1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十二年三月三十一日(月曜日)午前十時二十四分開議
━━━━━━━━━━━━━
議事日程第二十九號
昭和二十二年三月三十一日
午前十時開議
第一 財政法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第二 会計法を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第三 復興金融金庫法の一部を改正する法律案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第四 石油配給公團法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第五 配炭公團法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第六 産業復興公團法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第七 貿易公團法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第八 價格調整公團法案(政府提出、衆議院送付) 第一讀會ノ續(委員長報告)
第九 東北本線杉田信號場ヲ貨客取扱驛ニ變更ノ請願 會 議
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=0
-
001・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
〔小野寺書記官朗讀〕
昨三十日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ即日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
檢察廳法案
下級裁判所の設立及び管轄區域に關する法律案
裁判所職員の定員に關する法律案
裁判官の報酬等の應急的措置に關する法律案
檢察官の俸給等の應急的措置に關する法律案
國有財産法の一部を改正する法律案
作業會計法を改正する法律案
燃料局特別會計法を改正する法律案
造幣局特別會計法の一部を改正する法律案
國有林野事業特別會計法案
勞働者災害補償保險特別會計法案
公債金特別會計法外四法律の廢止等に關する法律案
企業再建整備法等の一部を改正する法律案
勞働者災害補償保險法案
健康保險法の一部を改正する等の法律案
所得税法を改正する法律案
法人税法を改正する法律案
特別法人税法の一部を改正する等の法律案
土地台帳法案
家屋台帳法案
地方税法の一部を改正する法律案
地方分與税法を改正する法律案
相續税法を改正する法律案
船舶公團法案
行政官廳法案
宮内府法案
恩給法の一部を改正する法律案
日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律案
同日本院ニ於テ承諾スルコトヲ議決シタル左ノ政府提出案ハ即日之ヲ奏上シ又承諾スルコトヲ議決シタル旨ヲ衆議院ニ通知セリ
昭和二十年度第一豫備金支出の件
昭和二十年度緊急對策費第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計第一豫備金支出の件
昭和二十年度特別會計豫備費支出の件
昭和二十一年度第二豫備金支出の件
昭和二十一年度特別會計第二豫備金支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費支出の件
臨時軍事費特別會計豫備費外豫算超過支出の件
同日本院ニ於テ可決シタル左ノ衆議院提出案ハ即日裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
地方競馬法の一部を改正する法律案
國會議員の歳費、旅費及び手當等に關する法律案
議院に出頭する證人の旅費及び日當に關する法律案
國會豫備金に關する法律案
議院事務局法案
國會圖書館法案
國會職員法案
同日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
財政法案可決報告書
會計法を改正する法律案可決報告書
復興金融金庫法の一部を改正する法律案可決報告書
石油配給公團法案可決報告書
配炭公團法案可決報告書
産業復興公團法案可決報告書
貿易公團法案可決報告書
價格調整公團法案可決報告書
同日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=1
-
002・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より本日の會議を開きます、此の際議事日程に追加し、衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案の第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=2
-
003・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、植原内務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=3
-
004・会議録情報2
━━━━━━━━━━━━━
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案
右の政府提出案は本院において修正議決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月三十日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案
衆議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
第二條第二項及び第三項中「地方長官」を「市町村會議員選擧管理委員會」に改める。
第三條第二項及び第三項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又は道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第五條中「帝國臣民」を「日本國民」に改める。
第六條 禁治産者及準禁治産者竝ニ懲役又ハ禁錮ノ刑ニ處セラレ其ノ執行ヲ終リ又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至ル迄ノ者ハ選擧權及被選擧權ヲ有セズ
第七條 削除
第八條中「選擧事務」を「都議會議員選擧管理委員、道府縣會議員選擧管理委員及市町村會議員選擧管理委員、都議會議員選擧管理委員會、道府縣會議員選擧管理委員會及市町村會議員選擧管理委員會ノ書記、投票管理者、開票管理者及選擧長竝ニ選擧事務」に改める。
第九條 在職ノ裁判官、檢察官、會計檢査官、收税官吏及警察官吏ハ被選擧權ヲ有セズ
第十條中「及待遇官吏」を「、待遇官吏及地方公共團體ノ吏員」に、「内閣書記官長」を「内閣官房長官」に改め、同條に次の一号を加える。
八 國務大臣祕書官
第十一條中「東京都議會議員、北海道會議員府縣會議員」を「都道府縣及市町村ノ議會ノ議員」に改める。
第十二條第一項中「市町村長」を「市町村會議員選擧管理委員會」に、「住居」を「住所」に改め、同條第三項乃至第五項中「住居」を「住所に改める。
第十三條、第十四條第一項及び第十五條中「市町村長」を「市町村會議員選擧管理委員會」に改める。
第十六條第一項中「前條市町村長」を「前條市町村會議員選擧管理委員會」に、「市町村長」を「市町村會議員選擧管理委員會ノ委員長」に改め、同條第二項中「大審院」を「最高裁判所」に改める。
第十七條第二項中「市町村長」を「市町村會議員選擧管理委員會」に改める。
第十八條第二項中「議會」を「國會」に改め、同條第三項を削り、同條第四項中「勅命ヲ以テ之ヲ定メ」を削り、「公布ス」を「公示スベシ」に改める。
第十九條ノ二 衆議院議員ノ選擧ニ關スル事務ハ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會之ヲ管理ス
都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ハ衆議院議員ノ選擧ニ關スル事務ニ付テハ市町村會議員選擧管理委員會ヲ指揮監督ス
第二十條 投票管理者ハ選擧權ヲ有スル者ノ中ニ就キ市町村會議員選擧管理委員會ノ選任シタル者ヲ以テ之ニ充ツ
投票管理者ハ投票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第三十六條中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第三十七條中「地方長官ニ」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ニ」に、「地方長官ハ」を「委員會ハ」に、「告示セシムヘシ」を「告示スベシ」に改める。
第四十四條 開票管理者ハ選擧權ヲ有スル者ノ中ニ就キ市町村會議員選擧管理委員會ノ選任シタル者ヲ以テ之ニ充ツ
開票管理者ハ開票ニ關スル事務ヲ擔任ス
第四十九條第二項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第五十二條第一項第五号但書及び第五十二條ノ二第一項第三號但書中「官位、」を削り、「住居」を「住所」に改める。
第五十三條中「開票管理者」を「市町村會議員選擧管理委員會」に改める。
第五十四條 開票管理者ハ開票録ヲ作リ開票ニ關スル顧末ヲ記載シ開票立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
開票録及投票録ハ市町村會議員選擧管理委員ニ於テ議員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第五十八條 選擧長ハ選擧權ヲ有スル者ノ中ニ就キ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ノ選任シタル者ヲ以テ之ニ充ツ
選擧長ハ選擧會ニ關スル事務ヲ擔任ス
第五十九條中「選擧長ノ屬スル」を削る。
第六十四條 選擧長ハ選擧録ヲ作リ選擧會ニ關スル顛末ヲ記載シ選擧立會人ト共ニ之ニ署名スベシ
選擧録ハ第四十九條第三項ノ報告ニ關スル書類ト併セテ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ニ於テ議員ノ任期間之ヲ保存スベシ
第六十七條第一項中「公布」を「公示」に改め、同條第二項中「爲サムトスルトキハ」の下に「本人ノ承諾ヲ得テ」を加え、同條第三項の次に次の一項を加える。
一ノ選擧區ニ於テ議員候補者ト爲リタル者ハ他ノ選擧區ニ於テ議員候補者ノ屆出ヲ爲シ又ハ其ノ推薦屆出ヲ承諾スルコトヲ得ズ
同條第五項中「前四項」を「第一項乃至第三項及前項」に改める。
第六十八條第一項中「二千圓」を「五千圓」に改める。
第六十九條第二項中「年齡多キ者ヲ取リ年齡モ亦同シキトキハ」を削り、同條第五項を次のように改める。
第七十五條第一項第五號及第六號ノ事由第七十四條ノ期限前ニ生ジタル場合ニ於テ第一項但書ノ得票者アルトキ又ハ其ノ期限經過後ニ生ジタル場合ニ於テ第二項ノ規定ノ適用ヲ受ケタル得票者アルトキハ選擧會ヲ開キ其ノ者ノ中ニ就キ當選人ヲ定ムベシ
第七十一條第二項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第七十二條中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第七十三條第一項中「選擧長」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第二項及び第三項を削る。
第七十五條第一項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に、「十四日」を「二十五日」に改め、同條第三項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に、「大審院長」を「裁判所ノ長」に、「二十日」を「三十日」に改める。
第七十六條中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、「且」の下に「都道府縣ノ長ヲ經テ」を加える。
第七十七條中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第七十八條中「四年トシ」を削り、同條但書を削る。
第七十九條第二項中「議院法第八十四條ノ規定ニ依ル衆議院議長ノ通牒」を「衆議院議長ヨリ其ノ旨ノ通知」に、「地方長官」を「都道府縣ノ長ヲ經テ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第三項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に、「選擧ノ期日ヨリ一年以内」を「第七十四條ノ期限前」に、「選擧ノ期日ヨリ一年經過後」を「其ノ期限經過後」に改め、同條第五項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に、「二十日」を「三十日」に改め、同條第六項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第八項中「地方長官」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧委員會」に、「十四日」を「二十五日」に改める。
第八十一條中「選擧長」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ノ委員長」に、「大審院」を「高等裁判所」に改める。
第八十三條第一項中「大審院」を「高等裁判所」に、「選擧長」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ノ委員長」に改め、同條第二項中「檢事」を「檢察官」に改める。
第八十四條第一項中「大審院」を「高等裁判所」に改め、同條第二項中「檢事」を「檢察官」に改める。
第八十五條中「檢事」を「檢察官」に改める。
第八十六條第一項中「大審院長」を「裁判所ノ長」に、「關係地方長官」を「關係都道府縣ノ長ヲ經テ都議會議員選擧管理委員會又ハ關係道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第二項中「訴訟ニ付判決アリタルトキ」を「訴訟繋屬セザルニ至リタルトキ」に、「關係地方長官」を「關係都道府縣ノ長ヲ經テ都議會議員選擧管理委員會又ハ關係道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第三項中「帝國議會」を「國會」に改める。
第八十九條第二項中「選擧事務所(其ノ數二箇所以上ナルトキハ主タル選擧事務所)所在地ノ警察官署」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第九十四條中「地方長官(東京都ニ在リテハ警視總監)」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第九十六條 何人ト雖學校ノ兒童、生徒及學生ニシテ年齡二十年未滿ノモノニ對スル特殊ノ關係アル地位ヲ利用シテ選擧運動ヲ爲スコトヲ得ズ
第九十八條ノ二を削る。
第九十九條中「選擧事務ニ關係アル官吏及吏員」を「第八條ニ掲グル者」に改める。
第百條ノ二を削る。
第百一條第二項を削り、同條第五項中「第八十九條第二項ノ屆出アリタル警察官署」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第百一條ノ二第二項中「議員候補者ノ承諾ヲ得ズシテ其ノ推薦ノ屆出ヲ爲シタル場合ヲ除クノ外」を削る。
第百一條ノ四 支出責任者ニ非ザル者ニシテ議員候補者ノ爲ニ選擧運動ニ關スル收入ヲ收受シタルモノハ直ニ金額、收入ノ種類其ノ他必要ナル事項ヲ支出責任者ニ通知スベシ立候補ノ屆出前ニ收受シタル選擧運動ニ關スル收入ニ付テハ立候補ノ屆出後直ニ支出責任者ニ通知スベシ
第百二條第一項第一号及び第二号中「三十錢」を「命令ヲ以テ定ムル金額」に、同項第三号但書中「地方長官(東京都ニ在リテハ警視總監)」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に改め、同條第二項中「地方長官(東京都ニ在リテハ警視總監)」を「都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會」に、「公布」を「公示」に改める。
第百四條ノ二 選擧運動ニ關スル收入トハ選擧運動ノ費用ニ充ツル目的ヲ以テ收受シタル金錢ヲ謂フ
選擧運動ノ費用ニ充ツル目的ヲ以テ財産上ノ義務ヲ免レ又ハ建物、船車馬、印刷物、飮食物其ノ他ノ金錢以外ノ財産上ノ利益ヲ收受シタル場合ニ於テハ其ノ義務又ハ利益ヲ時價ニ見積リタル金額ヲ以テ選擧運動ニ關スル收入ト看做ス
第百五條 支出責任者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ選擧運動ノ費用及選擧運動ニ關スル收入ヲ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ニ屆出ヅベシ
第百六條 議員候補者ヲ推薦シ又ハ支持スル政黨其ノ他ノ團體ノ代表者又ハ主幹者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ選擧運動ノ費用及選擧運動ニ關スル收入ヲ二以上ノ都道府縣ノ區域ニ亘リ又ハ主タル事務所所在地ノ都道府縣以外ノ區域ニ於テ議員候補者ヲ堆薦シ又ハ支持スル團體ニ在リテハ其ノ主タル事務所所在地ノ都道府縣ノ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ヲ經テ内務大臣ニ、其ノ他ノ團體ニ在リテハ其ノ主タル事務所所在地ノ都道府縣ノ都議會議員選擧管理委員會又ハ道府縣會議員選擧管理委員會ニ屆出ヅベシ前項ノ規定ハ政黨其ノ他ノ團體ノ支部ニシテ議員候補者ヲ推薦シ又ハ支持スルモノニ之ヲ準用ス
第百七條 前二項ノ屆出ヲ受理シタルトキハ内務大臣又ハ都議會議員選擧管理委員會若ハ道府縣會議員選擧管理委員會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ屆出ノ要旨ヲ公表スベシ
第百八條 第百五條及第百六條ノ規定ニ依ル屆出書類ハ之ヲ受理シタル内務大臣又ハ都議會議員選擧管理委員會若ハ道府縣會議員選擧管理委員會ニ於テ議員ノ任期間之ヲ保存スベシ
前項ノ期間内ニ於テハ命令ノ定ムル所ニ依リ何人ト雖屆出書類ノ閲覽ヲ請求スルコトヲ得
第百八條ノ二 支出責任者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ帳簿ヲ備ヘ之ニ選擧運動ノ費用及選擧運動ニ關スル收入ヲ記載スベシ
支出責任者ハ前項ノ帳簿竝ニ命令ヲ以テ定ムル選擧運動ノ費用及選擧運動ニ關スル收入ニ關スル書類ヲ議員ノ任期間保存スベシ
第百九條中「選擧運動ノ費用」の下に「及選擧運動ニ關スル收入」を加える。
第百十一條中「百圓」を「千圓」に改める。
第百十二條第一項中「二千圓」を「二萬圓」に改め、同條第二項中「選擧事務ニ關係アル官吏又ハ吏員」を「第八條ニ掲グル者」に、「三千圓」を「三萬圓」に改める。
第百十三條第一項中「三千圓」を「三萬圓」に改め、同條第二項中「選擧事務ニ關係アル官吏又ハ吏員」を「第八條ニ掲グル者」に、「四千圓」を「四萬圓」に改める。
第百十五條中「三千圓」を「三萬圓」に改める。
第百十六條第一項中「官吏又ハ吏員」を「官吏若ハ吏員又ハ第八條ニ掲グル者」に改め、同條第二項中「官吏又ハ吏員」を「官吏若ハ吏員又ハ第八條ニ掲グル者」に、「三百圓」を「三千圓」に改める。
第百十七條中「選擧事務ニ關係アル官吏、吏員」を「第八條ニ掲グル者」に、「千圓」を「一萬圓」に改める。
第百十八條第一項中「五百圓」を「五千圓」に改め、同條第二項中「二千圓」を「二萬圓」に改める。
第百二十條中「百圓」を「千圓」に改める。
第百二十一條第一項中「千圓」を「一萬圓」に改める。
第百二十二條中「二千圓」を「二萬圓」に改める。
第百二十四條中「三百圓」を「三千圓」に改める。
第百二十五條中「五百圓」を「五千圓」に改める。
第百二十六條中「千圓」を「一萬圓」に改める。
第百二十七條第一項中「五百圓」を「五千圓」に改め、同條第二項中「千圓」を「一萬圓」に改め、同條第三項中「二千圓」を「二萬圓」に改め、同條第四項中「選擧事務ニ關係アル官吏、吏員」を「第八條に掲グル者」に、「二千圓」を「二萬圓」に改める。
第百二十八條中「百圓」を「千圓」に改める。
第百二十九條中「第九十五條、」の下に「第九十六條若ハ」を加え、「若ハ第九十八條ノ二」を削り、「五百圓」を「五千圓」に改める。
第百三十條中「三百圓」を「三千圓」に改める。
第百三十一條中「第九十九條」の下に「、第百一條の四、第百五條、第百六條」を加え、「三百圓」を「三千圓」に改める。
第百三十二條第一項中「第五項若ハ第六項」を「第四項若ハ第五項」に、「百圓」を「千圓」に改める。
第百三十四條中「五百圓」を「五千圓」に改める。
第百三十五條中「三百圓」を「三千圓」に改め、同條第一号中「第百五條」を「第百八條ノ二第一項」に改め、同條第二号を削り、同條第三号中「第百七條第一項」を「第百八條ノ二第二項」に改め、同号を第二号とし、同條第四号中「第百七條第一項」を「第百八條ノ二第二項」に改め、同号を第三号とする。
第百三十七條第一項中「選擧ニ付本章ノ規定ヲ準用スル議會ノ議員ノ」を「本章ノ規定ヲ準用スル選擧ニ於ケル」に改め、同條第四項を削る。
第百三十九條の前に次のように加える。
第百三十八條ノ二 投票管理者開票管理者又ハ選擧長選擧權ヲ有セザルニ至リタルトキハ其ノ職ヲ失フ
