若干の改正を加へて居ります、次に地方分與税法中の改正事項に付て御説明申上げます、改正の第一は、分與税制全體に關する事項でありまして、還付税制度を廢止すると共に、遊興飮食税を分與税の財源から除外せむとすることであります、其の二は、繰入率及び分與率を改訂せむとすることであります、明年度に於て増額を要すべき地方所要財源の總額は、物價の昂騰に伴ふ物件費、工事費の増、職員待遇改善費の増、各種制度の改正に伴ふ經費の増を含め、一應二百十二億六千萬圓と概算致して居るのであります、之に對し、税制改正に依るものと、所謂自然増收に屬するものとを合算致しまして、地方財源の増加致しまする額は百八十六億七千七百萬圓でありますが、尚二十五億八千三百萬圓の不足を生じますので、之を分與税の増額に求めることと致します爲に、其の繰入割合を増率する必要が生じたのであります、其の三は、分與税の道府縣分と市町村分との割振りを改めむとすることであります、即ち財政需要の増加額と、税制改正に依る財源賦與額との調整を分與税の割振りの變更に求めることとしたのでありまして、此の結果、道府縣分百分の六十七、市町村分百分の三十三となるのであります、改正の第二は、道府縣分與税竝に市町村分與税に關する事項でありまして、其の一は、課税力を標準とする分與基準を一種類追加せむとすることであります、其の二は、分與税分與額の制限基準を改正せむとすることであります、是は今囘の税制改正に依り多數の獨立税が創設せられる結果、團體間の課税力の差が一層大きくなることと思はれますので、之を分與基準竝に其の制限基準に加味することと致したのであります、其の三は、市町村分與税を大都市、都市、町村の三ブロツクに分割する際も、課税力の著しく高いブロツクには分與税の分與額を制限するものとせむとするのであります、以上地方税法の一部を改正する法律案及び地方分與税法を改正する法律案の大要に付て説明申上げた次第であります、何卒御審議の上、速かに御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=14
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015・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました所得税法を改正する法律案外七件は、其の委員を二十五名の特別委員とし、其の指名を議長に一任することの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=15
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016・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=16
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017・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶものあり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=17
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018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
所得税法を改正する法律案外七件特別委員
公爵 二條弼基君 侯爵 中山輔親君
伯爵 東久世通忠君 子爵 富小路隆直君
子爵 綾小路護君 子爵 稻垣長賢君
子爵 日野西資忠君 白澤保美君
白根竹介君 長谷川赳夫君
男爵 長基連君 男爵 鶴殿家勝君
男爵 毛利元良君 男爵 島津忠彦君
三浦新七君 黒田英雄君
奧村嘉藏君 小山完吾君
徳田昂平君 中島徳太郎君
近藤銕次君 片岡直方君
原田讓二君 呉文炳君
佐藤助九郎君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=18
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019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、國有財産法の一部を改正する法律案、作業会計法を改正する法律案、燃料局特別会計法を改正する法律案、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案、國有林野事業特別会計法案、労働者災害補償保險特別会計法案、公債金特別会計法外四法律の廃止等に関する法律案、企業再建整備法等の一部を改正する法律案、以上八案を一括して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=19
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020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=20
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021・会議録情報4
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國有財産法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
國有財産法の一部を改正する法律案
國有財産法の一部を次のように改正する。
第一條中「勅令」を「政令」に改める。
第三條 衆議院議長、參議院議長、最高裁判所長官、會計檢査院長竝ニ内閣總理大臣及各省大臣(以下各省各廳ノ長ト稱ス)ハ其ノ所管ニ屬スル國有財産ノ維持保存及運用(以下管理ト稱ス)ヲ爲スヘシ
第三條ノ二 雜種財産ハ法律ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外大藏大臣之ヲ管理シ又ハ處分スルモノトス
第三條ノ三 公共用財産、公用財産又ハ營林財産ノ用途又ハ目的ヲ廢止シタル場合ニ於テハ法律ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外各省各廳ノ長大藏大臣ニ之ヲ引繼クヘシ
第三條ノ四 大藏大臣ハ各省各廳ノ長ノ行フ國有財産ノ管理及處分ニ付其ノ適正ヲ期スル爲之ヲ總轄スヘシ
大藏大臣必要アリト認ムルトキハ各省各廳ノ長ニ對シ其ノ管理ニ屬スル國有財産ニ關シ其ノ状況ニ關スル報告ヲ求メ實地監査ヲ行ヒ又ハ閣議ノ決定ヲ經テ用途ノ變更、用途若ハ目的ノ廢止又ハ管理換其ノ他必要ナル措置ヲ求ムルコトヲ得
第五條 雜種財産ハ法律ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外之ヲ讓與スルコトヲ得ス
第七條第一項中「帝室用又ハ國、」を「國又ハ」に改め、「若ハ私人」を削り、「勅令」を「政令」に改める。
第八條中「政府」を「当該財産ヲ所管シタル各省各廳ノ長」に改める。
第九條 國有財産ノ賣拂代金又ハ交換差金ハ財産引渡前之ヲ納付セシムヘシ但シ當該財産ノ讓渡ヲ受ケタル公共團體又ハ教育若ハ社會事業ヲ營ム團體ニ於テ代金又ハ差金ヲ一時ニ支拂フコト困難ナリト認ムルトキハ五年以内ノ延納ノ特約ヲ爲スコトヲ得
前項但書ノ規定ニ依リ延納ノ特約ヲ爲サントスルトキハ各省各廳ノ長ハ延納期限及擔保ニ關シテハ同項ニ規定スル團體ヲ監督スル主務大臣ノ意見ヲ聞キ大藏大臣ニ協議スヘシ
第一項但書ノ規定ニ依リ延納ノ特約ヲ爲シタル場合ニ於テ左ノ各號ノ一ニ該當スル事由アルトキハ各省各廳ノ長ハ直ニ其ノ特約ヲ解除スヘシ
一 當該財産ノ讓渡ヲ受ケタル者ノ爲ス管理カ適當ナラスト認ムルトキ
二 延納ニ係ル代金又ハ差金ノ各年度ニ於ケル納付金額カ當該年度ノ當該財産ノ賃貸料及公租公課ノ合計額ニ滿タサルトキ
第十三條 削除
第十四條及び第十九條中「政府」を「當該財産ヲ所管スル各省各廳」に改める。
第十五條第一項第一号中「八十年」を「六十年」に改める。
第十六條 國有財産ハ之ヲ無償ニテ貸付スルコトヲ得ス但シ公共團體ニ於テ公共用、公用若ハ公益事業ニ供スル爲必要アル場合其ノ他法律ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス
前項但書ノ規定ニ依リ無償貸付ヲ爲サントスルトキハ各省各廳ノ長ハ當該公共團體ヲ監督スル主務大臣ノ意見ヲ聞キ大藏大臣ト協議スヘシ
第一項但書ノ場合ニ於テ國有財産ノ無償貸付ヲ受ケタル者ノ爲ス當該財産ノ管理良好ナラスト認ムルトキハ當該財産ヲ所管スル各省各廳ノ長ハ直ニ其ノ契約ヲ解除スヘシ
内閣ハ政令ノ定ムル所ニ依リ無償貸付ヲ爲シタル國有財産ニ付毎會計年度末現在ニ於ケル状況ヲ翌年度開會ノ國會ノ常會ニ報告スヘシ
第十八條第一項中「帝室用又ハ國、」を「國又ハ」に改め、「若ハ私人」を削り、「政府」を「當該財産ヲ所管スル各省各廳ノ長」に改め、同條第二項中「損害ニ付」の下に「當該財産ヲ所管スル各省各廳ノ長ニ對シ其ノ」を加え、同項の次に次の二項を加える。
前項ノ規定ニ依リ賠償ノ請求アリタルトキハ當該財産ヲ所管スル各省各廳ノ長ハ之ヲ會計檢査院ノ審査ニ附スルコトヲ得
主務官廳ハ前項ノ審査ノ結果ニ關シ會計檢査院ノ通知ヲ受ケタルトキハ其ノ通知アリタル判定ニ基キ適當ナル措置ヲ採ルヘシ
第二十一條 削除
第二十二條 削除
第二十三條 削除
第二十五條中「政府」を「各省各廳」に改める。
第二十六條 各省各廳ノ長ハ毎會計年度間ニ於ケル國有財産増減報告書及毎會計年度末現在ニ於ケル國有財産現在額報告書ヲ調製シ翌年度八月三十一日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
大藏大臣ハ前項ノ規定ニ依リ送付ヲ受ケタル國有財産増減報告書及國有財産現在額報告書ニ基キ國有財産増減總計算書及國有財産現在額總計算書ヲ調製スヘシ
内閣ハ前項ノ國有財産増減總計算書及國有財産現在額總計算書ヲ各省各廳ノ國有財産増減報告書及國有財産現在額報告書ト共ニ翌年度十一月三十日迄ニ之ヲ會計檢査院ニ送付シ其ノ檢査ヲ受クヘシ
第二十六條ノ二 内閣ハ前條第三項ニ依リ會計檢査院ノ檢査ヲ經タル國有財産増減總計算書及國有財産現在額總計算書ニ會計檢査院ノ檢査報告ノ外各省各廳ノ國有財産増減報告書及國有財産現在額報告書ヲ添附シ之ヲ翌年度開會ノ國會ノ常會ニ報告スルコトヲ例トス
第二十六條ノ三 各省各廳ノ長ハ毎會計年度毎ニ當該年度末及翌年度末ニ於ケル國有財産見込現在額報告書ヲ調製シ當該年度九月三十日迄ニ之ヲ大藏大臣ニ送付スヘシ
大藏大臣ハ前項ノ規定ニ依リ送付ヲ受ケタル各省各廳ノ國有財産見込現在額報告書ニ基キ當該年度末及翌年度末ニ於ケル國有財産見込現在額總計算書ヲ調製スヘシ
第二十九條ノ三 削除
第二十九條ノ四 第二十六條第一項ノ規定ニ依リ調製スヘキ國有財産増減報告書及國有財産現在額報告書ニハ昭和十九年度以後ノ朝鮮、臺灣、樺太、南洋、關東州及外國ニ係ル分ハ之ヲ省略スルコトヲ得
第三十一條中「第二條、」の下に「第三條第二項、」を加える。
第三十三條 削除
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。但し、第二十六條の規定は、昭和二十一年度分から、これを適用する。
農林大臣の所管する國有林野に属するもの、史蹟名勝天然記念物に指定されているもの及び帝國鉄道会計、通信事業特別会計、簡易生命保險及び郵便年金特別会計の保險勘定に属するもの並びに雜種財産で現に大藏大臣と協定してあるものについては、第三條ノ三の規定にかかわらず、当該財産を所管する各省各廳の長は、当分の間、これを、大藏大臣に引き継ぐことを必要としない。
前項の規定により、大藏大臣に引き継ぐことを必要としない雜種財産については、当該財産を所管する各省各廳の長が、これを管理し又は処分するものとする。
國有財産に関する法制を整備するため、内閣に、國有財産法制調査会を設置する。
調査会は、会長一人委員六人以内で、これを組織する。
会長は、大藏大臣を以て、これに充て、委員は、会計檢査院その他関係各廳の一級の官吏及び学識経驗のある者の中から、内閣でこれを命ずる。
調査会は、國有財産に関する法律案を作成し、内閣は、これを次の國会の常会に提出するものとする。
前三項に定めるものの外、調査会に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
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作業会計法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
作業会計法を改正する法律案
專賣局及び印刷局特別会計法
第一條 專賣局及び印刷局の事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、各各特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
第二條 專賣局特別会計及び印刷局特別会計(以下各会計という。)は、大藏大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 各会計においては、夫夫各会計に所属する資産の金額を以て資本とする。
第四條 各会計においては、夫夫專賣局及び印刷局の事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動を、その発生の事実に基いて、計理する。
各会計に属する資産及び負債については、政令の定めるところに從い、その内容を明らかにしなければならない。
第五條 各会計において、事業設備費を支弁するため必要があるときは、各会計の負担において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第六條 各会計において、運轉資金に充てるため必要があるときは、各会計の負担において、一時借入金をなし若しくは融通証券を発行し又は國庫余裕金を繰替使用することができる。
前項に規定する一時借入金、融通証券及び繰替金は、当該年度内に、これを償還しなければならない。
第一項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第七條 各会計の負担に属する公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに公債及び融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第八條 大藏大臣は、毎会計年度、各会計の歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製しなければならない。
第九條 各会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十條 内閣は、毎会計年度各会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
第十一條 各会計において、決算上利益を生じたときは、これを当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付しなければならない。
第十二條 大藏大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、各会計の歳入歳出決定計算書を作製しなければならない。
第十三條 内閣は、毎会計年度、各会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 債務に関する計算書
第十四條 各会計において、支拂義務の生じた歳出金で当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越については、財政法第四十三條の規定は、これを適用しない。
大藏大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、会計檢査院に通知しなければならない。
第十五條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 從前の各会計の昭和二十二年三月三十一日現在における資本所属以外の物品等は、これを各会計の資産に組み入れ、同日現在の支出未済額は、これを負債に編入する。
第三條 昭和二十一年度における一般会計歳出予算中專賣局又は印刷局の事業に係るもので、年度内に契約をなし、昭和二十二年四月三十日までに支出を終らなかつた経費の金額については、これを各会計の昭和二十二年度に繰り越して使用することができる。
第四條 この法律施行前になした予備費の支出並びに昭和二十年度及び同二十一年度の決算に関しては、なお從前の例による。
第五條 この法律中「國会」、「内閣」及び「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを夫夫「帝國議会」、「政府」及び「勅令」と読み替えるものとする。
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燃料局特別会計法を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
燃料局特別会計法を改正する法律案
アルコール專賣事業特別会計法
第一條 アルコール專賣事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
この法律において、アルコール專賣事業とは、アルコール專賣法に規定するアルコールの製造、收納、販賣等の事業、アルコールに関する試驗及び研究並びにこれらの附帶業務をいう。
第二條 この会計は、商工大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 この会計においては、この会計に所属する資産の金額を以て資本とする。
第四條 この会計においては、アルコール專賣事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動を、その発生の事実に基いて計理する。
この会計に属する資産及び負債については、政令の定めるところに從い、その内容を明らかにしなければならない。
第五條 この会計において、事業設備費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第六條 この会計において、運轉資金に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、一時借入金をなし若しくは融通証券を発行し又は國庫余裕金を繰替使用することができる。
前項の規定による一時借入金及び融通証券は、遅くとも翌年度内に、繰替金は当該年度内に、これを償還しなければならない。
第一項の規定による一時借入金、融通証券及び繰替金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第七條 前二條に規定する公債、借入金、一時借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大藏大臣がこれを行う。
第八條 この会計の負担に属する公債、借入金、一時借入金又は融通証券の償還金及び利子並びに発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、年度内に償還する償還金を除いて、毎会計年度、これを國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第九條 商工大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十一條 内閣は、毎会計年度この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
第十二條 この会計において、決算上利益を生じたときは、これを当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付しなければならない。
第十三條 商工大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十四條 内閣は、毎会計年度この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 債務に関する計算書
第十五條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三條の規定にかかわらず、大藏大臣の承認を経ることを要しない。
商工大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第十六條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、附則第五條の規定は、公布の日から、これを施行する。
第二條 從前の燃料局特別会計の昭和二十二年三月三十一日現在における資本所属以外の物品等は、これをこの会計の資産に組み入れ、同日現在の支出未済額は、これを負債に編入する。
第三條 改正前の第三條の規定により、据置運轉資本補足のため借り入れた借入金又は國庫余裕金を繰替使用した繰替金は、これを第六條の規定による一時借入金又は繰替金とみなす。
第四條 昭和二十一年度における一般会計歳出予算中アルコールの專賣事業に係るもので、年度内に契約をなし、昭和二十二年四月三十日までに支出を終らなかつた経費の金額については、これをこの会計に繰り越して使用することができる。
第五條 この会計において、決算上生じた利益金の一般会計えの納付については、この法律施行後三箇年を限り、第十二條本文の規定にかかわらず、政令の定めるところにより、その翌年度までに納付することができる。
第六條 この会計において、資本を増加する必要があるときは、当分の間、予算の定めるところにより、この会計の決算上生じた利益を以て、これに充てることができる。
第七條 この法律施行前になした予備費の支出並びに昭和二十年度及び同二十一年度の決算に関しては、なお、從前の例による。
第八條 この法律中「國会」、「内閣」及び「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを夫夫「帝國議会」、「政府」及び「勅令」と読み替えるものとする。
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造幣局特別会計法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
造幣局特別会計法の一部を改正する法律案
造幣局特別会計法の一部を次のように改正する。
第一條中「附屬雜收入及」を「固定資本ニ屬スル物件ノ賣拂代金及附屬雜收入竝ニ」に、「作業ノ費用及」を「作業ノ費用、固定資本ノ擴張費、改良費、補充費及維持修理費竝ニ」に改める。
第二條第二項中「處分ニ關スル用途」の下に「竝ニ本會計ノ固定資本ノ擴張費及改良費ノ財源」を加える。
第三條 本會計ニ於テハ事業ノ經營成績及財政状態ヲ明ナラシムル爲財産ノ増減及異動ヲ其ノ發生ノ事實ニ基テ計理ス
第八條 削除
第九條ノ二 資金ニ不足ヲ生シタルトキハ一般會計ハ第二條第二項ノ規定ニ依リ資金ヲ固定資本ノ擴張費及改良費ノ財源ニ使用シタル金額ヲ限度トシテ之カ補足ノ爲繰入金ヲ爲スコトヲ得
附 則
この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、附則第三項の規定は、公布の日から、これを施行する。
昭和二十一年度における一般会計歳出予算中造幣局の事業に係るもので年度内に契約をなし昭和二十二年四月三十日までに支出を終らなかつた経費の金額については、これをこの会計に繰り越して使用することができる。
昭和七年法律第十二号(造幣局資金拂出に関する法律)の一部を次のように改正する。
第三項中「昭和二十二年度」を「昭和二十五年度」に改める。
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國有林野事業特別会計法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
國有林野事業特別会計決案
國有林野事業特別会計法
第一條 國有林野事業を企業的に運営し、その健全な発達に資するため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。
この法律において、國有林野事業とは、國有林野法第一條に規定する國有林野及び北海道における國有林野の管理経營、林業の事業に関する試驗、研究及び調査並びにこれらの附帶業務をいう。
第二條 この会計は、農林大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 この会計においては、從來の國有林野(北海道における國有林野を含む。)の事業に属する土地、森林、原野、建物、工作物、機械その他の設備、貯藏物品等の資産及び將來この会計に所属する資産の金額を以て資本とする。
第四條 この会計においては、國有林野事業の経営成績及び財政状態を明らかにするため、財産の増減及び異動を、その発生の事実に基いて計理する。
この会計に属する資産及び負債については、政令の定めるところに從い、その内容を明らかにしなければならない。
第五條 この会計において、事業施設費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担において、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第六條 この会計において、運轉資金に充てるため必要があるときは、この会計の負担において、一時借入金をなし又は融通証券を発行することができる。
前項に規定する一時借入金及び融通証券は、当該年度内にこれを償還しなければならない。
第一項の規定による一時借入金及び融通証券の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
第七條 前二條に規定する公債、借入金、一時借入金及び融通証券の起債、償還等に関する事務は、大藏大臣がこれを行う。
第八條 この会計の負担に属する公債及び借入金の償還金及び利子、一時借入金及び融通証券の利子並びに公債及び融通証券の発行及び償還に関する諸費の支出に必要な金額は、毎会計年度、これを國債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
第九條 農林大臣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出の予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを款及び項に区分する。
第十一條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出の予定計算書及び國庫債務負担行爲要求書
二 前前年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
四 國庫債務負担行爲で翌年度以降にわたるものについての前年度までの支出額及び支出額の見込、当該年度以降の支出予定額並びに数会計年度にわたる事業に伴うものについてはその全体の計画その他事業等の進行状況の調書
第十二條 この会計においては、森林資源の維持のため積立金を保有することができる。
前項の積立金は、予算の定めるところにより、この会計の決算上生じた利益金のうちから、これを積み立てるものとする。
第一項の積立金は、予算の定めるところにより、これを使用しなければならない。
第十三條 この会計において、決算上利益を生じたときは、当該利益の額から、前條第二項の規定により積立金として積み立てる額を控除した額に相当する金額は、これを当該利益を生じた年度の一般会計の歳入に納付しなければならない。
第十四條 農林大臣は、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十五條 内閣は、毎会計年度この会計の歳入歳出決算を作算し、一般会計の歳入歳出決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出決定計算書
二 当該年度の損益計算書、貸借対照表及び財産目録
三 債務に関する計算書
第十六條 この会計において、支拂義務の生じた歳出金で、当該年度内に支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三條の規定にかかわらず、大藏大臣の承認を経ることを要しない。
農林大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第十七條 第十二條の規定による積立金は、國債を以てこれを保有し、又は大藏省預金部に預け入れ運用することができる。
この会計に余裕金があるときは、これを大藏省預金部に預け入れることができる。
第十八條 國有林野事業の運営に妨げのない限り、この会計の負担において、一般の委託により、森林の管理経営、木材の加工若しくは林業に関する機械施設の工作又は林業に関する試驗、檢査及び調査をなすことができる。
第十九條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第一條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。
第二條 從來の國有林野(北海道における國有林野を含む。)の事業に属する負債は、これをこの会計に帰属せしめる。
第三條 財産税等收入金特別会計に所属する資産のうち從來帝室林野の事業の用に供したものについては、これを無償を以て、この会計の所属に移すことができる。
第四條 從來の帝室林野の事業に属する資産及び負債で國に引継がれたものは、これをこの会計に帰属せしめる。
第五條 この会計においては、当分の間、第十三條の規定にかかわらず、予算の定めるところにより、一般会計に納付金を繰り入れることができる。
前項の場合において、決算上の利益の額が第十二條第二項の規定により積立金として積み立てる額及び納付金の額の合計額を超過するときは、その超過額は、これを損失補填のための積立金として積み立てるものとする。
第十三條第二項の規定は、前項の積立金に、これを準用する。
