1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
華族世襲財産法を廢止する法律案(政府提出、貴族院送付)(第三號)
請願法案(政府提出、貴族院送付)(第四號)
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本委員は昭和二十二年二月二十五日(火曜日)議長の指名で次の通り選定された。
磯崎貞序君 稻葉道意君
今井はつ君 小川原政信君
上林山榮吉君 鈴木平一郎君
荊木一久君 菅原エン君
原捨思君 宮前進君
武藤嘉一君 淺沼稻次郎君
石川金次郎君 澤田ひさ君
棚橋小虎君 大橋喜美君
原國君 田中たつ君
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二月二十五日
請願法案(政府提出、貴族院送付)(第四號)の審査を本委員に付託された
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二月二十六日(水曜日)午後一時十四分委員長理事互選のため次の委員が參集した。
稻葉道意君 今井はつ君
小川原政信君 上林山榮吉君
鈴木平一郎君 菅原エン君
武藤嘉一君 石川金次郎君
澤田ひさ君 棚橋小虎君
大橋喜美君 原國君
田中たつ君
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〔年長者小川原政信君投票管理者となる〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=0
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001・小川原政信
○小川原投票管理者 先例によりまして、私が年長のゆえをもつて投票管理者となり、これより委員長の互選を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=1
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002・今井はつ
○今井(は)委員 投票を用いず、武藤嘉一君を委員長に推選いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=2
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003・小川原政信
○小川原投票管理者 今井君の意見に御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=3
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004・小川原政信
○小川原投票管理者 御異議なきものと認めます。よつて武藤嘉一君は委員長に御當選に相なりました。委員長武藤君に本席を讓ります。
〔武藤嘉一君委員長席に着く〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=4
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005・武藤嘉一
○武藤委員長 御推選によりまして、私が委員長の席を汚すことに相なりました。はなはだ不慣れでございますが、各位の御指導と御支援によりまして職責を盡したいと思います。何分よろしくお願いいたします。引續き理事の互選を行います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=5
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006・今井はつ
○今井(は)委員 理事はその數を三名とし、委員長において御指名あらんことを望みます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=6
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007・武藤嘉一
○武藤委員長 今井君の御意見に御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=7
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008・武藤嘉一
○武藤委員長 御異議なきものと認めます。それでは
上林山榮吉君 宮前進君
淺沼稻次郎君
を理事に指名いたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=8
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009・会議録情報2
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昭和二十二年二月二十六日(水曜日)午後一時十八分開議
出席委員
委員長 武藤嘉一君
理事 上林山榮吉君
稻葉道意君 今井はつ君
小川原政信君 鈴木平一郎君
菅原エン君 石川金次郎君
澤田ひさ君 棚橋小虎君
大橋喜美君 原國君
田中たつ君
出席國務大臣
國務大臣 金森徳次郎君
出席政府委員
法制局長官 入江俊郎君
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本日の會議に付した議案
華族世襲財産法を廢止する法律案(政府提出、貴族院送付)