第百四十條第一項中「勅令」を「命令」に、「其ノ選擧區内ニ在ル選擧人ニ對シ選擧運動ノ爲ニスル通常郵便物ヲ選擧人一人ニ付一通」を「選擧運動ノ爲ニスル通常葉書ヲ議員候補者一人ニ付一萬枚」に改め、同條第二項中「公立學校」を「學校」に改め、同條第四項及び第五項を次のように改める。
都議會議員選擧管理委員會ハ又道府縣會議員選擧管理委員會ハ命令ノ定ムル所ニ依リ議員候補者ノ氏名、經歴等ヲ掲載シタル文書ヲ發行スベシ
同條第六項中「市町村長」を「市町村會議員選擧管理委員會」に改める。
第百四十三條中「關係地方長官」を「關係都道府縣ノ長ヲ經テ都議會議員選擧管理委員會又ハ關係道府縣會議員選擧管理委員會」に改める。
第百四十四條中「其ノ組合管理者ハ之ヲ町村長」を「其ノ組合會議員選擧管理委員會及組合會議員選擧管理委員又ハ組合管理者選擧管理委員會及組合管理者選擧管理委員ハ之ヲ町村會議員選擧管理委員會及町村會議員選擧管理委員」に改め、同條に次の一項を加える。
町村制第三十八條ノ町村ノ町村長 選擧管理委員會及町村長選擧管理委員ハ本法ノ適用ニ付テハ之ヲ町村會議員選擧管理委員會及町村會議員選擧管理委員ト看做ス第百四十五條第一項中「第三項」を「第一項」に、「市長ニ關スル規定ハ區長」を「市會議員選擧管理委員會及市會議員選擧管理委員ニ關スル規定ハ區會議員選擧管理委員會及區會議員選擧管理委員又ハ市會議員區選擧管理委員會及市會議員區選擧管理委員」に、「住居」を「住所」に改め、同條第二項中「町村長ニ關スル規定」を「町村會議員選擧管理委員會ニ關スル規定」に改める。
第百四十八條 削除
附 則
第一條 この法律は、次の総選挙から、これを施行する。但し、附則第十條及び第十一條の規定は、次の市町村の議会の議員又は長の選挙からこれを施行する。
次の地方公共團体の議会の議員又は長を選挙する場合において、衆議院議員選挙法の改正規定がまだ施行されていないときは、同法の改正規定は、当該選挙に対するその準用については、既に施行されたものとみなす。
第二條 在職の行政裁判所長官及び行政裁判所評定官は、日本國憲法施行までの間、この法律の規定にかかわらず、被選挙権を有しない。
第三條 改正後の衆議院議員選挙法第十條中「内閣官房長官」とあるのは、日本國憲法施行までの間、「内閣書記官長」と読み替えるものとする。
第四條 改正後の衆議院議員選挙法第十六條第二項中「最高裁判所」とあり、改正後の同法第八十一條、第八十三條第一項及び第八十四條第一項中「高等裁判所」とあるのは、日本國憲法施行までの間、「大審院」と読み替えるものとする。
第五條 総選挙の期日は、日本國憲法施行までの間、改正後の衆議院議員選挙法第十八條第四項の規定にかかわらず、勅命を以てこれを定めて公布しなければならない。
第六條 次の総選挙については、衆議院議員選挙法第七十四條中「十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。
第七條 参議院議員選挙法の一部を次のように改正する。
附則第二條を次のように改める。
第二條 削除
附則第五條乃至第八條を次のように改める。
第五條乃至第八條 削除
第八條 東京都制の一部を次のように改正する。
第九十三條ノ二十中「含ムモノトシ」の下に「同法第百四十條第四項中氏名、經歴等トアルハ政見等トシ」を加える。
第九條 道府縣制の一部を次のように改正する。
第七十四條ノ二十中「含ムモノトシ」の下に「同法第百四十條第四項中氏名、經歴等トアルハ政見等トシ」を加える。
第十條 市制の一部を次のように改正する。
第三十九條ノ二但書中「吏員トアルハ選擧管理委員、區選擧管理委員、選擧管理委員會及區選擧管理委員會ノ書記、選擧長、投票分會長竝ニ開票分會長」を「第八條ニ掲グル者トアルハ投票分會長及開票分會長」に改める。
第四十條但書を次のように改める。
但シ衆議院議員選擧法第百十二條第二項、第百十三條第二項、第百十六條、第百十七條及第百二十七條第四項中第八條ニ掲グル者トアルハ投票分會長及開票分會長ヲ含ムモノトス
第十一條 町村制の一部を次のように改正する。
第三十六條ノ二中「第九十五條、」の下に「第九十六條、」を加へ、「第百條ノ二」を削り、同條但書を次のように改める。
但シ同法第九十九條中第八條ニ掲グル者トアルハ投票分會長及開票分會長ヲ含ムモノトス
第三十七條但書を次のように改める。
但シ衆議院議員選擧法第百十二條第二項、第百十三條第二項、第百十六條、第百十七條及第百二十七條第四項中第八條ニ掲グル者トアルハ投票分會長及開票分會長ヲ含ムモノトス
別表を次のように改める
━━━━━━━━━━━━━
〔國務大臣植原悦二郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=4
-
005・植原悦二郎
○國務大臣(植原悦二郎君) 只今上程に相成りました衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案に付きまして、提案の趣旨及び其の概要を御説明申上げます、大選擧區制限連記制を骨子と致します現行衆議院議員選挙法に付きましては、前囘の總選擧の結果等に鑑み、論議の喧しきものがありまして、決して滿足すべきものではなかつたのであります、それ故に政府に於きましても、選擧法全般に亙つて根本的再檢討を加へて來たのでありますが、最近に於ける政治的諸情勢の要請に依り、急速に選擧を行ふことになりましたので、曩に政府は取敢ず、日本國憲法の制定、地方制度の改正、参議院議員選挙法及び國会法の制定等に伴ふて必要最小限度の規定の整備を行ふこととして改正案を提案したのであります、然るに衆議院に於きまして議員多數の贊成に依り、現行の大選擧區制限連記制に代へて、中選擧區單記制を採用することに政府案が修正されたのであります、以下先づ政府原案の内容の主要な事項に付て御説明申上げ、續いて衆議院に於ける修正部分に付て御説明申上げたいと存じます、第一には、選擧權及び被選擧權に關する事項であります、代議政治の本議に則り、普通選擧の精神を擴充する爲、出來得る限り選擧權及び被選擧權を擴張することが望ましいので、曩の昭和二十年の改正に於ける大擴張に次いで缺格條項を整理致しますと共に、必要な改正を加へることに致しました、破産者で復權を得ない者、貧困の爲公私の救助を受け、又は扶助を受けたる者及び一定の住居を有しない者は從來缺格者とされて居たのでありますが、是等の者が斯かる境涯に陷つた原因は個人的なものと云ふよりは寧ろ社會的の原因に基くものが多いのでありまして、其の經濟的無能力は必ずしも直ちに政治的無能力を意味するものではありませぬ、殊に終戰後に於きましては、戰災引揚等の不可抗力に依りまして、此のやうな地位に置かれて居る者の數は少くないと想像されますので、是等の者に對しても選擧權及び被選擧權を賦與し、其の意思と主張を表明させる機會を與へることを適當と認めまして、缺格條項から是等を除外し、参議院議員選挙法及び先般の地方制度の改正と歩を一にさせることに致しました、所謂刑餘者に付きましても、刑の執行を終り又は受けることがなくなつた以上は、其の反社會性は拂拭されたものと見るべきでありますから、是等の者に對しても平等な一國民として基本的權利を保障することが當然であるばかりでなく、行刑處遇上も適當と認められますので、是等にも選擧權及び被選擧權を與へることに致しました、尚新憲法の精神に從ひ、華族の戸主にも選擧權及び被選擧權を與へることに致しました、兼職禁止の職に新たに地方公共團體の吏員及び市町村其の他之に準ずる者の議會の議員を加へましたのは、國会法案の規定に照應させると共に、改正憲法下に於ける議員の職責の重大性に鑑み、他の職との兼職を避けなければならないと云ふ點に於きましては、官吏と吏員、都道府縣の議會の議員と市町村會議員との間に本質的の差異を認め難いからであります、第二に、選擧管理委員會制の採用であります、選擧事務執行を中正不偏なものとすると同時に、選擧の民衆化と日常化とを圖りますことは最も重要な事柄であります、此の爲に參議院議員竝に地方議會の議員及び其の長の選擧に於ける管理機關として各種の選擧管理委員會が設置されるに至つたのでありますが、衆議院議員の選擧に於きましても、是と同樣の措置を講ずることに致したのであります、併しながら衆議院議員の選擧管理機關としては類似の機關を別箇に設置することなく、各都道府縣の選擧管理委員會を以て之に當らせ、衆議院議員の選擧に關する事務に關しては市町村の選擧管理委員會を指揮監督することが出來るものとし、此の選擧管理委員會制の採用に伴ふ必要な規定を整備致したのであります、第三に、議員候補者及び當選人に關する事項であります、從來の重複立候補は選擧界を混亂に導く虞があるばかりでなく、當選人の決定、其の他選擧事務の執行を複雜にさせる缺點がありますので、參議院議員選挙法及び改正地方制度の例に倣ひ推薦屆出の場合には必ず本人の承諾を得なければならぬと致し、同一人が二以上の選擧から立候補出來ないものと致しました、尚近時に於きまする物價騰貴の現況に鑑みまして、泡沫候補濫立の弊を防止する爲、供託金の額を五千圓に引上げることに致しました、繰上補充は元來便宜的な當選人、又は缺員補充方法でありますが、之を一年にも亙つて認めます時は、選擧の理論にも反しますし、又種種弊害も考へられますので、同點者を除き、當選人が未だ確定しない當選承諾期間に限つて之を認めることと致しました、尚現行法に依る當選承諾期間は十日間でありますが、來るべき總選擧の特殊性に鑑みまして、選擧の結果を出來得る限り速かに確定させる爲に、特に之を五日間に短縮することに致しました、第四には、選擧運動に關する事項であります、参議院議員選挙法の制定に伴ひ、選擧公報の制度を改めて經歴公報の制度を採用することに致しました結果、選擧公報の發行區域に於ける文書の頒布制限に關する制限規定を撤廢することに致しました、尚先に御協贊を載きました参議院議員選挙法の改正に照應致しまして、學校の兒童、生徒等に對する特殊の關係ある地位を利用して行ふ選擧運動を禁止する旨の規定を新たに設けました、第五には、選擧運動の費用に關する事項であります、選擧運動の費用の増大が選擧界の腐敗を齎す最大の原因である點に鑑みまして、選擧運動の費用の最高制限額の制度は之を保持することと致しましたのは勿論でありますが、更に之と竝行して議員候補者及び政黨、其の他の團體の選擧運動の收入支出を公開せしめ、二者相俟つて議員候補者及び政黨其の他の團體の自肅を促しますと共に、一般選擧人に對する公正な判斷資料を提供することと致しまして選擧の公正、明朗を期することにしたのであります、尚選擧運動の費用の最高額の基準は、現在法律で三十錢と定められて居りますが、是は必ずしも適當ではなく、旁旁現在の最高額も物價變動の状況からは適當ではなくなつて居るので、選擧を施行する際に於ける物價等の事情を考量して、實際に即して適正に定め得るやうに命令で定める金額とすることとしたのであります、第六には、罰則に關する事項であります、最近に於きます物價の昂騰の状況に鑑み、且参議院議員選挙法の規定との權衡上、罰金は之を一律に十倍に引上げることに致しました、尚選擧運動の收入及び支出の公開制の採用、未成年の學校の兒童及び生徒等に對しまする特殊の關係のある地位を利用する選擧運動の禁止等に伴ふ所要の罰則を整備したのであります、第七は、選擧公營に關する事項であります、選擧公報の發行及び新聞紙に依る議員候補者の氏名等の公告は、最近に於きます用紙需給の状況より致しましては、到底其の實行が不可能であると認められるばかりでなく、兩者稍稍重複する感もありますので、参議院議員選挙法の例に倣ひ、選擧公報の發行と議員候補者の氏名等の新聞紙の公告を統合し、經歴公報を發行し、議員候補者の氏名、經歴等を掲載させることに致しました、尚經歴公報は、總選擧のみではなく、再選擧及び補缺選擧にも之を發行することにしましたので、之に伴ひ再選擧及び補缺選擧の選擧期日を延長する措置を講じたのであります、次に無料郵便物の制度は、本年内に限つては、曩に本院を通過し、公布になりました「選挙運動の文書図画等の特例に関する法律」に依るのでありますが、本法の基本的制度と致しましては、参議院議員選挙法の改正に倣ひまして、選擧運動の爲にする通常葉書を、議員候補者一人に付一萬枚を限り、無料を以て差出し得るものと致しました、其の他改正憲法、参議院議員選挙法の制定及び地方制度の改正に伴ひ、選擧に關する訴訟の出訴裁判所を高等裁判所と致し、演説會開催の爲必要な施設の公營の對象となるべき學校の範圍を、公立學校ばかりでなく、官立及び私立をも含ませることとする等必要な規定の整備を加へたのであります、以上申し上げましたのは政府原案の大要でありますが、之に對しまして衆議院に於きましては、現行大選擧區連記制の採用に代へ、中選擧區單記制の採用が絶對的多數を以て決定されたのであります、尚選擧期日後の挨拶行爲に關する制限を撤廢しようとする政府案が、全會一致を以て修正削除されました、其の修正の要旨は、大選擧區制は選擧區が大なる爲選擧運動が困難であり、又候補者及び政黨の主義政策を選擧人に徹底せしむること容易ならず、且選擧運動の費用も嵩み、而も現下の諸情勢に適合せずと云ふことでありました、さりとて小選擧區制の採用にも現段階に於ては、種々考慮すべき餘地があるので、中庸の制度として中選擧區制を採用したとの主張でありました、又連記制に付ては、前囘選擧の結果に徴するに、二人目以上の投票の記載に付ては種々缺陷を現はし、選擧人の正しい政治意思の表明に適當とは認められないとのことでありました、又選擧期日後の挨拶行爲に關する制限に付きましては、政府は當初、成るべく選擧に關する窮屈な制限を撤廢して、選擧の執行を自由にし、候補者の自省と選擧人の自由な判斷とに委ねることが望ましいと云ふ趣旨で、之を廢止しようとしたのでありますが、最近の實情に鑑みる時は、此の制限を撤廢する時は種々の弊害を現はし、特に過般「選挙運動の文書図画等の特例に関する法律」が成立公布を見ました今選擧期間中に於ける運動及び選擧運動の費用の制限を意味のないものにする虞が多分にあると云ふので、現行の制限規定を存置することに修正になつたのであります、是等の修正の點に付きましては、是が兩院を通過致しました上は、政府としては院議を尊重し、之に應ずる所存であります、何卒速かに御審議の上、御協贊あらむことを御願ひ致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=5
-
006・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案は、其の委員の數を十九名とし、其の特別委員の氏名を議長に於て指名せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=6
-
007・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=7
-
008・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=8
-
009・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔小野寺書記官朗讀〕
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案特別委員
公爵 桂廣太郎君 侯爵 嵯峨實勝君
伯爵 大木喜福君 子爵 大河内輝耕君
子爵 永井直邦君 子爵 京極高鋭君
子爵 三宅直胖君 中田薫君
永井松三君 男爵 中御門經民君
男爵 坂本大造君 男爵 中村徹雄君
高木八尺君 澤田牛麿君
松尾國松君 三橋四郎次君
小山完吾君 原田讓二君
長島銀藏君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=9
-
010・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第一、財政法案、日程第二、会計法を改正する法律案、日程第三、復興金融金庫法の一部を改正する法律案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、是等の三案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=10
-
011・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長北大路男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=11
-
012・会議録情報3
━━━━━━━━━━━━━
財政法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十日
委員長 男爵北大路信明
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
會計法を改正する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十日
委員長 男爵北大路信明
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
復興金融金庫法の一部を改正する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十日
委員長 男爵北大路信明
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔男爵北大路信明君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=12
-
013・北大路信明
○男爵北大路信明君 只今上程せられました財政法案外二件に付審議の經過竝に結果を御報告申上げます、是等三案は昨日國有財産法の一部を改正する法律案特別委員會の審議に併託されました、本委員會は昨日午前には國有財産法の一部を改正する法律案外九案を可決致しまして、午後より只今上程せられました三法案に付大藏大臣より説明を聽取致しまして、引續き質疑を繼續致しました、時間は少うございましたが、各委員よりは御熱心なる質疑がございました、質疑を終了致しまして、直ちに討論に入り、採決を致しましたる處、全會一致を以て原案を可決すべきものなりと決定致しましたのでございます、是等三案の趣旨及び内容に付きましては、昨日本會議に於きまして大藏大臣より御説明のあつたことでもございますから、之を茲に反覆致しますことは省略致しまして、直ちに委員會に於ける質疑應答の主なるものに付御説明申上げます、先づ一委員より、財政法案に付て暫定豫算は國會の議決で成立するや、暫定豫算が成立しないと云ふことも考へられるがとの問に對しまして、政府は、是は問題の點であつて、内容を申せば期間が一箇月とか、二箇月とか云ふやうに短かく、最低の政府の機構を維持する、最低の經費であつて、内閣の政策等の如き大きなものは含まないので、差當り絶對に必要なものだけである、之をも國會が否決すると云ふことは、國家としての機構が止まると云ふやうなことになるので、先づ成立しないことはないと思ふとの答辯がございました、又第十九條に關して、國會の豫算増額修正權に付て質問したる處、政府は豫算を決定する時には、先づ第十八條に依り、是等三機關の長に對して意見を求めなければならない、さうして政府は最も良いと信ずる豫算を提出してゐるのであります、從來は豫算の編成、提出者は政府であつたが、新憲法に於ては國會が最高機關であるから、是等三機關及び他の一般機關に付ても増額修正は出來ると思ふ、併し新憲法に於ても豫算の編成、提出は内閣に專屬して居るから、大きな増額は出來ないと解するとの答辯がございました、之に對して一般に増額修正權のある國會等の三機關を尊重して居るのに、内閣に於てはそれ等の豫算をカツトすると云ふことはどう云ふことであるか、矛盾しては居ないかとの問に對しては、政府は國會の外二機關は行政府から獨立したものであるから、内閣に於ては全然之にタツチせずとの強硬論もあつたが、是はタツチしつつ獨立性を維持すると云ふことである、全體の豫算の提出權は、將來政黨内閣が持つものであるから、政府が困るやうな修正は出來ない、若し其のやうな修正をすれば、政府は留まることが出來ぬことになる、理論的よりも政治的の意味から斯う云ふ條文が出來たのであるとの答辯がございました、又一委員より、此の財政法案では、臨時部、經常部の區別を廢止されたが、是は全然區別しないのであるか、それとも別の方法で區別するのかとの質問に對しまして、政府よりは戰前に於ても、殊に最近に於ては殆ど其の區別が立て難いやうな實情になつて居るので、之を區別することは却て不自然になり、分り難くなる、それで今後のことを考へても、經常部、臨時部と是非分けねばならぬ理由は發見されないので、今般廢止することにしたとの答辯がございました、又「会計法を改正する法律案」に付きましては、一委員より、大藏大臣の豫算執行に對する監査權限が非常に強化されたが、豫算の執行状況を監査するとか、報告を徴するとか云ふことはどの程度にやるのであるか、尚又必要に應じて閣議を經ては居るが、指示迄もされるのであるが、是は寧ろ總理大臣の權限に屬するやうに思はれるが、之を特に大藏大臣に權限を與へられた理由は何處にあるかとの質問に對しまして、政府より、是は第四十六條の關係で、今囘の改正の中、非常に大きな問題とされて居るのは、大藏大臣の財政監督權を強化されたこと、是は其の權限を大藏大臣に持たせるか、總理大臣が持つべきかに問題はあると思ふが、内閣の當面の責任者である大藏大臣に、財政を統制する必要から權限を與へた、勿論發動して強くやる時は、閣議の決定を經て、閣員全體の責任に依つてやることになると思ふ、從來は豫算の編成の方には力を入れるが、執行する場合はさ程力を入れて居らない、又執行に當つて議會の要望が十分現れて居るかと云ふ、監督が非常に不十分であつた、それで十分監督する必要があると我々は考へて居るが、關係方面も同樣な御意見でありまして、重要視して居るのであります、具體的には今後機構をずつと擴充して、單に中央のみならず、末端迄非常に能動的な監査網を張つて、各省と協力してやつて行きたいと考へて居るとの答辯がございました、次に復興金融金庫法の一部を改正する法律案に付きましては、一委員より、資本金額を百億圓より、二百五十億圓に改められたが、大藏大臣の方針に依つて十分生産を助長して行くことが出來、復興の進捗を見ると云ふことに對しての見透しを伺ひたいと質しましたる處、政府よりは、復興の見透しは實際は金融だけでなく、其の他に資材、國内生産の石炭等の資材、又は輸入がどれ程可能かと云ふやうなことに懸つて居るから、數字的には申上げ兼ねるが、大體の趨勢としては、是非とも復興しなければならぬと云ふ至上命令的の必要もある場合でありますし、現實に於ても相當復興し得る、斯樣に考へて居る、是は空漠たる希望でなく、石炭の増産等も今の見透しでは、相當成功をして來て居るのではないかと思ふ、勞務者等も朝鮮人で内地に居る者も、協力して働かうと云ふ氣分が強力になつて來て、其の運動も大分始めて來て居る、内地人の勞務者も一時から見ると、考が堅實になりつつあるやうに思はれるし、又經營者も左樣であり、政府も相當強力なる方法を講じて行きたいと考へて居る、困難な事業ではあるが、相當復興は期待し得る、それで復興金融金庫としても之に對應して、資金の方面から復興を妨げるやうなことのないやうにせねばならぬと考へて居る、今囘の増資、其の中には公團に對する資金も入つて居るが、それに依つて大體明年度一年間に六百億圓位の産業資金が要るものと見て居る、其の中復興營團から増資に依つて賄ひ得るものを出して行く、斯樣な考を持つて居るとの答辯がございました、以上質疑應答の大要を申上げましたが、詳細は速記録に讓りたいと思ひます、質疑を終了致しまして、討論に入りましたる處、別に御發言もなく、直ちに採決に入りましたが、全會一致を以て原案を可決すべきものと決定致しました、右御報告申上げます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=13