第六條 昭和二十一年度における一般会計歳出予算中國有林野事業に係るもので、年度内に契約をなし、昭和二十二年四月三十日までに支出を終らなかつた経費の金額については、これをこの会計に繰り越して使用することができる。
第七條 この法律中「國会」、「内閣」及び「政令」とあるのは、日本國憲法施行の日までは、これを「帝國議会」、「政府」及び「勅令」と読み替えるものとする。
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労働者災害補償保險特別会計法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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労働者災害補償保險特別会計法案
労働者災害補償保險特別会計法
第一條 労働者災害補償保險法による労働者災害補償保險事業を経営するため、特別会計を設置し、その歳入を以てその歳出に充てる。
第二條 この会計は、厚生大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
第三條 この会計においては、保險料、積立金から生ずる收入、借入金及び附属雜收入を以てその歳入とし、保險金、保險料の返還金、保險施設費、借入金の償還金及び利子、一時借入金の利子、事業取扱費その他の諸費を以てその歳出とする。
第四條 この会計に属する経費を支弁するため必要があるときは、この会計の負担で、借入金をなすことができる。
前項の規定により、借入金をなすことができる金額は、純保險料を以て保險金及び保險料の返還金を支弁するに不足する金額を限度とする。
第五條 厚生大臣は、毎会計年度、
この会計の歳入歳出予定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第六條 この会計の歳入歳出予算は、歳入の性質及び歳出の目的に從つて、これを、款及び項に区分する。
第七條 内閣は、毎会計年度、この会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、これを國会に提出しなければならない。
前項の予算には、左の書類を添附しなければならない。
一 歳入歳出予定計算書
二 前前年度の損益計算書及び貸借対照表並びに前前年度末における積立金明細表
三 前年度及び当該年度の予定損益計算書及び予定貸借対照表
第八條 この会計において、支拂上現金に余裕があるときは、これを大藏省預金部に預け入れることができる。
第九條 この会計において、支拂上現金に不足があるときは、この会計の負担において、一時借入金をなすことができる。
前項の規定による一時借入金は、当該年度内に、これを償還しなければならない。
第十條 第四條に規定する借入金及び前條に規定する一時借入金の借入及び償還に関する事務は、大藏大臣がこれを行う。
第十一條 厚生大臣は、毎会計年度、歳入歳出予定計算書と同一の区分により、この会計の歳入歳出決定計算書を作製し、これを大藏大臣に送付しなければならない。
第十二條 内閣は、毎会計年度、この会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、國会に提出しなければならない。
前項の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書、当該年度の損益計算書、貸借対照表、当該年度末における積立金明細表及び債務に関する計算書を添附しなければならない。
第十三條 この会計において、決算上剩余金を生じたときは、これを積立金に組み入れなければならない。
この会計において、決算上不足を生じたときは、積立金から、これを補足する。
第十四條 この会計の積立金は、國債を以て保有し又は大藏省預金部に預け入れて、これを運用することができる。
第十五條 この会計において支拂義務の生じた歳出金で、当該年度の出納の完結までに支出済とならなかつたものに係る歳出予算は、これを翌年度に繰り越して使用することができる。
前項の規定による繰越は、財政法第四十三條の規定による大藏大臣の承認を要しない。
厚生大臣は、第一項の規定による繰越をなしたときは、大藏大臣及び会計檢査院に通知しなければならない。
第十六條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
この法律は、昭和二十二年七月一日から、これを施行する。
労働者災害扶助責任保險特別会計法は、昭和二十二年六月三十日限りこれを廃止する。
労働者災害扶助責任保險特別会計廃止の際これに属する積立金は、これをこの会計に帰属せしめる。
前項の規定により帰属せしめられた積立金は、第十三條第二項の規定にかかわらず、これを予算の定めるところに從い使用することができる。
前項に規定するものの外、労働者災害扶助責任保險特別会計廃止の際これに属する権利義務は、これをこの会計に帰属せしめる。
この法律施行前になした予備費の支出並びに労働者災害扶助責任保險特別会計の昭和二十年度、同二十一年度及び同二十二年度の決算に関しては、なお從前の例による。
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公債金特別会計法外四法律の廃止等に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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公債金特別会計法外四法律の廃止等に関する法律案
第一條 左の法律は、これを廃止する。
公債金特別会計法
爲替交易調整特別会計設置等爲
替交易調整法
特殊財産資金特別会計法
学校特別会計法
大正十三年法律第十号(高等諸学校震災復旧諸費に関する予算の施行に関する法律)
第二條 國債整理基金特別会計法の一部を次のように改正する。
第二條ノ二を削る。
第二條ノ三中「前二條ノ」を「前條又ハ他ノ法律ニ依ル」に改める。
第三條 厚生保險特別会計法の一部を次のように改正する。
第五條中「同事業ノ」の下に「業務取扱ニ關スル諸費、」を加える。
第六條中「船員保險事業ノ療養所費、福祉施設費又ハ」を「船員保險事業ノ業務取扱ニ關スル諸費、療養所費、福祉施設費又ハ」に改める。
第十八條ノ二 健康勘定ノ積立金ハ豫算ノ定ムル金額ヲ限リ健康保險事業ノ福祉施設費ニ充ツル爲業務勘定ニ操入ルルコトヲ得
第四條 食糧管理特別会計法の一部を次のように改正する。
第四條ノ二中「百億圓」ヲ「二百億圓」に改める。
第五條 薪炭需給調節特別会計法の一部を次のように改正する。
第三條但書中「八千萬圓」を「五億一千百萬圓」に改める。
第六條 昭和六年法律第九号(特別会計における営繕費に関する法律)の一部を次のように改正する。
第二項書を削る。
第七條 昭和七年法律第八号(昭和七年以降國債償還資金の繰入の一部停止に関する法律)の一部を次のように改正する。
第一項中「三分ノ一以上トシ同法第二條ノ二ノ規定ニ依ル元金償還資金ノ繰入ハ之ヲ爲サザルコトヲ得」を「三分ノ一トス」に改める。
第八條 昭和二十一年法律第五十五号(帝國鉄道会計又は通信事業特別会計における昭和二十一年度の経費支弁のための借入金等に関する法律)の一部を次のように改正する。
第一項中「二十五億五千二十萬圓」を「四十二億七千四百七十萬圓」に、「八億六千四百八十萬圓」を「十五億三千四十萬圓」に改め、同法に次の一項を加える。
從前の帝國鉄道会計收益勘定における第一項の借入金を以て支弁する経費で、昭和二十一年度内に支拂の義務が生じ当該年度内に支出を終らないため、國有鉄道事業特別会計法附則第五條の規定により昭和二十二年度に繰り越して使用する場合は、その繰越額の財源に充てるため借入金をなすことができる。但し、第一項の規定による借入金の額と通じて同項の制限額を超えてはならない。
第九條 昭和二十一年勅令第百十号第三條第二項の規定により一般会計の所属となる経費の財源の不足を補うため、國は、公債を発行し又は借入金をなすことができる。
前項の規定による公債及び借入金の限度額については、予算を以て、國会の議決を経なければならない。
昭和二十一年勅令第百十号第三條第二項の規定により一般会計の所属となるべき経費及びその他の経費に國庫金を一時繰替使用したことに因り生じた國庫金出納上の不足を補うため、國は、百億円を限り、日本銀行から借入金をなすことができる。
第十條 昭和二十一年度末現在の学校特別会計法第五條の規定に基く大学及び学校の資金及び同法第十七條の規定に基いて大学及び学校の資金として整理してきたもので現金及び有價証券を以て保有するものは、これを一般会計所属の資金とする。
前項の資金は、これを大学及び学校資金という。
大学及び学校資金は、文部大臣が、法令の定めるところに從い、これを管理する。
大学及び学校資金は、予算の定めるところにより、これを使用することができる。
大学及び学校資金に属する現金は、これを大藏省預金部に預け入れなければならない。
前二項に規定するものの外、大学及び学校資金の運用及び使用に関し必要な規定は、政令でこれを定める。
第十一條 帝國大学その他の文部省直轄の大学及び学校における奬学を目的とする寄附金は、これを命令の定めるところにより、当該大学又は学校に交付し、総長若しくは学長又は学校長に経理を委任することができる。
学校特別会計法第十條の規定により経理を委任した奬学を目的とする寄附金の昭和二十一年度末現在の支拂残額は、これを前項の規定により経理を委任したものとみなす。
第十二條 この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
附 則
第十三條 この法律は、昭和二十二年四月一日から、これを施行する。但し、第五條、第八條及び第九條第三項の規定は、公布の日から、これを施行する。
第十四條 公債金、爲替交易調整及び学校の各特別会計の昭和二十年度分の歳入歳出決算並びに昭和二十一年度分の歳入歳出の出納及び決算等については、旧法は、この法律施行後においても、なおその効力を有する。
第十五條 公債金、爲替交易調整及び学校の各特別会計廃止の際これらの各特別会計に属する決算上の剩余、資金(学校特別会計の資金については、現金及び有價証券を除く。)又は権利義務は、これを一般会計に帰属せしめる。
第十六條 昭和二十二年度における学校特別会計歳出予算中年度内に契約をなし、出納の完結までに支出を終らなかつた経費の金額については、財政法第四十三條の規定により、これを一般会計に繰り越して使用することができる。
第十七條 特殊財産資金特別会計の会計年度は、昭和二十二年三月三十一日までの期間を以て、一会計年度とする。
特殊財産資金特別会計の歳入歳出の出納に関する事務は、政令の定めるところにより、昭和二十二年七月三十一日までに、これを完結するものとする。
特別財産資金特別会計廃止の際これに属する資金及び権利義務は、これを一般会計に帰属せしめる。
内閣は、特殊財産資金特別会計の歳入歳出決算を作成し、昭和二十一年度の一般会計の決算とともに、これを國会に提出しなければならない。
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企業再建整備法等の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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企業再建整備法等の一部を改正する法律案
第一條 企業再建整備法の一部を次のように改正する。
第五條第一項中「資本金」を「指定時現在の資本金(以下資本金という。)」に改める。
第六條第七号中「又はその資産」を「若しくはその資産」に改め、同号中「設立する場合」の下に「又はその資産の全部若しくは一部の出資若しくは讓渡を受けるため資本を倍額以上に増加する會社にその資産を出資若しくは讓渡する場合」を加える。
第七條第二号中「舊債權のうち」の下に「命令で定めるものを除くの外」を加え、同條に左の一項を加える。
前項第一號又は第三號の規定により計算した負擔額の各株式についての株主の負擔額については、命令の定めるところによる。
第八條第一項及び第二項中「命令を以て定める」を削る。
第十八條の二 第十條の規定により決定整備計畫に定められた債務の承繼に關し異議のある當該債務の債權者は、第十五條第一項又は第二項の規定による認可の日から一箇月以内に、特別經理株式會社にその旨を述べることができる。
商法第百條第二項及び第三項の規定は、前項の場合に、これを準用する。
前二項の規定は、決定整備計畫に定める合併又は資本の減少に關し異議のある債權者に、これを準用する。この場合においては、商法第百條第一項(同法第三百七十六條第二項において準用する場合を含む。)の規定は、これを適用しない。
特別經理株式會社は、第一項の期間滿了後でなければ、資産の出資、合併又は資本の減少をすることができない。
第十九條第一項中「會社經理應急措置法第十四條第一項の舊債權は、」の下に「命令の定めるところにより、」を加える。
第二十條第二項中「乃至第十八條」を「乃至第十八條の二」に改める。
第二十一條第二項中「及び前條」を「、第十八條の二及び前條」に改める。
第二十二條中「(第二十條第二項及び前條第二項」を「(第二十條第二項、前條第二項及び第五十四條の二第二項」に改める。
第三十一條中「特別經理株式會社が、決定整備計畫に定めるところにより、第二會社を設立する場合」を「第六條第七號の規定により決定整備計畫に定めるところにより行ふ第二會社の設立又は資本の増加の場合」に改め、「及び第百八十五條乃至第百八十七條の規定」を「、第百八十五條乃至第百八十七條、第三百五十三條、第三百五十四條第二項及び第三項竝びに第三百五十五條の規定」に改める。
第三十四條第三項中「第二項」を削り、同條第二項を次のように改める。
清算若しくは破算手續中の特別經理株式會社、決定整備計畫に定めるところにより解散する特別經理株式會社又は株金全額の拂込のある特別經理株式會社であつて特別損失のないもの若しくは決定整備計畫に定めるところにより特別損失の額の全部を繰越缺損として處理するものを除くの外、特別經理株式會社は、命令で定める額を下らない額の資本を減少しなければならない。
第三十九條 第八條の規定による評價換により營業用の固定財産に附せられた價額は、當該財産については、これを商法第二百八十五條に定める取得價額又は製作價額とみなす。
會社の資産の讓渡に因る益金で命令で定めるもの、第八條の規定による資産の評價換に因る益金、債務の消滅に因る益金及び資本の減少に因る益金については、命令の定めるところにより、他の法令の規定にかかはらず、法人税法による各事業年度の普通所得、營業税法による各事業年度の純益又は特別法人税法による各事業年度の剩餘金の計算上、これを益金に算入しない。
第四十條の二 特別經理株式會社については、指定時を以て終了する事業年度に續く事業年度は、他の法令又は定款の規定にかかはらず、舊勘定及び新勘定の併合の日(第三十六條第一項第一號但書の規定に該當する場合においては、第十五條第一項又は第二項の規定による認可の日)を以て終了するものとする。
前項の規定による事業年度に續く事業年度は、當該會社についての法令又は定款の規定により同項の日後最初に到來する事業年度の末日(その末日が、同項の日後三箇月以内に到來する場合には、次に到來する事業年度の末日)を以て終了するものとする。
第五十四條の二 特別經理株式會社及び第五十二條の規定の適用を受けるものを除くの外、戰時補償特別税を課せられた會社又は在外資産を有する會社であつて整備を必要とするものは、命令の定めるところにより、整備計畫を立案し、主務大臣に認可を申請することができる。
第五條第二項、第六條(第一號、第四號、第八號、第十號、第十一號、第十三號及び第十五號乃至第十七號を除く。)、第十條第二項、第十三條乃至第十五條、第十八條、第十八條の二、第二十條、第二十一條第三項、第二十二條、第二十三條、第二十七條、第二十八條第三項及び第四項、第二十九條、第三十一條、第四十一條、第四十三條竝びに第四十九條の規定は、前項の場合に、これを準用する。この場合において、これらの規定中「特別管理人」とあるのは「取締役」と、第六條第七號中「第十條」とあるのは「第五十四條の三」と讀み替へる。
第五十四條の三 前條第一項の規定により整備計畫の認可を申請する會社が資産の全部又は一部を出資する場合には、その出資を受ける者は、命令の定めるところにより、當該會社の債務の全部又は一部を承繼する。
第五十六條第四号中「第四十三條」の下に「(第五十四條の二第二項において準用する場合を含む。)」を加える。
第五十七條中「第四十一條第二項」及び「第四十九條第二項」の下に(「第五十四條の二第二項において準用する場合を含む。)」を加える。
第六十條中「及び第二十一條第二項」を「、第二十一條第二項及び第五十四條の二第二項」に改め、「第四十一條第一項」及び「第四十九條第一項」の下に「(第五十四條の二第二項において準用する場合を含む。)」を加え、「第三十九條第二項の規定に基いて發する命令又は」を削る。
附則第一項の次に左の一項を加える。
第四十條の二の規定にかかはらず、法人税法の適用については、定款に定める事業年度の終了の日において事業年度が終了したものとみなす。
第二條 会社経理應急措置法の一部を次のように改正する。
第七條第七項中「會社財産」を「財産」に、同項中「當該會社財産」を「當該財産」に改める。
第十五條に左の一項を加える。
特別經理會社の解散、合併及び組織變更については、この法律及び他の法令にかかはらず、命令を以て別段の定をなすことができる。指定時合併する會社の一方又は雙方が特別經理會社である場合において、合併後存續する會社であつて特別經理會社でないもの又は合併に因り設立する會社についても、同樣とする。
附 則
この法律は、公布の日から、これを施行する。但し、企業再建整備法第四十條の二の規定は、同法施行の日から、これを適用する。
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〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=21
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022・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました國有財産法の一部を改正する法律案、作業会計法を改正する法律案、燃料局特別会計法を改正する法律案、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案、國有林野事業特別会計法案、労働者災害補償保險特別会計法案、公債金特別会計法外四法律の廃止等に関する法律案及び企業再建整備法等の一部を改正する法律案、以上に付きまして提案の理由を御説明申上げます、第一に、國有財産法の一部を改正する法律案でございますが、本法は國有の不動産、其の他一定の動産及び權利の管理處分に關し必要な規定を定めた法律でありますが、今囘此の法律の一部を改正致します理由は、第一に、新憲法の實施に伴ふものでありまして、現行規定に依りますると、國有財産は、帝室用として必要な場合には、之を無償讓渡又は無償貸付等が出來ることと相成つて居りますが、是等は總て新憲法の趣旨に則りまして改める必要が生じた譯であります、第二に、國有財産の運營如何は、申す迄もなく財政上、或は又國民經濟上重要な關係を持つて居るのでありますが、從つて之が管理に萬全を期しますると共に、其の處分に當りましても、之を嚴正、適實に行ふ必要があります、そこで國有財産所管廳の權限を明確に致しまする一方、讓與、無償貸付等の財政收支に密接な關係があります事項に付きましては、法律に依りまして、具體的に之を爲し得る場合を定めることと致しまする等、所要の改正を致したいのであります、以上は、終戰後の新事態に即する爲の現行國有財産法に付ての應急的必要最小限度の改正であります、現行國有財産法は、立法後相當の年數を經過致して居りまして、今日の情勢に必ずしも即應致さない面もございますので、是は明年度に於きまして、之に根本的檢討を加へ、新事態に應ずる國有財産制度を確立致しますと共に、之に關する法制を整備致したいと考へる次第であります、それが爲、政府は内閣に國有財産法制調査會を設けまして、國有財産に關する法制を調査立案せしめ、之を次の國會の常會に提出することと致しまする爲、それに必要なる規定を又今囘の改正法律案に設けた次第であります、次に作業会計法を改正する法律案、燃料局特別会計法を改正する法律案、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案に付て一括して申上げます、從來專賣局及び印刷局の事業、アルコール專賣事業及び造幣局の事業に付きましては、それぞれ作業会計法、燃料局特別会計法及び造幣局特別会計法に基きまして經理を致して參つたのでありますが、是等の會計は、何れも特別會計としての獨立性が、從來若干稀薄であつた感があるのであります、例へば是等の特別會計に屬します固定資本及び据置運轉資本は、一般會計の支辨と相成つて居ります、又其の經理は現金の收支を主とする建前でありまして、唯据置計算に於きまして、複式簿記法に依る計算を加味致して居りますやうな状況でございまして、正確に其の損益を明かにして居ないと申さねばならぬのであります、仍て今囘是等の事業を企業的に經理することを可能ならしめる爲に、先づ其の資本的支出を當該會計の負擔とすることと致しますると共に、是等の財源としての公債、借入金を調達する途を拓きました、同時に國有鐵道事業特別會計等に於きますると同樣に、所謂發生主義の經理を採用することと致したのであります、次に國有林野事業特別会計法案でございますが、御承知の如く、今囘内地、北海道の國有林及び御料林を一元的に經營することと相成りまするので、此の際一般會計に於て今迄運營して居りました所の、國有林野の管理經營の事業を一つの特別會計と致しまして、同時に其の經理方法と致しましては、矢張り發生主義に基きまして經理をし、以てその經營の成績及び財政状況を明かならしめむと致すものであります、次に労働者災害補償保險特別会計法に付て申上げますが、今囘別途提出の労働者災害補償保險法に基きまして、國が管掌致しまする労働者災害補償保險事業に付きましては、其の性質上特別會計を設置するのを適當と認めましたので、此の法案を提出致した次第であります、次に公債金特別会計法外四法律の廃止等に関する法律案に付きまして申上げます、此の法案の内容は、特別會計の廢止に關するもの、特別會計の一部改正等に關するもの、借入金に關するもの等でありますが、先づ特別會計の廢止に關するものは、現行特別會計の中、比較的其の設置の理由を失ふに至りました所の公債金、爲替交易調整、學校及び特殊財産資金の五特別會計を廢止致さうとするものであります、次に特別会計法の一部改正等に關しましては、先づ第一は、今囘別途提出して居ります所の財政法の制定に伴ひます所の、國債整理基金特別会計法及び之に關聯する法律の一部改正であります、それから第二は、勞働者の災害補償に關しまする制度の改正がありましたのと、又もう一つは健康保險の積立金を一部切り崩し、福祉施設費に充てる途を拓く必要が生じましたことに基きまして、厚生保險法の一部を改正するものであります、それから第三は、食糧管理及び薪炭需給調節の兩特別會計の運營を圓滑にする爲、兩會計に於ける證券の發行、又は借入金の限度額を擴張致さむとするものであります、次に帝國鐵道及び通信事業の兩特別会計に於ける昭和二十一年度の業務勘定に於ける追加經費、又は帝國鐵道會計に於ける歳入不足の財源に充てまする爲の借入金の増額、又先に緊急勅令に基きまして臨時軍事費特別會計を廢止し、其の整理を一般會計に引繼ぐことと致しましたことに伴ひ、將來整理の爲必要となるべき公債及び借入金をなし得る途を拓きますと共に、其の間に於ける國庫金出納上の不足を補ふ爲に、借入金をなし得ることに致さうとするものであります、次に企業再建整備法等の一部を改正する法律案でございます、企業再建整備法の實施に付きましては遲延して居りましたが、先般中央企業再建整備委員會に於きまして、資産評價に關する基準、未拂込株金の拂込徴收の方法等に關する要綱の決定を見まして、愈愈具體的な實行の段階に入るに至つたのであります、然るに其の後の情勢に鑑みまして、企業再建整備法及び会社経理應急措置法の中、若干改正する必要を生じましたので、茲に本法案を提出致した次第であります、此の内容の主なる點を申しますと、改正の第一點は特別經理株式會社の特別損失を負擔すべき資本金を指定時、即ち昨年八月十一日午前零時現在の資本金と致しまして、指定時後に新たに資本を増額致しました場合には、其の増資新株は特別損失を負擔しないと云ふことを、明かに致したのであります、第二は、第二會社の範圍の中に、新たに特別經理株式會社の資産の全部又は一部の出資、又は讓渡を受ける爲に、資本を倍額以上に増資する會社を加へたのであります、而して斯くの如き會社をも第二會社として取扱ひまして、其の増資手續等の簡易化を圖ることと致した次第であります、第三には、在外負債、未拂込株金の拂込請求權等の舊債權に付きましては、一律に之を一般の舊債權と同樣に取扱ふことは、必ずしも適當でない點がございますので、命令を以て別段の規定を設け、一般の舊債權と若干異る取扱をなし得るやうに致したいのであります、第四は、特別經理株式會社の事業年度の延長であります、即ち、特別經理會社が、整理計畫の認可を受けて、債權債務の關係を、整備確定致しまする迄の間會社の計算には、未確定の分子が少くなく其の間に於て從來通り、毎決算期毎に決算を致しますことは相當困難な事情にあると考へられますので、指定時、即ち昨年の八月十一日から整備計畫の認可等のありまする日迄を、一つの事業年度とし、其の間に到來致しまする所の會社の定款で定められました決算期に於ける決算は、總て之を省略せしめるやうに致すものであります、第五に、特別經理會社でない會社でありましても、企業の再建整備上必要がある場合に於きましては、特別經理會社と同樣、整備計畫の認可を申請することが出來るものと致して、認可を受けました場合には、其の整備計畫は特別經理會社の整備計畫と同樣の效力を有するものと致しまして、簡易な手續に依つて、是等の會社の整備再建を行ひ得る途を拓かうとするのであります、其の他減資の方法、資産の評價換に依る評價益に對する課税等の點に付きまして、若干の改正を加へ、又会社経理應急措置法に於きましても、一二の必要な改正を行はうと致して居るのであります、以上を以ちまして、國有財産法の一部を改正する法律案外七件に付簡略ながら御説明申上げました、何卒御審議の上、速かに御協贊賜はらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=22
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023・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程になりました國有財産法の一部を改正する法律案外七件は、其の特別委員の數を十九名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=23
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024・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=24
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025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=25
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026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
國有財産法の一部を改正する法律案外七件特別委員
侯爵 黒田長禮君 侯爵 鍋島直泰君
伯爵 後藤一藏君 子爵 秋田重季君
子爵 梅園篤彦君 子爵 青木重夫君
平塚廣義君 河井彌八君
長世吉君 男爵 松本本松君
男爵 近藤滋彌君 男爵 北大路信明君
宮澤俊義君 野田俊作君
河西豊太郎君 小山完吾君
高橋龍太郎君 近藤銕次君
原田讓二君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=26
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027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、労働者災害補償保險法案、健康保險法の一部を改正する等の法律案を一括して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=27
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028・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、河合厚生大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=28
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029・会議録情報5
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労働者災害補償保險法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
労働者災害補償保險法案
労働者災害補償保險法目次
第一章 総則
第二章 保險関係の成立及び消滅
第三章 保險給付及び保險施設
第四章 保險料
第五章 審査の請求、訴願及び訴訟
第六章 雜則
第七章 罰則
附則
労働者災害補償保險法
第一章 総則
第一條 労働者災害補償保險は、業務上の事由による労働者の負傷、疾病、廃疾又は死亡に対して迅速且つ公正な保護をするため、災害補償を行い、併せて、労働者の福祉に必要な施設をなすことを目的とする。
第二條 労働者災害補償保險は、政府が、これを管掌する。
第三條 この法律においては、左の各号の一に該当する事業を強制適用事業とする。