請願法案(政府提出、貴族院送付)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=9
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010・武藤嘉一
○武藤委員長 引續き會議を行います。本委員會に付託せられております議案は、政府提出貴族院送付にかかる華族世襲財産法を廢止する法律案と、請願法案の二件でございます。これより原案全部を議題に供し、その審議を進めたいと思います。政府當局の提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=10
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011・入江俊郎
○入江政府委員 私から華族世襲財産法を廢止する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
華族世襲財産法は華族制度による華族の身分上の特典といたしまして、有爵者がその家格を維持するのに必要な範圍におきまして。世襲財産を設定し得るという目的で法律が制定せられたものであります。しかるに今囘日本國憲法によりまして、華族の制度は、將來認められなくなるに伴いまして、華族世襲財産の制度も、當然廢止されることとなるのでありまするが、最近におきまする諸般の事情に鑑みますると、この華族の特權を、新憲法の施行まで存續させて置くだけの十分な理由がないばかりでなく、かえつて財産税とか、農地調整の關係等で、世襲財産として維持して行くことの方がかえつて華族の人々にとつて不利益である場合もあり、また最近の經濟上の激變によりまして、生計維持という方面から見ても、この世襲財産を不融通物として置くというようなことも適當でありませんので、これらの理由によりまして華族世襲財産法を廢止し、しかも新憲法の施行以前におきまして、直ちにこの廢止の法律を施行するという必要が生じたわけであります。これがこの法律案を提出した理由でありまして、この法律の中にはこれに關連して税法の一部改正、あるいは不動産登記法の一部改正、その他の經過規定が設けてあるのであります。よろしく御審議の上御協賛あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=11
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012・武藤嘉一
○武藤委員長 次に國務大臣金森徳次郎君の説明を煩わします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=12
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013・金森徳次郎
○金森國務大臣 請願法案の提案の理由につきまして御説明を申し上げたいと存じます。本會議におきましてもあらかた説明は申し上げましたけれども、詳細にこの際内容を申し上げたいと考えております。御承知のごとく新憲法の第十六條にかなり詳しく書きましたところの、請願に關しまする條文がございます。つまり國民はこの憲法に保障されました權利によつて、廣い範圍において請願ができることになつておるわけであります。ところがかような請願の規定が憲法にありましても、これに必要なる法律規定が完備いたしませんと、どこへ請願書を出していいものか、あるいは誰にあてて請願書を出していいものか、あるいはまた書面でなくて、言葉でもつて請願をしていいものかというような、各種の疑が起りまして、實際上の權利の保障が不十分となるわけでございます。明治憲法におきましては、憲法は明治二十二年にできましたけれども、しかし實際にその手續ができましたのは大正七、八年ごろと思つておりまするが、それまでは規定がなくて、かなり請願權が實行上の値打を失つたという例をもつております。今囘は新しき憲法の規定に基きまして、いち早く請願法の御協賛を仰ぎまして、五月三日に憲法が施行せられまする時から、直ちにこの請願が實施できるようにいたしたいというわけで、今囘提出をいたしましたわけでございます。
内容についてあらかに申し上げますると、まず第一條におきましては請願法の性質を明らかにいたしております。言いかえますると、請願につきましては、ほかの法律もあり、これは國會に對しまする請願の場合を豫想しておるわけでありますが、そういう特別な場合は除きまして、原則としてこの請願法がこれを規定する。こういうふうなことを定めております。
それから第二條、第三條におきましては、國民が請願をするにつきましては、どんな手續をとつていいものかということをはつきりさせておりまするし、第四條及び第五條におきましては、官公署におきましての請願の取扱い方、つまり受ける方の請願の取扱い方を定めております。それから最後に第六條におきましては、何人も請願をしたことの理由によつては、どんな差別待遇も受けることがないという保障を規定しておるわけであります。
そのうち第二條、第三條の請願の手續のところを申しまするが、請願は請願者の氏名と住所を記載した文書でこれをしなければならないということになつております。言いかえますると口で請願をするのは正式の請願ではない必ず文書によるべきものである。しかし文書ではありまするが、その記載事項には何の面倒なこともなくて、請願者の名と住所がわかればそれで十分である。それ以上に面倒なことをつける必要はないということにしておるわけであります。このことはこれだけ見ますると、別に不思議もないように思われまするが、現在の請願令というものの中には、いろいろ書きますことをかなり詳しくあげておりまして、たとえば族稱を書けとか、年齡を書けとか、職業を書けとかいうことを規定しておりまして、この規定に違反いたしますると、請願が幾分制限を受けることになるのでありまして、さような無用な規定を全部はずしまして、最も簡便に手續をいたしたわけであります。