-
014・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、三案の採決を致します、三案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=14
-
015・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=15
-
016・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=16
-
017・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=17
-
018・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=18
-
019・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=19
-
020・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 三案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、三案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=20
-
021・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=21
-
022・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=22
-
023・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=23
-
024・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=24
-
025・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=25
-
026・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 三案の第三讀會を開きます、三案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=26
-
027・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、議事の都合に依つて午後一時迄休憩致します
午後十一時一分休憩
――――◇―――――
午後一時十一分開會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=27
-
028・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 報告致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
本日衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長 子爵 大河内輝耕君
副委員長 男爵 中御門經民君
本日本院ニ於テ可決シタル左ノ政府提出案ハ直ニ裁可ヲ奏請シ又可決ノ旨ヲ衆議院ニ通知セリ
財政法案
会計法を改正する法律案
復興金融金庫法の一部を改正する法律案
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に關する法律案可決報告書
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に關する法律案可決報告書
日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に關する法律案可決報告書
衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案可決報告書
本日衆議院ヨリ左ノ政府提出案ヲ受領セリ
私的独占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案
特別調達廳法案
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=28
-
029・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 基より休憩前に引續き會議を開きます、此の際議事日程に追加し衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案の第一讀會ノ續を開き委員長の報告を求めたいと思ひます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=29
-
030・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、委員長大河内子爵
━━━━━━━━━━━━━
衆議院議員選挙法の一部を改正する法律案
右可決スヘキモノトナリト議決セリ
依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十一日
委員長 子爵大河内輝耕
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔子爵大河内輝耕君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=30
-
031・大河内輝耕
○子爵大河内輝耕君 御承知の通り、衆議院議員選擧法の一部を改正する法律案は政府から提出になりまして、衆議院で修正になりました、一括して御報告を申上げます、此の修正案と申すものは御承知の通り、大選擧區を中選擧區に直しまして、單記に致したのでございます、それで質問のございました點を御紹介申上げます、中選擧區單記に修正したことに付ては、大分衆議院でも反對論が多かつた、其の反對した理由は何處にあるか、斯う云ふ御質問がございました、之に對しては、今迄は大選擧區でやつて居つたが、中選擧區制にすると、どうしても大選擧區で出た人には不利益になることは免かれない、殊に散票に依つてそれを集めて當選して來た人達、又それ等の人を中心とする政黨には不利益だ、左傾をした思想者にさう云ふ人が多いので、さう云ふ人には不利益な結果になつたと云ふことであります、それから又他の反對理由としては、大選擧區を折角一遍やつたのだからもう一度大選擧區でやつたらどうかと云ふ議論もあつた、又議員に今度出たいと云ふやうな人は、今迄の大選擧區を前提として、準備をして居るから、之を急に中選擧區にしたのでは非常に不利益になると云ふこともあり、又一般の政治上の影響は姑く別と致しまして、選擧會のことを考へると確かに大選擧區で準備して來た政黨には不利益になるそれで反對論があつた、反對された理由は斯う云ふ事柄であつたと云ふことでございます、尚婦人候補者に不利益ぢやないか、それは婦人候補者には不利益である、今迄の實績を見ると、婦人に投票した人の中には眞面目に婦人を、此の人を出したいのであると云ふ意味で婦人に投票したと云ふ人も、それはあつたには相違ないけれども、中にはさう云ふやうな意味でなく、唯思ひ付きに婦人の名を書いた人等も多い、現に或縣では女の名前と男の名前と穿き違へて、さうして女だと思つて非常に澤山投票した縣があつたと云ふやうな例も擧げられました、それから又此の選擧法改正案に反對した人の反對の經緯はどうであるかと云ふ質問に對しては、是は反對する人達は政府の陰謀である、斯う云ふ風に考へられたのであります、政府は決してさう云ふことはないので、二三年前から愼重に此のことは審議をして、さうして全部の人に政府の誠意は能く了解されて居るのだ、現に反對の態度を執つた人に對しても個人々々に話をして見ると、政府の言ふことは能く了解する、決して反對の考はないのだ、もう少し期限でもあれば纏つたのだけれども、何分期限が短い爲にそこ迄手が廻らないで、色々ああ云ふ激しい反對を起したのは遺憾であつた、斯う云ふやうな質問應答がございました、それで討論に入りまして、或一議員から、本案の審査期間は極めて短い、短いのは誠に殘念であるけれども、本案の趣旨竝に其の内容に付ては憲法や參議院議員選擧法の際に十分に繰返し論議されたことであり、其の趣旨は能く分つて居る、殊に植原、齋藤兩國務大臣は其の時からして中選擧區が宜いと云ふ御持論であつて、さうして其の意味も我々は能く分つて居る、事新らしく茲で又同じことを繰返して質問する必要もないから、今迄あつた憲法なり、或は參議院議員なり、其の他の今迄あつた質問應答を前提として、さうして政府案が適當と認められるから、之に贊成すると云ふ贊成意見の御開陳がございました、其の他の方々からそれに贊成すると云ふ御意見の御開陳がありまして、全會一致を以て可決致しました、申上げる迄もなく政府の案とそれからそれに對して衆議院で修正をされまして、兩方一緒になつて可決せられたことになつて居ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=31
-
032・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 討論の通告がございます、宮澤俊義君
〔宮澤俊義君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=32
-
033・宮澤俊義
○宮澤俊義君 會期が非常に切迫しました時に時間を潰しまして誠に申譯ございませぬが、極く簡單に一言言はせて戴きたいと思ひます、選擧區制の可否と云ふことは一概に決められない問題でございまして、現在の大選擧區制限連記制と云ふものにも十分長所がございますし、又今度新たに採用されました中選擧區單記にも相當の缺點がありますので、一概に申せませぬが、日本の現在の事情に鑑みて兩者を比較すれば、私は中選擧區單記制の方が幾分宜くはないかと云ふ風に考へまして、本案に贊成する者でありますが、それに關聯しまして、二つの點に付て政府竝に同僚各位の御注意を促したいと思つて登壇しました次第であります、第一は國民の選擧に關する關心を昂める必要があると云ふ問題であります、申す迄もなく選擧は最良の政治教育の機會でありまして、民主政治の教育と云ふものは、何よりも民主政治を實行することに依つて行はれると云ふことは申上げる迄もないと思ひます、其の意味で選擧に際しましては、取分け今度のやうな澤山な選擧が一遍に行はれる際には、十分朝野を擧げて國民の政治意識の昂揚に力を致さなければならぬと存ずるのであります、其の爲には選擧運動と云ふものは相當に華々しく、或意味で派手に行はれることが望ましいやうに思ひます、寧ろ或程度の御祭り騒ぎすら許され、或は奬勵されて然るべきものと考へるのでありますが、其の點では現在行はれて居りまする選擧運動と云ふのは、頗る遺憾な點があると思ふのであります、是では國民の選擧に關する關心が十分に昂められる可能性がないやうに思ふのでありまして、現に我々の目の前にある選擧に關して、驚くべき無關心が見られることは誠に殘念に存ずる次第であります、若し此の有樣が續くやうならば、眞の積極的な國民の參政と云ふことは到底望み難い、或は新憲法も單なるスクラツプ・ペーパーに墮するのではないかとすら恐れられるのであります、勿論選擧運動を派手に或は華々しく行ふと云ふことに付きましては、非常な費用が掛ります、併しながら其の金も國民の政治教育の値としては決して高いものではないと考へるのであります、元來選擧運動に金が掛ると言ふこと、それ自體は必ずしも惡いことではないのであります、惡いのは其の金を候補者個人に、或は候補者私人に負擔させると云ふことであるのでありますから、其の金を候補者に負擔させないで國民全體が即ち國家が負擔すると云ふことになれば、決して差支はないのであります、其の爲には選擧公營を徹低的に強化擴充しなけれはならぬと考へるのであります、從來、ともしますと選擧公營の目的は、最小限度の選擧運動を公營とすると云ふことであつたやうでありますが、今後は寧ろ最大限度の選擧運動を公營とすると云ふことが目的でなけれはならないと思ひます、此の點で今囘の改正で、選擧公營の程度が寧ろ引下げられたと云ふことは、事情已むを得ないものがありますけれども、誠に殘念に考へらるる次第であります、來るべき新しい國會では、是非公營の強化に力を致されたいと希望するのでありますが、政府は今からでも決して遲くはありませぬから、國民の選擧への關心を十分に喚起するやうに、もつともつと積極的に努力をして戴きたいと思ひます、到る處の床屋に、或は錢湯に、或は映畫館に、總ての候補者の名前がはつきり書竝べてあると云ふやうなことにならなければ、今日の事情の下で、十分選擧の趣旨を國民に徹底させることはむづかしくはないかと考へます、次に申上げたいことは、此の度の選擧法改正、殊に此の別表改正が成立するに至つた經緯であります、選擧法は或新聞が正當にも指摘しました通り、選擧の爭ひの一つのルールであります、いざ仕合が始まらうと云ふ時に之を根本的に變更すると云ふことは、どう考へてもフエアなやり方とは考へられないのであります、今囘の改正は會期の終り近くになつて提案されたもののやうでありますが、斯樣な重大な問題、而も古い問題を突如として會期の終りに至つて提出すると云ふことに、正當な理由があるとは到底考へられないやうに思ひます、恐らくは其の爲でございませう、本案の審議に際しましては、衆議院で非常な摩擦があり、而も單に精神的な意味に於ける摩擦ばかりではなく、時に物理的意味に於ける摩擦が起りましたと云ふことは(笑聲)誠に殘念であります、殊に其の際に計畫的な議事妨害が行はれさうになつたと云ふ事實に付て、私は各位の御注意を促したいと思ふのであります、議事妨害、オブストラクシヨンの先例としましては、先例は不幸にして我が國にもございますが、幸ひにして是は全く一時的な現象でありまして、決して經常的な現象とはなりませぬでした、此の度のものも勿論左樣な一時的な現象であらうと存じますが、新憲法の施行を目の前に控へて、本格的に議會政治を實行しようと云ふ矢先に、多少なりとも議事妨害と云ふ現象が起つたと云ふことは、私共は愼重に考へなければならぬ所と思ふのであります、元來議事妨害と申しますものは、議會政治に於ては絶對に避けることの出來ない現象であります、之を避けようとすればどうしても少數黨の發言を、或は其の活動を極度に制限するより外に仕方がありませぬが、若しさうしますならば、それは議會政治其のものを否定することにならざるを得ないのであります、從つて議會制度を認めながら、議事妨害の發生を法律の規定で、全く抑へようと云ふことは不可能に屬するのであります、併しながら苟も健全なる議會政治が行はれて居ります限りは、實は法律を以てそれを禁ずる必要はないのであります、多數黨が十分なる節度を有し、少數黨の發言を十分に尊重する限りは、議事妨害と云ふことの生ずる虞がないのであります、議事妨害と云ふものは多數黨が不當に少數黨の發言を封じ、少數黨が十分に其の主張を述べることを抑へられる場合にのみ發生するものであります、我が國に於ける唯一の計畫的な議事妨害の先例は、此の度と全く同じやうに、選擧區の改正に付て行はれたものであることを私共は想ひ出して宜からうと存じます、議事妨害と云ふものは、從つて法律的には何所の國でも可能であります、又事實極めて部分的ではありますが、イギリスでもアメリカでも其の例を見出すことが出來るのであります、併しながら議會制度が正常な運行を續ける限りは、惡質な議事妨害と云ふものは決して起らないと云ふことは、イギリス或はアメリカの例を見ても明かなことであります、惡質な議事妨害が起ると云ふことは、詰り其處に健全な議會制度が運用される地盤が缺けて居ると云ふこと、言葉を換へて言へば其處にはデモクラシーの地盤が缺けて居る、其の國民がデモクラシーを實行する能力がないと云ふことを示すものであります、日本の議會が眞にデモクラシーを實行する能力があるとすれば、惡質な議事妨害が行はれる餘地がない譯であり、若し其處に惡質な議事妨害が行はれ、それが慢性的になる見込があるとすれば、それは日本人がデモクラシーを行ふ能力がないと云ふことの何よりの證據にならなければならないと思ひます、今囘の議事妨害は、謂はば我が民主政治の船出に際しての一つの警戒警報であります、來るべき衆議院、參議院の議員諸公が十分に此の警報に鑑み、其の針路を誤らず、一路平安我が祖國を眞の民主國家、平和國家に導いて下さることを心から希望しながら、茲に本案に贊成の意を表する次第であります(拍手)発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=33
-
034・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 他に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=34
-
035・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=35
-
036・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=36
-
037・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=37
-
038・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=38
-
039・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=39
-
040・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=40
-
041・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=41
-
042・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=42
-
043・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=43
-
044・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=44
-
045・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=45
-
046・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=46
-
047・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=47
-
048・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 此の際議事日程に追加し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案の第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=48
-
049・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、高瀬國務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=49
-
050・会議録情報4
━━━━━━━━━━━━━
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月三十一日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律目次
第一章 総則
第二章 私的独占及び不当な取引制限
第三章 不当な事業能力の較差
第四章 株式の保有、役員の兼任、合併及び営業の讓受
第五章 不公正な競爭方法
第六章 適用除外
第七章 損害賠償
第八章 公正取引委員会
第一節 組織及び権限
第二節 手続
第三節 雜則
第九章 訴訟
第十章 罰則
第一章 総則