一 左に掲げる事業で常時五人以上の労働者を使用するもの
(イ) 物の製造、改造、加工、修理、淨洗、選別、包裝、裝飾、仕上、販賣のためにする仕立、破壞若しくは解体又は材料の変造の事業(電氣、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは傳導の事業及び水道の事業を含む。)
(ロ) 鉱業、砂鉱業、石切業その他土石又は鉱物採取の事業
(ハ) 道路、鉄道、軌道、索道又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
二 左に掲げる事業で常時労働者を使用するもの又は一年以内の期間において使用労働者延人員三百人以上のもの
イ 土木、建築その他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壞若しくは解体又はその準備の事業
ロ 船きよ、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱の事業
ハ 立木の伐採、造林、木炭又は薪を生産する事業その他の林業
三 その他命令で指定する事業
労働基準法第八條に規定する事業で前項に掲げるもの以外のもの及び同條に規定する事務所(以下事業という。)は、これを任意適用事業とする。
國の直営事業、官公署、同居の親族のみを使用する事業及び船員法の適用を受ける船員については、この法律は、これを適用しない。
第四條 労働者災害補償保險事業の運営に関する重要事項を審議するため、労働者災害補償保險委員会を置く。
労働者災害補償保險委員会の委員は、労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者について、主務大臣が、各各同数を委嘱する。
この法律に定めるものの外、労働者災害補償保險委員会に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
第五條 この法律に基いて発する命令は、その草案について、労働者災害補償保險委員会の意見を聞いて、これを制定する。
第二章 保險関係の成立及び消滅
第六條 第三條第一項の強制適用事業の使用者については、その事業開始の日又はその事業が第三條第一項の事業に該当するに至つた日に、その事業につき保險関係が成立する。
第七條 第三條第二項の任意適用事業の使用者については、その者が保險加入の申込をし、政府の承諾があつた日に、その事業につき保險関係が成立する。
任意適用事業に使用される労働者の過半数が、その事業につき保險関係の成立を希望する場合は、その使用者は、保險加入の申込をしなければならない。
第八條 事業が数次の請負によつて行はれる場合には、元請負人のみを、この保險の適用事業の使用者とする。
第九條 第三條第一項の強制適用事業に該当する事業が、同條第二項の任意適用事業に該当するに至つたときは、その翌日に、その事業につき第七條の規定による承諾があつたものとみなす。
第十條 その事業につき保險関係が成立してゐる事業の廃止又は終了のあつたときは、その事業についての保險関係は、その翌日に、消滅する。
第十一條 第七條又は第九條の規定によつて保險関係が成立してゐる事業の使用者については、前條の規定によるの外、政府の承諾があつた日の翌日に、その事業についての保險関係が消滅する。但し、その承諾を受けるには、保險関係成立後一年を経過してゐること及びその事業に使用される労働者の過半数の同意を得たものであることを要する。
第三章 保險給付及び保險施設
第十二條 この法律で保險する災害補償の範囲は、左の各号による。
一 療養補償費(療養費中命令で定める金額を超える部分)
二 休業補償費(休業七日を超える休業一日につき平均賃金の百分の六十)
三 障害補償費(別表に定めるもの)
四 遺族補償費(平均賃金の千日分)
五 葬祭料(平均賃金の六十日分)
六 打切補償費(平均賃金の千二百日分)
前項の規定による災害補償の事由は、労働基準法第七十五條乃至第八十一條に定める災害補償の事由とする。
第一項第一号の規定による災害補償については、政府は命令の定める場合には、同号の療養補償費の支給にかえて、直接労働者に療養の給付をすることができる。
第一項の平均賃金とは、労働基準法第十二條の平均賃金をいう。
第十三條 前條第一項第一号の療養補償費又は同條第三項の療養の範囲は、左の各号(政府が必要と認めるものに限る。)による。
一 診察
二 藥剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 病院又は診療所への收容
五 看護
六 移送
第十四條 第十二條第一項第二号の休業補償費の支給を受けるべき期間に、その補償を受けるべき者が、使用者から賃金の全部又は一部を受けたときは、命令の定めるところによつて、政府は、その賃金を受けた期間の休業補償費の全部又は一部を支給しない。
第十五條 第十二條第一項の規定による保險給付は、これを補償を受けるべき労働者、遺族又は労働者の死亡当時その收入によつて生計を維持した者に支給する。
第十六條 第十二條第一項の障害補償費、遺族補償費及び打切補償費は、命令の定めるところにより、命令の定める期間毎年これを支給する。但し、主務大臣は、必要と認めるときは、別段の定をなすことができる。
第十七條 事業につき保險関係の成立してゐる事業についての使用者(以下保險加入者という。)が、保險料の算定又は保險給付の基礎である重要な事項について、不実の告知をしたときは、政府は、保險給付の全部又は一部を支給しないことができる。
第十八條 保險加入者が、故意又は重大な過失によつて保險料を滯納したときは、政府は、その滯納に係る事業について、その滯納期間中に生じた事故に対する保險給付の全部を支給しないことができる。
第十九條 故意又は重大な過失によつて、保險加入者が、補償の原因である事故を発生させたとき、又は労働者が、業務上負傷し、若しくは疾病に罹つたときは、政府は、保險給付の全部又は一部を支給しないことができる。
第二十條 政府は、補償の原因である事故が、第三者の行爲に因つて生じた場合に保險給付をしたときは、その給付の價額の限度で、補償を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
第二十一條 保險給付を受ける権利は、これを讓り渡し、又は差し押えることができない。
第二十二條 保險給付として支給を受けた金品を標準として、租税その他の公課を課してはならない。
第二十三條 政府は、この保險の適用を受ける事業に係る業務災害に関して、左の保險施設を行う。
一 外科後処置に関する施設
二 義肢の支給に関する施設
三 休養又は療養に関する施設
四 職業再教育に関する施設
五 その他必要と認める施設
第四章 保險料
第二十四條 政府は、労働者災害補償保險事業に要する費用に充てるため、保險加入者から保險料を徴收する。
第二十五條 保險料は、賃金総額にその事業についての保險料率を乘じて得た金額とする。
前項の賃金総額とは、その事業に使用するすべての労働者に支拂つた賃金、給料、手当、賞與その他名称の如何を問わず労働の対償として使用者が労働者に支拂うすべてのもの(三箇月を超える期間毎に支拂われる賃金その他命令で定めるものは、これを除く。)の総額をいう。
第二十六條 保險料率は、この法律の適用を受けるすべての事業の過去五年間の災害率を基礎として、数等級に区別して、賃金一円当りについて主務大臣が、これを定める。
第二十七條 常時三百人以上の労働者を使用する個個の事業についての過去五年間の災害率が、同種の事業について前條の規定による災害率に比し著しく高率又は低率であるときは、政府は、その事業について、同條の規定による保險料率と異なる保險料率を定めることができる。
第二十八條 保險加入者は、毎年四月一日から翌年三月末日まで(以下保險年度という。)に使用するすべての労働者(保險年度の中途に保險加入者となつた者については、加入の日からその保險年度の末日までに使用するすべての労働者)に支拂う賃金総額の見込額に、保險料率を乘じて算定した概算保險料を、四月一日(保險年度の中途に保險加入者となつた者については加入の日)から三十日以内に納付しなければならない。
事業の期間が予定される事業については、その保險加入者は、前項の規定にかかわらず、その全期間に使用するすべての労働者に支拂う賃金総額の見込額に、保險料率を乘じて算定した概算保險料を、保險加入の日から十四日以内に納付しなければならない。
保險加入者は、申出によつて、前二項の概算保險料を命令の定めるところによつて、分割して納付することができる。
第二十九條 政府は、前條の賃金総額の見込額に変更を生じたときその他必要がある場合においては、概算保險料を追加徴收することができる。
第三十條 前二條の規定によつて拂い込んだ概算保險料が、保險年度の末日又は保險関係の消滅する日に、第二十五條の規定により確定する保險料に比し過不足があるときは、政府は、保險料を返還し、又はこれを追加徴收する。
前項の規定によつて返還する保險料は、その事業についての次期の概算保險料に、これを充当することができる。この場合においては、政府は、その旨を当該保險加入者に通知しなければならない。
第三十一條 保險料その他この法律の規定による徴收金を滯納する者があるときは、政府は、期限を指定して、これを督促しなければならない。
前項の規定によつて督促するときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合においては、督捉手数料として命令で定める金額を徴收する。
第一項の規定による督促を受けた者が、その指定の期限までに、保險料その他この法律の規定による徴收金を納付しないときは、政府は、國税滯納処分の例によつて、これを処分する。
第三十二條 前條の規定によつて督促をしたときは、政府は、徴收金額百円につき一日四銭の割合で、納期限の翌日から徴收金完納又は財産差押の日の前日までの日数により計算した延滯金を徴收する。但し、督促状に指定した期限までに徴收金及び督促手数料を完納したときその他命令で定める場合は、この限りでない。
第三十三條 保險料その他この法律の規定による徴收金の先取特権の順位は、市町村その他これに準ずべきものの徴收金につぎ、他の公課に先だつものとする。
第三十四條 保險料その他この法律の規定による徴收金に関する書類の送達については、國税徴收法第四條の七及び第四條の八の規定を準用する。
第五章 審査の請求、訴願及び訴訟
第三十五條 保險給付に関する決定に異議のある者は、保險審査官の審査を請求し、その決定に不服のある者は、保險審査機関に審査を請求し、その決定に不服のある者は、裁判所に訴を提起することができる。
前項の審査の請求は、時効の中断に関しては、これを裁判上の請求とみなす。
第三十六條 保險審査官は、必要があると認める場合においては、職権で審査をすることができる。
保險審査官が、審査のため必要であると認める場合においては、保險給付の決定をした官吏若しくは吏員に対して意見を求め、保險加入者若しくは保險給付を受けるべき者に対して報告をさせ、若しくは出頭を命じ、又は医師に診断若しくは檢案をさせることができる。
第三十七條 保險料その他この法律の規定による徴收金の賦課又は徴收の処分に関して訴願の提起があつたときは、主務大臣は、保險審査機関の審査を経て裁決をする。
第三十八條 保險審査機関は、労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者につき、主務大臣が、各各同数を委嘱した者で、これを組織する。
第三十九條 保險審査官又は保險審査機関は、審査のため必要があると認めるときは、証人又は鑑定人の訊問その他の証拠調をすることができる。
証拠調については、民事訴訟法の証拠調に関する規定及び民事訴訟費用法第九條及び第十一條乃至第十三條の規定を準用する。但し、保險審査官又は保險審査機関の証拠調については、過料に処し、又は拘引を命ずることはできない。
第四十條 審査の請求、訴の提起又は訴願は、処分の通知又は決定書の交附を受けた日から六十日以内に、これをしなければならない。この場合において、審査の請求については訴願法第八條第三項の規定を、訴の提起については民事訴訟法第百五十八條第二項及び第百五十九條の規定を準用する。
第四十一條 この章に定めるものの外、保險審査官及び保險審査機関に関し必要な事項は、命令で、これを定める。
第六章 雜則
第四十二條 保險料その他この法律の規定により徴收金を徴收し、又はその還付を受ける権利及び保險給付を受ける権利は、二年を経過したときは、時効によつて消滅する。
前項の時効の中断、停止その他の事項に関しては、民法の時効に関する規定を準用する。命令の定めるところによつて政府のなす保險料その他この法律の規定による徴收金の徴收の告知は、民法第百五十三條の規定にかかわらず時効中断の効力を生ずる。
第四十三條 この法律又はこの法律に基いて発する命令に規定する期間の計算については、民法の期間の計算に関する規定を準用する。
第四十四條 労働者災害補償保險に関する書類には、印紙税を課さない。
第四十五條 行政廳又は保險給付を受けるべき者は、労働者の戸籍に関して、戸籍事務を掌る者又はその代理者に対して、無料で証明を求めることができる。
第四十六條 行政廳は、命令の定めるところによつて、労働者を使用する者に、必要な事項について報告をさせ、文書を提示させその他この法律の施行に関して必要な事務を行わせ、又は出頭させることができる。
第四十七條 行政廳は、命令の定めるところによつて、この保險の適用を受ける事業についての労働者に、この保險の施行に関して必要な申出、届出若しくは文書の提出をさせ、又は出頭させることができる。
第四十八條 行政廳は、必要があると認めるときは、当該官吏又は吏員に、この法律の適用を受ける事業の行われる場所に臨檢し、関係者に対して質問し、又は帳簿書類の檢査をさせることができる。
第四十九條 行政廳は、保險給付に関して必要があると認めるときは、命令の定めるところによつて、当該官吏又は吏員に、診療録その他の帳簿書類を檢査させることができる。
第五十條 この法律の施行に関する細目は、命令で、これを定める。
第七章 罰則
第五十一條 当該官吏若しくは吏員又はその職にあつた者が、故なく第四十九條の規定による診療録の檢査に関して知得した医師又は歯科医師の業務上の祕密又は個人の祕密を漏したときは、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
職務上前項の祕密を知得した他の公務員又は公務員であつた者が、故なくその祕密を漏したときもまた同項と同樣である。
第五十二條 保險加入者が、左の各号の一に該当するときは、これを六箇月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一 この法律の規定による報告をせず、虚僞の報告をし、文書の提出をせず、又は出頭しなかつた場合
二 この法律の規定による当該官吏又は吏員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚僞の陳述をし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
第五十三條 保險加入者以外の者であつて保險給付を受けるべき者その他の関係者が、左の各号の一に該当するときは、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 この法律の規定による報告、申出若しくは届出をせず、虚僞の報告、申出若しくは届出をし、文書の提出をせず、又は出頭しなかつた場合
二 この法律の規定による当該官吏又は吏員の質問に対し答弁をせず、若しくは虚僞の陳述をし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合
第五十四條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務に関して、前二條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰するの外、その法人又は人に対し各本條の罰金刑を科する。
附 則
第五十五條 この法律施行の期日は、勅令で、これを定める。
第五十六條 この法律の施行後五年間は、保險料率は、第二十六條の規定にかかわらず、労働者災害補償保險委員会に諮つて、数等級に区別して賃金一円当りについて、主務大臣がこれを定める。
第五十七條 労働者災害扶助責任保險法は、これを廃止する。
この法律施行前に発生した事故に対する保險給付及びこの法律施行前の期間に属する保險料に関しては、なお旧法による。
この法律施行前の旧法の罰則を適用すべきであつた者についての処罰については、なお旧法による。
この法律施行の際、労働者災害扶助責任保險につき現に政府と保險契約を締結してゐる者が既に拂込んだこの法律施行後の期間に属する保險料は、この保險の保險料に、これを充当することができる。
前三項に定めるものの外、旧法廃止の際必要な事項は、命令で、これを定める。
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健康保險法の一部を改正する等の法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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健康保險法の一部を改正する等の法律案
第一條 健康保險法の一部を次のように改正する。
第一條第一項中「疾病、負傷、死亡又ハ分娩」を「業務外ノ事由ニ因ル疾病、負傷若ハ死亡又ハ分娩」に改め、同條第二項中「負傷」の下に「、死亡」を加える。
第四條中「一年」を「二年」に改める。
第九條及び第九條ノ二中「行政官廳」を「行政廳」に、「當該官吏」を「當該官吏吏員」に改める。
第十條及び第四十三條ノ三中「行政官廳」を「行政廳」に改める。
第十二條中「國、北海道、府縣」を「國、都道府縣」に改める。
第十三條中第一号及び第二号を削り、第四号を第一号とし、第三号を第二号とする。
第十三條ノ二中第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を第三号とする。
第十五條ノ二を削る。
第十七條及び第十八條中「、第十五條及第十五條ノ二」を「及第十五條」に、「、第十五條第二項若ハ第十五條ノ二第二項」を「若ハ第十五條第二項」に改める。
第十九條中「又ハ第十五條ノ二」を削る。
第二十二條に次の三項を加える。
政府ガ保險者ナル場合ニ於ケル保險事業ノ運營ニ關スル重要事項ヲ審議スル爲健康保險委員會ヲ置ク
健康保險委員會ノ委員ハ被保險者ヲ代表スル者、事業主ヲ代表スル者及公益ヲ代表スル者ニ付主務大臣各同數を委囑ス
前二項ニ規定スルモノノ外健康保險委員會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第三十條中「又ハ第十五條ノ二第一項」を削る。
第三十八條中「官吏」を「官吏吏員」に改める。
第四十三條ノ二中「此ノ場合ニ於テハ勅令ヲ以テ定ムル場合ヲ除クノ外主務大臣ノ定ムル所ニ依リ一部負擔金ヲ支拂フベシ」を削り、同條に次の一項を加える。
前項ノ場合ニ於テ保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ給付ヲ受クル者ヲシテ一部負擔金ヲ支拂ハシムルコトヲ得
第四十五條 被保險者ガ療養ノ爲勞務ニ服スルコト能ハザルトキハ其ノ日ヨリ起算シ第四日ヨリ勞務ニ服スルコト能ハザリシ期間傷病手當金トシテ一日ニ付報酬日額ノ百分ノ六十ニ相當スル金額ヲ支給ス
第四十七條 傷病手當金ノ支給期間ハ同一ノ疾病又ハ負傷及之ニ因リ發シタル疾病ニ關シテハ其ノ支給ヲ始メタル日ヨリ起算シ六月ヲ以テ限度トス
主務大臣ノ指定スル疾病ニ關シテハ保險者ハ勅令ノ定ムル所ニ依リ前項ノ期間ヲ超エ繼續シテ傷病手當金ノ支給ヲ爲スモノトス
第四十九條第一項但書を次のように改める。
但シ其ノ金額ガ勅令ヲ以テ定ムル額ニ滿タザルトキハ勅令ヲ以テ定ムル額ヲ支給ス
第六十一條中「若ハ」を「又ハ」に改め、「又ハ故意ニ危害豫防ニ關スル業務上ノ監督者ノ指揮ニ從ハザルニ因リ」を削る。
第六十二條第一項中第一号を削り、第二号を第一号とし、以下順次一号づつ繰上げる。
第七十條中「健康保險事業ニ要スル費用ノ一部」を「健康保險事業ノ事務ノ執行ニ要スル費用」に改める。
第七十二條中「第十五條ノ二又ハ」を削る。
第七十四條第一項中「第十五條ノ二又ハ」を削る。
第八十條中「地方社會保險審査會ニ」を「保險審査官ノ」に、「中央社會保險審査會」を「社會保險審査會」に、「通常裁判所」を「裁判所」に改める。
第八十條ノ二 保險審査官ハ必要アリト認ムルトキハ保險給付ノ決定ニ關シ職權ヲ以テ之ヲ審査スルコトヲ得
保險審査官審査ノ爲必要アリト認ムルトキハ保險給付ノ決定ヲ爲シタル當該官吏吏員ニ對シ質問ヲ爲シ、事業主若ハ保險給付ヲ受クベキ者ニ對シ報告ヲ爲サシメ若ハ出頭ヲ命ジ又ハ醫師ニ診斷若ハ檢案ヲ爲サシムルコトヲ得
第八十二條中「中央社會保險審査會」を「社會保險審査會」に改める。
第八十三條 社會保險審査會ノ委員ハ被保險者ヲ代表スル者、事業主ヲ代表スル者及公益ヲ代表スル者ニ付主務大臣各同數ヲ委囑ス
第八十三條ノ二 本章ニ規定スルモノノ外保險審査官及社會保險審査會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第八十六條中「三十日」を「六十日」に改める。
第八十七條中「當該官吏」を「當該官吏吏員」に、「五百圓」を「五千圓」に、「三百圓」を「事業主ニ在リテハ一萬圓、事業主以外ノ者ニシテ保險給付ヲ受クベキモノ其ノ他ノ關係ニ在リテハ五千圓」に改め、「又ハ科料」を削る。
第八十八條中「百圓」を「一萬圓」に改める。
第八十八條ノ二 第八十條ノ二ノ規定ニ依ル保險審査官ノ請求アリタル場合ニ於テ正當ノ理由ナクシテ報告ヲ爲サズ、虚僞ノ報告ヲ爲シ若ハ出頭セズ又ハ醫師ノ診斷ヲ拒ミタル者ハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
第九十條第一項及び第二項中「百圓」を「五千圓」に改める。
第九十一條 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他ノ從業者ガ其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シテ第八十七條第三項若ハ第四項、第八十八條又ハ第八十八條ノ二ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
第九十二條及び第九十三條を削る。
第二條 厚生年金保險法の一部を次のように改正する。
第一條中「、脱退又ハ婚姻」を「又ハ脱退」に改める。
第二條に次の三項を加える。
厚生年金保險事業ノ運營ニ關スル重要事項ヲ審議スル爲厚生年金保險委員會ヲ置ク
厚生年金保險委員會ノ委員ハ被保險者ヲ代表スル者、事業主ヲ代表スル者及公益ヲ代表スル者ニ付主務大臣各同數ヲ委囑ス
前二項ニ規定スルモノノ外厚生年金保險委員會ニ關シ必要ナル事項ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム
第五條中「、結婚手當金又ハ第四十二條ノ二ノ規定ニ依ル一時金」を削り、「一年」を「二年」に、「第三十八條乃至第三十九條ノ二」を「第三十八條、第三十九條」に改める。
第八條及び第九條中「行政官廳」を「行政廳」に改める。
第十條中「行政官廳」を」行政廳」に、「當該官吏」を「當該官吏吏員」に改める。
第十一條中「行政官廳」を「行政廳」に、「(東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ東京都)」を「(東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ區)」に改め、「當該市町村」の下に「(東京都ノ區ノ存スル區域ニ於テハ區)」を加える。
第十四條中「東京都、北海道、府縣」を「都道府縣」に改める。
第十六條 左ノ各號ノ一ニ該當スル事業所ニ使用セラルル者ハ厚生年金保險ノ被保險者トス但シ船員保險ノ被保險者及勅令ヲ以テ指定スル者ハ此ノ限ニ在ラズ
一 左ニ掲グル事業ノ事業所ニシテ常時五人以上ノ從業員ヲ使用スルモノ
(イ) 物ノ製造、加工、選別、包裝、修理又ハ解體ノ事業
(ロ) 鑛物ノ採掘又ハ採取ノ事業
(ハ) 電氣又ハ動力ノ發生、傳導又ハ供給ノ事業
(ニ) 貨物又ハ旅客ノ運送ノ事業
(ホ) 貨物積卸ノ事業
(ヘ) 燒却、清掃又ハ屠殺ノ事業
(ト) 物ノ販賣ノ事業
(チ) 金融又ハ保險ノ事業
(リ) 物ノ保管又ハ賃貸ノ事業
(ヌ) 媒介周旋ノ事業
(ル) 集金、案内又ハ廣告ノ事業
二 法人ノ事務所ニシテ常時五人以上ノ從業員ヲ使用スルモノ
第十六條ノ二第一項中「地方長官(東京都ニ在リテハ警視總監以下同ジ)」を「行政廳」に改める。
第十七條、第二十條ノ二及び第二十一條中「地方長官」を「行政廳」に改める。
第二十四條第三項但書を次のように改める。
但シ脱退手當金ノ支給ヲ受ケタルトキハ其ノ計算ノ基礎ト爲リタル期間ハ之ヲ合算セズ
第二十五條但書を次のように改める。
但シ坑内夫タル被保險者トシテ使用セラレタル實期間ニ付同條ノ規定ニ依リ計算シタル期間ガ十五年ヲ超ユル場合ニ於テハ十五年ヲ超エル部分ノ實期間ハ同條ノ規定ニ依リ之ヲ計算ス
第二十六條中「第三十八條乃至第三十九條ノ二」を「第三十八條、第三十九條」に改める。
第三十一條 被保險者タリシ期間二十年以上ナル者ガ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ其ノ者ノ死亡ニ至ル迄養老年金ヲ支給ス繼續シタル十五年間ニ於テ坑内夫タル被保險者トシテノ被保險者タリシ期間ガ十六年以上ナル者ニ付亦同ジ
前項ノ養老年金ハ坑内夫タル被保險者トシテノ被保險者タリシ期間ガ二十年以上ナル者及同項後段ニ該當スル者ニ付テハ五十歳ニ至ル迄其ノ他ノ者ニ付テハ五十五歳ニ至ル迄其ノ支給ヲ停止ス
第三十二條第二項を削る。
第三十三條中「業務上ノ事由以外ノ事由(以下業務外ノ事由ト稱ス)ニ因リ」を削る。
第三十四條第一項中「第二項後段」を「第一項後段」に改め、「業務外ノ事由ニ因リ」を削る。
第三十六條第一項に次の但書を加え、同條第三項中「業務外ノ事由ニ因リ癈疾ト爲リタル者ガ」及び「五年間」を削り、「三年」を「六月」に改める。
但シ其ノ者ガ勞働基準法第七十七條ノ規定ニ依ル障害補償又ハ勞働者災害補償保險法第十二條第三號ノ規定ニ依ル保險給付ヲ受クル者ナルトキハ障害年金ハ勞働基準法第八十二條若ハ勞働者災害補償保險法第十六條ノ規定ニ依ル期間之ヲ支給セズ又ハ障害手當金ハ之ヲ支給セズ
第三十七條第一項を次のように改め、同條第三項及び第四項を削る。
障害年金又ハ障害手當金ノ額ハ被保險者又ハ被保險者タリシ者ガ癈疾ト爲リタル場合ニ於テ其ノ癈疾ノ原因ト爲リタル疾病又ハ負傷ノ發シタル日ノ屬スル月前三月間(繼續シタル被保險者タリシ期間三月未滿ナルトキハ其ノ期間)ノ報酬月額ヲ平均シタル報酬月額(此ノ額ガ平均報酬月額ヨリ少額ナルトキハ平均報酬月額)ニ別表第一ニ定ムル月數ヲ乘ジテ得タル金額トス
第三十七條ノ二を削る。
第三十八條 被保險者タリシ期間二十年以上ナル者ニシテ障害年金ノ支給ヲ受クル權利ヲ有スルモノガ死亡シタル際其ノ者ノ死亡ニ關シ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ者ナキトキハ被保險者タリシ者ノ支給ヲ受ケタル養老年金又ハ支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ六年分ニ相富スル金額(勞働基準法第七十七條ノ規定ニ依ル障害補償又ハ勞働者災害補償保險法第十二條第三號ノ規定ニ依ル保險給付ヲ受ケタル者以外ノ者ニシテ障害年金ノ支給ヲ受クル權利ヲ有スルモノニ在リテハ其ノ障害年金ノ額ノ計算ノ基礎ト爲リタル報酬月額ノ十月分ニ相當スル金額ニ滿タザルトキハ其ノ金額)ヲ一時金トシテ被保險者タリシ者ノ遺族ニ支給ス但シ既ニ支給ヲ受ケタル養老年金又ハ障害年金アルトキハ其ノ支給ヲ受ケタル年金ノ總額ヲ控除シタル殘額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
第三十九條第一項を次のように改め、同條第二項中「第二項後段」を「第一項後段」に改める。
被保險者タリシ期間二十年未滿ナル者ニシテ障害年金ノ支給ヲ受クル權利ヲ有スルモノガ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ガ被保險者ノ資格喪失ノ際支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ脱退手當金ニ相當スル金額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス但シ既ニ受ケタル障害年金アルトキハ其ノ支給ヲ受ケタル障害年金ノ總額ヲ控除シタル殘額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
前項ノ規定ニ依ル脱退手當金ニ相當スル金額ハ勞働基準法第七十七條ノ規定ニ依ル障害補償又ハ勞働者災害補償保險法第十二條第三號ノ規定ニ依ル保險給付ヲ受ケタル者以外ノ者ニ在リテハ其ノ脱退手當金ト其ノ障害年金ノ額ノ計算ノ基礎ト爲リタル報酬月額ノ十月分トノ合算額(其ノ合算額ガ平均報酬月額ノ二十二月分ヲ超ユルトキハ二十二月分ニ止ム但シ其ノ障害年金ノ額ノ計算ノ基礎ト爲リタル報酬月額ノ十月分ヲ下ルコトヲ得ズ)トス
第三十九條ノ二を削る。
第四十二條中「ヲ受クル權利ヲ有スル者」を「ノ支給ヲ受クル者」に改める。
第四十二條ノを削る。
第四十四條 被保險者タリシ期間二十年以上ナル者ガ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ノ遺族ニ對シ遺族年金ヲ支給ス但シ勞働基準法第七十九條ノ規定ニ依ル遺族補償又ハ勞働者災害補償保險法第十二條第四號ノ規定ニ依ル保險給付ヲ受クル者ナルトキハ遺族年金ハ勞働基準法第八十二條又ハ勞働者災害補償保險法第十六條ノ規定ニ依ル期間ハ之ヲ支給セズ
第四十五條 遺族年金ノ額ハ左ノ區別ニ依ル金額トス
一 養老年金ノ支給ヲ受クル者ガ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ニ支給セラルル養老年金ノ額ノ二分ノ一ニ相當スル金額