次にその請願書は、この請願の事項を所管する官公署にこれを提出すべきものといたしまして、また天皇に對する請願書は、これを内閣に提出すべきものとしております。このことはこれもまた分りきつたことでありまして、どこかに出すならば、官公署に出すということが原則で、不思議はないように思いますが、これにも若干の事情がありまして、たとえば外を歩いておる役人に對して、いきなり請願書を出すということは、請願の愼重なる手續に反しますので、まず常識的にそれは官公署に出すべきものであるということをきめたわけであります。また天皇に對する請願書は現在の規定によりますと、郵便をもつて内大臣府に提出するということに規定しております。もとより今内大臣府というものもございませんけれども、それに代るふうに讀みかえて適用しておるものと存じておりますが、天皇に直接に請願書を出しますことは、天皇の御地位と對照いたしまして、相當に考えなければならぬ點があるのであります。つまり助言と承認とによつて行動せられます天皇に、直ちに請願書を出すことは不適當でありますし、それかと申しまして、現在の如く内閣拔きに出るということも不合理でありまして、そこで助言と承認の責任を持つております内閣に提出すべきものであるといたしておるわけであります。つまりこれは内閣を經由して出すという意味を現わしておるのであります。
それからなお場合によりまして一番請願で困りますのは、國の制度というものは、一般人には分りにくいものでありまして、一つの問題を持つておりましても、どこの官廳へこれを出したらほどよく行くかということが分りません。誤つたところへ出しますと權限外だということで、つつぱねられてしまいます。そういう欠點を除きますために、もしもはつきりした官公署が分りません時は、内閣に提出しなければならない。こういうふうにいたしました。内閣に出ますれば内閣で適當にこれを權限を持つておる官廳に送り屆けるという扱いをすることにならうと存じております。なおまた誤つて請願書が權限違いのところへ行きました時にどうするかと言いますと、これもこの規定の中に書いてありますが、それは請願者に正しい官公署を教えてやるということも一つの方法でありますし、それでなければ、請願書を受取つて置いて、これを國の内部關係において、しかるべき權限を持つておる官廳へ送り屆けてやる。こういうことにいたしておるわけであります。
次に官公署が受取つたならば、どんな心構えでこれを處理するかという問題でありますが、これは請願というものの性質が、裁判とか訴願とかいうふうにはつきりしておりません。官公署はこれを受理いたしまして十分中味を檢討して、しかるべく適當な方法をとりまして、別に裁判をせよとか具體的な要求を含んでおらないものであります。それがために自然官公署の側で請願を粗末に取扱う。處理の心構えにおいて不十分であるというような恐れもありまするので、法律の中に明文を設けまして、請願書は必ず義務としてこれを誠實に處理しなければならぬというようなことを規定しているわけでございます。
なお最後に、何人も請願をしたために、いかなる差別待遇も受けないという規定が設けてありまするが、これは實は日本國憲法の第十六條の中に同じ文句のことが規定してありまするので、ごく法律家的に申しますると、わざわざこの規定を書き記す必要はないのでありますが、これは從來日本の立法が不親切でありまして、憲法に書いてあるから請願法には書かなくてもいい。こういうような態度をとつておりまして、それが國民の側から見ると非常に不便であります。そこで憲法の中の規定ではありまするけれども、さらにこれを請願法の中に明らかにいたしまして、何人も請願の本質をよく理解し得るようにいたしたわけであります。ここにいかなる差別待遇も受けない。こういうように規定いたしましたのは、請願をしたからとて國家から不利益を受ける。あるいはどこかで處罰をされるとかいうようなことが、あるべき筋合のものではございませんけれども、古い時代の考えによりますと、請願ということは、無理に何か願い出ることであつてよろしくない、こういう思想があつて、自然請願に不利益を加えている傾きがあります。現在の請願令において請願を認めておりますが、請願を助長する。人のために請願を集めて歩く。こういうことをいたしますと、法律上の不利益が起るようになつておりますけれども、新憲法の建前においては、さようなことはないのであります。請願は國民の權利である。從つて請願をしたために、いかなる差別待遇も受けないということをはつきり規定いたした次第であります。大體以上が内容でありまして、これによりまして憲法の第十六條を、ほんとうに實際政治の上に實現したいという考えでございますが、どうぞよろしく御審議をお願いたしたいと存じます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=13
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014・武藤嘉一
○武藤委員長 これに議案全部に對する説明を聽取いたしました。今日のところはこれで散會いたしたいと思います。
午後一時三十四分散會発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210217X00119470226&spkNum=14
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