第一條 この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な競爭方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販賣、價格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競爭を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び國民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、國民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
第二條 この法律において事業者とは、商業、工業、金融業その他の事業を営む者をいう。
この法律において競爭又は競爭者とは、潜在的な競爭又は競爭者を含むものとする。
この法律において私的独占とは、事業者が、單独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法を以てするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競爭を実質的に制限することをいう。
この法律において不当な取引制限とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競爭を実質的に制限することをいう。
この法律において不当な事業能力の較差とは、事業者と競爭者の事業能力の間に、著しい較差がある場合において、その事業者の優越した事業能力が、技術的理由により正当とされるものでなく、且つ、その較差が左の各号の一に掲げる事由により私的独占を行うことができる程度であるものをいう。
一 他の事業者があらたに事業を起すことを著しく困難にする程度に、事業者が、当該事業分野に属する事業又はこれに使用する原材料を支配していること。
二 事業者が、一定の事業分野において、他の事業者が現実に競爭することを著しく困難にする程度に生産を支配していること。
三 事業者が、私的独占を行うことができる程度に自由な競爭を抑圧し、又は著しく制限していること。
この法律において不公正な競爭方法とは、左の各号の一に該当する競爭手段をいう。
一 他の事業者から不当に物資、資金その他経済上の利益の供給を受けず、又は他の事業者に対し不当に物資、資金その他の経済上の利益を供給しないこと。
二 不当な差別対價を以て、物資、資金その他の経済上の利益を供給すること。
三 不当に低い対價を以て、物資、資金その他の経済上の利益を供給すること。
四 不当に、利益又は不利益を以て、競爭者の顧客を自己と取り引きするように勧誘し、又は強制すること。
五 相手方が自己の競爭者から不当に物資、資金その他の経済上の利益の供給を受けないことを條件として、当該相手方と取り引きすること。
六 相手方とこれに物資、資金その他の経済上の利益を供給する者若しくは顧客との取引若しくは相手方とその競爭者との関係を不当に拘束する條件を附け、又は相手方である会社の役員(取締役、業務を執行する無限責任社員若しくは監査役若しくはこれに準ずる者、支配人又は本店若しくは、支店の営業の主任者をいう。以下同じ。)の選任についてあらかじめ自己の承認を受けるべき旨の條件を附けて、当該相手方に物資、資金その他の経済上の利益を供給すること。
七 前各号に掲げるものの外、公共の利益に反する競爭手段であつて、第七十一條及び第七十二條に規定する手続に從い公正取引委員会の指定するもの。
第二章 私的独占及び不当な取引制限
第三條 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。
第四條 事業者は、共同して左の各号の一に該当する行爲をしてはならない。
一 対價を決定し、維持し、又は引き上げること。
二 生産数量又は販賣数量を制限すること。
三 技術、製品、販路又は顧客を制限すること。
四 設備の新設若しくは拡張又は新技術若しくは新生産方式の採用を制限すること。
前項の規定は、一定の取引分野における競爭に対する当該共同行爲の影響が問題とする程度に至らないものである場合には、これを適用しない。
第五條 事業者は、一手買取及び一手販賣の方法による資材若しくは製品の全部若しくは一部の配給の統制又は資材若しくは製品の全部若しくは一部の配給の割当を行う法人その他の團体を設立し、若しくは組織し、又はこれらの團体に加入してはならない。
第六條 事業者は、外國の事業者と左の各号の一に該当する事項を内容とする國際的協定若しくは國際的契約をし、又は國内の事業者と貿易に関し左の各号の一に該当する事項を内容とする協定若しくは契約をしてはならない。
一 第四條第一項各号の一に掲げる事項
二 事業活動に必要な科学又は技術に関する知識又は情報の交換を制限すること。
前項の規定は、國際取引又は國内取引の一定の分野における競爭に対する当該協定又は当該契約の影響が問題とする程度に至らないものである場合には、これを適用しない。
事業者は、外國の事業者との國際的協定若しくは國際的契約又は國内の事業者との貿易に関する協定若しくは契約であつて相当期間継続するもの(一の取引による目的物の授受のみが相当期間にわたるものを除く。)をしようとする場合には、公正取引委員会に届け出て、その認可を受けなければならない。
前項の場合において、事業者は、届出の日から三十日を経過するまでは、当該協定又は当該契約をしてはならない。
第七條 私的独占又は不当な取引制限に該当する行爲があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に從い、事業者に対し、当該行爲の差止、営業の一部の譲渡その他私的独占又は不当な取引制限を排除するために必要な措置を命ずることができる。
第三章 不当な事業能力の較差
第八條 不当な事業能力の較差があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に從い、事業者に対し、営業施設の讓渡その他その較差を排除するために必要な措置を命ずることができる。
公正取引委員会が前項の措置を命ずるに当つては、当該事業者につき、左の各号に掲げる事項を考慮しなければならない。
一 資本金、積立金その他資産の状況
二 收支その他経営の状況
三 役員の構成
四 工場、事業場及び事務所の位置その他の立地條件
五 事業設備の状況
六 特許權の有無及び内容その他技術上の特質
七 生産、版賣等の能力及び状況
八 資金、原材料等の取得の能力及び状況
九 投資その他の方法による他の事業者との関係
十 前各号に掲げる事項に関する競爭者との比較
第四章 株式の保有、役員の兼任、合併及び営業の讓受
第九條 株式会社は、これを設立してはならない。
前項において株式会社とは、株式(社員の持分を含む。以下同じ。)を所有することにより、他の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社をいう。
第十條 金融業(銀行業、信託業、保險業、無盡業又は証券業をいう。以下同じ。)以外の事業を営む会社は、他の会社の株式(議決権のない株式を除く。以下同じ。)を取得してはならない。
前項の規定は、会社(商品の賣買を主たる事業とするものを除く。)が、左の各号に該当する他の会社の株式の全部を所有することとなる場合において、その会社の株式の取得について公正取引委員会の認可を申請し、公正取引委員会が、当該株式の所有が一定の取引分野における競爭を実質的に制限することにより公共の利益に反することとなることがないと認めて認可したときには、これを適用しない。
一 原材料、半製品、部分品、副産物、廃物若しくは事業活動に必要な物資その他の経済上の利益(資金を除く。)の供給について継続的で緊密な関係にある会社又は特許発明若しくは実用新案の利用関係にある会社
二 他の会社の株式を所有していない会社
前項に規定する場合の外、株式を取得しようとする会社(現に存する会社の株式を取得しようとする場合には、株式を取得しようとする会社及びその株式を発行する会社)が、その株式の取得が左の各号に掲げる要件を備えていることを明かにした場合には、その会社の株式の全部を所有することとならないときでも、同項に規定する他の要件を備えているときには、同項と同樣とする。
一 必要な資金を調達するために発行される株式の取得であること。
二 申請会社において株式を引き受ける外、資本の取得が事実上困難である場合の株式の取得であること。
三 株式の取得が不公正な競爭方法に因るものでないこと。
四 取得しようとする会社と競爭関係にある会社が株式を所有していない会社の株式の取得であること。但し、商品の賣買を主たる事業とする会社の株式の取得については、取得しようとする会社以外の会社が株式を所有していない場合に限る。
第十一條 金融業を営む会社は、自己と競爭関係にある同種の金融業を営む他の会社の株式を取得してはならない。
金融業を営む会社であつてその総資産(未拂込株金、未拂込出資金又は未拂込基金に対する請求権を除く。)が五百万円を超えるものは、他の会社の株式総数の百分の五を超えてその会社の株式を所有することとなる場合には、その株式を取得してはならない。
前二項の規定は、左の各号の一に該当する場合には、これを適用しない。
一 証券業を営む会社が業務として株式を取得する場合
二 証券業以外の金融業を営む会社が賣出のための引受によつて株式を取得する場合
三 委託者を受益者とする有價証券信託の引受によつて株式を取得する場合。但し、委託者が議決権を行使する場合に限る。
前項第一号又は第二号の場合において、取得の日から一年を超えて株式を所有しようとするときは、あらかじめ公正取引委員会の認可を受けなければならない。
第十二條 会社は、他の会社の資本金額(株金総額、出資総額、株金総額及び出資総額の合計額又は基金総額をいう。)の百分の二十五に相当する金額を超えてその会社の社債(銀行業を営む会社の社債を除く。以下同じ。)を所有することとなる場合には、その社債を取得してはならない。
前條第三項及び第四項の規定は、前項の場合にこれを準用する。但し、株式とあるのは、社債と読み替えるものとする。
第十三條 会社の役員又は從業員(継続して会社の業務に從事する者であつて役員以外のものをいう。)は、左の各号の一に該当する場合には、他の会社の役員の地位を兼ねてはならない。
一 両会社が競爭関係にある場合
二 両会社の何れか一方の役員の四分の一以上が両会社以外の会社の役員の地位を占めてゐる場合
会社の役員は、いかなる場合においても四以上の会社の役員の地位を占めてはならない。
第十四條 何人も、相互に競爭関係にある二以上の会社の株式を所有することにより、一定の取引分野における競爭を実質的に制限することにより公共の利益に反することとなる場合には、その株式を取得してはならない。
何人も、相互に競爭関係にある二以上の会社の株式を各会社の株式総数の百分の十を超えて所有することとなる場合には、その株式の取得について公正取引委員会の認可を受けなければならない。
会社の役員は、その会社と競爭関係にある他の会社の株式を取得してはならない。
会社の役員は、その就任の際、就任する会社と競爭関係にある会社の株式を所有している場合には、その旨を公正取引委員会に届け出なければならない。
公正取引委員会は、前項の届出があつた場合において、一定の取引分野における競爭を実質的に制限することにより公共の利益に反することとなる虞があると認めるときは、その全部又は一部の処分その他必要な措置を命ずることができる。
第十五條 会社は、公正取引委員会の認可を受けなければ、合併をしてはならない。
公正取引委員会は、前項の認可の申請があつた場合において、当該合併が左の各号の一に該当し公共の利益に反すると認めるときは、これを認可してはならない。
一 当該合併が生産、販賣又は経営の合理化に役立たない場合
二 当該合併によつて不当な事業能力の較差が生ずることとなる場合
三 当該合併によつて一定の取引分野における競爭を実質的に制限することとなる虞がある場合
四 当該合併が不公正な競爭方法によつて強制されたものである場合
第十六條 会社は、公正取引委員会の認可を受けなければ、他の会社の営業の全部若しくは一部の讓受、他の会社の営業全部の賃借、他の会社の経営の受任又は他の会社と営業上の損益全部を共通にする契約をしてはならない。
前條第二項の規定は、前項の場合にこれを準用する。但し、当該合併とあるのは、当該行爲と読み替えるものとする。
第十七條 何らの名義を以てするかを問わず、第九條から前條までの規定による禁止又は制限を免れる行爲をしてはならない。
第十八條 公正取引委員会は、第五條若しくは第九條第一項の規定に違反して会社が設立された場合又は第十五條第一項の規定に違反して会社が合併した場合においては、設立又は合併の無効の訴を提起することができる。
第五章 不公正な競爭方法
第十九條 事業者は、不公正な競爭方法を用いてはならない。
第二十條 前條の規定に違反する行爲があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に從い、当該行爲の差止を命ずることができる。
第六章 適用除外
第二十一條 この法律の規定は、鉄道事業、電氣事業、瓦斯事業その他その性質上当然に独占となる事業を営む者の行う生産、販賣又は供給に関する行爲であつてその事業に固有のものについては、これを適用しない。
第二十二條 この法律の規定は、特定の事業について特別の法律がある場合において、事業者が、その法律又はその法律に基く命令によつて行う正当な行爲には、これを適用しない。
前項の特別の法律は、別に法律を以てこれを指定する。
第二十三條 この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行爲にはこれを適用しない。
第二十四條 この法律の規定は、左の各号に掲げる要件を備え、且つ、法律の規定に基いて設立された組合(組合の連合会を含む。)の行為には、これを適用しない。但し、不公正な競爭方法を用いる場合又は一定の取引分野における競爭を実質的に制限することにより不当に対價を引き上げることとなる場合は、この限りでない。
一 小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること。
二 任意に設立され、且つ、組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
三 各組合員が平等の議決権を有すること。
四 組合員に対して利益分配を行う場合には、その限度が法令又は定款に定められていること。
第七章 損害賠償
第二十五條 私的独占若しくは不当な取引制限をし、又は不公正な競爭方法を用いた事業者は、被害者に対し、損害賠償の責に任ずる。
事業者は、故意又は過失がなかつたことを証明して、前項に規定する責任を免れることができない。
第二十六條 前條の規定による損害賠償の請求権は、第四十八條第三項又は第五十四條の規定による審決が確定した後でなければ、裁判上これを主張することができない。
前項の請求権は、同項の審決が確定した日から三年を経過したときは、時効に因つて消滅する。
第八章 公正取引委員会
第一節 組織及び権限
第二十七條 この法律の目的を達成するため、公正取引委員会を置く。
公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。
第二十八條 公正取引委員会の委員は、独立してその職権を行う。
第二十九條 公正取引委員会は、委員七人を以て、これを組織する。
委員は、年齢が三十五年以上で、法律又は経済に関する學識経驗のある者のうちから、内閣総理大臣が、衆議院の同意を得て、これを任命する。
委員は、これを官吏とする。
第三十條 委員の任期は、五年とする。但し、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、再任されることができる。
委員は、年齢が六十五年に達したときには、その地位を退く。
國会閉会の場合又は衆議院解散の場合に委員の任期が満了したとき又は欠員を生じたときの措置については、命令を以てこれを定める。
第三十一條 委員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
一 禁治産、準禁治産又は破産の宣告を受けた場合
二 懲戒免官の処分を受けた場合
三 この法律の規定に違反して刑に処せられた場合
四 禁錮以上の刑に処せられた場合
五 公正取引委員会により、心身の故障のため職務を執ることができないと決定された場合
第三十二條 前條第一号又は第三号から第五号までの場合においては、内閣総理大臣は、その委員を罷免しなければならない。
第三十三條 内閣総理大臣は、委員のうちから、委員長一人を命ずる。
委員長は、公正取引委員会の会務を総理し、公正取引委員会を代表する。
公正取引委員会は、あらかじめ委員のうちから、委員長が故障のある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。
第三十四條 公正取引委員会は、委員長及び三人以上の委員の出席がなければ議事を開き、議決することができない。
公正取引委員会の議事は、出席者の過半数を以て、これを決する。可否同数のときは、委員長の決するところによる。
公正取引委員会が第三十一條第五号の規定による決定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。
第三十五條 公正取引委員会の事務を処理させるため、公正取引委員会に事務局を附置し、所要の職員を置く。
前項の職員は、これを官吏とする。
第一項の職員中には、檢察官、任命の際現に弁護士たる者又は弁護士の資格を有する者を加えなければならない。
前項の檢察官たる職員の掌る職務は、この法律の規定に違反する犯罪に関するものに限る。
第三十六條 委員長、委員及び公正取引委員会の職員の報酬は、命令を以てこれを定める。
委員長及び委員の報酬は、在任中、その意に反してこれを減額することができない。
第三十七條 委員長、委員及び命令を以て定める公正取引委員会の職員は、在任中、左の各号の一に該当する行爲をすることができない。
一 國会若しくは地方公共團体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二 内閣総理大臣の許可のある場合を除く外、報酬のある他の職務に從事すること。
三 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
第三十八條 委員長、委員及び公正取引委員会の職員は、事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。但し、この法律に規定する場合又はこの法律に関する研究の結果を発表する場合は、この限りでない。
第三十九條 委員長、委員及び公正取引委員会の職員並びに委員長、委員又は公正取引委員会の職員であつた者は、その職務に関して知得した事業者の祕密を他に漏し、又は窃用してはならない。
第四十條 公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公務所、特別の法令により設立された法人、事業者若しくは事業者の團体又はこれらの職員に対し、出頭を命じ、又は必要な報告、情報若しくは資料の提出を求めることができる。
第四十一條 公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公務所、特別の法令により設立された法人、学校、事業者、事業者の團体又は学識経驗ある者に対し、必要な調査を嘱託することができる。
第四十二條 公正取引委員会は、その職務を行うために必要があるときは、公聽会を開いて一般の意見を求めることができる。
第四十三條 公正取引委員会は、この法律の適正な運用を図るため、事業者の祕密を除いて、必要な事項を一般に公表することができる。
第四十四條 公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して、國会に対し、毎年この法律の施行の状況を報告しなければならない。
公正取引委員会は、内閣総理大臣を経由して、國会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができる。
第二節 手 続
第四十五條 何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
前項に規定する報告があつたときは、公正取引委員会は、事件について必要な調査をしなければならない。
公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、職権を以て適当な措置をとることができる。
第四十六條 公正取引委員会は、事件について必要な調査をするため、左の各号に掲げる処分をすることができる。
一 事件関係人又は参考人に出頭を命じて審訊し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 帳簿書類その他の物件の所持者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
四 事件関係人の営業所その他必要な場所に臨檢して、業務及び財産の状況、帳簿書類その他の物件を檢査すること。
公正取引委員会が相当と認めるときは、命令を以て定める公正取引委員会の職員をして、前項の処分をさせることができる。
前項の規定により職員に臨檢檢査をさせる場合においては、これに証票を携帶させなければならない。
第四十七條 公正取引委員会は、事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、且つ、特に前條に規定する処分があつたときは、その結果を明かにして置かなければならない。