二 被保險者タリシ期間二十年以上ナル者ガ養老年金ノ支給ヲ受クルコトナクシテ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ガ支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ額ノ二分ノ一ニ相當スル金額
三 被保險者タリシ期間二十年以上ナル者ニシテ障害年金ノ支給ヲ受クル權利ヲ有スルモノガ死亡シタル場合ニ於テハ其ノ者ガ支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ額ノ二分ノ一ニ相當スル金額
第四十五條ノ二中「各項」を「各號」に改める。
第四十七條 遺族年金ノ支給ヲ受クル權利ヲ有スル者ガ其ノ權利ヲ失ヒタル場合ニ於テ遺族年金ノ支給ヲ受クベキ後順位者ナキトキハ被保險者タリシ者ノ支給ヲ受ケタル養老年金又ハ支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ養老年金ノ六年分ニ相當スル金額(勞働基準法第七十七條ノ規定ニ依ル障害補償又ハ勞働者災害補償保險法第十二條第三號ノ規定ニ依ル保險給付ヲ受ケタル者以外ノ者ニシテ障害年金ノ支給ヲ受クル權利ヲ有スルモノニ在リテハ其ノ障害年金ノ額ノ計算ノ基礎ト爲リタル報酬月額ノ十月分ニ相當スル金額ニ滿タザルトキハ其ノ金額)ヲ一時金トシテ被保險者タリシ者ノ遺族ニ支給ス但シ既ニ支給ヲ受ケタル養老年金、障害年金又ハ遺族年金アルトキハ其ノ支給ヲ受ケタル年金ノ總額ヲ控除シタル殘額ヲ一時金トシテ其ノ遺族ニ支給ス
第五節 脱退手當金
第四十八條第一項を次のように改め、同條第三項中「第二項後段」を「第一項後段」に改める。
被保險者タリシ期間六月以上二十年未滿ナル被保險者ガ其ノ資格ヲ喪失シタルトキハ脱退手當金ヲ支給ス
第四十九條第一項中「別表第三」を「別表第二」に改め、「(業務上ノ事由ニ因ル癈疾ト爲リタルニ因リ障害手當金ノ支給ヲ受クル者ニ支給スベキ脱退手當金ノ額ニ付テハ障害手當金ノ額ト合算シテ平均報酬月額ノ二十六月分ニ相當スル金額)」及び同條第二項を削る。
第四十九條ノ二第一項中「三年以上二十年未滿ナル者」を「六月以上二十年未滿ナル被保險者」に、「前條第一項」を「前條」に及び「別表第四」を「別表第三」に改め、「業務外ノ事由ニ因リ」及び同條第二項を削る。
第四十九條ノ三を削る。
第五十一條 障害年金ヲ受クル權利ヲ有スル者ガ第四十一條ノ規定ニ依リ障害年金ノ支給ヲ受ケザルニ至リタル場合ニ於テハ其ノ者ガ被保險者ノ資格ヲ喪失シタル際支給ヲ受クルコトヲ得ベカリシ脱退手當金ニ相當スル金額ヲ一時金トシテ支給ス但シ既ニ支給ヲ受ケタル障害年金アルトキハ其ノ支給ヲ受ケタル障害年金ノ總額ヲ控除シタル殘額ヲ一時金トシテ支給ス
第五十一條ノ二及び第五十一條ノ三を削る。
第五十二條第一項中「、第四十二條ノ二ノ規定ニ依ル一時金」を削り、同條第二項中「第三十八條乃至第三十九條ノ二」を「第三十八條、第三十九條」に改める。
第五十三條中「、障害手當金又ハ第四十二條ノ二ノ規定ニ依ル一時金」を「又ハ障害手當金」に改める。
第五十七條第二項中「及第七十條ノ三」を削る。
第五十九條ノ二を削る。
第六十二條第一項中「不服アル者ハ中央社會保險審査會」を「不服アル者ハ社會保險審査官ニ審査ヲ請求シ其ノ決定ニ不服アル者ハ社會保險審査會」に、「通常裁判所」を「裁判所」に改める。
第六十四條中「中央社會保險審査會」を「社會保險審査會」に改める。
第六十五條 削除
第六十六條中「三十日」を「六十日」に改める。
第六十七條 事業主左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ一萬圓以下ノ罰金ニ處ス
一 本法ノ規定ニ依ル報告ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ報告ヲ爲シ、文書ノ提出ヲ爲サズ又ハ出頭セザルトキ
二 本法ノ規定ニ依ル當該官吏吏員ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキ
第六十八條 事業主以外ノ者ニシテ保險給付ヲ受クベキモノ其ノ他ノ關係者左ノ各號ノ一ニ該當スルトキハ五千圓以下ノ罰金ニ處ス
一 本法ノ規定ニ依ル報告、申出若ハ屆出ヲ爲サズ、虚僞ノ報告、申出若ハ屆出ヲ爲シ、文書ノ提出ヲ爲サズ又ハ出頭セザルトキ
二 本法ノ規定ニ依ル當該官吏吏員ノ質問ニ對シ答辯ヲ爲サズ若ハ虚僞ノ陳述ヲ爲シ又ハ檢査ヲ拒ミ、妨ゲ若ハ忌避シタルトキ
第六十九條 法人ノ代表者又ハ法人若ハ人ノ代理人、使用人其ノ他從業者其ノ法人又ハ人ノ業務ニ關シ前二條ノ違反行爲ヲ爲シタルトキハ行爲者ヲ罰スルノ外其ノ法人又ハ人ニ對シ各本條ノ罰金刑ヲ科ス
第七十條 削除
第七章、第七十條ノ二及び第七十條ノ三を削る。
第七十五條 削除
別表第一を次のように改める。
別表第二を次のように改める。
別表第三を次のように改める。
別表第四を削る。
第三條 昭和十九年法律第二十一號の一部を次のように改正する。
附則第七條を削除する。
第四條 昭和二十一年法律第四十八號は、これを廃止する。
附 則
第一條 この法律施行の期日は、勅令で、これを定める。
第二條 常時五人未滿の從業員を使用する事業所で、從前の健康保險法第十三條第一号又は第二号に規定する事業所であつたもの又はこれらの事業所であつたため、從前の厚生年金保險法第十六條の規定による事業所であつたものについては、この法律施行の日において、健康保險法第十四條又は厚生年金保險法第十六條ノ二の認可があつたものとみなす。但しこの法律施行の日から一箇月以内に行政廳に被保險者の全部について、その資格を喪失させる旨の届出をした場合は、この限りでわない。
第三條 健康保險法による保險給付で、この法律施行の日前における業務上の事由に因る疾病又は負傷及びこれに因り発した疾病に関するものについては、なお從前の例による。
第四條 厚生年金保險法による保險給付で、この法律施行の日において、現に支給を受ける権利のある者に支給するものについては、なお從前の例による。
第五條 厚生年金保險法による保險給付で、この法律施行の日前における被保險者の疾病若しくは負傷及びこれに因り発した疾病が、厚生年金保險法第三十六條第一項若しくは從前の同法第三十九條ノ二の規定による勅令で定める期間内に治癒した日若しくは治癒せずしてその期間を経過した日又は業務上の事由に因る疾病若しくは負傷及びこれに因り発した疾病に因りその被保險者が死亡した日が、この法律施行の日以降である場合に、その者又はその者の遺族に支給するものについては、なお從前の例による。
第六條 厚生年金保險法による保險給付で、この法律施行の日以後に、前二條の規定により保險給付の支給を受ける権利のある者が死亡したことに因り、その者の遺族に支給するものについては、なお從前の例による。
第七條 この法律施行の日において、厚生年金保險法の被保險者である女子又は同法の被保險者であつた女子については、この法律施行の日以後において被保險者の資格を喪失した場合又は再び被保險者となりその資格を喪失した場合は、この法律施行の日前における期間の平均報酬日額に、被保險者であつた期間(脱退手当金の支給を受けた者については、その者の受けたすべての脱退手当金の支給の計算の基礎となつた期間を除く)に應じ、左表に定める日数を乘じて得た金額に、厚生年金保險法第四十八條又は第四十九條ノ二の規定による脱退手当金を加えて、これを脱退手当金として支給する。
第八條 昭和十九年一月一日以後昭和二十年八月三十一日に至るまでの期間において、厚生年金保險法の坑内夫であつた被保險者の、その期間における被保險者であつた期間の加算及びこれにより増加する保險給付に要する費用の國庫の負担については、なお從前の例による。
第九條 從前の厚生年金保險法第七十五條又は昭和十九年法律第二十一号附則第七條の規定の適用を受けた者に対して、厚生年金保險法を適用するについては、勅令をもつて、別段の定をなすことができる。
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〔國務大臣河合良成君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=29
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030・河合良成
○國務大臣(河合良成君) 只今議題となりました労働者災害補償保險法案の提案理由を説明致します、今議會に議決されました労働基準法の制定に伴ひまして、勞働者の業務災害に對する使用者の災害補償の義務は如何なる小事業を經營する使用者に對しても課せらるることとなりまして、且其の災害補償の額に付きましても、労働基準法は從來の勞働保護法規に比べまして、相當高額なものとなつたのであります、然るに一方飜つて我が國の産業の現状を考へまする時は、大きな業務災害が發生致しましたやうな場合、事業主の中には、或は災害補償を完全に履行出來ない者もありませうし、又履行出來たと致しましても、或は資金融通等の爲災害補償が遲れ、折角の労働基準法に依つても規定されました勞働者の基本的權利が侵害されるばかりでなく、産業の過重負擔となる場合が豫想されるのであります、茲に於きまして、業務災害に依つて勞働者が負傷し、疾病に罹り、或は癈疾となり、又は不幸にして死亡した場合に、是等勞働者に對しまして迅速且公正な保護を圖る必要上、災害補償の確保と勞働者の福祉の爲に必要な施設とを行ひまして、併せて産業の負擔を輕減するやうな何等かの制度が要求されるのであります、是が労働者災害補償保險法の立案を致しました理由であります、言葉を換へて申しますると、此の制度の趣旨とする所は、日本國内の全産業は渾然一體となつて相互扶助の精神に依つて災害に依る勞働者の保護の完璧を圖り、併せて使用者の負擔を輕減しようとするものであります、尚此の制度の創設に依りまして、現行の健康保險、厚生年金保險に於ける業務上の保險給付及び勞働者災害扶助責任保險を總て此の制度に吸收致しまして、事業主の災害補償義務に基く責任を明かにすることと致したのであります、此の法案の内容に付て特に考慮致しました第一の點は、本制度は勞働者の保護の完璧を期する爲に、保險金は直接勞働者に支拂ふことと致しまして、保險料は全額其の使用者の負擔と致した點であります、第二の點は、此の保險の適用に付て強制と任意とに區分致しまして、災害の危險率の高い事業に付ては、成るべく、廣範圍に之を強制することとし、危險率の低い事業に付ては徒に強制することを避け、使用者の意思に任すやうに留意致しました、第三の點は、使用者の災害豫防に關する注意力を薄めることのないやうに、災害率の高低に依つて保險料率を上げ下げするやうにしたのであります、以上のやうな理由と考慮に基いて労働者災害補償保險法案を提出した次第であります、次に健康保險法の一部を改正する等の法律案に付て提案理由を説明申上げます、今般労働基準法の制定に伴ひまして、勞働者災害補償保險制度が創設せられます關係上、從來の健康保險法及び厚生年金保險法に於ける勞働者の業務上の災害に對する給付を、勞働者災害補償保險制度へ移す必要が生じたので、之に伴ふ所要の改正をすることと致したのであります、從つて此の改正の結果健康保險に於ては、業務外の事故に對してのみ給付を爲すことと致したのであります、厚生年金保險に於ては、業務外の事故に對し給付をするの外、業務上の事故に付きましても、場合に依り勞働者災害補償保險からの給付を受ける一定期間を經過した後給付をすることとなるのであります、尚厚生年金保險に於ては、障害給付に付きまして被保險者の最終三箇月間の平均標準報酬を給付額の計算の基礎とすることとし、最近の經濟界の變動に伴ひまして生ずる被保險者の不利益を是正致します外、障害給付及び脱退手當金の支給條件の緩和等、保險給付の内容に付きまして若干の改正を致したのであります、其の他此の事業の民主的經營を圖る爲、それぞれ健康保險委員會及び厚生年金保險委員會を設置すると共に、保險審査官制度を設けました次第であります、何卒御審議の上速かに御協贊あらむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=30
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031・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました労働者災害補償保險法案外一件は、國有財産法の一部を改正する法律案外七件の特別委員會に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=31
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032・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=32
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033・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=33
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034・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=34
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035・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、昭和二十年度第一予備金支出の件、昭和二十年度緊急対策費第一予備金支出の件、昭和二十年度特別会計第一予備金支出の件、昭和二十年度特別会計予備費支出の件、昭和二十一年度第二予備金支出の件、昭和二十一年度特別会計第二予備金支出の件、臨時軍事費特別会計予備費外予算超過支出の件、臨時軍事費特別会計予備費外予算超過支出の件、承諾ヲ求ムル件、以上八件を一括して會議を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=35
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036・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、石橋大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=36
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037・会議録情報6
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昭和二十度第一予備金支出の件
昭和二十年度緊急対策費第一予備金支出の件
昭和二十年度特別会計第一予備金支出の件
昭和二十年度特別会計予備費支出の件
昭和二十一年度第二予備金支出の件
昭和二十一年度特別会計第二予備金支出の件
臨時軍事費特別会計予備費支出の件
臨時軍事費特別会計予備費外予算超過支出の件
右は本院において承諾と議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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〔各案は掲載を略す〕
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〔國務大臣石橋湛山君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=37
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038・石橋湛山
○國務大臣(石橋湛山君) 只今議題となりました昭和二十年度第一予備金支出の件外事後承諾を求める件七件に付大體の御説明を申上げます、昭和二十年度一般會計第一豫備金の豫算額は、二億圓でありまして、會計規則等戰時特例第三十二條の二に依りまして、其の全額を豫算超過支出に充當致しました、而して其の充當しました重要な事項は、義務教育費國庫負擔金、警察費連帶支辨金、臨時家族手當、教員臨時家族手當補助、勤續手當等であります、次に昭和二十年度の一般會計緊急對策費第一豫備金の豫算額は二十億圓でありまして、内會計規則等戰時特例第三十二條の二に依りまして、補充致しました金額は十八億三千九百餘萬圓であります、今其の重要なる事項を申述べますれば、戰時災害保護に要する經費、歸還輸送に要する經費、損害保險中央會補助及び生命保險會社損失補償に要する經費、簡易住宅建設及び罹災上下水道應急復舊に要する經費、横穴式防空地下施設費補助に要する經費、住宅供給應急施設に要する經費、戰災者其の他就農對策に要する經費等であります、次に昭和二十年度に於て其の第一豫備金より豫算超過支出を致しました特別會計は、造幣局、印刷局、專賣局、金資金、大藏省預金部、通信事業、簡易生命保險及び郵便年金、厚生保險、勞働者災害扶助責任保險、食糧管理、薪炭需給調節、農業家畜再保險、森林火災保險、漁舶再保險、燃料局の十五特別會計であります、尚朝鮮總督府、朝鮮食糧管理、朝鮮簡易生命保險及び郵便年金、臺灣總督府、臺灣食糧管理、樺太廳、南洋廳、關東局の各外地關係の特別會計に於きましては、終戰に伴つて第一豫備金又は豫備費の支出は固より、一般經理の状況を明かにすることが困難の状況となりましたので、其の事後承諾案も提出致して居りませぬ、當該特別會計の昭和二十年度歳入歳出決算と共に、當分の間其の提出を延期させて戴く外はないのであります、次に昭和二十年度に於て、其の豫備費から豫算超過支出を致しました特別會計は食糧管理、帝國鐵道の二特別會計であります、次に昭和二十一年度一般會計改定豫算に於ける當初の第二豫備金豫算額は六億圓でありましたが、是は今期帝國議會提出の追加豫算に於きまして、四億七千萬圓に減額することと相成つて居ります、面して此の金額中から豫算外として昭和二十一年十月二十一日より同年十一月二十二日に至る間に於きまして、四億五千七百餘萬圓を支出致しました、其の重要なる事項は臨時豫防對策諸費、大藏本省分室用建物其の他買收費、石炭増産對策諸費、國産原油價格調整補給金、臨時勤勞對策諸費、小額紙幣製造費補足、人口動態調査改善諸費等でございます、次に昭和二十一年度に於て、其の第二豫備金を以て豫算外支出を致しました特別會計は專賣局でありまして、專賣局機構整備に要する經費でございます、次に臨時軍事費特別會計に於ける豫備費支出及び豫備費外豫算超過支出の事後承諾を求める件に付て御説明申上げます、臨時軍事費特別會計は御承知の通り、昭和十二年法律第八十五號を以て設置されまして、戰爭の終局迄を一會計年度と致しまして、特別に整理されて參りました處、昭和二十一年勅令第百十號に依りまして、昭和二十一年二月二十八日を以て終結されました、其の間臨時軍事費特別會計設置當時、一般會計より移し整理致しました額を加へ、其の豫算總額は二千二百十九億圓餘に達しましたが、其の内豫備費豫算額は五百十億八千萬圓でありまして、此の豫備費から補充致しました額は昭和十二年十月三十日より昭和二十年十二月一日迄の間に於きまして、三十二囘に亙り三百四十五億二千百餘萬圓であります、何れも戰局の推移に伴つて臨時軍事費の支出が多く、其の豫算に不足を生じた爲であります、次に臨時軍事費特別會計に於きまして、其の歳入金を以て豫備費外豫算超過支出を致しました額は昭和十六年十一月一日及び同五日の二囘に亙りまして、一億九千三百四十餘萬圓であります、是亦何れも戰局の推移に伴つて臨時軍事費の支出が多く、其の豫算に不足を生じた爲であります、以上を以ちまして昭和二十年度第一予備金支出の件外事後承諾を求むる件七件の説明を申上げました次第であります、何卒御審議の上速かに御承諾を賜らむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=38
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039・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今日程に上りました昭和二十年度第一予備金支出の件外七件は、其の特別委員の數を十二名とし、委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=39
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040・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=40
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041・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=41
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042・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
昭和二十年度第一予備金支出の件
(承認ヲ求ムル件)外七件特別委員
公爵 岩倉具榮君 伯爵 清閑寺良貞君
子爵 錦小路頼孝君 子爵 三浦矢一君
永井松三君 男爵 高崎弓彦君
長谷川赳夫君 男爵 前島勘一郎君
諸橋久太郎君 太田半六君
小野耕一君 松尾嘉右ヱ門君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=42
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043・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律案、議院に出頭する証人の旅費及び日当に関する法律案、國会予備金に関する法律案、議院事務局法案、國会図書館法案、國会職員法案、以上六案を一括して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=43
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044・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=44
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045・会議録情報7
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國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
第一條 各議院の議長は歳費として月額七千円、副議長は五千円、議員は三千五百円を受ける。
第二條 議長及び副議長は、その選挙された当月分から歳費を受ける。議長又は副議長に選挙された議員は、その選挙された前月分までの歳費を受ける。
第三條 議員は、その任期が開始する当月分から歳費を受ける。但し、再選挙又は補欠選挙により議員となつた者は、その選挙の行われた当月分から、繰上当選議員は、その当選の確定した当月分からこれを受ける。
第四條 議長、副議長及び議員が、任期満限、辞職、退職、除名の場合又は死亡した場合には、その当月分までの歳費を受ける。
第五條 衆議院が解散されたときは、衆議院の議長、副議長及び議員は、解散された当月分までの歳費を受ける。
第六條 各議院の議長、副議長及び議員は、他の議院の議員となつたとき、その他如何なる場合でも、歳費を重複して受けることができない。
第七條 議員で官吏を兼ねる者は、議員の歳費を受けるが、官吏の給料を受けない。但し、官吏の給料額が歳費の額より多いときは、その差額を行政廳から受ける。
第八條 議長、副議長及び議員で召集に應じた場合、又は議院の公務により派遣された場合は、別に定めるところにより往復旅費を受ける。
第九條 各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を郵送し及び公の性質を有する通信をなすため、通信費として月額百二十五円を受ける。
第十條 各議院の議長、副議長及び議員の事務補助員は、給料として月額千百五十円を受ける。
第十一條 第三條乃至第六條の規定は、前二條の費用についてこれを準用する。
第十二條 議長、副議長及び議員が死亡したときは、歳費一年分に相当する金額を弔慰金としてその遺族に支給する。
第十三條 この法律に定めるものを除く外、歳費、旅費及び手当等の支給に関する規程は、両議院の議長が協議してこれを定める。
附 則
この法律は、國会法施行の日から、これを施行する。
昭和二十一年法律第二十号は、これを廃止する。
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議院に出頭する証人の旅費及び日当に関する法律案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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第一條 各議院における議案その他の審査又は國政に関する調査のため、その院の要求により証人として出頭した者には、この法律によつて旅費及び日当を支給する。但し、官吏がその職務の関係で証人となつた場合には、これを支給しない。
第二條 旅費は、鉄道賃、船賃及び車馬賃の三種とし、鉄道旅行には鉄道賃、水路旅行には船賃、鉄道の便なき区間の陸路旅行には車馬賃を支給する。
第三條 旅費は、天災その他止むを得ない事由のため、順路によつて旅行し難い場合の外は、順路によつてこれを計算する。
第四條 日当は、日数に應じてこれを支給する。
日数は各議院に出頭の当日から、証人として滯在した日数及び途中天災その他止むを得ない事由によつて要した日数の外は、鉄道旅行は四百粁、水路旅行は二百粁、陸路旅行は五十粁につき一日の割合を以て通算した日数による。但し、一日未満の端数を生じたときは、これを一日とする。
第五條 鉄道賃及び船賃は、旅行区間の線路及び船舶の旅客運賃(急行料金、通行税、はしけ賃及びさん橋賃を含む)によつて、又車馬賃及び日当は、両議院の議院運営委員会の合同審査会で定める定額によつてこれを支給する。但し、片道百粁以内を旅行する場合は、急行料金を支給しない。
第六條 この法律に定めるものを除く外、旅費及び日当の支給に関する規程は、両議院の議長が、協議してこれを定める。
附 則
この法律は、國会法施行の日から、これを施行する。
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國会予備金に関する法律案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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第一條 各議院の予備金は、その院の議長がこれを管理する。
第二條 各議院の予備金を支出するには、事前に、時宜によつては事後に、その院の議院運営委員会の承認を経なければならない。
第三條 各議院の予備金の支出については、これを議院運営委員会の委員長が、次の常会の会期の初めにおいて、その院に報告して承諾を求めなければならない。
附 則
この法律は、國会法施行の日から、これを施行する。
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議院事務局法案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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議院事務局法
第一條 衆議院及び参議院に各事務局を附置し、左の職員を置く。
一 事務総長
二 参事
三 副参事
四 主事
五 常任委員会專門調査員
六 常任委員会書記
各事務局の職員の定員は、その院の議決によつてこれを定める。
第二條 事務総長は、議長の監督の下に、局中一切の事務を統理し、所属職員を監督する。
第三條 各事務局に、その事務を分掌するため、部及び課を置く。
各部課の分掌事務及び各部の分課並びに職員の配置は、事務総長が、これを定める。
第四條 各事務局に事務次長一人を置き、事務総長が、議長の同意を得て参事の中からこれを命ずる。
事務次長は、事務総長を助け局務を整理し、各部課の事務を監督する。
第五條 各部に部長を置き、事務総長が、議長の同意を得て参事の中からこれを命ずる。
部長は、事務総長の命を受けその部務を掌理する。
第六條 各課に課長を置き、事務総長が、参事又は副参事の中からこれを命ずる。
課長は、上司の命を受け課務を掌理する。
第七條 参事及び副参事は、上司の指揮監督を受け事務又は技術を掌る。
第八條 各事務局に衞視長数人を置き、事務総長が、副参事の中からこれを命ずる。
衞視長は、上司の命を受け警務を掌り、衞視副長及び衞視を指揮監督する。
第九條 主事は、上司の指揮監督を受け事務又は技術に從事する。
第十條 各事務局に衞視副長数人及び衞視若干人を置き、事務総長が、主事の中からこれを命ずる。
衞視副長は、上司の指揮監督を受け警務に從事し、衞視を指揮監督する。
衞視は、上司の指揮監督を受け警務に從事する。
第十一條 常任委員会專門調査員は、常任委員長の申出により、事務総長が、議長の同意を得てこれを任免する。
常任委員会專門調査員は、常任委員長の命を受け調査を掌る。
第十二條 常任委員会書記は、常任委員長の申出により、事務総長が、議長の同意を得てこれを任免する。
常任委員会書記は、常任委員長及び常任委員会專門調査員の命を受け調査に関する事務に從事する。
附 則
この法律は、國会法施行の日から、これを施行する。
この法律施行の際、現に衆議院事務局又は貴族院事務局に在職する官吏は、別に辞令を発せられないときは、現に受ける俸給額に相当する給料を以て、それぞれ衆議院事務局又は参議院事務局の國会職員に任用せられたものとみなす。
前項の規定を適用するに当り、勅任事務官及び書記官は、参事に、事務官、理事官、速記士並びに奏任の属及び技手は、副参事に、守衞長は、衞視長たる副参事に、属、技手、速記技手及び判任官の待遇を受ける雇員は、主事に、守衞副長は、衞視副長たる主事に、守衞は、衞視たる主事に任用せられたものとする。
