1. 会議録本文
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000・会議録情報
付託議案
會計法等の特例に關する法律案(政府提出)(第六號)
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昭和二十二年三月四日(火曜日)午前十一時三十五分開議
出席委員
委員長 武藤常介君
理事 田中實司君 理事 松永義雄君
小川厚政信君 近藤鶴代君
松永佛骨君 太田秋之助君
古賀喜太郎君 稻村順三君
川越博君 伊藤幸太郎君
三月三日委員松本七郎君辭任につき、その補闕として町田三郎君を議長に於て選定した。
出席國務大臣
大藏大臣 石橋湛山君
出席政府委員
大藏事務官 野田卯一君
大藏事務官 河野一之君
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本日の會議に付した議案
會計法等の特例に關する法律案(政府提出)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=0
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001・武藤常介
○武藤委員長 これより會議を開きます。まず政府より提案理由の説明を聽取いたします。大藏大臣発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=1
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002・石橋湛山
○石橋國務大臣 會計法等の特例に關する法律案提出の理由につきましては本會議において大體御説明申し上げたのでありまするが、なおこの席上におきまして繰返して、その理由を簡單に申し上げます。
實は昨日私の演説の中においても申し上げましたように政府は新憲法の實施に伴いまして、財政法と稱するものを立案し、近く御審議を煩わすことになつておるのでありますがこれが遲れておりますのでそこで將來實施いたそうとする財政法の精神に則りまして、現行の會計法に特例を設けようといたす次第であります。この會計法等の特例は、豫算の形式に關する會計法第八條第一項に對する特例豫備金の區分に關する會計法第九條の特例、特別會計歳入歳出豫算の議會提出時期に關する各特別會計法に關する特例、この三つでございます。
まず豫算の形式に關する特例について申し上げますが會計法第八條第一項によりますれば、歳入歳出の總豫算は經常、臨時の二部に大別し、さらにこれを款項に區分することに相なつておりますが、經常、臨時の二部に大別することは、最近の状況におきましては兩者の限界を具體的に各經費について決定することが困難でございます。かつまた經常歳入と經常歳出、臨時歳入と臨時歳出の間に權衡をとるということも、現在のごとく臨時歳出の増大いたしました状況では、さしてその意味がなく、むしろ國家の職能に應じて部に大別し、さらに款項に區分し、歳入歳出のにらみ合せも、たとえて申しますれば、公債、借入金の收入と、公共事業費出資及び終戰處理費その間において考える方が適當と存ぜられます。また從來は歳出を各省の所管のもとに款項をわかつたのでありますが、これをさらに一歩進めまして、部局別、すなわちたとえば本省であるならば局くらいの單位にまでわかちまして、項ごとに内容を説明し、これにその部局の經費の部、款、項別を添付することといたしまして、豫算を平明にいたそうとするのであります。
次に豫備費の區分に關する特例でありますが會計法第九條は豫備費を第一豫備金、第二豫備金にわかつことを要求しておりますが、現在までの實情より見ますると、豫算超過支出と豫算外支出との區分は、相當恣意的なものになつておりまして、兩者を區分する實益は少く、かつ豫備費の一體運用を妨げられるおそれもありますので、むしろ兩者を一體として豫備金一本で運用することが適當と存ぜられまするのでそのようにいたしたいと存ずるのであります。
最後に特別會計の歳入歳出豫算の議會提出時期に關する特例について申し上げますが特別會計の豫算については各特別會計法に總豫算とともに帝國議會に提出すべき旨を規定してありますが、昭和二十二年度の豫算は、各般の事情によりましてその編成事務が相當遲延いたしましたため、總豫算と特別會計豫算とは、同時に議會に提出することが不可能の状況と相なりましたので、この規定を適用しないこととする必要があるのであります。以上の理由によりましてこの法律案を提出いたした次第であります。何とぞ御賛成をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=2
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003・武藤常介
○武藤委員長 補足的の説明を願います。野田主計局長。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=3
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004・野田卯一
○野田政府委員 會計法等の特例に關する法律案に關する提案理由は、ただいま大藏大臣から御説明申し上げた通りでございますが、この法律案は技術的な點で少しおわかりにくい點があるだろうと思いますので、私から補足的に御説明申し上げてみたいと思います。
大體今大臣より説明がありました通り中は三本にわかれているのでありまして第一點は二十二年度からの歳入歳出總豫算の形を、今までとは根本的に改めるという點であります。第二點は豫備費に第一豫備金と第二豫備金の差があつたのを撤廢するという點であります。第三點は二十二年度の特例となるのでありますが、一般會計の歳入歳出豫算と特別會計の豫算とを、同時に提出することに法律できまつているのでありますが、これは本年度はいろいろな事情がございまして、特別會計の方の審議が遲れておりますので同時に提出ができない。それでこれを切り放して提出したい。こういう三點にわかれているのであります。