第四十八條 公正取引委員会は、事業者が、私的独占をし、不当な取引制限をし、若しくは不公正な競爭方法を用いていると認める場合又は不当な事業能力の較差があると認める場合には、当該事業者に対し、適当な措置をとるべきことを勧告することができる。
前項の規定による勧告があつたときは、事業者は、遅滞なく公正取引委員会に対し、当該勧告を應諾するかしないかを通知しなければならない。
事業者が勧告を應諾したときは、公正取引委員会は、審判手続を経ないで勧告と同趣旨の審決をすることができる。
第四十九條 前條第一項の場合において、事件を審判手続に付することが公共の利益に適合すると認めるときは、公正取引委員会は、当該事件について審判手続を開始することができる。
審判手続は、当該事業者に審判開始決定書を送達することにより、これを開始する。
第五十條 審判開始決定書には、事件の要旨並びに審判の期日及び場所を記載し、且つ、事業者が出頭するべき旨を附記しなければならない。
審判の期日は、審判開始決定書を発送した日から三十日後に、これを定めなければならない。
第五十一條 事業者は、審判開始決定書の送達を受けたときは、これに対する答弁書を遅滞なく公正取引委員会に提出しなければならない。
第五十二條 事業者又はその代理人は、審判に際して、公正取引委員会が当該事件について第七條、第八條第一項又は第二十條の規定による措置を命ずることが不当である理由を述べ、且つ、これを立証する資料を提出し、公正取引委員会に対し、必要な参考人を審訊し、鑑定人に鑑定を命じ、帳簿書類その他の物件の所持者に対し當該物件の提出を命じ、若しくは必要な場所に臨檢して業務及び財産の状況、帳簿書類その他の物件を檢査することを求め、又は公正取引委員会が出頭を命じた参考人若しくは鑑定人を審訊することができる。
事業者は、弁護士その他適当な者を代理人とすることができる。
第五十三條 審判は、これを公開しなければならない。但し、事業者の事業上の祕密を保つため必要があると認めるとき又は公益上必要があると認めるときは、これを公開しないことができる。
審判には、速記者を立ち会わせて、陳述を筆記させなければならない。
第五十四條 公正取引委員会は、審判をした後、事業者が、私的独占をし、不当な取引制限をし、若しくは不公正な競爭方法を用いていると認める場合又は不当な事業能力の較差があると認める場合には、審決を以て、事業者に対し第七條、第八條第一項又は第二十條に規定する措置を命じなければならない。
第五十五條 審決は、委員長及び委員の合議によらなければならない。
第三十四條第一項及び第二項の規定は、前項の合議にこれを準用する。
第五十六條 公正取引委員会の合議は、これを公開しない。
第五十七條 審決は、文書によつてこれを行い、審決書には、公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用を示し、委員長及び合議に出席した委員がこれに署名押印しなければならない。
審決書には、少数意見を附記することができる。
第五十八條 審決は、事業者に審決書の謄本が到達した時に、その効力を生ずる。
第五十九條 公正取引委員会は、必要があると認めるときは、職権で、審決の結果について関係のある第三者を当事者として審判手続に参加させることができる。但し、あらかじめ事業者及び当該第三者を審訊しなければならない。
第六十條 関係のある公務所又は公共的な團体は、公益上必要があると認めるときは、公正取引委員会の承認を得て、当事者として審判手続に参加することができる。
第六十一條 関係のある公務所又は公共的な團体は、公共の利益を保護するため、公正取引委員会に対して意見を述べることができる。
第六十二條 公正取引委員会が、第五十四條の規定により、審決を以て違反行爲の差止その他の処分を命じた場合においては、事業者は、裁判所の定める保証金又は有價証券を供託して、当該審決が確定するまでその執行を免れることができる。
前項の規定による裁判は、非訟事件手続法により、これを行う。
第六十三條 事業者が、前條第一項の規定により供託をした場合において、当該審決が確定したときは、裁判所は、公正取引委員会の申立により、供託に係る保証金又は有價証券の全部又は一部を沒取することができる。
前條第二項の規定は、前項の規定による裁判に、これを準用する。
第六十四條 公正取引委員会は、第五十四條の審決をした後においても、將に必要があるときは、第四十六條の規定により、処分をし、又はその職員をして処分をさせることができる。
第六十五條 公正取引委員会は、第六條第三項、第十條第二項若しくは第三項、第十一條第四項(第十二條第二項で準用する場合を含む。)、第十四條第二項、第十五條第一項又は第十六條第一項の規定による認可の申請があつた場合において、当該申請を理由がないと認めるときは、審決を以てこれを却下しなければならない。
第四十五條第二項の規定は、前項の認可の申請があつた場合に、これを準用する。
第六十六條 公正取引委員会は、前條第一項に掲げる認可について、その認可の要件である事実が消滅し、又は変更したと認めるときは、審判手続を経て、審決を以てこれを取り消し、又は変更することができる。
公正取引委員会は、経済事情の変化その他の事由により、審決の基礎となつた事実が消滅し、若しくは変更した場合において、当該審決を維持することが不当であつて公共の利益に反すると認めるときは、審判手続を経て、審決を以てこれを取り消し、又は変更することができる。
第六十七條 裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、公正取引委員会の申立により、事業者に対し、私的独占、不当な取引制限又は不公正な競爭方法に該当する疑のある行爲を一時停止するべきことを命じ、又はその命令を取り消し、若しくは変更することができる。
第六十二條第二項の規定は、前項の規定による裁判に、これを準用する。
第六十八條 事業者は、裁判所の定める保証金又は有價証券を供託して、前條第一項の規定による裁判の執行を免れることができる。
第六十三條の規定は、前項の規定による供託に係る保証金又は有價証券の沒取にこれを準用する。
第六十九條 利害関係人は、公正取引委員会に対し、事件記録の閲覽若しくは謄写又は審決書の正本、謄本若しくは抄本の交付を求めることができる。
第七十條 この法律に定めるものを除く外、公正取引委員会の調査及び審判に関する手続その他事件の処理並びに第六十二條第一項及び第六十八條第一項の供託に関し必要な事項は、命令を以てこれを定める。
第三節 雜則
第七十一條 公正取引委員会が第二條第六項第七 の規定により不公正な競爭方法を指定するには、指定しようとする競爭方法を用いる事業者と同種の事業を營む事業者の意見を聞き、且つ、公聽会を開いて一般の意見を求めた後、指定仮案を作成して、これを公表し、当該仮案について事業者に反対意見があるときは、これを充分に考慮した上で、これをしなければならない。
第七十二條 第二條第六項第七号の規定による不公正な競爭方法の指定は、告示によつてこれを行う。
前項の指定は、告示の日から三十日を経過した日に、その効力を生ずる。
第七十三條 公正取引委員会は、この法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは檢事総長に告発しなければならない。
前項の規定による告発に係る事件について公訴を提起しない処分をしたときは、檢事総長は、遅滯なく、司法大臣を経由して、その旨及びその理由を、文書を以て内閣総理大臣に報告しなければならない。
第七十四條 檢事総長は、この法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その旨を通知して、調査及びその結果の報告を求めることができる。
第七十五條 第四十六條第一項第一号若しくは第二号又は同條第二項の規定により出頭又は鑑定を命ぜられた参考人又は鑑定人は、命令の定めるところにより、旅費及び手当を請求することができる。
第七十六條 公正取引委員会は、その内部規律及び事件の処理手続に関する事項について規則を定めることができる。
第九章 訴訟
第七十七條 公正取引委員会の審決に不服のある者は、裁判所に審決の取消又は変更の訴を提起することができる。但し、審決がその効力を生じた日から三十日を経過したときは、この限りでない。
前項の訴については、公正取引委員会を以て被告とする。
第七十八條 訴の提起があつたときは、裁判所は、遅滯なく公正取引委員会に対し、当該事件の記録(事件関係人、参考人又は鑑定人の審訊調書及び速記録その他裁判所上証拠となるべき一切のものを含む。)の送付を求めなければならない。
第七十九條 第七十七條第一項の訴の提起は、公正取引委員会の審決の執行を停止しない。但し、裁判所は、必要と認めるときは、何時でも、利害関係人の申立により、又は職権で、決定を以て公正取引委員会の審決の全部若しくは一部の執行の停止を命じ、又はその処分を取り消し、若しくは変更することができる。
第八十條 第七十七條第一項に規定する訴訟については、公正取引委員会の認定した事実は、これを立証する実質的な証拠があるときには、裁判所を拘求する。
前項に規定する実質的な証拠の有無は、裁判所がこれを判断するものとする。
第八十一條 当事者は、左の各号の一に該当する場合に限り、裁判所に対し、当該事件に関係のあるあたらしい証拠の申出をすることができる。
一 公正取引委員会が、正当な理由がなくて、当該証拠を採用しなかつた場合
二 公正取引委員会の審判に際して当該証拠を提出することができず、且つ、これを提出できなかつたことについて過失がなかつた場合
前項各号に掲げる場合においては、当事者において、その事由を明かにしなければならない。
裁判所は、第一項の規定によるあたらしい証拠を取り調べる必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、当該事件を差し戻し、当該証拠を取り調べた上適当な措置をとるべきことを命じなければならない。
第八十二條 裁判所は、公正取引委員会の審決が、左の各号の一に該当する場合には、これを取り消すことができる。
一 審決の基礎となつた事実を立証する実質的な証拠がない場合
二 審決が憲法その他の法令に違反する場合
裁判所は、審決の内容が憲法その他の法令の適用について独断に過ぎ、又は不当であると認めるときは、これを変更することができる。
第八十三條 裁判所は、公正取引委員会の審決を変更することを相当と認めるときは、変更するべき点を指示して事件を公正取引委員会に差し戻すことができる。
第八十四條 第二十五條の規定による損害賠償に関する訴が提起されたときは、裁判所は、遲滯なく、公正取引委員会に対し、同條に規定する違反行爲に因つて生じた損害の額について、意見を求めなければならない。
前項の規定は、第二十五條の規定による損害賠償の請求が、相殺のために裁判上主張された場合に、これを準用する。
第八十五條 左の各号の一に該当する訴訟については、第一審の裁判権は、東京高等裁判所に属する。
一 公正取引委員会の審決に係る訴訟
二 第二十五條の規定による損害賠償に係る訴訟
三 第八十九條及び第九十條の罪に係る訴訟
第八十六條 第六十二條第一項、第六十三條第一項(第六十八條第二項で準用する場合を含む。)、第六十七條第一項、第九十七條及び第九十八條に規定する事件は、東京高等裁判所の專属管轄とする。
第八十七條 東京高等裁判所に、第八十五條に掲げる訴訟事件及び前條に掲げる事件のみを取り扱う裁判官の合議体を設ける。
前項の合議体の裁判官の員数は、これを五人とする。
第八十八條 前條第一項に規定する事件に関する裁判に対しては、その裁判において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかについてした判断が不当であることを理由とする場合又はその判決が法令に違反することを理由とする場合に限り、上告することができる。
第十章 罰則
第八十九條 第三條の規定に違反して私的独占又は不当な取引制限をした者は、これを三年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
前項の未遂罪は、これを罰する。
第九十條 左の各号の一に該当する者は、これを二年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
一 第四條第一項の規定に違反して共同行爲をした者
二 第五條の規定に違反して法人その他の團体を設立し、若しくは組織し、又はこれらの團体に加入した者
三 第六條第一項の規定に違反して協定又は契約をした者
四 第四十八條第三項又は第五十四條の審決が確定した後においてこれに從わない者
第九十一條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は二万円以下の罰金に処する。
一 第六條第三項又は第四項の規定に違反して協定又は契約をした者
二 第九條第一項の規定に違反して持株会社を設立した者
三 第十條第一項又は第十一條第一項、第二項若しくは第四項の規定に違反して株式を取得し、又は所有した者
四 第十二條第一項又は同條第二項の規定で準用する第十一條第四項の規定に違反して社債を取得し、又は所有した者
五 第十三條の規定に違反して役員の地位に就いた者
六 第十四條第一項から第三項までの規定に違反して株式を取得し、同條第四項の規定に違反して届出をせず、又は同條第五項の規定による公正取引委員会の命令が確定した後においてこれに從わない者
七 第十六條第一項の規定に違反して他の会社の営業の全部若しくは一部の讓受、他の会社の営業全部の賃借、他の会社の経営の受任又は他の会社と営業上の損益全部を共通にする契約をした者
八 第十七條の規定に違反した者
第九十二條 前三條の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
第九十三條 第三十九條の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
第九十四條 第四十六條第一項第四号又は同條第二項の規定による檢査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、六月以下の懲役又は千円以下の罰金に処する。
第九十五條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、第八十九條、第九十條、第九十一條第一号から第四号まで、若しくは第六号から第八号まで又は第九十四條の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本條の罰金刑を科する。
第九十六條 第八十九條及び第九十條の罪は、公正取引委員会の告発を待つて、これを論ずる。
前項の告発は、文書を以てこれを行う。
公正取引委員会は、第一項の告発をするに当り、その告発に係る犯罪について、第百條第一項第一号の宣告をすることを相当と認めるときは、その旨を前項の文書に記載することができる。
第一項の告発は、公訴の提起があつた後は、これを取り消すことができない。
第九十七條 第四十八條第三項又は第五十四條の審決に違反した者は、これを五万円以下の過料に処する。但し、その行爲につき刑を科するべきときは、この限りでない。
第九十八條 第六十七條第一項の規定による裁判に違反した者は、これを三万円以下の過料に処する。
第九十九條 左の各号の一に該当する者は、これを五百円以下の過料に処する。
一 第四十條の規定による公正取引委員会の処分に違反して出頭せず、報告、情報若しくは資料を提出せず、又は虚僞の報告、情報若しくは資料を提出した者
二 第四十六條第一項第一号又は同條第二項の規定による事件関係人又は参考人に対する処分に違反して出頭せず、陳述をせず、虚僞の陳述をし、又は報告をせず、若しくは虚僞の報告をした者
三 第四十六條第一項第二号又は同條第二項の規定による鑑定人に対する処分に違反して、出頭せず、鑑定をせず、又は虚僞の鑑定をした者
四 第四十六條第一項第三号又は同條第二項の規定による物件の所持者に対する処分に違反して物件を提出しない者
第百條 第八十九條又は第九十條の場合において、裁判所は、情状により、刑の言渡と同時に、左に掲げる宣告をすることができる。但し、第一号の宣告をするのは、その特許権又は特許発明の実施権が、犯人に属している場合に限る。
一 違反行爲に供せられた特許権の特許又は特許発明の実施権は取り消されるべき旨
二 判決確定後六箇月以上三年以下の期間、政府との間に契約をすることができない旨
前項第一号の宣告をした判決が確定したときは、裁判所は、判決の謄本を特許標準局長官に送付しなければならない。
前項の規定による判決の謄本の送付があつたときは、特許標準局長官は、その特許権の特許又は特許発明の実施権を取り消さなければならない。
附 則
第百一條 この法律の施行の期日は、各規定について命令を以てこれを定める。
第百二條 各規定施行の際現に存する契約で、当該規定に違反するものは、当該規定の施行の日からその効力を失う。
第百三條 この法律の規定は、企業再建整備法の規定による決定整備計画又は金融機關再建整備法の規定による整備計画に基いて行う事業者の行爲には、これを適用しない。
第百四條 第五條の規定施行の際現に存する法人その他の團体で、一手買取及び一手販賣の方法による資材若しくは製品の全部若しくは一部の配給の統制又は資材若しくは製品の全部若しくは一部の配給の割当を行うものの処置については、命令を以てこれを定める。
第百五條 第九條の規定施行の際現に存する持株会社の処置については、命令を以てこれを定める。
第百六條 第九條、第十條、第十二條、第十四條第一項及び第二項、前條、第百七條並びに第百十條の規定は、東北興業株式会社には、これを適用しない。
第百七條 金融業以外の事業を営む会社が、第十條又は第十二條の規定施行の際現に当該規定に反して所有する他の会社の株式又は社債の処置については、命令を以てこれを定める。
第百八條 金融業を営む会社が、第十一條又は第十二條の規定施行の際現に当該規定に反して所有する他の会社の株式又は社債の処置については、命令を以てこれを定める。
第百九條 第十三條の規定施行の際現に同條一項の規定に反して役員の地位を兼ねている者は、同條の規定施行の日から九十日以内に、何れか一の地位を除いて他の地位を辞さなければならない。
第十三條の規定施行の際現に四以上の会社の役員の地位を占めている者は、同條の規定施行の日から九十日以内に、何れか三の地位を除いて他の地位を辞さなければならない。
第百十條 第十四條の規定施行の際現に同條の規定に反して所有されている株式の処置については、命令を以てこれを定める。
第百十一條 左の各号の一に該当する者は、これを一年以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第百九條の規定に違反した者
二 第百四條、第百五條、第百七條、第百八條又は前條の規定に基く命令に違反した者
第百十二條 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の從業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して、前條第二号の違反行爲をしたときは、行爲者を罰する外、その法人又は人に対しても、同條の罰金刑を科する。
第百十三條 公正取引委員会の委員長及び委員は、特殊会社整理委員会又は証券処理調整協議会の会議に出席して意見を述べることができる。
第百十四條 公正取引委員会の第一期の委員の任期は、内閣総理大臣の定めるところにより、そのうちの一人については一年、二人については二年、一人については三年、二人については四人、一人については五年とする。
━━━━━━━━━━━━━
〔國務大臣高瀬莊太郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=50
-
051・高瀬莊太郎