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國会図書館法案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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國会図書館法
第一條 國会図書館は、内外の図書記録の類を蒐集保存し、議員の調査研究に資する所とする。
國会図書館は、別に定める規程に從い、一般にこれを利用させることができる。
第二條 國会図書館に左の職員を置く。
一 館長
二 副館長
三 参事
四 副参事
五 主事
館長及び副館長は、各各一人とし、参事その他の職員の定員は、館長が、両議院の図書館運営委員会の承認を経てこれを定める。
第三條 館長は、図書館の運営に適当と認められる知識経驗を有する者につき、両議院の議長が、協議してこれを任免する。
副館長、参事その他の職員は、館長が、両議院の議長の同意を得てこれを任免する。
國会図書館の職員は、國会議員又は官吏と兼ねることができない。
第四條 館長は、両議院の議長の監督の下に館務を統理し、所属職員を監督する。
副館長及び参事は、館長の命を受け事務を掌理する。
副参事は、上司の指揮監督を受け事務又は技術を掌る。
主事は、上司の指揮監督を受け事務又は技術に從事する。
第五條 館長に事故があるとき、又は館長が欠けたときは、副館長が館長の職務を行う。
第六條 図書館に、その事務を分掌するため部又は課を置くことができる。
各部課の分掌事務及び各部の分課並びに職員の配置は、館長が、これを定める。
第七條 國会図書館運営に関する規程は、館長が、両議院の図書館運営委員会の承認を経てこれを定める。
附 則
この法律は、國会法施行の日から、これを施行する。
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國会職員法案
右の本院提出案をここに送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
國会職員法
第一章 総則
第一條 この法律において國会職員とは、各議院事務局の事務総長、参事、副参事、主事、常任委員会專門調査員及び常任委員会書記、國会図書館の館長、副館長、参事、副参事及び主事並びに彈劾裁判所及び訴追委員会の書記長及び書記をいう。
第二章 資格
第二條 國会職員は左の各号の一に該当しない者でなければならない。
一 禁治産者及び準禁治産者
二 懲役又は禁錮の刑に処せられて、その刑の執行を終らない者又はその刑の執行を受けることのなくなるまでの者
三 懲戒処分により官公職を免ぜられ、その身分を失つた日から二年を経過しない者
第三條 各議院事務局の主事若しくは常任委員会書記、國会図書館の主事又は彈劾裁判所若しくは訴追委員会の書記の任用は、左の資格の一を有する者についてこれを行う。
一 四年以上各議院事務局、國会図書館、彈劾裁判所又は訴追委員会の事務又は技術に從事した者
二 三級官吏に任用される資格を有する者
三 國会職員考査委員会において、前各号の一に掲げる者と同等以上の資格を有すると定めた者
四 その從事する職務に必要な学識経驗を有する者で、國会職員考査委員会の選考を経た者
第四條 各議員事務局の参事若しくは副参事、國会図書館の参事若しくは副参事又は弾劾裁判所若しくは訴追委員会の書記長の任用は、左の資格の一を有する者についてこれを行う。
一 八年以上各議院事務局の主事若しくは常任委員会書記、國会図書館の主事、彈該裁判所又は訴追委員会の書記の職に在つた者
二 二級官吏に任用される資格を有する者
三 國会職員考査委員会において、前各号の一に掲げる者と同等以上の資格を有すると定めた者
四 その從事する職務に必要な学識経驗を有する者で、國会職員考査委員会の選考を経た者
第五條 各議院事務局の事務次長又は部長は、左の資格の一を有する者について、参事の中からこれを命ずる。
一 十年以上各議院事務局の参事又は副参事の職に在つた者
二 一級官吏に任用される資格を有する者
三 その從事する職務に必要な学識経驗を有する者で、國会職員考査委員会の選考を経た者
第三章 異動及び在職年数
第六條 國会職員は、各議院事務局、國会図書館、彈劾裁判所及び訴追委員会の間を、それぞれの資格に應じて、同等の條件を以て、その所属を轉ずることができる。
第七條 各議院事務局の事務総長及び常任委員会專門調査員を除く國会職員又は官吏は、それぞれの資格に應じて、同等の條件を以て、官吏又は國会職員にその身分を轉ずることができる。
第八條 官吏としての在職年は、両議院の議長が協議して定める規程により、これを國会職員としての在職とみなす。
第四章 分限
第九條 國会職員は、その意に反して個人的に減給をされることはない。但し、休職又は懲戒による減給は、この限りでない。
第十條 國会職員は、刑法の宣告、懲戒の処分又は第十一條の規定による外は、免職されることはない。
第十一條 國会職員が、左の各号の一に該当するときは、これを免職することができる。
一 不具、癈疾に因り、又は身体若しくは精神の衰弱に因り、職務を執るに堪えないとき
二 本人より免職を願い出でたとき
前項第一号により免職するときは、國会職員考査委員会の審査を経なければならない。
第十二條 第十三條第一項第三号乃至第五号により休職を命ぜられ、満期となつたときは、当然退職者とする。
第十三條 國会職員が左の各号の一に該当するときは、これに休職を命ずることができる。
一 懲戒のため國会職員考査委員会の審査に付せられたとき
二 刑事事件に関し起訴されたとき
三 廃職となり又は定員改正により過員を生じたとき
四 身体又は精神の故障により長期の休養を要するとき
五 事務の都合により必要があるとき
前項第四号及び第五号の規定により休職を命ずるには、國会職員考査委員会の審査を経なければならない。
第一項の休職の期間は、第一号及び第二号の場合においては、その事件が、國会職員考査委員会又は裁判所に繋属中とし、第三号乃至第五号の場合においては満一年とする。
第十四條 休職者は、その身分を有するが、職務に從事しない。
前條第一項第三号乃至第五号の規定により、休職を命ぜられた者に対しては、事務の都合により、何時でも復職を命ずることができる。
第十五條 休職及び復職は、任用について権限がある者が、これを行う。
第十六條 本章の規定は、各議院事務局の事務総長及び國会図書館の館長については、これを適用しない。
第五章 服務
第十七條 國会職員は、國会の事務に從事するに当り、公正不偏、誠実にその職務を盡し、以て國民全体に奉仕することを本分とする。
第十八條 國会職員は、その職務を行うについては、上司の命令に從わねばならない。但し、その命令について意見を述べることができる。
第十九條 國会職員は、本属長の許可がなければ、職務上知り得た祕密を漏らすことはできない。その職を離れた後でも同樣である。
第二十條 國会職員は、職務の内外を問わず、その信用を失うような行爲があつてはならない。
第二十一條 國会職員は、営利を目的とする事業團体の役員又は職員その他の使用人となり、又は営利を目的とする事業に從事することができない。
本属長は、その所属國会職員が、営利を目的としない事業團体の役員若しくは職員となり、又は営利を目的としない事業に從事することが、國会職員の職務遂行に支障があると認める場合においては、これを禁ずることができる。
第二十二條 國会職員は、本属長の許可を受けなければ、本職の外に、給料を得て他の事務を行うことはできない。
第二十三條 國会職員は、本属長の許可を受けなければ、濫りに職務を離れることはできない。
第二十四條 國会職員の勤務時間、居住地、制服その他服務上必要な事項は、本属長がこれを定める。
第六章 給與及び恩給
第二十五條 國会職員は、その在職中給料を受ける。
國会職員は、給料の外、必要な手当その他の給與を受けることができる。
國会職員の給料、手当その他の給與に関する規程は、両議院の議院運営委員会の合同審査会に諮り、両議院の議長が、これを定める。
第二十六條 休職を命ぜられた國会職員は、その休職中、給料の三分の一を受ける。
第二十七條 國会職員及びその遺族は、その國会職員の退職又は死亡により、別に法律の定めるところにより、恩給を受ける。
第七章 懲戒
第二十八條 各議院事務局の事務総長及び國会図書館の館長を除く國会職員は、左の事由があつた場合において、懲戒の処分を受ける。
一 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つたとき
二 職務の内外を問わずその信用を失うような行爲があつたとき
第二十九條 懲戒は左の通りとする。
一 戒告
二 減給
三 免職
第三十條 減給は、一月以上一年以下給料の三分の一以下を減ずる。
第三十一條 懲戒は、國会職員考査委員会の審査を経て、任用について権限がある者が、これを行う。
第三十二條 懲戒に付せられる事件が、刑事裁判所に繋属する間は、同一事件について懲戒のため國会職員考査委員会を開くことはできない。
懲戒に関する國会職員考査委員会の決定前に、懲戒に付せられる者に対し、刑事訴追が始まつたときは、事件の判決を終るまでその開会を停止する。
第八章 國会職員考査委員会
第三十三條 國会職員の資格、分限及び懲戒に関する事項を審査するため、各議院事務局、國会図書館、彈劾裁判所及び訴追委員会に、それぞれ國会職員考査委員会を設ける。
第三十四條 國会職員考査委員会は、それぞれ委員長一人、委員若干人でこれを組織する。
第三十五條 各議院事務局に設ける國会職員考査委員会の委員長は、その院の事務局の事務総長、その委員はその院の事務局の事務次長及び部長、他の院の事務局の事務総長及び事務次長並びに國会図書館の館長及び副館長が、これに当る。
第三十六條 國会図書館に設ける國会職員考査委員会の委員長は、國会図書館の館長、その委員は、國会図書館の副館長及び國会図書館の館長が指名する國会図書館の参事並びに両議院事務局の事務総長及び事務次長が、これに当る。
第三十七條 彈劾裁判所に設ける國会職員考査委員会の委員長は、彈劾裁判所の裁判長が、これに当り、その委員は、彈劾裁判所の書記長並びに両議院事務局の事務総長及び事務次長が、これに当る。
第三十八條 訴追委員会に設ける國会職員考査委員会の委員長は、訴追委員会の委員長が、これに当り、その委員は、訴追委員会の書記長並びに両議院事務局の事務総長及び事務次長が、これに当る。
第三十九條 國会職員考査委員会にそれぞれ幹事数人を置き、各委員長が、國会職員の中よりこれを命ずる。
第四十條 國会職員考査委員会に関する規程は、両議院の議院運営委員会の合同審査会に諮り、両議院の議長が、これを定める。
附 則
この法律は、國会法施行の日から、これを施行する。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=45
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046・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律案外五件は、其の特別委員の數を十二名とし、委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=46
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047・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=47
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048・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=48
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049・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律案外五件特別委員
侯爵 池田宣政君 伯爵 宗武志君
子爵 松平銑之助君 子爵 三浦矢一君
男爵 稻田昌植君 男爵 水谷川忠麿君
中村藤兵衞君 安田伊左衞門君
奧村嘉藏君 松本勝太郎君
塩田團平君 淺井清君
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=49
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050・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 尚昨日衆議院より送付せられました議案を議事日程に追加し、審議を繼續致したいと存じますが、一旦是にて休憩を致します、休憩後は午後一時三十分より開會致します
午後零時三分休憩
――――◇―――――
午後一時四十一分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=50
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051・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
〔寺光書記官朗讀〕
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
檢察廳法案可決報告書
下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律案可決報告書
裁判所職員の定員に関する法律案可決報告書
裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=51
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052・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 休憩前に引續き會議を開きます、本日野村嘉六君より病氣に付、檢察廳法案外四件特別委員辭任の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=52
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053・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、就きましては其の補闕として大谷正男君を指名致します、本日子爵青木重夫君より都合に依り、國有財産の一部を改正する法律案外九件特別委員辭任の申出がございました、許可を致して御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=53
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054・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、就きましては、其の補闕として子爵齋藤齊君を指名致します
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=54
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055・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案、日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案、日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案、以上三件を一括して第一讀會を開きたいと存じます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=55
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056・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、木村司法大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=56
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057・会議録情報8
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日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案
第一條 この法律は、日本國憲法の施行に伴い、民法について、個人の尊嚴と両性の本質的平等に立脚する應急的措置を講ずることを目的とする。
第二條 妻又は母であることに基いて、法律上の能力その他を制限する規定は、これを適用しない。
第三條 戸主、家族その他家に関する規定は、これを適用しない。
第四條 成年者の婚姻、離婚、養子縁組及び離縁については、父母の同意を要しない。
第五條 夫婦は、その協議で定める場所に同居するものとする。
夫婦の財産関係に関する規定で両性の本質的平等に反するものは、これを適用しない。
配偶者の一方に著しい不貞の行爲があつたときは、他の一方は、これを原因として離婚の訴を提起することができる。
第六條 親権は、父母が共同してこれを行う。
父母が離婚するとき、又は父が子を認知するときは、親権を行う者は、父母の協議でこれを定めなければならない。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、裁判所が、これを定める。
裁判所は、子の利益のために、親権者を変更することができる。
第七條 家督相続に関する規定は、これを適用しない。
相続については、第八條及び第九條の規定によるの外、遺産相続に関する規定に從う。
第八條 直系卑属、直系尊属及び兄弟姉妹は、その順序により相続人となる。
配偶者は、常に相続人となるものとし、その相続分は、左の規定に從う。
一 直系卑属とともに相続人であるときは、三分の一とする。
二 直系尊属とともに相続人であるときは、二分の一とする。
三 兄弟姉妹とともに相続人であるときは、三分の二とする。
第九條 兄弟姉妹以外の相続人の遺留分の額は、左の規定に從う。
一 直系卑属のみが相続人であるとき、又は直系卑属及び配偶者が相続人であるときは、被相続人の財産の二分の一とする。
二 その他の場合は、被相続人の財産の三分の一とする。
第十條 この法律の規定に反する他の法律の規定は、これを適用しない。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日からこれを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。
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日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案
第一條 この法律は、日本國憲法の施行に伴い、民事訴訟法について應急的措置を講ずることを目的とする。
第二條 民事訴訟法は、日本國憲法及び裁判所法の制定の趣旨に適合するようにこれを解釈しなければならない。
第三條 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
第四條 上告は、高等裁判所がした第二審又は第一審の終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所がした第二審の終局判決に対しては高等裁判所にこれをすることができる。
第一審の終局判決について、上告をする権利を留保して、控訴をしない旨の合意をした場合には、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、高等裁判所の判決に対しては最高裁判所に、直ちに上告をすることができる。
第五條 高等裁判所が上告裁判所である場合に、最高裁判所の定める事由があるときは、決定で事件を最高裁判所に移送しなければならない。
第六條 高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告することができる。
前項の上告は、判決の確定を妨げる効力を有しない。但し、最高裁判所は、同項の上告があつたときは、決定で強制執行の停止を命ずることができる。
第七條 民事訴訟法の規定により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、その決定又は命令において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告の提起期間は、五日とする。
第八條 行政廳の違法な処分の取消又は変更を求める訴は、他の法律(昭和二十二年三月一日前に制定されたものを除く。)に特別の定めのあるものを除いて、当事者がその処分があつたことを知つた日から六箇月以内に、これを提起しなければならない。但し、処分の日から三年を経過したときは、訴を提起することができない。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。
東京高等裁判所が裁判所法施行法の規定に基いて審理及び裁判をすべきものとされた事件(同法施行の際東京控訴院に係属していたものを除く。)についてした終局判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に上告をすることができる。
前項の上告については、第六條第二項の規定を準用する。
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日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案
第一條 この法律は、日本國憲法の施行に伴い、刑事訴訟法について應急的措置を講ずることを目的とする。
第二條 刑事訴訟法は、日本國憲法、裁判所法及び檢察廳法の制定の趣旨に適合するようにこれを解釈しなければならない。
第三條 被疑者は、身体の拘束を受けた場合には、弁護人を選任することができる。この場合には、刑事訴訟法第三十九條第二項の規定を準用する。
第四條 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない、
第五條 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
第六條 引致された被告人又は被疑者に対しては、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げなければならない。
勾留については、申立により、直ちに被告人又は被疑者及びこれらの者の弁護人の出席する公開の法廷でその理由を告げなければならない。
第七條 檢察官又は司法警察官は、勾引状及び勾留状を発することができない。
檢察官又は司法警察官は、裁判官の令状がなければ、押收、搜索又は檢証をすることができない。但し、現行犯人を逮捕する場合及び勾引状又は勾留状を執行する場合は、この限りでない。
檢察官又は司法警察官は、身体を檢査し、死体を解剖し、又は物を破壞する処分を必要とする鑑定は、これを命ずることができない。
第八條 逮捕状及び勾留状の発付並びに公訴の提起については、左の規定による。
一 檢察官又は司法警察官吏は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官の逮捕状を得て、これを逮捕することができる。
二 檢察官又は司法警察官吏は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を得ることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
三 現行犯人が逮捕された場合には、遅滯なく刑事訴訟法第百二十七條及び第百二十九條に定める時間の制限内に檢察官から裁判官に対する勾留状の請求がされなければならない。この制限された時間は、逮捕の時からこれを起算する。檢察官又は司法警察官吏がやむを得ない事情により時間の制限に從うことができなかつた場合において、その事由が適当に示されたときは、裁判官は、その遲延がやむを得ない事情に基く正当なものであると認定することができる。勾留状が発せられないときは、直ちに犯人を釈放しなければならない。
四 第二号の規定により被疑者が逮捕された場合には、逮捕状と同時に勾留状を発することができる。第一号及び第二号の規定により被疑者が逮捕された場合には、前号の場合に準じ、遲滯なく同号に定める時間の制限内に檢察官から裁判官に対する勾留状の請求がされなければならない。勾留状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
五 第一号乃至前号の場合その他被疑者が逮捕されたすべての場合においては、公訴の提起は、遲滯なくこれをしなければならない。勾留状の請求があつた日から十日以内に公訴の提起がなかつたときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第九條 予審は、これを行わない。
第十條 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
第十一條 檢察官及び弁護人は、公判期日において、裁判長に告げ、被告人、証人、鑑定人、通事又は飜訳人を訊問することができる。
被告人は、公判期日において、裁判長に告げ、共同被告人、証人、鑑定人、通事又は飜訳人を訊問することができる。
第十二條 証人その他の者(被告人を除く。)の供述を録取した書類又はこれに代わるべき書類は、被告人の請求があるときは、その供述者又は作成者を公判期日において訊問する機会を被告人に與えなければ、これを証拠とすることができない。但し、その機会を與えることができず、又は著しく困難な場合には、裁判所は、これらの書類についての制限及び被告人の憲法上の権利を適当に考慮して、これを証拠とすることができる。
刑事訴訟法第三百四十三條の規定は、これを適用しない。
第十三條 上告は、高等裁判所がした第二審又は第一審の判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所がした第二審の判決に対しては高等裁判所にこれをすることができる。
刑事訴訟法第四百十二條乃至第四百十四條の規定は、これを適用しない。
第十四條 刑事訴訟法第四百十六條各号の場合には、地方裁判所がした第一審の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所がした第一審の判決に対しては高等裁判所に、控訴をしないで、上告をすることができる。
第十五條 高等裁判所が上告裁判所である場合に、最高裁判所の定める事由があるときは、決定で事件を最高裁判所に移送しなければならない。
第十六條 上告裁判所においては、事実の審理は、これを行わない。
第十七條 高等裁判所が上告審としてした判決に対しては、その判決において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができる。但し、事件を差し戻し、又は移送する判決に対しては、この限りでない。
前項の上告は、判決の確定を妨げる効力を有しない。但し、最高裁判所は、同項の上告があつたときは、決定で刑の執行を停止することができる。
第十八條 刑事訴訟法の規定により不服を申し立てることができない決定又は命令に対しては、その決定又は命令において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とするときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告の提起期間は、五日とする。
第十九條 檢察事務官は、搜査及び令状の執行については、司法警察官に準ずるものとする。
第二十條 被告人に不利益な再審は、これを認めない。
第二十一條 この法律の規定の趣旨に反する他の法令の規定は、これを適用しない。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。
第十二條の規定は、この法律施行前に既にその証拠調が終つている書類については、その審級に限り、これを適用しない。
この法律施行前に終結した弁論に基いて言い渡された判決に対しては、なお刑事訴訟法の規定により上告をすることができる。
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〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=57