一番おわかりにくいのは最初の豫算の形式を根本的に改正すると申しますが一體どのように根本的に改正するかという點でありまして、ここに書いてあります條文だけではおそらくおわかりにならぬと思います。そこで、まだ正式の印刷物になつておりませんが、われわれの方でガリ版で間に合わせてつくりまして、三月一日に議會に提出した書類がございますので、あとでお目にかけますからこれを御覽くださればよほど御理解に便宜だと思います。まず現在、と申しますか今までのやり方は歳入歳出につきまして經常臨時というように區別しておつた。この經常、臨時の區別が基本的な區別になつているのでありまして、古くから議會の審議に携つていらつしやる方は、豫算の問題にはいりますと、直ちに經常、臨時の區別をお聽きになるのでありますが、最近の情勢から見ますと、經常臨時というのはあまり意味がない。われわれが毎日豫算の事務を取扱つておりましても、これが經常部にはいつているか、これが臨時部にはいつているかということは、ほとんど意味をなさない。ただ二つにわかれているために、たとえば歳入について申し上げますと、同じある税金が、普通の所得税とか法人税というものは經常部にはいつている。ところが臨時利得税というようなものになりますと臨時部にはいつているというように、租税の中が二つにわかれて、あちらこちらにはいつているために、租税全體を見ようといたしまするときに不便を感ずることがございます。その經常と臨時に租税をわけて、はいつてきた歳入をまた歳出の方でそれと見合わせて使うかというと、そういう關係はないのでありまして大體歳入の方は經常部は多く臨時部は少い、それから歳出の方から見ますと、逆に經常部の方が少くて、臨時部が多い。何もその間に見合いがない。ただ從來の慣行によつてわけておるような點が多いのであります。そこで歳入の部面におきまして撤廢する、同時に歳出の部面におきましても、經常部といいましましても、臨時部といいましてもその限界は明瞭でない。極端なことを申しますと、大藏省の立場としては、經常部ということになりますと、どうも經常的な經費であるから、豫算を査定するときに削りにくい。大體基本的な經費でありますので、これを減らしたり、あるいはいろいろと査定を加えることは困難であるので、大體前年通り認めていくということになりがちであります。そこで新しい經費が出てまいりますと、それが恒久的な性質をもつているものでありましてもこれを臨時部にもつていきますと、毎年新しい經費として見直すことになる。臨時部の經費になりますと一年々々で認めていくことになりますから、今年認めていきましても、また來年度の豫算を査定するときに、もう一ぺん見直すという機會を得るのであります。昨年認めたからといつても、それは昨年限りの經費であるから、また翌年要求しますとまつたく新しい經費として要求されますのでその際にいろいろの見地から査定を加えるなり、あるいは新しく變更を加えることができる。そういうわけですから、豫算を査定する側から申しますと、なるべく臨時部の支出を多くする方がよろしい、その方が豫算の膨脹を抑止し得る。こういうような立場もあつたのであります。そこでだんだん歳出の方は臨時的なものが多くなり、また豫算を請求する側から申しましても、恒久的な經費だというと、これをなかなか認めてもらえないが、これは今年一年きりの經費ですから認めてくれというと、今年一年きりの經費なら認めてやろうというので、認めてもらう方の例から言つてもやりやすいし、認める方の側から言つても認めやすいということで、臨時部の支出の方が殖えているという傾向をたどつているわけであります。これは新しい目で見直す場合正にあまり意味がないし、二十二年度の豫算の編成にあたりましては、こういう過去の弊害というものを考えまして、經費は全部洗い直すということをやつたわけであります、これは非常な手間がかかる仕事でございましたが、いわゆる既定豫算という觀念を排しまして、全部經費を新しく見直すということをやつたわけであります。今まできまつたものに新しいものを積み上げていくという考えであつたのを、根本から壞してしまつて調べ上げていく。それがために係官の手間は大變なもので、時間も隨分食いますが本年度豫算の數字を相當程度健全財政の線に沿つて、何と申しますか、固め得たというのも、全部の豫算を洗つたということが大きな原因だと思う。古い經費をすつかり壞しますと、現在會計事務に携つている人が、この經費は一體どういう理由で出たものだらうかということがわからない。過去の古いものが積み重なつているが、書類はないし、その當時のことがわかつているものがいないので、その經費の由來がわからない、ただあるから、これを認めるというのが相當あつたのであります。それが全部洗われまして、現在の實情から、どれくらいの仕事をするがそれに對してどれだけの經費をやるかということを吟味しまして、そこから地固めして積み上げていくことにしたのが、本年度の經費を相當節減し得た大きな理由となつているのであります。こういうわけで、經常部、臨時部の區別はあまり意味がない。また場合によつては弊害を生ずるので廢止するというのが、過去の制度に對する大きな變革であります。しからば、部というような大きなわけ方はやめてしまうかというと、それはまた別な觀點からそれをやめない。經常部、臨時部というわけ方は意味がないが、ある場合には意味があるので、これを利用しまして部にわけるというやり方を他のもつといい意味に使うということをしたらどうかという點を考えまして、ここに書いてございますように、歳入につきましては性質別にわけて見た。歳出にあつては目的別にわけて見てはどうかということにいたしたのであります。これは名前は性質別とかあるいは目的別とか言いますが、實質的に申しますと英語で言えばフアンクシヨン別、機能別と言つております。フアンクシヨン別、機能別というような言葉でもつて言つたらいいと思います。そういうようになつております。歳入の方につきましては從來のわけ方は大體フアンクシヨン別に分れておる、その性質別、あるいは目的別にわかれておりますので大した變更はありません。問題は歳出なんです。歳出におきましてはこの經費が國家の活動のいろいろな方面にわたつておりますが、それはどういう方面に行きわたつておるか。