○國務大臣(高瀬莊太郎君) 只今上程せられました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案に付きまして、其の提案の理由を説明致します、我が國の經濟は敗戰に依る混亂と打撃とからまだ脱脚して居りませぬが、之に對しましては、當面の危機を乘切ります爲に、生産對策、通貨對策等を果敢に行つて參りますと共に、今後の我が國經濟を運營致します大方針を明かに致しまして、速かに其の向ふべき方向を確立致しますことは、刻下の我が國に於きまして緊要な方策と認められるのであります、此のことは又戰時補償の打切に伴ふ一聯の措置に基きまして、再建に努力して居られます企業者に對しまして、其の再建整備の目標を與へる爲にも是非必要なことであります、此の法律の要旨は事業者の公正且自由な競爭を確保致し、國民經濟の民主的で健全な發達を圖ることを窮極の目標と致しまして、其の爲に障碍となる諸般の不當な協定などを排除し、又獨占的企業集中體の發生することを防止するなどの措置を講ずることにあるのであります、申す迄もなく、事業者の創意を發揮させ、技術の進歩を圖り、品質を改善し、サービスを向上し、經費の無駄を省き、價格を低廉にする等、企業經營の合理化を圖りまして、一般消費者の利益を確保し、國民經濟の民主的で且健全な進歩發展を圖る爲には、獨占や、不當を協定などを排除し、常に公正且自由な競爭の行はれることが肝要であります、但し此の原則には若干の例外があるのであります、其の一は國家又は公共團體の營む獨占的事葉でありまして、此の法律に於きましては、私的獨占を禁止することを規定致しまして、國營、公營の獨占的事業を問題にするものでないことを明かに致しました、其の二は私營事業でありましても鐵道、電氣、ガス其の他の特定の事業に付きましては、別の考へ方を致さなければならないのであります、之に付きましては、それぞれの事業法に依りまして、十分な監督を致すべきものでありまして、斯かる事業に付きましては、此の法律の適用を除外することを規定致しました、其の三は、農家とか、小さい商工業者のやうな小規模の事業者及び消費者に付きましては、其の相互扶助を目的とする協同組合に依る團結を認めねばならないことでありまして、之に付きましても、原則として適用を除外することを規定致しました、其の四は、現下の危機を乘切りますのに必要な統制の爲の行爲は別に取扱はねばならぬことであります、此の點に付きましては、此の法律は恆久的な立法であります關係上、此の法律の中には規定致しませぬでしたが、次の特別議會迄に、各統制法令に付きまして尚一應檢討致しました上で、統制法令に基く行爲に付きましては、此の法律を適用致さない旨の單行法を制定致す積りであります、此の法律は是等の例外の場合を除きましては、經濟秩序の根本方針を定めるものとして、一切の事業活動に適用せられるものであります、併しながら是等の事業活動は複雜な經濟行爲の現れでありまして、それが直ちに此の法律の禁止制限に該當するか否かを判定致しますことはなかなか困難なことであります、之に輕率な判斷を下しますことは、徒に經濟界を萎靡沈滯させる虞がありますのと、又此の法律に基く處分は企業體の改組など、國民の權利に重大な影響を及しますので、此の法律の運用に付きましては、特に公正取引委員會と稱する合議體の行政官廳を設け、其の委員と致しましては、經濟問題、法律問題に通じ、且國民の信頼する人物を衆議院の同意を得て任命することと致しました、次に此の法律の内容に付きまして、少しく御説明致します、先づ第一は冒頭の第一條に於きまして、此の法律の目的を明記することと致しました、此の目的は單に法律の趣旨を説明致したものに止らないのであります、此の法律は其の本質として、法文の上では抽象的な基準を示すに止つて、事案の具體的な判定は之を公正取引委員會の判斷に委ねて居るものが多いのでありますが、其の判斷を致し、判斷を打立てて行く上に於きまして、第一條に規定する目的は、極めて重要な基準となるのであります、而して此の法律全體を通ずる精神として、要は國民經濟の繁榮を圖ることが目的でありまして、取締ること自體は決して目的なのではないのであります、第二には、第二條に於きまして、事業者及び競爭の意味を明かにすると共に、私的獨占、不當な取引制限、不當な事業能力の較差及び不公正な競爭方法の定義を明らかに致しました、此の法律に於きまして取締の對象と致します不當な事業活動の最も根本的なものは、私的獨占及び不當な取引制限であります、私的獨占とはトラストなどを結成致しまして、他の事業者の事業活動を排除し又は支配して、競爭が行はれないやうにすることを言ひます、不當な取引制限とはカルテルなどを結成致しまして、他の事業者と共同して相互に其の事業活動を拘束し、又は遂行して競爭が行はれないやうにすることを言ふのであります、而して兩者共に公共の利益に反して、或物資なり、用役なりの生産とか供給とかの、一定の取引分野に於きまして、競爭が實質的に行はれないやうに致し、假令競爭者が形の上で殘つて居るにしましても、それが將來到底成立つて行かないと云ふ程度に至らしめるものを違法と致すのであります、其の程度に至らないものは、之を私的獨占又は不當な取引制限とは致さないと共に、公正且自由な競爭が效果的に行はれる結果として、優秀な事業者が自然に競爭に打勝つて大きくなつて行くと云ふことは、公共の利益に合致し、此の法律に於きましても最も望む所であります、此の法律の實體的規定の中で私的獨占及び不當な取引制限以外に關しますものは、原則として此の兩者を取締る爲の補完的な規定であると申して宜しいのであります、之に付ての詳細は委員會に於ける説明に讓りまして、其の概要のみを申述べます、第四條に於て、價格、生産數量、販賣數量など制限する共同行爲を原則として禁止し、第五條に於きまして、事業者が統制的な機關を設立し、又は之に參加することを禁止致しました、是等は必要があれば國家が法律を制定すべきものでありまして、私的な事業活動として是等の行爲を行ふことは適當でないからであります、尚第六條に於きまして、價格、生産數量、販賣數量などを制限することを内容とする國際的協定などを原則として禁止致しましたのは、昭和二十一年勅令第三十三號中の第三條の規定を若干變更致しまして、之を本法に移して併せ規定したものであります、第八條に於きましては、不當な事業能力の較差と致しまして、事業の大きさが、技術的理由に依つて正當とされるものでなくて、而も私的獨占を行ふ危險性が強いやうな、徒に巨大な企業體に對しましては、公正取引委員會が適當な是正措置を講ずることが出來るやうに致しました、技術的理由に依つて正當とされるとは、技術の優秀な爲に、自然に大きくなつたこと、及び技術的に見て能率的な企業經營を致します爲には、それ位の大きさが必要であると云ふことを意味するものであります、第九條以降の第四章に於きましては、持株會社の設立を禁止すること、其の他會社の株式保有、役員の兼任、合併及び營業の讓受に付きまして規定し、第十九條以降の第五章に於きましては、不公正な競爭方法に付て規定致しました、第二十一條以降の第六章に於きましては、適用除外に付て規定致して居りますが、之に付ては先に申し述べました通りであります、第二十五條以降の第七章に於きましては、損害賠償に付て規定致し、第二十七條以降の第八章に於きましては、先に申述べました公正取引委員會に付きまして、其の組織及び權限竝に其の審判手續等に關しまして、詳細な規定を設けました、公正取引委員會の最も著しい特色は、其の委員として、衆議院の同意を得て、最も國民的信頼のある人物を選任致すことと、委員が此の法律を運用するに當りまして、獨立して其の職權を行うことであります、勿論此の法律の本質として、委員は常に其の時々の社會的要求を十分に考慮を致すべきでありますが、其の考慮と之に基く判斷とは、裁判官と同じやうに、主務大臣の指揮監督を受けずに、獨立して之を致すのであります、次に第七十七條以降の第九章と致しまして、訴訟に關する規定を設けて居ります、公正取引委員會の審決に對する不服の訴訟事件及び此の法律に關する刑事訴訟事件などの取扱に付きましては、他の訟訴事件の取扱と相當異つた取扱を致すことを規定致して居ります、而して此の法律の適用に關する諸問題は、複雜且機微な經濟問題であります關係上、特に專門の裁判官に依る裁判を適當とする爲に、東京高等裁判所に特別の部を設けまして、此の法律に關する事件は、一般の裁判所に於て取扱ふことなく、總て東京高等裁判所の特別の部に於きまして、取扱ふことに致しました、第八十九條以降の第十章に於きましては、罰則を規定致しました、最後は第百一條以降の附則であります、此の法律は經過規定に種々重要な考慮を要するのでありますが、之に付きましては、尚愼重な檢討を要しますので、其の多くは命令に讓ることと致しました、此の法律實施の過渡期に於きまして、經濟界に無用の摩擦混亂を起すことを防止する點に付きましては、十分の配意を致す積りであります、以上私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案に付きまして、其の要旨を御説明致した次第であります、會期切迫の折柄でありますが、何卒御審議の上、速かに御協贊戴きますやう御願ひ致したいと思ひます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=51
-
052・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案は其の特別委員の數を二十五名とし、其の委員の指名を議長に一任するの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=52
-
053・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=53
-
054・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=54
-
055・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、特別委員の氏名を朗讀致させます
〔宮坂書記官朗讀〕
私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律案特別委員
侯爵 中山輔親君 侯爵 佐竹義榮君
伯爵 壬生基泰君 子爵 細川興治君
子爵 交野政邁君 子爵 梅渓通虎君
子爵 朽木綱博君 霜山精一君
男爵 伊藤文吉君 高柳賢三君
男爵 中村貫之君 男爵 西酉乙君
男爵 松本鼎一君 種田虎雄君
我妻榮君 石川一郎君
三橋四郎次君 小山完吾君
山地土佐太郎君 渡邊三郎君
片岡直方君 岸本彦衞君
小汀利得君 名古屋三吉君
倉井敏麿君
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=55
-
056・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 此の際議事日程を追加し、特別調達廳法案の第一讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=56
-
057・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、田中國務大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=57
-
058・会議録情報5
━━━━━━━━━━━━━
特別調達廳法案
右の政府提出案は本院において可決した、因つて議院法第五十四條により送付する
昭和二十二年三月三十一日
衆議院議長 山崎 猛
貴族院議長公爵徳川家正殿
…………………………………
特別調達廳法案
特別調達廳法
第一章 総則
第一條 特別調達廳は、内閣総理大臣の監督の下に、経済安定本部総務長官の定める基本的方策に基き主務大臣の定める計画に從い、連合國又は政府の需要する建造物及び設備の営繕並びに物資及び役務の調達に関する業務であつて主務大臣の指定するものを行うことを目的とする。
特別調達廳は、法人とする。
第二條 特別調達廳は、主たる事務所を東京都に置く。
特別調達廳は、主務大臣の認可を受けて、必要な地に從たる事務所を設けることができる。
第三條 特別調達廳は、基本金又は運営資金を有しない。その一切の建造物、設備及び物資(以下物という。)又は役務に対する支拂は、その物若しくは役務を需要し、又はこれが支拂の責に任ずる各廳関係の議会の議決を経た予算のうちからこれをする。
特別調達廳が、調達を要求する権限のある各廳のために物又は役務の調達(営繕を含む。以下同じ。)を行うときは、工事又は物若しくは役務の数量及び價格並びに支拂を受けるべき供給者を示す証明書を同時に支拂の責に任ずる各廳に提出しなければならない。当該証明書中連合國の需要に應ずるものに係るものについては、連合國の調達要求と差異のないことを明かにし、及び調達要求書の番号を示すことを必要とする。
第四條 特別調達廳は、定款を以て、左の事項を規定しなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 役員に関する事項
五 業務及びその執行に関する事項
六 会計に関する事項
七 公告の方法
定款は、主務大臣及び経済安定本部総務長官の承認を受けて、これを変更することができる。
第五條 特別調達廳は、勅令の定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定によつて登記を必要とする事項は、登記の後でなければ、これを以て第三者に対抗することができない。
第六條 特別調達廳には、所得税及び法人税を課さない。
都道府縣、市町村その他これに準ずるものは、特別調達廳の事業に対しては、地方税を課することができない。但し、特別の事情に基いて内務大臣及び大藏大臣の認可を受けた場合は、この限りでない。
第七條 特別調達廳は、経済安定本部総務長官の命令によつて解散する。
前項に定めるものの外、特別調達廳の解散に関して必要な事項は、勅令でこれを定める。
第八條 特別調達廳でない者は、特別調達廳又はこれに類以する名称を用いることはできない。
第九條 民法第四十四條、第五十條、第五十四條及び第五十七條並びに非訟事件手続法第三十五條第一項の規定は、特別調達廳にこれを準用する。
第二章 役員及び職員
第十條 特別調達廳に、役員として、総裁副総裁各一人、理事二人以上及び監事一人以上を置く。
総裁は、特別調達廳を代表し、第十五條の規定に基きその業務を総理する。
副総裁は、定款の定めるところにより、特別調達廳を代表し、総裁を補佐して、特別調達廳の業務を掌理し、総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、定款の定めるところにより、特別調達廳を代表し、総裁及び副総裁を補佐して特別調達廳の業務を掌理し、総裁及び副総裁に事故のあるときにはその職務を代理し、総裁及び副総裁が欠員のときにはその職務を行う。
理事は、特別調達廳の業務を監査する。
第十一條 総裁、副総裁、理事及び監事は、内閣総理大臣がこれを任命する。
第十二條 総裁、副総裁及び理事は、定款の定めるところにより、特別調達廳の職員のうちから、主たる事務所又は從たる事務所の業務に関して一切の裁判上及び裁判外の行爲をする代理人を選任することができる。
第十三條 特別調達廳の役員及び職員は、特別調達廳と物又は役務の調達に関する契約をなし、又はその調達に係る工事又は物の生産、加工、保管、賣買若しくは輸送を業とする会社の株式を所有し、又はこれらの会社その他の企業の業務に從事し、若しくはその営業につき一切の利害関係を有してはならない。
第十四條 特別調達廳の役員及び職員は、これを官吏その他の政府職員とする。
総裁たる者は、各省次官と同級又はこれと同格とし、その他の役員たる者は、一級又はこれと同格とし、職員たる者は、一級、二級若しくは三級又はこれらと同格とし、それらの定員は、内閣総理大臣がこれを定める。
特別調達廳の役員及び職員は、官吏に関する一般法令に從うものとする。但し、主務大臣が経済安定本部総務長官の承認を受けて、給與、服務その他必要な事項に関して特例を定めたときには、これによるものとする。
第三章 業務
第十五條 特別調達廳は、経済安定本部総務長官の定める基本的方策に基き主務大臣の定める計画及び指示に從い、左の業務を行う。
一 主務大臣の指定する連合國又は政府の需要する建造物又は設備の建設又は修理
二 主務大臣の指定する連合國又は政府の需要する物資又は役務の調達
三 経済安定本部総務長官の指定する場合前二号に定めるものの外第一條第一項の目的を達するために必要な業務
特別調達廳は、経済安定本部総務長官の定める方策に從い、特定の調達命令を充足し、又は主務大臣の特に承認する物資の集積を行う場合の外、資材を購入することができない。
第十六條 特別調達廳は、業務開始の際、業務の方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官が前項の認可を行うときは、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第十七條 特別調達廳は、毎事業年度の前期及び後期の初において六箇月ごとの事業計画及び資金計画を作成し、これを経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第四章 会計
第十八條 特別調達廳の事業年度は、毎年四月から翌年三月までとし、これを前期及び後期に分ける。
第十九條 特別調達廳は、前條の各期ごとに財産目録、業務報告及び財産増減書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。
経済安定本部総務長官は、前項の承認を行うときは、同項に掲げる書面を受理してから十五日以内に、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。但し、この場合において承認の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
特別調達廳は、第一項の承認を受けたときは、財産目録、業務報告及び財産増減書を公告し、且つこれを定款とともに各事務所に備えて置かなければならない。
前項の財産目録、業務報告及び財産増減書は、会計檢査院の檢査を受け、その承認を受けなければならない。
特別調達廳は、経済安定本部総務長官の承認を受けて、命令の定めるところにより、毎期末の現金を國庫に納付しなければならない。
特別調達廳は、帳簿、書類その他一切の記録を整然且つ明確に記載し、會計檢査院、經濟安定本部及び主務官廳の檢査を受けることができるように整備しなければならない。
会計檢査院は、常に適確に前項の檢査を行わなければならない。
第五章 監督
第二十條 経済安定本部総務長官は、調達の基本的方策に関して、特別調達廳を指導監督する。
経済安定本部総務長官は、主務大臣の指定に係る連合國又は政府の需要する物又は役務の調達を確保するため必要と認めるときは、特別調達廳に対して、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣は、連合國又は政府の需要する物又は役務の調達を確保するため必要と認めるときは、特別調達廳に対して、経済安定本部総務長官の定める物又は役務の調達に関する基本的方策に基いて、監督上必要な命令をなすことができる。
主務大臣及び経済安定本部総務長官は、必要があると認めるときは、特別調達廳に対して報告をさせ、又は当該官吏に、必要な場所に臨檢し、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を檢査させることができる。
前項の規定により当該官吏に臨檢檢査させる場合には、命令の定めるところにより、その身分を示す証票を携滯させなければならない。
第二十一條 特別調達廳は、その役員及び職員に対して、特別の報酬を與える必要があるときは、その報酬規程を定めて、経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同樣である。
経済安定本部総務長官は、前項の認可を行うときは、主務大臣及び大藏大臣にはからなければならない。この場合において、認可の最終責任は、経済安定本部総務長官にあるものとする。
第二十二條 主務大臣は、特別調達廳の役員が法令若しくは定款又はこの法律に基いてなす命令に違反したときは、これを解任することができる。
経済安定本部総務長官は、特別調達廳の役員が特別調達廳の目的及び業務に関して、その任に適せず、又はその職務を適切に遂行していないと認めるときは、これを解任することができる。
第六章 罰 則
第二十三條 左の場合においては、その違反行爲をなした特別調達廳の役員又は職員は、これを五年以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。
一 第十五條に規定しない業務を行つた場合
二 第二十條第二項又は第三項に規定する経済安定本部総務長官又は主務大臣の監督上の命令に違反した場合
第二十四條 この法律の規定による報告を怠り、若しくは虚僞の報告をなし、又は檢査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、これを一年以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
第二十五條 前二條の罪を犯した者には、情状に因り懲役及び罰金を併科することができる。
第二十六條 第八條の規定に違反して、特別調達廳又はこれに類似の名称を用いた者は、これを一万円以下の過料に処する。
附 則
第二十七條 この法律施行の期日は、勅令でこれを定める。
第二十八條 特別調達廳がその業務上なす契約は、会計法第四十六條第二項、財政法第十五條及び昭和二十一年法律第六十号の規定の適用については、政府を当事者とする契約とみなす。この場合において必要な事項は、勅令でこれを定める。
第二十九條 政府は、設立委員を命じて、特別調達廳の設立に関する事務を処理させる。
第三十條 設立委員は、定款を作成して、主務大臣及び経済安定本部総務長官の認可を受けなければならない。
第三十一條 前條の認可があつたときは、設立委員は、遲滯なくその事務を特別調達廳の総裁に引き継がなければならない。
特別調達廳の総裁が前項の事務の引継ぎを受けたときは、総裁、副総裁、理事及び監事の全員は、遲滯なく設立の登記をしなければならない。
特別調達廳は、設立の登記をすることによつて成立する。
第三十二條 登録税法の一部を次のように改正する。
第十九條第七号中「法令ニ依ル公團、」の下に「特別調達廳、」を、「公團ニ関スル法令、」の下に「特別調達廳法、」を加える。
第三十三條 印紙税法の一部を次のように改正する。
第五條第六号ノ六の次に左の一号を加える。
六ノ六ノ二 特別調達廳ノ業務ニ關スル證書帳簿
━━━━━━━━━━━━━
〔國務大臣田中萬逸君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=58
-
059・田中萬逸
○國務大臣(田中萬逸君) 只今上程と相成りました特別調達廳法案の提案の理由竝に其の概要に付て申上げます、聯合國の需要する建造物の設營、建物設備等の修理、或は聯合國の要求する物資、及び勞務其の他の役務の調達に付きましては、從來各關係廳に於てそれぞれ其の所管に應じ、之が目的達成に努力致して居た所でありますが、急速に之を一元化し、能率の向上を圖り、經費を節減すると共に、聯合國の便宜をも考慮致しまして、茲に特別調達廳を設置する法案を提出致す次第であります、本法に依り特別調達廳は從來各官廳の所管して居りました實際業務の大部を行ふこととなりまして、各官廳は之が企畫及び監督を實施する態勢となるのであります、特別調達廳は之を法人として出來るだけ民間有能の士を登庸致しまして、其の創意と工夫とを活用して、能率の向上を圖りたいのであります、尚本法案は衆議院に於て一部修正されましたが、此の點に關しましては、政府と致しましても同意であります、何卒愼重御審議の上御協贊あらむことを切望致します、発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=59