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058・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 只今議題となりました日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案外二件の提案理由を御説明申上げます、日本國憲法は總て國民は個人として尊重せられ、法の下に、平等であること及び法律は個人の尊嚴と兩性の本質的平等に立脚して制定されなければならないことを宣言致して居るのであります、然るに現行民法には此の趣旨に牴觸する幾多の規定を含んで居りまするので新憲法の基本原則に適合させる爲に之を根本的に改正するの必要があるのであります、政府は豫てから其の改正の準備に著手して參りまして、遲くとも今議會には之を上程すべく有らゆる努力をして參つたのでありまするが、關係方面其の他色々の事情から致しまして、遂に之を提出する運びに至らなかつたのであります、それで取敢ず新憲法の基本原則を實現する爲に、特に必要な諸點に付きまして、民法の改正に至る迄の最小限度の應急的措置を講じまして、新憲法の施行と民法の改正とが時期を異にする爲に生じまする種々の混亂を出來るだけ防止しやうとしたのが、此の法律案の目的であります、固より此の法律だけで新憲法の基本原則が實現される譯ではないのでありまして、引續き各方面の御援助の下に民法法典の改正事業を繼續致しまして、出來るだけ早い機會に之を實現して同時に此の法律を廢止致したい所存であります、次に此の法律案の内容の要點を申上げます、第一は戸主、家族其の他家に關する規定及び家督相續に關する規定を適用しないものとしたことであります、現行民法の下に於きましては、戸主は家の統率者として家族に對し居所指定權、婚姻及び縁組の同意權、其の他各種の權力を認められて居りまするが、是等は個人の尊嚴と兩立しない爲、新しい憲法の下では之を認めることは出來ないのであります、而して是等の權力を否定致しますれば、最早民法上の家の制度は、法律上に於ては其の存在の理由を失ひまするのみならず、之を法の上に殘すことは、却て戸主の權力を廢止する趣旨を不明瞭にする虞れがあるのであります、又戸主を中心と致しまする法律上の家の制度を認めない以上、戸主權の承繼を内容と致しまする家督相續の制度も亦之を認めることが出來ないことは明かであります、仍て此の法律では戸主、家族其の他家に關する規定及び家督相續に關する規定は總て之を適用しないことに致したのであります、第二は成年者の婚姻、離婚、養子縁組及び離縁に付きまして、父母の同意を要しないものとしたことであります、是は婚姻が兩性の合意のみに基いて成立すべきものと致しました憲法の規定、其の他個人の尊嚴を規定致しまする新憲法の趣旨に從つたものであります、第三は夫婦及び親權に關する諸規定に付きまして、兩性の本質的平等を徹底させる爲の措置を講じたことであります、即ち妻の無能力、母の親權行使の制限等、妻又は母であることに基いて法律上の能力其の他制限する規定は、之を適用しないものとし、夫婦の同居すべき場所は、其の協議で定めるものと致し、妻の財産に對する夫の使用收益權、管理權等、夫婦の財産關係に關しまする不平等な制度は之を認めないことに致しました、裁判上の離婚原因は、之を夫及び妻に付平等とし、子に對する親權は、父母の共同行使を建前と致しまして、離婚又は認知後の親權者は父母の協議に依りまして、定めることと致したのであります、第四は、相續制度に付きまして種々の改革を行つたことであります、即ち家督相續制度の廢止に伴ひまして、全面的に分割相續制度を採用致しました、大體は從來の遺産相續制度に依りまするが、兄弟姉妹も相續人に加へ、配偶者は常に相續人となるものとし、配偶者の相續分に付きましては、特別の措置を講じまして、且遺留分の定め方に付きましても若干の變更を加へました次第であります、是が本法律案の大要であります、次に日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案の提案理由を御説明申上げます、日本國憲法及び裁判所法の制定に依りまして、裁判機構に著しい改革が齎されたのでありまするが、之に即應致しまして、現行民事訴訟法に所要の改正を加へる必要があるのであります、併しながら日本國憲法實施の上は、訴訟に關する手續に付きましては、最高裁判所が規則を定める權限を有することとなつて居りまするので、民事訴訟に關する手續中法律に依るものと最高裁判所の規則に依るものとの調整を圖ることが肝要であります、之が爲には最高裁判所發足後、最高裁判所と愼重協議することが望ましいのであります、其の他諸般の事情に鑑みまして、此の度は民事訴訟法自體の全面的改正を差控へまして、日本國憲法及び裁判所法の施行上必要已むを得ない部分に限りまして、本法に對する應急的措置を講ずることと致した次第であります、是が本法案を提出した趣旨であります、尚此の趣旨に照しまして、本法案に付きましては、其の有效期間を限りまして、應急的措置であることを明かにすると共に、其の期間内に新しい國會に於て民事訴訟法の全面的改正の審議を煩はすことと致したい所存であります、以下本案の要點に付きまして御説明申上げます、先づ第一に、民事訴訟法の適用に付きまして日本國憲法及び裁判所法の制定の趣旨に適合するやうに之を解釋せなければならぬと云ふ旨の規定を設けたのであります、第二には、上訴の制度に付きまして、新しい裁判機構に即應致しまする規定を設けたことであります、既に裁判所法に於きまして簡易裁判所の事件に對する上告は、高等裁判所の權限に屬するものと定められましたが、最高裁判所を違憲の判斷に關する終審裁判所とする日本國憲法の精神に鑑みまして、高等裁判所が上告審としてした判決に付きましては、其の判決に於て示した法律、命令、規則又は處分が違憲であるかどうかの判斷が不當であるとする時には、更に此の點に付きまして最高裁判所の判斷を受け得ることと致して居ります、不服申立の方法のない決定及び命令に付きましても、同樣の途を拓いたのであります、第三には、行政廳の違法な處分の取消又は變更を求める訴の出訴期間を定めたこと等であります、以上を以ちまして本法案の説明の大體を申上げた次第であります、次に日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案の提案理由を御説明申上げます、新憲法第三章に於きましては、基本的人權の尊重に關する諸種の新しい規定が設けられて居ります、其の第三十一條以下數條は、刑事手續に關しまする規定であるのでありまするが、此の規定を實施致しまする爲には、現行刑事訴訟法に相當廣範圍の改正を加へなければならないばかりでなく、更に裁判所法及び檢察廳法の制定、民法の改正等に伴ひまして之が改正を要しまする部分も亦少くないのであります、從ひまして政府に於きましては、過般來臨時法制調査會の答申に基きまして、現行刑事訴訟法を全面的に改正すべく、之が立案に鋭意努力を致して參りました、組織法たる裁判所法案及び檢察廳法案に引續き御審議を願ふ豫定でありました處、諸般の準備に多大の日時を要しまして、其の他色々の事情に鑑みまして、茲に從來の方針を改めまして、新憲法の施行上最小限度に必要な規定のみを選びまして、而も其の大綱のみを掲げて本應急措置法を立案致しました、以て近く現行刑事訴訟法の全面的改正迄の應急的措置を講することと致したのであります、從ひまして本法案に付きましては、其の有效期間を限り、應急的措置であることを明かに致したのであります、以下本法案の要點を申上げますと、先づ第一に、公訴提起前、即ち搜査の段階に於きましても、辯護人を認めることと致しまして、又貧困其の他の事由に因りまして、辯護人を依頼することの出來ない被告人の爲には、其の請求に依りまして、國で辯護人を附することに致したのであります、第二に、搜査機關の權限に付きまして所要の改正を加へましたのであります、第三に、豫審を行はないことと致しましたこと、是は現在の豫審が非公開の手續であり、實際上長期間を要すること等の爲、憲法の規定致しまする迅速な公開裁判の趣旨を徹底せしめむとするものであります、第四に、事實の誤認、刑の量定不當等の理由に因る上告を廢止致しまして、且上告審では事實の審理を行はないことと致しまして、以て上告審の法律審としての性格を明かにしたことであります、第五に、特別上告及び特別抗告の制度を設けたことであります、是は憲法第八十一條に依りまして、最高裁判所が終審として憲法の解釋に付決定權を有することになつたことに因るのであります、以上御説明申上げました通り、本法案の内容は極めて簡單であり、現在の刑事訴訟法と稍稍性質を異に致しまする規定もありまするので、之が適用に付解釋上相當困難な問題も生ずると思はれまするが、重要な點は、略略列擧致してありまするので、憲法、裁判所法及び檢察廳法の制定の趣旨に則りまして、裁判官竝に搜査官の健全なる常識に依つて是が圓滿に運用せられることを期待致し、第二條に於て特に其の趣旨を明かに致したのであります、以上で三法案の説明を終ります、何卒愼重御審議の上速かに御協贊を賜らむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=58
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059・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 質疑の通告がございました、我妻榮君
〔我妻榮君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=59
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060・我妻榮
○我妻榮君 只今上程されました三つの應急的措置に關する法律案の中で、民法の應急的措置に関する法律案に付て質問致したいと思ひます、此の「日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案」は、僅か十箇條の應急的立法でありますが、其の内容は、只今の司法大臣の御説明でも分りますやうに、民法の親族、相續兩編數百箇條の殆ど全部に亙り、而も根本的に變更するものであります、殊に其の第三條と第七條は、從來我が國の家族制度の中心と言はれた家、戸主、家督相續と云ふ一連の法律制度を全面的に廢止せむとするものであります、斯かる廣汎な内容を僅か十箇條の法律で片付けますことは恐らくは前例のない大膽不敵な立法とも言ふべきものであらうと存ぜられます、其の解釋運用に當つては疑義百出の惧れがあります、立法の技術として極めて當を失したものと言はなければなりませぬ、斯樣な立法をしなければならない萬已むを得ない事情を存在しますことは、只今の司法大臣の御説明で一應了承致しました、併しそれならばそれで、之を斷行するには政府に餘程しつかりした確信がなければ、啻に立法の目的を達し得ないばかりでなく、國民生活をして混亂に陷らしむる惧れがあると存じます、就きまして、私は本法案の解釋運用に關する疑問などは一切委員會に讓りまして、根本に横たはる二つの點に付て政府の所信を御尋ね致したいと思ふのであります、質問の第一點は、政府は此の法案と新憲法の趣旨、殊に其の第二十四條との關係を如何に解釋して居られるかと云ふのでありまして、吉田内閣總理大臣、金森國務大臣及び木村司法大臣に對するものであります、質問の第二點は、政府は此の改正と我が國の淳風美俗乃至は家族制度倫理との關係を如何に考へて居らるるかと云ふのでありまして、高橋文部大臣に對するものであります、會期の殘り少くなつた今日甚だ御迷惑なことだと思ひますけれども、事の重大性に鑑みまして、皆さんの御許を願ひながら以下聊か所見を述べて質問の趣旨を明かにしたいと存じます、先づ質問の第一として、政府は此の法案と新憲法の趣旨、殊に其の第二十四條との關係を如何に解釋して居らるるかと云ふ甚だ空々しいやうな質問を致しますことには特別の理由があるのであります、それは昨年の議會に於ける貴衆兩院の憲法審議の際に、屡屡家族制度はどうなるかと云ふ論議が爲されました時に、政府の答辯が一貫しなかつたことであります、試みに速記録から多少の引用を致します、衆議院の委員會に於て吉田内閣總理大臣は家族制度、家督相續等日本の固有の美風良俗は適當に改廢するが、戸主權、家督相續等の否認は致しませぬと申され、金森國務大臣は、戸主權とか親權とか云ふものが直ちになくなるとの前提は執つて居りませぬと明言せられて居ります、殊に注目すべきは芦田委員長の衆議院の本會議に於ける報告であります、其處では、個人の尊嚴と兩性の本質的平等とに立脚して財産權、相續權、戸主權其の他家族に關する事項を吟再味する場合には、我が國固有の家族制度の運命はどうなるかと云ふ質疑がありました、此の點に付て政府は、草案に定める趣旨は必ずしも從來の家督相續、戸主權、離婚の請求權等を一掃すると云ふ趣旨ではなくて、家族生活は常に其の中心を必要とするのであるから、勢ひ戸主の地位には強力な男子を据えて家を繼がせることとしたいとの意向を明白にしたのでありますと述べて居られます、是は本案とは正に反對の思想であります、尤も私は速記録を通覽致しました處では、是程露骨に男子中心主義を述べた大臣の答辯は發見し得ませぬでした、併し委員長が斯樣に報告され、議員諸君が之に滿足されたと云ふ事實は無視し得ない重大な事であると存ずるのであります、然るに貴族院の特別委員會に於ける木村司法大臣の答辯は全く調子が變つて參りました、即ち二十四條の結果、戸主を中心とする家族制度と云ふものはなくなる、從つて民法の所謂戸主、家族、あの章はなくなるものと確信して疑ひませぬと迄明言して居られます、又金森國務大臣も此處ではそれに連れて、從來のやうな所謂戸主と云ふ中心はなくなるだらうと思ひます、是は所謂封建的色彩が濃厚であると云ふ理由の下に從來批判されて居つたのであります、此の戸主中心主義の家族と云ふものはなくなるだらうと思ひますと述べて居られます、之に依つて見ますと、政府の考が一貫して居ないと云ふことは歴然たる事實だと思ふのであります、斯く申しましても、私は徒に大臣の答辯の揚足を取らうとして居るのでありませぬ、過去の御考、過去の御發言を追求せむとする者でもありませぬ、今日只今此の法案を上程されるに當つて、政府として如何なる確信に到達して居らるるかと云ふことを承らうとするのであります、私の信ずる所に依りますと、家族生活の民主化と云ふことは、兩性の本質的平等と、家族各員の尊嚴を確認した上でお互に人格を尊重し合ひ、長幼相敬愛し、同胞相協力することであります、私と雖も父母に孝に、兄弟に友に、夫婦相和すると云ふことが人倫の大本であり、家族協同生活の理想であることに聊かの疑念を有するものではありませぬ、唯其の孝行が親の權力と子の絶對的服從を基礎としたものであつてはならない、其の友愛が長男の特權を中心とする子供の間の差別的待過を基礎とするものであつてはならない、又其の和合が夫の支配と妻の服從を基礎とするものであつてはならない、法律的には何等支配被支配の關係のない平等な者の間に自ら釀し出される孝と友と和でなければならないと思ふのであります、然るに我が國の民法に依りますと、親には相當の支配權を認め、父親と母親との間に可なりの差異を認め、子供の間には男女長幼に依つて著しい差別待遇をなし、夫婦の間には著しい不平等を認めて居ります、のみならず家族協同體其のものを戸主と云ふ支配者を中心とし、家と云ふ法律的な枠で拘束される硬直な團體として、其の中に包容さるる家族員は、婚姻、縁組は固より、其の居住する場所を定めることさへ戸主の意に反しては之をなし得ないものとして居ります、誠に我が民法の想定する家族協同生活體が家父權的な支配團體であると云ふことは、否定し得ない専實であります、勿論此のことは直ちに我が國の現實の家族協同生活が冷酷なものであるとか、或は又家族員の地位が奴隷のやうなものであると云ふことを意味するのではありませぬ、
〔議長退席、副議長著席〕
絶大な權力を有する者が上に存在する場合でも、其の者が若し其の權力を道徳的に行使する時には、其の團體が温かい和やかなものとなり、各員の人格の向上することは當然であります、それは恰も專制政治必ずしも虐政ではないと云ふのと同樣であります、のみならず我が國の家族生活に於て、戸主、親、夫、長男などがそれぞれ民法に依つて與へられた權力を道徳的に行使し、温かい和やかな協同生活を實現して居る場合が壓倒的に多いと云ふことは、私も諸君と共に認める者であります、戸主權や親權の濫用、長男や夫の横暴と云ふ事實は全く例外的なものであることは私と雖も十分承知して居ります、併し私の言はむとすることは、家族協同生活を、權力者を中心とした支配被支配の關係として構成すること其のことが家族協同生活の理想から見て決して望ましいものではないと云ふことであります、戸主權、親權、夫權、長男の特權と云ふ諸々の權力を基礎として構成された家族協同生活は、假令温かいものであり、和やかなものであつても、決して理想的なものではないと云ふことであります、我が國の家族協同生活に於て、孝行、友愛、和合と云ふ人倫の大本が極めて美しく花咲いて居りますならば、之を法律的には全く平等な本質を認められ、何等支配被支配の關係の存在しない者の間に自ら釀し出された美徳とすることに依つて更に一層其の道徳的價値を高めることが出來る、斯くして初めて我が國の家族道徳を世界に誇るに足るものたらしめることが出來ると言ひたいのであります、斯くして私は新憲法第二十四條の趣旨を實現する爲には、單に男女の法律的平等を確立しただけでは足りない、單に横暴な戸主を抑制し、專横な夫を抑へるだけでは不十分である、進んで戸主權を廢止し、法律的な家の制度を廢除し、家督相續の特權を抹殺しなければならないとの確信に到達するのであります、換言すれば、本法案は憲法第二十四條の趣旨から見て、正になさねばならない民法の改正を表はしたものであると信ずるのであります、人々は往々此の度の民法の改正を目して、戰爭に敗れた爲に、心ならずもしなければならない仕事だとするやうであります、併しそれは明治維新後八十年、殊に民法制定後五十年の歴史を知らない者であります、明治維新後の三十年間に女子の身分上の自由が如何に擴張され、又家族員の地位が如何に向上したかを述べることは差控へませう、民法制定後五十年の歴史を顧みただけでも、そこに顯著な變遷が見られるのであります、就中二つの出來事が我々の注意を惹きます、一つは民法制定當時の論爭であり、二つは大正半ばの臨時法制審議會の要綱であります、現行の民法を制定致します際に、政府が一度作つた民法草案が、ヨーロツパの夫婦中心主義を採つて我が國の家族制度を無視するものだと云ふ強硬な反對論に遭遇し、一度挫折するの已むなきに至つたものであることは、皆樣の御承知のことと存じます、其の反對論の急先鋒穗積八束先生の主張された家族制度は、極めて徹底したものであります、即ち家は一箇の法人であつて、財産も榮譽も悉く家に歸屬する、個人の財産は殆ど認める必要はない、又戸主は家の代表者であつて、家族員を統率する唯一の權力者である、親の權利も、夫の權利も、之を認める必要はないと云ふ程のものでありました、八束博士は此の信念の下に、「民法出でて忠孝亡ぶ」と云ふモツトーを掲げて、政府案の排斥に努められたのであります、併し此の主張に對しては固より有力な反對論がありました、其の反對論の陣營に於ける驍將は梅謙次郎先生でありました、梅先生に依りますと、各人の平等を認め、自由を確立しなければ、我が國の經濟的發展も、社會的向上も望むことは出來ない、宜しく戸主權を廢止して親權だけとなし、家督相續を廢止して財産の均分相續を認むべしと云ふのであります、先生は、家族制度は封建の遺風なりと極言して居られるのであります、併し現行民法は結局兩派の主張の妥協に依つて成立致しました、一方では家、戸主權、家督相續等の制度を維持し、他方では親權、夫權を認め、又家族員の特有財産と其の均分的な遺産相續を認めたのであります、斯くの如く家、戸主、家督相續と云ふ一聯の制度は、既に民法制定の際に爭はれ、批判され、相當の調節を受けた所謂宿命的な制度であります、其の後、民法典は一方からは不當に家族制度を輕視すると攻撃され、他方からは舊套な家族制度に膠著すると非難されて參りました、併し民法學者の主流は次第に、現行の戸主を中心とする大家族制度を不可として、夫婦、親子を中心とする小家族制度に移行すべきであると主張するやうになりました、處が、此の民法學者の傾向に對して甚だしい不滿の念を抱く者が現はれました、それは教育者であります、即ち大正六年に内閣に設置された臨時教育會議は、民法を目して、家族制度を輕視するもの、我が國固有の淳風美俗に合はないものとの刻印を捺して、政府に對して其の改正を建議したのであります、政府は之に應へて、大正八年に臨時法制審議會を設置し、「民法の中で我が國固有の淳風美俗に合はない點を檢討して、其の改正の要綱を答へよ」と云ふ諮問を致しました、此の答申は民法親族編及び相續編の改正要綱として、大正の末年から公にされて居ります、此の改正要綱こそ我が國の家族制度の内容を考へる上に於て最も重要なものでなければなりませぬ、何故ならば、我が國朝野の權威を集めた審議會が、民法の規定を我が國固有の淳風美俗たる家族制度に適合させやうと云ふ使命を帶びて作成したものだからであります、然らば此の改正要綱は、民法の中に更に男子の優位を認め、戸主權を一層鞏固にし、家督相續の特異性を更に強化せむとするものでありませうか、否、さうではないのであります、要綱を貫く最も大きな特色は男女の平等への努力であります、即ち妻の能力を擴張し、母の親權を父の親權に近づけ、夫にも或程度の貞操義務を認め、妻の相續權を強化せむとして居ります、第二に、戸主權に向つて重大な調整を加へて居ります、即ち戸主の居所指定權を廢止し、婚姻縁組に對する同意權を調節し、家族員に對して分家の自由を認め、著しい非行ある戸主を廢止する制度をも認めやうとして居るのであります、第三に、家督相續の特異性を制限して居ります、即ち戸主は必ずしも男子たることを必要としないと云ふ思想を一層明かにして、嫡出の女子の家督相續順位を庶男子の上に置いて居ります、又家督相續に於ても、家の財産は、生存配偶者と次男以下の總ての子供に然るベく分配すべきものとして居るのであります、是等の諸點は總て只今上程された此の法案と全く其の方向を一にして居るものであります、斯樣に此の法案が、我が國の家族制度を淳風美俗に適合させやうと云ふ使命を帶びて、臨時法制審議會が作成した民法改正の要綱と、其の方向を一にして居ると云ふ事實こそ、本法案が決して、敗戰の結果、心ならずも爲す、あらぬ方向への改正ではないと云ふことを、最も雄辯に物語つて居るものでなくて何でありませうか、併しながら法律の改正は漸を追うて進むべきものであります、假令理想的方向に向つた改正でも、餘りに急激な改革は、社會の實際生活をして之に順應させることが出來ませぬ、却て社會の混亂を導くものでありますことは、法律學徒として私の固より熟知して居る所であります、又此の法案が憲法第二十四條の趣旨に適合するものであり、明治以來の我が國の法律的な家族制度の變遷の流れに從つたものであり、且又臨時法制審議會の所謂我が國固有の淳風美俗と方向を一にするものであるに致しましても、其の一大躍進であることは何等疑ない所であります、或は聊か急激に過ぎる點さへなきにしもあらずと、私と雖も竊に憂へないではありませぬ、併し新憲法が既に制定され、其の掲げる大理想の實現に向つて我等一同全力を擧げて努力しなければならない今日となつては、多少の急進的改革も之を斷行せむとする覺悟を以て邁進することこそ、正に我等の任務であらうと信ずるのであります、斯樣に國民一同が一大勇猛心を以て當らねばならない民法の改正に際して、其の指導的地位にある政府に若し萬一にも、唯何となく舊來の制度に愛著を感じ、出來るだけ其の改正を少くしたいと云ふやうな氣持があつたり、或は又臨時法制調査會が答申したことだから已むを得ずそれに從ふのだと云ふやうな消極的な態度があつては、此の一大改革は決して其の目的を達することは出來ませぬ、社會生活の混亂を生ずることさへ或は保し難いかも知れませぬ、是れ私が憲法審議の際に於ける吉田、金森、木村三大臣の答辯の一貫しないことに付て、深甚の憂慮を禁じ得ない所以であります、さうして政府は此の法案を新憲法の趣旨、殊に第二十四條との關係を如何に解釋して居られるかと云ふ質問を掲げて、吉田、金森、木村三大臣の率直な御考を伺はむとする所以であります、次に質問の第二に移ります、それは政府は、此の改正と我が國の淳風美俗乃至は家族制度、倫理との關係を如何に考へて居られるかと云ふ、高橋文部大臣に對するものであります、此は先程から家族生活の民主化と云ふことは、兩性の本質的平等と家族各員の尊嚴を確認した上で、御互ひに人格を尊重し合ひ、長幼相敬愛し、同胞相協力することだと申しました、然るに此の法案に依る民法の改正は、兩性の本質的平等と家族員の尊嚴の確認と云ふ、家族生活の民主化の謂はば消極面は徹底的に之を實現して居ります、然るに其の上に於ける相互の尊重、敬愛、協力と云ふ、謂はば其の積極面に付ては、何等の規定を致して居りませぬ、何故でありませうか、それは專ら教育に委ぬべき事柄だからだと存じます、元來法律は權力を取除き、支配、被支配の關係を打破し、各個人を平等の立場に置くだけの力は持つて居ります、併し其の平等な者をして、互ひに敬愛し、互ひに協力させることに付ては、殆ど無力なものであります、此の部分こそ正に教育の擔當すべき獨壇場であります、然らば此の法案は憲法第二十四條の理想の實現と云ふ目的に向つて、單に其の消極面を實現して居るだけであります、其の積極面を擔當する教育の協力を得なければ、斷じて其の目的を達成し得ないものだと言はねばなりませぬ、貴衆兩院の憲法審議の際に於ける家族制度の論議を拜見致しますと、總ての議員と各大臣とを通じて、一つの共通な思想が表明されて居ります、それは、父母に孝、兄弟に友、夫婦相和すと云ふ我が國の家族倫理は、我が國の道徳の基礎として之を維持、昂揚しなければならないと云ふ御考であります、意見の相違を生じましたのは、此の理想の實現の手段として憲法に何等かの規定が必要かどうか、民法の特定の制度が維持されねばならぬかどうかと云ふ點であります、而も其の點の意見の相違にも拘らず、總ての人は、何れにしてもそこに教育の重大な任務の存することに付ては、意見は全く一致して居られたのであります、又當院の憲法審議の最後の階段に於て、牧野委員から「家族生活はこれを尊重する」と云ふ一項を挿入しやうとする提案が爲されて、過半數の贊成者を得たことは御承知の通りであります、私は其の修正案には反對致しました、併しそれは、左樣な條項を憲法に挿入することを必要なしと考へたからであります、決して家族生活は之を尊重すると云ふ理想に反對するからではありませぬ、唯其の理想は教育の力に依つて實現せらるべきものと信じたからであります、私と同樣に修正案に反對された百三十四人の議員諸君も、恐らくは一人殘らずさう御考へになつて居ることと信じます、然らば貴衆兩院を通じて、全議員は、家族倫理の昂揚を希望し、其の爲に教育の極めて必要なものであることを主張し續けて來たと言はねばなりませぬ、文教の責任者たる文部大臣は、先づ此の負荷の大任を十分に意識されなければならないと存じます、從來教育者は、家族倫理を昂揚すると云ふ其の重大な任務の遂行に當つて、兎もすると家、戸主權、家督相續と云ふ特定の制度に拘泥し、是等の法律制度を固持することを以て直ちに家族倫理の發揮なりと爲し、家族道徳の向上なりと考へる嫌ひがありました、先程述べた臨時教育會議の建議にも其の傾向が多分に見えるのであります、先づ其の建議が我が國固有の淳風美俗となす所のものは、極めて倫理的なものであります、建議の一節を御紹介致します、「およそ長上を敬し、禮儀を崇び、上下の秩序を維持し、忠孝節義を重んじ、自ら持するや儉素廉潔にして、專ら質實剛健の風を尚び、貴賤貧富の間、相與みするに情と誼とを以てし、相恕し、相讓り、一國は一家の如く、一國の藹氣大和民族の地盤に漲りしは、是れ古來我國に於ける淳風美俗の状景なり」、是が建議に所謂我が國古來の淳風美俗であります、然るに此の建議は、斯樣な崇高な道徳を發揮する爲には法律上の家族制度を鞏固にしなければならないと簡單に結論しながら、次のやうに述べるのであります、「諸般の法令に於て、我が國の家族制度と相矛盾するの條項著しきものあり、教育に於ては家族制度を尊重し、立法に在りては之を輕視するが如きは、撞著の甚しきものと謂はざるべからず」、さうして民法の改正を迫つて居るのであります、併し倫理的な淳風美俗と法律的な家族制度とが、其の時代に於て果して一致するかどうかは、愼重に吟味すべきことでなければなりませぬ、之を怠つて、特定の法律制度の應援なくしては教育の效果を擧げ得ないとするのは、教育の獨自性の忘却であります、而も此の建議の結果出來上つた臨時法制審議會の民法改正要綱が、決して法律的な家族制度の強化でなかつたことは、前に申述ベた通りであります、教育の大方針を定めるに當つて、特定の法律制度に依存することは、嚴に愼しむべきことであると信じます、殊に現在のやうな大變革期に際會しましては、教育の方針を決定し、道徳の具體的な内容を定めることは、最も愼重でなければなりませぬ、私は先程來父母に孝、兄弟に友、夫婦相和すると云ふことを以て、人倫の大木、道義の基礎と申して參りました、併し此の動かすべからざる眞理の下に於ても、何を以て孝と爲し、何を以て友と爲し、又何を以て和と爲すかと云ふ具體的内容に至つては、時代と共に變らなければならないものと存ずるのであります、先日當院で議決されました教育基本法には、普遍的にして而も個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底すべしと申されて居ります、私は此の「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化」と云ふ含蓄ある立言に深甚の敬意を表する者であります、我が國の傳統的な家族協同生活の中に育てられて來た固有の淳風美俗は、正に此の教育基本法に所謂「個性ゆたかな文化」の内容を成すものでなければなりますまい、と同時に此の固有の淳風美俗は、又そこに所謂「普遍的」なものに通ずるやうに、其の具體的内容に於て不斷に醇化されなければならないものと信ずるのであります、斯くして私は此の民法の改正と彼の教育基本法とを、正に一體を成すものとして、文部大臣の一大覺悟を要望して已まない者であります、最後に此の應急措置法の形式に關聯して更に一言申述べたいことがあります、過日民法改正の要綱が發表されました時に、世上に多くの誤解が生じました、要綱は現行法の改むべき點を端的に指摘致しますので、例へば民法上の家を廢止することとか、成年の子の婚姻には親の同意を要せざるものとすることとか、或は又姦通は之を罰せざるものとすることと云ふやうな立言を致します、從つて兎もすると、貞操を守る必要がなくなるのだ、妻を選ぶ場合には親に楯突け、親子共同生活はもう廢めになるのだと言つて居るかのやうな誤解を生じ易いのであります、其のことは本議院に於ても牧野委員から適切に指摘された通りであります、併し私は其の當時考へました、要綱はさう書いても、法律にさう書くのではない、法律では家に關する規定、婚姻には親の同意を要すると云ふ規定、又は姦通を處罰すると云ふ規定などが削除されるだけなのだ、だから法律となつてしまへば、それ程の誤解も生じまいと、處が、此の應急措置法は、戸主、家族其の他家に關する規定は之を適用しない、成年者の婚姻等々に付ては父母の同意を要しないと云ふ表現をして居ります、誤解を生ずる虞あること、正に要綱と同樣であります、應急措置法としては是も誠に已むを得ない所であらうと察します、併し因つて生ずる誤解は、已むを得ないでは濟ますことは出來ませぬ、當局は全力を擧げて、此の法律の正しき趣旨の徹底に、萬全の處置を講ぜられむことを希望するのでありますが、取分け文部當局が、特に其の點に留意して最善の努力を傾けられむことを願つて已まないのであります、要するに此の民法應急措置法案は、文教の責任者たる文部大臣に於て、斯かる法律制度を前提として、普遍的にして而も個性豐かな我が國の家族倫理の昂揚を十分にやつて行けると云ふ信念を御持ち下さると同時に、之に向つて不斷の努力を重ねやうとする決意を御持ち下さらない以上、其の豫定する積極的な半面を缺くものであります、啻に立法の目的を達し得ないだけでなく、却て誤解に基く家族協同生活の紊亂頽廢さへも生じ兼ねないものであります、過日本院に於て、山本勇造議員が、教育費の豫算に關聯しまして、謂はば人はパンのみに依つて生くるものにあらずと強調されたのに對して、文相は、人はパンなくして生くるものにあらずとの半面を強調されました、流石に經濟學者であられる文相の大地に足を据ゑた態度には、敬意を表するに吝ならざるものであります、併し家族協同生活には、教育行政の運營とは又自ら異る面もありませう、目下我が國の家族協同生活は窮乏のどん底に追込まれて居ります、之に向つて豐かな食を與へることは、正に政府當局の緊急の任務であることは固より申す迄もありませぬ、併しさればとて家族協同生活に於ても、先づ食を與へることが第一だ、倫理の昂揚はそれからのことだとすることは出來ますまい、否、家貧しうして孝子現はると云ふこともあります、乏しき家族協同生活の中に、一椀の飯を分け合つて食べ、一片のベーコンを千切つて分ち合ふ所に、却て家族制度倫理を昂揚し、淳風美俗を發揮する契機を捉へることも出來るのではなからうかと思ふのであります、兎もあれ、私は一介の法律學徒として、總ての法律制度は教育の力を俟たなければ、決して其の效果を完うし得ないものであることを痛感して參つた者であります、殊に其の專攻する家族制度に關しては、教育の力を俟たない以上、法律は結局死んだ制度に外ならないことを主張し續けて來た者であります、今此の家族協同生活に關する法律制度を根本的に改正しやうとする本案の上程されるに當り、此の法律が健全に育ち、其の負はされたる重大な任務を遺憾なく遂行し得る爲には、生みの親たる司法大臣よりも、寧ろ文部大臣が育ての親となつて之を養育して下さることを切望せざるを得ないのであります、衷情を披瀝して高橋文部大臣の所信を御尋ねする所以であります(拍手)