すなわち占領軍關係の方にまわつておるか、あるいは民生安定のためにまわつておるのか、あるいは經濟再建のためにまわつておるのか。こういつたような點が議會の審議でも、あるいは國においても重要であり、國民のもつとも關心をもつておることである。そういうことを中心にして公平にしていつたらどうか、ということを考えたのであります。そこで今度この法律によつてでき上りました一般會計の豫算は、この部の數が二十になつていると記憶します。大體部を二十にわけております。その名前を極く簡單でありますので申し上げてみますと、第一が皇室費、國會費、裁判所費、帝國憲法機關經費、行政部費、司法及警察費、教育文化費、社會及勞働施設費、保健衞生費、産業經濟費、公共事業費、價格調整費、物資及物價調整事務取扱費、行政共通費、地方財政費、年金及恩給、政府出資金、國債費、終戰處理費、豫備費、この二十の部に分れております。こういうことにいたしたいと存じます。もちろんこの部は大わけでございましてこれだけではよくわかりませんのでその下に款がありさらにその下に項があるというようにわかれております。本年度の豫算ではこの二十部の下に款が八十四款ございます。その下に三百十八の項がございます。そういうふうな組織にいたしたのであります。それからこれは歳出の目的別のわけ方でありますが、今度はその他にさらにまつたく別な觀點から、歳入歳出をそれを取扱う部局別にわけてみた。すなわと二重に目的別、あるいはフアンクシヨン別と、それから部局別のこの二つの建前になつておる。この組織別の方でありますがこれは歳入歳出とも組織別にわけてありまして、歳入につきましては大體大藏省が一番大きいのでありますが、しかし歳入の方はいろいろな項目がございまして、そのほかに大藏省以外のものもある。さうしますと、何々省へこれだけの歳入をあげるということになりますと、各省の責任と申しますか、各省が受け持つ歳入というものがはつきり出て來るわけです。そうすると各省が歳入をとるということに熱心になる。從來の經驗によりますと、歳出には非常に熱心でありますけれども、歳入にはどちらかというと熱意が足らぬというような實情でございました。これについてはわれわれもやかましく各省にお願いしておりますが、實際を申しますと、歳入の方は熱心でない。この弊害をためる一助といたしまして、各省別に歳入を、この省の歳入はこれだけである、こういうものをとつて來なければならぬという組織をとつております。今度は歳出の方でありますが、歳出の方の組織別というものはどの程度にわけるかということが問題になるのでありまして、省の單位にわけるか。局の單位にわけるか。さらに下つ課の單位にわけるかという段階がありますが今囘採用いたしましたのは、大體局の單位でわける。大藏省でいえば大藏省の主計局が、どういう經費をいくら使うか。あるいは農林省の農政局なら農政局は、どういう經費をどういうふに使うかという局の單位をもちましてわけた。それから地方關係においては官制別にわける。大藏省であれば財務局という官制があつて、財務局でわける。これは八つございますが、財務局別にやらずに各財務局を固めて、財務局というものはどういう經費を使うか、税務署であればこれは三百いくらあつて非常に數が多いのでありますが、その税務署全體でこういう經費を使う、こういうわけ方であります。こういうふうに拾つてゐると、一般會計全體においては、組織の單位が二百六十一になつております。その局なりあるいは省なりの經費を詳しく書いた。こういう形を採用いたした次第であります。これはもちろん議會で御協賛を願う國費が、どういう方面に使われるかということを吟味願うよりも、むしろ議會で認めた豫算を、各省各局がどういうふうに使うかということをみる點が重點をなすのでありまして、いわゆる行政的な觀點、豫算執行上の觀點が主になつているのであります。豫算の執行が適正を得るかどうかということを見るためには、こういうわけ方をしなければならぬという一つの財政學的の方面の意見がある。外國でも、アメリカの例をとりますと、アメリカあたりでもそのわけ方を詳しくやつて、徹底的に實行しているという實例があります。そういう點も參考にいたしましてこういうふうにしたのであります。將來の問題といたしましては、今の局別あるいは官制別にわけるかどうかという點については疑問もありますけれども、さらに下つて局から下の課までわける、主計局なら主計局に三つの課がございますが、課別に豫算を組むということになるかも知れないと考えます。この邊はまた課別にいたしますと數が殖えてまいりますので、十分に效果が上るか否や、十分調べました上、來年度からもしそれが可能であつて、いいということになれば實行したいと考えております。
その次に豫備費の問題でありますが、豫備費は第一豫備金と第二豫備金とにわかれておつて、第一豫備金の方は、客觀的な事情に基いて、經費が當然殖えるもの、そういうものを主として目標にしております。例をあげると家族手當、この家族手當は子供が生れますと當然殖えて行くのでありまして、扶養家族に對していくらやるということをきめておれば、子供ができたり、奧さんをもらえば機械的に殖えて行く。租税をとつたらその何パーセントやるということにきめておれば、税金が殖えると當然交付金をやらなければならぬ。そういう客觀的情勢によつて殖えるものでありまして、どうにもならぬもの、そういうものを第一豫備金として出すことになつておる。第二豫備金はそうでなくて、新しい仕事を始めるとか、いろいろとそこに政府の取捨選擇のはいる關係の經費が、第二豫備金の對象になつております。法律などでは豫算超過、豫算外支出と言つておりまして、豫算に規定してある項目を、金額を越えて出す場合には第一豫備金であり、その中にない場合には第二豫備金という言葉を使つてありますが、實行上は必ずしもそうは行つていないのであります。豫算に規定してある項目の金額が足りなくなつてそれ以上出す場合にも、第二豫備金を使う場合が相當ある。そうすると豫算外に生じたものではないじやないかということになりますので、その場合には何とか費補足という名前をつけて第二豫備金を出すというような、苦肉の策をやつたこともあるのでありますが、この間の規定はあまり實益がございません。