-
060・戸澤正己
○子爵戸澤正己君 只今上程せられました特別調達廳法案は船舶公團法案外五件の特別委員に併託せられむことの動議を提出致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=60
-
061・秋田重季
○子爵秋田重季君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=61
-
062・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 戸澤子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=62
-
063・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=63
-
064・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 日程第四、石油配給公團法案、日程第五、配炭公團法案、日程第六、産業復興公團法案、日程第七、貿易公團法案、日程第八、價格調整公團法案、政府提出、衆議院送付、第一讀會ノ續、委員長報告、是等の五案を一括して議題と爲すことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=64
-
065・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、委員長後藤伯爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=65
-
066・会議録情報6
━━━━━━━━━━━━━
石油配給公團法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告侯也
昭和二十二年三月三十日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
配炭公團法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
産業復興公團法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告侯也
昭和二十二年三月三十日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
貿易公團法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
價格調整公團法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔伯爵後藤一藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=66
-
067・後藤一藏
○伯爵後藤一藏君 只今上程に相成りました商工省關係石油配給公團法案外三件、及び物價廳關係の價格調整公團法案に關する特別委員會の審議の經過竝に結果に付て御報告を申上げます、本委員會は、昨日本議場に於て御報告申上げました船舶公團法案の審議の終了後引續きまして、石油配給公團、配炭公團、産業復興公團、貿易公團竝に價格調整公團の各法案の審議を致したのでございます、提案の理由及び其の内容は、本議場に於ける政府説明と略略同樣でありますから省略を致します、以下質疑應答の大要を御紹介申上げます、一委員より、公團は官僚統制の弊害に陷り、能率の低下を來し、不深切となる虞があると思ふが、政府は如何に考へるかとの質問がありました、之に對し、政府は、公團の役職員は大部分其の業務に經驗ある民間人を以て充てるから、公團の政府職員に任用しても、民間の經驗を活かし、民主的、能率的經營に劣らぬものとすることが出來ると思ふ、又配給の適正と官僚獨善の防止を期する爲に、委員會を設置する考であるとの答辯でありました、又公團法の役職員を、官吏其の他の政府職員とした爲、給與等の點からしても、民間の經驗者から人材を得ることに困難を來すのではないかと云ふ質問に對しまして、政府は、民間から採用する者に付ては、從來の俸給給與等の經濟的待遇を實質的に低下させないやうに措置をするから、其の心配はないと思ふと云ふ答辯でありました、又公團の役職員は、官吏と、民間から採用される政府役職員とに分れて居るが、此の場合、民間から採用されました職員は、官吏に比べて俸給給與は宜いけれども、職務上の權限を有しないと云ふことになつて、感情の上から官吏と民間から入つた人との間に公團部内に於て派閥の爭を生じ、互に遊離する心配があるのではないかと云ふ質問がありました、之に對しまして、政府は、本官たる官吏が公團の役職員となる場合にも、業務遂行は公團内部に於ける仕事の分擔に依つて律せらるるのであるから、政府官吏から出たからとか、今迄の統制會社から來たからと云ふやうな區別は全然しないのであるから、其の弊は避け得ると考へると云ふ答辯でありました、質疑者は是等の政府の答辯に付ては、十分に滿足をされないやうでありました、次に石油配給公團は、末端配給業者を指定することとなつて居り、配炭公團の方は末端配給迄政府が自からやることになつて、非常な相違があると思ふが、政府の考はどうであるかと云ふ問に對しまして、現在石炭は非常に不足をして居て、重點的方面に向けられて居るのみで、一般産業、一般民間の方に向ける餘裕がない、現状では荷捌所を拵へても、實際上看板倒れがして品物がないのであるから無駄である、石油の方は現在販賣店があるのであるから、之にやらせることにしたのである、即ち兩者は現在の形の儘大體引繼ぐ考である、配炭公團は大體一年間、或は經濟安定本部がなくなる時に、是もなくなると云ふ暫定的な措置として取扱ふのだと思ふが、石炭配給所、貯炭場、運搬用の種々の機械、什器等は、非常な數でもあり、金額でもあると思ふが、斯かる短期間のものに厖大な費用を要すると云ふことは、如何なものであるかと考へるが、どうであるかと云ふ問に對して、總ての設備は原則として借入れをすることにして居ると云ふ答辯でありました、貿易廳と貿易公團との關係はどうであるかと云ふ御質問に對して、政府は貿易廳は基本的な部面、即ち輸出入計畫の策定、輸出入手續、經理關係の仕事、聯合軍との接觸、交渉、報告等のことをやり、實務の點は代行機關をして一種の委任契約に依つて遂行せしめて來たのであるが、今度も各公團に、所謂貿易輸出入の代行機關をさせるのである、併し是は仔細に檢討すると、今般の獨占禁止法の趣旨に背馳する點があるので、貿易公團に切り換へることにしたのである、從つて貿易廳とは表裏一體の有機的關聯を以て結付いて居るので、公團の活動の範圍、或は種類は總て貿易廳の指圖に依つて動くこととなるのである、貿易公團法の第十五條の二項に、「理事長たる者は、貿易廳局長と同級又はこれと同格」となつて居るが、是だけの大きな仕事をする公團の役員が、他の公團の場合には總裁であり、次官級となつて居るのに比べて、格下げになつて居ると思ふが、是で政府は豫期するやうな民間の有能の人達を得られると思ふのであるかと云ふ問に對しまして、政府は貿易公團は他の公團と異り、複數制を採つて、四つの公團となつて居る、若し是が單一の公團だとして見れば、其の長は總裁と云ふことになるのであるが、四つに分れて居るから、丁度一つの公團に四つの部があり、其の各各の長と云ふやうな形になるので、局長級と云ふこととなつたのである、又四つに分れて居るから、各各それぞれの部面のみの知識を持つた人を探すことは比較的容易である、又他面現在存在する代行機關が七十七箇あるから、それにそれぞれ會長、副會長、理事等立派な人物が多數あるので、今囘是等の代行機關が解體するのであるから、其の中から四名の長を探すことは困難でないと考へるとの答辯でありました、次に今囘出來る公團の外に、種々公團が出來ると聞いて居るが、政府としては今後公團にすべき品目に對して何か考へて居るのであるか、政府は之に對して、公團は臨時的な措置であるから、出來る限り種類を少くしたいと云ふのが政府の考である、現在考へられて居るのは、纖維、鐵、化學品等のものであるが、併し目下立案中であるが、議會に間に合はないから出さないと云ふ譯ではなく、只今研究中であると云ふ答辯でございました、石油配給公團法の第三十條に依りますと、一年後には解散すると云ふやうに解釋出來るが、公團がなくなつて、石油配給會社もないと云ふ時の處置に付てはどうする考であるかと云ふ問に對しまして、政府は、公團法は總てに付て規定された規定であるが、何れにしても當分十分に出廻つて來る品物ではないのであるから、一箇年間で公團を解散することが出來るとは必ずしも考へて居らないと云ふ答辯でございました、以上の外、種々質疑がございましたのでありまするが、長くもなりまするから、之を速記録に讓りたいと存じます、次いで四案を一括して討議に入り、別段の御發言もなく、採決を致しましたる處、全會一致を以て可決致したのであります、次に物價廳關係の價格調整公團に付ての委員會の模樣を御報告致しますが、此の委員會に於きましては、何の御質疑もございませぬでした、又討論に入りましたけれど、も、御發言がありませぬので、採決を致しましたる處、是亦全會異議なく、政府提出の原案通り、可決すべきものと決定致した次第でございます、以上を以て私の報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=67
-
068・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 別に御發言もなければ五案の採決を致します、五案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=68
-
069・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=69
-
070・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=70
-
071・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=71
-
072・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=72
-
073・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=73
-
074・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 五案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、五案全部委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=74
-
075・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=75
-
076・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=76
-
077・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=77
-
078・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=78
-
079・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=79
-
080・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 五案の第三讀會を開きます、五案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=80
-
081・徳川宗敬
○副議長(伯爵徳川宗敬君) 御異議ないと認めます、議事の都合に依り午後三時迄休憩致します
午後二時十一分休憩
――――◇―――――
午後三時十二分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=81
-
082・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 休憩前に引續き會議を開きます、此の際議事日程に追加し、日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案、日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案、日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案、以上三案を一括して第一讀會ノ續を開き、委員長の報告を求めたいと存じます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=82
-
083・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長奧田男爵発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=83
-
084・会議録情報7
━━━━━━━━━━━━━
日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十一日
委員長 男爵奧田 剛郎
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十一日
委員長 男爵奧田 剛郎
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十一日
委員長 男爵奧田 剛郎
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔男爵奧田剛郎君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=84
-
085・奧田剛郎
○男爵奧田剛郎君 檢察廳法案等の委員會に付託されました日本國憲法の施行に伴う民法の應急的措置に関する法律案外二件の委員會に於ける經過竝に結果を御報告致します、委員會は昨日より審議に入りまして、本日其の審議を終了致しました、三案に對する提案理由及び其の内容に付ては、曩に本議場に於て司法大臣より説明がありましたから省略を致し、直ちに質問應答の主なるものを申上げます、豫め御斷りを致して置きたいことは、御承知の如く、此の三案は何れも民法、刑事訴訟法、民事訴訟法に關するものでありますに付て、其の三法律は極めて厖大なものでありますだけに、それに對する一時的應急措置である關係から一々の點に付て照合致しますると、極めて多くの疑問と、極めて多くの困難なる事柄が將來生ずる虞が多分にある、それだけに質問應答も多く、極めて詳細に法律の專門的事項に亙つて居りまするが故に、それを此の場合本議場に於て一々申述べますることは適當でないと存じまするので、それ等は總て速記録に讓つて、省略を致しますることを豫め御斷りを致して置きます、尚此處に述べまする質問應答も、極めて其の要點を押縮めて簡單に申上げます、第一點に於て、直接に三法案に關係を持つ事柄ではありませぬが、重大な事柄でありまするが故に、茲に申述べることに致します、第一に、問、此の三件で應急措置は足るや、刑法を如何にするや、答、刑法に付ても應急的措置は必要であるので、法制審議會の要綱に基き立案に努力したが、皇室に對する罪に付種々意見があつて、提出する運びにならなかつた、本議會閉會後速かに再檢討して、成るべく近い機會に提出したい、併し此の儘適用することは問題が起きるから、それ迄は公訴權の行使に付て愼重にすることにして居る、第二、問、憲法中、此の憲法に違反するものは、總て其の效力を失ふとあるが、之を遠慮なく生かすならば、刑法中當然に效力を失ふことになると解釋するだけの決意があるか如何、答、憲法の條文に明かに抵觸するものは、當然效力を失ふのではないかと思ふが、例へば姦通罪の規定の如きに於ては、其の規定が直ちに效力を失ふか、夫と妻と同樣になると云ふことも考へられるのであるので、即斷は出來ないと思ふ、併し裁判の問題になると、如何樣になるか分らぬが、目下繋屬中のものに付ては、憲法實施の實現の際に措置することにして居る、第三、問、民法の法律案は極めて世の中に誤解を生ずる虞がある、現に其の誤解が甚だ多い事實を認めなければならぬと思ふが、それを認めるや如何、答、法律が成立した上は、例へば戸籍關係の者、裁判所の實務に關係する者、裁判所の吏員等は勿論、其の他一般に對して徹底をするやうに努力する、第四、問、當局の方に於てはどれ程誤解が起きて居るかと云ふことを、特に調査をした資料がないのではないか、事實は意外に廣く誤解されて居ると云ふことを考へ得らるべきであるので、何かそれに對して立法上の措置を講ずる方法はないか、答、應急的立法の趣旨の徹底を圖ると共に、民法の成案が出來次第、實施迄の間に十分周知させるやうな手續を取りたい、第五、問、本法案は要綱だけが法律となり、他は元通りとなる、例へば夫婦の間には、憲法上協力の規定があるけれども、親子の間にはそれがなくして、民法だけにしかないと云ふことは甚だしく誤解を來すものの一つである、如何、答、本法には規定はないけれども、夫婦、親子共に其の協力の義務のあることは同一である、第六、問、憲法實施と共に、憲法の規定に反するものは效力を失ふから、憲法第二十四條の協力は民法の規定と效力が違ふことになると考へられる、而して道徳問題が法律に採入れらるべきであつて、法律と道徳が違ふことは宜くはあるまい、家族生活に付ても誤解を生ぜざるやう、適當なる處置を講じて貰ひたいのである、敬愛、協力の精神が民法に明かにされなければならぬから、此の法律は家族生活に於て敬愛の精神を妨げないと云ふことを入れたいのであるが如何、答、法律の原案には一應其の趣旨が設けてある、此の案にそれを入れなかつたのは、此の案が應急的處置で、全く手放しでは憲法との關係が不明となり、混亂を來すから、最小限度に立案された爲に、其の點に觸れて居らないけれども、關係方面と了解が出來るならば、將來成文化されよう、第七、問、其の精神は今後に於て民法立案の際に考慮すると云ふ趣旨なりと解して宜いか、答、然り、第八、問、法案に少しも經過規定がない爲に、將來非常なる混亂を生ずるであらうと思ふが如何、答、多くの經過規定を要するので、政令を以て規定したかつたのであるけれども、各方面との間の折衝が十分に間に合はなかつた爲に、それが出來なかつたのである、併しながら實質上の問題に迄政令を以て規定することが出來るかどうかと云ふことは問題である、本法案は移行する橋渡しとして將來の方針を與へたものであると考へたので、出來れば次の特別議會に提出する考だから、其の間三、四箇月のことであるので、此の度の改正規定、或は附則規定を設けて手續が出來ようと思ふ、第九、問、然らば其の場合、效力は既往に遡るものであるのか、答、左樣である、第十、問、家の廢止の結果、氏の取扱はどうなるか、答、現行法の氏は家の氏であると共に、一面個人の氏であると考へる、從つて此の法律施行後に於ても、個人の氏は殘る、尚戸籍上の氏の取扱は大體從來通りになる、第十一、問、繼親子間、嫡母庶子の關係はどうなるか、答、家の廢止の結果親子關係はなくなり、單なる姻族、一親等の關係だけが殘る、第十二、問、日常の家事代理權を妻にのみ認めた民法第八百四條は、夫婦平等の精神に反し效力を失ふか、答、妻の日常の家事代理權を認めたのは、第三者保護を主たる目的となすものであるから、夫婦平等の精神には反しないと考へる、第十三、問、系譜、祭具及び墳墓も分割相續になるのか、答、それ等のものは相續財産の範圍から除外され、單獨繼承されることになる、第十四、問、相續の順位及び相續分に付ては、從來家に在る者と、然らざる者との間に差異があるか、答、何等差異はない、第十五、問、今囘の改正に依つて均分相續の問題があるが、之を農地の場合に適用する時、是非とも特別の立法が必要と思ふが如何、答、農業資産の細分化の防止に付ては特別法を制定するやうに努力する、此の際に申上げまするが、速記を停止致しまして、特に農林省の政府委員の出席を求め、詳細其の點に付て質問應答がありました、第十六、問、家事審判所を設けると云ふことは必要なことであるのであるが、今囘提案されるものと期待して居つたに拘らず、提案がなかつたが、將來提出する見込があるか、如何、答、成案を得て出したかつたのであるが、間に合はなかつたので、民法の本格的の改正と同時に提出する考である、第十七、問、調停の關係はどう云ふことになるのか、答、家事審判所が出來るならば、人事調停の方は家事審判所の管轄に屬することが適當であると思ふ、其の他の調停は何れも簡易裁判所の管轄とする豫定である、以上の外の質疑應答に付きましては、先程申上げました理由に依つて省略を致します、進んで日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案及び日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律案に付ての質疑應答を申述べる筈でありまするが、是も極めて專門的のことに亙りますので、先程申上げました理由に依つて省略致します、以上で質問を終了致しまして、三案を一括して討論に入りました處、委員の一人より、個人の尊嚴、兩性の平等の原則のみが憲法に規定せられ、家族生活に於ける敬愛、協力に付ては何等示されて居らぬ爲に、甚だしき誤解を生じて居ることを頗る憂慮するものであるが、民法は極めて消極的であつて、其の結果却て風教を害する虞さへあると云ふことを力説され、將來積極的立案を要望されて、尚民事訴訟の點に付ても詳細に意見を述べて、本案に贊成の意を陳述されました、尚それに續いて、次の如き希望決議案の提出がありました、希望決議案を朗讀致します
希望決議案