〔國務大臣木村篤太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=60
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061・木村篤太郎
○國務大臣(木村篤太郎君) 我妻君の御質問に對して御答へ致します、本法案は提案理由説明の際にも申上げました通り、我が現行民法の全面的改正に至る迄の暫定的措置として已むを得ず作成したものであります、併しながら政府は此の程度の措置を講じない限りは、所謂憲法第二十四條の基本原則を完全に實現することが出來ないと云ふことを確信して疑はないのであります、要するに憲法二十四條の基本原則を實現する最小限度の應急措置として本法案を作成したものであります、併しながら此の應急的法律に依りまして、我が國古來の家族制度と云ふものは、全然廢止に至るものとは政府は考へて居ないのであります、申す迄もなく、我が國の家族制度と云ふものは、現行民法の下に於ては戸主中心のものでありまするが、併しながら現行民法施行以前に於きまする所謂連綿として盡きない、日本の所謂家族制度と申しますると、決して戸主中心のもので必ずしもあつたとは言へないのであります、要するに親子、夫婦、兄弟が相倚り相扶け、祖先の祭祀を守つて互に敬愛して行くと云ふ、其の淳風美俗を基礎とする家族制度と云ふものは、現行民法施行前から連綿として續いて居つたのであります、從ひまして此の法案が實施されるに至つた曉に於きましても、此の日本古來の淳風美俗でありまする家族制度と云ふものは、毛頭廢止さるべきものでないと私は確信して疑はないのであります、要は戸主を中心とする家族制度が、此の本法案實施の曉に於ては廢止されると云ふ運命になつたのであります、而して此の戸主中心の家族制度は、結局は憲法二十四條の基本原則に幾多牴觸する所があることは疑ひを容れないのであります、此の二十四條の基本原則を實施する以上は、已むを得ず本法案に依つて之を廢止すると云ふことに相成つた譯であります、而して事茲に至りましたのは、臨時法制調査會、司法制度審議會の其の答申を考慮致しまして、有らゆる觀點から考へまして、本法案を作成致した次第であるのでありまして、政府と致しましては、是は憲法第二十四條の基本原則を實施する上に於て、已むを得ざるものとして處置を執つたと云ふことに相成つたことを御了解願ひたいのであります
〔國務大臣金森徳次郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=61
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062・金森徳次郎
○國務大臣(金森徳次郎君) 我妻君の御質疑になつて居りまする通り、私が憲法が本院等に於て審議せられて居りまする間に、憲法二十四條の結果として、日本の家族制度に關しまする法律制度が如何に定めらるベきかと云ふ點に付きまして、相當幅廣き言葉を以て御説明を致して居りました、其の後の研究の結果に依りましても、尚幅廣き言葉を以て考ふる餘地はあると信じて居ります、それは憲法の目から見た考へ方であります、而して他面此の民法の目から之を見た時にどう云ふことになるかと言へば、少くとも憲法二十四條に合せまする爲に、現行制度に於けるが如き戸主を中心とする家族制度に付きましては、根本的なる變改を加へなければならぬと云ふことになりまするので、其の雙方を考へ合せまして、今提案されて居るが如き、家族制度に關する暫定の措置と云ふものは、憲法施行上缺くべからざる線に存在するものと考へて居ります、唯現實の個々の制度が如何に定つて行くべきものであるかと云ふ點に付きましては、今後の色々な角度からしての、多くの議論に從つて正しき途が發見せられて行くものと考へて居ります、之を一言にして盡しますれば、今囘の改正は憲法二十四條の結果、必然的に必要なる線に於て存するものであると云ふことでございます
〔國務大臣高橋誠一郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=62
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063・高橋誠一郎
○國務大臣(高橋誠一郎君) 新憲法の實施に伴ひまして、民法の改正が行はれ、從來の家の制度が廢止せられやうとして居りまするが、法制上の家族制度が如何に相成りましても、新時代に即しました所の家族制度は飽く迄も之を維持昂揚しなければならぬと考へて居ります、教育家の中には先程御話のございましたやうに、往々法制的な家族制度を維持しなければ國民道徳を向上させ得ないと考へる者があると云ふことでありまするが、若し果して斯くの如き者があると致しまするならば、是は大なる誤りであると申さなければならぬと考へるのであります、元來我が國の麗はしい家族制度は法律の制定、改廢に依りまして、何等變ることなく、今日も我が國の生活の基盤を成して居るのであります、寧ろ民法上の家の規定は現實の生活に甚だそぐはないものであつたとも言ふことが出來ると考へられるのであります、今日民法が改正されむとするに當りまして、文部省と致しましては、教育上此の點に特に留意致しまして、我が國の固有の淳風美俗は益益向上維持を圖りたいと存じて居るのでございます、曩に御協贊を得ました教育基本法に明示せられましたやうに、今後の新しい教育は個人の尊嚴を重んじ、人格の完成を目指し、以て民主的平和的な國家を建設せむとするものでありまして、今日の民法の改正と基調を同じうして居るものであると考へます、從つて家族倫理の昂揚も右の線に沿ひまして、我が國の社會一般に殘存する封建的因襲を矯め、家の倫理に付きましても單に淳風美俗を無批判的に維持して行くのではなく、新しい夫婦、親子の倫理に基く國民道徳の昂揚を、國民生活の現實に即して行はうとするものでなければならないと考へるのであります、此の爲教育の負ふべき任務は實に重大でありまして、文部省に於きましては學校教育、社會教育を通じて大いに努力したいと考へて居るのであります、願はくば先程御話のありました所の、賢明なる育ての親たる任務を果したいと念願して居るのであります、殊に徳教は耳より入らずして目より入ると稱せられて居るのでありますが、家庭教育の振興を圖りまするが爲に、兩親學級の奬勵を致しまして、又學校教育に於きましては新たに設けられまする所の社會科、及び家庭科に於きまして、此の問題を取扱ひ、從來よりも一層廣い立場から家庭及び社會生活の進展に力を致す所の態度と能力とを養成しやうとして居るのであります、尚本改正案は臨時措置の性質上誤解を招く點もあると見られまするので、教育上に當りましては此の點十分に留意致しまして、家庭生活に新しい生命を吹込み、今後の我が國社會生活の正しい發展に資したいと考へて居るのであります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=63
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064・我妻榮
○我妻榮君 簡單でありますから、此處から御許しを願ひたいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=64
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065・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=65
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066・我妻榮
○我妻榮君 高橋文部大臣の御懇篤な御答と、又私の希望を致しましたやうな御決意を御示し下さいましたことに對して感謝の意を表します、又木村司法大臣、金森國務大臣兩大臣の御答辯にも一應了承致します、吉田内閣總理大臣の御答辯を得られないことは遺憾でありますが、御差支があるさうでありますから私の質問は是で打切ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=66
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067・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました、日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案外二件は、檢察廳法案外四件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=67
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068・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=68
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069・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=69
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070・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=70
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071・松尾國松
○松尾國松君 此の際主食糧の配給確保に付て質問の動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=71
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072・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 只今の松尾君の緊急質疑をなすの動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=72
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073・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、松尾國松君
〔松尾國松君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=73
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074・松尾國松
○松尾國松君 私は主食糧の配給の確保に付て質問を致したいと存じます、それは主食糧の配給を確實にすると云ふことであります、時間の關係と時間を節約する爲に簡明率直に御尋を致します、從つて用語の不十分な點がありますれば御寛恕を御願ひ致したいと思ひます、私が實は此の質問を致しまするのは、大消費地の生活の實情竝にそれぞれの‥‥私は實は現實を時々調べて歩く者であります、それ等の人の述ぶることを聞きまして、同情と憂慮に堪へぬ者であります、最近に於て闇の取締を励行せらるるのでありますが、是は統制經濟に違反する者を取締られることは尤もなことであります、其の點に付ては寧ろ政府の励行を希望し、多とする者であります、併しながら此の取締に付ては、私は配給を確保すると云ふ前提を必要とするものであると存じます、取締と配給とが竝行しないと云ふことになりますれば、そこに於て非常なる不安と憂慮を生ずることは申上げる迄もないことであります、然るに現實に於ては、取締の一面に於ては闇の物價が騰る、斯う云ふことは私が申す迄もなく皆樣御承知の通りであります、殊に最近に於きまして取締の結果はどうであるかと申すと、闇の値は段々段々高くなります、而して闇の取締、それは結構です、然らば其の生活する物がないと云ふことを、此の窮境を如何にするかと斯う云ふことであります、私は先日電車脱線の事故のあつた新聞の記事を讀みました、中には不心得な儲け主義の闇もあるでありませう、併しながら老幼の婦女子が、あの新聞記事を見て誰か同情の涙なき者があるでありませうか、斯う云ふ點に於ては私は申す迄もなく政府當局は能く承知をして居らるる筈であると存じます、殊に最近に於ける缺配、遲配に付ては、働く所の、殊に子女を多く抱へた、私は電車の中で毎日其の悲話を聽いて堪へられぬのであります、殊に私に向つてあなたは議會に行くが、何をして居るのであるかと云ふことを度々聽くのであります、恐らく私一人ぢやないと存じます、又當局のそれぞれ大臣を初め、關係の人も私が申す迄もなく能く御承知だと思ひます、私は一々申しませぬが、斯う云ふ事柄に付きまして、殊に子供のある方々等の困難と云ふものは實に口に申すに堪へぬと存じます、處が、一面に於て農家の實情はどうであるかと云ふと、是は新聞で御承知の通り、農家の中にもそれは心得違ひの者もあります、ありまするが、其の大部分は自己の食糧の不足を忍んで出して居ります、現に私の承知した所でも、私の所へ涙を流して來て居る、自分の食糧の不足を忍んで出しますと斯う云ふやうにして來て居る、農家の中には少數の心得違ひもあるでせう、併しながら大部分の農家と云ふ者は自己の保有米を割いて、涙を流して出して居ります、此の心理状態から考へますれば、大消費地に於けるそれぞれの消費者に向つて、政府が計畫して居らるる所の物を與へると云ふことは政府の責任であらうと私は思ひます、斯う云ふ點に付ては彼此申す迄もないのでありまするが、皆樣御承知で、私は實は質問せざるを得ぬ、同情と憂慮に堪へぬ、其の憂慮は何ぞやと申しますれば、此の成りで若し推したならば、此の食糧難、それに關する思想の動搖を如何に致しまするか、私は此の點に付て憂慮に堪へぬ者であります、殊に今日の新聞を見ると、吉田總理大臣は、食糧供出に付ては百十パーセント、要するに一割は供出を増加せしむると云ふやうな意味に私は新聞を取つたのであります、これは結構であります、結構でありますが、それと同時に我々農家で出すものは、農民の心理は是程に困難して出すから、大消費地の者をそれ程困難せしむると云ふのは何であるかと云ふことを申します、斯く言ふ松尾も農家としてそれを申します、それは私が申上げぬでもそれぞれ、農林大臣は殊に政治家であり、能く御承知のことであると存じますが、併しながら如何に知つて居つても此の現實を克服し、配給を實行しなければ不安と憂慮は除くことは出來ぬと存じます、殊に常識的のことでありまするが、政府の努力、大部分農民の良心、此の二つが合ひまして豫定數量の七十五迄供出が出來て居ります、今に八十にならむとして居ります、然るに一面に於ては米穀年度は十二分の五であります、それでありますから、米穀年度の經過から申せば四割六七分になつて、十分の四五であります、然るに供出の方で言ふと十分の七・五と言ひ得るのであります、さうすれば配給が遲れる筈はないのであります、併し其の遲れると云ふ理由に付て本員も知らないことはないのでありますが、併しながら如何に知つて居つても、是は配給をしなければ消費者の苦痛と困難を如何にせむと云ふ現實に直面致して居ることは申上げる迄もないことであります、それでありまするから、私はさう云ふ意味で御尋ねするのであるが、要は必ずしも私から申せば米でなくてならぬと申すのではない、又麥でなくてならぬと申すのではない、雜穀總ての物を考へて、此の遲配、缺配を無くして、豫定通り與へなければ憂慮すべきことがあると存ずるのであります、殊に是は運輸大臣の關係があります、と云ふのは、之を輸送しなければ配給が出來ぬと、斯う云ふことになります、是は私が申す迄もなく、今日は關聯して居ります、有機的に關聯性を持つて居ります、増田運輸大臣は新聞の報ずる所に依りますれば、非常に北海道に於ても實施を見、色々な經濟上の問題でも努力されたことを新聞で見て居るのであります、さう云ふ現實を能く知つて居る所謂玄人の大臣ならば、之を輸送するに於て定めて良い考案があると存じます、どうか農林大臣に於かれましても我々を通して國民が安心する率直なる御意見を承りたいのであります、而して是は先程申したやうに、取締と相俟つて此の食糧の配給を實施する、斯う云ふ方法で實施すると云ふ國民、大消費地の者竝に供出をした所の農民も成る程それならばと云ふ安心をする率直なる御答辯が御願ひしたい、又運輸大臣には今日差支が御ありになると云ふことならば、明日でも宜しうございます、如何なる方法を以て此の主食糧を運搬し、而して配給を可能ならしむるやうにするか、斯う云ふ點に於て是も率直なる御答を御願ひして、要は兩大臣からの御答辯は、國民が成る程それならば安心であると云ふ意味の率直なる御答辯を希望します(拍手)
〔國務大臣木村小左衞門君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=74
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075・木村小左衞門
○國務大臣(木村小左衞門君) 松尾さんに御答を致します、御答を致します前に、一通り配給の今日に至りまする事情を簡單に申述べたいと存じます、是は誠に分り切つたことを申上げるやうで皆さんに對して甚だ失禮でございますけれども、順序と致しまして、一通り御聽きを願ひたいと思ひますのでございます、大體に我が國の主食が不足を致して居りますと云ふことは、是は申上げる迄もないことであります、主食、米、甘藷、麥、早場米のやうなものを入れましても、尚どつちに致しましても、千萬石以上の主食の不足を來すと云ふことは申上げる迄もなく御承知の如くであります、昨年は農林省の統計では五千八百萬石の産米があつたと見込みまして、ジー・エイチ・キウの方では六千二百萬石もあつたと云ふ御査定に相成つて居ります、又民間では色々な取沙汰がありまして、七千萬石を超過して居ると、斯う云ふやうな觀方もございます、何に致しましても、之を割付けます所の基本と云ふものは、其の正確な數字に據つて各産地へ割付けませぬことには、其の割付の不公平が起り、其の不公平が延いては供米の遲速に甚だしく關係致しますが、誠に遺憾極まることは、我が國の統計學が進歩致しまして居りませぬ關係上、正確な本當の數字を此處でちやんと押へると云ふことが出來ないのでありまして、已むを得ず農林當局が査定致しました五千八百萬石を基本と致しまして供米を割付けて居るのであります、それは三千八百萬石を割付けて居るのであります、此の供米の方法に付きましても、私は新任の者でありまして、從來の成行も餘り詳しくは能く存じませぬけれども、局に當つて能く之を探究致して見ますと云ふと、誠に不備な杜撰な供米の割付の方法であります、併しながら、是は是迄の成行と致しまして、段々遡つて之を研究して見ましても、どうも已むを得ない、斯う云ふことの方法になつて居りはしないかと思はれます、衆議院の方でも、最近には最も農村に關係の深い議員に所謂供米對策委員會のやうなものを作つて戴きまして、色々供米に於ける所の方法、數量、其の他を討議して貰つて居りますけれども、是迄はどうも今迄のやうな方法よりやり方がなかつたと思ひますが、既に是は兩三年やつて居りますので、どうしても茲に一つ供米、供出の根本に遡つた原則を變へて行く必要がありはしないかと私は考へて居ります、此の米穀年度から間に合へば其の點を理論的に追究して行き、又實際的に之を批判致して見て、もう少し供米の公平なることが出來はせぬかと思はれるのであります、只今松尾さんの御話にありました如く、農家と致しましても、もう手一杯本當に有らん限りを供出して、誠意を盡して居る人もあります、又中には調べて見ますと、さうでない多分に横流しをして腹一杯食つて、まだ餘分に持つて居ると云ふやうな農家も多々あります、所謂其處に於て正直者が損をする、正直者が損をすると云ふことはあつてはならないことでありながら現實にあると云ふことは、是は供米だけでありませぬ、先程御話の通り、思想に影響し、總て萬般のことに影響を及すことでありまするからして、此の主食の供出のことに付きましては、殊更に正直者が損をすると云ふやうなことのないやうに何とか方法を立てなければならぬ、斯う考へて居ります、然らば御前の腹案と云ふものはどう云ふものを持つて居るかと斯う只今御尋ねになりましても、それはちよつと只今此處で公開を致し兼ねる次第であります、此の東京其の他に於きまする主食の遲配、缺配に付きましては、誠に御説の通りであります、當局に立つて居りますると云ふと、
〔副議長退席、議長著席〕
もう實に心膽を傾けまして、新聞の記事でも見ますると云ふと、實に眠られぬ程心配を致して居りまするが、致して居りましても、元にないのでありまするからどうもなんとも致し方がありませぬが、何故元にないか、斯う云ふことになつて來ますると云ふと、地方からの搬出がありませぬ、丁度今御質問があると云ふことでちよつと調べて參りましたのでありますが、政府が既に買上げて地方の倉庫に入れて居りまする米だけでも今六百萬石あります、此の外にまだ千二百萬石と云ふ凍結米があります、此の凍結米と申しまするのは何であるかと申しますると、是は見返米であります、先達て七萬五千トンの小麥、玉蜀黍、ピースの放出を願ひました、其の見返りと致しまして、地方の倉庫に、それぞれ端境の時、萬一の時に備へまして見返りと致しまして凍結致してありまするのが千二百萬石、其の外にまだ六百萬石地方の倉にはございます、之を東京へ早く取寄せると云ふことが何よりの急務でありまするが、是迄は何で取寄せることが、所謂當局で申しまする搬出が何で遲れるかと申しますると云ふと、地方長官が之を肯んじませぬ、地方長官が肯んでないと云ふことは、地方の農業會なり、地方の有力者に制壓されまして、地方長官が受込んで倉を開けて出さうとは致しませぬ、併しながら其の中に在る米と云ふものは、もう政府が檢査をしまして、金を拂つて買上げた米なのであります、けれども政府が直かに行つて倉を開けた所で、誰がそれを運ぶか、誰が車に載つけて持つて來るか、假に停車場から貨車に積むと致しましても、誰が貨車に積むか、是は總て地方の人力の荷役に依つてやるのでありますから、當局から役人が五人や六人出ました所で、迚もさう云ふことは出來ませぬから、どうしても地方の協力を得なければさう云ふ方法が付きませぬ、又トラツクに致しましても、なかなか東京から廻す譯に參りませぬから、どうしてもさう云ふ手も廻りませぬ、そこで政府と致しましては、地方長官が宜しく了解を致しまして、話合が出來ませぬことには、之を運ぶと云ふことはむづかしいことでありますが、どうも分り切つたことを申上げて、長くなりまして甚だ申譯ありませぬが、順序上一通り申上げます、處が、地方では何故それを拒むかと申しますと、大體日本の絶對數の米が足らない、絶對數の米が足らないと、我々の持つて居る米を出して萬一足らぬ時分には我々の郷土はどうするかと云ふ不安があります、さう云ふ不安があります、ありますからして、其の絶對數の足らぬ所は天から降るものでもなく、地から涌くのでありませぬから、已むを得ず聯合國の好意に依つてそれは輸入を仰がなければなりませぬ、少くとも百五十萬トン乃至二百萬トンの小麥其の他の輸入を仰がなければなりませぬ、其の輸入を仰ぐと云ふことが、この間もマツカーサー元帥の首相宛の書状にもあつて、新聞に轉載して居りますから御覽の通で、向ふから貰はなければならぬ、貰はねば日本國の食物がない、ないと致しますると、さうなくても之の制約を受けなければならぬ、向ふの指揮、命令を受けなければならぬ、受けなければ得られませぬ、是は輸入を受けるからと云ふ譯ではない、大體今占領下にありますから受けなければならぬが、尚一層輸入をして貰はなければならぬと思ひますれば、食糧に付ては一々指揮、命令、監督を受けなければならぬ、さう致しますると、どうして搬出をするかと云ふことに苦心を致しまして、漸く私は昨日決心を致しました、本日内務大臣の了解を得まして、閣議に掛けまして決定致しました、重要な産地の知事を電報で今日午前十時に呼び出しまして、一日にこつちに出て來るやうに發電致しました、さうして司法大臣と三人協力致しまして、是と懇談して、懇談の上で了解を得なければ、今度は斷乎として命令を發することに決心を致したのであります、是で運輸大臣の協力を得ますれば、此の六百萬石の米は順次こちらへ廻つて來ることと思ひます、併し此の六百萬石は四月から先のことであります、然らば四月迄はどうして此の遲配、缺配を埋合せるかと云ふことですが、斯う云ふことを一通り申上げますと、三月二十日現在、それから後の統計はちよつと分り兼ねますが、現在の遲配の状況は、北海道外十一都道府縣に及びまして、其の主なる地方は、北海道の二十六・九日であります、是が最高と致しまして、東京の平均十六日、神奈川の九・四日、大阪の六・三日、福岡六・九日、斯う云ふのが主でありまして、其の外は餘り遲配、缺配がないのであります、其の中で東京都の遲配の状況は、是は二十六日現在では又遲配が殖えまして十六・八日となつて居ります、之に對する配給状態は今どうなつて居るかと申しますと、どう云ふ工合に米が東京へ著荷して居るかと云ふことを調べて見ますと、二十一日には九千九百二十六俵、二十二日には四千六百七十二俵、二十三日には二千七百二十一俵、二十四日には一萬百五十七俵、二十五日には七千四百二十九俵、二十六日には五千百七十七俵入つて居ります、一日平均致しますと七千俵程でありますが、東京で一日幾ら要るかと申しますと、一日に二萬八千俵要るのであります、是位要るのでありますから、此の間が遲配を受けて居ります關係であります、どうしても此の危急の場合が救はれない關係にありますので、聯合國のジー・エイチ・キユウの方に歎願に歎願を重ねまして容易に許可を得ませぬでしたけれども、漸く許可を得まして、本月の十四日に七萬五千トンの麥と、先程申しました凍結米の見返りで、七萬五千トンの麥、小麥、玉蜀黍の放出の許可を得ました、さうして七萬五千トンの中、三萬トンだけを東京へ割當てることにしまして、十四日から手配を致しました處が、其の中こちらにありますものが二萬トン程あります、東京に割りました分の三萬トンの中二萬トンだけこちらに在庫品がありましたから、それを早く措置しなければならぬ關係から製粉工場は東京にはありませので、埼玉、群馬其の他の製粉工場に送りまして、製粉としてそれを配給致しましたが、一萬トンばかりは少し遲れまして、まだ入荷して居りませぬ、それで此の間の缺配が又起つて參りましたが、是も近々入ります、もう今日あたりは入つて居ると思ひますが、尚之に間に合ひませぬので、某所にグリンピースが一萬トンばかりありました、之を取敢ず貰ひまして、是も食糧になりますから、之を配給致さうかと考へて其の手配をして居るやうな譯であります、それを配給致しまして、東京は大體來月、遲くとも五日迄には全部配給を完了することが出來ると思ひます、三月分の配給は完了出來ると思ひますが、それでも二月末の遲配になつて居ります十二日分は、まだ其の儘に殘つて居ることになりまして、此の十二日分の配給は、先程申上げましたやうな方法で、一つ地方長官を呼出して、強硬な手段を用ひて、地方の買上げた在庫米を消費地に搬出させまして、それで以て補ふ積りで居ります、運輸大臣も非常に熱心に協力して戴いて、何を措いても運ぶことに協力して戴くことになつて居りますので、此の決心があれば出來ることと思つて居ります、斯う致しましても結局足りませぬ、結局足らぬ所はどうなるかと云ふと、結局足らぬ分に對しては、日本人を餓死させないと云ふことがマツカーサー元帥の聲明であります、我々が出せるだけのベストを盡して、ベストを盡して初めて輸入食糧を懇願するのであります、アメリカの輸入食糧でありましても、御承知の通り、經常費豫算でなくして、戰時豫算でやつてあるさうであります、なかなか日本だけではない、ヨーロツパ、アジヤの各地に向つて放出するのでありまして、非常な向ふの好意でありますことは、我々深く感謝しなければならぬと思ひます、愈愈端境期になつてどうしても足らぬと云ふ所は、此の輸入を仰ぐ決心で居ります、もう少し詳しいことを申上げたいのでありますが、大體のことを申上げました、甚だ詰らぬことを申上げました
〔國務大臣増田甲子七君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=75
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076・増田甲子七