そうしてまた兩方わけますと、片方が餘つても片方が足りなくなるとさらに餘分に出さなくてはならぬということがあつて運用上差支える點もありますので今後はこれを撤廢するということにいたしたいのであります。それで手續におきましても、第一豫備金はそういうような、政府におきましてもどうしても出さねばならぬ經費でございますので、それは大藏大臣と所管の大臣とが相談して出せばよろしいということになつております。第二豫備金の方は少し内容が重要でありますので大藏大臣が閣議に諮つて、さらに現在では勅裁を經て出すというようなことをいたしております。またあとの議會の事後承諾を得る手續としては、第一豫備金の方は年度を經過した——たとえば昭和二十一年のときに使つた場合には、二十二年度の常會と言いますか去年から今年にかけて三月までに出すものは、今年の十二月から來年の一月にかかる議會に出せばよろしいということになるのでありますが、第二豫備金の方は次の常會、昨年の十一月に使つたものであれば、この議會に出さなければならない。そういうように、なるべく早く出すという取扱い上の差があります。しからば今後新しい財政法が施行された後、第一、第二豫備金を撤廢して、取扱いは全然差をつけないで同じにするか、經費の輕重によつて取扱い上差をつけないでやるかということになりますが、豫備金の支出は大藏大臣が管理いたしまして、出す場合に閣議決定を經て出そうということになつております。但しその中で先ほど申しましたように、客觀的事情によつて當然出さなければならぬ經費を、一一閣議で決定するのはめんどうでありますので、法規的にあるいは法令によつて、大藏大臣と各省大臣が相談をして出せば出せるというような、新しい制度をつくつていきたい。そうして運用上何ら差支えないようにしたいと考えておる次第であります。
それから第三點につきましてはこれは今年だけのどちらかと申しますと特例でありまして、來年度からやはり特別會計の豫算も一般會計の豫算と一緒に出して、なるべく長い期間議會で御審議を願うことが當然でありまして、これは今年限りの特例であると御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=4
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005・武藤常介
○武藤委員長 これより質疑に入ります。太田秋之助君。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=5
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006・太田秋之助
○太田(秋)委員 大體會計法の特例に關する本法案は、歳入歳出總豫算編成の形式を、從來はなはだ多岐にわたつておつた經常部、臨時部の區別を統一して簡明を期するという組織にするということは、ただいま大臣並びに主計局長さんの詳細なる御説明によつて了承いたしたのであります。ただお伺いしたいことは、特別會計におきまする歳入歳出豫算は、同年度の總豫算とともにこれを提出することを必要としないということを御説明になりましたが、私どもここで考えることはやはり今後といえどもそれぞれ特別會計豫算というものが必要であると思うのであります。必要のある場合に、特別會計が獨立の歳入を有するものはこれを切離して、隨時にその必要に應じて編成することもできることと考えられますが、歳入を一般の會計より繰入れを求めるような場合におきましてはやはりこれは總豫算とともに編成しなければ相ならぬ問題ではないかと、こういうふうにも考えられるのでありますが、歳入を一般會計から仰ぐ特別會計におきましては、どういうふうな編成をなされるお考えか、この點を一つお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=6
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007・野田卯一
○野田政府委員 ただいま申しましたように、第三項は本年度限りの全くの異例な處置でありまして、今後はこういうことは極力避けるべきであり、また原則としてそういうことはなすべきでないと考えております。二十二年度豫算につきまして、一般會計を特別會計と相關連する場合がたくさんございます。これにつきましてはもう既に議會に提出してあります一般會計について、たとえば國債整理基金に繰入れるとかいろいろの項目がございますが、その項目は今後提出されます特別會計におきましては、それをそのまま移しまして、兩者の關連はもちろん十分に一致さして提出するつもりであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=7
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008・太田秋之助
○太田(秋)委員 會計法の現行法の第八條で第一第二を參考に添附提出することになつておりますが、私どもまだ本年度豫算書の配付を受けませんのでどういうような編成になるのか、その書式形態もまだ承知しておらぬのであります。從いまして會計法の第一、第二の參考明細書というものは、今度の豫算案にも添附されるのかどうか、この點も伺つておきたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=8
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009・野田卯一
○野田政府委員 その點につきまして提出は遲れておりますが、もちろん歳入明細書、各省の豫定經費各項中各目の明細書等、詳しい書類は目下調整中でございます。でき次第提出いたしますが、内容は相當大きな見透しであります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=9
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010・太田秋之助
○太田(秋)委員 まだ質問がありますが、本案と少しかけ離れますから、他の委員の方の本案の質問がありましたら、その後でお願いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=10