本法案は日本國憲法第二十四條の下に民法の運用を調整するため、最小の限度における應急措置の規定を設けたのに止まる結果、家族生活の尊重については、世に遺憾な誤解を生ずる虞がある。依つて政府は、立法上及び行政上、家族生活における敬愛、協力の精神を明かにするため、至急十分の措置を採られむことを要望する。右決議する
と云ふのであります、更に又他の委員より民法相續に於ける均分相續と農業家産相續に付、詳細に意見の陳述がありました上、次の如き希望決議案を提案されました、朗讀を致します
希望決議案
本法に依る均分相續は之を文字通りに適用する時は、さなきだに零細な我が國の農業を滅亡に導く虞がある、均分相續の原則は新憲法の要求する所なるは之を認むるも、我が國農業を維持發展させる爲に、之に適當な調整を加へることも亦新憲法の禁じない所と信ずる、仍て政府に於て速かに相續に依る農地の細分化、及び債務加重を防止する爲に、特別の立法的措置を講ずべきことを要望する
更に他の委員より新憲法に依つて將來民法、民事訴訟法、刑事訴訟法全部に亙り全面的に改正を要することになるのであるが、其の一つに付て改正するにも、實に十年を要する程のものであるものに對して、僅かに此の法案を以て應急的措置をするのであるから、極めて其の内容が不十分である、將來愼重に、又周到なる本格的改正を要望する旨を詳細に陳述されまして、次の如き希望決議案を提案されました、朗讀を致します
希望決議案
政府の諸法律案は日本國憲法の基本的原則を實現する爲の暫定的、應急的措置として已むを得ざるものと認め、之を承認する、併しながら其の内容には不十分なるものが多々あるので、政府に對し速かに國會に於て、日本國憲法の意義、字義と精神に即した愼重且周到な本格的全面的改正を完成するやう萬全の努力をすることを強く希望する
右決議す
以上で討論を終りまして、次いで本三法案を一括して採決の結果、何れも全會一致を以て、原案通り、可決決定を致しました、更に三つの希望決議案の採決を致し、是亦何れも全會一致を以て可決決定を致しました、尚附加へて申上げますが、最初の、日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律案の質疑應答の中に申上げるのをつい落しましたので、此の際申上げて置きますが、前述致しました質問の中に、尚農業の方のみならず、中小商工業者の家産と云ふものに付ても、同樣に特別の立法をして保護すべきものであると云ふ點に付て、質疑應答がありましたことを附加致します、以上で三法案に對する御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=85
-
086・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ三案の採決を致します、三案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=86
-
087・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=87
-
088・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=88
-
089・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=89
-
090・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=90
-
091・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=91
-
092・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 三案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、三案全部、委員長の報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=92
-
093・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=93
-
094・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに各案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=94
-
095・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=95
-
096・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=96
-
097・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=97
-
098・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 三案の第三讀會を開きます、三案全部、二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=98
-
099・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、議事の都合に依り午後四時三十分迄休憩致します
午後三時三十九分休憩
――――◇―――――
午後四時五十八分開議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=99
-
100・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 報告を致させます
本日私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案特別委員會ニ於テ當選シタル正副委員長ノ氏名左ノ如シ
委員長 高柳賢三君
副委員長 男爵 中村貫之君
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案可決報告書
本日委員長ヨリ左ノ報告書ヲ提出セリ
特別調達廳法案可決報告書
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=100
-
101・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是より休憩前に引續き會議を開きます、此の際議事日程に追加し、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案の第一讀會ノ續を開き、委員長の報告を求めたいと存じます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=101
-
102・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長高柳賢三君
━━━━━━━━━━━━━
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十一日
委員長 高柳 賢三
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔高柳賢三君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=102
-
103・高柳賢三
○高柳賢三君 私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律案に付きましての、委員會の審議の經過及び其の結果に付きまして御報告申上げます、委員會は本日開かれまして、先づ高瀬國務大臣から同法案に關する提案の理由を説明し、次いで政府委員から要旨の説明が極めて詳細に亙つて行はれたのでございます、それに續いて質疑に入りまして、各委員と高瀬國務大臣及び政府委員との間に、熱心且極めて活發な質問及び應答が行はれたのでございます、質問應答の詳細に付きましては、速記録に依つて御覽を御願ひしたいのでありまするが、以下其の極めて重要なものだけに付て、二三要旨を御報告致します、先づ公正取引委員會の任務は極めて重要でありますが、委員の選任の方針如何と云ふ質問がありました、政府側から、本委員の人選には特に愼重を期すると共に、事業者に徒に不安を與へないやう、人格の點に付ても十分に考慮して、公正を期したいと云ふ旨の答辯がありました、次に小さな會社に迄全部此の法律を適用すると云ふのは煩瑣に過ぎはしないかと云ふ質問に對しまして、政府側から、限度を設けると云ふことは困難であるが、小さなものに付ては自ら便宜な計らひと云ふものが講ぜられるであらうと云ふ答辯がありました、更に命令で定める事項に付きましての質問に對しましては、政府側から、命令を作るやうな場合には各方面の意見と云ふものを聽いて、事情を十分判斷して、愼重を期したいと云ふ旨の答辯がございました、其の他に中小企業の組合方式と本法案との關聯に付きまして、農業、貿易等に於ける我が國の特殊性と云ふものを十分考慮して本法の運用と云ふものを圖られたいと云ふ旨の希望が述べられたのでございます、尚根本問題として、本法案と云ふものは、是は資本主義經濟と云ふものを前提として、其の運用、其の維持竝に其の民主的な運營と云ふ所が主眼であつて、一般に考へられて居るやうに、是は社會主義的なものではない、從つて資本主義經濟が斯かる法律と云ふものを可能ならしめるやうに、講和條約等に於て日本の經濟と云ふものが確立して來るやうに努力されることを希望する、斯う云ふやうなを趣旨の質問がありましたのに對して、政府に於ても其の趣旨には全然贊成でありまして、此の法律の趣旨は何處迄も資本主義制度と云ふものを維持する、それを妥當な方向に向けて行く、斯う云ふ所に主眼があるのであつて、其の點に付ては質疑者と政府との見解が全く一致したと云ふことを、附加へて御報告致して置きます、質疑に續きまして討論に移り、採決の結果、全員一致、政府提案の原案通り可決致しました、審議内容の詳細に付ては、速記に依つて御承知願ひます、以上を以て私の報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=103
-
104・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ、本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=104
-
105・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=105
-
106・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=106
-
107・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=107
-
108・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=108
-
109・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=109
-
110・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ、全部を問題に供します、本案全部、委員長の報告通りで、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=110
-
111・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=111
-
112・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=112
-
113・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=113
-
114・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=114
-
115・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=115
-
116・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部、第二讀會の決議通りで、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=116
-
117・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=117
-
118・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際議事日程に追加し、特別調達廳法案の第一讀會ノ續を開き、委員長の報告を求めたいと存じます、御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=118
-
119・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、委員長後藤伯爵
━━━━━━━━━━━━━
特別調達廳法案
右可決スヘキモノナリト議決セリ依テ及報告候也
昭和二十二年三月三十一日
委員長 伯爵後藤 一藏
貴族院議長公爵徳川家正殿
━━━━━━━━━━━━━
〔伯爵後藤一藏君登壇〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=119
-
120・後藤一藏
○伯爵後藤一藏君 只今上程せられました特別調達廳法案に付きまして、委員會の經過竝に結果に付て御報告を申上げます、本法案は先程船舶公團法案委員會に付託せられましたので、直ちに委員會を開き、先づ田中國務大臣より提案の趣旨に付て、改めて説明を聽取致しましたる上、質疑に入りました、今其の質疑應答の大略を申上げたいと存じます、特別調達廳の業務内容はどう云ふものであるか、建設資材の取扱は一元的に之を取扱ふべきものと思ふがどうであるかと云ふ御質問に對し、政府は、御趣旨の通りであつて、政府としても左樣に努力する考であると云ふ答辯でありました、特別調達廳の業務内容及び經理に付てはどうする考であるかと云ふ質問に對しまして、政府は、差當り業務としては聯合軍設營關係のみであるが、將來必要があれば政府の需要するものも實施する見込である、經理に付ては政府から豫算を以て支拂ふ考であると云ふ答辯でありました、次に特別調達廳の機構はどう云ふ風にするのであるかと云ふ質問に對しまして、政府は戰災復興院特別建設局、終戰連絡中央事務局設營部の一部、戰災復興院特別建設出張所、終戰連絡地方事務局の一部、戰災復興院の代行機關である交易營團需品局の全部及び其の他の代行機關の一部等を包含するやうにする考であるとの答辯がありました、又聯合軍設營工事に對する資材の割當及び輸送に付ては嚴重なる監督をしなければならないと思ふが如何との質問に對しまして、政府は之に對しては出來るだけの努力を拂ふと云ふ答辯でありました、最後に特別調達廳の設立の時期に付ての質問がございましたが、是は早くとも五月頃になる見込であるとの答辯でありました、其の他の質疑もございましたけれども、是は速記録に付て御覽を願ひたいと思ひます、斯くして討論に入り、採決の結果、本案を衆議院の修正通り、可決すべきものと決定を致しました、以上を以て私の御報告を終ります発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=120
-
121・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 別に御發言もなければ本案の採決を致します、本案の第二讀會を開くことに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=121
-
122・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=122
-
123・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第二讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=123
-
124・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=124
-
125・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=125
-
126・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=126
-
127・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第二讀會を開きます、御異議がなければ全部を問題に供します、本案全部委員長報告通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=127
-
128・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=128
-
129・西大路吉光
○子爵西大路吉光君 直ちに本案の第三讀會を開かれむことを希望致します発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=129
-
130・植村家治
○子爵植村家治君 贊成発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=130
-
131・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 西大路子爵の動議に御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=131
-
132・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=132
-
133・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本案の第三讀會を開きます、本案全部第二讀會の決議通りで御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=133
-
134・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=134
-
135・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 日程第九、請願、會議発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=135
-
136・会議録情報8
━━━━━━━━━━━━━
意見書案
東北本線杉田信號場ヲ貨客取扱驛ニ變更ノ件
福島縣安達郡杉田村長代理助役高橋廣直外二名呈出
右ノ請願ハ福島縣安達郡杉田村ハ東北本線二本松、本宮兩驛ノ中間ニ位シ農、林産物ノ出貨頗ル多キニ拘ラズ停車場ニ遠キタメ村民ノ不利不便少カラザルニ依リ同村所在杉田信號場ヲ貨客取扱驛ニ變更シ以テ同村竝ビニ隣接村民ノ利便ニ資スルト共ニ産業ノ開發ニ寄與セラレタシトノ旨趣ニシテ貴族院ハ願意ノ大體ハ採擇スヘキモノト議決致候因テ議院法第六十五條ニ依リ別册及送付候也
昭和二十二年 月 日
貴族院議長 公爵徳川 家正
内閣總理大臣吉田茂殿
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=136
-
137・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 本請願は委員長報告通り採擇することに御異議ございませぬか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=137
-
138・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 御異議ないと認めます、是にて議案全部議了致しました
――――◇―――――発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=138
-
139・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 此の際、議長より一言申上げたいと存じます、本日の議事は、第九十二囘帝國議會最後の議事でありますと共に、貴族院最後の議事でございました、顧みれば明治二十三年十一月二十九日大日本帝國憲法施行以來茲に五十有七年、其の間、我が貴族院は愼重、練熟、耐久の府として大いに國運の進展に貢獻し、或時は憲政擁護の爲、將又綱紀肅正の爲に盡したことも一再に止まりませぬ、今や追懷感慨殊に深く、而も本日滯りなく貴族院の議事を終り得ましたことは、諸君と共に欣慶に堪へませぬと同時に、明治、大正、昭和の三代に於ける先輩議員諸公の御功勞を偲び、又現議員諸君多大の御努力に對し深甚の敬意を表したいと存じます、尚諸君に於かせられましては、此の上とも愈愈御加餐の上、我が日本國の再建、世界恆久平和の確保に向つて、一般の御努力あらむことを切望して已みませぬ
〔拍手起る〕
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=139
-
140・徳川家正
○議長(公爵徳川家正君) 是にて散會致します
午後五時十五分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009203242X02919470331&spkNum=140
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。