○國務大臣(増田甲子七君) 松尾さんの御質問に御答へ申上げます、食糧輸送方面の具體策如何と云ふ御質問であつたさうでございますが、私衆議院の本會議に出て居りました爲に、つひ失禮をして御聽き致しませぬでしたが、さう云ふ風に心得て御答へ申上げます、只今の處、食糧の、殊に主食の停車場、驛頭に於ける滯貸と云ふものは遺憾ながらございませぬ、滯貸がございましたならば直ちに輸送力を發揮しまして之を完全に輸送する、謂はば手ぐすね引いて待つて居る状況でございます、結局問題は、農林大臣が只今仰しやつたやうに生産縣、供出縣が、農業倉庫に唸つて居る所の食糧を喜び勇んで進んで消費縣を救ふ爲に供出する、此の心持さへ持つて貰へますれば、府縣知事、或は府縣廳は府縣民の指導者でございますから、農民も其の氣持になり、又農業倉庫に米が積んで山を成して居ると云ふやうなことも段々解消すると思ひます、併しながら只今も農林大臣の仰しやつたやうに、先の不安がありますから、今積んである米を他所へ出して、後をどうして呉れるかと云ふやうなことで、各府懸知事とも其のことの約束がなければ後の米が出しにくいと云つたやうなことが、私の一道一縣に於ける過去の經驗に鑑みまして、さう云ふことが不安になつて居ります、併し是も將來の不安のことは完全除去してやるからと云ふことを、今朝も内閣の閣議で決りまして、さうして各府縣知事、生産府縣を擔當して居る長官にどしどし出して貰ふ、斯う云ふことに相成りましたから、是は御了承願ひます、過去に於きましては秋田縣とか、或は山形縣等に滯貨が相當ありました時は、臨時列車を編成しましてどしどし消費府縣に輸送致した事績がございます、又將來に於きましては、若し貨車繰等の要求がありましたならば、其の要求以上に貨車を配出すると云ふ手配を致して居ります、又今囘の閣議決定に依り、府縣知事が喜び勇んで出すと云ふことが決りました場合には、農林省と一致協力しまして、又それぞれの出先の、農林省の出先及び府縣廳の出先、輸送當局の出先である所の鐵道局、或は監理部等に能く私命令を下しまして、臨時列車等も必要に應じてはどしどし出す、而も最優先的に輸送をする、斯う云ふ運びに致して居ります、左樣御了承願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=76
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077・松尾國松
○松尾國松君 簡單でありますから自席から發言することを御許し願ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=77
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078・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 宜しうございます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=78
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079・松尾國松
○松尾國松君 本員の質問に對しての兩大臣の御答辯は、私としまして滿足致すものであります、定めし大消費地の住民も或程度滿足すると思ひます、殊に私は農林大臣の御答辯の中に、供出量を、供出配當方法を改正する意味に於て、今審議をして居る、又今年度にも一部實行したいと云ふやうな御意見がありました、是は私は實は時間の關係上申上げませなんだのでありますけれども、最も適切なる政府の考であります、先程農林大臣の御話のありました通り、正直者が馬鹿を見て、不正直者が得をして居る、是は何處にもあります、是は供出の配當方法の不備なことを證明するものであります、此の點に付ては本員は曩に米穀の供出に關する協議會の時にも改正する必要を述べましたが、遺憾ながら農林當局の説明は、私をして滿足せしめ得なかつたのであります、唯役人の一片の答辯と聞き流して居りました、然るに今日農林大臣は、之を合理的に、實際的に、又正直者の損をしないやうに、不正直者の得をしないやうに、此の點が一番大事であります、私は此の配當方法を變へることに依つて、或はまだ少し出るのぢやないか、もう少し出る、或は出ないか、もう少し出る、出し宜い、斯う云ふことを考へて居る者であります、どうか農林大臣に於かれましては、早速に御研究になつて、さうして此の次の麥の供出量には、先づ農林大臣の考へられる改正の配當量に依つて實施をして貰ひたい、此の供出量の配當の改正は、最も實際に適した、今日配給を確保する上に於ても大事な一つの條件でありますから、早速に研究して實施されむことを希望します、之を以て終ります
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=79
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080・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際、議事日程に追加し、行政官廳法案、宮内府法案、以上兩案を一括して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=80
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081・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、齋藤國務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=81
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082・会議録情報9
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行政官廳法案
右の政府提出案は本院において修正議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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行政官廳法案
行政官廳法
第一條 内閣総理大臣及び各省大臣の分担管理する行政事務の範囲は、法律又は政令に別段の規定あるものを除くの外、從來の例による。
第二條 各省大臣は、國務大臣の中から、内閣総理大臣がこれを命ずる。但し、内閣総理大臣が、自らこれに当ることを妨げない。
第三條 各大臣の管理する事務は、法律又は政令に別段の規定あるものを除くの外、総理廳、從來の各省及び從來の各大臣の管理する外局で、これを掌る。
第四條 各大臣は、所部の職員の服務につき、これを統督する。
第五條 各大臣は、主任の事務について、法律又は政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案を具えて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。
第六條 各大臣は、主任の事務について法律若しくは政令を執行するために、又は法律若しくは政令の特別の委任に基いて総理廳令又は省令を発することができる。
総理廳令又は省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは権利を制限する規定を設けることができない。
第七條 各大臣は、主任の事務について、國の機関としての地方公共團体の長の法律に基いてなす行政事務に関しその長を指揮監督することができる。若し、國の機関としての地方公共團体の長の措置が成規に違い又は権限を侵すものありと認めるときは、その措置を停止し、又は取消すことができる。
前項の規定は、地方公共團体の長の地方自治の本旨に基く法律に基いてなすその地方公共團体の事務に関しては適用しない。
第八條 各大臣の所管する部内に置くべき職員の種類及び所掌事項は、法律又は政令に別段の規定あるものを除くの外、從來の職員に関する通則による。
第九條 内閣官房及び法制局は、政令の定めるところにより、内閣総理大臣の管理する事務を掌ることができる。
第十條 内閣官房及び法制局に夫夫内閣官房長官及び法制局長官を置く。各一人一級とする。
内閣官房長官及び法制局長官は、夫夫内閣官房又は法制局の事務を統理し、所部の職員の服務につき、これを指揮監督する。
第一項の職員の外、内閣官房及び法制局に置くべき職員の種類及び所掌事項については、法律又は政令に別段の規定あるものを除くの外、從來の例による。
第十一條 第四條乃至第六條の規定を適用するについては、内閣官房及び法制局に係る事項は、これを内閣総理大臣の所掌事項とみなす。
第十二條 総理廳、各省、内閣官房及び法制局には、法律又は政令の定めるところにより、所要の部局及び機関を置く。。
第十三條 國務大臣及び別に法律で定める官吏の外、その任免につき、天皇の認証を要する官吏は、特命全権大使、特命全権公使及び戰災復興院総裁とする。
第十四條 官吏の任免、敍級、休職、復職その他官吏の身分上の事項に関する手続につき必要な事項は、法律に別段の規定あるものを除くの外、政令でこれを定める。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律は、施行後一年を限り、その効力を有する。
この法律施行の際現に各省大臣たる者は、別段の辞令を発せられないときは、この法律により、各省大臣となつたものとする。
前項に規定するものの外、この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
内閣法の一部を次のように改正する。
第二條第一項中「及び國務大臣十六人以内」を「並びに從來の各省大臣及び國務大臣の定数以内の國務大臣」に改める。
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宮内府法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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宮内府法案
宮内府法
第一條 宮内府は、皇室関係の國家事務及び政令で定める天皇の國事に関する行爲に係る事務を掌り、御璽國璽を保管する。
第二條 宮内府に左の職員を置く。
宮内府長官 一級
宮内府次長 一人 一級
宮内府長官祕書官 専任一人 二級
侍從長 一級
侍從 一級及び二級
式部官 一級及び二級
宮内府事務官 一級、二級及び三級
宮内府技官 一級、二級及び三級
侍從、式部官、事務官及び技官の定員は、政令でこれを定める。
第一項の規定による職員の外、政令の定めるところにより、所要の職員を置くことができる。
第三條 長官及び侍從長の任免については、天皇の認証を要するものとする。
第四條 長官は、府務を総理し、所部の服務につき、これを指揮監督する。
第五條 次長は、長官を助け、府務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。
第六條 祕書官は、長官の命を受け、機密の専務を掌る。
第七條 侍從長は、側近に奉仕する。
第八條 侍從は、侍從長の職務を助ける。
第九條 式部官は、上官の命を受け、儀式及び接待に関することを掌る。
第十條 事務官は、上官の命を受け、事務を掌る。
第十一條 技官は、上官の命を受け、技術を掌る。
第十二條 宮内府には、政令の定めるところにより、所要の部局及び機関を置くことができる。
第十三條 宮内府は、内閣総理大臣の所轄とする。
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
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〔國務大臣齋藤隆夫君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=82
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083・齋藤隆夫
○國務大臣(齋藤隆夫君) 行政官廳法案に付きまして、提案の理由を説明致します、此の法律案は、行政官廳の組織權限等に關する基本的事項を規定致したものでございまして、其の内容の主なる事項は、次の通りであります、第一に、内閣總理大臣初め各省大臣の行政事項の分擔は、原則として從來の例に依ることに致しました、第二は、各省の制度は、從前の通りでございますが、各省大臣と同じ立場に於きまして、内閣總理大臣の所掌する事項を管理する官廳と致しまして、特に總理廳を設けることと致しました、第三に、各大臣の權限に付きましては、概ね從來の例に依つて居ります、唯從來の總理大臣の發する命令は、閣令と稱して居りましたが、今後は之を總理廳令と稱することに致しました、第四に、以上の外、内閣法の規定に對應致しまして、内閣に置かるべき内閣官房及び法制局の組織を規定致します、第五に、是と共に任免に付きまして天皇の認證を要する官を規定致しました。第六に、尚官吏の身分上の事項に關する手續に付きましては、法律に別段の規定あるものを除きまするの外、政令を以て之を定めることに致して居ります、以上が本案の大體の要點であります、行政機構及び公務員制度に關しましては、政府に於きまして、目下根本的の研究を進めて居ります、其の成果を俟ちまして、本格的な法制を整備致したいと考へて居ります、本案は概ね現状を基礎として、取敢ず必要な事項を規定せむとするものであります、從つて其の有效期間も一年と限つた次第であります、尚本案に付きましては、衆議院に於きまして十二條に「但し、地方特別官廳の設置及び廃止については、法律の定めるところによる。」斯う云ふ但書を附することに修正せられたのであります、御審議の上御協贊を御願ひ致します、次に宮内府法案に付きまして提案の理由を説明致します、日本國憲法の施行と共に、從來國の一般行政とは別の系統でありました皇室關係事務を掌つて居りました宮内省が廢止されることになりますので、茲に内閣總理大臣の所轄致しまする宮内府を設けることと致しまして、其の職權及び組織に關する事項を規定致しまするが爲に、此の法案を立案したものであります、其の内容の點は、第一には、宮内府の權限を規定し、皇室關係の國家事務及び政令で定める天皇の國務に關する行爲に關する事務竝に御璽、國璽の保管に關する事務を所掌する旨を規定致して居ります、第二には、宮内府の職員と致しまして長官、次長、侍從長、侍從、式部官、宮内事務官、宮内技術官等の諸官を置くことに致して居ります、是等の中、侍從長、侍從及び式部官は、宮内府に於きまして所掌する事項の性格に鑑み設けんとするものでありまして、侍從長は側近に奉仕するものであり、式部官は儀式及び接待に關することを掌るものであるのであります、尚長官及び侍從長は、其の地位に鑑み、其の任免に付て天皇の認證を要することと致しました、第三には、宮内府の所屬の部局及び必要な機關は政令で之を設置し得ることに致しました、御審議の上、御協贊を御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=83
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084・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました行政官廳法案外一件は、其の特別委員の數を十九名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=84
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085・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=85
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086・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=86
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087・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
行政官廳法案外一件特別委員
公爵 伊藤博精君 侯爵 廣幡忠隆君
伯爵 前田利男君 男爵 白根松介君
子爵 加藤泰通君 子爵 黒田長敬君
子爵 日野西資忠君 林春雄君
佐々木惣一君 下條康麿君
白根竹介君 男爵 佐竹義履君
男爵 杉溪由言君 赤木正雄君
澤田牛麿君 馬場恒吾君
中島徳太郎君 板倉卓造君
上野喜左衞門君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=87
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088・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、恩給法の一部を改正する法律案、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律案、以上兩案を一括して第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=88
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089・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、入江法制局長官発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=89
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090・会議録情報10
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恩給法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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恩給法の一部を改正する法律案
恩給法の一部を次のように改正する。
「勅令」を「政令」に改める。
第六條第二項を削る。
第八條第二項を削る。
第十三條第二項中「訴願シ又ハ行政裁判所ニ出訴スル」を「訴願又ハ」に改め、同項但書を削り、同條に第三項として左の一項を加える。
前二項ニ規定スル具申又ハ訴願ハ裁判所ニ出訴シタル事件ニ付テハ之ヲ爲スコトヲ得ス
第二十條第一項中「宮内官以外ノ」を削る。
第二十三條第二号を削除し、同條に左の一号を加える。
四 皇宮警部補又ハ皇宮警手タル
皇宮護衞官
第二十五條第二号但書を削る。
第三十三條 削除
第四十一條第三号を削除し、同條第六号を削る。
第四十二條第一項第一号を削除し、同條第二項後段を削る。
第五十三條 削除
第五十七條 削除
第五十八條第一項第一号中「又ハ第四十二條第一項第一號ニ規定スル宮内職員」を削る。
附 則
第一條 この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。但し、第二十三條第四号及び第四十二條第二項後段の改正規定は、昭和二十二年一月一日から、これを適用する。
第二條 この法律施行前、普通恩給、増加恩給又は傷病年金を受ける権利のある者が、退職後一年内に從前の宮内官の恩給規程による宮内職員として就職したときは、恩給法第六條の規定の適用については、これを公務員として再就職したものとみなす。
第三條 從前の宮内官の恩給規程による宮内職員の恩給及び從前の宮内官の恩給規程による宮内職員としての在職については、なお從前の例による。但し、昭和八年皇室令第一号附則第八條第一項第一号及び第二号並びに同條第二項の規定は、この法律施行後給與事由の生ずる恩給の基礎となる在職年の計算については、これを適用しない。
第四條 從前の宮内官の恩給規程によつて受ける恩給は、これを恩給法の規定によつて受ける恩給とみなす。
前項の恩給は、これを國庫の負担とする。
第五條 この法律施行の際、從前の宮内官の恩給規程による宮内職員が、引き続いて公務員となつた場合には、これを勤続したものとみなす。
第六條 この法律施行前の在職について、在職年を計算する場合の加算年については、第三十三條の改正規定にかかわらず、なお從前の例による。
第七條 この法律施行前に二年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられた者については、第四十一條第三号の改正規定にかかわらず、なお從前の例による。
第八條 從前の規定による貴族院守衞又は衆議院守衞の恩給及び從前の規定による貴族院守衞又は衆議院守衞としての在職については、なお從前の例による。
第九條 この法律施行の際、現に公務員たる者が、引き続いて國会職員となつた場合には、これを從前の身分のまま勤続するものとみなし、当分の間、これに恩給法の規定を準用する。
第十條 この法律施行の際、現に公務員たる者が、引き続いて都道府縣たる普通地方公共團体の職員となつた場合には、これを從前の身分のまま勤続するものとみなし、当分の間、これに恩給法の規定を準用する。
第十一條 恩給法第七十三條第二項の規定による扶助料を給する順位及び同法第七十四條第三項の規定による扶助料を給する養子については、当分の間、政令で特別の定をなすことができるものとする。
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日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月二十八日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
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日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律案
第一條 日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、法律を以て規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月三十一日まで、法律と同一の効力を有するものとする。
第二條 他の法律(前條の規定により法律と同一の効力を有する命令の規定を含む。)中「勅令」とあるのは、「政令」と読み替えるものとする。
第三條 左に掲げる法令は、これを廃止する。
明治二十三年法律第八十四号(命令の條項違犯に関する罰則に関する法律)
明治三十八年法律第六十二号(戸主でない者が爵位を授けられた場合に関する法律)
明治四十三年法律第三十九号(皇族から臣籍に入つた者及び婚嫁によつて臣籍から出て皇族になつた者の戸籍に関する法律)
大正十五年法律第八十三号(王公族の権義に関する法律)
昭和二年法律第五十一号(王公族から内地の家に入つた者及び内地の家を去り王公家に入つた者の戸籍等に関する法律)
明治二年六月二十五日行政官達(士族の称に関する件)
明治五年太政官布告第二十九号(世襲の卒士族に編入伺出方に関する件)
明治五年太政官布告第四十四号(郷士士族に編入伺出方に関する件)
明治七年太政官布告第七十三号(華士族分家者の平民籍編入に関する件)
明治十三年太政官布告第三号(士族戸主死亡後に於ける族称廃絶に関する件)
附 則
この法律は、日本國憲法施行の日から、これを施行する。
この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
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〔政府委員入江俊郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=90
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091・入江俊郎
○政府委員(入江俊郎君) 恩給法の一部を改正する法律案に付きまして、先づ其の提案理由を御説明申上げます、今囘の改正は新憲法の施行に伴う諸般の法令の改廢等に伴ふものでありまして、其の主な點は凡そ次の諸點に之を要約することが出來るのであります、第一點は、皇室關係職員に關する規定の整備であります、宮内職員に付きましては、新憲法の施行と同時に、宮内省が廢止されまするに伴ひ、宮内省から支給されて居りまする恩給を、今後國庫より支給することに致しますに伴ふ改正を致したのであります、又今後は從前のやうな宮内職員はなくなりますので、之に伴ひ種々の規定を整備致しました、更に又先般皇宮護衞官たる皇宮警部補及び皇宮警手の新設されましたのに伴ひまして、之を警察監獄職員たる公務員に指定することと致したのであります、第二點は、恩給に關する訴訟に付ての規定の改正であります、現行法に於きましては、恩給に關する權利の侵害に付て、行政裁判所に出訴出來ることになつて居るのでありまするが、新憲法の施行に伴ひまして、行政訴訟は民事裁判所に出訴せねばならぬことになりますので、之に關して恩給法中所要の改正を加へますると共に、又現行法に於きましては行政訴訟の提起は内閣恩給局長に具申し、其の裁決を經た後でなければなりませぬのみならず、内閣總理大臣に訴願致しました場合には、之を提起することが出來ないと云ふやうになつて居りまするが、今後此の種の訴訟の提起に付きましては、或は具申を經ず、直ちに出訴することも、又具申の裁決のみならず、訴願の裁決に對しましても、出訴出來ると云ふことに致したのであります、第三點は、國会法の施行に伴ひます改正であります、新憲法の施行と共に、貴衆兩院事務局の職員は廢止せられ、國會職員が新たに設けられることになるのであります、然るに國會職員の恩給の扱ひに付きましては、其の任用制度、給與制度等の諸制度の整備と相俟ちまして、何れ遠からざる中に何分の決定を見ることにならうと思ひますが、其の決定を見まする迄の暫定的の措置と致しまして、恩給法の適用に付きましては、貴衆兩院事務局職員、其の他恩給法上の公務員から引續いて國會職員となります者に付きましては、其の者の國會職員としての在職を恩給法上の公務員として引續いて在職する者として取扱ふと云ふことと致したのであります、第四點は、地方自治制度の改正に伴ふ改正であります、都道府縣等の地方廳職員の大部分の者は、地方自治法の施行に伴ひ、其の身分は政府職員から普通地方公共團體たる都道府縣の職員となるのでありますが、其の恩給制度に付きましては、其の任用制度、給與制度等の諸制度の整備確立と相俟ちまして、檢討をし、速かに何分の決定を見ることと思ふのでありまするけれども、其の決定を見まする迄の暫定的措置と致しまして、其の都道府縣職員としての在職を、恩給法の公務員として引續いて在職するものと見做すと云ふやうな扱ひに致したのであります、以上の外日本國憲法の施行に伴ふ民法の應急的措置に関する法律の施行に伴ひまして、恩給法中の遺族に關する二三の規定に付きまして、應急的に政令で所要の定めをなし得るやうに措置する等二三の改正を加へて居るのであります、以上が恩給法の一部を改正する法律案の提案説明でございます、次に日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律案に付きまして提案の理由を申上げます、本案の内容は、先づ第一に日本國憲法施行の際現に效力を有する勅令、省令等の命令の規定で日本國憲法に依りますれば、法律で規定しなければならない事項に屬するものを其の規定内容と致して居るものの效力に付て規定致したのであります、即ち是等の命令の規定は、出來るだけ速かに法律に改めることが望ましいのでありますが、本法第一條に於きまして、差當りの措置と致しまして、是等の命令の規定が其の儘法律と同一の效力を有する旨を明かにすると共に、又其の期限を本年末迄と限ることと致しました、政府は其の時期迄に速かに之に代るべき法律案を準備し、國會の議決を經て法律に改めることと致したいと考へて居ります、勿論是等の命令の規定も、日本國憲法施行前に十分檢討致しまして、不必要と考へられまするものは之を廢止し、不適當と考へられまするものは之を改正し、日本國憲法施行の際には、眞に存續を必要とするもののみを殘す考で居るのであります、他の法律及び法律と同一の效力を有する命令の規定の中には「勅令」と云ふ文字が使つてあるものが多數ありまするけれども、日本國憲法施行後には「勅令」と云ふ國法の形式はなくなりますので、之を「政令」と讀み替へることと致したのであります、尚日本國憲法の施行に際し、將來不必要となる法令を廢止することと致して、之に關する規定を設けました、以上が此の日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律案の提案の理由でございます、何卒御審議の上、速かに御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=91
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092・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました恩給法の一部を改正する法律案外一件は、行政官廳法案外一件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=92
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093・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=93
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094・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=94
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095・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、明日は午前十時より開會致します、議事日程は決定次第彙報を以て御通知に及びます、本日は是にて散會致します
午後三時四十三分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02719470329&spkNum=95
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