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011・武藤常介
○武藤委員長 それでは稻村順藏君発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=11
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012・稻村順三
○稻村委員 今までの豫算の編成の形式が非常に複雜多岐であつたのでそれを簡單にしようということになつたことは進歩だと思いますが、その點に關しまして、たとえば編成にあたりまして、これまでは使途につきまして、たとえばある項目が出ましても、ほとんどわからないように、あつちにちよつぴり、こつちにちよつぴりというふうに含まれておるような、複雜多岐なあの編成の仕方は、今後全部一掃されるものであるかどうか、それを一つ聽きたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=12
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013・野田卯一
○野田政府委員 御質問にありましたような趣旨をもちまして、二十二年度の新しい形式の豫算を編成いたしております。初めは相當立派なものをつくるつもりでやつたのでありますが、御承知のように今年は時間の關係で非常に急ぎました關係上、でき上つたものを見ると必ずしも私らにとつて意に滿たないものが多いのであります。おそらく議員の各位におかれましても、よくごらんになりますと、やはり豫算というものがわかりにくいものであるという御感想をおもちになる點もあるだらうと思いますけれども、しかし從來の形にくらべますと、よほどその點は改正されております。それからただいまのお話の、一つの豫算の經費があちらこちに散らばつてはいるということは、今度の目的別編成によりますと、だいたい整理されることになるのでありますが、農業關係なら農業關係のこういう經費と言えば、たとえば産業經濟という部がありますが、そのうちの農業費の中のどこというところを見れば、だいたい自分のお知りになりたいという關係の經費がどのくらいになつているかということがわかるようになつております。完璧とは申し上げかねますけれども、そういう點はよほど近づいているとわれわれは信じている次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=13
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014・稻村順三
○稻村委員 各省の官制と言いますか分課規程などを相當變えなければならぬような問題が出てくると思いますがその點どうお考えになりますか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=14
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015・野田卯一
○野田政府委員 ただいまのところでは、われわれの方といたしましては官制を變えるというところまでは考えておらないのであります。部局別として計上いたします場合には、農業關係なら農業關係のある經費があれば、その經費は款あるいは項として立てるということはございますが、その項の金を使うのは、役所としては農林省で使うこともあれば、あるいは内務省で使うことも起るのでありますが、この豫算の建前としましては、第一の建前はそれを一本にする。その經費が農林省で使われようが、あるいは内務省で使われようが、それを農業關係のこういう經費という一本で立てるという建前をとりますので、その點からは官制の改正という必要はないと思います。ただ問題はこういう點があると思います。目的別というものと機能、組織別と照し合せておりますと、同じ名前の經費があちらこちらの役所において使われるという場合があるのでありまして、そういう場合には何とかそれをまとめて一つの役所で使うようにしたらいいじやないかという議論が起るのであります。その一例は御參考までに申し上げたいのでありますが、目的別の分類と部局別の分類の二本建にいたしましたのは、これは日本政府の趣旨の方針により、それから議會方面の御要望によつたのでありますがアメリカあたりにおきましては、だいたい部局別が中心になつているわけであります。いわゆる組織別の區分が中心になつております。何局の經費とか何部の經費、こういうものが中心になつております。それでアメリカ側と申しますか、司令部あたりの考え方としては、途中におきましては部局別、組織別の區分をすれば、だいたいいいのではないかという考えをもつておつたこともあるのであります。しかしそれに對して日本とアメリカとは根本的に制度上の差があると思うのでありまして、アメリカにおいてはだいたい一つの役所、たとえば經濟安定本部なら經濟安定本部というものをつくれば、經濟安定本部に關する經費をそこに集めてしまう。從來の各省でやつている仕事であつても、それが經濟安定本部の仕事であれば、全部それを集中するという方針をとります。物價廳なら物價廳、あるいは物價統制局なら物價統制局というものをつくりますと、物價統制に關する權根は各省のものを全部取上げてしまつて、新しいその役所に與えるということをやるのであります。そういたしますと物價統制費なら物價統制費、あるいは物價調整費、あるいは價格補給金なら價格補給金というものがありますればそれが全部物價廳と申しますか、物價統制局に集まるということになりまして機能別と組識別とがアメリカ的なやり方をすれば一致しやすいわけであります。ところが日本の現在の制度におきましては必ずしもそうなつてはおりませんで、各省々々の官制がありまして所管事項はきまつておりますから、それを徹底的に變えなければ機能別、目的別と組織別を一致させることはできない。だいたい現在までの組み方はあまりその點には深く觸れないで、現状でやりたい。現状の下において經費を盛る。目的別によつてそれを官制によつて各部局に配分する。こういうふうな建前になりたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=15
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016・稻村順三
○稻村委員 そうしますと、だいたい各省に與えられた各省の豫算書、また小さく區分された豫算書というものはだいたい從來通りのものをそのまま踏襲する。こう解釋して差支えありませんか。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=16
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017・野田卯一
○野田政府委員 各省の中のやり方は非常に違つてくると思います。と申しますのは、今まで各省の中で豫算を部局別に持つということはなかつた。各省なら各省一本で持つている。農林省は農林省、商工省は商工省一本で持つている。その象算が商工省の總務局とか、纖維局とかいうように分れて持つていない。それは商工省の官制で一本に經理されているわけですが、今度は纖維局はいくら、あるいは總務局はいくらというふうに詳しく出てくる。こういうふうになつてすでに提出しております。豫算の中に部局別の分類はそうなつておりますが、さらに今後提出されます各目要求豫定經費の分は全部そう出てまいりますので、從來とよほど違つた變り方をいたすと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=17
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018・稻村順三
○稻村委員 實はそういうことを質問するのは、たとえば産業の問題であります。農業の例をとつて見ますと、河川の整理は内務省の仕事であり、同じ土木の關係でありましても、耕地の問題は農林省である。こういうように兩方になつているために、遂には河川敷地がある程度農地になつている場合がありますが、そういう場合には河川については内務省であり、耕地については農林省だというようなことで、どちらが一體ほんとうの意味での所轄かというようなことがわからないので、豫算をとる場合に、それは内務省關係だあるいは農林省關係だというようにこんがらがつてしまう場合が非常に多かつたと思うのであります。その上にさらに私たち考えることは、たとえば灌漑排水というものと過剩河川の修理というものとは、ほんとうのことを言うと切り離すことができない場合がしばしばある。兩者がばらばらになつているために、内務省も豫算を持ち、農林省も豫算を持つておつても——兩方の豫算を持つていながら、無駄な仕事をして效果をあげていないというような場合がしばしばあると思います。こういうような場合に、豫算と官制のある程度の編成替えというものが結びつかないと、折角新しい豫算を組んでも、その實行がほとんど不可能だというような問題がしばしば出てくると思うのでありますが、この點豫算編成の技術と竝んで、今後の日本の産業を復興しなければならぬときに、技術的にこういう方面をどう處置するかということについて、一つ大藏大臣の所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=18
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019・石橋湛山
○石橋國務大臣 ただいまのところでは主計局長から御説明したように、豫算の編成は一方においては、組織別、目的別の豫算ができます。しかしこれを實施するために、各省部局別の豫算と、この二色の豫算ができて、御審議願うことになつておりますが、その實施は現在のところでは、やはり大體本二十二年度の豫算編成にあたりましては、今のお話のように、河川その他の關係、いろいろ實際問題がありますがそれは今まで通りに實施さることになりますから、御希望の點は未だ十分な改革が行われないわけであります。しかしたださような河川でありますとかあるいは土地の改良でありますとかいう問題は、大體公共事業費に屬するものが多いのでございまして、それは現在では經濟安定本部でまとめてやつておりますから、各種事業の間の調整は經濟安定本部の作用によりまして相當行われておるつもりであります。しかしまだまだそれは不完全な點がありますので、その行政機構の改革については、將來なおいろいろ改革いたさなければならぬ點があると考えております。現状においてはまだ御希望通りにはなつておりませんということを申し上げておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=19
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020・稻村順三
○稻村委員 それからもう一つ豫算の編成の問題について、一面形式上全部を見まして、國内の經濟、財政というようなものを、計畫を立てるのに非常に分りやすくこれを理解するというような建前をとるというのが一つの目標でありましようが、他面、また考えてみますと、いろいろな官吏の綱紀を肅正する、その他の意味から言いまして豫算はなるべく嚴重に、小さく、一定のわくの中にはめてしまうというやり方も考えられると思うのであります。從來の豫算の編成のしかたを見ますと使うものをある程度非常に限定する。たとえば助成金を一つとりましても、その助成金はある費目に定められますと、それを他に流用するというようなことが、非常に機械的だと思われるほど困難な編成のしかたであつたと私は解釋しておつたのでありますが、今度のは豫算の大體の編成を非常に分りやすくするということによつて、そういうふうな從來の支出の融通性というものを、非常に嚴重にわくの中にはめてしまうということが、多少でもやはり融通性をもたすといいますか、そのわくを少しゆるめると申しますか、そういう結果をもくろんで、その方がいいとお考えになるのか。それともまた、その點に關する使途は、從來のままにわくの中にはめておくお考えか。その點を一つ……。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=20
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021・石橋湛山
○石橋國務大臣 それはさつき申したように、豫算がいわば二色できる。一方のは、農業費なら農業費は大體農林省でありましようが、中にはいろいろな省にわたつたような、たとえば公共事業費というものは、各省にわたつたものが一本の豫算として出てくる。けれどもそれがほかの豫算においては、各省のみでなく、各省の局部に分けまして、今よりも使用においては窮屈になります。今までは款項の流用がどうとかやかましく言いましたけれども、今度は大藏省なら大藏省でなくて、大藏省の中の理財局の豫算はいくら、主計局がいくら、こういうふうにここに見本がありますが、こまかく分れますから、その監督の點においては、今までよりは少しきつくやるということになると思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=21
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022・稻村順三
○稻村委員 もう一つお尋ねしたいことは、主として助成金の問題であります。助成金の方の支拂たとえば農家などは助成金ばかりでございませんで、米價の支拂などに關しまして、非常に支拂が遲れるというのですが、これは會計技術上この米價の支拂をもう少し早める方法はないか。殊に私地方廳などへ行つてみますと、地方廳の縣の豫算など、私縣會に出たことはありませんけれども、たまにもらつて見ますと臨時の役人がどうしてこんなにできるかと思つて、いろいろ聽いたりなんかして調べてみますと、一應政府支拂の金を一定期間だけ地方廳などに温める。その利子でもつて臨時の官吏を雇うというようなために、ちやんとそういう所に豫算が出てくるというような話まで聞いておるのであります。そういうふうなために政府支拂の金が非常に末端に遲れてしまう。經濟上非常にインフレーシヨンの抑制のために、一應マル公が特に安いというような農家におきましては、支拂う速度ということが非常に大きな問題なのでありますが、供出が非常に惡い惡いといいながら、しかも米を供出してから、三箇月なり四箇月でなければ支拂がないというようなことがあるのであります。これは會計の技術上、なんとかしてこれを早く末端にはいるような方法ができないか。その點をひとつお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=22
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023・石橋湛山
○石橋國務大臣 お話のように政府の支拂がどういうわけか、末端に非常に遲れるということは、その事實のあることははなはだ遺憾であります。これは拂うものはさつさと拂うようにいたしたいと思つて、今そういうことにやるように、各事務當局に督促をいたしておるわけであります。どうも中央から出ましても、地方に行つて、地方の役所が能率が惡くて遲くなるというようなことがあるようであります。各方面からそういう苦情を聞きますし、全く困ると思いますから、ひとつその點は改めたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=23
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024・稻村順三
○稻村委員 そういう場合に、もしたとえば地方廳でもつて、ああいうことを公然となさるというような場合に、たとえば一つにまとまつてくれば相當の金額だから、それの利子でもつて一應臨時の人間を入れたりなんかするために、三箇月なり四箇月なり温めておるというような實例があつた場合にはこれに對しては政府は嚴重なる處置を講ずるということができるかどうか。その點をはつきりお聽きしたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=24
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025・石橋湛山
○石橋國務大臣 そういう場合にどういう處置ができるものか、今法制上知りませんが、どうも二箇月も三箇月も支拂をそういう目的で延期しておるというほどのこともやつていないのじやないかと思います。しかし万一そういう事實がありましたならば、お知らせを願うと同時に調べてみたいと思います。またそういう事實があつた場合にこれを何か處罰する方法があるかどうかはちよつと今わかりませんが、ひとつそういうことのないように、嚴重な監督をいたしたいと考えております。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=25
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026・稻村順三
○稻村委員 最後に先ほど問題になつた特別會計と總豫算との關係でありますが、實はこのごろみたいにこの二十二年度に限つてと、一年度の問題としては、これは大した問題はないような説明になりますけれども、しかし私たちから考えますると、二十二年度というのが、一番經濟復興その他經濟の再建に關しまして最も重大な時期であり從いましてこの時代に釀成されるところのインフレーシヨンの進行その他を考えて見ますと、なかなか殊に特別會計というものがわずかな額であればよいのでありますけれども、相當の額に上つておると思います。先ほど太田君から説明がありましたのでは、一般會計から繰入れられておるという問題はこれも大きな問題でありますけれどもしかしこれは一般會計の中に明らかにされておりますので、一般會計の外廓は、われわれが審議をすれば一應わかることだと思うのであります。ところがここに、むしろ自分のところで收入をもつている特別會計というようなものになりますと、この支出その他が收支のバランスのとれているとかとれていないとかいう問題ではなくて、やはり通貨の多寡とか、物の出廻りとかいうものに關して、非常に大きな影響があると思うのであります。從いまして一般會計と特別會計を別々に審議するということになりますと、豫算全體を見渡すということが、非常に困難ではないかという風に考えられますが、こういう場合には、特に特別會計の場合に概略の豫算と申しますか、總額でも一應一般會計の豫算案とともに出して審議するということでないと、なかなか今後の經濟對策というものはむずかしくなるのじやないかと思いますがこれに關する御意見を一つ伺いたい。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=26
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027・石橋湛山
○石橋國務大臣 ごもつともな御意見でありまして、われわれも特別會計、なかんずく鐵道とか通信という大きな會計につきましては、一般會計と一緒に出すということが最も望ましいことでありまして、本年もさようにいたしたく努めたのでありますが、これらの企業會計においては、やはり一般會計と同じように、ある程度豫算の形式も二十二年度から變えたいと思いましてやつておりますのと、もう一つは御承知のように、鐵道も通信もなかなか困難な事情にありまして、その豫算の編成についていろいろ檢討を要さなければならぬ節があつたために、大變に時期が遲れまして一度に出すことができませんでした。そんなわけで、實はまだ總額もなかなか固まりませんので、お話のように概略でも申し上げるということができかねたわけであります。大體今週の終りごろには、特別會計の數字も固まる見込だそうであります。先ほど私の冒頭に申し上げました説明は少し言葉が足りませんで、財政法に關係があり、將來同じような行き方で行きますのは、この特例の最初の二點でありまして、特別會計を切離して提出するということは、今年度、二十二年度限りのやむを得ない處置でありますから、御諒承願いたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=27
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028・稻村順三
○稻村委員 そうしますと、一般豫算の總額が決定いたしますれば、特別會計の豫算も、どの程度に抑えるかとか何とかいうような方針でも大體お話願いませんと、議員としては豫算全體の審議ということがほとんど見當がつかなくなるのではないか。たとえば百億とか、あるいは百五十億とかいうような狂いが生じて來るということになりますと、審議の上において非常な蹉跌が來るのではないか、こう思うのでありまして、その點やはり抑えるならば大體どの程度で抑えるというような大臣の趣旨が明らかにされないと、ただこれだけで、あとは特別會計はさらにこれに加わりますでは、なかなか議員が納得しない點があるのではないか、こう思いますが、その點政府は大體どの程度で抑えるという目安だけでも、一般會計の場合お示し願えるものかどうかということをお尋ねいたします。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=28
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029・石橋湛山
○石橋國務大臣 特別會計の中でも一般會計と繋がりがあります。つまり、たとえば國債に關する特別會計というようなものは、先ほどお話のように一般會計でみな指示が出ておるのでありますから、これはわかります。殘るのは企業會計であります。鐵道及び通信でありますが、これは大正末ごろからか、豫算純計なるものをつくるようになりましたために、かえつて誤解を生じておるのでありますが、ああいう特別會計というものを一般會計と寄せてそうして歳出がいくら、歳入がいくらといつても、これは無意味なのであります。企業會計はいわば會社なのですから、民間の會社と同じに見て差支えない。問題はそこに赤字が出るか黒字が出るかの問題である。赤字が出ればそれだけ公債を發行するとか、借入金をするとか、あるいは場合によれば一般會計より補給するということになりますから、そこで問題が起るわけでありますが、特別會計については指示だけであります。バランスはどうなるのかこういう問題であります。本年度は普通にすればむろんそのバランスが惡うございまして、どのくらいになるか、相當な赤字が出る勘定でありますが、今その赤字を出さないように、一方においては運賃、通信料金の値上をしなければならぬ。またいろいろその合理化というようなものもはかりまして、そうして赤字は全體としては出ないような會計にいたしたいと努力しておるのであります。それでそれは實はやはり運賃、通信料金に關係があるものですから、國内の問題としてもこれは大きな問題でありますが、關係方面と折衝もいたしまして、まだきまつておらない。そのために今週末くらいまでに、その問題がきまると思います。なるべく早い機會に、それらの點は一般會計の豫算の御審議中に間に合えば、大體のことでも申し上げたいと思います。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=29
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030・稻村順三
○稻村委員 私の質問はこのくらいにいたしておきます。発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=30
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031・武藤常介
○武藤委員長 それでは午前は時間も過ぎましたので、この程度で休憩いたしまして午後一時半から再開いたします。
午後零時三十七分休憩
〔休憩のまま散會〕発言のURL:https://teikokugikai-i.ndl.go.jp/simple/detail?minId=009210250X00219470304&spkNum=31
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